運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2005-11-24 第163回国会 参議院 北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十七年十一月二十四日(木曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  十一月二日     辞任         補欠選任      小林  温君     三浦 一水君  十一月四日     辞任         補欠選任      三浦 一水君     小林  温君  十一月十五日     辞任         補欠選任      小林  温君     岸  宏一君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         広野ただし君     理 事                 景山俊太郎君                 末松 信介君                 小川 敏夫君                 山根 隆治君     委 員                 岡田 直樹君                 岸  宏一君                北川イッセイ君                 椎名 一保君                 関口 昌一君                 田中 直紀君                 山谷えり子君                 浅尾慶一郎君                 林 久美子君                 森 ゆうこ君                 柳澤 光美君                 木庭健太郎君                 渡辺 孝男君                 緒方 靖夫君                 田村 秀昭君    国務大臣        外務大臣     麻生 太郎君        国務大臣        (内閣官房長官) 安倍 晋三君    副大臣        外務大臣    金田 勝年君    事務局側        常任委員会専門        員        泊  秀行君    政府参考人        内閣大臣官房        拉致被害者等支        援担当室長    江村 興治君        警察庁警備局長  小林 武仁君        防衛庁防衛局長  大古 和雄君        外務大臣官房審        議官       齋木 昭隆君        外務大臣官房国        際社会協力部長  神余 隆博君        外務省国際法局        長        小松 一郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○北朝鮮による拉致問題等に関しての対策樹立に  関する調査  (日朝政府間協議及び第五回六者会合に関する  件)  (日朝政府間協議に関する件)  (六者会合拉致問題解決に関する件)  (北朝鮮に対する経済制裁に関する件)  (国連総会における北朝鮮非難決議採択に関す  る件) ○委員派遣に関する件     ─────────────
  2. 広野ただし

    委員長広野ただし君) ただいまから北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十五日、小林温君が委員辞任され、その補欠として岸宏一君が選任されました。     ─────────────
  3. 広野ただし

    委員長広野ただし君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 広野ただし

    委員長広野ただし君) 御異議がないと認めます。  それでは、理事末松信介君を指名いたします。     ─────────────
  5. 広野ただし

    委員長広野ただし君) この際、麻生外務大臣及び安倍内閣官房長官から発言を求められておりますので、順次これを許します。麻生外務大臣
  6. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今般、外務大臣を拝命いたしました麻生太郎です。  拉致問題や核、ミサイル問題など、北朝鮮をめぐる諸問題の早期解決に向けて、外務大臣としての責務を果たすべく、全力を尽くしてまいります。  広野委員長を始め、本委員会皆様方の御指導と御協力を賜りますよう、よろしくお願いを申し上げ、就任のごあいさつとさせていただきます。
  7. 広野ただし

  8. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 内閣官房長官を拝命をいたしました安倍晋三でございます。  拉致問題に関し、広野委員長を始め、各委員方々の御指導、御鞭撻を賜りながら、官房長官として全力拉致問題に取り組んでまいりたいと思います。  御案内のとおり、先般約一年ぶりに行われた日朝政府間協議、またその後に行われた第五回六者会合において、我が国より、日朝間懸案事項である拉致問題を解決することの重要性提議をいたしました。  その際、安否不明の拉致被害者がすべて生存しているとの前提に立って、被害者即時帰国真相究明及び容疑者引渡しを強く求めると同時に、拉致問題に進展がなければ政府として厳しい対応を決断することとなる旨、改めて伝えました。さらに、いわゆる特定失踪者の問題についても、改めて情報提供を求めました。次回の協議では、拉致問題についてしっかりと進展がなければならないと考えております。  また、帰国された拉致被害者とその御家族については、順調に日本での生活への対応や自立が進んでおられますが、今後とも、関係省庁関係地方自治体とも緊密に連携協力して支援していく所存でございます。  皆様方におかれては、どうぞよろしくお願いを申し上げます。     ─────────────
  9. 広野ただし

    委員長広野ただし君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  北朝鮮による拉致問題等に関しての対策樹立に関する調査のため、閉会中必要に応じ政府参考人出席を求めることとし、その手続につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 広野ただし

    委員長広野ただし君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  11. 広野ただし

    委員長広野ただし君) それでは、北朝鮮による拉致問題等に関しての対策樹立に関する調査を議題といたします。  日朝政府間協議及び第五回六者会合、正式にはこう言っているようですが、六か国協議のことでございますが、について、政府から報告を聴取いたします。麻生外務大臣
  12. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 先般、北京において行われました日朝政府間協議及び第五回六者会合の第一次会合について御報告をさせていただきます。  今月三日及び四日、約一年ぶりに行われた日朝政府間協議では、拉致問題を始めとする懸案事項や過去の清算等につき突っ込んだ意見交換を行っております。  我が国にとって最優先協議事項であった拉致問題につきましては、我が方から、生存する拉致被害者早期帰国安否不明者真相究明容疑者引渡しを改めて強く求めております。これに対し、北朝鮮側は、拉致問題は解決済みとの立場を維持し、拉致被害者に関する新たな情報提供はありませんでしたが、日本側が引き続き拉致問題を懸案事項とするとして提起することは理解している旨述べております。  我が方からは、拉致問題に進展がなければ厳しい対応を決断することになると改めて伝え、横田めぐみさんのものとされる遺骨の問題などにつきましても改めて説明を求めております。  このような議論とともに、日朝関係全般進展させる方法についても意見交換を行いました。その中で、我が方より、拉致問題等懸案事項協議、核、ミサイル問題等安全保障問題の協議、過去の清算を含む国交正常化交渉という三つ協議を並行して進めるとの考え方を示すとともに、拉致を含む諸懸案解決なくして国交正常化はないとの考えを改めて明確に説明し、お互いに検討を重ねていくことになりました。  双方とも、今回の協議は有益であったとの認識で、近いうちに、再度協議を持つ方向で調整することとなりました。  また、今月九日から十一日まで行われました第五回六者会合の第一次会合では、第四回会合において合意した共同声明を履行するための最初の会合として一定の前進が得られたと考えております。  我が国は、三つ交渉分野を設け、全体を短期間で並行して進めていくとの作業指針に関する具体的提案を行っております。その基本的な考え方は、今回の会合後に出された議長声明にも相当反映をされております。議長声明の中で、六者は、共同声明を履行するための具体的な計画、措置及び手順を作成することに合意したことが明記されております。  六者会合の期間中、日朝間では、二度にわたり長時間の協議を行っております。その中で、我が方からは、拉致問題解決重要性を述べた上で、諸懸案解決による日朝関係進展が六者会合進展に肯定的な影響を及ぼすこと、同時に、六者会合における核、ミサイル進展国交正常化展望を容易にするとの考え方を改めて強調しました。  我が国としては、次回会合早期に開催し、共同声明を履行するための具体的な計画を作成していくことを目指して突っ込んだ議論を行っていきたいと考えております。  今後とも、引き続き、対話と圧力という一貫した考えの下、拉致、核、ミサイルなどの諸懸案解決に向け、政府一丸となって取り組んでまいります。委員長及び委員各位の御協力をよろしくお願いを申し上げます。
  13. 広野ただし

    委員長広野ただし君) 以上で報告の聴取は終わりました。  それでは、これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  14. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 自由民主党景山俊太郎でございます。  ただいまの麻生外務大臣報告を聞きまして、それに基づいて質問をさせていただきたいと存じます。  まず、今回の日朝政府間対話又は六か国協議の際の日朝対話につきましての評価について、まず伺わせていただきたいと存じます。  十一月三日、四日の両日、北京で開催されました日朝政府間交渉、また十一月九日から北京で開催されました第五回六か国協議に参加されました佐々江アジア大洋局長齋木審議官を始め関係者の御努力には深く敬意を表しておりますが、その中で、まず十一月三日の政府間対話は七時間に及んだと聞いております。日本側は、齋木審議官中心にして、生存されている拉致被害者早期帰国拉致問題の真相究明容疑者引渡しを強く求めて、納得のいく説明でありますとか物証を示すように北朝鮮側に強く要求されたと聞いております。これに対して北朝鮮側は、拉致問題は解決済み立場に立って、拉致被害者特定失踪者に関する新たな情報はなかったと、今外務大臣がおっしゃったようなことを申したそうであります。もう一つ、六か国協議の際におきまして、十一月八日と十日、これまた長時間にわたって拉致問題解決することが日朝関係進展させる一番のポイントであると、こういうことを強調されたということを聞いておりますけれども、これまた北朝鮮側からははかばかしい回答がなかったと、こういうことも聞いております。  これでは、誠に遺憾ながらでありますけれども北朝鮮という国は拉致問題の真相究明に全く応じる姿勢が見当たらないんじゃないか、このようなことでは拉致問題の解決には何ら具体的な進展がないまま北朝鮮ペースにはまってしまって、うやむやになってしまうんじゃないかということを非常に心配をいたしております。  今回の日朝政府間対話と六か国協議対話におきまして、北朝鮮対応ぶり政府としてどういうふうに今後評価してこれをどういうふうに進めていくか、新たに外務大臣になられました麻生大臣にお聞きしたいと存じます。
  15. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今、景山先生言われました、言われましたとおり、私どもの主張は基本的に従来と何ら変わっておりません。それに対しまして北朝鮮側は、これまた同様に解決済みとの態度を変わっておりませんので、新たな情報提供というものもありませんでした。したがって、私どもにとりましては最重要課題、最優先課題というものでありましたこの拉致問題というものに関しての北朝鮮対応は甚だ不十分であったと言わざるを得ないと思っております。  他方北朝鮮側では、我が国が引き続き、この拉致問題というものを日朝間交渉懸案事項として引き続き提起するということは向こうも理解している旨述べておりますので、その意味からいきますと、全くないという態度ではないというところは、少しはというところがないわけではないというところだと思っております。  少なくとも、この日朝関係全般進展させていくということになりますときには、日本としてはこの拉致問題の話は譲れるところではありませんので、しかし他方、これは協議をしていきませんと、この間約一年間協議が何も行われていないというのも事実でありますので、私どもとしては、今回、引き続き双方意見を出し合った上、早い時期に次回交渉をということを向こうも認めておりますので、双方で調整をしていくことになっていくと思っておりますが、いずれにいたしましても誠意ある回答というものが得られなければ、誠意ある回答というものが得られない限りは前に進みませんので、私どもとしては引き続き努力をしていきたいと思っております。
  16. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 そこで、横田めぐみさん、松木薫さんの遺骨と称されることについてお伺いをしたいと思います。  これも、十一月三日、四日の日朝政府間対話横田さんと松木さんの遺骨と称されるものについて、我が国はもう優れた鑑定技術の成果に基づいてこのものが偽物であると、こういうことを確信を持っております。北朝鮮側のこの人道にもとる非礼極まりない対応を厳しく糾弾されたと思っております。そして、横田めぐみさんを始めとする皆さんの、私は生きていらっしゃると、こういうふうに信じております。しかし、北朝鮮側からは非常に不可解なことばかり言うと。  そういう中でいろんなやり取りがあったと思いますけれども、そのやり取りとこの問題が拉致問題の真相究明について北朝鮮側態度を、今後本当にどうしてくれるかという態度を判断する大きな私はポイントになろうと思っておりますので、今回の政府間対話を踏まえまして、この問題について本当に北朝鮮側がどういう考え方なのか、そしてどういうふうに追及していくか、ここのところ非常に私はポイントじゃないかと思いますので、お伺いをしたいと思います。
  17. 金田勝年

