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2005-10-13 第163回国会 参議院 郵政民営化に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十七年十月十三日(木曜日)    午前九時開会     ─────────────    委員の異動  十月十二日     辞任         補欠選任      櫻井  充君     柳澤 光美君      若林 秀樹君     藤末 健三君      近藤 正道君     又市 征治君  十月十三日     辞任         補欠選任      柳澤 光美君     松下 新平君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         陣内 孝雄君     理 事                 市川 一朗君                 世耕 弘成君                 山崎  力君                 伊藤 基隆君                 平野 達男君                 山下洲夫君                 弘友 和夫君     委 員                 有村 治子君                 岡田  広君                 岸  信夫君                 小池 正勝君                 小泉 昭男君                 椎名 一保君                 関口 昌一君                 野上浩太郎君                 藤野 公孝君                 山下 英利君                 山本 順三君                 大塚 耕平君                 岡崎トミ子君                 小林 正夫君                 高橋 千秋君                 藤末 健三君                 松下 新平君                 峰崎 直樹君                 柳澤 光美君                 山根 隆治君                 渡辺 秀央君                 西田 実仁君                 山口那津男君                 山本 香苗君                 大門実紀史君                 又市 征治君    国務大臣        内閣総理大臣   小泉純一郎君        総務大臣     麻生 太郎君        財務大臣     谷垣 禎一君        国土交通大臣   北側 一雄君        国務大臣        (内閣官房長官) 細田 博之君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣金融)        )        伊藤 達也君        国務大臣     竹中 平蔵君    政府特別補佐人        内閣法制局長官  阪田 雅裕君    事務局側        常任委員会専門        員        鴫谷  潤君        常任委員会専門        員        高山 達郎君    政府参考人        内閣官房郵政民        営化準備室長   渡辺 好明君        内閣官房内閣審        議官       中城 吉郎君        内閣官房内閣審        議官       楠  壽晴君        内閣官房内閣審        議官       細見  真君        内閣官房内閣審        議官       篠田 政利君        財務省理財局長  牧野 治郎君        厚生労働省年金        局長       渡辺 芳樹君        国土交通省住宅        局長       山本繁太郎君        国土交通省政策        統括官      杉山 篤史君    参考人        日本郵政公社総        裁        生田 正治君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○郵政民営化法案内閣提出衆議院送付) ○日本郵政株式会社法案内閣提出衆議院送付  ) ○郵便事業株式会社法案内閣提出衆議院送付  ) ○郵便局株式会社法案内閣提出衆議院送付) ○独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理機構  法案内閣提出衆議院送付) ○郵政民営化法等施行に伴う関係法律整備等  に関する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) ただいまから郵政民営化に関する特別委員会を開会いたします。  郵政民営化法案日本郵政株式会社法案郵便事業株式会社法案郵便局株式会社法案独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理機構法案及び郵政民営化法等施行に伴う関係法律整備等に関する法律案、以上六案を一括して議題といたします。  六案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 世耕弘成

    ○世耕弘成君 おはようございます。自由民主党世耕弘成でございます。  本日は、再びこの郵政特別委員会で、郵政民営化に関する特別委員会郵政民営化関連法案審議が行われることになったわけでございます。  私も、ちょうど今を去る三か月前、七月十五日の日に同じこの場で総括質疑に立たしていただきました。その後、約八十時間にわたる審議をこの委員会で行いまして、さらに、八月の八日の日に最後本会議でこの法案否決をされました。その後、総理の大変国民的な感動を呼んだ記者会見があり、そして総選挙へと突入をしていって、九月十一日、投票が行われ、二百九十六議席自由民主党、そして公明党と合わせて三分の二以上という形になったわけでございます。  この三か月、わずか三か月の間にいろんな出来事があって、また回り回ってここへこの法案が戻ってきたなという感覚でございますけれども、まず冒頭、小泉総理に、今回のこの一連の三か月の動き、そして選挙結果の総括についてどうお考えかをお伺いをいたしたいと思います。
  4. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 郵政民営化賛成反対かというのが今回の選挙最大の争点になりましたけれども、国民は賢明な判断を下してくれたなと感謝しております。やはり郵政民営化は必要だと、この郵政民営化を進めよという意思を実際の議席で示してくれたわけであります。  この経緯までには、多くの反対した方々が陳情に見えておりました。しかし、国民全体を考えれば、この議席は、自由民主党公明党候補者はすべて賛成の方ばかり公認しているわけで、それに対して国民が強い支持を与えてくれたわけですので、できるだけ早くこの郵政民営化法案を成立させて、早く民営化の準備に入って経済活性化に資するような立派な民営化会社にしていくのが我々の責任だと思っております。
  5. 世耕弘成

    ○世耕弘成君 今回の選挙を通して、やはり国民には特に我が自由民主党が大きく変化したということが印象付けられたんじゃないかなというふうに思っています。  私自身、いろんな組織の変革というのを見てくる中で、外部の圧力で組織が変わるということはよくあるんですけれども、組織自身がこの内部エネルギーで変わっていくというのは非常にまれなケースではないかなというふうに思っています。  今回、自民党は、正に外圧ではなくて内部エネルギー変化をしていった。すべての選挙区にきっちり賛成派を立てていった。もう義理人情の世界ではなくて、きっちり国民選択肢を示していこうじゃないかということで、しっかりとすべての選挙区に郵政民営化賛成候補者を立てていった。そして、選挙自体賛成反対かということを国民に問う選挙を設定をしていった。そして、候補者自体公募という形で選んでいって、そしてまた今まで自民党では考えられなかったようなタイプの新しい候補者というのが続々と立候補をしていった。そういう意味では、内部エネルギー自民党が変わっていったんだなというふうに思っております。  総理も、私、会議の席でおっしゃったことで非常に印象に残っているのは、自民党自分はぶっ壊すと言ってきたけれども、ぶっ壊しただけじゃなくてやっぱり新しい自民党に変えたんだということをおっしゃっていたことが、私、大変印象に残っているんですが、その辺のこの自民党変化というか改革について、総理はどういうふうにお考えでございましょうか。
  6. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、この総裁選挙に立候補する前から、この小選挙区の制度においては有権者の過半数の支持を得る努力をしないと当選できない制度なんだと、既存のいわゆる特定支持団体支持も大事だけれども、それだけでは当選できない、圧倒的多数の有権者はどの政党の党員にもなってないし、どの特定団体組織にも加わってないのが有権者で一番多いんだと、だから無党派と言われるどの政党にも属してない、その都度候補者を見て政党を見て投票するいわゆる無党派と言われる層は宝の山であるということを言ったわけです。  この方たち支持を得ない限り、この小選挙区制である限りは当選できない、そこをよく考えて行動しなきゃならないということを言っていたわけであって、今回、正に一部特定支持団体に縛られているような国会議員よりも、やはり国民全体の利益、今、総論賛成各論反対の典型がこの郵政民営化だろう、いわゆる行財政改革を断行しなさい、民間にできることは民間に任せなさい、公務員を減らしなさい、これにかなった今郵政民営化法案を出しているんだと。どうしてこれだけは公務員じゃなければできないんだと言っているのかについて多くの国民は疑問を感じて、自由民主党はそうじゃないと、特定団体のための法案ではないんだと、国民全体の利益考えている法案だということに対して耳を傾け、そうだなと思って自民党候補者公明党候補者に支援を寄せてくれたんだと思っております。  また、この解散経緯から考えますと、予想以上の自民党から出たいという新しいタイプ方々公募で応じて来てくれた。いわゆる地盤、看板、かばんという旧来のそのようなものを持たないと当選できないという、いわゆる慣例というんですかね、慣習というんですか、考え方に対して、自分はその選挙区に住んでいないと、名前も知られていないと、もちろんお金もないと、そういう方が、自分たちの志といいますか、今まで、経験なり見識というものを生かせる場を自民党に求めて自民党公認候補で出たいと千名以上の方々が応募してきたということは、これまた今までの自民党公認候補を決定する際になかったことであります。  一方、そういう方に反発して、地元の自民党組織党本部組織の間で意見の違いもありましたけれども、それを乗り越えて自民党を変えていこうということについても、自民党に対して新しさ、新味を感じたのではないかと思っております。
  7. 世耕弘成

    ○世耕弘成君 この変わっていく自民党あるいは政治、そしてこれで、今回の自民党の大勝でどうもその改革が進んでいくらしいということ、これに対して非常にマーケットが敏感に反応しています。やっぱり、株価動きというのはなかなか表面で見えないようなところできちっとやっぱり微妙な世の中の変化というのをとらえているんだなというふうに思いますが、ずっとこのところ株価動きを見ていますと、ちょうどあの解散の少し前ぐらいまではどうも政局不安定になるんじゃないかということでばっと下がり出していたんですが、これ、総理解散される少し前、もう八月八日の正に参議院採決の、多分私が賛成討論をやっている最中の時間辺りから株がびゅうっと実は、いや、本当なんですよ、これは上がり出してきて、その後どんどんどんどん勢いは止まってなくて、今も非常にいい調子になっているんですが、やはりこういう改革への期待というのが株価にはっきり表れているんじゃないか。  ある人によると、非常に昭和六十年からのバブル期に似てきたんじゃないかと。選挙自民党が大勝して政局が安定をすると。そしてまた、当時は電電、国鉄という民営化だったわけですが、民営化という形で改革が進んでいくと。その中で株価が上がっていく。ついでに言うと、阪神タイガースも優勝したというような状況で、非常に昭和六十年のバブル前夜と今似てきているんじゃないかと思いますが、この辺の株価経済動きについて総理はどのようにお考えになっているでしょうか。
  8. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私が四年前に総理大臣に就任したときには、株の出来高取引高も五億株を超えないと心配だなと、毎日五億株は超えているかどうか、一つの指標でした。それが今、十億株を超える、二十億株を超える、最近は三十億株を超えるといういまだかつてない、出来高も大きいと。なおかつ、外国資本のみならず、日本皆さん投資をし出したなという動きであります。もっとも、外資警戒論もありますけれども、私は外資歓迎論を取っているんです。外国企業から、外国資本から魅力のないような日本企業じゃしようがないと。どんどん外国資本にも買ってもらうような魅力ある企業に育ってこそ、日本経済に刺激を与え、活性化をもたらすんだということから、この外国資本日本の株に目を付け出したと。日本投資に対して十分な成果を生み出してくれる魅力ある市場だなという気持ちがあるからこそ、日本に対して投資をしてくれるんだと思います。日本も、企業もばらつきありますけれども、非常に好調の動きにあるようであります。  このように、経済の面においてもこの四年間で失業率も減ってきた、そして国民にもかなりの自信が出てきたと、設備投資も増えてきたということから、これは日本経済は買いだなという印象を持っているからこそ最近の好調な動きにつながっているのではないかと思います。  ということは、改革が進むなと、止めてはいけないと、このまま改革を進めていくという前提だと思いますので、この選挙の結果をきちんと受け止めて、今まで進めてきた改革路線を更に本格的なものにしていかなきゃならないと思っております。
  9. 世耕弘成

    ○世耕弘成君 さて、前の国会で、この参議院郵政民営化特別委員会で約八十時間の議論を行いました。これは私、本会議賛成討論でも申し上げましたけれども、与野党の立場を超えて非常にいい内容審議をさせてもらったんではないかというふうに思っております。残念ながら、我々からすれば残念ながら、前国会では参議院では否決されることになったわけですが、この委員会での審議を中心として、前国会での参議院審議の評価を小泉総理はどういうふうにされているかということをお伺いをしたいと思います。
  10. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 参議院では実に丁寧な審議が行われたと思うのであります。衆議院が百時間に比べますと、議員の数から比べれば五十時間ぐらいでいいんじゃないかと言われたところが、八十時間ですか、非常に丁寧な慎重な円滑な審議が行われたと思います。それぞれ委員長の采配の下に、理事の協力で大きな混乱もなく審議も順調に進んで、それで円満に採決も行われて本会議に上程されたわけでありますので、私はかなり濃密な丁寧な審議が行われたと思っております。
  11. 世耕弘成

    ○世耕弘成君 そういう中で、結果、残念ながら参議院では否決をされたわけですが、その後、総理参議院での否決一つの原因として衆議院解散に踏み切られたわけですけれども、この辺、私は、憲法上やれるようになっているわけですからそういう選択肢もあったかと思っていますが、どういう経緯参議院否決から衆議院解散までを決断をされたのかという、その辺の心境とか判断についてお伺いをしたいと思います。
  12. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、この郵政関連法案否決されたら解散せざるを得ないという決意は、早い段階から固めておりました。  ただし、解散までは公の場で私の口からは言わないように注意して発言しておりました。私の真意を確かめてくる議員に対しては、それとなく、これは否決されたら解散する腹だなという話はいたしましたけれども、口に出して解散するということは言わないように心掛けておりました。  そういう中で、なぜ参議院否決されたのに衆議院解散するのかという疑問があるのも分かっておりましたし、元々、就任以来、私は、郵政民営化、これは改革の本丸なんだと、小泉内閣の最重要課題であると、これを否決するということ、これは小泉内閣不信任と同じだと。これで勘のいい人は分かるはずなんですよ。多くは、参議院否決されたら総辞職だと思っていた人が多かったわけですね。それは、解散権というものは総理に与えられた専権事項であり、そのときの政治的判断によってなされるもの、内閣が決めればこれは法律的には可能なわけであります。しかし、政治的に無理だろうと見ている方が多かったようであります。  私は、衆議院否決された場合も解散する腹を固めておりました。しかし、五票差で通過しましたので、あとは参議院。それは、参議院で成立しないということは、自民党議員が造反しない限り、ならないことであります。  私が総裁選に立候補して当選したときも郵政民営化を掲げました。そのときも反対論者が多かったんです。しかし、総裁再選するときも初めてのときも、郵政民営化反対だったら私を替えてくれと言って総裁選挙に臨みました。それにもかかわらず私を選んで、いまだにこの民営化反対で、小泉内閣最大課題でありこの否決不信任だと言っているにもかかわらず、分かっているのか分からないのか反対にしたと。  自民党の足を引っ張る勢力によって、私は総辞職しないということは早くから決めておりました。もしそんな自民党だったら自民党ぶっ壊していいと思う、そんな自民党は要らないと思っておりました、だからこそ自民党を変える。変えるというのは、この郵政民営化、一特定団体に振り回されてにっちもさっちも動けないような政界を変えたかったんです。政権政党自民党を変えたかったんです。だから、これに賛成できないような政党だったらぶっ壊れても当然だと私は思っておりました。そういう気持ち解散しました。変えることに成功したんです。
  13. 世耕弘成

    ○世耕弘成君 正におっしゃるとおり、その結果、大きく日本政治自民党は変わってきたんだろうと思っています。  さて、この参議院では、審議一つの特徴で、採決の前にこの委員会で十五項目にわたる附帯決議というのを決議をさしていただきました。私自身提案をさしていただいて、内容を読むだけで大変なぐらい非常に長文にわたる附帯決議だったわけです。しかも、与党から提案という、まあ国会の常識からいけば非常に異例な形で提案をさしていただきました。  提案した我々自民党与党気持ちとしては、国民がいろいろ不安を持っている、この法律の進むことによっていろんな不安を持っている。地方が切り捨てられるんじゃないか、金融サービスがなくなるんじゃないか、いろんな不安を持っている。あるいは郵政で働く人たちも、自分たちの雇用は大丈夫だろうか、いろんな不安を持っている中で、やはりこの参議院委員会でのすばらしい審議内容決議という形でしっかり残して、そういう不安を少しでも和らげたいということでこの十五項目にわたる附帯決議を付けさしていただいたつもりです。  また、選挙戦の中でも、もちろん郵政民営化を進めるんだというメッセージで我々自民党選挙を戦ったわけですが、もう一つ、このバックにはこの附帯決議というのが、その参議院決議さしていただいた附帯決議というのがあって、国民皆さん心配は要りませんよということを訴えることもできたんではないかというふうに思っていますが、この参議院で付けさしていただいた十五項目附帯決議の意義について、総理自身どうお考えになっているか、お伺いしたいと思います。
  14. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 附帯決議につきましては、一部に郵政民営化すると郵便局はなくなるのではないかと、今まで、郵便局サービス国民全体に提供されなくなるのではないかという不安を払拭するための附帯決議であったと思います。そのような不安はないと、解消するという趣旨を付けてこの附帯決議が提出されたわけでありますので、この附帯決議というものを尊重して、決して民営化しても郵便局はなくならないということを、今後の民営化の過程ではっきり国民に分かるような対応をしていかなきゃならないと思っております。
  15. 世耕弘成

    ○世耕弘成君 今回、ほとんど法案自体は、期日をずらしたという形で、前回と同じ法案が出てきているわけでございますから、恐らく今回の法案に対しても、この前国会決議をさしていただいた十五項目附帯決議というのが実際に生きてくるんだろうというふうに考えております。  附帯決議十五項目の中から幾つか拾いながらその中身を少し確認をさしていただきたいというふうに思っておりますけれども、まず、やはり附帯決議で我々一番考えたのは、郵便局ネットワークしっかり守られるんだということを、これは附帯決議の中でも第一項目にしっかりとうたわさしていただいております。総理自身も、前国会、この委員会での答弁で、郵便局ネットワーク国民の大切な資産だと明言をされた上で、このネットワークを守って、万が一にも国民の利便に支障が生じないようにしていきたいという答弁をされましたけれども、その答弁に今も変化はありませんでしょうか、確認さしていただきたいと思います。
  16. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) そのとおりでございます。
  17. 世耕弘成

    ○世耕弘成君 それでは、また別の中身に入っていきたいと思いますが、その附帯決議の中で、やはり我々非常に心配したのは、郵便局ネットワークは守られても、特に過疎地等においては貯金保険という金融サービスが切り捨てられるんじゃないか、特に会社が分かれるわけでございますから、その辺の不安にこたえる意味でも、この附帯決議の中ではその郵便局会社に対する貯金保険会社のこの代理店契約について述べさしていただいておりまして、特にこの十年間の移行期間を更に超える長期契約をやって、しかも個別の契約にするんじゃなくて全国一括過疎地も含めて全国一括代理店契約をきちっと結んでほしいということを求めているわけですが、この辺の対応はどういうふうにお考えでしょうか。これは具体的な項目になりますので、竹中大臣にお伺いしたいと思います。
  18. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 郵政民営化に当たりまして、今全国津々浦々で提供されている金融サービスがやはり国民にとって大変重要であり、これを確保しなければいけないという問題意識を持っております。  民営化でありますので、金融サービス提供に義務を課するということは、これは難しいわけでございますけれども、まず今総理の御答弁にもありましたように、その拠点となる郵便局をしっかりと設置すると、そしてその上で金融サービスが提供されるように、我々としては移行期間、これは十年でありますけれども、それをカバーする十分に長期の安定的な代理店契約をその銀行、保険会社郵便局会社で結んでくださいということを義務付けるということを法律に明記をしております。  公社というのは、言うまでもなく全国津々浦々の地域の非常にきめ細かいサービスというのを強みといいますか、売りにしているわけでございますから、そうした形での一括した全体としての委託契約になるものというふうに想定をしております。  この代理店契約全国一括のものとして実施計画に織り込まれるようにする、そしてこの計画主務大臣であります内閣総理大臣が審査の上免許条件を与えるということになっておりますので、そういう形を通しまして、しっかりとした代理店契約が実態として結ばれるというふうに制度設計をしておりますし、そのようにしっかりとした運用をしていくつもりでございます。
  19. 世耕弘成

    ○世耕弘成君 そういう形で代理店契約長期で安定的な全国一律のものを是非結んでいただいて、過疎地においても金融サービスがしっかり維持されるようにしていただきたいと思いますし、我々としても更に移行期間を超えた安定的な契約というのも、これはしっかり求めてまいりたいというふうに思います。  また、この郵政民営化関連法案では、当然、郵政民営化に至る十二年間に、ここから数えると十二年間にわたる長い道のりの中で必要に応じてきっちり見直しを行えるようにということで三年ごとの見直し規定というのが設けられております。  我々、この参議院附帯決議の中では、さらに、その見直しの中で、特に過疎地サービスを担保するという意味で、設置基準に基づく郵便局の設置状況とか金融保険サービスの提供状況というのもこの民営化委員会による三年ごとの見直しのメニューの中に入っているんだということを附帯決議で言わせていただいたわけですが、このとおりでよろしいでしょうか、竹中大臣
  20. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) この見直しというのは、郵政民営化、大変重要な大きな仕事をその法律の目標に定めてしっかりと行っていかなければいけない、それに必要なことを正に総合的に見直しをしていただくと、そのことを民営化委員会に、しかも三年ごとにしていただくということをお願いしているわけでございます。これは正に総合的な見直しでございますので、その法律が目指しているところに従って、そのいろんな形態も含めまして、設置の状況や経営の形態等も含めまして正に総合的に行っていただけるものというふうに考えております。
  21. 世耕弘成

    ○世耕弘成君 今郵便局の設置形態は見直しの中に入っているということが確認されたと思いますし、そしてまた、今いみじくもおっしゃいましたが、経営形態も入っているということでございますが、今回、この法律では四分社化ですね、持ち株会社の下にネットワーク郵便局、そして貯金保険の四つの会社に分かれるわけですが、この見直しの中には、前国会でも答弁いただきましたが再度確認したいと思いますが、この四分社化という経営形態そのものも三年ごとのこの民営化委員会による見直しのメニューの中に入っているという理解でよろしいでしょうか。
  22. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 言うまでもなく、我々は今の形態が、法律で提起させていただいている形態がベストであるというふうに確信をしております。そして、それの実現に向かってしっかりと民営化を進めて、その実現に向かってうまく進んでいるかどうかというのをその民営化委員会に見直していただくということを考えております。  繰り返しになりますけれども、この見直しは総合的でございますので、この法律に定められた枠組みが実現できるようにしっかりと総合的に見直していただきたいと思っております。
  23. 世耕弘成

    ○世耕弘成君 さらに、この法律では、この郵政民営化委員会の三年ごとの見直しを行って、その結果によるその意見に関してはこの法律国会に報告をしなければならないということになっているわけです。  我々参議院附帯決議ではそれに更に追加して、この民営化委員会が見直しの意見を出す、それに基づいて政府の郵政民営化推進本部がいろいろ施策を打っていくことになるわけですが、その政府の郵政民営化推進本部が具体的にやっていく施策についても国会報告をするようにという求めをしているわけでございますが、このことについては竹中大臣、どうお考えでしょうか。
  24. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 世耕委員御指摘のように、まず法律では、民営化委員会の三年ごとの見直しに関する意見、これはこの郵政民営化法の中にきちっと国会へ報告するということを明記をしております。先般御議論いただいた附帯決議の中では、それに加えまして、郵政民営化推進本部の施策についても国会に報告をするという、そういう形で運用してくれというような御決議であったと思います。我々は、それに対して、その法の施行に当たっては、その御趣旨最大限尊重して実現していくということを御答弁をさせていただいております。  国会への御報告、これは国権の最高機関でございますから、我々は常にその御意見を尊重して、しっかりとした報告をしていくということになろうかと思います。これいろんな委員会等の運営の問題等とも絡みますので、どういう形でというのはこれからまた考えさせていただくことになりますけれども、我々としては、先般御答弁させていただきましたように、そのような国会の御意向に対しては最大限尊重してしっかりと対応していくつもりでおります。
  25. 世耕弘成

    ○世耕弘成君 そういうしっかりとした対応を是非ともお願いをしたいと思います。  さらに、この附帯決議というのはいろいろ国民の不安にこたえる、また働く人の不安にこたえるという意味でもかなり細かいところまで踏み込んでおります。ロゴマークなんということも述べさせていただいているんですね。あの郵便局の今のマークですね。民営化の各社のロゴマークは現在のマークが統一的に利用されるようにということを、そこまで踏み込んで附帯決議決議をさせていただいているんですが、この点に関しては、大臣、そのとおりでよろしいでしょうか。
  26. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) この問題に関しては、総理もこの場で御答弁を既にしておられると思います。  現在の郵政公社のこのテイですね、テイマークというのは、逓信省時代の明治二十年に制定されまして、旧郵政省、公社を通じましてこれは本当に広く国民に親しまれているという、大変価値のあるものだろうというふうに私自身も思っております。  で、民営化後の各会社のロゴマークについては、郵政グループとしての一体感を醸成するためにこの現在使用されているロゴマークを各会社が統一的に使用するということは、もちろんこれは可能であるし十分考えられることだと思います。これはまあ新会社の経営陣が自主的に判断すべきことではございますけれども、このマークが貴重な財産としての価値を持っていると思いますし、新たなビジネス展開において活用されるということを私も期待をしております。
  27. 世耕弘成

    ○世耕弘成君 我々もそう期待していますが、当然これは経営判断の問題でもあると思います。  今日は総裁お見えですので、特に通告はしていないんですが、いやテイの字マークは困るよと、もっと新しいデザインを選びたいんだなんてこと、あるいは赤を青に変えたいとか、そういうことがないかどうか、ちょっと総裁に確認しておきたいと思います。
  28. 生田正治

    参考人(生田正治君) 私は旧経営陣になる、新経営陣が判断するので私が言うのはおこがましいわけですけれども、まあ旧経営陣の者として申し上げれば、公的にも個人的にも私はあれ大好きなんです。非常にすばらしいと思います。あれは単にテイマークというだけじゃなくて、百三十年を超える郵政事業の先達たちが培ってきてお客様からいただいた信頼のシンボルマークだと思うんです。だから、私は、次の新経営陣には是非それを採用してくださるように、国会附帯決議や各大臣がおっしゃったことを尊重してですね、尊重するまでもなくですね、採用してもらうように強く進言したいと考えております。
  29. 世耕弘成

    ○世耕弘成君 はい。じゃ、そういう意味でテイの字マークは変わらないという理解でいきたいと思います。  また、附帯決議の中では、ロゴマークだけではありません。グループ経営というのは、当然ロゴマークのイメージも重要ですけれども、やっぱり人の交流、人がそれぞれ一体的な目的を持って、一体感を持ってやっていかなきゃいけないということで、この四社間の特に人事交流についてしっかり行えるようにしてほしいということを述べておりますが、この人事交流は制限なく自由に行われていくというふうに理解をさしていただいてよろしいでしょうか。竹中大臣、どうでしょうか。
  30. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 一体感の場合を考える場合に、やはり人同士、人間同士の一体感というのが最も重要な基盤であると思います。  民営化後において職員のその会社間の移動がどうなるかということに関しましては、これは正に民営化趣旨を我々十分に踏まえまして、制度設計上、これは民営化である以上、特段規制をしないということを明確にしているところでございます。むしろ、当分の間は新会社に共通して国家公務員共済制度を適用する、これは職員のその待遇へ配慮してそのようにしているわけでございますけれども、そういうこともございますし、また退職手当の支給に当たりましては公務員時代の在職期間を通算することにしている等々によりまして、これはやはり相互間で会社間の円滑な人事交流が行える十分な基盤も用意されているというふうに思っております。  これによりまして、会社間の人事交流については、これはまあ、これもやはり経営上の要請に従いということにはなりますけれども、グループとして一体感の醸成を図ることが可能でございますので、そのような方向で是非運営をしていただけると思っております。
  31. 世耕弘成

    ○世耕弘成君 もう一つ、この参議院審議でも非常に心配の声が出ていたのが情報システムでございます。やはり、金融機関の情報システムというのは、これはもう膨大なプログラムでございまして、実際に民間の銀行で合併等があった場合にいつもトラブルが起こっております。最近も起こっておりますが、実際に消費者に大変な迷惑を掛けているという状況になっているわけでございます。  当然、民営化に当たってもこの情報システムの更改というのが行われるわけですけれども、この情報システムに何か問題があった場合には、この附帯決議では我々は国民生活に支障が生じることがないように公社と政府が協力をしてきちっと対応してほしいということを求めているわけですけれども、竹中大臣、具体的にやっぱりシステム開発が間に合わないとか、あるいは重大な問題が発生したというときにどういう対応をされるのか、お伺いをしておきたいと思います。
  32. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) システムの開発が極めて重要な関心事であると、本当に間に合うのかということに関しまして、これまでもいろんな御議論をいただいたと承知をしております。  御承知のように、この情報システムの問題につきましては、郵政民営化情報システム会議におきまして、専門家に集まっていただきまして検討を重ねていただきました。その結果としまして、システム開発において問題が生じた場合であっても、それが想定される範囲内であれば二〇〇七年十月の、これ半年延期したということでございますけれども、十月の民営化に特段の支障はないというふうに考えているところでございます。  しかしながら、それでも万が一想定を超えるようなシステムの問題が生じた場合におきましては、これは特別の措置としまして危機対応条項を設けております。閣議決定を経まして、施行期日を平成二十年四月一日に延期できるというふうな仕組みにしております。  この判断に当たりましては、国民生活に支障の生ずることがないよう是非適切に判断をして、その情報システム上で国民に迷惑が掛からないようにしっかりと対応してまいります。
  33. 世耕弘成

    ○世耕弘成君 国民が本当に困ることがない、これ正にお金の引き下ろし、特に過疎地にとっては郵便局がないとお金が下ろせない、年金が下ろせないというケースが非常に多いわけですから、そこは万全な対応を改めてお願いをしておきたいと思います。  また、この附帯決議の中では、民営化までの間に、これもシステムと関係してくるんですが、郵便貯金の限度額とか、あとは簡易保険保険金額の管理とか口座の管理、そういったものが少しあいまいになっているところもありますので、これを徹底してコンプライアンス面での態勢を確立してほしいということを求めているわけでございますが、公社として、これはもう公社の間にやっておいてほしいということを決議させていただいているんですが、公社として今具体的にどういう取組をこれから行っていかれるのか、お伺いしたいと思います。
  34. 生田正治

    参考人(生田正治君) お答え申し上げます。  先ほどお話ありましたように、テイマークが形のあるブランドでありシンボルとすると、そのときに触れましたように、信頼というのがやはり郵政事業のソフトとしてのシンボルでありブランドだと思います。そういった意味で、それを担保するのがコンプラですから、コンプラだけじゃないですけれども大きな柱がコンプラですから、私どもとしては経営の最重要課題一つと、こう位置付け、努力しております。  具体的には、昨年の一月で限度額を超えたものをチェックできるシステムをやっと整備することができました。それをベースに現在正に努力中でございまして、昨年の三月の時点、システムができまして三か月たった三月の時点で三百八十一万人、七兆円強ありました超過額は、最近の九月中旬の数字でいきますと約一兆五千百億円、百六十三万人まで減少はしてきております。減った額は大きいですが、残った額も巨大なんで、私どもはこれを非常に深刻に受け止めております。  実際上の同名異人というのを本当に異人かどうかチェックするというのは、実はこれ全部手作業になるんです。機械じゃはじけないんです。だから、これはもう膨大な人間と時間が要りますので、システムで出してきたやつを一挙にシステムで完全に洗うということができないんで、今マニュアルで必死に追っ掛けておりまして、お約束できますのは、来年の三月末までに全員の方に少なくとも減額していただくように強い御要請を出す、これは来年の三月末で完了いたします。ただし、相手がありますから、応じていただくかどうかで多少の時間のずれが出るかも分かりませんが、その後まだ民営化までに一年半ありますから、最善の努力をしたい。  さらに、これに加えまして、住所変更の影響を除外して名寄せの精度を高めるために、住所氏名に代えまして生年月日、氏名をキーとして名寄せをする、こういうこともいたしております。  簡易保険の方でございますが、管理につきましては、保険契約の申込み受け時、受け付けるときにおきましては郵便局で、契約を締結するときにおきましては簡易保険事務センターで、それぞれ当該申込みにかかわります被保険者の方々につきまして保険金額の加入限度の超過額があるのかないのか、これをすべて今確認しております。加入限度を超過する場合はもちろんお申込みをよく御説明してお断りするということで、適正な管理をしております。  加えまして、簡易保険保険金額の管理につきましては、時々それに加えて自発的なモニターもやりまして精度を確認するということでございまして、今後ともそういった意味で郵貯、簡保ともコンプライアンス、名寄せのチェック、限度額の管理につきましては最善の努力をしていくつもりでおります。
  35. 世耕弘成

    ○世耕弘成君 だんだん時間も迫ってきておりますので、是非とも積極的に進めていただきたいと思います。  あと、附帯決議の中でいろんなメニューがあるんですが、特に国債の消化について言及をしている部分があります。当然、国債を抑制して、国債発行を抑制していくというのがこの郵政改革一つの目的であるわけですが、しかし一方で、大きな変化があった場合には、これは経済的に大きなトラブルになるということで、国債消化に支障がないようにということをこの附帯決議では求めさせていただいています。  これ、具体的にどういう形で担保実行されていくのか、竹中大臣にお伺いをしたいと思います。
  36. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 郵政という大きな機関が民間市場に入っていくと、そのときにいろんな形で、やはりショックが生じないようにいろんな工夫はしております。  そのうちの一つが国債の消化に関するものということになろうかと思います。今回提出をしました郵政民営化法案におきましても、これ郵政民営化法案の第百六十二条ということになりますけれども、国債市場における予測可能性への配慮等の観点から幾つかの点を織り込んでいる。民営化前に契約されました旧契約については、これは新契約と一括して運用するということになります。そうすると、どうなるかというと、新契約、旧契約一括して運用しますので、今までの資産と負債の管理が大きく変わることはないということになりますので、民営化を機に郵政への投資行動が一変するというようなことはない。それも一つの重要な点でございます。  また、民営化の当初でありますけれども、旧契約分がこの資産運用の大部分を占めるわけでありますけれども、これにつきましては引き続き、これは政府保証が付いている預金の運用でございますから、引き続いて、当然国債等の安全資産に運用することになる。このために、資産構成の極端な変化が生じにくいという形になります。  さらに、この移行期間中におきましては、例の管理機構ですね、独立行政法人の旧契約を管理する管理機構が、新会社からその資産運用の見通しについて報告を受けてその内容を公表する。つまり、市場に対して継続的な情報提供を確保して、一種の予見可能性といいますか、そういうものを確保するような仕組みも持っております。  加えまして、今度は新契約、新しく契約される分、政府保証の付かない分でございますけれども、この分については、当初は公社と同じ業務範囲からスタートをして、そして段階的に業務範囲を拡大していくということでありますので、今申し上げた、四つの点申し上げましたけれども、市場へのショックを吸収しながら段階的に拡大していく、予測可能性にも十分配慮すると、そういう制度設計を行ったところでございます。  そして、言うまでもありませんけれども、やはり国債市場を安定化させるための最大の問題は、最大の要因は、何といっても財政赤字そのものを適切に管理していくことでございますので、この点は財務大臣も大変御努力くださっておられますけれども、しっかりとした財政の健全化を目指す、そして国債管理政策そのものもしっかりと行っていくと、これがやはり基本であろうかと思います。
  37. 世耕弘成

    ○世耕弘成君 ほかにも、この附帯決議十五項目もありますのでいろんなことを言っているんですが、最後に一つ確認をしておきたいのは、この附帯決議で、少しユニークな形なんですけれども、郵政民営化をやれば、これ法人税収五千億ぐらい上がってくると言われているんですが、この税収増加で、元々非常に不利な状況にある過疎地対策とかあるいは高齢者対策、そういったものを充実をしていくべきではないかということを提言をさせていただいているわけですけれども、その点に関して、これ竹中大臣、具体的にどういう対応をされるんでしょうか。附帯決議の一番最後のところに載せていただいていたところだと思います。
  38. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) この点につきましては、財政の再建とともにいろんな点で配慮してほしいという、そういう附帯決議内容であったかと思います。これは政府内部の各方面ともよく相談をしまして、前国会における本委員会附帯決議の御趣旨を十分尊重して、十分配慮していきたいというふうに思っております。今後の課題でございますけれども、十分配慮して努力をしたいと思います。
  39. 世耕弘成

    ○世耕弘成君 これは税収と財政にかかわることですから、谷垣財務大臣、ちょっと通告はしていないんですが、何かお考えはいただけますでしょうか。郵政民営化で法人税収増えた分、過疎地対策とか高齢者対策をやるべきではないかという附帯決議に関して何かお考えはありますでしょうか。
  40. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 過疎地対策あるいは高齢者対策、今までもいろいろ意を用いてまいりましたけれども、今度、基金というのはやはりそういうことを心掛けてほしいという形でつくってあると思います。  今、法人税収を何に使うかということでございますが、これはこれからの予算編成の中で考えていかなければならないことでございますが、やはり過疎地の対策、高齢者対策、今後ともそういう予算編成の御議論の中で十分意を用いてまいりたいと思っております。
  41. 世耕弘成

    ○世耕弘成君 国民皆さんにも、このように前国会参議院は非常にきめ細やかな政府に対する要求を突き付けているということを御理解をいただきたいと思いますし、これは否決された法案に対する附帯決議ですから、いったんもう無効になってしまっているわけですが、同じ内容法律が今回出ているわけでございますから、この法律に対してもこの十五項目附帯決議の精神が精神として生きているんだということを明確に申し上げておきたいと思います。  さて、この間の選挙は、先ほど総理にいろいろお伺いをしましたけれども、この郵政民営化、イエスかノーかを問うた選挙でございました。野党側ともかなり厳しい論戦を闘わせたわけでございますが、その中で特に野党の皆さんあるいは郵政民営化反対皆さんから言われたのは、郵政というのは全然税金を使っていないんだと、だからこの税金を使っていない組織民営化をしても行政改革にはつながらないんだ、だから政府がやっているこの民営化意味がないんだという批判を非常にいただいたわけですが、その批判に対して、竹中大臣、どういうふうにお答えになりますでしょうか。
  42. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 確かに、郵政には税金を、郵政は別に赤字を出しているわけではない、現時点で、だから税金を投入していないと、そのような反論は各地で私も耳にいたしました。それに対しては、私自身いろんな場で常に反論をさせていただいているところでございます。やはりその議論はおかしいと思います。  なぜならば、これはやはり民間と同じ形で業務を行って競争しているわけではございません。税金等々、法人税等々を免除をされている。これはやはり、いわゆる経済学的に言うと機会費用という言葉になろうかと思いますが、本来であったならば、民間企業であったならばどうであったかということとの比較を厳密には行うべきで、その部分に関しては、やはり国民は、税金は支払われていないけれども、国民は目に見えない形で負担をしている、そのことをやはり明確に認識をする必要があろうかと思います。  これは具体的に言いますと、郵政民営化をすると、初年度だけでたしか五千億近い税収があるというふうに試算されているわけでございますので、その分、やはり国民は見えない形で少なくともその分負担している。さらには、それに加えまして預金保険料等々の問題もございます。  私たちは、やはりそういった形での経済的な議論をきっちりとしていかなければいけないわけでございますので、正にこれを、郵政民間市場の中に吸収統合することによって、これはもう極めて大きな行政改革につながります。公務員の数を減らして、そして財政赤字、財政再建にも資する、正に改革の本丸でありますので、税金を使っていないから行政改革にはつながらないという御批判は全く当たらないと思います。
  43. 世耕弘成

