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2005-10-27 第163回国会 参議院 法務委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十七年十月二十七日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         渡辺 孝男君     理 事                 松村 龍二君                 吉田 博美君                 簗瀬  進君                 木庭健太郎君     委 員                 荒井 正吾君                 山東 昭子君                 陣内 孝雄君                 関谷 勝嗣君                 鶴保 庸介君                 江田 五月君                 千葉 景子君                 前川 清成君                 松岡  徹君                 浜四津敏子君                 井上 哲士君                 長谷川憲正君    国務大臣        法務大臣     南野知惠子君    副大臣        法務大臣    富田 茂之君    大臣政務官        法務大臣政務官  三ッ林隆志君    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総局総務局長   園尾 隆司君        最高裁判所事務        総局人事局長   山崎 敏充君    事務局側        常任委員会専門        員        田中 英明君    政府参考人        内閣官房司法制        度改革推進室長  本田 守弘君        警察庁長官官房        審議官      荒木 二郎君        法務大臣官房司        法法制部長    倉吉  敬君        法務省矯正局長  小貫 芳信君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○裁判官報酬等に関する法律の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付) ○検察官俸給等に関する法律の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付) ○最高裁判所裁判官退職手当特例法の一部を改正  する法律案内閣提出衆議院送付) ○国籍選択制度の廃止に関する請願(第一号外三  〇件) ○成人の重国籍容認に関する請願(第二号外三〇  件) ○国籍法改正に関する請願(第四五号外八件) ○裁判所の人的・物的充実に関する請願(第一一  〇号外八件) ○法務局、更生保護官署入国管理官署、少年院  施設の増員に関する請願(第一二四号外七件) ○犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度  化に対処するための刑法等の一部を改正する法  律案共謀罪)の廃案に関する請願(第一九一  号外三件) ○死刑確定者外部交通権に関する法の順守及び  良識ある職務推進に関する請願(第二二九号  ) ○継続調査要求に関する件 ○委員派遣に関する件     ─────────────
  2. 渡辺孝男

    委員長渡辺孝男君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  裁判官報酬等に関する法律の一部を改正する法律案検察官俸給等に関する法律の一部を改正する法律案及び最高裁判所裁判官退職手当特例法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会内閣官房司法制度改革推進室長本田守弘君、警察庁長官官房審議官荒木二郎君、法務大臣官房司法法制部長倉吉敬君及び法務省矯正局長小貫芳信君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 渡辺孝男

    委員長渡辺孝男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 渡辺孝男

    委員長渡辺孝男君) 裁判官報酬等に関する法律の一部を改正する法律案検察官俸給等に関する法律の一部を改正する法律案及び最高裁判所裁判官退職手当特例法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。  三案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 吉田博美

    吉田博美君 自由民主党の吉田博美でございます。  裁判官報酬等に関する法律の一部を改正する法律案検察官俸給等に関する法律の一部を改正する法律案及び最高裁判所裁判官退職手当特例法の一部を改正する法律案について質問をいたします。  この法案を審議するに当たりまして、改めて日本国憲法に目を通してまいりました。憲法第七十九条及び第八十条におきまして、最高裁判所裁判官及び下級裁判所裁判官については、「裁判官は、すべて定期相当額報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない。」と規定をされております。一方、今回の法案は明らかに報酬減額するものだと考えます。しかしながら、この報酬月額も何回かの増額改定があり、その都度法改正が行われ、現在の月額になったものと思われます。また、この法案提案理由も、一般政府職員給与改定等に伴い裁判官報酬月額改定等を行う必要があるとしていることを考えますと、減額も適切な処置であるのではないかと考え、幾つかの質問をさせていただきます。  まず、法務大臣に、裁判官報酬法検察官俸給法について、今回裁判官報酬改定することとした理由は、主な理由は何なのでしょうか。司法独自性から考えますと、人事院勧告に従う必然性はないのではないかというような意見もあるのではないかと思いますが、その点についていかがでございましょうか。
  6. 南野知惠子

    国務大臣南野知惠子君) お答え申し上げます。  今回は、裁判官報酬等に関する法律の一部を改正する法律案、これは、裁判所におかれて検討を進められた結果を受けまして、一般政府職員給与改定等に伴い裁判官報酬月額改定等を行おうとするものでございます。  裁判官につきましては、その職務責任特殊性、それを踏まえました上で、司法担い手としての地位役割にふさわしい処遇が不可欠であるということから、裁判官報酬につきましては一般政府職員とは別の法律により定められているものと理解いたしております。  今回の一般政府職員給与引下げ、それは、その給与水準社会一般情勢に適応させるために一般職職員全体の本俸を引き下げるべきであるなどとする今般の人事院勧告を受けまして、同勧告どおり給与改定を行う旨の閣議決定を踏まえて行われるものでございます。  従来、裁判官給与につきましても、国家公務員全体の給与体系の中で、その職務特殊性を十分考慮しつつバランスの取れたものとするという考え方に基づきまして改定を行ってきており、政府として、裁判所におかれて検討を進められた結果を受けましての今般の措置を講ずることには十分に合理性があるというふうに考えているものでございます。
  7. 吉田博美

    吉田博美君 大臣も、十分に合理性があるというお考えを披瀝していただいたわけでありますが、この法案では平成十七年度分の給与改定平成十八年度以降分の給与改定の二段階に分かれていますが、まずはその趣旨についてお聞かせいただけますでしょうか。
  8. 倉吉敬

    政府参考人倉吉敬君) ただいま御指摘の二段階の点でございますけれども、いずれも今般の人事院勧告に基づきます一般政府職員給与改定に伴いまして裁判官報酬月額及び検察官俸給月額を全体として引き下げるというものでございます。  中身をちょっと申し上げますと、平成十七年度分の給与改定につきましては、一般政府職員について、民間賃金水準に合わせた給与月額引下げが行われます。これに伴いまして、裁判官報酬月額及び検察官俸給月額についても、おおむねこれに準じて全体的に約〇・三%引き下げるというものでございます。  それから、平成十八年度以降分の給与改定につきましては、一般政府職員について、民間賃金の低い地域における賃金水準に合わせた給与月額引下げ、そして民間賃金の高い地域に勤務する職員に対しまして、これまでの調整手当に代わる地域手当導入が行われますが、これに伴いまして、裁判官報酬月額及び検察官俸給月額についても、おおむねこれに準じて約一・九%から約六・七%引き下げまして、併せて新たに地域手当導入すると、こういうものでございます。
  9. 吉田博美

    吉田博美君 そうしますと、裁判官検察官の、裁判官報酬あるいは検察官俸給を引き下げることによって優秀な人材確保に影響を来すんではないかというような心配もあるんですけれども、その点についてはどのようなお考えでしょうか。
  10. 山崎敏充

    最高裁判所長官代理者山崎敏充君) お答えいたします。  今後、司法に対する国民期待はますます高まってまいりまして、司法の機能、役割の増大が求められてくるのではないかと思っておりますが、そういう国民期待にこたえるためにも、裁判官に優れた人材を数多く確保するということが非常に重要な課題であると私ども認識しているところでございます。  ところで、今回の裁判官報酬改定、これは人事院勧告を踏まえた一般国家公務員給与引下げに伴いましてこれと同程度引下げを行うというものでございまして、こうした減額によって直ちに裁判官への任官を希望する者が減少するといった事態にはならないのではないかと思っておるところでございます。  判事補の給源になりますのは司法修習生ということになるわけでございますが、つい先日判事補任官した人たちの話を聞きますと、多くの者が異口同音に、実務修習を含む司法修習の過程において先輩裁判官仕事ぶりを目の当たりにして、裁判官職責やりがい魅力といったものを感じて裁判官を志望したと、こう申しておりまして、人材確保という観点からするとこうしたことが最も重要なポイントではなかろうかと、そういう感を深くいたしたところでございます。  今後とも、司法修習生にそういった裁判官仕事やりがい魅力といったものを十分に伝えていきたいと考えておるところでございます。
  11. 倉吉敬

    政府参考人倉吉敬君) 検察官につきましてもほぼ同様でございますけれども、治安の回復、司法制度改革、様々な大きな政策課題ございます。これを実現していくためには検察官の人員の確保を図らなければなりません。そのためには、検察官待遇を相当な程度保障し、これを適宜改善していくことが必要であると考えております。  しかし、今回の法改正による俸給引下げでございますけれども、これは公務員全体の給与在り方、これを見直していく、その中で裁判官報酬が引き下げられる、その裁判官報酬引下げと同時に行われるものでございまして、検察官のみの待遇を引き下げようとするものではございません。  そもそも、任官者確保のためには、給与などの待遇面のみならず、先ほど裁判所の方でも申しておりましたけれども仕事やりがいなど、その他の側面の在り方が重要でございます。  そういったことから、今回の給与引下げで直接任官者の減少が検察官について起こるとは考えておりません。
  12. 吉田博美

    吉田博美君 裁判所の方も法務省の方もそういうような御見解でございますが、検察官につきましては一般職国家公務員でありながら裁判官と同様の給与体系となっていますが、その理由についてお聞かせいただけますでしょうか。
  13. 倉吉敬

    政府参考人倉吉敬君) 何よりも、検察官国家公務員法上は一般職国家公務員とされております。ただ、違う点は、検察官俸給につきましては、検察庁法二十一条におきまして「検察官の受ける俸給については、別に法律でこれを定める。」、こうされておりまして検察官俸給法が制定されていると、こういう関係でございます。  このような特別に別の法律が定められておりますのは、言うまでもございませんけれども検察官が刑事について公訴を行い裁判所に法の正当な適用を請求するなどの検察権を行使する、こういった司法権の適正円滑な運営を図る上で極めて重大な職責を有する準司法官であるということが一つございます。また、原則として裁判官と同一の試験及び養成方法を経て任用されるものであることなど裁判官に準ずる性格を持っている、こういうことがございます。そこで、検察官俸給等について他の一般職国家公務員とは別個に定めていると、こういうことでございます。
  14. 吉田博美

    吉田博美君 新しい地域手当制度導入により、裁判官検察官のそれぞれの勤務地により給与較差が広がることになりますが、この点についてはどのようなお考えでしょうか。それぞれお聞かせいただけますでしょうか。
  15. 山崎敏充

    最高裁判所長官代理者山崎敏充君) ただいまお話しの点でございますが、今回の給与改定につきまして最高裁判所裁判官会議で御議論をいただいたという経過がございますが、その際、地域手当制度導入については、全国いずれの裁判所においても均質な裁判を実現するため、転勤が多く、独立して職権を行使している裁判官職務特殊性等に照らし、これまで同様、地方都市を含め全国各地にひとしく優れた裁判官を配置できるように適切な人事上の施策を行うように努める必要があると、こういった認識が示されておりまして、私ども事務方もそのように努力してまいりたいと考えておるところでございます。
  16. 倉吉敬

    政府参考人倉吉敬君) 検察官手当につきましては原則として一般職給与法適用職員の例によることとされておりまして、先ほど裁判所の方からの説明にありました地域手当導入する趣旨といったものは検察官にも妥当するものであると考えております。  したがって、検察官にも同様の制度導入しようというものでございまして、これも同じような答弁になりますけれども、いずれにいたしましても、全国各地に置かれている検察庁においてその重責を担うにふさわしい有能な検察官を配置できますように、引き続き努力してまいりたいと思っております。
  17. 吉田博美

