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2005-10-20 第163回国会 参議院 厚生労働委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十七年十月二十日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  十月十三日     辞任         補欠選任      草川 昭三君     鰐淵 洋子君  十月十四日     辞任         補欠選任     北川イッセイ君     坂本由紀子君      神本美恵子君     辻  泰弘君  十月十七日     辞任         補欠選任      津田弥太郎君     池口 修次君  十月十八日     辞任         補欠選任      池口 修次君     津田弥太郎君  十月十九日     辞任         補欠選任      下田 敦子君     松下 新平君  十月二十日     辞任         補欠選任      島田智哉子君     前川 清成君      津田弥太郎君     山根 隆治君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         岸  宏一君     理 事                 国井 正幸君                 武見 敬三君                 谷  博之君                 円 より子君                 遠山 清彦君     委 員                 坂本由紀子君                 清水嘉与子君                 田浦  直君                 中島 眞人君                 中原  爽君                 西島 英利君                 藤井 基之君                 朝日 俊弘君                 家西  悟君                 津田弥太郎君                 辻  泰弘君                 前川 清成君                 松下 新平君                 森 ゆうこ君                 山根 隆治君                 鰐淵 洋子君                 小池  晃君                 福島みずほ君    委員以外の議員        発議者      浅尾慶一郎君    国務大臣        厚生労働大臣   尾辻 秀久君    副大臣        厚生労働大臣  中野  清君        厚生労働大臣  西  博義君    大臣政務官        厚生労働大臣政        務官       藤井 基之君    事務局側        常任委員会専門        員        江口  勤君    政府参考人        内閣大臣官房        審議官      松山 健士君        内閣食品安全        委員会事務局長  齊藤  登君        総務省自治財政        局長       瀧野 欣彌君        総務省自治税務        局長       小室 裕一君        法務省刑事局長  大林  宏君        厚生労働大臣官        房審議官     大槻 勝啓君        厚生労働省医政        局長       松谷有希雄君        厚生労働省健康        局長       中島 正治君        厚生労働省医薬        食品局長     福井 和夫君        厚生労働省医薬        食品局食品安全        部長       松本 義幸君        厚生労働省労働        基準局長     青木  豊君        厚生労働省職業        安定局長     鈴木 直和君        厚生労働省職業        能力開発局長   上村 隆史君        厚生労働省社会        ・援護局長    中村 秀一君        厚生労働省老健        局長       磯部 文雄君        厚生労働省保険        局長       水田 邦雄君        厚生労働省年金        局長       渡邉 芳樹君        社会保険庁次長  小林 和弘君        社会保険庁運営        部長       青柳 親房君        国土交通省自動        車交通局次長   松尾 庄一君        環境大臣官房審        議官       寺田 達志君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○社会保障及び労働問題等に関する調査  (臓器移植に関する件)  (医療制度改革に関する件)  (公的年金の一元化に関する件)  (タクシー乗務員労働条件適正化に関する件  )  (アスベスト対策に関する件)  (牛海綿状脳症BSE)問題に関する件)  (心神喪失者等医療観察法施行に伴う体制整  備に関する件)  (若年者雇用対策に関する件)  (在日外国人の無年金障害者に関する件) ○労働安全衛生法等の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付) ○労働安全衛生法の一部を改正する法律案浅尾  慶一郎君外四名発議)     ─────────────
  2. 岸宏一

    委員長岸宏一君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、草川昭三君、神本美恵子さん、北川イッセイ君及び下田敦子さんが委員辞任され、その補欠として鰐淵洋子さん、辻泰弘君、坂本由紀子さん及び松下新平君が選任されました。     ─────────────
  3. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  社会保障及び労働問題等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省医政局長松谷有希雄君外二十名の政府参考人出席を求め、その説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 社会保障及び労働問題等に関する調査を議題といたします。     ─────────────
  6. 岸宏一

    委員長岸宏一君) この際、臓器移植に関する件につきまして、尾辻厚生労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。尾辻厚生労働大臣
  7. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 臓器移植に関する法律に係る附帯決議に基づき、臓器移植実施状況等について御報告いたします。  まず、移植希望登録者数は、本年九月末現在、心臓は七十七名、肺は百二名、心肺同時は四名、肝臓は九十六名、腎臓は一万千八百十三名、膵臓は十六名、膵腎同時は百九名となっており、角膜は、本年八月末現在、四千百三名となっております。  また、平成十六年度の移植実施数は、脳死下及び心臓停止下における提供を合わせて、心臓は八名の提供者から八件の移植が、肺は六名の提供者から六件の移植が、肝臓は四名の提供者から四件の移植が、腎臓は九十名の提供者から百六十六件の移植が、膵臓は五名の提供者から五件の移植が、角膜は八百八十二名の提供者から千四百四十二件の移植が行われております。  なお、法施行から本年十月十三日までの間に、法に基づき四十名の方が脳死と判定されております。  一方、脳死下での臓器提供施設につきましては、本年九月末現在、三百九施設において厚生労働省が作成した指針に基づく条件が整備されております。  また、移植実施施設につきましては、本年九月末現在、心臓は七施設、肺は八施設心肺同時は二施設肝臓は十三施設膵臓及び膵腎同時は十二施設、小腸は九施設となっております。  臓器移植推進に当たって重要となる臓器提供意思表示カード等につきましては、厚生労働省では、社団法人日本臓器移植ネットワークとともにその普及を図っており、本年九月末までに、臓器提供意思表示カードは約一億百二十三万枚、臓器提供意思表示シールは約二千五百九十万枚を配布しております。  そのほか、最近の取組といたしましては、脳死下での臓器提供事例に係る検証会議におきまして、これまで五例目から三十一例目までの事例及び平成十一年九月の脳死判定中止事例検証が行われております。  以上、御報告申し上げますとともに、厚生労働省としては、今後とも移植医療推進に努めてまいる所存でありますので、委員の皆様におかれましては、御理解を賜りますようお願い申し上げます。
  8. 岸宏一

    委員長岸宏一君) なお、本日、厚生労働省から提出されております報告書につきましては、これを会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  10. 岸宏一

    委員長岸宏一君) これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  11. 武見敬三

    武見敬三君 昨日、厚生労働省医療構造改革厚労省試案というものを発表されました。私はこれを見たときに、やはり極めて残念に思ったんですね。  その第一は、やはり厚生労働省というのは、正にこうした医療保険制度というものを管理運営をし、そして国民の健康を守るという、正にその健康保障という点に立脚をして私は改革という案を進めるというのが本来の立場だと思っております。確かに、我が国の厳しい財政状況の中で持続可能なこうした医療保険制度というものを考えることは私も理解をするものであります。しかしそれにしても、厚生労働省として改革案を出すときの立脚点というのは、あくまでもこの少子高齢化社会の中で、また我が国の様々な各地域の特性というようなものをもきちっと加味して、国民健康保障というものをいかにより確実なものにしていくかという、そういう基本姿勢が常に貫かれていなきゃいけないんだろうというふうに思っているものであります。  そこで、まず最初に厚生労働大臣にちょっとお聞きしたいんですが、経済財政諮問会議などからは、もう極めて厳しく、医療費をただただ財政論的な観点からのみ圧縮しようというようなことで、経済成長と連動した形で厳しい定量的な数値目標を求めて、そしてその目標というものを達成できないと、例えば診療報酬等々について翌々年度、それをその分削減をして、例えば一点単価十円のところを九円ぐらいにするとか、いろいろとそういうような管理手法を取り入れて、総枠管理というような極めて画一的なそういった主張をしておられるわけでありますが、厚生労働省としては、そういった総枠管理というような、そういう考え方はまさかお持ちではないと思いますけれども、まずここでその点についての御確認をさせていただきたいと思いますので、大臣、ひとつ御答弁をお願い申し上げます。
  12. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 国民保険制度お話しいただきましたように持続可能なものとして堅持するためには、私どもも全くそのことを駄目だと言っておるわけじゃありませんで、経済指標の動向にも留意はしながら医療費適正化に取り組む必要があるということをこれまで申してきたところでございます。  そこで、今伸び率管理についてのお話がございましたけれども、このことに関して申し上げますと、医療給付費伸び率GDP伸び率に連動させようというお考えがあることは、これは経済財政諮問会議などの中にもあるわけでありますけれどもGDP伸びによってそれを連動させるということになりますと、このGDP伸びというのはその時々の経済状況によって大きく変化しますから、極端に言いますと、またバブルみたいなものが発生するとこれはうんと大きくなるといったようなことになるわけでございますから、それをそのまま医療費適正化に合わすということは、医療費そのものがまた大きく変動するといったようなことにもなりまして問題があるというふうに考えております。そうしたことで、私どもはそうした考え方に、私どもと申し上げましたのは、厚生労働省も、それから私も反対をしてきたところでございます。これがこれまでの私ども考え方でございまして、お尋ねになりますと改めてそのことを申し上げるところでございます。  ただ、今回私どもも、試案、試みの案を出しておりまして、どうぞ広く御議論くださいということをお願いをいたしておるところでございますので、御議論を賜ればというふうに存じております。
  13. 武見敬三

    武見敬三君 経済と連動して数値目標を設定してこうした伸び率管理をするということには、これは反対であるという、そういう趣旨を明確に述べられました。今後、こうした医療制度改革議論を進める上において、厚生労働省は是非この基本姿勢というものはぶれることなく常に一貫してきちんと持っていただきたい、そのことをまず申し上げておきたいと思います。  その上で、今回のいろいろな試案の中見ておりますと、いろいろとやはり患者負担引上げ、あるいは保険料引上げといろいろこう出てきておりますけれども、特に、患者負担が引き上げられたりする場合に、それが財政論的な議論からばっかり、幾ら財源がそれによって浮くとか浮かないとかいうような議論ばっかりに終始してしまって、実際国民に最も説明責任として我々が取り組まなきゃならないのは、こういう財政的な観点からもしこういう患者負担引上げみたいなことをやったとすれば、それがどういうふうに患者さんの受診行動影響を及ぼして、そしてそれぞれ患者さんの病態に一体どんな影響を及ぼすことになるのか、そのことまで全部きちんと熟知した上でこうした改革をしますよって言わなければ、それは国民立場患者さんの立場からいったら、財政論的な観点からこれから医療費を縮小するためにこういう改革をしますというような話だけ聞かされていたら、実際にいざ、それは改革の断行だなんて勇ましいような話であったとしても、いざ自分の身に降り掛かってみたら、それは当初自分が思っていたような改革の案とは全く違うものだと、それはむしろ、政府・与党でそう言われたけれども、何だ、これはだまされたんじゃないかなんというふうに国民が思われることだってあるんです。したがって、そういった社会保障論、なかんずくこの医療保障立場から、こういう改革をするとどのように患者受診行動影響を及ぼすかということはちゃんと、きちんと国民説明しなきゃなりません。  そこで申し上げますが、厚生労働省もそのことはちゃんと御確認だということが分かりましたよ。これは、厚生労働科学研究費補助金政策科学推進研究事業の一環として二〇〇四年三月に出されております報告書医療費自己負担増による高血圧症患者糖尿病患者受診行動変化というのがここにあります。これを見ますと、やっぱり過去五年、もう少したっていますね、十年以内ぐらいで様々な患者負担引上げをしておりますけれども、これが高血圧症だとか糖尿病患者にどのような受診行動を及ぼしているかということについては我々も非常に懸念があった。見てみますと、やっぱり高血圧症もそうなんですけれども、特に顕著に受診行動影響を及ぼしているのは、これは糖尿病でした。糖尿病というのは、御存じのように、これはなかなか自覚症状がない。しかも、軽度糖尿病で、これは心疾患とか合併症が伴っていないというもの等についてはなかなか自覚症状もなく、負担が増えてくるとそこでむしろ治療を中断してしまうようなことさえも起きるということがこの報告書の中で書かれているんですよ。特に処方月数、これが減少してくるというようなことがその調査の結果はっきりしているわけで、これはただ単に受診件数等々だけの問題じゃない、明らかに治療が中断しているということがこうした調査を通じて確認されているわけですね。  したがって、こうした患者負担引上げというものが今回の場合、このような、正にこうした生活習慣病高血圧症やそしてこの糖尿病患者に対してどのようなネガティブな影響を及ぼすと考えているのか、ここをまずきちんと確認をしておきたいと思いますので、まず医政局長からその答弁を求めたいと思います。
  14. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 今回の医療制度改革は、我が国の急速な少子高齢化経済の低成長への移行など医療を取り巻く環境変化の中で、将来にわたり持続可能な医療制度を構築し、国民保険制度を維持していこうという趣旨の下に御提案申し上げているものでございます。そのような基本的な考え方の下で、利用者方々にも一定の患者負担をお願いしていこうとしているところもあるわけでございますが、その見直しに当たりましては、今先生指摘のようなこともございますので、低所得者には適切な配慮を行うなど、必要な医療が適切に受診できるよう配慮が必要であるというふうに考えております。  また、今回の改革では、併せて取り組みます医療提供体制改革におきましても医療計画制度見直しを行いまして、脳卒中、がん、今御指摘糖尿病などの主要な事業ごと地域医療機能の分化、連携を推進し、地域において入院から在宅まで切れ目のない医療提供体制の構築を図ることによりまして、患者生活の質の向上を図り、また患者が必要かつ十分な医療を適切に受けられるようにしていくこととしているところでございます。  今先生指摘の特に自覚症状のない段階の糖尿病患者さん等につきましては、これは一般的に指摘されているところでございますけれども診療を中断しがちな傾向が元々ある、その上に、これは専門用語で、医療提供側からいうとコンプライアンスという言葉をよく使いますけれども、そのコンプライアンス治療を継続していこうとする気持ちというような内容でございますが、これが低下をする可能性があると、こういうことが指摘されているわけでございまして、これに対しまして十分な患者教育、相談といったことが重要であるとされているわけでございます。このため、今回の改革の中でも、生活習慣病対策として、医療保険者による保健事業本格実施など保健指導等の充実を図り、患者に十分な情報が提供されるようにするとともに、啓発活動にも積極的に取り組んでいきたいというふうに考えております。
  15. 武見敬三

    武見敬三君 特に、これ御指摘のように低所得方々で、そして、こうしたまだ合併症を伴っていない糖尿病患者の場合、こうした受診行動に大きく影響をネガティブに及ぼしてしまって、しかも、元々なかなか、治そうとする意欲というものを持続して持って、それが日常生活の、正に行動変容とよく言いますけれども、そういったものを確実なものにするのがなかなか難しい対象人々というのが最も大きく影響を受けるということは、もうよくこの中で理解されているわけです。そのことは局長も今よく御理解されているということだったから、そこは極めてきめの細かい対応策をこれ取らなければ、患者負担引上げというものはとてもできるものではないんだということは御認識されているということですね。これはもう厚生労働省としても、その点は十分にこれは配慮をしていただかなければならないということを申し上げておきたいと思います。  いずれにせよ、この軽度糖尿病患者というのは我が国の中で七百二十万人もいると言われているんですよ。こういった人々健康保障というものに対して最も責任を負っているのは厚労省皆さん方なわけですからね。そこをまずきちんとよく理解をしておいていただきたいというふうに思います。  それから次に、私非常に懸念しておりますのは、この経済財政諮問会議側、特にまた財務省などが軽度医療というのを保険対象から外すというようなことを言っておるわけですよ。特に、外来受診一回当たり五百円、また千円という保険免責制度みたいなものが選択肢としてこの試案の中には入っておる。これは、正にこうした受診抑制というものを極めて招来してしまう、そういうネガティブなインパクトを大変強く持っています。それは財政論的には、これによって財源削減に大変大きな効果があるんだというふうにもろ手を打って喜んでいる人たちがいるでしょう。しかし、まさか厚生労働省のお役人たる者が、このような最も軽度医療で、しかも合併症というものを抱え込む可能性の高いこういった高血圧症やらあるいは糖尿病の、こうした正に極めて多い人口を正に持つようなそういう患者さん群、こういったものに対処するために私はこういった保険免責制というものはやるべきでないと。  しかも、これはまた別の見方からすれば、千円とか二千円とかあなた方の方は勝手に決めてしまう、それは自己負担で必ず毎回払ってくださいというようなことになると、そういう低医療患者さん方というのは、何のために私はじゃこの公的医療保険に入っているんでしょうかという疑問を必ず持つようになりますよ。そうなってくればますます、例えば国民健康保険というのは未納者も確実に増えてきて、いかに収納率を高めるかと、これ年金と同じような議論をやっているわけですから、そういうところではますます未納者が増えてくることにもなりかねない。しかも、保険基本理念というものと外れている。  こういったことは私は絶対にすべきでないというふうに考えるわけでありますが、厚生労働大臣、どのようにお考えでしょうか。
  16. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 今度の案ではいろんな御意見がございます。  そうした言わば私どもに対する御提言というようなことでお寄せいただいたものも多いわけでございまして、やはりそうしたいろいろな御意見というのは、こういう御意見もありますということは選択肢の中に入れて御議論いただくことがいいことだと思いますので、そうした御意見も、今度の試案の中にはこういう御意見もあるんですという形でその中に入れさせていただいております。今のお話もそのうちの一つとして入れておるものでございます。  したがいまして、今後こうしたものは十分御議論をいただきたいと思っておりまして、今私どもが何か意見を申し上げるのは控えておきたいと存じます。
  17. 武見敬三

    武見敬三君 それでは、医政局長、お聞きしますけれども、このような例えば一千円の保険免責制なんというのを導入すると、糖尿病高血圧症、高脂血症といった正に生活習慣病でその予防というものにこれから重点を置くと、そして、それによって更に中長期的に医療費適正化を図ろうということが大きな柱として出ているこの試案の中で、正に逆行する効果をこういった生活習慣病の特に軽度患者群に与えることになるということは、先ほども申し上げたような皆さん方補助金出して作ったその報告書の中に書いてあるじゃないですか。  医政局長、これ、このような形のものを取り入れたとしたらこういった軽度慢性疾患患者にどんな悪影響を及ぼすとお考えですか、お答えください。
  18. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 御指摘のような保険免責制を導入する、あるいは低額の医療保険給付外とするようなことにつきましては、自己負担の上昇により過度の受診抑制を招くおそれがあるのではないか、あるいは受診抑制により重症化を招く場合もあるのではないかといったような指摘がなされておるところでございまして、こういった点については慎重な検討が必要であるというふうに考えております。  先ほども申し上げましたように、一般的に、患者さんの負担と、それから患者さんの医療に対するコンプライアンスと申しますけれども、ちょっと専門用語でございますが、治療を継続していこうという気持ちといいますか行動ということでございますが、これはそのコンプライアンスが低下する方向に働く、特に軽い患者さん、自覚症状のないような患者さんについてはそういう方向へ働くということは一般的に言われ報告されているところでございます。  今回の改革は、先ほど申しましたように、全体の我が国保険制度医療制度を維持していくという観点から必要な内容のものを盛り込んでいるわけでございますけれども、その中には、生活習慣病対策の充実も併せて行いまして、患者さんへの適切な医療提供を確保していこうというふうに考えているわけでございます。例えば、生活習慣病対策として、医療保険者による保健事業本格実施など保健指導等の充実も図られて、患者さんに十分な情報が提供されるようにして啓発活動等を進めていくというようなことを併せてやることが必要だというふうに考えております。
  19. 武見敬三

    武見敬三君 私が確認したかったのは、こういった保険免責制というものを設けて、それが軽度慢性疾患患者の病態というものを悪化させるということについては、一般的にそういうふうに確認されているという点、まずこの点を確認をしたかった。これは、正に今そのとおりだというふうにおっしゃったわけですね。  そこで、こういった免責制などを導入したりする、こういったことをやりますと、厚生労働大臣、要は、戦後、我が国が公的な医療保険国民に対して提供をしてきたこういった保険医療基本理念というのが着実に崩れてくるんですよ。  これは、昭和三十六年に皆保険制度が導入された、このときに当時の日本医師会長とそれから自由民主党の政調会長との間で確認書というのができていて、そこで、今後、皆保険制度運営するときには、まず第一に、寄せ集めてつくったばらばらの医療保険というものをまずきちんと整理統合して医療保険制度の抜本改正をしますというのが第一だったんです、合意。何と四十四年にわたってそれはほったらかされて行われずに、ついに厚生労働大臣のとき、今の尾辻大臣のときに初めてこういう議論にまでようやくなったという経緯がある。  二つ目が、医学、医療の進歩と国民福祉の結合という合意内容だった。それは何であったかというと、医学、医療というのは日進月歩だと、したがって、こういう医学、医療の進歩というものはできるだけ早く保険収載をして、保険医療を通じて国民に対して最善の医療提供するというのがその二つ目の合意事項で、この基本理念というのは、戦後ずっと厚労省皆さん方苦労されて、かなりの程度それは維持されてきたんですよ。  これが正に国民の間ではもう当然のこととして理解された我が国の公的医療保険制度基本理念になっているんです、今は。その基本理念というものを果たしてこれから皆さん方は変えようとするおつもりなんですか、それとも、それは引き続き二十一世紀の今日においても維持するつもりなんですか。そのことを大臣に伺っておきたいと思います。
  20. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 今お話しいただきましたようなことも含めて是非御議論をいただきたいというふうに思っております。私どもは、その御議論を十分聞かせていただいて、そして結論を出していきたいというふうに考えます。
  21. 武見敬三

    武見敬三君 保険局長、同じことをまずあなたにもお聞きしたい。あなたは正に保険局長としてそのことを担当する者なんでね。  今、大臣答弁だと、従来国民が当然のこととして受け入れたこういった保険医療に係る基本理念、その基本理念をも含めて議論しようということをおっしゃっておるんだけれども、あなたは保険局長として、保険の守備範囲の議論について、同じくその基本理念をも変えるという意思をお持ちなんですか。
  22. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) 私どもの今回の医療構造改革試案におきまして、医療費適正化ということにつきまして二つの提案をしているわけであります。  一つは、中長期的な対策ということで生活習慣病あるいは長期入院の是正という取組、なかなかこれでは直ちに効果が現れてこないということで、ただいま先生指摘になりましたような公的保険給付の内容、範囲の見直しということを提案させていただいているわけであります。ただ、この問題をどう考えるかということでありますけれども、健康に対する安心の確保は国民の強い要請でございまして、過度の患者負担増による公的医療保険の意義の低下などを招くような医療費削減は、それでは適当ではないと、このように考えてございます。  いずれにしましても、今回の試案におきまして明記しておりますけれども、生命と健康に対する国民の安心を確保するために国民保険制度を堅持するということはもう基本方針で明記してございますので、そのような考え方に立って幅広く議論をお願いしたいと、このように考えております。
  23. 武見敬三

    武見敬三君 皆保険制度を堅持するといっても、その皆保険制度の中身について、それを基本とするその基本理念、これを変えるか変えないかによって、皆保険制度を維持しても、国民立場から見るとその内容が大きく変わっちゃうんですよ。  したがって、ただひたすら皆保険制度を維持すると言っているだけでは国民に対しての説明にならないんです。その中身、すなわち理念のところまで踏み込んできちんと国民に対して説明してこそ、初めてどういう改革をしようとしているのかという説明責任政府・与党というのは負ったことになるわけで、そのことをやはり肝に銘じてもらいたいと思いますよ。  それから、内閣府の方にお尋ねします。  この内閣府の方からは、まあ経済財政諮問会議の事務局やっておられるけれども、極めて厳しい抑制のための考え方が出されているが、この高齢化修正GDPというのについて見ても、高齢者の人口増というものの増加率に医療費一人当たりの平均値で出しておられるんですよね。で、これ平均値だと十五、六万ですかね。これが一人当たりの老人医療費の支出という観点からすると七十五万円ぐらいあるはずですよ。そうすると、極めて、そういう実際に必要とされる医療費と異なる医療費の額というものを掛け合わせるという、これは極めてやり方としてはめちゃくちゃなやり方をやっておられるわけですよ。  それで、徹底的に縮減して、平成三十七年度においては医療給付費を四十二兆円に削減するというような、そういう方向を打ち出しておられるんだけれども経済財政諮問会議では財政論的にはこういうことを言うのはそれは勝手でしょう。しかし、それがどういう我が国保険医療というものの姿を変えるのか、そして理念としてその保険医療というものをどのように新たな形に組み替えていくのかという説明は、経済財政諮問会議のこういう改革案の中には全くないんですよ。  さっき申し上げたような、医学、医療の進歩は保険でできる限り早く使えるようにして、保険医療を通じて国民に最善の医療をするというようなものはもうお捨てになるんだったならば、じゃ代わりにどういう新しい理念でこうした改革案を出すのかの説明をしていただかないと、これ説明責任果たしたことにならないんですが、内閣府、この点についての説明を求めます。
  24. 松山健士

    政府参考人(松山健士君) ただいまの御質問でございますけれども経済財政諮問会議の民間議員が様々御提案をされておりますけれども、日本の公的医療保険制度、これが安心の基盤として果たしている役割は極めて重要であるという点につきましては、諮問会議、とりわけ民間議員の認識も同じであるというふうに認識をしております。ただし、急速に少子高齢化が進展する中で安心の基盤としての役割を果たしていくためには負担面からの持続可能性といった面も考慮されなければならないと、そのようにお考えというふうに理解をしております。  そのような考え方の下で、一つの例としまして高齢化修正GDPというような提案を諮問会議の民間議員はされているということでございますけれども、この高齢化修正GDPでございますけれども経済成長率に高齢化要因を加味したものというふうに定義をされております。  高齢化要因でございますけれども、具体的には全人口に占めます六十五歳以上の人口がどれぐらい増加をするかということでとらえられておりまして、人口が一億二千万から一億三千万、その中で、二〇二五年までの平均でございますけれども、毎年五十万人程度高齢者が増加をするということでございますので、年率にいたしまして〇・四%程度、これが高齢化要因になるということでございまして、これを厚生労働省の試算の前提となっております名目成長率に加えますと、それでもって計算をいたしますと二〇二五年の医療費が約四十二兆円になると、そのような試算を提示されたわけでございます。  なお、この指標につきまして、委員今御指摘の高齢者の医療費がどのように考えられているのかということでございますけれども、高齢者が一人増加をいたしました際に、自動的に現状の高齢者の一人当たり給付費を担保するものではございません。確かにございませんが、全国民平均の一人当たり給付額、これが上乗せをされるということでございますので、一定の配慮がなされることになるというふうに承知をいたしております。
  25. 武見敬三

    武見敬三君 一定の配慮の中身が現実の保険医療の理念をどう変えるかという議論は、経済財政諮問会議のそういった民間議員やあるいは事務局の皆さん方考えていないんですか。
  26. 松山健士

    政府参考人(松山健士君) 今御指摘の点でございますけれども、そういうことも考えながら御提言がなされているということであろうかと思います。
  27. 武見敬三

    武見敬三君 その持続可能性とか、それから安心とかいう言葉だけではこれは説明にならないんですよ。さっきから申し上げているような、もっときめの細かいきちんとした理念構成というのが戦後の我が国保険医療の中には既に確立をしているわけですよ。それに慣れ親しんでいる国民に対してそれを変えますと言うんだったならば、ちゃんとその説明ができなきゃならない。その財政論的な観点だけの説明というものでは極めて不十分だということを言っているんですよ。  だから、経済財政諮問会議人たちによく言っておいてくださいよ。あなた方のこの改革案というものをやるとすれば、これは実際に保険医療基本理念をどのように変えるようになるのか、そこも全部きちんと考えながらちゃんと国民説明しなさいということを私は申し上げておきたい。  そして、次にお伺いしたい部分、これ実際のところ、いろいろな医療保険、例えば政府管掌健康保険にしてみれば、これは全国一公法人で、各都道府県単位でそれぞれ支部を設けて評議会というのを構成して、そこが様々に各県ごとの状況に合わせて保険料の上げ下げも一定のアローアンスで実行できるようにするとか、健康づくり事業をしようというような話になってきているんですけれども、しかし、実際に政府管掌健康保険に加入しておられる方々というのは商店街のおやじさんや従業員というような人たちが多いわけで、そういった人たちを代表するような地域社会における組織、機構というのはなかなか見当たらない。どのようにこういった評議会のメンバーというものを選ぼうとしているのか、その点についてお伺いをしておきたいと思います。
  28. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) ただいま先生指摘ありましたとおり、政府管掌健康保険を継承いたします、継承すると試案で言っております公法人につきましては、財政単位は都道府県にしようということでございます。  こうした財政運営あるいは保険事業につきまして、地域の被保険者等の意見を聞いて適切に行うために都道府県支部ごとに評議会を設けることにしているわけでございますけれども、その評議会の構成につきましては、基本的にやはり費用を御負担なさる被保険者あるいは関係事業主等による構成を考えているわけでございますけれども、その具体的な構成あるいは選定方法につきましては改革議論の中で今後検討していきたいと考えてございます。
  29. 武見敬三

    武見敬三君 特に健康づくり事業なんというのは、これ地域医療とも連携した形で効果的に行うということは必須ですよ。したがって、こういう場合には、このメンバーの中にきちんと正式に医療提供者側を代表するメンバーも私は入れるべきだと思います。  そういうことをお考えになっているのかどうか、局長、伺います。
  30. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) 先ほど答弁させていただきましたとおり、基本は被保険者あるいは関係事業主ということであろうかと思っております。  ただ、先生指摘のその保険医療の専門的な意見をどのように反映させるかということにつきましては、それはそのような問題として今後更に検討していきたいと、このように考えております。
  31. 武見敬三

    武見敬三君 その上で、この評議会というようなもの、そういう集められた代表者だけで運営できるほど簡単なものじゃありませんよ。これは実際に、その保険料の上げ下げ等についても独自に云々なんという話、私これ、その考え方自身がいいとは思わないけれども、しかしそれを実際にやろうとすると、かなり保険行政について習熟したスタッフが正にサポートする形で、実務的にその機能というものがそれぞれの評議会の下にちゃんと確保されていないとできないわけですよ。それによって初めて可能になる。加えて、各市町村の合併を通じて国保の方もその規模を拡大して、そして県単位で運営できるような方向性を模索されておられる。そして、組合健保においても同じような考え方で新たな組合健保の整理ということをお考えになっておられる。県単位で医療保険行政というものを運営するというようなことをお考えになっておられるわけですよ。  そうすると、実際に健康づくり事業にしても、今までは政管健保、国民健康保険、組合健保、それぞればらばらに健康づくり事業をやってきた。それを今度は県単位で、私は、しっかりと一元化して、効率的にこうした健診などをも含めた健康づくり事業を体系的にこれを運営していくということをやらなきゃならなくなる、そのように認識をしておるわけであります。健康局長、そういう理解でよろしいですか。
  32. 中島正治

    政府参考人中島正治君) ただいまおっしゃるように……
  33. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 中島健康局長
  34. 中島正治

    政府参考人中島正治君) 失礼いたしました。  ただいま御指摘のように、健康づくりあるいは健診、保健指導等も含めまして、こういった事業が地域で一体として行われるように都道府県等が指導、調整をしつつ進められていくものというふうに考えております。
  35. 武見敬三

    武見敬三君 そうすると、今まで以上に各都道府県の県庁の果たす役割が健康づくり事業の中でも重要になってきて、それぞれ保険者がばらばらに行ってきて、そして自分たちの、例えば政管健保であれば、社会保険庁を通じて実際にその委託運営させているような健診事業者、健診機関というようなところは、これは政管健保の被保険者の健診しか今までやってこなかった。ほかの国保や組合健保の人たちはそこでは、すぐ身近なところにあっても健診受けられなかったんですよ。そういった壁を打ち破って、そういう健診施設等についてはそれを幅広くみんなが共有して、効率的にしかも効果的に運用するようにさせなきゃならない。そのためには、地域医療の中でのかかりつけ医機能などとも連携をさせて、そしてその効果を着実なものとするというようなこともやらなきゃならない。  これは極めて、そういうことを習熟した人材が県庁の中にいて、組織的にそういう政策を策定し、運営することができなきゃ実行不可能ですよね。そういうことを実際に総務省としてすぐにそれを、はい、そうですか、やりますといって受けることが本当にできるんでしょうか。総務省の方のまずお考えを伺いたいと思います。
  36. 瀧野欣彌

    政府参考人瀧野欣彌君) 厚労省の方で今回試案を発表されたわけでございますけれども、私どもまだ内容の詳細については把握していないわけでございますが、現時点で言えますことは、今回、医療制度改革自体、財政資源の制約の中で増大する医療費伸びの抑制等を目指すということを理解しておりまして、その点の重要性は認識をしておるわけでございます。そのため、予防医療的な観点から地方自治体の保健事業を充実していくということも重要であろうかというふうには考えております。  他方、いずれの主体がこの保健事業を主に担って充実していくべきなのかとか、あるいは保健事業の充実でどこまで個人の生活態度に踏み込んでいけるのか、あるいはどのくらいのマンパワーが最終的に必要になるか、そういった具体的な役割分担等について今後十分に議論する必要があると考えておりまして、地方団体、関係者とも今後十分協議してまいりたいというふうに考えております。
  37. 武見敬三

