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亀井(久)
委員 国民新党の
亀井久興でございます。
いよいよ最後の
質問になったわけでございます。私
ども、前
国会において
政府案に反対をしたわけでございますが、今
国会、残念ながら
政府案が成立をすることが確実になったような状況でございます。私
ども、今回民主党さんも案を出しておられますけれ
ども、もう限られた時間でございますので、民主党の案について
質問をする時間がございません。
政府案についてだけ若干の御
質問をしたいと思いますが、
政府案に多くの
問題点、矛盾点がございます。そのことについて一々
議論をする時間がございませんので、基本的な問題について若干
指摘をいたしまして、その上で、まとめて
竹中大臣から御見解を伺わせていただきたいと思います。
まず、そもそも論で大変恐縮でございますけれ
ども、
郵政三
事業というのは、
国民、利用者からすれば、当然のことながら、公共性、公益性というものを持っているということは
政府も認めておられると思います。また同時に、
事業でございますから、採算性、収益性というものも重視しなくてはいけない、これも当然のことでございます。
その企業性と公益性を両立させる
経営の仕組みとしてどういう仕組みがいいのか、そのことをさんざん
議論した結果、
平成十年に中央省庁等
改革基本法がつくられまして、その基本法に基づいて
公社法を
政府が
提出され、成立をして、そして一昨年に
郵政公社が発足をした、こういう経緯でございます。
しかも、
郵政公社、
生田総裁のもとで一期四年の中期
経営計画を確実に実行しておられて、現在、黒字
経営をしておられる。もともと
郵政公社発足のときの
議論でも、
公社の資本金が過少である、そういう
議論を随分いたしました。その過少資本を補っていくために、今、一生懸命
経営努力をされた結果、その黒字を資本金に積み増していく、そういう措置をとっておられるわけでございます。
なぜ、こういう状況にあるときに、一期四年の中期
経営計画が終わるところまで待てないのか。そこまで待って、黒字を十分に資本金に繰り入れて、いずれ
民営化するにしても、今度のように持ち株会社を含めれば四つに分社化される、それぞれの資本金がすべて過少資本にならざるを得ないと私は思います。財政
資金から
お金を入れれば別ですけれ
ども、それをやらないといえば、当然、過少資本である。
そういう状況にあるときに、なぜ急いで
民営化をしなくてはいけないのかということの説明が、依然として私
どもには納得ができない、理解ができない、そのことについてどういうように考えておられるのか、そのことが一点。
それから、もう
一つ大事な
視点は、官から民へということを言われるわけでございます。今三百四十兆の
お金が公的セクターでだけ回っている、これが
市場経済に生かされるようにすることが
改革の
本丸だ、そういうことを言われている。
ですから、いわば
郵政三
事業、公益性と企業性というものを両立させなくてはいけないわけですが、
政府、
竹中大臣、
小泉総理としては、その企業性というところに重点を置いて、そこを切り離して
市場経済に役立てよう、そういう選択をされたわけでございますから、公益性よりも企業性というものを重視したということとして受けとめざるを得ない。しかし、同時に公共性というものも何とか配慮しなくてはいけないから、
郵便局は減らしませんよとか、新たなサービスがいろいろできますよとか、そういうことをおっしゃっているわけでございます。
基金をつくったということもその一端でございまして、最初は一兆円、これをさらに二兆円まで積み増せますよということを言っておりますけれ
ども、その基金にしても、財政
資金から入れるわけではなくて、
郵政公社の自前でもってつくりなさい、そういう話でございます。そうすると、その基金が本当に底をついた場合に一体どうなるのか。それでも公共性、公益性というものを守るために
郵便局の
ネットワークは国の責任において
維持しますよということをはっきり言われるのか。それだったら、財政
資金の投入もやりますよ、そこまで言われるんであれば
国民は納得するんだろうと思いますけれ
ども、そこはおっしゃらない。自由
経済の本家本元の
