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平岡委員 答弁申し上げます。
今
委員の方から、
我が国だけが
条約と違うことをやっているんじゃないかというようなお話がありましたけれども、我々も、
各国がどういうふうになっているのかということをいろいろ調べてくれということをこの
委員会で申し上げておりますけれども、必ずしもその
関係の返事が来ておりません。
そういう状況の中で、国連のホームページには、
ウクライナについて言えば、
長期五年以上のものを
対象にするというふうに書いてあったりとかいうようなものもありますから、
我が国だけがそういうふうな
限定をしているかどうかということについては、我々としては定かではない。もっと全世界的な
各国の情報をまず我々が質問しているんですから、まずそれに対して答えていただくのが筋ではないかというふうに思います。
それから、先ほど来から、国際的な
性質とか
長期四年以上の罪の話をされましたけれども、これは
条約交渉過程で、もともとは、例えば国際的な
犯罪に
関係する罪というのは一体何なんだろうかということをリスト方式で交渉しようとか、いろいろやってきているんですよね。そういう交渉過程についても、我々は、公電を明らかにして、もし公表するのがだめなら秘密会ででもしっかりと確認させていただいてやりましょうということを言っていますけれども、それも認められないというようなことであります。
そういうことを前提として考えれば、我々は、この
条約の三十四条の第一項に、
自国の
国内法の
基本原則に従って
国内法制化をしていくんだということがまず大
原則としてあるということでございます。そういう
意味では、
我が国の刑事法制の体系の中では、
共謀罪というものは極めて
限定されたものですよ。
規定としては二十一ぐらいありますけれども、その多くは、公営ギャンブルについての不正な試合をやることについての
共謀とか、それから自衛隊とか在日米軍の秘密とか機密を漏らしたようなものとかそういうものであって、先ほど
大臣が
答弁されましたけれども、極めて
刑法の中には限られている。こういうものをこれだけ大量に
導入するということについてはやはり非常に謙抑的であるべきである、そういう視点に立って我々としては考えたわけです。
そういうことで言うと、
長期四年以上の刑というのは、この
委員会でも議論されましたけれども、まず六百十九ほどある。世界では一体どれだけの数があるのか。これも教えてくれと言っていますけれども、政府は答えてくれません。六百十九あるということはどれだけ巨大な数か。そういうことを考えたときには、
長期五年以上でも六百を超えているんですよね。
長期五年超になったら初めて三百ぐらいになる。三百六という数字になる。
つまり、
我が国の刑事法制で見たときには、五年以下と五年超との間にかなり大きな考え方の違いがあるというふうに私は思います。そういう
意味では、五年以上ということが、
我が国の
刑法の
基本原則に従って、本当に重大な罪、
犯罪ということで考えてもいいのではないかというふうに思います。
それから、国際的な
性質の問題でありますけれども、この問題についても、もともと、たしか第二条だったと思いますけれども、この
条約は、
性質上国際的な
犯罪、かつ
組織的な
犯罪と書いてありますけれども、の
防止、捜査及び訴追について適用するんだというふうになっているわけです。純粋に国内的なものについてはこの
条約は適用しないということに基本的になっている。それにもかかわらず、
条約交渉過程がはっきりしませんけれども、
国際性とか国内的とかかかわりなく定めるということ
自体が、私はこの
条約の本来の
趣旨に反している。
そういう
意味では、確かに
条約に文言的に書かれていることとは違うかもしれませんけれども、
条約法に関するウィーン
条約の中でも十九条で、
条約の
趣旨に反しない限りは
留保することが可能であるという形になっています。そういう仕組みをしっかりと使って
我が国の刑事法制の体系の中に合うものをつくっていく、このことが今我々の
委員会に課せられている使命だというふうに私は思います。
そういう
意味で、御
説明になったかどうかわかりませんけれども、そういう考え方に立って謙抑的にこの
共謀罪の創設については考えていただきたいということを、特に倉田先生にはお願い申し上げたいというふうに思います。