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2006-03-16 第164回国会 参議院 外交防衛委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年三月十六日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         舛添 要一君     理 事                 浅野 勝人君                 山本 一太君                 榛葉賀津也君                 柳田  稔君                 高野 博師君     委 員                 愛知 治郎君                 岡田 直樹君                 金田 勝年君                 川口 順子君                 小泉 昭男君                 櫻井  新君                 浅尾慶一郎君                 犬塚 直史君                 今泉  昭君                 佐藤 道夫君                 白  眞勲君                 緒方 靖夫君                 大田 昌秀君    国務大臣        外務大臣     麻生 太郎君        国務大臣        (防衛庁長官)  額賀福志郎君    副大臣        防衛庁長官   木村 太郎君        外務大臣    金田 勝年君    大臣政務官        防衛庁長官政務        官        愛知 治郎君        外務大臣政務官  山中 あき子君    事務局側        常任委員会専門        員        泊  秀行君    政府参考人        防衛庁防衛参事        官        佐々木達郎君        防衛庁防衛局長  大古 和雄君        防衛庁人事教育        局長       飯原 一樹君        防衛施設庁長官  北原 巖男君        外務大臣官房審        議官       遠藤 善久君        外務大臣官房審        議官       八木  毅君        外務大臣官房参        事官       梅田 邦夫君        外務大臣官房参        事官       伊藤 秀樹君        外務大臣官房国        際社会協力部長  神余 隆博君        外務省北米局長  河相 周夫君        外務省経済協力        局長       佐藤 重和君        財務省主計局次        長        松元  崇君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○外交防衛等に関する調査  (外交基本方針に関する件)  (国の防衛基本方針に関する件)     ─────────────
  2. 舛添要一

    委員長舛添要一君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  外交防衛等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として防衛庁防衛参事官佐々木達郎君外十一名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 外交防衛等に関する調査を議題といたします。  この際、防衛庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。額賀防衛庁長官
  5. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 先日申し上げました所信につきまして、一言申し上げたいと思います。  先般、海上自衛隊護衛艦「あさゆき」の乗組員私有パソコンから、秘密の情報を含む資料が流出する事案が判明いたしました。  隊員からこのような情報が漏えいしたということは誠に、漏えい元隊員のみならず、その上官も含め、組織全体として情報保全に関する意識が弛緩していたことの証左にほかならず、これによって国民皆さん防衛庁に対する信頼を傷付けたことは誠に遺憾であります。  防衛庁といたしましては、この事案を受けて、私有パソコンからの業務関連情報の流出を防止するため、職務上使用する私有パソコンからファイル共有交換ソフトを削除する等の緊急の対策を実施したところであります。  また、職場で業務に使用される私有パソコンを一掃することを目的に、官給品パソコン調達のための契約を今月中に行うこととしております。  さらに、防衛庁全体としての再発防止に関する抜本的な対策について検討するため、高木政務官を長とし、全機関の長などをメンバーとする検討会を庁内に設置し、現在検討を行っているところであります。  私は、再発防止に関する抜本的な対策については早急に検討を進め、組織を預かる責任者として綱紀粛正を図り再発防止全力を尽くしてまいりたいと考えておりますので、舛添委員長を始め委員皆さんからの御指導、御鞭撻を賜りますようよろしくお願い申し上げる次第であります。
  6. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 外交基本方針及び国の防衛基本方針について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 岡田直樹

    岡田直樹君 自由民主党の岡田直樹でございます。  先週の予算委員会に続きまして、防衛施設庁談合問題について少しだけお尋ねをしたいと思います。  私の立場は、予算委員会でも申し上げましたとおり、施設庁を挙げてしっかりとけじめを付けていただき、再発防止に万全を期した上で、天下晴れて防衛庁防衛省になっていただきたい、旺盛な士気を持って国防の大任に当たっていただきたい、こういうものであります。額賀長官からも、再発防止に万全を期した上で防衛省移行の法案をできれば今国会に提出して審議していただきたいと、こういう力強い抱負もいただきまして、頑張っていただきたいと思う次第であります。  ただ、だんだんと事態は深刻に思えてまいりまして、十四日には例の三人の人が起訴をされました。業者の側は略式であったということは、やはり役所主導で官製の談合があったという疑いが強まっていて、またこれが何十年という長い期間にわたったのではないかという見方も出ております。  当事者だけでなくて、施設庁全体として、組織全体として真剣な反省が必要だと思うんですけれども、どの程度本当に深刻な事態として受け止めておられるか、ちょっと疑問に思ったことは、本当に細かな話で恐縮なんですけれども、先日、施設庁のナンバーツーの幹部の方から新任のごあいさつ状が参りました。委員皆様のところにも届いておると思いますけれども、封を開けながら、こういう時期に責任ある地位に立つ方は大変だな、どういうふうにこの談合事件について言及をしておられるかと思いながら封を開いたんですけれども、非常に残念なことに全くその言及がありませんでした。談合事件のダの字もない、反省の弁も、また出直し決意というものも書かれていない。本当にいつもお役所から来るような通り一遍のごあいさつ状でありました。  大変嫌なことを申し上げますけれども、なぜこの事件にほっかむりするような、ちょっと言葉は悪いかもしれませんけれども、沈黙をしたようなごあいさつ状を出されたのか。御本人に代わって恐縮でありますけれども施設庁長官からお伺いをしたいと思います。
  8. 北原巖男

    政府参考人北原巖男君) ただいま岡田先生から御指摘をいただきました着任あいさつ状でございます。私もその記述を確認をいたしております。先生指摘のように、今回の競売入札妨害談合についての、これに対する強い反省あるいは決意といったものは記述をされておりません。  この点につきまして、本人ともお話しいたしました。本人大変配慮のなさというものを反省をいたしております。そしてまた、御指導をいただいたことを拳々服膺いたしまして、今後ともその職務に邁進していきたいと、そういうように申しておりますので、是非とも御理解を賜りたいと思います。  なお、本人は一月三十日付けで着任をいたしました。正に逮捕の日でございます。私が委員長となっております調査委員会額賀大臣統括の下に発足したのが翌日の一月の三十一日でございます。当人は、調査委員会の副委員長として、また当委員会事務局長としてその事実関係徹底的解明といったものに今全力関係メンバーを指揮監督し、また自らも関係者にインタビューをする等を通じまして、徹底的な事実解明の究明に努めておりますので、何とぞ御理解を賜りたいと思っております。  我々、このような大変大きな事態を生起してしまいましたことを心から責任を感じ、またおわびを申し上げている次第でございますので、そして国民皆さんの失墜した信頼を一日でも早く回復できるその第一歩は、私どもがまず自浄能力を発揮して、どうしてこういった事案が起きてしまったのかを徹底的に明らかにし、そしてその結果をきちっと当委員会先生方を始め国民皆様報告という形をもって御報告することだと、そういった決意の下に現在取り組んでいるところでございます。
  9. 岡田直樹

    岡田直樹君 本当に重箱の隅をつつくようなことをお伺いして恐縮に思う反面、やはりこの時期に、しかも逮捕の日と同日に承認人事がなされた、そして大変重い責務に就かれた方として、こうした反省の意とかあるいは出直し決意とか、そういったことを全く書かずに、前例踏襲といいますか、これまでどおりの文面でごあいさつ状を出されたということについては少し常識に欠けておられたのではないかと、大変言いにくいことでありますけれども、そう指摘をさせていただきたいと思います。  額賀長官は、大臣所信でもざんきに堪えないと、ざんきに堪えないと大変厳しい言葉でその反省の意を示しておられる、そのお気持ちというものを防衛庁並びに施設庁皆さん共有をしていただいて、本当に深刻に受け止めて出直しをしていただきたい、こんなふうに思うわけであります。  もう一つ、苦情ばかり申し上げるようで恐縮なんですけれども施設庁長官事件直後の二月三日にこの外交防衛委員会が開かれまして、この問題について集中審議が行われました。その際に、基地はやはり迷惑施設でございますからと、迷惑施設でございますからというふうに答弁をされたのを聞いて、私は少し引っ掛かったわけであります。  施設庁においては基地のことを迷惑施設というふうにとらえておられるのか、そうすると少し不適切ではないか、こういうふうに思うんですが、長官がそういうふうにおっしゃった真意というものをお伺いしたいと思います。
  10. 北原巖男

    政府参考人北原巖男君) 今、岡田先生指摘のように、私、二月の三日に迷惑施設という言葉を使用いたしました。  この点についてでございますが、申すまでもなく、防衛施設、これは我が国防衛力、またその日米安保体制を支える基盤として、これはもう必要不可欠なものでございます、存在でございます。他方におきまして、これら必要不可欠な防衛施設設置あるいは運用によりまして、周辺地元皆様に、例えば騒音などの障害ですとか、あるいは土地利用上の制約などの御負担をお掛けしているところもまた事実でございます。私、そのような御負担をお掛けしていることを踏まえて今申しましたような言葉を使用したわけでございますけれども、私といたしまして、先生の御指摘につきましてはこれを真摯に受け止めてまいりたいと思っております。  そして、この防衛施設を使いまして、我が国自衛隊員、あるいは米軍日米安保体制に基づいて駐留している米軍皆様方、それぞれが任務を全うし、国民の負託にこたえられるといったことができるように、今後とも防衛施設庁といたしまして、この極めて必要不可欠な防衛施設の取得ですとか、あるいはその安定的な運用といったものの確保に努めてまいりたいと、そのように考えております。
  11. 岡田直樹

    岡田直樹君 今おっしゃったとおり、基地周辺住民にいろんな負担が掛かることは当然の事実でありますし、その対策は重要な課題であると思います。しかし、迷惑施設というのは本当に基地で頑張っておられる自衛隊米軍方々にとっては士気を低下させるような言葉でありますし、また、住民の中にも基地に協力して共存共栄と思ってきた方が少なくないわけであります。  ですから、そういうお気持ちを酌み取っていただいて、是非この迷惑施設という言葉は取り消して、今後は用いられないように、そして本当にお願いをしたいことは、こういう事件があったからといってあえて卑下なさることのないように、低姿勢はもちろんでありますけれども、何か迷惑施設というとちょっと卑屈に聞こえたもんですから、是非そんなことがないようにしっかりと反省をした上で、国防基盤を築くという大変大事なお仕事防衛施設庁は担っておられるわけですから、堂々とその任務に邁進をしていただきたい、こんなふうに思うわけであります。  重ねてで恐縮でありますけれども施設庁長官決意のほどをお伺いをしたいと思います。
  12. 北原巖男

    政府参考人北原巖男君) 今先生の御指摘大変心から感謝を申し上げます。  私ども防衛施設庁、東京、また全国に八つの局がございます。総勢三千百名おります。我々の任務というものは誠にこれからも一層重要性を増していくと思っております。正に、今月中に最終報告をまとめなければならない再編問題につきましても、全国各地施設庁職員全力地元皆さんの御理解を得るべく努力しておりますので、先生の御意見を本当に有り難く賜りながら、そして一層この使命の重要性責任の重さを認識しながら、三千百名一体となって今後とも大臣統括の下、努力してまいりたいと思っております。
  13. 岡田直樹

    岡田直樹君 それでは次に、岩国市の住民投票基地再編推進策について、外務大臣防衛庁長官にお伺いをしたいと思います。  先日、十二日に岩国市で、アメリカの空母艦載機移駐に関する住民投票が行われたわけでありますけれども、私はこのタイミングで住民投票を実施することには非常な疑問を感じたわけであります。  第一に、この二十日にも岩国市は周辺七つ町村と合併をいたしまして新しい市に生まれ変わる、したがって住民投票の効力は元々一週間余りしかないわけであります。また、その投票には七つ町村、新しく岩国市に加わる方々の意思は反映をされていない。そしてまた、もっと問題だなと思うのは、新しい市の市長選挙が来月の二十三日に行われるわけで、地元では、まあ少し口が悪いかもしれないけれども、これは市長選挙事前運動に当たるんではないかと、こんな厳しい声すらあるわけであります。  元々この投票結果というのは法的拘束力を持ちませんけれども、その意義というものが何か過大評価され、報道されておる嫌いがあるんではないかと思います。一国の安全保障にかかわる問題をその当該の地域だけの直接民主制で決めるということは我が国代議制の原則から外れるのではないか、こういうふうに思うわけでありますが、外務大臣防衛庁長官というよりも、国務大臣閣僚、まあ政治家として、この住民投票実施の是非あるいはその評価について、両大臣から御所見をお伺いしたいと思います。
  14. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今、岡田先生指摘のありましたように、岩国市の住民投票につきましては、これは岩国市というより岩国市長の御判断というところでありまして、これは政府として特段のコメントは差し控えさせていただきたいと存じます。  いずれにいたしましても、今御指摘がありましたように、国家全体のいわゆる観点に立って国の外交とか安全保障とかいうものを責任を持って考えていく必要があろうと存じております。今、日米間で兵力態勢再編につきまして今月一杯にまとめたいということで今協議を行っております。岩国の場合は、空母艦載機移転を含めて、いろいろ地元、市、また住民、いろいろな御理解を今いただけるように政府として引き続き誠心誠意努めていかねばならぬところだと思っております。いずれにしても、この種の話は地元、国、全体の意見の総意というのができ上がるのが望ましいということだと存じます。
  15. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 私も外務大臣と同じでございまして、安全保障日本防衛を携わる責任者といたしまして、日本全体の安全保障の視点、それから日本が安全でいるために、この地域の安全、北東アジアアジアの安全、あるいは世界の中でどういうふうに平和と安定を保っていくか、そういうことが最も大事であるというふうに思っております。  地域皆さん方の、様々の住民皆さん方意見意見として、私はどういう接点を探っていくかが仕事であるというふうに思っておりますので、今回の住民投票の結果については承知をしておりますけれども米軍再編の問題については、引き続いて地域皆さん方に御理解を得るために最大限努力をしていきたいというふうに思っております。
  16. 岡田直樹

    岡田直樹君 そうした大局的な見地からベストと思われる方向で住民方々にしっかりと御説明をいただきたいと思います。  まあ、私はこの投票自体はおかしいと思うんですけれども、しかしボイコット運動のある中で、投票率は五八%を超えて、有効投票数の八七%が反対した。この反対の多さというものもまた否定できない事実であります。  両大臣はこれをどういうふうに分析をされるか、また説得見通しというもの、先ほどもその決意はありましたけれども見通しというものを少し両大臣にお伺いしたいと思います。
  17. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今、岡田先生指摘がありましたように、いわゆる投票率は五八・六八%ということになっておりますので、これはいわゆる住民投票という形をクリアしたということになろうと存じます。そのうち反対票が、今言われたように四万三千四百ということで、約九割近い反対があったということは私どもも十分存じているところであります。この取扱いにつきましては、これは市の御判断先ほど申し上げたとおりですけれども、国全体としての立場というものは、先ほど防衛庁長官からもお話があったとおり、私どもとしては、国全体のことを考えてやっていかねばならぬと考えております。  移転をいたしますのは、三年後の平成二十年ということになります。そのときに、岩国の現あります飛行場の沖合に新たに埋立地ができて、そこに滑走路ができ上がることになるという状況にございます。この移設が完成した後に厚木から岩国ということになってまいりますが、沖合移転された分、計算上では騒音区域は現在より約三分の一に減るということになっております。  私どもとしては、兵力再編という非常に大きな問題の中にありますけれども、少なくとも、沖縄に集中しておりました分、また厚木というところにいろいろ、町の真ん中だということにもなった点もありまして沖合移転ということを考えたわけですけれども、いずれにしても地元方々の御理解というものは非常に大事な点だと思いますんで、引き続き、誠心誠意状況というものをきちんと説明をしていく努力というものは、防衛施設庁共々やっていかねばならぬ大事な観点だと思っております。
  18. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今、岡田委員がおっしゃるように、今度の住民投票の直接的な中身は、空母艦載機移駐について賛成なのか反対なのかということでございます。これが、空母艦載機移駐が、日本安全保障にとってどういう意味を持ってるのか、あるいは日米同盟の間でどういう意味を持ってるのか、日本だけではなくて、この地域にとってどういう意味を持ってるのかということについて、我々はよく地域皆さん、あるいは日本全体の国民皆さん方説明をして、理解をしてもらわなければならないというふうに思っております。  もう一つは、麻生外務大臣もおっしゃいましたけれども、従来の岩国市民市民に与えてきた負担は、海上沖合一キロメートルに滑走路移設することによって従来の負担よりも縮小されていることは、我々のこれまでの空母艦載機の、まあ言ってみれば実績の上で計算をしていくと、着実に縮小されておることは間違いのないことでございます。  例えば、一つは、先ほどもおっしゃいましたが、迷惑を受ける、住宅防音装置を講じなければならないといううるささ指数と言われる七十五Wを受ける地域、面積というものは、従来の千六百ヘクタールから五百ヘクタールに縮小されます。と同時に、防音工事を受ける従来の民家というものは一万七千世帯でありましたけれども、今度の沖合移設によって、これが四千世帯に縮小されるというようなこともはっきりしておりますので、住民皆さん方に丁寧にこれからよく説明をして、御理解をしていただくようにしなければならないというふうに思っておるところでございます。
  19. 岡田直樹

