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2006-01-27 第164回国会 衆議院 本会議 第4号
公式Web版
会議録情報
0
平成
十八年一月二十七日(金曜日)
—————————————
平成
十八年一月二十七日 午後一時 本
会議
—————————————
○本日の
会議
に付した案件
石綿
による
健康被害
の
救済
に関する
法律案
(
内閣提出
)及び
石綿
による
健康等
に係る
被害
の
防止
のための
大気汚染防止法等
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
)の
趣旨説明
及び
質疑
午後一時三分
開議
河野洋平
1
○
議長
(
河野洋平
君) これより
会議
を開きます。
————◇—————
石綿
による
健康被害
の
救済
に関する
法律案
(
内閣提出
)及び
石綿
による
健康等
に係る
被害
の
防止
のための
大気汚染防止法等
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
)の
趣旨説明
河野洋平
2
○
議長
(
河野洋平
君) この際、
内閣提出
、
石綿
による
健康被害
の
救済
に関する
法律案
及び
石綿
による
健康等
に係る
被害
の
防止
のための
大気汚染防止法等
の一部を
改正
する
法律案
について、
趣旨
の
説明
を求めます。
環境大臣小池百合子
君。 〔
国務大臣小池百合子
君
登壇
〕
小池百合子
3
○
国務大臣
(
小池百合子
君) ただいま
議題
となりました
石綿
による
健康被害
の
救済
に関する
法律案
及び
石綿
による
健康等
に係る
被害
の
防止
のための
大気汚染防止法等
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、その
趣旨
を御
説明
申し上げます。 初めに、
石綿
による
健康被害
の
救済
に関する
法律案
について御
説明
申し上げます。
石綿
による
健康被害
については、
国民
の
生命
や健康に影響を及ぼすものであることから、
すき間
のない
健康被害者
の
救済
、今後の
被害
を
未然
に
防止
するための
対応等
を適切に実施していくことが必要であります。 このため、
平成
十七年七月以来、
政府部
内において
アスベスト
問題に関する
関係閣僚
による
会合
が開催され、同年十二月二十七日に開催された第五回となる同
会合
におきまして、
アスベスト
による
健康被害者
のうち、既存の
法律
で
救済
されない
被害者
を
すき間
なく
救済
するための新たな
法的措置
として、
石綿
による
健康被害
の
救済
に関する
法律案
を
平成
十八年の
通常国会
の冒頭に提出するとともに、
法案成立
後はその速やかな施行に努めることとされたところであります。 このような
経緯
を踏まえ、
石綿
が長
期間
にわたって
我が国
の
経済活動全般
に幅広く、かつ大量に
使用
されてきた結果、多数の
健康被害
が発生してきている一方で、
石綿
に起因する
健康被害
については、長期にわたる
潜伏期間
があって
因果関係
の
特定
が難しく、
現状
では
救済
が困難であるという
特殊性
にかんがみ、
石綿
による
健康被害者
であって
労災補償等
による
救済
の
対象
とならない者を
対象
として、
事業者
、国及び
地方公共団体
が全体で
費用負担
を行い、
石綿
による
健康被害者
の間に
すき間
を生じないよう迅速かつ安定した
救済制度
を実現するため、本
法律案
を提出した次第であります。 以下、この
法律案
の主な
内容
について御
説明
申し上げます。 第一に、
労災補償等
による
救済
の
対象
とならない者に対する
救済給付
の支給についてであります。
石綿
を吸入することにより
指定疾病
にかかった旨の
認定
を受けた者及びその
遺族
に対し、
医療費
、
療養手当
、
葬祭料
、
特別遺族弔慰金
、
特別葬祭料
及び
救済給付調整金
を支給することとし、その
費用
については、
独立行政法人環境再生保全機構
に
石綿健康被害救済基金
を設け、
事業者
、国及び
地方公共団体
が全体で
負担
することとします。 第二に、
労災補償
を受けずに死亡した
労働者
の
