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2005-12-12 第163回国会 参議院 イラク人道復興支援活動等及び武力攻撃事態等への対処に関する特別委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十七年十二月十二日(月曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  十月二十八日     辞任         補欠選任      林 久美子君     白  眞勲君      荒木 清寛君     浜田 昌良君  十二月一日     辞任         補欠選任      有村 治子君     中村 博彦君      加納 時男君     柏村 武昭君      鈴木 政二君     常田 享詳君      松村 龍二君     川口 順子君      山崎  力君     国井 正幸君      山本 一太君     市川 一朗君      山本 順三君     加治屋義人君      浜田 昌良君     荒木 清寛君  十二月二日     辞任         補欠選任      市川 一朗君     山本 一太君  十二月九日     辞任         補欠選任      加治屋義人君     野村 哲郎君      主濱  了君     松下 新平君  ツルネン マルテイ君     広田  一君  十二月十二日     辞任         補欠選任      野村 哲郎君     小泉 昭男君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         太田 豊秋君     理 事                 阿部 正俊君                 坂本由紀子君                 山内 俊夫君                 大江 康弘君                 神本美恵子君                 柳田  稔君                 谷合 正明君     委 員                 大野つや子君                 柏村 武昭君                 川口 順子君                 岸  信夫君                 国井 正幸君                 小泉 昭男君                 田村 公平君                 常田 享詳君                 中川 雅治君                 中村 博彦君                 二之湯 智君                 尾立 源幸君                 工藤堅太郎君                 芝  博一君                 下田 敦子君                 榛葉賀津也君                 白  眞勲君                 広田  一君                 福山 哲郎君                 松下 新平君                 若林 秀樹君                 荒木 清寛君                 高野 博師君                 遠山 清彦君                 緒方 靖夫君                 仁比 聡平君                 大田 昌秀君    国務大臣        外務大臣     麻生 太郎君        国務大臣        (内閣官房長官) 安倍 晋三君        国務大臣        (防衛庁長官)  額賀福志郎君    副大臣        外務大臣    金田 勝年君    大臣政務官        防衛庁長官政務        官        愛知 治郎君    事務局側        常任委員会専門        員        鴫谷  潤君        常任委員会専門        員        泊  秀行君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       井上 源三君        内閣官房内閣審        議官       樽井 澄夫君        防衛庁長官官房        長        西川 徹矢君        防衛庁防衛局長  大古 和雄君        防衛庁運用局長  山崎信之郎君        外務大臣官房審        議官       遠藤 善久君        外務大臣官房広        報文化交流部長  岡田 眞樹君        外務省北米局長  河相 周夫君        外務省中東アフ        リカ局長     吉川 元偉君        外務省経済協力        局長       佐藤 重和君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保  支援活動等並びに武力攻撃事態等への対処に関  する調査  (イラク人道復興支援特措法に基づく対応措置  に関する基本計画変更に関する件)     ─────────────
  2. 太田豊秋

    委員長太田豊秋君) ただいまからイラク人道復興支援活動等及び武力攻撃事態等への対処に関する特別委員会を開きます。  委員異動について御報告いたします。  去る十月二十八日、林久美子君が委員辞任され、その補欠として白眞勲君が選任されました。  また、去る十二月一日、山本順三君、有村治子君、加納時男君、松村龍二君、山崎力君及び鈴木政二君が委員辞任され、その補欠として加治屋義人君、中村博彦君、柏村武昭君、川口順子君、国井正幸君及び常田享詳君選任されました。  また、去る九日、加治屋義人君、ツルネンマルテイ君及び主濱了君が委員辞任され、その補欠として野村哲郎君、広田一君及び松下新平君が選任されました。  また、本日、野村哲郎君が委員辞任され、その補欠として小泉昭男君が選任されました。     ─────────────
  3. 太田豊秋

    委員長太田豊秋君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が二名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 太田豊秋

    委員長太田豊秋君) 御異議ないと認め、それでは、理事坂本由紀子君及び谷合正明君を指名いたします。     ─────────────
  5. 太田豊秋

    委員長太田豊秋君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動等並びに武力攻撃事態等への対処に関する調査のため、閉会中必要に応じ政府参考人出席を求めることとし、その手続につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 太田豊秋

    委員長太田豊秋君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  7. 太田豊秋

    委員長太田豊秋君) イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動等並びに武力攻撃事態等への対処に関する調査のうち、イラク人道復興支援特措法に基づく対応措置に関する基本計画変更に関する件を議題といたします。  まず、政府から報告を聴取いたします。安倍内閣官房長官
  8. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) イラク人道復興支援特措法に基づく対応措置に関する基本計画変更について御報告申し上げます。  イラク民主化イラク人自身による新しい国づくりは、今重要な局面を迎えています。十二月十五日に予定される新憲法に基づく国民議会選挙が滞りなく実施され、新政府樹立が進めば、イラクの真の民主化に向けた大きな前進となります。国際社会においても、二十八か国が多国籍軍の中で活動するというイラク支援協調体制が続いており、先般、イラク政府からの要請に基づき、国連安全保障理事会は、イラクに駐留する多国籍軍権限を来年末まで一年延長するという決議千六百三十七を全会一致で採決しました。我が国は、イラクに民主的で安定した政権ができるよう、政府開発援助ODAの戦略的な活用も含め可能な限りの支援を行うことにより、国際社会の一員としての責任を果たすべきと考えています。  自衛隊が行ってきた人道復興支援活動に対しては、ODAによる協力と併せて、イラクジャアファリー首相ズィーバーリー外相ハッサーニ・ムサンナー県知事等イラク政府関係者や、現地サマーワ一般市民からも、感謝の意とともにその活動の継続を望む期待の声が寄せられているところです。  こうしたイラク復興状況現地の要望及び国際社会動向等を総合的に検討した結果、八日の臨時閣議において基本計画変更を行ったところです。  派遣期間につきましては、平成十八年十二月十四日までの一年間の延長とし、この期間内においても、部隊活動については、国民議会選挙の実施及び新政府樹立などイラク政府における政治プロセス進展状況イラク治安部隊への治安権限の移譲など現地治安に係る状況ムサンナー県で任務に就いている英国軍及びオーストラリア軍を始めとする多国籍軍活動状況及び構成の変化など諸事情を、政府としてよく見極めつつ、現地復興進展状況等を勘案して、適切に対応してまいります。  サマーワ治安情勢は、引き続き予断を許さないものがありますが、イラクのほかの地域と比べれば比較的安定していると認識しております。自衛隊活動に当たっては、引き続き、現地治安情勢等情報収集周辺警戒や警備、宿営地内の施設防護等措置を通じて、安全確保に万全を期していきます。  イラクテロ温床とせず、平和で民主的な国として復興させることは、国際社会の安定に極めて大きな意味があり、我が国の国益にかなうものです。引き続き、政府としては、基本計画に定められた対応措置を、安全の確保に十分配慮しつつ、円滑かつ適切に実施していくため、全力で取り組む所存であります。このような今回の閣議決定につきましては、委員各位の御理解、御協力をお願い申し上げます。
  9. 太田豊秋

    委員長太田豊秋君) 以上で報告の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 山内俊夫

    山内俊夫君 ただいま御紹介をいただきました参議院自民党山内でございます。  今日は、今官房長官からの報告がありましたことに関して質問をさせていただきたいと思います。特に額賀長官、また麻生外務大臣等にも是非お答えをいただけたらと思っております。  まず、額賀長官の方にお聞きをしたいんですけれども、先般のイラク訪問大変御苦労さんでございました。わずか四時間四十分という大変短い時間でありました。本来なれば一泊でもテントの中で野営もしていただければなお良かったのかなと思っておりますけれども、なかなか時間的な余裕もなくてそういうわけにいきませんが、私は、やはり百聞は一見にしかずという言葉がありますとおり、現地に足を運んで、そして現地の実態を肌で感じるということが大変大切なことだと、このように認識をいたしております。  そこで、先般お邪魔したときのいろんな報告兼ねまして、例えばムサンナ県知事との会談、それと英国軍、それとオーストラリア軍幹部との懇談会もやられたようにお聞きをいたしておりますので、その辺りひっくるめましてお答えをいただけたらと思います。感想も述べていただけたらと思います。
  11. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今、山内委員がおっしゃるように、私も防衛庁長官に十月末に就任されて一番心配しましたのは、陸上自衛隊六百人余り、航空自衛隊百三十人ぐらい、それぞれ人道復興支援に携わっているわけでございまして、彼らがどういう安全確保をしているのか、どういう活動をしているのか、そしてまた、現地人たちにどういう評価を受けているのか、これをしっかりと確かめることが必要であるというふうに思っておりまして、この十二月の二、三、四の間に、関係者の御協力もあり、行ってくることができたわけでございます。  それは、今委員がおっしゃるように、この目で見てこの耳で聞いて足で確かめるという現場主義が一番大事だという思いで行ってきたわけでありますが、まず、宿営地防護策でございますけれども、四方がきっちりとさくで囲われ、そしてまた、宿泊する施設というのは厚いコンクリート壁、鉄板等々で厳重に守られておるし、それから、四方八方監視カメラ等々の警戒態勢もしかれている、あるいはまた避難所もある等々で、できる限りの安全態勢がしかれているというふうに感じました。だから、今日まで二年間、人道復興支援に専念することができたのではないかというふうに思っております。  一方で、部族社会でございますから、各自衛隊幹部皆さん方は、そういう部族社会のリーダーの皆さん方日常交流を深めて、様々な住民生活、風土、習慣等々について情報を入れ、そしてその地域住民との間で溶け合う中で様々な意見情報収集をしておったと、それが安全に相当寄与しているのではないかというふうに感じました。  一方で、治安担当をしている現地治安部隊、それから現地治安部隊育成強化を図っている英国軍豪州軍とも連絡員を置いてしっかりと情報交換をする中で、地域全体の治安情報を獲得しながら本来の任務である人道復興支援の仕事をなさっておったということを感じまして、今官房長官もおっしゃいましたけれども、イラク全体としては、あのムサンナ県地域は比較的治安が安定しているというふうに受け取って結構だというふうに私も感じました。  だから、様々な復興支援活動給水活動とか、医療施設の、あるいはまた学校施設、道路等々の管理指導あるいは技術指導等々がなされて、地域皆さん方から感謝され、ジャファリ首相とかムサンナハッサーニ知事とかも、重ね重ね、日本国民皆さん、それのまた各政治を担当している方々、それから小泉首相始め多くの人に感謝の意をくれぐれも伝えてほしいということを仰せ付かってきたということであります。それが高い評価になって、引き続き自衛隊については地域インフラ整備のために汗をかいてほしい、継続的な活動を続行してほしいという強い要請が重ね重ねあったこともお伝えしておきたいと思います。  治安については、英豪軍現地治安部隊強化育成相当力をかしてきたと、ムサンナ県の治安部隊は六千人ぐらいいるわけでございますけれども、相当これも強化されつつあると、十二月十五日に選挙が行われる予定であるけれども、その前の治安的な不安材料はないというようなことをおっしゃっていたことを申し伝えておきたいと思います。
  12. 山内俊夫

    山内俊夫君 ありがとうございました。  ちょうど長官現地に入る前後いたしまして、ちょっと小さなデモというんですかね、新聞等々で報道されておりますけれども、投石があったとかいうようなことが出ております。その陸自式典デモ包囲網に関して少し正確な、客観的な御報告をいただけたらと思います。
  13. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは、私、帰りですね、ちょっと緊急一報を聞いたことでございますけれども、日本装甲車投石を受けたりしてカーブミラー等が壊されたということでございました。  その背景についてはまだ十分に把握をしておりませんけれども、実態的によく説明をしておきますと、現地時間の十二月の八日十一時ごろ、ルメイサという市内で自衛隊管理、指導して造った養護施設補修事業竣工式があったそうであります。それで、自衛隊員皆さん方が行って現地人たちとその祝賀のパーティーを行う、竣工式を行うことになったわけでありますが、その近くに駐車してあった自衛隊の車列に対して、現場近くにサドル派事務所のメンバーと思われる人たち抗議行動が起こって、一部の者が車両ミラー等を割ったりして、あるいはまた車両をけ飛ばしたりしてそういう行動を行ったということでございます。ただ、竣工式は滞りなく終了いたしまして、陸自の人員には異常はなかったということであります。周りには若干、周辺住民皆さん方が小銃みたいな武器を持っていた者もあったけれども、その武器の使用があったりしたことはなかったというふうに聞いております。  これが組織的にどうのこうのということを確認しているわけではありません。たまたまそういう、同じグループグループというかムサンナ県の中で様々な政治的な思いとかいうものもあるわけでございますから、その中で多国籍軍に反対するような一部の人たち日本装甲車を見てそういう行動に走ったものと思われます。
  14. 山内俊夫

    山内俊夫君 なかなか全員全員賛成だというわけじゃないと思いますので、大きな事件の引き金にならないように祈るばかりであります。  ところで、麻生大臣に少しお聞きしたいんですが、今回の延長計画の中で、基本的には撤収を視野に入れたようなものも検討されているということをお聞きをいたしております。  その中での四つの条件というのがあるんですが、現地復興進展具合ですね。それと、二つ目には政治プロセス進展、特にこの十二月十五日に民主化第一歩であります総選挙が開かれるというようなことも聞いております。それと、現地の今防衛庁長官からお話がありました治安状況、そして多国籍軍活動構成変更、そういったものも視野に入れながらということではありますけれども、特に今までの流れの中で、ブッシュがAPECの途中、十一月の十六日、京都に寄りまして総理と一時間ばかりのいろんな話をしておりますけど、当然いろんなこのイラク情勢についても協議をされておるものと思いますけれども、今現在二十八か国でほぼ十八万人余の多国籍軍もそれに参加いたしておりますけども、今後のこの政治プロセスというものは非常に大切になってくると思うんですが、このプロセスについて大臣の御意見をお聞きをしたいと思っております。指名をお願いします。
  15. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 過日、ズィーバーリーというイラク外務大臣来日をしておられます。そのときに長い時間いろいろ話をさせてもらったんですが、基本的には、安保理決議等に定められたスケジュールに従えばほぼ順調に事は進んでいる。で、十月十五日に行われたいわゆる国民投票によって少なくとも憲法草案が承認されたということが、これがもう極めて重要で大きかったと。今回も、しあさってか、十五日の日にいわゆる選挙が執り行われるんですけれども、まあいろいろ騒ぎが全く起きないというわけではないだろうし、その当日いろいろ騒ぎが起きるかもしれないが、基本的には国民議会選挙イラクの未来を形作る重要な選挙であるが、その結果成立する政府というものは連立政権になると思う。一つの党が過半数を占めることはない。スンニ派政治勢力というもののプロセスを見ていると、参加することも決まっておりますし、前のときの、三か月前の世論調査でも投票には参加しないということを言っていた人は三五%だったんですが、今回の調査では三%、二五%だったものが今回は三%、二二%参加する方に変わってきておりますんで、今より、現状よりも良くなるであろうと述べております。  私どもとしては、この選挙が、まず選挙が実施されて、それが公平に開票されて等々のことが行われることを期待するわけですけれども、いずれにしても、それができ上がった後の政府というものは宗教対立等々いろいろ難しい問題が抱えておりますことは確かで、宗教、民族、部族、いろいろあろうとは思いますけれども、そういった中で、開票されてすぐ翌日組閣なんというような段取りで日本みたいに行くわけありませんけれども、そういった形で連立が組まれて、いろんな形での、少なくとも法律に基づいた憲法ができて、そしてそれに基づいて選挙が行われて、それに基づいてきちんとした政府がスタートするというようなのが、少しずつではありますけれども確実に進展していっているというように思っておりますんで、これがこの先どう進むかというのはちょっと今すぐ予断を許すところではないと思っております。ただ、間違いなくそういった形でプロセスとしては順調に事が進んでいるというように理解をいたしております。
  16. 山内俊夫

