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2005-10-12 第163回国会 参議院 厚生労働委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十七年十月十二日(水曜日)    午後一時三分開会     ─────────────    委員異動  十月十二日     辞任         補欠選任      紙  智子君     小池  晃君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         岸  宏一君     理 事                 国井 正幸君                 武見 敬三君                 谷  博之君                 円 より子君                 遠山 清彦君     委 員                 坂本由紀子君                 清水嘉与子君                 田浦  直君                 中島 眞人君                 中原  爽君                 中村 博彦君                 西島 英利君                 藤井 基之君                 水落 敏栄君                 朝日 俊弘君                 家西  悟君                 島田智哉子君                 下田 敦子君                 津田弥太郎君                 辻  泰弘君                 森 ゆうこ君                 鰐淵 洋子君                 小池  晃君                 福島みずほ君    事務局側        常任委員会専門        員        江口  勤君    参考人        社会福祉法人桑        友統括施設長   武田 牧子君        日本難病疾病        団体協議会代表  伊藤 建雄君        日本ALS協会        会長       橋本  操君          橋本参考人陳          述補佐人   金沢 公明君          橋本参考人陳          述補佐人   橋本佳代子君        特定営利活動        法人大阪障害者        センター事務局        長        塩見 洋介君        ピープルファー        ストジャパン会        長        小田島栄一君         (小田島参考人          陳述補佐人) 日高真己子君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○障害者自立支援法案内閣提出)     ─────────────
  2. 岸宏一

    委員長岸宏一君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、紙智子さんが委員を辞任され、その補欠として小池晃君が選任されました。     ─────────────
  3. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 障害者自立支援法案を議題とし、参考人方々から御意見を聴取いたします。  本日御出席いただいております参考人方々を御紹介申し上げます。  社会福祉法人桑友統括施設長武田牧子参考人でございます。  日本難病疾病団体協議会代表伊藤建雄参考人でございます。  日本ALS協会会長橋本操参考人でございます。  特定営利活動法人大阪障害者センター事務局長塩見洋介参考人でございます。  ピープルファーストジャパン会長小田島栄一参考人でございます。  以上の五名の方々でございます。  この際、参考人方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多忙中のところ、当委員会に御出席をいただき、誠にありがとうございます。  参考人皆様から忌憚のない御意見をお述べいただきまして、本案の審査参考にさせていただきたいと存じますので、よろしくお願いを申し上げます。  次に、議事の進め方でございますが、まず、参考人皆様からお一人十五分以内で順次御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。  なお、参考人質疑者とも発言は着席のままで結構でございます。  それでは、まず武田参考人にお願いいたします。武田参考人
  4. 武田牧子

    参考人武田牧子君) 島根の精神障害者社会復帰施設を運営しております社会福祉法人桑友武田牧子と申します。本日は、障害者自立支援法案への意見陳述を述べる機会を与えていただき、深く感謝しております。  最初に、資料説明をさせていただきます。  A3の資料一を中心意見を述べさせていただきます。  厚い資料は私ども活動紹介資料です。資料作成に手間取り、事務局印刷をお願いしたところ、参議院はカラー印刷ができないそうで、とても残念です。読みにくいことをおわびします。  資料三は、知的障害者支援者三田優子先生が共同研究された資料を簡単にまとめたものです。私は、長期入院精神障害者固有課題だと思っていましたので、知的障害者入所施設で同じような課題があることを知ったときは大きなショックを受けました。それが今日の施設解体論に発展しています。同じ課題ですので、参考資料として配付させていただきました。  資料四は、愛知県半田市で、正に障害程度によらず、暮らしたい地域で暮らす地域住民との共生社会を目指し実践をしている社会福祉法人むそうの戸枝氏の行動援護類型提案資料です。彼は、現場を抱えながらも、障害者自立支援法案がなぜ必要なのか、説明全国を駆け回っています。重度知的障害者地域支援するには行動援護がどうしても欠かせない、もっと良くするための提案を託され、精神障害者も同じ課題があり、是非御検討いただきたく資料を配付させていただきました。  以上、四部の資料をお手元にお届けしています。  私は、昭和五十三年から十年間精神病院に勤務した後、病院を退職し、くしくも精神保健法施行と同期の昭和六十三年七月、働きたいという患者さんの思いを実現しようと喫茶店を開店し、精神障害者とともに地域で十九年間歩んでまいりました。障害者自立支援法案について、三十年近く精神障害者支援に携わり、この法案成立を待ち望んでいる者の一人です。  まず、どうしてもお話ししたいのは、精神障害者施策悪循環の歴史です。  資料一、左上の図をごらんください。東大の精神科医だった呉秀三は、大正八年、精神病者私宅監置の実況及びその統計的観察の論文で、この病を受けたる不幸の上に、この国に生まれたる不幸を重ぬるものと言うべし。精神病者救済保護は実に人道問題にして、我が国目下の急務と言わざるべからずと述べています。しかし、残念ながら、救済保護もなされなかったのです。  時を経ること半世紀昭和四十三年、時の政府から精神病院実態調査の依頼を受けたクラーク博士は、日本における地域精神衛生WHOへの報告の中で、中央上段の表にある勧告を行っています。時の政府勧告を棚上げし、昭和五十九年、看護者による患者リンチ殺人事件という宇都宮病院事件が発覚し、その後、次々と精神病院の不祥事が明らかになりました。当時の医師会長精神病院経営者牧畜業者と非難しましたが、それほどひどい状況にあったことも事実です。そうした事件が契機となり、やっと重たい腰を上げた政府は、法律名称を改正し、若干の修正で五年ごとに法改正しましたが、精神障害者が望む精神医療改革にはいまだ至っていません。  呉の提言から一世紀に及ぶ精神障害者の置かれた状況がやっと悪循環の鎖を断つ本当改革の兆しとなるのが今回の法案です。公の場で、同じテーブルで精神障害者支援が議論され、今回の自立支援法案を目の当たりにしたとき、正直、この仕事に携わって良かったと感慨深いものがありました。  生まれようとしているこの法案は、五つの改革ポイントが示されています。改革にふさわしい良い点がありますが、しかし定率負担などデメリットばかり批判が集中し、障害者自立阻害法案などという批判には正直悲しい思いを抱いています。私は、自立支援法案の中で、これは使えるぞ、みんなの夢や希望を少しでも実現する手伝いができそうだと考えている部分について意見を述べさせていただきます。その上で、やはり政省令で手直ししていただきたい部分について要望を述べさせていただきます。  まず、福祉サービス制度の一元化は、他の障害者施策に比べ著しく立ち後れている精神障害者支援が広がる大きな力となります。精神障害者は、平成十四年、居宅三事業だけが市町村に移譲されましたが、移譲直後は、精神は県の仕事だろうと迷惑そうな対応をされる市町村があったくらいです。サービスが一元化され、他の障害者と同じ制度になることこそ、市町村がその実施主体であることは、やっと精神障害者地域住民の一人として認められ、必要な福祉サービスを得る権利義務が得られるのです。市町村福祉計画も含めて責任を持つことは、住民課題となり、利用者も我々事業者も住みやすいまちづくりの一環として提言要望ができるということだと解釈しています。規制緩和によって小規模な事業の組合せが可能となり、人里離れた場所でなく、町の中での取組可能性が広がり、住民の助け合い、市民参画が得やすく、資源開発がしやすくなります。  資料一の二枚目をごらんください。  全国には私どもと同じように、規制の掛かった制度の網をくぐり抜け、様々な工夫を重ね、したたかに地域に入り込んでいる事業者が各地にあります。しかし、それは特定の人や地域でしか実現せず、普遍化がなされません。実態に合わない規制緩和は、小さな市町村でも工夫次第で一緒になって障害者支援が可能になるのです。私たちアウトサイダー取組がだれでもどこでもできるようになり、当たり前の取組になっていくのです。それがひいては住居日中活動先が得やすくなり、障害者まちづくりに参画しやすくなることなのです。そして、これまでは施設整備に莫大な自己資金と借入金を要し、資産を持つ者しか事業参入できず、ハードルが高かったのですが、事業参入できなかった団体も、空き店舗などを活用し中心市街地相談支援事業所を開設したりお店を持つなど、参入の可能性が広がります。  また、精神障害者支援は、現状は箱物サービスなのですが、個人給付になることで責任の所在を明確化でき、利用者権利としての福祉サービス利用となりますし、独善的な事業を防ぎ、事業者評価体制強化が図れます。  さらに、入所施設機能を住まいの場と日中活動の場を分けて提供することは、職住分離が図れ、我々が自ら社会参加機会を失うことに加担することを防ぎます。  また、居住サポート事業創設で、これまではアパートを貸すことにちゅうちょしていた大家さんをサポートすることでより物件を借りやすくなり、地域住居確保が進みます。反対運動が起こって、無理だとあきらめる方があります。偏見に地域格差などありません。桑友グループホーム東京三鷹グループホームジェイ・エイチ・シィ板橋グループホーム住宅地のど真ん中にあります。大家さんとの信頼関係住民との交流が日常的に行われているからこそ、日々の積み重ねがあるからこそ実現するのです。この法案はそれを後押しする制度です。  あわせて、重度障害者への包括支援創設は、七万二千人と言われる長期社会的入院精神障害者地域移行に大きな役割を果たすのではと期待しています。  資料一の二枚目と三枚目を併せてごらんください。  今回の改革就労移行支援事業創設及び雇用と福祉のネットワークによる就労が促進される仕組みは、長い間待ち望んだ仕組みです。社会参加の重要な手段の一つである就労支援がやっと強化されるのです。  私が作業所を始めたきっかけも、病院の中で患者さんたちの働きたい、人の役に立ちたいという願いからでした。きょうされん、共同作業所全国連絡会に加盟し、働きたいんだ僕たちも、働けるんだ私たちものスローガンに賛同し、一緒運動を続けてまいりました。このスローガンに対し随分批判もいただきましたが、何より就労支援を望んでいるのは利用者なんです。その願いを実現するには、就労を望む人に対して私たち支援者作業所から押し出す力を持たなければなりません。  資料一の二枚目をごらんください。  支援があれば働きたいと願う障害者は働けるのです。しかし、就労支援は、後押しする制度や、地域に引っ張る力がなければ、私たちだけでは限界があるのです。  次に、精神障害者医療と切っても切れない関係があるため、生活の視点からの支援制度的にも副次的なものでした。医療福祉が独立し、法や制度であることは、対等な関係性を築き、双方の良好な関係性連携の下に精神障害者生活向上の促進が保障されます。資料一の二ページ右中央にその関係性説明図を載せています。  障害者自立支援法地域での暮らしを進める上で様々な可能性を持っている法案であり、その成立を願うものであります。しかし、幾つ政省令レベルでの危惧するところがあります。そこを御配慮いただき、より良い法案にするべく幾つかの提案をさせていただきます。  資料一、一枚目左下に簡単にまとめています。  介護給付対象でない方が急に調子を崩したり、ショートステイや行動援護訪問介護を受けられる仕組みが必要です。特に就労前後には大きなストレスが掛かり調子を崩しがちです。その時期に入院すればせっかくの機会を失うことになります。一時的な介護給付を利用し、十分なサポートがあればその山場を乗り切れるのです。  介護等給付障害程度区分の一次判定追加は二十七項目ですが、メンタルケアが反映されていない危惧を持っています。メンタルケア面介護給付が必要な方が二次判定給付を受けられる仕組みを考慮してください。  就労支援取組全国格差が著しいです。就労支援福祉労働施策連携強化において、全国どこでもスムーズに制度が使えるように市町村や県、経済団体に働き掛けをしてください。  資料一の四ページをごらんください。  他の障害者に比べて、平成十七年度予算でも、精神障害者支援を受けている障害者数やその財源は著しく低い状況です。取組のない市町村もあります。サービスを受けていない在宅の精神障害者地域支援や、精神障害者七万二千人の入院者知的障害者入所施設利用者早期地域移行を実効的に可能にする地域資源開拓仕組み財源具体的強化をお願いいたします。  箱物補助から個人日払い請求事務への移行は、精神障害者支援事業者にとって大きなハードルです。事業者市町村が混乱し、利用者が不利益を受けないように請求事務ソフト開発や、事業者市町村に対して事務体制の新体系移行支援を望みます。  精神障害者支援になじみのない市町村もスムーズに支援体系が取れるよう、市町村への十分な予算措置及び政省令周知徹底と、自立支援のかなめとなる相談支援事業の質と量の確保が図れる仕組みをお願いします。  具体的な省令案策定には、障害者意見や声が反映できる仕組みと、分かりやすい説明をお願いします。  精神医療が他の医療と同水準の医療体制となるよう、具体的な方策を講じてください。  だれもが地域で生き生きと自立した生活が過ごせるよう、低所得者への利用者負担安心装置所得保障の更なる拡充をお願いします。  精神保健法にある保護義務者制度の撤廃に向けて検討をお願いします。  この法案成立省令案政省令策定でより良い障害者支援ができるよう制度が生まれることを願って、私の意見陳述を終わらせていただきます。  先生方には現場意見を御清聴いただいたこと、心より感謝いたします。
  5. 岸宏一

