○菊田
委員 私が
質問申し上げました何人が適当なのかということに対しては、や
はり予想どおりお答えをいただかなかったわけですけれども、これまでの
議論を聞いたり、あるいは本
会議での
質問を見させていただきましたけれども、決して
大臣もまた
厚生労働省も、医師は不足しているということをおっしゃらないわけです。
私は、今回の質疑をさせていただくに当たりまして、地域のいろんな現場の声を聞いてまいりました。地域にもたくさん、いろんな形の
医療現場があるわけです。
大学病院、小規模
病院、自治体
病院、あるいは診療所、開業医、さまざまあるわけですが、どこに行っても皆さんの共通した
感想は、医師は不足している、医師の手が足りない、そして非常に過酷な勤務
状況になっている、これを何とかしてもらいたいという声がどこに行っても共通の声でございました。
そして、昨今、いろんな新聞、マスコミ、あるいは雑誌等でも、ここにもお持ちいたしましたけれども、医師は過剰なのか不足なのか、医師は既に不足する時代に突入している、まさにことしは
医療崩壊元年ではないかということが特集で組まれるような
状況になっているわけでございます。
それでは、私の地元で起こっている問題について少し取り上げさせていただきながら、このことについてさらに
議論させていただきたいと思います。
皆様のお手元にも配らせていただきましたけれども、私の地元、新潟県で起こっている問題でございます。新聞記事をごらんいただきたいと思っておりますけれども、新潟県の阿賀野市に市立水原郷
病院というところがございますけれども、この
病院は
病床数三百二十一床でございます。そして、阿賀野市一帯の約五万人の健康を守ってきた
病院でございますけれども、この
病院で大変なことが起こりました。ことしの一月から四月までに常勤医二十六人のうち十一人が一斉に退職をするというニュースが飛び込んできたわけでございます。内科は八人いましたけれども、そのうち四人がやめる。消化器内科は二人からゼロになります。外科医は三人から二人に減る。あるいは整形外科も二人から一人に減るということでございます。
特徴的なことは、この阿賀野市にはほかに開業医がございません。休日当番医もありません。したがって、車で市外に行ける方はいいんです、三十分、四十分あるいは一時間をかけてよその町の
病院に行ける人はいいんですけれども、足の悪いお
年寄り、車のない高齢者にとって、ほかに行ける
病院はございません。一番身近に頼ってきた
病院でございます。
この
病院の実績なんですが、
平成十六年度の外来総数では約十八万七千人の患者さんが外来患者として通っております。
入院総数では約十万六千人ということですから、それはもう地域にとってはなくてはならない
病院だったわけでございます。
現在、このようなことになりまして、医師が大量退職するということで、やむなく業務も縮小になってしまいました。新たな医師の
確保もままなりません。そしてまた、閉鎖する診療科もふえてまいりました。
入院していた患者さんは半分ほかに転院しなければなりません。あるいは
救急の二次
病院を二月に返上いたしました。看護婦さんも二割やめなければならないということでございます。
財政的にも大変厳しいんですけれども、この
病院をなくしてはいけないということで、今、市も一生懸命頑張っておりまして、
平成十七年度は約五億円を交付いたしまして、この
病院をなくさないように、今懸命の
努力をしているところでございます。
少しこの水原郷
病院のホームページを読ませていただきます。貴重なお時間、大変恐縮ですが、ぜひ、これはたまたま新潟県の水原郷
病院で起こっている問題ではない、この事件が起こって、新潟県のどの
医療機関、
病院でも、いつうちの
病院でもこういうことが起こるかわからないと戦々恐々としております。恐らく全国各地で同じようなケースがあると思いますので、少しお時間をいただきたいと思います。
これは水原郷
病院の
病院長さんがホームページの中で言っている言葉です。
新潟県の地域
医療は破綻寸前の状態です。当院の
状況はマスコミに報道されましたが、県内各地域には第二、第三の水原郷
病院となり得る
病院がたくさんあります。骨折した場合でも、先月までは地元の
病院で
救急医療を受けられたはずが、今月からは常勤医がいなくなり遠くの大規模
病院へ運ばれる地域、また産婦人科がいなくなり、地元
病院でお産ができなくなる地域も実際に出てきています。
この
原因はひとえに新潟県の医師数が不足していることに尽きます。本田市長と一緒に、新潟
大学の各教室へ医師
確保のお願いに何度も足を運んでおりますが、非常に厳しい
状況です。確かに新潟
大学の医師数も減少しており、
大学での高度
医療を続けることは人数的にも精いっぱいというのが
現状です。
実は、医師数は急に減少したわけではありません。新しい臨床研修医制度が二年前から始まり、医大を卒業しても医師はすぐ
医療の現場には出られず、
指導医の下で研修しなければなりません。そのため、ここ二年間は新しい医師の旅立ちがゼロという
状況になりました。
厚生労働省の方針は、ふだんはかかりつけ医に診てもらい、ぐあいが悪くなったら紹介状を書いてもらって大きな基幹
病院へ行きなさいということのようです。新潟県でも、少ない医師数では県内全域をカバーできないため、なるべく基幹
病院へと医師を集中させ始めています。そのため、郷
病院のような中規模
病院から医師が引き揚げられているのです。
また、新潟県の特殊性も医師不足の
原因の
一つで上げられます。当県は人口二百四十万人で医大が
一つしかありませんが、北陸三県、富山、石川、福井では、人口三百万人程度に対し医大が四つあります。それでも三県の医師数は十分とは言えない
状況なのです。卒業生の一定数が地元に定着する医大が新潟にもう
一つできると、新潟県の地域
医療はよくなると考えます。
というふうに、水原郷
病院の問題だけではなくて今の新潟県全体の
医療の問題についても言及されているわけです。
この問題が起こってから、いろんな背景、
原因があるということで、検証が行われてきました。まず
一つは勤務医の過重労働でございます。当直と外来で仮眠も食事もできない、もう限界だという叫びでございました。そしてまた、住民と
病院、患者とのコミュニケーションの不足も上げられます。
そんなことで、今、こうしたことになってから、
病院側も、そしてまた行政側も患者さん
たちも、この
病院をなくしてはならないということで、みんなで盛り上げていこう、
病院を守ろうという運動が進められているわけですけれども、こういう地方の採算のとれない公的
病院をどう守るのか、このことについて、ぜひ
大臣から御検討いただきたいと思います。
特に
大臣の御地元の三重県でも、尾鷲市、産婦人科医がいないということで、年間の報酬五千五百万円で産婦人科医に来てもらったというニュースを聞いていますし、同じように全国各地で、小児科医がいない、産婦人科医がいないと困っている自治体
病院は枚挙にいとまがありません。
この水原郷
病院の問題を通して
大臣のお考えをお聞きしたいと思います。お願いいたします。