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2006-01-19 第163回国会 参議院 国土交通委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年一月十九日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  十二月八日     辞任         補欠選任         松下 新平君     加藤 敏幸君  十二月九日     辞任         補欠選任         近藤 正道君     渕上 貞雄君  十二月二十六日     辞任         補欠選任         仁比 聡平君     小林美恵子君  一月十七日     辞任         補欠選任         魚住裕一郎君     西田 実仁君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         羽田雄一郎君     理 事                 伊達 忠一君                 脇  雅史君                 大江 康弘君                 山下八洲夫君                 西田 実仁君     委 員                 市川 一朗君                 太田 豊秋君                 小池 正勝君                 末松 信介君                 田村 公平君                 中島 眞人君                 藤野 公孝君                 吉田 博美君                 加藤 敏幸君                 北澤 俊美君                 佐藤 雄平君                 田名部匡省君                 前田 武志君                 山本 香苗君                 小林美恵子君                 渕上 貞雄君    国務大臣        国土交通大臣   北側 一雄君    事務局側        常任委員会専門        員        伊原江太郎君    参考人        グランドステー        ジ住吉構造偽装        問題対策委員   清水 克利君        センターワンホ        テル半田代表取        締役社長     中川 三郎君        東京工業大学名        誉教授         環境デザイン研        究所会長     仙田  満君        社団法人日本建        築士会連合会会        長        宮本 忠長君        東京構造設計事        務所協会会長   榊原 信一君        東京工業大学統        合研究院教授   和田  章君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○参考人出席要求に関する件 ○国土整備交通政策推進等に関する調査  (建築物構造計算書偽装問題に関する件)  (派遣委員の報告)  (東日本旅客鉄道株式会社羽越線における列車  脱線事故に関する件)     ─────────────
  2. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) ただいまから国土交通委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、松下新平君、魚住裕一郎君、仁比聡平君及び近藤正道君が委員辞任され、その補欠として加藤敏幸君、西田実仁君、小林美恵子君及び渕上貞雄君が選任されました。     ─────────────
  3. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事西田実仁君を指名いたします。     ─────────────
  5. 羽田雄一郎

  6. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 国土整備交通政策推進等に関する調査のうち、建築物構造計算書偽装問題に関する件を議題といたします。  本件調査のため、午前中出席いただいております参考人は、グランドステージ住吉構造偽装問題対策委員清水克利君、センターワンホテル半田代表取締役社長中川三郎君及び東京工業大学名誉教授環境デザイン研究所会長仙田満君の三名でございます。  この際、参考人方々一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、大変お忙しい中、本委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。  参考人方々から忌憚のない御意見を伺い、今後の調査参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。  本日の議事の進め方でございますが、理事会合意により、まず、清水参考人中川参考人仙田参考人の順序でお一人十五分程度意見をお述べいただき、その後、大会派順に各会派一人一巡の質疑を行った後、あらかじめ質疑者を定めず三十分程度自由に質疑を行うことといたします。  なお、御発言の際はその都度委員長の許可を得ることとなっております。  また、参考人方々の御発言は着席のままで結構でございますが、質疑者は、慣例により、起立の上発言することとしておりますので、よろしくお願いいたします。  それでは、まず清水参考人にお願いいたします。清水参考人
  8. 清水克利

    参考人清水克利君) おはようございます。  今般は、参議院国土交通委員会において意見陳述機会をいただき、ありがとうございます。また、国土交通省を始め東京都、江東区の関係各位により構造計算書偽装被害住民に対し迅速な支援策を御提示いただき、誠に感謝しております。  私ども被害住民といたしましては、行政より示された支援策を受けて可能な限り速やかに危険建築物からの退去を行い、今後は関係者との連携を一層強化しながら、危険建築物の除去並びにマンションの建て直しに向けて被害住民が一致団結していく所存でございます。  しかしながら、たとえ住民被害者であったとしても一定の経済的負担を負うべきことにつき、頭では理解しながらも、多くの被害住民にとってグランドステージ住吉からの転居後、今後に対する不安がより現実的なものとしてのし掛かっていることも事実でございます。全くの不慮的な事故的に、建築制度上の問題と相まって、被害住民の生活が破綻の危機に瀕している事態を招いております。是非、突然の住宅喪失危機にある我々被害住民に対し、最終的な問題解決に向けて御支援を賜りたくお願い申し上げます。  つきましては、我々被害住民一同は、今後の問題解決に向けて流れを円滑に進めるためにも、次のとおり当面の要望を挙げさせていただきますので、御配慮、御検討いただけますようお願い申し上げます。  一、柔軟性のある建て直しスキームを要望いたします。  被害住民合意可能な建て直し案の早期策定が、被害住民負担軽減耐震強度偽装マンション早期解体並びに公的負担軽減にも資するものと考えております。特別措置法の立法を含め積極的な対応をお願い申し上げます。今後、可能な建て直し案の策定に関連し、具体的に以下のとおり要望させていただきます。  ①建て直しマンション住宅戸数が最大化できること。  各種形態制限緩和手法容積率、建ぺい率、斜線規制日影規制等緩和適用が最大限受けられるよう御検討いただきます。これに伴い、被害住民に協力を求められること、例えば公開空地公共施設整備等について専門的な御助言をいただきますようお願い申し上げます。  ②各種助成を複合的かつ立体的に活用できること。  市街地再開発事業優良建築物等整備事業都市再生住宅制度住宅金融公庫都市居住再生融資マンション建て替え事業に係る税制特別措置等の活用を含め各種助成制度が併用できるよう御検討いただきたい。  ③建て直し事業主体及び事業委託先については選択肢提供を柔軟にお願いしたい。  効率的かつ機動的な事業の実施のため、同時に最も住民合意を得やすい建て直しプランを提供していただきたいため、事業主体及び事業委託先については、都市再生機構だけに限らず民間ディベロッパーも含めた幅広い選択肢が得られるよう御検討いただきたい。また、民間による事業主体を選んだ場合でも、共用部分に関する建設費用助成は等しく対象要件としていただきたい。  なお、都市再生機構委託先とした場合と比較し、民間に依頼して建て直した方が住民負担が軽くなる可能性もあることを申し添えさせていただきます。  この部分共用部分ということを申し述べました点についても、別紙の一のとおり、一般通念上の共用部分範囲について我々の解釈しているところを文書で提出させていただいております。これについても御確認いただければ幸いと思っております。  ④長期的視野に立った助成制度が設けられること。  今回の建て直しにおいて各種形態制限緩和等適用した場合、将来老朽化した際に、一般的には三十年程度後と言われておりますが、その建て替え時には再び同じ適用を受けられないおそれが考えられます。このため、建て替え後のマンションには通常より高い耐震性耐久性を確保する必要があり、このような建築物建設される場合の支援制度についても御検討いただきますようお願い申し上げます。  ⑤住宅ローン等、建て直しに係る融資が円滑に進められること。  建て直し後に被害住民追加負担が発生した場合、既存住宅ローン残高を含め特別条件での融資が実行され、既存住宅ローンの借入れに影響を与えぬよう、追加担保問題等が発生しないよう、住宅金融公庫等にて一元化することも御検討いただきたい。できれば、再建策の中で二重ローンにならないような方策を議員の皆様に御検討いただければ幸いと思っております。  ⑥建て直し等に必要となる一時金、建設時の施工費支払等ですが、それが被害住民負担にならないこと。  ⑦建て替え事業における土地の買取りは市価等を反映した適切な価額によること。  ⑧被害住民の多様な事情が配慮されること。  被害住民は、三世代同居や家族の介護など各世帯の多様な事情により、バリアフリーである程度専有面積を確保できるグランドステージ住吉を購入したという背景がございます。このため、グランドステージ住吉において建て直しに向けた全被害住民合意形成を行っていく上で別紙二の要件を満たしていくことが重要と考えております。  別紙二、被害住民合意形成に必要な要件をここで述べさせていただきたいと思います。  ①権利変換を円滑に進めるため、従前の各住戸専有面積は、従後も権利床として同面積を確保する。②権利変換を円滑に進めるため、各住戸配置従前配置から変更がないようにする。③建て直しに掛かる被害住民追加負担は最小化されるように検討する。④建物取壊しに先立って、事業計画概略、完成までの工程、建物の概要、資金計画等被害住民に対して事前に御提示いただき、合意を得た上で進めていただく。  ⑨その他。  マンション解体に際し、建て直しに支障がないよう、基礎くいは十分な調査を行っていただき、建て直しに不要なくいは解体時に併せて撤去いただけますよう御検討いただきたいと思っております。また、解体時に売却が可能な発生材については、被害住民負担となる専有部及び共用部建設費用に充当していただければ有り難いと思っております。  二、支援要件緩和を要望いたします。  ①住宅ローン控除が来年以降も適用されること。  住宅ローン控除について、平成十七年の所得税申告において、平成十七年十二月三十一日に構造偽装問題マンションに居住していなくても居住しているとみなすという居住要件実質緩和適用されようとしております。しかしながら、建て替え期間中は居住要件を満たしておらず、適用は難しいという見解を受けております。しかし、今次居住地の移転が被害住民の意思によるものではなく、仮住居に住んでいる事実を勘案し、平成十七年適用開始分住宅ローン控除について来年以降も継続して適用できるよう御検討いただけますようお願い申し上げます。  ②雑損控除若しくは災害減免法適用されること。  支援策において現行税制上の措置として、雑損控除若しくは災害減免法による所得税軽減免除適用されることとなっています。平成十七年の雑損控除申告時には雑損失金額確定しておらず、また、ヒューザー土地販売価格設定手法に係る混乱により、建物部分雑損失金額確定まで時間を要する可能性があります。そこで、平成十七年分の確定申告減額更正である更正請求の期限、通常は一年の延長を御検討いただけますようお願い申し上げます。なお、ヒューザー物件販売価格については、土地建物価額が適正に配分されていないと言われており、これが雑損控除金額の算定のみならず建て直しの際の土地譲渡契約にも影響が及ぶことを踏まえつつ、土地価額の評価は市価も含め現実的な検討をお願い申し上げます。  法的手続を含む被害住民の自発的な行動被害住民支援矮小化理由にならないことを確認いたしたい。  政府が被害住民に代わって売主等に金銭的な賠償を求めるとの一部報道がなされている中、被害住民の自発的な法的手続住民支援スキームを阻害するという考え方もあります。売主等に対する被害住民法的手続住民支援スキームを阻害しないこと、また被害住民行動をもって支援矮小化理由にならないことを確認したく存じます。なお、仮にも被害住民行動住民支援スキームを阻害するのであれば、速やかに被害住民に対し御説明いただきますようお願い申し上げます。  ここで、別紙三にありますとおり、ヒューザーに対する破産申立て考え方について述べさせていただきます。  被害住民は、売主たるヒューザー破産申立てを積極的に検討しております。売主瑕疵担保責任履行に関連し、損害賠償請求を行うべきとの意見がありますが、これはマンションを購入したばかりの被害住民にとって許容し難いほどの費用と時間が掛かります。被害住民の許容可能な費用範囲内で行えるのが破産申立てとの結論に至っております。  具体的な破産申立て理由は以下のとおりです。  一、ヒューザーから実現可能性のある補償方針が示されないこと、二、ヒューザー補償能力に疑問があること、三、ヒューザーが既に実質的に破綻しており、破産法支払停止状態にあると考えられること、四、早期に資産を保全する必要があること、五、債権者間の平等を確保する必要があること。  四、検査済証イーホームズ株式会社)の説明を求めます。  グランドステージ住吉イーホームズ株式会社検査済証に基づき建設されております。実際には建築基準法に適合しているとは言えない建築物を適合として判断した検査機関がいまだに事業を継続できている理由について、イーホームズ株式会社及び国土交通省説明すべきであると考えております。  五、円滑な情報提供を要望いたします。  今次被害住民に対する支援策は、一、危険マンションからの被害住民の早急な退去、二、危険マンションの速やかな取壊し、三、危険マンション建て替えの三つの支援策が一体となって決定されております。一から三の個々の支援策については各々説明等をいただいておりますが、依然として不明な部分もあります。支援策を総合的に俯瞰して対応をするという視点が見えてきておりません。被害住民負担並びに公的負担極小化を図るという観点からも、全体的に俯瞰して対応いただくようお願い申し上げます。  最後に、被害住民の中には、ヒューザー木村建設施工実績財務内容調査し、中には数十万もの負担をして一級建築士設計調査を依頼した被害住民もおります。ヒューザー木村建設も、グランドステージ住吉物件の問題であれば瑕疵担保責任履行は可能であったと推測しております。今回、我々被害住民を苦しめているのは、何年にもわたり違法な建築物が同じ業者の中で何件も建設されることを防ぐことができなかったという法制度の問題でもあると理解しております。このような観点を御考慮いただき、被害住民の救済並びに今後の防御策について御検討いただきますようお願い申し上げます。  ありがとうございました。
  9. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) どうもありがとうございました。  次に、中川参考人にお願いいたします。中川参考人
  10. 中川三郎

    参考人中川三郎君) センターワンホテル半田中川と申します。よろしくお願いいたします。  また、本日はこのような機会を与えていただき、お礼申し上げます。私、このような場所は初めてでございますので、不手際等あるかと思います。お許しをお願いいたします。  まずもって、意見陳述要旨に基づいてお話しさせていただきます。  私どもは元々製造業を営んでおりました。そんな中、知多半田駅前開発整理事業に掛かりまして事業転換をするという形を考えざるを得ない状況になり、そんな中、地元のいろいろな建設業の方に提案をしていただきました。その中にはマンション駐車場等いろいろあったのでございますが、駅前の再開発としては少し見合わないかということと事業性に乏しいということで考えておりましたところ、地元の一建設業者の方からビジネスホテルはという提案が出されました。  そんな中、ビジネスホテルというものは、人をたくさんお呼びできれば、私どもの力でお客さんをたくさん集めることができれば町に少しでも貢献でき、駅前活性化にはなるのではないかと思い、そのお話をもう少しお聞きをしたいとその建設業の方にお聞きをしましたところ、総合経営研究所というところを知っているので、そこを御紹介申し上げますという形で進んでまいりました。  初めに総合経営研究所内河所長さんとお会いしたのは平成十三年の六月ぐらいだったと思います。初めてお会いしたときに既に市場調査事業計画書、すべてでき上がっておりました。また、お話の中に、既にその当時で二百本近くのホテル建設し、一本も営業不振には陥っていないというお話もお聞きしました。そのお話の中で、このように立地から設計建築施工まで、そしてホテルノウハウまですべてきちっとした形でお教えしますので安心してお任せいただきたいというお話でしたので、私としては安心をしてお任せをする方向で進んでいく形となりました。  その中で、岡崎と和歌山だと思いましたけれども内河所長御同行の下、ホテルを御案内していただき、事業転換をされた方の例、御自身で経営をされている例を現実にオーナーの方から伺いまして、これなら私でもできると判断をいたしまして、ビジネスホテル業という形に事業転換をさせていただきました。  オープンして半年ぐらいはお付き合いをさせていただいたんですけれども、あるとき地元の銀行から、おたく様をコンサルされたコンサルタント会社が同じ地域でホテルをリサーチしてみえますということを伺いましたので、直ちに内河所長の方へ御連絡申し上げたところ、お答えは、ビジネスの世界だからあなたには関係ないというお答えでした。お金のためなら何でもされるのかなという感じは受けました。それはうわさでは聞いていたんですけれどもビジネスホテルを建てた以上、競合に気を付けろよと、全国展開をしている競合ではなく、総合経営研究所に気を付けろということは聞いておりましたが、それが事実であったのには愕然とはいたしましたけれども、何と申しましょうか、そういう会社だなということで、私のできる範囲の限りでその件に関しては阻止はしました。それ以降、一切の総研さんとのお付き合いはなくなったわけでございます。  そんな中、私どもは、建築確認制度というのは、私たちの命を守り、お客様の命を守る建物の一番のベースのことだと私は考えております。その制度が国が定めたきちっとした制度であり、当然きちっとした審査がされているものと私は信じておりました。また、私ども検査機関確認機関愛知県でありますから、なおさら信じていたわけでございますが、十二月四日ですかね、一番最初愛知県様の発表から、偽造ありという連絡を受けました。確かに、偽造があったことは私どもも調べて分かりましたけれども、ただ、指定ソフト認可ソフトというんですか、そのSS1とかSS2の中に、詳細は私は専門家ではないので詳しくは分かりませんけれども、調べていただいたところ、コンピューターデータに入力しなくても分かると。簡単に申し上げれば、構造設計書というのを提出して、その中に図面構造計算書というのがあります。その図面構造計算の数値が目で見て分かる、そういうのも巧妙で悪質であるという一言で片付けられております。何を信じていいのか、ちょっと今は分からない状態でございます。  一番最初に私がその偽造ということに気付いた点ですけれども、まずもって、十一月の十九日ぐらいだったと思います、テレビ等マンション方々の映像が映ったときに、建物形態を見させていただいたところ、これは私どもも危ないなと感じました。  それは、私もいろんなホテルを、総研さんのホテルを見学させていただいた中、造り、タイルが入るはりがまさしく一緒でありますので、これは疑って掛かった方がいいということで、翌日、十一月二十日になりますかね、構造計算書をロッカーより取り出してみると、構造計算書部分姉歯設計事務所とありました。すぐ、二十日が日曜日でございましたので、二十一日の日に愛知知多事務所の方へ持っていきますと、今回お越しの理由は何でしょうかと言われるわけです。いや、ということで構造計算書姉歯氏のところを見せましたら少し顔が変わられて、いや、この件については今本庁の方から依頼が来たところなので対応の仕方が分からないということで、その場で三時間近く待たされました。  待たされてようやくその構造計算書を預かっていただき、私どもとしては心配ですので、二日ぐらい待った後、二十四日にもう一度事務所の方へお伺いしたところ、全くこういう言い方で、今朝、本庁の方へ構造計算書を持ってくるように言われたところであると。そうなりますと、その間何もやっていただけなかったということです。それでも、そのときに、翌日ですか、コピーができたので取りに来いというお話でしたので、取りに伺って、大体いつぐらいに教えていただけるんですかと申し上げましたところ、まだ未定であるというお答えでしたので、私ども独自で十一月二十九日の日に構造計算書を自社へ出し、十二月の一日、深夜ではありましたが、構造偽造がありということでございました。まさしく深夜でございましたので、お客様に御迷惑が掛かるということで、翌日より自主休業に入らせていただきました。  結果的に、先ほども申しましたように、十二月の四日に県の方より偽造ありという連絡愛知県庁伊藤主幹からございました。ただそれだけです。例えば、数字等について、補強等について教えていただけるのですかとお伺いしたところ、後日お教えしますというお答えでしたので待ちました。十二月八日に持ってこられたお答えはただの二か所の数字だけ、どこをどう補強するかとそういう指導もなく、何もございませんでした。また、初めて十二月二十八日の日に当ホテル伊藤主幹と山川さんがお見えになりましたけれども、そのときでも一切指導というものはなく、過失はないとおっしゃいました。そんな中、また一月六日の日にあえて、この一番最後に添付してあります十一というところにあるんですけれども、これ十二月二十一日付けの要は愛知県の案なんですけれども、促進法が使えるような案を持ってこられたわけです。なぜ十二月二十八日の時点でお教えいただけなかったのかとお聞きをしましたところ、黙られるだけでした。要は、これを知らないで解体と踏み切られては困るという意味合いだったみたいです。  余り時間ございませんので。私どもとしては、国や検査した行政側に対して、自分たちには一切の責任がないと発言されるのはどうなんでしょうかと。建築確認制度運用の実態を調査していただきたい。建築確認制度は我が国の建築行政の根幹たる制度ではないでしょうか。その制度運用で行政が果たすべき役割を果たさない結果、建物を取り壊さざるを得ない。それはもちろん、被害に遭われたマンションの方たちと私たちホテル事業者と同じではないんでしょうか。現に、公的資金をマンションの方たちには使われていると思います。そんな中、考えてみましても、国として過ちを認めているというように私は思います。行政の作用が直接及んでいることから、天災や災害被害とか、全くの民民の取引上の問題ではないはずです。何らかの損害に対する補償制度を考えていただきたいと思います。  私はホテル被害者の代表ではありませんが、立場は皆同じだと思います。早急なる補償を再度お願いをして、意見陳述を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  11. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) どうもありがとうございました。  次に、仙田参考人にお願いをいたします。仙田参考人
  12. 仙田満

    参考人仙田満君) 仙田でございます。  一枚紙のレジュメを、皆様方のお手元にあると思いますが、私、そこに書いてある肩書以外に、二〇〇一年から二〇〇三年まで建築学会の会長をしておりました。現在、家協会の副会長もしております。  本日は、学術的な立場からこの姉歯事件の問題について述べさしていただきます。この機会をいただきましたことに、大変光栄に思っております。  今回の姉歯建築士による耐震偽装事件は、建築士としての倫理観が欠如した極めて特殊な犯罪であるというふうに思うんでありますが、その犯罪を生み出した社会的な背景あるいは日本の建築関連の社会システムの弱さというところについてお話しし、学会は建築関連の社会システムの劣化という認識の下で、二〇〇〇年から特別委員会をつくって研究し、社会的に発信してきましたが、そういうような成果を踏まえてお話ししてみたいというふうに思っております。  その問題点は、そこに書いてございますように六つの点でございます。  まず一つに、日本の建築、都市は二十世紀の戦後の量的な拡大から二十一世紀、質的な向上へ転換すべきところでございますが、今回の事件は、実際には安全性よりも安さを追求した低価格、低品質の商品としての建築が造られ、その悪い結果とも言えると思うんであります。  日本の建築は、建築寿命は二十五年と言われております。これは欧米の七十五年あるいは百年に比して非常に短い、ある意味で非常に資源浪費でもあります。今後やはりこの建築、百年の建築寿命を持つ良い資産となるような建築を造るように官民併せて努力する必要があるのではないかなというふうに思うわけです。  逆説的に、この事件によって国民の皆さんも、安全性が欠けるということは要するに自らの資産を失うということを認識されたというふうに思うわけでありますが、適切なコストで美しく安全な建築というのができるわけでありますが、やはりそのためには設計だとかあるいは検査というような生産過程の上流の部分で十分なエネルギーとコストを掛ける必要があるというふうに言えると思います。  次に、今回の事件では、私ども構造設計の内容をきちっとチェックできる機会は少なくとも四回はあったと思うんですが、ことごとくある意味でノーチェックだったと。この事件はある意味で、先ほども中川さんからお話がありましたが、いわゆる企画から設計施工、監理というような部分までが非常に一体的で、ある意味では、悪い意味では、これ非常にぐるとなってこの犯罪が行われてしまったというところがあったと思うんですね。  設計者というのはやっぱり独立した存在でなければなりません。やはり建築設計というのは国民の生命と財産を守るという高い公益性があります。そのために建築士法という形で法律的にも国家認定の資格を定められているわけでありますが、そういう意味で、その公益性、独立性というところを社会システムとしても見直す必要があるというふうに思っています。  今回の事件、その設計者が施工者あるいは企画者に対して非常に隷属的な関係にありました。やはり設計者、施工者、監理者が分離して独立していくことが重要だろうというふうに思っているわけであります。この点については、日本では、世界の建築事情と違って、いわゆる設計施工一貫というのが、日本の工匠制度という古代からの流れの中で建築生産の大きな部分を担ってきていますが、非常にグローバル化し、あるいは技術が非常に高度化しているこの時代の中で、やはり日本的なシステムとして、日本だけが特異なシステムという形はいけないのではないかと。やはりきちっと設計者というものを分離独立した存在としていく必要があるのではないかと。例えば法人形態にしても、株式会社という形態設計事務所がいいのかというような問題についても、海外でももっと公益法人的な形をしているものもございます。そういうところについて検討していく必要があるというふうに思っております。  建築士法でありますが、姉歯建築士構造設計者であります。構造エンジニアでありまして、建築家ではありません。現在の日本のこの法律では、建築設計者、建築家も構造エンジニアも建築士として一体的にくくられているわけであります。そういう意味で非常にその責任が不明確になっております。  やはり、この建築士法は約五十五年前に戦後復興期にできた法律でありまして、技術者法であります。外国では建築家とエンジニアを明確に分離しています。そういう点でも、やはり建築設計者とそれから構造技術者、設備技術者と明確に分離して、そして契約あるいは図面あるいは確認、そういうものに記名捺印し、その責任を明確にしていくということが非常に重要なことではないかというふうに思っております。そして、やはりその資格を、更新制も必要です。また、継続教育、あるいは倫理教育を含む継続教育の義務化というようなものを考えていく必要があるのではないかというふうに思っております。  日本の建築士の数は約三十万と言われているんですね。正確には分からないみたいなんですけれども、非常に多い。それで、設計をできる数として一級建築士で三十万ですから、これは世界的にも非常に多いんですね。これは、日本の建築生産が戦後すごく、いわゆるGDP比率についても一五%ぐらいあった時期もありますが、非常に多かったこともありますが、やはり世界的に見ても多過ぎる。そういう意味で、量から質への転換というのは人もある意味で量から質への転換をする必要がある。そういう意味での法整備が必要というふうに思っております。  それからもう一つ、この姉歯建築士は、クライアントのプレッシャーに、生活のために偽装してしまったと、こういうふうなことを言っておりますが、ある意味で、構造設計者が犯罪を犯してしまうほど設計者の社会的な地位が低いということが問題であります。  日本のやはり設計フィーというか設計料というのは海外に比べても大変低い水準であります。この原因は、一つには、例えば公共建築なんかでも設計入札というシステムが八五%に及んでいるんですね。要するに、設計をする前にその設計料を入れて札を入れて安いところに設計者を決めるというシステムであります。こういうシステムをやっているのはほとんど日本ぐらいであります。世界じゅうほとんどありません。やはり創造性を喚起する社会システムに変えていかなければいけない。また、民間におけるいわゆるサービス設計というのがあります。こういうのも非常に問題。要するに、設計という契約をきちっと独立した契約としてすべきであります。  これから日本は、アイデアだとかデザインだとか、そういうところで美しく安全な建築、都市をつくっていかなければいけません。そういう意味では、設計にもっとコストとエネルギーを掛けるということが必要かというふうに思っております。  あと、検査機関の問題についてお話しいたしますが、ここにもありますように、検査機関もいわゆる公正性、中立性、公益性が非常に重要であります。そういう意味では、検査機関も株式会社という法人形態が適当なのかという問題も検討する必要があるというふうに思います。  そして、最後に保険制度整備でありますが、今回、大変最終ユーザーに損害が掛かりました。多大な損失を与えてしまっているわけであります。そういう点ではやはり、日本ではこの保険制度というのがなかなか整備されておりません。例えば建築設計あるいは建築工事についても保険を充実さして、設計契約なんかであってもやはり保険に入っているということが前提となるような仕組みでなければいけないというふうに思っております。  この保険の先進国はアメリカでありますが、アメリカの場合には、住宅の例えばローンの場合、金融機関ですね、この金融機関もその対象物件に対する厳しい審査をします。また、保険会社も形だけでなくて、要するに建築そのものに対して、設計の内容だとかそういうものに対して大変厳しい審査をして、要するにその保険会社とかあるいは金融機関がリスクを負うというような形になっています。  少し日本の、この、何というんでしょうか、事件は、まあ技術者の倫理というものが極めて大きい問題で、これについては教育の問題も非常に重要だと思いますが、あわせて、日本の建設関係の社会システムを見直すきっかけであったと思います。  御清聴ありがとうございました。
  13. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) ありがとうございました。  以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。  これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  14. 伊達忠一