    委員長岸宏一君) ありがとうございました。  次に、伊藤参考人にお願いいたします。伊藤参考人
  6. 伊藤建雄

    参考人伊藤建雄君) 私は、日本難病疾病団体協議会を代表しまして、難病患者立場からこの自立支援法について疑問あるいは意見を述べたいと思います。  よく聞かれるんですけれども、私は、私自身が患者の一人でありますし、現在、若年性アルツハイマーを発病した妻の介護をしている家族としてもこの自立支援法について発言をしてまいりたいと思います。  初めに、この難病という言葉ですけれども、行政的には難病イコール特定疾患というふうに受け取られておりますけれども、私がここで言う難病というのはもっと幅の広いものでして、医療費公費負担対象になっている四十五疾患には限られていないということをあらかじめ説明させていただきます。  それから、難病といっても、運動障害機能障害を伴う疾患から様々な疾患抱えておりまして、年齢も乳幼児から本当高齢者までが対象になっておりまして、その間、この障害者福祉介護保険児童福祉精神保健等、様々な制度と重複する人、あるいは全くどの制度にもかかわらないというか、対象とならない人など様々にありまして、これをひっくるめて難病はこうであるというふうに言うことは大変困難であるかというふうに思います。  しかし、多くの患者さん、御家族から私どもに寄せられている声は、とりわけこの自立支援医療について非常に負担が大きくなると。しかも、生涯この医療を背負っていかなきゃならない患者さんたちにとっては極めて大きな生涯を通じての負担になるということで、切実な声が寄せられております。  幾つ項目を立ててありますので、その説明をさせていただきます。  自立支援法案には、現在定率負担と言っておりますが、その精神といいますか仕組みについては応益負担であると思うんですが、この考え方について幾つか大きな疑問があります。  一つは、重い障害病気であるほどそのサービス利用が多くなり、その分負担が大きくなるという仕組みについては、むしろ逆ではないだろうかと。より重い人ほど負担が軽くなる、そしてたくさんのサービスが使えるようになるという制度を設計するべきではないかというふうに思います。  それから、現在、介護保険保険原理で運営されておりますけれども障害者福祉については租税で行われたわけですが、その中に応益あるいはそれに近いような考え方を持ち込むということについては、将来的にすべての福祉サービス応益保険原理に誘導されるんではないかという危惧を今から感じ取ることができます。  それから、更生医療育成医療を含めまして、医療費助成をそれらの制度に、この制度に組み入れる必要があるんだろうかと。自立支援医療というものをわざわざつくる根拠というのは何かということをもう少し示していただきたいと。  もう一点、四番目については、審査会というものを置くことになっているようですが、なぜそれが必要なのか。資産調査もなぜ必要なのか。そこまで踏み込む本当の理由というのは何かということを明らかにしていただかなければ、相互不信をつくり出すということにならないでしょうか。特に、この審査会のメンバーについては公正中立であるとか、学識があれば当事者を入れてもいいというような表現がありますが、これは逆に読めば、当事者障害者公平中立でないと、学識はないというふうにも読み取れなくもない、非常に失礼なといいますか、差別を助長するような表現でありまして、そういうような観点、文言というのはこれ本当に必要なんだろうかというふうに考えております。  それから、それほど、窓口あるいは障害者当事者以外の人を信用することが本当に可能なのか。私どもの様々な取組の中では、例えば障害基礎年金などにつきましても、むしろ窓口で却下されている。窓口対応が悪いためにずっと無年金になっているという人もたくさん見受けているということを考えますと、必ずしもどういう人であるからその資格があるとかないとかということは言えないんではないかということと、もう一点は、あくまでも本人が必要だとして申請したものを他の人がそれは不必要であるというような、あるいは必要であるかないかというような審査をするということが本当に公正に判断できるんだろうかということについて疑問があります。  難病立場から見れば、介護保険との関係あるいは医療の在り方については、健康保険制度の不備を補うものとしてそれぞれの制度の中に組み込まれたわけですから、この健康保険制度方向医療制度改革方向性も明らかにされなければ、自立支援法にこれらの医療を組み込むということについては同意できないというふうに考えております。とりわけ、介護保険との関係についてもう少し将来的な構想も明らかにしていただきたいというふうに思います。  現在、様々な制度が行われておりますが、それらの制度につきましても、ある障害はこの制度対象になる、ある障害対象にならない、それからある程度の人は対象になる、ある程度の人は対象にならないということが、この医療の面でも難病対策においてもそうですが、様々なところで行われておりますが、なぜそういう現象があるのかと。過渡期についてはやむを得ないのかもしれませんけれども、現在の日本において、同じような障害、困難を抱えている人、同じような病気の人が対象になったりならなかったりするということは、憲法の精神から見てもその精神に反しているんではないだろうかというような疑問を強く感じております。早く日本障害者サービスWHOICF分類に早くたどり着くということが大事なんではないでしょうか。同じようなこの社会的援助福祉サービスを必要としている国民が年齢障害の種類に、違いによって大きな格差があるということを本当に私ども危惧しております。  続きまして、難病対策そのものですが、難病対策は本来、疾病指定となっております。お手元に今資料をお配りしました。何かカラーパワーポイントで御紹介をと思ったんですが、そうはならないということで、大変小さな字でほとんど読み取るのは不可能ですけれども、たくさんの病名がありますし、また定義が書いてあります。  お手元の一枚目、難病定義、それからその対象となる疾患、それから特定疾患治療研究事業の四つの要素というのを書きましたけれども、現在、それらの定義要素によって対象となる疾患、そうでない疾患が選ばれているわけですけれども、これらの疾患を見て、委員先生方の中にも医師出身の方が大分いらっしゃるようですけれども、これらの病気のそれぞれの違い、どういう病名があってそれがどういう症状で、それがほかの病気とどう症状が違うかということを的確にお答えいただける先生というのはそう多くないんではないかと思いますが、それほどその数も多く、かつ分類が困難なものであります。  そういうものの中で、同じような症状で苦しんでいる他の疾患対象から外すとか、あるいは同じ病気であっても一定レベル以上の患者対象とし、そうでない患者対象外とするというのは非常に不合理であります。この不合理性を放置したまま難病についても自立支援法対象とするというのは新たな差別格差をつくるだけだというふうに考えております。また、現在の難病対策方向全体が明らかに縮小方向でありまして、多くの患者さんが対象から外されているという状況の中で、現在のこの状況をほうったままで自立支援法対象とする、しないという議論は随分早過ぎますというふうに思っております。  私どもは、まず、難病対策について、その基本法のようなものを作って、その後に自立支援法との関係、他の制度との関係というのを整理されるべきではないかと。まず、難病対策というのはどうあるべきかということが議論されなければならないというふうに思っております。  包括の問題につきましても同じように考えております。  また、障害者福祉サービスとこの難病の問題でありますが、多くの患者さんは、福祉サービス、他の障害者福祉サービスと同じようなサービスをということを強く望んでおりますが、それらのことにつきましても、私どもはそういう声があるということを十分承知の上で、あえてこの医療の問題を十分に整理していただきたいというふうに考えております。  しかも、この難病という言葉は大変紛らわしいということを先ほどお示ししましたけれども、この難病という言葉だけではなく、生涯にわたって治療を必要とする長期療養疾患があるわけですから、それらとも併せて、取りあえず急いで難病・長期療養疾患対策推進基本法というようなものを制定し、そこで問題点と課題点を整理し、その後、障害者福祉あるいは介護保険との整合性を図るべきではないかというふうに思っております。  私は、あくまでも障害者福祉サービスの問題と医療とについては別のものとして切り離し、医療の問題をもっと整理をしていただきたい。これは、医療保険制度あるいは医療制度改革が間もなく図られると思いますけれども、そういうものとリンクして考えていかなきゃならないんではないだろうかというふうに思っております。  もう一つ、私どもはこの自立というものについての定義について、それぞれ違う認識を持っているんではないかということを考えておりまして、自立の定義についてを二つの表を使ってお示ししたいと思います。  この表につきましては、厚生労働省科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業特定疾患自立支援体制の確立に関する研究の研究班が作成したものですが、ここで言う難病の研究班の定義につきましては、「「自立」の定義」とありまして、これは、四肢麻痺など重度障害者が介助者や補装具などの援助を用いながらも、心理的に解放された責任ある個人として主体的に生きることであると。すなわち、自立生活を心理的過程、自己の管理、意志の決定能力及び全社会活動への総合として広くとらえていくことを目標としているというふうに言っております。非常に大事なのは、自立というのは、単に物質的な支援だけではなくて、心理的に解放されなければならないということを強調しております。私どもも、その面で、この自立支援ということは、もっと心理的な解放というところにも着目をしていただきたいというふうに考えております。  私ども難病からも更にたくさん申し上げたいことありますけれども、余りにもこの自立ということを強調されますと、難病患者の中では非常に大きなプレッシャーを感じる、あるいは新たな差別精神的苦痛が押し付けられるということにもなりかねないことを危惧しております。  おしまいですが、すべての難病・長期療養患者が安心して治療を受けられること、それから根本的な治療法が一日も早く解決されること、そのためには一日も早く原因が究明されるための国家プロジェクトである難病対策を全面的に推進することが求められております。これらのことを念頭に置いて、将来的に自立支援法、あるいは、まあ名称は変わるかもしれませんけれども、そういう総合的な法制度の問題とのリンクを考えていきたい。多くの障害者と同じ福祉サービスの提供と、社会の偏見、差別の克服と温かな社会の理解が私どもにも求められているということを訴えまして、陳述を終えたいと思います。  以上です。
  7. 岸宏一

    委員長岸宏一君) ありがとうございました。  次に、橋本参考人にお願いいたします。橋本参考人
  8. 橋本操

    参考人橋本操君)(橋本佳代子君・金沢公明君陳述補佐) 本日はこのような貴重な機会をいただきましたことを感謝申し上げます。私の言葉はごらんのように介護者を通さなければ日本語にはなりません。限られた時間ですので、ここより先は事務局長の金沢が代読いたします。  日本ALS協会事務局長の金沢公明と申します。これから会長橋本が書かれた文書を代読させていただきます。  橋本参考人になってから数日、不眠不休で、わずかに動く足の指先で特殊パソコンを拾って作成した文書です。  私は橋本操と申します。日本ALS協会会長を拝命しています。現住地は練馬区練馬一の六の六。独居です。障害は筋萎縮性側索硬化症という神経難病による四肢、体幹及び言語障害で、二十四時間、間断なく介護が必要であります。五分も一人で放置されれば死んでしまう確率が高く、運、不運のはざまの偶然を生きている人です。本日は、先生方に、私のように重度障害を持つ者の命を守ってくださるようお願いに参りました。  自立支援法に対して、数ある要望の中から、特に以下の三点について御検討いただきたく存じます。  要望一、いまだにサービス仕組みも単価も決まっていない重度障害者包括支援の月単価をサービス事業者が納得できる金額にして、重度障害者への長時間介護派遣を実効性のあるものにしてください。  二、市町村障害者福祉計画の中に、一日じゅう途切れることなく介護が必要な人の介護費用を確保できるように、国庫補助の仕組み工夫してください。  三、すべての地域で同じサービスが受けられるように、地域格差をなくしてください。  重度障害者病院や施設から地域移行を望んでいるのに、ホームヘルプサービスの不足で、施設等に逆戻り、又は生存を断念することのないようにしてください。  小規模の市町村だからという理由で、ヘルパー予算確保や国庫補助が必要なだけ受けられない事由により地域移行ができないということがないように、必要な措置を考えてください。  以上の事柄について、今から現状と希望を述べさせていただきます。  まず最初の要望は、重度障害者包括支援仕組みについてですが、いまだに青写真も示されていないので、私たちは非常に不安感を持っています。  私は十三年前に人工呼吸器を付けました。以来、ほぼ二十四時間を他人介護によって生きてまいりました。平成十五年には自分で居宅介護事業所を始めました。理由は、支援制度で私にヘルパーを派遣してくれる事業者がいなかったからです。長時間介護の時間単価が非常に安いので、一般の事業所は日常生活支援では決してヘルパーを派遣してくれないのです。  都内在住のあるALS患者の御家族は、ヘルパーを探して八十軒近くもの介護派遣事業所に電話をしましたが、日常生活支援で、しかも吸引などの医療的ケアを求めるALSに長時間ヘルパーを派遣してくれる事業者はなく、すべて断られたそうです。事業者が林立している都内でさえそうです。まして、地方の患者家族には、日常生活支援という長時間介護サービスがあることすら知らない人もいます。  ですから、自立支援法重度障害者包括支援では、日常生活支援より単価を安くしたり、今よりも派遣時間が減らされるようなことがないようにしてください。ALSでも必要に応じて十分にヘルパーを確保できる実効性のある制度にしてください。  第二の要望として、独り暮らしの重度障害者や人工呼吸器装着者や進行性の神経・筋疾患などで介護が大変に困難なケースなど、生存のために二十四時間不断の介護が必要になる場合は、十分な介護保障を市区町村障害福祉計画に位置付け、国庫補助の仕組みを整えてください。  独居の重度障害者の生存のみならず、家族と同居をしなければ呼吸器を装着してもらえないALS患者介護の問題も大変に深刻しています。二十四時間不断の介護家族患者に縛り付け、家族から睡眠と就労機会を奪っています。支援費の給付量が足りず、ヘルパーも見付からないので、学童期の子供までもが介護に駆り出されています。介護している家族の方が長年の介護疲労の蓄積から身体を壊して先に亡くなってしまい、介護者を失った患者が路頭に迷うこともあります。毎日睡眠二時間、週百六十八時間もの介護労働を家庭内でしており、これが何年も続いているという実態が普通であります。入院生活では、一日じゅう病院の天井ばかりを見て暮らす生活に絶望して、人工呼吸器を外して死なせてほしいと訴えている人も出てきています。患者の多くは自宅での療養を望んでいますが、自宅に戻りたくても介護者がいないので病院から出られないのです。どこにも療養の場所を見付けられなければ、人工呼吸器の装着は無理です。その人には死ぬ選択しかありません。  厚生労働省の平成十五年四月の調査では、最重度障害者で二十四時間介護保障を得ていた人は障害ホームヘルプサービス利用者のわずか〇・〇六%にすぎませんでした。これがたとえ十倍になっても、国民全体から見ればほんのわずかです。希少なこのような人たちの生存は、彼らがどこに住んでいようと国が責任を持って保障してください。  そのためにも、自立支援法では、区市町村障害福祉計画の中に、地域で暮らす独り暮らしの重度障害者と人工呼吸器装着者の生活をしっかりと位置付けてください。そして、国が自治体をきっちり指導し、監視する仕組みをつくってください。また、地域審査会においては、障害者に対して理解の深い委員を積極的に採用するようにしてください。  このように心配しますのは、障害者に対する対応に明らかに地域格差があり、ノーマライゼーションが進んでいる町もあればそうでない町もあるからです。小規模市町村だからという理由でヘルパー予算確保や国庫補助が必要なだけ受けられないことにより、地域生活ができない、病院や施設から出られないということがないように、必要な措置を講じてください。  私たちが最も心を痛めており、解決したい問題として提起しなければならないことはこの地域格差の是正で、これが最後の要望であります。  日本ALS協会には全国三十四か所の都道府県に支部があり、四十都道府県の支援をしていますが、社会的資源の地域格差が甚だしく、地域によっては目をそらしたくなるような悲惨な報告を受けることもあります。現行の支援制度では、例えば東京や名古屋の患者ではほぼ一日じゅう途切れることのない介護保障を得て、人工呼吸器を装着しても社会参加が実現していますが、地方の市町村に住む患者の支給量はゼロとか、あっても月に十時間前後のケースがほとんどです。その人たち家族は、ほぼ二十四時間休むことなく、自分まで死にそうになりながら介護しており、結果として患者は大変に自由の乏しい生活に耐えています。これは大変に不平等なことです。  私は、障害者の生存に関する最低限のニーズに対応するのは国の福祉行政の責務と考えています。そして、最重度障害者患者の生存が保障される場所こそがすべての社会的弱者に優しい町だと思っていますので、国を代表して介護の社会化を推進なさっておられる皆様には、日本のどこに住もうが、最重度障害者が死なずに生きていられる環境を早急に実現されますようお願い申し上げます。  ALSを発症してから子供を産み育てながら病と闘っている人もいます。自己実現のために、家族のために、あるいは病との闘い、ともに闘い、ただ生きるためだけにそれぞれの患者は死の恐怖と闘いながらも、自分の人生を全うしたいと願っています。最後まで社会の一員として地域で暮らしたい、自分の住み慣れた町で暮らしたいという願いは、ALSの人も健康な人も皆同じはずです。地域で暮らしたい、ただそれだけの望みをかなえていただきたいのであります。  最後に、私のお願いをもう一度繰り返します。  第一に、重度障害者包括支援の月単価を保障し、長時間介護派遣を実効性のあるものにしてください。そして第二に、市町村障害福祉計画の中に、一日じゅう途切れることなく介護が必要な人の介護費用を確実に確保できるように国庫補助の仕組み工夫してくださいますようお願いいたします。そして最後に、地域格差をなくすために、小規模市町村には国が必要な措置をとってください。  御清聴ありがとうございました。
  9. 岸宏一

