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世耕弘成君 私は、ただいま可決されました
郵政民営化法案外五案に対し、自由
民主党及び公明党両派共同
提案による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読いたします。
郵政民営化法案、
日本郵政株式会社法案、
郵便事業株式会社法案、
郵便局株式会社法案、
独立行政法人郵便貯金・
簡易生命保険管理機構法案及び
郵政民営化法等の
施行に伴う
関係法律の
整備等に関する
法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の
施行に当たっては、次の事項について特段の配慮をすべきである。
一、
国民の貴重な財産であり、
国民共有の生活インフラ、セーフティネットである郵便局ネットワークが維持されるとともに、郵便局において郵便の他、貯金、
保険のサービスが確実に提供されるよう、関係法令の適切かつ確実な
運用を図り、現行水準が維持され、万が一にも
国民の利便に支障が生じないよう、万全を期すること。
簡易郵便局についても郵便局ネットワークの重要な一翼を構成するものであり、同様の
考え方の下で万全の対応をすること。
二、長期の代理店契約、
基金の活用等により、郵便局が長年提供してきた貯金、
保険のサービスが
民営化後も引き続き提供されるよう配慮すること。そのため、
承継計画において、郵便局株式
会社と郵便貯金
銀行、郵便
保険会社の間で移行期間を超える長期・全国一括の代理店契約の締結を明確にすること。なお、
基金についても、二兆円規模まで積み立てること。
三、持株
会社及び四子
会社が、統合的な経営戦略に基づき、郵便局ネットワークを維持・活用できるよう、以下のとおり株式の持ち合いを認めること。
1 持株
会社について、移行期が終了した後は、特殊
会社としての性格を考慮しつつ経営判断により他の
民間金融機関と同様な株式保有を可能とし、その結果、株式の連続的保有が生じることを妨げないこと。そのため、
郵政民営化法第百六条、第百三十六条の趣旨を踏まえ、株主総会に係る株主の権利行使の基準日を適切に定款に規定すること。
2 移行期間中と言えども、
郵政民営化法第百五条、第百三十五条の決定がなされた場合及び持株
会社が郵便貯金
銀行、郵便
保険会社の全株式を処分した後は、郵便局株式
会社が、特殊
会社としての性格を考慮しつつ、経営判断により密接な取引関係を有する郵便貯金
銀行、郵便
保険会社株式を他の
民間金融機関の例と同様に保有しグループとしての経営が可能であること。
3 前記1、2によりグループとして株式の連続保有が可能となっていることに加え、
民営化委員会が行う三年ごとの経営形態のあり方を含めた総合的な見直しの中で必要があれば更なる
措置を講ずること。
4 新たに設立される株式
会社がそれぞれの経営判断により、
新規事業への
投資に加え、必要に応じ前記1、2、3を踏まえた適切な経営形態を採ることを可能とするため、持株
会社において財務計画を定めるなど必要な
措置を講ずること。
四、
民営化委員会が行う三年ごとの見直しには、設置基準に基づく郵便局の設置
状況、
金融保険サービスの提供
状況を含めること。また、
民営化の進捗
状況及び
民営化会社の経営
状況を総合的に点検・見直しを行うとともに、国際的な
金融市場の動向等を見極めながら、必要があれば経営形態のあり方を含めた総合的な見直しを行うこと。
なお、
民営化委員会の三年ごとの見直しに関する
意見については、
郵政民営化法第十一条第二項によって国会へ報告されることとされているが、更に、
郵政民営化推進本部がその
意見を受けて施策を講ずるに当たっては、国会へ報告し、その
意見を十分聴取するよう求める。
五、
民営化後の各
会社については、ロゴマークの統一、活発な人事交流等により、
郵政グループとしての一体感の醸成を図り、
職員のモラールの維持・向上に万全を期すること。特にロゴマークについては、国営、
公社の時代を通じて長年
国民に親しまれてきた貴重な財産であり、引き続き使用すること。
六、
郵政民営化法附則第三条の
運用に当たっては、
郵政民営化のための情報システムについて、万が一にもシステムリスクが顕在化し、
国民生活に支障の生ずることのないよう、
日本郵政公社と協力しつつ適切に対応すること。
七、
日本郵政公社は、
民営化後の郵便貯金
銀行、郵便
保険会社が、預金
保険機構、生命
保険契約者保護機構に加入することに鑑み、
民営化までに郵便貯金の限度額、簡易
保険の
保険金額の管理や口座の管理の徹底を含めコンプライアンス面での態勢を確立すること。
八、移行期間における
業務範囲の段階的拡大を的確かつ円滑に実現するため、経営
委員会(準備企画
会社)及び
民営化委員会を
準備期間内のできるだけ早い時期に設置し、関係
会社及び関係行政機関で予め先行的に検討と準備を進めること。
なお、経営
委員会(準備企画
会社)と
日本郵政公社が一体となって円滑に
民営化の準備を進められるよう配慮すること。
九、
民営化委員会の運営については、透明性の高いルールの下、積極的な情報公開に努めること。
また、
民営化委員会の人選については、広く
国民各層の声を反映できるよう公平・中立を旨とすること。
十、毎年巨額の国債を発行しているわが国の財政体質を早急に改善するとともに、それまでの間、
郵政民営化法第百六十二条の適切な
運用により国債の消化に支障を生ずることのないよう対応すること。
十一、
職員が
安心して働ける環境づくりについて、以下の点にきめ細やかな配慮をするなど適切に対応すること。
1 現行の
労働条件及び処遇が将来的にも低下することなく
職員の勤労意欲が高まるよう十分配慮すること。
2
民営化後の
職員の雇用安定化に万全を期すること。
3
民営化の円滑な実施のため、計画の段階から労使交渉が支障なく行われること。
4 労使交渉の結果が誠実に実施されること。
5 新
会社間の人事交流が円滑に行われること。
十二、
民営化後においても良好な
労使関係の維持に努めるとともに、万一、労働争議が発生した場合にも特別送達等の公的サービスはしっかり担保されるよう、万全の体制を構築すること。
十三、特定郵便局の局舎の賃貸借契約の期間については、
業務基盤の安定性を確保する
観点から、
民間における契約の
状況を参考としつつ、長期の契約とするなど、適切な対応を行うこと。また、特定郵便局の局舎の賃貸借料は、現在、適切な算出基準に基づいて算出されているところであり、
民営化後も引き続き適切な算出基準に基づく賃貸借料を維持すること。
十四、商法等の規定を活用し、敵対的買収に対する適切な防衛策を
措置すること。
十五、
税制等に関し、以下の点について十分配慮すること。
1
税制については、
民営化に伴う激変緩和の必要性の有無、四分社化、
基金の設置など
郵政民営化に特別な論点を踏まえつつ、消費税の減免などを含め関係
税制について所要の検討を行うこと。
2
郵政民営化により
法人税等の税収が
増加することを踏まえ、過疎対策や高齢者対策の充実を図ること。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ
委員各位の御賛同をお願い申し上げます。