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2005-07-15 第162回国会 参議院 郵政民営化に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十七年七月十五日(金曜日)    午前九時開会     ─────────────    委員異動  七月十四日     辞任         補欠選任      小林  温君     藤野 公孝君      大久保 勉君     齋藤  勁君      櫻井  充君     江田 五月君      魚住裕一郎君     弘友 和夫君      又市 征治君     近藤 正道君  七月十五日     辞任         補欠選任      高橋 千秋君 ツルネン マルテイ君      若林 秀樹君     藤本 祐司君      大門実紀史君     小池  晃君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         陣内 孝雄君     理 事                 市川 一朗君                 世耕 弘成君                 山崎  力君                 伊藤 基隆君                 平野 達男君                 山下洲夫君                 弘友 和夫君     委 員                 愛知 治郎君                 有村 治子君                 岩城 光英君                 小野 清子君                 小池 正勝君                 小泉 昭男君                 椎名 一保君                 関口 昌一君                 野上浩太郎君                 長谷川憲正君                 藤野 公孝君                 山下 英利君                 山本 順三君                 江田 五月君                 大塚 耕平君                 岡崎トミ子君                 齋藤  勁君                 高橋 千秋君             ツルネン マルテイ君                 藤本 祐司君                 峰崎 直樹君                 山根 隆治君                 若林 秀樹君                 渡辺 秀央君                 西田 実仁君                 山口那津男君                 山本 香苗君                 小池  晃君                 大門実紀史君                 近藤 正道君    衆議院議員        修正案提出者   柳澤 伯夫君        修正案提出者   山崎  拓君        修正案提出者   桝屋 敬悟君    国務大臣        内閣総理大臣   小泉純一郎君        総務大臣     麻生 太郎君        財務大臣     谷垣 禎一君        厚生労働大臣   尾辻 秀久君        国土交通大臣   北側 一雄君        国務大臣        (内閣官房長官) 細田 博之君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣金融)        )        伊藤 達也君        国務大臣     竹中 平蔵君    副大臣        内閣府副大臣   西川 公也君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        木村  勉君    政府特別補佐人        内閣法制局長官  阪田 雅裕君        公正取引委員会        委員長      竹島 一彦君    事務局側        常任委員会専門        員        鴫谷  潤君        常任委員会専門        員        高山 達郎君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       橋口 典央君        内閣官房郵政民        営化準備室長   渡辺 好明君        内閣官房内閣審        議官       中城 吉郎君        法務省民事局長  寺田 逸郎君        国土交通省自動        車交通局長    金澤  悟君        国土交通省政策        統括官      春田  謙君    参考人        日本郵政公社総        裁        生田 正治君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○郵政民営化法案内閣提出衆議院送付) ○日本郵政株式会社法案内閣提出衆議院送付  ) ○郵便事業株式会社法案内閣提出衆議院送付  ) ○郵便局株式会社法案内閣提出衆議院送付) ○独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理機構  法案内閣提出衆議院送付) ○郵政民営化法等施行に伴う関係法律整備等  に関する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) ただいまから郵政民営化に関する特別委員会を開会いたします。  理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 異議ないと認めます。  それでは、理事弘友和夫君を指名いたします。     ─────────────
  4. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  郵政民営化法案外五案の審査のために、必要に応じ政府参考人出席を求めることとし、その手続につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  6. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  郵政民営化法案外五案の審査のために、必要に応じ日本郵政公社役職員参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  8. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 郵政民営化法案日本郵政株式会社法案郵便事業株式会社法案郵便局株式会社法案独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理機構法案及び郵政民営化法等施行に伴う関係法律整備等に関する法律案、以上六案を一括して議題といたします。  六案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  9. 山崎力

    山崎力君 自由民主党の山崎力でございます。  これから長丁場になると思いますが、郵政関連法案、今国会における最重要法案という位置付け、あるいは、先議院である衆議院での論議を踏まえた議論参議院としてしっかりやっていきたいと思っておりますので、政府皆様方におかれましても、首相始め、よろしく御協力のほどをお願いいたします。  特に、総理におかれましては、簡潔に、そしてなおかつ誠実に御答弁願うことが国民理解を得ることにつながると思いますので、その辺のところも是非御協力願えればと思う次第でございます。  それではまず、この法案の基本的な、冒頭でございますので、基本的な問題からお話をお聞きしていきたいと思っております。  まず第一に、この郵政民営化法案、我々関係者、御承知のような経過を経て衆議院から参議院に送られてまいりました。冒頭に当たり、その今までの経過と、参議院における審議に臨んでの総理の所信、まず感想からお聞きしたいと思います。
  10. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 衆議院で百時間を超える慎重な審議が行われ、そして、委員会での採決におきましても本会議での採決におきましても、整然と審議が行われ、討論が行われ、可決されて参議院に送られてきたと。  その間、この郵政法案に対しまして、賛否両論、熱心な審議が行われました。そして、民営化に当たって、今までの郵便局はどうなるのかという不安、懸念に対しても、与党側からそのような不安や懸念を払拭させるための修正案が必要だということを受けて修正が行われまして、参議院に送付されたわけであります。  長時間を掛けて全政党参加の下にこうして参議院に送られたわけでありますので、今までの衆議院経過等参考にしながら、参議院におきましても、公社から民営化になって今までの郵便局の行われているサービスというものはなくならないと、より、民間経営者に任せても新しい時代に対応できるサービス国民に提供されるということについて、じっくりと参議院審議において国民の前に披瀝いたしまして、大方の理解を得るように私も丁寧に誠意を持って対応してまいりたいと思っております。
  11. 山崎力

    山崎力君 今総理お話にございましたけれども、衆議院では法案修正が行われたところでございます。  その修正内容については、昨日、我々の方、お聞きしているわけですが、なぜ修正しなければいけないということで衆議院修正に至ったのか、その内容考え方を是非この際お聞かせ願いたいと思います。
  12. 山崎拓

    衆議院議員山崎拓君) 昨日の提案理由で申し上げましたとおり、郵政民営化は明治以来の大改革であり、国民生活とも深く関係していますことから、制度設計に当たりましては種々の不安感を払拭するものでなければならないと考えております。  したがいまして、この法案修正は、郵便局窓口におきまして金融サービスが引き続き提供されるのかどうかといった懸念がございましたので、これに対応いたしまして、この法案提出に当たりまして政府、与党合意なるものがなされておりますが、その中で法律化されていなかったものをできるだけ法律に明記するという措置をとることによりまして、より強い担保を確保するものといたしたところでございます。  法案修正によりまして、郵政民営化に係る国民不安感懸念の払拭に役立つものと考えております。
  13. 山崎力

    山崎力君 ということで、修正案としてこちらに参ったわけですが、まず法案中身に入る前に確認しておきたい基礎的な部分総理にお伺いしたいと思います。  まず、この法案、いわゆる民営化考え方の根底に、民にできるものは民にと繰り返し総理申し上げられておりますが、これは非常に分かったようで分かりにくいところございます。と申しますのは、ほかにも民間と公とが一緒にといいますか並行して事業をしているものがたくさんあると。例えば医療機関病院等ですね。あるいは教育も私立学校があると。一番身近なところで分かりやすいので言えば公営バスというのがございます。都バスとか市営バス。もちろん民間バスもあると。これもいわゆる公、官と民が一緒にやっているのがある。そこのところをなぜ並立できないのかという考え方が当然あろうかと思うわけですが、その辺についての総理のお考えをまずお伺いしたいと思います。
  14. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 役所なり公務員がやらなければならない仕事民間人でもできる仕事、その点をどう区分けしていくかということは、これは必要だと思っております。  医療機関におきましても、民間でできる分野と公的な役所関与した病院と両方あるわけであります。また、学校におきましても公立と国立とまた私立民間と、両方あるわけであります。それぞれ民間公的機関、両方ありますが、消防におきましても、消防団員というのは公的な仕事でありますが、民間人がやっておられる。また、役所もやっておられると。いろいろ公的機関民間機関、両方ありますが、この郵政事業ということを考えますと、郵便事業でどうしても公的な分野におきましては公的な資格も与えなきゃいけないという分野もあると思います。  同時に、できるだけ民間にできることは民間にということを考えますと、私は、貯金にしても保険にしても今民間企業でやっておられる、さらには、郵便事業宅配事業におきましても民間でやっているという点に考えると、民間にできることは民間にという方針を小泉内閣は掲げておりますし、多くの方々もできるだけ官の関与を少なくして民間創意工夫を発揮させるということが経済活性化につながると。そういうことを考えますと、民間にできることは民間にと、この郵便局の業務というのは、いろいろな商品にしてもあるいはサービスにしても、役人考えるよりも民間人考えた方が、今想像できないようなサービス展開される可能性が十分あると。  そして今、公的な分野となりますと、やっぱり民間と違って、民間分野に進出すると民業圧迫という問題も出てくると。三事業という制約があるわけですね。郵便局仕事も、果たして今のような三事業という制約の下にやっていった方がいいのか、あるいは民間人になって、民間人に任せてこの三事業以外にも様々な事業展開するようにした方がいいのかという点があると思います。  そういうことから考えますと、私は民間経営者に任せてより自由に、今の公的な関与になりますと、公的な優遇と同時に制約があります。この問題は、より自由な国民要望にこたえられるような事業ということを考えますと、民間経営者に任せて、民間人に任せた方がいろんなサービス展開されるんではないかと。いい例が宅配サービスですね。この郵便事業に参入してきて想像を超えるようなサービス展開されて国民の利便に役立っているということから、私は郵便局仕事公務員でなくても十分民間でできるということから、民間にできることは民間にということも賛成ならば、各論であるものについても断行していくのが筋ではないかと思っております。
  15. 山崎力

    山崎力君 今の総理の御答弁にもありましたように、非常にここのところで判断の分かれるところがあろうかと思います。マスコミあるいは経済界人たちの論調とも、後でも問題になってくると思いますが、ずれるところもないわけではありません。  民間にできるものが民間にやるんであれば、どんどん推し進めるんであれば、例えば公営交通機関というのはもう民間に任せると、市営バスとかそういうのは民間の方がもっといいサービスができるんではないかという議論も出てきて、全部民営化しろという意見も当然あるわけです。そこで、市場の原理で撤退するものはやむを得ないという考え方と、それから、若干そうでないんではないかと。  あるいは、銀行とか保険は、これは橋本行革の中でも一部出ましたけれども、これは民営化する必要は当然あってもいいけれども、今後中身議論で出てくると思います。同僚議員からも出てくると思いますが、郵便に関しては公の部分もかなりあるんだから、その部分は残しておいたっていいじゃないかという議論もあります。その辺のところの差がどこにあるのかということが今回の法案審議の中のポイントになろうかと思っておりますので、私なりにも意識しているところでございます。  そのときにまず、今の総理お話の中で、抜けていると言うと失礼ですが、現時点でこの審議を行っているその理由、すなわちなぜ今民営化なのかと、この今に絞って、現在なぜやらなきゃいかぬかと、将来はともかく、なぜ今なんだという点について改めて総理のお考えを伺っておきたいと思います。
  16. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、前からもっと早く民営化すべきだと思っておりました。これは郵政大臣になる前から、この郵便局仕事というのは本当に公務員じゃなきゃできないのかと疑問に思っていたところであります。しかしながら、この民営化主張しても、国会でももう全然相手にされないといいますか、民営化は暴論だと、公務員じゃなきゃ駄目なんだという議論が圧倒的に多かったわけであります。  しかしながら、私は、この郵便局サービスというのは、多くの国民の必要としているところだけれども、果たして民間人ではこのサービスはできないのかということを常々疑問に思っていたものですが、なかなかそういう声が上がらなかった。しかしながら、官業民業の補完であるということについては、当時から、かなり前から多くの方々議員からもそのとおりだということで、民間ではできないことを公的機関がやろうということから、最近は民間企業でも公的な分野仕事をしているじゃないか。そういうことから考えますと、むしろ公的な分野官業分野においても、民間ができるんだから、できるんならば公的な分野にも民間企業に進出してもらっていいじゃないかという議論も出てきたところであります。  そういう中で、私は、今の郵便局仕事というもの、これを続けていきますと、優遇と同時に三事業制約されていますから、果たしてこれからの国際的な業務等考えますと、果たして収益を上げられるんだろうかと。官業の場合には、それぞれの赤字が出た場合には税金で補てんすればいいわけでありますけれども、今の郵便局仕事におきましても、民間が参入することによって、果たして民間だと、歳入が取れない、採算が取れない、収益を上げられない事業はしないかというと、そうじゃありません。  収益が上げられるところと収益が上げられないところ、全体的なことを考えながらそれぞれの事業展開して、収益を上げながら、税金を負担しながら国民に様々な事業展開をしているということから、今そのようなことを民間に任せないで公務員だけでやった方がいいじゃないかという議論もありますけれども、私は、公務員を減らしていこうと、あるいは民間と様々な事業競争して、民間同士競争によって、これはいろいろな商品なりサービス展開していこうということになりますと、公務員商売考えるよりも、商売のことは私は民間人の方がいろんな知恵を出してくれると思うんであります。  一国会議員が、あるいは役所が、どういう商品国民にとって必要かと、どういうサービスが必要かということを考えると、今までの例におきましても、民間人に任せた方が私は商売の点においてはうまいのではないかということから、私は、これは早くから郵便局仕事公務員でなくても十分可能であると。仮に、公的な分野民間がどうしてもできないという分野は公的な関与を持ってもいいんですけれども、全体的に考えれば、民間人経営を任せても十分可能だということを早くから判断してきたものですから、こういう点については、将来できるだけ効率的な、簡素な、役所の、役人関与を少なくする、そういう時代を迎えたならば、早い機会に民営化した方がいいなと思っていたものですから、もうかなり早くから民営化主張していたわけであります。  そして、総裁選挙のときにもこの主張を掲げて総裁に選出されたわけでありますので、その主張どおりこれを実現していくのが私の責務ではないかと考えております。
  17. 山崎力

    山崎力君 まあ、いろいろこれから議論のある内容を含めた御答弁だと思いますが、本日、総論的なことを一巡、一応、私としたいと思いますので、この問題について、後刻、私自身あるいは同僚議員からの質問もあろうかと思いますので、次の問題に移らせていただきますが、私自身も含めて大多数の国民がこの郵政事業というのを経営形態まで考え関心を持っているかというと、そうではないと思っております。  と申しますのは、国民関心のあるのは、先ほど総理民間にした方がより良いサービスができるんではないかということをおっしゃっていましたけれども、まず、今国民が望んでいるのは、現行のこの郵便サービスが将来とも維持していけるかどうかと。まあ一番卑近な例でいえば、郵便料金八十円が八十円のままずっといくのか、はがきが五十円のままいくのか、毎日ちゃんと配達されてくれるのか、あるいは窓口に行けば貯金その他で、何というんですか、現金はすぐ来るのかと、こういったことがいろんなへんぴなところでも、あるいはドーナツ化現象で人が住まなくなったような都会でも、都心地でもずっと保っていけるかどうかというのが私は一番の望みだと思っているわけです。  そういうような基本的な考え方として、そういう認識、私の認識について、総理はどのようにまずお考えでございましょうか。
  18. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、その点が多くの民営化反対論者の中で心配している点だということは認識しております。  民営化されると今までのサービスが切り捨てられるのではないか、あるいは郵便局がなくなるのではないかというような懸念、不安を払拭しなければいけないということから、十分配慮して法案提出し、なおかつ、衆議院におきまして、そのような不安感をなくすようにより明確にした方がいいのではないかということで、修正をして参議院に送られたわけであります。  民間でやると料金が上がるのか下がるのかということでありますが、私は、これは断定はできません。下がるものもあるだろうし、中には上がるものもあるだろうと、可能性といえば。そして、今までの郵便事業におきましても、仮に民間でできないという場合にはできる措置も講じております。地域の貢献基金を積み立てるとか、さらには過疎地におきましても郵便局設置を義務付けるとか、そういう今における郵便局サービスが切り捨てられることのないような措置も講じております。  また、小包等の問題におきましても、民間が参入する際には果たして民間でできるのかという懸念もありましたけれども、逆に事業量は増大して、郵便局のやるサービスよりもはるかに様々なサービス展開し出した。具体的に言えば、冷凍食品の販売、配達とか、あるいは夜間サービス展開とか、こういう点についてはむしろ民間の方が先行したわけですね。  そういうことから、私は民間人創意工夫は大したもんだなと。一つ一つ荷物を一軒一軒運ぶというのは利益が上がるわけないという中におきましても、当初は利益が上がらなかったにもかかわらず、だんだんだんだん増えていって、むしろ利益の出ないところにもサービス展開する、そして利益の出る分野とうまく総合的に考えながら収益を上げるようなところまで現在来ていると。  そして、様々な熾烈な競争の上に多くの国民がいろいろな便益を受けているということを考えますと、私は、民間のそういう知恵とか国民要望にこたえる能力というものについて、どのように生かしていくかと、活用していくかということを考えるべきではないか。仮にそして、どうしても必要な公的なサービス民間企業ではできない場合には、その点は、国民がどうしても必要だと言うならば、そのような措置を講ずる手だては十分にあると思っております。
  19. 山崎力

    山崎力君 今の総理お話、御答弁でうかがえるように、民営化することに対しての活力、将来への希望というものを総理が非常に強くお持ちになり、そのことが今度の民営化法案提出された総理の気持ちの中心にあるということが私なりに理解できたところでございます。  ただ、問題は、そうなってくると、この今度の法案制度設計が本当に不安を、懸念を払拭したものかどうかという非常に法律中身に関しての問題と、それが現実の制度として動くときに実効性があるかどうかと。現時点におけば、これからの話ですから、予想される、予測され得る限り、問題はうまくいくんだという点検が綿密になされているかどうか。総理の思ったとおりの、思い描いたようなことが、この法律を作った中身において、行政において実行されるときにうまくいくかどうかというふうなことをここで議論し点検することが一番重要だろうということになってくると思うわけでございます。  その点について総理議員の、委員の中で、我々これからの議論について本当に謙虚に、こういう考え方もあるなら、こういう不安もあるなら何とかしてやらなくちゃいかぬなという柔軟な姿勢でまず委員会に臨んでいただきたいと思うわけでございます。  と申しますのも、私なりにこの法案、今までの審議の中で勉強させていただきました、党内を含めて。そこで感じていることは、非常に大ざっぱで言いますけれども、一つは、経営者の視点というものが強く打ち出て、利用者の視点、利用者側に立った気持ち、あるいは働いている人たちの、現実にその事業に従事している人たちの立場、気持ちというものがどこまで考慮されているのかなという点にちょっと不安といいますか懸念を持っております。それと同時に、非常に、この場合、言いにくいことですけれども、行政の考え方が非常に出ていて、立法に対する、立法府に対する考え方が少し薄いんではないのかなと。この二点をまず基本認識として私持っておりました。  順次、その点について具体的にお考えを伺わせていただきたいと思います。  例えば、利用者の視点について非常に、まあ少し欠けている点があるんではないかというふうなこと、経営者側の視点の方が優先しているんではないかという一番分かりやすい例を申し上げますと、今までの郵便事業においては速達とか小包とかをちゃんとやるということが義務付けられておりました、法律で。ところが、今回の改正案では義務付けられておりません、外されております。  これを、いわゆる経営者側といいますか、こういう事業を行う人の立場からすれば、そういう義務付けをすることによって、不採算といいますかそういったものを、何というんでしょう、やること自体がいろいろ自由を縛る、むしろその自由を縛ることによってサービスの低下を来すおそれがあるということを考えるわけですが、利用者側からすると、今までやってくれると約束していたことが消された、外されたということになると、将来このサービスは、当分はあるかもしれないけど、受けられなくなるんじゃないのかと、こういう不安を持つという、無理からぬところだと思うんですが、その辺についてまずお伺いしたいと思います。
  20. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) お答えを申し上げます。  委員御指摘のように、これ、利用者の利便を高めるための改革でなければなりません。そうした観点から、我々も強い思い入れを持って制度設計をさせていただいたつもりでございます。全体として経営の自由度を拡大をして、そして市場における健全な競争の中で創意工夫を発揮していただく、そして質の高い多様なサービスが提供されるようにならなければいけない。ただ、それが本当にそうなるのか点検が必要だと、委員の御指摘、これは誠にごもっともであろうというふうに思っております。  具体的に小包と速達についてのお尋ねでございますけれども、この小包につきましては、現在、公社におきましても、書状の減少傾向が続く中で、これ、経営健全を確保するために小包分野の維持、むしろ積極的な拡大に取り組んでいるところでございます。郵便事業会社が小包の全国サービスを廃止するというのは、これは、したがいまして、むしろ大変重要な分野であるからこそ想定し難いわけでございます。  郵便事業会社としては、民間事業会社と同一の条件の下で自由な事業展開を行うことがむしろ可能になる、一層のサービス改善等が図られて国民の利便性が向上するということが期待できる、そうした観点から、今回、小包をこの郵便の中から外すということにしたわけでございます。  もう一つの速達でございますけれども、近年、減少傾向が顕著ではございますけれども、なおやはり年間一億六千万通の利用があるということから、これはやはり同じく経営者の視点としても直ちに廃止されるということは、これは想定し難いと思っております。  しかし、速達としない郵便物の送達の速度の向上でありますとか、電子メールの普及等といった状況が全体としては見られておりますので、民間宅配便では、これ、何時まで差し出されれば何時までに届けると、そういう時間保証型のサービスが普及しているというのも委員御承知のとおりでございますので、今後、そうした中で郵便におきましても速達サービスの見直しが行われる可能性があるということだと思います。サービスの見直しが行われる可能性がある。このため、利用者のニーズに応じたサービスの見直しをむしろ機動的に行われる必要がある。そうした観点から、今回、速達の提供を義務付けている法律上の規定を削除したわけでございます。  今回の改正は、今申し上げましたように、経営の自由度を拡大することによりまして、より多様なサービスの提供を可能とするものでございますので、正に利用者の利便という観点に十分に考慮した、私たちのそうした思いを制度設計したつもりでございます。
  21. 山崎力

    山崎力君 まあ、政府側からすれば、制度設計した側からすれば今のような御答弁になると思うんですが、私が申し上げたいのは、そういう、それなりの経営者側からの合理的な判断でこういう法律ができているんでしょうということは理解するわけです。  ところが、私が先ほど聞きたかったのは、利用者側からすれば、今まで法律で義務付けられてこういうサービスをして、しますよと言っていたことがその法律の条文から消えたら、不安感を持つのは当然じゃないんですかと、そのことなんですよ。それをどのように説得していくかというのは、ちゃんとやりますから、制度設計でちゃんとやれるようになっていますからということでは、私は、なかなか理解得られない。要するに、こういうのを残しておきながら今のようなことをやればいいわけですよ。  だから、結局、法律的に義務付けを残さないということは、チャンスがあればというか、チャンスという言葉が良い機会という意味からすればちょっと違うかもしれませんが、駄目になったらそこから撤退することもあり得るよという自由を経営者人たちに任せると。こういうふうなことで、それはそれで経済競争社会におけるあれでは当たり前のことですけれども、官というのは不経済であっても国民のニーズがあればちゃんとやりますよと。そこの違いが私は一番の問題であって、国民がそこのところを今郵政に対して求めているか求めていないか。そこの判断が、若干私は経営視点に、今回の法律の場合、経営者側の視点に寄って、国民側からの、利用者側からの視点というのが欠けているんではないかと、そのことが国民理解が広まらない大きな理由ではないのかなというふうな問題意識を持っております。  そこで、順次細かい話もこれから出てくると思いますが、次に移りまして、行政側の優位性と立法府の関係について申し上げました。その典型的な例を申し上げたいと思います。  それは、今回の郵政民営化法案第一章総則、目的、第一条、この中に、「この法律は、」云々とあって、経済社会の実現に資することにかんがみ、平成十六年九月十日の閣議において決定された郵政民営化の基本方針に則して行われる改革について云々と、こうなっているわけです。  それだけ読めば何のことか分からないということなんですが、私が申し上げたいのは、この法律は、内閣が、行政府が立法府に対して、この法案を、こういう法律を基に行政をやりたいから立法府として立法してくれと、法律を作ってくれと、承認してくれという中身でございますが、そのときに一番トップに閣議決定、これは行政部内のことでございます。幾ら内閣総理大臣がおられ、まあ世間的に言えばトップというふうに見られておりますけれども、国会というのは国権の最高機関である、唯一の立法機関であると、こういう立場にあるわけです。それを、一番、第一条に閣議決定を基本方針に引用して、そしてやるというのは、これはまあ余り言っていいことかどうか分かりませんが、同僚議員はこの条文に対して激怒して、このこと一条をもって、郵政中身はともかくとして、この一条をもって賛成するわけにいかぬという人もいるわけですよ。まあ何というか、気持ちの強い人はそういうふうな気持ちになりかねない中身持っているんです。  ただでさえ、立法府というのは何なんだという話もないわけじゃない。参議院衆議院のカーボンコピーというふうに悪口を言われるんなら、立法府は内閣の立法機関であるというふうに言われかねない。行政のための補助機関であると。そして、今回の法律、先ほども一部ございましたけれども、修正中身で、政令を条文化して本文に加えて一部分かりやすくしたという説明ございました。このことについて言えば、なるべく法律中身で、我々の仕事というのは、決まり事を、国民全体の決まり事を決めるのが立法ですから、そのことを実際の行政がどうやるかということを決めるのが政省令その他だと私理解しておりますんで、というところにこの閣議決定を冒頭持ってきたという、これは総理の本意でないということは信じますけれども、やはりこの点についてけじめとして総理のお考えを伺いたいと思います。
  22. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) もとより、いかなる法案国会の承認といいますか、多数の賛成の下でしか成立し得ないわけであります。そういう点から行政府として、国会審議をいただいて国会議員の多数による賛成を得ないとこれは機能し得ない、当然であります。そういう中で、私どもとしては、国会審議をお願いして、政省令におきましても立法の趣旨に沿った政省令を考えているわけでありまして、行政府で何でもやれるという考えはもちろん持っておりません。どういう法案を出しても、国会で否決されればそれはいかなる行政府考えも通らないわけですから、そういう点におきましてはよく御審議をいただいて、御理解を得られるような努力が行政府として必要だと思っております。
  23. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 国会は国権の最高機関であって国の唯一の立法機関である、これは委員も、また総理も今この場で申し上げたとおりでございます。  条文のことでございますので一言だけ申し上げさせていただきたいんですが、今回の法案において、冒頭その閣議決定の引用があるという点でございますけれども、それと政省令への委任の点でございますが、これは努めて立法技術的な理由なものでございまして、決してその姿勢の問題とかそういうことではないんだということを是非ともこれは御理解を賜りたいと思います。  まず、法案において、郵政民営化を定義する必要がございます。これは他の用例を参考に、他の用例といいますのは、ほかの法律でもいろいろの審議会での議論、これの決定を引用して定義するような場合がございます、他の用例がございます。そうした用例を参考に、郵政民営化のその基本的な考え方を示しておりますところのその基本方針を引用させていただいたというのは、これは正に立法技術上の現実でございます。  それと、政省令への委任でございますけれども、これは、委任事項は、これは手続的な事項、技術的な事項など、従来から政省令への委任事項とされてきたものと思いますけれども、我々としてはそのようなものを対象にしているというふうに認識をしております。また、同種の他の法律に比べてみても、これは条文数に比べて政省令がどのぐらいあるかとかというのを比べてみても、これ今回金融等々で手続が多いんですが、銀行法や証取法に比べて決して多いというわけではございません。そういう点につきまして何とぞ御理解を賜りたいと思います。
  24. 山崎力

