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2006-05-25 第164回国会 衆議院 総務委員会 第23号
公式Web版
会議録情報
0
平成
十八年五月二十五日(木曜日) 午前九時三十分
開議
出席委員
委員長
中谷
元君
理事
佐藤 勉君
理事
谷 公一君
理事
葉梨 康弘君
理事
萩生田光一
君
理事
やまぎわ大志郎君
理事
後藤 斎君
理事
渡辺 周君
理事
谷口 隆義君 あ
かま二郎
君 石破 茂君
浮島
敏男
君 岡部 英明君 奥野
信亮
君
上川
陽子
君 木挽 司君
桜井
郁三
君 実川 幸夫君 関 芳弘君 田中
良生
君
谷本
龍哉
君 土屋 正忠君 土井 亨君 永岡 桂子君 萩原 誠司君 橋本 岳君
福田
良彦君 山本ともひろ君 渡部 篤君 逢坂 誠二君 田嶋 要君 寺田 学君
西村智奈美
君
福田
昭夫君 横光 克彦君 富田 茂之君
古屋
範子
君
吉井
英勝
君 重野 安正君 亀井
久興
君 …………………………………
総務大臣政務官
上川
陽子
君
総務大臣政務官
桜井
郁三
君
総務大臣政務官
古屋
範子
君
参考人
(
政策研究大学院大学教授
)
大田
弘子
君
参考人
(
岡山県知事
)
石井
正弘
君
総務委員会専門員
太田 和宏君
—————————————
委員
の異動 五月二十五日
辞任
補欠選任
あ
かま二郎
君
浮島
敏男
君 同日
辞任
補欠選任
浮島
敏男
君 あ
かま二郎
君
—————————————
五月二十四日 ゆうメイトの雇用を守り、
労働条件
の
改善
を求めることに関する
請願
(
川内博史
君
紹介
)(第二二〇七号) 同(
塩川鉄也
君
紹介
)(第二二六八号) 同(
吉井英勝
君
紹介
)(第二二六九号)
地方公務員等共済組合法
の一部を改正する
法律案
に反対し、
議員年金制度
の
廃止
を求めることに関する
請願
(
江田憲司
君
紹介
)(第二三一八号) は本
委員会
に付託された。
—————————————
本日の
会議
に付した案件
地方自治
及び
地方税財政
に関する件(
地方行財政制度改革
) ————◇—————
中谷元
1
○
中谷委員長
これより
会議
を開きます。
地方自治
及び
地方税財政
に関する件、特に
地方行財政制度改革
について調査を進めます。 本日は、
参考人
として、
政策研究大学院大学教授大田弘子
さん及び
岡山県知事石井正弘
君、以上二名の方々に御
出席
をいただいております。 この際、
参考人
に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、御多用中のところ本
委員会
に御
出席
いただきまして、まことにありがとうございます。
参考人
の
先生方
におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御
意見
をお述べいただきたいと存じます。よろしくお願いいたします。 次に、議事の順序について申し上げます。 まず、
大田参考人
、
石井参考人
の順で、それぞれ十分程度で御
意見
をお述べいただき、その後、
委員
からの
質疑
にお答えいただきたいと存じます。 なお、念のため申し上げますが、御発言の際にはその都度
委員長
の許可を得て御発言くださるようお願い申し上げます。また、
参考人
は
委員
に対して
質疑
をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。 それでは、
大田参考人
からお願いいたします。
大田弘子
2
○
大田参考人
おはようございます。
大田
でございます。
地方分権
二十一
世紀ビジョン懇談会
の
座長
をしております。
懇談会
につきましては、お
手元
に
資料
をお配りさせていただいております、「
ビジョン懇談会
の概要について」というところにございます。一月十二日からこれまで十回開催しております。この
ビジョン懇談会
では、
地方分権
のあるべき姿をまずは自由に
議論
しよう、そこから当面のとるべき
政策
を考えようということでこれまで
議論
してまいりました。 これまでの
議論
で出てきました
改革
の
方向
としましては、主に次のような点がございます。 まず第一。国と
地方
の
関係
を上下という縦型ではなくて対等の横型にする、それから、複雑な
仕組み
ではなくて単純明快なものにする、これが一点でございます。 それから二番目としまして、
地方
の
行政サービス
は、国が決定し国が監視するのではなくて、
住民
が選択して
住民
が監視するということ。
自己決定
、
自己責任
というのがキーワードでございます。例えば
自治体
が新しい
行政サービス
を始めようとしたときに、
住民
は
負担
との見合いでその
サービス
を選択するかどうかを判断できるような
状態
にするということが望ましいと考えております。 三番目。昨年、もう既に日本の総
人口
は減少に転じました。この
人口
が減少するということを直視して、その中で持続可能な
仕組み
をつくるということが必要と存じます。
地方
でも簡素で無駄のない
政府
をつくるということが重要であると思います。 それから四番目。徹底した
情報開示
を行うということです。特に、
住民
が自分の
自治体
とよその
自治体
を比べられるような横断的な
情報
をしっかりと出していくということが
地方分権
を進める力になると思っております。 このような
議論
を踏まえまして、四月二十八日に
中間取りまとめ
を行いました。それにつきましては、もう
一つ
の
資料
で御用意いたしております。「
ビジョン懇談会
の
中間取りまとめ
」という三枚の紙がございます。この一枚目が総論でございまして、ただいま申し上げたようなことが書かれております。二ページ目が
各論
です。
各論
について御説明させていただきます。
各論
は
八つ
の柱ででき上がっております。 まず第一、新
分権一括法
の
提出
。
地方
の
自由度
を拡大するためには、国の
基準
づけですとか
規制
を大胆に減らすことが必要です。これとあわせて、
自治事務
の
執行基準
は
原則
として条例で定めるという
基本方針
で、国と
地方
の
権限
と
責任
を抜本的に
見直し
ていく、そのための
法律
を
早期
に制定するということを
提案
しております。
二つ目
、
地方債
です。
地方債
は
財源調達
の重要な手段ですので、
地方
がみずからの判断と
責任
で調達するという姿に近づけるように
環境整備
をしていくことが必要と存じます。その際、
財政力
が弱くて単独で
地方債
を
発行
できない、
発行
が難しい
自治体
がございますので、そこにつきましては何らかの形で
共同発行
の
仕組み
をつくっていくことが必要と考えております。 それから三番目、いわゆる
再生型破綻法制
の
整備
。 ここで
破綻
という
言葉
を使っております。
新聞等
でも随分話題になりました。
破綻
という
言葉
を
自治体
に使うのがいいのかどうか、これは
法律面
でも幾つか難しい面があるということは承知しております。また、
自治体
ですので、民間の企業とは違いまして、
行政サービス
というのはどういう
状態
でも続けていかなくてはいけない。ですから、
破綻
でありましても
清算型破綻
というのはあり得ないことでして、あくまで
再生
型の
破綻
ということが当然の
方向
と存じます。 その上で、こういうことを踏まえて、仮に
財政運営
の失敗があれば、そのことの
責任
はやはり明確にする必要があるのではないか。少なくとも、どういう
状態
が
自治体
の
財政運営
にとって
破綻
という
状況
であるのか、その意味するところを明確にすることが必要だと思います。
破綻
と呼ぶ
状態
が明確になることで、それを回避するための
取り組み
、あるいは
早期是正
のための
ルール
が明らかになってくると思っております。現在の
制度
では
ルール
も
責任
も明確ではありませんし、
財政
上、ストックに関する概念も欠けております。やはり
見直し
の必要があると考えております。このような意味を込めまして、いわゆる
再生型破綻法制
という
表現
をとっております。 具体的にどういう名称で、どういう
制度設計
をするのかというのは、これから十分に
議論
をして詰めていくべき課題だと考えます。 四番目、
税源配分
。
地方
がみずから税を集めるということが
自治
の根幹だと考えております。したがって、
歳出比
、現在国が四、
地方
が六ですけれども、これに見合った
税収水準
になるべく近づけていくことが必要だと考えます。そして、
交付税
に依存しないで済む
自治体
の
比率
をふやしていく。まずは、
人口
が
一定規模
以上の
団体
、例えば
人口
が二十万人以上の
団体
の半分以上が不
交付団体
になるようなことを目指してはどうだろうかというような
議論
をしております。
税源
を
配分
するに当たりましては、
税源
が偏在しないように配慮するということ、それから
課税自主権
を拡大するということが当然重要になってまいります。 三ページ目に参りまして、五番目、
交付税改革
です。 現在は、
自治体
の
歳出
の大半は国が決めて、それを
交付税
によって
財源
措置する
仕組み
になっております。しかし、本来は、
歳出
はそれぞれの
自治体
が決めるというのが望ましい
方向
だと思います。ただ、
自治体
間で大きな
財政力
の格差がございますので、それが調整されるように
一定
の歳入は保障する形で
自治体
間の
財政調整
を行う、そして、その範囲内で何に使うかは
自治体
が決めるというのが
交付税
の望ましい
方向
だと思います。しかし、現在は国の
基準
づけが細かくありまして、それが
自治体
の自由を奪っていると同時に、
交付税
を非常に複雑なものにしております。 そこで、まず、
基準
づけがない
部分
、これは
基準財政需要
の一割ぐらいしかないんですけれども、この
基準
づけがない
部分
につきましては、
人口
、
面積
など簡便なものを
基本
として新しい
交付税
にしていくということを
提案
しております。一方で、真に配慮を要する
自治体
に対しましては、対応できる
仕組み
を確保することが必要と考えます。 六番目、
補助金
です。これは、既に
地方
から
提案
がなされておりますので、大胆に
廃止
、縮減する。 行革も新しい指針を策定して進める。 道州制もその移行を含めて検討していく。 重要なことは、これら
八つ
の柱を一体として進めるということです。
地方行財政
は全体が関連し合って
一つ
の
仕組み
になっておりますので、全体の姿を描いて進めることが重要と考えます。 今後のスケジュールですが、明日、
最後
の
懇談会
になりますので、一応の
意見
の集約を図りたいと思っております。 御指導どうぞよろしくお願いいたします。(
拍手
)
中谷元
3
○
中谷委員長
どうもありがとうございました。 次に、
石井参考人
、お願いいたします。
石井正弘
4
○
石井参考人
全国知事会
の中で
総務委員会委員長
を務めております
岡山県知事
の
石井正弘
でございます。 本日は、
地方
の実情を聴取していただくということでお招きをいただきまして、大変ありがたく光栄に存じているところでございます。 お
手元
に、私がこれから御説明させていただきます
内容
につきまして
資料
をお渡しさせていただいておりますので、それをごらんいただきながら私の申し上げることを聴取していただければ、このように思っております。 御
案内
のとおり、
平成
五年の六月に、
地方分権
の
推進
に関する
衆参両院決議
がなされまして以来、十数年にわたりまして、
中央集権型行政システム
から
地方分権型行政システム
へ変革する
取り組み
が行われてまいりましたけれども、いまだ真の
分権型社会
を構築するには至っていない、このように我々は受けとめております。 国と
地方
の
役割分担
を明確にする、そして、国から
地方
へ大幅な
権限
と
財源
を
移譲
するということによって、
地方自治体
の
権限
、
財政面
での
自主性
、
自立性
を確保することが不可欠であります。
平成
十八年までの今回の三位一体の
改革
におきましては、確かに三兆円という本格的な
税源移譲
が行われたということにつきましては、
地方分権
を進めていく上で大きな前進ではある、このように受けとめております。しかし、
内容
を見ますと、単なる
国庫補助負担率
の
引き下げ
とか、あるいは国の
関与
の
見直し
が全く行われていないなど、
地方
の
自由度
が高まったというふうには言えないということでありまして、
分権改革
は未完である、このように我々は受けとめております。 この期間中、
地方交付税
は大幅に
削減
されました。御
案内
のとおり、三カ年で五・一兆円という大幅な
削減
でございます。
地方自治体
は極めて厳しい
財政運営
を余儀なくされております。 我々
地方
六
団体
におきましては、このたび、
平成
十九年度以降の
分権社会
の
ビジョン
を
提言
するということを目指しまして、新
地方分権構想検討委員会
を設置し、この五月十一日、同
委員会
から「
分権型社会
の
ビジョン
(
中間報告
)」の
提出
を受けたところでございます。
平成
十七年十一月三十日の
政府
・
与党合意
にも示されておりますとおり、
地方分権
に向けた
改革
には終わりがないということでございまして、我々、十九年度以降もさらなる
改革
を強力に
推進
していく必要がある、このようにとらえているところでございます。 以下、数点につきまして、
改革
の
推進
のための具体的な
内容
につきましての
お話
をさせていただきますので、必要不可欠な私たちの
考え方
を受けとめて、御理解と御尽力をお願いいたしたいと思います。 まず第一点目は、
地方税
の
充実強化
であります。 先ほど
大田参考人
の陳述にもございましたけれども、国と
地方
の
最終支出
の
比率
と
租税収入
の
比率
において大きな
乖離
が生じております。四対六、そしてそれが六対四ということでございまして、国から
地方
への
税源移譲等
によって
地方税
の
充実
を図ってこの
乖離
を
縮小
することが重要であります。 今後増大いたします
社会福祉
など
地方
が担う
サービス
に対応していくためには、
景気変動
による
伸長性
が少なく、かつ
地域偏在性
の少ない税目の
移譲
など一層の