    武見敬三君 特に、その医療保険運営について各都道府県にどこまで責任を持たせるのかという話になるんですが、保険局長、これ、実際に中長期的な政策として医療費適正化計画というのを五年でこれ策定する、そのまず方針がありますわね。これ、各都道府県にそういう医療費削減額も明確にして目標を設定させて、そういう計画を策定させるということになっておるんですが、そうなると、今度それがですよ、まずその都道府県医療費適正化計画は平成二十年度から平成二十四年度までの時期を対象として策定されると。まずそれを作るのは、各知事さんの下で県庁がやるということですわな。  それから、また同時に、三年後検証ということになっている。そこで、その一般の意見具申として、必要とあれば診療報酬についても一般的ないろいろ意見具申が厚生労働省に対して知事さんができるということになっておる。  それから、さらに平成二十四年度になるとですよ、五年たってみると、必要とあれば県から国へ診療報酬の特例が申し入れることが各県ごとにできるということになっているんですよ。  各県ごとに例えば在院日数の短縮が当初予定したとおりにはなかなか進まなかったと。そうすると、ここでは医療保険者負担の特例というような形で、もうある意味でペナルティーのように都道府県に対する国の補助金、この件に関する補助金削減が図られたりするということをやろうとされておられるのか。  それから次に、診療報酬見直しで特例と言っているけれども、そうすると、在院日数の短縮のために、ほかの県ではやっていないけれども、その当該県だけのためにそういう在院日数短縮のための特別な診療報酬というものをその中に割り当てるというようなことを、その県知事さんたちが厚生労働大臣に申し入れると。厚生労働大臣がそれを中医協で協議して、よしということになると、それを実施することが現実に可能になるという、こういう仕組みをおつくりになろうということなんでしょうか。その説明をきちんと伺っておきたい。
  38. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) 今回の試案におきまして、中長期的な医療費適正化を行うために、ただいま御指摘がありましたとおり、都道府県が医療費適正化の政策目標を定めました医療費適正化計画、これ仮称でございますが、これを策定し、実施し、これを定期的に検証して実績を評価すると、こういう新たな取組をお願いしたいと、このように考えているところでございます。  診療報酬との関係について御指摘ございましたとおり、都道府県におきまして、私ども試案におきましては、計画策定から三年目にその進捗状況について検証を行いまして、必要があれば国に対して診療報酬体系に関する意見具申を行うことができると、このようにしております。  また、計画の終了年度、これは五年目になるわけでありますけれども、政策目標の実施状況を踏まえて、国に対して医療費適正化に資する特例的な診療報酬の設定を申し出ることができるということでございまして、これも御指摘のとおり、その申出を受けまして国としてこういった当該都道府県のみに適用される特例的な診療報酬を設定することができると、このようにしているところでございます。  ただ、その内容につきましては、正にこの医療費適正化計画の実施状況を踏まえて行うものでございまして、どのようなものがあるのか、それにつきましては今後更に議論を深めていきたいと、このように考えてございます。
  39. 武見敬三

    武見敬三君 これ総務省にお聞きしますけれども、大変な責任をこれから都道府県が担うことになるんですよ。言うなれば、まずこの計画をどう策定するかというところが物すごく難しいですよね。相当専門的な知見を持ったスタッフがちゃんと県庁の中にいないと、そんなものできるはずないと思いますよ。その点について総務省はどうお考えですか。
  40. 瀧野欣彌

    政府参考人瀧野欣彌君) 御指摘のように、医療費適正化計画の策定、専門的なスタッフがいなければなかなか充実できないものであろうというふうに我々も考えております。特に診療報酬の分野につきましては、先ほど保健事業とは違いまして、現在国が一元的にそれを所掌している分野でございまして、都道府県に全くノウハウはないわけでございます。したがいまして、こういった医療費抑制の観点からということではありますけれども、都道府県の方に診療報酬についての申出をさせるのが本当にいいのかどうか、あるいは都道府県の役割として執行が可能なのかどうか、今後十分厚生労働省ともお考えをお聞きしながら協議していかなきゃいけない分野だというふうに考えております。
  41. 武見敬三

    武見敬三君 今も御指摘になったとおり、その診療報酬の策定というのは本当に難しい。医療サービスの内容についてちゃんと熟知してなきゃいけない。そして同時に、どういう診療報酬の改定をすると、それがどのように医療サービスに影響を及ぼし、そしてそれが患者さんにどういう影響を及ぼすかという全体像がきちんと分かっていないとこういう政策の策定はできないんですよ。そうすると、厚生労働省広しといえども、そういうことをある程度理解しておられるスタッフというのは保険局の中で、特に医療課などで仕事をしている経験のある人たちなんですよね。その人数だって限られているんですよ、厚生労働省の中で。  それを全国都道府県全部に同じような役割を担うようなそういう部署をちゃんと設けて、人も確保して、そして平成二十年度にはもう全部でき得るような格好にしておかなきゃならないという話にこれなっちゃうわけですけれども、本当にそういうことを求めておられるんですか、保険局長
  42. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) 医療費適正化計画の策定に関しましては、当然ながら、国として全国的な参酌標準をつくるとか、そういった技術的な支援を行いたいと考えてございますけれども、特に私ども重要と考えてございますのは、今先生から御指摘のありました都道府県の人材育成ということが重要であろうかと、このように思ってございます。  そのような観点から、昨日、厚生労働省内に大臣をトップといたしまして医療構造改革推進本部というものを発足させましたけれども、その中に計画策定等人材養成プロジェクトチーム、これを設置することとしたところでございまして、今後はこのプロジェクトチームにおきまして関係部局が省横断的な連携をしながら都道府県の計画策定担当者の人材育成を図ると、こういったことを含めまして都道府県の機能強化に努めていきたいと、このように考えてございます。
  43. 武見敬三

    武見敬三君 総務省、今お聞きになったと思うけれども、そういう大変大掛かりな政策方針を厚生労働省は打ち出された。それを実際に実行しようとするときに、むしろ責任の主体は総務省所轄下の各都道府県になります。そして、その都道府県というものが責任を持ってそういう人材も養成し、確保し、それに厚生労働省も協力をすると言っている。  この点については、基本的なラインとしては、総務省としては、それだったら受けられるという話になるんでしょうかね。
  44. 瀧野欣彌

    政府参考人瀧野欣彌君) これは、従来の医療に対します行政の在り方というものを基本的に変えていくということを意味されているのであれば、最初に考えるべきは、医療についてのいろいろな権限の配分というものをまず見直すべきではないかなというふうに考えております。  それぞれ権限がないのに責任だけ負わされるということではきちんとした行政はできなくなるわけでございますから、医療制度についてきちんとした権限の見直しというものを行う中で、それでは責任もそれに付いていくと、そしてその中で人材の養成ということも考えていくということが重要なのではないかなというふうに考えております。
  45. 武見敬三

    武見敬三君 どうもその辺はちょっと、相当に調整の余地ありという認識を私も今持っておるんですけれども。特に、その計画目標を達成できなかったときに、各都道府県に対する保健その他医療にかかわるその補助金、これをペナルティーとして削減することもその選択肢の一つとして考えられているというんですけれども保険局長、本当ですか。
  46. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) 医療保険制度に対しまして、都道府県、市町村、老人保健制度の中に公費負担制度もあるわけでありますけれども先ほど申し上げました医療費適正化計画の実施状況等に応じて、ペナルティーということではございませんで、むしろその計画達成に向けてのインセンティブをどう付けるかということは提案の中で考えられてもいいんじゃないかという提案をしているところでございます。
  47. 武見敬三

    武見敬三君 もう少しセマンティック、意味論的に内容を整理さしていただきますと、そのインセンティブというのの中には、例えばの話、補助金というものについて、その達成ができなかった場合には削ることもありますよというその選択肢は、そのおっしゃるインセンティブの中に入っているんですか。
  48. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) 具体的な内容につきましては、関係省庁、総務省とも御相談しながら今後具体化していくものでございます。
  49. 武見敬三

    武見敬三君 こういうことを議論するときには、やっぱり権限とか責任とかいう議論の中に改めて、財政的な権限と責任を一体どこまでこうした各地方分権化の中で各都道府県に分け与えていくと、まあ、分け与えるなんという言い方は余り良くないかもしれないけれども、担っていただくようにするかというそういう大きな視点もありませんと、これはなかなか各知事さんたちだって受け入れられる話ではないだろうと思いますよ。  したがって、その点は、極めてもうきめの細かいしっかりとした話合いをやっぱりしていただかなければならないだろうということを私はこれ痛切に感ずるんですよね。  その上で、改めて、ちょっと話を変えさせていただきたいと思いますけれども厚生労働大臣、私はこの厚生労働委員会で何度も喫煙の健康被害についてずっと質問させていただいているんですよ。それで、明らかに、今度我が国も署名、批准いたしましたたばこ枠組み条約、この条約の中では、喫煙の健康被害についての科学的根拠というのはあるんだということを明確に認識しているんですね。その上で、たばこの消費というものを抑制することもこの条約の中で明確に確認をされているんです。  たばこによる健康被害というようなものを抑制するときの最も効果的な方法は何であるかというと、これはたばこ課税なんですよ。たばこ課税、我が国今二百七十円ぐらいですけれども、このたばこ課税というものを充実させることによって、実は、その喫煙開始年齢と言われるティーンエージャー、これ十歳から十八歳ぐらいまでのこの間の喫煙開始人口というのがありますけれども、この辺りの人たちが一番その効果を受けてあえて喫煙はしなくなるんですよ、値段上げると。  したがって、そういう若年者の喫煙開始を抑止する効果が極めて大きいということ、それから全体的にその喫煙の健康被害を抑止して、そしてそれによって実は医療費の支出も確実に抑制することができるんですよ。これはもう六兆円とも七兆円とも言われているほどに、それによって実はこの医療費の支出やそれにまつわる様々な政府の支出を抑制することができるんですよ。  そういうことを考えてみると、我が国の正にこの医療構造改革試案という考え方の中で生活習慣病の予防を徹底してやるんだということをおっしゃるんだとすれば、私は、たばこ課税というものを改めて強化することによってたばこの価格を上げてそして国民の喫煙による健康被害を阻止するということは、正にこの厚生労働省試案のこの一つの大きな柱に最も合致した政策だというふうに思うんですけれども厚生労働大臣、いかがでしょうか。
  50. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 我が国平成十六年六月に批准をいたしましたたばこの規制に関する世界保健機関枠組条約では、たばこの価格及び課税に関する措置が、たばこの消費の減少を目指す保健上の目的に寄与する効果的かつ重要な手段であるということを締約国は認識することというふうにされております。今お話しのとおりであります。  それからまた、たばこの対策に関しましては、厚生科学審議会の地域保健健康増進栄養部会における議論におきましても、これもお話しになったことでありますけれども、未成年者の喫煙や受動喫煙の防止対策の推進などとともに、たばこの価格又は税を引き上げ、その財源生活習慣病予防対策に充当することを検討してはどうかといった意見が出されたところでございます。今正に私ども生活習慣病予防対策ということを大きく打ち出したわけでございますから、これは正に検討に値する、検討しなきゃならないことだというふうに考えております。  ただ、まあ、いろいろな御意見もございますし、特に税の扱いということでございますから、関係各方面の御意見も伺いながら更に検討をしてまいりたい、検討が必要であるというふうに考えておるところでございます。
  51. 武見敬三

    武見敬三君 特に、この生活習慣病予防の徹底をしようというときに、健診などの充実で、特に四十歳以上の健診についてはこれは国民全員がそれを、健診を受けるようにしようというような目標も設定されておられるわけですよ。健康局長、これ実際に実施しようとすると幾らぐらい財源が新たに求められるんですか。
  52. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) ただいまの健診につきましては、実施者といたしましては医療保険者を予定しておりますので、私の方から答弁をさせていただきたいと思います。  保険者は、現在、保健事業につきまして、組合健保、政管健保、国保を通じまして、全体、平成十五年度で四千億円の事業をやっているわけでありますけれども、今回その健診率引上げのための所要経費ということを、今お尋ねのことでございますけれども、当然ながらこれは健診の内容でありますとか頻度によって変わるということがございますので、現時点で健診率を引き上げたときの所要経費を試算することは難しいわけでありますけれども、極めて粗い計算ということでございますと、四十歳から七十四歳の国民五千七百万人の健診実施率が六〇%から八〇%に引き上げるとした場合には追加的に五百億円が必要になると、このように計算をしてございます。
  53. 武見敬三

    武見敬三君 こうした新たな財源を確保しなければ、こうした生活習慣病予防の徹底もなかなかできないんですね。このほかにもこうした行動変容を確実なものにするための別途新たなサービスの提供というようなことも求められてくるわけですよ。  そういたしますと、私、この生活習慣病予防の徹底、大賛成なんです。これはもう正に心から応援したい内容なんです。ただ、これをそう簡単に医療費適正化につながると国民説明することはいかがなものかという感じもするんですよ。  実際に、今おっしゃったように、新たな財源確保をしないと実行できない。それからその効果も、例えば健診を確実にやればやるほど、それによってさっき申し上げたような潜在的に七百二十万人いるだろうと言われているような軽度糖尿病患者その他慢性、関係者があぶり出されてきて、むしろ患者さん増えるんですよ。そうすると、そこで更に逆に医療費の支出が当面増えちゃう。しかし、その結果として、そういう方々の健康の回復はより確実なものになって、早期診断、早期治療ということを通じて国民の健康はより確実に広く守られるようになり、我が国はより健康社会というものを実現することに近づくと、こういう説明だったら私は分かりやすいんだけれども、その結果としていついつまでに何兆円のお金を削減できますというのは、これはちょっと本当にそういうふうにできるのかなという疑問を持っておるんですが、保険局長、いかがですか。
  54. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) これにつきましては大変難しい課題ではあるわけでございますけれども、ただ、我が国それから諸外国におきまして、生活習慣病の危険因子につきまして保健指導等を通じまして効果がどのように出てくるのか、そういった生活指導、保健指導の介入による効果というものについて幾つかエビデンスがございます。さらに、そういった生活習慣病の危険因子が減った場合に、それが長期的にどのように医療費につながってくるか、これは長期的なデータもございます。そういったものを踏まえまして、私ども、今回、こういった生活習慣病対策によって中長期的には医療費削減効果が出てくるものと、このように考えてございます。  単純に言えば、患者が少なくなればもちろん医療費は減るわけでありますし、重症化が予防できれば長期的にはそういった医療費適正化効果が出てくるものと私ども考えているわけでございます。
  55. 武見敬三

    武見敬三君 この議論をするときには、本当に財政論的な議論が先行している。財政論というのは、やっぱり経済価値を中心に置いた政策論なんですよ。だけど、やっぱり厚生労働省議論をされるときには、経済価値というものだけじゃなくて、やはり健康価値というものにひとつ新たに立脚をした政策論をきちんとやっていただきたいんですよ。  我が国も、二十一世紀、こうやった成熟化した社会に入ってきますと、国民の健康に対する関心が着実に高まっていることは御存じのとおりだし、その根底には、国民の間で健康価値を重視する傾向がより強く高まっているというふうに私は考えるべきだと思います。  したがって、経済価値に対峙して健康価値というものをいかに認識をして、行政としてもそれに立脚した政策を組み立てていくかという、そういう哲学を私は厚生労働省として堂々と持っていただきたい。そのために、財政論的な観点からいろいろ加えられる圧力というものに迎合したような形で国民説明しちゃいますと、真に健康価値を守ろうとするその説明というものが逆にゆがめられてしまうんです。そこはもう十分に注意をしていただきたいというふうに思うものであります。  そして、そのほか私、質問したいことたくさんあるんですけれども厚生労働省が各地方にいろんな組織持っていますね。それで、社会保険庁なども年金は、これはこれから外局その他の方式で改めて組織をつくって受皿にすると。それから、政府管掌健康保険は、これは改めて一公法人で各都道府県に支部を設けて新しい組織をつくると。しかし、社会保険庁はそのほかにもいろいろな分掌事務等で仕事やったんですよ。医療監視なんかもその一つですよね。そしてまた、ほかに高度先進医療等について、これを申請する窓口業務も社会保険庁の各地方組織が今までやってきているんですよ。  そのほかにもいろんな役割、機能がこういった地方組織の中に組み込まれている。これらをどのようにして再編するのかという問題が、社会保険庁の事実上の解体に伴ってしっかりとその機能の確保をすることも含めて検討されておかなきゃならないわけです。  この点について、例えば医療監視なんかも、社会保険庁という役所はとにかく威張り腐った封建的な、権威主義的なところで、医療監視、これはやるべきことはきちんとやれというのは私も当然そう思いますよ。だけど、あたかも全くの罪人扱いで、それで極めてそういう人権を無視したようないろんなそういう医療監視を今までやってきて、中には自殺しちゃったようなお医者さんだっているんですよ。そういうような封建主義的、権威主義的なそういう体質はしっかりと改めていただいて、そして地方組織を改めて再編するときにはもっと健全な形でこういった組織機能というものを再確立していただきたいと思っておるんでありますが、この点についてはどうお考えですか。
  56. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) ただいま先生指摘保険医療機関の指導監査のことだと思いますけれども、その事務につきましては、現在、厚生労働大臣の権限を地方社会保険事務局長に委任して実施しているところでございます。  今般の社会保険庁の見直しに伴いまして、この地方社会保険事務局の在り方についても見直されるところでありますけれども、指導監査等につきましては、医療保険制度全体の安定的かつ健全な事業運営を確保すると、このために必要でありますので、引き続き国の責任で実施することが必要であると考えてございます。  具体的な組織の在り方につきましては、御指摘の点も踏まえながらでございますけれども医療機関の負担軽減、あるいは行政の事務の効率化、それから地域医療の実情の適切な把握と、こういった点を踏まえまして、都道府県の区域を単位として対応することを基本として、今後、総務省を始めとする関係方面と調整をしていきたいと、このように考えてございます。  その指導監査の仕方についての御指摘もございましたけれども、私どもとしましては、懇切丁寧に対応するように、引き続きブロック会議等の場を通じまして職員の資質向上に努めてまいりたいと考えてございます。
  57. 武見敬三

    武見敬三君 特に、厚生労働省の地方組織をどういうふうに再編して、より効率的なものにしていくのかということと、先ほどの総務省とも協力をして都道府県ごとにそれぞれ保険運営あるいは健康づくり事業を一体的に行うようなことをするという新たな地方行政組織の組織能力の再編、再構築、これは一体化して上手に整合性の取れた形でやっていかないと、それは意味のないものになってしまいますから、十分にそこはよく全体を見ながらやっていただきたいと思います。  そして、最後に一つだけ、これ社会保険庁伺いたいんですけど、全国一公法人で各都道府県に設けるこの新たな公法人、従来であれば、社会保険庁は、保険料によって社会保険病院といったようなものを、天下り先のその公益法人に委託契約をしてやらせてきましたよね。しかし、もう既にこれだけ医療の供給体制が充実していれば、保険者がもうそういう病院を有して管理運営するなんていうことはもはや必要がないという時代になったわけですよ。  そうしますと、この新しい公法人、これも私は、保険者としてそういう病院を管理運営し、委託契約をする必要性なんかは全くない。したがって、そういう意味での病院経営、運営等については、この新たな全国一公法人というのはそういう権利を有するべきではないというふうに私は考えますけれども、これはもう極めて大きな課題でございますので、大臣と社会保険庁と双方からその答弁を求めておきたいと思います。
  58. 小林和弘

    政府参考人(小林和弘君) 社会保険病院の在り方につきましては、平成十四年の十二月に「社会保険病院の在り方の見直しについて」ということで、基本的な見直しの方針を取りまとめさせていただいております。  具体的には、平成十五年から三年間経営改善計画というものを実施をさせていただいた上で、十八年度に整理合理化計画を策定する。あわせて、現行の全国社会保険協会連合会への一括委託という運営形態につきましては抜本的に見直しを行うという基本的な考え方でございます。  また他方、政管健保が公法人化されるということに伴いまして、政管健保の資産でございます社会保険病院、この社会保険病院と公法人との関係についてどのように整理をしていくのか、またそもそも公法人の業務自体をどのように考えていくか、これについて幅広い検討が必要と考えておりますので、今後各般の御意見承りながら検討してまいりたいと考えております。
  59. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) まず、社会保険庁全体についてでございますけれども、これは私の下に今有識者会議をつくらせていただいて御議論をいただいておるところでございます。この御議論を踏まえてしっかりとした抜本的改革を進めなければならない、その中で、御批判いただいたようなことが二度と起こらないようにしなきゃいけない、具体的に今日お話しになったようなこと等も踏まえてこの改革を進めていきたいというふうに考えておるところでございます。  その中で、社会保険病院をどうするのかということがございますが、これは今御答弁申し上げたとおりでございますので、この見直しの作業もしっかりと進めてまいります。
  60. 武見敬三

    武見敬三君 私は、こういう、保険者が病院をこういう形で管理運営するというような時代はもう完全に終わったと思いますから、この改革を時機に一切そういうことはやめていただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。     ─────────────
  61. 岸宏一

    委員長岸宏一君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、島田智哉子さんが委員辞任され、その補欠として前川清成君が選任されました。     ─────────────
  62. 中島眞人

    中島眞人君 武見先生の質問に続いて、私も当面する問題について幾つか聞いてみたいと思います。  暑い夏が終わって木枯らしが吹く時期を迎えますと、寒々とした話が起こってまいります。正に、今日一斉に書かれている医療構造改革の厚生省試案なんというのは、国民にとってみると寒々とした思いであろうと。  数年前に、医療保険を二割を三割にして、前期高齢者、後期高齢者というふうに分けたその料率がまたまた変わっていくという形になってくるということ、同時にまた、免責制度の導入とか保険給付外の導入というふうな問題、これ、国民皆さん方から見ると、医療保険に対する信頼性というものがいわゆるどうなっていくんだろうかという問題、こんなことを考えると、非常に何か、これから冬に向かって木枯らしが吹くと同じように、何か寒々とした気持ちにならざるを得ません。  この寒々とならざるを得ない中に、国民皆さん方に対しても頑張ろうと言われるような厚生労働省の確たる一つの理念というものが今こそ私は必要ではなかろうかと、こんなふうに思えてならないわけであります。  昨日、年金の一元化につきましても、総理を交えた与党の関係者によりまして、議員年金の即時廃止という問題が、方針が出されました。この問題につきましては、民主党においても既にそのような方針が出されているわけでありますけれども、ただ、これと関連をして、まあ、議員の年金の問題については、議員が国民に範を垂れればいいわけであります。それほどの問題ではなかろうかと思うんでありますけれども、私は、年金制度全体の問題について、やはりもっと、やっぱり上辺だけでない、国民に本当に理解をしてもらうような論議が必要ではないのかと、こんなふうに思えてなりません。  選挙の公約の中で、公的年金の一元化という問題、各党掲げました。しかし、本当にその道を歩んでいく過程の中で、一元化という問題が今日、あしたにすぐにできるんだろうかということになると、今抱えている年金問題の問題点をできるところからひとつ改革をしていくという一つの方法が、私どもが掲げているいわゆる厚生年金と被用者年金の一元化の早期実現だと、こういうことになるわけでありますけれども、これも、ただ、国民皆さん方は、何で国民年金と共済年金を一元化することが必要なのかということも理解をされていない。また、報道でも、この問題について報道が余りされていない。言うなれば、厚生年金といわゆるその被用者年金との間にはこういう問題があるんですという問題を、私は厚生労働省として国民に向かってはっきり言うべきだと思うんです。  前回の選挙のときには、年金と言っただけで風が吹いたんです。やっぱり、年金というものについて、中身の問題について国民皆さん方にはっきり理解をしてもらうために、厚生年金と国家公務員、地方公務員を含めたいわゆるその被用者年金との間にはどういう問題があるのかと、どういうところが問題だからどうしていくんだというところを、まず副大臣、お答えをいただきたいと思います。
  63. 西博義

    ○副大臣(西博義君) ただいま先生から御指摘のとおり、厚生年金とそれからいわゆる共済年金との間には、様々な面で格差といいますか、違いがございます。  例えば、各制度の一人当たりの平均給与水準、これが前提でございますが、平成十五年度の各制度の一人当たりの標準報酬額、これ、ボーナスも含めて総報酬を月当たりに割り返してみますと、男女これは合計でございますが、厚生年金で三十七万五千円、国家公務員共済が五十四万三千円、地方公務員共済が六十万二千円、私立学校教職員共済が四十九万八千円というふうに大きな違いがございます。当然これは男女間の差もそれぞれの団体によってかなり違いがございます。  また、それぞれの制度の積立金ですね、これの規模でございますが、これもどういうふうに表現したらいいのかというのはなかなか難しいんですが、前年度末の積立金、これが財政から見て一年間に必要なそれぞれの制度の支出額の何年分を積み立てておられるかと、こういう単位で計算をしてみますと、平成十五年度の簿価ベースで、厚生年金が五年半、それから国家公務員共済が七・〇、七年です、それから地方公務員共済が十一年、十一・四、それから私立学校教職員共済が十・七と、これもまた相当の差がございます。  そういうものがベースになっているというふうに承知をしているところでございます。
  64. 中島眞人

    中島眞人君 それと、言うなれば厚生年金の場合は二階建てなんですけれども、いわゆる国家公務員、地方公務員、この共済年金の方は三階建てなんでしょう。そして、その三階建て、これを通算をしてみると、国家公務員、地方公務員共済の方は大体厚生年金の二割増しだと、受け取る額、年金の受取額。こういうところも明らかにしておかないと、最近私は非常に、テレビ等で聞いておりますと、何か共済年金が危なくなってきたから厚生年金にくっ付けるために厚生労働省が盛んに今ねじを巻いているんだと言っている。こういう論調を識者と言われる評論家の人たちがニュース番組で言っているんですよ。  いや、これはまた大変な誤解であって、私はむしろ、昨日来、各会館を退職公務員連盟の皆さん方が来てくるのは、現状の年金を維持してくださいと、一本化なんか困りますよと言って歩いているんですよね。にもかかわらず、そういうことをテレビ等や新聞で誠に、厚生年金の積立金の問題には裏があるから、そういう中で、いわゆる逆に共済年金がピンチに陥ったから厚生年金に吸収合併をする一つの厚生労働省のいわゆる策略だというふうな言い方をなさっている識者が最近増えてきている。私は驚いた。この辺について十分、国民皆さん方は、そう言われると、ああそうなのかなと、社会保険庁の問題もあったから、まあそのぐらいのことはやりそうなことかもしれないというふうに国民皆さん方は思ってしまう。  そこで、被用者年金の一元化に向けた検討において、その目的は何なのか、具体的にどのような点が主な論点になっているのか、またその解決の方向性を政府としてはどのように考えているのか、大臣から分かりやすく御説明を願いたいと思います。
  65. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) まず、大きく公的年金の一元化ということがございますが、そのことに対して、基本的にどのように制度の財政的な安定性や公平性を確保し、国民の皆さんにとって真の信頼と安心につながる制度を設計していくか、また、どのように制度の運用を国民の皆さんにとって身近で分かりやすいものと改善していくかということが大切であると申し上げてまいりました。まず、大きく年金一元化について大事なことを申し上げたわけであります。  そして、年金制度の成熟化が進みます一方で、雇用構造の変化ども進んでおりますので、被用者年金一元化により、社会経済状況影響をできる限り少なくし、制度全体の安定性、公平性を更に強めますとともに、国民年金制度に対する信頼を高めることは、これは先ほど基本的なところで申し上げたことを繰り返したわけでございますけれども、そうしたことは今後の高齢社会を迎えるに当たって極めて重要な意義を有するものと、こういうふうに考えておるところでございます。  こうした観点に立ちまして、厚生年金と共済年金の被用者年金の一元化という話が今あるわけでございますが、これを進めるに当たりましては、それぞれの制度でありますから沿革もあります。例えば、制度間における給付や負担の水準の相違をどうするのか、少しお述べになりました。また、支給要件などの制度的な違いをどうするのか、一元化の形態をどうするのかといった、これはもう、いざ一元化ということになりますと検討すべき課題というのが様々出てまいります。  今後は、今それに向けて関係省庁間で年内には論点を整理しようと考えておりますから、まずその論点整理をしながら所要の検討、検証等の作業を進めますとともに、これは当事者間でも十分合意をしなきゃなりません。合意形成を図り、また国会でありますとか与党における議論の動向も踏まえながら、政府として具体的な方向をできるだけ早く決定できるように作業を進めてまいりたいと考えておるところでございます。
  66. 中島眞人

    中島眞人君 年内には論点整理をしていきたいと。かなり私は、従来に比べてみるとこの問題に対して厚生労働省の取組というのは積極的になってきているんだろうというふうに思います。  ともかく、国民皆さん方にお聞きすると、一番の問題の不安感は年金だと、そういうデータがよく出されるわけでありますので、確固たる年金の在り方というものを、私は、被用者年金の一元化、厚生年金と一元化、これは本当に血みどろ懸けでやらなければできないくらい難しい問題だということを感じていますよ。そんな簡単なものじゃないということを感じています。それでもなおかつ、言うなれば取り組んでいくんだと、年内には論点整理をして、そしてスケジュールを決めていくんだということ。  時あたかも、先国会から衆参合同の協議会がつくられております。私は、年金問題に関しては、各政党間のいわゆる、何といいますか争い、何といいますかパフォーマンスじゃなくて、いわゆる、これはもう政策を抜きにした形の、政党のいわゆるその主張というものを一応こちらへ置いて、国民がまず安心をするという点の共通理解を求めていく点でいわゆる進めていかなければ、この問題はあっちが反対こっちが反対という格好になってしまうんで、そういう各党への努力も、私どもも与党として野党の皆さん方に呼び掛けてまいりますし、野党の皆さん方も一緒にそういう問題に取り組んでいかなければいけないときが来ているということだけは申し上げておきたいと思うのでございます。  そこで、一点だけ、若干、国民年金の一元化という問題があるわけです。例えば、国民年金の一元化の問題は、そのまず基礎年金を税で見る、そして二階建ての部分を、何といいますか所得に応じて徴収をしていくというやり方なんですけれども、一階の基礎年金部分の税で見るところは、これは消費税で見るんだと。しかし、消費税という問題を、例えば年金だけに絞って消費税という問題を論議するんじゃなくて、消費税という問題は、医療もあるだろう、年金もあるだろう、介護もあるだろう、将来に向かってそういう問題をマクロに検討した中で考え付いていかなければ、年金のときに消費税をこれだけもらいましたよと、医療でこれだけいただきますよという継ぎ足しの消費税論議というのは、私は、いわゆる国民皆さん方にもなじまないだろう、こんなふうに思うんです。  それと、厚生年金と被用者年金の場合にははっきりと所得が明確にされております。されております。ですから、源泉徴収の中で、あるいはボーナスの時期もいただけるんですけれども国民年金の場合の二階建ての所得の部分についてのいただくお金というのは、何を根拠にいわゆるいただくことになるんでしょうか。その辺のところを、大臣でもいいし、事務当局でも、参考人でも結構ですから、お聞かせをいただきたいと思います。
  67. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) まず、今、国民年金も含めた大きな一元化ということで、いわゆる一階建て部分を税方式というふうに言われましたけれども、ここのところから御議論があるわけでありまして、民主党案でいくと完全に税方式であろうということでございますが、必ずしもそういう意見ばかりじゃありませんし、現在行っております現行の制度もそういうふうにはなっていないわけでございますし、まずそこのところからの議論もしなきゃなりませんということを申し上げたところでございます。  そうした中で、自営業者の部分のといいますか、今、国民年金に入っておられるところの皆さんの所得比例年金部分をどうするかということの問題というのは、年金の一元化、大きな一元化を考えますときに大きな課題の一つであります。一体、その所得をどうとらえるか、果たして、そしてその所得が正確にとらえることができるのかどうかといったところが大きなもう正に課題そのものであるというふうに考えております。
  68. 中島眞人

    中島眞人君 私は、民主党さんがおっしゃっている案、御努力をなさった案だと思いますよ、年金国民理解をされていくという。一概に私は否定をしないんだけれども、否定すべき問題でもないし、また討論をやっているわけじゃありませんけれども。少なくとも国民理解を得られるような年金制度にしていくというときに、厚生年金、被用者年金国民年金というものを一緒に一元化ができるのかどうか、テクニックの問題、そういう生い立ちの問題としてできるのかどうかという問題の中で、実は今、税方式の問題と比例徴収の問題を申し上げたんですけれども、私には、どう考えてみても水と油のようなものをやっていく、そもそも制度が違うんですから。いわゆる国民年金は定額制ですね、今まで。こちらの方は定率制ですから、これを一緒に用意ドンでいく、同じラインでいくというのは大変難しい問題だと思うんですけれども、その辺の見解についていかがでしょう。
  69. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 難しいということはもうおっしゃるとおりであります。したがって、年金の一元化というのをどう進めていくか。正に私たちが、私たちがと申し上げましたのは、これはもう今先生が言っておられるように、国会の中でもできておりますし、またそうした御議論を踏まえて、私ども厚生労働省も当然所管しておる立場でまた考えなきゃならないものでありますけれども、もうそうした国民一体となって議論をして答えを出していく、そして答えが決まったらもうそれに向かって進んでいくと、こういうことだろうと思います。  質問に直接お答えいたしますと、難しいと言われるなら、もう正に難しい問題であるということはもうそのとおりであります。
  70. 中島眞人

