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2005-10-25 第163回国会 参議院 法務委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十七年十月二十五日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  十月二十日     辞任         補欠選任      前川 清成君     島田智哉子君  十月二十一日     辞任         補欠選任      島田智哉子君     前川 清成君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         渡辺 孝男君     理 事                 松村 龍二君                 吉田 博美君                 簗瀬  進君                 木庭健太郎君     委 員                 荒井 正吾君                 陣内 孝雄君                 関谷 勝嗣君                 鶴保 庸介君                 江田 五月君                 千葉 景子君                 前川 清成君                 松岡  徹君                 浜四津敏子君                 井上 哲士君                 長谷川憲正君    国務大臣        法務大臣     南野知惠子君    副大臣        法務大臣    富田 茂之君    大臣政務官        法務大臣政務官  三ッ林隆志君    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総局民事局長        兼最高裁判所事        務総局行政局長  高橋 利文君        最高裁判所事務        総局刑事局長   大谷 直人君    事務局側        常任委員会専門        員        田中 英明君    政府参考人        内閣府政策統括        官        林  幹雄君        警察庁生活安全        局長       竹花  豊君        警察庁刑事局長  縄田  修君        法務大臣官房訟        務総括審議官   大竹たかし君        法務大臣官房司        法法制部長    倉吉  敬君        法務省民事局長  寺田 逸郎君        法務省刑事局長  大林  宏君        法務省矯正局長  小貫 芳信君        法務省保護局長  麻生 光洋君        法務省入国管理        局長       三浦 正晴君        厚生労働省医政        局長       松谷有希雄君        厚生労働省労働        基準局安全衛生        部長       小野  晃君        厚生労働省社会        ・援護局障害保        健福祉部長    中谷比呂樹君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○法務及び司法行政等に関する調査  (心神喪失者等医療観察法施行状況に関する  件)  (司法制度改革進ちょく状況に関する件)  (国際結婚者に対する入国管理行政に関する件  )  (再犯防止の施策に関する件)  (行政資料の開示についての最高裁決定に関す  る件)  (少年に対する勾留決定過誤事案に関する件)  (少年犯罪防止に関する件) ○裁判官報酬等に関する法律の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付) ○検察官俸給等に関する法律の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付) ○最高裁判所裁判官退職手当特例法の一部を改正  する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 渡辺孝男

  3. 渡辺孝男

    委員長渡辺孝男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 渡辺孝男

    委員長渡辺孝男君) 法務及び司法行政等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 千葉景子

    千葉景子君 おはようございます。民主党・新緑風会の千葉景子でございます。  この国会になりましてから初めて大臣質疑をさせていただきます。私も民主党内のネクストキャビネットで法務の今は担当ということになりましたので、何か担当というと刑務所の担当さんのような感じもいたしますけれども、そういうことで、また大臣質疑をさせていただけることに大変私も光栄に存じておりますので、よろしくお願いをしたいというふうに思います。  そこで、冒頭、大臣にも、この間大変様々な御尽力をいただきました。よく分かりませんけれども、在任の御期間もあとわずかなのかな、その後もまたおやりいただけるのかな、そこは私も全く分かりませんけれども、この委員会でも何回かいろんな質疑をさせていただく中で、私は、やっぱり南野法務大臣南野法務大臣らしいやっぱり御活躍を大変期待をさせていただいてまいりました。  そして、当初のときに、これはすぐに答えが出なくても結構だけれども、やっぱりせっかく南野大臣であるから、例えば民法の問題であるとか、あるいは親子の面接交流の問題であるとか、そういうところに是非温かいまなざしを向けていただいて、大臣としての是非リーダーシップを発揮をいただきたい、でき得ればじっくり勉強もしておいていただきたいと、こういうこともたしかお願いをした記憶もございます。  なかなかちょっと、芽が出たかな、出なかったのかなと、その辺定かではございませんけれども、ちょっとまだまだ残念な感じもいたしております。  そこで、大臣としても、この間の大臣としての職務を振り返られまして、やっぱりこれまでとはまた異なる、南野大臣というそのまた特徴といいましょうか、そういうこともかんがみたときに、一体この間、大臣としてはどんなふうに自己評価というか、自己採点といいましょうか、なさっておられるのかなというふうに思います。  人身取引法案など、やっぱり一定の前進を見たという、これも一つ南野大臣としての御評価があるというふうに思いますし、司法制度改革等で着実に前進、歩みを進められたというようなことございますので、私も評価をさせていただいておりますけれども、さて、大臣も御自身振り返られましてどんなものだろうかと。まずせっかくの機会ですので、自己採点などをお聞きできれば大変有り難い、うれしいなというふうに思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
  6. 南野知惠子

    国務大臣南野知惠子君) 千葉先生からのお言葉でございます。  総理からこの役割をお預かりしたときに、世界一安全な国日本、それを構築していくというようなお仕事をいただいた、宿題をいただいたわけでございます。それに向かっていろいろと検討させていただきましたけれども、まだまだ、今先生がお話しになるように、自己評価ということをせよということでございます。それには一年間の間、短い間でございますが、まだ中間報告とさせていただかないと、これまた大変なことになるだろうというふうに思っております。  中間報告段階では、本当に考えてみると、会社法にしても監獄法にしても、いろいろな明治年間からの法律、又は会社法では千条にもわたる法律、そういったことを皆様方の御審議の中でこれを進めさせていただいたというようなこともございます。  さらに、法務省が独特として考えている刑法、または矯正行政というような観点につきましては、ある意味では一つの開放に向かっていこうという大きな兆しがつくれたのではないかなというふうに思っておりますが。  自己評価せよとおっしゃる、私の評価は他者の方々がされることであろうかというふうに思っております。千葉先生のようなすばらしい方に評価せよと言われると、学校の先生からおまえ反省せよと言われているような気もいたしますけれども、そういう中で、自己採点はまだもう少し後に残しておこうというふうに思っておりますし、私が今まで積み上げてきたのは自分努力であって、この努力採点は一〇〇%、一二〇%努力してきたなというふうに思っております。その成果先生方が御評価いただけるものというふうに思っております。  以上でございます。
  7. 千葉景子

    千葉景子君 大臣も本当に、ここへ至って大変何かうまい御答弁をなさるようになられたなという、そういう感じもいたしますけれども、確かに本当に御努力をいただいてきたことは本当にそうだというふうに思います。  ただ、率直に申し上げまして、その成果を上げた中身につきましては、何か手前みそで言うのもおかしいですけれども、やはり野党からの様々な問題提起、そして指摘や、そういうことが重なり合って、それを受け止めていただく中で更にプラスアルファのやっぱり成果になったものだというふうに思っております。  そういう意味では、是非今後とも、そういう意味での問題提起をきちっと受け止めながら進んでいただくという姿勢をどうぞこれからもよろしくお願いをしたいと思っております。その採点は多分後日、多分また御表明があるのではないかというふうに期待をしながら、また聞かせていただきたいというふうに思っております。  さて、そういう段階、中間的だというふうに申されましたけれども、今回の所信、ごあいさつの中で、こういうことを振り返りながらかとは思いますが、今後とも強い指導力を発揮して諸課題に取り組んでいきたいということが述べられております。  これまで強い指導力はどうだろうなということを考えつつ、それから、今のこういう国会が大変短い国会という中で、この強い指導力を発揮して諸課題に取り組むという御決意ですが、具体的にはどういうことを念頭にこういうごあいさつのお言葉だったのでしょうか。是非そこをお聞かせをいただきたいと思います。
  8. 南野知惠子

    国務大臣南野知惠子君) さきの通常国会ではこれまで以上に国の安心、安全ということにポイントを置いて検討させていただいてきておりますが、法務行政を進めるためには、使命感を持ってということで仕事に当たらせていただいているということは、もうこれは当然のことになってくると思いますが、私は常々いろいろな観点から法務行政の在り方を考えてまいりましたが、もう先生も御存じのように、いろいろな事案が発生いたしました。  例えば、不法滞在の問題にしても、それから難民の課題にしても、それは国連の方々としっかりと話合いをすることによってやりましょうよという形で、その形も整ってきつつありますし、いい形の方向に向かっております。  さらにまた、保護観察期間中でありながら、いろいろな事犯をまた重ねてしまったというようなつらい立場もございました。そういう場合には、保護司方々にどのようにしたらいいのかということで、保護司方々と打合せをしながら、じゃ、これをこういうふうな会合をつくってやりましょうよという形で、もう既に何回かの会合が打ち立てられております。さらにまた、その中では、性犯罪という特殊な課題がございます。それについてはまた更に勉強を加え、班をつくらせていただいて、それの検討をし、矯正カリキュラムという問題を今検討しております。  これは国際的にもまたがりますが、そういう形の中でより良い法制行政というような問題、それに取り組んでいくということで自分の発想を法務省方々に納得していただき、それを積み上げることができたと思っておりますし、もう既に法務省検討しておられる課題につきましては、それがうまく展開するように、PFIの更に充実もございます。裁判員制度充実もございます。タウンミーティングを重ねながら、積極的にそこに参加していくということも一つ姿勢の表し方ではないかな、このように我が身にむちを当てながらしっかりと努力してまいりましたので、先生にも御理解いただけるのかなと思っております。  もちろん法案を通すのには、千葉先生がおっしゃられたように、与野党問わず、これは国の問題でございます。国民の問題でございます。そういう意味では、真摯な御討議をいただけたということでございますが、まだまだ解決しなければならないことは、まだ後送りされているものもございます。それに対してもひるむことなく、しっかりと検討していくということを考えていかなければならないと、そのように思っております。  率先するのは、自分の心を強く持って、一歩でも前に歩いていけたら、共感をいただきながら、法務省方々のサポートをいただきながら、しっかりと盛り上げてきたつもりでございます。  以上でございます。
  9. 千葉景子

    千葉景子君 これまでの大臣としての取り組んでこられた御姿勢といいましょうか、そういうことを今お聞かせをいただきました。  ちょうどこういう、あとこの国会も限られた期間にもなっております。そういう中で、どういうところに最後強い指導力を発揮していただけるのかなと、いささか私もなかなか想像が付かないのですけれども、是非、諸課題ございます。最後の踏ん張りというのもおかしいですけれども、やっぱり締めくくりも含めて、是非、おっ、ここにやっぱり南野大臣あったぞという足跡を示していただくような、そういう国会の最終盤にしていただけたらというふうに思っております。今日はそういう観点念頭に置きながら御質問をさせていただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。  さて、そういう中で、この間、私は何度もこれ質問をさせていただいて、大変恐縮には存じますけれども、医療観察法ですね。  この問題は、先ほどの南野大臣としての強い指導力が本当に発揮された問題なんだろうかと、いささか施行に当たって方向が何か不透明なことになってしまったと、こういうことを私は改めて感じています。この法律審議の際にも大変な論議が巻き起こりました。そういうことを背景にしながらも、これを強行的にといいますか、何とか施行するということで、法務省厚労省こぞってこの法律まとめたわけですけれども、その施行状況ですけれども、一体どうなっているのか、まずお聞きをしたいというふうに思っています。  これ、施行に当たっては、医療機関、施設の整備等が大変遅れていると、なかなか思うように進まないということがありまして、本当にこれ受入れがちゃんとできるのだろうか、あるいは本当に高度な医療というものがきちっと与えられるのだろうか、こういう心配が出ておりました。一体この辺りはどうなっているのか、まずは法務省、どういう今実施の、施行後の状況かと。  それから、厚労省の方は、その受入れ整備の方ですが、一体どういう形で施行したのか。そして今後、取りあえず、当面は仕方がないという面があるんだろうと思いますけれども、今後の見通しですね。いや、もうこの程度でスタートして何とかなっているから、まあこれでよしよしと終わってしまうのか、やっぱり法律の本来の姿をきちっと整備をするという意味でどんなめどを付けて今施行されているのか、その辺についてを厚労省の方からはお聞きをしておきたいと思います。
  10. 大林宏