    ○世耕弘成君 私も全くそのとおりだと思います。隠れた税金というのはいろんな形で投入されているし、いろんな特権が認められているわけでございますから、その辺の改革というのはやはり行革につながっていくものだというふうに思います。  それともう一つ野党から批判を受けたのは、結局、民営化しても国債引受けの抑制につながらないという点でございます。  九月二日に、選挙中ですけれども、民主党が広告を打たれました。「「本物の改革」を実行するのはどっち」という、これ、日経新聞に一面で出た広告なんですが、その中で、そもそも政府案は果たして民営化の名に値する法案なのでしょうか。今後十年間一〇〇%政府出資の会社であり、新たな国有会社をつくり出すことになります。これでも民営化と呼べるのでしょうか。これでは、政府のコントロールはそのまま残り、官から官へ資金が流れ続けることになります。  大臣、今後十年間一〇〇%政府出資の会社であり、新たな国有会社をつくり出すことになりますという文言が、これ、民主党の広告に出ているんですが、この法律上、そんな会社というのはあり得るんでしょうか。
  44. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 御指摘の民主党の日経新聞の広告、私もそれを見たとき大変びっくりいたしました。これは何を言っておられるのかと。本当にとんでもない勘違いをしておられるのか、意図的にうそを言っているとはとても思われませんので、ちょっとこれはどういう意味なのかというふうに私も目を疑ったわけでございます。それに対して自民党からも大変厳しい抗議がなされたというふうに承知をしております。  郵貯銀行、保険会社金融二社につきましては、これは民営化当初は政府が持ち株会社を通じてそれらの株式をすべて保有することとなります。しかし、これらの金融業務は信用が競争上決定的に重要だと、もう何度も答弁をさせていただきましたけれども、その趣旨を徹底するために、金融二社については国の信用、関与を完全に断ち切る必要がある。このため、法律案においては、十年間の移行期間中に金融二社の株式の全部を段階的に処分することを法律で義務付けているわけでございます。したがいまして、この金融二社について、今後十年間一〇〇%出資の会社であり、新たな国有会社をつくり出すというようなことは、これはあり得ないわけでありますので、これはいかがなものかというふうに思います。  またこれ、持ち株会社についても同様に、これは三分の一超まで早期に処分するということにしているわけでございますので、これについてもやはり、今後十年間一〇〇%出資の会社で、新たな国有株式会社をつくり出すということは全く事実に反すると思います。
  45. 世耕弘成

    ○世耕弘成君 自民党の方からも、選挙中抗議をさせていただきました。今、民主党のホームページではもうそういうことは言ってなくて、実質国有の色彩が色濃く残り、という表現に変わっておりまして、そういう意味では、民主党もこれは間違いを認めていただいたのかなと思っていますが、最後に総理にお伺いしたいと思います。  今回、郵政民営化改革の本丸だと。我々も選挙戦で、改革、構造改革の入口なんだということを言ってきました。今、選挙が終わった後も、我が党の中は今正に改革に関して百家争鳴の状況でございます。政府系金融機関の改革を進めよう、特別会計、特定財源の改革を進めよう、公務員の削減を進めよう、あるいは党の調査会といった昔ながらの組織についても抜本的な見直しを進めよう。いろんな改革が進んでいますが、総理、この郵政民営化改革の本丸、この法案がもし成立をしたら、その後、ほかの構造改革にどういう姿勢、スケジュールでお取り組みになるのか、その決意を最後にお伺いしたいと思います。
  46. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) この法案の成立後にも改革すべき問題は山積しております。言わば、地方にできることは地方にという補助金、地方交付税、税源移譲、いわゆる三位一体と言っておりますが、これも既定方針どおり地方に裁量権、自由を拡大していこうという現実の問題がすぐ、予算編成までには具体的な姿で示していかなきゃなりません。  同時に、政府の役割というものをできるだけ民間にゆだねていこうと、あるいは現在ある組織も統廃合していこうということを考えますと、政府系金融機関も現状のままでいいとは思ってない。この政府系金融機関、融資規模におきましても、あるいは現在の形態においても見直していく必要があるんじゃないかと。  さらには、行財政改革、財政状況厳しいという中で歳出歳入の見直しは徹底的にやるのは当然でありますが、同時に公務員の在り方というものも考えるべきではないかと。公務員の人件費と民間の人件費、この基準についてもいろいろ御意見があります。全体の公務員の給料というもの、こういう点についても改革をしていかなきゃなりませんので、内政だけ取りましても問題は山積でありましてね、郵政民営化実現したらやることないんじゃないか、とんでもない。もう一年間目まぐるしいほどやることは山積していると思っておりますので、御協力をお願いしたいと思います。
  47. 世耕弘成

    ○世耕弘成君 以上で質問を終わらせていただきます。
  48. 小泉昭男

    小泉昭男君 自民党小泉昭男でございます。  一昨日、衆議院の本会議郵政民営化関連法案が可決されまして、いよいよ参議院において特別委員会審議が始まったわけでありますが、ここに、日本史上極めて重要な世紀の大改革の歴史的第一歩、目前にいたしまして、重要法案の質問をさせていただくことに対して、各位に深甚なる感謝を申し上げたい、こういう気持ちでおります。さらに、事の重大性をかんがみまして、身の引き締まる思いで質問に臨ませていただきます。  このたび、郵政関連法案の審査に当たりまして、郵政対策特別委員会の運営に御尽力を賜ってまいりました陣内委員長始め理事の各位、さらには政府側といたしましては、小泉総理を先頭に、竹中担当大臣始め関係閣僚の皆様方、政府関係者の皆さんには、日本の将来を見据えての熱心な、終始誠意ある御答弁に御尽力を賜ってまいりましたことに、まず心から敬意と感謝を申し上げたいと存じます。  前国会において参議院否決されたわけでありますけれども、小泉総理が、国会では否決されたけれども、国民はどう思っているのか国民の声を聞きたい、郵政賛成なのか反対なのかという、国民に信を問う総選挙を実施されたわけでありますが、その結果、郵政民営化国民の圧倒的な支持を得たと、私はこういうふうに判断をいたします。さらには、真の革新政党にしっかり脱皮をしました自民党に大勝をいただいた、改めて国民皆さんに感謝と、誠意ある投票に感謝申し上げたいと思います。  当然の結果とはいいましても、民主党さんが選挙始まる前の審議の状況と選挙が始まってからの状況がまるっきり一変いたしまして、岡田代表が私個人としては賛成なんだというような発言をされたことに私は本当にびっくりいたしまして、それだったらなぜ審議の中で対案を出していただけなかったんだろうかと残念に思うことでありまして、そんな部分が国民に落胆を招いて今回の結果になったんではなかろうかなと、こういうふうに思います。  よく言われるように、真実は一つと言われますけれども、言葉どおり、真に国民を思う気持ち、これは以心伝心、正しく伝わっていくものと考えます。私たち、与野党を問わずこの以心伝心という言葉を肝に銘じまして国務に励まなければならないと、こういうふうに思います。  このたびの衆議院選挙総理の御発言は物すごいインパクトありました。殺されてもいいと、もう私は本当に総理の今まで長いお付き合いの中で、本当の気持ちがこの短い言葉の中に表されたんじゃなかろうかなと、こういうふうに思いました。そういう決意の下に、改革に命を懸けて取り組むという小泉総理の不退転の決意と退路を断ったこの姿勢が国民に共感をいただいたということだと思います。国内外においてはいろいろな、様々な問題がございますけれども、混沌とした時代だからこそ、ぶれない強いリーダーを国民が求めている、その国民気持ち小泉総理気持ちが一体になった結果ではなかろうかなと、こういうふうに私は分析をさせていただきました。  以前、私、実は総理選挙区でありました時代からずっと川崎に、今も住んでおりますけれども、中選挙区時代、小泉総理選挙区、大変な選挙区でございまして、旧神奈川二区といいまして、横須賀市と鎌倉市、三浦郡と川崎市でございまして、大変な飛び地でありました。お話に聞きましたところ、夜、宣伝カー動かすんであればいいけれども、昼間動かす場合にはスイッチを横浜の部分だけ切って走るんだって、こんなことを聞きまして、大変な御苦労の中で期数を重ねてこられたんだなということを感慨深げに今思っております。  当時の小泉純一郎代議士、地元の小さな会合でも積極的に顔を出されまして、一生懸命に政治活動に汗を流されていたこと、今でも私はしっかりと覚えております。小泉総理の終始一貫した、ぶれない政治姿勢に強い感銘を覚え、私はいつか小泉総理の近くで小泉総理にも御質問申し上げる機会いただきたいな、こういうふうに思っておりました。まあ当時はそこまでは考えておりませんでしたけれども、いみじくも本日、この記念すべき日が実現いたしました。  昭和六十二年でございましたけれども、私は当時、小泉総理に御指導いただいたり地域の方に御指導いただいて川崎の市議会議員に初当選をさせていただきました。まあ、小泉というと、おまえ親戚かと言われますけれども、今は親戚以上のお付き合いだと思っておりますので、(発言する者あり)はい、チルドレンじゃなくて、もう本当に御指導いただいている立場でございます。  それと、昨年の夏でございますけれども、縁あって神奈川県から参議院議員として当選をさせていただきました。この間、長年にわたりまして小泉総理に大変な御厚情、御指導をいただいたことをこの場をおかりいたしましてまず御礼を申し上げておきたい、このように思います。  それと、総理、二十年前に総理と御一緒に撮った写真ありまして、そのときに総理が言っていた言葉を今思い出しているんです。総理はそのときにもう郵政民営化やるんだって言っていました。よくほかの会派の方が、郵政民営化というのはアメリカから言われてやっているんじゃないかなんて言われる方がいたようでありますけれども、とんでもないことでありまして、私が生き証人でありますから、二十年前から総理はそういうことを言っていたということをどうぞ国民皆さんも御理解いただきたい、こういうふうに思います。  今回、小泉総理日本を愛するお気持ち、極めて端的に表現されました。改めて郵政民営化実現に向けて総理の熱い思い、いま一度お示しいただきたいと思いますが、よろしくお願いいたします。
  49. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は小泉昭男議員とは、中選挙区制時代は同じ選挙区の私は衆議院議員小泉昭男さんは市会議員という立場で、一緒に協力して政治活動をしてまいりました。今回、縁あって参議院議員として当選されて、こうして身近に質疑ができる、大変うれしく思っております。  選挙中、さすが小泉昭男さん、うまいなというのは、今の言葉ですよ。小泉小泉、よく親戚ですかって聞かれましたね。何て答えるんだと思ったら、親戚以上の付き合いです、これはさすが、うまい表現だなと思っておりました。  今日こうして、こうして質問、答弁の立場に立ちましたけれども、この郵政民営化というのはもう二十年ぐらい前から私が主張してきたことであって、ようやく国民的な議論を巻き起こして、国民支持をしてくれたかなと、感慨深いものがあります。  これは、もとより経済活性化のために、そしてできるだけ国民が創意工夫を発揮できるような時代にしないと日本経済は停滞してしまうと。郵便局の資産もったいないじゃないかと。あの郵便局の局舎においてももっと有効利用できる面があるんじゃないか。しかし、役所がやっている限りはもう三事業に限定されていると。いろんな商品、サービスにも規制が掛かっていると。しかも、民間でも既にやっている事業があるということから、どうして民間人に任せないのかというのは長年不思議に思っておりました。  今回、ようやくその民営化趣旨を多くの国民支持していただいて、国会議員皆さん反対から賛成に回ってくれる議員がかなり出てきて、実現の方向に向かって進んでいるということは大変いいことだと思っております。  これからも民間にできることは民間にということでありますので、この郵便局の仕事を民間人に任せて、民間人の優秀な経営者によって三事業のみならずいろんな事業に進んでいただきたいと。また、その事業、サービスが、国民の必要とするような商品を提供しサービスを展開してもらうことによって、国民経済活性化にも資すると思っております。  なおかつ、民間になるわけですから収益を上げてもらうように、この民間の経営者も社員も汗して努力していただくでしょう。収益が上がれば当然法人税等納税していただけるわけですので、財政にも資すると。そういう形で立派な収益の上がるような会社にしていただいて国民の利便を向上させていただきたい、そういうような民営化に持っていきたいと願っております。
  50. 小泉昭男

    小泉昭男君 改めて決意のほどを拝聴させていただきました。  今回の郵政民営化については、選挙を通じて国民に本当に理解が深まったんじゃないかなと、こういうふうに思います。私は、これもう当初から、総理が代議士時代に郵政民営化、話聞いたときにはもう全く理解できませんでした。どういうことなのか、どういう内容なのかというのは全く分かりませんで、ただ頭の中に郵政民営化は必要なんだということだけ記憶に残っていた状態でありました。そして、最近になって、財投の問題だとかいろんなものを勉強するにつけて、郵政民営化は避けて通れない改革であるということをしっかりと勉強させていただきました。これから、この巨大化した郵便事業、現状のままではもう無理だということはもう国民もしっかり御理解いただいたわけでありますから、これから発展的にやっていかなきゃいけないなと。  特定局のある方に私はこういうお話を申し上げました。今よりも経営の自由度は高まるし、縛りがなくなる、そうなったら、もっともっと地域に根差した新しいタイプの経営ができるんだということをお話ししたことございました。そして、現実に青葉台の方に何かコンビニを含んだ郵便局があるというので私もちょっとのぞかしていただきましたけれども、これは一つの例だと思うんですけれども、コンビニという意味が、これからコンビニエンスストアを経営するんだということではないと思うんですね。コンビニは利便性、便利という意味考えなくちゃいけないと思うんです。そういう意味で、私はこれからその地域で本当に必要なものを、そういうものを窓口としてやっていかれる、そういうふうな特定局に様変わりしていけば、更に経営は安定し、しっかりとした利益も得ていかれるんじゃないかなと、こういうふうに期待をいたします。  今回、この衆議院選挙を振り返ってみまして、一つ、神奈川県で大きな出来事というか、変化がありました。これは、神奈川県で参議院の補欠選挙、今行われています。この補欠選挙には、民主党さんの参議院の方が十一区に刺客として送り込まれたというんですね。それで、それから、その結果としては厳しい結果になってしまったという、これはもう現実の問題ですから。そして、その現実の問題でそういう状況の中で、今回私が本当にこれは民主党さんにも申し上げたいんですけれども、この選挙で幾ら掛かるかというんですね。二十五億と言われる方もいますけれども、約二十六億近いお金が掛かるというんです。税金の無駄遣いをやっちゃいけないって言っているそういう会派の方が、そういうふうなことも平気でそういう方向に進んでしまうというのがちょっと理解できないなと、こういうふうに思います。  反面、先日の衆議院の、特別国会の中で民主党さんが短期間で郵政の対案をまとめられたこと、これはもう私は評価いたします。しかし、その対案をもっと早く出していただければ国民はもっと早く理解をいただけたんじゃないかなと、こんな気もいたしまして少し残念でございましたが、これからしっかりと与野党、国民のために議論を深めていかなくちゃいけない、こういうふうに思っております。  今回、我が党では、衆議院でフレッシュな新人議員大勢誕生いたしまして、しっかりと議論が始まったようでございますので、どうかこれからも皆様方に御指導をいただければな、こういうふうに思います。  今回の民営化について、要は公社民営化になったら職員がどれだけ夢を持って働けるか、どれだけしっかり改革に取り組めるかということではないかなと、こういうふうに思います。ひいては国民利益になるわけでありますので、生田総裁がよく発言されておりますように、良い民営化を進めていく、こういう努力を我々がしていく使命があると思います。  先ほど総理から郵政民営化への思いを聞かせていただきましたけれども、総理はもう四年を過ぎまして五年目に入っております。支持率も大変高いということでございますので、国民は、この改革を更に進めていただきたい、改革を止めないでいただきたいということを大変強く望んでいるんじゃないかなと、こういうふうに思います。  郵政民営化法案が可決された後に、先ほども世耕委員が同様のことをお話しされましたけれども、この法案が可決された後に、引き続き更なる改革を推進していかれるものと思いますけれども、再度お考えを伺っておきます。
  51. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) もとより、行財政改革というのは、いかに無駄な政府なり地方政府の役割を削っていくか、そして国民全体の活力を引き出していくかということの手段であります。  これから、高齢少子社会を展望いたしますと、どうしてもこの社会保障における負担というものは増えていく。これは、若い世代が減少しているという中にあって、今の高齢者のそれぞれの保障されている給付というものが現状維持であるならば、これを支える側の負担は増えていきます。そういうことから、現在、日本における年金、医療、介護等の社会保障制度をこれからも将来持続できるようにしていくためにはどのような制度改革が必要か、また給付、負担の割合を含めました改革が必要かということで、今後、与野党の中で、国会において衆参合同の社会保障制度に関する協議会が設立されております。この問題についても、一朝一夕、一年や二年でできる問題ではありませんので、これをできるだけ与野党協議を精力的に進めまして、しっかりした社会保障制度を築いていかなきゃならないと思っております。  さらに、そういう際にも、現在の厳しい財政状況、もっと手当てをという声は強いわけでありますけれども、財政の状況も考えなきゃなりません。増やす方ということに対しては余り抵抗はないわけでありますけれども、減らす方となりますと、これはもういつも猛烈な抵抗が出てくるのはよくお分かりだと思います。そういう面において、増やす場面があったらば減らす方も考えなきゃいけない。  歳出歳入の見直し、このような財政につきましても、できるだけ国債依存度を減らしていくということを考えないと、ますます将来に対して不安を覚える。言わば景気の回復と財政状況の改善というもの、決して別問題ではありません。この難しい道をどうやって順調に歩いていけるようにしていくかという財政改革も必要であります。  そういう面において、地方にできることは地方にといった、先ほど言った三位一体の改革、そして、政府の役割というものと民間の役割というものを厳しく見直そうというそういう改革と、様々なものがありますので、就任以来掲げておりました、民間にできることは民間に、地方にできることは地方にという総論賛成に沿って、各論の問題に踏み込んで改革を進めていきたいと思っております。
  52. 小泉昭男

    小泉昭男君 大変に、国の全体の問題でございますから、これからの難しい局面多々あろうかと思いますけれども、この議論の中で私たちの協力できることはしっかりとやっていかなくちゃいけない、改めて強く思いました。  それでは、竹中大臣にお伺い申し上げたいと思います。  代理店契約、先ほど世耕委員からもお話ございました。  その前に、全体的な部分で、前国会での附帯決議、これは最大限尊重していただきたいと、こういうふうに強く思うんですけれども、このことについてのお考えをまず伺っておきます。
  53. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 今国会にこの郵政民営化法案、我々提出をさせていただいておりますけれども、その法案中身は、委員御承知のように、民営化の実施スケジュールを半年延期すると、そういった形で若干の技術的な修正は行っておりますが、基本的には前国会で御審議いただいた法案、その骨格については変更をしているものではございません。  したがいまして、前国会法案審議におけます我々の政府側の答弁というのは、今回の法案にもそのまま当てはまるものでございますので、当然これを遵守してまいる所存でございます。  お尋ねのその参議院附帯決議につきましても、これは国民の懸念や不安を払拭するためにいろいろお考えくださった、その趣旨を重く受け止めているところでございまして、法案を成立させていただいた暁には、その施行に当たって最大限尊重してまいりたいと思っております。
  54. 小泉昭男

    小泉昭男君 先ほど申し上げましたけれども、世耕委員からも御質問がありましたけれども、代理店契約、これは移行期間後にも長期にわたって安定的な代理店契約を締結する、これが一番大事なことじゃなかろうかなと、こういうふうに思いますので、また改めてこの部分を伺っておきます。
  55. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) そもそもなぜこの代理店契約を義務付けているかということについてでありますけれども、これ、郵便貯金銀行、郵便保険会社、新しくできる銀行、保険会社は当初は直接の販売の拠点を持たないという会社になります。そうしたところが安定的にしっかりとした金融機関としての業務を行っていくためには、やはり営業拠点に関して安定的な代理店の契約ないしは保険募集の契約が結ばれているということ、それが免許を与える、具体的なみなし免許を与える条件になるというふうに考えているところでございます。したがって、法律考え方としては、最低限移行期間をカバーする長期安定的な契約を結んでくださいということになるわけでございます。  その一方で、この移行期間を上回る長期契約を締結するということは、これは特に妨げる必要はないと考えております。具体的な契約期間を移行期間を超えて、移行期間十年ありますけれども、その十年超と、十年を超えるとすることについては、この免許条件を満たしている限り、郵便貯金銀行、郵便保険会社、そして郵便局会社の経営判断により可能であるというふうに考えているわけでございます。  これは非常に極端な例として、じゃ無限の期間とか百年の期間はどうなのかというような議論をされる方もいらっしゃるわけですが、この代理店契約というのは金融機関としてしっかりとした安定的な健全な経営を行うために義務付けるものでございますので、極端な百年、二百年というようなそんな長期になりますと、むしろこれは経営の健全性を明らかに損ねるものでありますので、そういうものは想定はされないわけでございます。  しかしながら、経営の判断に基づいて移行期間を上回る長期契約を締結する、そしてそれが免許条件を満たしているということであるならば、これはそれを妨げるような措置は全くございません。
  56. 小泉昭男

    小泉昭男君 なるべく将来もずっと続く会社にしていただきたい、こういうふうに思いますので、長期的な視野にわたっての契約も必要かなと、こういうふうに思います。よろしくお願いをいたします。  資金の流れ、これは官から民へという総理のお言葉のとおり、民間に、三百四十兆円とも言われるこういう莫大な資金を民間に流して自由に活用がなされるようにしていこうという、こういう方向だと思いますけれども、当然、財政再建だとか我が国の経済活性化にもつながっていくと思いますので、この点についてもお伺いしておきます。
  57. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 郵政民営化は様々な形でこの国の改革に資する改革の本丸であるわけでございますけれども、その中でも、とりわけやはり資金の流れをしっかりと官から民へ変えていくということがその目的の中の最も大きな一つであるというふうに認識をしております。  そこで入口の、この公的な資金の入口の郵貯、簡保の改革、そして出口に関しては先ほど総理からもお話のありました特殊法人、政策金融機関を含む特殊法人等々の改革、これをしっかりと全体として改革することによってお金が官から民に流れていく、そういう道をつくっていくことが極めて重要でございます。  具体的にこの郵政改革について申し上げますと、これは政府が今政府保証を付けてお金を集めております。政府保証が付いている以上、このお金の運用というのはやはり安全な資産でしか運用ができません。で、安全な資産で運用するって具体的にどういうことかというと、これまでは政府系金融機関、国の機関に貸し付けたりないしは国債を引き受けたりする、結果的にこれは官が集めて官で使うという構造になってしまうわけでございます。  当初、非常に大きな額の政府保証が付いた、いわゆる旧勘定をこの組織は持ちます。これについては国債等の安全資産で運用されますが、新規契約分につきましては、これは当初は公社の業務の範囲から始めて段階的に業務範囲を拡大していく、その中で運用の、資産運用の範囲も拡大をしていって、そして民間に資金を回すことが可能になっていくというふうに考えております。  この民営化を実現することによりまして、国民の貯蓄が経済の成長、発展の源として有効に活用される道が正に開かれていく、これをしっかりと実現していきたいと思っております。
  58. 小泉昭男

    小泉昭男君 是非一層の方向付けをいただきたいなと、こういうふうに思います。  先ほども、これも三年ごとの見直し、民営化委員会が行うことの、このことについては、世耕委員からもやはりお話ありましたけれども、これ、経営形態の中に四分社化も入っていく、この見解でよろしいですか。
  59. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 郵政民営化というのは、何よりもやはり国民の利便を向上して経済活性化するために行われるものでございます。これがやはりしっかりと行われるかどうかということをこの民営化委員会の三年ごとの総合的な見直しでは行っていただかなければいけません。  したがいまして、この総合的な見直しというのは経営形態の在り方を含めた郵政民営化に関するすべての事項を対象とするものでございまして、民営化委員会がこの民営化の進捗に関しまして民営化の目的に照らして問題が生じているというふうに判断したときは、民営化法の定められた理念、方向に即して問題点についてしっかりと正に総合的な見直しを行っていくということになります。
  60. 小泉昭男

    小泉昭男君 民営化委員会の役割の中でも、移行期間における段階的な業務拡大について民営化委員会の役割、極めて重要だと思うんですけれども、これと併せて、透明性の確保、これはもう一番大きな部分だと思うんですね。みんなにはっきり物が確認できるような形で遂行していかなくちゃいけない、これが基本だと思います。  そういう意味で、先ほどのお話にもありましたけれども、情報公開等についてもしっかりとやっていかなくちゃいけないと、こういうふうに思いますけれども、いま一度この辺のところを確認させてください。
  61. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 民営化というのは、民間の経営でしっかりと経営の自由度を持っていただく、そしていろんな活性化をしていただく、これが最大のねらいでございますが、一方で、他の民間企業に対する圧迫、いわゆる民業圧迫が生じないようにイコールフッティングをしっかりと図っていく必要がございます。  民営化委員会は、したがいまして新規の業務を行うときに正に中立的、専門的意見を踏まえて意見を述べるということになるわけでございますが、委員お尋ねのその際のやはり透明性の確保が重要であろうという点は全くそのとおりだと思っております。主務大臣による新規業務の認可等に当たって意見を述べるその民営化委員会につきましては、この公正性とか透明性を確保する必要があるために、具体的に言いますと、民営化委員会が意見を述べましたときはその内容を公表すべきことをこれは法律上で義務付けております。したがって、意見を述べたときはしっかりとこれは法律に基づいてその中身は公表されることになります。  また、法律で定められた意見の事後的な公表以外にも、例えば民営化委員会の運営を公正にする、透明性を高める方策としては、一例としてはガイドラインの作成や議事要旨等の速やかな公表等も考えられると思います。もちろん、これにつきましては民営化委員会の運営についての民営化委員会自身の御判断もあるというふうに思いますけれども、政府としては、委員会及び事務局の設置後、そうした方向で是非適切な関与を行っていきたいと考えております。
  62. 小泉昭男

    小泉昭男君 御答弁のとおりだと思うんですけれども、今回の選挙を通じて、郵政民営化国民すごく関心持っていますから、透明性を確保するのが一番理解を得やすいし、事が運びやすいことだと思うんです。これはしっかりそういう方向で進めていただきたい、こういうふうにお願いしておきます。  次に、職員のことでございますけれども、安心して働ける雇用や労働条件なんというのは、こんなのは当たり前のことでありますけれども、どういう配慮をされているのか、その手当てはどうされているのかについて、ちょっとお考え伺いたいと思います。
  63. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 郵政民営化の議論を始めるに当たりまして、もう二年前になりますけれども、大変難しいこの民営化の作業、それに当たって踏まえなければいけない五つの条件というのを我々明確にいたしました。その中の一つがやはり雇用への配慮という問題でございました。  雇用配慮の原則というふうに呼んでおりますけれども、具体的にそれがどのようにこの法律の中に生かされているかということでありますけれども、公社職員の雇用につきましては法律によって新会社において確実に確保するということ、具体的に言いますと、承継計画において定めるところに従いまして全職員いずれかの新会社の職員になるということがこの郵政民営化法の百六十七条で規定をされています。また、民営化に伴いまして、これは雇用の確保だけではなくて、職員の待遇についても不利益が生じないようにという観点から、例えば民営化後の新会社の労働条件につきましては、この新会社が発足する前に、日本郵政株式会社、これは準備企画会社でございますけれども、そこと公社職員が結成する労働組合との間で事前に交渉を行いまして労働協約の締結を可能にする。これも郵政民営化法の百七十一条で定めておりますし、ほかにも、先ほども申し上げましたけれども、この公社時代の退職手当に当たりましては、退職手当の支給に当たっては公務員時代の在職期間を通算するでありますとか、労働時間、賃金等の労働条件を定めるに当たっては、公社時代の給与、勤務時間等への配慮を義務付けるというようなこともこれは法律で明記をしております。  そういった様々な措置を講ずることによりまして、職員の皆様に安心して、誇りを持って働いていただけるような、そのような仕組みにしております。
  64. 小泉昭男

    小泉昭男君 労働に関する問題については、やはり意欲を持って、夢を持って働けるような環境づくりが一番大事かなと、こういうように思いますので、そういう部分も含めて鋭意努力をいただきたい、こういうように思います。  次に、生田総裁、お伺いしたいと思いますが、前国会での審議を通じまして今日まで大変いろんな、新聞を始めとした報道がありました。その中に、もう既に幾つか動き出しているものもあるようでございまして、本当に頼もしい限りでございます。さすが小泉総理の信託を受けた総裁だなという感がいたします。  それでは、お伺い申し上げますけれども、一つ目、民営化に向けた公社の取組として真っ先に挙げられること、今、竹中大臣からも御答弁いただいたことに関係するんですけれども、人材の育成、これ大事だと思うんですね。よく総裁が言われる良い民営化の実現、これに向けて良い人材の育成が必要かと思いますので、よろしくこの辺のところはお願い申し上げたい、こういうように思います。  それと、先日の報道に、「郵政職員三十四万人 バッジで格付け」の見出し記事、目に留まりました。記事の内容は、顧客とじかに接する三十四万人の接客態度を良い方からランク付けして、サービス業としての意識を高めることで労使は一致しているという内容でありました。私はこの記事見まして、ああ、すばらしいことだなと本当に思いました。接客はセールスと同じでございますから、接客する職員が接客の基本を励行することがその会社の命運に結び付くわけでありますので、この辺のところは重要なことだと思います。  男女平等参画社会、まあ今大変急ピッチで進行中でありますけれども、もう一押し進めるために、女性職員の育成も大きな戦力になるんじゃないかなと、こういうふうに思います。この点について総裁から伺っておきます。
  65. 生田正治

    参考人(生田正治君) お答え申し上げます。  公社に入ることになりまして感じたこと、入ってからすぐに感じたこと、実はもう極めて優秀な職員が一杯だということですね。それは私の想像以上で大変うれしく思いました。ただし、それは公務員的には磨かれているんだけれども、サービス業であると、民間的なセンスではまだ当然ですけれども磨かれていない。その意味では潜在力というふうに申し上げた方がいいんで。  これはサービス業ということで磨いていく必要があるということでいろんな施策を取っていますが、まず全般にやっていた研修制度をがらりと変えまして、いわゆる座学というか学校の授業みたいなやつじゃ私の学生時代の経験からいいましても余り身に付かないんで、もっと実践的な、実際にお客と職員に分かれて対話さすとか、そういう実践的な研修に、参加型の具体的な研修に切り替えて、これは今どんどん進んでおります。  それからさらに、機能的には今おっしゃったCS、これはもうサービス業の原点ですから、これは専門業者にお願いしまして、客と接する職員は全員、それから全局長もやらしたんです。二万人ぐらいいますね、全局長もやらせまして、これはもうロールプレーイング、本当に実技ですね、ということでCSを勉強さすということで、今、一定の限度のレベルの者だけが今お客のフロントに立てるようになっているんですけれども、随分やる気が出てきまして、それじゃ少しその進み具合によってランク付けするかと。  それは使い方が、下手すると逆にみんなに、何といいますか、ディスカレッジになるんですけれども、うまくやればそれはエンカレッジになるんですね。で、組合ともよく相談したら、やってみようじゃないですかと、多分それで励みになってもっとやりますよ、動機付けになるということで、初級を一つ、大体きちんとこなせる者を二つ、三つ目は、ちょっと内部の言葉なんで皆さんの前で言いにくいんだけれども、お客様に感動を与えるような接遇ができる者を三つ星ということで星を付けて、それを励みにみんなが頑張るということを職員及び組合の賛同を得ながら進めているということでありまして、それがCS。  それから、投信は投信で専門的な研修をやっておりますし、国際関係についちゃ、公社にとっちゃ新天地なんですね、実は、残念ながら。だからスタッフがほとんど育っていない。したがって、これは公社化スタートと同時に海外への実務研修で、海外のいろんな事業会社に半年刻みぐらいでどんどん出しておりまして、もう五十人ぐらい行ったり来たりで帰ってきておりまして、それが今一つの層になって国際事業ができるようなところまで進んでいると、こういうことであります。  だから、経営者教育しなきゃならない。これ物すごく大きな私の使命だと思っていまして、どうやって経営者をつくっていくかと。これは毎週の経営会議を通じて実践で覚えてもらうのと同時に、生産性本部とか取締役協会とか同友会とかいうのに全部加入しまして、その中には、公社は官だから入ってくれるなというところもあったんですけれども、そう言わずに入れてくれ、けちなことを言うなって入れてもらって、そこでの会議に出るとかそこの研修会に出すというようなことで経営者教育をするということをやっております。  それから、女性が実はほかの省庁に比べて多分、非常に数は多いのに登用が少なかったと私は感じました。採用も少ない。これは直さにゃいかぬということで、まず採用。採用の方は、少なくとも二〇%は女性を採れ、できれば三〇%採れと、そんな少なくてどうするんだということで、これは公社化スタートとなりまして、例えば十六年度の職員採用は三千三百二十七人なんですが、女性が千三十八人、三一%になっております。  ただ、一番上の人をできるだけ登用しようとしても、どんどんどんどん今までは途中で引いておられたんで、いないんですよね。今一番高いところで広報部長、小野寺といいますけれども、これは女性で部長をやっておりますが、見事に男性以上にきちっと仕事をしているんで、今後はどんどん登用していくというつもりでやっているところであります。  よく言いますが、事業は人なりということなんで、女性だからって特に、そんなに優遇する気はありませんけれども、男女を問わず、少なくとも登用されて上がってくる、研修と試験、資格試験などのチャンスはイーブンに与えて、多少なりとも女性の方を推すことによって少し比率を変えていきたいというのが私の今考えであります。  それからさらに、社外の独立理事としては、石倉洋子さんという一橋大学大学院の教授にも役員にも参加していただいていると、こういうことであります。加えて、外部から専門家を今どんどん入ってもらっていますので、そういった人たちとの相乗効果も通じて人材の育成に努めてまいりたいと思います。
  66. 小泉昭男

    小泉昭男君 大変前向きなお考え伺いました。  私の近所の横浜市の特定局の方ですけれども、女性の局長さんおられまして、ハワイアンがすごく上手なんですね。だから、温かい雰囲気持っているんです。だから、そういういろんな方をどんどん登用いただいていいんじゃないかなと、こういうふうに思います。  次に、日本郵政公社は株式や債券で運用する投資信託の販売を始めたと報道にありました。その今の販売状況等について、店舗の拡大だとかいろんなこともあると思いますので、お考えを伺っておきます。
  67. 生田正治

    参考人(生田正治君) 今、一つは、言い忘れましたが、女性の局長はもうたくさんいまして、ちょっと今、実数覚えていませんけれども、感覚で言いますと二割ぐらいそうじゃないかと思います。  投信に戻ります。販売状況ですが、十月三日の月曜日から十二日水曜日までの七日間の販売が、口座の開設件数が約五千件で、購入件数が約七千件、購入金額が合計で五十三億ということでございまして、五百七十五局でスタートしましたが、一局の一日平均が百五十万円、お客様一人当たりお買いになる規模が八十万円ということで、堅実なスタートを切っております。私は、これは大変健全で慎重なスタートを切れて、所期の目的を達したと思っています。  所期の目的というのはたくさん売ることじゃないんです。私は、入口からたくさん売ることに重点を絶対置いちゃいけないと強く言っておりまして、やはり投信を売るというのは、まずコンプラ、それから内容はどうかなという説明責任、それでも買おうとおっしゃってくださったら買っていただいて、買っていただければ、後のフォローアップといいますかアフターケア、この四点合わして一つの商品ということなんで、取りあえずは一と二に重点を置けということで慎重なスタートをさせましたので、その意味で所期の目的を達したと考えております。  八十万という一件当たりの金額で、これは通常の投信のマーケットよりはずうっと少額なんで、初め考えましたように、既存の投信マーケットに分け入っていってその分をシェアを取ったということじゃなくて、今まで投信をやっていらっしゃらなかった方々が改めて投信を振り向いてくださっているということで、新しいマーケットの開拓であり、マーケットの創造で投信の市場のパイが大きくなると考えております。  職員の養成は、既に資格を持っているのが八千五百人いまして、そのうち四千七百人を現在使っているわけでありますが、平成二十年には千五百局にしようと思っていますので、これから更に職員教育をやりまして、十分なスタッフ体制を整えたいと思っております。  先ほど申し上げましたように、あくまでも初めてのリスク商品を扱うわけですから、慎重の方を第一にしまして、セーフティーファーストで、お客様の信頼を損なわないように、で、投信のパイを拡大して経済活性化にお役に立てればと願っております。
  68. 小泉昭男

    小泉昭男君 そのようにしっかりとお願い申し上げたいと思います。  先ほど、世耕委員からロゴマーク、お話ありました。竹中大臣、先ほど御答弁の中で、逓信のテイを取ったという、こういうお話聞きましたけれども、あれ、上の一本を横にするとITと読めるんですね。だから、今の時代にもぴったり合ったマークじゃないかなと、こういうふうに思いますので、是非大事にしていっていただければなと。ポストの赤いのも何もどうするかという話あるでしょうけれども、なるべく今まで定着していたイメージはそのまんまやっていっていただいたらいいんじゃないかなと、こういうふうに思います。  ここで、総裁、ブランド、ロゴマークについては、今回あえて御質問申し上げません。国際物流で包括提携、こういう記事読みましたので、このことだけひとつお願いいたします。
  69. 生田正治

    参考人(生田正治君) お答えします。  私が国際問題にかなり力入れているのは、一に、郵便事業は赤字構造ですから、赤字構造で累積債務持ってどうやって民営化するのか、これは何とか黒字構造に変えにゃいかぬという努力の一環で、大変その意味で力入れているのと、もう国際的なマーケットじゃ本当に日本は出ていないんですよ。日本の市場すらが、ドイチェ・ポストの方が三〇%ぐらいシェア持っていて、アメリカ勢がやっぱり三〇%近くて、我々一八%ですから、そういった意味で一刻も猶予なく進みたいと思っているんです。ただし、御承知の、一時廃案で交渉は中断しました。中断はしましたが、非常に強い信頼関係がありますので、今の状況を見ながら再開をしてきております。  すべて、初期に考えたように、秋の深まりとともに余り寒くならないうちに情報を開示できるだろうと、そうなるように努力するつもりでおります。
  70. 小泉昭男

    小泉昭男君 しっかりと期待を申し上げたいと思います。  総理改革止めないでください。そして、この郵政民営化は、総理は一里塚だとよく言っておられました。私も全くそのとおりだと思っていますので、これからどんどん不退転の決意で改革をお進めいただくことをお願い申し上げまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  71. 野上浩太郎

    野上浩太郎君 自由民主党野上浩太郎でございます。本日は、自民党のラストバッターといたしまして質問に立たせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。  さて、郵政民営化審議も、衆議院で百十時間、参議院で八十二時間、この特別国会に入りましても連日この審議が続けられているわけでございます。大変長期に及ぶ審議になってまいりましたし、参議院での審議も大変議論が深まってきているんではないかなというふうに思います。  そういう中で、今日はテレビ中継入りのこの審議ということでございますので、どうぞ閣僚の皆様方、分かりやすい御答弁をお願い申し上げたいというふうに思いますし、私自身も実は七月二十日にこの特別委員会で一度質問に立たせていただいておりますので、若干重なる部分もあろうかと思いますが、基本的な重要な部分につきまして改めて質問申し上げたいというふうに思っております。  また、今ほど同僚の小泉議員が、小泉というのは小泉総理の親戚かと言われるので、いや親戚以上の付き合いだと言っておられたと。本当にうまいこと言われるなというふうに聞いておりましたが、実は私の名前も浩太郎でございまして、この浩太郎という名前にも、総理、親戚以上の親しみを感じていただけるんではないかなというふうに思います。息子さんと字は違いますが、どうぞ温かい御答弁いただきますようにお願いを申し上げたいというふうに思います。  まず、法案の仕組みの話に入る前に、この郵政民営化がこの日本の国の構造の中でやはりどういう位置付けにあるのかと、こういうことについて幾つか質問をさせていただきたいというふうに思っております。  まず最初に、この日本長期的な国家ビジョンの中でこの郵政民営化がどういうふうに位置付けられているのか。先般、日本二十一世紀国家ビジョンというものも出されたというところでございますけれども、この郵政民営化日本長期的な国家ビジョンの中での位置付けについて、竹中大臣にお聞きをしたいというふうに思います。
  72. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 今委員から日本二十一世紀ビジョン、ちょっと御紹介いただきましたけれども、これは今年の四月でございます。日本を代表する各分野の専門家六十名の方に集まっていただきまして、二十五年後の日本、二〇三〇年をターゲットにして、どういう姿になっているかということについて、これは専門家としての御議論をお取りまとめをいただきました。  大きくこれから我々が直面する社会というのは、一つは人口減少社会であるという点、これが大変大きなポイントでございます。二番目が、ますますいわゆる地球規模での競争、グローバル化の厳しい波にさらされていく。この人口減少社会、そしてグローバル化、その中で日本はどのような進路を目指さなければいけないのかということについて、非常に大きな見取図を書いていただいたものでございます。  重要な点、これはもう結論は非常に幅広いものでございますけれども、重要なエッセンスとしてやはり出てくるのは、この人口減少社会、厳しい競争社会の中で、やはり民間でできることは民間にという考えの下で、小さくて効率的な政府を実現していかなければ経済の活力は維持できない。小さくて効率的な政府をつくっていって経済の活力を維持する、これが一つの重要なポイントでございます。  一方で、やはり国民は安全と安心の観点から公的なサービスを求めているわけでありますけれども、この公的なサービスを官ではなくて民が主体になって、民主体で豊かな公を実現する、専門家は「豊かな公・小さな官」という言葉を使ったわけでございますけれども、そういった方向を目指さなければいけないということが重要な結論として出てまいります。  考えてみますと、そうした観点から言いますと、郵政民営化は正にその重要な突破口になるわけでございます。簡素で効率的な政府という観点からは、公務員の数を常勤で二十六万人減らして小さな政府をつくっていくということになります。そして、民間でできることは民間で、そしてきちっと納税もしていただいて、小さな政府、税負担の、将来的に小さな政府を目指していくということにもつながります。また、これは郵便の事業でありますとか郵便局の設置というのは、これは非常に公的な機能を持っておりますので、民が主体になって公的な機能を担う、「豊かな公・小さな官」、これ正に郵便、郵政民営化の基本的な思想の中に織り込まれているわけでございます。  そうした観点から、国家、日本の将来の在り方、専門家の議論も踏まえましても、改めて郵政民営化というのがこの改革の、将来目指すべき改革の本丸であるという姿が出てまいるところでございます。このビジョンの中にも郵政民営化がそういった重要な突破口であるということが明記されております。
  73. 野上浩太郎

