運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2005-03-07 第162回国会 参議院 予算委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十七年三月七日(月曜日)    午前十時二分開会     ─────────────    委員の異動  三月四日     辞任         補欠選任      浮島とも子君     福本 潤一君      木庭健太郎君     風間  昶君  三月七日     辞任         補欠選任      加藤 敏幸君     辻  泰弘君      芝  博一君     前川 清成君      小池  晃君     紙  智子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         中曽根弘文君     理 事                 阿部 正俊君                 椎名 一保君                 野上浩太郎君                 舛添 要一君                 若林 正俊君                 池口 修次君                 小川 勝也君                 福山 哲郎君                 荒木 清寛君     委 員                 秋元  司君                 浅野 勝人君                 泉  信也君                 市川 一朗君                 岩永 浩美君                 大野つや子君                 岡田  広君                 世耕 弘成君                 関口 昌一君                 田村耕太郎君                 中島 啓雄君                 長谷川憲正君                 松村 龍二君                 山崎  力君                 山谷えり子君                 犬塚 直史君                 小川 敏夫君                 大塚 耕平君                 小林 正夫君                 主濱  了君                 辻  泰弘君                 白  眞勲君                 平野 達男君                 前川 清成君                 前田 武志君                 松下 新平君                 水岡 俊一君                 山本 孝史君                 風間  昶君                 福本 潤一君                 山本 香苗君                 紙  智子君                 大門実紀史君                 福島みずほ君    国務大臣        法務大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣(青少年        育成及び少子化        対策))     南野知惠子君        外務大臣     町村 信孝君        財務大臣     谷垣 禎一君        文部科学大臣   中山 成彬君        厚生労働大臣   尾辻 秀久君        農林水産大臣   島村 宜伸君        経済産業大臣   中川 昭一君        国土交通大臣   北側 一雄君        環境大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣沖縄及        び北方対策))  小池百合子君        国務大臣        (内閣官房長官)        (内閣特命担        当大臣男女共        同参画))    細田 博之君        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)        (内閣特命担        当大臣(防災)        )        村田 吉隆君        国務大臣        (防衛庁長官)  大野 功統君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣経済財        政政策))    竹中 平蔵君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣規制改        革、産業再生機        構))      村上誠一郎君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣科学技        術政策食品安        全))      棚橋 泰文君    副大臣        防衛庁長官   今津  寛君        法務副大臣    滝   実君        外務大臣    谷川 秀善君        財務大臣    上田  勇君        厚生労働大臣  西  博義君        農林水産大臣  常田 享詳君        経済産業大臣  保坂 三蔵君        環境大臣    高野 博師君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        江渡 聡徳君        内閣大臣政務        官        木村  勉君        内閣大臣政務        官        西銘順志郎君        防衛庁長官政務        官        柏村 武昭君        法務大臣政務官  富田 茂之君        財務大臣政務官  段本 幸男君        文部科学大臣政        務官       小泉 顕雄君        農林水産大臣政        務官       加治屋義人君        経済産業大臣政        務官       平田 耕一君        国土交通大臣政        務官       伊達 忠一君    政府特別補佐人        内閣法制局長官  阪田 雅裕君    事務局側        常任委員会専門        員        村松  帝君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       堀内 文隆君        内閣官房内閣参        事官       猪俣 弘司君        内閣官房大陸棚        調査対策室長   島崎 有平君        内閣官房内閣審        議官       伊佐敷眞一君        内閣府政策統括        官        柴田 高博君        内閣規制改革        ・民間開放推進        室長       田中 孝文君        内閣計量分析        室長       大守  隆君        公正取引委員会        事務総局経済取        引局取引部長   山木 康孝君        警察庁生活安全        局長       伊藤 哲朗君        防衛庁防衛参事        官        横山 文博君        防衛施設庁施設        部長       戸田 量弘君        消防庁長官    林  省吾君        法務省矯正局長  横田 尤孝君        法務省保護局長  麻生 光洋君        法務省人権擁護        局長       小西 秀宣君        国税庁次長    村上 喜堂君        厚生労働省健康        局長       田中 慶司君        厚生労働省医薬        食品局食品安全        部長       外口  崇君        厚生労働省労働        基準局長     青木  豊君        厚生労働省老健        局長       中村 秀一君        農林水産大臣官        房技術総括審議        官        坂野 雅敏君        農林水産省消費        ・安全局長    中川  坦君        経済産業大臣官        房商務流通審議        官        迎  陽一君        経済産業省経済        産業政策局長   北畑 隆生君        資源エネルギー        庁長官      小平 信因君        国土交通省総合        政策局長     丸山  博君        国土交通省土地        ・水資源局水資        源部長      仁井 正夫君        国土交通省都市        ・地域整備局長  竹歳  誠君        国土交通省河川        局長       清治 真人君        国土交通省鉄道        局長       梅田 春実君        国土交通省自動        車交通局長    金澤  悟君        国土交通省航空        局長       岩崎 貞二君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○派遣委員報告平成十七年度一般会計予算内閣提出衆議院  送付) ○平成十七年度特別会計予算内閣提出衆議院  送付) ○平成十七年度政府関係機関予算内閣提出、衆  議院送付)     ─────────────
  2. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  平成十七年度一般会計予算平成十七年度特別会計予算平成十七年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。     ─────────────
  3. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 先般、本委員会が行いました委員派遣につきまして、派遣委員から報告を聴取いたします。  それでは、報告若林正俊君にお願いいたします。若林正俊君。
  4. 若林正俊

    若林正俊君 予算委員会委員派遣調査につきまして御報告いたします。  派遣団は、中曽根委員長を団長とする十八名で編成され、二月十六日から同月十八日までの三日間、静岡愛知両県を訪れ、東海地方産業経済及び両県の財政経済状況等について概況説明を聴取したほか、静岡県においては楽器産業光技術産業を、愛知県においては愛知万博会場中部国際空港藤前干潟を視察し、説明を聴取するとともに、自動車産業について調査を行ってまいりました。  東海地方経済は、自動車機械製品を始めとする製造業の活動が活発であり、製造品出荷額全国の二三・四%を占めるなど、生産基地的色彩の強い産業構造となっております。景気動向については、原材料価格の上昇に伴い、企業景況感に不透明さが増しているものの、製造業中心に回復が続いており、特に雇用については、有効求人倍率全国平均を〇・五ポイント上回るなど大幅に改善しております。経済情勢が良好な理由としては、製造業が好調であるということのほかに、先般開港した中部国際空港や近々開幕する愛知万博の二大プロジェクトが活性化に寄与しているとのことでありました。  金融情勢に関しましては、当地域金融機関は総じて自己資本比率が高く、破綻に至る金融機関が極めて少ない一方で、借り手となる企業健全経営を目指す傾向が強く、借入れに慎重であることから、運用面課題を抱えている状況にあります。  静岡県の財政状況は、主な財政指標全国平均に比べ健全な値となっているものの、県税地方交付税減少による歳入減少に伴い、財政規模縮小傾向にあり、投資的経費が大幅に削減されるなど厳しい状況にあります。今後も毎年度六百億円を超える財源不足の発生が見込まれており、歳出の抑制のみならず、歳入増加に向けた取組も大きな課題となっております。  愛知県の財政状況は、財政力指数などの指標全国平均に比べ健全な値となっているものの、県税収入等歳入の低迷に伴い、基金残高減少する一方で県債残高が累増しております。今後も歳入の大幅な増加が見込めない中で、公債費等義務的経費増加は必至であることから、楽観できない状況にあります。  なお、静岡県からは内政制度改革推進地震対策事業推進静岡空港整備推進等について、愛知県からは三位一体改革推進基幹交通網整備合併市町村に対する財政支援等について要望をいただきました。  以上で派遣報告を終わります。  なお、調査の詳細につきましては、これを本日の会議録に掲載されますようお取り計らい願いたいと存じます。  以上でございます。
  5. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 以上で派遣委員報告は終了いたしました。  なお、提出された報告書につきましては、これを本日の会議録の末尾に掲載することにいたします。     ─────────────
  6. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 平成十七年度予算三案に関する理事会決定事項について御報告いたします。  本日は、一般質疑を百四十分行うこととし、各会派への割当て時間は、自由民主党五十分、民主党・新緑風会六十三分、公明党十五分、日本共産党八分、社会民主党・護憲連合四分とすること、質疑順位につきましてはお手元の質疑通告表のとおりでございます。     ─────────────
  7. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) それでは、これより質疑を行います。中島啓雄君。
  8. 中島啓雄

    中島啓雄君 おはようございます。自由民主党中島啓雄でございます。一般質疑トップバッターとして質問をさせていただきます。  まず、先ごろ出されました経済財政構造改革とその中期展望、それからその試算について若干の質問をさせていただきたいと思います。  十七年度予算は、一般歳出を三千四百億ほど削ったと、それから地方財政についても四千億ほど削ったというようなことに、税収の増というようなことに助けられまして、国債発行額が対前年度で二兆二千億、それから基礎的財政収支はプラス三兆というようなことで、厳しい中ではございますけれども、財政構造改革に一歩を踏み出したという予算だと思います。そういう意味で、小泉総理始め財務大臣、各大臣の御努力に敬意を表するものでございます。  しかしながら、中身を見てみますと、国債発行額は相変わらず三十四・四兆円、国債依存度は四一・八%だと。それから、国と地方長期債務残高を合わせれば七百七十四兆円ということで、GDPの一五一%というようなことでありますから、仮に我が国がEU諸国の一員であったとしたら、EU諸国公的債務残高GDPの六〇%とか、財政赤字GDPの三%以下とか、そういった基準にはとても及ばないんで、EUの中からはじかれてしまうと、こういうことだと思います。このまま進めば、政府債務GDP比はどんどん拡大して、国債発行が不可能になるとか、政府債務持続可能性が失われて財政破綻をしてしまうということになりかねないわけで、そこでその中期展望というのが出されたわけであります。  この中期展望においては、前から述べられておりますように、二〇一〇年代初頭における国、地方を合わせた基礎的財政収支黒字化を目指すと、こうした目標の下に財政を健全化すると、こういう目標でございますが、私もそれは当面の目標としてはそのとおりだと思いますが、これに参考資料としての試算が付いておりまして、これによれば二〇一二年度黒字化をすると、基礎的財政収支黒字化すると、こういうことになっております。  そこで、この試算中心に若干質問をさせていただきたいと思いますが、この試算前提になっている中期展望の本文では、この六ページ目に「二〇〇六年度までの間、政府の大きさは二〇〇二年度の水準を上回らない程度とすることを目指し、」「二〇〇七年度以降も、それ以前と同程度財政収支改善努力を行うと同時に民間需要主導持続的成長を実現することにより、二〇一〇年代初頭における国・地方を合わせた基礎的財政収支黒字化を目指す。」と、こういうふうに述べられているわけであります。  ところで、この歳出に対して収入、まあ自前の本来収入ということを見ますと、税収になるわけですが、これは、二〇〇五年度一般会計では税収が四十四兆円ですから五三・五%、それから地方財政の場合は、お配りした資料二枚目を見ていただきたいと思いますが、この二枚目地方財政税収のところで、これは取り方はいろいろあるわけですけれども、地方税収だけ取ってみると三七・二%だと、こういうことでありますから、名目GDP比の、GDP伸びと同様に歳出伸びるとすれば、税収の方がよほど伸びなければ、そのGDP伸びをはるかに上回った伸びを示さない限り、どうも二〇一二年度基礎的財政収支が均衡するというのは直感的に見ると無理ではないかと、こう思えるわけでございますが、一体どういう施策を組み合わせてこういううまい具合に均衡すると、こういうことになるのか。  試算の大まかな考え方について、竹中経済財政担当大臣から教えていただきたいと思います。
  9. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 詳細の試算の根拠等々につきましては担当から説明をさせますが、大枠の考え方ということでございますので。  今委員御指摘くださいましたように、この「改革展望」の試算といいますのは、まず、歳出については大きくしないようにすると。いわゆる緩やかな歳出キャップをはめているということだと理解をしております。その間に経済活性化する。それは具体的に申し上げますと、GDPを、経済活性化によって実質GDPを増やしていく、同時にデフレを克服して物価も上げていっていわゆる名目成長率を増やしていく、名目成長率高める中で税収が高まっていくと、そのようなシナリオを描いているところでございます。  税収が、税収というのはなかなか単年度では非常に振れますのでその時々の細かな説明というのは若干の技術的な説明も要しようかと思いますが、基本的には、今申し上げたような中で、GDP租税GDP弾性値が一より少し大きいぐらいということを考えますと、名目成長率を上回るような税の、税収を期待していると。  もう一つは、過去に繰越欠損等々がありましたので、それ等々が解消される時期には税収GDP成長を上回って一気に出てくるということも、これは期待はされるわけでございますので、その計測そのものは非常に細かな租税関数を作って、使って計測をしておりますが、基本的には、今申し上げたような枠組みの中で試算をしているところでございます。  必要がございましたら、技術的なことは説明をさせたいと思います。
  10. 中島啓雄

    中島啓雄君 ありがとうございました。  税収GDPよりも高い伸びと、弾性値が一より少し高いということをおっしゃいましたが、簡単にそう結論できるかどうかというのは後ほどちょっと議論をさせていただきたいと思います。  それで、資料二枚目のところ、これはこの試算参考資料の後ろにちょっと余計な表を付けさせていただいたわけでございますが、この二枚目の下の表を見ていただきますと、これ、国と地方財政の姿を、単純に最初の国の一般会計の姿と地方普通会計の姿を足したものでございますが、これ、歳出で見ますと、二〇〇五年の百七十三兆から二〇〇九年の百八十八兆ということで、この間、十四兆八千億ほど伸びているんですが、これは率にしますと八・五%なんですね。で、名目GDP伸びというのは一二%強ぐらいでございますから、どうも歳出伸びというのが非常に低い。税収の方はこの五年間で十五兆八千億伸びているというんで、歳出伸びよりも税収伸びの方が高いと、こういうようなことになっておるんで、ちょっとこの辺の考え方、特に地方財政歳出は、二〇〇五年が九十一・三兆が、二〇〇九年は九十兆になっていますね。こういうことが可能なのかどうか、ちょっとその辺やや詳しく説明をしていただければと思います。
  11. 大守隆

    政府参考人(大守隆君) 歳出伸びが低いという御指摘でございますけれども、歳出側につきましては、作業上の前提として、公共事業関係費につきましては対前年伸び率をそれぞれマイナス三%、物件費につきましてはマイナス一%と、人件費につきましても民間平均の賃金の伸び率からマイナス〇・五%分だけ抑制していくといったような歳出削減努力を盛り込んで計算をしております。
  12. 中島啓雄

    中島啓雄君 地方財政マイナスになっているのはもう少し御説明いただけませんか。
  13. 大守隆

    政府参考人(大守隆君) 先ほど申し上げた数字歳出全般に関するものでございますけれども、中央と地方の大きな差は社会保障関係でございまして、社会保障につきましてはやはり人口の高齢化を反映しまして歳出増加圧力が比較的強いということでございますが、その負担が国の方に大きな形で寄っているということで国と地方のイメージの差が出てきております。
  14. 中島啓雄

    中島啓雄君 いや、そのマイナスになっているということまでどうも今の御説明ではちょっと分かりかねるんですけれども、なぜ地方財政マイナスになっているのか。
  15. 大守隆

    政府参考人(大守隆君) 具体的には、地方普通会計数表を付けさせていただいておりますが、その内訳に書かせていただいているとおり、失礼しました、先ほど申し上げましたのは、社会保障関係負担が比較的小さい一方で、人件費あるいは物件費公共事業費等名目で、失礼しました、公共事業費物件費名目でも削減をしているということでございます。
  16. 中島啓雄

    中島啓雄君 どうも余りよく分からない説明ですが、まあ、これくらいにしておきます。  じゃ、歳入面税収なんですけれども、これも二枚目の一番下の表で、今申し上げましたように、二〇〇五年、七十八兆円から九十三・八兆円と、これは十五・八兆円伸びているということは、二〇・三%伸びているんですね。で、年金会計基礎年金国庫負担分を三分の一から二分の一にすると。これで、消費税を、消費税等を上げるんだということが入っているということは承知をしておりますけれども、それにしてもちょっと税収が多過ぎるという感じがいたしますが、この税収の算定についてはどういうふうになさったんでしょうか。
  17. 大守隆

    政府参考人(大守隆君) 税収につきましては、先ほど大臣が申し上げましたように税、主な税収固まりごと関数を用いて推計しておりますが、事後的に弾性値を計算しておりますと、これは固定的な弾性値を想定しているわけではございませんが、事後的に名目GDP伸びと比べてみますと、名目GDP弾性値はおおむね一・一から一・二という程度数字になっております。
  18. 中島啓雄

    中島啓雄君 どうも弾性値を一・一としてみても、とてもこれほどの伸びはないのではないかと思いますが、まあこの辺はちょっと細かい話になりますから一応とどめておきますが。  ただ、弾性値についても、政策減税が全くないという前提ならば一・一になるかもしれませんが、例えば九〇年度税収が六十兆円あった、今は四十四兆円しかないと。その間に二十兆円くらいの減税をやったわけですが、それにしてもGDPそのもの伸びているわけですから、そのまま弾性値一・一で試算をしますと、今、税収というのは六十九兆円ぐらいなきゃいけないと。これは二十兆円を引いても四十九兆円ぐらいになりますから、そういう意味でもやっぱり政策減税というのは必ずあるんで、弾性値一・一というのはかなり疑問があるのではないかというような気がいたします。  議論はこのぐらいにして、次に、基礎的財政収支金利との関係についてお伺いいたしますが、基礎的財政収支が均衡をしていても、これは経済の学説によれば、金利名目成長率よりもイコールないし下回らないと公債残高GDP比というのは発散してしまって、そのまま放置すれば財政破綻の方向に向かうと、こういうのが定説になっておるようですが、竹中大臣、そういう認識でよろしゅうございましょうか。
  19. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 大変本質的な御質問をいただいたと思っております。  我々、そもそもなぜ基礎的財政収支をまず回復させようと、基礎的財政赤字から抜け出そうというふうに考えているかと申しますと、正に委員御指摘くださいましたように、名目金利とそれと名目成長率がもしも同じ比率であるならば、基礎的財政収支がもし均衡してさえいれば、少なくとも国債残高GDP比は上昇はしていかない、どこかで高止まっていくと。これ御承知だと思いますが、ドーマーの定理というふうに、こう専門家は言うわけでございますけれども、その名目金利名目成長率が非常に長い期間を取りますとほぼ均衡しているのではないかと。  現実に日本の数字だけ見ますと名目成長率の方が少し高いわけでございますけれども、そういう状況を通常の状況として想定するならば、基礎的財政収支を均衡すれば財政破綻は防げる、そのような立場から基礎的財政収支の均衡化にまず着目しようということを、これは三年前から目標として掲げているわけでございます。今そこに向かって動いていると、目標達成に向けて進行しているというふうに認識をしておりますけれども、非常に、更に長期的なその先の財政の健全化ということを考えるならば、それだけで果たして十分なのかというような議論はあり得るのだというふうに思っております。  我々としては、当面、基礎的財政収支の均衡化、そして名目成長率をしっかりと上げて名目金利名目成長率の間の今のような逆転現象を抜け出すと、この二つを実現する、しないと御指摘のような問題は生じ得るということだと思っております。
  20. 中島啓雄

    中島啓雄君 ありがとうございました。  今、名目金利名目成長率はほぼ均衡しているというふうにおっしゃったかと思うんですが、これが問題だと思うんですね。  資料の一枚目を見ていただきますと、一枚目の一番下の中に「名目長期金利名目成長率の比較」というのが出ております。これは私が勝手にやったのではなくて、この上の方の段に「マクロ経済の姿」で名目成長率とそれから名目長期金利というのが出ておりますから、それを引き算しただけの話でありますけれども、これだと二〇〇四年は〇・八%金利の方が高かったと、それがだんだんだんだん下がってきて、二〇〇八年でマイナス〇・五になって、また少し上がっていくというようなことで、九年を平均すると〇・一と、こういうことで、今おっしゃったようなほぼ金利成長率は均衡していると、こういう話なんですが、実は過去の実績を見てみますと、とてもそうは言えない。  三枚目の資料のグラフを見ていただきたいと思いますが、これは一九八一年から〇四年度までの名目成長率と利付国債十年の店頭金利というのをグラフにしたもので、名目成長率はやや凸凹はありますけれども、トレンドとしてはやはり名目成長率の方が下回っていると。で、これは下の方に、八〇年から〇四年の平均だと利子率の方が一・〇九%ぐらい上回ってますよと、九一年から〇四年の平均では一・七六%上回ってますよと、こういうトレンドでありまして、常識的に考えても、お金を借りて何か事業をしたい、あるいは投資をしたいという人は当然名目成長率よりもややプラスの利益を出そうと、こう意識をしているでありましょうし、貸す方の側にとっても名目成長率を若干上回るぐらいの金利をもらわなければリスクプレミアムとしては引き合わないということで、やはり長期的なトレンドとしては名目長期金利名目成長率より大きいと、プラスであるというのが常識であると思うんで、この辺についてはいかがお考えでしょうか。
  21. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 名目成長率名目金利関係はこの委員会でもいろいろとこれまでも御議論をいただいてきたところだと思っております。しかし、委員おっしゃったことは、正に、正にデフレの問題点ということだと私は認識をしております。  デフレの下では、これは物価が下がりますから名目成長率が例えばマイナスになるということはあり得るわけでございまして、ここ数年間そういう状況が続いてきたわけです。しかし、金利はゼロ以下には下がり得ません。したがって、そのデフレが非常に強く、強く続く状況下では、正に名目金利の方が名目成長率より高くなってしまうという状況があり得ますし、近年の日本経済は正にそれに悩まされ続けてきたということだと思います。  委員御提示のこのグラフによりましても、まあこれ要するに期間をどこで見るかという問題だと思います。この八〇年代だけを見ますと、名目成長率名目金利というのは、ほぼ均衡か、まあひょっとしたら名目成長率の方が高いか、ちょっとこれは計算しないと分かりませんが、ほぼ均衡しているわけです。ところが、九〇年代に入って、そのデフレの強い状況下では、今御指摘のように名目成長率の方が低くなってしまうという状況が生じている。ここは少し、かなり延々とした議論が専門家の間でもあるところだと承知をしておりますが、事実として申し上げますと、戦後の非常に長い時系を取り上げてその平均値を求めれば、名目金利名目成長率名目成長率の方がやや高い、これは非常に長期の数字と、これはファクトとして申し上げられると思います。  いずれにしても、名目成長率を上げないとどういう状況下でも財政の健全化というのはできないわけでありますので、その点は政策の運営の立場からは肝に銘じてやっているところでございます。
  22. 中島啓雄

    中島啓雄君 ありがとうございました。  この辺はやや説が分かれるところだと思いますが、長期で見てほぼ均衡していたというのは、一九七〇年代以前は言わば金利を安くして日本経済成長を図ろうということで言わば管理された金利情勢だったんで、私はトレンドからいうと、やっぱり多少名目金利の方が高いのではないかと。  もし仮に一%金利が高くなったとすると、平年度ベースだと、大体国と地方長期債務が九百何十兆円と、こうありますから、九兆円、財政としては支出が増えると、利子分だけでですね。さらに、その国債の残高そのものが増えますから更に膨らむと、こういうことなんで、やはりこういう試算をされるときにはかなり厳しい前提を置いて、金利というのは高いんだというような前提を置かないと間違うんではないかと、こういうような気がいたします。  それで、これ試算についても、実は内閣府の試算財務省の試算と、さらには十一月には財政審の試算、これは財務省の試算を二〇一四年まで延ばしたようなものがあるわけですが、財務省の試算は機械的に計算をしましたと、内閣試算はモデルでやりましたということで、手法が違うし年次も違うしというようなことで、なかなかそういった比較ができないんですね。  私は別に試算を一つにしろと言うわけではなくて、やっぱり現状延長型の場合と、かなり厳しい前提の場合と、多少その成長率なりなんなりを甘くした場合と複数あっていいと思いますけれども、やっぱり考え方というのは是非統一をしていただきたいと思うんですが、その辺について、竹中大臣財務大臣から御見解を承りたいと思いますが。
  23. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 二〇〇二年度予算の審議から、資料としては、御指摘のように、内閣府の試算とそして財務省の後年度影響試算というのが出ているという状況が続いておりまして、二〇〇二年度の審議のときから、これはどういう、どうして二つあるのかというような御指摘をずっといただいているところでございます。  分かりにくいという御批判と、一方はモデル、一方はモデルによらない積み上げの試算、一方は、財務省の方は現状の政策が前提とした場合、で、内閣府の方はある政策について一定の改革をするという前提を置いた場合ということで、それぞれ違うケースが示されているというのは判断する場合の一つの参考になって、まあ幾つかの複数のケースがあるというのは悪いことではないというような御指摘もあろうかと思います。  これは昨年の委員会だったと思いますが、そういう御批判を受けまして、私の方から、試算を一本化するというのはいかがなものかと思うけれども、できるだけ一覧性のある形で分かりやすくするという努力財務省とも御相談をしてさせていただきたいという御答弁をさせていただきました。  それを踏まえまして、今年の内閣府の試算の末尾だったと思いますけれども、一覧性のある形で、どこが違うのかというその比較検討表のようなものを付けるように今年からしておりますので、この点を是非活用していただきまして、その目的とか範囲とか手法の違いについて御理解を賜った上でいろいろ御議論をいただければ有り難いと思っております。
  24. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 今、竹中大臣から御答弁のあったとおりでございますが、私どもが出しております後年度試算は、昔から予算委員会の審議の御参考ということで出さしていただいておりまして、内閣府とも手法は随分御指摘のとおり違っているわけですね。  で、昨年の予算委員会でも、竹中大臣がおっしゃいましたように、どう違うんだという御質問が多かったもんですから、私はできれば一本化できるんなら一本化しちゃった方がいいんじゃないかとも思っていろいろ議論させたんですが、やっぱり、私のやはり予算をつくり運営していく立場からいいましても、現実に経済現象は複雑でございますから、前提の置き方によっていろんな数字が出てくるということは事実でございまして、むしろ予算の審議で、今まで私どももああいう積み上げ方式でやらしていただいたのをずうっとこの委員会の御参考にも供してきた、それから内閣府はああいう手法で、新しい手法でまたやっていただいている、それぞれ審議の御参考にもなり、私どもも頭を整理する材料になるんじゃないかというようなことで、先ほど竹中大臣がおっしゃったようなできるだけ一覧性のあるようなことで今年はやらしていただこうというふうにしたわけでございます。  私どもの、結局そうすると、じゃどれにのっとって実際の財政運営なり経済運営をしていくんだということになると思いますが、私どもの方は、結局何も努力をしないで今の前提でいく、何も努力しないと言うと言葉は悪うございますが、今までの制度を前提にしていくとこういう形になるという単純なものでございまして、やはり相当努力をしなきゃ駄目だぞというのが含意としてあるわけでございます。  それで、内閣府では二つの数値を出していただいておりますが、改革が進んだケースの方は私は言わばベストプラクティスであるというふうに思っております。  中島委員がおっしゃいましたように、年金の、基礎年金国庫負担分を三分の一から二分の一にするという、そういう言わば税の方を多くお願いするということは入っておりますけれども、そのほかは全体非常に体調が良くなっていてということでございますから、まあベストプラクティスに近いもんだということになりますと、現実の問題としてはなかなかそのような、何というんでしょうか、上を向いて進むばかりで本当に行けるのかなということも現実に予算を組む側としてはあるわけでございまして、「改革展望」の本文にもございますように、やはり歳出歳入両面からのバランスの取れた改革、そして全体の体力を高めながら日本経済全体の力も付いていくという、まあ入るを量っていずるを制すということと全体の健康度合いを高めるという、この組合せでないと実際にはなかなか行かないんだろうというふうに私は思っております。
  25. 中島啓雄

    中島啓雄君 ありがとうございました。  私も別に試算の表そのものが単一でなければいけないと申すつもりは毛頭ないんで、今財務大臣もおっしゃいましたように、やや内閣府の試算というのは上を向いているというか、かなり希望的観測も含めて政策努力が入っていると、こういうことだろうと思いますんで、やはりその辺はもう少し甘い試算と辛い試算ぐらいはきちっと分かるようにしていただいた方がいいんじゃないかというふうに思います。  それで、中期展望の本文には、二〇〇七年度以降の財政収支改善努力に係る歳入歳出を一体とした改革の検討に着手し、重点強化期間内に結論を得ると、こういうことが述べられておりまして、やはり早いうちに、国民の間には財政なり景気なり社会保障に対する不安というのが非常に広がっているわけですから、早く、具体的にどういう道筋で改善をしていくかというのを国民に示す必要があると思います。  そういう意味で、今後どのような段取りでこの試算の具体化といいますかですね、中期展望の具体化に取り組まれるか、両大臣にお伺いしたいと思いますが。
  26. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 先ほどから委員にも御指摘いただきましたように、基礎的財政収支の改善といいますか回復を目指すというのは必要なステップでありますけれども、やはりそれはあくまで第一ステップであろうというふうに考えております。  また、基礎的財政収支の回復を実現するためにも、これまでの「改革展望」では、二〇〇六年度までは歳出規模を大きくしないということでやっていくんだけれども、それ以降については歳入の方を含めて一体的に考えなければいけない。これはもう、三年前から「改革展望」の中でそのように明示をさせていただいている。その議論を行うのがいよいよ今年と来年ということになろうかと思っております。  どのように進めていくのかということでございますけれども、経済財政諮問会議では、先般、この取組について民間議員からキックオフの議論をしていただきまして、その中身は、二〇一〇年代初頭の基礎的財政収支の回復は財政再建のあくまで第一ステップであるということで、その先のより長期の取組を目指すと。で、四つのポイントを挙げていただいております。  一つは、公債残高の対GDP比を引き下げるということ。二つ目は、聖域なき歳出の見直しを行わなければいけないということ。三つ目は、潜在的国民負担率を抑制するということ。そして四つ目は、財政再建と経済活性化の両立と、これがやはり重要であるというような提案をいただいております。  今後は、これらのポイントを中心に更に諮問会議議論を深めていきたい、さらに、与党とも十分にこの重要な問題についての協議を進めていきたいというふうに思っております。
  27. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 今、竹中大臣から、「改革展望」で示された今後の運営の仕方、それからその後を含めた経済財政諮問会議での御議論を御紹介いただきまして、私は基本的にそれを踏まえてやっていくという立場でございますけれども、具体的にもう少し申し上げますと、やっぱり一般会計のうち社会保障、八十二・一兆の平成十七年度予算のうち社会保障関係費がもう二十兆を初めて超えたわけでございますし、それから国債費、それからいわゆる交付税ですね、この三つを合わせますと、ちょっと正確な数字は今記憶しておりませんが、七五%ぐらいになるのではないかと思います。  ですから、全体の規模を増やさないという努力の中でも、なかんずく、今申し上げたことがどうしても大事なことになってまいりますので、社会保障の一体的な見直し、特に、先ほど潜在的国民負担率というようなことを竹中大臣はおっしゃいましたけれども、身の丈に合わせてどう制度をもう一回見直していくかということが一番ポイントになるのではないかと思っております。  国債費の方は、これだけを圧縮していくということはこれは無理でございますから、それと併せてもう一つは国と地方関係、いわゆる三位一体の改革の中で地方に権限を移しながらやはりスリム化を図っていくということが非常に重要なテーマになってくると思います。  それと併せまして、やはり、じゃ社会保障等、どうしても増嵩する圧力が働きますから、その一番基本、どうしても必要な公的サービスの水準というものは、これはよく見極めていかなければなりませんが、それをどう国民に公平に負担をしていただくかという観点からの税の見直しということも私は避けて通れないんであろうというふうに考えております。  その中に、今の税の見直しという中には三位一体という関係での国と地方の税の、税体系の見直しということも含まれますが、社会保障の公平な負担をどうお願いするかということになると、これは消費税議論が、これは私は避けて通れないということになってくるのではないかと思います。  これを、先ほど竹中大臣から御答弁もありましたように、平成十八年度までの間にそういう公共的サービスの水準をよくにらみながら議論を煮詰めていくということであろうと、こういうふうに思っております。
  28. 中島啓雄

    中島啓雄君 ありがとうございました。財務大臣からかなり踏み込んだいろいろ発言を教えていただきまして、ありがとうございました。  我が自民党内にも二月末に財政改革研究会というのが設置をされまして、私もそのメンバーの一人として検討を開始いたしましたので、是非党内の意見も入れていただいて、そして国民に分かりやすく、安心できて希望の持てるような改革の道筋というのを早急に示していただきたいと思います。  以上で……
  29. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) ちょっと済みません。済みません。
  30. 中島啓雄

    中島啓雄君 はい。
  31. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) ちょっと数字を間違っていました。  塩川大臣から引き継いだときに、数字だけはメモを見て言え、それでないと間違えるからと引き継いだんですが、空で言いましたら間違えまして、一般歳出一般会計のうち社会保障と国債費と地方交付税を足しますと六六・八%でございました。申し訳ございません。
  32. 中島啓雄

    中島啓雄君 ありがとうございました。  竹中大臣、よろしければ御退席をいただいて。
  33. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) どうぞ退席してください。
  34. 中島啓雄

    中島啓雄君 じゃ次に、規制改革といいますか、特に交通関係の運賃・料金、公共料金の中でも大きなウエートを占める交通関係の運賃・料金の規制改革について若干お尋ねをいたしたいと思います。  過去において電力とか鉄道とか電信電話とかあるいはガス、水道といったようなものは、要するにまあ独占といいますか、公的部門が供給するんだというんで、独占の弊害を防止する意味から価格の規制が非常にきつかったと。それが平成七年ごろから規制緩和になってかなり緩められてきたわけでございますが、その辺の経緯と規制改革の効果といったものについて、概括的に規制改革担当大臣から教えていただければと思います。
  35. 村上誠一郎

    国務大臣村上誠一郎君) お答えします。  委員御高承のように、電力、ガス、運輸事業等は、非常に初期の投資に莫大な費用が掛かるためになかなか新規参入が困難であって、なかなか独占状態に陥りやすい部分であったと。それで、これらの事業については、御高承のように、消費者保護の観点と、それから多年にわたり需給調整規制や価格規制が行われてきたところであります。  一方、今申し上げたように、平成七年辺りから、一方、こうした需給調整規制や価格規制については、効率的な事業者の新規参入を阻害するとともに、競争促進を通じた利用者の利便向上を阻害しているという指摘もなされてきました。  そして、政府としましては、こうした指摘も踏まえて、市場メカニズムを機能させる方向で必要な規制改革を行ってきたわけであります。例えば、鉄道、旅客船、航空、バスの分野においては、料金については認可制から事前届出制への規制改革は既に行われつつあるというのが今の現状であります。  以上であります。
  36. 中島啓雄

    中島啓雄君 ありがとうございました。  経済財政諮問会議のホームページの中に規制改革というのがあって、これまで規制改革を進めてきましたと、九〇年代以降の規制改革による利用者メリット額は十四兆円に達しますよと、特に国内航空について航空運賃や参入規制を緩和することで弾力的な割引運賃が設定され平均運賃は約二割下がりましたと、利用者メリットが平成年度比で二千七百億円と、こういうようなことが書いてございます。  そういうことで、今や規制改革によってむしろ競争を促進して利用者に還元をするということがベターであると、こういうようなことが通説になってきたと思うんですが、お配りした資料の四枚目、一番おしまいの資料を見ていただきますと、実はその価格規制について、交通機関だけ取っても、国内の航空は事前届出になりました。ところが、鉄道はまだ上限認可制ですと、それより下は届出で済むと。それから、鉄道の貨物の方は何もありませんと。それから路線バスは上限認可、タクシーも上限認可、トラックはありませんと。旅客定期航路は事前届出と。こういうようなことで、同じような交通機関なんですが、届出制と認可制と特に規制がないものと、非常にばらばらになっておるわけですね。そうした違いがどう出てくるのか、国土交通省の方からお伺いしたいと思います。
  37. 丸山博

    政府参考人(丸山博君) 需給調整を廃止したわけでございますが、その後の交通モードごとの運賃制度違っているではないかと、こういうお尋ねであろうかと思います。  基本的には、需給調整を廃止しました後、マーケットメカニズムを最大限活用するように事業者の自主性、主体性を尊重するという観点から、経営上の判断で自由に、なるべく自由に運賃を設定できるようにするというのは基本的な考え方でございます。ただ、各モードごとにいろいろ相違がございます。例えば、自然独占的性格の濃淡でございますとか、ほかに輸送手段があるかどうか、それからサービスの供給の実態、それから事業の特性、市場構造、こういったものは十分に踏まえなければいけないというふうに考えております。  航空につきましては非常に効果がマーケットメカニズムを導入して上がっているんではないかと、こういうお話でございましたが、航空につきましては、事業者が空港などのインフラを自分で整備する必要がございません。したがいまして、参入を規制を緩和いたしますと、新規参入、それから事業規模の拡大が行いやすいということでございます。事実、規制を緩和いたしました後に新規参入が起こりまして、運賃の低下も起こったということで、事業者間の競争を通じて適正な運賃水準を確保しやすいというふうに考えています。  一方、鉄道についてどうかというふうに見てみますと、鉄道は基本的には装置産業でございます。特に空間の制約がございます都市などにおきまして、並行して後続の事業者が参入するということは非常に難しい状況でございます。したがいまして、結果的に地域独占が起こりやすい、あるいは地域的な寡占が起こりやすい状況でございます。  したがいまして、運賃につきましても、鉄道事業者が支配的、優越的な地位を利用いたしまして、適正なコスト、利潤を上回るような不当に高い運賃を設定するおそれがないとは言えない状況でございます。したがいまして、利用者保護の観点から、このような運賃の設定を防止するということで上限認可制を取っておるということでございます。
  38. 中島啓雄

    中島啓雄君 ありがとうございました。  いろいろお聞かせいただいて、半分ぐらい納得するところもありますけれども、現実の交通市場を見てみると、今や鉄道も航空も、高速道路、自家用車、そういったのが相互に競争していて、今や鉄道とかバスとかいうのはむしろ輸送量が落ちているというような状態なんで、余り航空と差はないのではないかと。これは後ほど議論をさせていただきたいと思います。  それで、鉄道、タクシー、バス、これについてはその上限認可と。これは総括原価方式といいますか、適正なる原価と適正なる利潤を賄えるように上限価格を定めると、こういうことになっているんで、まあ法文を読みますと、上限価格イコール総括原価と、こんなふうに読めるんですが、そのように解釈してよろしいんでしょうか。
  39. 梅田春実

