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参考人(
山下三郎君) 御紹介いただきました広島県
廿日市市長の
山下でございます。それでは、座って
意見述べさしていただきます。
参議院の
先生方には、
我が国の発展のために日夜熱心な御審議をいただき、大変ありがとうございます。
広島県廿日市市は、平和都市広島の西側の町でございます。瀬戸内海に面する小さな町でございますが、
平成十五年三月一日に、隣接する一町一村を合併をいたしました。面積八倍に膨れたわけでございます。本年十一月三日には、世界遺産の厳島神社を持つ宮島町と大野町が編入合併をいたします。
もう
一つ申し上げますと、今日、
先生でおられます
藤野先生が私の町の出身でございまして、初めて廿日市から
国会議員が出たということで、私どもは大歓迎をし一緒に頑張っておるわけでございますが、今日は
藤野先生に言われて来たんじゃございませんので、私は反対の立場でひとつ
意見を述べさせていただくと、こういうことでひとつ御
理解をいただきたいと思います。
これからの合併によりまして、
人口約十二万、面積四百八十八平方キロでございまして、かつての廿日市、二年前の廿日市は四十八でございますから十倍以上の面積で、島根県境、山口県境に接するわけでございまして、スキーができて海水浴ができるという、
一つ町でそれができるという非常にユニークな町が誕生したと、こういうことでございます。そうでございますから、非常に
過疎地を抱えたことでございます、ことになったわけですが、百五十平方キロで
人口八百四十人と、こういうかつての村も私のところへ入ったわけでございます。
広島県は非常に広域合併が進んでおりまして、八十六あった
市町村がこの二月、来年二月には、今年度中に二十三に編成替えをされます。村は
一つもなくなったわけでございますが、そんな関係で、いろいろ
過疎地域を抱える
過疎の悩みの中でこの
郵政民営化を考えさせていただいたわけでございますし、高尚な
議論は
国会の
先生方皆知っておられるし、いろいろインターネットを取って見ますと出ておりますが、こういうことはもう全部インターネットで
全国的に分かっておりますから、私どもは
過疎地域としての問題として考えさせていただくと、こういうことでひとつお許しをいただきたいと思います。
初めに、市
行政と
郵便局とのつながりでございますが、
郵便局の職員の皆さんは毎日
郵便物を持って各地をずっと回っておりますから、町のあるいは村の部落の果てまですべてをよく周知をしておると、こういう実態でありますので、そういう点を生かして本市では、地元
郵便局と様々な協力
体制を今日まで結んできております。
例えば、市民の
生活環境や廃棄物等の不法投棄に関する
情報提供を
郵便局の皆さんにお願いをいたしております。それから、
郵便局の皆さんが集配
業務を行う際、
道路の破損や街路樹の倒木、水道の漏水や公共施設の崩壊など、市民の
生活環境に危険を及ぼすもの、また廃棄物の不法投棄などを発見した場合には市に通報していただくことをお願いをいたしております。また、災害発生時には、市と
郵便局が管理する施設や用地の相互利用や、収集した被災市民に関する
情報の相互提供、必要に応じて避難場所に臨時の
郵便差し出し箱を
設置するなどの協力
体制を組んでおります。
具体的に言いますと、
一つには
生活環境等
情報提供に関する協定書、二つ目が災害時における廿日市、廿日市市内の
郵便局間の相互協力に関する覚書、それから三つ目が廃棄物等の不法投棄に関する
情報提供等の
業務委託を契約すると、こういったことで、いろんな意味で
郵便局の皆さんは隅から隅まで頑張っておられますので、いろんな
情報提供をしてもらう。特に独り暮らしの老人、何かあったときに声を掛けていただくとか、そんなことで、
過疎地を抱える者としては非常にこの
郵便局にお世話になっておると、こういうふうな現状でございます。
このように、
郵便局は
地域に深くかかわる
業務を行っているためか、
地域への貢献や
地域への調和という意識が強く感じられ、