    ○副大臣金田勝年君) 今回の日朝政府間協議におきましては、我が方からは、横田めぐみさんのものとされますその遺骨経緯をめぐる不審な諸点につきまして改めて説明を求めたわけであります。また、我が方が、我が方の鑑定結果につきましても説明を行いました。これに対しまして、北朝鮮側からもDNA鑑定に関する先方の見解が述べられました。松木薫さんのものとされます遺骨につきましても、我が方より改めて説明を求めました。そして、北朝鮮側はこれまでと同じ立場説明をしております。  今回の日朝政府間協議におきましては、我が方からは、北朝鮮に対しまして改めて生存している拉致被害者早期帰国真相究明容疑者引渡しを強く求めました。その際、すべての安否不明の拉致被害者に対しまして、我が方として納得のいく説明物証を示すよう北朝鮮側に改めて要求をいたしました。  御指摘遺骨とされるものに関する経緯につきましては、本来は北朝鮮側から明確な説明がなされるべきものと考えておりますけれども、今後も北朝鮮側に対し、日朝政府間協議等あらゆる機会をとらえて引き続き強く求めていく考えであります。
  18. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 それでは、今後の拉致問題の解決に向けました取組と日朝間協議枠組みについて、先ほど外務大臣もちょっとお触れになりましたけれども質問をしたいと思います。  十一月三日、四日の日朝政府間対話で、過去の清算の問題や北朝鮮核兵器開発ミサイルの問題などの安全保障問題についても協議されたということを聞きました。これらの協議を踏まえて、日本側からは、第一に拉致問題などの懸案事項に関する協議、第二に核兵器ミサイル問題などの安全保障に関する協議、さらに、第三に国交正常化交渉という三つ協議を進めていくことを提案されたと聞きました。これに対しまして、北朝鮮による拉致被害者家族連絡会、この皆さん方からは、拉致問題の真相究明が棚上げになるんじゃないかと、そういう心配と不安の声が上がっておるということもまた聞いております。  政府は、拉致問題と安全保障問題の解決なくして国交正常化の終結はないという立場を堅持すると理解しておりますけれども、これまた北朝鮮ペースに巻き込まれまして拉致問題の真相究明とか拉致問題の解決というのがおろそかになるんじゃないかと、このことも危惧するところであります。  拉致問題、安全保障問題、国交正常化交渉という三つ協議を並行して進めていくことについて提案した政府の意図、その点についてお伺いしたいし、また拉致問題の解決なくして国交正常化なしという基本方針というのが揺らぐんじゃないかと、こういうふうにも疑うところあるんですけれども、この点はいかがでございますか。
  19. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 御存じのように、過去一年間にわたりまして日朝政府間協議というのは話が途切れております。そういった中で、今回北朝鮮との対話というか話合いを取り戻すためには、日本としてこれは最優先に取り組まなければならぬという拉致問題というものを取り上げる協議の場、話し合う場というものを確保するという考慮が第一点であります。  北朝鮮としては、もとより、日朝いわゆる平壌宣言の履行において過去の清算というものを特に重視してきております。九月に行われました第四回の六者会合共同声明において、日朝は、不幸な過去を清算懸案事項解決することを基礎として、国交を正常化するための処置をとると明記されております。  こうしたことを踏まえまして、日本としては、少なくとも過去の清算について取り上げる日朝国交正常化交渉も再開をするが、拉致問題等の諸懸案というものの対話を通じて会話する上でも必要である、これ両方一緒にやらなきゃ向こうは乗ってこぬということで判断をしております。そのため、平壌宣言で取り上げた問題についても三つ並行してやっていこうという案を提案をして、アメリカもたしか五つ、何か提案したと記憶しますけれども日本としては三つ提案をいたしております。  しかし、今御心配の言われました点ということは、御心配の点もあろうと思って、帰りましたその日に齋木担当官をして遺族方々に直接説明もさせておりますが、日本としては、拉致、核、ミサイルといったいわゆる諸懸案解決なくして国交正常化交渉の妥結はありませんので、あらかじめ申し上げさせておきます。遺族と申し上げましたけれども、亡くなったという保証ではありませんので、家族と言うのが正確かと思いますけれども。そういう点に関しまして、私どもとしては先般の日朝政府間協議におきましても明確に向こうに申し上げております、言っておりますので、今後、包括的な協議枠組みが立ち上がるという場合におきましても、仮に向こうが乗ってきたといたしましても、これまでの方針に変更することは全くありません。
  20. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 六か国協議日朝政府間協議というのが、どういう形であれ、しばしば北朝鮮日本とが話を重ねることが多くなればなるほど私はいいと思いますが、その中で、六か国協議日本核廃棄の問題と経済エネルギー支援の問題という二つ作業部会を設けることを提案をされたと。また、二国間の問題についてはそれぞれの当事国協議するとの行程案提案されたということも聞きました。協議方法についていろいろな工夫をされるのは大切とは思いますけれども、この六か国協議対話日朝二国間の協議はどういうふうに絡んで今後いくのかということが、ただ行程行程ということで先送りされたんじゃ困るなというふうに思います。  拉致問題、日朝間懸案である核、ミサイル等安全保障の問題は六か国協議の焦点でありますけれども、この拉致とこういう問題とがどういうふうに、重ねて言いますけれども対応して、そして拉致問題の解決に向かっていくかと、この点をひとつ教えていただきたいと思います。
  21. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 誠にごもっともな御指摘だと存じます。  六者協議会合に際しては、これは日朝対話におきましても十一月上旬の日朝政府間協議におきましても、日本としては拉致、核、ミサイルといった諸懸案解決北朝鮮側に求めておりますが、各々の協議北朝鮮側担当者が異なりますし、また六者協議におきましてもこれは核問題を、また日朝間政府会議においては拉致問題を中心に置いてきたこれまでの経緯でありますので、議論には確かに濃淡があることは確かだと思います。したがって、これらの協議というものは、これは諸懸案というものを包括的なことで考えにゃいかぬという点からいって、これは基本的には二つ協議会議というものは相互補完的な関係にあると考えております。このことは六者会合それ自体と日朝政府間協議についても同様でして、政府としては、これは車の両輪みたいなもので、関連をさせて進めていくことが懸案解決する意味で、また日朝関係を改善していく上でも有効であると考えております。  つまり、諸懸案解決による日朝関係進展が六者関係進展にも肯定的な影響を及ぼすというと同時に、六者会合におきます核、ミサイル等々の問題の進展日朝関係を前進させる、国交正常化展望も開いていくと考えておりますので、私どもとしては三つ協議を並行して進めるとの考え方を提示しておりますが、この安全保障に関する協議が実際に、まだ受けるか受けぬか分かりませんので、向こうが受けた場合、実際に立ち上がれば、六者会合での日朝対話日朝政府間協議のいわゆる双方協議が一層有機的に関連付けられるのではないか、そのように考えております。
  22. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 次回の日朝政府間の開催の見通しについて伺いますけれども、今、私の前に麻生大臣安倍大臣お座りで、これは自由民主党のエースと言われて、将来政権を取るというふうなお二人でありますけれども、これだけ二人が座っていて何にもならなかったというんじゃちょっと私どもは困るんでありまして、特に今後、この拉致問題の解決に向けた協議、この旨やっぱり第一にして、もちろん国交正常化をしなくてはいけないんですけれども、この拉致ということを非常に、まず第一に解決をしていかなきゃいけないと。そのために大使クラスの代表を今後充てるとか、いろいろなことも言われておりますけれども、その点、何かお考えがあれば聞かせていただきたいと思います。そして、末松先生に代わらせていただきます。
  23. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 国連総会の第三委員会における北朝鮮人権状況決議について、我が国は、EU側交渉し、決議拉致問題への明示的言及の確保を図るとともに、共同提案国となり積極的な外交努力を行ってきた結果、決議は賛成多数で採択されたわけでございます。この中で、米国担当大使を置いたということでございますが、我が国としても北朝鮮における人権状況には多大な関心を払ってきておりまして、今後とも国連、多国間及び二国間の協議の場においてこの問題を提議をしていく考えでございます。  政府としては、引き続き拉致問題の解決を含む北朝鮮人権状況の改善に向けた効果的な方策を検討をしてまいりますが、北朝鮮の人権問題を専門的に所掌する高官を任命することについては、米国で新たに任命された北朝鮮人権問題担当特使活動状況等も見ながら、それを参考にしながら検討していきたいと、このように思っております。  大使のようなものを置くのがいいのかどうか、あるいはまた特命で、外務省のどなたかにそういう特命をもってしっかりとやっていただくのかどうか。要は、しっかりとこの人権状況の問題、もちろんその中には日本人の拉致問題も含まれるわけでありますが、しっかりと国際社会にアピールできる体制をつくっていくということについてどういう方法がいいのかということについては外務省ともしっかりとこれは検討していきたいと。一緒に検討して、相談していきたいというふうに考えております。
  24. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 国連総会におきましては今言われたとおりでして、少なくとも拉致という言葉が、少なくとも総会の場において正式に取り上げられた最初の例にもなりますので、その意味では、今回の対話と圧力という面でいけば、基本的にはこの方向は一つの、圧力の一つになったろうと、私どももそう考えて評価をいたしております。  その中で、今大使級の話が出ておりましたけれども北朝鮮対応の仕方にもよるとも存じます。また、官房長官言われましたように、いわゆるアメリカの置く大使の効果がどの程度出てくるかも見極めにゃいかぬところだとは思っておりますけれども日本としては、いずれにいたしましても、これまで同様、大使級のクラスの人物をもってこの対応協議に充てていきたいと思っております。
  25. 末松信介

    末松信介君 自民党の末松信介です。景山委員の後を受けまして、二十分程度質問させていただきます。  十一月の三日、四日から日朝政府間協議と、十一月九日、十一月十一日まで三日間、第五回の六者会合が開催されたわけであります。今、景山委員から話がありましたように、初日は、十一月三日、七時間の会議に及んだと伺っております。  それで、拉致問題でなかなか北朝鮮交渉に応じないということで、核、ミサイル、過去の清算も含めた包括的な話合いを行ったというように聞かされているわけでありますけれども、今日までの外交努力につきましては関係大臣にも敬意を表しますし、特に国民の目に露出されています佐々江局長さんや齋木審議官には、国民の期待が大きいだけに、実務者ということが大きいだけに心よりの敬意を表したいと存じます。  そこで、お尋ねを申し上げたいのは、核問題で北朝鮮側が段階的な核廃棄提案しながら事実上時間稼ぎを行っているんではないかということが考えられるわけであります。先般、我が党の拉致対策の本部でも同様の意見がたくさん述べられたわけでございます。こうした中、この十月に米国の元国連大使でありますリチャードソン・ニューメキシコ州知事に対して、北朝鮮が核爆弾二、三個を完成と、核再処理の完成を言明したという報道がなされました。これまで北朝鮮は少なくとも八個程度の兵器級プルトニウムを保有しております、そういった分析がなされているんですけれども、今回の再処理が完成したとすれば、少なくとも核兵器十四個程度これ保有がなされたということが考えられるわけなんですけれども、二〇〇二年に核問題の、この開発問題が発覚して北朝鮮が核爆弾の保有数について言及したのは初めてであります。  そこで防衛庁に、現在の北朝鮮の核開発の状況についてどのように分析しているのかということをお伺いしたいと思うんです。今年四月に大野前防衛庁長官も大まかなところのお話がありましたけれども、あれからもう七か月たっておりますので、その点御答弁をいただきたいと思います。  そして麻生大臣には、どうして北朝鮮がこのタイミングでこういったことを言明したのかということ、その点についてのお考えをお伺いしたいと思うんです。軽水炉の提供であるとか交渉を優位に進めたいとかいろんなことがあると思うんですけれども、率直な大臣の見解を伺いたいと思います。
  26. 大古和雄

