○枝野
委員 おわかりいただいているとは思っているので余り言いませんが、別に私も、この
条文で本当に、単に呼吸していたじゃないか、資する
行為だと捕まえるとは思いません。しかし、この
修正案が出て以来の
議論の中でも、あるいはこれからも出てくると思いますが、ではどこからなのという話なんですよ。
つまり、ささいなことはなりません、確かにそうなんでしょう。でも、ささいなこととは何なのかというのは余りにも漠然とし過ぎる。もちろん、この手のことはいろいろなケースがあり得るわけですから、すべてを
条文に書いておくことはできません。
我々の言っている予備だって、その予備という
言葉だけだったらいろいろとれる。ただ、幸いにといいますか、予備罪というのはかつてから
日本にずっとあって、予備というのはどういう
行為かというのは判例の蓄積もしっかりあって、これは
裁判所の判断
自体の蓄積があるから、これについては、
一定の限定をした解釈で法執行機関も
裁判所もなるだろうということなので、
一つの
言葉でできるかなと。
ただ、資するという話は、私の知る限りは前例はないし、なおかつ、それの基準になること、
裁判所の見解などもないわけですから、どこまでどうなるのかというのは、立法者の意思は考慮はされるかもしれないけれども、わからない。だとしたら、ぎりぎり可能な中に、例えば今口頭でおっしゃられたような、ささいなことは入らないけれどもというのは
条文には書けないでしょうけれども、より限定したことを書くということが必要ではないかというふうに私は思っています。
特に、なぜこのオーバートアクトのような
規定、つまり、
条約の五条の1の「
合意の内容を推進するための
行為を伴い」というのを入れるべきなのかといえば、
合意だけでは、要するに供述証拠以外の証拠は基本的にはないはずなわけです。だから問題だと思うんですよ。それで多くの皆さんが心配しているわけです。
共謀ということだけであれば、
共謀の証拠というのは、基本的には、当事者の供述、自供か、あるいは、それこそ広い
意味での盗聴しかあり得ないわけですね。だれかが聞いていたという、これまた供述証拠で、だれかが録音していた、それで初めて物的証拠と半分言えるかなというぐらいです。やはりそれだけでは怖いよね。
これは、きょうの新聞を見ると、一部については検察は取り調べの可視化というところに踏み込み始めているようですけれども、
各国法制が違っていて、事実上弁護士が立ち会えるとか、それこそ録音、録画されているというような刑事訴訟手続の国であれば、それは供述証拠だけで
共謀罪を摘発しますということもあってもいいかもしれない。つまり、自白の強要などのおそれがないという国では、あるいは少なくとも低い国では。でも、
日本の場合は残念ながらそうではない。
もし
共謀だけで
処罰しようというんだったら、自白の強要のおそれがないように、例えば、少なくとも
共謀罪については、取り調べは全部弁護士の立ち会いとか、極端なことを言えば。逆に、そういうことをくっつけるならば、
条約の
趣旨から
考えても、ある
意味ではその
共謀だけで
処罰するということはあるかもしれない。だけれども、
日本の刑事訴訟体系が今そうなっていない以上は、供述証拠だけではだめだという本来ある
意味では刑事訴訟法的な部分のところを確保、担保するためにも、
一定の
行為が必要なんじゃないか。
だとすると、その
行為自体が
一定のある
犯罪の方向に向かっている、少なくとも、ああ、こういう
合意があったという供述証拠を、確実であるなということを思わせる程度のものでないと、こういう
規定を置いても、結果的に余り
意味がないとなってしまうんじゃないか。こういうことを我々は危惧をしているということだけ申し上げて、ぜひ柔軟な対応をお願いしたいと思います。
ちょっと通告していなかったので、
答弁は場合によったら結構ですので、一方的にこちらから問題点の
指摘をさせていただきたいんですが、私は英語ができないものですから、
条約の解釈ということについて余り従来立ち入ってきませんでした。ところが、三十四条の、例の
国際性の
要件を入れちゃいけないという
規定のところ、ここは大きな論点になっているわけですけれども、原文となる英語も、できないなりに今改めてちょっと読んでみて、なおかつまだ私自身も結論は出ていないんですが、果たして、
政府がおっしゃっている解釈が絶対なのかということ
自体が私はちょっと疑問があるということを
指摘しておきたいと思います。