    吉田博美君 有能な人材全国各地に配置をしていただけるということは大事なことではないかと思いますが、さて、十七年度末から、引き続き裁判官になっている人の報酬経過措置を講じる必要性についてお聞かせ願えますでしょうか。
  18. 山崎敏充

    最高裁判所長官代理者山崎敏充君) 今回の裁判官報酬改定一般政府職員俸給月額改定に準ずるものでございまして、給与構造改革に伴う一般政府職員俸給引下げにつきまして激変を緩和するためということで経過措置が設けられておりますところから、裁判官につきましても同様の経過措置をお願いしているものでございます。
  19. 吉田博美

    吉田博美君 大臣、ところで、裁判官報酬月額を始めとする裁判官処遇在り方について今後どのような姿勢で検討を進めるべきか、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  20. 南野知惠子

    国務大臣南野知惠子君) 裁判官につきましては、その職務責任、そういう特殊性を踏まえました上で、司法担い手としての地位役割、それにふさわしい処遇が必要であろうかと思っております。また、裁判官報酬につきましては、「裁判官は、すべて定期相当額報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない。」と規定している憲法規定趣旨をも踏まえる必要があろうかと思っております。  今回も、裁判官報酬等に関する法律の一部を改正するこの法律案は、裁判所におかれて検討を進められた結果を受けて我々は改正を行おうとするものでございます。もとより、裁判官の担う職務責任が重大であることは改めて言うまでもございませんが、社会状況変化に伴い、事件も複雑、困難になっておりますので、裁判官役割は今後とも重要なものであろうと、これは認識いたしております。  裁判官報酬を含めました処遇在り方につきましては、今後とも裁判所意向を十分に尊重した上で必要な検討を行ってまいりたいと考えております。
  21. 吉田博美

    吉田博美君 次に、最高裁判所裁判官退職手当特例法について大臣にまず最初にお伺いいたしますが、最高裁裁判官退職手当を引き下げることは、先ほど大臣がおっしゃったようにその職責重要性がございますよね、そのような重要性の中から、重要性を損なうことにならないでしょうかと。今回の改正職責重要性との関係について大臣に御所見をお伺いいたします。
  22. 南野知惠子

    国務大臣南野知惠子君) 最高裁判所裁判官につきましては、これも広く各方面から識見の高い人材を得る必要がございます。その地位役割にふさわしい処遇がこれまた不可欠でございますので、退職手当につきましても他の国家公務員とは別に最高裁判所裁判官退職手当特例法により定められているところでございます。  今回の法案提出は、裁判所におかれまして、今般政府国家公務員退職手当制度を見直すことに併せて広く退職手当をめぐる状況や国の財政状況等を踏まえて検討された結果、最高裁判所裁判官退職手当特例についても見直しを行い、その支給率を下げることが相当との結論に至ったことを受けまして改正を行おうとするものでございます。もとより、最高裁判所裁判官の担う使命責任が極めて重いことは改めて言うまでもないところでございます。社会情勢状況変化に伴いまして最高裁判所の扱う事件も複雑、困難になっておりますので、最高裁判所裁判官役割は今後とも重要なものと考えております。  今回の法改正は、最高裁判所裁判官地位役割重要性を一切損なうものではないというふうに思っております。
  23. 吉田博美

    吉田博美君 大臣のお答えからも推察をできるわけでございますが、改めてお聞きいたしますが、最高裁裁判官退職手当特例法として特例法を設けていますが、その理由はどのように認識しているのでしょうか、また、最高裁裁判官以外の裁判官及び検察官退職手当はどのようになっているのでしょうか、お聞かせいただけますでしょうか。
  24. 倉吉敬

    政府参考人倉吉敬君) 先ほど大臣から答弁がありましたとおりでございますが、最高裁判所の担う使命責任の重大なことは言うまでもございません。この責任が全うされるためには、最高裁判所裁判官について広く各方面から識見の高い司法代表者たるにふさわしい人材を得る必要がありまして、その地位役割にふさわしい処遇が不可欠であると、理由はこれに尽きるわけでございます。このような最高裁判所裁判官役割地位の特段の重要性、そしてふさわしい人材確保を、人材確保する必要性があるということでこの特例法が定められたものでございます。  なお、最高裁判所裁判官以外の裁判官及び検察官につきましては、いずれも国家公務員退職手当法適用を受けます。したがって、国家公務員一般と同様の算出方法により退職手当の額が算出されると、こういうことになります。
  25. 吉田博美

    吉田博美君 ちょっと一つ飛ばさせていただきまして、今回の改正に当たりまして現職の最高裁裁判官意見はどのように反映されたのか、その点についてお聞かせいただけますでしょうか。
  26. 山崎敏充

    最高裁判所長官代理者山崎敏充君) 今回、最高裁判所裁判官退職特例法改定改正をお願いするに当たりまして、最高裁判所裁判官会議でやはり御議論をいただきまして、その議決に基づきまして法務省立法依頼を行ったものでございますから、こうした経緯からお分かりのとおりでございまして、最高裁判所裁判官意向に基づくと申し上げてよろしいかと存じます。
  27. 吉田博美

    吉田博美君 意向に基づいているわけでございますが、退職手当支給率を百分の六百五十から百分の二百四十に引き下げる、その根拠についてお聞かせ願えますでしょうか。大変大幅な引下げだと考えますが、このような事態になった理由は何なんでしょうか。
  28. 山崎敏充

    最高裁判所長官代理者山崎敏充君) 特例法の設けられている趣旨は、先ほど法務大臣答弁なされたとおり、私どももそのように思っておりまして、やはりその地位役割にふさわしい処遇をするために退職手当について特例を設けていただいていると、こういう理解をしております。  もちろん、特例法立法当時と比較して現在どうかといいますと、最高裁判所の取り扱う事件、複雑困難化しておりますところからしましても、その裁判官役割あるいは重要性というもの、これは変わっていないと思うわけでございますけれども、今般、一般国家公務員退職手当制度が大きく見直されるということがございますものですから、それに合わせましてこの機会に、例えば独立行政法人等の役員の退職手当改定といったもの、そういった退職手当をめぐる社会全般状況変化あるいは国の財政状況等を踏まえて検討いたしました結果、最高裁判所裁判官退職手当支給率については、これは見直すのが相当であろうというふうに考えたわけでございまして、今回その支給率、百分の六百五十から百分の二百四十に引き下げていただくということをお願いしたわけでございます。  この率でございますが、勤続期間一か月につきまして報酬月額の二割、これを年に換算しますと百分の二百四十ということになるわけでございますが、その程度支給率とすることが妥当ではないかというふうに判断したものでございます。
  29. 吉田博美

    吉田博美君 退職手当引下げは適切なものと考えますが、経過措置がございますよね。経過措置によって、国家公務員退職手当よりかなり高額となっているものを温存することにはならないのでしょうか。その点についてお聞かせいただけますでしょうか。
  30. 山崎敏充

    最高裁判所長官代理者山崎敏充君) 委員おっしゃられるとおり、今回の改正支給率を百分の六百五十から百分の二百四十へと大幅に引き下げるものでございまして、そういうことを考えますと、経過措置を設けなければ、例えば直ちに退職した方が今後数年在職するよりも退職手当額が有利になるという、そういう不都合な結果が生じるということにもなりかねないわけでございます。  今回、経過措置をお願いいたしましたのは、こういう不都合を回避するために、現に在職する最高裁判事についてそういう措置をお願いしたということでありまして、施行日以降の在職期間に対応する部分というのは、これは引き下げられた支給率でそれが適用されて計算がされるということになりますので、将来にわたって高額の退職手当を温存するという、そういうことにはならないのではないかと考えているところでございます。
  31. 吉田博美

    吉田博美君 そこで、大臣裁判官報酬退職金について、一般国家公務員との関係を含め、その在り方について大臣の御所見をお伺いいたします。
  32. 南野知惠子

    国務大臣南野知惠子君) 裁判官につきましては、その職務責任また特殊性、そういった重要性を踏まえた上で、司法担い手としての地位役割にふさわしい処遇、これが不可欠と考えておりますが、したがいまして裁判官報酬制度最高裁判所裁判官退職手当制度、これにつきましては、その仕組みにおきまして他の国家公務員と異なる職務責任特殊性を相当程度反映させる必要がございます。そういう意味で、裁判官報酬につきましては裁判官報酬等に関する法律によりまして、また最高裁判所裁判官退職手当につきましては最高裁判所裁判官退職手当特例法につきまして、それぞれ定められているところでございます。  もとより、裁判官の担う職務責任が重大であること、これはもう改めて言うまでもないところでありますが、社会情勢変化に伴いまして事件も複雑困難になっております。そういう意味から、裁判官役割は今後とも重要であるという認識を持っております。裁判官報酬を始めとする処遇在り方につきましては、今後とも裁判所意向を十分に尊重した上で必要な検討を行ってまいりたいと思っております。
  33. 吉田博美

    吉田博美君 分かりました。  次に、ちょっと時間の関係がございまして、移らせていただきますけれども司法制度改革についてお伺いしたいと思いまして、昨年の十一月末で司法制度改革推進本部が解散をされましたが、その後、更なる司法制度改革についてどのような体制でどのように取り組んでいるのでしょうか。その点についてお聞かせいただけますでしょうか。
  34. 南野知惠子

    国務大臣南野知惠子君) 今般の司法制度改革におきましては、総合法律支援制度や裁判員制度導入を始めとして、裁判の迅速化、法曹養成制度に関する改革など多くの重要な改革が実現し、大変大きな成果が得られたと思っております。  今後は、国民に身近で、速くて、頼りがいのある司法を実現するために進めてきた司法制度改革の成果を国民が実感できるよう取り組んでいくことが重要であろうかと思っております。国民の皆さんが改革の成果を実感することができますよう改革の本旨に従った制度の実施に取り組むとともに、引き続き必要な司法制度の見直し、これを適宜適切に行ってまいりたいと考えております。  先生御指摘のとおり、昨年十一月末に司法制度改革推進本部、これは解散いたしましたけれども、昨年十二月一日、内閣官房に司法制度改革推進室が置かれました。司法制度改革推進室におきまして、今後の司法制度改革推進に係る政府の施策の統一を図るために、必要な総合調整を行っております。  今後は、改革の本旨に従った諸制度の円滑な実施、これを図っていく必要がありますので、司法制度等を所管する法務省におきましては、各責任部局をまとめまして省全体での取組を可能にしますために、事務次官を議長といたしまして、検察庁からも参加をいただき、司法制度改革実施推進会議を設置いたしております。法務大臣である私の立場といたしましては、これらの体制の下で引き続き改革をしっかり取り組んでまいりたいと思っております。
  35. 吉田博美

    吉田博美君 大事な改革でありますので、引き続き取組をお願いいたします。  新任の大臣政務官にお尋ねをしたいと思いますが、裁判以外の紛争解決手続、いわゆるADR手続につきましては、昨年ADR法が制定されましたが、ADRを活性化する意義とADR法の施行に向けた取組状況について、大臣政務官にお伺いいたします。
  36. 三ッ林隆志