    中島眞人君 まあ、この問題は、民主党さんが言ったから、野党が言ったから反対だとかなんとかということを追い詰めてやる問題でなくて、要は、国民皆さん方に安心感を持ってもらうために、できるところから一つ一つ構築をしていくという手順がまず必要ではないのかということを私は申し上げたいと思います。  それと、未納者、未加入の増えていく中で、一方では年金に対する不信感の問題もありますけれども、パート労働者等がたくさん出てきておりますね。前回の年金改革のところで、妻の年金の配分につきましては一定の方向性が出されましたけれども、パート労働者を年金という一つの枠の中へいわゆる入っていただく、本来の国民年金という形の中でパート労働者も入っていく行き方というものも検討すべきだという声がありますけれども、この辺についてはいかがですか。
  71. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 冒頭の御答弁の中で、雇用構造の変化等も進んでおる中でと申し上げたのは、まさしくその問題でございます。近年の雇用構造、就業形態等の変化によりまして、短時間労働者などの非正規労働者が増加をいたしまして、国民年金の第一号被保険者の中でこうした方々の割合が高まっておりますことも事実でありますし、よくこのところ御指摘もいただいております。  私ども国民年金というと自営業者の年金とすぐ言ってしまうものですから、いやいや、もう自営業者の割合うんと少なくなっているじゃないか、今申し上げたような人たちの割合というのは非常に高まっておるだろうという御指摘はいただくところでございまして、まさしくそのとおりでございます。こうした働き方の変化に対応しまして、年金制度の適用の在り方を検討していく必要がある、これはもう、申し上げましたように大きな今課題の一つというふうに考えておるところでございます。  短時間労働者は、厚生年金保険者と同じように給与所得者でありまして、自営業者のような老後の生計基盤がない場合が多いですし、また、これらの方々というのは国民年金保険料未納者の割合が高くて、このままでは老後の生活が不安定になりかねない状況にあります。これも御指摘いただいたとおりでございます。  また、短時間労働者を中心に雇用しております企業と正社員を中心に雇用しておる企業との間では、社会保険料、すなわち企業負担分があるわけでありますから、そこの部分の負担が公平になっていないということもございます。このため、短時間労働者に厚生年金の適用を拡大していくことは、昨年の年金見直しの中でも私どももそれを考えましたけれども、非常に御議論が分かれました。分かれて答えをしっかりと出すことができなかったわけでございますが。  したがいまして、まだ課題だと申し上げているところでございますけれども、今まで申し上げてまいりましたように、被用者としての短時間労働者の年金保障を充実させるという観点、それから、雇用する側とされる側、いずれも中立的な仕組みとする観点、さっき申し上げたような、雇う側も企業負担を少なくするためにできるだけ短時間労働者にしておこうなんというふうなことになるとまずいということを言っておるわけでございまして、こうしたことから、短時間労働者に厚生年金の適用を拡大していくということは意義のあることと考えておりまして、これは再三申し上げておりますように大変大きな課題だというふうに考えておりますので、今後しっかりと検討したいと存じます。
  72. 中島眞人

    中島眞人君 是非、やっぱり信頼される年金という制度確立のためにも、このパート、短時間労働者の加入の問題についてはひとつ積極的に取り組んでいただきたいと思います。  時間があったらもっともっと話をしたいと思うんでありますけれども、まあ率直に言って、こういう風潮がなきにしもあらずという点で、それが即こうだからということではないことをまずお断りをしながら、私は非常にショッキングなデータを資料として出させていただきました。  いいさ、年金を掛けなくて、未納、未加入でもいいよと、将来あなた年金もらえなくなったらどうするのと、そのときになったら生活保護をもらえばいいと、こういう漫画みたいな話が言うなれば最近はとみに多くなっている事実のあることを承知しながら、私はまじめに大臣にお聞きしたいと思います。  ここにある都道府県別保護率及び被保護人員の状況という、生活保護の保護率ですけれども、全国平均一一・一パーミル。しかし、この率は驚くべき各県の差を示していますね。そして、例えば、二枚目でありますけれども、保護率上位十実施機関、何と六六・二パーミルなんというところがありますね。また、保護率下位十では、可児市などでは〇・五パーミルです。こんなに日本の都道府県、市町村には低所得者が偏在をしているんでしょうか。それとも原因は何かほかにあるんでしょうか。
  73. 中村秀一

    政府参考人(中村秀一君) お答え申し上げます。  今委員からお示しありました保護率の全国の状況はその資料のとおりでございまして、数字は千人当たりの数字でございまして、全国では千人当たり十一・一人でございますが、ごらんいただいていますように、十五を超えておりますのが北海道、青森あるいは京都、大阪、高知、福岡などが千分の十五を超えていると。逆に、千分の五より低いのは、山形でございますとか群馬、それから中部地方、富山、石川、福井、山梨、長野、岐阜、静岡と、こういったところが低くなっております。  これは県別でございますが、二枚目の実施機関、これは、郡部の方は都道府県が生活保護は実施機関になっておりますが、その郡部の方を除きまして、実施機関、市単位でやっているところが出ておりますが、今申し上げました県単位で見ても、高い方の県に所在されている市、それから低い方の県に所在されている市が非常にやはり高かったり低かったりしているということでございます。  今、生活保護の在り方については、国と地方公共団体との間で関係者の協議会を開き、どうしてこういう差があるかについても分析をしようと、共通認識を得ようということで分析も行っておりますが、その結果が出つつありますけれども、それで申し上げますと、保護率と失業率、高齢化、離婚率の相関が非常に高いんではないかということが言われている一方、生活保護以外の社会保障制度や厚生労働省の制度運営影響しているんじゃないかという見方もありますが、これはどうも数字的には具体的な影響の有無や程度を示すデータはなかった。  あと、地方自治体における保護の実施体制や取組については両論ございまして、格差があることについては実施体制や取組状況によるんではないかという議論がありますが、全国的なデータでそういったことの相関のあるデータも見受けられますけれども、相関のないデータもあるということで、この辺は評価が分かれているというのが地方公共団体と厚生労働省などと協議しているときの中での作業の状況でございます。
  74. 中島眞人

    中島眞人君 時間がありませんから。しかし私は、生活保護のこの実態というのは、ある面では厚生労働省ももう少し明確にこの原因追及をしていただきたい。私ども、政党としても政治家としても、これについてはただ漠然といわゆる論議をするんではなくて、実態調査をしたりしていかなければいけない、こんなふうに思いまして、一つの問題提起としながら、次回にまた機会を見て論議をさせていただきたいと思います。
  75. 西島英利

    ○西島英利君 経済財政諮問会議の民間議員の方々が、高齢化修正GDPを基本に医療費伸び目標を設定するといういわゆる伸び率管理制度の導入を提案をされているわけでございますが。  イギリスの事例をちょっとだけお話をさせていただきますと、イギリスには世界が注目する優れた医療制度があったわけでございます。無料で最高の医療が受けられると。医療水準は世界でも最高のレベルであったわけでございますけれども経済状態が悪いということで、今から十数年前、当時のサッチャー政権はイギリス経済の立て直しのために改革というのを断行いたしまして、鉄道、電気、電話などの民営化とともに、医療についてもこれは特別ではないといいまして、企業経営手段や競争原理を導入することにより効率化を図り、医療費を抑制することを試みたわけでございます。それが伸び率管理制度だろうというふうに思うんですが、日本の経済関係の有識者の方々も、日本の医療は効率的ではないというようなことで、先ほどの企業経営の手段とか競争原理をやっぱり導入するべきだということを言っておられるわけでございますけれども。  その結果どうなったのかといいますと、医療従事者の削減をしてしまった。その結果、人手不足によりまして患者の待ち時間は延長をしてしまいました。一般外来診察のために半数以上の患者さんが二日間以上待たなきゃいけない、救急患者さんが入院までに四時間以上待つ、そういう状況ができたわけでございます。専門医の手術が必要と決まってから手術を受けるまでの待ち時間が数か月、一年以上入院が待たされるというのが百二十万人以上、つまり待機患者がそれだけいるという状況になったわけです。がんの診断を受けてがんの手術を受けるまでにかなりの期間待たされるわけでございますから、がんの五年生存率はヨーロッパ先進諸国の中では最低になったわけです。  裕福な方々は私費診療を行う私的な病院の方へ流れていって、この方々はちゃんとした医療を受けられたわけでございますが、しかしほとんどの国民は、医療現場に向けられる国民、つまり国民たちは大きな不満を持ったわけでございます。  この国民の不満や、それから職場の環境は非常に悪くなってしまったということで、医療従事者、特に医師、看護師の士気が極端に低くなりまして、この職場から離れ、海外へ流出していった。悪循環は非常に加速されてきたわけでございます。  感染防止措置の不徹底も起きてまいりまして、院内感染の代表でございますMRSAが非常に蔓延をしてしまったと。それも劣悪な状況になったわけです。  そこでサッチャーさんは、経済は立て直しましたけれども、政権としてはつぶれてしまいまして、労働党のブレア政権ができたわけです。ブレアさんは、とにかく医療費の予算は倍増、倍増しますということを言って一九九七年に政権ができたわけでございますが、とにかくブレアさんはNHS予算を倍増をいたしました。NHS予算、一九九九年が四百十二億ポンド、これが二〇〇五年には八百五十億ポンドと、まさしく倍増でございました。そして、二〇〇二年には、なかなか状況変わらないということで、今後五年間、医療予算を毎年実質七・四%ずつ増加をさせると、そして、二〇〇一年時点でGDP比七・五%の医療費を、二〇〇七年度にはGDP比九・四%に引き上げるという政策を実は発表をしたわけでございます。再来、待機時間を減少させると、そして主要疾患の死亡率を相当数削減すると。今まさしく日本が試みようとしていることを実はブレアさんはやってきたわけでございます。こういう状況が実はイギリスに起きておりまして、まさしくそのような制度を、今日本がそちらの方向へ歩もうとしているところでございます。  ところで、ドイツ、フランスも同様なこの抑制策を取っていると思うんですが、このような抑制策を取った結果、医療サービスの水準、これはドイツ、フランスではどうなったのか、簡単で結構でございますので、御教示いただきたいと思います。
  76. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) お答え申し上げます。  医療制度は各国で違いがございますので、伸び率管理による医療サービスそのものへの影響ということについて評価を行うことは難しいわけでございますけれども伸び率管理につきましての影響についてごく簡単に述べさせていただきたいと思います。  まず、フランスについてでございますけれども、国が医療費総額と、それから病院、開業医の部門ごとの医療費を決定してございますけれども、公的医療につきましては、予算上限の設定とあるいは上限超過時の統廃合というものを行いやすい事情にあるということでございますけれども、開業医が問題でございまして、目標超過時の開業医に対する一律の医療費返還義務というものが制度上、組まれていたわけでございますけれども、これにつきまして違憲判決が出されてございまして、目標達成を実効的に担保する措置がございませんで、目標額を超過する傾向にあると、このように承知をしてございます。  それから、ドイツについてでございますけれども、開業医につきまして元々これは保険者と保険医協会の間で診療報酬総額につきまして総額請負方式というものが採用されておりまして、制度上、上限をあらかじめ設定する仕組みが取られておりまして、賃金の伸びを上限として設定されていると承知をしております。一方、入院や薬剤につきましても、同様に伸びの上限が定められてはおりますけれども、これにつきましては多くの例外が設けられるということでございまして、そういう意味では所期の成果は上がっていないと、このように聞いてございます。
  77. 西島英利

    ○西島英利君 経済財政諮問会議の提案によりますと、二〇二五年度医療費、もしこの制度を導入したとすると四十二兆円になると、対GDP比は五・八%抑制されるんだということを言っておられます。  イギリスがGDP比七・五%から九・四%に増やそうとしているのをこれは削減するということで、イギリスの二の舞になるということは目に見えているような気がするんでございますが、このことも含めまして、このような制度、絶対に日本には導入してはならないと私自身は思うんでございますけれども大臣に、先ほど武見さんにもお答えいただきましたけれども、再度お考えをお聞きしたいと思います。
  78. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 先ほど武見先生にもお答え申し上げましたように、様々な理由でもちまして厚生労働省、それから私もこの伸び率管理という考え方には反対をしてまいりました。そのことは今も変わっておるものではございません。賛成か反対かと言われると、反対でございます。  しかし、また一方、医療費を抑制しなきゃいけないということについて反対しておるわけじゃございません。これはできるだけ抑制をしなきゃいけないということでございます。  したがって、今私どもがやるべきは、そういう伸び率管理というマクロから抑えてくるやり方と、私どもが言っておりますミクロの施策を積み上げていってという、これの接点を探すことになるだろうというふうには思っておりますので、このたびの試案もまたそういうことでもお出しを申し上げたところでありますから、十分御議論はいただきたいというふうに考えております。
  79. 西島英利

    ○西島英利君 是非よろしくお願いをいたします。  そこで、財務制度等審議会の報告書によりますと、保険免責制の導入を提案をしてきているところでございます。先日の骨太の方針二〇〇五のときにも、最初の素案では、軽度・低額医療費については免責的な言葉が出ておりました。  そもそも、低額医療費と病気の軽症、重症とは関係ないと私自身は思っておりますし、また、先日、某所で医政局長もこれは関係ないということを明言をされております。  風邪だと思っていたら、町の薬局で薬をもらって飲んでいたらば、これは結果的に肺結核だったとか肺がんだったとか、場合によったら急性肝炎の初期症状だったとか、そういうようなことはもう医療の世界では当たり前のことでございます。体がだらしいと思ってドリンク剤を飲んでいて、結局なかなかよくならないんで病院行ったら、肝臓がんだったと。こういうふうな状況が実は医療の中での実は常識だということでございます。  そこで、大臣にお聞きをいたします。  平成十四年の健康保険法改正時、当時の坂口厚生労働大臣は国会で、三割以上の自己負担を増やすことは絶対にないということを答弁として明言をされております。この給付の割合について、将来にわたって百分の七十の給付ということを維持されるかどうか。先ほどの坂口厚生労働大臣答弁も含めてお教えいただきたいと思います。  さらに、もしこの免責となりますと、場合によってはこの三割以上の負担になることもこれは当然起きるわけでございますね。ですから、大きな問題だということを私は今申し上げています。  また、日本というのは元来、現物給付、療養の給付は現物給付でございます。これを免責にしますと、この根本から変わる、つまり現金給付の世界に入ってくるわけでございまして、根本の制度を変えるということになろうかというふうに思います。  こういうことを含めまして、大臣の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  80. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) まず、免責制度というものを取り入れた場合に、一体、国民保険ということとの関係がどうなるのかということの御議論はまたそれぞれにおありだろうと思いますから、十分ここの部分も御議論をいただきたいと思うところでございます。  そして、今この免責制を導入した場合に、三割の定率負担に加えて、その免責分が患者負担になるわけでありますから、三割を超えるということがあり得るということの御指摘でありますけれども、このことについて申し上げますと、平成十四年の健保法改正法の附則のところで、「将来にわたり百分の七十を維持するものとする。」という規定がございます。それからまた、それに基づいてということでもありましょうが、坂口大臣答弁申し上げたこともございます。  したがいまして、そうした趣旨、そういったようなことの趣旨は当然踏まえなきゃいけないわけでございまして、踏まえての御議論をいただきたいというふうには思っております。
  81. 西島英利

    ○西島英利君 前大臣といえどやっぱり発言というのは非常に重要でございますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。  次は、人件費の考え方について御質問させていただきます。  十月四日の経済財政諮問会議で民間議員から、これは大臣出席された諮問会議だったと思いますけれども、物価、賃金がマイナス傾向になっていると。物価、賃金と診療報酬本体の実績との比較を提示をされて、さらに、医療経営実態調査から見ると人件費率が五〇%であるので、近年の物価、賃金傾向等踏まえ、大幅なマイナス改定を行うべくということを言われているわけでございます。  私が皆様方にお配りしております資料を見ていただきたいと思うんですが、この三枚目の五というところでございますが、これが経済財政諮問会議が当時配付されました資料でございます。これによりますと、人事院勧告で人件費が九二・四%下がっておるんだということを言っておられるわけでございます。  しかし、まず一ページ目を見ていただきたいと思います。  これは公益企業等の一人当たり平均年間給与でございます。平成十三年度と十六年度を比べてみますと、年間給与では電力もガスもJRもいずれも実はアップをいたしております。また、国家公務員の行政職職員というのは、確かに年間給与、人事院勧告がございましてちょっと下がってはいますけれども、これはそもそも民間に近づけるという意味での人事院勧告であったというふうに私自身は思っております。  二番目の方を見ていただきたいと思うんですが、病院の一人当たりの給与でございます。薬剤師、看護職員等々、すべてこのほかの公益企業等よりもずっと低いわけでございます。さらには、その横を見ていただきますと、一か月当たりの給料でございますが、国公立、公的社会保険関係法人、つまりこれは社会保険庁病院のこと中心でございますけれども、この方々の一か月の給料と、その隣、医療法人その他、これは民間病院の給料でございますが、これだけの実は差があるんですね。  そして、その次を、二ページも見ていただきたいんですけれども、病院の費用構成。これも平成十五年六月の医療経済実態調査の結果からでございますが、確かに給与費は五二・六%でございます。しかし、支出の中で一番大きい部分をいかに抑制するかというのが実は経営でございます。そういう意味で、パイは決まっているわけでございますから、当然職員の給与をこれは抑制するのは当たり前でございます。決して医療は、医療のこの五二・四%の人件費だから高いんだということは、私は決して言えない。つまりは、この給与費の中で占めるのは、労働集約型産業でございますし、また医療は様々な施設基準、人員基準がございまして、人を減らすことができない状況になっているわけでございますね。  そういう中で、賃金、物価がこういう形で下がっているから、当然今回は大幅なマイナス改定、二から五%下げなきゃいけないんだと、要するに賃金も下がっているんだということは、私は、当たらないというふうに私は考えていることでございます。もしそのような状況になりますと、今でも安い民間病院の賃金でございます。士気が低下をしまして、イギリスのような状態になることは私は避けられないだろうというふうに思いますけれども大臣の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  82. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) 若干数値に係ることもございますので私の方から答弁したいと思いますけれども先生指摘のとおり、医療費に占める人件費の割合、約五割で横ばいとなっているものでございますけれども、この人件費にどのくらいの費用を充てるかと。  言ってみますと、診療報酬の使途というものは、これは医療機関の裁量に任されているものでございまして、医療機関におきまして費用を人件費、医薬品費、医療材料費に割り振った結果として人件費が五割ということで推移しているわけでございます。したがいまして、経済成長率とリンクした形で、いろんな議論があるわけでありますけれども、それと直接に医療費に占める人件費率がどうなるかということを予測することは困難でございまして、この点だけに立脚して議論を進めることは難しいんでなかろうかと、このように思っているところでございます。
  83. 西島英利

    ○西島英利君 私が申し上げているのは……
  84. 岸宏一

    委員長岸宏一君) ちょっと西島さん、あれですか、大臣答弁は。  尾辻大臣、特にありますか。
  85. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 今局長からお答え申し上げたとおりでございます。  大変この議論も、先生お触れになりましたように、経済財政諮問会議辺りではこのところ指摘されておる議論ではございますが、私どもとしては、今局長が申し上げたとおりに考えておるところであります。
  86. 西島英利

    ○西島英利君 つまり、先ほどから申し上げています人事院勧告でこう変わっているからということの、これは全く当たらないだろうというふうに私は思いまして、この話をさせていただいているところでございます。  さらには、再生産費用をどう考えるのかということでございまして、やはり医療の継続、医療サービスの継続をしていくということになりますと、当然そこには投資ということが必要になってまいります。銀行から借り入れる場合にも元金の返済それから利子の支払等々も必要でございますが、先ほどの資料の二ページを見ていただきますと、これは平成十五年の医療経済実態調査、まさしくこういう赤字の状態、こういう中で銀行への元金の返済等も行わなきゃいけない。こういう非常に厳しい状況であるということでございますし、是非、今回、今行っておられます医療経済実態調査、この結果でやっぱりしっかりとした診療報酬を決めていただきたいというふうに私自身は思っているところでございます。  もう時間がそんなにございませんけれども、最後でございますけれども、今回、高齢者医療制度が新しく創設されようということで御提案をされているところでございますが、どうも議論が、保険者をどこにするのか保険料をどうするのかというのがどうも中心でございまして、これはそもそも日本医師会が、将来の持続可能な医療保険制度を構築していくためには、やはり高齢者の医療制度を創設しなければならないということを平成十四年の健康保険法の改正のときに御提案をいたしまして、この附則第二条で高齢者医療制度の創設をきちんと検討するようにということが実は決まったところでございます。  そのときに日本医師会が御提案した考え方は、七十五歳以上ということも当然ございましたし、また心身の機能が低下をしてくる上で病気になるリスクが非常に高くなるわけでございますから、これは保険よりは保障だろうということで公費を九割という御提案をしてきたところでございます。この公費等々につきましては、私ここで議論しようというつもりは毛頭ございませんが、実はこの中で一番重要なことは、この新しい診療報酬の在り方をきちんと高齢者医療制度の中で見直して、開発をして、その中で医療費のある程度の抑制をしていくという考え方でこれは御提案をしてきたわけですね。  そうしますと、終末期医療をどう考えるのか、つまり七十五歳以上の方々の終末期医療を本当にどう考えるか、どのようなサービスを提供していくのか、これをきちんと議論をしないことには高齢者医療制度の創設は全く私は無意味なものになってしまうだろうというふうに思っております。  終末期医療そのものは皆さん方が避ける議論でもございます。しかし、今御高齢の方々お話をお聞きいたしますと、もうあちこちに管を入れられながら、希望のないそういう延命はもう避けてもらいたいと、そういう意見もよく聞くわけでございます。やはり国民的な合意形成を得た上でないとということは当然でございますけれども、そういう提案をやっぱり国民にしていただいて、そして高齢者医療制度の中での終末期医療はどうあるべきなのか、さらには死の準備教育、これはヨーロッパの中では、特にキリスト教の世界では死の準備教育が小さいときからきちんとされているわけでございますね。日本はこの死の準備教育がほとんどなされていません。  これが併せた、そういうやっぱり考え方の中で高齢者医療制度をつくっていくべきではないかというふうに私自身思うんでございますが、大臣の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  87. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) お話しいただきましたように、七十五歳以上の後期高齢者の方々につきましては、前期高齢者と比べまして生理的機能の低下などによります疾病が増加をいたしますとともに、特に入院をなさるという、この入院が増加するという傾向にございます。今後は、このようなことにかんがみまして、一律に積極的な治療提供するのではなくて、後期高齢者の個人の尊厳を尊重しつつ、ここは先生も強く言われたところでありますけれども、個人の尊厳を尊重しながら、できる限り住み慣れた地域や家庭で療養しながら生活を送れるように、また身近な人に囲まれて在宅での最期を迎えることも選択できるように適切なサービスを提供していくことが重要と考えております。  このために、後期高齢者の診療報酬におきまして、特に終末期医療の評価、それから在宅でのみとりまでの対応の推進、入院による包括的なホスピスケアの普及等に重点的に配慮した体系を構築していくということを、これは昨日公表いたしました、今日も随分議論をしていただきました私ども試案にも盛り込んでおるところでございます。
  88. 西島英利

    ○西島英利君 もう時間が参りましたのでこれを終わらせていただきますけれども、このような診療報酬体系の中でいきますと、当時、日本医師会は、要するに価格の伸び率が〇・五%、一人当たり〇・五%に抑制できるんだという考え方をここで実は提案をしているところでございます。今、将来推計値が出ております、医療費の。しかし、これは〇・五%ない数字の中で実は将来推計値が出ているというふうに思っております。この辺りも含めてしっかりと御検討いただいて、本当に国民が安心して将来託せる、そういうような医療保険制度に是非していただくように大臣に重ねてお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  89. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 午後一時から再開することとし、休憩いたします。    午後零時十一分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  90. 岸宏一

    委員長岸宏一君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、社会保障及び労働問題等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  91. 辻泰弘

    辻泰弘君 民主党・新緑風会、辻泰弘でございます。  思い起こしますと、ちょうど四年前の十月十八日に私はこの場で初めて国会質問をさせていただきまして、当時は坂口大臣でございましたけれども、ちょうど私のおやじの命日だったのでございますけれども、ちょうど四年間たちました。今日はその総決算というわけじゃございませんけれども、今国会最後の、恐らく最後の質問、また今年最後にもなるかもしれない。失礼ながらひょっとすると、尾辻厚生労働大臣に対してはどうか分かりませんけれども、いずれにいたしましても、これまでの取り組んできたことも踏まえつつ、幾つかのテーマにつきまして重要なポイントを押さえさせていただくという立場で御質問申し上げたいと思います。  毎度ではございますけれども、幾つかのテーマ、多岐にわたっておりまして、いささか足早に質問をさせていただくことを御容赦いただきたいと思うわけでございます。  まず、今日の委員会の冒頭に臓器移植に関する御報告がございました。そこで、まずお伺いいたしますけれども、前坂口大臣はこの問題について、私のような立場でございますと、脳死は人の死だと、こういうふうに思うわけでございますと、このようにおっしゃっていたわけですが、尾辻厚生大臣はこの点についてどのようにお考えでしょうか。
  92. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 脳死につきましてはいろいろな考え方ございますけれども平成四年のいわゆる脳死臨調の答申におきましては、多数意見として、医学的には脳死の状態はもはや人の生とは言えないとするのが主流の考え方である、また、脳死をもって社会的、法的にも人の死とすることは妥当な見解であると思われる、このように述べられております。また、国外の状況を見ましても、欧米諸国では多くの国々において脳死をもって人の死とすることが定着していると認識をいたしております。したがいまして、そうしたことから、私も脳死は人の死であると考えております。
  93. 辻泰弘

    辻泰弘君 大臣御自身も脳死を人の死と考えているという御発言があったわけであります。  それで、この問題については大変難しい問題あるということを私も取り組んできてそれなりに分かっているつもりでございます。何よりも国民的な合意といいますか理解が前提とならなければ、今この状況を変えていくということはなかなか難しいわけでございます。やはり本人の、自分の死を脳死として、脳死をもって自分の死は死としていいんだということと、その上に立って臓器提供するという意思と、その二つがあると。  それから、民法の規定に基づいて十五歳以上が遺言が認められるということからする、その意思がくみ上げられると、こういうことになっているわけでございまして、それ以下はできないと、こういうことが現状には隘路となっているわけでありますけれども、そのことは重々承知なんですけれども、それを前提としつつも、やはり大臣の今日の御発言にございましたように、移植医療推進に努めてまいる所存だと、こういつもおっしゃるわけですが、どうも議員立法に、その動きにゆだねる、指をくわえて見ているだけみたいな感じでございまして、どうも、もちろんアプリオリに何か答えを決めて厚生省がこうせいと言うことはできませんし、すべきじゃないと思いますが、しかし、やはり国民議論を喚起するといいますか、広報だとかあるいは討論の場、現状はこうだということをアピールする場とか、そういうことも含めてやはり主体的な努力というものが厚生省、政府サイドにも求められるというふうに私は思うわけでございます。  そういった意味で、今日、移植医療推進に努めてまいるとおっしゃいましたが、どのように取り組んでいかれるのか、その御決意をお伺いしたいと思います。
  94. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 厚生労働省といたしましては、移植医療推進していくためには、移植医療に関する国民理解を深めていくとともに、今お話しのとおりだと考えております。さらに、地域における臓器提供のための体制を整備していくことなどが重要であると考えておりまして、社団法人日本臓器移植ネットワークと連携を図りながら、公共広告機構等を活用した普及啓発、各種パンフレットの作成、配布、臓器のあっせん業務への助成やあっせん業務を行う者に対する研修等、あっせん体制の整備、医療関係者への普及啓発などに取り組んでまいったところでございます。  臓器移植法の施行から八年が経過いたしまして、臓器移植については医療としての実績が積み重ねられてきてはいるというふうに認識しておりますけれども、今後とも普及啓発を進めるとともに、我が国移植医療の課題を整理するなど、移植医療推進に向けて努力してまいります。
  95. 辻泰弘

    辻泰弘君 今おっしゃった中に入りますけど、臓器提供意思表示カードというのがございまして、これが、まあ御努力されてはおるんでしょうけどなかなかまだ一般には行き届いてないようにも思うわけでございます。私も実は記入して持っておるんですけれども、どうかこの点についても普及を図っていただくようにお願いをしておきたいと思います。  さて次に、昨日発表された厚生労働省医療制度構造改革試案、これについて若干御質問をしておきたいと思います。  まず、詳しいことはまた改めてと思いますけれども、基本的なことで一つ確認しておきたいと思います。  今回の医療費の推計、軽減効果とかそういうのも算出されておるわけですけれども、その中で、現行制度を維持すると二〇二五年度には医療給付費が五十六兆円になると、こういうふうな提示がございます。これ、前回の、昨年の年金議論のときの社会保障給付と負担見直しの折には、医療の部分は五十九兆円ということだったわけです。ですから、その分、三兆円まず下がっているわけですね。  このことは恐らく、今度の試算が平成十八年度概算要求を起算点としているという、この起算点の差によってではないかと思うんですが、そのことだけなのか、あるいはその伸び率を変えておられるのか、その部分だけ確認をしたいと思います。
  96. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) ただいま御指摘医療費、給付費の推計値でございますけれども、御指摘のとおり、今回の推計は起算点を平成十八年度概算要求としたものでございます。その一点だけ修正をしております。
  97. 辻泰弘

    辻泰弘君 それで、一つ内容的なことで確認をしたいというか御説明いただきたいんですけれども、その財政影響の試算が出ているわけですが、各医療保険について結果が出ているわけですけれども、その中で健保組合だけ二千二百億負担が増えるよと、こういうことになっているわけですが、結果としてその健保組合だけ負担が大きくなるというのはどういうことなのか、簡単で結構ですので教えていただけますか。
  98. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) 今回の試案におきまして、平成二十年度時点で各医療保険者、各主体にどのような影響が出るかという財政フレームを示しているわけでございますけれども、その中で、全般的には、高齢者の患者負担見直し等、公的保険給付の範囲の見直しによりまして、各保険者は全体として保険料負担が、所要保険料が減少するという形が取られているわけでありますけれども、健保組合につきましては、新たな高齢者医療制度の創設によりまして、健保組合が負担する後期高齢者医療制度の支援金、それから前期高齢者に係る財政調整に要する費用を負担する、こういった高齢者医療制度の導入に伴う負担の部分で健保組合が増えているということでございます。  もう少し申し上げますと、詳細はまた更に詳しい分析が要るわけでありますけれども、従来は、前期高齢者のうち被用者保険OB、原則として二十年おられた方だけについて被用者保険が退職者医療制度を通じて負担をしていたわけでありますけれども、新しい制度におきましては、前期高齢者全体を財政調整の対象にしているという関係で、結果として負担能力の高い健保組合の負担が増加したと、このようなものと考えてございます。
  99. 辻泰弘