    政府参考人大林宏君) 把握している限りでお答え申し上げますと、本法施行された本年七月十五日から十月十九日までの間に、検察官地方裁判所に対し本法対象となる者について処遇の要否及び内容を決定することを申し立てた件数は七十七件でございます。うち十三件については医療を受けさせるための入院決定が、うち二件については通院決定が、うち一件についてはこの法律による医療を行わない旨の決定が、うち一件については申立てを却下する決定がなされたものと承知しております。
  11. 中谷比呂樹

    政府参考人中谷比呂樹君) 御答弁申し上げます。  厚生労働省におきましては、医療観察法施行後三年間でおおよそ七百二十床の病床を確保するという計画の下に努力をしてきたところでございます。  具体的に申し上げますと、国関係病院につきましては、八か所を候補といたしまして、地方自治体及び地域住民方々に対しまして全国で百十回を超える説明会を行いましたし、また都道府県関係病院確保につきましては、全都道府県に対しまして文書あるいは機会あるごとに会議で要請をいたし、その中で約三十の都道府県に対しましては担当部局長などに対しまして事務レベルで訪問をし、折衝をいたしました。また、特に必要性の高い都道府県に対しましては、厚生労働省の幹部が直接知事、副知事を訪問し、整備を強く要請するなど努力をしてきたところでございます。  その結果といたしまして、現在、国関係指定医療機関につきましては三医療機関九十床が確保できるめどが立っておりまして、そのうち国立精神神経センター武蔵病院におきましては七月十五日に、独立行政法人国立病院機構花巻病院におきましては十月一日、それから独立行政法人国立病院機構北陸病院につきましては平成十八年二月開棟を目途に現在工事を進めております。  このような中で、今後とも指定医療機関整備に向けまして省を挙げて全力で取り組んでまいりますし、また、特に私たちが進めようと思っておりますところは、国として力一杯の整備を行うこと、それから都道府県におきましての受入れお願いをするという観点から、地方自治体及び地方住民方々に対して丁寧な御説明を行い、また都道府県関係者方々などに対しまして国立精神神経センター武蔵病院など既に対象者を受け入れていただいております医療機関の現状についてよく見ていただいて、積極的な取組をお願いをしていこうと、このように思っている次第でございます。
  12. 千葉景子

    千葉景子君 この問題は、南野大臣も今一生懸命厚労省にもやっていただいておりますという御答弁がずっと続きまして、そしてそのまま施行日を迎えたということがございました。今お聞きをいたしましても、やっぱり本当に、これ施行までに結局は、この法案の本来の環境といいますか、基盤が整えられないままにやむを得ずスタートをしたという、やっぱり嫌いがぬぐえないというふうに思います。  これは、振り返ると、そのそもそも法律検討する際に、やっぱりこういう事態を本当に十分に考えて念頭にあったのかどうか、本当に見込みといいますか、そういうことも併せて十分な検討がやっぱり不足をしていたのではないかと、こういうことも指摘をしなければいけないところだというふうに思います。  ただ、施行をしてスタートをしたということですので、やっぱりこれは十分に、この今お願いをしている、スタートが一応予定をされているところを含めて、やっぱり十分な対応を取っていただかなければいけないというふうに思います。これは、私はやっぱり一つ、禍根を残す法律だったんではないかなという感じがいたしまして、そういう意味で、南野大臣努力はいただいたというふうに思うんですけれども、やっぱりこういう、これは一つ反省点といいますか、そういうものとして御記憶しておいていただきたいというふうに思っております。  今度は、多少プラスの方になるのかと思いますけれども、司法制度改革、これは実施に向けて順調に準備整備が進んでいるというふうに思われます。これは政府、それからこれは与野党超えたやっぱり新しい司法を築いていこうと、こういう機運の中で進んできたものでございますので、これはまあ単に大臣あるいは法務省等々の努力だけというわけにはいかないだろうというふうに思います。  ただ、それを実施に移すに当たっては、やっぱり率先して法務省等努力をいただかなければいけないわけですが、まず総合法律支援司法支援センタースタートに向けての進捗の状況、そしてきちっとした財政措置も十分になされる段取りになっているかどうか、それについて実情をお答えをいただきたいと思います。
  13. 倉吉敬

    政府参考人倉吉敬君) 御質問日本司法支援センターですが、来年の春の法人立ち上げ、そして秋からの業務開始に向けて様々な準備作業を急ピッチで進めているところでございます。  まず、関係機関との連携協力、これが不可欠でございます。そこで、日本弁護士連合会日本司法書士会連合会、それから財団法人法律扶助協会等々の関係団体関係機関協議を重ねながらこの準備作業を進めているところでございますが、一番大事なのは、このセンター業務の性質上でもございますけれども、地域に密着したものとならなければならないということであります。こうした地域実情をこの支援センター設立準備作業に反映させなければなりません。  それから、地方関係機関等支援を受けなければ進められないという作業がたくさんございます。こういうことも円滑に遂行しなければならない。そのために、各地で司法を支えていただいている方々、そういう方々委員になっていただくようにお願いいたしまして、地方準備会という組織を今全国五十か所立ち上げております。そこで準備作業支援お願いしているというところでございますが、この準備会では、更にその地方自治体の持っている相談機関であるとかNGO、NPO等のいろんな窓口がございます。そういう人たち関係者、あるいはさらに、こういう司法支援ということに住民方々がどんな希望を持っているのかと、そういうことを聞くための協議会等も開いております。  さらに、これは中央レベルの話でございますが、各省庁等で構成されます総合法律支援関係省庁等連絡会議、これが既に立ち上がっておりまして、それを開きながら関係省庁との緊密な連携協力関係の構築にも努めております。  それから、予算であります。平成十八年度概算要求におきまして、支援センターに関する経費として百十三億八千四百万円を計上しております。約百十四億であります。これにはもちろん支援センターが行います情報提供業務のほか、民事法律扶助、それから国選弁護人確保のための業務、そのための経費、これも含まれております。  それから、先ほど支援センター、秋から仕事を始めると申しました。しかし、その前に、十八年度ですから秋までの半年間の法律扶助、これはこれまでどおり財団法人法律扶助協会が行います。そのための補助金予算がございますが、これについても併せて計上しておりまして、これを加えますと総合法律支援関係平成十八年の概算要求総額百三十八億二千六百万円と、こういうことになります。  それから、九月六日ですが、ついせんだってでございますが、支援センター理事長となるべき者として金平輝子さんが指名されたところであります。法務省としては、この金平さん、理事長予定者と十分に意思疎通を行いながら、ちゃんと四月から法人が立ち上がり十月から事業が始められるよう、遺漏なきを期しているところでございます。
  14. 千葉景子

    千葉景子君 順調に準備がなされているというふうに思います。特に、これまでも法律扶助関係につきましては、法律扶助協会事業に更に十分に補助をしようと、もっと財政的に規模を大きくしろという、そういう話がずっと続いてまいりました。そういう意味では、今度これが支援センター一つのまた業務という形になっていきますので、その分もこれから是非遠慮することなく、しっかりと財政措置をしていっていただきたいというふうに思っています。こういう部分は私どもも応援団でもございますので、是非頑張っていただきたいというふうに思っています。  もう一つ裁判員制度、この開始に向けてそれぞれ法務当局、それから裁判所の方でも様々な準備をされています。各地で模擬裁判法廷が開かれたり、あるいはまた法務省、検事総長が学校へ出向かれて授業をなさったり、学生と何か懇談をしたりとか、こういうこともなさっておられるように報道されています。  こういうことで、できるだけ啓蒙に努めていく、そして参加しやすいような条件を整えていくということだろうというふうに思いますが、多分、実施に向けてそういう取組をしていきますと、逆に新たな問題とかあるいは課題も発見されてくるのではないかということも推測されます。そういう意味で、この裁判員制度に向けた取組状況、そして、そういう中からまた問題点あるいは課題などが出てきているのであれば、そういうことについてどんなふうに考えておられ、またそれにどう対応されていこうとしているのか、法務、裁判所、双方の今の状況を御報告をいただきたいというふうに思います。
  15. 富田茂之

    ○副大臣(富田茂之君) 裁判員制度を円滑に始めるためには、広報啓発や国民の皆さんが参加しやすいような環境の整備など、先生指摘のように様々な課題がございます。最近の世論調査でも、必ずしも多数の国民が裁判員として刑事裁判に参加することに積極的ではないことが明らかになっております。そこで、法務省といたしましては、最高裁判所、日本弁護士連合会などと連携協力し、大きく三つの段階に分けて広報啓発活動を展開していくことにしております。  第一段階、つまり現在の段階におきましては、制度の存在意義等を周知し、関心を高める活動を行います。例えば、南野法務大臣自らが裁判員制度をテーマとするタウンミーティングにこれまで五回出席して国民の理解を求めるなど、積極的な広報啓発活動を展開しております。大臣は一昨日も沖縄でのタウンミーティング出席して、大変な効果があったというふうにおっしゃっております。今後、第二段階では、世論調査等による検証結果も踏まえ、状況に応じ重点対象地域を中心とした広報も進め、第三段階では、国民全体を対象に制度への理解を深め、参加意識を持っていただくよう活動を行います。  また、全国組織の検察が広報啓発において果たすべき役割も非常に大きいものがあります。検察庁では今年の三月、全検察を挙げて裁判員制度の広報啓発等を推進する体制を整えました。先ほど先生の方から御指摘いただきましたが、検事総長自らが中学校に出向いて裁判員制度説明を行うなど、率先垂範して広報啓発に当たっております。その陣頭指揮の下、検察官はもとより、全国九千名の検察事務官が広報マンとしての役割を果たすべく、広報ビデオ「裁判員制度 もしもあなたが選ばれたら」の上映会開催を地元町内会に働き掛けるとともに、リーフレットを全国の自治体、学校、図書館等に配布するなど地域に密着した草の根広報に努めているところであり、今後更に積極的にこのような広報活動を展開していくことにしております。  次に、国民が参加しやすい環境の整備についてでありますが、政府では、最高裁や日弁連も含めまして、関係省庁が参加する裁判員制度関係省庁等連絡会議におきまして円滑な実施に向けての行動計画をまとめました。この行動計画に基づきまして、政府を挙げて国民の皆さんが裁判員になりやすいような環境の整備に努めることとしており、法務省としても全力で取り組んでまいります。
  16. 大谷直人