    政府参考人(大古和雄君) お尋ねの北朝鮮核兵器計画の現状でございますけれども、いろいろ様々な指摘がなされているところでございますけれども北朝鮮が極めて閉鎖的な体制を取っておるということもございまして、断定的なことを申し上げられない状況にあることで御理解いただきたいと思います。  一方、一連の北朝鮮の言動を考えますと、既に核兵器計画が相当に進んでいる可能性を排除することはできないというふうに認識しております。
  27. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) このリチャードソン、今ニューメキシコの知事ですかね、今。あれの話が今言われましたけれども、基本的にはいわゆる最終確認が明確にできているわけではないということなんだと思いますけれども、私どもとしては、この核の保有に関しては強い不信というか懸念を持っておるんですけれども政府として今、兵器化し得るプルトニウムというものの相当量を保有していることも確かだろうと思われますし、核兵器を保有している可能性はあると、私どももそう思っております。  しかし、北朝鮮の核開発の現状につきましては、今防衛庁からの答弁があっておりましたように確定的な結論というものに至っているわけではありません。それから、今のリチャードソンは十月に行っておりますが、その後、十月二十、二十一日、来日をしております。そのときに私どもの次官と会談をしておりますが、今のような二、三個保有というような発言は、その私どもの次官との間での会話の中には出てきていないということも確かであります。  いずれにいたしましても、情報収集ということに関しましては、正確に北朝鮮側の発言については言及はありませんでしたので、私どもとしては、この問題は、これはあるぞあるぞというのが一番、脅されるのはかなわぬところでもありますので、そういったところでは、これは引き続きこの問題は大事な問題であろうということは、拉致同様これは極めて大きな問題でありますので、私どもにとりましては積極的に取り組んでいかねばならぬ問題だと思っております。
  28. 末松信介

    末松信介君 大臣の御答弁あったように、あるぞあるぞというのがやっぱり一番、相手がはっきり分からないだけにこちらも打つ手がないということで難しいと思うんですけれども、どうも新聞なり、いろんな評論家の方々の話や脱北者からのいろんなお話などを伺っていきますと、やっぱり持っているんじゃないかという、ほとんどの国民がそのように理解し始めていると。ほうっておけばどんどん数が増えていく、北朝鮮はどんどん交渉力を高めていくと。日本はどうなるかといったら、一層これは負担が増えてくるということになってくると。  アメリカももちろんそれは困るんですけれども、アメリカの場合は、これはもう完全に拡散が嫌であるということが、これが一番だと思うんですね。そういう点で是非、核兵器というものにつきまして国外に絶対に持ち出させないということが一つ大事だと思うんですよ、日本政府としては。それと、ミサイルは絶対撃たさないということと、もう一つは、やはりこれは核実験、絶対行わさないということが一番、これは最低限一番大事なことになってこようかと思いますんで、その点、十分ありとあらゆるルートを通じての外交を展開していただきたいと、私どもはそのように思うんですけれども。  いずれにしても、日朝平壌宣言においても、核に関しては国際、批准を遵守するという、このことを言っておりますんで、実際、まあ核を使ったり拡散した場合にはこれは北朝鮮の自滅を指しますんでそういうことは起きないと思うんですけれども、どうか毅然とした態度で臨んでいただきたいということを要望申し上げたいと思います。  その次は、経済制裁措置発動の具体的な検討についてお尋ねをしたいんですけれども。  さきの日朝政府間協議提案した並行協議方式について現在回答を待っているところでありますけれども、しかし、今回の政府間協議においても残念ながら拉致問題の真相究明について成果が得られなかった、また核問題についても先ほど申し上げたように時間稼ぎを行っている懸念があると。  今回の協議の中で、核問題の進展がなければ日本政府として厳しい対応を決断することの旨、改めて伝えたことであります。今後、北朝鮮側日朝政府間対話拉致問題の真相究明拉致問題の解決に不誠実極まりない態度に終始するようであれば、例えば万景峰号を念頭に置いた特定船舶入港禁止法の発動について具体的な検討に着手すべき時期が到来しているのではないかと、私はそのように思うんですけれども安倍長官並びに麻生外務大臣の見解を伺います。
  29. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 先般、約一年ぶり日朝の実務者の協議政府間の協議が行われたわけであります。今委員が御指摘されましたように、しっかりとしたこの拉致問題について対応がなければ日本として厳しい対応を取ると、政府として厳しい対応を取るという旨、そういう意味では初めて政府としてそういう対応を取るということを先方に伝えたと、このように思います。  今回の協議におきまして、生存をしている拉致被害者すべての一日も早い早期の帰国、そしてまた真相究明と、そして容疑者、はっきりしている容疑者引渡し要求をしたわけであります。今回の先方のこの拉致問題における対応が残念ながら不十分な対応であったと、このように思います。誠意があった対応であったかといえばそうではなかったというふうに言っていいと、このように思います。  しかし、今正にまだ、次の協議を行うということについては先方もこれは約束をし、そしてまたその場において懸案事項であるこの拉致問題についても議論をするということも了解をしている。また、六者協議の場においても日朝協議が行われたわけでありまして、今、六者協議もいったん中断をしているわけでありますが、次回の会合が開かれるという中にあっては正にまだこの交渉は継続中であるというふうに考えているわけでありまして、大切なことは結果を出さなければならないということでございまして、制裁それ自体が目的ではなくて、要はこの拉致問題を解決をするということが目的であると。その中で対話と圧力という姿勢でずっと対応交渉をしてきたわけでありますが、次回の会合においては、次回の協議においては北朝鮮は必ず誠意ある態度を、対応を取らなければならないと、こう考えているわけでありまして、その今委員の御指摘の、圧力を掛ける、更なる圧力を掛けるタイミングについては政府においてしっかりと検討をし、そして結果を出せる対応を、またタイミングをとらえて対応していかなければならないと、こう考えております。
  30. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 末松委員おっしゃるように、この問題を解決していくための手段というものは、これは政府としては一貫して対話と圧力であろうと存じます。これは基本的には変わっていないんだと存じます。  圧力、いろいろございますけれども、先ほど触れられました国連のいわゆる第三委員会におけるいわゆる総会におきまして初めて拉致という言葉がこの総会で正式に採用されるということは、国際世論というものを非常に気にいたします北朝鮮にとりましては大きな圧力の一つになったことだけははっきりしておると思っております。これを更に国連の総会で取り上げられるように今後、総会じゃない本会議か、総会か、本会議で正式に取り上げられるように私どもとしても引き続き努力をしていかねばならぬと思っております。  やっぱりこの対話と圧力というのを掛けるのは、やっぱりどのタイミングで掛けりゃ一番効果が上がるかというところが一番の問題点だと思っております。そのために、これ六者会合における核問題の話やら、またいろいろな日朝協議等々の様々な場において、どのタイミングでというのはこれ引き続き検討していかねばならぬところだと思っております。  拉致問題は、特に日本にとって、ほかの国、いわゆる韓国も四百何十人、今度はタイも出てきた、どこからも出てきたといろいろ話が出てきておりますので、私どもとしてはこれは極めて重大な話でありまして、日本と韓国だけの話じゃないことははっきりしましたので、そういったことを考えると、私どもとしては、今後この問題については、さらに現実としてうちだけの話じゃない、そんなことはないと言っておるわけですから、そんなことはないじゃないですかと言うことももちろんですけれども、ただ、私どもとしては、本来の目的はこの解決が目的ですので、圧力は単なる手段ということになろうと思いますので、初めに圧力ありきというわけではないのであって、問題解決されるための手段としてこの圧力というものをいかに有効に使うか、どのタイミングで使うかというのは、先ほど官房長官からの答弁にもありましたように、引き続きこの点につきましては、ちょっとどれをどの手段、タイミングでということにつきましては検討をしていかねばならぬところだと思っております。
  31. 末松信介

    末松信介君 結果を出さなきゃならぬということを長官おっしゃいました。対話と圧力、これを二つを両輪に掛けてやっていかなきゃいけないと。  ただ、こういう外交を見ていましても、向こうが相互信頼とかいうことを決め付けて掛かってくるということに対して非常に憤りを感じるわけですよね。信頼という言葉を向こうが使って、向こうが決め付けてくると、これだけ誠実に日本対応している、なぜだと、そういうことを思うわけなんですけれども。  経済制裁については今はやっていないと、できていないと。しかし、更に日本が苦しい状況になっても、まずそうは簡単に発動しないだろうと、結局はやらないんじゃないかと思い始めた国民、結構おられると思うんですよ。学識者でも、実際は不当な利益を得るためのいろんなルートはもう切られつつあるから、実際的にはもう経済制裁が始まっておると言ってもいいじゃないかという話もあると。貿易額においても、中国と韓国だけで、それは中国はもう一千億ぐらいになるんでしょうか、超えているんだと思うんですけれども、そういう面では日本の貿易額が第四位になってきて小さくなってきておると、そういう話等々もあるわけなんですけれども。  私は、やっぱり申し上げたいのは、もちろん結果を出さなきゃならぬのですけれども、やられて、言われて、日本の国家の値打ちというんでしょうか、日本のそういったこの問題に対する姿勢というのは何かの形できちっと対外的に明示しなきゃならないと。自民党のシミュレーションチームも、ある条件がそこを通ってしまえばもう完全に経済制裁の発動をするんだという、そういった仕組みづくりにも言及し始めております。  そういった点につきまして、是非ともに十分に御検討をこれからもいただきたいということを申し上げます。今の長官の考え方を今の私自身も支持は申し上げていきたいと思います。  随分もう時間がなくなってまいりまして、三問目につきましては先ほど外務大臣からお話がありましたので、一応了解をさせていただきたいと思います。  次は、拉致問題対策官の設置要求につきまして、政府は現在十一件十六人の拉致を認定しておりますけれども、実際にはこれよりはるかに多い拉致被害者がいることは容易に想像が付くわけでありますけれども特定失踪者問題調査会では、特定失踪者のうち拉致の確率が高いと判断されたいわゆる千番台リストですね、三十四名の方を公表しております。しかし、警察の捜査が滞ってその全容が解明されていないわけであります。  このような状況の下で、来年度の概算要求において、警察庁の組織改正で拉致問題対策官を新設する要求がなされておりますけれども、この拉致問題対策官は拉致問題の解明にどのような役割を果たしていくのか、また新設によってどのような効果を期待しているのか、伺います。
  32. 小林武仁

