○田名部匡代君
民主党の田名部匡代でございます。
私は、
民主党・
無所属クラブを代表して、ただいま
議題となりましたねん
きん事業機構法案及び
国民年金事業等の
運営の
改善のための
国民年金法等の一部を
改正する
法律案について質問をいたします。(
拍手)
まず冒頭、昨日の衆議院
厚生労働委員会において、
医療給付費の抑制という財政主導の
医療制度改革法案について、
政府・
与党が
委員会審議を一方的に打ち切り、
医療制度崩壊の
危機に対して何ら解決策を示すことなく、
強行採決したことに強く
抗議をいたします。
むしろ、
崩壊のスピードを加速するような、
審議半ばで
説明責任を放棄した行動を、私
たち民主党は、断固許すことができません。そのことを申し上げ、質問に移らせていただきます。
まず、このねんきん機構
法案、
国民年金法
改正案の
質疑を始めるに当たり、過去、社会
保険庁において、徴収した
保険料が無駄遣いをされ、幹部職員の汚職が相次ぎ、
年金情報ののぞき見といった、想像を絶する、まさにやりたい放題の不祥事がこれでもかと
国民の前に提示されたことを、厚生
労働大臣は覚えていらっしゃいますでしょうか。
年金掛金で公用車が購入され、社会
保険庁の一億円以上の随意契約は
平成十五年で四十五件、総額にして一千百九十二億円であります。また、社会
保険庁職員の野球観戦、ミュージカル、クラシック、狂言鑑賞、それに
年金の掛金が使われたという事実も判明いたしました。さぞかし楽しいレクリエーションだったと思われますが、この不始末の責任は一体だれがとったのでしょうか。だれもとっていないのであります。
大臣、これらの問題はだれに責任があり、なぜこういった問題が繰り返されてきたとお考えでしょうか。二度と同じことを繰り返さないために、何をすべきだと思われますか。
社会
保険庁は地に落ちた、
国民が愛想を尽かした、解体的出直しが必要だということは
与党の皆さんも認めたところであります。ところが、今回
政府・
与党から提示された案は、単なる看板のかけかえにすぎず、極めて不十分な
内容であります。
当初、
与党内には民営化や独立行政法人化の
意見もあったと聞きますが、なぜそうしなかったのでしょうか。社会
保険庁
改革として外部から招かれた村瀬長官による
改革の
効果に対する総括はなされたのでしょうか。社会
保険庁問題によって失った
信頼は、組織改編で取り戻せるのでしょうか。この程度の
改革で職員の意識の刷新は本当にできるのでしょうか。大臣はどのようにお考えですか。お答えください。
次に、名は体をあらわすと申しますが、ねんきん事業機構の「ねんきん」を平仮名に書きかえた
理由は何なのでしょうか。これも
小泉構造改革の
戦略の一環なのでしょうか。大臣は記者会見で、
国民にわかりやすいネーミングで、やわらかい印象を与えたいとおっしゃっておられましたが、
国民が求めているのは、わかりやすいネーミングなどではありません。わかりやすい事業機構の
内容であると考えますが、この平仮名で書かれた、ねんきん事業機構に込める思いを熱く語っていただきたいと思います。
次に、機構の組織形態についてお伺いします。
今申し上げたように、問われているのは、中身が本当に伴っているかということです。つまり、
根拠法令を変えたところで、効率性、行政サービスの観点から利用者の
立場に立った
改革にならなければ意味がありません。
昨年五月、社会
保険庁の在り方に関する有識者
会議では、公的
年金制度を
運営する新組織について、意思決定機能、業務執行機能及び監査機能について、その権限と責任の分担を明確にし、その機能強化を図り、新たな組織として再出発させるという
報告書が出されました。ところが、
政府案では、この取りまとめが十分に反映されているとは到底言えません。特別の機関というのは、国土地理院や原子力安全・保安院のような国家行政組織上の位置づけなのでしょうが、実質的には
厚生労働省の外局と同じではないのですか。
そこで、大臣にお尋ねします。
まず、ねんきん事業機構の長に村瀬長官の横滑り人事はあり得るのでしょうか。
与党からは、新組織への職員移行に際し、業務
目的外閲覧による処分を重視するようにとの求めがあったと聞いていますが、これが実施されるのでしょうか。また、かねてから、
厚生労働省出身のキャリア職員、本庁生え抜き職員、
地方採用の職員という三層構造問題が指摘されてきました。この対応策は何をお考えでしょうか。お答えください。
次に、具体的な事業
運営についてお伺いします。
今回、新たな組織において意思決定機関として設置される
年金運営会議の独立性が担保されるかどうかは、ねんきん事業機構の
運営に当たり、極めて重要なポイントだと考えています。
この
年金運営会議は、トップの代表執行責任者と四人以内の外部の専門家の
委員で組織されるとありますが、これも従来の
審議会等と実質的な違いはありません。唯一目を引くのが、
厚生労働省の出身者は
