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2005-10-14 第163回国会 参議院 郵政民営化に関する特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十七年十月十四日(金曜日)    午前九時開会     ─────────────    委員の異動  十月十三日     辞任         補欠選任      野上浩太郎君     田村耕太郎君      峰崎 直樹君     藤本 祐司君      山根 隆治君     大久保 勉君      渡辺 秀央君     加藤 敏幸君  十月十四日     辞任         補欠選任      田村耕太郎君     野上浩太郎君      加藤 敏幸君     渡辺 秀央君      松下 新平君     櫻井  充君      大門実紀史君     吉川 春子君      又市 征治君     近藤 正道君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         陣内 孝雄君     理 事                 市川 一朗君                 世耕 弘成君                 山崎  力君                 伊藤 基隆君                 平野 達男君                 山下洲夫君                 弘友 和夫君     委 員                 有村 治子君                 岡田  広君                 岸  信夫君                 国井 正幸君                 小池 正勝君                 小泉 昭男君                 椎名 一保君                 関口 昌一君                 田村耕太郎君                 中原  爽君                 野上浩太郎君                 藤野 公孝君                 山下 英利君                 山本 順三君                 大久保 勉君                 大塚 耕平君                 岡崎トミ子君                 加藤 敏幸君                 小林 正夫君                 櫻井  充君                 高橋 千秋君                 藤末 健三君                 藤本 祐司君                 渡辺 秀央君                 西田 実仁君                 山口那津男君                 山本 香苗君                 吉川 春子君                 近藤 正道君    国務大臣        総務大臣     麻生 太郎君        外務大臣     町村 信孝君        財務大臣     谷垣 禎一君        国土交通大臣   北側 一雄君        国務大臣        (内閣官房長官) 細田 博之君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣金融)        )        伊藤 達也君        国務大臣     竹中 平蔵君    事務局側        常任委員会専門        員        鴫谷  潤君        常任委員会専門        員        高山 達郎君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       中城 吉郎君        内閣官房内閣審        議官       楠  壽晴君        内閣官房内閣審        議官       細見  真君        内閣官房内閣審        議官       伊東 敏朗君        内閣官房内閣審        議官       篠田 政利君        金融庁総務企画        局長       三國谷勝範君        総務省郵政行政        局長       鈴木 康雄君        国土交通省政策        統括官      杉山 篤史君    参考人        日本郵政公社総        裁        生田 正治君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○郵政民営化法案内閣提出衆議院送付) ○日本郵政株式会社法案内閣提出衆議院送付  ) ○郵便事業株式会社法案内閣提出衆議院送付  ) ○郵便局株式会社法案内閣提出衆議院送付) ○独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理機構  法案内閣提出衆議院送付) ○郵政民営化法等施行に伴う関係法律整備等  に関する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) ただいまから郵政民営化に関する特別委員会を開会いたします。  郵政民営化法案日本郵政株式会社法案郵便事業株式会社法案郵便局株式会社法案独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理機構法案及び郵政民営化法等施行に伴う関係法律整備等に関する法律案、以上六案を一括して議題とし、前回に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 自由民主党田村耕太郎です。おはようございます。よろしくお願いします。  昨日の委員会でも各委員方々から同じ話が出ました。選挙で、改革をやめるなというスローガンが信任されたわけです。ですから、この郵政改革を契機にして、まずは出口論であります特殊法人政府系金融機関、この統廃合、ゼロベースでやるぐらいの、もうしっかりとした覚悟を持ってやっていただきたいと思います。まあ、特別会計だけゼロベースでやっていまして、ゼロベースでやると言われましたが、政策金融の話に関しましては各閣僚の方々からいろんな意見も出ているようで、まあなかなか難しい面もあると聞いていますが。  それに関しまして、まず第一回目の実質的な審議が自民党の合同部会で行われました。私もそれ参加させていただいたんですが、一回目は中小企業金融方々が来られました。確かに便益はあるわけですね。立派なことをやっていらっしゃいますし、地域に貢献されています。しかし、私は、もっと強く認識されなきゃいけないことというのは、政策論議ですから、コスト・ベネフィット、費用便益分析存在便益はあるわけですけれども、存在のじゃ費用はどうなっているのか、国民負担はどうなのか、この認識をしっかり持って更に議論を進めることが必要じゃないかと。そう言われますと、ある中小企業金融の方からこういう反論があったんです。いや、うち調達民間並みです、運用民間並みです。だったら民間でやればいいんじゃないのと思ってしまう、思わないわけでもないわけですね。  その中で、一つ、まず第一問は提案を申し上げたいと思います。と申しますのは、その入口論でありますこの郵政改革、そして出口論であります政策金融改革統廃合、これを同時にやったらどうですかという話なんですね。  例えば、新銀行のスタートに関しましては、ニーズがないんじゃないか、運用ノウハウがないんじゃないかという話があります。一方、政策金融に関しましては、いや、うちはニーズありますよ、いや、うち運用ノウハウ民間と変わらないぐらいありますよ、運用実績ありますよという話が出てくるわけです。そこで、統廃合後、もし統廃合ができたとしたら、その人材、培ってきた人材ノウハウを新銀行に移管して、新銀行でそういう業務をやったらどうですかという提案です。  と申しますのは、安定運用ポートフォリオを考えますと、今の証券市場日本国内証券市場債券市場で特定の銘柄に集中投資をしていく、こういう運用ほど危険なものはないと思います。運用ポートフォリオを広げる意味でも、政策金融というのは、JBICのように海外投資をやっているもの、中小企業金融をやっているもの、幅広いですから、その統廃合後、その培ってきた人材を新銀行ノウハウとともに移管する、それと同時に運用ポートフォリオを広げる、こういうメリットがあると思うんですが、竹中大臣、こういうお考えはいかがですか。
  4. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 郵政民営化に関連をしまして、郵政郵貯銀行、特に言うと保険だと思いますけれども、お金を集める能力は非常に高いし、これまでも信頼を得てきた。一方で、その資金運用するノウハウが現時点ではやはり乏しい。一方で、政府系金融機関というのはその逆であって、今まで運用を行ってきたけれども、資金調達そのもの制度に依存してきたということでノウハウがない。そういうところはお互いに補完的ではないだろうかと、補完できるのではないだろうかと、そういうお考え方をお示しだと思います。そういうお考え方はやはり一つの見識であるというふうに私も思います。  今後、しかし、そういうノウハウ社会全体としてどのように最も有効な形で活用されていくのかということが重要なんだと思います。その意味では、我々としては、郵政についてまずしっかりと民営化をしていただいて、そして、政府系金融機関改革について、政策金融として、つまり、政府がやるべき仕事として残すものと政府がやらなくてもいいものを峻別しようと。そして、政府がやらなくていいものについて、それをどのような形に持っていくのか、そこは今正に一つ考え方を御示唆いただいたわけでございますけれども、いろんな選択肢があろうかと思っております。  是非政府系金融機関の在り方に関する議論、昨日の諮問会議でキックオフしたところでございますので、是非幅広く議論をしていきたいと思っております。
  5. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 そこで民業圧迫という話が必ず出てくるわけですね。確かに、これやりようによってだと思うんです。制度設計をしっかりしていけば、この新銀行にしかできない業務というのは必ず私あると思うんです。例えば、今の日本国内民間金融機関、これが規模の制約、企業風土、ガバナンスの弱さから、やりたくてもできないことというのは必ずあると思うんですね。  例えば、やるかどうかは別です、新銀行がやるかどうかは別ですが、今世界でプライベートエクイティー、ヘッジファンド、こういう業務のために、こういう業務運用のために新たに資金調達されている金額というのは、世界レベルで見ると三けたの兆円です。昨日議論に出ましたが、この郵政改革によって新たに市場に出てくるお金と比べても遜色はない、いや、その方が増加の幅は大きくなっていますので、それに比べるとそんなに大きいとは言えないと思うんですね。やるかやらないかは別です。  また、今、じゃそういう業務日本でどこがやっているかというと、外資独り勝ちになっているわけです。例えば、阪神の株の買占め、TBSの株の買占め、大きな社会的ニュースになっています。その裏で、暗躍と言っては言葉が正確ではないんですが、良くない言葉ですけれども、裏で活躍されているある有力外資系投資銀行、これ新生銀行のときにも表でも裏でも活躍された銀行ですけれども、そういうところが日本人人材最前線で使ってやっているわけです。その最前線外資のために活躍されている人材方々、そういう方々に話を聞いてみますと、もう我々も日の丸の器があって、日本の国益のためにしっかり稼げるようなそういう器ができれば、そういうところでは是非やってみたいという方々もいらっしゃるわけですね。私は、そろそろ外資に対して反撃する、そういう力も日本に付いてきましたし、そういう器も必要じゃないかと思っているわけです。  新銀行が、先ほど申し上げましたように、政府系金融機関、そのノウハウ人材を移行して力を付けていくと同時に、外資系に一方的にやられているマーケット、この辺りも新たなビジネスチャンスがあるのではないかと思っています。やるかどうかはここで議論しません。これは私の一般的な感想なんですが、是非これ、今後の一つ課題として私も一緒に取り組んでまいりたいと思いますので、ここは感想意見としてとどめさせていただきたいと思います。  がらっと質問は変わるんですけれども、税の季節になってきました。財務大臣にお伺いしたいと思います。  地域社会貢献基金というのがありますね。これ、国民安心のために早く積み上がった方がいいと思うわけです。まあ、ここだけ特例を認めよというのはなかなか難しいかもしれません。しかし、この地域社会貢献基金ですね、もしこの積立て、積み上げが損金算入認められれば、本当に早く積み上がって国民安心を増すと思うんです。この辺り大臣の見解をもう一度お伺いしたいと思います。
  6. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 田村委員の御質問に御答弁をする前に、七月十五日のこの委員会の御質疑山崎先生から同様の質問をいただきまして、民営化によって国庫が潤うだろうという御指摘をいただきました。それに対して、私の答弁の中で、何か国が一方的に得をしているかのような御質問だったという趣旨のことを申し上げまして、その際に仏教界皆様に対して大変失礼な比喩的表現を用いてしまいまして、大変御不快な思いをお掛けしたということがございました。この場をおかりして訂正させていただきますとともに、関係者皆様に謹んでおわびを申し上げたいと思っております。  その上で、御質問基金に係る税制上の措置について申し上げますと、社会地域貢献基金に関する税制上の措置といたしましては、旧公社民営化の例を踏まえながら、当該基金から社会貢献事業計画等に基づき支出される交付金については全額損金算入とする措置を講ずることとしているわけでございますが、こういう措置に加えて、さらに当該基金を積み立てる場合に損金算入を認める、つまり無税積立てを認めるという税制上の措置を講じますと、民間とのイコールフッティングの観点からいかがかという問題が出てまいりますので、その点は適当ではないのではないかと考えているところでございます。
  7. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 そういうところもありますけれども、是非国民安心のためにもう一度前向きに考えていただければと思います。よろしくお願いします。  最後に、労使関係の問題、ちょっとこれについてお話をお伺いしたいと思います。  今回の法律が成立後の話になってしまうんですけど、二年後の民営化発足までの間、公務員からこれから民間人になられる公社職員方々がどの会社に所属するかを含めまして、具体的な労使条件の話合いがこれから始まるわけです。円滑な労使関係、これをフォローするために、どのような法制度を含めてフォローされるのか。竹中大臣の決意をお伺いしたいと思います。
  8. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 公社職員皆様が新会社にまず円滑に移行していただく。そして、言うまでもなく、職員の利益の保護をきちっと行っていかなければいけない。そういう観点から、法律の立て付けといいますか、制度設計上も大きく三つのことを特に配慮しているわけでございます。  具体的には、持ち株会社民営化後の持ち株会社になる日本郵政株式会社ですね、これを早く設立する。準備期間中に設立して、そして職員労働条件について、この会社公社労働組合との間で事前団体交渉を行っていただくようにする。これが第一のポイントでございます。そして、失礼、事前に設立するというのが第一のポイント。で、第二のポイントとしては、そこで事前団体交渉を行っていただく。三番目としまして、その際に、労働条件については、公社における勤務条件に配慮しなければいけないということも法律でしっかりと枠組みを作っている、これが第三点でございます。  今後、各新会社への具体的な職員の帰属、どこに帰属するかということについては、日本郵政株式会社ビジネスモデルに基づく各社の具体的な業務内容を考えていくわけですけれども、そうした業務内容を勘案しながら、承継計画において定めることとしております。  職員に対して事前に希望する配属先の聴取を行うかどうか。この具体的にどう進めるかという詳細については日本郵政株式会社に考えていただかなければいけませんけれども、この承継労働条件を定めるに当たりましては、公社での勤務条件を配慮するということが法律で規定をされておりますので、そうしたことをしっかりと実行していって、職員安心して意欲的に働けるように是非実現したいと思っております。
  9. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 最後に、一番最初の話に戻るんですが、この郵政改革というのは、やり方によっては、総理が掲げられているもう一つの大きな構想でありますインベスト・ジャパンですね、日本に対する直接投資を増やしていく。そして日本人の、そして日本法人貯蓄志向投資マインドを植え付けることによって、貯蓄大国日本から投資大国日本へ変革させていく、その可能性を十分秘めていると思います。その実現のためにも、郵政改革、これからの制度設計、重要になってくると思いますんで、どうぞ、我々も一生懸命頑張りますんで、今後ともよろしくお願いします。  以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  10. 藤本祐司

    藤本祐司君 おはようございます。民主党・新緑風会の藤本でございます。  八月の四日以来、二か月ぶりの質問でありますが、通常国会のときは、まさか四回目やるなんてこと思ってなかったんですけれども、世の中何が起こるか分かんないということで、至る所青山ありなのか、一寸先はやみなのか、よく分かんないなと。たった二か月でこれだけ変わってしまうということでございますので、十年後、十二年後というのはどうなってしまうのかというのは全く分かんない中で民営化ということになるのかなというふうに思っております。  竹中大臣も二か月前と比べると何となくお元気になったような気がしてならないんですけれども、総選挙のさなか、いろんな各地でいわゆる刺客と言われた方々候補者方々応援というか、今衆議院議員になられた方が多数いらっしゃるんですが、その応援に行かれた竹中大臣をテレビなどで拝見するにつけ、すっかりもう政治家になられたなというような印象を大変受けました。街宣カーの上で民主党のことを批判をしている姿なんかは、もう正に、経済学者なんということは全然思えないような、ああいう姿だったなというふうに思いました。  北野武さんが昔お笑いタレントなんということはだれも、映画界の、世界じゅうの方は、もうあの方はもう映画監督だというふうに信じられている方が圧倒的で、お笑いタレントなんて思う方はいらっしゃらないというふうな話を聞きますが、正に竹中大臣経済学者で慶応大学で教鞭を執っていられたことなんかもうすっかり忘れてしまうようなそういう姿だったということで、非常に柔軟性のある竹中大臣だなというふうに思います。  まあ、それはさておきまして、時間も限られておりますので、早速本題に入らせていただきたいと思いますが、通常国会のときは、私も骨格経営試算、この件についてと新規事業ですね、バラ色新規事業の結果というものにつきましていろいろ疑問点を投げ掛けさせていただいたんですが、その中でもやはりコンビニ事業であるとか、あのときは住宅リフォームの仲介とかそういう事業も入っておったんですけれども、よくよく考えてみれば、コンビニ事業は、例えば普通局の千三百局の中の余ったスペースを有効活用しようじゃないかということであるとか、ある意味有効活用という、スペースを有効活用しようとか、あるいは商品をいろいろ広げていこうということで考えられるかと思うんですが、それ、仮にうまくいかないということになっていて撤退しても割と撤退しやすい部分なんだろうなというふうに思っています。コンビニとか、そういう意味では住宅リフォームと、それほど、大きく事業環境が変わればすぐ撤退したり入ったりということができるという自由度が高い部分だなと思っていますが。  ただ、国際物流国際展開と、物流国際展開ということに対してはかなり出資もするということであったり、あるいは新しい合弁会社をつくるということであったりということを考えれば、そう簡単に、すぐに事業環境が悪くなったということとかうまく事業がいかなくなったということで撤退するわけにはいかないという、非常に重要なポイントになってくるんじゃないかなと思いますので、まず一問目は、この国際物流についてちょっとお聞かせいただきたいと思います。  前回は、新規事業ということの観点でFSのところだけをちょっとお話をお聞きしたんですが、物流といえば国土交通省の管轄になってくるかと思います。  竹中大臣も再三アジア市場が拡大するんだということを言われておりますので、まずはこの国際物流と、特に国際物流ですね、国内というか、国際物流に関してどのように市場が今拡大しているのか、実態ですね、どういう実態になっているのかということについて北側大臣にお答えいただきたいと思うんですが、できれば数字を挙げながら、国際貨物流動量がどう推移しているのかとか、海上輸送航空輸送がどのように変化してきているのか、その辺りについて含めて、今国際物流実態について御所見といいますか、を教えていただきたいと思います。お願いします。
  11. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) お答え申し上げます。  今経済が御承知のとおりグローバル化する中で、国際物流の比重というのは非常に高まっております。航空貨物でいいますと、ここ十年ぐらいで約二倍に量的には増えております。また海上貨物の方も、これもこの十年ぐらいで二割ぐらい増えているというふうに記憶をしているところでございます。特に、その中でも一番経済が発展しているのは、もう御承知のとおり東アジア中国中心とする東アジアでございまして、また日本企業もこの東アジアに多数進出をしているわけでございます。  そういう中で、特に東アジアというのは我が国と大変近いということもございまして、国際水平分業というのがますます進んでいるというふうな実態にありまして、感覚的に言いますと、中国中心とする東アジアが準国内化していると。こういう中にあって、部品また完成品、時には素材等々が日本とそして東アジアとの間を行き来をして、そしてその製品が作られると。特に、この東アジアは今、生産拠点になっているだけではなくて大きな消費市場にもなっていると、こういう状況であると思います。  こういう中にありまして、国際物流事業、先ほど申し上げましたが、成長分野ということで、大体年率六%ぐらいの成長分野というふうに言われておるんですが、特にアジアは大変な高成長が期待をされているところでございます。  今委員の方から少し数字も出してということでございましたので、アジア向け輸出貨物平成十年では約三十五万トンで、全世界向け輸出貨物に占めるシェアで四一%でございましたが、平成十五年ではこれは五十六万トン、全世界に占めるシェアが約五三%と増加をしておりまして、アジア市場が急速に伸びているのが数字でも分かるところでございます。  一方、我が国発航空によるエクスプレスサービスでは、残念ながらと言っていいかもしれませんが、外国資本インテグレーターシェアがどんどん拡大をしておりまして、今のところ六割を超えるような状況でございます。これはこのまま放置しますとますます外国資本インテグレーターシェアが増えてくると、現実には欧米ではもう寡占化状態になっているわけでございますから、残されたところはこのアジアでございまして、このアジア日本も含めましたこのアジアの中のこの国際物流をどう、そこにどう参入していくかというのは大変大きな課題であるというふうに考えております。
  12. 藤本祐司

    藤本祐司君 今、量的な、多分、トンベースの話をされたんだと思うんですが、国際エクスプレス便といいますか、軽いもの、航空輸送の場合は特に金額ベースが非常に重要なのかなと思っているんですが、海上輸送航空輸送の割合といいますか、トン割合じゃなくて金額割合というのがどのように変化されてきているのか、要するにスモールパッケージとかクーリエとかいろいろ、書類とかそういうものも含めての話になるんだろうと思いますが、金額ベースでいうとどういう変化があるんでしょうか。
  13. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) ちょっと今すぐ資料を持っておらないんですけれども、量でいきますと、まだまだ当然、海上貨物の方が圧倒的に多いわけでございますけれども、金額ベースでいきますと、たしか三割ぐらいが航空貨物が占めてきているのかなというふうに記憶をしております。
  14. 藤本祐司

    藤本祐司君 それで、その中で、今度は生田総裁になるのかなと思うんですが、国際郵便の変化といいますか、国際郵便の量的変化はここ数年間でどのような変化になっていらっしゃるのか、これ、もちろん日本発というのと日本着というのがあるんだろうと思いますけれども。
  15. 生田正治

    参考人(生田正治君) お答え申し上げます。  国際の通常郵便というやつは世界共通の減少で、これは例えば日本国内の通常郵便も共通なんですけれども、Eメールとの競争がどんどん盛んになってきておりまして、普通の手紙、はがきという分野は世界的にこれは減少しているんですね。さっき北側大臣がおっしゃったそのトータルの巨大な物流とはちょっと違って、手紙のところだけはそういう現象がありまして、我が国の国際通常郵便につきましても全く同様ということで、取扱物数は平成三年がこれはピークだったんですけれども、一億二千五百万通だったわけでありますけれども、それが郵政事業として取り扱った物数ですね。平成十六年度の取扱物数は七千万通ということでかなり減ってきております。  ところが、国際エクスプレス便、EMSと言っておりますが、書類とか書籍とかそういったものを御想像いただきゃいいんですが、国際スピード郵便というふうにも訳しておりますけれども、この分野に今度は仕切りまして考えますと、昭和五十年のサービス開始以来一貫して成長してきていると。こっちの方の流れは先ほど国土交通大臣がおっしゃった流れと合致してくるわけですね。その勢いで伸びてきていると。  ここ数年、欧米の四つの大きなインテグレーター、これとの競争状況にありまして、トータルは紛れもなく伸びているんだけれども、残念ながら今度は郵便事業としてとらえますと昨年度初めて減少に転じたということでございまして、国際エクスプレス市場における法人向けの顧客のシェアを見ますと、先ほど大臣がおっしゃいましたように、既に一位から二位、三位とまで落ちておりまして、一位がドイチェ・ポスト、これが二九%、これは日本から出すEMSの分野ですけれども、フェデックスが二六%、もうこれだけで五五%になる。それ以外にもUPSがあり、TPGがありですから、オランダのTPGもあるわけですから、さっきおっしゃったように六〇%は優に超しておると。それで辛うじて公社が一八%と、こういう現状でございます。
  16. 藤本祐司

    藤本祐司君 そのように国際郵便の方はだんだん減少してきていて、全体としての物流も量的には非常に増えてきているということなんですが、北側大臣、もう一度、済みません、この増えてきている理由というのは、先ほどの答弁の中でも中国東アジア、特に中国との関係が深くなってきたんだということなんですけども、直接的な原因というのはやはり工場が、日本の企業の工場進出が盛んになったというのがやっぱり一番大きい理由なんでしょうか。
  17. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) 日本中国とのそういう物流が非常に急速に伸びておる大きな要因の一つが、今委員のおっしゃった、日本企業中国に進出をしている、それも大企業だけではなくて中小企業も相当数中国のあちこちに進出をしているという状況下の中で、一方で、一つの製品ができ上がるまでは日本中国との間で頻繁に物が行き来をしております。  例えば、一つ具体例を申し上げますと、中国の方の工場で、ある部品が必要になります。その部品を深夜便で、例えば成田なり関西空港から中国の方へ深夜便で運ぶ。そして、その深夜便で朝届きます。朝届いて、現地の工場には十分昼間の間にその部品が届くと。  こうした国際水平分業が様々な企業で日本中国中心とする東アジアとの間で行われていると。こういう中で、日本東アジア物流が拡大をしている、ますます拡大をしていくだろうというふうに思われております。
  18. 藤本祐司