    ○伊達忠一君 おはようございます。自由民主党の伊達忠一でございます。  まずもって、今日、大変お忙しい中、お三方にこの委員会にお越しをいただきましたことに私からも心からお礼申し上げたいと存じますし、特にお二方、マンションの被害に遭われて代表されてこられた清水さん、それからホテル経営関係中川社長には本当にもうお気の毒と言うほかございませんが、心からお見舞いを申し上げたいと、こう思っております。  これは恐らく、国民の皆さん方が、えっ、本当にこんなことあるのというほどで、当初は信じられなかったぐらいの驚きだったろうと、こう実は思っているんです。小泉総理も、昨年、国民の皆さん方に、BSEの発生以来、安心、安全ということを随分唱えてまいりましたし、そんなことから我々もそういう面には大変力も入れてまいりました。そして、治安の問題にも警察官を増やして対応していこうというのが今、現にやっているところでございますが。  しかし、皆さん方、疲れ切って本当に家に帰って安らぎを求めようとする、その家が、とてもじゃないけれども、地震が来たら壊れてしまうというような家だったなんということは、これは到底許されない、その心情も本当に察するに余りあるような私も感じがいたします。  そんなことから、その辺の問題については衆議院で毎日のように今やっている、今日もやっております。もう徹底的に我々もやっていただきたいと、こう思っているわけでございますが、今日は、参議院においてはむしろその逆の、反対側の被害に遭われた方たちに我々何をやってあげれるかと、一日でも早く今日要望いただいたことを一つでも早くやってあげようという立場から今日はお越しいただいたということで、応援団の一人だというふうに思っていただいて御理解をいただきたいと、こう思いますし、こういうことが二度と起きてはならないわけでございまして、そのためにはどうしたらいいかということで先生方にも今日は、仙田先生にもおいでをいただいて、今るるお話をいただいたわけでございますが。  そこで、マンションの代表の清水さんにちょっと一つお聞きしたいんですが、やっぱり買うということになると、マンションでも土地でも、その一生、普通のサラリーマンですと一生に一度の買物だと、こう思っており、まあ金がある人は二つも三つも一生の間に買うでしょうけど。そうするときに、大概、比較をしたり検討するということが普通あります。ああ、あの隣の地域のマンションが八千万だったんだとかといういろんな話だとか情報を集めると思うんですが、この販売している人に聞くと、三割程度実は安いんだということ、だから飛び付いたということも実はあると思うんですが。まあそんなことから、実は検討したり、若しくはその情報が、買ってから、友達に、やあ移ったのか、いや買ったんだと。いや、だけど、そんな一千万、五千万の三割といったら一千五百万安いわけですからそれはもう非常に魅力あると思うんですが、だけど、おいというようなことで、いや入ってみて聞いたら、友達が設計屋がいて聞いたら、いや実は手抜きで、おい危ないとよというような、そんなような、今組合つくられていろいろとあれしているんでしょうけど、買う前に情報は聞いたというような人だとか、買ってから、入ってからすぐ聞いたというような人がおられたのかどうか、その辺ちょっとお聞きをしたい、清水さんを含めて。
  15. 清水克利

    参考人清水克利君) 本物件を購入するに当たって、我々住民の中ではヒューザー木村建設について信用調査をした住民もおりますし、中には四十万円弱のお金を掛けて一級建築士設計調査を依頼した人たちもおります。  そういったことで、我々はできる範囲のことはしたと思っておりますし、今先生御指摘の安いんではないかということについては、この物件、いろんなものがオプションとなっております、床暖房、浴室乾燥、食器洗い機等。まあ、通常売っているマンションでは今では標準装備と言われているものがオプション価格になっております。このオプション価格を入れて計算すると、坪単価、決して安い買物ではないと、近隣比較をしても決して安い買物ではないという客観的な事実もございます。  そういう意味では、我々は分かる範囲でできる限りのことをして購入したというふうな理解をしておりまして、もし構造計算まで、いわゆる建築確認まで疑って買わなきゃいけないということを我々市民に求めるというのは、これは私は無理だと判断しております。その点を深く御検討いただいて、今後の御対処をお願いしたいと思っております。  以上でございます。
  16. 伊達忠一

    ○伊達忠一君 いや、おっしゃるとおりだと思います。構造計算までというようなこと、例えばそれを見せられても素人というのは恐らく分からないと、こう思うんです。ですけども、やっぱりこういうお互いの、やっぱりそういう何というか情報というものは恐らく私は普通はあるのかなと、また不審がって一生懸命調べるという人もいるんでしょうが。これは起きてしまったことで仕方がないんで、我々も何とかしてあげようと、こう思うんですが。  そんなことから、先ほどこの要望書もいただきまして、拝見もさせていただきました。先ほど申し上げたように、私ども応援団として、やっぱり二度と繰り返してはならない、そして皆さん方の一日でも早くこの要望を満たしてあげようということからなんですが、これはちょっと踏み込み過ぎるかもしれませんけど、前の委員会でもちょっと話出たんですが、金融機関もそれなりの担保の審査をしているわけですから、私は責任を少し持たした方がいいじゃないかという、正直言ってそのぐらいの見方を我々はしてあげたいという気持ちで、これは清水さんに言うことじゃございませんけど、我々が金融機関に言わなきゃならないんですが、そんなことから、そのぐらいの気持ちさえ持って同情しているということをまず御理解をいただきたいと、こう思うんですが。  それと、税制ですとかいろんなことについては、国土交通省も一生懸命、もう北側大臣先頭にやっております。それから、いろんなこの特別立法の問題につきましても検討しておりますし、我が党においてもプロジェクト、それから与党においてもプロジェクトをつくりまして、いわゆる我が党などは耐震の偽装による被害者住民のための緊急情報機構を設立して、そういう清水さんたちの被害者に対して対応していきたいというふうなことで、もう幾つもにもまとめて実は提言をしておりまして、国土省の方にも出してございますし、これは庁内、庁、省だけではなくて第三者機関というものも含めて調査すべきだということで、その委員会も大臣の諮問機関につくらせて、和田先生という、お昼からおいでになりますが、その先生なんかもお入りになってやってございまして、いろいろとやってあげていると、こう思うんですが。  そんなことから、実は、一生懸命御苦労されて、この一つの各種形態規制緩和手法というんですか、これ私も聞いたことはあるんですけれども、実際今回この要望を出されてちょっと検討してみたんですが、これは非常に難しい問題だけれども、こういうものも私はどんどんどんどんやっぱり活用していくべきだろうというふうに国交省の方にも私どもも働き掛けていきたいと思っております。  これは地方自治が主体となって、それと今、要するに都市再生機構というのあるんですが、これは住宅、機構だとか何か三団体ぐらい一緒になってできた独立行政法人なんですが、これは住宅の専門ですから、そういうすきを、すきを突くといったらおかしいけれども、そういうことをその自治体と打ち合わせてやるにはもうプロだと、私はこう思っております。国の方からもそういう機構に対してもできる限りのことを、地域の住民に対しても非常に理解がこの場合は私は必要でないかなと、こう思うんですが、そのことによって二階でも三階でも増えれば皆さん方は非常に経済的に軽減されるわけですけれども、日照権の隣の人の問題だとか何かもあると思いますし、こういう問題も積極的に私どもは是非さしていただきたい、そのことを国交省からもどんどんどんどん私どもも働きを掛けさせてもらいたいと、こう思っておりますし、後の方のページで、こういう法的な手続の問題の、速やかに被害者説明してくれと、これはもう私どもも絶対役所からやらせようと、こう思っております。  それと、このイーホームズが何でいまだかつてまだ事業をやっているんだということも、これも確かにおっしゃるとおりで、これも今抜かりのないようにきちっと調査に入ってまして、訴訟を起こされないようにきちっとあらゆる面から判断をしてそれなりの措置をするということで、ただ、そういう過程を被害者の皆さん方に説明をされてなかったということで、これもきちっとさせます。もうそれは私ども役所に言ってさせたいと、こう思っておりますし、ヒューザー、これはちょっと我々説明できる、昨日の証人喚問を見てもとてもじゃないけれども手に負えるようなことではございませんで、これは司法に任せてきちっとやっぱりやってもらおうと、実はこう思っております。  そんなことから、是非、一日でも私どもが早く地方自治体に働き掛け、また理解をしてもらってやっていこうというようなことを我々はやりたいと思います。東京都なんかも今朝のホームページ見ますと、石原知事も随分柔軟な姿勢になって、国の、都の、地方の負担分については理解をしてきているようでございますし、どんどんどんどんそういう接触はさして、そして地方自治でもやっぱり何というかこの建て替えに協力したいというところあるんだそうです。ですけれども、財政的にも支援した場合に住民訴訟を起こされないかというような、監査請求が起こされないか心配している。よくあのオンブズマンの皆さん方があちこちでやっていますけれども、そんなことも警戒しながら、そういう協力できる環境というものを国がいち早く地方自治と一生懸命努力しながらやっていきたいと、こう思っておりますので御理解をいただきたいと、こう思っております。  十五分という我々時間なものですから非常に時間がなくて申し訳ないんですが、そんなことでマンションの皆さん方には御理解をいただきたいと思いますし、ホテル中川社長さん、本当に気の毒だと、こう思っております。  それで、まず経過については分かりました。例えば、これは地元のS工務店さんがやられたんでしょうけど、こんなことはもう手抜きだったということは分かって工事やられたということは考えられませんか。
  17. 中川三郎

    参考人中川三郎君) 私は建築業界の人間ではないものですからその点についてはお答えはできないんですけども、今の段階で、私ども施工した沢田工務店は私どもへの最大の再建協力をしていただいております。  そんな中ですので、あえてその点に関しては今のところ私としては触れるつもりはございません。
  18. 伊達忠一

    ○伊達忠一君 なるほど。  経過を聞くと、地元業者ですし、やっぱり信じて任せてということで判断をしていかなきゃならぬと、こう思うんですが、ちょっとやはりホテルということになりますと、ちょっとやっぱり、先ほど社長もおっしゃったように、マンション経営とはちょっと違うという感じがするものですから、完全な民民という形の中でこれは解決を努力していかなきゃならぬ問題なんだろうなということを思いますし、我々も一生懸命それについては応援をしたい、自民党としてもいろんなプロジェクトつくってやっていますので、応援をしたいと、こう思っております。  それから、仙田先生にお聞きをしたいんですが、先生がお話をされておられました。このことは要するにモラルの問題だろうと、こう思うんですが、いわゆる安全性よりも経済性を先に追求したということがこの結果を招いたと、こう思いますし、そうなりますと人の命なんというのは二の次なんだなということになってしまうわけで、恐ろしい設計屋さんが出てくるもんだなということを正直言って私ども思っております。  そんなことから、制度の問題だとか何かもいろいろ先ほどお話しされておりましたが、これも私素人なんですけど、前よく聞いたんですが、日本だけだと、この設計から施工から全部一貫してやっているのはね。こういうところに、自分の会社設計して監理して施工して、これはチェックなんというのはできるもんじゃないと私どもも正直言って思っております。そんなことから、今外国の例を先生がお話をされておりましたが、外国ではこれは分離されているんだということなんです。  これ、なぜ今まで、私ども素人でさえ大分前から聞いているのは、これが業界の中で、日本の中でできなかったんでしょうか。ちょっとお聞かせを。
  19. 仙田満

    参考人仙田満君) それは、先ほどもお話ししましたとおり、日本のこの設計施工一貫体制については歴史的な経過がございます。  ヨーロッパの場合には、ルネサンスの時代からいわゆる建築家とビルダーというのは完全に分かれていたわけですけれども、日本の場合には古代からかなり設計施工という形で工匠制度がされてまいりました。それが現代でも続いてきて、やはりその中で非常に高い技術を持っているもちろん建設会社もあるわけですね、設計施工と。ですが、全体としては、やはりそこにいわゆる建設業全体としてはかなりそういう部分は適応できない部分も非常に出てきているのではないか。その中で、やはり設計という部分については、より独立性あるいは公益性というものを追求するような形のやはり枠組みが必要ではないかなというふうに思っておるんですけれども
  20. 伊達忠一

    ○伊達忠一君 このことについては、また昼からいろいろと先生方来ますんで、お聞かせいただきたいと、こう思います。  時間でございますので、終わらせていただきます。
  21. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 民主党・新緑風会の加藤敏幸でございます。  本日は、三名の参考人の皆さん方、本当にありがとうございます。  被害住民の皆さん方に対する救済策、何ができるのか、何をすべきか、そのことを含めて、また、今後、このようなことが起こらないためには何をすべきか、国会、議会として真剣に考えるべきことはたくさんあると、このように思っておりますので、よろしくお願いをしたいと思います。  まず初めに、清水参考人にお伺いをいたします。  「構造計算書偽装並びに建築制度被害住民支援に係る要望について」ということで、もう既に文書でもって私どものところに届けていただいております。  まず最初に、このタイトルに建築制度被害と、こういうタイトルをお使いになった。恐らくこのグランドステージ住吉被害住民の皆さん方が何日も何日もいろんな形で会合を重ねて、そしてこの被害は何なんだと、そういうふうなことを真剣に議論する中で恐らくこういうタイトルを見いだされたんではないかと、このように思います。  先ほど伊達委員の方からも質問がございましたけれども、住宅購入者、マンション購入者の立場としての、いわゆるそのプロセスに落ち度はないんだと。善良なる購入者として一生懸命やった、そして国民として当然のことながら自分の幸せを確保するためにこれらのことをやってきた、家族のことも考えながらやってきたと。にもかかわらず、このような被害に遭遇した。これは単に姉歯あるいは販売者であるヒューザーの問題にとどまらず、この問題の中には建築制度に大いなる瑕疵があったんではないかと、こういう御主張だと、こう思いますし、最終ページの方にも、七ページにも、我々被害住民を苦しめているのは、何年にもわたり違法な建築物が同じ業者の中で何件も建設されることを防ぐことができなかったという制度に問題があると、ここに私は主張があると思います。  また、このことをしっかりととらえていくことがこれからの救済措置の根拠をやっぱり形成していくという意味で、さらに私は、参考人のお考えなりお気持ちでもいいですから、是非ともお伺いをしたいと思います。
  22. 清水克利

    参考人清水克利君) ありがとうございます。  我々は、先ほども申し上げましたように、我々としてできることはきちんとして、それでこのマンションを購入したというふうに考えております。  まず一つとしては、ヒューザー木村建設の財務状況、信用調査、これ多くの住民がやっております。もしグランドステージ住吉一件の問題であれば、瑕疵担保責任履行は十分できたという財務状況であります。資本金も十分ありましたし、当初この偽装が起こったときは、三十億円資金がありますと、こういう説明も受けております。  七件も一度に補償しなきゃいけない、瑕疵担保責任履行しなきゃいけないという状況に陥ったこともあり、また、その後もどんどんと補償対象となる物件が発覚したことによりこのような状況に陥り、行政の方、関係各所の方、皆様にいろいろな御支援を賜らなきゃいけない状況に陥ったと考えております。  また、先ほども申し上げましたように、四十万弱という多大な、個人としては多大な費用を掛けて、しかも一級建築士に依頼して設計まで見てもらって購入した住民もございます。これ以上我々に何ができるのかというふうなことを求められても、もうこの先は制度上の問題ではないかというのが住民の理解であります。  建築確認、その中には、設計の段階や中間であったり、また完成したときにも確認を下ろすということが義務付けられているんですが、イーホームズ等の社長の話を聞きますと、そこまでやる時間もないんだと、費用もないんだというような御指摘がなされております。  そういった状況が今の日本の建設業界、建設制度の中で放置されているということ自身が法整備の矛盾というか、法整備がきちんとなされていないというような証左であると我々は考えておりますので、このような意見の陳述をさせていただいたということでございます。  あと、もう一点だけ述べさせていただきますと、我々ももちろん建築確認、適正に下ろされた書類というのを確認して購入しております。そこを、その確認済証というものが信じられないということであれば、何をもって信じていいのかというのがまるっきり分からないということでありますので、その点については先生方に御議論をいただいて、この先また我々に対する御支援含めて御検討いただければ幸いに思っております。
  23. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 ありがとうございました。  次に、中川参考人にお伺いをしたいんですけれどもお話の中でマンション購入住民の皆さん方と同じようなやっぱり私も被害者だと、そういうふうな御主張もあったと思います。もちろん、この事業を転換されていくという決断の中でビジネスホテルをされるという、こういうことでこのようなことに遭遇されたということでございますけれども、同じように建築確認という制度を信頼されて、その上でこのビジネスに入られたということでありますから、同様に中川参考人のお立場で、いわゆる最終責任をどこが取るのだということにおいて、言わば、先ほど清水参考人の方は、ヒューザーの資本金も調べたけれども、これ一件ならともかく何十件にもなった場合には瑕疵担保責任を果たし得ないヒューザーではないかということを言われましたけれども中川参考人の立場で、さらに、そこの責任の在りどころ、どこに求めるのかというお気持ちございましたらお伺いしたいと思います。
  24. 中川三郎

    参考人中川三郎君) 結論から申しますと、私は行政にあると思います。  これは確かな数字ではございませんけども、法改正が平成十年にあり、民間に発せられました。その時点で愛知県は六十人程度、削減をしております。名古屋市はほぼしてない状態でした。名古屋市は一本も偽造ホテル出てないです。愛知県の確認したところはたくさん出ております。だから、この法改正自体が間違っていたのではないかと私は思っております。
  25. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 次に、清水参考人にお伺いしますけれども、実はこの要望書の内容については十分読ましていただきましたし、私も阪神・淡路大震災のときに同様の事象も扱っておりますので、大体網羅されていると。  ただ、一つ御質問したいのは、実は、先ほど申し上げましたけれどもグランドステージ住吉被害住民として一致団結をして、最終問題解決まで、これは決して皆さん方が負担ゼロにはならない、恐らく最小、ミニマムの被害ということの、そういう結果をつくり、ゴールに達成するまで団結していかなきゃならないということをおっしゃっておられますね。実は、この問題解決のために住民の皆さん方がいろんなあつれきの中で団結をして、そして毎日毎日みんな集まって、次はどうすべきだ、行政にも要望せないかぬ、あるいは解体のために書類はどうすればいいのかと、再建のためにどうするのかという膨大なソフトウエアにかかわるエネルギーと、やっぱり時間、資金が必要だと、このように私は考えているわけですけれども、そのことに対する皆さん方自身の資金だとか要請だとか、それは全部自分たちでやり切るんだ、しかし、それぞれ仕事を抱え、家族を抱え、介護のおじいちゃん、おばあちゃん抱えているという、そういう状況の中からどうやっていくのかという辺りで、何か要望がございましたら。
  26. 清水克利

    参考人清水克利君) 既に我々、この被害が発覚してからほぼ毎日のように、夜十時、十一時、中には深夜を超えて集まっております。  その中で、一番我々として足りない知識といいますか、皆さんに御要望させていただきたいということは、新しく建て替えすることに際していろんな建築法上の制限、緩和できるところ、法制、複雑で多岐にわたっております。何がどのように適用できるのか、これ専門家じゃないと分かりませんし、法律だけを読んでみますと全く理解ができない部分があります。この辺りについては各専門家から御意見を賜りたいと思いますし、また我々が建て直しに当たって周辺の方々に協力できること、これについても、御協力できることで我々の新たな建物に対して緩和を受けられるというような規制があるのであれば、その辺りについても専門的な御助言を賜れればというふうに考えております。
  27. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 まだまだ御意見をお伺いしたいんですけれども、時間の関係がございますので、仙田参考人にお伺いをいたします。  一枚のこの資料をいただきまして、専門家のお立場から簡潔に御指摘をしていただいていますけれども、私は、ここで言われている五番目の確認検査制度整備充実、それから賠償責任保険制度の義務化という二つのことに着目をして申し上げたいんです。  まず最初に、検査料を上げと、こう言われていますよね。ただ、この検査料というものは言わば総コストの中に含まれてしまって、だから分からないんだと、こういう今状況だと思うんですけれども、この検査料というのは購入者にとってやっぱり命の綱とは言いませんけれども、本当にこれがしっかり検査がされておれば後々安心して住める。国民生活の安全、安心を確保するためにも大切な私は保障だと。これをやっぱり独立した形で、検査料そのものがしっかりと機能するということもやっぱり考えるべきことではないかと思いますけれども、この点が一つ。さらに、この検査料の問題についての御所見があればということであります。  それから、やっぱり手抜き工事の問題もあると思うんです、偽装設計の問題も。阪神・淡路のときもいろいろ議論が出たと思うんです。そして、この手抜き工事など含まれたときの、ここに賠償責任と、こうなっていますけれども、最終責任を果たすべき者がそれだけの資力を持たないという状況がここ予見される中で、この賠償責任制度と、保険をもって最終責任を貫徹しようという考え方について更にお考えをお伺いしたいというふうに思います。
  28. 仙田満

    参考人仙田満君) まず、検査料の問題であります。いわゆる検査体制、いわゆる検査確認の体制が割かし弱体なのではないかと。特に、構造計算であるとかそういうものがしっかりできる能力のある検査員がきちっと配置されているかというところについては、国交省の調査でもそういうのがいない検査機関も結構あるわけですね。  そういう中で、やはり時間と人を掛ける必要があると。そのためには今のようないわゆる安くて早くてという形の検査機関でいいのかと、やはりしっかりと人員と時間を掛けられるような体制をつくると。そのためには経費が必要だろうと。そのためには、審査料の基準そのものもやはりある意味では国からというか、あるいはそういう公的な機関でもって基準を出すべきだというふうに思います。要するに、日本のいわゆる検査機関というか、の料金が安いということは、海外と比べても安いんです。  二番目の瑕疵だとか様々な建築紛争そのものは、私は日本建築学会の最高裁との関係もある司法支援建築会議というのをやっておるわけですけれども、非常に増えているんですね。その中で、それを担保していくのはやっぱり保険制度しかないと。  私、海外でも仕事をしているんですが、中国なんかはやはり極めて例えば設計契約の中でも非常に高い保険を要求されます。また、保険に入っていないと設計契約が成り立たない、こういう形になっています。これは、中国もかなりヨーロッパ等の、アメリカ等の建築家もどんどん入っていますから、そういう中でシステムがグローバル化しています。そういう点はやはり日本も考えていかなくちゃいけないというふうに思っています。
  29. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 ありがとうございました。  終わります。
  30. 山本香苗

    ○山本香苗君 公明党の山本香苗です。  本日はお忙しい中、また大変な中、国会までお越しいただきまして誠にありがとうございます。  時間が限られておりますので早速質問に入らせていただきたいと思いますが、まず最初清水参考人に何点かお伺いをさせていただきたいと思っております。  十二月六日、支援策が国の方がまとめられました後に、あれから一か月余りたちまして、住民の皆様方、転居が始まって実際動き出してくるといろいろと課題が出てきている、そういう状況であると思います。本日いただきましたレジュメ、見させていただきましたけれども、すべて我々も重要な問題だと認識しておりますが、たくさんございます。この中であえて例えば三つ挙げるとしましたら、特にこれというものがございましたら教えていただければと思っております。
  31. 清水克利

    参考人清水克利君) 我々グランドステージ住吉住民一同は、同じ場所にマンション建て替えて戻ってきたいと真剣に思っております。  その中で、我々の負担も少なく、もちろん公的支援も少なく、また近隣の住民の迷惑も掛からない、このような形で新しい建物が建て直される、そういうことについてあらゆる方面から検討していただいて、我々住民含め皆様が納得できる形を取っていただいて建て替えがなされると、これが我々の一番望んでいることでございますので、それに向けて皆様のお知恵を拝借できれば有り難いと思っております。
  32. 山本香苗

    ○山本香苗君 総括的に今お答えいただいたわけなんですけれども、その中で、今住民の皆様方の中で破産申立ての、先ほどこういった破産申立てをするということをグランドステージ住吉の方では方針を決定されたというこの背景についてお話をいただきましたけれども、そうした中でちょっと心配しておりますのは、破産申立てができたとしても、住民に対する返ってくる、戻ってくるものは極めて少額になってしまうのではないかというような懸念を持っているわけでございますが、この点につきましては住民の皆様方のお話合いの中でどのようにお考えになっていらっしゃるのか、お伺いさせていただきたいと思います。
  33. 清水克利

    参考人清水克利君) 今までヒューザーという会社から様々な説明、幾つか提案がありました。しかし、ヒューザーの小嶋社長からは論理的な提案というものは何一つ受けてないというのが実態でございますし、言うことがころころと変わると。  そうした中、火曜日にもありましたように、弁護士も会社で雇っていると。つまり、どんどんヒューザーという会社から資金が流れていくという現実がありますので、その資金を残しておくためにも、ヒューザーという会社がこれ以上資金の流出を防ぐためにも、我々としては、破産申立てということをしなければ我々の補償に充たる資金が枯渇してしまうと、こういう結論に達し、破産申立てを積極的に検討している、こういうことでございます。
  34. 山本香苗

    ○山本香苗君 以上ですか。
  35. 清水克利

    参考人清水克利君) はい。
  36. 山本香苗

    ○山本香苗君 そういった基本的なお考えに基づいて、少額になるというようなことも御検討なされたんでしょうか。
  37. 清水克利

    参考人清水克利君) 我々に対する債権が少なく、債権に対する補償が少なくなるということについては十分検討しております。また、法律上のルールに従いますと、実際にヒューザーが借りている金融機関に先に返済される可能性が高いということも理解しております。  ただ、金融機関の方々に対して申し上げたいことは、我々被害住民が苦しんでいることを御考慮いただき、また各金融機関、史上最高益の利益を上げているというふうに聞いておりますので、その辺りも御配慮いただくことができれば有り難いというふうに考えております。
  38. 山本香苗