充実強化
を図るべきであります。例えば
消費税等
でございます。
二つ目
は、
地方交付税
の
見直し
についてであります。 昨今の
議論
を我々
報道等
で承知いたしておるわけでございますけれども、
地方交付税
を
削減
すべきであるとか、あるいは
地方交付税
の
財源保障機能
の
廃止
、
財源調整機能
の
縮小等
の
意見
があるところでございますけれども、そもそも
地方交付税
は、
地域社会
の
存立基盤
を維持し、国が定めた
一定水準
の
行政サービス
を国民が
全国
どこで生活しておっても享受できるようにするため、資源の再
配分
を
地方自治体
の
共有財源
で行うというものであります。
最終支出
、例えば
社会保障費
、
公共事業
、こういった項目をどのように
削減
するのか、こういう
議論
を抜きにいたしまして、
中間支出
であります
地方交付税
の
削減
の
数値目標
を先に設定するということは本末転倒の
議論
であろうかと思います。
地方
の
歳出
は、御承知かと思いますけれども、国が
法令等
によってその
実施
を義務づけしたり、あるいは
配置基準
を設定しているものとか、あるいは
国庫補助負担金
を支出するものなど、その七割は国が
関与
する経費で占められているというのが実態でございます。 さらなる
歳出
の
削減
を進めていくためには、国と
地方
の
役割分担
を明確にいたしまして、国の過剰な
関与
を撤廃する、
国庫補助負担金
の
削減
あるいは国と
地方
の二重
行政
の排除など建設的な
議論
を進めるべきであります。 三番目は、
国庫補助負担金
の
見直し
の
議論
であります。
平成
十八年度までの
国庫補助負担金改革
は、先ほど申し上げましたとおり、国の
負担率
の
引き下げ
によるものが含まれているなど、引き続き国に
権限
と
財源
を温存しているということでありまして、
地方
の
自由度
の拡大という観点からはこれは不十分であります。 今後、
地方分権
の理念に沿いまして、国と
地方
の
役割分担
を再整理して明確化した上で、これに対応して、
財政面
における
自由度
を高めるために、真に国が義務的に
負担
すべき分野を除きまして、
原則
としてこれを
廃止
、一般
財源
化すべきものであると我々は考えております。 四番目は、国の
直轄事業負担金
の
廃止
でございます。 この問題につきましては、
政府
・
与党合意
においては何ら触れられておりません。この
負担金
は、国の
直轄事業
が
全国的視野
のもとに
国家的政策
として
実施
をされながらも、
地方自治体
に対して個別に
財政負担
を課するというものでありまして、極めて不合理であるということから、早急にこれは
廃止
されるべきであります。 五番目は、国の
関与
、
規制
の
見直し
でございます。 これにつきましては、
基本方針
二〇〇五におきましても撤廃するという
方針
が示されているところでございますが、これまで、これに関しましての国の
取り組み
は全く手つかずの
状況
であります。
地方自治体
の
行財政運営
に対する
自己決定
、
自己責任
の
原則
を確立するために、国の
関与
、
規制
の
見直し
を積極的に進める必要があろうと存じます。 六番目は、国と
地方
を通じました
行財政改革
の
推進
であります。 まず、
地方
の
行財政改革
でありますが、
地方自治体
は、これまで、
市町村合併
によりまして
行政組織
を
再編統合
するとか、あるいは国に先んじた
行財政改革
を実行してまいりまして、国を上回る大幅な
定員削減
や
給与カット
など、懸命に
行財政改革
に取り組んできております。
給与カット
につきましては、現在五五・一%の
団体
が独自の職員の
給与カット
をしておりますし、また、
人員
の
削減
で見てみましても、過去五年間、
地方
は五・一%の
削減
、一方、国の方は二・五%の
削減
にとどまっている。十年間の
歳出
の
削減
を見ましても、
地方
は十年間で七・八%の
歳出減
、これに対して国は一一・八%の
歳出増
。このようになっているということを見ていただきましても、
地方
が懸命に
行財政改革
に取り組んで、この成果が
地方
の
プライマリーバランス
の
改善
に結びついているというものであります。 今後も、我々は、
給与
の
適正化等歳出
の
見直し
など
自主改革
を
推進
いたしまして、なお一層の効率的な
行財政運営
に努めるということで、
行政サービス
の向上とともに
財政再建
に取り組んでいく
所存
であります。 一方、国の
行財政改革
につきましては、先ほど申し上げましたとおり、国と
地方
を通じた
改革
が必要であるにもかかわりませず、国の方は依然として進んでいない、このように我々は受けとめております。国から
地方
への
構造改革
を進めていただきまして、
地方
に
権限
と
財源
を移す
地方分権改革
を
推進
するということが、
人員削減
など国と
地方
を通じました最大の
行財政改革
となるものであります。 今後は、国と
地方
の
役割分担
を明確にしていただきまして、先ほど来申し上げております国の過剰な
関与
の撤廃、
国庫補助負担金
の
削減
、さらには
地方支分部局
の
再編統合
、こういったことによりまして国と
地方
の二重
行政
を排除するなど、おくれております国の
行財政改革
を徹底、
推進
するということ、このことが国の
プライマリーバランス
の
改善
に資するものである、このように受けとめております。 七番目、
地方分権推進体制
の
整備
でございますけれども、これに関しましては、真の
地方分権改革
の
推進
を図っていくために、
地方
にかかわる事項についての
政府
の
政策立案
及び
執行
に関しまして、国と
地方
の
代表者等
が
協議
を行い、
地方
の
意見
が反映されますように、国と
地方
の
協議
の場、これを法定化することが必要であると存じます。
最後
、八番目は、新
地方分権構想検討委員会
の
中間報告
であります。 先ほど述べました
中間報告
は我々が目指すべき
地方財政自立
のための七つの
提言
を含んでおりまして、お
手元
に配付をさせていただいております
資料
、本文の十二ページ以下に
提言
が載せられております。七項目ございますので、ごらんをいただきたいと思います。
地方行財政会議
を
法律
により設置するということ。それから、
地方税
の
充実強化
によります不
交付団体人口
の
大幅増
。
三つ目
は、
地方交付税
を
地方共有税
にして、
法定率
を
見直し
、
特別会計
に直入、
特例加算
、
特別会計借り入れ
は
廃止
をするということ。
四つ目
は、
国庫補助負担金
の総件数を半減し約二百といたしまして、
地方
の
改革案
を実現するということ。五番目は、国と
地方
の
関係
の総点検によります
財政
の
再建
。
六つ目
は、
財政再建団体基準
の
透明化
、首長・
議会責任
の
強化
、
住民負担
の導入。
最後
、七番目に、新
地方分権推進法
の制定、これらを掲げておられます。 今後、早急に、この
提言
に基づきまして
地方
六
団体
の共通の
意見
としてこれを取りまとめ、その実現に最善を尽くしていく、このような
所存
でございます。 以上、私の方から
意見
の表明をさせていただきました。よろしくお願いいたします。ありがとうございました。(
拍手
)
中谷元
5
○
中谷委員長
どうもありがとうございました。 以上で
参考人
の
意見
の開陳は終わりました。
—————————————
中谷元
6
○
中谷委員長
これより
参考人
に対する
質疑
に入ります。
質疑
の申し出がありますので、順次これを許します。
谷本龍哉
君。
谷本龍哉
7
○
谷本委員
自由民主党の
谷本龍哉
でございます。ちょっと
風邪ぎみ
でございまして、お聞き苦しい点は御容赦をいただきたいというふうに思います。 まず冒頭に、
大田弘子教授
そして
石井正弘知事
、本日は、御多忙の中を当
委員会
に
参考人
として御
出席
をいただきました。当
委員会
を代表するわけにはいかないですけれども、一
委員
として心から感謝を申し上げたいというふうに思います。 それでは、質問に入らせていただきます。 ただいま御
報告
をいただいたわけでありますけれども、
地方分権
二十一
世紀ビジョン懇談会
、こちらの方では四月二十八日に
中間取りまとめ
を発表されました。また、新
地方分権構想検討委員会
、こちらでは五月十一日に
中間報告
という形で出されております。
地方分権
、この
改革
の
必要性
、
方向性
、これについては
両者とも
に
基本
的には同じ
方向
での
報告
であったというふうに読ませていただきましたが、
各論
で見ていく中で、いろいろ違うところといいますか、
考え方
、多少
表現
が違うだけなのか、根本的に違うのか、その辺を、時間が限られておりますので、ポイントを絞って少しお伺いさせていただきたいというふうに思います。 一点目ですが、
地方交付税
の
部分
についてお伺いをしたいと思います。
ビジョン懇談会
の方から、まず
大田座長
にお聞きをしたいと思うんです。 この
報告書
の中で、
基本
的には、国の
規制
・
関与
の
廃止
・
縮小
を大胆に進める、そして結果の平等から
機会
の平等へ、つまり、結果の平等では
規律
が緩みやすい、
機会
の平等にして
自己規律
が働く
仕組み
をつくるべきだというようなことが主張されております。そして、
交付税
の
算定基準
を抜本的に改めて、だれでもわかる簡便な
算定基準
にと。 先ほど御説明の中でも、
人口
、
面積等
を
基準
にしてという
お話
があったと思いますけれども、五月の十日に
竹中総務大臣
が
経済諮問会議
の方に
新型交付税
という
提案
をされました。詳細は省きますけれども、この中で、やはり
人口
、
面積
を
基準
にして簡便な
交付税
をという
お話
でございました。 これに対しまして、
竹中大臣
のお
地元
であります
和歌山
県、私の
地元
でもあるんですけれども、こちらがある
一定
の
仮定
を置いて
試算
を行っております。これは当然、
新型交付税案
には詳細はまだ記されておりませんので
一定
の仮説でやらなきゃしようがないんですけれども、
和歌山
県は、二〇〇五年度の
交付税額
をベースにして、その総額の三分の一、約七兆一千七百億円ですが、この三分の一の
部分
を
人口
と
面積
に応じて、なおかつ、八割を
人口
に応じて、二割を
面積
に応じて
配分
されたと
仮定
をして
試算
した場合、残り三分の二はそのまま従来どおりという
配分
の場合にどういう影響が出るか。
和歌山
県においては百八十八億円の
減額
になる。これは
全国
で十番目に多い
減額
であります。ちなみに、一番
減額
されるのが長崎県二百九十四億円、二番目が沖縄県二百七十一億円、三番目が島根県二百六十一億円、こういう
試算
が出ております。
分権
の
方向性自体
、
皆さん反対
はされないと思うんですけれども、個別のこういう問題が出てきたときに当然
地方
の側は
大変心配
をすることになると思うんです。この
地方交付税
の
部分
につきまして、
ビジョン懇談会
の中でこういう
方向性
なのか、それともこういう
試算
とはまた違う
方向性
なのか、大変
地方
の方も心配をしておりますので、その点をまず
大田座長
の方から御説明いただければと思います。
大田弘子
8
○
大田参考人
ありがとうございます。 なるべくわかりやすいことを
基本
にして予見可能性を高めていくというのが
一つ
の重要な
議論
です。 まず、
人口
ですけれども、
地方
の歳入はいろいろな要因によって違ってまいりますが、高齢化の度合いとか産業構造によって違う
部分
は調整しようというのが
人口
という
基準
でありまして、ただ、それでもやはり
行政
コストは違いますので、そこに
面積
というものを入れております。もちろん、計算していただきましたように、幾つかでこぼこが出てまいると思います。その具体的な
制度設計
は今後の総務省の検討の中で詰められていくと考えております。
谷本龍哉
9
○
谷本委員
こういうふうに、これはあくまで
一つ
の
試算
でありますからこのとおりになるとは思わないんですけれども、やはりいろいろこういう
議論
が出てくる中で、
地方
の方からも大変不安な
意見
も出てまいりますので、その辺しっかりと配慮した
議論
をまた続けていただければというふうに思います。 同じ点につきまして
石井
知事にも御質問したいんですが、新
地方分権構想検討委員会
の方では、今説明をいただいたとおり、
地方交付税
については、国から恩恵的に与えられるものではなく、みずからの
財源
を他の
自治体
のために融通し合うことによって、すべての
自治体
が国に依存せず
住民
に対して
一定水準
の
サービス
を提供できるようにするものだという主張をされております。そして、先ほど言われた七項目の
改革
というのも記されております。 その中に、
地方交付税
を
地方共有税
並びに
地方共有税
調整金、こういう
表現
を使っていらっしゃいますが、ここの
部分
を、先ほどの
ビジョン懇談会
の
提案
される新型の
交付税
という
考え方
と同じような思想で語られているのか、それとも少し違う
部分
を含んでいるのか、説明いただきたいと思います。
石井正弘
10
○
石井参考人
私の方で先ほど神野検討
委員会
の
中間報告
について御説明させていただきましたが、その
地方交付税
を
地方共有税
にしてということは、その背景といたしまして御説明申し上げますと、
地方交付税
はもともと我々
地方
の固有
財源
であって、そして、そこに生活していらっしゃる方々がどこにおられましても
一定
の
行政サービス
を国民として平等に公平に受けることができる、そのための
財源
を調整し、また
財源
を保障するというその機能に基づいたものでありまして、そういう性格をより明確化していこうということで、
交付税
という名称ですと、いかにも親から子供へ仕送りするような、国から
地方
へ上下の
関係
で交付するような、そういう印象が強いものですから、もともと我々固有の
財源
だということを明確にするために共有税という名称にして、そしてそれを、
財源
調整を、調整金ということで公平に
配分
していこう、
一定
の
基準
に従ってやっていこうということでございます。 ただ、この
基準
は、私ども、
人口
と
面積
といったような、単純にその二つのメルクマールで