    山内俊夫君 確かに今年の一月は、暫定政権ができたときにはそれぞれの固まりを見せておったのですが、シーア党世俗派が少し分裂したりとかいうようなことも見えておりますが、しかしそのときに欠席をしたスンニ派が今回は是非選挙に参加するといった大変明るい見通しも出てきておりますから、我々もその民主化第一歩、いきなり結論出るわけじゃありません、第一歩第一歩、一歩ずつ進んでもらうということが大切だろうと思っております。期待をいたしております。  ところで、このイラク特措法基本計画を今回変更ということになっておりますけれども、その派遣期間延長意義というものを簡単にそれぞれ、官房安倍長官並びに麻生大臣額賀長官もこの意義というものを簡潔にお述べいただけたらと思います。
  17. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 現在、国際社会は、イラクにおいて平和で民主的な国家復興するべく、樹立すべく大変な努力をしているわけでございます。イラクテロ温床にはしてはいけないと、そういう覚悟を持って今イラク復興に当たり、そして平和で民主的な国の樹立のために頑張っている。  その中にあって、十二月の十五日に、先ほど麻生大臣額賀長官からお話があったように国民議会選挙予定をされています。そしてその後に新政権樹立をされるわけでありまして、正に最も重要な局面を迎えていると言ってもいいと思います。今年一年間ずっと政治プロセスを行ってきて、正に基本的に民主的なイラクの基盤をつくる最終プロセスに入っているわけでありますが、このときに、国連においては、極めて重要なときであるからこそイラク政府要請に基づいて国連安保理事会は、安全保障理事会イラクに駐留する多国籍軍権限を来年まで一年間延長するという決議一六三七を全会一致で採択をしたわけでございまして、国際社会は今こそ引き続き更に支援をしていくという決意を世界に示したと言ってもいい、こう思います。  日本もその中でしっかりとこの役割を示していくということを世界に発信をするという意味でこの一年間延長は極めて有意義であったと、このように思いますし、先般、来日をされましたズィバーリ外相からも、私、お目に掛かった際に、是非とも自衛隊の駐留を延長してもらいたいという要請がございました。テロリストに間違ったサインは送ってはならないという要請もございました。  そういう意味において、イラク復興、そしてイラクの民主的な政府をつくっていくという意味においても、私はこの延長意義あるものであると、このように考えています。
  18. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 先ほどルメイサ地区日本車両が襲われた件について、私、十二月四日と言ったつもりなんだけれども、聞く人は八日というふうに聞いたそうでありますから、私の発音が明瞭でなかったので、実際は四日でございますから、御理解をいただきたいと思っております。  一年延長意義でありますけれども、今官房長官が申し上げましたように、我々の目標イラク人によるイラク国家建設がスムーズに展開することが目標であります。これは政治プロセスにおいても治安の問題においても、だんだんとイラク政府統治能力育成されつつあるという過程でございます。その過程で、途中でほうり投げて、また再び良くなり掛けたイラク政府が混乱を起こしてテロ温床になるようなことの事態が起こってはならない、そういうことが一番大事なことではないかというふうに思っております。  我々も一日も早くこういう復興支援活動が、我々自衛隊が行うのではなくて、民間人とか企業の皆さん方が堂々と行えるような環境になってもらうことが一日でも早く来るのが望ましい。しかし、現実的にはそうはいかないので、一年延長する中で、自衛隊が引き続いて地域住民の安定した日常生活とか経済活動ができるような形をつくっていくことに汗をかくことはやぶさかではない。それで、政府が決めたように、一年間しっかりとやっていくつもりであるということを国民皆さん方にも御理解をいただければ有り難いというふうに思っております。
  19. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 基本的には、イラクテロ温床としないで、やっぱり平和といわゆる安定した民主的な国としてあの地域においてきちんと確立させるということは、これは国際社会の安定のためにはもちろんのこと、日本の国益にも資すると思っております。  そこで、今官房長官、また防衛庁長官からそれぞれお話があっておりましたように、今少なくとも国連安全保障理事会においては全会一致でこれを一年間延長するということを採択、結論を下ろしておりますので、日本としても、少なくとも責任ある立場というものを考えれば、少なくとも国際社会の中において今後ともそういった役割を果たしていく立場にあろうと存じますんで、その意味からいきますと、私どもとしては一年間延長ということを結論を下ろしておりますけれども、やはりそれに対して来日されたそれぞれの要人は大いに感謝の意を表しておられることもまた事実でもありますんで、私どもとしてさらに、結果がいいもの、すなわち、この際は選挙がきちんと行われて、国が民主化されて、テロとかそういったような危なっかしい話じゃなくなって、イラクも石油の輸出が始まってみたり、いろいろなプロジェクトが動き始めて、イラク国民の収入も増え、生活水準も向上し等々いろんなことで、イラク全体の国の生活水準含めまして、いろんなところがやっぱり上がっていくということは今後ともあの国の安定にとっても大きなものだと思いますんで、日本として今後いろんな形で、今まだ治安がいかがなものかと思われる部分がないわけではありませんので、そういった意味では、私どもとしては、今の段階としては少なくとも自衛隊にいろいろお願いをしている部分があるんだと存じますけれども、基本的にはイラク人イラク人の手によってきちんと復興していくまでの間というような形で、日本としてはしかるべき貢献の仕方があるのではないかと思っております。
  20. 山内俊夫

    山内俊夫君 大臣にはまた後ほど少しこのODA絡みの、撤退した後のプログラム展開について少し質問さしていただきます。  それでは、自衛隊の具体的な撤収について、ちょっと官房長官にもお聞きしたかったんですが、ちょっと時間がございませんので、自衛隊の撤収について、今後ずるずるとこのまま継続していいものかどうかという意見もあります。今言う民主化プロセスがかなり進んできた段階では必ずや、これ撤収というものはもう目に見えてきますけれども、いきなり撤収した、ああ、じゃ、来月帰りますじゃ、私なかなか、国際、またイラクの当事者の人たちからも逆の反発を受けてしまうので、自衛隊の撤収についてのプログラムというのはそれぞれ考えられるか、もうそろそろ検討に入っていいんじゃないかなと。  その方向性を少し示してほしいのと、あわせて、航空自衛隊が比較的、陸自の方ばかり目が向いて、航空自衛隊は実はクウェートで結構活躍されておるんですね。その航空自衛隊の展開も併せて、撤退、また今後の展開について御意見をお聞かせいただけたらと思います。
  21. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 撤収の論議が非常に、与党内においても、あるいはマスコミ界においても議論をされているようでありますけれども、私の立場は、政府で、これから十二月十五日以降一年間引き続いて人道復興支援活動をやってほしいということを決めた直後でございます。したがって、今、出口のことについて議論をする段階であるとは思っておりません。  ただ、一般論的に言えば、物事を始めるときは目標を持ってやります。目標が到達したときにはどういう対応をするのか、終末のことを考えるのは当然でございます。始末が悪い、始まりと終わりが、始末が悪いような形にはしない、始末を良くするためにきっちりと考えておくのが私の立場であるという一般論は申し上げさせていただきますけれども、今の時点でそういう議論をするのが適切であるかどうかということについては、私は差し控えさしていただきたいというふうに思っております。  それから、航空自衛隊については、本当に陸自よりも一足早く行ってこの人道復興支援をしていただいたのが空自でございますから、もうちょっと空自の存在感というか活躍についても国民皆さん方には知ってもらいたいなというのが私の気持ちでありまして、これまでに人道復興支援、人員とか物資の輸送について、三百数十トン、二百数十回にわたってクウェートから国境の、イラク国境のタリル空港まで活動を展開しております。これによって陸自活動がうまく展開できたわけだし、それから多国籍軍の人道的なこと、治安関係のことについても大いなる寄与があったというふうに思っておりますので、是非、御理解をいただきたいというふうに思っております。
  22. 山内俊夫

    山内俊夫君 ありがとうございました。  それでは、時間が余りなくなってまいりましたので、今、これから先の話も含めまして、今まで日本イラク支援については二つの柱があったと。要するに、自衛隊による支援、それとODAという一部の外交的な機関による支援、この両輪が相まって今まで展開をしてこられたというふうに聞いております。当然、今までのODAでの成果というものもあると思いますが、これ大臣からお聞かせいただけたらと思いまして。  そしてもう一つは、今後のODAによる支援策プログラム、これは、私、先ほどから言っている、撤退もしていないんだけれどもいかがなものかと言われる部分が、これは自衛隊の部分でありますけれども、ODA部分だったらそろそろかなりプログラムの展開も考えておられると思いますし、当然、いきなり撤退をした、日本からはすべて引き揚げたよというだけじゃ、やはりイラク人たちからも、せっかく今まで努めてきた支援策が一気に水泡として化してしまうようなことにならないように、やはりODAがかなりサポートしていく必要があるんじゃないかなと思っておりますが、併せて御意見をいただきまして、私の質問を終わらせていただきます。大臣、よろしくお願いします。
  23. 金田勝年

    ○副大臣(金田勝年君) ただいま委員から御指摘ありましたとおり、我が国自衛隊による人的貢献、そしてODAによる支援、この二つを車の両輪としてイラク復興支援を進めてきておるわけであります。  ODAによる支援につきましては、十五億ドルの無償資金協力によります当面の支援はすべて決定しておりまして、現在、次々と現地支援が実を結びつつあります。このうち、自衛隊が派遣されているサマーワを中心とするムサンナー県に対しては総額二億ドル程度の支援を実施決定しておるわけであります。具体的には、給水、医療、道路整備といったような分野で自衛隊ODAの連携による支援が行われておりまして、これは現地でも高く評価されているところであります。  そして、今、二番目に御指摘のありました、ODAの将来の支援プログラムについて何か考えているかという点につきましては、まず、自衛隊が撤収した後のことについては私どもは判断することはできませんが、今のODAの当面の支援、それから中長期的な支援、そういう整理で答えを申し上げますと、今申し上げましたように、ODAによる支援につきましては、無償資金協力によります十五億ドルの当面の支援はすべて決定しておるということ、そして電力、医療、公共施設の復旧等の分野におきまして支援が実を結びつつあること、これらの支援につきましては、今後一、二年掛けて着実に現地での雇用を創出していくことになるという点をまず申し上げたい。そしてさらに、この前の十二月八日に発表をいたしておるんですが、今般、自衛隊派遣期間延長を踏まえまして、ムサンナー県における雇用創出等の目的で、UNDP、国連開発計画に対し約一千四百四十万ドルの緊急無償資金協力を行うことにしております。  それから、中期的な復興ニーズに対しましては、基本的には円借款で最大三十五億ドルの支援を実施をしていくということにしております。分野としましては、電力、教育、保健・医療、水・衛生等に加えまして運輸等のインフラ整備等を視野に入れておるわけであります。  このような支援、これは現地の情勢を見ながら、雇用創出効果なんかも念頭に置きまして、現在行っております無償資金協力とできるだけ継ぎ目のない形で早期に実施をしていくと、そういう考え方でおるわけであります。
  24. 山内俊夫