    最高裁判所長官代理者(大谷直人君) 裁判員制度を円滑に実施するためには国民の理解と協力を得るということが不可欠でございますが、まずは裁判員を迎え入れることとなる刑事裁判を分かりやすく迅速なものに変えていくということが重要であると認識しております。  裁判員制度の下でのあるべき裁判手続に関しましては、刑事訴訟法それから刑事訴訟規則の改正によりまして一応基本的な制度的な骨格は定められました。現在は、審理、評議、それから判決等の在り方に関し新たなプラクティスを追求し、定着させると、このようなステップに入っていると考えております。そこで、裁判所におきましては、司法研修所の研究会等を通じまして意見交換を重ねるとともに、全国各地におきまして、先ほど委員から御指摘のありました法曹三者の共催による模擬裁判を実施しているところであります。  この模擬裁判について一言申し上げますと、審理を裁判員に分かりやすいものにするために、プレゼンテーションの手法などに関して新たな工夫が取り入れられているようでありますが、裁判員役の方の感想などを聞きますと、分かりやすさという点ではなお不十分であるとしまして、もう一歩踏み込んだ検討が必要ではないかという意見が多くの裁判官から示されております。  具体的に言いますと、大量の書証を取り調べるというやり方を踏襲するということは裁判員には受け入れられない、したがって直接主義、口頭主義を徹底していく方向での大幅な見直しが必要である、こういった意見が出されております。こうした意見を踏まえまして、模擬裁判を更に繰り返し実施するなどして、裁判のありようの見直しに向けたその達成度というものをきちんと検証していく必要があるのではないかと考えております。  次に、裁判員制度広報について申し上げますと、先ほども話がありましたとおり、世論調査によりますと、多くの国民が裁判員になることについて必ずしも積極的ではないという結果が出ておりまして、その主な理由としましては、有罪、無罪の判断が難しいとか、あるいは人を裁くことをしたくないといったようなものが挙げられております。このような国民の意識を踏まえますと、裁判所としましては、刑事裁判やあるいは裁判員の役割の実像、実際の像等についての十分な情報を提供し、このような国民の不安をできる限り解消していくことが重要な課題であると考えております。  具体的には、これまで全国的に実施してまいりました出張講義等の草の根的な広報活動に加えまして、全国紙五紙や約二十誌の雑誌へのカラー広告の掲載、全国五十か所でのフォーラムの開催、専用ホームページの開設、ブックレットの刊行、それから評議のシーンを中心に収録したビデオの制作などの広報活動を実施あるいは近いうち予定しておりまして、今後とも国民の意識調査等の結果を踏まえつつ、適切な広報をしてまいりたいと考えております。  最後に、環境整備等に関しては先ほども法務省から御説明がありましたが、裁判所としましても、関係省庁と連絡協力しながら、国民が参加しやすいものになるように努めていきたいと考えております。  以上でございます。
  17. 千葉景子

    千葉景子君 なかなかこの裁判員制度も、やっぱり国民の言わば民主主義の、本当に一人一人が自分がその主体なんだという意識あるいは自覚、そういうものとも絡み合う問題でもあり、調査をすれば、そんなものはやりたくないというその意識についてどういうふうに受け止めていくかと、大変難しい問題だというふうに思います。ただ、少なくとも参加をしやすい条件をいろいろ努力をいただいているということは私も大変必要な、そして評価をするところだというふうに思っています。  今裁判所の方からありました、私も横浜で弁護士会などがやりました模擬裁判、それの後のいろんな検討などをお聞きをしますと、やっぱりどんと書証が出てくると、短時間でそんなものを検討して判断するなんてことは、とても裁判員になったとしてもそれは無理だというような意見も出たりしているようですから、そういうことも私どもも併せ今後いろいろと検討させていただきたいというふうに思っております。  さて、あとの問題は、先ほど大臣が強い指導力、諸課題に取り組むというその御決意に是非私は思いをはせて、その指導力を発揮していただきたい、強い指導力お願いをしたい課題、ちょっと二点ばかり質問させていただきたいというふうに思っています。  一つは、この間、私は新聞の報道を読みまして大変びっくりしました。それから、私の元にも幾つかそういう悲痛なお声が届いているものですから聞かせていただきたいというふうに思うんですが、いわゆる国際結婚と入管の扱いの問題なんですね。  この入管の問題はこれまでも度重ねていろいろ問題は指摘をされてまいりました。一方で、厳格なやっぱり入国管理、国際的なテロ防止等も含めて、一方では確かに厳格な入国管理ということが求められています。しかし、反面、これだけ国際化が進み、そして多くの人々がお互いに交流し合い、そして力を分かち合い、そしてもう国境を越えて移動していると、こういう時代ですから、やっぱりそこをどうやってきちっと保障し、そしてまたその中で人権をきちっと守っていくかということも、これは逆に言えば一番の根本だというふうに思います。そこをどう調整をしていくかということ、大変難しい問題ではあると思いますけれども、どうもこの間、入管の取扱いというのは、難民の問題あるいは様々なアジアから働きに来る皆さん等を含めて、いささか行き過ぎのてい、段も、そして人権をどうもきちっと守り切れていないという部分も多々あるのではないかというふうに思っています。  そういう中で今大変国際結婚も増えておりまして、いろんな本当にカップルが存在をいたします。どうも私が感ずるのは、欧米の皆さんとの国際結婚というのはそんなに入管もそんな厳しい目をどうも向けている様子はない、しかし、アジアの近隣の諸国との国際結婚、これについては何か相当厳しい理不尽な少し扱いがされているのではないかと。これ、背景は私も分かります。いろんな犯罪組織あるいは偽装の結婚などがあるということも私も否定はいたしません。しかし、やっぱり人と人とのプライベートな結婚ということですから、一人一人の人にとってはもう本当にこれは自分の人生そのものです。そして、やっぱり結婚というものをきちっと尊重していくという姿勢は当然基本に据えなければいけないというふうに思うんですね。  この間ちょっと新聞を見ましたら、これは中国の女性の方と日本の男性の結婚されたケースなんですけれども、なかなか在留資格を取得をしたいといっても、四回その申請がなされているようですが、四回とも駄目だと言われている。それで、結局来日ができなくて、結婚したけれども一緒に生活もできない、そういう状況が続いている。  そういうケースは私も何件か聞かしていただいているところです。これが本当にいやこれは偽装なんだとかいうのであれば別なんですけれども、そのどうも理由というのがちょっと、何というか、笑い話みたいになっちゃうんですけれども、両方、お二人の間にコミュニケーションができていないと、こういう理由でこの申請が度重ねて却下をされているということのようです。コミュニケーションが取れていないといっても、そんなことを言ったら、日本じゅうの結婚されている御夫婦はみんなコミュニケーション取れているかなというと、私も大変疑問なところもありますけれども、そういうことを考えますと、当人の間でコミュニケーションというのはいろんな取り方があるわけですし、そこを人様にとやかく言われる筋合いのものではないのではないかというふうに思うんですね。  確かに、それは本当に何か理由がある、こういうところが大変疑問だということであるならば、きちっとそれを示していただいて、そして、いやそうじゃないという申し開きもできるということになるんですけれども、コミュニケーションが足りないと言われたって、これはどうにもこうにもならないということでこの記事が出ておりまして、写真や手紙とか、それから携帯電話で、携帯からの通話の記録なども入管の方に提出をして、そして何とか早く二人の生活を始めたいということのようですけれども、ままならないということなんですね。  これは報道されたものですから出しても差し支えないというふうに思いましたので、例として引かせていただきました。ただ、私の下にもそういうお訴えが幾つか来ているところでもあります。一体これ本当にどういうことなのか。先ほど言いましたように、コミュニケーション不足と言われても困る。もっときちっともし説明するなら説明をする、駄目ならその理由をきちっと伝えるとか、そういうことも併せて、こういう対応について一体どういうふうに入管当局は考えているのか。  そして、後ほど聞かせていただきたいというふうに思いますけれども、やっぱり女性の権利、平等の、結婚というのは両性の意思で決まることですから、その意思がちゃんと合致しているのに全然何か人様からこういうことじゃ、とてもじゃないけれども婚姻の成立ということの、憲法にもう本当にかかわってくるというぐらいな問題でもございます。そういうことを考えたときに、一体どういうこれは取扱いになっているのか、今の入管の考え方などを聞かせていただきたいというふうに思います。
  18. 三浦正晴

    政府参考人三浦正晴君) 御説明申し上げます。  ただいま委員から幾つかの御指摘をいただいたわけでございますが、外国人の方が日本人との婚姻を理由としまして我が国に入国、上陸したいと、こういうケースがかなりあるわけでございますが、その場合には、あらかじめ入国管理局に対しまして在留資格の認定証明書の交付申請をいたすことになります。この審査に当たりましては、その申請時に書類等を提出していただきまして、婚姻が本当になされたのかどうかということを立証していただくということでございますが、これらのものを基にいたしまして、日本人の配偶者としての在留資格に該当するかどうかということを的確に判断する、こういうシステムになっておるところでございます。  その際には、当然、婚姻の経緯でございますとか、婚姻後のその当事者同士の交流といいますか状況でございますとか、過去に日本に在留していたことがあるという方の場合にはその在留状況等も参考にするということでございまして、そういうものを総合的に判断して決定をしているところでございます。先ほど具体的な例をお挙げになられたわけでございますけれども、個別案件についてはちょっと具体的なコメントを差し控えさせていただきますけれども、一般的にはそういった形の審査をしているということでございます。  このような審査の中で、やはりこれも委員指摘のとおり、中には婚姻を仮装して我が国に不法に上陸を企図するというケースがございまして、過去にも摘発された例が多々ございます。こういうこともございますので、そういった事案につきましては当然のことながら厳格に対応する必要がございますので、厳格な審査をする。しかしながら、その一方で、そればかりにとらわれておりますと、本当に結婚をされて早く夫婦として日本で生活をしたいという方についてのその配偶者の入国が妨げられることがあってはいけませんので、そのようなことも配慮しながら的確な審査をしているという実情にございます。  なお、先ほど御指摘ございました国籍によって審査の在り方に差があるのではないかという点でございますが、これは私どもとしてはそういうことはないというふうに認識しております。あくまで個々のケースについて疑義があるかないかということでの判断をしているわけでございまして、当事者の国籍がどこであるから審査を厳格にするとか簡単にすると、そういったことは一切ないということを申し上げておきたいと思っております。  それから、審査の結果、どうもこれは疑義があるということになりますと、証明書の不交付という処分をいたします。この場合には申請人に不交付通知書というものを渡すことになっておりまして、その通知書には、なぜ不交付なのかという理由につきまして、その事実を具体的に書くということになっております。また、この通知書の記載のみでは理解できないといいますか、納得できないというような方で入管に直接おいでになる方がございます。こういう方に対しましては、担当者が不交付の理由を口頭で説明するということにしておるわけでございます。  この不交付理由の記載につきまして、従来、ちょっと分かりにくいのではないかというような御指摘もございましたので、本年八月に取扱いの要領を改めまして、従来より更に具体的に記載をするというような形にしたわけでございます。  今後とも、委員の御指摘も踏まえまして、分かりやすい不交付理由の記載、説明に努めてまいりたいというふうに思っております。
  19. 千葉景子

