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2005-10-20 第163回国会 参議院 総務委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十七年十月二十日(木曜日)    午前九時開会     ─────────────    委員異動  十月十九日     辞任         補欠選任      岡田  広君     山本 順三君      荻原 健司君     中川 雅治君      野上浩太郎君     矢野 哲朗君      小林 正夫君     平田 健二君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         木村  仁君     理 事                 世耕 弘成君                 森元 恒雄君                 山崎  力君                 高嶋 良充君                 内藤 正光君     委 員                 景山俊太郎君                 椎名 一保君                 中川 雅治君                 二之湯 智君                 矢野 哲朗君                 山内 俊夫君                 山本 順三君                 吉村剛太郎君                 伊藤 基隆君                 高橋 千秋君                 那谷屋正義君                 平田 健二君                 藤本 祐司君                 蓮   舫君                 弘友 和夫君                 山本  保君                 吉川 春子君                 又市 征治君    国務大臣        総務大臣     麻生 太郎君    大臣政務官        総務大臣政務官  山本  保君    事務局側        常任委員会専門        員        高山 達郎君    政府参考人        総務省政策統括        官        清水 英雄君    説明員        会計検査院事務        総局第五局長   船渡 享向君    参考人        日本放送協会経        営委員会委員長  石原 邦夫君        日本放送協会会        長        橋本 元一君        日本放送協会副        会長       永井多惠子君        日本放送協会理        事        原田 豊彦君        日本放送協会理        事        小林 良介君        日本放送協会理        事        中川 潤一君        日本放送協会理        事        小野 直路君        日本放送協会理        事        衣奈 丈二君        日本放送協会理        事        石村英二郎君        日本放送協会理        事        西山 博一君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○日本放送協会平成十三年度財産目録貸借対照  表及び損益計算書並びにこれに関する説明書(  第百五十六回国会提出) ○日本放送協会平成十四年度財産目録貸借対照  表及び損益計算書並びにこれに関する説明書(  第百五十九回国会提出) ○日本放送協会平成十五年度財産目録貸借対照  表及び損益計算書並びにこれに関する説明書(  第百六十二回国会提出) ○行政制度公務員制度地方行財政選挙、消  防、情報通信及び郵政事業等に関する調査  (日本放送協会の再生に向けた改革に関する決  議の件)     ─────────────
  2. 木村仁

    委員長木村仁君) ただいまから総務委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、小林正夫君、岡田広君、荻原健司君及び野上浩太郎君が委員を辞任され、その補欠として平田健二君、山本順三君、中川雅治君及び矢野哲朗君が選任されました。     ─────────────
  3. 木村仁

    委員長木村仁君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  日本放送協会平成十三年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書外二件の審査のため、本日の委員会総務省政策統括官清水英雄君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 木村仁

    委員長木村仁君) 異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 木村仁

    委員長木村仁君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  日本放送協会平成十三年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書外二件の審査のため、本日の委員会日本放送協会役職員参考人として出席を求めたいと存じますが、異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 木村仁

    委員長木村仁君) 異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 木村仁

    委員長木村仁君) 日本放送協会平成十三年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書日本放送協会平成十四年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書及び日本放送協会平成十五年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書の三件を一括して議題といたします。  三件について、まず政府から説明を聴取いたします。麻生総務大臣
  8. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) ただいま議題とされました日本放送協会平成十三年度平成十四年度及び平成十五年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書並びに監事意見書について、その概略を御説明申し上げます。  まず、平成十三年度についてですが、貸借対照表一般勘定につきましては、平成十四年三月三十一日現在、資産合計六千九百八十一億円、負債合計二千六百九十八億円、資本合計は四千二百八十二億円となっております。  資産内容は、流動資産一千九百三十九億円、固定資産四千八百九十三億円、特定資産百四十八億円であり、負債内容は、流動負債二千五億円、固定負債六百九十三億円となっております。  また、資本内容は、資本三千五百九十二億円、積立金五百五十九億円、当期事業収支差金百三十一億円となっております。  損益計算書一般勘定につきましては、経常事業収入は六千六百七十六億円、経常事業支出は六千四百四十六億円となっており、経常事業収支差金は二百三十億円となっております。  次に、平成十四年度についてですが、貸借対照表一般勘定につきましては、平成十五年三月三十一日現在、資産合計七千百十二億円、負債合計二千七百二十六億円、資本合計は四千三百八十五億円となっております。  資産内容は、流動資産二千二百二十五億円、固定資産四千八百五十五億円、特定資産三十二億円であり、負債内容は、流動負債二千七十八億円、固定負債六百四十八億円となっております。  また、資本内容は、資本三千七百三十四億円、積立金五百四十七億円、当期事業収支差金百二億円となっております。  損益計算書一般勘定につきましては、経常事業収入は六千七百四十九億円、経常事業支出は六千五百五十六億円となっており、経常事業収支差金は百九十三億円となります。  続いて、平成十五年度についてでありますが、貸借対照表一般勘定につきましては、平成十六年三月三十一日現在、資産合計は七千二百二十五億円、負債合計二千七百二十四億円、資本合計は四千五百億円となっております。  資産内容は、流動資産一千二百六十六億円、固定資産五千八百九十四億円、特定資産六十四億円であり、負債内容は、流動負債二千八十一億円、固定負債六百四十二億円となっております。  また、資本内容は、資本四千二十三億円、積立金三百六十二億円、当期事業収支差金百十五億円となっております。  損益計算書一般勘定につきましては、経常事業収入は六千八百二億円、経常事業支出は六千五百九十二億円となっており、経常事業収支差金は二百九億円となります。  以上につきまして、監事意見書におきまして、監査の結果、平成十三年度平成十四年度及び平成十五年度の財務諸表は、いずれも、当該年度日本放送協会財産及び損益状況を正しく示しているものと認められております。  何とぞよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  9. 木村仁

    委員長木村仁君) 次に、日本放送協会から説明を聴取いたします。橋本日本放送協会会長
  10. 橋本元一

    参考人橋本元一君) ただいま議題となっております日本放送協会平成十三年度平成十四年度平成十五年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並び監事意見書概要につきまして御説明申し上げます。  初めに、平成十三年度財産目録貸借対照表を御説明申し上げます。  一般勘定当年度末の資産総額は六千九百八十一億五千六百万円、一方、これに対する負債総額は二千六百九十八億七千四百万円、また資本総額は四千二百八十二億八千二百万円でございます。  続いて、損益計算書における一般勘定経常事業収入は六千六百七十六億二千六百万円、経常事業支出は六千四百四十六億一千八百万円でございます。  以上の結果、経常事業収支差金は二百三十億七百万円となり、これに経常事業外収支及び特別収支を加え又は差し引いた当期事業収支差金は百三十一億二千八百万円となりました。  このうち、債務償還に充てた資本支出充当は八十九億八千五百万円、建設積立金繰入れは三十七億四千四百万円であり、事業収支剰余金は三億九千八百万円でございます。  次に、平成十四年度について御説明申し上げます。  一般勘定当年度末の資産総額は七千百十二億五千九百万円、一方、これに対する負債総額は二千七百二十六億九千六百万円、また資本総額は四千三百八十五億六千二百万円でございます。  続いて、損益計算書における一般勘定経常事業収入は六千七百四十九億九千九百万円、経常事業支出は六千五百五十六億三百万円でございます。  以上の結果、経常事業収支差金は百九十三億九千五百万円となり、これに経常事業外収支及び特別収支を加え又は差し引いた当期事業収支差金は百二億八千万円となりました。  このうち、債務償還に充てた資本支出充当は八十三億九千二百万円であり、事業収支剰余金は十八億八千八百万円でございます。  次に、平成十五年度について御説明申し上げます。  一般勘定当年度末の資産総額は七千二百二十五億一千百万円、一方、これに対する負債総額は二千七百二十四億二千七百万円、また資本総額は四千五百億八千四百万円でございます。  続いて、損益計算書における一般勘定経常事業収入は六千八百二億五千七百万円、経常事業支出は六千五百九十二億八千万円でございます。  以上の結果、経常事業収支差金は二百九億七千六百万円となり、これに経常事業外収支及び特別収支を加え又は差し引いた当期事業収支差金は百十五億二千百万円となりました。このうち、債務償還に充てた資本支出充当は七十七億六千百万円であり、事業収支剰余金は三十七億六千万円でございます。  なお、各年度における事業収支剰余金は翌年度以降の財政安定のための財源に充てるものでございます。  以上について、監事意見書では、平成十三年度平成十四年度及び平成十五年度貸借対照表等とも、監査の結果、協会財産及び損益状況を正しく示しているものと認めるとされております。  何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
  11. 木村仁

    委員長木村仁君) 次に、会計検査院から検査結果についての説明を聴取いたします。船渡会計検査院事務総局第五局長
  12. 船渡享向

    説明員船渡享向君) 日本放送協会平成十三年度、十四年度及び十五年度決算につきまして検査いたしました結果を御説明いたします。  同協会平成十三年度、十四年度及び十五年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書等は、十三年度につきましては十四年六月十一日、十四年度につきましては十五年六月十日、十五年度につきましては十六年六月十六日にそれぞれ内閣から送付を受けましたが、その検査を終えてそれぞれ十四年十一月二十九日、十五年十一月二十八日、十六年十一月九日内閣に回付いたしたところでございます。  同協会の十三年度決算につきまして検査いたしました結果、特定検査対象に関する検査状況といたしまして「日本放送協会の非現用不動産管理処分状況について」を平成十三年度決算検査報告に掲記いたしました。  内容を簡単に御説明いたしますと、以下のとおりでございます。  日本放送協会では、放送事業を実施するため必要な放送会館放送所等不動産受信料等により取得しておりますけれども、これらの不動産のうち、建物の老朽化等により事業用として使用しなくなった放送所等の跡地を非現用不動産として管理しております。そして、転活用の見込みがない非現用不動産につきましては、予算政策上計画的に処分を進め、安定的な収入確保に努めることとしているわけでございます。  本部ほか十五放送局管理しております非現用不動産につきまして、管理体制が整備されているか、また処分が適切に行われているかなどを検査いたしましたところ、現状では売却可能性が低いと思料されるもののほか、売却のための条件整備が済んでいないものや売却のための条件整備はなされているが売却に至っていないものがございました。  協会では非現用不動産管理及び処分に当たりましては様々な取組を行っておるところでございますけれども、なお一層、売却のための条件整備等の促進に努めることが望まれることから、本院といたしましても、非現用不動産管理が適切に行われているかなどについて注視していくということといたしまして、特定検査対象に対する検査状況として掲記したものでございます。  十四年度決算につきましては、特に法律、政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項はございませんでした。  十五年度決算につきまして、平成十五年度決算検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項五件でございます。  これらは職員不正行為による損害が生じたものでございまして、主な三件を御説明いたしますと、検査報告番号二一七号は、放送番組制作に当たるチーフプロデューサーが、番組制作費支払決定に関する事務従事中、知人と共謀し自己の担当する番組において仕事をさせたこととして知人銀行口座に振り込ませ、番組制作費を領得するなどして損害を与えたもの、それからまた検査報告番号二一八号でございますけれども、これは、営業担当職員が、受信料収納事務従事中、訪問集金支払を受けた受信料を領得したものでございます。そして、検査報告番号二一九号でございますけれども、これは、経理担当職員が、現金及び預金の出納事務従事中、協会銀行口座から不正に現金を引き出すなどいたしまして、これを領得したものでございます。  なお、このうち二一八号及び二一九号につきましては、十六年九月末までに損害額のすべての補てんが終わっているところとなっているところでございます。  以上をもちまして概要説明を終わります。
  13. 木村仁

    委員長木村仁君) 以上で説明の聴取は終わりました。  この際、NHKをめぐる諸問題に関して橋本日本放送協会会長から発言を求められておりますので、これを許します。橋本日本放送協会会長
  14. 橋本元一

    参考人橋本元一君) NHK決算を御審議いただく委員会ではございますが、この場をおかりしまして、先月二十日に公表しましたNHK新生プランと、NHK財政現状について簡潔に御報告させていただきます。  NHK新生プランは、昨年来の一連不祥事などで失った視聴者皆様からの信頼を一日も早く回復させ、NHK財政を再建すること、そしてデジタル時代にふさわしい公共放送としての役割をしっかりと果たせるよう、NHKを脱皮させることを目的とした改革方針でございます。今後はこの方針に沿った事業運営を着実に実行し、公共放送の責務と使命をしっかりと果たしていく所存でございます。  一方、平成十七年度九月末の収支状況は、受信料収入予定額に対して二百三十四億円の不足となり、財政運営は極めて厳しい状況です。しかし、新生プランを公表して以来、受信料支払拒否保留増加は大分少なくなっております。九月末の段階で、不祥事に伴う受信料支払拒否保留は百三十万件を見込んでおりましたが、実際には百二十六万六千件にとどまりました。また、支払を再開していただいた方は、八月から九月の二か月間で三万件と見込んでいたものが、三万五千件に増えております。  新生プランをてこに、今年度内には支払拒否保留増加を止め、来年度以降、受信料収入回復基調に乗せていきたいと考えております。  会長である私が先頭に立ち、あらゆる改革を進め、新生NHKを築き上げる決意でございます。  NHKへの格段の御理解を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。  以上でございます。
  15. 木村仁

    委員長木村仁君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  16. 山崎力

    山崎力君 自由民主党の山崎でございます。  今回のNHK決算審議に当たりまして、今、橋本会長の方からお話ございましたけれども、そちらの方がどうしても目は行かざるを得ないという実情であることは皆様方御同意していただけるものと思っております。  しかしながら、この決算、十三年度から十五年度までの三年間につきまして一応の点は洗わなくてはいけないということがございまして、まず、年度ごとに今までの決算ずうっとやってきておりますが、この三年間にわたって大きな変化があるかどうか、収支その他、その辺のところをまず簡単に概略説明願えればと思います。
  17. 橋本元一

    参考人橋本元一君) お答え申し上げます。  十三年度から十五年度決算の主な特徴としまして、収入面では、受信料収入景気低迷などの影響により、各年度予算に対しおよそ五十億円程度の減収となっております。  支出面では、予算で見込んでいなかった事項としまして、十三年度ではアメリカ同時多発テロ関連放送、十四年度ではイラク戦争関係放送、十五年度では第四十三回衆議院議員選挙放送、これらがございました。その他、各年度の特徴的な事項としましては、十三年度では冬季オリンピックソルトレークシティー大会放送、第十九回参議院議員通常選挙放送、十四年度ではワールドカップサッカー放送、十五年度では東名阪の三大都市圏での地上デジタル放送開始等に取り組んできたことが挙げられます。  なお、受信料収入減収につきましては、各年度とも効率的な業務の実施による経費削減等事業運営費等削減して、収入範囲内で支出を賄ってきております。NHKでは、平成年度以降、受信料収入確保に努めるとともに、業務改革経費削減を行い、収入範囲内で支出を賄ってきております。十三年度から十五年度決算の構造も同様でございます。
  18. 山崎力

    山崎力君 中身について今会計検査院の方からも報告があって、例年のことですけれども、大きな間違いはないという形で決算が出されているということでございますけれども、ただ、その決算の、厳密に言えば、決算中身について、十三年度になるんでしょうか、芸能プロデューサーによる番組制作費の着服が行われていたという不祥事がございました。そういったことが決算でチェックできなかったというのもこれ事実でございまして、そういう意味でいえば、予算の執行が適正に行われていなかったと、こういうことだと思います。  こういう不祥事を見逃すということは、大きな数字、埋もれてしまう数字かもしれませんが、積もり積もれば大きなことになり得ると、こういうことになろうかと思うんですが、その辺のところをNHKとしてはどう受け止めて、今後の再発防止、こういうことが起きないようにしているのか、この際、お示し願いたいと思います。
  19. 衣奈丈二

    参考人衣奈丈二君) 経理担当衣奈でございます。  御指摘のとおり、芸能番組制作費の不正支出問題など、結果的に不祥事を見過ごしたという事態、大変重く受け止めて、今後とも職員倫理意識を高め不正を根絶する、あるいは透明性説明責任を重視する事業運営に推進していくということに取り組んでいる最中でございます。  具体的には、体制強化の面では、現場制作部局ですとかあるいは海外の総支局等経理担当管理職を配置、増員すること、あるいは経理の、経理局中央審査センターを設置して全部局に対する審査の指導を強化すること、また内部監査の面で、外部監査法人と連携して内部監査強化していくなどの体制強化を行っております。それ以外にも、経理処理の手続、ルールについて様々な部分について内部統制の考え方をより強めていく見直しを種々行っております。  以上でございます。
  20. 山崎力

    山崎力君 そういったことで、先ほどちりも積もればと言ったんですが、この一連不祥事が発覚して、これまでの決算と、十五年度までの決算と違った数字が恐らく十六年度には出てくるであろうと。そちらの対策の方が現時点では非常に重要で、そういう意味では、今までの十三年度—十五年度、今審議している決算というのは今のNHK経営状況から見ると参考にならないといいますか、それを基にどうこうするというのはできない状況になったというのは、関係者皆様方は御納得いただけると思うんですが、当然、そのちりも積もってというのは一人一人の受信料の不払、拒否、そういったものの積み重ねが膨大な数になって山となっていると。  聞くところによりますと、本年度、十七年度末に予算に比べてこの事業料収入が五百億くらい、五百億円くらい減るんではないかという今までの実績から予想になっているわけですね。それで、今までのこの実績決算額から見ると、例年、大体この受信料収入というのは六千五百億をちょっと切るくらいで推移している、六千五百億弱と。その点から見ると、一割に近づくというこれもう膨大な数になっているわけです。本当に深刻な状態だろうというふうになっているんですが、この事態に対して経費削減とかいろいろやっていると思うんですが、具体的なこの減収対策についてお伺いしておきたいと思います。
  21. 橋本元一