    委員長岸宏一君) ありがとうございました。  次に、塩見参考人にお願いいたします。塩見参考人
  10. 塩見洋介

    参考人塩見洋介君) 大阪障害者センターの塩見と申します。  大阪障害者センターは、障害者団体事業者が会員となり、共同で研究調査活動や障害児・者の権利擁護、権利保障の取組を行っている団体です。私たちは、これまでの活動を通して、今回提案障害者自立支援法は、慎重の上にも慎重を期して、十分な議論と検証の上に立って、本当の意味での障害者の自立、家族の自立に寄与するものへと内容を抜本的に改めるべきであると考えております。  そもそも、今回提案障害者自立支援法案はさきの国会で廃案となった法律です。しかも、廃案の最大の理由は、法案への障害者家族関係者からの批判がかつてない規模で急速に高まったこと、また、衆議院厚生労働委員会の審議の中で法案の欠陥や議論の前提となる基礎データの間違いが次々と明らかになったことによるものです。法案が抱える問題が余りにも大きかったために当初の審議日程の中に収まり切らず、五十五日間という大幅な会期延長を経た七月十五日、ようやく与党単独で衆議院を通過させ、その後、国会解散で廃案となったのです。  私がまず疑問に思うのは、このような経過で廃案となった法律を、施行日を遅らせただけでそのまま再びなぜ上程したのかということです。これまで障害者やその家族関係者が繰り返し繰り返し訴えてきたことが一顧だにされていないではありませんか。障害者の自立をうたいながら、障害者の声を一切受け付けないやり方を押し通すのは、この法律が何よりも障害者の自立ではなく政府の都合を最優先させているからではないでしょうか。  こうした政府の姿勢に対して全国各地で怒りが広がっていることは当然と言えます。大阪でも、かつてない幅広い障害者関係団体が一堂に会して、障害者自立支援法案の慎重審議を求める運動が急速に進んでいます。四月十四日には、大阪城野外音楽堂を埋め尽くす三千八百人の障害者が、七月三十一日には、中之島中央公会堂からあふれ出る二千百人もの障害者がこの法案への不安や心配を訴えました。そして、今回の再上程を受け、法案の一方的な押し付けに反対する声は更に広がりを増しています。  障害者家族が抱く障害者自立支援法案への不安、心配は、大きく次の二つに整理することができます。  第一は、応益定率負担や食費等の全額自己負担が導入されることへの不安です。  これまでの所得に応じた応能負担と比べて一気に負担額が引き上がることや、障害が重く、多くの福祉サービスを受けなければならない人ほどたくさんの負担が支払われなければならないことの不条理は、これまで様々な人から繰り返し述べられてきました。重度障害者ほど負担額が引き上がる応益負担は、一般的に障害が重ければ重いほど就労が困難であることを考え合わせると、二重の逆進性を持つ負担方式です。この一点からも、障害者福祉応益負担を絶対に導入すべきではありません。どうしても負担を求めるのなら、現行の応能負担を基本にすべきです。  政府は、こうした声に対して、低所得者への配慮措置を講じるとしていますが、その内容は次の点で非常に厳しいものとなっています。第一は、一定の配慮が受けられるのは低所得一、低所得二と呼ばれる市町村民税非課税世帯に限られていることです。課税世帯のうち所得階層の低い世帯には何の配慮もされません。第二は、政府が準備している配慮措置においてすら、負担を軽減するという視点からではなく、いかに負担を求めるかという視点から制度が組み立てられているということです。  今日、お手元に三つの資料をお配りしております。資料一は、知的障害者更生施設の入所者が個別減免を受けた際に手元金が幾らになるのかを示した表です。これまでの審議でも問題となりましたけれども、本人月収が四万八千円から十万円の階層における手元金は一律二万五千円しか残りません。本人収入が四万五千円未満の人においては手元金が二万五千円を割り込んでしまいます。これでは、日中の作業的な取組を通して障害者に支払われる工賃が、例えば今月は千円から二千円上がったとしても本人の手元金には一切反映されず、働くことへの意欲や喜びを奪い取ってしまうことになりかねません。正に取り上げるための配慮ではありませんか。  資料二は、グループホームと通所施設を利用している障害者負担を示したものです。グループホーム利用者は補足給付制度がありませんから、二万五千円すら手元金として残らないということは昨日の委員会審議でも取り上げられました。グループホームの家賃と食費が政府の基準額四万五千円の場合でも、本人月収が七万六千百七十七円以上なければ二万五千円が手元に残りません。  私が問題にしたいのは、そうした人に仕送りをした家族がいた場合です。例えば、手元に二万五千円を残すために、何とか今よりも良い暮らしをさせてやりたいと、そういう願いを込めて家族が仕送りをすれば、月収六万八千円以下の階層では九千百円が収入認定され、その半額の四千五百五十円が定率負担として徴収されます。大阪では家賃と食費で通常六万円程度掛かりますから、家族負担は更に膨らみ、ホームでの生活がままならなくなります。家族の切なる思いからもお金をむしり取っていく、正に追い込みとも言えるような、そんなえげつない取立てはやめていただきたいと思います。  また、十月六日の障害保健福祉関係主管課長会議で、個別減免の全額控除においては稼得収入を優先して充てることが示されました。資料三は、全額控除対象を稼得収入を優先した場合とそうでない場合の負担額の違いを示したものです。無年金障害者など低所得の障害者にとってこの違いは重大です。例えば、稼得収入四万円と仕送り四万円の合計八万円によってグループホーム生活をしている障害者の場合、稼得収入分を控除枠に組み込むと、収入認定額が一万四千円、定率負担分はその五〇%の七千円となるのに対し、仕送りを控除枠に組み込むと、収入認定額が一万一千円、定率負担分はその一五%の千六百五十円で済むことになります。この例の障害者の場合、月額八万円で食費、家賃をすべて負担しなければなりません。そうした人たちにとってこの差額五千三百五十円の違いは極めて大きいものです。配慮措置といいながら、控除する順序が全く逆ではないですか。  このように、低所得への配慮措置と呼ばれるものは、低所得の障害者とその家族からきめ細かく取り上げるためのものとも言えます。こんなおかしな配慮を行わなければならないのも、およそ障害者施策にはなじまない応益定率負担を無理やり持ち込もうとしているからではないでしょうか。  とりわけ、これまで利用料がゼロ円だった市町村民税非課税世帯からの利用料徴収には大きな無理があります。無理を承知で強引に押し切ろうという姿勢は何としても改めていただきたいと思います。  加えて、補装具の交付についても費用負担の面で大きな心配があります。  参議院厚生労働委員調査室の参考資料によると、補装具の費用は、まず障害者事業者に支払った上で、その九割を市町村に請求するいわゆる償還払い方式となっています。現在、補装具制度の見直しの中で、安価でかつ一般的に普及していないものしか補装具として認めない方向が示されていますが、そうであるならばなおのこと、償還払い方式では支払ができない障害者が多数生まれてしまいます。  さらに、一割負担部分についても、介護給付と訓練等給付は合算して上限管理がされるものの、補装具は別建て、それ以外にも、自立支援医療地域生活支援事業はそれぞれ別に費用負担しなければなりません。これでは、月によっては一割負担だけでも十万円前後となる場合も起こります。補装具は障害者の体の一部とも言われます。そんな大切な補装具ですら支払ができないために受けられない事態を絶対に招いてはなりません。  障害者家族が抱く障害者自立支援法案への不安、心配の二つ目は、これまで受けることができていた福祉サービスが継続できなくなるのではないかということです。  自立支援医療や補装具については、所得制限を強化することで制度対象者が絞り込まれようとしていますし、介護給付や訓練等給付においては、障害程度制度利用の可否が決められてしまいます。また、訓練等給付のうち自立訓練、就労移行支援においては利用期限が定められており、訓練期間の延長は原則として認められておりません。このうち介護給付においては、障害程度区分判定の結果が制度利用の可否に直結します。介護給付に区分されるほとんどの事業が、対象となる障害者像について重度障害者を想定しています。  そもそも、制度利用の可否は暮らしの中での必要度に応じて判断すべきものであって、障害程度で足切りをするべきではありません。障害が軽いと判定されても、生活を維持していく上で制度利用が欠かせない障害者は多数存在します。おまけに、肝心の障害程度区分を測る判定基準自体が未完成であり、そのことに対して各界からも様々な疑問が寄せられていることも看過できません。  先ごろ、障害程度区分判定試行事業の実施結果速報が示されましたが、この報告で一次判定結果が二次判定で変更となったのは、一千七百九十ケース中九百三ケース、五〇・四%と過半数に上っています。的中率が五〇%を切る一次判定に一体どれだけの意味があるのでしょうか。仮にどうしても一次判定を行うというのであれば、判定のロジック全体を抜本的に見直すべきです。  一次判定結果で非該当とされた割合が精神障害者で三三・二%、身体障害者は一二・七%、知的障害者で一一・三%と極めて高い割合で出ていることに着目して、少なくとも精神障害、知的障害、視覚障害、聴覚障害、肢体障害、内部障害障害ごとに判定基準を策定し、それらの障害を併せ持つ重複障害者についての判定基準も新たに開発するべきです。  二次判定を行う審査会がしっかり機能すれば一次判定の不十分を補うことができるとの意見もありますが、都市部においては審査されなければならない障害者が多数に上るため、十分時間を取って審査できないこと、中山間部においては専門的知識を持った審査会委員の選任が困難なことなど、その機能が十分発揮できるかの不安はぬぐえません。  また、児童デイサービスに関しては、児童の障害程度区分判定手法が開発されていないため、現行制度における判定基準をそのまま援用すると言われています。このことを一つ取ってみても、この制度がいかに準備不足であるかが分かります。  児童と同様、成人の障害程度区分判定手法もいまだに開発途上、未完成品です。厚生労働省は実施しつつ改善すると述べていますが、これでは、安全チェックや走行テストで問題ありとされた自動車に無理やり障害者を乗り込ませ、突っ走るようなものです。こんな危険なやり方は絶対に許せません。なぜなら、制度利用の可否は障害者やその家族の命と人権を直接左右するからです。  また、訓練等給付においては、原則としてサービス内容に適合しない場合は対象外となります。これは、自立訓練や就労移行支援など各事業の目的に障害者を当てはめて、ふるいに掛けるようなやり方です。まず何よりも障害者中心に据え、柔軟で系統的な支援を継続して提供することこそ、自立や就労に向けた力を着実に育てていく保障となるのではないでしょうか。そのためにも、訓練等給付への成功報酬や有期限の持込みはやめて、ゆったりと柔軟な支援を行えるよう改めるべきです。  利用料負担の面でも、受け取るサービスの内容の面でも、障害者家族の中には今様々な不安が渦巻いています。こんな問題の多い法律を、国の財政事情や改革のスケジュールを理由に、障害者家族関係者に押し付けることは絶対にやめていただきたいと思います。  私たちを抜きに私たちのことを決めないでとの当事者の切実な声にしっかりと耳を傾けていただきたい。そして、制度を持続可能なものに作り替えると称して、必死の思いで自立に向けた努力をしている障害者の暮らしを持続できなくするようなことはやめていただきたいと思います。そのためにも、障害者自立支援法案が持つ問題点を当委員会の場で徹底して洗い出して、その改善の方策をしっかりと示していただくこと、採決を急ぐのではなく、慎重な審議を行っていただくことをお願いして、私の意見陳述とさせていただきます。
  11. 岸宏一