    藤本祐司君 割とスモールパッケージというか小さな部品とか、そういうものの行き来が非常に増えてきているんだろうということなんだろうと思いますが。  竹中大臣にちょっとお聞きしたいのは、ずっとアジア市場が三倍になる三倍になるという、十年後には三倍になるんだということを言われていらっしゃるんですが、特にこれ、多分国際エクスプレス便のことを想定されているんだろうというふうに推測はできるんですけれども、これ三倍になると言われているその根拠といいますか、それはちょっとお示しされていなかったと思うので、ちょっとそこを教えていただきたいと思います。
  19. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 一度申し上げたかとも思うんでございますが、御指摘のとおり、十年間で約三倍というふうによく表現させていただいております。この予測は民間のシンクタンクであります野村証券金融経済研究所の試算に基づいております。  この試算でありますけども、アジア地域発着、これ域内を含む、委員御指摘のように国際エクスプレス市場は二〇一二年では二百二十四億ドルというふうになっておりまして、二〇〇二年の実績八十四億ドルから見ますと約三倍という成長率になっていると、その数字に基づいて発言をさせていただいております。
  20. 藤本祐司

    藤本祐司君 そのアジア市場、先ほど北側大臣がおっしゃったように工場進出というか、特に製造業のアジア進出が大きな要因であるということは分かるんですけれども、あるやはり調査にもよると、中国市場もだんだんこう一段落しているんじゃないかと。進出も一段落して、国内市場が見直されてきて、部品調達コストとか輸送コストを考えれば、むしろ国内に戻るという回帰現象も起きているというような話もあるんです。これは中川大臣に本当はお聞きするのが一番良かったのかもしれないんですが。  ジェトロが二〇〇五年三月にまとめた日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査、これサンプル数五百九社なので、十分かといえば、もしかしたら十分じゃないのかもしれないんですが、誤差率五%以内には多分収まっているんだろうなと思うんですが、その中で約半数が国内生産の規模を拡大するって回答しているんですね。一方では、国内事業規模を縮小すると回答というのは本当に三%になっているということを考えると、先ほどの言われたような原因、中国への、特に中国への工場進出が一つの大きな理由だということであるならば、中国市場への進出がもう一段落したというふうに考えられるんじゃないかなと。  それでいくと、三倍というのはちょっと大きく見積もり過ぎているんじゃないかなという考え方もできるんじゃないかなと思うんですが、竹中大臣、それについてどうでしょうか。
  21. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 冒頭で委員おっしゃいましたように、二か月たてば景色が変わる、経済、本当に十年たてば想像できないような景色になっていると思いますので、この一つの予測だけを基に非常に大きな、例えば、例えばですけれども固定投資をするとか、そのような考え方はやはり慎まなければいけないんだと思っております。  我々は可能性を考えるに当たって、一つの目安としてそういうことを申し上げているわけでございますが、現実には生田総裁も、生田総裁御自身は国際物流への進出に大変意欲を持って取り組んでおられますけれども、この御答弁の中でも、最初から大きな投資をするのではなくて、可能なところから、実現可能なところからやっていかれると。恐らくその趣旨は、最初から大きな固定投資を伴わないような柔軟性を持った形で様子を探りながら進出をしていきたいという御趣旨であろうというふうに思っておりますけれども、当然のことながら、そういうアプローチに基づいて、しかし可能性をしっかりと追求をしていくと、そういうこと、そういう姿勢が必要であろうかと思っております。
  22. 藤本祐司

    藤本祐司君 ということは、一気に拡大するということではなくて、やはり徐々にその事業環境を見ながら拡大していくんだということなんだろうと思いますが、竹中大臣にもちょっと同じ、先ほど北側大臣にお聞きしたことをお聞きしたいんですが、やはりそのアジア市場の拡大というのは、やはり企業が工場、特に製造業の工場が、中小も含めて中国へ進出しているというのが、それがやはり大きな要因だというふうにお考えでしょうか。
  23. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) まあ、これは決して工場進出だけではないんだろうなというふうに思います。工場進出しているというのは、非常に目に見えて分かりやすい重要な事例だと思いますが、いろんな形で経済活動そのものがインテグレートされている。そのために、直接投資をするというのも一つの形でありますけれども、いろんな形でのノウハウ、人と物の交流、やり取りというのがいろんな形で活発化しているわけでありますし、情報の交流が増えれば、必然的にそれに伴う物の移動もある程度やっぱり増えてくるということもあろうかと思います。工場進出等々、非常に大きな要因だと思います。それから、それに加えて、より全体的な経済活動そのもののインテグレーションというのがあると思っております。
  24. 藤本祐司

    藤本祐司君 麻生大臣にお聞きしたいんですが、これは自分の分野じゃないと思われるかもしれないんですけれども、同じ質問なんですが、国際エクスプレス便市場拡大の要因というのは何だと思われますか。国際エクスプレス便、いわゆる航空輸送でスモールパッケージというのを運んだりする、あるいは書類とかそういうのを運んだりするわけなんですけれども、その拡大要因は何だったと思いますでしょうか。
  25. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 久しく商売していませんので、勘が大分違っているとは思いますけれども。基本的に、今、新しく公社が海外で商売を開始するときに、今、日本方々で、例えば海外で壊れ物を買って海外の宅急便屋に預けるかといったら、まず預けられないと思いますね。壊れても保証しませんって必ず言われるから。  そうすると、陶磁器買ったりガラス買ったりしたときに、小さくそこにゆうパック取扱店と書いてあったら、こっちに頼んだら絶対壊れぬなと、信頼関係がありますので。これで頼んでくれと言うと、向こうの人はそれで商売が、売れますから、そうすると、そっちで使わしてやることを認めてやれば、日本のお客はそれをぼそっと一ダース買って送ってくれる。ほとんど壊れず来るであろうという信頼関係というのは、いわゆる普通の話とは全然別の観点から、これだけ多くの観光客が出ていかれて、やっぱり日本に物を送る、買った物を送るというときに、安心できるゆうパックというもののこれまでつくり上げてきた信頼というのはすごく大きなものだと、私自身はそう思いますので、通常の商売以外に考えられるという面も私ども頭に入れておいておかしくないんじゃないかと存じます。
  26. 藤本祐司

    藤本祐司君 いや、私は麻生大臣に、これ、サービス質問をさせていただいたつもりだったんです。いわゆるICTの発達によって、いわゆるインターネットによるオンライン取引とか、そういうものが割と個人個人で簡単にやれるようになったというので、大量輸送しなくても本当にちっちゃな、こう世界じゅうで動くようになってきているということが、結局その国際エクスプレス便の拡大というのに相当役に立っているんじゃないかなというふうに思いまして、総務省としてICTを進展させようというところがあったのでその答えをちょっと期待したんですが、またそれにつきましては総務委員会質問させていただきたいと思います。  国際物流の展開については、いろいろ新聞等々でお話があるとおり、オランダのいわゆるインテグレーターのTNTポストグループの、TPGとの提携というのが例の八月の八日で解散した段階でいったん、白紙と言っていいのかどうかちょっと分かりませんけれども、そういう段階に戻って、再度、日本あるいはヨーロッパとの企業の包括提携をするということになっているんだろうと思います。  昨日のこの特別委員会の中でも、その辺りについて質問があったかと思うんですが、もう一度ちょっとそこを。あとそのとき、情報によれば八月の段階であともう調印だけだったというようなことを言われている方もいらっしゃるということだったんですが、なぜここでTPGを選んだのかということについては、ほかにもいろいろインテグレーターがある中でなかなか言いにくいところかと思いますけれども、言える範囲で結構なんですけれども、もしそういう理由があれば、交渉の中身が非常にうまくいったとか、ほかとの交渉をした中で決まったんだとか、いろいろあろうかと思いますけれども、ちょっとそこを教えていただければと思いますが、生田総裁。
  27. 生田正治

    参考人(生田正治君) お答えします。  昨日のこの会の答弁で申し上げたんですが、新聞にいろいろたくさん書いていただいているんですが、五一%は虚構であって、具体的な名前なんかは慎重に考えてくださいよと。四九%は正しい、それはそういう方向で考えていると。何といいますか、やる姿勢としてはそういう方向でやっていると、こうお話ししたんですが、私自身まだTPGと申し上げたことは一度もございませんので、なぜTPGを選んだかという説明はしたがってできないということなんですが、私の経営理念は、これはもう海運業のときからそうなんですけれども、競争は正々堂々とやると、ただし協業できるところは協業すると。一緒にできることは一緒にやる、協業をして、それによる効果というものは、我々自身の生産性向上とコストのダウンにもつなげるし、お客様に還元すると、こういうことでやっています。  そういった意味で、どこを相手にするかは、やはり国際的に実績があるところで、マネジメントがしっかりしていて、意思決定も早くて、お互いに信頼し得て、できれば極力、国籍が同じであろうと違っても文化を共有できるところと、こういうふうな基準で考えている最中であります。
  28. 藤本祐司

    藤本祐司君 ただ、この間の通常国会のときも、おおよそのこの方向性といいますか、ビジネスモデルというんですかね、それが決まっているというようなことも御発言されていたと思うんですが、国際エクスプレス便と先ほどからずっと話があって、それが拡大しているということなんですが、これ今の段階で、海上輸送といいますか、そういう部分を含めて、やはり総合的な物流というのを、国際物流を考えていらっしゃるんでしょうか。
  29. 生田正治

    参考人(生田正治君) お答えします。  輸送手段としてはすべて排除いたしませんけれども、海運業出身の私が言いづらいですけれども、エクスプレス便といいますと、ちょっと船に載せますと日数が掛かりますから、ほとんどはやはり航空機を利用していくということになると思います。
  30. 藤本祐司

    藤本祐司君 この前の通常国会のときに、この事業国際物流に関してのFSについて、前提の置き方がおかしいじゃないかということを私は申し上げました。収入についてはインテグレーター、支出についてはフォワーダーというのはちょっとおかしいんじゃないかというお話申し上げたんですが、その話をするとまた平行線になると思いますので今日はしませんが。  逆に、今お考えになっている、生田総裁がお考えになっている、まあ話は全部言えないかもしれないんですが、お考えになっているビジネスモデルを進めていくためのいわゆるFSですよね、事業性、採算性のチェックというのをされているんだろうと思いますけれども、そのときの前提の置き方というのはどういうふうに前提を置いていらっしゃるんですか。この間は、収入はインテグレーター、支出はフォワーダーという形になっていましたけれども、今回はどういう形でFSを、もう結果までは申し上げませんが、前提の置き方がこれ非常に重要なものですから、それについてちょっと教えていただきたいと思います。
  31. 生田正治

    参考人(生田正治君) お客様に魅力を感じていただけるサービスというのは、入口から出口まで、例えば東京から出すなら東京で出して、ニューヨークで受けるならニューヨークで受ける、そこまで一貫して責任持ってサービス提供できるかどうかなんですね。それが、国際的な四大インテグレーターは無論、ほかの連中も、法的にできるから日本にもどんどん乗り込んできて日本で構築して、ピッチャー、キャッチャーを日本でもやるわけですね。  ただ、私どもは、公社法によって、日本から投げるピッチャーはできるんだけれども、キャッチャーはできないんです、自分で。だから、国際的にこれは勝負にならないんで今一方的に乗り込まれて苦労していると。それを、やはりピッチャー、キャッチャーができるようにしてくださいということを申し上げているのが現状であります。  したがいまして、極力、私の理念としては競争と協業で、できれば協業して、一体となってピッチャーとキャッチャーをやっていくということで、その意味では、フォワーディング的な業務も極力自分でやるし、より専門的なものを、ピッチャーである例えば日本国、キャッチャーである例えばヨーロッパならヨーロッパ、その逆もあります、ヨーロッパがピッチャーで日本がキャッチャー、そこでより専門的な業者と協力した方が有効であるという判断をすれば、フォワーダーであろうとあるいはトラッカーであろうと、有効なところは提携を深めて一つの商品をつくりたいと、こう考えております。
  32. 藤本祐司

    藤本祐司君 特に、じゃFSで、設定条件こうだということはなかなか、やっぱりそのフォワーダーなりインテグレーターの要素を加味しながらやっていたということで解釈するしかないですよね。
  33. 生田正治

    参考人(生田正治君) もしAというインテグレーターが組む相手といたしますか、それは欧米のところである可能性も強いし、ひょっとしたら日本かも分からないけれども、それと、私どもがやるとすれば、一つの、できれば、まだ交渉中ですから何とも言えませんが、ジョイントベンチャーをよしんば組むとすれば、それが今度は一体となってピッチャーからキャッチャーまでやり遂げるわけですけれども、必要な場所、必要なときには補完的に他の業者の方にも入っていただけるもの。あくまでも主役はそのジョイントベンチャー会社であり、ひいてはそのジョイントベンチャー会社をつくっている、日本では私どもであるし、半分はその一緒に組む相手の方であると、こういう格好になると思います。  だから、主役としては私どもだと思っていただいて結構だと思います。
  34. 藤本祐司

    藤本祐司君 多分、FSやるときは数パターン、何パターンもシミュレーションやりながら、どれが一番いいのかというので交渉されていくんだろうなというふうに思うんですが、事業というのは、いわゆる経営形態、民営化民間会社がいいのか公社がいいのかという、その経営形態だけが重要ではなくて、もう御存じのとおり、その経営陣の資質とか能力とか、あるいは現場の方の資質とか能力が重要であるということはもう間違いのないことなんだろうと思います。  小泉総理も、厚生大臣だったときに、前回も紹介させていただきましたけれども、これは介護サービスのときに、郵便局員に介護サービスの研修させる、あるいは介護サービスに従事させるというのは全く別問題だと。郵便局員は郵政事業のサービスで精一杯だと。それに余分なサービスなり研修なりをさせるというのは、本人の特性もあります、適性もありますよと。そして、何よりもこの介護事業に意欲的な人でないと困ってしまいますよ、される方も迷惑であるというふうに言っているということは、やはりそのやられる現場の方々の資質、能力、やる気というのが非常に重要なところになってくるのかなというふうに思うんですが、やはり物流でも同じなんだろうなというふうに思います。  その事業をうまくやれるかどうかというのは、やはり生田総裁のように物流の専門家の方ばっかりだったらいいんでしょうけれども、なかなか今の郵政公社の方、全く別の事業でございますので、そういう方々が現場を持ってやるということは非常に大変なのかなというふうに思っています。いわゆる本業の部分でない部分というか、本業といいますか、今までとは、本業ではなかった部分をやることになるわけなので、それによってうまくいかなくなってほかの事業を圧迫するということは、もう世の中、山ほどあるわけなものですからね。その辺が大丈夫なのかなというのはかなり懸念があるんですが、大臣、どう思いますか、竹中大臣
  35. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 新しい事業に進出するというのは大変、もちろん一方で希望はあるわけですが、大変大きなやはり壁を乗り越えていかなければいけないという面があるんだと思います。それはすべて、その意味では職員方々に懸かってこられるわけですから、その意味でのしっかりとした期間を設けて、しっかりとした準備をして、そしてしっかりとした体制、経営体制の下でやっていただくということがこれ当然のことながら重要であるというふうに思っております。  その意味でも、移行期間の間に徐々にしっかりとその基盤を築いていっていただいて、我々がその採算性の試算で示しているのも、その意味では十年後にはこのぐらいの姿になっているというような形での数字をお示しをさせていただいているわけでございます。これは、その意味では努めて経営の問題ではございますけれども、そういった意味での制度設計上はしっかりとした時間が取れるように、しっかりとした支えができるようにそれなりの配慮はしているつもりでございます。
  36. 藤本祐司

    藤本祐司君 そうでも言ってもなかなか難しいんだろうなとは思います。  物流に関していうと北側大臣のところの国土交通省の管轄になるんだろうと思います。ですから、その国土交通省との連携というのも多分今後大きくかかわってくるんだろうなというふうに思っているんですけれども、実際に物流会社、いろいろフォワーダーとか見ても、いろんな子会社をやっぱりつくっていろんなサービスを分社化していくというようなやり方をされているんだろうというふうに思いますので、北側大臣、ここでお約束していただきたいんですけれども、いわゆる、これが国土交通省の管轄になるのかどうかちょっとそれは分かりませんけれども、物流会社を一杯つくって天下り先と、天下りをさせるというようなことはしないようにしていただければという思いが強くあります。やはり、天下りをして物流会社を一杯つくっていくということになってしまうと本末転倒の話になってしまいますので、是非ともそこはよろしくお願いしたいと思います。  時間がありませんので、次の質問なんですが、万国郵便条約との関連について郵便法の改正をちょっとお聞きしたいんですが、実は来週火曜日、麻生大臣、総務委員会で郵便法の一部改正が審議されることになりまして、私も質問に立たせていただくことでちょっと調べていたんですけれども、その中で、いわゆる万国郵便条約の第十条で、通常郵便物及び二十キロ以下の小包というのがあまねく配達されなければいけないような形でユニバーサルサービスを規定しているんですが、今度の法改正によって、改正郵便法第十四条で郵便物の種類が、小包が除外されているんですね。  確かに、万国郵便条約の第一条で、いわゆる国内事情を勘案して関係する郵便業務の範囲を定めるというふうにもされているんですけれども、この小包の取扱い、これ有識者会議でも議論があったと思うんですけれども、もう一度ちょっとこれよく分からないので教えていただきたいんですが、小包をユニバーサルサービスから外した理由ですね。たしか前回通常国会のときにも竹中大臣お答えになっていらっしゃると思うんですが、あれを読んでもちょっと意味が分からなかったものですから、教えていただきたいと思います。
  37. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) まず、法律の枠組みとしてはそこの判断をゆだねられていると、これは委員御指摘のとおりでございます。  我々がじゃどうしてそのように判断をしたかということでございますが、まず小包郵便物については、一部の宅配事業者が、つまり民間で既に全国集配ネットワークをおおむね完成させているという現状がございます。こうした中、全国的に事業展開する中で、日本郵政公社においても、書状が減少する中で健全経営の確保のためにはこの小包の分野で事業の拡大をしていただかなければいけない。そうすると、いわゆる民間とのイコールフッティングを確保してしっかりとやっていただくと。  実は、義務が課されるということになりますと、イコールフッティングではないということになりますよね。それだけ、ほかのところはそういう義務を負っていないのに、ここだけ義務を負って競争しなければいけないのかということに相なるわけでございます。そういう意味では、経営の自由度を確保していただいて思い切り競争していただきたい、イコールフッティングで競争していただきたい。  その意味では、既に民間ではそういったネットワークが完成していることもあり、国民の利便に問題が及ぶことがないんだから、経営の自由度を増してそして競争していただきたい、競争を通して更に国民の利便が高まるようにしていただきたいと、それが基本的な考えでございます。
  38. 藤本祐司

    藤本祐司君 万国郵便条約というのは、基本的には国際郵便を規定しているものであって、国内郵便を規定しているものではないというふうに解釈できると思うんですが、ですから小包を含む国際郵便についてはやはりユニバーサルサービスを確保しなければならないという解釈が成り立つんだろうと思いますが、となると、理屈としては、郵便事業株式会社はいわゆる国際小包だけに関してユニバーサルサービスを確保すればよいということになるんですね、法律上の解釈としては。それで正しいんでしょうか。
  39. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) そのとおりでございます。
  40. 藤本祐司

    藤本祐司君 となると、その郵便事業が取り扱う小包の中に、例えば山間へき地のある場所があって、ある場所があるとした場合に、中国からそこに届く国際郵便は確実に届くんだと、だけれども、例えば私の静岡県の伊豆の干物をお送りしようというふうにいっても届かない地域が出てしまうという解釈になるんでしょうか。
  41. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) そのようなことが現実にあるかどうかはともかくとしまして、解釈としてはそういうことだと思います。
  42. 藤本祐司

    藤本祐司君 実際には郵便、郵政公社とあるいは宅配事業者というのが連携しながらやっているということになるので、手助けを受けて配送しているということなんだろうなというふうに思うんですけれども、現実にはそういうことはありにくいということなんでしょうか、やはりこれは。現実的にはそういうことはないと。  例えば国際郵便のユニバーサルサービスを確保するということは、外から来た分は要するにちゃんと届くわけですよ。ということは、ネットワークがある程度確保されていて、国内の郵便小包も届くという結果にならないんでしょうか。国際郵便も届くし、結果としてネットワークがあるので国内郵便も届くことになるということにはならないですか。
  43. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 現実として我々考えておりますのは、これは民間においても既にそういうネットワークが確立をしている。私は、ゆうパックのシェア拡大、これから取り組んでいくわけですけれども、郵便会社が小包、郵便物の全国サービスを実施しなくなると、そういう想定はしていないわけでございます。これは民間でもそういうサービスが既に確立しているんでございますから、義務を外しても、民間会社として今度は義務を外しても、郵便事業会社はそのようなサービスをきちっとできるだろうということを想定してこの制度をまずつくっているわけでございます。  一つのその極限状況議論として、法律の解釈論として今委員そういうお尋ねだというふうに思いますが、じゃ現実はどのようになるかというふうにもし問われるのでございましたら、これは当然のことながら、今既に民間でもそういうサービスを行っている。法律的な義務を外しても郵政、郵便会社は当然のことながら、むしろ競争に勝つためにそういうサービスは続けていくだろうというふうに考えているわけです。
  44. 藤本祐司

    藤本祐司君 先ほど、今の御答弁の中で、現実的にはゆうパックなりはきちっと国内分であっても届くんだということを言われているわけですよね。現実そうだと思うんですよ。ですから、そうであれば、わざわざ小包を外して、いわゆるあたかもこう民間事業者とのイコールフッティングになるんだというような言い方というのは、どうもちょっと納得いかないなという。  要するに、もう既に絶対あることなんですよ。実際にはサービスができているということなのに、わざわざ外して、あたかもこうイコールフッティングでありますよと、あるいは民間会社自由度を増しますよということを言われるのは、これはあってもなくても、その小包を入れても入れなくても多分結果が同じなんじゃないかなと思うんですね。結果が同じであれば、むしろ小包というのをきちっと入れてあった方が過疎地域方々とか島嶼、島の方なんかは安心できるんじゃないかなというふうに私は思って、これは何かとてもこう、何か正しいことを言っているかのようなんですが、実は何かだましのテクニックに入ってしまっているような気がしてならないんですけれども、それは恐らく平行線で、多分意見は合わないと思いますけれどもね。  そういうところを私はさっき、国際物流も含めてなんですけども、基本的に前回も指摘させていただいたんですが、これだけはこうできますよ、これはこういう意味ですよというのを、例えば公務員の問題についても国家公務員に入れるか、税金の使い方我々変わるわけではないんだけれども、公務員が減るとかそういう言い方をされるというのは、非常に国民の皆さんが混乱するような言い方をされているんじゃないかなというふうに思います。  ですから、これからこの問題だけじゃなくていろんな問題として、竹中大臣是非とも昔の経済学者のときのようにまともな、正直な、正確な情報で出していただければと。私の二年高校の先輩の佐藤雅彦さんと一緒に書いた本も、あのときは、読んだとき非常にこう分かりやすい理論を展開されておりましたので、是非ともそのようによろしくお願いしたいと思います。  私の質問を終わりにします。ありがとうございます。
  45. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) この際、暫時休憩いたします。    午前九時五十五分休憩      ─────・─────    午前十時二十七分開会
  46. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) ただいまから郵政民営化に関する特別委員会を再開いたします。  郵政民営化法案外五案を一括して議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  47. 大久保勉