    千葉景子君 今、手続とか、どうやって判断しているかというその御説明はこれまでもしていただいておりますので、よく分かっております。ただ、やっぱりその視点が一体どこにあるのか、そこに疑問を私は持たざるを得ないということですので、是非そこはまた改めて議論の機会があると思いますが、指摘だけさせておいていただきたいと思います。  あと本当はもう一点、妊娠中の被告人に陣痛促進剤が病院等で強要されていることがあるのではないかと、こういう問題も私はちょっと心配を、これも報道されておりまして、心配をしているところでもございます。  これ、陣痛促進剤は、千九百九十何年でしたかね、九三年に当時の厚生大臣が、医療機関の都合によって使ってはならないんだと、こういう見解も示されていて、そういうことを踏まえると、やっぱり弱い立場にあるそういう被告人たる女性がそういうことを強要されるようなことがあってはならないというふうに思っておりますが、これはちょっと時間がありません。  ただ、通告をしておりますので、大臣、今の入管の国際結婚など、どうやってきちっとやっぱり保障していくかという問題、それからこの陣痛促進剤の使用がちょっと懸念されているこういう問題など、やっぱりせっかく南野大臣ですから、こういう点についてはそれこそ強い指導力でやっぱり良い解決の方策を、それから筋道をきちっと立てていただきたいというふうに思うんですが、その御決意だけお聞かせをいただいて、終わります。
  20. 南野知惠子

    国務大臣南野知惠子君) 国際結婚の問題につきましては、先ほど法務省の方からも御答弁さしていただきましたけれども、一つ一つ事案についてこれはしっかり検討さしていただいていると私は思っておりますし、ヨーロッパの方々とそれからアジアの方々とを比較して、そこに何らかの色目を使っているということは、これはあり得ないというふうに思っております。すべて人道的な立場で検討させていただいていることを申し添えさせていただきたいというふうに思います。  それから、陣痛促進剤のことでございます。これ、衆議院の方でも御質問ございましたけれども、病院側としての答弁ということもあっただろうというふうに思いますが、陣痛促進剤を使うということについては、これ、医師の適応範囲というものがございます。医師が判断した場合の使うか使わないかということがございますが、それも分娩の状況に応じて使わざるを得ない場合は使うと。  ただし、本人がどのようなお産をしたいか。最近はいろいろと理由を本人から主張する場合がございます。そういう場合には、自然分娩が展開したいというふうにおっしゃればその方向を取り入れるわけでございますけれども、自然分娩といっても、いろいろな問題点にぶつかった場合は、それは帝王切開もしなきゃならないでしょうし、陣痛促進剤も使わなきゃならないと。そういう適応についてはドクターが判断することだというふうに思っております。  例えば、もう先生御存じだと思いますけれども、破水などの現象が事前に行った場合、それを自然分娩したいよといって陣痛が来ないまんま放っておきますと、胎児の生命まで危険を及ぼしてまいります。そういう場合には、適切な陣痛促進剤というものが使われてもしかるべきだというふうに思いますので、その適応ということをドクターが見誤らないようにしないといけない。陣痛というのは自然に起こってくるのが当たり前ですけれども、自然の、破水が陣痛が起こる前に起こった場合には、これは大変な危険だということの一例を申し上げました。  以上でございます。
  21. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 南野法務大臣、先ほどこれまでの自分の取組についていろいろお話をされておりましたが、その中でも、大臣、所信でもおっしゃいましたが、国民を犯罪から守ると、安全を確保するということが自分の使命であり、それに取り組んできたというお話でもございました。その中でも、やはり再犯防止という問題は、大臣が取り組まれた中でも大きな一つのテーマだったと思います。特に、大臣就任されてからの間、こういった再犯の問題が様々な事件を通じてありましたし、その中でのお取り組みもされたと思っております。  こういった二度と犯罪を起こさないという話になりますと、法務省を越えて各省庁の連携も大事になる、そういった課題でもございます。まず大臣に、こういった再犯防止に向けての御決意について伺っておきたいと思います。
  22. 南野知惠子

    国務大臣南野知惠子君) 今先生指摘されたとおりでございまして、そこら辺に重点を置いて展開させていただいたということも御報告できるのかなと思っております。  幼い子供が被害に遭う、これは本当に痛ましい事例だと、犯罪が続発しておりますが、そういう中で法務省といたしましては、国民の皆様の不安な気持ちを受け止めさせていただき、このような痛ましい事件を少しでも減らすことができるようにということで、緊急に取り得る対策として次のような施策を取らせていただきました。  夜道も安心して大人も子供も老人も歩けるようにしたいというような気持ちは十分にあるわけでございますが、それで取らせていただいた対策といたしましては、第一に、性犯罪者に対する適切な対策を講じるための基礎といたしまして、性犯罪者の実態又は再犯の状況などに関するデータを把握しまして多角的な検討を進めてまいっております。  また、第二といたしましては、具体的な施策でありますが、これは三本の柱から成っております。一つ目は、犯罪者に対する処遇の充実強化であります。まず、精神医学、心理学等の専門家の協力をいただきまして、施設内処遇、社会内処遇の両面におけます科学的、体系的な犯罪防止プログラム、これを策定する、そのほかに、行刑施設におきましては、心理技官を活用させていただくとともに民間カウンセラーの導入を行うなど、処遇方法、処遇体制を整備してまいります。また、受刑者につきましては、さきに成立いたしました刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律におきまして、その者にふさわしい矯正処遇を受けることを義務付けるということといたしました。そのほかに、保護観察対象者につきましても教育処遇を受けることを、これを遵守事項として定めると、運用を進めてまいります。  大きな二つ目でございますが、刑務所出所者等の円滑な社会復帰を実現するための支援体制の強化であります。就労の意欲のある者に職を提供するため、国民の皆様の御理解と御協力をいただきまして、刑務所出所者等の、刑務所出所者等の更生に協力していただける、これは雇用主をより多く確保する取組などを強めてまいります。  三つ目は、犯罪の取締りを実効的に行うための情報の共有であります。当省が有しております情報でこれに役立つものにつきましては、犯罪者の改善更生にも配慮しながら、関係当局に積極的に提供していくことといたしております。  さらに、近時、保護観察対象者の重大再犯事件が相次いだことをきっかけといたしまして、保護観察に厳しい目が向けられております。そういうことから、更生保護制度全般について検討をするため、更生保護のあり方を考える有識者会議、これも積極的に開催させていただいているところでございます。この会議における議論も踏まえながら、更生保護制度をより実効性の高いものにしてまいりたいと考えております。  いずれも関係省庁と密接に連携を取り組む必要がある課題でございますので、今後ともこれに一層努めてまいりたいというふうに思っております。  先ほども千葉議員から積極的な対策というふうなお話がありましたが、今このような形を積み上げていって即あしたにはそれが見えるよというものではなく、これもいろいろな方々検討しながら、実施しながら、試行錯誤しながら、いいものに育てていかなければならないという課題であろうかと思っております。
  23. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 今大臣指摘されたように、まず、指摘の中の第三点で情報提供の問題をお話をされました。これは、ある意味では再犯防止へ向けて新たにスタートしたものだとも思っております。  一つは、大臣指摘された性犯罪者に対する再犯防止制度の問題。痛ましい事件がありまして、十三歳未満が被害者となる性犯罪で服役した者、出所する一か月前に、その出所予定日とか居住予定地などを文書で連絡するというような、県警本部に連絡すると。さらに、県警の方は、これは定期的に居住状況を確認するというような一つの大きな仕組みとともに、九月からは、今度は殺人、強盗、こういった形の再犯のおそれが大きい罪を犯して服役した者の出所情報、これを毎月一日にこういうものを電子データの形で警察庁に提供すると、ある意味では二つの仕組みがスタートをしているわけでございます。  ある意味では、私は、再犯防止へ向けての一つの共通した仕組みがスタートをしたばかりだとは思っておるんですけれども、まず、先にスタートしましたこの性犯罪関係の制度について、これまでの実施状況を伺いたいし、内容を含めてこの点をまずお知らせ願いたいと思います。
  24. 小貫芳信

    政府参考人小貫芳信君) まず、性犯罪関係の情報共有制度につきましては、委員指摘のとおり、対象となる受刑者が出所するおおむね一か月前に、入所日、出所予定日、帰住予定地、更には収容中の特異動向を警察庁に提供いたしまして、警察においては、再犯防止のためにしかるべき措置を講ずる上で活用していただいているところでございます。  以上でございます。
  25. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 状況をもう少し、仕組みは分かりましたが、どんな状況かというのが、言える範囲内で。
  26. 小貫芳信

    政府参考人小貫芳信君) 件数でございますが、今まで提供した情報の件数、約八十件と報告を受けております。  以上でございます。
  27. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 この制度のねらいというのは、声掛けや付きまといなんとかいう不審情報があれば、この制度を利用して人物特定、警告という、未然防止というような観点から一つはこういう仕組みになっているというふうに思っておりますが、実際にこれなかなか難しい点ですけれども、そういう防止、検挙などに有効に機能するものなのか、機能しているのか、この点、警察庁の方から。
  28. 竹花豊

    政府参考人竹花豊君) お答えいたします。  警察といたしましては、性犯罪の中でも子供を対象とする暴力的性犯罪については、特にその発生の未然防止に力を注ぐことが必要であるというふうに考えておりまして、法務省から提供された情報を生かして対象者の出所後の帰住状況の確認に努め、子供に対する声掛け、付きまといなどが発生した場合には、この情報を警察活動の参考として生かしてまいる所存でございます。  本制度につきましては、本年六月一日の運用開始からまだ時を置いておりませんで、その効果について申し上げることは現時点では難しいかと思いますけれども、現在までのところ、関係都道府県警察において適切にこの制度を運用しているものと承知をいたしております。  いずれにいたしましても、犯罪の防止を図る上で新しい一つの手掛かりを得たものでありますので、警察といたしましては、今後とも本制度が有効に機能するよう適正かつ効果的な運用に努めてまいりたいと考えております。
  29. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 もう一つ始まったのは、九月一日がスタートだったと思いますが、出所情報提供制度ですか、始まったばかりですけれども、状況としてどんな具合になっているのか。例えば、対象罪種とか対象者の数とか、提供した情報の内容、数で何か御指摘していただけるものがあればお伺いもしたいし、多分これは、手口が類似した事件がその後発生すれば、その手口から特定人物が疑われる、いろんな場合に刑務所に問い合わせせずに情報を入手しているわけですから、そこからいわゆる捜査の迅速化というような問題なんだろうと思いますが、その点、効果もどんなふうに考えていらっしゃるかも含めて御答弁をいただいておきたいと思います。
  30. 縄田修