    参考人橋本元一君) 大変視聴者の皆さんから寄せられている信頼を損ね、また大幅な減収が見込まれる大変厳しい状況を重く受け止めております。我々、組織の総力を挙げて信頼回復財政安定に向けて取り組んでいるところでございます。  しかし、一方、収入に見合った支出削減を当然ながらしなければいけないというふうに、おっしゃるとおり努力しているところでありますが、一方では、やはり放送のサービスの質の低下を来さない、あるいは事業の骨格を崩さないというふうなことございます。その中で、我々もう事業の隅々に至るまで節約のチェックをしております。  具体的に申し上げますと、主なもので言いますと、いろいろ設備の機器の補修関係、こういう設備関係経費、あるいはいろいろシステムのプログラム開発経費、あるいは事業管理経費など、管理間接的な経費対象として削減に努めております。本年秋に予定していました人事の採用も中止しております。また、番組制作費削減につきましても、いろいろ番組の質の低下を来さないよう現場の知恵、工夫などを結集してはおりますが、回線費通信回線費でございますが、こういうものの間接経費等も優先的に削減するなど努力しているところでございます。
  22. 山崎力

    山崎力君 この問題というのは非常に厄介でございまして、努力されて節約されるその中で今まで気が付かなかったことを切っていったということもありますし、それから、先ほどもお話ありましたけれども、質は何とか保たないかぬと、こういうことなんですが、それは分かります。それから、設備がいろいろとか言われていました。人件費の問題もあると思うんですが、これ削れると、それで我々テレビ等を見ているあるいはラジオを聴いている者からして、質が変わらなければ、その分今まで無駄に使っていたんじゃないかと、こういうふうにも取れるわけですね。  もちろん、今身を削る思いで削減に取り組んでいる立場からすれば非常にきつい言葉になるかもしれませんが、逆に言えば、それを同情的に言えば、もうぎりぎりのところまで削っているんだけれども余裕がどんどんなくなってきている、あるいは何年かで本当は変えなきゃいかぬ設備を補修しながら本当は新しいのにしたいのを延ばすと、先延ばしすると、そういったことでやっていたとしても、これはいつかその分は支払わなきゃいかぬ、やらなきゃいかぬと。その辺のところは非常に削る段になっても、確かにこういう事態だからみんな何か知恵出して削れるところないかと。ふだん気が付かなかったところで削れるという部分であればこれはいいんですが、これだけの額になるとそうはいかないだろうと思うんで、その辺のところも少し御説明願えませんでしょうか。
  23. 橋本元一

    参考人橋本元一君) おっしゃるとおり、もう本当に身を削る、身を絞るような削減の努力でございます。非常に細かいところまで点検して、そういうものを積み重ねて全体を大きくつくっていくということでございます。しかし一方、やはり我々の日ごろの努力というものを、いかに節約、努力を積み重ねるか、現場の工夫というものを行うかということで努力しています。  確かに余裕というものはだんだんだんだんなくなっていく中、具体的に言うと、使っているVTRテープ、これまで三回とか四回使い回しをしていたものを五回、六回、そういうふうな形で非常に緻密なところですることによって、こういうふうな努力を積み重ねていますし、それから特に通信回線というものを大変よく使いますけれども、こういうものもきめ細かに時間配分をするというふうなことで、余裕は大変なくなってまいりますけれども、そういうところで、我々きめ細かな動作で、運用方法でカバーしてまいっていくということで考えております。
  24. 山崎力

    山崎力君 貧すれば鈍するということにならないように、しっかり質の確保はしていただきたいと思いますが。  それと同時に、これだけ事業収入が不足するというか減収した場合、当然今年度予算との、お金の使い方、五百億というあれですから、使い方が違ってくるだろうと、予算決算の乖離が相当進むんではないかということが考えられるわけですが、そういった点で、予算を組み替えて、この新しい事態に対応するNHK予算を組み替えた形で、国会で、こういうふうにお金を使うのでこれだけの減収に対応できますということまでやってはどうかと、やるべきではないかという意見があるんですが、その辺についてのNHKのお考えをお聞かせください。
  25. 衣奈丈二

    参考人衣奈丈二君) お答えいたします。  ただいま御紹介いたしましたとおり、あらゆる面にわたる経費削減を行う一方で、収入の増、減収を食い止めるということにも努力をしておりまして、御案内のとおり、膨大な件数に上っております受信料支払拒否保留、この件数を年度内食い止めて、そして大幅と見込まれている減収見込みをより改善させていくということの努力も図っておりますし、あわせて、これは来年度以降の話にはなりますが、十八年度以降受信料収入を何とか回復させていくということも、いわゆる私どもの言葉で営業努力という部分を必死に図っているところでございます。  その上で、そのような収支両面にわたる自助努力によりまして、全体の十七年度収支を不足を来さないよう今努力中でございます。その上で、十七年度予算事業計画として国会を通じお約束をしております様々な計画、例えば地上デジタル放送放送局の開局、あるいは今年はオリンピック、冬季オリンピックの年でございます、トリノ五輪放送の実施、あるいはそのほか改革、再生のさまざまな取組など着実に実施をしたいと考えております。  したがいまして、予算の補正をお願いすることなく、現行の予算業務を着実に実施していきたいと考えております。
  26. 山崎力

    山崎力君 先のことなのでこちらの方から今のお答えに対してどうこう言うつもりありませんが、その決算のときに、十七年度決算のとき、将来ですけれども、当初の予算決算がこれだけ違っていたと、これじゃやっぱり最初の予算意味がなくなった、補正で改めて途中でも報告した方がよかったというような、結果を出すようにしていただかないと、これは何年か後のことですけれども、そうしないと予算決算意味がなくなりますんでね、その辺のところをよろしくお願いしたいと思っております。  こういった形で御努力中だと。それで、今お話、こちらもちょっとお聞きしようかなと思ったデジタル計画も予定どおりやると、こういうことなんですが、何とか受信料収入減を食い止めるという今表現がございましたけれども、これ、食い止めたところで、前年まで、今決算審議しているところの収入から減った現状を食い止めるだけで、将来どれだけ回復するかというめどは全然立ってないわけですよね。  それで、粘り強く説得続けたり、場合によっては民事手続を活用して支払催促も検討していくというような発言をお聞きしているわけですが、今のままの受信料制度の下で幾ら努力しても、できるんだろうかというのと、もう一点言えば、払わない人がこれだけ多くなっていると、これは年金でもそういったことをよく言われる、健康保険でもよく言われるんですけれども、払わなくても何とかなるという人の比率がある程度達しますと、制度自体、これいかがなものかと、払った人が損するんじゃないかと、払わなくても同じ利便性を受けるんであれば払わなくてもいいというモラルハザードを起こすと。これは社会である一定程度の数字は出るんですけれども、その数字が、ある数字、これはいろいろな制度によって違うと思いますが、それが出てきちゃうと、これはもう社会的な大きな問題になるということは皆さん御承知のことだと思うんですが。  今の受信制度でやっていけるのかどうか。コマーシャルを入れるとか強制的に罰則を付けるとか、あるいはデジタル化されたときのスクランブルで見れないようにするとか、いろいろアイデアはあるんでしょうが、その辺のところはそろそろ内部的にはきちっと検討していって、駄目になりました、このままではやれませんから、これから対応策検討しますというふうにならないように、もうある程度の結論が出たら、さっとこちらでいきますというふうなことを、説得といいますか説明できるような形を取っていただかねばならないと思うんですが、来年度以降の見通しと併せて御認識を伺っておきたいと思います。
  27. 橋本元一

    参考人橋本元一君) おっしゃられるとおり、大変厳しい状況の中で、確かに一挙に現在の状況から窮状を回復するということは大変難しいと考えております。  我々、今年度、まずは支払拒否保留増加をとどめた上、来年度以降、段階的にこの受信料収入を増収に転換させる、そういう流れをつくっていくわけでございますけれども、おっしゃるとおり、受信料制度という中で、大変厳しい状況ではありますが、我々、現段階でこの受信料制度に基づく公共放送というのは守っていきたいというふうに思って、最大限これに向けて努力をしてまいりたい。その上で、次の段階、新しいメディア状況というのが当然ながら考えられます。そういう社会に即した財源の在り方等も今後は検討してまいりたいというふうに考えております。
  28. 山崎力

    山崎力君 お立場で現時点ではそういうお答えが妥当だろうという感じはするんですけれども、この不祥事が問題になって、受信料収入がダウンするという数字を見ていたときのこれは大変なことになるんじゃないかといったときと、もうあれから半年くらいたちまして、現状はもうあのときの予想以上に厳しいダウンになっているというふうに認識しておりますので、その辺のところは非常に危惧を持っているということをお伝えしておかなければいけないと思います。  その意味で、経営委員会委員長おいでになっていると思いますが、そちらの方からすれば、むしろ現場サイドというのは、私もマスコミにいたから分かるんですけれども、どうしてもいいものをつくりたいという、コスト意識がない人がかえっていい仕事をするというのが、これどこでも同じだと思うんです。これはもう報道にしろ制作番組にしろ、そういうふうな形というのはある。それをいかにお金でコントロールするかというのが、これがマスコミでいえば偉くなる人の資質だと、こういうふうなことも言われているわけですが、そういう意味で石原委員長、どのようにこの事態を見て、まあ最終的な経営上の責任はそちらの方にもあると言えるわけですので、お考えを伺いたいと思います。
  29. 石原邦夫

    参考人(石原邦夫君) お答え申し上げます。  現体制におきまして、先ほど来いろいろ御説明申し上げましたように、いろいろな対策を組み、視聴者皆様方信頼回復に向けた努力をしておるわけでございますけれども、現状は、先生おっしゃるように、大変厳しい状況にあると言わざるを得ないと思っております。  こういった事態解決のために何をすべきかということになるわけでございますけれども、ただいま先生おっしゃいましたようなコストカットのやり方、これは基本は、やはり現場における業務プロセスと申しますか、仕事の中身にまで立ち入りまして、その仕事の業務プロセスそのものを見直していく、そういう中でコストカットを図っていくと、これが何よりも大事なんではなかろうかと思っております。  一律に経費削減するという考えもございますけれども、それよりは仕事のやり方をどうしたらいいのか、どういう形なら効率的にできるのか、そういう目で現場としてもやっていく必要があろうかと思いますし、執行部もそういった面でそれを監督していく、我々経営委員会としては正にそういった観点で監視、監督を強めてまいりたい、こういうふうに思っているわけでございます。
  30. 山崎力

    山崎力君 その辺のところでの、現場に立ち入ってというのは二つ面があるというのは私自身も経験しているところございますんで。といいますのは、現場の人間というのは確かに、サボってとは言わないまでも、何というんでしょう、カットされてもしかるべき部分のところを抱えているのはあるんですが、ほかの現場を知らない人間からすると、そこのところを、これがカットされたんじゃとてもやってられないという部分のところもあるんで、その辺のあんばいというのは非常に難しい。経理の目とそれから現場の目が全然違うということがございますんで、その辺のところはしっかり現場と相談しながら質を落さないようにやっていただきたい。  ただ、甘えでやっていた部分というのはしっかり見極めてカットするという姿勢を、めり張りを付けていただきたいと思っておりますので、その辺はしっかりやっていただきたいと思います。  最後になりますが、麻生大臣、今までのNHK側からの答弁というか考え方をお聞きになって、監督官庁の責任者としてお考えを、まあ感想というと非常に人ごとになるんで恐縮ですが、お考えを伺っておきたいと思います。
  31. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) NHK一連の話から今日に至るまで、人事含めて経営等々いろいろ努力をされておられると存じます。今回の出された新生プランにつきましても、それなりの努力の跡も見られるところだと思います。  結果として、少なくとも受信料拒否の部分等々がかつてのほどのカーブとは大分変わってきたということはもう数字の上でもはっきりはいたしていると思いますので、それなりの理解なり評価なり、また、NHK側の努力が少しずつではありますけれども実ってきていると思っておりますので、これまでいろいろありましたけれども、私どもとしては、この委員会予算を認めていただいた経緯等々これまでありますんで、今回これによって当然、当初立てました予算に比べて売上高は減るということは確実だとは思いますが、それを対応する中で、今、山崎委員から御指摘のありましたように質等々を落とすことなく、少なくとも番組内容をいいものにして、もって売上げの増、売上増につながるということが最も期待をされるところだと思いますんで、これから後半に入ってきますんで、そこのところをいろいろ、人件費含めていろいろな努力がされるんだと存じますが、そういったものをされる結果、結果として財政状況としては、バランスとしては結構厳しいものだとは思いますけれども、繰越剰余金等々を用いることなく年度末においての結果というものは出していただけるものと、これまで以上、更なる努力を期待をいたしているところであります。
  32. 山崎力

    山崎力君 これは結果が後で、今日のあれじゃないんですけれども、決算数字で出てくるものですので、今幾ら、今の時点で大変だろうとか、うまく何とかやりますとか言っても、これは何年後かの決算審議で当然数字を基に議論する形になります。そのときに、今日の会議録の中身が、まあそのとおりだったなと言われるのか、それとも何て甘いあれでやっていたのかなと言われるか、どちらかになろうかと思いますので、その辺のところを踏まえて、これからの各役所も、それから当事者のNHKの方々、あるいは経営をしっかりやる経営委員会の方々も見据えて、国民のための放送というものをやっていただきたいと思います。  我々としても、そこはもう温かいというよりは、むしろしっかりとした目で見させていただくということを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。
  33. 椎名一保

    ○椎名一保君 お許しをいただきまして、山崎委員に引き続きまして質問をさせていただきます。  決算につきましてはただいま山崎委員の方から詳細について質問いたしました。私は、NHKの経営姿勢、経営理念につきまして少しお伺いをしたいと思います。  NHK番組のETV二〇〇一の政治家の圧力で改変されたと朝日新聞が報道した問題の真相をめぐりまして、たしか先月の三十日に朝日新聞社側が取材が不十分だったということを認めて、事実上NHKの主張に軍配が上がったと私は理解をしておりますけれども、そのことにつきまして御説明をいただきたいと思います。橋本会長
  34. 橋本元一

    参考人橋本元一君) お話ございましたように、先月九月三十日、朝日新聞社がコメントを出しました。この関連については取材が不十分で、またその詰めが甘かったという発言、コメントでございましたけれども、やはり報道機関としまして考えますと、実際にこの問題につきましては大変我々理解しにくい、納得し難いというふうなことで考えております。  同じ報道機関として、やはり朝日新聞の今後の紙面の表現、そういうものを含めてしっかりと見てまいりたいというふうに思っております。
  35. 椎名一保

    ○椎名一保君 このことについて少し御質問したいと思います。  朝日新聞は何とかこれで幕引きをしようと思っているんでしょうけれども、NHKはもとより、圧力を掛けたとされる我が党の、自民党の安倍幹事長代理、中川経産大臣、もう我が党におきましては大変嘱望される貴重なお二人でございまして、これは自由民主党、与党・自由民主党というよりも、私が思いますに、これは国家としてこれから大きな職責を担うべき人の名誉を傷付けられたという思いもしておるわけでございますけれども、朝日新聞は記事の訂正も謝罪もしないと言っているわけでございます。  そもそも、事実関係に十分な裏付けがないまま記事を紙面に載せるということは報道機関としてはあってはならないことだと思っております。にもかかわらず裏付けが取れないと認めたことは、自民党が、いろいろ関係者に取材を、追加取材を行っても裏付けが取れなかったということを認めておるわけでございますけれども、我々自民党が調査して主張しているように、これは事実のない捏造記事だったということを証明したようなものだと思います。  記事の謝罪も訂正もしないという朝日新聞の姿勢に対しまして、改めてNHKの見解をお伺いしたいと思います。
  36. 橋本元一

    参考人橋本元一君) やはり、取材が不十分で詰めが甘かったということであれば訂正していただきたいというふうに考えております。やはり、訂正しないという姿勢につきましては、我々納得できないものだというふうに考えております。  また一方、NHKの、政治的圧力で番組が改変されたという事実がないということにつきましては、一方で今、市民団体からNHKが訴えられています裁判もございます。こういう中で、しっかりとそういうことがなかったということを明らかに主張してまいりたいというふうに考えております。
  37. 椎名一保

    ○椎名一保君 朝日新聞社のことについて、NHKと直接かかわりのないことについて申し上げるのはどうかと思うんですけれども、我が党としても大変名誉を傷付けられておりますのであえて申し上げるんですけれども、事実のない、裏付けのない報道をするということは報道機関にとっては致命傷であります。しかも、朝日新聞ではこれにとどまりません。たしか、この衆議院選挙の前の八月、新党をめぐって長野県の田中知事と亀井静香衆議院議員が会談したという虚偽の記事を掲載したことも明らかになりました。社会の公器と言われる新聞でなぜこうした虚偽報道が相次ぐのか、こうした問題を繰り返さないためにも朝日新聞は真相を具体的に明らかにすべきだとこの件について思っておるわけでございます。  その意味で、自民党は真相究明や記事の訂正を厳しく求めていく方針ですが、NHKは今後、朝日新聞に対してどのようにこの追及をしていかれるのか、また再度お伺いしたいと思います。
  38. 橋本元一

    参考人橋本元一君) 基本的に同じ報道機関としまして、やはり朝日新聞の今後の報道姿勢とか、それから記事の表現などについて、厳しく注目してまいりたいというふうに思います。
  39. 椎名一保