    野上浩太郎君 ありがとうございます。  今、正にこの長期的な国家ビジョンの中での位置付けということをお聞きをいたしました。これは言わば縦の流れの、時間の流れの中での位置付けということも言えるんではないのかなというふうに思いますが、続いて、言わば横の関連といいますか、この郵政民営化は本当に改革の、構造改革の本丸であると、あるいはあらゆる構造改革の突破口であるというふうにして説明をしてまいりました。入口の郵政民営化に対して出口の特殊法人改革という話もございます。あらゆる改革にこの郵政民営化がつながっているんだと、この横の関連についてお聞かせいただければというふうに思います。
  74. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 野上委員のおっしゃる横の関連というのは、恐らく行財政改革という観点からはどうなのかと、特殊法人改革という観点からはどうなのかと、金融システム改革という観点からはどうなのかというお尋ねであろうかと思います。  まず、行財政改革との関連でいいますと、やはりこれは象徴的には国家公務員を非公務員化する、二十六万人非公務員化するということで、民の活力が発揮される領域を拡大して、小さくて効率的な政府をつくる、その意味で行政改革のやはり本丸になると言えると思います。一方で、財政的な観点から申し上げましても、新会社民間と同様の納税義務を負って、従来支払が不要とされていた税金が支払われることになります。そしてもう一つは、やはり政府保有のこの新株式の、新会社の株式を処分するということになりますので、この処分益も含めてしっかりとした財政に貢献する形になっていく、この二つがやはり行財政改革という観点からの大きな視点だと思います。  特殊法人改革について申し上げますと、今の資金の流れを見ますと、これ正に官の資金として入口で郵政に入ってきて、そして、それが出口としては国債等々の安全資産ということになるわけでありますけれども、この入口の改革を行うことによって正に民のお金になっていく。そういう観点から、特殊法人改革、特殊法人自体の在り方を問い直すわけでありますし、現実に、特殊法人改革は特殊法人改革として一方で強力に進めてまいります。それと相まって、特殊法人そのものの改革を進めていくということになります。  金融システム改革との関連で申し上げましても、やはり民営化後の郵便貯金銀行、郵便保険会社も含めまして、これイコールフッティングを確保して、マーケットの中で、市場の中で適正な競争が行われると。そうした競争を通して日本金融システムの効率化、利便性が高まっていくというふうに思います。  横の観点、金融システム、行財政改革等々から申し上げましても、郵政民営化というのは極めて大きな意味を持っていると思います。
  75. 野上浩太郎

    野上浩太郎君 郵政民営化、本当にあらゆる構造改革につながっているということでございますが、私自身は、やはり財政再建ということが今、日本の、例えば少子化問題等々、いろんな最重要課題ありますが、この財政再建というのも本当に日本の最重要課題一つであるというふうに思っております。  今、国、地方合わせて七百七十四兆円の借金があると言われております。これは国民一人に直すと、一人六百万円でございます。例えば、国債の金利だけでいっても一年間に八兆九千億円、一日に二百四十四億円ですから、一時間私がこうして質問している間にも十億円の金利がかさんでいるということでございます。  この国の借金、これは紛れもなく次の世代ですね、政治的にまだ声を上げることができない私たちの子供の世代とか孫の世代とか、こういう世代にハイリスクを先送りしているということに言わざるを得ないというふうに思いまして、この財政再建、このことをしっかりと道筋を付けていくということがこの日本にとって最重要課題一つであるというふうに思いますが、この財政再建の道筋と、そしてこの郵政民営化がその中でどういうふうに位置付けられているかということをお聞かせいただきたいというふうに思います。
  76. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 今、野上委員がおっしゃいましたように、財政再建ということはツケを子供たちや孫たちの世代に先送りしないという意味でも極めて重要な、正に焦眉の間に迫った改革ではないかと私も考えているところでございます。  この財政再建の道筋と郵政民営化との関係ということになりますと、財政再建にはいろんなことを考えていかなければなりませんが、経済社会の活性化ということも非常に重要な要素でございます。郵政民営化は、国民の貯蓄を経済社会の活性化に結び付けていくという、そういう意味で、まず広い意味で財政再建に私は大きく資するのではないかと思っております。  それに加えまして、先ほど竹中大臣からも御答弁がございましたように、これが民間会社になっていくということで今まで負っていなかった納税義務を負っていく、それから、この株式を売っていく売却収入、こういうものも財政再建に資する、大きく資するというふうに思っているわけでございます。  そういうことでございますが、財政構造改革全体の道筋といたしましては、今の郵政民営化あるいは三位一体の改革、社会保障改革、それから公共事業の改革等々、聖域なき歳出改革と、それからやはり歳入の改革というのも私は不可避であろうと思います。そういうことを総合的にやりまして、二〇一〇年代初頭にいわゆるプライマリーバランスの回復、その年いただいた税金でその年の政策を打っていくと、こういうことが私どもの基本的な方向でございますけれども、これにつきましては今年の六月にいわゆる骨太の方針二〇〇五というのができまして、その中で、今後一年を目途にその歳入歳出一体の改革をやっていく選択肢それから工程表と、こういうものを明らかにするということになっておりまして、今後更に議論を積み重ねてはっきりした方向を示していかなければならないと思っております。  差し当たって、これからは平成十八年度予算案の策定ということが私どもの大きな課題でございますが、そういった方向をきちっと打ち据えていくための土台となるような予算にしていきたいと、こんなふうに考えているところでございます。
  77. 野上浩太郎

    野上浩太郎君 ありがとうございます。  今、竹中、谷垣両大臣から構造改革あるいは財政再建についての話を伺ったわけでございますが、やはりそこに一つ共通して浮かんでくるのは、小さな政府ということではないかなというふうに思っております。先般の総選挙では、この小さな政府ということが一つのキーワードとなりまして、国民皆さんの大きな支持を得たのではないかというふうに思っております。その根底には、やはり現在日本が今おっしゃられたような大変な財政危機にあると、あるいは合計特殊出生率が一・二八になるような少子化問題も抱えておると、本当に今、日本は大きく変わっていかなければならないと、改革を進めていかなければならないと、こういう強い国民の意思、共通認識がその根底にあったのではないかなというふうに思っております。  そして、その先にやはりどのような、小さな政府の先にどのような社会を目指していくのかと、やはりこのビジョンも大変重要なことであるというふうに思っております。やはりこの小さな政府をつくる、そして官から民への流れを加速をさせる、このことは大変重要なことであると思っておりますけれども、それと同時に、それを実現させるためには、先ほど豊かな公という話もございましたが、やはりこの地域社会とか家族がしっかりそれを支えていく、家族とか地域の力を高めていくと、こういう社会を目指していかなければならないというふうに思いますが、小泉総理のこの小さな政府、そしてその先に目指す社会像というものを是非お聞かせいただきたいというふうに思います。
  78. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) どこの国でも、ヨーロッパにおいても財政状況が厳しい、そうなりますと、できるだけ簡素で効率的な政府を目指そうと、国営企業をいかに民営化するということで苦労していますね。どうしても、国営企業に働く方々公務員ですから、身分が保障されている。今、生田総裁言われましたけれども、恐らくこれから民営化なるんで、現状維持の方がいいなと思っている郵政公社の職員はたくさんおられると思うんですよ。サービス一つ星、二つ星、三つ星付けられちゃうと、接客態度悪いとお客さんから文句言われると。文句言われたって、公社のままだったら大して自分の給料にも響いてこない。しかし、これからはそうはいかぬぞと。やっぱり民間人と同じようにサービスも良くしようと、できるだけ接客マナー、文句言われないように働こうという意欲を出していかなきゃならない。  あるいは、これから、三事業だけ、公社の場合は国からこういう事業しかやっちゃいけませんよという範囲内での努力だった。今度は、民営化になれば今の三事業にこだわらないでいいんですから、国民はどんなサービス要求しているんだろうか、どういう商品を要求しているんだろうか。あるいは、郵便局舎、随分古くなったなと、ほかの建物に比べて、もっと有効利用できるんじゃないかと。これもできる。知恵の出しどころ、創意工夫の発揮できるところが格段に広がるんですね。  何にもやらない、言われたとおりにしていけば苦労はないかもしれないけれども、発展することはおぼつかない。言わば、人から言われたとおりやるんじゃない、自ら思い立ってこうやるべしと考えるのが民営化会社の特徴だと思うんです。そういう意味において、この民営化でどういう郵便局の仕事が展開されれば国民が評価してくれるか、歓迎してくれるか、また経済活性化につながるかということを十分自分の力で考えなきゃならない、そこにやっぱり発展の原動力があると思うんであります。  創意工夫、現に今までの民間企業は義務付けたから商品を発行したわけじゃありません、義務付けたからサービスをしたわけじゃないんです。民間会社は、国がこういうサービスをしなさいとか政治家がこういう商品を出しなさいと言って民間の宅配業者は夜間サービスを始めたり冷凍食品を全国津々浦々に配達する、そうじゃないんですよ。民間自身自分の頭で、ああ夜間サービスをしたらば喜んでくれるだろう、新鮮な魚介類も腐らないで全国どこでも運べるようにしたらこれまた喜んでくれるだろうと思ったから始めたら盛んになったわけでしょう。こういうふうに、国が義務付けなくてもやらなきゃならない、やってくれるのは民間なんです。そういう意味において、民間にできることは民間にというのは、役所がやらなくてもいい、公務員がやらなくてもいいんだったらどんどんどんどん民間に任せていくということは、私は経済の発展に資すると思います。  同時に、今まで、国鉄がJR、民営化されました。電電公社がNTT、民営化されました。専売公社、ジャパンたばこ産業、民営化されました。この二十年間、民営化したおかげで、当初は政府の株式持っていた、今、売却始めて三十兆円以上の株式の売却益が国庫の収入に入っているんですよ。かつて国鉄は、税金を投入してもどんどん税金使うばっかりだった。今ようやく、法人税等、税金を使う側から納めてくれる側に立ちました。  無駄のない政府。そして、民間と同じように頑張ってもらって税収を上げてもらって、これが財政にも貢献する、さらに意識も、人から言われるんじゃなくて、自らが考えて創意工夫を発揮して国民サービスに、要求にこたえてもらう、そういう形で経済活性化をしていくことがこの日本経済を発展させていく、そして社会保障制度を支える意味においても、経済発展すれば税収も増えていきますから、これから税負担は社会保障については多くなっていきます。この税負担を軽減させるという意味においても大事な役割でありますので、この郵政民営化にとらわれず、更に民間にできることは民間に、政府の役割でなくても、民間が公共的な仕事をしてくれるんだったら公共的な分野にも民間人たちに参加してもらうような対応が私は必要だと思っております。
  79. 野上浩太郎

    野上浩太郎君 正に小さくて無駄のない政府、大切であるというふうに思います。しかし、一方で、地方の方、地元の方を回っておりますと、この郵政民営化の必要性は十分理解をされておるんですけれども、身の回りの郵便局がだんだんなくなっていってしまうんじゃないかと、こういう漠然とした不安があるということも、これまた明らかな事実であるというふうに感じております。  この郵便局ネットワークの維持のために具体的にどういうふうなセーフティーネットを担保をされているのか、これはもう恐らくこれまで何回も聞き尽くされていることでございますが、今日はテレビもラジオも入っておりますので、改めて竹中大臣の方から教えていただければというふうに思います。
  80. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 民営化された後も国民の安全、安心をしっかりと守らなければいけない、そしてその象徴的なものとして郵便局ネットワークがあると考えております。この郵便局ネットワークは水道のようなライフラインにも匹敵する国民の大変な重要な資産であるというふうに考えて、民間企業だけれどもそうした公的な役割が果たせるような制度設計をしているわけでございます。  具体的には、あまねく全国において利用されることを旨として郵便局を設置するということを法律上義務付けます。さらに、省令、総務省令における具体的な設置基準としましては、特に過疎地について、法施行の際、現に存する郵便局ネットワークの水準を維持することを旨とするということを明確に規定をしたいと考えております。  そのほかにも、過疎地以外にも、これはすべての、都市を含むすべての地域について、その設置の基準としましては、地域住民の需要に適切に対応することができるよう設置されていなければいけない、いずれの市町村についても一以上の郵便局が設置されていなければいけない、交通、地理その他の事情を勘案して地域住民が容易に利用することができるような位置に設置されていかなければならない、そういう基準を定めることを考えております。  また、過疎地については、法施行の際、現に存するネットワークを維持することを旨とすると申し上げましたが、その場合の過疎地というのは、その定義としまして、過疎地域自立促進特別措置法の過疎地域、そして離島振興法の離島振興対策実施地域、沖縄振興特別措置法の離島、奄美群島、小笠原諸島、半島振興法の半島振興対策実施地域、山村振興法の振興山村を定める考えでございますので、利用者の国民の利便に万が一にも支障が生じないような、そのような配慮をした仕組みにしております。
  81. 野上浩太郎

    野上浩太郎君 今の御答弁ですとか、先ほど世耕議員が質問をされました附帯決議等々で、かなりの部分そういう不安は払拭をされているんではないかなというふうに思っておりますが、特に小泉総理が前国会で御答弁をされました郵便局ネットワーク国民の資産であって、このネットワークを守って、万が一にも国民の利便に支障が生じないようにしていきたいと、この御答弁は本当に大きな意味があるというふうに思っております。  地方の郵便局が次第になくなっていくんではないかと、こういう漠然とした不安を持っておる地方の国民に対して、どうぞ総理の方からメッセージを送っていただきたいというふうに思います。
  82. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) よく民営化反対論者は郵便局がなくなるということを言っておられましたから、そうではないと、郵便局をなくすのが民営化じゃないと。郵便局国民の資産であると、財産だと。この長年培われた郵便局サービス民営化によって更に発展させていく、これが民営化趣旨でありますので、そのような不安を払拭するために国会でも附帯決議が付けられると聞いております。その趣旨を体し、収益を上げられ、国民の利便の向上に資するような民営化会社として発展していけるようにこれからも努力をしていきたいと思っております。
  83. 野上浩太郎

    野上浩太郎君 また、よく有権者皆さんから聞く不安の一つに、民営化をされたら、郵貯銀行や保険会社の、外資に乗っ取られてしまって日本の資産がどんどん外国に流出してしまうんでないかというような話も本当に多く耳にするわけでございます。いわゆる敵対的買収に対するそういう対策につきまして御答弁をいただきたいと思います。
  84. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 郵便貯金会社保険会社につきましては、これは政府の関与を切り離すために一〇〇%その株式を処分するということを義務付けます。その際に、それが委員御指摘のように外資に乗っ取られるんではないかと、そのような議論があることは承知をしております。しかし、そういうその懸念が生じないように、今ある法律の枠組みの中でしっかりと運営ができるというふうに考えております。  まず、この銀行、保険会社、これは移行期の当初からそもそもいわゆる銀行法と保険業法の適用を受けます。銀行法と保険業法というのは、これは大変銀行業も保険業も金融の中で大事な事業でございますので、外国の資本も含めて、こうした株式の二〇%以上の株式を取得する場合には、監督当局であります内閣総理大臣の認可が必要になるという仕組みがございます。主要株主の規制というふうに申し上げますけれども、本当にしっかりとした株主になっていただく必要があるわけでありますので、金融庁において、健全かつ適正な業務運営確保という観点から、株主が適格性を持っているかどうかしっかりとチェックがなされるというのがまず重要な点でございます。  そしてもう一つは、やはりいわゆる最近の言葉でよく出てくる敵対的な買収ですね。敵対的な買収に対しては、これは会社法の規定等々がございます。会社法の一般的な規定を活用して防衛策を講じることになります。これは正に民営化ですから、民間と同じような形でこうした会社法の仕組みを存分に活用していただいて、敵対的な買収に対する防御は講じていただきたいと思っております。  この敵対的買収の防御策、防衛策につきましては、五月の二十七日に経済産業省と法務省がガイドラインを公表したところでございます。そして、このガイドライン等を参考にしながら、今、東証、東京証券取引所が今後上場基準をどうするか、開示基準をルール化等どうするかということを検討しているわけでありますけれども、今ルール作りが進められております。最終的にはこの新会社を、我々が民営化の新会社を設立する際に経営判断の下で最も有効で適切な、適切と考えられる方法を、方策を講じることになると思っております。
  85. 野上浩太郎

    野上浩太郎君 今地方の不安、あるいはその敵対的買収等々に対する不安についてお聞きをしてまいりましたが、次に民営化後のこの未来像についてお聞きをしたいというふうに思います。  新たな業務に国際物流業務というものがあるわけでございますが、先ほども質問もありましたが、先般も国内企業あるいはヨーロッパの企業等との包括的な業務提携という報道もあったところでございますが、この国際物流というのは、やはり日本の国際競争力を高めていく上で本当に重要な分野だというふうに思っております。  実は私の地元の富山県でも環日本海構想というのがございまして、環日本海の玄関口としていわゆる中国や韓国やロシアにどんどん乗り出していこうと、アプローチをしていこうと、こういうような構想もあるわけでございますが、正に地方にとっても重要な活性化のファクターの一つではないかなというふうに思っております。  この国際物流業務のこの未来像と、それから先ほど御答弁もあったわけでございますが、さらには今この時点でしっかりとそこに乗り出していかなければならない、スピードアップをしていかなければならないと、こういう状況もあろうかと思いますので、そのことも併せて御答弁をいただければというふうに思います。
  86. 生田正治

    参考人(生田正治君) お答えします。  先ほどもお話ししましたように、大きな目的は、私の心の中の使命ですけれども、郵便事業の黒字化です。累積債務と毎年毎年赤字が出るような赤字構造では民営化は成り立たない、これはどうしてもやらなきゃなんない。それと二番目に、国際的展開はおろか、日本の市場までアメリカやヨーロッパ勢に我々以上の仕事をされていると。それでいいのか。それは食い止めて応分の仕事をすべきだし、我々もアジアに少しは展開すべきである。三番目加えますと、やっぱり日本のお客様にも日本のオペレーターがいた方がいろいろやりやすいんですよ、言葉も通じますから。そういった日本経済全体のプラスにもなる。  こういったことで、国際展開を考えているわけでありますけれども、何分後れているんですよ。三周後れと言っていますけれども、三周後れてもこっちまだ走っていないんですから。ほうっておくと四周、五周後れちゃうわけで、だからこれはもう本当に寸刻を失わず出て走るべきであって、今、助走をしているところであります。  公社の事業収益から考えても、通常郵便は毎年五、六%落ちる。最近、やっとゆうパックで頑張って、ダイレクトメールで頑張って、少しオフセットして二、三%の減り方ですけれども、そういつまでも頑張り切れるものじゃありませんから大変ですね。だから、これはもう不可欠の要件だろうと考えております。  ドイチェ・ポストなどは、これDHL買っていて、今、日本でもナンバーワンですけれども、エクセルっていう物流会社を今度買収しました。七千五百億円です。その資金は持ち株会社であるドイチェ・ポストが持っているドイチェ・ポストバンクの株を売った売却益がその主体を成しているんで、この辺は竹中さんを見ながら申し上げたいんですが、そういう売却益を活用しながら、投資をしながら事業展開をして自らを強くしている。こういうことで、ほうっておくと彼らはもっともっと日本へ入ってくると思います。  そこで、私といたしましては、自ら投資をして新規にスタートするやり方もあるんだけれども、これは莫大な金が要りますし、ビギナーだからやり方も下手ですよね。それよりも、現に実績があって力もある、そういう人たちと組むことによって、我々は資源を持っています、組むことによってお金も少なく、かつノウハウもいただきながらスタートをするのが一番いいと思って、そういう話合いを二、三しております。ほとんど詰まっております。  この間の廃案で一時ストップしておりますが、今話合いを再開いたしました。彼らは信用してくれていますから、そのまま行こう、是非やろうと待っていた、こう言ってくれておりますので、これは来年四月一日、いよいよ実施に入るというデートは変えずに、そこは動かさずに後の交渉をスピードアップいたしまして、何とか冬に入るか入らないかぐらいには情報をきちっと開示させていただきたいと思っております。  新聞に昨日もでかでかと出ているのは、五一%は誤報であります。ただ、そういうことをやっているという流れを示しているという意味じゃ四九%正しい。ただ、五一%の方は余り御信用にならない方がいいかも分かりませんが、流れは正しいんで、そういう方向でジョイントベンチャーを含むきちっとした提携ということで第一歩を近く踏み出せることをお話をさせていただくことができると思います。
  87. 野上浩太郎

    野上浩太郎君 分かりやすい御答弁、ありがとうございます。  さきの通常国会でも、三周後れだとF1だともう勝負にならないというような話もございましたので、どうぞしっかりと追い付けるように頑張っていただきたいというふうに思っております。  今、国際物流の件についてお聞きをしましたが、民営化の意義のもう一つの大きな意義の一つには官から民へ資金を流す道を開くと、こういうことがあるというふうに思っております。ただ、そういう中で、選挙戦の中でも感じたんですが、実はこの三百四十兆円というお金がそのまま民間に流れてしまうんではないかというようなある種の誤解もされている部分もあるというふうに思っております。決して、この三百四十兆というのはそのまま民に流れて民業を圧迫するというようなことではないわけでございます。新旧勘定のすみ分けというものもあるわけでありますので、正確な情報といいますか数字を、例えば二〇〇七年、あるいは民営化をする二〇一七年ぐらいにこの新旧の勘定の数字、そして、結局は将来的に幾らぐらいの規模で民間に資金が流れていくと想定されているのか、お聞きをしたいと思います。
  88. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 御答弁の前に、先ほど主要株主の規制で私二〇%以上と申し上げたようでございますが、二〇%超が正しい言い方でございますので、訂正をさせていただきます。  新旧それぞれどのような規模になっていくのか、そして民間にお金が流れていくのかと、数字のお尋ねでございますので、ちょっと細かいかもしれませんのですが、できるだけ正確に御答弁をさせていただきます。  まず、骨格経営試算におきましては、民営化直前の二〇〇六年度において郵便貯金の残高を二百十兆円程度、そして保険の責任準備金の残高を百十兆円程度と試算をしております。合わせて三百二十兆ということになります。民営化の時点では、このうち流動性預金五十兆円程度が、これ流動性の預金でありますので普通預金のようなものとお考えいただけたらいいわけですけれども、これは直ちに新勘定に移行をいたします。一方で、その他は旧契約分として独立行政法人で管理をされるということになります。  そして、旧契約分については移行期間中に、これは時間とともにだんだんだんだん減ってきます、逓減しまして、最終的な民営化時点では、貯金銀行につきましては、骨格経営試算で百四十兆円と試算されております二〇一六年度の貯金規模は、基本的にはすべて新勘定になります。この貯金に関しては定額十年で満期になりますので、いわゆる旧勘定はゼロで、新勘定は百四十兆円というふうに想定をしているということでございます。これは非常に技術的な理由で少しは残る可能性はあるわけですが、基本的にはゼロ、あっても少額だということでございます。  保険につきましては、これは契約期間がより長いものですから、旧契約分は長期にわたって存続をいたします。二〇一六年度の責任準備金七十兆円程度というふうに試算をしておりますけれども、その過半、まあ六割程度ですね、六割程度が約四十兆円強というふうに試算されますが、それが新契約対応するものになっているというふうに考えております。  旧契約につきましては安全資産で運用されると、そして新契約につきましては徐々に業務を拡大していっていただいて、そして二〇一六年度時点で、郵便貯金に関してですけれども、総資産の約四分の一に当たります三十五兆円が貸付け等の各般の信用リスク資産で運用されて、民間部門に資金が供給されると、そのような前提で考えているところでございます。
  89. 野上浩太郎

    野上浩太郎君 そして、やはり官から民へこの資金が流れるというときには、やっぱりその民間の側に資金需要がないと、これはなかなか流れていかないわけでございます。  実は、日本経済の状況につきまして議論をしたいと思っておったんですが、ちょっと時間の関係上、そこは省略をさせていただきたいというふうに思っておりますけれども、申し上げたいのは、この日本全体としては良くなってきているという話は、これは確かでありますが、もう地域の経済は、もういろんな具体的な指標を見ても、これはなかなか厳しいということは明らかでございまして、ここに何とか手当てをしていかなければならないと。しかも、それは全体が良くなるからそれに引っ張られるというんではなくて、しっかりとそこで自立できるような仕組みをつくっていかなければならないという問題意識を持っていることを申し上げたいと思います。  そういう中で、郵政民営化が実は地域再生の大きな可能性になっていくのではないかなというふうに感じております。現在は、正に制度面の話ですから上からの民営化の議論ということをしているわけでございますけれども、これからは正に地域に密着をした下からの民営化論といいますか、草の根レベルからの民営化論、郵便局がこれから地域において一つ一つチャレンジをしていく、これが地域再生と融合して花開いていく可能性も大きいんではないかというふうに思いますが、その御所見を聞かせていただきたいと思います。
  90. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 御指摘のように、この郵便貯金銀行、郵政のビジネスモデルそのものがやはりこれまで全国津々浦々に張り巡らされた郵便局ネットワークを活用した正に地域の顧客基盤というのを強みにしているということだと思います。この地域の顧客基盤を強みにして、正に地域密着型の業務を展開していく、いろいろ知恵を出すと、先ほど総理のお話にもありましたけれども、当然、自らの強みを最大限活用して、そして知恵を出していってくださるというふうに思います。そうした中では、例えば、今後業務範囲を拡大して運用対象を拡大していくに当たりましても、例えばですけれども、地域の金融機関との連携というようなことは十分考えられるのだと思います。  そういう意味で、地域への資金供給の担い手として私はやはり重要な役割を果たしていただきたいというふうに考えているところでございます。  この地域との関係というのは、郵便局株式会社においては、地域貢献計画を策定する際に、地域の有識者の意見を聞いてそれを尊重すると、そういうような非常に情報の相互交流もあろうかと思いますので、そうした点も含めて、正に地域の顧客基盤を強みとして、その強みをより強くしていっていただくような活動を期待しております。
  91. 野上浩太郎

    野上浩太郎君 正に今地域の金融機関との連携というお話もございました。地域経済のエンジンというのは地域金融でございます。資金需要が増加しないで飽和状態にあるという状況もあるわけでございますが、この郵政民営化、地域金融にはどういう影響を与えるのか、簡潔で結構でございますので、お聞かせいただきたいというふうに思います。
  92. 伊藤達也

    国務大臣伊藤達也君) お答えをいたします。  金融を取り巻く環境は近年急速に変化をしつつあり、郵政民営化後の金融市場の姿を正確に予測していくことは困難でありますが、準備室の見通しの中で示されておりますように、今後、経済成長による資金需要の増加、そしてシンジケートローンの増加、あるいはアセットバック証券に対する投資の活発化、このような金融のビジネスモデルの変化というものを考えてみますと、信用リスクビジネスに郵便貯金銀行が参加をしていく、そういう機会というものがあるんではないかというふうに考えております。  もとより、郵便貯金銀行は巨額な資産を持っておりますので、急激に新規業務に参入をしていくことになれば、地域金融機関を含めた他の民間金融機関との競争条件や金融資本市場への影響というものを考えていかなければいけないわけでありますけれども、この点につきましては、郵便貯金銀行の業務範囲について、移行期間当初は公社と同じ業務範囲からスタートして、民営委員会の意見を聴取の上、主務大臣認可により、透明、公平なプロセスの下、段階的に拡大していくことになっているところでございます。  金融庁といたしましては、郵政民営化後の郵便貯金銀行が民間金融システムの中に無理なく溶け込んでいくことになるよう注視をしていきたいと考えております。
  93. 野上浩太郎

    野上浩太郎君 時間が参りましたので、最後の質問、総理にお伺いをしたいというふうに思いますが、今後、民業の圧迫にならないように民間とのイコールフッティングを実現をしていく、しかし一方で、経営の自由度を拡大をして経営が順調にいくようにして、郵便局ネットワーク、ユニバーサルサービスをしっかりと守っていく、この両方をしっかりと実現をしていかなくてはなりません。そして、そのためには、むしろこれから民営化に向かう十年間、この準備実施期間の十年間が重要でありまして、この間にやはりあらゆる検討、ケーススタディーをしていくということ、これを真摯に積み重ねていくということが、これは政治の責任ではないかというふうに思っております。  正にこの準備実施期間の取組で民営化後の姿が決まっていくというふうに思いますが、この期間の取組に対する重要性と今後の決意について、小泉総理にお聞きをしたいと思います。
  94. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 現在は郵政公社公社ですから、役所がやっている、公務員がやっている限りには、言わばかなり規制が掛かっています。民業を圧迫しないように、税金を負担していないんだから、民間と同じような仕事をしたら民間の仕事を奪ってしまうということで、言わば手足をかなり縛られた形で郵政公社郵政郵便局の仕事をなされている。  今回、十年後に民営化目指してやるためには、まずこの民営化会社が収益を上げられるような会社になっていかなければならない。そのためには、今のままではじり貧になってしまうから、どうやって収益を上げられるような事業の展開を準備するか。それと、その準備のし具合によっては、民間を圧迫するんじゃないかという、民間企業の仕事を奪うのではないかという不安も起きる。かといって何もしないのでは、これからの激しい競争には太刀打ちできない。その辺をよく見極めながら対応していかなきゃならないと思っております。  雇用とか地域の郵便局ネットワークを維持しようとか、そういう面に配慮していくわけでありますので、この現在の事業を縮小していけばいいじゃないかという議論もありますけれども、そういう形で果たしてうまくいけるのかという点もあります。  何事も、改革には両方の側から反対、批判が出ます。片っ方では、今の郵便局なくても民間がやってくれるよと、余計なことするなという批判、片っ方では、いや、郵便局ネットワーク、郵便事業だけじゃない、金融事業は残してほしいという議論、相反する立場から批判があるわけでありますが、今の郵便局改革郵政改革郵政民営化は、郵便局の現在の機能は国民の資産であると、なくさないんだという、国民の利便に支障を来さないんだと、今よりも発展するような郵便局にしていきたいということを目指した民営化でありますので、その両面の批判に配慮した案でありますので、今後各方面からの意見を聴いて、収益が上げられるような、また税金を納めることができるような、そして国民の必要な商品やサービスが展開できるようなそういう会社にするように、十分な各方面の意見を聞いてやっていかなきゃならないと思っております。  正に企業は人なり、民営化すればいいというものじゃありません。経営者の資質、従業員の意識改革、これなくして国民に評価されるような民営化会社はできないと思いますので、その点、生田総裁が大変苦労されておりまして、そういう点に十分配慮してこれからの研修なりあるいは事業の展開なり考えていてくれると思っております。
  95. 野上浩太郎

    野上浩太郎君 ありがとうございました。  正に民間とのイコールフッティングを実現をして、しっかりと郵便局ネットワーク、ユニバーサルサービスを守っていく。本当の意味国民の一人一人の幸せにつながる、こういう民営化になりますように、私もしっかりと取り組んでいくことをお誓い申し上げ、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  96. 山口那津男

    山口那津男君 公明党山口那津男でございます。  郵政民営化の質問に入る前に、昨日、本会議で去る八日起きましたパキスタン等の大地震についての報告をいただきました。質疑の機会がありませんでしたので、せっかく総理いらっしゃる委員会でありますから、一問だけ冒頭お伺いしたいと思います。  まず、この地震災害において被災された方々に心からお見舞いを申し上げたいと思います。また、JICAの職員でありました楢原さん親子が犠牲となられました。そのほかのたくさんの犠牲になられた方々に心から御冥福をお祈り申し上げたいと思います。その上で、我が国が国際緊急援助隊を派遣して迅速な救援活動に進み出したということは極めて大事なことであろうと思います。  私から総理に対して三つほど意見といいますか、お考えを述べさせていただきますので、是非総理の御意見を賜りたいと思います。  まず一点目は、この目下の災害救援に対して国際緊急援助隊を派遣したわけでありますが、これからも現地の様々なニーズが出てくるだろうと思います。それに対応して、迅速で効果的な救援活動、これを是非やっていただきたいと思います。  その上で、一九九一年、古い話になりますが、バングラデシュという国でサイクロンの大きな被害が出ました。そのときに、我が国は消防関係の方がヘリコプターを分解して民間機で現地に運んで、それを組み立てて救援活動をすると。これは非常に高く評価をされたわけであります。私はその直後に現地に行って、その救援活動の様子を見てまいりました。しかし、各国の救援活動は、この消防関係の方はもちろんでありますけれども、軍隊が数多くその機材と組織力を持ち込んで活動してきたわけであります。  そうした効果的な活動を見て、私はこの国際緊急援助隊に自衛隊も参加できる仕組みが必要であると、そう強く実感をいたしまして、その後の自衛隊を含めた国際緊急援助活動、この法改正を推進したわけであります。その後、自衛隊の活動も含めてたくさんの実績ができてまいりました。昨年のスマトラ沖地震についても、これは各国との協力を交えながら非常に大きな活動ができて高く評価をされているわけであります。  今回も、救助チーム、医療チームを既に派遣をしておりますけれども、これから自衛隊のヘリコプターを含めてこの派遣を考えていらっしゃる。ところが、自前の輸送手段というのが、今C130という輸送機を使ってやろうとしているわけですね。これが途中で給油をする、スピードが遅い、そういう難点があります。  防衛庁としては必要に応じて民間機も使うということも選択肢として持っておりますけれども、やっぱり迅速な能力を持つということが一つ必要であると思います。将来、自衛隊は大型の輸送機を導入するということでこの調達を今やっているところでありますけれども、この民間機も含めた迅速、効果的な活動、これにもっともっと力を入れるべきであると、こう考えております。  それから、もう一点でありますが、昨年のスマトラの教訓と実績も踏まえて、この国際的な協力の枠組み、これに対して我が国がもっとイニシアチブを取ってつくっていくべきであると、こう考えます。  国連も、古くは災害調整官事務所、UNDROと言っておりましたが、これが今発展的に解消されましてUNOCHAと言っております。人道問題の調整事務所というスタイルでやっているわけでありますけれども、しかし、これが必ずしも今回の場合も国際協力を糾合するという意味での活躍というものはまだ十分ではないと思われるわけであります。そして、この国連の仕組みを支援していくということも非常に重要なことだと思いますけれども、また一方で、我が国の立場からすれば、アジア太平洋地域におけるこういう災害救援の国際的な枠組みをつくるということも考えていっていいのではないかと思うわけであります。  ともすれば、その被災国の要請を待って、そして二国間での外交的ないろいろな思惑の下で救援活動がなされると、こういう場合もあるわけでありますが、これはこれで必要なことでありますが、やはり国際的な協力でもっと大きな救援の実績を上げるということを是非我が国がイニシアチブを取るべきであると、こう考えるわけであります。  三点目でありますけれども、我が国は様々な災害を経験してまいりました。それがために、その社会の仕組み、例えば長期的な計画を作るとか、あるいは救援の機材、特別な機材を開発するとか、地震の基準を研ぎ澄ますとか、いろいろなことが経験として持っているわけですね。これら自然災害に対応する施策というものをもっとこの国際救援活動の中でも生かすべきである、ODAについてもそうした視点を持つべきであると、こう考えるわけであります。  そして、自然災害だけではありませんで、例えば放置された地雷というようなものが途上国にはたくさんあるわけですね。この地雷、言わば人々にとっては人為的な災害と言ってもいいものであります。これらについて、日本は近年、その除去の機材というものを開発してまいりました。また、どこにあるかを探知する機材というものも今開発中であります。既にこの試作機を作り、実験を行い、そしてその改良型を作ると、こういう段階に入っております。ですから、是非これを実施、実行の場で使っていただくと、そういう面からも日本はこの災害の救援に力を入れるべきであると、ODAをそういう観点からもっと活用すべきであると、こうも考えるわけであります。  いろいろ申し上げましたけれども、総理の御感想というか御意見を承りたいと思います。
  97. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) ただいま山口議員から指摘されたこと、それぞれ大変重要なことだと思って、適切な御提言だと思っております。  日本は災害の多い国であり、さきのスマトラ沖の大地震、津波、これも単に被災国だけではどうしても解決できない。そして、各国の援助、それぞれする場合にも国際的な協力が必要であろうと。その援助が効果的に実施に移されるためには、ふだんから国際的な枠組みの中で対応考えておくべきだと。そういう議論が、日本でも各国の担当者を招いて会議を行ってまいりました。  現に、今回のインド・パキスタン大地震によりまして、どういう日本が援助が必要か。差し当たって今緊急援助隊も派遣しておりますが、資金的な支援のみならず、今後、物的な支援、人的な支援、これは日本でできることと、それから国際社会と協力してやっていかなきゃならないこと、さらには被災されたパキスタンやそれぞれの国からの要請にどうこたえ得るかと、そういう観点から、できるだけの支援をしていこうということで今取り組んでおります。  輸送機の話もされましたけれども、自衛隊の活動においても、ほかにできないことを自衛隊がやれるんだったらば自衛隊の諸君にも行ってもらおうと。輸送機も、今、民間機だったら直行で、途中給油なしで行けるにもかかわらず、自衛隊はそういう長距離の輸送機を持っていない、だから物資を運ぶにしても何か所か給油に寄らなきゃいかぬというと、時間が遅れるわけですね。  そういう点も考えて、自衛隊におきましても、装備の点、戦争に行くわけじゃないんですから、被災者の救援に行くわけですから、そういう点についてももっと柔軟に考えて、支援に必要な機材だったらば用意すべきじゃないかという議論もありますので、そういう点も踏まえて、今後、日本として、日本国内の防災はもちろん、各国に対する防災の支援体制も充実していけるように、そうすることによって、世界の中で第二の経済大国になった日本が、防災の点においても被災者の支援においても、国際社会の中での責任を果たしていくためにはどのような体制を取っていけばいいのかということを総合的に考えてやっていかなきゃならないと思っています。  日本の地震とか台風被害とか、大きな被害に対しては日本も各国から支援を受けて復旧復興活動をしてきたわけでありますので、日本としても、そのような苦しんでいる国がありましたら、できるだけの支援をしていくのは当然の責務だと思っております。
  98. 山口那津男