    政府参考人縄田修君) お答えいたします。  ただいま御指摘の出所情報提供制度、九月一日から運用開始させていただきまして、情報をいただいております。  その対象罪種につきましては、殺人、強盗などの凶悪重大事件のほか、こうした凶悪重大事件に結び付きやすく、再犯のおそれの高い侵入盗あるいは薬物犯罪などでありまして、こうした罪種に係る出所者及び出所予定の受刑者について、その者の人定事項、罪名のほか、入所日、出所日、出所した行刑施設など情報提供を受けているところでございます。これまで、九月、十月、二回にわたりまして合計およそ三千六百名の出所者に係る情報の提供を受けたところであります。  この効果でありますけれども、委員正に御指摘のとおりでございまして、事件発生時におきましてある人物が刑務所に入所していたか否か、こういったことは捜査遂行上大変重要な情報でございます。こうした情報、従来は個別に捜査上の必要に応じて照会をしておったところで、法務省の方からも提供を受けておったわけでございますけれども、今回はこうした情報を正に網羅的、制度的に共有することによりまして、より迅速的確に捜査対象の絞り込みあるいは抽出等が可能となったものでありまして、非常に効率的な捜査活動が行われておると承知をしております。ひいては犯人の早期検挙にもつながるものというふうに認識をいたしております。十分捜査に生かしてまいりたいと、こういうふうに思っております。
  31. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 ようやくこういった制度が我が国でも始まったわけでございますが、海外ではこういった仕組みを更に強化させたような仕組みを取り入れるところも多いし、ある意味では、こういう情報提供という意味でいくと、欧米に比べて日本はまだまだ後れているんじゃないかという声も現実にございます。ただ、この情報提供という問題は、もう一方でなかなか運用の意味では難しい点もあることも事実でございます。人権の問題含めて難しいところがあるのもそのとおりでございます。  ただ、やはり安全な社会を本当につくっていくという意味では、こういった新しい制度が定着化し、有効に機能することが大事だと思いますし、そのことによって確実な再犯防止ができる、情報管理もきちんとできているというような問題が一番大事な点だと思うんですけれども、今後の運営について留意する点とか課題があれば、伺っておきたいと思います。
  32. 竹花豊

    政府参考人竹花豊君) お答え申し上げます。  確かに、法務省から提供を受けました子供対象暴力的性犯罪の出所者情報につきましては、出所者の人権やプライバシーにも配慮する必要がございまして、警察部内においてもその情報の管理については特に厳格であるべきであるというふうに考えております。  他方、提供された情報に基づきまして出所者の出所後の帰住状況の確認に努めるなど、その再犯防止にできる限りこれを生かしてまいるということも大切なことでございます。これらの二つの課題を併せて克服するために、警察活動に創意工夫を凝らすとともに、学校や地域との連携を図るなど、多面的な子供の安全対策に取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。
  33. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 それでは、仮釈放の審理の充実の問題について何点かお伺いしたいと思います。  これも今年の二月のあの乳児殺害事件が起きました。犯人が仮釈放中だったこと、また更生保護施設から無断で抜け出した直後の犯行だったというようなことから、仮釈放を認めた判断とか出所後の対応などが問題となったわけでございますが、この仮釈放は、刑務所長から申請を受けて全国八か所の地方更生保護委員会委員三人の合議で審理をして可否を判断しております。もちろん、反省の情がどうなのか、更生の意欲は認められるか、再犯のおそれがないか、こういったことが判断基準になっているわけでございますが、これは報道、十月六日の日経新聞でございましたけれども、法務省地方更生保護委員会委員を増員するというようなことを決めたというようなことが報じられておりました。  様々その背景はあるとは思うんですが、そういった点について伺いたいし、また近年、仮釈放の審理件数というのがどんな具合になっているのか。委員一人当たり、処理をしようにもなかなか大変な状況になっているのかどうか。そして、来年度予算概算要求、これから始まるわけでございますが、増員要求の中で、こういったこともどう考えていらっしゃるのかも伺っておきたいと思います。
  34. 麻生光洋

    政府参考人麻生光洋君) 近年、行刑施設の被収容者数は増加の一途をたどっております。これに伴いまして、地方更生保護委員会が処理いたします仮釈放審理件数も急増しております。  ちょっと数字的なことを申し上げますと、仮釈放審理事件には、刑務所からの仮出獄と少年院からの仮退院に関するものがありますけれども、年間取り扱いますこれらの事件数は、平成六年が一万九千九百五十一件、平成十一年が二万一千九百四十八件でありましたが、平成十六年には二万七千六百四十四件と増加しております。この間、地方更生保護委員会委員の定員は五十三名でございまして、変更がありません。したがいまして、一人当たりの平均処理件数を出してみますと、平成六年が三百七十六件、平成十一年が四百十四件、平成十六年が五百二十二件となっております。  このように、委員一人当たりの負担件数が急増いたしております上に、近年、仮釈放の審理に当たりまして特別な配慮を要します複雑困難な事案が増加しております。そういう状況を踏まえまして、一層適正な仮釈放審理を行うためには、地方更生保護委員会委員の増員が不可欠であると考えまして、平成十八年度の概算要求におきましては委員四名の増員を計上いたしたところでございます。
  35. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 もう一点、先ほど、これ大臣もおっしゃっていましたが、仮釈放のこの審理の際に、精神科医などの意見を聴く方針を固めたというような話もございました。逆に、精神科医含めて専門家に意見を聴くことはこれまでも制度上は可能だったと思うんですが、逆にちょっとお聞きしておきたいのは、じゃ、なぜ今までこういう精神科医の専門家の意見を、制度上はできるのに聴いてこなかったとするならば、何か理由があるのかどうかというところも聞いておきたいし、また、やはり今後、そういう悪質な問題、こういう専門家の意見を聴かなければいけない問題というのが増えているという背景はあるのでしょうけれども、今回、そういったことをもしおやりになるとするならば、逆にそのねらいも聞かせてもらいたいし、これがまた、概算要求への反映状況も併せてお伺いしておきたいと思います。
  36. 麻生光洋

    政府参考人麻生光洋君) 先ほど来、お話の出ておりますように、昨年十一月に性犯罪前歴者による女児誘拐殺害事件が発生いたしましたことなどを契機にいたしまして、性犯罪者の再犯防止が喫緊の課題となっております。  性犯罪者の中には、心理的あるいは精神的な問題を抱えている者が少なくない実情にございます。これまでも、犯罪や非行の動機、態様が特異な事件で社会の耳目を聳動させるような凶悪重大事件を起こした者につきましては、仮釈放審理に当たりまして専門家からの意見聴取を行いまして審理の充実を期してまいりましたけれども、実を申しますと、その対象はかなり限られた者となっていたのが実情でございます。  そういう中、今回、性犯罪者につきまして対策を強化しなければならないということになりまして、私どもといたしましては、性犯罪者の仮釈放に当たりまして精神科医などの専門家の意見を聴取して慎重に審理する必要なケースがございますので、こういうことから、来年度の予算概算要求におきましては、精神医学的な見地からの調査分析を専門家に依頼するための経費を計上いたしているところでございます。
  37. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 もう一点、再犯防止の中で一番のやっぱりポイントは、これも大臣最後の方で御指摘されましたが、いわゆる働くという問題でございます。  保護観察中の仮釈放者の再犯率見ると、有職者に比べて無職者が高いというような話が、データがあるのか、データがあるならちょっとこれ教えてもらいたいんですけれども。再犯を防ぐにはこの就労支援という問題、私も大きなテーマだと思っておりますし、今法務と厚生両省で検討チームをつくり、支援策の検討にも入っているようでございますが、まず最初に、有職者と無職者で再犯率に違いがあるのかどうか、データがあるなら教えてください。
  38. 麻生光洋

    政府参考人麻生光洋君) 平成十六年中に保護観察を終了した者について調査したデータがございます。  それを見てみますと、終了時点で無職者、これは学生とか家事に従事している者を除いているわけでございますが、その無職者が一万一千四百八十八人でございまして、そのうち、保護観察の終了事由が保護観察の取消しでありましたり終了時点で再犯により身柄が拘束されていた者など、再犯があったと認められる者が四千五百三十九人おりました。この比率は三九・五%でございます。  これに対しまして、保護観察終了時点での有職者、すなわち仕事を持っていた者につきまして同じように見てみますと、この総数が三万八千九十一名でございまして、同様に再犯等が認められた者の数は二千七百二十一名でございます。その比率は七・一%でございました。  このように、保護観察を受けた者の再犯率におきましては、無職者と有職者にはかなりの差がある、約五倍ぐらいの差があるということでございます。
  39. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 そういう意味では、今検討を始めていただいた、どう就労支援をしていくかという問題、極めて大事だと思いますが、既に仕組みの中である試行雇用奨励金制度ですか、こういった活用の問題とか、また様々な刑務所を始め、施設とハローワークとの連携強化の問題、いろいろ取り上げているようでございますが、これまでの検討状況、どこまで進んでいるのか、また具体的な成果、さらに実施見込み事項などについて伺っておきたいと思います。
  40. 麻生光洋

    政府参考人麻生光洋君) これまで御指摘のとおり、刑務所出所者等の生活の安定を図るためには、まずもって就労を確保することが大事だと考えております。  そこで、今御指摘にありましたように、法務省厚生労働省では、就労支援の具体的方策につきまして、本年の五月から、課長クラスによります刑務所出所者等に対する就労支援対策検討チームというものをつくりまして、協議を進めてきたところでございます。  これまでの成果でございますが、両省におきましては、主として、まず第一点目といたしまして、矯正施設、保護観察所などと公共職業安定所が一層の連携を深めて的確な就労支援実施すること、二点目といたしまして、刑務所出所者などの就労意欲を喚起し、適切な求職活動ができるようにするための矯正施設内及び保護観察における指導と援助を強化すること、三点目といたしまして、雇用先の拡大及び就労を継続させるための環境を整備することなどを検討してきたところでございます。  さらに、具体的な内容でございますけれども、刑務所出所者などの雇用を促進する方策といたしまして、例えばこれらの人を試行的に、試しにでございますね、試行的に雇用する場合に事業主に対して試行雇用奨励金を支給すること、それから、これらの人に事業主の下で職場体験講習を受けさせること、さらに、就職時に保証人がいない人に対する身元保証のための支援策などにつきまして、厚生労働省と連携いたしまして具体的な検討を進めているところでございます。
  41. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 いろんな取組をしていただいているようなんですが、例えば更生保護施設ですか、これは全国に百一か所あります。これお聞きすると、入所歴がある人は再びの入所を断られることが多いというような話があってみたり、意外に、本当に支援が必要な人に対して有効に機能しているのかというような問題も私はあると思います。施設をきちんと本当に使わなければ、ある意味では意味もないし、もっと言うと、施設そのものの在り方を変えるべきじゃないかという御意見もあるし、私もその意味では、例えばどんな前歴を持っているのかという実情に沿ったような一つの職業訓練の在り方というのも私はあるような気がいたしますし、そういった意味で、今後更生保護施設ですか、私はより充実強化という問題、大きなテーマだと思っておりますが、これについての御意見を伺っておきたいと思います。
  42. 麻生光洋

    政府参考人麻生光洋君) ただいまお話がありましたように、更生保護施設はすべて民間の施設でございます。そういうことで、事業を継続していく上では近隣住民方々に御迷惑をお掛けしない、理解を得るということが何より大事でございます。そういうことから、その受入れにつきまして慎重にならざるを得ないと、こういうケースもあろうかと思います。ただ、仮出獄者の四人に一人程度が更生保護施設で保護を受けておる実情にございまして、刑務所出所者等の円滑な自立更生を実現する上では不可欠な施設であるというふうに考えております。  そこで行います例えば処遇につきましても、処遇プログラムというようなものを開発いたしましたり、更生保護施設職員の研修を行いましたりしまして、それによって保護すべき人を保護できるような体制をできるだけつくって受け入れられる人をなるべく増やすような方向を考えておりますし、更生保護施設関係予算充実などにも努めてきたところでございます。  また、例えば国立の更生保護施設を造ってはどうかというような声もあるわけでございますけれども、これにつきましては、その設置場所をどうするかとか運営形態をどうするかとか様々な問題があります。更に検討を加えていく必要があるものと考えておりますけれども、現在の更生保護施設につきましては、先ほど申しましたように、処遇機能をより向上させていくためにこれまで以上に官民の連携を強化してまいりますほか、保護を必要としている人をより多く保護できるように更に充実強化してまいりたいと考えております。
  43. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 大臣、今議論をちょっとさせていただきましたが、私は特にこの就労の問題含めてまだまだいろんな問題あると思っております。更なる取組、大臣の決意を伺って、質問を終わりたいと思います。
  44. 南野知惠子