特定郵便局の局長の中には
地域コミュニティーの代表として積極的に町づくりにかかわっておる、こんなことがいろいろされておりますし、また、職員の皆さんも日々
地域のために活動を続けておられるというのが現状でございます。
以上のように、
郵便局は
地域の町づくりのためになくてはならない存在となっており、現在御審議をいただいておる
郵政民営化関連
法案に関しては、今後、
地域の
郵便局がどのようになるのか自治体の執行者として強い関心を持っておりますとともに、
地域の
住民もいろいろと心配をしておることは現状でございます。
私も含めて
地域の
住民の皆さんが心配されている代表的なことを申し上げますと、まず最初に
郵便料金についての心配があります。
現在、
全国で、二万五千弱ある
郵便局のうち、その四分の三である約一万八千の
郵便局が赤字であると聞いておりますが、これまで国なり
公社でやってきたものが株式会社になった場合、赤字
郵便局を維持するために
全国一律の料金体系の維持は難しくなるんではないだろうか、
郵便料金の値上げも必要になり、
過疎地域では実質的には利用が困難になるのではないか、こういった声が
地域から起き上がっております。
次には、
郵便局がなくなるんではないかという心配が挙げられております。廿日市市には
郵便局が十八局あり、そのうち
郵便の集配を行う
郵便局が三局、身近な窓口
サービスを行っている局が十五局、また窓口
サービスを行っている
郵便局のうち二局がいわゆる
簡易郵便局となっております。この
郵便局の数は、実は市内の小学校の数とほとんど一緒であります。廿日市市内には小学校が十六校あり、
郵便局が十八局、簡易局を除くと、いわゆる普通局と特定局で数えると十六で、ぴったり小学校数と合うわけでございます。
これは偶然ではないわけだと思いますが、小学校は
地域の子供
たちが学校へ通う範囲、その距離の問題、それから
郵便局は
地域の皆さん方が歩いていける、こういう便利の良さ、
高齢者や障害者の方も日常的に利用できるところがなくてはならないものであり、
地域の
住民、子供
たちが安心して利用できるというふうに必然的にそういう距離にあると、こういうことが
現実でございます。
郵便局は子供からお年寄りまで歩いていける窓口であり、さらに家庭に
郵便を配達するため毎日職員がくまなく歩いていただいております。こうした
郵便局の機能を活用して、これまででは市役所の窓口に出向いてこられない人のために市と
郵便局が
連携し、
住民票や戸籍の証明書などを
郵便で請求を受け、
郵便で
交付する
サービスも行っており、廿日市子どもセンターが発行している
情報誌「ヤングまなびすと」の配付も
郵便局の皆さん方にやっていただいておると、こういう日常極めて密接なつながりがあると、こういうことでございます。
そして二つ目には、
郵便局なくなると、こういうことで非常に心配されておるのが二つ目でございます。
それから三つ目に、
郵便貯金に関する心配が挙げられております。
全国の
郵便局のうち、
金融業務で黒字を出せない
郵便局が約半分の一万一千強あると聞いております。この問題について基金を設け、その運用益で
郵便銀行が
郵便局ネットワーク会社に支払う委託手数料を安くする措置をとるよう伺っておりますが、
全国一律の
金融業務が維持できなくなるのではないかと心配をいたしております。
金融収支が赤字である
郵便局には
金融業務が委託しないということが起こり得るのではないでしょうか。
過疎地域に住む利用者のためにも、国なり
公社としての
金融機関があってもよいのではないかと思っております。
地域住民の皆さんの中には、これまでお年寄りに懇切丁寧に話をしてくれている窓口の職員の方も、民営化すると利益優先となり、いろんな相談に乗ってくれなくなるのではないだろうかという心配もあるようでございます。
以上のような心配の根底には、現在の
郵便局の活動を評価され、今後も同じような
サービスの提供を期待されている中で、民営化することによる
変化に対して大きな不安があるものと思っております。
これらの心配の根底には、そもそも今の