    ○椎名一保君 とにかくこれはしっかりとやっていかなければならないことだと思うわけでございます。  それから、私が大変問題意識を持っているのは、このNHKでも、この番組の、この問題の背景には、その番組の提案、制作に携わった関係者の間で十分な意思疎通がなかったことが問題を大きくしたとお認めになっておられます。この問題、特に職員の一人が上司から聞いたという伝聞に基づいて政治的圧力があったと内部告発の記者会見をしたということが強く印象に残っております。国民も、大変このことについては国民に対して動揺を与えたんではないかと思いますけれども、それが殊更NHKの不信をあおったんだと思うわけでございます。  公共放送職員が事の真偽を十分確かめず、あるいは特定の意図を持って告発を行ったとすれば大変な問題だと思います。公共放送に携わる者としての自覚が全般に薄れているのではないかと思わざるを得ないんですが、会長はこの点についてどのようにお考えでしょうか。
  40. 橋本元一

    参考人橋本元一君) NHK職員に対します倫理の問題でございます。これは、役員共々、役職員、報道機関に勤める者の務めとして、この倫理観をしっかりと持つということについては、今後、研修あるいは日ごろの日常の心構えとしてしっかりと持つように指導してまいりたいと思います。  一方、この職員の内部通報等につきましては、先ほども申し上げましたように、市民団体からNHKが訴えられているこの問題にもつながるわけでございますが、基本的には、番組の企画段階、提案、そういう段階のこの番組の趣旨が制作に携わる関係者の間で十分徹底されていなかったということが大変反省点としてございます。  こういう点については、番組制作にかかわる段階、当初の企画、提案の段階からよく趣旨を徹底するということを指導してまいりたいと、今後とも気を付けたいというふうに考えております。
  41. 椎名一保

    ○椎名一保君 今お話ございましたとおり、やはり制作、立案、その決定のシステムですね、それについて、やはり公共放送としての意識、先ほどモラルハザードの話が山崎委員からも出されましたけれども、私は、賦課方式の年金制度、受信料制度で成り立つ民主主義国家が運営する公共放送、これはもう世界に秀でた、日本が世界に自慢できる民主主義の熟度によって成り立っている私は制度だと思うんです。まあ、一部そういった、こういうことを認められない、認めない方々に対していろいろ、年金でもそうです、この受信料についても民事的手続云々の話がありますけれども、基本的にはすばらしい制度だと思うんですよ。  ですから、まず、国民にこういう制度を持っているんだということを認識をしていただくためには、そういうその制作、立案の、何というんですかね、システムとかそういったことをきちっとするということが本当に命ではないかと思うんです。日本の民主主義の根幹にかかわってくることではないかと思うんです。ですから、今御答弁ありましたように、このことについてはしっかりと新たに、認識を新たにしてやっていただきたいと思う次第でございます。  それから、最近、NHKの肥大化ということに対する批判がいろいろあるように思われます。例えばチャンネル数なんですけれども、NHKは今、地上波二チャンネル、衛星二チャンネル、衛星ハイビジョンと計五チャンネルですか、ラジオ二局とFMも合わせますと民放各局全部に匹敵する巨大組織だと言われておりますけれども、しかし、幾ら災害対策や教育、報道など、存在意義を並べましても、少し大き過ぎやしないかという批判がありますけれども、このことについてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  42. 橋本元一

    参考人橋本元一君) 現在、これまで放送八十年の歴史の中で、音声波、テレビジョン波、まあ映像波でございます、こういうものが徐々に時代の変化とともに、あるいは社会構造の多様化という中でチャンネル数、NHKのチャンネル数も増加してまいりました。  そういう中で、それぞれのチャンネル、波と言っていますが、この機能、特質を組み合わせながら、NHKとしての伝えるべき情報、特に安心、安全という面でのNHKの役割を果たしてまいったわけであります。具体的に、こういうふうな数そのものは大変複合的な波の使い方をしておりますけれども、その中で、これまで果たした役目というものを今後どのようにこの新しい社会の中で考えるかということにつきましては今後とも考えてまいりたいというふうに思っております。
  43. 椎名一保

    ○椎名一保君 そうしますと、将来はチャンネルを少なくしたりというようなこともある程度想定されておられるんでしょうか。
  44. 橋本元一

    参考人橋本元一君) 現在、我々、この現在保有するチャンネルの中で役割を十分果たしてまいりたいと思いますが、新しいデジタル時代とかそういう中で、完全デジタル時代とかいう中でいろんなメディア状況が複合してまいります。そういう中で、NHK自身が果たしてきているこれまでの役割がどのようになるかということは今後検討してまいりたいということでございまして、直接、現段階でこの波が要らなくなるとかいうふうなところまで言及するものではございません。
  45. 椎名一保

    ○椎名一保君 新生プランの中で、二番のスリム化の話なんですけれども、NHKの関連団体がやはりたくさんございますね。つい最近、日本道路公団がファミリーの、まあちょっと表現は悪いんですけれども、解体というようなことがありましたけれども、やはりすべては視聴者のためという理念の下に、そのようなことについてもきちっとやはり、いつでもきちっとガラス張りで説明できるような体制を取っておかなきゃいけないわけでございますけれども、若干このことにつきましてもいろいろ御批判があるように聞いておりますけれども、このことについて会長のお考えをお聞きしたいと思います。
  46. 橋本元一

    参考人橋本元一君) 関連団体につきまして、これまでNHKのパートナーとしまして、それぞれ直接放送番組をつくるところから、その放送として出した成果を視聴者・国民の方々に還元する組織として役に立ってきていると思いますが、それぞれの時代に合った組織、業務の在り方をそれぞれ点検してまいりまして、これまであった関連団体というものを時代に即して統廃合等も加えてきているところでございます。こういうものにつきましても、今後の新しいメディア状況、社会状況に合った形で今後も検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
  47. 椎名一保

    ○椎名一保君 新生プランでスリム化を推進しますと明確に国民に対して、視聴者に対して申しておるわけでございますので、いつ何どきでもこのことについてきちっとこたえられるような体制にしていただきたいと思う次第でございます。  最後に麻生大臣に、総務大臣にお伺いいたします。  これ、読売新聞の十月十九日、読売、「ドキュメント」というやつなんですけれども、楽天、TBSと、国民の今いろいろ危惧されている、国民の目線に立ってお伺いしたいんですけれども、ちょっと読ませていただきます。  これは、全国銀行協会会長会見で、前田晃伸みずほフィナンシャルグループ社長は、楽天がTBS株の購入資金を銀行融資で賄ったことに対してのコメントなんですけれども、銀行融資が良いか悪いかではなく、結果がどうなるかを見て判断されるのが良いのではないかというコメントをされております。大きな見出しで、「メガバンク 金も人も」ということなんですけれども、随分銀行も強く出たものだなと。わずか十五年前にバブルが破綻しまして、いまだにその後遺症で一般国民や大勢の方が苦しんでおるわけでございますけれども、これはマネーゲームをあおっているという批判に対しての答弁なんですけれども、私も少し意外に思っております。  先ほど受信料によって成立している公共放送の意義というものを自分なりの考えを申し述べたわけでございますけれども、民間、今大きく官から民へという流れがありますね。これは、年金もその風にさらされております。このことも、NHKのこともどうもその根底にやはりそういう流れがあるように、国民の思いがあるように思われるんです。  しかし、先ほどから申し上げているように、やはり官でやらなければならないものもあるということも示していかなければいけないと思うんですけれども。民間会社は、申し上げるまでもなく、これは株主の利益を優先、大臣は会社も経営されておりますので、株主の利益をこれ優先することが第一ですね。しかし、株主は、申し上げるまでもなく、一つの会社の、企業の株主だけではなくて多くの会社の株主も兼任されておられる。その会社と違った会社の株を保有している会社の利益が相反するということもあるわけでございまして、やはり株主は、これは組織として大株主が間接的にその人事権に影響力を持たないかといったら、これはうそでございます。ですから、完全に公正公平なやはり報道機関、放送というのは、やはりNHKのような受信料に基づいて運営される放送、報道機関が私はこれはあってしかるべきではないかと思うんですね。  そういう一連の官から民へという流れの中で、やはりNHK、民主主義社会が運営する公共放送の意義ということにつきまして、私は大きな意義があると思っておるんですけれども、そのことについて大臣のお考えをお伺いできたらと思います。
  48. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 日本の放送の場合は、いわゆるNHKという公共性に立ったものと、今言われましたように民間放送という、広告料等々での成り立つ民間放送と二元体制というようなものでずっと長いことやってきたんだと思っておりますけれども、結構お互いに競争したり切磋琢磨したり、いろいろしてここまで発展してきたんだと、私はそう思っております。  いわゆる両方とも、民間であろうと公共放送というかNHKであろうと、両方ともに対して、少なくとも、災害の発生時等々の話の公共性を含めまして、いろいろ高い公共性は民間でも求められているのは確かです。しかし、少なくともNHKに対しましては、公共放送として、郵便同様全国あまねく放送がという話とか、それから豊かで質の良い放送を流すようにとか、また放送技術の研究開発等々はこれは間違いなくNHKが一番優れていることも確かだと思いますし、また海外へ向けての情報発信などというものはこれは社会的使命として求められているんだと思っております。  先ほどチャンネル数の話もありましたけれども、私どもから見ますと、六千数百億円という、会社用語では売上高という内容の中にあって、それだけ多くのチャンネルを経営しているというのは、多分人件費は他の民間に比べて安いんじゃないかなという想像だけは付きますね、逆算してみれば数字、おのずと数字が出ますから。そういったことを考えて、私どもから見ていますと、いろいろ御批判のあるところでありましょうし、こういった公共放送を携わる以上、民間からの批判、他からの批判はこれは常にさらされるのはやむを得ないところ、当然のところだと思います。  しかし、それにそれなりに結構こたえてこれまでやってきているというのがNHKのこれまでのところだと、私はそういう具合に理解をしておりますので、こういう公共放送と民間という両方がうまい形で併存しているということに関しては、椎名先生御指摘のとおり、他の先進国の中にあっても日本は結構うまくやってきているのではないか、私自身はそのように考えております。
  49. 椎名一保

    ○椎名一保君 これで終わります。  ありがとうございました。
  50. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 民主党・新緑風会の高橋千秋でございます。よろしくお願いいたします。  今年の三月三十一日だったと思うんですが、NHK予算審議のときにも私、立たせていただきました。そのときに四十五分ほど質問をさせていただいて、少しきつかったかなというふうな反省もあったんですが、やはりNHKに対する信頼、信用を回復するためには今いろんなことを早急にやらなきゃいけないという思いで、そのときに質問に立たせていただきました。  翌日、私の地元の三重県へ帰りましたら、津のNHKのデジタル放送局の開局式がございまして、私参加をさせていただいて、NHK職員の方にずるりと囲まれまして少し居心地が悪かったんですが、そのときに皆から聞いたのは、NHKが民放と違うのはどこなのかということであります。それはやはり信頼と信用だと思うんですね。  先日、郵政民営化の質疑の中で私も立たせていただいて、NHKで生放送で放映をしていただいて、地元に帰って、あれだけ多くの方がNHKを見ているのかというのでびっくりするぐらいいろんな方から反応がありました。これはやはり、地方においてもNHKというものをやっぱり見ているし、信用、信頼があるんだろうと思います。ただ、残念なことに昨年、その予算質疑の中でもいろいろ出ましたが、そういう信頼、信用を失墜するような事件が続いて、その上、その事件が続いたことをスピード感なく解決できなかったというところにこれだけの支払拒否が、まあ下げ止まったとは言いながらもやはり出たんだろうと思います。やはり、この信頼、信用、一度失った信頼、信用を回復するためには、やはり並大抵の努力ではそう簡単に戻らない。そのために今回、NHK新生プランというのを出されたわけで、これには多くの方が期待をしていると思います。  ただ、私も、この新生プラン、まだ概略のようなものでありますので、年明けてからビジョンを出されるということでございますけれども、やはりこういう時期にこそもう少し具体的な中身で、ああ変わったなというようなものを出すべきではないかなと、非常に大きなチャンスではないかなというふうに思うんでありますけれども、そういう基本的なところをまず会長にお伺いをしたいと思うんですが、いかがでございましょうか。
  51. 橋本元一

    参考人橋本元一君) 大変NHKに寄せられる御期待が高いということについて、我々それを誇りに、しかし一方、不祥事等発生した現在、これまでの点につきましては大変反省し、またそれに基づいて改革をしなきゃいけないということは重々重たく受け止めております。早期にその信頼を回復したいというふうなことを、気持ちは我々も持っております。  私たちNHKの言わば企業でいえば商品といいますのは、番組放送を届けるということでございます。そういう中で、このNHK信頼ということでいえば、これまでもそうでありますが、いかに視聴者の方々から信頼される番組を、豊かで頼りになる番組、広範ではありますが、そういうふうなものをお届けするということが基本的な使命であり、その中で我々信頼を改めてかち取っていく、つくり上げていくものではなかろうかと思っております。  番組面でいろいろ、いろんな御意見ございますが、総じて、このNHKの商品とでも言うべき番組につきましては、総じて大変評価を高くいただいているところでございます。そういう中で、やはり我々の改革というのは、不断の努力としまして、視聴者の方々に対する奉仕の精神、それから受信料を大切にするという公金意識、こういうところで、節約の意識でありますけれども、職員一人一人、役職員一人一人の意識改革がまずベースにあろうというふうに考えております。そういう中で、そこに基づいて、徹底して原点に戻ったところから現在改革していかなければならないというふうに痛感してこのプランというものも、方針でありますが、考えております。  ここの基本に立って、あと、当然ながら信頼回復をし、財政回復をする中で、新しい時代に向けての脱皮ということを目指す方針をこのプランの中で掲げたということで、具体的にはまたビジョンという三か年計画の中で肉付けしてまいりますけれども、基本的な考え方は、このなかなか分かりにくい意識改革職員一人一人のベースになる、そこの精神的な面から築き上げたいという思いが込められております。
  52. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 思いは分かるんです。ただ、やっぱり変わったぞというのを見せないといけない。その意味で、この出された新生プランですけれども、我々からすると結構当たり前のことが並べられていて新味に欠けるんですね。これでどこがNHK変わったんだろうと思うような内容がずっと続けてございます。  この新生プランについて少し聞かさせていただきたいと思うんですけれども、NHKだからできる放送を追求しますとまず書いてあります。これは当たり前のことで、先ほど私が申しました民放との違いという部分では多くの方が評価をされております。しかし、先ほど質の高い評価を受けているということでありましたけれども、千二百人のリストラをされるという計画を出されております。当然、効率化、スリム化というのは当たり前のことでありますから、それに対しては評価をしたいと思うんですが、一方で、それだけの三年間で千二百人をスリム化するということでありますから、その質の高い番組をどうやって維持していかれるのか、そういう具体的な案というのはあるんでしょうか。
  53. 原田豊彦

    参考人(原田豊彦君) お答えいたします。  今委員の御指摘のように、NHK新生プランNHKだからできる放送を充実しますということを私ども視聴者の皆さんに表明をしております。このことは、NHKが評価をしていただいている部分、いいところをまず伸ばしていきたいと、より更に充実をさせたいという考え方でございます。  例えば、この夏も、災害報道ということで申し上げますと、大きな地震あるいは台風の被害、相次ぎました。それから、衆議院の総選挙選挙もございましたけれども、開票速報におきましても、NHKは正確な情報ということで多くの方に見ていただいております。これからも、こういう視聴者の皆さんの期待にきっちりこたえていくということをやってまいりたいというふうに考えております。  NHKだからできる放送ということで申し上げますと、この夏、NHKでは様々な波で、特に総合テレビでは、今年戦後六十年という大きな節目の年でございまして、NHKスペシャルを中心に九夜連続で戦争と平和を考える特集というものを幅広く放送をいたしました。これの、この特集につきましては、本当にたくさんの視聴者の方からNHKならではの放送だという高い評価をいただきまして、大変有り難く思っております。  今、千二百人、一方で効率化、スリム化をしていくということを私ども申し上げております。これを達成しながら質の高い放送を維持していく、より充実させていくということが私どもの使命であるということで、様々な構造改革、コスト意識を持つということも含めまして、十分そのことにこたえていけるよう、頑張りたいというふうに思います。
  54. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 少し、何か選手宣誓のようで、何か具体性に欠けるんですよね。頑張りますと言うだけでは、三月の末の予算委員会のときの答弁とほぼ一緒なんですよ。何が変わったのか、何が具体的にこの半年間論議してきたのかというのが、さっきの御答弁でも、いい番組つくります、それは当たり前の話で、その千二百人減らしてもいい番組つくりますって、それはそうですよ。だけれども、それをどうやってやるんですかということを質問させていただいているんです。そのことに対してどうですか。
  55. 原田豊彦