    辻泰弘君 詳しくはまた、こちらも勉強し、またいろいろと御質問をしたいと思いますけれども、結果としてそのことは、例えば健保組合に所属する平均的なサラリーマンは年収五百万から五百五十万ぐらいじゃないかと思うんですが、そういった方々の場合に年間二万円ほどの負担が増えると、こういったことになるわけでございまして、老人保健拠出金が健保組合の財政を三割、四割最初から占めてしまうという、そういうところからきた議論でもあったわけで、その意味においては、私は答えにはなかなかならないんじゃないかというふうに思っております。  また、ちょうど国庫負担の減少が二千二百億、その同じ額が健保組合のサラリーマンに行くということでございまして、今局長も、負担能力があるというふうな言い方ではございましたけれども、結局、つじつま合わせのツケをサラリーマンにしわ寄せすると。サラリーマン増税の議論もありましたけれども、そういった図柄にも今回もなってしまっているんではないかと。こういった意味で、私としてはこの案については根本的な見直しが必要だというふうに申し上げておきたいと思うわけであります。  ちなみに、民主党といたしましてはかねてより、突き抜け方式、そしてまた、その制度を前提としてのリスク構造調整をしていくということでの訴えをさせていただいているわけですが、そのことを踏まえてのまた御提案もしていきたいと、このように思っているところでございます。  なお、午前中も議論ありましたけれども経済財政諮問会議の提言ということでの、今回の資料においては参考として付言されている保険免責制度については、やはり私も、低所得者への影響が極めて大きいということとか、受診抑制による症状の悪化というものが大きく懸念されるということもございますし、やはり皆保険の形骸化ということにもつながると思いますので、私としては反対だということを申し上げておきたいと思っております。  それで次に、今回の厚生労働省医療制度構造改革試案の中にも出ているわけですが、混合診療のことをちょっと確認しておきたいと思います。これについては、昨年、私自身も議論をさせていただいて、尾辻大臣ともやり取りをし、経済財政諮問会議でも御努力をいただいた結果として、基本的合意というのが昨年の十二月十五日に出ているわけでございます。  そこで、二、三確認しておきたいんですが、一つは、平成十七年夏までを目途に実現するというふうな言い方をされていた改革の、現行の枠組みの中での改革ですね、このことについて何をしたのかということを簡潔に御説明いただきたいと思います。
  100. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) いわゆる混合診療の問題につきましては、先生指摘の昨年末の厚生労働大臣と規制改革担当大臣との間の基本的合意、これに基づきまして着実に改革を進めているところでございます。  具体的に申し上げますと、まず国内未承認薬についてでございますけれども、今年の一月に未承認薬使用問題検討会議を立ち上げまして、患者の要望のある薬の治験を促進する等の取組を現に行っているところでございます。  次に、先進医療につきましては、安全性に配慮しながら医療技術ごとに医療機関の要件を設定いたしまして、届出により保険診療と併用可能な仕組みを選定療養の中に位置付けたところでございまして、七月に届出の受付を開始し、十月から最初の、保険診療と併用可能な最初の医療技術が実施されているところでございます。  それから、三点目でございますが、制限回数を超える医療行為につきましては、これも選定療養に位置付けまして、腫瘍マーカー検査など七項目につきまして十月から保険診療との併用を可能にしたところでございます。  さらに、高度先進医療につきましても、九月から医療技術ごとに実施可能な医療機関の要件を定めまして、それを満たすものを特定承認保険医療機関として承認するという制度に改めたところでございます。
  101. 辻泰弘

    辻泰弘君 それで、この中に、「名称も含め、法制度上の整備を行う」と、こうなっていて、これは昨日発表された中にも出ていて、来年、法改正につながっていくと、こういうことになるわけですけれども、ここの法改正は何法の改正になるのか、中心的なものをおっしゃっていただけますか。
  102. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) 先生指摘のとおり、昨年末の基本的合意におきまして、将来的な保険導入のための評価を行うものであるかどうかという観点から現行制度を見直すということを言っておりまして、昨日公表された試案でも盛り込んでおりますけれども保険導入検討医療、仮称でございますけれども保険導入のための評価を行うもの、それと、患者選択同意医療といたしまして、保険導入を前提としないものの二つに再構成をするということでございます。この見直しは、現在の特定療養費制度を再編成するものでございまして、特定療養費制度を規定している健康保険法、国民健康保険法、そういった法律を改正することにより対応することとしてございます。
  103. 辻泰弘

    辻泰弘君 それで、要は、これまでの選定療養と高度先進医療から成る特定療養費制度を廃止して、保険導入検討医療患者選択同意医療を法制度化していくということになるという御方針なわけですが、昨年の合意の中では、今回の改正、今後立法化されていく内容ですけれども、それは「一定のルールの下に、保険診療保険診療との併用を認めるとともに、」ということで幾つか出てて、「国民保険制度の理念を基本に据えたものである。」と、こういった言及がございます。それから、「保険診療保険診療との併用に関する具体的要望については、今後新たに生じるものについても、おおむねすべてに対応することができるものである。」と、こういうふうなことをおっしゃっているわけなんですけれども、この合意を踏まえた今回の提示、そして今後の立法化、このことによっていわゆる混合診療問題についての一つの、まあ当面の結論といいますか、そういう区切りを付けるものであると、こういうふうに理解していいかどうか、大臣にお願いします。
  104. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 今局長よりお答え申し上げましたように、一つ法律事項が残っておりますが、来年の通常国会におきましてこの法律改正が済めば、私と規制改革担当大臣との間で合意いたしました事項はすべて対応済みとなります。  今般の改革によりまして、保険診療との併用に関する具体的要望事項につきましては、たしかa、b、c、dとか書いてあって、先生がお示しいただきながら御質問いただいたことも記憶いたしておりますけれども、ああいう具体的要望につきましては、今後新たに生じるものを含めましておおむねすべてに対応できるものと考えておりますので、これで区切りが付くものというふうに考えております。
  105. 辻泰弘

    辻泰弘君 一定のルールの下に併用を認めるということの、その分析といいますか指摘、そして今の大臣お話からすべてを理解しますけれども、結局やはり私は、医療とか安全とか衛生とか労働とか、こういった社会的規制というものは単に規制緩和だけで済むものではないというふうに思っております。これも非常に大事な人間の存在の基本にかかわる部分の領域だと思いますので、一定のルールの下にというところが大事だと思いますし、大臣はそういう前提で取り組んでこられたわけですけれども、私としては、あえて言うならば原則規制、例外自由と、ある意味であえて申しますけれども、その部分は私は大事なことだと思っております。だから、この点については一つの区切りが付いたと思っております。  それから、特定療養費制度というペーパー配っていただきまして、これで分かりやすく拝見することができたというふうに思っております。  さて、次の論点に移らせていただきたいと思います。それで次は、国会でも前の介護保険のとき等々でも議論させていただいた年金課税の強化に伴う介護、国保の保険料負担増の激変緩和のことについての確認といいますか、これまでの経緯についてもう一遍教えていただきたいわけであります。  これは、平成十六年度の税制改正において公的年金等控除の縮小などが行われたあおりとして国保並びに介護の保険料負担が増えると、ある部分急増するということもあると、こういうことを背景として、尾辻大臣にも坂口大臣答弁は後退させないということで取り組んできていただいたわけであります。それがかなり終局を迎えつつありますが、結論が煮詰まってきているようなところがあるわけです。  そこで、まず簡単に教えていただきたいんですけど、九月の二十六日に、全国介護保険・老人保健事業担当課長会議において、税制改正により保険料段階が上昇する者の影響割合の試算についてというペーパーを配って説明をされているわけですが、このことの意図と内容について簡単に御説明いただけますか。
  106. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) 現在、各市町村におきましては、十八年度から二十年度におきます第三期事業運営期間における介護保険料等の検討が進められているところでございます。保険料の設定に当たりましては、今回の税制改正の影響を踏まえた保険料段階別の被保険者数を算出する必要があることから、今御指摘会議におきまして参考となる試算をお示ししたところでございます。  この試算の結果といたしましては、税制改正により第一号被保険者の約一六%の方が保険料段階が上昇することが見込まれるという結果となっております。各市町村におかれましては、この被保険者の住民税の賦課状況等を勘案し、またこの試算等を参考としていただいて、税制改正の影響を見込んだ保険料設定の作業を進めていただいているというふうに理解をしております。
  107. 辻泰弘

    辻泰弘君 この段階設定は、結局は最後は地方自治体の条例によって確定するということだろうと思いますけれども、今まで幾つかこういう会議のときに説明をしていただいたりしてきているわけですが、一応、この九月二十六日のこの資料の提示によって、あとは地方にお任せすると、こういう状況になっているというふうに理解していいですか。
  108. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) そのとおりでございます。
  109. 辻泰弘

    辻泰弘君 それで、今後、それが年末から年初にかけて作業が行われるんだろうと思うんですが、そのことの、各自治体がどういうふうにとらえ、取り上げ、検討されて、結果を導かれて条例化するということになるのかもしれませんが、そのことについての報告というのはどこかの段階でお受けになるんでしょうか。
  110. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) 各市町村におきます介護保険料につきましては、来年二月ごろに条例案を議会に提出するところが多いんではないかと思っておりまして、国といたしましては、その段階において保険料を集計し公表することを考えております。
  111. 辻泰弘

    辻泰弘君 保険料を集計しというのは、保険料についての段階設定など、そういうことについてということですね。
  112. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) 各市町村におきます保険料、介護保険料の設定状況についてでございます。
  113. 辻泰弘

    辻泰弘君 それで、この措置が年金制度改正に実際いつから効力を生ずるかということなんですけれども、自治体の対応によっても違ってくるかもしれませんが、一番早いケースといいますか、あり得る場合はいつからなんでしょう。
  114. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) 特別徴収の対象者につきまして、おっしゃるとおり市町村の対応にもよりますけれども、最も早い時期としては、恐らく六月ぐらいから徴収額に影響が生ずる……
  115. 辻泰弘

    辻泰弘君 何年。
  116. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) 来年のですね、六月と思っております。
  117. 辻泰弘

    辻泰弘君 今度は国保の方に論点を移したいと思うんですけれども、前国会においても七月に私は御質問させていただいて、そのことについても御要請を申し上げておったわけですが、それを受けた形で、八月の二十六日に厚生労働省として概算要求の時期に合わせて税制改正要望を財務省並びに総務省に提出されているということになっているわけですが、その内容といいますか、その国会を受けてどういうふうに取り組まれてそこに至ったか、御説明をいただきたいと思います。
  118. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) 年金課税の見直しによりまして国民健康保険保険料が増加する方々が出られるわけでありますけれども、これにつきましては、地方団体の意見を踏まえまして、激変緩和措置として、本来負担すべき保険料額に段階的に移行できるような経過措置を講ずるということを検討してございまして、総務省に税制改正要望を行っていると、こういうことでございます。
  119. 辻泰弘

    辻泰弘君 総務省にお伺いしたいんですけれども、今は厚生労働省から税制改正要望が総務省の手に渡ったということだと思うんですが、総務省としてはこれを踏まえてどう対応されるのかを御説明ください。
  120. 小室裕一

    政府参考人(小室裕一君) 総務省の方では国民健康保険税を所管しているわけでございますけれどもお話のありました公的年金等控除の見直し等に伴う所要の措置についてでございます。  国民健康保険税が増加する年金受給者について、保険負担の急激な増加を緩和するよう厚生労働省から要望を受けているところでございます。この国民健康保険税につきましては、御案内のとおり、基本的に国民健康保険料と同様の仕組みとしているわけでございます。したがいまして、国民健康保険料制度を所管する厚生労働省の検討を踏まえまして、必要に応じて十八年度税制改正法案に盛り込むなど、所要の措置を講じてまいる所存でございます。
  121. 辻泰弘

    辻泰弘君 私もいろいろ試算をしたり聞いたりしてみますと、年金生活者で二百万円の年金収入の方の場合、三・四万円国保保険料が上がるという、そういったことにもなるようでございまして、そのことは軽減措置が、五割軽減が二割軽減に下がると、こういうことの余波といいますか、影響があるところについてはかなり上がるということもあるようでございまして、そういった意味では、この要望の中にも負担の急激な増加を緩和するための所要の措置というふうに出ているわけですけれども、そのことについてはしっかりと取り組んでいただくように改めて申し上げておきたいと思います。  なお、この所要の措置、これは厚生労働省に聞きますけれども、ここで言っているのは十八年からの効力を生ずるものを指していると思うんですけれども、そのことの確認と、国保の保険料の場合は政令改正でやられるのか、それはいつ決められるのか、そのことを教えてください。
  122. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) 国民健康保険料についての経過措置を講じる場合、どういうふうに規定するのかということでございますけれども、詳細は今後検討するわけでございますが、保険料算定の規定が設けられておりますのは国民健康保険法施行令でございますので、この施行令上に規定するということが考えられるわけでございます。  それから、影響ができる時期ということをお尋ねでございましたけれども、これは先ほどの介護保険と同様でございまして、年金課税の見直しに伴う影響平成十八年度の保険料から生ずることとなります。
  123. 辻泰弘

    辻泰弘君 その十八年度というのは、やっぱり同じく六月が一番早いケースという理解でいいですか。
  124. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) 実務的に申し上げますと、平成十八年度の保険料と申しますものは、十八年の六月に確定いたします年金課税見直し後の個人住民税における所得情報、これを基に算定されまして、六月に確定するということでございますんで、年金課税の見直しについては六月以降の保険料から影響が生じると、こういうことになるわけでございます。
  125. 辻泰弘

    辻泰弘君 昨日発表された医療制度構造改革試案の中でもこれにかかわる部分がございまして、公的年金等控除等の見直しに伴い、新たに現役並みの所得を有する者に該当する七十歳以上の者について、高額療養費の自己負担限度額に経過措置を設ける、こういった指摘もございますし、老年者に係る住民税非課税措置の廃止、これは十七年度税制改正の話ですけれども、これに伴い、低所得世帯から新たに一般世帯となる世帯に対して高額療養費の自己負担限度額に経過措置を設けると、こういうふうなことにも政策を出していただいているわけで、手法、内容はもう少し精査させていただきたいと思いますけれども、着目していただいて取り上げていただいていることについては私は評価をさせていただきたいと、このように思うわけであります。  なお、介護のサービスのときの利用者負担にもこの所得のことというのは掛かって出てくるんじゃないかと思うんですけれども、そのことについても併せて御検討いただくように申し上げておきたいと思います。  このことについては、大臣にもいろいろと御要請を申し上げてまいりまして、こういう形で一つの答えを出していただいたと思って感謝しておりますが、一言御感想なりいただけたらと思います。
  126. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) たしか私が大臣になってすぐだったと思いますが、予算委員会で御指摘いただいて、御質問いただいたことをよく記憶をいたしております。以来、先生にはずっと関心をお寄せいただきまして、御指導もいただきましたことに改めて感謝も申し上げたいと存じます。十分であったかどうかということはあるかもしれませんが、先生の御指導により、こういう形取れたということを大変今有り難いと存じております。改めて御礼申し上げます。
  127. 辻泰弘

    辻泰弘君 このことのみならずなんですけれども、いろんな形で負担国民に求めていくということが今後またあるかもしれませんが、やはりその際に当たって、もちろん、負担の絶対量といいますか、額も問題ですけれども、同時にやはり経過措置とか軽減措置とか、そういったものについてもやはり十分配慮していただくということが大事だと思いますので、そのことについては申し上げておきたいというふうに思うわけであります。  それで、次のテーマに移らせていただきますが、二〇〇二年に改正道路運送法が施行されて、そのことに伴ってタクシー事業が非常に混乱しているといいますか、激烈な競争下にある地域が出てきているということがあるわけでございます。先般も、大阪の運転手が提訴されたと、国を提訴されたということもあったわけでございます。  とりわけ大阪地域、北海道、あるいは沖縄はもう既に特別の措置の緊急調整区域の指定対象になっているわけですけれども、仙台もございますけれども、そういった地域で非常にタクシー労働者の最低賃金さえ守れないような激烈な、供給よりも価格競争なのかもしれませんけれども、そういった事態があって、結果として長時間労働になり、車の中で寝たりあるいは車を家に持ち帰ったりと、こういうことで大変本来の安全性というものが脅かされている状況にあると。最近はテレビ等でも報道されているところでありますが。  実は、一年半前になりますか、尾辻先生が予算の筆頭理事をされていたころでございましたか、一度大阪に視察に行ったときがございまして、そのときに私も実は運転手の方につぶさに聞いたことを記憶しておるのでございますけれども大臣もこの点について状況をお聞きになったりしておるかどうか、まずお伺いしたいと思います。
  128. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 先ほども、御質問いただくということで気になりましたので、一体事故がこのところどういうふうになっているんだということも調べてみました。事故そのものが、このところ増えておるわけじゃありませんが、一言で言うとやはり高止まりをしているとでも表現するんでしょうか、非常にそういう状況にございます。そうした状況にあるということは改めて確認いたしましたけれども、この問題、このままほうっておいてはというふうに認識をいたしておるところでございます。
  129. 辻泰弘

    辻泰弘君 この問題、三月でございましたか、私、予算委員会でもお聞きいたしまして、国土交通大臣にも御質問をして、そういった中で五月に、最低賃金についてはタクシー事業者に対する自主点検を求めると、こういう動きを取っていただいたことがございました。  もう一つは、厚生労働省と国土交通省とでタクシー運転手の適切な労働環境の確保に関する連絡調整会議というのを持っていただいて、以降十月まで検討していただいて、近々集約といいますか結論を取りまとめというふうになるように聞いているわけでございますが、まず簡単に、自主点検を求められて、それを七月十五日に回答を出してくれと、こういうことだったと思うんですが、そのことについてどういうふうに集約されているか、まずお伺いしたいと思います。
  130. 青木豊

    政府参考人(青木豊君) タクシーに関します労働条件等についての自主点検につきましては、今年の五月から八月にかけて実施しております。したがって、今のところまだ全国集計するに至っておりません。早急に集計をいたしまして対応したいと思っております。  自主点検そのものは、まずはその事業場自身で点検をして自主的に改善をしていただくということを目的としております。まずそういったことでやっていただきまして、そういった集計結果も踏まえまして、自主的な改善が望めない事業場に対しましては、私どもとしては、優先的に監督指導を実施してタクシー運転手の適切な労働条件の確保に努めていきたいというふうに思っております。
  131. 辻泰弘

    辻泰弘君 これは、よくお取り組みいただいたと感謝といいますか、ある意味では当然だとも思いますけれども、自主点検の報告が返ってきていないとしても、やはりそのことを知っていただくということにもなったと思いますし、是非また集計が出たらその時点でお示しいただいて、その上で、いずれにいたしましても最低賃金が守られないような状況がないようなことでのお取り組みをいただきたい。それで、賃金ということと同時に、やはり労働環境という意味で、これは厚生労働省マターからのアプローチという意味で是非しっかりとお取り組みいただくように申し上げておきたいと思います。  もう一点、連絡調整会議が立ち上がって検討され、それも、十月二十八日ごろでしょうか、集約されるようなことを聞いておりますけれども、そのことの検討状況どうなのかということを教えてください。
  132. 青木豊

    政府参考人(青木豊君) 今御質問になりました国土交通省と厚生労働省との連絡調整会議でございますけれども、これまで平成十七年の五月から三回会議を開催しました。近々四回目の会議を開催することを予定といたしております。そして、お話しになりましたように集約をするということにいたしております。  この会議におきましては、業所管官庁であります国土交通省と連携をして、労働基準監督署と地方運輸支局との合同による監督監査を実施するとか、あるいは、両省の相互通報制度が現在ありますけれども、これを拡充することなど、そういった方策につきまして今検討しているところでございます。これらの対策を的確に実施することによって、適切な労働条件の確保に取り組んでいきたいというふうに思っております。
  133. 辻泰弘

    辻泰弘君 今月末にその調整会議の一つの集約があるというふうに聞いておりますので、それを前提として、タクシー労働者の労働環境確保に向けて厚生労働省のお立場で是非しっかりとお取り組みいただきたいと。そのことについて、大臣、一言お願いしたいと思います。
  134. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) タクシー運転手につきましては、近年、収入低下に伴いまして最低賃金を割り込むなど、労働基準関係法令上の問題も認められております。  厚生労働省といたしましては、これまでもタクシー運転手の労働条件の履行確保のための重点的な監督指導を実施してきたところではございますけれども、こうした状況にかんがみまして、今お答え申し上げておりますように、そしてまたお話もいただきましたように、国土交通省との間で連絡調整会議を設け、タクシー事業者に対する法令遵守等に関する指導の在り方や、タクシー運転者の労働条件の確保、改善に向けた取組などを協議いたしているところでございます。  さらに、申し上げましたように、五月から八月にかけて、タクシー業界の自主的な取組を促すために、タクシー事業者に対し、労働基準関係法令の遵守及び自主的な改善を図るための自主点検を実施させたところでございます。  先ほども申し上げましたように、何か手を打たなきゃならない状況にあるというふうに認識いたしておりますので、今後しっかりとまた対応してまいります。
  135. 辻泰弘

    辻泰弘君 同時に、国土交通省にも確認しておきたいんですけれども、先般の運輸審議会からの答申がございまして、その中で、緊急調整地域の指定基準の見直しということを年内に定めると、こういうふうなことになっているわけですけれども、やはり私は、今の基準というものが果たして本当に実効性があるといいますか、本来の目的にかなったものなのかというふうに率直に思うわけでございます。恐らく基準は、実績という意味では初めてのことですから、人為的に作ったものだったと思うんですね。それに今が、現実が合ってないから当てはめないんだというのは、考えてみれば一方的な話であって、やはりかなり異常なまでに過熱している地域対象とならないような基準だったらそもそも意味がないんじゃないかと、このように思うわけでございます。  そういった意味で、やはり現実にかかわってくるような、そういったかかわらしめるような指定基準の見直しであるべきだと思っておりまして、例えば北海道とか大阪とか非常に過熱しているというわけですけれども、そういったところにもかかわってくるような指定基準の見直しをすべきだということを申し上げておきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  136. 松尾庄一

    政府参考人(松尾庄一君) タクシーにおける需給調整につきましては、委員指摘のとおり、平成十四年の道路運送法の改正に伴いまして需給調整を廃止したところでございます。ただ、供給の著しい過剰を放置することで安全の確保と利便性の確保が困難となるおそれがある場合には緊急調整措置を発動するとの規定が新たに定められたところでございます。  タクシーをめぐる経営環境につきましては、大阪を始め各地において大変厳しいと認識をしておるところでございますが、国土交通省といたしましては、ただいま申し上げました緊急調整措置については、いわゆる参入する側から見れば権利制限性の高い措置であります。その発動ということになりますので、客観的指標に基づき厳正に対処する必要があると考えております。  現在の指標につきましては、本年九月に沖縄本島を指定する際に、運輸審議会の答申におきまして制度実施後の状況を踏まえた指標の適正化等が必要である旨の指摘がなされたところであります。  当省といたしましては、運輸審議会の答申等を踏まえ、年内をめどに基準の適正化を図るべく見直しを進めてまいる所存でございます。
  137. 辻泰弘

    辻泰弘君 三月に大臣にもお伺いしましたけれども大臣御自身が大阪の方でいらっしゃいますのでよく理解をしていただいていると、思いは同じくするようなところがあったと思っておりますけれども、是非、このような議論も是非大臣にもお伝えいただいて、御努力くださいますようにお願い申し上げたいと思います。  最後の論点について御質問をさせていただきます。  アスベスト対策についてでございます。  先般、大阪で尾辻大臣患者方々にお会いをなさって幾つかの、五項目の要求を受けてそれについてのお答えをなさったというのがございました。そこで記者会見もございますんですけれども、中皮腫患者の労災認定基準の見直しということをおっしゃっておられました。そのこと自体は大事なことだと思うし、それはそれでいいと思うんですが、そのことのお取組の方針を一つ。もう一つは、相談窓口の設置もするとおっしゃったんですが、聞いてみますとかなりもう設置しておられてきているように聞くんですが、また新たに追加してやっていかれるのかと、この点について簡単にお願いいたします。
  138. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 現在、中皮腫に係る労災請求が行われた場合には、認定基準に基づきまして、というのは、これ三つの認定基準を設けておりまして、中皮腫であることの診断が得られていること、これが一番目です。二番目に、石綿肺、胸膜プラーク、石綿小体等の医学的所見が得られていること、これが二番目です。それから三番目に、一年以上の石綿暴露作業従事歴を有していることを、この三つを確認をしておるところでありますが、時間もありますからもうざっと申し上げます。今申し上げました二番目をもう省略して認定しようと、こういうふうに御理解いただければと存じます。  それから、相談窓口についてでございますが、これ、治療についての相談窓口はいろいろ設けてあります。ただ、先日、患者皆さん方お話しいたしましたときに、皆さんのおっしゃった相談というのはもっと広い意味でありまして、治療だけじゃなくていろんな悩みも抱えておられます、あるいはまた生活のことなどもありますから、そういう広い相談窓口をつくったらどうだというお話がございまして、私もそのとおりだと思いましたので、何か、今の治療の窓口だけではなくて、そういうものを何か考えてみたい、今それを指示いたしておるところでございます。
  139. 辻泰弘

    辻泰弘君 相談窓口の方は理解をいたしました。  確認ですけれども、中皮腫と診断されたら一年以上の職業暴露の要件だけで労災補償が受けられるようにしようと、こういうことですね。
  140. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) そのとおりであります。
  141. 辻泰弘

    辻泰弘君 それから、確認ですけれども、法改正をしていくということの部分ですけれども厚生労働省にかかわる部分は労災のところだけですね。すなわち時効のことにかかわる部分だけかどうかです。
  142. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) そのとおりであります。
  143. 辻泰弘

    辻泰弘君 それから、その改正は今の五年自体を変えるといいますか、そこの条項を変えるのか、新たな別の形での対処になるのか、そこはどうなんでしょう。
  144. 青木豊

    政府参考人(青木豊君) 今検討の対象にしておりますのは、労災補償を受けずに死亡した労働者について検討しようということにしております。これは、現在、死亡して五年間請求しなかったときには遺族補償されないということになっておりますが、その点を考えようということで、検討対象にしているということでございます。
  145. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 今の答弁に付け加えるわけじゃありませんが、さっきの石綿の中皮腫の認定のところで誤解がないように一つだけ申し上げておきたいと思いますのは、これは今私がこうしたいということで指示はいたしておりますけれども、医学専門家による御意見だけいただかなきゃいけませんので、今その御意見をいただこうとしておるさなかでございますから、その手続だけは必要だということだけは申し上げておきます。
  146. 辻泰弘

    辻泰弘君 このアスベスト対策は、労災も一つの大きな柱でございますけれども、それ以外にも、家族の方々、周辺住民に対する救済策ということも、これは環境省マターかもしれませんけれども、当然重要な問題としてあるわけでございます。また、石綿そのものの全面禁止ということもやはり課題になっているわけでございまして、私ども提案をさせていただいているところでございますけれども、そのことについても併せてしっかりとアスベスト対策に取り組んでいただきますように御要請を申し上げまして、時間が参りましたので、私の質問を終わらせていただきます。
  147. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 民主党・新緑風会の森ゆうこでございます。  まず、生活保護等における国庫負担について伺います。  生活保護制度は、国の責任において格差なく統一的な措置が講じられるべきであり、その事務は国が本来果たすべき役割にかかわる法定受託事務であります。国の負担の在り方に対する見解を大臣に伺いたいと思います。
  148. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) これ、三位一体の改革議論の中でいつも申し上げてきておることでございますけれども社会保障制度といいますのは、国、都道府県、市町村が重層的に役割、責任を分担し、それに応じて費用負担をすべきものであるというふうに考えております。生活保護行政もまた社会保障制度の中の一つでございますから、そうあるべきというふうに考えておるところでございます。  そうした中で、特に自治体の役割といたしましては、この生活保護に関して申し上げますと、被保護者の自立を助長するために、地域の社会資源を活用して様々に工夫をしながら自立支援、指導に取り組むことが重要であると考えておるところでございます。  そこで、この生活保護費に関する国庫負担の在り方についてでございますけれども、現在、生活保護費及び児童扶養手当に関する関係者協議会、これは地方団体、都道府県、市長会の代表の方にも参加をしていただいておりまして、そうした皆さん方、有識者等の御参加を得て、国と地方の役割でありますとか費用負担の在り方について幅広く御議論をいただいておるところでございます。  私どもといたしましては、協議会における議論を踏まえつつ、地方にできることは地方にという三位一体の改革趣旨や、年金医療、介護等、他の社会保障制度との整合性を踏まえて検討をしなければならないというふうに考えておるところでございます。
  149. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 ただいま大臣から御説明のありました国と地方の関係者協議会は昨日も開催されております。昨日の開催につきまして既に新聞記事が出ておりますけれども、地方側は、国庫負担割合の引下げは断固として受け入れられないと、このように表明をしているところでございます。このことに関しての大臣の御見解を伺いたいと思います。
  150. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 昨日は衆議院の委員会が開かれておりまして、ちょうどその時間に開かれておりましたので、これまで毎回この協議会、私、出席をいたしておりましたけれども、昨日だけは出席できませんでした。したがって、どういう御主張をなさったか、詳しくは承知をいたしておりませんけれども、今お話しのような御主張があったということは聞いております。  ただ、詳しく聞いておりませんので、そのことについて今私の意見を申し上げるというのは、細かく申し上げることはできませんけれども、今まで私どもは、さっき申し上げましたように、国と地方で役割も分担する、費用も分担する、そしてまたその分担の割合というのは、どういう割合がいいのかという議論はしなきゃならない、こういうふうに申してきたところでございますから、さらに次回で私ども意見というのは改めて申し上げることになるだろうというふうに考えておるところでございます。
  151. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 全国市長会からファクスをいただきました。今般、国と地方との共同作業において保護率の上昇と地域間格差の要因を科学的に分析したところ、その要因は、失業率の上昇などの経済的要因と単身高齢世帯割合や離婚率の上昇などの社会的要因であり、地方自治体の取組や実施体制と関係があるということは検証されなかったと、このように報告をいただきました。  次の質問がありますので余り深追いはいたしませんけれども先ほど科学的分析ということに関しましては、中島先生が提出をされました資料、これは千分の一、パーミルではありますけれども、確かに、定量的という意味では科学的分析の一つでもあろうかと思いますけれども、今ほどいただいた全国市長会のこの検証されなかったという主張に対しては、大臣は何か所見お持ちでしょうか。
  152. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) まず、極めて大きな地域間格差があるということは、先ほど中島先生がお出しいただいた資料等からもはっきりいたしております。ただ、なぜそうなるのかということは、今お述べになったのは、先日、中間の取りまとめをした、作業チームをつくって作業をしていただきまして、中間の取りまとめのある一部の部分であります。  ただ、その中間まとめでも相当いろんなことを述べておりまして、今、資料がございませんので詳しくは申し上げられませんけれども、今お述べになったことの後ろの方にまた様々なことを述べております。  したがいまして、またそうした分析結果も踏まえてこの協議を進めていかなきゃいかぬと思いますし、また私どもの、先ほど申し上げましたように意見も述べさせていただきたい、こういうふうに考えておるところであります。
  153. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 私の意見だけ申し上げさせていただきますと、先ほど中島先生の提出資料について、あの数値をもって地域間格差が非常に大きなものがあるというふうには言えないということだけを主張させていただいて、次の問題に移らせていただきます。  アスベスト問題についてでございます。先ほども同僚の辻委員からも質問がありました。  政府は、昭和四十七年当時から石綿の危険性を認識していたにもかかわらず、石綿業界と労働者の安全衛生のバランスを取ることを優先したために法的な規制が遅れました。最近になってアスベストの問題が、工場内労働者の安全衛生の問題だけではなく、工場周辺の地域住民、また家族までに健康被害を及ぼしていることが判明したことは周知の事実でございます。一刻も早いアスベスト使用の全面禁止、行政の過去の対応の検証、さらには被害者を救済するための新法の制定が求められております。  まず最初に伺いたいのは、石綿の全面禁止の早期実現の確認をしていただきたいと思います。
  154. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 石綿は重篤な健康障害の原因となり得るものでありますから、これは早急に全面禁止を行うことが必要と考えております。  厚生労働省といたしましては、専門の委員による石綿製品の全面禁止に向けた石綿代替化等検討会を八月に立ち上げて検討しておるところでございまして、来年一月までに報告書を取りまとめた上で、早急に所要の手続を進めまして、今まで言っておりましたよりも全面禁止を前倒しして、平成十八年度中には措置することとしたいと考えておるところでございます。
  155. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 平成十八年度中というお答えがございましたけれども、もう少し具体的に更に踏み込んだ期日というものはお答えなれますでしょうか。
  156. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 今急いで手続等を進めておるわけでございますが、それから、これは民主党がお出しいただきましたものにも、正にそのとおりの表現になっておりますポジティブリストというようなものもございます。私どももこうした考え方に立つのかどうかというところも今詰めておりますので、そうしたことを作業いたしますと、やはり十八年度中というふうに今申し上げておるところでございます。
  157. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 今ほど大臣からもお話がありました。私どもは、ノンアスベスト社会を目指してということを政策としてまとめさせていただいております。  引き続きまして、アスベスト対策の関連予算について、概算要求約十六億円となっているかと思いますが、アスベストの除去、廃棄の費用及び方法等について伺いたいと思います。
  158. 岸宏一