    ○山本香苗君 我々もしっかりその点、十分認識していきたいと思っております。  また、今後、解体また建て替え、戻ってきたいという強い意志を先ほどお述べいただきましたけれども、現在、都市再生機構が行った、試算した建て替え案みたいなものが国交省から地方自治体の方に提示されて、そうしたものが皆様方の下にも御説明なされてきつつあるところだと思うんですが、先ほどは、この都市再生機構のみならず、民間も含めた検討をしてもらいたいという御要望をいただきましたが、まず今回出されてきておりますこの都市再生機構の案というものにつきましてどういった御感想をお持ちなのか、お伺いさせていただきたいと思います。
  39. 清水克利

    参考人清水克利君) まだ江東区から正式な回答は得ておりません。  ただ、漏れ聞くところによりますと、面積が、今の居住面積が二〇%減った上に二千万円以上の自己負担が掛かるというようなお話を聞いております。正直言いまして、こういった建て直し案であれば我々住民としては負担が難しいというのが正直な感想ですので、このままの建て替え案がなされるということであれば、我々としては違う道を選ばざるを得ないというのが正直な感想でございます。
  40. 山本香苗

    ○山本香苗君 今回の偽装問題が起きましてから大変な状況に陥られていらっしゃる。そういう中で、住民にも、先ほどからいろいろお話ありましたけれども、自己責任といったことも言われているわけでございます。  当委員会におきまして北側大臣は、住民の皆様方には決して落ち度はないんだということをしっかりと明言をしているわけでございますけれども、こうしたことにつきまして、大変お話ししにくいところもあるかもしれませんが、どのようなお考えをお持ちか、お伺いさせていただきます。
  41. 清水克利

    参考人清水克利君) 本件発覚後、政府によりまして被害住民に対し迅速な支援策を御提示いただいておりますので、それは感謝申し上げます。また、支援策が公表された後に温かい御支援のお言葉もいただいております。また、逆に自己責任であるのではないかという御批判があるのも承知しております。  自己責任ということについて、少し考えているところを申し述べさせていただきます。  偽装物件の購入の責任というようなことをおっしゃられる方もいらっしゃいますが、それは先ほど申し上げましたように、建築確認まで我々に調べろということと同義ではないかというふうなことで理解しております。  また、瑕疵担保責任履行能力のない会社から買ったのではないかと。これも先ほど述べさせていただきましたように、一件の物件であればその補償能力はあるというふうな調査をして、そのような会社から購入したというふうに考えております。  また、安い物件ではないかと。これも先ほど述べさせていただきましたように、他の物件と比べて決して安いという状況にはないと考えております。  あとは、購入した責任ということで言われている部分というのもあると思います。それにつきましては、我々住民としては既に相当な負担を受けております。また、金銭的な負担も、引っ越しするだけでも出てまいりますし、建て直しに向けてまたある程度の資金負担ということを想定しないといけないという状況にあります。  これ以上の負担を自己責任ということで求めるという、もしそういうことがあるのであれば、例えば、先ほど他の先生がおっしゃっていただきましたように、融資した金融機関や保険を掛けている保険会社等についても同様のことが言えるのではないかという理解をしておりますので、その辺りも御配慮、御考慮いただいた上で御検討いただければ幸いと思っております。
  42. 山本香苗

    ○山本香苗君 次に、中川参考人の方に二点ほどお伺いをさせていただきたいと思っております。  先ほどは、総研とは半年ぐらいのお付き合いだというお話でございましたけれども、今回そういう中で、開業指導というか、そういったものは具体的にどういったことがなされていたのか、御記憶にある範囲お答え願えますでしょうか。
  43. 中川三郎

    参考人中川三郎君) 開業指導と申しますと、基本的には市場調査事業計画書最初に提示をされまして、その後契約を結びますと、進捗情報の会というので、業者さん二十名程度入れ替わり集まりまして、二週間から三週間に一度ずつ進んでまいります。その中で、家具等の選択、電話、エレベーター等の選択等が行われていき、ホテルオープン一か月ぐらい前になりますと、要はフロントへの指導ということになります。そこまでの指導です。
  44. 山本香苗

    ○山本香苗君 言ってみたら、普通のいわゆる設計からすべての部分のところで事細かく指導がなされている中で、こういった偽装というものは感じられないような状況でなされてこられたんだと思うんですけれども、昨日、ちょうどこのホテルの耐震強度構造計算書偽装事件被害ホテル連絡会というものができたというふうにお伺いされているんですが、中川社長のところはこちらの方にはお入りになっていらっしゃるんでしょうか。
  45. 中川三郎

    参考人中川三郎君) 私どもは今回は不参加とさせていただきました。内容で合致点が見られないのでですね、今の時点では、不参加で。
  46. 山本香苗

    ○山本香苗君 不参加。
  47. 中川三郎

    参考人中川三郎君) はい。
  48. 山本香苗

    ○山本香苗君 今後、国に対して何らかの補償をといった先ほどのお話ございましたけれども、そうした中でこの協議会でも要請していくということでございますので、またそうした何らかの補償ということも我々もまた細かくいろいろな御意見を伺いながら考えさせていただきたいと思っておりますが、残りの時間を仙田参考人の方にお伺いをさせていただきたいと思っております。  先ほどからお話ございましたけれども、先生のこちらの方に書いてありますところには建築士の倫理観が欠如したということがあるわけでございますけれども、なぜ今まで本当にこの偽装が見抜けなかったのかと。何が一番の原因なのかと。建築士のモラルの低下なのか、検査機関の能力の問題なのか、現行の法律に欠陥があるのか。その点につきまして、特にここなんだというお考えにつきましてお伺いをさせていただけますでしょうか。
  49. 仙田満

    参考人仙田満君) この事件が起きたときに、私としても非常に信じられない思いがしました。やはり建築設計に携わっている者としては、この法規というか、そういうところまで踏み込んでというのは考えられません。だから、そういう意味では、やはり今、国交省の方でも姉歯事件のような、似たようなのがあるかどうかという調査をされてるようですが、今のところはいないという形で、一般のやはり建築家にとっても、それから構造設計者、構造技術者にしても、多くの人は遵法というか、そういう中で日々努力していると思います。  だから、ただやはり、今のところ、そういう点では倫理観というものが非常に恐ろしく何か日本全体の設計、いわゆる構造設計者を含めた設計者、技術者が低下しているというふうには私としては思いたくないなというふうには思っていますが、ただ、やはり一つのこの事件が起きたということは、やっぱりそのベース、それを許してしまっている部分というのがあったというふうに思います。やっぱりそういう点では、先ほど話した一つのチェックの体制、独立性というものがかなめじゃないかなというふうに思っています。
  50. 山本香苗

    ○山本香苗君 最後になりますけれども、本来、今おっしゃられましたように建築士のモラルがどうであれ、いかに巧妙な偽装がなされてたとしてもちゃんと見抜けなければならないにもかかわらず、民間であれ行政であれ、検査で偽装が見抜けなかった。先ほどさっき、四回ほど、言ってみたらトンネルのような状況になってしまっていたと。こうした確認検査機関の在り方、先ほど、独立性、公正性というふうなことをおっしゃっているんですけれども、具体的にこれを担保する今の制度に欠けているところは何なのか、最後にお伺いいたしまして終わらせていただきたいと思います。
  51. 仙田満

    参考人仙田満君) 要するに、その点については二つ言えて、やはりその設計者の独立的なシステム、やっぱりそういう点では、今のその手法ではきちっと技術的な、専門家も含めて、その責任を明確にするような契約から、いわゆる図面、いわゆる検査まで、それぞれが明確に責任を取るような、記名捺印も含めてできていないという部分が一つ。  それからもう一つは、その検査の部分、確認検査の部分でやはり非常に人と時間が掛けられなかったというところが問題だろうというふうに思いますね。
  52. 山本香苗

    ○山本香苗君 ありがとうございました。
  53. 小林美恵子

    小林美恵子君 日本共産党の小林美恵子でございます。  今日は本当に貴重なお話を御発言いただいて、本当にありがとうございます。  私どもは、今回の事件といいますのは、多くの居住者の方の命と安全にかかわる重大な事態でありまして、被害者の皆さんのやっぱり支援を最優先に行う、そして同時に、この事件の原因と責任を究明して再発防止の抜本的な対策を進めることが国民の皆さんの不安を解消することだというふうに思っております。  そこで、まず清水参考人にお伺いしたいと思いますけれども、先ほど来のお話をお伺いしておりますと、やっぱり住み慣れたマンションから転居を余儀なくされて、それでこの事件への怒りと精神的負担経済的負担は大変なものがあると私は察します。先ほどのお話の中にも、被害者の皆さんへの支援策については依然として不明な部分もあるというお話があったかと思います。  私、そういう点でちょっとお聞きしたいと思いますけれども、新聞で報道されておりましたけれども清水さんのお住まいのマンション住民アンケートで八割の方から、住宅ローンを抱えながらでは転居先での家賃負担が家計を圧迫するという回答があったと。実は、私がお伺いしました別のマンション被害者の方は、家賃補助でも上限があるし、駐車場や管理・共益費は対象外となっていると。また、転居先では荷物が入り切らなかったり、収納家具の調達に余分にお金が掛かるなどとおっしゃっていました。  退去命令が出されまして本当にたくさんの方が移転を余儀なくされてしまったわけですけれども、移転費用や家賃などにかかわって現在の被害住民の皆さんの実情についてお教えいただけないでしょうか。
  54. 清水克利

    参考人清水克利君) 我々もアンケートを取ったりしてマンション住民の家計状況等をある程度調査しております。平均的に大体毎月十五万円ぐらいの住宅ローンの支払があります。一方で、家賃は大体十五万から十八万円と、またこれも支出しております。  行政からの補助ということでいいますと、二十九日に手続があり、二月の中旬に三分の二の助成が入る予定になっているということですが、実際に引っ越しをする際に、民間に引っ越しますと敷金、礼金等を含めて約百万円近くの支出がまず発生いたします。そういたしますと、実際にはもう、九か月ぐらいしかたっていない状況で、一時金としてまた百万円と。既に頭金を払ってある程度預金というのが取り崩した中で、また同様な負担が出るということは非常な、お金がどんどん出ていく一方ということになると。生活が何とかできたとしても、老後の資金をためたり子女の教育のために資金をためたりということは到底不可能という状況になっております。  中には、この問題も含めて、御主人がお病気になった家庭もあります。そういったところは収入が途絶えているような状況もありますので、その辺に対する緊急融資制度等についても御配慮いただければ有り難いというふうに思っております。
  55. 小林美恵子

    小林美恵子君 ありがとうございます。  更にお聞きしたいと思います、清水参考人に。  現在抱えている住宅ローンについてですけれども、政府も住宅ローン負担軽減について対応策を示しているようでございますけれども、私がお聞きしました川崎のある被害者の方は、六千万円のローンで毎月二十五万円返済をされているようでございますけど、この事件が発覚した後でも利子はやっぱり取られているとおっしゃっていました。  また、別の方は、住宅金融公庫を利用した住宅ローンでも、基本的に返還期間の猶予だけであって、利子は取られると。また、別のマンション被害者の方は、銀行の一般の住宅ローンを借りている場合はそれぞれの銀行で相談に乗ってくれるということだが、実際に軽減措置がとられるのかどうかは心配だと話されてもおられました。  この住宅ローンというのは大変重いと思いますけれども、この軽減について、清水さんのマンション関係の方の、被害者住民方々の実情というのもお教えいただけるでしょうか。
  56. 清水克利

    参考人清水克利君) 実際に住宅ローンについて何らかの軽減措置を受けられた方は、一名だけございます。それは住宅金融公庫からお借りしている方で、一・五%の金利引下げについて検討していただき、三年間は支払を猶予していただくというようなことを言葉としていただいております。  他のマンション住民の方は、民間金融機関から借りている方を含めいろいろ相談に乗っておりますが、基本的に金融機関からの返答は、この先事態がどうなるか分かりませんので、一年間の元本については返済猶予、金利については払ってくださいということでございます。今後景気が良くなって金利が上昇していくということが予想されている現在においては、総支払額としては我々の負担が増加するという方法しか見いだせないというのが現状です。  そういった中で、我々住民も、各個人、いろいろ金融機関とは相談申し上げている面もありますけれども、片一方で、個人対金融機関ということではなかなかその先の進展というのがないのが実態です。それについても、金融機関として統一的に我々に対する御支援を御検討いただけないかということは個別には申し上げておりますが、金融庁から全銀協に対してもいろんな御指導をなされるというふうに聞いておりますが、我々のところに具体策として下りてきていないのが実情でございます。  以上です。
  57. 小林美恵子

    小林美恵子君 今のお話をお伺いしますと、軽減策を取られておる方は一名だというふうに、それが今の現状だということですよね。私たちしっかり受け止めなくてはならないというふうに思います。  それで、もう一つ清水さんにお伺いしたいと思いますけれども、先ほども、またここに建て替えて戻ってきたいというのが思いだというふうにおっしゃいました。川崎大師の皆さんも、みんなでもう一度暮らしたいということで建て替えを全員一致で決めたというふうにあります。  しかし、やっぱり建て替えには幾ら必要なのかとか、自分たちの負担分は幾らなのかとか、将来が決まらないことへの不安があるというのはもう本当におっしゃるとおりだと思うんですね。ましてや新たなローン発生をやってはいけないし、新たなローンということもおかしいというお話被害住民の方からお聞きしました。この点についての御要望をお聞かせいただけるでしょうか。
  58. 清水克利

    参考人清水克利君) 我々としましては、先ほども申し上げましたように、我々住民負担極小化ということが図られながら、マンション建て替えということを念頭に置いております。そのためにあらゆる、いろんな制限の緩和及び各種規制の緩和についての御助言を賜りたいと思っております。  本来は、我々としては一銭も負担したくないというのが実情でございますが、それがかなわないのであれば、できる限り負担は少なくして戻ってきたいというような考えを持っております。その点について、行政側及び各種関係各位の専門的なお知恵を拝借して、新たな建て替え案が策定できればというふうに考えております。  以上です。
  59. 小林美恵子

    小林美恵子君 ありがとうございます。  では、私、次に中川参考人にお伺いしたいというふうに思います。  先ほどお話をお伺いいたしまして、そのビジネスホテル経営者と、例えばマンション住民被害者方々とは異なる部分とか、また異なる被害もあるというふうに思います。それでも今お話がございましたように、ホテル事業を立ち上げるということで、今問題となっている総研を信じてすべてを任せていたと。まさか自分のホテルが違反建築でというふうには思ってもいなかったというふうに思います。その点では、まさしくコンサルタントや設計事務所や行政へのお怒りというのは本当に強いものがあるというふうに思うんですけれども、私は中川さんにお聞きしたいのは、特に行政の対応建築確認の制度について更に、先ほどから述べられておられますけれども、そのずさんだなと思われた点でありますとか、そういう点について改めてお聞かせいただきたいと思います。
  60. 中川三郎

    参考人中川三郎君) お答えになるかどうかは分からないですけれども、要は、通常二十一日で申請を出して確認が下りますよね。私ども四十日掛かっております。四十日掛かっても下りないもんですから、私が自ら十三年の十二月二十一日の日に知多事務所へ出向きまして、確認申請はいつ下ろしていただけるんですかとお聞きをしたところ、いつになるか分からないという御返事でしたので、ではここは何時まで業務をされておりますかとお聞きをしたところ、七時ぐらいまでやっておりますということですので、そうしましたら進捗状況を午後の五時ぐらいにお聞きに上がりますということで午後の五時に伺ったところ、いつできるか分からないと言っていた確認申請が下りておりました。  で、先ほども申しましたとおり、そのデータの改ざんだけではなく、明らかに添付図面構造設計の数値が違う、目で見て分かるものがあるわけです。その点についても指摘を受けずに通っていってしまっているわけです。だとしたら、建築確認自体必要ないという話に私は思えて仕方がありません。  以上です。
  61. 小林美恵子

    小林美恵子君 この間、建築基準法の改正でいわゆる建築確認が民間検査機関でも行えるようになった、可能になりましたよね。それに伴いまして、行政の建築確認というのが大変、何といいますか、不備になってきたという点があるかなと私は思っておりますけれども、例えば愛知県は、九八年に七十人だった建築確認を行う技術職員は昨年度では六十三人に減少しているという問題もございます。  私は、やっぱりこういうふうな仕組みをつくった建築基準法の改正の折に当たってのいわゆる建築確認業務を民間機関に任したということが一つは、その弊害が一つは大きくあるんじゃないかなというふうに思っておりますけれども、その点について改めて中川さんの御意見をお伺いします。
  62. 中川三郎

    参考人中川三郎君) 私も、その点は先ほど申し上げましたとおり同様に感じております。削減数の少なかった名古屋市ですか、そこからは偽造ホテルは出ておりませんし、なぜか名古屋市は厳しいということで姉歯物件が一戸もありません。だから、業務体制がしっかりしているところには姉歯は持っていっていないということですよね。だから、そのぐらい分かるということですよね、業務体制がいい加減かきちっとしているかということが。そのように感じます。
  63. 小林美恵子

    小林美恵子君 今日は大変ありがとうございました。  仙田参考人にもお伺いする予定でございましたけれども、ちょっと時間がなくなりましたので失礼をいたします。ありがとうございました。
  64. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 社会民主党の渕上でございます。  突然降ってわいたようなこの構造設計偽造問題、発生したときにはびっくりいたしました、こんなことがあっていいのかどうか。同時に、現代の社会といいましょうか、事件、事故というものが世相を表すというふうに言われていますように、現代社会というのは安全よりも非常に人命が軽視されている世の中にだんだんなってきたなと、こういう、この事件を通じて思って、極めて私自身深刻に実は受け止めているところでございまして、この問題は積極的な解決へ努力をしてまいりたいと、このように考えているところです。  そこで、グランドステージ住吉清水参考人にお伺いをいたしますが、先ほど御提言のございました問題についてはごもっともでございますので、それぞれ真摯に検討して、実現できるよう私ども努力をしてまいりたいというふうに考えます。  そこで、お話を聞きながら思ったことは、まず最大の問題はやはり住宅ローンの問題ではないかと私は思っているところでございまして、担保物件たるこの当該マンションがその施主といいましょうか施工主によって最初から毀損されたもの、これがありながらやはりローンで支払をしていかなければならない。ローンの返済について、私は売主対銀行の関係で解決される問題ではないか、この点も検討されるべきではないかと考えておるところです。特に、売主に重大な過失があるときのローンの債務が、住民から売主へ移転されるようにすることは大切なことではないか、大事なことではないかと思っていますし、検査能力を持つ金融機関と、建築物の安全、性能に一定の責任を有するように検討すべきであると考えるんでございますが、銀行側の対応についてといいますか、銀行側の対応状況についてお聞かせいただきたいと思います。
  65. 清水克利

    参考人清水克利君) 先ほども申し上げましたように、金融機関に対して様々な申入れをしておりますが、典型的な返答は、金利についてはそのまま支払、元本については一年繰延べという御返答が典型的な回答でございます。  先ほど来申し上げておりますように、それであれば、恐らく住宅ローンの総支払額というのは増えていくばかりということで、負担軽減にはならないという状況になっているのが現状でございます。  以上です。
  66. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 いや、私は、住宅ローンに関する限りは金融機関も検査能力を持っていると思うんですね。恐らく、これがそれ相当の担保物件であるかどうかというのを銀行側も検査していると思うんですよ。その検査責任というのもあると思うんですが、その点、いかがでございますか。
  67. 清水克利

    参考人清水克利君) 住宅金融公庫については、我々、債権者に対する、いわゆる借入人に対する審査と同様、若しくはそれ以上に対象となる物件について検査しているというような話を聞いております。それについては、非常に今後対応について御検討賜りたいというふうな理解をしております。  一方、民間金融機関については、実質的に能力があるかどうかということでいうと、能力はある可能性があると思っております。ただ、実務上は、我々が聞いているところでいうと、検査済証を確認して下ろしているというような返答しか返ってまいりません。そこについて我々が、能力があるということを立証して、いろんなところで主張するということは現実的には不可能というのが実態でございます。
  68. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 これらについては、なお私ども検討してまいりたいと考えています。  それから、次に中川参考人にお尋ねをいたしますが、地元業者を信頼をして総研の御紹介があったというお話でございました。  そこで、改めて、平成設計及び姉歯建築設計事務所設計者とした経緯についていま一度お聞かせをいただきたいと思います。また、ホテルを閉鎖、解体に伴う、そこに働いている従業員の処遇はどのようになっているのかをお尋ねをいたします。
  69. 中川三郎

    参考人中川三郎君) 先ほど来申し上げましたとおり、総合経営研究所というところは設計施工からすべてコンサルをしますよということでしたので、その選択の余地はございませんでした。その構造設計ということは、私は素人でしたので全然知りませんでしたし、平成設計がすべてやるものだと思っておりました。だから、この事件が起きてその設計の部門に構造設計、意匠設計というのがあるということが分かっただけのことであって、平成設計は自然に横のテーブルに着いておりました。  従業員の問題ですけれども、十二月二十日の時点で今月末をもって解雇という通告をしております。
  70. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 分かりました。  次に、仙田参考人にお尋ねをいたしますが、経歴でもお分かりのように、参考人東京工業大学の名誉教授で日本建築学会の会長を務めた経験をお持ちでございますが、日本建築学会は昨年の十二月二十六日に今回の偽装問題で緊急の集会を開き、参考人出席をされております。今回の事件で、私は、一人の建築士による偶発的な犯罪行為ではなくて、建築設計、生産全体にかかわる構造的な問題があるととらえるべきであると認識をしております。  で、安全性よりも安さや効率性ばかりが追求された建築生産の現場の実態、それから構造設計の内容がすべてノーチェックで通った現実を踏まえた上で、今回の偽装事件の原因はどこにあるのか、再発防止のための有効策は何なのか、改めて御教示いただきたいと思います。
  71. 仙田満

    参考人仙田満君) 先ほど六項目ございまして掲げましたが、建築学会でも今、今のこのいわゆる建築生産といいますか、建築産業全体の方向としてとにかく安い建物が追求されてしまっている。これは民間だけでなくて、公の部分ですね、いわゆる公共建築でもそういうことが行われて、先ほど御紹介しましたように、設計についても設計入札という形で安いところにとにかくやると。  やっぱり設計というのは、要するに建物の基本的な安全、あるいは景観だとかですね、要するに快適性と、その建物の非常に根幹的な部分なんですね。ですから、本来ならば、やはりその建物、資産としてもあるいは環境資産としても非常に重要なのは、それがだれが設計したかということが非常に重要なわけであります。やはり、信頼できる建築家あるいは設計者が設計するということが非常に重要なわけであるわけですね。  それで、そういう点では、やはり公の部分でもいわゆる、公民かかわらず、実は国交省が一九七九年にいわゆる設計料について一つの基準を出しております。これは告示一二〇六というものなんでございますが、やはり国民の生命、財産を守るためには、その設計というものがただ安けりゃいいというものじゃなくて、一つの基準があるということを認識して国の方でも出しているんですが、実際にはそれが国でも、それから民間でもなかなか守られてないというような状況があって、それが全体に、やはり安全性も、それから美しさというような部分についても、日本のこれからの建築、都市環境をつくっていくその根幹の部分が、最初の上流の部分が非常に何というんでしょうか、コストとエネルギーが掛けられていない。検査もひとつそういうところがありますね。やはり上流の部分です。そういうところがやはり今の日本のある意味で建築産業全体の大きな問題ではないかなというふうに思っております。
  72. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 先ほど建築士制度の改革の問題について御提言がございました。現在の複雑な建設設計対応した専門性というのはやはり明確化しなきゃならないと思いますね。  それから、生産体制における設計施工、それから監理の分離、資格の更新制、罰則の強化などを求めると。言うには非常に簡単なんです。しかし、これを実現するには大変難しいんですが、先生はどのようにこれらを実現していくためにお考えをお持ちなのか。
  73. 仙田満

    参考人仙田満君) 建築士の改正というのは、これはもう本当に長く、建築学会を始めいわゆる建築の職能団体も含めて長く議論してきています。そしてまた、国交省とも建築設計資格を含めて議論をしているわけなんですが、いわゆるその専門資格をつくろうという方向については大体各団体ともそういう方向に、もうこの事件が起こる前から大体方向としてはできていたというふうに思っています。  やはり今の手法は非常に包括的で、何というか、非常にあいまいなんですね。ですから、もっと高度化していく中では、やはり専門資格を求め、そしてそれを統括する建築家というか建築設計者の役割をもっと明確にしていくという方向にしていきたいというふうに思っています。  それで、そういう資格の専門性のところについては大体方向としては行けるのではないかなというふうに思っていますが、これをよりいわゆる国民の生命、財産を守る建築設計者のいわゆる立場というか、先ほど出ていましたが、独立性あるいは公益性をどう社会システムとして担保していくかというところについては、今後やはり継続的な議論、やはり実際に今までの日本の業界というのが様々ございますから、そういう中でやはりそういう多様な議論を経ていきたいというふうに思っています。  資格の問題については、実際には一九六五年にもうそういう専門資格というのは議論されていたんですね。それが三十年、四十年も掛かってしまったわけですが、そういう点では、日本の法律は一度作るとなかなかやはり時代によって変えられません。その当時はまだまだ鉛筆で図面をかいていたんですが、今はもうほとんどコンピューターでかいている。今回の事件のやはり偽装も、あるコンピューターの、いわゆる情報社会における設計によるものとも言えると思いますが、そういう中で、やはりそれに合わせて法律あるいは税制、様々な社会システムを変えていっていただきたいなというふうに思っております。
  74. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 ありがとうございました。終わります。
  75. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) それでは、これより自由質疑に入ります。  質疑を希望される方は、挙手の上、委員長の指名を待って御発言いただきたいと存じます。  それでは、質疑のある方は挙手をお願いいたします。田村公平君。
  76. 田村公平