    委員長岸宏一君) ありがとうございました。  次に、小田島参考人にお願いいたします。小田島参考人
  12. 小田島栄一

    参考人小田島栄一君) 利用について、ピープルファーストジャパンでは一割負担を、僕たち年金をもらって、僕も生活保護をもらっている以外にお金を払えと言われたら、おれたちのお金もどこから運んでいったらいいのか分からなくなってきちゃうんです。  それで、やっぱり病院行くにもやっぱりお金が、負担掛かるんじゃないかと。いろんな問題に、障害者はすごく困ってしまう問題がここに一杯書いてあります。その中にも、やっぱりお手洗いに行くのも一割負担で行けといったら、お手洗いに行くところでもうおしっこを漏らしちゃう人も中にはいるんです、僕たちの仲間に。そういう人たちはどういうふうに暮らしていけばいいのか。それから、御飯を食べるときも一割負担で、お金を払わなきゃ御飯を食えないといったら、おれたちに死ねというようなことばっかりここに書いてあります。  それで、障害者のことを見る国の責任はどこにあるのかと思うぐらい、障害者は何にもできない人がたくさんいます、仲間の中に。僕も障害者だから、自分のこともやっぱりできないことがあります。その中に一割負担をするなんてひどいことの話が随分詰まっております。  僕たちも春夏秋ともう本当に旗を立てて国会の前で闘いをやっています。それで、寒いとき、暖かいとき、冬のときに、そのときにも闘ってやっています。  介護のことなんですけど、介護だって一時間減らされたら何にもできなくなる。二十四時間の人だって五時間になったら、本当に五時間の中で便所行って、お洗濯やって、もう後それで介護者が帰っちゃったら、その人は何にも自立ができなくなっていくんじゃないかなと思います。僕たちにもう障害者は死ねというようなことをもう言っています。  それから、この間の社会保障審議会なんですけど、障害者入れないで大学教授とかいろんな人を入れちゃって、全然もう僕たち意見じゃない意見を出しちゃって、もう障害者はこの世の中に生きるないうようなことを書かれて、本当に、自分としても本当に役に立たないことが一杯あります。その中で、やっぱりできないから介護者が要るんじゃないかと僕は思います。  その中に何で介護者が一時間も二時間もいなくなったら、じゃ自分は何をしたらいいのか、じゃ施設に入っている人たちも、じゃこれで呼べなくなるんじゃないかと思います。自分たちがここまで頑張ってきているけど、もっと厚生省はそんなことばっかり言わないで、知的障害者だって人間なんだから、やっぱり人間の価値を考えてほしいと思います。  それで、働けというのもあるんですけど、知的障害者一と二となんて、働くなんてとっても無理なんです。どういうところで働けばいいんでしょうか。そんな僕たちが働けと言われたって、ただ掃除とか、本当にもうちょっとくらいでもう疲れる人も中にはいるんです、仲間の中で。それで、もう働けばお金くれるから来いというと、お金がもらえれば来るけど、もらえなくなったらだれも来なくなってしまうことも現在あります。  それで、やっぱり知的障害者の人たち本当に右左が分かんない人が多いです。そういう人にやっぱり介護者がいないと、本当に教える人がいないと、本当にもうめちゃくちゃになるんじゃないかと僕は思います。  それから、障害者に、僕たちはどうやったら、今まで幸せだったんだけど、どうやったら苦しくなっちゃうのかなというのが、本当にこの介護保険になったらもっと大変になるんじゃないかなって僕は思います。  一割負担でも大変なのに、やっぱり自分の権利はみんなの権利であって、守っていかなきゃいけないのに、本当に、ピープルファーストとしては本当に施設から地域へと言っているんだけど、これじゃなかなか地域から、地域から地域、施設から地域にということはなかなかもう本当に難しくなってくる問題なんです。  だから、やっぱり自分としてもやっぱり地域から、僕もやっぱり施設にいました、五年間。その中では、やっぱり施設の中で一番嫌なことは、職員との問題点が一杯あります。一つは、職員のことを聞かないと職員が怒ってひどい目に遭わせて、そういう施設が今でもあります。数々の話も同じなんです。  やっぱり職員が結わいといて、けっ飛ばしておいて、それはやってないとかって僕たちが言うと、そういう職員は本当に駄目だから、施設は本当はない方が僕はいいと思います。でも、親の会はうちの子は困るからと先回って施設に入れちゃって、それで施設を増やしたら地域じゃなくなるんじゃないかなと思う。だから、僕は親の会は反対です。  ということは、やっぱり自分の子供が施設に入ったらどういういじめをされるのか、それはうちの中にいるから分かんないけど、施設の中の子供たちはもう本当に一人、二人が嫌だと、施設から出してくださいと言っています。  僕もこの間ちょっと施設の方に行ってきました。そのときに、やっぱり私は職員にここまで嫌なことやられたんだと。だから、どういうところでやられたんだと言ったら、やっぱり職員が言うと、私の言っていることは違うんだと、私のこと殴るんだと。そういうことばっかりやっていたら、本当にそういうことも見ていないで、厚生省はどういうことを考えているのか僕もよく分からないんだけれども、そういう施設の在り方とか、それから見直して全部変えて、根っこから本当に変えてほしいと思います。  これで終わります。
  13. 岸宏一

    委員長岸宏一君) ありがとうございました。  以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  なお、質疑の時間が限られておりますので、参考人方々には簡潔な御答弁をお願い申し上げます。  また、委員長の指名を受けてから御発言いただくようお願いいたします。  それでは、質疑のある方は順次御発言願います。
  14. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 自由民主党の清水嘉与子と申します。  今日は、参考人皆様方、本当に急遽だったと思いますけれどもお集まりいただきまして、皆様方それぞれのお立場から今この自立支援法に対する思いをお話しいただきました。本当に胸に迫るようなお話もございまして、大変参考になりました。  そこで、限られた時間でございますけれども、全部の方に御質問できるかどうか分かりませんけれども、若干の質問をさせていただきます。  まず初めに、武田参考人、よろしくお願いいたします。  精神障害方々生活の場あるいは活動の場を地域の中でということで、もう率先して長い間やってこられた御熱意に本当に敬意を表する次第でございます。  御承知のように、日本精神障害者というのは、外国に比べても非常に施設に入っていらっしゃる方が多くて、そして本当は退院できる方がたくさんいるんだということが、もうここの資料にもございますけれども、七万数千人の方がいるというふうに言われているんですけれども、なかなかそれが在宅に移れない。実際、病院に伺いましても、病院の中に相当地域に帰れるようにいろいろ訓練をして、もう自分で生活できるように訓練していても、なかなか実際家庭に帰ってこれないという状況があるわけでございます。  そういう中で、恐らくこれは、その仕組みというよりも住民の偏見ということもたくさんあると思うんですけれども、そういう中でこういうお仕事をずっとしてこられたわけでございまして、いろいろな面で大変だと思いますけれども、この法律ができることによって、日本精神障害者方々地域で自立的に社会に参加できるようなことが後押しできるようになるかどうか、改めてお伺いしたいと思います。
  15. 武田牧子

    参考人武田牧子君) この法案の五つのポイントの中で、私はその多くが後押しするものだと思っております。  これまで、無認可の作業所、あるいは社会福祉法人を取って制度の下でやったとしても、なかなかきめ細やかな支援体制ができるような制度ではありませんでしたし、まして精神障害者の社会復帰施設に係る費用というのは支援費に比べて低いものでしたし、何よりもその法律が別々にあるということで、今ではそういうことはありませんが、市町村の方が精神障害という障害を御存じないということに、私自身、実は精神障害者に対して大きな偏見を持っていましたので、知らないがゆえに大きな偏見があるなということは、私が市民のときにそうだった。そして役所の方も、市町村でそれをする義務がないから別にその部署に行くわけでもないし、知らない。それが今度一本の法律になっていく。そこで同じ制度が受けられるということ、一元化というところはとても大きな意味があることだと思います。  それと、就労支援のところは、さきに障害者雇用支援法、促進法が改正されましたけれども、やはりあの法律が改正されたことで実は地域が変わってきているんですね。あ、法律が変わるとはこういうことなんだということを本当最近実感していまして、これまで精神障害者は敬遠されていた事業者一緒に考えようとしてくださっている。それも単にブルーカラーではなくて、何とか少しでも能力を生かしたい。先般も一人の利用者が老人ホームに雇用がほぼ決まりそうなんですね。随分そういった意味では変わって、地域の認識が変わってきたかなと思っております。  是非、この法律で、また変わることで大きく飛躍するんではないかと思っております。
  16. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 今の就労支援のことなんですけれども、先日も大阪の公聴会がございまして、そこでいろいろお話が出たわけでございますけれども、やっぱり障害者就労支援こそが障害者自立支援につながるんじゃないかということで、障害者就労の場をきちんと確保して、障害者であってもちゃんと利用者負担ができるような、そういう環境を整えることが大事なんだということを述べられた方がございました。  私も確かにそうだというふうに思うんですけれども、そういう意味で、小規模作業所だとかいろいろ事業をつくられながら障害者方々が今仕事を始め、そして、さっきおっしゃったような障害者雇用促進法の改正等によりましてそれがずんと進んでいく。  はっきりと効果があったというふうに言ってくださったのは大変うれしいんですけれども、そういうことによってやはりそういう場をつくっていく、そういう認識ですね、それと同時に、障害者の方自身が働きたいという意欲を持つと、こういうことによって大きく発展できるのかどうかと、その辺はいかがでしょうか。
  17. 武田牧子

    参考人武田牧子君) 全員にという、非常に大きな誤解があるのは、働きたいと夢や願いを持っている方たちに、そのニーズ、夢を実現するためにいろんな方策が必要で、それを大きく後押しする法律だと思っております。  で、そうでない方にはほかの生き方、ほかの日中活動の過ごし方、それは自立支援法案の中にも様々な機能が組み合わさっていますので、言ってみれば、私たち支援者側にその力量が大きく問われているかなとも、むしろ私たち支援者にとっては非常に厳しい法律であるかもしれないと思っております。使い方によって、私たちの組み合わせ方によって、本人が組み合わせることができる方はそちらに沿ってやればいいんですが、そうでない方、私たちが組み合わせなければならないときに、本当にその人のニーズをどこまで引き出せるのか、それをどう、その人がその人らしく生きるための仕掛けをどうしていくのかというところは、本当に私たち自身の力量、問われているんじゃないかなと思っております。  それから、先ほどのモチベーションの話ですが、やはりこれまでも就学猶予とか就労免除とかいう形で、障害者はどちらかというと保護される存在、特別な人、かわいそうな人という位置付けが多かったように思います。でも、よく川柳なんかにも載っているんですが、本当であれば少しでも自分でできることは自分でしたい、でもそれがいろんなことでできなくなっているから、それを遠慮しないで自分の夢や願いが果たせるように支援を求めたい、私が障害者でもそうあると思います。  でも、どこかでずっと長い間しなくてもいいよと言われていたら、夢や希望を見ることをやめてしまっている人もいるんじゃないかな、何とかその夢や希望が持てるような働き掛けが私たちにできないかなというふうにも思っております。いろんな生き方、十人いれば十人の生き方、それが実現できるような仕組みになればいいなと思っております。
  18. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 武田参考人ばかりで申し訳ないんですけれども、今度初めて精神障害も含めた三障害の一元化ということで大変評価してくだすっているわけでございますけれども、今まで精神の問題というのはやっぱり県がサービス中心になってやっておりまして、今どんどん市町村に流れていく、サービスが流れていくという中で移されていくわけですけれども、そこでやっぱり市町村でそのサービスを受け止める能力があるのかどうか、つまり人的にもいろんな面でですね。そういう問題が非常に心配が実はあるわけなんですけれども、その辺の御心配はいかがでしょうか。
  19. 武田牧子

    参考人武田牧子君) 介護保険のときも市町村の方は、国ははしごを掛けて二階へ上がれと言って、二階へ上がった途端にはしごを外されたという言い方をなさっている方もあったんですけれども、今回も、すべてこれまでは県の仕事だったのがまた市町村に下りてくる、何もかにも市町村に下ろしゃいいというもんじゃないだろうというような声もお聞きします。  そうなっちゃうと、やっぱり市町村の方がこれは自分の仕事だと誇りを持って取り組んでいただくような仕組みにしていただきたい。そうなれば、財源もなしにやれと言うのはとてもできっこない。まして、小さな市町村ほどその財政はとても厳しいものだと思います。より良い支援をして、市町村がそれを住民サービスの一環としていくにはやはり財政は欠かせないものだと思いますので、何とか市町村が、よしやるぞと元気になるような支援を国には是非していただきたい。はしごは外さないような仕組みにしていただきたいなと思います。
  20. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 最後なんですけれども精神障害者の場合にも自己負担の問題が出てくるわけですね。先ほど来ずっと自己負担の、応益負担の問題でこの法案に対する批判が強いわけですけれども精神保健福祉法の第三十二条の通院医療について、これについても負担が掛かってくるわけでございますけれども、これによって精神科医皆様方からも受診抑制につながるんじゃないかというような御心配が寄せられております。これについてはどんなふうにお考えでしょうか。
  21. 武田牧子

    参考人武田牧子君) この一割負担については、実は賛成している人も全員が手放しで賛成しているわけではなくて、とても胸にこう、何か塊があるような思いで賛成というか、この法律を促進してほしいと思っていると思います。  ただ、やはり今の時代の流れからするとやむを得ない。それはあなたが事業者だからそう言えるんでしょうというふうにおっしゃる方もあるんですが、でも、そのことでより多くの人が支援を受けられるということも地域にいて実感として感じているんです。今のままだったら一部特定の人しかサービスを受けることができない。もっともっとたくさんサービスの必要な人がいる。それをどういうふうにすればもっともっと多くの人がサービスを受けられるかな、そんな法律であってほしいなというところから、とても厳しい法律だとは思うけれども、そこだけを見ていては広がらないという思いがあります。  それと、三十二条がなくなることによって通院しなくなるんじゃないかなという御意見もあるんですが、私は現場でやって、むしろお金の問題よりも支援者側のかかわりの方が大きいと思います。病院へ行きたくない、通院したくないという方の大きな理由の一つに、悪くなったときに病院に行くと入院させられちゃうという恐怖感が残っているんですね。今は本当医療も随分改善しまして、主治医の先生もじっくりお話を聞いてくださいますし、そんなにすぐすぐ入院ということはなくなってきました。しかし、でもやっぱりその恐怖感で、入っちゃうと、私たちは二週間程度で後は通院しながらと思っていても、中にはやっぱり最短でも二か月入院しなさいと言う先生いらっしゃいます。そうすると、やっぱり能力が失われていくという、せっかくのチャンスをつぶしてしまうということも多々あります。  それが、私たちが、一緒に行くよ、それで入院のところは一緒に話し合おう、できれば通院でできないか話し合おうということで、通院しぶしぶ一緒に行くということもありますし、何らかの形で市町村支援事業者とつながっていれば、サポート体制で、通院しなくなるということは私は危惧しなくてもいいと思う。  ただ、負担の問題はやはり胸が痛いです。
  22. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 橋本参考人、大丈夫ですか。済みません。本当に今日はありがとうございます。  先ほどからずっとお話を伺っていろいろ考えたんですけれども、ALSの方々介護保険法の対象にもなっているわけですよね。介護保険法の対象になっているけれども、先ほど来、ヘルパーさんの派遣でありますとかなんとか、そのサービスが非常に不足しているというお訴えがあったわけでございます。人工呼吸器を付けておられると、たんの吸引でありますとか、そういうことを常時しなきゃいけないということで、大変医療ニーズが高いというふうに思うんですね。  そういう面で今、本来ですとその医療ニーズは医師とか看護師がやればいいんでしょうけれども、今は御家庭でやっていらしてとても負担が大きいということで、今ヘルパーさんにも訓練をしてそういうことをやっていただこうということになったと思うんですけれども、そういうことが実際に今あんまり行われていない、まだ御不自由なんでしょうか。  私どもは、できればやはりきちんと、訪問看護ステーションだとか、あるいは病院からそういうところ、皆さんのところに伺ってそういう処置をするとかというようなことを、仕組みをきちんとするべきだと思うんですけれどもサービス本当に足りないんですよね。地域サービス本当に足りないものですから、御迷惑は掛けていると思うんですけれども、今現実の問題として、ヘルパーさんにそういうことをやっていただいて十分満足していらっしゃるのかどうか。その辺を、もし御自分のこと、あるいは周りの方のことでもし分かることがあったら教えていただきたいと思います。
  23. 橋本操

    参考人橋本操君)(橋本佳代子君・金沢公明君陳述補佐) 制度はありますけれども実効性がないのが現状ですので。  補足の方は金沢がお話しいたします。  ALSの場合、一つは、医療保険で訪問看護とかそういうものは使っております。それから、かかりつけ医の訪問だとか。それから、介護保険の方も使っています。それから、障害者支援制度、これも使っております。あとは難病施策での制度が補完的にあります。  そういうのがあるんですが、今、橋本が言ったように、いろいろな、何といいますかね、制度をうまくつなぎ合わして使わなければ、先ほどから言っている二十四時間介護とか看護ができないんですね。そういうちょっと、大変やりにくいというか使いにくいというのがあります。そういう意味で、患者数も少ないもので、ケアマネージャーさんとかいろんな人が、サポートがありますけれども、なかなかそこら辺もできないという実態があります。  あと、吸引とかなんか、それ言った方がいいでしょうか。
  24. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 吸引の実態、満足していらっしゃるかどうかと。それ、ちょっと御無理のようですか。
  25. 橋本操