遺族
に対する
特別遺族給付金
の創設であります。
指定疾病等
により死亡した
労働者
の
遺族
であって、
労働者災害補償保険法
の規定による
遺族補償給付
を受ける権利が時効によって消滅した者に対し、その請求に基づき、
特別遺族年金
または
特別遺族
一時金を支給することとし、その
費用
は
労働保険特別会計労災勘定
の
負担
とすることとします。 なお、この
法律
は、一部を除き、
平成
十八年三月三十一日までの間において政令で定める日から施行することとしております。 以上が、この
法律案
の
趣旨
でございます。 引き続き、
石綿
による
健康等
に係る
被害
の
防止
のための
大気汚染防止法等
の一部を
改正
する
法律案
について御
説明
申し上げます。
石綿
による
健康被害
に係る問題については、
平成
十七年七月以来、
政府部
内において
アスベスト
問題に関する
関係閣僚
による
会合
が開催され、同年十二月二十七日に開催された第五回となるこの
会合
において、
アスベスト
問題に係る
総合対策
が取りまとめられたところであります。この間、
すき間
のない
健康被害者
の
救済等
とあわせ、今後の
被害
を
未然
に
防止
するための
対応
について
関係各省
において検討が行われ、
大気汚染防止法
、
地方財政法
、
建築基準法
及び
廃棄物
の
処理
及び
清掃
に関する
法律
の四
法律
について
改正
を図ることが
総合対策
に盛り込まれるに至っております。 このような
経緯
を踏まえ、
石綿
の
飛散等
による人の健康または
生活環境
に係る
被害
を
防止
するため、これら四
法律
を一括して
改正
する本
法律案
を提出した次第であります。 以下、この
法律案
の主な
内容
について御
説明
申し上げます。 第一に、
大気汚染防止法
の一部
改正
であります。
石綿粉じん
による
大気汚染
の
防止
を徹底するため、
石綿
が
使用
されている
建築物
に加え、
石綿
が
使用
されている
工作物
についても
解体作業等
による
石綿粉じん
の
飛散
を
防止
する
対策
を義務づけることといたします。 第二に、
地方財政法
の一部
改正
であります。
地方公共団体
が行う
公共施設等
に係る
石綿
の
除去
に要する経費について、当分の間、
地方債
をもってその
財源
とすることができることとします。 第三に、
建築基準法
の一部
改正
であります。
石綿
の
飛散
に対する
衛生
上の
措置
として、
建築物
は、
建築材料
に
石綿
を添加しないことなどの
基準
に適合するものとしなければならないこととします。 第四に、
廃棄物
の
処理
及び
清掃
に関する
法律
の一部
改正
であります。 今後大量に発生することが見込まれる、
石綿
が含まれる
廃棄物
の迅速かつ安全な
処理
を促進するため、高度な技術により
無害化処理
を行う者について、
環境大臣
が
認定
する
特例制度
を創設することといたします。 以上が、この
法律案
の
趣旨
でございます。(
拍手
)
————◇—————
石綿
による
健康被害
の
救済
に関する
法律案
(
内閣提出
)及び
石綿
による
健康等
に係る
被害
の
防止
のための
大気汚染防止法等
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
)の
趣旨説明
に対する
質疑
河野洋平
4
○
議長
(
河野洋平
君) ただいまの
趣旨
の
説明
に対して
質疑
の
通告
があります。順次これを許します。
長浜博行
君。 〔
長浜博行
君
登壇
〕
長浜博行
5
○
長浜博行
君
長浜博行
です。 ただいま
議題
となりました
政府
の
アスベスト関連法案
につきまして、
民主党
・
無所属クラブ
を代表して
質問
をいたします。(
拍手
) 私
ども
が
安全国会
と位置づける第百六十四回
国会
が幕をあけ、いわゆる本
会議登壇物
の第一弾です。
アスベスト
による
健康被害
は、
国民
の
生命
にかかわる極めて重要な問題であります。
国民
の健康と安全を守り、
環境汚染
を
防止
するためにも、緊急かつ迅速な
対応
が必要なことは言うまでもありません。
傍聴席
で
痛み
をこらえながらお座りいただいている
被害者
、御家族、御
遺族
の
皆様
には恐縮でありますが、
同僚議員
におかれましては、
水俣病