郵便公社で頑張り、それなりの成果を上げているものをなぜ民営化しなきゃならないのか、しかもどうしてそんなに急いでやらなくてはならないのだろうか、こんな疑問を私も
住民の皆さん方もいろいろ持っておられると。少なくとも、これまで
地域の声として
郵便局の民営化を求めたことは一度も私は聞いたことがないわけで、
地域からですね、ありません。
これに対して、
公社が頑張っていることは認める、だからこそ将来的にじり貧にならないよう民営化するんだとの説明も耳にいたしますが、民営化が
公社のため、
郵便局がそこで働く職員のためだというならば、腑に落ちないのは、
公社自身がかつてのNTTのような民営化を求めていないことであり、
特定郵便局長も労働組合も消極的なことだと思います。
郵便局は公務員だ、だが自分で給料を稼いできたという変わり種の公務員だと私は思っておるわけでございます。
時間もないので急ぎます。
様々な角度から
郵政民営化に対してのメリットやデメリットを分析する中で、
郵便局がなくなったり
サービスが
低下しないような工夫と
見通しを立てられているかとは思いますが、このことが十分に
地域の
住民には伝わってきていないのではないかと思っております。
自治体を預かる者として最大の目標は、
地域全体で
住民の皆さんが安心して
生活ができ、住んで良かった、そうしてこれからも住み続けられると言われるような町づくりを行うことだと思っております。このような町づくりを進める上で、
地域の
郵便局はとても大切な存在であると、このように思っております。
かつて、私は昭和一けたの生まれでございますが、私どもが小学校行くごろに、小学校のいろんな行事に来賓で来られたのは村長さんと地元の
郵便局長さん、そうして
交番の駐在所、この方が私どもが子供のときには来賓で、村
会議員さんが来られたのは一遍も見たことございませんが、
地域自体がそうだったんだと思うんですが、それぐらいやっぱり
地域で根付いておる。その駐在所が私の町でももう廃止をされて、これだけ事件の多いときにどんどん
過疎の駐在所はなくなっていきよる、その上、
郵便局でもなくなったら一体どうなるのか、この辺非常に心配です。
今、私ども、安心、安全の町をつくることが喫緊な課題だと、自治体だと思っております。学校へいろんな凶器を持って入ったり、私の町でも
現実にあり、脅迫状も舞い込んでおりますので、この六月定例会、一億四千万でカメラを
設置するようにいたしましたが、非常に安全、安心な学校がそのような
状況。もう
地域はかなり荒れておるわけですから、そういう中に駐在所、
郵便局、きちっとやっぱり
地域の町づくりと位置付けて頑張っていただきたいと、このように思っておりますし、もちろん私ども官から民へということについては十分
理解をいたしております。
しかし、今、国の方針によって指定管理者制度を今私どもやっておりますが、なぜこうなったんだろうか。各地、各町村に温泉のない町はないぐらい温泉を掘らしたのは、これは自治省もやっぱりそういうのは誘導したと思いますね。そんな中で、今これが全部赤字だから指定管理者制度をやらなきゃいかぬ。何のためにあれだけの税金使ったのか。やっぱり十年、二十年先の町づくり十分見据えていただいて
行政を進めていただきたいなと、こんな感じがいたしております。
自治体の執行者の一人として、
地方自治体を取り巻く
環境は、
地方分権の
推進や
三位一体改革、そうして
市町村合併や進む少子
高齢化、日々広がりを見せる地球温暖化を始めとする
環境問題など、要因として大きく変わってきております。それぞれの自治体がこのような
状況の中で
住民の皆さんのために一生懸命頑張っておるのが実情でございます。
現在、御審議いただいている
郵政民営化については、どうぞ
地域住民の心配や不安を募らせないような、また現在、
郵便局が行っている
サービスを
過疎地域であっても引き続きできるような処置をしていただきたいとお願いを申し上げて、
発言を終わらせていただきます。
今日はこのような場で
発言をさせていただきまして、大変光栄に存じております。
ありがとうございました。