    山口那津男君 郵政の問題に入りますけれども、この郵便事業、郵便サービスの提供というものは、万国郵便連合という国際的な枠組みの中に加入をして、幾つかの条約を結んだ上でこのサービスの提供がなされているわけであります。今回の民営化の論議の中でも、この郵便事業についてはユニバーサルサービスを確保する、この必要があるというのも、こうした国際的な枠組みの前提があって出てくることであります。  さて、そこで、民営化した場合に、この万国郵便連合の加盟国たくさんあるわけでありますが、ほとんどの国がこの郵便サービスというものは国営でやっているわけですね。それで、我が国が民営化するに当たって、この万国郵便連合の側から見て、この条約の精神あるいはその枠組みから民営化が少し外れていく部分が出てくるのかどうか、それとも、それはそれで枠組みの中に収まって、十分この国際的な約束というものをしっかり果たしていけるのかどうか、この点を念のためお伺いしたいと思います。
  99. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 国際条約との関係、国際的な責務を負うわけでございますから、大変重要な点だと思います。  現状どうなっているかと申しますと、郵便法の規定に基づきまして、これは公社郵政公社が万国郵便条約上の提供義務を負っております。そして、この郵便法の規定は民営化後も存置することとしているところでございまして、郵便業務の実施主体が今度公社から民間会社である郵便事業会社に変わるわけでございますけれども、これは、変わっても郵便事業会社にはこの規定に基づいて公社と同様の条約上の義務を果たしていただくことになります。  なお、参考までに、ドイツ等既に郵便事業の民営化を実施している諸外国におきましても、同様に民間会社民営化された会社が条約上の義務を果たしているものと認識をしております。
  100. 山口那津男

    山口那津男君 そこで、公社はそういう国際的な枠組みを踏まえて、国際貢献活動といいますか、こういう活動を幅広くやってこられました。もちろん、国内においては社会貢献活動というものをやっておりまして、これは、民営化におきまして基金などを設けるなどして重要なものは維持をすると、こういう仕組みをつくったわけですね。  この国際貢献活動につきましては、まず、これまで主要なものとしてどういうものをやってこられたのか、その実績が上がってきたのかどうか、これをお尋ねしたいんですが、それと同時に、その中でも郵便貯金制度、これまでやってきたわけでありますが、これは零細な預金者からの預金を預かって、それを大きくまとめて、そして社会資本の整備とかあるいは預金者の生活の向上とか、そういうものに役立つという機能、これは持ってきたわけであります。  例えば、さっきバングラデシュの話をいたしましたけれども、バングラデシュの農村の婦人に、イスラム国でありますからなかなか社会に出る機会が多くはないわけですね。しかし、こういう婦人が自立するためにということで、我が国がODAの一種といたしまして、民芸品、手芸品、こういうことを教えてあげて、そしてそれを買い上げて売却をすると。で、その販売の利益をまた還元してあげると。そしてなお、それを貯金をするということ、貯蓄を奨励してその制度の枠組みに乗せてあげると、それで農村の婦人が自立をしていく手助けになると、こういうこともやってきたわけですね。これは本当に、その応用という意味では非常に貴重な活動だったと思います。  ですから、郵便貯金制度というものも我が国の明治以降の歴史の中ではそういう役目をいっとき果たした時代もあったと思うわけであります。そういう点で、これらの視点からの国際貢献、言わば我が国の経験、仕組みというものを伝え、普及していくという意味での活動というものを、私はあってしかるべきだろうと思うんですね。しかし、民営化されますとそういった経験というものはだんだん失われていきまして、こういう活動というのは今後なされなくなっていくのかなと、もったいないなと、そういう気もするわけであります。  この点について、経験を踏まえて、公社の総裁はいかがお考えでありましょうか。
  101. 生田正治

    参考人(生田正治君) ちょっと山口先生にお許しいただきまして、さっき小泉先生の御質問で、女性の登用のところで数字を一つ間違えたんで、訂正させてください。  女性の局長、数字はないんだけれども感覚的に言えば二〇%ぐらいかも分かりませんと申し上げたんですけれども、今正確なのが参りまして、大変間違っておりました。簡易局を除きまして局が二万二百四十五局あるんですが、そのうちの千百六十三人が女性なんで、五・七%だったんで、大きく間違えましたので、ひとつおわびとともに訂正させていただきます。  お答えさせていただきます。  結論から申しまして、国債を含む社会貢献というのは、もうこれ百三十年を超える郵政事業の遺伝子みたいなもんで、みんな本当にそれに生きがいを感じながら仕事をしていますんで、これは多分しっかり新経営陣が引き継いでくれるだろうと期待しておりますし、そうなるように私も努力をしたいと考えております。  それで、具体的な問題に入りますが、二つに分けられると思うんですが、一つは郵便貯金制度、そういったソフトなものをどうやって普及させていっているのかということと、そういうことも含めて資金的な援助という、二つあると思うんですが、簡単に申してまいりますが、そのソフトの部分は、UPU、今出ておりますUPU、それからアジア・太平洋郵便連合という、APPUというのがあるんですが、こういった全世界じゅうの郵便関係者のトップ連中が集まる、事務局もしっかりあります、そういうフォーラムを通じまして普及に努力をいたしております。  それで、それと離れましても、公社といたしましては、郵便事業や郵便貯金事業、これについて発展途上国の研修生の訓練や専門家の派遣というのは、かなりこれは色濃くやっております。昨年も、私、UPUのブカレスト大会に行きましたが、いろんな途上国の方が見えまして、教えてくれというのが随分ありまして、そういったところには、筋のいいやつには応じてさしあげているというふうなところでありまして、平成十六年度は五か国に専門家を派遣いたしました。例えばタイとかブータン、フィリピン、カンボジア、ラオスというようなことでありますし、数十人の研修生の受入れをしております。最近極めて熱心なのは中国でありまして、これはもう是非来て教えてくれ教えてくれというんで、何回もチームを派遣して貯金制度の伝授をいたしておりますし、最近は幹部も来てほしいというんで、斎尾という本部長を派遣してきたんですけれども、また来てくれというんで、近々行くはずであります。そういった意味で、私どもの経験というものは、国際的にお役に立つところはしっかりお役に立ちながら、それだけの御評価もいただいていると、こういうことであります。  それから、パキスタンの問題がありましたが、こういったところにおきましてインフラ整備ということで郵便貯金制度を普及させたいというふうなことがあれば、これはそこの政府がお考えになることですけれども、必要があれば、例えばODA等との絡みにおいて私どもはいつでも応じていくつもりでおるということであります。  今度は資金、お金の方でありますけれども、これは専ら国際ボランティア貯金というやつで、海外で活動する民間の援助団体を通じまして資金配分いたしております。平成三年からこの十七年までの配分額の累計は百八十二億であるんですけれども、これは平成の五、六年ぐらいまでは年間二十五億から三十億、これは貯金の金利の半分いただくわけですけれども、ボランタリーなお考えによって、そのぐらい資金が集まったんですけれども、御承知のゼロ金利に近いものですから、今、集まらないですね。年間五千万からせいぜい一億ぐらいになってきているんで、非常に資金が欠けてきておりますが、それでも非常に途上国には喜んでいただいておりますので有効に使いたい。  それから、パキスタン北部地震に限って言えば、現在のところ、まだアクションは取っておりませんけれども、その限られた資金の中で何ができるのかなというようなことを考えております。  ちなみに、スマトラ沖地震のときは、日本郵政公社がUPUに呼び掛けまして、全国から、全加盟国から少し拠金させて援助しようよというようなことで、それが実りましてUPUとして援助いたしました。私どもは、公社としては一千万円出しております。そんなことが今これから検討されることになる、こういうふうに考えております。
  102. 山口那津男

    山口那津男君 我が国の郵政事業、百年以上の経験というものは、これはやはり経験そのものが国民の資産であると、今の事業そのもののみならずこの経験をこれからも生かすという視点は是非これ必要であると思います。  さて、今回衆議院選挙が行われたわけでありますが、改めてこの参議院の役割というものを考えてみなければならないと思います。今回、結果的に衆議院与党が三分の二以上の議席を持つに至りました。  まず、法制局長官にお伺いしたいんですが、衆議院から送付された法案について参議院否決した、あるいは六十日以内に議決をしなかった、こうした場合に、衆議院がその法案を再議決しなければならないのかどうか、それとも選択肢があるのかどうか。この点について、憲法上の解釈、これを確認をしたいと思います。
  103. 阪田雅裕

    政府特別補佐人(阪田雅裕君) お尋ねは、衆議院の件の、とりわけ衆議院参議院の関係に及ぶ事項でございますので、私の立場で意見を申し上げるというのは必ずしも適当ではないと存ずるわけでございますけれども、学説では、一般に憲法五十九条第二項及び第三項の文理等に照らしまして、衆議院で可決された法案について参議院がこれと異なる議決、つまり否決又は修正ということになると思いますが、それをした場合に衆議院が同条第二項の再議決を行うかどうかは、同条第三項の規定によって両院協議会の開催を求めることとするかどうかということと同様に衆議院が裁量できるものであり、これを義務付けているものではないと解されておりますし、過去の運用実例を拝見しましても、三分の二以上の多数で再議決をしたものもございますし、両院協議会を開催して成案を得たものもございますし、さらには、いずれの措置もとらずに不成立になったものというように様々な形態のものがあるというふうに承知をしております。
  104. 山口那津男

    山口那津男君 今のような基本でありまして、この参議院が異なる議決をしたからといって衆議院でどう対応するかというのは、いろいろな角度からの政治的な判断があり得ると思うわけであります。ですから、仮に今のように与党が三分の二を占めたとしても、それは考え方は変わらないはずであります。  その上で、小泉総理にお伺いしたいのでありますが、この国会の両院の意見が分かれる、結論が分かれる、で、内閣の意見とも違うという場合に、最終的にやっぱり重要な課題については、この民主主義の基本からいいまして、国会もその他の国家機関もこの民意を実現するための言わば代議制度になっているわけでありますから、最終的にはやっぱり国民の意思というものをいかに的確につかむかということが重要な責務であると思います。  その観点からして、この今のような衆議院参議院の議決が異なった場合に解散をして民意を問うということが、与党でこの衆議院三分の二以上の議席を持つに至った上でも選択肢としてはあり得るのかどうか、総理としてはその点をどのようにお考えになられるでしょうか。
  105. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 参議院否決された、衆議院で可決されたにもかかわらずそういう事態になったときは、普通の法案だったらこれでおしまい、廃案ですよね。さらに、衆議院で三分の二以上の多数をもって可決されれば、この参議院否決されても、これは可決された、成立するという規定になっているんですけれども、それがしばしばなされるかといえば、そういう状況はめったにないと思います。普通であるならば、衆議院で可決されても参議院否決されれば、もうそこで一巻の終わりということがほとんどだと思いますね。三分の二の議決することもめったにない。ましてや、参議院否決されたのをもう一度衆議院審議せずに解散・総選挙に持ち込むなんということはもう異例でしょうね。異例中の異例ですよ。普通、普通の法案だったらもう参ったと降参するところなんでしょうけれども、それをやらないであえて解散・総選挙に踏み切ったということについては例外中の例外だと思っております。  これは、こういう例があったからこの次やるかといったって、そうめったにできるもんじゃありません。正に政治的判断、これだと思いますね。その政治的判断がうまく機能したのは今回の解散・総選挙だと思っております。
  106. 山口那津男

    山口那津男君 総理はうまく機能したとおっしゃられました。確かに与党は大勝したわけでありますけれども、しかし負けたところもあるわけですね。その中の幾つかは、例えば離島を抱えた選挙区、こういうところでは、この離島のもう本当に唯一の郵便局がなくなってしまうんではないかと、反対派の人たちは、これはもうなくなる、あるいは貯金保険はなくなる、こうやって主張されたわけですね。ですから、その利用者からすれば、本当に私たち郵便局がなくなっちゃうかもしれないと、その主張に押されて迷いがあったわけであります。  私は、この点について、例えば沖縄の離島で渡名喜島というのがあるんですね。本当に人口五百人余りのちっちゃな島です。こういうところの郵便局、あるいは、北海道では奥尻島の郵便局、東京でいえば母島の郵便局、本当に住民が頼りにしているものですね。これが残るんですか、なくなるんですかと問われた場合、端的にそういう人たちにどうやって説明してあげればいいのか、安心感を与えればいいのか、これが大事だと思うんですね。  竹中大臣に、もう一度この点についての説得力のあるお答えをお願いしたいと思います。
  107. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 民営化に当たって、本当にその不安をあおるような議論があるし、あったということは大変残念であるというふうに思っております。我々は、決してそうではないということの制度設計をきちっと、正に水道のようなライフラインに匹敵するような重要な資産であって、それをきっちりと守っていくということを明確に申し上げて、そのような制度設計をしています。  具体的には、まず法律で設置に関しまして、あまねく全国において利用されることを旨として郵便局を設置する、これ義務付けるわけでございます。さらに省令において、特に過疎地については、法施行の際に現に存する郵便局ネットワークの水準を維持することを旨とすることを規定することとしているわけでございます。  今例に挙がったところは、その過疎地に当たるかどうかということがしたがって重要になりますけれども、過疎地の定義としましても、御指摘の離島振興法の離島振興対策実施地域、沖縄振興特別措置法の離島、小笠原諸島のほか、過疎地域自立促進特別措置法の過疎地域と、そして奄美群島、半島振興法の半島振興対策実施地域、山村振興法の振興山村を定め、そういうように定めるということを国会でも何度も申し上げてきたつもりでございます。  それぞれいろんな事情があるわけでございますけれども、少なくとも今申し上げた過疎地の定義に当たる地域であって、かつ法施行のときに、つまり民営化されるときに現に存している郵便局ネットワークというのは、これを、その水準を維持するということをこの省令の中に明記するつもりでございますので、冒頭に申し上げましたように、しっかりと国民の大変な重要な資産でありますこの郵便局ネットワークを維持していきたいと考えております。
  108. 山口那津男

    山口那津男君 最後に、この郵便事業は大きな事業体でありますから、環境配慮という活動も必要だろうと思います。これが四分社化、民営化によって損なわれることはないのかどうか、この点も懸念されるわけでありますけれども、今までのこの取組、公社の取組、それと今後への期待、これを最後にお伺いしたいと思います。
  109. 生田正治

    参考人(生田正治君) お答えします。  環境保全に対するニーズというのは、京都議定書にも見るように、ますます重要になってくると思います。  私は、民営化後も、当然、今私どもがやっている努力は引き継がれると思うし、むしろ発展させられるだろうと思いますし、その一つの手だてとして、今一生懸命作業さしていて、できたら来年ぐらいからと考えているのは、環境会計も公社の間にも導入しようと、こう考えております。  その考えは、先ほど先生自身がおっしゃったように、大変大きな事業体で車も物すごくたくさん使っておりますから、環境への負荷というものは大変大きいわけで、これをいささかなりとも合理化するという思いから、公社発足の二〇〇三年四月一日に、公社理念、行動憲章とともに、環境を守るための基本宣言というのを出しまして、これはもう私どもの今もう基本の理念としております。  具体的に、簡単に申しますと、平成十六年から十八年までの三か年を対象にしまして、三か年でたったそれだけかと言われるかも分かんないんですが、CO2の排出量を二・二%、十四年対比減すと。事業が伸びてきているんでね、絶対量を減すというのは難しいんですよ。だけども、事業伸びてきているけれども、にもかかわらず二・二%減そうというふうなことをやっておりますし、省エネルギーでいろんな局舎の電気の使い方とか物品調達とか、環境調達ですね、物流、車のルートの変更等々、全般的な努力を重ねておりまして、おおよそ所期の目標を現在達成してきているわけであります。初年度の年度計画であります十六年度エコアクションプランというものを作ったわけでありますが、先ほど申しましたように、ほぼ所期の目標は達成し得た。  事業が伸びていることとの若干二方向になるんでありますが、事業は伸ばさなきゃなんないけれども、更に今後とも努力をして、減す努力をし、しっかり次の民社化した会社に引き継いでいきたいと、こう思っております。
  110. 山口那津男

    山口那津男君 是非その経験を引き継いで、立派な民営化を成し遂げていただきたいと思います。  終わります。
  111. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十八分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  112. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) ただいまから郵政民営化に関する特別委員会を再開いたします。  郵政民営化法案外五案を一括して議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  113. 西田実仁

    ○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。  午前中の山口議員に続きまして、関連した質問をさせていただきたいと思います。  今回のこの郵政民営化関連法案の位置付けでございますけれども、私自身は、これを郵政公社を単に株式会社化することの法案であるというふうには思っておりません。むしろ、公益を維持しつつ、郵政公社を採算の取れる事業体に変えていく、そして、当然のことながらでございますけれども、公社をそうした民間事業体に変えていくプロセスの移行期間におきましては、様々なリスクというものも生じることが可能性としてはあるわけでございまして、その意味ではこの移行期間におけるリスクを最小化していく、そのための法案がこの郵政関連六法案であると私は思っておるわけでございます。  そういう意味では、この移行期間においてリスクを最小化するということは、この郵政改革のみならず、これからの構造改革全般にわたってとりわけ重要な視点ではないかということで、私は今日質問させていただきたいと思っております。  まず初めに、総理は、ずっとこの郵政改革というのは、午前中もお話ございましたけれども、構造改革の第一歩であると、改革の第一歩であり、同時並行的に財投、財政改革も含めて様々な多岐にわたる改革を進めていくんだという話を再三されているわけでございます。  多岐にわたるということで、一杯これから日本が抱えて、解決していかなければならない構造問題というのがあるわけでございますけれども、とりわけ今の時点で総理がお考えになっておられるこの優先順位の高い改革、構造改革、どの改革が最も優先順位が、この郵政改革を第一歩として、次に来る改革として大事なのかとお考えになっておられるのかということをまずお聞きしたいと思います。
  114. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 最大の眼目は経済活性化ですから、その経済活性化の手段として郵政民営化は不可欠であると。そして、民間にできることは民間に、地方にできることは地方にという方針を掲げてこの四年間政権を担当してきた者として、今後、更にこの郵政以外にも民間にゆだねられる分野はたくさんあるであろうと。今まで公共的な仕事は主に役所、公務員が担っておりましたけれども、公共的な仕事でも民間企業なり民間皆さんができるんだったらばどんどんやってもらうような環境を整備していきたい。  そして、地方にできることは地方にという中で、その一つの手段として、補助金の削減と税源の移譲と交付税の見直しという三位一体の改革。これは、おおむね四兆円規模の補助金の削減と三兆円の税源移譲等、今実行段階に来ておりますので、年末にはその具体的な数字を示していかなきゃならないと思っております。  さらに、歳出、歳入、これを見直すということは、できるだけ国債に依存することなく財政状況を改善していく方策として財政の問題は極めて重要であります。  さらに、社会保障を展望しますと、年金、医療、介護、重要だからこそ与野党が国会に衆参一緒の協議会をつくったわけでありまして、こういう将来の社会保障を展望した改革も必要だと思います。  これからもろもろの改革、止めることなく進めていかなきゃなりませんが、地域の活性化におきましても、地域の構造特区、あるいは規制改革にしてもまだまだ今の状況から改革しなきゃならない分野がたくさんあると思います。  要は、余り政府があれこれ言わなくても、民間人なり民間企業なり地域が自主的に自発的に、自分たちの町は自分たちがつくるんだと、自分たち企業自分たちが発展させていくんだと、そして自らの創意工夫によって新しい将来の展望を開くという、個人、企業、地域、そういう方々が、やればできるという自信を持っていろいろな問題に取り組むことができる環境をつくることが政治として一番大きな役割だと思っております。そういう中での、三位一体改革にしても公務員改革にしても社会保障改革にしても、その手段であるということを認識しながら多くの問題に取り組んでいかなければならないと思っております。
  115. 西田実仁

    ○西田実仁君 ありがとうございます。  この改革というのは当然すべてバラ色というわけにはならないこともあるわけでありまして、改革には当然のことながら痛みあるいはリスクというものが伴うことは覚悟しなければ各改革も進められない。しかしながら、この痛みを最小限化していくというような事前に準備をしながら改革もしていくという、こういうことも大事になってくると思いますけれども、この改革に伴う痛みを最小限化していくということにつきまして、総理のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  116. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 現状維持ということは、その現在の状況に慣れた方にとっては一番いいわけですね。郵政公社一つ取っても、今のままがいいと、民営化したら仕事の対応も違う、あるいは扱う商品も違う、サービスも違う、これに合わせるというのは痛みですよ、苦痛ですね。しかし、新しい時代に対応するためには、今のままでやっていてもつかどうかということから、郵政民営化一つ取っても、恐らく郵政公社皆さんにとってはある面痛みが伴うものだと思っております。  同時に、あらゆる分野におきましても、全部が賛成するものはないと思いますね。新しい時代に、規制が緩和されて新しい人が入ってくる、自分たちのやっていた仕事が、ほかの企業が入ってくる。自分の仕事が奪われるという危機感を持って対応するというのは、ある面においては痛みを覚悟して努力をしなきゃいかぬと。地域においても、いろいろな新しい分野の人が入ってこないと地域は活性化しないというような状況だと、今までだれも入ってこなくてまあ何とかやれた人にとってみれば、また激しい競争をしなきゃならないのかと、新しい商売を始めなきゃならないのかと。今までどおりでいかないとなったら、これは苦痛ですね。どこの分野にも私はあると思います。新しいことを手掛けようとすると慣れないことをしなきゃならないということは、そういうのは嫌だという人にとっては痛みであります。  しかし、時代は変わってまいります。また、科学の技術、パソコンにしてもあるいは機械を使うにしても、今まで慣れてない人にとっては習うのが苦痛かもしれないし、習うのが喜びと感ずる人もいるわけです。医療一つ取っても、触診、今まで使ったこともない機械を見ても、これが病気なのか、本当に悪い部分なのかいい部分なのか分からない先生もいるという。それを新しい機械を使って分かるようにするためには研修が必要だと、時代の進歩に合わせるように自分の技術も向上させていかなきゃならない。  しかし、そういう時代に合わせるような挑戦意欲というものを持ってもらわないと、なかなか現状維持ではやっていけないと。科学の進歩、技術の進歩。そして、今や日本日本だけでやっていける状況じゃありません。習慣の違う、慣習の違う、また人種の違う人と同じ仕事をしなきゃならない。慣れない仕事もあるでしょう、慣れない付き合いもあるでしょう。そういうやっぱり時代に合わせたような変化を取り扱うといいますか、変化対応していくためには、人によってそれが喜びであるという人と苦痛であるという人、両方いますから、今後、そういう面について両方をよく配慮しながら、改革にはどの分野においてもある程度痛みがあるということを知りつつ、前向きに取り組んでいく必要があると思います。
  117. 西田実仁

    ○西田実仁君 総理は、郵政民営化につきまして、改革の入口であるということもまた再三強調されてこられました。入口、構造改革の入口が郵政民営化ということであれば、当然その構造改革の出口というのもあるわけですけれども、この出口が何かはともかくとして、この構造改革そのものをこれからも、そういう意味では入口ですから出口に行くまで継続をして、改革を継続していかなければ最後ゴールには到達できないわけであります。  この構造改革を最後ゴールまでやり遂げるための条件というものは何だと総理はお考えでしょうか。
  118. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 一番大事なのは、やっぱり個人個人の意欲を引き出すような社会をつくることだと思いますね。創意工夫を発揮しやすい、自分の努力が報われる、そういう社会をつくるのが一番大事だと思います。  どの国においても、どの社会においても、まず一番基本は自分でできることは自分でやろうと、こういう自助努力を持たない社会というのは、私は発展しないと思います。人は、自助努力を持った、ああ、この人だったら投資していいなと、この企業だったらお金を貸してもいいな、将来性を見るからです。努力する力を見るわけです。ああ、幾らお金を貸しても援助してもやる気がない、そういうところに一体だれが援助の手を差し伸べるか。国でもそうですね。自分たちの国は自分たちでつくり上げようとする意欲のない国によその国が援助なんかするでしょうか。やっぱり今の援助の方法は、その国が自立しやすいような援助を考えていくと。  お金というのは、使えばすぐなくなっちゃいます。お金を使って、自分たちでお金を稼ぐ方法をどうやって考えてもらうのかという援助じゃないと生きてこない。それは、自分たち、お金もらうだけで、お金をつくる努力なんかしませんよと。自分たちで生活の手段を考える、考えてくれというのも大事でしょうけれども、まず一番大事は、自分たちの社会は、自分たちの国は、自分たちの生活は自分たちでまず努力するんだという意欲を持つような、そういう社会にしていかないとどの国にも発展しないと思います。そこで、どうしても自分で助けることではできない、お互いの助けを必要とする、あるいは一分野では無理で公的な支援を必要とする、だから、自助と共助と公助。これは基本だと思いますけれども、まず、自らを自分の力で立ち上げようと、努力しようとする意欲のない国に対して、社会に対して、企業に対して、個人に対して幾ら支援してもそれはなかなか発展しないんじゃないでしょうか。  ですから、創意工夫。民間経済の発展というのは、民間は、国が、役所が、公務員があれやれ、これやれと言わなくて自分たち考える、自分たち国民に売れる商品を考える、自分たち国民に必要としているサービス考える。そこで収益を上げて税収を納めてくれるから市場経済、自由主義経済が発展してきた。何でも国が押し付けて、やれと、あれやれ、これやれ、これ以外やっちゃいかぬ、そういう国は発展しないというのは歴史が証明している。  そういう、個人でも企業でも地域でも、自分たちの町は自分たちでおこそうという、そういうやる意欲、自信、勇気を持てるような社会にすることが私は国家の発展にとって、国民生活を豊かにする上において一番重要じゃないかなと思っております。足らざるところは社会全体で支援の手を差し伸べようと、これが基本ではないかなと思っております。
  119. 西田実仁

    ○西田実仁君 改革を進めていくときに必ず伴うリスクや痛みをやっぱり最小限化していくという仕組みを入れながら改革をしていくということが私は大事だと思っております。  今回のこの郵政民営化につきましては、いろんな移行期間の間に、これから始まる、法案が通った後に始まるわけですけれども、いろんなリスクも当然勘案しながらこの法案ができているわけであります。  その中で、今日は私は二つだけ考え得るリスクとして御質問をさせていただきたいと思います。  一つは、この郵貯、簡保の資金が十二年度までは預託制度を使って財投から特殊法人等の財投対象機関にお金が流れていたわけでありますけれども、政府保証が付いた郵貯、簡保のお金が財投を通じて融資をされていた、その融資先の対象機関が不良債権化した場合に、それが表面化するリスクがあるのかないのかということが一つ。  そしてもう一つは、やはり民営郵貯、民営簡保がまだ資金運用のノウハウがこれからという、そういう段階で、巨額な資金そして全国ネットワークという大きな強みを持つ中で、地域金融機関を始めとした民業に圧迫にならないかどうか。この二つのリスクにつきまして、残り時間、御質問をさせていただきたいと思います。  まず、一つ目の郵貯、簡保を資金源とした融資先の焦げ付きの問題、いわゆる財投対象機関の不良債権のリスクということにつきまして、谷垣大臣に御質問させていただきたいと思います。  これはもう言うまでもなく、平成十二年度に財投改革がございまして、預託金制度なくなっているわけでございますけれども、またその預託金は二〇〇七年度までに戻ってくるということで、今二〇〇五年度ですからまだ二年あるわけであります。その期間に万が一、これから財投機関、整理縮小していくという中で、そのプロセスの中で財投対象機関が不良債権化した、あるいは何らかの形で清算をしなければならなくなったというときには、郵貯や簡保の契約者あるいは預金者の利子が減るということではないわけですね、政府保証ですから。そこは元利合計政府が保証する、すなわち国が保証する、すなわち国民の税金でそれはきちっと支払われるわけであります。となると、仮に財投対象機関が整理縮小を通じて清算される、そして不良債権化が表面化するという場合には、国がその分債務を抱えていくということになるわけであります。  ですから、これからの改革、小さな政府、小さな官を目指していくという中で、当然のことながら財投対象機関の整理縮小ということをしていかなければならないわけでありますけれども、その改革のプロセスの中で、こうした財投対象機関の清算に伴って不良債権が表面化して、それが国が抱える債務として表面化する、これはもうできる限り最小化しなければならない。また、仮にそうなった場合にどういう清算の方法をするのか。できる限り国民に対する負担を小さくして、そしてこの財投対象機関の整理もしていかなきゃいけない。大変に難しい作業ではございますけれども、これは是非とも必要であると思いますが、大臣、いかがでございましょうか。
  120. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 今、西田委員おっしゃいましたように、かつては郵貯で集めていただいたお金、全額財投に預託をしていただくということがございましたので、たくさん集まってきますので、ついつい財投の方が肥大化をしているんじゃないかと、こういう御批判がありまして、平成十二年度まではそういう制度でしたけれども、十三年度からは御指摘のように改めたわけでございます。そういう中で、その財投も真に必要なものだけに絞っていこうということで、最盛期の現在四割ぐらいの規模に縮小をしてまいりました。  そういう過程の中で、民業補完性とかあるいは償還確実性についても見直してきて、委員のおっしゃる不良債権化するリスクを未然に防いでいこうというのは、一つはそういうところにあるわけでございます。  しかし、平成十七年度、実際にじゃそういうものが、リスクが顕在化、顕在化といいますか、そのリスクをもうあらかじめ、何というんでしょうか、退治してしまおうというようなことも行っておりまして、平成十七年度の財投計画の編成に当たりましては、財政審の財投分科会で、今おっしゃったようないわゆる財投不良債権論があるということも踏まえまして、民間準拠の財務諸表も参考にしながら、すべての財投事業について総点検を行いまして、そのようなリスクがあった住宅金融公庫あるいは都市再生機構、ここにつきましては事業の抜本的見直し等を行うことで将来の財務上の懸念を解消して財投事業全体としての健全性を確かなものにしたわけでございます。  こういうことをするためには、委員の御指摘のように、国民負担を極力軽減していくということが当然前提になければならないと考えておりまして、もちろんそういった財投機関の自助努力ということが前提になるわけですが、その上で業務からの撤退を含む抜本的な事業の見直しであるとか、それから撤退事業の経理の明確化、それから業務運営効率化や人員の削減、あるいは一般管理費の削減といった自助努力を担保するための経営改善計画を作ると、こういったことを実施することによりまして財政融資資金に対する償還確実性を高めることができるといった、最終的な国民負担を軽減していく財政融資資金の得べかりし利益の放棄が真に必要かつやむを得ないこと等々を条件を満たした上で透明性のある形で処理をしていこうと、こういうのが基本方針でございますが、そういう基本方針の下で、先ほどの平成十七年度におきましてもその住宅金融公庫、都市再生機構についてそのような措置を行ったと、こういうことでございます。
  121. 西田実仁

    ○西田実仁君 今大臣からお話ございまして、自助努力ということを前提にこの住宅公庫また都市再生機構につきましては早期繰上償還というものを許可して、しかも本来であれば、この午前中、竹中大臣からもお話ございましたが、税金の投入はありませんけれども、本来、その国が得るべき二兆円に上る逸失利益利益を失ってしまったという、そういうことが実際にはこの損切りをする、まあ早めにリスクが表面化する前に損切りをすることによって、結果として出てきたのがこの本来二兆円国に入るべきものが入らなかったということが事実としてあるわけでございます。  そうした措置の前提は自助努力というお話を今大臣がされたわけでありますけれども、しかしながらこの住宅公庫、都市再生機構の役職者の方の退職金を見ますと、この今の措置は昨年の十二月に決定をされたわけでありますが、今年の三月三十一日付けで役職者の方で辞められておられる方がいらっしゃるわけですが、この資料を取り寄せて算式を見ますと、役職者の方、その前と、そうした二兆円、本来国に入るべきお金が入らなかったにもかかわらず、その今年の三月三十一日付けでお辞めになった方はそれまでと全く同じ退職金をもらっている。しかも、この退職金の算定基準には業績勘案率というのを掛けることになっているわけでありますけれども、業績勘案率は〇から二までの間で委員会が決定をして退職金をはじいていくという形の計算式になっているわけでありますが、これが全く同じ一になっておりまして、自助努力が果たしてどこまであるのかということを大変に私は疑問に思うところもあるわけでございますけれども。  こうしたこの、谷垣大臣にお聞きしますけれども、損失が仮に発生した場合、今の場合で言えば、二兆円というのは損失が、具体的に税金が出ていったわけじゃありませんけれども、逸失利益として、失った利益として二兆円という額があるわけです。こうした損失がもし発生した場合、今後のいろんな財投対象機関の整理縮小の中で発生した場合の責任というものについてはどう考えたらよろしいんでしょうか。谷垣大臣、お願いいたします。
  122. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 今委員がおっしゃいましたように、現実に税を投入したというわけではございませんけれども、得べかりし利益というものが確かに失われている、そういうことを引換えに業務の健全性を確保したということでございますけれども、先ほど申し上げたような自助努力を前提とし、やっぱり自助努力というものがあくまで前提になければならないというふうに私どもは考えております。そうして、先ほども申した幾つか、四つほど条件を挙げましたけれども、そういう条件はやっぱり厳格に適用していくということが必要ではないかというふうに考えているところでございます。
  123. 西田実仁

    ○西田実仁君 時間に限りがございますので、二つ目のリスク、いわゆる民業圧迫ということにつきまして竹中大臣にお聞きしたいと思います。  この郵貯、簡保が民営化されまして巨大な金融機関が誕生するわけでありますけれども、そうしますと巨額の資金と先ほど申し上げた全国ネットワークという大変な強みを持った言わば、まあ表現が適切かは分かりませんが、マンモスのような存在の金融機関が誕生するわけであります。  このマンモスが自然界のルールを守ってきちっと活躍してもらう分にはもちろん構わないんですが、万が一にも自然界のルールを無視したり、あるいは本来、食料事情、収益力に見合って小型化すべきところがその強みの、二つの強みをもって地域金融機関を食い荒らすようなことがあっては、これはあってはならないということで、この郵政民営化関連法案というのはできているわけでございます。  事前に分割する、あるいは縮小するというのは、言うほど簡単なことではなくて、地域別なのか業種別なのか商品別なのか、あるいは政府系金融機関の事業を継承するのか、いろんな選択肢があるわけで、事前に答えがあるものではないと私は思っておるわけで、それでこの法案には賛成しておるわけではございますけれども。  であるならば、なおさらのこと大事なことは、一つは、この新たに誕生する民営郵貯、民営簡保の内部における経営の節度ということが大変重要になるというふうに私は思っております。量的な拡大をいたずらに求めるのではなくて、質的な向上を求めていく、追求していく。そういう意味での内部の経営節度、具体的には監査役制度、これを単に事後的な経理的な監査だけではなくて、フィージビリティースタディーを含めたそういう監査、事業監査も含めた内部ガバナンス、これをしっかりしていく。また、新しい経営陣も民間出身の人で固めていく。こうした内部の経営節度というものが大変重要になってくるんではないかと思っております。  もう一つは、民営化委員会がやはり大変重要になってくるわけでありまして、この民営化委員会の特に外部から監視をしていくということにおきましては、具体的にこれはやはり全面的な情報公開ということを是非ともしていただきたい。これは政府税調でも例えばインターネットでの審議中継をしたり、あるいは個人名、発言者名を記した詳細な議事録を公開をしたり、こうした有権者の皆様が本当によく見ていけるような、そういう外部監視ということも必要ではないかと思っております。  竹中大臣には、まず最初に、この内部の経営節度ということで具体的にこの監査役制度の活用、また新しい経営陣の構成、これにつきましてお聞きして、その後お時間があれば今申し上げた民営化委員会につきましての情報公開についてお聞かせいただければと思います。
  124. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 民営化によって経営の自由度を発揮していただきたい、本当に思い切ってやっていただきたいわけでございますけれども、やはり自由の裏側には必ずやはり節度というものが伴っていかなければいけない。経営者の節度が求められるということに加えまして、節度をきちっと守っていただくような仕組みを作っておくということが同時に必要だと思っております。  まず第一のその内部の体制でございますが、これは経営の体制でございますので、新しいその経営陣が決まってくるような段階でしっかりとまず経営者にお考えいただく必要があろうかと思っております。しっかりとした監査役を置かなければいけないということもそのとおりだと思いますし、場合によっては委員会等設置会社のようなものが良いのかどうなのか、そういったことも含めて是非前向きにいろんなことを検討していただきたいと思っております。  そして、何よりもまあ節度という観点からいきますと、これ例えば銀行法、保険業法の適用を受けますので、非常に厳しい一般的な検査・監督を受けるということを、これは信用リスクをしっかり管理しているのか等々含めまして、無理なビジネスしていないかというようなことについて厳しい検査・監督の対象になってまいりますので、そういった観点もまた節度をしっかりと保っていただくためには非常に重要な役割を果たすと思っております。  民営化委員会でございますが、これが大変重要な役割を果たすという御指摘もそのとおりだと思っております。民営化委員会についてもしっかりとした独立性、専門性のある方を是非選任したいと思っておりますけれども、その情報の公開についてお尋ねがございましたので、意見を述べたときはそれを公開するということを法律上、公表するということを法律上義務付けております。さらには、これは民営化委員会の中で御検討いただくことではございますけれども、やはり何らかのガイドラインを作るということも重要になってくると思いますし、そのような方向でしっかりと関与をしていきたいと思っております。
  125. 西田実仁

    ○西田実仁君 終わります。どうもありがとうございました。
  126. 平野達男

    ○平野達男君 民主党・新緑風会の平野達男でございます。  実は、八月五日の最後の総括質疑小泉総理にも質問させていただきました。あのとき、ほんのわずかではありましたけれども、ひょっとしてこれで小泉総理としてこういう形で質問するのは最後かなと、最後になるかもしれないなという思いもありまして、ちょっとした感慨にもちょっとふけった感じもありましたけれども、見事にそういうことはすべて吹き飛ばされてしまいまして、今日またこういう形で質問に立たしていただきました。  第一問目なんですけれども、ちょっとこれは抽象的な質問で恐縮ですけれども、二十年ほど前、私は栃木県の那須におりまして、そのときに那須土地改良区の理事長さんをされているのが渡辺美智雄さんでした。渡辺美智雄さんに随分親切にしていただきまして、いろんなエピソードを話している中で突然、政治は感情だと言ったことをいまだに覚えています。その前後のエピソードは私はよく覚えておりません。政治は感情だという言葉が非常に印象に残っておりまして、ここ一年ぐらいのいろんな状況を見ていますと、ひょっとしてこれは当たっているんではないだろうかという、ここの、どういう点で当たっているかというのは私はうまく説明できませんが、そういう感じを非常に持ちまして、小泉総理、その点に対してどのようにお考えになるか、御見解をちょっとお伺いしておきたいと思います。
  127. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは人によって取り方は違うんだと思いますが、政治は論理だけで動かないと、人を動かすのは論理だけではないということを言っているんだと思います。政治家は、話をしなきゃならない、演説をしなきゃならない、選挙になりますと、有権者に共感を得るようにしないと当選はできないと。その場合、理詰めの論理的な話ばっかりして果たして選挙民が共感を得るかどうか。そういう面で、感情であるというのは、あるときには感情に訴えることも必要だと。情と理、感情の情と理性の理、両面が必要だと。頭のいい人に限って理論ばっかり言うと、全然人の心をとらえないと、そこを忘れちゃいかぬよというのを渡辺美智雄先生は言ったんだと私は思っております。
  128. 平野達男