    山内俊夫君 ありがとうございました。大臣にも実はこのODAについては少し質問したかったんですけれども、是非、今後の機会がありましたら、国益につながる、しっかりとした、日本が顔の見えるODA是非やっておいてほしいな、こう思っております。  以上です。ありがとうございました。
  25. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 民主党・新緑風会の若林秀樹と申します。  このイラクの特措法を審議し始めてちょうど三人目の外務大臣防衛庁長官官房長官ということで、今日も川口外務大臣が後ろに座られていて、ああ、大分たったのかなと、隔世の感があるなと。まさかこのような長く自衛隊人道復興支援が続くとは、私は当時夢にも思っておりませんでした。  御案内のとおり、民主党の考え方につきましては、アメリカのイラクへの攻撃への過程、それ以降の様々なプロセスを経て、基本的にはイラクへの自衛隊派遣には反対しておりましたし、もう二年を過ぎたこの状況においては、行ったからにはやはり無事ミッションを終えて帰っていただくのは必要でございますけれども、もう既にその役割は終えて、一刻も早い撤退をすべきだという基本的な考え方であります。  その考え方に基づいてまず幾つかお伺いしたいと思いますが、これからの基本的な外交、安全保障の考え方につきまして、大臣になられてまだわずかということでございますので、それぞれ各大臣にお伺いしたいなというふうに思っているところでございます。  まず、外務大臣でございますが、先日十二月七日の日本記者クラブにおける講演の原稿を読みまして、非常に私も感銘を受けました。非常に高い見地からこれからの日本の外交の在り方をお話をされたというふうに思っておるところでございます。その意味で、麻生総務大臣外務大臣になられたというのは、若干、私にとっては少しびっくりしたわけでございますが、改めて、小泉総理は麻生大臣の何を期待されて外務大臣指名したのか、そしてこれからの外交をどう推し進めようとしているのか、その辺についてまず伺いたいと思います。
  26. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 若林先生よりびっくりしたのは当人ですから、質問をされる相手が、総理にされた方がよろしいんで、どういうつもりでされたかと言われると、ちょっと私もお答えようのしようがないので。  今、日本として、外務省に限りませず、いろんな意味で、世の中というのは随分変わりつつあるんだと思っております。少なくとも、どうでしょう、冷戦構造が終わって十五年ですから、それで世の中は平和になるという予想に反してあちらこちらで、これまで予想しておりませんでしたテロというものが九・一一に限らずいろんなところで起きておりますのは御存じのとおりでありまして、そういう治安とか、いわゆる政情不安定ということは、結果として日本という国にとりましては、通商、貿易等々で成り立っている国家としては、いわゆる通常の通商ルートが閉ざされたり危険にさらされたりということは日本にとって極めて国益を害することになりますんで、日本としては中東に限らずいわゆるアジアの地域におきましても、基本的には安定したもの、治安といったようなものがきちんと維持されていくというのが極めて大事なものだと思っておりますんで、私どもとしてはそういったところは是非、日米同盟というのもありますけれども、そういったものはもちろん私どもとして基本として大事に置いておかねばならぬ最も基本中の基本と思います。  しかし、同時に、私どもとしてはこのアジア地域の安定というものを広く考えておかねばならぬことも確かでありまして、いろんな意味日本としての役割なり日本に対する期待というものがODAに限らずいろんな形ででき上がりつつある、期待されつつある。しかし、他方では、景気が悪くなったためにこの五、六年間ODAはほとんど総額ずっと一貫して減ってきておりますんで、そういったことに関する不満、若しくはいわゆる要求というものは、今回のクアラルンプールでもいろんな形で個別の外務大臣交渉に出されておりますんで、私どもとしてはそういった国々ときちんといろんな形での対応がされて、いや、実はうちも苦しいのにこれだけやってきたんだという話で、出すのが当たり前みたいな話をされるとちょっとそれは少し話が違いますんで、私どもも一生懸命やってきた結果なんだということもお互いに理解し、そういった国々の経済が良くなるということは回り回って日本にとってもいい結果になるというように思っておりますんで、是非そういった面で努力をしていきたいと思っていることは確かですけれども、それを期待しておられるかどうかはちょっと御本人に聞いていただいた方がよろしいかと存じます。
  27. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 ありがとうございました。  漠然とした聞き方よりはもう少し具体的にお伺いした方がいいのかなと思いますが、今お話ありましたように、これからは、日米関係も重要ですけれども、併せてアジア地域の安定に日本がどう貢献するかというのが非常に大きな外交の柱でもあるというふうに思います。  その意味で、よく小泉総理が日米同盟と国際協調を両立させるんだというお話をされております。両方は車の両輪だというお話もされるわけですが、二つのある意味じゃ質の違う考え方を同時に並行的に置くというのは非常にこれはある意味では当たっているんですが、一方、最後の最後には、やはり判断を下すときにはやはりどちらかを優先して判断をせざるを得ないということに私はなるんだというふうに思います。  その意味で、イラクへの自衛隊派遣の流れを見ると、私は最終的には小泉総理は日米同盟をより重視したその結果の判断で私は今日に至っているなというふうに思いますが、あわせて、その考え方に麻生大臣も同じなんだということでよろしいんでしょうか。
  28. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 日米同盟が基本であることははっきりしております。日本が自国の防衛力だけで日本の安全というものを確保できないという状況にある以上、少なくともアメリカとの同盟国の力によって日本の安全を確保するという選択は基本的に正しいと思います。  かつ、その上で、じゃどっちを取るのかという二者択一みたいな話は、デジタルの世代の方は皆そうなのかもしれませんけれども、私どもはやっぱり基本的には日米同盟と国際協調というものは基本的に両立できないはずがないと思っておりますし、そういったときに、私どもとして、それが両立し、どちらかを取らねばならぬというような外交はなるべくしないことです。基本的には両立させるように努力するのが外交なんだと、私はそう思っております。  その上で、今、日米同盟というのをあのイラクのときは取ったと言われますけれども、それは国連においても少なくとも今回でも全会一致で通っておりますんで、そういった意味では、国際協調の下にやっておるんであって、アメリカというのだけに言われてやったというような考え方を取るわけでは私自身もありません。
  29. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 今の多国籍軍の駐留は全会一致なんですが、アメリカが、イラク攻撃に対しては国際社会は割れたんですよ。いち早く日本はアメリカの立場を支持をしたという意味において、日米同盟をより重視したという判断があったわけですね。それは、その時々で変わるんだろうと思いますが、やっぱり最後の判断で、やっぱり日米同盟をこれからも重視しながらもどういう外交をしていくかということは非常に重要でありますんで、今のような日本の外交を、対米関係が良ければそれにすべて丸投げのような形で本当にいいんだろうということにおいて、さっきのアジアの平和の安定にどう貢献していくかということがつながらないんですね、それでは。  今は、小泉総理は、日米関係良ければ対中関係も良くなるんだという、もうむちゃくちゃなことを言っているわけでありまして、そういう関係の下に立って本当にいいんですかということに対して、外務大臣、どうですか。
  30. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 国連を取るか、アメリカを取るかというお話のように聞こえますが、私どもは少なくとも、同盟国を取るか、会議場を取るかと、会議場、国連というのは会議する場所ですから、パートナーを取るか、会議場を取るかと言われたら、それはやっぱり頼りになるパートナーを選ぶのは当然なんじゃないんでしょうか。違うかしら。私、それは当然なんだと思いますけどね。少なくとも、何かあって起きるときに、リングを取るかパートナーを取るかといったら、それはパートナーを選ばないとどうにもならぬのだと、私は基本的にそう思っておるんです。  その上で、今アメリカとさえうまくやっておけばいいじゃないかというような感じに取られたのかもしれませんけど、私どもはそういうことではなくて、日本、総理の発言の中では、日米同盟と国際協調のうち日米同盟というのはいわゆるもっと薄めて国際協調というものにシフトするべきではないかというような考え方は取らないと。日米同盟を薄めて国際協調をもっとよくというようなことは取らないと。日米同盟を強化してこそ国際協調も強化されていくのではないかという趣旨を述べられたものだと思いますんで、日米同盟と国際協調というのは成り立たないということはないんであって、双方とも重要なものだと思って大事にされていかなくちゃいかぬものなんだと私自身はそう思っております。
  31. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 今おっしゃられましたように、最後の最後の段階ではやはり日米同盟を取るんだということを今外務大臣の立場でおっしゃったということでありますんで、これはこれで結構重い考え方の選択だというふうに思います。  その意味において、今回のイラクへの自衛隊派遣、駐留一年間、私はここにも日米同盟のあかし、対米配慮だけの理由で私は延長したということが非常に色濃く出ているということに対して、こういう形で二十一世紀の日本の外交がすべて対米丸投げの中でやっていくということを、私はやっぱりそろそろ、少しずつですけれど修正すべきだというふうに思っておりますんで、今のような考え方に立てばまた同じようなことをやっぱり繰り返していくということであります。  日米同盟というのは、やっぱり戦後の日本の社会の発展を考えれば取らざるを得ない選択だったと思いますし、それは正しいやり方だったと思います。しかし、もう戦後六十年ですから、そろそろ、先ほど言いました、本当に外務大臣としてこのアジアの安定に貢献していくんだということであれば、新しいやっぱり機軸も併せてやっていくのは、これ難しいのは分かっておりますけれど、そういう外交にやっぱり踏み出していくということを、やっぱり新しい二十一世紀の麻生外務大臣の私は役割ではないか、そこをきちっとやっぱり小泉総理にも説明していく役割を担っているんではないかなというふうに思いますが、いかがですか。もう一回、簡潔にお願いします。
  32. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 基本的には今、戦後の少なくとも一九八〇年末、まあ約一九九〇年までの約五十年間は間違いなく米ソ冷戦構造という状況が続いておりました。その間は、多分岸内閣のときの決断だったと思いますが、岸内閣のときに日米安全保障条約の見直し、いわゆる六〇年安保というのをやるんですが、このときに国内は騒然たる時代であって、私ども学生の真っ最中でしたけれども、このときに内閣の命運と引換えにこの安保条約というのを通した。これは当時の政治的決断としては最も大きかったものだと、私自身はそう思っております。それ以後、世の中は間違いなく安定をいたしましたし、日本の政情も極めて安定した経緯がずっと流れた。  そして以後、一九八九年、ベルリンの壁崩壊に伴って今日まで約十五年間の間、冷戦構造は終わったと言われておりますのは、確かに西半分のユーラシア大陸ではそうかもしれませんけれども、東アジアの方、いわゆるユーラシアの東半分にはまだ不安定なものは残っておりますんで、そういった意味では、日本としては日本の安全、国防というものを考えた上において、日米安全保障条約というものは基本として大事にすべきであると同時に、その他の地域におきましては、少なくとも民主主義とか自由主義経済とかいろんな共有する価値観を持っている国々との関係というのは間違いなく友好関係が増しておることは間違いございませんし、その当時と違って、日韓関係を見ましても、あのとき、昭和四十何年結びましたときに、日本と韓国の往来、一日一万人、今は、済みません、一年間で一万人。今は一日一万人ということになるほど良くなってきたと思いますんで、おっしゃるように、いろんな状況を考えながらやっていかにゃいかぬということは全く私も同じ意見ですけれども、基本というところは、日本の置かれている国際情勢も併せて考えねばならぬところではないかと思っております。
  33. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 小泉総理の外交の基本的な考え方において、深い外交戦略への考えというのをやっぱり感じないんですよね。もう本当に丸投げでやっときゃ、あと大丈夫なんだという。もうそろそろ、やっぱり成熟した日米関係、日本でありますので、そういうところを是非リーダーシップを発揮していただきたいなと思いますが、しかし、今回のASEANプラス3、東アジア・サミットにおいても日中首脳会議は開かれない、日中韓も中止になったということを思いますと、やはりこの靖国問題というのが本当に大きな障害になっているということは事実であります。  もうこれはこれまでもさんざん聞いてきましたけれど、麻生外務大臣もそれは本人が判断することだというふうにお逃げになりますが、麻生大臣自身は総理が靖国に行くこと自体をどう思われますか。
  34. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 基本的には、総理の気持ちとしては、これはもう日本という国家のために尊い命を投げ出したという人たちに対して国家が最高の栄誉をもって祭るということを禁じている国は世界じゅうありませんので、そういった意味では、心からの感謝と敬意というのを表し、不戦の誓いという話をしておられるんだと思いますんで、私は基本的にはそういった気持ちは十分に理解しているところでもあります。  問題は、御存じのように、これ説明するのむしろ安倍官房長官の方が得意の分野なんで、私に聞かれるより官房長官に聞かれた方が合理的、時間の、整合性もいいと思いますけれども、基本的には、いろいろな問題が今あるのは事実でして、今回、日中、日韓、それぞれ外務大臣といろいろな機会に話をさせていただいているところでもありますし、なかなか認識が一致しないという現状を踏まえた上でどうするかという話をしないといかぬところだと思っております。
  35. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 基本的には総理の靖国参拝には賛同であると、賛同しているということの御意見だったと思います。  麻生外務大臣自身は外務大臣として参拝されるお気持ちはありますでしょうか。
  36. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 皆さんこの御質問がお好きのようで、これでもうこうやって答弁するの何回目かちょっと忘れるぐらいよく答弁をしたことがあるんですが、同じことを今日もお答えするようで恐縮ですが、個人の信条と国家の利益というものを考えて適切に判断をさせていただきます、そうお答え申し上げ続けておりますので、今回も同じような形でお答えをさせていただきたいと存じます。
  37. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 つまり、自分自身の考え方と国家の利益を総合的に勘案してという意味では、小泉総理とは違う対応を取る可能性もあるということをおっしゃっているんだなというふうに思います。  私は、靖国云々というのはありますけれども、今のこの外交の現実をどう改善するかというのが問われているんですよ、もう四年以上も、そのことが原因で。確かにそれだけではないというのも分かりますけれども、やはり日本がアジアの平和の安定のために貢献するリーダーとなるんであれば、やっぱりこれを改善する努力をどういう形でやっていくかということが問われているわけですよ。それをまあ、靖国はカードにならないとか、相変わらず同じようなことを言っていて、ますますこの日中関係が悪化すれば、今回もマレーシアの外務大臣が、日中関係がアジア共同体の形成に悪影響を与えているというまではっきり言っているわけですね、外務大臣。  私は、外務大臣の今回の記者クラブの話の中で一番感銘を受けたのは、実践的な先駆者、ソートリーダーという話であります。ソートというのは、考える、THOUGHT、ソートリーダーです。私は、やっぱりリーダーになるんでは相手の嫌がることは控え目にするというのが、ある意味ではソートじゃなくてソートフルリーダー、やはり深慮深い立場から見た場合は日本の判断があるんだな、そのことでやっぱり回転して動かしていかなきゃいけないもう時期に来ているんで、是非ともそういう観点からやっていただきたいなというふうに思うわけで、是非新しい機軸を築いていただくことを切に期待したいなというふうに思います。  安倍官房長官についてはまた改めてという場所でじっくりこの話もさせていただきたいと思いますが、ある意味でのこれからのリーダーも、やっぱりこれからの日中関係を考えて、発言も深慮遠謀してやることも必要ではないかなというふうには思いますが、これはまた長官の考え方をまた改めての場で伺いたいなと思っております。  小泉総理、十九条、憲法を持ち出して、思想、良心の自由はこれを侵してはならないという、これは内心の自由ですから、それを基に自分が動いて、ある政治的行為あるいは表現的行為とはこれ全く別問題ですから、やっぱりその辺もやや混同していらっしゃるんではないかなという感じもします。  その意味で、額賀防衛庁長官に伺いたいと思いますが、額賀長官も、これまでも自衛隊の対外支援に関して、やっぱり機動的に行うには恒久法が必要ではないかというお話をされていますが、今もそのお考えに、考えに変わりはないのか、あるいは最近はこう思っているとか何かあればまたお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  38. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) そうですね、湾岸戦争後のPKO活動以来、自衛隊をいかに国際的な平和活動、それから災害活動等々に有効に機動的に活躍してもらうかということが一つの大きな政治テーマであったと思います。今度のイラク支援法、それからアフガンのテロ特措法等々もそうでございます。  そういう意味におきましては、今後の自衛隊活動については、日本の国をきちっと、日米同盟関係を軸にして防衛体制をしっかりとしていくこと。それから、やっぱり地域の、北東アジア始めアジアの安定をつくること、平和状況をつくることは日本の国益であると。安全保障体系を防衛交流等を行いながらどういうふうにきちっとしていくかということ。もう一つは、やっぱり国際的な平和協力活動を抑制的な形でどういうふうにつくり上げていくかということがテーマであるというふうに思っております。  イラク特措法もそれからテロ特措法も時限立法でございます。したがって、そういうものをどういうふうにしていくのか。あるいはまた、自衛隊法で様々なPKO活動とか災害派遣等々について、本来任務ではなくて雑則にこれが位置付けられております。そういうものを、せっかく国際的な日本日本人が尊敬されるような土壌というか環境づくりに汗をかいている自衛隊員活動に対して、もうちょっとしっかりと位置付けをしてあげたらいかがなものかと。そういう思いで、与野党の間でしっかりと議論をしていただいて環境づくりをしていただければ有り難いというふうに思っております。
  39. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 今、国際的平和協力活動を抑制的という言葉を使われましたけれども、あくまでそこは抑制的で、積極的に自衛隊としては本来業務の中に位置付けるということではなく、あくまで例外的にやっていくというお話かなというふうにちょっと思ったんですが、もし違っていればお答えいただきたいと思います。
  40. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 平和協力活動は積極的にやっていっていただきたいと。そういうものが対外的に誤解を生むことがないように、その武力行使に一体にならないとか、そういう抑制的な形でという意味でございます。
  41. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 その中でやはりシビリアンコントロールをどう利かせていくかということでありまして、福田官房長官時代に私もお伺いして、当然ある国会の承認がやっぱりその都度必要なんだろうなという話は漠としてされておりましたけれども、その辺も考え方も含めて、安倍官房長官、いつ、今与党の中でどのくらい検討されて、いつごろ国会に提出をされると考えていらっしゃるでしょうか。
  42. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 国際平和協力活動については今までも行ってきており、現在も行っているわけでありますが、冷戦構造が崩壊した後、紛争の形は形を変えてより複雑に、また多様性を持っているわけでございまして、こうした中で、我が国が今後どのように国際協力を行っていくかということを考えていくと、大変この在り方については検討範囲は多岐多様、多岐広範にわたると、このように思っています。  その中で、現在、内閣官房を中心に、我が国の国際平和協力の在り方全般について幅広く検討を行っているところでございますが、現時点では、政府の考え方をいつどのような形でお示しをできるか具体的にお答えができるという段階ではないわけであります。残念ながら、そういう段階でございまして、法案をいつ提出できるかどうかという段階には至っておりません。  政府の中において今議論を行っており、そして更に今後与党とも議論を行い、そして成案を得るべく努力をしていきたい。現在の段階では、政府内部においてあらゆる論点について論点整理をしながら検討を行っているという状況でございます。
  43. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 まだ、いつ具体的に法案を提出するようなスケジュールさえもまだのっていない状況ということでとらえさせていただきたいなというふうに思っております。  その意味で、今回のイラクへの自衛隊派遣延長ということで一年間、三年目に入るわけであります。前回も、去年の十一月も私も質問をさせていただいたところでありまして、やはり復興支援、純粋に人道復興支援ということであれば、その復興のやっぱり目的は何なのか、一年後にどういうことをやっていくのかということがあって初めてまた延長の話もあるんだろうなというふうに思いますが、前回の変更後一年間で具体的に何が達成して何が駄目だから今回一年間また延長するんだという、ある意味での純粋なやっぱり復興支援に対する進捗状況を踏まえたこの計画の変更という話が私は余りにもなさ過ぎる。  額賀官房長官も見てきたと言いましたけれども、四時間で、じゃ今後の一年間どうしていくかということまで含めて見れたというふうには私は思いませんので、改めて純粋にこの一年間どうだったかと、そしてなぜ今一年間なのかという、この復興支援の、さっきはイラク全体の話がしましたけれども、今はこのサマワの、この計画はムサンナ県のサマワと航空自衛隊の話でありますので、そこに関して純粋にちょっとお答えいただきたいと思います。  これは外務大臣だと思います。済みません、官房長官でしたね。
  44. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) まず最初の御質問でございますが、この一年間何を達成してきたかという御下問だったというふうに思います。  自衛隊陸上自衛隊は、サマーワにおいて医療活動や公共施設の復旧整備といった人道復興支援活動に従事し、活動を開始してこれまでの間にサマーワ総合病院など四病院を中心に医療支援を実施をするとともに、約七十五か所の公共施設の整備、補修を終えてきております。また、航空自衛隊は、我が国からの人道復興関連物資等を輸送しておりまして、その回数はこれまで二百回を超え、輸送物資重量は約三百トンとなっております。  こうした自衛隊による人道復興支援活動は、ODAによる支援と相まって、イラクジャアファリー首相やズィバーリー外相から感謝の意とともに活動継続の要望が表明されておりますし、また、現地の人々からも大変感謝をされているというふうに承知をしております。  先ほども御答弁させていただきましたように、私がズィバーリー外相とお目に掛かったときにも、自衛隊活動を大変感謝をしていると、是非駐留を続けてもらいたい、また、イラクとしては、国が復興の中で苦しみ、努力をしているときに日本にこうして助けてもらったことは絶対に忘れないという言葉もありました。そして、是非ここで自衛隊の駐留をやめるという、テロリストに誤ったメッセージを送らないようにしてもらいたいと、こういう言葉もあったわけでございます。  そして、その後の御下問におきまして、なぜ、では一年間の延長をしたかという御下問もあったわけでございますが、なぜ我々がこの一年間延長をしたかと、こういうことでございますが、今月の十五日に国民議会選挙が行われることになっております。私、一連の政治プロセスがございました。憲法を作り、そしてその憲法の下での初めての選挙、そしてその選挙によって議会の議員が選ばれるわけでありまして、そしてその後政権樹立をしていく。そしてイラク人イラク人の手による政府によってイラク人による復興に移っていくわけでございますが、我々としては、しっかりとそうした復興イラク人イラク人の手による復興に移っていくまで我々しっかりと国際社会として支援をしていかなければいけない、このように考えているわけでございまして、そういう中で、国連におきましても全会一致で一六三七決議を採択をして、一年間のこの駐留権限、多国籍軍権限延長するということが決定されたわけでございます。  そういう意味におきましても、私たちは国際社会と歩調を合わせて一年間更に復興支援をしていくということを決定をした次第でございます。
  45. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 基本的に、若林先生、ムサンナ県というところはフセインの時代はスンニ派ではありませんので、ここはシーア派の非常に強いところでもありますので、ほぼ全く放置されていた地域であったことはもう間違いないと思っております。  そこで、私どもが、今官房長官からお答えのあったとおり、例えば残りのところで、例えば電力というのが極端に不足しておりますけれども、こういったものに関しましては、まだ、今電力の需要としては二百メガキロワット必要なんですけれども、現実問題として今八十ぐらいしかいっておりませんので、残りまだ百二、三十かなというところでございます。これがこの大型発電所ができ上がりますと約六十メガキロワットぐらいいくことになりますので、これでいきますと約三分の二ぐらいはいくかなという形になろうと思っております。  水につきましては深刻な水不足でありまして、水はそこに、御存じのようにとうとうと、シャットルアラブという、チグリスとユーフラテスが合流した川が流れておりますけれども、じかに飲めませんので、それを直す、給水できるようにするために大型の機械を浄水機六基持ち込んでいって、今現在一人当たり約一日五リットルの水が供給できるようになってきております。人間に必要なのは大体ああいったところでは二・三リットルとか五リットルとか言われておりまして、その倍はできるようになったということだと存じます。  医療につきましては今官房長官お答えになったとおりでもありますし、私どもとしては、教育やら何やらもう三百五十校の学校はほぼ全部修理が必要というようなことになっておりましたけれども、大体三分の一ぐらいのところでは教育環境が大きく改善されてきておると思っております。  雇用の件につきましては、いわゆる現地で人を使いますので、そういった意味では一日約最大六千人程度の人の雇用がそこに喚起をされていると思っておりますけれども、いずれにいたしましても、こういったものがいわゆる治安が良くなって本当の意味での復興ができるような状況になりますと、更にいろんな形での現地の人を使っての復興作業というのができやすくなるんだと思っております。
  46. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 私の答えに、適切にお答えになっていないんですが。  要はこの一年間、去年やって一年間延長したわけですよね。そのときに、やはりこの基本計画にこういうことをやろうということで、一年後にはこういう目標が達成できたから一つの節目としてやっぱり撤退もあろうということで去年やったわけですよ。今回またこれで一年間やって、純粋に何を自衛隊の人がこの一年間掛けてどこまでやらなきゃいけないかということをお答えいただきたいということを言っているわけです。
  47. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 先ほど私の方からお答えいたしましたのは、この一年間に何を達成をしてきたかと、こういうことでございます。  この自衛隊がサマワにおいて行ってきた事業についてるる申し上げてきたわけでありますが、日本も参加したこの国際的な取組の中で、全体として今政治プロセスが進んでいるわけでありまして、十二月の十五日に正に新しい憲法にのっとった議会選挙が行われるという政治プロセスの最終段階に至っています。  つまり、我々は何を目的としているかといえば、その私たちの目的はイラク人イラク人の手による自由で民主的な政府をしっかりとつくっていく、そしてイラク人の手によって復興が可能になっていく状況をつくることにあるわけであります。残念ながら、治安状況等々を見てもまだその状況にはない、よって我々は自衛隊の駐留の延長を決定をしたと、こういうことであります。  残念ながら、一年間でここまで、次の一年間でここまでと、これは相手国の状況もあることでありますからその計画どおりにはいきませんが、しかしながら、政治プロセスを見れば、しっかりと暫定政権をつくって、そして暫定の議会をつくって、そしてさらには憲法を作って、憲法にのっとった選挙を今度いよいよ行うことになります。そういう意味では、最終的なプロセスという基盤をつくるということについてはだんだんそこに入ってきたと、こういうことでございますが、しかし、十二月の十五日に選挙を行ってそれで終わりになるわけではないわけでありまして、小泉政権が、今回の改造内閣ができるに当たりましても、九月十一日に選挙が終わって、新しい内閣ができたのは十月三十一日であります。日本におきましてもそれぐらい時間が掛かるわけでありまして、これからはしっかりと新たな議会が選ばれて、その中から政権が生まれて、その政権の下でイラク国の国民がみんな、とにかく自分たちでしっかりと国をつくっていこう、そして治安をもっと良くしていこうという段階に至らなければならないと、このように考えています。
  48. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 今でも私の純粋な質問にお答えになっていただいてないんで。  イラク人によるイラク国家の建設、民主的な国家の建設、これは分かるんですよ。それと、これは純粋に復興支援をやろうということでやっているわけですから、更にこれ二年間やってきて、更に一年間、なぜ自衛隊が今後一年間やらなきゃいけないかということが全然伝わってこないんですよ。  先ほど来、安保理決議云々とありますが、あれは多国籍軍の駐留でありまして、これは治安維持活動をする多国籍軍の駐留を一年間延長したんであって、復興支援とは直接関係ないんですよ。だから、それを基に、ほかの軍が引いたとか、それじゃなくて、純粋にこの復興支援の目的に対して完遂するかどうかということが本来は判断の基準で求められなきゃいけないんです、これを。そこを明確に、あいまいにするからますます分からなくなる。やはり終わりをきちっと相手との、一年間、じゃここまでやるということを決めないから、ずるずるずるずるやるわけですから、一年間本当にどこまでやるかということを。  相手政府とどこまでやったんですか、じゃ、これは。
  49. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) お答えします。  多国籍軍任務の中には人道復興支援もしっかりと書かれているわけでございます。そして、日本がこのサマワにおいて陸上自衛隊がこうした支援を行っていく、あるいはクウェートにいる航空自衛隊がしっかりと任務を担っているということは、国際社会がスクラムを組んでいる中において日本もその役割をしっかりと担っているということでございまして、日本も含めた、また多国籍軍として出している国々と一緒にその総体としてこの今進んでいるイラクのこの政治プロセスが進んでいく、その支援をしているわけでありますし、治安が回復をされていく、国づくりが進んでいくということを、正にそれぞれの国がお互いに助け合っているというわけでございまして、この国際協調の観点からも我々は一年間の延長を決めたと。そして、イラク外相がいみじくもおっしゃったようにテロリストに間違ったメッセージを出してはいけないということではないかと、このように思います。
  50. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 答えのない質問をしてもなかなか出てこないというのはこういうことだなという感じはいたします。  私も、去年十一月に質問したときに、給水活動はもう終わりじゃないかと私申し上げたんですね。そしたら、町村外務大臣、佐藤局長は、まだまだ先で中期的なことなんで分からないと、まだどういう形になるかって。中期という言葉をこれ議事録今見て、見渡したんですけれど、水道に対するインフラの支援をどうするか、そういったことは将来的には考えられると思いますが、中期的にまだどういうことか分からないと。そしたら、もう二か月後に給水活動やめているんですよね。非常にこれはもう場当たり的、計画のない中で取りあえずやっていると。既成事実をやった、それは助かりますよ、向こうだって。そういうことを、それを私は否定するつもりはないですが、やっぱり一年間何をしてどこまでやったらもう自衛隊は撤退するということをお互いにやらないと、これは恒久法の議論にも影響することですよ、これは。だから、禍根を残さないためにもここでしっかり、やっぱり自衛隊としては主体的にこれはこういう形でやって撤退するということをきちっとやっぱり国民にも、そしてイラク政府とも。  で、何のためにやっているか。これはイラク人のためでしょう。イラク人理解イラク復興のためが、そこがきちっと見えない中で撤退だ、撤退だなんていったら、やったことがぶっ飛んじゃうんですよ、これ、せっかくいいことを仮にやったとしたら、仮にじゃない、やっていることは。だから、そういう観点からしっかりとやっぱり議論することが必要なのにもかかわらず、あんまりこれじゃやっぱりめちゃめちゃだと思われますよ。  じゃ、何で半年間じゃ駄目なんですか、安倍官房長官。半年後にまた延長すればいいじゃないですか、そんな目標がないんであれば。
  51. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 先ほども申し上げましたように、国連安全保障理事会においても一年間の延長ということを決めたわけでございますが、我々も何とか一日も早くこのイラク人による国づくりが本格的にスタートするように願いたいと、こう思っています。その中でしっかりとバトンを渡したいと、こう考えておりますが、今はそういう状況にはまだないわけでございまして、十二月の十五日に国民の議会選挙が行われるという非常に重要な局面を迎えているときに、しっかりとこの復興支援を行っていくというメッセージを発することが極めて重要であるというふうに考えています。  この半年か一年かという御下問でございましたが、基本的にこの十二月に選挙の結果が出て、そしてそれからどういう形になっていくか。この新しい新政権構成メンバーを決めていく、そしてそれがいよいよスタートしてある程度地に足が着くという状況にこれからなっていくわけであって、そこを最初から半年で区切るということは無理があるのではないかと、このように思います。
  52. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 かみ合っていませんけれども。  官房長官イラク全体の話なんですよ。これはもうムサンナのサマワという小さな都市における復興支援の、純粋にこれをやろうとしていることですから、これを一年間延長するんだったら一年後にどこまでやるかということをきちっと議論して。じゃ、一年以内に撤退するということはないわけですよ、基本的に、もしこの計画にのっとれば。基本的にニーズがあってそれをやろうとしているわけですから、それはそれである程度論理的な構築の下に答えないと私は禍根を残すということを申し上げているんであって、じゃ一年後、延長したということは一年以内に撤退することはないということでいいですか、じゃ。
  53. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) この一年間の延長というのは一年間活動することができるという延長であって、その間例えばこの法律が想定している状況でなくなった場合はこれは撤収をするということになるわけでありますし、また他方、先ほど申し上げました、それなりの目的が達成されればそのときには適切に政策判断をするということになるわけであります。
  54. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 分かりました。だんだん復興、この基本計画変更意味合いが分かってきました。つまり、政治的なやっぱりアメリカへの配慮、周りとの状況イラクプロセスを見て取りあえず延長しておこうということであるんだろうというふうに思いますんで、その意味では私は、じゃ一年間何をこれでやろうかという、そのイラク人の視点が欠けていると思います、私はこれは。  何のために本当にやるのか。もしそういうことであれば、じゃサマワは終わったんだったら、ほかへ行けばいいじゃないですか。ほかへ行ってやるということも視野に入れるというのが、官房長官が言ってらっしゃった全体のイラク復興支援にやっぱりこれは寄与するものだというふうに私は逆に思います、そういう発言をされるんであれば。だから、そことつながっていないんですよ、だから。これはこれで純粋に今どこまでやるということを、やっぱり主体的に判断するのが日本としてやっぱり必要なことだということをきちっと国民に説明する必要があると思います。  その意味では、オーストラリア軍、イギリス軍が来春の撤退の可能性を、可能性ですよ、表明しているという意味においては、当然そこは元々非戦闘地域に行っているわけですし、オーストラリア軍、イギリス軍が撤退するというのは、治安部隊が育って相対的に安定してきたから撤退するのであって、そことイラクのこの復興支援は直接関係ないということで理解してよろしいでしょうか。
  55. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) ただいまの御質問にございました英国、豪州が撤退について表明しているということについては私は承知をしておりませんが、英軍やまた豪州軍がどう対応していくかということも、我々、この自衛隊の駐留を引き続き続けていくかどうかという判断の材料には当然しなければならないというふうに考えています。
  56. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 それは何でですか。その理由をお答えいただきたいと思います。  イギリス、オーストラリア軍治安維持で行っているんですよ。目的が違うんです。彼らは彼らの目的に達したからそれは引き揚げるんであって、我々は人道復興支援のために、イラク人のためにやっているんです。そこは履き違えちゃ駄目ですよ。ここは明確に分けておかないといけないと思います。安定しているのは、それは治安部隊がだんだんそこの力を増して代替してくれるだろうということですが、そこはそこで目的があるわけですよ。そことの関係は、今おっしゃったけれども、直接には私は関係ない。そこを混同しちゃうと、何のためにこれやったかということが後々やっぱり影響しますよ、それは。
  57. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) サマワにおける治安の維持活動については、英国軍あるいは豪州軍が担っているわけでありまして、そのことによって治安が維持をされているという状況があるという現実を踏まえて、その中で彼らがどういう判断をするかということも、それは我々のこれから作業を続けていくかどうかということについても当然この検討の材料になるということではないかと、これは当然そうではないかというふうに思うわけであります。  我々としては、自衛隊が安全に現地において作業、復興支援作業を続けていくという状況も当然念頭に置かなければならないと、このように思います。
  58. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 この問題、引き続き残っているというふうに思います。  いわゆるイラク人による、名称は治安部隊ですか、やっぱりそれを、二十七万人等をこれから育成してサマワ地域治安確保に代替し得るということを前提にやっているわけですから、逆にイギリス軍が撤退するということはより安定したということを意味しているわけですから、オーストラリア軍、イギリス軍が撤退した、治安維持が悪化するということが必ずしもそこはないという意味において、それは理由になんないんじゃないですかということを申し上げているわけですから、むしろイギリス軍、オーストラリア軍が撤退するぐらいに治安は良くなったんだ、だから自衛隊も安心して復興支援、息の長い復興支援をどうバトンタッチするかという逆の発想に本来なるわけですから、もう周り周り見て、もう顔色うかがいながら、何かそれに便乗して帰るようなことだけは私はやっぱり一番やるべきじゃないと思います。だから、ここは考え方をしっかり分けておくということが今の時点で必要なんですよ。それをごっちゃにしちゃってこの基本計画に入っているから、やっぱりこのことが問題だと言っているんです。
  59. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 英軍また豪州軍がどういう判断をされるかということは、英国軍豪州軍が判断になるわけですね。その段階で治安が完全にこれはもう回復されたという判断なのか、またあるいは別の判断かもしれない、それはまたそのときに適切に判断をしなければならないと。今の段階で、予断を持って英軍また豪州軍が撤退をするというのはもうすべて完全に治安が本格的な回復をしたと、すべてこれは大丈夫であるという判断の下かどうかということを今の段階で決めるわけにはいかないと、このように思います。
  60. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 マンデートとして一年間延長しているわけですから、当然一年間の中で、やっぱり治安が良くなり、そしてまた治安部隊が力が付けてきたという、この見極めた上でのやっぱり撤退に、一般論としてそうなるんだろうなと。それはそのときの状況で、今官房長官のおっしゃることも分からないわけではありませんので、そういう総合的な判断はあろうかと思いますが。  じゃ、治安部隊の今二十七万人の育成状況というんですか、あるいはその治安の能力というのはどの程度見ていらっしゃるんでしょうか。外務大臣ですね。
  61. 太田豊秋