    岡田直樹君 今おっしゃったように、基地周辺住民に掛かる負担軽減ということを十分御説明をいただきたいと同時に、それでもやはりいろんな負担があるわけでありますから、そうした負担を、我が国民全体が安全保障目的のためにその負担を分かち合うということは当然のことであります。  そうした意味で、基地周辺振興策、いろんな対策というものも十分に打っていかねばならないと思います。大変厳しい財政状況の中ではありますが、そうした基地周辺対策、必要なものはやっていくという、そういうお気持ちというのを防衛庁長官にお伺いをしたいと思います。
  20. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 岡田委員のおっしゃるとおりでございまして、現在我々は、日米の間で米軍再編に伴う詳細なことについて協議中でございますけれども、一方で、地元対策を考える上でも、関係閣僚会議というものを既に設置をしておりまして、地元皆さん方の様々な要求要望について、この関係閣僚会議できちっと受け止めて、地域対策ができるような仕組み、枠組みをつくっておるところであります。今月中に日米の間で最終合意を得ることが目的で、今最終的な協議をしてるわけでありますけれども、同時に地域皆さん方要望も得ておりますので、しっかりとそれぞれの地域の問題に合わせて対応していきたいというふうに思っております。
  21. 岡田直樹

    岡田直樹君 普天間の方の移設もなかなかめどが立たないという状況もあります。こうした移設に関しては、周辺への特段の対策が必要であると同時に、説得を尽くしてもなお合意ができない、万やむを得ない場合は国がある程度強力な執行権を持って断行すると、そうした法律整備も必要なのではないかというふうに私は思うんですが、この法整備について防衛庁長官の御見解をお伺いしたいと思います。
  22. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 私どもは、まずこの米軍再編の問題について、国民皆さん方地域皆さん方理解を得るために全力を注ぐことが先決であるというふうに思っておりますし、また最後までそういう努力を継続しなければならないというふうに思っておりますし、日米の間で様々なテーマがありまして、だんだんとお互いの意見が集約されつつあります。そして、沖縄のことにつきましても、相当負担軽減がなされるところもあるわけでございます。普天間のまず基地全面返還がなされる、それから嘉手納以南土地も相当規模で返還をされていく、そういう流れの中で県民の理解を得ていかなければならない。  新たな負担が起こるところについては、先ほど岡田委員がおっしゃるように、地域皆さん方に御理解を得る最大限努力をすると同時に、我々も負担が最小限になるように努力をする。一方で、地域要望についてもしっかりと受け止めて対応していく。そういう中で、この問題の解決を図っていくことが最も大事であるという認識を持っております。強制的にがつんという考えはありません。
  23. 岡田直樹

    岡田直樹君 もう時間も少ないんですが、端的に、中国軍事費の伸びについてお伺いをしたいと思います。  中国といいお付き合いをしたいのは本当にやまやまなんですが、毎年二けた以上の軍事費の伸び率、そして内容も不透明ということで、幾ら高度成長の最中とはいえ、これは少し常軌を逸しておるんじゃないかなと、東アジアの不安定要因になっているのではないかなというふうに思うわけであります。また、かつては、中国軍は量的には膨大であるけれども質的には少し後れていて、質的には劣ると、そういうふうに見てきたわけでありますけれども、今では海空軍を増強して、あるいは空母を持とうというような発言も飛び出して、非常に周辺に対して脅威、侵攻能力を備えておるんではないかと、こういうふうに思うわけであります。  こうした状況について両大臣から御見解を伺うとともに、私は、中国がこんな軍拡を続けるよりはもっと国連分担金を増やしてほしいということを率直に思うわけであります。先日も、麻生大臣、そういうお話を予算委員会でされましたけれども日本が一九%、中国が二%、どっちが常任理事国か分かんない、もし日本の軍国主義の再燃を懸念して、自らが平和国家であると言うならば、もっと国連分担金の方を増やすべきではないかと思いますが、両大臣、本当に短くて結構ですから、一言ずつお願いをいたします。
  24. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 先般の全人代におきます財政報告を見ますと、中国のいわゆる国防費、一四・七%増の、いわゆる邦貨換算四兆六百五十億ということになっております。連続十八年の二けたの伸びということになります。四兆を平均一〇%でやりますと、十八年たちますと二十兆円ということに、単純計算、複利で計算しますと二十兆になりますんで、そういった意味ではこの十八年間で約十一倍のあれになっております。  そういった意味と、問題はその中の内容が極めて不透明であります。したがいまして、主要装備の内訳なんというのは全く外には分かりませんので、そういった意味では、不透明な部分があるという点と、極めて高い水準でずっと伸びているというところが周辺諸国から見ますと極めて不透明。そういったところがいろんな意味で不信感、不安感を持たせるということだと思いますので、私どもとしては、この点につきましては、今後透明性を開示をしていただかねばならぬというところだと存じます。
  25. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 私どもも、先般の中国の二〇〇六年度の国防予算案を見ておりまして、中国国防費、公表している国防費というのは十八年連続一〇%以上の伸びを示していることになるわけでございまして、これはそもそも核ミサイル戦力とか海空軍を中心とした近代化を精力的に図っているものと認識されます。  具体的に言えば、海上戦力については、ロシアから近代的なソブレメンヌイ級駆逐艦、キロ級潜水艦の導入を継続するとともに、国産の新型駆逐艦や新型潜水艦の建造を実施しているものと思います。また、航空戦力につきましても、ロシアから既に近代的なスホーイ27戦闘機やスホーイ30戦闘機を導入していると思われます。国産のJ10戦闘機についても、量産配備を開始しているのではないかと思われます。また、さらに空中給油機とか早期警戒管制といった、岡田委員おっしゃるような近代的な航空戦力の運用に必要な能力の獲得に向けて努力を傾注しているものと思われます。  引き続いて我々はそういう状況を注意深く見守るとともに、中国がもうちょっとオープンに、装備の整備等々について透明性を持った形で周辺国あるいは世界に対してオープンにしていくことが安定のために必要ではないかという思いを持っております。
  26. 岡田直樹

    岡田直樹君 ありがとうございました。──どうぞ。
  27. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 金田外務大臣、簡潔にお願いをいたします、時間が来ておりますので。
  28. 金田勝年

    ○副大臣金田勝年君) はい。それでは、中国の国連分担金が低く抑えられていることについての御指摘がありましたので、その点に関してだけ簡単に申し上げます。  今、二〇〇六年の国連分担率が、日本が一九・五%に対して中国が二・一%という数字になっております。そういう意味で、御指摘のとおりの事情があるわけであります。これに対しまして、私どもとしては、国連の分担率を、二〇〇六年末までに算定方式の見直しが行われるわけでありますので、我が国としては、地位と責任に応じた負担の要素を加味することによりまして、より公平、公正な分担率を実現するための提案というものを国連総会の第五委員会に提出をいたしております。  このポイントの中に、ただいまの御質問の趣旨を踏まえたことになると思いますけれども中国を含む安全保障理事会の常任理事国につきまして、その特別の地位と責任にかんがみて下限を導入するという考え方であります。三%又は五%の下限を導入するということをその主要なポイントとした提案をいたしているところであります。  いずれにしましても、より公平かつ公正なものに、地位と責任が適切に考慮された、そういう分担率になりますように、積極的に私どもとしても今後この年末に向けて算定方式の見直しが行われるよう努めていきたいと、こういうふうに思っております。
  29. 岡田直樹

    岡田直樹君 ありがとうございました。
  30. 柳田稔

    ○柳田稔君 おはようございます。  額賀長官とこの場でお会いするのは何年ぶりかなと、今回はいいムードでいろんな審議をしたいなと思ったんですが、冒頭からいろんな問題が起きてきまして、長官は巡り合わせが悪いのかなとついつい思わざるを得ません。  そういうのは、まあ前置きは別にしまして、まず情報の流出の問題。今朝、当委員会の理事会で我が党の榛葉筆頭理事の方から、先日の長官所信に対して、秘密の情報を含む資料が流出した件、長官が触れなかったのは非常に遺憾だと、一体防衛庁はこの情報漏えいについてどういう認識を持っているんだと強い意思表示がございまして、先ほど長官の方から追加の所信をしていただきました。私もそれなりの期間、国会の場におりますけれども、追加の所信を聞いたことがあったかなと実は今思い返しているんですけど、私はそういうことを経験したことはありません。  最初の質問なんですが、長官自身はこの情報の漏えいについてどれぐらいの認識を持っていらっしゃるんだろうか。所信というのは、防衛庁の代表した考えを述べると同時に、長官としての考えを述べるものですよね。ですから、長官のこの情報の漏えいについてどういう認識をお持ちだったのか、まずお答え願いたいと思います。
  31. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 情報の、秘情報の流出案件が起こったときに、私は、まず防衛庁それから各幕の幹部の皆さん方に申し上げたことは、一つ防衛庁全体の弛緩のゆるみがあるのではないか。それでなくても、その前に施設庁の不祥事の案件がありました。したがって、私は、防衛庁の講堂に六百人以上の幹部を集めまして、様々の不祥事が相次いでいる、この問題をきっちりと整理をしていかなければ国民信頼を得ることができないという話をいたしました。私は、施設庁も含め、この秘情報の流出事件についてきっちりとした防止対策を取ることについて先頭を切ってやるので、防衛庁それから各幕の幹部の皆さんは付いてきてくれと、それでしっかりと国民皆さん方に目に見えるような形で改革、再発防止策を講じようではないかという訓示を行ったところであります。  その上で、秘情報流出事件につきましては、まず秘情報私有パソコンに入っているものは全部削除せよと。それから、官供給のパソコンが少ないもんですから、私有パソコンが多かったもんですから、今年度中、この三月中にこれを官給品に替えるようにという話をし、そして高木政務官を中心として再発防止策を検討するように指示をしたところであります。  その上で、本日、この委員会で改めて所信というか考え方を述べさしていただいたということでございますので、御理解をいただければ有り難いというふうに思っております。
  32. 柳田稔

    ○柳田稔君 長官防衛庁の中でどういう発言をされたか、どういう指導を行ったか、私は知りません。テレビで放映されるわけでもないし、新聞に載るわけでもありません。私が知り得るのはこの場で長官がどういうお話をされたか、これだけなんですね。又は、防衛庁からちゃんとした資料を出されたか、これぐらいしか知るすべはないんです。  私の質問の趣旨は、所信は先日終わってるんです。ウィニーで情報が漏えいしたのは大分前の話なんです、実は。二月中旬ぐらいでしたか。まだ今日は二月の下旬じゃありませんよ。もう三月ですよ、長官所信をされたのもつい先日なんです。なぜ国会の外交防衛委員会の場で、それも所信でなぜ触れなかったのですか。そんな大した問題じゃないから所信で触れる必要はないと思われたから触れなかったんだろうと思うのが普通の考えですよね。  ところが、今朝の当委員会の理事会で民主党の榛葉理事から、これはおかしいと、重大な問題だからもう一回所信をやれと強い意思表示が委員長並びに与党の理事にありました。それを受けて与党の理事は、ごもっともだと、理解もすると、やるべきだということで、今日、当委員会の冒頭に長官から所信の追加があったんです。  この問題は追加の話なのか、それとももっと重要な問題なのか。私は、そこが分からないんで質問さしてもらってるんです。
  33. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 我々が今直面している問題は、一つは、政策的には米軍再編の問題。それからもう一つは、イラク派遣の問題。それからもう一つは、施設庁を始めとする不祥事の再発防止の問題。と同時に、先生がおっしゃるように、この秘密情報流出事件というものにどう対応するか。国民の安全、国家の防衛を担当する最も情報についてシビアでなければならない防衛庁あるいは各幕においてこういうことが起こることはあってはならないことであることの強い認識を持っております。したがって、私は、即座に私有パソコンからそういう秘情報を削除させたり、対応措置をとり、そしてまた今後の防止策について庁内挙げてその検討会をやっているところであり、一定の緊急措置をとったところでありました。  そこで、確かに当初の所信に触れていなかったわけでございますけれども、問題意識は今持っているように、そういったことで当初の緊急措置をとった直後であったので、ちょっと触れていなかった点もあったわけでありますが、先生方の御指摘もあり、改めて国民の前、国会の場できっちりと御論議をしていただくように今日述べさしていただいたということでございますので、御理解をいただければ有り難いと思います。
  34. 柳田稔

    ○柳田稔君 御理解までは行きませんが、話だけは聞きました。  長官、今の所信を聞きましたら、海自しか書いてないんですね、海自、海上自衛隊の件しか。実は陸も空も出てるんですよ。御存じでした。
  35. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 承知しています。
  36. 柳田稔

    ○柳田稔君 じゃ、なぜ触れないんでしょうか。海上は触れてある、陸は触れていない、空は触れていない。空と陸は関係ないんですか、これ。
  37. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは、最初の秘密情報の流出事件が発覚したのが海上自衛隊の「あさゆき」ということで大々的に報道されたりしまして、その契機になってあったわけでありますが、その前にも陸空においてもそういう流出事件があって、それぞれの幕の中で、言ってみれば内規を守るとか、そういう対応をしておったということでございますが、大々的に我が方で、私が対応措置をとらしていただいたのはこの海上自衛隊護衛艦「あさゆき」の問題からということで、最初にこういうふうに書かせていただきまして、その後、防衛庁全体としての対応が書かれていると。これは、各幕だけではなくて、内局も含めて全体として対応しているということでございますので、こういうふうに書かしていただいたところでございます。
  38. 柳田稔

    ○柳田稔君 どれぐらいの量が、どういう項目の情報がどれぐらいの量が流出しているのか、長官は把握されていますか。
  39. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 全体的な量としてこれをどの程度まで把握できるかどうかというのはなかなか不確定な要因があると聞いております。防衛庁として把握しているところもあるし、また把握し切れていないところもあります。そういう把握しているところをオープンにすることが更に二次被害というか拡大をしていくおそれもあるので、なかなかオープンに言えないところもあるわけでございます。
  40. 柳田稔

    ○柳田稔君 どういう情報がどれだけ流れているのか把握できません、と同時に、それを公開するのはいろんな問題があるんでできませんとおっしゃいました。長官、今、防衛庁から流出した情報ですよ、だれでも見れるんですよ、言っておきますが、今でも。見ようという意思さえあればだれでも見れるんですけど。分かります、意味。私も最近、ウィニーというのがマスコミに出るようになったんで勉強ちょっとさしてもらったんですが、一回出た情報というのは消えないんですって、長官。だから、長官防衛庁組織を守るために、日本防衛を守るためにどれだけ、どんな分野が流出したのか答えられませんと言っても、そんな話は通らないんです、現実として。見ようとすれば今でもだれでも見れるんですね、長官、これは事実なんで。  それともう一つ。どんな情報が出ているのか把握できてません、もしかしたら相当な機密の情報まで出ているかもしれないじゃないですか。それがただ単に防衛庁は把握できてません、そんなことで済むんですか。先ほど自民党の議員の方からも中国国防についていろいろ話が出ましたよ。把握はできてません、公開はできませんって、そんな話は通らないと思うんですけど、どうでしょう、長官
  41. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 把握をしておりませんとは言ってないんでして、把握しているところもあります。承知しているところもあるけれども、それはどういう意味かというと、全体のことはすべて、どういうところが抜けているか、流出しているかということをしっかりと全部押さえ込んでいるわけではない。で、防衛庁として承知しているところもあると。しかし、承知していることを更にこれを明らかにしていくことは情報漏えいの範囲を拡散させるという可能性もあるので、すべてを明らかにすることはできないと、そういう意味の話をしたわけでございます。
  42. 柳田稔