    政府参考人(梅田春実君) お答えいたします。  その総括原価イコール上限運賃なのかということでございますが、先ほども総合計画局長の方からも申しましたように、鉄道事業者につきましては、利用者に価格交渉力がないと、で、事業者が非常に支配的な優越的な地位に立つと、で、不当に高額の運賃等を設定する可能性があります。特に通勤通学の輸送などを見ていただければ分かると思います。  したがいまして、利用者保護の観点から、上限をあらかじめ能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたもの、加えたものを超えない範囲で、こういうところを審査いたしまして認可をするという上限運賃制を取っております。  現実には総括原価というものをはじいてまいりますが、この総括原価を超えないように上限運賃を設定するわけでございます。  実際の実施運賃につきましては、その範囲の中で事業者において自由に設定をすることができるようになっております。例えば西鉄ですね、西日本鉄道あるいは東急電鉄、こういうようなものにつきましては、その上限運賃制の中で実施運賃としては別途また下げた運賃を設定している例がございます。  なお、この運賃につきましては、従来、割引について言わば一定の規制をしていたわけでございますが、現在、この運賃の割引につきましては鉄道事業者が自由に設定することができるようにしております。乗り継ぎの割引あるいは企画乗車券、こういうことで創意工夫あるいは利用者のニーズ、こういうものに合わせまして自由な設定ができるような形にしております。
  40. 中島啓雄

    中島啓雄君 ありがとうございました。  不当に高い運賃は困ると、これはそのとおりであろうと思いますが、ただ、総括原価といった場合に、上限運賃の個別についてどこまで決めているかというのがどうもはっきり分からないんですけれども、最近、東急、小田急、東武辺りの運賃改定がございましたのを見てみますと、普通運賃のほかに通勤定期、通学定期、そういった具合に分けて認可をしていると、それから初乗り運賃も分けているというようなことで、総括原価主義の中で果たして普通運賃と通勤定期あるいは通学定期の原価計算というのができているのかどうか、原価計算に基づいた運賃認可と、こういうことになっているのかどうか、その辺についてはいかがでしょうか。
  41. 梅田春実

    政府参考人(梅田春実君) 総括原価をはじきます際には、その企業全体でまず総支出をはじきます。  具体的な費目でございますが、配当金、それから支払利息、これが言わば事業報酬に当たるものでございます。それから、営業費がありまして、その全体の大きな枠でございますが、諸税、それから減価償却費等がございます。そのほかに、人件費、それからその他の経費がございます。  具体的に言いますと、線路費、電路費、車両費、列車運転費、駅務費等でございます。こういうようなものを各企業ごとにはじきます。で、はじきまして、その中で人件費と経費、例えば電路費あるいは線路費、車両費、列車運転費、あるいは駅務費ですね、こういうようなものにつきましては言わばヤードスティック方式ということを取りまして、こういう点について努めて、合理化を努めて、圧縮したものについてはボーナスを与えるというような制度をつくりまして経費の圧縮に努めるというようなことをやっているわけでございます。  個々の運賃との関係でございますが、普通運賃あるいは定期運賃、加算運賃、特別急行料金、これは新幹線だけでございますけれども、こういうようなもの一個一個について原価をはじくものではありません。この会社として、全体として、それが総収入、この支出と総収入を比較いたしまして不当に高い運賃にならないように審査をするというような仕組みでございます。
  42. 中島啓雄

    中島啓雄君 今、個別の運賃なり料金について一個一個原価をはじくものではないとおっしゃいましたんで、まあ常識的に考えればそうだろうと思うんですね。  そうすると、上限価格イコールほぼ総括原価を賄える水準だと、こういう話が果たして成り立つのかどうかということなんですね。  例えば、国内の航空運賃について見ますと、実収の賃率は一人キロ当たり十六円ぐらいなんですね。ピーク時の国内航空の、区間によっていろいろ違うんですけれども、ならしてみますと、人キロ当たり三十二円から三十五円ぐらい。要するに、実収賃率の倍ぐらいの運賃をピーク時には取っていると、こういう話ですから、どうも上限価格イコールおおむね総括原価だというのは、企業にとってはちょっとバーが低過ぎるというか高過ぎるというか、要するにピーク時の価格というのは、航空の場合は年末年始とか夏休みとか、これは高くなるというのは当たり前の話でありますし、旅行業なんかはもう完全にそうですね。曜日に、曜日なり季節によって全部パッケージ旅行の価格が違うと、こういう話なんで、仮に上限価格を定めるとすれば総括原価を何割か上回るようなところに設定をしないと本当の意味で経営の自由度はないと、こう思うんですけれども、この辺についてはいかがでしょう。
  43. 梅田春実

    政府参考人(梅田春実君) 基本的に運賃は申請主義でございます。これは、事業者が自主的に自分たちの経営について今後どういう分野において事業を展開していった方がいいか、例えば定期運賃を高くした方がいいか、あるいは先ほど先生おっしゃいましたようにピークロードプライシングみたいなやつを取った方がいいか、そういうのは基本的にその事業者の自由でございます。  そういう運賃設定をして、しかもそれが経費との関係で適正なものであるかどうかというのを私どもの方としては審査させていただいておりますので、例えば、ある事業者が私どもの方からピークロードプライシングの運賃設定をしたいということであれば、それは私ども審査させていただきまして、先ほど言いましたように、総括原価を上回らないようにその総括、適正な原価に適正な利潤を加えたもの、これを超えないようになっているかどうかを判断するというような格好になりますので、そういう面では、もし利用者のニーズに即して事業者がそういう設定をしたいということであれば、御相談させていただければ我々も検討してまいりたいと思います。
  44. 中島啓雄

    中島啓雄君 分かりました。  そうすると、上限をかなり総括原価を賄う水準よりももう少し高く設定してもいいと、こういうことになるんだろうと思いますが、いずれにしても今の市場条件からいいますと、先ほども申し上げましたように、鉄道、バス、タクシーはもう輸送量が減少をしていると。これは航空機との競争あるいは中距離は、中距離なり近距離はマイカーとか高速バスとの競争と、こういうことで、もう言わば独占的な地位に基づいて運賃・料金を高く設定をするというのはまず市場条件からいって不可能になっていると思われるわけです。  そういうことで、今の事業法上も不当な差別取扱いとか不当な競争の場合は変更命令を出せると、こういう条項がありますんで、私は届出で十分ではないかと、こういう気がいたしますし、かつ認可の手続きも、申請してから内閣府と協議をして、運輸審議会にかけて公聴会をやって、物価安定政策会議をやって、物価安定閣僚会議をやってやっと認可すると、こういうような手続ですね、非常に複雑な手続。東武、小田急、東急が近々改定をいたしますけれども、これはいわゆる特特制度の取崩しに伴う改定ですからほんのわずかの改定なんですが、実施まで三か月以上掛かっていると、こういうような状態でありますから、是非もう少し簡素化をしていただきたい。  平成十二年に改定して以来既に五年をたっておりますので、是非見直しをしていただけないかと思いますが、この辺、大臣、御見解はいかがでございましょう。
  45. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 当然、民間の企業でございますので、それは事業者の自主性、主体性を尊重するということは極めて大事であるというふうに思います。もう御承知のとおり、需給調整規制そのものはもう廃止をされております。今ずっと御議論されておりますのは運賃の問題でございます、運賃に関する規制。  先ほど来、総政局長や鉄道局長が答弁しておりますとおり、事業によってやはり特性があるなと思います。また、ほかの代替される輸送手段があるのかどうかも、どの程度あるのかも、なかなか、これ、その事業によって違いがあるのかなとも思います。そういう違いを考えた上で、一方で、やっぱり消費者を保護していくと、利用者を保護していくということも一方では極めて大事な要請でございます。そのバランスをどこで取っていくかという結局問題ではないかと思うわけでございます。  そういう意味で、鉄道とかバスにつきましては、これは地域によっては違うのかもしれませんが、ただ、事業者が支配的、優越的な地位を利用して高額な運賃等を設定する可能性というのはやはりこれは否定できないわけでございまして、そういう意味で、運賃について上限を認可制、認可をすると、そして事前届出制でさせていただくという形にさせていただいているわけでございます。  タクシーについては、これはメーターによる距離制になっておりますので、利用者からしますと降りる際に初めてその額がはっきりするということでございまして、利用者に分かりやすい運賃制度とする必要があって引き続き認可制とさせていただいているということでございます。  ただ、おっしゃった、手続が時間が掛かるねという話は、これは確かに検討する必要があるのかなと。担当大臣ともよく協議をさせていただいて、余り、重複したといいますか、時間が掛からないようにすることはやはり大切なことだと思っているところでございます。  あくまで上限の規制でございますので、認可した上限の範囲内であれば事業者は自由に運賃を設定、変更できるわけでございまして、その意味では、その限りに、その限りにおいては事業者間の競争促進というのは図られているのかなというふうに思っているところでございます。
  46. 中島啓雄

    中島啓雄君 ありがとうございました。  利用者保護の観点というのはこれは当然の話だと思いますが、市場条件からいえば、まず間違いはないと、変更命令が出せれば届出で十分であろうと、こう思いますので、是非、その手続だけでなくて更に簡素化をしていただければということで、大臣のフレッシュな感覚でひとつ見直していただければ有り難いと思います。  それでは次に、地域交通の問題について若干お尋ねをしたいと思います。  地域交通といっても、本当にローカルな閑散線の場合と、二十万から五十万ぐらいの地方中核都市の場合といろいろありますが、大都市については、随分交通対策も進んで地下鉄もかなりできましたし、今年は都市鉄道利便増進事業というようなことでかなり積極的にやっておられますが、今や、地方の方こそマイカーが発達をしてどんどん路線が廃止されていくと、バスも全然もうからないというような状態のようでありますが、最近の地方の鉄道なり路線バスの輸送状況あるいは廃止の状況などについてお聞かせをいただければと思います。
  47. 丸山博

    政府参考人(丸山博君) ローカル、いわゆるJR三島会社、それから地方中小民鉄、路線バスにつきましての輸送実績につきましてまずお答え申し上げます。  まず、JRの三島会社でございますが、三島会社各社で多少の濃淡はございますが、全体として見ますと、平成十一年度から平成十五年度五年間におきまして、輸送人員が四億九千万人から四億七千万人ということで約四%減少しております。それから、地方中小民鉄につきましては、平成十一年度四億二千万人が平成十五年度には三億七千万人ということで約一二%減少いたしております。それから、路線バスにつきましては、平成十一年度四十九億四千万人から平成十五年度四十四億五千万人、約一〇%減少ということでございます。  そういう中での鉄道、バスの最近の路線の廃止実績でございますが、鉄道につきましては、平成十一年度から十五年度にかけまして十八路線百九十九・八キロの廃止が行われております。バスにつきましては、平成十一年度から、これは十五年度の実績がまだございませんので十四年度まででございますが、約三万七千キロメートルが廃止されております。  ただ、バスにつきましては、廃止したところが直ちに輸送サービスがなくなるということではございません。二社以上がやっているところで一社が廃止したものも含まれますし、それから路線の付け替えなどが行われたものも単純に計算しておるということでございます。  ちなみに、バスの許可キロ全体につきましては、平成十一年度から十四年度にかけまして三万キロ増加しておるという状況でございます。  今後の廃止でございますが、鉄道につきましては、現在、四路線百六キロの廃止届が出されているという状況でございます。
  48. 中島啓雄

    中島啓雄君 ありがとうございました。  お聞きのような状況で、地方交通はかなり廃止が始まっていると、こういうことなんですが、環境問題ということを考えた場合にも、マイカーからなるべく公共交通機関を使ってもらいたいということでありましょうし、もう少し地方の交通の活性化について力を入れていただけないかと。  地方の中小私鉄のみならず、例えば名古屋鉄道のローカル線とか、西鉄、南海の短い線区とか、こういったものも廃止をされつつあるんで、地方交通の活性化についても近代化投資というようなことで十七年度予算では三十五億円ぐらい投資をしておると、こういうふうに聞いておりますけれども、地下鉄とニュータウンの整備では三百六十五億円ぐらい出ているわけですね。  ですから、別に地下鉄をやっちゃいけないなんて、こんなことは決して申しませんけれども、地方交通に対する予算というのは一般会計では十分の一程度しかないと、こういうことなんで、是非、いわゆる地方のローカル私鉄のみならず、大手の私鉄とかJRの比較的ローカルな在来線とかあるいはバスとか、そういったことも含めて総合的に地域の公共交通を維持、近代化するような施策を是非考えていただきたいと思いますが、その辺について国土交通大臣のお考えを聞かせていただければと思います。
  49. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 地域の公共交通の活性化を図っていくというのは大切な要請であると思います。  これまでも様々取組をさせていただいておるわけでございますけれども、平成十七年度予算案におきましては、地域交通の改善に資する具体策づくりを関係機関、関係者が集まりまして行います公共交通活性化総合プログラムというものを充実をさせていただいておりますし、また、地方鉄道の再生計画に基づく事業に対する支援制度も拡充をしているところでございます。  この、地域の公共交通をどうしていくか。本当に各地域に行ったら、これ深刻な私は課題になっておるというふうに思います。そういうお話をあちこちから聞かせていただいておるところでございます。  実を言いますと、私のこれ地元の話で恐縮なんですけれども、私の地元にチンチン電車がございまして、大阪の堺なんですけれども、昔ながらのチンチン電車で、これはたしか私の記憶では、民間鉄道、日本で最初の民間鉄道なんです。それがずっと今でも走っておるわけなんですが、これがなかなか赤字でございまして、ところが、やっている会社からしますと、一部をもう廃線にしたいと、やめたいと、こういう意向が実を言うとあるわけなんですね。しかし、我々地元の人間からしますと、もう長年、明治の時代から親しんできたこの路面電車、チンチン電車がなくなるということは、非常に文化の面でもどうなんだと。また、これを活用されている高齢者の方々等たくさんいらっしゃるんですね。そういう方々の足を奪うという意味でもどうなんだということで、地元の民間の方から、このやっぱり路面電車というものをしっかり応援していこうじゃないかという盛り上がりが出てまいりまして、市民の間でお金を少し出し合いまして、堺のチンチン電車を愛する会というのをつくりまして、このチンチン電車の切符を、回数券をみんなで買おうと、私も買っているんですけれども、そういうふうな動きもあるんです。  こういう動きというのは、決して今のお話だけじゃなくて、結構あちこちで今出てきておりまして、やはりそういうその地域の公共交通機関というのは非常に重要である。重要であるし、それは残していきたいわけなんですが、それを残していくためにはやはり多くの方々がやっぱり利用をしていただかないといけないわけでございまして、そういう意味では、地元のその市民の方々、そして地元の公共団体、そういう方々と連携を取りながら、是非その支援をしていく体制というものをつくっていきたいし、それをやっぱり国としても制度的に是非応援をしてまいりたいと思っておるところでございます。
  50. 中島啓雄

    中島啓雄君 ありがとうございました。  地域、地元の問題も加えて、大変御理解ある大臣と思っておりますので、地域交通に是非光を当てていただきたいということでお願いをいたします。  何か財務大臣から何か御感想ありましたら聞かせていただきましょう。
  51. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 今も国土交通大臣から御答弁がありましたように、私の地元も過疎地なもんでございますから、やっぱり公共交通をどう維持していくかというのは地域づくりという面から見ても本当に一番悩みのあるところなんですね。北側大臣おっしゃったように、さりとて乗って利用してくださる方がある程度ないとなかなか維持し難いと。そこのジレンマに悩んでおるわけでございます。  先ほど、国土交通省の方からも御答弁もございましたけれども、公共交通総合活性化プログラムですか、今年は拡充しようということでやらしていただきましたけれども、私どもも、厳しい財政事情ではございますが、今後ともよく国土交通省とも議論をさせていただきたいと思っております。
  52. 中島啓雄

    中島啓雄君 ありがとうございました。
  53. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 関連質疑を許します。秋元司君。
  54. 秋元司

    ○秋元司君 中島委員に続きまして、関連質疑をさせていただきたいと思います。中島議員に続きますので、見識高い質問をさせていただきたいと思います。また、あわせて、私、予算委員会デビュー戦でありますので、どうぞよろしくお願いいたします。時間もございません、早速本題に移らさせていただきたいと思います。  今日は、まず日本の財政状況について何点かお伺いをさせていただきたいと思います。  資料一を御参照いただきたいと思います。我が国の国債の所有者別の内訳であります。全体としては大変五百九十九兆という多額の額でありまして、その中で郵貯が九十兆、そして簡保が五十一兆、トータル、この郵貯、簡保で二十三兆の国債を引き受けてもらっている。ちなみに海外は四%であります。  ちなみに、この米国の国債の所有者別内訳ですね、これ、資料二でありますけれども、米国におきましては、この注目すべき点は海外所有者分が、これドルでありますけれども、円に直しますと百八十五兆ですか、そのうち、この内訳全体を見ますと四三・五%、これが外国人が所有している国債であります。米国は国債を外国に持たせることに全く抵抗がない国だなと、これでうかがえるんですけれども、もっとも、これ軍が強いからかな、そんなふうにも気がするわけですが。  この中で、次の資料三でありますけれども、外国所有者分の国別、これを見ていただきたいんですが、見て分かるとおり我が日本はトップでありまして、全体の百九十三兆のうち日本は約七十兆の、四割を今保有しているわけであります。これから見ますと、米国は安定的に日本に米国債を持たせるという傾向があるのかな、そんなふうに感じがいたしております。  ここで竹中大臣にお伺いしたいわけでありますが、今郵政の民営化の議論がなっております。もっとも、今日は郵政の民営化がいいか悪いかという議論は、もう専門分野の議員がいらっしゃいますから省きまして、この郵政民営化によって、郵貯、簡保会社が民有民営化なれば、当然、この会社はより利回りが高いところに投資をしたいというものが私は当然でありまして、当然、これ余りリスクがないところに行きたいと。そうなりますと、現在、日本の国債というのは約一・五%、そして米国債、五年物で三・五ですか、そして十年物だと四・五もある。そうすると、当然この米国に流れてしまうんじゃないかなという、そういう傾向があると思うんですが、大臣、いかが思いますか。
  55. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 秋元委員の御指摘、郵政を民営化するということは、基本的には経営の自由度を発揮していただいていくということに最大の眼目がございます。  今の郵政、基本的に、三百五十兆円という大きな規模のお金を郵貯、簡保で運用しておりますけれども、基本的に政府のお金であるということで、安全資産を中心とした運用になると、結果的にそれが大量に国債に向かっているというのが現状でございます。これは、完全民営化された後は、民間企業として、正におっしゃったリターンと同時にリスクもしっかりと管理していかなければいけませんですから、自らの運用能力の中で御判断をいただくというのが、これがやはり民営化の原則だと思います。  同時に、この移行期間、十年程度を想定しております移行期間については、これは、郵政は、政府債務政府保証の付いた債務を持つわけでありますから、その分についてはいわゆる旧勘定として別に実態的に公的な保有が実現するような仕組みを考えているところでございます。そうすることによって市場におけるショックを吸収していくようにしようと。しかし、長期的には、正に民営化の趣旨である自由度を持って、しかし同時にこの自由度というのは決して高い利回りの資産にだけ行くということではなくて、リスクもしっかり管理をしていただいて、自らの資産、負債のマネジメント、ALMもしっかりやっていただくということでありますので、そういう中で安定的な資産運用をしていただけるものというふうに思っております。
  56. 秋元司

    ○秋元司君 私もそうなるんじゃないかなと思うんですが、これ関連で、たしか土曜日、先週の土曜日ですか、三月五日の日経新聞の夕刊に、大臣あてに米生保協会より、簡保優遇措置の撤廃の要求、要望書というのが届いたということで新聞記事があったんですが、これ、大臣、事実ですか。お答えいただいてよろしいですか。
  57. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) ちょっと今の時点で確認を取れておりません。
  58. 秋元司

    ○秋元司君 確認が取れていないんだったら仕方がないわけでありますが。  今の話を受けまして財務大臣にお伺いしたいんですけれども、結果的にこの先ほど中島委員が話のありました「改革展望」、この「改革展望」の参考資料を見ますと、どうしてもこの公債費、そんなに減るという数字になっていない、この十年間数字になって、当然プライマリーバランスそのものは黒字に向けて頑張るという努力はありますけれども、減らない傾向、減るという傾向はないわけでありますね。  そうしたところ、この郵貯、簡保、これだけ二三%も持ってもらった、この財源の措置、代替案、どのように考えていらっしゃいますか。
  59. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) まあ、二三・八%を持っていただいている、そのほかに財投資金、このさっきいただいたペーパーで、財政融資資金の中にも郵貯、簡保にこれからお返ししていく部分があるわけですけれども、そういう中もありますので、現実には四分の一は少なくとも郵貯、簡保に持っていただいている。だから、これだけ大量に発行している基礎的なインフラ、国債発行の基礎的なインフラみたいなものに現在なっているわけですね。  ですから、これどうしていくかということになりますと、どうしても移行期間が要るわけでございます。それで、先ほど竹中大臣もおっしゃいましたけれども、政府保証の付いている公社分については安全に運用していけということは、やはりかなり国債で賄っていただく部分が実際にはこの移行期間多くなると思います。それから、移行期間の最中に、やはり透明度を高めて、市場に、何というんでしょうか、えらい見込みと違ったというようなショックを与えないようにしなきゃならないと、そういうことを書き込んで、基本方針に書き込んでいただいておりますので、それがきちっとできるような制度設計をどうしていくかということを今やっているわけでございます。  その上で、じゃ、そこから先どうなるんだと。過渡期はそういうことで徐々に移っていくとしても、そこから先どうなるんだということになりますが、そこはもう、民営化ということであれば、そこの経営者が自分のところの資産運用をどうするかというのは、マーケットの状況も見ながらそれは判断をしていただくということでありますけれども、我々としても無策のままでいるわけにはまいらないわけでございます。  そうすると、やっぱり国債管理政策をどうするかということになりますと、一番の基本はやはり国債に対する信認をきちっとしておく。つまり、財政規律をきちっと維持しているぞということがなければ国債管理政策は本から崩れてしまいますので、プライマリーバランスを回復していこうというのもそういう努力の一つでございます。  その上で、今、先ほどお示しいただいたペーパーでもありますように、日本の国債保有というのは、日本国債の保有状況というのはかなり海外に比べて特色がございます。公的部門が、国の公的部門が持っているというのは大きいことでございますけれども、個人部門やそれから海外部門が随分少ないわけですね。で、今も個人国債等をいろいろ発行して、これは好評に、割合好評をいただいておりますけれども、そういう保有者の多様化を図っていく必要があろうかと思います。  それと同時に、マーケットと全然関係なく政府の一方的な都合で発行してもマーケットは受け入れていただけませんので、それをやりますについてもマーケットの対話というものを重視してやっていくと、そういうことを基本に私どもはやらせていただこうと思っております。
  60. 秋元司

    ○秋元司君 当然、国債を減らすことが当然のことだと思います。ただ、現実問題としてなかなか減っていかないというのが現状であります。その部分として郵貯、簡保に持ってもらっているわけでありますが、その措置として、将来的に郵貯、簡保で持つのが難しいという判断になるのであれば当然個人の責任として個人に国債を持ってもらう、当然のことだと思いますが、それがなかなかいかないということがあったときに一番心配されるのが、この市中の金融機関にどうしても国債を持ってもらう、こういうことになるんじゃないかなと思います。  現在、今の比率で申しますと、やはり全体の三三%を市中金融機関に持ってもらっていますから、まだまだ財政余力があるといううわさもありますけれども、まだまだ金融機関のこの信用力があると言われておりますけれども、まあ今、世の中を見ていますと、まだまだこの貸し渋りといいますか、民間の資金需要がないと言われながらの貸し渋りということが起きていますが、やっぱりこういった点から考えて、余り市中、市中の金融機関に持たせないような、できるならば個人に持ってもらうか、引き続き郵貯、簡保に代わるようなところに持ってもらうか、その辺を御検討いただきたいなと、そう思う次第であります。  次に、この同じ日本の財政状況の中で、私はちょっと金融資産の、この金融資産のうち、この件にちょっと触れてみたいと思うんですが、まあ私も今回当選させていただいて、財務省の皆さんから勉強させていただきました。「日本の財政を考える」、もうすばらしいパンフレットをいただきまして、これを読めば読むほど実は暗くなるばかりでございまして、やはり私たち若い者にとっても元気になる得策は何かないのかな、そう思わせていただきたい、そう思っている次第であります。  その中でちょっと気になる点がありまして、今政府の債務残高GDP比、よくこうグロス、よく総債務で公表されているんですけれども、これ、ちょっと近年、二〇〇五年、二〇〇四年、二〇〇三年ぐらいで結構でございますから、数字言っていただけますか。大臣じゃなきゃ副大臣でも、又は政府参考人でも結構でございますけれども。
  61. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) あれですか、長期債務ですか。
  62. 秋元司

    ○秋元司君 ええ、長期債務です。
  63. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) どなたですか。  財務省上田副大臣
  64. 上田勇

    ○副大臣(上田勇君) どうも失礼しました。  国及び地方長期債務残高でございますけれども、これは、平成年度末から、これ、国、地方合わせまして、平成年度末が四百十兆円、十二年度末が六百四十六兆円、そして十六年度末七百四十兆円。で、十七年度末、これは予算ベースでありますが、これは七百七十四兆円になります。  これらのGDPに対する比率でありますが、平成七年、七年度のときが八二%、五年後の十二年度で一二五・九%、そして十七年度末、予算ベースでありますが、これが一五一・二%となっております。
  65. 秋元司

    ○秋元司君 本当にこの数字を見ればすごい数字だなと改めて感じさしていただいて、私も各国別の比較表を見たことがありますが、各世界の主要国と比べても非常に差が激しいなと、そう感じる次第であります。  ただ、ここで忘れちゃいけないのは、日本は非常にこの金融資産というののストックする国家でありましてね、この金融資産でいうネットですね、俗に言う純債務、これでちょっと数字、同じ形で結構でございますけれども、出していただけますか。よろしいですか。
  66. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) ネットでいいますと、これは二〇〇五年度でございますが、OECDの統計でありますが、日本が九〇・一%、これ、委員がおっしゃったように、金融資産、持っている金融資産を控除した分であります。アメリカが四五・七%、それからイギリスが三七・八%、ドイツが五七・一%、フランスが四七・六%、イタリアが九五・八%。ここは日本より高くなっております。それから、カナダが二八・一%であります。
  67. 秋元司

    ○秋元司君 今の数字聞いて、少しはほっとするといいますかね、安堵があるわけでありましてね。やはり数字を出す場合にはこのネットとグロス、両方出していただいて、こういったパンフレットに載していただくと、余り危機だ、絶望だ、そういう感がないんじゃないかと思うわけでありまして、今のネットの数字を見ますとイタリアよりは多少でも低いということでありますからね、将来我々にとっても少し明るいかなという気がするわけでございまして、余り危機感をあおりますと、これが非常にデフレの傾向が広がって、それがイコール社会不安を持ちましてね、今様々な、今社会事件が起きております。これはすべてこのせいだとは言えませんけれども、その傾向をあおるきっかけともなるんじゃないかと思いますんで、是非この点を踏まえて両方必ず表示、出していただきたい、そう思う次第であります。  ちなみに、ムーディーズが前、何年か前に日本の国債を格下げしました。そのとき財務省は何て抵抗したかというと、この金融資産を盾にこんなことはないということを闘ってくれたんですね。まあ、ムーディーズじゃない、もう一方のS&Pのこの会社の指標についてはやはり日本の主張を認めていただいて格下げを大きくしなかったという事実もございますから、財務省も是非、外だけじゃなくて中にもこのことをどんどんPRしていただきたいと思いますが、財務大臣、いかがですか。
  68. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 確かに、委員がおっしゃったように、金融資産というものも持っておりますから全体で見ていただかなきゃならないわけです。  我々は、なかなか今のお話は悩みの多いところでございましてね、国債を引き受けていただきますから余り国債、日本の国債はしっかりしているということをどうしても言いたくなるわけでございますが、他方やっぱり、それを更に管理していこうということになりますと今の日本の財政状態を改善しなけりゃなりませんので、やっぱり難しいところも、率直に難しいところがあるぞということも言わないとなかなか御理解がいただけないんで、なかなか実は申し上げ方が難しいところでございます。  それで、確かに委員のおっしゃるように、かなり金融資産を持っているということも事実でございますが、他方、その政府が持っている金融資産というのは年金等に結局、の積立てというようなことでございますから、それを取り崩して使えるというような性質のものとは、やっぱりそれは年金に本来充てなければならないもんですから、そういう制約を負っているということは事実でございます。
  69. 秋元司

    ○秋元司君 よくその話も理解できます。ただ、同じ、日本に出した、お金はお金でございますから、同時に、やっぱり国民の皆さんに判断をゆだねるという意味で同時公表というものを是非改めてお願いしたいと思います。  次に、景気対策について何点かお伺いしたいと思います。  今、先ほど若林委員報告にもございましたように、私も先般、中曽根委員長を筆頭に愛知県へ予算委員会の視察に行ってまいりました。確かに愛知県、東海地区で行きましたけれども、特にこの愛知県は万博とそして中部国際空港、又はトヨタがある、そんなことでもって非常に活気を浴びているという話でありました。確かに、数字上では有効求人倍率一・六二という高い数字を記録しておりまして、人手不足だと、そんなふうにも聞こえております。また、トヨタに至っては、最先端の技術を駆使して、ハイブリッドカーとか、又は非炭素系の水素の燃料電池の開発に向けて非常に頑張っている、これは大変結構なことであると思うんですが、ただ、一番懸念しなくちゃいけないのは、この県の話を聞きますと、こういったことによって、県がそんなに税収が上がって、そしてV字回復がある、そんな状況でないという話でありました。  そして、私も何人か、全国区でありますから、愛知県の皆さん、また名古屋の皆さんの中小企業の皆さんと話す機会がありましたんで懇談した結果、今現在、中小企業は、確かにトヨタ等は景気がいいかもしれませんけれども、結局は下請として仕事を受けて、受ける結果、発注額は俗に言う損益分岐点ぎりぎりで発注されるんで、場合によっては赤字でも仕事を受けなくちゃいけない。特に、中部国際空港に至っては、トータル的に金額は安く済んだと、一瞬喜ばしいことではあると思いますけれども、それに携わった仕事の、仕事した方にとっては、そんなにこう中部国際空港は、仕事携わったから自分たちの生活潤った、そういったことにつながっていないというふうに言われております。  この傾向をどういうふうに見るかというのは、今後国民の判断があると思うんですけれども、実際問題として、まだまだ中小企業の社長さん、愛知県といえども社長さんは、自分では給料取らずに、貯金を取り崩して、いずれ景気が回復するまで待つと、こういったことがあるようでありますけれども、こういったことを受けて、ちょっと中川大臣、どのように思われますか。
  70. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今、秋元委員が御指摘のように、全国に六百万という事業所があると言われておりますけれども、中小企業は本当にまだまだ厳しいというふうに思っております。  それから、地域的に見ますと、私、ミクロを見る立場でございますから、そういう意味愛知県は多分いい方だと思いますけれども、ほかに厳しいところは一杯あるわけでございまして、そういう中で非常に、全体としてまだまだ中小企業、あるいはまた非製造業、あるいは地域、厳しいところがあるわけでございまして、そういう中で、まだまだ日本の経済を本当の意味で良くするためには、中小企業が真の意味で活力を取り戻すために政府としても今全力を挙げているところでございまして、委員御指摘のとおりだというふうに思っておりますので、いろんな諸施策を取っていかなければいけないというふうに思っております。
  71. 秋元司

    ○秋元司君 是非、中川大臣、特に中小企業に一番理解がある私は大臣だと思いますので、その点よろしくお願いしたいと思います。  また同時に、今の日本の景気はどうしても外需主導型だと言われております。現に日銀、日銀、財政財務省がいろんな政策で円高を止めようということで、どうしてもドル買いが入る傾向があります。そんな中で、私はやっぱりどうしても、ここは前から言われていることでありますが、内需拡大ということを図っていかなきゃならない、そのように思う次第でありまして、特に中小企業にとっては一番大事なのは金融であります。  今、政府議論をされている中で、政府金融機関をやっぱり廃止して民業を圧迫している部分をなくしていこうと、そういう議論がありますが、私がいろんな企業の方と話す中で、まだまだ日本の民間金融機関は、俗に言われるビジネスモデルですっと資金を出すとかいうレベルまでまだ至っていないんじゃないかという、そういう心配がある中に、政府金融機関が中小企業に対して果たしていく役割、まだまだ私は大事だと思うんですけれども、その辺、中川大臣、いかがですか。
  72. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 政府金融機関はあくまでも民の補完という役割であるべきだと私は思っております。  しかし、しかしというか、そういう立場で今、秋元委員御指摘のように果たすべき役割があると思っておりますので、そういう意味で、議論が始まったばっかりでございますから、政府金融機関として、例えば貸し渋りだとかいろんな民間でできない部分について補完をする役割というのは今後も重要ではないかというふうに考えております。
  73. 秋元司

    ○秋元司君 是非、しっかりと検討いただきたいと思います。  続きまして、今度はこの景気対策の直結する公共事業について何点かお尋ねしたいと思います。  よく公共事業、公共投資については、もう公共投資は景気対策の役割は終わっただとか、もう一つは、日本の公共投資のGDP比は諸外国に比べて高いという議論がありますけれども、この点、北側大臣、どのような見解をお持ちでいらっしゃいますか。
  74. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) よく様々な指標としてGDP比というのをよく使うんですが、一つの目安かもしれませんが、社会資本整備に関して言わせていただきますと、それは一つの目安にしかすぎないというふうに私は思います。なぜならば、GDPというのはこれはフローの世界の話でございますが、やはりその国々によってストックがどこまで充実をしているのかというのはきちんと見ないといけないし、違いがある。更に言いますと、各国々で地域のその特性というのは全然違います。  例えば、日本の場合でいいますと、昨年は本当に災害の多い年でございましたが、例えば一つ河川を取りましても、欧米の河川と日本の河川とは全く違います。欧米の河川は長い延長距離をゆっくりと流れていく大河であることが多いわけでございますが、日本の河川は、これはもう山から急に川が下ってきて、非常に傾斜がある急流な川が多いわけでございます。ちょっと長くなるかもしれませんが、オランダのデ・レーケという、これは有名な、日本の、明治時代の日本の河川改修に本当に貢献をしていただいた方なんですけれども、この方が、日本の川を、ある川を見て、これは本当に川かと、滝じゃないかと言った逸話があるぐらい、日本の河川というのは欧米の河川とは違います。  そういう意味で、豪雨対策等々を考えたときに、やはり日本の河川に対する整備というのはこれからも必要でございますし、それを単純に欧米とは比較はできないというふうに思うわけでございます。  また、地震なんかも、一つの例でございますが、マグニチュード六・〇以上の地震回数というのは世界で、日本で起こっているのは二割以上なんです。二割以上、二割以上の地震、マグニチュード六・〇以上の地震が日本で起こっているということでございまして、そうした災害の多い国の日本にありまして、やはり災害に強い国土づくりをしていくということは、これは非常に優先順位の高いことでございまして、それをほかの国々とすぐに比較はできないのではないかと思っております。今一例を申したわけでございますが、これだけではございません。  ただ、そうはいっても、財政が非常に厳しい中で、限られた予算の中で、やはり社会資本整備を優先順位を付けてやっていくということが今大切なことであると思っておりまして、今申し上げた安心、安全にかかわること、また国際競争力の強化に資するようなこと、また地域の再生に資すること等々、優先順位を明確にしながら着実に社会資本整備をやっていかねばならないというふうに考えております。
  75. 秋元司

    ○秋元司君 もう北側大臣の決意、聞かしていただきました。是非頑張っていただきたいと思います。  とにかく、ここ数年間で公共投資が一・六兆円減りました。その影響でと言っていいか分かりませんけれども、結果的にGDP名目が下がって二十六兆円の税収減につながったと思います。私はやっぱり国土保全、今大臣がおっしゃった防災という観点からしっかり、無駄は当然排除することは当然でありますけれども、公共工事を減らすことが直接赤字を減らす、このことに私はつながらないんじゃないかなと思う観点の中で、ちょっと財務大臣にお伺いしたいんですが。  財務大臣は、財政規律としてプライマリーバランス、このことを非常に強くおっしゃりますけれども、私は経済規模を拡大するということがすべてじゃないかなと、そういう気がいたしております。言ってみれば、名目GDPを上げれば元気になるし、その裏付けとして政府負担率を下げることがイコール財政規律につながっていくんじゃないかなと、そんな気がいたしておりますけれども、大臣の見解をお願いしたいと思います。
  76. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 今、北側大臣が、多分デ・レーケのおっしゃったのは富山県の常願寺川じゃないかと思いますが、おっしゃいました。我が国はそういう面を抱えているのは事実だと思います。  それで、要するに経済を良くしなければ、拡大しなければ、まずそれが最優先事項だろうとおっしゃいました。私の財政規律を回復していくというのも、経済が拡大していかないようではこれは実現は不可能だと思います。よく入るを量っていずるを制すと申しますけれども、それだけではやっぱり足らないんであって、経済全体の体力が付いていくということが基本的に大事だと思います。  そうしますと、次はどういう手法を使ってそれをやっていくかということになるわけでございますが、かつては財政出動をどんどんやるだけのゆとりがあったわけですね。現在の財政事情ですと、やっぱり必要なところにはやっぱり出さなければなりません。この間のような災害が起きますと、その災害に対してどうするかというようなことはこれはやらなきゃならない。これは当然のことだろうと思います。  ただ、ここまで参りますと、結局、要するに日本全体の元気ということですから、ここから先、日本の財政大丈夫かなとみんなが思うようになりますと元気も出ないということがあろうかと思います。それから、やはりある程度全体を元気よくしていくためには、何というんでしょうか、やっぱり政府の、政府があんまり何でもかんでも、無駄も含めてやって税金をたくさんいただいていくような国家の体質では、結局、民間部門が元気が出てこないということもあろうかと思います。  それから、やっぱりこれから高齢化なんかが進んでまいりますと、どうしても預貯金を使い尽くす、使っていくという傾向がありますから、資金が、日本の中に資金がどれだけあるかという問題もやがて顕在化してくるだろうと思いますね。そのとき、その資金をあんまり公的部門だけで取っていくということになりますと、今なかなか金融機関が貸すところがないとか言っていますけれども、そういう体質を続けていきますと、結局金が民間に流れないという現象も起きてくる可能性が私はかなりあるんだろうと思います。  それから、何よりも、政府財政規律が緩いということになりますと、景気が物すごく良くなって金利が上がっていくというのならこれは何も心配はないわけですけれども、景気は良くならない、デフレ、デフレ状況のようなことが続くのに、金利が、国債金利等が上がっていくという状況は相当危機的な状況でございますから、やっぱりそういうことをどうやって抑えていくかということを同時に考えてやっていきませんと、なかなか経済全体を元気にしていくという課題もやりにくいのかなと。その辺のバランスをどう取っていくかということが腕の見せどころと言うとちょっと言い過ぎですが、問題じゃない、問題点じゃないかと思います。
  77. 秋元司