    国務大臣南野知惠子君) 本当に、今も答弁していただきましたので御理解いただけたと思いますけれども、先生指摘のとおり、再犯問題というのは本当に大切なことでございます。法務省といたしましても、本年四月に省内に設置いたしました再犯防止対策推進委員会、これにおきまして今後とも法務省全体で検討してまいりたい、これからもますます頑張っていきたいと思っております。
  45. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 終わります。
  46. 井上哲士

    ○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  大臣は、あいさつの中で司法制度改革の推進を強調されました。この司法制度改革の重要な課題一つに、充実した審理の上での裁判の迅速化という問題があります。この民事裁判の長期化の要因の一つに、行政が持っている内部文書がなかなか裁判に出てこないということがあります。まず、この問題に関連しまして、今月の十四日に最高裁が行った決定についてお聞きをいたします。  この裁判では、労働基準監督署が労災事件を調査した報告書である災害調査復命書について、労災の被害者側が会社を相手に民事裁判で使う目的で提出を求めた場合に国に提出義務があるのかどうかと、これが争われました。国側は、この文書が民事訴訟法二百二十条の四号ロに言う公務員の職務上の秘密に関する文書でその提出により公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生じるおそれがあるものに該当すると。だから、これを提出する義務を負わないと主張をいたしました。しかし、最高裁はこれを退けまして、一定部分を除いて国に提出義務があるとする決定をしました。  最高裁にお聞きをしますけれども、この判例について最高裁もホームページで紹介をしておりますけれども、最高裁がこの判例でどの部分に提出義務があるのか、判断をしたのか、その要旨についてお示しいただきたいと思います。
  47. 高橋利文

    最高裁判所長官代理者(高橋利文君) お答えいたします。  最高裁判所のホームページの最近の主な最高裁判所判決という箇所に登載された許可抗告の要旨の第三項には次のとおり記載されております。いわゆる災害調査復命書のうち、行政内部の意思形成過程に関する情報に係る部分は民訴法の二百二十条四号ロの所定の文書に該当するが、労働基準監督官等の調査担当者が職務上知ることができた事業者にとっての私的な情報に係る部分は同号ロ所定の文書に該当しないという記載がされております。  これは、その後段の方の、後者の方の、調査担当者が知ること、職務上知ることができた調査の過程において得られた情報については、公務上の支障がある文書とは、著しい支障があるとは言えないとして、その部分について提出を命じたものでございます。
  48. 井上哲士

    ○井上哲士君 最高裁は、労働基準監督署には会社や労働者に必要な事項を報告させる権限があるので、報告書の提出により会社などの信頼が損なわれて調査が著しく困難になるとは言えないと、こういう初めての判断を下しました。これ、労災での被害者救済に道を拡大をするという点でも、そして充実で迅速な裁判にしていくという点でも非常に重要な決定でありますし、これでどう変わっていくのかということを関係者は非常に注目をしております。  そこで、厚生労働省にお聞きをするわけですが、この決定を受けまして、問題になったこの調査復命書について直ちに開示を行うべきだと思いますが、どうか。それから、これは一般的基準を示したわけですから、この当該復命書だけではなくて、今後、損害賠償事件などに関してこの災害調査復命書に対する開示が求められた場合に、当然この決定の示した基準で積極的に開示をすべきだと考えますけれども、提出をすべきだと考えますが、いかがでしょうか。
  49. 小野晃

    政府参考人小野晃君) お答えをさせていただきます。  今お話のありましたこの最高裁の決定につきまして、災害調査復命書の内容につきまして、公務に著しい支障を生ずるおそれがある部分の特定について審理を尽くさせるということで原審に差し戻された事案というふうに受け止めております。  厚生労働省としましては、今回の最高裁の決定を受けまして、今後名古屋高裁において審理がなされるというふうに思われますので、その審理の結果を待ちまして適切に対応してまいりたいというふうに考えております。  もちろん、今回の事案につきましてもそうですし、今後同種の事案が出てまいりました場合、いずれにしても今回の高裁での再度の審理というものを待ちまして今後の対応を考えていきたいというふうに考えております。
  50. 井上哲士

    ○井上哲士君 この労災関係資料の文書送付嘱託等における取扱いということは、過去からいろんな経緯があります。いわゆる昭和五十七年通達による取扱いは非常に限定をされたものだったということで、もっと広げるべきだという声もありまして、平成十四年にも通達が発出をされた。これはかなり最高裁の事務方とも相談をされて出したという経過もお聞きをしているわけですが、この平成十四年通達での具体的な手続、中身を、やはりそれにとどまらない今回の決定だと思いますので、高裁の判断を見るにせよ、いずれこの平成十四年通達も見直す、当然見直すべきだと思うんですが、そこは確認してよろしいでしょうか。
  51. 小野晃

    政府参考人小野晃君) お答えさせていただきます。  先ほども申しましたとおり、これから名古屋高裁の方で最高裁の決定を受けた形でより具体的な、どの部分が公務に著しい支障を生ずるおそれがある部分なのか、あるいはおそれがない部分なのかという部分についての特定のための審理がなされるというふうに思われますので、その審理を待ちまして、我々もその審理を十分尊重しながら今後どういうふうに対応していくか対応の在り方を検討していきたいと、こう思っております。
  52. 井上哲士

    ○井上哲士君 その対応の在り方の一つとしては、通達も見直していくということも含まれると考えてよろしいですか。
  53. 小野晃

    政府参考人小野晃君) いずれにしましても、高裁での審理の結果を待って、今御指摘の点も含めて一体どういう対応が行政としてなし得るのか、よく吟味していきたいと思っております。
  54. 井上哲士

    ○井上哲士君 これは被害者救済や裁判を早くするという点で非常に大事なことでありますので、是非きちっとした対応をお願いをしたいと思うんです。  そこで、大臣にお聞きをするわけですが、今回の最高裁の決定は、この民訴法二百二十条四号ロに関する最高裁の解釈を示したもので、その影響は厚生労働省だけにとどまらないものと思います。国民の権利を守るという点でも文書提出命令に関する無用の裁判の長期化をなくして、裁判の充実、迅速化を図るという点でも政府全体がこの決定の中身に沿って文書提出義務を果たすことが必要だと思うんです。  それで、この間、裁判の迅速化の法律や民事訴訟法の改正などに伴いまして法務省も様々な通達やパンフレットを出されております。一度私も紹介したことがあるんですが、法務省が出したパンフレットでは、訟務担当者は、国又は所管行政庁等の指定代理人として訴訟を追行しているわけですから、その訴訟を適正に処理しなければならないことは当然ですが、その結果、国民から裁判の迅速化に反するとの批判を受けるような行為は絶対に避けねばなりませんと、こういうふうに言われております。  今回の問題は裁判の当事者が国だったわけではないわけですけれども、しかし、結果として裁判が非常に遅くなるというような批判は絶対に避けなければならないということだと思うんです。この事件でも、地裁から最初に文書提出命令が出ましたのは昨年の三月なわけで、このことだけでもう一年半にわたって争いが続いているということになるわけですね。ですから、こういう決定の線に沿って文書提出義務をしっかり各機関が果たしていくという点で、法務省として各省庁に私は徹底すべきだと考えておりますけれども、大臣、どのような対応をお考えでしょうか。
  55. 南野知惠子

    国務大臣南野知惠子君) 法務省が文書提出命令に関する事件に関与するのは、提出命令が出された後に裁判所に抗告する段階からでございます。当初の提出申立てに応じるか否かについては、これは法務省は関与しないところでございますが、抗告申立てをするか否かの判断をすることについては、これは最高裁決定の趣旨を踏まえて今後は対応してまいりたいというふうに思っております。
  56. 井上哲士

    ○井上哲士君 国側の対応で非常にやはり裁判が遅れ、被害者救済が遅れるということが決してないように徹底をいただきたいと思います。  次に、最近起きた事件で、十九歳の少年少年法に違反して十日間も不当に勾留をされたという問題についてお聞きをいたします。  これは、東京都ぼったくり防止条例違反で逮捕された少年が、本来ならば少年法の規定に沿って逮捕後に東京家裁に送致されなければならないのに、警視庁が過って東京地検に送致し、さらに地検も間違って勾留請求し、それに対して地裁が十日間の勾留を認めたと。各紙も、警察、地検、地裁のトリプルミスという報道がされたわけです。  まず、警察庁と法務省にお聞きしますけれども、なぜこのような事態が起きたのか、再発防止も含めてどういう対処をされているのか、お聞きをいたします。
  57. 竹花豊

    政府参考人竹花豊君) お答えいたします。  今回の事案につきましては、当該事件の捜査を遂げた上、少年法第四十一条の規定により家庭裁判所に送致すべきところ、この規定に対する理解が不十分なまま、十分なチェックもなされずに検察庁に送致されたものでございます。  今後、このようなミスがないように、警察庁におきましては、近々開催いたします全国会議等の機会を活用するなどいたしまして、都道府県警察において職員に対する指導が徹底されるように努めてまいる所存でございます。
  58. 大林宏

    政府参考人大林宏君) お尋ねの件につきましては、御指摘のとおり、警察から直接家庭裁判所に送致しなければならない事案でございまして、これを看過したために過って勾留請求したものと承知しております。  検察においては、被疑者の勾留を適切に行うことを始めとして、従前から適切な事務処理に努めてきたところですが、このような過誤が発生したことは誠に遺憾であり、同種事案の再発防止に一層努力してまいりたいと考えております。
  59. 井上哲士

    ○井上哲士君 理解が不十分であったとか、新聞では検察の方は初歩的なミスというようなことも言われておったわけですが、ちょっと信じ難いことなわけですね。十九歳という年齢は当然調べの中で分かっているわけですが、このようなことが起きた。  本来、こういう捜査機関の行き過ぎであるとか間違いを防ぐために、逮捕、勾留令状の司法審査が行われているわけですね。ところが、これの最後のところでもこのチェックができなかったという点でいいますと、私は裁判所に一番の問題があると思うんですが、最高裁はこの点はどういう認識をされているんでしょうか。
  60. 大谷直人

    最高裁判所長官代理者(大谷直人君) 今警察庁あるいは法務省からも説明があったような考え方に基づきまして実務が運用されているわけですが、本件の担当裁判官によりますと、被疑者が少年であること、それから法定刑が罰金であるということは意識していたけれども、この事実関係少年法四十一条の規定が結び付かなかったために、警察からの送致手続、それから検察官からの勾留請求に問題があることに気付かないままに勾留状を発付してしまったということであります。  このような経緯で、手続上の問題点を看過して被疑者を勾留したことは遺憾であると言わざるを得ないと思います。  本件に対する対応についてもよろしいでしょうか。  東京地裁におきましては、本件が判明した直後に刑事部の全裁判官に対し、ただいま申し上げたような問題点について周知する旨の措置をとったものと聞いております。最高裁判所としましても、同種の過誤が発生しないように全国の裁判所に対して注意を喚起していきたいと思っております。
  61. 井上哲士