や
薬害エイズ
等々の悲劇を想起していただきながら、
アスベスト
問題で
総合的対策
の
必要性
を訴え続ける私
ども
の
考え
をお聞きいただければ幸いです。 これまでの
政府
のこの問題への
対応
は、各
省庁
が
縦割り
かつばらばらで、
国民
に積極的に
情報
を開示し、意見を求め、問題を共有するという
姿勢
が欠落していたと断ぜざるを得ません。
政府
が
国民
の血税を使い、
情報収集
、
分析
を行いながら、今日及び将来長きにわたって
アスベスト被害
を招いた
責任
は厳しく問われなければなりません。
政治
は結果
責任
とも言われます。では、
行政
においての
経過
、プロセスはどう
考え
るべきでしょうか。事なかれ主義とセクショナリズムの結果としての
経過
におけるなさざるの罪、すなわち
行政
の不作為を明らかにしなければ、苦しみに耐えながら
療養生活
をされている
方々
はもちろんのこと、あえて申し上げれば、何も知らず、知らされることなく亡くなられた方は浮かばれません。
アスベスト
は
使用状況
が広範に及んでおり、今後の
処理方法
がずさんであれば
被害
はさらに拡大するのです。
民主党
は、昨年の
特別国会
に、国、
地方公共団体
、
事業者
の責務を定め、
国民
とともに一体となって
アスベスト対策
に総合的に取り組むための
基本的枠組み
を定める、
アスベスト総合対策推進法案
を
政府
に先駆けて
国会
に提出してあります。 一方、年が明けて、それも今
国会開会日
に
政府
から提出されたものは、私
ども
の
総合対策
のほんの一部分を取り出し、形ばかりのお
見舞い
をするにすぎず、とても対案とは言いがたいものであります。
政府
の言う新たな
救済制度
は一体何を
救済
しようというのでしょうか。
被害
に遭われた
方々
の
基本的人権
なのでしょうか。それとも、強固な
官僚組織
の
無責任体制
の維持なのでしょうか。 ここで、るる述べてきたことに関する
具体例
を挙げましょう。 たまたま
アスベスト
を扱う
工場
のそばに住んでいただけで、何の落ち度もない人の命の代償として総額三百万円というのは、余りに、余りに低過ぎ、不十分ではないでしょうか。昨年六月二十九日、
被害
の
状況
を
情報
公開した東証一部
上場企業
は、
労働者
の
被害
で三千万円を超える
上積み補償
を行ったり、
周辺住民
への
救済
を実施しています。しかし、
資金力
のない
中小零細企業
や、廃業、倒産した
企業
などのケースでは、
被害者
は事実上この三百万円で泣き寝入りでございます。 さらに、職業上の
アスベスト健康被害
により
労災補償
を受ける人とそれ以外の
方々
のさまざまな格差が歴然であり、
政府
がうたう
すき間
のない
救済
にはなっておりません。実際に
給付
を受ける
被害者
に、
工場
の内と外と壁一枚隔てただけで、死に至る
原因物質
が同じにもかかわらず、命の値段に差があることをどう
説明
するのでしょうか。足らざるを憂うのではなくて、等しからざるを憂うという人もいます。
救済
は急務でありますが、苦しんでいる人の立場に立ち、誠実に
対応
する
内容
でなければならないと
考え
ます。 別の
観点
からも、本
法案
のスキームについて、各地から御当選されている
皆様
に伺ってみたい点があります。
救済給付
の
財源
についてであります。これには国及び
地方公共団体
、そして
労働者
を雇用する
事業主等
が当たるとなっています。
地方公共団体
の長は、その
趣旨
を理解し、
地域住民
から
基金
への
拠出
のコンセンサスを得ているのでしょうか。また、
事業主等
の
拠出理由
は、お役所からちょうだいをいたしましたペーパーではこういうふうになっています。「
石綿
は、
産業基盤
となる
施設
、設備、
機械等
に広く
使用
されてきたものであり、およそ
事業活動
を営む全ての者が、
石綿
の
使用
による
経済的利得
を受けてきたと
考え
られる。このため、
石綿
の
使用
による
経済的利得
を受けてきている者全てが、
救済費用
を
負担
する。」です。いかがですか。
アスベスト対策
は、
原因企業
はもとより、その
危険性
を認知しながら
早期
に
全面禁止
をしてこなかった
政府
の
対応
も含め、
健康被害
に係る
責任
の所在をきちんと整理する必要があります。問題の本質を明らかにしなければ、
国民
の理解も得られません。そして、