配分
するということにつきましては、これは、実際に必要なそれぞれの
地方
公共
団体
の
行政
ニーズに対応することができるのかということにつきまして大きな懸念を持っております。
人口
、
面積
は大変大きな要素ではございますが、それだけではなくて、
人口
構成に差がある、地理的条件にも差がある、社会経済条件等の違いもある、こういったことを考慮されまして、
自治体
間の公平性を確保する、こういう観点からの
配分
は
基本
的に維持をされるべきではないか、このように考えております。
谷本龍哉
11
○
谷本委員
どうもありがとうございました。 そのあたり、若干違いはあるのかもしれませんが、
方向性
としては同じ
方向
なんだろうなというふうに思います。 では、時間が余りありませんので簡単にいきますが、次に、
財政再建
制度
の
部分
を少し伺いたいと思います。 先ほど御説明の中でもありました、
ビジョン懇談会
の中に
再生型破綻法制
という
表現
があります。御説明の中でも、
破綻
という
言葉
がいいのかどうかと。確かに現状でも、実際には
再建
団体
になってそこから
再建
したというような
自治体
も過去には幾つかありますので、必ずしもこれがだめだということにはならないんだろうというふうには思うんですけれども、同時に、
地方
六
団体
の新
地方分権構想検討委員会
、そちらの方の
報告書
を見ますと、そちらでは、
財政再建
団体
となることを未然防止するために
財政再建
基準
を明確化していく、こういう
表現
がとられております。
表現
の違いなのかもしれませんが、
ビジョン懇談会
の方では、強く
基準
を決めて、そこで強制的に
再建
をしていくというイメージがどうしても強いと思います。一方で、検討
委員会
の方の
報告
では、そうなる前に、できるだけ
早期
に是正をしながら
破綻
しないようにする。この辺が哲学的にちょっと違うのかなというような感じを受けております。 その
部分
について、もう一度、先ほどの説明にもありましたけれども、お二方から御説明をいただきたいと思います。
大田弘子
12
○
大田参考人
未然に防止するという点は全く一緒でございます。ただ、未然に防止するというときに、
破綻
というものがどういう
状態
を指すのかということはやはり明らかにしなくてはならないということで、この
言葉
を一応使っているというのが一点。 それと、やはり
責任
ということを
ビジョン懇談会
の方が少し強く前面に出しているというのが
表現
の違いになっております。
石井正弘
13
○
石井参考人
私どもも、
財政再建
特別措置法という
法律
がございまして、現在、それの運用によって、
財政
が危機的な
状況
になった際は、さまざまな手続が総務相あるいは都道府県知事の監督によって行われているわけでございます。 ただ、現行の法
制度
におきましても、やはりその
基準
につきまして、いきなりレッドカードが突きつけられるんではなくて、例えばイエローカードみたいなものが必要ではないだろうかといったような
議論
もあると思いますし、またその場合、例えば首長あるいは議会の
責任
、これをもっと
強化
すべきではないか、あるいは、
住民
監査請求
制度
、こういったものをさらに要件を適正化して監視を強め、あるいは
最後
は、
住民
がどのように
負担
をしていくのか、こういったような、未然に防止をする、
再建
をしていくという観点から、新たなそういう
仕組み
というものも前向きに検討されるべきではないかと思います。 ただ、その観点に立ちましても、私どもからいたしますと、
破綻
という
言葉
につきましては大変ショッキングな
表現
でございまして、そういう
表現
よりは
財政再建
という、
住民
の福祉を、また地域の発展を担っている
自治体
のいわゆる倒産といった形は避けなきゃいけないわけでございますから、よりふさわしい名称を使っていただくべきかな、こういう感想は持っております。
谷本龍哉
14
○
谷本委員
ありがとうございました。 それではもう
一つ
、
地方債
の
部分
もお伺いをしたいというふうに思います。
ビジョン懇談会
の方では、
地方債
については完全自由化、つまり、完全自由化するということはリスクもとる、ということは、
地方債
の格付が行われるということだと思います。そしてまた、さらに新規
発行
の
地方債
に対する
交付税
措置も
廃止
をする、これは完全に自由化するということだと思います。 これも、
基本
的な
方向性
としては、私もそういう流れになるべきかなというふうには思うんですけれども、完全に自由化をして本当にリスクをとっていった場合に、やはり弱い
自治体
を追い込んでいくような、あるいは弱い
自治体
が何もできなくなるという可能性も十分懸念されると思われるんですが、その点につきましては、
ビジョン懇談会
の方ではどのような
議論
があったのか、教えていただきたいと思います。
大田弘子
15
○
大田参考人
財政力
の弱い
自治体
がどのようにしてスムーズに資金調達をするかというのは、
懇談会
の中でもかなりの時間を割いて、今も
議論
をしております。ただ、今は、いわば国がメーンバンクのようになって、監視もする、
情報
も集めるということを担っておりますが、やはり
基本
的には、市場もきちんとガバナンスをしていく、ということは、
情報
が出るわけですから、
住民
もそれをチェックできるという
方向
に行くことが望ましいというふうに考えております。
谷本龍哉
16
○
谷本委員
ありがとうございます。 一方で、検討
委員会
の方の
報告
の中では、債務は完全に履行する、つまり、
地方債
のデフォルトは想定せず。これはリスクゼロという
考え方
だというふうに思われるんですが、今の
ビジョン懇談会
の側の
考え方
を含め、この点についてどう考えられているのかを
石井
知事の方から御説明いただきたいと思います。
石井正弘
17
○
石井参考人
地方債
の自由化についてでございますけれども、私どもは、やはり小規模市町村での起債ということを考えますと、すなわち必要な社会資本
整備
が、完全に
地方債
の
発行
を市場にゆだねるということになりますと、困難になるという可能性があるのではないかということを大変懸念しているということでございます。 ただ、債務のカット、債権のカットといったようなことにつきましては、
ビジョン
懇の方において途中そういう
議論
があったということは聞いておりますけれども、今現在のこの
中間報告
を見る限りはそれにつながれるような
表現
はないというふうに受けとめておりまして、私どもはその点はちょっと心配しておりましたので、現時点では安心をしておりまして、そういったような債権カット等は行うべきものではないんじゃないか、このように思っております。
谷本龍哉
18
○
谷本委員
ありがとうございます。
地方債
の
部分
も当然、二十一
世紀ビジョン懇談会
の方は思い切っていろいろな
提案
をされるという立場でありますから、かなり踏み込んだ
提案
もあるとは思うんですが、一方、また
地方
六
団体
側とすれば、現場からのいろいろな心配もあって、多少の違いもあるんだなというのは今わかりましたが、そこを埋めながら、この
地方分権
の流れをしっかりつくっていただきたいなと思います。 時間的に
最後
になるかもしれませんが、次は、国と
地方
との
協議
に関する
部分
です。 これは、検討
委員会
の方には明確に
地方行財政会議
の設置ということがうたわれております。これをしっかりと
法律
によって設置しようということがうたわれておりますが、この点については
ビジョン懇談会
の
報告
の中には特に明記はされていないのかなと思います。
ビジョン懇談会
ではこの点については何か
議論
があったのかどうか、お伺いしたいと思います。
大田弘子
19
○
大田参考人
国と
地方
の
協議
のそういう場をつくって
地方
の
意見
を反映させる
仕組み
が必要であるということは、
ビジョン懇談会
の中でも
議論
しておりますので、最終取りまとめには、そのような場が必要であるということは書かれることになると思います。
谷本龍哉
20
○
谷本委員
わかりました。今しっかりとそれは
議論
されていると。 では、そのことも踏まえて、検討
委員会
の方で、どのような
議論
、どのような
考え方
でこれが出されたのか、簡単に御説明をいただければと思います。
石井
知事からよろしくお願いします。
石井正弘
21
○
石井参考人
真の
地方分権改革
を進めていくためには、国と
地方
が対等の立場に立って、お互いに同じテーブルでこれからの
地方分権改革
を進めていく
方向性
を
議論
していく、そのための場の設定を、今でも実は国と
地方
の
協議
の場ということで行われてはおりますけれども、これを
制度
化する。そしてその中で、
法律
の中においてこれを明記していくということによって
協議
が前向きに進んでいくのではないか。そういう我々の
地方
の
意見
をしっかり反映させていく場、
基本
的には
法律
の
制度
、
仕組み
というものは国の方でお決めになるわけですから、それをお互いに
協議
していく場というものが法定化されるということがぜひとも必要である、このように私どもは考えております。
谷本龍哉
22
○
谷本委員
どうもありがとうございます。 我々国
会議
員も、東京に集まって、国としてどうしていくべきかという
議論
を一方でしながら、同時に、常に自分の
地元
があって、
地方
の立場でどうすべきか、この二つの
考え方
をしっかりすり合わせていかなきゃいけないというのが我々国
会議
員の仕事のありようだと思います。 この
地方分権
の問題も、よく御存じのとおりでございますけれども、ただ単に
地方
に
責任
だけがどんどんふえていって、自由にできる
部分
、裁量の
部分
がふえなければ、これは
地方
への
負担
の押しつけということにもなりかねませんので、このバランスをしっかりと見ながら
議論
を詰めていっていただきたいというふうに思います。 きょうは、短い二十分という時間でしたけれども、御質問をさせていただきまして、ありがとうございました。今後とも御健闘をお祈りいたします。 ありがとうございます。
中谷元
23
○
中谷委員長
次に、谷口隆義君。
谷口隆義
24
○谷口(隆)
委員
おはようございます。公明党の谷口隆義でございます。 両
参考人
におかれましては、大変御多用の中、当
委員会
に
出席
をいただきまして、ありがとうございます。 先ほど、この
委員会
が始まります前に、自民党の谷先生の方から、この二十一世紀
ビジョン
懇の
方向
ははっきりわからない、こういうように私におっしゃったんですが、多分、先ほどの御答弁にもありましたような、例えば
再生
型の
破綻
法制、
破綻
というのは
地方
にとって非常に刺激的な
言葉
だと
石井参考人
がおっしゃいました。また、
新型交付税
の問題、この
新型交付税
が一体どういう
方向
に行くのかどうもわからないというようなこと等々、いわば
地方
のそういう動向に対する不満だとか疑問だとか、こういうことを含めた
言葉
で私におっしゃったんだろうと思いますが、このようなことを中心にしてお伺いをいたしたいと思います。 まず初めに、昨年末に、三年間の
議論
をいたしました、
税源移譲
三兆円、国庫
負担金
また
地方交付税
、これらのいわゆる三位一体の
改革
をとりあえず終えた、一段階終えたというようなことになるわけでありますが、両
参考人
にこの三位一体
改革
の評価をまず初めにお伺いいたしたいと思います。
大田弘子
25
○
大田参考人
三位一体は本当に難しい
改革
でしたけれども、一応、四兆円の
補助金
、不十分ではありますが四兆円の
補助金
が
削減
され、三兆円の
税源移譲
がなされたということは私は高く評価しております。非常に難しい問題の突破口が開かれたと思っております。問題は、これをしっかりと継続していくことだと考えております。
石井正弘
26
○
石井参考人
三位一体の
改革
の評価でございますが、三兆円というかつてない規模の
税源移譲
が図られた、本格的な
税源移譲
となったということ、このことは
地方分権
を進める上では確かに大きな前進となったと受けとめております。 ただ、その
内容
を見ますと、単なる
国庫補助負担金
の
引き下げ
、二分の一を三分の一にするとか等々、そういったことで
財源
移譲
の対象として生み出しているといったことなど、我々
地方
側から逆に言いますと、我々の
改革案
としてお示ししたものの中から見ると、一二%程度のものしか取り入れられていないといったようなことからいたしますと、
内容
は非常に不満が残るものであった、このように言わざるを得ず、したがって、
分権改革
は未完のままでありまして、引き続き、十九年度以降の第二期の
改革
ということに位置づけられまして、この三位一体
改革
をさらに推し進めていただくべきではないか、このように我々は思っております。
谷口隆義
27
○谷口(隆)
委員
今、特に
石井参考人
がおっしゃった、まだまだ不満が残っておるというようなことでありますが、国会の中でも大変な
議論
をして、また
地方
の皆さんも大変な
議論
をされて、もうこれ以上できないなみたいなところまで行って、今回、三兆円の
税源移譲
を初め、国庫
負担金
また
地方交付税
削減
ということになったわけでございます。ですから、今まで行ったような
議論
の延長線上ではやはりなかなかできないなというようなことで、またフェーズを変えたような形の
議論
をしていかなきゃいかぬ。 今回の二十一世紀
ビジョン
懇の
方向性
、これは私も、今四つの前提といいますか理念といいますか、おっしゃったわけでありますが、やはりちょっとわかりにくいなというようなところがあるんです。漠としているというところがありまして、冒頭申し上げたように、
地方
の方は今後どうなるのかという大変な不安感があるわけで、そのような観点で、もう一歩踏み込んだ形の
表現
ぶりといいますか、近々最終取りまとめが出るということのようでありますが、お願いをいたしたいと思うわけでございます。 次に、具体的にお伺いをいたしたいんですが、
税源配分
のことです。
税源配分
は
見直し
をしたいということで、国と
地方
の仕事の量が現在四対六であるということを踏まえまして、今後三年程度を目途に、国と
地方
の税収の
比率
を一対一にすべきではないかというようなことをおっしゃっておられるようでございます。そのときに、先ほどお伺いをいたしました