    大久保勉君 民主党・新緑風会の大久保勉でございます。  私も今回三回目ということで、三回目の質問があることは想像もしてませんでした。是非とも次、四回目、五回目と質問ができたらと思いまして質問したく思います。  やはり、私も質問に当たりまして、大きく雰囲気が変わってきたなと思っております。八月の質問に関しましては、本当に厳しい表情で答弁される閣僚の方、今回、非常にリラックスされておりまして、これに対して、もう少し緊張感を持ったような質問が引き出せるように頑張っていきたく思います。  もう一つ変わったことがあります。それは前回質問のときに、直近の財務内容を下さいということで、二〇〇四年のディスクロージャー誌をいただきました。ところが、今回、二〇〇五年のディスクロージャー誌をいただきまして、初めて内容を見ました。これを見ましたら、平成十七年八月にできたということで、まあ委員会が終わった後に私の手元に来たということになります。実は私は昨日もらっているんですけれども。  一つ注目したのは、この中に郵便貯金の収益ということで、こちら平成十五年度、この数字を見まして議論しておりました当期利益が二兆二千億ということだったんです。郵政公社のほとんどの収益は郵貯の収益ですから、二兆円もうかっていると、税金も投入してないということで竹中大臣が大見えを切っていらっしゃいました。ところが、平成十六年度、つまり今年の三月の決算は一兆二千億、つまり二兆二千億から一兆二千億、一兆円減っているんです。つまり、五〇%近く減っているという状況なんですね。ああ、これは大きな変化だなということに気付きました。  これ竹中大臣、このことに関して御存じでしたでしょうか。これは通告しておりませんが、イエス、ノーでお願いします。
  48. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) ちょっと今資料を手元に今日は持ってきておりませんですけれども、基本的には、金銭の信託の運用、いわゆる金銭信託ですね、委託運用のところが大きく変化したというふうに承知をしております。  運用益を、したがいまして、金銭の信託運用益を除く本体の利益では昨年とほぼ同様の一兆円を確保したと、そのように承知しておりますので、これは株式市況等々の変化、キャピタルゲイン的なものの変化というふうに承知をしております。
  49. 大久保勉

    大久保勉君 一兆円変化しても大したことないということに聞こえたんですが、一兆円というのは極めて大きい数字であります。逆に、株式の市況の変化で一兆円変化するということも大きい事実だと思います。つまり、金利が二%上がったら八兆円損失があるということをこのディスクロージャー誌に書いてありました。これは、このことがあたかも事実であるということをつぶさに証明することだと思います。  実は、前回質問におきまして、今回の郵政民営化法案、私は、民営化、和食という表現をしました。つまり、和食というのは私も、愛する人が多いと。ところが、今回の法案竹中食堂の和定食というのは、本当に食えるんだ、食えるのかと、レシピもないし、材料が分かっていないと、だからそこを精査しましょうということで話をしていたと思います。  今回、二か月たった段階で収益が一兆円も減っている事実がありますから、本当に材料がいいのか若しくは本当においしい、そして国民にとって安全な竹中食堂の和定食ができるのか、こういった観点が必要だと思います。私は本当に問題が幾つかあるかなと思っています。  今回は、民営化できるかという観点質問していきたく思います。  まず第一に、民営化するためのガバナンス、私は、株式会社になったとしましても、本当に民間企業として運営されるか、このこと、中身が重要だと思っております。そのためには、一つ制度がありまして、郵政民営化委員会、こちらが事実上郵政民営化の過程をチェックするいわゆるガバナンス機関であります。じゃ、だれが構成員になり、そしてどういうことをするか、このことが一番重要だと思います。  法案に関しましては、民営化委員会委員五人をもって組織すると。第二十一条、委員は優れた見識を有する者のうちから内閣総理大臣が任命するということであります。じゃ、どういう方が任命されるか、このことは極めて重要な問題であります。  これまで、中立公正ということ、また官から民への流れ、このことから考えましたら、私は、中央官庁からの天下り、郵政公社出身者、また監督官庁、例えば総務省からの天下り、また御用学者、非常に関係の深い学者、こういう方が入りましたらガバナンスが利かないということだと思います。  私は、どういう人が望ましいか。これはやはり実務が分かる方、特に資本市場が分かる、また民間の経営経験があるということで、例えば経済団体、経団連とか経済同友会、こういったところから代表を出してもらうとか、若しくは民業圧迫ということもありましたら、銀行協会とか、そういったいわゆるコンペティターと言われる業界から人を出してくる。さらには、資本市場の代表者としまして、機関投資家若しくはNPO、例えば社外取締役ネットワークなどいろんな団体がありますから、公正な人選をしてもらいたいと思います。  このことに関して竹中大臣の御所見を伺いたく思います。よろしくお願いします。
  50. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) ガバナンスのお尋ねでございますが、その前に、先ほどの収益の話ですけれども、我々の試算は先ほど申し上げた金銭信託益を除いて計算しておりますので、その意味では正に公社の収益の実力、最新の収益、バランスシート、PL等々を踏まえているというふうに是非御理解をいただきたいと思います。  大久保委員御指摘のように、なぜ民営化するかということの大きな要因としては、やはり民営化して自由な経営をしていただいて、そして競争をしていただく。競争を通して収益が上がるというのが一つの側面。もう一つは、やはりガバナンスだと思います。民間企業の厳しいガバナンス、コーポレートガバナンスを発揮していただくことによって、それでしっかりとした経営基盤を築いていただかなければいけないと思っております。  その意味で、民営化委員会、本来でしたら、したがって、まずは経営者であり、そして株主のチェックということが重要でございますが、この移行期間に関しましては郵政民営化委員会がそれとは別の形で非常に重要な役割を果たすということに相なります。民営化委員会は、経営の自由度が拡大される、しかし一方で民業圧迫があってはならないと、そのバランスを取るというのが重要な役割でありまして、これは行政の判断をするに当たって有識者の中立的、専門的意見を踏まえたようにするための仕組みであります。  具体的には、業務拡大を行うとき、主務大臣がその認可を行う際に意見を述べる、三年ごとの総合的な見直しについて本部長に意見を述べるということになります。  その人選が重要だという委員の御指摘はもう誠にごもっともで、これまあ、我々今まだ法案御審議いただいておりますけれども、この法案を成立させていただけるということであるならば、それを踏まえてそうした体制をしっかりと責任を持ってつくっていかなければいけないと思っております。  重要な点は、やはり判断の中立性、公正性が確保されなければいけませんから、直接の利害関係者を任命するのは適切ではないというふうに思います。直接の利害関係者の範囲をどういうふうにするのかというようなことも含めて、今後是非しっかりと議論をしていかなければいけないと思っております。そういう識見を有する方、中立的、専門的な意見がしっかりと述べられる方でないと、これは世間も納得しないと思いますし、何よりも民営化された郵政がうまくいかない。そこは責任を持って対応するつもりでおります。
  51. 大久保勉

    大久保勉君 先ほどの確認なんですが、つまりガバナンスが非常に重要であると。で、利害関係者を排除するということですから、やはり官から民に本当に移行するんでしたら、郵政公社のガバナンス、若しくは郵政公社の経営首脳と完全に分離して新しい会社をつくる、新しいガバナンス体制をつくることが重要であります。このことに対してお約束できますか、若しくはそういう意向ですか。お願いします。
  52. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 私の答弁郵政民営化委員会についてさせていただいたんですが、今のお尋ねは、新しい会社をということですから、郵政、まあ準備企画会社なり郵政の株式会社、そういう御趣旨だというふうに承りました。  これは、郵政の新しい会社をつくる。しかし、その資産を引き継いでやるわけでございますから、そこはもしその経営方針等々全く異なって、例えば生田総裁が、例えばですけれども、国際業務に大変これからやっていこうとするときに、国際業務が全く違う、ないしは国際業務に非常に利害を持っているような方々が直接そうした新しい経営者になるというのは、これは想定されない、あってはいけないことであろうかと思います。  私が申し上げていますのは、これはやはりいろんなものから独立してしっかりとした経営を行っていただかなければいけない。しかし、郵政民営化、それを実現するための会社そのものでございますから、そこの点はしっかりと御理解をいただいて推進していっていただける方でなければいけないと思います。  その方々とは具体的にどういう方々なのかということは、これからしっかりと政府の中でも話し合ってまいります。
  53. 大久保勉

    大久保勉君 この部分、重要なんですけど、二〇〇七年十月、準備期間から移行期間に移ります。このときに、じゃ郵政公社の経営陣と全く同じ経営陣が連続して準備期間にも影響力を持つ、支配力を持つということでしたら、何のための官から民だと、何のための民営化だということになりますが、このことを繰り返し確認したいんです。このことで間違いないですね。
  54. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 基本的には、民営化を行うわけですから、公社の経営とは違う、民間の経営をより明確に行っていただけるという方々に入っていただかなければいけないと思います。  しかし、これまでの公社の資産を引き継いで、そして経営を引き継いで、営業基盤を引き継いでやっていくわけでございますから、そうしたことがしっかりと行えるような、そういう体制でなければいけないと思っております。
  55. 大久保勉

    大久保勉君 続きまして、新しくできます郵便貯金銀行の財務内容、こちらに関して御質問いたします。  これは、先ほどどうしてガバナンスが必要か、つまり新しいガバナンスでやるべきだということ、このことを強調したんです。といいますのは、郵政公社から新しく郵便貯金銀行若しくは保険会社の方に資産を引き継ぎます。あるいは継承銀行に引き継ぎます。この場合にどういう形でやっていくのか。つまり、過去のしがらみ若しくは過去のアセットで悪い部分をそのまま引き継いでしまいましたら、何のための民営化か分からないです。ですから、ここをちゃんとやりませんと、郵政公社は株式会社になりました、だから民営化だということで、形だけの民営化になってしまいます。実質が問題なんです。ですから、どういうふうな会計処理をするか、このことが極めて重要なことだと思います。中身です。  そのために、例えば郵政公社百兆円の国債、いわゆる社債を持っています。その社債、非常に細かくて済みませんが、会計上は満期保有債券というのがございます。これは時価評価をする必要がない債券でありまして、これを郵政公社から別会社に移すと、全く民営化した、民営化する予定の新しい会社に移します。このときにどういう形で引き継ぐのか、このことに関して大臣にお伺いいたします。
  56. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) スタート台が大事であって、バランスシート上、いわゆる負の遺産を持っていかないようにしないと経営はうまくいかないと、その御指摘は誠にごもっともだと思います。  どういう形でそのバランスシートが作られていくかということでございますけれども、この資産等については、主務大臣がまず基本計画を作成します。その基本計画に従いまして、今度主務大臣が経営委員会承継計画を作れということを命ずるわけですね。それを受けて経営委員会承継計画を作るわけでありますけれども、ちなみにこの承継計画は、手続としては主務大臣民営化委員会意見を聴いた上で認可するという手続を取ります。それによって資産等は切り分けられる。そういう形で手続をしっかりと踏んで、この健全性を是非確保したいと我々は思っているわけでございます。  そして、より具体的に資産等の評価でありますけれども、これは評価委員制度を設けております。この評価委員制度によって行うこととしまして、正に一般に公正妥当と認められる会計基準によるという大原則を踏まえて行われることになります。したがって、原則時価評価ということになります。  なお、一般に公正妥当と認められる会計基準におきましては、この民間企業のいわゆる単独新設分割の場合はこの簿価引継ぎ法が適用されるというふうに承知をしているところでございます。  手続、基本的な考え方は以上のとおりでございます。
  57. 大久保勉

    大久保勉君 こちらは非常に専門的な部分なんですが、新設企業の方式を利用しますと、これは新設分離の会計処理ということなんです。これはどういうことかということを御説明しますと、ある民間の企業が子会社を新設しますと、その中で親会社が子会社の方に資産を移すと、この場合には、ある債券に関しましては簿価で分離、移管しましょうと、こういう考え方なんです。先ほど大臣がおっしゃったのは、その方式を使いましょうということなんです。私は非常に疑問なんですね。ということは、郵政公社がありまして、その中で郵政公社が子会社をつくりますと、その子会社に債券を移すと同じ方式でやるということです。つまり、郵政公社の負の資産をそのまま継続しましょうということで、全く民営化しても意味がないような会計処理なんです。  やはり新しく会社をつくるんだったら、全部ゼロからリセットしてやるべきじゃないかと思います。そうしませんと金融庁さんが困ります。つまり、郵政公社時代の古い含み損がありますと会計上は損として出ません、ところが実態を計算したら債務超過です。そこにみなし銀行免許を与えるか与えないかと、そういう問題になってしまうんです。もし与えて、もしそのことが原因でこの金融機関が破綻した場合は金融庁さんの責任じゃないかと思います。ですから、民営化であるためには、全く新しい会社をつくり、新しい会計としてスタートさせる、すべて時価評価ですべきじゃないかと思います。  このことに関して、竹中大臣の御所見、もう一度伺います。
  58. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) まず、基本的な考えとして、会社に負の遺産を引き継がせてはならない、それはもう私は、委員の問題意識は誠に正しいというふうに思います。  そのために我々は、承継会社等に承継する資産、負債について、その評価を評価委員制度によって行うということを明確にしているわけでございます。そして、そこでは、一般に公正妥当と認められる会計基準、これが大原則であると。そして、施行日現在における承継財産の時価を基準とする時価評価を原則とすると。一方で、時価によることが適当でないと認められるもの、これ正に会計基準の中でそういうものがあるわけですから、それについては承継財産の時価によらない、もうあくまでも我々は、一般に公正妥当と認められる会計基準に基づく、そしてそのことを評価委員制度できっちりと行うということでございます。  正に、民間企業の分割時の承継資産の評価を念頭に置いて、我々はそれと同じことをやろうとしているわけでございます。このような場合、いわゆる単独新設分割の場合には、これは分割前後で、分割の前と後で企業の実質的な支配関係に変化がないということから、つまり売買処理法を適用しないで簿価引継ぎ法が適用をされるというふうに承知をしております。  正に、今のある法律の枠組みを非常に純粋に適用していきますと我々の方法になるのではないかということを是非申し上げたいというふうに思っております。そうすることが決してその民営化の趣旨に反することではございませんし、これまでのいろんな、道路公団等々の民営化におきましてもこれと全く同様の方法が取られてきたというふうに承知をしております。
  59. 大久保勉

    大久保勉君 非常にもっともらしい説明なんですが、非常に、会計若しくはMアンドAの専門的な観点から考えまして、三つの問題点があります。  一つは、民間で普通どおりやっていますと。つまり、一つの問題は、同一企業内でだったら使えますと。ところが、今回は郵政公社と新会社は同一会社じゃないはずです。もし同じだったら本当の意味民営化に、えせ民営化になりますから、そこが重要です。ですからこの方式は使えません。つまり、別企業間の取引でしたら売買手法になりまして、すべて時価で評価すべきだと私は思います。  第二点。評価委員会がある、評価委員会法律で決めた、だからそこで公正にできると。何を評価するか。時価があるもの、時価の評価に関しては、それは私もすべきだと思います。ただし、このものに関しては時価評価をするのか若しくは簿価を使うのか、この判断基準は評価委員会に委託することは私はできないと思っています。これは企業会計原則という会計の方法でやるべきです。これが民間の方法です。ですから、要は、いいところは民営化、悪いところは官を使うと。ですから、非常にいい加減な法案なんです。これが第二点です。  第三点は、どうしてこのことを問題にしているかといいましたら、満期保有目的債券百兆円というのがあります。これは郵政公社の中の最も大きい資産であります。郵貯の中で約二百二十兆のうち百兆円あります。これは国債若しくは社債でありまして、売ることも一切ならないという商品です。ですから、これは満期まで持っているから時価評価はする必要がないという考え方であります。ところが、郵政公社から新しい会社に実際は移転するということですから、売買しているんです。ですから、ちゃんとしたそのときの時価で評価すべきなんです。  どうしてこのことを言うかといいましたら、もし今から金利が二%上がっていましたら、この債券は恐らくは八兆円程度の損失があると出てきています。会計上は全く損失は出ませんが、含み損として八兆円です。恐らく、骨子の計画によりますと、二・五兆円の資本しか持っていない郵便貯蓄銀行が八兆円の含み損を持っていましたら、銀行として立ち行かないと思います。会計処理上は問題ないといいましても、新銀行としては非常に危険な状況にあります。  じゃ、金融庁に質問します。もしこういった会計処理上は百歩譲って問題ないとしましても、含み損が八兆円あって実質的には四兆円の債務超過の銀行がみなし免許を申請してきましたら、認可しますか。伊藤大臣、お願いします。
  60. 伊藤達也

    国務大臣伊藤達也君) この点については、前回委員会でも御指摘があって、ある種の今の委員の御指摘は仮定に基づいた御質問でございますから、重ねて恐縮でございますけれども、そのことに対してのコメントは差し控えさせていただきたいと思いますが、竹中大臣が繰り返し御説明をされているように、法案に示された枠組みの下で、承継計画に基づき適切な資産の切り分けや自己資本の配分が行われることになり、郵便貯金銀行の財務の健全性が確保されることになると考えております。  さらに、民営化後において資産、負債をどのように管理、運用するかと。その時々の経済情勢等を踏まえ、郵便貯金銀行の経営判断によることとなりますが、リスク管理の在り方についても適切に対処されるものになると考えております。その上で、金融庁といたしましては、金融機関業務の健全性かつ適切な運営の確保を図る観点から、検査、監督を通じて経営の健全性の確保に努めているところであり、郵便貯金銀行につきましても適切な検査、監督を行うことによって経営の健全性の確保に努めていきたいと考えております。
  61. 大久保勉

    大久保勉君 金利が二%上がることは仮定だから議論できないということ、こういうふうに承知しました。しかし私は、これは仮定というよりも、将来のリスク分析として是非とも考慮すべき問題であると主張します。といいますのは、根拠があります。  例えば、準備室の採算性に関する試算によりますと、三十五兆円の信用リスク控除後のアセット、資産を積み増しますと。そのときの前提としては、GDPが十年間で一・五%増えますと。参議院の本会議で、どういう状況ですかと尾立委員質問したところ、竹中大臣は名目GDPが四%半ばの状況ですということなんです。これは非常に重要なコメントでありまして、この試算を作るときに、二十一世紀、政府が作っております試算としまして、長期金利といいますのは名目GDPとイコールであるということを言っているんです。ということは、もう政府自身も十年間で平均四・五%ぐらいの金利になるでしょうと。今、長期金利は一%半ばです。三%金利が上がることを前提にして骨子が作られているんです。  ですから、この仮定を使って私は、三%も金利はすぐには上がんないですから、じゃ二%は二〇〇七年十月まで上がっている可能性はありますねと。だったら、その場合に、こちらのディスクロージャー誌によりますと、〇・一%金利が上がったら四千億以上の損失がありますと、じゃ二%だったら八兆円損失になるでしょうと。一つ一つ積み上げています。こういう状況に関して、二〇〇七年十月に本当に新会社に資産を移すことができるんでしょうか、また、そこにみなし銀行免許を与えることができるのか、極めて重要な問題です。  じゃ、もしこの法案が通ったとしましても、資産内容が悪化して、みなし免許を与えることができないとどうなります。じゃ竹中大臣、ここは通告しておりませんが、もしみなし免許を郵政貯金、郵政銀行が取得できなかった場合に何が起こりますか。
  62. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 先ほどから、大久保委員、非常に専門的な知見に基づいて、いろいろに仮定を置かれていろんな御質問をしておられまして、その一つ一つに明確にお答えするのはなかなか難しい面もあるんですが、是非、今まで御指摘の点で是非少し申し上げたいのは、まず同一企業内の売買であるからということを議論の出発点にしておられますけれども、我々は、これは資産、負債を承継するというふうに申し上げているんです。承継計画で資産、負債を承継する会社でありますので、その意味では正に単独新設の場合が当てはまるということを私たちは重ねて申し上げているわけでございます。  繰り返しますが、これは道路公団等、過去の民営化、分割・民営化等々で行った場合と全く同じです。今回何も特別なことをやっているわけではなくて、過去と同じようにルールに基づいてやらせていただいているということでございます。  満期保有のことについて、これ、基本的には満期保有の債券を簿価評価しているということを委員は大変注目しているというか、懸念しておられるわけですが、これは、一般に公正妥当と認められる会計基準というのは、要するに金融商品に係る会計基準等があるわけですけれども、これは、満期保有債券については時価ではなく償却原価で貸借対照表に計上するということにされているわけです。  この一般に公正妥当と認められている基準に対して大久保委員は反対の御意見をお持ちであるということはよく分かります。しかし、これは恐らく学説的にもいろいろあるんだと思いますが、今正に公正妥当と認められて存するもの、私たちが遵守すべきルールではこのようになっているという事実は、やっぱり私たちとしては当然のことながら重視をしなければなりません。  その上で二%の金利上昇の話でございますが、これ、大久保委員前回も、前回だったか前々回だったか同様の御懸念をいただいたわけですが、申し上げたいのは、委員はお詳しいからもうお分かりだと思いますが、基本的にはこれ、資産の一つの項目についてだけその変化を議論するというのは非常にミスリーディングになるのではないかということでございます。そのときには資産のサイド、負債のサイド、いろんなものがトータルで変わるわけで、正に全体の資産、負債管理をしっかりと行っていく中で多くの問題が解決可能であるし、一部の変化だけを取り上げて、その変化が起きた場合どうするかというのは、これはちょっと議論の打ち立て方として我々がちょっとお答えできるような質問ではないというふうに思っております。  しかし、我々は、委員おっしゃるように、ストレステストといいますか、変化に対する感応度は見ております。その感応度を見た結果、これ、一方で金利が上がることによって不利に、収益上不利になる面もありますけれども、運用益が上がって有利になる面もあるわけですから、そういうことをトータルで試算した場合には、それは懸念されるような大きさではないと。それについても骨格経営試算の中の一部としてお示しをさせていただいて、そのことは我々も認識した上で今回の全体のスキームをお示ししているところでございます。
  63. 大久保勉

