○奥村
委員 教育というのは、私は、小手先だけでできるものではない、やはり時間をかけて、しっかりと
現状に即応した形で推し進めていかなければならないというように
思います。
一九八〇年代に、イギリスのサッチャー首相、そしてまたアメリカの、当時レーガン政権だったと
思いますが、アメリカは当時、三つ子の赤字と言われたように大変厳しい経済状況の中でありましたけれ
ども、そうした中で、やはり
教育を見直していかなければならない、
教育によって経済復活をさせるんだということを当時言われたと思うんです。
このアメリカにしてもイギリスにしても、
教育の改革を推し進めていくということに着目されて、そして、
教育の危機は国家存亡の危機であるという
認識のもとに、
日本で言う読み書きそろばん、つまり、読み書き算数というこれを
基本にして、
日本のきょうまでの
教育というものを手本にして改革をなされて、そして進められてきたとも聞いております。そしてまた、青少年のいろいろな犯罪が多発をした。その根底は、やはり
宗教的な
教育を根底にもう一度見直して考えて取り組んで、そして、その犯罪を防ぐように努力をしたと言われているわけであります。
そういうふうに考えますと、本家本元の
日本が、
我が国が、今考えてみますと、いろいろ高度な技術が、機械が発達をしましたけれ
ども、まさしくそうした読み書きそろばんも忘れられ、そしてまた、少年犯罪はどんどんどんどん、先ほど来ずっと各
委員の
皆さん方がおっしゃっているとおり、親が
子供を殺し、子が親を殺してしまう、命を、そして
人間の尊厳を脅かすような、そんな
社会になってしまった。
もう一度、
皆さんとともに今回の
教育基本法の
議論をするさなかに、やはり原点に立ち返って、しっかりと現場の状況、なぜこういう問題が多発をしてきているのか、私は、やはりそこには
教育そのものの荒廃というものがある。そういうものをしっかり見直して進めていくということが、今
大臣もお答えになりましたが、
大臣も
本当に個人でいろいろな
お話をされるときにはそういうふうに思われると思うんです。
ですから、しっかりと時間をかけて、まさしく
国民にもわかっていただき、また
国民の
意見もしっかりと吸い上げて、そして、この
教育基本法をしっかりなしていけるように、時代に即応した形で進んでいくように、ぜひなることを、私も微力ながら
皆さんとともに努力をしていきたいというように思っているところであります。
各
委員の
皆さん方には、相当なはがきや要請文が来ていると
思います。私もざっと計算をいたしましたら、千百枚ほどはがきが送られてもきましたし、ファクスやお手紙やいろいろなことを合わせましても三百数十通来ておりました。それだけに、
教育にかける
思い、年金のときにもたくさんいろいろな要請もいただきましたけれ
ども、実はそれの倍以上のいろいろなはがきが来ております。
その
一つを読み上げてみたいと思うんですけれ
ども、愛国心は教え込むものではなく、生きていることの幸せが実感できたら、人が好き、家族が好き、
学校が好き、郷土が好き、国が好きになるものです。
子供たちに嫌いな食べ物を口をこじあけて無理やり突っ込んだりすることはしません。それは
教育の条理と相反するからです。食べることの楽しさ、みんなで食べることの楽しさを
感じさせることで、嫌いな食べ物が少しでも食べられるようになるのです。国を愛することを教えなければという、強制するものではないと
思います。
これは一人の方のはがきなんですけれ
ども、こういう
思い、やはりこういう
国民の、そしてまた現場で汗して頑張っていただいている先生方の
現状のこともしっかり把握しながら、
本当に
国民総意で、ひとつ
教育というものの原点をしっかりと見て私は推し進めていくことだということの
思いを持って申し上げました。
この
政府案も、そして我が党の提案をしている中にもないわけですが、環境
教育について
思いを込めて
大臣の御
意見もお伺いをさせていただきたいと
思います。
小中学生の自然
体験、先ほ
ども土屋委員が言われておりましたけれ
ども、国立オリンピック記念青少年総合センターが昨年、二〇〇五年に実施をいたしました青少年の自然
体験活動に関する実態調査、これによりますと、海や川で貝をとったり魚を釣ったりしたことが何度もあると答えた小中学生は二六%のようです。一九九八年に当時の文部省が実施をしたものから一五%も減少していると言われています。そして、ほとんどないと答えた小中学生は四〇%に上っているようです。そしてまた、ロープウエーやリフトやそういうものを使わずに高い山に登ったことがあるかという問いに、ほとんどないと答えた方が約七割に達していると言われているわけであります。