税源移譲
は所得税を
地方
に持っていったわけでありますけれども、具体的にどのような税目をお考えなのか、まずお伺いをいたしたいと思います。
大田弘子
28
○
大田参考人
これまでの
懇談会
の中では具体的な税目についてはまだ
議論
がなされておりません。ただ、
税源移譲
のときになるべく格差が出ないような
配分
を目指すべきであるというような
議論
は出ております。
谷口隆義
29
○谷口(隆)
委員
この取りまとめの案を見ますと、偏在性があるような税目はやはり困るというようなことがあります。ですから、巷間言われておりますけれども、
地方
消費税ですね、消費税というような税目が好ましいのではないかというようなことも言われておりますけれども、
議論
の中ではそのような税目まで踏み込んだところまでは至っていないということを今おっしゃったんだと思います。
石井参考人
にお伺いをいたしたいんですが、
地方
の立場ではどのようにお考えになるか、お聞かせいただきたいと思います。
石井正弘
30
○
石井参考人
分権
構想検討
委員会
の
報告
にございますとおり、
地方税
は
地域偏在性
が比較的少ない税目構成、そして
地方交付税
の方の原資は
地域偏在性
の比較的大きな税目構成、このように考えているところでございまして、具体的には、
地方
消費税の割合を引き上げますとともに、個人
住民
税の所得割をさらに三%上乗せするといったようなことで国から
地方
への
税源移譲
を行うべきである、このような
中間報告
が出ておりますが、我々はこれを前向きに受けとめさせていただいております。
谷口隆義
31
○谷口(隆)
委員
いずれにいたしましても、これからの
議論
の中で、どういう税目がふさわしいのかといったようなことをまず決めていかなきゃいかぬと思うわけでございまして、私はやはり消費税を今回
税源移譲
する場合には考えていけばいいのではないかというように考えておるわけであります。 そのときに、
課税自主権
の問題も言及されておられました。この
課税自主権
というのは、
地方
が
責任
を持って
課税自主権
を発揮していただきたいといっても、なかなかやはりそこらは限度があるわけでありますけれども、美辞麗句を並べてみても、現実にそれで
課税自主権
が発揮できるかどうかということがあります。 まず
大田参考人
に、この
課税自主権
を、実質的に効果を上げるためにはどのようなことをお考えなのか、お伺いをいたしたいと思います。
大田弘子
32
○
大田参考人
御指摘のとおりでございますけれども、まずは抜本的な
税源配分
を
議論
し、そのときに税率、税目の設定の自由の範囲を広げていく、その
税源配分
の
議論
の中でしっかりと決めていくということが必要かと感じます。
谷口隆義
33
○谷口(隆)
委員
税源配分
、多分、制限税率をもうちょっと広げていったらどうかとか、具体的にはそういうような
議論
もあるんだろうと思いますが、
地方
の立場で、
石井参考人
の御
意見
をお伺いいたしたいと思います。
石井正弘
34
○
石井参考人
現実的に、
地方
の現場におりますと、
課税自主権
の実質的な拡大を図るというその
方向性
につきましては賛意を示すところではございますが、現実にはほとんどの課税客体が国のさまざまな税制によって把握をされておって、では残るものは何なのかというところが非常に難しいということでございます。 私も、産業廃棄物処理税であるとか森づくり県民税といったようなことをいち早くやってまいりましたけれども、現実にどういうものに課税をしていこうかということになりますと、なかなか適当な客体が見つからないというものが、今現在、
地方自治体
の共通の問題意識となっているのではないだろうか、このように認識しております。
谷口隆義
35
○谷口(隆)
委員
そういう意味においては、やはり
課税自主権
を十分発揮でき得るような環境を整えていかなきゃいかぬと思うわけで、これはちょっと深い
議論
になってくるんだろうと思いますが、ぜひ、二十一世紀
ビジョン
懇のいろいろな御
協議
があったんだろうと思いますが、
地方
の立場に立ってやっていただければと思う次第であります。 その次に、先ほど出ておりましたが、
新型交付税
のことをお伺いいたしたいと思います。 十九年度から、
人口
、
面積
を
基準
として
配分
する
新型交付税
を導入したいと。
竹中大臣
の方は、今後三年間ぐらいで五兆円規模を目指したいというようなことをおっしゃっておられます。 それで、先ほど、それに基づいて
和歌山
県の方が
試算
をいたしておるという
お話
がありました。
試算
を見ますと、
人口
と
面積
が五対五の場合と
人口
が八で
面積
が二という場合の二つのシミュレーションでやっておるわけであります。これによって、どちらに加重していくのかということが大分変わってまいります。 まず、この単純な
基準
、
人口
、
面積
という二つの
基準
で、どちらの方に重点を置くべきなのかということを両
参考人
にお伺いいたしたいと思います。
大田弘子
36
○
大田参考人
現在の
交付税
の
配分
を見ますと、
人口
が八、
面積
が二ぐらいで計算しますと大体説明できるという分析もございます。そこの具体的な
制度設計
はこれからしっかりと詰めていかなくてはいけないと思います。
石井正弘
37
○
石井参考人
私も、現場にいる立場から見ますと、
人口
と
面積
、どちらにウエートづけが多くあるべきかとなりますと、それはもちろん
人口
の方により比重が置かれるべきだとは思いますが、ただ、この二つだけで算定するということになりますと、先ほどの
和歌山
県のような
試算
があるがごとく、現在の
地方交付税
の
配分
から見ますと、非常に大きなでこぼこといいましょうか、プラスマイナスといいましょうか、これが生じてしまうのではないかということを非常に懸念しております。 これにつきましては、いろいろ工夫をするとか、あるいはまた必要な激変緩和措置を設けるとか、いろいろな工夫を加えませんと、現場に大きな混乱をもたらすのではないだろうかと懸念をしているところでございます。
谷口隆義
38
○谷口(隆)
委員
やはりおっしゃるとおりだと思うんですね。この二十一世紀
ビジョン
懇でも、十九年度から
新型交付税
を入れるけれども、一応三年後には五兆円程度で、その後十年程度、最終的にどういう姿になるか、ちょっとまだそこまでどうも明示されておらないわけですが、
新型交付税
の割合をふやしていこうというような
方向
は間違いないんだろうと思うんですね。 最終的な姿はどういうようにお考えなのか、二十一世紀
ビジョン
懇の中でどういう
議論
があったのか、
大田参考人
にお伺いをいたしたいと思います。
大田弘子
39
○
大田参考人
国が
基準
づけをしている
部分
は
地方
は
歳出
を自由に決めることはできませんので、まずは
基準財政需要
の
基準
づけがない
部分
を新しい形の算定にしていく。残りは新
分権一括法
で
基準
づけを抜本的に
見直し
ていく。国と
地方
の
権限
、
責任
を
見直し
ていく中で、ここが拡大していけば少しずつ新しい
部分
が拡大していくというイメージでございます。したがって、十年先にどこまで行っているかは、新
分権一括法
に基づく国と
地方
の
権限
と
責任
の
見直し
の中で決まってくると考えております。
谷口隆義
40
○谷口(隆)
委員
この中で、不
交付団体
を拡大したい、
人口
二十万人以上ぐらいのところでは半分程度不
交付団体
にしたいというようなことを言及されておるわけでありますが、例えば、今いろいろな
議論
がありますけれども、法人
住民
税、法人事業税、この法人二税がどうも地域によって偏在性があるのじゃないか。ですから、この法人二税を再
配分
するようなことはどうなのか。それによって、再
配分
された結果不
交付団体
になるというような
団体
も出てきそうな雰囲気もありますから、そういう
議論
がありますけれども、その
議論
についての
考え方
を両
参考人
にお伺いいたしたいと思います。
大田弘子
41
○
大田参考人
不
交付団体
をふやすためには、
税源移譲
が前提になります。そのときに、法人二税をいわば国が集めて譲与的な形で移すという案は、案としては私はよいと思いますけれども、ただ、悩ましいのは、やはり
地方自治
というのは、みずから税を取って受益と
負担
をリンクさせるということが
地方自治
だと思いますので、消費税に加えて法人税も
全国
で集めて
配分
するということが果たしていいのかどうか、個人的にはやや悩ましい問題であると思っております。
ビジョン懇談会
ではそのような
議論
は、まだ踏み込んだ
議論
はしておりません。
石井正弘
42
○
石井参考人
地方
の立場からいたしましても、先ほど申し上げたとおり、
地域偏在性
が比較的少ない税目によって
地方税
は構成されるべきであるという
方向性
はそうでございますが、具体的には
消費税等
が望ましいということを申し上げましたけれども、ただ、その場合でも、これは
大田参考人
と同じような御答弁になりますが、やはり地域によって、法人がそこに存在して、そして受益と
負担
ということを考えますれば、それはやはり、それなりの法人課税というものも
地方税
にとりましては意義があるのではないか、大切な税目ではないか、このようにも考えております。
谷口隆義
43
○谷口(隆)
委員
それでは、
大田参考人
にお伺いしたいんですが、不
交付団体
を半分程度にしたいといった場合の具体的な方法についてどのような
議論
がなされたのか、お伺いをいたしたいと思います。
大田弘子
44
○
大田参考人
基本
は、まず
税源
を移す、それから
交付税
も中身を変えていく、こういうことによってふやしていく。不
交付団体
の数というのは結果ですので、申し上げたようなことを、
八つ
の柱を全体的にやっていくということを
議論
しております。
谷口隆義
45
○谷口(隆)
委員
ちょっと今、何かはっきりわからないようなことですが、確かに、
新型交付税
、
地方交付税
そのものも
地方
は非常に関心を持っていらっしゃいます。その中で、この
新型交付税
を、今まで非常に複雑な
基準
でございましたから、新型の
交付税
をまたその中に入れていこうということについて、よくよく検討していただいて、十分
地方
の皆さんの理解を得ていただいてやっていくことが必要だというように思っております。 それで、先ほど冒頭に
お話
をした
再生
型の
破綻
法制ということを検討されておるわけであります。我が国では余りありませんけれども、アメリカではオレンジ州か何かが
破綻
をしたというような事例があったようでございます。これは、歳入がなくてじゃなくて、投資をして、投資がうまくいかなくて
破綻
したというようなことがあったようであります。 確かに、今の
状況
では、
地方
が、普通の会社でいうような
破綻
が一体どの時点で起こるのかといったようなことがはっきりしないという
状況
はあるんだろうと思います。ですから、まずその第一段階として
早期是正
措置で警告を発する。警告を発することによって、警告を受けた
地方
は、その後、
破綻
をしないような形でのいろいろな努力をするんだろうと思うんですね。例えば税収をふやすとか、また
歳出
をカットするとかいうようなことになるんだろうと思いますが、その具体的な姿を
大田参考人
にお伺いいたしたいと思います。
大田弘子
46
○
大田参考人
御指摘のとおり、
早期是正
措置が非常に重要であると思います。どのような場合に是正に入るのか、イエローカードですね、非常に重要だと思います。 この具体的な
制度設計
は、法技術的な問題がいろいろあると思いますので、これから総務省で詰めていくということになると思います。
ビジョン懇談会
ではまず大きな
方向性
を示すということで
議論
しております。
谷口隆義
47
○谷口(隆)
委員
時間が参りましたので終わりたいと思いますが、
最後
にちょっとお伺いしたいのは、警告が出て
最後
の
破綻
に至るまでの間、今考えておられるようなイメージで、それは
地方
で独自で努力をしてくださいというのか、その期間国もある程度の
関与
を行うのか、どういうイメージで
議論
があったのか、これをお伺いして終わりたいと思います。
大田弘子
48
○
大田参考人
国がそこにどの程度
関与
するのか、詰めた
議論
はしておりません。恐らく
早期是正
の
ルール
は統一的に国も
関与
してつくるということになると思います。今出ております
議論
では、まずは
早期是正
措置で食いとめる、どうしてもだめな場合に裁判所が入らざるを得ないのかという
議論
も出ておりますが、詳細は詳しく詰めておりません。
谷口隆義
49
○谷口(隆)
委員
時間が参りましたので、終わらせていただきます。ありがとうございました。
中谷元
50
○
中谷委員長
次に、
福田
昭夫君。
福田昭夫
51
○
福田
(昭)
委員
民主党の
福田
でございます。 両
参考人
、大変御苦労さまでございます。特に
石井
知事には四年間お世話になりまして、ありがとうございました。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。 それでは、私の方からも質問させていただきますけれども、何といっても、今回の眼目は、さきの三位一体
改革
が非常に不十分だった、生煮えだ、消化不足だということで、何としても
地方
六
団体
側としては
地方
財政
の
自治
権を確立したい、そのためにしっかりと税
財源
も譲ってほしいというのが今回の
提言
だと思っておりまして、
地方
六
団体
が
提言
をした七つの
提言
、これは私ほとんど賛成でございまして、ぜひとも実現する
方向
で民主党としては全面的に協力をして応援をしていきたい、こう思っているところでございます。 そうした中で、主に質問は
大田
先生の方になりますので、どうぞよろしくお願い申し上げたいと思っています。
大田参考人
に質問するに当たりましては、先ほど
中間取りまとめ
しか発表がございませんでしたが、五月十二日に先生がまとめられました「最終
報告書
に向けて詰めるべき論点」、これも踏まえて質問させていただきますので、あらかじめ御了承いただきたいと思っております。 まず最初に、簡単な方を片づけたいと思っているんですが、まず
一つ
目は、新
分権一括法
の
提出
、それから
地方
の
意見
を集約、反映する