    大臣政務官(三ッ林隆志君) お答えいたします。  ADRは、様々な分野の専門家の知見を反映して紛争の実情に即した迅速な解決を図るなど、柔軟な対応が可能であるという特徴があります。そこで、これらの特徴を生かしたADRが活性化され、裁判と並ぶ紛争解決の選択肢となることが望まれます。  そこで、いわゆるADR法は、ADRの利用の促進を図るため、ADRの基本理念や情報提供に努めるべき国の責務等を定めるとともに、民間の調停等の業務について法務大臣が認証するという制度を設け、認証を受けたADRについて、時効中断効を付与するなどの措置を講じております。ADR法の施行により、ADRに対する国民の理解が深まるとともに、認証制度の下で国民が様々な紛争解決手段のうちから紛争の解決を図るのにふさわしいものを選択することが容易になり、その結果、ADRの利用が促進されるものと期待しているところであります。  ADR法は、公布の日、すなわち平成十六年十二月一日から起算して二年六月を超えない範囲で政令で定める日から施行することとされております。同法を所轄する法務省におきましては、現在、ADRやADR法について国民の理解を得るための広報を行う一方、政省令等の立案や認証制度の実施のための諸作業を行っているところであります。今後とも、認証制度が円滑かつ適正に運営されますよう、十分準備してまいりたいと考えております。
  37. 吉田博美

    吉田博美君 最後になりましたが、法務省は民法や商法などの基本法を所管していますが、今後、法令の外国語訳をどのように整備していくおつもりでしょうか、大臣よりお聞かせいただけますでしょうか。
  38. 南野知惠子

    国務大臣南野知惠子君) 社会経済の国際化が進みます中で、国際社会におきまして我が国の法令が容易かつ正確に理解されることは極めて重要であろうと思います。我が国の法令の外国語訳整備は早急に進める必要がある課題であると考えております。  現在、内閣に法令外国語訳推進のための基盤整備に関する関係省庁連絡会議が設置されまして、政府全体としてこの課題に取り組んでおります。法務省も、関係省庁といたしましてこの検討に協力しているところでございます。  法務省といたしましては、基本法を始めとする司法制度を所管する立場から、今後とも内閣における検討に最大限の協力を行うとともに、その検討結果や外国語訳に対する利用者のニーズ等を踏まえながら、必要な法令の外国語訳整備に努めてまいりたいと思っております。
  39. 吉田博美

    吉田博美君 終わります。
  40. 前川清成

    ○前川清成君 民主党の前川清成でございます。  私は、奈良県選挙区から国会に送っていただいておりますが、奈良市の富雄北小学校の女児誘拐殺人事件から十一月十七日で一年になります。つきましては、同じ悲劇を繰り返さない取組が進んでいるのかどうか、給与法の質疑に入る前に確認をさせていただきたいんですが。  今、法務省の矯正局と保護局とで性犯罪者処遇プログラム研究会というのをしておられます。今後の刑務所での処遇に当たっては、ただ刑期の間閉じ込めて刑務作業を科すというだけではなくて、このような専門的知見を活用した処遇プログラムを確立していくことが重要ではないかなと、こういうふうに思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
  41. 南野知惠子

    国務大臣南野知惠子君) 法務省におきましては、昨年四月に性犯罪処遇プログラム研究会、これを立ち上げました。精神医学や又は心理学、犯罪学などの専門家の意見を伺い、また海外の知見も参考としながら、矯正と保護が連携した科学的、体系的な再犯防止プログラムの策定に取り組んでいるところでございます。  この処遇プログラムにつきましては、本年度中に策定いたしまして来年度から実施すべく作業を進めているところでございます。性犯罪の再犯防止に向けて、鋭意努力を続けてまいります。  先生もいろいろと御協力いただいておりますことを感謝いたしております。
  42. 前川清成

    ○前川清成君 法務省のホームページにこの性犯罪者処遇プログラム研究会の概要が掲載されております。  それで、第三回、今年の六月二十三日に行われた第三回性犯罪者処遇プログラム研究会においては、帝塚山学院大学の小田晋教授が、性犯罪のうち異常性愛犯罪者はその特性に応じた対策が必要であり、また、精神障害の範疇に属しているので治療が必要であると、こういうふうな御発言をなさっています。また、吉岡隆さんは、性的問題行動には犯罪の側面と病気の側面があり、その病気とは依存症であると。依存症からの回復のためには一貫したプログラムが必要であるが、そのプログラムには医学的治療、心理教育、カウンセリング、リハビリテーション、セルフヘルプグループが含まれると、こんなふうに述べておられます。  ところが、七月八日に開かれました第四回の性犯罪者処遇プログラム研究会の概要についてという文書、この文書に添付されています性犯罪者処遇プログラム実施イメージという図があるんですが、このイメージ図の中の処遇プログラムの構造という欄を見ますと、原則として講義形式、原則としてグループワーク形式というような、今までどおりの処遇プログラムが羅列してありまして、せっかくの専門的な知見が生かされていないのではないかなと、こんなふうに心配するんですが、この点について、矯正局長、いかがでしょうか。
  43. 小貫芳信

    政府参考人小貫芳信君) 性犯罪者処遇プログラムの策定につきましては、大臣答弁されたとおり、専門家の御意見を取り上げて策定しているところでございます。  指導の方法等については、委員御指摘のとおり、講義とかグループのワーキング、この辺りを中心として考えているところでございますが、ただ、薬物療法等々につきましては、生理的な機能を障害するという面もございまして、この点についてはまた引き続いて慎重に検討してまいるつもりでございます。当面は、認知行動療法と心理学で言うそうでございますが、この手法を取り入れまして、性犯罪につながる認知のゆがみの改善、被害者の痛みや感情に対する理解を深めること、再犯危険性を回避するための方法を獲得させること、感情統制のスキルや社会的なスキルの習得等を内容としたものを考えているところでございます。  なお、プログラムの実施に当たりましては、職員と専門家、この共同によりましてより高度な職員の修練を経て対応してまいりたいと、このように考えております。
  44. 前川清成

    ○前川清成君 局長にお聞きしますが、今の、今後も講義やグループワークが中心だと、こういう御答弁でしたけれども、それであれば今までの処遇と何ら変更はないということですよね。すると、この研究会の成果、これはもう、今、局長は慎重に検討するとおっしゃったけれども、これは、要するにやらない、研究会はガス抜きの場、アリバイをつくる場であって研究会の成果については利用しないと、こういう御答弁でよろしいんですか。
  45. 小貫芳信

    政府参考人小貫芳信君) このプログラムで想定しておりますワーキンググループにしろ講義にしろ、格段の研究成果を経ておりますので、従来のものよりは相当期待できるものになると、このように考えております。  薬物療法等につきましては、先ほど申し上げたとおり、来年度、新しい法律の実施と同時にこれを実施するというところまでは検討が至っておらないと、こういうことでございまして、今後の検討課題として研究してまいりたいと、このように考えている次第でございます。
  46. 前川清成

    ○前川清成君 大臣に御決意をお聞きしたいんですけれども、要するに、予算がないとか人手がないとかあるいはやる気がないとか、今までどおりの法務省の内向きの理屈であってはいかぬと私は思っているんです。これによって安全、大臣が御所見で述べられました、法務大臣としての一番の仕事は安全な社会を取り戻すことなんだと、こういうふうな御決意を述べていただきましたけれども、今までどおりのやり方で安全が守れない、そのことは富雄北小学校の事件で明らかになったわけですから、ここは思い切って刑務所の処遇在り方自体、閉じ込めて工場で労働させる、それによって勤労意欲も芽生えて更生するだろう、確かにそういう方もいるかもしれないけれども、今、専門家の見解を御説明したように、病気だ、治療が必要だというような犯罪者についてはきっちりとした医学的あるいは治療的な方法を取り入れなければならないと私は考えているんですが、大臣、いかがでしょう。
  47. 南野知惠子

    国務大臣南野知惠子君) 取り入れるべきは取り入れたいというふうに思っておりますけれども、このグループも、九月にはアメリカ、十月にはイギリス、十一月にはカナダ等の現地における研修等も積み上げてきて、八名による立派な方々のディスカッションがございます。そういう中で、犯罪を犯した、性犯罪を犯した方々の人権等も考慮しながら、その中でいろいろなことを煮詰めていくものというふうに思っておりますので、それが今年一杯にまとめるということでございますから、それが即展開できるかというのも少し検討が必要ではないかというふうに思っておりますが。
  48. 前川清成

    ○前川清成君 民主党の法務部門では、手分けをしまして性犯罪者の更生プログラムについて視察をさせていただきました。全国に七十四行刑施設がありまして、私も奈良の少年刑務所に行かせていただいたんですが、その際、七十四ある行刑施設のうち十三の行刑施設においてだけ性犯罪者に対する更生プログラムが実施されていた。残り六十一の刑務所あるいは少年刑務所では実施されていなかった。  矯正局長にお伺いしたいんです。なぜ、これまで六十一の刑務所や少年刑務所では何ら性犯罪者の特性に応じた処遇がなされていなかったのか、その理由を御答弁ください。
  49. 小貫芳信

    政府参考人小貫芳信君) 委員御指摘のとおり、当時十三庁で実施しておりまして、大半の施設において性犯罪再犯防止のプログラムが実施されていなかったことは御指摘のとおりでございます。その後、先生方の御視察等を踏まえて三庁ほど増えておりますが……
  50. 前川清成

    ○前川清成君 そんなん聞いてない。理由だけ。
  51. 小貫芳信

    政府参考人小貫芳信君) その理由でございますが、まず一つは、当時、今の現行法でございますが、そういう処遇の教育的な側面について義務付け等の規定がなかったということが一つ。もう一つは、総合的な性犯罪者処遇のプログラムが用意されていなかった、この点が理由であろうと、こう認識しております。しかし、五月にできました新法の下ではその点の改善がなされておりますので、今後は前向きに対応してまいりたいと、このように考えている次第でございます。
  52. 前川清成

    ○前川清成君 旧監獄法の下でも十三の行刑施設では性犯罪者の特性に応じたプログラムが実施されていたんでしょう。それだったら、新しい法律がなかったから六十一の刑務所では実施できなかったという今の御答弁はつじつまが合っていないですよね。結局はやる気がなかった。刑期の間だけともかく閉じ込めておいたら法務省としての役割を果たした、あるいはもっと狭く、矯正局の役割は果たせると、そこから先、後は野となれ山となれでしたと、社会の治安についてそれは私たちは責任負わなくても構いませんと、そういうような役人根性丸出しだったんじゃなかったんですか。
  53. 小貫芳信

    政府参考人小貫芳信君) 刑務所内での矯正処遇において教育的な側面が必ずしも十分でなかったという御指摘はそのとおりであろうかと考えております。この点については是正が必要だということで今努力をしているところであります。  先ほどは、法律がなかったからやらなかったと、こういうことだけを申し上げたわけではございませんで、総合的な、統一的な処遇のプログラムがありませんでしたので、それで全国津々浦々まで実施するには至っていなかったと、こういうことでございます。
  54. 前川清成

    ○前川清成君 プログラムがなくて、じゃ十三の刑務所では何やっていたんですか。行き当たりばったりやっていたんですか。それと、プログラムがなかったという子供の言い訳みたいなことはせずに、プログラムつくるのは刑務所の仕事でしょう。刑務所の中でどういうような処遇をするかって法務省が決めているんでしょう。なかったんじゃないんですよ、つくってなかったんですよ。他人事みたいな言い方が多い。あなたの子供が殺されたと思って、今のようなことを言えるの。  ちょっと時間の都合もありますから、次の質問に行きますけれども平成十一年の十一月に施行された児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律に基づく検挙実績について警察庁の方からお答えいただけますでしょうか。
  55. 荒木二郎