    参考人(原田豊彦君) 視聴者を大切にする、視聴者の声を大切にしながら番組をつくっていく、これが、受信料で成り立っている公共放送としてこのことも大変大切なことであろうということで、番組をつくる上で視聴者の皆さんとともに一緒につくっていくという側面でも私どもは是非力を入れてまいりたいというふうに思います。  それから、今御質問のことで申し上げますと、NHK放送、実際の番組の上でNHKが変わったということを視聴者の皆さんに知っていただくことはこれは本当に大事なことであるというふうに考えておりますので、番組編成の面でも来年春に向けてこれは大きく刷新、改定をしていこうというふうに思っておりまして、この十月、私どもでいいますと後期の番組編成になっておりますけれども、その中で、今回は第一ステップといたしまして、平日の午前、午後を中心に番組を刷新いたしました。例えば、昼のニュースの後の時間で申し上げますと、NHKのネットワークを生かしまして各地域からの中継で、それぞれ生き生きとした地域の表情をお伝えするというふうな番組も始めました。  こういうことをこの後、年明け、来年一月にも第二ステップとして、総合夜間の番組、新しいドラマであるとか新しいニュース情報番組であるとかいうものもスタートさせたいということで、来年四月に向けて編成面でも大きく変えていこうということを今、準備をしております。
  56. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 ちょっとかみ合っていないんですが。  千二百人の人員を削減するというのは、これ、大変大きな人員ですね。そのやり方は多分、退職者が出てくる中で補充を減らしていくということだろうと思うんですね。そうすると、若い世代の職員が減ってまいります。放送というのは最先端の情報を得なきゃいけないわけで、若い人の能力というのは大変重要になってくるわけで、そうなれば当然、質の高い番組を保持するというのはなかなか難しくなってくるんだろうと。  具体的に、それじゃ減っていくから、それをどうやって補っていくのかということを私は質問をさせていただいているわけで、もうこのことに時間割いていても時間がなくなってしまいますから答えは要りませんが、どうもさっきの話じゃないですが、選手宣誓で宣言をしているだけでして、すごく観念的な話ばっかり多いんですよ。もっとやっぱり具体的な、こういうふうにやっていきますという具体的なもの、具体的な数字、そういうものをやっぱり示すべきなんじゃないでしょうか。今言われたお話、視聴者の声を大切にするとかそういうのは当たり前の話で、それでそれじゃ番組、どうやって質を高めていくのかとか、そういう具体的な話がないんですよね。だから、やはりそういう部分を具体的に提示を私はしていただきたいというふうに思います。  経営委員長、来ていただいております。忙しいところ、どうもありがとうございます。  経営委員会としても、この今回の件に関して経費削減、聖域なき経費削減をやるという、委員長はおっしゃられますけれども、今のいろいろほかの方の答弁も聞かれていて、私たちは少し、一般の方とNHKの間に少しギャップがあるんじゃないかなというふうに思うんです。委員長は民間の会社のトップでおられますから、普通の民間会社の立場とNHKというやはり違いを感じられることが多分あるんだろうと思うんですね。  その意味で、委員長、今回のこの新生プランに対して、当然、委員会の中でまとめられたものだと思いますけれども、どういう御見解をお持ちか、委員長の御答弁をいただきたいと思います。
  57. 石原邦夫

    参考人(石原邦夫君) この新生プランにつきましては、NHKの執行部の方で作成いたしまして、私ども経営委員会といたしましても四回、五回ですか、数多くの論議を重ねてまいりました。そういう中で、NHKとして何を訴え、そして何をやろうとしているのか、これがこの新生プランの中で、今先生おっしゃいましたけれども、具体的にそれが示されるように、まず何よりもNHKとしては、自らのよって立つべき公共放送としての役割、これを鮮明に宣言すべきではないかと、こういう観点でまず第一段が成っているわけでございます。  それにもかかわらず、現実に国民、視聴者皆様方からいろいろな形での疑念を招く、こういった事態になったことは事実でございますので、それに向けた対応について具体的な策をいかに講じていくか、これも宣言しているつもりでございます。  一方、先ほど来会長からもお話ございましたように、何よりもNHKにとっては番組が豊かで良質な番組であること、しかも、それが視聴率のみを目的とするのではなくて、視聴者皆様方から本当の意味で評価いただくような番組づくりということを一番のポイントといたしまして、それがNHKだからできる放送を目指しますということにつながったというふうに考えております。  その他、コスト削減、あるいはいろいろなことが盛り込まれているわけでございますが、先ほど来御説明申し上げておりますように、この具体的な、更に具体的な案、そしてそれを三か年にいたしまして、この三か年間の具体的なスケジュール、いつまでに何をやる、そしてそれをどういう形で視聴者の方から評価していただき、信頼の回復につながり、受信料の回復につながる、そういうロードマップを正にこの新しい経営ビジョンとして打ち出すべく今現在検討が進められていると、こういう段階にございます。  したがいまして、そういう中で、先生からいろいろお話ございましたけれども、もう既に番組編成等でいろいろな形での具体的な形が現れておりますけれども、それを更に実効性あるものにすべく私どもといたしましても十分に見ていきたいと、こういうふうに思っておる次第でございます。
  58. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 今回の新生プランでやっぱりメーンの部分は、受信料の話だろうと思います。  この九月末で二百三十四億円でしたですかね、の減収になると。大変大きな額であります。三月末で約五百億ぐらいの減収になるんではないかという見込みだと。  今日は平成十三年、十四年、十五年の決算ということでありますけれども、過去その三年の決算は百億ぐらいの収支差益が出ているということでありますけれども、平均的に大体百億超えるぐらいの額が出ています。ここで一気に五百億の減収になるということで、これはNHKにとっても、最初のお言葉にもありましたけれども、大変厳しい事態に遭遇をしているんだろうと思うんですね。これをやはり受信料をどうやって、現状の法律の中で受信料でやっているわけでありますから、受信料をどうやって回復させていくのかというのは一番喫緊の課題だと思うんですが、それの一番特効薬は、やっぱりこの新生プランで変わったというところを見せるということが一番の特効薬だろうと思うんですが。  残念ながら、会長が記者会見をされた中で、これは報道側にも問題があると思うんですが、そういう新生プラン中身というよりも、どっちかというと支払督促の話が前面に出てしまって、むしろこの減収になった原因はそもそもNHKにあるのに、何で支払督促をして、それも民事訴訟までして簡易裁判所の手続を経て、まあ日本人の感覚からいうと、もし簡易裁判所から支払督促が来たら何か犯罪人になったような多分気分になるだろうと。そういうことが前面に、各新聞の報道に、新聞社の意図もあったのかも分かりませんが、それが前面に出てしまってむしろ反発が強くなってしまったんではないかなという心配をしております。  先ほど、会長の御発言の中に、新生プランを出したから支払拒否が下げ止まってきたのではないかというお話がございました。確かに、当初の見込み百三十万件よりも四万件ほど少ない支払拒否で終わっております。これは、新生プランを出したからではなくて、もうはっきり言って、NHKのことを忘れてしまっていたから、支払拒否をするというエネルギーもなくなってしまっていたんではないかと。だからこそ、支払拒否の件数の伸びが減ったんではないかなと思うんですね。  そこで、こういう支払督促の話でまたがんと出ちゃうと余計支払拒否が増えてしまうんではないかなという心配を私はしておりますけれども、これに対する弁明というか、そうではないんだということがあれば、会長の方からお伺いをしたいと思います。
  59. 小林良介

    参考人小林良介君) 支払督促につきましては、今御指摘いただきましたように、マスコミ等を含めまして、まずそのことがいろいろ伝えられているということでございますけれども、新生プランを発表した以降、しかも、かつ、支払督促につきましては、当初は極めて直截的に、かつ乱暴にするんではないかという話もございましたけれども、極めてこれは丁寧にさせていただくと。元々法的根拠を有するものでございますけれども、これを安易に、それをダイレクトに使うということでは決してございませんで、これまで同様に、受信料制度を御理解いただけるように、従来もやっておりますけれども、訪問でありますとかあるいはお手紙、お電話等を通じまして何度も何度も御説明いたしまして誠心誠意支払をお願いしていくということで、あくまでもその上での最後の最後の手段であるということでやっていこうということで、その点は今後も視聴者皆様方に御理解を得ていきたいなと。  先ほど、委員から、信頼と信用が何よりも大事であると御指摘いただきました。全くそのとおりでありまして、その前提に立って取り組んでいこうというふうに思っております。
  60. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 未契約も含めて千三百万件の方が本来払わなきゃいけないものを払っていないということで、この支払督促というのは契約をされている方に督促をするわけですから、私は、むしろ契約を取りあえずしてくれているというのはまだいい方だと思うんですね。未契約の方が多いわけでありますから。未契約が九百五十万件もある。取りあえず契約をしたけれども、諸事情、若しくは今回の不祥事を受けて支払拒否をするという意思表示をその方々はされている。一方で、例えば転居によって口座が分からなくなったりとか、いろんなことで支払っていないという方々も百万件以上おみえになるということでありますけれども、実際にその数百万件という方々の支払督促、これは最後の最後という会長の御発言もあったようでありますけれども、実際にできるんでしょうか。  簡易裁判所というのは、年間約五十万件ほどの処理をされておられる。そのうちの九割がサラ金の取立て。これが多分、かなりたまっている分の支払督促を先にするということになってくると思うんですけれども、これ単純に考えたら、年間の簡易裁判所の件数のはるか多くの件数を処理をしなければならない。これも一件五百円とか千円とか、金額によって決まっていますけれども、経費が掛かる。それだけの経費を掛けて支払督促をして、どれだけ返ってくるのか分かりませんけれども、それだけのことをやる価値があるのかということと、実際にできるのかということはいかがなんでしょうか。
  61. 小林良介

    参考人小林良介君) 今御指摘いただいた点につきましてですけれども、実際にまず全数に対してそういう支払督促が法的手段としてできるかということでございますけれども、先ほど来申し上げましたように、あくまでも、まずは粘り強い視聴者の御理解を得る活動をまずやると、それが何よりも大事であると。その上での最後の最後の手段というふうに申し上げておりますけれども、現時点で支払対象の方々に対しまして一気に裁判所への申立てを行うというわけではございません。あくまでも、そうした努力を重ねながら、もろもろの準備を整えながら順次督促の申立てを行っていくということになりますけれども、具体的な方法等につきましては今後慎重に検討してまいりたいというふうに考えております。  それから未契約者の話もございましたですけれども、未契約者につきましても、契約ということは放送法三十二条の規定で義務としてございます。それに関しましては当然ながら支払督促ということじゃございませんけれども、契約のことに関しまして、場合によっては民事的な手段も講じなきゃいけないということを検討しているところでございます。
  62. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 私、昨日の朝のある勉強会で講師の方から聞いた言葉で、ちょっと正確ではないんですが、人は貧しきを憂えず公平ならざるを憂うという言葉があったんですね。正にこれ、今回のこの受信料の問題はこのことじゃないかなと思うんです。  私は、NHK受信料を引き落としで払っておりますけれども、それに見合う以上の番組を見させていただいておりますし、情報も得させていただいております。これに対して私は、決して高いとは私は思いません。しかし、多くの方から不平不満が出ているのは、さっきの話で、未契約の方が九百五十万件いる、一方で契約をされている方々も三百万件ぐらいの方がお金が取れていない。契約をされている方に支払督促が来るということになると、それじゃ契約しない方が楽じゃないか、正直者がばかを見るんじゃないかと、そういうイメージがやっぱり国民の中にあって、支払拒否が増えたのは、いろいろ地域の話の中で、あなたのところ払っているのかと。いやいや、払っていないよ、何で払うんだというような方々がいたりして、いや、それじゃ払わなくても済むのかというような、そういうことで、それまで知らなくて、払うのは当たり前だと思っていた方が支払わなくても済んでしまうというようなイメージがあって支払拒否が随分増えたと思うんですね。  だから、ここが一番の問題だろうと。だから、そこを解決しない限りこの支払の問題は永遠に多分続いていかれると思いますし、NHKが幾ら全社員努力して回ろうが、これだけの件数を全部カバーするというのははっきり言って物理的にも無理だろうと思うんですね。  先ほど放送法の話がございました、三十二条の話。これ自体ももう見直さなければいけない時期に来ているのかなというふうに思います。それから、経営委員会委員長もお見えでございますけれども、この経営委員会の在り方、それからこの国会でこういう予算決算審議するという在り方そのものもやっぱり見直さなければいけない時期に来ているんではないかなと。  特に、今日、平成十三年、十四年、十五年の決算をやるということで、朝ここへ着いてびっくりしたんですけれども、これがどさっとこの机の上に決算書が置いてあるんですよ。三年分ですよね。三年間決算審議をしなかったというのは我々国会にも責任があります。しかし、三年間決算しなくても済んでいたという制度自体が私はもうそろそろ見直さなければいけないだろうと。本来会社であれば、決算をした上で反省をした上で予算を作る、そういうことではないかなと思うんですね。  だから、この放送法の見直しということもやっぱり考えていかなければいけないと思うんですが、最後に総務大臣にお伺いをして、質問を終わりたいと思います。
  63. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 決算の話は誠に御指摘のとおりだろうと思いますし、国家予算の方もおかげさまで参議院の努力で、やっと昔の決算ではなくて前年度というところまで来るようになったというので、それなりの形としては良くなってきているんだと思いますし、NHKも同様に三年もためずにというのは正しいと私どもも思っております。  それから受信料の話ですけれども、海外では受信料を払わなければ罰則という、を科している国が存在していることは知っております。ただ、基本的に日本の場合はその点は、いわゆる受信料は善意に基づいてという誠に麗しきルールによってこれまで賄われてきたというのは事実だと思います。また、徴収する側も払ってもらえるような努力をするんであって、いい加減な番組をつくって、規則できちんと払えと、払わなきゃ罰則だぞという態度ではなかなかいけなかったというのも私はそれなりの効果があったと、双方にあったんだと思いますが、今言われるように、今回の問題で最大の問題は、払わなくても罰せられないということが津々浦々まで響き渡って、何であたしゃそんなの払わないかぬのかという気持ちになったであろうという高橋先生の御指摘も正しいと存じます。  ただ、今やり方は、今技術が進歩しましたんで、それはスクランブル掛けるとかいろんなやり方はできないわけではありません。しかし、スクランブルを今掛ける技術ができたとはいえ、それをやっているという国はまだ今のところ存在はいたしておりません。  今回、まずは今回の新生プランに基づいていろいろ、まあ不公平だな、不公平の解消というものにいろいろ努力をしていかれることになるんだと思いますんで、それをまず見守った上で、それでもなおかつということになったときには別の方法というのは考えねばならぬということなんだと思いますけれども、まずは今、この新しい新生プランということで、その結果を見守った上で改めて考えねばならぬときもあり得るかなと、今、全体を討議、討論を聞いていて、そのようには感じております。
  64. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 終わります。
  65. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 民主党の藤本でございます。  麻生大臣におかれましては先週、郵政の特別委員会でも質問させていただいて、今週になりまして火曜日も質問させていただきまして、もうそろそろうんざりかなというふうに思われているかもしれませんが、それはもう少しでございますので是非とも御辛抱いただきたいと思いますが、まあそれはお互いさまということで、よろしくお願いしたいと思います。  橋本会長におかれましては浜松の御出身だというふうに伺っておりますが、私も静岡県でございます。今は裾野というところに住所がありますけれども、浜松生まれでございますので、同郷のよしみでと言いたいところでございますけれども、今日はきちっと質問をさせていただきたいと思います。  まず、決算に関連しては、決算を受けて予算ができるというのを、先ほど御指摘あったとおりなんですが、十三年度から十五年度を今日やって、もう十七年度予算はこの通常国会では終わっているという、順序が逆になっているということは、かついろいろ指摘があるところだと思いますが、予算を出すときに、予算を出したその中身についてといいますか、収支予算事業計画及び資金計画が示されたとき、総務大臣がそれに対して意見を付けるという状態を今、国会では、政府の方ではあると思いますが、平成十五年度というのは配慮すべきこととして六項目の意見がございました。十六年度は七項目、そして十七年度は八項目と、一個ずつ増えているんですけれども。  まず、十六年度と十七年度が十五年度と何が違ったかということなんですが、要するに平成十五年度決算を受けて十六年度予算を見て総務大臣が意見を出されたというふうに解釈をできるかと思いますが、まず受信料の契約のことについて追加された事項として、「未契約世帯等の解消が十分に期待されると認められない場合には、所要の検討を行うものとする。」という項目が追加されています。そして、さらに、十七年度の八項目めとしては、日本放送協会はもとより協会の子会社等の経営や業務について情報公開を一層積極的に進めるとともに、業務委託及び調達について、契約・経理処理手続の適正化と審査管理体制強化及び競争契約の原則等の徹底を図り、一層透明性の高い事業運営を推進することという点が追加されています。  まず、一点目の未契約世帯の解消が十分に期待されると認められない場合に所要の検討を行うということについてなんですが、具体的に橋本会長にお聞きしますが、平成十五年度から十六年度、十七年度、このトータルで結構です、中身、細かいことは結構ですので、トータルで、「未契約世帯等」、「等」が入っていますが、「等」は解消されたんでしょうか。イエスかノーかでお答えいただけますか。
  66. 橋本元一

