○
佐藤(ゆ)
委員 やはり広告
規制の中で
リスク表示がどれだけ徹底されるかというのは、
リスクが潜在的にどこまで
リスクと言えるかという非常にグレーな範囲もあることから、非常に難しい問題ではないかと思います。そうした中で、
一般投資家の
保護というのがなおざりにされてしまっては結果としていけないと思われるわけです。
そこで、
一つの例として、この配付資料の方をお手元に配付させていただきましたが、ごらんいただきたいと思います。
これは、実は最近の日経新聞に出ておりました円定期の預金の広告記事でございますけれども、「金利が上がる円定期!?」ということで、当初の三年間は金利が一・三五%、そして、次の三年間は一・四五%に上がります、そして、さらに次の四年間については一・七五%まで上がるというような
商品設計になっております。元本保証はされているわけでありまして、真ん中に「元本保証」と大きく書いてありますが、実は元本保証と書いてありますこの部分の右下の注釈のところをごらんいただきたいと思います。
まず、二重丸で書いてありますところが、「本預金には、当行の
判断により満期日を六年に繰り上げることができる特約が付いています。」と。これは最長十年の定期預金ですけれども、満期日を六年に繰り上げることができる特約がついているというわけです。そして、さらにその下に括弧でくくってありますが、「中途解約はできません。」というふうに書いてあります。「当行が例外的に中途解約に応じる場合、利息は付されず違約金が発生し、お受取金額が元本を下回る可能性が非常に高くなります。」そして「また、解約日前に支払われた利息があった場合、解約時には当該利息分も差し引かれます。」というふうに注意書きが書いてあるわけでございます。
実際のところ、ここの
情報では、まず、元本が保証されているということ、これは極めて明確に出ていると思います。あと、繰り上げ償還の可能性についても記載されているとおりであります。そして、三つ目に、中途解約もできないということがはっきり明記されているわけであります。あとは、無理やり中途解約した場合には元本を下回る可能性もあるということが書いてあるわけです。
実は、私はこの
商品の設計を見て、
一つ記載されていない
リスクがあるのではないかと思うわけでございます。
といいますのは、これは、「元本保証」と書かれている上の三つのボックスがありまして、左側のボックスをごらんいただきたいんですが、「預入三年後、六年後に金利が上がります。」と書いてありまして、その六年後以降から一・七五%に上がるというような
商品設計になっているわけでありますが、実は、六年後の金利というのがどういう
状況になっているか、市中金利がどのような水準にあるかというのはまだわからないわけでございまして、場合によっては、定期金利での約束の一・七五%を
市場金利が下回っている場合もあれば、上回っている場合もあろうかと思われるわけであります。
万が一、この一・七五%を下回っている場合には、この定期預金を提供している銀行にとりまして、預金金利のいわゆるライアビリティーの金利の方が
市場の運用金利よりも高くなってしまうということで、銀行にとりましては、その結果、六年後に繰り上げ償還が可能というふうに
商品設計がされているわけであります。その一方で、仮に六年後の
市場金利が約束の定期金利の一・七五%を上回る場合になりますと、今度は、定期預金者が途中解約できないという条項がついているわけであります。したがいまして、
市場金利はそれ以上、例えば二%、二・五%まで上がった場合に、この定期預金者は一・七五%の固定金利で固定されてしまって身動きができない
状況になるというわけであります。要するに、将来の不確実性のある金利の
状況に対して、仮にこの一・七五%よりも六年後の金利が上がった場合でも、下がった場合でも、いずれの場合でもこれは銀行が勝つ
商品設計になっているわけであります。
そうしたことを踏まえまして、通常の
プロの
投資家の
方々であれば、金利が一・七五%に対して六年後にどちらに行くのか、こういった金利の
リスクについては慎重に
投資判断をするわけでありますけれども、普通の、いわゆる一般の預金者の
方々、
個人の
方々につきましては、六年後に仮に市中金利が一・七五%を上回っていた場合に、自分の定期預金金利が一・七五%でロックアウトされてしまっていて途中解約できない。そのことによる金利のいわゆる機会費用のロスにつきましては、現実問題として認識が薄い
方々もおられるのではないかと思うわけであります。
確かに、元本割れはしない、こういった明確な
リスクはないということは表記されているわけですけれども、固定金利についても実は潜在的に
リスクがあるということ、将来得うる
市場金利に対して割れる可能性がある。
そういった観点からいきますと、やはり、将来場合によってはこの一・七五%の金利を市中金利が上回る可能性があるけれども、中途解約できない、そこまで
説明した方が一般の
アマの定期預金者の
方々に対して非常に親切な
説明になるのではないかと思うわけでありますけれども、この
あたりの広告での固定金利で閉じ込められることの
リスクについての表記、これが何ら記載がないわけですけれども、
大臣の御所見をお伺いできればと思います。