    ○田村公平君 被害に遭われましたお二人の参考人の方の怒り、私自身、昭和四十年に東京に出てきて、賃貸を含めて転々としておりますけれども、何一つ満足にいったことはありません。今も怒り狂って住宅ローンを借りているような状況です。なぜかといいますと、エンドユーザーにとってみたら、販売代理店、それは天下の三菱地所でも平気でうそをつくんですから、売ったらもう知りませんよですから、そういう業界の体質。  そこで、清水中川参考人には、私は被害者の立場ですから、私も今怒りを持ちながら生きているわけですけれども、あえてもうお尋ねはしません。  仙田参考人にお伺いをしたい。  今ここにいただいた、これは極めて特殊な犯罪であると、こういうふうに、学会の大重鎮である参考人はそういうふうに述べておられますけれども、私自身はこれは構造的にずうっと行われてきた問題ではないかと思っております、私の経験で。  例えば、衆参両院の議員宿舎、一番新しいのが参議院の麹町の南棟でございます。これは完全に欠陥であります。なぜかといいますと、私がたまたま入っているところは七百三十一号室、トイレの引き戸にテーピングがしてあります。別の部屋の番号が入っている。つまり、監理ができていないということです。工場生産して持ってきた引き戸を、それを全部トイレにはめていくわけですけれども、ただ野積みにしてそのままほうり込んでいるわけじゃないはずです。施工監理というのはそういうものじゃないと思います。ちなみに、それは旧建設省の官庁営繕部ですよ。  昭和四十四年、東京に大雪が降りました。当時、衆参両院で一番新しい議員宿舎は赤坂の議員宿舎でありました。雪が降りました。百六十五号室、ちなみに私の父親が住んでおったところですが、帰ってきたらふすまが開かないんですよ。屋上に積もった雪がどんどんどんどん来て布団がもう、だからふすまがこんなになっていた。  だから、それはもう調べ上げたら、今回熊本の業者さんが東京に出てきて千葉の建築士に頼んで、私なんかの感覚で言うとそれもよく分からぬなと、どういう因果関係なのか。恐らく、まあ金の奪い合いか何かで内部告発でチクり合って表に出たと思うんです。そんな構造計算なんて、そんな普通の者が分からないのがぼんぼん出てくるはずないんですから、何か住んでいて変だなと。  先ほど申しました参議院の麹町の議員宿舎、一週間ふろに入れなかったんですよ、ユニットバスに欠陥ありで、これは全戸です。その程度のことなんですよ。  私は学会の仙田参考人に、重鎮として、実は調べ上げたら日本国じゅうそういうことでないんじゃないかなと、そういうふうに思いますけれども、私の考え、間違っているでしょうか。
  77. 仙田満

    参考人仙田満君) なかなか難しい質問ですが、今回の場合、特殊と言ったのは、ある意味でその設計者も一般的にオールマイティーではありません。すべての能力が備えられるわけではなくて、建築というのはやっぱりこれ様々な協力者というか、その構造だとか設備だとか、あるいは例えば最近はライティングだとかあるいは色彩だとか様々な専門家と共同して造っていくと、要するにもう非常に高度化し複雑化しているわけであります。その中で、やはり確かにある意味で設計のミスだとか、あるいは施工のミスとかというのはある。全くないということはなくて、あるわけで、そのために建築紛争というのも近年、全体に今建築紛争であれしているのは全国的にやっぱり三千ぐらいあるのではないかというふうに思うんですが、そういうのはあるわけですが。私が特殊と言ったのは、やはりそういうミスではなくて、故意にそういう偽装をするというようなところは、私も今までそういうことははっきり言ってもう初めてではないかなというふうに思って、そういう意味である種特殊というふうに言いました。  ただ、こういう事件だとかあるいは事故でよくハインリッヒの法則というのがあるんですが、一つの事件の陰には同じようなものが三十ぐらいあるというのが、そういう法則らしいんですが、社会的な。ですから、ある意味では、そういう犯罪が出てきた、要するに、何というのか、基盤というか、それを許してしまっている土壌というのはあるというふうに私も認識しております。だから、そういうものを広がらないように、二度と起こらないような形で学会も努力していきたいなというふうに思っているところであります。
  78. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 前田武志君。
  79. 前田武志

    ○前田武志君 前田武志でございます。  お二方、そのマンション及びホテル、大変な被害に遭われた、ある意味では御本人たちに明確なそんな責任なんというのを感じ得ない誠に不条理な、しかもこれが人為的な誠にけしからぬだましのようなことで被害に遭っておられる。心から御同情を申し上げます。  そこで、清水参考人には一つだけ、御本人を含めて住宅金融公庫ローンを組んでおられると思うんですが、この当該マンション、全員が公庫ローンを組んでおられるのか、あるいは一部だとしたら大体何割ぐらいの方々が組んでおられるのか、お答えを願いたいと思います。  もう一点、もう一点というか、仙田先生の方には、このマンション等を見ておりますと、非常に地盤の悪いところに建っているわけですね。そして、どうも目に見えるところは割ときらびやかな上等なものを使っておられて、そして、コンクリートの躯体の中の鉄筋を抜いたと、こういうことですから、この軟弱なところというのは基礎が一番重要のはずですね。よく分かりませんが、相当の基礎工事をやっているわけですね、多分。何か、鋼管パイルを支持層まで打ってと。建築設計というのがどういうことになっているか分かりませんが、その辺のところ、鉄筋一本抜くよりもこっちの基礎を抜く方がはるかに安くできるわけですから、その辺の可能性があるのかどうかということをお聞きしたいのと、それから、今の同僚議員、田村議員のお話なんかも聞きながら、これはちょっときつい言い方になるんですが、建築学会を含めて、指導的な立場にあられた仙田先生も始め、専門のリーダー層の方々が、この事態に対していろいろ今議論されてきましたが、非常に大きな責任があると思うんですが、その責任を、まあ先生個人に対して言っているわけじゃないんですよ、この専門家の、高度の専門家集団として、これは官庁にもいるわけですから、専門家集団が、含めて、県にもいるんですよね。中川さんなんかがふんまんやる方ないというのは県の多分専門家のその責任が問われているんでしょう。そういうところを含めて、専門家集団の責任というのをどういうふうに受け止めておられるのかをお聞きしたい。  以上です。
  80. 清水克利

    参考人清水克利君) 我々、全六十七戸ございます。そのうち、私ども対策委員として把握している住宅金融公庫から借り入れている人は三名、三世帯でございます。ほとんどが民間住宅、民間の金融機関から借りております。  ということで、先ほど来、一名の方しかということは、三名のうち一名の方は具体的に行動を起こされて御相談に行きましたので、そういう回答をいただいているということでございまして、先ほど来申し上げていますように、民間金融機関に御相談に行っても我々として解決策となり得るような御回答をいただいてないということで、現在のところ皆さん困っているというのが現状でございます。  以上です。
  81. 仙田満

    参考人仙田満君) 基礎及びその上部の躯体の問題についてですが、私、建築家で、いわゆる構造技術者ではありませんが、いろいろ仄聞するところ、姉歯さんもむやみに下げているわけではないんですね。地震時に対してのいわゆる構造応力を小さくしているというような形で、要するに定常的には問題が、要するに構造的に、例えば基礎だとか何かやるともうすぐに上の方に問題が掛かってきますから、要するに、構造亀裂であるとか、そういう部分でもって目に見える形で欠陥が出てきます。だから、これをそういう意味では定常的な状態では欠陥が出ないようにしているのではないかというふうに思いますね。  それから、建築学会を始め建築界全体としては、これは非常に大きく責任を感じております。いろいろ制度的な社会システムの問題とかあるいは環境状況の問題とかというような問題についても、この事件が起こる前から様々長く検討してきているわけですけれども、ある意味でそういう犯罪を許してしまった、あるいは犯罪を、何というんでしょうか、犯罪が生ずるような社会的な状況というか、そういうような問題についてですね。やはり建築学会としては、これを学術的にきちんと分析し、そして二度とこういうことがないようにやるつもりで、学会としてはこの間シンポジウムを行いましたが、この姉歯事件に関しての緊急の特別委員会をつくって様々な角度から検討しております。そういう形で、責任というか、団体の責任というものを果たしていきたいというふうに思っております。
  82. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 私は、委員長並びに理事の皆さんにちょっと今後のことでお願いをしたいというふうに思います。  今日は大変いい会をしていただいて、問題点もたくさん指摘していただいたわけでありますが、ただここで、特に清水参考人の場合はかなり具体的な要望もまとめておいでになって、ここは立法府のところでそういうことをお話しになったからということで全部かなうわけでもありませんが、過大な期待を持ってお帰りになられるということも私は極めて危険なことだというふうに思いますんで、まずお願いしたいことは、この後、二十日から国会が始まりますから、一般質疑の中か何かで集中的に議論の場を是非つくっていただきたいというふうに思います。  清水さんの場合は、専有面積を現状のままにしろとかというような問題を提起されております。新しく建て替えていろんな制度を活用しながらやっていくというと、限界がどうしても出てきますからね。その辺のことを、制度の活用と、それから被害者の要望との整合性をどういうふうにつくるかということはこの立法府の場できちんと議論をして、迷いのないような方向性を出してやるのが私たちの責任ではないかなというような気がいたしておりますんで、是非そういう場を与えていただきたいというふうに思っております。  それから、中川さんの場合は極めて悲惨でありましてね。経過をずっと説明されて、最後に残っているのは、事業者は救済措置が国の方もなかなかできない、自分でおやんなさいよと、こういう話でしょう。そうすると、だれが責任あるんだといえば、今のお話、前田さんも指摘されましたが、県の検査機関が不誠実だということで、あとは訴訟しか残ってないということになるわけですけれども、しかし、この民間に委託して制度を作ったのはこの立法府が作った、政府が提案したものを我々が法案として作り上げたわけでありますから、そこのところに問題点がなかったのか、一体責任はどこにあるのかというようなことは是非やらなきゃいかぬというふうに私は思っております。  私の知識の中では、まあその後改正されたかどうか分かりませんが、この指定機関、民間の指定機関の検査確認書の判こを押す人というのは行政で二年以上の経験のある人というふうに法案の中に入っていたんですよ。したがって、東京の方はよく、たくさんありますから知りませんが、各都道府県のところへ行くと、長野県の場合見ても全員が県庁か大きな市役所の建築確認の専門家が、退職した人たちがそこにいるんですよ。一般の民間業者にいた人たちがそこへ行ったって判こを押す権利がありませんから、全部そういう人で埋まっている。  そういう制度のスタートのことも考えれば、確認を委託された会社の責任、あるいはまたその法律のよって来るべき国の責任というようなものもしっかりやらなきゃいけないというふうに思いますんで、そんな機会を是非与えていただきたいということをお願いをいたします。
  83. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) ただいま北澤俊美君からの要望については、後刻理事会において検討を、協議をさせていただきたいと思います。  よろしいですか。  それでは、西田実仁君。
  84. 西田実仁

    西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。  今日は、参考人の皆様にはもう大変なあってはならない事件の中でこのように国会に来ていただきまして、誠にありがとうございます。  私、中川参考人にお聞きしたいと思います。  中川参考人はこのホテルのオーナーということでございますので、この耐震偽装がなされた設計の中で、建設工事をしているときに、恐らく通常であれば週一回この定例会議というのがその現場で、施工現場では行われておりますし、また大抵月一回オーナーも交えたいわゆる総合会議と言われる、業界で呼んでいるようですけれども設計士の方、またオーナーの方を交えた会議が月一回程度は開かれ、工程会議、その工程でどういうことが起きているのかということを打合せをする機会が、もしかしたら中川参考人もそこに出席されたのではないかというふうに推測します。  その際に、例えば施工現場の方から、この鉄筋量が少ないんではないかというような疑念なり心配、あるいはそうした声がその会議において上がったことはあるのかどうか。もしあったとしても、いや、それはもう強度は出ていると、しっかりもう強度は出ていると。すなわち、建築確認も取っているんだから心配しなくていいんだというような、そんなやり取りもあったのかどうか。  この辺、この月一回開かれていたであろう総合会議におきまして、もし出席されておられたのであれば、どのようなやり取りがその現場におきましてあったのかということについてお聞きできればと思います。
  85. 中川三郎

    参考人中川三郎君) はい、おっしゃるとおり、それはございました。  ただ、常に総研主導ですので、総研が指摘をするという形で一切ほかの業者は物が言えないという状態でしたので、コンクリートとか、そのいろんな部分についての、業者から声が上がるということは一切ございませんでした。
  86. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) よろしいですか。  小林美恵子君。
  87. 小林美恵子

    小林美恵子君 済みません、自由質疑の時間をちょうだいいたしましたので、仙田参考人にお伺いをしたいと思います。  私、先ほどから申し上げておりますけれども、一つは、この事件の問題で論議をする際に、建築基準法を始めとする法制度上の問題も議論をされなければいけないと思いますし、また九八年の建築基準法改正によって導入されました民間検査機関についてもやっぱり議論をされなければならないですし、そのことを導入した政府の責任も重大だと思います。  そこで、改めてお伺いしたいんですけれども、先ほど仙田参考人お話の中に民間検査機関の中立性、公正性を担保すべきであるというふうにございました。それで、株式会社というのが適当なのかどうかというお話もあったかと思いますけれども、その点もう少し詳しくお話をいただきたいというのと、あと、行政も含めまして建築確認の体制を整備するという点での御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  88. 仙田満

    参考人仙田満君) 建築確認のですね、建築基準法の改正で、まあ民間でもできるようになったと。いわゆるこれは、まあひとつ、私としてはやはりその検査確認を官でなくちゃいけないということはないというふうに思っております。ですが、やはり公益性であるとか、あるいは中立性であるとか、そういうものが非常に重要ですね。  そういう点で、先ほどもちょっとお話ししましたが、安くて早くてというところを売り物にする形で確認検査が行われてはならないというふうに思うんですね。ですから、そういう形でのやはりしっかりした体制を組む、あるいは時間と人を配置するというところでは、いわゆる株式会社ではなくて、いわゆる公益法人的な形でもやはりあるべきではないかなというふうに思います。  また、やはりその検査料の問題も、先ほどお話ししましたが、やはりその検査機構を成り立たせる財政的なところ、この問題については是非、いわゆる競争化するというか、安くて早いというところがキーワードになるような競争化にはなじまないというふうに思っております。  そういう点で、この検査機構については、体制、それから費用ですね、これについては見直す必要があるのではないかと、様々な強化をする必要があるのではないかというふうに思っております。
  89. 小林美恵子

    小林美恵子君 ありがとうございました。
  90. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) その他、よろしいですか。  予定の時刻が参りましたので、午前の参考人に対する質疑はこの程度にとどめます。  参考人方々一言御礼を申し上げさせていただきたいと思います。  本日は、長時間にわたり御出席をいただき、有益な御意見をちょうだいいたしました。お述べいただきましたことに感謝を申し上げさせていただきたいと思います。  委員会を代表いたしまして、厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。  午後一時二十分まで休憩いたします。    午後零時二十七分休憩      ─────・─────    午後一時二十分開会
  91. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) ただいまから国土交通委員会を再開いたします。  国土整備交通政策推進等に関する調査を議題といたします。  先般本委員会が行いました委員派遣につきまして、派遣委員の報告を聴取いたします。山下八洲夫君
  92. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 委員派遣について御報告申し上げます。  去る一月十六日、十七日の二日間にわたり、長野県及び愛知県を訪れ、国土整備交通政策推進等に関して実情の調査をしてまいりました。  派遣委員は、羽田委員長、伊達理事、脇理事、大江理事、吉田委員加藤委員、北澤委員、佐藤委員、田名部委員、前田委員、魚住委員、山本委員、小林委員渕上委員、そして私、山下の計十五名であります。  以下、調査の概略を御報告いたします。  まず、長野県における調査の概要であります。  初めに、我々は小諸市に赴き、信州こもろ駅・大手門周辺まちづくり事業を視察いたしました。にぎわいのある市街地の再生を目指し、歴史的資産が現存する中心市街地について、その活力再生と住みよい都市環境づくりに資する市街地通過交通の適正誘導、建物の修理、修景等の改善整備等の諸施策を講じておりました。  このほか地元からは、活性化の起爆剤として現在整備中の中部横断自動車道のインターチェンジのフル規格による追加整備について強い要望がございました。  次に、中部横断自動車道整備事業を視察いたしました。  中部横断自動車道は、静岡県静岡市清水を起点として、長野県佐久市に至る延長約百三十六キロメートルを結ぼうとするもので、長野県内においては佐久―八千穂間が新直轄整備区間として整備されることになりました。  北陸、上信越、中央、東海の各自動車道との相互連携により、物流体系の確立や広域的観光ゾーンの開発等、沿線地域の産業経済の振興に寄与すること、また、救急医療における搬送時間の短縮等、地域の医療、福祉の向上への期待から、早期の全線開通が望まれるところでありました。  次に、長野県佐久地方事務所において、長野県の交通、土木施策等について概況説明を聴取いたしました。その席で、長野県から、県管理の国道、県道の除雪費用の補助額の大幅な増額等豪雪に対する必要な支援、直轄管理区間の整備促進等河川整備の促進、高規格幹線道路の整備促進等他県に比べ大幅に遅れている道路事業整備促進について要望がございました。  次に、飯山市に赴き、豪雪被害の状況について関係地方公共団体から説明を聴取するとともに、市内の河川敷に設置された雪捨場を視察いたしました。地元二市一町三村からは、市町村道の除雪経費に対する財政支援、公道を走行しない除雪機用燃料に係る税の減免、弱者世帯の雪下ろし等に係る災害救助法の適用期間の延長等の切なる要望がございました。  二日目は、飯田市に赴き、三遠南信自動車道整備事業を視察いたしました。  三遠南信自動車道は、飯田市の中央自動車道を起点として、静岡県浜松市三ケ日町の東名自動車道に至る約百キロメートルを結ぼうとするもので、高齢化や過疎化の進行、産業の低迷、救急医療・福祉体制の遅れ等の課題を抱える中山間地域の活性化の起爆剤として、その整備の意義を認識するとともに、その財源となる道路特定財源の一般財源化への疑義が関係市町村より強く指摘されました。  続きまして、愛知県における調査の概要であります。  愛知県では主に、中部国際空港を視察いたしました。  同空港は、昨年二月の開港以来、以前の名古屋空港の実績と比較して国際線、国内線とも旅客数は大幅に増加するとともに、貨物も、多数の貨物便が就航し、路線網の充実と二十四時間空港の利点から、その取扱量も順調に推移しているとのことであります。  また、開港以来、展望施設や商業ゾーンなどが話題となり、昨年八月初旬には早くも累計来港者数が一千万人を突破するなど利用者数も好調に推移しており、中部経済圏の一層の発展に寄与する国内最先端の国際空港として、今後の継続的な発展が期待されるところであります。  このほか、長野県においては、しなの鉄道の経営改善策及び建築物構造計算書偽装問題の説明聴取、また、利用拡大が期待される佐久平パーキングエリアスマートインターチェンジの視察を行うとともに、愛知県においては、県下の交通、土木施策等についての概況説明聴取及びスーパー中枢港湾に指定され活況を呈する名古屋港の視察などを行いました。  以上が調査の概略であります。  最後に、長時間に及ぶ私ども調査に御協力いただきました関係方々に対し、厚く感謝とお礼を申し上げまして、御報告を終わります。  以上です。
  93. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 以上で派遣委員の報告は終了いたしました。     ─────────────
  94. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 国土整備交通政策推進等に関する調査のうち、東日本旅客鉄道株式会社羽越線における列車脱線事故に関する件を議題といたします。  本件につきまして政府から報告を聴取いたします。北側国土交通大臣
  95. 北側一雄

    ○国務大臣(北側一雄君) 東日本旅客鉄道株式会社羽越線における事故について御報告をいたします。  昨年十二月二十五日十九時十四分ころ、JR東日本羽越線砂越駅―北余目駅間において、秋田発新潟行き特急いなほ一四号が走行中、第二最上川橋梁を通過した付近で六両すべてが脱線し、そのうち前三両が横転する列車脱線事故が発生いたしました。この事故により五名の方が亡くなられ、乗客三十名及び運転士、社内販売員各一名の三十二名の方が重軽傷を負われました。まずは今回の事故でお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りし、御遺族の皆様に心よりお悔やみを申し上げますとともに、おけがをなされた方々の一刻も早い御回復をお祈り申し上げます。  安全は運輸サービスの基本であり、安全性の確保が利用者に対する最大のサービスとの認識の下、安全対策に全力で取り組んでまいりましたが、年末年始の輸送等に関する安全総点検の実施期間中であったにもかかわらず、今回の事故が発生しましたことは誠に遺憾でございます。  今回の事故では、厳しい寒さと風雪の中、警察、消防の方々に救助活動に御尽力いただくとともに、地元の地方自治体、民間企業等からも様々な御支援をちょうだいいたしました。心から御礼を申し上げる次第でございます。  事故原因につきましては、事故直後から航空・鉄道事故調査委員会委員及び事故調査官を現地へ派遣し、現在、同委員会において科学的、客観的な観点から事実関係の整理、分析と原因究明を進めております。国土交通省といたしましては、事故後速やかに事故対策本部を立ち上げ、松村副大臣を現地へ派遣するとともに、私自身も現地入りして事故現場の視察を行い、対応に全力を挙げてきたところでございます。  具体的には、事故の翌日、十二月二十六日、JR東日本に対し、原因究明に向けた関係機関への全面的な協力を行い、自ら速やかに調査を行って必要な措置を講じること、また、事故で被害に遭われた方々に対して誠実かつ万全な対応を期すよう警告をいたしました。同時に、全国の鉄道事業者に対し、経営トップが率先して鉄道輸送の安全対策の徹底を図るとともに、風速計に関する緊急総点検の実施を指示いたしました。  また、本年一月十二日、主な鉄道事業者の安全担当役員を招集し、厳冬期における強風、大雪、雪崩等に対する対策に万全を期し、安全運行の再徹底を図ること、強風対策については風速計の緊急点検の結果を待つことなく、ハード、ソフト両面でできることから速やかに実施することなどを指示をいたしました。  翌日、十三日には、鉄道における気象観測、運転規制、暴風対策の在り方など強風対策について検討を進めるため、気象や運転分野の専門家から成る鉄道強風対策協議会を設置し、検討を進めているところでございます。  一方、羽越線の運転再開につきましては、一昨日、一月十七日、JR東日本の大塚社長より事故のおわびと被害に遭われた方々への対応及び再開に向けた当面の安全対策について報告を受けました。私からは、今回の事故でお亡くなりになられた方々の御遺族やおけがをなされた方々のお気持ちに十分配慮するとともに、気象状況の変化に細心の注意を払いつつ、安全運行にしっかり取り組むよう指示をいたしました。JR東日本からは、再開に向けた安全対策を講じた上で、本日、一月十九日に運転を再開したとの報告を受けているところでございます。  国土交通省といたしましては、今回の事故の重大性にかんがみ、今後とも引き続き事故原因の究明と再発防止に全力で努めてまいります。  本年は、特に冬季の気象環境が厳しく、大雪に起因すると考えられる鉄道の運転事故や輸送障害が多発していることから、厳冬期の鉄道輸送の安全確保に万全を期してまいる所存でございます。  以上でございます。
  96. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 以上で報告の聴取は終わりました。  速記を止めてください。    〔速記中止〕
  97. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 速記を起こしてください。     ─────────────
  98. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 国土整備交通政策推進等に関する調査のうち、建築物構造計算書偽装問題に関する件を議題といたします。  本件調査のため、午後、出席いただいております参考人は、社団法人日本建築士会連合会会長宮本忠長君、東京構造設計事務所協会会長榊原信一君及び東京工業大学統合研究院教授和田章君の三名でございます。  この際、参考人方々一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、大変お忙しいところ本委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。  参考人方々からは忌憚のない御意見を伺い、今後の調査参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。  本日の議事の進め方でございますが、理事会合意により、まず、宮本参考人榊原参考人和田参考人の順序でお一人十五分程度意見をお述べいただき、その後、大会派順に各会派一人一巡の質疑を行った後、あらかじめ質疑者を定めず三十分程度自由に質疑を行うことといたします。  なお、御発言の際はその都度委員長の許可を得ることとなっております。  また、参考人方々の御発言は着席のままで結構でございますが、質疑者は、慣例により、起立の上発言することとしておりますので、よろしくお願いを申し上げます。  それでは、まず宮本参考人にお願いいたします。宮本参考人
  99. 宮本忠長