    参考人橋本元一君) 結果的にこれは努力をしております。実際には、この未契約というのは固定的なものばかりではなくて、何といいますか、新たに契約が確保されたものと、それから未契約が新たに発生したもの、これが毎年、例えば世帯移動とか、引っ越しですね、そういうふうなものとか、いろんな社会動態の変化によってプラス分とマイナス分があるというふうなことがございまして、我々一生懸命、これまで未契約だったものを新たに契約化するという努力を大変加えてまいりましたけれども、結果的に、プラスマイナスでいえば、残念ながらプラス方向だけが顕著に確保されたということは言えない状況にございます。
  67. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 要するに、解消されていないということだと思いますが、解消されない場合は所要の検討を行うという、麻生大臣、二か年続けてそれを出されていますが、総務省としてその所要の検討というのはどういうことだったんでしょうか、麻生大臣にお聞きしたいと思います。
  68. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 平成十六年度、十七年度NHK予算にあっては、御存じのように、景気の低迷とか、一番問題になったのは、独身世帯等々が増えて面接、面接極めて困難というのがえらく増加した、まあ景気の低迷もあったんだと思いますけれども、受信料の伸び率、毎年減少という状態が二年続いたと。十七年目はマイナスということになっておりますんで、そういう状況にあっては、これは公平負担というのが元々の話ですから、そういった意味では、これは改善するというより、抜本的な見直し必要ありということで、十七年度につきましては総務大臣としてのいわゆる意見を付したんだと記憶いたしますけれども。  今その中で挙げておりますように、今後とも、認められない場合は所要の検討をするということをいたしておりますんで、私どもとしては、今回新生プランに基づくNHKの取組、改革というものにどのような成果が出てくるかと、どのような成果が挙げられるかというところが一番の問題でして、その成果が十七年度でどのような形で出てくるかを見た上で検討せねばならぬと思っております。
  69. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 そうすると、また次のときに同じようなことが出てくる可能性は、意見が出るということもあり得るということだというふうに思いますが、やはり受信料ということがこのNHKの経営に非常に大きくかかわってくる、それだからこそ、未契約世帯等の解消というのが意見として出されたんだろうと思いますが。  放送というのは大きく、非常に大ざっぱに分けると、国営放送公共放送と商業放送というのに分類されるんだろうと思います。御承知のとおり、NHKは商業放送ではないということは明らかですが、じゃ、国営放送なのかというと、これも恐らくノーという回答になるんだろうと思います。国家予算とか国庫からの補助金、助成金によって、財源で賄っていると、ほとんど国家から出てきているわけではないということになれば、それは国営放送ではないんだろうということだと思います。  この新生プランの中にも、二ページ目になりますが、公共放送の使命として、広告収入でもなく、税金でもなくという、受信料によってということが書かれているところからも明らかでありますので、この受信料というのはいわゆる税金とは趣旨が全く異なるものだということなんだろうと思います。  そういうことを考えれば、ある意味では、視聴者の方々あるいは受信料を払ってくださっている方々というのは、NHKにとっては株主みたいな存在であるんだろうと、だからこそ視聴者第一主義というような方針を打ち出されているというふうに思うんですが、そのような考え方、理解でよろしいんでしょうか、橋本会長、お願いします。
  70. 橋本元一

    参考人橋本元一君) 藤本委員、大変具体的なところを突かれられたんですが、視聴者の方々というのはNHKをどうもまだ国営放送だと思っている方がかなりいらっしゃるという事態の中で、やはり我々改めて公共放送だということをアピールしたかったということでございます。一言で言って、国営放送というのは、やはり国の税金、補助金によって成り立つ役目を持っていますし、それから、NHK公共放送については、その独立性をキープするために、受信料という視聴者皆様方から直接、個人個人からいただく放送機関として成り立っている、ここが国営放送公共放送機関の違いでございます。
  71. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 今、橋本会長がおっしゃったところで、やはりまだ国営放送だと思っている方が大変いる、大勢いるということなんだろうと思いますが、NHKというのは、よく引き合いに出されるのはイギリスのBBC、イギリス放送協会と訳せばいいんでしょうか、と非常に類似しているんですが、御承知のとおり、BBCの場合はその受信料はいわゆるライセンスフィーであって、いわゆる許可料ということで支払義務が生じているから罰則規定があると。ただ、NHKの場合は、その支払義務ということよりは契約義務制ということで罰則規定がないと。ただ、契約自由の原則との兼ね合いはどうなのかなというところは問題点としてあるんだろうと思いますが、今、橋本会長がおっしゃったとおり、NHK世論調査所が、当時ですね、一九九八年のデータがあります。  ちょっと古いんですが、恐らく余り変わっていないんだろうなと思いますので御紹介すると、三千六百人の聞き取り調査でNHKは国営の機関かどうかということを聞いたところ、全体の二九%が国営の機関だと、二二・九%が半官半民だと。つまり、何らかの形で官の経営が入っているというのがもう半分を超えていたんですね。財源を見るとほとんど、要するに必要な経費ですね、NHKの必要経費としてはほとんど国が賄っているというのは五%なんですが、半分ぐらいは国が負担しているんじゃないかというのが一四・三%、受信料で足りない分は国が負担しているというのが二五・一%で、何らかの形で財源を国に依存しているというふうに考えている方がもう半数近くいるということを考えると、国民の皆様の半数程度がNHKは国営放送だと、何らかの形で財源を国からもらっているんだというふうに考えて、あるいは税金に負っているんだというふうに考えている方が多いということ。これをやはりもっとアピール、こうではないんだよと、皆さんのNHKだと言うんであれば、そこのところをきちっと理解をしていただかないといけないのかなというふうに思っております。  ちょっと今日は時間が限られていますのでテンポよく行かせていただきますが、ちょっと次の質問に行きますが、先ほど来から、NHKの昨年からの不祥事の問題があったり、あるいは番組への政府の介入疑惑ですね、介入の疑いがあるということを言われたりということで、受信料不払の責任を取る形で海老沢前会長会長を退任なさったということですが、そのとき、一月だったと思います。海老沢前会長ほか副会長、専務理事の三名を顧問にして退職金を払おうとしたことがあって、結局それは、退職金を払わないよと、顧問にならないよということで決着が付いたんだろうと思うんですが、現在その三名の方はNHKの仕事をされているのかということが一点と、その退職金はどうなったんでしょうか。払っていない、あるいはどういう処理をされたのか、ちょっとお聞きしたいと思います。
  72. 橋本元一

    参考人橋本元一君) この三人の方々については、現在NHKと関係ないといいますか、NHKの役職にも就いていませんし、関連団体の役職等にも就いていません。無関係な状態になっているということがまず第一点。それから、退職金については全く支払われてございません、おりません。以上です。
  73. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 支払われていないというのは一時凍結をしたということなんでしょうか、それとももう支払わないということを決定されたんでしょうか。
  74. 橋本元一

    参考人橋本元一君) 現在、退職金につきましては全く支払える状況にないということで、言い換えれば凍結という言葉を使っております。これについては、どういう段階で凍結というのが解けるのかどうかというふうなところは言える状況にはないというふうに考えております。私は、やはり凍結は、凍結状態だということで考えております。
  75. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 払える状況にないということで、一時的には凍結されたということなんですが、払える状況にあるようになる、つまり受信料収入を予定どおり得ることができるようになれば払える状況になるので、その際は払いますよという解釈でよろしいんでしょうか。
  76. 橋本元一

    参考人橋本元一君) そういうことも含めて、まだいまだ考える状況にはないというふうに考えております。
  77. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 これは、じゃ、その時点で払うか払わないかを決めるのは、どなたが決めるんでしょうか。それはNHKの役員会あるいは会長がお決めになるのか、経営委員会の方の判断をゆだねるのかどうかということですけれども、それについて聞きたい。だれが決めるかということです。
  78. 橋本元一

    参考人橋本元一君) これは具体的な、手続的に申し上げれば、NHK執行部、私の方から経営委員会にそのような伺いを出しまして、それについて経営委員会が議決を行うということが放送法の中で定められてございます。
  79. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 それに対して石原経営委員長にお聞きしたいんですけれども、その件について経営委員会としてはどういう方向で考えていらっしゃるんでしょうか。
  80. 石原邦夫

    参考人(石原邦夫君) ただいまお話ございましたように、執行部からの提案を受け経営委員会が議決するという定めになっておりますが、現在執行部として、先ほどお話ございましたように、現在の厳しい環境の中でこの退職金について払える状況にない、あるいは払える、払えないという判断をすべき段階ではない。こういう判断につきましては、経営委員会としても同じような考えを目下のところ持っている次第でございます。
  81. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 要するに、払える状況にないというのは恐らく経営状況のことを言われているのかなというふうには思うんですけれども、これ、なぜそういう状況になったかという引き金になったNHKの内部の体質であるとか、公共放送の在り方とか、ジャーナリズムとしての考え方とか、その辺が問題でこういう事件が起きたということであれば、その責任はもう、経営状況がどうのこうのという問題以前にその責任は免れないんだろうというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。橋本会長、お願いします。
  82. 橋本元一

    参考人橋本元一君) 前会長の、あるいは三役でございますが、お辞めになられたのはやはり、辞めたのは経営的な、十六年度に比して十七年度予算を低いレベルでやはり組まざるを得ない、こういう経営的な状況を来したというふうなことで責任を取られたというふうに承知しております。  したがって、そういう経営的な状況というのはもろもろの要因ということがやはりあろうかと思います。そういうものが複合して全体的な経営責任ということで考えております。
  83. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 それでは、今回、子会社、関連団体の中に海老沢前会長時代の理事の方々が再就職をしたと。それが財団法人NHKインターナショナル、N響、NHK交響楽団、NHK文化センターだということだと思いますが、前会長時代の幹部、理事の方三名が子会社や関連団体へ再就職をされたわけですが、その方々も当時は理事であったわけでそれなりの責任があるんだろうというふうに思いますけれども、これに関しましては橋本会長は、いわゆるNHK本体、日本放送協会から子会社への天下りという言葉は当たらないということをおっしゃっていますが、この三名に対しては、いったんお辞めになっているということだと思いますが、この三名の方に対しての退職金は支払われたんでしょうか。
  84. 橋本元一

    参考人橋本元一君) 今御指摘の三名については退職金支払っております。はい。  というのは、理事の、役員だった方ですね、前会長と副会長と専務理事でない三名ということをおっしゃったわけですね。この三名、任期満了ということで辞められておりまして、次の子会社、関連会社の方の任期といいますか改選時期、これに合わせて転籍といいますか、新しい職に再就職しているわけでございます。この三人に限らず、三人と申し上げますが、前会長、前副会長、前専務理事以外の役員の方々については退職金を支払っております。はい。  ただし、こういう状況でございまして、金額については減額して支払っております。
  85. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 この三名以外にもその他の業界団体に移られた方とかいらっしゃるというふうに認識しておるんですが、減額というのは何%ぐらいの減額なんでしょうか。
  86. 橋本元一

    参考人橋本元一君) 一五%と承知していますが、ちょっとその金額を、確認させてもらいますが、後ほど確認します。
  87. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 ただ、一般的な感情からすれば、感覚からすると、受信料収入が、NHK本体、日本放送協会の全事業収入の九五%ぐらいになるんだろうと思いますが、その本体から、その責任の一端を担ってきた元理事に退職金が支払われるということになると、ますます不払、未払者に対して受信料を払ってくれということをお願いしにくくなるんじゃないかなと。それはかなり経営にも影響してくる、あるいは元々の原資が受信料で賄っているわけですから、それに影響してくるんじゃないかなというふうに思いますが、石原委員長、その件についての御見解をいただきたいと思います。かなり影響があるんじゃないかと思いますが。
  88. 石原邦夫

    参考人(石原邦夫君) ただいま会長から申し上げましたとおり、減額の上支給することといたしました。当時における職責の重さの違い、あるいは任期満了等々の事情を勘案して決めたもの、最終的に執行部案を了解したものでございます。  たしか割引率は三五%だったかと思います。従来に比べまして、そういった意味では大幅な減額をということでやった記憶がございます。
  89. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 また、着任された財団法人と子会社、NHK文化センターというのは、NHKからの出資金なりNHKとの取引によって、結局受信料がまたぐるっと回ってくる、いわゆる環流する形での会社になっているんだろうと思いますけれども、そういうところに今度勤められて、もう一回そこで辞められたときは、当然のごとくいわゆる退職金を受け取るということになるんだろうと思いますけれども、そういう解釈でよろしいんでしょうか、橋本会長
  90. 橋本元一

    参考人橋本元一君) 関連団体へ行った後の処遇がどうなるかというところまで私は今確証を持っていません。  これは、その組織ごとの運営方針に基づいてやっていくというふうに考えておりますが、基本的に、子会社、関連会社といいますのは、NHK番組制作、あるいはその成果物を視聴者、社会に還元する、そういうふうな役割を担っております。特に番組制作、それからイベント、それから成果物の還元、そういうふうなところで密接にNHK本体の活動の分身として機能しておりますので、そういうところで適材適所、働いていただくということは肝要かと、これは実際にNHKの機能を満足に十分行うためには肝要かというふうに思っております。
  91. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 ちょっと一般的な感覚からすると、その辺は非常に天下りと同じ、似ていて、そういう構造を変えていかないといけないのかなという思いがするわけです。子会社があり孫会社があり、そこと要するに密接につながっているというところに動いているということは、非常に感覚的には、できるだけ避けたい、避けた方がいいんじゃないかなというふうに思うわけなんですけれども。  新生プランの中で、ちょっと関連してきますけれども、新生プランのいわゆるスリム化ということで、三年間で一〇%の、平成十八年度から三年間で全職員の一〇%、千二百人を削減するということをうたっておるわけなんですけれども、これどこかで見たことがあるなというふうに思ったところ、やはり先ほど紹介しましたBBC、これは二〇〇三年度職員をやはり三年で一〇%削減するというのと全く同じなんですね。  ところが、一点だけ違うところがございまして、BBCの場合は関連会社を含めて一〇%を削減すると。今回は、このNHK本体は一万二千弱の職員がいらっしゃいますので、一〇%というのは千二百人ですから、日本放送協会さんだけのだというふうに解釈ができると思います。  ただ、ここで一つ疑念といいますか疑いが持たれるのは、いわゆる子会社、関連会社へ転籍あるいは出向によって千二百人を減らすというような、そういうような数字のマジックというのがあるんじゃないかというふうに思われていますが、その件については、もう千二百人の削減は出向とか転職は含めないという理解でよろしいんでしょうか。橋本会長、お願いします。
  92. 小野直路

    参考人(小野直路君) 労務人事担当の小野でございます。私の方からお答えさせていただきます。  今御質問の千二百人のスリム化でございますけれども、スリム化につきましては、こういう厳しい財政状況でございますので、NHKのあらゆる部門の業務あるいは組織を見直しまして、組織の統合、それから業務削減、そういうようなことを様々に工夫いたしまして、放送制作機能に影響を最小にする中での構造を変えていくということで、その千二百という数字を挙げております。  その中で、放送部門以外の事務管理部門でありますとか放送支援部門でありますとか、そういうところにつきましては、組織の統合でありますとか業務の見直しでありますとかということで、業務そのものを削減する、廃止するというようなことでかなりの人数を生み出そうということを考えております。  ただ、一方で、番組制作あるいは技術関係の業務など、アウトソーシングを可能なものにつきましては一定程度外部に出していこうということを考えております。その中に、一部、関連団体への業務の移行ということを含んでおります。  新生プランの中でもうたっておりますけれども、一方で、関連団体を含むグループ全体のスリムで活力ある体制というものを全体としても考えていくという視点を持ちながら、NHKの中としては千二百人の削減ということを考えているところでございます。
  93. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 時間もなくなってまいりましたので最後の質問にしたいと思いますけれども、先ほど来BBCの例を出しておりますが、やはり、公共放送の在り方というのをやはりきちっと問い直して、問うていかないといけないんだろうなというふうに思います。やはりBBCというところは、NHKよりも更に政府との関与が、厳しく制約があるという中できちっとそれができ上がっていると。特に、やはり政府からの自律というところについては、フォークランド紛争のときやあるいはイラクの大量破壊兵器、イラク戦争のときの大量破壊兵器をめぐる報道の中でも、ジャーナリズムの精神というのを曲げないで、政府と対立してでも真実を伝えようというそういう気持ちがあったからなんだろうと思います。  先ほど来、椎名さんからもお話がありましたが、自民党の有力議員に事前説明をした、それが改変に結び付いた結び付かないという議論が朝日新聞との間にありますけれども、これは、改変に結び付く結び付かないという以前の問題として、実際にこれは政治家、我々もそうなんですが、ジャーナリズムというのは何だということをやはりきちっととらえていかないといけないんだろうと思います。それを説明をして、事前説明予算説明のついでに説明をしましたよということであって改変には影響がなかったというふうに言いますが、あったなかったじゃなくて、そういう番組のことを聞くこと自体がまず間違っているし、話すこと自体が間違っているわけです。聞く方も聞く方だし話す方も話す方だというふうに私は思うんですね。それであればそのきっかけをつくって与えてしまうことになるわけですので、そういう態度自体もうやはりまずいんじゃないかなと。そういう場合は、番組中身についてはお聞きすることはできませんと断るべきものだったというふうに私は思います。  それともう一つ、BBCとの決定的な違いというのは、麻生大臣も、先ほど冒頭で私が御説明申し上げましたが、ちょっと紹介しましたけれども、日本放送協会はもとより云々、情報公開を一層進めていくべきであるということを言われています。やはりその情報公開というのが非常に重要なポイントになってくると思います。罰則規定があるなしにかかわらず、BBCの場合は、今でも日本よりも高いと思いますが、今の料金でいいと言っている方が八割、二倍でもいいと言っている方が四割いるというのは、その報道としての精神がきちっと根強く残っているからだというふうに思います。  先ほど、いわゆる視聴者は株主だということをおっしゃっておりましたので、情報公開が非常に重要なことだと思います。経営委員会の議事録はやっと公開されるようになりましたが、その透明性確保するという点では、やはりだれが、議事録にも実名入りで公開するべきだというふうに私は思っております。そうすれば更にその透明性確保できてNHK信頼確保できる、向上できるんじゃないかなという思いがあるんですが、最後、石原経営委員長に、実名で発言者が分かるような議事録の公開について御意見をいただきたいと思います。
  94. 石原邦夫