    大久保勉君 竹中大臣の特徴としましては、いろんな、前回の話なんかでも、都合のいいところだけとらえています。  じゃ、一つだけ言います。  まず、三つ反論があります。  一つ、仮定の上の仮定。その仮定といいますのは、つまり政府が作った仮定をベースに私が計算しただけですから、つまり金利が四・五%になるといいますのは、政府が出してきた資料を使っています。ですから、これは竹中さんの仮定です。私の仮定じゃないです。で、金利が二%上がった場合は八兆円の損失が出るというのは、こちらに、ディスクロージャー誌に書いてあります。正式な郵政公社の、厳密には郵便貯金銀行の表明していることであります、事実です。で、それから専門家として計算したらこういうことが起こりますよということを言っていますから、政府が作ったことに対して一つ一つの事実を計算したことであります。これを是非とも訴えたく思います。  次に、公正妥当な会計処理を自分たちはやっています、政府は考えていますと。私は、業界の専門家、MアンドAの専門家に今回のケース、ヒアリングをしました。つまり、同一企業間の会計処理に関してはそうだと。ところが、多くの人は、いや、郵政公社と新しい会社というのは別会社だから同一グループじゃないと。同一グループにもしするんだったら、それは本当の民営化じゃないから、いわゆる官製の飛ばしじゃないかと、飛ばしですよ。このことに対して是非反論してもらいたいです。  三番に、竹中大臣は、大久保委員は資産サイドしか見てないと、負債サイドは見てないじゃないですかと。前回質問に御出席の方は覚えていらっしゃるかもしれませんが、もう少し詳しい分析をしました。つまり、郵政公社の、郵便貯金銀行の負債サイドというのは定額預金でありますから、二%金利が上がった場合、資産サイドと同じように並行的に損益はぶれませんと。資産サイドは、八兆円損失になります。負債サイドは八兆円の利益が上がりません。なぜならば、定額預金というのは、専門用語ですけれども、プットオプションを売っています。いつでも解約自由なんです。ですから、そういった資金流出リスクがありますよと、こういうことを切に訴えているんです。  これは専門家が非常に気にしている部分です。ここを軽く考えない方がいいです。つまり、郵政民営化法案が通っても、実際に民営化する前に、若しくはした後に破綻してしまうというリスクがありますから、是非政府の責任者としてそのリスクは考えるべきだと思います。  金融庁、伊藤大臣に対しましては、是非とも一番最初の項目で、つまり政府が作ってきた仮定で私が計算しましたから、政府の仮定に対して郵便貯金銀行のみなし免許は与えられますかと、どうですかと。もし債務超過の新しい新規銀行が免許を申請しますと、免許を与えますか。私は、民間銀行だったら絶対に与えないと思います。もし与えるとしたら、これは、これは本当の民営化じゃないと思います。飛ばし民営化です。  じゃ、この点に対して竹中大臣の方で答弁がございましたら、答弁してください。また、伊藤大臣最後の点、よろしくお願いします。
  64. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 試算についての質問をしているんだ、全くそのとおりで、それに対してお答えをさせていただいているつもりでございます。  ただ、私の認識では、この金融部分につきましては民主党の試算においても同じような前提を置いておられたと思います。これは、したがいまして民主党さんがそういった今後の収支を計算するに当たりましても同じような考え方を取っておられたのであろうというふうに認識をしております。これは私たちがお答えできる範囲で真摯にお答えをさせていただいておりますけれども、その意味では、私は認識は共有のものを持っているのではないかなというふうに考えております。  それと、これは本当の民営化ではないのではないかという二番目の御指摘ございましたですけれども、これはもう言うまでもありませんけれども、我々は、国が一〇〇%を保有する持ち株会社と、そしてその下に保有する四会社に分割すると、そして三つの会社については特殊会社にして、そして郵便貯金銀行保険銀行については一般の会社とする、そして株式を売却して民間に保有していただく。正に民間の、冒頭委員がお尋ねになった民のガバナンスが利くような会社にしていくわけでありますので、その意味ではこれは紛れもない民営化でありまして、今のその会計の手続が民営化に反するというふうには、これは私は考えておりません。  繰り返しになりますが、過去における分割・民営化の場合も同じような手続を取っているわけでありまして、これは私はその時々においてしっかりと認知をされてきた手続であるというふうに思っております。  資産と負債のサイド、負債サイドについて、大変この郵貯というのは定額貯金という難しい問題を抱えているんだという御指摘は、そこはもう私もそのとおりであろうと思います。しかし、負債サイドで何もALMができないということでもこれはないわけで、実際に満期もそれぞれに違う形になっておりますから、そこは私が申し上げているのは、御指摘のような資産サイドで問題はあるけれども、負債サイドも併せていろんな管理が行われていくと、そういうことをトータルに判断しなければいけないのではないでしょうかということを申し上げているわけでございます。
  65. 伊藤達也

    国務大臣伊藤達也君) これは今、竹中大臣が御説明をされておりますように、その法案に示された枠組みの中で郵便貯金銀行の財務の健全性が確保されていることになっているというふうに思います。  これはもう重ねての答弁になりますが、満期保有債券の問題につきましても、これも竹中大臣お話しになられましたが、一般論を申し上げれば、金融機関は一般に公正妥当と認められる会計基準に従って、そして適切に会計処理を行う必要があると考えており、満期保有債券については簿価、償却原価で評価をされることになります。その上で、私どもといたしましては、銀行法に基づいて、そしてこの郵便貯金銀行についても銀行法の審査基準に基づいて適正に審査をしていくと、それを認可プロセスの中で確認をしていくということになります。
  66. 大久保勉

    大久保勉君 こちら、伊藤大臣答弁に関しまして非常に重要な問題としましては、現行の会計上含み損が見えてこないと、これは実質含み損があるというのは、新規に銀行免許を与える場合に極めて重要な問題です。実質的なリスクです。ここに関してちゃんと見ていかない限りは、最終的にはその銀行が破綻した場合に税金を投入することになります。金融行政として極めて重要な問題だと思います。  じゃ、非常に分かりやすい例で言いましょうか。ある銀行があります。で、含み損がある状況がありまして、新会社を、新銀行をつくる、子会社をつくりまして、含み損がある満期保有債券を全部移します。そこで新銀行に、金融庁さん是非、会計処理上は含み損がありませんと、実質は損がありますけれども、銀行免許をくださいといった場合に免許は与えることができますか。私は、与えることはできないと思います。そうしませんと、その銀行は行く行くは経営が立ち行かなくなって預金保険機構のお世話になると、国民の税金を使ってしまうと。ですから、実質的なリスクというのを検査すべきだと思います。特に、新設の場合には、たとえ国営、私はもう国営と思います、これは。国営銀行でありましても、きっちり見ない限りは本当の意味での民営化銀行だとは言えないはずです。  伊藤大臣、もう一度この件に関して、政治家として伊藤大臣考え方を教えてください。これは金融界の皆さんが見ていると思います。資本市場が見ています。やはり、ごまかさないでください。
  67. 伊藤達也

    国務大臣伊藤達也君) ごまかしているわけではございませんで、会社分割時の承継財産の評価については、当該子会社が分割された会社の帳簿価格を引き継ぐことが一般的な会計慣行になっており、平成十八年四月一日以降に開始される事業年度から適用される企業結合会計基準においてもこの取扱いは変更されていないということであります。  重ねてになりますけれども、企業会計結合基準はあくまで新設分割により子会社を設立した場合等の会計処理の基準を定めたものであり、会計基準は、御指摘のような含み益と含み損のある満期保有債券を単純新設分割により二つの会社にそれぞれ移転する場合にも、それぞれの子会社において帳簿価格が引き継がれることになると考えております。
  68. 大久保勉

    大久保勉君 そろそろ時間が来ましたので、是非第四回、第五回の質問の機会がありますように、また、私が危惧していることが実際に起こらないことを願いまして、私の質問を終了します。
  69. 櫻井充

    櫻井充君 民主党・新緑風会の櫻井充です。  民主党最後のバッターになるんでしょうか、質問させていただきたいと思いますが。  伊藤大臣、これ、ちょっと通告外のことで大変恐縮ですが、先ほど大久保委員質問に対して、仮定に対しては余り答えられないというお話がされました。仮定の話はこういう場合に出てこないということですが、法律を作っている中で罰則規定というのがありますね。これ、罰則規定は、じゃなぜ設けることになるんですか。大臣の御発言ですと、仮説の話はしないんだということになると、罰則規定というのは要らないことになりますよ。
  70. 伊藤達也

    国務大臣伊藤達也君) これは個別金融機関のことに当たりますので、そのことについて私どもとして具体的なコメントをすることについて差し控えさしていただきたいと。そうした今までの考え方に基づいて今のお話をさせていただいたということでございます、先ほどの大久保委員お話につきましては。
  71. 櫻井充

    櫻井充君 個別金融機関とおっしゃいますが、これは政府の機関なんですね。ですから、政府のところで、政府の機関がどういうふうになっているのかということを彼は尋ねているわけですよ。ですから、そのことに対して政府が、見通しとしてはどういうふうになるんだということを、このことについてきちんと触れるというのは当然のことなんじゃないですか。違いますか。
  72. 伊藤達也

    国務大臣伊藤達也君) これは、満期保有債券を時価評価をして債務超過になった場合と、そうした仮定でありますので、私どもは、先ほどからお話をさせていただいておりますように、この満期保有債券につきましては、一般に公正妥当な会計慣行に基づけばこれは帳簿価格ということでありますので、償却原価ということでありますから、そうした観点からすると、そうした仮定についてお答えすることについては適切ではないと、答弁を差し控えさしていただきたいと、そうした観点から先ほどの大久保委員の御質問についてお答えをさしていただいたということでございます。
  73. 櫻井充

    櫻井充君 システム上の整備がされない場合とか、そういう仮定は議論されていますね。なぜこれは、仮定は議論されないんですか。
  74. 伊藤達也

    国務大臣伊藤達也君) 先ほどの答弁の繰り返しになって大変恐縮でございますけれども、先ほどの大久保委員の御質問は、満期保有債券が時価評価をした場合に債務超過になると、そうした場合にみなし免許というものが付与できるのかどうかと、こうした御質問でありましたから、これは一般に公正妥当な会計慣行ということを考えた場合には、先ほどからお話をさしていただいておりますように、償却原価で評価をするということになっているわけでありますから、それを時価評価を前提としたコメントをさしていただくということについてコメントを差し控えさしていただいているということでございます。
  75. 櫻井充

    櫻井充君 まあ、ほかの質問があるので、時間が余ったらこの質問をもう一回さしていただきたいと思います。  もう一つ、これちょっと済みません、通告外で大変恐縮ですが、道路公団で、民営化されて、役員の方々が同じ職でありながら結局退職金をもらっているということが問題視されておりました。これちょっとお伺いしておきたいんですが、郵政公社から民営化されます。役員がそのままもし横滑りになるような場合、この場合は退職金は支払われないんですよね、当然のことながら。
  76. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 雇用のところ等々で御答弁させていただいていますけども、退職金等々は公社の時代と新会社の時代を通算するという、そういうルールにしております。したがいまして、これは通算してお辞めになるときに支払うというのが法律の立て付けでございます。
  77. 櫻井充

    櫻井充君 じゃ、まあそういうことなんだろうと思います。そうすると、道路公団とはまた別な扱いということになるんですね。
  78. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) ちょっと道路公団の事例は承知をしておりませんですけれども、役員についての御判断というのはそれぞれ役員会でなさるということはあり得ると思いますけれども、職員に関しては私が今申し上げたとおりでございます。
  79. 櫻井充

    櫻井充君 私は職員の方ではなくて、役員の方のことについて今お伺いさしていただいているのであって、今問題になっているのは役員の方ですから、役員の方に関してはどうなるんですか。
  80. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) まあ、どういう人事になるかということも含めまして、その中で、その待遇の話でございますから、しっかりとこれはまず経営に判断をしていただかなければいけませんし、これは主務大臣がいますから、主務大臣としては必要な監督を行っていくということになると思います。
  81. 櫻井充

    櫻井充君 これは、国民の皆さんが、多くの方々が相当な批判をされているわけですね。そうすると、政府としてやはりこういう問題があるんだということをまず認識されて、こういうことは基本的にやりませんということを宣言された方が私はいいんじゃないかなと思いますけど、大臣、いかがですか。
  82. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 職制上は、会社がなくなるということでございますので、役員の方々については退職をされるというのが、形式的にそれは職を辞めるということになるんだと思います。それに関しまして、職員についてはしっかりとその待遇を引き継ぐということでございますけれども、役員について待遇が引き継がれるわけではありませんので、そのときに、そのことをどのように清算するかということに関しては、これは経営でまず御判断をいただいて、それが適切かどうかということを主務大臣が監督していくということになります。
  83. 櫻井充

    櫻井充君 これだけ国民の皆さんから批判があるわけですから、このところはきちんと考えていただきたいなと、そう思います。これは民間会社じゃないわけですから、ですからそこのところは、民間民間のやり方があると言われればそこまでですけど、これはあくまで元々国の機関ですからね。そして、ましてや特殊会社に、特殊法人になっていくわけでしょう、これは、一時的には。ですから、そういうふうな意味でいったら、今の議論は僕は当てはまらないんじゃないのかなと。ですから、ここのところは再度検討していただきたいと、そう思っております。  さて、だれのための民営化法案なのかと、民営化なのかということを八月の二日の委員会でも質問させていただきました。  そこで、改めてお伺いさせていただきたいと思いますが、まずその前に、竹中大臣は私の質問に対して、要するに外国、アメリカの方からいろいろな要望を受けたことがありますかという質問に対して、郵政の問題につきまして外国の方から直接要望を受けたことは一度もございませんと、それから、具体的な要望をいただいたこと、場は設けていないかもしれませんが、そういうことは一度もございませんと御答弁されました。  しかし、結果的には、向こうの言わば経済産業大臣でしょうか、その方から直接、何点かの点でもう一度念を押したいというようなことを要望されているわけであって、このときの御答弁の内容はちょっと事実と違うんじゃないかなと思いますが、いかがですか。
  84. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) たしか櫻井委員から、そういう要人と会って、国際会議等々で会うようなときにそういう要望はないのかと、そのように聞かれまして、私は、そういう個別のアイテムについて、私が話しするのはマクロ経済のことや日本経済全体のこと、金融改革のこと、小泉改革のことであって、そういうような個別アイテムについて具体的な要望をいただいたこと、そのような場を設けたことは一度もございませんと、そのようにお答えをしたと記憶をしております。
  85. 櫻井充

    櫻井充君 しかし、御答弁は、まず最初のところでの答弁は、郵政の問題につきまして外国の方から直接要望を受けたことは一度もございませんと。それから、アメリカの方と、私は、大臣はアメリカの、別にそこの会合とかいうことを言っているわけではありませんで、アメリカの方とそういう問題について話し合ったことすらないんでしょうかと、やり取りをしたことがないのかというような質問をさせていただきましたが、この信書によりますと、要するに、密接な協力を続けていくことを楽しみにしておりますというふうにおっしゃっているわけであって、このことから、結果的には継続的にやり取りはされているし、それから直接的な要望を受けているということになると思いますが、いかがですか。
  86. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 陳情書、陳情のたぐい、陳情の提案とか陳情書は、これはもうたくさん参ります。私はその意味で、お答えしておりますのは、先方から会いたいということはありますけれども、そういう立場でもありませんのでお断りをしている。だから、要望をいただいたこと、そのような場を設けたことはないということをこの全体の中で御答弁をさせていただいていると。  今のもう一つの御指摘は、その手紙の中で、ゼーリックさんとの関係で、それは私に対する私信、私信ですから、前回も、私信をなぜ櫻井委員がお持ちなのか、私は大変不思議だったんでございますが、その私信の中で述べておられるということでありますけれども、これはゼーリック氏とそのような継続的なやり取りをしているという事実も全くございません。
  87. 櫻井充

    櫻井充君 対日要望書の中にも正式に実は、こういうことだけではなくて、対日要望書の中にも民営化の内容について全部書かれているわけでございます。  つまり、これは、対日要望書というのは陳情とかそういうたぐいのものでは私はないと思っていて、政府の直接的な政策交渉の場で出されてきているものだと思うんですね。ですから、そうなってくると、そうなってくると、今大臣がおっしゃっているような陳情のたぐいというふうなことにはならないんじゃないでしょうか。  つまり、大事な点は、そのイニシアチブに基づく日本政府に対しての米国政府の要望書の中にも入っていて、そこの中でアメリカの大臣から、大臣からこういう形で来るということ自体が、陳情などということではなくて正式な要望ということになるんではないですか。
  88. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) これは、対日要望は、これは私に対する要望ではなくて、これは政府、国に対する要望であるということだと思います。ゼーリック氏はその担当でございますから、そうした要望をしていたことについて、自分の立場を明確にしたということをその私に対する私信の中で書いておりますけれども、そのことは、これはあり得ることであって、決して特別なことではないと思っております。
  89. 櫻井充

    櫻井充君 相手方の政策の代表者、責任者なんだろうと思いますけれども、それで日本側の政策責任者に対して再度同じような形で要望をしてきているんじゃないんですか。
  90. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 申し上げているように、先方から会いたいということはありますけれども、私はそういう立場にありませんので、それはお断りをしております。外国の方から要望をいただいたこと、そのような場を設けたことはないということを国会では答弁をさせていただいておりますけれども、これはいろんな立場で、例えば同友会の提言とかいろいろありますけれども、そういうものをいただいたり、これはもう多々ございます。
  91. 櫻井充

    櫻井充君 こういう形で、文書で送られてくることは、これは直接要望を受けたことになるんじゃないでしょうか。私は別に、会ったとか会わないということを申し上げていたわけではありませんで、そのときに大臣は、直接要望を受けたことはないと、そう答弁されているわけですから、今の御答弁違っていませんか。
  92. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) これは、私は全体の中で、先方から会いたいということはあるけれどもそういう立場ではないのでそれをお断りをしていると、だから外国の方からそういった具体的な要望をいただいたこと、そのような場を設けたことはないということを申し上げているわけでございます。
  93. 櫻井充

    櫻井充君 それでは、大臣、こちら、陳情なのか何かよく分かりませんが、そこのところで何点か、こういう形にしてほしいという向こう側からの要望がございました。この点については、この郵政民営化法案の中ではきちんと盛り込まれているんでしょうか。それとも、盛り込まれていない部分があるとすれば、どの点は盛り込まれていないんでしょうか。
  94. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) いろんな、それこそ商工会議所、保険協会、いろんな要望、陳情があったと承知をしておりますが、その中で、基本的に例えばイコールフッティングを確保してくれと、それと議論を透明にしてくれと、そのような一般的な要望はございます。これは別にアメリカに言われるまでもなく、日本国内でも、またこの国会でもこれまで議論されてきたことだと思っております。これは正に方向としてはそのようなことを目指さなければいけないと思っております。  個別の例で一番よく分かりやすいのは、アメリカは基本的な立場として、保険の新商品に関して、完全な民有民営が実現されるまで、つまり移行期間が終わるまで、つまり新商品の販売を認めないようにというようなことを重ねてアメリカは要望をしております。しかし、我々の考え方は全く違っております。公社は最初は、保険会社は最初は公社と同じ業務範囲からスタートをいたしますが、民有民営の実現に伴って、政府の影響力が緩和するに伴って、我々はむしろできるだけ早く経営の自由度を持っていただいていろんなことをやっていただくと、そのような制度設計にしておりますので、私から見ると、アメリカが一番強く求めていることと実は我々の内容というのは大きく違っているということだと認識をしております。
  95. 櫻井充

    櫻井充君 要するに、今のが典型的な例でございまして、あとは基本的には受け入れたということでよろしいんでしょうか。
  96. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) ちょっと、そもそも私の意識の中に、アメリカの要望というのがそれほど頭の中に入っておりませんので、そのことを考えて制度設計しているわけではありませんので、ほかにどのような細かい要望があったということも私は記憶をしておりません。  いずれにしても、郵政民営化日本国民のために、日本のためにやっていることでありますので、これはどこの国が要望している云々ということではございません。
  97. 櫻井充

    櫻井充君 お手元に資料が配付されているかと思いますけれども、そこの中の、これは韓国のデータなんですが、まずその前に、ニュージーランドでは金融機関のすべてが一応外国資本の傘下に収められてしまったと。  そういう中で、お隣の韓国で今どういうことが起こっているかといいますと、これは韓国銀行からの資料でございますけど、都市銀行は一九九九年に外国人の持分率というのが三一・二%であったものが、二〇〇四年の九月には五七・八%まで増えてきていると。個別行に関して見ると、今後、外国系というのがあって、そこの中の真ん中にシティバンクというのがございます。これ元々、シティバンクが韓国に行ったわけではなくて、ある銀行を、元々の韓国の金融機関を買い取っていって、最終的にはこういう形になっていって、外国人の持分比率、持分率というのが九九・三三%まで占めるようになっていったということでございます。  小泉総理に言わせると、私は島国根性だということなんですが、私は決してそういうことではなくて、その国益にかなうかどうかということが極めて大事なことなんだろうと。つまり、何を心配しているのかといえば、ニュージーランドでもう現に外国資本に席巻されて問題が起こったので、国として四十億円の出資をして国営の貯蓄機関をつくらなければいけなかったという事実でございます。そういう意味において、お隣の韓国も例外ではなくて、まあ徐々に徐々にではありますけれども、外国人の持分率が増えてきていると。  それで、実は韓国の国会議員の方がこのような状況をどうにかして打開しなければいけないということを調べられて、実はアメリカの地域投資法を何とか利用できないかということで研究会が始まりました。十二月に韓国の国会議員の方が来られて議論をすることになっていますが、今実はそういうような危機的な状況が始まりつつあるわけなんですね。ですから、これは、別に対岸の火事の問題ではなくて、我々のところにでも起こってくる可能性のあることだからこそ心配して申し上げているわけでございます。  例えば、これは個別の名前を挙げるのは差し控えますが、大手のメガバンクを見ても、ある行は外国法人の持ち株比率が二四%、三〇%、三六%と、それから、あるところは二三%ぐらいでしょうか。そういう形で、徐々にではありますが、こういう形で増えてきていると。そうなったときに、本当に金融システムが守れるのかどうかということが僕は極めて大きな問題になってくるんだろうと。  新生銀行などはモデルケースだとおっしゃいますが、しかし、あそこで問題になったのは、キャピタルゲインは結局課税もできなかったと。そして、しかもその新生銀行がやってきた行為というのは、融資先を随分減らしていったということもありましたし、本当に国益にかなうのかどうか。  確かに、銀行の健全性は増すのかもしれないけれども、その企業なりなんなりの経営に対して本当にプラスになるのか。これは、企業が立ち直らなければ税収は上がらないわけであって、税収が上がらない限り財政再建などできるはずがないわけですね。  そういう意味において、本当にこういうやり方でいいのかどうかの危機感を持っているからしつこくお尋ねしているだけの話でございます。これが本当に国民の皆さんの利益につながるのかどうか、そこが問題だから私はお伺いしているところでございます。  改めてお伺いしたいことがもう一点ございますが、例えば、郵政なら郵政であれだけ三百数十兆円のお金を抱えていて、これが例えば外国の方の手に渡ってしまった場合に、その資産の運用の仕方が全く違う方向になっていった場合には、これは日本としては大きな問題になっていくわけですよね。ですから、じゃ、そういった格好で外国資本に全部買収というか、そういう形のことができないのかというと、決してそうではなくて、今の制度上では問題なくできるわけですよね。  ですから、そうなったときに遅いので、こういう形のことを考えて、もう少し規制なりなんなりする必要性があるんじゃないのかなと思いますが、大臣いかがですか。
  98. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 櫻井委員が前半でお話しになられた韓国、ニュージーランドの例というのは、これは、ニュージーランドはむしろ積極的に外資導入を行った結果そういう問題が生じたわけですし、韓国の場合は、多くの銀行がいわゆる財閥系で資本構成が非常に脆弱であったというような背景を受けて今いろんな変化が生じているというふうに思いますので、ここはやはりそれぞれの事情、個別事情を勘案しながら、参考にすべきことを参考にするということだと思います。  後半おっしゃられました、しかし日本においてもいわゆる敵対的な資本が入ってきて、我々の大切なアセット、国民的なアセットが不安定にさらされないかどうかと。その点に関しては、これは当然のことながら十分な配慮が必要であると思っております。  これに関しましては、まず、金融機関でありますから、これは銀行法、保険業法がしっかりと適用されて、主要株主規制というのがございます。二〇%超の株式に関しましては、これは金融庁、主務大臣である金融担当大臣、まあ総理大臣でありますけれども、の認可が必要になるということでありますので、これは健全な経営、銀行業として、保険業としてしっかりとした経営をしてくれる株主かどうかということをそこで判定するというシステムを持っている。それをやはりしっかりと金融行政の中でやっていくということだと思っております。  また、いわゆる敵対的買収に関しましては、これはもう委員お詳しいと思いますけれども、会社法の整備の中で、どういうやり方がよいのか、今ガイドラインも作られて、そして東証等々でもいろんな検討が進んでいるところでありますので、民営化を行う段階でベストの方策で敵対的な買収の防止策は講じなければいけないと思っております。その意味でのしっかりとした関与は政府としても行っていくつもりでございます。
  99. 櫻井充