    ○柳田稔君 情報の元は防衛庁なんですね、防衛庁防衛庁仕事は遊びじゃないんです。長官もいつもおっしゃっていらっしゃるように、国を守る、国民の生命を守る崇高な目的を持って活動していますとおっしゃっているんですね、長官。  とするとですよ、どんな情報が漏れているかすべて把握しておかないと、まだ全体は押さえ切ってませんけれども、押さえてないところに大変な極秘情報が入っていて、一方じゃだれでもアクセスできるんです、海外からでも。だれでも取れるんですよ。  僕は何を言いたいかというと、安全を守るという防衛庁目的からして危険な状態だなと。要は、何が情報が流出しているかまだ分からないです、我々も、余りにも多過ぎて、すべて把握できないんです、我々は。これは事は防衛庁ですからね。最近、我が党も危機管理のなさがどうのこうの言われましたけれども、これは我が党の問題なんです。防衛庁は国の問題なんですよ、言っときますが。で、すべては押さえてませんので、報告できません、公開もできません、公開しなくたって調べればできるんです、我々だって。ただ、時間と労力が掛かるから大変だなと思っているだけで。だから、長官、もっと強い危機意識をこれには持ってほしい。どういう報告防衛庁の諸君から上がっているか僕は知りませんよ、それは。ただ、事は防衛庁ですからね、長官。その強い認識を、危機管理を、危機意識を持って対処すべきだろうと思うんですけれども先ほどの答弁が納得できないんで、再度強く言わしてもらいましたけれども、どうでしょうか、長官
  43. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) もう、もちろん国家の安全保障の軸は情報をどういうふうに管理し、情報をどういうふうに収集し、分析をしていくかということが基本だという認識を持っております。  したがって、これは同盟国との関係でも国民との間においても、この情報についてしっかりとした体制をつくっていくことが私は最も大事であるというふうに思っております。それは先生のおっしゃるとおりであります。  したがって、全部把握し切っていないと私は言ったのは、もちろん防衛庁、各幕、どういう情報が流れているか、流出されているかということについては、全職員、全隊員の中で一人一人点検をしながらこの情報の流出の把握に努めていることは当然のことであります。と同時に、一人一人面談をして、再びこういうことが起こることがないようにも手を打っていることも事実であります。
  44. 柳田稔

    ○柳田稔君 今、長官から国際的なことも出ました。この所信には国際的なことは述べてなくて、国民信頼を損なうとしか書いてませんでしたけれども、私は日本の同盟国とか関係する国からも信頼がだんだん薄れてきているんじゃないかと。ああ、日本防衛庁というのはいろんな情報渡しても漏れるのかと、そんな国の防衛庁にもう情報もデータも渡せねえやと思うのは当たり前ですよね。自分の国をまず守らないといけないわけですから、その国もね。僕はその辺も出てくるんじゃないのかなと。実は、調べた中に、こんなことまで出ているのかというのが実はあったんですよね、長官は把握しているか分かりませんが。私は国際的な問題としても出てくるような気がするんですが。  全然前もって言ってなかった麻生外務大臣、今の額賀長官の答弁を聞いて、国際的な問題もあるなと、信頼もあるなというふうなお答えでしたけれども外務大臣、今の答弁聞いてどう思われています。
  45. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) ウィニーというソフトに関する基礎知識の問題だと思っております。  ウィニーといういわゆるあのソフトに関しては前々から問題がある、これはソフト扱ったことのある人ならだれでも知っていると思いますよ。自分で調べられるぐらいの技術がおありになったら、このウィニーというソフトには問題があるんですから、これは作った人がそう自分で述べておられるぐらい、もうこれは結構有名な話ですから。  そのウィニーというソフトを官給されている、官から支給されているパソコンじゃ古過ぎて、スピードアップやろうと思えば自分のパソコンでやろうとするというのはよく分かる。だから、自分のパソコンだからそのウィニーのソフトをそれ入れて持っていった中に、逆に取られることになっていったということなんだと。私は、自分たちは悪気はなくても結果的にはそうなったというのは一番のこれの起こった背景ですよ。個人情報を漏らすとか、軍の情報を漏らすとかいうような意図が自衛官にあったとはとても思えませんね、私は。  しかし、盗まれる確率が極めて高いソフト、しかもそれは個人で持っているパソコン、PCの方が新しいんですから、そっち使いたがるのは当然なんですよ、気持ちとしては。ただ、その中にそのウィニーというソフトが入る、入れたというのが元の元だと、私は今回の一連のことに関してはそう理解をいたしております。  したがって、それをするためにはウィニーをやめるか、若しくはそのパソコンを新しいパソコンにみんな政府が買い替えてやるか等々、いろんなことがこれは経費、投資対効果の問題で出てくるんだと、私は基本的にそう思っております。その上で、今そういう知識をお互いに共有した上で、今の問題から言わせていただければ、国際的にもこれはウィニーなんというソフトを自分のパソコンに入れて持って帰るなんというのはちょっと勘弁してくれというような意識を持った国、他国の情報官は多かったろうというのは想像に難くないところであります。
  46. 柳田稔

    ○柳田稔君 長官、できれば、我々も調べますけれども、どういうものが情報として流出したのか出してもらえませんかね、当委員会に。我々も調べますけれども、余りにも量多過ぎてチェックするのが難しいんですね。今、外務大臣がおっしゃったように、自分のパソコンでやると自分の情報が出ちゃうもんで、新たなパソコン買うか何かしないとできないんですよ、実は、我々としても。ですから、どうせもうだれでもアクセスできて見れるんですから、防衛庁が調べたものを当委員会に出してもらって、どんなものなのかちょっと見さしてもらいたいと思うんですけれども、どんなもんでしょうか、長官
  47. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 我々も、今おっしゃるようにどういうものが流出しているかについて勢力を挙げて点検中でございます。これによって更に情報が攪乱をし、そして我々の安全保障上、不利な点が出てくるようなことがあってもいけないし、そういう意味では慎重に対応させていただきたいというふうに思っております。
  48. 柳田稔

    ○柳田稔君 いや、慎重に対応されるのは結構なんですが、何度も繰り返しますけれども、だれでも見れるんです。ただ、見るとしたときにいろんな問題点があるんで困ったなと。どうせ防衛庁さんもいろいろ調べていらっしゃるでしょうから、その情報共有さしてもらってこの問題に対処していけたらなと思うんですけどという話なんですが、いかがでしょうか。
  49. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 柳田先生気持ちは分かりますけれども、まあ我々はこの問題が再び起こらないように緊急措置、手当てを今しているところでございます。と同時に、一方で、どういう情報が、この私有パソコンに入っていた様々な情報が一般的に流出されているのかの実態を今把握しているところでございます。  一番恐れるのは、そういうものが次から次へと波及をしていって、我々にとって不利な条件が更に二次被害的に出てくることでございますので、それについては是非、私も慎重に対応せざるを得ないというふうに思っておるところでございます。
  50. 柳田稔

    ○柳田稔君 これでこの問題については最後にしますが、漏れた情報にどう対処するかというのも必要ですよ。  隊員の個人情報も入っていましたしね。だから、あるところというか国というか、情報を得たいと、だれに接触すればいいんだ、パソコン見たら載っていると、住所も名前も生年月日も家族構成も宗教も出ていると、どうぞ調べてくださいと日本政府言っているようなものですからね。何が欲しいのか分かりませんが、欲しければこの一覧表を見て、この人に接触して、この人の弱音はこれですから、これを利用して、どうぞ利用してくださいと言わんがため、と言い過ぎですけれども、使えるような情報が今出ていますんで、だから今出ている情報をどう対処していくのか。おまえ、隊員、金払うから住所移せと言うこともできませんけど、電話番号ぐらい変えろとか、その程度しかできないのではないかと思うんですが。いずれにしても、今出ている情報にどう対処していくのか。僕はどんな機密が漏れているのかまだ分からないので、空恐ろしいんですけれども、それも必要なことですから。長官、念頭に、頭に入れておいてもらえればと思います。  この件は明日、予算委員会で、榛葉議員が予算委員会で徹底的にやるそうですから、長官もいろいろと勉強されればと思いますので、よろしくお願いいたします。  次に、岩国住民投票結果、先ほど自民党の議員の方からも質問がありました。私自身は、市民が自分たちの意思をはっきりすることは私はおかしくないと思っています。それがどうのこうのと言うつもりはありません。市民の意思はどこにあるのかと聞くのは、これはそれでよろしいんじゃないだろうかと思っております。  で、長官、私は隣の広島県におりますので、岩国にも時々行きます。岩国というのは米軍と非常にいい関係にあるんですね、今まで。ところが、こういう意思表示が出たと。実は、私自身がびっくりしているんです。あそこまで友好的だった岩国でこんな結果が出るのかなと。実は、個人的にはそう思いました。  長官も、多分、岩国に訪れて、いろいろ話もされたことあるかと思うんですけれども、率直に、この結果を受けて長官、どう思われました。
  51. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 住民投票のテーマとして、空母艦載機移駐することについて賛成か反対かということでございます。空母艦載機移駐については、日本の同盟関係安全保障に直結する問題でございます。したがって、住民投票に供するテーマとして住民一つ判断が出た場合に、日本全体の安全保障、それから地域安全保障、あるいは日本防衛についての考え方、これを私はどういうふうに考えるべきかということが自分の立場であるというふうに考えたときに、日本全体、地域全体のことを考える私の立場からすれば、やっぱり日本国民の生活、経済活動、すべてこれは地域の安定、国が安全であるからこそできることであって、そういう我々の大局的な立場というものを是非理解してもらうように最善の努力を尽くしていくほかはないというふうに思ったところでございます。
  52. 柳田稔

    ○柳田稔君 今月末に、最終報告まとめると。まとめるに当たって岩国市民が意思表示をしました。これは最終報告をまとめるに当たって何か影響があるんでしょうか。それとも一切考慮はしないで最終報告をまとめつつ、まとめるのか、お答え願えればと思います。
  53. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今、日米の間では、昨年の十月の中間報告の原則に基づいて細部にわたって協議をしているところでございます。したがって、まとまりつつあるところでございますけれども、まだ最終的な場面に到達していないわけでございますから、日米の間でこれを大詰めの協議をすると同時に、それぞれの地域に関する問題については逐一、状況報告をしたりしていくことが私の仕事であるというふうに今思っているところでございます。
  54. 柳田稔

    ○柳田稔君 聞いていて非常に理解に苦しむんで、分かりやすい答弁をひとつお願いします。済みませんが、もう一回お願いします。
  55. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 岩国市民住民投票に対する結果というのは承知をしております。しかし、私の立場は、日米協議の最終目標に向けて協議をしているわけでございます。そして、日本安全保障日本防衛問題にとって、この空母艦載機岩国移駐というものは一つの避けては通れない重要な目標でございますので、岩国市民、あるいはまた新しい、合併をして市に誕生する方々に対して御理解を得る努力を最後まで続けていく必要があるというふうに思っているところでございます。
  56. 柳田稔

    ○柳田稔君 では、岩国の結果は参考にはしますと、最終報告作成に当たってですよ、参考にはしますが、報告の中身に触れるとか影響するとか、そういうことは一切ありませんと。ただし、報告がまとまったら、今後、最終報告に沿って実施できるように地元説得していきますという答弁ですよね。
  57. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 地元の御負担については、御負担を最小限化する努力最大限行いたい。その上で、我々の考え方が理解できるように説明をし、説得をしていきたいということであります。
  58. 柳田稔

    ○柳田稔君 広島県知事も、さらに広島県の西部の首長さんも、実は反対の意向が強いんですね。はっきり反対とは言っていませんけれども反対の意向が強い。一部首長では反対だと言っているところもあります。岩国が、まあ現地ですけれども、この広島県に対して長官はどういう説得するとか、何かお考えはありますか。
  59. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 私も広島県にも参りまして、知事さんとも何回かお会いをしましたし、各市町村長さんともお会いをしております。また、全国的にもぐるっと歩かせていただきましたが、大半の知事さんとか市町村長さんは日本安全保障日米同盟関係理解はすると。しかし、様々な騒音だとか被害、負担については、是非それは最小限にしてよねと。できるならば我が町には来てもらいたくないんだよねと。それが基本的でございます。  したがって、私としては、日本全体のことと地域のことを、まあ地域負担を最小限にするような努力をしながら御理解を得ていかなければならない、その接点を探っていかなければならないという立場でございます。
  60. 柳田稔

    ○柳田稔君 今日はこれぐらいにしておきまして、次の不祥事に、官製談合ですが。  長官、私も、何年前でしたかね、七年前でしたか、そんな前でしたよね、ここに座っていまして、長官を追及しました。で、再発防止に努めますと、けしからぬことをやったと、二度と起きないようにする、官房長をヘッドに据えてチームをつくった。ところが、官房長もちょっとダークだ、事務次官を据えてやったらどうもうまくいかぬと。で、我々はそんな対応では駄目だと言って参議院に問責決議を出しました。成立をしました。あのときからもう七、八年、まあ七年ぐらいですかね、たちますよね。  長官、今回の官製談合ってその前も続いていたそうですよ。長官がやっているときもやっていた。長官が問責を受けてお辞めになった後もやっていたんですって、長官。あれを、長官があそこまで言って、あそこまで防衛庁の中でやりましたと、ここで言い切っておきながら何なんだろうかなと思わざるを得ないんです、私としては。  長官、あの七年前の件を思い出しながら、この官製談合、長きにわたっていた官製談合長官の率直な感情というか思いというか、ちょっとお答え願えればと思うんですが。
  61. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) あのころは我が党も少数単独政権でございまして、あの事件以来、連立政権というものが出て今日まで続いているわけでございますけれども、確かに調本事件がありまして、当時の調本を解体をし、現在の契約本部をつくったわけでございます。その後、この装備の調達についてはお互い原価計算と契約部門のチェック体制が行き届き、また第三者的な監視体制もできて、調達におけるそういう過払い事件なんかが起こると必ず防衛庁の、まあ従来、防衛庁内のチェック体制でこれを発見をし、そして不当過払いについては取り戻させているというのがこの七、八年の動きだったと思います。  それで、今度、昨年の十一月ごろでしたね、あの成田空港の問題が発覚をし、そしてこれが施設庁に波及していくんではないかという報道を見て、私もびっくり仰天をしたわけでございまして、よもや防衛庁施設庁において、あの調本事件国民の大々的な指弾を受けた後だけに、まさかこういうことは起こることないだろうというふうに思っていただけに、極めて衝撃的でありました。  そこで、私は、施設庁というのは一体どういう成り立ちをしているのか、どういう仕組みになっているのかということを調べましたところ、これは占領軍時代からの特別調達庁の延長線上にありまして、人事の、特に建設技官なんというのは人事も全く、採用も防衛庁とは別でした。人事交流もありませんでした。そして、施設庁内はチェック体制も行き届きませんでした。原価計算と契約と全部一人の人が掌握できるようになっておったわけでございます。そういうところに今度の事件の背景があるし温床があったと。さらに、その上に、まあ再就職の問題等々が重なって、長年続いてきたというのが実態ではないかというふうに想像をするわけであります。  したがって、今度こそこういうことが起こることがないように施設庁も解体しなければならないと。だから、現業部門を全部私が解体をしていくことになるわけでございますけれども、それによって新しい防衛庁を再生させていく、そういう思いがしているわけでございます。
  62. 柳田稔