委員に採用しないという点であります。わざわざ採用しないという規定を盛り込まなければならなかったのは、これまでの組織のあり方を反省してのことでしょうか。この点について、ぜひその
理由を教えていただきたいと思います。もちろん、反省の弁でも結構であります。
あわせて、
厚生労働省以外の省庁出身者が専門家
委員になることについては妨げていないわけでありますが、他省庁OBとバーター取引をする指定席となることはまさかあるわけがないと思いますが、御見解をお伺いいたします。
さて次に、
国民年金保険料の収納強化策を掲げる
国民年金法
改正案についてお伺いします。
この中に盛り込まれた
方策には、強制的なメニューがそろっております。そもそも、社会
保険庁
改革と
年金未納
対策は全く別なものであります。名前を変えた社会
保険庁に
年金未納
対策を語る資格がおありなのかというのが
国民の実感だと思います。
なぜ払うべき
国民年金保険料を払わない人がふえているのか。それは、今の
年金制度が非常に不安だからであります。天下りは依然として社会
保険庁にあって、
改革といっても、ただ看板をかけかえるだけでは
信頼回復にはほど遠いのではありませんか。例えば、
年金の徴収権を思い切って切り離すといった透明性の高い大きな
改革があって初めて、
国民は、これでもう無駄遣いはない、
年金も
信頼できるようになったと実感するのではないでしょうか。それがなければ、新組織の重要
課題である収納率アップなど夢のまた夢ではないでしょうか。大臣のお考えをお伺いいたします。
特に、この収納強化策の中には、
国民年金保険料の未納者に対して短期
国民健康保険証の
交付が可能となる、すなわち、
市町村の判断としつつも、
国民健康保険証の有効期限を
短縮できるようにして、更新のたびに
年金保険料も払ってもらえるようにするという
方策が盛り込まれております。高
所得者にもかかわらず払わないという悪質な未納者ならまだしも、このターゲットとなるのは、
保険料を払いたくても払えない、
所得の低い
世帯にならざるを得ません。異なる
制度を利用した収納
対策はなぜ許されるのか、さらに、
市町村としてのメリットはどこにあるのか、お答えください。
振り返れば、
国民年金保険料の徴収率が落ちたのも、国の機関に任せたというところに問題があったのではないでしょうか。かつては全国の
市町村が徴収していたのに、二〇〇二年四月からはそれが社会
保険庁に移管されました。社会
保険庁の出先である社会
保険事務所は三百を超えているとはいえ、
市町村の数に比べれば、社会
保険事務所が住民の実態を把握しているとは言えず、この移管が未納増加の大きな原因とも言われております。
国民年金保険料の徴収
対策にあっては、
市町村の実態を十分把握しつつ、連携強化に向けた
体制整備が不可欠でありますが、その
実効性をどう担保するのか、お考えを伺います。
さて、本
法案では強制的な収納
対策についていろいろなメニューが提示されておりますが、これらはしょせん、本質的な問題を回避するための方便にすぎないことを最後に指摘しなければなりません。すなわち、
年金保険料の徴収は社会
保険庁、税金は国税庁という縦割り行政は放置されたままなのであります。本気で効率的に徴収する、
国民が納付しやすい
制度にするというのであれば、なぜ徴収だけでも一括して行わないのでしょうか。
私ども
民主党は、公的
年金制度については、全
国民が加入する
所得比例
年金を
創設する、それに当たって
所得捕捉を公平に行い、かつ的確な
年金給付を担保するために、税及び
年金保険料徴収と
年金給付に共通の納税者番号
制度を
導入します。あわせて、国税庁と社会
保険庁を統合し、一元化された
所得比例
年金の
保険料については
所得税などと同時に歳入庁で徴収をする、歳入庁構想を提示しております。
もう一点は、効率化の問題です。せっかく社会
保険庁
改革というときに、なぜ税金と一緒に
年金保険料を集めないのでしょうか。税金と一緒に
年金保険料を集める方が効率的ではありませんか。幾ら民間出身の長官が頑張ったと胸を張っても、
平成十四年の納付率は六二・八%、十六年度は六三・六%、十四年と十六年を比べても一%も上がっておりません。いわば納付率の向上は遅々として進んでいない状態にあります。
年金保険料は一年間に二十兆円以上、これが現金で社会
保険庁に入ってくるのでありますから、この権限を手放したくないゆえに、社会
保険庁の
改革が中途半端になっているのではありませんか。やはりお金を集めるのは一つの組織に集約をして、支払う組織と分離していくことが効率性や
実効性につながるのであり、無駄遣いも少なくなっていくと私は考えております。
この
改革に当たり、これまでの数々の不祥事をしっかりと反省し、見せかけの
改革ではなく、看板のかけかえの
改革ではなく、本当の意味の
改革、つまり真に
国民のためになる
改革に真剣に取り組むべきだということを最後に申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。(
拍手)
〔国務大臣川崎二郎君
登壇〕