  62. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 はい、外務大臣に一応そういうことで。
  63. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今イラク政府が六月三十日に発表したいわゆるナショナル・ディベロプメント・ストラテジーという、何ですか、これは国家開発戦略ですか、において、来年の六月ごろをめどにイラク治安部隊を二十七万人とするとの目標を設定をしておりますが、十一月三十日現在、約二十一万二千人となっております。  NATOや各国の支援もありますので、次第にこれ強化をされていっていると理解をしておりますが、この治安部隊は、アメリカの駐留軍、米軍と共同しながら武装勢力の掃討作戦を実施する等々、これ治安回復に向けて全力に取り組んでいるところなんですが、それがどの程度のレベルになっているのかということに関しましては、これはなかなか意見の分かれるところであって、いわゆる発生する場所がほとんどバグダッドの西だけに限られておりまして、かなりな部分がバグダッド市内から比べて以北、以南の方ではいわゆるそういった騒ぎが激減しておるというのが、以北、イラク、クルド人のいる方の地域がいわゆるテロ等々の騒ぎが減り、南の方のサマーワムサンナ等々の辺でもちろん減っております。起きておりますのは、そちらから見られたら西側のいわゆる方の方に圧倒的にこのテロのいわゆる騒ぎというか、騒動というのは集中しておるということになってきたことだけは確かで、その他のところはかなり落ち着いてきたというところまでは、治安は。  しかし、そこらのところは基本的にはシーア派のところですから、だから、西側のところの方は逆に言いますとスンニ派がそこに多いというところに、宗教色で分けますとそういうことになろうと思いますので、そこらのところにあとどれくらいでうまくそこらのところの治安ができるかと言われることに関しましては、これは人数だけ集めれりゃいいというものじゃありませんので、かなりこれは武装されたテロ組織というものに対しては、それを鎮圧できるためにはそれなりのいわゆる兵器等々の装備というものはきちんとされる必要があろうかと思いますので、前に比べたら大分良くなったというのは確かですし、あの分列行進、CNNなんかで見られると思いますけれども、分列行進も最初のころはばらばらでしたけれども、最近出てくる写真は一応分列行進の体を成しておる写真が出てきて、前と比較して写真出しますから、それはかなり進んできていることは確かなんだと思いますけれども、それが直ちにどれぐらいいけるかということになりますと、これはちょっと今の段階で若林先生、これぐらいというのはなかなか私らから見ていて分かるところではございません。
  64. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 二十七万人、まあ数的には二十一万二千人とおっしゃいましたっけ、十一月ですね。そういう意味では、数的にはかなりその数に近づいてはいるものの、その部隊の教育訓練効果がどうだったというのはなかなかやっぱりつかみにくいと。それと、今派遣されているところが偏在をして一部テロ活動が多いところという意味では、サマワとか北部の方は少ないということであれば、最終的にその二十七万人になってもその方たちがサマワに来て治安活動をするということには今のお話だとやっぱりならないんだろうなというふうに感じはしてますので、その意味においてイラクオーストラリア軍が撤退するときの治安が不安なんだろうなと、私は今お話を伺ってそう聞いているんですが、そういう理解で、額賀官房長官、直接は質問しておりませんけれども、さっき、済みません、イラクにも行かれておりますので、その治安ということについてどういうふうに今とらえているか、改めてお伺いしたいと思います。
  65. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 先ほど言いましたように、陸上自衛隊航空自衛隊においても、まず主体的にきちっと自分の宿営地についての安全確保のためにはでき得る限りの態勢をつくって、自らの安全を自らの力で確保しつつあります。ソフト的には部族社会との緊密な連携、社会の中に溶け込みながら自らの安全を確保するのは当然のことであります。一方で、英軍とか豪軍とか、これは地元のムサンナ県の治安部隊も併せて連絡員を置いて、緊密な連絡を取って、全体的な治安情報を取って更に自らの安全確保に努力をしているということであります。  ムサンナ県のハッサーニ知事、それから英軍、豪軍の幹部皆さん方お話によりますと、ムサンナ県自体の治安については今、バグダッド辺りと相対的に考えると非常に安定をしていると、しかも、なおかつ英軍、豪軍の治安部隊に対する指導、育成も極めて順調に進んでいるということでございまして、十五日までの投票日までに混乱が起こるとは思えないというふうなことを語っておりました。  私が行った当時はまだ日本自衛隊を一年延期するということを決定しておりませんので具体的な話はしておりませんけれども、地域の要望、それからイラク政府の要望、それから国連決議等々も踏まえて、直接の担当長官である私としては前向きに考えたいという思いもありましたので、引き続き、英軍それから豪軍とは連絡体制を取って、治安を維持しながら復興支援活動を展開させていただきたいという話をしております。だから、全体的な意思疎通の中で安全確保がしっかりとなされているというふうに思っております。
  66. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 ありがとうございます。  いずれにせよ、撤退する時期がいずれ来るわけですから、その出口をどうやって考えるか。撤退するというのはやはり行くよりもかなり難しいと思いますし、それだけ様々な影響を与え、雇用もしている、それを撤退したときにどういうふうに自衛隊は見られるかということは、非常にこれは注意も必要でありますので、そういうことも必要なんだろうなというふうに思います。  その意味で、今米軍の死者も二千人をはるかに超えるような状況でありまして、暴力の連鎖というんでしょうか、米軍が殺されれば掃討作戦を繰り返して、イラク人も何万人死んでいるか分かりませんけれども、もうそういう形での力によるテロ活動の封鎖というのは、私はやっぱり難しいんだろうなということを世界各地で起きているああいうテロ活動を見ると思います。  その意味において、今やるべきことは、やはりテロ活動の封じ込めが必要なんではないかなというふうに思います。それは周辺国も含めて、先進国も含めて、各国が本当に心から一致協力をしてテロ活動を封じ込める、目に見える活動を全部の市民も含めた協力でやるということがやっぱり併せて必要なんだろうな、正にこれがテロに対して毅然と戦う、力ではない本当の意味での封じ込めではないかなというふうに思いますが、正に私は日本がそれに対してしっかりと役割を果たすということが必要なんではないか、その仲介役、つなぎ役として積極的にそのことについて役割を果たすべきだと思いますが、外務大臣、いかがでしょうか。
  67. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 基本的には、今先生おっしゃったように、やっぱりかなりのテロが起きる背景に宗教とか民族の話がえらくよく強調されますが、貧困というのも大きな要素だと思っております。少なくとも、このイラクに限らずその他の地域においても同様に、貧困というものはこの種のいわゆる行為に走らせる大きな要素になっているというのは、これは認められているところだと存じますので、日本という国は基本的にはこれまでも、いわゆる平和と幸せというのは経済的な繁栄を通じて達成し得る部分が極めて多いということを我々は過去六十年間ずっとそれでやってきたんだと思っておりますので、そういった意味では、少なくとも資源はあるんですから、あちらの方は。こっちは資源は全くないんですから。その資源のない国でこれだけ繁栄できておる、資源がある国で繁栄できないと。何か政治的なルールなりシステムがどこか正しく作動しなかったと。  それはもちろん向こうも反省してもらわにゃいかぬところですよ、内紛なんかこっちはなかったんだから。向こうは内紛がずっと続いていたんだから、民族間も宗教間もいろんなものが、クルド人含めまして。そういったものはやっぱりある程度それはくしゃくしゃになっての、治安を、いわゆる実力をもって抑え込んだのが人口でいえば二割、三割のスンニ派だった、人口比ではそういうことになるんだと思います。したがって、残りのところには、かなり不満が出たところは抑え込んできた。それが爆発した形になってきた。  いろんなこれまでの経緯、長い時代の経緯がありますので、私どもも、自分たちの方はうまくいったからといってそれが他国で全部うまくいくなんという保証は全くありませんけれども、少なくとも私どもとしては、いろいろな形での経済的な繁栄というものが資源がない国でこれだけ達成できているんだからという一つの実験としては証明をしておるとは思っておりますので、是非その意味では、いろんな形で、武力による治安以外のものというのに、重要な点ではないかという若林先生の御意見には私も基本的に賛成であります。
  68. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 日本もそうですけれども、経済発展、貧困の問題はありますが、一方で、やっぱりその封じ込めを具体的にやはりあそこの周辺国あるいは先進国、今回の国連決議等で反対しましたフランスやドイツも巻き込んで、やっぱり本当に力でやれる方向に行かないと、いつまでたっても力による封じ込めでは自爆テロと掃討作戦の連鎖からやっぱり脱することはできないんではないか。そこに日本の役割があるということを申し上げているわけですので、是非積極的な役割を逆にそういうところでやっぱり担っていただくことが必要だということを申し上げておきたいなというふうに思っております。  五十億ドルですか、十五億ドルはもう既に無償資金協力しているわけですから、それは。それは自衛隊の方もあってもできますし、一方では、今後のその残りの三十五億に対しては、必ずしもそれは中に行って直接やるんじゃなくて、やっぱりODAという手段を使いながらリモートの部分でもできる部分もありますんで、そういう役割を担うという意味ではもうほぼ自衛隊の役割は終えているというふうに思います。  最後、ちょっと質は違うんですけれど、私がかつて一緒に仕事をした奥そして井ノ上外交官がイラクで亡くなられて丸二年たったわけであります。全く真相は解明されておりません。去年の十一月も私は外務大臣にお願いしました、これについて積極的に真相解明をしてほしいと。その意味でこの一年間、何をやられてどういう成果があったのか、お伺いしたいと思います。
  69. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 御存じのように、二〇〇三年の十一月二十日に……
  70. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 二十九日。
  71. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 二十九日、済みません。二十九日にあの痛ましい事件が起きておりますのはもう御記憶のとおりです。外務省でも過日、二回忌というか三回忌というのを外務省でやらせていただいて、いろいろ国会議員の方に御参加をいただいて大変有り難かったと思っています。  これまで、あの真相究明というお話があっておりましたけれども、イラク政府に対して、捜査の継続というものは非常に状況としては厳しいかもしれぬけれども、少なくとも私どもとしてはこれは是非要求したいと。新たな、いわゆる新しい事態、事実というものが判明した場合はすぐ我々に教えてもらいたいということで言っておりますし、最近でも在イラク大使館から再度の照会を行わさせてもおります。現地に今おりますので、申し込んでおります。  残念ながら、新しい事実が明らかになってはおりませんけれども、少なくとも、まあああいう状況ですから、なかなか似たような話が一杯多分起きているところなんだと思いまして、我々はあの事件がえらく大きく取り上げられますけれども、ほかの方の痛ましい話というのは多分ほかにも一杯あるんだと思いますので、なかなか我々だけというふうにはいけないのはよく分からぬわけではありませんけれども、私どもにとっちゃこれは非常に大きな問題ですので、是非そういった意味では真相の解明というものを更に要求してまいりたいと思っております。
  72. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 いずれにせよ、日本政府を代表してイラク人のために命をささげて亡くなった方は公務員ですから、もっともっとやっぱり心を込めて積極的にやるべきだというふうに思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。  もう時間が来ましたのでやめたいと思いますが、改めまして、もう自衛隊イラクでの役割は私は終わったと思います。本当の意味でのイラク人の、復興のためのその視点からこの撤退についてきちっとやっぱり議論して出口を考えていただきたいと思います。  以上です。終わります。
  73. 谷合正明