    参考人橋本操君)(金沢公明君陳述補佐) 吸引に関して言えば、十五年度に厚生労働省からの通知で、在宅のALSに限り、医師、看護師の指導管理の下で家族以外の者がやってよいと、こうなったんですが、現実を言うと、結論から言うと、理解ある神経内科医とかホームドクター、それから看護ステーション、それから介護事業所、こういう方々の善意だけでやれている、それがないところはできないと。これが結論です、現状の。これはいろいろやっていますけれども、理由はいろいろあるんですが、そういう実情があります。
  26. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 ありがとうございました。  終わります。
  27. 谷博之

    ○谷博之君 私は、民主党・新緑風会の谷博之でございます。  今日は、五人の参考人皆様方には、本当にこの委員会参考人として御出席をいただき、そしてまたそれぞれのお立場から貴重な御意見をいただきました。冒頭、厚くお礼を申し上げたいと思っております。  それで、これは委員長にお諮りいたしたいんですが、先に橋本参考人に二つほど質問をさしていただいて、そのお答えは後で、別の参考人の方に質問をした後で結構でございますから、まとめて答えていただくということで、そういうことでよろしゅうございますか。
  28. 岸宏一

    委員長岸宏一君) はい、結構です。
  29. 谷博之

    ○谷博之君 それでは、まず橋本参考人にお伺いしたいと思いますが、二点ございます。  一点は、私は前にも橋本参考人から御意見をお聞きしたことがあるんですけれども、一言で言えば地域間の格差の問題です。今日もこの資料の一でお配りいただいておりますが、例えば、ALS在宅療養における地域格差というこの資料を見てもお分かりのとおり、東京都と私どもの地元の栃木県、随分この数字の内容も大きな差がございます。  これは、以前からこの地域格差は非常に深刻であるというふうに言われておりましたが、今後この法案が通ることで更にこの格差が広がるということが懸念をされております。例えば、そういうふうなことの中で、ヘルパー制度の上限が現在一日三、四時間の市町村、こういう例えば市町村が、市町村でこの重度障害者が必要なヘルパーを受けようとしてもなかなか更に難しくなってくるんではないかと、こういうふうに考えておりますが、こういうふうないわゆる懸念をされる市町村というのは大体どのぐらいあるというふうに考えておられるのか、それをまず教えていただきたいと思います。  それから、障害者給付審査会の問題でございます。  これについては非常に、この今後の施策の充実を図っていくためには非常に、当事者意見の反映というのは、こういう審査会で行うことは非常に重要だというふうに思っておりますが、そこで、このALS協会はかねてから当事者の代表が参加できる制度をずっと求めてきておりますけれども、これに対して厚生労働省は、障害者の保健・福祉分野に関する専門的知見を有する者がふさわしいというふうなことで考えているようですけれども、そういうことになりますと、この審査会一つのいわゆるアリバイづくりといいますか、そういうふうな形になる危険性があると思っておりまして、結果的に低いサービス水準の固定につながっていくおそれがあるんじゃないかというふうに思います。  そういうことについての橋本会長の御意見をお伺いしたいという、二点でございます。お答えは次の方の後で結構でございますから、よろしくお願いします。  続きまして、伊藤参考人にちょっとお伺いしたいと思いますが、伊藤参考人のこのいただきました御意見の中で特に、基本的には、この六番のところに出ておりますように、医療医療制度医療保険制度の中での解決で図るべきと。それから、福祉サービスについては、年齢疾病障害の区別なく、エージフリーですよね、同じ法律の中で解決が図られるべきと、こういうふうな基本的な考え方。  私どもも、この医療福祉の両面で、いわゆる現状の制度の谷間を埋める難病対策を充実していくための法制化が必要であるというふうにかねがね私自身も考えておりますが、そのことについては伊藤参考人は、そういうまず基本法を作るべきではないかと、そういうことの上に、その延長線に包括法というものをやっぱり考えていくべきであると、こんなような御意見をされているわけですけれども。  その場合に、一つ、私、関連で考えましたのは、昨年のいわゆる障害者基本法の改正ですよね。そのときに、いわゆる難病定義とかあるいは未認定難病との関係、こういうことについて一定の障害者基本法の改正というものが行われましたけれども、それとの関係をどのように考えておられるか、御意見を聞かしていただきたいと思います。
  30. 伊藤建雄

    参考人伊藤建雄君) 今、谷議員がおっしゃったように、本来、医療医療できちんと行われると、様々な欠点や不備を克服して医療医療で。そして、福祉サービスは、谷議員がおっしゃったように、エージレスといいますか、年齢とか障害等で差別することなく共通の基盤でというふうに私どもも思っております。  今、昨年ですか、改正されました障害者基本法のことについて触れておられますけれども、これは、難病については、その障害の原因となる、あるいは難病に起因するということで障害とあるいは難病というものを結び付けておりますけれども、本来、このような非常に難しい病気あるいは非常に困難な病気、あるいは生涯負わなければならない社会的な不利を背負った疾患に罹患しているといいますか、かかっているということ自体が国際的には既に障害というふうに思われるものですから、そのように、障害に起因する難病とか難病に起因する障害とかというようなとらえ方自体が既にもう大きな時代後れといいますか、なんではないかというふうに思っております。  障害者基本法そのものにつきましては、医療などについての直接の問題ありませんので、それほど難病とはかかわりなく受け止められている。あるいは、自治体では、基本法にたとえ難病というのが入っていても、余り実行をする面で難病というのが意識されていないというのがまた現状でもあるかと思います。  そういう意味で、私たちは、更にこの難病も含めた福祉制度を作り上げていくために、難病のことの問題整理というのが必要ではないかということを訴えております。  以上です。
  31. 岸宏一

    委員長岸宏一君) じゃ、あれですか、橋本さん、お答えできますか。はい、どうぞ。
  32. 橋本操

    参考人橋本操君)(橋本佳代子君・金沢公明君陳述補佐) 谷先生の御指摘のとおり、私の一番の悩みはその地域格差にあります。これについては金沢の方から詳しく説明させていただきます。  地域格差というのは、結論から言うと正確なデータ等は私ども持っていません。日本ALS協会で各支部経由でアンケートなんか取っていますが、正確なまとまったデータはないんですが、簡単に言うと、ここに、先ほど資料紹介させていただいたように、こういう、月七百二十時間の日常生活支援を受けるところと全く受けられていないところがあることは事実です。これも昨年の、我々の支部経由でのアンケートはやっても、百名弱ぐらいしか実際上は使えていないといいますかね、支援費が、そういう実情があります。  そういう意味で、もうそういう重度障害者がどのぐらい、使えない人がどういうところにあるかという、そういう実態調査は是非、厚生労働省とかできちっと把握をしてほしいなと思います。私どもが調べるには限界があります。  それから、ちょっと、そういう面でいうと、今、橋本のちょっと追加なんですが、ケアプランというのがあるんですが、橋本の場合は、介護保険及び障害者の今の支援費、そういうのを使って二十四時間に近い体制が取れています。また一方では、ほとんど一日に、そうですね、介護保険月十六時間、それから、ヘルパーさんをほとんど使えていない、ああ、訪問看護は三十二時間ですね、支援費がゼロと、こういう、これ山口の県の方ですけれども、ありますけれども。要は、格差が特に重度の方は極端にあります。ほとんど使えていない方と、きちっと申請したり交渉できれば付く。格差があります。  私どもの経験だと、各市町村に行くと、やっぱり財政事情で、あなたたちだけが障害者じゃないというか、重度じゃないとか、いろんなことを言って、ほかのところに行った方がいいんじゃないのとか、そんなことをにおわされるとか、そんなちょっと実情があるんですね。そこら辺をきちっと国のやっぱり指導と義務的経費で保障するようにしてほしいなと思います。
  33. 谷博之

    ○谷博之君 あと審査会の方。
  34. 橋本操

    参考人橋本操君)(金沢公明君陳述補佐) はい。審査会については、そういうことがきちっと保障できるように思います。  先生が言われたように、やはり障害者の自立ということでの給付を決めるわけですね。そういうことですから、私としては、一つは、審査をするのにやはり障害者の実情よく通じた方、そういう方がやっぱり入っていることが必要だと思います。そういう意味で、当事者というものでも、保健、福祉障害、そういうものがきちっと知識があって、また中立公平に判断できるものになれば、障害者当事者が参加できると、そういうふうに是非していただきたい、そのように思います。  それから、併せてですが、それをやるに当たって事前調査というものがあると思うんですが、それに関しても、単に現状の中での評価というよりも、やはり地域で普通に暮らせるように、自立支援という理念ですね、こういうものが実現できるような調査といいますか、そういうことを是非お願いしたい。  それからもう一つは、そういう形で給付が決まった場合、不服があった場合、やはり当事者障害者なり当事者にとって、やっぱり簡単に不服申請が都道府県知事にできる、そして速やかに改善されると、そういう措置も講じていただきたいと、そう思っています。
  35. 谷博之

    ○谷博之君 どうもありがとうございました。  それでは、続いて小田島参考人にお伺いしたいと思いますが、いわゆる福祉サービス利用者負担の問題ですけれども、原則は一割負担ということだけれども、厚生労働省の方ではいろんな軽減、負担の軽減の措置を講じようとしていると。例えば、同じ世帯で他にも障害福祉サービス介護保険サービスを受けている方がいれば、その合算額、合計額が一割負担を超えないように負担額を軽減するとか、いろんな負担軽減の態様を厚生労働省は我々の方に示しているわけですけれども、そういうふうな厚生労働省は工夫をしていると、こういう説明をしているけれども、小田島さんなり皆さん方の、仲間の皆さんはその辺についてどのように考えておられるか。
  36. 小田島栄一

    参考人小田島栄一君) やっぱりそれは、やっぱりできない人が多くて、一割負担といったら、どこでそのお金がもらえるのか、どこでこうしておられるのかということについて、今は僕たちはやっぱり年金生活保護の人がほとんどです。あとは、お金がない人が案外おります。働けと言われても、その中の一つの中に働く人も余りいません。ということは、やっぱりできないんです。  もう疲れて、やっぱりさっきも僕は言ったように、右行けば右、左行けば左というような人が多くて、やっぱりその人にとって重い負担がのし掛かると、僕たちは何も、仲間はみんなもうできなくなって、もう大騒ぎになるのが本当に目に見えています。今でも、ピープルファーストの事務所に来ても、おはようと言う人は余りいなくて、おおって入ってくるのが多くて、もう何もしないでそのまま入ってくる人もいるんで、もう言葉も出ない人も中にはいます。そういう人に限って、じゃ厚生労働大臣はどう考えているのかというのは僕も聞きたいと思っています。  そんな人たちの中に入っている僕は代表なんですけれども、やっぱり支援者等がいないと、やっぱり何も、買物にも行かれない、自分が欲しいものもやっぱり行っていられないとか、遠くに行きたいんだけれども、それでも行けないから我慢する、そうする人が時々多くなってみえております。現実です。
  37. 谷博之

    ○谷博之君 それじゃ、まだ若干時間がありますので、最後に一点、武田参考人にちょっとお伺いしたいと思いますが、いただきましたこの資料の一の三ページ目に、桑友・島根、むそう・半田市、そしてハートピア・喜連川というふうな、写真で出ていますけれども、実は私、このハートピアきつれ川、この施設が立ち上げたとき、当時まだ県会議員で、この施設の建設からその後のいろんな運営についてもそれなりのかかわりをちょっと持たせていただいた、そういう立場の人間なんですが、そこでちょっとお聞きしたいのは、この施設は、たまたま途中で、いわゆる精神障害の皆さん方が、ここにありますように、フロントとか配膳とかリネン業務とかこういうことで、それぞれ就労ということで活躍をされておられます。  ところが、このいわゆる宿泊施設は、途中ちょっと経営的にかなり厳しい状況に陥ったことがございました。今そういうことについては経営改善をされておられるわけですが、そんなことを考えてみますと、武田さんの取り組んでおられるそういうのですね、いわゆる空き店舗を活用したこういうふうな活動、異業種交流で町づくりと関係をしてこういうふうな活動を取り組んでおられるという。この活動の、いわゆる何と申しましょうかね、経済的な側面というんでしょうかね、そういう事業の採算ベースといいましょうか、そういうものも含めてどんなような実態に今あるのか、ちょっとお話しいただきたいと思うんですが。
  38. 武田牧子

    参考人武田牧子君) 経営ということですと、障害者福祉施設だからというような甘えは決して許されませんので。とはいっても、私たち本当に素人ですので、最初は貸借対照表の見方も知らなかったという状況の中で、片方で福祉の素人でもあったものですから福祉の勉強もしつつ、かつ経営の勉強もしなきゃいけないという状況であったんですが、今、小倉さんが経営的な視点で作業所はやはり見ないと高い工賃が払えないということを言っていらっしゃるんですけれども、私たちも最初からそのように考えておりまして、あくまでも商品として売れるものをつくっていかなきゃいけない、それが物であろうがサービスであろうが、という視点で、経営的に立ち行くような方策。私たちノウハウを持っていないもので、専門家の知恵をかりるということを大事にしております。  ただ、やはり途中で非常に経済が疲弊して、現状、パラオ店というのは閉店を考えているところです。というのは、三人の障害者雇用をしているんですが、これ以上収益性が落ちてしまえば継続していくことはできない。だけど、三人の雇用をこのまま失ってしまうのかということで、随分議論をしまして、三年間ぐらい理事会でも経営と障害者雇用というはざまの中で議論を続けましたが、幸いにも、また違う事業者から新たな事業を、経営的な非常にいい取組ができるのをいただいたもので、それとシフトする形、やはりスクラップ・アンド・ビルドを、一般の事業者がちょうど経営がうまくいかなかったものは整理して次の新たな事業に取り組むような動き。  お金の計算というのは、やはりメンバーに少しでもたくさんのお金を払おうと思うと、経営というのはいつも考えざるを得ないという状況です。
  39. 谷博之