    櫻井充君 私はすごく不思議なのは、大臣竹中大臣、よろしいでしょうか。国民の皆さんは今の制度で本当に不利益を受けているのかというと、必ずしもそうでないんですね、郵政事業に関して言ったら、郵便事業に関して言っても。  ですから、今回の選挙の最中に多くの方とお会いして、今回の郵政事業に皆さん賛成なんですか、反対なんですかとよく聞くと、よく分からないという答えが多かったんです。つまり、その内容はよく分かっていないので何とも言えないけれども、何となく郵便局で集めたお金が無駄に使われているような気がするから反対なんですねという方はいらっしゃいましたけれども。しかし、実際に郵便事業そのもの自体に、今の制度の中に大きな反対者というのはいないわけですよ。特に、田舎に行けば行くほど今の制度のままでいいんだという方が随分いらっしゃいました。  そこで、要するに、大事なことは、であれば、本当に国民の視点に立った改革なのかどうかということが大事なことであって、どうもお金の流れだけを見てくると、これはこういう形でイニシアチブに基づく米国政府の要望書の中にもこれだけ取り上げられ、それから竹中大臣あてにアメリカの大臣からこういう形にしてくれというような要望が来ているということを考えてくると、郵便事業そのものに関しては何もないわけですよ。それは、彼らにとってみたら何のメリットもないものに関しては全然出てこなくて、彼らの、これは外務省に確認したところ、これはアメリカ政府からしてみれば、この要望書というのはアメリカの国益にかなうからこそ出してきているんだと。それから、対米要望書に関して言えば、これは日本の国益にかなうからこそそういったものを出してきているんだということを、これは外務省に確認をしております。  つまり、そういう点から考えてくれば、それは外国からすれば、自分たちの国益のためにこういうことをやってくれと要望するのはこれは当然のことです。これは当たり前だと思っているし、日本もそれはもっと強くやっていくべきだと私は思っていますが。いずれにしても、その内容が、その内容が本当に国民の生活のためにプラスになるのかどうかということが問題であって、そのために私は何回もここのところは強くお伺いしているわけです。  これで本当に国民の皆さんにとって大きなプラスになるんでしょうか。
  100. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 正に国益に沿ってやっているわけで、だから結果的にアメリカが要望しているような形にはこの法案はなっていない。私たちの国益に基づいて法律を作っているわけでございます。  本当に日本国民のためになるかという改めてのお尋ねでございますけれども、これは繰り返しになりますが、やはりマクロ経済観点と、そしてミクロの公社の経営の観点と、そして国民サービスの観点、その三つで非常に大きなメリットをもたらしてくれるというふうに私は確信をしております。  マクロ経済に関して言うならば、やはり小さな政府をつくる、資金の流れを官から民に変えていく非常に大きなきっかけがこの民営化によってつくられる。そして、経営の観点からいたしましても、このままで行くと公社の経営は大変厳しい、これはもう生田総裁御自身、何度もここで御答弁をしておられますけれども。そういう中で、経営の自由度を増やしてしっかりとした安定的な経営基盤を持っていただく。そして、だからミクロにも資す。そして、何よりもそうした経営の自由度の発揮を通して利用者サービスが向上していくということが期待されるわけでございます。  これまでも、例えば一つの、物流、宅配のサービス等々でも、やっぱり民間業者だから新しいアイデアを出してきたというのはもう明らかにあったわけでございます。今度は公社自身が民間企業になってそういうアイデアの競争をしていただきたい、そういう形で国民利便の向上が期待されると思っております。
  101. 櫻井充

    櫻井充君 まず、競争すれば本当にいいのかというと、私もあの当時のタクシーの規制緩和の法案には賛成したんだったと思いますけれども、仙台でどういうことが起こっているかというと、八百台タクシーが増えまして、その結果、運転手さんたちの賃金はもう十五万切っているんですね。そして、そのために今度は、労働時間を長くしているために、結構医療でいうヒヤリ・ハットみたいなものが起こりつつあるわけですよ。  ですから、過度な競争社会が、何回も竹中大臣は競争すれば市場原理でというお話をされますが、過度な競争原理を用いてしまうとむしろ社会としては悪くなっているということが僕は随分あるんじゃないかなと、そう思っています。  それからもう一点、官から民へ官から民へというお話をされますが、官で集めたお金を実は政府系金融機関を通じて民間に融資はされています。例えば、国民生活金融公庫などは民間金融機関が貸し出さないようなところに随分融資をしてきているわけです。ですから、官で集めたお金が民に流れていっていないというのは、これは全く違っていることですし、じゃ逆に、民間で集めたお金がどうなっているかというと、金融機関と生命保険会社で集めた中の二百兆円を超えるお金は、実は国債に流れているわけです。  ですから、民間で集めたからこれが民間に流れていって、そして官で集めたからこれは官で使われているというその認識は全く、そのお話の仕方が全くこの国民の皆さんに誤解を招くような、私はそういう説明じゃないかと思いますが。
  102. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 今、櫻井委員は二点おっしゃいましたので、最初の点で、過度な競争という言葉でございますが、確かにマーケットに任せておけばすべて解決していくというふうには私は全く思っておりません。市場の失敗というのはあるわけで、そういうようなものは、例えば御専門の医療とか、そういうようなものについて、特殊な財については、やはりその市場で解決できないものというのは多々あるということは承知をしております。  しかし、それにしても、例えばJR、民営化してやっぱりサービスが向上したと国民は思っておられると思います。そして、NTTについては、やはり民営化してドコモ等々非常に大きなサービスの向上があったというふうに国民はトータルとして評価をしていると思います。  そして、二番目の金融の話でございますけれども、官から民への話でございますが、これは実は平野委員が昨日ここの場で質問されたことと関連するわけでございますが、これは厳密な議論としては、当然のことながら最終的な資金の取り手と出し手、これは貯蓄と投資のバランスというふうに言い換えてもいいわけでありますけれども、貯蓄と投資のバランスからすると、今これは政府がマイナスの、負の貯蓄を大きく抱えているわけで、そこを直さないといけないと。そこを直さないと根本が変わらないというのは、これはもう共通認識であろうと思います。  しかし、もう一つ、最終的な資金の取り手、出し手の話だけではなくて、やはりそのお金のルート、金融仲介のルートのやはり官と民の大きさというのも、これはこれで重要な問題だと私は思っております。最終的に民間の手に融資されるんだから政府の機関が融資をしてもいいと考えるのか、いや、それだったら民間の機関で融資できることはやっぱり民間の機関で融資してもらった方がいいと考えるのか、私はやはり後者であろうというふうに思いますので、そこは我々も議論は注意をしてやっているつもりですけれども、最終的なお金の出し手、取り手の議論、そして金融の仲介の議論、そこはやはり両方ともしっかりと官から民に流れるように考えていかなきゃいけないと思います。
  103. 櫻井充

    櫻井充君 民間で集めたお金民間に流れていません。だから問題なんじゃないですか。  要するに、平成十年のときの金融システム不安の当時よりは良くなったのかもしれません。しかし、あの当時と比較してみても、実を言うと、ここ数年間と言った方がいいのかもしれませんが、数十兆円融資を減らしているわけですよね。竹中大臣は、私の、以前財政金融委員会で、質問に対して、不良債権の処理が終わったら貸出しが増えるんだと、そういうようなお話をされていました。これだって本当は実を言うと仮定なんですね。不良債権の処理が終わったら貸出しをするというのは、それは仮説ですから。  ですが、じゃ実際どうなったのかというと、残念ながら都市銀行においては融資残高は増えていないという、これが実態です。だから、僕は、大臣がおっしゃっていることが実際、じゃ実現されているのかというと、決してそうでないんじゃないのかなと思いますが。
  104. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 不良債権のときも、不良債権を処理したら経済が良くなるというのは間違いではないかという御指摘をさんざんいただきましたが、やっぱりそうではなかったということが日本経済状況の中で実証されているというふうに思います。  より具体的に、融資の残高につきましては、融資はこれは対GDP比でずっと日本は安定して七〇%ぐらいで来たわけですが、これがバブルのときに一〇〇%を超えるわけです。これの調整過程が中期的に続いておりますので、これまだ八〇%台ぐらいだったと思いますけれども、まだ融資の残高は、つまり金融機関は貸し過ぎた、企業は借り過ぎたと。これがバブルだったわけで、その調整はまだ続いておりますが、実はそれでも、不良債権の処理が終わって何が生じてきているかというと、いわゆる正常先に対する貸付けはここのところようやく増え始めた。これは、やっぱり金融が健全化されて不良債権が処理される中で金融が正常化してきているということの非常に重要な証左であるというふうに思います。  不良債権が処理される中で、これは日銀の短観等々にあります金融機関の貸出し態度をどう見るかというアンケートも傾向的に改善をしてきている。これ決して変化は今日、明日で出るわけではございませんが、やるべき政策をきちっとやっていったら経済は必ずその方向に向かっていくというふうに私は思っております。
  105. 櫻井充

    櫻井充君 結果的にはその貸出し残高が、貸出しが多かったんだと。その調整の段階で、今のところはどんどんどんどん減ってきているんだと。  しかし、そういう説明ではなくて、あの当時は、不良債権処理をもう前面に立ててやらなきゃいけないことなんだという話をされたときには、不良債権処理が終われば、終わればどんどん要するに貸出しが増えていきますよと。つまり、大事な点は、あの当時は不良債権処理に主眼を置かれて、そういうことの実現をされることが大事なことなんだというふうな説明でずっと来られてきたわけですよ。  しかし、何度も申し上げますが、そういうことをやったとしても、やったとしても、トータルとして、じゃ融資額は増えていますかと。正常先云々の問題ではなくて、それは銀行の健全性の問題ではなくて企業の問題です。企業が健全になったからそれは銀行が貸し出しているだけの話であって、それは金融機関そのものの問題とは全く違うんじゃないでしょうか。  それから、もう一つ申し上げておきますが、要するに、あの当時大臣は、じゃなぜ金融機関は国債を買うんですかというお話をしたときに、そこがよく分からないという、これ御答弁ございました、議事録見ていただければ分かりますけれども。結果的には、その貸出し先がないということになってくるとすれば、これ需要の問題であって、金融機関そのものの健全性だけではないんじゃないのかなと、そういうふうに思っております。  ちょっとほかのことがあって、これは改めてまた財政金融委員会等で質問させていただきますが、いずれにしても、その説明の中で大事な点を申し上げれば、国民の皆さんが誤解するような私は訴え方をしているところが随分あったんじゃないだろうかなと、そう思いますので、その点だけ指摘させていただいて……
  106. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) いいですか。
  107. 櫻井充

    櫻井充君 はい。
  108. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) ちょっと先ほど言い掛けたんですけれども、もう一度是非御確認いただきたいのは、櫻井委員銀行の債権、与信額が増えていかないということに対する御懸念を持っておられるわけですが、私が金融担当大臣に就任した当時の平成十四年九月期、与信額はこれマイナス五・二%という形で減っておりました。マイナス五・二%です。今も残念ながらまだ減少ですけれども、減少が〇・八%になってきまして、これはもう下げ止まってきているんです。  その中で、正常債権付きについては、債権先への貸付けについては十七年三月期、ようやくプラスになりまして、プラスの〇・六になりました。ちなみに、その十四年九月期では正常債権先もマイナス五%だったんです。それが今プラスになってきたんです。そこはやっぱり明示的な変化だと思います。  そして、委員は、それは銀行が変わったというよりは企業が変わったんだというふうにおっしゃったわけですが、私は、不良債権のときから申し上げてきたのは、銀行の不良債権の問題と企業のバランスシートの問題は表裏一体ですというふうに申し上げてきました。銀行から見ると返ってこない貸付金、企業から見ると返せない借入金。だから、これは同じなんです。これを放棄してちゃんと縮小していくということは、企業から見ると、返せない借金が少なくなって、財務が健全化する。これはやっぱりコインの両面でありますので、その政策が、今申し上げたような形でようやく成果が現れつつある。  まだまだ完全に我々も満足しているわけではございませんが、そこはやっぱり私どもはきちっと御説明をさせていただいて、きちっと実行をしてきたつもりでございます。
  109. 櫻井充

    櫻井充君 言いたいことはありますが、外務大臣にお越しいただいているので、ちょっと別な話にさせていただきたいと思いますが。  このイニシアチブに基づく要望書が出た後に上級会合が持たれて、その内容を見てみると、結果的には、日本の要望はほとんど通らず、アメリカの要望に対して日本はどれだけその法整備をしていったんだというようなことだけが書かれているという、これは平成十六年のものですけれども、こういう関係の中でいうと、本当に日本というのは独立国としてやっていけているのかなと。これは私だけではなくて、多くの人たちがこういうものを見るとひど過ぎるなと、そういう話をされるんですが、外務大臣として、その点はいかがでございましょう。
  110. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) 櫻井委員にお答えいたしますが、この日米規制改革及び競争政策イニシアティブ、二〇〇一年六月三十日の日米首脳会談で始まったもので、毎年一回やっていると。去年の秋やったものについては、今まだ取りまとめ中でございまして、大変恐縮でございますが、平成十六年の分で議論が今行われざるを得ないわけでございますけれども、この中で例えば、私どもはもう全くイコールパートナーで、お互いに改善の提案をしながら、それについてお互いできることはやるということでありまして、例えば典型的なことを一、二申し上げますと、ここにも書いてございますが、アメリカのアンチダンピング法、これはもう大変古い法律で、ずうっとアメリカがこれを使ってきたわけでありますけれども、これについて昨年の六月発表された中身で同法を廃止する旨、初めてこの場で公表されたということで、昨年の十二月、この法律が廃止されたこともあります。  あるいは、アメリカの入国管理がテロの関係で非常に厳格化していると、しかしこれでは在米日本人駐在員の経済活動の障害になるのではないかということを強く言った結果、例えばインターネットによる面接予約システムを導入するなど、ビザ発給の効率化を図るというようなことで先方が誠実に対応をしているものもあるわけでございまして。  もう一つは、この数え方にもよりますから厳密なことではないかもしれませんが、アメリカが日本に百三十八事項要求して、このうち七十五事項について一定の前向きの考え方を示したと、これに対して、日本がアメリカに要望した七十四事項中、先方が前向きの考え方を示したのが三十五事項ということで、全部が全部というわけにいかない、大体半分前後は対応して、お互いに対応しているということでございまして、私はそういう意味で、この日米間の関係、特にこの規制改革の分野での話合いというのはそれぞれにとって有意義なものであったと、このように理解をしております。
  111. 櫻井充

    櫻井充君 数だけ見れば大臣のおっしゃるとおりかもしれませんが、その内容を見ると、例えばビザの更新の手続の効率化とかビザ発給の、それから有効期限であるとか、何か全然レベルが違う内容の話になってきているんじゃないだろうか。要するに、国益のことに関して、国益にかなうようなことに関してもう少し強く言ってくることの方が私は大事なんじゃないかと、そう思っているから申し上げてきているだけでございます。  是非、要するに、外交がうまくいかなければ、外交がうまくいかなければ日本の国益というものはあり得ないので、是非その点についてきちんと対応していただければ有り難いと、そういうふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。  外務大臣、結構です。
  112. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 外務大臣は退席していただいて結構でございます。
  113. 櫻井充

    櫻井充君 済みません。  私は、竹中大臣がおっしゃっていることにまた問題があると思っていることがあるわけです。  例えば、政府の広報ビラで大臣がどういうことをおっしゃっているかというと、一つの部屋に窓が一個開いてベッドが三つ並べてあった絵があったかと思いますけれども、そこのところで風が吹いてきて三人が寒い寒いと言っているわけですね。ところが、三人、寒くないんですよ、今。今、三事業一体でやっていて、決してその三人は寒くなくて、収益はちゃんとした黒字になっているわけですから、あの絵そのもの自体が違っているわけですよね。  それからもう一つは、一つの部屋にしてやって、一つの人間は寒くてあと二人は暖かいからいいでしょうという絵なんです。これ、極めて冷たい考え方ですよね。要するに、利益の出ている分で利益の出てない分に対して補ってくるというやり方をして、やり方をしてユニバーサルサービスを実現するというのが今までのやり方であって、やり方であって、そのこと自体が今度、あそこの一部屋がどこを指しているのかよく分かりませんよ。だけど、ほら、こうやって見てください、二人は暖かくていいでしょう、一人だけ寒い思いして終わりですと、そういうふうに書いてあるわけですよ、実際のところは。  ですから、そこのところはあの考え方そのもの自体が私は間違っているんじゃないか。もう一度申し上げれば、三事業今一体でやっているからこそきちんとした形の利益が出ていて、その郵便のところが赤字であってもきちんとした形でできているわけですから、あの絵そのものが違っているんじゃないですか。
  114. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) その広報ビラを作ったときというのは、基本的には去年の秋の基本方針を踏まえて、制度設計をどのようにしていったらいいかということを議論している段階でした。あの段階では、今でこそ実は分社化、四分社化ということに対して大きな抵抗はなかったわけですが、分社化というのはどういう意味があるのかということが、これは専門家の間でもなかなか十分に理解されていなくて、我々はその中でリスク遮断という考え方是非ここはお示ししなきゃいけないという、そういう中で、あの絵は私かいたわけじゃもちろんありませんですけれども、広報の専門家がいろいろと考えてかいてくれたんだと思います。  寒いというような言い方がいいか悪いか、これはいろんな御批判あると思いますが、できるだけ分かりやすく比喩とかやっていくと、(発言する者あり)いや、大変分かりやすいという御評価もいただきまして、それで、その比喩をやると、これはまたいろんな御批判があるのは、これは常にそういう問題であると私は思います。  ただ、重要な点は、やっぱりリスク遮断、つまり金融事業というのは、特にほかの事業とを遮断しなければいけない。世界じゅうを見ても、大きな金融業と大きなその他の事業物流業を同じ会社でやっている例というのはないわけで、そういうことを今回の制度設計の基本的な思想としてしっかりと御理解いただきたい、そのような趣旨での広報であったというふうに思っております。  中身について、いろいろもっと改善の余地が確かにあると思います。ああいう広報そのものを余りやったことなかったものですから、そこはいろいろな御批判は御批判として聞きながら改善をしていきたいと思いますが、少なくともあのリスク遮断そのものの考え方が間違っているということではないと思っておりますので、正確な広報に努めていきたいと思います。
  115. 櫻井充

    櫻井充君 リスク遮断というのであれば、何がリスクなんですか。どの企業が、大臣お話をお伺いしていると、郵便事業に関して見ても、いろんな業界、いろんな部分で仕事をやって業務拡大をしていくから、結果的には黒字に、黒字というか、経営がうまくいくんですと、そういう話だけずっとされるわけですよ。そうすると、本来であればそこのところにリスクというのは出てこないはずなんですね、本来であれば。それが、なぜそういう形でそのリスク遮断だけを全面的に出されるんですか。
  116. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 我々は、銀行業と保険業を完全に分離して、そして民有民営にする。つまり、郵便局会社と郵便事業会社は引き続き同じ持ち株会社の下にあるわけですけれども、この銀行保険は完全に民有民営にして外に出したいと思っているわけです。それはなぜかというと、リスク遮断だからです。それを実現しないと完全なリスク遮断にはならないと。そこがやはり今回の大変重要な我々の出発点になっております。
  117. 櫻井充

    櫻井充君 だから、どの部分がリスクなんですかということを私は申し上げているんです。  時間がないので、もう一点指摘しておきますが、大臣ね、要するに、民間金融機関ができ上がって、そしてもう一つこっちで物流から何から全部やって、これがもし一緒になったらどうかという話ですよ。これはリスク遮断の問題じゃないんです。これは独禁法違反ですよ、多分、そうです。ですから、要するに分社化していかなきゃ、だってこれ、銀行のこれから代理店業務のところが出てきますが、銀行の代理店の業務が何を、代理店になれる人たちがどういう人たちなのかといったら、その他の業務のところで、要するに安く融資ができるとか低利で融資ができるとか、そういうことができると困るから、だからそこのところはきちんとしているわけでしょう。  つまり、私は、説明するとすれば、むしろそのリスクの問題よりも、そういった観点からと言ってくる方が適切だと思っているんです、本当は。ですが、そのリスクを分断しなきゃいけないという話をされると、結果的には、コンビニやそれから物流で利益を上げるから大丈夫ですと言っておきながら、実は御自身の書かれた著書の中で、郵政事業民営化とはこういうものなんだというところを書かれたところで、実は物流コンビニのところで、もし仮に失敗したときにリスクが発生するから、だから分社化しなきゃいけないということを一方で言っているわけですよ。  つまり、バラ色の試算を示しておいて、こういう形でやるから郵政事業民営化はうまくいくんだと、そういうふうに一方で言っておきながら、これは、国民の皆さんに向けて言っているのはそういうことを中心に言っておきながら、実際のところは、後ろではこういうことの問題があるからやらなきゃいけないという話をしているわけですよ。僕は、これ全然つじつま合ってないと思いますよ。
  118. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 委員はお医者さんであって、こういうリスクの概念は御承知だと思いますが、私たちは、骨格経営試算で示しているのは一つの想定される姿、平均的に想定される姿です。リスクというのは、平均される姿とは違います、分散ですから。リスクというのはその平均からどのぐらい離れる可能性があるかということですから、だからリスクを考えておかなければいけないわけです。  私たちは、平均として想定される姿は想定されるとして、これはやっぱり当然ちゃんと利益が出る姿でなければいけません。しかし、それとは別にリスクのことは考えておかなければいけない。だから、リスクについてもいろんな試算の中で感度分析等々も踏まえてやってきたということでございます。
  119. 櫻井充