    委員長岸宏一君) どなたがお答えになりますか。
  159. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 今、私のところに詳しい資料がございませんので、取りあえず施設のことでお答えを申し上げておきたいと存じます。  私どもが所管いたしております施設としては、病院とか社会福祉等、そうしたものがございます。これにつきましては、これまで国庫補助事業、あるいはまた交付金として対応してまいりましたけれども、これらものは、例えば病院でありますと、保健医療提供体制整備交付金として概算要求いたしておりますし、それからまた社会福祉施設等につきましては、社会福祉施設施設整備費負担金、これは補助金でございますけれども、としてこれも概算要求をいたしておるところでございます。概算要求をいたしておりますということをお答え申し上げました。
  160. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 今、このアスベストの除去等に関しまして様々な混乱が生じております。今ほどもありましたけれども、例えば建物の解体時の費用負担等々、様々な問題があるわけですけれども、来年度の予算もさることながら、早急に対応が必要となる場合もありますが、その件に関して、必要な場合は補正予算も組んで対応されるという、このように考えてよろしいでしょうか。
  161. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) これは、先日も関係閣僚会議を開きまして、とにかく政府を挙げて対応すると、それでまた必要な予算は確保するということを確認いたしておりますので、私どもはそのようにいたすつもりでございます。
  162. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 これは、次の質問ではございません、私の方で提案をさせていただきたいと思うんですけれども、今、様々な混乱が生じております。私の地元でも、例えば市民会館ですとか、そういうところでアスベストの吹き付けがあったということが新たに確認されたりして、慌てて撤去作業をするというような問題も生じております。アスベストに関しましては、二次被害といいますか、その除去のやり方が適切でなかったために生じる二次被害いうものも報告されております。無用な混乱を生じさせないためにも、私は優先順位を示したガイドラインを国として早く国民の皆様に示すということが必要ではないかと思います。  続きまして、政府が準備しておりますアスベスト新法の基本的枠組みについて伺います。  病気の認定基準、今後の対象人数、給付額の試算及び費用負担等の検討状況について伺います。
  163. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) アスベストによる健康被害に関しては、被害者をすき間なく救済するため、すき間なく救済しなきゃならないと考えておりまして、そのために新たな法的措置を講ずることといたしております。  先ほども申し上げましたけれども、九月の二十九日に開催されました関係閣僚会合においてこの救済の仕組みの基本的な枠組みは決定したところでございます。その中では、労災補償を受けずに死亡した労働者については、潜伏期間が長い等のアスベストの特性に配慮いたしまして、労災補償に準じた救済措置を講ずることといたしております。また、それ以外の中皮腫や肺がんに罹患した周辺住民等に対し、医療費や遺族一時金等を支給することを検討することといたしておるところでございます。  今後、環境省を中心にいたしまして関係省庁とともに被害の実態把握等を進めながら、次期通常国会への法案提出に向けて努力をしてまいります。
  164. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 昨日も本会議で私どもの同僚委員が質問したわけですけれども、私は、このアスベスト新法の基本的枠組みについて、被災者の救済ということが大切なのは、私もそれは同感でございますけれども、根本的にこの問題に関しては、過去の行政不作為、これが非常に大きな問題だと思います。国として、このアスベスト問題に関する根本的な責任の取り方、そのようなものを、様々なものを包括した法整備が私は求められると思いますが、そのことに関しては大臣はいかがでしょうか。
  165. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) まずは、この関係閣僚会合におきましても、これまでの行政としての検証はいたしました。そこで、そのことは既に報告をさせていただき、発表もさせていただいたところでございます。  ただ、かねて私が申し上げておりますのは、先ほど先生お述べになりましたように、昭和四十七年が一つの分岐点になっております。この昭和四十七年にWHO、ILOががん原性ありということを指摘をいたしました。これ以降、私どもはまたそれを念頭に置いた対応をしてまいったところでございます。  ただ、アスベストというのが非常に長い潜伏期間を持っておりまして、今労災認定をいたしております私どものデータによりますと平均三十八年でございます。そうなりますと、昭和四十七年、一九七二年でございますから、これに三十八年足すと二〇一〇年ということになります。  したがって、私どもが昭和四十七年以降対応してきた、これが効果を持っておったのかどうかということについては、二〇一〇年以降どういう被害者の皆さんの数が推移するかということで検証しなきゃならないところもございます。したがって、私は、さらに今後、十年後きっちりした検証を改めてすべきだということを申しておるところでございます。
  166. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 本来であれば、早期に対策を取っていれば、このアスベストの問題というのはこれほど大きな問題にならなかったと思います。だれも責任を取らないという根本的な問題があることを指摘して、また、この行政不作為という問題は、次に質問させていただくBSE問題、これのキーワードでもあると思います。アスベストの問題についてはまた改めてということで、BSE問題に関しまして質問をさせていただきたいと思います。  米国産牛肉の輸入再開が間近と言われて久しいですけれども政府はその決定がいまだできない状況にあります。これは、安全を担保できない輸入再開には反対とする消費者の食の安全に対する意識の高まりの結果であります。しかしながら、アメリカ側の輸入再開の圧力は強く、決着点が見えてこないというのが現状でございます。基準緩和は米国のためではないかとの批判を受けることがないよう、主張すべき点は主張し、できるだけ多くの方々の納得が得られた上でこの問題の解決は図られるべきでございます。  そこで、まず最初に伺いたいんですけれども、根本的な問題でございますが、我が国で発症したBSEの問題のこの原因の究明及び感染経路の特定はもうできているんでしょうか。
  167. 松本義幸

    政府参考人(松本義幸君) 我が国で発症したBSEのことにつきましては、その原因究明及び感染経路につきましては農林水産省において調査を行っております。農林水産省のBSE疫学検討チームが平成十五年九月にまとめた報告書によりますと、感染源としては、英国からの輸入生体牛を原料とする肉骨粉、又はイタリアから輸入された肉骨粉が想定され、感染経路については、これらの肉骨粉が牛用配合飼料に混入した可能性があるとされておりますが、特定までは至っていないと承知しております。  その後、現在までに新たに十三例の感染牛が確認されたところでありますが、農林水産省においては、それぞれに与えられた飼料の調査分析が行われているところであり、今年度から新たに予算を措置し、専門家による調査研究も開始されたと承知しております。
  168. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 私は大臣にお答えいただきたかったんですけれども、つまり我が国で発症したBSEの原因究明及び感染経路の特定はできているかいないか、それだけお答えいただけますか。
  169. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 一言でお答え申し上げますと、現時点では特定には至っていないと私は承知をいたしております。
  170. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 それでは、次の質問に移らせていただきます。  食品安全委員会の答申内容は、検査対象を全頭検査から月齢二十一か月以上に緩和しようとするものでございました。しかし、この案にはパブリックコメントで約七割が反対を表明いたしました。安全基準と国民の求めている安心との乖離をどう受け止めていらっしゃるのか、大臣に伺います。
  171. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 厚生労働省といたしましては、食品安全委員会によります科学的な評価を踏まえまして、BSE検査の対象月齢を二十一か月齢以上とする、国内BSE対策の見直しを行ったところでございます。すなわち二十一か月以上の牛を対象として検査をするということでございます。  これにつきまして、科学的根拠に基づく安全確保措置が国民の安心につながるよう、今後とも、リスクコミュニケーション等を通じて消費者を始めとする国民の皆さんの理解が得られるように努力をしてまいらなきゃならないと考えております。やはり国民皆さん方に安心していただくということが大変大事なことでございますから、私どもは科学的知見に基づいてそうしましたということをきっちり御説明を申し上げなきゃいけないというふうに考えておるところでございます。  そこでまた、さらに申し上げますと、BSE検査対象月齢の変更に伴いまして、消費者の皆さんの不安な心理が出てくるといけませんので、これをやっぱり払拭しなきゃいけない、混乱も回避しなきゃいけないというふうに考えておりまして、二十か月齢以下の牛について地方自治体が自主検査を行う場合は、経過措置として引き続き国庫補助を行うよう予算要求もいたしておるところでございます。  今申し上げておりますことは、国民の皆さんの安心のために私どもも引き続き全力を挙げて努力をいたしますということを申し上げておるところでございます。
  172. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 ただいま大臣から御報告がありましたように、食品安全委員会に対して国内のBSE対策についての諮問を厚生労働省と農水省がされ、その答申に基づいて七月一日に厚生労働省は省令を改正いたしました。その内容は今お話があったとおりでございます。そして、それはもう既に八月一日から施行されております。  つまり、今行われております全頭検査は言わば自主的なものということでございますが、四月下旬の厚労省調査では、すべての都道府県が今後も全頭検査を続けたいと回答したとされております。本年度の厚生労働省予算に約三十三億円この全頭検査の補助金が計上されておりますが、これは来年度も継続されるのでしょうか。
  173. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 厚生労働省といたしましては、これは今お話しいただいたとおりなのでありますけれども食品安全委員会によります科学的な評価を踏まえまして、本年八月にBSE検査の対象月齢を申し上げておりますように二十一か月齢以上とする国内BSE対策の見直しを行ったところでございます。  それに伴いまして、混乱などが生じないように、また不安な心理の払拭もしなきゃいけないということで、これも申し上げたとおりでございますけれども、二十か月齢までの牛について、地方自治体が自主的に検査を行う場合は経過措置としてこれに対する国庫補助を行うようにいたしておるところでございますが、これ、来年どうするんだというお話でございましたけれども、来年度も引き続き行うように予算要求をいたしておるところでございます。
  174. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 国民の皆様の安心、安全、食品に対する安全ということを確保するというのが厚生労働省の使命、厚生労働大臣の使命であるとすれば、先ほど申し上げましたその省令の改正、そんなにすぐやる必要はなかったのではないかと思いますが、その拙速の批判があることは御存じだと思います。なぜ、国民の皆さんが安全基準、国民の皆さんの求めている安心と国の行っている安全の基準との間に乖離があるのに、それを埋めることなく拙速に省令を改正されたのでしょうか。
  175. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) これにつきましてはしっかりと科学的知見に基づかなきゃならない、私ども考えておりまして、ずっといろんな御議論もありましたし、またその間のそれぞれの動きもございました。  ただ、私どもはその中で、申し上げましたように、科学的な知見ということが大事でございますから、この食品安全委員会に諮問をいたしまして、ここでのお答えがきっちりと、これ随分食品安全委員会慎重な検討を加えまして長く掛かったのは御案内のとおりであります。そして、食品安全委員会がその長い検討の結果、きっちりと科学的な知見を出した、科学的な評価を出しましたので、そうなりますと私どもはやはりそれを受けてということになるわけでございまして、そのように私どもの手続を取ったところでございます。
  176. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 食品安全委員会のプリオン専門調査会、これはまだ結論が出ておりません。今諮問されておりますいわゆるアメリカの牛肉を輸入してもいいかどうか、アメリカ・カナダの輸出プログラムにより管理された牛肉・内臓を摂取する場合と、我が国の牛に由来する牛肉・内臓を摂取する場合のリスクの同等性に係る評価について諮問されておりまして、その評価をする、その答申をするたたき台の修正二次案というものがここにございます。度々大臣から科学的な評価というものの話が出ましたけれども、そもそもそのような今の諮問の在り方等について、この調査会は不満があるようでございます。  少し引用させていただきますが、「リスク評価機関は、人の健康危害に及ぼす影響を科学的に評価するものであり、リスク管理機関は、その評価結果を含めて総合判断して管理措置を決定するものであって、評価機関に責任を転嫁してはならない。従って、リスク管理機関は管理措置について国民に対する独自の説明責任を持つものである。中間とりまとめ、BSE国内対策の見直しなどにあたって、リスク評価機関とリスク管理機関の関係を再確認せず、評価作業を進めてきた。この点に問題があると考えられる。」、このように記載されております。  先ほども申し上げましたが、国民の求めている安心、そして安全基準の間には乖離があります。それをまず埋めることなく、なぜ拙速に省令の改正を急がれたのか、その理由についてお尋ねをしたいと思います、いま一度。
  177. 岸宏一

    委員長岸宏一君) まず部長から答えて、その後大臣からでいいですか。
  178. 松本義幸

    政府参考人(松本義幸君) BSE対策につきましては、他の食品安全対策と同様、科学的合理性を基本として判断すべきと考えております。  BSEの全頭検査につきましては、平成十三年十月当時、牛の月齢が必ずしも確認できなかったこと、国内でBSE感染牛が初めて発見され、国民の間に強い不安があったこと等の状況を踏まえて開始したものであります。その後、昨年九月に食品安全委員会において最新の科学的知見に基づきBSE国内対策に関する評価、検証が行われ、その結論を受けまして、厚生労働省及び農林水産省が、食品安全委員会に対する諮問、答申を経まして、本年八月に国内対策見直しを行ったところであります。  このように、BSE全頭検査の見直しにつきましては、食品安全規制の科学的合理性を確保するために行ったということでございます。
  179. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 整理してお答えした方がいいと思いますので、まず、国内の全頭検査の話と、それから今続けてお話しになっておられますアメリカからの輸入をどうするかということは、これは分けた話でございます。  そこで、国内の全頭検査については、既に食品安全委員会に諮問をして答えが出て、そして二十一か月以上の牛の検査をするということにいたしたわけでございます。まず、そこの整理をさせていただきます。  とはいっても、とはいっても、それは食品安全委員会は科学的な知見に基づいてそういうふうに答えを出したわけであるけれども国民の皆さんの方から見たらまだ安心しておられないだろう、その間に乖離があるだろうという御指摘でございますので、それは、先ほど七割という数字もお出しになりました。  いずれにいたしましても、私ども国民の皆さんに十分安心していただく必要があるというふうに思っておりますので、このことについては引き続きしっかりと御説明をしなきゃならないというふうに考えておりますし、またさらに、都道府県が自主的に検査したいと言っておりますことに対しましては、やはり国民の皆さんの安心ということで役立つのであればということで、私どもはそれに対しての補助もいたしておる。そして、先ほどもお答え申し上げましたように、それは来年度も要求いたしておりますから、来年度も引き続きさせていただきたいというふうに思っておるところでございます。  国内問題はそういうことでございまして、これからアメリカからの輸入をどうするかということについては、これはまた今後の問題でございます。食品安全委員会がどういう答えを出されるか、それによっても私どもの判断をしなきゃなりませんし、また、食品安全委員会の方が言っておられるようなことに関して言いますと、やはりそれは役所としての私どもの判断すべきこと、又は御説明申し上げるべきこと、やるべきこと、それぞれ役割があるわけでございまして、その役割についてはきっちり果たしていかなきゃならぬというふうに考えております。
  180. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 なかなか、私の質問の仕方が悪いのかどうか分かりませんけれども国民の皆さんの求めている安心と、それから安全基準との乖離があるというふうにされているわけですね。その、どう受け止めているかと、それを埋めるためにどのような努力をされるのかということに関して、拙速な省令改正が果たしてそこに良い効果をもたらすものなのかどうか疑問があります。  そして、この間、自立支援法案のときにも説明されました、法律事項になっていないと予算の獲得が難しいと、だから義務的経費化したんだという話がございました。今後、全頭検査についての補助金、来年度の予算についても概算要求されているという話でしたけれども、省令を改正してしまったわけですから、これは財務省からはねられる可能性も十分ありますよね。省令を改正したことを根拠にはねられる可能性も十分あると思います。なぜそのようなことをしなければならなかったのか、甚だ疑問でございますが。  大臣に伺います。先ほど大臣の方からもいろいろお話がありました。アメリカ産の牛肉の輸入再開というのが今大きなテーマになっておりますが、米国におけるBSEに対する安全基準の妥当性について大臣の見解を伺いたいと思います。  資料をちょっと配付していただけますか。    〔資料配付〕
  181. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 本当にもうごくごく簡単にまとめさせていただきました。我が国と、それから米国で行われているBSE対策の対照、本当に簡単なものでございますけれども表にさせていただきました。その対策について比較をして、その評価を大臣に伺いたいと思います。
  182. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) まず先に、拙速であるかないかというところの部分でお答えを申し上げていなかったかと思いますので、そのことに改めて触れさせていただきたいと思います。  申し上げましたように、食品安全委員会で非常に長い間掛かってこのことについては慎重な検討をしていただいたと思っております。  したがいまして、長い期間掛けて結論を出していただいたということでございますので、それを受けて私どもが手続を取ったということは拙速だったというふうには私は思っていないものですから、そのことを改めて申し上げたいと思います。  それから、この来年度の予算に関してでございますが、こういう事態になったことを受けて予算要求をして今年度も認められておるわけでございますから、この事態を前提としての予算が付いておって、それをまた更に同じ状態を続けるということで来年度予算も要求しておるわけでございますから、おっしゃったようなことが、来年度予算要求といいますか、予算を付けてもらうことについて支障になるというふうには思っていないところでございます。  以上、まず先の方の話についてお答えを申し上げたところであります。  そこで、米国産の輸入再開問題についてのことでございます。  米国産牛乳の輸入再開問題につきましては、一定の条件を満たす米国産牛乳等に関し、国産牛乳と同等の安全性が確保されているかについて、本年五月に食品安全委員会にリスク評価を依頼したところでございます。  厚生労働省といたしましては、引き続き食品安全委員会における科学的な議論を注視して、結論が得られた際には、その結論を踏まえて、リスク管理機関、これは先ほど来言っておられるように、正に国民の食の安全を守るという私ども立場で適切に対応してまいらなければならないと考えておるところでございます。
  183. 松本義幸

    政府参考人(松本義幸君) 今、森議員の方から日米のBSE対策の差というものの資料をお配りになりました。  日米間におきましてBSE対策には相違があるということは、今、森委員がお配りになった資料のとおりでございます。そういうことから、日本にアメリカから牛肉を輸出する場合につきましては、アメリカでの対策に加えまして、上乗せ措置としまして、SRM、特定危険部位はあらゆる月齢の牛から除去するということ、牛肉は二十か月齢以下と証明される牛由来とするということを内容とする輸出証明プログラムを設けることとしたわけであります。このように、BSE対策の違いにつきましては、BSEの検査の目的ですとか、自分の国がBSE発生リスクに関する認識が異なるということから生じているものと考えております。  BSE検査につきましては、我が国では屠畜場で実施しておりますが、米国では実施しておりません。この違いは、BSEの検査というその目的が、日本の場合には食肉の安全性確保ということでありますが、アメリカにおきましてはBSEの浸潤状況ですとかBSEの関係規制の効果確認するためのサーベイランスとして認識されているためだという具合に認識しております。  また、脳、脊髄などの特定危険部位の除去につきましては、我が国では全月齢を対象としておりますけれども、米国では三十か月齢以上を対象としております。この違いは、米国においては感染実験結果、これはイギリスで行われた感染実験結果でありますけれども、その感染実験結果やアメリカ自国におけるBSE発生リスクが極めて低いとの評価に基づいたものであります。一方、我が国では、米国が根拠としている同じ感染実験と同じデータを根拠としておりますけれども、その実験に使われた個体数が限られているということなどを考慮いたしまして、日本の場合には全月齢から特定危険部位を除去するということにしているわけであります。  いずれにしましても、牛肉輸出証明プログラムを含む米国のBSE対策を踏まえた米国産牛肉の安全性につきましては、先ほど大臣からお答えいたしましたように、現在、食品安全委員会において科学的な検討が行われているところであります。厚生労働省といたしましては、その審議を注視してまいりたいと思っております。
  184. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 今の答弁のところに私は非常に重要な点があったと思います。  そもそも、このBSE対策、日本のBSE対策とアメリカのBSE対策の基本のスタンスが違うということを今御説明になりました。日本はあくまでも食肉の安全を確保するためにこの対策を講じている。アメリカは違うんですよ。アメリカは違うと今局長おっしゃいましたよね。全く違うんです、スタンスが。我が国国民の食の安全を守るためにこのBSE対策を実行してきたんです。アメリカは違うんです。だから溝が埋まらない。その中で、まだ実施されてもいない日本用のプログラムに基づいてアメリカの牛肉を輸入したときのその安全性を食品安全委員会に諮問すること自体、私はこれは適当ではないと思います。  そして、先ほどから科学的知見、科学的知見というふうにおっしゃいましたけれども食品安全委員会のプリオン専門調査会の金子座長代理が先日、衆議院の内閣委員会におきまして、我が党の川内委員の質問に対しまして、我が国BSE管理体制に対する評価を行った際から一貫して、私たちが直面してきている限界、つまり、そもそもBSEのリスクを定量的に数字で評価するというのは、これは極めて難しい、つまり科学的評価の限界ということについて答弁をされているわけでございます。  我々がそのアメリカ産の牛肉の輸入に対して、再開に対して反対であるという立場に変わりはないんですけれども、それはヒステリックに何かよく分からないから反対反対と言っているわけじゃなくって、そもそも先ほど申し上げました基本的なスタンスの差がある。そして、この食品安全委員会というのはこういうことに対して私はお墨付きを与えるためにつくったわけではないという思いがしております。  四年前、あの九・一一のテロの前の日に、私たちこの日本のBSE問題が発生いたしました。あのときに行政の不作為ということが指摘されました。そして、私たちは大いに反省して、国民の食の安全を提供するためにはどういう新しいシステムをつくったらいいんだろうかと様々な議論を重ねて、食品安全委員会がスタートしたんです。そして、今私たちは、この食品安全委員会が機能するかどうか、これを検証しなきゃいけない。今それが本当に、食品安全委員会国民の食の安全のために機能するかどうか、この根本的な問題が問われているんだろうと私は思います。そういう意味で、全く違うんですね、アメリカと日本では。で、やられてもいない前提を基にそのリスク評価をすること自体、危険であると思っております。  私は、私の質問時間はこれで終わりなんですけれども、今るる述べましたことに対して、もし大臣何か御見解があれば一言お述べいただければと思います。
  185. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 御答弁申し上げる途中で、牛肉と申し上げるべきところを牛乳と何か言った箇所があるようでございまして、そこのところは訂正をさせていただきたいと存じます。  で、まさしく今おっしゃったとおりだと私も思っております。おっしゃったとおりだと言っております意味は、私どもも、もう食品の国民の安全、食品に関する安全を守るという立場でございますから、その立場で一歩も譲る気はございません。そこで、丁寧に丁寧に、ただ、科学的根拠を示していただくのは食品安全委員会でございますから、食品安全委員会の御意見をお聞きしておるところでございます。正におっしゃったように、そういう意味でおっしゃったとおりでありますと私は言っているつもりでありますけれども食品安全委員会がしっかりとした仕事をしていただけるかどうか、これ正に食品安全委員会に懸かっておるわけでございまして、そのことを私どももお願いをする立場でございます。  それからまた、米国産のことでございますけれども、これも先ほど申し上げましたように、私ども国民の食品に対する安全を守る立場でございますから、担当の者には、決してアメリカの圧力に屈するといったようなことがもういささかもあってはならないということを強く絶えず指示してまいりまして、そのことを前提にして事に当たってほしいと言い続けてまいりましたから、私どもの担当の者もそのように対応しておるものと信じております。  そして、今言っておりますのは、ですから、国内における我々がとっておる措置、それと同等の安全が確認されない限りにおいてアメリカからの牛肉を輸入するつもりはないということをはっきり言っておるところでございますので、そのように御理解いただきたいと存じます。
  186. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 終わります。
  187. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 民主党・新緑風会の朝日です。限られた時間ですので、早速質問に入ります。  まず最初に、西副大臣にお尋ねをいたします。  さきの通常国会で成立をいたしました独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構法、これによって新たな独立行政法人が設置をされまして、年金あるいは健康保険福祉施設の整理合理化を進めていくと、こういうことが決まりました。その法律の審議に当たって、同僚の足立委員からも幾つか御質問をさせていただき、また御答弁をいただきました。そこで、今日はちょっと幾つか細かくお尋ねしようと思ったんですが、ちょっと昨日大きな問題が新聞で報道されましたので、そちらの質問をしたいと思いますから、まとめて改めてお尋ねをします。  さきの通常国会ではいろいろ大臣ともやり取りをし、附帯決議も付けさせていただきました。特に、各施設の売却に当たって今後どうなるんだろうか、例えば地元の自治体との協議はどんなふうに進んでいくんだろうか。さらには、厚生年金病院に係る整理合理化計画については、今、その後どんなふうに検討が進められているんだろうか、恐らくまだ具体的なところまで煮詰まったものはできていないと思うんですけれども、どんな進捗状況であるのか。そして、そのことと関連しまして気になっていますのは、厚生年金病院と年金保養ホームとの扱いが違っているんですが、できるだけこれは一体的な機能の継続が望ましいというふうに私思うんですけれども、その辺についてその後、今日までどんなふうに検討が進められ、今後どのように基本的な方向、取り組んでいかれるのか、まとめて副大臣にお尋ねしたいと思います。
  188. 西博義