    ○秋元司君 まあ、大臣のおっしゃるとおり、もうおっしゃるとおりでありまして、ただ、あくまで公共工事というのは、公共投資というのはこれは呼び水でありまして、この後に当然どんと民間の需要がある、このことを予測しての上でありますから、当然これがメーンになるわけじゃないので、このことだけは改めて確認をさせていただきたいと思います。  ただ、一方、日本を取り巻く現状として、実際公共工事がここ数年どういう形で民間に発注されたか。俗に言う半値八掛けという言葉がよく彼ら言うんですけれども、例えば百億の金額で大手が受注したと、それを中小企業には、五〇%じゃない、半値八掛けですからね。八掛けで下請に流して、それがすべて中小企業にしわ寄せ食らった。じゃ、大手ゼネコンもうかったのか。実はこれ、不良債権処理でみんな銀行の返済のため行っちゃって、だれも潤ったところなかった。こういった構造がありましたので、そういう中での公共工事がなかなか呼び水として行ってない。竹中大臣は前、公共投資における乗数効果はもう一%だというお話をしたことがあったような気がするんですけれども、それはさておきまして、やっぱり民間のシンクタンクではやっぱり一・五あるというふうに言われていますから、是非この件も頭に入れながら財政運営をしていただきたい、そう思う次第であります。  はい、次──竹中さんですか。せっかくです、竹中大臣、いかがですか。
  78. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 乗数、いわゆる公共投資を一単位増やしたらGDPがどれだけ増えるかという意味でのその財政乗数、これはいろんな見解あるかと思いますけれども、一を少し上回るようなところだという、若干の幅はありましても多くの専門家での合意があるんだと思っております。したがって、一時的に需要が不足しているような場合にはそういう政策を活用するということは、これはやっぱり今でも大変重要なわけでございます。  問題は、財務大臣の先ほどのお話にもありましたように、今はバブル崩壊後一時的に需要が不足している状況なのか、残念だけれどもそうではないだろうと。一時的に本当に不足しているんであるならばそういう政策でできるんだけれども、十年間ずっとそういう状況が続いてきたと、もっと基本的なところにやはり日本の経済の問題があると。そのためには、それは何かというと、やはり不良債権を処理することでありましたし、規制改革等々で競争力を強くしていくことでありましたし、そういうことをやはりメーンにしてやっていかなければいけないのではないだろうかと。  その財政、公共投資の役割というのはこれは明らかにあるわけでございますから、それはそれでしっかりとしてやりながら、経済運営の、経済活性化の道筋としては、いわゆる構造改革を重視していこうというのが基本的な立場でございます。委員がおっしゃっていることと基本的には私は変わらないというふうに思っております。
  79. 秋元司

    ○秋元司君 確かに、この「改革展望」の参考資料を見ますと、来年、再来年と名目GDPの比率が上がってくる、もうこれ私も期待するわけでありますけれども、ただ忘れてならないのは、今現在のこのGDP、五百五兆であります。これはまあ言ってみれば平成九年と同じ数字でありまして、そして税収においては十九年前と同じだという数字が出ておりますから、やっぱり引き続きこの経済規模の拡大、このことを重点に経済政策を行っていただきたい、そのことだけを御要望させていただきます。  次に、投資減税についてちょっとお伺いしたいんですが、今、経済産業省の方でいろんなことを予定されていると思うんですけれども、今予定されている、また、やろうと思っている投資減税、主なもの、PRを兼ねてお願いしたいと思います。
  80. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) やっぱり日本は企業が頑張っていかないと日本全体の元気がないと、先ほどから秋元委員が御指摘のとおりだと思います。  そういう意味で、平成十五年からIT減税あるいは設備投資減税をやっておりますが、今年度、失礼しました、来年度から、国会の御審議の御了解いただいた上で、是非とも人材投資減税というもの、日本の一番大事なものは人でございますから、人材投資減税で、特にこれは企業の中で中小企業により重点を置いた人材投資減税をやって、企業の一番の宝である人材あるいは日本の一番宝である人をよりレベルアップしていくために人材投資減税を是非ともやらしていただきたいというふうに考えております。
  81. 秋元司

    ○秋元司君 是非この分野、頑張っていただきたいと思います。  特にこの人材投資育成減税については、もう戦略的目的を持った企業戦略の一環であると思います。  ただ、唯一私が留意するのは、これ、大手は非常にこれ使いやすいと思うんですけれども、中小企業にとってはなかなか複雑化して使いにくいんじゃないかなという懸念の声も飛んでおりますから、やはりこの人材育成、これ必要としているのは私はやっぱり中小企業だと思いますので、その点も踏まえてお願いしたいと思います。  だんだん時間がなくなってまいりましたんで、早口でさしていただきます。  まず、今、今私がトータルで申し上げたことは、やはり国、この国全体、景気対策の一環としてやっぱり投資が不足しているんじゃないか、このことで今までの話をさしていただいたわけであります。  しかし、投資をしたくても、国が動く場合には、じゃ国の財源どこにあるのかと、当然こういうことになるわけでありまして、それは最終的には、今ないのであれば国債しかないという結論に至るのであります。  そういった中において、資金はどこにあるのか。この議論をするときに、私は注目すべき点は、外貨準備、これを、注目すべき点でありまして、これを一度に売ると、それはアメリカとの関係があって、とてもじゃないけどそんな話できないよという話がありますから、実はこの外貨準備を担保にするか、もう一つはドル買いのための短期国債、これは今まで日銀引受けでやってたんですけれども、これがどういうわけか今市中でお願いしているというふうになっております。これをまた日銀引受けへ戻せば市中にお金が余るわけですから、そこに日本のためにお金を使う、こういった案はどうかと思うんですけれども、ちょっと事前に通告していませんが、同期のよしみで竹中大臣、どう思いますか。
  82. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 日本銀行の行動の話でありますので、日本銀行の独立性の話等々考えて、政府の人間として具体的にちょっとコメントできる立場ではございませんのですけれども、経済のメカニズムとしてどう考えるかという一般論で、今の御指摘、急な御指摘でございますけれども、申し述べさせていただきますと、これは財務大臣の御所管ですが、九九年の三月にこの短期国債の引受けの制度が変わったというふうに聞いております。それで、今は要するに一般に公募をして、で、残ったものを日銀が引き受けると。  委員の御指摘は、まあ全部もう日銀がやったらどうだと、そうするとその分、民間が引き受ける分が少なくなって、別に回るお金が出てくるのではないか、御指摘の限りにおいてはそのとおりだと思います。  要するに、これはメカニズムとして考えますと、日銀が引き受ける分が増える分、いわゆるベースマネーが増えると、その分、そうでない場合に比べてベースマネーが増えるということでございますから、これは日銀の選択肢としてはそういう選択肢もあるのかもしれません。同時に、中央銀行というのは常に全体としてのベースマネー及びマネーサプライをどうするかということを考えるわけでございますから、もしもそこでベースマネーが増えても、ほかでベースマネーを減らそうというふうに中央銀行が意思決定するならば、これは実は何も変わらないわけでありますので、ここはやっぱり基本的には、今のような御選択肢は確かにあり得るとは思いますが、やはり中央銀行が自らの意思としてベースマネーをどのようにコントロールしていくかと、やっぱりそこに行き着いてしまうのではないかというふうに思います。  ただ、いずれにしても、委員御指摘のような点も含めて様々な工夫をこれは日本銀行も今しておられると思いますので、結果的にベースマネーとマネーサプライが増えるような努力、これは日銀もしていただきたいし、我々も努力をしなきゃいけないと思っております。
  83. 秋元司

    ○秋元司君 今の話は、実はこの構造改革ということにも非常に私は意味があると思うんですが、やはり外需主導から内需主導に切り替える、そのために円高を抑制する、このことだけに非常にこの日本の政府は力を入れるわけでありますけれども、こういったときに内需転換ということを考えて国内に金を使う、そういう観点から今の案はどうかということでちょっと御提案をさせていただいた次第でございますので、今後御検討いただきたいと思います。  次に、まだ本当はこの景気対策の一環として羽田の国際化やりたいところなんですけれども、先に外務大臣がお越しでございますので、先に外務大臣の方にお話をさせて、外交についてお話を何点かさせていただきたいと思います。  まず、今、日本を取り巻く環境、非常に、テロ又は北朝鮮の問題、また中国の脅威等々危うい状況にあると思っています。そういった中で情報機関の強化ということを私は常日ごろ言っているんですが、まず今現在の内調の状況、体制、人員状況、ちょっとこの点についてお答えいただけますか、大臣じゃなくても結構ですので。
  84. 伊佐敷眞一

    政府参考人伊佐敷眞一君) お答え申し上げます。  内閣情報調査室の体制は、現時点で約百六十名の体制でございます。  内閣情報調査室は、本室のほかに内閣情報センターというものが設置されておりまして、情報衛星の運用を、運用に携わっておりますけれども、こちらのセンターの方の体制は三百名強でございます。
  85. 秋元司

    ○秋元司君 これだけ日本が危機にさらされているという中で、日本の情報機関としてトップである内調が百六十人、非常に私は人的にも、人間的にも非常に少ないんじゃないかなという気がいたしております。  もっとも、日本はそれぞれの、外務省であり、防衛庁であり、警察等々で特別に調査機関があると聞いておりますけれども、やはりばらばらに役所があると、私は縦割り行政的になってなかなか情報が一括しにくい。そしてまた、先般、香田さんの痛ましいイラクでの事件がありましたけれども、そのときにも何か情報が錯綜したということがあって、外務大臣のコメントありました。  特に、外務大臣におかれましては非常にこの分野について御関心があって、何とか日本として確立を考えたいという、思っている私はお一人じゃないかと思いますので、ちょっと外務大臣の思いをお聞かせいただけますでしょうか、町村大臣
  86. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) 秋元委員がこの情報の問題に大変御関心を持っていただける、大変に同僚議員として私も有り難いことだと思っております。  なかなかこの問題、何か事件が起きると、いや、こういう情報は政府にないのか、こんなことも知らないでよく外交ができるなというようなおしかりをいただくことがあるのでありますが、委員御承知のとおり、戦後非常にこの情報収集、そしてこの伝達、分析、すべての面においてむしろこれは政府が余りこういうことはやらない方がいいんだというような雰囲気といいましょうか、考え方といいましょうか、そういうものに満ち満ちていたという気がいたします。  しかし、最近大分その辺の感じが変わってきたのかなというふうに思います。なぜならば、これだけ例えばテロといったようなことが身近にある、例えば地下鉄サリン事件、これは国内の正にテロであり、この情報というものをある程度分かっていながら十分な手が打ててこなかった。我々の身近にもそういう危険があるんだということがかなり幅広い理解を得るように至ったことではないだろうかと思っております。  よく日本の情報機関を称して、上がらず、回らず、漏れるということが、これが日本のインテリジェンスの特色であると。これはまあ関係者のよく言うせりふでございまして、別に私が考えたわけでも何でもない。しかし、正に言い得て妙といいましょうか、そういう実態が少なからずあると、こう思っております。  したがって、これは先ほど政府委員からの答弁のとおり、これは外務省だけでなかなかどうこうすることもできません。政府全体でしっかりと情報収集をし、そしてそれを各関係者が情報共有をしながら、そしてしっかりと分析をした上で、必要な情報を求めている、それは、最大の顧客とよく呼んでおりますが、それは内閣総理大臣になるわけでありますが、総理大臣始め関係するところにしっかりとその情報が上がる、判断が出る、そしてまた追加のこういう情報を集めてくれという注文が出る。そういうような形を、これは本当に急にはなかなかできないと思うのでありますが、しっかりと取り組んでいく必要があるんだろうと、こう思っております。  外務省は外務省としても、我が省にもそういう部局が、国際情報統括官という組織があるのでありますけれども、これだけで十分かどうか、あるいは出先がこれで十分かどうかよく考えて、少しく省内にも検討体制をつくってきちんとした取組をこれからしっかりやっていきたいと考えております。
  87. 秋元司

    ○秋元司君 いや、もう大臣の決意聞いて安心した次第であります。  アメリカにおきましても今、アメリカは当然CIAがあるわけでありますが、CIAと同等の情報、情報何とか庁みたいなのをつくって、CIAと同等又は大統領の直属で持ってくるという動きもあるようでありますから、やはり日本もこの情報の強化について引き続きしっかりやっていただきたい、そのように思う次第であります。  それと同時に、大臣にやっぱりここだけお尋ねしたいんですが、この普天間基地の移設の問題であります。  これは、SACO合意の中で辺野古への移転、取決めをして、いろんなこれは政府関係閣僚の努力によって辺野古ということが決まったと思うんですが、今、これがなかなか移転が進まないという中で、様々な論議において、このアメリカのトランスフォーメーションと比べてですね、このアメリカのトランスフォーメーションのことと関連して今違う動きがあるというふうに報道で聞いておりますけれども、今現状をちょっとお聞かせいただけますか。
  88. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) 昨年十月二十九日、委員からこのSACO合意あるいは辺野古の問題について御質問をいただいたところでございます。その後、日米間でもいろいろな話合いをしてきておりまして、日米、先般の2プラス2でも、まず共通理念というものを確立をすると、その上で今後具体論に入っていこうと。その具体論に入っていく中でSACO最終報告の内容とどこかで接点が出てくる可能性はあるのではないかと、こう思っておりますが、まだ現時点でこの辺野古の問題を含めて具体的に決まっているわけではございません。ただ、私どもとしては、沖縄県民の御負担というものをできるだけ軽減をするというのが一つの大きな方針でございます。  昨年十月の、あっ、昨年の夏の大きなヘリコプターの事故といったようなこともあったわけでございまして、そんな実態もしっかり踏まえながら今後取組を更に進めてまいりたいと考えております。
  89. 秋元司

    ○秋元司君 是非、この沖縄県民の気持ちを考えて負担軽減、こういった中で、今新聞報道で言われている話では、グアムにもう行ってもいいんじゃないかという話もあるようでございますから、なるべく日本から出ていってもらう、そういった観点から私は推し進めていきたいなと、そんなふうに思っております。当然、国防又は中国の脅威、そういったことも踏まえて総合的な議論をしていかなくちゃいけないことは承知の上であります。  では、時間でございますから、また質問を午後の方にさせていただきたいと思います。  以上です。
  90. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 残余の質疑は午後に譲ることといたします。  午後一時に再開することとし、休憩をいたします。    午前十一時五十九分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  91. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成十七年度予算三案を一括して議題とし、質疑を行います。秋元司君。
  92. 秋元司

    ○秋元司君 自由民主党の秋元司でございます。午前中に引き続きまして、質問をさせていただきたいと思います。  まず冒頭に、今聞きました、谷垣大臣、六十歳の誕生日おめでとうございます。冒頭にお祝い申し上げます。  時間もないんで本題に入らせていただきたいと思います。  午後は、まず、地域活性化について何点か質問をさせていただきたいと思います。  私の地元は東京と実はもう一つは鹿児島がございまして、両県に共通すること、これは町の商店街が非常に活気がなくて、それが結果的に町の崩壊につながっている、このことが私は非常に懸念をしているわけであります。特に、地元の小売業者の皆さんは、これ町の崩壊につながる、この意味としては、商売だけじゃなくて、防犯、防災、そして青少年育成と、もう地域社会の担い手として本当に活躍をしていただいているのであります。しかし、近年、大手スーパーがどんどん入ってきまして、商売厳しくなって、事実上ボランティア活動できなくなった、ここに私は地域社会の衰退があるんじゃないかな、そう思う中で、今、中川大臣いらっしゃいませんけれども、今町づくり三法の見直しが叫ばれておりますから、こういった場で積極的に議論をしていきたいと思っております。  それと同時に、町の、また特に商店街の担い手として、普通、魚屋さんとか肉屋さんあるわけでありますけれども、その中で、私はちょっと今日は酒屋の問題について少し話をさせていただきたいと思うところであります。  まず、国税庁にお伺いしたいんですが、この酒屋さん、酒販免許制度がつくっておりますけれども、この当初つくった目的、これについてお答えいただけますでしょうか。
  93. 村上喜堂

    政府参考人村上喜堂君) お答えいたします。  免許制度の趣旨ということでございますが、酒税法第九条では、酒類の販売業をしようとする者は、販売場ごとに税務署長の免許を受けなければならないと規定されております。このように、酒税法は、酒類の販売業を免許制としておりますのは、酒税の納税義務者である、これは酒類の製造者でございますが、製造者に酒類の販売代金を確実に回収させ、酒税の最終的な担税者である消費者に対する税負担の円滑な転嫁を実現し、これを阻害するおそれのある酒類販売業者の酒類の流通過程への参入を抑制するためであり、租税の適正かつ確実な賦課徴収を目的といたしております。
  94. 秋元司

    ○秋元司君 今の国税の話を聞いて分かりますとおり、日本の酒税というのは、要するにこの酒税の保全だけしかないんですね。  そういった観点から、ちょっと各国の酒販、酒類販売の規制の一覧表、資料五を提出させていただいておりますけれども、これをごらんになっていただきたいんですが、これを見た限りにおいては、この自由主義の国アメリカであっても酒については非常に厳しくて、特に目的としては、州民の健康、安全、こういったことを目的においてやっているわけであります。  日本は業界が一生懸命自主努力の中で、一番もうけ口であるこの自動販売機を撤退するだとかということで努力しておりますけれども、実際、ちょっと話は戻りますが、アメリカにとっては、実は買うときに身分携持をする、アメリカへ行った方は御存じと思うんですけれども、日本人なんかは特に童顔に見えますからね、お酒を買おうとしても本当にあなた何歳か分からないからといって身分提示するほど非常に厳しくなっております。  しかし、話は戻りまして、日本においては残念ながら規制改革ということの中で、非常に酒屋の免許制度が事実上自由化、言ってみれば人的要件さえ適用すれば、だれでも申請すれば免許が下りるような体制になっております。  ここについて、私は非常に懸念する中に、これから未成年者に対する販売、こういったことに関係して警察庁、どのような見解を持っていらっしゃいますか、お願いします。
  95. 伊藤哲朗

    政府参考人(伊藤哲朗君) まず未成年者飲酒禁止法では、二十歳未満の者に対して酒類を販売する行為に対しまして罰則を設けているところでございまして、警察としてはその取締りに努めているところでございます。  今後、警察といたしましても、こうした取締りといいましょうか、未成年者の飲酒につきましては、この販売についてしっかり取り締まっていきたいというふうに考えております。
  96. 秋元司

    ○秋元司君 以上のように、警察にお話しするとそういう話になるわけでありますけれども、事実上、皆さん御存じのように、町に出てみますとコンビニエンスストア、二十四時間お酒が売られておりまして、それで高校生っぽい人が夜中たむろって多少酒盛りをしているというシーンがよく見られるわけであります。  日本にとっては非常に、この酒の販売について未成年者に事実上販売しちゃいけないことになっていますけれども、売り子、アルバイトさんとかそういう方、またスーパーでもいろんな店員さんが普通にいるわけでありますから、なかなか、二十歳未満に販売禁止といっても事実上野方図になっている、こういった状態があるわけであります。  そういった中におきまして、私は、非常にこの酒の販売については、そんなに利便性を上げて、自由化、自由化、どこでも売れるようにはする、そういったことについていささか疑問を持つ一人でありまして、現に、今までは日本のこの酒販制度、酒販の免許制度については、それぞれ距離制限又は人口制限があったんですけれども、今は事実上自由であります。こういったことについて、やはりもっと、もっともっと積極的にこの分野について国税だけじゃなく警察もしっかり議論をしていただきたいと思います。  それで、一番、これは酒屋だけじゃなくて小売店業者に言えることでありますが、この不当廉売、これについて少し議論をさせていただきたいと思うんですけれども、現在、酒屋についても含めてですが、不当廉売について、公正取引委員会、どんなふうに対処していらっしゃるか、お答えいただけますか。
  97. 山木康孝

    政府参考人(山木康孝君) 取引の公正化というものは非常に大事であると考えております。不当廉売もその不公正な取引の一つの類型として私ども認識いたしております。  その中で、具体的には個別業界ごと、例えばその酒屋の酒類の販売につきましてどういうものがその不公正な取引方法、不当廉売等になるかということにつきましてガイドラインなんかを出す、出して違反の防止に努めているところでございますし、個別の違反の事例につきましては厳正に対処をするという二段構えで私ども処理をいたしているところでございます。
  98. 秋元司

    ○秋元司君 時間がございませんけれども、ちょっとガイドライン、どういうのを立っていらっしゃるか、ちょっと教えていただけますか。
  99. 山木康孝

    政府参考人(山木康孝君) 酒につきましては、不当廉売、それから差別対価というものにつきまして考え方を示しているわけでございますけれども、不当廉売につきましては価格の要件、それから他の小売業者への悪影響の要件、この二つの要件が必要だということを具体的に示しているものでございます。これは平成十二年に作って関係業界にお示しをしているところでございます。
  100. 秋元司

    ○秋元司君 まあ余りよく分からないわけでありますが、ちょっと今日は時間もないわけでありますので、引き続きこの小売業者を守る、そして今酒屋については、お酒については非常にダンピング競争が広がっちゃって、そうすると事実上過当競争になって店も倒産してしまう、そうなると最終的には消費者の利便性も損なわせる、そういったことにつながると思いますので、是非その辺頭に入れてやっていただきたいと思います。  次に、だんだん時間なくなってまいりました、せっかく大臣お越しでございます、教育について少しお話をさせていただきたいと思います。  私の小中学生のときには、学校、必ず教師さんは、教師は偉いという、そういう感覚がありまして、小中学校時代、授業始まる、授業終わるときは必ず起立、礼、先生にありがとうございます、お願いしますという礼があったんですけれども、今は小中学校へ行っても、そうやっているクラスもあれば、そうやっていないクラスもあったりなかったりとばらばらなんですけれども、大臣、この現象をどのように思いますか。
  101. 中山成彬

    国務大臣(中山成彬君) 私も学校現場ずっと回っているんですけれども、確かに学校行きましても、いつ授業が始まったのか終わったのか分からない、あるいは教壇がないんですね。昔、私どもは、ちゃんと教壇があって、先生は教壇の上から教えていましたし、始業、終業のときには当番が起立、気を付け、礼、おはようございますとあいさつしたものでございますが、今はそれもなくなっているということで、これは本当に問題だなと思いまして、私、省内で、まず子供たちがあいさつをするようにさせようじゃないかと、こういうことを提案しているんです。  実は学習指導要領等でもきちっとあいさつあるいは礼儀を守るというようなことを教えるようになっているんですが、地方はいいんですけれども、都市部だと余り子供たちの方からおはようございますなんてあいさつすると誘拐されたりするおそれもあるということで、本当に何か難しい変な世の中になったなと思うんですけれども、しかしやはり私ども、小さいころからあいさつはするんだよというのは、これは学校というよりも家庭で親から教わったような気がするわけでございまして、やっぱりきちっとしたあいさつするというのは、まず家庭内で、お父さん、お母さんが朝起きたときはお互いにあいさつすることから、親子であいさつすることから始めるべきじゃないかな、その上で学校においてもきちっとしたあいさつができる子、そして礼儀正しい子を育てるような教育をしなきゃいけないんじゃないかなと、このように思っております。
  102. 秋元司

    ○秋元司君 もう大臣おっしゃるとおりでありまして、しかしそういったことを徹底させる、達成させるためには非常に学校長というのが、その学校をつかさつかさでよく見張っていると思うんですが、この学校長の権限についてちょっと教えていただきたいんですけれども。
  103. 中山成彬

    国務大臣(中山成彬君) この場でも何度かお答えしているんですけれども、学校、義務教育というのは特に国と地域と学校とそして家庭がそれぞれの役割分担をしてこれからの子供たちをしっかり教育するということが大事だと思います。そういう意味で、国は国のやるべきこと、これは学習指導要領とかいろんな基準を決めて、そしてそれに必要な予算はしっかり担保すると。  こういうふうな教育の機会均等といいますか、それから水準の維持向上ということに努めますけれども、しかし現場は、現場はやっぱりできるだけ学校、そして教育委員会、特に校長先生がリーダーシップを発揮して本当にその学校らしい教育ができるようにすることが一番大事であると私はいつもいつも言っていますから、現場主義、ですから校長先生にリーダーシップを発揮してもらうために権限を、できるだけ権限を、裁量権を校長先生に与えようということで今やっているわけでございますし、やっぱり校長先生と普通の先生とのちょっとやはり資質が違うんじゃないかなという感じがするのは、やっぱり普通の先生は、何といいますか、教える技術といいますか、それが非常に大事ですけれども、校長先生になりますとやっぱり管理運営能力といったものが必要でございまして、ですから、今民間からもう七十九名の校長先生が登用されておるということでございますが、そういうふうな管理能力に優れた先生方をこれからもできるだけ育てると、外部からも来てもらうと、その上で校長先生が責任を持ってやっていただくと。それはもう内部外部の評価も含めて、お互いの学校が競い合って全体としての水準を上げられるようにしていきたいなと、このように考えておるところでございます。
  104. 秋元司

    ○秋元司君 是非、学校長の権限の強化、よろしくお願いしたいと思います。そしてまた、教育基本法の改正、これから進むと思います。もう先送りすることなく積極的にやっていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。  もうあと実は今日は羽田の国際化、実はやりたかったんでございますが、時間がございませんので、最後に大臣に要望だけさせていただきます。  とにかく時間外、もう現在の羽田空港、とにかく景気効果、そういうことを考えても国際化を導入することが当然のことでありまして、アジアの拠点、そしてアジアに対する玄関口、大臣がおっしゃっているこのビジット・ジャパンで外国人を五百万人から一千万人に増やす、そういった観点からも玄関を広げる。そのことについて、今国土交通省では三万回ということを、拡張後、予定しているようでありますが、これをもっともっと広げる形で検討していただきたいと思いますので、以上、質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  105. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 以上で中島啓雄君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  106. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 次に、白眞勲君の質疑を行います。  速記を止めてください。    〔速記中止〕
  107. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 速記を起こしてください。  白眞勲君。
  108. 白眞勲

    ○白眞勲君 民主党・新緑風会の白眞勲でございます。  まず、外務大臣、早速来た早々で恐縮でございますけれども、今朝の新聞で中国の外務大臣が、昨日ですか、人民大会堂での会見で、日米両国政府が共通戦略目標の中で台湾海峡問題の平和的解決を求めたことに対して、台湾は中国の一部だ、台湾問題は中国の内政だと。中国の主権を侵し、中国の内政干渉することになると強く反発したという報道が出たわけなんですけれども、外務大臣としてそれに対してどういう御見解を今お持ちでいらっしゃいますでしょうか。  特に、外務大臣、この台湾問題となりますと、大臣も新婚旅行は台湾だったということもありますので、非常に熱い思いがあるんじゃないかなというふうにも思いますので、是非そういったことも含めて聞きたいと思います。(発言する者あり)
  109. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) 失礼をいたしました。遅れたことをおわびを申し上げます。  民主党さんのインテリジェンス能力の高さに改めて感服をいたします。  台湾の問題についての中国、李肇星外務大臣の発言、私も新聞で見たところでございます。余り一々の発言にどう反応するかというようなことを、必要なことのときは言わなきゃなりませんし、また余り一つ一つの発言についてこちらがまた全部発言をしてという必要がどれだけあるかとは思います。ただ、先般の2プラス2における共通戦略目標の中にそのことが触れられているということでございますから、そういう意味ではこちらもやはりきちんとした考えを持って、機会あるごとにこれは説明をしなければならないし、現にもう既に中国政府には説明をしているところでございます。  中国については、基本的なこの日米共通の認識として、ちょっと今正確な文言はちょっと手元にございませんが、中国が国際社会の中でより建設的な役割を果たすことを期待をするということがまず基本でありまして、その上に立って、中台の問題というのは平和的な話合いで解決をしてもらいたい、そのことが地域の安定にとって大切であると。最後にもう一つ、中国の国防費のより透明性を高めてもらいたいと。この三点、いずれも既に日本政府あるいはアメリカ政府、共同であるいは単独で何度も言ってきていることでありまして、別に何ら目新しいことを今回言ったというふうに私どもは考えていないわけであります。  しかも、この中台問題、台湾の問題についてのこれまでの発言というのは、もう累次このことについてやっております。特に日本政府が台湾の認識ということにつきましては、日中国交正常化交渉の折の日本政府あるいはその日中共同の宣言にそのことは明示されているわけでございまして、その考えが変わったわけでも全くないということであります。  そういう意味から、したがって中国の外交部部長の発言の真意、趣旨というのは何であるのか私にも定かではございません。また近いうちにお目に掛かって、そういった問題も話し合うこともあろうかと思いますけれども、私どもとしては、先ほど申し上げたように、殊更新しいことを取り立てて言ったということではなくて、これまでの累次の認識を言わば改めて再確認をしたという意味合いであるというふうに御理解を賜ればと思っております。
  110. 白眞勲

    ○白眞勲君 今までと簡単に言えば同じようなスタンスなんじゃないのかという御答弁だと思うんですけれども、ただ、せんだってその全人代でいわゆる反国家分裂法というのが審議されたわけでして、そういったことを考えますと、やはり取り立てて新しいという意味合いよりは、そういうタイミングの中での今回のいわゆる内政干渉だという発言というのはもう少し重く受け止めてもいいんじゃないのかなというふうにも私は思うんですけれども、それにつきまして外務大臣、もう一度御答弁お願いしたいと思います。
  111. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) 今委員御指摘のこれから審議されるであろう反国家分裂法ですか、まだ法案の中身等については私どもも詳細分かっていないわけでございますが、先般、中国政府のこの台湾問題担当の責任者の方が、ちょっと今、名前は済みません、ど忘れいたしましたが、外務省の方にもお見えになり、あるいは多分各政党関係の方も御説明に回られたと、こう聞いておりますけれども、その折に、もちろん平和的に解決したいが、最終的に、反平和、平和的でない手段といったかな、ということは最終的には留保したいというような、一言で言うとそういった御説明がありました。  私どもとしては、先般の2プラス2の共同宣言というか、2プラス2の共同声明があろうとなかろうと、私どもは平和的な話合いでそれぞれ解決をしてもらいたいということは累次言ってまいりましたので、その折にも中国政府の方にはそういった日本政府考え方というものを既に伝えてあるところでありまして、そういう意味で、私どもは一貫してこのことを言っているということでございまして、そうした新しい立法の動きがあるという、彼らにとっては一つの大きな政治的な動きを今しようとしているので、そういう意味で、多分に神経が大変研ぎ澄まされているといいましょうか、そういう考えにあるのかもしれませんけれども、私どもしては終始変わらない物の言い方をしているというふうに、私どもは少なくともそう考え、説明も何度もしているわけであります。
  112. 白眞勲

    ○白眞勲君 続きまして、防衛庁長官にお聞きしたいんですけれども、やはり最近の報道によりますと、中国の国防費が一七%も前年比伸びたというふうに言われておりまして、また金額でも三兆一千五百億円という、これ猛烈な多額の金額ですね。もちろん、三兆円ですけれども、実際、中国の物価水準ということを考えますと、これはもう相当な膨大な金額であると、そういうことが言えるかと思うんですね。  そういう中、せんだっては日本の領海を中国の潜水艦が横切ったりしているという、そういう非常に憂慮すべき事態も行われている、起きているという中で、防衛庁長官としましては、こういった中国、非常に近い国の国防費がこれだけ一気に伸びてきているということに対する何か御認識というのはどういうふうになっていらっしゃるんでしょうか。
  113. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 先生御指摘のとおり、中国の財政部が五日、今月五日でございますけれども、開催中の全人代において国防予算を含む本年度政府予算を提出いたしておりまして、その中で、御指摘のとおり、国防予算額は約二千四百四十七億元、これをたしか中国元十三円で計算しますと三兆一千八百億円、大変な金額でございます。しかも、この国防費の伸び率というのは、過去何年にもわたりまして、十七年連続でございますけれども、一〇%以上伸びていると、こういうような状態になっております。一言で言いますと、これ、中国の装備が近代化しているんだな、まずそういう印象を受けます。  ただ問題は、問題はやはり、我々としましてはもっともっと中国の国防費の中身を透明化してもらいたいな、こういう思いで一杯でございます。例えば中国は、国防計画、長期的、中長期的な国防計画、発表されておりません。日本でいいますと、防衛大綱とか中期防とか、そういうのをきちっと発表しております。また、外国からの調達費というのが入っているのか入っていないのか、これもよく分かりません。そういう意味で、もう少し透明化してもらいたいな、こういうことがありますし、今申し上げましたように、主要装備、これ幾つ持っているんだ、何機持っているんだ、これも余りはっきりしていないところがあります。日本でありますとそこはきちっと発表している、こういう問題があるわけでございます。  しかしながら、全体を申し上げますと、先生御存じのとおり、防衛大綱でも、この地域の安全保障に大きな影響力を及ぼす、有する中国は、核・ミサイル戦力や海・空軍力の近代化を推進するとともに、海洋における活動範囲の拡大などを図っており、このような動向には今後とも注目、注目ですね、注目していく必要があると書いてあるわけでありまして、防衛大綱の中で中国の名前が出てきたのは初めてでございます。  我々は、私も説明すると、いろんなところで説明させていただいておりますけれども、中国というのは脅威ではありません。脅威ではありません。しかしながら、例えば、中国の原子力潜水艦が我が国領域に入ってくる、あるいは海洋活動をやっている、中国の国防予算が毎年、十七年間にわたって一〇%を超えている、これは注目すべき事態ですと、このように私は御説明しているし、理解をいたしております。
  114. 白眞勲

    ○白眞勲君 今長官からは注目すべき事態であるということなんですけれども、その注目というのは、いわゆる防衛費が増大していることに対しての注目というわけ、装備が近代化と、それを全般的に言ってその注目ということなのか。  それともう一つ、今、中身を透明化してもらいたいというお話がありました。まあ確かに、私もこの中国の防衛費は、一体人件費が幾らで、まあ簡単、簡単な話、そういったことから含めて、実際この金額が一体どこから出て、それで済んでいるのかどうかというのもよく分からない部分もある。いわゆるその軍事費というのをどこまでを軍事費とくくるかというポイントもあるかと思うんですけれども、そういった観点について、どういう部分での注目というのか、もう少し具体的にお話しいただきたいと思うんですけれども。
  115. 大野功統

    国務大臣大野功統君) まず、注目して、すべきであるというのは、例えば、先ほども御説明申し上げました、やはり何の断りもなしに中国の原子力潜水艦が我が国領域に入ってくる、これはやはり首をかしげる、注目しようと、こんな感じですね。それから、やはり国防費が十七年間にわたって一〇%を超えている。しかし、ほかの国に比べれば物すごい勢いで伸びているわけですよね。このことは近代化しているんだなと私先ほど申し上げました、印象論として。しかし、そういう事実をどういうふうに見ていくか、やっぱり注目していこうと、こういうことでありますし、海洋調査の船も相当このEEZの周辺で活動していると、これをどういうふうに見ていくんかな、どういう展開になるんかな、やっぱり注目はしなきゃいけない。  しかし、我々は基本的に中国とは仲良くしていかなきゃいけない国でありまして、そして、決して脅威ととらえちゃいけない、やはり注目してこれから問題が起こらないように平和的な解決策を模索していかなきゃいけない、こういうふうに思っているところでございます。  透明、透明性の問題は、先ほど御説明しました、軍事費の中にどこまで入っているんだろう、こういう問題、先ほど御説明したんでもう中身割愛いたしますけれども、やはりその辺もきちっと透明にしてもらわなきゃいけないな、お互いにもう少し情報交換してやっていかなきゃいけないな、それが私の思いでございます。
  116. 白眞勲

    ○白眞勲君 注目というお言葉を今お話しされていましたけれども、その前段階として、潜水艦とか海洋調査船とかいろいろなお話を今防衛庁長官がお話しされていると。これ、注目というよりも、何かもう少し踏み込んで、例えば憂慮とかね、政治的な用語かもしれませんが、何か心配だなとか、何か、何かそれってどういうことなんだと。その近辺の国で一七%とかなんかなんという軍事費、そんな増強している国はないはずですし、中国をどこが、どこを攻める、中国を攻める国どこがあるんだというようなことを考えますと、注目でいいのかなというのが私はじいっと中国を見、注目というのはじいっ、じいっと見ていくことだと思うんですけれどもね。やっぱりもっと何か、これ、心配、日本国民心配しているんじゃないかなと思うんですけれども、その辺、防衛庁長官、どういうふうにお考えでしょうか。
  117. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 例えば、原子力潜水艦の我が国領域への侵入でございますけれども、これは当方の抗議に対しまして、きちっと外務大臣を通じてこたえております。そういうふうに、明らかにこういう事態を始めから恐ろしい脅威だととらえるんじゃなくて、言うべきことは言う、そしてお互いに理解し合う、これが私は一番大切なことではないかと思っております。  したがいまして、海洋調査やる、あっ、EEZの近くでやっているな、やはりお互いにどうしているんだと、情報交換なり意見交換をやっていく。そしてまた、国防費が伸びている。どうして、どうしてというような説明をもっともっとお互いに議論し合う、こういうことが大事なんじゃないかな、私はそういう意味で中国との情報交換なり意見交換なり大変大事に思っておるところでございます。
  118. 白眞勲

    ○白眞勲君 今長官から言うべきことは言うんだというお話もされました。そうしますと、やっぱりこういった中国が膨大に今軍事力を投入しているということに対してやはり言うべきことを言うべきなんじゃないかと思いますが、具体的に何かこれから取り組まれる予定とか、あるいはそういうつもりだということをちょっとお話ししていただきたいと思うんですけれども。
  119. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 例えば、近く防衛庁事務次官が中国へ訪れまして、その辺のことをきちっと話をしてくると。言うべきことを言ってきなさいと、聞くべきことも聞いてきなさい、私はそのように指示しております。
  120. 白眞勲

    ○白眞勲君 続きまして、BSEの問題につきましてお話を聞きたいと思いますが、最近アメリカの牛肉の輸入の件につきまして、いろいろな話題が持ち切りになってきている。  そういう中、先日、大臣がいわゆる全頭検査、農水大臣ですね、全頭検査について御答弁をされていますけれども、当予算委員会でも福山哲郎委員の答弁の際も一生懸命お話はされているんですが、その中で大臣が、全頭検査ですね、お気持ちをもう一度、これ真意についてもう一度ちょっとお聞かせいただければなというふうに思うんですけれども。
  121. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) お答えいたします。  先日の私の発言、全頭検査は国際的には常識ではない、こういった発言にいろんな反響が出ましたけれども、私は、あの発言中も、与党の赤羽議員の御質問ではありましたけれども、世界の常識にはあらずということを反すうしてみて、常識にはあらずということは非常識と言って間違いでないのかなと思って発言したところであります。しかし、やはり非常識という言葉は逆に別の意味にもかなり通用していて、むしろそちらの方が常識的だという意見も聞きましたので、これがもし不穏当であるならばこれを収めることに全く異議がないということをこの間申したところであります。  ただ、御参考までに、言わば私どもは少なくも世界の常識というものを一応いろんな意味調査せざるを得ない立場にありますから、例えばEUがどうなのか、要するに、特にEUの場合は、発症地としてはイギリスなどが一番多かった国ですね、そういう国の言わば肉の需要の推移その他も全部調べているわけですね。そういう中で、言わばそれらを経験したEUが三十か月を基準にしていると。これはやっぱり参考にしていいんではないか。で、まだEUの中にも去年の七月まではフランス、ドイツあるいはイタリー、スペインとあったわけですが、フランスは去年の七月から三十か月以上に二十四か月だったものを改めた、こういうこともあります。また、同時にアメリカとの輸入を再開した国がありますよ、メキシコとカナダ。そういう国はみんな三十か月以上のものは駄目よと、こういうことでやはり三十か月を基準にしているものもある。  我が国が今諮問しているのは二十一か月以上ということですから、言わばほかの国に比べたら厳しい条件で……
  122. 白眞勲