関係閣僚会議
のごとき
法的根拠
なき
省庁
の
会合
ではなく、私
ども
が主張しております
内閣総理大臣
を長とする
アスベスト対策会議
を緊急に立ち上げ、
患者
やその
遺族
な
ども
含めた
参加
ができる
アスベスト対策委員会
を設置し、真摯に
アスベスト対策
に取り組む
姿勢
を
国民
に示すべきなのであります。 この問題の根源に目を覆い、当面の、しかも不十分な
金銭給付
による目くらまし
的対応
だけでは、新たな禍根を後世に残し続けることになるでありましょう。 これほどの歴史的かつ多岐にわたる
社会
問題に対して、本院において
特別委員会
の設置を拒否し、
合同審査
さえも行わないことに大きな驚きを禁じ得ません。
環境委員会
での短時間
審議
をさっさと済ませて、
アスベスト議論
に終止符を打とうとするならば、数々の公害問題の克服に取り組んできた先人の努力は水泡に帰すことになります。ノン
アスベスト社会
に向けた私
たち
の
取り組み
は、今始まったばかりなのであります。(
拍手
) 本
法案
には、余りにも多くの問題が含まれています。それらについては、この本
会議
に引き続いて開催される
環境委員会
でしっかりとただしてまいりますが、ここでは、
総理
が
答弁席
におられませんので、
政府
を束ねておられる
官房長官
、
政府高官
として長いようでありますが、
平成
五年のころの
初心
に立ち戻って、そのころは私が
与党
で
安倍
さんは野党でありましたが、その
初心
に戻って、
アスベスト
問題への
基本
的な
考え
方を、
官僚
の
答弁書
ではなく、私は個人的には、この問題はビューロクラシーの盲点ともいうべき要因が多いと思っておりますので、短くても構いませんので、
官僚答弁書
ではなく、御
自身
の言葉で
お答え
いただければ幸いでございます。 なお、私
自身
は、
予算委員会メンバー
の御配慮で、
補正予算
を
審議
している
予算委員会
でも
質疑
に立たせていただくようであります。その際は、過去、竹下、宇野、橋本、それぞれの
内閣
において三回も
厚生大臣
を歴任された
小泉総理
を初めとして、
アスベスト
問題に関する
関係閣僚
による
会合
なるものに
参加
をされていた
大臣諸公
からも御高説を拝聴させていただくという
質問通告
を申し上げて、私の持ち時間を終わらせていただきます。 御清聴どうもありがとうございました。(
拍手
) 〔
国務大臣安倍晋
三君
登壇
〕
安倍晋三
6
○
国務大臣
(
安倍晋
三君)
長浜議員
に
お答え
をいたします。
アスベスト
による
健康被害
につきましては、極めて長い
期間
を経て発病し、
原因
の
特定
が極めて困難である一方、また重篤な
健康被害
があるにもかかわらず、
労災補償
の
対象者
以外は、
現状
では特別な
救済手段
が存在しておりません。 また、
委員
が御指摘されましたように、この問題については、今までさまざまな
経緯
があったことは
承知
をしております。その上で、
政府
としても、反省すべき点は反省しなければならない、このように
考え
ております。 そして、
政府
としては、このような
状況
を重く受けとめ、昨年七月以来、
関係閣僚会合等
を開催して
取り組み
を進めております。昨年末には、
アスベスト
問題に係る
総合対策
を取りまとめ、
石綿健康被害救済法案
及び
大気汚染防止法等
を
改正
する
石綿被害防止一括法案
を今
国会
に提出するとともに、
アスベスト除去
への支援、
国民
への
情報提供
や
健康相談等
を実施しているところであります。 今後とも、
関係省庁
が緊密に連携して、総合的な
アスベスト対策
を着実に実施をしてまいります。(
拍手
)
—————————————
河野洋平
7
○
議長
(
河野洋平
君)
高木美智代
君。 〔
高木美智代
君
登壇
〕
高木美智代
8
○
高木美智代
君
公明党
の
高木美智代
でございます。 私は、自由
民主党
及び
公明党
を代表し、ただいま
環境大臣
より
趣旨説明
のありました
石綿
による
健康被害
の
救済
に関する
法律案
及び
石綿
による
健康等
に係る
被害
の
防止
のための
大気汚染防止法等
の一部を
改正
する
法律案
について
質問
いたします。(
拍手
) 昨年六月末、
アスベスト疾患
による
健康被害
の問題が改めて明るみに出されてから、間もなく七カ月になります。