アメリカでさえ、郵便
事業は
国民にとって不可欠なサービスだということで国営でやっておられるということも御
承知のとおりだと思います。
ですから、そこの整理をどういうようにされるのか。私は、もう基金が底をついたら、もうそれ以上採算のとれない
郵便局の面倒を見られませんよということを正直に言われた方が、
国民はわかりやすいんじゃないか、そのようにも思うぐらいでございます。
それから、官から民へと言われるけれ
ども、今
民間が、それだけ
民間の
金融市場がそんな大きな金を必要としているんだろうかということでございます。
現実に、国債の大量発行、先ほ
ども議論ありましたけれ
ども、十七年度末で五百三十八兆、
財務大臣の御答弁にありました、二十九年度末で八百九十二兆ですか、大量発行がずっと続いてまいります。そうすると、
公社が
民営化されようが
公社のままであろうが、いずれにしたって国債をだれかが引き受けなければならないということはわかり切ったことで、これを外国が引き受けるわけはないわけですから、国内のだれかが引き受けなくてはいけない。
今、
資金需要がありません。ですから、量的緩和をずっと
竹中大臣の主導で続けてきました。それで、日銀の当座預金残高、三十兆から三十五兆円をずっと
維持してきた。ところが、それが貸し出しにうまく回っていかない。それは、私はやはり
経済政策の失敗じゃなかったのかなというように思います。
やはり、欧米の先進諸国がここ十五年で平均で二・四倍、
経済規模を大きくしている。その中で
日本だけはゼロ成長。そういう中で、当然、
経済が大きくならなければ企業も収益を得られない、個人の所得もふえない。だから税収がどんどん減ってくる。十五年間で約二十兆の税収が減ってくる。税収不足になるから国債を出さざるを得ない。それのいわば悪循環に陥っているんだと思います。
ですから、やはり私は大事なことは、思い切って、需要を創出する積極的な
経済政策というものが同時に行われなくてはいけない。入るをはかって出るを制するというのはまさに財政の基本だと思うんですけれ
ども、出るを制するというところに物すごい重点を置いて、入るをはかる政策をとっていない。それが私は基本的な誤りではないかというように思っております。
そういう中で、
資金需要がありませんから、ですから、結局、
民間の
金融機関がどんどん国債を買っている。もう百兆円以上の国債を買っている。そのときに、官から民へ
資金を移動させるということは同時にそのリスクも移動させることになるんじゃないですか。もし国債が売れなくなった、国内で消化できなくなったというときに、
信用不安が起こりますね。そのときに、その
信用不安のツケというものは、結局、
民間の
金融機関、
民間経済が負わなくてはいけなくなってくる。私は、新たな
金融危機というものはそこで出てくる可能性が極めて高いんじゃないかというように思っております。その点をどう考えられるかということ。
それからもう
一つ、やはり外資規制の問題でございます。先ほど来御心配がございましたけれ
ども、やはり、国内で三百四十兆の
お金が
民間経済にもうまく使われ、また国益にも貢献をするということであって初めて
意味があることであって、これが外国の国益に貢献をするようなことを優先されるということがあってはならない。ですから、
アメリカ国債をどんどん買う、そういうようなことになったら、これは預金者も納得できないであろうと私は思います。
外資規制ということについて、なかなか、純
民間会社ですからそれも難しいかもしれませんけれ
ども、そのことについてどうお考えになるかということをお聞きしたいと思います。
それから最後に、
竹中五
原則というのを基本方針をつくられたときに打ち出されましたけれ
ども、その五
原則と
政府案の中身というものを対応してずっと調べてまいりますと、どうも何か
竹中五
原則とは相反するような中身になっているのではないかというように感じるわけでございます。
そういうことを含めて、私は、この
民営化が将来本当によかったなと
国民の皆様方が思ってくださるような
民営化であってほしい。私は、今思いますと、残念ながら
民営化しなければよかったなという結果になりはしないかという懸念を強く持っておりますので、そのことを強く御
指摘申し上げまして、御答弁をお願いしたいと思います。