    参考人宮本忠長君) ただいま御紹介いただきました宮本です。座らせていただいてよろしゅうございますか。  私、社団法人日本建築士会連合会の今、会長を務めさせていただいております宮本忠長と申します。  最初に、ちょっと簡単に自己紹介させていただきますが、私は今、長野県の建築士会の名誉会長等をさせていただき、なおかつ自分自身は宮本忠長建築設計事務所の代表でもございます。今日は、このような貴重な機会をいただきまして、まず御礼申し上げたいと思います。  ペーパーを二枚ちょっと用意いたしました。そのペーパーの概要につきまして御説明させていただければと思っております。  まず最初に、今回の事件で姉歯元一級建築士が大変破廉恥な行為をいたしまして、そして社会全般はもちろんですが、もう国家国民の皆さんに本当に御迷惑をお掛けし、また建築士の私ども仲間としましても心からおわびを申し上げたいと、こんなふうに思っております。  実は姉歯さんは、彼は建築士会の千葉の士会の会員でもなくて、私ども調査しようがないものですから、現在はほとんど千葉の士会の皆さんから様子をお聞きするだけ、情報が入ってこないんですが、どちらにしても大変な不祥事でございまして、これを機に、建築士会といたしましてももう一度心を入れ替えてきちんと反省しなければいけないんではないかというような立場でございます。  一番のあれは、この建築士設計を、私は設計畑で五十年やっておりますが、やはり自分の分身をつくるように大変愛着が建物にあります。したがいまして、もう安全でそして長もちして、言わば私益というより公益に重点を置きまして一生懸命やっている、そういう人が大変大勢いると思います。  まず、今回私もいろいろこの我々の士会で話し合いまして、四十七都道府県の士会の会長さん方にお集まりいただきまして一応まとめましたのがこのペーパーなんでございますが、まず建築設計、工事監理の業務の実態というのがどうもなかなかつかみにくいんではないかというような、社会全般に、そんなこともありまして、私どもちょっとまとめてみましたのは、設計監理体制が大体非常にあいまいなところがあったんではないかと。例えば、設計監理体制は、統括する建築士が軸に、意匠部門、構造部門、設備部門と分かれます。大体、統括する建築士は、資格を取りまして十年から十五年ぐらい実績を踏まないとなかなか統括するような者にはなれません。しかし、そういう統括する建築士の責任は非常に大きいと思います。  それから、業務のウエートは、基本設計と実施設計図書と工事監理とございまして、大体ウエートは二五、五〇%、二五というふうなことでやっております。そして工事監理を、例えば普通は週一回定例監理会議というのをやります。そして、施工図のチェックとか現場の検査とかいろいろもう毎週毎週やりまして工事監理をやります。建物によりましては常駐して監督するというケースもございます。そのようにやっていきますと、まずは事故はないんではないかと思っております。  次の実はペーパー、二枚目のペーパーでございますけれども、今回の耐震強度偽装事件に対する士会連合会の立場といたしましては、もう先ほども申し上げましたように、建築士の職能倫理が欠如していることはもう明らかでございまして、私どもの士会には倫理規定があるんですけれども、現在、建築士の資格のある人は、昭和二十五年に建築士法ができまして建築士の資格が定められましてから、約、一級・二級建築士、それから木造建築士入れて、現在百一万名、日本では百一万名の数になっております。  百一万というのは、実は資格を取ったときに登録をするわけでして、登録更新制度というのはございませんから、その今の百一万の中でも、例えば一級・二級建築士あるいは木造とありますが、二級を取って、それから一級を取るという人も大勢おりますので、ダブっている人が結構いるわけです。そうすると、我々、全国の情報を集めますと、推計約六十万人からぐらいの人は一、二級を合わせて業務独占権を使って仕事をしているんではないか。要するに、その六十万ぐらいの人が社会にいろんな意味で影響を与えるんではないかと考えております。  そして、実は建築士会に入っている人たちは約そのうちの二〇%ぐらいなんですね。現在、我々の全国の合計は十一万名でございますから、もっともっと入ってほしいというのが我々の実は願望なんでございますが、なかなか増えてこない。それで我々も今頭を悩ませております。  それから、今度の事件で、元請建築設計事務所が下請建築構造事務所に発注した構造計算書につきまして適切な指導やチェックすることができず偽造を見逃してしまった、これは大変な問題だと思います。元請設計事務所の責任は非常に大きいと思います。  それから、もう一つの問題点は、確認検査機関構造計算書偽造を発見できなかったことも大きな問題だと思います。  実は、設計をする人の中に、構造を専門にやる人は大体設計する人の一割、例えば建築士が、今、我々実は、建築士会が一〇〇%会員の内訳を見ますと、設計監理やる人が大体三〇%の数です。その三〇%のうち構造をやる専門の人は一割しかおりません。ですから、非常に構造計算をやる人が少ないんです。したがいまして、こういった構造計算書偽造がなかなか発見できなかったというのは、基本的にその辺にも相当問題がまずは物理的にあるんではないかと。  それで、ペーパーの四ですが、再発防止のためには、やはり現行建築士法を一部改正していただきたいと。  例えば名義貸し、借り、要するに資格を貸したり借りたりするのが非常に多いんですが、それをなかなかはっきりと、何といいますか、検閲できないというか調査できないということがありますから、これを取締りを強化することで罰則を厳しくした方がいいんではないか。  あるいは資格の専門性ということで、我々実は、建築士会連合会では三年ほど前から専攻建築士制度というものをスタートしております。資料として、また後ほど御説明いたしますが、このような、紫色のこのようなリーフレットありますが、これが専攻建築士制度の中身なんですが、実は、社会の市民に目を向けて、要するに、建築士といっても、例えばお医者さんのように内科、眼科、外科とあれば発注者も分かりやすいんですが、建築士の中にもそれぞれ専門がありますから、そういった専門性を社会の市民の人に、消費者に分かるような制度にしようではないかというのがこの専攻建築士制度でございまして、三年目になりまして、今、全国建築士会、現在は二十三士会、来年中に四十三士会というようなことで、大体四千名ぐらいの方が認定、どちらかに専門専門で入っていただくというふうになるもう見通しは立っておりますが、いかんせん、まだ始めて三年目ですから、これが五年ぐらいたつと大分機能してくるんではないかと思っております。  それからもう一つは、管理建築士が、現在、士法では比較的あいまいというか、非常に幅が広いというか、その辺が問題があるんではないかと。それで、責任とか権限を明確化してもらいたいというようなことを考えております。  それから四番目に、登録更新制度がどうもないのはやはり顔が見えないというので、お互いにその辺が無責任になりがちであると。それも、国の方へ例えば一括登録するんじゃなくて、各都道府県の建築士会がお互いに地域で顔が見えますから、そういうところで登録更新をしていただくと。  そして、業務独占権を、特に言わば建築士の資格で業として報酬をもらって仕事をやる建築士は必ず建築士会に加入義務を義務付けようというようなことをお願いしてみたいと思っております。  それから、提言の二、三とありますが、二は確認検査機関、これはやはりもう基本的にはダブルチェックと、もう一つは構造計算を専門にやるエンジニアと、そういった人の補充といいますか養成といいますか、そういったことと監理体制、国の監理下できちんと監査機関のようなものができれば有り難いんではないかと思っております。  それから最後に、提言三でございますが、マンションの、集合住宅の、特にマンションの場合、今回問題になっておりますが、マンションは例えば五十戸とかあるいは百戸の世帯の人が分譲して自分の財産としてそこに持ち、住むわけです。そうしますと、たとえ民間がそのマンションを企画して造られましても、非常に公益性の強い、例えば、言い換えれば五十戸のマンションがあると、収容の、戸数があるとすると、五十戸の住宅団地を造るようなものですから、これは非常に公共性が強いんではないかと。公共性が強いということは、工事のプロセスも、言わば設計の独立性とか、それから第三者による工事監査の実効性の確保とか、要するに官庁工事と同じようなことでやってもらえば恐らく事故はなくなるんだろうと、これは直接の考え方です。  それからもう一つは、建築工事関係者、要するに建築士を始め現場で工事を監督するスタッフのエンジニア、そういう人たちの名簿とかですね、それを、例えばよく工事用の看板が道路に出て、看板といいますか、塀で仮囲いをしますけれども、ああいうところにこの建物はこういう建築士がやっているんだということをもうむしろ赤裸々に社会に公示するぐらいの必要があるんではないかと。そして、建築士あるいは工事関係者の自覚を待つというようなことです。  それから最後には、ちょっとこれは提言としては不適切といいますか、少し的を外れるかもしれませんが、設計、工事監理の適正な報酬というのが、実は今非常にこの報酬規定というのがあってないようなことになりまして、これは昔は、昔というか二十年ぐらい前は何%という報酬料率というのがありました。それが独禁法に触れるというんで、公取の審決で一切廃止になりまして、それで今度建築基準法で一二〇六という国交省が定める算出方法という条項がありまして、それに従って今一二〇六というものを実施するようになっているわけですが、その一二〇六というのは実費精算方式とかいろいろございますが、そういうものが実はなかなか守られていないというか、この辺が非常に私ども随分荒れている、荒れるという表現はおかしいんですが、非常に問題もあるんではないかと。それで、是非これは適正なものになっていかなければいけないと、そんなふうに思います。  以上で、概略、ちょっと大急ぎ、ペーパーの御説明に代えさせていただきます。  どうも失礼いたしました。
  100. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) ありがとうございました。  次に、榊原参考人にお願いいたします。榊原参考人
  101. 榊原信一

    参考人榊原信一君) 榊原でございます。  肩書のところに構造設計務所協会会長という形が書かれていますが、私も宮本先生と同じで、実は専業の構造設計事務所の社長をしております。そういう意味で、日ごろ構造設計の実務を行っているという立場からのお話をしたいと思います。  レジュメに沿っていきますが、まず構造設計あるいは設計者あるいは設計事務所というものの理想といいますか、あるべき形というものに対して現状のギャップというものがどうなっているかという話を踏まえた上で、今回のような偽造問題を防止するにはということでちょっと意見を述べさせていただきます。  一般に、建築のプロジェクトというのは、そこにも書きましたが、発注者である施主の方、それから金融関係のファイナンス、あるいは設計、それから工事を受け持つ施工、それからでき上がった、まあマンションの場合ですとそれを管理運営していく、維持していく、これは使用者の方になるかと思いますが、こういった五つの独立した立場の部署といいますか、専門家が協力して一つのプロジェクトというのは成立しているわけでございます。  さらに、その設計という部分で取ってみますと、先ほど宮本先生も言われたように、意匠、構造、設備と大きく三つに分かれております。それで、その三者がパートナーという立場で専門性の高い技術を駆使しながら、統括の下に一つの建築設計プロジェクトをまとめていくということになるかと思います。先ほどのように、統括していく方というのは通常は意匠系の設計者が多いのが現実でございます。  さらに、構造設計というものも、通常の一般の設計と同じく、そのステップとしては、基本計画、基本設計、それから実施設計、工事監理という、大きくこういう四つのステップから成っております。  設計で最も大事なところは当初の基本計画あるいは基本設計の段階でありまして、この辺りで、例えばこのマンションなら鉄筋コンクリート造にするとか、あるいは壁を使うとか、柱とはりのラーメン構造でいくとかという、そういう基本的なことをこの段階で決めます。したがって、ここで、大体工事費も含めて設計全体像の七、八割がこの基本設計、基本計画の段階で決まってしまいます。  それに基づいて、次に実施設計というステップに入るわけですけれども、ここでいわゆるコンピューター等を使いながら定性的なことから定量的な検証を行うという詳細検討に入るわけです。そうしますと、よく言われています計算ソフトというのは、あくまでもその設計を進めていくための一つのツールでございます。それ以外の何物でもないんですが、当初新聞で報道されたような、構造設計者というのは構造計算書作成業務を行うというような言われ方をしまして、これは全く違った理解であるというふうに思わざるを得ません。  その後で最終的には設計図書を完成させて設計が終わりになります。この時点で通常は確認申請という段階になりますが、それが終わりますと、その設計図に基づいて工事監理というものに入るわけです。正しい設計図があっても工事の方が手抜きがされては大変なものですから、それを我々が監理するという形になります。  今、建築士法上は、設計というのが一級建築士一人の方の、申請であれ、判こ、印鑑があればすべて済むということになっていますので、そういう手続上でいきますと、もうその時点では構造設計者の存在というのはほとんどないような形で無視されているような形にもなっています。  耐震設計といういわゆる一番重要な決めることに対しても、なかなかその構造設計者が発注者あるいはエンドユーザーの方と直接お話をする機会というのが現実は非常にありません。少ない、ほとんどないと言っていいぐらいかと思います。その辺で責任問題、これは報酬等も引っ掛かってくるかと思いますが、そういうことが非常にあいまいになっておりまして、先ほど言ったパートナーという関係が、やはり元請、下請的な意味合いもあって、まあ意匠の方は一緒に、パートナーという意味では一緒に仕事をしているんですが、場合によっては構造設計というのを単に下請だというふうに位置付けている場合もあるようでございます。  それから、実際は契約書というものも事前に結ぶということがかなり少のうございまして、設計料も適正でない場合が多いということはちょっと言っておきたいんですが、そういう中で、構造設計者というのは非常に過酷な条件の中で業務を行っているのが現状だということを述べたいと思いました。  それで、今回のような問題はどうすればいいかってなかなか難しいんですけれども、さっき宮本先生も言われたように、とにかく倫理観がなくなったことであれば、もうこれはそれで一言で終わってしまいまして、その教育が必要だといえばそれはそれまででするんですが、人の受け売りですけれども、ローマの大弁論家のキケロという人の言葉に、真の法は正しき理性である、命じて人に義務を遂行せしめ、禁じて悪行を思いとどまらされる、この法の命令や禁止は善人に対して絶えず力を持つが悪人には力がない。要は、つまり法律というのはやはり性善説を基に成り立っているということではないかと思います。したがって、今いろいろやられている安易、安易と言うとちょっと語弊がありますが、規制強化というのは決していい解決方向にはならないんでないかというふうに我々は考えております。  地震発生のメカニズムというのはかなり解明されてきつつありますが、そうはいいましても、いつどこでどのぐらいの大きさの地震が起きるかというのはいまだにはっきり分かっておりません。そのような計り知れない自然の脅威に対して我々はより安全を確保すべく設計を日ごろ行っているわけで、今分かっている最新の技術を駆使してやっているわけです。ですから、法律が最善だということになってしまいますと、技術の進歩というのがそこで止まってしまうわけです。  そういうこともありますし、これからというものは我々も消費者に対する構造設計の重要性というのを直接御説明をしたりする直接対話が必要ではないかというふうに考えております。そういうことによって消費者の方でもある程度リスクをしょわなきゃいけないんではないかと。我々もそれがないような説明を彼らにちゃんとするということが、ひいては、構造設計という職能が今社会的に認知されてない状態なので、それを是非回復したいというふうに思っています。  それから、確認審査機関の件なんですが、これはそこに、メモにあります長期的なところと短期的なところとちょっとダブって書いてありますけれども、今、先ほどのお話のように、確認審査機関に本当の意味での構造専門家という方がほとんどいらっしゃらないんではないかというふうに、我々日ごろ申請している者から見るとそういう感じをするわけです。検査項目を、いろいろあって、それを見るだけで耐震性が大丈夫かどうかというのは絶対分からないんですが、本当ですと専門家が数多く配置してその設計者に対して一件ずつヒアリングをすれば、これは絶対改ざんなんということはあり得ないんだと思うんです。そういうのには審査料とか審査期間というのがかなり問題なんですが、それはやることは十分可能だと思います。それか、あるいはJSCAでも言われておりますように、ピアチェックといいますか、お互いに対等な立場でのチェックということも可能ではないかと。今やたらチェックシートを細かいのを一杯作って、それが、その項目をやったかやんないかという単なるそういう審査というのは非常に無意味な検査でないかというふうに考えられます。  それから、認定ソフトの問題なんですが、ちょっとそこには極論として廃止と書いてあるんですけれども、認定ソフトでする設計が本来の設計ではないというのが我々の認識でして、今盛んに何か審査機関が認定ソフトを購入して入力データをCD―ROMで出させて、それで再計算を行うという話があるようですけれども、全く我々から見ると非常にナンセンスで意味のないことだというふうに考えられます。  計算のソフトというのは非常に数多くあります。通常、超高層やなんかの振動解析をやっているのはまた別にソフトがありますが、これは認定ソフトではありません。認定ソフトというのは、やはり単純にいかに省略して、こんだけ出てくる、アウトプットの五百ページを百ページぐらいにするだけのそういう簡単な形で計算ができる、建物に対して審査の方も楽になるようにということで決めたものですから、これを余り重要視されると通常設計活動が非常に阻害をするんじゃないかというような気がしております。  それから、その資格の問題ですが、これも先ほどからお話ありましたように、やはり資格、構造士というものの資格、その構造士という資格がどういう形かは別としまして、そういった専門性の資格を個々に明示する必要がやはり消費者にとっての情報開示ではないかというふうに思います。基準法でも、その一番安全性に対して重要であるという業務を行っている構造設計者がだれだか分からないというのはやっぱり異常なことではないかという感じはしております。  それから、その資格を明示することでその責任の所在も明らかになるし、付随して言えば、その報酬も適正なものになるはずだというような気もします。  それから、これは極端かもしれませんけれども建築構造設備の分離発注ということも、今の責任とかいう問題に関連していけばお役所の方であればできるんではないかというような気もしますが、そういうことでいきますと、当然なことながら保険制度というものも充実していかないとなかなか、これは責任ばっかりでということになってしまいますので、そういった保険制度の充実も必要ではないかというふうに思われます。  それから、最後になりますが、その現場管理という問題なんですけれども、ここのところで国交省の方から第三者監理という方式が出てきましたけれども、やはり現場の管理というのは設計者が、先ほど言いましたように、基本からずっと通して、一つのプロジェクトを通して現場が終わるまで見ていくというのが我々設計者の願いであり、それがやっぱり建物を建てていく上では一番いい状態ではないかというふうに考えております。  今なかなか、現実問題として、我々構造設計事務所が現場を管理するというのがかなり少ないんです。聞くところによると、設計料も少ないし管理料も少ないから、構造の管理はちょっと重点的に何回か配筋検査だけ見てくれればいいよというケースが非常に多いです。そうすると、我々、十階建ての建物を二階の配筋検査を一回見たって十階建ての建物の責任は負えませんので、そういう状況が今実は現実にあるというところ辺りから、できれば本当は我々に現場管理を必ずやるというような義務付けがあってもよろしいかなという気はしております。  簡単ではございますが、以上でございます。  どうもありがとうございました。
  102. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) ありがとうございました。  次に、和田参考人にお願いをいたします。和田参考人
  103. 和田章

    参考人和田章君) 和田と申します。  今日は三種類の資料を用意させていただきました。ニュートンというのは竹内先生という方が作られて、もう亡くなられましたけれども、その後も続いている本でありまして、ちょうど今回、偶然にというか、これは地震の特集を計画されていて、巻頭の四ページから七ページにわたって今回の事件のことなど、この記者の方と一緒に書きました。ほかに地震関係のいろいろ、津波のことですとか超高層ビルのことですとか分かりやすく書いてありますので、先生方にプレゼントということで持ってきました。  それからもう一つ、ブルーの表紙のは、我々、建築技術支援協会というNPOもやっているんですけれども、去年の三月に福岡で大きな地震がありまして、それほど大地震ではなかったんですが、この三ページに写真があるように、マンションの入口周りの壁がたくさんひびが入って部屋の中に手が突っ込めるような状態、それからドアが開かなくなってしまうとか。それで、この住人の方が国交省に、これで今の基準なのかって、これできてまだ数年の新しい建物なんですが、この程度は今の日本の建築基準法の最低基準は満たしていて、別にこれでいいんだというような御回答で、私も今のルール上はそうだと思って、国交省の言われていることに間違いはないと思うんですが。要するに、こういうことが市民にちゃんと伝わっていなかったということの方が問題だと思っているわけです。  ということで、我々の協会には、今、昭和二十五年に建築基準法が制定されたということが最初お話ありましたけれども、そのときに国交省に入って、まだ御健在の八十幾つの方がいるんですけど、その方も我々のメンバーに入っていまして、こういうことは大事じゃないかということでお会いしてくれました。それで、要するに市民向けにこういう耐震というのはどうなっているかを書いたものです。ただ、偶然にこれを、十一月の十八日に、ある会場を借りて講習会やっていたんですが、やろうとして、そうしたら前の日にこのニュースが入ってきまして、NHKとかTBSとか取材も入って大勢人も集まったことになります。  こういうことをもっとやっていかないと、先ほども住民の方の責任もないわけじゃないじゃないかという、確かにだれが設計してどこが造ってちゃんと管理しているのか、どこが審査したのか、そういう前にまず耐震設計ってどうなっているのかって、こういうことをだれも今までやってこなかったというのが不思議なぐらいです。  それで、今日、私が用意さしていただいたこの五ページの、これを朗読するつもりはないんですけれども、タイトルとしては「現代文明社会と建築構造物の耐震性確保」ということで付けさしてもらいました。私、今は東京工業大学におりますが、日本建築学会に、構造関係の鉄筋コンクリートや鉄骨構造、いろいろな委員がたくさんいる委員会があるんですが、そこの委員長を務めておりまして、その肩書二つ書かしてもらいました。  先ほど、始まる前に、この委員会は事故の多い委員会だなとかってどなたか先生がおっしゃっていましたけど、この現代文明を支えるのはやはり科学技術で、今回の姉歯さんみたいな人が来ると、みんな便利な豊かな社会、ある高いポテンシャルの状態にみんなで保っているわけですけど、そこに穴が空いたらぼろぼろこぼれちゃうわけですね。で、この豊かな便利な社会を守るには、やはりその技術も進めませんといけないですし、人の教育も、それから仕組みもしっかりしていないといけないと思うんです。  それで、余り前置きばっかりしてもいけないんですが、私の好きな言葉に、建築には、二千年前の建築家が言ったんですけども、強、強さですね、用は使いやすい、美は美しい、この三つがなければ建築じゃないと言っているわけです。強が、強くなければ、例えばこの今、会館が、これがみんな入ってきて床が落ちるようじゃこんな委員会もできないわけですから、まず強くなければ用は足さない。で、強くて、よく使いにくい建物ってあるんですね、入口入ったらどこがトイレだか分かんないとか、エレベーターがどこにあるか分かんない。強と用、要するに強くて使いやすくなければ、美しくたってただ形だけだっていう、だけども美しくなければ建築とは言わないということなんです。  それで、ですから、建築基準法とか何かに事細かく書き過ぎだと私は思っているんですけども、そのとおりやれば何かができるというような法律にはなってないわけです。もしそんな法律作ったら、共産主義みたいになってしまって、だれがやっても同じ建物しかできない、そんな法律作っても意味ないわけです。  もう一つの難しい点は、例えば自動車産業に比べて建築は後れていますねと、よくそういうことを言われるんですけど、自動車は買ってきて走らしてみればちゃんと走るかどうか分かるんですけど、耐震だけは、もし、この国会議事堂と関東地震、どっちが古いか分かりませんけど、まだこれが大丈夫かどうかは分かんないんですね、来てみないと。それを試しに揺すってみるっていったって、先週、六階建ての建物を震動台で揺するのをやりましたけど、日本には七十階建てのビルが建っているんですから、それを試しに揺すってみて、ああ、やっぱり大丈夫だから造ってみようというわけにいかないわけですね。そこの、今日はここは国土交通委員会ですから賛成してくださると思うんですけど、元通産省のグループなんかだったら、何建築やっているんだというふうなことを言われてしまうかもしれないと思うんです。  そういうことで、じゃ計算で何でもできるか。今、榊原先生もそんなことないんだって。法隆寺ですとか東大寺とか、そんなコンピューターのない時代に造ったものがちゃんともっているわけです。ですから、まず造る人、今でいえば建築家、構造設計士、そういう人が、地震が来たときどうなるか、そういうことをイマジネーションを働かせて、それで図面をかいて、で計算は、まあ計算してみたらやっぱり大丈夫でしたぐらいの位置付けで考えていただきたいんです。  それで、じゃ、人によって答えが変わるのはなぜかってテレビでもさんざん聞かれたりあるんですけど、税金の計算で来年から特別控除がなくなるからといえばみんなぴたっとなくなるんですけど、そういうような数字だけの話をやっているんじゃなくて、建築というのは、触ればそこに物体がある、そういうものをやっているわけですし、もし長年もてば文化にもなるような、そういうものをやっているわけですから、帳簿を付けるようにいかないのかということだけはやめてほしいと思うんです。  それで、耐震設計というのはプログラムを使えばできると思っていらっしゃる方が多いかもしれませんが、そう簡単なものではなくて、一九二三年に関東地震がありました。それで、その次の年に市街地建築物法というのができまして、これは、東大を卒業されてその後早稲田大学に行かれた内藤多仲先生という方が関東地震の次の年に書いた耐震構造論ということですが、こういうふうに八十年ぐらいの歴史がある学問なんですけど、そうだれでも簡単にできるものではないわけです。  それで、河野一郎建設大臣のころに三十一メーターの制限が外されて超高層ビルができるようになったんです。そのときもうコンピューターは非常に高いものでしたから、あるハイレベルな人たちだけがやっていた仕事なわけです。  それで、八一年に新耐震設計法というのができまして、この法律が変わったのは、一九六八年と七八年に東北地方を襲った地震で建物がいろいろ壊れたからということです。  それで、一応その法律のところで、六十メートルまでは普通の一級建築士で特別な審査を受けなくても普通の確認申請でいいという法律になったんですけど、急に三十メーターまでの制限だったのを六十にして、ほっといたら危ないということで、日本建築センターとかいうのが東京、それから日本建築総合試験所というのが大阪にあって、三十メーター、まあ場合によっては四十五メーターを超える建物は、先ほど榊原先生が紹介になったような専門家委員会の席で図面を広げて、こういう構造をやりましたと、じゃ君、ここはどうなっているんだと、そういうことをやって物を建てたわけです。もし今回も三十メーター以上の建物にそういうことがちゃんとされていれば、国が五十億円もの出費をしないで済んだんだと思うんです。  それで、問題は、そういうこの先端だとかできる人たち、それと、本ができたりマニュアルができたりプログラムができたりしますと、そこまで厳密な審査しなくても僕たちにもやらせてほしいということで、だれにでもできるようにすそ野に技術を広めちゃったわけですね。それで、できない人がやって、分かっていない人が審査するということが蔓延してしまって、構造設計はコンピューターがしてくれるものだと、計算結果は国が認めたプログラムだからいいんだろうということでだれも見ない。この先ほどの榊原先生の指摘に同感なんですけど、もうそろそろプログラムの認定はやめたらどうかと思っています。  それで、ピアチェックという言葉は、我々NPOでも、それからいろいろテレビの放送でも、いろいろなところでアピールさせていただいているんですが、実は、さっき言いましたように、八一年に法律が変わって六十メーターまでが普通にやっていいとなったときに、もう既にそのようなことはやっていましたし、今でも六十メーター以上の超高層ビルは特別な審査を受けてやっています。ですから、私の提案としては、二十メーターぐらいまではまあ今までのやり方である程度事務的にやっても仕方がないかなと。二十メーターから六十メーターは、その八一年に新耐震ができたころにやっていたように、やはり専門家のいるところに持っていって図面広げて、どういうつもりでこれを設計したのかというようなことを議論する場をつくったらいいと思うんです。それから、六十メーター以上、まあ今は三百メーター近い超高層が建っていますが、それは今までどおり、大学の先生や民間の中でもできる人が集まった委員会でやったらいいと思うんです。  そういうことにしますと、今、先生方御存じだと思うんですが、建築基準法施行令、それから告示、そういうのを全部集めた本が二分冊で出ているんですけど、この本の幅と高さが同じぐらいあるんですね。もうそれを買われる方全部理解して、ああそのとおりやっていますかなんてとても言えない。専門家でも全部読んだ人はいないんじゃないかと思うぐらい。ですけど、この審査する方に専門の方が見るようにやっていけば、法律はもっと単純でいいわけですね。五十年に一度の地震にはひび入んないでくださいね、百年に一度はちょっとぐらいいいですよとか、それはやっぱりそういうふうにできてますね、いいですねということをやっていけばいいわけです。  そういうことをするためにも、やはり構造専門家の方、まあ一級建築士のうちの三%というお話宮本先生からありましたけど、約一万人ぐらい、まあ今そういう方がやるもんだということを国家資格でもきちっとやっていただきたいと思うんです。今はパソコンで計算が、最近の話題になるようにできるようになっていますから、できる建築家の方だったらアルバイトの学生連れてきてちょっとマニュアル読んだら形の上ではできちゃうわけです。そういうことができないようにすることが必要だと思うんです。  それから、私は今大学におりますから、教育の問題が大事だと思うんです。工業高校や大学、大学院でやるんですけど、そのたった四年間や六年間の教育で五十何歳までの将来の技術の発展、全部先に教えるわけにいきませんから、やはり専門家をちゃんとやって、その何年ごとに講習や講義を聞いているかという継続研修が要るんですけれども、それじゃ何か先生の話を聞いてきましたって判こもらって点数、それでいいかというとそうではなくて、やっぱり先輩の下に付いて、若い構造設計者はおまえ何やってんだということで教育を受けて育ったり、先ほど言いましたピアチェック、私も今超高層の委員やってんですけど、そんなちゃんとおまえやったのか、やったやつ連れてこいというぐらいな、窓口天皇になってはいけないんですけど、そういう場面でこんな甘い考えじゃ駄目だなといって本人が頑張って勉強したり先輩の意見を聞いて学んでいく、そういうそれが一番いいと思うんです。  ただ、やり過ぎになって、あの先生は用もないことばっかり指摘するということがもし町で話題になったらその委員を首にすればいいので、まあ私はかなりきつく言っている方ですけど、後でどうもありがとうございますって、まあおべんちゃらかもしれませんけど言われています。  ということで、プログラムの大認、大臣認定制度、私はこの初期に設計事務所におりまして、こういうプログラムを作りましたし、その後この認定の委員もやりましたけど、もうそろそろやめたらいいと思うんです。皆さんそれぞれ事務所に戻られたらカラープリンターとかいろいろ持っていらっしゃると思うので、昔僕らが作ったころは英文字と数字しか打てないプリンターで、それを主事さんのところへ持ってって見てくれというのはいかにも失礼なんで、で前もって大臣の認可を得て、中はちゃんとやってますよということで三十年前は機能したと思うんですけど、今、姉歯さんたちが使っているソフトは僕らが三十年前に作ったのと同じスタイルなんですね。だけど、もっと今の色を使ったり漢字や平仮名使って、読んで分かる書類にすることは簡単にできると思うんです。逆に大臣の指定なんて要らないんですね。使いやすいソフトはちゃんと売れて使われていくと思いますから。  それで、再計算という話が話題になっていますけど、SF映画でサイボーグとかいろいろありますよね。コンピューターセンターのコンピューターが勝手に動き出して人々がおかしくなっちゃうというような。もし国に一本のプログラムを作って、あのプログラムに通んなきゃ建てちゃいけないなんていうことをやったら、そのプログラムもし作っている人が間違えたり、その作った人が交通事故で亡くなったりしたら、あそこのルーチンどうなってんだって解明するまでに、あのみずほの株の問題じゃないですけど、もし間違えたプログラムを十年ぐらい気が付かなかったら今回の五十億円じゃ済まないんですね。ですから、コンピューターに頼るということを国の方からやめようと言っていただきたいと思うんです。  それから、先ほどブルーのパンフレットをお見せしましたけど、耐震というのはどうなってるのかということをやっぱり市民に知らせる必要があると思うんです。それから、時々テレビでも話題になっていますけど、今回の〇・五しかない、〇・一五しかないというものを取り壊すことになったんですけど、七〇年以前の設計で、特に壁の少ない、柱とはりだけでできているようなものでもっと危ないのがあります。そのことも忘れないでほしいと思うんです。  最後に、普通、もしそれぞれ今日の先生方、うち帰って家を建てようといったら、もうちょっと安くできないのか、基準法さえ守ってりゃいいよとか。ですけど、皆さんが、国民一人一人がもっと丈夫なものがいいなと思うような社会にしないと、そうしますと孫や子は、子や孫は家を建てないで済むわけですね。そしたらまた別のことにその資産は使えるわけです。建築を消耗品のように、築何年、だからもう土地だけの価値だと、そういうことではなくてストックとして考える時代。そして、地震で、中越地震で被害とかありましたけれども、被害のない国をつくれば、みんなの利益、絶対なります。もし東京に大きい地震来たら百十二兆円と言われているわけですから、是非、耐震性を向上することによって丈夫な建物の価値が高まっていくような社会になったらいいと思っています。  どうもありがとうございます。
  104. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) ありがとうございました。  以上で参考人からの意見の聴取は終わります。  これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  105. 伊達忠一