仕組み
についてでございますが、このことについては
地方
六
団体
からも同様の
提案
がございます。これは何としても最終
報告書
にまとめてやる、そういう考えがあるかどうか、お伺いをしたいと思います。
大田弘子
52
○
大田参考人
新
分権一括法
につきましては、先ほど申し上げましたように、なるべく
早期
に制定するということが必要だと思っております。 それから、国と
地方
の
協議
の場につきまして、
地方
の
意見
を集約して反映させる
仕組み
が必要だということは
懇談会
で
議論
しておりますが、それが具体的にどういう場であるのかというのはまだ
議論
がなされておりません。
福田昭夫
53
○
福田
(昭)
委員
地方
の方では、
地方行財政会議
の設置ということで
提案
があります。ぜひともこのような
会議
ができることを私も望んでおりますので、ぜひ最終
報告書
までにはまとめていただければと思っています。 二点目でありますが、
税源
の
配分
の
見直し
ですけれども、これにつきましては、両方読んでみますと、
地方
六
団体
も、また
ビジョン
懇の方も大体同じかなと。とりあえず国と
地方
の割合を一対一、五対五にして、最終的には国が四、
地方
が六というふうにするということについてはどちらも同じかなと思っておりますが、これについてはそうでしょうか、お伺いをいたします。
大田弘子
54
○
大田参考人
方向
は同じでございます。
福田昭夫
55
○
福田
(昭)
委員
ありがとうございました。 それでは次に、三点目、
補助金
の
改革
についてでございますが、これにつきましては、
地方
六
団体
は、それこそ半減するように、四百件以上ある
国庫補助負担金
を二百件を切るようにという
提言
をいたしております。
ビジョン
懇の方では、新
分権一括法
にあわせて抜本的に
改革
すべきだと言っておりますが、これはどの程度にするというような
議論
は行われているんでしょうか、教えていただきたい。
大田弘子
56
○
大田参考人
既に
地方
から
提案
がなされて、実現していない
補助金
改革
がたくさんございますので、その
提案
を踏まえて大胆に
見直し
ていくという
議論
でございます。件数にするのか金額にするのかという
議論
は出ておりません。
福田昭夫
57
○
福田
(昭)
委員
ありがとうございました。ぜひ御努力をお願いしたいと思います。 これから本論に入りたいと思っていますが、まず、今回の
ビジョン
懇の話を私読ませていただいて、先ほど
大田参考人
からは、自由な
議論
を通して、しかも全体の姿が大事だ、こういう話がありましたけれども、しかし、私が実はびっくりしておりますのは、構想日本の加藤先生がまとめた案、これと同じ形で実は進んでいるんですよ。これが余りにも似ているので非常にびっくりしているんですが、先生、本当に自由な
議論
ができたと思っていらっしゃるんでしょうか。
大田弘子
58
○
大田参考人
全く自由な
議論
をしております。構想日本の加藤先生の
議論
、私も拝見したことはございますけれども、それに左右されたということは全くございません。
福田昭夫
59
○
福田
(昭)
委員
なるほど。そういうことであれば、構想日本の
お話
をちょっとさせていただきますが、これまでの構想日本の
提言
でございますが、まずは、国の仕事の事業仕分けをするというのが
一つ
ですね。 それから
二つ目
、
地方
の
自由度
を高めるということで、
自治体
に対する国のコントロール、
関与
や
規制
の
廃止
を行う。その際、
財源
の調達としては、制限税率等の撤廃、起債の完全自由化を
提言
しております。こういうことも今総務省は少しずつやり出していますね。制限税率も固定資産税で外したり、いろいろなことが始まっています。 それから三点目、
地方
の
責任
を明らかにする。
破綻
・
再生
制度
の創設であります。 そして四点目、抜本的な
税源移譲
を行うということでありますが、事業仕分けをベースに
移譲
額を決定していくんだということでございます。構想日本の
試算
では、これは
平成
十二年度決算ベースで出しておりまして、十五兆円
地方
に譲るということなんです。後で申し上げますが、今
ビジョン
懇の話は大体このペースで進んでいますね。 それから五点目は、
自治体
間の
財源
調整の
仕組み
をつくるということでありますが、これは
地方交付税
制度
の
改革
、
地方
財政
計画を
廃止
して新たな
仕組み
をつくるということであります。調整の主体は国ではなく
地方
、調整の対象は収支格差ではなく収入格差、
財源保障機能
を
廃止
する、それから調整の
基準
は複雑ではなくシンプル、
人口
、
面積
などが
基本
。 こう大きく五つ、構想日本の加藤先生たちが
提言
をいたしております。 今
ビジョン
懇で話し合われていることは、どうもこれを、
大田
先生初め
先生方
を集めて、作家が一人いましたかね、作家それから学者の
先生方
を集めて、この構想日本の加藤さんたちの
提言
を証拠づけするような形で
議論
が行われて進められている、こう感じているわけでございます。 これは
大田
先生個人の考えで結構でございますが、全体として、十年後、例えば税
財源
の
移譲
がどれぐらい行われて、それから
交付税
はどのように
改革
されていくのが
地方
にとって望ましいと考えていらっしゃるか、お伺いできればと思います。
大田弘子
60
○
大田参考人
地方
の自由と
責任
を両方しっかりと確保していこうということで
議論
が始まりましたので、やはり国が
歳出
をいろいろ事細かに決めていく
部分
を減らしていこうと。ただ、そのときに
一定
の歳入はきちんと保障しませんと
自治体
は
行政
ができませんので、国が
基準
づけしている
部分
を減らして
一定
の歳入を保障するという
方向
で
議論
しておりまして、多分それは、構想日本も同じような自由と
責任
というところで描く絵がそれほど変わらないということかなと思います。繰り返しになりますが、
議論
が影響を受けたということは全くございません。 それから、仕分けということではありませんで、
ビジョン
懇で中心を置きましたのは、
自治事務
ぐらいは
地方
が条例で定めるようにするのが当然のことではないかというところから
議論
が始まっております。その点が違う点です。 御質問の、十年先にどういう姿かということでございますが、これは、
基準
づけをまず減らしていく、
基準
づけを減らすに応じて
地方
が自由に
歳出
を決められる
部分
をふやしていこうということでございます。その
方向
に向かって行けるところまで行くというのが十年後のイメージです。
福田昭夫
61
○
福田
(昭)
委員
それでは、構想日本の税
財源
の
移譲
の姿、これをお知らせ申し上げますが、加藤先生たちは見事に事業仕分けをやってくれたんですね。これは十二年度決算ベースでございますが、国、県、市町村の仕事を仕分けすると、国、県、市町村すべてで百六十五兆円ほどある支出総額のうち、百四十六兆円が必要だろう、不要あるいは民間に任せるのが十九兆円ぐらいあるということなんですね。 それらを
歳出比
で分けてみると、よく言われておりますように、国が四〇で、県と市町村で六〇という割合なんですね。それに税金八十五兆円を掛けてみますと、国が三十四兆円、県が十九兆円、市町村が三十一兆。しかし実際には、国が四十九兆円、都道府県が十七兆円、市町村が十八兆円。そうしますと、差し引き十五兆円の差になる。そうすると、十五兆円国が持っているので、これを事業の仕分けで仕事を都道府県と市町村に分けていけば、十五兆円国は要らなくなる。そうすると、県に二兆円、市町村に十三兆円、十五兆円を分ければ、これで見事な
地方分権
が税
財政
上できる、こういう構想日本の姿であります。 そして、今回、どうも
ビジョン
懇で話し合われていることを読んでみますと、この姿に近づけるように
議論
が行われているんですね。
交付税
は
新型交付税
が五兆円程度だ、とりあえずそれから始まる。さらに、税
財源
は五兆円だということだと、これで十兆円なんですね。それから、
竹中大臣
が経済
財政
諮問
会議
では、
地方
の
歳出
は約六兆円
削減
可能じゃないか、こう言っているんですね。こういうことを踏まえていくと、まさに構想日本が
提案
しているようなお金の姿に十年後に近づくんじゃないか、こう実は思えるんですね。 そんなことを考えてみますと、大変な話でございまして、先生にちょっとお伺いをしたいのは、国と
地方
の
プライマリーバランス
についても書いてございますが、
地方
の
プライマリーバランス
の大幅な
改善
を目指す理由と、目標額はどのぐらいに置いたらよろしいのか、お伺いをいたしたいと思います。
大田弘子
62
○
大田参考人
プライマリー収支を二〇一一年に向けて均衡していくというのは、国、
地方
合わせて取り組んでいる課題ですので、そこは進めていかなくてはいけないと思います。 二点申し上げたいと思いますけれども、まず
一つ
は、かなり国に
基準
づけされておりますので、国が、例えば社会保障をどうするのか、
公共事業
をどうするのか、公務員をどうするのかということに連動して決まってくる
部分
がかなりあると思います。 それから二点目ですが、
財政
の規模をどうするかという
議論
と
制度
をどう変えるかという
議論
を短期間に両方やるというのは至難のわざでございますので、
ビジョン懇談会
では
制度
を変えるというところに焦点を当てて
議論
してまいりました。規模をどうするかという
議論
は
歳出
歳入一体
改革
の中で
議論
されているというふうに考えております。
福田昭夫
63
○
福田
(昭)
委員
多分そうなんだろうと思います。半年じゃ無理だと私も思っています。 大体、加藤先生たちの構想日本のやり方は、まず事業仕分けをしなきゃできてこないんですよね。事業仕分けもしないで今
ビジョン
をつくっているわけですから、ここが一番大きな問題なんですよね。要するに、国と
地方
の仕事を知らずに
ビジョン
をつくっているということになるので、ここが実は大きな問題なんです。 そうした中で、財務省の
資料
で、常に
プライマリーバランス
は国が赤字で
地方
が黒字だという話があるわけですね。そうした中で、十八年度の
地方
財政
収支見通しでは
地方
は四・四兆円黒字だというふうになっておりますが、これは本当に四・四兆円純粋に黒字だと先生は思われますか。
大田弘子
64
○
大田参考人
移転の
仕組み
がございまして、例えば
補助金
をどちらの
歳出
と見るのかという問題がございますので、そこは少し検証しないとお答えできない
状態
です。
福田昭夫
65
○
福田
(昭)
委員
そうすると困るんですよね。
地方
の
ビジョン
を描いていただいている人たちがそういうことをよく知らないでやっているというのは大変困る話でございまして、実は、一般会計からの
特例加算
とかあるいは
特別会計
の借り入れ、それを入れると、もしかすると
基本
的には
地方
も赤字かもしれないんです。ですから、財務省が勝手につくった
資料
が今世の中に広まっているんです。この間はある新聞などもそんなことを書いておりましたけれども、これは大きな間違いなんです。ですから、この辺もしっかり踏まえて
先生方
には検討していただかなくちゃならない、そういうふうに思っているところでございます。 そこで、今回の
平成
十六年から十八年までの、第一期とは言いたくないようでありますが、三位一体の
改革
で、
地方
に今まで
配分
されていたお金が三年間で幾ら
削減
されたか、先生、御存じですか。
大田弘子
66
○
大田参考人
済みません、
資料
は持ってきているんですけれども、この中にございますが、済みません。
福田昭夫
67
○
福田
(昭)
委員
それでは、先生、意地悪な質問で申しわけないんですけれども、私から申し上げますが、この三位一体の
改革
で
地方
に今まで
配分
されたお金は何と六兆八千億円削られているんですよ。先ほども先生ちょっと国庫
補助金
の中で話をしましたけれども、四・七兆円の
国庫補助負担金
の
見直し
が行われて、三兆円の税
財源
の
移譲
が行われたわけであります。そうすると、ここで国は国の赤字減らしに一・七兆円充てているわけですね。そして
交付税
は、
改革
という名のもとに抑制をされて、五・一兆円削られているんです。合わせると六・八兆円、
地方
に今まで配られてきたお金がこの三位一体の
改革
で実は削られているということなんですよ。そういうことで、本当に
地方
にとってこれから、
竹中大臣
が言うように、では、あと六兆円削るとなったら、十二・八兆円削ることになるんです。これは大変なことですよ。小さな各市町村へ行ったら、本当はことしの予算もどうやって組むか、歳入の当てがないのに、当て馬の歳入項目で実は歳入を支出と合わせているようなところさえあるんです。 ですから、このようなことをしっかりと、事業仕分けができないでこんなふうなことをやっていったら、
地方分権
どころか、
地方
はみんな崩壊するところだらけですよ。ですから、その辺のところを
ビジョン
懇の
先生方
にもしっかりと認識してやっていただきたいなと思っています。 そこで、実は
地方
の
歳出
削減
についてという項目があるんですが、先ほど先生から話がありましたように、
社会保障費
をどうするんだ、
公共事業
費をどうするんだ、あるいは総人件費をどうするんだ、こういう話でございますが、そうしますと、
平成
十八年度の
地方
財政
計画を見ますと、総額八十三・二兆円でございます。その中から大きな費用の項目をとってみますと、
給与
関係
経費が二十二・六兆円であります。それから投資的経費ですね、
公共事業
費が十六・九兆円。一般
行政
経費が二十五・二兆円。それから公債費が十三・三兆円であります。この中からどうやってどこから六兆円削っていくのか。これは大変な話でございます。その辺、そんなことが
議論
されているのかどうか、ぜひ教えていただければと思います。
大田弘子
68
○
大田参考人
繰り返しになって恐縮ですけれども、
ビジョン懇談会
の中では金額や規模については
議論
しておりません。
制度
について
議論
しております。
地方自治
の姿としましては、国が
削減
額を決めるのではなくて、個々の
自治体
の中で受益と
負担
の
関係
の中で
規律
づけが働く
仕組み
をつくっていくことが長期的に必要だと存じますので、そのための
制度