    政府参考人荒木二郎君) お答えを申し上げます。  児童買春、児童ポルノ法の違反につきましては、警察といたしまして、児童の性をもてあそぶ大変問題の多い、大きい事案だということで、法施行後、強力な取締りを展開しております。本年六月末までの統計でありますけれども、児童買春事件について八千四百六十件、五千五百十一人を検挙し、児童ポルノ事件につきましては一千九十件、九百十九人を検挙いたしております。また、カンボジア、タイなどにおけます国外での児童買春、ポルノ事犯につきましても、七事件、十三名を検挙いたしているところでございます。
  56. 前川清成

    ○前川清成君 富雄北小学校の小林被告人については、小児性愛に傾倒するきっかけになったのは「くりぃむれもん」というポルノアニメだったというふうに検察官の冒頭陳述で述べられています。ところが、この児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律は、児童ポルノを写真と電磁的記録に限定していまして、アニメについては取調べの対象にならない。表現の自由との関係もありますけれども、こういうふうな事件が出てきましたので、その教訓として、その取締りの範囲を更に拡大する必要はないのかどうか、御所見、警察庁にお伺いしたいと思います。
  57. 荒木二郎

    政府参考人荒木二郎君) 御案内のように、現行の児童買春、児童ポルノ法は、実在する児童の権利の保護を目的としておりまして、アニメにつきましては同法による処罰の対象とはならないものと承知をいたしております。  改正時におきましてもいろいろ議論があったとお聞きしておりますけれども、私どもといたしましては、現行法の範囲内で、児童ポルノ、児童買春禁止法では処罰できませんけれども、例えば、昨年でしたか、警視庁におきましてわいせつ物としてとらえられるコミックにつきましてこれを刑法で検挙をいたしております。現行法を活用いたしまして、何とかこういう、何といいますか、あくどいものにつきまして積極的に対処してまいりたいと考えております。
  58. 前川清成

    ○前川清成君 今のお答えは、取締りする必要があるんだけれども現行法では無理だから刑法を活用して頑張っていますと、こういうことなんですかね。  私のお尋ねしたのは、この法律の処罰範囲を法律改正して拡大する必要について警察庁の御見解はいかがかな、それをお伺いしたいんですけれども
  59. 荒木二郎

    政府参考人荒木二郎君) 私ども取り締まる立場でございまして、立法御当局において適切な対応がなされることを期待をいたしております。
  60. 前川清成

    ○前川清成君 給与法に関してちょっと、検察官の給料も大事だと思うんですが、時間の都合がありますので、専ら裁判官を中心にお尋ねしたいと思うんです。  それで、裁判官が法の番人としてきっちりとした仕事をしておられるのであれば、例えば財務省に遠慮することなくそれなりの給料を受け取られればいいと、私はそういうふうに思っています。裁判官の給料は安かったら安い方がいいと、そういうふうには考えていません。むしろ裁判官大臣からもありましたけれども裁判官仕事国民の権利義務を確定する、あるいは時には死刑判決ということで人間の生命さえ奪う、そういう重大な職責裁判官になるまでの努力等にかんがみれば、今の給料がむしろ適正なのかな、こんなふうにも思うことがあります。  それで、最高裁にお聞きしたいんですが、裁判官の給料というのはどのような哲学で決められるべきなんでしょうか。先ほどの御答弁の中では、一般公務員に比べて少し高くというのしかありませんでしたけれども、それだったら理念というか基準というか哲学がよく分からないので、裁判官の給料はこうあるべきだという点をお聞かせいただきたいと思います。
  61. 山崎敏充

    最高裁判所長官代理者山崎敏充君) 委員のお話のとおり、裁判官は非常に重大な職責を担っておるわけでございまして、その職務責任にふさわしい給与というものを確保していかなければならないというふうに思っておりますが、給与制度という観点から考えますと、どうしても裁判官の任用制度がどうなっているか、これとの関係を無視できないだろうというふうに思っているわけでございます。  委員はよく御承知だと思いますが、裁判官につきましては、いわゆるキャリアシステムが実際上の原則といいますか、大多数の裁判官がそういう形で任用されているという現状がございますものですから、裁判官給与体系につきましても、これは同様にキャリアシステムを取っております他の国家公務員給与制度と全く無関係考えるということはできないということから、現在の法律考え方というのは国家公務員全体の給与体系の中で裁判官給与というものをバランスの取れたものにしていくという、こういう考え方に立っているというふうに私ども理解しておりまして、それはそれで合理的な考え方ではないかと思います。  こうした考え方の下で、現在の裁判官給与制度、この給与の仕組みにおいて職務責任特殊性を反映いたします。また、その給与の水準において一般の行政官に対してある程度の格差を保つように、いわゆる対応金額スライド方式と申しておりますけれども一般公務員の特別職あるいは一般職俸給の水準とリンクさせるような形で決めていっているということでございまして、これは裁判官職務特殊性給与体系に反映させるものとして相当の合理性があるのではないかというふうに思っております。  従来、こういう考え方にのっとりまして、一般政府職員給与改定される場合に、それに準じて裁判官給与改定してまいりました。増額ということがございましたし、過去二回ばかり減額ということもございましたが、そういう形で連動させて改定することによって、先ほど来申し上げておりますバランスというものを維持していくという、こういう考え方でやっておるところでございます。
  62. 前川清成

    ○前川清成君 職務が重大だからということはほかのお仕事もそうですのでね、職務が重大だからほかの公務員よりも少し高めに設定していますというだけでは、もう少し説明があっていいような気もします。  それで、まあこれについてはもうこれ以上お尋ねしませんが、裁判官の昇給のあるいは昇格のシステムについてお伺いしたいんですが、判事であれば一号から八号までに分かれています。判事補であれば一号から十二号まで分かれています。この裁判官人事評価、昇給とか昇格について、一体、いつ、だれが、どのような基準で決めておられるのかお伺いします。
  63. 山崎敏充

    最高裁判所長官代理者山崎敏充君) 裁判官の昇給に関するお尋ねでございますが、昇給といいますのは報酬を決定するということになるわけでございまして、これは最高裁判所の権限とされておりますので、最高裁判所裁判官会議において決定されるという、こういう仕組みでございます。  その昇給の基準ということになりますと、これは何か決まった規則ですとか規程とかあるというものではございませんで、運用でやっておるということになるわけでございますが、これもいろんなところで話題になっておりまして、私ども説明申し上げておりますが、裁判官任官いたしまして、判事補任官いたしまして、その後、約二十年という期間につきましては大体同期同じ歩調で昇給するという、こういう運用を行っているわけでございますが、これ全国津々浦々の裁判所裁判官それぞれ独立して職権を行使して働いておる、その担当事務も様々でございまして、これを比較して差を付けるというのが実際上なかなか難しいわけでございますし、また職権行使の独立ということを非常に重視して考えなければいけないという、そういうことがございますものですから、ただいま申し上げたような運用をしているというところでございます。
  64. 前川清成

    ○前川清成君 今非常に正直にお答えいただいたなと思っているんです。質問取りのときは、裁判官人事評価に関する規則という最高裁規則をお持ちになって、地裁所長が決めていますと、こういうふうにおっしゃっていたので、僕はおなかの中ではうそだろうと、支店の支店長さんが人事を全部決めるなんてあり得ないと、本店の人事部、最高裁人事局で決めているに違いないと、こういうふうに思って、その最高裁規則というのはちょっとうさん臭いなと思っていたんですが。  ただ、今のお話の続きなんですが、裁判官が津々浦々でいろいろなお仕事をなさっているというのもそのとおりで、どの仕事が大事でどの仕事が大事でない、そういう区別がないというのもよく分かるんですが、しかし、現実の問題として、ある方は最高裁判事にまでなるし、ある方は所長さんにもなるし、ある方は管理職ポストにはならない、ある方は地方ばっかり行くし、ある方は東京地裁にばっかりおられると。人事において区別はありますよね。その区別は何を基準になさっているんですかというお話。  最高裁規則によると、その三条で、人事評価は、事件処理能力、部署を適切に運用する能力並びに裁判官として職務を行う上に必要な一般的資質及び能力について行うと書いているんですね。並びに以下はこれは付け足しかなと。実際のところは、事件処理能力、何件毎月件数を落としたか、これによって評価されるのかな。部署を適切にする運用能力、これは要するに問題を起こさない、何事もなく大過なく、そうすると出世できますよと、こういう二つの基準で決めておられるのかなと思うんですが、実際のところどうなんでしょう。
  65. 山崎敏充

    最高裁判所長官代理者山崎敏充君) 人事評価についてのお尋ねだと思います。  委員が御指摘になられましたのは、裁判官人事評価に関する規則という最高裁判所規則がございまして、そこのところで人事評価の評価項目が決められているわけでございます。  お話しのとおりでございまして、事件処理能力、それからもう一つは部等を適切に運営する能力と申していますが、いわゆる組織を運営する能力といいますか、そういうものでございます。それと三番目が、そういう能力のべースになります一般的な資質といったもの、そういうものを評価していこうということを考えているわけでございます。  ただ、裁判官人事評価で難しいところは、先ほど来お話しいたしましたが、それぞれ独立して職権を行使しているというところでございまして、そういうところの中身を余り踏み込んでああだこうだと言うことは、そちらの方に、独立の方に影響を及ぼすという、そういう危険がありますものですから、そこは少し謙抑的に考えていかなきゃいけないということで、毎年毎年評価をいたすわけですが、その裁判官のその一年間の特徴的な事柄があればそういうものを書き留めていく、それを蓄積していく、それが例えば十年たまればある程度その人の能力的なものが反映されてくると、こういう考え方でやっておりまして、先ほど若い裁判官の昇給のことを申し上げまして、二十年ぐらい差が付かないと申し上げたのはそのとおりでございますけれども、二十年もたってまいりますと、そういうものがだんだん積み重なっていってまいりますと、俗に言います非常によくできる人、普通の方という、そういう形の分かれ方というのはある程度出てくるわけでございまして、そういったものを踏まえた上で、更にその先の昇給の点などはそれに基づいて検討していくという、こういう形になっております。
  66. 前川清成