    ○伊達忠一君 自由民主党の伊達忠一でございます。  三方の先生方、本当にお忙しいところ御苦労さんでございます。また、貴重な御意見をいただきまして、私どもも今日のこの委員会、先生方の意見参考にしながら、是非ひとつ、二度とこういうことの起きないような、原因究明をしながら、そんな方向に持っていきたいと、こう思っております。  そこで、今回の事件、本当に、先生方さえ考えられなかったというような事件でございますから、我々にしてみればもう驚くほかにないわけでございまして、いろんなことに原因があるということを、我々も今回この委員会を開くに当たって、私も友人に設計屋さんもおりますし、聞きますと、非常にいろんな問題点があるんだなということを実はつくづく感じました。しかし、守ることを常識的にきちっとやっていれば、こういうことが起きないわけでございまして、たまたま地震王国でありながらこの地域に起きなかったということがせめてもの幸いかなと、私はこう思うんでございますが。  そこで、先般からいろいろと議論されておりますいわゆる確認申請の制度民間にしたという、官から民に移したということ、この制度につきまして、宮本先生とそれから榊原先生にちょっと考えをお聞きしたいと、こう思っております。
  106. 宮本忠長

    参考人宮本忠長君) 宮本です。座ったままで失礼します。  確認機関というのは、我々実務者から見ますと、ちょうど実施設計業務が終わりまして、それから確認申請をかつてはお役所の方へ出していたわけですね。それがお役所、やはり私は小さい政府というのは、お考えは大賛成でございまして、民間の方へ移行されたわけです。大変有り難いことなんですね。  ところが、基本的に、さっきも申し上げましたけれども、もう構造計算を専門にやるエンジニアといいますか、そういう人が基本的に少な過ぎるんですね。私ども実際にいろいろやっていましても、確認機関というのは非常に大事でございまして、例えば建築主の方が、確認申請が許可が下りましていよいよこれで着工できますというと、そこで実施設計業務が終わるという一つの区切りぐらいに、我々の通念みたいになっているんですね。ですから、その確認が下りるということは大変なことなんです。  そして、金科玉条とまでは申しませんけれども、これで一区切りだと、その確認が非常に今回の事件があいまいだったというところが、これはもう本当に問題視しなくちゃいけないと。それで、それを突き詰めていくと、さっき私申し上げましたように、構造計算をする、実務的に経験し、なおかつ、自分でもできるぐらいの人じゃないと駄目なんですね、現場のプロセス分かるような。ですから、そういうことを是非充実させていただきたいと。それによって大分違うと思います。  よろしゅうございますか。
  107. 榊原信一

    参考人榊原信一君) 設計というのは、責任は設計者にあるものであって、審査機関とかそういうところにあるとは思ってないんです、我々は。ですから、その確認審査というのは、我々が設計したものを、最低限の法律にそんなに依存して変わってないなという辺りのチェックでいいと思うんですが。  官から民に移したというのは、これは僕も別に、非常にいいことで大賛成です。じゃ、今の今回の偽造が民じゃなくて官であったらば絶対大丈夫だったのかというのは、あんまり言っちゃいけないのかどうか分からないんですが、行政でもかなりひどい審査です、現実我々知っているのは。ですから、これは民に移ったからこういうことが起きたということでは絶対ないと思っています。やはり審査する人の今言ったような形の能力の問題ではないかというふうに考えております。
  108. 伊達忠一

    ○伊達忠一君 分かりました。  私もこの制度は、私は決して悪い制度ではないと思う。むしろ間違ってはいないと、こう思うんです。ただ、運用の仕方、今先生方がおっしゃっているように、その機関の運用というものがきちっとやっぱりされていればいいと、こう思うんです。  私は特に北海道なものですから、北海道というのは、今は冬の工事やれますけれども、昔はなかなか冬の工事というのは生コンも打たなかった時代があったんですが、結局、市から申請を上げてくると、今度支庁というのが北海道ありまして、支庁から今度道庁に上がってくる。もう二十日以上掛かるんですね。そうすると、今度民間になったおかげで一週間以内で下りちゃうわけですよ。そうすると、十一月までぐらいに北海道の場合は工事を終わらしてしまいたいということがあるものですから、はいといって銀行に申請したらすぐこの融資が付くというものではないものですから、付いたらすぐ確認申請を下ろして工事着工したいと、こういうことがありまして、これは非常に今の時代に私はいいことだと、こう思っているんですが。  ただ、中の制度の問題でやっぱりいろんな問題が出てきたということは、これからこの中身の問題を、もう少し先生方の意見を言っていただいたり、また、先生方、いろんな委員になっておられまして、うちの社会資本整備の部会の方にもなっておられる先生もおられますので、是非ひとつしっかりと言っていただいていい制度をつくっていただきたいと、こう思っております。  それで、宮本先生にちょっとお伺いしたいんですが、いろんなことをたくさん言われておりまして、お聞きしたいんですが、ちょっと時間、私どもも十五分ということに限られているものですから、一つ二つ聞きたいんですが、元請の設計屋さんから下請に移すんだと、こう言っておられますね。その下請から上がってきたこれをやっぱりきちっとチェックをする、すればこういうことないんだということになると思うんですが。これはもうもちろん当たり前のことだと、私はこう思うんですけれども。  よく聞くところによると、そのチェックする人が、さっき言ったように、これもどこまで本当か私もちょっと分からないんですが、おまえのところの北海道庁だってそんなにこの構造計算できるやついないぞと、こう言うんですね。ですから、ただ資格は持っていますよね、一級建築であればいいわけでしょう、結局。  それで、お医者さんと同じようなもので、医者の免許をもらったからっていったって、じゃあしたすぐ脳外科の手術できるか、外科の手術できるかっていったら、これはなかなか、やっぱり相当な期間を訓練しなかったらできないわけでして、これをできる、チェックをできる、下請に落として、下ろして、上がってきたものをそのチェックをできるという設計屋さんといったら、これはちょっと言いにくいかもしれませんけれども、どのぐらいあるものなんですか。
  109. 宮本忠長

    参考人宮本忠長君) 宮本です。  ペーパーの一枚目に統括する建築士という表現を使わしていただきましたけれども、大体、確かに今御指摘のとおり、その元請の設計事務所の人たちの中で統括する建築士という方が必要なんですね。また、事実いるわけです。その構造計算は、構造計算構造事務所に例えば協力していただいて、元請、下請という言葉はともかく、それはお願いしますね。そうしますと、今度はその構造事務所から上がってきた成果品、要するに構造計算図書を元請の統括する建築士がチェックしなけりゃいけないわけなんですね。そのときに、じゃ一級建築士であればすべてがチェックできるかと申しますと、私はそれは駄目だと思いますね。やっぱり、少なくとも一級建築士を取りまして十年から十五年、まあ最低十年、十五年ぐらいの実務経歴を持った統括する建築士がいれば、これは大体、ほとんど八〇%から九〇%は理解できるんです、チェックといいますか。  例えば、本当に一例で私恥ずかしいんですけれども、私は構造の専門じゃないんですが、おかげさんで実務が長いですから、大体、上がってきた構造計算図面を見ますと、構造図っていうのがあります、それを見ると、大体一目でこれはこっちの予定どおりいけるとか、大体判断できますね。それから、上がってくるまでには何遍も、基本設計の段階で、先ほど榊原先生がおっしゃいましたけど、構造の人としょっちゅうディスカッションをやったりいろんなことをやっているんです。ですから、いきなりぽんと出されるんじゃなくてそのプロセスがありますから、非常に確率が高く安全なものがチェックできると思います。  ただ、問題は、その今御指摘の統率する建築士がじゃどういう尺度でその人を見極めるかとか、その辺が今あいまいになっておりますね。それを法改正で何か具体化になればいいかなと思うんですけれども。  以上です。
  110. 伊達忠一

    ○伊達忠一君 それともう一つ、この登録制度の更新制度なんかも言っておられますが、これは今は登録制度だけでいいわけですね。ただ登録、各県にすればいいということで、認可制度ではないですね、これは。
  111. 宮本忠長

    参考人宮本忠長君) はい。それは登録制度です。
  112. 伊達忠一

    ○伊達忠一君 それですとか、例えば加入の義務化ということもかなり強く主張されておられますが、こういう問題については、かつてこういう動きが相当強くあった時代があったと思うんですが、これどうして駄目になったのか。この二点、ちょっとお聞かせください。
  113. 宮本忠長

    参考人宮本忠長君) 全員加入の運動は、建築士会がその悲願としてずうっと運動を続けてきたんですね。それが、たしか昭和五十年代ぐらいになりまして、それから六十年に入って、もうその全員加入というのは、個人の、やはり建築士の会員の意思がありますし、強制的に全員加入させるというのは、これは憲法違反にもなるんではないかとか、そういういろんな意見が出まして、これはやっぱり現実的ではないと。  それからもう一つは、親子二代でもう建築士の資格を持っている人がいるんですね。そうすると、もう片や引退されているわけです。で、じゃ二人で入る必要もないじゃないとか、そういう現実もございまして、その運動は一応旗を降ろしました。
  114. 伊達忠一

    ○伊達忠一君 もう時間なくて申し訳ございません、まだ聞きたいんですが。  次に、榊原先生にお聞きしたいと思うんですが、エンドユーザーとこの構造設計者との直接対話とかということがありますけれども、例えば法を破っているというか、地震に耐えられないような、から外れたものを建てる。予算が、先ほどのそのホテルの方にもちょっと私もう時間なくて聞けなかったんですが、例えば我々も社屋を建てたことがございます。やっぱり予算というものがあるから、それでもってすべて任せるというんじゃなくて、やっぱり何回かネゴに入ります。そのときに、鉄筋ではないけどほかのことがありました。  いや、予算これしかないから、それじゃ駄目だと、オーバーしたら駄目だと、こう言ったら、じゃこういうことやってくれと言ったら、いや、それならちょっともたないかもしれないぞということで、いや、もたないんじゃ困ったなということで、まあその辺の、この話合いで折り合いを付ける場合があるんですが、これは普通こういうビルですとこれだけの建物になると、そういうことというのは普通はやらないものなんでしょうか。  その辺を一つお聞きしたいということと、設計施工監理、この義務、一連の義務化ということをおっしゃっていましたね。これはむしろどうなんでしょう。よく、午前中も議論したんですが、設計施工というもので一連でやるから、同じ会社でやるからそのチェックもする必要もないし、都合の悪いところはそんなものやらないんだということで、これは外国辺りは分離されているんだということを言って、そうじゃなかったらそのチェックが遠ざかってしまうんだというような話をされておりましたが、この二点、どうなんでしょうか、ちょっとお聞かせください。
  115. 榊原信一

    参考人榊原信一君) 最初の方の御質問なんですが、どのプロジェクトであれ、その予算、必ずあります。それが一番最初に明示された、明示されたといいますか、それがあった上で設計からいろいろ協議に入るわけですから、まあただ、最近ちょっと、いわゆる経済原理が優先しているといいますか、いろんなデベさんも、いや、安けりゃいいんだというところに出ている、傾向になっていることは確かだと思いますけれども。  我々、構造をやっていますと非常に、構造的な変更はできませんよと、これ以上やるともちませんよというのは大体皆さん分かっていただいて、建築の意匠の仕上げを落としたりそういうことで、構造を落とすということは余り聞いたことはないんです。僕らがここで限度ですよと言うと、もうそれから更にということはまず普通はないと思っています。  それから監理の問題は、今言われたように、設計施工一緒だから駄目ということではないんですが、我々から見ると中立性を僕ら設計事務所というのが一番施主に対しては保っているという意味で、工事と設計施工は分離した方がよろしいんじゃないかというようなことでございます。やはり設計者が最後まで見るというのは、先ほど言いましたけれども、一番建物にとっていいんではないかというふうに認識しております。
  116. 伊達忠一

    ○伊達忠一君 私もそういう理論もあると思うんですが、やっぱり同じ社内でやってしまうというのもいかがなものかなという、確かにそういう両方の議論あると思います。これはできるだけチェックができるような格好の方が私はいいのかなと、こう思うんですが。  それと、榊原先生に最後の質問なんですが、規制を強めたら云々という話されましたですね、規制強化をしてもいいものではないんだということを言われたと思うんですが、これをちょっと短く一言お願いしたいのと、それから和田先生には、設計や、意匠だとか構造だとか設計だとかと、設備ですか、こうあるというんですが、やっぱりその中でも、同じ一級でもやっぱり、何というんでしょう、格差と、こういうんですか、ランクというのみたいな、格付みたいのがあるような感じなんですが、やっぱりいろいろと議論していくと、一番大事なのは私ども構造だと、こう思っているんですけれども、やっぱり意匠の方の人の設計屋さんの意見が通ってしまって、それに負けると言ったらおかしいけれども、そのとおりやらざるを得ないというようなことで、だから結局こういう人命なんというのは構造が基本なんだけれども二の次になってしまうんだというような話を聞いたんですが、そういうようなものなんでしょうか。  それが一点と、もう一点は、この建物の価値観というのは意匠と構造とどちらで決まるものなんでしょう。この二点をお二方、榊原先生と、二人お願いします。
  117. 榊原信一

    参考人榊原信一君) 規制強化の話ですが、すべてが悪いということではなくて、設計というのは、先ほどから言っていますようにかなり自由度があることで、僕は規制強化が良くならないというのは、当然なことなんですけれども基準法を守った上での話でして、今、この間のみたいに姉歯さんの問題というのはちょっとどうしてだろうという、まさかという、信じられないというレベルなんですが、我々やっているのは基準法を守った上でのこの辺の話をしているわけですね。ですから、これに余り規制をこう掛けるということはよくないという、かえって改善にはなりませんよと、そういうことでございます。
  118. 和田章

    参考人和田章君) まず、意匠と構造の立場の問題ですけれども、まず意匠の方は営業もやっているわけですね、そのお客さんとの間で。それで仕事を取ってきて、まあ実務の仲間の構造の方にお仕事を一緒にやろうということになると思うんですけれども。ですから、どうしても仕事を取ってきた意匠の方の立場が強いのは仕方ないと思うんですが、中には構造の方が仕事を取ってきて意匠の方に頼むというパターンもあり得るわけですから、常に意匠が強くて構造が弱い、そういうものでもないと思うんです。  それから価値観の問題ですけれども、まあ私は立場上やはり長もちするしっかりした建物に価値がある。どんなじゅうたんが敷いてあるか、どんな壁紙張ってあるかというのはその次だというふうに思いたいと思いますけれども
  119. 伊達忠一

    ○伊達忠一君 ありがとうございました。終わります。
  120. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 三名の参考人の先生方にはお忙しい中、ありがとうございます。民主党・新緑風会の山下八洲夫です。  それぞれ三名の先生方の御経歴を見ますと、大変立派な先生方でございますので、そういうことはあり得ないと思うわけですが、明日から通常国会も始まりますし、多分姉歯元一級建築士のようなのは異常な状態でございますから問題外でございますが、これをきっかけに今後どのようにしたら建築基準法が良くなってこのような偽装問題も起きなくて安心、安全なそれこそ建物が確保できるかということへやはり中心を移さないといけないだろうなというふうにも思ったりしているわけです。  そういう中で、まず宮本先生の新聞記事がちょっと出ているわけです。昨年の十二月の七日の新聞でございますが、どちらかといいますと構造設計建築士さんは意匠設計から見ると下請的に見られている面もあると、業界の中では。そういう記事が、ちょっと談話が出ているわけでございますが、それと、これは宮本先生ではないと思うんですが、もう一点は、仮に一千万円で請けてくると、そのうち大体百万円ぐらいが構造設計の方へ設計料として行くというような記事も、ほかの、同じ記事の中で出ているわけです。これは宮本先生の発言ではないと思います。そういう中で、私も、どちらかといいますと、どうも意匠関係から見ますと構造とか設備、これについてはどうも下請的なニュアンスが一般論としてあるんではないかなと。  同時にもう一つは、ゼネコンといいますか、建設会社から見ますと、建設会社が一〇〇%出資の設計事務所なんか持ったりしているものですから、この建設会社から見たら、今度は設計全体が一方では下請の状況になっているのも相当あるんではないかと。ですから、姉歯のような状態が自然に生まれてきたというような気もするんですが、その辺につきまして、宮本先生、榊原先生、どのように思っていらっしゃいますか。ちょっと御発言いただきたいと思うんです。
  121. 宮本忠長

    参考人宮本忠長君) 宮本です。お答えいたします。  元請、下請の関係でございますけど、実際にクライアントの建築主の方と最初に接触するのは当然元請なんですね。そうすると、その元請のその人の考え方で大体、元請、下請という区分、そういった関係性とは余り、本来なら設計事務所の人は持っていないのが普通なんですね。協力設計事務所といいますか、お互いに技術協力をしてもらうという、そのコラボレーションとしてやってもらうというような建前でいるわけです。  ですから、最初にクライアントと話があったときもすぐそこで、企画の例えばどんなイメージを持つかとか、条件はこうだとか、そういう場合に対してどうやって形にしていくかとか、そういうことに、予算が当然ありますから、そうすると、どうしても構造の専門の人もそこに加わってもらって、最初から、このぐらいの規模であればこういう構造公式がいいとか、じゃ、これなら与えられた金額の中でも、工事費の中でできるとか、そういうことをやり取りはやります。そうすると、その元請、下請の関係というのは余りないんですけど、ところが、中には全く構造というのは下請的に考えている人もいるんですね。これは大変つかみにくい。じゃ、何人ぐらいそうかというと、なかなかつかみにくいんです。  例えば、長野県の例でちょっと申し上げますと、長野県で専業の設計監理だけをやっている事務所で一級建築士が二名以上いる、抱えている設計事務所は二百社ぐらいありますね。そのうち、構造のエンジニア、構造の人を抱えている事務所は一つか二つです、一か所か二か所。それから、構造専門の事務所は十数社ありますね。だから、非常にこう数も少ないわけです。  ですから、その下請、元請の関係というのは、一つには、じゃ、現実にどうしているかというと、元請と下請をやる構造事務所の人はほとんど一緒なんですね。新しい顔合わせというのは余りないと思うんです。大体一緒にやっていると。そうしないと、お互いにその考え方が分からないから。そういう人が実際だと思いますね。  それからもう一つの御質問に対しましては、やはり設計施工というのはよく言われます。ところが、ゼネコンの、スーパーゼネコンのように、例えば大手ゼネコンのような会社とか設計部がしっかり持っている施工会社設計施工をやる場合には、もうこれは非常に内部チェックとかそういうのはきちんとやりますから、そんなに大きなミスはないと思うんですね。  ところが、設計というものを抱えていない言わば施工会社がたくさんあります。そういうところが設計施工ってやると、その設計は逆に下請に行くわけですね、協力事務所みたいなところへ。ですから、元来、元請の設計事務所であるべきものが、もうそこからは下請の事務所みたいになってくる。その辺に非常にチェック機能が働かないということもありまして、私はこのマンションのようなものは、ペーパーにも最初に申し上げましたけど、公共建築と、公共性が非常に強いですからね。これはもう公共、官庁工事並みに設計施工は別よというような、そして監理体制もきちんとチェックできる。まあ、それくらいやらないとエンドユーザーというか消費者にプラスにならないと、こんなふうに考えております。  どうも、お答えになっていますかどうかはちょっと外れるかもしれませんが、そんなようなつもりでおります。
  122. 榊原信一

    参考人榊原信一君) その記事で設計料の話が、一〇〇%に対して一〇%という話が出ているようですが、なかなか言いにくいことなんですけども、我々よく、うちは専業事務所ですから、意匠の方の一〇〇に対して一五から二〇ぐらい欲しいんだけどと言うと、大体そんなにいきませんで、一〇もいただければいい方だと。これは先ほど和田先生も言われたように、意匠の事務所さんの方というのはやっぱり営業から何から、いろんな実務、実務といいますか、設計以外のことをもちろんやっていますし、それで営業的な設計もしなきゃいけないということもあって、なかなか実務に結び付かないケースもあります。で、我々は、どっちかというともう仕事が取れた上でうちに依頼というのが結構ありますから、うちが仕事にかかわるとそれがなくなることはほとんどないというようなことで、リスクが少ないと言えばそれまでなんですけれども。  そういうことでありますけれども宮本先生言われましたように、通常は、設計者の方は意匠の事務所の方でも我々を協力事務所というような形で、これはもう信頼関係がないと意匠、構造、設備、できませんので、そういう形でやっておりますが、一部では確かに、今言われたように、お金の流れそのまんま仕事も下請というような形でやられているところはないとは言えないと思います。今言われたように、どのぐらいと言われても分かりませんけれども、まあ、そういう状況ではあります。  それから、ゼネコンさんのお話なんですが、構造屋さんというのはどこにいるかというと、我々みたいな専業の事務所にいる場合、それから総合事務所にも構造部がありますし、ゼネコンさんにももちろん構造部、設計部の中に構造部があります。結局、僕らは構造しかやりませんけれども、総合事務所構造部の方は意匠の設計者と一緒に同じ会社の中でやっている。それからゼネコンさんに至っては、更にその上に工事部隊がある。  これはやっぱり社内の力関係で、僕が言うのはなんですけれども、やはり社内的な力関係の中で、ゼネコンさんであれば工事が主体の会社でありますから、やはり設計部というのはどういうふうになっているのかなというのは想像の中ではお分かりかと思いますが、さらにそこの構造部という意味では、今回の姉歯さんが圧力があったというのは、内部的にも多少そういうのはあるのかと思いますが、ただ、やはり彼らも倫理観がしっかりしている会社であるので、今別に設計施工、僕は賛成はしませんけれども、あったからといって、それが基準法に違反するとか、そういうものを、悪いものを造っているということは一切ないというふうには言えると思います、はい。
  123. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 和田先生と宮本先生にお伺いをさせていただきたいと思うんですが、民間指定機関になったということは、私もこれは大変いいことだと思っています。決して間違いではないと思っています。  そういう中で、一つ、私も友人やらの関係者建築さんが大勢いらっしゃいますので、いろいろとお尋ねもさしていただきました。意匠関係の方あるいは構造関係の方、そういう方にもお尋ねしたんですが。一つ、例の姉歯さんがよく言っていましたね、固有名詞出して恐縮なんですが、イーホームズなんか余り見てなかったんじゃないかというような、そういうことにつきましてもお尋ねしましたら、構造なんかで、私素人ですから分かりませんが、例えば十階建ての、十階建ての例えば建物を建てると、そうしますと、大体一階にはどれぐらいの強度の柱が要って、その中に鉄筋がどれぐらい要るということで、その設計図を見ればおおよそ分かるというようなことをおっしゃっていたんです。それは構造の方がおっしゃっていまして、計算しなくてもおおよそは分かると。  それからもう一つは、大体建物、八階建てであろうと十階建てであろうと、建てるとすれば、常識的に言いますと、八階建てでございますと八か月プラス一か月だと、まあ九か月掛かると。まあ大体そんな、十階建てですと十一か月ぐらい掛かると、大体そんなようなペースで建物建築しているというようなこともおっしゃっていたんです。  それはそれとしていいんですが、もう一つ面白いことをおっしゃっていたんですね。検査機関でございますから、本来なら設計事務所民間であろうと行政であろうと検査機関建築確認をしてもらうため書類を提出するんですね、建築確認のために。だけど、民間は盆暮れに一生懸命セールスに見えますと。極端な言い方すりゃ、商品券まで持ってセールスへ行きますと。それだけやはり競争が激しいし、ですから二十一日以内ではなくて何日まで下ろしてほしいと言えばかなりそういう融通も利くと、ですからこういう問題も起きるんではないかと。そこを何とかしないといけないんじゃないかというようなお話があったんですが、特に民間検査機関につきましては、やはり多分、宮本参考人の方は自分でやっていらっしゃるんですから、そういう民間検査機関からそういう営業に見えることがあるのかないのか、その辺も含めて教えていただきたいなと思いながら、そういうところに問題があると思うんですが、その辺について和田参考人とそして宮本参考人にお尋ねして、時間になりますので終わらせていただきたいと思います。
  124. 宮本忠長