    山崎力君 今の御答弁なんですが、そこでお互い触れてない部分がございまして、これはこういう席で言うのは何かと思うんですけれども、一番のポイント、まずこういう条文を、閣議決定を、にしきの御旗の下、第一条に持ってくるという神経が立法府を逆なでするということでございます。もし総理が本当に民営化というものを、郵政民営化というものを必要だと考えて、国家国民のためになると思っていらっしゃるならば、正に立法府の理解をどうやって得るかと、特にこういう難しい法案であれば。そのときに、こういう、取りようによっては国会議員の身分を持つ者の神経を逆なでしかねないような条文をトップに持ってくるということに対して受け止め方がいろいろ出てくる。こういうふうなことはまず御理解していただかなきゃいかぬ、立法作業として。  そこのところで、もう一回先ほどの言葉をより正確に言えば、同僚議員が激怒した理由からしてみれば、このときの閣議決定というのはまだ自民党の了承を得てない閣議決定だったんです、政府・与党の。ということは、党の側にとってみれば、政府側における、議院内閣制の根幹にかかわるような中身の閣議決定を条文に持ってきたと。政府側から党に対する、まあある種の威圧というか挑戦みたいな、そういうふうな感じを受け止めかねない状況が別の時点であったということを是非御理解願いたい。そういうところが今回のこの郵政の問題の審議を、中身議論と別のところで問題になるということを、是非、総理理解していただきたいと思う。  このことの御理解がなければ、本当の中身議論したときに別の感情でその議論が変なふうにねじ曲がっていく、そのことを私は、神経の使い方が足りなかった。この一条でぶっ壊れたなんていったら笑いぐさもいいところですよ、これ。中身でここがおかしいとかなんとかということで受け入れられないというなら、これは話は分かりますよ、野党も含めて。ところが、この第一条で、何でおれたちをばかにするんだということでこれが壊れて中身議論なしだったということになると、私はこれ非常に、まあ大げさに言えば憲政史上問題の中身だなと、それだけの問題意識を持ってこの第一条を思ったということを御理解願いたいと思います。  それで次に、関連してですが、もう一つ、この立法行為の信頼性を損ねることがもう一つございました。大きな点でございます。それは、前の郵政公社法、これは小泉内閣提出した法律案でございました。  もちろん、いろいろ、いわゆる法律中身の三十三条一項、例の中央省庁等改革基本法三十三条一項の議論衆議院ではなされたのは知っておりますけれども、この中身の問題以前にですね、というか、内閣法制局は変えることできるんだというふうにおっしゃっていましたけれども、それは当然の話で、違った政策を取った政権ができればそんな法律にかかわらず全部改正するのは当たり前、あるいは同一の政権であっても考え方の違う総理大臣が、内閣ができれば修正できるのはこれは当然のことですが、同じ総理大臣公社法を出して成立させておいて、そこのことを、あたかもと言うと非常に語弊があるかもしれません、否定するがごとき今回の民営化法を、先ほどのお話にも、若干気持ち分かりますけれども、出されるということは、私は立法作業の、法律の安定性、信頼性を損ねかねないやり方ではないのかなというふうに思うわけでございます。  その点について、総理の御見解をお伺いしておきたいと思います。
  25. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 公社法を出したときには民営化を行わないということにあるにもかかわらず、民営化を出してきたのはおかしいじゃないかという御趣旨だと思います。  私は、公社というのは民営化の一里塚であるということを申し上げてまいりました。で、民営化を行わないというのは公社ができるまでの間でありまして、公社ができた後、私は、民営化を行うことを妨げるものではないということから、この問題につきましても、衆議院においてもあるいは参議院においても御質問をいただき、これは十分可能であるという政府見解も述べております。  その点についてはなかなか釈然としないという方がおられるのも承知しております。しかし、政府の見解としてこれは可能であるというふうにはっきりと申し上げているつもりでございます。
  26. 山崎力

    山崎力君 総理、若干そこでちょっと見解の相違が私はあると思います。それは、今の総理のおっしゃっている、まあ釈然としないことがあるかもしれないけど可能だと。それは可能なんです。それは可能だと私も思います。しかし、いわゆる政治道義的な問題として、一つの、同じ小泉総理の下の内閣が一つの価値観のあるものでこの制度を認めてくださいという公社法を出して、その中にこの郵政民営化等の議論は打ち止めですよと、これで、公社で終わりですよという条文が付いていたにもかかわらず、同じ小泉総理民営化法案を出すと。  幾らそこで総理が、まあ一里塚だというふうにおっしゃっていたとしても、それだったら公社法のときにその打ち止めだという条文を出さなきゃよかったじゃないですかということにもなるし、それだったら次の小泉総理の意を継いだ後の内閣でこの民営化法を引き継いでもよかったわけですし、そして何より一番私がこの問題で問題だと思うのは、今度の民営化法もこれで終わりなんだろうかと。一つの法体系を作ろうとなさっている。だけど、公社法のときもそうだったのに、同じ内閣で変えちゃったよねと、今度もいろんなことを言ったけど、来年の通常国会修正といいますか、まあどちらに行くかは別として、そういう法律案を出すことも可能ですよねと。法律的にはそうなんです。  ただ、法律というのはそういうものですかと。少なくても何年間かは、まあ時限立法、限時法でいえば五年とか三年とかありますけれども、それ以上の期間はこのままこの法律でいくんでしょうという期待を一般に持たせるものが立法作業だと思うんです。  その点について、私は今回のやり方というのは、幾ら総理の思いが民営化にあったとしても、立法手続としていかがなものかと言わざるを得ない。これは総理がこれだけで済むと言えばそうかもしれないけれども、前例がなるわけです。そうすると、今後のいかなる内閣も、法律を出してもちょっと何かがあれば、そのときはこれでやってくださいと言っても、例えば選挙に勝って大きな議席を取ったら直ちに別の法律に切り替えてしまうということも可能になるわけです、道義的に。それは許していいのかなという疑問があるということを是非御理解願いたい。  もしその点についてコメントがあれば、この際もう一度伺っておきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  27. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは、国会は国権の最高機関ですから、国会が一度成立した法案に対してこれを変えようということになれば、それは技術的に言えば可能であります。国会の、それは選挙ごとに与野党の議席は変わる可能性もあるし、あるいは与野党逆転する場合もあります。そういうことについて、現行の法律がある時期を来て国会議員の多数が直した方がいいということであれば、それは不可能ではないということは同感でございます。
  28. 山崎力

    山崎力君 まあ先もあるのであれですけれども、私が申し上げているのは、総理が、総理のイニシアチブという言葉を使いたくなければ、総理の思いで提案なさったものの最高責任者は総理ですから、そこの違いを是非御理解願いたいと思います。  ちょっと関連に行かさせていただきますが、公社の生田総裁、おいでになっていると思います。お聞きしたい、願いたいんですが、先ほど来総理は一里塚というふうなお話もあったわけですが、公社総裁として小泉総理から総裁職やってくれというふうに言われたときに、民営化の話についてはどのようにお聞きになっていましたでしょうか。
  29. 生田正治

    参考人(生田正治君) 日本郵政公社の生田でございます。公社の生田でございます。  ちょうど二年前、二〇〇三年の七月の中下旬だったと思いますが、総理からお電話いただきまして御要請を受けまして、最終的にメディアにやむを得ず出ていくのが八月二十六日で、それまで随分期間あったわけでありますけども、その間は総理から、これは大変大きな改革で、公社、大変入口が重要なんで、何とかおまえ受けろという御要請をずっと受けまして、それに対しまして、私は考え得るあらゆる理由を申し述べまして、私にはその資格、能力でその任にあらずというお話をずうっといたしまして、実はそういう応酬を、あったわけで、民営化について、もちろん私は総理が前から民営化ということに強いビジョン、信念をお持ちということは、それは私は承知していましたけども、対話の中においてはそういう話はなくて、八月二十六日にお受けした瞬間もその話はないと。  ただし、お受けした後、ごあいさつに行ったときに、まあ記憶が必ずしも正しくはないかも分かりませんが、再び、直接今度は民営化についての強い御信念を伺った記憶がありますけれども、したがって、何かしろとかタイムテーブルがこうだとか、こういうふうな施策をしろといったお話はなかったと記憶するといいますか、ありませんでした。  それで、お話は、とにかく公社になって重要なスタートを切るんだから、極力民間的手法で思うように健全でいい公社をつくってくれという御指示をいただいたと記憶しております。
  30. 山崎力

    山崎力君 この際でございますから、ちょっとその辺のところを詰めて確認させていただきたいと思いますが、総裁が、それでは民営化するという総理の意向を確実にこうだな、民営化するんだなというふうに、まあ確信といいますか、確認したのはいつで、そのときどのような御感想をお持ちだったか、この際お伺いしておきたいと思います。
  31. 生田正治

    参考人(生田正治君) お答えする前に、一つ訂正しておきます。さっき二年前と間違いまして、三年前でございました。  確実、だから総理が強い信念で民営化に取り組まれるというのは、私はメディアその他お話で承知していた。ただ、具体的にいつからかというのは承知していなかったんですが、二〇〇三年の九月二十六日でしたでしょうか、経済財政諮問会議で具体的に取り上げられ出したのは。その前後からメディアが随分書いておりましたから、総理のお言葉としての一里塚というふうなお話も出ていましたから、いよいよこれは具体化してくるんだなというふうに間接的に、総理に呼ばれてその話を特段したということはありません。間接的に情報を得て、いよいよ来るんならこれは自分の任期中の話になるんで、相当覚悟をしてそのプロセスをやり遂げないと、役割分担しないといけないなと思いました。  一言付け加えますと、ただし、だからといってやることは変わらないわけでして、いい公社をつくるために何をするか、それは与えられた経営資源を使って、法的及び社会的規範の枠内で目一杯健全化しておくということに尽きるわけでして、これはその先が組織が変わろうが変わらないが同じなんで、その意味では心の準備とそれから付加的な準備も必要になるでしょうけれども、基本的な経営方針というのは変えずに全うし得るなというふうに感じました。
  32. 山崎力

    山崎力君 ありがとうございます。  という中で、今回のあれになられてきたわけですが、まあ若干聞きにくいことは先に聞いておいた方がいいということで、二問ばかりこの辺のところに質問させていただきますが、衆議院の話でございます。  最後の段階、締めくくり総括質疑だと思いますが、一つは、地方議会の意見が国民から乖離しているんではないかと。あるいは、別の記者会見等でもオンエアされ、テレビ等で流れたようでございますけれども、これは地方議会の軽視ではないかという反発がかなり地元に戻ると同志、支持者の議員さんから来ております、正直なところ言って。その点について総理、御答弁あればお願いしたいんですが。
  33. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、地方議会、全国の都道府県議会で反対決議がされているという話を聞きましてね、果たしてそうかなと疑問に思っているんです、いまだに。  国会議員もそうですが、地方議員も、例えば直接地元の支持者に会う機会が多いと思うんであります。そして、選挙の際には特定郵便局長に関係する皆さんにも地方議会の中では応援を受けている方がたくさんいる。あるいは全逓の労働組合等に、郵便局の労働組合の皆さんから応援されている議員もおられる。そして、選挙になりますと、そういう方々は熱心に応援していただきますね。これは有り難いことなんです。選挙で当選するためにはいろんな方々の支援者の支援を受けなきゃ当選できないという候補者の立場に立ってみれば、当選した後、選挙で一生懸命応援してくれた方々の話を聞くのは、これは当然だと思っております。そういう意見を聞きますと、これは反対だと言われればそうだなと、なかなかね、そんなのは聞けないというのは言いにくいというのも事実であります。  そこが、地方議会においても国会議員におきましても、私は一部の支持者の意見を聞くのは大事ですが、果たして多くの国民は、あるいは住民はどう思っているかということを考えるのも重要だと思っております。(発言する者あり)  私は、よく、今回の自民党の中でも、この郵政民営化法案に反対した方々にも言う場合があるんですが、自分のそれでは後援会の中でよく聞いてみてくれと、自分の選挙を応援してくれたのは特定局長だけじゃないだろうと、様々な団体の人がいるんだと。そういうことを考えて、一部の支持団体だけでなくて、他の多数の方々の意見も聞く必要がある、そういうことでよく判断する必要があると。だからこそ、私は、一般住民による選挙があるんであって、私は、都道府県議会の反対決議あるから、これが全国民の意見であるというふうにとらえる必要はない場合もあるんではないかということを申し上げたわけであります。(発言する者あり)  だからこそ、国会の多数の意見が全国民の多数の意見とは違う場合もあるし、都道府県議会の多数の意見があるいは住民の意見と違う場合があるということは、知事選挙なり市長選挙なり国会議員の選挙でも、いざ選挙をやってみると違う場合もあるという例もあるとおりでございます。  だから、そういう点はよく議員として、支持者の意見を聞くのも大事でありますが、支持者の意見は多様でありますから、そういう点もよく考えてほしいなということを申し上げたわけであります。
  34. 山崎力

    山崎力君 総理、お言葉ですが、地方自治というのはこれから非常にまた重視されることも今後とも必要だということで、税源移譲の問題、これからの大きな政治課題でもございますけれども、あります。そのときに、やはり総理のおっしゃったような背景はこれあろうとも、あろうかとも思うんですが、議会が決めたことなんですよ。いわゆる地方議会が議決したことなんです。そこのところで、数のところの問題、もちろんあります。  だけれども、某、どなたかとは申しませんが、一票差でも勝ちは勝ちという言葉はありますけれども、四十七都道府県の議会がすべてその反対決議をしていると。この手当てをどうするかというのは、これはそれぞれの政党にとっても、特に我々の自由民主党というのは多くの議会で多数党を占めております。そういったものがすべて反対したことの手当てということは、私はこれは、地方自治を尊重するということも含めて、丁寧にやらないと大変なことになる。  そして、もう一つ言わせていただければ、総理は別の一面で自由民主党総裁という立場がございます。であれば、選挙のときに仲のいい県会議員がぼやいているように、国政選挙になりゃ、まず最初に我々駆り出してという言い方、頼んでおきながら、地元のことに関して県議会、国会議員通じないと県議会のことを余りやってくれないなんという、ぼやいているやつもいるんですよ。  そういう人たちも自由民主党の県議会議員として行動していて、その人たちをなぜそれじゃ、いわゆる県民の代表かどうかは別として、総理自らその代表者をこれまで説得に当たってこなかったのかという問題もこの背景にある。是非、その辺のところも御理解といいますか、認識していただきたいと強くこの際総理要望させていただきたいと思います。  特に、地方議会の扱いというのは国政との場で非常に微妙な問題がこれから出てまいります。その辺のところを、このようないわゆる向こう側、地方議会からとって軽視と取られるような形のものはできるだけ避けなければいけないということを是非御理解願いたいと思います。  それからもう一点、問題になったところでございますが、いわゆる先ほどの修正部分に関して、与党、何も本質的に変わっておらぬというふうに発言された由でございます。その修正案についての総理の評価というのをこの際改めてお伺いしておきたいと思います。
  35. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これ、与党の方々との考え方から修正が必要だということになったわけでありますが、骨格、基本方針は変わっていないわけであります。しかしながら、この不安感懸念に対してより明確にする必要あるということで修正した方がいいのではないかということでありますので、この修正が出されたというわけでございます。
  36. 山崎力

    山崎力君 そういう点からいきますと、もっとより修正すれば国民理解を得られるということが今回の審議で明らかになれば、これは時間的な問題もありますけれども、その辺のところは総理も是非審議の中で頭の隅に是非置いたままこの委員会を続けていただきたいと思います。  私の方の総括的なもの、一応私の方は以上といたしまして、今後、若干具体的な問題について、せっかくですのでお伺いしておきたいと思います。  一つは、設置基準の問題でいろいろ言われております。そこのところが一つの焦点だったということであったわけですけれども、そこのところは法的に担保されたというふうになっておりますが、その設置は担保された郵便局が以前のような、現行のようなサービスを維持できるかどうかというところで自民党内も大きな議論があって、委員会でも当然あったわけです。  本当にその実質的な担保がどうなのかという議論、これは国民の皆さんもなかなか分かりづらい点があるかと思いますが、まあ簡単に、大ざっぱに言えば、地方の郵便局金融で食べている、七割方郵貯、簡保。私の聞いたところでは、大ざっぱに言って郵貯、郵便貯金の方から六割、簡易保険から一割、すなわち金融から七割、郵便事業からは三割と、こういうところであると。そういったものをする郵便局から金融という部分民営化されて切り離された場合、本当にその地方の郵便局の収入が従前どおりの形で入ってくるだろうかと。もし入ってこなければ、地方の郵便局は設置が義務付けられていても、ないそでは振れないということで減っていくのではないかと、不便になるのではないかと、これが私は今回のこの問題の最大の懸念材料だというふうに認識しております。  そこのところが払拭されれば、私はかなりの部分国民理解が得られるけれども、そこの疑問が晴れなければ、やはり特に地方の、まあ我々で言う不便なところに住んでいて郵便局を頼りにしている人たち理解は得られないし、そこがポイントだと私自身思っております。  そして、その金融についてはまたいろいろな専門的な議論ございますが、まずその辺のところからスタートして、この先ほどの答弁でもう確認はしているんですけれども、改めて、そんなことは毛頭考えてないんだと、もしそこのところの仕組みにおいて不安があるならば、誠実にその不安、懸念に対して答えていくということを、担当大臣として竹中大臣からお伺いしておきたいと思います。
  37. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 山崎委員には郵便局の設置の問題、さらにはその郵便局のネットワークを活用して提供される金融サービスの問題について、これまでも真摯に御議論いただいて、いろんな御指導を賜ってきたというふうに考えております。そうしたことを踏まえまして、我々もしっかりと制度設計をさせていただいたつもりでございます。  金融に関しましては、これはやはり信用が何といっても一番大きな要因になる、そういう意味で、やはり国の関与、そして信用を断ち切るということが必要である。また、金融機関、これはほかにない、ほかの金融機関にはない、これは民営化をするわけでありますから、特別の義務を課すことはこれはやはり不適当であって、諸外国も例はありませんから、金融についてはユニバーサルサービスの提供義務は付けないこととしている。  しかしながら、正に委員御指摘のように、国民にとって郵便局における金融サービスというのは極めて重要である、とりわけ過疎地のそれが極めて重要であると、これは強く認識をしておりまして、民営化後も金融サービスが、提供がしっかりと続くように、正に実効性のある仕組みをつくらせていただいたつもりでございます。  具体的には、まずそのサービスの拠点を確保することが重要でございますから、あまねく全国において利用されることを旨として郵便局を設置することを法律上義務付ける、そしてしっかりと設置の基準を作る、これは委員御指摘のとおりでございます。  その上で、設置された郵便局サービスでございますけども、郵便貯金銀行と郵便保険会社に対しまして、銀行免許、保険業免許を法律によってみなし付与するわけでありますけども、その場合に、最低限移行期間をカバーするような長期安定的な代理店契約、保険募集委託契約があることを免許の条件として付する。したがって、その間、この条件によって間違いなく長期にわたってこの金融サービスが担保されるということになります。これが第二のポイントでございます。  そして、その後どうなるかということでございますが、この郵便貯金銀行、郵便保険会社から見ますと、この郵便局ネットワークは極めて重要であります。新たに自前の店舗網や保険募集体制を整備するには当然膨大なコストが掛かることを踏まえますと、やはり全国一括の代理店契約が継続され、基本的には、これに基づいて各郵便局において引き続き貯金保険サービスが提供されるというふうにこれは考えられるわけでございますが、それに加えて、仮に過疎地などの一部の郵便局貯金保険サービスの提供が困難になる場合には、社会・地域貢献基金を活用いたしまして、基金を活用して地域にとって必要性の高いサービスの確保を図ることとしているということでございます。  さらには、移行期終了後の株式の持ち合いをこれは経営判断によって認めるんだと、そして一体的経営が必要であればそれを可能にする。  これらによりまして、民営化後も郵便局における貯金保険サービスの提供がしっかり確保されるものというふうに考えているところでございます。こういう思い入れを持った制度設計をしておりますし、それをしっかりと実行してまいります。
  38. 山崎力

    山崎力君 そういう立場で設計されたということは、この際前提として議論させていただきます。  細かいというか、内部に入った議論というのは当然出てまいります。制度設計の信頼性というのの吟味は、やはりこの当参議院委員会でも今後同僚議員を含めてやらせていただきたいと思いますが、問題は、今日の時点でお伺いしておきたいのは、国民の立場からすれば、今行われているサービス金融に関してのサービス、例えばATMの手数料は一般の銀行にして取らないとか、無審査で簡易保険に入れるとか、あるいは先ほども出たような、速達、小包がずっと義務化されているとか、そういったほかの民間企業にないサービスがこれからも続けてくれるのかねという方がむしろ一番分かりやすいことでございまして、民間になったら、速達はなくなる、郵便料金は上がる、郵便局はなくなるではこれは困るわけで、当然そのことは考えていらっしゃらないと思うけれども、こういったサービスが出てくるのかと。このときに、今まで銀行が、一般銀行がやっているサービスということが、これは競争原理だけでこういうふうなことが続くんだろうかという疑問を持つ人たちが多いということなんですよ、競争に任せておいてこういうサービスが続けてくれるのかねと。そこのところの価値観の差といいますか、競争に対する、市場原理に対する考え方の差が出てきていると思います。そのことをはっきり説得できなければ、この郵政の問題というのは根本的な国民理解を得られないというふうに私自身思っているわけです。  ですから、今後とも、時間の関係もあって、これから、細かい議論は以下の議員に譲って、一つ一つ具体的なことについて、上っ面だけになりますけれども、問題意識の点をこれから申し上げていきたいと思いますが、一つは、まず第一、今回の問題で、郵政公社からそれぞれの、幾つと勘定するかの問題はありますけれども、どの会社にどのくらいの資産がどういう考え方で分配されるのかと、職員がどこへ行くのかと、このところも非常に難しい問題だと思っております。骨格経営試算というのが出されておりますけれども、この信頼性というのはどの程度あるんだろうかと。残念ながら、我々そっちの方の素人は判断の付けようがないというのが事実でございます。それをどのようにこの場で御説明なさっていくのか。  そして、一番根幹的で分かりにくいところ、なかなか出てこないのは、我々、常識として、郵政事業というのは三事業でたたき込まれているわけですね、たたき込まれているというと表現変ですけれども。いわゆる郵貯、簡保と郵便と。それが、その実務会社は今度四つになると。窓口、いわゆる窓口会社と郵便会社に分かれると。この理由は何なのかということが分かりません。そして、これは人事管理上、銀行と保険というのは、みんなちょっと違った仕事しているねというのは中にいる人たち理解しているところがあろうかと思うんですが、いわゆる郵便関係の方々、その人たちがどうやって切り分けられるのかと、この辺のところは非常に難しいわけでございます。  そして、根本論の方でいけば、事業のやり方として、国営あるいは県営という、いわゆる官営と公社、今のある郵政公社。それから、今回の事例でいえば、郵便会社と窓口会社が相当する特殊会社。一〇〇%、持ち株会社がその株を持っていて、その持ち株会社のうちの三割以上は国が持っていると、こういう形の特殊会社。それから、いわゆる純粋民間会社。  こういうふうに分かれて、民営化といっても、今回の事業は、将来的に郵貯、簡保は純粋民営だけれども、いわゆる郵便窓口は特殊会社だと。こういうふうな違いが、当然普通の人には分かりませんし、我々も何か言われてみりゃそうなんだろうと思うけれども、じゃ、どこが具体的にどう違うかって説明しろと言われると分からない。その理由等も当然出てくると思うわけでございます。  そこで、こういうふうな私の疑問を並べるのもなんですので、いわゆる国交省にお伺いしたいんですが、ポイントとして、国際物流に今度乗り出すという話が一つ、一つの大きな将来展望としてあるわけです。その点について、国際物流、公社のままでもやれるんじゃないのかねという議論が当然あるわけでございます。そして、もう一点、物流が今度の郵便会社の一つの主流になるんだったら、物流という考え方からいくんなら、担当はこれ国交省の担当になるんじゃないのという気持ちも出てまいります。その辺についての国交省のお考えを国交大臣に是非お伺いしたいと思います。
  39. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) お答え申し上げます。  まず、まず最初に公社の方のお話からさせていただきたいと思いますが、郵便事業会社が行う事業につきましては、これは貨物自動車運送事業法等の物流法制が適用されるところでございまして、当該法律に基づく規制については国土交通省の所管というふうになってまいります。  ただ一方で、郵便物を配達いたします事業体に対する監督等や、また郵便物に対する規制については、これまでどおり総務省の所管というふうになるというふうに考えておるところでございまして、そういう観点から、本法案につきましては、郵便事業会社が行う事業につきまして、それぞれの法制度の所管関係が整理されているというふうに理解をしているところでございます。  それと、最初の方の御質問でございますが、今この国際物流という面におきましては、非常に経済がグローバル化されている、特に東アジアの経済が急速に伸びていると。そういう中で、非常にこの物流、国際物流部門については成長をしている分野でございます。日本の企業も中国を中心といたしまして進出をしております。水平分業も進展をしておるという中で、日本とアジア地域との間で物の流れが非常に活発になっておるところでございます。小口急送貨物を扱う航空輸送につきましては、最近十年余りで輸送量が約二倍に急速に伸びているところでございまして、こうした国際物流分野というものは成長が著しく、将来性の見込まれる分野であるというふうに考えておるところでございます。  郵政公社は現在約五千の集配拠点を持っております。こうした国内集配ネットワークというものを生かしてこうした国際小口物流分野に進出することは、私は大変意義が深いというふうに考えているところでございます。  また、恐らく荷主側の立場に立ちましても、今、物流というのはロジスティックス分野でございまして、我が国の日本企業が、そういうロジを担っていただく企業が、外資系の企業だけではなくてやはり日本の有力な企業が、そうした自分の、荷主側の立場に立って考えますと、ロジとしての物流を担っていただくというふうな選択肢があるということは私は非常に意味があるというふうに思っているところでございまして、いずれにしましても、具体的な事業展開経営者として適切に判断されるものと考えております。
  40. 山崎力

    山崎力君 私の質問と超えたお話を伺いまして、時間のことを除けば非常に参考になりましたが。  ちょっと飛び飛びになって恐縮ですが、時間のあれで。今回のあれで、質問一つ飛ばしちゃったところで是非聞いておかなくちゃいけないところですが、今回の修正部分とあるんですが、先ほどの話のいわゆる郵便局経営の中で、金融のバックアップがなければなかなか地方の郵便局は成り立たないだろうと、金融部門からの収入が。ということは、民営化された後は窓口会社に対する郵貯銀行会社からの手数料が大きな収入源にならざるを得ないと。それは、経営の側から見るとそういうことですが、利用者側からすると、あそこの郵便局に行けば、いわゆる銀行業務も保険業務もちゃんと窓口でやっているねということが一番大きな利便性だと私は思っているわけです。  それで、今回、修正で埋もれていた部分が法文の中に業務として入ってまいりました。そこのところに問題があるとすればということになるかもしれませんが、私は、そのときにできるという、その窓口会社がその郵便以外の印紙とか切手の売りさばきのほかにいわゆる銀行、保険業務ができるというふうに、可能だというふうに修正されておりますが、それを何で義務付けないのかなと。義務付けさしてこれをやりなさいということにすれば、一般の国民は、ああ、ちゃんとここは法律でやりなさいというんだからこれから続くんだろうなと非常な安心感を持つと思うんですが、そのときになぜ、してもいいけどもやらなくてもいいよというような表現になったのかどうか、その辺についてお伺いしておきたいと思います。
  41. 柳澤伯夫

    衆議院議員(柳澤伯夫君) ユニバーサルサービスについては、これは一貫して我々、政府、与党との調整でも、どうやってこれを確保するんだということについて論議を積み重ねてまいりました。  結論は、金融二社、銀行、保険会社に直接義務付けるということは、これは純粋民間会社であるからできない。  しからばどうやってやろうかということで、我々いろんなことを考えたわけです。山崎先生にもこれに加わっていただいたわけです。そして、先ほど竹中大臣が言われたとおり、まず拠点の確保をしよう。それから、代理店契約で長期的に安定的な契約をしてもらおう。それから、これはまあちょっと、なかなか理解が我々の中でも混乱したところですけれども、こうした金融二社と窓口会社との一括契約の中でも、なかなか厳しい状況になってくると、今度は窓口会社の社内問題として、あそこのところは非効率だからちょっと削らなきゃいかぬなというようなことが起こるかもしれない。そのときに、今度は地域社会との関係で、そこに一定の手続を置いて、しっかりした論拠があるんだったら、これはあくまでも維持する。そのために必要な資金が生ずるということであればこれについても手当てをしよう。それから最後に、また、後でまたいろいろ問題になりますが、株の持ち合いということも、一般の企業同士で取引の安定のためにやっていること、その程度のことはやっていいじゃないかというようなことで、四つぐらいの道具立てで、事実上、実際できる、それが実現される、ユニバーサルサービスが実現されると、こういう制度設計をさせていただいたわけです。  それを最終的に業務の中身としてどこに明示するか。これは非常に悩ましい問題であったわけですけれども、やっぱり、あくまでも事実上の実現可能性というか、そういうものを、我々、それでなくなるなんということは頭の片隅でも考えていないわけですが、そういった状況であるということであれば、やはり、今、ものとするこの規定とできる規定というものが二つあれば、やはりここはできる規定ということに一応しておこう、しかし、それはもう事実上それを欠くというような事態は我々としては想定してないということで、運用上そのことを確保していこう、このようになった次第であります。
  42. 山崎力