    谷合正明君 公明党の谷合正明です。  まず、このたび基本計画変更されまして、派遣期間が一年間延長されました。まず、私は冒頭に、今サマワで活動する陸上自衛隊員、そして外務省員、またクウェートで任務に就いております航空自衛隊員、この一年間、大きなけがもなく、また隊員の方も一発の銃声も出さずに、撃たずに、撃つことなく、地元部族住民と力を合わせて、また地域に溶け込んで復興支援活動を行ってこられたことにつきまして、敬意を表したいと思います。    〔委員長退席、理事阿部正俊君着席〕  そこで、まず官房長官に御質問をいたしますが、日本国内の世論調査におきましては、派遣については反対意見が多数を占められていたわけでありますが、こういった反対が多い中、派遣延長を決めた理由を国民に分かりやすく説明いただきたいと思います。  そしてまた、この基本計画は、撤収という言葉を使ってはおりませんが、英豪軍の動向に合わせて陸上自衛隊を撤収させる可能性を示したものだと理解をしております。昨年の派遣延長と何が違うのかといえば、私はこの点にあるんだと思っております。延長の理由とともに、撤収を今後どう図っていくのかという出口戦略を含めて、政府の考えを国民に分かりやすく説明していただきたいと思います。
  74. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) イラクにおける自衛隊の駐留延長に対して、世論調査の結果が残念ながら余り支持が高くないわけでございます。我々はしっかりとこの延長意義、必要性についてこれからも国民の皆様に説明をしていきたいと、こう思っています。  そこで、今回の駐留の延長意義でございますが、今、日本を含めて国際社会は、何とかイラクにおいて平和で民主的な国をつくっていく、その苦しい努力を続けているところでございます。その中で、今年一年間政治的なプロセスを進めてきて、そして十二月の十五日にいよいよ新しい憲法の下における国民議会選挙が行われるわけでございます。そして、この国民議会選挙が行われた結果を受けて議会が構成され、そして新しい政府樹立をして、本当に真の意味でのイラク人イラク人による国づくりが本格的に土台が整っていくと、このように思います。  その本当に重要な時期を迎える中において、国連においても、安全保障理事会において多国籍軍権限を来年末まで一年間延長するという決議全会一致でなされたわけでございます。日本もしっかりとこのイラク人イラク人による民主的な国づくりのために貢献をしていくという決意を固め、そしてその発信をしなければならないと、こう考えたわけであります。  現在のイラク政府から、イラクの首相からもまた外務大臣からも、自衛隊の今までの活動に対しては感謝をしている、是非とも今この大事な時期を迎えて駐留を延長してもらいたいという要請もあったわけでございまして、そういう中で我々は一年間の延長を決定をしたと、こういうことでございます。決してテロリストに対して誤ったメッセージを発してもらいたくないというイラク外務大臣要請にもこたえた形になっているというふうに思うわけでございます。  イラクにおいては、この一年間で、政治プロセスでは憲法草案の承認という重要な進展が見られ、また治安情勢について、イラク治安部隊が着実に増強をされまして、多国籍軍からイラク治安部隊への治安権限の移譲も検討をされています。  先ほど御質問で御指摘をいただきました四項目については、こうした過去一年間の情勢変化に加えて、これからの一年間が政治プロセス進展治安権限の移譲、多国籍軍活動状況及び構成の変化などを含む重要な時期であることを踏まえ、これらの事象を政府として見極めるとの趣旨をより一層明確にするために設けたものでございます。  今委員から出口戦略があるのかと、こう御質問があったわけでございますが、今私が申し上げましたような要素を勘案しながら適切に対処しなければならないと、こう考えているわけでありますが、我々は、そもそも自衛隊を派遣をするという決定をしたときから、一日も早くイラク人イラク人の手による国家がしっかりと安定したものになり、バトンをイラク人に渡せるような、渡せることができるような状況が生まれることを望んできたわけでありますし、そして、自衛隊が無事に任務を終えて帰国できることをずっと念頭に置いてきたわけでございますが、現在の段階では正に重要な時期を迎えていて、我々はしっかりと更に日本としての責任を果たしていかなければいけないと、こう考えております。  基本的には、しっかりとイラクにおける治安が回復をされ、しっかりとイラク人によって治安を維持をし、イラク人の手による復興がちゃんとできる、しっかりと行っていく、進んでいくことができるような状況をつくり、そして自衛隊任務を終えることが望ましいと、このように考えております。
  75. 谷合正明

    谷合正明君 イラク人の手による治安また復興をつくっていくことを支援していくということであります。イギリス、オーストラリア軍の基本的な考えは、正にそのイラク治安部隊の能力が育成されればその多国籍軍活動は終了するという基本スタンスがございます。自衛隊が本来の任務としております、目的としております復興についてはなかなかお答えにくいかもしれませんが、どういう状態が、復興の状態が自衛隊活動が終了できる状態なのかと、基本計画にある「現地復興進展状況等を勘案して、」とありますが、もう少し具体的に何をどう見ていくのかということをお答えできればと思います。
  76. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) この復興支援活動との関連におきまして、具体的にどの程度現地復興進展すれば人道復興支援活動の目的を達成することになるかについては、一概に申し上げるのは若干困難でございますが、現地復興進展状況としては、例えばイラク人自身による自立的復興の開始等を考慮しなければならないと、こう考えています。それは、自衛隊そのものはもちろん治安任務を負っているわけではありませんし、治安部隊を創設することについて自衛隊がそれを指導する、援助するという立場にはないわけでございますが、しかし自衛隊日本もサマワの地にあって復興活動を行っていくということは、イラク人にとっても正に国づくりが進んでいくということを目にしながらしっかりと自分たちで治安も維持し、そして自分たちの手で復興していこうという気概が芽生えていくことにも私はつながっていくんだろうと、こう考えているわけでございまして、そういう気持ちが本当に芽生える中で、いよいよイラク人にバトンが渡せるという状況がつくられることを我々、今望んで一生懸命頑張っているということでございます。
  77. 谷合正明

    谷合正明君 そして、次に政治プロセスの進捗状況についてお伺いいたします。  十二月十五日には新憲法下での総選挙がございまして、予定どおりに安保理決議一五四六に定められたスケジュールに進みますと、本年末までにこのイラク政府の発足となります。この本格政府の発足は、イラク民主化プロセスの最終段階でもありまして、正にこのことが基本計画にも盛り込まれているんだと私も承知をしております。その推移は、これは本当に今後のこの一年間の計画を立てる上で重要なファクターであります。  ただ、今年の一月三十日の選挙を終えて移行政府が発足したのはそれから約三か月後でございまして、まあ単純にいかないという可能性も指摘をされておりますが、政府としてはこのイラク政府の発足となり、また政府の、現地政府統治能力を判断できると、それはいつごろできると分析されているんでしょうか。外務大臣の方にお伺いいたします。
  78. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これは、谷合先生、なかなか判断の物すごく難しいところだと思っております。  我々は、何となく、選挙が終わると開票率一%、当選確実なんというのを見る世界にいますので、大体すぐ何でも答えが出てくるということに皆どうしても思いがちですけれども、インドネシア見ましても非常に広い地域でもありますし、ここもいろんな意味でこういった経験がないところで初めてやります。しかも、その中でインチキしないだろうかとかいろんな形で国連の査察団も入ったりする中での選挙の結果が出て、それによって議席が決まって、それに伴って今度は、今の世論調査を見ますと、二けたいっている支持率、いわゆる政党がいろいろ先ほど若林先生の御質問の中にもありましたように分かれておりますので、見ますと二けたいった支持率、二けた以上、一〇%以上というのがないんで、一番上で九%ぐらいのところですから、これはどう考えたって連立になる確率が極めて高い。そうなりますと、その連立をどうやって組んでいくかというのは、これはマイノリティーであろうと、スンニ派もきちんとある程度持たにゃいかぬとかいろんなことを考えて組閣をされることになりますんで、かなり時間が掛かることを覚悟せにゃいかぬと私どもはそう思っております。  その上で、それがスタートしてどう動いていくかということになるんだと思いますんで、私どもは、それがシーア派の人にとってもスンニ派の人にとっても、いわゆるテロというような形での反政府運動というのをやらなくてもいいような安心した形になるのか、引き続きイラク人以外の人が入ってきていわゆる騒動を起こそうとするのか、いろんな状況も考えて、その上で治安部隊、先ほど御質問がありましたように、再来年の八月までには三十二万五千人まで行きたいと、今の移行政権政府というか、暫定政府は再来年の八月までには三十二万五千人まで行きたいと言っておりますけれども、そういったようなものが確実に新しい政府の下ででき上がっていって、いわゆる定着するのかというところはちょっとなかなか判断のしにくいところだと思いますけれども、テロとかそういったような異常な事件というのが頻発するという状況が少なくとも収まるというのはすごく大事な条件だと思いますし、治安部隊の組織がきちんと訓練され、維持されるというような状況ができ上がってくるというようなところが、先ほど御質問がありましたように、我々としても別の形での、自衛隊を使わない形でのODA等々のいろんなことができていく背景になるんではないかと考えております。
  79. 谷合正明