    ○白眞勲君 二十一。
  123. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) 二十一か月。はい。だから二十か月未満まではいいということですから、そこまで我々は絞り込んでやっているわけなんで、少なくもここまで厳しく我々は食の安全、安心に意を用いているということを御理解いただきたいと思います。  そういう意味で、非常識という言葉が何か別のいろんな意味合いに取られた向きもありますけれども、その言葉には私こだわっているわけではありません。
  124. 白眞勲

    ○白眞勲君 二十か月云々とか三十か月という話、今お話がありましたけれども、やはり今国民は非常にこの牛肉、BSEのこの牛肉について敏感になっていることは間違いないと思うんですね。そういう中で、果たしてこの二十か月という問題について、今農水大臣がそれ以下のものについては大丈夫じゃないかと、大丈夫なんではないかという判断に立っているという趣旨の御発言をされたんですけれども、この敏感になっているというところをどういうふうに思われていらっしゃいますでしょうか。
  125. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) 日本の国民は衛生面に対しては世界でも一番シビアなんではないか、こんなふうにいつも思っていますが、今でも確かにそのことに対して安全、安心を求める声が非常に多いことは事実であります。  しかし、その一方では、私がこういう立場の閣僚ですから、私はもう行く先々で、一体いつになったらおいしい牛どん食べさせてくれるのかと、こういうことで、まるで私が妨害しているかのようなことを言われることが非常に多いわけです。電話も手紙も当然あります。  皆さんもそういうことは熟知しておられると思いますが、そういう意味では、私たちは国際常識に照らして、例えば我々は、今年も私はヨーロッパ等出張いたしましたけれども、どこ行っても肉が出れば食べるわけですね。やっぱりそういうことごと考えても、本当に我々が一切合財駄目だと、認めない日本人であるならば、我々それに従うのが民主主義ですけれども、逆に、そういう例を引いて、我々、海外年じゅう行っているけれども、年じゅう向こうの肉を食べているよと、日本より緩いんじゃないかと、こういうことを言う方も具体的にいるわけですね。  しかし、その一方で、アメリカに、委員もそうだと思いますが、やっぱり学者とか報道関係者とか、あるいはまた実業家とかいろんな方々、たくさん友人がいるわけですが、そういう人たちからもいろんな御連絡をいただきますけれども、一体何やっているんだと、要するに少しくあなた憶病風吹かしているんではないかと、ちょっと厳し過ぎるくらいの意見も随分聞くわけでありまして、我々はそんなことにおびえたりなんか一切しませんが、しかし、やっぱり我々は、国際的な分野で常識として通用するものを求めるのも一つの基本になければいけないと、こう思っておりますので、いろんな角度から今検討しておりますが、それはそれとして、私は、別にそのことは質問に答えた以外のところで積極的に発言したりなんかそういうことは一切いたしておりませんので、御理解いただきたいと思います。
  126. 白眞勲

    ○白眞勲君 厚生労働省が設置しましたBSEの相談電話というのがありますよね。これが、それが千件も超えているという報道もあったわけなんですけれども、厚生労働大臣、これちょっと具体的にどういう内容なのかお話をしてくれませんか。
  127. 尾辻秀久

    国務大臣(尾辻秀久君) 数字ですか。
  128. 白眞勲

    ○白眞勲君 数字ですね、はい。
  129. 尾辻秀久

    国務大臣(尾辻秀久君) 数字だけ局長に答えさせます。
  130. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) 電話相談のことについてちょっと御説明申し上げます。  電話相談、二月四日に症例を確認いたしましたけれども、その日の夜から二月十三日まで専用の電話番号を設けて、開設いたしまして、相談件数トータル千四十二件でございました。  その相談内容でございますけれども、英国に滞在したことがあるが大丈夫か、あるいはバリアントCJDかどうか分かる検査方法はあるのか、あるいはこれについて治療方法があるのか、こういうような質問がほとんどでございました。
  131. 白眞勲

    ○白眞勲君 今の話を聞きまして、厚生大臣、どうでしょう、不安じゃないと言えるんでしょうかね。それとも、それを今総括してどういう感想をお持ちでしょうか、お答え願いたいと思います。
  132. 尾辻秀久

    国務大臣(尾辻秀久君) 今御指摘いただきましたけれども、今回の変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の発生に関しまして国民の方々に不安がありますことについて、私ども厚生労働省としては重く受け止めております。  そして、正しい知識の普及啓発を進めていくことが重要だと考えておるところでございます。そのために、患者が確認されました二月四日でございましたけれども、この段階で厚生労働省のホームページにQアンドAを掲載をいたしました。また、今局長から御説明申し上げましたように、電話窓口を設置して、国民の方々からの御相談に直接対応したところでございます。  こうしたことで、また各都道府県にも相談窓口もお願いをいたしましたけれども、こうしたことで是非国民の皆様方に正しい情報を得ることを、得ていただきたい、こういうふうに考えておるところでございます。こうしたことに適切に対応してまいりたいと考えております。
  133. 白眞勲

    ○白眞勲君 今労働大臣厚生労働大臣がお話しされたように、非常に国民は不安がっていると。それに対して厚生労働省、政府としては、その対応に万全を期すように頑張っているということをお聞きしたわけなんですね。  片や、確かに農水大臣おっしゃっているように牛どんの話が出てきましたけれども、私も牛どん大好きで、あれに卵を掛けて食べるのは本当においしい。それは分かりますけれども、でも、かつ、片やそういう国民の不安感があると、不安がっているということについて、農水大臣、もう一度ちょっとこの辺の感覚というか、お考えをお聞かせ願いたいと思います。
  134. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) 全頭検査、御承知のように平成十三年の九月にBSEが発生しまして、翌月からこれに踏み切ったわけです。当時、牛肉屋さんから牛肉だけじゃなくてほかの肉までほとんどが姿を消すくらい国民はおびえて、売る側もそれにおびえたという現実がありまして、あそこで全頭検査を実施して、それでやっぱり国民の安心を取り戻そうということに動いた行政の動きは、これは非常に英断であったと思っていますし、私、当時、農林水産大臣経験者として賛成をした人間です。  ただ、その後、もう三年余が経過しておりますね。そういうことで、その間には、私、三百五十万頭といつか言ったんですけれども、それは諮問した時点の実績であって、今はもう四百二十万頭になるらしい。その間ずっとその検査をしていて、二十か月未満の牛に一切の問題が出ていないというのは正に科学的知見と言えるその一つのあれではないのかと思っています。  しかし、それをまだ、その上このままずっと審議をしていただいて、我々ずっと待っていて、万々が一これが来年とかいうふうに持ち越すようなことになったら、これ一体どういうことになるんだろうと。私は、いろんな圧力が掛かったんじゃないか、それに屈していないかという御心配いただきましたけれども、そういうものに屈しないのが取り柄の男でして、私は、アメリカの言わばその向きの人たちにもきちっとそのことは言って、反省を求めていったんですけれども、その後は極めて紳士的に私に電話一本掛かってこない。むしろその姿勢を私は私で苦にしているくらい、向こうは紳士的に対応してきているのが、今までの私に対する現実なんです。  ですから、だからといって、これ、いつまでほうっておいたら向こうの我慢に耐えてもらえるのかということに対しては、私自身も少しく、やっぱり日本の、日本自身に、日本自身に誠意があるかないかを疑ぐられることに結び付くとまずいなということを政治家としては考えております。  ただ、農林水産大臣としては、再三発言いたしておりますように、あくまで科学的知見に基づいて食の安全、安心というものを大前提にこれから我々はこれに対応し、その上で次の対話の動きに走るということでありますし、当然その際には、ルールで決められているとおり消費者の方々の意見等も伺う機関がありますし、改めてまた食品安委員会に諮問をするという形になるわけですから、決して一瀉千里にどうこうという、そういう無謀なことは全く考えておりません。
  135. 白眞勲

    ○白眞勲君 今、私、別に安全委員会の話、全然聞いてもいないのに、どんどん答えてくださっちゃったわけなんですけれども、その前に、やはり国民が不安がっているということ、そこが一番やっぱり私は大きなポイントだと思うんですよ。  ですから、外国から何や言われて、それには私は屈しないんだなんていうことを言う以前に、まず日本国民がその、やっぱりこの不安がっているということをやはり、やはりアメリカに向かってだって何だって言うべきがやはり私は農水大臣の役目なんじゃないのかなというふうにも思うわけなんですね。  その際、もう一つ聞きましょう、朝日新聞が世論調査をやっているんですね。これはアメリカの生後二十か月以下の牛を日米の同意で、合意して輸入した場合に、それを食べたいですかと聞いた場合に、食べたくないというのが六三%もいるんですよ。これについてどういう御見解を持っていらっしゃいますか。
  136. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) たまたま私が全頭検査は世界の常識にあらずといった発言をしたときの質問に、もし、要するに情報開示をして、消費者の皆さんが食べたいという方が食べるんであって、食べたくない人は食べないという方法に切り替えていく方法はないかと言うから、それも一つの考え方だと思いますと申したところですが、私たちは、あくまで今検査をしていることですから、私たちが責任を持ってこうですよということについてはあくまでルールどおりにやっていきますけれども、情報を開示して、言わば六三%がそれは反対された。朝日新聞の統計ではそうなっているかもしれませんが、逆に三四%はそうでないのだとすれば、私自身がかなりの人からいろいろ言われることごとみたいのにかんがみても、果たしてその数字が正確かどうかは分かりませんが、少なくも消費者の側ではどういうことをお考えになっているか、この上ともに耳をそばだてて、謙虚に耳を傾けて、それで対応していきたいと思いますが、いずれにしろ食品安委員会の言わば答申が出ないことには何も私たちはできないルールになっておりますので、その点を踏まえての対応になろうと思います。
  137. 白眞勲

    ○白眞勲君 今、情報開示をして、食べたい人は食べるけれども、食べたくない人は食べたく、食べてほしく、食べなくていいんだというのって、ちょっと農水大臣としては私は不適切でないかなと思いますね。食べたい人だけ食べりゃいいんだという言い方にしか聞こえないわけなんですね。ですから、それはちょっと私は、農水大臣として、国民の食の安全をつかさどるその長として若干ふさわしくないんではないんだろうかというふうに私は思っているんですね。  なおかつ、六十、何だ、六三%で、あと残りの、今三四%とおっしゃったけれども三七%だと思うんですけれども、三七%の人は食べたいと思っているんだからという言い方も、私もちょっとそれはどんなもんなのかなというふうに思うんですけれども、それについていかがでしょうか。
  138. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) やっぱり、ああ言えばこう言うというやり取りになりますと、お互いが本当に政治家同士としての話合いをするというようなことをやりたくてもできなくなりますと、結局は、議事録もこれありですよ、書いたものをただ黙って読むというものになりますので、私は私なりに自分の考え方として、言わばお問いになったから少しく触れたことでございますが、初めから申し上げているように、農林水産大臣としては、初めから公式発言でも言っているように、あくまで科学的知見に基づいて国民の安全、安心を大前提にこれからもこの問題に対応する、これ以外に申し上げることはありません。
  139. 白眞勲

    ○白眞勲君 今、農水大臣として国民の安全をつかさどると言いながらも、情報開示をしたら、食べたい人は食べていいし、食べたくない人は食べなくていいんだと。  でも、前に、前に、(発言する者あり)いや、前にアサリの問題でも情報、アサリが北朝鮮から輸入するときにもやはり情報開示という問題があったわけなんですね。原産地がどこかという問題について、はっきりと、まだそれについて未整備状況なわけなんですね、アサリについても。  果たして、じゃ、牛肉についてもそれが本当の意味できちんと原産地が、特に加工品とか、あるいは食堂に行って食べるときに、消費者がこれがアメリカから来た牛肉なのか、それともどっかほかの国から来た牛肉なのかというのが今の段階では分からないんだと思うんですよ。ですから、そういう段階の中で情報開示をしろというようなことというのは余りにも私は乱暴な意見だというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
  140. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) これは、分からないとおっしゃいますけれども、きちんとした輸入の管理を徹底しておりますから、私も分からないのかと思って質問をしたんですけれども、分かるんだそうであります。
  141. 白眞勲

    ○白眞勲君 私も今までいろいろいわゆるファミレスというところとかなんか行っても、たまにはありますよ、オーストラリアンビーフとか書いてある場合もありますけれども、あるいは全然書いてない場合もあるわけですよ。それが分かるんですというのは、それは専門家の間で分かるんです、分からないんですと言われても、実際一番重要なその食べる人が分かるか分からないか、そこが今回のポイントなわけですよね。  ですから、今農水大臣は、先ほど申し上げたように、食べたい人は食べる、食べたくない人は食べなきゃいいんだという言い方をされるというのは非常にこれは問題がある、そういうふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
  142. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) 私の発言として引用される場合には正確にお願いしたいんですが、私は赤羽議員が、要は、あの方は商社マンとして第一線で活躍した方です、それで、なかなか見識のある質問をされている過程でそういうことを言って、それならば情報開示をして消費者の選択の自由を許したらいいんではないかという話があって、それもお考えの一つですねと申したところで、私が、いいから、消費者に、それ食べたいやつは食べてくれ、食べないやつは食べないでくれって、農林水産大臣がそう言っているわけじゃありません。そういう御提案に対してそれも一つの考え方と申したところであります。  以上です。
  143. 白眞勲

    ○白眞勲君 今、赤羽委員の話を出しながら、私もそう思うというようなニュアンスのことを言ったから私はそれについて言ったわけでして、別に赤羽委員について私がコメントしているわけではないわけなんですね。  ですから、そういう観点からすると、今、今までのずっとお話を聞いていますと、国際常識に照らしというような話をして、二十か月以内の肉、未満の肉は入れてもいいんじゃないかみたいな発言をされていると。でも、庶民は、今、正に厚生大臣厚生労働大臣がお話しされたように、不安がっているという中でホットラインまで設置して一生懸命やっているわけですよ、政府の中で。そういう中で考えると、つまりこれは、庶民が安全と思っていないのに、それは農水大臣は常識ではないということを言い張っているわけですね。
  144. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) 話がいろいろ違う方向へ走っていっちゃうのでちょっと話がしにくいんですけれども、私は正直言ってそういう考え方はあるじゃないかと。だから、それも考え方の一つですねと申したところです。  ただ、私の立場からすれば、当然に、食の安全、安心は当然申し添えているわけで、その諮問中でございますから、その答えが出てからということになるわけですから、別に私たちが丸投げして好きなように選んでいただくという考えは持っているわけではありません。
  145. 白眞勲

    ○白眞勲君 急に丸投げしているというようなことを言わないでください。今までずっと大臣は、今日の今の発言でも、いわゆる全頭検査を実施している国は日本だけなんだというニュアンスのことで、それで世界の常識ではありませんよ、常識にあらずだということを今もお話しされているわけなんですね。ですから、それに対して私は、庶民は安全だと思っていないのにそれは常識にあらずだということを言っているというのと同じことなんじゃないんですかということを言っているわけなんですけれども。  もう一度御答弁をお願いします。
  146. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) まず、常識にあらずと私が答弁したときのあれは、あくまで、全頭検査をすることが世界の国々の常識ではない、日本の国一国だけですよと申したことです。  それから、今申したように、安全か安心かということですが、要するに、日本が輸入する際に、清浄国で今までBSEを出していない豪州の場合には検査をしないであれしますけれども、要するに、アメリカの場合には、今、二十か月未満ということで、今それを確認するためのいろんな諮問をしているところで、ですから、それ以外のものが入ってくるという場合には、例えば業者の人にそれを聞いたらそれを答える、それははっきり分かることですよ。恐らく、これからの牛肉を扱う業者はそのことをはっきり明示するだろうと思いますけれどもね。
  147. 白眞勲

    ○白眞勲君 私の質問にちゃんと答えていただきたいと思うんですね。私は、庶民が安全と思っていないのにそれは常識じゃないじゃないかと言っていることについて、大臣はどういうふうに思っているのかということなんです。聞いていらっしゃいますか。もう一回聞きましょうか。  私が聞いているのは、庶民が安全だと思っていない。今までずっと結果が出たらそうなっていたと。ところが、それについて常識ではないということを島村大臣がおっしゃっているんじゃないんですかということを言っているんです。
  148. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) 庶民の食生活に私どもが一々指図するわけじゃございませんから、皆さん御自分の判断でお食事なさるわけですから、そのときに情報開示をして、これは米国産の牛肉ですよということをすることにして、庶民に選んでもらったらどうかと、こういう御意見に対して、私もそれは一つの考え方だと思うと、こう申したところです。  ただし、ただしですよ、ここからが大事なんでして、あくまで私たちは、再三申し上げているように、科学的知見に基づいて、食の安全、安心を大前提に我々は今この問題に取り組んでいるところですと、こういうことです。
  149. 白眞勲

    ○白眞勲君 質問に答えていただきたいと思うんですね。庶民が安全に思っていないのにこれは常識じゃないというふうに言っていたのに対して、どうなんですかと私は聞いているんですよ。
  150. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) 庶民が安全でないということではなくて、庶民は、要するに、いや、私が常識にあらずと言ったのは、全頭検査をするということは世界の常識でありませんと言ったんです。庶民云々ということは関係ありませんので、話をストレートには運ばないようにしてください。
  151. 白眞勲

    ○白眞勲君 今、全頭検査を求めているのが日本国民の意見なわけなんですよ。それに対して、世界の常識ではありませんと今答えているじゃないですか、農林大臣が。それに対して、それは、要するに、庶民の安全だと思っていることをじゃ常識じゃないということを言っているわけですよね。もう一度確認します。何度も言わせないでください。
  152. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) 私が世界の常識でないとお答えしているのは、要するに、全頭検査をする国は、要するに、全頭検査をやるという国は日本の国だけですと。だから、全頭検査をやることが世界の常識ではありませんという意味で、私は、常識にあらずだから非常識でいいかなと思って、あえて、発言したときにちょっと気に掛かったんですけれども訂正しなかったわけです。ですから、庶民が非常に全頭検査をやっていない肉は怖いと御判断なさるものに対して、私らが大いに食べてくださいなんていうのは全く言わないことでありますから、その辺は少しく混同があるように思います。
  153. 白眞勲

    ○白眞勲君 ちょっと私の質問にちゃんと答えていただいてないんですけれども、情報開示ということで、食べたい人は食べて、食べたくない人は食べるなということを何度もまたお話しされているわけですよね。食べたい人は食べる、要するに今かみ砕いて言えば、食べたい人は食べてもいいし、情報開示をして、食べたい人は食べればいいんだし、庶民の口出し、庶民が食べるものまで我々は口出しはできないという中で、食べたい人は食べて、食べたくない人は食べなきゃいいんだということを言っていて、なおかつ全頭検査というのは世界の常識ではありませんよということを島村大臣はおっしゃったんだと思うんですけれども。  では、九七年に、もう一つ質問しましょう、BSEなどの原因とされる異常プリオンの発見者でノーベル賞受賞を受けたアメリカ・カリフォルニア大学のスタンリー・プリシナー教授が、BSEには未解明な部分が多い、合理的な検査方法は全頭検査だと、消費者は全頭検査を主張すべきだと、こういうふうに言っているわけなんですね。これについてどういうふうにお考えですか。
  154. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) プリシナー教授のその発言は私も承知しております。しかし、私たちは今まで、実は食品安委員会に諮問をして、中間取りまとめをいただく段階で、二十か月未満はいいだろうという御判断が示されているわけですね。しかし、それを完全にそういうことにしてしまっていいのかどうかの最終の詰めを今やっている段階ですから、私どもがどうこうと余り具体的に立ち入ることは遠慮すべきですけれども、少なくもプリシナー教授がそういうことをおっしゃったのはおっしゃったこととして、言わば御発言としてあれですが、少なくも世界がそれを全くそのとおりやっていないという現実もやっぱり私たちは知る必要があると思います。
  155. 白眞勲

    ○白眞勲君 プリシナー教授はもう一つ言っているわけですね。何か月以下は異常プリオンがないとは言えない、検査対象を月齢で区切るわけには合理的な、月齢を区切ることには合理的な説明が付かない、こういうふうに言っていて、全頭検査をすべきだということを言っているわけなんですね。  そういうことに対して、いや、それをやっている国はないからいいんだと。でも、これお考えいただきたいと思うんですけれども、やはりこういう権威のある方が、農水大臣も権威があるかもしれないけれども、ノーベル賞学者ですよ、これ。この方がこういうことを言っていて、やはり今の日本国民も全頭検査を望んでいるということが、もうアンケートとか、それ、いろいろ出ているわけですよ。そういうことを関しても、世界の常識にあらずということを主張している農水大臣、ちょっとそれは、やっぱり国民の健康ということを考えた場合、安全ということを考えた場合に、もう少し適切に考えた方がいいんじゃないのかなというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
  156. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) 白委員の話を伺っていますと、何が何でも全頭検査でいくべきだと、こういうふうにすら私聞こえますが、問題は、全頭検査でいくんだと、そういうふうに国がそうやって動くならば別ですけれども、少なくも今まで我々が検討してきている過程では、二十か月未満、あの当時で三百五十万頭余の検査をして問題がなかったんだから、要するに二十か月未満は、また技術的にも何かそのいろんな問題をこう、技術的に引っ張り出すことは現実に不可能だというようなことも聞きましたけれども、少なくもそういう問題を我々がいつまでもこだわって全頭検査だと突っ張っていたんでは、正直言って、例えばほかの国々の人たちはどう感じるのか、それをあなた御自身の賢明な御判断をいただきたいところです。
  157. 白眞勲

    ○白眞勲君 私は専門家でもありませんし、そういうことをコメントする立場でもありません。ただし、やっぱり一般庶民としてそういう意見がある。プリシナー教授は、日本が行っている牛の全頭検査のみが牛肉の安全性を確保し、消費者の信頼を回復することになると言っているんですよ。と同時に、米国はなぜ全頭検査の採用に消極的なのか理解ができない、なおかつ、地上で最も繁栄した国々の人々は汚染のない肉を食べる権利を持っているということまで言っている。  そういうことを考えて私はこういう話をしているわけですけれども、今までずっと大臣の話を聞いていますと、その全頭検査に突っ張っていた云々かんぬんということを言うと、実際どこをこの前の部分で撤回されたんでしょうかね。撤回なんか全然してないじゃない、福山先生に。福山委員の、何ですか、質問に対して撤回しますというふうに今も言っていたというんですけれども、どこの部分をどういうふうに撤回されたのか、どの部分が前回の撤回した不適切な部分なのか、御答弁願いたいと思います。
  158. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) 全頭検査は世界の常識にあらずという意味で、私は、これは世界の非常識ですという表現をしました。しかし、非常識という言葉にしてしまうと、世界の常識にあらずということとはいささか刺激が違って、別の方向の角度から取れば何かとんでもないことみたいに取られてもいけないので、この言葉がもし適当でなければ私は収めることに異議はございませんと。そうしたら、撤回と受け止めていいのかと言うから、そう取られても結構ですということです。
  159. 白眞勲

    ○白眞勲君 つまり、言葉が非常識ということだけ撤回したわけでありまして、福山委員が撤回しろと言ったのは、やはり全頭検査に、やはりそれをそういう形で、非常識とか常識ということなんじゃ、要するに、こういう考え方について島村大臣に対して撤回してほしいということを我々は申し上げているわけなんですね。ところが、それをそういうふうに、常識だとか非常識ということで、そうやってやっているというのは、単なるこれはうそでありごまかしなんじゃないのか、そういうふうに私は思うんですね。やっぱり、ころころとか変わるじゃないですか、そういうふうに思うんですね。  やっぱり全頭検査というものをもう一つ考えていただきたいというふうに思うんですが、もう一度御答弁願いたいと思います。
  160. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) 何遍申し上げたら分かるのか分かりませんが、先ほど私が申したことをもう一度思い起こしていただければ御理解がいただけると思います。  ただ、参考までに申し上げますが、EUの話なども少しくしましたけれども、その後の各国の状況なんか調べても、今急速に肉の消費が増えていますね。しかし、彼らは日本よりははるかに言わば緩い言わば検査の範囲で今やっているわけですね。どの国だって衛生に関しては大変に神経を使っているはずであります。何も日本の国だけがびりびりしているわけではなくて、どこの国だって衛生面には政府は大変な責任を負って仕事をしていると思いますよ。それが現実に三十か月でやっているわけですから。例えば、アメリカの牛肉をストップしていた例えばメキシコ辺りがその輸入を再開するに当たっても、三十か月未満まではいいということになっているわけですから。  日本の国だけが全頭検査が安全だというなら、何もかにも全部それは検査した方が安全なことは確かですよ。それは分かります。しかし、それやることが果たして現実的なのかどうか、お考えいただきたいと思います。
  161. 白眞勲

    ○白眞勲君 例えば、これがメーカーの例えばかばんとかね、そういう作っているものが、品物とかいうもんだったら、例えばそれバックルとか何かだったら分かりますよ。そういう不良品が出たんなら、それは確率論的にそういうのはあるかもしれないけれども。少なくとも一頭でも出てしまったら、それはあれだったら、やはりそれについては相当我々やっぱり保守的に考えなきゃいけないというふうに思うわけですね。  そういう部分で、その世界の非常識だというような、それは撤回されたかもしれないけれども、常識にあらずというのは撤回しないわけですね。
  162. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) 私は、いろんな言葉を言って、まあかなり私の真意が理解されるように努力をしているつもりですが、そう一々一々ゆがめて取られるとあなたに対する、私は本当に誠実に答えているつもりなんですが、あなたの誠意も感じて話をしたいんですよ。人間と人間、日本の政治家同士。やっぱり世間の常識というのがあります。私の方が人生が長い。そういうことには配慮して生活してきたつもり。  ですから、私はそういう意味で先ほど来何遍も申し上げているんで、その言葉が適当でなければ私は収めてもいいと言ったら、それは撤回と受け止めていいのかと、結構ですと、こう言っているんですから、この後何を言ったらいいんですか。
  163. 白眞勲

    ○白眞勲君 私は、その非常識の言葉を撤回してもらって、それをわあわあ言っているんじゃないんですよ。元々のその福山委員考え方というのは、全頭検査というものに対して非常に消費者が怖がっているというところなんですね。こだわっているところもあるわけですよ、まだ。それを、それをそういう形で、非常識だ、常識だと言って早くこれを何とかしなきゃいけないようなニュアンスのことをおっしゃっているから、これは農水大臣としてどうなんだということを私は聞いているわけなんですね。ですから、その辺を一度、もう一度お考えいただきたいと思うんですけれども。  そういう中で、じゃ、今国内では、全頭検査を望む自治体には三年間費用全額援助することにしたということですね。それで、今回、アメリカの牛肉に対しては、二十か月以下に対しては検査なしの輸入再開をまあ合意、合意したと、日米で。そういうことですよね。つまり、日本に対してはこれからも全頭検査をしてもいいですよという内容のことを政府は出しているわけですよ。要するに、全頭検査オーケー。それでいてアメリカの牛肉に対しては、二十か月以内についてはもうフリーパスという意味合いですね。つまり、その輸入再開オーケー。  そういうことというのは、これはどうなんでしょうか、ダブルスタンダードじゃないんでしょうか。国内の牛肉に対してはその全部、全頭検査をするんだという内容の趣旨ですよね。
  164. 尾辻秀久

    国務大臣(尾辻秀久君) 全頭検査をするかしないかというのは直接的には厚生労働省でございますので、私からお答えを申し上げたいと存じます。  今、私どもは全頭検査をやってまいりました。ただ、今後それを続けるかどうかということで、今後は二十一か月以上の牛の全頭検査といいますか、そこの検査をしたらどうだろうかということで食品安委員会にお願いをしたわけであります。判断をお願いしたわけであります。  今、食品安委員会がそれについての議論をしていただいております。その答えが出た後で今の今後どうするかという話は出てまいりますから、本来、その答えが出る前に余りそのことについて申し上げるのはいかがかと思いますので、もう少しお待ちをいただきたいと思います、その後をどうするかということは。  それから、今度はアメリカからの牛をどうするかというのもまたその後の話でありまして、まず日本をどうするかということを決めて、それで私どもはあくまでも日本の国民の皆さんの食の安全を守る立場でありますから、同等の、国内と同等の安全が確認されなければとても輸入結構ですというわけにはいきませんから、今度は同等の安全が確認できるかどうかということを、更にまたもう一回そこの部分をまた食品安委員会に判断をお願いする。そこの判断で私どもはまた次の判断をするということになってまいりますので、あくまでも科学的に科学的にこの問題を一つずつ詰めていくつもりでございます。
  165. 白眞勲

    ○白眞勲君 つまり、日本国内産は現在のところ全頭検査をしているということですから、これは逆に言うと、アメリカ産の牛肉については今の段階では二十か月以下は日米で合意して入れるようにしようじゃないかという今の段階になっている。ということになると、これ国民が見ると、日本の牛肉は何か全頭検査、アメリカの牛肉は二十か月以下オーケーということになっちゃうと、これ逆に言うと、日本の牛肉の方が危ないんじゃないかという、そういうふうにも取られかねない、非常にこれ危険な議論でないかなというふうに思うんですけれども。
  166. 尾辻秀久

    国務大臣(尾辻秀久君) 今申し上げましたように、日本は今全頭検査をしています。ですから、今後二十一か月以上の牛の検査にすることにしたらどうだろうかという判断を今お願いをしているわけであります。それが決まらないことには、その判断が付かないことにはその先はないわけでありまして、それを決めた後で、じゃ同等の安全をアメリカからの牛に確認できるかどうかという話に移るわけでありまして、どうぞそこのところは、今まず全頭検査はしているけれども、日本の牛の検査を二十一か月以上にしていいかどうかというそこの判断を今しているというふうに御理解いただきたいと思います。
  167. 白眞勲

    ○白眞勲君 そういうふうにお答えいただいているならば、逆に考えれば、今の日本国民はこういうふうに全頭検査を望んでいるんだということをアメリカに向かって言った方がよっぽどいいんじゃないんでしょうか。私はそう思うんですね。  ですから、例えば、今やはりそう言う方が安心して、アメリカに対してだって、アメリカの牛肉だって我々食べたいですよ、だから全頭検査してくださいよというふうに言った方がよっぽどいいんじゃないのかなというふうに思うんですけれども、何か農水大臣は、いや、日本のあれはもう何か常識にあらずだと、それは、世界の常識はこっちですよというようなことを言うというのは、これは農水大臣は、まあ外務大臣がそう言うんだったらまだ話は分かるけれども、農水大臣がそう言うということ自体が私はおかしい。農水大臣は、日本国民の安全を考えたら、これ外務大臣と闘って、これは何ですかと、日本の国民は安全な牛を望んでいるんだと。そうでしょう、自民党の皆さん。  だから、そういうことを考えれば、そういうことを農水大臣、頑張ってもらわなきゃいけないじゃないですか。どっちのこと大臣、どっちの大臣なんですか、どこの国の大臣なんですか。農水大臣、お答えください。
  168. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) 日本国の農林水産大臣であります。
  169. 白眞勲

    ○白眞勲君 御立派な御答弁ありがとうございます。  それだったらなおかつ、なおさら今のこの何かダブルスタンダード状態ですね、今の段階でのダブルスタンダード状態であり、そして何ですか、今の常識、常識にあらずだというような発言というのは、極めてこれは食品安委員会に対する私は圧力としか受けられないですね。早くやれ早くやれと言う必要ないじゃないですか。みんなこれ、それで食べているんだし、実際に全頭検査をしたときの経緯を見てみれば、それをすることによって牛肉の消費は確かに増えているんですよ。ですから、そういうことを考えたら、そういうスタンスでしばらく我々はいきたいということを言うべきなんじゃないでしょうか。農水大臣、お答えください。
  170. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) せっかくの御質問ですが、早くやれ早くやれというのは、何に基づいてそれをおっしゃっているんですか。その根拠を示してください。私は早くやれ早くやれなんて一言も言っている事実はありません。その辺をはっきりおっしゃってください、公の場で言う以上は。私は、圧力を掛けたこともありません。要するにそういう点だけは是非、要するに話をゆがめないでいただきたいと思う。
  171. 白眞勲

    ○白眞勲君 友人からいつまでも我慢できるのかというようなことまで言われていると今おっしゃったじゃないですか。だから、そういうことを言われていて、いわゆる、何というんですか、今までのずっと御答弁を、私、別に、紳士的じゃないようなことを私に向かっておっしゃっておりますけれども、私、紳士的に聞いていますよ。ですからその辺で、いつまで我慢ができるのですかというようなことまで言われているんですよ、我々はと。ですから、いつまでも待てないんだということを言っているわけじゃないですか。そういうことを言っている。  だから、そういうことをやはり考えると、食品安委員会に対する私は明確な、圧力加えていないと言葉で言ったところで、やはりそれを大臣がこの席でこういうふうに言うこと自体が、これは圧力に聞こえるんじゃないでしょうか。これは国会の場でしょう。
  172. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) また次に伺いますが、いつまで待てないんだというのは、いつ私が言ったんでしょうか。お示しいただきたい。
  173. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 白君、質問してください。(発言する者あり)だから今言ったじゃないですか。
  174. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) 委員長、もう一回答えますか。
  175. 中曽根弘文

  176. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) 今の白議員の御質問は、早くやれ早くやれという言葉がありましたね、私が。その早くやれ早くやれと言ったことは、どこで私が言ったのか教えていただきたいという。そうしたらお答えができるわけです。
  177. 白眞勲

    ○白眞勲君 今、友人からいつまで我慢できるのかということを言われたというふうにおっしゃっているんですよ、大臣はね。ですから、我慢、だから要するにいつまで、輸入開放についてのということだと思いますよ、括弧すれば。いつまでも我慢できる、いつまで我慢できるんだということを言われているということからして、そう言うこと自体が、この場でそういうことを言うこと自体が私は圧力なんじゃないんですかと。国会でそういうことを安全委員会について言うのが圧力じゃないんですかということを私は申し上げているわけなんですよ。ですから、それについてどうなんだということを聞いているんです。
  178. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) アメリカの友人からといって私がその人の名前を言えば、あなたはよく御存じの方です。アメリカでも大変信用の厚い方です。そういう方たちから、要するに、日本独自の考えで余りいつまでやっているとやっぱりアメリカだって怒りますよという話を聞いたことあります。しかし、そのことを私は表に出して、私はこう言われていると新聞発表したり何かすりゃ圧力と取られても仕方がないでしょう。私は、そういうふうなことごとについて余り具体的に言うと誤解を受けるから、そういうことなしに、友人、いろんな、それは教授もいます、実業家もいます、あるいはマスコミ関係者もいますよ。そういう方たちから、島村さん、いつまで臆病風吹かせているのと言われたことは事実です。だから、そういう例もあるということを申し上げたわけであります。
  179. 白眞勲

    ○白眞勲君 別にそういうことを言わなくたっていいんじゃないかと思うんですね。つまり、信用の厚い方ですよと、あなたも知っていると。有名な人だということですね、きっと、私まで知っているということはね。それから、アメリカだって怒りますよと言われましたと。これは言う必要も何もないじゃないですか、別に。そういうことを何で農水大臣が言わなきゃいけないんですか。それがこの牛肉の輸入という非常に今微妙な問題の中で、こういうことに対する圧力になっちゃうんですよ。そういうふうに言っているわけなんですね。どうですか。
  180. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) 何を申し上げても一々問題が起きるんでしたらこれはもう言わないにこしたことはないのですが、私は誠意を持ってあなたに話をしてきたつもりです。
  181. 白眞勲

    ○白眞勲君 今の、答えじゃないじゃないですか。もう一回ちょっと答えてくださいよ。
  182. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) 早くやれ早くやれと言ったことも私これまでありませんし、また同時に、アメリカの側でも余りいつまでぐずぐずしていると怒りますよと言ったら、具体的な例としてそういう話も聞きましたということなんですよ。  ですから、そういう例の中で、私は今まで、これ最近じゃないんです、実は。もう大分前から一体何をあれしているんですかと。やっぱりもっと国際常識に照らしての話をされたんですけれども、それを余り具体的に言うと、それこそまた、あなた流に受け止めればこれが圧力だとか、こういう場で言ったとかいう適当でない発言になりますから、余りくどくは、正確には申し上げられないということでございます。
  183. 白眞勲

    ○白眞勲君 大臣、信用の厚い人でアメリカだって怒りますよということを言われちゃったということ自体が、やはり大臣ですよ、日本国の農林水産大臣だって今おっしゃったわけです、宣言された、まあ宣言て、おっしゃったわけですね。そういう中で、そういうことを言いながら、やはり何ですか、突っ張っているとか、そういう言葉をちょっとこうまぶしながらお話をされているとそれは全部圧力になるということを私は申し上げているわけなんですね。  もう一度、だから、それについてどうなんだと聞いているのに何で答えてくれないんですか。
  184. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) でしたら、そういうふうなことごとをもうこれから申さないことにいたしますが、少なくも私自身は、何も自分の頭だけで考えているわけでもない、それから官僚の説明を聞いて判断をしているだけではない。これは耳をそばだてて、よりいろんな状況の中でどういう判断をすべきかは考えておりますが。  何はともあれ、先ほど尾辻大臣が申し上げたように、これは食品安委員会に諮問しているんですから、しかもそのことに関してはこれは尾辻大臣の本来所管ですから、だからそれを余り私がどうこう、こうこう言うことはできませんよ。できません。ですから、私は考えておることは、あくまで食の安全、安心、これを大前提に、科学的に知見に基づいてこれから対応したいということを答えているわけですから。
  185. 白眞勲

    ○白眞勲君 ですから私が言っているのは、圧力だ、じゃないんですかと、そういうことを言っている。だから、尾辻さんに任していると言えばいいじゃないですか、最初から。私はもう何も言いませんなんて言いながらも、信用の厚い人はアメリカだって怒りますよ、怒りますよというようなことを言うこと自体がおかしいんじゃないかということを私は言っているわけなんですよ。  ですから、その辺をもう少し、やはり、また私もこれもう一回やりたいなと思っていますので、是非これからもよろしくお願いします。  以上です。
  186. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 関連質疑を許します。主濱了君。
  187. 主濱了

