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森参考人 富山市長でございます。おは
ようございます。
私の方も、今、
青森の
市長さんが
お話しでございました
ように、本市の
まちづくりの
基本的な考え方や、具体的に取り組んでおりますことを御披露させていただきまして、その
まちづくりを進めていく上からも、現在検討がなされております大型集客施設の
郊外立地を
規制という形で進めていくことが望ましいとの
立場から
意見を述べさせていただきます。
お
手元に配付をさせていただきました
資料を少し手がかりにしながら進めてまいります。
一ページ目に、
富山市の
都市特性として記載がございますが、私
どもも昨年四月に合併をして
市域が大きくなりましたが、合併以前から、既にこの旧
富山市は極めて車に特化した社会でございます。
資料にもあります
ように、旧
富山市のDID地区は年々広がっておりまして、しかし、
人口は横ばいであります。つまり、広く、薄く、拡散型の
まちづくりとして取り組んできたわけであります。その結果、DID地区の
人口密度は全国の
県庁所在地で最下位という
状況であります。
いろいろなことがございますが、この一因としては、やはり
商業施設がロードサイドに張りついたり、
郊外へ展開していった、あるいは
公共施設もみずから
郊外移転をしていったということな
ども含めて原因していると思いますが、いずれにしても、拡散型の
まちづくりをずっと続けてきたわけであります。
二ページに記載があります
ように、その結果、現在、自動車が自由に使えない人にとっては極めて
暮らしにくい町となっております。参考までに申し上げますと、小学校単位のエリアで野菜が買えないという
地域が
幾つも出てまいりました。つまり、八百屋さんではとてももう経営ができないということで、中小のスーパーさえ経営をやめていくという
状況であります。
また、
都市の管理に要する
行政コストが極めて高い。さらには、もちろんのことですが、
中心市街地の空洞化ということから活力が喪失している。今後さらに
人口が減少していくことを考えますと、低密度化が一層進むということも予想されます。何よりも、
高齢化がどんどん進むことによって、近い将来、交通弱者がどんと出現してくる、その時代をどう乗り切っていくのかということが大変重要だと思っております。あわせまして、
中心市街地が平面駐車場と空き家ばかりでございまして、投資対象としての魅力がありませんことから地価の下落も進んでいるということであります。
そういった問題を認識して、どう対処するかということに際しまして、今、
青森市さんの御披露もありましたが、一言で言いますと、コンパクトな
まちづくりを
実現したいと思っているわけであります。鉄軌道を初めとした
公共交通を
活性化させ、その電停や駅周辺に居住、
商業、業務、文化等の諸
機能を集積させることによって、
公共交通を軸とした拠点
集中型の町をつくってまいりたい、こう思っております。
先ほど
小林先生の
お話にもありましたが、さりとて、
郊外に居住している方を
中心市街地に誘導してくるというときに、無理やり引っ張ってくることはとても不可能だろう、こう思っております。しかしながら、少なくとも今まで続けてきた拡散型の
まちづくりということには歯どめをかけて、
中心部に住むことが
選択される
ような魅力を高めていく取り組み、そして同時に、
郊外に住んでいる方から見ても、
中心部への移動が容易だ、そういう移動手段の確保をすることが両方の柱として必要ではないか、この
ように思っております。
三ページ目以降に少し具体の取り組みを披露したいと思いますが、その取り組みのリーディングプロジェクトと位置づけておりますのが、現在
整備を進めております、JR
富山港線をJRさんから引き受けて、市が
中心となりました三セクで新たに路面電車化をしてLRTとして運行を開始し
ようとする取り組みであります。
四ページには具体の沿線な
ども書いてございますが、延長およそ八キロ程度の線ではございますけれ
ども、北陸新幹線の供用開始までの間、
富山駅の高架化事業が進みますので、
富山港線を廃止することによって高架化事業の工事の余裕スペースをつくろうということから、あえて廃止をしたところでありますが、二月末で廃線となりました。現在鋭意工事を進めておりまして、路上に新たに軌道を敷設するということを、工事はほぼ完成に近くなっておりますが、進めております。道路上に軌道敷設するというのは、