    谷合正明君 今、最後に治安維持というような話も出ましたので、現地治安状況について質問を移らせていただきます。  今イラク全土に二十七万人を目標にしてこれを整備されていると、現状では二十一万人ということを聞いております。サマワがありますムサンナ県におきましては、六千人がこの治安部隊として活動していると、あるいはイギリス、オーストラリア軍から養成を受けているということでありますが、一方で、全くの経験のない素人が警察であるとかそういう訓練を受けていて、その能力について不安視する向きも、報道もございます。  まず、ムサンナ県の治安状況について伺います。そしてまた、ムサンナ県におきますイラク治安部隊の整備状況、この六千人というのは十分足りているのか、人数規模のこの目標達成度であるとか能力についてこれをどのように把握されているのか、防衛庁長官にお伺いをしたいと思います。
  80. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 英軍、それから豪軍の幹部皆さん方と懇談をしたときに、現地治安部隊状況について、こういうことをおっしゃっていました。これまでの育成強化で相当レベルは上がりつつあると。ある意味では、このムサンナ県においては現地部隊に当事者能力が備わってきつつあるというような話だったと思っております。だから、相対的に見れば、ムサンナ県は治安が安定しているということを言っているわけでございます。したがって、この自衛隊活動についても、自らの努力とそれから現地治安部隊と、それから英豪軍との、これこそ三位一体で連係プレーの中で治安が維持されていると。  じゃ、かといって、英豪軍がいない中で、現地治安部隊陸上自衛隊だけでしっかりと従来のような復興支援活動ができていくことに自信があるのかというと、そこまでは言えないと、我々の立場からは言えないというふうに思っております。それは、イラク全体がやっぱり治安回復の状態ではないと。したがって、周囲からいつ何どき、どういうふうな事態が起こるか分からないという予断を許さないこともあるから、若干の心配はあるということです。
  81. 谷合正明

    谷合正明君 いずれにしましても、延長に当たりましては自衛隊安全確保を万全を期していただきたいということと、そしてまた、この治安復興の両面におきましてイラク人の手によるこの復興治安回復というものができる状態になれば、この撤収というのも戦略として考えていただきたいということを要望をさせていただきます。  そして、次にODAについてお話をさせていただきますが、陸上自衛隊がこれまでは理想型としてセカンドランナーに民間、まあNGO、JICAなりにハンドオーバーしていくということが望ましいという考えであったと思います。公明党としましても、引き続きこのODAを中心に人道復興支援活動を、仮に陸上自衛隊が撤収した後も十分継続をしていただきたいということは要望をさせていただいているところでございます。特に、メソポタミア湿原の事業なんかも雇用創出を図る上では非常に重要な事業だと思っております。  しかしながら、現在のところ、またこの当面一年間、セカンドランナーとして自衛隊がバトンを渡すということは、自衛隊がセカンドランナーにバトンを渡すということはかなり厳しいのではないかという私は認識を持っております。  そこで懸念されるのが、自衛隊が雇用してきた、まあ貢献してきた雇用活動であります。陸上自衛隊は一日最大で千三百人の雇用をしてきながら復興支援活動を行ってまいりました。これは安い賃金ではございますが、この現地住民の大きな支援となっておりますし、これを良好な住民関係を築く上にも非常に役立ってきたというふうに認識をしております。  しかし、いきなり撤収となって、いきなり雇用の数が減っていったのでは住民の中で不満が高まるだろうと。住民の不満の矛先がそれこそ今後撤収を計画している陸上自衛隊に向けられる可能性もなきにしもあらずということで、この雇用の継続というのは治安を守るという意味でも非常に大事なファクターであると私は思います。  そこでお伺いしたいのは、セカンドランナーが、実際想定していたセカンドランナー、NGOなりJICAなりが見えない中でどのようにこの自衛隊の雇用を引き継ごうとされていこうとしているのか、その辺りをお聞きしたいと思います。
  82. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) その際に、雇用が、自衛隊復興支援活動で雇用が活用されているというのは、管理技術だとか技術提供を自らが全部完結的に仕事をやるんではなくて、地元の人たちに教えながら、やらせながらやっているということで雇用が生まれていると思うんですね。そこで現地人たちが、地元の人たちがいろいろ仕事を覚えていくということでありますね。それが、例えばこれからはイラク政府ができる、あるいは現地の行政府ができていくときに、行政府なり政府の当事者能力が、行政府のあるいは統治能力ですね、それは仕事だと業務が展開できるのかどうか、企画力があるのかどうか、住民のニーズをどうやって吸い上げていくのかどうか、そういうことを自衛隊復興支援活動の中で住民の中に教えているわけであります。  だから、治安活動だけではなくて、そういうノウハウ提供の中で一日でも早くイラク人によるイラク政府ができ上がるように、あるいは行政、地方の行政府ができ上がるようにしているということの中でその労働力確保とかが行われているというふうに私は現地に行って感じてきましたので、それは御理解をいただきたいというふうに思います。
  83. 阿部正俊

    理事(阿部正俊君) 外務大臣ですか。いいですか、いいですか。じゃ、金田外務大臣
  84. 金田勝年

    ○副大臣(金田勝年君) ただいま御指摘がありました点につきましては、やはり一つは、まず現在はイラクの移行政府が駐留米軍と協議しながら大規模な武装勢力掃討作戦を実施して治安回復に向けて全力で取り組んでいる、そういう状況の中ですけれども、将来、イラク治安状況が抜本的に改善されたときには、やはりNGOを含むような文民中心の復興支援というのは可能になるんだろうというふうに考えております。  しかし、現在のイラクというのはそのような状況にあるというふうな認識は私どもも持っていないわけですけれども、一方、何といいますか、自衛隊の撤収した後のことについて現時点で判断といいますか、することはできませんけれども、以上の前提であえて申し上げますと、イラクの、本来イラク側の当局が、自衛隊が行っております人道復興支援事業というのは本来イラク側の当局が行っていくべきものだというふうに考えますと、やはり各種事業のフォローアップというものをイラク人が自らのその行政能力を向上させながら行っていくことが期待されるわけであります。  したがいまして、私ども、このたびの中で、御指摘のとおり、これまでは自衛隊の事業関連でいろいろな雇用が創出されてきておりますこと、そのとおりでございますが、これと併せまして、ODAにおきましてもUNDP、国連開発計画等の国際機関を通じました雇用創出事業というものを実施してきておりますし、また十二月八日、このたびの発表のしました内容におきましても同様の事業の実施というものを新たに決定し、発表させていただいているわけであります。
  85. 谷合正明

    谷合正明君 今の最後にUNDPのIREP事業のことについてお話が出ましたが、これはちょうど八月、済みません、十二月八日に決まったということで、今後一年間のものでございますが、ほぼこれはムサンナ県で行われて、ほぼこの資金も日本政府のものだとお伺いしております。これ私、いかに日本のこれが貢献なんだということをビジビリティーをしっかり出していただきたいと、パートナーシップ。もう一つは、イラク政府統治能力を高めるための、そのオーナーシップも大事でありますけれども、日本の貢献であるというビジビリティーをしっかりこのUNDPの事業の中でも出していただきたいということを要望させていただきます。  最後に、イラクからの国費留学生を是非受け入れていただきたいという話を最後にさせていただきます。  このODAによる研修生受入れ事業につきましては、これまで総計千人を超える研修生が日本に参りました。これ、非常に好評だったというふうに聞いております。しかし、その中に新生イラクから国費留学生として日本にまだ一人も来ておりません。サマワにも大学が一つございます。そのほかにも専門学校等高等教育機関もございます。サマワに限らず、私は、このイラク全土というのはかなり教育の発達した国だと、実際に現地を訪問して感じました。  私も実際に二〇〇三年の六月にバグダッド大学を訪問したときに、この交換留学の話をいろいろ、民間部門で働いていたときに交換留学の話をしたときに、是非とも日本に留学生を送りたいんだというような話を向こうの大学関係者から聞きましたが、私は是非ともこの国費留学生受入れを実現していただきたいと要望させていただきますが、まずその状況について教えていただきたいと思います。
  86. 金田勝年

    ○副大臣(金田勝年君) ただいま委員御指摘の留学でございますが、十七年現在でございますが、国費留学生二名、私費留学生一名ということでございます。そして、新たに、十八年度でございますが、大学院レベルでございますが、二名の国費留学生を受け入れるべく現在準備を進めております。これが現状でございます。よろしいですか。
  87. 阿部正俊

    理事(阿部正俊君) 谷合正明君、時間が来ておりますので、簡潔にお願いします。
  88. 谷合正明

    谷合正明君 はい、分かりました。  政府には、今後、サマワに築いた財産、特に人的なつながりを生かし、息の長い復興支援をしていただくことを要望いたしまして、質問を終わりにいたします。  ありがとうございました。
  89. 仁比聡平

    仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。  イラクをめぐっては、有志連合の中からも撤退、削減やその検討表明が相次ぎ、米国内でも世論の撤退圧力が強まるなど、米国のイラク政策そのものが問い直されています。その主要な背景は、今日もなおイラク情勢の深刻な悪化が続いていることにあり、その根源は、米軍が無法な侵略戦争に続いて居座りを続け、抵抗する勢力への武力弾圧を繰り返していることにあります。実際、米軍駐留の長期化に伴い、アブグレイブ収容所での拷問、虐待や民間人を巻き込む無法な掃討作戦など、その実態が極めて残酷なものであることがこれまでもいろいろ指摘され、そのたびに国際的に問題にされてきました。  まず、麻生外務大臣にお伺いをいたします。  イタリア国営放送の報道をきっかけに、先月新たに、米軍が昨年十一月のファルージャ掃討作戦において民間人に対して白燐弾を使用していたことが明らかになりました。多数の民間人が虐殺され、むごい遺体の映像も報じられました。実際そういう、実際にそういう事態が起きたことを大臣は率直にどうお感じになるのでしょうか。
  90. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 白燐弾という言葉がなかなか通じないと思いますんで、いわゆる白い燐、いわゆる煙幕に使われるものが白燐弾というものだと思いますんで、これはいわゆる通常の焼夷性を持った、焼夷性というのは焼くという意味、焼夷弾の焼夷ですけれども、焼夷性を持った爆弾とは種類が違うというのはもう御存じの上で質問をされたということに、前提に立って答弁をさせていただきたいと存じます。  二〇〇四年の十一月にこれは出されたということを米国政府も認めております。これは、今申し上げましたように、攻撃対象の識別等々、いわゆる敵の追い出し等々のために使用し、イラク民間人を攻撃の対象としたことはないと言って、あらゆる手段を講じたということを説明をしております。  ちなみにこれは、白燐弾というのは通常の武器でありまして、いわゆる非合法の武器というようなイメージのものではございませんので、そういった意味で、私どもとしては、こういった問題というものはなかなか難しい話であって、どう考えるかと言われても、私ども、その掃討作戦というものは治安維持のために必要と思ってやられたところなんであって、民間人が巻き込まれたというのは、日本の戦争のときも同じように多くの民間人が戦争によって巻き込まれておりますんで、そういった意味におきましては、いろんな形で戦争というものはこういった市街戦になった場合には非常に悲劇を生むという一つの最たる例だと存じますが。
  91. 仁比聡平

    仁比聡平君 大臣はこの攻撃の映像などをごらんになったんでしょうか。白燐弾というのは酸素と反応して激しく燃焼いたしまして、二千五百度を超える高温で百五十メートルの範囲にわたって人も動物も焼き尽くす。人体に触れると骨まで焼き尽くされてしまう。実際に私もその写真を、遺体の写真を見て、本当にむごい兵器だと思いました。これが迫撃砲によってファルージャ市内に撃ち込まれたと従軍記者は言っています。住民は炎の雨が降ってきたと証言しています。ロイター通信が市内に降り掛かる炎の雨の映像を報じているんですね。  民間人が密集する地域にこういった攻撃を行うなら、多数の民間人が犠牲になることは明らかじゃありませんか。どうしてこれが米軍の言うような、民間人に対して行ったものではない、そういう弁解ができるんでしょうか。私はジュネーブ第一追加議定書により禁じられた無差別攻撃にほかならないと思いますが、大臣、もう一度お答えください。
  92. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今お話がありました、二〇〇四年十一月にイラク暫定政府治安部隊治安部隊と駐留米軍が、今、ファルージャにおいて今のような話があったということを言っておられるんだと思いますが、事前にファルージャの住民に対して市外に退避するよう手配を進める等、可能な限り民間人への被害を回避する努力を行ったものと私どもも承知しておりますし、私どももその現場にいたわけではありませんけれども、そのような形で聞かされておりまして、私どもとしては、今申し上げたようにこれは爆弾でありますから、いわゆる、私ども、私どもとしてはそのものがいわゆる通常兵器使用禁止条約の対象になっている武器と考えてはおりません。
  93. 仁比聡平

    仁比聡平君 大臣、しっかり検証もせずにそういう発言をされる。  実際にこれはインターネットで公開されている映像ですけれども、赤ちゃんが着ぐるみにくるまれたまんま、目鼻がもう分からないほど焼け溶けてしまって、実際に民間人じゃないですか。罪のないこういう人たちが実際に犠牲になっている。それを政府自ら一切の検証もせずに、アメリカ政府のその発表の言うがまま。それでどうして独自に今後判断をしていけるというんでしょうか。民間人を仮にねらって攻撃すれば、それはもう無差別攻撃です。人口が密集する地域での攻撃は、ジュネーブ第一追加議定書で言えば五十一条五項に抵触する重大事態である可能性が極めて高いわけです。日本政府自らちゃんと検証して事に臨む、イラク問題に臨む、そういう姿勢が必要なんじゃないでしょうか。  別の角度で伺います。テロ掃討の名で多くの罪のない民間人を犠牲にする、こんな無法が行われれば、イラク国民の怒りと反米感情が高まることは当然ではありませんか。これがテロ勢力や武装勢力に攻撃の口実を与え、情勢を悪化させている元凶なのではないでしょうか。いかがですか。
  94. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 正規の軍服を着ないで、いわゆる民間の服装に紛れた、日本語で言う便衣隊というんですけれども、便利の便に衣料の衣、便衣隊ということを言うんですが、便衣隊のことに関しましては、市内で便衣隊というものを行われれば、今言ったような形で多くの市民は巻き添えに食うのは当然です。したがって、そういったことはやらないことに普通はなっておるんであって、市内での掃討作戦というものが市街戦ということになりました場合は、今言ったような多数の犠牲者が出得る可能性は極めて大きいというから、あらかじめ退避を呼び掛け、いろんな形でしたと。その上で、退避しないというようなことになった場合には、今言ったような形で少なくとも攻撃が開始された結果だと思います。いきなり民間人をねらって、民間人を対象に、民間人に的を絞ってやったわけではないと。そこで、民間人の服装をした多くのテロリストがそこにいるということは、極めて危険性が高くなるという最たる例の一つだと思っております。  我々がそれをどのような形で検証できるかといえば、我々がその地域にいるわけではありませんので、検証としては極めて難しいものがあろうと存じます。
  95. 仁比聡平