    ○主濱了君 民主党・新緑風会の主濱了でございます。今日は白眞勲委員の関連質問ということでさしていただきます。  私、本委員会では初めての質問でございます。至らぬところがあろうかと思いますが、明快かつ前向きな御答弁をお願い申し上げます。  まず、食料・農業・農村基本計画について伺います。  昨年は台風の来襲あるいは集中豪雨続きまして、農業では特に西日本、そして日本海沿岸、大変な被害が続きました。また、今のお話、議論にもありましたように、日本の農業のその進むべき方向、あるいはその食の安全、安心、特に客観的な安全とそれから主観的な安心、特にこの安心に非常にこう本質が損なわれるような話が聞こえております。いずれにしましても、今年こそ農業にとってすばらしい年であることを願うものであります。  それでは、早速、現在見直しが進められております食料・農業・農村基本計画、この関係について伺いたいと思います。  この基本計画は平成十二年三月に策定をされております。この基本計画に基づいて日本の農業政策が進められておるわけであります。丸五年たちました。もうすぐ丸五年たつわけであります。私が見るには、残念ながら日本の農業は前進しているようには見えません。それどころか、逆に後退しているのではないかと、このようにも思われるところであります。  まず、この基本計画の見直しに当たって、今の日本の農業の現状とこれまで講じてきた施策の成果をいかに認識されているか、農林水産大臣にお伺いいたします。
  188. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) 主濱委員の御質問にお答えいたします。  まず成果についてでありますが、今御指摘のとおり、平成十二年三月に言わば現行の食料・農業・農村基本計画を策定したところでありますが、まず第一に、食品表示の適正化のための加工食品の原料・原産地表示の義務付けや、あるいは生産情報公表のJAS規格などを導入したところであります。また、第二には、品目別の価格・経営安定対策については、農産物の価格が需給事情や品質評価を適切に反映するよう、大豆、砂糖あるいはでん粉などについて制度改正を行ったところであります。第三に、更に中山間地域などにおける多面的機能を確保する観点から直接支払制度を導入したところでありまして、これらの施策を展開したということに成果があったと私たちは認識しております。  また、現状認識についてですが、そういう中で、BSEを契機に食の安全に対する信頼が揺らいでいることや、あるいは食料自給率が依然として四〇%と横ばいとなっていること、これは非常に問題であると認識しております。また、土地利用型農業を中心に担い手への農地利用の集積の伸び悩み、あるいは耕作放棄地の増大など、農業の生産構造の脆弱化が進行していること、第三には、過疎化、高齢化、混住化の進展により集落の機能や農村の活力が低下していることなどの課題を抱えており、これらに対する的確な政策が求められているという実態にあると認識しています。  このため、今後の農政推進の指針となる新たな基本計画を今月中に策定し、これに基づき政策改革を進めてまいりたいと、こう考えているところであります。
  189. 主濱了

    ○主濱了君 今お話にもありました現基本計画におきまして、食料自給率についてこれは食料、供給熱量総合食料自給率と、こういうことで表示をされております。そして、平成九年の四一%、平成年度の四〇%、そこから動いてはおりません。  最近の、これ四〇になるんでしょうかね、最近の食料自給率、この最近の食料自給率、もしその内訳が分かればその内訳も、と、それからなぜ五年もたって全く向上しなかったのか、その理由をお知らせいただきたいと思います。
  190. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) 現行の計画の中では、平成二十二年を目途に言わば自給率を四五%までに引き上げたいと、こう言わば目標を掲げたところであります。それが、今御指摘のように、四〇%で推移しております。これは、平成年度数字を参考に、お米の消費量、六十六・七キログラムだったわけですが、これを基本にして、少なくも平成二十二年度でも六十六キログラムぐらいの米の消費をしていただけるという計算に立ちました。  御承知のように、我が国の食料の自給率が大きく低下したのは言わば食の洋風化にあるわけでありまして、要するに米の、一〇〇%生産のできるお米を食べずに言わば肉とか油脂の方に走るということで、食の洋風化があります。これ、肉とか油脂は日本では一〇〇%これできませんから、当然のことに自給率に響いてくるわけです。当初六十六キログラムを予定しましたものの、現実は、言わば平成十五年度で四・八キログラム減りまして六十一・九キログラムに落ち込んでいます。麦や大豆や砂糖を除き生産量は総じて減少しているところでありまして、この面で言わば自給率が大きく落っこったところであります。  その意味で、自給率を上昇させるために言わば、ああ、ごめんなさい、カロリーベースですね、平成年度以降六年連続四〇%で推移しているもんですから、これを何とかして上げなきゃいけない。そこで、言わば消費面ではフードガイドを策定しまして、言わば分かりやすく実践的な食育を進めて、言わば日本型食生活、世界的には大変なブームになって、これ非常に健康にも美容にもいいわけですから、これらに対する、国民にPRを更に進める。また、生産面では経営感覚に優れた担い手を言わば養成、確保いたしまして、そして需要に即した生産を進めるなど、重点的に取り組むべき事項を明確化し、関係者と一体となって取り組んでいきたいと、こう考えているところであります。  なお、自給率の取組は迅速かつ着実に実施され、できるだけ早い時期に向上に転じるよう施策の工程管理を適切に実施してまいりたいと、そう考えているところでございます。
  191. 主濱了

    ○主濱了君 ただいま大臣のお話を聞きました。ちょっと腑に落ちない点があります。今の理由ですね、この食料自給率が上がらない理由、何か国民に原因を転嫁しているのではないかと、このように私には聞こえました。  確かに米は大事であります。米消費量、この米の消費量、私、岩手県出身なわけなんですが、米の消費量全国一は岩手県と熊本県であります。これは平均を大体一二%ぐらい上回っている。こういうところで非常に貢献しているんではないかなと思うんですが、確かに米は大事であります。しかしながら、やはり国民の食べるものというのは推移するわけでして、要するに、国民が嗜好が変わっていっても、いや、これが大事なんだから、これから外れたのが悪いんだ、こういう言い方というのはやっぱり良くないと思います。まず第一番にこれは反省をして、反省をすることがまず第一番であります。  それから、麦の自給率、これは現在は何%でしょうかね、一〇%前後でしょうか、麦の自給率は一〇%前後。さらには大豆、大豆については全体では五%、それから食用でも二〇%、この辺に放置をしている。この辺をまずは反省すべきではないでしょうか。いかがお考えでしょうか。
  192. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) 国民に転嫁をしているわけではないのですが、我が国も自給率七九%だったことが昭和三十五年度数字にあります。その五年後にこれが七三%に落ちまして、その五年後には今度は六三%に落ちて、激減したわけですね。それで、昭和五十年代に入る段階で五四%、それから十年間は約一%の減で済んだんですが、その後また五年刻みで五%ずつ落ちるというような数字になって、平成十年から六年続いて四〇%ということです。  我々は、やっぱりあれですね、確かに、国民に転嫁と言われるとこれは困るんですけれども、国民が悪いと言っているんではないんですが、むしろ私たちがこの食育に対してもっともっと力を入れて、それでフードガイドその他をもっともっと国民に徹底して、国民の皆さんにも御理解をもっと深めていただき、かつはまた、言わば自給率を上げるための御協力も願うと、こういう形に行くのが一番あるべき姿なんだろうと思います。  したがいまして、我々はその姿勢でおるわけでございますが、いかんせん、やっぱりお米を食べていただくということが大前提で、今御指摘になった小麦を例えば増産すればいいじゃないかと、御意見あります。しかし、日本の小麦は、あなたは専門家ですから、私は余りくどいことは言いたくないんですが、要は、日本の小麦はどの需要にもこたえ得るものではなくて、例えばパン屋さんなんかでは余り歓迎されない、日本めんを作るときなんかにはいいんですけれどもね。最近、四国でちょっと特殊なものができましたけれども、それにしても全国の需要にこたえるといっても、需要にこたえる日本の小麦というのはおのずから制約があって、極端に減ってしまっています。そういうことも考えますと、結局は、自給率を高める一番の土台となるのは米であることだけは、これは多言を要しないと思います。  そういうことの中で、我々はあくまで自給率を高めるためにこれから新たな目標に立って努力をしようと言っていることで、国民に転嫁をしているんではなくて、国民の協力をお願いするために我々も努力するけれども、国民の方にも理解し協力をしていただきたいということを申したいわけであります。
  193. 主濱了

    ○主濱了君 まあ、ちょっと難しい問題なので、これは麦も、麦一つ取っても大変な問題です。それから、大豆一つ取っても大変な問題です。これは農林水産委員会の方に譲りたいというふうに、こう思います。  次に、今度は新しい基本計画における食料自給率の目標、これはいろいろお考えがあるようですが、この概要についてまず御説明いただきたいと思います。
  194. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) いいですか。
  195. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 主濱君、続けて質問──いいですか。
  196. 主濱了

    ○主濱了君 はい、続けてください。
  197. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) ちょっと意味がよく分からないのですが、自給率を高める……
  198. 主濱了

    ○主濱了君 新しい計画における自給率です。
  199. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) 失礼しました。  新計画では、私たちはまだ完全なできたものを入手しているわけではございませんが、動きとしては、少なくもこれは現実の問題として二十二年に四五%はちょっと無理だと、やっぱり二十七年までにもう一度言わばいろんな角度からこれを考え直して実現をするための具体的な方策を講じようということで、自給率四五%は平成二十七年の目標に変わるというふうに受け止めております。
  200. 主濱了

    ○主濱了君 これは、私は単純にこう考えますと、平成二十二年の四五%の目標平成二十七年まで単に五年間繰り下げたのではないか、このようにこう思われるわけですが、いかがでしょうか。
  201. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) 先ほど申し上げましたとおり、現在の米、米の消費量六十一・九キログラムと現行基本計画策定時の六十六・七キログラム、その差四・八キログラムあるわけであります。これを何としても私たちは四五%の前提となるやっぱり形に戻さなきゃいけませんので、我々はあくまで米の消費というものがどのようにしてしたら言わば増やすことができるか、このためにはフードガイド等を用いて、なるほど手間暇は掛かりますけれども、逆に健康にも美容にもいいわけでありますし、世界的にもそれは認知されていることですし、日本人のこの長寿社会を築いたのもこの食生活によるところが極めて大きいわけですから、それらについては是非理解を求めるためのあらゆる方策を講じて、言わば二十七年には四五%を実現したいと、そう考えてございます。
  202. 主濱了

    ○主濱了君 これは、今もまた米にこだわられたわけなんですが、米以外のものでやっぱり食料自給率を上げていかなければいけない。米は大体一〇〇%近いと私は思っております。それ以外のところで上げる必要があるのではないでしょうか。この辺、いかがでしょう。
  203. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) 当然のことに、生産面にも力を入れていろいろ努力をしなきゃいけない、そういう意味では農業の体質強化、これは一方においては当然に講じていかなきゃなりません。  しかし、実際に言わば自給率を上げる一番効果的なものは何かといえば、お米をたくさん食べていただくことで、例えばこの従前の計算のときには一日二食米食を考え、たしか三杯の茶わんで御飯を食べるということを計算したはずであります。その際、茶わん一杯当たり一口余計に口に運んでいただくと一%上がるというんですね。ですから、仮に一杯食べていただくと約一六%上がると、こういう計算になりますが、当時の計算を見ますと。  やっぱりそういうことごとを考えますと、これはやっぱりお米というのが基本にならざるを得ないとは思います。先ほど申したように、生産面と言わば消費の面と両方からこの自給率を達成しようという考えであります。
  204. 主濱了

    ○主濱了君 一つだけ指摘をさしていただきます。  先ほど申し上げましたように、御飯一杯食べてもよろしいんですが、そこは大体一〇〇%、今米の自給率は一〇〇%なんですよね、近いんですよね、もう既に。ですから、日本の食料自給率を上げるためには、それ以外のところで上げなければいけないのではないかと、こういうことなんですが、この件については、後日、農林水産委員会の方でお伺いをいたします。  次に、具体的な問題になりますけれども、担い手について伺います。  地域での担い手を明確にした上で経営改善に向けた各種施策を集中的、重点的に実施するとしておりますが、この地域での担い手を明確にする、そしてこの人たちに対して施策を重点的に講ずると、こういう趣旨なわけですよね。どのような農家を担い手として選ぶのか、どう想定しているのか、これをお教えいただきたいと思います。その基準をお教えいただきたいと思います。
  205. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) 新たな計画はまだ確定をしたわけではございませんが、近々にいただけるというふうに受け止めております。  その基本計画の内容として我々が理解できていることは、言わば農業構造の展望の案の中で平成二十七年における他産業並みの所得を確保し得る経営として、その趨勢に政策努力を十分加味してやっていくと。それで、その一つの内容は、家族農業経営が三十三万から三十七万程度、集落営農経営が二万から四万程度、法人経営が一万程度になると見込んでいるところであります。この場合、小規模な農業、農家や兼業農家などについては、集落営農経営に参画することにより担い手を構成する一員となることができると考えているところでありまして、言わばそういう集落営農に応じていた方には重点的に言わばいろんな援助をしていくというようなことにしているところであります。  なお、農業構造の展望は、今後継続的に担い手の育成の取組を行うことを前提として、平成二十七年実現される農業構造の姿を示すというふうにしているところであります。この実現のためにも、経営の発展や安定を図るために各種の施策を集中的、重点的に実施することとしているわけでありまして、今までのようにすべての人にあれをするというのでなくて、そういういわゆる我々の施策に呼応してくださる方々に重点的にしていこうと、こういう考えであります。  ただし、念のために申しますけれども、これは、自分のところは自分のところだけでやっていきたいと、こういう方々を束縛するものではございません。
  206. 主濱了

    ○主濱了君 今の御答弁によりますと、大体その総数は三十六万、まあ四十万弱と、こういうことになりますでしょうか。  それからもう一つ伺いたいんですが、どのような施策が講じられるのか、この四十万に対してどのような施策が講じられるのか、これをお伺いいたしたいと思います。
  207. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) どの程度の農地の利用集積ができると見込んでいるかというふうに受け止めてよろしゅうございますか。よろしゅうございますか。
  208. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 主濱君、どうぞ。
  209. 主濱了

    ○主濱了君 どのような施策が講じられるのか。農地の集約も、集積も一つの施策かもしれませんが、どのような施策が講じられるかと、こういうことでございます。
  210. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) お答えいたします。  農業の構造改革を加速化するということでございますから、国際規律の強化にも対応し得るよう、現在幅広い農業者を対象に品目別に今講じている対策について、担い手の経営に着目してその安定を図る対策に転換することを今検討しているわけです。その内容としては、担い手の経営全体に着目し、諸外国との生産コストの格差を是正する対策となる直接支払を導入することを検討しております。  いずれにしても、その具体的な内容については、米政策改革推進状況などを踏まえつつ、十九年産から導入を目指して更に検討を進めてまいりたい。これはまだ今検討の段階でございますから、具体的にはまだ少し先のことになるわけでございまして、この問題だけは少しく更なる検討を加えるということになっているところであります。
  211. 主濱了

    ○主濱了君 今、大臣、先の話になりますと、こういうことをおっしゃいました。それとともに、先ほどの答弁では、この三月にもこの計画は策定をするというふうに、こう言っております。間がほとんどないじゃないですか。検討する暇がないです。これ、今すぐ決めなくちゃいけない、きっちり議論しなくちゃいけない問題だというふうに、こう思っております。  まずこれを前提に、今、日本には大体三百万弱の農家があると思っております。これが四十万戸弱に絞り込まれるわけです。と、二百万戸を超える農家が指定を受けないと。この二百万戸を超える農家はもう完全に日本の農政から外されるのでしょうか。何も今後施策を講じられないと、こういうことになってしまうのでしょうか、この点、伺います。
  212. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) この問題について別に我々は隠し立てしているわけではございませんで、この言わば制度の詳細の具体化については平成十七年度秋にこれを言わば活性、策定するということにいたしておりますので、それを待って我々は具体化していくということになります。
  213. 主濱了

    ○主濱了君 もう一回御質問をさせていただきます。  二百万を超える農家、この農家に対してどのような、逆に言うと、どのような政策が講じられるのか、全く政策から外されるのかどうか、この点をお伺いをいたしたいということでございます。
  214. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) 大変失礼いたしました、私の答弁に間違いがありました。  現状のままでは経営安定対策の対象とならない小規模な農家、あるいは兼業農家なども経営主体としての実体を有するなど、一定の要件を満たす集落営農に参加することによって、対策の対象となる経営を構成することができるわけでありますから、一切合財を切って捨てるとか、言わば置いていくとか、そういう考えは毛頭ございません。  ただ、要は、個々別々に皆さんが農業をやっているということは、ある意味では大変不経済な面がありますね。これはあなたにくだくだ申し上げる必要はないと思います。例えば、それぞれが耕作機械を持って自分のところの農業だけに使うということは、ふだんはその機械が遊ぶことにもなります。集落営農ということになればそういうものが効率的に使えますし、お互いが協力することは時間の有効利用にもつながりますし、これは合理化に進むことは、これは事実でございます。  そういうことで、我々はこの経営を更に強力なものにしていこうという支援をするところでございまして、言わばその他の農家は全く置いていかれるのかという御心配は無用でございまして、これは、これは集落営農をしていただくと、に加わっていただくということを我々は希望したい。そうすれば、我々はそれに対して重点的に、言わば効率的に言わば支援をしていくことができるというふうに考えております。
  215. 主濱了

    ○主濱了君 これを違う観点から伺います。  それじゃ、選ばれた四十万の方から、四十万戸弱の方から伺いたいんですが、この四十万戸弱の農家で日本一億二千万人の食料を十分供給できますか、それから先ほど挙げられました食料自給率、これはきっちり確保できますでしょうか、この点について伺いたいと思います。
  216. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) 委員御承知のように、この検討は農林水産省だけで考えていることじゃない。むしろ、農林水産省よりは、農業の言わば実際に携わっている方々、あるいは農業者団体、あるいは地方自治体、あらゆる分野の代表者が集まって長い期間を掛けて検討したいということでありまして、当然のことに、言わば我々の自給体制というものが確保されるのを大前提に検討しているところでございます。
  217. 主濱了

    ○主濱了君 もう一回お伺いいたします。  この選ばれた四十万の農家で、日本国民一億二千万の食料、これを十分供給できるかどうか、そして食料自給率、平成二十七年四五%、これが達成できるか、これについてお答えをいただきたい。
  218. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) 言わば私たちは、平成二十七年度における他産業並みの所得を確保し得る経営ということを言わば基本に考えているところでございまして、そういう意味で、家族農業経営及び法人経営六割程度、これに集落営農経営を合わせて七割か八割程度になると見込んでいるところでございますが、平成二十七年に見込まれる農地面積、四百五十万ヘクタールと想定しておりますが、これを前提とすれば、三百五十万ヘクタール程度の農地が集落営農経営を含む他産業並みの所得を確保し得る経営により経営されることになる。現在、認定農業等の、農業者等の担い手の農地集積面積は二百二十五万ヘクタールとなっており、今後、担い手の農地集積の加速化や集落営農の組織化等格段の努力が必要とはなりますが、これらを進めて、言わば現実に対応していくという考えに立っております。
  219. 主濱了

    ○主濱了君 この問題については、じゃ後でまた伺います。(発言する者あり)じゃ、もう一回伺います。  担い手四十万の経営体、四十万戸ですね、こういうふうな経営体で一億二千万の食料を十分に供給できますか。そして、食料自給率も四五%達成できますか。  もうちょっと私付け加えて申し上げますと、さらに、これが達成された後、十年後、二十年後あるいは五十年後、今のような四十万戸体制で日本の農業はずっと維持できると思いますか。実はここまで聞きたいわけなんですが、できればそこまでお答えをいただきたいと思います。
  220. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) 農家人口の少子化もありますし、高齢化もありますし、また他産業への転出等もありますから、状況について全部を的確に把握することは不可能でありますが、しかし、農業の持つ言わば役割というのは、農産物を生産するだけでなくて、国土の保全とか自然環境の保護とか、あらゆる機能を全部担ってこの国土が成り立っているわけでありますから、私たちは当然のことに、言わばそういう農家が立ち行くような、そして農家が引き続き営業を続けていただけるような環境を基本にやっぱりこれらのことに取り組んでいるところであります。  そういう意味では、市場の動向が言わば農業者に一層的確に伝わって需要に即した生産が促進されるように言わばいろいろ我々はアドバイスをしていくという考えに立っておりますし、また需要に即した生産を、経営感覚に優れた担い手がこれを地域の実態として受け止めて、それで集中的にこれらを実施していただくような努力をしていくということであります。  さらに、これらの担い手が地産地消や消費者への直接販売、あるいは異業種の知恵を活用した技術開発や新規販路の開拓への取組を始め、主体性と創意工夫を十分に的確に、十分発揮し、需要に即した生産に取り組める環境整備してまいりたい、こう考えているところであります。
  221. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 速記止めてください、速記止めてください。    〔速記中止〕
  222. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 速記を起こしてください。
  223. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) 肝心なことを言い落としましたけれども、自給率を確保し、更に私たちの目標に近付けるというのを基本に置いて我々は取り組んでいきます。
  224. 主濱了

    ○主濱了君 はっきり言いまして、四十万戸で一億二千万人の食料、これをきっちり生産するのはなかなか難しいんではないだろうかと、私はこういう懸念を持っております。  この懸念を払拭するような答弁をお願いいたします。
  225. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) 私どもは自給率をこれからアップしなきゃいけない。先ほど申したように、当初想定した言わばお米の消費が私たちの期待どおりにいかなかった。これを増やすためにはどうしたらいいのかということを考えると同時に、生産面でも当然のことにこれらに対する対応がきちっとできるように仕組みをつくって進めようということでございますから、御理解いただきたいと思います。
  226. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 大臣大臣大臣、私から質問もう一回確認します。  四十万で一億二千万人の日本の食料が確保できるのかということと自給率が達成できるのかということ、もう一回答弁してください。
  227. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) できるということを申し上げておきます。
  228. 主濱了

    ○主濱了君 それじゃ、逆側から質問をさせていただきます。  今回、農政の対象から外されるであろう、表現ちょっと正しくはないんですが、外される二百万戸を超える農家、この農家をどのように考えるつもりでしょうか。  私は、この農家はほとんどやめてしまうと思うんですよ。ここを、もう私は、農政、実際農業をやっている方からお話を聞いているんですが、もう私の代で農業は終わりだ、もう日本に見捨てられた、こういうふうなお話を大分されております。こういうふうな農家、二百万の農家をどうするのか。こういう本当すそ野の中で今までの日本の農業は成り立ってきたはずであります。これをどうするのか、お答えをいただきたいと思います。
  229. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) 農業の構造は現状のまま推移するとは正直言って思いません。やはりこれから将来に向かって、例えば株式会社その他の参入ということも時代の要請として起きてくるでしょう。そういうことごともすべて考えますが、あくまで私たちは意欲のある、能力のある農家を言わば補佐し、助け、これからもその仕事をきちっと続けていけるような配慮をしながら、当然のことに自給率、言わば私たちがきちんと米なら米の自給ができるように頑張っていく。何のために二十七年に四五%置くのかというのは、当然のことにその目標達成のためでありますから、農家の構造改革と併せて我々は進めていきますし、いま一つ肝心のことを付け加えますが、言わば従前の農家を切り捨てるというような感覚は毛頭ありません。ただ、農家もやっぱり時代の要請にこたえてもっと効率的な農業を営む、そして経費その他の節減をできるような体制に切り替えていく、そういうことについてはやはり新たな前進をしていただくことが必要だろうと思います。
  230. 主濱了

    ○主濱了君 端的に伺います。  二百万の農家をどのようにしようと思っているのか、お答え願います。
  231. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) 二百万の農家について今どのようにするかというのを策定し、必ず、現状を維持しながら、新しい意欲のある人たちがそのまま農業を続け、そのことに誇りを持ってやれるために今検討しているわけですから、御理解をいただきたいと思います。
  232. 主濱了

    ○主濱了君 私が聞いている範囲では、その新しい基本計画の中では、本当に農業をやめてしまおうと、こういう農家が大変多うございます。そうなりますと日本の農村は崩壊します。そして多面的機能も発揮できなくなります。先ほどいろいろおっしゃいました多面的機能も発揮できなくなります。  今もうちょっと、この計画、先ほど三月までに、三月中に策定をすると。(発言する者あり)秋。基本計画は三月に策定をする。ただ、基本計画をこれ策定してしまうとレールを敷いてしまうことになるわけです。ただ、そのレールを敷かれてしまったんではもう元も子もないわけですから、もう少し現場の農家の声を聞いて、急がないでじっくり、拙速でなくてじっくり作る必要があるのではないかなと、このように思いますが、いかがでしょうか。
  233. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) 農家が四十万と、こういうふうに限定されてお聞きになっていますけれども、集落営農の中にたくさんのものが入るわけですから、これトータルすればそんなに大きな数の減少にならないわけです。(発言する者あり)いや、そして同時に、それに対するどういう対策をするかというのを本年秋までに策定をすると、こう申したんですが、先ほど私が座っていて申し上げたのは、ちょっと、三月にその案が、基本計画ができますので、これに対してちょっと私が勘違いしたことは訂正させていただきます。(発言する者あり)
  234. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 速記止めてください。    〔速記中止〕
  235. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 速記を起こしてください。
  236. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) 四十万という数字に主濱委員が心配されたことは当然なんですが、実は四十万の中で、私の説明も足りなかったことを申し訳ないと思いますが、これはあくまで経営体が三十万あるわけですね。いや、ですからこれが、ごめんなさい、二ないし四万あるわけですね。これが大体一つの経営体、大体三十ぐらいなら三十ぐらいのものが集まって集落営農なさるとなると、トータルではこれはやっぱり百万前後になるだろうと思います。場合によっては百二十万戸になるのかもしれません。これを足しますと、言わばそう大きな減少にはならないというふうな判断であります。  ただ、いずれにせよ、先ほど申したように、言わば農業関係者、農業団体の関係者、皆さんが参加してこれを検討しているわけでありますから、決して現実離れした計画ではありません。
  237. 主濱了

    ○主濱了君 それでは、また質問を変えます。  それでは、今、各方面の御意見も聞いたという話ですが、その中でどういう方面に御意見を聞いたのか、そしてその大勢がどうなのか、これを御紹介いただきたいと思います。
  238. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) 言わば、計画の策定が着々進んで、時期をもう、目標の間に迫るとなれば当然に関心がありますから、あらゆる分野の中で、言わばこの食料・農業・農村基本計画、これは大変大事な大方針でありますので、私もいろいろ時に触れ、折に触れて聞いているところでございます。  ただ、細かい数字の点で私にちょっと勘違いがあったとさっき申しましたけれども、それはあくまで経営体が、言わば一つの集落営農の部分は、要するに、あくまでこれはたくさんの農業関係者が集まってできるものでありますから、要するに、仮にこの大体三十五万前後と、要するに一般の法人の経営体と、そしてまた同時にこの言わば集落営農の部分を足しますと、百五十万を大体超えるぐらいの見当になります。しかも、今度の場合は経営体の中に法人も入ってくるわけですから、規模はかなり大きなものも想定されます。  そういう意味で、言わば自給率は十分確保できるという判断しています。
  239. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 主濱君、答弁が十分でなければもう一度質問してください。
  240. 主濱了

    ○主濱了君 それでは、私、先ほど質問したことにお答えをいただきます。
  241. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) 断片的に申し上げたんであれですが、基本計画の策定に当たっては、食料・農業・農村、言わば政策審議会の意見を聞くこと、聞いて我々はいろいろ勉強してきているわけですが、その審議会の委員は、先ほど申したように、農業者、消費者、研究者、経済界、地方公共団体等、各界を代表する方々から構成されておりまして、審議会での議論を通じて各界の意向を十分反映して議論を進めてきたところでありますから、当然に自給率の確保や、将来の農業に対する意欲のある方たちが言わばそれを持って、自信を持って農業に取り組んでいける環境は十分配慮されてこの計画が作られているというふうに承知をいたしております。  さらに、審議会における議論の過程で、言わば農業者、消費者、食品産業などを対象とした三回にわたる有識者ヒアリングの実施、あるいは審議会への提出資料に対する国民一般からの意見や政策提案の随時受付、基本計画案の概要を提示した時点での国民の意見を聞くパブリックコメントの実施などをいろいろ実施して、各界からの幅広い意見を徴することに努めてきたわけでありますから、決して机上の空論ではないということを申し上げたいと思います。
  242. 主濱了

    ○主濱了君 お言葉でございますが、今、日本には中山間地が三〇、四〇%弱あるわけ、三七%、三八・七%、それぐらいあるわけでありまして、それを十分考慮をしているのかどうか、こういったようなことも含めまして、もうちょっと地方の現に農業をやっている人の御意見を聞きながら進めるべきであると私は思っております。  したがいまして、もうちょっと地方に出て意見を聞く、そして議論を深める、拙速な策定は避ける、こういうことでお願いをいたしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  243. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) 当然、そのように努めていきたいと、こう思います。
  244. 主濱了

    ○主濱了君 三月中の策定を引き延ばすと、こういうふうに理解してよろしいでしょうか。
  245. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) 基本計画そのものは三月の上旬にできるというふうに承知をいたしております。  しかし、先ほど申したように、各部門的な、専門的なことについては、先ほどの担い手の問題についてはこの秋に言わば決定をするというふうに御説明したように、初めからそういうスケジュールが組まれているところでございます。
  246. 主濱了

    ○主濱了君 一番基になるところが私不満であります。それは、担い手を選んで、その担い手に対してだけ集中的、重点的に農業政策を講ずると、ここが一番問題だというふうに、こう思っております。これが、レールが敷かれてしまったんであれば、あとまた今のペースでいきますと五年間はこのままのペースでいくはずであります。  したがいまして、そこのところを十分地方の意見を聞いていただきたいと、こういう趣旨であります。そのようにお願いをしたいんですが、いかがでしょうか。
  247. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) 当然に、そういう御意見に十分耳を傾けて将来に対する計画を組んでいくことは当たり前でありますが、何度も申し上げておりますように、各分野の代表者が長い年月を掛けていろいろ検討をしていただいておるところでございます。  いま一つ、中山間地域、先ほど三七%ぐらいのとおっしゃいましたが、今四二%ぐらい、農家人口で四三%ぐらいです。ですから、やっぱりこういう方たちの、あの本当に厳しい自然条件の中で農業を営むというのは並大抵のことじゃありませんので、それらに対しては日本の特殊事情としても十分配慮をし、そして言わばこの国を守るということに、ために農業に励んでいただくという環境づくりに努めていきたいと、こう考えます。
  248. 主濱了

    ○主濱了君 一言だけ。  この計画が進められた暁に、功を奏しなかった場合、この計画が功を奏しなかった場合、今よりも日本の農業が衰退した場合、どなたがどのような責任を取るのか、今伺っておきたいと思います。
  249. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) これは、当然言わば行政に携わる私どもの責任であることは申すまでもありませんが、政府の責任においてこれを将来に向かって確かな形に結び付けようと最善の努力を傾けていくことは当然であります。
  250. 主濱了

    ○主濱了君 イラク問題に移ります。  イラク問題につきまして、まず、イラク暫定政府は去る三月三日、三月上旬に期限切れになります非常事態宣言、これ三十日延長していると、こういうことでございます。三月の上旬ですね、期限切れになる非常事態宣言を三十日間延長すると、こう発表しております。  また、外務省の海外安全ホームページでは、イラクに対する渡航情報、これが出されておりまして、その内容は、「退避を勧告します。渡航は延期して下さい。」、「イラクにおいては、日本人に対する襲撃事件や人質殺害事件が発生しています。」と、このようになっております。実際、治安は大変ひどい状況になっているというふうに、こう思っております。  それで、イラクの治安情勢について、町村外務大臣大野防衛庁長官にそれぞれ御見解をお願いを申し上げます。特に大野防衛庁長官には、イラク特措法第二条の対応措置に対する規定に沿った形でお願いをいたします。
  251. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) イラクの情勢につきましては、一月三十日の選挙後、引き続いて武装勢力による攻撃等が発生をいたしておりまして、脅威の度合いは、これは従前からそうでございまして、地域により異なっておりますけれども、総じて予断を許さない状況が継続をしているということでございます。このような状況下では民間人等による本格的な支援活動はなかなか難しいということもございます。したがいまして、政府としては、現在の退避勧告という状況はイラク全土については変えないと、こういうことでございます。  こういう中で、自衛隊は厳しい生活環境の中でもしっかりとした活動をやっているわけでございまして、従前どおり隊員の安全確保に万全を期すことが不可欠でございまして、常に周囲の警戒を怠らず、地元の治安当局あるいは多国籍軍との密接な連絡、あるいは情報収集等に努めまして、しっかりと自らの身は自ら守るということで、自衛隊の皆さんには引き続きしっかりとした活動をお願いをしているところでございます。
  252. 大野功統

    国務大臣大野功統君) イラク全体につきましては町村外務大臣の方から御説明がありました。私の方は、いわゆる対応措置を実施する地域、つまり自衛隊が活動している非戦闘地域、サマワ中心の話になりますけれども、その点の治安について御説明を申し上げたいと思います。  まず一番は、治安といった場合、我々が責任を持って自衛隊員の活動を守るために取っております安全確保措置、これはちょっと除いておきます。  そういう意味で、現状から申し上げますと、現状は他の地域に比べればかなり安定している、こういうことが言えます。その一つの例証でございますけれども、例えば多国籍軍に対する襲撃事案、これは一月に一回、それから二月に一回でございました。一月の一回は、私の記憶では一月十一日の自衛隊宿営地に向かって飛んできましたロケット弾でございます。二月の一件というのは、アメリカの軍隊が移動中に襲撃を受けました。しかしながら、これは全く人に対する負傷事件も死傷事件もありませんでした。これが現状でございます。その他事案がございますけれども、この方は、今のは、今申し上げましたのが多国籍軍に対する事案でございます。  それからもう一つ、一般的な事案についての時系列でとらえた趨勢を申し上げますと、振り返ってみますと、一つはラマダンのころに多かった。それからもう一つはあの投票、一月三十日の国民選挙のときに多うございました。現状は落ち着いております。現状は元どおりに、元に比べまして増えてはいません。そういうことでございます。  それから、いわゆる非戦闘地域、戦闘行為とは何かと、こういうことでございますけれども、いわゆる紛争、国際的紛争を解決する、するために人を殺傷し、物を損壊するという行為である。その場合には、言わば継続性とか組織性、あるいは計画性、国際性、こういうことを勘案しながら判断しようと、こういうことでありますけれども、その点につきましては、我々はやはり部族の方々、それから多国籍軍、特にオランダ、イギリス、アメリカでございますけれども、そういうところと連絡を十分取っている、もとより現地の治安当局とも十分連絡を取っているわけでございます。  そこで、最近の事象、事象として一番特色的なのは、やはり現地の、つまりサマワ、ムサンナ県の治安機関がかなり育成されてきたと。この間もオランダのカンプ国防大臣と電話ですが話をしました。大変現地の治安部隊が、治安機関といいましょうか、治安機関が育ってきましたと。今あのムサンナ県で六千人の警察官も含めて治安機関の人々がおりますと。そういたしますと、人口は、確かなことは言えないんですけれども、まあ人口の計算にもよりますが、約百人に、住民百人に一人の治安関係の者がおると、こういう計算でございます。で、これは大変カンプ国防大臣も、この現地の治安機関が育成されていることに自信を持って、サマワ、ムサンナ県は治安は安定しているね、今こそ、今からもう本当にあの自衛、日本の自衛隊の活躍が期待される、こんなことを言っておりました。  以上でございます。
  253. 主濱了

    ○主濱了君 陸上自衛隊についてはまた後ほど伺います。  今度、航空自衛隊について伺いたいと思います。航空自衛隊は、武装したアメリカ兵、アメリカ軍をクウェートからイラクへC130輸送機を使って空輸をしております。で、この件について伺います。  まず、やっぱりこれ、イラク特措法上適法でなければいけない。私は、出発する地域、それから着陸する地域、それから空、飛んでいるいわゆる飛行ルートですね、飛行ルートもすべてこれ非武装地帯でなければいけないと、このように思っておるわけで……(発言する者あり)非戦闘地域ですね、非戦闘地域でなければいけない、このように思っているわけですが、そういう意味から、今の活動は適法でありましょうか、これを伺いたいと思います。
  254. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 今現在、航空自衛隊というのは、アリ・アルサレム、クウェートの空港でございますが、アリ・アルサレムからタリル、これはクウェートの中に、ああ、失礼しました、イラクの中にある空港でございます。そこへ、その間の輸送業務に携わっております。ほかにも、例えば活動できる空港として若干ございます。  それで、今先生のお話でございますと、飛行場はもとより、この飛んでいる空の上も、地上だけじゃないよ、空の上も非戦闘地域じゃなきゃいけないじゃないか。そのことは明確には法律のどこにも書いておりませんけれども、我々は、我々は正にそのように思って、そうだと、正に飛んでいるところも非戦闘地域ではなけりゃいけない、そういう解釈をすべきである、このように思ってやっております。
  255. 主濱了

    ○主濱了君 そういう意味で、今の航空自衛隊の活動というのは適法でありましょうか。
  256. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 適法であります。
  257. 主濱了

    ○主濱了君 次は、武装アメリカ兵の空輸そのものについて伺います。  空輸した武装アメリカ兵は空輸先のイラク、イラクの地で戦闘に参加することが十分予想されます。こういったような状況にありまして、一般的に憲法上及びイラク特措上、特措法上、合憲であり適法であるか、いかがお考えなのか、これは防衛庁長官にお伺いをいたします。
  258. 大野功統

    国務大臣大野功統君) まず、輸送いたしておりますものの中に、物品です、これは武器弾薬はございません。ただし、ただし、兵士、アメリカの兵士ということであれば、兵士が通常携行しております武器は一緒に積んでおります。これは常識的なことでございます。これが一番。  二番目の問題として、しからば、その人が戦闘地域へ行くじゃないかと、こういうお話でございます。戦闘地域へ行くかどうか、我々が運んでいるところは全部非戦闘地域なんですね。だから、非戦闘地域の活動であるということであります。  それから、余計なことかもしれませんが、これは国連決議に基づいて安全確保支援活動として、あの国連決議、今更くどくど言いませんけれども、国連決議に基づいてやっている業務でございます。  繰り返し、くどいようでありますが、やはりこれは非戦闘地域で安全確保の支援をやっている、こういう意味で御理解をいただきたいと思います。したがいまして、憲法違反ではありません。
  259. 主濱了

    ○主濱了君 法制局長官にお伺いをいたします。  今と同じ質問であります。一般的に、武装したアメリカ兵、アメリカ軍、これを非戦闘地域に降ろしたとしても、その後、戦闘に参加することが予想されるわけであります。そういったような兵士を運ぶ、空輸することが憲法上合憲であるか、そしてイラク特措法上適法であるか、ここについてお伺いをいたします。
  260. 阪田雅裕