    山崎力君 お考えは分かりましたけれども、もう一歩踏み込んで義務規定にしておけば、一般の方々、利用者側からすれば安心感が高まったというのは、これは絶対間違いないことでございます。その辺のところが、じゃ、それやった場合どうなるかという議論はまた別途しなければいけないところでございますけれども、そういう気持ちがやっぱり利用者側からあるんだということを是非今後の議論の中でやらせていただきたいと思っております。  あと、随分質問通告しておきながら抜けているところがございますんですが、簡潔にお願いしたいと思います。  一番今回の民営化で得するといいますか、あれは谷垣財務大臣のところだと。税金は入るわ所得税は入るわ、一説によると五千億。見えない国民負担というのがありましたけれども、そのときの一兆一千億よりは半分以下になっているんですが、黙っていても今度の改正でもうけますねという、ほかのところから見ると、雑音が相当入ってきておりますが。  それはそれといたしまして、だったらば、先ほどの地方の問題の、基金を積み上げてその利子で地方の郵便局を面倒見ようやという話のときに、その積み上げの基金のところからいわゆる税引き後積み上げるんじゃなくて、その収入から損金で落としてそれで積み上げれば、一兆円早く積んでみんな安心するんだから、そのくらい財務省、面倒見たっていいじゃないかというのが、下世話な言い方で恐縮ですがあるんですが、その辺のところについての御見解を伺っておきたいと思います。
  43. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 何か坊主丸もうけと言わんばかりの御質問でございましたけれども、基金に関する税制上の措置としましては、旧公社等の民営化の例も踏まえながら今回議論したわけでございますが、基金から地域貢献事業計画などに基づいて支出されます交付金については、これは全額損金算入としていこうという措置を講ずることとしているところでございますが、こういう措置、今委員のおっしゃったのは、こういう措置に加えて、さらに基金を積み立てる場合に損金算入を認める無税積立てといった税制上の措置を講ずるという御趣旨で御質問になったと思うんですが、これは通常の民間会社におきましても、本来、課税対象となるべき利益を何らかの基金として区分をして経理をしております場合、損金算入するということにはいたしておりません。  更に申しますと、これは法律により義務化されているのじゃないかという御主張も多分今の御主張の裏側にはあるんだろうと思いますが、現在、租税特別措置の中でも、各種準備金制度等々、将来発生する費用あるいは支出に充てる目的で無税で積み立てている制度が確かにございます。ございますが、これは実際の費用又は支出が発生した時点でその積み立てた準備金の一部を取り崩すということで課税の繰延べを行う。したがって、そのような制度になっているということでありますが、今度の基金については、その運用益により所要の費用又は支出を賄って基金の積立額は取り崩されないという前提、基本がございますので、先ほど申しましたように、損金算入する準備金とは制度の立て方が若干違っているというふうに考えております。  したがって、民間とのイコールフッティングということを前提といたしますと、先ほど申し上げたような、実際に取り崩して、取り崩すというか、実際に基金から支出する場合の損金算入ということができることということではないかと考えております。
  44. 山崎力

    山崎力君 ここでこの議論をあと十五分、三十分は簡単にできる内容だと思っておりますので、これをやっているとまたもう持ち分なくなってしまいますが、一点だけ申し上げれば、今回のその基金を積むための目的は何のためにこういう制度をつくったのかということを考えますと、地方の郵便局を維持するという、公社民営化するための一つの国民に対する約束として、担保措置としてやっているわけですよね。だから、そこのところで、そこからも税金取るのかねという話になるわけです。  もし仮にですよ、考えていただければいいんだけれども、民営化した会社が余りもうけが出なくて、税金払ったら、損金、基金に積み立てる金、十分いかなくて、時間までに一兆円積み上がらなかったら、そしてその分の利子で窓口が、郵便窓口が減っていったら、これだれの責任なのという話にもなるわけです。ですから、その辺のところは後で、後刻させていただきます。  それから、ほかの方で呼び出した関係もございますので、飛び飛びになって恐縮でございますが、今回の公社民営化に関して総務大臣にお伺いしておきたいんですが、今、地方でいろいろ、地方の行政改革といいますか、いろいろ市町村でも苦労しているというところがあって、出張所等の縮小に伴って、郵便局の職員が市町村の役場の職員に代わって代行できるというふうな行政事務をやっているところがあるんですが、それは、いわゆる郵政職員が公務員だから、同じ公務の仕事でも類似性があるから、安心してといいますか、信頼してやれるんだと、こういうような感じ、守秘義務もそこに出てくるだろうということでございますけれども、それが民間人になってできるのかと、民間人の資格になってできるのかと。  もっと言えば、それができるのであれば、市町村の仕事も安い民間会社に委託してやってもらったっていいじゃないかと、こういう話になろうかと思うんですが、その辺についての総務大臣の見解を伺っておきたいと思います。
  45. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 山崎先生よく御存じのとおりなんで、これは、戸籍謄本とか住民登録とかいろいろありますけれども、そういったものの写し等々の交付という行為自体、それ自体につきましては、これはもう明らかに証明行為ということになりますので、これは公務員じゃなきゃできないということになります。これは今でもそういうことになっております。  問題は、交付したそのもの自体を渡すというのは、証明自体は役所でやる、それをどうやって、ファクスするかオンラインでやるかは別にいたしまして、そういったものをやるのは、いわゆる地方公務員ではなくて郵便局でもできるということにいたしております。したがって、今回これが、郵便局員が公務員だからできるということではなくて、証明自体は相変わらず公務員でなければできないということになっております。  したがって、今回、窓口で、郵便局に限らず市役所窓口においてもその種のことをやれるということだけなんであれば、別にそこの部分公務員でなくてもいいではないかという御質問だと思いますが、そこの部分は、市役所経営責任を、経営責任ということはどうか、適当かどうか知りませんが、行政責任の最高であります首長、首長さんがその部分は機械化します、オンライン化します、IT化しますということで、事実そういった機械はもう今でき上がりつつ、たくさんでき上がりつつ、新しいのができ上がってきておりますけれども、本人認証やら何やら含めてそういったことはできるようになろうと思いますんで、この証明すること自体と交付というのを別にして考えていただいた方がよろしいんだと存じます。
  46. 山崎力

    山崎力君 飛び飛びで申し訳ありません。今、公務員制の問題も若干出てきたんですが、私は、この今回の郵政事業民営化の問題で隠れた最大のネックというのは、私は民営化されることによってストライキが発生するということだというふうに思っております。そのストライキで郵便物が滞った場合何が問題になるかといえば、私どもの社会の一つの大きな柱である司法に関する問題で、裁判における特別送達という制度郵便を使って行われているのがほとんどでございます。  これがストライキによって送達が不可能になれば、正に司法制度が停滞するというか、そういうふうな大きな影響を法的に残すことになると。もちろん違法行為とか事故、災害によってのそういったものというのは当然どの制度でもあるわけですけれども、制度的にストライキによって国家の仕組み、司法の大きな仕組みが滞るということは大変なことではないのかなと。その仕組みというものをつくるといったときにそれでいいのかという疑問を感じております。  特別送達の簡単な説明を専門家含めて、裁判所というわけにいきませんので、法務省の方からこの問題に対する見解をお聞きしたいと思います。
  47. 寺田逸郎

    政府参考人(寺田逸郎君) 今御指摘ありましたとおり、裁判において判決書でございますとか、あるいはそもそも訴訟が開始される訴状、こういったものを送達に付するわけでございますけれども、この場合は相手方に対する手続保障という重要な意味がございますので、郵便の上では特別送達という形を取っていただいているわけでございます。  この送達は、今申し上げましたように手続保障の意味があるわけでございますが、それぞれについて具体的に効果は訴訟法上規定されておりますけれども、例えば判決書でございますと、その送達を受けてから二週間というような期限が付されて控訴をすることができる、上訴をすることができるという効果がございますので、これは大変に送達がないと困るということにはなるわけでございます。  ただ、個々のケースを取ってみますと、送達が行われませんとその間の期間が進行しないということになりますから、個々的にはその支障というものは大きなものではございません。しかし、トータルとして訴訟手続、裁判全体を考えてみますと、やはり、委員も御指摘になられましたように、この送達ということに支障が生じますと訴訟の遅延ということにつながるわけでございます。  そこで、私どもも、従来も今御指摘がありましたように事故、災害等のリスクがあるわけでございますが、それに加えて民営化によるストライキ等の影響はどの程度かということは、この民営化の立案過程において立案の担当部局であられる準備室の方にも随分お伺いしたところでございます。御説明では、私どもが伺っているところでは、全体として職員の方の約八割強が組合、二つの組合に分かれておられるようですが、組合員でおられるようでございますけれども、このような仮に一部のストライキがありましても、その残りの方々で責任を持ってこの特別送達については優先的な配慮をしてくださって支障のないように努めるということでございましたので、私どもも全体といたしましてそのリスクというのは極めて低いんではないかなというように考えているところでございます。
  48. 山崎力

    山崎力君 リスクが低くて済むものかどうかというのはこれは問題があるわけで、今のないリスクを新たな、新たにリスクを生じさせるという面からいけば非常に問題があろうかというところがございますので、私の時間も、持分もほとんどなくなってまいりましたので二点だけお伺いしますが、人事関係です。  今度の民営化で非常に問題になるのは、具体的に最後の大きな問題、実務上の問題は人事だと思います。どこに、どの会社に行ってもらうのか、どの仕事をしてもらうのか、これは本人にとっても今までと、予想されていない、これはまあこういう改革には付き物でございますけれども、大変な、最後には固有名詞の一人一人の性格も含めた、生活も含めた問題になってまいります。その辺の希望をどうかなえていくのか。  特に、今回の郵政の問題でいえば、一般会社とは違った形の特殊な職務を務めている方がおられる。これは言うまでもなく、我々分かる特定郵便局長でございます。自分の財産を局舎等に提供して、その賃貸料を持つ。随分、以前言われた世襲的なというのはもう最近では二割程度で、もうほとんど一般の方がなっているとは言いながらも、これは非常に地域の中核になっている部分もあって、不転勤、転勤しないというような形もあります。  そういった人たちの人事をどうするのかということは、これ最終的に一番大きなネックになりかねない問題、組合の問題も含めてですが、その辺についての、これから議論あると思いますけれども、希望をどうかなえていくか、その辺のいわゆる基本方針についてお伺いしておきたいと思います。
  49. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 大切な問題でございますので、手順も含めまして少し丁寧に御説明させていただきたいんですが。  各新会社への具体的な職員の帰属をどうするか。これ主務大臣、これは内閣総理大臣及び総務大臣でございますけれども、主務大臣が作成します基本計画に従いまして、準備企画会社でありますところの日本郵政株式会社が、いろんなビジネスの在り方、業務の内容を勘案しながら承継計画において定めると。これは手続がそういうことに相なるわけでございます。  この日本郵政株式会社が承継計画を作成するに当たっては、職員に対して事前に希望する配属先の聴取を行うかどうか等を含めて具体的なその進め方を決めなければなりませんが、これ、日本郵政株式会社にゆだねられているわけでございます。しかしながら、同社が承継職員の労働条件を定めるに当たっては、これは公社での勤務条件に配慮をするということがこれは法律上担保されております。郵政民営化法の第百七十一条にそのことを規定をしております。したがって、職員の帰属先がどうなるかについては公社における就業場所や従事場所などの勤務条件に配慮して定められることになりますので、これによって職員が安心して意欲的に働いていただける、そのような仕組みにしているつもりでございます。  特にお尋ねの特定局長さんの件、特定局は地域に密着した存在でありまして、特定郵便局の運営というのは、これやはり特定局長さんに対するその地域の住民の信頼の上に成り立っているというふうに思います。このため、公社においては現在、特定局長さんは、これは原則として不転勤にするということによって、特定局長の方々に当該地域に溶け込んで長い期間にわたって郵政事業を推進していただいて地域社会に貢献していただくと、そのような仕組みをつくっているというふうに承知をしております。  民営化後におきましても、この特定局の設置については、これはあまねく全国において利用されることを旨として郵便局を設置することを法律上義務付ける、そして国民の利便に支障が生じることのないように設置することとしておりまして、これまで特定局長の方々郵便事業郵政事業、ひいては地域社会において果たしてこられた役割、貢献等を考えれば、特定局長の役割や位置付けは、これは基本的には変わらないというふうに考えております。
  50. 山崎力

    山崎力君 今日、はしょらせていただいて質問通告していながら質問できなかった点、担当の方にはおわび申し上げますが、最後に、質問通告していない点で一点、総理にお伺いしたい。  非常に個人的なことなんですが、御存じかどうか、日本の切手、今から五十年前、私が御多分に漏れず収集してた、もう数年間でしたけれども、そのときから覚えてることなんですが、最小限の一円切手というのがございます。非常に地味な、最小単位の一円切手、これは前島密の肖像なんですね。それと、それから今の、何というんですか、郵政公社の前からの、Tの字というか、テの字の、いわゆる、何というか、社旗といいますか、シンボルマーク、これは、逓信省時代の片仮名のテからデザインされたというふうに言われております。非常にポストに合うマークで、なじみのあるものでございます。  私は、これを、もし民営化されたときに変えるか変えないかということが一つの大きな判断基準になると思っております。もし総理がその辺について、非常にシンボリックな点からいくと、今までの仕事を続けるのであればこの二つは残す、一切変えてしまうというのであればやめさせる。この辺のところのお考えを伺って、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  51. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) テの字というんですか、Tの字というんですか、あれは愛着がありますよね。これは変えなくてもいいんです。  と同時に、私も子供のころから切手収集してたんです。国会議員になってから収集はやめましたね。不思議なもので、なかなか手に入らないと収集したくなるんですね。国会議員になると、比較的容易に手に入るようになっちゃってから、もうやめました。不思議なもので、私が切手収集しているというのが分かると、いろんな珍しい切手を持ってきてくれるんですね、有り難いなと思いましたけれども。余り多くなり過ぎて置く場所に困ったものですから、国会議員になってからもうやめようかなと。子供のころは本当に集めるのが楽しみでした。様々な大きさ、形、図柄、それを眺めてよく楽しんだものであります。
  52. 山崎力

    山崎力君 同僚議員に替わります。
  53. 世耕弘成

    世耕弘成君 自由民主党の世耕弘成でございます。  先輩の山崎議員に続きまして質問さしていただきたいと思います。今日は一日目ということでございます。しかも、私自身は専門家でもありませんので、今日は、やはりこの郵政民営化問題の一番基礎、基本的なところからしっかり議論をさしていただきたいなというふうに思います。  昨今のニュースを見ますと、あるいは総理始めいろんな方々の御発言を見ますと、郵政問題というのは何か本丸という言葉が出てきたり、昨日は天王山、明智光秀という言葉も出てきて、さながら戦国時代みたいかなと思ったら、またステルスなんていう近代兵器の名前も出てきていて、何となく政治のドラマになってしまっていて、なかなか中身議論というのがしっかりマスコミ報道でもされてないんではないか。今日は、そういう意味でも、郵政民営化というものがなぜ必要なのかという基本的な議論というのは非常に意義あるものだと思いますので、しっかりやらしていただきたいというふうに思います。  国民にとっては、郵政民営化するんだということは分かってるんですが、まあそれ以外の部分というのはほとんど分かってない方が多いというふうに思っております。また、世論調査を見ましても、賛否はいろいろ出ておりますけれども、非常に私は問題だなと思うのは、郵政民営化自体に対する国民のそのプライオリティー感というか、それは非常に低いわけでございます。小泉総理は改革の本丸、非常に重要な改革だと主張されているわけですけれども、国民のプライオリティーは非常に、国民から見たプライオリティーは非常に低いということになっておるわけでございまして、政権としてこの郵政民営化問題に関してどういう説明責任を果たしてきたのか、あるいはこれから果たしていくべきなのか、その辺についてまず総理からお話を伺いたいと思います。
  54. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) まず基本的に、私は、商売役人がやるよりも、役所がやるよりも民間人の方がうまいと思っております。  考えてみますと、郵便局仕事、これは民間にできる分野が多いわけですね。そういうことを考えますと、民間でできることは民間にということについて大方の方は必要だなと思っております。そういうことから、この郵便局仕事というものは公務員でなくても民間でできると、特に公務員を削減しようということについては、これまた国民の多くは賛同していると思います。  そして、今の郵便局仕事、これは伺うところによりますと、約二十七万人の、常勤の公務員は二十六万人とも言います。同時に、短時間の公務員を入れますと約三十八万人。この本当に郵便局仕事は三十八万人の公務員でなくてはできない仕事なのかということを考えますと、公務員を削減しなさいという声を受けますと、ああ、これは十分民間人に任せてもできる仕事が多いなということであります。  それと、今、山崎さんからいろいろな仕事に対して義務付けの問題が出ました。しかし、公的な分野にかかわっている民間仕事、例えば、ガスにしても電気にしても、あるいは電車、鉄道にしても、義務付けなきゃならない点と義務付けなくても義務付けた以上のサービス展開している民間企業が多数あるわけであります。小包の送達にしても義務付けなくても我々の想像以上の、ああ、こうしてほしいな、ああしてほしいなという事業を義務付けておりません。しかしながら、民間は、義務付けなくてもそれ以上のサービスをしている民間企業がたくさんあるわけであります。  だから、現在の郵便局も、三事業は義務付けておりますが、民間人に任せれば今の制約以上に、義務付けなくても、国民がこういうサービスを要求しているな、こういう商品を要求しているなということで、私は公務員であることではなくて、民間経営者民間人創意工夫によっては今の義務付け以上のサービス展開してくれる可能性がたくさんある。そういうことから、私はこの郵便局仕事公務員でなくても民間人に任せても十分できると思っております。  同時に、この郵政事業民営化、改革というのは、郵便貯金あるいは簡保の資金というのは財政投融資制度を通じて各特殊法人に流れております。この仕事国民に必要だからということで、採算取れなくても融資なり投資なりしてまいりました。しかし、果たしてそれが本当に国民に必要であるサービスだったのか、あるいは民間にできなかったのかということを考えますと、仮に住宅金融公庫一つ例を取りましても、これは民間金融機関はできないから融資をしようということで融資をしてまいりましたが、それではこれを民間にできるのではないかということで民営化してみようといったら、実際にできたんですね。民間金融機関にはできないという、民間金融機関はむしろ住宅金融公庫の仕事をできるということが分かって廃止できた。  今までの事業におきましては不利益ができたという場合には一般会計で税金で補てんしていたわけです。あれ、民間にできないサービスだから、してくれればいいにこしたことはありません。しかし、それはどこでサービスしているか、できない部分税金で補てんしているわけですよ。だから、税金の無駄遣いをなくそう、効率化をしようということだったらば、当然民間がやってもらった方がそういうサービスはいいということで、不可能だと言ったのが不可能じゃなくなってきたんです、現実に。  そういうことを考えて、私は、今のこの郵政民営化というのは、民営化されれば民間と同じように、今まで税負担が免除されていた、法人税が免除されていた、固定資産税が免除されていた、消費税が免除されていた、こういう分野にも民間になれば税負担をお願いする。民間機関が同じ仕事をする際にも、税金を負担しながら、なおかつサービス展開しているという点から財政にも貢献してくれると。そして、公務員を削減しようという民間の声にもこたえられる。さらには、特殊法人等について流れていた非効率な分野においても、民営化することによって効率的な運用が図られるのではないかと。さらに、三事業制約されていたものを民間経営者に任せれば、それ以上のサービス展開してくれるのではないか、商品も開発してくれるのではないかと。私は、もろもろの可能性を秘めた民営化案だと思っております。
  55. 世耕弘成

    世耕弘成君 そういう総理のお考えを、我々はたくさん聞く機会もありますし、一定の理解をしているわけですが、なかなか国民理解できていないところが問題だなというふうに思っています。  国民の今頭の中には、大きく私分類して三種類のはてなマークが浮かんでいるんじゃないかなというふうに思っています。  まず、一つ目のはてなマークは、なぜ今やらなきゃいけないんだろうかと、今のままで別に便利じゃないだろうかというはてなマーク。二つ目のはてなマークは、民営化して本当に大丈夫なんだろうかという不安感のはてなマーク。そして三つ目は、何か民営化をして具体的に自分たちの生活にかかわるようないいことがあるんだろうかというはてなマーク。この三つのはてなマークが恐らく私は今国民の頭の中に浮かんでいると思います。  一つずつ伺っていきたいと思いますが、まず一つ目のはてなマーク、今でも十分便利だと、特に公社化以降は非常に職員の皆さんも親切になっているし、サービスの改善も頑張っている、そういう中でなぜ今民営化をしなければいけないのかということについて、竹中担当大臣から御答弁いただきたいと思います。
  56. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 第一のはてなマーク、なぜ今民営化かということでございますが、今、日本の経済、やはりこれから人口減少等、生産活動が縮小、停滞していくのではないか、思い切って経済活性化を図っていかないとやはり日本の経済社会自身が大変なことになるのではないかと、非常に大きなやはり懸念の前に私たちはいるのだと思います。  そうした点からいきますと、民間にできることはやはり徹底して民間にやっていただこうと。そして、その競争、健全な競争の中でより良いサービス、そして経済活性化を図っていこうと。公務員でなければできないことは公務員でやるけれども、そうでないことはできるだけ民間でやっていこうと。私はやはり、そこがやはり根本原則として大変重要なのであろうかと思っております。  なぜ今民営化かということに関して言いますと、やはり今経済活性化するという観点からしますと、三百四十兆というお金が国が集めて安全資産で運用される。安全資産といいますとどうしても国債を中心になりますから、国が集めて国が使うという構造にどうしてもなってしまう。そこをやはり変えていく道を開くためには、民間と対等のやはり競争をしていただく。その民間イコールフッティング、経営の自由度、これコインの両面でございますけれども、それをやはり持っていただく必要があるのではないんだろうかと、そういったこと。  さらには、公社自身経営から考えましても、今郵便の取扱量が年間二%から二・五%減っている。これ、Eメールの普及で今後更に加速すれば、十年間たつとやはり三割ぐらい減っている可能性というのはあるわけで、そういう中で思い切りやはり民間のダイナミックな経営のシステムを導入していただいて、そういう中でも、郵政は大事であるからこそちゃんと市場経済の中で自立していけるような仕組みをつくっていく必要があるのではないんだろうかと。  金融におきましても、いろんな金融商品が出る中で、郵貯、簡保の取扱量、やっぱり減っていっているわけでございますから、そうしたものにもやはり積極的に経営の自由度を持って対応していただく必要があるということなのではないかと思います。  更に挙げれば、これは物流の面でも先ほどからも議論になりましたけれども、やはり国際的な展開が大変ダイナミックに展開していて、アジアの近隣の市場で非常に大きな今チャンスがあると。そういうところに私たちとしてはやはり積極的に進出していっていただきたい。  そういったこと、個々幾つかございますけれども、そういうことを含めまして、やはり今、この郵政民営化には時間が掛かります。私たちもやはり十年ぐらいは掛かるだろうというふうに思っておりますが、ドイツの場合も一九九五年に民営化をしましたが、まだ民営化が完成しているわけではございません。そうした時間が掛かるということを考えましても、是非、民間でできることは民間に、そして、それをやはり今早い時期に是非着手したいというふうに思っているところでございます。
  57. 世耕弘成

    世耕弘成君 それでは、二つ目のはてなの中で、やはり不安を持っている中で一番大きいのは、やはり和歌山もそうなんです、大臣も和歌山御出身ですが、過疎地のユニバーサルサービス、特に金融サービスなんかがきっちりと今までどおり維持されていくんだろうかという不安、このはてなにはどのようにお答えになりますでしょうか。
  58. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 特に、このサービスが続くのか。郵便に関しましては、これはユニバーサルサービス義務を法律上課すわけでございますので、山間地、離島含めまして引き続きそういった法律上の義務が課されます。  そこで、次に問題になるのが、今、世耕委員お尋ねの金融サービスが特に過疎地等々でも十分に行われるのかということになるわけでございますけれども、我々は、金融というのはその性格上、これはやはり義務を課すということはできないだろうと。しかし、実態的に郵政を、郵便局における金融サービスが大変重要であるという現実を踏まえて、こうしたサービスが実態的にしっかり続くような実効性のある仕組みはつくらなければいけないというふうに考え制度設計をしたところでございます。  そこで、四つ申し上げたいと思いますが、まず第一としては、そのサービスを提供する拠点を作らなければいけない。それは取りも直さず郵便局をしっかりと配置する仕組みをつくることであるということで、あまねく全国において利用されることを旨として郵便局を設置するということを法律上義務付ける、そしてそれを踏まえてしっかりとした設置基準を作っていって郵便局がしっかりと配置されるようにするということ、これが第一でございます。  第二に、その上で郵便局でしっかりと金融サービスが提供されるようにということで、これは具体的に、郵便貯金銀行、郵便保険会社にみなし免許を出すに当たりまして、移行期間を十分にカバーする長期安定的な代理店契約があるということを条件として付す。したがって、結果的にその移行期間をカバーする期間について、この銀行、保険会社のサービス郵便局の上で提供されるということが実態的に保障されるわけでございます。  その後、もしも仮に、その後もそうしたサービスは両者の関係を考えますと安定して続くというふうに私たちは想定するわけですが、それでも仮に過疎地などの一部の郵便局でこうした貯金保険サービスができなくなるような場合には、これは社会・地域貢献基金を活用して、地域にとって必要な地域貢献としてそうした金融サービスをできるようにしようではないかという仕組みをつくっているということでございます。  そして最後に、移行期間が終了した後も株式の持ち合いを、経営の判断でこれ必要があるということでありましたならば、民間と同じような形でこれは認めるということを明示しておりますので、これらによって、過疎地を含めた郵便局における金融保険サービスがしっかりと提供されるというふうになっているところでございます。  ちなみに、衆議院において修正をいただきまして、郵便局会社が営むことができる業務のうち、この銀行と生命保険の代理業務について具体的に法律上明示することとされましたので、これによって郵便局会社の業務として、この金融仕事の位置付けがより明確になったというふうに思っております。
  59. 世耕弘成

    世耕弘成君 それでは、三つ目のはてな、その国民生活にとってのメリットという点ではいかがでしょうか。
  60. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 私は、やはり三つのメリットがあるというふうに申し上げたいと思います。  まず、マクロ経済的な経済全体のメカニズムから申し上げますと、先ほど申し上げましたように、三百四十兆円のお金が官から民に流れていく道が開かれるという点でやはり非常に大きな経済活性化に向けた道が開かれる、経済全体のメカニズムを変えていくというメリットがあるというふうに思います。  二つ目としては、これは公社経営という立場から考えて、郵便の取扱量が減る、郵便貯金の残高が減るという中で自由度を持っていただいてしっかりと経営の自由度を発揮していただく。もちろん、そのときに他の民間企業とのイコールフッティングは重要でございますけれども、経営の自由度を発揮をしていただいて経営をしっかり支えていただく。経営がしっかりすることが取りも直さずこれは国民の利便、利益になるわけでございますから、その経営上の利益というのがあるのだと思っております。  そして三番目に、国民の利用者、利用者はこの場合、国民でございますけれども、国民から見ますと地域、地域の郵便局が従来よりも更にいろんな経営の自由度を持って地域密着型の地域に貢献できるようないろんなサービスを提供することによりまして、国民の利便性も高まっていく。私は、和歌山の事例、世耕委員、お出しいただきましたけれども、和歌山の郵便局等々が、特に山間の郵便局等々が地域の活性化のセンターのような役割を果たして地域の中に更に大きな存在感を持っていってくれるということを期待しているわけでございます。
  61. 世耕弘成

    世耕弘成君 この三つのはてなというのが正にこの郵政民営化問題の基本的なクエスチョンだと思います。今後、恐らく与野党、同僚議員からこの問題についてこの委員会質疑が深められていくと思いますので、私は今日はこの辺にしておきたいと思いますが。  ただ、私がいつも地元でミニ集会とかいろんな人たちと対話をしていく中で、聞かれていつも本当に困るのは、公社で頑張っているじゃないかと、そこで何で今だというところですね。私自身も、生田総裁、今頑張っておられて、真っ向サービスというのでサービス改善やられております。そしてまた、トヨタ方式が導入されて、随分コストダウンも進んでおります。  私、総務委員会理事でもございますので、視察で熊本北郵便局というところを見てきましたけれども、本当に改革が進んでいて、今までの郵便局とはもう全くイメージが違う、しかも職員一人一人が改革マインドを持って取り組んでおられる。  こういう中で、もう少し様子を見てあげてもいいのではないかなという気持ちを持つんですけれども、なぜこの公社の取組をもう少し見てあげられないのか、この辺については、竹中大臣、いかがでしょうか。
  62. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 私自身郵便局の改革による変化というのを勉強させていただきまして、今、世耕委員御指摘のように、生田総裁の下で公社の皆さん本当に頑張って、国民からより信頼される郵政のシステムをつくり、それを運営をしておられるというふうに思っておられます。  しかし、それにもかかわらず、やはり今のままでは公社としてのやはり限界があるのではないかということを痛感するわけでございます。先ほど資金の運用の話をさせていただきました。これ、公社としていろんな金融の新しい仕組みを使って、いろんな仕組み、いろんな工夫をしていくことは、これは可能であるし、していただかなければいけないと思います。しかし、国が集めて国で運用するお金である以上、やはりおのずとそこには制限がございます。公社というのは、そもそも公的な目的を持ってつくられている組織でございますから、これを実は経営の自由度ということでいろいろ拡大していきますと、そこにはおのずと、じゃ、同じような経営をしている民間企業との関係はどうなるんだということも出てまいりますから、公的な組織としてはおのずとやはり、いろいろ工夫をしていただくにしても、おのずと制約があるというのがやはりその現実ではないかというふうに思っております。  そういう観点から、やはりここは民営化に踏み切っていただいて、より大きな自由度を持っていただきたい、そして今の生田総裁の改革をより大きなものにしていただきたいと私たちは思うわけでございます。  なぜ今かということに関しましては、やはり環境が激変しているということだと思います。郵便の取扱量が非常に大幅に減っている、そして金融の取扱量も減っていっている。公社の中期経営計画におきましても先行きが大変厳しいということが示されているわけでございまして、この改革に時間が要するということも踏まえて、やはり今是非民営化に踏み切りたいというふうに考え法案提出させていただいております。
  63. 世耕弘成