    ○前川清成君 私が今人事評価の基準についていろいろお尋ねしたのは、人事評価についてやっぱり透明性がないと国民の安心も得られないんじゃないかな、自分たちの権利義務について定める、あるいは場合によっては死刑判決さえ下す裁判官が公正な手続で人事評価されているかどうか、これはやっぱり国民の利益にとっても大切なことなんではないかなと。だから、人事評価の透明性を高める努力、これが大事なのではないかなと、こんなふうに思っています。  それで、これは当然だと思います。例えば靖国神社の参拝、総理大臣の参拝が憲法違反だという判決をすると左遷することはきっとないでしょうし、逆に、国会議員の定数不均衡が憲法違反だというような判決があればこれは出世するとか、そういう内容によって人事評価はしていませんというお答えは恐らくこの場では返ってくるんだろうと思うんですけれども、ただ、ちょっとこれから私も踏み込んで申し上げたいんですが、裁判官の資質の問題、これがやっぱり判決の内容にも表れてまいります。  前回の委員会で、東京地裁の裁判官が少年法四十一条について思い付かなかったと、だからミスっちゃったんだというような最高裁からの御答弁がありました。しかし、こういう少年法四十一条というような基本的な条文を知らなかったというのはやっぱり怖いんですよね。  前、私、この委員会でちょっと御紹介したんですが、サラ金のアイフルの取立てに当たってそのアイフルの社員が一発殴ったと、債務者を。一審の判決は、一発ぐらいだったら権利の行使の範囲内だったというような判決をもらって腰を抜かしたことがあるんですが、やっぱりそれも困るわけですよね。  あるいは、どこまで把握しておられるかあれですが、難しい事件、医療過誤の事件とか、専門部のあるところは別ですが、一般部のところは事件を後回しにする。私も、私が弁護した事件で、交通事故なんですけれども、ちょっと医療問題絡んでいたと。一審の判決があって加害者側が控訴した。そうしたら、原告も被告も医療鑑定してくれと言っていないのに裁判所の方が鑑定が必要だと言い出して、三年間事件をほったらかしにされて、その裁判官は転勤してしまったというようなこともあるんです。  そこで、こういうような裁判官の、もちろん裁判官の独立を侵してもいいというようなことをつめから先も言うつもりはないんですが、能力や資質にかかわるようなことも人事評価に当たっては評価していただかなければならないんじゃないかなと思っているんですが、この点、実際のところまずどうなさっているのか、お伺いしたいと思います。
  67. 山崎敏充

    最高裁判所長官代理者山崎敏充君) 幾つか委員のお話ございまして、一つは人事評価の透明性のことをおっしゃられましたんで若干申し上げたいと思いますが、これは制度設計のときに考えまして、本人に開示するだとか不服が申し立てられるということがある……
  68. 前川清成

    ○前川清成君 もう時間がないからいいんです。
  69. 山崎敏充

    最高裁判所長官代理者山崎敏充君) ありますので、透明性は確保されているという理解でございます。  それから、どういう点を評価するのかという問題でございまして、判決の結論といいますか、その当否を問題にする、これは全くございません。これは正に裁判官の職権行使の独立を侵害する形になります。そういうことは全くございません。  それから、件数のお話が出ましたが、まあ件数も、ただ件数を上げていればそれで評価されるかというと、そういうことはございませんで、委員おっしゃられたように難しい事件を先延ばしするとかいうことがあれば、それはむしろ職責を果たしていないということになろうかと思います。  一般的な話で申し上げますと、裁判の中身、判断、これは基本的には裁判手続の中で、上訴審で是正されるということを考えておりますが、そのことが実は執務の在り方なり今委員おっしゃられた裁判官の資質、能力の反映と見られる部分、こういうものが出てきますれば、それはやはり評価の上で考えなきゃいけない。それは一つの事件処理能力という項目の中に入ってくる事項だろうというふうに思っております。そういう形で人事評価に反映し、その上で、十年間、先ほど申し上げました、蓄積しまして、再任期が参りますそのときに下級裁判所指名諮問委員会で審議していただくときの資料にするという、こういう考え方でやっております。
  70. 前川清成

    ○前川清成君 その上訴審で救済されない場合もあるわけですよ。三年間事件ほったらかしにされたら、その三年間は戻ってこない。十日間勾留されたら、その十日間は戻ってこない。あるいは、一審でむちゃむちゃな判決であっても控訴審の印紙代が用意できないというのがあるわけですよ。だから、やっぱり裁判官の、あえて言いますと品質が大事なんだと、こう思うんです。  司法の独立というのは裁判官のためにあるわけじゃない。最高裁のためにあるわけでもないです。国民のためにあるわけです。医療過誤を繰り返すお医者さんは患者のために排除しなければならない。たちの悪い弁護士も排除しなければならない。同様に、国は裁判官の品質を確保する責任があると私は思うんですが、最高裁、いかがですか。
  71. 山崎敏充

    最高裁判所長官代理者山崎敏充君) 委員おっしゃられるとおりでございます。裁判官の独立、非常に大事なものではございますが、これは職権を独立して行使するということによって司法権の行使の適正を確保しようというものでございますから、その結果として各事件の当事者あるいは国民全体の権利を保障しようという、そういうもので考えられているところだと思っております。  したがいまして、裁判官の執務状況に大きな問題がある場合に、裁判官の独立ということからそれが見過ごされるようなことがあれば、これは困ることだと私どもも思っております。
  72. 前川清成

    ○前川清成君 困ることだからどうするんですか。
  73. 山崎敏充

    最高裁判所長官代理者山崎敏充君) 先ほど申し上げましたとおり、毎年毎年の人事評価に適切にそういう状況を反映させてまいりますし、それを十年ためまして、十年の再任期のときにその適格性についてきちんとした判断が行われるようにするということでございます。
  74. 前川清成

    ○前川清成君 それで、ちょっと話が別のことになるんですけれども最高裁裁判官退職金については吉田委員の方からお尋ねがありましたけれども裁判官の給料の引下げについて、現場の裁判官の皆さん方は給料を減らされるわけですから当然文句を言っておられると思うんですが、その点どうなのか。もし言っておられないとしたら、もしそういう声が上がっていないとしたら、私はそれの方が気持ち悪いというか、そういう声を出すときっと人事評価で何かマイナスでえらい目に遭わされるのかなと、そういうふうに裁判官が萎縮をしておられるんじゃないかなと思うんですが、実際のところどうなんですか。
  75. 山崎敏充

    最高裁判所長官代理者山崎敏充君) 若干経過を御説明いたしますと、八月十五日、人事院勧告ございまして、これが裁判官報酬適用になった場合どういうふうに考えるかということについて下級裁判所裁判官意見を聞いたわけでございます。  人事院勧告の内容もすべてお知らせし、所長から口頭で説明もし、その結果として裁判官意見を取りまとめて私どもいただいたということになるわけですが、多くの裁判官意見は、これは一般政府職員給与改定に準ずる形で改定されるのはやむを得ないと。引下げが内容でございますからそんな喜んでということはもちろんないだろうと思いますが、これはやむを得ないことだと理解を示したわけですが、一部、もちろん疑問だという声はございました。例えば、地域手当導入によりまして、今でも調整手当が違いますんで差がございますが、その差が広がることについてどうだろうかという意見もございまして、反対するという意見ももちろんあったわけでございます。  委員がおっしゃられた、じゃ反対した裁判官についてどう評価するのかと。これは不利益に扱うなんということは全くございませんで、反対を述べられた裁判官も様々でございます。ベテランの裁判官でもそういう意見を言われた方もおられる、若い方で言われた方もおられます。そういったことを不利益に扱うなんということは全くございません。
  76. 前川清成

    ○前川清成君 私はこれ聞いた話なんですけれども、同じキャリアシステムを取っているドイツの裁判官、ドイツの裁判官は労働組合もあるらしいんです。その反面、日曜日とか夜間とかも開廷していて利用する方に便利なようにしているらしいんですね。  一概にそれだけの話で比較するわけにいかないと思いますけれども、私たちのイメージとして、ドイツの裁判官の方がむしろ市民的自由というか、普通の暮らしをしておられるように思う。私たちの勝手なイメージかもしれませんが、日本の裁判官というのは裁判所と官舎との間だけを往復しておられる方が多いように思う。裁判を受ける立場、裁判を利用する立場からすると、普通に暮らしておられる方、だから、生活者の立場や消費者の立場を分かっておられる方が、法律だけじゃなくて普通の私たちの暮らしもよく知っている、そういう裁判官でないとやっぱり自分たちの権利義務裁いてもらうのに不安になるわけです。その点のどうも最高裁人事評価が透明でなくて、どういう基準で判断しておられるのか裁判官に分かりにくいと。だから、ともかく裁判官は何もしないようにする、そういう傾向があるんじゃないかと。その結果として、どうしても裁判官が萎縮してしまって社会との接触を乏しくなっているんじゃないかなと。それは日本の司法制度にとっても良くないんじゃないかな。  ですから、私はまず、司法改革でいろんな改革が着手されましたけれども裁判官人事評価を可能な限り透明にすると。先ほど、不満があったら苦情を申し出ることができるとおっしゃいましたけれども、そういうものじゃなくて、どんな基準で、みんなが分かる形で昇給や昇進のシステムを明らかにしておく、そういうのが必要じゃないかなと。そのために、例えば最高裁の事務総局も当然入られて、あるいは第三者も入って第三者機関をつくって、裁判官報酬在り方に対して抜本的な見直しをなさったらどうかなと、こういうふうに思っています。この点お尋ねいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  77. 山崎敏充

    最高裁判所長官代理者山崎敏充君) 裁判官人事評価の透明性について先ほど御説明したとおりでございまして、本人に開示するという、これは非常に画期的なシステムを考えておりまして、外部の有識者もお入りになられた最高裁判所一般規則制定諮問委員会で種々議論いただきまして、そういう制度設計をしていただいたというところでございます。  そういうことからしますと、評価を受ける裁判官の方がその人事評価について何ら不安を抱かないような形になっているんだろうと思います。そういう状況の下で裁判官としてできるだけ普通の生活と申しますか、送るような形をやっているんだろうと私は思っております。家族もございますし友人もございまして、まあ普通の生活を送っているんだろうと思います。  それから、報酬在り方について、これは非常に大きな問題でございます。私どもも、長期的に裁判官報酬在り方、これは一つの課題として考えていかなければいけないだろうというふうに思っております。
  78. 前川清成

    ○前川清成君 終わります。
  79. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 議論があっているように、今回の法案は、裁判官報酬法、最高裁判所裁判官退職手当法、この二つは裁判官給与など処遇を見直すものでございます。見直しに当たっては、これも議論されているとおり、憲法で独立が保障されている裁判所考えを十分に尊重する必要がある。当たり前のことでございますが、確認の意味大臣に聞いておきたいんですけれども、今回の法改正に当たって、これは裁判所意向も十分に踏まえたものかどうか、まず大臣から確認しておきたいと思います。
  80. 南野知惠子

    国務大臣南野知惠子君) 今回提出させていただきました法案のうち、裁判所に直接関係する法案である裁判官報酬等に関する法律の一部を改正する法律案最高裁判所裁判官退職手当特例法の一部を改正する法律案につきましては、いずれも裁判所におかれて検討を進められた結果を受けて改正を行おうとするものでございます。  裁判官報酬を始めとする処遇在り方につきましては、今後とも裁判所意向を十分に尊重した上で必要な検討を行ってまいりたいと考えております。
  81. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 これもお二人議論をされておって聞きながら、やっぱり司法の独立性とか特殊性、そんなことを考えていくと、本当に一般政府職員給与改定に連動する必要があるんだろうか、なくてもいいんじゃないかなという考えも出てきても構わないんではないだろうかと思うんです。  特に、やっぱり優秀な裁判官確保するためにはどうすればいいかということになれば、やはり独自の給与というか報酬体系の問題も出てくると思うし、そういった意味で、現在のこの報酬体系の合理性をどんなふうに最高裁判所考えているのかということと同時に、もう一つお尋ねしておきたいのは、今後も当然人事院勧告に基づいて一般政府職員減額という問題出てくる可能性は高いと思います、今の環境の中では。じゃ、今後も裁判官報酬というのは、これ減額が出てくればそれに合わせてまた減額していくのかというようなことも含めて、今の合理性及び減額の問題、併せて御答弁をいただきたいと思います。
  82. 山崎敏充