    政府特別補佐人(阪田雅裕君) 今、二点お尋ねであったかと思います。まず、イラク特措法上の合法性、適法性、それから憲法上問題がないのかということであります。  まず、イラク特措法との関係について申し上げますと、御案内のように、イラク特措法三条三項は、安全確保支援活動として実施される業務の一つとして輸送を掲げておりますけれども、この輸送の対象とするものを特には限定をしておらないわけであります。したがいまして、今御指摘の米軍の要員等を輸送することは、それが武装しているか否かにかかわらず法律上は問題がないということであると考えております。  それから、憲法との関係でありますけれども、この輸送の業務を含めまして、イラク人道復興支援法に基づき自衛隊が実施する対応措置につきましては、それ自体が武力の行使に当たらないと、性質のものであるということは、まず二条、失礼しました、三条三項の各業務ごらんいただけると分かると思いますけれども、それだけではなくて、その実施する地域をいわゆる非戦闘地域に限るというような仕組みを設けまして、他国の軍隊が仮に武力を行使してもそれと一体化しないと、我が国の活動が一体化しないという法律上の制度を設けておりますので、憲法九条との関係でもこれは問題が起こることはないということであります。
  261. 主濱了

    ○主濱了君 例えば、これ、武器弾薬を運んだ場合はいかがでしょうか。  そして、もう一つ、空輸したその武装アメリカ兵が空輸直後、現実に戦闘に参加した場合、この場合はいかがでしょうか。重ねて伺います。
  262. 阪田雅裕

    政府特別補佐人(阪田雅裕君) アフガンのときのテロ特措法では、御案内かと思いますけれども、陸上における武器弾薬の輸送というのをあのときの業務、自衛隊の業務から法律上除いているのです。しかし、これは憲法上問題があるという観点ではなくて、政策として適当ではないということで除いている。  今回のイラク特措法も、先ほど申し上げましたように、法律の三条三項では輸送の対象から武器弾薬を除くというようなことはしておらないわけであります。これはむしろ運用の段階で、実施要領において武器弾薬を除くということを運用として行っているということであります。  私どもはガイドライン法、いわゆる周辺事態の法律のときから一貫してこれは、あのときは後方地域という言葉を使っておりましたが、戦闘が行われている地域と一線を画せる、画される地域において補給、輸送といったような業務を行う限りにおいては、これは、その前線で武力行使をしている軍隊があったとしてもそれと一体化することはない、我が国の活動が外国等から見て我が国自身が武力行使をしているというふうに法的に評価されることはないのだというような御説明をしてまいりました。一応御理解をいただいてきたというふうに考えております。
  263. 主濱了

    ○主濱了君 ちょっとにわかには納得し難いんですが、お話の意味はよく分かりました。  じゃ、ちょっと質問を変えます。今度は妥当性の問題になりますかね。  私、地元の盛岡との間を新幹線で通勤をしております。その中で、テロップで、テロップでですね、警察と協力して警戒中です、こういうふうなテロップが流れます。時々流れます。ここ一年ぐらいだというふうに思いますが。  それで、警察庁は国土交通省を通じて鉄道事業者に自主警備や旅客への注意喚起の協力要請をしたということですが、いつ、どのような理由で、だれにどのような要請をしたのか、伺います。
  264. 村田吉隆

    国務大臣(村田吉隆君) 米国におきます同時多発テロが起こりまして、国際的なテロ情勢というものが一気に高まったと、こういう情勢を受けまして、警察といたしましても、国内の重要な施設あるいは公共交通機関に対して警戒、警備を強めているわけでございますが、そうした中で、そうした公共交通機関の事業者とか関係機関にも自主警戒を努めていただきたいということで通知を発付しているということでございます。  具体的には、三月十一日に、昨年でございますが、マドリッドで列車を爆破するという大変痛ましい事故が起きまして、それを契機といたしまして、警察庁の警備局長から国土交通省鉄道局長にあてて、特に自主警戒、警備の徹底あるいは旅客への注意喚起について関係事業者等に通知するように要請したと、こういうふうに承知をいたしております。
  265. 主濱了

    ○主濱了君 三月十一日、昨年の三月十一日、マドリードの列車爆破があった、駅爆破ですか、ということのようですが、実は別途、先ほど申し上げました武装アメリカ軍を空輸開始した日がやっぱり昨年の三月なんですね。昨年の三月三日にスタートをしているということです。それから、マドリード事件が三月の十一、そして警察庁が要請文を発出したのが三月の十七と。極めて接近をしている。  この自衛隊の武装アメリカ兵の空輸、これが一つの遠因の一つになっていないかどうか、これを伺いたいと思います。
  266. 村田吉隆

    国務大臣(村田吉隆君) 今委員が御指摘のように、時系列的には三日とそれから十一日と十七日と、こういう形になっておるわけですが、私どもの通知というのは、要請というのは、その三日のイラクでの航空自衛隊の輸送業務の開始、こうした事実とは全く関係がないと考えております。
  267. 主濱了

    ○主濱了君 私、この武装米兵の空輸につきましては、やはり違法あるいは違憲、そういう問題ではないにしても、この武装米兵がアメリカ軍と一緒になって戦闘行為をしていると、このようにほかから見られる可能性というのが十二分にあるというふうに思っております。  そういう意味で、こういうふうな事実があるということを私はもっと国民に公表すべきである、これを大っぴらに出すべきであると、こういうふうに思います。そのことが逆に言えばテロに対する警戒、そういうものにつながってくるのではないかなというふうに思っておりますが、これはだれだ、これは防衛庁長官でしょうかね、公表するということについていかがでしょうか。
  268. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 私、基本的には、例えば安全確保上どうしても機密にしておかなきゃいけないようなこと、あるいは国際的に、どうしても国際的な信義誠実の原則の上で公表できないこと、これを除いては国民の皆様に、イラクに対する人道復興支援というのは別に悪いことをしているわけじゃないんです、いいことを日本が一生懸命平和の使者としてやっているんです。ですから、それをもっともっと国民の皆様に知ってもらいたい、こういう意識でやってほしいということを常々自衛、防衛庁の中では言っております。防衛庁自体もその辺はいろんなマスメディアを使って発表しておりますし、ホームページ上も公表いたしておりますし、このようなパンフレット、この中にも支援業務、物品の輸送業務のことも書いてございます。  しかし、問題は、例えばこの国会でも議論されたことありますけれども、物を何トン輸送したか、これは発表いたしております。しかし人間を、兵士を何人運んだか、これは発表していないわけでございます。  それから、この点について、国際的な今までやっておりますことを御説明しますと、各国とも両方とも公表しておりません。そして、各国は、オーストラリアが一回だけ合計何トンということを発表したことがありますけれども、その他の国は物資を幾ら運んだかということも発表いたしておりません。  日本は、そういう意味で、物資を何トン輸送したということは発表いたしておりますし、そういう国際的な慣行も注意をしていかなきゃいけない、こういうことで、日本の場合にはやっていること、こういうことをやっていますよということは国民の皆様に御説明はいたしておりますけれども、実際、人数で幾ら運んだか、こういうことは公表を差し控えておりますし、そのことは、やはり国際慣例上、信義誠実の原則に反することであります。また、どこからどこまで、例えばどこの国のだれを運んだ、これも到底言えないこと、発表を差し控えざるを得ないことだと思っています。  ただ、私は、基本的に、言えることは、発表できることはどんどん国民の皆様にお伝えして、日本の自衛隊は本当に平和の使者としてサマワで活動しているんだということを御理解いただきたい、こういう努力をしようじゃないか、こういうことを常々申しております。
  269. 主濱了

    ○主濱了君 最後になります。最後になります。  私は、思い出されるのが香田証生さん事件であります。香田証生さんは、日本の総理大臣に助命懇願したにもかかわらず、最終的には残念ながら星条旗に巻かれて放置をされたと、こういうことでございます。武装勢力は、日本とアメリカ、あるいは香田証生さんとアメリカの何らかの関係を持っていたに違いないと思っております。その原因がやっぱりこの米兵、武装米兵の輸送ではないかな、このように思っております。  ここのところ、日本人を危険に陥れる可能性のあるこういう空輸、これをきっちり日本の国民に私は明らかにするべきだな、このように思っております。この件について、最後、御見解を伺いたいと思います。
  270. 大野功統

    国務大臣大野功統君) まず、香田証生氏の事件でございます。  本当に悲しい事件が起こった。心からお悔やみ申し上げるわけでございますけれども、本件事件の事実関係、背景等については予断を持って発言するわけにはいきませんので、差し控えさせていただきたいと思います。  ただ、断固私が申し上げられるのは、日本もアメリカ等その他の国と協力して、イラク、新生イラク、イラクの民主化等、イラクの復興支援をやっている、このことでございます。そういうことと、この、そういうことを、つまり国際協調の下でイラク人のために一生懸命頑張っている。この我が国の支援というのはイラクの皆様からも大変歓迎されている、このことを申し上げたいと思います。
  271. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 以上で白眞勲君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  272. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 次に、小林正夫君の質疑を行います。小林正夫君。
  273. 小林正夫

    ○小林正夫君 民主党・新緑風会の小林正夫です。  今日は、生活不安に対する政府の取組を中心にお聞きをしたいというふうに思います。  私、昨年七月に議員として初当選をさせていただきました。その後、国会報告あるいは地域に出掛けていろんなお話を聞く、こういう機会を多く設けてきましたけれども、今生活者の一番の不安は何かといいますと、子供の学校の不安、これが一つなんです。もう一つは、子供が連れ去られちゃう、それで事故に遭う、事件に遭う、いわゆる子供の連れ去りの事件。それと、自宅にいても侵入者が入ってくる。このことが一番生活者の不安と私は思っております。また、そういう意見が圧倒的に地域では多いんです。したがって、今日はこのことに対して関係大臣の方に取組についてお聞きをしたいというふうに思います。  内閣府の世論調査では、日本の治安は良くない、こう答えた人が五五%、この十年間で悪くなったと答えた方が八七%いる、こういう結果が出てました。八七%ということは、十人のうち九人の人がこの十年間見ると治安が悪くなった、このように言っているんだと思います。  そこで、まず学校の安全対策について中山文部科学大臣にお聞きをしたいというふうに思います。  侵入者による児童あるいは教師の殺害、平成十三年に八名の子供が亡くなった痛ましい事故もありました。そして、今年の二月に今度は学校の先生が刺されてしまったという事件がありました。もう本当にショックで、まだまだ私たちの気持ちが立ち直らない、こういう状態にあると思います。  子供はこれから日本を背負っていく大きな宝です。まして少子化という時代ですから、この子供たちが安全で学校で学べるような、こういう環境をつくっていくのが私たち政治家の役割じゃないかというふうに思います。  そこで、様々なこういう事件を背景に、各地でいろんな論議がされているということは聞いております。いろんなアイデアもあると思います。  先日、テレビを見てましたら、学校に警備員などを置くと、こういう報道もありました。私はすごくいいことだなと、このように思いました。ところが、よくよく考えてみますと、警備員などを置くということになると当然お金が掛かってきますから、お金が工夫してこの警備員などの方を雇える、こういう環境にあるところは警備員が雇える。しかし、いろいろ工夫しても予算がないということになれば、置きたいんだけど警備員が置けないというところも出てくる。こういうことが生じるんですけども、このことに対してどのように思いますか。
  274. 中山成彬

    国務大臣(中山成彬君) 本当に、何ですかね、社会全体、いろんな事件が起こったりいたしまして、安全の確保ということが本当に一番大事なことだろうと、こう思っております。  保護者にとりましては、子供が学校に行ってる、その学校はもう安全だろうと、ちゃんと守ってもらえるんだろうと、これがまず前提だろうと思うわけでございましてね。そういう意味で、この前のあの寝屋川市の事件等は、これはもう起こってはならないことが起こったと、こう思うわけでございまして、何とか本当にしなきゃいかぬと、そういう思いでいろいろ取り組んでいるわけでございますが。  御指摘のように警備員を学校に置くと、これはもう、一つの大きな私は手段だろうと、こう思うわけでございますが、これは一つは、何といいますか、要するに国の予算じゃなくて、これは設置者であります市町村がやることになっているわけで、これは要するに義務教育国庫負担の話ともつながるわけですけれども、いろいろ国としてやれ国としてやれと言われますが、これは第一義的には設置者が考えることでございまして、これはまあ地域とか学校によってもういろいろ区々なんですね。  ですから、どうしたら一番安全に子供たちを学校でしっかり守れるかということをこれから考えていかにゃいかぬと、こう思うわけでございますけれども、文部科学省は、その中にありまして、危機管理マニュアルというのを作りまして、それで全国に発信するとか、あるいは学校施設における防犯対策の徹底を図る観点から安全対策に資する工事に対して国庫補助を行うと、こういうことで、いわゆるハード、ソフト両面にわたりまして、文部省として学校の安全対策に資するそういうことにつきまして支援しているわけでございまして、今後ともそういう方向で支援を強めてまいりたいと考えております。
  275. 小林正夫

    ○小林正夫君 要は、このマニュアル、拝見をいたします。要は、ここに書いてありますけれども、不審者を入れないということが私は何をもって一番いい対策だと思います。入ってしまった後どうするかという、こういうマニュアルもありますけれども、要は入れないために。それで、この内容にも書かれておりますけれども、実はこの監視という、このイラストの中にも、やはり学校の校門の近くで監視をすることが大事ですということも実はこのマニュアルに書いてるんです。  したがって、今言ったように、予算は、自治体含めていろんな問題はあるんでしょうけども、そういうことがやりたくてもできないというものがあるならば、国がやっぱり考えて、この警備員などを配置するということを私はやっていかないといけない。何しろ緊急で一番の生活不安が今ここだということになっていますから、その対策についてやるのは私は政府の責任だと思いますけど、いかがですか。
  276. 中山成彬

    国務大臣(中山成彬君) そういう予算があって、もうできるものならぱあっと全国一律に警備員を置きたい気持ちで一杯でございますが、これはもう一義的に設置者がそれぞれの地域、学校の状態においてやると、こういうことになっているわけでございまして、今、先ほど話しましたけれども、そのマニュアルを作ったり、あるいは学校施設整備費の予算でそういった方向にも使えるようにするとか、文部科学省としてもできるだけのことをやりたいと、こう思っているわけでございまして、今年、平成十七年度からこの学校の巡回とか警備等に従事します学校安全のボランティアの方々を活用した効果的な学校の安全体制の整備推進、あるいは地域全体で子供の安全確保をやっていこうというふうなことで、地域ぐるみの学校安全体制整備推進事業、ちょっと長いんですけれども、七億五千万円を計上しているわけでございまして、こういった形で文部科学省としてもできる限りのことをやっていきたいと、こうやって努力しているところでございます。
  277. 小林正夫

    ○小林正夫君 是非、警備員などを配置をしたいと、でもお金がなくて悩んでいるんだ、こういうことがあればやはり政府はきちんと相談に乗って、そういうものが実現できるように私はお願いをしておきたいというふうに思います。  引き続き、今、地域とのかかわりというお話がありましたけれども、この点について御質問をしたいと思います。  やはり、地域の人が協力し合って学校あるいは子供たちを守っていくということは私は大変必要なことだと思います。また、そういうふうに活動をしていることが世の中の人から見て見える形でやってこそ初めて抑止効果が出てきて、本当に安全対策をやっているんだなということに私はなってくるんだというふうに思います。そういう意味で、地域の方が参加じゃなくて参画をして子供たちを守っていく、あるいは学校が安全であるということを確保していくという、私はこういう行動が必要だというふうに思います。  私の、小さな自治体ですけれども、ここで、町内会で実は犬の散歩をするときに腕章を付けて回ろうと、こういうことも私の町では決めました。日本全国でウオーキングをする方も一杯いらっしゃいます。あるいは、犬の散歩の方もいらっしゃいます。あるいは、自転車で町を走る方もいらっしゃいます。そういう人たちに対して呼び掛けをして、やはり、あるいは腕章を付けてしっかり私たちは守っているんだと、子供の安全が大事なんだということをほかの人から見て分かるような、抑止効果があるような、そういう私は行動が必要だと思いますけれども、地域と一体となった取組について、お金が、張り付けると、こういうことは今お話がありましたけれども、具体的にどのようにこういう活動について考えられているのか、お話を聞きたいと思います。
  278. 中山成彬

    国務大臣(中山成彬君) 先ほど御答弁いたしましたように、地域のボランティアの方々の協力、御支援を得て、それこそ地域ぐるみで子供たちの安全を守っていこうと、こういう取組が各地で進んでいるわけでございまして、そういう意味で文部科学省はそういった動きを支援したいということで、スクールガードというシステムを推進しようということでございます。  正にお話がありましたように、不審者をもう要するに地域のみんなの目で見ていこうと、どこからどういうふうな目が光っているか分からないよ、これはそういう不審者にとりましては大変な実は抑止効果になるわけでございますから、そういうスクールガードを養成、研修するためのスクールガード養成講習会というのを今進めているわけでございますし、そのスクールガードを、何といいますか、講習をするその人たち、これをスクールガードリーダーと呼んでおりますけれども、これを全国で千二百名、これは警察OBの方々にお願い、協力をいただきまして、こういったスクールガードリーダーと、このような方々が担当エリアの学校を定期的に循環して、そして警備のポイントだとか改善すべき等についていろいろ御指導いただくと、こういうことを考えているわけでございまして、正にそういったスクールガードと地域の目を活用しながら地域全体で子供たちの安全を守っていくと、そういうモデル地区、こういったものも指定してやっていこうと、先ほど申し上げました七億五千万の予算を計上いたしまして、そういった方向を取り進めていきたいと、こういうふうなことで今取り組んでいるところでございます。
  279. 小林正夫

    ○小林正夫君 安心して学べる学校にしていく、このことは私は政府の責任だと思います。是非、実効ある取組をお願いをしておきたいというふうに思います。  続きまして、国家公安委員長にお尋ねしたいと思います。子供の連れ去り事件、この関係についてお聞きをいたします。  奈良県で発生したあの事件は本当に悲しい事件で、むごい事件、このように思います。こういう事件が本当に起こらないような世の中にしてもらいたいと、また私たちはしていく責任がある、このように思います。  そこで、略取誘拐の至近における発生件数と、事件の傾向がどうなっているかということ、それと、先週の金曜日に公表されたわけですけれども、子供対象の性犯罪の再犯の実態について発生、発生件数の実態と特徴についてお聞きをしたいと思います。
  280. 村田吉隆

    国務大臣(村田吉隆君) まず、子供を対象といたしますその略取誘拐でございますが、平成十四年から残念ながら三年連続で増加しておりまして、平成十六年中の、全国の成人を対象とするものを含みまして、略取誘拐の認知件数は三百二十件でございます。そのうち、小学生以下の子供を対象としたものは百三十八件でございます。  その傾向でございますけれども、子供の場合にはわいせつ目的というのが検挙件数のうち五八・八%を占めておりまして、そういう傾向があると、こういうことでございます。  子供を誘拐するということは大変、国民あるいは特に父兄に対しまして大変な不安感を与える犯罪でございますので、警察を督励してそういう事件の未然防止あるいは摘発に十分努力をしてまいりたいというふうに考えております。  それから、金曜日に発表したものでございますが、これは奈良県の事件がきっかけとなりました。我々国家公安委員会の中でも、そうした犯罪者の情報を警察として法務省から得るのがいいかどうか、それから外国にもそうした例がありまして、警察がそうした出所後の情報を得るケース、それから今度はもっと強めて公表してしまうとか、あるいは本人に、出所後の人間に自分の居所を報告する義務を課するケースなどいろいろありますが、我々は法務省とも、あるいは関係省庁とも議論して、とにかく出所後の住所、居所の情報を法務省からいただきたいということを申し上げて、それで今ほぼまとまりまして、六月の一日から実施するということになっております。  その前提になりますデータというのがなかなか、警察のデータも整っておりませんでしたので、幾つか調べまして公表を申し上げたところでございますが、平成十六年の子供対象の暴力的性犯罪、これが被害者が十三歳未満である強姦、強盗強姦、強制わいせつ又はわいせつ目的の略取誘拐という、そういうことでございますが、検挙人員のうち過去にも同種の犯罪を行っていた者は約一六%ということでございます。  ほかの窃盗等のケースにおいて再犯歴が二〇パーというようなデータもございますから、この分について特に高いということではなかったわけなんでございますが、いずれにしましても、子供対象の暴力的性犯罪の前歴者の数は本当に少ないんですけれども、その少ない者による再犯率が何らかの犯罪の前歴者の子供対象暴力的性犯罪の約四割を占めている、そういうことでございますし、また、警察庁とは別に科学警察研究所の行った強姦を対象とする調査がございます。  これはちょっと調査範囲が長いんでございますが、これもそうした強姦検挙被疑者のその後の再犯状況の追跡調査をしたデータでは再犯率が約二割に及んでいると、こういうことでございまして、そういう意味では、そうしたデータを基にいたしまして、我々は子供対象の暴力的性犯罪の再犯を防ぐためには子供対象暴力的性犯罪の前歴者について警察がその動向を把握することが有効であると、こういうふうに確認したとして、我々は法務省として、冒頭申し上げたような協議を行ったということでございます。
  281. 小林正夫

    ○小林正夫君 二回以上の前歴のある人の再犯率というのは分かりますか。
  282. 村田吉隆

    国務大臣(村田吉隆君) これは科警研の方のデータで申し上げた方がよかろうと思うんですが、対象者、これが昭和五十七年から平成九年まで、子供対象、警察が検挙した子供対象強姦の被疑者五百二十七人がございまして、それから追跡調査が可能な者が五百六人ございまして、それらを調査したものでございますが、二回以上の者は、再犯歴がある者がそのうち百三人ございました、強姦又は強制わいせつの者が。したがいまして、五百六人のうち二割ということですね、これは先ほど申した数字でございます。そのうち二回あったという者が一四・四%でございます。それから、三回あったという、その前にもまたあったというのが三五・四%でございまして、二つ合わすと二割ぐらいな数字になっておると、こういうことでございます。
  283. 小林正夫

    ○小林正夫君 最近の事件を見ていますと、再犯という言葉が目に付く、こういう事件が多いというふうに思います。今大臣の方から報告があったとおり、二回、三回、四回、同じような事件を起こす、非常に割合的には大きくなっている、このように思います。だからこそ世の中の人たちが不安を持っているということになると思います。  そこで、法務大臣にお聞きをしたいんですけれども、法務省として、子供を性犯罪から守りたいという、こういう地域あるいは社会の要請に対して再犯防止の強化について考え方、お聞かせ願いたいと思います。
  284. 南野知惠子

    国務大臣南野知惠子君) お答えを申し上げます。  本当に昨今は幼い子供が被害に遭うような痛ましい事件が続いております。そういう犯罪に対しまして、法務省といたしましては、今先生お尋ねでございますが、国民の不安な気持ちを受け止めまして、このような痛ましい事件を少しでも少なくすることが喫緊の課題であるというふうに考えております。それによりまして次の施策を実施することといたしました。  第一に、性犯罪者に対する適切な対策を講じるための基礎、まず基礎としてのデータでございますが、性犯罪者の実態また再犯の状況などに関するデータを把握して多角的な検討を求めてまいりたいという、進めてまいりたいと思っております。  第二番目といたしましては、具体的な施策でございますが、これは三つの柱を立てました。その三つの柱に従ってやってまいりたいと思いますが、一つ目は、犯罪者に対する処遇の充実強化でございます。  まず、精神医学、心理学等の専門家の協力をいただきまして、施設内処遇、社会内処遇の両面における科学的、体系的な犯罪防止のプログラムを策定していこうと。そのほかに、行刑施設におきましては、心理専門官、心理技官を活用するとともに、民間カウンセラーの導入を行うなどして、処遇方法又は処遇体制を整備してまいりたいと思っております。  また、受刑者につきましては、近く提出を予定しております法案におきまして、その者にふさわしい矯正処遇を受けること、これを義務付けようというところでございます。保護観察対象者につきましても、教育処遇を受けることを遵守事項として定める運用を進めてまいりたいと思っております。  二つ目でございますが、これは犯罪者の社会復帰を円滑に実現するための支援体制でございます。それを強化してまいりたいと思っておりますが、勤労の意欲がある者に職を提供するため、国民の皆様の御理解、御協力を得て、犯罪者の更生に協力していただける雇用主、その雇用主をより多く確保するということに一つのポイントを置きたいと思っております。  三つ目は、犯罪の取締りを実効的に行うための情報の共有でございます。当省が有している情報でこれに役立つものにつきましては、犯罪者の改善、更生にも配慮しながら、関係当局に積極的に提供していきたいというふうに思っております。  それぞれの施策につきましては関係省庁の各協力が不可欠なものが多うございますので、その必要性を理解していただけるように努めるとともに、他省庁から協力を求められる事項がございますれば当省としてできる限りの協力をして、そのような体制を取っていきたいと思っております。
  285. 小林正夫

    ○小林正夫君 この性犯罪者に対する特効薬的なものはないと思います。したがって、今大臣おっしゃったようなことをしっかりやっていく。むしろ、今までそういう政策をやってこなかったことに私は大いなる政府の責任があるんだと思うんです。したがって、そういう問題に対して、世の中が安心して暮らせるようにきちっとその施策を実施をしてもらいたいことをお願いをしておきたいと思います。    〔委員長退席、理事若林正俊君着席〕  さらに、お尋ねいたします。  先週の土曜日の読売新聞の記事に、更生保護施設の過半数が性犯罪者の再犯罪前歴者を拒否という記事が出ておりました。その調査によりますと、今回の調査は男性を受け入れている全九十四施設を対象に調査をしたところ八十八の施設から回答があり、性犯罪前歴者を受け入れていないとしたのは五十三施設で、回答した施設の六割を占めるとありました。そういう方を入居拒否している理由としては、更生の難しい性犯罪と一般刑法犯の前歴者を同時には扱えない、二つ目としては、性犯罪は犯罪そのものが目的で、刑務所での矯正は困難、入所中に事件を起こされたら地域から非難され、施設の存続が危うくなる、こういう記事が出ておりました。  私は、更生保護施設は頑張って今日までこういう方が本当に更生するようにやっているんだと思うんです。政府が、再犯に向けた支援体制が今まで私は不十分だった、この表れじゃないかというふうに思うんです。政府は、再犯に向けた支援体制、また更生保護施設の今のような実態をとらえて、どのような対策、どのようにこれから進めていくのか、大臣考え方をお聞きしたいと思います。
  286. 南野知惠子

    国務大臣南野知惠子君) 本当に先生の御心配、共有できるものかなというふうに思っておりますが、私は先日、更生保護施設を訪問して拝見してまいりました。誠に御苦労の多い大変な作業に従事しておられる、もうそれに敬服するというところはございました。  更生保護施設といいますと、地域の理解と協力の下にすべて民間法人が運営していただいております。性犯罪者に対する地域社会の厳しい感情、それを配慮をしながらしていかなければならないということに、職員全体が必ずしも十全ではない、そういったことも、職員体制がですね、必ずしも十分でないなどから性犯罪者の受入れに消極的になっている面があった。これはもう事実であり、実情も察知できることかなというふうに思っておりますが、先般、性犯罪者に対する多角的な調査研究、それから受刑中及び保護観察中の処遇プログラム策定等、緊急的対策の実施を決定いたしました。これを迅速確実に推進することが重要なことであると認識いたしております。  各更生保護施設を所管している保護観察所では、入所者に対する保護措置や処遇方法などにつきまして常時更生保護施設と協議を行っているところであり、今後とも様々な形での支援を強化してまいりたいと、努力していきたいと思っております。
  287. 小林正夫

    ○小林正夫君 更生保護施設への支援、これもやはり私は政府の責任だと思います。今の実態がこのようになっているということを踏まえて、やはりいい世の中にするためにしっかり対策を取ってもらいたいと、そういうことをお願いしておきたいというふうに思います。  続きまして、侵入犯罪の防止について国家公安委員長にお尋ねしたいというふうに思います。  要は、住宅、自分の家にいても安心ができないと、こんな世の中になってしまっていると思います。家に強盗に入る、また一家全員が殺されてしまう、もう大変悲惨な事件が後を絶たないというふうに思います。  侵入犯罪の発生件数と特徴について、まずお聞きをしたいと思います。
  288. 村田吉隆

    国務大臣(村田吉隆君) 侵入犯罪でございますが、最近の刑法犯の認知件数は、十五年、十六年と、十五、十六年と前年比で減少いたしました。とはいえ、私どもは、昭和の段階、治安のいい状況と比べるとまだまだ、認知件数が二倍となっておりますから、犯罪情勢、治安情勢は非常に重要な状態にあると私どもは思っておりますが、この侵入犯罪を今御質問でありますので、数字を御報告申し上げますと、侵入強盗と侵入窃盗、住居侵入と、これを集めまして、侵入犯罪でございますが、平成十六年の認知件数は三十三万件でございまして、前年に比べましてこれも約四万五千件、一二・〇%、十六年は減少いたしました。  しかしながら、一年だけ減ったわけでございますし、かつまた、その中でも住居に侵入するカテゴリーですが、お店とかそういうのを別にしまして、住居だけ取った侵入犯罪は、住宅侵入犯罪は七・三%の増加でございます、残念ながら。そういう意味で、まだまだそうした侵入犯罪に対する情勢は大変厳しいものという、私どもは考えております。
  289. 小林正夫

    ○小林正夫君 そこで、私も地域で生活をしていますと、警察のパトロールカーが地域を回ってくれたり、あるいは交通協会の人たちの車が回ってくれたり、本当にそういう形を見ると安心ができるんです。  そういう中で、警察官を増やしていこうという考え方があると思います。平成十七年度から取り組むと、このように聞いておりますけれども、具体的に何年掛けて何名ぐらいの警察官を増やしていくのか、それと、その増やした警察官はどういうところに重点的に配置をしていくのか、このことについてお聞きをします。
  290. 村田吉隆

    国務大臣(村田吉隆君) ただいまの御質問にお答えする前に、先ほど住宅への侵入犯罪というふうに申しました。侵入強盗というふうに訂正させていただきます。  今の、ただいまの御質問でございますが、増員計画は平成十七年度を含めまして今後三年間をめどに一万人を増員させていただきたいということで、初年度の十七年度は三千五百人がこの予算案に盛り込まれていると、こういうことでございます。  この中でどういうふうに振り向けるかということでございますけれども、特に重要凶悪事件捜査の強化とか、それから来日外国人組織犯罪捜査の強化、それから街頭犯罪対策の強化、これ、この中には地域警察官の街頭犯罪対策のパトロールを強化するということも入っておりますが、そういうこと。それから、凶悪粗暴少年事件捜査の強化、歓楽街における犯罪対策の強化、大規模テロ対策の強化ということでお願いしたところでございます。この増員の、増員の分のうち約四割が地域警察官ということでございますので、制服を着た警察官として犯罪捜査等に充てられるというふうに考えております。もちろん交通対策も入っております。
  291. 小林正夫

    ○小林正夫君 十七年度から具体的にどのぐらいの数を増やしていくのか、お聞きをしたいと思います。
  292. 村田吉隆

    国務大臣(村田吉隆君) 失礼しました。先ほど三割というところを四割というお答えしたそうでございまして、それは訂正、おわびして訂正させていただきます。  三割地域警察官を増やすと、こういう計画でございまして、この一万人の増員計画でございますが、今後ですね、今後、財政状況もございますので、毎年度予算状況によりまして変わると思いますが、一応初年度三千五百人ということで十七年度には増員をお願いしているということでお答えをさせていただきたいというふうに思います。
  293. 小林正夫

    ○小林正夫君 先ほど言ったように、地域から見れば、お巡りさん、警察の方が巡回をしてくれたりパトロールで回ってくることが安心感を与える、こういうことだと思います。したがって、一万人ぐらい計画であると、十七年度は三千五百人だと。その後、年数を掛けて一万人にするんでしょうけれども、私は、早い段階で、早く警察官を増員して地域のそういうところに配置をしていくことが必要だと思いますけれども、どうでしょうか。
  294. 村田吉隆

    国務大臣(村田吉隆君) 私ども、今の犯罪の治安の状況を考えたときに、足りない警察官を増員するということは、大変先生の御指摘は有り難いわけでございますが、先ほども申しましたように財政状況もございます。それから、それからもう一つは、やはり質の高い警察官を補充したいということでございまして、そういう意味で、今後の警察官の退職、大量退職がこれ予想されますので、その状況もにらみながら、かつまた質の高い警察官を募集するということの可能性というものも併せながらこの一万人計画というものを達成していきたいと、こういうふうに考えているわけでございます。
  295. 小林正夫

    ○小林正夫君 予算、確かに今国の税収含めて大変厳しくなっていることは認識していますけれども、予算が厳しいからこそ工夫して、政治は本当に困っているところに手を打っていくということが私は政治だと思うんです。是非そういう方向で取り組んでもらいたいと思います。  もう一点、地域とのかかわりでは、やはり情報をどう流していくのか、あるいは地域の情報をどうとらえていくのかというのは大変大事なことだと思います。駅にもいろんなポスターが張ってあったり、あるいは警察からのお知らせというものが張ってあることをよく目にします。  もう最近コンビニのお店が非常に多いものですから、そこに人が随分集まります。ある方がコンビニは昔の駄菓子屋さんみたいなものだと、こういうふうに感想を漏らした方がいらっしゃいましたけれども、それぐらい多くの人がコンビニに集まってくるという実態があると思うんです。ですから、コンビニに掲示板を作って、そこで情報発信をしたりあるいは情報をもらうという、この施策が私は必要だと思いますけれども、このことについてどうですか。
  296. 村田吉隆

    国務大臣(村田吉隆君) もう一度戻りますが、委員が警察官を早く増員せよという、こういう御指摘をいただきまして、本当に財政事情が厳しい中で今年も三千五百人の増員を認めていただいたということは、私どもとしても大変感謝している次第でございます。  しかしながら、私ども、地域あるいは今の犯罪情勢というものにこたえていかなけりゃいけないということで、できる限り今の現員でもってそうした要望にこたえたいと思っております。その意味で、いろんな意味地域の力をかりるということも必要でございまして、私どもはいろんな形でもって、一つは犯罪の発生状況地域住民に知らせるということ、これが必要であるし、それから防犯対策に対する情報も提供するということが必要だというふうに思います。  私が住んでおります港区の地区で、新聞折り込みで各町ごとに何々町一丁目とか二丁目、それで犯罪の種類別にこの一か月に何件起きたというような情報を警察署から紙にしたやつが回ってきまして、私それを読みましてこれはとてもとてもいいなと、犯罪の発生状況の情報の提供としては大変いいといってすぐさま私も褒めたわけでございますが、それと同じように、コンビニも、今先生がおっしゃるように、本当に地域の情報あるいはたまり場として、情報提供の場として私どもも活用したいというふうに考えておりまして、先生がおっしゃるように、電光掲示板みたいなのが出ておりますので、そういう意味ではもう既に御協力得られるところはそういうメディアといいますかツールを利用させていただきまして、犯罪情報とかあるいは防犯対策というものを広報させていただいているということでございます。  何よりも地域のボランティア、町内会の方とかそういう方と協力しまして、防犯対策あるいは防犯、犯罪情報の共有というものを広めていくということが本当に防犯に強い社会をつくっていくためには私は必要ではないかというふうに思っておりますので、先生の御指摘は本当に有り難い御指摘だというふうに考えております。
  297. 小林正夫

    ○小林正夫君 法務大臣にお聞きをいたします。  先ほど、性犯罪者が何回も繰り返し事件を起こしている、そのほかいろんなことを見てみると、地域の方から刑量が軽過ぎるんじゃないか、もっと重い罪にして、要は、本当に更生したかどうか確認して世の中に出てくるには刑量軽いんじゃないだろうかという声も、そういう声もよく耳にすることがあります。犯罪防止に対して、外国人の方の事件も多い、家にいても強盗が侵入してきて一家が殺されちゃう、こういうことに対して法的な見直しというのを考えているのかどうか、お聞きをしたいというふうに思います。
  298. 南野知惠子

    国務大臣南野知惠子君) お答え申し上げます。  先生のお気持ちは十分分かります。いろいろと刑量については我々も検討しているところではございますけれども、判決が重いのか軽いのかということについては、私の立場からはちょっと申し上げられない、そういう案件でございますので、よろしく。
  299. 小林正夫

    ○小林正夫君 性犯罪者が、先ほど言ったように、何回も何回も同じような事件を起こしている、このことに対して何か法的にもっと考えるところがあるんじゃないかと思うんですけれども、この辺いかがですか。
  300. 南野知惠子

    国務大臣南野知惠子君) お答えを申し上げようと思っているんでございますけれども、中身としては大変難しい課題でございます。そういうことに関しましては、先ほども申し上げましたが、基礎的なデータを取り集めながら、またそれについてどのように量刑を考えていくのかということもあろうかというふうに思いますので、今私の一存で、いや、こうしようこうしようということはちょっと申し上げられかねるということでございます。
  301. 小林正夫

    ○小林正夫君 もっとこの問題について話もしたいんですけれども、ちょっとほかの質問も考えておりますので、また別な機会でこの話については行いたいと思います。  北側国土交通大臣にお聞きをしたいというふうに思います。  もう端的に、公園がなかなか遊びにくい公園になってしまっていると、こう私は思います。不幸にして、昨年の四月に回転式遊戯で指をけがした、こういうお子様があり、それから以降、回転遊具を点検して、危険あるいは点検が今までされていないところはどちらかというと公園から引き揚げてしまうと、こういう状態に今公園があると思うんです。引き揚げて、新しい安全なそういう遊具が入ればいいんですけれども、どうも地域の実態見ると撤去のしっ放しと、こういう状態になっているんじゃないかと思うこと。  それともう一つ、先日、不幸にしてキャッチボールをしていて見ていたお子さんの胸にボールが当たって亡くなってしまった。これも大変かわいそうな事件、事故だというふうに思います。そういうのを考えていくと、先ほど言ったようになかなか公園で遊びにくいと。また、公園に遊びに行っても回転遊具が置いていないということ、そうなってくると、自然と自宅に行って自分一人でテレビゲームなどをやるという時間が長くなっていくというふうに思うんです。  私たち、今日までの生活なんか振り返ってみますと、要は遊ぶことが子供を成長させていくと、もうこのことに間違いないというふうに思います。遊びの中でいろいろ体験をしたり、お互いでルールを勉強し合ったり、あるいは小さい子の面倒を見たり、あるいは我慢をすることを覚えていく。もうすべて表でみんなでわいわい遊ぶ中からそういうものがはぐくまれてくる、私はこのように思うんです。  だから、そういう中でその回転遊具の問題なんですけれども、どうも行政の方が、そういう回転遊具がない方が事故にならないので置かない方がいいんだというような、気持ちが引けている状態が私はあるんじゃないかと思うんです。このことに対してもう大臣自ら陣頭指揮を執って、日本じゅうの公園で子供たちが楽しく遊べるような公園にしていくという、こういう話をお聞きをしたいと思いますけど、どうでしょうか。
  302. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 委員の御意見に全く私も賛成でございます。やはり子供のときにいろんな遊びを通して、そこには当然危ないことというのはございます、小さなリスクというのはございます。そういうのを通して子供たちは、これは危ないんだな、これは危険なんだな、またそういう危険を回避するためにはこうしなければならないんだな、そういうことを覚えていくわけでございまして、そういう意味ではそういうのから遠ざけてしまうということは必ずしも子供にとっていいとは私も思いません。  是非、今委員がおっしゃったように、公園管理者の方々が事故対策に過敏になる余りに、子供が自由に遊ぶ空間や、また遊びを通していろんな冒険とか挑戦をする、そうした、そういうことができるような可能な遊具が撤去されることというのは望ましくないというふうに考えております。  ただ、一方で安全面というのはやっぱり確保する必要がありますので、そういう遊具の構造とか施工とか維持管理とか、そういうものが不備に、不備があるものもございます。そういうものはきちんとやはり点検をしていただく必要があるわけでございますが、今申し上げましたように、そういうことに余りに過敏になるのではなくて、むしろその子供が判断できる危険性と、子供が子供の目で判断できる危険性と、そうではない、子供ではなかなかその危険は判断できないよというものをきちんと区別して公園管理者がその安全確保を図っていくということが大切なんだろうというふうに思っております。  これまでも国土交通省は、こうした遊具の事故というのは起こっておりましたので、今私が申し上げましたような趣旨で、都市公園における遊具の安全確保に関するガイドラインというものを自治体の方に徹底をしているわけでございますが、更にその趣旨を周知徹底を図ってまいりたいと思っております。
  303. 小林正夫

