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大串委員 民主党の
大串博志でございます。
きょうは、短い時間ではございますけれども、これまで
行革推進法案、この
委員会で多々
議論してまいりました。その
議論の
内容を振り返る形で、総括
質疑でございますので、この
行革推進法案の
内容の問題点、そして足りないところ等々について明らかにしていきたいというふうに思います。
先般来、この
行革推進法案に関する
議論が続いておりまして、この中で、
政府の方からは、この
行革推進法案、これがベストな
法案だ、もちろんそうやって胸を張る発言をいただいております。これによって簡素で効率的な
政府が実現できるんだと胸を張った
意見が出てきておりますけれども、果たしてこの
行革推進法案、本当にこれで実効性のある
行政改革、簡素で効率的で、かつ、
国民の
皆さんのためになる
行政改革が達成できるのかという点についての疑問が、これまでの
議論の中で呈せられ、それに関する
議論がいろいろ起きてきたわけでございます。これを少し振り返ってみたいと思います。
資料を
委員長の御
理解を得て配らせていただいておりますけれども、この
行革法案の中にいろいろな
目標が書かれております。この
目標に沿ってこの
行革推進法案が実行されていくわけでございます。
ここにありますように、
政策金融改革においては、貸付金残高の
GDP比二分の一以下、あるいは
特別会計改革においては、二分の一から三分の一
程度に数を減少する、
財政健全化として二十兆円
程度寄与、あるいは総
人件費改革においては、
GDP比二分の一に近づける、
公務員総数五%以上純減というようなことがありました。
これについてもるる
議論をしてまいりましたけれども、例えば、本当にこれが実効性があるのかという観点から、けさほども
議論がありましたけれども、
政策金融改革について言えば、確かに、
一つの
政策金融機関にまとめて、政投銀あるいは商工中金、これを
民営化することによって大きな
改革が進むわけでございますけれども、この貸付金残高二分の一ということに関しましては、政投銀及び商工中金が
民営化されることによって、あるいは公営公庫が
廃止されることによって、ほぼこれで達成できてしまう。残りの
一つ、でき上がる
政策金融機関について、これが本当に官のやるべきところだけをやり、民のやるべきところを民に渡して、効率化の実を上げながら適切にやっていくかというところが問題になるわけですけれども、答弁の中では、この具体的な
制度設計に関してはこれからという、やや心もとない思いがしたわけでございます。
そして、
特別会計改革でございますけれども、数に関して、これは私は非常に大きな問題だったと思いますけれども、二分の一から三分の一
程度に減少するということ。これも
議論の中で明らかになりましたけれども、統合という手法を用いて、三十一あるうちの十八は九つに減る。すなわち、十一の減に関しては統合の効果なんだ。すなわち、二分の一から三分の一に減る分については、かなりの部分が統合による結果なんだということが
議論の中で浮き彫りになってきておって、さらに、
一つ一つの
改革の中身を見てみると、
検討という文字が躍っている。そして、その
検討という文字の中には、期限が付されていない
検討もたくさんある。
二十兆円
程度の
財政健全化に寄与するということに関しましても、十三・八兆、ことしの予算において既に健全化を果たして、その後に関して言うと、比較的楽に達成できるのでないかという指摘もある。
そして、総
人件費改革、
GDP比二分の一に近づけるとありますけれども、これも、
郵政民営化の分あるいは
独立行政法人を
公務員型のものから非
公務員型にするというものも仮に加えれば、
GDP比二分の一にするという、この半減という
目標のうちのほぼ三割五分ぐらいは達成できるわけでございます。
もちろん、この
公務員総数を五%以上純減する、これは非常に高いハードルがあろうと思います。四苦八苦されております。六月に向けて大きな
方針を出されようとされていますけれども、その推移が見守られるところ、そういうふうな状況になっているわけでございます。
ですから、ここにありましたように、
行革推進法案のこの中身において、本当にこれでしっかりとした
内容がこの
法案だけで達成されるかというと、この
議論を通じて、
内容が詰まっていない、あるいはこれから
検討、あるいはその実態においてはまだ数字としてはっきり具体的でないというようなところもかなりあったわけでございます。
そして、これに加えて、私の目から見ると、
行革推進法案に、この
審議を通じて見ても、入るべきで入っていなかった面があると思います。
行革推進法案の忘れ物ということで、私ここに書かせていただきました。
議論の中で明らかになっております、
地方分権に関する視点の欠落、天下りそれから談合に関する視点の欠落、この二つ、非常に大きなものがあろうかと思っています。三番目に、
独立行政法人に対する留意不足。これも後ほど指摘させていただきますけれども、特に1、2、この点は、
行政改革というものを問うのであれば、極めて致命的な問題ではなかろうかというふうに私は思っているわけでございます。この
一つ一つに関して、時間のある限り
議論させていただければと思います。
まず、
地方分権の視点の欠落についてでございますけれども、資料の三ページを見ていただければと思います。
前回もこれはお示ししましたけれども、カナダにおける
行政改革を行ったときに、カナダの
政府が使った政策評価のガイドラインでございます。これは一国の例だというふうに思われるかもしれませんけれども、実はこれは、一九八〇年代から九〇年代に各国が行政評価を行うときに模範とした、極めて古典的な政策評価、
行政改革をする際の政策評価を行うときのガイドラインなんです。全世界とは言いませんけれども、先進国においてはこれは極めて重用されておりまして、日本においても行政評価法をつくるときにこの考え方は大きく寄与してきたわけでございます。
これを見ますと、
行政改革をするために政策評価する際には、まず公共性の基準を一番に見る。すなわち、これは公益に資するかという点を見てイエスかノーかを判断し、二番目に、
政府の役割の基準を見る、つまりそれを
政府がやる必要があるのかどうかというのを見る。そして三番目に、連邦
政府・州
政府の基準というもので、これを中央
政府でやるべきか、それとも
地方政府でやるべきかというのをチェックすると、三番目に出てきているわけです。
こういうふうに、
行政改革を行う上においては、三番目のチェックポイントとして、国でやるのか
地方でやるのかというのは必ず見なければならない。であるにもかかわらず、今般の
行政改革推進法案においては、
地方分権に関する視点、
地方分権を行うことによって
行政改革を行おうという視点が欠落しています。
この点に関して、
中馬大臣、
法案提出大臣として、なぜ
地方分権に関する考え方が盛り込まれなかったのか、御答弁いただきたいと思います。