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谷口(隆)
委員 おはようございます。公明党の
谷口隆義でございます。
きょうは、
金融商品取引法の審議ということであります。
まず初めに、
会社法の
改正のところを申し上げたいと思いますが、御存じのとおり、この五月一日から
会社法が
改正をされたわけであります。この
会社法というのは
企業社会の基本法とも言われるべきもので、大変
企業社会にとっては
影響の大きいものであります。
そんなこともありまして、私ども公明党は、この
会社法の審議に入る前の
法制審議会に提言を出しておりまして、この提言の
内容をごく簡単に申し上げますと、一つは、従来の商法の理念、例えば債権者
保護だとか
株主平等の原則であるとか、商法の持っておる非常に重要な理念を大きく逸脱するようなことのないようにしてもらいたいということと、あとは、中小
企業に十分配慮した対応をお願いしたいということと、あとは、ガバナンスの
観点から十分配慮されたものであるように、あとは、
企業買収の問題であります。
今回、一年繰り延べられたわけでありますけれども、
合併のときの対価の
柔軟化というのがあるわけでありますけれども、これは、従来であれば、
合併をいたしますと、被
合併会社の
株主に対しまして
合併会社の株を交付するというのが
一般的でありましたが、今回、この
改正がありまして、被
合併会社の
株主に現金で交付する場合もできますし、また、親
会社の
株式で交付する場合もできるというような形で、いわばMアンドAが非常にやりやすくなったわけであります。それは
組織再編という
観点で一歩進んだと言えるわけでありますが、一方で、
企業を中心にして考えますと、後で申し上げますが、阪神電鉄をめぐる問題等、今出てきておりますが、やはり
企業の防衛策も十分に
検討していく必要があるだろうというような、この
企業の防衛策も
検討してもらいたい。
あとは、従来の
企業観。従来の
企業観と申しますのは、
我が国の
一般的な
企業の考え方というのは、これはいろいろ持っていらっしゃるんだろうと思いますが、
会社というものは
株主のものだけではなくて、従業員、また地域社会、また債権者、このような周りの利害関係者も一体となった社会的実在としての
企業という考え方があったわけであります。それを、
株主至上主義といいますか、
株主がイエスと言えば何でもできるというようなところの考え方、
企業観に持っていくということについては若干問題がある、このように申し上げたわけでありますけれども、このような
会社法が、先ほど申し上げましたように、五月の一日から
施行されたわけであります。
それで、私申し上げました商法と、今回審議されておりますこの証券
取引法、今回は
金融商品取引法といいますが、これの違いについて、まず初めに申し上げたいと思うわけであります。
商法は、先ほど申し上げましたように、
取引の安定を図るという
観点で、債権者
保護の立場に立っておるわけであります。淵源は、これはドイツ法を中心にして、大陸法を淵源といたしております。一方で、証券
取引法は、アメリカ法を中心にして、これは
投資家保護の立場の
法律であります。債権者
保護と、また
投資家保護との間の違いが従来から言われておったわけであります。
今申し上げました
会社法の審議の
状況を見ておりまして、既にでき上がって今もう
施行されておるわけでありますけれども、やはり
企業価値を高めることはいいことなんだということでございます。ですから、いわばこの証券
取引法に近づいていくというんですか、
株主を中心とした
企業社会のありよう、より一層そういう考え方が浸透してきた
法律になっておるということについては、若干の危惧をいたしておるところがあるということを、まず申し上げたいわけであります。
それで、先ほど申し上げました阪神電鉄、村上氏を中心とする
村上ファンドが大量の株を取得して、五月の初めに、取締役の過半を交代せよという提案をしておるようであります。その
状況、マスコミの報道によりますと、労働組合もこれに対しては反対だということのようでありまして、社会全般的に見て、やはり違和感があるというようなことであるんだろうと思うわけであります。
先ほど申し上げました
企業観、
企業は一体だれのものなのかということを
会社法の審議のときにいろいろやりとりをいたしたわけでありますが、やはり
株主だけが
企業の方向を決めるということではなくて、あらゆる利害関係者が一体となった
企業、こういう考え方がむしろ
日本社会の中では好ましいのではないか、私はこのように思っておりますが、
大臣お着きになりましたので、まず初めに、
大臣の持っていらっしゃる
企業観についてお伺いいたしたいと思います。