    ○小林正夫君 是非、積極的な気持ちをみんなが持って、子供たちが本当に安全で楽しく遊べるような公園造りをしてもらいたいと、こういうことをお願いをしておきたいというふうに思います。  次の質問に移ります。  重度要介護者の施設の入居について厚生労働大臣にお聞きをしたいというふうに思います。いろいろお聞きをしたいことがあるんですが、法案も一杯出てきますので、厚生労働委員会で原則的にはいろいろやらしてもらいますけど、ここで聞きたいのは、この高齢者要介護者の施設入所、要は入所待ちの人が私は一杯いるんじゃないかと思うんですよ。  私の経験からいっても、私の母は今九十歳で介護認定五なんです。在宅介護も経験をしました。それと、三か月ごとに実は移らなきゃいけない、施設を移らなきゃいけないということも何年も経験してきました。それと、特別養護老人ホームに入るのに申し込んでからずうっと待った、こういう経験もしてきました。  私、そういう間に何が一番つらかったのかというと、やっぱり在宅介護なんです。在宅介護の限界というのを感じたときがあったんです。それは、症状がまだ浅いときには一緒に生活ができてきましたけれども、途中から、やはりそういう状態になってきた自分の母を見ていますと、やはり衰えていく母の受入れ、こういう気持ちの問題、それと自己嫌悪に陥るということなんです。まあ余り言っちゃいけないんですけれども、母がいなくなっちゃった方が私の生活楽になるんじゃないかな、心の中で思うときがある。でも、子供としてそんなこと思っちゃいけないというからそれを否定する。結局、自己嫌悪の繰り返しなんです。だから、私は、在宅介護で最後まで自分が育った家で生活ができるということが一番望ましいのかもしれないけれども、介護する側に私は限界があるということを自分の体験から経験をしたんです。  ですから、お金がなくて大変な時代なんだけれども、今回の法案の中でも、介護に対しては予防介護、こういう言葉も出てきますけれども、予防と聞くと否定ができない言葉なんで、それはそれでということになるんですが、予防介護の裏に、本当に真に困ったこういう人たちの施設を造らないとか、これからは箱物を造っていかないだとか、そういうことが隠れているんだったら、私はこの政策は間違えているんだと思うんです。  だから、そういう意味で、この一点に絞ってお聞きをしますけれども、この高齢者重度要介護者、この人たちの受入れ施設、今後もちゃんと造ってもらいたいと。私は、昭和二十二年の生まれですから団塊の世代なんですよ。この私たちがこれから二十年、三十年、年を重ねていきますから、当然肉体的な衰えも出てくる。そういう時代に入っているわけですから、是非このことは頑張ってやってもらいたいと思いますけれども、また政府の責任だと思いますけれども、いかがでしょうか。
  304. 尾辻秀久

    国務大臣(尾辻秀久君) 先生が御自身の体験から大変重い話をしていただきまして、そのことはしっかりと受け止めさせていただきたいと思います。そして、簡単に私たちは在宅、居宅サービスを重視したいとかと言いますけれども、そういうことを余り軽く言っちゃいけないということも今改めて先生のお話を伺いながら感じたところであります。  質問に対しては端的にお答えを申し上げます。  もう高齢化がこれだけ進んでいる中でございますから、在宅サービスにしろ施設のサービスにしろ、必要なサービスはちゃんと整備をしてまいります。
  305. 小林正夫

    ○小林正夫君 お手元に「要介護別のサービスの利用状況」という、こういう資料も用意をさせていただきましたけれども、介護認定の四とか五とか、本当にこの人たちが、在宅で介護する側が頑張りきれない、もう限界なんだというときがある場合にはこういう方がちゃんと受け入れられるような、こういう世の中にしてもらいたいというふうに思います。  最後にもう一つだけ。この入居待ちの人たち、この数をどういうふうに把握されていますか。
  306. 中村秀一

    政府参考人(中村秀一君) ただいま先生から御質問のありました入居申込者でございます。  特別養護老人ホームの入所申込者につきましては、都道府県で調査をいたしておりまして、私ども昨年秋に都道府県の方からその調査結果を取り寄せまして集計いたしましたところ、三十三万八千人が現在の数でございます。ただし、実は幾つかの県で調査されていない県があるということと、調査されている県の中にはお一人の方が数か所申込みされている、その申込数について名寄せをしてないような県もございますので、必ずしもこの三十三万八千人という方が実数ということではございません。  それから、先生から資料を出していただきました要介護度別の資料がございますが、施設に申込みされた方の六割以上が実は要介護三より介護度が低い方であるというようなこと、それから、どこで待っておられるかということを調査した県もございますが、二十九の県でそういう調査をしておりますが、今先生からお話がありましたけれども、そのときには六割くらいの方が御自宅以外、つまり病院とかそういうところにおられて特別養護老人ホームの入所を希望されていると、こんなような結果が出ております。
  307. 小林正夫

    ○小林正夫君 今の問題は高齢社会の一番大きな課題だと思いますので、もう是非、これ、お金があってもなくてもやらなきゃいけないことですから、政府がしっかり取り組むことをお願いしておきたいと思います。  次に、環境対策と省エネルギー教育について、環境大臣にお聞きをしたいというふうに思います。  二月の十六日の日に京都議定書が発効しました。我が国にとっては、産業界のみならず国民各層が本当に頑張って対応していかなきゃいけないというふうに思います。エネルギーの供給と、需給の両面からの対策が必要だ、このように思います。  エネルギーの供給面では、CO2を排出をしない原子力開発の推進等、供給安定に優れた石炭の高効率利用のための技術開発が必要だと、このように思います。エネルギーの需要面では、大きなエネルギー消費を伸び、大きなエネルギー消費の伸びを見せている民生部門に対していろいろ技術開発をしていかなきゃいけないと。一を投入エネルギーに対して、一を投入したエネルギーに対して三以上の熱エネルギーを取り出せるというヒートポンプ技術などの技術開発、あるいは省エネルギーの意識涵養のための環境・エネルギー教育の強化が私は必要だと、このように申し述べておきたいと思います。  そこで、時間の関係もありますので、もう端的に質問します。  地球温暖化の対策ですけれども、第二の約束期間に対する交渉は遠からず始まると思います。要はアメリカ、大国をやっぱり入れなきゃしようがないんだと思うんです。引き続きアメリカに対して参加を強く求めていくということと、国内対策の展開と、今言ったアメリカ対策を含めて諸外国に対する今後の国際的な枠組みをどう構築していくのか、お聞きをしたいと思います。
  308. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) エネルギー産業の御代表ということで、環境問題にはとりわけ御関心がお強いということを、まず敬意表したいと思います。  おっしゃいますように、先月の十六日に京都議定書が発効したということで、日本、我が国にとりましては九〇年に比べて六%の削減をしなければならないんですが、最新値で一四%、八%増えておりますので、合わせて一四%ということでございます。  まず、国内的でございますけれども、先ほど先生幾つかの項目を述べられました。一言で言えば、ありとあらゆる政策、施策を取っていく必要があるのではないかということで、今、目標達成計画を、先ほどおっしゃいましたような技術開発もそうでございますし、温室効果ガスの排出抑制対策、それから吸収源対策、京都メカニズムなどを活用する、正にありとあらゆる政策を盛り込みまして、ただいま目標達成計画を製作中でありまして、今後四月から五月にかけましての時点で閣議決定できるように今鋭意努力しているところでございます。  それで、国内はこういった形でもう着々と進めていかなければならないということと、それから、御指摘のように、この後、京都議定書のポスト京都と言われておりますけれども、もう既にそういった段階にも入りつつある。  この来週でございますけれども、G8が今年はイギリスが議長国でありまして、そして来週には環境大臣会合がロンドンで開かれることになっております。そうした会議の場におきまして、公式な会議もいたしますけれども、そのほかの文字どおりのロビーイングといいましょうか、そういったところでのいろんな接点を生かしていきたいとも思っておりますし、また、特にアメリカ、それからオーストラリアもそうでございますけれども、こういった国々に対しては粘り強く働き掛けを続けると同時に、例えば日米のワークショップなども開いております。そういったところのチャネルをこれからも活用してまいりたい、このように思っております。  それから、御質問にはございませんでしたけれども、例えば中国、そしてインドへの働き掛け、こういったことも含めまして、ポスト京都ということを視野にした活動を続けてまいりたいと思っております。
  309. 小林正夫

    ○小林正夫君 文部科学大臣にこの関係でお聞きします。教育の問題です、エネルギー教育の関係。  エネルギー基本法の中で、エネルギーと環境に関する学校教育について示されております。資料も用意をさせてもらいました。  現在、学校教育の中でこのような教育がどのように行われているのか、お聞きをします。
  310. 中山成彬

    国務大臣(中山成彬君) 学校教育におきまして、この環境の問題、省エネの問題、ずっと関心を持ってやってきているわけでございますが、特に、今次の学習指導要領におきましては環境とかエネルギーという言葉がたくさん出てまいりますが、正にこれからの子供たち、先ほど言われましたけれども、民生的に、いかにして省エネをやっていくかということ。そしてまた、この子供たちが将来大きくなったときにその省エネ、環境関係のいろんな技術開発をやってもらいたい。それには理科大好きな授業もしなきゃいかぬわけですけれども、そういったことで、私、見せてもらいましたけれども、学習要領に、その発展段階に応じて、小学校、中学校、大学で、本当にいろんな様々な形で盛り込まれているということを知りました。それから、総合学習の時間も一番そういう意味じゃこれ、向いているんですね、環境とか省エネの問題、これも学校で様々な取組が行われているということでございます。  私は、やはりこの世に生きていくということは限りある地球の資源を使っているんだということと、やっぱりいい生活をすればするほど地球を汚しているんだと、そういうことを小さいころからやっぱり子供たちにしっかり植え付けていくということが一番大事じゃないかと思っておりまして、この環境教育、省エネ教育には一層今後とも取り組んでいかないかぬなと、このように考えておるところでございます。
  311. 若林正俊

    ○理事(若林正俊君) 時間でございますので、おまとめをください。
  312. 小林正夫

    ○小林正夫君 是非、環境問題、大変な大事な問題で、みんなで地球を守っていこうと、こういうことですので、取組を進めていただきたいと思います。  厚生労働大臣に労働災害撲滅に対するお話も聞きたかったんですが、時間の関係で、また厚生労働委員会の中で発言をさせてもらいたいと思います。  終わります。    〔理事若林正俊君退席、委員長着席〕
  313. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 以上で小林正夫君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  314. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 次に、福本潤一君の質疑を行います。福本潤一君。
  315. 福本潤一

    福本潤一君 公明党の福本潤一でございます。私も、委員長、農水大臣政務官やっておりましたので久しぶりに予算委員会質問させていただきますので、よろしくお願い申し上げます。  今回は四本の柱で質問させていただきますけれども、バイオマス、また水政策、さらには南海・東南海地震対策、領土保全の大陸棚問題、この四点質問させていただこうと思います。  最初に、バイオマスについてお伺いしたいと思いますけれども、循環型社会形成推進基本法、これ議員立法で進めて、施行されてもう三、四年たちます。さらに、地球温暖化の対策、国会で議論されまして、先ごろ、二月十六日には京都議定書が発効されると。その発効の記念行事に昨年のノーベル平和賞のワンガリ・マータイさんが来られて、様々な我々にも刺激になるようなお話をされておりました。日本でも我が党の浜四津代表代行を始め、総理も、また北側大臣ともお会いしたようでございますけれども、テレビ出演もされていっておられた。  その中で特に訴えられたのが、日本のもったいないという文化の重要性、これを訴えられていました。特に、アフリカに三千万本という植樹をしてグリーンベルト運動がされた、その表彰としてノーベル平和賞をいただいたということでございます。農水大臣、これ農水省にも大変大きくかかわる話を進められて、ノーベル平和賞として顕彰されたということでございます。そこで言っておられたのが、もったいないという文化を世界の合い言葉にというふうに言っておられたわけでございます。この言葉聞かれて、農水大臣、どのような感慨を持たれたか。日本の伝統文化でございます。
  316. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) 実はマータイさん、私どもまでお訪ねいただいて親しくお話をさせていただきました。  グリーンベルト運動をなさって、言わばアフリカの大地に緑を増やそうと大変な御努力をいただいて、女性として初めてのノーベル平和賞。なるほどすばらしい方だなと思ったのが、今もったいないという言葉の指摘です。日本に来て大変すばらしい言葉を学びましたと冒頭切り出されて、それはもったいないという言葉ですと、私は国へ帰ったら早速この言葉を広めたいと、こんなお話でした。  私は、とっさに感じたのは、子供のころ、しごきにしごかれて植え付けられた質実剛健の精神、今いずこでありますが、私はむしろアフリカの女性にそういうことを教わったことを恥ずかしいと思ったくらいであります。  最近、委員もお感じになっていると思いますが、例えばうれしいとか楽しいとか有り難いとか、あるいは、あれですね、すばらしいとかおいしい、あるいはおかげさまで、こんな言葉が聞きたくてもおよそ聞けない世の中になっていますよね。それをむしろずばりつかれたような思いがいたしましたけれども、やはり日本人というのは、繁栄も結構ですけれども、やっぱり本当の幸せというのはかみしめて初めて幸せなので、そういう、マータイさんの御指摘じゃありませんが、もう一度日本人であることの基本に立って、そういうことをかみしめることも必要なのかなと教えられた思いがした次第であります。
  317. 福本潤一

    福本潤一君 この循環型社会の概念、よく総理も言われますけれども、三Rプラス発電という言い方されますけれども、それ以上に、捨てるとか、捨てるより生かすという話以上に、もったいないという言葉、かなり日本の伝統文化を世界に宣揚したいというぐらいのお話でございますので、今後その意識も持って、この今回質問させていただいているバイオマスにも取り組んでいただければと思います。  このバイオマス、生物資源総体、これをエネルギー源として利用可能するとどれぐらいいくのかということを検討しておる学者から聞きますと、水力とか新エネルギー、再生可能エネルギー全量に匹敵するポテンシャルを持っている。持っているけれども、現実には未活用。  このバイオマスを今後世界的に、特に欧米では相当進んでおりますし、私もブラジルにこのバイオマスの視察にまで行ってまいりましたけれども、大変国として熱心にやっておられる。  そこで、我が国と諸外国におけるバイオマスエネルギーの導入状況、現状はどうなっているかと、これをお伺いしたいと思います。
  318. 小平信因

    政府参考人(小平信因君) バイオマスエネルギーの利活用でございますけれども、これは太陽光発電や風力発電と並びまして、新エネルギーの一つといたしまして、エネルギー安定供給の確保、地球環境問題への対応を図る観点から、その開発、導入を積極的に推進することが重要であると考えております。  我が国の一九九九年度の廃棄物を含みますバイオマスエネルギーの導入状況は原油換算で約五百八十万キロリットルとなっておりますが、これは新エネルギーに水力、地熱を加えました再生エネルギー、再生可能エネルギーの約二割となっております。  外国の状況でございますけれども、同じ年の諸外国におけますバイオマスエネルギーの再生可能エネルギーに占めます割合、アメリカにおきましては約七割、EUにおきましては約六割、スウェーデンでは五割というふうになっております。
  319. 福本潤一

    福本潤一君 アメリカの比率、また日本の比率言っていただきましたけれども、全体総量の中では日本は大変小さい値になっております。  日本のバイオマスエネルギーの導入量の自然エネルギーにおける割合は、五%の中の今のパーセント。さらに、アメリカの方はもうバイオマスエネルギーの割合が大変、元々ある中の割合としては同じような量としても、かなり大きいと。スウェーデンに至りますと、もう国の三四%はバイオマスエネルギーを使っているということでございますので、この点含めて、今後日本で、二〇〇二年の十二月にバイオマス・ニッポン総合戦略をうたっておりますので、これから欧米並みに目標値を設定したらどうかというふうに思いますけれども、具体的にその点どういうふうに考えておられるか、よろしくお願いします。
  320. 小平信因

    政府参考人(小平信因君) 新エネルギーに水力、地熱を加えました再生可能エネルギーの導入目標でございますけれども、これは総合資源エネルギー調査会の需給部会、二〇三〇年のエネルギー需給展望の最終取りまとめにおきまして、二〇一〇年度原油換算で約四千万キロリットルというふうになっております。  そこで、二〇一〇年度の廃棄物を含めましたバイオマスエネルギーの導入量につきましては、この目標達成の目安といたしまして約千三百八十万キロリットルというふうにいたしておりまして、先ほど申し上げました再生可能エネルギーの導入目標の約三五%をその目標といたしているところでございます。
  321. 福本潤一

    福本潤一君 これ、誘導政策がないと、なかなか潜在的にはあっても進まないということがございます。  ブラジルでは、もうガソリンといいますと、その中の二五%はもうアルコールが、バイオディーゼルフュエル入れてE25、アメリカでもE10と。石油がたくさん持っている国ですらこういう状態でございます。  日本では、揮発油品質確保法が三%まで許可するということで、入れることを許可しましたけれども、まだまだ義務、国策としてやっているわけではございません。これは、税金問題も含めて大変これに対する誘導政策必要かと思いますが、財務大臣、少しこの質問、検討していただけないかということを、若干急ですが投げさせていただきます。
  322. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 突然のお尋ねですので十分お答えする準備がないんですが、今後、関係大臣とよくまた調整をさせていただきたいと思います。
  323. 福本潤一

    福本潤一君 このバイオマス誘導政策の予算案、これ具体的にどうなっておるわけでしょうか。
  324. 坂野雅敏

    政府参考人(坂野雅敏君) 予算でございます。  バイオマスの利用につきましては、平成十四年十二月に閣議決定されましたバイオマス・ニッポン総合戦略に基づき推進するとするところであります。  平成十七年度において、農林水産省では、地域のバイオマスを総合的かつ効率的に利用するためのバイオマスの環づくり交付金の創設など、対前年比二五%増の約二百七十八億円を見込んでおります。  また、各省庁におきましても、バイオマスについての技術開発や施設整備などが盛り込まれております。具体的には、経済産業省ではバイオマスエネルギーの利用技術の開発や実証試験、利用設備の導入促進を、また環境省ではリサイクル施設整備の支援、地球温暖化防止対策推進などについてでございます。
  325. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) 私にも御指名ございましたので、お答え申し上げます。  今、細部につきましては、技術総括審議官から御答弁申し上げたところですが、農林水産省といたしましては、平成十七年度におきまして省内のバイオマス関係予算、これを全部一本化いたしまして、今お話が、申し上げたようなバイオマス環づくり交付金として設けたところであります。  この交付金におきましては、助成のメニュー間、地区間あるいはこの配分、融通等についてはもう全部地方自治体にお任せすると、そして同時に、採択の段階で国は事業の細部には立ち入らずに成果目標だけをチェックすると、こういうふうに改めたところであります。  こういった言わば結果、地方自治体の自由度が高まる措置が講じられたわけでありますから、地方自治体を通じて民間の事業者の自由度も高まると考えられますし、また一方、関係府省の局長級で構成するバイオマス・ニッポン総合戦略推進会議などを活用して、各府省のバイオマス関係予算が連携を取って執行されるという意味で更に効率を増すと、そう期待しているところでございます。
  326. 福本潤一

    福本潤一君 これも農水省主導でバイオマス・ニッポン総合戦略を立てたところでございますので、これ各省庁の縦割りの中で様々な省庁かかわってくるということでございますので、是非ともこの省庁間の連携、これに関しても農水省、主導的に頑張って対応していただければと思います。  さらに、科学技術連携施策群という予算が今回組まれております。その中でバイオマス活動、この取組はどのようにしておられるか、棚橋担当大臣、お願いいたします。
  327. 棚橋泰文

    国務大臣(棚橋泰文君) お答えをいたします。  委員御指摘のように、バイオマスの利活用は大変重要なものでございまして、特に循環型社会の形成、あるいは地球温暖化対策等の観点から、総合科学技会議で決定いたしました平成十七年度の資源配分方針等でもこの重要性を指摘したところでございまして、バイオマスの利活用に係る研究開発については、農林水産省あるいは経済産業省など六府省において実施しているところですが、正に府省間の連携強化が非常に重要で不可欠だというふうに理解しております。  その観点から、総合科学技会議では、一連の連携強化を図るために創設いたしました科学技術連携施策群、このテーマといたしましてバイオマス利活用を取り上げ、研究開発の効果的かつ効率的な推進を行うこととしておりまして、バイオマスの利用に係る研究開発につきましては、バイオマス・ニッポン総合戦略推進会議、これとも協力を図りつつ、総合科学技会議がリーダーシップを発揮して、おっしゃるように関係省庁、関係省連携をしながら科学技術連携施策群の中で縦割りを排して積極的に進めてまいりたいと思います。
  328. 福本潤一

    福本潤一君 科学技術の面でございますが、と同時に、今回の予算案の中にも施策群という形で省庁の連携立っているようでございます。「木材利用の推進による環境と人にやさしい社会の構築」、この予算、具体的にこの利用を推進するために積極的に活用すべきだと思いますが、具体的なお話伺いたいと思います。
  329. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) 御指摘のとおりでございまして、政策群は言わば規制改革や構造改革予算措置を組み合わせ、かつ府省横断的に対応することによって政策の実効性や効率性を高めようと、こういう考えに基づくもので、御承知のように、平成十六年度からこれが実施に移されているところでございます。  そういう意味では、バイオマスについては、先ほど申し上げたように、言わば推進連絡会議を通じて関係府省と連携を強化して効率的に執行に努めてまいりますが、さらに、政策群の活用については規制改革などと組み合わせる必要性も含め今後検討してまいりたいと、そう考えているところでございます。
  330. 福本潤一

    福本潤一君 言葉がなじみ深くないので、このバイオマスという言葉、何ですかというような話もよく伺いますし、公明党、マニフェストの中でバイオマス推進基本法、これを作ったらどうかという提案もしておりますし、さらに、関係府省が一体となって検討するという中で、この利用促進に関する法制度の制定、また国民に対する普及啓蒙、これの必要性についてどういうふうに考えておるか。
  331. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) バイオマスの取組の推進というのは、国民一人一人の生活に深く結び付いておりますし、正に二十一世紀の可能性を大きく広げるためにも不可欠のものでございますので、バイオマスの利用が二酸化炭素の排出減を、削減を通じ、地球温暖化にも非常に効果が高いと、地球温暖化を防止する効果が非常に高いという面もございますし、国民に対し分かりやすく言わば説明をしていくこともまた肝要なんだろうと思います。  これまで、各地域での講演会の開催とかインターネットを使った情報提供を通じまして、バイオマスの利用に関する国民の理解を醸成してきているところでございますが、今後とも、バイオマスの理解が促進されるよう、関係府省とも連携しながら、引き続き普及啓発活動、まだまだ正直言ってなじみがない言葉と言われるのが一般論でありますので、この点については積極的に行って御期待にこたえていきたいと思います。
  332. 福本潤一

    福本潤一君 頑張っていただければと思います。  さらに、水政策についてお伺いしたいと思います。  近年、災害も、台風災害等々含めてかなり多くの災害がありました。水を治める者は国を治めるという言葉もございます。河川法で治水と利水以外にも環境というのが大きなテーマになったのは平成九年以後でございますが、この水使用、また治水対策等々におきまして国交省の果たしてきた役割、大変大きなものがあると思います。  この水資源開発、水質保全等に関する今までの業績、また政策、その効果を具体的に国交省としてどう評価しているか、これをお伺いします。
  333. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 日本は高度経済成長のころから水への需要というのは急速に高まってまいりました。この四十年間で都市用水の使用量は約三倍になっております。この水需要の増大に対処するために、水資源開発施設の整備推進してきたわけでございますが、一方で、各企業においても、工業用水をリサイクルして使うと、工業用水の回収率が非常に向上を最近してまいりまして、水利用の合理化が進んでおります。  おかげさまで、近年では比較的安定した水需給バランスを達成しつつあるというのが今の現状ではございますが、ただ、一つ心配なことは、近年の気候は少雨化傾向でございます。降るときは昨年の豪雨のように大変一挙に降るわけでございますが、全体を通して見ますと少雨化、雨が少ない傾向が続いてきておりまして、そういう意味ではこれからも、今後とも水利用の安定性を確保する観点から計画的な水資源政策というものをしっかりと進めてまいりたいと思っております。
  334. 福本潤一

    福本潤一君 水行政全般考えてみますと、厚生労働省、上水道、農林水産省、農業用水、経済産業省、工業用水、国土交通省は河川管理者として水の需給に対する対策、また水利権の付与、さらには下水道、環境省は環境基準の設定、浄化槽、こういう事業も推進しておるわけでございまして、縦割りの中で、一体感、連携、これが大事になってくると思いますので、この関係機関の連携に向けた取組、これをお伺いしたいと思います。
  335. 仁井正夫

    政府参考人(仁井正夫君) 水行政にかかわる関係行政機関の連携についての現状についてのお尋ねございました。  言うまでもなく、水というもの、人間の様々な生活や自然の営みに不可欠なものであります。そういった意味で多くの用途、機能といったものを有しておりますから、水をめぐる関係者というものは正に多岐にわたるところでございます。こういった水問題を全体的にとらえていくということのためには、今お話ございましたように、森林でありますとか農地、河川、水道、下水道、工業用水道など様々な分野を総合的にとらえる必要がありまして、水に関係する各省が連携して取り組んでいく必要がある、正に委員の御指摘のとおりでございます。  私どもでは、平成十年八月から、主要な関係する省庁、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省、五省から成る連絡会議を設置いたしまして、健全な水循環の確保ということを一つのキーワードにしながら、認識の共有、それから横断的な取組といったものについて進めているところでございます。  この連絡会議におきましては、平成十一年十月に中間的な取りまとめということで、各省の認識の共有を図ったということとともに、一昨年の十月、平成十五年十月には、健全な水循環系構築のための計画作りのガイドライン、これはそれぞれの地域地域で言わば流域を一つの基本的な単位としてお作りいただければというふうに期待しておるものですが、そのガイドラインを作成し、公表し、地方公共団体等にも参考として送付しているところでございます。  引き続き、健全な水循環系の構築を目指し、関係省庁の連携調整の下、全体として総合的な政策効果が発揮できるよう努力してまいりたいと思っております。
  336. 福本潤一

    福本潤一君 地域再生法に基づきまして、下水道、道路、港、港湾、こういうのは三省連携でやれるように予算を今回、特別交付金でできるようになりました。その中で再生水の利用促進というのも同時に進められるかなというふうに思いまして提案さしていただきますけれども、今、再生水の利用施設、二千八百施設あると。約、全国で一日当たり四十五万トン、人口約百四十万の都市の生活用水に相当するということでございますけれども、こういう再生水の利用普及、これに対して、阻害する要因、どういうふうに考えられて、どういうふうに対策されようとしているか、お伺いします。
  337. 仁井正夫

    政府参考人(仁井正夫君) 雑用水といいますか、いろいろ用語あるようでございますので、再生水というお話ございました。生活用水の中で、水洗トイレの用水でありますとか散水の用水でありますように、水道水の水質ほどグレードの高い水質を用いる必要のない、そういったところに対して処理水あるいは雨水等を利用するというものでございます。  正にこういった施設の効果としましては、水道水の使用量減少に伴う水源の節減、節水意識の向上、あるいは渇水に対する強い社会の形成とともに、結果的に公共用水域へ排出される汚水の減少にもつながりますものですので、水関係の向上ということでも意義を有するものというふうに考えております。  私ども、雑用水利用の促進に向けて、国としても、下水道処理水を再利用する事業の推進や、あるいは個々のビル等が言わば個別循環、地域循環という形でやっていただく場合においての所得税、法人税についての軽減措置、あるいは日本政策投資銀行による政策融資といったようなツールを用意しております。  お話ございましたように、平成十四年度末現在では、個別の家庭等ごく小規模なものを除きまして二千八百の施設で導入されており、全国で一日当たり四十二万立米といった給水をいたしております。  今後とも、各種調査を進めるとともに関係省とも連携を図り、雑用水利用、推進してまいりたいと考えております。
  338. 福本潤一

    福本潤一君 実は私も十年前、議員になって最初に出した議員立法が中水道整備に関する法律案というのを参議院の議員立法で出した経験がありますけれども、時期尚早ということもありました。ですが、今回、下水道関係、農水、国交省、環境省、連携してやるということになりますと、今までビル群では、新宿のビル群でも下水道の再利用水をトイレ用水に使ったりしておりますけれども、家庭のそばにある浄化槽からの水、これに関しても再利用も可能ではないかというふうに思いますし、こういう中水道までいかなくても、再生利用水を使う形のだんだん機運が高まってきているんではないかと思いますけれども、これ、国民に対する啓蒙含めてどういうふうに考えておられるか、お伺いします。
  339. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 下水道再生水の有効利用というのは、これから非常に大事な政策であると思います。下水道だけではなくて、合併浄化槽による処理水も含めまして貴重な水資源であるというふうに考えております。下水道だけでいいますと、下水処理水というのは、年間何と百三十億立米もございまして、今は、そのうち有効利用されておりますのは二億立米でございます。まだまだごくわずかでございまして、そういう意味では、この貴重な下水処理水を、特にこれから高度処理を進めていきますのでますますきれいな水に処理されるわけでございまして、これをやはり再活用していく、有効利用していくということをしっかりと推進をしていく必要があると思っております。  東京でいいますと、目黒川とか玉川上水、これは大変、もう水がほとんど流れてないだとか、さらには大変汚いだとかいう状況だったんですけれども、この処理水を使いまして今や清流として復活をしているというような事例もございます。また、もうあちこちで先ほどおっしゃったような様々な雑用水としても活用をしているところでございまして、さらにはヒートアイランド対策で活用するというふうなこともなされているわけでございまして、これから町づくりの観点からも、水辺空間をつくっていく、水辺空間をつくり、潤いのある町をつくるということはこれからの町づくりの非常に大事な私は視点だと思いますし、そういう意味でもこうした下水処理水というのが活用できるのではないかと思っているところでございます。  今後とも、この下水の高度処理を積極的に進めるとともに、地方公共団体、地元の住民の方々と連携をいたしまして貴重な水資源を活用を図ってまいりたいと思っております。
  340. 福本潤一

    福本潤一君 近ごろありました地球サミットのあの南アフリカ共和国、これは二次処理水を三次処理水にして、これを上水道にまで使っておるという現実もございます。ですので、再生水を例えば農業用水に使って、その浮いた水利権を農業用水から上水道に使うという方法も含めて検討していただければと思います。  先ごろ新聞に出ておった記事で注目すべき、国交省の政策変換かなというのがありましたんで、これお伺いしたいと思います。多目的ダムの活用方策。  今、洪水が起こったときに、洪水容量、ほとんど使えないで、入った水がそのままダムを通過して流れるだけというような操作、運用をせざるを得ないような状況、この台風災害のときも現実に起こっておりました。そのときにダムの操作方式を変更していくということ、この話が新聞に出ておりました。つまり、利水容量分を洪水容量にも使う、また洪水容量分も利水容量に使うということをやられると。水利権との関係もあると思いますが、具体的にどのように進展して、どういうふうに今後変えていかれようとされるか、これをお伺いします。
  341. 清治真人

    政府参考人(清治真人君) 多目的ダムの目的別容量の弾力的運用のお話でございますが、従来、多目的ダムは、容量を空けておかなければならない、洪水のために空けておかなければならないところと、それから水利用のためにためておかなければならないところとの区分を明確に区分して管理することを基本にしていたわけでございます。これに対しまして、平成九年から、今試行しておりますのが、洪水調節容量の一部を利用しまして、それを環境改善のために活用していこうという試みを全国の幾つかのダムで実施しているところでございます。  また、今委員御指摘のありました、洪水のために逆に利水のための容量を空けておいて、これを空けておくといっても、洪水を迎えるときに、台風が近づいているとか梅雨前線が近づいているとかと、こういうようなときに利水の容量を予備的に放流いたしまして水位を下げておいて洪水の調節効果を高めると、こういうことにつきまして豪雨災害対策総合政策委員会からの提言もいただきまして、これの試行なり効果について検討してまいりまして、可能なものについては操作規則を変えていくというところまでこの弾力的な運用について進めていきたいと思っているわけでありますが、既存のダムの有効活用という観点から、降雨の予測精度の向上とか、それから観測技術の向上、こういうものを活用してこの方面の検討に鋭意取り組んでまいりたいと、このように考えております。
  342. 福本潤一

    福本潤一君 ダムの建設、ハードの建設、なかなか厳しい時代に入っておりますので、今の中水道と、あとソフト、ダム操作の運用で対応していく方向性、考えていただかれるのは今後の方向と思いますが、将来予測、雨量のですね、さらには水利権に伴うアロケーション、この問題もきちっと対応した上での政策推進であっていただきたいというふうに注文を付けておきたいと思います。  次の、東南海・南海地震対策についてもお伺いしておきたいと思います。  大変大きな地震がたくさん参ってまいりまして、もう日本も現在活発な地震活動期に入っているのではないかというふうに思われます。その中で、補正予算で大変大きな予算を災害の対策費としては付けましたけれども、今後の来る地震、これについてもきちっとした対応をしておかなければいけないのではないかと。中央防災会議で、首都圏直下型だと六千人の死者が出るおそれまであるというふうにありましたけれども、と同時に、戦後すぐ大変大きな地震があった東南海・南海地震、これも連動して、プレート四つの上に成り立っている日本でございますので、起こる可能性があるということで、今後、地震対策としまして、具体的な、どういう形で南海・東南海沖地震対策を考えておられるか、これをお伺いします。
  343. 村田吉隆

    国務大臣(村田吉隆君) 今、委員が今御指摘なさいましたように、首都圏、首都直下型の被害想定については、先ごろ公表させていただいたところでありますが、東南海・南海地震につきましては、一九四四年から四六年まで相次いで起こりまして、あれから六十年ほぼたつわけでございます。大体それまでの東南海・南海の地震の周期を見てみますと、百年から百五十年という間隔で起こるとされておりますので、その意味では今世紀前半にも発生のおそれがあるということであります。  中央防災会議の専門調査会が、十五年、一昨年の九月に被害想定を発表いたしまして、いろんな想定があるわけでございますが、死者が約一万八千人、経済的な被害が五十七兆円と、被害が大変大きなものが予想されております。その意味で、こうした被害想定の公表を受けまして、応急対策、復旧、それから復興対策まで視野に入れたマスタープランであります大綱を十五年の十二月に取りまとめたところでございます。  それに伴いまして、そうした東南海あるいは南海地域の地震対策を進める、こういう観点から東南海・南海地震防災対策特別措置法というものを制定していただきまして、この地震によりまして大変激甚な被害が予想される地域を指定地域に定めまして、国とか地方公共団体、防災関係機関、民間事業者が計画を立てて、予防といいますか、地震に備える計画を作っていくということにしておりまして、そういう作業で進めております。  そういう大綱とか計画に基づきましてやるべきことは、当然建物等の耐震化を進めるということでございますが、特に東南海・南海地震におきましては津波の被害が大きいということでございますので、そうした津波に備えるための堤防等の施設の整備というもの、あるいは津波ハザードマップの整備等をやらなきゃいけないということでございます。  それに加えて、予想される被害を定量的に予想しまして、それをできる限り少なくするという、そういう減災目標を時期を定めて、それから数値目標を定めて被害軽減策を講じていくということで減災目標というものを定めて対策を講じていきたいと、こういうふうに考えておりまして、こうした目標を踏まえまして、関係省庁、地方公共団体一丸となって、この東南海・南海地震対策を進めていきたいと、こういうふうに考えております。
  344. 福本潤一

    福本潤一君 これは戦後、直前直後でございましたので大変大きな被害、地元を回ってみましても、海部町等、大変大きな津波被害、日本でも三陸沖とここ海部町、また徳島、高知、これが味わって、現実に今でも生々しい体験あるようでございますので、これ、ちょうど災害対策特別委員長のときに通った法律でございますけれども、地震防災対策計画、これ、作るようにと言ったのが未対応になっていると。これ、現状に対してどう対応されるのか、お伺いします。
  345. 林省吾

    政府参考人(林省吾君) 対策計画の作成状況についてお答えを申し上げます。  特別措置法におきましては、津波による影響が大きい民間事業者に対しまして、推進地域指定後六か月以内に、津波からの円滑な避難を内容とする対策計画の作成を求めているわけであります。  私ども消防庁におきます調べの結果でございますが、地域指定がされました後六か月後の昨年の六月十六日現在で調査をいたしました結果、作成済みのものは五七・四%となっておりまして、私どももこの水準を見まして、今後、対策計画の策定を急いでいただかなければならないと考え、指導をしてきたところであります。  ただ、国の基本計画、いわゆる対策計画策定の前提となります基本計画が三月末であったということもありまして、昨年六月現在の調査時点ではそのような数字になっておったことも一部やむを得ない点があるかとも思ったわけでありますが、その後、追跡調査をいたしております。本格的な、正式な調査は本年四月一日現在でやる予定にはいたしておりますが、その後の追跡調査によりますと、例えば高知県では、昨年の六月時点では六三・三%でございましたが、本年一月二十六日現在では九割を超えているとか、また三重県でも昨年六二・五%だったものが昨年末には作成率が八割を超えると、こういうふうに事業者の取組も相当程度進んできているものと承知をいたしております。  私どもといたしましては、県あるいは消防本部を通じまして対策計画の作成を強く指導して、作成率一〇〇%を目指していきたいと、こういうように考えております。
  346. 福本潤一