    政府参考人小林武仁君) お答え申し上げます。  警察では、委員指摘のように、これまで十一件十六名の北朝鮮による日本拉致容疑事案というものを判断しておるわけであります。これら以外の拉致の可能性を排除できない事案というのも、これまた委員指摘のように、そういった告訴、告発が今三十四件三十七名に対して出ておりますし、こういった事件の掘り下げというものを各都道府県警察が今鋭意進めているところであります。  警察庁におきましても、こういった各都道府県警察に対する指導、督励、こういったものをやはり専従的に行っていく必要があるのではないかと考えておるところであります。またさらに、関係機関あるいは関係の民間諸団体との調整を行うということもまた大切であります。  こういったことから、来年度組織要求におきまして、仮称ではありますが、拉致問題対策官というものを要求しているところでございまして、その実現に向けてこれからも努力してまいる所存であります。
  33. 末松信介

    末松信介君 積極的な対応を、効果を期待申し上げます。  長官、どうぞ。
  34. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 今警察庁の方から答弁させていただいたとおりでありますが、この拉致問題対策官を設置をするということは、警察がしっかりと対応していく、いわゆる特定失踪者も含めて、全国の県警がそれぞれ今努力をしているわけでありますが、警察庁として、網羅的に全国的に組織の中枢においてそれを対応していくという姿勢を示すという意味では私は非常にいい対応であると、このように思うわけでございますし、また、恐らく被害者の御家族皆さん、またあるいは特定失踪者の御家族皆さんは大変不安な状況というか、立場に置かれているわけでありまして、そういう意味においては私は必要性は大変高いのではないだろうかと、このように思います。
  35. 末松信介

    末松信介君 大きな効果が現れるように期待を申し上げます。  最後の質問でございます。  拉致被害者に対する支援策でありますけれども北朝鮮から帰国されました拉致被害者方々は、御自身の御努力はもとより、政府関係自治体の支援、また全国多くの支援者の温かい励ましによりまして、我が国での暮らしを着実に確立されておられます。他方、平成十五年一月に施行されました拉致被害者支援法には、施行後三年をめどに支援の実施状況について検討を行い必要な措置を講ずると、その旨規定をされております。  政府拉致被害者方々に、現在までの支援を踏まえ、今後どのような形で支援を進めていくのか、安倍官房長官の基本的な見解をお伺いいたします。
  36. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 五人の拉致被害者方々が御帰国をされましてから三年余りが経過をしたわけでありますが、それぞれの皆様は、地域の皆様の御協力等もあり、また御家族、御本人の大変な御努力もあり、日本での生活にだんだんと適応され、順調な歩みを続けておられるというふうに伺っているわけであります。  政府といたしましても、この支援法に基づきまして、これら拉致被害者方々及び御家族方々に対して各種の支援策を実施をしてきたところでありますが、本年三月には日本における永住の意思が正式に政府に伝えられたことを受けまして、四月からは拉致被害者等給付金の給付を開始をしたところでありまして、給付は五年続くことになっております。  今後の支援の実施に当たっては、しっかりと支援法が活用されますように、地元自治体とも緊密な連携を図り、また被害者方々、御家族方々の要望も伺いながら適切に対応をしていきたいと、このように思っております。  大切なことは、御家族、御本人の方々意見をしっかりと私どもが伺って、この法律の精神が生かされるような方向に運用していくことではないかと、このように思っております。
  37. 末松信介

    末松信介君 時間が参りましたので、以上で質問を終わります。  ありがとうございました。
  38. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 民主党・新緑風会の森ゆうこでございます。お願いします。  まず、安倍官房長官伺いたいと思います。  長官は、自民党幹事長、幹事長代理のころには早期経済制裁を行うべきとの勇ましい発言を繰り返してこられました。官房長官になってトーンダウンしている印象を受けますけれども、変節したのでしょうか。政党と政権において一定の見解の違いがあるのは理解できますけれども、自民党幹事長や幹事長代理という要職にありながら、このことは無責任な発言を繰り返していたということなのでしょうか。確認のために伺いたいと思います。
  39. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 私が、幹事長あるいは幹事長代理当時、自由民主党拉致対策本部の本部長として、北朝鮮がこの拉致問題について誠実な対応をしないということであれば経済制裁をしなければいけないというふうに発言をしてまいりました。その中で、昨年末のめぐみさんの遺骨をめぐる対応については、誠意のかけらがないんではないかということで経済制裁の発動を求めたところではありますが、その後、日朝間のこの交渉に応じるということを先方が言ってきた段階においては、そこで誠意ある対応を求めなければならないと、誠意ある対応がなければ当然考えなければいけないという姿勢を示してきたわけでありまして、私のこの今までの姿勢は全く変わっていないと、このように思うわけであります。  つい最近も、つい数日前も、北朝鮮の通信社は私を名指しで激しく批判をしてきているわけでありまして、北朝鮮にとっては私の存在は全く変わっていないということではないだろうかと、このように思います。
  40. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 いまだに北朝鮮は誠意ある対応を示していないという段階において、今すぐ経済制裁の発動をと言っていただけるかなと思って期待していたんですけれども、政治姿勢は全く変わっていないということを強調されましたので、そのような前提に立って次の質問に移らせていただきたいと思いますが、官房長官はこれまで一貫して対話と圧力というフレーズを繰り返してまいりました。圧力とは具体的には何を意味するのか。対話の面ばかりが目立ちますけれども、具体的な圧力というものが目に見えてまいりません。日朝協議の場などで官房長官の発言に沿った圧力について具体的に北朝鮮に対して示しているのか、伺いたいと思います。
  41. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) この北朝鮮との問題を解決をするという上においては、対話と圧力の姿勢で臨む、これは日本のみならず米国、日米でこれは一致をしているところでございます。  この対話だけで解決できればそれにこしたことはないわけでありますが、残念ながら北朝鮮対話だけでは交渉に応じてこない、あるいは北朝鮮側対応に変化がないということではないかと思います。他方、圧力を掛けるということは、先ほど外務大臣指摘をされたように、それのみが目的ではなくて、基本的には圧力を掛けながら結果を出すということであります。  どっちにしろ、いずれにいたしましても、最終的な解決を図るためには対話をしなければ解決をしないというのは自明の理であろうと、このように思うわけであります。要は、このバランスを図りながら、北朝鮮に、この拉致問題について彼らの今行っている対応を変えなければ北朝鮮は今彼らが抱えている問題を解決することはできない、むしろ北朝鮮の状況はますます悪くなっていくということを理解させることが大切であるというふうに思うわけであります。  圧力という意味におきましては、いろいろな圧力があるわけでありまして、今般の国連における人権決議など、国際社会が一致して北朝鮮に対し諸懸案解決に向けた誠実かつ前向きな対応を求めることも当然これは圧力の一つでございます。  また、違法行為の厳格な取締り、これは北朝鮮の外交姿勢いかんにかかわらずしっかりとやることが当然のことであるわけでありますが、その当然のことを当然のこととしてしっかりと行う、北朝鮮に対して国際社会の一員として責任のある行動を促すことも当然そうではないかと、このように思うわけであります。  先般、米国北朝鮮のマネーロンダリングについてマカオの口座を封鎖した、こうしたことも例えば米国が行っている圧力の一環ではないか、こう思うわけでありますが、注目に値するんだろうと、このように思うわけでございます。  北朝鮮が事態を悪化させるなど、今後の対応によってはより一層厳しい対応を取っていくということではないかと思います。もちろん、昨年成立をいたしました経済制裁を可能にする法律、これをしっかりと生かしていく、活用していくということも当然これは圧力であるということではないかと思います。
  42. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 我が国が掛ける圧力というものを具体的にお聞きしたつもりだったんですけれども、アメリカが掛けた圧力に対して言及していただいても何の回答にもならないと思うんですけれども。  今おっしゃったことに関して、預金の封鎖ということもおっしゃいましたけれども、通告していないんですけれども官房長官はもうこの北朝鮮問題、ずっと一生懸命取り組んでこられたということを私は重々承知しておりますので、RCCが総連を提訴した問題について若干見解をお聞きしたいと思うんですけれども、まあ朝銀、朝鮮系の銀行の不良債権等々に関しまして公的資金が投入された、合計一兆四千億近く、物すごい日本の国民の皆さんの血税が投入されまして、そして実はこの不良債権は朝鮮総連への迂回融資であったということをRCCが突き止めたという報道がなされております。これについて、総連が大部分を返済しないということでRCCが総連を提訴したということでございますけれども、このことに関しまして、官房長官、先ほどアメリカの政府北朝鮮に対する圧力ということを言及されましたので、このことについて一言お答えいただきたいと思います。
  43. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 私があえて米国のとった処置についてここで言及をしたということについては、その意味についてどうか御理解をいただきたいというふうに思うわけであります。  朝銀につきましては、一兆円を超える、一兆一千億円だと思いますが、公的な資金が投入された以上、しっかりと厳格な法律を適用、法の適用をしていくのは当然のことであろうと、こう思っています。  RCCが提訴をしたということでございまして、その今後の結果を注意深く見守っていきたいというふうに思うわけでありますが、いずれにいたしましても、この公的な資金が投入された以上、その使途あるいはこの使途の究明、そしてその債権の回収についてはしっかりと厳格に対応をしていくのは至極当然のことであると、こう思っています。
  44. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 アメリカが取った強い圧力に比べますと、今のは何か拍子抜けするような答弁でございましたけれども、ほかにも様々な、ほかにもというか、具体的な圧力を示していただけませんでしたので私の方から一つ提案させていただきたいんですが、米国で成立した北朝鮮民主化法に沿った日本北朝鮮人権法制定の必要性の有無について、それぞれ我が党そして与党の方からも議員立法で考えられていましたけれども、今途中で止まっている状態でございます。政府としてこのような法律を提出するおつもりはないのか、これらの、このような北朝鮮人権法制定の必要性の有無について、私は必要不可欠ではないかと考えますが、官房長官の御見解をお願いいたします。
  45. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 現在、自由民主党においては、党においてこの法律の必要性について議員立法としての可能性を探りながら議論を進めているところでございます。  政府といたしましては、最初に申し上げましたように、いかに結果を出すかということを考えながら、また米国でのこの法律の有効性等々を検討しながら判断をしていかなければいけないと、こう考えております。
  46. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 必要性の有無についてはどのような御見解をお持ちでしょうか。やはり対北朝鮮への対応策を総合的な見地から進めていく法体系というものは、繰り返しますけれども、必要不可欠ではないかと私は考えますが、官房長官はどのようにお考えですか。必要かどうか。
  47. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 先ほど申し上げましたように、今正にその有効性について党において協議をいただいているところでございまして、政府といたしましても、先ほど申し上げましたように、この有効性において、例えば米国でのこの法律がどれぐらいの効果を発揮するかということも検討しながら判断をしたいと思います。
  48. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 いや、必要性の有無について御見解をお願いしているんですけれども、たしか政治姿勢は変わっていないと先ほどおっしゃったはずなんですが、次の質問に移りたいと思います。次の質問に移らせていただきたいと思います。  あっ、済みません、外務大臣にお聞きするのを忘れておりました。  今の同じ質問に対しまして、その具体的な圧力というものが見えてこないというふうに申し上げたんですけれども、御用意になった御答弁は結構でございますので、私の方で一つ御提案させていただきたいんですけれども、国際的圧力を政府としても掛けていくという御答弁、先ほどもなさっていらっしゃいましたけれども、例えばODA供与国等、様々な国に具体的に外務大臣がお会いになったりしたときに、この北朝鮮拉致問題の解決に対する各国の協力を必ず要請すると、そういうことをしていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  49. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今回の国連決議に賛成をされた方々の国の名前を御存じでしょうか。あっ、これ質問しちゃいかぬのか、そうか、ああそうか。国連決議に賛成された国々の名前の中にはODA関係者の国もかなり多くあると存じます。そういった意味では、これまでもその種の努力はなされていた結果がこう出てきているんだと存じます。  したがって、今、経済的圧力を掛けるのが大変御執心なように質問者が質問しておられる対応から見て感じ取りましたけれども、圧力には、これは国際社会の協調とか、また違法行為の取締りという面も万景峰号を始めいろいろなこれまでの例もありますし、朝鮮総連の家宅捜索という話もありましたし、いろんな形でこれまでもやってきておりますんで、経済制裁も含めて累計いたしますと三つ四ついろいろやり方はあるんだと思っておりますが、経済制裁のみがすべてというような感じでは私どもは感じておりません。  したがって、いろいろな圧力の掛け方はあるのではないか。したがって、きちんと少しずつ、これまでの間いろいろな形で、国際的な圧力に始まり違法の取締りに始まり、いろんな形で事は進んでおるような感じがいたしております。  いずれにしても、向こう対応もはなから全く相手にならぬという態度ではなくて、少なくとも今回でも拉致の問題は存在するということを認めた上で、向こう側は認められた、こっち側はそれを問題にすることを認めた上で次回の協議ということになったのは一つの進歩、進展ではなかったかと考えております。
  50. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 次の質問に移りたいと思います。  今般の薬事法違反による朝鮮科学技術協会と金萬有科学振興会への調査の結果、拉致事件との関係性でどのような事実が発見されたのでしょうか。とりわけ、今回の捜索では藤田進さんの拉致との関係性が非常に疑われておりますが、どのような事実が明らかになっているのか、参考人の御答弁をお願いいたします。
  51. 小林武仁