    世耕弘成君 それでは、今、公社総裁として公社の改革の先頭に立たれている生田総裁から、今、正に改革に取り組まれている最中にこういう民営化議論が出てきているということ、そしてまた、この間、本会議代表質問での答弁の中でも、政府としては、この公社の一連の改革というのが民営化の一つのステップであるという説明もされているわけですけれども、公社総裁としてどのようにお考えになっているかをお伺いしたいと思います。
  64. 生田正治

    参考人(生田正治君) お答え申し上げます。  公社になりましてから、与えられている法的な枠組みと、それからモラルオブリゲーションといいますか社会的規範ですね、これの許される範囲で改善に努力してきていることは事実でございまして、ある程度数字に表れてきていると、そこを御評価いただいているんだろうと思います。そこはもう一生懸命やっています。  ただし、そのままでずっといいかといいますと、私はもう率直に申し上げますけれども、結論から言いますと、中長期的に見たときは経営は次第に難しくなってきまして、それで安定的な発展は公社法の枠内では残念ながら難しいと言わざるを得ないと思います。  それは、法的な制約に加えて、ちょっとでも新しいことをやると、それは本当は民業圧迫にはほとんどならない、そういう問題でも競争排除という観点からも民業圧迫という大合唱になるんですね。非常に身動きができないと、こういうことであります。  それで、郵政事業だけを時系列的に過去と今と、こう比較していきますと良くなってきているんですけれども、今度は市場という平面で同業他社、サービス業ですか、比較しますと、利益率は極めて低くて、大ざっぱに言いますと民間の半分ないしは三分の一というふうな状況でありまして、このままでは大変難しいということが言えます。  それから、二〇一七年までシミュレーション、経営を延ばしてみると、これは骨格経営試算で、準備室が、私どもも協力して作ったんですけれども、明らかに売上げも利益も低減してくるということを如実に示していまして、経営者の目で見てもあの試算は正しい、大枠において正しいわけですよね。  郵便は、よく御答弁の中で郵便が年二、三%減るとおっしゃっているけれども、本当は五%か六%減っているんです、普通郵便は。それを今、ゆうパックとかダイレクトメールで頑張って挽回して、それで差引き三%減っているというところで、郵便もよほど頑張らないと今の法的枠組みでは難しい。  それから、貯金は、資金そのものがバブルのとき一時膨らみましたけれどもね、崩壊後。今ノーマルになっていっていますから、多分、二〇一七年のときは二百兆から二百十兆ぐらいに簡保を合わしてなると思います。これの財務省への預託が二〇〇六年の末で終わりますから、〇・二上乗せというふうな発行はなくなって、金利が変わればこれも総額及び金利で運用の益という意味でも大変厳しい。簡保は売れる商品がなかなかなくなっている。ということで、どの三つを見ましても大変難しいわけであります。  それで、今我々は、まだそうはいっても公社法の枠と、それから社会的規範でまだ努力する余地が残っていますから、あと二年ぐらい目一杯頑張らしていただきますけれども、中長期的には難しいということを認識いたしますと、選択肢はいつも私は二つしかないと衆議院でも申し上げたんですけれども、一つは公社のままで思い切って経営の自由度を増やしていただいて民間並みの営業活動あるいは運用ができるようにしていただくと。だけれども、これがもし民業圧迫ということで難しいんであればイコールフッティングと、これが重要、重要だということになるんであれば、やはり民営化の道しかないのかなと。  それはいつかという、さっき御議論されていましたが、正にいつかというのは政治的な御判断によるところだろうし、早ければその分その調整が容易になることは間違いないと、かように思う次第です。
  65. 世耕弘成

    世耕弘成君 公社総裁自ら中長期的には公社法の枠組みの中では対応できないという御発言、これ非常に重いと思います。  しかし、ちょっと私、一点気になっていることがあるんですが、実は私はNTTという電電公社民営化された会社で働いていたことがありました。実は、電電公社民営化のときというのは、電電公社の中から民営化していこうという動きが出てきたんですね、あのときは。あのときは職員が三公社横並びの給料じゃ嫌だと、やっぱり自分たちで自主的に給料を決めていきたい、あるいは国庫納付金という形で利益を出したら国にすぐ吸い上げられる、それだったらもう税金払った方がいいということで、電電公社の中で民営化の動きというのが出てきて、自ら民営化の仕組みをつくっていった。国鉄も、私は、改革派と言われる人たちが出てきて民営化を引っ張っていった。  今回の郵政公社に関しては、総裁、今ああいうふうにおっしゃいましたけれども、いわゆる中から、おれたちの方から民営化しようじゃないかという動きが見えてこない。このことについては、総理、どういうふうにお考えでしょうか。
  66. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは私も残念に思っているんです。もっと中から、このまま、公社のまま手足を縛られるよりは自由な経営をしたいという意見の方がどんどん出てきてほしいなと思っていたんですが、そういう意見が出るよりも、各政党から反対論が強いと。そういう点については、選挙の際によく応援してくれるからということもあるでしょう。あるいは、公務員の身分を失うのが嫌だと、民間サラリーマンになるよりも公務員の方が身分が安定しているということから、この公社方々というのは公務員の身分のままがいいという理由もあるかもしれません。  しかしながら、時代の流れ、国際情勢を見ますと今のままでやっていけるかという、今、生田総裁の話、それほど困難な状況に陥らないうちに民間と同一の条件の下に手足を縛られないで自由濶達な創意工夫の発揮できるような形にしてほしいということから、私はこれは早いうちに民営化した方がいいということでやっているわけであります。  いずれこれが民営化されれば、ああ、やっぱり民営化して良かったなと、国鉄からJR、電電からNTTとなったと似ている形で、私は民営化というのは、やっぱり小泉内閣、先見の明があったなというような形に、民営化にしたいと思っております。
  67. 世耕弘成

    世耕弘成君 さて、今回、総理はこの郵政民営化を改革の本丸と位置付けられているわけなんですが、となると、改革の大手門とか改革の三の丸、二の丸というのもこれあるはずじゃないかというふうに思っています。  小泉内閣は、金融制度改革とか特殊法人改革とか行財政改革、公務員改革、改革と名の付くものを随分たくさん取り組んできておられるわけですけれども、この郵政民営化、改革の本丸としての郵政民営化というのが他の構造改革とどのようにリンクをしているのか、総理からお伺いをしたいと思います。
  68. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今まで特殊法人等の改革論というのは盛んに行われました。あるいはまた、財政投融資制度の改革も議論をされましたけれども、なぜか郵政だけは別だと、これはもう民営化は相ならぬという声が多かったわけであります。しかし、私は特殊法人の改革も当然必要であると。しかし、特殊法人の改革という場合に、特殊法人がそれではなぜ今まで事業展開できたのかというと、やっぱり郵貯資金等の資金がないと事業展開できない。  特殊法人の場合におきましても、私は民間にできることはあるんじゃないかと。仮に、先ほど言いました住宅金融公庫だけじゃなくて、住宅・都市整備公団、これ何で旧建設省が不動産とか建設会社の仕事をやる必要あるのかと。民間でやっているじゃないかと。住宅が少ない場合にはそういう住宅・都市整備公団の役割はあったかもしれないと。今これだけ民間企業がたくさんあっていろんなことをやっているのに、住宅・都市整備公団、今名前が変わりまして都市再生機構になったんですか、変わりましたけれども、これも必要だからということで造って、今空き家が出て、売るのに困って、投資した金以上に、いざ売ろうとなると安くなって、どうやって負担をするんだと。結局、税金等で負担しなきゃならないということであります。  その元の金、金があるから何でもやろうということから、出口の特殊法人の改革、今統廃合を進めております。独立行政法人化進めております。これから、政府金融機関も幾つもありますけれども、これも統合できる機関があるのではないか、あるいは廃止できる機関があるのではないかというのもこれから見直しを進めてまいります。  こういう特殊法人の事業も結局、郵貯の資金等あるいは簡保の資金等あるから、国民が必要だからということでやってくる。具体的に言えば、リゾートとかホテルとか旅館とか、これも過疎地に造ってくれれば、あるいは都会に造って民間のホテルや旅館よりも安いサービスをしてくれるというなら嫌な人いませんよ。それ、どこで負担しているのかというと、これは郵貯の資金、簡保の資金で、かんぽの宿とかメルパルクとかいうのが問題出てきて、まあこれはもう廃止するようになっております。  いずれにしても、これは民間でやってる事業であります、やれる事業であります。しかし、民間よりも低料金でやるとなれば、それは民業圧迫になります。だからこそ、批判が出てきたからこそ、これを廃止しようということになったんでしょう。そういう出口の機関と、それと入口の、これをやっぱり一体的に考えなきゃならぬということで、私は特殊法人だけの改革では済まないと、入口の郵政の問題も解決していこうということでこの問題を取り上げてきたわけでありまして、ようやく入口から出口まで一体的な整合性のある改革に踏み出すことができたなということで、これは改革の本丸だと名付けているわけでございます。
  69. 世耕弘成

    世耕弘成君 今、特に、特殊法人改革とのリンクでこの郵政民営化の御説明をいただきました。  私もいろいろ有権者と話をしている中で、郵便事業そのものに関しては国民から余り意見とか不満が先ほども申し上げたように出てくることはない、どちらかというと、過疎地サービス切り捨てられるんじゃないかという不安感の方が非常に多いわけです。  しかし一方で、非常に有権者と話をする中で共感を得るのは、やはり郵貯、簡保で集めたお金の流れの改革という視点、これは非常にやはり有権者も共感を持っている部分があると思います。国民は、非常に単純に、自分たちの大切な貯金保険が特殊法人等で無駄遣いされているんじゃないか、あるいは国の借金を支える道具に使われているんじゃないか、あるいは果たして自分たちの預けている貯金というのがどこかで焦げ付いているんじゃないか、無事返ってくるんだろうか、そういう不信感を持っているんですね。  また、もっと大きな問題として、それ以前の問題として、本年度には一千兆円を突破すると言われている国、地方合わせての借金ですね、これを、非常にこのことに関しても大変な不安を持っている。  だから、そういう意味では、この郵政民営化については、余りコンビニ云々の議論をするよりは、やっぱりこの資金の流れの改革、行財政改革、国、地方の借金削減の観点からアピールをしていくべきではないんだろうか。正に、改革の本丸の中の改革の天守閣だと思うんですよ。この行財政改革との関連、ここをしっかりアピールしていくべきだと思いますが、この辺について、竹中大臣、どうお考えでしょうか。
  70. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 世耕委員御指摘のように、私、実は先ほどメリットとして三つを申し上げたわけでございますが、マクロ経済経済の全体の仕組みを変えるということと、公社経営を良くするということと、そして国民の利便。委員御指摘の点は、正にその一番目の経済の仕組みを変える中で、より具体的に金の流れを官から民へ変えると、そのことをもっと強調すべきではないかという御指摘であろうかと思います。  この点は、公社というのは非常に大きな組織で、メリットも多元的なものですから、我々は三つに分けて御説明をさせていただきますが、やはりこの時点で最も強く意識しなければいけないのは、経済活性化する、そのためにお金の流れを官から民に変えていくということであろうかと思います。  じゃ、そのためにはどうするかというと、官のお金の流れというのは入口と中間と出口がございます。これ、全部変えるということが必要であります。その出口を変えるということは、何といっても国債の発行額を減らしていくことが長期的には重要であるし、特殊法人改革をしっかりと行っていくことが重要でありますし、これについては二〇一〇年代の初頭に基礎的な財政赤字を改善するという方向に向けて今着々と進んでいるわけでございます。中間につきましても、財投の預託の制度というのは期限付で廃止をされる。実は、最後まで残ってきたのがこの入口の改革でございます。であるからこそ、この入口、官のお金の流れの入口である郵政民営化するということは極めて重要である。その意味では、私は天守閣であろうかと思います。  ちなみに、今我々、家計は千四百兆円の資産を持っておりますけれども、そのうちの約二六%が、郵政に象徴されますが、国に行きます。これ、郵政民営化されればどうなるかということを慶応大学の跡田教授らが試算をしておりますが、今二六%国に行っているウエートは五%に低下する。  やはり、郵政民営化するということは、その意味で、官のお金の流れを官から民に変えるという意味で大変重要なプロセスであって、これはやはり避けて通ることはできないというふうに思います。
  71. 世耕弘成

    世耕弘成君 郵貯、簡保というのは、これ非常に大きな金融機関でございますね。預け入れの残高が、これが大体四大メガバンクの合計に匹敵する、簡保の資産残高も四大生保の残高に匹敵をする、非常に大きな銀行でございます。  しかも、純利益は、この間の決算で一兆二千億超の純利益を上げている。これ、三井住友銀行を上回るベースでございまして、本当に巨大な金融機関になるわけなんですけれども、これだけ大きくなってきた原因の一つには、やはり金融不安がばっと起こってきた中で、やはり政府保証のある安心感がある。それに加えて、やはり一般銀行に比べて条件がいいということが非常に大きかったと思いますね。非常に条件が、この低金利時代の中で少しでも多めの利息をという、考えている消費者にとって条件がいいということが非常に大きくて、そういう中で大きくなってきた。  しかし、そういう条件がいい条件を提示していて、なおかつ三井住友銀行と同じレベルの純利益を上げていられる。このメカニズムは一体何なんでしょう。  これ、総務大臣からお答えいただくことになっているんですが、いかがでございましょうか。
  72. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 基本的には今回のこの二年間に限って、公社になってからのを見た上での話で、その前のは別にさせていただきますが、この二年間の場合、二兆六千億円が平成十五年度、平成十六年が一兆二千億だったかな、ということになっておると思いますが、ここの部分利益が大きく出た最大の利益は、株価の上昇というのが一番大きかったんだと思いますんで、それまで低迷しておりました株価が急に上がっておりましたために平成十五年度は非常に利益が出て、それが横並びになったと、翌年は約一兆円。  したがって、その株価上昇の寄与した分が約一兆円ぐらいだったというように分析するのが正しいと思っておりますので、基本的には、これまでそこそこできた最大の理由というのは、やっぱり低金利だったということも非常に大きな理由の背景だと思っておりますが、やっぱり経営管理がこの二年間の間、経営管理というものが、公社になって、正確には多分、総裁が替わって経営者としての意識が従業員に徹底するという部分というのは大きかったと思いますね。これによって、少なくとも、銀行の窓口に昼休み行かれたら、郵便局に行った昼休みと、行かれた人はこの中に一杯いらっしゃるだろうと思いますが、今は公社の方がサービスいいですよ。はっきりしていると思いますよ、昔に比べたらはるかにいい。  そういったようなことは明らかに変わった、いったと思っておりますので、そういった意味では、高収益と言われるとちょっと、これだけのものをもって、これで高収益かと言われると、経営者として、これで高収益というんじゃと、これは普通並み、並ぐらいのものであって、高が付けるかねといったら、ちょっとそれは問題です。
  73. 世耕弘成

    世耕弘成君 それでは、今日は初回ですので、もう基本の基本の絵をお示しをいたしたいと思います。(資料提示)  これが非常に国民が不安に思っているお金の流れでございますけれども、いわゆる国民の家計から郵貯、簡保に三百五十兆ですね、預け入れられている。これがいわゆる財投資金というところへ約二百兆、預託という形で預けられている。さらに、この郵貯、簡保は百三十兆、国や地方自治体の国債、地方債を買い支えている。そして、この二百兆が行った財投資金の中から五十兆が特殊法人に対して貸出しという形で、そして九十兆が政府金融機関にこれまた貸出し、債権という形で出ていっているわけでございます。ほかにも、財投は、これらとはまた逆に百九十兆、国、地方自治体の正に国債、地方債の買い支えもやっている、こういう構図になっているわけでございます。  当然、ですから、家計から特殊法人、家計から政府金融機関、家計から国債という形の正にこの媒介になっているのが郵便貯金、簡易保険という形になっているわけでございますけれども。  当然、この矢印の逆方向の流れですね、当然、これは貸したお金です。預金者も、預けているというのは、これ事実上貸したわけですから、これが返ってくるときにはずっとこの矢印、逆に流れてくるわけですけれども、今、先ほど生田総裁から一言お話がありましたけれども、特殊法人から財投、財投から郵貯、簡保へお金が返ってくるときに、今現状では〇・二%国債に対して金利が上乗せされていることになっているわけですが、この原資というのは一体どこから来ているんでしょうか。お金は勝手に生まれるわけではありません。この〇・二%上乗せ分の原資というのはどこから来ているんでしょうか、財務大臣にお伺いしたいと思います。
  74. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 現在の制度、今おっしゃっておられる前提は、年金とそれから郵貯に関しては預託義務があった平成十三年度までの制度ということになると思うんですが、平成八年度から平成十三年度の間、国債の金利より〇・二%上乗せをする金利で年金ないし郵貯から資金運用部はお預かりをしておりまして、それ、今返済している最中でございますが、平成十九年度で基本的にそれはお返しをするということでやっております。  そこで、その〇・二%はなぜ〇・二%なのかということになるわけですが、これは実は当時の法律で、郵便貯金事業の健全な経営の確保、厚生年金保険事業及び国民年金事業の財政の安定並びに積立金その他の資金を資金運用部に預託するその他の事業等の健全かつ適正な運営の確保に配慮して政令で定めるということになっておりまして、低金利下の局面では、その預託者側の事情を踏まえて、国債金利を上回る水準で預託金利を決めていた。それが平成八年から〇・二%の上乗せだということになっていたわけです。それを資金運用部はお預かりしていわゆる財投機関に貸し付けるわけでございますけれども、基本的に預託金利と同じ水準で貸し付けておりまして、ですから、資金運用部で見る限りは貸すのと入るのとちょうどとんとんだったわけでございますが、ただ、収支は見合っていたから、そのままではどこから出てきたかという答えは出てこないんです。このため、ただ、預託金利と同一水準に設定されております財政投融資の貸付金利は国債金利よりその分だけ割高となっていましたから、各機関における調達コストがその分だけ高くなっていたということであります。  ですから、基本的にはこうしたコストは財投による便益を受ける方々がそれを賄ってこられた、また現在もそうであると、こういうことになるわけでありますが、原則はそうですが、場合によっては、それではなかなかいかないから各機関に対して一般会計から補給金等を入れるということが今まであったわけでございます。  それで、その点が結局いろんな無駄も生じてくる原因じゃないかという御指摘もありまして、平成九年十一月の資金運用審議会懇談会の取りまとめでは、今後の財投資金の調達に当たっては現在のように金利を上乗せするといった配慮を廃止し、金利設定については市場原理を貫徹させろという御提言になりまして、それを受けまして平成十三年度から基本的には国債金利で財投機関、預け入れているということになっているわけでございます。  したがいまして、今どこから出てきたというのはなかなか答えは難しいんですが、財投機関の借りておられる方、財投機関の便益を受けておられる方、それから場合によっては一般会計から補給金等を入れてきたと、こういうことでございます。
  75. 世耕弘成

    世耕弘成君 結局、この財投、財政投融資資金が特殊法人とか政府金融機関へ行くときに金利が乗っている。それをここが、まともに返そうと思えば、当然、例えば特殊法人がつくったいろんな施設を利用する人がその金利を負担している。あるいは、今財務大臣からお話のあった補給金という意味では、これは税金が投入されているということでございまして、国民は結局、預金者としては保護されていることになるんですが、納税者とか一人の国民としてサービスを受ける立場としては結局、損をさせられている仕組みになっているんではないかと思いますが、竹中大臣、これでよろしいでしょうか。
  76. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) お金の流れの解釈として、私も世耕委員の御指摘のとおりであろうかと思います。  そもそも、やはり郵政の資金運用を考えてみますと、貯金で集めて安全資産で運用すると。ところが、貯金で集めて、じゃ、安全資産の典型は国債でありますから、貯金で集めて国債で運用するというのは、考えてみれば非常に不思議な仕組みでございます。貯金の、定期預金の金利と国債の利回りというのは多くの国においてはほぼ均衡しているわけで、貯金で集めて国債で運用できるというのはやっぱり非常に特殊な状況でしか成り立たない状況だと思います。  そうしたこともこれあって、結局、その〇・二%の上乗せの金利、そういうものがこれまで、まあ機関についてはいろんな御議論があろうかと思いますけれども、結果的に郵政の財務を支えてきたという面は確かに非常にあろうかと思っております。その意味では、これも委員御指摘のように、預金者としては国民は便益を受けていると、しかし別の形で負担していた可能性はやはりあるということであろうと思います。
  77. 世耕弘成

    世耕弘成君 今回の郵政民営化が今までの郵貯、簡保で国民から集めた資金が特殊法人へ流れていっている構図、もう少し極言をすると、特殊法人において少し行われている無駄な事業に使われてきた可能性、こういう構図について、この郵政民営化によってどういう変化が起こってくるのか。これは行革担当の方からお答えいただけますでしょうか。──じゃ、竹中大臣
  78. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 先ほど申し上げましたように、郵政のお金の流れ、官のお金の流れの入口と中間と出口それぞれでやはり改革を重ねることによって流れも変わってきますし、たとえ結果的に数字が大きく変わらなくても、その意味合いが非常に大きく変わってくるということであろうかと思います。  まず入口で、先ほど申し上げましたように、郵政民営化することによって、民のお金、対等に競争をしていただいて、どのような形で家計は運用するかというその市場のメカニズムが働くようになってまいります。また、それを最終的に運用するに当たっては、やはり財政は従来以上に緊張感を持って国債を調達し、国債の管理政策をするように当然のことながらなっていくでございましょうし、また、どのような形で資産運用するかというときに、その中間で制度として預託するという制度がなくなるわけでありますから、これは市場を通じて資産の運用を決めるという意味で、そこに市場の規律がやはり働くようになってくる。そうした中で、結果的に郵政のお金がより自由な使途に向かっていくことも可能になりますので、最終的に国全体としてはこのお金の配分がより効率的になって、それが本当に必要なところにお金が回る、民間経済活性化に資していくような仕組みになっていくというふうに思います。
  79. 世耕弘成

    世耕弘成君 もう一つ、郵貯、簡保というのはいわゆる国債の大きな引受手でございます。直接でも百三十兆円、また財投経由でも百九十兆円、こういうお金が国債の中へ郵貯、簡保から流れていっているわけでございますけれども、これが、いわゆる郵貯、簡保が民営化されることによってどういう変化が起こってくるのか。一方では、引受手がなくなるんだから、非常に国債が売れにくくなって、長期金利がぼんと上がってくるんじゃないかという不安も指摘されていますけれども、この郵政民営化政府の国債発行政策、もっと言えば財政政策にどのような影響を与えるのか、財務大臣からお伺いしたいと思います。
  80. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 今おっしゃいますように、郵貯、簡保というのは国債の大きな引受手でございまして、現在でも大体四分の一ぐらい国債、郵貯、簡保で引き受けていただいているということがございますから、今後とも借換債等を含めて大量に国債を発行しなければならない現状では、この郵政民営化の過程というものを私どもは十分意識しながら国債管理政策を組み立てていかなければならないと考えているわけでございます。  それで、その点でまず第一にやらなければならないことは、今、金利の急騰等ということをおっしゃいましたけれども、やはり財政規律というのをきちっと立てて、国債に対する信認というものが崩れることにないようにしなきゃいけないというのがイロハのイ、一番基本であろうと思っております。その点、現在、二〇一〇年代初頭に基礎的財政収支を黒字化するという目標で取り組んでおりますのは、基本的に今のようなことを考えているわけでございます。  その上で、そういった前提の上で今後、国債を安定的に、中長期的なコストを抑制しながら、ということは金利が急騰したりしないようにしながらということでございますが、安定的に消化をしていかなければならないわけでありますけれども、それは基本的に、市場との対話をきちっと行いながら市場のニーズに合うような商品設計等々をしていくと、いろんな努力で安定的な消化をしていくということに、していくことが基本であると考えております。  それから同時に、郵政民営化のプロセスの中でも、市場に無用な混乱を与えないような対応というものが私は必要であろうかと思っております。十年間、移行のプロセスがございますけれども、今回の法案では、旧勘定の運用は郵便貯金銀行等に特別預金等の形で委託され、郵便貯金銀行等は特別預金等の額以上に国債等の安全資産を保有すること、それから郵便貯金銀行等は移行期においてその保有する国債等の安全資産額の見通し及びその根拠について毎年度資産、毎年度管理機構に報告して、管理機構はその報告の内容を公表することといった仕組みを取り入れていただいておりまして、ある意味で、市場に予測、市場の予測可能あるいは透明度というものを高めながらこの十年間移行をしていくと、こういうことで取り組ませていただくということでございます。
  81. 世耕弘成

    世耕弘成君 今私、申し上げてきましたような一連の改革というのは、しかし一方でもう既に財投改革という形でどんどん進んできている。今、公社というのはもうかなり自主運用を進めておりますし、これからもどんどんどんどん進んでいく。ですから、考え方によっては、これ、公社の自主運用が進んでいくんだから、別に民営化したってそんなに違いはないんじゃないかという指摘があるわけですけれども、このことについて、竹中大臣はどうお考えになりますでしょうか。
  82. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 公社の場合とそうでなくなる場合、民営化される場合でお金の流れがどのように変わるか、これ基本的には、先ほどから申し上げていますように、やはり財政の赤字をしっかりと小さくしていく、そして特殊法人改革をしっかりとしていく、そういう全体としての流れが最も重要なポイントであるということであろうかと思います。  しかし、その中でもやはり、郵政だけを取り上げてみましても、郵政に関しては安全資産でやはり運営するということがどうしても今の公社形態であると原則にならざるを得ない。それは、国が集めて、政府保証を付けて、そして国で運用する以上、これは安全資産で運用しないとこれは国民負担につながりかねない、そういうやはり制約があるわけでございます。  我々は、そういう制約を外して、それが民間と同じような形の運用を、いわゆる信用リスクを取れるようなことを少しずつだけれどもやっていっていただきたい。これもノウハウが要りますから、急激にその変化が起こるということではないわけですけれども、移行期間、じっくり十年程度を掛けてそういうことをしていっていただきたい。やはり、そういうところでその運用の可能性が広がるという点がやはり大変大きなポイントであろうかと思います。  全体としてのお金の流れは国債管理を含めてしっかりとやっていく、そして入口にある郵政に関しましては、安全資産でなければならないという制約を外して、その経営の自由度の中で可能性をいろいろと探っていっていただく、そうすることによって経済はやはりダイナミックに活力を持って変わっていけるのだというふうに思います。
  83. 世耕弘成