    仁比聡平君 ファルージャの包囲作戦については、例えば十三歳以上の男子であれば戦闘年齢だとみなして退避を禁じられたという現地からの報告もあることは恐らく大臣御存じの上でおっしゃっているんだと思います。  今のお話の中でも、テロに屈してはならないというその治安確保のための作戦という趣旨で正当化をされようというんだと思うんですが、米国はこの十一月に発表したイラクでの勝利のための国家戦略、この中で我々の敵及び彼らの目標という項目を立てて、敵を拒絶派、サダム主義者、テロリスト、この三つに分類をしています。御存じかと思いますけれども、そこでは、アルカイーダの傘下若しくはそれに刺激されるテロリストは敵の中で最小であると、こう言っているんですね。最大の集団は、テロリストでもサダム主義者でもなく拒絶派、すなわち彼らの大部分はスンニ派アラブ人で新国家への変化を受け入れていない人々だと、こう言っているわけです。  仮に米国の情勢認識に立ったとしても、多国籍軍が直面をしている治安情勢は単純なテロとの戦いではない。そのことは私は明らかだと思います。  一方で、犠牲者はどうか。これも米国自身の調査が明らかにしています。十月の米国防総省の議会報告は、イラクでの武装勢力の攻撃の八割は有志連合を標的としたものだが、その犠牲者の八割はイラク人であると言っているわけです。つまり、米軍がテロにねらわれても、実際に犠牲になる方々の多くは罪のないイラク人だということですね。多国籍軍の駐留の中で起こっているこういう状況、これは根本から変えなければならないのじゃないでしょうか、いかがですか。
  96. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 優先順位が全然違うと思いますけれども、私どもとしては。  元々は、テロリスト等々を含めまして、イラクという巨大なテロリスト国家とみなされている、国連からですよ、みなされているようなところに対していろんな形での攻撃がなされた、もう戦争の始まった経緯ですけれども。それ以後、戦争が、二〇〇三年五月の一日に終結宣言が行われたんだと記憶しますが、それ以後今日までの間、少なくとも二千人を超えるアメリカ兵も殺された、巻き添えに食ってそれを上回る数の民間人が殺されたのはすべてアメリカの方が悪い、多国籍軍の方が悪いという理屈にはなかなか私ども賛成し難いところでありまして、見解が共産党と全く違うんだと思う、若しくはあなたと見解が違うんだと思っております。  少なくとも子供が巻き添えにされてかわいそうだというのは、アメリカ軍と一緒にいて、一緒にレストランにいて巻き添えにされた多くのイラク人の子供もそこにいるということも事実ですから、そういった意味では、戦争というのになりましたり戦闘という状況になれば、双方ともに痛ましい犠牲者が出るという最たる例なんだと存じます。  イラク人だけがかわいそうで何となくという話、いや、失礼しました、テロリストの巻き添えを食った人はかわいそう、アメリカ人と一緒にいて巻き添えを食った人もかわいそう、両方なんだと思いますんで、私どもとしては、そういった戦闘状況なりテロ状況が一日も早く鎮圧されることを期待しております。
  97. 仁比聡平

    仁比聡平君 結局、大臣のおっしゃるのを聞いていたら、立場が違うのはそれはそうでしょうけれども、テロに屈してはならないという口実の下で、その名の下で、それだったらどんなことをやってもいいのかというふうに聞こえるんですよ。  結局、政府は、米軍の無法行為について、どんな事実が明らかになっても米軍のあるいは米国の説明をオウム返しにするだけで、悪化していっている新イラク情勢についても自らの分析、判断を示すことができないのじゃないんですか。それでどうして独自の判断ができるというのか、私、ここを問いたいと思うんです。米国では撤退の考え方を含めた戦略が発表されました。背景に長期化するイラク駐留への批判が高まったことがあるというふうに伝えられています。  そこで、安倍官房長官にお尋ねしたいと思います。  変更された基本計画では、一年間延長する期間内においても、部隊活動については、政治プロセス進展状況現地治安にかかわる状況英豪軍の動向を始めとする多国籍軍活動状況及び構成の変化など諸事情を見極めつつ、現地復興進展状況などを勘案して適切に対応する、こうありますけれども、これは撤収の可能性を示したものなんですか、そうじゃないんですか、はっきりお答えください。
  98. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 先ほど来お答えをいたしておりますように、イラクにおきましては十二月の十五日に国民議会選挙予定をされております。そしてその後、新政府樹立されるという運びになっているわけでありますが、正にそうした意味におきまして、政治プロセスの最終段階において極めて重要な時期にあるわけでありまして、その時期において自衛隊活動の終了時期についてあらかじめ決めるというような状況にはないと、こう考えております。  政府としては、今後、自衛隊活動については、今委員が御指摘をされました国民議会選挙の実施及び新政権樹立などイラクにおける政治プロセス進展状況イラク治安部隊への治安権限の移譲など現地治安に係る状況ムサンナ県で任務に就いている英国軍及びオーストラリア軍を始めとする多国籍軍活動状況及び構成の変化といった諸事情をよく見極めながら、現地復興進展状況を勘案をして適切に対応をしていきたいと、こう考えています。  サマワにおける自衛隊の努力も含めて、多国籍軍の努力があって現在、政治プロセスが進んでいて、やっと新しい憲法の下での議会選挙が行われる運びになっている、こう思っています。イラク人の手による治安の回復、維持、そして復興の進捗等において自衛隊任務を達成したという段階において適切に判断する、それがイラク人たちからも望まれている我々の任務の終了ではないかと、このように思います。
  99. 仁比聡平

    仁比聡平君 結局、見通しすら示せないまま、米国が残ってくれと言うから取りあえずまた一年延ばそうということじゃないのかということなんです。  先ほど、同僚委員から、英国、オーストラリア両軍のこの来年五月の撤退を検討しているという情報の下で、英豪が撤退する場合これ撤退するのかという質問がありましたが、官房長官は聞いていないと、そういうことは、という御答弁だったと思います。この治安を担当する英豪軍の撤退という問題が実際に報道ベースで多く伝えられて、来春に迫っている中で、それに対するまともな考え方も示さないと、私極めて無責任だと思うんですね。  加えて伺いたいんですが、陸上自衛隊が仮に撤退しても航空自衛隊による輸送任務は継続する方向だと、こう報じられています。バグダッドやバラド、カタール、ここに空自の活動範囲を広げることをアメリカ側が要請していると伝えられているんですが、空自だけを残すということを検討されるんですか。するかしないか。
  100. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 現時点において、自衛隊を撤収するか否かということについては何ら決定をされていないわけであります。航空自衛隊についても同じでございます。
  101. 仁比聡平

    仁比聡平君 不可思議なことを伺うんだけれども、十二月八日に党首会談の中では小泉首相は検討していきたいと、こう答えていらっしゃるんじゃありませんか。現地状況を見てアメリカとの協力体制を取りながら判断する、こう首相は言っておられるんだと思うんですが、官房長官、違うんですか。
  102. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 小泉総理のお考え、当然政府の考え方でございますが、小泉総理のお考えは、先ほど申し上げましたように、イラクにおける政治プロセス進展状況、そして治安権限の移譲など現地治安に係る状況、そして英豪軍活動状況等、諸般の事情を勘案しながら、復興進展状況を見て適切に判断をすると、こういうことでございます。    〔理事阿部正俊君退席、委員長着席〕
  103. 仁比聡平

    仁比聡平君 一般的なことを聞いているんじゃないんですよ。陸自が撤退して空自が残ると、そういうことを検討すると首相がおっしゃったから私は聞いているんです。これまで政府人道復興支援が中心だと言ってきたじゃないですか。基本計画にもそう書いてありますよ。人道復興支援活動を担ってきた陸自が、仮にですよ、仮に撤退するときに、空自だけ残す、これ一体どうなるんですか。これまでの政府の考え方と整合するのか。どんなふうに考えていらっしゃるのか。首相が検討するとおっしゃったから聞いているんです。
  104. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 今委員がおっしゃった、陸自を撤退させて空自を残すと、そのような決定はされておりません。
  105. 仁比聡平

    仁比聡平君 決定はされてないかもしれないけれども、首相は検討するとおっしゃっている。私は検討そのものが成り立たないと言っているんです。というのは、人道復興支援、これを空自がやるというんですか。そんな詭弁は成り立たない。だったら、陸自が撤退した後に、米軍を中心にした多国籍軍のその安全確保支援活動、それだけを残すというのか。それも人道復興支援中心だと言われてきたこれまでの政府の立場と全く違うわけです。  結局、あなた方は、米国の無法行為を追認をし、国際的に見ても有志連合参加国が次々と撤退を決める状況下の中で、どこまでも米国を政治的に支え続ける、アメリカに言われるままにどこまでも付いていこうと、そういうことじゃないんですか。  イラク情勢の前向きの打開のためにも、今求められているのは期限を区切った占領外国軍の撤退であり、自衛隊の速やかな撤退だと思います。派遣延長は断じて認められないということを強く申し上げて、時間参りましたので質問を終わります。
  106. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 社民党の大田でございます。  まず最初に、官房長官にお願いいたしたいと思います。これは質問はしてございませんけれども、ごく基本的なことですので、ひとつよろしくお願いいたします。  御案内のとおり、一九五四年の六月二日の参議院本会議で「自衛隊の海外出動を為さざることに関する決議」が採択されました。その決議の内容は、「本院は、自衛隊の創設に際し、現行憲法の条章と、わが国民の熾烈なる平和愛好精神に照し、海外出動はこれを行わないことを、茲に更めて確認する。 右決議する。」というふうになっております。  現在、イラク自衛隊を派遣しているわけですが、その決議との整合性を長官はどのようにお考えでしょうか。
  107. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 現在は、正に時代が大きく変わり、冷戦構造が崩壊する中、新たな形の紛争が起こっています。そうした紛争に対して、世界各国が国際社会において、また国連においてそうした紛争を解決をし、そして平和を解決をすると、お互いにそういう努力をしていこう、こういうことになっているわけでありまして、その中で日本も国際平和維持活動において多大な協力をし、そして地域からも大変感謝をされています。カンボジアにおけるPKO活動も高い評価を受け、今カンボジアはしっかりと新しい国をつくり、そしてまた国民もそのことに喜びを感じているわけでございます。  そういう意味におきまして、自衛隊は今までそうした国際協力において大きな役割を果たしてきたと、このように思います。その中で、国民自衛隊のこうした海外での活動に支持をしていると、このように思います。
  108. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 言葉を換えて言いますと、時代が変わったので、もはやこの決議の内容は無効だというふうに受け取ってよろしゅうございますか。それから、この決議で言う海外出動という言葉は、どういうふうに理解したらよろしゅうございますか。
  109. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 私もその決議について今つまびらかに承知をしていないわけでありますが、基本的にそのときの恐らく院の意思としては、海外に派遣をして、そしてこの自衛隊が言わば武力行使をするということを念頭に置いているのではないかと、このように思います。
  110. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 防衛庁にお伺いいたします。  昨年の二月に自衛隊イラクに派遣されて以来の復興支援活動の経費について、陸海空ごとの金額と総額及びその財源について御説明ください。
  111. 山崎信之郎

    政府参考人山崎信之郎君) お答え申し上げます。  平成の十七年九月末までの執行額でございますが、陸上自衛隊約五百十四億円、海上自衛隊約五億円、航空自衛隊で約八十九億円、総額で約六百九億円でございます。
  112. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 今回の自衛隊派遣の一年間延長によって必要な経費はどれくらいになるでしょうか。
  113. 山崎信之郎

    政府参考人山崎信之郎君) 基本計画変更に伴いまして今後自衛隊活動一年間の延長に係る経費につきましては、現在財源措置について財政当局と調整中でございまして、明確な数字を持ち合わせておりません。
  114. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 防衛庁長官にお願いいたします。  自衛隊がサマワを撤退した後、米国は自衛隊に別の役割を担わせるという、そういう報道がございます。去る九日付けの産経新聞は、訪米中の民主党の前原代表と会ったエーデルマン米国防次官は、アフガニスタンで展開する軍民共同の地域復興チーム、PRTをイラクに導入することを検討中で、それへの参加を日本側に打診していると、告げたと報じられておりますが、これは事実でございますか。
  115. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) そういうことは聞いておりません。
  116. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 先ほどもファルージャの問題について質問、同僚議員から質問がございました。私は、人道復興支援ということですが、結果的に今のイラク戦争によって何ら罪もない多くの市民が殺害されているわけでございます。そのことについては、私は戦争を体験していて非常に胸が痛いわけなんでございます。  とりわけ、沖縄から出撃している米軍が罪もない住民を殺害するということについて、多くの沖縄の人々は胸を痛めているわけですが、先ほど外務大臣は、戦争となれば双方とも傷付くとおっしゃっております。確かにそのとおりでございますが、せめて、アメリカと同盟関係を結んでいるとすれば、アメリカに対してあらゆる方法を講じて、罪のない市民を殺害するようなことは避けていただきたいということについて、外務省なりあるいは防衛庁から提言するとか、そういうことはなさったことはございますか。外務大臣からお伺いしたいと思いますが。
  117. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 私の場合は、なってまだ一月ちょっとでありますので、ちょっと、これまでしたかと言われると、ちょっとその資料はありませんけれども、普通この種の話になりましたときには、日本の場合は極めて、こういったことに関して良く言えば臆病なんだと思いますけれども、極めて慎重に対応いたしますので、そういうような民間人の話になると非常に話がややこしくなるということは、我々常日ごろから実感、体験しているところでもありますので、その種のことを言っておったのではないかと存じます。
  118. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 防衛庁長官、いかがでございますか。これまでそういうことについては御存じないという御答弁ですが、これからアメリカと折衝される場合にそういう点についてお話しされるということは、お考えはありませんか。
  119. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 具体的にそういう紛争に当たっての対応、対処については、我々が米国と相談する場合は、我が国がどこかの国から攻撃をされそうになっているとか、そういうときには日本国民を守るために相談をしなければなりません。あるいは法律に基づいて、周辺事態が起こったときに、日本国民あるいは周辺に紛争が起こらないように後方支援をするという法律に基づいて、きっちりと言うべきことは言うし、主体的に考えるようにしたいと思います。
  120. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 イラクへ沖縄の基地から五千人ほどの海兵隊が出撃したと報じられておりますけれども、事前協議というのがあって、日本の基地から出撃する場合は事前協議の対象になることになっておりますが、今まで事前協議というのは、私の理解するところではまだ一度も行われたことがないわけなんです。そして、どういう取扱いをしているかといいますと、沖縄の米軍基地からイラクへ出撃するのに対して、政府の考え方は、過去のこれまでの質問に対する御答弁は、沖縄の基地からイラクの基地へ移ったという言い方をするわけなんですね。  こういう形で事が処理されるとなると、これ非常に重大な問題じゃないかと思うわけですが、そのような点について、外務大臣、いかがお考えでしょうか。
  121. 河相周夫

    政府参考人(河相周夫君) お答え申し上げます。  今委員から御指摘がございましたとおり、沖縄から海兵隊の部隊が何名かイラクへ行っておるわけでございますけれども、これにつきましては、従来から政府が御説明しているとおり、軍隊の性質上、軍隊の部隊としてその任務に応じて移動をするということは当然の前提としてあるわけでございまして、この沖縄の部隊につきましてもイラクに移動したということで、安保条約に言う直接戦闘に従事することを目的とした戦闘作戦行動を沖縄から取ったということではないという考え方の整理でございます。
  122. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 ちょっと理解に苦しむんですね、今の御答弁は。  武器を持って海兵隊が、戦闘部隊イラクに行くのに対して単なる移動というふうに受け取って、本当にそれで済むんでしょうか。そうすると、事前協議の言う日本の基地からの出撃というのは、どういうときにそういうことになるんですか。
  123. 河相周夫

    政府参考人(河相周夫君) お答え申し上げます。  安保条約の下で、御指摘のとおり、戦闘作戦行動を行う場合、これは事前協議の対象となり得るわけでございますけれども、これは基本的に、我が国にある施設・区域から直接戦闘活動に従事をする、こういうことを想定したものというふうに理解をしておるわけでございまして、今回の場合のように、部隊として、軍隊である以上いろんなところへ、それは武器も携行することもあろうかと思いますけれども、部隊である以上、その任務に応じて移動するということは当然想定されていることでございまして、そのこと自体が事前協議の対象にはならないというのが政府の見解でございます。
  124. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 再確認させてください。  沖縄の基地から米兵、武装した米兵が行ってイラクで現実に戦っていること、これは作戦行動にならないというお考えですね。
  125. 河相周夫