    参考人(石原邦夫君) 経営委員会の議事につきましては、その都度その中身につきまして議事録という形でホームページ等に公開しております。その議事の詳細化並びに内容の詳細につきましてできるだけ詳しく書くということで、視聴者皆様の御理解を得るように、また私どもの説明責任が果たせるようにとやっている次第でございます。  ただいまの実名か云々かという問題につきましても、今後の検討課題としてまいりたいと思っておりますが、委員それぞれの意見並びに経営委員長の意見ということがその中に相当詳細に書いてございますので、是非ごらんいただければと思います。  また、それと併せまして、経営委員会、終わった都度と申しますか、記者ブリーフィングというのも行っておりまして、情報公開には最大限努力しているつもりでございますので、引き続き一層その点につきましても努力してまいりたいと、こういうふうに思っている次第でございます。
  95. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 これで私の質問を終わりにします。  ありがとうございました。
  96. 弘友和夫

    弘友和夫君 公明党の弘友和夫でございます。  先ほど来議論になっておりますけれども、昨年からの度重なる不祥事等で受信者の不信が高まって膨大な数の受信契約解除が行われていると。この今決算でやっています平成十三から十五年度の未収受信料欠損償却費というのは二百十一億、二百三十一億、二百三十二億と、こういうふうに推移してきたんですけれども、その後、要するに十六、十七で大変増えてきて、先ほどありましたように、平成十七年度受信料の未払を含めた減収というのは五百億以上に上るだろうと、こうありましたですね。  十七年度予算で、我々は三月にやりました。そのとき、六千五百億の事業収入で、五百億というのはこれ大変な額なわけですよ。さっき、何で補正を組まないのかという話がございました。それはいろいろ、補正をお願いすることなく事業を着実に、いろいろな設備投資とかを少なくしてやっていくんだ、やりくりをしてやっていくんだと、こういうお答えでしたけれども、私は、一割近いこの見込み違いですよね。  たしかあのときも、こんなんで済むんですかと。予算が出ているけれども、受信料の、この不祥事に怒りは大変なものだと、こんなものじゃ済まないんじゃないですかと。そういう収入確保できないんじゃないですかという三月の時点で指摘があっているんですよ。だけれども、何とかやっていきますということでこの予算が成立をしたわけですけれども。そして、結果は五百億に上るこれは減収だと。  で、何とかやっていきますみたいなことでは、やはりなぜきちっと補正を組んで出さないのかというふうに思うんですけれども、それについていかがですか。
  97. 衣奈丈二

    参考人衣奈丈二君) 経理担当衣奈でございます。  先生御指摘のとおり、大変支払拒否保留増加をして収入の減が大幅に見込まれております。おっしゃるとおり、一月に予算を編成いたしました当時に想定をすることが難しかった要因が重なってきております。不祥事に伴う拒否保留の件数の大幅な増加、これが四月以降も増加をし続けていること、また、それらの対応に限られた地域スタッフ等のパワーを予想以上に取られているなどなどのことから、契約の増加ほか、計画どおりに進捗しておりません。  一方でまた、口座振替を中止されるお客様、これも金額的にも影響が大きいということで大変苦慮をしておりますが、既に事業計画としてお約束した各種の計画、先ほども申し上げましたが、各種の計画については着実に実施をしていくということで、予算の補正をお願いすることなくやっていきたいと考えております。
  98. 弘友和夫

    弘友和夫君 なぜ組まないのかというお答えになってないわけですよね。その見込みが大分その予算のときと変わりましたよと。変わりましたよというのと補正を組まないというのは全然違うじゃないですか。変わったから補正を組むんだというのは当たり前じゃないですか。  聞くところによると、どうもやっぱり、国会でいろいろ、先ほどもありました、国会議員と面会したりなんかするといろいろな問題が起こるというようなことから、とにかく国会とかかわりを持ちたくないと、そういうのがやっぱり強いと思うんですよ。補正を組まないというのは、とにかく国会議員と余り、だれが指示したか知りませんけれども、そういうかかわりを持つなと。その結果、補正も私は組まないで何とか自分のところでやっていこうという考えになっているんじゃないかなという。  経営委員長も、あの席、三月の予算のときにおられましたよね。経営委員会としてもやはりこの責任はあると思いますけれども、いかがですか、この結果は。
  99. 石原邦夫

    参考人(石原邦夫君) 先生おっしゃるように、当初の見込みを大分下がったわけでございます。  そういうことで、現在NHKといたしましては、まずは入るを量るという観点での、受信料をできるだけ多く、大勢の皆様からいただく努力を続ける。一方、支出削減する、いずるを制すということによりまして、何とか補正を組まない形での予算遂行をしていくということを決めたという、決めたと申しますか、ということを我々の意思としてお伝え申し上げたいということが今回の委員会であろうかと、そういうふうに存ずる次第でございます。
  100. 弘友和夫

    弘友和夫君 なぜこういうことを言うかといいますと、私、この後のNHK新生プランとか、要するに千二百人の削減だとかそういうことにもつながってくるわけなんですよ。何とかやれるものだったらいいですよ、やっていただければ。だけれども、なかなかこれは、そういう、経費は徹底的に削減しなければいけませんけれども、だけれども、実際果たして、先ほど来ありますように、いい番組をつくります、で、努力して、それだけ減らして、実際一割も減らしてですよ、できるのかということを聞きたいんですね。だからきちっと、それであれば、必要であれば補正予算を組んで出せばいいじゃないですかというふうに私は思うわけでございます。  それからこれも、先ほど来あります受信料ですね。私は受信料制度というのは非常にいい、すばらしい制度とは思いますけれども、なかなかこれが難しくなってきている。この新生プランの中にもこの受信料の公平負担に全力で取り組みますというふうにございます。  このやっぱり中身を見ましたら、三つの項目があるわけですね。単身赴任者や学生の料金割引制を新設しますと。もう一つは、口座振替でずっと支払っている方に対しては優遇施策を実施します。三番目が、さっき問題になっている受信料の未払者、それで、未契約の方を対象に民事手続による受信料支払督促の活用などについてやりますよと。だから、「受信料の公平負担に全力で取り組みます」ということの具体的なものというのは、この三つの柱、その最初の二つ、サービスをこういうふうにしますよということで、果たしてこういうことで、ずっと今までは三万件ぐらいだったのが不祥事に伴うものだけでも百三十万件でしょう。全体的には不払というのは四百万件、それに未払というのが、未契約者というのが全世帯の二割強、九百六十万人ぐらいいると。これで果たしてこの受信料制度成り立っていくのかどうかなというふうに私は危惧しておりまして、一生懸命努力されてやるということがまず前提でしょうけれども。  今いろいろと、じゃ車に乗ればカーナビでテレビが見られますよ、この新生プランそのものにも書いておられるんですけれども、「放送のデジタル化を進め、」というところで、移動中に携帯端末などでテレビを見たりという、こういうことができるようにしますよみたいな話でしょう。携帯で今からテレビが見れるわけ。今はパソコンでも見れますよ。じゃ、こういうところから受信料取っているんですか。取ってない。勝手に全部それは入ってくる。  だから、少しやはり考えていく、今からですね、今すぐどうこうということではないかもしれませんけれども、考える必要が、先ほどBBCの話もありました。諸外国の公共放送というのが必ずしも受信料だけで成り立っているわけじゃない。山本政務官、そこにずっと座っておられるのもあれでしょうから、非常に海外の事情に詳しいということで、海外のそういう公共放送の事情でどういうのが、簡単で結構ですから、ひとつ。
  101. 山本保

    大臣政務官山本保君) 今おっしゃいましたように、海外におきましては公共放送機関に受信料以外の収入を得ることを認めている国が一部にあるというふうに承知しております。  先ほどから出ておりますイギリスのBBCは広告は禁止でございますけれども、そのほか代表的な国だけを申し上げますと、フランス、ドイツ、イタリア、韓国などでは公共放送機関による広告、公共放送機関による広告放送、広告を認めております。ただし、例えばその放送の時間でありますとか放送時刻ですとか曜日を制限したり、又は番組途中ではやらないとか、公共的な広告だけにするなどの一定の制限をもって運用しているというふうに承知しております。
  102. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今御指摘のありました中で、やっぱり技術が進んだものですから、これはもう携帯電話で動画のテレビが見られるということになるわけです。もちろん車でも見られる、パソコンでも見られるという時代にあって、一家に一台テレビがあるという前提でやっていたころとは、昭和二十何年とは全然違いますので、そういった意味ではそれに合わせたことを考えてしかるべきではないかという御意見は実はございます。  今、いろいろ検討をしていないわけではありません。ただ、今の段階でちょっと今、これ新しいのがスタートしたばっかりですから、今研究をしているところではありますけれども、あらかじめ、それからいきますと、一家に一台どころか、携帯とテレビと車とパソコンで一人で四台か五台持っている計算になりますので、そういったことを計算して、それで全然別な発想というのが考えられないことはない、基本的にはそう思っております。
  103. 弘友和夫

    弘友和夫君 今、大臣からもお話ありましたように、政務官からもお答えいただいたんですけれども、いろいろやはり研究をしなければ追い付かないふうになると。ただし、今、不祥事を起こして、一生懸命改革をしようとしているわけですから、消費税と一緒で、先に行政改革きちっとやっておかないと、そういう収入の入る方をやるというのもまたおかしいかもしれませんけれども、やっぱり準備を、これは総務省としてもNHKとしてもしていただきたいというふうに考えています。  そこで、この新生プラン、これ突如として、私は、職員の一〇%、千二百人、三年間で削減しますよと、こういうのが出てまいりました。全く、それこそさっきの話じゃありませんけれども、国会にも何にもそんなことは論議にもなっていない、我々聞いたこともない。じゃ、千二百人という根拠は何をもって出されたのか、お聞きしたいと思います。
  104. 小野直路

    参考人(小野直路君) お答え申し上げます。  私ども、この厳しい財政状況を踏まえまして、あらゆるNHKの部門の中の業務、組織を見直しをいたしまして、ぎりぎりここまで、これから、十八年度から三か年で千二百人という削減を行おうという計画を新生プランの中に盛り込ませていただきました。  当然のことですけれども、一律に削減するということではございませんで、放送サービスの質を確保するということを最重点に、業務の見直し、あるいは部局を統合しまして、その重複している業務削減するというような工夫を重ねまして、三か年で千二百人という削減を行おうということでございます。  当然のことでございますけれども、公共放送の基幹的な使命であります放送、災害・緊急報道等につきましては引き続き最大の努力をしていくということは当然のことでございます。
  105. 弘友和夫

    弘友和夫君 今、一律削減ではなくて放送サービスに支障のないと、それから、当然のことながら災害報道、緊急報道は充実していくような話を言われましたですね。じゃ、その部分であります災害報道を担当されている理事の方にお聞きしたいんですけれども、報道部門でも百人ぐらい削減すると、報道部門でも。災害も入っているんです、緊急報道も入っていますよ。これはどういうことなんですか。
  106. 石村英二郎

    参考人石村英二郎君) 報道部門担当しています石村です。  職員削減のまだ具体的な内容というのは今現在検討中でありまして、決まっておりません。先生御指摘のように、NHKのニュース、報道というのは、もう公共放送の正に生命線でもありますし、柱でもありますので、これから様々な知恵等を出して、具体的に慎重に検討してまいりたいと思っております。
  107. 弘友和夫

    弘友和夫君 今、生命線でもあるから慎重に、数だけ決まっていないかもしれませんよ、だけれどもそういう発言をされているんじゃないかと思う。  まず、ちょっといいですか。新生プランの中に、三ページ、「NHKだからできる放送をさらに充実します。」と。「いざという時に頼りになる、迅速で的確な災害報道・緊急報道」、これありますね。昨日も地震が起きました。これを今から充実しますと、こう言われている。それから、「子どもたちを健やかにはぐくむ教育番組、高齢者や障害者のくらしに役立つ福祉番組」、こう書かれている。これは今から充実しますよという方向なんでしょう。  これを、じゃ充実するというのは、人員も含めて増やされるんですか。
  108. 石村英二郎

    参考人石村英二郎君) 人員につきましては、総体的な状況からしまして、当然人員が増えるということは総体としては予測できません。そうすると、今の人員の中でいかに効率的に業務運営をやってやっていくかと、そういう面では災害報道の中でも様々な知恵を出す必要性があると思いますし、災害報道については、例えば装備面ではかなり、これ十七年度、十八年度、例えばヘリコプターの配備を新潟や鹿児島に新たにやるといったようなことも含めて、災害・緊急報道には全力を挙げて取り組む決意でございます。
  109. 弘友和夫

    弘友和夫君 増えることは考えられないと言われましたけれどもね、例えば手話ニュース、災害のときに障害を持っておられる方の大変な大事なものですよ。これどうするんですか、手話ニュース。いや、ちょっと、ちょっと、これ、どう。  教育番組、これちょっと見ましたら、同じ新生プランの中にも、ここでは、子供たちを健やかにはぐくむ教育番組、高齢者や障害者の暮らしに役立つ福祉番組、これ充実しますと書いてある。  ところが、ほかのページでは、これ四ページに、あらゆる部門において徹底した業務改革業務の見直しを行い、経費削減を図りますと。放送設備の整備計画や教育テレビ、衛星ハイビジョン、これ見直しますと。こういうところは、これはスリム化の、ということは全体として考えておられるということなわけですよ。教育番組と教育テレビと違うと言うのかもしれませんけれども、だけれども、教育テレビそのもの、ずっと教育テレビなわけですよ。だから、明らかに方針が違う。  私は、NHKにとって本当に国民の皆さんに要求されるのはまさしくこういう部分なんですね。緊急報道、災害報道、教育番組、そういう、文字放送、手話、そういうユニバーサルサービスの部分だとか、そういうことじゃないかと思うんですよ。  担当理事ですね、報道の、本当に減らさないんですか。百人ぐらい減らすと私は聞きましたけれども、大丈夫でしょうね、それは。もう一回答弁してください。
  110. 石村英二郎

    参考人石村英二郎君) 先ほど人事担当の小野理事からも、小野からも説明がありましたけれども、削減の一つの大きな方針が、退職者の非補充とそれから新規採用の抑制ということが大きな柱になっています。この二つの柱を中心にこれから具体的な検討が始まりますんで、この二つを中心にした部分を総合的にいろいろ判断しながら決めていきたいと思っております。
  111. 弘友和夫

    弘友和夫君 いや、私はやり方を聞いているんじゃないんですよ。その補充はどうするかとかそういうことじゃない。要するに、今いる人員、全体は一千二百人削減しますよと。だから、報道の部分、緊急、災害とかこの部分、福祉の部分、教育の部分、こういう部分は大事だと新生プランにも書かれているわけですよ。充実しますと書かれているわけですよ。人を百人減らしたけれども充実しますと、内容を良くしますと。じゃ、今までは何なのかと、こうなるわけです。幾らきちっと、無駄は省かなければいけないけれども、だけれども、体制としてはきちっと人員としているべき人はいないといけないわけでしょう。できますか、それが。できるんですか、それが。もう一回お尋ねします。
  112. 石村英二郎

    参考人石村英二郎君) 災害・緊急報道というのはもう本当に、何度も繰り返しますけれども、NHKの正に生命線ですので、全力を挙げてやりますし、できるような体制にしておきたいと思います。
  113. 弘友和夫

    弘友和夫君 全力を挙げてやっていくと。いただかないとそれはいかぬわけですよ、それは。  もっと具体的に、要するに千二百人というのは、積み重ねて、それぞれ検討されて出た数字じゃないわけでしょう、これ、会長。要するに、何とか、これは受信料も不払があって、しないといけないと。意欲を示すために一割カットだ、一割削減だと、こういうことから始まったんじゃないんですか。それは意欲は大事ですよ、削減も必要な部分あるかもしれません。だけれども、きちっとそれを、スローガンだけじゃなくて、きちっとその内容を見て、ここはもっと充実するんだと、NHKらしい、らしさを発揮しないといけない。そうしたら、緊急報道や災害報道、福祉の問題、教育の番組、文字放送だとか、これは今まで以上に充実していきましょうと。これは当たり前じゃないですか。じゃ、そこから人が減らせるんですかという話になるわけ。  まあ余りいろいろしておってもあれですけれども、要するに不信を払拭しないといけない。新しく立てたNHK新生プランも大事ですよ。これが絵にかいた、これ見たら、何か当たり障りのないことじゃなくて、本当にそこら辺が感じられるものにしていかないといけない。会長、ちょっとお答えいただきたい。
  114. 橋本元一

    参考人橋本元一君) 具体的にどの部門、どういうセクションをどのように変えていくかということにつきましては、今後詳細な詰めは必要でございますけれども、我々、将来に向けて、また実際に、何といいますか、行っている仕事の進め方を非常に効率的に進めなければいけないという考え方、それからもう一つは、新しく脱皮しなければいけない、従来どおりの仕事の進め方では新しい時代に付いていけないと、この二つからやっぱり組織の改革ということはやっていくべきであるというふうに経営的な考えを持って、それに向けて進んでいきたいというふうに思っております。
  115. 弘友和夫

    弘友和夫君 全体で、さっきちょっと抜けておったんですけれども、全体的にやはりその経営について、経営委員長、一般の視聴者というんですか、そういう国民の皆さんの声というか、方もその委員会に入っていただいたらどうですかと、経営参加も考えられるんじゃないかという意見もあります。これは総務省なのかもしれませんね、そのメンバー決める。まあ委員長として、そういう視聴者の声、これを反映するためにも経営委員会視聴者の方に入っていただくという考えはいかがですか。
  116. 石原邦夫