    政府参考人小林武仁君) お答えいたします。  御指摘の事件につきましては、本年十月十四日に、警視庁公安部が朝鮮総連の傘下団体でございます在日本朝鮮人科学技術協会の幹部二名を薬事法違反で通常逮捕するとともに、在日本朝鮮人科学技術協会、財団法人金萬有科学振興会等の関係先十一か所の捜索を行ったものであります。  本件捜査により検挙された被疑者二名及び被疑法人二社につきましては、東京地方検察庁に送致されまして、十一月四日、被疑者一名及び被疑法人一社についてそれぞれ罰金五十万円が科せられたわけであります。その他の被疑者及び被疑法人については起訴猶予等の処分がなされたものと承知しております。  委員指摘のような事実関係でございますが、本件の事件捜査の過程におきまして、御指摘の人物が被害者とされる事件との関係を明らかにするような事実というものは確認されておりません。  他方、御指摘の人物が被害者とされる事件につきましては、平成十六年十月に埼玉県警が国外移送目的拐取で告発を既に受理しておりまして、関係府県と協力の下、所要の捜査、調査を継続しておると承知しております。
  52. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 まあ捜査中の事件ということで、今のような御答弁になるということはある意味仕方のないことなのかもしれませんけれども、もう一歩踏み込んだ御答弁を是非お願いしたいと思います。  この問題に関しましては、先ほど私の方で名前を挙げさせていただきました藤田進さんの拉致との関係性が非常に疑われております。様々なお話が出ております。そこで、全く関係なかったというふうに言い切ってしまわれるよりも、今までのこの拉致被害者の問題が明らかになってきた、これらはすべて証拠がそろってからということではなくて、様々な目撃証言、様々な事実が明らかに、公にされることによってまた新しい情報が集まり、そしてまた新しい告白をする方が出てきて、そして、結果的にこの様々な事実が明らかになってきたということもございます。  ということで、もう少し踏み込んだ御答弁をいただきたいんですけれども、一つ確認させていただきたいんですけれども、今ほどお話のありました朝鮮科学技術協会と金萬有科学振興会というこの二つの団体はどのような団体というふうに御認識でしょうか。
  53. 小林武仁

    政府参考人小林武仁君) 私どもは、その両団体とも朝鮮総連と非常に深い関係を有する団体であると、このように承知しております。
  54. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 もう少し説明していただかないとほかの方は分からないかと思うんですけれどもお願いします。
  55. 小林武仁