    ○平野達男君 それ聞くと非常にいい話に聞こえるんですが、私は、実際はもっともっとどろどろした面もあるんではないかということで、そっちの方のことを期待したんですが、どうもそちらの答弁はいただけないようなんで、次の質問にちょっと入らせていただきます。  今回の郵政民営化法案なんですが、これは衆参、解散前の状況ですけれども、衆議院においても圧倒的にこれは与党議席の数の方が多かった。参議院においても今与党の数が多いです。本来であればこれは、郵政民営化法案与党がしっかりまとまって出せばこれは否決されるはずがなかった。ところが、否決をされた。これはなぜかといいますと、野党は野党としてこれまとまって反対しましたけれども、与党の中から相当の反対者が出たからであります。じゃ、なぜこれだけの反対者が出たのか。そして、さらに反対者が出たことに対して小泉総理解散ということをかなり明確な形で、これ恫喝みたいな形で使っていたと思います。だから、あれを見る限りにおいては政治は感情ではなくて政治は恫喝かと、ぐらいの印象をちょっと持ったんですが、そういう手段を使って抑え込もうとした。  あるいは、森総理まで最後は出てきましてね、ミモレットでしたっけか、私はチーズは大好きで、香ばしい香りが好きなんですが、あれは正に臭い演技でしたね。そういうことまで出して抑え込もうとする。これはなぜこういう状況になったのか。これは与党のことですから私らあずかり存ぜぬ、あずかり知らぬ話かもしれませんが、結果として私にとっては、委員会最中にああいうことが行われたというのは大変迷惑でした。  理屈は駄目だと言いますけどね、それは理屈は駄目なことは分かります、それは。だけでは駄目だということは分かります。しかし、国会はやっぱりこれは議論の場ですから、そういうときに場外で、訳の分からぬ話でああいうふうな恫喝みたいなことでやられたというのは大変迷惑だったんです。だから、なぜああいうことが阻止できなかったのか、なぜああいう形になったのか、改めてちょっと総理に今、選挙が終わりましたからお聞きしたいと思いますが、どうでしょうか。
  129. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) まず、民主党は解散・総選挙を期待していたんじゃないでしょうか。そこを押さえておかなきゃいけない。だからこそこの選挙は、参議院否決された後、民主党が内閣不信任案を衆議院に上程したんですよね。不信任案を上程するということは総辞職か解散を要求しているわけです。私の立場からいえば、可決されて総辞職するタイプじゃないというのは分かっているでしょう。ということは、解散を前提にして、解散歓迎だといって不信任案上程してきたわけですよ。その前、この自民党の分裂、政権取る民主党にとっては千載一遇のチャンスだと言う人もかなりいたと。多くの人は、これで自民党は政権を維持できないだろうと思った人もたくさんいたわけであります、結果は違ったわけですけれども。  そういう中で、私は、自民党が造反して、この郵政関連法案否決したと。私は、自民党議員皆さんも主張は分かれます。各政党一つの結論が出るまでは賛否両論があるのは自民党だけじゃない。民主党だってそうです。しかし、政党人としてですよ、賛否、自分の主張をいつまで展開していって、それを最後まで貫くからには、党の意思を無視して貫くからにはそれなりの覚悟があるはずですよ。政党人ですから、意見が自分と違って、党議として一つの結論が出た、それに従うのがまた政党人なんです。判断するのは個人ですけれども、全部、最初から結論が出るまで全部同じ意見なんてあり得ないです。もう賛成反対かんかんがくがく議論が起こって、結果、そのどちらの議論が多くなるかというのはどの政党もあることです。しかし、一たび政党で決まったからには従うのも何ら変節では何でもない。  そういうことを考えて、それを見誤って自らの信念だといって私どもの決定に従わずに反対票を投じて、こんなはずじゃなかったとほぞをかんでいる人もたくさんおられるようでありますけれども、それは正に全体の政局判断を誤ったとしか言いようがない。
  130. 平野達男

    ○平野達男君 この点についてはちょっと後ほどにまた触れさせていただきますが、その前にちょっと別な質問をさせていただきたいと思います。  どうも総理のいろんな今まで国会期間中の発言を聞いておりますと、むしろ解散を望んでいたんではないかと、総理自身も、そういう感じをちょっとしてきました。そして、実は、追い込まれて追い込まれて最後の手段として解散をしたということであれば、これは郵政民営化ということを優先させたというのは分かるということになると思います。そうではなくて、もう場合によってはもう解散してもいい、むしろ解散でいいということでありますと、郵政民営化法案の可決プラスもっと鋭さを持った別の目的が持っていたんではないかという、そういう推測が成り立つわけですね。  総理は、この解散というのは本当にこれ最後の最後まで避けたかったということで行動されたんでしょうか。これはちょっと、本来のこの法案の質問の趣旨とはちょっと違うかもしれませんが、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  131. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 結論から申し上げれば、解散は避けたかったのが本意です、本心です。私は選挙嫌いなんです。いや、本当に言って。もうあの選挙の苦労を考えると、選挙はできるだけやりたくないですよ。もう十三回過去選挙やってきて、選挙を喜んでやるという心境にはなれませんね。いつでも選挙は避けたい。そういう中で今回も私が一番望んでいたことは、解散せずにこの郵政関連法案賛成多数で成立すること、これが第一の私の真意です、本心です。  しかし、この法案自民党の造反によって否決される、そのときは覚悟はしていました、そのときは。そうならないようにいろいろ努力もしました。否決された場合は、解散だよという言葉は使いませんでしたけれども、解散するというような言い回しをしてちゃんと気付かせていたはずです。私の本心は、これが廃案になれば必ず解散するよという腹は分かっていたはずです。それを分からなかったというのはもうどうしようもない、政治家として。本心は、解散は避けたかった、解散なしにこの法案を成立させたかった、これが本心です。
  132. 平野達男

    ○平野達男君 ちなみに、私は間違いなく解散すると思っていましたし、解散すればこれは民主党にとっては有利だろうと思っていました。だからこそ、絶対これは最後の最後まで法案は通過すると思っていました。ただ、私の欠点は、思考がそこで停止していたことです。それ以上の思考が、全然考えも及ばなかったということは、ちょっと、どうでもいい話ですけれども、ちょっと一言触れさせておきたいと思います。  それで、ちょっと話がまた別の方に行きますけれども、投票数で見ますと、さきの衆議院選挙で見ますと、小選挙区では百万票野党が投票数が上回っています。比例票は残念ながら二百万票負けていますね。議席数では確かに三分の二以上与党が取りました。圧倒的勝利です、選挙結果は。しかし、そうかといって、この票差が百万票というのは、事実上拮抗していたということです、国民の投票の行動はですね。このほとんど拮抗していたという状況を小泉総理はどのようにとらえるんでしょうか。
  133. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、政党の党首として、また自民党総裁として、そして現在、自民党公明党が連立政権を形成して政権を運営している最高責任者として、現行選挙制度の中で自民党公明党が過半数の議席を得るためにはどうしたらいいかを考えるのが私の責任だと思っておりました。また、私の目標も、自民、公明両党で過半数の議席を獲得すること、そのためにどういうことをしたらいいか。これが限られた一つ制度の中で戦うときには大事なことだと思っております。  だからこそ、議席で多数を取らない限り政権は担当できない。議席で多数を得ないと反対者は賛成に回らない。目に見えた形で国民郵政民営化賛成なんだという意思を示してもらうためには、はっきりとした議席で示していただくしか方法はないんです。これが最初から、これが投票が意味を持つんだといったらば制度は変わっているはずであります。その中で、限られた中で精一杯の手段を使っていくのが選挙だと思います。  だから、結果は違うからというんだったらそういう判断が起こるし、ですから制度の中でどういう戦い方をするか。勝利とは何かというんだったら、現行制度の中で多数の議席を獲得するのが勝利である、これはもう明白だと思っております。
  134. 平野達男

    ○平野達男君 どうもちょっと議論がかみ合ってないんですね。私は、さきの選挙は圧倒的に与党が勝利だったということは、これは認めます。そうではなくて、郵政民営化の是非を問うた選挙で、国民の投票行動の一票一票を見たときにはこれは半分に分かれていたということについてどのように思いますかということを聞いているわけです。更に言えば、先ほどの私の質問に戻りますけれども、なぜ与党からあれだけの反対が出たんだと。それを恫喝みたいな形で抑え込もうとするまで追い込まれてですね、のほどの反対者が出たのか。  これは、冒頭、政治は感情と言いましたけれども、小泉さんに対する、小泉総理に対する反感とか何かもあったかもしれません。しかし、根本にはやっぱりこの法案おかしいねということがなければ反対者なんか出ませんよ。そしてそれを、場合によってはそれを踏まえて政局にやろうとした人も与党に、政局に持っていこうとした人もいるかもしれない。だけど、それはそうかもしれないけれども、それをやるにしても根本的な、よって立つところは、やっぱりこの法案おかしいよねという岩盤がなければそんなこと私できないと思うんです。  なおかつ、もう一つ言えば、この今回の投票数を見ますと、国民は半分は、半分ぐらいは郵政民営化についてはやっぱりちゅうちょしているとも取れるわけです。  で、何を言いたいかといいますと、結果的に言えるのは、選挙に勝ったわけですから、郵政民営化というのはこれは進めなくちゃならない、しかもスピードを持って進めなくちゃならないということについては、それは国民の総意だというふうに言うのは、これは総理、間違っていないと思います。しかし、同時に、この法律というのはたくさんの問題も抱えた法案だということだけは、これはやっぱりきちっと認識しておく必要があるのではないかということでありますけれども、竹中大臣、違うという顔されていますから、もしあれば、どうぞ言ってください。
  135. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 我々は、法案に関しては百九十時間、さきの国会でも誠心誠意説明させていただいたつもりでございますけれども、それに対して、もし法案に問題があるということであるならば是非対案をお出しいただきたいということをかねてから申し上げてきたわけでございます。  先般、衆議院で対案を民主党はお出しになりましたですけれども、じゃ、その対案で今まで民主党が私たちを批判してきた問題がすべて解決されているのかと。私たちにはとてもそうは思えないわけでございます。私たちを随分批判、前の国会で民主党されてこられました。しかし、かなり大幅に御意見を変えられて出しておられる。しかし、それでも出してきた批判に対して、むしろ我々から見るとより悪くなっているのではないかというような点もたくさんございました。まあ、これはもうさきに議論したことでございますが。  その意味では、いろんな、法案でありますからお立場はあると思いますが、私どもは今の法案、やはりこの複雑な郵政民営化を現実のものにするにはこの法案がベストだというふうに思っておりますので、引き続き、是非いろいろ御質問もいただいて、誠心誠意お答えをさせていただきたいと思います。
  136. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) ちょっと止めてください。速記を止めてください。    〔速記中止〕
  137. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 速記を起こしてください。
  138. 平野達男

    ○平野達男君 対案が出さなかったということについては、それは事実です。しかし、野党は常に対案を出さなければならないという立場にあるとは私自身は思っておりません。私らの方は、この国会の議論を通じて、与党が出した法案にこういう問題がありますねということをきちっきちっきちっと整理をする。そしてそれに対して与党がしっかり答える。そこにどれだけの、私らの問題の指摘に対して政府がどれだけきっちり答えてくれるか、これをやっぱり見るというのも我々の仕事だと思っています。ということなんです。  それで、こういう今までの議論の中でいろんな議論が出てきましたけれども、そういう法案の問題というのは、やっぱり根本的にいろんな問題を抱えているんじゃないかと。それがいろんな今までのこの長時間の議論、それから参議院否決、それから与党から大量の大変な造反者が出たということではないかということを、これを言っているわけですが、そこの部分について、対案が出たからどうのこうのというのは全然論理違いますよ。  ついでに言わしていただきますと、それは私らが問題指摘すると、何だおまえら、あれはこう言ったじゃないかという形で議論がすり替えになっちゃうんですよ。例えば、小泉総理、申し訳ないですけれどもね、三十兆円の枠をなぜあれ守れなかったんですかというふうに質問しますと、いや民主党はあれ法律で縛れと言ったんですと、そこですり替えが起きちゃうんですよ。まず、三十兆という問題をなぜ守れなかったんだと言うんだったら、それを説明した上で我々の要するに対応を批判するんならいいですよ。これは子供のけんかと同じで、ある人が、ここおかしいじゃないですか、何、おまえだってあっちこっちで言ってるじゃないかということで、議論にも何にもならないんですよ。  竹中さんも今の答弁の仕方は、私に言わせれば、私に言わせれば、私に言わせれば、小泉さんに、総理にだんだん似てきたから、ちょっとそこは気を付けた方がいいんじゃないかというふうにだけ、ちょっと忠告だけさせていただきます。  総理、反論があれば、どうぞ。
  139. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) また三十兆の話出ましたから、そのときは、私は民主党が三十兆円を法律で縛れと言うから断ったんだと。政治は生き物、経済は生き物だから、三十兆枠に縛って現実の経済が駄目になったらこれはおかしい問題になるから、五十兆円の税収があった場合には三十兆円に抑えますという、そういう方針で十分だと、法律で縛る必要はないと。しかし、五十兆円の税収がなかったんだから、経済全体を考えて三十兆円以上に増やすのは、これは政治判断として妥当なものじゃないかということを言いたかったんです。
  140. 平野達男

    ○平野達男君 それから、ちょっとまた元に戻りますけれども、竹中大臣はさきの本会議でこういう答弁されているんですね。小泉総理を始め与党候補者は、同法案内容についてしっかりと有権者に御説明をして選挙戦を戦ったものと承知をしております。法案内容についてしっかりと説明したと。本当に説明したんでしょうか。それから、法案内容については国民の理解は十分深まったものと考えておりますと。国民は本当に法案内容を分かっておるんでしょうか。ちなみに、私はこの法案を勉強するのに物すごい時間を掛けました。この議論を通じても分かんないことがまだまだたくさんあります。  そして更に言えば、選挙期間の中では法案内容なんか説明している議員は私はだれもいなかったんじゃないかと思います。官から民へ、資金はですね、資金については官から民へ、民にできることは民へ、これはスローガンはいろいろ言っていたと思います。だけど、あれをきっちり説明するというのは、私は、相当の時間が掛かりますし、これを簡単に説明する、法案中身の具体まで理解してもらうというのはなかなか難しかったんではないかと思うんです。  何を言いたいかということなんですが、私は、今回の選挙によって、民意は確かに郵政民営化ということについてはこれは賛同を示したと思います。だけど、その郵政民営化をするにはいろんな方法があります。その方法についてはやっぱり国会の議論というのがあるわけですよ。それは、私どもはいろんな資料を要求すれば資料も入ってくる、質問をすれば答えてもくれる。国民はそんな機会ありません。よく情報の非対称性という問題が言われますから。  ですから私は、この今回の全体の、選挙を受けて、郵政民営化法案、政府の法案は丸ごと信任を受けたと考えることについては、これはやっぱりいかがなものかというふうに思っています。それよりは、もっとこの国会の議論、ずうっと積み重ねた議論の中で指摘された様々な問題、これをやっぱり真摯に受け止める姿勢が必要ではないかと思いますけれども、総理、それはどのようにお考えになりますか。
  141. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは一般有権者に対して法案中身を説明していい場合と、内容をかみ砕いて分かりやすく説明していい場合と、正に政党なり候補者判断です。一々その条文まで説明する候補者も中にはあるでしょう。否定はいたしません。しかし、どうやって国民に分かりやすく説明するかというのは正に候補者の資質の問題です。これを考えなきゃ。一々条文を見て説明している候補は恐らく落選するでしょう。有権者は専門家じゃないんですから、読み書きそろばん、常識があれば分かるように話すのが候補者として一番大事だと思います。  そういう意味において、各候補者、各政党は、かみ砕いて、この法案の持つ内容というのはどういうものかと言うことが選挙では極めて大事だと思っています。これは単に郵政民営化法案だけじゃありません。すべての法案についても、選挙においても、それぞれの争点を一々法案の条文持ってきてかくかくしかじかこうですよと言ったら、だんだんだんだん聞いている人はいなくなっちゃうでしょう。だからそういう点は、よく政党候補者も、いかに分かりやすく説明するかというのは、政治において、極めて選挙において大事なことだと思うが、よく心して説明しなきゃいかぬと思っています。
  142. 平野達男

    ○平野達男君 私は、条文がどうのこうの、各条文の説明するとか、そんなことは言っていません。しかし、今回のやつは四分社化をするとか、四分社化というのはそもそも何かとか、これを説明するとなると本当大変ですよ。そして、郵便局会社を説明するのに私は随分苦労した。それはあなたの説明の仕方が悪いと言われるかもしれません。だけど、本当分からないんですよ、これ。イメージが分からないから。そういう法案なんですよ。だからこれだけの議論、長時間掛けていろんな議論が次から次へと出てくる。その議論を忘れるようなことがあってはならないということを言っているだけです。どうも今回は大勝したから、今回の選挙で成功したからすべてが全部オーケーになったというような、そういう論調に聞こえるわけですよ。  それが例えば、先ほど言ったような、一つは、国民の投票を見たって確かに三分の二議席取りました、それは。選挙では圧勝でしょう。だけれども、詳細に見ていけば国民の意識はそうでもないかもしれない。それから、参議院でも否決されました。これはいろんな問題があるわけでしょう、それは政局にしたかった、さっき言ったとおりです。いろんな理由があったかと思うんですが、やっぱり法案というのは、それなりにやっぱり問題を抱えていたんだろうと思うんです、これで本当に大丈夫かという。そこの点はぎっちり忘れてはいけないということを言いたいだけなんです。これについては私は反論ないと思いますので、次の質問にちょっと切り替えさせていただきます。  そこで、議席三分の二を確保しました。これは大変なことだと思います。小泉総理は、郵政民営化の是非と併せて御自身のこれまでの小泉内閣の成果などが評価されたものだというふうに言っておりますが、本当にこの三分の二の議席というのは小泉総理が今までやってきたものの評価に値する議席の数なんでしょうか、率直にお答えいただきたいと思うんですが。
  143. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今回の解散・総選挙における最大の争点は、郵政民営化が必要か必要でないか、郵政民営化賛成反対か、これは最大の争点でありましたが、同時に、私は新人の総理ではありません。総理に就任したばかりの選挙ではありません。四年数か月にわたって総理大臣として政権を担当してきたその実績というか、成果も含んだ判断解散・総選挙だと思っております。その四年数か月にわたる実績と方針というものも含めた中での郵政民営化最大の争点だと申し上げました。  そういうことを含んだ上での国民の審判であったと思い、過去四年間、その実績を評価していただいた上でのこの圧倒的多数を与えてくれたんだなと。この議席を与えてくれた国民支持を大事にして改革を進めていかなければならない、これが私の責務だと思っております。
  144. 平野達男

    ○平野達男君 来年九月が総裁の任期と聞いておりますが、今の、報道によりますと、小泉総理はそこでもう辞められるというふうに聞いておりますけれども、それは間違いないでしょうか。
  145. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私の自民党総裁の任期は来年の九月ですから、そのときになれば総裁を辞任する。同時に、自民党の総裁でありますから、総理大臣として国会で選任され首班指名を受けたんですから、そこで総理大臣の任期も終わると、そういうことを選挙前も申し上げておりましたし、来年自民党総裁の任期が切れる時期が来れば、総理大臣の任期が切れなくてもそこで私は自民党の総裁と総理大臣辞任するつもりでございます。
  146. 平野達男

    ○平野達男君 今回の選挙で三分の二の議席を取ったのは、取ったというのは大変なやっぱり重みだし、総理にもその責任というのはのし掛かってくると思います。では、残された一年間の最優先課題というのは何なんでしょうか、それをちょっと教えていただきたいんですが。
  147. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) まず、この郵政民営化関連法案を成立させる、そして将来の民営化に備えてしっかりとした体制を築いていく、後戻りさせないような路線を敷いていく。  そして、これから、今まで四年前に方針を示してまいりました金融、税制始め財政等の改革を方針どおり進めていく。民間にできることは民間に、そして地方にできることは地方にという中で、当面、これからこの国会が閉会されれば地方にできることは地方にという三位一体の改革が待ったなしであります。  予算編成、これは私にとって最後の予算編成でありますけれども、財政改革、そして歳出歳入の見直し、これにつきましても将来のプライマリーバランス改革に向けた措置をとっていかなきゃならない。もうやることはたくさんあります。  そういう中で、だれがこの後政権を担当しようとも、この改革の路線を後戻りさせることなく大きな木に育てていかなきゃならない、改革の芽が出てきたわけですから。そういう意味におきまして、この一年というのは極めて重要な一年だと思っております。やることがないどころかやることがあり過ぎて困るぐらいの一年だと思っております。
  148. 平野達男

    ○平野達男君 いずれその残された任期の中、我々も小泉総理の動向についてはしっかり監視していきたいと思っていますのでよろしく、よろしくお願いしますというのは変ですね、覚悟しておいていただきたいと思います。  それでは、ちょっと話題を変えまして、二院制のことについて総理の見解をお伺いしたいと思います。  どうも今回の衆議院選挙が終わりましてから、参議院無用論みたいなものが一部マスコミなんかで公然と取り上げられています。しかし、私はむしろ今回の衆議院選挙の結果を見ますと、ちょっとしたことで議席がががっと大きく動くという、そのぶれやすさが、小選挙制度の持ついい面、悪い面があるんですが、一つの大きな特徴が出てきたんではないかと思います。  そういう衆議院のある中で、だからこそやっぱり私は、参議院というのは選挙制度の異なる、それから選挙の時期も異なる、そういう衆議院をしっかり監視するという意味において、参議院の位置付けというのはますます重要になったということが言えるんではないかと思うんですが、小泉総理の見解をちょっとお伺いしておきたいと思います。
  149. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 二院制度を前提にというお話ならば、私は衆議院参議院選挙制度は違ってもいいんじゃないかと思っております。中には同じでもいいという人もおられると思いますが、今までの参議院制度衆議院制度を見ておりますと、定員にしても同じである必要はない、そして選挙方法も同じである必要はないと思っていますので、今後、二院制をいかに改革していくかということを考える場合は、任期の問題と定数の問題と選挙の選出方法、これを考えて、衆議院衆議院参議院参議院と、一院だけで考えないで、両方一体となって同時に改革案を出す、同時に成立させると、制度としてね、そういう改革案が望ましいと思っております。  ただ、具体的に、今言ったように、定員は何名で選挙制度はこうがいいという段階には、私のうちから言う段階にはないと思っております。
  150. 平野達男

    ○平野達男君 これも報道によりますと、某与党の幹部の方が、これからは衆議院で可決されたものは参議院は責任持って通すというふうに発言されたと聞いておりますけれども、これなんかも、この発言なんかは私に言わせれば全く参議院の無用論を言っているように、通じる発言だと思っています。  こういうときだからこそ、参議院はチェック機能をしっかり果たす。もちろんチェック・アンド・バランスといって、参議院否決されたものは、今の多分趨勢でいくと、三分の二与党持っていますから、またその法案否決されたとしても可決されるという仕組みになっています。なっていますけれども、国会の意思としてこれはおかしいということを出すというのは、これは非常に意義があるということで、少なくとも衆議院通された法案参議院が責任持って通すなんということを言う人がいるようだったら、参議院はそれこそ要らないということだけちょっと申し上げておきたいと思います。  それから次に、残された時間、割り当てられた時間、大分なくなりましたので、二点だけちょっとお伺いしたいと思います。  まず一点目ですね、これ法案中身に入っていきますが、やっと法案中身に入ったんですが、郵便局の設置につきましては、これは法律で義務付けられます。しかし、金融サービスが本当に提供されるかどうかということについてはこれは、いろいろ最後の最後までこれ議論になりました。そこで、これについてはいろんな議論がありまして、私どもの疑義と政府答弁の溝というのはなかなか埋まらなかったんですが。  ちょっとここで確認したいんですけれども、政府は金融サービスもきっちり提供すると言っています。そうしますと、されるような制度設計をしたと言っています。しからば、その金融サービスの提供というのはだれが責任を持ってやるんでしょうか。これは郵便局会社でしょうか、郵政会社でしょうか、あるいはこれは、地域貢献業務計画を認可するのは総務大臣なんですけれども、総務大臣なんですか、総務大臣なんでしょうか。これについてのちょっと見解をお伺いしておきたいと思います。
  151. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 今、平野委員自身がお話しくださいましたように、これは金融でございますから、金融に関しては、政府は、ある民間の主体にサービスの提供を義務付けることはしない、このことは明確に申し上げているところでございます。しかし、幾つかの、これは民間が適正な、適切な経営行動を取ることによって、結果的に必要な金融サービスが行き渡るような、そういう工夫はしておりますということでございます。  まず、設置義務、サービスの拠点としての郵便局、この設置義務は郵便局株式会社に明確にございます。その上でサービスが提供されるかどうかということに関しましては、これは、移行期間につきましては移行期を十分にカバーする長期委託契約、これでやるわけですから、この仕組みについて、これがうまくいくようにということは、この契約については承継計画の中に織り込むということでございますから、これについては政府が責任を負ってやるということになります。  それ以降の話ということでございますれば、このサービスが必要かどうかをまず判断していただく、その金融サービスがですね、これは地域貢献計画を作るときに地域の声を聞いて、そして、それが必要かどうかということに関しては、これは主務大臣である総務大臣が、その地域貢献計画が適切かどうかという中で判断をしていくことになるということだと思っております。
  152. 平野達男

    ○平野達男君 今の答弁では、移行期間中は政府が責任を持つ、それから移行後は要するに総務大臣が責任を持つ、こういう形ですね。しかし、どういう、何を根拠にして責任持てるんですか。ユニバーサルサービスを要するに義務付けるわけではありませんね。それは行政指導ですか、それとも何ですか。
  153. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) まず、この移行期間中に関する政府、これは法律の中にそのことを明記しているわけでありますから、そこはもう明白であろうかと思います。  移行期間終了後につきましては、地域からまずそういう地域貢献の要望があるかどうかということ、これがもちろん重要なポイントになりますが、要望があった場合にはその地域の声をきちっと聞いて、そして作りなさいということを、これは郵便局株式会社には義務付けておりますし、そういう形で適切にそれが作られているかどうかということを主務大臣が認可すると。これは主務大臣の認可も法律で決められているわけでございますから。そういう意味で枠組みは整っているということでございます。
  154. 平野達男

    ○平野達男君 それは強制できるものですか。  例えば、郵便局会社が、移行期間後は、民間金融機関あるいは郵貯銀行から、ここで金融サービスを提供してくださいという委託義務、委託を受けます。郵便局会社は基本的には、前にもこの委員会でも何回でも言いましたけれども、そういう委託があったときにそれを受託するだけの受け身の立場なんです。郵便局会社が、この地域の中で確かに地域貢献業務というのは確かに作りますけれども、それはあくまでも民間金融機関が、こういうサービスを提供していきたい、提供したいというオファーがあって初めてできるものじゃないんですか。それとも、そういうようなものは全部抜きで、郵便局会社が地域のことを全部引き受けて、地域貢献業務というようなそういう計画を作れる形になっているんですか。少なくとも後者のような形には私は法律上はなっていないとしか読めないんですが、そこはどうなんでしょうか。
  155. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) まず、地域貢献計画を作る場合には、先ほども言いましたように、地域の声をしっかり聞くということ、そうした配慮をするということ、これを義務付けているわけですね。これは、民間会社でありますけれども、いわゆる特殊会社でありますので、公的な機能を負った特殊会社としてそういう義務を果たしていただくということになります。  その上でいろんな計画が作られるわけでありますけれども、それについて、ダブルチェックですけれども、これは主務大臣が見るわけです。しかるべききちっとした理由もないのに、地域が本当に必要としていることを、この地域、社会貢献、地域貢献計画はそれを織り込んでいないということになりますと、これは特殊会社でありますから、総務大臣の一般監督権限が及ぶということになります。そこは実態に即してしっかりと判断がなされていくと思います。
  156. 平野達男

    ○平野達男君 その説明には、やっぱり私はかなり矛盾があると思います。むしろ私は、細田官房長官が一番最後に答えた、政治の意思としてしっかりやっていくというあの発言の方がまだ私は実態を色濃く反映した答弁だと思います。  ちなみに、竹中大臣のその答弁だったら、基金は郵政公社に預けておくのはおかしいんですよね。つまり、政府が責任持って政府が頼むということなんですから。であれば、そこに必要なお金というのは基金じゃなくて、本来であれば補助金か何かでやるべきなんですよ。そういう仕組みがあってもしかるべきだったと思います。それは、私ども対案出さなかったから、今さらそんなことを言っても遅いかもしれません。  ただ、今の竹中大臣の論理からいきますと、総務大臣が責任を持ちます、それから移行期間中は政府が責任を持ちますということですから、もしそういうことであれば、政府が責任持つというような、そういう仕組みをやっぱり構築した方がこれはもっと分かりやすかったかもしれない。しかし、繰り返しますが、私は法案はそうなっていないと思っています。  で、またこれも繰り返しになりますけれども、むしろ細田官房長官の説明の方が実態を色濃く反映したいい答弁だったと思いますし、残念ながら小泉総理の同じ本会議の質問のときも、それと、そういう政治の意思ということを一言も触れませんでした。設置基準、それから基金、それから株の持ち合い株を認めたという、そういう法律の枠組みしか答弁しませんで、答弁しなかったんで、これは非常に残念だなというふうに感じました。これを一言申し上げておきたいと思います。  どうぞ、じゃ、もしあれでしたらどうぞ。
  157. 細田博之

    国務大臣(細田博之君) 私も百数十、数十時間耐えながら聞いておりますが、この民営化ということは、JRでもそうですしほかもそうですし、完全に独立な会社をつくるということでありますから、そこに介入して、絶対にこの支店を廃止するなとか、この線路を廃止するなとか駅を廃止するなと言うことはできないんです。これは民営化の大前提です。しかし、与党の意思は、あらゆる検討の中で、みんな残そうじゃないか、これは政治の決断だ、しかし法律論でいえば民間化しているんだからそこに介入することは不可能だろう、しかし民営化保険会社金融については絶対に必要なことであると。正に今、民営化の海の中に早くこの両者をほうり出さなければ国際競争力にも負けるし、正に今、金融保険が弱っているときにこそやるべきであると。これは固い信念でやっているんです。  だから、ずっと何十時間も何百時間も、場合によっては自民党の中でも誤解をして、そこでもうばたばたといろんな意見が出ましたけれども、要は、民間会社でやりますから、これは当然そこは切れている。切れているけれども、それを地元のそれぞれの地方の議員が、この郵便局は必要である、こういう意思を持って残していくんです。場合によっては組合員の方も、あるいは岩手の方も、与党でも野党でも必要なものは残す、これが大事なことである、しかし民営化はしなければならない、それはほかの理由があるからだ、これが分かりやすい答弁であります。
  158. 平野達男

    ○平野達男君 私は納得しませんけれども、今の法律の実態を考えれば細田官房長官の方がはるかに説得力あると思います。  ちなみに、本当に竹中大臣答弁の側に立つと、私どもの、政府が金融サービスを責任持つということですから、民主党の対案、あれは必ずしも十分とは言いませんが、ああいうのが少し目が出てくるのかなという感じもちょっとします。(発言する者あり)  いや、それは、そういうものを、考え方の問題を整理しているんですから、今。  それから、あともう一つ、最後のもう一問なんですが、二百十兆という、これは郵貯銀行にちょっとテーマを絞りますけれども、小泉総理総理は私どもの規模の縮小論について、そんなの官が主導する話じゃない、民間に任せればいいんだというふうにおっしゃっていました。それは分からないわけではありません。しかし、なぜ二百十兆もの郵貯の資金が集まったか。これは、もう御承知のように限度額を引き上げてきた、定額預金についても有利な制度を作ってきた、それと、最も私が大きな要素だと思うのは、やっぱり金融不安のときに預金シフトが起きましたね。こういう市場原理に基づいて集まったお金じゃないんですね。これがまず第一点。  それから、二百十兆という資金を第一ステップにする、それをスタート台にするというのは、銀行が二百十兆の資金を集めるまでの銀行の規模にするというのは大変な努力が必要だと思います。しかし、その二百十兆をぼんと預ける、それから二万四千七百というネットワークもくっ付く、これは使いようによっては大変なパワーを発揮すると思います。  だから、民間の力に任せるというのはいいんですけれども、そもそもその集まったお金の経緯、それから、場合によったら、その二万四千七百というネットワーク、二百十兆の資金、大変な、要するに銀行のパワーになるかもしれないという可能性がある限りにおいて、私はこれは民間の者に任せるというんではなくて、政府が集めた金ですから、これ、適正規模というのはどこまでになるか私分かりませんが、政府が、やっぱり国が責任を持って資金のやつをある程度一定のところまで縮小するというのは、これは正当性を持った考え方ではないかと思いますが、竹中大臣、ちょっと短くていいですから、ちょっと御答弁いただけますか。
  159. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 今のお考え一つのお考えだと思いますが、平野委員の御意見、先ほどから伺っていまして、やはり基本的な御認識の差は、マーケットの中で、民間の中でどのぐらいのことができるのかできないのかということに関して基本的なお考え方の違いはあるのかなというふうに思いました。  我々は、市場の中で、つまり運用できないようなお金を集めてはいけません、これが民間の厳しいルールでございますから、それに対して市場の中で適正な規模が実現されていくというふうに我々は考える。市場の中ではそれは難しいのではないかというのが平野委員のお考えかもしれませんが、我々としましては、その市場経済の厳しい規律の中でそれが実現できるものというふうに考えております。
  160. 平野達男

    ○平野達男君 今回の選挙の結果、小泉総理とはまだまだ議論をできる機会ができたようですから、その次の機会を楽しみにしまして、今日はここで質問を終わらせていただきます。
  161. 山根隆治

    ○山根隆治君 総理、十月五日の予算委員会のときに、あなた御欠席だったんですけれども、二日目ですからもう御出席の予定はなかったんですが、欠席裁判のような形になって恐縮であったんですけれども、当日新聞に、私の大好きなモリコーネ・ミュージック、小泉純一郎選曲、そして監修という、ごらんになっていらっしゃると思うんですけれども、私はあの日、官房長官に、少し総理としては軽々しくはないかという趣旨のお尋ねをし、御伝言をお願いしたんですが、当時、御欠席でございましたので、今機会がございますので、釈明があれば、お答えいただけますか。
  162. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 何かそのような質問があったという報告は受けております。  私は、このエンニオ・モリコーネという、映画音楽、作曲家で有名な方ですが、大好きなんですよ。そこで、このような選曲をして監修して、多くの人に聴いていただければ、ああ、いい音楽だなと思っていただけるんじゃないかということで、このお話があったとき、喜んで引き受けました。  モリコーネといえば、「ニュー・シネマ・パラダイス」とか、「海の上のピアニスト」とか、「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」、あるいは「ミッション」、「荒野の用心棒」、「夕陽のガンマン」、「ウエスタン」、もう、もう見ている人はたくさんいると思いますよ。ああ、あれがモリコーネの音楽かと。そのもういいところばっかり取ったCDですから、六十分ぐらい、是非聴いてくださいよ。ああ、いい選曲をしたなと、心いやされる、美しい哀愁に満ちたメロディーだなと、いいものを作ってくれたといって、必ず喜んで聴いていただけるCDだと思っております。
  163. 山根隆治

    ○山根隆治君 私も昨晩、じっくり聴かせていただきました。よろしいんじゃないでしょうか、内容は。  ただ、私が問題にするのは、先ほど来の御議論の中で民のことは民にと言われている、しかし、あなたは、立法、司法、行政、昔でいうと武士の階層にあるあなた、そのトップにある最高権力者、その方が一民間企業の広告塔になっているということに問題はないか、そのことをお尋ねしているんです。これは、郵政民営化法案についても同じことが言える。あなたの今までの御答弁とやっていらっしゃることが違うんじゃないか。その疑問に対してお答えください。
  164. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 一民間企業の広告塔というよりも、美しいいい音楽なら多くの人に聴いてもらいたいという、その気持ちの方が大きいんですよ。別に宣伝しているというよりもね。ああ、音楽というものは心をいやされますよと、仕事ばかりじゃなくて、たまには音楽の中に安らぎを見いだしてくださいという気持ちの方が強いんです。
  165. 山根隆治

    ○山根隆治君 私、実は十代後半から政治運動やってきたんですけれども、そのとき所属した政党の党学校というのがありまして、答えに窮したときには擦れ違い問答をする、つまり聞かれていることで全然違うことをしゃべるという、そういう訓練したことがあるんですよ。ですから、もう今総理のお答え聞いていると本当理想的な答弁、嫌みで言っているんですけれども、やはり私がお尋ねしていることを全く答えていらっしゃらないですね。  昭和天皇のお名前出すのもちょっとはばかられるところがありますけれども、非常に大相撲がお好きでしたけれども、ひいきの力士さんの名前、とうとう終生明かされなかったということがございまして、私は、やはりこうした皇室の姿勢というか、沈黙すべきは沈黙するということも非常に大事だろうというふうに思うんですね。  私は、そうしたことでは少し総理として自重をしていただかないだろうかと。これ二曲目だそうですね、二つ目の企画だそうですよね。その前プレスリーをやっていらっしゃる。御自分の個人の趣味と、そしてそれを公の現職の総理という立場でこうしたものに加担するというか、一方の立場に立って広告塔になるということは今後は是非慎んでいただきたいと思いますが、最後にあればコメントください。
  166. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 物によって考えます。
  167. 山根隆治

    ○山根隆治君 郵政民営化法案については、総理は何度かメルマガでその内容自分の思いというのを書かれていらっしゃるんですけれども、このメルマガは総理自身がお書きになっていらっしゃるんですか。
  168. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私が自ら書く場合もあるし、口述ですね、こういうことを書こうと、そして秘書官が手伝ってくれて書く場合も、両方あります。
  169. 山根隆治

    ○山根隆治君 私自身も週に一遍発信して、毎日メルマガを書いているんですね。総理も週に一遍たしか発信をされて、大変な多忙の中でよく続けていらっしゃるなというふうな思いがいたします。  そのメルマガを読ませて、まあ全部読んでいるわけじゃないんですけれども、いただいて、いろいろなものを感じるところがございます。小泉総理は、小泉政権になってから、自民党をぶっつぶすというふうな発言も象徴的にあったように、いろいろなものを壊されてきた。しかし、壊していけないものも壊したり毀損したというところもあったんだろうと思うんです。  一つ、私、他党のことで恐縮でありますけれども、小泉総理は派閥を、派閥政治をなくすということをおっしゃっておられました。そして、実際に一番勢力が大きかった旧田中派、今非常に壊滅状態で、大変失礼ですけれども、関係者がいたら、非常に厳しい環境であるということは新聞報道で聞かされております。しかし、その結果、総理の所属する森派が最大の派閥になったということあります。  あるいはまた、この法案について申し上げれば、民のことは民にということで、官の大きさというものをできるだけ縮小しようと、こういうことで努力をされている。その方向については決して間違っていないと思うんです。しかし、実際には、この法案そのものは多くの優良な、有能な官僚の皆さんによって書かれたり、あるいは作られたり、資料を集められたりしたんだろうというふうに思います。私は、この法案を見ても、百項目を超えるところが官僚にゆだねられているというふうな、行政にゆだねられているという項目等があるということも承知をいたしているわけでありますけれども、官僚支配の構図というものはなかなかまだ変わっていないということをあえて指摘せざるを得ません。  郵政民営化法案改革の本丸だというふうに言われてきましたけれども、本丸の意味というものは、長年総理が、議員になってからすぐ、あるいはそれ以前にでしょうか、郵政民営化をしたいという長年の夢、その最終的なところがこの郵政民営化ということの本丸なのか。あるいは、この郵政民営化することによって日本を大きく、このてことして変えられる、だから本丸と言っていらっしゃるのか、どちらでしょうか。
  170. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 郵政民営化改革の本丸だということは、この郵政民営化改革を実現すれば多くの改革に弾みが付くと。現に、この郵政民営化郵政省だけの改革郵便局だけの改革じゃないんです。役人がやらなくてもいい仕事を民間に任せようと。そして特殊法人、この郵貯、簡保の資金がなかったら特殊法人の活動できないんですから、その根を断ち切らなきゃいかぬと。無駄な、国民の金をできるだけ使わないようにしようと。ほとんどの改革につながってくるからこそ本丸であると。これができないでどんな改革ができるのかということであって、だからこそ、私が総理になる前は全政党この問題を課題にしていなかった、反対していた。だから私は、今でも私が総理大臣でなかったらこの郵政民営化はできなかっただろうと今でも思っています。それがようやくできる段階に来たと。多くの国民支持に有り難いなと。この支持の重要さを認識して、できるだけいい民営化会社として将来発展できるようにしていくのが大事だなと思っております。  もとより、改革に終わりはありません。これからも就任以来目指してきた改革を軌道に乗せるよう全力を尽くしていくのが私の責務だと思っております。
  171. 山根隆治