    世耕弘成君 それでは少し、今度新しくできてくる郵政グループのグループ企業としてのフォーメーションについて少しお伺いをしていきたいと思います。  今日は初日ですので、また基礎の基礎の絵を出させていただきますが、これが今回の法案で規定されているスキームでございます。(資料提示)  まず、準備期間ということで、日本郵政会社と郵便貯金銀行、郵便保険会社が設立はされますが、実際に動き出すのは平成十九年からでございます。日本郵政会社という持ち株会社、この株は政府が一〇〇%保有をした状態のまま、その下に郵便事業会社、郵便局会社、そして郵便貯金銀行、郵便保険会社というフォーメーションでございます。そして、この移行期間の平成十九年四月から平成二十九年四月の間にこの日本郵政会社は、貯金銀行、保険会社の株を手放していって、最終的には日本郵政会社は郵便事業会社と郵便局会社を持っている、そしてまた、日本郵政会社の株式そのものも政府は放出をして、そして三分の一になる、そして郵便貯金銀行と郵便保険会社は独立した会社になるというのが基本的に今回の法律のスキームでございます。  ここで、余り話題に今までならないんですが、持ち株会社であるこの日本郵政会社、これは持ち株会社ですね。純粋持ち株会社という位置付けだと思いますが、この会社の役割というのは何なんでしょうか。竹中大臣、お答えください。
  84. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 経営形態及び組織を考えるに当たりましては、当初からゼロベースでいろんな議論をさせていただきました。  まず、やはり分社化させるということがどうしても必要だろうという議論をまず最初にいたしました。それは、やはり金融と商業を分離するというのが、これは銀行業、保険業を分離する等々も含めて、金融法令上の一般的なルールであると、民営化する以上、その一般的なルールに則してそういう経営状況が他の事業に影響を及ぼさないようにしなければいけない。そして何よりも、それぞれ特徴の異なる四つの事業を行っているわけですから、専門性を高めていただいて、そして、かつそれぞれに責任を持って経営していただくということをしなければいけない、したがって四社分社ということもその中から一つの結論として出てまいるわけでございます。  さあ、その際に今委員お尋ねの持ち株会社をつくるのかどうかという点についても当然議論をさせていただきました。御承知のように、JRは持ち株会社を持っておりません。国から直接、東日本、東海、西日本等々が連なっている形になる。そういう形がいいのか、それとも持ち株会社をつくる方がいいのか。  結論から申し上げますと、郵政事業が長年にわたって三事業一体で業務を展開してきたという経緯も踏まえまして、円滑な民営化を図る上で、やはり経営の一体性を確保する、郵政民営化のその趣旨を実現するためにも持ち株会社という一つの、あえて言えば本部機能といいますか、ヘッドクオーター機能を持っていただくのがやはり大変重要ではないかというふうに考えたわけでございます。  したがいまして、その役割は、グループの一体的経営の確保でありますとか、子会社である郵便事業及び郵便局会社の経営管理、業務支援など、そうした機能を持ち株会社に担っていただくことになるというふうに考えております。
  85. 世耕弘成

    世耕弘成君 いや、経営管理とかそういうちょっとあいまいなことよりも、世間一般で純粋持ち株会社の仕事は何かというと、株をどう持つかという戦略を考えること、これが最大の仕事だと思っています。それを、それによってどうやって経営資源を最適に配分していくかというのが世間一般では一番持ち株会社の大切な仕事ではないかと思うんですね。だから持ち株会社という名前なわけですけれども。  ところが、この日本郵政会社という持ち株会社は、郵便事業会社と郵便局会社については永遠に株を一〇〇%持っていなさいとされている。しかも、郵便貯金銀行と郵便保険会社については今度は逆に株を一〇〇%放出しなさいと言われている。正に、株式戦略を自分で決定する能力全くない持ち株会社なんですね。非常に持ち株会社としての意味が希薄なんじゃないか、持ち株会社として十分な機能が発揮できないんじゃないかと思いますが、この点についてはどうお考えでしょうか。
  86. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 今お尋ねの点に関しましては、正に郵政民営化制度設計の上で最も難しい、判断の難しいところのポイントの一つであったろうというふうに思います。私どもは、やはりこの中で事業会社、一般の事業会社に加えて銀行と保険が同じ傘の、屋根の下にいるという非常に特殊な状況に今の日本郵政公社はあると、そこから、その事実からやはり出発しなければいけないということであったと思っております。  具体的に言いますと、銀行や保険は非常に信用がもう極めて、信用という言葉が極めて重要な意味を持つ、その場合に国家という絶対的信用を背景にしている状況ではやはり困ると。純粋なその意味では民間会社に一定の期間を置いてなっていただいて、そうすることによってその民営化の本来の趣旨が発揮されるというふうに考えたわけでございます。  したがいまして、この日本郵政株式会社、持ち株会社というのは、委員確かに御指摘のように、その資産運用の最大化、資産運用の価値最大化ということであるわけでございますけれども、この移行期間においては決してそれだけではなくて、この郵政民営化を実現していただくという当然のやはり役割を担っていただかなければいけない。それが一つには、重要なポイントは、やはりこの銀行と保険の株式を完全に処分していただくということであると。しかし、その範囲でその持ち株会社としての機能はしっかりと果たしていただきたい。  その中で、先ほど、経営管理という言葉は確かに分かりにくいかもしれません。グループ全体としての企業価値を高めるための戦略というのは、これはケースによってはあるのだと思います。そうしたことについてもしっかりと御検討をいただいて、その郵便事業会社、郵便局会社が完全、民有民営実現後もしっかりとその機能を果たしていただけるような、そういう役割もやはり果たしていただかなければいけないというふうに思っております。
  87. 世耕弘成

    世耕弘成君 何か聞いているとちょっと、持ち株会社の役割が非常に分かりづらい、逆に四分社化するための後付けでできてきた存在なのかなという気もするわけですけれども、例えば持ち株会社にもうちょっと役割を持たせるという意味では、正に郵便局ネットワークという、これを例えば持ち株会社の一つのバックボーンにするという手もあったんじゃないか。郵便局会社を一種持ち株会社的にして、ここに運営をさせるという、私はこれが一番何か経営資源の配分としてはいいような気がするんですが、どうしてこの方法は取られなかったんでしょうか。
  88. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 議論の初期の段階では、実は世耕委員がおっしゃられるような案についても我々は議論をさせていただきました。それぞれいろんな考え方のメリット、デメリットあるわけでございますが、結論から申し上げますと、実は郵便局会社、郵便事業会社というのは郵便局会社に業務を委託するという関係にございます。その意味では、その手数料を含めたいろんな形の調整機能というのはやはり何らか必要なのではないだろうか。そういうことも考え合わせると、ここは持ち株会社という形でグループ全体のその価値を最大化するような意識を持ってもらう会社をやっぱりしっかりとつくっておくと、そのことが結果的に郵便事業会社も郵便局会社もその機能を最大限発揮できるようなことになるのではないだろうかと。非常に単純化して申し上げると、そのような議論を経まして我々は今のような形の案を提示をさせていただいております。
  89. 世耕弘成

    世耕弘成君 あと、この法律では、この持ち株会社が持っている郵便貯金銀行と郵便保険会社の株式、これを基本的には十年の間に全部売り切りなさいということになっているわけですけれども、この株の売却というのはそんなに予定どおりいけるものなんでしょうか。
  90. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 先ほど申し上げましたように、金融業においては信用が絶対的に重要である。その場合、国家という絶対的信用のその影響力、関与をやはり結果的には排さなければいけないということで、株式をその期間を決めてやはり処分をしていただきたい。これ実は、法文上は株式を売却することを義務付けているということではなくて、株式を処分するということを義務付けております。  これは、要するに国の関与をなくすと、影響力をなくすということが重要でございますから、もちろん売却すれば所有権がもう移転してしまいますから関与はなくなると。非常に分かりやすい、売却というのは好ましいわけでございますが、それぞれの株式の相場等々によって本当にその時点で売る方がいいかどうかというような判断も当然のことながらございます。  したがいまして、そういうときは金融上のテクニックを幾つか使っていただいて、売却ではない、売却ではないけれども影響力をもう行使できないような形でその処分信託のようなものをするとか、まあ技術的で恐縮でございますが、ほかにも幾つかやり方はある。そういう形で是非その影響力、関与を切り離すような形を最終的に是非実現していただきたい。その意味で完全処分を義務付けたわけでございます。
  91. 世耕弘成

    世耕弘成君 株式売却というのはなかなか計画どおりいかないんですね。NTTの場合も、最初四年ぐらいで消化、完全に政府の持分を三分の一まで減らす計画だったわけですが、二十年たった今日でもまだ消化し切れていないという状況でございますから、株というのはなかなかそんな予定どおりいかないということです。  今日は時間の関係もありますので、持ち株会社を中心としたフォーメーションについてはいったんここで議論を打ち切りますが、これ非常に今回のやはり民営化議論の一番根幹にかかわる部分だと思っております。  ほかにもいろいろ詰めていきたい問題として、例えば十年より前に株を全部売っちゃったときに、その空白期間ですね、十年に至るまでの間どうするのか。今回、衆議院修正によって十年後は自主的に株が買えるようになっているわけですけれども、そういう空白期間があったらどうする。これはもう今日、これから詰めていきたいと思いますが、まだ今日は議論いたしません。  それとあと、竹中大臣、先ほどからちょっと気になるお言葉が、国が要するに、この例えば郵便貯金銀行は郵政会社があってそして政府が株を持っていると、この構図の中、まあいわゆる国の孫会社みたいなものですね。これを国家という絶対的信用という表現をされるわけですが、国の関係が、少し資本が入っているからといって国家という絶対的信用と言い切れるかどうかという問題はこれあると思いますよ。  例えばNTTドコモ、これはNTTという会社が大体六十数%株を持っていまして、しかもNTTという会社は大体四十数%国が株を持っている。じゃ、NTTドコモの携帯電話に国家という絶対的信用があるのかどうか。これは恐らく消費者は余り気にしないと思いますね。それよりも、国家という絶対的信用というよりは、やはり市場政策とか競争政策とか、そういったものが本質の問題ではないのか。株を全部売り切らない限り国家という絶対的信用の庇護の下にあると考えるのは私ちょっとどうなのかな、この辺をちょっとこれからじっくり議論さしていただきたいと思いますが、じゃ今日ちょっとだけ御答弁いただければと思います。
  92. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 大変、NTTの例をお出しいただきましたが、重要なポイントであろうと思います。  私は、やはりあえて、あえてやはり申し上げたいのは、やはり一般の事業会社と銀行、保険金融とはそこがやっぱり本質的に違うということなのではないかと思います。銀行、保険金融会社というのは一般の事業会社とやっぱり違う形で非常に特殊な形で、この信用というものが影響を与えてくるというふうに考えます。であるからこそ、私たちはやはり今回の制度設計で一〇〇%完全の処分がやっぱり必要だと。そうしないと、これ、そのいろんな言い方をする方はいらっしゃいますけれども、やっぱりお金を預ける方等々、特にその背後に国の信用を感じる、これは事実がどうかということではなくて、やっぱりそういう現実があるということなのではないかと思います。その金融であるという特殊性、この点を私たちは重視したという点だけ是非申し上げておきたいと思います。
  93. 世耕弘成

    世耕弘成君 金融と通信は違うということはよく分かりました。しかし一方で、この郵貯というのは地方における、過疎地におけるユニバーサルサービスという視点もあるわけですから、逆に少し関与があってもいいのではないかという面もあると思います。  これはちょっと、今後また私も質問の順番が回ってくるかも分かりませんので、少し二回目以降で詰めさせていただきたいというふうに思います。  さて最後に、今回、郵政民営化のメリットの一つとして郵便事業会社が国際物流ビジネスにどんどんどんどん参入していけるんだというバラ色の絵がかかれているわけですけれども、実際この国際物流の世界というのは、今大体もう、DHLとかフェデックスとかUPSとか、もう世界でどんどんどんどん寡占化が進んでいて、どんどんどんどんもう先行的にドア・ツー・ドアのネットワークがそういう大手によって組み立てられていっているわけですね。そういう中で、郵便事業会社が果たして今から参入して十分な成功ができるのかどうかについて、これは竹中大臣、お伺いをいたしたいと思います。
  94. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 御指摘のように、国際物流市場というのは、いわゆる四大インテグレーターといいますか、四大事業者の事実上の寡占状態に国際市場だんだんなりつつあるというふうに認識をしております。しかし一方で、この成長の著しいアジアの市場については、実はアジア域内での市場規模が今後十年間で三倍になるというような民間予測もございます。このように今後事業の規模の拡大が見込まれるという中で、経営努力によって市場を開拓していく可能性が、いく可能性が私は十分に残されているというふうに考えるわけでございます。  公社からも、実は現在、公社が有している国内小口送達網との相乗効果も期待できる成長分野であるとしまして、当該分野への進出について非常に強い意欲が示されているというふうに思っております。もちろん、これは経営の努力が重要でございますし、ノウハウの蓄積も必要でございます。イコールフッティングの観点も重要でございます。  いずれにしても、私たちは、民営化の中でこういったことを、準備も時間を要するでありましょうから、準備期間からこうしたことに取り組んでいただけることを可能にするような仕組みで、今委員御指摘のような問題の中で是非良い成果が出していただけるように経営をしていただきたい、そのための仕組みを準備しているわけでございます。
  95. 世耕弘成

    世耕弘成君 確かに、この国際物流を外国の大手企業に日本が依存し切るというのは、これは国益の観点から、あるいは国家安全保障の観点からも私はよろしくないと思います。  そういう意味では、日の丸と言うと変ですけれども、いわゆる日本の大手の国際物流会社が育つということは非常に重要なんではないかなと。これは、国益上、政策上、非常に重要なポイントだと思いますが、国土交通大臣はこの辺はどういうふうに御見解をお持ちでしょうか。
  96. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 私も全く同様の認識をしておるところでございます。  今、日本の国際物流、入るもの、出るものあるわけでございますが、そのうちの六割は現状で外資のインテグレーターがやっているわけでございまして、これはこのまま放置しますと、どんどんどんどんこれがまた増えていくだろうというふうに私は予測をしております。  そういう意味で、今委員のおっしゃった、我が国の国内の物流事業者が国際物流に進出をして、我が国の荷主の荷物をきちんと運ぶというふうな選択肢がきちんとあるということは、極めて重要な私は戦略ではないかというふうに思っております。
  97. 世耕弘成

    世耕弘成君 国としても重要な戦略だということを国交大臣もおっしゃったわけでございますが、しかし国際物流ビジネスへ参入しようと思うと、これ大変な投資が必要になります。私も毎週、関空に着陸をするたびに、大きな、UPSとかフェデックス、DHLの大きなジャンボを貨物化したジェット機がいて、相当これ飛行機を買うだけでも多額の投資が必要なんだろうというふうに思うわけです。  やはり国益として、国家的観点からこういう日本の国際物流会社を育てるのが大切だということであれば、これ郵便事業会社、なかなか投資できないと思いますよ。今でも、もう終始きゅうきゅう言いながら低空飛行をしているわけですよね。そういう中で、飛行機を買ったりとか、いろんな物流のインフラをつくるという意味では多額の投資が必要となるわけですけれども、これを何か国としてしっかりバックアップをしてあげるような体制、例えば小さいところでは税制上の優遇ということもあると思いますし、例えば政府はこれから株の売却をどんどん進めていく、持ち株会社も売却をしていく、その売却益の一部をそういったインフラ向けの投資へ振り回せるようにするとか、そういった工夫が必要ではないかと思いますが、これ、竹中大臣、その辺は何かお考えになっているんでしょうか。
  98. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 今、北側大臣からもお話ございましたけれども、現実に、先ほど四大事業者と申し上げましたけれども、そのうちの一つは実は民営化されたドイツ郵政でございます。もう一つは、民営化されたオランダの郵政の会社でございます。その意味では、私自身郵政、日本の郵政に是非頑張っていただきたい、そういう強い思いを持っております。  今、投資ができるかというお尋ねがございましたが、どのような形でこの国際物流に参入していかれるかというのは、これは生田総裁の御戦略もあろうかと思います。多額の投資を直接行うというやり方もありましょうし、いろんな既にあるところといろんな形で提携をする、アライアンスを組むというのも有効な方法かもしれません。そこはまだ、まず今後のいろんな御検討を賜りたいというふうに思っているところですが、最後に御質問のありました政策上の何らかの措置、サポートする優遇措置みたいなものは考えないのかという御質問でございますが、これはあえて言えば、産業政策上どのように位置付けるかということに尽きるのだと思います。  現状では、私たちは、やはりまず何といっても、民営化をして経営の自由度を持っていただくことというのが、これがやっぱり最大の武器になろうというふうに思っております。民営化する以上、ここだけ優遇するということになりますと、また民営化の趣旨その他の問題も生じてこようかと思いますので、ここは我々としてはまず民営化をして、しっかりと経営経営の自由度を持っていただく、その下で生田総裁経営戦略を思う存分発揮していただいて良い結果を出していただきたいというふうに思っております。
  99. 世耕弘成

    世耕弘成君 もう時間も迫ってきておりますので、ここで私の質問を締めくくりたいと思いますが、今日いろいろ質疑の中でも出てきましたように、いろんなやはりまだまだ国民にとってきれいに解消されない、はてなマークがたくさんあると思いますので、この参議院での審議を通じて、この委員会での審議を通じてそういうところをしっかりと解明をして、国民理解を深めて、小泉内閣の改革の本丸であり、改革の天守閣であるこの郵政民営化をしっかりと進めてまいりたいというふうに思っておりますので、今後とも各大臣においては丁寧で親切な答弁をよろしくお願いいたしまして、終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  100. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時二分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  101. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) ただいまから郵政民営化に関する特別委員会を再開いたします。  郵政民営化法案外五案を一括して議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  102. 江田五月

    江田五月君 いよいよ野党質問のスタートとなりました。私は、民主党・新緑風会議員会長を務めておりますが、会派を挙げて、党を挙げてこの法案、誠心誠意、丁寧に誠実に深掘りをして議論をしていきたいと思っております。  総理もそういう姿勢でおられるようで大変結構だと思いますが、ただ、今日の午前中も丁寧に誠意を持ってということを言われた。言葉が長くてゆっくりならば丁寧で誠意があるというわけではないんですよね。これはお分かりですよね。  だからといって、答弁を与党の方にまずチェックをしてもらって、それで答弁するという、これでも誠意があるとは言えないと思うんですよね。  本会議での答弁は、何か参議院自民党の幹部に突き返されて、了解を得たものをこう指で押さえながら丁寧に読まれたというようなニュースを聞いたんですが、そんなことはないんですか、あるんですか。委員会ではどうなんですか。やっぱり与党の幹部の了解を得て答弁されるんですか。
  103. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、あの本会議答弁は、一つ一つじゃないですよね、幾つかこうずっと何項目か質問があるんです。それで、一問一答じゃないから、間違いないように、よく連続して答弁しなきゃなりませんから、用意して読み上げるわけですね。  その際に、こう手でチェックするというのは、間違いないように、飛ばさないように、行間を飛ばすとまた皆さんから批判されて、答弁違うじゃないかとか、飛ばしたじゃないかとか、そういうことがないように注意しながら、ああ、こう手をここの行間を飛ばさないように注意深く、質問を漏れないように、幾つかの項目ありますから、丁寧に気を付けて答弁しているんです。  こういう予算、じゃなくて、こういう委員会みたいに一問一答だったら、それぞれ訂正もあるいは聞き直しもできますから、そういうことないんですが、今までの質問に対して、答弁は与党の中でよく協議されたんです。ですから、一々この答弁、この質問に対してどういう答弁をしたらいいかとかいうのを個別に与党の幹部と打合せということはめったにありません。与党の中の今まで疑問点、質問点の中で、解消するためには、あるいは不安、懸念を払拭するためには、どのような答弁がいいかということを丁寧に考え答弁しているわけであります。  もちろん、政府の統一見解を示せとかいう場合には、理事会との協議がありますから、よく与野党と打合せして答弁をつくる場合もあります。しかし、一昨日ですか、国会参議院の本会議でした答弁につきましては、ああ、こういう答弁ではどうですかというよりも、事前に今までの与党の中の協議で疑問点が出たものですから、そういうのをよく調べながら丁寧に答えるように答弁したわけでございます。
  104. 江田五月

    江田五月君 一つお願いですが、私は今、大体質問一分ぐらいなんですよ。総理答弁三分ぐらいなんですよ。それは、片道という方式もこの参議院の場合あるんですけれども、今回は往復で私の時間は五十分ですから、なるべくひとつ同じことを繰り返し繰り返しということのないように、繰り返しが丁寧というわけではありませんよね、もちろん。今のお話ですと、どうもやっぱりあらかじめ与党といろいろ答弁内容を打合せされたようですが、これは後でまたいろんな角度から追及をしたいと思いますが、いずれにしても、誠実な丁寧な答弁というのは、長いだけではないと、ゆっくりだけではないと。本当に質問に対して真正面から御自身認識、御自身のお考えでもってきっちり答えてほしいということをまずお願いをしておきます。  昨日、委員会がスタート、昨日は七月の十四日ですね、パリ祭ですよね。総理は昨日、どこかで、明智光秀にやられないように織田信長、頑張らなきゃ、こういうような趣旨のことをおっしゃったようですが、どうもパリ祭ということを考えますと、明智光秀にやられないように気を付けろ、織田信長ではなくて、むしろルイ十六世にならないように気を付けろと、こう考えていただかなきゃいけないんじゃないかと。  ルイ十六世というのはどういう人かというと──いや、いいんです、いいんです、私もついさっき調べたばかりですから、そう前から知っているわけじゃないんで。フランスで一七五四年に生まれて、一七六五年に、前が早世したんですね、早死にしたから王位に就いた、これ十一歳ですね。
  105. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 十一歳。
  106. 江田五月

    江田五月君 ええ。六五年ですもんね。  マリー・アントワネットの夫で、知性も教養もあり、改革意欲に燃えていろいろやったと。いろいろやったが、結局、だんだんだんだん民衆の方が前へ前へ進んだんですね。バスティーユの占拠が起きたと。その後、どんどん進んでいって、パリの民衆の神経を逆なでして、最後は一七九三年に、これはすごいですね、表決、採決するんですね。で、採決の結果、これは緊迫していますね、三百八十七対三百三十四で死刑が決定。コンコルド広場の断頭台で露と消えたと。  我が国は、露と消すような、断頭台に上らせるようなことはありません。採決で仮にこの法案否決されても命は大丈夫ですから、どうぞそこは御安心の上でですね、どうでしょう、あなたは信長よりもむしろルイ十六世に今なっているんじゃないかと、国民の声はむしろ、あなたに対してもうこれは駄目だと、こういう声の方が起きてきているんじゃないかと思いますが、いかがですか。
  107. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 江田さんのお名前は五月さんといいますね、五月。「ときは今あめが下しる五月かな」と詠んだのは、本能寺に討ち入る前に明智光秀が連歌の会で歌った上の句であります。  実は、昨日、全国の市長会の中で小泉内閣の改革を支援する市長会の代表の方が十数人激励に来てくれたんです。いよいよ郵政民営化、天王山、天下分け目の戦いですねと、そういう話がありましたから、天王山というのは、明智光秀が本能寺で信長を襲った後、豊臣秀吉と、時の、豊臣じゃなく、秀吉と戦った山崎の合戦、その天王山を奪い合った、そういう戦いでありましたから、ああ、天王山の戦いといえば光秀と秀吉だなという、そういう話をしたまでであります。  別に私は信長ほどの能力も才能も、英雄でもありません。たまたまそういう話題があったからそういう話をしたまででありまして、今、ルイ十六世の話が出ましたけれども、今は民主主義の時代で、私が断頭台に上って首をはねられるというような時代でもないということも承知しておりますが、よく皆さん方の審議をいただいて、丁寧に誠実に対応していけば大方の議員の賛同が得られると思いますし、そのように私も努力をしていきたいと思いますので、よろしく御協力をいただければと思っております。
  108. 江田五月

    江田五月君 冒頭、何といいますか、お互い笑いを誘いながら議論しておりますが、しかし、これは真剣な議論なんですよ。  私は、小泉首相誕生から四年少々ですかね、当初は正に騎虎の勢いで、前々回の参議院選挙なども、私どもの方は押されっ放しだったですが。そして、今も確かに歴代内閣と比較すれば結構支持率あることはそれは確かにある、しかし、だんだん下がってきているというのも事実ですが。発足当初の勢いは影を潜めた、日中関係を始めとする外交関係あるいは年金改革を始めとする内政の課題、いずれも小泉政治は限界に来ておる、いよいよ終わりの始まりだなと、そんなことを思っております。  こうしたことを一々すべて聞いておきたいんですが、一つだけ、八月十五日、靖国神社に総理大臣として参拝をされるかどうか、それともみたま祭りにちょうちんを奉納するだけで済ませるかということも聞いてみたいんですが、今日はもう郵政に特化していきたいと思っております。  郵政、これは小泉首相の一枚看板で改革の本丸だと。ところが、どうも成立が、まあ風前のともしびとは言いませんが、かなり危ないという感じでおります。  衆議院採決を聞きます、本会議。  小泉さん、あなたは、討論もちゃんとでき、整然と採決されて波乱なく可決をされたと、そういうように答弁されていますよね。これはそういう認識でよろしいんですか、もう一度伺います。
  109. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 衆議院におきましては、百時間を終える、委員会での審議を終え、整然と採決され、討論が行われ、そして引き続き衆議院の本会議におきましても、全党参加の下で、これまた委員長報告、賛成、反対討論が行われ、記名投票で整然と採決が行われ、可決されたと承知しております。
  110. 江田五月

    江田五月君 なるほどね、整然とと。  我が国の政治は議会政治なんですよ。で、政党政治ですよね、政党が議会を動かす。政党といっても、政党というのは私的な団体ですから、国会の中ではこれは会派で、会派で動かしていくと。会派というのは、これは一つにまとまって行動するというのが前提になっているわけで、ところが、衆議院は、自民党という会派の中から五十一人の造反が出たと。反対が三十七、棄権が十四でしたかね。そして、会派の合計ではなくて、二百三十三対二百二十八ということになった。  これは整然である、整然とした採決であると、そういう認識でいいんですね。
  111. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 本来の与党の数からいえば、与党全員の数から比べれば差はわずかだったと思いますけれども、採決そのものは整然と行われたと認識しております。
  112. 江田五月

    江田五月君 整然であると。したがって、どういいますかね、何今やっているんでしょうかね、あなたの執行部の皆さんは。何か処分だ処分だとか言っているような話も聞くんですがね。整然として別に何事もないんだったら、あれで普通の姿だと言うんだったら、何をそんなにやっているんですかね。あの事態、あのときに、私は今、小泉さんの、あなたの答弁ぶりから判断すると、やはり自民党、党議の拘束はなかった。したがって、ああいうことがあっても、つまり会派の数がそのまま出てこなくても、それは何の混乱もないんだと、整然たるものだと、こういうことだとあなたは認識しているというふうに聞きますが、それでいいですか。
  113. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、衆議院委員会並びに本会議における採決は整然と行われたと。しかしながら、その本来の与党の議席数から考えると、与党から政府の案に、あるいは修正案に賛成せず反対した人、棄権した人が出たということであって、これはかなり今までの政府提案に対する投票行動からすれば異例のことであるなということは認識しております。
  114. 江田五月

    江田五月君 異例ではあるが、整然としておって、別段、特別問題ではないと言うんだったら、これはやはり事実上は自主投票みたいなもので、そんな党議の拘束だとか言って、あなたの執行部が造反派と言われる人たちを処分をするとかいうようなことをやろうとしている、これはやっぱりやめた方がいいと、こう思いますね。しかし、いろんなことをおやりになっておって、実際にはあなたの執行部は相当に、この法案に反対をしたり、あるいは採決に加わらなかったりという動きを事前に察知をしていろんなことをやられたんですよね。  私は、あの郵政法案というのは、これは死に体法案として参議院に来ていると、こう思っているんです。それはどういうことかというと、確かに数では、それは二百三十三対二百二十八で賛成の方が多数ですよ。しかし、その中身ですよね。もし本当に全くの自主投票で執行部が何もしないんだったら、それは、いや、わずかな差だったけれどもよかったねと、我々からすると残念だったねということかもしれませんが、いろんなことを行われていますから、だから思い切って青票を投じた、あるいは採決の場から出ていった、こういう皆さんは確信を持ってこれは反対をしているんです。賛成をしている中には、いや、本当は反対なんだけれども、まあいろんなことがあるからと。(発言する者あり)いや、余計なお世話ではありますが、やっぱり会派で政治を動かしているということから見ると、私たちと違う会派のことであっても、議会政治全体からすると、やっぱりこれは気になりますよ。是非聞かしてほしい。  いいですか。賛成派は、どうも無理があるけれども、まあしようがないと言う。反対派はかなり確信を持っている。一説によると、本当は反対なんだけど、しようがない、賛成にしたというのが四十四人もいるというような、そういう説さえあるんですよ。そうすると、実際にはですよ、実際には、この法案は数の上では確かに多数を取っていても、その心は実は反対だと。  法律というのは、格好だけできてりゃいいんじゃないんで、法的確信に支えられていて初めて法律になるんですよ。国民が法的確信を持っていなけりゃ法律なんというのはただの紙切れにすぎない。立法府が、立法者が法的確信に支えられてこれを法律にしようと思っていなかったら、こんなものは死に体法案なんですよ。  今ここへ来ている法案は、これは死に体法案だと。この死に体法案を名実ともに死に体にさせる、これが参議院での私どもの役目だと、こう思っているんですが、何か言うこと、言うことありますか。
  115. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは、生きているからこそ参議院審議されているんだと思います。  投票行動というのは、人それぞれによって思いが違うと思います。反対する方も賛成する方も、確信を持って喜んで賛成反対投ずる方もいるでしょうし、あるいは迷って投票する方もいると思います。それは、国会の中の採決議員一人一人の投票だけでなくて、一般有権者にも言えると思います。自分の心から賛同できる候補者がいなくても、相対的に比較して、ああ、あのA候補よりもB候補がいいなと。しかし、A、B、全面的に信頼することができないけれども、どちらかを選択するんだったらばAかBどっちか選ばなきゃならないと思っている有権者もいると思います。  しかしながら、どのように意思決定するかというのは、最終的にいかに迷うことがあっても正確に一票として記録されるわけですから、それを尊重するのが重要ではないでしょうか。
  116. 江田五月