    ○副大臣(西博義君) 朝日先生にお答え申し上げます。  まず初めの御質問は、国会での独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構法案、このときに附帯決議等でお約束をしたことが今後とも守られていくのであろうかという質問だというふうに理解をいたしております。委員会附帯決議、全党一致で決議をいただいたものでございまして、またその後、大臣からもその趣旨を十分に尊重していくというふうに申し上げておりまして、今後ともこのことにつきましては、特段の我々想定できないことがない限りは当然のこととして最大限の尊重をしていくということでございます。  それから、譲渡、廃止の進捗状況はいかんということでございました。実は今月の一日からこの事業を開始しておりまして、事業の開始に当たって定めました中期計画、それから本年度、十七年度の年度計画に沿って業務の運営が始まっております。本年度の計画におきましては、約三百施設ございますが、十七の施設と、それから若干宿舎と関連しております六施設の売却が予定されているところでございます。  地元の自治体に相談するという附帯決議につきましては、社会保険庁長官から施設の所在地の市町村長あてにこれまでのお礼と併せて今後の譲渡に当たって事前に御相談申し上げるという文書をお出ししたところでございます。今後、施設所在地の公共団体と事前に相談させていただいて、そして、その結果につきましては買受者を募るときに情報提供を行わしていただくということにつきましても中期計画に盛り込んだところでございます。  それから、今回の整理合理化計画の策定状況はどうかということでございます。この整理合理化計画につきましては、特に厚生年金病院ですね、整理合理化計画につきましては、病院機能の公益性を損なうことがないよう、譲渡後においても維持すべき病院機能や地域医療機関との連携体制等について目下社会保険庁において検討しておりまして、今年度中に取りまとめをさせていただくということで来年度からの具体的な実施に向かってまいりたいと思っております。  それから、具体的なお話として、保養ホームについての、病院との間の連携についての御質問がございました。  保養ホームにつきましては、これは温泉を利用した滞在型のリハビリテーションやそれから栄養指導等を行う施設でございまして、あくまでも厚生年金病院とは別の独立した施設であるという運営の仕方をしておりますが、しかし、密接に関連していることも事実でございまして、地域の保健医療に貢献していただいておる施設でございますので、この譲渡に当たりましては施設の中心的な機能を維持するということを条件とした一般競争入札によることとなっております。そのことにつきましては中期目標においてもその旨を明記、規定をしております。このことによりまして、厚生年金保養ホームが地域に現在果たしている必要な機能、これは維持をされていく、当然、厚生年金病院との連携につきましても維持をされていくものだというふうに考えておるところでございます。
  189. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 ありがとうございました。今後も引き続きフォローアップをさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  それで、早速、今日ももう午前中からいろいろ議論になっております医療制度改革の問題について触れたいと思います。  資料を配ってください。    〔資料配付〕
  190. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 今日、午前中の御議論は、もう既に皆さん結構中身を御承知のという前提でいろいろ御質問がありましたが、私、いただいたのは昨日の夕方五時ですので、その五時にいただいた医療制度構造改革試案の概要を皆さんに改めてお配りをしております。御存じの方は御存じでしょうが、初めて見る方もあると思いますので、これを参考に質問を続けたいと思います。  最初に私、戸惑っていますのは、この概要の一番、括弧書きにありますように、これは「国民議論を進めるためのたたき台である。」と、こういうふうに書いてあるんですね。ちょっと待てよと、今ごろたたき台かいなと。もう次の国会に法改正提案するんだから、ここらで出てくるのは厚生労働省原案が出てきていいはずであろうと。ところが、試みの案、試案であるし、国民議論を進めるためのたたき台であるし、中身をずっと見ると、何か各方面からの提案も羅列してあるというか、どういう意味で掲げてあるのかよく分からない、本体の文章と参考としての書きぶりがどういう関係になるのか、どうもよく分からない。  つまり、この試案というのはどういう性格のものかということと、これを基に今後どんなふうに議論を進めていって、どこでどんなふうに取りまとめをしようとするのか、その辺についてちょっと明確に、今後のこの試案の性格と取扱いの方針について大臣にお伺いします。
  191. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) この試案の性格というふうにお尋ねいただきますと、このとおりお答えしなきゃならないものですから、おしかりいただくだろうなと思いながらあえて申し上げますと、本当にこのとおりに思っておりまして、国民の皆さんに議論を進めていただくためのたたき台として正に出させていただいたわけでございます。  したがいまして、いろんなところから御意見がございます。そうしたものも、こういう御意見もありますので併せて御議論くださいというつもりで、そうした各方面の御意見というのも並べさせていただいたというところでございます。もうそのとおりでございます。  今後でございますけれども、これをたたき台としていただきまして、今後は社会保障審議会等の関係審議会、それからまた経済財政諮問会議等、こうしたところで議論を重ねていただくとともに、申し上げておりますように、広く国民の皆様方の御議論も賜りまして、年内にはこれを取りまとめ成案を得たいと考えておりまして、来年の通常国会に関連法案を提出することとしたいと、今後のスケジュールについてはそのように考えておるところでございます。
  192. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 いや、だから、年内といったらもう余り日にちないじゃないですか。あと二か月ちょっとでしょう。この二か月ちょっとの間に国民の皆さんに広く御議論いただいて、ちゃんと年内に取りまとめができるんですか。正直言って心配になります。で、これはそのような方向で進められていくというふうに思います。  そこで、今後また、今日だけじゃなくて是非議論の機会をつくっていただきたいと思うんですが、今日の午前中の質疑の中で出てきていました保険免責制度のことがどうも気になります。この試案の中にはそう詳しくは書いてないんですね。むしろ、各方面からの御提案の中にこの保険免責制度が提案されているという書きぶりになっているんですが、本当にこの保険免責制度という表現、正しいんですかね。  例えば、損害賠償保険ですと、地震は範囲に含みませんよとか、あるいは水害は含みませんよとか、そういうのを免責と言うんだと思うんですよね。中身をお聞きすると、診察一回当たり千円をいただくとか、五百円をいただくとか、こういう話でしょう。これは免責と言うんですか。これは、私流に言わせれば定額自己負担なんですよ。だから、この免責制度という言い方は、不正確だし、誤解を招くし、もっと言うと、ごまかそうとしている意図を感じる。だって、先ほども西島先生からもありましたけれども、三割の負担は超えないようにするという、こういう約束してやるんですよね。定率三割を超えないようにするとしておいて、それとは別途定額自己負担を加えるといったら、トータルしたら三割超えますよね。だから、これはおかしいんですよ。どう思います。
  193. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) お尋ねの保険免責制という用語でございますけれども、これにつきましては確たる定義はございません。一定額までは保険給付の対象外とするということでございますけれども、給付の対象外となった部分を保険負担と言うべきなのか、定額自己負担と言うべきなのかにつきましては、これ制度の組み方によって異なってくるものと考えておりますけれども、いずれにしても、御指摘のとおり、保険給付がされない部分というのは患者負担になるという点では、内容的にはこういうものであろうと理解をしております。
  194. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 あなたが言ったんじゃないんなら、言った人にちゃんとちょっと説明を求めてください。私は、不正確だと思うし、この言葉で議論をしていくと議論をミスリードすると思う。ですから、これははっきりと一回幾らの定額自己負担を求めますというふうに言うべきなんですよ。そうすると、自己負担としてはこうなりますねという議論につながるんですよ。  ところが、それと、話と全然別個みたいに、公的医療保険ですよ、これ。民間の損害保険とかと違うんですよ。公的医療保険の中で、これは免責とします、で、一回当たり千円取りますって、こんなばかな話はない。これは、是非今後の議論の中でミスリードがないようにきちっと定義付けも含めてやっていかないと議論が混乱をするというふうに思いますので、これは注文をしておきます。  次に、この試案を読んでいきますと、専らお金の話。で、保険料負担をどうする、あるいは自己負担をどうする。で、今の訳の分からない免責制度として本人から幾らもらう。専らお金の話。質がいいものが売れるようになる、だからちょっと高くしますというんならまだ分かる。質は全然触れてなくて、金を、値段だけ上げましょうという話。もっと言えば、保険の給付を絞って自己負担を増やしますという話。これでは利用者はたまりません。  今度の試案の中で、あるいは今度の次期通常国会で改正しようとしている医療制度改革の中で、医療の質、中身、レベルをどう引き上げるのか、そして医療提供側の機能をきちっとどう評価するのか、そのことによって利用者の皆さんにこれだけ医療の質が上がりますと、あるいは医療機関のレベルが上がりますと、だからこれだけ負担してくださいというんならまだ分かる。その部分が全然触れられていないんですが、これはどう考えていますか。
  195. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 私どもも今御指摘のところは大変重要な部分だというふうに考えております。そうしなきゃいけないというふうに考えてまいりました。私もこれまでに御答弁申し上げるときには、もう気を付けながら医療提供体制も含めてということを絶えず申し上げてきたつもりでありまして、今お話しのようなことが大変重要なことであるということは認識をいたしてまいりました。またそして、今回においてもそのようにしなきゃいけないというふうに考えておるところでございます。  改めて申し上げますと、国民のだれもが安全、安心で質の高い医療をいつでもどこでも受けられる体制を構築していくことが、これが私どもがやらなきゃならない大変重要なことだと考えておるわけでございます。  そこで、この部分について触れて申し上げますと、地域医療機能の分化、連携を推進し、地域において入院から在宅まで切れ目のない医療提供体制の構築を図ることにより、患者生活の質の向上を図り、また総治療期間を短くすることを基本的な考え方として、脳卒中、がん、小児救急医療などの主要な事業ごとに分かりやすい指標と数値目標をもって地域医療提供体制の姿や医療機能を住民、患者の皆さんに明示して、事後評価が可能な仕組みをつくることといたしておるわけでございます。  また、医療制度改革におきましては、都道府県を通じた医療機関に関する情報提供の制度化など、患者国民の選択を支援するための医療情報の積極的提供推進医療安全対策の推進、小児医療、へき地医療など、地域において必要性の高い医療の確保などについて取り組むことといたしておりまして、患者本意の質の高い医療提供体制の構築に向けた改革をしなきゃならない、そのことも併せて申し上げておるつもりでございます。
  196. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 何か急に抽象的になるんですよ。だから、もう少し、サービスがどう良くなるのか、一遍ちょっとまとめて書いてみてください。で、そのためにどういう制度をつくるかと。説明の仕方がいつも制度の説明になっちゃっているんです。こういうふうに変えるから結果としてこういうサービスになるよということを利用者の皆さんに分かるように説明しないと、何言ってんだか分かんない。役人にしか分かんない。是非そういう書きぶりでまとめてほしいと、これは要望しておきます。  次に、今度は局長に聞きます。  介護保険の一部改正の審議のときに、やっぱり私はこの保険外の自己負担のことについてかなりしつこく聞きました。そもそも介護保険施設入所に当たって食事代とか居住費を保険から外すということはどうなんだと、外した結果、自己負担がどんどんどんどん増えるんでは無責任ではないかという質問のやり取りをして、もちろん、保険外に持っていくと公定価格ではなくなるから幾ら幾らというわけにはいかないけれども、しかしおおよそこれくらいの自己負担になるという調査はしなさいよということで、介護の方については一定程度データを出せるようにしますというお話でした。水田保険局長は、今後どうしたらいいかよく考えさせていただきたいと、こういう御答弁でした。どう考えました。
  197. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) 先ほどの国会での朝日先生からの御指摘を踏まえまして、この七月中旬に療養病床を有する病院につきまして調査を行ったところでございます。この調査におきましては、この療養病床を有する病院約三百の協力を得まして、保険負担の現状につきまして調査を行ったところでございます。  結果を申し上げてよければ続けますけれども、そこでは、例えばおむつ代につきまして月額で約一万五千円でありますとか、差額ベッド代についてのデータあるいは日常生活費のデータ、そういったものを把握したところでございます。
  198. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 それならそれでちゃんと報告してくださいよ。後でちゃんと結果をまとめたものを報告を求めたいと思います。  たまたま今は療養病床についての言わばサンプリング的実態調査をしたんだと思いますが、いずれにしても、これから来年の通常国会において、医療制度改革議論の中で自己負担問題、とりわけ保険自己負担問題は大きな焦点になります。ですから、そのときに一体実態としてどれくらいの保険外の自己負担があるのか、介護施設にしろ病院にしろ、これをちゃんとデータとして提出をしていただいて議論をしない限りこれからの議論は始まらないというふうに思いますから、一つそういう調査があるからということで、それで終わりというふうには考えないで、更に引き続き様々なデータを求める努力をしていただきたい、注文をしておきます。  さて、その次にこの試案の二ページ、三ページのところに書いてありますのは、予防重視ということで、このこと自体は私も間違いではないと思います。「生活習慣病を中心とした疾病予防を重視する」と。  私が一つ説明をしてほしいのは、今回の法改正で一体この生活習慣病予防、何か四十歳以上からというふうに新聞に出ていましたけれども、どういう法律でどういう対象者で、どのようなメニューを、サービスを想定した法改正を考えているのかということが一つ。そのことと、四十歳以上からの生活習慣病予防対策といえば老人保健事業があるんじゃないか、老人保健法に基づく老人保健事業との関係はどうなるのか、当然老人保健法の改正ということになるのか、この二点、それぞれ担当者から御説明いただきます。
  199. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) まず、私の方から今回の試案におきます予防健診につきましての考え方を御説明したいと思います。  まず、お尋ねの一点目でございます。法律上の規定ぶり、今後どうするのかということでありますけれども、これは正に今後具体化したいと考えておりますけれども医療保険者に対してこういった健診を義務付けようと思っておりますけれども法律的には健康保険法あるいは国民健康保険法といいました医療保険各法に規定することになろうかと思います。  それから、対象者、この健診の対象者でございますけれども、私どもは、国民健康保険及び被用者保険医療保険者に対して義務付けるわけでありますけれども、四十歳以上の被保険者並びに被扶養者を対象とする健診、それから保健指導の実施、これを義務付けることを提案してございます。  三つ目のお問いでございましたその内容でございますけれども、これにつきましては、糖尿病高血圧症、高脂血症等の各生活習慣病の予防に着目した健診、保健指導というものを考えてございます。
  200. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) 老人保健法に規定しております生活習慣病予防の観点からの健診等につきまして、試案で示された方向に従いましてその在り方がこれから検討されていくと考えております。  基本的には、仮に医療保険者による健診等が義務付けられました場合には、対象としてどういう方々が残るのか、それから事業の項目としてどういう事業がやられないで残るのかというような観点から、その事業の重複を避けるということで老人保健事業について調整を行うことになろうと考えております。  法律的には、そういう状況でどういうことになるかにもよりますが、一応、老人保健法の今二十二条には、他法令によるサービスが受けられる場合にはそちらが優先するというような規定もございますので、その法律上の手当てをどうするかということについても、今後検討していくということになろうかと思います。
  201. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 ちょっと答弁、全然納得できないんだけれども、今日はもうこれ以上聞きません。  ただ、どう考えても、介護保険で六十五歳以上の予防、介護予防の事業をこれからやっていくということがある。そうすると、六十五歳以上のそのような対策は介護保険の方に移ると。残る四十歳から六十五までの生活習慣病予防対策については、各保険者に義務付ける、しかも本人だけじゃなくて扶養者も義務付けるということで、ずっと消していったら、一体何がどう残るのか。私は、非常に老人保健法そのものの存在が問われるような事態になるんだろうというふうに思っていまして、ここはひとつ、はっきりとある時点で老人保健法改正についてはこうこうこうなりますということをお示しいただかないと議論が始まらないと思います。是非、できるだけ早い段階で、こうしますという方針を、厚生労働省内で関連する部署をきちっと詰めて方向を出していただきたいということを要望しておきます。  そこで、ちょっともう大分時間がたっちゃったんで、委員長にお願いがあるんですけれども、この試案が昨日出て今日ということで、もっともっと議論したいんですよ。ですから、できればこの医療制度構造改革に関する集中的審議を是非検討していただきたい。場合によったら、閉会中審査も含めてお願いしたいと思いますが、理事会で検討していただけませんか。
  202. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 後刻、理事会で検討いたします。
  203. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 よろしくお願いします。  それじゃ、大急ぎで次の課題に移ります。  前々から私が非常に気になっております例の心神喪失者等医療観察法の実施状況であります。七月十五日に準備不足を承知の上で無理くりスタートしました。さて、この法施行後の七月十五日以降、この心神喪失者等医療観察法の、特に入院を引き受ける指定入院医療機関の整備状況についてはどうなっているのか。既にスタートするときには、入院病床が決定的に不足してくるんではないかと、こういう心配があったわけで、その点について私が七月に大臣にお尋ねしたところ、いろいろ国関係のところに頼んでいて、何とか三百五十床程度は国関係で整備できるであろうと、こういうふうにおっしゃっていました。どうなっていますか、ちょっと説明ください。
  204. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) お答え申し上げましたように、医療観察法の施行後三年間でおおむね七百二十床の病床を確保するという計画の下で準備を進めてきたところでございます。現時点でございますけれども、指定入院医療機関につきましては、三医療機関の九十床が確保できるめどが立っております。それらのうち国立の精神・神経センター武蔵病院につきましては七月の十五日に、独立行政法人国立病院機構花巻病院については十月一日に既に指定を行いまして、その確保をいたしたところでございます。  しかしながら、これまでの準備を進める中で、これはもう先生極めてよく御案内のとおりでございまして、指定入院医療機関の確保に困難があったことは事実でございます。厚生労働省といたしましては、医療観察法の円滑な運用を図るためには、まずは国関係の病院で着実に指定入院医療機関の整備を進めることが必要と考えております。  そこで、お答え申し上げましたように、国関係の病院における整備の病床を当初予定いたしておりました二百四十床から三百五十床に引き上げる、そして先行整備を予定しておる国関係の八病院の整備を着実に進めまして、新たに五病院を整備対象として追加し、現在、地元自治体と調整を行っておるところでございます。また、都道府県関係の病院につきましては、自治体等からの要望を踏まえまして、新たに検討しておる施策をお示しして着実に整備を進める考えでございます。  制度を安定的に運営するためにはどうしてもこの指定入院医療機関の更なる確保が必要でございますので、今後ともその整備に向けて省を挙げて最大限の努力をしてまいるつもりでございます。
  205. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 施設整備と併せて、前回も私からも指摘をいたしましたけれども、マンパワーの確保も是非併せての検討をお願いしたいと思います。  そこで、今の問題と絡む話だと思いますが、九月三十日に、この医療観察法の専門治療病棟にかかわる施設基準等の一部改正に関する御意見を募集しますというパブリックコメントを求めるペーパーが出ております。これを見ますと、「指定入院医療機関について、」「十四床以下の病床からなる病棟の規格を設けることを検討しております。」と、こうなっている。少なくともこれまでは、最初三十床単位がベースですよと、こういう話だった。これでいろいろとお願いをしていったら、なかなかちょっとサイズが大き過ぎるんじゃないかという議論もあったんで、じゃ十五床サイズもいいですよという話になった、そこまでは私承知しているんですが。  それは、三十床にしろ十五床にしろ、規模は小さいけれどもそれなりの一つのまとまった病棟かなと思っていたんですけれども、今度提案されている、パブリックコメントを求めている十四床以下の病床から成る病棟の規格を設ける、十四床以下の病床から成る病棟の規格を設けるとはどういうことなんだろうと。病棟と言うにしては余りも小さな、病室単位に近い感じではないのかというふうに思うんですが、このことについて御説明をいただきたいということと、こういうふうにしていくとすれば、一時期、この施行に当たって、改めて心神喪失者等医療観察法の法改正もしなければいけないのではないかということで、そういう作業に着手していたことがあるんですけれども、そのことは、もうこれでいくので法改正はないというふうに理解していいのかどうか、この二点を併せて御説明ください。
  206. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) まず、この十四床以下のお話から申し上げたいと存じます。  この話を進めていきます間に、都道府県の関係者の皆さんからは、特に人口の小さな自治体では対象者が少ないために十五床以上の独立した病棟を設置するのはかえって非効率であると。要するに、自分のところの、例えばどこかの県として、自分の県でそんなにたくさんの対象者がいるわけなかろうと、こういうようなお話もございましてそのことを申し上げたわけでございます。そうした声、それから、入院処遇から地域処遇への円滑な移行を図るために、病状が一定程度安定した対象者などを地元の自治体立病院で受け入れるべきであるといったような御意見も併せてございました。  こうした御意見を踏まえまして、厚生労働省としても、現行の独立した病棟と同等水準の基準を設定して一定以上の医療の水準を確保しつつ、地域の実情に応じた指定入院医療機関を確保するという観点から十四床以下の病棟の規格を新たに設けることを今検討いたし、お話のようにパブリックコメントにかけたということでございます。  今、更にお話ございました、では施行後の法改正はどうなるんだと、そういう話もあったがということでございますけれども、新たな病棟の規格は、従来の病棟と同等程度の水準を維持しながら、地域の実情に応じた指定入院医療機関を確保するために設けようとしておるものでございます。  その具体化に当たりましては、医療観察法において指定入院医療機関の施設基準は省令と告示で定めることとされておりますので、新たな病棟の規格についても告示で定めることを予定しておりまして、施行後の法改正による対応は現時点では考えておりません。最大限の今後とも努力をしてまいります。
  207. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 その点は分かりました。  ただ、まだどうも腑に落ちないんですけれども、三十床規模で一つの病棟単位、これが原型だった。それをダウンサイジングして十五床単位も一つの病棟単位としてしましょうと。その場合には、三十床のときにはこれくらいのマンパワーを配置する、したがって十五床のときもこれくらいのマンパワーを配置しますよということだった。ところが、今度は十四床以下となると、これ、一病棟一看護単位ではなくなるんですよね。私の理解では、ある病棟の中に一部分をこの病床として指定するということを考えているんじゃないか。つまり、十四床でも十床でも五床でも一病棟と言うんですか。言わないんじゃないか。病棟の中の一部分を指定するんじゃないかと思うんですよ。  となると、そこのマンパワー配置はどうなるんだろうか、全体の病棟に拡散してしまうんじゃないか。つまり、心配しているのは、レベルが落ちるんじゃないか。この点はどうですか。
  208. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) いずれにいたしましても、規模の話は申し上げておるようなことでございますけれども、現行の独立した病棟と同等水準の基準を設定しまして一定以上の医療の水準を確保する、これはもう極めて必要なことでありまして、このことはそのとおりにいたします。  したがいまして、今先生言っておられるようなマンパワーのようなことについても、これまでお示ししてきた水準を、医療の水準というのは必ず確保をいたします。
  209. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 基本的な考えは分かりましたけれども、結構具体的に考えると、これ微妙なんですよ。ちょっと引き続き詰めさせていただきたいと思います。  あと一問だけ大急ぎで、法務省からおいでになったのでお聞きします。  七月十五日にこの法律施行をされてから今日で約三か月。この間にこの法律対象者として申立てが行われた件数、それぞれの審判の結果等について、今日時点で把握されている実態を数字で結構ですのでお述べいただきたいと思います。
  210. 大林宏

    政府参考人(大林宏君) 把握している限りで申し上げますと、本法が施行された七月十五日から十月十九日までの間に検察官が行った申立ては七十七件あります。うち十三件については医療を受けさせるための入院決定が、うち二件については通院決定が、うち一件についてはこの法律による医療を行わない旨の決定が、うち一件については申立てを却下する決定がなされたものと承知しております。
  211. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 それで、一つお願いをしておきたいんですが、実は私も新聞でいろいろ記事を拾ってみると、事件の程度からいうと結構重いのから軽いのまであって、何かさい銭泥棒に近いものから、殴ったらこぶができて五日間の重傷とか、よく分からない例があったりするので、お願いは、是非今後も引き続きこの申立て、そして審判についての具体的な事例をきちっと集積をしていただいて、一定期間たったところできちんと御報告いただきたいと。その仕事は是非法務省の方でやっていただけないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  212. 大林宏

    政府参考人(大林宏君) 御指摘のようにできるように努力したいと思います。
  213. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 時間が参りましたので、お願いを一つして終わります。  たしか、この法律を作るときに、全く新しい法律ですから、具体的などんな事例がどんなふうに処遇されていって、どのように社会復帰できるのか、十分蓄積をして検討しなければいけない、したがって五年後にはきちんと国会に報告をしなさいということが定められていると思います。修正でそういうことになったというふうに思います。ですから、それくらい国会でも随分論議があったわけですので、私、心配していますのは、どうも法務省の方と厚生労働省の方と実態把握について随分ギャップがあって、厚生労働省に聞くとそういうお知らせはないので把握していないなんてことをおっしゃっていて、これでは困るなと。  是非、法務省の方では、まずどういう件数申立てがあって、どんな処遇が裁定されていって、しかも結果としてどうなったかということをきちっと把握していただくことを重ねてお願いを申し上げて、終わります。     ─────────────
  214. 岸宏一

    委員長岸宏一君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、津田弥太郎君が委員辞任され、その補欠として山根隆治君が選任されました。     ─────────────
  215. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 公明党の遠山清彦でございます。  まず最初に、大臣にアスベストの問題について、いろんなところでお答えになっていると思いますが、幾つかお聞きをいたしたいというふうに思います。  アスベストのために亡くなられた皆様に改めてお悔やみを申し上げるとともに、被害に遭われて現在闘病中の方々も多数おられるわけでございまして、心からお見舞いを申し上げるとともに、政府というか、厚生労働省の対応について質問したいと思いますけれども。  まず、九月の二十九日に政府対応策を発表されまして、それによりますと、主に環境省が中心になって、新法を作って被害に遭われた方を広範に救済をしていくという方針だというふうに理解をしておりますけれども、この新法に基づきまして救済の申請を行うことができるのが来年の、早くても来年の夏以降というふうに聞いているわけでございます。  そうしますと、現に、現在経済負担に苦しみながら闘病されている方々をそれまでの間どういうふうにするのかということが大きな問題になっているわけでございますが、これは必ずしも厚生労働省だけで対応できる問題でないことは理解をしておりますけれども、しかしながら、アスベストの問題に深くかかわっている省としてどのように支援を考えているか、お取り組みをお伺いをしたいと思います。
  216. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 今もお話しいただきましたように、私どもが所掌いたしますことで言いますと労災でございますので、労災に限って言えば、もう今被害を受けておられる方はいずれにしてもすぐ対応できるわけでございます。ただ、広く周辺住民の皆さんといったときに、これは新法でしか対応できませんので、この新法を急がなきゃならないというふうにもまた考えておるところでございます。  改めて申し上げますと、業務上、ですから私どもが申し上げるのは業務上とどうしてもなるんですけれども、石綿に暴露したことにより中皮腫、肺がんなどにかかっておられて現在療養中の方等については、既に現行の労災補償給付の対象となっておりまして、これらの方々に対する労災の認定に当たりましては、より一層の迅速化を図ることといたしております。先ほど答弁の中でも急ぎますという、それから手続をできるだけ簡単にしますということを申し上げたところでございます。  こうしたことを通じて私ども、今本当にお話しいただきましたように、亡くなった方々にはもう申し訳ないという思いがございますし、それから、苦しんでおられる方々の救済というのは一刻も早くというふうに考えておりますので、このことについての対応はしっかりさせていただきたいと思います。
  217. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 是非よろしくお願いいたします。  次に、悪性中皮腫あるいは石綿肺がんの治療に関しまして、欧米ではこれらの疾患の治療薬として広く使われております薬で、アリムタ、あるいは別名ベメトレキセドという薬があるそうでございますが、現在日本では未承認というふうに聞いております。当然副作用の危険性などもあるのだというふうに思いますけれども、この薬の承認へ、日本において承認へ向けての検討状況について教えていただければと思います。
  218. 福井和夫

    政府参考人(福井和夫君) 委員指摘の悪性胸膜中皮腫の治療薬でございます、一般名ペメトレキセドでございます。でございますが、これにつきましては、欧米では承認をされておるわけでございますけれども国内では未承認の医薬品でございます。  本年一月の、これ第一回目でございますが、未承認薬使用問題検討会議、これは国内未承認の医薬品につきまして、なるべく早く確実に国内のこの治験につなげていくと、そういう趣旨で設置をされました専門家から成る会議でございますけれども、ここにおきまして国内で治験を早急に開始するということとされまして、これを受けまして本年三月に治験が開始されたところでございます。  本剤につきましては、現在順調に治験が進行しているという具合に開発企業から聞いているところでございますが、今後、薬事法上の承認申請がなされた際には、臨床試験成績などの提出データに基づきまして、有効性、それから今副作用というお話も出ましたが、安全性につきまして迅速に審査をしてまいりたいと、このように考えているところでございます。
  219. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 悪性中皮腫の場合は、発病しますと大体一年半以内にお亡くなりになる方が非常に多いというふうに聞いておりますので、是非、所要の手続あると思いますけれども、迅速にやっていただきたいと、要望を申し上げたいと思います。  それから、続きまして、また大臣にお伺いをしたいと思いますけれども、アスベストの問題については関係各省庁が過去の対応について自己検証をされているところだというふうに思いますけれども、水俣病で申し上げますと、環境省がこの検証を行う第三者機関を設置したのが昨年の十一月だったそうでございまして、大変遅いという批判があったわけでございます。  同じ轍を踏まないためにも、このアスベスト問題について、これは再度申し上げますが、決して厚生労働省だけの問題ではないわけでございますので、在り方としてはまあ政府全体として取り組むべきことかもしれませんけれども、いずれにしましても、患者団体の代表とか有識者あるいはNPOの皆さん等も入れるような形でこのアスベスト問題を検証する第三者機関のようなものをつくった方がいいんではないかと私は考えておりますけれども大臣の見解を伺いたいと思います。
  220. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 既に私ども、これまでの対応につきましては可能な限りの検証作業を行ったところでございます。そしてまた、政府全体としてその検証の結果も報告をさせていただき、発表をいたしました。したがいまして、今私どもの可能な限りの検証はしたつもりでございますので、直ちに更なる検証を行うということは考えておりません。  ただ、これはこの検証の中にも申し上げておりますように、そしてよく申し上げておることでございますけれども、昭和四十七年、一九七二年が一つの大きな対応についての転換をした年。そして、今私どものデータによりますと、これは労災認定に基づくデータでございますけれども、潜伏期間の平均が三十八年。そうすると、七二年に三十八年足しますと二〇一〇年になりますから、ここからどういう数字になるのか、これが正に私どもが問われるところと私は思っておりまして、そうした意味での検証はもう一度きちっとやらなきゃいけない。そして、その際には今お話しいただいたようなことも含めてどういう検証の仕方をすべきかと、いま一度きっちりとした検証にすべく考えなきゃならないことだというふうに考えておるところでございます。
  221. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 正に大臣今おっしゃったとおり、このアスベストに起因する病気の場合、潜伏期間が三十八年ということでございますので、正に大臣がおっしゃったように、二〇一〇年前後から今以上に突然中皮腫に侵される方が国民の中で増えてくるという可能性もあるわけでございまして、今既にこれだけ問題になっているわけですから、そしてまた、大臣が正に今非常に模範的な答弁をされたわけですけれども、そういうことも予想されておりますので、是非準備を怠りなく対応を取っていただきたいというふうに思います。  アスベストについての質問としては最後の質問になりますけれども、今年の九月二十八日の衆議院本会議におきまして我が党の神崎代表が、このアスベストの全面禁止時期について、政府は当初二〇〇八年度というふうにしていたわけでありますが、これを例えば来年度に前倒しをするということを考えたらどうかという御提案をさせていただきまして、尾辻大臣の方から大変前向きな御答弁をいただきました。また、大臣は関係閣僚会議などでも来年度からの全面禁止というものを提案をされているというふうに理解をしておりますし、私もそれを支持するものでございますが、その場合、大臣がおっしゃるこの全面禁止といった場合に、例えば一部のポジティブリストとしての例外製品、例えば原発で使われている部品でありますとかあるいは農薬関連のものでありますとか、そういった例外は認めた上での全面禁止になるのか、あるいはもうできれば例外なしの完全禁止というものを目指していくのか、その点についてお伺いをしたいと思います。
  222. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) いずれにいたしましても、全面禁止という言葉を使わしていただきますけれども、全面禁止を平成十八年度中には措置することといたしたいと思います。これは今作業を急がしておりまして、平成十八年度中には必ずというふうに考えております。  ただ、その中身でありますけれども、今おっしゃったようなことをどうするのか、このことが今まだ私どもの検討の作業の中で残っておることでございまして、これを今から詰めて十八年度中にというふうに考えておるところでございます。今のお話はもう少し詰めさせていただきたいと存じます。
  223. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 ありがとうございます。是非、専門的なところは詰めていただいて、私の海外に長く住んでおります友人も、日本ではもう大分前にアスベストは全面禁止になったと思い込んでいて、今回こういう騒ぎになって驚いたというメールをいただいたわけでありますが、是非今回のことを契機として、大臣今おっしゃったように、平成十八年度中に全面禁止ということを是非やっていただきたいと私も思います。  続きまして、介護サービスの不正報酬問題について幾つか集中的に質問させていただきたいというふうに思います。  私は今年の五月の十七日の当委員会質疑でもこの問題を取り上げさせていただいたわけでありますが、本年九月二十六日発表の厚生労働省の資料で、依然として訪問介護事業者並びに居宅介護支援事業所等の架空、水増し等の不正請求あるいは不適切な介護サービス等による取消しというものが、処分というものがあるわけでございますが、平成十二年度のこの介護保険制度の発足以来今日まで、まあ今年の三月までで結構ですが、前年度で、どの程度の取消しになった事業所があるのか、事実関係をまずお答えいただきたいと思います。
  224. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) 事業所の指定取消し件数につきましては、平成十二年四月から平成十七年三月までで、四十一都道府県で三百十三事業所でございますが、このうち介護報酬に係る指定取消し事例は三十七都道府県で二百三十四事業所となっております。
  225. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 続けて事実関係を伺いますが、今おっしゃった四十一都道府県、三百十三事業所が取消しをされたということでございますけれども、それにかかわる不正請求の総額は累計で幾らになるのかお示しをいただきたいと思います。
  226. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) 事業所の指定取消し等によります介護給付費の返還請求額につきましては、先ほどの六年間の累計で約三十八億二千八百万円、加算額を含んでおりますが、となっております。
  227. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 そのうち、今おっしゃった額のうち実際に返還をされた金額はお幾らになるでしょうか。
  228. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) 大変申し訳ありませんが全部を必ずしも把握しておりませんで、現在把握しております三十四都道府県の状況によりますれば、十五年度及び十六年度で百四十六事業所に対しまして約二十五億円の請求をいたしまして、そのうち完済されているのが六十八事業所、約五億円となっております。
  229. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 なぜ厚生労働省で把握をしてないのかちょっとよく分かりませんが、そこの理由の説明があればしていただきたいと思いますけれども。  今のお話ですと、取消しになった事業所に返還請求している額というのは三十八億円あるわけですね。そのうち平成十五年度と十六年度に限って今の御答弁だと百四十六事業所に二十五億の請求をして、そのうち返還されている額が五億とおっしゃいました、六億、五億ですね、ということでございますので、実際には不正に取られた介護報酬が全然戻ってきてない。まあ全然ではないですけれども、三十八億のうち五億、まあもうちょっと戻ってきている額が、実際には把握してないのが未掌握であるのかもしれませんけれども、これはなぜ全額返還をさせることができないのか、回収させることができないのか、その理由は何かございますか。
  230. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) 現在把握している部分が全体にわたっておりませんので、御指摘のようにもう少し更に努力をして、全体について把握すべく努力したいと存じております。  それから、御質問のなぜ回収できないかということで、先ほどの百四十六事業所について確認に努めておりますが、努めましたところ、一つは、やはり返済能力がないということで、返還額の支払に応じられないというもの、それから、金額についてなお、先ほどのは都道府県によるものですので、市町村との間でなお金額について調整している、精査中のものが八、一部事業所がありまして、さらに事業者が行方不明になっているというようなものもございます。
  231. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 これ、大臣、言うまでもありませんけれども、介護保険の世界でも保険料がこれから、まあ市町村、それぞれ自治体違いますけれども、どうしても財政難の中で負担増が増えていく中で、一方で、不正があって損害が生じても、またそれも回収できないということになりますと、まあまだ大丈夫かもしれませんが、放置しておきますと、やはり利用者の皆さんから制度そのものに対する信頼を失っていくということになると思いますので。  それで、次の質問、関連でお聞きをしたいんですけれども、こういう介護事業者等の不正行為が発覚する最大の原因というのは事業所の職員の内部告発によるものであるということは私もさきの国会審議の際も指摘をさせていただいたわけでありますけれども、逆に、この内部告発がなくても保険者である市町村が主体的に不正請求あるいは不正事案を発見した例というのは具体的にあるのかどうか、あるんであればその数を教えてください。
  232. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) 事業者数として見ますと、百九十ぐらいの事業者につきまして指定取消しをした部分についての調査によりますと、御指摘のとおり、事業所の職員からの通報というのが半分ぐらいでございます。それから、行政関係によるものが四割ぐらいございまして、その中には保険者、市町村による発見というものもございます。それから、残りの部分は利用者側からの苦情等によって分かったというところでございます。
  233. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 今お答えはちょっと、やや抽象的なお答えだったような気がしますが、半分ぐらいが内部告発で、行政が四割。恐らくこの四割の中で市町村のレベルで不正事業者を発見した例というのは実は余り多くないんじゃないかなと思うんですね、局長は何となくオブラート包んで答弁していましたが。  それで、ちょっとお伺いを、また局長で結構ですけれども、聞きたいのは、現在市町村が、厚生労働省推進しております介護費用適正化緊急対策の一環で国から給付金を受けてやっている事業で、介護給付費用通知という通知書を介護保険のサービスを利用した人に郵送をするという事業をやっております。これは、いわゆる介護サービスを利用した人に利用しているサービス内容や費用の額面等を記載した通知書を送付をして、それをもらって見た、介護保険サービスを使った、居宅サービスとか使った方が見て、ああ確かに自分はこういうサービスを使ったという内容を確認をして、もし例えばそこに自分が全く享受していないサービスがあったりした場合は保険者に連絡をして、不正の疑いがあるんではないかということをする制度だというふうに理解をしておるわけでありますが、実際にこの費用通知を受け取って本当に不正の発見とか費用の適正化につながったのかどうか、その効果について厚生労働省としてはどのように評価されているか、ちょっとお伺いをしたいんですね。  実は、今年の五月の国会では、当時の中村局長は、成果についてはもう少しお待ちくださいという御答弁で、それから約五か月たっておりまして、まだ十分な時間がたっていないということも言えるかもしれませんが、実際にこの費用通知を出すことによってそういう適正化効果があったのかどうか、お答えをいただければと思います。
  234. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) 御指摘のとおり、平成十六年十月から介護給付適正化推進運動というのを特に力を入れて実施しておりまして、その中で給付費通知というものも取り上げてやっております。  結果につきましては、平成十六年四月に通知をしていた市町村が約三四%でございましたが、それから一年たちまして、十七年の四月現在では約四四%ぐらいの市町村で給付通知を実施しているというところでございます。  財政的な効果は非常に難しゅうございますんですが、その判断につきまして。我々の承知しているところでは、介護給付費の通知書によって不適切な支払が見付かったというのが約四千万円ほどあったというふうに承知しております。
  235. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 これ大臣に聞いていただきたいと思いますし、また御答弁もいただきたいんですけれども、アイデアとして、この給付費用通知を利用者に送るというのはアイデアとしては悪くはないんです。ただ、現実には自分が居宅サービスを利用してから三、四か月後にその利用した内容を送られてくるんですね。それを見ても、まあ恐らく普通の介護サービスを受けてない健康な若い人が見ても、三、四か月前に自分がどういうサービスを受けたかって事細かにまず覚えてない場合もよくあると思うんですね。まして認知症の高齢者の場合は、三か月か四か月たって来て、あなたはこういうサービス受けましたねって送ってきても、まあそうかなというふうに思って終わりなんではないかと思うんです。ですから、非常にちょっと、アイデアとして悪くないけれども、現状では効果がちょっと薄いんではないかというふうに思うんですね。  これがちょっとなぜ問題かというと、ここ決算委員会じゃないので決算的に余り申し上げたくないんですが、この介護費用適正化緊急対策事業を厚労省が実施する際に、財務省と協議をして、それは厚労省の書類にも書いてあるんですけれども、予算の費用対効果観点から適正化に資する事業であるという位置付けになっているんですね。ところが、今局長から御答弁あったように、多分この事業自体にたしか六億から七億円、その間ぐらいの予算を付けてこの事業を全国の市町村の四四%でやっておるんですが、実際には成果としては四千万円の不正が見付かったということぐらいしかないということで、費用対効果の面で若干弱いなというのが私が感じているところであります。  そこで、やっぱり必要なのは、市町村の保険者機能の強化、また、特に、サービス実施状況が現場で実際にどうなっているかということをより正確に把握をするシステムの導入が必要だと私は思っておりまして、さきの国会審議での附帯決議でも、ちょっと読みますと、「市町村の保険者機能の強化及び介護給付費の適正化を一層推進するため、居宅サービスの実施状況を、保険者において国民健康保険団体連合会と連携し、より正確に把握・管理するシステムの確立を早急に図る」ということが書かれているわけでございます。  この点について厚生労働省としてどういう検討をされていて、どういう取組をされようとしているのか。特に大臣、じゃ局長答えていただいていいですが、介護給付費用の通知のこの事業は、今は給付して国が援助してやっている事業ですけれども、来年度からは任意の事業になっていって市町村が独自の判断でやるかやらないか、継続するんでしょうけれども効果が薄ければわざわざ自前の財源使ってやらないと思うんですね。そうすると、何のためにじゃそもそも厚生労働省の指導を受けてこれやったのかということにもう後々なりかねないと思いますので、じゃ、最初に局長、御答弁
  236. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) 先ほど委員から御質問がありませんでしたのでちょっと答えませんでしたが、今御指摘のその六億余を使っている指導、適正化推進運動の効果としては、むしろ、正に附帯決議にもございます国保連合会と連携したような形で、適正化システムというものを事業所につきまして国保連の方に置いておりまして、そこでのチェックを事業者についてやっております。こちらの方につきましては、効果額としては約六億五千万円ぐらいあるというふうに把握しておりまして、そういう意味では、全体としての費用対効果というものは十分あるのではないかというふうに考えております。  確かに、介護給付費の通知は恐らく医療給付の方の連想で始めていると思いますが、なお一層、御指摘のような点もあろうかと思いますんで、その辺も含めましてなお検討して更に努力をしていきたいというふうに考えております。
  237. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 分かりました。時間の関係もありますので、大臣答弁結構です。    〔委員長退席、理事武見敬三君着席〕  それで、続きまして局長にまたお伺いしたいんですけれども厚生労働省は十月十二日に、来年から導入される介護予防サービスやあるいは訪問介護サービスに、時間単位ではなくて月単位の包括支払報酬制、定額報酬制ですか、を導入する方針というものを社会保障審議会介護給付費分科会に示したというふうに聞いております。これ中身は、サービス利用の実態を踏まえて、複数のこの報酬を設定するということだというふうに聞いておりますが、もう少し具体的に、どういうふうになっていくのか、概要を説明していただければと思います。
  238. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) ただいまのお話につきましては、十八年四月から、状態の維持、改善可能性が高い方々対象といたしました介護予防サービスの提供が始まるわけでございます。その提供に当たりましては、明確な目標設定を行って、一定期間後にはその目標が達成されたかどうかを評価する目標指向型のサービス提供が必要であろうというふうに考えております。  そうした中で、ただいま御指摘のように、社会保障審議会介護給付費分科会の下に置かれましたワーキングチームにおきまして、本年八月に中間報告が出され、それを審議会の分科会に御報告したのが十月の十二日のことでございます。  その中で、この中間報告で言われておりますのは、介護予防通所介護あるいは介護予防の通所リハビリテーション等におきましては、時間単位の報酬評価というのは、目標指向型のサービス提供という観点から見た場合に、目標の達成とサービス提供時間が必ずしも相関するものではないことから、場合によっては柔軟なサービス提供を妨げるおそれがあるという御指摘。それから、これまでの要介護認定等の結果からすると、軽度者の方への支援の内容はある程度共通的なものが多くて、支援メニューの標準化が可能であることといったことから、月単位の定額報酬払いを導入することが適当ではないかという御意見をいただいたところでございます。  厚生労働省といたしましては、これを踏まえまして、来年四月の介護報酬改定に向けまして審議会の給付費分科会の御意見を承りながら検討をしていくというところでございます。
  239. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 これは副大臣に聞くことになっていたとは思いますが、要は、月単位の定額払いにした場合に、確かに柔軟なサービスを提供できるというメリットはありますけれども、不正防止の観点からすると、より、こういう言い方をしては語弊がありますが、不正がやりやすくなるんではないかという懸念もございますので、御見解をちょっと簡潔にいただきたいと思います。
  240. 西博義

