○綿貫
委員 国民新党の綿貫です。
私は、現在、
懲罰委員会の一員でありますが、衆議院議長を経験したことも踏まえて、私の
考えるところを申し述べた上で、
永田君に
質問いたしたいと思います。
議院の懲罰権は、明治憲法には規定がなく、議院法においてのみ定められていましたが、現在では、憲法五十八条二項において規定されております。その
理由の一つは、戦後新たに向上した議会の地位にかんがみ、議院の自律権に基づき、議院みずからその秩序や品位を守るべきだとの理念であります。つまり、天皇の協議機関としての議会ではなく、国権の最高機関としてより高い位置づけがなされたことに伴い、議会の権威、品格は議会みずからが責任を持って守るべきだとの
考えであります。
しかしながら、今回のにせ
メール問題の
一連の流れは、さまざまな点から見て、こうした理念に反し、議会制民主主義への
信頼を失う結果になってしまったことは、まことに残念であります。
まず、
永田君の予算
委員会での発言は、言論の府において言論をもてあそび、その結果、言論の府に対する信用を大きく失墜させたものであります。
永田君は、
記者会見の席で、あるいは本
会議場で、また新聞においても、自民党や
武部幹事長らに謝罪を述べました。一昨日も、
身上弁明の席で同様の謝罪の意を表しました。しかし、
永田君は、本来だれに謝るべきなのか。より広い視野に立てば、最も責任を感ずるべきことは、議会の権威や品位をおとしめ、議会
政治への信用を損ねたことであります。その意味で、
永田君がそもそも発言した場である予算
委員会の
委員長、そして議院を代表する衆議院議長に対して、報告と謝罪をすべきでありました。
前原代表も、総理には何らかの謝罪をしたのをテレビで見ましたが、大きくその権威や品格を汚された議院に対しては、正式に報告や謝罪をしたのでしょうか。私は聞いておりません。
物事の本質まで
考えず、小手先の謝罪で糊塗しようとするのは、議会人としての姿勢としては認めることはできません。
懲罰委員会での結論が出てから、その結論だけを議長に伝えるだけでいいとは思えません。今回の事件の問題点を改めて深く
考えてもらいたいと思います。
また、この
メールがにせものであるとされ、
懲罰委員会に
永田君の動議が付託されてから、既に二十二日間も過ぎております。六年前の水かけ事件のときには、懲罰動議が
委員会に付託されてから本
会議に結果が報告されるまで、八日間でありました。
与党は、真相解明のために証人喚問をしようと主張しているようですが、新聞
報道等によれば、単に懲罰の
審査を引き延ばしているようにも見えます。
他方で、
民主党内の調査も進んでおらず、
民主党も、懲罰の
審査を果たして積極的にやろうとしているのだろうかと疑われても仕方がない状況であります。
仮に、党内の事情や与野党の駆け引きの中で懲罰の
審査が進まないとしたら、懲罰の制度のあり方自体が議会の権威や品格を傷つけることになってしまいます。
いずれにせよ、なぜかしら遅々として懲罰の
審査が進展しない状況は、議会の権威や品格を守るべき
懲罰委員会がかえって議会を傷つけることになってしまうという皮肉な結果を招きつつあります。
さらには、小泉総理は、今回の
永田君の懲罰について、除名は厳し過ぎると発言しましたが、総理が議会における懲罰の内容について、これはだめ、これはいいと発言することは、立法府と行政府との垣根がわかっていないのではないかと疑いたくなります。憲法で定められた議会の自律権に属する問題に行政府の長が容喙することは、明らかに越権行為であります。他人の家に土足で踏み込むような発言であります。と同時に、こうした発言を議会側が無批判に受けとめ、聞き流していることは、議会の権威を大きく損なうものであります。
今回の問題では、
永田君の
委員会での発言があってから、日々、新聞やテレビで繰り返し
報道され、
国民の関心も非常に高いものがあります。今述べてきたように、
永田君一人のみならず、これに
関係した人々の対応に疑問を
感じるものであります。その中心にある
永田君は、
懲罰委員会の決定を受け入れるとのことであります。世論調査では、辞職せよとの声も大きくなりつつあります。また、
永田君は
懲罰委員会の結論を待ってみずからの進退を決するとの
報道もあります。
信頼を失った野党が政府を
追及し、ただすことができず、野党が機能しない議会は存在意義を失います。
永田君は、このように議会の権威、品格、
信頼を著しくおとしめた責任の重大さを真剣に受けとめ、不思議なほどに遅々として進まぬ懲罰の
審査を待つことなく、これ以上生き恥をさらすこともなく、潔く、直ちにみずからの出処進退を決断すべきであります。それが議会を深く思う者のあるべき覚悟ではないかと信ずるのであります。
そこで
永田君に伺いたいが、議会の権威や品格をおとしめたことについては何で正式には謝罪しないのか、単に
武部幹事長やその子息に対する名誉を毀損したことだけに謝ればいいのか、問題の本質はどこにあり、真剣に謝罪すべき相手はだれだと
考えるのか、お答えください。