    江田五月君 まあ一人一人の議員の皆さんの気持ちにしっかりとそこは、我々の方も聞いてみたいし、あなたもひとつ一人一人の議員の皆さんの心からの正直な判断が形成されるように参議院での審議に当たってほしいと思いますが、この郵政公社というものがどうなっていくかというのは多くの人に影響を与えるんですよ、やはりね。こういうことは、これ実験というのはなかなかできない。実験をして、ああ失敗したねといって、ああ、じゃまた元へ戻そうとか、実験室の中でやっていることじゃないんで、本当に多くの国民、いやいや、世界にもそれは影響を与えていくようなことですから、したがって、本当にみんながきっちりと納得して、立法者が立法者としての法的確信に支えられた、そういう結果を出さないと、脅しのたぐいで、恫喝で法律を作り上げるというようなことは、これは断じてやめてほしい。  しかも、今回、この六法案すべてに罰則規定があるんですよね。御存じですよね、全部罰則規定がある。私、整備法にはないかと思ったんですが、整備法の中の方にもちょっと入っているんですよ。ですからこれは、まあ田舎の方の郵便局がなくなったっておれはどうでもいいやという人だって、この罰則規定に引っ掛かって刑罰を受けることってあり得るわけですよね。  法的確信を持てないような法律国民を罰するというようなことにならないように、ここは本当に誠意を持って審議に当たってほしいと思いますが、改めてもう一度、罰則規定があるというそのことを踏まえて誠意を持ってやってほしいと。いかがですか。
  117. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 丁寧に誠意を持って様々な疑問点に答弁したいと思っております。
  118. 江田五月

    江田五月君 さて、参議院参議院で否決されたら内閣不信任とみなすというそういう趣旨の、発言が正確にそうだったかどうか分かりませんが、そういう趣旨のことを言われた。不信任とみなすから解散というところは言葉を濁されておるわけですが、しかし、強くにじみ出ておるということをみんな感じている。  しかし、総理、日本は二院制ですよね。それぞれにこれ、性格多少違います。例えば総理大臣の指名は、これは衆議院が優先します。しかし、衆議院は解散がある、参議院の方は解散がない、六年の任期はある。しかし、総理大臣の指名について私どもが岡田克也とこの院で選んでも、これは衆議院小泉純一郎と選べば小泉総理が誕生すると。こういうことで、参議院というのは、じゃ意味がないのか。そうじゃないんです、これチェック機関なんですよ。衆議院の行き過ぎを参議院が正す。衆議院が数の府だとすると、参議院は理の府だというようなことも言われる。まあ余り自分で私たちは理でございますと言うのはどうもちょっと恥ずかしいところもありますが、しかし、そういう仕組みになっているわけですよね。  その参議院のチェックの機能が働いて、これは否ですと、こう出た場合に、これはやっぱり総理参議院のチェック機能というのは尊重してもらわなきゃいけないんじゃないか。いやいや、衆議院でああいう結果を出したんだから、参議院はその衆議院の結果を覆すようなことをしちゃいけないというようなことを言う人がいます。しかし、それは違う。  私は二世議員で、そういえば総理もそう、これは余計なことですが、私の父もスタートは参議院議員でした。私もそうで、一時衆議院に行ってまた参議院へ戻って、参議院というものについて誇りを持っている。参議院議員みんなですよ、党派の違い会派の違いを超えて、みんな参議院議員誇りを持って、で、衆議院と違う結論を参議院で出せばそれはきっちりと尊重してもらわなきゃいかぬと、こう思いますが、いかがですか。
  119. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 衆議院であれ参議院であれ、多くの有権者から選ばれて当選されたわけでありますから、当然誇りを持っておられると思います。そして、法案につきましても、衆議院通過すればいいというものじゃありません。参議院でも可決されないと法律として成立しない。衆議院のみならず参議院の議決というのは当然尊重されなければいけないと私も思っております。
  120. 江田五月

    江田五月君 したがって、したがって、参議院で否決されたからといって衆議院を解散するというようなことをするのは筋が違う。筋を正そう、通そうと思うと、参議院で否決をされたら、それは参議院のチェック機能が働いてこれではいけないということになったから、これをもし内閣不信任とみなすんなら総辞職と、これが筋。解散というのは筋違いです。もちろん、しかし、私どももあなたに解散権があると、これはよく承知をしております。おやりになるなら、これは受けて立たなきゃいけない。現に私どもも、あなたの選挙区で候補者を本格的に擁立をする歩みを進めております。全国テレビ放映されているところですから名前までは言いませんけれども。(発言する者あり)そこで止めておきましょう。  さて、前置きはその程度にして、郵政法案に入ります。  小泉さん、あなたの郵政改革の一番基本的な考え方、これは改革の本丸だと、それが郵政民営化だということで、このことを比較的分かりやすく国民向けに書かれているものがありましたよね。あなたのお得意のあの、何といったっけ、「らいおんはーと 小泉総理のメッセージ」というメールマガジンで拝見をいたしました。去年の八月五日号、これが官から民へ、これで郵政改革をやるんだと、そういうことをかなり詳細、詳細といっても二枚紙ぐらいですけれども、お書きになっております。改革というのは官から民へのことだと、こういうように、あれを読むとそういうふうに結論付けられていると理解をするんですが、それはそういう認識でいいですか。
  121. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 改革の方法は多数あると思いますが、小泉内閣におきましては、官から民へと、いわゆる役所仕事民間でできるんだったらばできるだけ民間にゆだねていこうと、地方にできることは地方にゆだねていこうということでありまして、官から民へというのは一つの大きな方針であります。
  122. 江田五月

    江田五月君 この小泉総理のメッセージを見ると、改革の本丸、郵政改革、そして改革というのは官から民へだと、そういうことをお書きになっている。ちょっとあれを、資料を配ってみてください。    〔資料配付〕
  123. 江田五月

    江田五月君 これをずっと読みますと、大体ここへフリップにしてみたんですが、こういうことのように読める。私は、これは正に小泉マジック、こういうつながりで、一から五までずっと行って、よってこれはいいことだというふうにあなたは、何というんですかね、方式化されていると思います。見ると、郵貯、簡保、郵便、これは大切で、なくさないと。しかし、これらの事業競争、これを導入するんだと。これが改革だと。官イコール独占イコール悪、民イコール競争イコール善、こういうことで、官から民へ、民営化民営化は良いことだと、こういうふうにお書きになっている、そういう認識でおられると思うんですが、それはよろしいですか、それで。なるべくあなたのことを正確に理解して言っているつもりなんですが。
  124. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 官から民へ、民営、民間でできることは民間にということは私は必要なことだと思っておりますし、民営化による競争によっていろいろなサービス展開がなされると、商品も多様化されるという点について、私は民営化できる分野が公的な分野にもあれば民営化するべきだと思っております。
  125. 江田五月

    江田五月君 官にも民にもいいところも悪いところもともにある。これはありますよね。官イコール独占で、確かにコストやリスクの意識がなく非効率だと。民イコール競争でコストやリスクを意識して効率的になると。一般的にそういう傾向があるということは、これはそのとおりだと思う。したがって、私たちも、一般論として官から民とかあるいは民営化ということにこれは反対というわけではありません。  しかし、問題は具体論ですよね。あなたのメッセージでも、去年です、去年の八月五日、総論としてはこういうことだと。で、これからは各論です、具体論です、それで毎日毎日こんなにすごい仕事をしていますと、こういうことを書いておられるわけで、今、私どもはここでその民営化一般論を議論しているんじゃないんで、正にあなたがお出しのあの郵政民営化関連六法案というものを議論しているんですから、ですから、私は、あなたは時々おっしゃるでしょう、民主党はいつから民営化に最初賛成だったのが反対になったんですかと言われるけど、そうじゃない。そういう切り返しは、これはもうやめてほしい。私どもも、一般論はいい、この具体論、これがおかしい、このスキームが変だということを言っているわけですから、そこはお分かりですよね、当然。その具体論を議論していきたいと。  もう一つ本丸、本丸というのはこれは何なんですかね。これも小泉総理のメッセージでは、ずっとあって、このお金の流れの元の部分からの改革、元だと、だから本丸だと。つまり、お金の流れだと、お金の流れを変えることだと、そこが本丸だと、こう言っているように読めるんですが。そして、まあ三百四十兆、時に三百五十兆と言ったりもしておられるようですが、三百四十兆のこのお金が、特殊法人の方に行くんじゃなくて、国民のところに流れを変える、有益に使われるようにする、それが本丸だと、こう言っておられるように読めるんですが、それでいいんですか。
  126. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) まあ本丸というのは一つの表現でありますが、やはり特殊法人改革、それから官から民へという、民間にできることは民間にという、総論賛成と言うんならば、各論として最も大事な改革の一つであるいわゆるこれに抵抗する人たちが根拠としているところであると、そこをぶち破るという意味においてこの本丸だという表現を使っているわけであります。
  127. 江田五月

    江田五月君 さてそこで、もう一度今の。  五段階論ですよね。「官から民へ」、「民営化は良いことだ」、で「公社化はその一里塚だ」、「公社になって良くなった」、「民営化するともっと良くなる」、したがって「賛成」と、こういうこの、確かに国民の中に、あるいはマスコミの中なんかにももうこの定式が頭へこびりついている、そんな感じの人がかなりいるのは確かです。  しかし、私どもも、民営化は良いことだと、この一般論、これはある程度は認める。だけど、小泉さん、これは考えてくださいよ。競争というのが常にいいわけではないですよ。競争によって失うものもあるわけです。人間も社会もそれほど単純なものではないですよね。そういえば、たしかどこかの商工共済協同組合でしたか、アルゼンチン債を購入して大暴落して大混乱になったなんていうようなことがありましたが、まあこのことはそれだけにしておきますが。  競争が必ずしもいいわけではない。競争して、勝つ者がある、負ける者がある。負ける者はどんどんもうどこかへ消えてくださいと、そうすると世の中は競争で勝つ者ばっかりになるから、そうすると世の中がいい世の中になるよと、まさかそんなことを考えていないでしょうね。会社は人をリストラできますよ。しかし、小泉さん、国は、あるいは社会は国民をリストラできないんですよ。敗者になった人たちもちゃんとみんなで一緒にこの社会を動かしていかなきゃいけないんで、競争にも悪いところはあるんだと、これはいかがですか。
  128. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) もとより、完全な市場経済とか完全な統制経済とかいうことはないと思います。どのように調和を取っていくかということは必要だと思います。競争、必ずしもすべて競争がいいという状況でない点もあると思います。かといって、競争をなくせば、今の状況というものを温存すればいいかということでもないと思います。それは、その時々、問題ごとによってよく見極める必要があると思っております。
  129. 江田五月

    江田五月君 そこで、この郵政事業については、民営化はいいことだという一般論はあるけれども、必ずしも競争を、すべて競争にさせてしまっていいわけではないと。で、いろんな議論をしたじゃないですか。それで、中央省庁改革基本法の議論のときに、三十三条というものがあって、民営化は行わないということで、これは公社化をしていくんだという方針を出して、その後に公社法あるいは信書便法、そういうものを議論をしましたよね。これはあなたの内閣で出されたわけですよね。  私は、この公社化というのは、これは一里塚じゃないんで、ここはやはりそういういろんな議論をして、こういう公社制度というものを経営形態にして郵政事業をやっていくんだという、そういう経営形態としてはある意味の終着点だったと、そのことを書いたのが三十三条だと思いますよ。ですから、この二番目、②は、これは大きなはてなが付いているんですよ。  あなたは、あの公社法とか信書便法とか、あなたが出されたんですよ。あれでいけないんですか、あれで。あなたあのときに、いけないと思いながら出されたんですか。
  130. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は元々民営化が必要だと思っておりましたから、公社化は民営化の一里塚だと、前段階だと思っておりました。そして、時間も必要ですし、私が自民党の総裁に選出され、総理大臣に就任して、一度総裁選に選出されて現職のまま再度再選する際にも民営化を公約に掲げました。総選挙、衆議院総選挙におきましても参議院選挙におきましても公約に掲げました。そして信任を受けております。  そういうことで、公社化で終わりとはもとより思っておりませんでした。しかしながら、手順、段階がありますので、そういう点を踏んで私の公約である民営化にようやく進むことができたなと思って主張してきたわけであり、それを実現するべく現在努力しているところでございます。
  131. 江田五月

    江田五月君 小泉さん、あなた一人で世の中を動かしているわけじゃないんで、確かにあなたは総理大臣ですから、それは世の中を動かしていく最高責任者ではある。しかし、やっぱり内閣というのもあります。国会もあります。もちろん国民もあります。地方議会だってあります。いろんな人々でこの世の中を動かしているわけですから、そういういろんな人の議論を集約して集約して集約して中央省庁改革をやり、公社制度をスタートをさせ、信書便法を作ったりいろいろしたわけです。我々は、信書便法についてはこれは反対をしました。公社法については、政府の原案について私たちは衆議院の段階で賛成をした。しかし、これは修正されて、修正については我々反対でしたから、参議院ではこの修正されたものが来ましたから反対をいたしましたが、公社化そのものについては、あなたがお出しになったものについては我々は賛成をしたんですよ。そういう経過があるんですよ。  さて、あなたに言わせれば、この三十三条というのは民営化への抵抗を薄めるための、まあ本当は自分は一里塚と思ってやったんで、で、ここまで来たから更に次へ行けるじゃないかと、こうおっしゃるんですが、それはあなた、これだましのテクニックですよね。幼い子供を何もしないからって車へ乗せて、それで何もしないからって部屋まで連れていって、それでそのまま殺してしまうと。そういうだましのテクニックはやめてほしい。強くそう思いますよ。  「公社になって」、今の、「良くなった」と、これはいいです。これは、公社になって確かにいろいろ良くなった。もっと良くできると、公社でですよ、公社でもっと良くできる余地はあると思いますが、「民営化するともっと良くなる」、これはこれから議論しましょう、具体論ですから。これは、私どもは百害あって一利なしだと思っております。したがって、最後の「賛成」というところは「?????」と、「薄氷の五票差」ということになったのだと思っております。  さて、民営化にメリットがあるかどうかですが、まあこの信書、郵便、この信書便法であなた競争不十分だと、これはそう思われているんでしょうね、恐らく。いかがですか。
  132. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 信書便も、私は民間でできる分野民間に参入を促して民間にゆだねられる部分民間がした方がいいと思っております。  できるだけ民営化できるものは民営化していけばいいと思っておりますが、民主党も恐らくこの総論の部分においては賛成だと思うんですが、この郵便局だけどうして公務員じゃなきゃいけないという理由が私は分かんないんです。どうして公務員なら信頼できて民間なら信頼できないのかと。  私は、公的な分野におきましても、信書便の分野においても、私は現に民間が参入してやっているわけでありますから、そういう点についてはどんどん民間創意工夫を発揮して、本来公的な分野役所がやっていた分野公務員じゃなきゃできないと思われた分野にも、民間なら、ああよくやってくれるなという分野がたくさんありますから、信書便の分野においてもそういう傾向になっていくということは望ましいと思っております。
  133. 江田五月

    江田五月君 信書便について民間参入できるようにした、だけども随分ハードルは高かった、だからなかなか参入できない。そういう非常に高いハードルにしてそれで何とかクリアしたというのがあのときの状況だったけれども、これはもっと、もし信書便についても競争ということならば、ハードルを低くすればいい話で、経営形態をどうするという話ではない。  さて、百害あっての百害の方もいろいろ言いたいんですが、ちょっと時間がないんでもう一つ、本丸の方をちょっと最後に聞いておきたいと思いますが、三百四十兆のお金が民間へ流れるんだと、そういうことをおっしゃるんですが、これはでたらめですよ、本当に。  今の、二枚目、今お金の流れどうなっているかというと、これ官から民へと言われますが、実際には民から官へお金が流れている。この表をちょっと詳しく説明している時間がなくなってしまいましたが、今、一九九七年のお金の流れ、郵便貯金から国へ行っているものが二百三十八兆、銀行から国へは三十三兆、銀行から民間に四百七十八兆。これが今、二〇〇四年どうなっているかと。郵便貯金から国が百八十五兆で、五十三兆円これは減っているわけですよね。銀行から民間へ、これも四百二兆で七十六兆円減っている。そして、ここが問題。銀行から国へ行っているのが何と百二兆。九七年三十三兆だったものが六十九兆も増えている。これが今の金の流れじゃないですか。こういう金の流れの中で、この郵貯のところ、郵便のところを民間にしたら、郵便といいますか、郵政事業のところを民間にしたらなぜ一体官から民へお金が流れるようになるのか、こんなことにはならない。ここが一番の問題点で、そして私どもはこういうスキームじゃなくて、三枚目、真の改革の本丸というのは、つまり本当に官から民へお金をちゃんと流すようにするにはこの今の流れを変えることなんですよ。民から官へというお金の流れを変える、郵政民営化をしてもこの傾向は変わらない。  そして、この傾向そのものを変えるには、具体的には、あなたが事もなげにぽっとこう捨て去った例の国債発行の抑制策ですね。あるいは特殊法人、道路公団なんか、まあああいう橋梁談合みたいなあんなところにどんどんどんどん金が流れるシステム、これは変えなきゃならぬことは明らかです。したがって、そこにきっちりメスを入れる、あるいは本格的景気回復、中小企業支援その他、こういうことをきっちりやっていくことこそが、これが改革の本丸であって、郵政民営化というのは、つまり入口論というのはこの本丸を正すことについて何の役にも立っていないと。このことをこれから私どもずっと、まあ採決ということになるのかあるいは審議未了になるのか分かりませんが、この国会、会期末までしっかりと議論をしていきたいと思っております。  どうです、今のこの官から民へのうそ、実際にはお金は民から官へ流れている、この私のこの説明にこれ何か反論ありますか。ええ、どなた。ええ、じゃ、竹中さん。
  134. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 委員の御指摘の図は、まあここでは一九九七年から二〇〇四年までのお金の流れの変化を、銀行そして国、企業との関係でお示しいただいております。これはその意味では御指摘のとおりでありまして、バブル崩壊後、九〇年代から現在に至るまで、正にお金は民の方ではなくて官の方に流れてきた。まさしくその流れを変えるためにこそ郵政民営化が必要であるということを私たちは申し上げているわけでございます。  この中で委員がお示しの表は、要するに国の財政赤字が広がりました、一方で資金の取り手である企業は余り設備投資しなくなって、お金が流れなくなりました。その点はもうそのとおりでございまして、であるからこそ、私たちも経済活性化、不良債権の処理をして経済活性化する、そしてそれがようやく軌道に乗り始めた今現在では、二〇一〇年代初頭の基礎的財政収支改善に向けて着実にそれを進める、そして特殊法人の改革も進めていく、そのことは責任を持って行っていくわけでございます。  しかし、一点だけ是非これは申し上げておきたいのは、やはり郵政民営化しますと、その限りにおいて官から民にお金が回るようになります。家計から見ますと、家計では今運用している千四百兆の資産のうちの二六%が今官に行っています。しかし、それが民営化することによって五%ぐらいに下がる。企業から見ますと、企業の資金調達のうち一九%はこれは官、政策金融等々官から調達している。それをまた五%ぐらいまで減らしていくことができる。全体のお金の流れを変える、そして郵政民営化する、それを両方行うことが必要だと思っております。
  135. 江田五月

    江田五月君 今の二六%から五%という話ですよね、午前中、慶応大学の何とやらという先生の試算だと言われました。しかし、それは直ちに反論されますよ。私どもは、そういうのは、そういう計算は成り立たないということを後からまたどんどん委員替わって質問いたしますから、十分議論してください。  それから、修正をされまして、これがまた大インチキなんですね。修正案提出者に聞きたいんですが、もう時間がないんですが、恐らく修正案提出者の皆さんは国民のいろんな心配をなくそうと思って努力をした、されたんだろうと思います。どういう趣旨でと聞くとそう答えるだろうと、いいですよね、だと思いますが、小泉さん自身が何にも中身変わってないんだと答弁しているわけですよね。  修正案提出者の皆さん、ごまかされちゃいけないですよ、これは、本当に。何も変わっていないんですよ。郵貯にしても簡保にしても、やると書いてあるけど実はできる業務の中に入っているだけで、しかも郵貯、簡保その他の何とか何とか業務と書いてあるので、のの字があるというのは結構重要なんですよね、修正案の皆さん、分かっていると思いますけどね。  小泉さん、私、もう最後になりましたが、今回のこの郵政民営化関連法案というのは、私は、あなた、これリフォーム詐欺だと思いますよ、リフォーム詐欺。つまり、この公社制度という経営形態はそんなに別に悪くないんですよ。もっとこの形態でいろんなことができるようになるんですよ。ところが、いろんな人を連れてきて中へ入って、あすこが悪いここが悪い、もうこれ、会社三つに分けて上と下に持ち株会社と局会社つくって、それで今度いろんなものをくっ付けて、まあやらなくてもいいことをやって、しかもそれをくっ付けるのにいろんな器具を付けて、例えば財投債の引受協力なんかもこれからなくなっていくわけでしょう。そういうのに、いろんなものをくっ付け、グロテスクなもの、物すごく複雑なグロテスクな、社会・地域貢献基金なんていうのだって物すごくグロテスクなものですよ。そういうものをくっ付けて、請求書だけを国民に持ってくるという、そういうリフォーム詐欺はやめてほしい、そのことを最後に申し上げて、私の質問を終わります。
  136. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 民主党・新緑風会の峰崎でございます。  今日は、江田委員に続きまして郵政民営化に関して質問さしていただきたいと思いますが、ちょうど、江田委員、最後に修正案について伺われたわけです。ちょうどよかったなと思っています。  改めて、小泉総理、一昨日ですか、本会議において随分あの質疑に対して、修正案に対するとらえ方が柔らかくなったというか丁寧になったといいますか、非常に変わっていると思うんですね。  改めて、この修正案衆議院においてなされた、このことについて、手短で結構ですから、まずその点について総理の見解をお伺いしたい。
  137. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 衆議院の段階で修正案が出されまして、これは今までの政府の骨格、基本方針というものの議論の中で、まだまだ国民に対して、郵便局がなくなるのではないかとか、あるいは郵貯サービスとか保険サービスとかいうのがなくなるのではないかというような不安といいますか懸念が出てまいりました。  そういう議論を踏まえて、この不安感といいますか懸念を払拭する必要があるという議論を真摯に受け止めて、骨格、基本方針は変えないで、どうして明確にしたらいいかということで出された修正案でありますので、私は、ああ、いい知恵を出してくれたなあといってこれを真摯に受け止めて賛成の結果、今参議院で御審議いただいているということでありますので、こういうことに対しまして誠意を持って対応していきたいと思っております。
  138. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 誠意を持ってとか誠実にとかというのは、それはまあ形容詞ですから、是非それはそう願いたいんですけど、問題は中身なんです。  そこで、小泉総理衆議院の段階において総理が各質問にどう答えていたかということを、ちょっとこれ、繰り返してみたい。  これ、衆議院の平成十七年の七月四日、我が党の原口委員に対して、原口委員が、総理修正案について、文言を変えただけで実質的な中身は変わらない、こういう考え方でいいですかと。小泉総理、そのとおりであります、実質的な内容は変わっておりません、文言は修正いたしました、こうおっしゃいました。  続いて、これは社民党の横光委員に対して、もっと、同じような質問に対して、私は、過日、これ、小泉総理の発言ですよ、私は、過日、修正考えていない、それをはっきり言いました。で、ずっと行って、こういうふうに言っていますよ。骨格も基本方針も中身も全然変わっていない。字句の修正、今までの国会答弁で分かりやすくする修正不安感をなくする修正ならば結構です。中身は全く変わっていないんです。形式的に字句の修正はありますから、その字句の修正というものを自民党の皆さんが評価していただいて賛成しようということですから、これはいいことだと思いますと。まだずっと続くんです、これね。  例えば、原口委員が続いて、修正案の文言を変えただけで中身は変わらないと、こういうことで、中身の問題について、例えば原口委員が、銀行業、生命保険業の代理業務を例えばこれ例示していますけれども、修正案は、後で私もこのことについて指摘をしようと思うんですが、中央政府保険業あるいは郵便貯金業、これを中央政府の責務としてやることには反対でしょうと。そうしたら、総理は、それは義務付けがないということで郵便局がそういう仕事ができるということなんですよ、親切でしょうと、こういうふうにおっしゃったんですね。  そこで、総理が答えられる前に修正案提案者にお聞きします。こういう総理の言葉を受け止めて、修正案提案者としてそれが真意だったのか。その点について、修正案提案者からまずお聞きしたいと思います。
  139. 山崎拓

    衆議院議員山崎拓君) お答えいたします。  総理衆議院特別委員会における答弁を私ずっと拝聴をいたしておりましたんですが、私が酌み取りました総理の真意というのは、この修正案につきましては、野党は関係ないとおっしゃるかも分かりませんが、政府、与党合意に基づきまして今回の法案提出をされました経緯がございますが、その政府、与党合意を踏まえまして、その合意の枠内で、私どもはその合意の中で法律化されていなかった部分について、特に法律に明記した方がいいと考え部分を採用いたしまして修正を行ったという経緯でございますから、したがいまして、政府、与党の合意を尊重してと、そういう意味合いで今回は基本的なものは変わっていないということを答弁されたわけでございます。
  140. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 真意をおもんぱかってとか言っておられますけれども、先ほど私が口頭で述べたようなことをずっとおっしゃっていて、何にも変わってないんですよと。要するに、この骨格も基本方針も中身も全然変わってないんだと、こういうことを言っている。ただ安心させるだけだ、言葉変えただけだと。それ総理、やっぱり同じようにここでそういう考え方だということなんですかね。  もう一遍、総理としてその修正案に対する見解を、先ほど聞きましたけれども、このような考え方は間違っていたということなんでしょうか。それとも、先ほど親切に丁寧にと、随分丁寧に答えられました。修正をしたことについての精神は、衆議院ではどうも木で鼻をくくったような言い方をしたけれども、それはどうも反発を招いたようだから少し言い方を変えると。しかし、中身は変わってない、こういうことなんですか。
  141. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは骨格、基本方針、中身は変わってないんです。ただ、その答弁だけでは不安があるから、そういう点は修正することによって不安感を払拭した方がいいと。字句も例示として今までなかったものを挙げた方がいいとか、あるいは検証よりも見直しという言葉の方がいいんじゃないかとか、そういう点については骨格、基本方針変わらないんですから、私もそんなに頑固とかかたくなじゃないから、中身も変わらない、基本方針も変わらない、そして不安、懸念が払拭されるんならそれはいいことだなあと、これはやっぱり真摯に受け止めて対応しようということで了解を受けまして参議院で今審議を行っているところでございます。
  142. 柳澤伯夫