調査
や報道により明らかになっていった
アスベスト被害
の深刻さは、
国民
に大きな衝撃を与えました。これまでに、
アスベスト疾患
にかかりながら、何の
補償
もなく、
病気
と
経済的負担
によって苦しまれ、亡くなられた
方々
のことを思いますと、いたたまれぬ思いがいたします。無念の中を亡くなられた
アスベスト疾患
の
患者
と御
遺族
に改めて衷心よりお悔やみを申し上げますとともに、現在
闘病
中の
方々
に心からお
見舞い
を申し上げます。 私
ども公明党
も、
平成
十七年七月十二日、
対策本部
を設置し、翌十三日、
尼崎
市に視察、かつ
闘病
されている
患者
の方や亡くなられた
患者
の御
遺族
を初め
関係者
から実情を伺うとともに、それを踏まえ、同月二十五日、
小泉総理
に対し、総合的な
対策法
の制定を初め、
患者
や
遺族
の
救済
、
被害拡大防止
など、
国民
の不安にこたえるために迅速かつ
すき間
のない
救済
を求め、
平成
十七年度
補正予算
の編成を提案してまいりました。
与党
の
プロジェクトチーム
も
会合
を九回開き、より
実効性
ある
被害者救済
のための
法案
を目指し、自民党の
皆様
や
政府関係者
と何度も
議論
を重ねてまいりました。 その結果、
政治主導
で現実に
平成
十七年度
補正予算
化され、このような
被害者救済
と
被害拡大防止
のための法制が速やかに整備される運びになったことにつきまして、率直に評価申し上げるものでございます。(
拍手
) 十分な
審議
を経て
法案
が
早期
成立し、
被害者
と御
遺族
に一日も早く
給付
がなされるよう願ってやみません。どうか、
政府関係者
におかれましても、
被害者
の側に立った
取り組み
を
基本
とし、迅速で的確な
制度構築
と、
窓口対応
も含めた誠実で温かい
認定
・
給付作業
に御尽力いただきますようお願いいたします。 さて、
石綿
は、終戦直後、
食料増産
のための
肥料製造
のため、肥料
工場
向け
石綿
織布としての効用が脚光を浴び、業界で取り合いとなったため、
政府
が
臨時物資需給調整法
に基づき、
石綿
の
配給
を行った歴史があります。この
配給
は、昭和二十七年まで行われました。その後、その
有用性
が周知され、国として
JIS規格品
として指定した事実もあります。換言すれば、その当時、何人もこれが有害なものとは認識していなかった
特殊性
があり、
被害者救済
に係る
交付金
についても、右事実を踏まえた
基金造成
が行われるべきと
考え
ます。 その上で、
水俣病
やイタイイタイ病など深刻な公害問題を生じさせてしまったことへの反省から、官民挙げて
再発防止
に取り組んできたにもかかわらず、このような問題がまたしても起きてしまったことについて、徹底して検証する必要があると
考え
ます。これまでの
取り組み
のどこに問題があったのかを明確にすべきです。
政府部
内での
検証作業
を踏まえ、
政府
として今後どのように取り組まれていくのか、
官房長官
にお伺いいたします。 それでは、
石綿
による
健康被害
の
救済
に関する
法律案
について
質問
いたします。 初めに、
労災認定
を受けられず、現在
闘病生活
を続けている中
皮腫患者
が多数おられますことに触れなければなりません。その方
たち
は、
病気
の苦痛に加え、大変な
経済負担
に苦しんでおられます。いわゆる一人親方として職人の誇りを持ちながら、長い
間建設関係
の
現場
で
アスベスト含有
の建材を切削するなどの
作業
をされてきたある中
皮腫患者
の方は、
病状
の進行を抑える薬剤の投与などのため、月々の
医療費負担
は数十万円にも及び、
休業補償
もなく苦しまれていると伺っております。 中
皮腫
は、発症後、
病状
が急速に進む
病気
であることにかんがみ、
給付開始
までの間に
現行制度
をもっと柔軟に
運用
して、何とか手を差し伸べることはできないでしょうか。現代は、他者の
痛み
を見失った
社会
などとも言われております。
闘病患者
の
痛み
を我が
痛み
とし、同苦して手を差し伸べる血の通った
政治
、
行政
が今こそ求められていると感じます。(
拍手
)
厚生労働大臣
のお
考え
を伺います。 次に、
法案
の
内容
について
環境大臣
に伺います。 今回構築される
制度
の目的に関してですが、「
石綿
による
健康被害
の
特殊性