    ○谷博之君 時間が来ましたのでこれで終わりますが、塩見参考人にはちょっと時間がなくてお聞きできなくて申し訳なかったと思っています。  どうも皆様、ありがとうございました。
  40. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 公明党の鰐淵洋子でございます。  本日は、各参考人皆様、国会までお越しくださいまして、また貴重な御意見を賜りまして、大変にありがとうございました。  私どもも、それぞれの場所で障害者方々、また関係者の皆様から御意見を伺ってまいりましたが、人それぞれまた状況も環境も違いますので、そういった意味で、一人でも多くの方からこういった御意見を伺うことが重要であるということを改めて実感いたしました。これからもしっかりとまた皆様の御意見参考にさせていただきまして、これからのこの障害福祉政策、更に発展させていきたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。  まず初めに、私も橋本参考人に御質問したいと思いますので、先に二点ほど質問させていただきまして、後ほどお答えいただければと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  先ほども清水委員の方からもありましたが、人工呼吸器を装着されて自宅で、在宅で生活するということで多くの支援が、介護支援が必要になってくるかと思いますが、その一つとして、たんの吸引ということで、先ほどお話も出てまいりました。  その中で、このたんの吸引が家族以外でも認められてきたけども、それが実際には現場ではなかなか対応できていないということで、そういうお話もございまして、しっかりとその点を今後も私たちも検討していかなければいけないと改めて感じました。  また、この今お話ししましたたんの吸引含めまして、本当に個別性の高い介護が求められてくると思いますけれども、そういった医療的なケアはどのようにしてその研修が行われているのか、そうした実態をお聞きしたいと思います。  もう一点は、同じく橋本参考人なんですが、ALSの患者の方が、多くの方、介護保険対象者とお聞きしております。事前に厚生労働省の方からいただいた資料にもあるんですけども、その中で、橋本参考人が書かれた中で、介護保険優先の一文があるため、多くのALS患者障害者施策が届いていないというような内容のことが書かれておりました。介護保険障害者施策、この在り方について、現状とお考えをお聞きしたいと思います。  後でお答えしていただければと思いますので、よろしくお願いします。  武田参考人に御質問させていただきたいと思います。  これも先ほど清水委員からもございましたが、私自身も障害者の自立という点で障害者所得保障の確立が極めて重要であると考えておりまして、今回の法案でも、福祉と雇用の強化ということで、ここが抜本的に強化されることにもなっております。  今日いただいたこの参考人資料の中にも、配慮をお願いしますということで、三番目にもございますが、「就労支援福祉労働施策連携強化において、全国どこでもスムーズに制度が使えるような仕組み」ということで、これが配慮をお願いしますということで書かれておりますけども、具体的にどのようなことを考えていらっしゃるのか、その点をお伺いしたいと思います。  また、この障害者施策障害者自立支援法、これを受けまして、今後これが課題になるのではないか、そういったこともありましたら、併せて御意見をいただきたいと思います。
  41. 武田牧子

    参考人武田牧子君) 具体的なといいますのは、実はこの雇用と福祉連携のところ、労働施策のところで地域障害者職業センターとかハローワークとかというところがかかわってきて、以前は労働局と県が同じところにあったのが、それが分離してしまった。そしてさらに、今度は独立行政法人ですか、そういう仕組みになっていく中で、幸い島根はとても労働局、障害者職業センター、ハローワーク、それと県との連携がいいんですが、全国意見を聞いてみると、本当にこの連携がなされていないというのが実態のようでして。  であれば、だれがそのキーマンになっていくのか。それを、市町村がキーマンになっていくのか、それとも労働は広域のところだから都道府県になっていくのかというところをやはり明らかにしておかないと、ますます、私どものように使えるものは何でも使ってやろうというようなところはいいんですけれども、そうでないところでは、本当障害者地域就労を望んでいても、せっかくの制度がありながらもそれが使えないという状況が現状でも起こっておりますし、これからもっと起こってくるんじゃないのかなと。  そうすると、まず一つ福祉計画市町村が立てるところの中にそこがどれだけ入れ込んでいただけるか、そして広域的な取組の中にどう義務化として入れられるのかというようなところを、やはり国の方も、ただそういったネットワークを取りなさいということではなくて、その仕組みも伝えていかないと、まだノウハウが分からないところが多いんじゃないのかな。何らかのノウハウ、こういうような仕組みがあれば進みますよというようなものができていくといいのかなと思っております。  全国では、大阪もそうですし、和歌山、先駆的にとても就労支援施策が進んでいるところがありますので、そういった進んだところをモデルにしながら、もっともっと広く周知していただければ、働きたいと願う人たちが働ける仕組みができるんじゃないかなと。神奈川辺りでは特例子会社の利用についても本当に皆さん熱心な勉強会を繰り返されていまして、そういったところでも、本当に都道府県によって取組がこれだけ大きく違うのかというのは強く感じております。  あともう一点、何でしたっけ。済みません。
  42. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 また、障害者自立支援法案の中で就労強化がうたわれておりますけれども、これを受けての、またこういう点で課題が出てくるんではないかとか、また御意見がその点でありましたら。
  43. 武田牧子

    参考人武田牧子君) 先ほど谷先生から御質問いただいた経営のところですね。やはり楽とは言い難い。  そうすると、どこかでそういった、私どもは積極的に、地域にある経営者セミナー、起業家スクールであったりとかそういうところに出るようにして学ぼうと思っているんですが、なかなか現状、現場重度障害者も抱えながらというと、そういう余裕がないのが現状ですので、そういう経営分析をしていただける方をどこかで、例えば商工会がやっているような人材バンクのようなところで支援が教えていただけるような仕組みであったりとか、なかなか就労支援、各作業所でするのは大変なので、地域で、どこの事業所は就労支援が得意だよというようなことが分かるような仕組みとか、施設と施設、あるいは行政と施設、そういったところが本当に有機的に連携できるような仕組みと、経営としてどう成り立っていくかというノウハウというところが課題、そこがうまくいくかいかないかで随分違うのではないかなと感じております。
  44. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 ありがとうございました。
  45. 岸宏一

    委員長岸宏一君) もうよろしいでしょうか。大丈夫ですか。橋本参考人
  46. 橋本操

    参考人橋本操君)(橋本佳代子君・金沢公明君陳述補佐) まず、最初の吸引等のケア研修についてなんですけれども、吸引に関して言うと、一応、事業者に認められてもいますけれども、実情としては、当事者がやっているNPO法人のみが頑張って引き受けているという現状です。  まず、じゃ、このケアの研修に関しての補足は金沢の方からさせていただきます。  たんの吸引に関しては、ちょっと、たんの吸引とはどういうことかというのを皆さんに御理解やっぱりいただかないとよく話が通じないと思いますので、ちょっと失礼かと思うんですが、ちょっと説明させてください。  橋本操は、気管切開して、カニューレがあります。ここを外してチューブで吸引というのを行います。これ、なぜかというと、ALSは、随意筋が、運動神経が変性することによって動かなくなります。要は、自分の意思で動かすものが動かせなくなるんですね。横隔膜とか呼吸筋がやられることで息ができなくなる。そういうことで、呼吸器を付けます。自分でたんを吐き出せなくなります。そういうことで、たんを取らないと窒息して死んじゃう。これが人によって十五分とか三十分とか一時間置きとか、個人差はあります。これを二十四時間しなきゃいけないということですね、サポート。  それで、あとは橋本も、これはいい方ですけれども、コミュニケーションが難しい。来ている介護者が本人の何をしてくれということを聞いて、意を解して処置をしなきゃいけない。こういうコミュニケーションの難しさがあります。そういう中で、たんの吸引を、もう私ども、それをやらないと家族は、特に夜ですね、共倒れになると。そういうことで、五年前ですね、当時の坂口大臣に陳情して、何とか関係者の方の御健闘で、在宅のということで認められたんですが、現状、その後どうかというと、先ほど結論は言いました。今、橋本が言ったように、この通知は、厚生労働省の通知は、最終的には本人の自己責任家族以外の者との同意書で実施しなさいと、あとは介護保険の中でも障害者ヘルプの中でもやってもいいですよと、こうは言っています。しかし、実際の事業者さんなりいろんなところは手間暇が掛かるんですね。そういうことで、やってもいいと言っても実際上はやらない、それは責任なりリスクがあるからです。  例えば、気管切開が必要になると病院に入院します。気管切開します。で、在宅に移行します。そういうときに病院で一か月とか、まあ非常な訓練をします。それには家族が呼ばれて、先生方が吸引とかを教えてくれます。しかし、今度ホームヘルパーを、そういうことを覚えてもらおうとしたときは、家族とか事業所がボランティアでそこに派遣して、何日間か、それで覚えてもらう、こういう方法しかないということですね。  それから、今度在宅に入って介護者がいなくなって、また違う介護者を育てなきゃいけない。こうしたときには、かかりつけの訪問医が来る日か若しくは訪問看護の方が来る日、そういうときに合わせて、覚えようとするヘルパーさんを入れてそこで覚えてもらうと、こういうのをやるとやはり半年とか掛かってきます。そういうことで、なかなか難しさもある、難しさというか困難さもある。それから、制度的にも本来の業務として位置付けられてないものですから、なかなかやってくれようとしない、こういうことで広がりません。  そういう中で、私どもALS協会とすれば、全国的な支部で、神経内科医の先生、看護師さんを指導願って、全体的なケア研修会をやっております。そういうことで、理解が得られるような体制をつくっているところです。これに関しての改善としては三点お願いしたいなと思います。  一つは、きちっと、たんの吸引というものはボランティア的にやるというんじゃなくて、きちっと業務として位置付けてやれるようにしてほしい。これは、今年の三月からALS以外の方もそれができるようになりました。しかし、抱えている問題は一緒です。そういうことで、位置付けをやっぱりきちっとしてほしい。  それから二番目には、研修ですね。介護保険のヘルパー、それから障害者のヘルパー、それから難病のヘルパーとあります。こういうヘルパーの研修にこういう行為をきちっとカリキュラムに入れてやれるようにしていただきたいと。これ、ボランティアでなくて、国が認めるならばそういうことをきちっと制度の中に入れて介護人を育成すると、そういうことをきちっとやっていただきたい、こう思います。  それから三点目は、障害者の場合、自宅だけでなくて外に行きます。それから、介護のデイケア、ショートステイ、それから長期の療養と、そういうことがあるんですが、そういう場合にもたんの吸引というのができないんですね、施設の中とかで。これは、私どもは家庭の延長として考えていますから、そういうところにもたんの吸引ができるようにしていただきたい。それで、付いている慣れた介護人がそういうところにも行けて本人のサポートができると、そういう体制をつくっていただきたい。  以上です。  あと、ケア研修等に関して言わせていただければ、今現在の日常生活支援で、支援費でもらっている単価が、月単価がこの重度包括支援になって今より下がりますと、今現在ぎりぎりのラインでやっている事業所さんがもうからないので撤退をしてしまうというケースが出てきますので、月単価をこれ以上下げられると、ただでさえ足らない支援がもっと足らなくなるというのが懸念されておりますので、この点を十分御配慮いただきたいと思います。  それから、介護保険の先ほどの質問にありました、以前橋本が書かせていただいた文章の問題点なんですけれども介護保険最大の問題点というのが、使えない、ちょっと言葉は悪いんですけれども、使えないヘルパーさんに介護保険を利用して来てもらってお金を払わないと、一番来ていただきたい支援費を使って自分たちで育てたヘルパーさんを介護に入れることができないというのが現状です。これが介護保険を使い切らないと支援費の支給が受けられないという文言のために今ある問題点です。  以上になります。  よろしいですか、ちょっと補足して。  介護保険障害者のホームヘルプとの関係ですね。これで言うと、日本ALS協会の者は、とにかく家族介護が大変だということで、介護保険が始まるときに何としてでも入れていただきたいということで、大臣とか関係の方に陳情して入れていただきました。しかし、入れていただいたんですけれども負担は、何というか、介護者がいなかった人たちにとってはプラスにはなって評価はしています。しかし今度、今まで制度を使っていた人たちにとっては、一割負担ということで要介護度五だと三万六千無条件に払わなきゃいけないと。この負担が増えたということですね。  それから、今申し上げたように、橋本が言ったように、介護保険のヘルパーは一時間単位ぐらいで細切れに来ます。不慣れです。で、先ほど言ったたんの吸引とかそういうことも、きちっと決められていて、させてくれません。そういう事情があって使い勝手が悪いということで、介護保険の、何というか、評価の悪い面はそういうことがありました。  そういうことで、じゃ、ALSとかの重度障害者の人にとってはどういう介護方法が一番いいんだと、そういうことを言うと、やはりこういうコミュニケーション、それから体位の交換なんか、そういうこと、固有の問題があるんですね。それも個人によって違います。こういう人たちサポートするには、やっぱり慣れた介護者が長時間滞在してできる、そういうものが一番ベストだと思います。これまでの制度でいえば、指名介護人派遣制度とか、全身性介護人派遣事業と、こういうものがありました。今、これが支援費の中の日常生活支援とかその中に継承されてきています。  それで、このことで是非お願いしたいことは、一つは自己負担の問題ですね。これ、介護保険で三万六千円、今度は、この自立支援法で合わせて最高で四万二百円と、こうなりますが、ALSの方は、実際上、中高年で発症して収入の道が閉ざされます、どちらかというと。そういう中で、こういう自己負担だけではなくて、おむつ代だとか、消毒代とか、そういうので二、三万は月どうしても掛かります。そういうことをすると、この一万負担が増えるとか、四万近くになるとかいうのは決して、大変なことです。これが長期に続くわけです。  それと、そういうことで、自己負担の軽減措置をやっぱりきちっとしていただきたいと、これが一点。  それから、もう一点は、サービス本当に、先ほど橋本が言いましたように、自分たちに一番マッチしたサービス介護サービスが、それをまず優先して自分たちが使えるようにしたいと。それが今逆転しているといいますかね、介護保険優先というものが介護保険の施行のときに障害福祉法の中にも盛り込まれて、介護保険を、例えば要介護度五だったら支給限度額を目一杯使わなければ使えません。これは三万六千円の自己負担して、なおかつ、使っても中身が半分以上ホームヘルプ事業をやっていないと、使っていないと支援費を使っちゃいけませんと、こういう通達が二〇〇〇年の三月に流れました。そういうことで、厳しいところはそういう形で指導されています。そういうことで、私どもとしては使いたいものが使えなくて、使い勝手悪いものが、そっちが押し付けられてくると、こういうのが率直な気持ちです。  そういう意味で、サービスを自由にというか、本当に自分たちにマッチしたものを最初に使えるような仕組みに是非していただきたいと、このようにお願いします。
  47. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 ありがとうございました。  今日、代表のお二人しか御質問はできませんでしたが、しっかりと受け止めて今後も全力で取り組ませていただきます。大変にありがとうございました。
  48. 小池晃

    小池晃君 日本共産党の小池晃です。  塩見参考人に最初に幾つかお聞きしたいんですが、先日の委員会で厚労省の局長が答弁で、サービスは買うものだというふうに言ったんですね。私驚いたんですが、こういう発言にどういう御感想をお持ちなのか。障害者が買えと言われて今買える、そもそもこういう考え方がどうなのかということも含めて、御感想をお聞かせ願いたいと思います。
  49. 塩見洋介