    ○副大臣(西博義君) 今委員指摘のとおり、自由度が増して、その個別個別のプログラムといいますか、サービスをしていただくには大変便利な方式であると同時に、それだけに自由度がプラスの方に向けばいいんですが、マイナスの方に向いちゃうと御指摘のようなことも心配の部分があるということでございます。    〔理事武見敬三君退席、委員長着席〕  そのために、これは、これもまた分科会でいろいろ御議論いただいているんですが、今後できます地域包括支援センター、これは大変重要な役割を果たしていただくんですが、この介護予防のケアマネジメントでこれしっかりと見ていっていただくということとか、それから、サービス提供に当たって最低限の実施の手順といいますか基準、これを我々で策定をして、これだけは最低限というものを作っていくというようなことで、今後また検討していかなければいけない部分があると思います。我々としても、先生の御意見を踏まえて検討してまいりたいと思っております。
  241. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 しっかりよろしくお願いいたします。  続きまして、若年者の雇用対策関連で伺います。  まず最初に、若年者トライアル雇用についてでございますが、坂口前大臣のときに、私は利用者対象年齢を三十歳未満から三十五歳未満まで上げるべきであるということを提案をさせていただきまして、入れていただいて実現していただいて、昨年の十一月から三十五歳未満への拡大が実現しました。  そこで、今日まずお伺いしたいのは、この拡大をした、昨年十一月から三十歳から三十五歳未満の方々もこの若年者トライアル雇用を使えるようになったわけですが、今年八月までで結構ですけれども、累計で何人の利用者がこの年代でいたか、また、その終了者のうち常用雇用へ移行した方は何名いたか、教えてください。
  242. 鈴木直和

    政府参考人(鈴木直和君) 若年者のトライアル雇用、これの年齢の拡大でありますが、これ、昨年の十月から実施をしております。昨年十月から、それまで対象年齢が三十歳未満でありましたところを三十五歳未満ということで引き上げたところでございます。  その引き上げた部分についてのこれまでの間の実績でございますが、トライアル雇用の開始者、三十歳以上三十五歳未満の数でございますが、約六千七百名、そのうち終了者が約三千八百名になっております。この終了者のうち、約二千九百人強が常用雇用に移行しております。移行率としては七七%ということで、常用雇用に成果を上げているというふうに認識をしております。
  243. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 利用者が六千七百名、終了者はちょっと減って三千八百名ですが、そのうち七七%が常用雇用へ移行しているということで、大きな成果が出ているというふうに思います。  ただ、これは大臣に御質問になりますけれども、この若年者トライアル雇用の都道府県別のこのデータを見ますと、格差が非常に大きいわけですね。平成十三年十二月のこの制度発足から今年八月までの累計で各都道府県の数を見ますと、一番多いところは大阪府、七千七百九十三人、利用者ですね、利用者。福島県が、びっくりしたんですけれども、二位で六千三百三人、三位が新潟県で五千八百九十四人、四位が長野県で五千二百八十八人となっているわけでございます。  しかしながら、例えば大阪府と同じ人口規模の神奈川県では、三分の一以下の二千五百九十九人と。神奈川にも若者が大変多いはずなわけでございますが、実際には福島県よりも利用者が半分以下ということでございまして、やはり私、これ、各都道府県で、都道府県の労働局とかハローワーク等があるわけでありますが、取組に濃淡があるんではないかというふうに、どうしてもこの数字を見ると感じてしまうわけでございまして、そうしますと、取組の弱い県の若年者は不利益を被るということになってしまいますので、厚労省としてしっかり指導を改めてしていただきたいと思いますが、大臣の見解をお願いいたします。
  244. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 具体的にお述べいただきましたけれども、若者のトライアル雇用につきましては、御指摘のとおり、労働局によっては若年求職者の数に比べまして利用実績が少ないところがあることはそのとおりでございます。  様々なことを私どももこれまで実施をしてまいりまして、若年者トライアル雇用の利用実績が総体的には高くなっておるというふうに理解をいたしております。さらに、私どもは、積極的にトライアル雇用を活用しておる労働局の取組を好事例として収集整理いたしまして各労働局に提供するなど通じまして、全国的に利用を促してまいっております。  申し上げましたように、最近の利用実績を見ると、徐々に効果が出始めておると考えております。先ほど神奈川県のこともお話しいただきましたけれども、このところで言いますと、全国平均では二三%の伸びでございますけれども、神奈川県も五〇・七%の伸びというふうに大きく伸びておりますので、それはまあ元々が小さかったとおっしゃればそのとおりでありますが、このところ頑張って伸ばしてきておりますし、そのように、申し上げておりますように効果は出始めておると考えておりますので、更に努力をしてまいりたいと存じます。
  245. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 是非よろしくお願いします。  次はニート対策でございますが、厚生労働省は来年度の概算要求で新しい事業として、ニート等の自立を支援するための地域における体制の構築ということで十一億円を要求をしております。その中で、各地域地域若者サポートステーションというものを設置するということが初めて打ち出されているわけでございますが、これはどういうサービスをする機関なのか、お答えいただきたいと思います。
  246. 上村隆史

    政府参考人(上村隆史君) 今委員からお話のありました地域若者サポートステーション、仮称で要求しておりますけれども、これは、ニートといわれるような若者の職業的自立を進めるためには、地域におけます関係行政機関や教育機関の連携が図られた上で職業意識の啓発などの包括的な支援を継続的に行われるような、そういった仕組みが効果があるんではないかというふうに考えて、来年度の概算要求に盛り込んで要求を行っているところでございます。  具体的な内容といたしましては、各サポートステーションにキャリアコンサルタントや臨床心理士といったものを配置いたしまして、そこで心理的ケアも含めた専門的な相談を行う事業や若者の職業意識の涵養を図るような事業、それから、適正な支援機関への誘導や必要な支援が継続的に受けられるような一元的なフォローを行うような事業、そういった事業の実施を考えているところでございます。
  247. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 局長、一点だけ。  これ各地域に展開するって、地域サポートステーションなんですけど、どういう単位の地域にこれ置く予定なんですか。
  248. 上村隆史

    政府参考人(上村隆史君) 来年度の要求の中では、都道府県それから政令指定都市一か所にモデル的に置くということで、要求といたしましては六十四か所の要求をいたしているところでございます。
  249. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 これニート対策にかかわるNPO関係者等から非常に重要な政策だということで大きな期待が寄せられておりますので、しっかりとやっていただきたいと思います。  続きまして、同じくニート対策でありますが、今年度の新規事業として、若者自立塾というものが全国二十か所でスタートしております。私も今年の九月二十日に、東京都福生市にあります、NPO法人青少年自立援助センターが運営する若者自立塾を現地視察をさせていただきました。塾生は、二十歳から三十四歳までの男性十八名、女性三名で、全員が高卒という方々でございました。みんな合宿形式で、当然男女は住むところ分かれておりますが、そこのセンター住んで、中身はどうだったかといいますと、基本的な生活習慣を身に付けることから始まり、仲間づくりのサポート、企業内研修、資格取得講習、福祉体験、農業体験などをやっておりました。入塾期間は三か月ということで、目的は、ここを出た後に社会に参加をして就労することができる若者になるように支援をしていくということでありました。  副大臣に、今後も拡充すべきじゃないかということを言って聞こうと思ったんですが、時間がちょっとないので次の質問と一緒に答えていただきたいと思いますけれども、私、大変これすばらしい事業で、これから厚労省も拡大を来年度またしていくと思いますけれども、一点注文がありまして、それは、この事業の成果について、これ当然事後評価をしていかなければいけないわけですけれども、どうしても、数字でいいますと、修了者の就労率というところの数字で成功したかどうかというのを各事業所見ていくというふうに思うんですね。  ただ、私、訪れて思ったんですが、元々ちょっと引きこもり傾向にあるような若い、しかも年齢的にも三十代もおりますので、そういう人たちを三か月だけ入塾して、その後すぐじゃ本当に就労できるかというと、難しい面もあると思うんですね。  そこで、是非、この事業自体を評価する際に、一年とか一年半ぐらいの期間を置いてしっかり成果を見極めた上で評価をしていただきたいというふうに思いますけれども、御見解いただきたいと思います。
  250. 中野清

    ○副大臣(中野清君) ただいまいわゆるニート対策につきまして、特に若者自立塾について御質問ございましたけれども、この平成十七年度より、若者に対して、今お話しのとおり、合宿形式によるところの集団生活の中で、生活訓練とか労働体験を通じて職業人、社会人としての必要な基本的能力の獲得とか労働観の醸成を図り、働く自信と意欲を身に付ける訓練を行うと、いわゆる若者自立塾事業を実施しているところでございますが、今お話しのとおり全国二十か所で実施しているところでございますが、今年度の実施状況を踏まえましてこれを拡充したい。そういう意味で、平成十八年度の概算要求につきましては、全国、この倍の四十か所を要求しておりますものですから、まずこの点については御支援を願いたいと思うわけでございます。  また、今お話しの評価でございますけど、この若者自立塾事業の評価につきましては、訓練等を受け、三か月の合宿生活を終わった後、六か月間を経過した後におおむね七割の就労をすることを目的として、この結果を踏まえた事業の評価を行うということが取りあえず出てはございますけど、今御指摘のとおり、このニート施策に対してはいろんな困難な事情がありますし、またそう簡単に解決できるとは思えない面もあるわけでございまして、今議員がおっしゃるとおり、一年とか一年半とかという長期的な評価の必要性というものは感じておるわけでございます。  取りあえず、今年としましては、このニート対策第一歩でございますから、これに対して、新たに実現する事業であるということでございますので、この事業の円滑な実施と実施状況の把握に努めてまいりたいと思いますが、事業評価の在り方、支援の在り方等については、今年度の状況を踏まえてこの努力をしてまいりたいと思うんでございます。  御承知のように、先ほどお話しございましたいわゆる地域若者サポートステーションの事業と、それとこの自立若者、連動しておりまして、いろいろとそういう意味で、今までこのニート対策というものが具体的に一つのものがなかったと。それが今年度始めたわけでございますので、是非、今委員が福生市の若者自立塾をごらんになったというようなことを含めまして、これからもよろしく御支援を賜りたいと思います。
  251. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 ありがとうございます。  ちょっと次の局長への質問飛ばします、時間がないので。  それで、大臣に最後に要望をちょっとしたいんですが、実はこの二十か所の若者自立塾に入るのに利用者はお金が掛かるわけでございます。この福生のところもたしか二十七万円ぐらいのお金が掛かる。低所得者の方には減免した額というものがまた設定されていると理解をされておりますが、全国のいろんな施設で違いはあると思いますけれども、やはり何十万かのお金が、三か月合宿で住むわけですから当然といえば当然なんですが、掛かるということでございます。  そこで、大臣にちょっと提案をしたいのは、この私が視察をしたNPO法人の工藤理事長もおっしゃっていたわけでありますが、学校にいる方には奨学金という制度があるけれども、学校を卒業して社会でなかなか自分の自己能力を開発することができなくて、そしてニートになってこの若者自立塾に来るような方がお金を借りて自分を訓練するような制度が全くないということがありまして、当然、これは財源問題なので大変難しいわけでありますが。  例えば、既存の制度として技能者育成資金制度というものがあって、これは、公共職業訓練を受けている訓練生で、経済的な理由で訓練を受けるのが困難な方にお金を貸し付ける制度だと思うんですけども、例えば、この既存の制度の対象者、この制度を使える対象者の中に、この若者自立塾に入る方も入れてあげて、経済的な理由で若者自立塾に入りたいけど入れないという方々を支援することも検討した方がいいんではないかと。工藤理事長御自身は、就労育英基金みたいなものをどっかから財源引っ張ってきてつくって奨学金のように貸し付けるということをやっていただきたいということもおっしゃっていたわけですが、それが仮になかなか難しくても、既存の制度を活用してそういったことができないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  252. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 今、就労育英基金というふうにおっしゃいましたその御提案でありました。あるいはまた、既存の制度をというような、何か活用できる方法はないかというお話もございました。  こうしたこと、私どもも検討はいたしてみますけれども、率直に申し上げまして、例えば技能者育英資金制度の対象とするといったようなことを考えますと、公共職業訓練以外の訓練受講者に対する貸付制度を設けるということになりまして、訓練の期間でありますとか内容が多岐にわたっていることなど、一定の訓練基準に基づき実施をいたしております公共職業訓練と同様に扱うということになりますと、どうしても課題もございまして慎重にならざるを得ないと、慎重に対応すべきだということになってしまいます。  余り前向きのお答えにならずに申し訳ないんですけれども、私どもも検討はお話でございますからさせていただきはいたしますが、申し上げておりますように大変課題が多いと、慎重に研究する必要があるということを申し上げざるを得ないところでございます。
  253. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 分かりました。大臣の御答弁の中に若者自立塾以外にいろんな支援しているNPO団体等もあって、そういうのは非常に多岐にわたる内容だというのは理解をいたします。  大臣、ただこの若者自立塾に限って言うと、厚生労働省お墨付きの事業で、これから拡大をしていくわけでありますので、例えば今の既存の制度で支援することは難しくても、特別会計の見直し議論でまた雇用特会いろいろ俎上に上がっておりますが、そういった財源の一部を使ってちょっと支援することも今後研究をしていただきたいと要望をいたしたいと思います。  もう時間が大分、私ないんですけれども、ちょっとタクシーの乗務員の労働環境の改善の問題について二問ぐらい聞いて終わりたいと思いますが、タクシーは、平成十四年から規制緩和がされまして、大量増車などもありまして需給バランスが大きく崩れております。約四十万人いると言われているタクシー乗務員の皆さんの収入は大変落ち込んでいるわけでございますね。  厚生労働省からいただいた資料によりますと、タクシーの乗務員と全産業の労働者の年間収入格差というのはこの十何年間で物すごい拡大をしておりまして、具体的に申し上げますと、全産業の労働者の平均賃金は、平成元年で四百八十万、平成十六年で五百四十三万円と上がっているわけですが、タクシーの乗務員に限って言いますと、平成元年が三百七十一万、平成十六年は三百八万円と逆に落ち込んでおります。そうすると、全産業の労働者とタクシーの乗務員の年収格差は二百三十五万円となっておりまして、年間二千四百時間、乗務員の仕事をしながらも、賃金は平均的な労働者の約六割にとどまっているという指摘もあるわけでございます。  実は、ついでに申し上げますと、今タクシー乗務員の平均年収三百八万円と言いましたが、大阪市の夫婦と子供二人の生活保護世帯の年収は三百二十八万円でございまして、タクシー乗務員の平均年収を上回っているという、そういう深刻な状況にあるわけでございます。  そこで、最初の質問は、局長で結構ですが、それで、最低賃金法第五条に違反するタクシー事業者がこういう情勢の中であるんではないかということなんですが、その数が平成十四年規制緩和以来どの程度なのか、お伺いをしたいと思います。
  254. 青木豊

    政府参考人(青木豊君) 最低賃金法第五条で最低賃金額以上の賃金を支払わなければいけないということになっておりますけれども、それに対する違反につきましては、ハイヤー・タクシー業の自動車運転者について監督を実施した結果、平成十四年が六十二件、平成十五年が六十六件、平成十六年が八十六件でございます。
  255. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 若干でありますけれども増加傾向にあるということで、更にこれ大臣にあと一問聞いて終わりたいと思いますが、これは答弁要らない場所も含まれていますけれども、要するに、タクシーが昨年の十月から大口割引みたいなこともやり出しまして、関西の方面へ行くと、五千円以上掛かったらそこから先は半額とか、そういった制度が始まって、その結果、全部しわ寄せが乗務員に来てしまって、乗務員は、自分の実入りを確保するためには、今まで働いていた時間を更に超過して、ひどい人になると三日連続で徹夜で働くという。まあ、途中でどこかで寝ているんでしょうけれども、働くというようなこと、無理をして仕事をしないと暮らせない状況になってきていると。  その結果、この間も参議院の議員会館の前でまたタクシーの交通事故あったんですが、交通事故増えておるんですね。タクシーが第一当事者となった交通事故が、規制緩和前の一九九六年は一万八千七百六十三件だったんですが、二〇〇三年には二万四千六百八十二件で三二%増えていると。  そういうこともございまして、是非、国土交通省が所管している業界ではありますけれども、労働環境のことでいいますと厚生労働省も関係ありますので、是非、国土交通省と協議をした上でこの労働環境の改善に努めるべきではないかと思いますが、御答弁お願いします。
  256. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 今、最後にお話しいただきましたように、タクシー運転手の皆さんの労働条件の履行確保というのは私どもにとりましては大事な仕事でございます。したがいまして、重点的な監督指導も行ってまいりましたし、また、先ほどもお答え申し上げましたけれども、国土交通省との間で連絡調整会議を設けまして、法令遵守等に関する指導の在り方などについて今私どもも協議をいたしておるところでございます。  こうした努力を更に続けてまいりまして、今お話しいただきましたようなことのないように、といいますのは、事故などをしっかりやっぱり防がなきゃならないわけでありまして、事故などがないようにということでございますけれども、労働基準監督署とそれから地方運輸支局との合同による監督、監査の実施、相互通報制度の拡充などの方策について更に検討も進めまして、的確にこうした対策を実施することによってタクシー運転手の皆さんの労働条件の確保には取り組んでまいりたいと存じております。
  257. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 是非、しっかりやっていただきたいと思います。  以上で終わります。
  258. 小池晃

    ○小池晃君 日本共産党の小池晃です。  昨日発表されました医療制度構造改革厚労省試案についてお聞きをします。  後期高齢者の医療制度の創設というのがあるんですね。これによって被用者保険の被扶養者、扶養家族には新たな保険料負担が生じることになるわけですが、この新たな保険料徴収の対象となる被用者保険の被扶養者である後期高齢者というのは何人いるんでしょうか。
  259. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) 今回の試案におきまして、被用者保険の被扶養者で七十五歳以上の方につきましては、国民健康保険と同様に、個人で後期高齢者医療制度に加入していただきまして新たに保険料負担していただくということにしてございますけれども、その数は平成二十年度で約二百万人と推計してございます。
  260. 小池晃

    ○小池晃君 その後期高齢者一人当たりの保険料をお示しいただきたいと思います。
  261. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) また、この試案におきまして、加入者一人当たりの保険料につきましては、所得など被保険者の負担能力に応じました応能負担の部分と、それから加入者の受益に応じました負担となります応益部分の負担と、この両方から構成することとしてございますけれども、全体としては保険料総額が医療給付費の約一割になるように定めることとしてございます。  具体的な額につきましては今後の検討になるわけでございますけれども、制度発足当初、平成二十年度におきましては、後期高齢者に、現行制度の下において負担していただいている額と同程度となる一人当たりの平均年額で申し上げまして約七・二万円と、このように試算をしております。
  262. 小池晃

    ○小池晃君 七万二千円ですから月六千円になるわけですね。  国保やあるいは現役で働いている本人の方は今までも払っていたわけですが、家族であった場合は今まで払っていなかった。言わば世帯主というか、息子さんなり娘さんなりが報酬に応じて支払っていたわけですが、それとは別に月六千円掛かってくると。介護保険保険料と合わせると、これ月一万円という規模になってくるわけです。しかも、天引きだということが今回提起をされていますね。  大臣、お聞きしたいんですが、高齢者の年金から毎月一万円の保険料を自動的に差し引くようなことになっていくわけで、これは私、本当に年金制度の性格をゆがめるというか、高齢者の生活に非常に深刻な影響を与えることになるのではないかというふうに思うんですが、大臣、いかがですか。大臣にちょっと。もういいですよ。
  263. 岸宏一

    委員長岸宏一君) じゃ局長から答えて、その次に大臣にお答え願います。
  264. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) ただいま六千円ということで先生が引かれましたけれども、七万二千円と申し上げましたのは一人当たりの平均年額でございますので、当然ながら、所得が低い、低所得の方につきましては低い水準、特に軽減措置なども考えておりますので、単純にこれを全部の方が六千円増えると、月六千円増えると、こういうことではないということは一言申し上げたいと思います。
  265. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 今回の試案でお示しをいたしております新たな高齢者医療制度といいますものは、後期高齢者、すなわち七十五歳以上でございますけれども、こうした皆さんに加入してもらう独立の地域保険としてその一人一人を被保険者とします。被保険者でありますから、保険料の御負担もお願いするということになります。  この独立保険の仕組みは、一人当たり医療費が高い後期高齢者について、世代間の公平の観点から一人一人に申し上げたように応分の保険料をしていただきますとともに、高齢者の心身の特性や生活実態等を踏まえた高齢者にふさわしい医療サービスが提供されるように仕組むものでございます。  また、当然、保険料の賦課に当たりましては、低所得者の皆さんなどに対する軽減措置を講じるなど、高齢者にとって過大な負担にならないよう適切な配慮を行う必要があると、このことは考えております。
  266. 小池晃

    ○小池晃君 過大な負担にならないと言うけれども、別に収入変わらないけれども突然取られるようになるわけで、これ私、本当に深刻な問題だと思いますよ。しかも、そういう家族というのは、言わば本人が払っているわけですから、保険料、今までは。御家族の、御子息なりの収入に応じて払っているのに、そこにどかんと七十五歳以上になると追加負担が出てくるわけですから、これは本当に深刻な問題だと思うんです。軽減措置があるから大丈夫だなんという問題ではないと。  この問題、ちょっと一つの問題点として指摘をしたいのと、あと、この後期高齢者医療制度運営は市町村単位だというんですね。ここは何で、医療保険の再編統合は都道府県単位だという全体の方針出しながらここだけ市町村単位というのは、これは保険局長、御説明いただきたいんですけれども、矛盾していませんか。
  267. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) まず、保険者の再編統合におきまして、市町村国保そのものにつきましてまず広域化を進めると、できますことであれば都道府県単位に向けての広域化ということを進めたいということが前提でございます。そういった広域化をされました後の姿ということを思い浮かべながら、市町村に今回、後期高齢者の医療制度についての運営主体をお引き受けいただきたいと、こう思っているわけでございます。  その理由でございますけれども、現在でも後期高齢者の八割は国保の加入者でございまして、市町村が適用と保険料徴収を行っているわけでございます。特に保険料の徴収等の事務につきましては、住民に身近な行政主体である市町村に担っていただくことが適切であると私ども考えてございます。また、後期高齢者のうち、被用者保険の被保険者となっている方は二%にすぎないわけでございまして、ほとんど生活の大部分を地域で過ごしている方であるということがございます。  それから、給付の面で申し上げますと、介護サービスとの連携の下に個々人に着目した対人サービスを提供するというためにはやはり市町村が実施主体となることが適当であると、このように考えまして、試案では市町村を運営主体としたところでございますけれども、財政リスクにつきましては、国、都道府県が重層的な役割を果たすと、こういう仕組みを考えているわけでございます。  具体的にもう少し述べさせていただきますと……
  268. 小池晃

    ○小池晃君 もういいです。いいです。分かりました。
  269. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) 再保険、再々保険と、こういった支える仕組みを考えているところでございます。
  270. 小池晃

    ○小池晃君 いや、だから今の説明でもよく分からないんですよね。だって、わざわざ国保は県単位にするというのに、国保に入っている、大半が入っているところは市町村単位で新たに制度を組むというのは、ちょっとよく分からない。  それから、窓口負担引上げも提案されていて、二割から三割へと。七十から七十四歳の方は一割が二割になってしまうわけだし、現役並み所得者、三割になると。  大臣、これは大きな話としてお伺いしたいんですが、そもそも老人医療というのは、これは有病率が高い、受診頻度も高いという高齢者の特性があるからこそ現役世代に比べて窓口負担低くしてきたわけですよね。私は今の負担でさえ高過ぎると思うんですが、これ以上引き上げる、あるいは所得の高い部分について現役世代と同じにしてしまうというのは、余りにも老人医療の特性を無視した暴論ではないかというふうに思うんですが、大臣、ちょっとこういう問題についてはどう考えますか。
  271. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 大きく答えろというお話でございましたので、まず社会保障全体の最近の御意見、いろんな方、社会保障全体に対するいろんな御意見、あるいは福祉と言ってもいいのでありますけれども、お伺いしておりますと、やはり高齢者の皆さんを経済的弱者としてとらえるというかつての考え方というのは、今や必ずしも当てはまらないだろうという御意見が強いというふうに理解をいたしております。高齢者必ずしも経済的弱者ではないというふうにとらえて、全体の福祉を考えるべしという御意見が強いというふうに考えております。  特に今のことについて改めて申し上げますと、正に現役世代と同じ収入がある、数字は手元にございませんけれども、現役世代の収入と同じだけの収入がある方については、高齢者といえども現役世代と同じ負担をしてくださいということは、決して大きな、特に過度な負担を求めるものではないと私は理解をいたしております。
  272. 小池晃

    ○小池晃君 私の言っていることに答えてないですよ。  私が言っているのは、経済的問題を言っているんじゃないんです。経済的弱者が多いから軽減したということじゃなくて、これは老人医療の特性があるから、受診頻度が高い、有病率が高い、だからこそ軽減してきたじゃないかと。そこを無視して、幾ら所得が同じだからといって現役世代と同じにするというのは、老人医療の特性に着目した軽減制度という点から見れば、私は今までの議論と違うじゃないかと、そう言っているんです。どうですか。
  273. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 今の御質問に対しては、またそれぞれの御意見があるだろうというふうに思います。これまでの高齢者の皆さんの医療の在り方、それからまたそれに対する負担の在り方というのは、これまでも御議論があって、その中で一つの答えが出てきたというふうには思います。あるいは、今そうした中で答え出していく中で、今先生お話しになったような考え方もあってというのは、そのとおりであったのかもしれません。ただ、今改めてまた新しい制度をどう仕組むかというときに、今、私が先ほど申し上げたような御意見も強い。そうなりますと、やはり私どもとしては全体の支え合いの中で御負担を、能力のある方に御負担をお願いするということになるということでございます。
  274. 小池晃

    ○小池晃君 道理がないと思います。私、そういうのは公正とは言わないんです。老人医療の特性に照らしていえば、やっぱり負担軽減していくことこそ公正なやり方だというふうに思います。こういうやり方は、やっぱり逆に病人増やす、早期発見、早期治療を遅らせるという結果にしかならないと思うんです。  しかも今回、若年者も含めて自己負担限度額の引上げが出てきている。厚労省の資料でも、例えば、大動脈解離で医療費三千万円のケースは、現行の三十六万九千八百九十円が六十七万四千七百六十円、胃がんで百五十万円のケースで現在の八万四千八百九十円が十万四千七百六十円。ベースの数字が上がる上に、その後の上がり方が一%が二%になるという、これは非常に重いと思うんですよ、私。厚労省が示した、今、これ資料に出ているケースですよ、私が紹介したのは。いずれも激変なんですよ。  私、こういう非常に人生を左右するような重病の方に余りにも過酷な負担に、激変になるのではないかと思いますが、この点いかがですか。
  275. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) 患者負担の今回の試案によります影響についてお述べになったものだと思いますけれども、主として高額療養費制度の見直し影響を御指摘になったものだと思っております。  これにつきまして若干経緯を申し上げますと……
  276. 小池晃

    ○小池晃君 簡単で。
  277. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) はい。  平成十四年の健保法改正におきまして、月収の、月額の、月の限度額、これを二二%から二五%に引き上げたわけでありますけれども平成十五年から徴収する保険料について総報酬制が導入されましたということになりまして、この新しい総報酬を基礎とした月額の二三%に下がったものを二五%にするというのが一点。  それからもう一つは、その医療サービスを受ける方と受けない方の負担の公平を図る観点から従来一%の負担を更に求めていたわけでありますけれども、この公平を更に進める観点から一%引き上げて二%とすることをお示ししているところでありまして、大変大きい、例えば三千万円の医療費の方につきまして三十万円新たな御負担をお願いしたいと、このように考えているわけでございます。
  278. 小池晃

    ○小池晃君 制度の仕組み、説明、私が言ったの繰り返さないでほしいんですけれども。  こういう本当に深刻なときにこれだけ負担が増えるということを、私は、まあ言わば受難者ですよね、そういった方に受益者負担だという形で負担を押し付けるやり方は、これ撤回すべきだというふうに申し上げたいと思います。  それから、全体として医療給付費はこの厚労省試案でどれだけ減るんですか、患者負担はどれだけ増えるんですか。
  279. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) 今回お示ししました私ども試案の本案におきまして、短期的医療費適正化方策として挙げたものが四つございます。  一つは、七十歳以上の現役並みの所得を有する方の負担見直し、二割から三割に引上げということが一点、それから前期高齢者の負担を二割に統一すること、三番目に療養病床に入院する方の高齢者の食費及び居住費の負担見直し、それからただいまの高額療養費の見直しと、これを提案しているわけでありますけれども、こうした制度改革によりまして、平成二十年度におきまして患者負担は総額二千億円の増、給付費につきましては患者負担の増と医療費縮減効果を合わせた合計で約四千億円の減と、このように推計してございます。
  280. 小池晃

    ○小池晃君 患者負担増二千億、受診抑制で二千億、合計四千億、これ全体やっぱり患者負担増だと私は思うんです。  先ほど指摘ありましたが、健保組合の負担も二千二百億円増えて、保険料一人当たり八千円増える、患者負担も増える、一方で国庫負担は二千二百億円減ると。余りにも御都合が良過ぎるような仕組みではないだろうか。しかも、さらにその厚労省試案には保険免責制度というのがあって、先ほどから議論があります。これは、改悪健保法の附則にも百分の七十の給付割合は将来にわたり維持するというふうに書いてある。ところが、三割負担超えるわけですね。  大臣先ほどこの問題について言及を避けていらっしゃるんですが、私は、もしこの保険免責制度を導入すれば明らかに、国会での坂口大臣の、三割負担以上は取らない、あるいはその附則、これに反することになるというふうに思うんですが、大臣はそうした点も踏まえて議論をするって、これね、これじゃ答えになっていないんです。これどう考えたって、免責制度を導入すれば、これまでの厚労省の国会答弁やあるいは法律にも触れる事態になるんじゃないですか。その点についてちょっと明確に答えていただきたい。
  281. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) ですから、先ほども申し上げましたけれども平成十四年の健保法改正法の附則の「将来にわたり百分の七十を維持するものとする。」という規定があるということも申し上げましたし、また坂口大臣答弁もそのとおりでありますというふうに申し上げております。ですから、それはそれとして私どもが否定しておるわけではない、そのとおりでありますと言っております。  ただ、そういうこともありますけれども、今後どういうふうにしていくかという御議論は改めてしていただかなきゃなりませんので、その御議論をお願いしますということを申し上げておるところであります。
  282. 小池晃