にかんがみ、」とあります。「
特殊性
」の定義につきまして、
先行事例
としての
有機水銀
やカドミウムなどと比較し、明らかにしていただきたい。 現在、
石綿疾患
の
認定基準
の
策定作業
を
政府部
内で行っていると聞いております。迅速な
認定
のためにも、
認定基準
の
早期策定
が求められます。
基準策定
の時期と
基準
の
内容
について
お答え
ください。あわせて、
さき
の我が党の
神崎代表
の
代表質問
に対し
総理
が、
給付
は
申請
時にさかのぼって支給されると答弁されておりますが、
申請自体
はいつから可能になるのか、その見通しについて
お答え
ください。 また、
被害者救済
に関連して、環境省は現在、兵庫県などと連携して、
尼崎
市を中心に
アスベスト患者
の
追跡調査
をしていると聞いております。その
調査内容
と
分析
など、どこまで進んでおられるのか、また、他の
地域
にも
疫学調査
の
対象
を広げていく
考え
がおありなのか、伺います。 さらに、本
法案
では、
労災補償
を受けずに死亡した
労働者
の
遺族
に対する
特別遺族給付金制度
を創設するとしております。この
給付金
の
趣旨
と概要について
厚生労働大臣
に伺います。 次に、
石綿
による
健康等
に係る
被害
の
防止
のための
大気汚染防止法等
の一部を
改正
する
法律案
について伺います。
アスベスト被害
に関しては、
患者
や
遺族
に対する
救済策
とともに、今後の
被害拡大
を
防止
するための厳格な
取り組み
が大切です。安心、安全の日本をつくり、
国民
の不安を払拭するために、徹底した
アスベスト
の封じ込めや
無害化
のための
取り組み
が必要と
考え
ます。 今回、
大気汚染防止法
など四法の
改正
が行われ、かなり徹底した
施策
が講じられるようになることは評価いたします。ですが、一方、
さき
の
厚生労働省
の
調査
で、
建造物
の
解体現場
千二百八十カ所中五・五%に当たる七十一カ所で、
石綿障害予防規則違反
が見られたと聞きます。
制度
ができても、きちんと
運用
されなければ何にもなりません。
石綿障害予防規則
など
現行
の
制度
も含め、
運用面
での
実効性
を担保する方策と厳格な
運用
への御決意を、
環境大臣
と
厚生労働大臣
、
国土交通大臣
に伺います。 また、今回の
改正
で
アスベスト
への
規制強化
が図られることに関連し、
現行
の
輸入
や販売、
使用
などの
禁止
に加え、グローバルな
被害拡大
を防ぐ
観点
から、
輸出
に対する
規制
をかけるべきではないかと
考え
ます。 かつて、国内での
使用
が
禁止
になった農薬などを
途上国
に大量に売りつけて、心ある人々からのひんしゅくを買った苦い経験にかんがみ、ぜひ検討すべきではないかと
考え
ますが、いかがでしょうか。 また、
国民
の側には、果たして今回の
改正法
だけで
アスベスト被害拡大防止策
として十分なのかという声もあるやに聞いております。さらなる
取り組み
は必要ではないのか、
アスベスト
の
早期完全禁止
や検査官の増員も含めた
輸入品
への
水際対策
の徹底、地震などの
災害
時に備えた
飛散防止策
などについても遺漏はないのか、
国民
の不安にどう
お答え
になるのか、重ねて
官房長官
にお伺いいたします。 中
皮腫
による
死亡者数
は、二〇〇四年だけで九百五十三人、一貫してふえ続けており、今後年間千人を超すと予測されております。これ以上の
被害者
をふやさないためにも、今回の
制度
を確実に
運用
して、きめ細かな
施策
を講じていくことを強く要望いたしまして、私の
質問
を終わらせていただきます。(
拍手
) 〔
国務大臣安倍晋
三君
登壇
〕
安倍晋三
9
○
国務大臣
(
安倍晋
三君)
高木議員
に
お答え
をいたします。 まず、
検証作業
を踏まえた
政府
の
取り組み
について
お尋ね
がありました。
政府
の過去の
対応
については、既に各
省庁
において十分な
検証作業
を行い、その結果を
関係閣僚会合
において取りまとめ、公表しているところです。 いずれにしても、反省すべき点は反省しなければなりませんが、
政府
としては、
石綿
による
健康被害者
の
現状
を重く受けとめ、迅速な
救済
のために
救済法案
を提出したところでありますから、本
法案
を速やかに可決、成立させていただき、一日も早く施行できるように努めてまいりたいと