    参考人宮本忠長君) 宮本です。  お答えしますが、私ども実際実務をしていまして、検査確認機関にいろんな、何といいますか、お願いしよう、早くやってくださいとかね、今言われたような御質問のことで一切やったことは一度もありません。  と申しますのは、やっぱりそういうような関係があること自体が本当はおかしいと思いますね。ですから、想像だにできないんですけど、ただ民間の確認検査機関同士は相当営業が活発だそうですね。それも聞いております。しかし、やはりそういうことでは、それこそ確認機関として、検査機関としてのそれ自体が機能がもう狂っていることですよね。もっと確固たる検査機関になってほしいという気持ちを私ども持ってます、はい。
  125. 和田章

    参考人和田章君) まず、その十階建て、八階建てが分かるかということですけど、先ほど御紹介した関東地震の次の年に早稲田大学の内藤先生書かれた本に、こういう、ちょっと見えないと思いますが、我々、曲げモーメント図と言っている、こういう柱、はりに掛かっている力の度合いを表す図面、図があるんですけど、いろいろ放送局や新聞社の関係姉歯さんの書類見ましたけど、こういう図が何もかいてないんです、数字だけのプリントアウトがただとじてあるだけで。で、こういう図がありますと、いきなりこの柱は太い細いは分からなくても、二階のはりにこれだけ鉄筋が入っていて、十階にこれくらい、この図の大小と鉄筋の量は比例しますから、全部が同じだったらおかしいということはもう本当三十秒もあれば分かるというか。  だから、まず国交省の方にお願いしたいのは、昔からのこういうちゃんとした技術があるんですから、コンピューターでただプリント、数字だけプリントしているのをまずはねのけるように全国に指導してほしいんですけど。ちゃんと図があって、こういう力の働き度合いを表す図と、それから鉄筋がどこにどれだけ入っているかという図を見れば、まず間違いなく分かります。  それから、その盆暮れの話は、私はあんまりそこ関与してないから分かんないんですけど、いろいろ今回話題となっているもう一つの英文字三文字の会社の方は、開所五周年とかいってかなり派手なパーティーをやられたとか、うわさは聞いていますので、やっぱり営業活動をその審査機関側がやっていたということは多分あるんじゃないかと思います。
  126. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 終わります。
  127. 西田実仁

    西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。  本日は、お三方、参考人の皆様方には、もう大変なお忙しいところをわざわざ国会まで足を運んでいただきまして、誠にありがとうございます。  まず、宮本参考人にお聞きしたいと思いますけれども、この今話題になっております姉歯建築士の事件に関しまして、最初の偽装というのは九八年だというふうに本人は言っているわけであります。私もこの建築関係は全く素人でございますけれども、一つの建物ができ上がるときにかなりの多くの人が関与をしておりますし、また、数多くの会社も関与している。そういう設計から現場、すべてのプロセスにいろんな方が関与している。そういう意味では、その偽造がかくも長い間、ある意味ではばれなかったというのは、かかわっている人が多ければ多いほど、普通はなかなか秘密というか、そういうことがそう簡単には守られないというか、どこかで流れていったりしてばれるもんではないかというふうに思うわけでありますけれども、かくも長い間、そういう意味でこの案件、事件が明るみにならなかったという背景にはどんなことがあり得ると、御専門家の立場からお思いになるでしょうか。
  128. 宮本忠長

    参考人宮本忠長君) お答えしたいと思います。  私の感じでは、建築主とそれから施工、今のところ、工事関係者ですね、何か全部同じ一つの系列の中にずっと入っているということが、入っていたというか、いることが大きいんじゃないかと思いますね。  ですから、チェック機能が別会社で、例えば設計設計で独立性があって、それから施工施工でちゃんと独立性があってというようなことになっていれば、今度は、設計の中でも今の構造計算チームと、あるいは設備チーム、あるいは意匠チームとありますが、それがはっきりきちんとして顔が見えれば必ずそこで発見でき、こういう事故は起きなかったと思うんですね。もう、ですから本当に入口の言わばシステムですかね、つくられるシステムの中でこの問題は結局今まで発見できなかったと。  ですから、大体、私ら新聞情報だけですけれども、同じグループだけですよね、一番多いのは。そこに姉歯氏が、彼が偽造をしていても、そういった問題をクローズアップというか、表に出てこなかった。普通は工事をやる施工者と、例えば発注者が甲としますね。建築者が甲として、発注者が甲として、施工者が乙で、それから設計者が丙というようなそういう契約関係というのがあるんですね。そうすると、甲乙丙の契約関係がありまして、乙が、工事者が工事をやっているとき、工事が始まったときに、あるいは図面を見て工事をやるときに、これはちょっとおかしいということが分かった場合にはすぐ乙は甲に報告しなければいけない、そういう契約約款上それはありますね。そして、そうすると、甲はそれを受けてすぐ丙の設計者に、こういう指摘があって、現場であったけれどもこれはどうなんだということをすぐにやらなくちゃいけない、そういう関係も独立性があれば働くわけですね。それが私、不思議でしようがないのは、そういう働きが一つもなかったんではないかと。だから、その辺が、もう本当に何というか、特殊な、要するに建設の特殊なケースだと思いますね。
  129. 西田実仁

    西田実仁君 今、宮本参考人からいただきましたこの資料に、先ほども説明ございましたが、設計を統括する建築士、実務経験が十年ないし十五年ぐらいあれば、先ほどいみじくも宮本参考人もおっしゃったように、御専門は意匠であるけれども構造についても大体分かると、こういうお話がありました。私も何人か知り合いの建築士の方にお聞きしましても、そのようなことを言われておられました。  ただ一方で、非常に専門化あるいは高度化という流れがよく強調されます。大体分かるではなかなか済まないというお話も聞いたりすることもあるわけでありまして、どうなんでしょうか、この特に建築構造士のありていに言えば地位向上というか、しっかりとした立場を保たせることが安全にとって大事であるという指摘がかなり聞かれる一方で、ここで宮本参考人が言われていることは、設計を統括する建築士というのは現状でいきますと多分意匠の建築士になるんだと思うんですね、元請というか、仕事を最初に請けるという意味でいいますと。現状で十万人ぐらいと言われている意匠の人たちが統括する建築士としてそこをきちっとすればいいという考え方と、いやいや、そうじゃなくて、やはり構造はもうどんどん高度化、専門化しているので、それはもう建築構造士の方をしっかり国家資格なりなんなりして、ここをきちっとした位置付けをすべきであると。こういうお考え、ちょっと、恐らく、この後、榊原参考人にもお聞きしたいんですけれども、お立場で違うんじゃないかというふうに思うわけなんです。  これについて宮本参考人にお聞きしたいということと同時に、その後、榊原参考人には、実際に、今の建築士法、士法は、結局、この意匠も構造も設備も一人のいわゆる一級建築士がいればすべて監修できるという非常にスーパーマンみたいな人を前提とした法律の組立てになっていると思うわけでありますけれども、それがもう今や高度化、専門化の中でなかなかそうはいかなくなってきている。ということで、構造専門の方々は今までも何度も法改正に取り組んでこられたと思います。しかしながら、実際によく言われていることは、意匠、設計の人たちの、人数も多いですから、十倍ぐらいいるわけで、その壁にある意味で阻まれてなかなか士法改正に至らなかったという、そういう過去の経緯もあろうかと思っておりますので、それを踏まえて、最初宮本参考人、そしてその後、榊原参考人にこの件についてお聞きしたいと思います。
  130. 宮本忠長

    参考人宮本忠長君) 宮本です。お答えします。  意匠のやっている専門の人というのは、言うなれば、さっき私も、約、建築士会で言えば十万人ぐらいとか数があるにしても、全員が統括できるというような人はあんまりすぐ、例えば意匠、私は意匠だからもう統括できるんだと、そういうことはまずないと思いますね。やはり、それで私は十年から十五年ぐらいは実務経歴を踏まないとなかなか統括ということはできないんではないかと。  それからもう一つは、統括するというのは、構造も設備もある程度いろんな現場経験をずっと何遍も何遍も踏んでくれば一応は理解できるわけです。ところが、そういう現場経験を踏まなければなかなか分からないわけですね。  それからもう一つは、先ほどたまたま和田先生の、建築は用と美と強というお話ありましたけど、私はいつも思うんですけど、正三角形の、正三角形のちょうど重心ですね、真ん中に建築というのはあると思うんです。それで、意匠の統括する人というのは真ん中にいる人だと思うんですね。  それで、例えば構造の人は今度は正三角形の一つの頂点にある。それから、今度はこっちの方で機能的に用という働きをきちんとチェックする人はこっちの極にある。それから、今度は美しいという要素も必要ですから、それは美しいという要素はこっちの端にある。そうすると、正三角形のちょうど真ん中にある人が統括する建築士の役割だと思うんです。  ですから、自分はもう美しい美しいでやるような人は本当の統括するあれはないと思います。その重心の丸がどっちかに偏っちゃ駄目なんですね。絶えず真ん中にいるということでやらなければ建築にまとまらないと思うんです。ですから、余り一方的に、いやもう意匠こうだから構造はもうここで我慢しておけとか、そういうことはまずあり得ませんですね。そういうコラボレーションをやっております。
  131. 榊原信一

    参考人榊原信一君) 宮本先生も言われた統括という意味は、僕の解釈では、構造的なすごい高度な内容まで分かると、そういう意味ではなくて、建築のプロジェクト全体をまとめていく上では、たとえ分離という形、技術者が分離はしていても、だれかがやっぱりまとめないとプロジェクトは成り立たないんですよね。それぞれが勝手なことを言っていたのでは一つにまとまりませんから。  そういう意味で、幅広く知識と、そういうことを分かる人が統括をするという意味で、当然ある程度構造のセンスもあるでしょうし、設備のこともよく分かっている方がプロジェクトをまとめていくという意味に僕はとらえています。ですから、僕も統括者は必要だと思っています。ただ、発注形態が必ずしも意匠、構造という、お金の流れが意匠、構造、設備、分離でもいいかなと。そこに統括者がいるということでもよろしいんじゃないかなということは考えられます。  それから、構造士の資格といいますか、意匠の壁というのがありましたが、確かにやはり意匠系といいますか、一級建築士の方から構造部分あるいは設備の部分を剥奪するということは権利が少し減るわけですから、そういう意味での抵抗はあると思いますけれども、今もう意匠の方もそういうことも言っていられないという認識だと思います。ですから、ある規模、今いろいろその辺は数字が出されていると思いますが、例えば先ほど和田先生に言っていただいた二十メーターだとか、そういうある規模以上のものは、構造士といいますか今の建築構造士かどうかは別として、士法でしっかりした資格を決めた上でそういう人がタッチしないと仕事が成り立たないような規制は十分あり得るんだと思います。  それに対して統括の、これは意匠系でもいいし、先ほどの例えば工場みたいなプラントだったらば構造でもいいかもしれません。あるいは設備でもいいかもしれません。ただ、そういう統括者というのは必要だろうというふうに思っています。
  132. 西田実仁

    西田実仁君 最後に和田先生にお聞きしたいと思いますけれども、再三出ておりますこのピアチェックについてですけれども、これが実際に欧米では行われているということでありますが、今のこの日本の実態、現実の上でどの程度、理論としてというか考え方としてよく分かりますけれども、現実的なのかどうか。もし何か障害があるとすれば、これを日本に導入していく場合にどういうハードルを乗り越えていく必要があるのかということを最後お聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
  133. 和田章

    参考人和田章君) 今日、この五枚の紙にも書かせていただきましたけど、その一九八一年に高さ六十メートルまでは普通の一級建築士でよいということになったんですけど、それから確認申請で主事さんが見ればよいことになったんですが、三十メーター以上、場合によっては四十五メーター以上はこの建築センターとか総合試験所でやってたわけです。ですから、欧米でやってたということも、このこと自体がそういうことを参考にしてもう四十年前からやってるのかもしれませんが、ピアチェックのようなことは既に経験があるので問題ないと思うんです。  それで、例えば横に十軒、それから縦に十階建ての百戸入るマンションがあったとして、一人ずつが一万円払えば百万円のお金になるわけですね、買うときの。百万円あれば十分ピアチェックできますから、今回いろいろ出ていかれたり取壊しになった方がもし四千万円のマンションを四千一万円出してくれればピアチェックができるんですよと言えば国民は納得すると思うんですけど。  それで、それはある意味で緩めてきて、六十メーターまでは主事さんや民間の機関でいいというふうにしたのはこの一九九九年からで、やはりこの難しい技術を余りにも広め過ぎちゃったんじゃないかなと私は思っているんですけど。
  134. 小林美恵子

    小林美恵子君 日本共産党の小林美恵子でございます。今日は大変貴重なお話を聞かせていただきましてありがとうございます。  私は、まず和田参考人にお伺いしたいというふうに思います。  今回の事件の背景に、やはり建築建設業界におけます安全をないがしろにしたコストダウン競争がやっぱりあると思うんです。それで、衆議院での証人喚問で、先ほど来も出ていましたけれども姉歯氏は鉄筋を減らせと言われたと証言をしました。で、ある建築雑誌が実施をされました建築士へのアンケートがございましたけれども、それを見ますと、建設設計実務者の一三%が、コストダウンの要請などで脱法行為を犯してしまうほどの強いプレッシャーを感じたことがあると回答されています。犯したじゃない、犯してしまうほどのプレッシャーですね、そうですけれども。  それで、私は和田参考人にお伺いしたいんですけれども、こういう実態をどういうふうに考えておられるかということと、やっぱりこの実態というのは、コストダウン競争でこういうプレッシャーを与えられるということ自体が大変問題だというふうに思うんですけど、この点での御意見をお願いしたいと思います。
  135. 和田章

    参考人和田章君) 例えば、先生が秋葉原に行ってもしパソコン買うときに、もっと安くなんないのかとか、車を買うときに、もうちょっとナビゲーターぐらい付けてくださいよとかってやると思うんですよね。建築建てるときに、デベロッパーがもうちょっと安くなんないのって、そんなの当たり前のことなんですね。そのプレッシャーに負ける方が僕はいけないと思うんです。どうぞ好きなだけお金使っていいから丈夫なものを建てていいなんて言う建築主なんてほとんどいないと思うんですね。  で、私は、例えば超高層ビルにどれくらいの鉄骨量を使っているかと、平米百二十キロでできます、平米二百キロです。長期信用銀行って、会社がつぶれちゃいましたけど、あれは平米三百五十キロ使っているんですね。あの新聞で話題になっている姉歯さんのは六十何キロ、まあ鉄筋コンクリートですけど、あの長期信用銀行は三百五十キロ。まああれくらいのお金持ちならそういうもっと安くなんて多分言わないんでしょうけど、もう残りの九九%はもっと安くって、そんなの安くって言っちゃいけないなんていうことは言えないんですよね。  だけど、先ほど言っているように構造設計士というのが独立した資格になっていませんから、弱い建築家がいて、あとは、姉歯さんは一級建築士ですけど、アルバイトの男の子にちょっとパソコン買ってきてやってよと言えば、そのプレッシャーに完全に簡単に負けちゃうと思うんですね。その一級建築士のその統括の方がしっかりしていればいいですけど。ですからこそ、分かっている人たちにちゃんと資格を与えて、だれに頼んでもみんなが断るという社会をつくんないと、じゃ僕がやってあげますという人が簡単に現れるようなことをしていたのがいけないと思うんです。
  136. 小林美恵子

    小林美恵子君 確かにプレッシャーに負けて犯すということ自体はもう大変な問題だと、これは大きな問題ですけれども、先ほど先生がおっしゃったみたいに、そういうプレッシャーに負けるような状態に置かれているのもあるということは、ここも大事なことじゃないかなというふうに私は思うんですけど。その上に立ちまして、先ほど来から出ていますけれども建築士の皆さんのこのお立場といいますか位置といいますか、この点についてお聞きしたいと思うんですけど、その点は宮本参考人榊原参考人にお聞きしたいと思います。  先ほどからも随分出ていますけれども建築士の皆さんのお立場というのは、施工業者と雇用関係にあったり、また意匠関係建築士さんと構造関係建築士さんが元請と下請の関係にあったりというのは先ほど来から出ていました。そういう実情といいますか、そういう実情が果たしてどうなのかということと、本来、やっぱり建築士の独立性というのが確保されるべきなのかどうかという点も含めまして、お二人の御意見をお伺いしたいと思います。
  137. 宮本忠長

    参考人宮本忠長君) 宮本です。お答えします。  建築士はやっぱり自分自身に対する毅然とした、自分自身に対するプライドといいますかね、これを失ったらプロフェッショナルな職能人としてまずは失格だと思うんですね。  ですから、仕事の流れでいえば、どっちかというと受け身です。建築主がまずはあなたに頼むとか、こっちはそれを受けると、受け身ということはありますね。ですから、例えば契約書なら契約でも完全にこうと双方が同意じゃなくて、どっちかが上でどっちかが下という上下関係がどうしても出ていますね。そのときに、いや、もう毅然とした態度で、これはもう私としては受けられないという、そういう姿勢をきちんと持っている人は私はずっといらっしゃると思うんですね。  中には、今のように競争が激しくなると、どうしてももう負けるわけですね。負けて、やらざるを得ないという、そういう人も出てくると思うんです。ですけど、やはり事務所として構えている以上、スタッフに当然いろんな人件費もかさむことですから、無謀なことはできないわけですね。ですから、そこで断る勇気を、やはり私はそういう勇気を持つ建築士がもっともっといなくちゃいけないと、それは思います。  ただ、今はそういう意味では乱れてはいると思いますね。ですから、我々建築士会としましてもその辺は倫理規定で、自分自身の責任においてもうきちんとしなさいと、それで駄目だったらもう事務所を畳みなさいと、そのくらい士会内部で言うときがあります。  それからもう一つの今の御質問に対して、施工会社の人と設計事務所との関係だと、例えば学校が同期だったとか、それから先輩後輩であるとか、この建築の世界というのは割合と狭い世界ですね。私は文系と理系と分けてみますと、文系はうんと広い社会がありますけれども、理系というのはもう、特にまた建築家は狭い。だから、そこでどうしても学校の同級生とか先輩後輩というのがありますね。  そんなことで、そういうしがらみにあって、しがらみがくっ付いていてどうにもならないから受けちゃうんだという人もいると思うんですけれども、そこがやっぱりお互いに同級生でありあるいはその先輩後輩だったら余計に自分のポジションというか、それを社会的にきちんとするという関係を持っている人はやっぱり大体持っています。持っていない人は大体分かります。そういうふうになっているのが実情ですね。  以上でございますけど。
  138. 榊原信一

    参考人榊原信一君) 先ほど、法律を犯してまでというプレッシャーという、幸か不幸か、僕は今まで三十何年やってきましたけれども、法律を犯してまでやれよという話は聞いたことないし、そういう意味でのプレッシャーは受けたことありません。だから、ちょっと信じられない。  というのは、それをやる意味というのは我々ないんですよね。例えば、法律を犯すと非常に手間が省けて、一日掛かる仕事が半日で終わるというんならまあこれは話は別なんですが、かえって時間掛かるわけですね、あんな余計なことをすると。ですから、法律を犯してまで安くしろというのはちょっとないんです。  ただ、コストダウンを図れというのは、これはもうしょっちゅうです。今、和田先生が言われたように、これはもう当たり前なこと、当たり前と言うとおかしいんですが。それはまあ我々も一回やってすべて最終的に一番いい形ができるとも思いませんで、何度もこう見直したりする上では、それはどこかに無駄が出ると、出ているところもあるだろうという、あるいは考え方も変えることによってまあ違う。  例えば、基礎に関しても、本当にくいを下まで入れるのがいいのか、途中で止めて耐力を落としてでも本数を減らした方がいいのかとか、あるいは場合によったら地盤改良がいいのか、いろんな選択肢があるんですね。その中でどれが一番今のコストでは、コンクリートと鉄骨もそうなんですが、コンクリートのコストが高いから鉄骨をなるべくそれは減らした方がいい、どっちかって、そういうのまで含めてコストダウンという、そういう意味の経済設計というのは常に頭の中に入れながら全体をやっていくわけなんですが、それは先ほども言いましたけど、法律云々という以前の問題ではないところでの話なんです。  それと、雇用関係なんですけれども、今、宮本先生も言われたように、たまたま、通常施工業者さんと設計事務所がそういう形で雇用関係にあるということはまずないんです。設計事務所というのは、お施主さんとじかにつながったその工事の会社から見れば第三者的な立場であり、むしろお施主さん側のコンサルという意味でといいますか、立場に立って中立性を保つということで工事の管理もできるということなんで、うちもゼネコンさんと請負契約というか、向こうから仕事をいただくみたいなことは普通はないんです。  ただ、そうはいってもゼネコンさんも設計部があります。で、設計施工というのがあります。そうすると、彼らが受けた設計をすべて社内の設計部でこなしていっているかというと必ずしもそうではありません。それが、小さなと言うと言葉は悪いんですが、設計事務所にゼネコンさんから依頼があるということがないとは言えません。けども、その場合でもやはり設計者としての倫理観を持った中立性があれば、おかしなことにはならないというふうには考えています。  ただ、確かに設計料が安いんです。あんまりここじゃ言いたくないんですが、マンション設計料が工事費、まあ大体工事費と設計料、料率でパーセントというのはおかしいんですけれども、消費税、昔の消費税三%以下というのがざらです。下手すると二%を切るんじゃないかという話もあるくらいで、その中で我々がやらなきゃならないということになると、まあ姉歯さんが言っているこれをやらないと次の仕事がないというのが脅かしかどうか分かりませんけども、それは彼にしてみれば現実問題としてかなりのプレッシャーになったんではないかということは感じますけどね。  ただ、今先生が言われたように、やっぱり駄目なものは駄目だと、それは我々でもふだん、日ごろこれ柱取れとか、はり小さくしろとかというのがあります。それは別に法律生かしてじゃないんですけれども、で、できなきゃおまえができないんだろうって、できる人はいるんじゃないかというプレッシャーもありますが、それと法律を犯すというのはちょっと違いまして、そう言いながら我々はできるといえばそれはちゃんと壊さないようにできるという自信を持って回答しなきゃいけないんで、その辺はちょっと今の法律の話とは全然違うと思いますがね。ただ、プレッシャーはありますよね、そういう意味ではね。
  139. 小林美恵子

    小林美恵子君 コストダウンは日常茶飯事だと、それが激しくなればそのプレッシャーに負けることもあるという話は、さっき宮本先生からはお出しいただいたかなと思うんですけど、私はやっぱりそこが問題じゃないかというふうに思います。  それで、もう一つ和田参考人にお聞きします。  民間検査機関関係なんですけれども、例えばゼネコンとかハウスメーカーとか資本関係を持つところもございますよね。そこの例えば住宅とかマンションのメーカーが自社物件を自らの手で検査を行うということは、やはり検査の公正さとか中立性からいうと損なわれる問題があるんじゃないかというふうに考えるんですけれども、午前中の参考人の方で仙田参考人の方が、その中立性、公正性の問題で株式会社ではどうかなということで公益法人などというようなお話もございましたけれども、その公正中立を確保するという点で御意見があったら教えてください。
  140. 和田章

    参考人和田章君) おっしゃるとおり、ハウスメーカーの集まった何とか、何とか建設会社のつくった何とかって、それは本当に私も問題だと思います。ですから、余りその関係のところには出せないようにした方がいいと思うんですね。株式会社でいいか公益法人がいいか、ちょっとその辺については私、余り専門的じゃないので分かりませんが。  あと、建築主事さんがいらっしゃる特定行政庁の方々は、構造の担当の方がいないとか、いろいろそちらの問題ですけど、そういう民間の機関を時々チェックしに行ったりして、そういう変な関係がおかしくなっていないか、そこをきちっとやっていただけたらと思います。
  141. 小林美恵子

    小林美恵子君 ありがとうございます。
  142. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 社民党の渕上でございます。今日は大変御三人の参考人、御苦労さまでございます。  まず、宮本参考人にお伺いいたしますが、建築士の資格を持つ者が構造設計書を偽装するという、人々の財産はおろか命さえ脅かす事件が発生をいたしました。    〔委員長退席、理事山下八洲夫君着席〕  今回の耐震強度偽装事件は、施工会社の子会社設計事務所設計を受注し、構造設計が実質的に施工会社の下請の子会社設計事務所設計を受注し、施工会社の下請の形で姉歯建築士に委託をされることで事が起こりました。現行の建築基準法建築士法では施工会社が自社で設計や監理をすることが許されており、設計施工の一括請負の一般化や元請、下請、孫請という多重下請、ピンはね構造、それから建築士施工業者への従属による不適正な業務や名義貸しの横行などが生じていますが、厳しい価格競争の下で施工業者設計のみで受注した場合、あるいは今回のように設計者が施工者に従う立場にある場合にどうなるのか。そこに危険な建築物が造られる可能性が今回の事件は示しています。  施工者から独立した第三者の立場で設計監理が行われることで初めて信頼できる建築物が得られると考えられます。施工者から設計監理の独立性を担保するための具体的な措置についてお考えがあればお聞かせいただきたいと思います。
  143. 宮本忠長

    参考人宮本忠長君) お答えいたします。  やはりその建築主の了解といいますか、理解を是非もらいまして、設計事務所というか、あるいは設計機関といいますか、それは独立性がもうまずなければいけないと思うんですね。特に、例えば自社ビルを建てるような場合ございますね。自社ビルの場合には、施工会社が独自で、自分のところでやっていってもまあまあ許されると思います、技術的にそれがクリアすれば。  ただ、先ほども申し上げましたけれどもマンションとか集合住居というのは、もう公営的な住居というのは官庁工事と同じ公共性がございますから、もうどうしてもその設計という問題が、まず独立的なものでなければチェックができないと思いますので、その意味で、それを建築主もまずは公益ということを考えて理解しなければいけないんではないか、その辺が今あいまいになっておりまして、今御指摘いただいたとおりなんですね。  結局、マンションであれ、あるいはこういう自社ビルであれ、自分たちの施工システムで何でもやるというところに、これは法的には許されるわけですけれども、道義的には私は許されないと思うんですね。ですから、そういうところをこれから法改正なりそういう運用でできれば、私はまずそれは消費者にとっても大変いいことだと思いますね。
  144. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 それでは、参考人三人の方にそれぞれお伺いをいたしますが、建築家の資格制度についてのお考え方についてどのように考えられているのか。    〔理事山下八洲夫君退席、委員長着席〕  我が国で建設設計監理を行うためには建築士の資格が必要です。我が国は、建築士は約九十万人、それから二級木造建築士を除いた一級建築士だけでも三十万人と言われております。そのうち、本当に建築設計監理をしているのは二割程度だと言われていますが、本当に建築設計監理をしているのは二割程度と言われていますので、消費者からすると、現代の建築士制度は消費者の利益を守るという資格制度本来の機能を果たしていません。  そこで、日本建築家協会では、現行の建築士制度の不備な点を指摘をし、消費者が設計専門家に安心して仕事を任せられるようにするための仕組みとして、第三者性のある評定評議会で認定をされた建築家に登録建築家の名称を与え、その人の情報を公開するとともに、継続教育を義務付け、三年ごとの更新審査に合格しないと登録更新ができないようにする仕組みを提案をしています。今回の事件を踏まえて、建築士の資格の在り方についてどのようにお考えなのか、御意見をお伺いしたい。
  145. 宮本忠長