    参考人塩見洋介君) 生活に必要なものを例えばスーパーとかで買うというのであれば、それはそういうことなんでしょうけれども福祉サービスというのは全く違ったものだと思うんですね。  私は、福祉サービスというのは現物給付というものを原則にすべきだというふうに思っております。何よりも日本障害者福祉というのは非常に後れていた部分もありまして、あるいはまたその障害者所得保障が不十分なまま今のままに至っているということもありますから、買えと言われても買えない障害者の人が随分おられるということ。あるいは、買う買わない、要するにそういうお金を通した売買で商品のようにこのサービスが提供されるというのは、障害者事業者がやっぱり対等の立場に立てて初めて成立するものだと思うんですけれども、残念ながら日本の場合まだまだそういった点でも後れがある。例えば、障害者に対する後見的な支援ということも不十分ですし、あわせて、今事業者が圧倒的に不足しているということからいうと、まだまだ売手市場的な局面はまだぬぐえないというふうに思いますから、そういう対等の立場に立てるということがやっぱり前提なんだろうなというふうに思います。  あわせて、お金を介在してその福祉サービスやり取りするということは、これまで障害者の発達とか自立とかそういったものを目指すというのは、何もそのサービスを一方的に提供されてそのことが実現するものではなくて、障害者本人のやはり努力も含めて、あるいはそれをサポートする事業者サービスの提供、あるいは様々な周りの人たちの支えというか、あるいは職員さんの努力とか、そういったものの共同の営みで障害者の様々な自立とか生活支援というのは成り立っていると思うんですね。それを一方的に買う買わないというような関係に還元するということは、私はいかがなものかというふうに思います。  今の支援制度も、実は買う福祉ということが一歩踏み込まれたわけなんですけれども、そこにおいても応能負担が残っていたわけで、ある意味では、所得の低い人はそういう買うということは強要されなかったわけですけれども、今回の自立支援法というのはそういう人にまで買うということを強調する、それは本当に私は福祉とはやっぱり言えないんじゃないかというふうに思います。
  50. 小池晃

    小池晃君 ありがとうございました。    〔委員長退席、理事武見敬三君着席〕  先ほど塩見参考人のお話の中で、中央でも地方でも大阪でも慎重審議を求める運動が広がったということなんですが、障害者の皆さんがどんな思い運動をされているのか。それから、先ほど事業者立場で賛成という御意見もあったんですが、事業者の皆さんもこういう運動には参加をされています。どういう問題点を感じておられて運動に参加しておられるのか、是非御紹介をいただきたいというふうに思います。
  51. 塩見洋介

    参考人塩見洋介君) 先ほど大阪での集会等々御紹介したんですけれども、東京でも、皆さん御承知のように、五月十二日には六千六百人、七月の五日には一万一千人の多くの障害者家族関係者、そこには御指摘もあった事業者も含めてたくさんの方が来られて、この法案を慎重に審議してほしいという、この一致点で大きな集会が行われたというふうに思います。  私ども大阪からもこういう東京の集会なんかに本当にたくさんの方が参加されましたが、その中には、本当に苦労を抱えて、重い障害であるにもかかわらず相当な苦労をして上京されるという方もおられます。私の知っている方では、朝の四時に起きて、そこで朝の身支度を一時間半ヘルパーさんに来てもらってやって、そして早朝の新幹線に乗って、そしてやってくる。それで、体温調節もできないですし、本当に暑い中での取組でしたので、本当に命にもかかわるということも起こり得るようなそういう状況の中で、それでも行くんだということで来られた方。こういうような人たち本当に、何というんでしょう、それぞれ思い本当にあるんですね。その方が言っておられたのは、自分は作業所に行っている、そこで働くということにお金が取られるということが何かこう、本当にこう納得できない、許されへんのやというようなことをおっしゃっておりました。  本当障害者というのは、障害者基本法では本当に「個人の尊厳が重んぜられ、」というようなことで書かれてあるんですけれども、私たちは、この自立支援法案ではこういう尊厳ということが、何というんですか、保障できない。ある意味では、そういうふうな取組に参加されてこられた方というのは、本当に自分の尊厳を懸けてそこへ行って、私の立場思いを強く訴えたいという、そういう願いで来られている方が大勢おられるんではないかというふうに思います。    〔理事武見敬三君退席、委員長着席〕  それと、事業者の抱える心配ですけれども、これは非常にたくさんあります。私どもの法人でもたくさんの事業者会員を抱えておりますけれども、そこの事業者さんというのは、多くの場合は、障害者の社会資源というのは圧倒的に不足している中で障害者運動などによってその資源が生み出されてきている、そういうふうにして法人を立ち上げ、事業を展開してきているという事業者さんがほとんどなんですね。  そういう事業者にとってまず何より一番大きな心配は何なのかというと、これまでサービスを提供してきた方たちに今までどおりのサービスを提供することが、継続することができるのかどうかというこの心配が非常にあります。これは、先ほど申し上げましたように、障害程度区分が一定以上一定以下ということでそのサービスが途絶えたりする。あるいは、何よりも応益負担ですね、そういったものが導入されることで、これだけの利用料を払うんだったらあきらめないといけないという人が生まれるんではないかということであるとか、あるいは自立訓練とか就労移行支援を選択すると期限が区切られてしまうというようなことで、本当にまだまだ必要なのにというような人にそのサービスが継続できないんじゃないかとか、そんなことを本当に考えながら、今ある人々にサービス、このサービスをどう継続していけばいいのかということに本当に腐心をされているということなんですね。  あわせて、そういうふうにサービスの、継続ももちろんそうなんですけれども、質が本当に維持できるのか。あるいは、この中で言うと、例えば食事が規制緩和されていく問題であるとか、あるいは事業の評価、あるいは報酬体系がどうなっていくのかとか、あるいはそんな中で職員が本当に今のまま働き続けることができるんであるかとか、そういうような事業を維持していく、あるいはその質を継続する、あるいはそれを更に向上させていく上で、様々な不明な点が多い中で本当に心配をされているというふうに聞いております。  何よりも、今そういう大事なことが全部政省令事項にゆだねられているということで、なかなか情報が伝わってこない中での不安ということも随分あるわけでして、そういう意味でも、もっともっと丁寧な議論というのをこの委員会の中で展開していただくということをお願いしたいというふうに思います。
  52. 小池晃

    小池晃君 ありがとうございました。  橋本参考人にお伺いしたいと思うんですけれども、先ほどメモで渡しておりますが、大変貴重なお話をお聞きできて大変うれしく思っております。  やはり御心配なところで重度障害者包括支援の問題で、やはりこれがどの程度保障されるのかということが示されていないんですね。国庫補助基準も、単価の問題ですが、示されていない中で、やっぱり法律の枠組みだけが先行してつくられてしまうということに不安の声を私いろんなところからお聞きをするんですが、その点について、実際、当事者の方としてどんなふうに、国に何かおっしゃりたいことあればお聞かせ願いたいと思うんです。
  53. 橋本操

    参考人橋本操君)(橋本佳代子君・金沢公明君陳述補佐) 正にそのとおりで、一番そこが不安の残るところです。  グランドデザインとかでいろいろ出されてから重度障害者包括支援というのが出されているんですが、具体的に私どもが、ただ理念も大事なんですが、理念でなくて現実的にどうなるのと、支給量がどうなるの、どう支えてくれるのと、具体的なものが提示されないと、賛成、反対というのは分かんないですね。これが正直な気持ちです。  だから、そういう意味で、やはり使用する側というか、利用する側が、これが本当に自分たちに使えるのかどうかというのがはっきり分からなきゃ、賛成、反対なんというのは言えませんですね。それで、言わないままそれを、じゃこう決めるとかいうのは極めて残念に思います。  そういう意味では、当事者というか、使用者、この制度を利用する、サービスの側の人のやっぱり意見というのは十分聞いていただいて、また、賛成、反対できる内容をやっぱり提示して審議をしていただきたいと、このように思います。
  54. 小池晃

    小池晃君 ありがとうございました。  本当にこういう大事なところが明らかにされずに、介護保険のこの間の改定のときも同じような経過あったんですが、これは非常に問題が大きいというふうに私も思います。  伊藤参考人に御質問したいんですが、自立支援医療の問題点ですね。これとにかく一からげに、精神の通院公費あるいは育成医療更生医療と、かなり性格の違う医療だと思うんです。片や入院高度医療、片や外来医療と、こういったものをとにかく応益負担の名の下に一割ということでまとめていく。私は、こういう方向というのは今後難病医療にも広がっていく危険性があるし、こういう社会保障制度の根幹にかかわる問題だと思うんですが、こういう乱暴な一割負担ということで、これはかなり財務省なんかの意向も働いてこういうことになっているというふうにも聞いていますが、その点についてどんなふうにお考えでしょうか。
  55. 伊藤建雄

    参考人伊藤建雄君) そもそも様々な福祉制度をばらばらに医療費の支援、助成というのが盛り込まれたのは、基本的には、保険医療制度の不備な点あるいは充実していない点、医療保険制度での様々な不備などを補うためにそれぞれの法律で上乗せしていくというか、補うということでつくられてきたものだと思うんです。それによって、成立した時期や経過によって性格がそれぞれ異なる、それは当然なわけです。  それをずっとこのまま、放置したままで今度の自立支援法に一把一からげにしていくということは、非常に時代の流れからいってもおかしいことですし、議員がおっしゃるように、今後難病についても同じようにされていくという懸念は非常に大きいので、この際、今の難病対策の中に入っていない難病患者に対する医療費の助成と、あるいは支援ということも含めれば、ちょっと時間は掛かるかもしれませんけれども、問題点を整理して、そういう難病や長期慢性疾患あるいは重度障害者を含めた障害者医療、この問題を整理して一つ方向を示していくということが大切なんではないかというふうに考えております。
  56. 小池晃

    小池晃君 ありがとうございました。  おっしゃるように、本当に体系一つにまとめるということと、個々の、それぞれの事情に応じて制度をつくるということは、これは両立し得る問題だと私は思いますので、是非そういう方向を目指したいというふうに思います。  小田島参考人にちょっと一言だけ聞きたいんですけれども自立支援法出てね、一番怒っていること、小田島さんの周りの人なんかがね、これはひどいと、許せないという、小田島さん自身の気持ちでもいいんだけれども、ここがやっぱりおかしいというところをちょっと一言お聞かせ願えますか。
  57. 小田島栄一

    参考人小田島栄一君) やっぱり、とっても一割負担というのは、とってもそこのところがみんな怒っていて、それがまた負担を二割、三割と増えていくと、暮らしが、もうないお金でどこでどうやってこれを使うのかというのがもう本当に見えなくなって、本当、そこのところが、もう本当に一割負担のことと、あとは、お金を払ってトイレに行くとかそんなばからしいことを本当にやっていいのかと。厚生省そういうところも何を考えていないんだろうというところをもうみんなそれで怒っていて、今度は介護保険になったら、今度は介護が減らすと、その三つをすごく怒っているんじゃないかなと僕は思っています。
  58. 小池晃

    小池晃君 ありがとうございました。  塩見参考人に、最後になるかと思うんですが、お伺いしたいんですけれどもグループホーム利用者の問題について先ほどもお話があったんですが、ちょっと具体的な例も含めて利用状況を、今度のこの法案によってどんな事態が懸念されるのか、そこをお聞かせ願いたいと思います。
  59. 塩見洋介

    参考人塩見洋介君) 私ども、大阪のちょっと実態を少し聞いてきたんですけれども、例えばグループホーム入っていられる方も、一級年金もらっている方、二級年金もらっている方、それぞれ収入の違いがあるわけなんですけれども、例えば二級年金生活されている、六万六千円、約六万六千円ですね、その方が例えば作業所工賃一万五千円もらっている方がおられるんですけれども、大阪の場合、先ほども申し上げましたが、一月の家賃、食費等の必要経費で大体五万から六万五千円ぐらい掛かっているところが多いんです。大体、この方のホームでいいますと大体六万円利用料が掛かる。それに通所施設への通勤費ですね、これが八千四百円。それに毎月毎月の通院費が一万円掛かっていられるという方がおられるんですけれども、この方の場合、手元にじゃ残るお金は幾らかというと、二千六百円なんですね。ですから、医療費とか、それ以外に被服費ですね、衣料費とか携帯電話代とかって全部親のお世話になっているという、こういうことなんですね。この方に例えば今度、通所施設の五千百円の減免された食費が掛かるということになると、これだけでもう赤字で払えないということになりますし、また、一級年金もらっていられる方ですね、八万三千円、障害年金作業所工賃一万円、合計九万三千円で生活されている方ですけれども、この方の場合は、グループホームの利用料が五万五千円、ガイドヘルプ利用料、土日どうしても出歩くということで、要るということで、三万円掛かるということで、その方は、通院費二万円。この方も支出合計が八万七千円で、手元に残るお金が六千円なんですね。この方の場合、一級年金の場合、グループホームは六万六千円を超えますと、超えた分が年金であっても稼得収入並みに費用徴収されますので、それでいいましても、この方の場合でいったら二千七百円の赤字になるということで、ですから、足らない部分をじゃ仕送りに頼るとなると、その仕送りからも更に費用徴収が取られるという。  本当にもう何というんですか、これでは自立どころではないというような状況がやっぱりあるということで、こういった状況を是非知っていただいて、このグループホームへの何らかの対応ということを早急に立てていただきたいというふうに思います。
  60. 小池晃

    小池晃君 ありがとうございました。  大変今日の参考人の皆さんの最初のお話と、それから今の質問も通じて、やっぱりいろんな問題点が審議すればするほど出てくる法案だということがよく分かりますし、皆さん共通しておっしゃるように、本当に大事な問題がたくさんありますから、慎重な審議をやって問題点をいよいよ明らかにしていくのが国会の責任だという思いを強くいたしておりますので、是非今日の御意見を生かしてまいりたいというふうに思います。  ありがとうございました。
  61. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。今日は本当にありがとうございます。  まず、橋本参考人にお聞きをいたします。  先ほど紙を渡しましたが、端的に障害者自立支援法案応益負担についてどう思われますかと。橋本さんが書いていらっしゃる論文も読ませていただきましたが、どう思われますかということについて教えてください。
  62. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 橋本参考人、よろしいですか。
  63. 橋本操

    参考人橋本操君)(橋本佳代子君陳述補佐) 応益負担導入されますと、一応、橋本は東京都に住所がありますので、一応、東京都なので手当は出るんですけれども、これが全国になりますと手当がないところばかりですので、応益負担生活ができなくなる患者というのがたくさん出てまいります。応益負担をもし導入するのであれば、そういった患者さん、いろんな疾病の方に対してまず所得保障をしてから応益負担を導入するべきであるというふうに考えております。  そんな感じです。
  64. 福島みずほ