考え
ております。 次に、
アスベスト
の
輸出規制
についての
お尋ね
がございました。
アスベスト製品
の貿易に係る
規制
は、一義的には
輸入国
において必要な
措置
がとられるべきものと
考え
ております。 なお、
我が国
においては、
アスベスト製品
の
輸出
について、
水際
での
規制
は行っておりませんが、
労働安全衛生法
に基づき既に大宗のものの
製造等
が
禁止
されております。 続きまして、
アスベスト使用
の
早期完全禁止
についての
お尋ね
がありました。
アスベスト
の
全面禁止
については、
アスベスト
問題に係る
総合対策
における方針を踏まえ、
平成
十八年度中にできる限り速やかに法的に
措置
されるものと
承知
をしております。 なお、先般、
関係事業主団体
に対し、
禁止対象
となる
アスベスト製品
の速やかな
使用中止等
を要請するなど、既に実質的に
全面禁止
となる
措置
を講じたものの、完全な
全面禁止
に向け、なお残された例外品について、
関係省庁
が連携し、
早期
の代替化を進めるものと
承知
をいたしております。 次に、
アスベスト
を
使用
した
輸入品
への
水際対策
についての
お尋ね
がありました。
労働安全衛生法
上、
輸入
が
禁止
されていることを受け、外国為替及び外国貿易法においても、
アスベスト含有
製品については原則として
輸入
を
禁止
とする
措置
を講じているところです。また、実際の
水際
における執行については、税関等関係機関が連携をとっているところです。 これらにより、
アスベスト含有
製品の
水際対策
の徹底を図っているところ、今後とも
関係省庁
が連携し、
政府
一体となって適切に対処をしてまいります。 最後に、
災害
時に備えた
飛散
防止
措置
が必要ではないかとの
お尋ね
がありました。
建築物
に係る吹きつけ
アスベスト
等について、今回の法
改正
によって既存
建築物
からの
除去
命令等を可能とするとともに、今回の
補正予算
によって
除去
費用
の補助
制度
を創設することとしており、既に講じられている耐震改修の促進
制度
と相まって、
飛散
防止
が図られるものと
考え
ております。(
拍手
) 〔
国務大臣小池百合子
君
登壇
〕
小池百合子
10
○
国務大臣
(
小池百合子
君)
高木議員
からは、六問
お尋ね
がございました。 まず、「
石綿
による
健康被害
の
特殊性
」、「
特殊性
」とは何かという
お尋ね
でございます。 一般に、
健康被害
に関しましては、
原因
者が
被害者
の損害を
負担
することが
基本
となっております。例えば、
有機水銀
によります
水俣病
、カドミウムによるイタイイタイ病については、汚染物質の排出源が
特定
されたことから、その排出源であります
原因
者から
被害者
に対する
補償
が行われてきたものであります。 これに対し、
石綿
による
健康被害
につきましては、まず、
石綿
への暴露から発症まで
潜伏期間
が長いこと、極めて広範な分野で
石綿
が利用されてきたこと、こういったことから、個々の
健康被害
の
原因
者を
特定
することが極めて困難となっております。 加えまして、中
皮腫
や肺がんは重篤な疾病であり、発症から一、二年でお亡くなりになるケースが少なくありません。このような
被害
はほかに例がなく、ここにも
特殊性
があり、
石綿
による
健康被害者
を何らかの形で迅速に
救済
することが強く求められているものでございます。
認定基準
の策定時期と、その
内容
についての
お尋ね
でございます。 現在、環境省、
厚生労働省
共同で検討会を開催しまして、
石綿
による
健康被害
に関する医学的な判断について検討を進めているところでございます。早急に
考え
方を取りまとめた上で、今年度内には
認定基準
を策定することといたしております。 また、
申請
の開始時期についての
お尋ね
でございます。
石綿
疾病の
認定
の
申請
につきましては、年度内には開始する予定でありまして、現在、しゃかりきに準備を進めているところであります。 兵庫県で実施しております
調査
についての
お尋ね
でございます。 御指摘の
調査
につきましては、
尼崎
市を含みます兵庫県内で、中
皮腫
でお亡くなりになりました方の御
遺族
の御協力を得ながら、聞き取り
調査
、医療機関でのカルテ