    参考人(石原邦夫君) 放送法にも書いてございますが、経営委員は十二人おります。十二人の人たちは、教育、文化、科学、産業その他の分野を代表する者より選任されているというふうになっております。  視聴者の意向を最大限そういう中で生かしながら、私ども経営委員会として運営を今後とも続けていく所存でございます。
  117. 弘友和夫

    弘友和夫君 最後に、大臣、今聞いていただいておって、私は、NHK公共放送としての大きな役割、新生プランにもこれきちっと書いているわけですから、そういう緊急とか災害報道だとか、それとかまた福祉の文字放送だとか、そういうものについては、これこそ私はNHKの使命というか一番核になる部分じゃないかなというふうに思いますけれども、こういうものを含めて是非総務省としてはどう考えられるかお聞きして、終わりたいと思います。
  118. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 確かに人員の削減等々はある程度喫緊の課題なのかもしれませんけれども、その内容等々につきましては、それは定員の再配置とか選択と集中とか、いろいろなやり方はあろうと思いますので、今言われたような重点項目につきましては、今後とも、内容が充実されているような方向というのは経営者としても考えておられるところだと存じますけれども、私どももその点は十分に見守ってまいりたいと思っております。
  119. 弘友和夫

    弘友和夫君 終わります。
  120. 吉川春子

    ○吉川春子君 日本共産党の吉川春子です。質問します。  まず、会長NHKは戦時中に大本営発表で国民を動員して戦争協力の先頭に立ったり、また、戦後GHQの指示で労働運動活動家、共産党員シンパを解雇したレッドパージがまずNHKから始まったなど、痛苦の歴史を経て今日に至っていると思います。これは、二〇〇一年三月にNHKが編んだ「二十世紀放送史」の中で触れられている問題です。  それで、昨年の不祥事発生、ETV特集、アジア女性戦犯法廷慰安婦問題を扱った特集番組に対する政治家の介入疑惑、問題になり、NHKの、等が問題になり、NHKのその受信料支払拒否が激増して、政治家との密着に異議を唱える条件付の支払留保運動も広がって、NHKに対する広い論議が巻き起こっております。新生プランでは、不信を増大させる原因になったETV番組改変問題には全く触れておりません。橋本会長は国会答弁でも政治介入はなかったの一言で済ませています。  そこで、まず基本問題を伺いたいのですが、放送法の中にも書かれている不偏不党、政治的中立について、会長、どのように御認識されておられますか。
  121. 橋本元一

    参考人橋本元一君) やはり、NHK、報道機関としまして、この放送法三条あるいはそれ以外にもいろいろ役目書いてございますけれども、何人からの圧力も働き掛けにも左右されないで放送の自主自律を守るという、この点につきまして、これは報道機関としての基幹部分、生命線だというふうに考えております。  したがって、これ、これまでもそういう理念を大事にやってまいりましたし、これからもやはり一層こういうふうな情報、いろんな情報が多種多様飛び交う時代になりましても、この基本線というのはやはりNHKの生命線として守っていきたいというふうに思っております。
  122. 吉川春子

    ○吉川春子君 権力からの自律なしに視聴者の立場に立つということはできないと私は考えております。公共放送の原点は権力からの自律です。  戦後、今お話ししましたけれども、NHKは再出発に当たって政府からの独立、自主財政の原則を掲げました。NHKが今年の八月に発表した調査でも、受信料支払拒否保留の理由は不祥事、経営陣への批判というふうに言っております。隠ぺい体質、退職金、ETV問題など合わせますと、経営について問うものが半数近くに占めています。  このように、NHK視聴者信頼を回復するというにはまだ至っていないし、受信料支払っていただくには、その視聴者の支持と理解が必要だと思います。デジタル時代NHK懇談会でも、政治介入疑惑について熱心に議論されています。きちっとした解明がないままでは不信感は払拭できないんじゃないか。  橋本会長、是非、放送番組の政治家への事前説明はやめると、この際明言していただきたいと思いますが、いかがですか。
  123. 橋本元一

    参考人橋本元一君) 我々、これは放送法にございますように、何人からもというふうなことございます。政治家の方々もそうですし、それこそ放送の方でも、商業、コマーシャルといいますか、こういうふうな産業、経済、こういうふうなこともございましょう。いろんな形からの自主自律を目指すと、介入されない、そういうものがやはり報道機関の役目だというふうに考えております。  そういう点につきましては、ふだんからの努力と、あるいは理念として、この不偏不党、何人からも介入を受けない、左右されないというこの理念をもう心に秘めて、この報道機関に働く者が全体毎日業務を進めていくと、これが一番大事、肝要かと思っております。
  124. 吉川春子

    ○吉川春子君 具体的にはおっしゃらないわけですけれども、NHK新生プランについて具体的に伺いますが、受信料未払、未契約に対する民事手続の活用の、受信料支払督促の活用を検討するとしておりますが、この受信料不払が三つのカテゴリーに分類されておりまして、不祥事に伴う支払拒否百二十七万、口座振替中止に伴い未納状態云々が百三十二万、経済的理由、長期不在が百三十九万、こうありますけれども、この中でNHKが一番これは許し難いと、真っ先に受信料の督促に着手するよというカテゴリーはどれなんですか。
  125. 小林良介

    参考人小林良介君) 御契約をいただきました後支払をいただけないということに関しましては、基本的に放送法の趣旨から申し上げますと、そこに差を設けるものでは基本的にはないというふうに思っておりますけれども、もちろんそれぞれの理由がございますので、それにつきましては、新生プランでも自ら改革の姿勢を示す、そのことによって信頼を回復させていただくといったことも当然ございます。  そういったいろんな様々な施策を講じながら、まずお支払いいただく努力はさせていただくということで、基本的にはその優劣というものではないというふうに認識してございます。
  126. 吉川春子

    ○吉川春子君 それで、受信料の、受信契約を結んでいる受信料不払のみならず、受信料契約を締結していない人に対しても民事手続に沿って督促を行うと、こういうふうに読めるわけですけれども、債務不履行などの法的手続はこれらの人々に対しては取れないんですよね、契約関係がないわけだから。そうすると、契約の締結を何らかの手段によって強制すると、法的手続によって強制すると、こういうことをまず行うということですか。
  127. 小林良介

    参考人小林良介君) 基本的には契約の御締結とお支払をお願いするということになりますけれども、もちろん、それに至るプロセスといたしまして、当然ながら受信料制度の御理解を徹底していただくというための活動は徹底して努めてまいりたいと。その上で、放送法に基づきます契約及び支払につきましてはお願いするということになります。
  128. 吉川春子

    ○吉川春子君 今までどおり、やっぱり理解を深めて、契約を結んでない人には結んでくださいと、お支払いされてない方にはお支払いしてくださいと、こういうことに全力を投入しますと、それで今まで来たわけで、私はそれでいいんだけれども、いいと思うのですけれども、改めて何か、いかにもこれを読むと法的手続を取ると、強制的な手続を取るというふうに読めるのですけれども、そういうことを前面に振りかざして、脅しなのか実際にやるのか、実際にやるんでしょうね、ここに書かれているから。  そういうことで本当に受信契約をしてくださる方が増えていくのか、支払件数が増えていくのかということに強い疑義を持つわけです。しかも、対象となる人員というのは一千万超えるわけでしょう。そういう人たちに対して、いや三つのカテゴリーで別に優劣はないんだとかおっしゃいましたけれども、何らかの手続を取るということが非常に不公平な結果をもたらさないか、そういうことも非常に懸念されるのです、NHKのためにとってもね。  こういうようなことを、法的手続を取るなどということをやっぱりこれ前面に振りかざすべきではないと思うんですけれども、会長、どのようにお考えですか、この点。
  129. 橋本元一

    参考人橋本元一君) 私、職務に就きましていろいろいわゆる視聴者の方々の声を聞く機会にたくさん恵まれたわけですが、そういう場面をつくってきたわけでございます。その中で、やはりこの受信料支払っている方々からは、支払っていない方々が当然のようにしているということは大変理解できないと、やはりこれまでNHKを支えるということで払ってきているということが非常に納得できないというふうなお声がございまして、何とかここについては積極的に働き掛けて活動してくれというふうなことがございました。実際に、従来、契約結んで料金を払っていただける方々が、こういう中で不払、拒否保留というふうな不払の形に変わってくる方がいらっしゃったというふうな中で、やはりここの不公平感を解消しなければいけないというふうなことで感じてまいりました。  その中で、このプランの中では、やはりこれまでお支払いいただいている方に対する手厚いサービスも大事でしょうし、それから払っていない方に対する我々の責務というものをしっかりと果たすということも大事だろうということで、この民事手続の活用を検討しているということであります。  従来どおり手厚く皆さん方にNHKの存在意義、受信料意味ということを御説明して御理解をいただく活動というものはこれまで以上に加えた上で、最後の最後にこういう手続の活用を考えるということでございますので、是非御理解をいただきたいというふうに思います。
  130. 吉川春子

    ○吉川春子君 そういうことをおやりになるんだったらば、私が伺っているように、具体的にどうやるのかと国会の場で明らかにすべきじゃないですか。何となく抽象的にこういうことをやりますよということじゃなくて、どういう計画でおやりになるとか、そういうところまで突っ込んでNHKはもうお考えになっているんでしょうか。
  131. 小林良介

    参考人小林良介君) 現在、様々な準備を取り進めているところでございますけれども、部外の専門家の意見も聞きつつ、あるいは視聴者の皆さんの意見も聞きながら、どういうやり方ということを現在検討を詰めているところでございます。
  132. 吉川春子

    ○吉川春子君 放送法三十二条につきましては、やっぱり憲法の二十九条との関係でどうなのかという議論が国会でも繰り返し行われてまいりまして、契約自由の原則とか、契約自由じゃないですよね、放送法三十二条はね、義務付けているわけだから。そういうような議論もされてきて、非常に難しい問題がある、本来その三十二条自体に難しい問題があるというふうにこれまでも議論をしてまいりました。  そして、かつて佐田政務官は、NHK受信料というのは放送番組の視聴の対価としてではなく、NHKの組織、業務を維持するための特殊な負担金であるというふうに答弁されています。私的な契約によって、放送法三十二条は私的な契約だと思うんですが、強制的概念である負担金の支払の義務が生ずるということはなかなか説明が付きにくいのではないかというふうに思うわけですが、ここは麻生大臣の答弁を伺いたいと思うんですけれども、やはり放送の不偏不党とか、政治的公平、報道は真実を曲げないとか、やっぱり放送局側の義務を果たすことが前提で、そうしたことをきちっとしないで、負担金という概念を持ち込んでこれを強制するということは一方過ぎるのではないかという懸念が生じますが、その点についてはいかがお考えでしょうか。
  133. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) まず、法制局の見解から申し上げておきたいと思います。  受信料は、民間放送公共放送の二元体制を前提とする我が国の放送制度の下、放送の全国普及や良質な番組放送などを行う公共放送を維持、運営するための特殊な負担金であるという性格を有するもの、これが法制局の見解であります。  今のに対するお答えはそれなんだと思いますが、基本的にはいろいろあっておりますけれども、私に言わせれば、不公平感という話が出ますけれども、不公平感というのは、払っているのと払っていないのとが両方同じようにテレビが見られるというのが一番不公平感を抱くところなんだと。私は基本的に、払っている側の人から見ればそれが一番だと思いますので、そういった意味では、支払というものを督促するという形の、法的に認められている民事法上の手続というものを活用するというのは一つの有効な方法の一つだと、私は基本的にそう思っております。  それから、民事手続に関するそのことに関して、十分な説明を尽くした後にやるべきだというのは、いうのが手段だということにつきましては、それは当然のことでありまして、その実施については慎重に検討していくというNHKの姿勢には変わりはないというように私どもの方は伺っております。
  134. 吉川春子

    ○吉川春子君 NHK会長にお伺いしますけれども、受信料というものはどういうものであるとお考えになっていますか。やっぱり受信料制度というのは国民の理解と支持によってのみ支えられていると、これが従来のNHKの基本的な考え方だと思うんですけれども、そういう信頼と理解を崩すということ、NHK側の問題によって崩すということをきっかけにして、この不信ということ、不払ということが大きくクローズアップされてきたんじゃないでしょうか。そのときに、今度は強制的な手段をもって対抗するとまでは言わないけれども、そういうことでまたその対策を講じるというのは、受信料というものに対する基本的な考え方をNHKは変えたんでしょうか。
  135. 中川潤一

    参考人中川潤一君) 経営計画、それから制度を担当しますので、私の方からお答えさせていただきたいと思います。  結論から申し上げますと、受信料制度に対するNHKの考え方が変わったわけではございません。先ほど大臣からの御答弁もございましたように、公共放送を支えるための特殊な負担金ということが受信料制度の性格だと思っております。したがいまして、これまではできるだけ穏便にといいますか、説得に説得を重ねてやってまいりました。そのことは今後も変わりはございません。  ただ一方で、おっしゃるように、不祥事に端を発しまして不払、支払保留というものが出ております。このことにつきましては、私どもは率直に反省をしておりまして、その信頼回復に向けて努力をしているところでございますけれども、さはさりとて、一方でNHK放送事業として行うべきこと様々にございます。こういったことをやるためにやはりその財政の安定というのは必要でございます。  また、そういう中で、不払の方々からは隣が払わないから払わないんだという、ほとんど理由にならないような言葉が返ってくるわけでございますが、お支払いいただいている方からは、そういう不払の方が増えるということが一番不公平なんだということでございますので、その辺りについてきちんと、ここのところは民事手続も活用して解決してまいりたいという、こういう考え方でございます。
  136. 吉川春子

    ○吉川春子君 時間がなくなりました。さっきお触れになりましたように、戦後六十年に向けての番組の中で、私もラジオ放送など何遍も聞かせていただきましたけれども、大変中身のある放送番組も提供されたと思います。  NHKがこの問題をきっかけにおかしくなってしまうということに対して、本当に国民は懸念をしていると思うんですね。だから、不偏不党、政治的中立を保ち、国民の信頼を回復させるということを全力を挙げて取り組んでいただきたいし、強硬手段を前面に振りかざすようなことは決してしないで努力をしていただきたいということを申し上げまして、委員長、終わります。
  137. 又市征治

    ○又市征治君 社民党の又市です。  私は、今年の三月の二〇〇五年度NHK予算審議に当たりまして、NHKは今放送開始八十年、こういうふうに誇らしげにおっしゃるけれども、開設以来の危機ではないか、こんなふうに申し上げました。なぜなら、八十年のうち初めの二十年というのは、正に大日本帝国憲法の下でNHKはそういう意味では国策の道具とされてきたわけでありまして、戦時中は、朝晩、軍の発表を大本営発表として垂れ流す、国民を戦争に動員する役割を果たさせられてきた。また、海外の植民地や占領地においても、ほぼ唯一のメディアとしてNHKのラジオ放送は大きな支配力を振るった、こういう歴史を持っているわけです。  ですから、一口に八十年ではなくて、戦後六十年、国民主権と戦争放棄を定めた現憲法の下でNHKも再出発をしたはずでありまして、そういう点では、戦後、これからは真実を伝えてほしいという国民の期待にどうこたえてきたかということが常に問われてきたんだと、こう思うんですね。  それが、芸能番組のプロデューサーの汚職事件であるとか、あるいは戦争を反省する番組に対する与党政治家の介入騒動と番組改変問題がきっかけになってNHK信頼が揺らいで、全国民がその民主的な改革を今注視している、こういう状況にあるんだと思うんですね。受信料拒否数字はその端的な表れであって、営業活動だけで取り戻せるものではない。やはり、先ほど来から同僚議員がおっしゃっているように、大事なことは国民のやっぱり信頼を回復する、それに向けた真剣さであり対策だと、こう思うんですね。  そういう観点から、まず始めに、この公共放送としての、戦争責任の反省に立って、憲法に基づいて、過去の戦争及び植民地支配など、平和の問題について真実をもっと報道し、そして歴史認識に資するべきだ、こんなふうに思います。この点で、NHKは大変たくさんのライブラリーを保有していますし、また海外取材などについても豊富なネットワークや人材やあるいは資源を持っているわけですから、これを有効に使って映像資料として提供すべきだろう、こう思います。  三月に、私、この点についても質問したときに、二〇〇四年度は朝鮮問題について言うならば四件放送したというお答えでありました。今後もこうした言ってみれば過去の戦争の問題などにまつわる平和の問題、こういったことについて積極的に放送を続けていくべきだろうと、こう思うんですが、そのことについて、具体的な資料説明要りません、そういう考え方、今後も続けてやっていくというその考え方について、まず第一点お伺いをしたい。  二つ目は、政治家、とりわけ権力者の圧力に対して放送番組前にその意向を聞いて編集をやり直すような正に報道機関としての自殺行為はあってはならないし、不偏不党、そういう意味で自主自律、このことに徹していくんだ、このことの決意も改めて会長からお伺いしておきたいと思います。
  138. 橋本元一

    参考人橋本元一君) やはりNHKの存在するその基は視聴者の皆さん方だと、視聴者・国民の皆さんだという考え方に立ちまして、新しい新生プランでもそこを第一に述べさせてもらっております。  具体的に番組を大事につくっていくということでいえば、やはりその一つには平和を大事にするというふうなことを我々求め、そういうものを具体的な番組に築き上げております。これからも継続してまいります。特に、今年の夏の番組等でも、そういうところにつきましては大変留意して放送してまいったところでございます。  それから二点目の不偏不党を堅持せよという御指示でございます。この点につきましても、何人からも左右されないという姿勢、これは報道機関として正に基本的な生命線でございます、しっかりと守っていきたいと思います。
  139. 又市征治