    福島みずほ君 ありがとうございます。  次に、小田島参考人にお聞きをいたします。  一割のお金を払うことについて先ほど話してくださいましたが、今、ピープルファーストでは何度も国会の近くで泊まり込みの抗議行動をやっていらっしゃいます。皆さんどんな気持ちでやっていらっしゃるか、語ってください。
  65. 小田島栄一

    参考人小田島栄一君) やっぱり負担が、一割負担がとてもやっぱりみんな染み付いているところと、やっぱり介護者がいないと自分の仕事もやっぱりできなくなって、僕たちも話がうまくいかないし、そばにやっぱり支援者がいないともうこういう仕事にもなれなくなっていっちゃうし、やっぱり介護者と支援者とはどう訳が違うんだかというところ、そこをお話ししたいと思います。    〔委員長退席、理事武見敬三君着席〕  支援者はやっぱり教えることと、それからピープルファーストの事務所の中に入ってどういうことを活動してくれ、活動しているところが分からないところとか電話とか、いろいろ悩んでいるところは教えるのが支援者で、介護者というのはやっぱり自分のところにいて、お手伝いさんみたく、できないところは手伝ってもらって、やっぱり遠くに行くときは支援者で遠くに行って、駅行くの、僕は遠くには行くのは本当に駄目なんだけど、苦手なんだけど、やっぱり遠くに行くときにも支援者がやっぱり付かないと本当に何もできなくなってしまうところもあって、自分が一日悩むときもあります。それとみんなも同じだと僕は思います、仲間が。    〔理事武見敬三君退席、委員長着席〕  だから、やっぱり支援者が、お金じゃないんだ、人間の気持ちを、思いやりをもっとやってほしいなと僕は思っています。
  66. 福島みずほ

    福島みずほ君 知的障害団体でも法案に賛成しているところもありますけれども、なぜ意見が違うのだと思われますか。小田島参考人、お願いします。
  67. 小田島栄一

    参考人小田島栄一君) やっぱり、そういうやっぱり審議会で全部決めたことが、やっぱりこれ根っこから変えないと、やっぱりみんなも納得いかない。やっぱり使いにくい制度だから、使いいいような制度を、じゃ、もう一回根っこからやり直してつくってほしいなということがあります。それはやっぱり今言った、介護のことやらやっぱり支援の活動のこととか、いろいろ様々問題が出ているんじゃないかなと僕は思います。
  68. 福島みずほ

    福島みずほ君 先ほど小田島参考人は、入所施設の中でつらいことがあるということを話してくださいましたが、小田島さん自身も入院の経験があるとさっきお話をされました。  入所施設に多くのお金が使われることについてどのように考えているか。また、NGOで入所施設から地域に仲間を出す活動をされているそうですが、どういう、どうやって仲間の人たちを出していらっしゃるか、そのことについて教えてください。
  69. 小田島栄一

    参考人小田島栄一君) やっぱり僕はこう思います。自分もやっぱり七生に五年いました。その前に八幡に十三年いました。  やっぱり、施設という中は地域と違って、やっぱり職員が上になって、その上に園長がいて、その中に施設長がいるんで、僕たちの言っている、やりたいことが全部消されて、これはやっちゃいけないんだ、それからたばこは三本に決めるんだとか、みんな職員が決めちゃって、本人は買物にも行けないのは、職員が少ないときもあるんですよ。それじゃもうそれで我慢しなさいと。それで、言うことを聞かなかったら、やっぱりつまり座らされて、やっぱり罰を受けて、お線香とかいろんな暴力に今度は掛かって、しまいには薬も飲まされるようなことにもなるんで、そういう施設は、僕は、本当に良くない施設なんだから、もう本当に廃止してもらいたいなということをみんなのために思って、いつもそういうふうに僕たちは考えています。  だから、ピープルファーストはそうじゃなくて、地域で暮らしてみんなと仲良く楽しくやるのが地域じゃないかと思います。やっぱりそうしないと、本当地域にいたのに、親がやっぱり困るから、親の会じゃないけど、親が困るから施設に入れちゃう。そして、施設に入ったら今度はだれも出してくれない。そんなんじゃ本当に中にいる人がかわいそうです。そういう人もやっぱり地域で生きるんじゃないかなと僕は思います。やっぱり人間だもん。  それで、やっぱりそんな悪いことも、牢屋みたいなところばかりつくっていても、やっぱりこれ老人ホームも同じなんだけれども、そういう介護保険をやろうと厚生省は言っているけど、そこは僕たちはでたらめで反対です。すごいもう不安です。毎日寝ても覚めても、介護保険をやられたら食ってもいかれないようなことばかりです。本当に不安ばかりで、本当にこれは全部廃案にしてほしいなと僕は思います。
  70. 福島みずほ

    福島みずほ君 塩見参考人にお聞きをいたします。  グループホーム作業所をやっている人たちからたくさん不安の声が寄せられています。厚生労働省に対して、障害者自立支援法案が仮に成立をすると成り立っていかない作業所も出てくるのではないかというふうに質問しましたら、なぜ成り立っていかないのか教えてくださいというふうに逆に聞かれました。  そういうグループホーム作業所、ちょっと先ほどの質問と重複する部分もありますが、作業所が成り立っていかないんじゃないか、グループホーム続けられるかという意見も聞くんですが、そこはどうなのか、教えてください。
  71. 塩見洋介

    参考人塩見洋介君) まず、グループホームにしても作業所にしても、単価が、施設を運営する単価がどうなっていくのかということが全く分からないということが一点と、それと、作業所に関して言いますと、新たな施設体系に関してどの類型に移行していけるのか。あるいはまた、無認可の作業所等になりますと、定員規模が二十人に満たないところは移行していく先が非常に限られているということもありまして、そういう地域生活支援事業等を活用しなければならないところも、じゃ補助金がどういうような体系で、どれぐらいの金額が保障されるのかというのは全く未定なんですね。ですから、一つに、今そういう財政的な面でこの事業が継続できるのかどうか、この点が非常に不安だということが一点あると思います。  あわせて、そこで提供してきた様々なサービス、先ほども申し上げましたが、これが維持継続できるのか。それは、私どものようにいろんな様々な運動といいますか、障害者当事者運動もそうです、家族運動もそうですし、それを支える市民の運動もそうなんですけれども、そういう力を得て生み出してきた事業者というのは、本当にやっぱり崇高な理念を掲げて、その地域の中に責任を持って事業を展開していきたいと願って、そうやって努力して運営されているんですけれども、そういうものが本当に質的に担保できるのかということが非常に大きな不安になっているわけなんですね。  ですから、限られた情報の中で新たな事業体系をどう組み合わせていったらいいのかという、そういうことにばかり思いが行ってしまって、本当に肝心の、地域の中で障害者方々の自立や暮らしをどう支えていくのかというようなこと、そこら辺が本当に見えてこなくなっているというのが今の率直な実態だというふうに思います。
  72. 福島みずほ

    福島みずほ君 ありがとうございます。  また塩見参考人にお聞きをしますが、昨日、厚生労働省に聞いたところ、政省令が約二百ぐらいあるだろうと。その二百について、どの部分のどこの政省令が今問題にしてやっているのかできるだけ明らかにしてほしいということを頼み、リストをもらいました。先ほども作業所の、グループホームの観点から見て不透明な、まだ公開されていない、決まっていない部分があるとありましたし、先ほどもいろんな方から、例えば橋本参考人の方からも単価が不透明で不安だという話がありました。  ちょっと大きな質問で済みませんが、二百ぐらいある政省令、特に塩見参考人はどの部分、どの部分、どの部分が特に明らかになっていない限りやっぱりこの障害者自立支援法案、不透明じゃないか、分からないというのがありましたら教えてください。ちょっと大きい質問で済みません。
  73. 塩見洋介

    参考人塩見洋介君) つまり、この今の障害者自立支援法の中で明らかになっていないことが余りにも多いために、この部分が明らかになったら何かよく分かるというようなものがなかなか見えてこないんですね。  例えば、新たな施設の事業体系にしても、そこにまず当てはまる人がどういう障害像の方かということも全部政省令事項ですし、この間の障害程度区分の試行事業なんかもやりましたが、その中で程度区分がいろいろ、非常にその一次判定の確率が悪いということは出ましたけれども、じゃ二次判定も踏まえて障害程度区分が要支援から一から五まで決まったとしても、じゃどの程度区分の人がどのサービスに張り付くのかがまず政省令で分からないわけですから、じゃその施設の中におられる人の障害程度区分を分かったとしてもですよ、分かったとしても、この人たちサービスを継続していくためにどうしていくのかという方針が立てられないわけですから、ですから一事が万事そういうことなんです。  ですから、地域生活事業にかかわっても政省令事項ありますが、特にそこは全く不透明でありますし、今日もお話しした補装具などもどうなっていくのかというのは一向に分からない状態ですし、ある意味で本当障害者の自立の姿というのが思い描けない、今の段階でイメージできない、そういう欠陥を持っているというふうに思います。
  74. 福島みずほ

    福島みずほ君 ありがとうございました。  次に、伊藤参考人にお聞きをいたします。  この委員会の中でも更生医療育成医療のことが非常に問題になっているんですが、その点について改めて少しお話してください。
  75. 伊藤建雄

    参考人伊藤建雄君) 更生医療育成医療、それぞれ目的とするところは違っているわけですが、今それぞれの制度の中で、所得に応じてでも幾らかずつ負担があったりしたにしても、かなりこの制度によって、重い病気の場合の手術であるとか、あるいは重度障害者医療とか、あるいは透析患者のように生涯にわたる医療というのはこれでカバーされてきたと思うんですが、この自立支援医療ということになって全部に一割負担というものが導入されるということになると、これは相当に大きな額になる。保険での高額医療費助成がどの程度使われるかということにもよりますけれども、相当に大きな負担で、特に育成医療などですと親がまだ収入が十分でないという方が大変多い中で、一気にかなりな額になるということがそれぞれの病気団体によっていろんな試算がされています。  しかし、それに対しても患者会の側であるいは親の会で試算をしているというのが精一杯でして、実際、心臓病の手術をするとなると、例えば一体どのぐらいの費用負担が求められるのかというようなことについても余りよく分かっていないというか、法案の審議の中でも余り示されていないんだと思うんですけれども、そういう中からくる大きな不安などがあります。  ただ、そういう性格の違うものを、先ほどもお話ししましたけれども一つにしてしまうというからには、何かこう、なぜそうするのか、どういう理念でそうするのかということをもう少し明らかにしていただかないと、なかなか納得はし難いんではないかというふうに思います。
  76. 福島みずほ

    福島みずほ君 武田参考人にお聞きをいたします。  先ほど精神障害者の皆さんの不安についてもいろいろ語ってくださいました。この間地方公聴会をやったときも出たのですが、三十二条の問題に関して、やはり一割負担ということになれば医療の中断ということが起きるのではないか、あるいは、突然一割負担になるわけですから、医者と本人との間の信頼関係や様々な点でもいかがかという意見が出ました。武田参考人の周りでそういう不安が出ているのか、そういう点について教えてください。
  77. 武田牧子

    参考人武田牧子君) 私も利用者の方から何回かこの自立支援法案について説明を求められておりまして、収入によってはやはり五千円負担しなければならないという人も生じてきまして、今それをどういうふうにしていくかという、人によって本当対応が、対応というか反応が違ってて、私がこうして社会保障審議会の委員をしているということはもう皆さんにオープンしてありますから、すごい大きな声で抗議をしてくる人もないとは言えない。うちの中で数人の方が随分そのことに対して、なぜそういった法案に賛成するのかということをおっしゃっています。  ただ、中断のその費用負担のことに関しては、私もできることなら自分でお金は出したくないというのがありますから、そのことの気持ちはとてもよく分かります。ただ、中断に関しては、私はお金のことで中断するというのはほとんどないと思っています。まして、医者との信頼関係が薄れるということは、ほかの病気もそうかもしれませんが、精神本当に主治医との関係性が深いといいますか、少し遠いから替わった方がいいんじゃないかなということを言っても、いい先生がいらっしゃるよと言っても、先生との関係性で、例えば、替わられますよね、それでも遠くまで受診されるというふうな方もいらっしゃいますし、主治医の信頼関係がそうそう崩れるとは思っておりません。医療中断に関しては、私はこれは相談支援事業のところでどうそこをきちんとサポートしていくかということも重要な役割になっていくと思います。
  78. 福島みずほ

    福島みずほ君 当事者のことは当事者抜きで決めないでくださいというのはよく聞く言葉ですけれども、今日は参考人という立場で、いろんな立場で、特に当事者立場でとても話してくださったと思います。  私の持ち時間は四十九分までなので、小田島参考人、やっぱりこんな気持ちでやっているよということを、ちょっと短い時間で済みませんが、四十九分まで語ってください。一分ぐらいしかないけど、ごめんなさい。
  79. 小田島栄一

    参考人小田島栄一君) やっぱり自立支援法案についてのことなんですけれども、さっきからもう何回も言っているとおりなんですけれども、やっぱり相談するところもなくなる。それは、自立支援法になったら、どこにじゃ僕たちは困ったときには相談すればいいのって聞かれたら、僕たちも答えられなくなってくる。自分たちもやっぱりいろんなところで困って、だれかに何かを言いたい、だけれども言えないということになったら、そこのところはどうすればいいかというのだってもうすごくあるんですよね、みんなに。だれかに、じゃこれをやりたい、どうしてもやりたいんだと、じゃどういうふうに解決してくれるんだといったときに、どこにじゃその相談を、僕も分からない相談に持ってこられたときに、だれにそれを、相談を持っていって、どうしたら納得いくのっていうところがとても自分としては分からなくなってくるんじゃないかなと思って。  やっぱり一度、二度なんか言ったって分からない。余計に分からなくなって、支援もいなくなれば、これ本当にもう鶏あたりとか、いろんなもう悪いこと、ちょっと言いにくいんだけれども、そういういろんなこと、悪い、いろんなことに重なって、警察とかそういうところにも迷惑掛けるんじゃないかと自分は思っています。だから、やっぱり支援者がいないと、やっぱりおれたちがさっきも言ったとおりに何もできないんじゃないかと。  精神障害者は、本当に弱いところばっかりあって、本当にもうだれかが助けてくれないと本当にできないんだと僕は思います。
  80. 岸宏一

    委員長岸宏一君) はい、よろしいですか。
  81. 小田島栄一

    参考人小田島栄一君) はい。
  82. 岸宏一

    委員長岸宏一君) よろしいですね、はい。
  83. 福島みずほ

    福島みずほ君 ありがとうございました。
  84. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人方々には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表して厚くお礼を申し上げます。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十分散会