日本語訳の
条文で話をしますけれども、第五条等の
規定に従って定められる
犯罪については、
国内法において、国際的な性質とは関係なく定めるというのが
条約の
条文です。第五条の
規定に従って定められる
犯罪についてはが主語です。第五条の
規定に従って定められる
犯罪というのは
共謀罪です。
共謀をするということについて
犯罪化をする。ことについてはが主語です。述語は、国際的な性質とは関係なく定めるということを言っています。つまり、
共謀そのものが越境性を持っている
必要性を課してはいけませんよという
規定にも読めませんかという問題提起です。
いいですか。
条文に書いてあるのは、五条の
規定に従って定められる、つまり
共謀罪については、国際的な性質とは関係なく定めると書いてあります。ここに書いてあるのは、実は厳密に言いますと、我が国で取り上げている、今問題になっている
共謀罪の
規定だけではありません。「
組織的な
犯罪集団が関与する重大な
犯罪の
実行を
組織し、指示し、ほう助し、教唆し若しくは援助し又はこれについて相談すること。」というのも五条の中に
規定をされています。
定義の中に「
組織的な
犯罪集団が関与する重大な
犯罪の
実行を
組織し、」とありますが、
組織的な
犯罪集団の外側にいる人たちも入っています。つまり、教唆とか援助とか、これについて相談をするということも入っています。
対象は、
組織的な
犯罪集団の内部の人たちだけではありません。
それで、この人の、つまり相談をするとか援助するという行動は、
組織的な
犯罪集団は国際的越境性を持っていて国際的な
犯罪をやろうとしている場合であっても、国内で完結をする話です。国内において何かお金を集めてあげて、国内でお金を渡してあげる、援助とかというのはそういう話になります。
確かに、そういうケースについて、そこ
自体が越境性を持っていないとだめだということにしたら、物すごく限定をされてしまうでしょう。自分の国で
犯罪が行われないからいいや、実際に例えば人が亡くなるとかというような
犯罪については海外で行われるけれども、その
共謀だけが国内で行われましたというときに、
共謀だけ内で行われたんだから関係ないやということでは、まさにこの
条約の
目的である、国際的な
組織犯罪を防止し及びこれと戦うための協力を促進するという観点からは確かにおかしいでしょう。
共謀は国内的な問題だけれども、その
共謀の結果行われる
犯罪については越境性を持っているんだから、それはちゃんと国内で責任持って取り締まれよという
条文なんじゃないでしょうか、三十四条の二項というのは。
条文を私が素直に読む限りでは、私は英語できないので、繰り返しますが、
日本語で読む限りはそう解釈する方が自然であって、さらに言いますと、この
条約では、ほかのところ、例えば三条の適用
範囲で、「この
条約は、別段の定めがある場合を除くほか、」とは書いてありますが、「次の
犯罪であって、性質上国際的なものであり、かつ、
組織的な
犯罪集団が関与するものの防止、
捜査及び訴追について適用する。」と、わざわざこの
条約の適用の
範囲は国際的な
犯罪ということが
対象なんですという
規定を置いているんです。その
規定を置いているにもかかわらず、三十四条のところでは、五条、六条、八条、二十三条という、ほとんどあんこの部分のところを全部、
国際性は要りませんよと少なくとも外務省は読んでいらっしゃるんだけれども、その読み方
自体違うんじゃないですか。わざわざこう置いた上で読むということを
考えると、国際的な
犯罪を取り締まるためだけれども、
共謀が国内だけで行われた場合でもちゃんと取り締まれと読むべきではないのかと私は思います。
ぜひそこのところは、多分外務省は硬直的だと思いますので、
法務省サイドも、あるいは衆議院法制局、もう一度、例えば、英語のできる方、原文にも戻って改めて
考えていただくと、そもそも
条約の留保とか以前の問題として、
国際性の、つまり、
共謀をする
犯罪は越境性を
要件とする、
共謀自体は国内だけで行われても
犯罪の
対象にするということで、
条約の文言には反しないとなると私は思います。
もしそうでないというのだったら、この間ずっと言われてきている、
条約締結に至るプロセスの、交渉過程の資料を出してくださいという話にやはり戻らざるを得ないんじゃないかというふうに思いますということを申し上げて、次の
質問者に今回はかわります。もう一、二回
質問させてください。
以上です。