    櫻井充君 こういうときは仮定の話が出るんですよね。こういうときは仮定の話が全部出てきて、そうでないときだけは勝手に自分たちの理論を、何というか、展開させてくるわけですよ。  いや、それは、首振られているけれども、そんなことないですよ。だって、じゃ何で、じゃ何で、じゃ例えばGDPならGDPはですよ、過去十年間の実績取らないんですか。郵便の量だけは過去何年間かの量を取ってきて、これだけ減ってくるからこうしなきゃいけないですねって話をしておいてですよ、GDPは十年間ほとんど増えていないんですよ、これ。増えていないものに対して、今度は一・五倍になりますと言っているわけですよ。こんないい加減なことないじゃないですか。自分の、自分のですよ、自分の都合のいいところは自分の勝手に数字を持ってきて、そして、そのところは仮説を立てて、こういうふうにすればいいんだという話をするじゃないですか。  もう一点申し上げておきますよ。ネットワークのところで、大臣は、ネットワークというのは過疎地も含めて全部いろいろあるんだから、業務をやる上においてはこれは絶対有利になるということをよく答弁されるわけですよ。しかし、そのほかのことについてはどうですかと聞くと、大臣は何て答えられるかというと、その部分は経営者の判断ですと、経営者の判断だということをよくおっしゃる。  だけれども、ほかのものに関して、僕は決して過疎地のところのネットワークが有利になるとは思っていなくて、重荷になるんじゃないかと。実際は、実際はニュージーランドでどうなっているかというと、そういった部分のところ、不採算部門は切り捨てているからそれは経営上良くなっているかもしれないけれども、過疎地の問題というのはいろいろあるわけですよ。  だから、過疎地の問題があるからこそ、今回のやつではこういう担保をしましたとかおっしゃいますが、おっしゃいますが、皆さんが不安を抱えているところはうまくいくんだ、うまくいくんだと喧伝しているわけですよ。うまくいくんだと言っておきながら、一方で、何か我々が、じゃこういう問題に関してはどうなんですかと聞くと、ここは仮定はできないとか、それから、そこの部分は経営者の判断だとか、そういう形で逃げられているじゃないですか。今の答弁だって、はっきり言ってまともな答弁だと私は思っておりません。  ただ、大事な点を再度申し上げておきますが、これが本当に十年後、十二年後になるんでしょうか、民営化された際に大きな失敗にならないように、今まで民営化されているほかの国々で相当大きな問題が起こっているので、そういうことの観点に立って申し上げているんだということだけ御承知いただきたい。  そのことを指摘いたしまして、私の質問を終わります。
  120. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 訂正、はい、竹中国務大臣
  121. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 訂正だけです。  銀行法の主要株主規制につきまして、二〇%超という言い方と二〇%以上という言い方、若干、昨日と今日、私、混乱あったかもしれませんが、二〇%以上が正しい言い方でありますので、訂正をさせていただきます。
  122. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十八分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  123. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) ただいまから郵政民営化に関する特別委員会を再開いたします。  郵政民営化法案外五案を一括して議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  124. 山本香苗

    山本香苗君 公明党の山本香苗です。本法案賛成の立場から、より良い郵政民営化を実現するため再度確認しておきたい点、また懸念される点についてお伺いさせていただきます。二十分間ですので、簡潔にお願いしたいと思います。  まず、官から民へ資金の流れを変えるために、資金の入口であります郵政、この改革が必要ということでございますが、と同時に、出口となる財投改革、財投機関の改革も強力に進めていかなくてはなりません。竹中大臣は、先日の本会議におきましても、政府系金融機関統廃合については十一月を目途に基本方針をまとめると御答弁されておりますが、小泉総理はこのことにつきまして、一つにできるんだったら一つがいいのではないかと思い切った統廃合に言及されております。いろんな閣僚の方おっしゃっていらっしゃいますが、谷垣大臣は、数が幾つになろうとも、幾つにしようと、やるとしょせん数合わせだという批判が出てくるだろうと、だからその前に政策金融として必要な機能は一体何なのかという議論をすべきだといった御趣旨の発言を記者会見でされておりました。  既にもう戦いが起きているような感じがするわけでございますが、今後、竹中大臣はどのようにおまとめになっていくお考えなのか、お伺いいたします。
  125. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 昨日も経済財政諮問会議政府系金融機関改革に向けての議論を行いました。  そこでの議論は、基本的にはやはり重要なことは民の補完に徹するということでありますので、これは正にやはり機能の議論をしっかりとやっていくということになります。同時に、その政策金融機関、機能として残すもの、残さないものが出てくるわけですが、残すものについても組織についても、ゼロベースで見直していくということで議論を進めていこうと思っております。重要なのは機能でございます。  同時に、天下りの問題等々も含めて、国民から納得のいくようなやはり官の改革でなければいけないと思っておりますので、十一月を目途に取りまとめ、基本方針の取りまとめに向けまして内閣一丸となって対応をしていくつもりでございます。
  126. 山本香苗

    山本香苗君 昨日の経済財政諮問会議、今御答弁の中にもございましたが、その中では民間議員の方から御提案がなされて、政府系金融機関への天下り禁止を盛り込んだようなことも入っていたと伺いました。  この政府系金融機関への天下りをめぐりましては、総理が二〇〇二年八月にトップへ天下りすることを排除ということを打ち出したにもかかわらず、これから審議に、これからまとめられるこの政府系金融機関の役員の計八十四名のうち、中央省庁の官僚出身者の方が半数近くいらっしゃると。その中には財務省の方がたくさんいらっしゃるということでございますが、この御提案につきまして昨日は具体的な検討はなかったというふうに記者会見でもおっしゃっていらっしゃいましたけれども、大臣御自身といたしまして、この天下りをなくすということ、今後おまとめになります基本方針の中に最後まで盛り込んでいくぞというお考えがあるのかどうか、お伺いしたいと思います。
  127. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 昨日の議論では、先ほど申し上げましたように民の補完に徹すると、機能は民の補完に徹するということを議論しましたが、加えまして、やはり官の既得権を許さないということが大きなテーマでございました。官の既得権を許さないという中に、組織のゼロベースでの見直し、天下りをなくす等々の提言が民間議員からされております。現実問題として、今特殊法人八、例の政策金融機関八機関で七十名程度の理事以上の職の方いらっしゃると思いますが、財務省が十五名ぐらいおられたと思いますし、経済産業省が八名ぐらいおられたと思いますし、そういったことに対するいろんな御意見があるということは承知をしておりますので、官の既得権を許さないという観点から、しっかりと議論をしていくつもりでございます。
  128. 山本香苗

    山本香苗君 もうちょっと明快な御答弁がいただきたかったなと思ったんですが、次に、財投事業についてお伺いさせていただきたいと思います。  財投事業につきましては、前回質問させていただきましたときに、財政審の方で総点検をしたということを谷垣大臣から御答弁いただきましたが、この結果はどのように来年度の財投編成に反映させるお考えなのか、お伺いさせていただきます。
  129. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 前回議論をさせていただきまして、平成十三年以降、いろんなことをやってまいりました。預託義務を廃止して、民業補完性や償還確実性について厳格な審査を行う等々ということで、ピーク時の四割ぐらいのところまで圧縮して、その間に当然無駄なことも省いてきたということでございますが、平成十七年度の財投計画の編成に当たりましては、財政審財投分科会の御指摘に従いまして、財投残高において大きなウエートを占めておりました住宅金融公庫あるいは都市再生機構について、住宅金融公庫については民間で取り組んでいる直接融資を廃止するとか、あるいは都市再生機構についてはニュータウン事業から撤退するといった業務の抜本的な見直しを行ってきたところでございます。  今後の財投編成に当たりましては、今おっしゃった総点検の指摘事項が的確に実施されているかどうかをきちっとフォローアップをした上で、その上に、その上で本当に必要な資金需要に的確に対応しながら、対象事業の重点化、それから効率化、これを図りながら来年度予算を作り上げていきたいと、このように思っております。
  130. 山本香苗

    山本香苗君 では、この総点検というのは、今回されたわけなんですけれども、来年度も同じような形でなされるんでしょうか。
  131. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 当然これはいつもやっていかなきゃならないことでございまして、今までの成果は平成十八年度に、可能な限り十八年度予算に反映させていきたいと思っております。
  132. 山本香苗

    山本香苗君 といいますのも、来年度もやるかどうかという話の中で、その総点検の中をよく読ませていただきました。その中で、これからより一層その点検の手法を拡充していかなくちゃいけないということが、その中でも委員の指摘もあり、またまとめの中にも入ってきているわけなので、来年度はどうするのかなというところをお伺いしたかったわけなんです。  そこで、その点検の手法というところでいろいろと見させていただきますと、財投事業のやっぱり透明性を高めていくということがやっぱり今非常に求められているんだと思います。そうした中で、国がある一定の監査基準を決めて、いわゆる内部監査という形じゃなくて外部監査を入れて徹底的にそういうことを行って結果を公表すると、そういうこともやってみないと、これだけ財政が厳しいと言っている中で、それぐらいやらなくちゃいけないんじゃないかと。  大臣としてそういうお考えをお持ちなのかどうか、力強い御答弁をお待ちしております。
  133. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 委員のおっしゃったことはポイントでございまして、そういう方向で私どもも進めてまいりまして、かなり進んできたつもりでおります。  情報開示の一層の徹底を行うというのがこの財投改革一つポイントでございますが、既に特別会計や、それから地方公共団体を除く三十六の財投機関のすべてにおきまして、公認会計士の一定の関与の下で民間準拠の財務諸表が作られているわけですが、このうち二十六機関、独立行政法人十九機関、それから特殊会社七機関、合わせて二十六機関でございますが、この機関におきましてはその作成に当たって公認会計士の監査は制度上義務付けられております。それから、三機関におきましては、義務付けられてはいないんですが、自主的に公認会計士の監査証明を取得しているところでございます。  それから、十七年度で実施した財投改革の総点検で、「現時点で会計監査を受けていない財投機関にあっては、予算等の制約も踏まえつつも、今後、監査を受けることを検討することが適当と考えられる。」と指摘をされておりまして、今後、公認会計士による監査が導入されていない機関につきましてもこれを求めていくという方針で進めていきたいと思っております。
  134. 山本香苗

    山本香苗君 いや、そういう制度として義務付けられていないところもあると、こんなゆっくりやっている場合じゃないと思うんですね。求めていくという話じゃなくて、来年度からきちっとやらせると、そういう形で制度としてやらせるという形にしていくべきだと思うんですが、竹中大臣、通告していないんですけれども、どうでしょう、今みたいな形でよろしいんでしょうか。
  135. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) できるだけ早く改革を進めたいという思いは担当大臣全員それぞれの部署で持っていると思います。多くのものについてできるだけしたがいまして目標と時期を決めて我々取り組もうとしているわけで、財務大臣におかれてもそのような方向で御努力をなさっていると承知をしております。
  136. 山本香苗

    山本香苗君 財投事業に必要な資金調達につきましては、財投機関が財投機関債発行によって市場での自主調達に努めると、更に必要な場合に、必要な資金需要に限って国が財投債を発行するという形で改革がなされたわけなんですけれども、いまだに財投債の方がボリュームとしては大きいと。これはこのままの状態を続けていくというおつもりなんでしょうか。財投債と財投機関債のベストミックスということをこの八月にも大臣答弁、この委員会でされていらっしゃいますけれども、これから議論していきましょうねという話じゃなくて、どこでどういう形で、どういう形でいつぐらいまでにそういう形できちっと財投債と財投機関債、いろんな御意見があるわけですけれども、位置付けなされていくのか、お考えをお伺いさしていただきたいと思います。
  137. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 平成十三年に財投改革をいたしまして、財投機関債というものを進めていこうということで努力をしてきたわけですが、発行額は年々増えてきております。十七年度では改革後初めて、一定規模を有するすべての財投機関、これは十億円以上の財投規模を持つ機関で、産投機関、それから特会、地方公共団体を除いておりますが、その一定規模を有するすべての財投機関で財投機関債の発行を計画するというところまで参りました。それで、発行額、それから資金調達に占める財投機関債の割合は、それぞれ入れたときは一兆円で五・七%でしたが、本年度におきましては五・九兆円、二五・一%、四分の一が財投機関債になってきたわけですね。  それから、この財投機関債を入れたことによりまして、やはり市場で評価をしていただいて引き受けていただかなきゃならないわけですから、ディスクロージャーの進展とか業務の効率化という点でも、これに合わせてかなりの進捗があったと思っております。で、そこから先、そのベストミックスということを私も答弁をさせていただいたことがありましたけれども、これをどういうふうにしていくかというのは相当議論をしていかなきゃならないと思います。  と申しますのは、現実には、財投債と財投機関債を比べますと、調達コストは、コストは財投債の方が安く済んでいるということがございます。ですから、全体としてやった結果、余りそのコストが、負担が高まるということでは改革の目的に沿うのかどうかということもございます。だけど、一方、先ほど申しましたように、やはり財投機関のそれぞれの中身をよく外に開示して、外からもそれを評価していただいて、全体の効率性や合理化に資するという観点も大事でございますから、その辺が、どこがベストミックスかというのはまだ十分議論が煮詰まっていない点がございます。  そこで、昨年十二月の財政審の財投分科会の報告書でも、各財投機関ごとに、ALMの効果であるとか調達コストであるとか市場状況を勘案しながら、どういう組み合わせがいいか検討せよと、こういう御指示をいただいております。ですから、私どもは、二五・一%になりまして、もっと進めていかなきゃいけないと思っておりますが、どの辺が一番いいところかというのはもう少し時間を掛けて検討したいと思っております。
  138. 山本香苗

    山本香苗君 やはり、いろんな検討していく上で、その議論ベースとしてその財投事業の正確な実態というものを把握しなくちゃいけないわけでありまして、先ほど言ったような、外部監査を入れてしっかりこの実態を調査するという、実地調査等も財務省の方で始められたそうですけれども、きちっとそういうところをやっていただくことがまず最初にあるべきなんじゃないかなと思いますので、是非谷垣大臣にはしっかりやっていただきたいと思いますが、よろしくお願いしたいと思います。  もう一つ、済みません、通告していないんですが、竹中大臣、お伺いさせていただきたいんですけれども、今いろいろ財投の問題について聞いてまいりました。総理も、郵政民営化というのは単に郵政省の改革じゃないんだよと、あらゆる改革につながるんだと、その中には財投という改革もあるんだということを言っていらっしゃったわけであります。  大臣は、この財投の本質的な評価というものをどうされて考えていらっしゃるのか、今後も財投を続けていくという方針なのか。財投を続ける限り、財政再建とのかかわりでどういうふうなお考えを持っていらっしゃるのか、御認識を持っていらっしゃるのか、お伺いさせていただきたいと思います。
  139. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) よく財投は日本固有の政策であるというような言い方がされることがあるんですが、これはもう決してそうではないわけでございます。こういう形で政府が関与をして投資、融資をするという仕組みはどこの国でもございます。そして、どこの国もそこそこのやはり規模を持って仕事をしているというふうに私は認識をしています。ただ、日本の場合非常に特殊でありましたのは、その財投の資金が郵便貯金、簡易保険という非常に特定の財源に頼っていた。多くの国はこれを事業国債に頼ってやってきたというふうに私は思います。  そういう形で、資金の入口が非常に特殊であったということ、そしてある時期この財投の規模、日本はやっぱり非常に大きくなって、そして今の政策金融機関に象徴されますが、直接貸付けとか、これは保証とかもいろいろあるわけですが、直接貸付けとか、直接政府が介入する度合いがやっぱり高かったということではないかと思います。  今、改革の、今後進めていくに当たりましては、やっぱり政府がやるべきかどうなのかという公益性の基準と、その際にどのような政策手段、直接貸付けなのか利子補給なのか保証なのか、どういう政策手段が最も有益性を持っているのか、そういうことをきっちりとやはり再評価しなければいけない。そういうことを軸にこの財投が持っている本来の機能を果たしていただく、しかし無駄はできるだけ縮減していってインセンティブが働くようにしていく、そのような改革を目指さなければいけないと思っております。
  140. 山本香苗

    山本香苗君 時間が迫ってまいりましたので、質問をちょっと、がらっと変えます。  郵便貯金銀行の、午前中にも質疑の中にありましたけれども、資金運用能力について多くの方が懸念を示されているわけなんですが、そこで二点お伺いさせていただきます。  資金運用能力がないということをどういうふうな形、どういうふうに御認識されていらっしゃるのか。また、ないのであれば、これからどれぐらいの時間を掛けて、どういう手段を講ずることによってそれを身に付けさせるというふうにお考えになっていらっしゃるのか、よろしくお願いします。
  141. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 御指摘のように、郵政という組織は大変巨額のお金を集める能力を持っておられる。しかし、その運用に関しては、運用能力がないわけではないわけですけれども、国債等の安全資産で運用するということでございましたので、やはりその一部に偏っているということなのではないかと思っております。まずは、こうした従来から培ってきた人材ノウハウを有効に活用していただくということが当然必要になります。旧契約分は引き続き国債等の安全資産で運用されますので、それはそれでしっかりと運用をしていただきたいと思います。  新勘定は、これは公社と同じ範囲からスタートして順次拡大していきますので、その中でできるだけやはり今の業務と親和性のある仕事をやっていただく。いきなり企業に対する貸付けというのはその意味じゃやはり非現実的なのであって、ABSでやるとかシンジケートローンとか親和性のあるものから入って、その中で時間を掛けて人材ノウハウを蓄積していっていただきたいというふうに思っています。移行期間十年間ございますので、その間にしっかりとノウハウを蓄積していっていただきたいというふうに思っております。  もちろん、その間、これ銀行であり保険業でありますので、しっかりとした検査、監督を受ける、その中でリスク管理のシステムをしっかりとつくっていっていただくということであろうと思っております。
  142. 山本香苗

    山本香苗君 そういう御懸念を示される方というのは、民間お金が回った場合に、官、すなわち国債の方に回らなくなるんじゃないかと、それによって国債の市場価格が暴落して金利が上がって、国債依存度の高い日本の国家予算はピンチに襲われるんじゃないかという懸念がございますが、これについてはどのように対応されていくのか、谷垣大臣の方でよろしいでしょうか。
  143. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今、郵貯、簡保で国債残高の四分の一程度を持っていただいておりますので、今後とも、借換債等大量の国債発行を続けざるを得ない状況でございますので、この民営化というのをどう踏まえていくかというのは私どもにとりまして極めて大きな課題でございます。  まず、何を考えますにしても、財政規律をきちっとやっているという前提がなければ、今お触れになった金利等にも不測の影響を与えることでございますので、これも繰り返し申し上げておりますところですが、二〇一〇年代初頭にいわゆる基礎的財政収支を均衡させるという目標を強力に推し進めていく、また、私どもも機会あるごとにその姿勢を強調していくということが必要であろうかと思っております。その上で、国債の安定消化を図る上では、市場のニーズとか動向を十分踏まえながら国債を発行していく、それから商品の多様化、それから保有者層の多様化、こういったものを進めていく必要があると思います。  特に、この郵政民営化の関連では、先ほど御議論になりました旧勘定の運用は、郵便貯金銀行等に特別預金といった形で委託されて、郵貯銀行等はこの特別預金等の額以上に国債等の安全資産を保有することと、それから郵便貯金銀行等は移行期において保有する国債等の安全資産額の見通し、それからその根拠について毎年度管理機構に報告して、管理機構はその報告の内容を公表することというようなことで、全体にこの情報を外に出して透明化をすることによって見通しを明らかにする、そのことによって不測の影響がマーケットに及ばないようにするというような制度設計もしていただいているところでございます。  いずれにせよ、最長十年という期間を掛けて完全民営化に向かっていくわけでございますから、当然そのときそのときで経済状況の変化とかいろんなことが起こると思いますが、目を、十分目配りをよくして乗り切ってまいりたいと考えております。
  144. 山本香苗

    山本香苗君 以上です。  ありがとうございました。
  145. 吉川春子

    吉川春子君 日本共産党の吉川春子です。質問します。  金融ビッグバンによって金融機関の間の競争が激化し、利益追求のためのいわゆるリテールバンキング戦略の下、顧客を選別し、富裕層を囲い込み、手数料ばかり掛かるとの理由で小口預金者が切り捨てられようとしています。これまでは小口預金者を対象にしてきた郵貯を株式会社にすれば、一層これに拍車が掛かる懸念があります。  そこで、金融大臣に伺いますが、金融排除について、どういうことでしょうか、どうお考えですか。
  146. 伊藤達也

    国務大臣伊藤達也君) 金融排除についてお尋ねがございましたが、この金融排除について明確な定義があるわけではありませんが、何らかの理由により口座を持つことができない者が存在することをとらえるならば、アメリカやイギリスにおいてそのような状況存在することは承知をいたしております。  しかし、日本はどうかということでありますけれども、日本においては、大多数の銀行におきまして口座維持手数料が無料の預金口座が提供されているところでございますので、金融サービスへのアクセスが諸外国と比較して著しく制限されている状況にはないものと認識をいたしておりますけれども、金融排除の問題については、私どもとしても今後注視をしていかなければいけないというふうには思っております。
  147. 吉川春子

    吉川春子君 その何らかにおいて、何らかの理由において金融口座が持てない、つまり小口とかいろいろな差別的な要素があるわけなんですけれども、アメリカでは既に郵貯を一九六六年に廃止をしておりまして、ビッグバン、金融ビッグバンも日本より早く行ったわけです。  今、何が起きているかということですが、寺地孝之関西学院大学教授によりますと、アメリカの家計金融動向調査によれば、金融機関に口座を持てない人は九・五%、これは九八年です。彼らの多くは独身、失業者、年金生活者、女性であり、彼らは自分の家を持たず、クレジットカードも保有していないということです。ビッグバン先進国、まあ括弧付きですけれども、では、金融排除が社会問題となっています。  通常国会で私の質問に対して金融大臣が、アメリカでは、連邦準備制度理事会レポートによると、金融口座を有していない率は一二・七%の世帯、千三百八十八万世帯、イギリスでは一四%、三百三万世帯いると答弁されました。これら金融決済口座を持たない人たちに対して各国ではどういう対策を講じているでしょうか。
  148. 伊藤達也

    国務大臣伊藤達也君) 私どもとして、必ずしもその諸外国実態を正確に把握しているわけではございませんが、例えば今御指摘がございましたイギリスの場合には、ブレア政権が発足をされた後に、二〇〇一年五月に国民の基礎的な銀行サービスへのアクセス改善のために、郵便局ネットワークの活用について政府と主要金融機関との間で取決めがなされているものと承知をいたしております。  その具体的な内容につきまして、全国に一万八千ある郵便局の窓口やATMから基礎的な機能を有する銀行口座に国民がアクセスできるようにすること、そして、年金等の受給のためだけに開設された郵便局カード口座の運用費用について銀行側が一億八千万ポンドを拠出することであったと承知をいたしております。  この背景でありますけれども、銀行口座を保有していない低所得者層に配慮する必要があったということ、そして、二〇〇三年四月以降に年金等の受給者が郵便局で為替等により給付金を受け取る方式から変更になりまして、原則として受給者の口座に給付金を振り込む方式へ変わったと、このために銀行口座を持たない受給者は新たな口座の開設が必要になったことにあると承知をいたしているところでございます。
  149. 吉川春子

    吉川春子君 総務省、局長にお伺いしますけれども、郵便貯金の事業経営に関する将来ビジョン研究会最終報告、コピーをいただきましたが、その中で、アメリカのマサチューセッツ州とかフランス、ドイツでこの金融排除問題について対策を講じていると思いますが、時間の関係上、端的に説明をしていただきたいと思います。
  150. 鈴木康雄

    政府参考人(鈴木康雄君) お答え申し上げます。  今御指摘のございました、平成十二年六月に取りまとめました郵便貯金の事業経営に関する将来ビジョン研究会の報告書におきまして状況が報告されておりますが、その報告書によりますと、アメリカにおきましては、マサチューセッツ州等一部の州において、州法により、高齢者等を対象として維持手数料を要しない口座の提供等を銀行に義務付けるという例がございますし、また、連邦政府民間金融機関に補助金を出して郵便局舎にATMを設置する試みもなされております。  次に、フランスにおきましては、公営のラ・ポスト及び普通貯蓄金庫といった貯蓄金融機関が非課税の要求払い預金を提供しております。また、フランス銀行法によりまして口座開設の権利が認められております。  さらに、ドイツにおきましては、振替口座を管理するすべての金融機関は営業地域内のすべての希望者に対して振替口座を提供するということとされております。また、二〇〇五年末まで、最低一万二千の郵便局の維持を義務付けるユニバーサルサービス指令によりまして郵便貯金を通じた金融サービスへのアクセスが確保されております。なお、ちなみに、これは二〇〇七年まで延長されております。  以上でございます。
  151. 吉川春子