    ○井上哲士君 事件とこの法律を結び付けて考えるのが法律家の役割なわけで、それが結び付かなかったのは本当に驚くべきことなわけですね。  大体、昨年度でも勾留請求に対する認容率というのは九九・五%と、ほとんど認めているというのが実態です。今回の事件でも、こういう逮捕、勾留請求に対して裁判所の審査というのはルーチン化をしておって、事実上フリーパスになっていると、非常に形式的になっているんじゃないか、こういう批判があるんですけれども、その点どうですか。
  62. 大谷直人

    最高裁判所長官代理者(大谷直人君) 勾留の実務の、事務の重要性についてはどの裁判官も十分認識した上で、一件一件の事件については誠実にきちんと対応をするように努力しているところだと私は思っておりますが、いずれにせよ、こういう事件が起きたことについては、先ほど申し上げましたように甚だ遺憾なことでありまして、今後こういうことがないようにいろいろな方策を講じていきたいというように考えております。
  63. 井上哲士

    ○井上哲士君 一件一件に対する問題と同時に、本当にできる体制になっているかということもあろうかと思うんですね。  この東京地裁の勾留請求処理件数、それからその審査にかかわる裁判官の数の推移を平成二年と平成十六年について明らかにしていただきたいと思います。
  64. 大谷直人

    最高裁判所長官代理者(大谷直人君) 東京地方裁判所における勾留請求件数でございますが、平成二年は一万二千五百二十四件、それから平成十六年が二万九千七百九十九件となっております。  それから、勾留状の発付数でありますが、平成二年が一万二千三百六十九件、平成十六年が二万九千三百四十四件でございます。  次に、取り急ぎ調べたところでございますが、東京地方裁判所本庁における平成二年における刑事部の裁判官の数は五十七名、うち令状部の裁判官は三名であり、平成十六年における刑事部の裁判官の数は七十三名、うち令状部の裁判官は六名でございます。
  65. 井上哲士

    ○井上哲士君 平成二年と十六年を比べますと、勾留請求数は二・四倍に急増をしております。この令状事件以来の刑事事件も相当増えているわけですから、裁判官一人当たりの負担も相当増大をしておりまして、やはり事件数の伸びに比べてこの審査体制の整備が遅れているんではないかと思うんですね。  事前にお聞きしますと、大体、裁判官一人当たり二十件程度の勾留請求の処理を行っているということのようですが、拘置所とのやり取りなどを考えますと、そう遅くない時間帯に処理しなくてはならないと。一件に三十分も掛けないのではないかと思うんですが、そういう短い時間で一件記録を読んで勾留質問を行うということになりますと、勢い、正に実務的ルーチン化をしているんじゃないか、こういう疑念がわくわけですね。  やはりこの点でも大幅な体制増も含めた対応が必要かと思いますけれども、いかがでしょうか。
  66. 大谷直人

    最高裁判所長官代理者(大谷直人君) 繰り返しになりますけれども、令状請求事件というのを適正に処理するというのは裁判所に課せられた重要な使命の一つでありまして、今後このような過誤が起こらないように適切に対処してまいりたいと思うわけです。  御指摘のとおり、刑事事件の増加に伴いまして令状請求事件は近年増加傾向にあるわけでございまして、令状請求について、令状の処理につきましては、先ほどお答えしましたように、事件数の動向に応じて刑事部それから刑事の令状担当部の裁判官の体制の充実を図ってきたところであります。  今後とも、事件数の動向や事件処理状況を見ながら、必要な体制強化をしてまいりたいと思っております。
  67. 井上哲士

    ○井上哲士君 まともなお答えになってないなと思うんですが、時間もあれですので。形式的なやはり審査じゃなくて、きちっとした審査をする体制とともに、そういう内部規律が要ると思うんですね。  この間、東京を見ておりますと、例えばビラ配布を理由に逮捕、起訴されるという事件が相次いでおりますけれども、例えば昨年十二月に葛飾区でマンションにビラを配布をしていて逮捕されたという男性の場合、二十日間、身柄を拘束されているわけですね。そして、その後、住居侵入罪で起訴されたわけですが、ビラまきをして二十日間の勾留ということです。  この事件について、ある新聞は、司法のチェック適切かという解説記事を書いておりました。勾留を認めた裁判所の姿勢も問われると。ビラには政党名と電話番号が書かれている。逃亡や証拠隠滅のおそれがどれほどあったのか。マンションでのビラ配布を強制調査対象とすることに司法のチェック機能がほとんど働いていないのではないかと、こういう厳しい解説も行われました。  私は、今回のこの少年法をめぐる、法律に思いが至らなかったというようなことを見たときに、改めてこの令状問題での司法のチェック機能というのに厳しいやはり国民のまなざしが向けられていると、抜本的な改善をしていただく必要がある、そのことを求めまして、終わります。
  68. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 国民新党の長谷川憲正でございます。  先日、面白いと申しますか、身につまされる川柳に出くわしましたのでちょっと御紹介をいたしますと、反対し戻ってみれば席はなしと。私も思わず笑ってしまったわけでありますが、そんな状況の中で、私、今回、法務委員会、この名誉ある法務委員会に籍をいただきました。大変うれしく思っております。微力ではございますけれども、委員長始め委員各位のお力添えをいただきまして、また南野大臣始め政府の皆様の御協力もいただきまして、いささかなりとも法務行政前進のために役立ちたいと、このように考えておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。  今日の私の質問の趣旨は、少年犯罪防止ということでございます。時間が大変押しておりますので、簡潔にお尋ねをしたいと思いますので、また簡潔にお答えをいただければ有り難いと思います。  最初に、近年における犯罪の発生状況の推移とその特徴についてお伺いをしたいと思っております。  これは、やっぱり日本は豊かな国に今なっているわけであります。日本国民自身の認識はいろいろありましょうけれども、国際的に比較をしたときに、大変裕福な国になっていることは間違いないわけでありまして、今正に国民の関心は安心で安全な国、先ほど大臣も世界一安全な国日本をつくるんだということをおっしゃいましたが、正にそのとおりだというふうに思っておりますので、最近の犯罪の発生状況、特徴等についてお教えいただければと思います。
  69. 竹花豊

    政府参考人竹花豊君) お答えいたします。  近年の犯罪発生状況の推移でございますけれども、平成八年以降平成十四年まで七年連続して戦後最多を記録いたしておりました刑法犯認知件数は、平成十五年に減少に転じまして、平成十六年は二百五十六万件余で、前年に比べまして八・一%減少したところでございます。また、本年上半期につきましても、前年同期に比べまして一二・九%減少しているということで、犯罪の件数の増加傾向には一定の歯止めが掛かってきたというふうに認識しております。しかしながら、いまだ刑法犯認知件数は、治安が良いと言われておりました昭和四十年代、これは年間平均いたしまして約百二十万件ほどの発生件数だったわけでございますが、その二倍という状況は変わらないわけでございます。  また、特に最近ではいわゆる振り込め詐欺等の知能犯罪が急増いたしておりますほか、来日外国人による組織犯罪の多発、あるいは少年による凶悪事件の多発など、犯罪情勢は依然として厳しい状況にあるものと認識いたしております。
  70. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 御紹介いただいたような状況でありまして、大変御努力をされて成果を上げておられることは認めますけれども、依然として安心できる状況ではないと、こういうことでございますので、いろいろな手だてを講じなければならないと思います。  次に、最近の受刑者の刑務所等への収容状況についてお伺いをしたいと思います。  大変過剰収容にあるというような話も聞くわけでございますけれども、改善の見通し等も併せてお聞かせいただければと思います。
  71. 小貫芳信

    政府参考人小貫芳信君) 刑務所等の収容人員は、平成十年以降急激に増加しております。特に受刑者等、既決の被収容者と申し上げますが、本年の九月末現在、約六万七千三百人でございまして、平成十年と比較しますと約二万四千人の増加でございます。したがいまして、現在の収容率、約一一四%でありまして、収容状況は依然として厳しい状況にございます。  当局といたしましては、この過剰収容の状況を解消するために、いわゆるPFI手法を活用した新たな刑務所を設置したり、あるいは従来の収容棟の増築等によりまして、収容能力の拡大を図っているところでございます。しかしながら、最近の犯罪情勢等々を踏まえますと、刑務所等の収容状態は依然として厳しい状態が続くものと予想しているところでございまして、今後とも収容能力の拡大とその内容の整備に努めてまいりたいと、こう考えております。
  72. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 今お聞きをしましたように、大変刑務所等の収容状況、良くないという状況の中で、大変な御苦労がおありだろうと思います。環境の改善のためにいろいろな手だてを講じておられると思いますけれども、その中でやはり抜本的な対策というのは、やはり犯罪を防止して受刑者の数を少なくするということであることは間違いないわけであります。  その中で私は特に気になりますのが、少年の非行あるいは犯罪ということであります。もちろん、成人の犯罪も世の中に大変な影響を及ぼすわけでありますから重要ではありますけれども、特に少年の場合は、これから成長をしていくわけでありまして、これからの社会の担い手になるわけであります。日本の将来は若い人の手にあるわけでありますので、そういった意味で、少年の非行、犯罪には大変関心が強うございます。  この少年非行の現状と、これに対して警察としてどんな取組をしておられるか、御紹介をいただければと思います。
  73. 竹花豊

    政府参考人竹花豊君) お答えいたします。  最近の少年非行の現状について申し上げますと、平成十二年以降、刑法犯少年が増加をしてまいったところでございますけれども、昨年は全体的な犯罪抑止活動もございまして十三万四千八百人余と、前年に比べて六・六%の減少を見ておるところでございます。一方、人口当たりの検挙人員で見てみますと、少年は成人の約七倍に上りまして、戦後最悪であった昭和五十年代後半に近い水準で推移しております。また、少年による社会の耳目を集める凶悪な事件も目立っているところでございます。このほか、喫煙や深夜徘回等をいたしまして警察が補導いたしました言わば不良行為少年は、昨年中約百四十一万九千人を数えております。平成に入って最高を記録している状況にございます。  このような現状に対しまして、少年が非行や犯罪に巻き込まれずに健全に育っていくように、学校等とも連携して非行や犯罪被害の防止に警察としても全力を挙げているところでございます。また、非行を犯してしまった少年につきましては、それが一見小さな犯罪でございましても、これについて適正に捜査を進めることは当然のこと、その少年の立ち直りのための働き掛けを行っていくことが必要であると考えておりまして、学校、保護者、地域とも連携を進めて、様々な施策を進めているところでございます。最近では、非行等の問題を抱える個々の少年支援するために、警察、学校、保護者を始めとする関係者から成るサポートチームを形成をいたしまして、その立ち直り支援実施する取組も進めているところでございます。  今後とも、少年の非行防止、立ち直りのための総合的な取組を進めてまいりたいと考えております。
  74. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 御答弁、誠にごもっともだと思うんですね。本当に少年の非行対策というのはいろんな形で展開をされるべきだというふうに思いますし、警察の関係の皆さんが御努力していることを多としたいと思います。  そこで、私、政府全体としてこの青少年少年の非行ということに私は特に関心があるわけでありますが、青少年の育成全般についてどんな取組がなされているのかなということで改めて見てみますと、平成十五年の十二月に青少年育成施策大綱というのが内閣府から出されております。私、中身を改めて読ましていただきましたけれども、大変網羅的で貴重な提言もたくさんあるということで、これはこれからの対策の上で重要なかぎになるなと、こう思っているものでございまして、内閣府の方からこの大綱の基本的な考え方、改めて御紹介いただければと思いますが。
  75. 林幹雄