    参考人宮本忠長君) 宮本です。  今の建築士法は、ちょうど昭和二十五年ですから、もう焼け野原で本当に何もないところで早く住宅復興しなくちゃいけないというような趣旨から作られているのが今の建築基準法なんですね。それで、建築基準法を今度守るために士法というのができるわけです。  そうすると、当時はまだ木造の住宅とか木造の建物が主ですから、それほど高度な専門的な技術とか、そういう分野は余り必要なかったですね。それが五十年経過しますと、もうどんどん進歩というか社会の発展が、どんどん科学が進んできますから、要するに木造から不燃構造といいますか耐火建築といいますか、そういうふうになってきます。そのときに、建築士法は今度はどうなるかといいますと、専門性というのは余りうたっていなかったんです、今御指摘のとおりなんですね。それで、私ども、とにかく今までの建築士法は、あるいは建築士会もそうですが、とにかく内部でお互いに技術を向上しよう、あるいはお互いにもう少し法律を理解して勉強しようというような、内輪に大分関心があったんです。  ところが、これはいかぬといって、先ほども申し上げましたけれども、全員登録とかそういうのをやめて、建築士の持つ専門性というのは外に対してどういう評価があるかということを考えようということになりまして、例えば一人では構造計算も設備の設計もなかなかできないという世の中になりました。それで、市民から見て、お医者さんのように外科、内科、眼科みたいに分かれば、私は、家を建てるときには、工事の方をお願いに行くんだから、じゃその生産専攻建築士の方へ行こうとか、設計頼むんだから、じゃ設計専攻のところへ行こうというんで、我々は専攻建築士制度というのを立ち上げました。同時に、五年ごとぐらいに登録更新制度もやろうと。それには、ただそれじゃ駄目なんで、継続能力の開発といいますか、そういうCPDも単位を決めまして、それもやろうと。そして、特に設計は今御指摘のとおりに非常に、建築士の資格がある人の中で二割ぐらいですからね。おっしゃるとおりなんです。そうすると、二割がじゃ全部できるかというと、それぞれ専門性がその中でありますから、それを今、専攻建築士制度ということでスタートして、これは非常に実効を上げておりまして、これからも恐らく全国、これはまず何といいますか、一番、エンドユーザーというか消費者に分かりやすいことになるだろうと思ってやっています。  今の日本建築家協会も、実は私も名誉会員なんですけれども、日本建築家協会はやっぱり設計者だけの集まりということでやっています。我々建築士会というのは、施工者のところにいる設計者の人もいるわけなんですね。ですから、日本建築家協会は設計だけをやっておる人たちの集まりになっていますけれども、両会が今一緒になりまして、やはり士法を改正していかなきゃいけないだろうと。そして、私はその職能という、設計者の職能というものをどうやったら確立できるかということも大事だと思っています。  ですから、これをちょうど機会に、やはり我々が、士会も、恐らく家協会もそうだと思いますが、設計者としてはどういうような仕組みを持ったら消費者に対して設計の専門性というものが理解できて、そして言うなれば職能を奉仕できるかというようなところに着地していきたいと思っております。そんな状況に今ございます。
  146. 榊原信一

    参考人榊原信一君) 資格の問題というのは、我々技術屋さんというのは、技術屋というのは非常にいい加減でして、建築士も、僕は若いころに、取らないわけにいかないけれども、取ったって食えないよという話で、資格を持っているから仕事ができるという認識は実は余り持ってなかったわけですね。  ところが、やっぱりこういう状態になりますと自分たちでそういう自己満足していてもしようがなくて、やはり今、宮本先生が言われたように、消費者といいますか、エンドユーザーにその辺がはっきり分かるような形で士法が改正されていくということを望んでいるわけで、今確かに、士会連合会、あるいは日事連とかJIAとか、いろんなところが一緒になってその改正の方に取り組んでいるという話は聞いております。私も日事連の方の特別委員会にちょっと参加しておりますが、そういう形で士法の改正をもう少し一般消費者の方に分かりやすくなるような、そういうことで、建築家あるいは建築技術者、我々も含めた建築士の職能というものを分かっていただけるような形にはなっていっていただければと思っております。  以上です。
  147. 和田章

    参考人和田章君) 私も、まず先ほども最初に話さしていただきましたが、構造士の国家資格ということで建築士法が改正されると本当はいいと思うんです。ただ、すぐにはできないとしたら、少なくとも今、構造技術者協会で構造士という方がいらっしゃいますから、そういう資格を持った人に民間で仕事を自発的に頼むような、そんな社会に早くなってくれたらと思うんです。  私は、構造の先生のところに付いて大学出て、卒業するときに設計図に色刷りで鳥瞰図みたいなのを書いたりしなきゃいけないんですが、そういうときに、これ、意匠系の先輩なんかが来て色を代わりに塗ってくれたり、そこをそでが長くて手のひらが隠れるような長いセーターを着てきてセーターで絵の具をこすったりするんですよね。だから、そういうデザインの好きなそういう人と、僕らみたいにまじめな数学が好きな人とやっぱり交ぜこぜにしておくのはちょっと問題だと思うんですね。
  148. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 最後に、榊原参考人、それから和田参考人にお伺いしますが、私たちが疑問に思うのは、なぜ現場で今回の事件分からなかったのか、何回もチェックがあったはずだというふうに思っているわけですね。それでもやはりこういう事件が起きたということは、今回の事件を教訓といたしまして検査の在り方についてどのようにお考えになっておるのか、おっしゃっていただきたいと思います。
  149. 榊原信一

    参考人榊原信一君) これは現場で、どうして、先ほどからもそういう話が、どこかで分かったんじゃないかという話があるかと思うんですが、非常にこれは僕もどういうふうに答えていいか分からないんですけれども、一つには、時々テレビでも言われていますけれども、これは確認申請を取っていますよというようなのが、いわゆるお上のお墨付き的なのが日本人は割と好きですから、そういうのがあるよと言うと、みんな、じゃ、しようがないなというところが多少あるんではないかなという気はしています。  それから、今回のようにこういうふうに分かったので、図面見れば分かったでしょうと。これは確かに言えるんですが、本当に当初は分からなかったわけですね。こんなことはないと思っていた目で見るのと、これは駄目だよと思って見る目では大分違うと思うんですね。ですから、あるテレビで鉄筋屋さんのおやじさんだと思うんですが、少ないなと思ったと。でも、そういう工法もあるんだよと言われると、彼らとしてはそうなのかなと納得せざるを得ないということで、やっぱり、何というんですかね、確認申請のお墨付きがあればすべて大丈夫だという辺りがなかなか分からないところなのかなと。  ですから、やっぱり先ほどから言うんですけれども、エンドユーザーの方あるいは我々構造設計従事者が住民説明をするぐらいなことを義務付けてもいいんじゃないかと思うんですが、そんなことをすればどこかでそれは引っ掛かるんじゃないかなという気はしています。
  150. 和田章

    参考人和田章君) 現場の途中の話はおっしゃるとおりだと思うんですけれども、なぜ審査機関が気が付かなかったかということで、イーホームズの藤田社長さんからメールが来て、そこにいる大林組のOBの方とか伺ったんですけれども、その設計者の方が持ってきた書類に対して、ここどうなっているんですかと。それはある限度があって、それ以上厳しく質問すると、不作為の行為というんですかね、よくその不作為という言葉の意味は分からないんですけれども、要するに僕なんかは、私の印象では、窓口天皇というか、おまえ、そんなのできないぞなんて言っちゃいけないというか、それから図面と計算の値が同じになっているかどうか以上のことは言えないんであって、もし国土交通省の方から、そういう各機関に弱腰の審査をさせろともし言っているとしたら、もう少し強く言うようにしていただければ。何となくベテランで分かっていらっしゃる方がいるのに手が出せなかったというような感じを私は感じました。  実際の現場の話ではないんですけれども、審査側のところでなぜ見付けられなかったかということで。
  151. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 終わります。
  152. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) これより自由質疑に入ります。  質疑を希望される方は、挙手の上、委員長の指名を待って御発言いただきたいと存じます。  それでは、質疑のある方は挙手をお願いいたします。末松信介君。
  153. 末松信介

    ○末松信介君 今日は先生方にお越しをいただきまして、大変有意義なお話を聞かせていただきましてありがとうございます。  自由討議ということで、一つお聞きをしたいのは、民間検査機関ですよね、ここで昨年裁判所が、横浜の方ですけれども、指定機関による確認の事務は建築主事によるものと同様に地方公共団体の事務との初の判断を下したということを書かれているんですけれども、ある雑誌ですけれども。  実は、この一連の問題が出てきて、恐らく四十七都道府県それぞれの主張ありますけれども、随分地方公共団体が緊張しているということを思うんですよ。なぜかといいましたら、結局、民間の機関の確認による事務とはどこに帰属するかということだと思うんですね。民間機関を国家賠償法上公権力の行使に当たる公務員、いわゆるみなし公務員にとらえるという裁判所の判断というのが随分気になってきておるということなんですね。つまり、民間機関は特定行政庁の監督是正権限下にあるということになった場合、まあなっているんですけれども、この点で自治体に賠償責任が帰属するという理由が出てくるわけなんですけれども。  自治体は結局、故意又は重大な過失があった場合においてに限って民間機関に対して求償権が生ずるんではないかということが考えられるんですけれども、いろいろと現場は、非常に民間機関というのはまあそれだけの経験のある方が今お勤めになっていて、そう数もいない方が審査されていますんでね、非常に信頼はされているんですけれども。しかし、責任は地方公共団体にかぶってくるということが出てくることが、今のままでは裁判所の判断出てくるんじゃないかと言われておりますんですけれども、この場合、三人の先生方にお聞きしたいのは、特定行政庁が今後この監督の方法や内容を工夫する必要性が随分出てくると思うんですよ。こうしなきゃならぬという問題いろいろ生じてくると思うんですよね。で、アドバイスをちょっといただきたいと、本来我々が考えにゃいけないんですけれどもね。今日ちょっと一遍先生にその辺りのお話をちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  154. 宮本忠長

    参考人宮本忠長君) 宮本です。お答えします。  私は、やっぱりその確認機関ですね、今御指摘の確認機関というものがこれから強化されるということは当然だと思うんですけれども、まずその構造の技術者の養成というのがもう民間確認機関がまずやってもらわにゃいかぬわけですね。  今度はその行政の方ですね。行政庁の方で監査、監督をきちんとやってもらうのはこれ当然大事なんですけれども、ただ、そのときのその例えば、要するに確認検査機関がいろんな検査したときの担保というか、瑕疵といいますか、保証といいますかね、何かそれ、私も士会ともちょっと話をしているんですけれども、保険会社が例えば担保し切れないんじゃないかというふうな意見もちょっと聞いているんです。ですから、これは士会でもこれから少し専門にその委員会つくってやっていこうと思っていますけれども、非常にこれまあ難しいというか、問題じゃないかと思うんですね。  私も今正確にぴしっとこういうことがいいんじゃないですかとか申し上げるまだ私にデータありませんけれども、ただやっぱり国が監査を、監査機関というか、それをどういうふうな形でつくるかということが問題だと思うんですね。特に、例えば地方、各都道府県ごとの県庁なら県庁とかそういうところで賄い切れるかどうかという問題も人の問題としてあるんではないかと思うんですけれどもね。だから、そういうことも含めて、この問題は非常に今度の事件の再発を防ぐための大きなポイントになると思います。  ちょっとうまく答えられませんけれども、まだそういう段階でございまして、はい。
  155. 榊原信一

    参考人榊原信一君) 例の横浜ですか、その件は、僕もその辺は実際よく分からないんですけれども、ある程度国が関与するというところは致し方ないのかなと思いますが、今その審査の方は主事、主事制度といいますか、主事さんの判こが要るわけですね。この主事資格というのは通常僕らは取れない、行政に長くいないと取れないという話も聞いているんですが、その辺のその中身の資格者のそういった問題も含めて改善していかないと、今せっかく民間になって民間の能力のある方がかなり採用されていると思うんですが、その主事さんになるのがどうも違うようなふうに聞いていますので、その辺の問題もあるんじゃないかと思います。  今、みなし公務員云々とその辺になりますと、ちょっと私はよく分からないので済みません。
  156. 和田章

    参考人和田章君) このたび民間確認機関だけでなくて特定行政庁の人たちも見落としていて、ですから監督するはずの特定行政庁の方にも構造のことが余り分かっていない人、分かっている人はいないということですから、やはり実際に動いている一つ一つの確認をきちっとやるには、やはりプロフェッショナルなふだん仕事されている方を参加してもらう仕組みつくる以外にないんじゃないかと思うんですけれども。  それと、今の担保の話ありましたけれども、欧米で、じゃそういうピアチェックとかやったときの責任がどうなるかっていろいろ今調べているんですけれども、やはりあくまで設計をいろいろディスカッションして最後に決断しているのは設計者側なので、そのレビューしている方には責任がないというのがアメリカのやり方らしいです。  それで、確認という言葉がやはりなかなかすばらしい言葉で、許可じゃないわけですよね。一級建築士の方がやっているのを確認しているだけなので、これでいいとか悪いとかって言っているわけじゃないので、やはり専門家に上手に参加していただく仕組みつくれば相当改善されると思いますけれども
  157. 末松信介

    ○末松信介君 ありがとうございます。
  158. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 前田武志君。
  159. 前田武志

    ○前田武志君 前田武志でございます。  お三方の先生方に非常にそれぞれの御専門、現場を踏まえてのお話、分かりやすく何か理解が進んだような感じがいたします。  そこで、私の方からは、一つは、先ほど榊原先生が触れておられた構造物の基礎の信頼性みたいなことについて一点御質問をしたいのと、あと先ほど宮本先生が触れておられた保険という制度もなかなか難しそうだということを言っておられましたが、その保険についてお三方の先生に後ほどお聞きしたいと思います。  実は、私、午前中もこの基礎の問題を若干お聞きしたんですが、まあ大丈夫だろうという程度の、まあまあよく分からないけれど、正常時といいますかね、地震時じゃなしに平常時であればまあ余り問題なかろうと。実際には、耐震ですから地震のときにどうなっているかというのは不安なんです。  ここにたまたま東京都の地質図なんというのがあるわけですけれど、当該物件の地質というのはこの色分けしている中では一番悪い地盤のようですね。大田区にしろ江戸川区にしろ江東区にしろですね。ということになると、この基礎には当然、まあ何というんでしょうか、パイルというんでしょうか、支持ぐいなのか、そういうものが多分おっしゃっていたように支持層まで深く打ち込んであるということになると、これは構造物のこの値段の中の相当部分施工費も含めて掛かっているんだろうと思うんですね。そうすると、ごまかしてまで鉄筋抜くぐらいのことをやっているなら、当然見えないこの地下の構造物について相当何か不安な気がするんですね。  ところで、先ほど来お話を伺っていて、ちゃんとこの設計をされる設計専門会社、そしてそこが設計監理を、施工監理までやられるという場合であれば、きちっと設計どおりに基礎ぐいも打ち込んでいるかどうかというのもチェックするでしょうし、問題ないわけですが、当該物件のように、当該というのは午前中から被害者の方が来られていたわけですが、ヒューザーが施主で、平成設計設計して、これは木村建設の子会社ですから、そして施工木村建設で、しかも設計がその姉歯さんがやっているというような構造の中では、この当該物件がどうこうということを言っているわけじゃないんですよ、これに類したやり方というのは一杯あるんだろうと思うんですね。非常に不安な感じがするんですよ。  その辺は、したがって具体的に特定の物件についてどうこうということは言いません。かなり不安な感じがするんですが、率直に、榊原先生、あるいは、もちろんコメントがあるならお二方の先生方もお教えをいただきたいなと、こういうふうに思います。
  160. 榊原信一

    参考人榊原信一君) 今の、先ほども宮本先生も言われていましたそのグループ的な形で発注から設計監理まで行われるとこれはもう多分お手上げで、中で何がどうなっているかは全く分かんないと思います。  ただ、今までも、お役所の官庁工事ですとそれがなくて、発注者がいて、はっきりと設計施工が分離されて、監理もまた別というふうになっていますから、そこでは独立性が保たれているんですが、民間の場合は先ほどからのお話のように必ずしもそうではないんですけれども、ただ、今まではそういった中でもやはり倫理観というものがあって、信頼性が、お互い信頼関係があった上で物事が進んでいますから、そういうことはあり得ないということだったんですが、今みたいに、我々ふだん設計していても途中でいろんな変更だ何だとこうありますね。そうすると、だれが悪いのかななんてやんなくてもいいけれども、犯人探ししていくと、よく施主、お施主さんにぶつかる場合があるんですね。発注者がもうちょっとちゃんとしてくれればって思うんで、我々も、じゃ、これから発注者の方に対してもう少しちゃんと意見を言わなきゃと思ってるんですが、今回みたいに発注者も一緒ではもうお手上げかなという感じはしますね。  で、先ほど、基礎の話なんですけども、まあこれも聞いた話では、やはりくいの大きさとか本数とかというのもかなり、その上部構造の重さにその改ざんがあれば当然重量は半分になりますから、くい本数もまあ極端な話でいけば半数でオーケーということには計算上なっちゃいますね。で、くいというのは、そういう常にある重さを支えているだけじゃなくて、地震のときにもそのくいが頑張ることになりますので、その耐震性にも欠けるということは言えるかと思います。  ただ、なかなか今のマンションというのは地盤の方が分からなくて、我々もそうなんですが、買おうかといったときに、どの辺に予算と広さと地区辺りを選んで、そこでどこがいいかなというので買うんで、あそこの地区は地盤が悪いからってなかなかならないし、実際には工事費はえらい違うと思います。まあマンションですから地下室はない、ほとんどないんですが、通常、地下構造物造ろうとすると、上部の三倍ぐらい掛かるんじゃないかという話ですから、くいにしたって七十メートルも打ったらもう上物の比からすればかなりの割合を取るわけですね。ですから、上の鉄筋量を半分にしたからってそんなものは全体の工事費から見たらもう微々たるものなんで、あれが経済設計だとは我々の認識はちょっと言えないんですけどね。  一応そういうことで。
  161. 前田武志

    ○前田武志君 関連してはございませんか。
  162. 宮本忠長

    参考人宮本忠長君) 宮本です。お答えします。  先ほど、御質問の前段の方でございますが、やはり私は、マンションというのはもう非常に公共性が高いんですね。ですから、公益とか、そういうことを考えると、例えばもうその住んでいる人、マンションにいる人だけじゃなくて周りの隣近所にいる人がまた被害者になるわけです。そういう意味では非常に公共性が強いものですから、官庁工事と同じような設計施工と、それから第三者監理ぐらいまでやりましてきちんとやると、それがもう鉄則ではないかなと思うんですね。で、自社ビルと違うんですから、そういうふうなことを、まあこれ法制化できるかどうか別としましても、やはり少なくともマンションをやる人はそういう自覚でやってもらいたいと思いますね。  あと、どうしても、今の、何といいますか、平成設計とか、そういうあれというのは、もう私どもいろんなあれで見た限りでは、もう一人が、一社でやっているものですから自浄作用は働かないですね。ですから、そういうわけで、自浄作用は働くようにしてもらいたいと思うんです。  以上でございますが。
  163. 和田章

    参考人和田章君) まず、基礎の話と保険のお話の御質問があったと思うんですけど、やはり榊原先生おっしゃるように、基礎は全体の建物を支えているんですから非常に大事で、もしそこに手抜きがあったら建物傾いたりしますので。それから、先ほどじっと建っている間は問題ないかなというお話ありましたけど、そういうときにでもくいが支持地盤まで届いてなくて本数が足りなければ全体が傾いたりしますので、建物の財産価値という意味でも基礎は非常に大事だと思います。  ただ、まあ例えばこういう紙に切り込みを二つ入れてこう引っ張ると、どっちか弱い方が切れて片方は切れないんですね。三枚の紙には分かれない。もし基礎が弱くて上の構造がしっかりできていると、地震のとき基礎が壊れるんですけど、そうすると人命は助かるんですね。で、基礎がしっかりしていて上に手抜きがあると、今のこう引っ張ったときには、今度は上の建物が壊れますから人が死んじゃう。神戸の地震で、なぜこのビルは倒れてないんだろうと思って調べたらくいが折れていたというふうな。だから、なかなか難しい面はあります。くいを丈夫にし過ぎて上が弱いと、くいが弱かった方が良かったというふうなことにもなります。  とにかく、設計というのは、そうやってまだすべてが分かっててやっているわけじゃないんだということを知っていただけたらと思うんです。  あと、保険のことは……
  164. 前田武志

    ○前田武志君 それ、ちょっと待ってください。恐縮です。  それでは、保険の関係についてお聞きしたいのは、この制度を導入したときに保険をどういうふうにこの制度の担保として入れるかと、この制度というのは民間建築確認をまあ認可する、こういう制度をつくったときにね、というふうなことをお聞きしたんですが、当時そういう議論がどの程度なされたかということを一つお聞きしたいのと、それからもう一つ、宮本先生は非常に難しいというお話でした。確かに母集団が大きくならないとなかなか保険料というのは低減できませんからね。  しかし、和田先生の先ほどのお話なんかも聞いていて、ある規模以下といいますか、建築確認等民間にどんどん出すような範囲については民間検査機関に義務的に保険を付けるというような形があり得るのかどうか。どの段階、設計の段階に出すのか、あるいは確認の段階に付けるのか。要するに、先ほど来御指摘のように、利益相反になるような、互いにチェックが利くようなシステムにすればいいわけで、制度全体を全部改変していくというのは大変なことだろうと思いますよ、倫理規定も含めて、教育も含めてですね。しかし、保険制度というものについてはある程度設計が、制度設計できれば踏み切れる話じゃないかと、こう思うもんですから、三人の先生方にお聞きをいたします。
  165. 宮本忠長

    参考人宮本忠長君) 宮本です。お答えします。  保険の件ですけれども、今我々建築士会では建築設計賠償保険といいますかね、建賠と言っていますけれども、それを今もうずうっと、大分前から、もう十年ぐらい前からやっていますね。ところが、じゃ建築士会の会員が、あるいは設計をやる事務所が全員その今の賠償保険に入っているかというと、これ今実は強制加入になっていませんので、余り入っている人も少ないんじゃないかと思うんですね。私どもは本当に危険なもんですから自主的に入るわけです。私どももある金額を想定して入っていますけれども、これはやっぱりそれを担保していないと不安でしようがないですね。  ところが、実際に、今度はいろんな事例をその士会で大体調べたりしていますと、結構その保険を利用しているケースが多いんだそうですね。そして、保険会社も非常に困っているといいますか、その辺のあれが今、保険会社としても今のままではどうかなということがあるらしいんです。  それで、我々士会としては、やはりこれをもう少しきちんと今までの事例を基に、少なくともさっきの加入義務、強制義務とか、あるいは業務独占権を使って仕事をする人たちに義務化する。今は取りあえず建賠、建築賠償保険ですね、それにとにかく入ろうというのが一つの士会の姿勢です。
  166. 榊原信一

    参考人榊原信一君) 保険制度って、まあ僕も具体的によく分からないんですが、実は今JIAの方でも今のような話でいわゆる建賠、その賠償責任で、これ瑕疵担保ですよね。ですから、瑕疵ですから、一生懸命やったけれども間違っていたと。で、結果的に事故が起こったとか、あるいは雨漏りしたとかというので、法律に違反するようなことには当然出ないわけですよね。  ただ、やはりそういう、今JIAも、宮本先生もおっしゃいましたけれども、JIAの方も実は破綻しそうな感じで、というのは結構そういう保険金の支払が多くて大変な状態だということにはなっている、なりつつあるんです。  で、我々としては、保険料を上げればいいという問題じゃなくて、そういうことをいかにしたらなくすかと、そういう事故を。そういう方向に教育をしていこうというスタンスではいるんですけれども、今一体どこに保険を掛ければいいかというのは、やはり僕は、設計者そのものが責任を取って設計をするわけですから、それに対する見返りとして保険制度とか報酬の問題がないと、審査機関に例えば掛けると、じゃ自分は責任持たなくて、保険が付いているから出してやっておけばいいかという感じにならないかなという気がしまして、結構難しい。  ただ、これは今の日本の保険というのはどうも事故が起きて何か損害が出ないとその対象にならないと。隣の方がこれ壊れそうだから何か訴えられたとしても、設計者にはその責任といいますか、責任は問われても保険金は出ないというような、何かその、ちょっと僕はよく分かりません、分かりませんが、その損害賠償と、それから何か違うスタイルが、アメリカなんかではそういうのは認められたらしいんですけれども、その辺はかなり、保険制度というのはこれから研究していかないと難しい問題、一概にはなかなか出ない問題じゃないかと思っています。
  167. 和田章

    参考人和田章君) 私は、保険そのものの専門でないので余り的確に答えられないんですけど、最後、本当に大地震が来て、まあ東京が壊滅するような、そのときには、地震保険五兆円までで頭打ちになっているんですよね。それを設計のミスだったか、まじめに造ったけれども壊れたかというのはなかなか難しいと思うんですけど、やはり相手は自然ですし、ただ保険で補償できるからということにあんまり頼り過ぎない方がいい、よいと。先生は教育は時間掛かるとおっしゃっていますけど、やはり時間掛かってもきちっとやった方がいいかなと思っています。
  168. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) ありがとうございました。  予定の時刻が参りましたので、本日の参考人に対する質疑はこの程度にとどめます。  参考人方々一言御礼を申し上げさせていただきます。  本日は、長時間にわたり御出席をいただき、有益な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。  委員会を代表しまして、厚く御礼を申し上げます。(拍手)  本日はこれにて散会いたします。    午後四時一分散会