    政府参考人小林武仁君) 在日本朝鮮人科学技術協会、科協と申しますが、朝鮮総連の傘下団体の一つであります。在日朝鮮人科学者、技術者の学術研究と技術開発を促すことで北朝鮮経済発展や技術向上に寄与することを目的として設立されたものと承知しております。
  56. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 今お話がありましたように、両団体とも総連傘下の団体でありまして、様々な不法行為にかかわっていたのではないかという懸念が持たれている団体でございます。私は非常に、今回の西新井病院等捜査に入られましたこのことに関して拍手を送っております。しっかりとこの捜査を進めていただいて、早期の全容の解明に努めていただきたいと思いますが、よろしくお願い申し上げたいと思います。  次に、次の質問に移らせていただきたいと思いますが、米国のラムズフェルド国防長官は先般の記者会見におきまして、南北において明らかに明るさが異なる夜の朝鮮半島の衛星写真を見せて北朝鮮のゆがんだ体制を浮き彫りにさせております。このように経済的に脆弱な北朝鮮にとっては、明らかに国交正常化後の経済的見返りを求めて日本との関係改善に臨んでいる感じがします。  また何か麻生大臣経済の問題だけというふうに言われそうなんですけど、そもそもかかる議論は時期尚早だというふうに私は思うんですけれども北朝鮮は過去の清算として具体的にどのような見返りを求めてきているのでしょうか。具体的な額などを挙げてきているのでしょうか。外務大臣にお答えいただきたいと思います。
  57. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 平壌宣言等々によって、これは過去の清算という問題を特に重視をしてきているというのは事実であろうと存じます。具体的にいかなるような処置を日本に求めているかという具体的な案については提起をされている段階ではございません。
  58. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 続きまして、次の質問でございます。  自民党の山崎副総裁は、首相の任期中の再訪朝は五分五分というふうにおっしゃいました。現在の状況を打開できる何らかの見通しがあるのか。拉致問題の解決国交正常化の前提という中で、具体的な進展を見通しているのでしょうか。こうした発言、先ほどの問題もありますけれども、このような発言は、私は、二〇〇二年にピョンヤンを訪問して日朝国交正常化を進め掛けた小泉総理が歴史に名を残そうとしている中での功名争いのように聞こえて、非常に醜いというふうに私は思います。また、拉致問題に何らかのふたをして交渉進展させようとする意図も見受けられ大変危険であると、このように考えております。  そこで、膠着状態にある日朝交渉の中で、歴史に名を残したい小泉総理の意向をどのように実現していこうと考えていらっしゃるのか、小泉総理の後継者として世間に見られているお二人の大臣、それぞれ見解を伺いたいと思います。
  59. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 今、委員がおっしゃった総理が歴史に名を残したいということで日朝の正常化に取り組んでいるんではないかというお話がございましたが、総理は日朝間の問題を解決をすると、そして我が国にとって絶対にこれは譲ることのできない、解決をしなければいけない拉致問題をしっかりと解決をすると、正に国益のために日朝交渉を行わなければいけないと、そう御判断されたというふうに私は思っておりますし、二〇〇二年に訪朝した際は私も副長官として同行をいたしました。  この総理の訪朝があって、今まで帰ってくることができなかった五人の被害者日本の土を踏むことができました。その御家族、八名の方々も今、日本に帰ってくることができて、そして一家で今年はお正月を迎えることができるわけでございます。更なる努力を重ね、行方不明と言われた方々、あるいはまた特定失踪者の中にも当然拉致被害者が含まれている可能性は高いわけでありまして、こうしたすべての拉致被害者の帰国を達成することが第一の私たちの使命であると、このように考えているわけでございます。  その中で、対話と圧力の姿勢によって何とかこの問題を解決をしなければいけないと、またこの問題が解決をしなければ北朝鮮にとっても事態はますますこれは悪い方向に向いていく、北朝鮮が国際社会に受け入れられ、そして国として成り立っていくためにはこの問題を解決をしなければいけないと、このように理解させることが大切であると、こう考えています。  その中で、今正に真剣な我々は努力を行っており、次なる正常化、次なる日朝交渉においても三つのこのいわゆるトラックにおいての協議という提案をしておりまして、先方がどう対応していくかということを見守っているわけでありますが、是非とも次回の会合北朝鮮側からの誠意ある対応を引き出していかなければいけないと、こう考えているわけでございます。  いずれにいたしましても、この拉致問題の解決なしには正常化ということはあり得ない、こう思っております。総理もそのことははっきりおっしゃっているわけでありますし、私も官房長官をしている以上、拉致問題の解決なしに正常化交渉はないということをはっきりと申し上げておきたいと、こう思います。
  60. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 自国の国民を日本から拉致したという事件が昔ありましたが、金大中という人が拉致されたことです。今回の場合は、自国国民ではなくて我々日本国という国民を他国が拉致をしたということ、すなわち国家犯罪であるということを国家が認めた、国家元首が認めた最初の例です、過去にこういう例はほかに一つもありませんから。そういった意味では、これの意味するところは極めて大きいんであって、それを自分の名を残すためにやるという考え方に、私、くみすることはありません。基本的にはそこが一番肝心なところだったと思っておりますので、そういった意味で、今どなたかがもう一回訪朝するとか何とかいう話が、五分とかいう話があったとかないとかいう話を直接本人から聞いたわけではありませんので、私も知りません。また、小泉総理が三度目の訪朝をするというような兆しは私どもの関知するところでは全くありません。
  61. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 今ほど麻生大臣から触れていただきましたので、私、あえて通告をしなかったんですけれども、基本的な御認識をちょっと一つだけ確認させていただきたいと思っているんですけれども、この拉致問題というものは正に国家目的による主権侵害、すなわち安全保障上の問題だというこの御認識を両大臣とも持たれているということでよろしいでしょうか。念のため確認のため御答弁をお願いいたします。
  62. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 二〇〇二年に小泉総理が訪朝して帰国された際に、拉致問題というのは情の問題ではないか、知と情というコラムを書いた新聞社が幾つかありました。核の廃棄が優先するべきであって、それが知の問題であるという議論があったわけでありますが、私は当時官房副長官として答弁し、それは違う、拉致問題というのは我が国の正に国民の生命と財産を脅かした事件であり、そして拉致をどうして行ったかといえば、対南工作のために使うために行った、あるいはいろいろな工作を行うテロリストの養成のためにも使ったかもしれない、正にこれは我が国安全保障上の問題であるというふうに申し上げたわけでありまして、その考えにはいささかの変更もないということは申し上げておきたいと思います。
  63. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 核の問題というものは極めて大きな安全保障上の問題であるということは言をまたないと存じます。しかし、同様に、自分の国の中で他国民によって自国民が拉致をされるということは、これは安全保障上から考えましても、これは通常の不安とか安全とか安心とかいう観点からも極めて大きな問題であって、これが安全保障にかかわる非常に大きな基本的な問題であることは当たり前であります。
  64. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 次の質問に移らせていただきます。  米国のデトラニ特使は、拉致解決とテロ支援国家の指定をリンクさせる考えを示しており、日米の連携の重要性は言うまでもありませんが、日米韓の三国の連携が最近は欠けているように見受けられます。拉致問題について韓国を含めた日米韓の連携は考えられないのでしょうか。韓国においては同様により大きな拉致問題がありますけれども、連携の可能性はないのでしょうか。外務大臣伺います。
  65. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 過日行われました外相会談におきましても、これは拉致問題の重要性につきましては、これは幾度となく提起をしておりまして、協力も要請してきておりますし、その結果も両国は拉致問題の重要性については理解を示しておるところだと思っております。これまでの会議ずっと、前大臣、前々大臣、ずっと一貫してこの問題をやっておりますので、そういった国際問題解決につけて三国間、より一層緊密な連絡を取って対応していかねばならぬと思っております。少なくとも、向こうは四百八十六人だったかな、なんかというけたの大台でありまして、我々に比べて十倍、しかも人口構成からいったら更にということになろうかと思いますので、より深刻だろうと思っておりますので、私どもとしては是非一緒にこの問題をということを考えていくべきだと、私もそう思っております。
  66. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 今、日本に比べて十倍というお話がありましたけれども日本政府が認定をしている拉致被害者というのはまだ少のうございます。大臣の御認識、その特定失踪者も含めてということを図らずもそのような御認識であるということだと思うんですけれども政府として拉致を国際問題として取り上げていくために、国際圧力になるべく国際包囲網をどのように進めていくのかという点について伺いたいと思います。  まず初めに、タイ人拉致被害者、アノーチェ・パンジョイさんの事件についての認識について伺いたいと思います。続けて質問させていただきたいんですけれども、今回、アノーチェさんの話が分かりました。諸外国からの拉致について、どの国から拉致されていると政府は認識をされているのでしょうか。続けてお答えいただきたいと思います。
  67. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) ちょっとお待ちください。済みません。これまでの報道で名前の挙がった国からいろいろ情報収集を行っているんですが、韓国、フランス、オランダ、イタリア、レバノン、タイ、ルーマニア、ジョルダン、マレーシア、マカオということになっておりまして、御指摘のようにこういったような関係者の中で、私どもとして今、この間話題になりましたレバノンの話やら何やらいろいろ私どもとして照会を行っているところでありますけれども、これらの国の数で何人がどうなったかというところまで細目が分かっているわけではございません。
  68. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 ただいま外務大臣がお答えになったその情報源はどちらからかということは提示していただけますでしょうか。
  69. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今答弁の中でもお答え申し上げましたように、これまで報道等で名前が挙がったと申し上げたんで、報道によって挙がった名前だけ申し上げております。
  70. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 今ほどおっしゃいました報道によってということなんですけれども、先日の産経新聞で十一か国、各国から拉致された人々は被害十一か国にという報道がありました。今ほどお答えになったとおりでございます。  この情報ソースといいますのは、一九七八年に北朝鮮拉致されたレバノン人女性たちの証言というものがこの中で非常に大きなウエートを占めているんでございますけれども、このレバノン人に関してはここでは言及、詳しくは説明いたしませんが、皆さん御存じだと思います。  このレバノンの女性の皆さん政府は直接確認を取っているのでしょうか。御答弁をお願いいたします。
  71. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 御指摘のレバノン人の拉致事件に関しましては、レバノン政府関係者に照会を行っております。その結果、一九七九年、レバノン政府が在レバノン北朝鮮通商代表部に抗議を行ったものの、北朝鮮側から直接の回答はなかった。その後、誘拐されたとされておりますレバノン人四名ないし五名の一部が自力で脱出したとされております。その後、残りの方々につきましても最終的にレバノンに帰国したという情報を得ております。  以上です。
  72. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 私は、日本政府が是非これらの方々と直接接触をして、様々な情報をもう一度確認し、整理する必要があるのではないかと思います。今回のアノーチェさんの事件も明るみに出ました。国際的拉致事案について様々な証言を基にもう一度整理をして、そしてそれを基に私は国際的に働き掛けるべきではないかと思います。  そういう観点から見ますと、先ほど来お話が出ておりますアメリカの北朝鮮人権特使のカウンターパートになる政府高官の任命というものは、こういうものを整理した上で世界的に各国に働き掛けるという点で非常に有効であると考えますけれども、いかがでしょうか。先ほど余り良い御答弁はなかったようなんですけれども、もう一度あえて伺わせていただきますけれども、このような人権特使を任命するお考えはないでしょうか。官房長官
  73. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 先ほども申し上げましたように、米国で任命された特使がどのような機能をこれは発揮をしていくのかということも参考にしながら検討していきたいというふうに考えています。  要は、しっかりと日本から発信できるように、また国際場裏において各国と協議をしながらこの問題について国際社会と連携を深めていく。あるいは、ある意味では、この問題を解決するように国際包囲網をつくっていくためにどういう形がいいのかということを念頭に検討をしなければいけないと、こう思っております。  いずれにいたしましても、外務大臣とよく協議をしていきたいと、こう考えております。
  74. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 検討は結構なんですけれども、もう正念場だと思うんですね、私、拉致問題。検討をします、辛抱強く粘り強く働き掛けてまいりますと、もう何度も伺いました。このぐらいのことがなぜやりますというふうにすぐお答えになれないんでしょうか。私はちょっと理解できないんですけれども、いかがですか。  それで、それも一言お答えいただきたいのと、それから外務大臣伺いたいんですけれども、先ほど来国際的な働き掛けというお話が出ているわけですけれども、来月十二月二十二日、家族会、それから救う会、そして私ども議連はアノーチェさんのお兄さんを国民大集会に招聘しております。  官房長官、そして外務大臣がアノーチェさんのお兄さんに面談する準備はおありでしょうか。おいでになった場合に面談をしていただけるかどうか、通告はしておりませんけれども、両大臣にお答えいただきたいと思います。
  75. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) まだ、今初めて来日をされるという話を伺いました。事件の日本での拉致問題の解明がそれによって進むのであれば、私が会うことで進むのであれば検討をしていきたいと、このように考えております。  アノーチェさんの件につきましては、私は、ジェンキンスさんの書かれた「告白」という本の中にアノーチェさんのこと、そしてまたあるいはルーマニア人の方、そしてまたレバノン人の奥様の四名、曽我ひとみさんを入れて四名の方々についての言及があるわけでございまして、その方々がもしかしたら他の、その御本人たちは他の日本拉致被害者のことについて知っているかもしれないということは十分にあり得ると、こう思っております。  ただ、このアノーチェさんのお兄様はその御当人ではないわけでありまして、事件の究明ということについてはむしろ、その御本人がもし帰国することができれば当然それは寄与することになるんだろうと、こう思いますが、今急な御下問でございますので、それは考えておきたいというふうに思うわけでありますが、いずれにいたしましても大切なことは、先ほど御質問の中にもありましたように、レバノンにはいったん拉致をされながら帰国を果たした人たちもいるわけでありまして、先ほど外務大臣が答弁されたように、その方々とはしっかりとこれは接触を図って協議をするべきではないかと思います。  私は実は今から六年前、国会でこの問題、レバノン人の問題について初めて国会で取り上げて、しっかりと外務省に対応するようにということを質問をしたことを思い出すわけでありますが、しっかりとそういう意味では対応していく必要があると、このように思います。
  76. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) タイ人の拉致された方の家族の人が来日されるという話は私も今初めて伺いましたんで、それに会うとか会わないとか、私、初めて伺った段階で何とも申し上げようがないんですが、記憶ですけれども、先般のAPECの首脳会談のときに総理とタクシン、タイの総理との間でこの問題についてたしか協力していくことというものが確認されたと記憶いたしますんで、いずれにしても問題解決のために何らかの役に立つのであればと思っております。
  77. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 役に立ちますよ。ですから、是非お会いになってください。  アメリカの政府高官は家族会のメンバーに何回も会ってくれております。しかし、日本政府は、今御答弁いただいた安倍官房長官が副官房長官時代、韓国人の被害者家族に官邸ではなく議員会館で面会をしただけでございます。ありとあらゆる機会を使って北朝鮮に対して圧力を掛けていく、国際世論を盛り上げていく、大きくしていくということが必要だと思っておりますので、十二月二十二日の国民大集会に招聘しております。詳細ははっきりしておりませんが、是非お会いいただきたいと思います。  最後の質問にさせていただきたいと思いますが、特定失踪者の問題について最後に確認をさせていただきたいと思います。  先般の日朝政府間対話で、外務省は特定失踪者のリストを北朝鮮に提示したということでございますが、だれについて、どうやって提示し、北朝鮮に何を求め、そして北朝鮮側からどういう回答があったのか、具体的にお答えをいただきたいと思います。
  78. 齋木昭隆

    政府参考人(齋木昭隆君) お答えいたします。  十一月の三日、四日に北京でやりました日朝政府間協議の場でいろいろなやり取りをいたしましたが、その中で私の方からは、この特定失踪者問題調査会の方で作られたリスト、これは拉致された疑いが特に強いとされている方々のリストでございますけれども、それを踏まえて我々の方でも整理いたしまして、これを北朝鮮側に対して手交したわけでございます。  これは前からもそういうことで、特定失踪者方々について何か情報があれば日本側に対して提供するようにということを去年の実務者協議の場でも向こうに対し要求しておりましたけれども、今回も入国の有無、それからまた入国している場合の今どういう状況になっているのかということについてもしっかりと調べてもらいたいということで、先方にボールを投げております。  今回、この件につきましては先方の方からは特段の反応はございませんでしたけれども、次回、私どもの方でまた日朝協議やりますから、この件につきましては更にやり取りをする、そういう方針でございます。
  79. 広野ただし

    委員長広野ただし君) 森ゆうこさん、時間が参っておりますので。
  80. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 時間になったので終わりますけれども、先ほども申し上げましたように、今、正に正念場に来ていると思います。ありとあらゆるカードを使って是非とも圧力を掛け、この問題の解決に御努力をいただくことをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  81. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 公明党の木庭健太郎でございます。  質問通告をちょっとしていなかったんですけれども外務大臣に一点伺っておきたいのは、今日の報道でKEDO組織解体という報道がなされておりました。一連の経過の流れからいえば当然そういう帰結を迎えるんだろうということは認識できるんですが、このKEDOが解体されることについての評価、及びやはりこれが解体されることによってこれから行われる日朝交渉及び六者会合にどんな影響を与えていくのかということについて、御認識があれば外務大臣からお伺いをしておきたいと思います。
  82. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 少なくとも今回の一連の交渉経過の中で、北朝鮮の方からは少なくともこの核に関する誠意ある回答は得られなかった。これが軽水炉発電の元々の発想の原点ですから、その誠意が出されなければ、これは当然のこととして軽水炉の建設もないということに、これは当然の帰結だろうと思っております。  そういった中で、私どもとしては、これはライトウォーター、軽水炉を造るという前提で事を進めておりましたので、それなりにいろいろ私どもとしてはそれなりの対策、対応をしてきたところですけれども、それは無駄になったと言えば無駄になったということになろうと存じますけれども、しかし、私どもとしてはもっとせっぱ詰まってから言えばよっぽどよかったと考えざるを得ぬところなのかもしれませんと、この種の、相手が、相手のあっての交渉ですから。  そういった意味では、考え方はいろいろあるんだとは思いますけれども、今回の段階で、私どもとしては、少なくとも何でもかんでも全部、軽水炉もでき上がって、それもできた上にプルトニウムなんてことになったら全然、更にひどいことになろうと思いますんで、私どもとしては、今申し上げたような感じで、この段階で決断を下ろしたというのはそれなりの正しい判断だったと、私どもはそう考えております。
  83. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 どうですか、これ六者、今後の六者とか日朝にこのこと自体が直接波及することは私はないとは思うんですけれども、何かその辺、お考えがあれば伺っておきます。
  84. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 直接影響をするわけではないとは存じますけれども、少なくともあの段階で約束をしたものが後では履行されなかったという傾向のある国だということだけは極めてはっきりしていると思いますんで、対応は今後とも慎重になっていかねばならぬものだと存じます。
  85. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 それでは、通告に従って質問をしたいと思います。  まず一点目は、先ほどからずっと御議論になっている点でございますが、北朝鮮の今回の日朝交渉に対する対応、言わば一年間、遺骨と言われる問題をめぐって以降極めて、反応もせず不誠実だったものが、急遽今回になって何回もの会合を重ね、日本大使公邸での夕食会にも応じるという、正に劇的な変化をしているわけでございます。そういう意味では、一体この劇的な変化はどこに北朝鮮の真意があるのかということをきちんと認識することは極めて大事だと思うんです。時間稼ぎというような認識もございました。外務省として、この辺どんなふうにこの劇的な変化を認識しているのか伺っておきたいと思います。  齋木さんでいいよ、齋木さん。
  86. 齋木昭隆

