○
滝委員 国民新党・
日本・無所属の会の
滝実でございます。
ただいま
辻元委員から、
憲法問題の
基本的な点について、大学の
憲法学の講座でも聞けないような、わかりやすい、非常によくまとめた
意見を拝聴いたしました。私は、その
一つ一つについてはもっともだと思う点が多いのでございますけれども、ただ、この
国民投票の問題と
基本認識の
議論がきちんとできなければいけないという問題とは、多少ニュアンスが違ってくるんじゃないだろうかな、こういうふうに
思います。
私は
最初から、
国民投票制度を
議論するということは
国民全体の
憲法に対する
認識を改めて深めていく、そういう
意味があるというふうに考えてまいりました。したがって、私は、
辻元先生の
意見は貴重な
意見でございますけれども、やはりこういう問題は具体的な
改正の
手続法ということを
前提にして
議論をした方が、よりわかりやすい、そしてまた具体的な問題の
イメージがわきやすい、こういうふうに考えております。
したがって、慎重な
議論、そして
憲法で変えてはならない問題は何かという問題も、必ずしも
国民の中で
意見が一致するような単純な問題ではないと
思いますけれども、そういう問題を
議論することは大切でございますけれども、それはやはり
国民投票制度の整備の中で十分に
議論をしていくということは必要なことだろうというふうに
思います。
そして、これまで、
憲法を維持する、
現行憲法を擁護するという
立場から
二つの
問題提起がございましたので、それについて私の
基本的な
考え方を申し上げておきたいと
思います。
その
一つは、
辻元委員がかねてからおっしゃっておりますように、
自民党の
憲法草案が発表された、したがって
国民はそれに引きずられていくんじゃないだろうか、こういうような御心配だろうというふうに
思いますし、そういうものを
前提とした
国民投票制度を
議論するのは、それは甚だ
国民を無視するような結果になってよろしくない、こういうような御
議論だと
思います。
私は、
自民党が結党の
一つの目標として
憲法改正を掲げてきたということは余り
国民に知られていないことであるだろうと
思いますから、今の
自民党を支持する
人たちが
憲法改正を
前提にして
自民党を支持するとは思っておりませんし、また、
憲法改正といっても非常に幅がある。例えば九条の
問題一つとっても幅がある。現在の自衛隊をそのまま
憲法上位置づけるにとどめるべきだとか、あるいはそれ以上に発展させるべきだとか、いろいろな
意見がある中で、同じ九条でも幅がある、そういうようなものでございますから、私は発表した案にこだわるのはどうだろうかな。
むしろ、発表された案を対象にして
危険性を感じるならば、その
危険性を
国民にPRする、そして、いかに
改正がよろしくないかということが
国民運動として展開する大きなきっかけになるだろうというふうに私は
思いますから、私は、
自民党の
草案ができた今日ただいま、そういう
観点から改めて
国民投票制度の問題を
国民の
皆様方に周知徹底するには一番いい時期だろう、こういうふうに考えております。
そしてまた、もう
一つの
意見として、
国民の多くは
憲法改正を望んでいないので
国民投票法制を整備する必要がない、そういう
意見でございます。私は、そうであればなおさら、この
憲法問題について、長いことうやむやな問題で、かすみがかかったようなことで
国会でも取り扱われてきた問題でございますから、そういう御
意見があれば、今の
段階で、
国民に
国民投票という形で
判断を仰ぐ、そのための
手続法を整備するというのはむしろ当然だろうと
思います。
ただ、いろいろな
意見、
慎重論を
背景にして考えれば、いきなり、
憲法九条をどういう形で
改正するのか、あるいは
憲法全体をどういうふうな形で
改正するかという具体的な
提案ということも
一つの
提案でございますけれども、もう
一つの
提案は、
憲法改正に
賛成か
反対か、そういう
提案の仕方もあり得るんだろうと
思います。
硬性憲法の上にそういう複雑なことをやると
大変手間がかかりますし、ますます
憲法改正がしにくくなるという事情はございますけれども、
基本的には
憲法改正に
反対か
賛成か、
改正するとすればどういう
事項について
改正をするかということを
国民に問う、その結果を待って具体的な
改正案づくりを
国会において行うという二
段階方式ということも、慎重を期すとすれば考えられるわけでございますから、私は、ただ単に多くの
国民が
改正を望んでいないから