    ○柳田稔君 防衛施設庁というのは防衛庁の中にあるんですか、外にあるんですか、別の庁なんですか、長官
  63. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 防衛庁の中にあるわけでございます。
  64. 柳田稔

    ○柳田稔君 長官の話を今、答弁聞いていますと、いや施設庁は別だよと、生い立ちも違うし育ちも違う、別だから、あのときの反省は生かされなかったんだろうという答弁でしたよね。一緒なんですよね。トップは防衛庁長官なんですよね。  ということは、あのときの問題を施設庁は知らぬ顔して、よそ事だと、おれたちは関係ないと。まあ伝統的にやってきたことをまたやっておきゃいいんだというふうにしてやってきたんだと。しかし、長官があそこまでやって詰め腹を切らされたのに、何か冷たいですね、防衛庁って、長官に対して。思いません。僕は、防衛庁の連中というのは長官に対して冷たいなと。何であのときに、反省して、みんな辞めておきゃよかったのにと思ったんですけど、僕のこの感じというのを、長官、どう聞かれます。
  65. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) いずれにしても、現実的に調本を解体し、防衛庁全体が新たな出発をして、そしてああいう不祥事を起こさないようにという私は思いでバトンタッチをしたわけでございますけれども、結果的に施設庁でこういう事件が起こってきたというのは、今言ったような背景とか流れがあったわけでございます。これは、正に調本事件の教訓とか反省が生かされていなかったということについては、全く私としては、当初この事件が発覚したときにざんきに堪えないと言ったのは、恥ずかしい思いがすると、それは国民に対して申し訳ない、そういう意味ざんきに堪えないということを言ったわけでございます。  その意味で、ただこういう現象、不祥事が起こった以上は、しっかりとこれを立て直す必要があるというのが私の責任であると思っているわけであります。
  66. 北原巖男

    政府参考人北原巖男君) 私、防衛施設庁長官として、今、柳田先生が私ども額賀大臣に御指摘のようなお話をされること自体、防衛庁長官を支える立場にある者として、また施設庁長官として本当に大きな責任を感じております。  先ほど大臣からもございましたが、この調本事案平成十年に起きております。そのときに、二度とこういうことがないようにということでいろいろな具体的措置が示されております。そうした中で、一部施設庁も直した点はあるわけでございますが、結果として見れば幾つかの点で具体的な反省がなされておりませんでした。あるいは具体的な施策が具現化しておりませんでした。そういうことは、すなわち、やはりこの大きな平成十年の不祥事を防衛施設庁としては教訓、反省を自らのものとして、問題として消化していなかったと言わざるを得ないと思っております。  それで、今度こそといってもなかなか今のこの時点では御信頼をいただけないかもしれませんけれども、私ども、今、防衛庁長官統括の下に徹底的なこの調査と、それから副長官の下に再発防止ということで今全力を掲げてやっております。是非ともこういった、二度とこのような、こういった国会の場で御指摘を受けることがないように事務方としても努力をしてまいりたいと思っております。
  67. 柳田稔

    ○柳田稔君 先日の所信ね、読みました、聞かせてもらいました。八年前と同じですよね。遺憾だ、二度と起きないように調査委員会をつくる、再発防止に対して徹底的にやる。一緒なんですね、構図は、対処法は。二度あることは三度あるのかなと。本当にこれだけでいいのかなと。八年前を思い出してみながら、実はそう思っています。だから、別のところに大きな要因があるんじゃないのかなと。それを見付け出して処理しない限り、もう一回起きるような気がしてならないんです。言うことは失礼だと思うし、言いたくもないんですけれども、ちゃんとやっておかないと、それしか言えないのがつらいですけどね。でも、本当これだけのことで再発防止になるのかなと心配しております。  次に、もう時間がないので、外務大臣にもたくさん質問を用意しておきながら質問しないというのも失礼なんで、一つだけ聞かせてもらいたいと思うんですけれども。  一月に、大臣がインド、オーストラリア、あとシンガポールでしたかね、どこでしたか、三か国歴訪する中で、途中でインドとかオーストラリア訪問をおやめになったと。その後またインドに行かれたようでありますけれども、その際、報告書を読みますと、外務省から出てきた報告書を読みますと、こういう文字が多いんですよ。戦略的方向性を付与する、具体的取組を戦略的観点から更に強化する、外相間戦略的対話の実施と。戦略的、戦略的という字が非常に目立つんですが、大臣がインドやオーストラリア訪問しようとした意図、特にこの戦略的という意味を教えてもらえればありがたいんですが。
  68. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 一月にオーストラリアの訪問を予定しておりましたのが駄目になりましたのは、日米豪の閣僚級戦略対話というのが決まっておりますので、それに出席する予定だったんですが、アメリカの国務長官の方から訪豪を延期せざるを得ないというのに合わせまして、私どもはこの参加をすることを延期させていただきました。それに先立つこと一月の三日にインドを訪問をいたしております。インドとパキスタンを訪問したんだと記憶いたしますけれども、インド、パキスタンを訪問をいたしております。  今それに関して私どもとしては、この間述べさせていただいた所信の中でも、ASEAN及びインド、豪州、ニュージーランド等々といった民主主義というものを共有しております国々と私どもとしては関係を強めつつ、いわゆる私どもとしては、今、東アジア政策というのを昨年の十二月、東アジア共同体というのを立ち上げておりますので、その関係をする国々ときちんとした対応をしていくということで、今申し上げたような国々の訪問を考えておるということであります。  基本的に外交の目標というのは、日本の国家の安全とか、またその国の国家の国益とか、そういったようなものを確保するということでもありますので、私どもは現在のただ目先のいわゆる国際情勢というのにとらわれるということではなくて、中長期的に立った理念とか戦略とかいうものを持って外交というのを展開していくというのは当然のことだと思っておりますので、戦略的外交とはそういうような考え方だと御理解をいただければと思いますが。
  69. 柳田稔

    ○柳田稔君 中国の三国志で魏、呉、蜀ってありますね。そのときはまだ諸葛孔明とかいましたが、魏が余りにも強いんで呉と蜀が手を結んで魏から我々を守ろうと。それかなと。ある国が余りにも強くなり過ぎるんで、周りで手を結ぼうかなという戦略的意図があったのかなと、個人的にはそんな思いもしているんですけれども。  この戦略的関係というといろんなことが思い浮かぶんですよね。先ほど大臣がおっしゃったように、安全保障の問題もあるし、経済もあるし、もっと言うと、ヨーロッパ、EUみたいに政治まであるし、貨幣まであるし、いろんなことが思い浮かぶんですが、この戦略的というのはどんなものをイメージしておけばいいのかなと。例えば、北米大陸のNAFTAですかね、ああいうのをイメージすればいいのか、それとも今のEUをイメージすればいいのか、いや、そこまでないかなと。じゃ、昔のNATOかなとか、いろいろこうあるんで、大臣が考えていらっしゃる戦略的関係というのはどの辺を思い描いているんだろうかというのがお聞きしたいんです。まあ、場合によっては、もし答弁できなかったらそれは結構ですけれども
  70. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 柳田先生、二十世紀が日本に教えた最大の教訓の一つは、十年、二十年先のことは何びとも予測できないというのが二十世紀が我々に教えてくれた教訓の一つだったと思っております。  一九七九年、アフガニスタンへのソ連の侵攻があったときに、一九八九年、ソ連はなくなるということを予想した人は世界じゅう一人もいません。私は、基本的に余り先のことはそれほど、確実な予測ができると思っておられるのは、それは人間のうぬぼれだと思っておりますので、私どもはまずは、そういったいろんな可能性は考えるのは自由ですけれども、余り目先と、余りとっぴなことを考えない方がよろしいと、基本的にはまずそう思っております。その上で、日本という国は今後とも国の安全と、かつ国家の繁栄とを維持し続けていかねばならぬという課題を政治家は皆負っているんだと思っております。  そういった中にあって、日本という国の国益等を考えたときに、少なくとも東アジアという非常に大きなマーケット、世界の人口の約六割弱近くを持ちますところにあって、インドとかそういった今新興の国々、しかし世界最大の民主主義国家というのが出てきた。そういった国々を含めて東アジアという大きな共同体の中で我々は新しい絵をかいていく。もちろん、EUと違ってシャルルマーニュ大帝からの流れがあるわけではありません。宗教も違う、言語も違う、いろんな意味で私どもとしては違うものがありますが、しかしECというものが始まった三十年前に、ドイツとフランスが手を結ぶということを予想した人はほとんどいらっしゃいませんでした。  そういった意味では、私どもはこういった国々と今情報やら何やらがえらく進んだ時代、技術が進んだ時代の中にあって、少なくとも今国境を越えていろいろな問題が起きております。テロの問題しかり、鳥インフルエンザの問題しかり、そういった問題を含めてこの東アジアで共通しているいろいろな問題点を、情報共有し、いろんな形でこの地域でお互いに手を結び合って、足りないものを補う。インドの足りないインフラの部分、しかし我々の足りないソフトの部分、いろんな形で考えられるところは多いと思っておりますので、私どもとしては共通の利益を求めて手を携えていくということだと、基本的にはそう考えております。
  71. 柳田稔

    ○柳田稔君 私は、一政治家として将来像をこうしたい、この方向に向かってこんなことをしないといけない、それは十年先だろうが二十年先だろうが私は自由に考えさしてもらいたいし、それに向かって自由に行動さしてもらいたいと。多分その方がいいんじゃないかなと、それが戦略的という意味じゃないのかなと実は思ったりいたしました。  では、終わります。
  72. 今泉昭

    ○今泉昭君 民主党の今泉でございます。  今日、先ほど同僚の柳田議員が主に防衛庁長官に御質問したようでございますが、私の場合は麻生外務大臣を中心に質問をさせていただきたいと思います。  その考え方というのは二つございまして、一つは、恐縮でございますけれども、ポスト小泉という流れの中での有力な候補者の一人だと言われている外務大臣がこれからの我が国外交をどのような形で担っていこうとしているのかという、まあ基本的な外交に対する考え方を聞きたいということと、もう一つは、今日はたまたま大臣所信に対する質疑でございますので、先ほど、前回述べられました大臣所信、まあこれをじっくりと先生外交理念などお聞きしたいなと。そういう意味で、関係者一切別にいたしまして大臣質疑を交わしたいと、こういう願いでございます。  で、今日お聞きしたいのを実は五問用意したんですが、ちょっと時間がないようで、恐らく用意したものを全部聞けないかもしれません。これは勘弁していただきたいと思います。用意したのは、一つは北朝鮮問題、一つ中国の問題、一つはロシアをめぐる問題、さらには日本外交戦略という問題、そして近隣、ここのところいろいろ近隣諸国といろんな問題がありますから、それの、まあ雑件という意味じゃないんですけれども、具体的な問題についての考え方をちょっとお聞きしたいなと、こういう形で用意をさしていただきましたけれども、恐らくこれ三つぐらいしか聞けないんじゃないかなというふうに思っておりますが、その点はひとつ御勘弁賜りたいと思います。  まず最初に、北朝鮮との問題ですけれども、二月の四日から八日まで国交正常化の問題の話合いが行われたと聞いております。まあ、外務大臣として、交渉に当たった人たちからどのような報告を受けられているか、その報告の中で大臣としてどのようにこれをとらえて、問題点として考えていらっしゃるのか、ちょっとお聞かせいただきたいと思いますが。
  73. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今、今泉先生から御指摘のありましたように、去る二月から、三日から七日にかけまして日朝包括並行協議というのをさせていただき、拉致問題、それから安全保障の問題、そして国交正常化と、主に三つに分けて話をさせていただきました。具体的進展は得られませんでした。甚だ遺憾だと思っております。  一年三か月ぶりの再開になったんだと思いますけれども、当初から楽観視していたわけではありませんけれども、ただ、多くの時間を掛けて私どもとしては国交正常化の問題等々、いろいろ向こうの話はありますけれども、拉致の問題が解決しない限りは、仮に並行して三つの協議をやらしていただいても、この問題が解決しない限りは、ほかの問題は解決しても包括協議ですから前に進むことはできません、これだけははっきりしておかねばならぬという点はきちっと再確認をさせたという点は良かった点だと思っております。  また、北朝鮮との間で、昨年の十二月でしたか、今回のあの協議を立ち上げるに当たって、懸案事項をいろいろ解決するためにはとにかく誠意を持ってやっていこうじゃないかということを確認し合ってはおりますけれども、私どもとしては、少なくとも懸案事項の解決へ向けて、そちらが誠意ある対応をしてもらわない限りはこれはなかなか進まないんですよということで、私どもとしては対話の必要性は大事なものだと思っておりますけれども、ただ、何もなくただただ対話を続けているというだけでは話は前に進まないのではないか、これはこの数年間の私どもの交渉経過を経て得た実感であります。  したがって、これは圧力というものが必要であるというんで、そこで対話と圧力という言葉が出てきたんだと思っておりますけれども、少なくとも何のための圧力かといえば、少なくとも拉致被害者、私どもは生存していると思っておりますが、生存者の私どもに対する日本への帰還であり、真相の究明であり、そして過日、逮捕状を発令しましたいわゆる実行者と思われる人、それの人の引渡し等々が私どもの目指すところでもありますので、そういった点はこれはなかなか粘り強くやっていかねばならぬ。しかし、この問題が解決しないとほかの問題が解決しないということで、今後とも時間を掛けて、いろいろ時間を掛けますとすぐ話が風化いたしますけれども、風化させることのないように努力をしていかねばならぬ問題だと思っております。
  74. 今泉昭

    ○今泉昭君 対話と圧力というのはよく聞いているんですが、まあこの正常化交渉の中で行われました拉致問題以外のものはちょっと除いていただきまして、拉致問題だけに絞ってちょっと御意見を聞かしていただきたいと思うんですが。  この拉致問題というのは、もう当事者が非常に年を取りつつあって、これはある意味じゃ時間との勝負なんですよね。ところが、対話を中心としてやっている限りにおいては、一向にこれまでの流れの中で進展をしていない。むしろ、今回の交渉の中では、平行線というよりも、相手方から出てきたのはマイナス回答ではないかと、前よりも後退しているんじゃないかと、そういうようなことまで聞かれているわけですね。  まあ、この拉致問題は何も外交問題だけではなくして、恐らく日本としては、政府としては官邸の中に官房副長官を中心として対策チームをつくってやられると、やっておられるというふうに聞いておりますけれども、これは外務省としてはどのようにかんでいらっしゃるつもりなんですか。
  75. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今後とも、この対話と圧力というのは、これは基本だと思っております。先ほど申し上げましたように、対話をするための対話では何の意味もありませんので、少なくともしかるべき成果を得るためには対話プラス圧力というものがないと駄目なんだということで、これまでも数次にわたっていろいろな形での圧力というものは向こうは感じておると思っております。  少なくとも経済においては、この四年間で経済交流は約二分の一に減っておりますんで、そういった意味では間違いなくいろんな形での圧力というものを感じておられるでしょうし、朝鮮総連への家宅捜索というのもございましたし、いろいろな意味での、固定資産税の話等々、いろいろ法律を法律として施行していくということも一つの圧力にもなりましょうし、また外務省といたしましては、アブダクションというこの拉致という言葉を国連の場において、少なくとも総会の場においてアブダクションという言葉が正式に使われたのがこれが最初の例でありまして、少なくとも世界からの声、これは日本だけが言っているんじゃないのよと、世界じゅうの声なんですよという声がきちんと伝わるようにしていく努力を含めまして、官邸はもちろんのことですけれども、直接担当しております私どもとしては、人権の担当の大使を置いて、いろんな意味で、日本以外いろいろ、タイとかレバノンとかいろんなところで被害者と言われる方々、これ、ちょっとまだ想像の域で、向こうは言っておられますんで、裏の確証が取れているわけではありませんけれども、そういった国々からの人も拉致された人がいるという証言、情報に基づいて、タイ、又はレバノンからも日本に呼んでその方々の話を聞かしていただいたりしながら、今この問題に関して粘り強く交渉をすると同時に、これが駄目だったら日本の世論というものは更に圧力というのを高める方向にしか行きませんよという点を重ねて向こうに言っております。
  76. 今泉昭