づくりに焦点を当てて
議論
しております。その点は御了解いただきたいと思います。
福田昭夫
69
○
福田
(昭)
委員
先生を責めては申しわけないんですが、そういうことをやらせる
竹中大臣
、本当は
竹中大臣
にもっとやった方がいいのかもしれませんが、これは
地方
の実態を知らない人たちだけが集まって、
地方
の姿を、将来の姿を描こう、先生が今おっしゃったように
制度
の
見直し
だけ話をしているというのでは、
地方
がどんな姿になれば、ここのキーワードにもありますように、自由、
責任
、自立、この三つをキーワードにした新三位一体
改革
が本当にできるのか、こんなことをやったときに
地方
が本当に自由に闊達に元気にやれるのかどうかということについて、しっかりと最終答申までには
議論
してほしいなというふうに思いますが、いかがでしょうか。
大田弘子
70
○
大田参考人
なるべく
地方
の実態をつかむように、
地方
六
団体
の方との
意見
交換あるいは検討
委員会
の方との
意見
交換、あるいは私も個人的にたくさんの首長さんになるべくお目にかかろうと努力してまいりました。なるべく実態を踏まえてこれからも
議論
したいと思っております。
福田昭夫
71
○
福田
(昭)
委員
そろそろ時間が来たようですので終わりにしたいと思いますが、大変意地悪な質問をして失礼でございましたが、私が今想像いたしておりますのは、
竹中大臣
から出るのかあるいは
歳出
歳入一体
改革
の中で
政府
全体として出てくるのかわかりませんけれども、私はこういう心配をいたしております。
交付税
、今、出口ベースで約十六兆円であります。そのうち六兆円がカットされる、そして五兆円が
交付税
で支出される、そしてあと五兆円が税
財源
で終わる、こんな
改革
になりはしないかという大変な心配をいたしております。こんなことになれば、国栄えて
地方
滅ぶであります。そんなことにならないように、大変申しわけありませんが、厳しい質問をさせていただきました。 最終答申までよろしくお願い申し上げたいと思います。大変ありがとうございました。
中谷元
72
○
中谷委員長
次に、
西村智奈美
君。
西村智奈美
73
○西村(智)
委員
民主党の
西村智奈美
と申します。 きょうは、
大田参考人
そして
石井参考人
、御多忙のところ御足労いただいて大変ありがとうございます。 二十分の時間で大変短いんですけれども、まず、きょう見せてもいただきました
ビジョン
懇の
中間取りまとめ
、これは、私たち民主党の部門
会議
でも先日ヒアリングを受けました。
竹中大臣
が五月十日に経済
財政
諮問
会議
に
提出
をされた
資料
とあわせて御
報告
、御説明いただきましたので、そのことにも関連して質問したいと思います。 この
中間取りまとめ
、四月二十八日に出されたものですけれども、
一つ
目の四角の囲みで「問題意識」とありまして、「何故今
分権
か」と。私も頭から読んでみました。黒ポツが三つありまして、
三つ目
のところで、「未曾有の
財政
赤字を解決し、」と始まるわけですけれども、二行目のところに「国への依存を止め、無駄のない
地方
財政
の姿を作り上げるべきである。」というふうに書いてございます。 まず、
石井参考人
にお伺いしたいと思うんですけれども、
ビジョン
懇の
中間取りまとめ
に「国への依存を止め、」と書いてあります。これはつまり今まで国へ依存してきたということの
表現
だろうと思うんですけれども、
地方
六
団体
、こちらの
分権
の検討会の中では今まで国に依存してきたというような
議論
あるいは御自身として国に依存してきたという感覚はおありでしょうか。
石井正弘
74
○
石井参考人
少なくとも、私ども、二〇〇〇年、
地方
分権一括法
が制定されまして、それ以降、自立に向けて懸命な努力をしているところでございまして、そういった中にありまして、我々、国へ依存しているといったような感覚は持ち合わせておらないところでございます。 こういったような
表現
の背景として、地域の安全、安心をどのように守っていくのかとか、あるいは、地域特性から配慮を要する離島とか中山間地域、こういったものへの温かい配慮、こういったものを国の方ではぜひ
地方
には配慮願いたい、こういう思いはございますけれども、少なくとも、我々は、自主自立の
自治体
経営を行っているつもりでございます。
西村智奈美
75
○西村(智)
委員
私、先ほどの
福田
委員
の
議論
を後ろで聞いておりまして、やはり現場を知っている方の本当に心の底から出る心の叫びというような発言は違うなと思ったわけなんですけれども、質問が少し重なりますが、
大田参考人
に伺いたいと思います。
ビジョン
懇のメンバーの中で、そういう意味では現場を知っておられる方がいない。先ほど
石井参考人
は、依存してきたというふうには思っていないという御趣旨の発言だったと思いますけれども、仮にそういう
意見
が反映されたらこういう書きぶりにはならなかったんじゃないかというふうに思うんですね。現場の人がこの
ビジョン
懇のメンバーに入っていないというのは、
座長
としてどういう判断でお決めになられたんですか。
大田弘子
76
○
大田参考人
申しわけございません。メンバーは私は決めておりませんので、大臣の私的
懇談会
で、大臣が決めておられますので、お答えできません。
西村智奈美
77
○西村(智)
委員
大臣がお決めになったということなんですけれども、
座長
をお引き受けになっておられますよね。御感想はおありではないんですか。御感想をお願いします。
大田弘子
78
○
大田参考人
私は、昨年の夏まで内閣府に行っておりまして、そこで三位一体
改革
をやっておりました。そこで、本当に三位一体
改革
の難しさを骨身にしみて感じました。そこで、一度、その出口の側に向かって、十年先に立ってあるべき
地方分権
の姿を描こうということで
ビジョン
の
懇談会
をやっております。そのときにむしろ、今のメンバーは、出口に立って、自由な発想であるべき
地方分権
の姿を描くというところについてはそれぞれ貴重な
意見
を持っておられると思っております。 もちろん、足元で今現場の方がどういう御苦労をしておられるのかというのは十分に聞かなくてはいけませんので、可能な限り
意見
を拝聴する
機会
をつくってきたということでございます。
西村智奈美
79
○西村(智)
委員
十年先を見越して、現場を知っている人がいなくてもいい
懇談会
だという御発言だったと受けとめます。 もう
一つ
は、先ほどの答弁にもあったと思いますが、ヒアリングなど、あるいは首長さんから
意見
聴取をしているということで、それらを反映していきたいということだったかと思います。 それでは、そういう聞き取った
意見
などは具体的にどこまでこの
ビジョン
懇の最終
報告
に反映されるのでしょうか。形だけの聞き取りにならないか、そういう懸念ももう既にあちこちから聞かれるわけですけれども、それについてはどうですか。
大田弘子
80
○
大田参考人
地方
六
団体
でも検討
委員会
をつくっておられまして、そちらの
議論
も踏まえながら
議論
しております。先ほど
石井
知事の
お話
にもありましたように、
方向性
としてはそれほど違っていないと私どもは思っております。 そういう意味で、中に取り込みながら、反映させながら
議論
をしております。
西村智奈美
81
○西村(智)
委員
ちょっと話が変わりますけれども、この国会が始まったときに、格差ということが随分と言われました。格差がこの国に存在するのかどうか、また、その格差をどうしていったらいいのか。総理に対して格差がよいか悪いかという判断を求める質問に、それはある程度ないと競争しないから、あってもいいんだというようなちょっとした答弁もあったわけなんですけれども、
大田参考人
に、この格差社会への御認識について少しお考えを伺いたいと思っています。 つまり、どういうことかと申しますと、この後も質問いたしたいと思いますが、
新型交付税
であります。これは、額が減らされるということは何となくわかるんですけれども、それ以外に、どういう算定の仕方をするのか見通しが全く立たない。こういう
状況
の中で
交付税
が減らされると
自治体
間の格差がますます広がるのではないかというふうに指摘がなされているわけでございます。 受益と
負担
の
関係
というのはよく言われるわけでありますし、法人税などについてはそういった視点からの
議論
はあってしかるべきだというふうに思いますけれども、ただ、完全な受益と
負担
の
関係
ですと、お金を払った人が物や
サービス
を受けるということですよね。そうしますと、これは市場経済で言うところの代金とか料金と余り変わりはないんじゃないかと思うわけなんです。そもそも税というのは所得の再分配機能というのがあるわけですから、そこは国会で
議論
して、あるいは
地方
の皆さんからも
議論
してもらって、国民的な
議論
を巻き込んで、どういう
配分
の仕方を選ぶかという
政策
選択の幅がなければいけないんだろうというふうに思うんです。 そういう意味では、多くの人から納得の得られる
仕組み
が必要だというふうに思うんですけれども、ただ、今の段階では、
交付税
が減る、これで格差が広がるのではないかというふうにこれは言われているわけであります。 私の
地元
も、私は新潟県の選出なんですけれども、雪が大変深くて、山奥に行きますと、八十歳を超えるおばあさんがひとり暮らし、その隣は七十歳を超えるおじいさんがひとり暮らし、冬は雪のけをしてくれる人がいなくて、遠くから若い人たちがやってくる。ただ、そこのところも人が住んでいらっしゃるわけですから、除雪費用などは必要になってくるわけです。 そういった格差について
大田参考人
はどのようにお考えになっているのか、伺いたいと思います。
大田弘子
82
○
大田参考人
ビジョン懇談会
では、
交付税
を減らすという
議論
はしておりません。その中の
仕組み
を変えましょう、国が
歳出
をすべて決めるのではなくて、どう使うかは
地方
が決めていくというのが望ましい
方向
ではないか、今、
基準
づけがない
部分
について、その
部分
について
地方
が自由に使い道を決められるような形はないかということで
議論
してまいりました。 御質問の格差についてですけれども、過剰な格差はもちろん望ましくありません。ただ一方で、経済というのは新陳代謝がどうしてもあると思います。そのときに、新陳代謝で厳しくなる地域、そこをどうしていくのかが
政策
だと思いますので、そこは十分に考えていかなきゃいけない。 ただ、格差が全くない、あるいは経済だけで格差をとらえてはいけないということも事実だと思います。その意味で、
地方
がみずからの個性で、経済だけではないみずからの個性で地域づくりを行っていくような余地を拡大していくことも私は必要だと思っております。
西村智奈美
83
○西村(智)
委員
ちょっと
新型交付税
のこととあわせて伺いたいと思うんですけれども、
人口
と
面積
によって一人当たりの税収入額を平準化するというような書きぶりになっているわけであります。 こういたしますと、これは、
交付税
の機能というのはそもそも水平間調整というようなものもあるわけですが、その機能が変わっていくんではないか。かつ、これは格差を拡大することにつながりかねない。例えばですけれども、
面積
が小さくて
人口
が少ない離島などはどうなるのかということにつながっていくわけなんです。
ビジョン
懇の
中間取りまとめ
の中には、ここのところは、真に配慮を要する
自治体
に対してはそれなりの
仕組み
を確保するということが書いてありますけれども、それは一体どういう
自治体
なのか、どういう配慮を確保していくのか、これは全く見えていない。 これは一体どういうことになるんでしょうか。格差の存在とあわせて、もう一回伺いたいと思います。
大田弘子
84
○
大田参考人
交付税
のこれまでの性格は、国が定めた
一定水準
の
行政サービス
を
全国
どこでも享受できるようにするその
財源
措置だというふうに思いますが、
地方分権
の中では、国が決めている
部分
はなるべく減らしていって、
地方
の自由にゆだねる
部分
を拡大していくというのが望ましい
方向
だと思います。 ただ、先生御指摘のように、地域間の
財政力
の格差がありますので、むしろその調整の機能を強めていく、格差を是正する機能を強めていくために、国が需要を決める形ではなくて、
一定
の歳入は保障しましょうという形で
配分
しようというのが
交付税改革
の
方向
です。 そのときに
人口
と
面積
というのを出しました趣旨を簡単に御説明いたしますと、
地方
の歳入というのはさまざまな要因によって違ってまいります。そのうち、高齢化要因とか産業構造の違いによる税収格差というのは
自治体
の
責任
ではありませんので、そこについては
人口
一人当たりの歳入をならすという
仕組み
が必要ではないかというのが
人口
です。ただ、これまた先生がおっしゃいましたように、
行政
コストというのはやはり地理的な
状況
によっても違ってまいります。そこで、その
行政
コストをならす
一つ
の方法として
面積
というものを持ってきております。 離島の例が出ましたけれども、やはりここは真に対応を要するところとして別途の対応を考えなくてはいけない。それはこれからの
制度設計
の中で
議論
していかなくてはならないというふうに思います。 したがいまして、
自治体
間の
財政力
の格差を調整するという機能をむしろ強めていくというのが
交付税改革
の
方向
です。
西村智奈美
85
○西村(智)
委員
これは、私も
中間取りまとめ
だとか読みながら思ったことでありますし、そして今、
大田参考人
のお答えを聞きながら思ったことでもあるんですけれども、それだったら今までの
交付税
制度
とどこがどういうふうに変わるのだろうかというのは、率直に言って素朴な疑問なんです。 どうしても配慮を要する
自治体
に対しては配慮していく。今それはどういう
自治体
になるんですかとお尋ねしたら、それもこれからの検討ですということですし、そうしたら、逆に言えば何にもまだ決まっていないということでもあるわけですね。そういう真に配慮が必要な
自治体
というところの
基準
が仮に緩くなったときには、これまた
財政
規律
の緩みというものにもつながりかねないわけですから、結局同じことになるおそれがあるんだろうと思うんですね。 ですので、これはそういうことになるのかどうかも含めて、私たち国民もしっかりと