    ○山根隆治君 改革、いろいろな改革を積み重ねていって、その先にある我が日本国の形というものはどんなものでありましょうか。先ほど、竹中大臣に少し、少子高齢化等いろいろなこれからの課題について話されて、小さな政府であるとかいろんな御答弁ございましたけれども、もうちょっと具体的に日本の国家像というのを表現していただけますか、総理
  172. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 大事なことは、平和なうちに国民が創意工夫を発揮しながら安心して暮らすことのできる社会、これが大きな目標であります。  日本は、戦後、敗戦を契機に二度と戦争を起こしてはいけないという中で、多くの国の支援を受けながら、また、多くの国民の自らの努力によって今日まで経済大国と言われるような豊かな社会になってまいりましたけれども、その中でもまだまだやるべきことはたくさんある。改革すべきことはたくさんある。要は、平和なうちに自由な安心した暮らしができるような社会をつくることが政治で一番大事なことではないでしょうか。
  173. 山根隆治

    ○山根隆治君 抽象的なことでの今お話だったと思うんですけれども、具体的に、総理は小さな政府をつくるということを度々言われるんですけれども、この小さな政府という内容はどのようなものになりましょうか。私なりに申し上げさせていただければ、例えば予算の面、それから公務員の数、そして権限といったところで、その大きさを測ることができるのではないかという思いがいたしますけれども、総理のおっしゃる小さな政府というのは、どういう具体的にはイメージですか。
  174. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) できるだけ税負担の少ない国と簡素で効率的な政府をつくると、公務員の数においても税負担の比率においてもできるだけ少なくしていく、そして、なおかつ国民が安心して豊かに生活していける、それが目的であって、そのために簡素で効率的な政府をつくらなきゃならない。いわゆる小さな政府を目指していくということだと思います。
  175. 山根隆治

    ○山根隆治君 そうしますと、小さな政府は小さな国とは違うんですか。同じなんですか。
  176. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 小さな国というのは、人口が少ないとか面積が少ないとか、いろいろな定義があるでしょう。日本は面積の面においては小さいけれども、経済大国と言われるような国際社会の中でも大きな役割を果たしておるということからいえば、小さな国とは言えない。これからもそれぞれの国は、人口が多いから大きな国だという面もあるかもしれませんが、私は、人口だけでも面積でもない、ほかの分野で大きな役割を果たしている国も、これから将来果たす国も出てくると、そういう国を小さな国と呼ぶとは言えないと思いますね。
  177. 山根隆治

    ○山根隆治君 一九五五年に自民党が結党されましたね。そのときの政策綱領では日本国憲法を制定するんだという、改憲するということで、非常に高揚感に満ちた綱領がありました、短いですけれども。一九六〇年には民主社会党が結党されて、具体的に、福祉国家というものをつくっていくんだ、そして国民の生活は中流階級化させていく、結果の平等ではなく機会の平等というものを与えるということを具体的に明示して、国家のイメージというのを出したんですね。  今の御答弁を聞いていても、人口でもない、面積でもない、それはそうですね。アメリカとの関係において、そして周辺諸国、ロシアの最近の動き、中国との関係、インドの台頭、そういう中で我が国はコンパクトな小さな国にしていくというイメージでいるのか。それとも、これからもやはり経済大国として確固たる国際的な地位を占めるのか。そして、あるいは海洋国家として新しい国家像というものをつくっていく。そういう高揚感のある国家像というのは、総理はお見せになる私は必要があると思うんですね。今の御答弁からは、これからの日本がどうあるべきか、どのようにしていくかというのが見付からない。  来年の九月までもう任期が少ないということでございますけれども、しかし、総理自分の後継者をこれから自民党総裁選挙の中で決められる。こういう自分の思いがある、これを継承してくれ、そのときに、当面の目先の国家公務員の定数の問題であるとか医療の問題であるとか、そうした重要な政策課題もたくさんあるけれども、国家をこういうふうにつくってもらいたい、それをバトンタッチすべきではないんでしょうか。
  178. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 将来、引き続き平和で安定した国にしていく、国民が自由なうちに安心した暮らしができるような社会にする、これが目標であって、公務員の削減とか、あるいは税制改革とか社会保障制度改革とか、地方にできることは地方に、三位一体の改革というものについてはそのための手段です。総論はだれでも言えるんですけれども、各論になると反対が多いと。これをやっていかなきゃならないのがやっぱり政治政党、政権政党の責任だと思っております。
  179. 山根隆治

    ○山根隆治君 イメージを出すことだと思うんですね。例えば、福祉国家といった場合には北欧というものがあるじゃないか、あるいはイギリスがあるじゃないか、そういうイメージを国民がその言葉で出せるんですね。今の総理のお言葉からは、日本の将来というのは小泉総理はこういうふうに考えていらっしゃるということがなかなか私は出てこないんだろうというふうに思いますね。  そういう意味で、まだ、急なお話ですから、事前にも申し上げてなかったのでお言葉がまだまとまってないんだろうと思いますけれども、是非そうした要素も込めて後継者については、自民党の中の話でありますけれども、要素に入れてお考えをこの際いただきたいと思います。  総理が、先ほど申し上げましたように、壊すべきものと壊してはいけないものをごっちゃ混ぜにしてしまったという話を私先ほどさせていただきましたけれども、今度の郵政解散総理は称されましたけれども、そして実際の選挙をやられて、その経過の中で私は日本の文化、今まで伝統としてはぐくまれてきた文化というものが少し傷付きやしなかったかと、そんな思いがいたします。  例えば、これも自民党皆さんのことで恐縮でありますけれども、自民党のこの法案に対する反対派の方々に対する措置というものを見ていても、本当に非情だなという思いがいたしましたよね。今回の法案でも、私は恐らく、先ほど世耕さん言われたけれども、十五項目附帯決議参議院で前回付いたわけですよね。本来だと、多分、小泉さんは情の部分もある、こうした音楽も聴いていらっしゃるし、情の部分もあるので、恐らくこの附帯決議の中から幾つかは法案の中に盛り込まれていくんではないか、そしてそれなりに配慮をされるのかなというふうに思っていたんですけれども、全くそういうことはなかった。これはもう本当にすさまじいまでの、私はもう政界における排擠というものは付き物だろうと思いますけれども、ここまで徹底されているというのは本当に見事と思う反面、過去のそれぞれの実績あるいは貢献というものを一顧だにしないその姿勢というものに本当に、私はもう寒い思いも実はいたしました。  あるいはまた、今回民主党を批判するについて労組を随分批判されて、労働組合のイメージというのが本当に、長く築いてきた国民との間の労働組合のイメージ、信頼というものを傷付けられてしまったという思いが非常にしているまじめな組合の方、たくさん実はいらっしゃるわけですね。まだ今ほどでない政府が、北方領土の返還運動では非常に腰が引けている、そしてマスコミの応援もないと。そんなときに、毎年根室の納沙布岬で集会を開いて、北方領土の返還運動をずっとやってきたんですね。これは組織的に大変な時間もお金も汗も掛かりましたけれども、労働組合がずっと今連合の人たちがやってこられたんです。あるいはまた、アフリカでも、もう飢餓状態にある子供たちにミルクを送る運動というものを長く、五十五の産別が連合にありますけれども、そうした産別の皆さんが長くやっていらっしゃったということがある。そして、阪神・淡路大震災のときには、実に五万人の連合の組合員の皆さんが被災地に赴いて、そして救援活動をしたということがあるんですね。  そうしたことで、私は、個人では本当に思いの届かない社会的な弱者の声というものを政治に届けるために労働組合本当に汗水垂らしてきた、それが今回の選挙を通じてあなたの批判によって本当に傷付いてしまったということは非常に残念がっておられるわけでありますね。  そこで、お伺いをいたしたいんですけれども、池田内閣以来の、書類は行っていますか、キャッチフレーズ、内閣ができたときのキャッチフレーズ。例えば、池田内閣のときは寛容と忍耐、佐藤内閣は寛容と調和、三木内閣は対話と協調等々、鈴木内閣で和の政治等々、非常に日本の文化、伝統的な価値観、農耕社会ならではのこうした優れた哲学というものがこのフレーズの中に出てきているんでございますけれども、一体、小泉総理の胸奥の中にあるもの、胸奥にあるもの、胸の中にある政治哲学というのはどんなものなんでしょうか。マッキャベリ、御存じだと思いますけれども、そのイズムというものを信奉されておられるのか、どのような基本的な政治哲学を持っているのか、御説明をいただきたいと思います。
  180. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、労働組合のことをお話しされましたけれども、山根議員は。連合の大会にもつい最近出席して、皆さんと協力していきましょうと、また、御支援をいただきましてありがとうございますと感謝の言葉を述べたんですよ。決して労働組合を批判しているわけじゃございません。これからの改革についても労働組合の皆さんの御協力も必要だという話を申し上げてきたんです。何か御自分の党の党首とちょっと混同されているのではないかと思いますが。私は、労働組合も、そして経営者も公務員皆さんも、そして一般有権者皆さんも、そういう方々支持なくして改革はできないと、一たび総理大臣になれば一部の階層の代表ではないと、国民全体の利益考えるのが総理大臣の責任だと、そういう話をしてきた、その気持ちには変わりありません。  政治の要諦は私は信用だと思いますね。信頼だと思います。信なくば立たず。この四年数か月、多くの国民小泉内閣に信をおいて、今回の総選挙におきましても多数の議席を与えていただいた。この信頼を大事にして、改革なくして成長なし、そして日本を平和で自由で安定した暮らしができるような国にしていきたいと思います。そのために改革が必要だと思っております。
  181. 山根隆治

    ○山根隆治君 改革なくして成長なし、官から民へ。私、埼玉県で衆議院選挙のお手伝いといいましょうか、ある重責を担わせていただいたんですけれども、選挙中、テレビの報道を見ていて、総理は横に手を広げて振れば振るほど、十万票ずつぐらい何か持っていかれているような、そんなふうな思いが実はして見ていたことがあるんですね。本当に幻想というか、それ振りまかれるのがうまい。アジテーターとして本当天才的なやっぱり才能を持っていらっしゃる。上に掲げてこうやったときも二十万票ぐらいなくなっているかなと、そんなふうな思いで私テレビ見ておりました。改革という言葉は本当に魔力があると思います。  実は、フランス革命のときに、ロラン夫人という人が断頭台に乗って、そして最後の残した言葉があります。自由よ、なんじの名の下で何と多くの罪が犯されたことかというのがある。これはもう有名な言葉ですが、本当に今、改革という言葉によって随分大きなものが、多くのものが失われてきた、あるいは傷付いたというふうな思いが私自身はしてならないんですね。  しかし、本当にあなたのすばらしいジェスチャーによって今回私たちも負けた。内容も政策もあなた訴えていらっしゃいましたけれども、そして最後の改革という、もう今、平野さんからもいろいろな議論がございましたけれども、これという、一つ取るとすると、これから望まれる改革は何でしょうか。
  182. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 改革に終わりはないんです。金融にしても、税制にしても、歳出にしても、規制にしても、改革をしていかなきゃならないことたくさんあります。最後のこれ一つだという改革、これはもうあらゆる改革を進めていかなきゃならない、改革には終わりはないと。そして、日本を今後とも平和で安定した自由精神が発揮される、そのような生活ができるような国にしていかなきゃならない、その手段です、改革は。そういう意味において、私は改革に終わりはないと思っております。
  183. 山根隆治

    ○山根隆治君 それでは、具体的な法案中身について竹中さんにお尋ねをいたします。  ATMから、例えば今お金がどうしても緊急に一万円必要だという場合に、普通の都市銀行に行って一万円下ろすということになると、銀行にもよりますが、下ろし方によりますけれども、百五円手数料が大体取られるということになっていますね。ところが、サラ金に口座を持っていると、これが一日だと、ただであったり、あるいは八円取られるということなんですね。そうすると、都市銀行を使うよりもサラ金に口座を持っていた方が有利になる。具体的に言葉を換えれば、自分のお金を引き出すのにはお金を百円も百五円も取られるけれども、しかし、サラ金で下ろした場合にはただ。つまりサラ金というのは人の金、人の金を下ろすのにただなのに自分の金下ろすのにお金が取られるというのが実際今ありますよね。そして、こういうふうな利用の仕方を若者は随分しているということがあるんです。  今度、郵政公社で現在はATMからお金引き出す場合には、これ無料ですね。しかし、これが将来的には民営化されると有料になるであろうということを御答弁として出ているわけですけれども、こうした実情というもの、例えばフランスであるとかスイスはATMからの引き出しというのは無料になっていますね。国際的にはいろいろな事例もあるんだろうと思いますけれども、この点について、もう一度私は検討を加えて無料化というもの、この制度というものを引き継ぐべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  184. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 民営化されれば有料になるというような、ちょっと私自身はそういう答弁はしておらないと思うんでございますけれども、これ民間において現実に、今利用者のニーズに応じた様々な商品、サービスが提供されていると思います。例えば、民間銀行ですけど、大多数の銀行は、これは口座維持に関しての手数料でありますけれども、これは無料の預金口座を大部分の、大多数の銀行が提供しておりますし、今直接お尋ねのありましたATMの手数料に関しても、これは無料の銀行、日本でもございます。御指摘のとおり、外国等々では、アメリカ等々でもそういう銀行がむしろ極めて多いというふうに認識をしております。  公社の手数料よりも、したがって今でも民間で安いものがあると、物によってはですね、認識をしておりますので、これは民間の創意工夫の中でやはり様々なサービスを提供していっていただく、それが結局消費者の利便につながるということではないかと思います。とりわけ、今の郵政は小口預金者を大切にして地域密着型のサービスに強みのある銀行になるわけでございますから、そうした点、消費者にとっては引き続き大変使い勝手のいいというか、利便性の高いサービスを提供してもらえるというふうに思っております。
  185. 山根隆治

    ○山根隆治君 次に、一番このユニバーサルサービスの問題というのが論議の対象と今日までなってきたわけでございますけれども、郵便局の設置基準についての規定、このことについてはもう再三再四御答弁もいただいております。  しかし、最後の最後、最終的には、これは経営判断によるということになると理解を私はするわけでございますけれども、経営判断の中でどうしてもAという島のBという郵便局だけはここは廃止せざるを得ない、様々な今御答弁、先ほど来あった経過を踏まえて、なおそうした廃止をしようということになった場合に地域の住民は非常に困る、利便性等生活の中で大変困るということで、これを何とか存置してほしいという強い要望を持ったときに、ぎりぎりのところではどんな解決になりますか。
  186. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) ぎりぎりのところという限定してのお尋ねでございますんで、制度全体の説明はもう繰り返しをいたしませんが、まずAという島のこのある支店と、この島が例えば離島振興法等々の対象になるということであるならば、これは過疎地でございますので、これは現に存する郵便局ネットワークは維持されるということになろうかと思います。  そういう島ではない島ということでございますれば、これは住民にとって本当に必要であるならば、これは地域貢献の基金も使ってでも是非残してもらいたいと地方の要望としてしっかりと声を上げていただいて、そしてその声を含めて地域貢献計画をしっかりと作りますので、そういう中で基金の活用も含めて、本当に必要な、住民にとって本当に不可欠なものは、金融サービスは地域サービスとして維持されていく、これはもう十分に可能でございます。
  187. 山根隆治

    ○山根隆治君 可能ですけれども絶対ではないということだと思うんですね。しつこく聞きますけれども、これはもう真剣な、深刻な問題が地域にございますので、最終的にはこれは行政訴訟を起こしてでも守るというふうなことになるんでしょうか、地域の住民にとっては。どうしても話をしても訴えても聞いてもらえないという場合には、罰則規定はあるようで適用にならないですよね。罰則規定を含めて御答弁いただけますか。
  188. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) これは先ほども申し上げましたように、地域の声をしっかり聞かなければいけないと、そういう義務はあるわけです。その義務を果たしていない、地域の声を聞いていない、正当な理由もないのに本当に必要なサービスを提供していないということでございますれば、これは総務省が、これは特殊会社に対して総務省、総務大臣が一般監督の権限を持っておりますので、その中でこれはもう、正にこれは行政の責任において対処をしていくということになります。
  189. 山根隆治

    ○山根隆治君 行政の責任で対処をしていくということで、絶対性というのはそれでも確保されないというところに一抹の不安を感じます。本当にもう少し、与党の方での附帯決議でありましたけれども、いろいろな十五項目にわたる中で幾つかをやはりその中に入れ込んでやっていくという措置があればなというふうな思いもいたしましたけれども、これはもう私どもが出したものでもありませんから致し方ないんですけれども、そうした非常に不安というものもあるということは是非重々御承知おきをいただきまして、善処方お願いいたしたいと思います。  それでは、郵便貯金の残高、簡易生命保険資金の現状、この金額というものは先ほど御答弁がもう既にあったかと思うんですけれども、来年、平成十九年の九月三十日の契約した分については、これ基準日として政府保証というものが付くぎりぎりの期日だろうと思うんですね。そうすると、私は、駆け込みで相当なお客さんが殺到するということになって増えやしないかというふうに思います。そして、その増えることによって、一時的にせよ、官から民へということが止まって官への肥大した金額というもの、お金というものが流れるということになりはしないかという心配があるわけでありますけれども、この点についてはいかがですか。
  190. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 御承知のように、郵貯の限度一千万円でございます。実は、民営化された後も、御承知のように今度は預金保険機構に入っていただきますので、預金保険でしっかりとカバーされる形で一千万円のその預金というのは保証されるわけでございます。  そのような意味からいきますと、いわゆる今委員御指摘のような、急にあしたから不利になるから今日駆け込もうと、そのようなメカニズムは、これは働かないだろうというふうに思っております。  繰り返しになりますが、民営化された後も預金保険機構に入るという形でその一千万円までの小口預金は保護されますので、そのような意味で、決して不安が広がると、不利になると、そのようなことはないということでございます。
  191. 山根隆治

    ○山根隆治君 いや、逆のことを申し上げたんで、今の御答弁の中盤のところでの御答弁なんですね。つまり、駆け込みで口座をたくさんつくったり、あるいは入れ込む人たちがたくさん出るのではないか、それを、今御答弁ではそういうことはちょっと考えられないというふうなお話ですけれども、やはり市場に任せるわけですから、市場に任せるというか、もう自由にさせるわけですから、有利な方にお金が流れるのは当然なんじゃないですか。
  192. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) ちょっと意味がうまく取れていないかもしれないんですが、有利であるというのは、公社の間は有利で民営化になると預金者にとっては不利になると、そのような御指摘かというふうにお伺いしましたが、今申し上げましたように、民営化された後もこれ預金保険が適用されますので、つまりその一千万円までの預金というのは保護されるわけですね。消費者から見ると、その意味では保護されていると、その預金額が保護されているということには何ら変わりはないわけで、その意味で、決して不利になる、あしたから不利になると、だから今日口座をつくって駆け込みということにはならないであろうというふうに申し上げているわけでございます。
  193. 山根隆治

    ○山根隆治君 少し話が食い違っているところがございます。現在の政府保証が付いている金融商品があるわけですね。近い将来にこれがなくなる。しかし、ある基準日というのは、今回の場合十九年の九月三十日ですね、これまでに契約した分については、契約期間の間はまだ政府保証が付くということになるわけですね。そうなると、その金融商品を政府保証があるうちに契約しようというふうな思いというのになっていくのではないかということでございまして、そうした政府保証が付くうちに加入しようという人が殺到しやしないかということを申し上げている。
  194. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) ちょっと同じような答えになって恐縮なんでございますが、確かに政府保証が付いております。そして、それは十年の定額預金だったらずっと十年間政府の保証が付きます。しかし、民営化された後も、今度は政府が保証するわけではありませんが、預金保険機構が保証するということになりますので、消費者から見ますと、預金者から見ますとそれが大きく変わるとはちょっと想定されないのではないだろうかということを繰り返し申し上げているわけでございます。
  195. 山根隆治

    ○山根隆治君 これ認識の違いですから、そういうふうに想定していないということですから、そういうこともあり得るというのは、これはもう見解の違いで、これはもう穴埋まらないところですけれども、私はそういうおそれをまず指摘をしておきたいと思います。  時間もあと少々でございますので進みます。  日本郵政公社の監査法人というのは今どこがされていらっしゃるんでしょうか。
  196. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 郵政公社の方がおられませんので私の方から。中央青山監査法人だと記憶します。
  197. 山根隆治

    ○山根隆治君 中央青山監査法人は公認会計士が粉飾決算に加担したということで逮捕されたという、逮捕者が出たというところでございます。足利銀行のときもいろいろな議論がこの法人に対してはされていたり、あるいは山一証券のときもそういうふうなことがございました。  この際、総務大臣は、会計監査人にふさわしくない非行があったときには解任することができるという権限が総務大臣に与えられていらっしゃるんですけれども、この青山法人について今後どのような指導をされていくのか、郵政公社民営化された後のことも展望してお答えをいただければと思います。
  198. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 十月の三日に、三日の日にカネボウの粉飾決算に関与ということで関係者が東京地方検察庁に起訴をされたという事実は承知をいたしております。したがいまして、起訴をされましたカネボウ関係者、約四名だと記憶しますが、郵政公社の会計監査にこの四人がかかわっていたかどうかが最大の問題だと思っておりましたけれども、私どもの得た、調べた話ではそのようなことはないということでありましたので、私どもとしては、今後の対応ということが御質問なんだと思いますが、公判の行方やら何やらよく見た上で、今この場でどうのこうのとすぐ言える話でもないと思いますので、今後の動向を見守った上で対応をいたしたいと考えております。
  199. 山根隆治

    ○山根隆治君 時間の関係もございますので、少し、あと何点かお伺いをいたしたいと思いましたけれども、もうあと一分というところでございます。  外務職員の配属先についてはどのような扱いになるんでしょうか。郵便貯金の外務員が現在八千二百六十三名、簡易保険の外務員が二万五千六百二十七名というふうに承知をいたしておりますけれども、これは郵便局の職員になるのか、郵便貯金銀行やあるいは郵便保険会社の職員になるのか、この点だけ最後にお尋ねをしておきたいと思います。
  200. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) これまでいろんな民営化の議論を進めてくるに当たって、郵政民営化の基本方針、昨年作っておりますけれども、この基本方針におきましては、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の窓口業務でありますとか集金の業務ですね、そういう業務は窓口ネットワーク会社に委託するというふうにされております関係で、日本郵政公社貯金外務員及び保険外務員については、基本的に郵便局会社に帰属することになるものと考えております。  ただし、その具体的な職員の帰属先につきましては、これから民営化の具体的な作業の中で主務大臣が作成をいたします基本計画に従って、この新会社の経営陣となります経営委員会がその承継計画を定めることになっておりますので、この今おっしゃった方々の帰属につきましても承継計画においてきちっと定められていくことになると考えております。
  201. 山根隆治

    ○山根隆治君 終わります。
  202. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 民主党・新緑風会の岡崎トミ子でございます。よろしくお願いいたします。    〔委員長退席、理事市川一朗君着席〕  この秋は、宮城ではまあまあお米が取れたと。農林水産省で発表されました作況指数は一〇二でございました。  選挙が終わりましてから、総理がインタビューに答えて、勝利したときこそ謙虚でなければならない、そんなふうにおっしゃっていて、その言葉はすばらしいなというふうに思いました。それと、総理が就任されました当時、米百俵で大変に話題を取られました。  今、宮城県の農家の人たちに対して、本当に豊作ですかと聞くと、まあまあだという話で、本当に豊作だというふうにはなっておりませんけれども、その刈り取る寸前、多分この稲穂はこうべを垂れていたというふうに思います。私の好きなことわざでございます、実るほどこうべを垂れる稲穂かな。是非、総理にも、丸々と太った稲穂に見えます、今後とも、そうした謙虚な態度であっていただきたいなと、私は冒頭お願いをしておきたいというふうに思っております。  総選挙での総理の訴えは、郵政民営化法案が成立をしなければこの国が抱えていた問題は解決しないかのような、また郵政民営化法案が解決、成立することこそ、それでしかそういう問題をすることができないというような印象国民に与えました。  これが自民党の約束された、選挙のときに出されたものでございます。(資料提示)  一ページ開きますと、これ細かいので、これをちょっとこちらの方にお願いしたいと思いますが、こちらの方に、恐れ入ります。  説明の方は、総理はございますでしょうか、ペーパーが。出されたものなのでお分かりになると思いますが、テレビの方に向けて私説明しますね。「改革の本丸 郵政民営化で官のリストラを実現」、ここが中心になりまして、これさえできれば、この国の形をつくる戦略的外交の推進、安全保障が確立できる。国にしかできないことに力を集中しますと、地方にできることは地方に、三位一体の改革で地方経済の立て直しができる。子供たちの世代にツケを残さずに安心して安全な社会を維持できる。少子高齢化の下でも年金、医療など社会保障の充実を可能にすることができる。雇用と消費を刺激して民間主導の景気回復をすることができる。これだけ見ておりますと、まるで魔法遣いのように、こんなふうにバラ色に広がるという印象がございます。  私は、多分選挙のときに郵政民営化賛成反対かということを強調されておりましたので、この一ページについて詳しく説明される、そういう機会がなかったのではないか。実は、私もそういう説明を受けたい、具体的に分かりやすくという思いでございます。もしかすると、総理の大変に、自分が例えばどんなことになってもこの法案成立させるんだという、そういう勢いで投票された方も多かったのではないかと思いますが、なぜこの郵政民営化法案が、官のリストラを実現しますと、この国の形をつくる、安全保障が確立するんでしょうか。戦略的な外交の推進と、この関係と、民営化法案と、分かりやすくひとつ御説明いただきたいと思います。
  203. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) まず、経済が発展しないと外交活動もあるいは海外での支援におきましても十分な事業展開はできません。経済を強くするという一つの手段として、郵政民営化は欠かすことのできない改革だと思っております。そこで、国会の中におきましても、長年、民間でできることは民間に、行財政改革を断行しなさいと言いながら、一番抵抗が強かったのがこの郵政民営化の問題でした。だからこそ、私が総理大臣に就任する前も就任してからも、郵政民営化は暴論であるという意見が度々国会の中でも言われたことであります。  そういう抵抗の強い郵政事業の民営化、これは正に総論賛成各論反対の典型的なものであるということから、私は選挙におきましても分かりやすく国民皆さんに訴えました。この程度の改革ができなくてどんな改革ができるのかと。
  204. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 質問にお答えください。
  205. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) いや、丁寧に答えてくださいと言うから……
  206. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 安全保障の確立の問題。
  207. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) だから、そういう意味において……
  208. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 戦略的外交の問題であります。
  209. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) だから、そういう意味において丁寧にお答えしているんですが、何分ぐらい時間いただけますでしょうか。
  210. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 戦略的外交。
  211. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 戦略的外交も、経済が強くなければ戦略的外交展開できません。日本経済が回復しない限り、日本は国際社会の中でも、それは日本の思っているような活動もできません。戦略的な外交を展開する上におきましても、まず景気を回復軌道に乗せ、経済活性化させて、しかるべき経済成長をなしていく。そのために不可欠な改革郵政民営化であるというふうに考えているわけであります。これを、将来の日本の活動を考える場合に一番改革の抵抗の強い分野に改革のメスを入れてきたと。  私は、そういう意味におきまして、郵政民営化改革の本丸であると。ようやくこの郵政民営化の必要性を国民も理解して、国会も協力してくれて、郵政民営化が実現すればもろもろの改革も進んでいくと、ひいては経済活性化すると、様々な外交活動も展開できるということであります。
  212. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 選挙戦中の記者からの質問に答えて、総理はやはり経済活性化しなければこうした戦略的外交も進んでいかない、記者が全員笑っておしまいで、その後の追及がなかったわけなんですね。  私はその説明を是非お聞きしたいと思ったわけなんですけれども、今ですと、日本と韓国との関係、日本と中国との関係、これからマレーシアでは東アジア共同体構想ということで行われていく。そういうような、例えば六か国協議が進むだとか日韓の関係が進むだとか、そういうようなことが進んでいくと官房長官お考えですか。  答えが不十分です。フォローしてください。
  213. 細田博之