昭和三十九年以来国内でも四十数年ぶりということだそうですが、市民の応援もありまして、今順調に進んでおります。
具体的な電車のイメージその他は五ページに記載がございますが、全低床車両を二両一編成で七編成を導入いたしました。来る四月二十九日からいよいよ営業を開始する予定でございます。利用者をふやすために運行サービスの質を大いに改善いたしまして、日中一時間に一本ぐらいしか走っていなかったものを、ラッシュ時は十分、日中も十五分間隔に走らせるなど、いろいろな配慮をしたところでございます。
そして、六ページにあります
ように、この鉄軌道の沿線を
一つの
まちづくりの
区域と定めて、この中に住む人を集積するとか、
暮らしやすさの質を高めていくということなどを進めていきたい、こう思っている次第であります。
七ページですが、その際、非常に大きな
特徴は、まさに公設民営でこの事業をやろうとしていることであります。とかく鉄道事業あるいは軌道事業というのは、
民間が鉄道事業として取り組んでいる、そして、その中で収支が合うことが期待されているわけでありますけれ
ども、それではもうとても存立させることができませんので、あえて建設費や維持管理に要する費用は市が負担をする、そして、上下の上の部分、運行の営業だけは
民間会社が担うという形で、はっきりと公設民営の
方向性を市民に
説明し、市民の
理解も得ながら今進めております。おかげさまで、国を初め多くの関係機関の
方々の御協力をいただき、四月二十九日、開業予定でございます。
続きまして第二弾として、現在、JR高山本線も、これも日中二時間に一本ぐらいしか走っておりませんが、あえて高頻度運行の実験にこの秋から取り組もうといたしております。この費用も市が負担をいたしますが、そうすることによって、それぞれの駅周辺に住む方の
暮らしの
利便性というものを実感してもらうことができれば、そこに住むという
選択肢を大きなものとして対象としていただけるのではないか、こういうことなどを期待しております。
そして最終的には、
最後はちょっとポンチ絵で恥ずかしいのですが、八ページにありますが、実は
富山市は全国でも有数の恵まれた鉄軌道資源を持っております。そして、それがすべて
富山駅に結節するという好
条件も備えております。したがいまして、
富山駅から発着します市内に奇跡的に残ったこの路面電車を、もう少し延伸するなど質を高めて、先ほど言いましたLRTの
富山ライトレールもここに接続をし、市の
中心部に環状化したループとなった市電網をつくり、そのループにさまざまな
方向から鉄軌道が結節してくるという
まちづくりを完成させたいと思っております。
そうすることによって、
中心部に歩いて暮らせる
環境をまずつくり、そのためには、先ほど来各先生方の
お話もありましたが、
図書館などの
公共施設や
商業施設、そういったものを集積しなきゃならぬと思います。そして、
既存の
商業機能のブラッシュアップも図りながら、交通弱者がふえる、ひとり
暮らしの
高齢者がふえる
市域全体の中、どの
地域からもこの
中心部にアクセスしやすい
環境を同時につくっていくことによって、エリアとしてのコンパクトさのみならず、全体として、
機能としてのコンパクトな
まちづくり、これを
実現してまいりたい、こう思っております。
現在御議論のあります本
法律案につきましては、私
どもが考えております、今申し上げた
まちづくりにつきましても大変有用である、この
ように思っております。一万平米を超える大
規模店舗などの特定大
規模建築物の
立地を
都市計画によってコントロールする、そして、それを強化することが本法案の
中心となっておると思っております。
今言いました
まちづくりを進める上で、
大型店の
郊外立地は極めて深刻な悪
影響を及ぼすと認識いたしております。
町中に魅力のある
商業施設をつくることも重要でありまして、そのためにも効果すると思っております。現在、本市の隣接市町村に極めて大きな
影響を及ぼす可能性のある大
規模ショッピングセンター
立地の動きな
どもありますことから、都道府県が広域的な観点から調整を行う仕組みを取り入れていることも本市にとっては大変ありがたいことだ、この
ように評価をいたしております。
人口減少という大きなターニングポイントの中で思い切った
まちづくりの
方向性の転換というのが求められていると思っておりますので、この観点からもよろしくお取り組みをお願いしたい、こう思う次第であります。また、国におかれては、具体的な運用が円滑に進みます
ように、関連する政令、省令、運用指針な
どもお示しをいただくとありがたいと思っております。
以上でございます。(
拍手)