国民投票制度をこの際整備する必要はないという
意見は、これもいかがなものだろうかという感じがいたします。
そしてまた、
憲法改正の問題は、実は九条だけの問題ではないと
思います。今ようやく道州制の問題が
地方制度調査会で
一つの
提案として出てまいりました。今の道州制の問題は北海道の問題に端を発しておりますから、それに必ずしも道州制が引っ張られるわけじゃありませんけれども、本当に道州制を目指すならば、その道州、州というのは国に準ずる
機関でございますから、当然のことながら私は
憲法の
改正の問題、
憲法の問題として
議論すべき問題だろうというふうに
思います。
そういう
意味においても、
憲法改正が必要なのは、ただ単に九条だけの問題じゃなくて、これからの
日本の国の
あり方、その
一つとして道州制というものを本来の望ましい形でもって推進するとすれば、当然それは
憲法改正の問題につながる問題だというふうに
認識しておりますので、そういう
観点からも、私は、
国民投票制度というものをあらかじめ決めておくということは大変大きな
意味があるというふうに
思います。
そして、これは皮肉として受け取られたらまずいのでございますけれども、先般の
郵政民営化法案において、
小泉総理が、
国民投票的な
選挙を行うということであの
法案について
国民の
判断を仰ぐ、そういうことをおやりになりました。したがって、私は、むしろ
自民党の方から、
憲法以外の
重要事項については
国民投票の
制度の一環としてこの問題を取り上げるというぐらいの
提案があってしかるべきだ、そういうようにも感じます。そういう
意味では、私は、民主党の、
憲法問題以外に一般諮問的
事項について、
国民投票制度の中でその問題についても手当てをしておくという
提案については検討の必要があるだろうという感じがいたしておりますこともあわせて申し上げておきたいと存じます。
次に、十月六日に
中山委員長の方から、八
項目ばかり
国民投票制度について検討しておかなければならない
事項について
最初に御報告がございましたので、順次、そういった点につきまして簡単に
考え方を明らかにさせていただきたいと
思います。
まず、一番目は
投票権者の
範囲でございます。
これは、確かに幅広く取り上げるということについてはみんなそういう
思いもあるわけでございますけれども、
基本的に、振り返りますと、
日本全国の成年、未成年の区別をどこでするか、こういうこととの関係がやはり一番大きいように
思いますから、私は今の
制度の中では二十歳ということがやむを得ない
判断だろうというふうに
思います。それからまた、公民権停止について、除外すべきだという民主党の
提案もありますけれども、私は、やはりこの種のものは、
選挙、
国民投票を問わず、公民権停止の者は除外すべきだという現在の
選挙法の
手続をそのまま乗せた方がいいような感じがいたします。
二番目に、
提案の仕方が一括かあるいは個別かという問題は、これは既に
保岡委員の方からも
提案されておりますように
基本原則は個別だということで打ち出すということだろうと
思いますし、具体的な問題はその
段階で
議論をしていけばよろしいんじゃないだろうかな、こういう感じがいたします。
〔
委員長退席、愛知
委員長代理着席〕
そして、三番目の周知期間でありますとか広報の方法をどうするんだ、こういうことでございますけれども、この問題は前回
公明党の方から六十日ないし百八十日、こういうような御
提案がございました。私はその
公明党の
提案に
賛成でございます。そして、広報の方法につきましても、これはかつて民主党が
提案されましたように
国民投票委員会を設けて、そこで具体的に期日の問題でありますとかあるいは広報の方法、あるいは
賛成、
反対の資料、すべて
国会における
国民投票委員会で作成していく、取り扱うということがベターだろうというふうに
思います。
それから、四番目の
投票運動の規制、
投票運動の原則。
これはたびたび当
委員会でも
指摘されておりますように、ほとんどフリーの
状況で行うというのが
国民投票にとっては望ましいことだろうというふうに私は
思います。その際、第一感として直観的には、公務員でありますとか、あるいは
投票制度に携わる特別の公務員については、これは自由な
運動から除外をする、除外をしてもやむを得ないという御
意見もあろうかと
思いますけれども、私はその除外は最小限度にとどめるべきだろうと
思います。
公務員であっても、これも現在の公務員法あるいは現在の