    ○今泉昭君 これまで北朝鮮がある意味では対話を継続したいというその裏側には、日本の経済から受ける恩恵というものを非常に無視できないという意味で、例えば日本からの送金の問題であるとか、あるいはある意味では地下経済であったかもしれないけれどもいろんな形で物が流れていくというもの、これを無視できない意味日本とのパイプを太く持っていこうという気持ちがあったようでございますけれども、最近の北朝鮮の経済というのは、どちらかといえば日本との貿易関係はもう激減をしている。これをまあ圧力の一つと加えて日本が抑制しているかどうかというのはいろんな見方もありますけれども、それに代わって中国との関係が物すごく緊密になっている。もう中国の経済にむしろ依存をしているという形になっているわけですから、経済面で日本に期待をするという、それを一つの期待を持った交渉継続の窓口にするというのは全くもう意味がなくなってきているんじゃないだろうか。  そういう意味で、もっとこの圧力というんですか、こういうものの工夫がいろいろ必要ではないだろうと思うわけですが、そういう意味での外交的な対応として、例えば国連で今言われました人権委員会におけるところの非難決議案ということの行動をやってきていらっしゃるけれども、周りの国が日本の案に対して賛成をしていないということが明らかになっている。しかも、こちらがODAを出している国が賛成をしないというのは、これは外交面からいうならばもう足らない、要するに外交努力の不足を言われていることではないかと思うんですけれども、その件についてはどうでしょう、大臣
  77. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今おっしゃいました点に関して言わしていただければ、日本からの貿易取引総量は約二分の一に減っています。韓国は一・五倍ぐらいになっていると存じます。中国は二・四倍、五倍ぐらいになっていると、ちょっと、あそこは数字が余り正確じゃありませんのでちょっとよく分からぬのですけれども、そういう数字になっております、外に出ております数字は。  したがいまして、私どもとしては、今おっしゃるように、こちらが減らした分は別の国で補っているということになっているというのも事実だと思いますし、また訪朝されたり、また訪中されたり、双方の国家元首がいろんな形でそういった関係をつくっておられるというのは、少なくともミサイルの話は、核ミサイルの話は、拉致の話はともかく、おたくでは、その種の話は問題なのはおたくの方が問題なんじゃないんですかと。したがって、この話を六者協議の場に出てきて話をしてもらうような話は、そちら側もただただ援助するだけではなくて、きちんと援助している力がある、援助できる力があるわけですから、それでこの六者協議に是非参加してもらうように、少なくとも今マネーロンの話以外止まっておりますから、そういった意味では、六者協議に参加をしてもらうようにという話は是非そちらの方から北に対して言ってもらいたい等々の話をしておるのもまた事実です。  是非そういった意味で、今いろんな形で、この北朝鮮の交渉に対しましてはなかなか難しいのがあるのは事実ですけれども、私どもとしては、経済制裁が直ちに効果を上げるかといえば、それはなかなか難しいというのはもうおっしゃるとおりです。ただ、中国から求められているものと日本から求められているものというのは経済の内容が少し違うような気もいたしますんで、私どもとしては、その面の効果がないわけではないと思っておりますし、日本には在日北朝鮮の方というのは随分いらっしゃいますんで、そういった方々との昔は資金の援助や等々も随分あっていたということになっておりまして、その内容まで詳しく知っているわけではありませんけれども、是非そういった面含めて、日本との関係を、向こうはかなり友好を求めていかないと、今度は中国に余り寄り過ぎるというのも北朝鮮としてはそんなに望むところではないと。自国の独立を考えれば、一国に偏り過ぎるのは余り望まぬところだというような感じもいたしますので、私どもとしては、引き続き誠意ある対応を求めて交渉し続けていかなければならないと思っております。
  78. 今泉昭

    ○今泉昭君 この問題で余り長く時間は取れないんですが、先ほど、例えばタイとか、拉致をされたのではないかと言われる国々との関係も言われましたけれども、これは政府政府政府間の話で公式に話合いをされて、協力してやっていこうというところまでは行っていないわけですね。どうなんですか。
  79. 金田勝年

    ○副大臣金田勝年君) 今委員の、私ども政府としては、その聞く、まあ情報提供を受けるという意味において、あるいは、まあ何といいますか、連絡を取り合ったりするという意味において、まあその帰国した拉致被害者の方々から取るのはもちろんでございますが、今御指摘のような日本人以外の拉致被害者からも情報提供を受けているわけであります。報道等で名前の挙がった国、いろいろありますけれども、そういう国々からも情報収集は行っていると。  例えば、タイとの間では、昨年十一月に行われました小泉総理とタクシン首相との会談で、拉致問題に関する情報交換というのは行っていくことで一致しております。また、今年の一月には塩崎副大臣がタイでカンタティー外相との会談やりまして、問題解決に向けて協力していくことも確認しておる。そういうことで、事務レベルも加えて、日本とタイの両政府間では情報意見交換というものを行っております。  また、レバノンという国の間では、この北朝鮮に拉致されたレバノン人の消息に関しまして、レバノン政府関係者に対しまして照会等を行っております。それから、昨年の十二月には麻生大臣の方から、我が国の拉致被害者の御家族とともに拉致されたとされます韓国人、それからタイ人、レバノン人の御家族と面談をして、そして問題解決に向けた一層の国際的な連携というものを呼び掛けさせていただいております。
  80. 今泉昭

    ○今泉昭君 この拉致問題は、どちらかといえば民間の団体が主導権を取って始めた運動なんですよね。本来ならば国民の生命を守るべき使命のある国が、これは主導権を取ってやらなきゃいけなかったことをなかなか取り上げてくれなかった。あくまでも私どもは、かつて、もうなくなってしまいました民社党に所属しておりまして、民社党の下部機関が最初に取り上げたこれは問題なんですよ。もう何十年たってからこう日の目を見てきたかということなんですね。  ですから、民間の団体の動きに追従していくということではなくして、もっとひとつ外務大臣、その主導権を取って、もう少し国がやっているんだという姿勢を示すようにしてくださいよ。これお願いです。  それから、次の問題に移らせてもらいますが、一つ中国をめぐる問題です。  過日、中国の李外相が外人の記者クラブにおいて、日本のいわゆる代表、日本のリーダー、政治的なリーダーは、愚かにもという表現を使ってこの靖国問題、歴史問題を含めた形の非難をしておりますが、こういうことの発言について、外務大臣どのように受け止められております。
  81. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 李肇星外交部長の発言については品格に欠けると。まあ、私が品の話するのもいかがなものかと思いますが、品格に欠けるというようなことに関しましては、外交上甚だ不適切ということははっきりしておると存じます。  したがいまして、あれ、たしか八日の日に、谷内事務次官の方から王毅在京中国大使に対しまして厳重な抗議をいたしております。いろいろ言い合いもなったことも確かですけれども、少なくとも意見の表明、他国の人の言った意見を引用して表明をした。これは自分が言ったんじゃありません。私が言ったなんてよく差し替えられたりするんで、あっち、あの人の立場のときも正確に言ってやらぬと公平を欠くと思いますんで。この人が言ったんじゃない。この人が言う話の基は、ドイツかどっかの偉い方が言われたという話を引用して使われたというのが正確なところだと存じますけれども、それに対して私どもとしては、仮に他国の人の話を引用するに当たっても、表現は適切ではないのではないかということに関しまして申し込んでおるというのが経過であります。
  82. 今泉昭

    ○今泉昭君 そのことに関して、王大使を呼んでという話がニュースで伝わってまいりましたけれども、それに対して来なかったという報道も併せてありますが、中国というのはいつもそういう姿勢で我が国外交に臨んでいるんですか。そういうことに対して、外務大臣どのように感じていらっしゃいます。
  83. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今の御意見ではありますけれども、私どもの話、何、呼出しに関して拒否をしたというような話が伝えられておりますけれども、拒否ではありません。その日は、ちょっと前々から主宰している会があるのでどうしても駄目なんで、翌日なら行くということだったんで、翌日待つよりは今やった方がいいという話で、私どもの方から指示をして、これは電話でやらせていただいたというのが経緯でありまして、いつもこの種の話を拒否してくるかというようなことは、そんなことはございません。  ただ、いろいろな話として、意見のそごが起きるときなど、なかなかそう素直にイエスというような話が常になるかといえば、それはなかなか、中国に限らずですけれども、どこでもそうすぐ話が行くという筋のものではございませんけれども、今回のことに関して言わせていただければ、拒否をしたんではなくて、翌日だったら必ずということだったんで、翌日まで待つ必要ないと、ことを今のうちから言っておいた方がええということで電話でやらせていただいたというのが正確なところです。
  84. 今泉昭

    ○今泉昭君 ちょっと話題が外れるかもしれませんけれども麻生大臣は、外交用語として使われている戦略的パートナーという、これをどのように考えていらっしゃいますか。この東アジアに、日本の戦略的パートナーというものは存在いたしますか。
  85. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 日本という国に関しまして言わせていただければ、私は、少なくとも自由主義経済とか、またいわゆる民主主義とか、それから法によって法治主義とか、そういったきちんとした共通の価値観というものを持っている国というものは、日本が組むべき相手のまず一番の根幹だと、私は、基本的にはそう思っております。  したがいまして、日本という国は、サミュエル・ハンチントンの言葉をかりれば、少なくとも、世界の中で一国家一文化一文明という、唯一珍しい国という表現になっておりましたけれども、私どももそういうことを感じないわけではありません。加えて、島国でもありますんで、なかなか、大陸国家と違って隣国との間には海というもので隔てられておりますんで、そういった意味では、戦略的パートナーと言われれば、少なくとも今、日米安全保障条約を結んでおりますアメリカ等々がそういうことになろうかと存じますけれども、少なくとも、その間はきちんとしたものにつくられていて、今、経済関係でいえば、一一の二九、約四〇%ぐらいの、世界経済のうち日本がつくり出しております、双方でつくり出しております国は、百九十一か国のうちの二か国で世界の四〇%という国を持っておる国とパートナーを、戦略的パートナーを結んでおるというのは、私ども基本的には正しいと思っておりますが、アジアというのが今非常な勢いで起き上がって勃興してきておりますので、そういったアジアの国々と、今伸びてきているというのは僕はとてもいいことなんであって、アジアの中で日本だけが飛び抜けているという状況の方が、状況としてはいびつな形だと思っております。  そういった意味では、今アジアの国が伸びてきておりますので、そういった国々と、少なくとも今、日本というのはそれらの国々より先に、今よく出てきます地域間格差とか貧富の格差とか、また公害の問題とか汚染の問題、これ、みんな我々三十年前、四十年前、みんなやったことですから、少なくともそういった経験、知見というものを共有し得る、そういった形で、我々の持っている経験からいえばこうよという話をして、それをうまく活用してもらって、それらの国が日本のようにぎくしゃくしないでまたすっと伸びていくというのは僕は非常にいいことだと思っておりますし、それは双方の利益になるんだと、私どもはそう思っておりますので、そこらのところを理解をしていただくような感じができ上がりますと、それが戦略的に双方の共通の利益、共益になっていくんだと、私どもはそう思って、事を進めたいと思っております。
  86. 今泉昭

    ○今泉昭君 アメリカと日本が戦略的なパートナーだということはもうだれもが認めることであって、だれもこれは否定しないと思います。まあ、御遠慮されてたのか、政治的な影響があるから差し控えられたかもしれないけれどもアジアの中に戦略的なパートナーが存在するかどうかということについては、具体的な国の名前は挙げられませんでした。  ただ、昨年の通常国会におきまして、日露修好百五十周年記念ということで両院が決議案を出しました。  そのときに衆議院では、その決議案の中でロシアを戦略的なパートナーと位置付けると、こういう文言を明らかにいたしておりました。まあ、私どもは、これ非常に不思議に思いまして、平和条約も結んでいないような国が何で戦略的パートナーとなり得るんだろうかと、これは無条件で衆議院では通ってしまいました。  で、参議院にも同じような文言が入ってきたので、私ども、これは異議を申し上げました。外務省は大分抵抗したそうであります、戦略的なパートナーだということに。だけども、参議院の方ではこれを取っていただくことを各党とも合意していただきました。  ロシアは戦略的なパートナーなんでしょうかね。まあ、それは具体的に、大変これは政治的な発言になるので、また騒ぎになると問題だからそこまで求めませんが、この両院での違い、どのように受け止められましたか、外務大臣として。
  87. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 御意見の分かれるところだと、私ども、衆議院の方でもそう思っておりましたから。今泉先生、ちょっとお待ちください、平成十二年だったと思いますが、当時、森喜朗内閣のころだったと思いますが、インドに訪問されて、ジャパン・インディア・ストラテジックパートナーシップフォーラムと言ったと、名前付けたと思いますが、それもストラテジックと、戦略的という名前が付きました。それで、インドの新聞一面トップで全部見出しで出て、それからこの戦略的という言葉は結構よく使われるようになったのは、多分この西暦二〇〇〇年の夏以降、この種の言葉がよく使われるようになり、翌年、小泉内閣に変わって、今いろんな言葉に使われるようになっているんだと思いますけれども。  私どもの戦略的とストラテジックと、大分ちょっとニュアンスが、ちょっと英語と日本語とニュアンスの差は確かに感じないわけではありませんけれども、私どもとして、少なくともアジアの中において世界最大の民主主義国家でもありますし、いろんな意味で親日的な国家でもありますし、まあ先生の世代だったらパール判事等々御記憶のところでもあろうと思いますし、八月十五日を独立記念日にしている国とか、いろんな意味で私どもとしてはこのインドという国との関係というものを、向こうは今わっと伸びてきておりますし、そういった意味では戦略的にも、こっちのないところは向こうにあって、向こうにないところはこっちにはあるとか、いろいろな関係で補完し合える、そういった国だと思っております。  ロシアに関して言わしていただければ、仮にも一応選挙で大統領が選ばれるところまでは来た、それは物すごく大きな変化だと思っております。一九一七年以前は御存じのようにツアーの時代、それ以後は社会主義、共産主義の時代がずっと続いておりましたので、その意味では大きな変化が見られるところだと思っておりますので、いろんな意味アジアの中において日本とロシアがそういった関係ができ上がることによって、北方四島の問題含めていろんな形での解決につながればというのが率直なところです。
  88. 今泉昭

    ○今泉昭君 関連があるのでちょっと突拍子もない質問かもしれませんけれども先生、最近出版されました「マオ」という御本を読まれましたか。
  89. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) あの「ワイルド・スワン」書いた人のあの本かしら。
  90. 今泉昭

    ○今泉昭君 そのとおりです。
  91. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) あのやたら厚いやつ。
  92. 今泉昭

    ○今泉昭君 やたらに、上下二巻の。
  93. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) やたら厚いの。著者から送っていただきましたので、ぺらぺらとめくった程度で、中を読んだわけではありません。毛沢東のことがかなりすぱっと書いてあったところだったんで、是非ここだけはという、折ったところだけ一か所ちょいと読んだぐらいで、いろいろその内容についてうわさしか知っておりませんので、正直申し上げまして。
  94. 今泉昭