    福本潤一君 引き続き、大陸棚、質問させていただこうと思いますけれども、これ大変大きな予算が組まれております。大陸棚調査対策室、この役割と、省庁縦割りになっている対策、どういうふうにやられるか、お伺いします。
  347. 細田博之

    国務大臣(細田博之君) 御承知のとおり、国連海洋法条約、昭和五十七年に採択されておりますが、海底資源の管轄海域として二百海里までの海域、海底及びその下を大陸棚と規定しておりますが、地形、地質が一定条件を満たす場合には二百海里を超えて大陸棚を主張することが可能となっているわけでございます。我が国は膨大な大陸棚を有しておるわけでございますので、この大陸棚を拡大する手続のためには、国連に対しまして、平成二十一年五月までに地形、地質に関するデータ等の大陸棚の限界に関する情報を提出して、審査を受ける必要があるわけでございます。  そこで、内閣官房に専門部署を設置をいたしまして、平成十九年までに海域調査を完了いたしまして、これを基に平成二十年までに大陸棚限界に関する情報の取りまとめを終了して、平成二十一年初頭には国連への提出を行おうとしております。  具体的な調査としては、精密な海底地形の調査、海底の下の地殻構造の調査、海底の基盤岩を採取する海底ボーリング調査の三種類の調査を行う必要がありまして、それぞれが、海上保安庁、あるいは文部科学省、経済産業省、合計五隻の調査船をもってこれを調査をしておるところでございます。かなりの予算が要るということから、平成十五年度は四十一億、平成十六年度、百四億、平成十七年度には百十八億円を計上しておるところでございます。それで足りるのかということを申しますと、かなりこれまでのデータ等も活用できるということから、この期限内に調査を終えることができるだろうと。  ただ、甘い調査をやりますと、ロシアが簡易な調査をして国連に出したところ、データ不十分ということで差戻しされたというこの例がございまして、きっちりとしたデータを出さなければならない。これが日本の将来の大陸棚資源開発を含めた大きな課題でございますので、鋭意、現在精密な調査等をして取り組んでおるところでございます。
  348. 福本潤一

    福本潤一君 この沖ノ鳥島に関しましても調査していただくということですが、中国から、これは島でなくて岩である等々の国際海洋法条約等々に関する話を出してきておりますので、これ、日本としましてもきちっとした意思表示を国民や諸外国に示す責務があるのではないかと思いますが、その点、お伺いします。
  349. 細田博之

    国務大臣(細田博之君) 沖ノ鳥島につきましては、政府部内にこの活用に関する作業部会を設置いたしております。そして、関係各省庁におきまして各種の取組を行っているところでございます。  具体的に申しますと、文部科学省、経済産業省、国土交通省におきまして、直轄海岸の維持管理の問題、気象、海象等に関する監視観測、それからGPSを用いたフィリピン海プレート調査、暴露試験等による新素材の耐久性試験、新素材は太陽や波、風にですね、風雨に耐えていけるかどうかというような耐久性試験のことでございます。サンゴの育成調査等、そういったことを取り組んでおりまして、今後とも沖ノ鳥島の維持管理、活用等について関係省庁において積極的に取り組むこととしております。
  350. 福本潤一

    福本潤一君 この百数億を超える予算付いておりますけれども、この予算ですね、沖ノ鳥島関係やるのを中心として国連に上申するということでございますけれども、これ、琉球大学の木村先生、与那国の海底遺跡を世界遺産にというのを頑張っておられる方で海底地質の専門家でございますが、その方の調査によると、この今中国が東シナ海の大陸棚の開発、これも日本との案件でかなり深刻な問題になっておりますけれども、この点に関しましても、それだけの予算があるならば、沖縄の中間線、これも画定できるということでございますので、それだけの水中探査ができるような船を持って中間線も調査したらどうかと。ついでに沖縄トラフも調査したらどうかというふうに思いますけれども……
  351. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 時間でございますので、おまとめを願います。
  352. 福本潤一

    福本潤一君 それについてはどういうふうにお考えか、お伺いします。
  353. 小平信因

    政府参考人(小平信因君) ただいまお尋ねのございました東シナ海の石油、天然ガスの調査につきましては、国の予算をもちまして昨年の七月から調査を行っておりまして、近々三月で具体的なデータの取得作業を終わるということでございます。  また、沖縄トラフの調査につきましては、これは従来から文部科学省、経済産業省両方で行ってきておりますけれども、今後必要に応じましてまた対応してまいりたいというふうに考えております。
  354. 福本潤一

    福本潤一君 終わります。
  355. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 以上で福本潤一君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  356. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 次に、紙智子君の質疑を行います。紙智子君。
  357. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  最初に、町村外務大臣にお聞きいたします。  日米外相会議でアメリカに行かれて、牛肉の輸入再開についてライス国務長官からどのような要求をされたんでしょうか。
  358. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) この問題につきましては、日米間でいろいろなレベルでのいろいろな話合いが行われてきております。委員御承知のとおりであります。  先般の二月十九日の日米外相会談の席では、ライス長官の方から、主として、この問題は米国議会、そしてアメリカ農業者にとって早急な解決を要する大きな問題となってきている、貿易の再開に向けて日本側の一層の努力をお願いをしたいと、こういう要請がございました。
  359. 紙智子

    ○紙智子君 それに対して、外務大臣は日本政府の立場をどのように説明されたんでしょうか。
  360. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) 日米間、特に日本側のこれまでの取組、また、現在国内措置について食品安委員会で審議をされている実情について話をし、さらに、その後輸入牛肉問題についても議論をする予定であるという現状の話を先方に説明をいたしました。
  361. 紙智子

    ○紙智子君 ところが、アメリカではどんどんエスカレートをしていて、議会で日本への制裁決議まで飛び出すような状況になっているわけですね。これ、おかしいと思うんですね。食の安全をめぐる問題で日本は科学的な検討をやっているところなのに、一方的に制裁を持ち出すというのは不当じゃないんですか。いかがですか。
  362. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) まあ、日本は日本の考え方がある、先ほど来の議論でも農水大臣からもるるお話があったとおりでございます。  日米BSE協議というものを昨年来からずっとやってきております。そういう中で、お互いの理解の下にどういう条件が満たされれば米国産牛肉の輸入再開が可能であるかということを日米間の専門家でも実は話合いをしてきているところでございます。で、二月八日、牛の月齢判別に関する検討会というものが開かれまして、A40は、今回の結果がリスクの観点から許容されれば基準として採用可能であるという専門家同士の話合いがある種の合意を見たところなんであります。  ところが、日本はまだ食品安委員会というもう一つの専門家がいるということで、またその専門家の検討に相当時間を要する可能性があるということで、アメリカ側からすると、専門家同士の話合いで合意に達したものが、また別の専門家がいるのかねというある種の驚きを持ってきっと受け止めているんではなかろうかと、こう私は思っておりまして、国内の措置の検討自身も、これは食品の安全にかかわることですから慎重審議することは当然のことであろうと思いますが、大体一か月に一回ぐらいしかこのプリオン専門調査会というものが開かれないということも、いかに慎重審議をやるといっても、いかに難しい問題であるにしても、一か月に一度しかこの専門調査会が開かれないというのは、これはなかなか国際的にも対米的にも説明が難しいところなんですね。  普通、いろんな審議会等々でも急ぐ場合は一週間に一回とかやれるであろうに、一か月しか、一か月に一度しかやれないというのは率直に言って理解に苦しむところでありまして、私は、食品安委員会の方に、どうしてこんなに時間が掛かるんですかという説明を求めているのですけれども、残念ながら私の方には、それに対する食品安委員会の回答は返ってきていないという状態であります。  いずれにしても、これは食品安全にかかわることでありますから、私は、食品安委員会も大車輪で作業をしていただいて、その作業結果を私どもあらかじめ云々しているつもりはございません、それは専門家の議論をしていただくのは結構ですけれども、少なくとも月に一回とかいうのんびりしたペースは何とかならないかねというようなことは、私自身、棚橋大臣にも申し上げたところでございます。
  363. 紙智子

    ○紙智子君 いや、もう驚きますね、本当。そういう発言をされると思わなかったですけれども。  私は、それは掛かりますよ、専門家でも、ただ集まってきて話し合うわけじゃないんですから。いろんな新しい状況が出てきていると、研究も進んでいると、そういうことを専門家ですからしっかり研究してやるわけですから、時間は掛かるわけですよ。  それで、これは結局、今のお話聞きますと、アメリカの言っていることを肯定的なんですよね。じゃ、日本が悪いのかと。これは私、率直に言って内政干渉じゃないかと思いますよ、今やっているわけですから。  官房長官にここでお聞きしたいんですけれども、政府の方針というのは、この間、小泉総理も答弁されていますけれども、あくまで科学的な知見に基づいて安全、安心を重視して、そして判断するということですよね。お願いします。
  364. 細田博之

    国務大臣(細田博之君) この牛肉の問題については、外交面でいえば今答弁されました外務大臣、そして個別の問題では農林水産大臣厚生労働大臣それぞれに関係が深いわけですし、それに食品安委員会担当国務大臣の、安全担当ですね、棚橋大臣とおられまして、また、内閣官房としてはそれらをまた調整をしていかなきゃならないと、こういう立場でなかなか苦労が多いわけでございますが。  他方、アメリカ側が、先ほど外務大臣が紹介されたように、非常に強く、端的に言うと、今の前の大使であったべーカー大使辺りは、二億五千万人の人が安全に今全部食べているんだから何とかならないのかというような端的なことを言われまして、こちらもそうはいかないんで、国内法制等々、いろいろな経緯があって全頭検査があり、その今全頭検査を、それではもう統計的に見て絶対に大丈夫な線がどこかという検討をして、ようやく終盤に掛かっており、ある程度の結論が出ればパブリックコメントをしなきゃいけないし、まだ時間が掛かるわけですね。そして、かつこの輸入問題もあるということでございます。  そこの中で、今御質問のように、少なくとも我が日本国政府、日本国民の健康に対して大きな責任がございますので、やはり健康、安心、安全、そういった観点からどういう政策を取っていくかということを考えなきゃいけない。  他方、外交的な世界の要請というものもあり、世界における基準というようなものと今相当フリクションを起こしているわけで、大きな摩擦にもなりかかっておるような面もございますので、その点をしっかりと調整をしていきたいと思っております。
  365. 紙智子

    ○紙智子君 前回、私が予算委員会で総理に質問したときも、やっぱり私は専門家じゃないから分からないと、やっぱり専門家がきちっとやって判断をすべきだということを言われました。科学的知見に基づくということを繰り返し言われているわけです。  ところで、町村大臣は、今もお話しになりましたけれども、仙台でも講演の中で言っていますし、五日の東京都内でも、要するに遅いと言って食品安委員会を批判しているわけですね。これは科学的な立場で今進めている食品安委員会に対しての圧力になると。これ、政府の立場と違うんじゃないですか。
  366. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) 私は、食品安委員会の結論を白にしろ黒にしろと、そういったことを先取りして申し上げたことは一度もございません。ただ、一か月に一度しか委員会が開かれないのはなぜですかねと。いろいろ御検討することもあるんだろうが、なぜそんなに一か月に一度しか開けないのか、そこについて私どもだってよく理解できないし、それを理解した上でないとアメリカにだってきちんと説明できないんだから、なぜそれだけの検討期間が必要なのか教えてくださいということを食品安委員会の方に私どもはお願いをしているのですが、今のところその答えが返ってきていないという実情にあるわけであります。
  367. 紙智子

    ○紙智子君 だから、それが圧力になるわけですよね。あなたはアメリカから帰ってきたらそういうことを言い始めたわけですよ。それまで言っていなかったんじゃないですか。  そして、今度は島村農水大臣にお聞きします。  大臣はさきの非常識の発言については撤回をされましたようですけれども、で、大臣も来年まで持ち越すようなことがあれば国際常識からおかしいというふうにおっしゃいました。食品安委員会に要するにこの期限を切って結論を出せということなんですか。
  368. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) じゃ、ちょっと一言だけ。済みません。御指名なくてちょっと申し訳ありませんがね。  私は、この問題は私が訪米する以前から棚橋担当大臣には、あるいは細田長官にもお話をしておりまして、別にアメリカに行って帰ってきたから急にこういうことを言い始めているわけじゃなくて、前から言っております。
  369. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) 町村大臣に私の方の連絡が十分でないので一か月に一回とおっしゃいましたが、三週間に一回ぐらいの検討である。ただ、この全頭検査、実は御承知のように平成十三年の九月に起きまして、その翌月から言わばこの全頭検査という世界に例を見ない思い切った手を打ったわけです。このとき私、賛成でして、これは英断であったと思うし、結果において国民、消費者のやっぱり安心をかち取るためには非常に良かったと思っています。  ただ、既にもう三百五十万頭と前にお話ししていたら、もう四百二十万頭ぐらいになりますが、その間に二十か月未満の牛においてその問題が全く起きておらないということと、またいろいろ御検討いただいた結果、言わば中間取りまとめも出たところでございますから、その後、言わば御審議願うといっても常識的にはやはりもうそろそろ結論が出るのか、もうそろそろ結論が出るのかという立場を外国の人たちは感じるのもこれまた当然なんだろうと思います。  ただ、私は、私自身に対して、当初、要するに大統領選挙があるとか、あるいはベーカー大使の帰任だとかいろいろありましたけれども、やはり我が国には我が国のルールがあるので、日本に言わば肉を輸出する以上は我が国の国内措置に準じてやっていただくと。それから同時に、我々はあくまで科学的知見に基づいて食の安全、安心を大前提にして輸入をしていきたいので御理解を願いたい、きつくそのことを申しまして、それ以後、私に対してはやっぱり政府、アメリカ政府から何ら圧力めいたもの、一切ないわけです。  ただ、向こうがそういうふうに紳士的にしていたらこっちはいつまでも時間を取っていいのかというものではないように思いますので、一つの例として、これ一体いつになったららちが明くんだろう、もしこれが来年まで持ち越されるようなことになったら日本は何か誠意がないんではないか、本気で審議をして輸入を再開しようという誠意があるんだろうか、こう思われても仕方がないと。私流の、やっぱり相手の立場に立って考えればそのぐらいの判断に立つのかなと、こういう例として申し上げたわけです。
  370. 紙智子

    ○紙智子君 先ほどのやり取り聞いていまして、早く早くとは言っていないというふうに言ったというふうに言うんですけれども、しかし来年まで持ち越すようなことがあったら国際常識からおかしいとおっしゃったんですよ。これは結局、期限を切って早くやれと言っていることと同じじゃないですか。  外務大臣も、そして島村農水大臣もアメリカから言われて、そしてやっぱり言っているわけですよ。あくまで科学的な知見に基づいて、政府の立場は知見に基づいて専門家の意見を聞いて判断すると。こういう立場を取っているわけですけれども、これと違うことをあなた方はもう言っているわけですよ。アメリカの都合を優先するのか、それとも日本の国民の安全や安心のためにやるのかということでは、これ国民も注目しているわけです。是非、国民の安全を優先させるという立場でやっていただきたいし、私は強く全頭検査を堅持すべきだということを申し上げまして、次の質問に移らしていただきます。  さきの2プラス2で、共通戦略目標に向けて日米の防衛体制の強化、一体化が強調をされました。それで、大野防衛庁長官はそのときの記者会見で、基地の共同運用、共同使用はお互いの利益のためになるということで、早く結論を出したいというふうに述べておられます。  米軍再編によって共同使用基地を拡大するということなんでしょうか。
  371. 大野功統

    国務大臣大野功統君) まず、二月十九日に行われました2プラス2でございます。世界的な安全保障環境を踏まえつつ、共通戦略目標を立てた。で、我々の最終的な米軍の再編成の問題の最終着地点は、やはり一つ一つの米軍の基地をどうするかと、こういう問題であります。  しかし、それを考える場合に、やはりこの共通戦略目標、続いて第二段階目としてどういう考え方に基づくのか。それは役割の分担であり、任務をどうするか、それからケイパビリティーという言葉で、その力をどう判定していくか、そしてまた、話題になりました、今の先生の御指摘の基地の共同使用と、こういう問題があると思います。これは一つの切り口です。  で、共同使用ということについて、これまでそういう認識の下に確たる議論をしたことはありませんし、そういうことをこれから本格的に協議していこう、こういう意味合いでありまして、じゃ、なぜそういう問題を議論するんだと、協議するんだと。そういう理念、つまり基地の共同使用という理念の下で議論をするんだ。  これは、我々は米軍のトランスフォーメーションを考える場合に、大きな大きなテーマがございます。そのテーマは何かと。一つは米軍の抑止力を維持していく、そしてまたもう一つは日本の地元の負担、特に沖縄を中心とする地元の負担を軽減していく、こういう大きな大きなテーマがあります。この二つのテーマ、この二つの問題、抑止力と負担の軽減、正にこれ相反するような概念であります。一方を立てれば一方立たないような感じでございますが、この解決の道が、やはりこの米軍の方も言っております例えば軍事面における技術、科学技術力の飛躍的向上、つまり展開力が増した、爆発力が増した、あるいは精密誘導兵器が発達した、こういうことであろうかと思います。  それから、もう一つの切り口、かぎがやはりお互いの共同作業、こういうことがかぎになろうかと思います。  したがいまして、そういう問題考える場合には、やはりこれまで、具体的なことを今申し上げることはできないんでありますけれども、これからは今申し上げたような共同作業をすれば、つまり基地を共同で使用すれば、例えばですけれども、例えば米軍基地で雇用されている、働いているアメリカ兵の例えば護衛の役割を担っている兵、兵士ですね、そういう兵士は要らなくなるのかなということも一つのアイデアでしょうし、そういう意味負担の軽減も図られていくのではないか。  今後の問題でありますけれども、まず、我々はやはり政治的に説明責任を持っておると思います。地元の皆様に説明をし、調整もしていかなきゃいけない。私はそのことも、昨年十一月、ラムズフェルドと会ったとき説明をして、時間が掛かるかもしれないよということも言っておりますが、まず説明責任をある段階で果たさなきゃいけない、どういうふうにやっていくかということについて説明責任を果たさなきゃいけない。それからもう一つは、今申し上げましたような負担と抑止をきちっと、本当に抑止力は維持して、そして負担を軽減していく、この命題を解決していかなきゃいけない。その糸口が共同使用であり、大変これ政治的なリーダーシップが要る話でありますから、政治的リーダーシップの下でこれらの仕事に取り組んでいきたい、このように思っております。
  372. 紙智子

    ○紙智子君 そこで、その米軍と自衛隊が現に共同で使用している矢臼別演習場と東富士演習場の使用条件についてどうなっているか、お聞きしたいと思います。
  373. 横山文博

    政府参考人(横山文博君) お答えいたします。  まず、東富士演習場につきましてお答えしますが、平成十五年度におきまして、米軍は単独で実射射撃を含む訓練のために約百四十日間使用しております。日米共同訓練及び沖縄県道一〇四号越え実弾射撃訓練は実施しておりません。日米共同訓練あるいは一〇四号線の実弾射撃訓練につきましては、平成十四年度にいずれも十日間使用しております。なお、自衛隊は同演習場を三百五十日間使用しておるところでございます。  次に、矢臼別演習場でございますが、平成十五年度におきまして、米軍は、県道一〇四号越え実弾射撃訓練のために約三十日間使用しておりますが、その他の訓練は実施しておりません。なお、過去五年におきまして、一〇四号線実弾射撃訓練以外の訓練では、平成十二年度に日米共同訓練のために約二十日間使用しているのみでございます。  以上でございます。
  374. 紙智子

    ○紙智子君 富士演習場は事前に調整して決めるんじゃないんですか。
  375. 横山文博

    政府参考人(横山文博君) お答えします。  東富士演習場を米軍が使用するに際しましては、事前に米軍から演習場使用申請というものが出てきておりまして、具体的な日時等につきまして調整を実施しているところであります。
  376. 紙智子

    ○紙智子君 済みません、資料をお配りしてください。    〔資料配付〕
  377. 紙智子

    ○紙智子君 私も共同使用ということについて調べてみたわけです。そうしたら、こういうものが出てきたわけですね。これはアメリカの外交機密文書を公開した後、冊子にしたアメリカ統合参謀本部資料。実は、これがその元なんです。この中にある部分を印刷して出したということです。  ここに、一九六二年三月二日付けの富士演習場解放に関する協定案というのがあるわけです。この了解合意覚書というのは、日米合同委員会のグループによってつくられたこと、そしてその後、同年四月二十一日に承認したというふうにあります。この中で、米軍は毎年最大で二百七十日間に及ぶ優先使用を認めているわけですね。こういう協定をしているんですか。
  378. 戸田量弘

    政府参考人(戸田量弘君) お答え申し上げます。  東富士演習場に関連してでございますが、昭和四十三年七月、それまで米軍が専用使用していましたこの演習場でございますけれども、自衛隊が管理する演習場として使用転換されたわけでございます。その結果、地位協定第二条第四項(b)の規定の適用のある施設及び区域として米軍の一時使用が認められているところでございます。  この使用転換の際に、米軍が演習場を使用する場合には事前に防衛庁に通報すること、演習等の実施に当たっては五百キログラムを超える爆発物は使用しないなどの使用条件が日米合同委員会で合意されたところでございます。  以上であります。
  379. 紙智子

    ○紙智子君 質問に答えてないんですよ。二百七十日にも及ぶ優先使用を認めているんですかと聞いたんです。
  380. 戸田量弘

    政府参考人(戸田量弘君) お答え申し上げます。  当庁からお答えすることが必ずしも適切かどうか分かりませんが、お許しいただいて御説明させていただきたいと思います。  東富士演習場は、先ほど申し上げましたように、四十三年、合同委員会で使用転換が合意されたわけでございます。その際に、先ほど申し上げたような日米間の使用条件についての取決めがあるところでございます。  合同委員会におけますこの使用条件につきましては、閣議決定して御説明させてもらっているもの以上のものはございません。
  381. 紙智子

    ○紙智子君 当時、富士演習場の返還は事前にでき上がっている協定に基づいているということで、ライシャワー大使が国務長官にあてた公電があるんですよ。それはこの中に入っているわけです。  それで、もし、しかも当時のその国会の審議の議事録を見てみますと、機密にわたるとか協定そのものは出せませんというようなことで、協定の存在そのものは認める答弁をしているわけですね。このような協定が存在しているわけですよね。答えてください。
  382. 戸田量弘

    政府参考人(戸田量弘君) お答え申し上げます。  当東富士演習場におけます米軍の使用条件についての再三のお尋ねでございますけれども、私どもの承知している限りにおきましては、合同委員会において、昭和四十三年七月十八日でございますけれども、先ほど申し上げた内容が取り決められたものと承知しておる次第でございます。
  383. 紙智子

    ○紙智子君 全然分かんないですよ。ちゃんとあるかないか答えてください。  あるのかどうか、はっきり答えてください。
  384. 戸田量弘

    政府参考人(戸田量弘君) 防衛施設庁の立場におきまして、御指摘の文書がいかなるものであるのか当庁として確認しているわけではございません。一々のコメントについては差し控えさせてもらいたいと思います。
  385. 紙智子

    ○紙智子君 ちょっと角度を変えて聞きます。  なぜこれを問題にするかといいますと、地位協定の二条四項(b)に基づいて米軍が日本の施設を共同使用する基地について、一九七一年当時の中曽根防衛庁長官の解釈をめぐるのがあるんですよ。一時、一応時間的にいえば一年のうち半数以上を向こうが使うというのでは主客転倒になるというふうに答弁しているわけです。これに照らしても、二百七十日優先に使えるというのはおかしいんじゃないですか。どうですか。
  386. 戸田量弘

    政府参考人(戸田量弘君) 御指摘の、中曽根当時防衛庁長官の答弁があることにつきましては承知しておるところでございます。中曽根当時の長官の答弁につきましては、一定の期間を限って使用する施設及び区域についてのお答えでございました。その類型について、例えば年間何日以内といったような日数を限定して使用を認めるものであるとか、日本側と調整の上、その都度期間を区切って使用を認めるものといったような類型を挙げた上で、いずれにしろ主と従の関係、主と客の関係という整理であったと記憶しております。  先ほど施設庁、防衛本庁施設参事官から答弁申し上げましたけれども、当該演習場、自衛隊においては日数におきましては年間約三百五十日程度使用されております。それに対しまして、米が百七、八十日程度と承知しております。こういった関係で、この主客というような関係、特段変わっているわけではないと承知しております。  以上であります。
  387. 紙智子

    ○紙智子君 協定のこと、どうですか。
  388. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 協定の性格その他につきましては、防衛庁としては答える、必ずしも答える立場にございません。しかしながら、もしその辺を十分に調べろといえば、外務省と十分相談をいたしまして御報告申し上げることがベターではないかと思います。  それから、このペーパーは四十二年前の問題、ものでございます。立場がそれぞれ相当変わってきているんじゃないか。今、私どもは、町村外務大臣も私もそれぞれの立場で、きちっとアメリカと同じ、イコールパートナーとして頑張っているところでございます。  それからもう一つは、日本とアメリカが別々の訓練をするということでございますが、今、私は、今の時代の要請というのは統合、共同でございます。統合、共同、つまり共同してやっていこう。しかし、これは日本を防衛する場合と、(発言する者あり)いえ、それは日本の、日本の使用日数が長いとか短いとか、そういう議論なさるから私は答えているわけであります。今や統合、そういうキーワードが変わってきていると思います。したがって、この歴史の変化も見極めていただきたい、このように思います。
  389. 紙智子

    ○紙智子君 今、調べてそして出すということを言われました。  私は、今指摘してきた点ですけれども、一つは二百七十日の優先権という協定の存在について、一方ではないことになっているわけですよ。片や秘密にあったということになるわけですから、これをきちっと調べて出すと。  もう一つは、二4(b)の見解については今も当時の解釈が生きている、生きているのかどうかということを明らかにすると。そして、富士演習場にかかわる日米協定内の内容をすべて明らかにすべきだと思いますが、どうですか。
  390. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 私たち政治家というのは説明責任があると思っています。公開できる限りにおいてそれを公開し、説明していくべきだと思います。そういう意味で、できる限りのことはさせていただきたいと思います。
  391. 紙智子

    ○紙智子君 調べた結果、公開できないということになったら、それはとてもじゃないけれども承諾できませんよ。非常に重大な問題なんです。  なぜならば、初めに長官が話されたように、今後、日米の基地の共同使用を拡大していくという方向であれば、こういう問題を明らかにすることは国会の責任として当たり前だと思いますよ。  今回の2プラス2は、こういう共同使用の名において日本じゅうの自衛隊基地を米軍基地として拡大強化することになるんじゃないかとみんな心配しているわけです。私の地元の北海道の矢臼別でもそうですし、どこでも基地のあるところは非常に心配しているわけです。ですから、現状を明らかにしてこの国会に出していただきたいと。  最後に委員長に、この二点について資料を要求を求めます。御検討ください。
  392. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 理事会において協議したいと思います。
  393. 紙智子

    ○紙智子君 終わります。
  394. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 以上で紙智子君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  395. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 次に、福島みずほ君の質疑を行います。福島みずほ君。
  396. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  去年九月に食品安委員会がBSE対策について中間取りまとめを出しました。私は、それを見てショックを受けました。BSEにかかりやすい遺伝子、MアンドMの遺伝子を持っている人は、イギリスを含むヨーロッパの白人の四〇%がMアンドMの遺伝子を持っている。日本では全人口に占めるMアンドM型の割合は九一・六%であると。日本人はBSEにかかりやすい遺伝子を持っている、このことをどう重く受け止められますか。
  397. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) まあ私どもは、どういう、いや、遺伝子を持っていようと、あくまで食の安全、安心、言わば科学的知見に基づいた対応をするということを終始申し上げているところであります。
  398. 福島みずほ

    福島みずほ君 素朴な質問で、二十か月月齢でプリオンが腸にある場合もあるわけですよね。発症してなくてもある場合がある、こういうことをどうお考えですか。
  399. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) 私ども、専門家ではありませんので、それぞれの分野の専門家が集まって食品安委員会が構成されて、その方たちがかなりの時間を掛けて御検討いただいていることですから、それをお待ちして判断をしたいと思います。
  400. 福島みずほ

    福島みずほ君 二十か月齢ということについて、全頭検査をしてないアメリカでどう判断するのでしょうか。
  401. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) したがって、肉質とかあるいは骨の骨化の言わば状況によって判断をすると。それが是か否か、このことについていろいろ御検討をいただいたところであります。
  402. 福島みずほ

    福島みずほ君 肉質で二十か月未満かどうかということを判断することは極めて困難です。また、二十か月月齢以下の中で発症してなくても、今後どうなるか分かりません。  全頭検査は維持すべきだ、私はそう思います。将来もしこれを緩めてBSE患者の人が日本で出てきたら、それは行政の責任となりますが、大臣、その重みをどう考えられますか。
  403. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) そういうことが起こらないように御検討をいただいているところですし、言わば肉質とか、言わば骨化で判断をすることについての是か否かも専門の方々が御判断をいただいて言わば中間取りまとめをしていただいていると、こういう経過でございますから、私がどうこう言うのは僣越だと思います。
  404. 福島みずほ

    福島みずほ君 今まで全頭検査は世界の非常識とおっしゃいました。これはもう命にかかわる問題なので、全頭検査を堅持すべく、日本の農水大臣として責任を取るべく強く要請をいたします。どうですか。
  405. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) その責任者の立場にいるからいろいろ言いたいことも言えないし、口も重くなるし、あります、いろいろ。  ですから、私たちは、少なくも今までにも四百二十万頭も言わば牛の検査をしているわけですね。そういうことをすべてきちんとやっているわけですから、御理解いただきたいと思います。
  406. 福島みずほ

    福島みずほ君 食べ物の安全は根本的なことです。命にかかわることですから、全頭検査を堅持するよう強く求めます。  次に、人権擁護法案について質問をいたします。  人権擁護法案、廃案になりましたが、その案は、取材を拒んでいるにもかかわらず、付きまとい、待ち伏せ、電話、ファクスによる送信で継続、反復しているものを過剰取材として特別一般救済にしております。待ち伏せ、付きまとい、電話、ファクスをしないでどうやって取材ができるのでしょうか。
  407. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) どなたに質問ですか。
  408. 福島みずほ

  409. 南野知惠子

    国務大臣南野知惠子君) お尋ねでございますので、人権擁護法案の内容にわたる事柄であります、今お尋ねになられた案。そういう意味では、まだ法案が閣議決定されておりませんので、そういう時点においては答弁は控えさせていただきます。
  410. 福島みずほ

    福島みずほ君 記者が、ごめんなさい、法務省の人がレクに来ましたが、ほぼ案が固まっていると報告を受けています。そして、前回提案した法案とほぼ同じだという説明を受けています。大臣、どうですか。
  411. 南野知惠子

    国務大臣南野知惠子君) お答えいたします。  私の立場といたしましては、やはり法案の閣議決定があるまでは、現時点にない今の時点におきましてはお答えいたしかねます。
  412. 福島みずほ

    福島みずほ君 郵政民営化はがんがん宣伝しているじゃないですか。  そして、じゃ大臣、お聞きします。さっきのもう一回質問です。  どうやって取材ができるか、これ重要なことです。メディア規制が排除されるかどうか問題ですから言ってください。
  413. 南野知惠子

    国務大臣南野知惠子君) いや先生、いろいろお尋ねではございますけれども、この法案の閣議決定がされていないことであり、その法案の中身のことでございますので、御答弁しかねます。
  414. 福島みずほ

    福島みずほ君 問題、閣議決定されてない法案でも郵政民営化を始め問題になっています。法務省の姿勢を聞いているわけです、上程されるかどうか分かりませんから。大臣、いかがですか。
  415. 南野知惠子

    国務大臣南野知惠子君) お答えいたします。  法案が閣議決定されれば、一生懸命頑張ってまいります。
  416. 福島みずほ

    福島みずほ君 法務省は閣議決定をする予定であると発表されたんじゃないですか。
  417. 南野知惠子

    国務大臣南野知惠子君) せっかくのお尋ねですけれども、まだ閣議決定されておりませんので、どうぞ答弁は差し控えさせてください。
  418. 福島みずほ

    福島みずほ君 閣議決定されていない法案でも委員会で審議する必要があるから聞いているのです。大臣、どうですか。
  419. 南野知惠子

    国務大臣南野知惠子君) 閣議決定されましたならば、いろいろと中身を御検討していただきたいと思います。
  420. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) どうぞ、福島みずほ君。
  421. 福島みずほ

    福島みずほ君 では、法務省職員は委員になるのでしょうか。(発言する者あり)人権委員会委員になるのか。
  422. 小西秀宣

    政府参考人(小西秀宣君) 人権擁護局長でございます。お答えさせていただきます。  先ほど来大臣仰せのとおり、現在まだ閣議決定いただいておりませんので、法案の内容についてお答えするというわけにはまいりませんけれども、廃案となりました旧人権擁護法案におきましては、人権委員は、人格高潔で、人権に関し高い識見を有する者であって、法律又は社会に関する学識経験のある者のうちから、両議院の同意を得て内閣総理大臣が任命するということになっておりまして、法務省の職員がなる、ならないということは現段階では何ともお答えできないところでございます。
  423. 福島みずほ

    福島みずほ君 人権擁護局がそのまま横滑りして人権委員のメンバーになると聞いておりますが、それでよろしいですか。
  424. 小西秀宣

    政府参考人(小西秀宣君) 申し訳ありませんが、先ほど来のとおりでございまして、しかもまだ立ち上がってもおりませんので、その先どうなるかということもまだ分かりませんので、いずれその時点になりましたら何らかのお答えができるかと思いますが、現時点では御容赦願いたいと思います。
  425. 福島みずほ

    福島みずほ君 行刑改革会議が行われ、の結論で、受刑者らの不服審査機関、第三者機関を設けるとあります。法務省の外局に設けるのはこれに反しませんか。
  426. 南野知惠子

    国務大臣南野知惠子君) お答えいたします。  行刑改革会議の提言といいますのは、「人権擁護推進審議会の答申を最大限尊重して設置されることとなる、公権力による人権侵害等を対象とした独立性を有する人権救済機関が、可及的速やかに設置されるべきである」としているものでございますが、人権委員会は人権擁護推進審議会の答申を最大限尊重して設置される人権救済機関であり、行刑改革会議の提言と何も矛盾していないものと考えておりますが、人権擁護法案の閣議決定がされていない現時点では、やはりその中身についてこれ以上お答えしかねるということで御報告させていただきます。
  427. 福島みずほ

    福島みずほ君 先ほど、法務省の職員が委員になることは否定されませんでした。でも、行刑改革会議では第三者機関になるべきだと言っております。  では、人権局長、先ほどの質問に答えてください。付きまといや待ち伏せ、電話、ファクスできなくてどう取材するんでしょうか。
  428. 小西秀宣

    政府参考人(小西秀宣君) ちょっとその点まだ、先ほど来の御答弁、大臣の御答弁のとおりでございまして、現在、案の段階でございまして、しかも、この点は御承知かと思いますが、二月三日に与党の人権問題等に関する懇話会の御決定で報道関係条項を凍結するという御決定も出ておりまして、そういうことも踏まえて検討しておりますので、その中身、そういう観点についての御質問の答弁は控えさせていただきたいと思います。
  429. 福島みずほ

    福島みずほ君 まだ固まっていないのでしたら、メディア条項は削除するように、法務省の外局というのは見直すよう強く要請します。  ところで、国土交通大臣、タクシーの運転手さんの労働実態についてお聞きをいたします。
  430. 金澤悟

    政府参考人(金澤悟君) お答え申し上げます。  ハイヤー・タクシー事業につきましては、昭和四十年代より長く景気低迷等によって長期に需要が減少傾向にございました。そういう中で、経営環境は極めて厳しい状況に長く置かれております。  みずほ委員御承知のとおり、三年前に、(発言する者あり)あっ、失礼しました。福島、失礼いたしました。福島、失礼いたしました。申し訳ございません。
  431. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 続けてください。
  432. 金澤悟

    政府参考人(金澤悟君) 福島委員の御質問のとおり、規制緩和が行われました三年前でございますが、これは需給調整規制の廃止ということを中心に行われました。その結果、これまでに、三年間に全体のタクシー事業者の六%に当たります三百八十事業者が新規に参入をいたしておりまして、様々な多様な運賃が導入された結果、総需要も下げ止まりの傾向を見せておる状況にはございます。  また、しかし、こうした新規参入あるいは既存の事業者の皆様が増車をされました結果、全国で七%、約一万四千両の車両が増車になってございまして、いまだに景気の問題もございますので需要が上向きに転じるには至っておりません。しかし、一両当たりの売上げはそうした増車の結果下がり続けておりまして、歩合が中心の運転手の皆様の給与もしたがって約六%ほど減少しておると、このような状況にございます。  またさらに、近年、大きなタクシーの空車の問題がございまして、空車待ちの交通渋滞の問題がございます。こうした問題につきまして、私ども解決に向けて関係機関と協力して取り組んでいるところでございます。
  433. 福島みずほ

    福島みずほ君 年収が三百十四万八千二百円、とても低くなっています。また、交通事故が十年前と比べて六割増えてしまった。規制緩和の結果、台数が増え、労働条件の悪化、事故が増えるという事態が起きています。タクシーに乗ると、運転手さん大変だという声が聞かれます。大臣、こういう規制緩和についてどうですか。  また、二〇〇四年の通達、大口については三割割引できるという通達で、また生活が苦しくなるという声も出ておりますが、この裁判についてどうお考えでしょうか。
  434. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) この規制緩和によりまして、一方ではタクシー業界の皆さん、福祉タクシーに代表されるように、いろんな自由な形態で仕事ができるようになりました。それは市民の方々に好評をいただいている部分も相当ありまして、そういうのでタクシーに対する需要が高まっている部分もあるということも是非知っていただきたいですし、また料金の問題も、多様な料金を、体系を取ることによって、利用者にとっては非常に喜ばれている側面があるということも是非御理解をいただきたいと思います。  ただ、その上で、問題になっておりますのは、この規制緩和によって、先ほど局長が答弁をさせていただきましたが、約一万四千両の車両が増加になっているんです。それも、新規参入ももちろんあるんですが、既存の事業者の方々が増車した結果、そういう大きな台数になっているわけですね。従来の既存の事業者の方々が増車することによって台数が増えて、そして全体としての総需要は下げ止まりつつあるんですけれども、一台当たりの収益が少なくなっていると。それで、御存じのように、このタクシーというのは歩合制ですから、歩合制になっております関係で一人当たりの収益が少なくなってしまうということになる問題点がございます。  そこの問題点については、私もこれは一つ問題点であるというふうに理解をしておりまして、どうすればいいのか。これは、私は厚生労働省ともよく相談しないといけない問題ではないのかなともいうふうにも考えております。
  435. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 時間が参りましたので、おまとめ願います。
  436. 福島みずほ

    福島みずほ君 はい。じゃ、終わります。
  437. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 以上で福島みずほ君の質疑は終了いたしました。  明日は午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時十分散会