選挙関連法からいえば、公務員は文句なしにこの種の政治的な活動を禁止されています。したがって、どういうことが起こるかというと、うっかり公務員がテレビに引っ張り出されてマイクを向けられてしゃべったら違反だというふうになりかねない、そういうような問題がございます。既に今の
選挙法の
もとにおきましても、地方の
投票管理者が自分の家の周りにポスターを一枚張っただけで警察に逮捕されて二十日間も勾留されるというのが今の取り締まり当局の
実態でございますから、私は、この
運動が盛り上がれば盛り上がるほど、そういうようにいつ何時逮捕され勾留されるかわからない、そういう中で自由な
発言をできるだけ求めようとするこの
憲法改正議論に水を差すようなことはやはりこの際一切排除するということが望ましいんだろうと
思います。
しかし、全くの野放しというわけにはまいりませんから、
国民投票委員会の
もとに監視
委員会を設けて、そこが、サッカーではございませんけれどもイエローカード、レッドカード、そういう注意勧告のようなものを導入していく。ただ単に罰則でもって逮捕するというよりも警告をする。それは現在でも警告をやっていますけれども、これは生ぬるいんですよね。警告をもう少し効き目のあるような方に持っていくというようなことも私は
一つの案だろうと。そういう
意味で、そういうことと兼ね合わせながら、公務員に対する規制も、かなり考えた、緩やかなものにしておく必要があるように
思います。
それから、
投票用紙への記載の方法でございますけれども、これは
国民投票委員会でお決めになればいい話だろうというふうに
思います。
それから、
国民投票の過半数の判定の問題は、これは
憲法制定以来、この種の
投票には常に有効
投票という
考え方がとられてきた経緯もございますから有効
投票ということでよろしいんじゃないだろうかな、こういう感じがいたします。
それから七番目に、国政
選挙の問題でございますけれども、当然、国政
選挙とは一線を画す必要があるだろうと
思います。しかし、具体的になってまいりますと、地方の
選挙との重複ということは、ある
意味では避けられない問題もあろうと
思います。できるだけ重複を避けるべきだとは
思いますけれども、地方の
選挙との重複ということも、それは同じ
選挙でございますからあり得る。国政
選挙との重複は、これはできるだけ避けるということでございますけれども、場合によっては地方
選挙との重複があり得るという
前提で物事を考えた方がよろしいように
思います。
以上、少し細かい話を申し上げましたけれども、十月六日の
中山委員長さんの御
提案が、そういうようなことを中心にして当
委員会で
議論をしていくんだということも最低の
問題提起としてございましたから、私はそういう
意味で申し上げました。
なお、少し時間がありますのでつけ加えて申し上げますと、マスコミも全く自由でよろしいかと思うんでございますけれども、ただ、活字等の新聞マスコミにいたしましてもテレビにいたしましても、どこまで中立が保てるかという問題が常につきまとうわけでございます。それならばいっそ、活字の新聞等につきましては、自分の
立場を明らかにして、
賛成なら
賛成、
反対なら
反対ということを明記してやった方が
国民は信頼しやすいと
思います。
新聞は常に中立だと
思い込んでやりますと、いつの間にか偽装された中立になっているということがあるわけでございますから、私は、新聞はきちんと
賛成と
反対の
立場を明らかにしてPRをする、紙面を扱うということを求めるべきだと
思いますし、テレビについては、ヨーロッパにありますように監視
委員会を設けて、厳密な公平というわけにはまいらないと
思いますけれども、少なくとも過度に偏った不公平な取り上げ方があれば是正勧告をするというぐらいの組織はつくっておいた方がいいように
思います。
以上、何点かについて具体的に申し上げました。
そして
最後に、
公明党の方から、複数の
提案については
提案ごとに
投票箱を別にするというようなことは検討に値するんじゃないだろうか、こういうふうな御
提案がございました。私は、それは非常にきめ細かい配慮だろうと
思いますけれども、問題は、
幾つにも分かれた場合に、個別の
投票箱に入れるということになりますと、どこのところをマルにして、どこのところをバツにしたかわからなくなる、こういうような、具体的な問題になってくるといろいろ細かい支障が出てくるということもございますから、
公明党の
提案は、それはちょっと
提案として検討をしていくべき
事項だろうというふうに考えておりますので、以上申し上げまして、終わりたいと
思います。
ありがとうございました。