    吉川春子君 金融大臣、その金融排除の問題について各国でいろんな対策が講じているんですけれども、日本でもメガバンクを中心に顧客の選別が行われています。金融庁の資料によれば、都市銀行における役務取引の経常収益に占める割合が九五年の三月期から二〇〇五年の三月期まで十年間で三・六から一六・六%に増加しています。手数料収入によって利益増大を図る傾向は日本でも急速に伸びているわけです。  大銀行のリテール戦略は、富裕層を囲い込み、サービスを手厚く優遇し、一方、手数ばかり掛かる小口の顧客は機械、ATMに対応させ、手数料を引き上げる、こういう戦略が取られていると私は承知しておりますけれども、金融庁はこの実態についてどの程度把握していますか。
  152. 伊藤達也

    国務大臣伊藤達也君) お答えをさせていただきます。  各銀行におきましては、その顧客のニーズというものを踏まえて、それぞれの経営判断に基づいて多様な金融サービスというものを提供していると承知をいたしているところでございます。  この中で、預金商品につきましてそれぞれの状況を見てみますと、現在の我が国銀行が提供する預金商品というものは口座維持手数料を徴求しないものが大多数を占めていると。その中で、一部には優遇金利の提供など一定のサービスを付与する場合に、合理的な手数料を徴収をする預金商品を提供する銀行存在するところであるというふうに思います。  このように、銀行が顧客の多様なニーズに対応した各種のサービス体制を充実をして、そして顧客にサービス内容に、顧客に対してサービス内容の十分な説明を行いつつ、そのニーズに適切に対応していくことはその経営上重要なことであると考えております。
  153. 吉川春子

    吉川春子君 総務大臣にお伺いしますけれども、この郵便貯金の事業経営に関する将来ビジョン研究会最終報告では、金融排除、ビッグバンによる金融排除の問題についてもいろいろ報告がなされていますけれども、どういう懸念が表明されているでしょうか。
  154. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 金融排除の実態若しくは定義というのは、吉川先生、これなかなか、どれが金融排除と言われるものなのかがちょっとなかなか定義のしにくいところというのをまず大前提で考えておいていただかないと何かいかにもという感じがしますけれども、まだ、日本実態的にこういった例があるというような例が幾つもわっと出てくれば、それは金融庁の方も、また他の省庁でも引っ掛かるところなんですが、それほどまだ顕著に挙がってきたわけではないという前提が一つ。  それから、郵便局が民営化された後にそういったようなことになり得るのではないかという懸念というのは、私どももそれは十分に配慮しておかなきゃいかぬところだと思いますので、それでいろいろ義務付けやら何やらを今回の中でもさせていただいているので、少なくともこういった二万四千六百七十八、実際に郵便、何というか、金融サービスをやっていないところが五百幾つありますので、郵便貯金を扱っていない郵便局というのは今既に五百幾つありますから、それを引きますとやっぱり二万四千百ぐらいになろうかと思いますが、そういったところを含めまして、いわゆる本当に年金が受け取れないとかというような事態になりかねぬという事態というのは、これは断固注意をして見守っておかねばならぬところだと、私どもそう思っております。
  155. 吉川春子

    吉川春子君 今直接はお答えいただけなかったんですけれども、総務省の最終報告には、小口預金者にもたらす不利益として、ビッグバンが進展する中、金融機関間の競争激化が経営効率化の追求により、不採算店舗の整理、プライベートバンキングの導入に代表される大口顧客に対する優遇的な取扱いや口座維持手数料の導入も否定できないと、このように書いてあります。  竹中大臣にお伺いいたしますけれども、金融ビッグバン以降、日本銀行も手数料収入の比率を増していますが、預金残高が一定額を下回った場合に口座維持手数料が課せられている口座が増えています。三菱のスーパー普通預金は十万円、UFJのオールワンは五十万円未満の顧客からは口座維持手数料を取るということになっていますが、今後の問題として、こういう銀行が増えて口座を持てなくなる人が増える懸念というものがあるのではないかと思いますが、いかがですか。
  156. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 今後の問題ということでありますから、前回答弁させていただいておりますが、今後の問題としては我々も十分注意したいというふうには思っております。  ただ、口座を持てない理由として、アメリカにおいても、持っておられない方のうちの手数料が高いから持てないとする方は一割でございます。したがって、その手数料が本当に問題で、諸外国においてもこうした金融排除の問題が起きているのかどうかということに関しては、まずしっかりと精査をしなければいけないと思います。  今、日本においては、一般的に口座維持手数料がない普通預金口座、そして各種料金の口座からの自動引き落とし等が十分普及しております民間は、それぞれ今の公社よりも手数料として物においては同じか安いものを提供しているところもございますので、私は、今の民間の競争の中に更に公社が今度は競争相手として入ってくるわけですから、そうした競争を通して、またこの郵政自身は地域密着型小口預金を大事にするビジネスモデルになると思いますので、当面そういう懸念はないというふうに思っております。  ただ、今後注意はしてまいります。
  157. 吉川春子

    吉川春子君 今、日本がどうしてそういう金融口座を持てないというような深刻な問題が発生していないか、それは郵貯があるからですね。郵貯はそういうものは一切取っていないわけなんですよ。福祉のために郵貯があるわけです。それがなくなるというその将来においてどうなのかという質問をしているわけです。  各銀行のホームページを見ると、口座手数料を必要とする口座へと誘導されるようになっていて、こうした銀行が増えることは間違いないと私は大変懸念をしております。  それで、資料をお配りいたしましたけれども、ちょっと見ていただきたいんですけれども、公的給付が銀行とか郵貯を通じて振り込まれております。例えば、恩給百二十一万人、年金が三千六十五万人、雇用保険が六十八万人、生活保護費が百四十六万人、児童扶養手当が八十七万人、そして児童手当が九百四十万人と、これはどちらかというと社会的弱者と言われる人たちに対してのその給付金の性格が強いと思うんですけれども、こういうものを今、例えば過疎地だと銀行ではなくて郵便貯金で受け取れるんだけれども、それがなくなると。  そういうようなことが一方で起こって、そしてまた口座維持手数料が、今、諸外国の例をいろいろ報告していただきましたけれども、そういう中で口座が持てなくなる、そういうお金を受け取れる金融機関がなくなるということがあってはならないわけなんですよね。今はない、今はないんですよ。今はないんだけれども、将来的にもそういうことがあってはならない。こういう公的な給付などを受け取れるための金融機関の口座を国民に必ず保障していかなきゃならないと思うんですが、麻生大臣、そういうお考えでしょうか。
  158. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 今回のこの一連の改革というか、郵政民営化の中においても、この点は最初から非常に議論をなされたところでありまして、今回、別会社という形になりますけれども、そこでいわゆる国が、それを国で保障するということは、それは全然別、銀行としては別の意味になりますんで、そういうことはできないという前提に立った上で、なおかついかに維持するかというところが今回一番問題になった問題、問題になったイシュー、イシューって何でしたっけ、事項だったんだと、私どもはそう思っております。  したがいまして、そういった話でいろいろこう附帯決議が付きましたところもございますし、なかなか法律に書けないけれども、現実問題としてはそれはやってもらわねばならぬ。また、そのために社会貢献とかいろんな形でそういうものを、黒字を維持できるようにせねばならぬ等々は、すべてこの点に掛かっていたと思えるぐらい議論はなされたと思っておりますので、私どもも絶対ないかと言われると、その絶対の条件がなかなか難しいので、私どもとしてはおおむねほとんどないであろう、ないだろう。もしそうなった場合は、それこそ三年に一遍の見直しのときにきっちりやらねばならぬ、ならぬのは当然のことですし、きちんとした対応をしていかねばならぬところなのは当然のことだと思っております。
  159. 吉川春子

    吉川春子君 重ねて確認的に伺いますけれども、こういう金融口座というのは国民が生きていく上で最低限必要なものなんですね。そういうものがいろいろなその法律の改変によって、今度の郵政民営化によってなくなるということは大問題で、まあアメリカのニューオーリンズのあのハリケーンの被害なんかも、非常に社会的な底辺にいる方々に過酷な災害が襲い掛かって、そしてローンもほとんどの方はカードを持っていないというようなことも報道されている。そういうような事態が今は日本はないんだけれども、郵貯が廃止されるということについて、そういう口座が維持できなくなる、持てなくなる可能性は否定できないわけなんですが、そういうときにもそういう口座を保障する、それはやっぱり政府の役割なんだと。法律の改変ということまで今おっしゃいましたけれども、そういうものを保障するということが政府の役割なんだということを麻生大臣、もう一度明言していただきたいと思います。
  160. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 今、こう何でしょうね、アメリカと比較されるのが、どうも極端な例としてよくお引きになるんだと思いますけれども、かなり社会の内容も違うと思いますので。  特に過疎地の話をよくされますけれども、過疎地は、ほとんどの方は隣にだれが住んでおられるかというのはよく御存じというのは、この日本という国の社会、私の場合は特に選挙区が田舎なものですからそう思いますけれども、そういう中にあって、今のような状況というのはなかなか考えにくいとは思いますけれども、少なくともいろんな意味で、生きていく上で必要なものというものに対して最大限配慮するというのは大切なことだと思っております。
  161. 吉川春子

    吉川春子君 もう、一言でいいですが、法律に書けないこともあるとおっしゃった。でも、書けないけれどもこういうものを保障するのは、こういう最低の金融口座を保障するというようなことは政府のやっぱり責務ですよね。その点、一言で。官房長官に聞きます。
  162. 細田博之

    国務大臣(細田博之君) 支障のないようにいたします。
  163. 吉川春子

    吉川春子君 それで、総務省はなかなか細かい具体的な検討をしているわけです。全部評価するわけじゃありませんけれども、中央省庁再編直前にですね。その中で、金融弱者、金融ビッグバンによる金融弱者のおそれを指摘して、それをフォローするのは郵貯なんだと、郵貯の役割をもっと拡大してきちっとしていかなきゃならないというのがこの最終報告書の結論として書かれているわけですね。  その郵貯を今度民営化してしまうと、郵貯が株式会社銀行になってしまうと。こういうようなことを行うわけですから、それに代わるものとして総務省としてはどういうことを考えておられてこの郵貯の民営化法案に対処したのか、その点、最後に伺います。
  164. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 御存じのように、これはいろいろ御意見の多方面から寄せられたところでして、一番弱者に対してどう配慮するかという点は、特に過疎地と言われるところ、いわゆる今回の町村合併によりまして五万人以上の市というものに住んでおられる方は実に八一%になります。もう五万人以上も市でありますんで、それを入れますと、五万人以下でも市がありますんで、もう八四、五%は都市に住んでおられるというのが実態ということになりますんで、残りの十何%のところの部分をきちんと面倒、目を行き届かせるというのは、総務省にとって、いわゆる地方行政を預かる方にとっては非常に大事なところだと思っておりますんで、私どもはそういった点につきましては、この郵貯のいわゆる民営化に関しましても、私どもとしては最もこれは配慮せねばいかぬところというところだと思っております。それが一点。  もう一点は、町村合併になりますと、その分は目が、手が抜ける可能性がありますんで、その点は郵便局できちんと対応していくという以外に現実的な方法としてはないのではないかという等々、ちょっと数え上げると幾つもありますけれども、時間もあれなんでしょうから、いろいろ対応しておると。ちょっとその細目につきましてどうかと言われりゃ、ちょっと別の時間をいただかぬととても、時間だと思います。
  165. 吉川春子

    吉川春子君 ちょっと委員長、済みません、一言だけ最後に。  過疎地の問題、今日触れているんじゃなくて、金融的な小口預金者の問題、まあ過疎地も大問題なんですが、金融の小口預金者の問題の排除の問題について伺っていますが、先ほど来、最大限に配慮するという御答弁も官房長官からも総務大臣からもいただきましたので、こういう金融排除の事態がアメリカのように、あるいはほかの国のように繰り返されないようにするためには、郵政民営化をしない方がいいと、そのことを最後に申し上げまして、質問を終わります。
  166. 近藤正道

    近藤正道君 社民党・護憲連合の近藤正道でございます。  私が最後のどうも質問者になるようでございます。  選挙前と選挙後と随分雰囲気が変わったというふうに私も思いますが、しかし郵政民営化、それがどういう結果をもたらすのか、その住民、有権者の不安というのはやっぱりそれなりに私は今度の選挙でも出たというふうに思っています。北海道や東北、そして北信越、私の選挙区の新潟もそうでありますけれども、今ほどの金融排除の問題だとか、あるいはサービス、ユニバーサルサービス、そして郵便局の存続の問題、そういう住民の不安は比例区の得票率の中にはっきり私は出ていたんではないかと、こういうふうに思っておりまして、住民の多くはこの選挙の中でも、とりわけ過疎地域あるいは弱い立場の人たちはこの民営化に大変な懸念を示している、そのことを冒頭申し上げながら、最後でありまして、今日かなり質問もダブるところもありますけれども、私の懸念、最後の確認の意味も含めてお聞かせをいただきたいというふうに思っています。  最初は、与党の皆さんが出されたこの附帯決議の問題でございます。  異例な附帯決議が前回出されまして、そして政府の方はこれを尊重すると、こういう答弁をされました。そしてまた、この後も同様な附帯決議が出されるやに聞いております。  そこで、まあ非常に素朴な質問でありますけれども、今回の郵政民営化関連法案に伴って出され、そして皆さんが最大限尊重するとおっしゃったこの附帯決議の意義というものについて竹中大臣にお尋ねをいたしますが、これについて政府の方針にどのような影響を具体的に及ぼすのか、前のやつで結構でございます、それをお聞かせいただきたい。単にこれは再答弁政府答弁を確認した、その程度のものなのか、それとも具体的に政府の施策、方針に影響を与えるものなのか、すべての論点はこの関連法案の正に成否に極めて大きな影響を与えた問題でありますので、この点について竹中大臣の明快なひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  167. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 郵政民営化、我々そういう法案を出しているわけでありますが、委員御指摘のように、やはり国民の不安等々を払拭すべく、やはり各方面に気を配ってしっかりと努力をしていかなければいけないと思っております。  法案そのものは、今回の法案そのものは前回から半年スケジュールを延期するなど若干の技術的な修正を行っておりますけれども、骨格については変更しているものではございません。したがいまして、前の通常国会において参議院の附帯決議がございましたが、これは正に国民の懸念や不安を払拭する、そのためにそういう法施行に当たって十分注意しろというその御決議があった、その趣旨を重く受け止めているところでございます。  法案を成立させていただいた暁には、その施行に当たりまして我々としても、したがいまして最大限尊重してまいりたいと思っております。
  168. 近藤正道

    近藤正道君 最大尊重というのは、具体的な施策に何か具体的に影響を与えるんでしょうか。
  169. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 我々は、これから法律に基づきましてしっかりとそれを運営、運用していかなければなりません、施行していただかなければなりません。その過程で、いろんな方の人選も行わなければいけないし、政省令も決めていかなければいけません。正にそれがその施行の中身であるわけでございますが、そういったことに当たりましては、その国民の懸念や不安を払拭するというその決議の、附帯決議の趣旨を重く受け止めて対応していきたいと思っております。
  170. 近藤正道

    近藤正道君 そのことにかかわって一つだけお尋ねをいたしますが、前回の附帯決議の二番目に「移行期間を超える長期・全国一括の代理店契約の締結を明確にすること。」、こういうくだりがございまして、このことについて昨日も我が党の又市征治議員が質問をいたしました。まあ全国一括ということは結構なんですが、その長期の代理店契約と、これは移行期をカバーするということなんでありますが、これは非常に安定的な代理店契約の一つポイントだというふうに思っておりまして、まあできるだけ長期の方がいいと。  しかし、一方で経営判断という問題もありまして、そのバランスをどうするかという問題が一つありますが、できるだけやっぱり長い方が私はいいと。今言ったように様々な懸念がある中で、できるだけやっぱり長い方がいいというふうに思っておりまして、昨日、竹中大臣はまあ百年というちょっと極端な例を取って話をされましたが、私はまあ百年とか五十年はともかくとして、せめて移行期原則十年の倍ぐらい、二十年ぐらいは望ましいんだと、政府はそういう方向で是非働き掛けていきたいと、こういう政府の方針というのはやっぱりこの際明確にすべきなんではないか。倍ぐらいは、移行期の倍ぐらいは望ましいんだというぐらいのひとつ御答弁はいただけないでしょうか。
  171. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 今回の法律の枠組みは、みなし免許を出すに当たって長期安定的なやはり契約がないと銀行としての営業の基盤が築けないであろうと、そのために銀行行政の観点からみなし免許の条件としてそういうものを付すと、これは基本的な法律考え方でございます。  もちろん、移行期を上回るということでありますから、十年を超えて長期にするということを妨げると、そういう制約は何もございません。しかし、これは免許の条件でございますので、免許条件としては金融機関そのものがやはり安定的に推移していかなければなりません。したがって、長ければ長いほど良いというものでも当然これはないものだと思っております。そこは、全体としての経営体としての一つの御判断、利益もありますし、また、これは銀行から見てもある程度長い方が自分たちの基盤が安定するというそのメリットもあると思います。  そういうことを総合的に是非御判断をいただいて、その実施計画にそのことを織り込んでいただきたい。正にグループ全体の視点に立って織り込んでいただきたい。そして、実施計画に織り込まれれば、同計画を認可する主務大臣であります内閣総理大臣が審査の上、免許条件クリアとしてこれを認可することになるというふうに考えております。まあそこは正に実態に即してきちっと御判断をいただけるものと思っております。
  172. 近藤正道

    近藤正道君 どうも核心に触れた御答弁がないんですが。  まあこの附帯決議のところには、例えばその基金については二兆円まで積み立てる、こういうくだりも実はあるわけでございます。つまり、法的保証が外れた、それに匹敵するシステムをどう構築するかということがポイントでありまして、正にここのところ、できるだけ長期な、とりわけ移行期でもありますんで、長期な代理店契約、これは正に安定的な代理店契約のポイントなんですよ、この期間は。  だから私は、五十とか百とかそういう話をしているわけではなくて、せめて倍ぐらいのものはやっぱり望ましいんだと、そのぐらいのことはやっぱり言えないんですか。それは、だから私は前段にこの附帯決議だとかそういうことを聞いていて、皆さんも最大尊重するんだということであれば、それは正に一番核心の部分のこの期間の点については私はこのぐらいのことをやっぱり言えなければ、この附帯決議、単なる絵にかいたもちなんではないかと、こんなふうにしか思えてしようがない。  もう一度重ねてお尋ねをいたします。  経営判断に丸投げするんではなくて、主務大臣としてはどのぐらいが望ましいのか、是非このぐらいの線で我々としては民間金融機関を、この郵便銀行を指導していきたいと、精一杯働き掛けていただきたいと、そういう答弁はないんですか。
  173. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) これから、今朝も議論がありましたけれども、十年後の金融の情勢というのはこれはもう、容易にはこれはもう想像できないと思います。  この間、実はこの契約というのは決して排他独占の契約ではなくて、いろんな金融機関が、郵便局の窓口で金融商品を提供するということはあり得るわけでございます。そういう状況下で一か所と、非常に長いものがある方がよいかどうかと、本当にどのぐらい長い方がよいのかどうかというのは、これは大変難しい私は判断であるというふうに思っています。その判断を政府が前もって二十年がよろしい、十五年がよろしい、三十年の方がもっとよろしいとか、そういうことはやはり言う立場にはないと思っております。  しかし、我々は移行期間の間を十分にカバーする長期の安定的な代理店契約は必要だと。このことは、これは法律の枠組みの中でも明記をしているわけでございます。それに基づいて、かつ実態を踏まえてしっかりとした判断をしていただきたい。その経営判断、承継計画に基づいて、主務大臣はこれ金融の立場からしっかりと判断をされると思いますけれども、そういう形での実効性のある仕組みをつくっていきたいと思います。
  174. 近藤正道

    近藤正道君 移行期を十分にカバーする期間と。正にその一つの、大臣が考えておられる一つのモデルケースというのはどのぐらいなんですかと、それを聞いているわけですよ。移行期を十分にカバーする、十分にカバーする。どのぐらいお考えなんですか。
  175. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 移行期十年を十分にカバーすると、それに尽きていると思います。
  176. 近藤正道

    近藤正道君 何か小泉総理の靖国、適切に判断するという答弁を思い出すんですけれども、それは皆さんはそれなりに一つの評価、分析をして価値判断を加えて十分なということを言っておられるわけで、それは正にこの間ずっと皆さんはこれを検討されてきて、どのぐらいの期間が必要なのか、どのぐらいの移行期をカバーする、プラスどのぐらいのものが必要なのかということは、大体内部で検討されていると思うんですよ。そのぐらいのことはやっぱり言えないんですか。
  177. 細田博之

    国務大臣(細田博之君) まあ次第にお気付きになっておられるように、これは金融保険民間会社として完全に独立させるための法案であり、そして特殊会社、郵便局会社、現在の郵便局を丸ごと、これからも日本の古来の文化の下できっちり残して、そして今のような郵便局の形態を残すための最大限の調和点を定めた法律であるわけですよ。  したがって、これからもずっと、皆さんがお考えのように、当然、よほどの変更がない限り、この郵便一家がより合理化しながら、片や完全民営化した会社、片や地元のために郵便業務と併せて、当然ながらこれまでやっている代理業務をずっと続けていただく、そういう枠組みで考えておりますので、御心配は要らないところです。
  178. 近藤正道