議論
に目を向けさせていただきたいと思うんです。
ビジョン
懇の議事録、これは
竹中大臣
が設置している私的
懇談会
なるものに共通しているんですけれども、議事録が完全には公開されていないわけなんです。議事要旨という形だけになっておりまして、これだけの大
改革
、本当に大きな
改革
だと思います。これはぜひ公開をしていただきたいと思いますが、
座長
のお取り計らいについて伺います。
大田弘子
86
○
大田参考人
公開の
方向
につきましては、随分私も悩みました。一方で、自由な
議論
をしたいということもありまして公開しておりませんけれども、そのかわりに、終わりましてから記者にはなるべく詳細な御
報告
をしておりますし、それから
資料
は全部公開しております。 今、議事要旨だけですけれども、議事録もしっかりといずれ公開していくことが必要と考えております。
西村智奈美
87
○西村(智)
委員
いずれというのはいつでしょうか。 そしてまた、
新型交付税
のシミュレーション、
面積
と
人口
でこのくらいの
比率
にしたらこれだけになりますというシミュレーションを、やはり
提案
をしている以上はきちんとやって、それをしっかりと出す、それで、
全国
的な、国民的な
議論
、
自治体
の
関係
者の皆さんを巻き込んでの
議論
にしていくべきだというふうに思いますけれども、その議事録の公開はいつになるんでしょうか。
大田弘子
88
○
大田参考人
議事録の公開は早くやるべきだと考えております。 それから、シミュレーションですけれども、おっしゃるように当然必要ですので、
制度設計
をしっかりとしていく中で、あわせてシミュレーションをやっていくべきだと考えております。
西村智奈美
89
○西村(智)
委員
新型交付税
は、
竹中大臣
が経済
財政
諮問
会議
に
提出
した
資料
ですと、十九年度予算から導入をしたいということになっております。十九年度から導入と書いてあります。そのほかに、
再生型破綻法制
も今秋までに
制度
の概要を作成して公表する、不
交付団体
の拡大についても十九年度予算においてやる、
地方債
の自由化についても初年度にふさわしい措置をする、こういうふうに書いてあるわけです。 これは、本来やはり新しい
分権
の一括法と一体でやっていかないと絶対にうまくいかないと私は思います。絶対にという
言葉
は余り使いたくありませんけれども、やはり
分権一括法
とセットで、あるいはそれが先行する形で、先ほど
福田
委員
が言われた仕事の仕分けの話もそうです。現場の人たちがきちんと入って、
自治事務
の中にも、
自治事務
でなくて法定受託事務に切りかえていいものも恐らく出てくるんだろうと思いますし、そういったことも含めて、これは、この
分権改革
工程表でいくと、恐らく
自治体
にとってはかなりのハードランディングになるんだろう。そうなったら一体だれが
責任
をとるのかということは、本当に背筋の寒くなる思いがいたします。
分権一括法
の時期について伺いたいと思います。
分権改革
工程表では、「中期 三年程度で実現」という項目に、二年程度で結論を出して三年以内に
提出
と書いてありますけれども、一番最近の
ビジョン
懇の議事要旨を見ますと三年ではできないという
意見
も出ているんですね。 どうですか、この時期、このタイミングについて。
大田弘子
90
○
大田参考人
そのような
議論
も出ましたが、一方で、その道筋をつけていく、
分権一括法
ですべてを決めるのではなくて、
分権一括法
は
自治事務
を条例で決める枠組みをつくっていくという
法律
ですので、それはそれで決めて、なるべくその
方向
に進めていくということが必要だという
議論
も出ております。 前、
分権一括法
を決めたときの
議論
が四年間です。新
分権一括法
も、そのときよりは
地方分権
も成熟してきておりますので、できれば三年ということを考えております。
西村智奈美
91
○西村(智)
委員
時間ですので終わります。ありがとうございました。
中谷元
92
○
中谷委員長
次に、
吉井英勝
君。
吉井英勝
93
○
吉井
委員
日本共産党の
吉井英勝
でございます。 きょうは、二人の
参考人
の方には、大変お忙しいところありがとうございます。 私、最初に
大田参考人
に伺っておきたいと思うんです。 もともと、国と
地方
の仕事量と
税源
、これは、よく言われておりますように、
比率
でいうと二対三で、三の方が
地方
の仕事量で、普通でしたらその仕事量に見合う
税源
があって当たり前の話なんですが、実際は、
税源
の方は、税収の方は国の方がうんと多いわけです。ですから、その中には言ってみれば
地方
にかわって国が集めた税金と見るべきものがありますから、
一定
割合を
地方交付税
として
地方
にお渡しする。そういうことですが、今回の三位一体
改革
と言われているものでは、補助
負担金
を削ったものの方がうんと多いわけですが、とにもかくにも三兆円の
税源移譲
をした、しかし、
地方交付税
の方は、先ほども
石井参考人
の方からも
お話
がありましたように、五兆一千億円ばっさり削られてしまっている。 そうすると、もともと国が集めて
一定
割合で渡すべきものなんですが、それも削られ、必ずしも補助
負担金
を削ったものに見合うほどは
税源移譲
となっていないということになりますと、これはだれが考えてみても
地方自治体
の方は大変なんですよね。 二十一世紀
ビジョン
懇ということで二十一世紀の
ビジョン
を出していただくわけですから、そうすると、やはりどういう
税源移譲
をやっていくのかということについて具体的な
内容
を考えなかったら
ビジョン
が出てこないわけですね。ですから、何をどういうふうに
税源移譲
していこうと考えてこられたのか、これを最初に伺いたいと思います。
大田弘子
94
○
大田参考人
税源配分
の
見直し
というのは非常に大きい
議論
になってまいりますので、ここに本格的に取り組むべきだ、
税源配分
を考えることが
基本
だという
議論
は出ておりますけれども、わずか半年の間に、どういう
税源配分
がいいのかという
議論
は、中ではできておりません。御了解いただきたいと思います。
吉井英勝
95
○
吉井
委員
大体、
地方自治体
に
権限
と税
財源
を移すという
議論
というのは、一九七六年ごろの
地方自治体
の
財政
危機の時代、そのころから、特にその当時、大都市部は大都市部として、大都市税
財源
をどのように拡充するかということで随分
議論
をやっていたわけで、三十年かかって
議論
してきてもなかなか進んでおりません。もちろん、大都市部だけじゃなしに、いわゆる過疎が進んできたところとか、その地域の地域経済をどうきちんとしていくのかとか、
地方
でも経済もうまくいくようにして、税収も上がって何とかやっていけるような、そういうことをどうするのかということは、これは三十年来考えられて、検討されてきて、なかなか簡単にはいかない話ですから、それは私も、半年ぐらいいろいろお考えになってうまい知恵が出ないのは当たり前かとは思います。 しかし、いろいろ
議論
されて二十一世紀
ビジョン
だということを言っておられるんですが、次に伺っておきたいのは、
プライマリーバランス
ということが
議論
されておりましたが、それを考えるんだったら、やはり、九〇年代からの
地方
財政
の中で、どういう理由で借金がふえてきたのか、どう是正するのか。それは、もちろんそのときの
地方
にも
責任
があるわけですが、
地方
だけが
自己責任
を求められるものなのか。そこのところをきちんとしておかないと、
地方
の
自己決定
だ、
自己責任
だという
議論
だけは今どんどん出てくるわけですけれども、しかし、それだけで、借金がたまったのはおまえたちの
責任
だとやられたら、これは
地方
は大変なことであって、だから、この間の借金がどう出てきたか、これをどうきちんと見るのかということ。 あわせて、これからの
プライマリーバランス
ということを言うからには、今、国から
地方
へ
税源移譲
を求める流れがある中で、それに対して、一方では、国の
歳出
削減
を重視するところから、
地方
の
プライマリーバランス
目標論とでもいうべきものを掲げて
交付税
削減
が進む、しかし
税源移譲
の求めについてはブレーキがかかっていくようなことになると、過去の問題も大変だけれどもこれからの問題も大変。そこに
プライマリーバランス
という
言葉
だけが動いてくると、なかなか
ビジョン
も展望も出てこないと思うんですが、この点はどういうふうに
議論
されたんでしょうか。
大田弘子
96
○
大田参考人
御指摘のように、九〇年代に
地方債
が増額しましたのは、景気対策のための公共投資あるいは減税の影響がもちろんございます。新しい
制度
を導入するにしましても、
地方債
の中の、これまで出された旧勘定、これから出されるものは区分して、旧勘定については今までどおりの対応が必要だと考えております。 それから、プライマリー収支につきましては、この
ビジョン懇談会
では、主に
制度
の中身について
議論
しておりましたので、規模についてはこれまで
議論
しておりません。半年間という限られた時間でございますので、御了解いただきたいと思います。 ただ、御指摘のように、
税源
、
補助金
、それから
交付税
、やはりここは三位一体で
改革
していくというのが
基本
だと考えております。
吉井英勝
97
○
吉井
委員
三位一体という
言葉
はあったんですが、結果的に
地方
が随分、
財源
が圧縮されてしまった、これは今非常に
地方
が苦しんでいる問題なんですね。ですから、これからも、
補助金
とか
税源
とか
交付税
、その三つの
言葉
はあるんだけれども、そこをきちんとしなかったら、なかなか
地方
にとって
ビジョン
は出てこないということをやはり言わなきゃいけないんじゃないかと思うんです。 次に、今後三年程度で
人口
二十万以上の
自治体
の半分が不
交付団体
に、十年後までに
人口
十万人以上の
自治体
の半分が不
交付団体
にということで
議論
されておりますが、不
交付団体
化し、そして
地方債
の
発行
を自由化する、一方で
再生型破綻法制
、こういうふうになっていきますと、
財源
保障がなくなってきて、
破綻
が嫌だったら
地方債
の
発行
、借金もしなさんなよということになってきたときに、
地方
住民
の暮らしや
地方
経済をどのように発展させるかということについて、そこのところをよほどよく、きちんと
議論
し展望を出しておかないと、
財源
を削られて、借金は自由なんだけれども実質的には後には
破綻
法制が待っていますよということになってくると、本当に、簡単に
地方債
を起こして事業をやるということもできなくなる。これは
地方
経済にとっても大きなマイナスの要因になる場合もあり得るわけですから、そこのところはどのように検討されたんでしょうか。
大田弘子
98
○
大田参考人
財源
を削るという
議論
をしているわけではありません。今は国が
歳出
の大
部分
を決めてしまっている、この
部分
を減らしていって、そのかわり、
歳出
については、どう使うかは
地方
が決められるような
仕組み
が
地方分権
として望ましいのではないかという
議論
をしております。総額を減らすという
議論
ではございません。 それから、
破綻
につきましても、
破綻
せよという
議論
ではございません。これは再々申し上げておりますように、少なくとも今の
仕組み
では
責任
や
ルール
が明確になっていないので、そこはしっかりと
見直し
ていく必要があるという
議論
をしております。 それから、
地方債
につきましても、現在はやはり借りやすく貸しやすいというような側面がありますので、ある程度
規律
を働かせていくということも必要なのではないかと考えております。
吉井英勝
99
○
吉井
委員
起債
発行
については、別に
地方
が今自由にできているわけじゃありませんから、これはちゃんと国の方がぐっと握っているわけですよ。 次に、
新型交付税
について伺っておきたいんですが、この
新型交付税
というのは、
財源調整機能
も
財源保障機能
も、この機能は両方とも持たせておくというものなのか、この機能は両方ともなくしてしまうというものなのか、これを伺います。
大田弘子
100
○
大田参考人
財源保障機能
は、国が使い道を決めて、その
財源
を保障するというものですから、ここは国の
基準
づけがある限りは残っていくものです。
基準
づけがない
部分
については、国が使い道を決めるわけではありませんので、
財政調整
の機能を強めていこうということでございます。 この
財源
保障につきましては、全部なくすればいいという話でもなく、やはりそこには国の役割、
地方
の役割というものがございますので、それは新
分権一括法
の中で国と
地方
の
権限
と
責任
を
議論
していくということでございます。
吉井英勝
101
○
吉井
委員
もう一遍、ちょっと重ねて伺っておきます。
地方交付税
というのは、
地方自治体
間のばらつきを調整する
財源調整機能
とともに、しかし、もともと、国の方が先に税収を、
地方
にかわってという
表現
をする場合もありますけれども、集めて、それを
配分
するわけですから、そこにはきちんと
財源
を保障するという機能があるんですね。ですから、今の
新型交付税
というのは、この両方の機能はきちんと持つということを前提としたものなのかどうか。これは一言で結構ですから伺っておきます。
大田弘子
102
○
大田参考人
これまでは国が使い道を決めるという形で保障してきた。
新型交付税
の場合は、
一定
の歳入まではしっかりと保障しましょうという
財政調整
の機能が強いということです。したがいまして、
基準財政需要
の中に、
財源
保障が従来どおりある
部分
と、それから
配分
を新しく変える形のものが併存するというイメージでございます。
吉井英勝
103
○
吉井
委員
地方交付税
というのは
地方
の固有
財源
で、これは一般
財源
なんですよね。国が
交付税
の使い道を全部決めるというものじゃないんですよ。それを今までは国が決めておったから、それを何か変えるような話になってくると、これは全くおかしい
議論
だと思います。 次に、時間が少なくなってまいりましたが、
石井参考人
に伺いたいと思うんです。 国家的施策として
実施
されながら、すべてを国費で賄うんじゃなくて、
地方
公共
団体
に対して個別に
財政負担
