○園田(康)
委員 大臣、本当に率直に
お答えをいただいたというふうに思っております。
だからこそでございますが、すなわち、これまでの三位一体の改革のこの三年余りの論議が、いわば私から言わせれば、えいやあというか、とりあえず三兆円という額が、四兆円から三兆円になって、三兆円というものを半歩前進、いや、半歩どころではないですね、もっと小さな歩幅でありますけれ
ども、前進をさせてきた。させなければいけないと。したがって、ではどの事務
事業を移管するのかという形で、省内での議論、それから地方との議論、実は、それがさまざまな混乱を生んでしまった一つの原因ではなかったのかなと。
すなわち、こういったものは地方に移すんだ、あるいはこれは国の仕事である、そういうきちっとした理念と目的がきちっとした形で最初に定まっていなかったからこそ、とりあえずぶち上げたものであるから、地方分権、あるいはこれだけの財源を移譲するというふうにぶち上げてしまったからこそ、後でどこをどういうふうにしようかということで後追いになってしまったのではないかなと。
だからこそ、これからの三位一体の議論のいわば進化形というのか、あるいは第二次三位一体の改革というのか、あるいは新分権改革というのか、それはさまざまな言葉であらわされるでしょうけれ
ども、私は、今後の議論の中においては、その理念というものをきちっとまず定めていかなければいけないものではないかというふうに思うわけでございます。
そこで、今までの混乱した議論の反省の意味を込めて、ちょっと私から一つ、提案ではないですけれ
ども、もしこれが今後の議論の中心的な理念という形で受けとめていただけるのであるならば、一つ提案という形をさせていただきたいと思いますので、ぜひ
大臣、頭のどこかに入れておいていただければなというふうに思います。
すなわち、分権の理念そのものは、これも学問的な言い方でいきますけれ
ども、先ほど私、くしくも地方に移譲すると申し上げてしまったわけでありますが、それは、分析をすれば、いわば国の
観点からしか見ていない言葉ではないかなというふうに思うわけであります。
すなわち、国の形あるいは
地域の形を考えていくならば、私は、まずは基礎的な
自治体というものが中心になっていくものではないかなと。そして、そこの行政サービスであるとか公のサービス、公の
社会の実現という言葉で表現してもいいのかもしれませんが、住民とのかかわり合いを持つ極めて高い基礎的な部分、ここがまず一つ、事務
事業を担うものではないかというふうに思うわけであります。
そして、そこが中心となって私たちの
国民生活あるいは市民生活を担うわけでありますけれ
ども、それをいわば補完的な形で、そこではどうしてもできない、もっともっと広くしていかなければいけない部分がある、そういった場合には、今の考え方の延長線上になるかもしれませんが、広域
自治体という考え方が次に来るのかなという気がいたしております。そして、その広域
自治体の延長線上にあるのが、いわゆる道州制というものが今議論が出てきておりますけれ
ども、そういった広域
自治体がその次に担う事務
事業として考えられる形である。
最終的に国の役割というものはそれをすべて包括するわけでありますけれ
ども、基礎的な部分があって、それを補完する広域的な部分があって、そして最終的には国が大きく包括をするわけでありますけれ
ども、中心となるものにはどんどん事務的な
事業というものを公のサービスという形で行ってもらう、行う。そういう形の
整理をしていけば、おのずと国の役割、
地域の役割、あるいは中間的な役割というものがはっきりしてくるのではないかなというふうに思うわけであります。
そして、それが公のサービスあるいは
社会の実現というふうにいった場合に、いわば現物的な支給と現金的な支給の仕分けというものも、ある面、私は考えられていいのではないかなと思うわけであります。
すなわち、現物的な支給、給付的な行政サービスというふうに切り分けたときには、今私たちが考えておりますのは、いわゆる高齢者介護もそうでありますし、先ほど
大臣もおっしゃっていただきました障害であるとかあるいは難病であるとかそういった部分、それがいわば現物的な行政サービスという部分にくくられるものではないか。すなわち、これが可能な限り住民に身近な地方政府、いわゆる地方政府という考え方で仕分けをしていくということもこれから視点として考えていただきたいなと私は思うわけであります。
あるいは、一定の規模、中間的な部分でありますけれ
ども、広域
自治体、こういった部分は、いわゆる雇用であるとか職業訓練、これは
厚生労働省に限って今申し上げておりますけれ
ども、そしてこれから議論をされようとしている医療の制度、こういった部分がいわば広域
自治体部分で担う現物的なサービスの役割ではないかなというふうに思うわけであります。
そして一方、先ほど申し上げた直接的な現金支給サービス、これは今ちょうど議論が、後ほどさせていただきますけれ
ども、いわば
子ども手当というもの、あるいは年金な
どもその部類に入るのではないかなというふうに私は思っておりますし、失業保険や労災保険、こういったものも、現金の支給サービスという形で仕分けをしていけば、これこそがまさしく国が果たすべき役割というものとして
対応する、そういう一つの考え方を私はきょう申し上げておきたいと思っておるわけであります。
児童手当、あるいは民主党が提案をしております
子ども手当、そういったものは、直接的な現金給付、すなわち財政調整
機能というものも出てくるわけであります。したがって、現金給付をすることとともに、それぞれの地方政府あるいは
地域自治体、基礎的な
自治体の中で財政調整
機能というものも一方では果たしていかなければいけないわけでありますので、
大臣がよくおっしゃっておられる
地域間格差、これをなくすということを国の責任で行うことを、今後の検討材料といいますか理念の一つとして、ぜひお考えをしていただきたいなというふうに私は思うわけであります。
そこで、これだけ私から申し上げさせていただいた上で再度お伺いをいたしますけれ
ども、今回の、政府が政府全体で行ってきた三兆円という考え方であります。三兆円の税源移譲、なぜ三兆円であったのか、私は根本的な疑問を呈すわけであります。この三兆円という根拠でありますけれ
ども、なぜにこれは三兆円という形になったんでしょうか。その点の御
説明をいただければありがたいんですが。