    近藤正道君 御心配をしていただかなくても結構だって、心配だからこちらは聞いているわけで。  まあ、これ以上はそれ言ってもしようがありませんので、別の角度でお尋ねをいたしますが、ドイツ、ドイツ・ポストのケースでありますが、ドイツでは、郵政民営化に当たりまして、ユニバーサルサービスの標準といいましょうか、指標、基準、こういうものを作って、何人もこのユニバーサルサービスの指標確保のために措置をとるように規制官庁に申し出ることができる、こういう規則があります。  これをまあ市民の陳情権ということを、というふうに言っておりまして、民営化が伴う様々なサービス低下に対して国民が、具体的なレベルを下回ったときには物申す、物申せると、こういう制度をつくっている。私は、大変いい制度ではないかというふうに思っておりますが、日本にはこういう制度は今回ない。しかし、こういう物の発想は私は是非必要なんではないかというふうに思っています。  繰り返しやっても、やっぱり法的保証がなくなった後の担保措置というものはどうやってこれを確保するのかということは大問題でありまして、このドイツのケースというのはやっぱり参考に値するんではないかと思っておりますが、ない日本でこれに匹敵する制度としては何があるんだと。日本にはないけれどもその代わり、ドイツにはあるけれども日本にはないと、しかし日本にはこういうものがあって一方的にサービスが低下されるということはないんだと、こういうものがあるんなら是非大臣からお聞かせをいただきたいし、是非私は、この後、このドイツのこの陳情権の制度というのはやっぱり検討に値するんではないかと、是非検討もしていただきたい、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
  179. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) どの国におきましても、郵便に関連する業務というのは大変国民生活に密着していますので、安全、安心を守るための一生懸命の工夫をしているというふうに思います。  御紹介のありましたドイツのユニバーサル令の話も、これ陳情権というのか提案権というのか、そういうものが織り込まれているというのもそのうちの工夫だと思います。その背景は違いますが、我々もやはり工夫をしているわけでございます。  まず、その法律において、ドイツの場合は、最初はそういう設置基準そのものがなかったわけですね。我々は当初から設置基準を作ると。かつ、法律において、あまねく全国において利用されることを旨として郵便局を設置するということを法律上義務付ける。その上で、省令で設置基準を作る。これはドイツにはなかったけれども、我々で工夫したところでございます。  その上で、この設置基準に基づく郵便局の設置状況については、これは毎事業年度、郵便局会社から事業報告書を提出してもらいまして、総務大臣が把握をして、そして必要に応じ適切な措置を講ずるという仕組みがございます。かつ、郵政民営化委員会、これは移行期間については郵政民営化による三年ごとの総合的な見直しを行うわけですけれども、その中には設置の状況等々も含めるわけでありますし、その面でも我々なりの工夫をここに入れ込んでございます。  加えて、御承知のように、地域貢献業務の計画を立てなきゃいけない。その地域貢献計画、地域貢献計画を立てるに当たっては地元の有識者の意見を聞くというシステムを取っていますので、これは地域貢献業務の範囲はある意味でドイツのユニバーサル令より広いという解釈もむしろ私たちはできるのではないかと思っております。そして、そこに直接提案するというのが、陳情するというのがドイツのシステムであるならば、我々は地域の有識者の声を聞いて、その声を尊重しなければいけないということを法律で義務付けて、そして主務大臣の認可の下でこの貢献計画を作りますので、私は、その意味では今回の我々の法律は、今委員御指摘の、やはり安全、安心のためにしっかりと地域の声も反映して仕組みをつくっていくということを我々なりに一生懸命反映したつもりでございます。
  180. 近藤正道

    近藤正道君 時間がありません。  最後に、資金の流れ、これ今日、皆さんもいろいろ聞いております。多少重複するかもしれませんが、やっぱりなぜ民営化なのかという正にその根幹にかかわる話でありますので、私も最後質問させていただきたいというふうに思っています。  資金の流れを官から民に変えるんだと、こういうふうに言われてこの民営化が動き出しているわけでございますが、しばしば御指摘のとおり、実態は全く違う、民間金融機関がむしろ自ら進んで国債にシフトしている、こういう現実がございます。民営化された郵貯銀行資金を民に流すとは限らないという状態がありまして、要は金融市場の動向いかんであります。  国に資金需要がある限り、あるいは民間資金需要がない限り、これは変わらない、こういうふうに確信をしておりまして、この点について改めて大臣の御答弁をいただきたいし、同時に、郵貯も簡保も、この四年間資産総額は減っておりますけれども、国債購入は増加し続けておりまして、昨年度末現在では、先ほど来出ておりますけれども、四〇%を超えていると、こういう状態でございます。大量の、預託制度が廃止とされた後も、郵貯・簡保資金民間には流れず、大量の国債購入という形で官に流れておりまして、郵貯、簡保という入りを規制したとしても、出口である独法、公社公団、ここの天下りの問題だとか、あるいは税金の無駄遣い、こういうものをきっちりと改革しない限り、この国債の依存はやっぱり変わらない。これはもう繰り返し言っているわけでございますが、私の質問最後にこのことについて、まあ選挙の中では随分これと違うような話がワンフレーズでやられたようでありますけれども、この最後答弁で、明快なひとつ実態に沿った御説明をいただきたい、こういうふうに思います。
  181. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) お金の流れを官から民に本当にしっかりと変えていく、それによって経済を活性化して、この国の経済をより発展させていくということが、もう我々、与野党を問わず、我々に課された重要な仕事であると思っております。  そのためには、それは決して一つのことではなくて、その総合的な改革を正に行っていかなければいけないわけでありますが、その意味では、今、近藤委員御指摘のように、最終的な資金の取り手、これがもう圧倒的に今は政府、官になっているわけです。かつては、企業部門というのは資金の取り手だったんですけれども、その企業部門が沈滞をして、一方で国債の大量発行によって、貯蓄と投資のバランスから見る限り、最終的な資金の取り手というのがもう圧倒的に官になっていると。今後も官のは、その負の貯蓄、赤字を当面続けなければやっていけないような仕組みになっておりますので、我々は年々の赤字を、これ一生懸命今減らして、基礎的財政収支の改善を目指しておりますが、その間も、その間も公的な部門が赤字、お金を吸収していくという構造はやはり続いてまいります。しかし、それを何とか二〇一〇年代前半で食い止めるような仕組みにしたい、そのための改革はしっかりと財政改革として行っていきます。  そして、その官の金融の仲介の部分について、これまで郵政という組織で非常に大きなお金が、この官の主体である、官の仲介者である、金融仲介者である郵政に入ってきて、そしてそこが官にしかお金を回せないという仕組みの下で、宿命の下で、国債等々に、購入を行ってきた。その流れをやはり今回、仲介の部分を変えるわけでございます。これ、やっぱり金融仲介の部分をしっかり変えて、同時に資金の最終的な取り手の改革を行っていく、財政健全化を行っていく、このことと併せてしっかりと改革をしていきたいと思っております。
  182. 近藤正道

    近藤正道君 最後でございますけれども、今ほどるる御説明がありましたけれども、質問の中でも申し上げましたように、法的保証に匹敵する私は代替物、確立はされていないと、こういうふうに思っておりますし、官から民への金の流れ、そしてその金が本当に民の、私たちの暮らしに大事なところに回ってくると、そういう保証、担保もこの間の論議の中で見いだすことはできない、私はそういうふうに思っております。同じように多くの有権者もそういうふうに思っている。  私は、この郵政民営化、納得はできない、やめるべきだと、こういうことを申し上げまして、質問を終わりにさせていただきたいと思っております。
  183. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 他に御発言もないようですから、六案に対する質疑は終局したものと認めます。  これより六案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  184. 藤末健三

    ○藤末健三君 私は、民主党・新緑風会を代表して、政府提出の郵政民営化法案に対し反対の立場で討論を行います。  郵政事業の改善の最も重要な視点は、国民皆様の利益であることは言うまでもありません。国民皆様の利益のため、現在、郵政事業の中にある三百三十兆円という膨大な資金が公団、事業団といった非効率的な事業に流れ込まないように、資金を必要とする民間に確実に流れるようにすることが重要です。これを小泉総理は官から民へと言っています。しかしながら、官から民へのキャッチフレーズには大きな疑問符が付きます。  まず、政府案において郵政公社は、政府が株式の三分の一超を保有する持ち株会社と、持ち株会社が一〇〇%保有する郵便事業会社郵政窓口ネットワーク会社、そしてそれらと株式を持ち合いをする郵便貯金銀行と郵便保険会社となります。すなわち、特殊会社政府系金融機関ができるにすぎません。民営化の名前に全く値しない。  次に、小泉総理は、これまで国債百十一兆円、財投債百四十四兆円を合わせた約二百五十兆円という国の借金を増やしましたが、引き続き野放図な国債、財投債の発行を続けるならば、郵便貯金や郵便保険資金は官から民に流れることはありません。我々はこの点について重ね重ね質問をいたしましたが、明確な回答を全く得ておりません。  ほかにも反対の理由はあります。  まず、民営化後の経営予測、骨格経営試算の前提が余りにもいい加減です。名目GDPが十年間で一・五倍になる、コンビニ事業は業界最大最強のセブンイレブンと同じレベルの売上げ、利益を上げる、資金運用では民間銀行でさえも不可能な利益を上げるなど、約二十七万人の職務を担う事業の経営予測が余りにもいい加減です。  次に、民営圧迫の可能性が著しく高いことがあります。膨大な規模と力を持つ郵便局がコンビニ、不動産業など新規事業を行えば、地方の事業者が郵便局との競争により淘汰される可能性が大きくあります。そして、二兆円もの社会地域貢献基金は、基金という名前を変えただけの補助金であることです。採算が悪ければ補助金で手当てをする、そうであれば必ずモラルハザードが起きます。  さきの国会で明らかにされた問題点は今国会でもとうとう解消しませんでした。総選挙の民意とは、決して矛盾だらけの郵政民営化政府案を無条件で承認するものではありません。  良識の府である参議院の議員としてこのようなずさんな法案には断固反対ということをお訴えして、私の反対討論を終わらせていただきます。
  185. 弘友和夫

    弘友和夫君 私は、自由民主党及び公明党を代表して、郵政民営化法案等六法案について、賛成の立場から討論を行うものであります。  郵政民営化国民の意思であることは今や疑う余地はありません。私たちは、これまで郵政民営化及び六法案について次のように主張をしてまいりました。  第一に、そもそも郵政民営化という改革は、単に郵政事業改革にとどまるものではなく、正に小泉総理が構造改革の本丸と位置付けられているように、財政構造改革、財政投融資改革金融システム改革特殊法人改革など、あらゆる構造改革の推進に直結し、小さな政府の実現につながるものであるということであります。  第二に、高齢化と少子化が急速に進み、総人口が二〇〇六年にピークを迎えた後、減少に転ずると見込まれている我が国では、労働生産性向上のために市場経済が円滑に機能することが不可欠であり、その点、郵政民営化は、民間にできることは民間にという方針の下、郵政事業市場の原理にゆだね、競争を促進し、円滑な市場経済機能の実現に大いに貢献するものであるということであります。  第三に、国と地方の借金の合計が一千兆を超えると予想され、行財政改革による負債の削減が喫緊の重要課題となっている今日において、郵政民営化は、事業の官から民へを促進することにより、約三十八万人もの公務員を削減し、今後の行財政改革の突破口となり得る効果的施策であるということであります。  第四に、郵政民営化は、現在、郵便貯金、簡易生命保険に流れている約三百四十兆に上る国民資金について、その出口を官から民へ変えることにより民間投資を促進し、経済成長に資するとともに、新たに法人税等の収入を確保することにより財政再建に貢献するものであるということであります。  第五に、郵便局の公共的、福祉的役割の重要性から、民営化後も引き続き維持され、国民の利便性が低下しないようにする必要があるとの指摘については、六法案には十分な配慮がなされ、社会地域貢献基金の創設など、制度設計において様々な工夫が凝らされているということであります。  郵政民営化についてのこうした私たちの主張は国民に十分に理解され、六法案が支持を得ていることはさきの衆議院総選挙の結果から明らかであります。これを速やかに成立させ、郵政民営化を実現するとともに、更なる構造改革を加速させ、簡素で効率的な政府の実現に向けて邁進することは、国民に対する最重要の責務であると考えます。  最後に、生田総裁始め郵政公社職員皆様民営化の実現は困難な道ではありますが、希望ある道であります。是非とも国家国民のために一丸となって頑張っていただきたいということを申し添えまして、六法案に対する私の賛成討論を終わります。
  186. 吉川春子

    吉川春子君 私は、日本共産党を代表して、郵政民営化関連六法案に反対の討論を行います。  郵政民営化法案は、繰り返し明らかになっているように、国民にとって百害あって一利なしの法案です。参議院において圧倒的多数の反対で否決されたのは当然の帰結です。二院制を尊重するなら、両院協議会、衆議院での再議決など憲法上の手続を踏み、国民法案に対する理解を尽くした上で解散するなど、丁寧な手続を踏むべきです。  しかも、郵政民営化に絞って国民に賛否を問うた総選挙でも、与党の得票は小選挙区で過半数には届かず、国民投票ならば明確に否決です。ところが、与党は議席の多数をもって信任されたと強弁し、否決された郵政民営化法案を極めて短い審議で押し通すことは、断じて許すことはできません。  本法案に反対する最大の理由は、国民に基礎的金融サービスをあまねく公平に提供する国の責任を放棄するものだからです。  貯蓄や決済など基礎的金融サービスを受けることは国民の権利です。郵便局は、ATMの手数料無料、振込料も安く、口座維持手数料もありません。民間銀行が過疎地を始め、もうからない地域の支店を閉鎖し撤退する中で、郵便局はすべての市町村にネットワークを張り巡らし、基本的金融サービスを受ける国民の権利を保障しています。しかし、法案は郵便局の業務に郵貯、簡保を義務付けておらず、不採算地域からの撤退は経営判断にゆだねられています。  今、世界ではビッグバンによって銀行間の競争が激化し、顧客の選別が行われ、口座を持てない金融排除が大きな社会問題になっています。アメリカで千四百万世帯、イギリスで三百万世帯が口座を持てず、各国で対策に取り組まざるを得なくなっています。日本では郵便局が小口預金者の保護、国民に基本的金融サービスを提供するセーフティーネットの役割を担っています。  ところが、小泉内閣は、郵政民営化を強行し、基本的金融サービスを提供する国の責任を放棄し、民間任せにしようとしています。そもそも郵政民営化国民が求めていたものではなく、郵貯、簡保三百四十兆円の開放を要求してきた日米金融資本にこたえるものです。国民はセーフティーネットを断たれれば、憲法に言う健康で文化的生活も保障されず、社会は一層不安定なものとならざるを得ないことは火を見るよりも明らかです。郵政公社の正規、非正規の労働者の雇用労働条件も危機に瀕しています。  郵政民営化法案は断固反対を表明し、討論を終わります。
  187. 近藤正道

    近藤正道君 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、郵政民営化関連六法案に対する反対討論を行います。  反対の第一の理由は、法案に関する審議時間が余りに短く、十分な討議が保障されなかったことであります。しかも、いったんは廃案になった法案施行期日を半年ずらしただけで何の変更もないまま提出されるなど、与党のおごりと言うほかありません。  総選挙の結果、確かに与党は勝利いたしました。百歩譲って、衆議院は選挙結果に左右されざるを得なかった面があるにしても、参議院は良識の府としての立場を発揮すべきであります。議席の大幅増加で何をやっても許されるという意識が与党にあるとすれば、それは大きな認識違いであります。小選挙区の総得票数では与野党の票が拮抗しており、郵政民営化については賛否は相半ばしているのであります。  反対の第二の理由は、民営化によって採算性や経営判断が優先されることになり、全国一律の郵便局ネットワークが維持できなくなることであります。そのことは、もとより、貯金や保険などの金融サービスが受けられなくなる地域が出てくるからであります。とりわけ、過疎地や離島ではその懸念が深まっております。  政府は、民営化されても経営者がネットワークをなくすという判断をするはずがない、地域の郵便局はなくなるおそれが出てきても社会地域貢献基金でカバーすると繰り返して答弁しておりました。しかし、過疎地に存在する民間金融機関は極めて少なく、全くない地域もあるという実態を見ても、民営化された後の郵便局がどうなるかは明らかであります。  第三の理由は、政府・与党は、郵政民営化によって資金が官から民へ流れ、それが経済を活性化することにつながるということを強調しておりますが、これは単なる希望的観測、推測にしかすぎないことは明らかであります。官から民へという耳触りの良い掛け声とは裏腹に、郵貯、簡保の三百四十兆円に及ぶ庶民の生活用貯蓄が、投機のためのリスクマネーやアメリカを始めとする外国債、あるいは消費者金融資金となって流れることは明らかであります。  民間金融機関は、民間資金需要がないことから、この間、むしろ自ら進んで国債を購入してまいりました。民の資金は民へは流れず、官へ流れ続けているのが実態であります。郵貯を民営化すれば資金は自然に民に流れるというものではないことはもとより、民営化になれば郵貯が資金を民に流す保証など全くないのであります。この点について、政府から納得のいく説明はついになかったのであります。  以上、反対の理由を申し上げ、私の反対討論といたします。  以上であります。
  188. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 他に御意見もないようですから、六案に対する討論は終局したものと認めます。  これより順次六案の採決に入ります。  まず、郵政民営化法案について採決を行います。  本案に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  189. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、日本郵政株式会社法案について採決を行います。  本案に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  190. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、郵便事業株式会社法案について採決を行います。  本案に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  191. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、郵便局株式会社法案について採決を行います。  本案に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  192. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理機構法案について採決を行います。  本案に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  193. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、郵政民営化法等施行に伴う関係法律整備等に関する法律案について採決を行います。  本案に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  194. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、世耕君から発言を求められておりますので、これを許します。世耕弘成君
  195. 世耕弘成

    世耕弘成君 私は、ただいま可決されました郵政民営化法案外五案に対し、自由民主党及び公明党両派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     郵政民営化法案日本郵政株式会社法案郵便事業株式会社法案郵便局株式会社法案独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理機構法案及び郵政民営化法等施行に伴う関係法律整備等に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たっては、次の事項について特段の配慮をすべきである。  一、国民の貴重な財産であり、国民共有の生活インフラ、セーフティネットである郵便局ネットワークが維持されるとともに、郵便局において郵便の他、貯金、保険のサービスが確実に提供されるよう、関係法令の適切かつ確実な運用を図り、現行水準が維持され、万が一にも国民の利便に支障が生じないよう、万全を期すること。    簡易郵便局についても郵便局ネットワークの重要な一翼を構成するものであり、同様の考え方の下で万全の対応をすること。  二、長期の代理店契約、基金の活用等により、郵便局が長年提供してきた貯金、保険のサービスが民営化後も引き続き提供されるよう配慮すること。そのため、承継計画において、郵便局株式会社と郵便貯金銀行、郵便保険会社の間で移行期間を超える長期・全国一括の代理店契約の締結を明確にすること。なお、基金についても、二兆円規模まで積み立てること。  三、持株会社及び四子会社が、統合的な経営戦略に基づき、郵便局ネットワークを維持・活用できるよう、以下のとおり株式の持ち合いを認めること。   1 持株会社について、移行期が終了した後は、特殊会社としての性格を考慮しつつ経営判断により他の民間金融機関と同様な株式保有を可能とし、その結果、株式の連続的保有が生じることを妨げないこと。そのため、郵政民営化法第百六条、第百三十六条の趣旨を踏まえ、株主総会に係る株主の権利行使の基準日を適切に定款に規定すること。   2 移行期間中と言えども、郵政民営化法第百五条、第百三十五条の決定がなされた場合及び持株会社が郵便貯金銀行、郵便保険会社の全株式を処分した後は、郵便局株式会社が、特殊会社としての性格を考慮しつつ、経営判断により密接な取引関係を有する郵便貯金銀行、郵便保険会社株式を他の民間金融機関の例と同様に保有しグループとしての経営が可能であること。   3 前記1、2によりグループとして株式の連続保有が可能となっていることに加え、民営化委員会が行う三年ごとの経営形態のあり方を含めた総合的な見直しの中で必要があれば更なる措置を講ずること。   4 新たに設立される株式会社がそれぞれの経営判断により、新規事業への投資に加え、必要に応じ前記1、2、3を踏まえた適切な経営形態を採ることを可能とするため、持株会社において財務計画を定めるなど必要な措置を講ずること。  四、民営化委員会が行う三年ごとの見直しには、設置基準に基づく郵便局の設置状況金融保険サービスの提供状況を含めること。また、民営化の進捗状況及び民営化会社の経営状況を総合的に点検・見直しを行うとともに、国際的な金融市場の動向等を見極めながら、必要があれば経営形態のあり方を含めた総合的な見直しを行うこと。    なお、民営化委員会の三年ごとの見直しに関する意見については、郵政民営化法第十一条第二項によって国会へ報告されることとされているが、更に、郵政民営化推進本部がその意見を受けて施策を講ずるに当たっては、国会へ報告し、その意見を十分聴取するよう求める。  五、民営化後の各会社については、ロゴマークの統一、活発な人事交流等により、郵政グループとしての一体感の醸成を図り、職員のモラールの維持・向上に万全を期すること。特にロゴマークについては、国営、公社の時代を通じて長年国民に親しまれてきた貴重な財産であり、引き続き使用すること。  六、郵政民営化法附則第三条の運用に当たっては、郵政民営化のための情報システムについて、万が一にもシステムリスクが顕在化し、国民生活に支障の生ずることのないよう、日本郵政公社と協力しつつ適切に対応すること。  七、日本郵政公社は、民営化後の郵便貯金銀行、郵便保険会社が、預金保険機構、生命保険契約者保護機構に加入することに鑑み、民営化までに郵便貯金の限度額、簡易保険保険金額の管理や口座の管理の徹底を含めコンプライアンス面での態勢を確立すること。  八、移行期間における業務範囲の段階的拡大を的確かつ円滑に実現するため、経営委員会(準備企画会社)及び民営化委員会準備期間内のできるだけ早い時期に設置し、関係会社及び関係行政機関で予め先行的に検討と準備を進めること。    なお、経営委員会(準備企画会社)と日本郵政公社が一体となって円滑に民営化の準備を進められるよう配慮すること。  九、民営化委員会の運営については、透明性の高いルールの下、積極的な情報公開に努めること。   また、民営化委員会の人選については、広く国民各層の声を反映できるよう公平・中立を旨とすること。  十、毎年巨額の国債を発行しているわが国の財政体質を早急に改善するとともに、それまでの間、郵政民営化法第百六十二条の適切な運用により国債の消化に支障を生ずることのないよう対応すること。  十一、職員安心して働ける環境づくりについて、以下の点にきめ細やかな配慮をするなど適切に対応すること。    1 現行の労働条件及び処遇が将来的にも低下することなく職員の勤労意欲が高まるよう十分配慮すること。    2 民営化後の職員の雇用安定化に万全を期すること。    3 民営化の円滑な実施のため、計画の段階から労使交渉が支障なく行われること。    4 労使交渉の結果が誠実に実施されること。    5 新会社間の人事交流が円滑に行われること。  十二、民営化後においても良好な労使関係の維持に努めるとともに、万一、労働争議が発生した場合にも特別送達等の公的サービスはしっかり担保されるよう、万全の体制を構築すること。  十三、特定郵便局の局舎の賃貸借契約の期間については、業務基盤の安定性を確保する観点から、民間における契約の状況を参考としつつ、長期の契約とするなど、適切な対応を行うこと。また、特定郵便局の局舎の賃貸借料は、現在、適切な算出基準に基づいて算出されているところであり、民営化後も引き続き適切な算出基準に基づく賃貸借料を維持すること。  十四、商法等の規定を活用し、敵対的買収に対する適切な防衛策を措置すること。  十五、税制等に関し、以下の点について十分配慮すること。    1 税制については、民営化に伴う激変緩和の必要性の有無、四分社化、基金の設置など郵政民営化に特別な論点を踏まえつつ、消費税の減免などを含め関係税制について所要の検討を行うこと。    2 郵政民営化により法人税等の税収が増加することを踏まえ、過疎対策や高齢者対策の充実を図ること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  196. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) ただいま世耕君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  197. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 多数と認めます。よって、世耕君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、竹中国務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。竹中国務大臣
  198. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 郵政民営化関連法案につきまして、慎重な御審議の上、御可決をいただき、誠にありがとうございました。  また、ただいま御決議いただきました附帯決議につきましては、郵政民営化に伴う国民の懸念や不安を払拭したいとの皆様方の強い御意思が込められていると思っております。  その御趣旨を十分に尊重し、最大限努力してまいる所存でございます。
  199. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) なお、六案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  200. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時三十一分散会