を課している国
直轄事業
の
負担金
、こういうものがいまだに残っていますが、さらに維持管理費さえ
地方
公共
団体
に
負担
させる、こういうものがあります。 やはり国
直轄事業
は国で行うべきもので、こういう異常な
制度
は、
分権
構想がどうあろうがなかろうが、
分権
構想の検討以前にここはきちんと解決すべき課題ではないかと思いますし、また、そういうものは幾つもあると思うんです。それをやはり今まずきちっと整理して実現するということが大事だと思っているんですが、いかがでしょうか。
石井正弘
104
○
石井参考人
国
直轄事業
の
負担金
の
廃止
問題は、
地方分権
の一括法制定、こういった問題の以前から、我々としては、これは
改善
されるべきであるということを主張してきているわけでございます。今日に至るまで残念ながら何ら、検討された、そういう経緯も承っておりません。 我々といたしましては、国の方で計画をつくり、国の方が
地方
の区域において行う
直轄事業
、確かにいろいろな事前の
協議
等はございますけれども、
基本
的には国が主体的に事業を行っておられます。だとしますと、これは国の方が
責任
を持って、国家的見地からやられる
政策
でございますから、国の方でそれは全額
負担
をされるべき。また、我々は一方で、国庫補助事業は、先ほど申し上げましたとおり、真に国に必要だと思われる
負担金
を除きまして、我々
地方
に全部
税源移譲
して、
補助金
制度
は
廃止
していただくべきだ。このセットでこの
議論
は進めていただくべきではないか、このように思っております。
吉井英勝
105
○
吉井
委員
時間が参りましたので、終わります。 どうもありがとうございました。
中谷元
106
○
中谷委員長
次に、重野安正君。
重野安正
107
○重野
委員
大田
、
石井
両
参考人
におかれましては、大変お忙しい中、わざわざ時間を割いて本
委員会
に御
出席
をいただきました。まず、心から厚く御礼申し上げます。 時間も限られておりますので、簡潔に申していきたいと思います。また、質問も
最後
になりますと重複する
部分
が多々あるかもしれませんけれども、お許しいただきたいと思います。 まず、
大田参考人
に質問いたします。
参考人
、先ほどから
議論
となっておりますいわゆる
ビジョン懇談会
、この
中間取りまとめ
が行われました。現在、最終
報告
の取りまとめ中と伺っております。たくさん項目がございますが、その中で、私は、
税源配分
とそれから
交付税改革
、この二つの論点が最も重要なものと受けとめております。 そこでまず、
新型交付税
なるものについて質問いたしますが、
竹中総務大臣
も、経済
財政
諮問
会議
提出
の「
地方
財政
改革
について」、その中でもこの
新型交付税
の問題に触れられておりますが、この
新型交付税
の中で、
人口
と
面積
を
基準
として
配分
、こういう文言がございます。まず、なぜこの二つの要素が
配分
基準
となるのかという点についてお伺いいたします。
大田弘子
108
○
大田参考人
ありがとうございます。
人口
・
面積
基準
ですが、
地方
の歳入はいろいろな要因によって変わってまいりますけれども、産業構造が違うとか、あるいは
人口
構成、高齢者が多いとか少ないという
部分
によって違ってきます税収格差というのは
地方
の
責任
ではございませんので、これはならしていく必要があるだろう。そこで、
人口
一人当たりの歳入をならしていくという
仕組み
で産業構造や
人口
構成の違いを調整していこうというところで、
人口
という
基準
が出てきております。 ただ、同じ
人口
でありましても、
行政
コストが変わってまいります。今度は
歳出
の方ですね、
歳出
の方で
行政
コストが変わってまいります。
行政
コストを一番左右しておりますのが、これまでの分析では
面積
ということが出てきておりますので、
人口
に加えて
面積
という要因を加えているというのがこの趣旨でございます。 現在の
交付税
の
配分
でも、
人口
と
面積
の要因でかなり説明できるという分析もございますので、現実からかなり外れているということはないと考えております。
重野安正
109
○重野
委員
人口
と
面積
ということでやった場合に、多分この
委員会
の中でもいろいろなシミュレーションをやっていると思うんですが、どういう姿が出てまいりますか。今、
大田参考人
の言う
人口
と
面積
というふうな視点でやったときに、その結果はどういうものが出てくるんですか。
大田弘子
110
○
大田参考人
人口
と
面積
がどれぐらいの
比率
がいいのか、あるいはその
行政
コストを見るときに本当に
面積
がいいのかということは、これからの具体の
制度設計
の中で詳しくシミュレーションをしていかなくてはならないと考えております。 それから、十分な移行措置も必要であると考えます。
重野安正
111
○重野
委員
懇談会
の中でこういう
議論
をするときに、
大田参考人
、日本の国土の風景、そういうものは頭の中にイメージされたと思いますね。少ない
人口
で広大な
面積
を守っている、そういう地域が、私たちのように
地方
にはたくさんあるわけです。東京とか神奈川とか、そういう
人口
が密集している地域とは違った原風景というものがこの国にはあります。そういう風景というものは、こういう
議論
の中でどういうふうなイメージとして
議論
されたんですか。
大田弘子
112
○
大田参考人
私も、鹿児島から来ておりますので、
地方
の原風景というものはもちろん常に意識しております。
懇談会
の中で出た
議論
としましては、これから
人口
が減っていく、そうしますとますます厳しくなるのではないか。どうすればいいのかというのは非常に苦しい選択だと思います。これから厳しくなっていく中で、
人口
がどんどん減り、過疎もふえるかもしれない中で、どこまで国から移転すればいいのかというのは非常に苦しい選択だと思います。 その中で、やはり一番苦しんでおられるそれぞれの
自治体
が予見可能性を持って
財政運営
できるようにするということが重要である。そのためには、やはり
配分
基準
もなるべく簡便なものにして、先を見通せる
状態
にして
行財政運営
をやっていただくというのがいいのではないかという
議論
が出ております。
重野安正
113
○重野
委員
それでは、ちょっと視点を変えまして、この
交付税
論議のときに一番大事なことは、その地域の
財政
需要をいかに的確に把握するかということがあると思います。
地方
財政
の調整機能を果たす
地方交付税
、これは、先ほども指摘しているように、
地方
にとっては決定的に重要な要素であることは私が言うまでもありません。 そこで、今、
市町村合併
が進んでおります。新しい合併によって誕生する
自治体
は、
人口
がふえる割合以上にその
自治体
が守らなければならない地域の
面積
が大きくなっていく、これはもう御承知のとおりであります。そのときに、
人口
と
面積
を
基準
として
配分
するというこの書きぶりは、今、
自治体
再編の真っただ中にあるというその流れの中で、そういう現実を見詰めた上でこういうふうなことになったのかどうか。それから、
基準
としてという文言が入っておりますが、これはどういう意味を持つのかということが
一つ
ですね。 それから、そういうふうな二つの
基準
を示した、先ほども触れましたけれども、どういうシミュレーション、幾通りのシミュレーションが描かれたのかという点について、そのシミュレーションの結果として今、
人口
と
面積
というふうに固定した概念が示されているけれども、それに行き着くときにどういうイメージがそのシミュレーションの中にあらわれてきたのかという点についても、ひとつお聞かせください。
大田弘子
114
○
大田参考人
まず、合併が進み、それから
地方
の中でも
人口
が減っていくということは十分に認識しております。これまでのように、国が割と高いレベルを全部保障していけるんだろうか、
人口
が減っていく中で、
財政
余力が乏しくなる中で果たしてできるのだろうかという
議論
も十分にしております。 それから、
人口
と
面積
というのは
配分
のあり方です。
基準
といいますのは
配分
するときの
基準
、それを
基本
として
配分
を考えるという意味でございます。これが二番目の御質問に対するお答えです。 それから三番目ですけれども、まだ
中間報告
の段階では、「誰でもわかる簡便な
算定基準
に順次変えていく」ということを書いてございます。 そして、
人口
、
面積
というのは今
議論
していることです。その中でも、恐らく
懇談会
の中では、
人口
の
比率
がどれぐらい、
面積
の
比率
がどれぐらい、あるいは本当に
面積
でいいのかという
議論
はやる時間がないと思います。これは、具体的な
制度設計
の中で、シミュレーションをたくさんやりながら
制度
をつくっていくということが必要であると思っております。
重野安正
115
○重野
委員
聞いているとだんだん不安になってくるんですけれどもね。 今、具体的なシミュレーションはないと申されました。しかし、今、私も先ほどから触れているように、
人口
は少ないけれども、その
自治体
の
面積
は、その地域の
人口
の十倍、二十倍ある大都会の
面積
の十倍ぐらいある、こういう現実があるときに、そういう現実が、今あなたの言うように
人口
と
面積
議論
の中でどういうふうに
議論
されているのかということを私知りたいんですね。
大田弘子
116
○
大田参考人
人口
の趣旨につきましては先ほど申し上げたとおりでございますが、同じ
人口
でも、おっしゃるように地理的条件によって
行政
コストが変わってくる。 そして、そのときに、
行政
コストを一番的確に、一番近い形で反映するのは何か。これは、内々幾つかのシミュレーションはやりながら考えております。それは、今までの分析では
面積
であるというのが出てきております。これの効果は、具体的に
制度設計
をしっかりする中で、さらにシミュレーションを、正確なものをやって考えていく必要があると思っております。
重野安正
117
○重野
委員
シミュレーションをやっているということですので、そのやっている
資料
をぜひ出していただきたい。要請しておきます。
大田弘子
118
○
大田参考人
シミュレーションは、あくまで私がどれが一番近いのかというのを考えながら見たものもございますし、外部の学者グループがやった分析もございます。その学者グループのやった分析は既に公開されております。
重野安正
119
○重野
委員
いや、
懇談会
でやったのを出してくださいと私は言っているんです。人がやったものをあなた出せと言っているんじゃないんです。
大田弘子
120
○
大田参考人
懇談会
ではやっておりません。
重野安正
121
○重野
委員
わかりました。
懇談会
ではそういう具体的なシミュレーションをやっていない、だけれどもこういう結論じみた話になる。ちょっと私は疑問を感じます。
最後
に、
石井参考人
にお伺いいたします。
地方
六
団体
のいわゆる七つの
提言
と工程表、大変興味深く読ませていただきました。この貴重な
提言
をいかに実現していくか。そのために、
提言
にある
地方行財政会議
のような
協議
機関を
政府
との間にいかに法定化するか、これが第一段階、重要だと私は思います。もちろん、我々も国
会議
員として真剣にかかわっていかなければならぬと思いますが、まず、今後の具体的展望について率直な御
意見
を伺いたい。 それから、この七つの
提言
と工程表は
税源移譲
について具体的
提言
を行っているという点についても、私は敬意を表したいと思います。ただ、この
部分
は
ビジョン懇談会
とは若干違いがあるというふうに私は理解をいたしますが、この
税源移譲
の
内容
について、これは本当に重要な課題でもありますし、この
内容
と
ビジョン
懇の一連の
考え方
や
改革
内容
等について、
石井参考人
としての御
意見
があればお聞かせいただきたい。
石井正弘
122
○
石井参考人
新
地方分権構想検討委員会
の
中間報告
につきましては、我々
地方
側から見まして、目指すべき
地方財政自立
に向けての大変有意義な
提言
になっておりますので、早急に我々
地方
六
団体
で共通の
意見
ということでこの
提言
に沿ってまとめまして、そして、その実現に向けての
地方
団体
一丸となっての
取り組み
をこれから進めていこうというふうに思っております。
税源移譲
につきましては、我々が目指しております、今の四対六から一対一に持っていくというその
方向
について、偏在性がより少ないもの、
地方
消費税あるいは個人
住民
税所得割といったような具体的な
内容
が提示されておるということも、大変我々のこれから
議論
を進めていく
方向
に沿ったもの、このように前向きに受けとめをさせていただいております。
ビジョン
懇との
関係
でございますが、
ビジョン
懇の示しておられます今回のさまざまな
提言
の
内容
につきましては、我々が
地方分権
推進
のために目指しております
方向性
と
基本
的には一致しておりますけれども、幾つかの点におきまして、やや我々といたしましても懸念せざるを得ないような
内容
も含まれておりますので、ぜひとも、これから最終的な取りまとめとかあるいは工程表ということをお決めになる際におかれましては、
地方
の実情を十分に把握されまして、我々の
意見
をまさにこの
内容
に反映させていただきたい、強くそのことを希望いたしているものでございます。
重野安正
123
○重野
委員
貴重な御
意見
、ありがとうございました。 終わります。
中谷元
124
○
中谷委員長
これにて
参考人
に対する
質疑
は終了いたしました。 この際、
参考人
各位に一言御礼を申し上げます。
参考人
の皆様におかれましては、本日、大変貴重な御
意見
をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。
委員会
としても、大変参考になった次第でございます。衆議院総務
委員会
を代表させていただきまして、厚く御礼を申し上げます。どうもありがとうございました。(
拍手
) 次回は、来る三十日火曜日午前九時二十分
理事
会、午前九時三十分
委員会
を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午前十一時四十六分散会