    ○小池晃君 それ、無責任なんですよ。だって、これ提案しているんですから。これ明らかに今まで言っていることと違うじゃないですか。国会答弁にも法律にも違反する。これはどうなのかとはっきり言わなきゃ、それは駄目ですよ。無責任ですよ。これから議論をしてくださいなんて、そんな無責任なことで国会答弁は許されないと思います。
  283. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) ですから、私どもがこのたび試案として出しております私ども考え方の中にこれを入れておるものではありません。ただ、各方面の御意見の中にそういうものもありますから、それも併せて言わば御紹介申し上げて、御議論くださいということを申し上げておるだけでございます。
  284. 小池晃

    ○小池晃君 だから、厚労省としては、保険免責制度の導入というのは、やはり今までの国会答弁に照らして問題があるというふうに考えているんですね。
  285. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 先ほど来申し上げておりますように、答弁をいたしてきたことも事実ですし、健保法改正法附則に書いてあることもそのとおりであります。  それについて、私どもとしては、私どもはこう申し上げてまいりましたけれども、御議論をくださいと言っておることをもう繰り返し申し上げます。
  286. 小池晃

    ○小池晃君 今回の提案は付録みたいなのが付いていて、厚労省意見の後に各方面の意見というのが出ているんです。一般病床のホテルコスト問題、それから免責制の問題、診療報酬の二〇%カットと。もう本当にこういうことをやられたら日本の医療はもうがたがたになるというふうに私は思いますし、はっきりこれは、こういうことは厚労省としては容認できないということを言わなきゃ駄目ですよ。そうしなければ経済財政諮問会議の思うとおりのことになっちゃうんじゃないですか。私、そのことを申し上げたいと。  しかも、今の議論というのは、とにかく医療費どんどん下げろ下げろと、機械的に抑えろという議論が出されてきていますが、そもそも日本の医療費というのはどうなのか。これ、OECDの加盟国の中では対GDP比で十七位だというのはもうよく知られた話で、しかもその加盟国の中で最も高齢化が進行した国の一つが日本なんです。  私、大臣に基本的な認識として伺いたいんですが、国際的に見れば日本の医療費というのは決して高過ぎるということは私はないというふうに思うんですが、その点について簡潔に大臣の認識をお答えいただきたい。
  287. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 今、総額で言われました、十七位というふうに言われました。たしか、一人当たりの医療費は同じ比較で第七番目だったというふうに思います。比較の仕方もいろいろありますし、またそれによって、高いと言うか低いと言うかという言い方はいろいろあろうかというふうに思っておるところでございます。必ずしも低いというふうにも言えないというふうに思います。
  288. 小池晃

    ○小池晃君 いや、明らかに低いですよ、これは。  だって、その一人当たりの医療費というのは、経済レベルによってこれは大きく左右されるわけですよ。やっぱりその医療費の水準をどう見るかというのは、対GDP比で見るというのが私は一番自然な考え方だし、その中でいえば正に、低いというか、要するに中位ですよね、そういう段階にあるんだと。しかも、先ほど言ったように高齢化、進行しているわけですよ。  私、認識として、何かこのまま行くと医療費がどんどん増えて日本の経済も全部破綻するかのような経済財政諮問会議の民間議員の考え方、どう考えたって納得できないし、しかも、医療費伸び経済成長を超えてはならないと言いながら、結局給付費で対GDP比ということで削減迫ってくるというのは、これ結局、社会保障に対する大企業の税や保険料負担をできるだけ抑えたいという、そういう議論、方便にすぎないじゃないですか。こういう議論に乗っかっちゃっていいんですか。
  289. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 先ほど七位と申しましたけれども、九位の間違いでございました。訂正をさせていただきます。  今のお話でありますけれども、私ども経済財政諮問会議のそうした意見に対してくみしておるものではございません。いつも議論しておることはもう御承知おきいただいておるものと思います。  ただ、そうした総額で管理するというようなことに対する意見は私どもも申し上げておるわけでありますけれども、ただ、医療費を抑制しなきゃならないかどうかということについて改めて言われますと、私どもも抑制はしなきゃいけないというふうに言っておるわけでございまして、それがこのたびの議論になっておるわけでございます。  再三お話しのいろんなことはございますが、そういう御意見があることは確かでありますから、そういう御意見があることは確かでありますので、それを全く私どもが無視して議論してくださいということも言うわけにはまいりませんので、いろいろな御意見だけはちゃんと私どものこのたびの試案の中に御紹介申し上げて、御議論くださいということを申し上げておるところでございます。是非、御議論をいただきたいと存じます。
  290. 小池晃

    ○小池晃君 そういう御意見を一々盛り込んで、わざわざ最後に紹介して、こうやれば経済財政諮問会議の言うとおりにできますよなんということを示す必要ないじゃないですか。厚労省としてはこう考えると、それで何でいけないんですか。意見は勝手に言っていただければいいんですよ。そんなことで、こういうふうにすればこうなりますよなんと言ったら、もう思うつぼなんですよ。これ、土俵に乗っているんですよ。こういうやり方では駄目だと私思います。  しかも、この医療費の推計そのものがでたらめだという議論、この間もずっとありますね。私、二〇〇〇年の国民福祉委員会指摘しましたが、二〇二五年の医療費というのは百四十一兆円だと言っていたのがついに六十九兆円までなっているんですよ。そういうデータを基に将来の医療費推計やってこういう形になっている。  一方で、例えば日医総研の推計では、二〇二五年の国民医療費というのは五十八・六兆円だと言うんです。今の現行制度の給付率に当てはめると、これ給付費では四十七兆円なんですね。ということは、厚労省試案による二〇二五年の給付費四十九兆円ですから、日医総研の試算結果でいったらば、このまま行ったって、今厚労省が示しているところよりも低いところまで行くんだという、そういう結果を出しているんですよ。なぜかといえば、これは医療費伸びがどんどん下がっているということを反映すればそうなるんだという議論、あるんですね。  これ、私、しっかりこういう結果も出ているわけだから、やっぱり日本の、そもそもOECD加盟諸国と比べて決して高いレベルでないし、実際の伸びの数字だって、今までさんざん失敗して、結局半分の水準までなっているわけですからね。こういったことを根本的に見直すべきじゃないですか、この医療費の推計のやり方。
  291. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) かつての医療費の推計の仕方といいますか、推計そのものが大きく見込み違いであったことはそのとおりでございます。  ただ、最近の伸びというのは非常に見えておりますので、そのことで最近の、最近のといいますか、過去何年かの伸びを基にして推計いたしますとこのたびお示ししているような数字が出てくるわけでございまして、このところの医療費の三ないし四%の伸びというのは、これはもうずっとそのとおり伸びてきておりますから、今回お出しした推計は大きく狂うことはもう決してないということは申し上げられるところでございます。  したがって、そういう推計を基にして今私どもが私どもなりの試案も出し、また御議論をお願いしますと言っておるわけでございますが、いずれにいたしましても、かねて私が申し上げておりますマクロとミクロの接点をどうやって見付けるかということに尽きると思いますので、その作業をしっかりと私どももいたしたい。そのための御議論もお願いしたいと思っておるところであります。
  292. 小池晃

    ○小池晃君 最近狂っていないと言うけれども、給付費ベースで昨年五月の推計では、二〇二五年五十九兆円が今回の資料では五十六兆円になった。足下でも狂ってきているんです。やはりこういうでたらめな推計で国民の不安をあおるのはやめるべきだし、これだけ医療の構造改革とまで言うんであれば、やっぱり日医総研のこういう分析結果なんかも参考にして、改めてしっかり国民責任を持って示すべきだということを私申し上げたいと思います。  ちょっとほかにもいろいろあったんですけれども、一言言いたいのは、透析の自己負担限度額の水準について、もう今回試案に盛り込みましたが、先日、当委員会、十月十一日の紙智子議員の質問に対して、そういう一万円から二万円に引き上げることは検討しているわけじゃないというふうに大臣言ったのに、今回そこまで盛り込んだということに対しては、国会での答弁に照らしても非常に問題があるということで抗議したいというふうに思いますし、大体、構造改革という、どこが構造改革なのかと。構造改革という名前付ければ小泉さんが見逃してくれるとでも思ったのかもしれないけれども、全く医療の構造改革なんかじゃない。単に国民負担を押し付けるだけの中身でしかないというふうに私思いますので、この問題、これからも徹底的に追及させていただきたいというふうに思います。  終わります。
  293. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  まず、在日外国人の障害者への年金問題についてお聞きをいたします。  無年金障害者への給付法は、一部の無年金者を救済することとして成立いたしました。しかし、外国籍者は除外されております。こうした在日無年金障害者に対する支援体制をどのように考えていらっしゃるのでしょうか。
  294. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 昨年十二月に特定障害者に対する特別障害給付金の支給に関する法律が議員立法により成立をいたしまして、本年四月一日より施行となったところでございます。  この法律の給付金の対象となる方は、国民年金制度発足時には任意加入の対象とされていたけれども現在は強制加入の対象にされているという経緯の中で、国民年金制度がその対象としつつも、任意加入か強制加入かという加入形態の違いによって結果として障害基礎年金等を受給していないという、国民年金制度の発展過程において特別な事情が生じた方々となっておるところでございます。  一方、在日外国人につきましては、そもそも昭和五十七年一月前は制度の対象外となっていた方であり、給付金の対象となった方々とは事情が異なる面がありまして、特別障害給付金の対象とはされていないということでございます。  同時に、日本国籍を有していなかったため障害基礎年金等の受給権を有していない障害者が様々な御苦労を抱えておられるということも事実でございまして、特定障害者以外の障害者に対する福祉的措置につきましては、本法律の附則第二条の規定を踏まえまして、今後、立法府でありますとかその他関係者の方々の御意見や制度全体の整合性等に留意しながら検討していく問題であると考えておるところであります。
  295. 福島みずほ

    福島みずほ君 問題点はよく分かっております。  今日、厚生労働省にお聞きをしたいのは、この検討、第二条、今厚生労働大臣がおっしゃいました二条に、その結果に基づいて所要の措置が講ぜられるものとする、これが検討ということで附則にあります。厚生労働省はどのような検討を行っているのか、それについて答えてください。  日韓のアジア局長会議で毎年毎年、無年金の在日韓国人障害者、高齢者もそうですが、無年金問題が毎年アジア局長会議で問題になっております。私が今日お聞きしたいのは、厚生労働省としてどうしていかれるか、それについての決意をお聞かせください。
  296. 渡邉芳樹

    政府参考人(渡邉芳樹君) 一部繰り返しになりますが、大臣からの答弁にもありましたように、この附則に基づきます立法府におかれます御検討、こういったところも踏まえながら、私どもとして、政府としての検討についても考えてまいりたいというふうに考えておりますが、今御指摘の日韓の政府間の協議の中でこの話題が出ており、以前御指摘もあったところでございますが、私どもも、厚生労働省当局も今度は参画させていただいてお話し合いをさせていただき、こちらの状況等について御説明をさせていただいているところでございます。
  297. 福島みずほ

    福島みずほ君 おっしゃるとおり、日韓のアジア局長会議厚生労働省は参加をしていらっしゃいます。ここで問題になっているテーマ、無年金の在日韓国人障害者及び高齢者問題については、資料を読みますと、議事内容で問題とされております。  厚生労働省としてはこれについてどのような対策を具体的に取られていらっしゃるんでしょうか。検討されていらっしゃるのか、汗をかいていらっしゃるのか、是非教えてください。
  298. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 先ほど来同じ答えを私もいたしましたし、局長も申し上げましたけれども、お尋ねになりますと同じことを繰り返すことになります。  いろいろな御意見ございます。そうした御意見を踏まえながら今後検討していく問題だというふうに考えておるところでございます。
  299. 福島みずほ

    福島みずほ君 二〇〇四年十二月九日の第十三次日韓のアジア局長会議で問題になり、厚生労働省出席をされています。だからこそ厚生労働省としては、附則の検討にもありますので、具体的に前向きに検討していただきたい。  大臣、戦後六十年という問題もこれあり、在外被爆者の点は若干ですが少し進行したというふうに、これは心から感謝をしております。この点について是非進めていただきたいが、いかがですか。この在日外国人の障害者の年金問題についてです。
  300. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 申し上げておりますように、検討いたしておることでございますから、引き続き検討いたしてまいります。
  301. 福島みずほ

    福島みずほ君 今年も日韓のアジア局長会議が開かれ、厚生労働省出席をされると思います。その場面で、検討していません、あるいはこれから検討しますというのでは情けないので、是非一歩進めていただきたいと考えます。  食い下がって済みませんが、どうですか、もうちょっと前向き答弁をお願いします。
  302. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 再三同じ答えになって申し訳ないんですけれども、検討いたしておるわけでございますから、今そして具体的な答えがあればお答え申し上げますけれども、まだ検討のさなかでございますから、しっかり検討しますということをお答え申し上げておるところでございます。
  303. 福島みずほ

    福島みずほ君 じゃ、また後日聞きますので、是非よろしくお願いします。  障害者自立支援法には国籍条項がないので、外国籍の方も対象となり得ると、無年金障害者方々にとって、所得保障がないのに一割負担が生ずるという問題が起きます。これについても是非対応を考えていただきたいと考えます。  次に、BSEについてお聞きをいたします。  今日、他の同僚議員も質問をされていらっしゃいましたが、新聞報道に大変危惧を感じております。アメリカで特定危険部位をすべて除去しているかどうか、改めて教えてください。
  304. 松本義幸

    政府参考人(松本義幸君) 米国においては、法的に特定危険部位の除去というのは三十月齢以上ということになっています。そういうこともありまして、アメリカから日本に輸出する場合には、米国での国内対策に上乗せして、すべての牛から特定危険部位は除去するということ、またその牛肉は、二十月齢以下の牛由来のものであるということを輸出プログラムとして上乗せするということでございます。そういうものと、我が国で流通している牛肉の安全性が同等であるかを食品安全委員会に今諮問して評価をお願いしているというところであります。
  305. 福島みずほ

    福島みずほ君 以前にもお聞きしましたが、改めて、トレーサビリティーがないアメリカにおいて、生後二十か月以下の牛の月齢をどう判断されるか、教えてください。
  306. 松本義幸

    政府参考人(松本義幸君) 米国の輸出プログラムの中には、二十月齢というのを確認する方法が幾つかございまして、一つは、我が国も取っておりますけれども、個別識別という、牛の戸籍といいますか、それが分かるのがあると。あとは、米国等でいろいろ議論されて、専門家で議論していただいたのは、骨の骨化度あるいは肉質ということで、アメリカの分類でいえば、A40という分類であれば二十月齢以上が入ってくることはほとんどないだろうと、それは月齢の確認ということに使えるということで、日米の専門家として一応使えるという評価をいただいたと、これは今年の二月にそういう評価をいただいたと、そういう状況であります。
  307. 福島みずほ

    福島みずほ君 特定部位除去につきましては、牛の解体がずさんだという指摘は以前からあります。それから、アメリカは全頭検査もなければトレーサビリティー、牛の総背番号制もないわけですから、結局、骨格やいろんなので二十か月以下かどうかを判断すると大変危険だというふうに考えております。  今年六月にアメリカで二頭目のBSE感染牛が確認されてから、台湾、インドネシア、フィリピン、タヒチ、ルーマニア、パナマが米国牛の輸入禁止をいたしました。日本がなぜ輸入再開の方針を出そうとしているのでしょうか。
  308. 松本義幸

    政府参考人(松本義幸君) 日本は、十五年の十二月に米国でBSEが発生して、それ以来、米国からの牛肉は止めております。  その後、米国の方から、こういういろいろ手続なりやるのでということで申出がありまして、それについては我が国と同等の安全性が保証される必要があるということで、それについて米国の方が具体的に、例えば米国の輸出プログラムという具体的な措置を言ってきましたので、そういう措置をとったとして、それと我が国と同等であるかということについて評価をいただいておると。これは、そういう貿易事でありますので、向こうから言ってきて、ただそれを拒否できないと。  ただ、少なくとも、そういう食の安全ということでございますので、科学的合理性に基づいて、国民の健康の保護を大前提といたしまして、向こう、アメリカがいろいろ具体的な措置をやって日本に輸出したいというその肉と、牛肉の安全性が我が国と同等であるかということを科学的に評価をしていただいて、その後に判断するということで考えておりまして、それで現在、食品安全委員会の方に評価をお願いしているというところであります。
  309. 福島みずほ

    福島みずほ君 日本の制度とアメリカの制度は違いますから、日本と同程度ということは科学的にあり得ないというふうに考えています。しかも、法改正が必要ではありませんから、国会が閉会した後に私たち国会議員はアメリカの牛肉の輸入が決まったということを報道や様々な点で知ることもあり得るわけです。  今日、私は、食品安全委員会が客観的、中立的に判断をされることを本当に期待をいたしますが、牛肉の輸入に関して全頭検査もトレーサビリティーもないアメリカの牛肉を、他の国は全面禁止をしているにもかかわらず、日本がよもや解禁をされないようにと強く要望をいたします。  次に、靖国問題についてお聞きをいたします。  公式参拝が、首相の参拝が問題となっておりますけれども、一つお聞きをいたします。  厚生労働省の、戦後の厚生労働省と靖国神社の関係ということでは、かつて国会でも質問が出ております。昭和三十一年四月十九日、厚生省引揚援護局長名で靖国神社合祀事務に対する協力についてという通達が出ております。事務協力についての基本観念、靖国神社合祀事務の推進に協力するという通達が出ております。  政教分離ということであれば、合祀に関して厚生労働省が名簿を提出する、それに関して通達が出ていて、合祀事務の推進に協力するという通達を厚生労働省局長名で出しています。これは、一宗教法人、特別な宗教法人に対して厚生労働省が協力をするという形に明確に通達でなっております。これは問題ではないか。  現に今、生きていた人が合祀をされて、自分は生きているということで問題になったケース、あるいは韓国の遺族、子供が、自分のお父さんが靖国に合祀されていることを知って今裁判が起きているということもあるわけです。あるいは、A級戦犯の合祀については、厚生労働省がその名簿を提出した、こういうことでよろしいでしょうか。  二つのことを聞いて済みませんが、この点は政教分離から問題があるのではないか。いかがでしょうか。
  310. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 厚生労働省は、旧軍の人事関係資料等を保管をいたしております。そういうふうに保管しております。従前は、靖国神社を含め、戦友会等の団体でありますとか、あるいは遺族の皆さんなどから戦没者に関し調査依頼があった場合には、一般的な調査回答の業務の一環として対応しておりましたけれども、現在では、個人情報保護の観点から、関係遺族等以外には調査回答しないことといたしておるところでございます。  したがいまして、今申し上げておりますことは、従前は、靖国神社だけでなくて、いろんな団体、御遺族などから調査依頼が来ますとお答えを申し上げていたという時期があったことはそのとおりでございます。そういうものとして、一般的な調査回答の業務の一つとして対応してきたものでございまして、そのことを改めて申し上げております。  ただ、それが合祀するとかしないとかというのは、これはもう神社の御判断でございまして、私どもが何かを申し上げたものでは全くございません。
  311. 福島みずほ

    福島みずほ君 遺族について厚生省が戦後問い合わせに応ずる、これは構わないわけです。遺族会の問い合わせに答える、これも構わない。しかし、政教分離が、規定がありますので、特別な宗教法人、例えば歴史上、戦前は国家神道であったという問題を持っている宗教法人に対して名簿を提出する、しかも通達を出して明確に、ここにありますが、靖国神社合祀事務の推進に協力すると書いてあるわけです。名簿を提出するんではないんです。昭和三十一年の通達、靖国神社合祀事務に対する協力についてという、これは通達です。これは、厚生労働省が戦後名簿を出し、しかも合祀事務の推進に協力する。これは、遺族に対して答えるというレベルではありません。  私が何を問題にしているかというと、戦前、政治と靖国神社が一体だった、分離していなかった、戦後もそういう形で厚生労働省が協力したことは、政教分離上問題がなかったかという質問です。
  312. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 最初に大槻審議官答えて、それで後から大臣お答え願います。
  313. 大槻勝啓

    政府参考人(大槻勝啓君) ただいま大臣から御答弁申し上げましたように、厚生労働省においては旧陸海軍の軍人軍属等の身上記録を保有しておるということで、団体、個人等々問わず、一般国民、団体等から軍人の履歴等につきまして各種照会が多数戦後あったわけでございます。これについては、私ども援護行政におきまして回答するということが重要な業務、本来業務であったわけでございます。  そういった中で、先ほど大臣お話ございましたように、靖国神社からもそういう御照会が多々あったと。それに対して昭和三十一年、御指摘のその通知を現に発出をいたしまして、その事務手続等につきましては、効率的に進めるという観点から、事務を統一的に進めるという観点から処理をさせていただいたものでございます。  あくまで援護行政で行っておりました旧軍人の履歴、身上記録に対する調査があった場合の一般的な回答と、この回答の事務の一環として進めてきたわけでございまして、そういった意味では、正に私ども本来の行政の課題、なすべきことをやってきたというふうに考えておるところでございます。
  314. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 大臣いいですか。
  315. 福島みずほ

    福島みずほ君 いいです、いいです。時間がないからいいです。  では、お聞きをいたします。  昭和六十年十一月六日、予算委員会の回答、野田哲さん、これ社会党の国会議員の質問に対して、「遺族援護の事務を三十一年の通知で合祀事務と言ったのは不適切であったと認めざるを得ません。」、国務大臣答弁です。「憲法に照らしても違憲の疑いがあるようなことはあってはならないので、昭和四十六年にすべての通知を廃止いたしました。」と答弁しています。これは生きているわけですね。  なぜ今日問題にしているかというと、靖国参拝の政教分離が裁判で問題になりました。しかし、戦後の厚生業務として政教分離上問題があったのではないか、これはやはり確認したい、そういう思いから質問をしております。昭和三十一年通達は、はっきり合祀事務の推進に協力するとなっています。  では、逆にお聞きします。昭和四十六年にすべての通知をなぜ廃止したのか、あるいは昭和六十年十一月六日のこの大臣答弁は生きているんでしょうか。
  316. 大槻勝啓

    政府参考人(大槻勝啓君) 御指摘のように、昭和三十一年の先ほど引用されました通知につきましては、昭和四十六年に廃止をいたしております。その理由といたしましては、今、大臣答弁のことを、当時のことを紹介いただきましたけれども、その通知の中に合祀事務という言葉が入っていると。あるいは、私どもが回答、靖国神社に回答する場合に戦没者個人ごとのカードにいろいろ所要事項を記入して回答するんですが、そのカードの名前が、その通知上、祭神名票というふうに記載をされておりました。  そういった点につきまして、言葉として不適切ではないかという御指摘もあり、確かに不適切だということで、そういうことも踏まえまして、当時その関係通知を廃止をいたしまして、新たに、靖国神社にということだけではなくて、靖国神社も含めて多くの団体、遺族等からそういった御照会があった場合に一般的な回答方針を定めまして、引き続きそういった依頼があった場合には回答をしていこうということで新たな方針を定めたものでございます。
  317. 福島みずほ

    福島みずほ君 ちょっと突っ込んで聞いて済みませんが、A級戦犯の合祀に関しては、靖国神社側から言われて名簿を出したのか、厚生労働省の側がこれを出したんでしょうか。
  318. 大槻勝啓

    政府参考人(大槻勝啓君) 御指摘のいわゆるA級戦犯と言われる方々に係る資料につきましても、これは靖国神社の方から、こういった方々につきましての援護法における弔慰金でありますとかあるいは遺族年金でありますとか、こういったものの裁定状況についての調査依頼がございまして、これに応じて資料提供を行ったという経過がございます。この資料提供につきましても、あくまでも一般的な調査回答業務の一環として行ったものでございまして、あくまで遺族の援護事務として進めたものでございます。
  319. 福島みずほ

    福島みずほ君 私は、昭和三十一年の靖国神社合祀事務に対する協力についてという通達は、政教分離上違憲の疑いが極めて強いというふうに考えます。かつて大臣がそのように答弁しているとおり、もっと言えば違憲ではないかというふうに考えます。  その意味で、戦後の厚生省がこの問題に関してかかわったことの政教分離上の問題点についてはもっと議論されるべきであるというふうに考えます。  次に、アスベストについてお聞きをいたします。  大臣が非常に機敏にいろいろ頑張って動いていらっしゃることには感謝をいたします。  ところで、疫学的な調査が大変必要だと考えますが、クボタの例などについて、地域住民を含めて疫学的な調査をすべきではないか。これは昨日大臣答弁して、考えてみたいと思いますと答弁されていらっしゃいますが、今日一歩突っ込んで答えてください。お願いいたします。
  320. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 今、アスベストに起因するとされる健康被害について、周辺住民の方々に対することをどうするのかと、工場周辺にお住まいの方々の健康に対する不安についてもどうするのかということのお尋ねでございますけれども、これはもう昨日もお答え申し上げましたように、まず真摯に対応してまいる、これはもうそのとおりにしなきゃならないというふうに考えておるところでございます。まず、いずれにいたしましても病気の早期診断、早期治療の実現ということが一番肝心なことでございますので、それに向けての私どもは取組を更に進めてまいるということを申し上げておるところでございます。  恐らく、具体的にどうするんだということを今答えろと言っておられるんだと思いますが、そこのところにつきましては、私どもも今、早急にこのことについては対応しなきゃならない、それからまた新法もつくらなきゃならないというふうに考えておりますし、申し上げておるところでございますので、検討させていただきたいということを申し上げております。
  321. 福島みずほ

    福島みずほ君 概算要求について、あるいはどういう積算をするかについても、住民にどのような被害が生じているかという疫学的調査が不可欠だと考えます。それなくして予算請求はできないと。その意味で、是非クボタでも、多分一番いいと思いますが、全国各地で問題になっているところに関して、例えばモデルケースとして疫学調査をやっていただきたいと思います。  ところで、平成二十年にというか、平成十九年四月一日から前倒しでアスベストの輸入、製造、使用を認められている製品について全面禁止をするやに聞いております。素朴な疑問です。なぜ極めて例外的な場合を除いてすぐに全面禁止、例えば三か月後に全面禁止というふうなことがなぜ、即時全面禁止がなぜできないのでしょうか。是非これはお願いいたします。
  322. 青木豊

    政府参考人(青木豊君) 今、原則禁止という状況になっております。これは今でも、原発でありますとか化学プラントでありますとか、どうしても、液漏れでありますとか爆発のおそれがあるというような場合には、その代替品がなかなかないということで一部認めているわけであります。我々の調査では、平成十四年段階で使われておりましたうちの九八%は現在も、この時点では禁止をされているというふうに理解をいたしております。その残りの部分につきましても、これはもう全面禁止をしていこうという考えで検討をしているところであります。  それで、こういったところについてかなり、技術的には安全であるかどうかですね、そういったところをもう使わなくていいのか、あるいは代替物が本当にあるのか、あるいはない場合にそれを止めていいのかと、そういったことも十分検討しなくちゃいけないと。そういうことで専門家に集まっていただきまして検討していただいて、その結論が来年一月ぐらいに、順次いろいろやっていただいておりますので、出していただくと。  さらに、その後、これは製造・輸入禁止ということでありますと、WTOの通報でありますとか、国際的なそういう意味では責任を果たさなくちゃいけないということで、そういった所要の手続がございますので、過去の例を見ますと、これが三年近く実はそういうことを決めてから掛かっておるものですから、相当決めても時間が掛かるということでありますが、私どもとしては、そういった手続もできるだけ並行的に進めて、かつてのような三年掛かるというようなことではなくて、十八年度中には何とか措置をしたいと、そういうふうに考えているところでございます。
  323. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 福島さんに申し上げます。  時間が過ぎておりますから、最後に許します。
  324. 福島みずほ

    福島みずほ君 はい、分かりました。ありがとうございます。  これは是非一刻も早くもっと促進してくださるよう要望し、ノンアスベスト社会を早くつくるよう要望して、質問を終わります。
  325. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 本日の調査はこの程度にとどめます。     ─────────────
  326. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 次に、労働安全衛生法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。尾辻厚生労働大臣
  327. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) ただいま議題となりました労働安全衛生法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  働き方の多様化が進む中で、製造業等における重大な労働災害の頻発、長時間労働に伴う脳・心臓疾患や精神障害の増加など労働者の生命や生活にかかわる問題が深刻化しています。  こうした問題に的確に対処していくため、政府といたしましては、必要な施策を整備充実するための労働安全衛生法等の一部を改正する法律案を第百六十二回国会に提出いたしました。同法案は、審議半ばで衆議院の解散に伴い廃案となり、成立を見るに至りませんでしたが、一刻も早くその実現を図るため、ここにこの法律案を提案し、御審議を願うこととした次第であります。  次に、この法律案の内容につきまして、概要を御説明申し上げます。  第一に、労働安全衛生法の一部改正であります。  事業者の自主的な安全衛生活動の促進、危険・有害な化学物質の表示制度の改善、製造業等における元方事業者による作業間の連絡調整の実施など事業者による措置の充実を図るとともに、医師による面接指導の実施等により過重労働・メンタルヘルス対策の充実を図ることとしております。  第二に、労働者災害補償保険法の一部改正であります。  複数就業者の事業場間の移動、単身赴任者の赴任先住居と帰省先住居の間の移動を、通勤災害保護制度の対象とすることとしております。  第三に、労働保険保険料の徴収等に関する法律の一部改正であります。  事業の期間が予定されている事業である有期事業に関し、事業場ごとの災害率により保険料を増減させるメリット制について、その増減幅の上限を百分の三十五から百分の四十に拡大することとしております。  第四に、労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法の一部改正であります。  全労働者一律の目標に向けた労働時間の短縮を図る法律から、労働者の健康や生活配慮した労働時間等の設定に向けた関係者の自主的な努力を促進する法律に改めるとともに、指定法人を通じた助成等の仕組みを廃止することとしております。  なお、この法律は、一部を除き、平成十八年四月一日から施行することとしております。  以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  328. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。     ─────────────
  329. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 次に、労働安全衛生法の一部を改正する法律案を議題といたします。  発議者浅尾慶一郎君から趣旨説明を聴取いたします。浅尾慶一郎君。
  330. 浅尾慶一郎

    委員以外の議員(浅尾慶一郎君) 労働安全衛生法の一部を改正する法律案趣旨説明。  労働安全衛生法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  二十一世紀の我が国をすべての国民が健やかで心豊かに生活できる活力ある社会とするため、健康増進法等により国民の健康の増進のための対策が種々講じられております。  しかし、歯科保健対策については、学校保健、老人保健、地域保健等の分野では健康診断における歯科健診の実施等一定の対策が取られておりますが、雇用者を対象とした産業保健の分野においては、有害業務における歯科健診が事業者に義務付けられている以外はほとんど講じられていないのが現状でございます。  国民が人生の半分近くを過ごす産業保健の分野で、歯科保健対策を充実しなければ、学校保健によって培われた歯の健康は損なわれますし、お年寄りに対する歯科保健対策は手後れのものになってしまいます。  こうした現状にかんがみますと、産業保健を含めた国民のライフステージ全般にわたって歯科保健対策を講じることが、国民の健康増進のみならず、歯科医療費抑制の観点からも急務であると考えるところです。  そこで、民主党の議員立法として、産業歯科保健対策を整備充実するための労働安全衛生法の一部を改正する法律案を第百六十二国会に提出いたしました。同法案は衆議院の解散に伴い廃案となり、成立を見るに至りませんでしたが、一日も早くその実現を図るため、ここに改めてこの法律案を提案し、御審議を願うこととした次第であります。  次に、この法律案の内容につきまして、概要を御説明申し上げます。  第一に、事業者の行う一般健康診断における歯科医師による健康診断の実施であります。  事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、歯科医師による健康診断を行わなければならないこととします。  第二に、歯科医師による保健指導の実施であります。  事業者は、右の歯科医師による健康診断等の結果、特に健康の保持に努める必要があると認める労働者に対し、歯科医師による保健指導を行うように努めなければならないことといたします。  第三に、産業歯科医の法定化等であります。  事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、厚生労働省令で定めるところにより、歯科医師のうちから産業歯科医を選任し、その者に労働者の健康管理等を行わせなければならないこと等といたします。また、産業歯科医に関し、労働者の健康管理等を行うのに必要な歯学に関する知識について厚生労働省令で定める要件を備えた者でなければならないこととすること等現行の産業医と同様の規定の整備を行うことといたします。  第四に、労働衛生指導歯科医の配置であります。  都道府県労働局に労働衛生指導歯科医を置き、都道府県労働局長による臨時の健康診断の実施の指示等の事務に参画させることといたします。  なお、この法律は、平成十八年四月一日から施行することとしております。  以上がこの法律案趣旨でございます。  何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  331. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時九分散会