    最高裁判所長官代理者山崎敏充君) 先ほど来話題に出ているところでございますが、裁判官給与体系というのは、やはりどういう形で裁判官が採用されているかというこの関連があろうかと思いまして、御承知と思いますが、裁判官の大多数というのは判事補として裁判官になりまして、十年を経て判事になって、再任ということもございますが、定年まで裁判官を続けるというこういう形になっておりまして、いわゆるキャリアシステムと申しておりますが、そういう形で非常に若い裁判官からベテランの裁判官までいるという、こういう状況の下で給与体系考えた場合には、やはりほかの国家公務員給与体系と全く別の形というのは取りにくいであろうというようなことで、先ほども説明させていただきましたが、現在の裁判官報酬に関する法律考え方というのは、国家公務員給与体系の全体の中で裁判官給与がバランスの取れたものになっていくようにという、こういう考え方でつくられておりまして、それは私どもは一つの合理的な考え方かなというふうに思っているわけでございます。  そういたしますと、一般公務員給与改定されますと、そのバランスというものを保つために、それに連動するような形で改定するというのが必然的に出てくるわけでございまして、その点もやはり合理的な考え方になっておるんではないかと理解しているところでございます。  人材確保のお話も出ましたが、今後とも給与に対する基本的な考え方はこういうことになろうかと思いますが、人材確保については適切に対処していかなきゃいけないというふうに思っております。  それから、将来の減額のことでございますが、人事院勧告に基づきまして一般公務員給与が下げられた場合、その時々のやはり具体的な情勢というものをよく考えなければいけない。裁判官報酬減額するということは、これは憲法上の保障との関係でやはり常によく検討しなければいけない問題であろうというふうに思いますんで、裁判官の職権行使の独立性に影響を及ぼすことがないかどうか、こういった点を慎重に検討して、その都度対応を考えさせていただきたいというふうに思っております。
  83. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 もう一点、最高裁判所裁判官退職手当法のこの退職手当水準の問題でございます。  今回の引下げは、ずっと検討された中でようやく結論が出てきた問題であり、裁判官の皆さん方が自分たちで検討して出された結果ですから、それはそれで尊重しなければならないとは思うんですが、それにしても、見るとすごい下げ方ですよね、これ、やっぱり一般から見ると。だから、ある意味じゃ検討が遅れ過ぎてこういう結果になったのかなと。ということにもなるかもしれないし、でも、現在の国家全体の財政状況考えればこれくらいまでしなくちゃいけないのかという議論、いろいろあると思うんですけれども最高裁として、この退職手当の水準、これだけ下げたことについて、その相当性どう考えるか、御答弁をいただいておきたいと思います。
  84. 山崎敏充

    最高裁判所長官代理者山崎敏充君) 最高裁判所裁判官退職手当特例法律で設けていただいておりまして、その特例が設けられていること自体は立法当時の状況と現在と比較して変わらないというふうに私は考えておるところでございます。最高裁判所裁判官職責の重大性ですとかそういったことを考えてそういう形を取っていただいているというふうに理解しております。  ただ、今般、一般国家公務員退職手当制度が大きく変わるというようなことでございまして、この機会に改めてそういう特例措置の内容というものを考えた場合に、支給率がこれでいいのかという点がやはり検討課題になりまして、その結果として支給率を引き下げるということにしたわけでございます。この支給率、なかなかどの辺りが相当かというのは難しいところがございますが、勤続期間一月について報酬月額の二割、年でいいますと百分の二百四十程度でまあまあいいところかという、そういう結論になったわけでございます。  これは、一つは独立行政法人、特殊法人の役員の退職手当について、平成十五年十二月十九日に閣議決定がございました。それから、日本銀行役員の退職手当の支給基準も大体同様になっていると理解しておりますが、それによりますと、勤続期間一月につきまして報酬月額の百分の十二・五という数字が出ておりまして、これは一年にいたしますと百分の百五十というそういう数字になるわけです。ただ、それを基準といたしまして業績勘案率を乗じることができる。業績勘案率というのはマイナスの部分、プラスの部分あるようでございまして、〇・〇から二・〇の範囲内で決定していくということのようでございます。どうも実績なんかを拝見いたしますと、一・五くらいの業績勘案率を乗じておられる例が多いということも分かりましたものですから、そういった状況も踏まえて考えますと、百分の二百四十程度が相当ではないかと、こういう結論になったわけでございます。
  85. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 処遇在り方、ただ、これ特殊法人なんかとは全く別の考えで私はいいと思うんですけれどもね。あれはあれでまた問題があったわけで、そこは直してもらわなくちゃいけなかったわけで、それと合わせたわけではない部分もあるわけであって。  ただ、その処遇とともに、やはり司法制度改革がようやく端緒就き始めて裁判所も大きく変わろうとしている中で、その処遇の問題とともに、やっぱり一つは、裁判所の人的体制の問題は逆にこれは強化していく、ある意味では充実していくということが必要になってくるんだろうと思うんですけれども、この裁判所における人的体制の充実強化の問題、どんなふうにお考えになっているか伺っておきたいと思います。
  86. 園尾隆司

    最高裁判所長官代理者園尾隆司君) 司法制度改革を経る中で裁判所の人的体制を充実強化していくということが必要不可欠となってきておるということは、私どもも正にそのとおり認識をしております。  これは、司法制度改革審議会意見書の基本理念と方向という部分にも記載されていることでありますが、このたびの司法制度改革は、我が国の社会構造そのものを変革していくという観点から司法役割をとらえたものでありまして、国家の規制を緩和して事前規制型社会から事後救済型社会にと国の体制を変革していくという中で、自由な活動に伴う紛争、これを透明かつ公正な手続で解決していくという司法役割が一層重要になるという認識の下に、その需要の拡大に対応するために司法を支える体制を充実強化しようとするものでございます。  現在進められております小さくて効率的な政府という、これの実現に向けて様々な取組がございますが、事前規制型社会から事後チェック型社会への流れというものをこれらの取組は加速させるものであるというように認識をしておりまして、その結果、透明かつ公正な手続によって紛争を解決する裁判所役割は今後ますます大きなものになっていくというように考えております。小さくて効率的な政府というものは決して小さな司法につながるものではないのでありまして、小さくて効率的な政府を実現する取組の下では司法の充実強化は必要不可欠なものであるというように考えております。  最高裁といたしましては、このような司法制度改革趣旨を実現して社会構造の変革に対応するために、引き続き人的体制の充実強化の取組を進めてまいりたいというように考えております。
  87. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 最高裁は一生懸命という話のようでございますが、何か政府全体を見ていると、司法制度改革推進本部が解散されて以来、何か急に熱が冷めたような、そんなイメージもなきにしもあらずのようなことも思いますが、どうですか、法務大臣
  88. 南野知惠子

    国務大臣南野知惠子君) 決してそういうことではないと思います。  今般の司法制度改革におきましては、総合法律支援制度や裁判員制度導入を始めといたしまして、裁判の迅速化、法曹養成制度に関する改革など多くの重要な改革が実現いたしまして、これは大きな成果があったというふうに思っております。  これは、我が国の司法在り方を半世紀ぶりに抜本的に改めるとともに、一連の構造改革のかなめとして、活力ある自由で公正な社会を築くための基盤を整備するものでございます。これら一連の改革によりまして、二十一世紀の我が国の司法を支えるにふさわしい制度ができたものと思っております。  今後は、国民に身近で、速くて、頼りがいのある司法を実現するために進めてきた司法制度改革の成果を国民が実感できるように取り組んでいくことが重要であろうかと思っております。そして、一連の司法制度改革の本旨に沿った制度の実施を図りますためには、国民意見に十分耳を傾け、これを適切に反映していくことも重要であろうと思っております。  そこで、今般の司法制度改革につきましては、国民に分かりやすく伝えるための広報啓発活動等にも積極的に行っており、十分な御理解をいただいて、司法国民にとってより身近なものにしていきたいと考えております。  政府におきましては、昨年十一月の司法制度改革推進本部の解散後も、一連の改革の実施を中心となって担当いたします法務省や総合調整を担当いたします内閣官房におきまして所要の体制を整備いたしております。これらの体制の下で引き続き改革について取り組んでいきたいと思っております。
  89. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 仕組みはつくりましたから、大臣、あと本当にお金の問題なんですよ。予算をきちんと取って体制つくらないと、これ、形はできたけれども、さっきおっしゃったみたいに、国民に本当に役立つものになるかどうかというのは正にそこなんですよ、それが今一番大事な点だとも思っていますが。  この一連の司法制度改革、ともに国会、この法務委員会も取り組まさせていただきましたが、それ以外、言わばこの司法制度改革の残された課題、どんなものが残っていると御認識されているか、副大臣から伺っておきたいと思います。
  90. 富田茂之

    ○副大臣(富田茂之君) 予算の獲得は本当大事だと思いますので、是非、先生方の御協力をよろしくお願いいたします。  今般の司法制度改革におきましては、これまでに、法曹養成制度改革、裁判の迅速化、総合法律支援体制の構築、裁判員制度導入など、合計二十四の法案が可決成立いたしました。これは、国民に身近な司法制度をつくるための大変大きな成果だったと思っております。  今回の改革は、司法の基本的制度を半世紀ぶりに抜本的に見直すという大きな改革であり、歴史的にも極めて重要な意義を有する改革であると思いますが、これまでの取組では制度の枠組みをつくり上げた段階のものもあり、今後は、国民に身近で、速くて、頼りがいのある司法を実現するために進めてきた司法制度改革の成果を国民が実感できるよう取り組んでいくことが重要であると考えております。  そこで、国民の皆さんが改革の成果を実感することができるよう、改革の本旨に従った制度の実施に取り組むとともに、引き続き必要な司法制度の見直しを適宜適切に行ってまいりたいと考えております。  具体的には、裁判員制度の実施準備、日本司法支援センターを始めとする総合法律支援制度の立ち上げのほか、法令外国語訳整備の推進、裁判外紛争解決手段の拡充、活性化、法教育の推進などが司法制度改革推進のための残された課題と考えており、政府におきましても、一連の改革の実施を中心となって担当する法務省や総合調整を担当する内閣官房において所要の体制を整備して検討を進めているところでございます。  これらの体制の下で引き続き改革にしっかり取り組んでまいりたいと考えております。
  91. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 今おっしゃった中の一つ、その日本司法支援センター、先日、法テラスですか、名前が、愛称も決まったということでこんなロゴマークも何か決まったんですかね、取組始まっていると思いますが。正に国民が、供与するという意味では一番大事なセンターだと思っておりますが、どのように、体制整備を向けどのように準備しているのか、簡潔に伺っておきたいと思います。
  92. 倉吉敬

    政府参考人倉吉敬君) もう委員御承知のとおりでございまして、関係機関との連携協力、これが不可欠でございます。  中央レベルでも、日弁連、それから司法書士会、それから法律扶助協会等々と連携しながら着実に準備を進めておりますが、地方でも地方準備会というのを立ち上げていただきまして、そこで更に地方の実情の声を聞くということで協議会を開催する等々いたしまして緊密な連携関係をつくり上げております。中央省庁レベルでも、総合法律支援関係省庁等連絡会議議論を重ねているところでございます。  予算でございますが、百十三億八千四百万円を計上いたしました。まだこの支援センターが仕事を始める前の半年分の法律扶助経費、これを入れますと百三十八億二千六百万円となります。これの確保に全力を挙げてまいりたいと思っております。  それから、愛称について御紹介いただきました。済みません、時間なくなってあれですが、法テラスということで、実は二つの意味を掛けておりまして、法が社会を照らす、悩みを持った人々の心を照らすという意味と、それから本来のテラス、垣根のない開かれた、だれでも気軽に相談に立ち寄れる、そういう語らいの場にしたいという願いを込めております。金平輝子さんというすばらしい理事長も頂きましたので、今後、理事長との意思疎通を図りながら準備作業を進めてまいりたいと思っております。
  93. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 あと私一分しかないんです。  室長、司法度改革推進室長来てもらっていますので、一年間立ち上げてからやってきたわけですから、一年、どこまでいろんなことができたかと、簡潔にまとめていただいて御答弁いただいて、質問を終わりたいと思います。
  94. 本田守弘

