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国務大臣(
竹中平蔵君) 御
指摘をいただきまして、ありがとうございます。
まず、第一の御
指摘で、景気の踊り場というのは、まあ私も使いますし、新聞等々でも出てくる言葉でありますが、具体的にどういう意味なのか分かりにくいと、そういう御
指摘、確かにあろうかと思います。踊り場、こういう例え話というのは分かるようで分からないようなところは確かにございますので、階段を上ってきまして、もっと更に上に行くときに平たい部分があります。それが踊り場でありますので、私たちの感じとしては、
経済が回復してきて、しかし今やや横ばいになっていると。上ってきたけれども、今この短期間に関しては横ばいになっていると。この階段が今後更に下に行ってしまうのか、これ踊り場で、今、中二階で、更に上に行くのかと。その重要な分かれ目だということだと思います。
どうしてこういうことになっているのかというのが
一つの重要なポイントだと思うんですけれども、基本的に
企業部門というのはなかなかしっかりと回復をしてきたわけでございますけれども、昨年の四月から六月ぐらいにかけまして実はアメリカで消費が一時的に落ち込んでおります。これは原油高が影響だったんですけれども、その影響で世界全体で少しスピードが減速した感じが出てまいりまして、それが半年ぐらい遅れて
日本の輸出を弱含みにしてきていると。輸出が弱含みになって、そして生産もそれによって影響を受けているというのが
一つの理由でございます。
日本の
企業、
日本の内部そのものはそれなりに更に上に上っていけるようなメカニズムを持っているんですが、アメリカ
経済という世界で最も影響力のある
経済にちょっとぽんと
ショックが走ったと、原油高でですね。その影響が出てきているというのが今の基本的な認識でございます。
要は、この踊り場という
表現をあえて使わせていただければ、ここから更に上に行くのか、下に下りてしまうのかということだと思いますが、これは
政府、私たちは更に上に行ける力を持っているというふうに思っております。
ちなみに、
日本で今二十四ぐらいの主なシンクタンクがこういう景気の予測をしておりますけれども、そのうちの八割が
政府と同じような見方をしていると。二割がいや悲観的で更に下に行く
可能性もあるのではないかという見方をしていると思いますので、私たちの見方というのは、私たちの
判断に基づいて行っておりますが、世の中の一般的な見方でもあるということではなかろうかと思います。そうなるように是非しっかりと
議論をしていきたいと思っております。
二番目の、
日本の景気の状況についてもう少しゆっくりと分かりやすく説明せよということでございますけれども、要は、バブル以降ずっと、不良債権、
銀行から見ると不良債権、そして
企業から見ると返せない借金、過剰な債務、同時に過剰な設備等々で
企業部門が疲弊をしてまいりました。そうした中で、不良債権の処理と相まって、
企業部門がここ二、三年、大変しっかりとしてきたと。それが今の
日本の
経済を、ここ数年、二、三年の
日本の
経済を支えてきた最大の要因であろうかと思います。
しかし、同時に、なかなか実感がないという御
指摘もございます。先ほどありました地方とのばらつきの問題もございますが、
一つの要因は、家計が最大の消費の、支出の項目である個人消費、それを支える家計にこの良い状況が必ずしも移っていないのではないだろうかという御
指摘があるというのは事実でございます。
今何が起こっているかといいますと、
企業部門でしっかりとしてきて、それで
企業部門の
資金の流れ、キャッシュフローが増えて、それが設備投資に回るようになってきて景気を押し上げてきてきた。これがやはり家計に回る、つまり給与等々に反映されて家計の所得が増えて、そして個人消費がしっかりしていくということが何といっても景気回復の本道であって、そういう形に何としても持っていかなければいけない状況であろうかと思います。
国民所得の統計を見てみますと、ようやくにして
企業部門のキャッシュフローの増加が雇用者の報酬に跳ね返ってきつつある状況であると思っております。これを是非とも家計にしっかりと反映をさせる、その上で個人消費もしっかりと、よりしっかりと伸ばしていって景気全体が更に拡大していくような形に是非とも持っていきたい。今、そのような状況で
経済を注意深く見ているところでございます。