    政府参考人(河相周夫君) そのとおりでございます。
  126. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 防衛庁でもどちらでも結構ですけれども、在日米軍基地からイラク戦争へ行っている米軍は、一体、陸海空、海兵隊、どれくらいになるでしょうか。簡潔に御説明ください。
  127. 河相周夫

    政府参考人(河相周夫君) お答え申し上げます。  私どもが米側から説明を受けているところでございますれば、沖縄におります海兵隊、第四海兵連隊の歩兵部隊約三千名が昨年の初めからイラクに行っているということ、それから、これも沖縄におります第三一海兵機動展開部隊、この兵士二千二百名が昨年八月からイラクに行っていると。ただ、この部隊につきましては、御承知のように、本年四月、沖縄に戻ってきているというのが事実関係でございます。
  128. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 終わります。ありがとうございました。
  129. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 自由民主党、坂本由紀子でございます。  中東地域の安定は世界の平和にとって大変重要でありますし、とりわけ、イラクにつきましては、一刻も早いイラク人自身による国づくり、そして、イラクテロ温床とせず、民主的で平和な国家の建設が急がれるところであります。そういう中で、世界協力してイラク復興支援しようという中で、今般、日本イラクへの自衛隊部隊派遣期間延長を決めたということは、総合的に適切な判断だったのではないかというふうに思います。  そういう中で、これまでイラクにおいてはどの程度復興が進んできたのか、そして、私たち日本国民も大変大きな不安を持って見ている治安の回復の状況はどんな状況なのかということについて御説明いただきたいと存じます。
  130. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今、回復、治安復興と両方の御質問だったと存じますけれども、治安情勢につきましては、先ほど他の議員の方から御質問があっておりましたけれども、いわゆる地域によって大分違ったりいたしておりますし、内容も、イラク人の巻き込まれた方の数が増えておる等々、多国籍軍の兵士より現地の人の巻き込まれる比率が増えてきておるという状況等々、同じ治安の悪さでも内容が随分質が変わってきたなという感じはいたしておりますんで、正直言って予断を許さない状況にあることも確かだと存じます。  幸いにして、選挙がこの十二月の十五日、三日後に、投票所が爆破とかいろいろなこともあり得るとは覚悟してなきゃいかぬところだとは存じますけれども、何らかの形で投票が行われて開票が行われ、その結果として新しい政府が、いわゆる今の移行政権から正式政府にスタートしたという前提に立ちますと、その政府選挙で選ばれた政府ですから、憲法も定められて、その政権の下でいわゆる治安状況の回復のための治安部隊等々、最終目標三十二万五千人、二〇〇七年の八月までというのがたしか目標になっていると思いますが、取り急ぎ二十七万までということをやろうと今しているところですけれども、そういうものが、軍というのは基本的には戦闘用でありまして、治安とかいわゆる警察行動と軍とは似て非なるものであって、治安とは掛かって警察に負うところ極めて大きいと思っておりますんで、イラク人による治安というものが治安の回復には最も必要なんだと私どもは思っておりますんで、そういったものがきちんと作動してくるということは、同時に、そこにいる多国籍軍が撤退をしていきやすくなるんであって、少なくとも不法に駐留しているわけではない、向こうの政府、少なくとも今の移行政権に依頼を受けて駐留をしておるわけですんで、そういったものが必要じゃなくなりゃそれは撤退するのは当然のことだと思っておりますんで、今その状態がどれくらいのものになっているかと言われると、一概に数量的にこれだということはなかなか申し上げられないというのが実態であります。  それから、復興支援状況につきましては、先ほど官房長官の方から一部、私の方からも一部等々説明をさせていただいたところがございますけれども、復興支援の方についてはこれはもう明らかに道半ばというのが一番正しい表現だと思っております。  人道支援という、自衛隊による人的貢献かな、自衛隊による人的貢献というものといわゆるODAというものは、これは日本のこれまでやってきた他国、東ティモール含めましていろんなところで、これは二つの柱、車の両輪みたいな形でずっと、坂本先生、これやってきたんだと思いますが、二〇〇三年の十月のマドリッドの会議で表明をいたしました日本ODA、最大ファイブビリオン、五十億ドルというものにつきましては、日本政府としてはこれは無償資金協力として十五億ドルというものにつきましては全額既に決定をいたしております。次々と今現在実施をされておる段階にございます。それから、中期的なニーズというものがございますので、残りの三十五億ドルにつきましては、これは円借款ということになっていく可能性が高いと思いますけれども、どういったものがということにつきましては、これは治安が良くなったという前提になりますと、日本からいわゆるNGOにしても民間の建設会社にしても、非常に行きやすい状況になってくれば極めて効果とかいうか、期間というものも短縮され得るんだと思いますけれども、そういった状況になり得るように一日も早く努力をしなければならぬところですけれども、今現状で五十のうち十五億、数量的に申し上げたらそういった感じが数量的に申し上げられるところだと存じます。
  131. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 ありがとうございます。  日本支援はこれまでのところ順調に運ばれてきているのかと思いますが、今般派遣の決定をされたわけですが、しばらく前にマスコミ等が調査をいたしましたものでは、派遣延長に反対というものが過半数を超えておりました。平成十五年ですからもう少し前ですが、その時点で、日本国連の行う平和維持活動に参加すべきかどうか、あるいはテロ防止のための活動日本として積極的に取り組むべきかどうかということについて国民に聞いた調査では、これは過半数を超えて取り組むべきだということを答えておるところであります。  そういうこととの関係からすると、国民が今回この派遣期間延長にしばらく前の調査とはいえ賛成をしている人が少ないというのは、一つには現地での治安に不安を感じている人が多いということと、もう一つはイラクにおける自衛隊での活動について必ずしも十分国民の中に理解されていないという、その二つの側面があるのではないかと思うのであります。  そして、まず一つ目の治安の問題について言いますと、自衛隊が派遣されているサマワの地域というのはイラクの中では比較的治安が安定している地域だということが繰り返し指摘をされております。ただ、今後、更に一年延長したわけでありますが、この一年間の延長期間中、新聞報道等によりますと、ムサンナー県の治安活動に当たっているイギリスやオーストラリアの軍が四月前後にも撤退をするというようなことが報道されたりしているところでもあります。そのような状態になったときに自衛隊活動がどのように展開できるだろうかということについてはあらかじめ十分御検討いただく必要があるのではないかと思うのですが、この点についてのお考えを教えていただきたいと存じます。
  132. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) この問題は、もう先ほど来官房長官それから外務大臣からも話がありましたけれども、最終の自衛隊派遣の目標というのは、イラク人による、イラク人の力によってイラク国家建設が達成されることであると。それが、若干治安に不安があっても自衛隊による人道的復興支援が行われることによって地域治安問題が解決をし、と同時に行政府なり政府なりの当事者能力が付いていって、きちっと国家運営がなされていく環境のために、国際社会の一員として我が国がしっかりと参加をして、その手助けをするということだと思います。  その結果、自衛隊が行ったムサンナ県においては、着実に現地人たち評価されている給水活動とか病院だとか道路だとか学校だとか、そういうことについては高い評価を得られている。一方で、政治的なプロセスも、着実に憲法もできて選挙も行われようとしている。そういう中で選挙が行われて議会の代表が出てくれば、必ず本格政府ができて、その本格政府がこれから国家運営をきちっとなさっていく環境のために、国連も向こう一年間きちっと支援をしていこうではないか、途中で投げ出して再び混乱状態におっこちていくことがいいのかどうか。そういうことを考えると、日本にとっても中東それからイラクはあらゆる国益の観点から考えても大事であるから参加した方がいいということの判断をしたということであります、と思います。  したがって、私どもは今後、英国軍とか豪州軍が来年の春とか五月に撤退するということは、報道にはされているけれども、公式なルートでそういうことを聞いたこともないし、言われたこともありません。  サマーワで実際に私は英国軍豪州軍幹部皆さん意見交換をしたわけでございまして、その結果、やっぱり今後、英豪軍日本は緊密な連携を取りながら、お互いにここまで協力体制をしいてきたことについて共通の認識を持ちながらこの対応を考えていこうというふうに共通の思いを致したところであります。
  133. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 これからも派遣期間内において自衛隊が当初の人道復興支援活動を行えるように、英豪軍という治安維持をしてくださっているところ、あるいは地元にだんだん治安能力が備わっていってそういう取組をしてくることになれば、イラク本体の治安維持軍とも十分な連携を取ってお進めいただくことになるかと思いますが、その点どうぞ、自衛隊、安心して活動できるような十分な連携を取っていただきたいと思います。  もう一点、ただいま長官もお述べになりましたように、自衛隊現地において大変高い評価を受けてしっかりとした活動をしていただいております。自国が復興をするためには自らの手による国づくりが必要でありますので、そういう意味での人づくりもにらんだ支援活動をしていただいているということは大変重要なことでありますし、日本を離れて暑い国で頑張っていらっしゃる自衛隊員の方々には本当に心から感謝を申し上げたいと思います。このことを私たち日本国民は全体として理解をし、現地活動をしていただいている方々に感謝支援の気持ちを持つ必要があるだろうと思うのであります。  ところが、マスコミの報道というのはえてしていいことは余り報道されませんし、問題があると大変大きく報道されるということで、しっかりと活躍していただいていることが十二分に国民の中に伝わり切れていないのではないかという思いが強くいたします。自衛隊現地での復興支援活動をどのような形で国民に伝える努力をしていらっしゃるのかということについて、教えていただきたいと思います。
  134. 愛知治郎

    長官政務官(愛知治郎君) ただいま委員御指摘のとおり、自衛隊活動におきましては広く国民皆さん理解と御支持が必要不可欠であるというふうに考えております。防衛庁といたしましても、現在、その理解が得られますように広報活動に取り組んでおるところではありますけれども、残念ながら、いまだもってこの広報活動、十分であるとは言えないというふうに考えております。  この点におきまして、先日なんですが、額賀長官から私に対して直接この広報活動をより一層充実させるようにという指示がございまして、私が承った次第でございます。  現在のところですけれども、現在の広報の活動においてなんですが、例えば広報用のビデオ作成、また庁のホームページを用いた広報、そしてテレビや新聞広告を通じた広報という様々な広報活動に取り組んでおるところでございますが、これもまた先ほど委員御指摘のとおり、なかなか、うまくいっているとき、自衛隊活動に関しては報道機関等も取り上げてくださらないことが多いので、これは問題があったときだけではなくて、順調に非常にいい活動をしていることに対しても報道していただけますように、報道機関にまた活用しやすいような形で情報を正確に提供をするということも大事かというふうに考えております。  いずれにせよ、これからしっかりまた取り組んでまいりますので、どうぞ御指摘の上、また御指導いただきますようによろしくお願いします。
  135. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 国民にお伝えするには、派遣された自衛官が国内に戻っていらしたときにそういう方々の生の声を伝えるというようなことも大変いいことではないかと思いますので、これまでの広報の仕方にとらわれず様々な工夫を凝らしてやっていただきたい。また、こういう本当に必要なことには予算を惜しまずにしっかりとお取り組みいただけるように頑張っていただきたいというふうに思う次第であります。  次に、今後の問題でありますが、イラク治安情勢が更に改善されて、日本の民間企業でありますとかあるいは民間のボランティアの方々がイラクの地において復興支援活動ができるようになれば、自衛隊としてはその派遣を終了してバトンタッチをするということになろうかと思います。  その際に、今後どのようなイラクに対しての復興支援が、様々求められているかと思いますが、どのような復興支援がなされていくかということと併せまして、せっかくサマワにおける宿営地での自衛隊活動が高く評価されていることからすると、ここを、日本イラクに対する支援のメモリアルのような形でこういうところを活用、長く記念したらどうかというような御意見を伺うようなこともございますので、そのようなもろもろのことも含めまして、今後のイラク国づくりに向けた長いスパンでの日本協力の在り方についてお考えをお述べいただきたいと存じます。
  136. 金田勝年

    ○副大臣(金田勝年君) 委員の御質問の前段について答えさせていただきます。  御指摘のとおり、将来イラク治安状況が抜本的に改善されました場合にはNGOを含む文民中心の復興支援というものが可能になってくるというわけでございますが、そしてまた、イラクが自立的な復興を遂げるには民間企業の活発な活動といったようなものが長期的には不可欠であるということも言えるわけであります。  しかし、現在のイラクは文民中心の復興が可能となるような治安状況にはありませんので、イラクは、イラク復興支援に当たりましては、当面は治安状況等を考慮しながら、NGOを含む民間の活動が可能となる環境の醸成というものも視野に入れながら、自衛隊活動とそしてODAによる協力とを適切に組み合わせながらイラク国づくり協力をしていくと、そういう考えであります。
  137. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今、副大臣の方から御答弁を申し上げましたとおり、ODA等々、インフラの復興というのはきちんとやりませんと、これはかなりのものが破壊されておりますので、そこらの復興・復旧というのは当然だと思いますが、国づくりをしていくときに、私ども、役所におられたので御存じだと思いますが、普通、自治省などという役所は、もう私行くまでは、もうウルトラドメスティックな役所なんだと確信して行ったんですが、来るお客、訪問者は外国人がかなり多い。しかも、それらの国は中近東、東ヨーロッパの国々が多い。その理由は、基本的には地方自治がないんです。王様一発とか党一発ですから、地方自治がないんですよ。だから、和歌山県なんといったら、それはもう全然存在せぬわけです、王様の頭の中に。ちょっと例が悪かった、ごめん。ないわけです。  したがって、その地方自治の意味が分からぬと。何のために要るんだという説明から何からやると、地方自治法をよこせと。うちはそんなもの、英訳なんかありませんから、それ英訳したやつを。地方税というものが、何で地方税が出てくるかも分からぬ、もちろん地方税の取り方も分からぬという、全く偉い方が分かっておられぬから、もう一々とてもじゃないけど説明しておられませんので、うちは全部人を出せと。うちは地方自治大学校というのがあるから、それはそもそもは地方官僚をレベルアップするためにつくった学校ですけど、それはもうそこにみんな預かってやるというのをやって、今そういったことがスタートしております。逆にこっちも行かなくちゃいけなかったり。  そういった意味では、国づくりというものは何となく金やってODAという話ばっかりよく出ますけれども、実は日本がつくり上げてきたこれまでの地方自治やら地方税とか消防とか、いろんなものの中でも、消防団とかいうボランティアのものを含めまして、こういったものがかなりこういった国々で理解されていない、若しくは今まで存在していないというものでもございますんで、日本のこういった国々に対する国づくり支援の仕方というのは、もっと多方面にわたってみんなで考えてしかるべき課題だと思っております。
  138. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 ありがとうございます。  最後に、質問通告をしてないので恐縮ですが、防衛庁長官イラクを訪問されまして、先ほど同僚の山内議員の質問にも感想をお述べになられましたが、特に、自衛隊にとってこの派遣によってどのようなことを得るものがあったのかどうか。イラクにとっては、様々な形での支援をしましたので、イラク国民からも政府からも、大統領、首相からも高く評価され感謝されているというのは再三お述べいただきました。自衛隊自身にとって今回の経験がどのような得るものがあったかということについて、お感じになったことがありましたら教えていただきたいと存じます。
  139. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 自衛隊はこの十数年来、PKO活動とか災害派遣だとかイラク、それからテロ作戦等々について平和協力活動に尽くしてまいったと思っております。いずれも、隊員の皆さん方日本国民皆さん方を代表するという強い責任と使命感を持って仕事をしております。そういうことが多くの国々の人たち評価をされている、そのことに大いなる誇りを持ちながら仕事をしていることに私は感銘を受けております。  今後、我が国世界の中で様々な貢献、協力をしていくことが求められていると思っております。国民皆さん方にも、是非我が国自衛隊が積極的に平和協力活動に参加していくことについて御理解を得ていただきたい、それがまた世界の中で初めて生きていくことが可能である日本の立場を、存在感を大きくすることになるのではないかというふうに思っております。どうぞ国会の先生方にも是非理解をいただければ有り難いと思っております。
  140. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 ありがとうございます。  延長された期間自衛隊による十分な人道復興支援活動が行われ、成果が上がり、一日も早いイラク自身による国づくり、そして民主的で平和な国家の建設が進められることを願いまして、私の質問を終わります。ありがとうございます。
  141. 太田豊秋

    委員長太田豊秋君) ちょっと速記を止めてください。    〔速記中止〕
  142. 太田豊秋

    委員長太田豊秋君) 速記を進めてください。  本件の質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会をいたします。    午後四時十分散会