調査
などの方法によりまして、
被害者
の居住歴、職歴などの
調査
を行い、
石綿
への暴露経路に関する実態を把握しようとするものでございます。
調査
の結果につきましては、今年度内をめどに取りまとめていきたいと
考え
ております。
調査
の
対象
地域
の拡大についての
お尋ね
でございますが、この
調査
については、来年度も引き続き、兵庫県以外の
地域
も
対象
に加えながら実施をしてまいりたいと
考え
ております。 最後に、今後の
被害拡大
を
防止
するための、
制度
運用面
での
実効性
の確保についての
お尋ね
でございます。
石綿被害防止一括法案
では、従来の
建築物
の解体などに加えまして、新たに
工作物
の解体などの際にも徹底した
石綿
の
飛散防止策
を講じなければならないなどの
措置
を定めております。 この
法案
を含め、
被害拡大防止
のための各種
制度
の
実効性
を確保するに当たりましては、
石綿
が
使用
されております
建築物
等に関する
情報
を整備すること、その
情報
を
関係省庁
間で共有すること、この
制度
の
内容
について
地方公共団体
や
国民
の
皆様
方に周知徹底することなどが極めて重要でありまして、こうした点に十分留意をしながら、厳格な
運用
に努めてまいりたいと
考え
ております。(
拍手
) 〔
国務大臣
北側一雄君
登壇
〕
北側一雄
11
○
国務大臣
(北側一雄君)
高木議員
に
お答え
をいたします。 御指摘のとおり、
対策
の
実効性
を上げるためには、
法律
の的確な
運用
が不可欠でございます。 このため、
建築物
に
使用
されております吹きつけ
アスベスト
等の実態把握に努め、
アスベスト
繊維の
飛散
のおそれがある場合には、速やかに勧告及び是正命令等が行われるようにしてまいります。また、
建築物
の増改築時には、建築確認検査を通じて吹きつけ
アスベスト
の
除去
等の徹底を図るよう、
特定
行政
庁に対し必要な助言等を行ってまいります。 さらに、
建築基準法
による
アスベスト対策
の
実効性
を確保するためには、環境整備といたしまして、
アスベスト
の
除去
等に対する支援
制度
の創設、相談体制の整備充実、建築士等に対する
アスベスト
の
調査
方法、
除去
方法等に関する講習会や研修会の実施が必要であり、
関係省庁
ともよく連携をとりながら
対応
をしてまいります。(
拍手
) 〔
国務大臣
川崎二郎君
登壇
〕
川崎二郎
12
○
国務大臣
(川崎二郎君)
高木議員
から三件の御
質問
がございました。 一点目、中
皮腫
を発症した一人親方等の
救済
について
お尋ね
がありました。 労災保険
制度
においては、特別加入している一人親方等については
補償
の
対象
としてきたところであり、今後とも適切かつ迅速な
補償
に努めてまいりたいと思います。また、
労災補償
制度
の
対象
とならない方に対する
救済制度
を構築すべく、本
法案
を提出したところでございます。 二点目、特別
給付金
についての
お尋ね
がございました。
石綿
に起因する中
皮腫
、肺がん等により死亡した
労働者
等の
遺族
の方の中には、労災保険法に基づく
遺族補償給付
の支給を受ける権利が時効により消滅した方がおられます。今般、これらの
方々
について、
石綿
に起因する疾患が、
潜伏期間
が長いこと、
石綿
と疾患の関連性に医者も本人も気づきにくいこと等の
特殊性
を有することから、その
救済
を図るため、
特別遺族年金
または
特別遺族
一時金を
給付
することとしております。 三点目については、既にもう
環境大臣
、
国土交通大臣
からお話がございました。各種の周知徹底を図ると同時に、
建築物
の
解体現場
に対する重点的な監督指導、建材中の
石綿
含有率の
分析
方法についての講習の実施など、
アスベスト
暴露
防止
対策
の一層の徹底を図ってまいりたいと思います。 以上でございます。(
拍手
)
河野洋平
13
○
議長
(
河野洋平
君) これにて
質疑
は終了いたしました。
————◇—————
河野洋平
14
○
議長
(
河野洋平
君) 本日は、これにて散会いたします。 午後一時四十四分散会
————◇—————
出席
国務大臣
厚生労働大臣
川崎 二郎君
国土交通大臣
北側 一雄君
環境大臣
小池百合子
君
国務大臣
安倍
晋三君 出席副大臣 環境副大臣 江田 康幸君