    政府参考人本田守弘君) 推進室のこれまでの取組と今後の課題というようなお尋ねでありますが、まず裁判員制度につきましては、本年の八月三日に関係省庁連絡会議におきまして行動計画を策定いたしました。裁判員制度を円滑に実施に移して制度の目的、趣旨を実現するため、広報啓発活動の推進国民の参加を容易にする環境の整備、法教育の充実など、関係省庁が重点的に取り組むべき施策を取りまとめたものでありまして、既に最高裁法務省等が中心となりまして、全国各地における裁判員制度に関するフォーラムやシンポジウムを開催するなど、行動計画が実施に移されているところでございます。今後、この行動計画のフォローアップを行っていきたいというふうに考えております。  また、総合法律支援につきましては、関係省庁が所管する各相談窓口と日本司法支援センターの連携協力関係の構築について取りまとめを行っておりまして、今後またこの取りまとめについてのフォローアップを行いたいと思っております。  また、ADRにつきましても、司法制度改革推進本部時代に策定されておりましたアクションプランのフォローアップを行って、連携強化、関係機関の連携強化を図っているところであります。  また、法令外国語訳推進のための基盤整備につきましては、本年九月三十日に関係省庁連絡会議において、実施推進検討会議が取りまとめました翻訳のための基本原則や翻訳推進在り方などについての中間報告が了承されたところでございます。この中間報告は、政府において法令訳のための訳語ルールを策定するとともに、十八年度から三年間の翻訳整備計画を策定しまして、翻訳ルールに準拠した英語訳の整備を推進することなどを内容としております。現在、この中間報告についての意見募集を行っているところでありまして、今後その意見募集の結果も踏まえて、本年度内に実施推進検討会議としての最終報告を取りまとめて、それを受けて連絡会議としての翻訳整備計画を策定する予定となっております。  また、こうした検討と並行して、実施推進検討会議の下に置かれました作業部会において、本年度中に法令翻訳のための訳語ルールを策定するとともに、特にニーズが高い十四本の基本的な法令の翻訳をするということにしております。  以上でございます。
  95. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 終わります。
  96. 井上哲士

    ○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  今国会最後の委員会の最後の質問者になりましたので、もしかしたら本委員会における南野大臣に対する最後の質問者ということになるのかもしれません。よろしくお願いをいたします。  今回の法案は、人勧に連動する形で裁判官検察官給与を下げるわけですが、これは繰り返し議論があったように憲法にもかかわる問題だと思います。  まず大臣に、なぜ憲法裁判官報酬減額を禁ずるなど身分保障を定めているのか、その理由についてお答えいただきたいと思います。
  97. 南野知惠子

    国務大臣南野知惠子君) 法務省憲法の解釈一般につきまして政府を代表しまして見解を述べる立場にはございませんけれども裁判官の身分保障につきましては、司法権を行使する裁判官憲法法律にのみ拘束され、良心に従って独立して職権を行使することを担保する趣旨で定められているものと理解いたしております。
  98. 井上哲士

    ○井上哲士君 裁判官が一切の圧力を排して自己の判断を下すというためには、この身分保障が不可欠だということだと思います。  では、その裁判官職務に都市部と地方部でどういう差があるのかと。今回、この地域手当で格差が拡大するわけでありますけれども報酬に差が設けられるような本質的な職務の差が都市部と地方部であるのかどうか、これをお答えいただきたいと思います。
  99. 山崎敏充

    最高裁判所長官代理者山崎敏充君) 裁判官職務という点から申しますと、都市部におきましても地方におきましても裁判官各々独立して裁判を行っているものでございまして、本質的な違いはないということだろうと思います。  ただ、現象面といいますか、例えば具体的に担当する事件について申し上げますと、大都市部の裁判所では全体の事件数が多いものですから、ある裁判官は民事事件専門に担当している、ある裁判官は刑事事件専門に担当しているといった具合に、言わば分業的な体制が取られる。一方、地方の小規模な裁判所ですと、全体的な事件数が少ないものですから、一人の裁判官が民事事件もやり刑事事件もやり、場合によれば家庭裁判所事件も同時に担当するという、そういう形態が間々見られると、そこらが違いかなと思います。
  100. 井上哲士

    ○井上哲士君 答弁ありましたように、都市と地方部では本質的な職務の差はないわけですね。そこに、これまで以上に地域間の格差を設ける地域手当というのが導入されるのは私は問題ではないかと思うんです。  これまでも確かに調整手当はありました。しかし、今までの調整手当でも、例えば前任地が違いますと、同じところに勤務していても手当が付いたり付かなかったりするという不合理も指摘もされておりましたし、それからやはりこれまでの調整手当が大都市勤務志向を助長してきたという声も常にありました。本来、離島とかへき地とか、こういう裁判官を充足させる必要性がひときわ高い地域になかなか、敬遠をするということが従来からも指摘をされてきたわけですね。  今回の地域手当は、むしろこの傾向を助長するんではないかと。そして、都市から地方への転勤拒否であるとか、それから退官者の増加、こういうことも増えるんではないかと、こういう指摘もあるわけですね。その結果、人的な面での法的サービス、司法サービスの提供に大きな影響を与えるんではないか、こういう懸念があるわけですが、これ、いかがでしょうか。
  101. 山崎敏充

    最高裁判所長官代理者山崎敏充君) 委員のお話にございましたとおり、現在におきましても大都市勤務を希望する裁判官が多いというのは事実でございます。それは調整手当が高いというそういう理由ではなくて、やはり教育の問題ですとか扶養の問題ですとか、そういうもろもろのところから来ている問題ではなかろうかと思っておりますが、そういった中で、私どもとしては全国にやはり裁判官を配置していかなきゃいけないということで異動ということを行っておりまして、これは全裁判官が異動の負担をできるだけ公平に担っていくんだという、ある種共通認識に基づいて運営がされておりまして、特に大きな問題がなく運営されているという状況だろうと思います。  ところで、その地域手当導入された場合でございますが、この場合にも従前の調整手当における異動保障といったもの、これは同様の特例が設けられるようでございます。それからまた、本年度の人事院勧告によりますと、今後、広域異動手当導入検討されているというふうに聞いておりまして、こうしたことを考慮いたしますと、裁判官全国配置が困難になって司法サービスの提供に支障を来すという懸念は、これは少ないのではないかというふうに思っております。  なお、先ほども話題に出まして申し上げましたが、地域手当制度導入につきましては、最高裁判所裁判官会議におきましても、やはり全国いずれの裁判所においても均質な裁判を実現するために裁判官を、全国各地にひとしく優れた裁判官を配置できるように適切な人事上の施策を行うようにという、そういう認識を示しておるところでございまして、そういう方向で努力していきたいと思っております。
  102. 井上哲士

    ○井上哲士君 最高裁裁判官会議でそういう認識をあえて付けられたことは、運用上によってはそういう懸念があるということの裏返しだと思うんですね。いろんな下級裁判所裁判官からも、実質的に減額幅の地域格差を拡大する内容で、均等な司法サービスに影響があるんじゃないかという声を私どもも聞いているわけです。この司法制度改革の中で、司法過疎の解消ということを一方で取り組みながら、これはどうも逆行するんではないかという気が私はするんですね。  それからもう一つ、地域の物価差とか生活費の差を根拠にするのならばある程度合理性があるのかもしれません。しかし、今回のこの人勧というのは、地域民間賃金に準拠をしているわけですね。民間賃金が減りますと税収が減りますので、それが公務員給与に反映するというのは一つの考え方かもしれませんが、しかし、これが裁判官のところにリンクするのはどうかと思うんですね。必ずしも民間賃金というのはその地域の物価とかに直接リンクをしているわけでないわけでありまして、裁判官報酬というものがその時々の景気に左右をされるということは私は好ましくないと思いますけれども、いかがでしょうか。
  103. 山崎敏充

    最高裁判所長官代理者山崎敏充君) ちょっと制度的な問題でございまして、私の方からお答えするのが適切かどうかということはございますが、私ども裁判官給与というのは一般国家公務員との関係でバランスを保っているというふうに理解しておりまして、その一般国家公務員について人事院勧告に従って給与改定が行われるというのが今回ございますものですから、今回はそれに準ずる形で裁判官給与改定もしていくという、そういう考え方でございます。  そこの人事院勧告在り方というのは私どもは特に意見を申し上げる立場にございませんので、その点は申し上げることはできないわけでございますが、申し上げましたバランスを保つという観点からしますと、今回全く違うような形になりますと一般国家公務員とのバランスが崩れるということになりまして、そうしますと今までの考え方と随分差が出てくるということになります。そういう観点で、今回は、一般職一般国家公務員改定に準ずる形でやはり改定するのが相当であろうと考えた次第であります。
  104. 倉吉敬

    政府参考人倉吉敬君) 制度の問題も絡んでおりまして、済みません。  最高裁の方から御意見のあったとおりでございますけれども人事院勧告民間準拠の考え方に立ってなされている、それは御指摘のとおりでございます。それによって一般政府職員給与がそれに依拠した形で変わってくると。その中で、一般政府職員給与のバランスの中を取りながら裁判官給与体系も位置付けられているということで、当然変わってくるわけでございますけれども、これは結果的に民間賃金水準の変動とある程度関連することになりますけれども、基本的には、その裁判官職務責任特殊性を考慮しつつ、国家公務員全体の給与体系の中でバランスの取れたものにするという考え方に基づくものでございまして、この考え方自体は合理的なものだと考えております。
  105. 井上哲士

    ○井上哲士君 いや、結果的に民間給与にリンクするんではなくて、仕組みとしてなっていると私は思うんですね、人勧に連動してやるわけですから。  ですから、申し上げたいのは、今日も繰り返し議論になっておりますけれども、やはり裁判官のその職務特殊性ということから考えるならば、やはり人勧にそのままリンクさせるようなことではなくて、報酬制度在り方も含めて、これは司法制度改革審議会の意見書でも指摘をされてきた問題でありますから、私は、様々な民間の有識者なども含めた検討会もつくることも含めて、大本からの検討をすることが必要だということを申し上げておきたいと思います。  その上で、この決定においての先ほどの最高裁認識もありましたように、適切な人事制度と一緒にならなければいろいろな問題も起きてくるわけであります。  先ほども人事評価制度について議論になりましたけれども、これは司法制度改革審議会の意見書の中でも、裁判官の独立性に対する国民の信頼感を高める観点から可能な限り透明性、客観性を確保するための仕組みを整備すべきであると、こういうことが言われたわけでありますけれども、その後、昨年度から新しい人事評価制度がつくられました。その経緯と、それからその特徴についてお願いします。
  106. 山崎敏充