こうした調査を見てみますと、今自然に触れ合うことが大変少なくなっている。私の持論でありますけれ
ども、国有林が、もう
本当に作業していただく方々も少なくなる、あるいはまた入会権や、あるいは個人所有の山林でもなかなか山に入ることがありません。私も七ヘクタールぐらいの山を持っていますが、もう自分の境界すらわかりません。もう次の時代になれば、
子供たちにどうして教えたらいいだろう、まさしく、人に偉そうなことを言っていますが、自分
自身が
本当に山に入ることがないぐらい、そういうことです。しかし、私は、小さいときに山林、森林に
子供たちを入らせて、昔のやはり林間
学校、あるいはまたいろいろなそういう自然の中ではぐくまれるよさというものを
子供たちが実感をして、その
体験をしてくれる、そういう
教育というものが大事ではないかなというように思っているところでございます。
ですから、これは
文科省だけでできることじゃないんですが、以前にも
委員会で申し上げたんですけれ
ども、やはり農林水産省あたりと連携をとって、都会のお子さん
たちが、夏休みなりあるいは春休みでもいいから、そういうときに学有林として確保して、国がそれを提供して、そしてそれぞれの
学校のテリトリーで、山の中を自分
たちが散策をしたり、あるいは下刈りをしたり、いろいろなキノコを自分
たちがとったり、そういう経験をさせてやる、そういうことがやはり
教育の中に私は一番大事ではないのかなというような
思いがしております。
私の地元には琵琶湖がございます。これは以前に、中山前
大臣のときにも申し上げたんですが、ちょうど五十四年に県会
議員にならせていただいたときに、滋賀県は琵琶湖の水質をしっかりと確保していかなければならないということで、富栄養化防止条例、つまり粉石けん運動がスタート、条例でできました。奥さん方は粉石けんに一生懸命力を注いで水質保全に努力をいただく。一方で、企業の
皆さん方は工場排出等についていろいろと制約を受けながら努力をいただいた。
そうした中に、私はふと
思いつきましたのが、
学校の
教育の中にこれを何とか取り込めないだろうかということで、当時は、今から考えますと、
思いつきで言ってしまったなというような
思いをしたんですが、今になってみるとよかったと自負をしているんですが、五十六年の六月の県議会で、当時の武村知事に船をつくってくださいという提案をいたしました。
体験学習船、つまりフローティングスクールというものを、一泊二日のそういうスクール、船がつくれないかということで提案をいたしました。
大変難しい、当時の文部省の補助金はなかったわけなんですが、実は、全長六十五メートルで幅十二メートル、九百二十八トンの船をつくっていただきました。昭和五十八年に完成をいたしまして、この間、五十九年から十七年度までですが、約三十七万人、滋賀県の人口の四分の一なんですが、この方々が全部、
小学校五年生のときに一泊二日のフローティングスクールの
体験学習をしてくれたんです。
カッターもついていますし、そして水質の勉強もできますし、その中では琵琶湖の環境
学習もできます。そして集団生活、一泊二日船の中でするわけですから。そして、琵琶湖の周辺の港に寄港しながら、郷土のいろいろな
文化や伝統に触れ合っていく、そういうようなことが行われてまいりました。
最近では、やはり琵琶湖の水の恩恵によって京都や大阪や兵庫県の
皆さんが生活を営んでいただく、近畿一千四百万人の水がめとも言われる琵琶湖を、滋賀県の
子供たちがしっかり水を守っていこう、水を汚してはならない、そういう一方で、自分
たちの
体験学習ができていくということなんです。
ですから、触れ合い
体験学習、あるいはまた、先ほど申し上げました集団生活、そういうものの
思い出をしっかりと抱きながら、大人になっても水というものの大切さをしっかり学んでくれているものだというように私は思っているわけであります。
先ほど申し上げましたように、自然との触れ合い、やはり今そういうものがおろそかになっている。今、
基本法の
議論を通じた中にそういうものもしっかり考えていかなければならない時期ではないかな。これは
基本だと思うんですが、
大臣、どのようにこの環境
教育というものに対してお考えなのか、所見をお伺いいたしたいと
思います。