    ○今泉昭君 実はこの本、日本人で現在生きていらっしゃる政治家ももちろん具体的にインタビューを受けておりますし、麻生先生の御母堂もインタビューを受けているはずでございまして、三十名近くの日本人からも取材をして、これを取材の対象になった人は四百八十名ぐらいいるという非常に膨大な本でございまして、この本の中に、いかに国として戦略性を持っていることが、まあどちらかといえば、毛沢東がどんなひどいことをやってきたかというのが中心になっている本ですが、その中に流れているのは、やはり中国がどんな戦略的な思考でもって国づくりをしてきているかと、その中でいかに人民が苦労してきたかと、虐げられてきたかということも書かれているわけでして、毛沢東治下において二十七年間で七千万の人が実は殺されているという実態、これまでここの中に明らかにされているわけですよ。  で、これを実は私は今お聞きしたのは、この戦略、外交におけるところの戦略思考、これはもう大変重要なことだろうと思うわけです。例えば今、我が国は二〇〇一年一月から、日中において首脳交流がすっかり途絶えているという現状にございます。で、向こうは一つの、これも一つの戦略として考えているわけでして、我が国はこの国交交流の首脳陣におけるところのないことは戦略的にやっているんじゃないと思うんです。受け身の形でやらされているようなものですよね、ある意味では。  そういう意味で、我が国がこの東アジア共同体を少しでも志向するとするならば、その中で我が国がどのように我が国の権益を守り、国民の安全を図っていくかという、これは大きな戦略を持っていてほしいと思うわけです。例えば、先ほどちょっとインドの話が出ました。何で、私どもはもう前から言っていたんですけれども、インドとの対話、交流をしなかったかということです。  御存じのように、この我々の生活の面においても、隣近所の人たちとは利害関係が物すごくあってぎくしゃくが多いんですよ。これはもう当然なんです、人間として。で、韓国だって中国だって、我が国と海を隔ててお隣様です。これは大切にしなきゃならない国です。しかし、それだけにまた利害が直接的に対立する国なんですよ。そういう環境にある我が国は、そういうものについてうまく乗り切るために、ただ単に相手にお世辞を使ってぺこぺこぺこぺこ頭を下げているだけで、これは外交は実りあるものになるはずはないわけですよ。何か例えば総理大臣が言ったことに対して向こうがけちを付けたら、政府の一部の高官が中国に行って頭をぺこぺこ下げると。いや、それはこうだったと。これは、このような、要するにそういう人たちが親中派だと思われている、媚中派かもしれないけれども。そういう外交しか国民には見えてこないわけです、我が国外交は。  そういうことよりも、むしろそういうことを相手にさせないために、相手が一番苦手な国ともっと仲良くすることが必要でしょう。ある意味では、インドは中国にとって大変もう脅威の国ですよ。中国周辺の国とどこまで我が国が友好関係を結んできたか、積極的に。全くそういう姿が見えませんでしたね。特にインドなんか、何でもっと早く大切にしなかったかということです。  今インドは何と言っているか。最近は日本との交易よりも中国との貿易が増えていますと、だんだん日本の投資も減っていますと、大したことないですと、こういう状況になっていっているんですね。だから、そういう意味で、外交というのは相手が理不尽なことをやってくる際にはどういう手を使っていかなきゃならないのか。  例えば、我が国が日英同盟というものをかつて持った。日本とイギリスは非常に遠くの国ですよ。直接的な利害が特にないんだから、ああいう国とやるということは戦略的にも非常に重要なことなんですよ。だから、そういう意味での我が国の戦略外交のビジョンというのが一つも見えてこない。麻生大臣はいろいろとそういう思考をお持ちだろうと思うので、是非ひとつ、もうひとつ自由闊達に発言していただきたいと思うんですが、どうですか、そういう考え方。
  95. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 基本的には、遠交近攻、先ほど使われた中国の十八史略の春秋、戦国策でいえば遠交近攻等々いろんな表現があるんだと思いますけれども、大きな国の隣にある国というのは常に外交で難しい目に遭う、これはもういつの時代でも同じだと思います。大化の改新の昔にさかのぼって一千数百年間、それはなかなか難しい関係にあったわけですから。私どもは、そういったものはまず大前提として、日いずる国の方としては考えておかないかぬ大事なところ、これはもう聖徳太子の言葉をかりるまでもなく、そうなんだと思っております。  ましてや、今経済力が伸びてきて、今二兆ドルに達していると、ちょっと正確な数字じゃありませんけれども、私どもの方が約四兆数千億ドル、向こうが約二兆ドルという話になっておりますんで、GDPで半分ぐらいになった、去年ぐらいでなった、今年、今年ぐらい、今年度でなったかなと思っておりますけれども、そういった関係にありますんで、勃興してきた大きな経済力の国々とこれまでのあれとは、なかなか関係はぎくしゃくするというのは、これはもう避けて通れぬところなんだと思いますが、そういうのをある程度前提にした上でどうするかという話をしなくてはならぬと。おっしゃるとおりだと私どももそう思っております。  そこで、今のインドのお話が出ましたけれども、少なくとも、インドという国はついこの間まで極めて社会主義的傾向の強い国でもあったところだったんですが、それが少なくともこの十数年、間違いなくいわゆる議会制民主主義的なことになってきて、大統領制も入ってきたし、いろんな形で今変わってきた。加えて、そこに経済という面でいきますと、ITからICTになって、いろんな形で今情報通信技術の進歩によって、あそこの持っておりますソフトといわれるノウハウは私ども日本にとってはなかなかないところでもありますんで、私どもとしてはそういったものを利用しなけりゃいかぬものなんだと思っております。  ただ、今言われましたように、この種の話は私どもとしては、今、日本とインドとの、これは両方、向こうはインフラがない、こっちはインフラはきちんとしておる、ハードは強い、ソフトは向こうは弱いとか、お互いに補完し合う関係というもので、私どもとしてはインドというのは非常に大事な国ではないかというのがこの五、六年間、日本政府も考えるところ。  事実、去年の小泉訪中以降、日本から大きな経済ミッションというのが幾つ、私ども外務省で把握しているだけで公式だけで五つや六つ、大きな、経団連とか同友会とか大きなミッションが幾つも行っておりますし、中小企業金融公庫が主催しているものもありますし、いろんな形で中国に関心が向きつつあるというのは事実ですし、走っております車の五一%は多分、スズキ自動車が多分押さえていると思います。
  96. 今泉昭

    ○今泉昭君 インドでしょう、インドでしょう、中国じゃなくて。
  97. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) はい。インド、インドでございます、今のは。済みません、今の主語はインドでございます。  そういった意味では、いろんな観点で今、日本とインドというのは、この一年ぐらい、先鞭は森総理のときだったと思いますが、この一年間ぐらい特に関係が深まってきておりますんで、英語も通じることもあるんだと思いますけれども、非常に親密度は増してきているように思いますし、投資も増えてきておりますけれども、まだ何となく、インドというと何となくちょっと遠いというような感じの方も随分いらっしゃるんだと思いますが。  ただ、私ども、だからといって、この二国間を主にやっているんであって、第三国のためにこの二国間をやろうとしているというようなところの意識は持てというところがおっしゃりたいところなんだと思いますけれども、今の段階でそこを意識しているといえば、そこまで意識したようなものではないというように理解をいたしております。
  98. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 時間が参っておりますので。
  99. 今泉昭

    ○今泉昭君 以上でもう終わります。
  100. 高野博師

    ○高野博師君 最初に、日中関係について幾つか御質問したいと思いますが、外務大臣の方に。    〔委員長退席、理事浅野勝人君着席〕  私のテーマも戦略ということなんでありますが、同僚議員、同僚の議員から指摘がありました点について私も大変関心を持っておりまして、この間の決算委員会でも、日本政府にそもそも戦略というのはないんじゃないかと、その戦略がない中でどうしてODAだけ戦略的な利用というのができるのかというようなことを聞いたかと思うんですが、外務大臣はそのとおりだと、こうおっしゃったかと思いますが。  戦略という意味には、長期的という意味がある、包括的という意味もある。そういう、したがって、戦略的パートナーというのは長期的な包括的なパートナーシップを結ぶというような意味もあると、こう理解をしております。  デザインという言葉は、中国語に訳しますと、確かに正に形とかあるいは形状とか、そういう正にデザイン以外に策略とか戦略という訳があると聞いたんですね。これは外務省の中国課に調べてもらったんですが、どうもないという話もあるんですが、中国語はそういうとらえ方をしている。したがって、この国の形をどうするのか、この地域の形はどうするのかという中に必ず戦略的な発想があると、こう言われておりまして、私、正にそこに関心があるんですが。  イギリスのトップリーダーはまず歴史を学ぶと、フランスのトップリーダーは哲学を学ぶ、アメリカは戦略だと言われている。日本はどちらかというと法律しかやっていないと。したがって、歴史、哲学、戦略、そういう発想がなかなか日本のトップリーダーにはできないと言われておりますが、総理をねらう麻生大臣にはそういう発想で外交をやっていただきたいなと思っております。    〔理事浅野勝人君退席、委員長着席〕  日中関係なんですが、靖国の問題については具体的な解決策もない、行き詰まっているという中で、私はこれは余り本質的な問題ではないというふうに認識をしておりまして、できるだけこの問題はトーンダウンすると、マスコミもあんまり騒がない方がいいんではないかと思っております。  そこで、日中関係、日中関係の問題を一つの側面から見ると、これは東アジアあるいは世界全体の中での日中間の外交戦ではないかという切り口で見ることもできるのではないか。そういう一面からとらえれば、正に軍事力を使わない外交政治の戦いだということではないかと思うんですが、日中関係の本質的な問題は、これも前の委員会で、決算委員会指摘したように、謝罪と賠償にあるんではないかということも指摘をしましたが、先方が中国が靖国という問題を突き付けるんであれば、日本は防戦一本だけでいいのかと。何を突き付けるのか、あるいは何を提言するのか、そういうことも当然考える必要があるんではないかと。  例えば、反日教育をやめなさいと、あるいは歴史的な事実をきちんと検証しましょうと、もうこれは何度も言っているかと思うんですが、盧溝橋事件、本当はどうだったのか、南京事件もどうだったのか、あるいは中国側の大躍進、文化大革命、正に先ほど出ました「マオ」という本の中に毛沢東は七千万人も殺しているというような話が出てくるわけです。僕もざっと読みました。すさまじい話が書いてあるんですが、それは歴史的な事実なのかどうかということもこれはきちんと検証したらどうかと。  それから、これまで日本が何兆円というODAをやっているんですが、これは中国国民はほとんど知らない。したがって、今までやったODAを全部、どんなプロジェクト、どのぐらい、何やったかというのを公表しなさいと、中国国民に。そのぐらいのことを日本は言ってもいいんじゃないかと思う。全くこれは言っていない。国民から評価もされていない、あるいは国民は知っていない、知らないというODAというのは、これは失敗という評価しかならないと思います。  そういうことも含め、あるいは人権とか民主とか自由とか、こういうカードをこちらも出すということをやってもいいんではないか。安保理改革についても反対しないでくれよと。そういうことを突き付けながら、ある意味で靖国問題に対応するというようなことをやってもいいんではないかと思うんですね。  そこで、これが日中の世界的な外交戦であるならば、ありとあらゆる正に戦略、戦術を使って勝たなくちゃいけない。負ければどうなるかというと、日本は世界的にこれは尊敬されない。日本の存在感を減少させるということになるんだと思うんですね。  先ほど日英同盟の話が出ましたが、日英同盟もあって日本は日露戦争に勝ったと。あの日露戦争に勝ったという歴史的な事実がいまだに日本に対する大変高い評価になっている。いろんな国に行くとその話がいまだに出てくる。これは若干驚きでもあるんですが、これはもう事実なんですね。  戦争をやるわけにはいきませんが、それではこの外交戦にどうしたらいいかというと、基本的には日中友好という、これは世界とアジアの平和にとって重要だという基本的な認識はした上で、私は、軍事力を使わないソフトパワー、それでこの外交戦に勝たなくちゃいけないんではないかと思うんです。  これはもう御存じのとおりに、ジョセフ・ナイ教授が唱えたソフトパワーでありますが、日本的な価値あるいは文化、音楽、映画、アニメ、あるいは食文化も含めて、あるいは伝統、日本独自の魅力というものを、これを表に出していく。あるいは日本が持っている環境政策とか人権政策とか福祉政策とか、そういう政策的な魅力といいますか、あるいは政治的な理想、これは平和主義とかいろいろあると思うんですが、正に日本独自のソフトパワー、これを使いながら平和外交戦略というものを使う必要があるんではないか。正に、その中でODAの戦略的な利用というのもあるんだと思うんです。  中国との関係でいうと、できるだけ多くの外交カードを持つ必要があろうと思います。それは先ほど出ました、正にインドがそうだと思います。インド人が一番好きな国は日本だと、こう言われている。世界最大の民主国家だと。大臣もさっき指摘されました。このインドの関係一つ外交カードとして使うということは当然考える必要があろうと思いますし、パキスタンと中国関係は非常にいいと。したがって、パキスタンも、イランとアフガニスタンとインドと中国に国境を接している地政学的に非常に重要な国でありますが、このパキスタンとの関係を強化する中で、パキスタンというカード、これも使えると思うんですね。そういう発想を持って経済協力なり投資なりODAなりをやったらどうかというふうに思っております。  台湾との関係で、大臣が国という発言をして若干物議を醸し出されましたが、慎重に発言されながら、しかし大胆に発言してもらいたいなと思っております。台湾、国でないのかというと、国として認めている国家は世界には二十五か国あるわけですね。中南米には十二か国あるんです。特に中米八か国、七か国。  そこで、例えば去年の八月に日本で中米サミットをやっているんです、七か国の。その七か国は台湾との関係が非常に緊密なんです。しかし、中国はこれを切り崩そうということで、物すごい今必死になってやっているわけです。しかし、簡単に切り崩せない。しかし、この中米七か国は日本との関係が非常にいいわけです。したがって、これも対中カードとして十分この国との関係、この地域との関係を強化するというのは意味があるんではないかと思うんですが、そういう発想があって中米サミットをやったのかというと、必ずしもそうではない。そこに僕は、正に戦略的な発想というのはないんではないかと思うんですね。  中国はエネルギー・資源外交をやっていますので、例えばベネズエラ、チャベス大統領の関係、これもベネズエラからの石油の原油輸入は全体の二〇%にも上っている。これ相当な関係を強化している。ボリビアもベネズエラも、左翼というか、どちらかというと反米政権ができている。こういう国に対して武器の輸出もしている。こういう関係をやりながら外交をやっている。  中南米は基本的に親日的なんですが、日本の存在感は今薄れている。僕は二年に一遍は必ず行っているんです、中南米。大体肌で感じますが、ブラジル、これも例えば中国はどうしているか。毎年百人以上の国会議員を招待しているんですね。時々来るのは、そのついでに日本にちょっと寄ると。日本は数名しか呼んでいない。これは圧倒的な差があるわけです。中国のブラジルにいる大使は、ナショナルデーのパーティーに呼んだ人の前で一億円も掛けて花火をやったと。みんなびっくり仰天こいたと。それが若干ひんしゅくも買っているようでありますが、とにかくやり方は相当これはもうアグレッシブにやっている。  日本はどうかと。日系百五十万人もいながら、それほど昔と、二、三十年前と余り変わっていない関係。しかし、今はその日系人、ちょうど日本が移住した二十五、六万人の数が日本に今いるわけですね。今二十七万人と言われているんですが、その人たちは必ずしも幸せに暮らしているわけではない。日本側の教育あるいは福祉政策等の問題があって、受入れの体制ができていない。これも、この南米の大国、日本の二十何倍もある国との関係をもっと、正に戦略的パートナーとして日本側に引き付けると。これは移住者を含めて、血が通っている兄弟国ですから、もっとこれは日本は手を打てると思うんですね。そういう意味での日本は非常に弱い。  アフリカも同じように中国は相当の勢いで入っている。三年前に在京のガボンの大使が、日本の国会議員はだれも会ってくれないといって僕のところに来たのでお会いしたんですが、石油があります、日本はなぜ関心を持たないんだと、こう言ってきたんです。そうしたら、しばらくしたら胡錦濤が行っているんです。アルジェリアとガボンにまで行っている。そういう、正に物すごい勢いで入り込んでいる。  したがって、これとまた別に、去年の二月にケニアのナイロビで国連の環境計画の会議がありました、UNEPの会議がありました。そこに出まして、しかし中国の副首相が来て、そのUNEPの会合とは別にアフリカの諸国みんな呼んで会合をやっているんですね。このやり方も相当なものです。  アフリカばかり、中央アジアもそうです。私も七、八年前に行きました、八年、九年前。ウズベキスタン、カザフスタン。これはもう中国も韓国もロシアも、あの膨大な石油資源をねらって入っているわけです。日本は全く存在感がないという状況の中で、対中央アジア外交もやるべきじゃないかと。ここでも言った記憶がありますが、依然として変わっていないということであります。  オーストラリアの話も出ました。正に価値観を共有していると。日本アジア大洋州の中では戦争をしていない唯一の国でもある。そういう意味では戦略的パートナーシップになり得る国であります。そこはこれからやるんだと思いますが、いずれにしても、日本の地位というのが中国に取って代わられていると、世界的に見て。僕は個人的には大変危惧をしております。それはそれ、そういう生き方もあるんじゃないかと言われればそうなんですが、それでいいのかということなんですね。  この辺の、今ちょっと一方的に述べましたが、大臣はどういうふうに感じられるのか、御意見伺いたいと思います。
  101. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 一連、全般にわたって高野先生いろいろおっしゃられた話と私の考えていることと、そんなにそごを来しているわけではありません。基本的に私も同じような考え方、見方、そういったものを共有する部分が多いと存じます。  その上で、やっぱり今まで、戦略、戦術、戦闘というのを三段階に分ければ、日本は戦闘はうまかったけれども、なかなか戦略はうまくなかったというのは、もう昔にさかのぼって常にそういう国民性もかなりあったんだと思いますが、まずそういうものだと思っております。  その上で、今大きく時代が変わっておりますので、それに合わせて私どもも改めて、六十年、戦後六十年という時期を経ましたので、改めてこの戦略、アジアの中における日本とか世界の中の日本とかいろんな表現ありましょうけれども、そういった中で我々は、日米関係というものを基軸にしながらも、他のアジアの諸国とどうやってやっていくのか、世界とどうやってやっていくのかというのは、ちょっと改めてもう一回座ってゆっくり考えるということをやったことありません。僕はなかったと思いますね、この国には、政治家はもちろんのこと。僕は、そういったものをゆっくり考えたことは余りなかったんだと思っております。しかし、これは考えなきゃいかぬことになりつつあるのではないかと。  そういう意味で、昨年の十二月のあの東アジア共同体というのは、あれは正直申し上げて、そんな簡単にできたわけではないので、数か国、断固反対というのを日本というのが、いや、これはインドも入れるべきだ、オーストラリアも入れるべきだと、ASEANプラス3だけじゃ駄目なんだと。何となく東洋人だけじゃなくて、いろんな、インド人も入る、アングロサクソンも入る、そういった形できちんとつくり上げるというのが大事なんじゃないのかと。これはもう猛烈な御意見が他国から差し込まれたことは事実ですけれども、結果として、インド、インドネシア、シンガポール等々、断固賛成ということであの話は結果的にまとまったんだと思っております。そういう意味では、この数年間の間、少なくとも日本が言い始めて、あれと似たような案をマハティールが言って十年前にはつぶされていますから、その意味では初めてでき上がったものだということも一面確かなんだと存じます。  是非、今言われましたように、戦略的なことを考えますと、これは日本として、先ほど長期的にまとめて包含してと、そういった表現もあっておりましたけれども、すごく大事なところだと思いますので、一緒にやっていけるというのは、ある程度やっぱり価値観が共有しているというものがないとなかなか一緒にやっていけないというのは、何も結婚生活だけの話じゃないのであって、普通なかなか共有するものがないと長くは続かぬのだと、私は、たかだか二十年ぐらいの経験ですけれども、何となくそう思っております。  そういった意味では、今言われましたのはすごくいい分析、分析というか解析、分析か、になっているんだと、私も大変参考になりましたので、是非、今言われましたようなことを基本として、日本として今後アジアの中で勃興してくるアジアの国々と、いかに私どもの持っているものを向こうにも利用してもらい、こっちもうまく向こうのものを利用して、共益、ともに益があるというような意味で共益という概念というようなものを持って私どもとしては戦略を立て、きちんと外交というものを確立していかねばならぬと思って、きちんと心しておかねばならぬ大事な点だと思って、有り難く今の御意見を参考にさせていただきたいと存じます。
  102. 高野博師