    最高裁判所長官代理者山崎敏充君) 裁判官人事評価は、従来、裁判所内部の運用として行ってきたところでございますが、委員御指摘のございました司法制度改革審議会の意見、こういったものも踏まえまして、やはり裁判官の資質、能力を高めるとともに、国民裁判官に対する信頼を高めるためには、そういった裁判官人事評価制度を整備いたしまして、人事評価について透明性、客観性を確保することが重要であるという、こういった観点から、最高裁判所に設置されております一般規則制定諮問委員会におきまして、外部の有識者にもこれは加わっていただきまして審議いただきまして、答申をちょうだいいたしました。それに基づいて新しい人事評価制度を整備したという、こういう経緯でございます。平成十六年四月からスタートしております。  その新しい人事評価制度でございますが、最高裁判所の規則により制度を定めまして、人事評価を行う評価権者を明確に規定するということが一つでございます。それからもう一つは、評価項目を定めまして評価基準を明らかにしたということがございます。  評価権者は、人事評価に当たりまして、裁判官の独立というものに配慮しながら情報の把握に努めるということでございますが、その際、裁判所内部の情報だけではなく、裁判所外部からの情報についても配慮するというふうにされております。また、評価権者は、人事評価の際に、まず裁判官から職務状況に関する書面の提出を受けまして、裁判官と面談をするという、こういうプロセスが予定されております。その上で評価をするわけでございますが、裁判官から申出がございましたらその評価書を当該裁判官に開示するという、こういうシステムもつくっております。  さらに、裁判官がその評価の結果を見て不満、不服がある場合には、その記載内容について不服を申し出るということもできると、こういう形にしておりまして、私どもはそういう一連のプロセスを経て言わば対話型の人事評価制度ができ上がったというふうに理解しているところでございます。
  107. 井上哲士

    ○井上哲士君 一言で対話型というふうに言われたわけですが、外部情報を取るということ、それから面談をするということ、そして開示と不服申立て、この辺は大変大きな特徴だと思うんですね。  仕組みとしては非常に進んだものができたんだろうと思うんですが、何事も、仕組みも魂が入らないとうまくいかないということになるんです。例えば開示も、制度としてはあっても、開示請求したら何かマイナスが付けられるんじゃないかというようなおそれがあるとなかなかうまくいかないということになると思うんですが、この制度始まって、大体開示を求めたのはどのぐらいあるのか、それから不服申立てはどのぐらいあるのか、いかがでしょうか。
  108. 山崎敏充

    最高裁判所長官代理者山崎敏充君) 先ほど申し上げましたとおり、平成十六年から始まりましたものですから、十六年と今年十七年と二か年の実績でございます。昨年と今年で開示を申し立てた数はそれぞれ百五十件程度でございます。  それから、不服でございますが、こちらはもっと少のうございまして、両年とも数人から申出があったという、こういう状況でございます。
  109. 井上哲士

    ○井上哲士君 この評価制度が、先ほどの答弁にもありましたように、指名諮問委員会での議論の資料にも出される、当然そのメンバーにも開示をされていく、示されていくということになるんだろうと思うんですが、そういうことでよろしいんでしょうか。
  110. 山崎敏充

    最高裁判所長官代理者山崎敏充君) 指名諮問委員会、今もお話ございましたところで、裁判官の任命の適否の審議を行っていただくわけですが、その審議のポイントとしては、事件処理能力あるいは部等を適切に運営する能力及び裁判官として職務を行う上で必要な一般的資質及び能力という、こういったのを審査の項目とすると決めておられまして、私ども人事評価でポイントとしている項目とオーバーラップするという状況がございます。そういう意味では、審査の資料として非常に役に立つという、こういう構造になっております。  実際にどうかと申しますと、審査の資料といたしまして、人事評価の記載を基に過去十年間の執務状況等を取りまとめた報告書を提出しているということがございまして、その上で更に委員会の求めがございますれば人事評価の内容をそのまま提出するという、そういうことを行っております。
  111. 井上哲士

    ○井上哲士君 この指名諮問委員会も新しい制度で、メンバーには前の日弁連の事務総長なども入っておられるようです。そういう点でいえば、この指名の過程に国民の意思を反映をさせ、外部の人が人事の資料を見ることができるようになったと、これも非常に踏み込んだ制度になったんだろうと思うんですが、これも正に運用いかんということになっていくんだろうと思います。  一方、この指名諮問委員会人事評価も外部の意見を取り入れるというのが非常に大きなかぎだと思うんですが、一方でそれは裁判官の独立という問題にも影響があると。この辺の配慮をしながら、外部からの有益な情報を広く得るという点でどういう御配慮がされているのか、いかがでしょうか。
  112. 山崎敏充

    最高裁判所長官代理者山崎敏充君) 先ほど御説明申し上げたとおりでございまして、裁判所内部の情報のみに立脚するのではなく外部からの情報に十分考慮を払うという、このことが適切な評価を行う上で必要であろうというふうに思ったわけでございます。  例えば、裁判官の法廷内の活動というのはなかなか見えないところがございますので、そういった点についての裁判所外部からの適切な情報が参りますれば、それは評価の上で有益でありますし、活用されるべきだろうと思います。もちろん、一方では、裁判官の職権行使の独立に影響を及ぼすようなものは困るわけでございますから、裁判の結果に対する不満といったもの、これは評価に反映させるのは難しいと、こういうことで考えておるわけでございます。  具体的にどう集めるかでございますが、その裁判官が所属する裁判所の総務課を窓口にして外部からの情報を受け付けるという、こういうシステムにしておりまして、特に有益な外部情報の提供者になるだろうというのは弁護士であろうと思いますので、この制度発足の時点で、弁護士会を通じてこういうシステムを周知させていただいております。  一般の方につきましては、裁判所にもちろん照会があれば、こういう形で受け付けておりますという説明をいたしますし、最高裁のホームページに新しい人事評価制度の概要といったものを紹介し、かつ外部からの情報をその所属の裁判所の総務課で受け付けているということ自体もそこに掲載して周知しているという、そういうところでございます。
  113. 井上哲士

    ○井上哲士君 最後、こういう問題は非常に外部情報を取り入れてそういう評価をやっているわけですが、同じ法曹三者として日弁連もいろんな工夫をされています。ということで言いますと、やはり検察官も、一般公務員と同じようなことではなくて、もっと外部からの意見を聞くような独自のやはり評価の仕組みも要るんではないか、対話型の評価が要るんじゃないかと思うんですが、その点、最後お聞きをして、質問を終わります。
  114. 富田茂之

    ○副大臣(富田茂之君) 検察官の勤務評定につきましては、国家公務員法等の関係法令に基づきまして、毎年一回、当該検察官の上司が各検察官の捜査、公判能力、管理者としての能力、執務姿勢等を総合的に勘案して行っております。その際、評価が低い部分があった検察官に対しましては上司からその旨を告げて個別に指導を行うなど、勤務評定の結果を検察官の育成、研さんにも生かしているところでございます。  公務員の評価制度の改善につきましては、現在、政府全体の課題として取り組んでいるものと承知しております。検察官の評価制度在り方につきましても、その検討状況を見守りつつ、引き続き改善のための検討を続けてまいりたいと考えております。  なお、検察官の評価にも外部の方の視点を取り入れるべきではないかとの御指摘について申し上げますと、検察官に関する外部の方の御意見等が検察庁に寄せられれば、これに適切に対応するとともに、必要に応じて評価にも反映させていることは無論、すべての検察官検察官適格審査会の審査を受けることとされている点も御理解をいただきたいと思います。  同審査会は、国会議員六人を含む外部の委員十一人で構成されており、すべての検察官について三年ごとに適格性の審査を行っているほか、法務大臣が審査を請求した事案や一般国民の方のお申出を契機とする事案につきましても随時の審査を行っているところです。法務省といたしましては、同審査会の御指示に基づき、勤務成績の良くない検察官について同審査会に報告するなど、適時適切に資料の提供を行っております。  以上です。
  115. 井上哲士

    ○井上哲士君 終わります。
  116. 渡辺孝男

    委員長渡辺孝男君) 他に御発言もないようですから、三案に対する質疑は終局したものと認めます。  これより三案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  117. 井上哲士

    ○井上哲士君 日本共産党を代表して、裁判官報酬法検察官俸給法の両改正法案に対する反対討論を行います。  反対の理由の第一は、両法案が、国家公務員給与を引き下げる本年度の人事院勧告に連動し、社会全体の所得水準を引き下げ、一層の消費の落ち込みを招き、景気に悪影響を与えるものだからであります。国家公務員給与引下げは、地方公務員や特殊法人などの公的部門の給与引下げや中小企業等少なくない民間企業の給与引下げの圧力につながり、賃下げと景気悪化の悪循環となるものであります。  第二は、憲法七十九条、八十条は、裁判官報酬は「減額することができない。」と明文で禁止をうたっています。最高裁事務総局も、裁判所法逐条解説において、一律の場合であっても減額は許されないとしていたものであり、違憲の疑いが強いものであるからであります。  第三は、調整手当を廃止し、新たに今まで以上の都市と地方との間に格差を設ける地域手当導入するからです。都市と地方で職務の内容に本質的な違いがない裁判官にこうした制度はふさわしくなく、大都市勤務志向に拍車を掛け、人的な面での司法サービスに悪影響を及ぼす懸念があります。  最後に、今回の引下げが四月にさかのぼって適用され、減額となる差額給与を年末調整で精算するという点です。このような手法は民間でも行われておらず、不利益遡及の脱法行為とも言えるものであり、認めるわけにはいきません。  以上、反対の理由を述べ、討論といたします。
  118. 渡辺孝男

    委員長渡辺孝男君) 他に御意見もないようですから、三案に対する討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  まず、裁判官報酬等に関する法律の一部を改正する法律案の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  119. 渡辺孝男

    委員長渡辺孝男君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、検察官俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  120. 渡辺孝男

    委員長渡辺孝男君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、最高裁判所裁判官退職手当特例法の一部を改正する法律案の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  121. 渡辺孝男

    委員長渡辺孝男君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、三法案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  122. 渡辺孝男

    委員長渡辺孝男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  123. 渡辺孝男

    委員長渡辺孝男君) これより請願の審査を行います。  第一号国籍選択制度の廃止に関する請願外九十二件を議題といたします。  今国会中本委員会に付託されております請願は、お手元に配付の資料のとおりでございます。  これらの請願につきましては、理事会において協議の結果、第一一〇号裁判所の人的・物的充実に関する請願外八件及び第一二四号法務局、更生保護官署入国管理官署、少年院施設の増員に関する請願外七件は採択すべきものにして内閣に送付するを要するものとし、第一号国籍選択制度の廃止に関する請願外七十五件は保留とすることに意見が一致しました。  以上のとおり決定することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  124. 渡辺孝男

    委員長渡辺孝男君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  125. 渡辺孝男

    委員長渡辺孝男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  126. 渡辺孝男

    委員長渡辺孝男君) 継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。  法務及び司法行政等に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出したいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  127. 渡辺孝男

    委員長渡辺孝男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  128. 渡辺孝男

    委員長渡辺孝男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  129. 渡辺孝男

    委員長渡辺孝男君) 委員派遣に関する件についてお諮りいたします。  閉会中の委員派遣につきましては、その取扱いを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  130. 渡辺孝男

    委員長渡辺孝男君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  本日はこれにて散会いたします。    正午散会