    国務大臣(細田博之君) この紙は、やはりソリューションとブレークスルーと書いてありまして、どうも風が吹けばという部分と、このおけ屋がもうかるという。だから、どういうふうにこの五つの、この五つのことは政策目的として書いてありますので、それぞれの論理的関係はちょっと私も分かりません。
  214. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 つまり、本当にこれを見せられて、多分何もかも実現するんだなという、そういう思いがあって一票投じようという人がいたのではないかというふうに思うんです。  もう一つ、昨日の新聞でございましたので是非お聞きしておきたいと思いますけれども、少子高齢化の下でも年金、医療など社会保障の充実を可能にというふうになっているんですね。昨日の新聞でも拝見いたしますと、次期通常国会での最重要課題は医療制度改革だということで、谷垣大臣は、財務相が厚生労働相に対して意見を提示されております。患者の負担を増やす方向でございました。  総理選挙戦中もこの最重要課題の医療改革について触れておりませんし、所信表明のときにも触れていらっしゃいませんでした。これがこのとおりですと、官のスリム化によって財政を再建するその税でこれは医療に投入するのかと思いたくなっちゃいますよ。(発言する者あり)  そうなんです。それならちょっと筋が通るかなというふうに思いますけれども、そうじゃないです。自己負担でやってくださいというのが小さな政府の在り方なんでしょうか。矢印も違っています。小さな政府をつくって自己負担を増やして、そして持続可能な社会保障ではない、社会保障の充実を可能にするという、これは根拠のない間違った印象を与えるものだというふうに思いますけれども、いかがですか。
  215. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 全然間違っていない、正しいんです。年金、医療、介護、社会保障の問題も所信表明で触れております。これから社会保障、持続可能な制度にするためにも、小さな政府、簡素で効率的な政府を目指さなくてはなりません。もろもろの改革を進めていかなくてはなりません。  医療制度改革も当然そうであります。そういう中にあって、これから具体的な個別の問題は今後国会におきましても十分審議いたします。
  216. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 私は、所信表明の中で総理が触れていないというのは方向性、どういう方向性なのかということについて触れていらっしゃらないわけなんですね。そして、今やはり医療改革というなら、検査漬け、薬漬け、こういう問題をまずやらなければいけない。負担ありきではないということをきっちりやって納得してもらわなければ、私は先に進むことはできないだろうなというふうに思っております。  ところで、もう一つなんですけれども、地方にできることは地方にという、矢印が、民営化ができて、そして国にしかできないことで国の力を集中、その後で地方分権となっておりますが、これ反対だと思います。矢印は逆でございます。地方に権限と財源を移譲して、そして地方の政策の実現があって、そして国のことは国でできる、そのことに集中するという、そのことだけを指摘をしておきたいというふうに思っておりまして、私は、やはりこの郵政の問題だけではなくて、総理がなさらなければならなかった改革の本丸というのは財政の問題ではないかというふうに思っているんです。  政権ができました二〇〇一年三月末に国債の残高は三百八十一兆円、二〇〇五年三月末には六百二十六兆円、その差額は二百四十五兆円。財投債は百二十二兆円。国債発行額は毎年三十兆円にとどめるという約束は破り捨てて、そして毎年平均六十兆円の国債を発行してきて、国民一人当たり二百万円増えた。この四年間の間に、一億二千八百万人、赤ちゃんからお年寄りまでおよそ六百万円以上の借金が増えたと、そういう勘定になるということをよく言われますけれども、国と、財政の債務残高が七百七十四兆円で、財政赤字は更に大きくなり続けているという状況でございますね。  国家予算は八十兆円、税収のほぼ倍額までは行かないんですけれども、そういう予算を組んでいて、差額は毎年、郵貯、簡保に依存しているわけでございます。昨年の郵政公社などに押し付けられました国債は四十一兆円です。特殊法人にもつぎ込んできております。本来、この使い方を反省すべきなんじゃないでしょうか。  今年度で見ますと、郵貯、簡保、年金による財投債の引受けは十九兆三千億円で、そのうち五兆二千億円は年金資金で行っております。社会保険庁に関連して多くの問題が指摘されてきましたように、郵貯、簡保よりも年金の方が問題をたくさん含んでいる、そういう状況だというふうに思いますが、にもかかわらず総理はなぜか社会保険庁の改革よりも郵政の方を優先してきたということでございます。やり玉に上げてきたような格好だというふうに思います。本体は、郵政公社、お金を集めているだけでありまして、財投債を引き受けさせておりますのは財務省です、何より小泉政権ではないかなというふうに思います。  小泉総理小泉構造改革の中の最も目玉としていた道路公団の改革にしましても、これはもう官製談合の問題がありました。高速道路、これを本当に全部造るような形になって、どういう判断で必要な道路を造っていくのか、その判断を示すこともできなかった。  天下りは、天下り白書を見ますと、六年間、前の水準を保っていて、昨年は十二人増えて八十六人天下り、増えているんですよ。改革と言わないです、これは。  そういうような状況になってきて、私はやっぱり官から民に対して、天下り、まじめに一生懸命働いている公務員皆さんたちのところで、ここの、本当に労働権のその問題を含むそういう改革、これは先送りにしながら、キャリア組、この再就職の問題については官僚の支配の構造を温存していると言わざるを得ません。  総理が労働組合の問題の、民主党は労働組合の意見を聞いて、そしてこの問題について反対したというふうな中傷をされましたけれども、現場の皆さんの声を聞くということは大事でございます。今働く現場がどんなふうになっていくのか、そういう意見を聞くことも大変大事なことだというふうに思っておりまして、私は、総理がエリート官僚の特権を放置しながら、官僚の支配構造については温存をしていると、このことはやはり真の改革から目をそらすものになるのではないかというふうに思っております。  そこで、質問は、特殊法人の改革こそ必要だったのではないか、なぜ年金資金にメスを入れなかったのか、本丸隠しだったのではないか、このことについてお答えをいただきたいと思います。
  217. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 道路公団民営化なんか大改革ですよ。岡崎さんの主張は全くためにする、私は納得できません。  道路公団の民営化も、私が総理大臣に就任する前は出なかった問題です。そして、道路公団の民営化、これは四十兆円の借金を今後四十五年以内に返済する、道路公団を三分割すると。今まで道路公団というのは値上げすることはあっても値下げすることはなかったが、もう既に値下げが始まっております。そして、二十兆円でできる道路を半減した。十兆円でできるようにした。今まで三車線にこだわっていたのは二車線でもいい、あるいは一・五車線でもいいと。費用を節減しよう、費用も半減すると。そして、どうしても必要な道路は、地方の意見、そして新しい民営化会社の意見、税金をどのぐらい投入すればできるかと、よく考えていく。  必要な道路を造れというのは民主党だって言っているんですよ。必要な道路を造るなんというのが道路改革じゃありません。無駄な道路は造らないという形にして、この道路公団の改革は私は大改革だと思っております。そういう意味におきまして、今後、時間がたてばたつほど、よくこの道路公団も民営化できたなという評価が出てくると思います。  私は、道路を造らなければ改革だとは思っておりません。必要な道路はきちんと造る、費用もコストも十分考える、そういう中での民営化でありますから、これも私は、特殊法人の中で一番今まで税金を投入された部分が民営化されて、国民の負担も少なくなってくるという極めていい改革だったと思っております。  今後、郵政民営化が進んでいきますと、これについても、その活性化の面におきましても目に見えた形で効果が出てくると思いますが、これは当分時間が掛かります。  今後、特殊法人の改革につきましても、それぞれ終わりはないわけであります。独立行政法人あるいは特殊法人等につきましては常に見直しが必要であります。国の役割、特にこの郵政民営化が実現した暁には、もう資金の補給も、国がああせよこうせよという形ではできなくなりますから、特殊法人自身考えていかなきゃならない。  そういう点から、私は、今回の郵政民営化、道路公団の民営化、そして特殊法人の見直しによって更に国の役割と民間の役割、民間の役割が自由に拡大、発展できるような制度なり環境をつくっていく、そのための一つの手段だった、郵政民営化にしても道路公団の民営化でも、これは経済活性化のための大事な手段の一つだったと思っております。
  218. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 質問にお答えになっていらっしゃらないわけなんですね。  なぜ年金資金にメスを入れなかったのか、社会保険庁の改革について熱心でなかったということが今のメーンの質問だったんですよ。よくお聞きになっていない。短めにしていただきたいと思います。お願いします。
  219. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 既にその改革を進めております。  社会保険庁の改革にしても、それは今結果が出るわけではありませんが、今、社会保障制度協議会の中でも議論されるでしょうし、これからも進めていかなきゃなりません。
  220. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 昨年の参議院選挙で年金の問題が大変な大きな問題になりましたので、私はその問題が改革の本丸になるのではないかというふうに思って、実はその年金資金、社会保険改革、このことについて熱心にやっていただきたいという思いを込めて質問したわけなんですけれども、今になって、今やっているところなんですよ、この後なんですよとおっしゃるので、やっぱり遅いなというふうに思うわけなんです。  次に質問を行きたいと思いますが、この参議院否決をされたという問題について、熱心に一条一条法律を、どのようなことになっていくのか、これは本当に日本全国に大変な影響を与える問題ですので、そういうことについて熱心に審議をした上で否決をしたわけで、大変重く受け止め、法案修正を行うことが最低限必要なのではないかという点で質問をしたいと思いますけれども、参議院否決をした例というのは極めて少なくて、調べますと、戦後六十年、さきの百六十二国会まで通しまして何本の法案衆議院から参議院に送られてきたかと。大体八千本、それ以上あるそうでございますが、そのうち参議院否決しましたのはわずかに六回しかありません。うち四回は一九五三年までの間、その後は一九九三年の政治改革でございます。そして、さきの国会郵政民営化法案。これほど参議院というのは慎重に審議をして、そして否決というのは本当に異例なことであります。これまでには、審議未了、廃案が三回で、衆議院の再議決が一回で、両院協議会で成案を得て両院で可決したのが一回。さきのように解散したということは正に前代未聞であります。  それまでにいろんな議論がありましたので、このことについては私が意見を申し上げるだけにしまして、この参議院郵政改革委員会では何項目附帯決議が付いたか。十五項目世耕さんがその大事な面について御答弁をいただいて、精神的に生きていると、こんなふうにおっしゃったんですけれども、これ民営化になるんです。全く目的の違う会社をつくっていくのに、精神的に残っているんじゃなくて、やっぱりこの法案は不十分だから附帯決議を付けた。だとすれば、法案をきちんと改正するなり修正するなり、そういうことを作業としてすべきだったのではないでしょうか。
  221. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 附帯決議は、法施行の際、こうした点について十分留意をされたいという内容であったと思います。法律内容ではなくて、法施行の際ということでございまして、それに対しては私たちも、法施行に当たりましては十分最大限尊重してやっていくということを繰り返し御答弁しているわけでございます。繰り返しますが、それは法律中身ではなくて、法施行の際の運用の問題としての附帯決議をいただいているというふうに承知をしております。
  222. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 私も附帯決議を見てきて、読んできているつもりでございまして、多分このことはこれから民業になるというときに、その先のことについてもきちんとそれを盛り込んでいくということが大事なのではないかということで申し上げた次第でございます。  新規事業ができるというふうに小泉総理竹中担当大臣も夢を打ち上げられてきて、具体的なイメージとして挙がってきておりますのが、コンビニでありますとか住宅リフォームですとか旅行代理店ですとか、いろいろできますよと。まあ現実的ではないのではないかなと思えるようなことまでおっしゃっているわけなんですけれども、私は特定郵便局長の方にどうですかというふうにお伺いしましたんですが、二〇一七年までのこの十年間というのは変化に付いていけるだろうかという心配をされておりましたし、耐え難い年月になるのではないかということもおっしゃっていましたし、退職される方がもっと増えるんじゃないかという、そういう心配をおっしゃっておりました。  私は、確かに総理が今まで御答弁の中で、会社が違うんだから違って当たり前、競争が激しくなる、生き残っていくんだから大変だ、もうそういうふうに地域社会ががらっと変わることの夢よりも不安、そういう印象を私自身は持ったわけなんですけれども、どうなんでしょうか。地域でもう既に商店を営んでいる零細企業が圧迫されるような場合、それをチェックされるのが民営化委員会だというふうに竹中担当大臣はおっしゃっておりましたけれども、その民営化委員会というのがどんな働きをされるのかですね。これは、本当に民業圧迫になりそうだというときに、それを止めるような、郵政民営化委員会が待ったを掛けるような、そういう働きがこれできるんでしょうか。  民業圧迫しないんだよと、共存共栄で今までやってきた、そういう商店とは仲よくやって、郵便局が安心機能として愛される郵便局だった、もしつぶすようなことがあったら嫌われる郵便局になるんじゃないかというふうに私も前回の質問で申し上げましたけれども、それは民営化委員会の方できちんとチェックされるんでしょうか。
  223. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) まず、新規の業務につきまして夢という表現を使われました。いろんな可能性という意味で我々は申し上げておりますので、それと違わないのかもしれませんが、これは決して現実から離れていることではなくて、御承知のように、生田総裁御自身が方向において正しいという形で評価をこの場でもいただいているというふうに認識をしております。    〔理事市川一朗君退席、委員長着席〕  具体的に、その中で、国際業務の進出等々は既にもう準備期間から動くということも、総裁、明言しておられますので、極めて現実的なものであるということをまず申し上げたいと思います。  その上で、民業を圧迫しないようにしなければいけない、これは大変重要なポイントであるというふうに私たちも思っております。その民業圧迫を防止する仕組みとしましては、まず、移行期間の間は同業他社に対して十分配慮しなければならない。これは、規模が大きいですし、こうした次代への資産を引き継いでおりますので、そういう形での配慮をしなければいけないということを明確に法律で定めております。そこが一つの歯止めということに相なります。  そして、移行期間を終了した後につきましても、いわゆる分野調整法、今、地元の企業、小さな企業に対する配慮という言葉がございましたが、中小企業に対していわゆる分野調整法での義務が掛かりますので、そういう点でも歯止めが掛かっているということでございます。  その上で、民営化委員会移行期間について、特に銀行等々が新規の業務を始めるに当たって、これは民業圧迫にならないかということ、そして経営がそれに堪え得るだけしっかりしているかということをしっかりとチェックするためのものでございますので、これは移行期間公社は、銀行、保険等々は、公社と同じ業務から始めてどんどん段階的に規制緩和をしていくわけでございますので、これは要するに申請をしていただいて、それで新しい業務に関しては認可をするという手続になりますので、その点については、移行期間に関して民営化委員会はしっかりとしたチェックを行えるものというふうに思っております。
  224. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 これ、生田総裁がよろしいというふうに言ったとおっしゃるんですけれども、違うんですよ。今、地域で頑張っておられる方が不安に思っているんで、生田総裁が幾らおっしゃっても、実際に郵便局で、それでその周りでいらっしゃる方々局長心配され、周りで営業されている方も心配されているのでお聞きしたわけなんですけれども。  これ、郵政民営化法案の第二十六条では、本部は平成二十九年三月までにその郵政民営化委員会を置いて、そして郵政民営化推進本部とともに三月三十一日でその役割を終えて、そしてその委員会は構成が五人になると。非常勤の委員だそうですけれども、この五人で、二万四千七百がいろんなものをやろうというふうに言って物を出してきて、五人の委員でチェックをすることが可能でしょうか。いかがですか。
  225. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 先ほど言いましたように、新たに銀行、保険等々で新たな業務、これは公社の業務からスタートして、民営化の進捗とともにそれを、規制を緩和していって新しいものを認めていくということでございますから、そうしたものに関して、申請を受けてチェックをするという機能は私は五人の委員で果たしていただけるというふうに思います。もちろん、これ、独自の事務局を有することになりますので、事務局がしっかりとした支えをするということは不可欠であろうというふうに思っております。  また、五人では不足ではないかという御懸念、いろいろな御懸念があろうかと思いますけれども、この郵政民営化法におきまして、民営化委員会は必要に応じて総務大臣民営化会社に報告、資料の提出その他の協力を求めることができるということを規定しています。民営化法の二十五条にこれを規定しております。つまり、協力を要請できる。そして、民営化委員会には独自の事務局を設けるというのは、先ほど言いました二十四条でありますけれども、そうしたことも踏まえて考えますと、専門家の方に、五人の方にそのような活動、活躍をしていただきまして十分なチェックができるというふうに考えております。
  226. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 これは意見を言うことができるということで、勧告じゃないんですね。ですから、その意見を言う程度で、本当に圧迫になるような状況のときに歯止めが掛かるという委員会じゃないということですね、これは。  そこがやはり心配だということでありまして、民業圧迫ということにつきましては、私は、これから本当に実際に行ってみなければ分からない部分というのがあるんですが、実はコンビニを今経営している方にもお話を伺いましたけれども、ここで総理竹中担当大臣もコンビニと言うときに、これだけは我慢ならぬというふうにいつも思うそうなんです。それほど競争が激しくて、大変な思いで、百店のうち一店は必ず毎年閉鎖に追い込まれるという厳しい厳しい状況なのに、それが可能性ですか、夢じゃなく可能性ですか、そういう形で語られるということ、もう我慢ならないと、そういう感じでおっしゃっていたんですね。  これ、年中無休で二十四時間開業しているという、こういうものですよね、コンビニって。大変な状況になっていくので、それが周りで二十四時間やってないようなお店の民業圧迫に必ずやればなるんだということで、勧告はありません、意見を言うだけですから。
  227. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) まず、二点御質問があったわけでございますけれども、まあその意見を言うだけではないかという御指摘でございますけれども、関係大臣大臣としてのしっかりとした判断をもちろん行うわけでございますけれども、もしも、仮にもあえて民営化委員会の意見と異なる判断主務大臣がするような場合、この関係大臣は自らの判断の妥当性とか合理性について当然のことながら説明する責任を負うことになります。また、この関係大臣等は、民営化委員会の意見に基づいて措置を講じた場合は、その旨を民営化委員会に通知をしなければならない、これは法律でそのことが規定されております。  つまり、民営化委員会は、自分が言った意見について関係大臣がどのような措置がとったかを知ることができて、そして各大臣等の措置が不十分であるというふうに民営化委員会考える場合には、民営化委員会は、これ本部長にして再度意見を述べることができるという、そういう仕組みにしておりますので、その意味民営化委員会の意見は十分に反映されるというふうに考えております。  あと、コンビニについては、これはビジネスの可能性ですから、可能だという方も可能ではないという方も当然いろいろいらっしゃるんだと思います。しかし、現実問題としまして、今郵政公社自身が、これは札幌のポスタルローソンというところを私訪問いたしましたけれども、施設の中にコンビニを入れて、これは成り立っているではありませんか。それを別に、別の経営主体にさせるのか自分のところにさせるのか、そういう問題でございますので、その施設を活用してそういうことができる余地は十分にある。どこでもいろんなところでできるかどうかというのは、これはフィージビリティーはちゃんとチェックしていただく必要がありますけれども、できるところもあるだろうと、これは当然そういうことだと思っております。
  228. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 初めは何か二万四千七百全部やるような可能性のお話のように受け取っておりましたので、そうではないということを確認しておきたいというふうに思いますが。  しかし、私は、郵政民営化委員の五人のメンバーなんですが、今は有識者であると。本当に、例えば大学の先生とか専門家の方がそういうことをおっしゃると、意見を言うという形なんでしょうけれども、私は地域の本当に人々を代表するような、そういう方の意見をきっちりとしなきゃいけない、代弁する、そういう人が民営化委員会の中のメンバーに、本当にその地域を代表するような人がメンバーに入るのかどうなのか、そのことを、この五人のメンバーに入るかどうか、まだ決まっていないだろうと思いますけれども、そのことは強く要望しておきたいというふうに思っております。  郵便局では郵貯、簡保が提供されておりまして、最近では農協の支店がもう廃止に追い込まれていって、そして郵貯、簡保が地域で唯一の金融機関であるという、そういう地域が少なくありません。小泉総理郵政民営化論では、郵貯、簡保に課せられた全国あまねく提供する義務、まあユニバーサルサービス義務がございまして、郵貯銀行、そして郵便保険会社に課せられるというふうに理解しておりますけれども、これ、もうからない地域の場合には、やはりどうしても金融サービスがなくなるんじゃないか、撤退するんじゃないかというふうな心配がありますが、これは大丈夫ですか。
  229. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 我々は、金融に関しまして法律上の義務は課さないと、しかしながら実効性のある仕組みでしっかりと国民に必要な金融サービスが届くような、そういう仕組みを作っているということを何度か御説明させていただいてきたと思います。  具体的に申し上げますと、まずサービスを提供する拠点としての郵便局に関しましては、しっかりとした設置基準を作ってその拠点を確保するというのが第一のポイントでございます。その上で、その拠点においてしっかりと金融サービスが提供されるように、まず移行期間に関しましては、長期安定的な代理店契約が存在するということを義務付け、みなし免許を与える条件として義務付けますので、ここで全体的にそういったサービスが提供されるような包括的な一括した長期契約が結ばれるということに相なります。それ以降心配だという御指摘かもしれませんが、これはそういうときのために基金の制度等々もつくっておりますし、また経営判断として一体的な経営が必要だという場合にはそれが可能になるような仕組みも整えているわけでございます。  いずれにしましても、基本的にはネットワーク全体としての価値があるわけでありますので、このネットワーク価値を大事にして、一か所がもうからないから、そのもうからないところだけをつぶすと、こういうことは、やはりネットワーク全体に価値がある以上そういうことはしないというのが原則だと思います。しかし、それでもそういう心配が生じる場合には基金も使えるようにしてある、そのような形で国民にとって必要な金融サービスが届くような制度設計をしております。
  230. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 今のお話でちょっと私、私の理解と違っておりますが、郵便局における委託契約が義務付けられて制度上ないですよね。委託契約の義務付けは制度上はありませんよね。
  231. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 委託契約を、金融の二社に関しましては、そこはみなし免許を受けるに当たりまして、それを長期安定的な代理店契約が存在するということを条件にいたすことにしておりますので、その意味で義務付けられております。
  232. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 今、基金、基金とおっしゃいましたが、私も前にも質問をさせていただきまして、その基金というものが、全体が赤字だということにならなければこの基金という発動がありません。そして、民営化なので、なるべくこの基金の発動というのはなくしていきたい、もう事前に何回か説明受けたんですけれども、そのように言われていまして、なかなか基金の発動というのは難しいんだなというふうに思っておりますので、是非その基金が発動できるようなことについて、じゃ御答弁をいただきたいと思います。
  233. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 金融の問題に関して、これ地域貢献基金を活用すると、その基金を発動するということに関しましては、これは赤字にならないと発動できないということではございません。これは必要な、本当に住民は必要としているんだけれども、金融サービスを提供するとその部分についての費用が賄えないのでなかなかサービスが維持できないと、そのような場合には、そういうことがあり得る場合には、その収支の差額について、全体の損益が赤字であろうが黒字であろうがこの基金が使える仕組みになっておりますので、赤字にならないとこの基金が発動されないというような仕組みにはなっておりません。
  234. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 以上で終わります。
  235. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 民主党・新緑風会の大塚耕平でございます。  通常国会の際には、質問の回数では社民党の又市議員とか共産党の大門議員が恐らくは九回とか十回ぐらい御質問をされたと思うんですが、私は四回でしたが、時間では二百五十五分ということで、今日は四十五分いただきましたので足すと三百になっちゃって、最近、三百前後の数字を聞くとすぐ自民党議席数を想像してしまって、大分心が病んでいるなと思いますけれども。二百五十五分通常国会でお伺いしても十分に理解し切れなかった部分について、並びに国民皆さんがこの郵政法案が一体本質は何なのかということをできるだけ正しく御理解いただけるように、民主党がテレビの前で御質問をさせていただける最後のバッターでございますので、しっかりと質問をさせていただきたいと思います。  私は二〇〇一年に参議院議員に当選をさせていただき、議席をお預かりして今仕事をさせていただいているわけですが、私も以前は金融界におりましたので、日本の財政状況は本当にゆゆしき事態だと、そういう思いで、官から民へ、民にできることは民へ、そして小さな政府ということを主張していた民主党に共鳴をして政治の世界に入ったわけであります。  小選挙区制というものは、もうこれは竹中大臣には釈迦に説法かもしれませんが、必ず第一党と第二党の主張は似てくる。これは是非の問題ではなくて論理的な帰結でありますので。  したがって、総理が、かつて私が共鳴した民主党の主張とほとんど同じことを今おっしゃってくださっていること、これ自体は大変すばらしいことだと私は思っております。問題は、これを本当にこれから実現できるかどうか、そのことに懸かっているというふうに私は思っております。  そこで最初に、今回の法案の目的は何なのか。そもそも論でありますが、まあ目的は多々あろうかと思いますが、今日、午前中の自民党皆さん質疑もお伺いしておりましたら、世耕議員は、国債消化を抑制していくのが郵政改革の重要な目的だとおっしゃり、竹中大臣はそれを否定されませんでした。そして、野上議員の同じような目的についての御質問に対して竹中大臣は、資金の流れを官から民へ変えていく、これが最も大きな目的だと、こうおっしゃられたわけでございます。  そこで、小泉総理に改めて国民皆さんの前で御発言をいただきたいのですが、この郵政法案の、小泉総理の定義による郵政民営化法案の目的は何でしょうか。一番大事なものを一つお挙げください。
  236. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) まず、経済活性化ですね。そして、国民の資産というものをいかに有効に活用していくか。そのためには、私はできるだけ民間の活動できる分野を拡大していきたい。  官は民の補完という言葉がよく今まで言われてまいりました。官業、役所の仕事は民業の補完にとどめようということでありますが、むしろこの考えも私は否定いたしません。当然だと思っております、官業は民業の補完。  そこから一歩進めて、今まで役所の仕事、官業の分野におきましても、民間企業なり民間人でできるんだったらば、その公共的な役所の仕事にも入ってきてもらおう、こういう時代ではないかと思っております。言わば民間企業なり民間人の活躍できる分野を広げていこうということであります。公共的な仕事は役所じゃなきゃできないんだと、公務員じゃなきゃできないんだということでなくて、公共的な仕事でも民間企業でできるならやっていただこうと、民間人でもやっていただこうと、そういう時代ではないかと私は認識しております。    〔委員長退席、理事市川一朗君着席〕  そういう中で、各役所の事業を見直していくと、基本的に、原則的に、私は役所が商売する必要ないと思っています。商売するんだったら民間の方がうまいと。できるだけそういう整理をしていく必要がある。となりますと、郵政三事業、私は、役所が商売している。しかも、この商売はうまいかどうかというと、必ずしもそうでない。だからこそ、この郵政三事業は役所じゃなくても、公務員でなくても、民間でできると。国民の資産を自由に、民間の創意工夫、民間が活力を発揮できるような形で展開してもらう。  同時に、これをやっていただければ公務員が減る。二十六万人の常勤公務員と、一日四、五時間働く十二万人の短時間公務員、これが民営化されれば全部民間人になるんですから、公務員を減らしなさいという要求にもこたえられる。  なおかつ、これが将来、株式会社となって株を売却すれば、国庫にも売却益の収入が入る。現に今まで、電電公社なり国鉄なり専売公社民営化されて二十年間で三十兆円以上の株式の売却益が上がってきている。  と同時に、役所でやっている限り税金負担する必要ありませんけれども、民間企業である限りは必ず民間企業として利益を出そうと努力しますから、努力をする。利益を上げるためにはどういう仕事をすれば利益が上がるか、どういう商品を出し、どういうサービスを展開すれば国民が喜んでくれるか、その中で利益を出さなきゃならない。利益を出せば、必ず法人税なり固定資産税なり等を納めます。  そういうことから、私はこれは不可欠の改革であると。要は、経済活性化をしない限りはこれからの社会保障等負担を考えるにも大変だと。そういう意味から、私は郵政民営化は不可欠だと思っております。  最初に言われた、小選挙区制になれば政党、近くなるというのは、これは当然だと私は思っております。
  237. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 効率的な政府を目指しておるわけですから、我々の時間ももう大変コストが高い時間ですので、私も簡にして要の質問をいたしますので、総理も是非そういう御答弁にお努めいただきたいと思います。  そこで、いろいろおっしゃってくださいました。総理は前、私が御議論させていただいたときに、私は竹中さんのつくった五原則は詳しいよとここで熱弁振るわれて、恐らくあの五原則の一番目の活性化のことを頭に置かれながら今お話しになられたんじゃないかなと思いますが、先ほどたまたま岡崎議員がこの自民党さんのマニフェストも引用されましたが、「郵政民営化なくして、小さな政府なし。」と、こう書いてあるわけですから、やはり小さな政府をつくる、これが私は最大の目的ではないかと思うわけですが、若干個人によってどれが一番かということの認識差があることは理解はしています。小さな政府で特に御異論ないですよね、それも重要な目的だということで。  そこで、しからば小さな政府とは何かということについて、実は大変重要な議論がこの特別国会が始まってから参議院の予算委員会で、自民党の若林正俊議員竹中大臣の間で十月の四日に行われているんですね。今日はその内容も踏まえてお伺いをしたいと思います。(資料提示)  これは資料はお手元に配っていますが、これは資料の中にないです。これも入れると五枚になっちゃうんで、四枚にとどめていますんで、これはこのパネルしかないです。これは、国民負担率、財務大臣の御担当の分野です。よく財務省が御引用になる数字ですが、日本国民負担率は三五・九%。これは資料の中にはないです。恐縮です、これだけしかないです。三五・九%、アメリカに次いで低いんですね。  財務大臣にお伺いしたいんですが、日本は今、小さな政府ですか、大きな政府ですか。
  238. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 私は、これは人によって違うかもしれませんが、私の個人的な考えを申し上げますと、一般的に小さな政府、大きな政府という議論をするのがどれだけ意味があるのかなと思っているんです。今よりも小さな政府に持っていくかどうか、今よりも大きな政府に持っていくのかどうかって、そういう議論が私の考えでは正しい議論の在り方ではないかなと思っておりまして、私は、今よりも小さい政府に持っていく必要があると、こういうふうに考えております。
  239. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 そうすると、先ほど実は総理答弁の中で、できるだけ税負担の小さい国が目指すべき姿だとおっしゃったんですね。今、谷垣大臣も、相対的にどうかということは別にして、もっと小さくしてもいいとおっしゃったわけですよ。そうすると、この青いところが租税負担ですが、二一・五%、これもっと下げる方向に持っていくわけですね。これが郵政民営化を行うと何らかのステップを踏んでそうなるという理解でよろしいですか。
  240. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) その中に、三五・九%という数字は社会保障と税と租税負担率で計算しておりますが、私、財政担当ですからどうしてもそういう頭になるのかもしれませんが、いわゆる潜在的負担率という議論がございますね、やはり赤字を大変持っていると。そういうものが将来どういうふうになっていくかということを考えなければならないとすると、やっぱりそこをどうしたって圧縮していかなきゃいかぬという気持ちは持っております。
  241. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 私も今、この見た目の国民負担率が低いからといって今が小さな政府だとは思っていません。だから、なぜ国民負担率が低いのに日本は大きな政府になっているのかというこのマジックについて、実は財務大臣総理竹中さんも国民にしっかり御説明いただく必要があるんですね。何となれば、竹中さん笑っていますけどね、財政金融委員会、元はよく御出席いただいていましたが、竹中さんも。必ず国民負担率を上げるときの議論をすると、いや、日本国民負担率が低いですからとおっしゃるんですよ。とすれば、今は小さな政府なんです、この定義上は。  実は、十月四日の議事録を拝見すると、竹中大臣は、小さな政府というのはなかなか定義が難しいと。一般政府の支出規模ではそれほど大きくないけれども、公的債務の規模では大きいと、なかなか定義が難しいと。そして小泉総理は、小さな政府というのは本当に難しいことだから、今それを検討させているんですとおっしゃったんですね。いつ結論が出ますでしょうか。
  242. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは比較の問題もあるし、それから、将来ほっておくとより大きな政府になるから、今から小さい政府になるように努めなきゃならないということもあるんです。これは大事なことで、国民負担率だけ比較すれば出るものじゃないと私は思っているんです、比較の仕方も。国債の発行も含めなきゃならない面もある。  ですから、今のままでいくとどんどんどんどん大きな政府になっていきますよと、負担が増えますよと。だから、できるだけより小さい、言わば簡素で効率な政府を目指さなきゃならないということなんです。それをどうやって分かりやすい基準にしようかというのを今検討しているわけです。  表現で、小さい政府というのは分かりにくいと言うから、ではどういう表現がいいか。例えて言えば、じゃ、小さな規模がいいかというと、これもまた分かりにくいなと。規模とは何かと、人によって規模、取り方も違う。だから、そこで、小さい大きいというので、専門家の方は分かっている中で議論をしているんでしょうけども、これを専門的な資料とか材料がないままで国民が一般、受けるとちょっと分かんないなということでありますので、これもっと小さい大きいというものについては分かりやすい定義が必要だなと思っています。今ちょっとはっきりこうだと言えないのは残念でありますけども。
  243. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 別に、今はっきりこうおっしゃっていただきたいと質問したわけではなくて、いつ結論が出るのかとお伺いしたわけですが、まあ、いいです。  私なりの見解を申し上げますと、大体五つぐらいのベンチマークしかないんです。一つは歳出の規模、もう一つは歳入の規模、それから国債の発行残高、さらには日本全体の資金循環に占める公的部門が吸収する割合、これちょっと難しいですけどね。それから最後は、総理のお好きな公務員の人数、大体この五つぐらいしかないんですよ。で、この五つそれぞれについてきっちりとした数値目標を出されないと、とても小さな政府はつくれないと。  そこで、なぜ、なぜ国民負担率が見た目こんなに低いのに日本は大きな政府なのか。それはもう、谷垣大臣、分かっておられるのにお答えにならないのはずるいですが、これは国債発行残高が大き過ぎるからですね。国民は、財布の中から税金と社会保険料以外は政府に預けていないわけですから。税と社会保険料がこうだということは、ほかで何らかの形で財源を調達しているわけですよ。それが国債なわけです。  そこで、今回の郵政法案、これに書いてありますね。「郵政民営化なくして、小さな政府なし。」と。  竹中大臣に是非お伺いしたいんですが、郵政民営化をすると国債の発行残高は今後減るという理解でよろしいですね。
  244. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 先ほど委員、歳出歳入残高、資金のウエート、公務員等々おっしゃいましたけれども、私たちは、政府の規模って確かに分かりにくいですから、具体的に数値の目標を大胆にできる範囲で作って、それで改革を進めていこうとしております。そういうふうに一つ一つきめ細かくやはり見ていかないとこの議論はできないと思っております。  それに関しまして、例えば残高というふうにおっしゃいましたけれども、残高をこう集約している政府のバランスシート、資産、負債がありますけれども、それについては十一月を目途にその方針を作るということをもう骨太の方針に明記をしておりますし、資金のウエートの中の一つの政策金融に関しても十一月ごろを目途にその基本方針を作るということを明記をしておりますし、公務員に関しては、公務員の数だけではなくて人件費についてそうしたことの基本方針を作ろうというふうに明記をしておりますので、そういう中でしっかりと議論をしていくということにしております。  郵政民営化がどのような形で小さな政府に資するかということに関しては、これは国債発行残高で測れる部分もありますけれども、それだけではマージナルなといいますか、限界的な数しかなかなか見えないというふうに思いますので、私たちは、これはよく引用させていただきますけれども、慶応大学の跡田教授が引用されているような数字で、家計の資金調達に占めるウエートが今政府二六%、これが五%になりますという数字を示させていただいております。これやはり大きな変化であると思います。そして、企業の資金調達に占めるウエート、これちょっと数字今あれですけれども、たしか一九%から六%になると。したがって、家計の資産のウエートで見ると五分の一になります。そして、企業の資金調達で見ると、これは政策金融改革とも相まってですけれども、三分の一になります。そのような、やはり出口入口を合わせれば明確な効果が出てくるというふうに思っております。
  245. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 竹中大臣には、私が一番お伺いしたかったことを、通常国会の議論のときに、総理のいないときにやらせていただいたことをもう一回今再び御答弁いただいて、ありがとうございます。その話がしたかったんです、私は。  ここから先は、皆さんのお手元にも資料をお配りしてますが、日本の財政がどうなっているか。(資料提示)これは私自身で作っている絵ですので不正確かもしれません。  国の一般会計の議論、これは国会で随分やらせていただきますから、大分いろんなことも分かってきて、塩川財務大臣の時代から、無駄遣いは駄目ですよというお話をしたら、塩川さんも興奮しながら、それは分かってますがなとか言いながら一生懸命やっていただいて、これは大分良くなってきたんです。ところが、その下に特別会計があります。この特別会計については、せんだって予算委員会で我が党の前原新代表が総理と議論をさせていただきました。そして、さらにその下に独立行政法人や公益法人もろもろあって、さらにその下にファミリー企業があるわけですね。ファミリー企業との間の矢印がつながってないんで、これちょっと矢印が一個抜けていますけれども。  例えば、この国管轄の公益法人、総理、ここに入っている数字は数ですよ、七千九、最新の数字で。そして、国で無駄遣いを我々が国会で明らかにしようとすると、地方分権、地方分権といって、地方分権はいいことなんですよ、いいことなんですが、今後、監視の目を行き届かせないまま地方にざっとお金が流れていくと、地方でも同じことが起きるんです。地方の普通会計には特別会計もちょっと入っています。そして、その下に地方にしかない地方三公社があって、その下の公益法人の数見てください、総理、一万八千九百八十七。これが日本の財政の構造なんですよ。そして、様々な公的組織ないしは見た目は株式会社でも公的に何らかの事業を請け負ったり受注をしている企業などが、様々な形で公的資金、予算を中心とした公的資金を吸収しちゃっている。そのことが日本民間経済を疲弊させている。だから、竹中さんがおっしゃる五原則の官から民へ、経済活性化というのは本当に重要なことなんです。反対しません、私は。  そこで、今、竹中さんがおっしゃった、竹中さんがおっしゃったのはこれですね、六月一日の経済財政諮問会議の配付資料。(資料提示)これは私が作ったんじゃないです、これは。これは前のこの委員会で、そのときはパネルなしで、総理いらっしゃいませんでしたので、紙でお配りしてごらんに入れました。  今申し上げましたように、さっき私が五つの指標を申し上げましたが、歳出歳入、国債発行残高、そして資金循環に占める公が吸収する割合、そして公務員数、何が一番重要かというと、プロ的に言うと四番目ですよ。民間のお金を公的部門が吸収する割合を下げるというのが郵政改革の目的であるはずなんです。竹中大臣は、この絵を基に、この数字は、外に書いてある数字が二〇〇三年の資金の動き、そして郵政改革後、二〇一七年にはどうなるかというのが括弧内の数字、このことをよくおっしゃるんですが、以前も私、指摘申し上げましたように、この真ん中にある中央政府と地方政府、この中央政府と地方政府が郵政民営化によって、将来、今よりも国民皆さんの財布の中から持っていくお金の量が減らないと駄目なんですよ。  ところが、二〇〇三年には六百十兆円、この中央政府と地方政府に矢印が入っていっているのに対して、二〇一七年には、郵政民営化すると、なぜか千五十兆円に増えるんですよ、総理。全然今までおっしゃっている話と違う。そして、それは、これを申し上げると、また竹中さんが、いやいや、竹中改革が成功して経済はこれから成長しますからとおっしゃると思うんですが、それを加味した上でも、つまり実額でいうと分かりにくいので、官が資金吸収する割合はどうなるかというと、二〇〇三年には、この絵ですよ、政府が出したこの絵によると、七三・五%から七五・八%に増えちゃうんですね。  だから、私たちは、なぜ通常国会で、参議院は本当にまじめに自民党皆さんも含めて議論をしました、真摯にお答えいただいたと思いますが、なぜこの法案を信用できないかというと、総理は、郵政民営化で小さな政府になる、官から民へとおっしゃりながら、政府が堂々と経済財政諮問会議で出してきているこの数字によると、二〇一七年には官が吸収する資金の量が増えちゃうんですよ、総理。この矛盾はどういうふうに御説明してくださるんですか。いや、総理です。
  246. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは国債発行と別に考える必要もあるんです。国債の依存度を減らす、これは郵政民営化とは関係ありません。郵政民営化とは関係ありません。郵政民営化してもしなくても国債の依存度は減らしていかなきゃいけないんです、国債の。そこをまず分かってください。このまま国債に依存して財政再建なんかできっこないですよ。
  247. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 そのとおり。そのとおりです。
  248. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) そうでしょう。  だから、郵政民営化の必要性、だからといって郵政民営化の必要性は変わりませんよ。郵政民営化が成したから国債発行減るかどうかというのは政治の別問題です。そこをはっきり分かってもらわなきゃいけない。国債発行減らすというのは正に政治の意思なんです。  それを、これからの財政再建で、このまま税収も減らない、規制改革もしない、そういう中でやったら、増税は反対というんだったらばますます国債発行をせざるを得ませんよ。今は国民の力以上に、子や孫の世代に借金をしているから我々かなり豊かな生活ができるんです。この国債発行の依存度をいかに減らしていくというのは、これは政治の重要な課題であります。  だから、郵政民営化郵政民営化の問題である。もう一つは、財政再建として国債の発行をいかに減らしていくか、国債の依存度をいかに減らしていくか、これは大事な政治課題です。
  249. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 いや、分かりますよ。郵政民営化が大事、しかも、総理が二十年来の自分政治課題としてやっているわけですから、重要なのは認めますよ、それは。財政再建も大事、これもおっしゃるとおり。だけれども、郵政民営化したら小さな政府になるとおっしゃっているのは総理じゃないですか。
  250. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 当然ですよ。当たり前じゃないですか。郵政民営化しないでどうやって小さな政府を目指すんですか。民間にできることを役所にやらせて、公務員にやらせて、どうやって小さな政府できるんですか。そうでしょう、そう思いませんか、そうでしょう。だから、郵政民営化郵政民営化、国債の依存度を減らす、これはもう政治で、別です。していかなきゃならないんです、財政再建は。
  251. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 もう一度お伺いします。  小さな政府というものの定義の一つには、国債発行残高を減らすということも入っている。したがって、小さな政府ということは国債発行残高を減らすということも総理は目指されているはずで、郵政民営化なくして小さな政府なし、ここのフレーズではこうですけれども、ほかの場面の説明、御説明では、小さな政府になるんだというそこの因果関係があるかのような御説明を今までさんざんしてこられたわけですから、これ最後、NHKテレビの前で国民皆さんが、そして民主党に票を入れていただいた二千四百八十万票の皆さんが一番聞きたがっているところですから、是非、郵政民営化をすると国債残高が減る、そして小さな政府になるというところの因果関係を説明していただきたいんですが、先に申し上げておくと、この経済財政諮問会議の図ではそうなっていないこととの矛盾も含めて御説明ください。
  252. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 全く矛盾していませんよ。郵政民営化しないでどうやって小さく政府をできるのか、これはまず大塚さんも認めている。当然でしょう。
  253. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 まあ例えば人員が減るとかはそうですね。
  254. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 人員、役人も減る、公務員も減る、民間にできることは民間、やっている趣旨に沿う。それと、これをやっても改革を進めないで依然として国債発行に依存するという政党が出てきたら、政権政党ができたら、小さな政府できませんよ。  だから、これからは財政改革、歳出の、歳入構造の見直し、社会保障の改革、あらゆる改革をつなげていかなきゃいけないんです。そこが改革を止めるなということなんです。その基本的な郵政民営化、ごく当たり前のことまで政界が反対して何が改革だというのは、私はそれが趣旨なんです。
  255. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 いや、総理はもう政治家としては大先輩であられますし、当然御自分で御答弁されている内容をよく御理解いただいた上で御答弁いただいていると思いますので、恐らく一番私がお伺いしたいと思っているところは少し飛躍をして御答弁なされているというのは、御自身も自覚はあられるはずです。いや、いや、いいです、もうこれは多分同じこと聞いても同じことをまた御答弁されますので。ただ、その御判断はテレビをごらんになっている国民皆さんにお任せするしかないです、これは。  今日は日銀総裁をお呼びしようと思ったらちょっと御都合悪いようですので日銀は来ていただいていませんけれども、これ皆さんのお手元にあるグラフです。(資料提示)財務大臣には以前一回財政金融委員会かどこかでお見せしましたが、総理、是非ごらんください、お手元にありますので。  日本の国債発行残高の対GDP比、これ赤い線とか、それから日銀の保有残高、銀行券の発行残高の対GDP比とか、このグラフをごらんいただくとほとんど終戦直後ないしは終戦直前と今同じ状態まで来ている。しかも、この赤い線というのはFB、TBという、ちょっと専門用語で恐縮ですが、谷垣大臣が一年以内にお返ししますからといって発行している短い政府債務も入っているんですが、これ一年以内でお返しいただかずに、一応期日が来ると返しますけれども、また借りるといって、ずっと言わば転がしていますからね、根雪になっている部分ですから、それを入れると、もうほとんど戦前のハイパーインフレが起きた時期と同じ状況まで来ているわけなんです。  昨日、国債の長期金利は一・五六五%、今日はどうなっているか分かりませんけれども。もうこの国債の発行残高をどうするか、そして、長期金利をどういうふうに制御していくか、これは確かにどこの政党が政権であったとしても取り組まなければならない問題であって、何か民主党がやれば簡単にできるとか、そんなことを申し上げるつもりはさらさらないです。  竹中大臣にちょっとお伺いしたいんですが、これ、マーケットに混乱が起きないように制御しようと思うと、例えば一年間あるいは半年間の長期金利の上昇が一年間あるいは半年間の金利収入の範囲内のロスに収まるように長期金利を制御していかないと、金融機関とか、それからその他国債を持っていらっしゃる機関投資家は大変なことになっちゃうんですが、大体年にして何%ぐらいの長期金利の上昇にとどめたいというふうに今お考えになっていますか。    〔理事市川一朗君退席、委員長着席〕
  256. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) そのような明確な指標は持っておりません。少なくとも私のポジションとして言うべき数字ではないと思っております。  一つ重要なことは、そうした市場が安定的に推移するために一番重要なこととして私たちが情報を発信し続けなければいけないのは、日本の財政が非常に厳しい状況にある中でも健全化の方に向かっていると、その姿を明確に示してその情報を発信していくことであろうかというふうに思っております。
  257. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 いや、小泉総理の在任中に国債発行残高が増え続けているということは、先ほど岡崎議員も指摘申し上げましたし、せんだって、我が党の尾立議員が本会議でも申し上げました。そして、多くの有識者の皆さんも指摘しておられる点ですので、着実に改善に向かっているという今の竹中大臣の御答弁は事実に反しませんか。
  258. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 我々は、今毎年の政策的な支出をそのときの税収で賄えるようにする、つまり基礎的財政収支を均衡させるために毎年毎年の年々の財政赤字を着実に減らしております。  いわゆる基礎的な財政赤字は、かつてGDP比五・五%であったものが今四・〇%にまで低下をしてきて、このペースを続けていけば二〇一〇年代の初頭にいわゆる基礎的財政収支を均衡させるということができると考えております。つまり、そのときまでは残念だけれどもGDP比に占める国債残高は増え続けます。これはしかし、致し方ないことだと思います。  ちなみに、民主党のマニフェストにおきましても、これから八年間は、民主党が政権を取ってもですよ、これ要するに国債残高は増え続けるわけですよね。これはやはり、与野党問わず、日本経済が抱えている問題としてしっかりと甘受しなければいけない問題だと思います。  いずれにしても、基礎的な財政収支を年々減らしていくということが、大変、赤字を減らしていくということが重要でございます。
  259. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 いや、今の御答弁自体は真摯な御答弁だと思いますよ。国債の発行残高が増え続けていることは否定しなかった。ただし、基礎的財政収支、プライマリーバランスの赤字幅で大臣は見ておられるということをおっしゃったんで、それはそれで理解できます。  そして、日本最大の問題は、これは財務大臣よく御承知のとおりですが、これだけ発行している国債をだれが持っているか。だれが持っているかというと、その五四・七%、半分以上を政府と中央銀行が持っているんですね。個人は三%しか持っていないんですよ。個人の皆さんは持っていないつもりでいますけれども、この政府の、政府、中央銀行の五四・七%のうちの政府は四〇・二%。その四〇・二%の原資になっているのが郵貯、簡保なわけですよね。  だから、郵貯、簡保を今回、小泉総理の肝いりで改革をするということは、まさしくこの日本の悲惨な財政状況をどうするかということに直結する問題だからこそ、だから小さな政府にするということについては間違っていないと申し上げているんですが、そこの因果関係を説明してくれと言ったら、郵政民営化と財政再建は別々の目標だとおっしゃるというのは、これはちょっと理解に苦しみますね、総理。いや、首ひねっていらっしゃいますけれども、首ひねりたいのは私の方ですよ。  そこで、もう時間が大分たっていますので、この質問はまだこれから繰り返し、来年の通常国会も一番重要な論点になってきますので、政府系金融機関の問題も含めて引き続きやらせていただきますが、先ほど小さな政府の定義はこれから考えるというふうにおっしゃいましたし、まあ難しい問題だというのも分かります。私はさっき五つの指標を申し上げましたので、五つについてはできるだけきっちり指標を出していただきたいと思いますが、それ以前の問題として、政府とは何かということをきっちり定義をしていただきたい。  これは少しプロっぽい絵ですが、(資料提示)今、最近は研究者の皆さんも、竹中先生が、教授がこうやって政治家になられるように、政治に興味を持っておられる研究者が増えていますので、結構見ています、みんな。だから、研究者の皆さんにとってはぴんとくる絵ですけれども。  いわゆる一般政府というのは、一般会計と特別会計で構成される中央政府、地方政府、そして社会保障基金がある。そのほかに公社公団、公益法人。さっき私が、地方だと二万近くある、国の所管でも七千幾つと申し上げましたが、両方合わせると二万五千以上ですよ、そういう公益法人。そして、人によっては中央銀行も政府の一部だと言う人もいる。この中のどの部分を小さな政府にするのかということを次の通常国会までにはきちっと定義をしていただいて、そして、それを達成するための具体的な数値目標が、さっき申し上げました五つがベンチマークなんですね。  この中で重要なのは、総理、よくごらんいただきたいのは、一般会計が対象になるというのは大体だれでも想像付きます。そして、特別会計。これ、この間、前原代表が予算委員会でお伺いしました、三十一会計。特別会計の歳出だけで二百兆超えているんですよ、純歳出だけでですよ。これ、我々国会議員はほとんど国会で議論できない、特別会計。でも、これ当然、小さな政府の対象に入れていただかないといけない。  そして、実は地方政府。中央だけ貧乏になっちゃって、地方も今貧乏ですからね。しかし、じゃ、地方は自由にしていいよというと、そういうわけでもないから、三位一体改革とかやっておられるわけですね。方向は合っていますよ。で、地方政府。  しかし、この社会保障基金。社会保障基金に手を付ける前に、この外側ですよ、公的組織公社公団、公益法人。だから、今回、郵政公社を相当目を付けてやられた、それは理解はできます。理解はできます。しかし、郵政公社総理のおっしゃる改革でどのように小さな政府につながるかということをきちっと御説明できないということは、この全体像について総理がどのように御理解になっているかということについて、私自身はすぱっと入ってこないんですね。  で、まあその郵政公社が人員としては一番大きいです。しかし、そのほかに、さっき申し上げました二万五千もある公益法人、全部がひどいとは言いませんよ、ちゃんとした公益法人も一杯ありますから。ただ、かなり多くは、大変申し訳ないんですが、ここにも役所の方一杯いらっしゃいますけど、役所の方が天下りをされて、特段仕事をすることはないんだけど、官庁や、あるいは官庁からのワンクッション、ツークッションを経た予算が流れてきて人件費だけを賄うような、そういう公益法人が山のようにあってですね。  私が申し上げたいのは、来年医療制度改革やろうとしているわけですから、医療制度改革やるということは社会保障基金に手を付けるということですよ。その前にこっち、つまりこの青で色を付けているのは、概念一、二、三、四、五、六、七、どれでいきますかという話です。やっぱり最初に手を付けるべきは、最初のアプローチは七であるはず、あるべきです。一般会計をやり、特別会計をやり、地方政府をやり、そして公的組織をやり、その次に社会保障基金。そういう順番になってないから、例えば今日参議院採決をされている障害者自立支援法などについても、障害者の皆さんがそれこそ直観的にみんな反対しているわけですよ、順番が違うだろうと言ってですね。  総理は大変な今権限を手にされたわけですので、この順番を間違えないで、与野党に関係のない政治課題を今しっかりやっていただかないと、申し上げたくないですけど、こういう状況をつくったのは、細川政権の八か月を除いて、政権与党にあった自民党皆さんですからね。だから、総理自民党を変えたとおっしゃるなら、それはそれでいいことだと思いますし、私はある程度変わったところもあるかなと、世耕さんみたいな人も出てきたし、野上さんみたいな人も出てきたし。  だけど、本当に総理のおっしゃるようになるかどうかというのは、もう一回申し上げます、次の通常国会までに政府部門というのはどの定義でいくのか、そしてベンチマークをどうするのか。そして、そのときに、もう一つは、この中央銀行と公的組織の間では大きな溝があって、中央銀行より左っ側は小さくしたけど、中央銀行に国債を山ほど引き受けさせればバランスは取れるという発想でやると、この折れ線グラフは天井を突き抜けていきます。まあ、このことはもう竹中さんが一番よく御存じの話ですから、もう私はこれ以上申し上げません。  総理に、済みません、私も最後、総理にお伝えしたい言葉があるので、二分ほど残してお話しいただければ大変助かるんですけれども、もし私が今申し上げましたことに御所感があればで結構でございます。
  260. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) まず、小さな政府というからには、政府とはどういうものかということを示す必要があると、まあそうだと思います。この対象範囲というものをこれからどのように提示して、国民の合意を得ながら小さな政府を目指していくか、国の役割等を縮小していくか。一番分かりやすいといったように、一般会計、特別会計、公社公団、確かに分かりやすいと思います。そういう分野の中においてできるだけ公的関与を減らしていく、国債依存度を減らしていく、これはもう当面だれが考えてもやらなきゃならない問題であります。で、今言ったカード、図で出された分野、今後よく調査してみたいと思っております。そして、お互いが小さな政府、大きな政府はどういうものかと、政府とはどういうものかという、分かった上で議論をしないとかみ合わない面がありますから、その点はいい御指摘だったと思います。
  261. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 今更申し上げてもなんですが、私はこの小さな政府なし、郵政民営化なくして小さな政府なしというのも、もう定義とかもう中身がはっきりして書いておられるのかと思ったらまあこれからだということですから、まあいいです、いいです、まあこれからしっかり議論しましょう。
  262. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 郵政民営化なくして小さな政府、それ当然ですよ。こんなことできなくてどうして小さな政府できるのかと。だから、その部分は正しいんですよ。そんな、小さくできるのに反対していた勢力がいたということが信じられない。それをぶち壊したということは良かったと。
  263. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 私も別に全否定はしませんので。いやなかなか、こんなに議論さしていただいて楽しい閣僚はほかになかなかいらっしゃらないんで、すばらしいことだと思いますよ。  ただ、総理一つお伝えしたいことがあります。一分ぐらい時間をオーバーした場合にはお許しください。  総理に是非お伝えしたい言葉があって、本会議で一度申し上げたんですが、塩川大臣、当時の、総理にお伝えくださいと申し上げたんですが、伝わっていないと思います。私は愛知県の出身でありますが、愛知県は御承知のとおり三英傑が出ておりますが、徳川家康、徳川家康の遺訓というのは有名です。重き荷を負うて遠き道を行くがごとしですね。しかし、もう一つ遺言というのがあるんです。これをお伝えしたくて、総理のいないときに本会議で申し上げましたが、今日やっとお伝えできました。天下は一人の天下にあらず、天下は天下の天下なり、たとえ他の人天下の政務を執りたるとも、四海安穏にして万人その仁恵を被らば、もとより、家康が本意にしていささかも恨みに思うことなし。これは遺言なんですよ。岡崎城の石碑として残っています。政権はお一人のものではなくて、政治というのは国民全員のものですから、国民全員に公正にその政治の恩恵が行き届いているならばもとより民主党の本意でございますので、いささかも恨みに思うことはございません。そのことを申し上げまして、この法案についての民主党の最後の質問を終わらしていただきます。
  264. 大門実紀史