    ○高野博師君 もう一つ、安保理改革の件ですが、これも昨年の一連の動きの中で結果的にはうまくいかなかったと。私は環境省にいたものですから副大臣会議でも何度か発言したんですが、この安保理改革、常任理事国入りの問題については、外務省だけではなくて、全閣僚、全副大臣、政務官含めて、あるいは国会議員も含めて、これは国全体として取り組むべきじゃないのかと、そうでないと、とても勝てるような話ではないということを何度も言いました。アメリカの協力なしで、G4だけで突っ込んでいくというのはもう方向感覚失っているんじゃないのかとも指摘したんですが、正に結果的にはそうなっているんですね。これも中国の反キャンペーンというのもすさまじいことを世界じゅうでやったわけです。もう完全に負けたという感じがしました。日本政府は、日本外交の破綻だとか敗北だとは認めておりませんが、実態的に結果を見ればもう明らかなんですね。  したがって、今度仕切り直しをしてやる安保理改革には、正に先ほどのような戦略性を持ってやってもらいたいなということを述べさせてもらいます。  ちょっと時間の関係もありますので、防衛庁長官に、ちょっとグローバルな話からローカルな話に入って恐縮なんですが、岩国住民投票とか施設庁の問題とかあるいは沖縄海兵隊の移転の費用の問題とか、いろいろ聞きたいんでありますが、ちょっと地元のタイムスケジュールから見ると今、今日やっておかなくちゃいけないということなので取り上げますが、アメリカの米軍の所沢通信基地の問題であります。  この通信基地は、所沢市の私が住んでいるところで、私もしょっちゅうここを通っているんですが、広大な九十七ヘクタールの通信基地がありまして、基地内にはほとんど人はいない。見たこともない、私は。これは交通渋滞、それから環境汚染にもなっていると。問題は非常に深刻化しているということで、この基地自身は横田基地と連動しているものですから全面返還というのは難しいだろうと。  しかし、真ん中に道路を通すだけの東西連絡道路ぐらいはできるんではないかということで、もしそれができれば交通渋滞、環境上の問題も解消されると、住民もこれで納得するということでありまして、私は二〇〇一年の二月二十七日、当委員会で質問をしました。当時の河野外務大臣から、周辺住民が難しい状況にある場合は米軍に協力を求めるのは当然だと、米側にきちんと要請することが重要だという答弁をされまして、やっとこの問題はここから動き出したんですね。  その前の二月の二十一日に私も地元の議員と代表者と、東京の防衛施設庁、当時の佐治浩一局長にも要望書を出しておきました。  二〇〇二年の十月八日に当時の石破防衛庁長官あてに所沢通信基地にかかわる東西連絡道路の早期整備に関する申入れ書を、これを手渡しました。当時の大古施設部長が二〇〇三年の概算要求に同連絡道路に関する調査費を計上したと。施設周辺での住民状況を考慮し、米軍との交渉に臨んでいきたいということを述べておられました。同じ日に当時の川口大臣あてにも、これ外務省にも要望書を持っていきました。大臣は多分見ていないと思いますが。  そして、二〇〇四年、しかしなかなか動かない。調査はしたけれども、物事動かないということで、二〇〇四年の三月三十日、またこの委員会で質問をしました。当時の石破長官は、いつまで引っ張っているのだという批判をいただくことがないようしっかり督励していきたいという答弁をしました。  正にいつまで引っ張るんだと。五百万という調査費を二年間も続けてやった。今年は三年目に入っているわけですが、その間に膨大な重油の、これも重油漏れがありまして、ドラム缶で何十個という、これが漏れまして、これは対応が早かったので地下水脈までは行かなかったということですが、しかし住民の相当の不安、反発もあったんですね、正に町の真ん中ですから。  そういうこれまで、したがって私は、五年以上も地元住民代表、所沢の斎藤市長あるいは市の職員、議員と何度も何度も協議をして実現に向けて取り組んできたんですが、今月初めの衆議院の予算委員会の中で防衛庁長官が質問に答えて、答弁の中で、基地返還は求めていかないという発言をしたために、これが地元の誤解を招きまして、地元の新聞にも大きく取り上げられたものですから、東西道路の一部返還も求めないというふうに住民が誤解をしましてこの不安が広がったわけでありますが、この問題について、長官から改めて、この問題に取り組む姿勢なり決意なりを明快に語っていただきたいと思います。よろしくお願いします。
  103. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今、高野先生からおっしゃられた件につきましては、確かに先般、私は御質問を受けたわけでありますが、この所沢米軍通信施設につきましては、日米安保条約の目的達成のために必要な施設であるということには共通の思いがあると思います。  この安保条約の目的を達成するという前提の下で、地元理解を得ることも念頭に置いて、地元要望、高野先生のおっしゃるようなことを踏まえて今後対応していくことが大事であるというふうに私も思います。したがって、東西連絡道路の建設に伴う一部返還については、今後とも地元要望にこたえられるように努力をしていきたいということであります。  それから、この前、私が衆議院の予算委員会第一分科会において、基地の撤去を求めるべきではないかとの質問に対しまして、私が、所沢通信施設というのは、これまでもそうだったし、今後も日米安保条約の目的を達成していくためには必要と思っていると答弁したことが報道されているわけなんだけれども、それは一部返還を否定したものではないということは明言さしていただきたいというふうに思っております。今後とも地元要望にこたえることができるように取り組んでいきたいというふうに思います。
  104. 高野博師

    ○高野博師君 ありがとうございます。  今後の手続なんですが、これは市の方からの申請書が施設庁とそれから財務省に出されなくてはならないわけですが、この辺の手続についてどういうふうに進めていくのか、お伺いしたいと思います。
  105. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今防衛庁で、これまでの所沢市等と調整を行うための基礎資料を取るために現況平面図の作成などの調査を行っているわけでございます。所沢市も返還申請書の提出に向けて準備をしているものと思っております。したがって、道路用地の一部返還手続を開始するためには、所沢市から返還申請書の提出があって、その上で我々が米側とか所沢市と具体的な話合い、協議をしていくというのが段取りだと思います。
  106. 高野博師

    ○高野博師君 市側の市長さん、市当局あるいは議会が一番心配しているのは、この道路の建設の仕方によっては地下に潜らせるということもあり得るものですから、膨大な費用になるんではないか、費用が要るんではないか、その財政負担が市にとって大きくなり過ぎるとこれは難しくなるということで、できるだけ市の財政的な負担を軽くするように、これは国庫負担の割合を大きくしていただいて、そして対応していただきたいと思っております。相手があることでありますから、これもいろいろ協議が必要かと思いますが、是非、政府が主導、リーダーシップを取ってこれやっていただきたいと思います。長官の答弁をお願いします。
  107. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 原則としては、道路事業などの公共事業は言ってみれば企業者が負担するということになっておりますけれども、我々の基地の問題についての整備事業については、これは日米政府間できちっと合意に基づいておりますので、国費で対応するということになります。したがって、市側から要求があれば、これを市の要望を踏まえながら米側とよく対応させていただきたいと、我々も積極的に対応していくという形にしたいと思います。
  108. 高野博師