    政府参考人(林幹雄君) お答えいたします。  今警察庁の方からもありましたように、最近におきましても凶悪な少年犯罪が発生するなど、少年非行問題は依然として深刻な状況にあると認識しております。一昨年、今ございました一昨年の十二月に策定いたしました青少年育成施策大綱でございますが、これは、青少年の育成に係る政府の基本理念と中長期的な施策の方向性を示したものでございまして、重要課題の中では、規範意識を身に付けることは社会的存在としての人間が備えるべき基本であり、成長の過程でこの基本がおのずと備わるよう青少年育成施策は配慮されなければならないということ、こういう前提の下に、非行等の社会的不適応を起こしやすい状況にあるなど、特に困難を抱える青少年に対し、その環境や条件が改善されるよう特別の支援を行うことといたしておるところでございます。  少年犯罪少年非行の深刻な状況を踏まえまして、少年非行対策につきましては、大綱の基本的な考え方、方針にのっとり、関係省庁間で十分に連携を図りながら推進してまいりたいと考えております。
  76. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 内閣としては、今おっしゃったように、関係省庁がこの大綱を踏まえてそれぞれきちんとした施策を展開するということを期待しておられるというふうに思いますけれども、どうぞ大いにリーダーシップを発揮していただいて、この大綱の中にも政策評価というようなことが言われておりますけれども、出しっ放しにならないように大いにその政策の評価もしていただき、また各省に対してこの大綱の精神を踏まえた格段のお取り組みをしていただくように推進策を考えていただきたいということをお願いをしておきます。  そこで、この大綱を踏まえまして少年法の改正が計画をされているというふうにお聞きをしております。さきの国会では残念ながら廃案になったということでございますけれども、来年の通常国会に再提出される見込みだというふうに聞いております。時間がございませんので、ポイントだけ簡単に御紹介をいただければと思いますが。
  77. 大林宏

    政府参考人大林宏君) 第百六十二回国会に提出した少年法等の一部を改正する法律案は、青少年育成施策大綱等を踏まえ、少年非行の現状に適切に対処するため、警察官によるいわゆる触法少年及び虞犯少年事件の調査手続、十四歳未満の少年少年院送致、保護観察に付された者が遵守すべき事項を遵守しなかった場合の措置等に関する規定を整備するとともに、裁判所の判断により国選付添人を付する制度を新設するための所要の規定の整備を行うものでございます。  御指摘のとおり、同法律案は衆議院の解散により廃案となりましたが、できるだけ早期に法案国会に提出し、速やかに成立させていただきたいと考えております。
  78. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 少年法の関係でもう一つお聞きをしますけれども、前回の少年法の改正、平成十二年でございましたが、このときは大きな事件等があったということを契機にして厳罰化の方向の改正が行われたというふうに認識をしておりますけれども、少年法そのものの根底にある理念というのは少年の健全育成ということであります。  この二つの考え方、今回の少年法の改正を考えるに当たりましてどんなふうに整理をしておられるのか、お聞きをしたいと思います。
  79. 大林宏

    政府参考人大林宏君) 平成十二年の少年法等改正により、十四歳、十五歳という年少少年であっても罪を犯せば処罰されることがあること、また、少年であっても、故意の犯罪行為により人を死亡させるような重大な犯罪を犯した場合には、原則として刑事処分の対象となることとされましたが、これらにより少年に責任を自覚させるとともに、その規範意識を育てることが少年法第一条の少年の健全な育成に資すると考えられたものと承知しております。
  80. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 ありがとうございました。いずれまた少年法の問題は大いに議論する機会があると思いますので、この程度にとどめたいと思います。  最後にお尋ねをしたいわけですけれども、私、少年犯罪を考えるときに、予防に勝る対策はないというふうに思っております。少年法等は法に触れた事態が生じた場合の対策をいろいろと講じているわけでありますけれども、いったん法に抵触するような行為を行えばやはり少年は大いに傷付くわけでありまして、できるだけ予防するにこしたことはない。医学の分野でも、最近は予防医学というところに非常に力が入っておりますけれども、これはもう内閣もあるいは各省も、是非少年の非行防止、予防ということに大いに取り組んでいただきたいというふうに思っているわけであります。  これは内閣の下に各省が連携して一体となって取り組むというのがもちろん一番望ましいわけでございますが、そうはいってもなかなか、みんなが一つにまとまってというのを待っておりますと、責任の所在がどこにあるのか分からぬというようなことで、どうも思ったような対策がなかなか取れないということがあります。先ほども警察のお取組をお聞きをしましたけれども、それぞれのところが使命感を持って、できることは何でもやるんだということで取り組んでいただくのが一番いいというふうに思うわけであります。  そこで、法務省、遵法精神を涵養するような運動とか、あるいは法教育の取組とか、いろいろおやりだというふうにお聞きをしております。すばらしいことだと思いますので、その辺の御紹介も含めて、この少年犯罪の予防に関しまして、法務大臣、どのような御所見をお持ちか、お聞かせをいただければ有り難いと思います。
  81. 南野知惠子

    国務大臣南野知惠子君) 先生の御関心、本当に大切に育てていかなければならないというふうに思っております。  法務省では、中学生の問題行動に適切に対応するとともに、その非行を防止するために、平成十四年度から、保護司地域活動の一環といたしまして、中学生サポート・アクションプラン、これを実行いたしております。また具体的には、非行問題に関する豊富な知識又は処遇経験などを有する保護司方々が中学校へ赴きまして、非行問題又は薬物問題、それらをテーマにした非行防止教室を実施いたしております。またそのほか、生徒指導担当教師との合同事例研究、それを開催したり、また、様々な方法で学校との連携強化を努めているところでございます。  今後とも、保護観察所又は保護司が学校と連携して非行防止に取り組む努力をしてまいりたいと。また、保護司方々にもお集まりいただき、今いろいろな検討をしていただいているところでございます。  また、法務省では、平成十五年七月に法教育研究会を発足させました。先生が目を付けておられるのはここだというふうに思いますが、司法制度改革の一環といたしまして、我が国における法教育の在り方について検討を進めてまいりました。  法教育といいますのは、必ずしも犯罪防止の啓蒙を図るための教育だけではないわけでございますけれども、子供たちに、法や司法によって自らを守る、ルールをつくっていくということでございますが、他者をひとしく尊重する理念、そういうものも会得させることを通じて、他者の生命、身体、自由などを傷付けてはならないと、そういう自覚を持ってもらうということにもつながるのではないかなと思っております。  法務省では、本年五月に法教育推進協議会を発足させ、今後も学校教育を中心として法教育の推進、発展に努めることといたしております。法教育に関するテキストもできており、学校でももう使われております。必要であるならば、いろいろな司法方々が学校に出向いていきながら教育の一環を持たせていただいているということもございますので、どうぞ司法界が我々の身近に本当に便利的に広がっていくことを願っておるところでございますので、それも併せながら、法教育、これを展開してまいりたい。  子供にルールを検討してもらうということでございますので、学校で教育を受けた子供たちは、その自分たちが学んだルールを親たちにも教えていく形になるのではないか、そういうことも考えております。よろしくお願いします。  以上です。
  82. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 ありがとうございました。大変心強い御答弁をいただきました。  やっぱり、健全な社会を育成していくためには、本当に子供の非行の防止というのは大きな課題だと思いますが、何よりも大人がいいお手本を示さなければ、子供だけ良くなれといってもなかなか難しいわけでございますので、私どももそういう意味で、民主主義のルールの徹底等も含めて、やはり社会的な秩序をきちんと維持をしていくという精神を涵養したいと、このように思っているところでございます。  質問を終わります。ありがとうございます。
  83. 渡辺孝男

    委員長渡辺孝男君) 本日の調査はこの程度にとどめます。     ─────────────
  84. 渡辺孝男

    委員長渡辺孝男君) 裁判官報酬等に関する法律の一部を改正する法律案検察官俸給等に関する法律の一部を改正する法律案及び最高裁判所裁判官退職手当特例法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。  三案について政府から趣旨説明を聴取いたします。南野法務大臣
  85. 南野知惠子

    国務大臣南野知惠子君) 裁判官報酬等に関する法律の一部を改正する法律案検察官俸給等に関する法律の一部を改正する法律案及び最高裁判所裁判官退職手当特例法の一部を改正する法律案について、その趣旨を便宜一括して御説明いたします。  まず、裁判官報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官俸給等に関する法律の一部を改正する法律案について御説明いたします。  政府においては、人事院勧告の趣旨等にかんがみ、一般の政府職員の給与を改定する必要を認め、今国会に一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案及び特別職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案を提出しておりますが、裁判官及び検察官につきましても、一般の政府職員の給与の改定等に伴い、その給与の改定等を行うため、この法律案を提出した次第でありまして、改正の内容は次のとおりであります。  第一に、一般の政府職員について、平成十七年の民間の賃金水準に合わせて俸給月額を引き下げることといたしておりますので、裁判官の報酬月額及び検察官の俸給月額についても、おおむねこれに準じて引き下げることといたしております。  第二に、一般の政府職員について、給与構造の変更に伴って平成十八年度から俸給月額を改定することといたしておりますので、裁判官の報酬月額及び検察官の俸給月額についても、おおむねこれに準じて改定することといたしております。  第三に、号俸の整備等観点から、判事について、報酬月額に関する特別の定めを削除して、いわゆる判事特号を廃止し、副検事について、検事八号に相当する号俸を新たに設けることといたしております。  これらのうち、第一に御説明した内容は、一般の政府職員の場合と同様に、公布の日の属する月の翌月の初日、ただし、公布の日が月の初日であるときはその日から施行することといたしております。また、第二及び第三に御説明した内容は、平成十八年四月一日から施行することといたしており、これに伴う所要の経過措置等も定めております。  次に、最高裁判所裁判官退職手当特例法の一部を改正する法律案について御説明いたします。  政府においては、国家公務員制度改革における国家公務員退職手当制度の改革の必要性や国家公務員の給与構造の改革の状況等にかんがみ、国家公務員の退職手当制度を改定する必要を認め、今国会に国家公務員退職手当法の一部を改正する法律案を提出しておりますが、最高裁判所の裁判官の退職手当につきましても、国家公務員の退職手当の改定の状況等にかんがみ、この特例を改定する措置を講ずるため、この法律案を提出した次第であります。  改正の内容は、最高裁判所の裁判官が退職した場合に支給する退職手当の額を、退職の日におけるその者の報酬月額にその者の勤続期間一年につき百分の二百四十を乗じて得た額に引き下げるなどするものであります。  以上が、裁判官報酬等に関する法律の一部を改正する法律案検察官俸給等に関する法律の一部を改正する法律案及び最高裁判所裁判官退職手当特例法の一部を改正する法律案の趣旨であります。  何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
  86. 渡辺孝男

    委員長渡辺孝男君) 以上で三案の趣旨説明の聴取は終わりました。  三案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時九分散会