    衆議院議員(柳澤伯夫君) これ、ちょっといきさつがありまして、峰崎先生にもお話を申し上げます。  それはどういうことかといいますと、まず、我々政府と与党の間では法律原案を作るときからもうこれはもうさんざっぱら議論しました。原案でもある程度与党の要求を受け入れた原案になっておりました。しかし、その後また政府、与党の協議がございました。そうして、法律案を出す寸前の四月二十五日に合意をいたしまして、それで今度は張り紙の作業をするぐらいに直前の改正も行われたわけであります。  そうして、その後、また議員で、各委員会での論議がありましたので、そういうようなものについてこれは法律に上げるべきではないかと、こういうようなことをいたしたわけでありまして、大体その議論のテーマは、その利用者の立場からする設置基準とユニバーサルサービス、それから経営者の観点からする一体的経営の問題、それから最後に、まあこれ非常に大きな改革だから念には念を入れた方がいいじゃないかということで三年ごとの見直し、大体もうテーマは同じでございました。  で、その三つの、大別して三つのテーマについて、それぞれの段階での議論の結果、これを法律化すべきか、あるいは国会答弁で対処するか、あるいは定款で対処するか、そういうようなことをやりましたので、総理にしてみますとほとんど同じテーマについてこれを法律化するかというようなお感じを持たれたとしても、これはもうある意味で当然の私は印象であったというふうに、ちょっと表現は我々からするとちょっと立つ瀬がないなというような表現もありましたけれども、しかしながら、しかしながら、実態がそういうものであるということで、我々は別にそれに異を唱えるというようなことは一切しなかったということでございます。
  143. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 済みませんけれども、ちょっと時間がそれほどないものですから、短くしていただきたいと思うんです。  総理、私は、この今おっしゃっていることを総合すると、要するに自分が衆議院で言っていることは、まあ正にそのとおり言っているんであって、やや立つ瀬のないような表現もあったということなんでしょうが、いずれにせよその本質的なものは変えていない、文言変えて安心感持たせただけだ、こう理解していいですね。その点、今、うんとうなずかれましたから、それは確認いたします。よろしゅうございますね。  賛成か反対か、それだけで答えてください。時間ありません。
  144. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今まで不安なり懸念があったところを、それを払拭するように、明確にしたということでございます。
  145. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 さて、そこで、余り総論のところばかりやっても、各論に入りましょう。法律にしたら変わったんだというんですね。  そこで、私、恐らく、もう今日たくさんの質問を用意したんで、もしかしたら全部、足らないかもしれませんが、最初に、何のためにいったん処分した貯金会社、保険会社の株式を再び所有して相互持ち合いをするのか、この修正というのは何のためになされたんだろうかなと。総理、これはどの、何のためになされたんですか。
  146. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 基本的には、まず、国の信用を断ち切って、関与を断ち切っていただくという観点からこれは処分していただく。そういうことによって民間と同じ対等の民有民営の企業になっていただくわけでございますけども、その後、経営の判断でそれを更にいろんな形での提携関係を持ちたい、これは、この場合に、民間企業として今度はほかの民間企業と同じような判断をこれはしていただく必要はあるわけでございます。そういうことが経営判断としてもし郵便局会社と銀行の間で、そういう提携関係を持つ以上、何らかの資本関係を持ちたいということをもし判断されるんであるならば、それは、それを駄目だというような形で無理に規制するのはおかしい。他の金融機関についても同じような形でそれを可能にするような仕組みをつくっておく方がいい。これは正に民営化の意味である、民間と同じにしていただくということでございます。  そのために、それを確実にするための幾つかの修正もいただきました。具体的には、株主権の連続的な行使のために、これは株主の名簿を確定する基準日をどうするかという問題が出てまいりますけれども、それについて私たちは当初それを定款で明示するということを考えておりまして、それを国会でも答弁をさせていただきました。それに対して、じゃ、定款に書くということを法律でしっかりと書いた方がよいという御修正をいただいたわけで、これは確かにそうすることによってその趣旨はより明確になりますし、法律に明示することによって、そういった経営の判断に基づいてそういうことをしたいという場合に、それがしっかりと可能になったと。そのような修正が行われたということでございます。
  147. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 今のお話を聞いていて、竹中さんですね、大臣ですね、五月、これ三十日ですか、衆議院の対北川委員との間のやり取りでおっしゃっていることをずっと、議事録をちょっと引っ張り出してみたんですね。完全処分とは、売却とは異なりまして、国の関与を断ち切るために、国の出資する日本郵政株式会社がその二つの銀行と保険の議決権を有しない状況とすることを意味しているわけでございますと答弁しています。  つまり、これは、修正案は議決権の連続的行使が可能な内容にするという中身なんですね。あなたは、この五月三十日に対北川委員におっしゃっているのは、議決権を有しない状況をつくるんだということなんですね。何かこれ、言っていることが違う、変わっているんじゃないですか。その点、私としてはどうもよく分からない。  そこで、提案者の、修正案の提案者にお聞きしますね。このいわゆる改正というのは何のためにやられたんでしょうか、修正案。その点について説明をまず求めておきます。
  148. 柳澤伯夫

    衆議院議員(柳澤伯夫君) これは、先ほど竹中大臣が御答弁になられたように、最初持ち株会社が持っている株というのは、まあ言わば国有時代の言わば名残。その実効の面でいえば、効果の面でいえば、管理支配のためとも思います。それをいったん解消した後、これはいろんな、会社、民間会社ですからポートフォリオ投資として考えることもあるでしょうし、なかんずく取引先との関係では取引関係の安定、こういうようないろんな目的のために株を持ち合うと、あるいは持つということはあり得るわけでありまして、この会社についてもそういう通常の民間会社が行うような株の取引というのは当然認められるべきであると、そういうことをあえて否定すべきではない、こういう考え方で、その点を明らかにするために改正をいたしました。
  149. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 実は、一回売り払っちゃってもう一遍買い戻しますと、こういうやり方をするんですね。  そうすると、これ、経営者経営やっておられる、麻生先生なんか経営をやっておられますから、伊藤大臣もやられていました。これ、自分たちが、もうほぼ民有民営の極限状態まで来たと、あと何%かは所有しているかもしれないけれども、株式売買が何%まで来ている。これ全部売っ払わないでも、もうそのまま持ってていいじゃないかと。売っ払えば、その分、売買すれば売買益が掛かってきて、これ当然のことながら税金掛かりますよね、キャピタルゲインあるいは法人税掛かってまいります。  わざわざ法人税を払って、また今度買い戻す。これ、買い戻すということが分かっていて、何%買い戻すか私知りませんけれども、その買い戻すということが分かっていたら、これは値上がりするなと思ったら、当然これ格好のえじきになりますよね。そういうような見え見えのやり方をなぜ取るんだろうかな。これは、言ってみれば国民に対して、国民の資産ですから、当然のことながら、それの私は裏切りになっちゃうんじゃないかなと。  とすれば、もうある意味では民有民営、一〇〇%、全部売っ払うという状態になってもう一遍買い戻す。こういうやり方に対して、私自身はこれは経営のやり方としていかがなものかなと思っているんですが、そういうことについて、竹中大臣、問題だというふうに思われませんでしょうかね。
  150. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) そもそも、なぜこれを本当に完全処分するかということは、これは決して経営者のために処分するしないという問題ではございません。これは制度として、これは銀行、保険会社、これがほかの銀行やほかの保険会社と同じ条件になっていただかなければいけないということで、これはイコールフッティングのためにこれは国の関与をまず断ち切っていただくということをするわけでございます。  そして、その後、今、峰崎委員は、その後買い戻すと分かっていれば、値段、プライシング云々というお話ございましたが、そのときに買い戻すかどうかというのは、これは正に経営の御判断です。一体的な経営をするに当たって、いろんな形での一体的経営考えられます。株をある程度持つということも、そのうちの選択肢の一つとしてはこれは当然考えられますから、それを排除することはしないというのが今回の法律の趣旨でございます。  いずれにしましても、これはまずルールとしてイコールフッティングを実現するために、これは是非とも真の民有民営を実現していただかなきゃいけない。つまり、国の信用、関与を断ち切っていただかなければいけない。しかし、いったん民営化された後は、他の民間と同じ条件が適用されるべきでございます。その範囲において、もちろん特殊会社には特殊会社の制約がある、一方で銀行法の制限、その他の法律の制限がある。それらを守っていただいて、経営判断で必要であることはやっていただけるようにする、そのような制度設計になっております。
  151. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 ちょっと視点変えます。  「郵政民営化の検討に当たってのポイント」ということで、平成十五年十月三日、経済財政担当大臣竹中平蔵さんが五原則出している。そこで整合性の原則ってあるんです。整合性の原則というのは、今やっていらっしゃる構造改革のいわゆる全体との整合性の取れた改革を行いますと、五項目にこういうこと書いてある。  そうすると、今、金融市場改革をめぐって株の持ち合い、これはできるだけ解消しようと、こういうことじゃないですか。民間もやっているから、民間と同じようなことをやっているから、じゃ、それは新しい事業だってやれるんだよと。  私は、どうも小泉内閣のやっている、竹中さんが一枚看板の言っている構造改革の中の整合性の原則と小泉改革が進めているいわゆる構造改革にこの持ち合いというやり方は逆行するんじゃないか、私はそういうふうに思うんですが、それは逆行するんですか、しないんですか。これ、イエスかノーかで答えてください。
  152. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 整合性の原則というのは、これは正に私が提唱したものでございますが、これは金融改革や財政改革とその方向性を一にさせるというものでございます。  財政に関して言うならば、今、財政改革しなきゃいけないときに国庫の負担をさせないということも必要でございましょうし、金融に関しては、しっかりとした健全な競争をしていただいて、その競争の中で金融システムそのものを活性化していただく、それが正に構造改革の方向でございます。  今回、今の持ち合いに関して申し上げるならば、これはどのような株を持つかどうかというのは経営の判断等々でいろんな形がございます。一般論としては、これまで持ち合いが少し行き過ぎていたから、それについては少しそれを手放そうというのがここ数年の動きであるというふうに考えております。  しかし、法律で他の民間企業の常識の範囲内でのこの株の処分というのを禁止しているわけではございませんから、民営化された企業においてもその一般的なルールの下でしっかりとした判断をしていただくということになるわけでございます。
  153. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 がっかりしました。改革の方向と全く逆の方向を、いや、民間もやっているんだからそれやったっていいじゃないかと、この言いぐさは私ないと思うんですね。そういう意味で、私は、いわゆる修正をされたけども、この修正の意味一体、一体何だったんだろうかなということを依然として分かりません。  恐らく今日はNHKテレビ見ていらっしゃる方は、ちょっと余り専門的なところ入ったんで、何の議論しているか分かんないところから入っちゃったなと思って、ややちょっと反省しているんですけれども。  郵便局というのを、実は私、昨日ですか、知床が世界遺産になったということで大変私も喜んで、北海道人ですから。あのウトロとか羅臼に私、二年に一回は必ず行くことにしているんです。それは決して遊びに行っているわけじゃなくて、そこの職場を行って、地域の人たちに会って話を聞くわけです。必ず郵便局に寄ります。  そういう意味で、大変うれしいわけでありますが、問題は、地域に行くと、特に離島とか先ほどお話ししたウトロとか羅臼とか、そういう地域に行くと、郵便局というのは私はライフラインだと思うんです。  総理、横須賀だとですね、私、広島県の呉ですから同じように戦前の海軍の町ですけれども、余り郵便局というのはどの程度の存在感あるか分かんないんですが、過疎に行く、あるいは離島に行くと、もう本当に郵便局というのはライフラインだなというのがよく分かるんです。そういう意味で、今質問していることって全部、このネットワーク網はとにかく残していきたい、維持していこうということはこれは共通しているわけですけれども、本当にこれは、郵便事業とそれからその金融事業を分離して分社化をしていったら、本当にこれ残せるんでしょうかねというところの問題を実は最大の問題として私たちは今回当たっていると思っているんですよ。  もちろん、分離するときの規模の問題というのがありますから、それはまた別の問題、大きい問題としてあるんですが、その意味で、私はやはり、今規模の問題というお話を申し上げましたけれども、こうして今郵便局の、郵政民営化が進んで株の持ち合いが行われるようになったときに、これ今日は公正取引委員会にもお見えいただいておりますけれども、あるいは金融担当大臣にもお答えいただきたいんですが、いわゆる相互持ち合いをして巨大なコングロマリットができてしまうんじゃないかというふうに思うんですが、そのことによって独占禁止法あるいは銀行法、保険業法、様々ないわゆるこの法案との関係が出てくると思うんですけれども、その点に対してそれぞれどのようにこのことに対して対応されようとしているのか、お聞きしたいと思います。
  154. 伊藤達也

    国務大臣伊藤達也君) お答えをいたします。  修正案によって銀行法等に問題が生じないかと、こうしたお尋ねをいただいたわけでありますけれども、修正案における株式の持ち合いにつきましては、現行の銀行法、保険業法等の枠組みの下で、他の民間金融機関の株式と同様に、郵便貯金銀行、郵便保険会社の株式を取得することを可能といたしているわけであります。  その場合も、郵便貯金銀行等は、他の民間金融機関と同様に、他業禁止や子会社の業務範囲規制等を定めた銀行法等の金融関連法令に従って業務をする、遂行することになりますので、修正案におきましても現行の法令に反した取扱いがなされるということではございませんので、銀行法上の問題が生じることはないというふうに考えております。
  155. 竹島一彦

    政府特別補佐人(竹島一彦君) お答え申し上げます。  独占禁止法上問題になりますのは、独占禁止法の九条で禁止をしております事業支配力が過度に集中するかどうかということでございます。  それで、株式を持ち合うことによって金融コングロマリットになるのではないかということをおっしゃいますが、これは一概にはそうは申し上げられないので、要は資本の持ち合いが、実質子会社、すなわち我々がガイドラインで示しております二五%未満、逆に二五%以上を超えて株を持たれる、又は持つということになりまして、かつ金融会社の郵貯会社なり保険会社の活動の質量を見て、それが都市銀行ないしは大手生保、生命保険会社のそれと同等であるという判断がなされる場合は、当然、この二五%の持ち株のガイドライン、これを守っていただく必要があるということでございまして、その点に関して、官民、正にイコールフッティングで臨ませていただくつもりでございます。
  156. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 独禁法については本当は、後でまた質問が続くと思いますので、本当はもっと突っ込みたいところなんですけれども、ちょっと銀行の問題言います。  さっき、今、他業禁止とおっしゃいましたですね。これ、事実上の相互持ち合いやってでき上がったら、これ金融持ち株会社ですよね。そうすると、郵便貯金銀行、郵便簡易保険銀行、そして窓口銀行、それから郵便銀行と、こう金融のいわゆる持ち株会社ができて、そこに様々な他業、金融と直接関係のない業をやっているんです。やるんですね、これ。これができ上がるわけですよ。そうすると、これはさっき言った他業禁止ということとどう関係するのか。  もう一つ、実は、それを見て、そうかと、今度の郵便の改革でそういうものができるんなら、今度は民間の銀行業の皆さん方も、じゃ同じようにそういうものをつくっていっていいんだねと、あるいは今度は製造業の皆さん方が、いや、銀行の業務に入っていっていいんだねと。そこに独禁法上の縛りがあるかもしれないけれども、そういうものがこの我が日本の中にでき上がってくるんじゃないかと思うんですが、金融担当大臣、そこに対する警戒感というか問題意識というのはお持ちなんでしょうか。
  157. 伊藤達也

    国務大臣伊藤達也君) 恐らく、委員がコングロマリット化して弊害が生じるのではないかと心配されているのは、恐らく窓口会社の問題で御心配になられているのではないかというふうに思います。  確かに、今回、郵政民営化することによって郵便局株式会社は幅広い事業分野へ進出することが可能となるわけでありますけれども、そもそも銀行法上は銀行が他業を営むことを禁止しているのは、他業のリスクから銀行の本業を遮断することが主な観点であります。  一方、銀行代理店は銀行本体とは別法人の販売チャネルであり、銀行本体とは異なり、預金債務等を直接負う存在ではございません。したがって、銀行法上は銀行代理店については兼業を一律に禁止するものではなく、代理店の健全かつ適切な業務が確保できる限りにおいて、内閣府令において代理店の種類ごとに兼業の可否を規制をいたしているところでございます。郵便局株式会社が銀行代理店となる場合には、従来から公社において郵便業務との兼業を行っており、民営化後もその人的、物的資産、そしてノウハウというものを承継すること、そして、郵便局株式会社は特殊法人であり、主務大臣が監督をしていること、こうしたことから、兼業を行っていても健全、適切に代理店業務を行うことができると考えております。  ただし、この場合でも弊害防止措置は必要でありますので、抱き合わせ販売等、優越的地位の濫用の禁止でありますとか、あるいは情実融資、こうしたことを禁止するための処置を内閣府令において講じていきたいというふうに考えているところでございます。  また、民間銀行との関係のお尋ねもございました。  民営化後の郵便局株式会社については、委託元が郵便貯金銀行である場合と一般の民間金融機関である場合のいずれも、内閣府令を改正することによりまして銀行代理店となることができるように処置する予定でございますので、そういう意味では、民間金融機関とイコールフッティングが図られるところであるというふうに考えております。  他方、さらに、一般の事業法人が銀行代理店となることにつきましては、これは郵便局株式会社のように社会的信用やあるいは業務遂行能力があることが必ずしも明らかではございませんことから、郵政民営化とは別に、一般的な金融制度の在り方として、参入規制など銀行法を改正することにより処置することを検討をいたしているところでございます。  なお、銀行本体につきましては、代理店とは異なり自ら預金債務を負う存在でありますので、他業のリスクから銀行の本業を遮断する必要があるため、他業禁止は今後とも維持していく考え方でございます。
  158. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 とにかく長くしゃべられたんで、なかなかもう頭の中にすぐ入ってきませんのであれなんですが。  実際、これ持ち株会社というふうになっていくと、銀行業と他の業との間にリスク遮断をすると言いましたよね。これ、例えばですよ、これは本当はもうもっと具体的に入っていかなきゃいけないんですが、郵便貯金銀行がいわゆる手数料をいわゆるネットワーク会社、郵便局ネットワーク会社とか、そういったところにどういう金額を支給するのかということについて、これ下手すると利益操作といいますか、本来ならば、そこで持ち株会社の方は、いや、どうもネットワーク会社が危ないから、おまえのところの手数料少し高めにしてやれとか、そういう意味で、手数料水準だとかなんとかというものが極めて操作されやすい。本来の独立性の、独立性基準といいますか、それが相互にやることがどうやってチェックできるかという点で私は非常に危惧を持っているんです。  その点は、時間がありませんので、これも今後論議をしていきたいという大きな課題だと思っていますので、それは次に回したいと思って、次に修正案の第二点目に入りたいと思います。  郵便局会社の業務範囲の問題です。  要するに、郵便局の業務範囲を修正をされましたですね。どういうふうに修正をされたのかといいますと、郵便局を活用して行う地域住民の利便に増進する業務として、銀行業、生命保険業の代理業務を例示した。これは十年間、これからの移行期間というか、民営化になるまでのいわゆる郵便局に簡保も保険会社もそれから貯金会社も置きますよと。これは、置きますよということについての義務付けは、これは私ども法律によって承知しているわけであります。  問題は、その後の問題も含めて、地域住民の利便の増進に資する業務として、銀行業、生命保険業の代理業務を例示した。  そこで修正案の提案者にお聞きしますが、これは、要するに、そういうことを置くことができるであって、置かねばならないということじゃないんですよね。そうすると、みんな何を心配しているかというと、将来、やっぱり郵便局というのは三事業一体で実は事業は黒字でずっと維持してきた、これは分割されてくると、その中が一体うまくやっていけるんだろうかなと、そういう非常に心配を持っているわけです。  郵便事業の中で一番の稼ぎ頭は、郵貯とそれから次いで簡保かもしれませんね。そういう意味で言うと、本当にこのまま郵貯、簡保が独立してしまうと、実は十年までの民営化移行まではいいけれども、そこから先について、郵便局が本当にそういうものでネットワークとして存続できるんだろうかと。そのために実はこれを法的に付けられたわけでしょう。本当にこれは、じゃ十年先民営化されて以降も必ず郵便局はそのネットワーク網の中に郵貯や簡保、ちょっと今の言葉で言いますが、郵便貯金会社も保険会社も、郵便保険会社もこれは必ず出店、出店をするんだよと、こういうことで我々は理解してよろしいんでしょうか。ここは修正案提案者にお願いしたい。
  159. 桝屋敬悟

    衆議院議員(桝屋敬悟君) 委員のお尋ねは、正に郵便局金融サービスについて、移行期はともかく、それから先、今回修正したことによって将来にわたって本当にきちっとやってくれるのかと、必ず実施されるという期待をしていいのかと、担保になるのかというお尋ねかというふうに思いましたけれども、これは随分この委員会でも議論ありましたけれども、結局のところ金融サービスについては義務付けはしないと、こういう結論でスタートいたしまして、しかしそうは言っても、委員がおっしゃるようにみんな心配しているわけでありますから、重要性もあるわけでありますから、我々は正に地域住民の利便の増進に資する業務と、その例示として金融サービス、郵貯、簡保を、代理店業務を例示をしたということでありまして、これはじゃ将来どうなるのかということになりますと、ここは例示をしたわけで義務付けではない、これは確かでありますが、しかしながら、ずっと竹中大臣等が答弁されておりますように、我々はこれを例示することによって国民の不安を払拭することができる。  じゃ、実際どうなるかということになりますと、実態的に代理店契約とそれからそれ以降のことについては、やっぱり店舗網なんというのはないわけでありますから、そこは当然ながら期待をされるだろうと。そして、地域貢献基金の仕組みを入れたと。さらには、一体的な経営ということも我々は判断をさせていただいたわけでありまして、そういうことで期待ができるというふうに考えているわけであります。
  160. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 それと、ちょっとその中身見て私も驚いたんですけれども、実は地域住民の利便増進に資する業務として銀行業、生命保険業の代理業務と書いてある。そうしたら、これは正に民間の、民間といった場合、もうそのときは民間になっているのかもしれませんが、そうすると郵便貯金銀行や郵便保険会社以外の金融業だって足りるということになっちゃうんですね。  そうすると、よろしいですか、そうするとこれどういうことになるかというと、本当にじゃ、地域で郵便貯金あるいは簡易保険というものをやっていた人たちが、それは、それもあるかもしれないけれども、あるいはそれはなくなるかもしれないけれども、ほかの信金、信組のもしかしたら貯金があるかもしれない、代理店になるかもしれない、あるいはどこかの生命保険会社の代理店になるかもしれない。それがあればいいんだということでこういう修正をなさったんですか。
  161. 柳澤伯夫