    大門実紀史君 日本共産党の大門実紀史でございます。  先ほどもございましたけれども、何回も質問をして否決した法案をまた総理と議論しなければならないというのは、もう悪い夢でも見ているような気分でございますけれども、とにかく前回も申し上げましたとおり、お聞きしたことに真っすぐ簡潔にお答えをいただきたいということをあらかじめ申し上げておきたいと思います。  総理は、官から民になれば国民サービスが良くなるということを盛んに言ってこられました。そう思っておられる国民皆さんも多いかもしれませんので、この点について端的にお聞きしたいというふうに思います。  郵貯が民営化されれば、民間の市場原理の民間銀行になるわけでございます。本当に今よりも国民サービスが良くなるのか。今郵貯のサービスの中で一番喜ばれておりますのが、振り込み料が安いということでございます。これはどうなるかということを端的にお聞きをしたいと思います。(資料提示)  お手元にも資料をお配りいたしましたけれども、今、郵貯の場合、郵便局から郵便局に送る場合は百二十円、郵便局から民間の、提携しているところですけれども、送る場合は二百九十円となります。これは民間の世界になりますと、書いてありますとおり、一つの銀行のほかの支店に送る場合は五百二十五円、他行扱い、ほかの銀行に送る場合は八百四十円になります。これは民間の世界でございます。  郵貯が民営化されてサービスが良くなるとおっしゃっておりましたけれども、振り込み手数料というのはサービスの基本的な中身でございます。郵貯が民間銀行になって、この振り込み手数料上がらないと、上げないということをはっきりと言えるんでしょうか。
  265. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは、民営化になったら、政府、総理大臣が、上げるな上げろなんて言えるわけないじゃないですか。
  266. 大門実紀史

    大門実紀史君 だから、サービスが良くなるとおっしゃっているから聞いているわけですけれども、民間になれば良くなるとおっしゃっているから聞いているわけですが。  じゃ、上げないとは言えないわけですか。いや、総理にお聞きしているんですよ。
  267. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 民間企業のことにまで政治が、政党が、政治家が口出す、料金まで上げろ上げろなんて言うことはできないということを言ったわけです。  民間になれば、安い料金も設定されるし、高い料金も設定される。どちらの金融機関選ぶか、国民が選ぶわけですから。そういう政治の関与はなくなる、民間の自由な創意工夫が発揮される、そういう環境をつくっていくのが政治として大事だと思っております。それを、幾らになる、そんなこと政治家に聞いて分かるわけないじゃないですか。
  268. 陣内孝雄

  269. 大門実紀史

    大門実紀史君 竹中さん、いいです、もう。  要するに、私がお聞きしているのは、そういうこと……
  270. 陣内孝雄

  271. 大門実紀史

    大門実紀史君 済みません。幾らになるかということを聞いているわけじゃなくて、今より良くなるのかどうかと、サービスがという点でお聞きしたわけです。  申し上げておきますけれども、郵貯銀行は民間になれば新商品を出したりいろいろビジネスモデルを展開していくと。そうなりますと、私は、この民間の世界ですね、全銀ネットですね、こちらに入ってやっていかないと新たな展開というのは私は難しいと思いますから、私は徐々に上がる方向に、一遍にかどうか知りません、上がる方向になるのは間違いないと思いましたので、国民皆さんが、サービスが良くなって、あるいは今より下がるとか、下がることはないと思いますが、今のままだとか誤解されている方いるんじゃないかと思ったので総理にお聞きをした、それだけのことでございます。  私は……
  272. 竹中平蔵

  273. 陣内孝雄

  274. 大門実紀史

    大門実紀史君 いや、いいです。
  275. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 済みません、ちょっと一点だけ、申し訳ありません。
  276. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) ちょっと、はい、答弁してください。
  277. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 大門委員のお主張はお主張として、ちょっとその事実関係としまして、その図なんですけれども、郵便局が百二十円で民間が五百二十五円というような対比をしておられるわけですが、これは、百二十円というのは翌日以降届く遅いものと早いものをちょっと比較しておられるようですので、これは公社の場合でも電信の場合は三百四十円ですから、そこはちょっと正しい比較を是非していただきたいと思います。  ちなみに、三万円以下のものに関しては公社よりも安いものも民間では存在をしております。
  278. 大門実紀史

    大門実紀史君 私は五万円の場合でケースつくってありますので、資料に書いてありますけれども、もう細かい話はいいんです。要するに、サービスがどうなるかということをお聞きしたかったわけでございます。(発言する者あり)資料、間違っておりませんので、誤解のないようにしてください。  私は、民営化国民サービス良くなるとは限らないと、民間の市場原理というのはそんな甘い世界ではありません。特に金融の世界は大変厳しい世界になっておりますので、郵貯よりも良くなるということは私は言えないというふうに思います。  この民営化で何か国民一つでもいいことがあるのかというふうに私はずっと疑問を持って質問をしてまいりましたけれども、要するに、だれが得するのかと、だれが喜んでいるのかと。  これは、総選挙自民党が圧勝をして歓迎をしている、それを歓迎して喜んでいる人たちが露骨に、ありのままに表明しております。一つは、日本の銀行業界、生命保険業界の方々で、早期に改革が実現することを、この郵政ですね、歓迎するコメントを発表しておりますし、日本の新聞は余り取り上げませんが、アメリカ、欧米の新聞は、ウォール・ストリート・ジャーナルもフィナンシャル・タイムズもそうですけれども、非常にはっきりと書いていますけれども、この郵政民営化で得をするのはアメリカのビジネス業界、金融業界ですね、それとアメリカ政府だということも言っておりまして、この選挙の結果を踏まえてそういうことを発表をしているところでございます。  お手元に資料を配付いたしました。アメリカの議会下院で、歳入委員会が九月の二十八日に開かれております。この公聴会の議事録をお手元にお配りをいたしました。  アメリカの議会で日米経済・貿易に関する公聴会が七年ぶりに開催をされて、ここで、今後日本郵政民営化の過程にどうアメリカの要求を入れさせるか、議会として入念に議員が担当者を点検しております。  質問に答えて、ウェンディー・カトラーさん、これは米国通商代表部日本担当の代表補ですけれども、いろんなことを答えています。全部紹介いたしませんが、要するに、アメリカにとっては生保と損害保険のこともありますけれども、この日本郵政民営化というのは最重要課題であると、ホワイトハウスも財務省も国務省も緊密に協力していると、政府を挙げて取り組んでいるということ。  で、私、注目しましたのは、そのために在日米国大使館は、日本でこの課題に取り組む重要人物たち、キープレーヤーとウイークリーミーティング、週に一回の会合を行っていると。さらに、率直に言うならということで、日本政府の中に我々の立場に大変共鳴する人たちがいるというようなことを、これ議会の証言ですから重いわけですけれども、答えております。議会の証言ですから私は根拠があってきちっと答えていると思いますけれども、この課題に取り組む重要人物、キープレーヤーとはだれのことなのか。あるいは、毎週定期的に何を話し合っているのかというのは、もう向こうは証言しておるわけだから御存じだと思いますから、教えてください。
  279. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 今、これ初めて見せていただきましたが、よく分かりません。このプレーヤーと称する方々日本人なのかアメリカ人なのかも含めて、これはよく分かりません。
  280. 大門実紀史

    大門実紀史君 これは日本人です。日本の方です。これは前回、前国会で、私、アメリカと十八回協議していると、うち十一回はアメリカ政府と協議をしているということをお聞きしましたけれども、それとは別ですね、この毎週のミーティングというのは。
  281. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) ちょっと私の知らないことですので、お答えする資格もありませんし、立場にもございません。
  282. 大門実紀史

    大門実紀史君 向こうの議会での証言ですから、私、重い証言で、根拠があると思います。  そもそも、我が国の法案についてアメリカ大使館と毎週会合を開いて打合せすると、こんなことは異常だと思われませんか、竹中さん。
  283. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) ですから、その打合せをしているのがだれなのか、大使館の方、中のアメリカ人なのか、どこかの日本の方なのか、それも分かりませんので、私には何とも答えようがございません。
  284. 大門実紀史

    大門実紀史君 向こうの議会の証言ですから、それだったらきちっと調べて、調べて御報告いただけますか。
  285. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) そういうことを調べる立場にはございません。
  286. 大門実紀史

    大門実紀史君 調べる立場にないことはないと思いますけれども、いかがですか。
  287. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 私は郵政民営化準備室等々の担当をしておりますけれども、USTRは担当しておりません。
  288. 大門実紀史

    大門実紀史君 そうしたら、USTRは外務省の担当でございますね。総理、調べていただけますか。
  289. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 何で調べるんですか。関係ないことですよ。アメリカが関心を持っているということは結構だと思いますよ。日本改革に進んでいるのか、邁進しているのかと。その日本郵政民営化というのは日本経済活性化を与えるなと。アメリカの進出のチャンスがあるのかと考えるのは自由ですから、アメリカが。日本に進出したいならどうぞ、できるようにしてくださいと、歓迎しますよ。
  290. 大門実紀史

    大門実紀史君 国会で質問しているわけですね。国会委員会で質問して聞いているわけです。それで、今分かりませんとおっしゃったから、それならば調べて答えてくださいと言っているのを、なぜ調べなきゃいけないとは何ですか、その言い方は。国会に対して何ですか、総理といえど。  委員長、これ、ちゃんと理事会で諮ってください、これをちゃんと出してもらうように。よろしくお願いします。
  291. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 後刻理事会で協議いたします。
  292. 大門実紀史

    大門実紀史君 私は、なぜこれを申し上げるかというと、次のことにもかかわるんですけれども、総理は二十年前から郵政民営化は言ってきたとおっしゃっておりまして、私はその何年前から言われたことは興味ありません。要するに今、今アメリカの要求が取り入れられているということを再三指摘しているわけでございます。これは、前国会でアメリカのUSTRの公式文書、政府の公式文書に日本にアメリカの要求を入れさせたと書いてあるから聞いているわけですね。その基になっているのが、週一回会っているとかそういう話になっているからお聞きしているわけですから、端的に、興味本位で聞いているわけではありませんので、先ほど委員長からありましたとおり、きちっと後で答えてもらいたいと思います。  事は郵政民営化だけではございません。この十年間、ことごとくアメリカの要望というのが日本の法改正で実現をしてきております。もちろん日本の財界の皆さんの要望もありますから、アメリカだけの要望とは言いませんが、アメリカの要望が、大店法の問題、商法の問題、労働法制の問題、会社法の問題、そして郵政民営化ということでずっと取り入れられてきています、日本の法改正に。更に言えば、今度は医療制度改革、混合診療、株式会社参入、これがアメリカの方の要望になっていて、日本でも議論が始まっております。こういう、全体像としてこれは異常じゃないかと私は思うわけです。  異常なのは仕組みの方です。これは単に単発で要求を取り入れたということではありません。アメリカと日本で年次改革要望書というのを十年前から取り交わしております。それが、それに対する回答を、大体サミットの時期ですかね、首脳会談で出すと。で、それで実現したものを、アメリカは貿易障壁報告書というものをアメリカ国内に向けて出して、成果を取ったと、日本に実現させたということを、前にも紹介いたしましたが、自慢をしていると、こういう関係になっています。  もちろん、それは双方のやり取りだと、日本だって要望を出していると言われますけど、調べてみたら、日本がアメリカに出した要望で実現しているのはあのビザの発給の効率化とか非常にちっちゃなことばかりで、アリバイ程度の話だと。事実、アメリカの元のUSTRの日本担当部長のグレン・フクシマさんという方は、そういう仕組みというのは、仕組みというのはアメリカの要望を日本にのませるためにつくったんだと、機能しているんだというのを向こうの担当者も答えております。  私は、そういう、何といいますかね、日本とアメリカの政府の間で日本の政策を決めるそういうシステム、仕組みがあることそのものが私は大変異常だと思いますが、総理はいかが思われますか。
  293. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は外資歓迎論を取っていますから。G8の諸国の中でも日本は外資が非常に入りにくい国であると。今、倍増をしたって、まだG8の諸国に比べれば外国企業なり外国資本が活躍割合はもう格段に低いと。世界の中の日本ということを考えるのには、日本も外国で、アメリカにおいてもあるいはヨーロッパにおいても企業が進出して活躍している。同じように、アメリカから見れば、ヨーロッパから見れば、日本の市場で活躍したいという気持ちがあるのは歓迎すべきことだと。日本に見向きもしないと、日本の市場が魅力もないなんて言われたら、日本経済活性化しないと。そういう意味において、アメリカにおいてもヨーロッパにおいても、日本がアメリカにおいてヨーロッパにおいて活躍できるような、同じような条件を与えるのは日本経済活性化をもたらすと思っております。  そういう面において、アメリカが日本の市場に注目しているというのは、日本として、ああ、捨てたもんじゃないなと、日本もそれだけ魅力ある国になったのかと歓迎すべきことだと思っています。
  294. 大門実紀史

    大門実紀史君 どうして真っすぐにお答えされないんでしょうか。私は山根委員と違って、真っすぐ、聞かれたことは真っすぐ答えろと親からしつけをされてきておりましたんで、そういうはぐらかしは、これ本当にもう我慢できないわけでございます。  私お聞きしたのは、お聞きしたのは、そういう仕組みがあること、日米の、日米のそういう仕組みで決められていることが異常ではないかということを申し上げたんです。それだけ、端的に。
  295. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 異常でも何でもない。対話が大事ですから、アメリカがどういう要求をしているのかというのを聞く一つの会だと考えれば、これは私は異常でもないと思っています。
  296. 大門実紀史

    大門実紀史君 私は、これからやっぱり日本はアジアなりEUといろいろなことをやっていかなきゃならない中で、特定の国とこういう仕組みを持って、仕組みで政策が決められていくということは異常だと思います。世界から見ると異常です。日本だけです、こんなことをやっているのは。そういう点で、そういう中で、今回の郵政民営化のこともいろいろアメリカの要求が入ってきていますし、もう結果がすべてを物語っていると。いろいろ言われますけど、アメリカの要求がどんどんどんどん日本の法改正で実現していると。このことを指摘をしておきたいというふうに思います。  もう最後の質問になりますので、これから日本のこの郵貯の民営化が何をもたらすかという点をお話をしたいというふうに思います。  今、御存じのとおり、日本に先んじて金融の自由化を進めたアメリカとかイギリス、特にアメリカ、イギリスですけれども、小口預金者を相手にしないと、民間銀行の方が。大口はいろいろ優遇するけれども、小口の預金者はコストが掛かるということで、いろんな手数料を引き上げて口座を持たないでくれというふうな小口預金者排除ということが世界では問題になっております。例えば、アメリカでは低所得者の四割近くが口座を持てないとか、イギリスでは五世帯に一世帯が銀行口座を持てないということで大変問題になっております。  なぜこんなことが起きているかということについて、世界貯蓄銀行と世界銀行の、去年、総会が開かれました。そこで共同決議というのが出ております。そういう小口預金者の排除というのは非常に社会的に問題なんだと、基本的人権にかかわるんだと、だから、小口預金者を守る取組を頑張ってやるべきだということを世界貯蓄銀行とあの世銀が、いろいろ批判されている世銀でさえこういう決議を上げております。その中で、この決議の中で、郵便貯金や貯蓄銀行などの公的貯蓄部門の役割が決定的なんだということを述べているんです。  で、私、資料を作ってまいりました。(資料提示)今、主要国でその世銀と貯蓄銀行が指摘をした公的部門がどうなっているかということでございます。  アメリカは、もうオール民間銀行の世界です。イギリスは少しだけ公的部門、国民貯蓄庁がありますけれども、フランス、ドイツは、フランスの場合は郵貯と貯蓄金庫があります。ドイツの場合は貯蓄銀行があります。ですから、ドイツは郵政民営化しても貯蓄銀行の比率がありますからね、金融排除というのは起こらない、余り起こらなかったわけです。日本では、今郵貯がその役割を果たしているわけです。これが民営化されますと、一〇〇%民間の世界になってしまいます、なってしまいます。アメリカと同じ世界に入ろうとしているわけですね。これは、今も世界の流れが公的貯蓄部門を守って小口預金者の排除をなくそうという流れの中で、日本だけがわざわざなくそうとしていると、こういう流れになっているわけですね。  で、これは、例えば政府も二〇〇〇年の六月には、だから大事なんだと、世界ではそういうことが起きているから郵貯を、小口預金者を守るとりでとして郵貯を発展さしていこうと、政府自身もそうおっしゃってきたにもかかわらず、今回、小泉総理内閣になって方向転換をして、公的部門をなくそうということに踏み出されているわけでございます。  もう時間がなくなりましたので質問いたしませんけど、これから何が起こるかというと、心配されるのは、竹中大臣もそういう懸念がないようにしたいとおっしゃっておりましたけれども、みんなが心配しているのはこの部分でございます。これが郵貯の民営化で一番心配される本質的な問題だということを指摘して、時間が参りましたので私の質問は終わりたいというふうに思います。  ありがとうございました。
  297. 又市征治

    ○又市征治君 社民党の又市です。  最後になりましたが、これまでの、そして今日現在の審議でも最も危惧をされ、しかしどうも政府から明確な約束がされていないのが郵便事業以外の貯金保険サービスが確実に提供され、現行水準が維持され、万が一にも国民の利便に支障が生じないよう万全を期す、この点がどうもあいまいなままということであります。過疎地はもとよりですが、簡易郵便局を含め郵便局ネットワークの重要な一翼を構成するわけでありますから、これはまあ簡易郵便局も同じです。この点についての竹中大臣答弁は、十年間の移行期間中の委託契約での保証と、その後は貯金銀行及び保険会社の経営者の判断ネットワークの価値が重視されるから維持されるはずだ、こういうことを、簡単に言えばそんな格好でお聞きをいたしてまいりましたが、何らこれは法的な保証はないということははっきりしているわけですね。  で、十年後の民営化以降のこの貯金保険サービスのユニバーサルな提供をどのように確保するのかというのが国民の関心なわけで、基金の件はもう分かり切っていますからもういいんですが、会社間の代理店契約を政府はどう規制をするなり指導するなり、できるのかできないのかを含めて簡潔に改めて御答弁願いたいと思います。
  298. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 前国会から又市委員がこの点について大変御懸念しておられるというのは承知をしておるところでございます。  基金等々のもう御説明は要らないということでありますので、代理店契約に関して政府がどのように関与できるのかという御質問でございましたならば、これはみなし免許を出すに当たっての条件として、長期安定的な代理店契約の存在を義務付けるということになります。これに関しましては、基本計画を作って、承継計画の中でしっかりと明記をしていただいて、その承継計画、これは主務大臣の認可が必要になりますので、その中において、政府としてはしっかりと関与をしていきたいと思っております。
  299. 又市征治

    ○又市征治君 それでは保証にならないわけで、先ほどこの点については細田さん、えらいすっきりとお答えになって、民間に介入やそんなことはできないから政治判断でそれはちゃんと残させるようにするんだと、こういうお話が一番分かりやすかったと、私もそう聞きましたが、しかしそれでは本当の保証にならないわけですね。政治たちがそれは頑張るんだなんておっしゃったって、そこには政治家はいないかもしれない。そういう地域もあるわけでありまして、そういう過疎地なんてのはえてしてそういうことになるわけです。  そこで、少し具体的な中身で申し上げると、十年を超える長期の、例えば二十年とか三十年とか、こうした代理店契約を結ぶように政府が強く指導することしかないんじゃないのか、こういうふうに私は思います。特に、クリームスキミングされて、過疎地や都市部でも所得の低い地区の郵便局が切り捨てられないような、そういう意味では全国一括とすることがポイントじゃないんだろうか、こんなふうに思います。  長期代理店契約あるいは基金の活用等によって、郵便局が長年提供してきた貯金保険サービス民営化後も引き続き提供されるよう、郵便局会社と郵貯会社、郵貯銀行ですね、それから保険会社の間で長期全国一括代理店契約の締結が行われるように、政府の方針としてこのことをむしろ求めていくということをはっきりさせた方がいいんじゃないんですか。
  300. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 移行期間を上回る長期というのと全国一括と、その二点を又市委員は指摘しておられるんだと思います。  まず、全国一括につきましては、これは繰り返しになりますけれども、みなし免許を出すときの条件になります。みなし免許というのはなぜ出すかといいますと、民営化の前日までずっと営業を行っているわけです。翌日新しい銀行になると。そのときに、わざわざまた銀行業の申請などできませんので、そこでみなしで免許を出す。  つまり、正にこういうサービスを切れ目なく、公社から新しい銀行に切れ目なくサービスを提供していただくために行うということでありますので、当然のことながら、それまで全国で津々浦々で展開、事業を展開して、それが基本的なビジネスモデルになっているこの郵政の銀行、郵貯の銀行でございますから、当然のことながら、全国一括でそうした契約が結ばれるということは、これはそのようになるというふうに我々は考えております。  そして、長期でありますけれども、これは、我々が条件として求めているのは、移行期間を十分にカバーするということでありますから十年を超えていただかなければいけないということでありますが、それが、それを超えてどのぐらい長くするか。それが長くなるということを我々は制限を加えておりません。しかし、無理やり政府の力でそれを二十年、三十年というふうにするのがよいというふうには、やはりそこは考えないわけでございます。あくまで民間のこれは銀行としてやっていただくわけで、今後やっていただくわけでありますから、経営者の判断でしっかりとやっていただきたい。  ちょっと極端な例で言いますと、じゃ百年だったら安心なのかということになると、ちょっと極端な例で申し上げておりますが、そうするとやはり事業の非常に硬直性をもたらすわけでありますので、そこは経営者にしっかりと判断をしていただいて、十年を超えて長期になることは妨げない、その中でしっかりと判断をしていただきたいと思います。
  301. 又市征治

    ○又市征治君 今、後段おっしゃったように、全国一律は、一括は分かったと、こういうことなんですが、しかし最終的には、やっぱりそこの民間会社になったところの経営者の判断なんだということでありますから、したがってそれは長期のことはそれは想定できないと。百年というのはオーバーだろうけれども。  しかし、いずれにしても経営者の判断、利潤が上がるかどうかという判断による。だから、ここのところは、結果的にはやっぱりユニバーサルサービスが本当に保証されるかどうかというのは、やっぱり懸念は全く払拭されないではないかと。こういう格好で、我々はだから反対だという大きな理由の一つなんですね。(発言する者あり)埋まらないんですよね、本当にね、ここは。  そこで、もう一つ。そういう意味では、最大の利用者である国民の、一般国民の利便性がやっぱり軽視されているではないか、こういう議論が根強くやっぱりあるということですよ。それからもう一つ、これ以上それは突っ込みません。  もう一つ。この郵政に働く二十六万人のこの職員の働く権利の問題について若干申し上げておきたいと思うんです。  私、総務委員会にも所属していまして、これ何回かやりました。この二年半の公社の下でも収益本位の運営、非常に強くやられてきている。その結果、極度に連続した深夜労働であるとか、依然これは、改めたというふうに言われているんだが、依然として自爆と呼ばれる営業ノルマの押し付けなどというのがまだ見られるんですね。この民営化でそれこそ解雇などという、そういう問題が起きるならば、これは極めて、あの国鉄問題と同様、大変大きな社会問題になるんだろうと思うんです。  そこで、職員が安心して働ける職場環境づくりのために、現行の労働条件及び処遇が将来的にも低下することなく、職員の労働意欲が高まるよう十分配慮すべきであるというのは当然でありますし、とりわけ民営化後の職員の雇用の安定化に万全を期すべきだというふうに考えますが、この点について改めて確認を願います。
  302. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 職員の処遇の問題、雇用の問題、そして働く方々の意欲の問題、極めて重要であると認識をしております。であるからこそ郵政民営化の五原則の一つとしてこの配慮の原則というのを入れておりますし、また前通常国会における附帯決議でもこの点十分配慮をするというような条文が含まれていたというふうに認識をしております。  新会社の職員の賃金とか、それとか勤務時間等の労働条件につきましては、正に円滑な移行と職員の保護という観点から、これ準備企画会社を設立しますけれども、準備企画会社であるところの日本郵政株式会社公社の労働組合との間におきまして、事前の交渉及び労働協約の締結を可能としております。その際、新会社の労働条件については公社での勤務条件に対する配慮を義務付けると、そういう義務付けを、配慮の義務付けを行っております。職員に不利益が生じることがないよう十分に配慮することとしているところでございます。  また、これは民営化後の新会社のこともあろうかと思いますけれども、給与制度でありますとか評価制度に関しまして、これ民間のガバナンスを導入するということになるわけでございますから、その導入をしっかりしていただいて、職員が自らの創意工夫や意欲、可能性などを最大限に発揮することが可能であるし、是非そのように運営をしていただきたいと思っております。
  303. 又市征治

    ○又市征治君 大臣、大体全部お分かりのとおりですが、私が今質問した各項目は、実はいずれも八月五日のこの参議院特別委員会与党側が提案をされて採択をされた附帯決議、異例の附帯決議、この中身を、文言をほぼ忠実に繰り返して私は申し上げた、こういうことなんです。これに対して竹中大臣は、この八月五日の最終の場面に当たって、民営化に伴う国民の懸念や不安を払拭したいとの皆さん方の強い御意思であり、その趣旨を十分に尊重し、最大限努力してまいりますと、こう答弁されたわけですね。  だけど、本来ですね、これ一度法案否決されたわけですから、こうした通常国会で出された様々な批判的な意見であるとか懸念であるとか、例えて言えば一つの集約でもあるのがこの私は附帯決議だと思うんですけれども、この与党附帯決議を最低限取り入れて、そして修正提案をされるというのがやっぱり当然なんだろうと思うんですね。いまだに、だけれども、これはもう全く不磨の大典みたいなことをおっしゃっているんだけれども、これが一番最善の法案だと、こうおっしゃっているんですが、しかし、それはやっぱり余りにも傲慢だと、こう言わざるを得ない。その点だけ私は、この法案の、与党皆さんはこの法案に不安だったから十五項目からの、それも普通野党が出す附帯決議与党だけで出しておられる。ここにやっぱり大きな問題があるということを言っているわけで、そのくらいの謙虚さがむしろあるべきではないかと。選挙勝ったら何でもいいということじゃないんじゃないのかということだけ一応ここでは御指摘を申し上げておきたいと思います。  そこで、次に総理に伺ってまいりたいと思いますが、総理は今度の選挙でも民営化国民へのデメリットは何もお示しにならなかった。まあ自分のところの悪いことは言わないんだろうと思いますが、官から民へと叫んで選挙で大変に大勝なさったということなんですが、最大のポイントにされたのは、さっきからも出ていますけれども、公務員二十六万人を減らすと、こういう格好でおっしゃったんだが、ほとんどデマ宣伝に等しいと、こう言わざるを得ない。郵政は独立採算で、正に職員の賃金は税金ではなくて郵政事業から出ているということはもう総理自身が一番よく熟知されているのに、そのことを言うことによって国民に、いかにも国民負担が減るような、こういう幻想を与えたわけですから大変に問題だと、この点だけ冒頭御指摘を申し上げて、少し次の質問に入りたいと思うんですが。  選挙後、今日もおっしゃっていますけれども、次の今後の改革課題として、三位一体改革であるとか社会保障制度改革であるとか、あるいは政府系金融機関の改革であるとかいうことと同時に、公務員制度改革ということもおっしゃった。そういう格好にやっているんですが、総理が言われるこの官から民への民というのは、これはもう言うまでもなく、国民とか民主主義の民ということではなくて、利益を目的とした営利事業者ということにほかならないわけでしょうけれども、公共サービスは、そういう意味では利潤を目的にしない、だけども社会に必要な仕事だから税金で賄われているわけですね。これをどんどん民営化するということは、郵政にとどまらずに、政府の今行っている公共サービスも大幅に縮小していくということになるんではないか、こういう懸念がやっぱり広がっています。  現実に小泉内閣の下でこの四年半の間に行われてきた構造改革の下で、日本の社会はこれまでになく貧富の差が拡大をした、格差拡大社会になっている、こういう批判が非常に強まってきています。具体例で言えば、依然として三百万近い完全失業者、一千六百万人の低賃金、劣悪な労働条件の非正規労働者、考えられもしなかった事態が起こっている。六年連続で勤労世帯の所得は下がり続けているし、六世帯に一世帯が生活保護基準以下だと言われる二百万円以下の年収しかない、こういう状況。にもかかわらず、残念ながらこの間の医療制度あるいは年金制度、介護制度改革と称してやられてきたのが負担増と給付減、こんな格好だった。  こういう状況だけに、さっきどなたかがおっしゃったけれども、国民、直観的に、どうも今度の公務員バッシングというのはこうした立場の勤労者や国民のやり場のない不満を公務員に押し付けて、むしろ社会の分裂をあおるものでないのか、こういう声が強まってきています。  あなたは、公共サービス公務員を減らして目指すのは、一体どういう日本社会を目指そうとするのか。こんな格好で格差拡大社会が進んでいるわけですけれども、どうも福祉社会とは無縁のように思えてならないわけですが、その点の見解をお伺いしたいと思います。
  304. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 公共サービスというのが果たして公務員じゃなきゃできないのかということを私は言っているんです。公共サービスというのは公務員じゃなくてもできるんです。そう思いませんか。(発言する者あり)そう思わない。電気にしてもガスにしても鉄道にしても、これは公共サービスじゃないんですか。電話にしても正に公共サービスですよ。  こういうものでも私は公務員じゃなくてもできる、公共企業体じゃなくても民間会社もできるというんだったらば、どんどん任してゆだねていきましょうと。そして、公共サービスというものは今まで役所がやるんだと思っていた考え方も、民間人でも公共サービスできるんだったらどんどん参入してもらおうと。これからいわゆる役所の仕事を改革していこうという際にも、市場化テスト法というものを今準備していますけれども、役所、公務員でやった方がコストは削減できるのか、サービスが良くなるのか。あるいは、公共的なサービスなんだけれども、民間人に任して果たしてその仕事が可能なのか、公務員よりもいいのか、良いものなのかどうか、よく競争してもらう、そして役所の仕事も民間でできるんだったら民間にゆだねていこうと、そういうことも考えているんです。  ですから、私は、公共サービスというものを公務員だけ、役所だけで考えていいというものじゃないと、民間にもできるものは公共サービスでもゆだねていこうと。そうすることによって私は、民間人の活躍できる分野が増えていくだろう、民間企業の創意工夫を発揮できる分野が増えていくだろう。そういうことによって、民間企業がやれば利益を上げなければ倒産しますから、倒産しないように一生懸命努力する、そして利益を上げてこられる、それが結果的には法人税なり、人を雇うことによって所得税なり固定資産税になって税収として跳ね返ってくる。現に国鉄でも電電公社でも専売公社でも、民営化して三十兆円以上の売却益が出ている。税金も納めてくれている。国民は、電話一つ取ってみてもどれだけの進歩か、料金にしてもどれだけ安くなったか、恩恵を受けている。そういう方向に私は間違いはないと思うんであります。
  305. 又市征治

    ○又市征治君 全然聞いていないことをお話しになったりするんですね。  私は、一体あなたの目指している社会は福祉型国家とは無縁でないのか、そこはどうなのかと聞いているのに全然違った話じゃないですか。だんだん時間だけがそしてなくなっていくんです。本当にいかぬ、けしからぬ、本当にもう。そこで、そういうふうにあなた頭を抱えても駄目なんだよ、今。そこで総理、もう一つ聞きますよ。(発言する者あり)確信犯だそうです。  あなたがそうおっしゃるが、仮に、総理は、十年間、五年間で何、一〇%人員削減、あるいは総人件費、最近は二割削減とかと言われていますな。こういうものを仮にやってみても、ちょっとまあ本当は質問どんどん、あなたが長くしゃべるものだから質問時間なくなって飛ばさざるを得なくなったんだが、仮に国家公務員をこれ二割削減しても年間人件費にすると一兆円ですよね。これはもう十分御計算なさっていると思うけれども。だけれども、あなたがこさえた二百兆からの借金から見たらこれは微々たるものですよ、財政効果は。  そこで、さっきだれかがおっしゃっていたが、私はこの参議院の中で三年間、各省庁と特権官僚の既得権益化している特別会計、年間純計で二百五兆円も今年の場合ある。このことをやっぱり徹底的にメス入れるべきだとずっと言い続けてきました。最近、これは参議院の総意になりまして、この間の、総理御存じのとおり、本会議でも政府への警告決議と措置要求決議まで上げられた。こういう問題こそ今やっぱり国家として最も取り組まなきゃならぬ課題じゃないのか。我が党の試算によりますと、特別会計の剰余金だとか積立金の回収、例えば外為特会、財政融資資金特会などで毎年六兆五千億円程度は還元できるというふうに我々は試算を出しました。  問題はこうした、さっき申し上げたような、額に汗して国民の福祉の増進のために日夜苦労している一般公務員公務員全部とは言いませんよ、特権官僚は別だ、これはね。特権問題は別だ。そういう圧倒的な一般の公務員までおとしめるような、何かしら仕事していないみたいなことを言ったり何かで攻撃をするんじゃなくて、本当に政府内部の特権と財政のこうした乱脈にメスを入れるなり、天下りを本当にきちっと規制をする。やろうと思えばすぐできる話だと思う。そのことにこそ最優先課題として取り組むべきじゃないのかということなんですが、最後にこの点、お答えいただきたいと思います。
  306. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 公務員もまじめに熱心に仕事をされている方の方が多いですよ。それで、公務員の役割も十分大きいものがある。そういう中で、今公務員の仕事と民間の仕事をいかに仕分けしていくかということも大事だと思います。また、人件費におきましても、民間に準拠して公務員の給与を決めるという、その準拠の仕方によっても、どの企業を対象にするかという点についても都会と地方では違うだろうという意見もあります。そういう国民の意見にも真剣に耳を傾ける必要があると。  これからの特別会計の問題も、これは私は賛成です。もう徹底的に見直していかなきゃならないし、計算では何兆円あると言っておりますが、今財務省でも本当にそれだけ出るのかということをよく調べていますので、そういう提案を受けながら真剣に協議をして無駄なところはやっていくと。これは、政府としても、与党としても、そのいい点は野党の点をどんどん取り入れて改革に進まなきゃいけないと思っております。
  307. 又市征治

    ○又市征治君 終わります。ありがとうございました。
  308. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 六案に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時四分散会