    政府参考人(齋木昭隆君) 私の方からお答え申し上げます。  今回の六者会合の際に日朝で接触がございまして、比較的長時間の接触でございましたが、おっしゃるように、始まる前に日本大使の公邸での夕食会で長時間、核問題を中心意見交換を行いましたし、また会合の期間中も一時間ぐらいの時間を使って意見交換の機会がございました。  今までは、北朝鮮は核問題については日本とは議論しないんだというようなことでやってきたわけでございますけれども、だんだんと、やはりこれは日本も含めて、核の問題、意見交換をしていくというふうにだんだんなってまいりまして、これは特に、共同声明が前回の六か国協議終了のときに採択されました中でも、日本も含めた形で六か国の合意ということでの核の廃棄についての約束事というものをはっきりと紙の形で約束し合っているわけでございます。したがって、これはこれで北朝鮮側のスタンスの変化というふうに我々として思っております。  そのねらいがどこにあるのかということについては、北朝鮮側の意図について憶測をするのもいかがなものかと思いますけれども、少なくとも彼らは日本をこういう核の協議の場に交えるということに彼ら自身の明確なる利益を見いだすればこそ日本と話をすると、また日本を通じてアメリカの様々な考え方を探るというようなことも含めて彼らなりの戦略、戦術というものがあるんであろうというふうに考えております。
  87. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 ただ、残念ながら私たちが取り扱うこの拉致の問題ですね、これに関しては今回も結局お互いに、日本側は主張すべきことを主張する、相手方は相手方で拉致問題は解決済みと、新たな情報もないと、報告のあったとおりの状況でございます。安倍官房長官が変節したか変節しないかというお話もございました。私は、一貫してこの北朝鮮の問題に安倍官房長官は取り組んでおると思いますし、また、長年取り組んだ安倍官房長官だからこそ、今回ようやく再開したことについてどうこれを評価するかというのは立場として極めて大事な点だろうと思いますし、特に、この再開される前に安倍官房長官は、是非とも今度再開するならば完全解決ということで誠意ある対応を示していただきたいという談話を北朝鮮に向かって提示をされておりましたが、残念ながら、再開された第一歩は私はやはり厳しいものだったんではなかろうかと。  そういう意味で、今回のこの日朝交渉が再開したことに対する、そしてその再開した場に臨んだ北朝鮮に対してどう官房長官として感じられているか、と同時に今後の取組方をお聞きしておきたいと思います。
  88. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 先ほど委員が御指摘をされました今回の北朝鮮のこの核をめぐる問題においての態度の変化、またあるいは日朝交渉について応じてきた対応の変化等々があると、こう思います。  九三年、九四年の北朝鮮の核の危機の国際社会との対応等からずっと十年来見てまいりますと、やはりある程度しっかりと厳しい対応をしたときに彼らは態度を変えてくるということではないだろうかと、こう思うわけであります。日本は、百四十万トンを超える米の支援を数次にわたって行ってきました。果たしてその後、日本にとって本当に好ましい変化があったかどうかということはしっかりとこれは学習していかなければいけないと、こう考えています。  昨年、公明党を始め各党の皆様の御協力によって経済制裁を可能にする法律が通ったわけであります。あの法律を通せば、あるいは議論すれば全く北朝鮮との交渉はできなくなるという新聞の論説もあったわけでありますから、しかし、その結果はどうだったかと言えば、五月の二十二日、総理の訪朝を受け入れ、八人の拉致被害者の御家族日本の帰国を果たしたわけでございます。  そういう意味におきまして、しっかりとした我々は対応を取っていくことが大切であろうと、こう思います。  この法律を使うことはもちろんある意味では一番の圧力になるわけでありますが、それ以外にも油濁防止法を制定をしました。そしてまた、あるいはポートステートコントロールを的確に厳格に運用していく、そしてまた、あるいは原産地等々、海産物の原産地の表示について厳格にこれは適用していくということをもって相当のこれはある意味ではある種の圧力になっている、このように思います。また、PSIについても日本はしっかりと行っている。  こうした結果、また、昨年の横田めぐみさんの遺骨問題について北朝鮮が全く誠意のかけらもない対応を取ったことに、日本の世論も非常に厳しく、また議会においてもあるいは政府も厳しい対応を取っていくということを十分に考える可能性を示唆してきた結果、今回これはやはり、対話に対しては、基本的には対話はちゃんと応じていく、そして日本がこの問題を提議をするということについては理解を示さなければいけないというところまで来た。ただ、まだ道半ばというか、まだ入口であります。しっかりと結果を我々は出すべく更に対話と圧力をこれは、の姿勢でタイミングをいろいろと考えながら、我々も次なるこの日朝協議の場でしっかりとした誠意ある対応を求めなければいけない、また誠意ある対応北朝鮮はしなければならないと、こう考えております。
  89. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 正に対話と圧力、これをどう、どの時点でどう使いながらどう強めていくかと。そういう意味では、この拉致問題に関しては正にそういった問題を進めていただきたいし、またその意味で、先週十七日、麻生大臣もおっしゃっておりましたが、国連総会の第三委員会において国連総会初の北朝鮮による拉致問題に言及された決議が採択されたことは、正に今後、拉致問題を国際的な人権の問題として北朝鮮を包囲する、そういう一つの足場を得たものというふうに私どもも評価をいたしておりますし、また、北朝鮮国交を有する国が多いEUの大半がこの決議に賛成票を投じたこと、私もこの委員会で言っておりましたが、EU諸国、そういうところにも外交努力を要請すべきだというような意味から考えても、そういったところの賛成を得られたことは非常に大きかったことだと思っております。  ただ、この決議、中を見ますと、中国、ロシアは反対で、多数の拉致被害者が存在する韓国が棄権です。それぞれ国の事情があることは承知していながら、いながらも、なおかつこの六者のうちのこういう国々がこれに反対若しくは棄権ということは、私は、ある意味では、もう一歩何か努力できないかなということを強く感じた次第でもございます。  今後、この十二月でございますが、国連総会の本会議で今度は採択を求めていくという努力を多分されると思いますし、是非とも実現をしていただきたいと思っておりますが、その際に是非とも、委員会の際には賛成を得られなかった中国、ロシア、韓国、こういった国々始め、より多くの賛同国を得るように更なる努力が必要だと私は思っておりますが、この点についての外務大臣の決意と努力を伺って、私の質問を終わります。
  90. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今おっしゃられたとおり、六者協議の場のうちの六か国のうち二か国が反対、一か国は棄権という状況でこの第三委員会の採決というものがなされたというのは、確かにおっしゃるとおり極めて大事な観点だろうと思います。御指摘のとおりだと存じます。  私どもとしては、これは国連総会の本会議で、これ十二月に行われる予定でありますので、このときの採択というものができるかできないか、私ども今から一層努力をさせますけれども、私どもとしては、これは是非採択をするということが今の第三委員会の分のとは更に違った意味の圧力になろうと思いますので、引き続き外交努力を継続してまいりたいと考えております。
  91. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 終わります。
  92. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 日本共産党の緒方靖夫です。  最初に、麻生大臣に靖国神社問題についてお伺いしたいと思います。  大臣は、二十一日、ブルームバーグテレビでこういう発言をされているんですね。遊就館についてですけれども、遊就館には何度か行ったことはあるが、戦争を美化するという感じじゃなく、その当時をありのままに伝えているというだけの話である、美化しているという感じじゃなく、そのときはそうだったという事実を述べているにすぎないと思うと、こうおっしゃられているわけですけれども、この展示の中心、私もここを訪問したことがありますけれども日本の戦争が、自存自衛、アジア解放のため、そういう説明があります。あるいは日米開戦、真珠湾攻撃についてこういうふうに述べているんですね。アメリカのルーズベルト大統領はいかにして日本を最初の一発を撃たせるかと考えていた、それはイギリスのチャーチル首相の要請でもあったと。ですから、アメリカが悪くて日本が正しかったと、そういう展示も当然あるわけですね。  ですから、大臣はどこをごらんになったのかと思うわけですけれども、この博物館の事実の展示だけという、そういうふうに述べられたという点について、この発言が大臣御自身の正確な御認識なのかどうか、その点をお伺いいたします。
  93. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) あれを見られて戦争美化というように感じられるか、あの時代のことを正確に伝えているか。少なくともあの時代に生まれておりますので、私の場合はあなたと違って戦前生まれ、これでも、でありますので、少なからぬ記憶もありますし、爆弾も食らったし、うちも空襲で焼けましたので、そういった意味では私どもの方が記憶は正確だと少なくとも思っておりますので、今あれを見られた上で、その当時の雰囲気というのを知らないわけでもありませんし、鬼畜米英とあおった多くのマスコミがあったことも子供心に知っているところでもありますので、私どもとしては、あれを見て、特に今申し上げたような中に、見解の相違かなと思っております。
  94. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 やはり歴史の事実、これが非常に大事だと思うんですね。例えば、日本とアメリカとの戦争について、ブッシュ大統領が対日戦勝六十周年の記念演説で、これは八月三十日に行われたものですけれども、そこで、アジア解放を掲げた日本の戦争、これが結局、これから引用ですけれども、西欧植民地主義をもっと過酷で抑圧的になるバージョンで置き換えただけだった、そういう演説をしているわけですね。  私は、この認識というのは、やはり世界の、とりわけ戦後世界の認識だと思うんですけれども大臣はこのブッシュの、大統領の発言について、これは間違っているという、そうお考えになるんでしょうか。
  95. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 戦った相手のアメリカ側としては、自国の正義を貫かないと具合が悪い立場だから、向こうとしてはそう言うという気持ちは分からぬわけではありませんが、日本立場というものは当然、こちら側の方ではこちら側の言い分があって当然と存じますが。
  96. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 ブッシュ大統領の発言が間違っているのかどうかということを伺っております。
  97. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 戦った相手のアメリカ国の大統領の立場としては分かると申し上げたと記憶しますが。
  98. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 今大臣が御答弁になったことというのはやはり非常に大事な重大なことで、やはりこれは日本の、これからアジアの中で、世界の中でどう生きていくかということにかかわる非常に大きな問題だと思います。ですから、靖国問題というのは今非常に大きな問題としてクローズアップされているわけですね。そして、それを担当される大臣麻生大臣ということになるわけです。  一つ具体的にお伺いしたいんですけれども、小泉首相は十九日、釜山での記者会見で、遊就館に見られる過去の戦争の見解について質問されて、その見解を支持していない、そう述べられているわけですね。また、六月二日に衆議院の予算委員会で我が党の志位委員長が、靖国神社の戦争観は、小泉首相自らの言葉で述べた侵略への反省という日本政府立場と決して両立しないのではないですかと、そう尋ねたことに対して、小泉首相は、靖国神社の考え方政府と同じものではございません、そう答弁をされております。  そこで、明確に伺いたいんですけれども、靖国神社の歴史観について、大臣立場というのは、そうすると小泉首相の立場とは違うということになる、そう考えてよろしいですか。
  99. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 私の記憶では、靖国神社は宗教法人だと存じます。したがって、政府の施設じゃないんじゃないの、知らないけれども