    ○高野博師君 これは長年の懸案でありますので、できれば来年の四月ぐらいから工事が始められるように、是非前向きに、迅速に対応していただきたいということをお願いしまして、質問を終わります。
  109. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 防衛施設庁の官製談合事件について質問いたします。  今回の事件をめぐっては、一昨日、施設庁所管の財団法人防衛施設技術協会の前理事長ら三人が東京地検に追起訴されたほか、同じく同技術協会の元理事長で談合の連絡役を務めていた元技術審議官も略式起訴を受ける事態になっております。  そこで伺いますけれども防衛庁は二月二十四日、今回の談合事件を受けて、技術協会への再就職を全面的に自粛するなどの再発防止策を発表いたしました。大臣は今後この技術協会についてどう対応されていくのか、質問します。
  110. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今防衛庁内に、北原長官を中心にして組織の洗い直しをしております。そのときに、防衛庁所管の公益法人についていろいろ問題点があるのかどうか調べておるわけでありますが、この施設技術協会については、今度の事件を契機にしまして、言ってみれば再就職の待機場所ではないのかとか、あるいはまた役人が企業側の便宜を図っている、お互い談合的な背景があるということも指摘されておりますので、私は、この協会の機能を全面的に見直しをして、必要な機能はどこかほかの分野で働くようにし、実際にはこの協会を解体する方向で、今その状況を徹底的に調べているということでございます。
  111. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 防衛庁の資料によれば、防衛施設技術協会は、毎年、技術協力や調査研究業務の名目で防衛施設庁から十億円を超える業務を競争入札なしの随意契約で受注してきました。過去五年間見ても、その総額は五十七億円にも上ります。  長官は、三月三日、今回の事件に関連して、二〇〇二年度以降に施設庁建設部のあっせんで天下りを受けた企業と談合に関与した疑いのある企業、計百七十八社を二〇〇五年度の未発注の建設工事の入札契約から排除すると発表されました。では、技術協会への業務発注はどうされるんですか。
  112. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 事実上、十七年度の残っている執行につきましては今点検をしておりますけれども、原則的には未執行、このまま仕事はやらない、そしてどうしても必要な仕事は来年度に延ばす、そういう考え方で今整理をしているところであります。
  113. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 この技術協会については、今大臣がおっしゃられたように、正に天下りの待機場所という実態、これが浮かび上がってきたと思うんですよ。そればかりか、施設庁から受注した業務を下請に事実上丸投げして、最大八割もの粗利益を上げるというトンネル組織の実態も明らかになってきたと思うんです。こうした技術協会の不透明な資金の流れについてもやはり徹底して調査をやる、そういうことですよね。
  114. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今もう正にこれは地検の捜査もあるわけでございますけれども、私どもも捜査に影響を与えない範囲できちっと調査をしていきたいというふうに思っております。
  115. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 防衛施設技術協会をめぐっては看過できないもう一つの大きな問題があると思います。  それは、二〇〇四年六月九日付けの産経新聞に載った記事なんですけれども、それによると、当時、技術協会の理事長だった田中義人元技術審議官が、参議院選挙、比例代表選挙に出た防衛庁出身の自民党議員を応援するために、施設庁から受注実績のある建設会社などに顧問、役員として天下ったOB十数人に対して、技術協会内のアドレスから理事長名で支援を要請する電子メールを送ったという記事なんです。そして、この記事によると、田中元理事長は、詰まらないことをしたと反省しているという反省の弁を述べて、メールを送信した、この記事の内容をそう認めているわけです。  そこでお伺いしますけれども大臣はこういう行為というのは許されるとお考えですか。
  116. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今委員指摘の件については、詳細、私、承知しておりません。
  117. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 メールで特定候補の、特定の政党の候補を応援したという、そういうケースです。それはその技術協会の名で行われたというケースで、これはよく調べていただきたいと思います。要望しておきます。  この問題は、このことから明らかになるわけですけれども、私は、その防衛施設技術協会が天下りOBのつながりを使って自民党を支援する組織選挙を行っていた、そういう可能性がある問題だと思うんですね。で、田中元理事長は、じゃ、何でこんなことをやったのか、不思議に思います。何でだろうと。  そこでお聞きしたいんですけれども大臣は、その自民党の中に安全保障関係団体協議会という組織、それがあると私は聞いているんですけれども、その組織の活動目的は一体何なんでしょうか。
  118. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 防衛施設技術協会が今御指摘の自民党安全保障関係団体協議会の会員となっていることは事実のようであります。把握できた過去三年間において、技術協会が協議会に対し会費を納める等の積極的な関与活動の実績は認められていないということでございます。  まあ今後、そういうことが実態的にどういうふうになっているのか、今のところそういうことでありますけれども、よく政治に対してどういうふうになっていたかについては調べてみたいというふうに思います。
  119. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 まあ、会員となっているようだとおっしゃられましたけれども、会員になっているんですよね。私は、実際にその会に入っている、まあ十八団体あるんですけれども、そこの幾つかと聞きましたし、もちろんこの協会にも聞いて、その後を確認したところです。  ここに防衛庁所管の社団法人の郷友連盟が発行する月刊「郷友」という、こういう雑誌があります。この九六年十一月号と、この同連盟が防衛庁に提出いたしました九六年度事業報告というのがあるんですね。これを見ますと、自民党では九六年五月二十三日に安全保障関係団体協議会を発足させ、防衛施設技術協会を始め計十八の団体が参加して、毎月一回程度の会合を開いて意見交換をしていると記されております。  問題は、この関係団体協議会の活動目的なんですけれども、手元にその当時の会則があります。ここには、同協議会の事務所を自民党事務局内に設置すること、それとともに、第三章、活動の第八条に、本会の目的を達成するために左の活動を行うという、そういうことを、左に書いてあることの活動を行うとして七つの活動を列挙し、その一つに自由民主党への支援活動が定められております。  その自民党候補への支援メールを送ったのは正にこの活動に沿ったものだと解釈ができると思うんですけれども、自民党は技術協会自らも支援団体として扱ってきたという、そういうことになるのではないでしょうか。
  120. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) まあ、公益法人というのは不特定多数の方々のために活動、行動していかなければならないという原則があるわけでございますから、私は、そういう公益法人はそういう原則に従って動いているものと思っております。委員指摘のことについては私、承知しておりません。
  121. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 先ほど大臣はお調べになるとおっしゃられたので、これも含めてお願いしたいと思う。  まあ、言うまでもなく閣議決定で、九六年の閣議決定で、公益法人たるものは積極的に不特定多数の利益の実現を目的とするものでなければならないとなっているわけですから、特定政党に肩入れするということはこれに反するということは自明のことだと思います。で、防衛施設技術協会の現在の総務部長は、新聞赤旗の取材に対して、関係団体協議会に現在加盟していることをはっきりと認めているんですね。  さらに、問題なのは、自民党がこの関係団体協議会を発足させた理由なわけです。なぜ発足させたのか。自民党が同協議会を発足させた当時の、九六年八月六日付けの自由新報が手元にあります。こういうものなんですけれども、これを見ますと、当時の党団体総局長の玉沢徳一郎氏が、総選挙への万全の態勢を自民党はかく戦うということで、選挙で当選するには当然より多くの支持を得なければならない、その一つとして関係団体協議会を設置すると、相当強調しております。これは、大きな発言の中の引用ですので関係部分のところだけになりますが、後で全部を見ていただきたいと思いますが。これまでは各団体から主として陳情を受けるだけだったが、これからは我が党を支持してくれる団体の皆さんと一体となって展開していくと、そういうことを述べられているわけですね。  ですから、こういうことを見ても、正にその関係団体協議会は、単に自民党の友好団体とかそういうものではなくて、やはり参加した団体に正に組織ぐるみで自民党の選挙の支援を求めるものにほかならない、そう思うわけです。  やっぱりこういうことがあったということは、まあこれまで様々な形で防衛問題に精通されている大臣のことですので御存じだと思いますが、いかがでしょうか。
  122. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 私は、これ承知しておりません。ただ、先ほど申し上げましたように、技術施設協会においても会費を納める等の積極的な行動はしていないというふうに言っておりますから、もし参加している場合でも、あれは個人的な関係で、会合、会議とかに出ているとかだと、そういうことではないのかというふうに推測はいたします。
  123. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 この三年間はとさっきおっしゃられましたけれども、こうした自民党の団体に組織ごと加盟しているからこそ、防衛施設技術協会の田中元理事長はまあメールを送るという、そういう行動を取ったということになるんだろうと思うんですね。  同時に、この問題に関連して指摘しておきたいのは、技術協会の歴代役員が、天下りした建設会社から自民党へ多額の献金が行われていることです。技術協会が設置された一九九〇年以降、理事長を務めた全七名のうち、既に技術協会を設立された、亡くなられた初代理事長と、起訴された直近の理事長だった生沢被告を除く五名、それに、常務理事を務めた地方施設局長経験者の九名の天下り先の企業献金を全部調べてみました。その結果、自民党の関係団体協議会に技術協会が加盟した一九九六年から二〇〇四年までの九年間、この間に五洋建設や浅沼組、奥村組など十二社が約七億二千万、七億二千万を自民党の政治資金団体、国民政治協会に献金しておりました。  初めに指摘したように、技術協会は毎年、施設庁から十億円を超える業務を受注し、そのほとんどを丸投げして利益を上げていた。九六年当時も、やはり十二億円近くの受注がある。技術協会は、こうして得た利益の一部を歴代役員の天下り企業先を介して組織ぐるみで支援する自民党に還流させていた、そういうことになるのかなと思うわけですね。  で、今回の事件を教訓に再発防止を上げるというならば、自らの党にかかわる問題、その点でもやはりきちっと調べていただくことが非常に大事だと思うんです。
  124. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 時間が参っておりますので、質問をおまとめください。
  125. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 はい。防衛施設技術協会の不透明な資金の流れを徹底的にメスを入れると同時に、やはりこの点について明らかにしていただきたい、このことを大臣に求めたいと思います。
  126. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 額賀防衛庁長官、答弁は簡潔にお願いします。
  127. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは、きちっと政治資金規正法に基づいて処理されているものと推測をいたしております。
  128. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 まず最初に、外務大臣にお伺いいたします。  外務大臣は去る三月九日の本委員会での所信表明で、在日米軍再編に関しては、昨年十月末の2プラス2で発表した共同文書を踏まえて、三月中には具体案を作成したいとのお考えを示されました。  では、去る三月十二日に実施された岩国での住民投票の結果に示された移転受入れ反対市民の意思を具体的にどのように生かすおつもりなんでしょうか。
  129. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 先ほど民主党の方の御質問に御答弁も申し上げたところなんですが、岩国市におきましていわゆる住民投票が行われ反対多数の結果を生んだ、が出たということはよく承知をいたしておるところであります。投票率も五八%を超えておりますんで、これ住民投票として成り立ったということだと理解をしております。  この結果の取扱いにつきましては、これは市の御判断ということになるんだと存じますが、政府といたしましては、これは国全体の安全とか防衛とかいう見地に立ちましてこの問題について責任を持つ必要があるというのは御存じのとおりです。  厚木から岩国へ艦載機が移転をするということになるのが平成二十年ということになります。で、そのときにいわゆる、二十年までに今建設中であります岩国基地沖合移転というものが完了しておるであろうと思っております。したがいまして、移転をいたしますんで、沖合から一キロメートル以上沖に出ることになろうと存じますので、その点からいきますと、騒音が予想される区域というものが約三分の一ぐらいに今より減る、計算上ではそういうことになろうと思っております。  したがいまして、日本とアメリカのアイデアでは、この兵力再編ということをやっていくに当たりましては、私どもとしてはこういったことにもきちんと、ただただ騒音がこっちに移るだけじゃなくて、それは少なくとも私ども計算では三分の一ぐらいにはなると思われますので、是非御理解をいただくべく今後とも努力をして、三月末までにはできれば是非御了解、御納得とをいただきたいものだと考えております。
  130. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 今の御説明ですと、岩国の場合には沖合移転することによって地域住民負担を三分の一程度に軽減するという趣旨のお話ですが、沖縄の場合は沖合にあるものを、沖合に県が予定したのを沿岸部、住宅地域の方に、近い方に移すわけですね。そうするとどういう形で軽減になるんですか。
  131. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これはむしろ私より防衛庁長官の方の方が答弁に適しておられると思いますけれども……
  132. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 長官でも結構です。
  133. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 私の理解で、いや、ちょっと指名いただきましたんで私の方だけ先に言わせていただければ、基本的には、今言われましたように、普天間という極めて人口が密集してくることになってしまった、その後の情勢変化ですから、できたときはそうでもなかったんだと存じますけれども、少なくとも今は極めて人口密集地帯になっているところから米軍のキャンプ・シュワブという沖合の方に、北部の方のいわゆる人口の少ないところに移転をしようということであり、米軍のキャンプ地のある中の話でもありますんで、私どもとしてはそういった点を考えますと、少なくとも今の騒音を受けておられる被害者の方々の数という絶対数を考えますと大幅に軽減されることになるのではないかと、私自身はそう理解をしております。
  134. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 質問分に通告していなくて恐縮ですが、今のお話と関連してちょっと申し上げたいことは、実は沖縄の本島北部の皆さんが猛烈に基地反対していることは、普天間の方で命が危険だから、地域住民の命が危険だから、じゃ、北部の人の命はどうなんだと。つまり、普天間地域の中部の方の人々の命の危険さを我々北部の側の命の危険さに移すこと、同じ人間として命は平等じゃないかという言い方で反対するわけですよ。その辺はどうお考えですか。
  135. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 生命の軽重、重さ、軽さというものに関しましては、北部であろうと南部であろうと密集地であろうと、それは基本的には同じというように理解をされて当然なんだと思いますけれども、少なくとも私どもとしては、今一連の移転をしていく中にあって、例えば今回の移転米軍軍属含めて一万七、八千の方々沖縄から撤退されていくというのは、いわゆる確率としては、例の暴力ざたやら何やら含めまして、そういった絶対量というもの、起きる確率は減ることになりますし、いろんな形で軽減が進んでいくんだと思っております。  そういった意味で、今、少なくとも落ちる確率が同じとするならば、不時着、撃墜、墜落、そういったようなものが起きる確率が同じとするならば、少なくとも人口密集地よりは人口の少ないところに行く方が、いわゆる被害が、落ちる確率の絶対量が減ることはこれは当然のことだと思いますんで、個人個人の重さからいけばそれは当然の、当然皆同じというのは当然のことだと存じますが。
  136. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 沖縄においては、去る三月五日に、普天間飛行場をキャンプ・シュワブ沿岸部に移転する案に反対する県民大会が約三万五千人が参加して開かれました。昨日から今日にかけて、その大会の代表者たちが政府の関連省庁を訪問して、その反対の意思を伝えておるところでございます。  キャンプ・シュワブ沿岸部案に対しては、同地域一帯の住民を始め、県知事と県会議長のほか、名護市長や北部地域の市町村長らも反対の意思を表明しています。つまり、シュワブ沿岸案に反対というのは県民のほぼ総意と言っても過言ではありません。  ラムズフェルド米国防長官は、米軍再編を進めるに当たって、関係先に好まれないところには基地は置かないという考えを表明しています。それだけに、岩国沖縄を始め米軍再編関係する自治体や住民の声を対米交渉に生かすことが極めて大事だと思いますが、具体的に今後の最終報告をつくる上でどのような交渉をなさるおつもりですか。
  137. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 基本的には、私どもとしては、周辺住民の方、関係住民方々と今後とも話を進めていかねばならぬと思っておりますけれども、私どもは、少なくとも全く話が付かないまま、普天間というままに、そのままずるずるずうっとこのままいられるというのは私どもとしては最悪の結果なんじゃ、そちらの方がより結果としては悪いんじゃないかなと、正直そう思うんですね。少なくともそこから移転をしてもらうということの意義というのは非常に大きいと思いますんで、何となく、まとまらないからといってずっとそのまま居座られた方がもっと話が込み入ると。  基本的には、何となく、住民側に立てばそういうことじゃないかなという感じがいたしておりますんで、私どもとしてはできる限りこの三月にまとまるように最善の努力を今後とも誠心誠意続けていかねばならぬものだと理解をしております。
  138. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 もう一度、外務省にお伺いいたします。  三月十四日付け産経新聞は、在日米軍再編をめぐるハワイでの日米議官協議において、在沖縄米海兵隊のグアム移転費の総額は約百億ドル、日本円にして約一兆一千七百五十億円と見積もられたと報じています。米側はそのうち日本側に対して七五%の負担要求し、具体的に、司令部庁舎を始め作戦関連施設、隊舎と体育館などの厚生施設、家族住宅や宿舎、道路、電気、水道のインフラ整備、港から基地までの道路整備など五つの分野に分けて経費を提示したと報じられていますが、米側からこのような提案がなされているのは事実ですか。外務大臣にお伺いします。
  139. 河相周夫

    政府参考人(河相周夫君) お答え申し上げます。  沖縄海兵隊司令部の要員、それからその家族のグアムへの移転というのは、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたとおり、沖縄にとって大きな負担軽減になるということでございます。これをできるだけ早く実現をするためにということで、我が国としても資金的な措置を含めて検討していきたいというのが基本的考え方でございます。  御指摘のように、今年三月まで、最終取りまとめを行うという目標の下で、今月、ホノルルにおいて、七日から十一日まで日米外務防衛当局間の協議を行いました。その中で、海兵隊のグアム移転に関する資金の措置を含めていろいろ検討はいたしたわけでございます。  ただ、協議の内容につきましては、米側との関係もございますし、まだ引き続き協議中という状況にございますので、ここで詳細にわたっての答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
  140. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 財務省にお伺いします。財務省、お見えですか。  在沖縄米海兵隊のグアム移転費用を仮に一部といえども日本側が負担するとすれば、外国軍の海外基地施設の建設費を我が国負担することになるわけですが、財政法上、それは可能なのか。可能とすれば、その根拠法について御説明ください。
  141. 松元崇

    政府参考人(松元崇君) お答えいたします。  この外国軍の海外基地建設を負担することが可能であるかということでございますが、国の予算その他財政の基本に関して定めております財政法におきまして、海外に所在する外国政府の施設を我が国の予算で整備することを禁ずる、あるいは制限するといった明文の規定は置かれておりません。  在沖縄海兵隊のグアム移転に関して申し上げますと、我が国が行う具体的な措置が決定されていない現時点におきましては国内法との関係について申し上げることはできないということでございますが、支援が必要とされるのであれば、具体的な措置と国内法との関係について関係省庁において適切に整理されていくものと考えております。
  142. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 この沖縄の海兵隊を、これ防衛庁長官にお願いしますけれども長官沖縄の海兵隊を八千人、グアムへ移すということが決まったと報じられていますが、これ事実ですか。
  143. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは米国側で中間報告においては七千人と言っておりますが、その後の協議の中で八千人、グアムに移転してもよいという提案が行われていることは事実であります。それに基づいて、じゃ、どういうふうにこれを行っていくかについて具体的な協議を今行っているというところでございます。
  144. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 八千人をグアムに移すということが可能だとすれば、実は私の在任中にグアムの方へ行きまして、じかにグアムの基地を自分の目で見て、グアムの知事や議会議長や国会議員と相談したところ、三千五百人までは喜んで受け入れるということだったわけですよ。ところが、グアムに移すということが非現実的だということで県議会の政府寄りの政党が反対して、やったんですが、今は県議会でも全会一致でグアムへ移すことを要望しているわけなんです。  そこで、お伺いしたいのは、八千人の海兵隊を海兵隊の司令部共々にグアムに移すことが可能だとすれば、現在の普天間飛行場は二千七百人くらいしか海兵隊がいないわけですよ。その八千人の中にその普天間飛行場の二千七百人くらいの海兵隊を含めて移せば、何も新しい基地を造る必要はないし、新しい基地を造る費用というのも一説には一兆円もすると言われているわけなんですよ。そうすると、グアムへ移す百億ドルのお金と更に新たな基地を造る費用を考えますと、とてつもない額の金が使われるということになるわけですが、なぜその八千人を移すとすれば三千人をその八千人の中に含めることができないのか。そういう折衝はなさらないわけですか。
  145. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 我々が米軍再編自衛隊がどうするかということ、日本がどうするかということについての基本的な考え方は、この北東アジアあるいは日本の安全を守っていく上でどういうふうにその抑止力を維持していくのか、それを担保するのかということが一つの前提であります。  その上で、沖縄負担を軽少、少なくしていくということでありますから、その原則に基づいて今協議をしている中で、八千人の移転ということと沖縄負担を、そういうことで造っていこうという考え方をしているから、真剣に協議をしているということでございます。
  146. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 大田昌秀君、時間が参っているんです。おまとめください。
  147. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 はい。いや、今の御答弁は私の質問に答えておりません。私がお聞きしたいのは、八千人の中に普天間の二千七百人を含めてしまえば巨額の金を使わずに、しかもその移設という県民が反対していることをやらずに済むのに、なぜそういうことをなさらないかということを伺っているわけです。
  148. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 額賀防衛庁長官、簡潔にお答えください。
  149. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今、抑止力、要するに海兵隊の機能を損なわない、運用を損なわないような形で軽減を、負担軽減の縮小をするということでございます。
  150. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 終わります。
  151. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時五分散会