    ○又市征治君 政治家の介入あったなかったという問題については、十二月五日に裁判が予定をされて、制作現場の長井プロデューサーと当時の松尾元放送局長の双方から証言がなされるようでありますから、これも注視しつつ、今後のNHKの対応というものを国民がやっぱりよく注視している、このことを是非御自覚いただいて、更にしっかり取り組んでいただきたい、このことを申し上げておきたいと思います。  次に、受信料の不払の問題についてでありますが、三月に私質問した際に、七十万件という見通しが答弁をされました。私は、それには口座振替の停止分が入っていないんじゃないのか、実は百万件を超えるんではないのか、こういうふうに指摘をいたしました。  しかし、その後の経過はもっと深刻だったわけでありまして、先ほど支払拒否がピークを過ぎたというふうに述べられておりますけれども、正確には支払拒否増加テンポが下がってきたということですね、これは。そういうことであって、数は二〇〇五年度一期から三期まで、つまり半年ですね、半年で拒否が五十万件余り増えているわけ。二〇〇四年、二〇〇五年度累計では口座振替ベースでマイナス二百三十六万件、こういうことになりますね。これを金額ベースで見ますと、九月までの半年で予算に対してマイナス二百三十四億円、一年分でいうならばマイナス約五百億円という見込みになるわけですね。三月の段階では、お聞きをいたしましたら、百十億円の減収見込みだと、こうおっしゃっておった。  これ、会長、率直に申し上げて、実に甘い見通しだったんではないですか。この点についてどういうふうに御認識なさっていますか。
  140. 橋本元一

    参考人橋本元一君) 実際に予算をつくる段階の、我々、その後に発生する見込み、この乖離が大きかったという点については大変重く受け止めております。したがって、今この点についていかに回復するかというところに努力を傾注しているところでございます。
  141. 又市征治

    ○又市征治君 そこで、私、三月の段階で、そのときには百十億円だと、こうおっしゃった。それでも巨額の金ですよね。したがって、これをカバーするには、支出面で今や最大の経費になっている地上デジタル予算の執行について、これは少し繰延べをするなどという努力を払うべきではないのか、こう三月の段階で申し上げました。今ほど申し上げたように、現実の減収予測は年度当初の約五倍にも上っている、こういう現状にあるわけですね。  この地上デジタル予算を見てみますと三百四十四億五千万円で、建設予算七百八十九億円の四四%を占めていますね。この減収状況の中で、地上デジタルをあくまで進めるために、これを最優先をしていくとすれば、結局、老朽化をした地方の放送局の改築であるとか設備更新などというものを、犠牲になったり、あるいはこの新生プランの中にもちょっと載っておりますけれども、この受信料の法的手段に何とか頼ろうという格好になってみたり、機械的に職員の一〇%削減といったこういう縮小主義が出てくるんではないか、大変懸念をするわけです。  それこそ放送の世界において、何でも下請をして、丸投げで放映するといった無責任な制作体制がやらせ番組であるとか人権侵害の番組を生んでいる、こういうのは残念ながら民放で幾つか見聞きするわけであります。  改めて、この削減の優先順位について、当然、もちろん総務省との詰めもやった上で地上デジタル事業というのは考えられてきていることは承知していますけれども、改めてこの点について、少しでも繰延べをしていくことなどを含めて、こうした大幅な減収という状況の中でこういうことについて検討をされたことがあるのかどうか、この点について改めてお聞きをいたします。
  142. 橋本元一

    参考人橋本元一君) 地上デジタルに向けての御指摘でございますが、やはりもう日本のみならず世界全体として新しい通信と放送の融合、新しい先端的な技術をいかに国民生活の中に還元するかという全体的な傾向の中で、やはりこれは我々、国策と一緒になってやはりこの放送メディアというものも新しい世界に脱皮しなければいけないと考えております。そうすることによって、このメリットを、新しい先端技術のメリットというものを国民の方々に享受していただくということは大変必要かと思います。  そういう中で、やはり建設費、これは事業費と建設費と実際の費目というものは処理の仕方違いますけれども、建設費で相当の部分、地上デジタル経費を掛けるということは、正に新しい時代に向けての選択と集中ということでやっております。従来の設備については、できるだけ延命、補修を加えていくというふうなことで対処してまいりたいと思います。
  143. 又市征治

    ○又市征治君 私は、地上デジタル必要ないなんということを言っているつもりは全くありません。問題は、さあこの中で、支出面で今や最大の経費になっているわけでしょう、そうすると、ここのところを少し繰延べするなど何らかの方策が、総務省などとも相談をし、何とかこれを、もちろんほかの民放の皆さんもおいでになりますよね、そんなことに対しての御努力をなさってきたのかどうか、このことについてどのようにお考えなのかということを聞いているわけですよ。
  144. 橋本元一

    参考人橋本元一君) やはりこの地上テレビジョン放送のデジタル化ということはNHKだけで進められることではございませんので、民放さんの方ともやはり共同建設ほかいろいろ具体的な展開に、普及に向けての行動計画と、これはもうオールジャパンとしての行動計画の中で進めているものでございます。
  145. 又市征治

    ○又市征治君 これは見解を異にしますが、いずれにしましても、そのことが先ほど申し上げたような、機械的に、それを優先しなきゃいけない一番大きな支出だと、だから職員は切りましょう、あるいは事業はもっと丸投げをしましょうみたいな格好になったり、設備などのそうした更新を遅らすなどということにつながりはしないか、ここのところを大変心配しているわけであって、その点は一体全体どのようにカバーをなさっていくおつもりですか。
  146. 衣奈丈二

    参考人衣奈丈二君) お答えいたします。  大幅な減収が見込まれている中で極力減収を食い止め、増収を図るということと併せて、様々な経費削減に手を掛けて放送の質を守りながら、同時に与えられた、お約束をいたしました事業計画を確実に実行すると。最大限の努力の中で責任を果たしていきたいということを続けてまいりたいと思っております。
  147. 又市征治

    ○又市征治君 全然答えになっていませんね。そういう姿勢がやっぱり問題だと思うので、私はそれ以上言いませんけれども、そんなことだったらだれだって、子供だって言えるんですよ。そんな話を聞いているんじゃありません。  本当にやはり大変な、先ほどもお話がありましたけれども、年収の八%近い減収が生まれておる、そういう状況の中で、逆に良質な放送をしっかりと提供していくというその使命を負っているのに、今こそそれがなおのこと問われているときに、それにしわ寄せが出てこないかということを心配だと、こう問うておるのに、そんなお答えじゃ答えになっていません。  次に進みます。  過日、NHKは、戦艦大和の番組を人気が高かったということで再放送されました。その番組の結論がこんなふうに言っているわけですね。大和の細部の個々の設計技術はすばらしかったが、基本戦略である大艦巨砲主義が既に時代後れだった。そのことは既に一九四一年の真珠湾でも翌年のミッドウェーでも証明済みで、大和は出番のないまま引き返し、結局最後は無謀な沖縄特攻作戦を命令されて、その沖縄にもたどり着けぬうちに乗組員三千余人の犠牲とともに撃沈されたと、こんなふうに言っているわけですね。  今の地上デジタル放送計画は、その前段階で、必要なアナログ周波数変更計画のところでまずつまずいて既に遅れを出してきました。今後さらに巨額の資金を掛けるわけですけれども、完成をしたころには陳腐化して今の新しい技術に追い越されて巨額の無駄に終わるのではないのかと、つまり、放送界の戦艦大和に終わるんではないかという専門家の声も実はあちこちあるわけです。  アナログ変換は全額総務省の持ち分なわけですけれども、本体の地上デジタル事業NHKだけで約四千億円、若干見直しで今三千八百億ぐらいですか、になっていますが、これはすべてNHKの手弁当ということになりますね。そういう意味で、NHK新生プランで再出発をおっしゃるならば、私がさっきから申し上げているように、せめて受信料拒否に見られる信用失墜あるいは減収を回復する期間、巨額の新規投資、そして視聴者財政負担というのは保留すべきではないのか。  地上デジタル事業が総務省の計画に縛られていることは承知をしているということをさっきも申し上げました。総務省と本当に詰めて、他の業者とも詰めていただいて、そういう意味では信頼回復をまず優先をして取り組んでいかないと本当の意味で国民の信頼を得ることになるのか、このことを大変心配をしている、こう申し上げているわけでありまして、改めて、会長、この点について責任者の会長から少しここら辺のところの見解をお伺いをしたい。
  148. 橋本元一

    参考人橋本元一君) おっしゃいますように、大変厳しい財政状況の中で地上デジタル投資を控えたらどうだと、繰延べといいますか……
  149. 又市征治

    ○又市征治君 繰延べね。
  150. 橋本元一

    参考人橋本元一君) 繰延べですね、繰り延べたらどうかという御意見でございます。  やはり我々、一番考えますことは、現在既にもう実効的に進んでいる中で、やはりデジタルの新しいメディアの特質というものを可能な限り視聴者の方々に格差なく享受していただきたいということから、デジタル化は繰り延べるというよりもできるだけ早く全国普及していただいて、逆にアナログ放送の方を予定どおり完了したいというふうに考えております。
  151. 又市征治

    ○又市征治君 この点は、これは議論になってしまいますからやめたいと思います。  いずれにいたしましても、NHK橋本会長以下、大変な御奮闘をされていることは私どもも承知をした上でなお、そういう意味で国民の皆さんの信頼を取り戻すために国会の場からも先ほど来、同僚共々厳しいことを申し上げているわけですが、いずれにいたしましても、事実に基づいた良質な番組を、提供を国民にしていく、このことを通じて信頼回復、そして理解を得ながら、正にそういう意味で受信契約などの回復というものを図っていく、こういう立場を堅持をされて一層努力をいただくように強く求めて、私の方からの質問を終わりたいと思います。
  152. 木村仁

    委員長木村仁君) 他に御発言もないようですから、三件に対する質疑は終局したものと認めます。  これより三件について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  153. 吉川春子

    ○吉川春子君 日本共産党を代表して、二〇〇一年度及び二〇〇二年度、二〇〇三年度の各NHK決算について反対の討論を行います。  まず、三年分の決算をまとめて短時間で審議することについて、国会自ら強い反省をしなくてはならないことを指摘しておきたいと思います。  公共放送の原点は、権力からの自律です。戦後、NHKは再出発に当たって政府からの独立、自主財政の原則を掲げました。権力からの自律なしに視聴者の立場に立つことができないことは明瞭です。  また、権力の介入を許さないためにも、国民からの受信料の適正な管理は最も重大です。しかしながら、二〇〇一年度NHK内部でいわゆる芸能プロデューサーによる不正経理が発覚しました。その不正経理額は一億九千万にも上っています。これは経費と認められないものです。NHKは、不正経理に気が付かなかったとして、二〇〇二年度、二〇〇三年度決算においても不正経理の会計処理は行われておりません。こうしたNHKの姿勢は不自然であり、隠ぺいの疑惑を払拭することができません。  一連不祥事の発覚が視聴者の不信の出発点となりました。その後発覚した戦後戦犯女性法廷、NHK教育テレビ特集番組の改編問題に対する政治介入疑惑など、NHKの対応が受信料支払拒否保留の激増を招いたことは明らかです。NHK橋本会長放送番組の政治家への事前説明はやめると明言できないようでは視聴者信頼を回復することはできません。  NHK受信料信頼と理解の下で支えられてきました。視聴者の疑惑に真っ向から取り組まないまま、新生プランでは受信料の強制的な徴収を打ち出しました。受信料支払拒否保留が増大しているにもかかわらず、根本的な反省の姿勢は見られない下で、各年度決算を私たちは認めることはできません。  以上の点を指摘し、NHK決算に反対する討論といたします。
  154. 又市征治

    ○又市征治君 社民党の又市です。  私は、社会民主党・護憲連合を代表しまして、二〇〇一年、二〇〇二年及び二〇〇三年度NHK決算の承認に反対する立場から討論をいたします。  今回の芸能部門のプロデューサーの公金横領などの不正は、会計検査院の指摘によれば一九九七年度から発生し、少なくとも二〇〇一年までで五千万円の損害が明らかにされています。また、先に引責辞職した理事者十一名が全員、NHKの関連会社等に天下っており、その際の退職金も任期二年で計九千万円に上るなど、責任の取り方は到底国民が納得できるものではありません。  NHKは今、放送開始八十年の節目に当たりますが、うち二十年は、帝国憲法の下で戦争推進、国民精神動員の道具とされてきました。戦後、国民主権と戦争放棄を定めた現憲法の下で再出発したはずです。したがって、これからは真実を伝えてほしいという国民の期待にどれだけこたえてきたかが常に問われてきましたし、問われています。しかし、戦争を反省する番組に対する与党政治家の介入騒動と番組改編問題はNHKの不偏不党・自主自律性に疑念を投げ掛けました。権力者の圧力に屈して番組放送前にその意向に沿って編集をやり直すようなことは報道機関としての自殺行為であり、厳に戒めるべきことであります。  受信料番組への国民の信頼のバロメーターと言えます。収納率の向上は、ある程度、信頼回復の結果と考えるべきであり、それが近年になく低下している今の時点で法的手段をちらつかせるのは本末転倒です。支出面でも、番組制作の質を落とすのではなく、まずは不急の設備投資である地上デジタル事業を繰り延べし、視聴者信頼回復に努めるべきです。  以上、NHKが良質な番組提供を通して国民の信頼回復に特段の努力を払われるよう強く求め、討論を終わります。
  155. 木村仁

    委員長木村仁君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより三件の採決に入ります。  まず、日本放送協会平成十三年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書について、これを是認すべきものと議決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  156. 木村仁

    委員長木村仁君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって是認すべきものと決定いたしました。  次に、日本放送協会平成十四年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書について、これを是認すべきものと議決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  157. 木村仁

    委員長木村仁君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって是認すべきものと決定いたしました。  次に、日本放送協会平成十五年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書について、これを是認すべきものと議決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  158. 木村仁

    委員長木村仁君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって是認すべきものと決定いたしました。  なお、三件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  159. 木村仁

    委員長木村仁君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  160. 木村仁

    委員長木村仁君) 行政制度公務員制度地方行財政選挙、消防、情報通信及び郵政事業等に関する調査を議題といたします。  内藤君から発言を求められておりますので、これを許します。内藤正光君。
  161. 内藤正光

    ○内藤正光君 私は、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党及び社会民主党・護憲連合の各派共同提案による日本放送協会の再生に向けた改革に関する決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     日本放送協会の再生に向けた改革に関する決議(案)  一連不祥事を契機とした日本放送協会に対する国民・視聴者の不信感はいまだ十分に解消されず、受信料の不払い・保留の増大は、公共放送の根幹をも揺るがしかねない危機となっている。  参議院総務委員会は本年三月のNHK予算の承認に当たり、信頼回復への取組を求める附帯決議を行っているが、ここに改めて、協会に対する国民・視聴者信頼を回復し、公共放送としての使命を全うできるよう、協会及び政府に対して、左記の事項についてその実現を求めるものである。  一、協会は、会長を先頭に全役職員、組織をあげて、再生・改革に向けたあらゆる方策に全力で取り組むとともに、その取組の状況を広く国民・視聴者説明し、信頼の回復に最善を尽くすこと。また、協会の全役職員は、公共放送に携わる者としての自覚を新たにするとともに、高い倫理感を確立すること。  二、九月に公表された「NHK新生プラン」については、国民・視聴者の理解を得るため、より具体的な改革の姿を早急に明示するなど、信頼回復につながるものとなるよう取り組むこと。  三、協会は、公共放送が国民・視聴者との信頼関係に基づき負担される受信料により維持運営されていることを深く認識し、公金意識の徹底を図るとともに、公平負担の観点から、公共放送の存在意義と受信料制度に対する国民の理解促進による契約の締結と収納の確保に最善を尽くすこと。これらの取組によっても公平負担の確保がなされない場合における民事手続きの活用については、国民の意見に十分配慮し慎重な検討をした上で行うこと。  四、協会は、放送の社会的影響の重大性を強く自覚し、真実に基づき、自律性、不偏不党性を確保するとともに、豊かで良質な番組放送に一層努めること。  五、デジタル放送への移行など放送を巡る環境が大きく変化する中において、引き続き協会が新しい時代の放送の担い手として先導的役割を果たすよう努めるとともに、新時代の公共放送の在り方について、広く国民の意見を聴取し、検討を進めること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  162. 木村仁

    委員長木村仁君) ただいまの内藤君提出の決議案の採決を行います。  本決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  163. 木村仁

    委員長木村仁君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、麻生総務大臣及び橋本日本放送協会会長から発言を求められておりますので、この際、これを許します。麻生総務大臣
  164. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今日のNHKを取り巻きます環境は厳しいものがあり、一日も早く国民・視聴者信頼を回復し、健全経営を確保できるよう、NHKとして最大限尽力されることを期待をいたしております。  政府といたしましても、ただいまの委員会決議につきまして、その趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。
  165. 木村仁

  166. 橋本元一

    参考人橋本元一君) 日本放送協会平成十三年度平成十四年度及び平成十五年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書につきまして、ただいま御審議、議決を賜り、厚く御礼申し上げます。  今後の業務運営につきまして、御審議の過程でいただきました御意見の趣旨を十分生かしてまいりたいと考えております。  また、ただいまの委員会決議につきましては、これを十分尊重して視聴者皆様信頼回復を速やかに果たし、デジタル時代公共放送の使命を全うしてまいりたいと考えている次第でございます。  本日は誠にありがとうございました。
  167. 木村仁

    委員長木村仁君) 本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十一分散会