  100. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 当然です。
  101. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) そうでしょう。
  102. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 当然ですよ。
  103. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 当然でしょう。したがって、その宗教法人の展示の仕方等々が、政府がしてどうのこうのと言うのとは少し違うんじゃないかなと思うわけですけれども、いずれにしても、一宗教法人のやっていることに関して政府としてどうのこうのと申し上げる立場にはないというのが通常の答弁じゃないでしょうか。
  104. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 政府と宗教法人の立場は全然違うわけですけれども、靖国神社の示している歴史観、戦争観、それについての見解を問われて、小泉首相は、それは政府のものとは違うと答弁されているわけですね。その点について麻生大臣はどう答弁されるのか、その点をお伺いしたいと思います。
  105. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) それが違うか違わないかということに関して、政府としてどうのこうのと、一宗教法人の見解をどうのこうのという立場政府はないと存じますが。
  106. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 私は、大臣が今日おっしゃられたことは、そのとき生きていようがいまいが、やはり戦後の世界がどういう世界として成り立っているのか。やはり、あの戦争が侵略と植民地主義の誤りであったと、そういうことから出発して成り立っているわけで、それについて靖国神社の展示というのは、それを正当化する、あの戦争は正しかったという、そしてまた戦犯の名誉を回復をする、そういうことを展示してあるわけですよ。ですから、麻生大臣が、美化ではないとか、あるいはその当時の歴史を述べているだけというその発言は非常に重大な意義を持つ、そう思うんですよ。  ですから、私は、靖国神社の展示について今大きな問題になっていると。その問題について大臣が、正に小泉首相が政府のものではないと述べていることについて、そういう考えをおっしゃらない。むしろ、ちょうど英字新聞のジャパン・タイムズが、麻生大臣は博物館を擁護しているという、そういう報道をしておりますけれども、そういう立場に立つならば、私は非常に重大なことになると思うんです。  端的にお聞きしたいんですけれども麻生大臣は遊就館のあの展示物、それについて擁護されるのかどうか、お伺いしておきたいと思います。
  107. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 何度も申し上げておりますように、一宗教法人の展示の仕方について、政府を代表する一閣僚として、それが正しいとか間違っているとか、いいとか悪いとか申し上げる立場にはないと申し上げております。
  108. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 大臣の答弁は、やはり非常に重大だと。やはり靖国神社が、かつてのあの侵略戦争と植民地主義、あれについての正当化を図っているという、そういう展示を行っているということが今大きな問題になっているわけですから、それについてそのことをはっきり言及されない。そのことについて私は非常に重大な問題だということをこの場ではっきりと申し上げておきたいと思います。  その上で、本題に入りたいと思います。  日朝政府間協議についてなんですけれども、一年ぶりに再開されたこの協議日本側は、今後、両国間の協議枠組みとして、拉致問題、核、ミサイル問題、国交正常化という三つ協議を並行していく、そういう進めていく方法北朝鮮側提案したわけですけれども、今後政府として、拉致問題解決を図るためにどういう立場北朝鮮対応していくのか、その点について大局的な話を伺いたいと思います。
  109. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今回の日朝政府間協議におきまして、私どもの方から、今御指摘のありましたとおり、三つの点を提案をさせていただいております。少なくとも過去一年間にわたりまして対話が途切れておりましたので、私どもとしては是非対話を軌道に戻して、いわゆる拉致問題等々を取り上げる場を確保するということが優先順位の一番ということになろうと存じます。したがいまして、その場におきまして拉致問題の懸案に関する事項、これに関する協議と核、ミサイル問題等安全保障に関する協議国交正常化という三つ協議の場をつくるということを検討されたらどうかという話をいたしております。  したがいまして、私どもとしては、これを履行するに当たりましては、基本的な目的は、いわゆる拉致問題に関しまして協議をする場が全くこの一年間行われておりませんので、私どもとしては、こういった場をやって、同時並行的にやっていくということで一つのスタートにさせたらどうかということを私どもとしては提案をしたということであろうと思います。  ただこれは、この話でいきますと、先ほど御懸念もあっておりましたけれども、いわゆるミサイルとか核とか拉致とかいう話が何となく後になって、国交正常化だけで、過去の清算という話ばっかりになるのではないかという御懸念があっておりましたけれども、私どもは、核とかミサイルとかというものはもちろんのこと、拉致の問題解決なくして国交正常化等々の妥結はないということは全くこれまでどおり変更のないところであろうと存じます。
  110. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 結局、どんな無法を行った政府が相手でも、結局それを相手にしなけりゃ問題は解決しないという、そういうことになると思うんですね。そして、そのためにはその対話の場に引き出さなきゃならない、そういうことだと思います。  政府としては、三つ協議を並行して行うことによって、九月の第四回六者協議での共同声明に基づき、また日朝平壌宣言を踏まえて、北朝鮮との国交正常化の再開を働き掛けつつ、いろいろこれからやられていくと思うわけですけれども、やはり北が国際社会に復帰した方が、核を放棄した方が、やはりそれが彼らの国益になるということを説得する、あるいはそういう対話を行う、そのことがこれからの非常に大事な点だと思うわけですね。そこに私は日本外交の腕の見せどころがあると、そういうふうに考えているわけですけれども、そういった点についてこれからの見通しというのは、相手のあることで大変難しいわけですけれども、しかし私はその点、相手がこれまで約束を何度も破る、あるいは国際的な無法を繰り返している、そういう相手だけに、そういう、こちらとしてはきちっとした対応を進めることが非常に大事だということを痛感するわけですが、その点について大臣の御見解を伺っておきたいと思います。
  111. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これまでもきちんとした対応をしてきたんだと思っておりますけれども、少なくとも、今言われましたように相手のあることではありますんで、何とも、どういうような対応が一番いいか、なかなか判断の分かれるところだと思いますが、私どもとしては、基本的には対話と圧力という点に関しましては基本的な話として一致しております。先ほどは官房長官から御説明のありましたのも、事実としてこれまでの、時系列的に見てあれも事実であろうと存じますんで、私どもといたしましては今後とも対話と圧力、この基本路線というものを踏まえて対応していきたいと考えております。
  112. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 安倍官房長官にお伺いいたします。  第四回六者協議共同声明は、国連憲章を始め国際的な規範を遵守することを明記するとともに、米朝間の国交正常化また日朝国交正常化の問題を取り上げたわけですけれども、このことは日本外交にとってはとても重要な意義を持っていると思うわけですね。共同声明は、日朝両国が平壌宣言に従って不幸な過去を清算し、懸案事項解決することを基礎に国交正常化の措置をとることを約束したとしております。これによって拉致問題などの諸懸案を包括的に解決していく、国交正常化に進むという平壌宣言の方向は、日本北朝鮮の両国間の合意にとどまらず、六か国の協議の合意という国際的な裏付け、これを得たことにもなるわけですね。私は、そこにこれからの交渉拉致問題解決等の重要な位置付けの高まり、広がり、これがあると思うんですね。その点についての御認識を官房長官にお伺いしたいと思います。
  113. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) ただいま委員指摘のとおり、六か国協議の場において核の問題のみがどんどん議論が進んでいって、そこで結論が出て、そして、では世界各国で援助していきましょうということになってしまっては日本立場としては困るというのが日本立場であります。何といっても日本には拉致問題がある、そういう中において、今委員がおっしゃったように、この二国間、またこれは米朝、そして日朝国交の正常化ということが入っております。国交正常化は、当然この拉致問題が解決をされなければ正常化はしないという意味において、この六か国の場においても、我々が主張しているこの拉致の問題の解決の必要性もこの議題の中に入れ込むことができたというふうに私は認識をしております。
  114. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 最後に安倍官房長官にお伺いいたしますけれども、これは昨年の十二月二十四日付けに出された安否不明の拉致被害者に関する再調査というその政府の文書でございますけれども、この中で非常に大事なことが書かれていると思います。それは、特殊機関の存在が真相究明にとって非常に大きな障害になっていると。北朝鮮の特殊機関、つまり拉致を実行した、そういう連中が今なお調査の間に介在して事実を明らかにすることを妨げているという、そういう認識だと思うんですけれども、私は、この点というのはこれからこの拉致問題を明らかにする非常に大事なポイントだというふうに感じております。  拉致という大変重大な国際犯罪を犯した北朝鮮の特殊機関が今もなお大きな権限を持って存在している。そして、この拉致問題をめぐる日朝交渉でもその機関の存在が真相究明の妨害になっている。これはやはり取り除かなくちゃいけない。もちろん、相手があることだからこちらでできることは限られるかとしても、やはりそれが非常に重要な交渉になってくると思います。ここから生まれる障害を取り除いて、やはりこの問題を解明し、そして拉致問題を解決する、そういう点でも官房長官としてのお考えを伺っておきたいと思います。
  115. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 二〇〇二年、小泉総理が訪朝した際に金正日委員長も認めたように、この拉致については実行に特殊機関等々がかかわっていたわけでございます。この拉致問題を解決をするためには、この拉致を実行した組織等々がやはりどうしても自分たちがやったことをこれは何とか正当化したり、あるいは我々が要求している容疑者引渡しを拒んだりという可能性は十分にあるわけでございます。その中でこの問題を解決をするには、やはり金正日委員長の決断がこれは不可欠であると、このように思うわけでございます。  先ほど委員が御指摘をされたように、北朝鮮は今のままでは国際社会から受け入れられない、よって経済を立て直すことができないということでございます。大切なことは、今の態度を変えなくても国際社会から何となく受け入れられる形になってしまっては彼らは決して政策を変更しない、やはり今の政策を取っていてはどんどんどんどん状況が悪くなっていくという中にあって初めて大きな決断がなされるというふうに考えるわけでありまして、そこでやはり対話と圧力の、圧力もやはり当然大切になってくると、このように思うわけでありまして、国際社会と連携を図りながら何とかこの問題を解決をしていきたいというふうに考えております。
  116. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 時間ですので、終わります。
  117. 広野ただし

    委員長広野ただし君) 本日の調査はこの程度にとどめます。     ─────────────
  118. 広野ただし

    委員長広野ただし君) 委員派遣に関する件についてお諮りいたします。  閉会中の委員派遣につきましては、その取扱いを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  119. 広野ただし

    委員長広野ただし君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時二分散会