    衆議院議員(柳澤伯夫君) あればいいんだということではなくて、もちろんさっき言った郵貯銀行、それから保険会社、郵便保険会社、この仕事は今、桝屋委員が言ったようにほかのいろんな手だてでできるだけ事実上担保しよう、法律上は無理だけれどもと、こうなっています。しかし、じゃその他の民間保険会社だとか金融機関の仕事は排除するのかというと、排除しません。それは、窓口会社、あるいは、今や郵便局会社と言うんですが、郵便局会社の言わば場合によっては収益源として期待できるところかもしれない、我々はそのように考えているわけであります。
  162. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 そうすると、これ、私たちの大きな目標というのは郵便局網のネットワーク網を維持するということですよね。そうすると、この郵便局網のネットワーク網は、法的にいろんなことをおっしゃっているけれども、財政的に見たときにこれは維持可能なんでしょうかね。  この点、修正案の皆さん方というよりも、どちらかといえばこれは執行部の側といいますか政府側の方で、財政的にも大丈夫だ、任しておけと、こういうことでオーダー出せません、出せますか。
  163. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) まず、何といいましても郵便そのもののユニバーサルサービス義務が課されておりまして、そのユニバーサルサービスの義務を支えるものとして郵便局のネットワークというのが必要でございます。切手も買えなければいけない、書留も受け付けていただかなければいけない、そういった窓口業務を行うものとしてこの郵便局の設置を、あまねく全国で利用できることを旨として設置を義務付けるということを法律でまずしっかりと担保するわけでございます。その上で詳細な設置基準を省令で作るということを考えているわけでございます。  それに対して、これ当然のことながら省令も法律でありますから、これをしっかりと守っていただくことになります。この会社は特殊会社でございますから、この省令を守っているかどうかということに関しては、当然のことながら特殊会社に対する監督大臣総務大臣の一般監督権限が及ぶところでございます。その中でしっかりと、これ、省令が守られていない場合にはそれなりの行政上の措置もとれるような仕組みになっているわけでありますから、それはしっかりとやっていただく。  加えまして、郵政民営化委員会をつくりますけれども、これはいろんな民営化の進捗状況を見るわけでございます、レビューするわけでございますが、その中に郵便局の設置の状況等々もしっかりとそれも含めてレビューをして、これ、必要なことについては国会にも御報告をすると、三年ごとのレビューについてはこれを国会に報告するということにもなっておりますので、そこは二重三重にしっかりとそういうものが担保されるような制度設計にしております。
  164. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 財政的に大丈夫だと、つまり郵便局ネットワーク網は、ある意味では皆さん方心配するけれどもそれは財政的にも担保されていますと、こういう理解でよろしいのかどうかということを聞いたわけです。  今、今のお話、るる聞いていました。そこで、先ほどもちらっとおっしゃっていた基金の問題ともちょっと絡むのでお話ししたいんですが、今、一兆円から二兆円にまで修正されたわけですよね。そうすると、この一兆、まあ要するに基金はどういうときに発動されるんだろうかな。  これ郵便局網で、地域貢献基金とかあるいは社会貢献基金とかという表現がありました。このいわゆる対象になるものというのは何なんだろうかということについて、ちょっと。
  165. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 地域貢献、社会貢献、それぞれございますが、分かりやすい例として地域貢献の例でお話をさせていただきたいと思います。  先ほどから峰崎委員懸念のように、これ本当に全国津々浦々の郵便局で、郵便局を設置する基準は作ったとしても、そこで本当に金融サービスが提供されるのかと。我々は、まずそれが可能であろうと、その仕組みをつくっているつもりでございますが、それでも過疎地の最前線の郵便局等々で、これやっぱりちょっと採算に合わないから、その金融業務、銀行業務、代理業務はもうちょっと銀行の方からしても困ると、そのような状況になった場合、これは社会貢献としてしっかりそれを続けるような枠組みをつくろう、そのために基金を使えるようにしようということでございます。  まず、これ、社会貢献計画というのを局会社に作っていただきます。この局会社が社会貢献計画を作るに当たっては、地域の有識者の意見をしっかりと聞いて現状を把握した上で、正にその地域の方々がどのような地域貢献を求めているかということをしっかりと把握する。そして、それについては、その地域、十分にそれを配慮するという配慮義務を課した上で主務大臣がその計画を認可するという形になっております。その上で、基金を、基金枠を、基金を積むわけですが、その運用益でもってその必要なコストを賄えるような、これはもう試算等々また後ほど御説明があるかもしれませんが、そのようなしっかりとした仕組みをつくったわけでございます。
  166. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 そこの中身なんですよね。私は、この中身が、要するに一兆円で、衆議院の議事録を読みますと、一・八%の金利で回ると。これは一・八%が当たっているかどうか分かりませんが、この中で、地域貢献基金を百二十億、社会貢献基金を六十億と、こう想定されたわけです。そして、二兆円に上げたというのは、何で上げたのかと調べてみると、一兆円だと金利が一・八のときはいいけれども、一%を切るような金利になったら困るから二兆円まで上げたというんです。要するに、支出する金額の上限が決まっているんですよ、社会貢献基金六十億、地域貢献基金百二十億。  百二十億で全国の二万四千七百の郵便局過疎地におけるその赤字といいますか、大変な状況というのは、これはちゃんと十分やっていけるんでしょうかね。
  167. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) お答えする前に、先ほど私、社会貢献基金の例ということで申し上げましたが、地域貢献基金でございますので、失礼をいたしました。  今、峰崎委員のお尋ねで、上限を、決まっているのではないかという御指摘でございますが、これ、上限を決めているわけではございません。我々、あくまでも積算を行っているわけでございますので、この積算の範囲内でこの貢献は行えるだろうというような私たちは見積りを、積算を行っているわけでございます。一・八%というのは過去十年間の国債の金利の平均、それに対して二〇〇三年、これは低金利で一%を割っておりますので、こういう状況が長期に続くと私は思っておりませんが、万が一にもそういう異常な低金利になってもやっていけるようにということで、二兆円のめどを付けております。  百二十億でやれるかということでございますが、これは、これも非常に積み上げを行っておりまして、過疎地の最前線のところで、非常にネットワーク価値が低下する懸念がもしかしたらあるかもしれないようなところをピックアップしまして、それに対して平均的にその場合に金融業務を行うときの収支差額がどれだけかと。その収支差額の分を埋めてやるということで、それで、その局数とその収支差額を掛け合わせる形でこの百二十億円を出しているわけでございますが、これは我々なりにしっかりとした積算をしたつもりでございます。
  168. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 その地域の方は、今日はちょっと時間ありませんから、しかしそんなもんじゃない、そんなもんじゃ足りないんじゃないかと私は思いますが、今日は社会貢献基金のところをちょっと皆さんに、グラフをもって、今、表を今配っていると思いますが、(資料提示)実はこの郵便の業務の中で、生田総裁非常に頑張っておられて、郵便事業も黒字になっておりました、昨年度も。  見てみると、赤字というのは、これは言わば正に赤字ですけれども、何が赤字になっているかというと、第三種、第四種、そして特殊取扱いの書留速達等です。で、これだけ合わせると、赤字になっているのは三百億超えているわけです。そうすると、六百二十四億の営業利益を上げておられるけれども、これは六百二十四億じゃなくて、第三種、第四種という、あるいは特殊取扱いというものは非常に安い値段である意味では決められているから、ひょっとしたら、これ、一千億近い利益を上げていらっしゃるんじゃないかなと。そういう意味で、私は非常に郵便局も頑張っているなと思うんです。  そこで、いわゆる六十億と決めてあるわけですが、よくよく見ると、どうも第三種、第四種の対象としている、その安くする、郵便料金を下げる、そういう種目が限られてきてるんでしょう。要するに、視覚障害とかそういう障害者の人だけに何か絞られてきているんじゃないか。今までの第三種、第四種、全部これを今までのように割引するわけではありませんと、こういう実は中身になっているんじゃないんですか。これはどうなんですか。
  169. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 今お示しの第三種、第四種の赤字の額等々、もちろん我々掌握をしているわけでございますけれども、この考え方というのは、今も実は別に基金があるわけではございません、その中で公社として全体の経営の中で、言わばユニバーサルサービスの一環としてそのような費用を負担をしていただいております。  これは、引き続きそういうトータルの経営の中で御負担をいただかなければいけないものというのがあるわけでございます。しかし、それでも経営努力等々で、例えばそのコストが、コストじゃない、収入がゼロのもの、例えば点字の印刷物等、それは実はなかなか全体として努力の改善の余地の乏しいものでございまして、そういうものに限定して基金を使うという制度設計にしているわけでございます。  その意味からいいますと、心身障害者団体が発行する定期刊行物、これは第三種郵便でございますけれども、これで約五十億円、盲人点字、盲人用の点字、録音物、第四種郵便で約十億円、それで六十億円程度になるというふうに見越しているわけで、第三種、第四種に関しては、これは引き続き必要なものはしっかりと公社全体の御努力の中でやっていただくという考え方を取っております。
  170. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 矛盾しませんか。  というのは、今までは公社だからユニバーサルサービスの中で、要するに第三種、第四種も、ほかのものとの間で実はこれを均てん化していたわけでしょう。もうかる分野ともうからない分野、もうこれは政策的につくっているんですから。これは公社だからできた。民営化しても、民営化したら、当然これ、生田総裁ならずとも、私だったら、そんなの民営化会社になったらとてもじゃないけど、これ、例えば教育関係の図書だとかあるいは資料だとか、そういうものの郵送費というのは上げますよ。それは上げることを阻止できないでしょう。  ということは、要するに、これを財政的な負担をすればいいんですよ。要するに、これだけの金額は政策的に教育や福祉やいろんなもので使っている、これは無理を言っていると、この点については、それは当然のことながらこれは補てんしなきゃいけません。ところが、財務大臣はそれは補てんしないと言っているんですよね。もう郵政民営化に関しては一切お金は使わないと。  そうしたら、民営化をしたら他との競争があるわけでしょう。さっき物流のことで小包だとかなんとかというのは、もうこれは民間の業者は入っていくわけですよ。そうしたら、こんなゼロ%に料金を抑えているものは仕方ない、六十億でいいと、しかし、それ以外の第三種、第四種で政策的に賄っているものは申し訳ないけれどもこれは上げざるを得ませんよとなったら、これは国民に対する負担増になるんじゃないですか。  そうしたら、負担を掛けないとかいろんなことをおっしゃっているけれども、この六十億円の基金じゃ足りないんですよね。そして、こういうものは政策的に国がやろうとしているわけだから、これは新しい民営化会社にそういうものを負担させるというのは、これはどこかで何らかの対応をしないと、私はそれは民営化会社にとって大変問題が起きるんじゃないかと思うんですが、どうでしょうか。
  171. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 峰崎委員の御質問は、公的な役割を、サービスをやるのは今まで公社だからできたと、しかし、民営化でそれをやるというときには今御指摘のような矛盾が生じるのではないかというお尋ねであろうかと思いますが、実はその点は今も公社でこれをやっている、公的な役割を担っているわけですけれども、これは我々は、したがって、公的な役割を担うからこそこの郵便事業会社は特殊会社として、民営化するけれども特殊会社として国の関与が残る形でやっていこうというふうにまず考えているわけでございます。そして、今度、この特殊会社である郵便事業会社には正にユニバーサルサービス、全国一律に離島や山間についても供給、サービスをする義務を課しているわけでございますけれども、これは民間だけれども特殊会社としてそういう義務を課す。  しからば、その義務を課して公共的なことを担う部分の費用をどこから出すのかということが当然問われるわけでございますが、これは今までの公社の場合と基本的に同じである。今までの公社の場合もどうしていたかというと、信書等々の部分で一部実質的に独占的な利益を得るところを残しておいて、いわゆるリザーブエリアを残しておいて、そのリザーブエリアで稼げるものを利用してその公共的な役割を果たしていく。これは今までの公社においてもそうでありましたし、また今後、特殊会社になった郵政についても同じでございます。このリザーブエリアについて、我々は今回の民営化において特段それを変えることはしない、引き続きそれは引き継いでいただくということを考えているわけでございます。  ちなみに、民営化されましたヨーロッパのその郵政郵便会社におきましても、同じような形でリザーブエリアを持って、そしてそのようなユニバーサルサービスの義務を提供し続けているというふうに承知をしております。
  172. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 しかし、これは特殊会社というふうにおっしゃられたんですけれども、しかし、それは郵政民営化なんでしょう。民営化ということになると、それは当然のことながら利潤原理というのが働いてきますよね。で、もちろんユニバーサルサービスを義務付けると。  そうすると、非常にさっきから厄介なのは、もう今日はもうこれ以上、時間がありませんからもう締めなきゃいけないんですけれども、四つの会社に分社化して持ち株会社を設けている、で、相互に今度は持ち合いをやると言っているわけですね。これもまあ私どもからすれば理解ができない。そして、今度はその採算性の問題でネットワーク網は維持できるのかといったら、維持するための基金をつくっていろいろそういうのもやらなきゃいけない。あるいは、法的にもいろんな形で付けてくる。そうしたら、今までのこれ公社と今皆さん方が新しく修正案を作ってやってくるものを見ると、余り何か性格的には変わらないものができ上がってきているんじゃないかなというふうに思えてならないんです。  今日はお金の使い方の問題など、いろいろまたリスク遮断の問題など、たくさんのことを挙げていましたけれども、最後に、あともう少し、最後になりますけれども、少し要求も含めてやりたいと思うんですけれども。  一つは、共済年金から厚生年金の移換問題というのが衆議院審議になりました。そこで、財務大臣ですね、共済年金の、国家公務員共済の、これは正式に言えば、二〇〇四年度の再計算ベースによる国共済の給付原価と財源構成、何回、私の部屋にこれを、とにかくデータを出してくれと言っても出してくださらないんです。  これは何に必要かというと、今、郵政公社人たちが今度は国共済から厚生年金にやがて移るんでしょう、すぐではなく。僕ら、やがて移るということを聞いてちょっと、やや唖然としているところもあるんですが、しかしその計算をするときにこれは是非必要なデータなんですよね、考える上に当たって。  これは、もし今、私、これ質問要求出していますから、明らかにできるんだったら明らかにできる、いや、それはなかなか計算すると厄介なんですと、我々やり取りをしていても、こういうふうに財務省の役人の方はおっしゃるんです。いや、これは、出すことについては構わないんですけれども、やや時間が掛かる。時間が掛かったって出さなきゃいけないですね、これ、我々の審議に必要なんだから。  もう一つ言うのは、いや、これを出すと厚生年金と統合するときの駆け引きに何か邪魔になるとかならないとか、そんなくだらないことをおっしゃっているんで、これは是非、大臣、ひとつこれを出していく、この点についてまず確認を求めたい。
  173. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 郵政公社職員の年金を厚生年金に移行する際にどういうスキームでいくかということについては、今後、調整、関係者間で調整、検討をしていくことになるわけですが、その際、給付原価、今おっしゃった給付原価だけじゃなく、積立金の移換額や将来のあるいは保険料収入等様々な計数の計算が必要になってくるだろうと思いますが、必要となる計数はどういうスキームでやっていくかということで異なってくるだろうと思います。場合によっては、給付原価の計算が必要とならないケースもあるだろうと思います。  そこで、今先生、出せという御主張でございますが、今までのところ、そういうものを作っておりません。作っておりませんので、現段階でまた一つの試算を基に議論をすること、確かにさっきおっしゃいましたように、これからどういうふうに関係者間で調整していくかという一種の駆け引きの問題も、それは私はあるんだろうと思っております。  したがいまして、今後、少しその辺を関係者と詰めていかなきゃならない段階でございますので、その点は御理解いただきたいと思っております。
  174. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 それは、財務大臣ですね、資料を、これはね、その五年前は出しているんですよ。平成十一年ベースの、この同じもの出ているんです。厚生年金の方は、もう〇四年度のやつは出ているんですよ。だから、是非これ出してください。今みたいに検討しますじゃ駄目ですよ、これ。  委員長、資料を出していただくように理事会に諮ってください。
  175. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 後刻理事会で協議いたします。
  176. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 それと、実はこれは生田総裁のところに、ひょっとしたら質問の中に入れてなかったんですけれども、共済から厚生年金に移行するときに、三公社五現業の場合、昭和三十三年以前の恩給に該当する部分がずっと実は言ってみれば負担をしなきゃいけないというものなんです。NTTもようやく、このいわゆる旧恩給部分についてディスクローズする、あるいはそれを言ってみれば会計決算書類の中に別途添付しているんですよ。これについては、郵政公社は、もうその対応はもう取られるような準備というのはされているんでしょうか。
  177. 生田正治

    参考人(生田正治君) お答えします。  問題点のポイントはよく理解しておりまして、今のところは毎年それは処理していっているわけなんですが、一つの体系として将来どうやるかというところまで実はまだ作業いっておりませんので、これからやらせていただきたいと思います。
  178. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 今日は、簡保とか郵貯とか、郵便はちょっと先話をしたんですが、実は簡保をずっと調べておりました。その際に、是非お願いしたいことがあるんですが、どうも簡易保険の積立て、いわゆる標準責任準備金、責任準備金の積み方がどうも、いわゆる簡易保険とそれから民間の生保とそれから国際的な基準とどうも会計基準が違うらしいんです。  そこで、お願いがあるんですが、これ、今後、我々一か月近くありますから、このいわゆる簡保の将来像を考える上に至って、民間と同じようないわゆる標準責任準備金を計算して出していただきたい。平成十五年度期首と期末、それから平成十六年度末と。  これ、やがて質問する上に当たって、簡易保険が本当に大丈夫なんだろうかと。聞くところによると、やはりバブル期直後のかなり高率の予定利率であったものが、最近の低金利で非常に逆ざやが生じているということは、これは見たら大変分かってくるわけでありまして、是非その点の資料をお願いしたいということを申し上げまして、そのことのお答えいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  179. 生田正治

    参考人(生田正治君) お答えします。  積立ての基準といいますか、基礎の計数とか計算方式とか民間と違いますので、多分簡保の方が手厚くなっているわけでありますが、正確に出そうとしますと相当の時間が要りますので、もし簡便法でおおよそのめどでいいということでございましたら、二週間ぐらいをめどにやらせていただきたいと思います。それでよろしいかどうか。
  180. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 委員長、いいですか。  もう終わろうと思ったんですが、ちょっと専門家にちょっと聞いたら、約九兆円、追加責任準備金というのを積んでいらっしゃるんですよね。これは大変、民間にはない、無税で積めるという大変有利なものなんですが、これ外資がねらっているとも言われていますから。問題は、それが分かると実は一日か二日で計算できるというふうに聞いていますので、なるべく早くお願いしたい。それを要請して、終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  181. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 民主党・新緑風会の大塚でございます。今日は郵政民営化法案について質問をさせていただきたいと思います。  大変、郵政民営化法案について盛り上がってきておりますけれども、総理も御自分の信ずるところに従って国会審議をしておられることと思いますが、私自身も実はこの郵政民営化法案についてはこれまで時々過去の委員会でも触れさせていただきました。そういう意味では、昨年の十月二十日の予算委員会、今年三月二十二日の予算委員会、そして六月九日の会社法の合同審査の私自身質疑及びそれに対する皆様方答弁を踏まえた上で、今日の議論をさせていただきたいというふうに思っております。    〔委員長退席、理事市川一朗君着席〕  また、修正案を出されました議員皆様方におかれましては、委員会趣旨説明を聞かせていただきましたが、大変共感できる文言が入っておりまして、制度設計に当たっては種々の不安感を払拭するものでなければならない、あるいは国民不安感を完全に払拭し、懸念に対する対応をしっかりと担保すると、こういう表現がございまして、けだしごもっともな御対応でございますので、私も今日そういう観点から私自身が思っている懸念について少し御質問をさせていただきたいと思います。  まず最初に、お手元の、資料を配らせていただきましたが、今日は、一枚目だけは今御説明させていただきますが、二枚目以降は話がそういう展開になれば使わせていただきたいと思います。(資料提示)  今回の民営化法案に限ったことではないんですが、私も四年間国会仕事をさせていただきましたが、毎回審議をさせていただく法律については今ごらんいただいている三つの視点から自分なりにチェックをさせていただいております。その法律法案がそもそもどのような目的で、きちっとしたビジョンを踏まえた上での法案であるかどうか。そして、その法案が完成度の高いものであるか、あるいは他の法制との整合性がきちっと取れているものであるかどうか。そして三番目は、仮に一、二が満たされていたとしても、現実的にそのような対応ができるような政策であるのかどうか。こういう観点から議論をさせていただいております。  今日は、まず、三番目の現実的な対応が、今、小泉総理がお考えになっている法案内容で本当にできるのかどうかということから議論をさせていただきたいと思います。  まず、確認をさせていただきたいんですが、今日、民営化準備室の審議官にもおいでいただいておりますので、審議官にまずお答えいただきたいと思いますが。私は、六月九日の会社法の合同審査の折に、新しくつくられる郵政関係の会社というのは株式会社ですから、会社法の二十八条第一項第二号、株式会社の成立後に譲り受けることを約した財産及びその価額並びにその譲渡人の氏名又は名称が定款に記載されなければならないと、この会社法に従ってつくられるんですねということを確認さしていただきました。  もう一度念のため確認さしていただきます。審議官、お答えください。
  182. 中城吉郎

    政府参考人(中城吉郎君) お答え申し上げます。  そういうふうな理解でございます。
  183. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 しからば、今日通告さしていただきました質問に入らしていただきますが、独禁法については先ほど峰崎委員が触れられましたので少し後回しにさしていただきまして、竹中大臣あるいは政府参考人でも結構ですが、分社化される各社の資産、負債というのはどのような金額になるという御計画でありましょうか。
  184. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) どの程度の金額かという金額だけでよろしいんでございましょうか。  これ、骨格経営試算を我々行っておりますけれども、もちろんそれを、最終的にはこれは承継計画でしっかりとした手続を経て決まってくるものでありますので、我々は骨格経営試算において分社化の下での一定の想定を置いているわけでございますが、その骨格経営試算によりますと、郵便事業会社の資産は四・一兆円、負債が二・五兆円、その差額、自己資本は一・六兆円でございます。窓口ネットワーク会社、郵便局会社でございますが、これの資産は三・六兆円、負債が一・五兆円、その差額、自己資本は二・一兆円でございます。郵便貯金会社の資産は二百五十・一兆円、負債が二百四十七・六兆円、差額の自己資本二・五兆円でございます。郵便保険会社の資産百十三・一兆円、負債が百十一・七兆円、差額の自己資本一・四兆円。  以上のような想定でございます。
  185. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 大臣、今の数字には各社が持っている経営資産というものも入っているんでしょうか。
  186. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 経営資産の意味でございますが、公社のバランスシートを基本的には分解する構造になっておりますので、そこに、バランスシート上あるものにつきましては、しかるべく配分をされていると承知をしております。
  187. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 いや、もう一度お伺いします。経営資産です。例えばコンピューターセンターであるとか郵便局のインフラであるとか、そういう資産も全部入っているんですね。
  188. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 含まれております。
  189. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 しからば、お伺いをいたしますが、私も素人なりに関心を持って、去年の十二月九日には郵政公社の本社にお伺いして、ディーリング設備、全部見学さしていただきました。また、五月の十九日には、関東地区にあります保険貯金のコンピューターセンター、全部見学さしていただきました。    〔理事市川一朗君退席、委員長着席〕  そこで、お伺いをしたいんですが、埼玉県の美女木にあります東日本情報管理センター、これは保険の方だと思いますが、それから千葉県の印西にある東日本貯金事務計算センター、これらはバランスシート上どのような金額で計上されていますでしょうか。
  190. 中城吉郎

    政府参考人(中城吉郎君) お答え申し上げます。  郵政公社によりますと、平成十六年度末における貸借対照表上の計上額、美女木にあります東日本情報管理センターの土地は約三十三億円、建物約百五十五億円、設備約四十九億円であり、東日本貯金事務計算センターの土地は約二十億円、建物約二百二十三億円、設備約三億円ということでございます。
  191. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 その今おっしゃった金額は取得時の金額ですか、今の減損会計をした後の金額ですか。
  192. 中城吉郎

    政府参考人(中城吉郎君) 公社設立時に時価評価して、建物、設備等については減価償却をしているというふうに理解しております。
  193. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 そうすると、今、公社のバランスシートというのは、もうきちっとした数字が把握できているという理解ですか。今たまたまサンプルとしてこのコンピューターセンターについてお伺いしましたが、その他も含めてバランスシートの数字というのは企業会計に基づいたきちっとした数字が出ているという理解でよろしいですか。そうでなければ民営化なんかできませんよ。
  194. 中城吉郎

    政府参考人(中城吉郎君) そういう理解でございます。
  195. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 中城審議官にお伺いしますけれども、六月九日の合同審査、会社法の合同審査の場において、私が、やはりこれは民営化する前に、言葉が少し適切じゃないかもしれませんが、どんぶり勘定であった郵政公社の資産、負債の状況がきちっとなってからでないと、そもそも株式会社化して定款に財産やその他を明記することができないので、どのようになっていますかということを、私、中城審議官にお伺いしました。その際に、こう御回答になっております。民営化に際しましては、承継計画を作る際にそうした各会社の資産というものについて調査が行われるというふうに承知しております。このときの答弁と違いますね、今の答弁。どっちが正しいですか。
  196. 中城吉郎

    政府参考人(中城吉郎君) 公社は、公社設立時に、資産につきましては事業団から引き継いだものにつきまして評価委員会で評価しているというふうに理解しております。今度、同じように公社から民営化になる際には評価委員会が評価をするというふうに理解しております。
  197. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 総理、何か抽象的な理念法を作ったり、何か制度設計の枠組みだけを作ることと今回は違って、現に動いているインフラ、現に動いている組織を株式会社化するという、物理的に可能かどうか、事実がきちっと明らかになっているかどうかということが大前提になっている、これは改革なんですよ。  三月の二十二日の予算委員会でも、総理と竹中さんにおいでいただいて、システムの話を私はさせていただきました。あのときは本題がこれではなかったので、最後の五分間ぐらいで議論をさせていただきましたが、実は、この中には本当に大切なことが一杯書かれているんですね。何回も読ませていただきました、私は。読めば読むほど背筋が寒くなります。  そこで、大臣に文章を読んでいただくのは恐縮ですので、中城審議官で結構ですが、今日持ってきていただいていますね。百五十四ページ開いてください。いいですか、審議官。百五十四ページ、「概要」の下に書いてある最初の二つの二行、箱の中と最初の丸、大きな声でそこで読んでください。
  198. 中城吉郎

    政府参考人(中城吉郎君) 「概要」の下ですね。  「株式会社成立の最も基本的な要件である決算を適正に実施できない」、「各社毎の正確な財務諸表の作成が極めて困難(次頁以降参照)」というようになっています。
  199. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 今お読みいただいたのは、この中に、システム関係の議論をしたときに、システムの話だけが書いてあるのではなくて、郵政公社企業体として本当にやっていけるのかどうか、これを慌ててやると、システム対応もできないし、そもそも企業体としての活動が今十分には整備されていないということが書いてあるんですよ。今お読みいただいたのは、十一月のたしか二十二日に、何とか二〇〇七年の四月に間に合わせるために暫定対応でもいいから何とかしろといってハッパを掛けられて、郵政公社の皆さんが出してきた報告書の表現なんですね。  それ以前、そもそも、まず、虚心坦懐に二〇〇七年四月に民営化が可能かどうかということを報告しろといって、十一月八日に竹中大臣に出されたんですか、これは検討会議に出された資料ですか、郵政公社が出した報告書がこの六十六ページに入っていますけれども、審議官でいいですよ、このそもそも十一月八日に出された報告書の中には、二〇〇七年四月の民営化にはリスクがある、顧客に迷惑を掛けるかもしれない、決算ができない、システムトラブルが起きるかもしれない、こういう否定的な表現が全部で何か所ありますか。数えてきてくださいというふうにお願いしてありますんで。
  200. 中城吉郎

    政府参考人(中城吉郎君) いかなる単語が否定的に表現されているかということで、どれが含まれるかという主観的な評価の側面もございますので、客観的に判定可能である、御指摘の公社郵政民営化情報システム検討会議提出した資料において、あり得る具体的な問題点として掲げられているものの数は三十でございます。
  201. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 主観に確かに差がありますからね。今のは十一月八日の最初に出てきた報告書で、準備室の審議官として控え目にお数えになると三十です。  暫定でもいいから二〇〇七年四月にスタートしろといって十一月二十二日に出してきた報告書、私、昨日数えました、私のもちろん主観が入っていますけど、驚くべきことに煩悩と同じ百八つなんですね。多少数え間違えがあるかもしれませんが。何か意図的に百八つにしてくれたのかなと思ったりなんかしたんですが、本当に驚くべきことが一杯書いてあるんですよ。  竹中さん、済みません、大臣に朗読さして誠に恐縮なんですが、本当に大事なところですから協力してください。百七十三ページ、百七十三ページの「貯金会社」の二つ目の棒のところ……(発言する者あり)いや、大事なことですから。二つ目の棒のところと、「貯金会社・保険会社」の最初の棒のところをちょっと読んでいただけませんか。
  202. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 御指摘のは公社の資料だと思います。  「預金保険法第五十五条の二に定める「データ作成システム提供」についてシステム的に対応できない(手作業での準備は事実上不可能な規模)」、その細かいところも引き続き読みますと、「第一項に規定されている、機構による保険事故発生時の速やかな預金等の債権額把握ができない」、「第三項に規定されている、データの作成及び遅滞なき提出ができない。」、「第四項に規定されている、資料の提出に必要なデータベース等の整備ができない。」。保険貯金、両方の点でございますけれども、読み上げさせていただきますと、「銀行法第十九条・第二十条及び保険業法第百十条(中間決算及び年度決算の公告期限)については、クリアできない可能性が高い」。  以上でございます。
  203. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 ありがとうございます。  伊藤大臣、通告してなくて恐縮なんですが、これは私も昨日読み直して、もう一回、保険業法、銀行法、みんな見てきました。要は、公社の皆さんは、暫定的に二〇〇七年四月に、分かりました、スタートさせますといって出してきた報告書の中にも、今ごらんいただいたように、例えば預保法五十五条の対応、銀行法十九条の対応、二十条の対応ができないというふうに書いていたり、あるいは、この資料の七十三ページには名寄せができないとも書いてあるんですよ。  生田総裁にお伺いしたいんですが、ここに書いてあるもろもろの懸念は全部クリアされたんですか。
  204. 生田正治

    参考人(生田正治君) 今ここで私の持っている知識でしかお答えできないんですけれども、いよいよ民営・分社化するとなると、通常、みんなは初め、それでぴしっと分社化できるように、家でいえば新築の家を建てるためのシステムを考えるわけですね。そういう前提で、何ができないかというと、さっきみたいな取りまとめになったんだと思います。あれは私、あの当時読んでいますけれども、もう随分それから期間たっていますから、全部詳しくは覚えていませんけれども。  だけど、家の建てるのも、増築、改築というやり方もあるんですね。それで、今いよいよ暫定対応で七年四月にとにかくやるんだという方向が決まった後は、新築方式じゃなくて、今まである三事業のシステムの補修といいますか改造といいますか、増築、改築のベースで進んでおりまして、その意味では、新しくてぱちっとはまるものはできなくても、今のもののシステムの延長線でこなせるものが随分出てきていますから、今勘定すれば随分変わるだろうと思います。  それが、新築の場合は四千二百万ステップス以上を要するというのを千七百万ステップスで取りあえずしのいで、それで、やると決まった後もこういう問題点の指摘があると先生が今おっしゃった、そういったものについては、主として、主として銀行法とか生命保険法による決算関係の書類の提出に絡むものが多いわけなんですけれども、こういうものは必要に応じまして、法的、行政的にセーフガードを張っていただくという前提でお引き受けしまして、その前提でやり遂げるつもりで今準備の勉強をしていると、こういうところでありまして、実際上、準備室と公社で既にそのセーフガードは何を張っていただくかというのが、必要とならば何を張っていただくかというのは具体的に話が取り進め中であると、こういう状況であります。
  205. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 今の御答弁は大変残念であります。  生田総裁も、小泉総理から御指名を受けて意気に感じてやっておられるんだと思いますが、経営者であられますので、これだけ巨大なインフラ、三百四十兆という金融資産、これは金融市場全体につながりますからね、この金融資産を預かるインフラについて現場の人がこれだけ警鐘を鳴らしていることに対して今のような御認識は、経営者として私は承服できないなというふうにして聞いておりましたが。  その十一月二十二日、暫定的であればまあ百八つの心配はあるけれども何とかやりますよという資料の百六十七ページにはこう書いてあります。政省令等により規定される事項で、システム仕様に影響するものが存在すると思われる。これらが、十七年の六月までに決定されなければ、二〇〇七年四月暫定システム稼働も不可能と書いてあります。十七年七月ですよ、もう。  ここに列挙されている政省令等、決めなければならないことは五十五列挙されています。これはもう決まったんですね、竹中さん。
  206. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 基本的には、まず、この法案を是非とも御可決をいただいて、その上でしっかりとした対応をしなければいけない、政省令等々定めていかなければいけないというふうに思っております。
  207. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 ということは、いいですか、ちょっともう一度、今日は私はこの後、目的やら法律としての完成度やらいろいろ議論さしていただきたいことは山のようにありますけれども、まず、現実的に今の日程で可能かどうかということをお伺いしているんです。今の竹中さんの答弁ですと、つまり二〇〇七年四月にはもう間に合わないということを言っているんですね。それでよろしいですね。
  208. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 七月四日のその衆議院民営化に関する特別委員会におきまして生田総裁が御発言しておられます。法案がもしこのまま通るとすれば、それでカバーし得る体制に準備といいますか、勉強が進んでいる、こう理解いただいていいと思います。そのような御説明がございました。したがいまして、システム開発が間に合わなくなっているという事実はないというふうに承知をしております。  政府としても、公社とそうした準備を、公社の準備を後押しをするためにこれまでも緊密な連携に努めてきたところでございますけれども、引き続き必要な情報の共有等を進め、円滑なシステム開発が可能となるように万全を期したいと思っております。
  209. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 いや、竹中さん、私が今日申し上げていることを御理解いただいてないみたいなんですけど、総理総理はこれごらんになりました。そして、この中に、現場の皆さんが、別に悪意で書いていると思わないですよ、私は。現場を預かる人間として二〇〇七年四月は心配だということを山のように書いてあることを今まで御存じでしたか。
  210. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、生田総裁との話の中で、専門的なことは分からない、だから専門家によく議論してもらおうと。生田総裁も、難しい点もある、だから専門家に任せて、その意見を参考にして判断いたしましょうということで、できるという結果が出たわけでありますので、私はそういう知識は乏しいわけであります。できるできないと、システムの問題、コンピューターの問題、いろいろ問題があるということはよく生田総裁からもお話伺っております。  そういう中で、それでは私の判断に手に負えぬから、より能力のある、知識のある専門の方の判断を仰ごうということで、生田総裁もああそれなら公平ですなということで、そうしましょうということでそのような決定になったわけでございます。
  211. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 何度も申し上げますけれども、これは、例えば金融制度をつくるとか何かその理念的な方向観を固める法律をつくるとか、そういうものとはちょっと訳が違うんですよ、これは。  この中に、先ほど審議官が三十か所と言ってくださったところ、私が数えて百八つ、それ以外にも一杯入っているんですよ、この資料は。まあ多分三百か所ぐらいあると思いますけれども。この冊子を読んで、三月の予算委員会でも申し上げましたけれども、報告書というのは、二〇〇七年四月分社化について、暫定的に対応することが可能であるというふうに簡単に書いてあるんですね。もちろん、多少はこのぺらぺらっとしたところに理由書いてありますよ。  であるとしたら、例えば先ほど申し上げました五十五か所の、六月までに決めなければならない点というのは決まってなければならないはずなんですよ。これは物理的に可能かどうかという問題であるかということを是非御認識いただきたい。  そして、この報告書は、後ろに、最後の「おわりに」を見ると、精神論が書いてあるんですよ。まあ気持ちとしては分かりますよ。これだけ大変なインフラを構築するという改革をやるに当たって、現場の人たちは二〇〇七年四月は危ないと言っているのに対して、自分たちこそが未来を切り開いていく主役なのだという決意、高い理想を持って取組を進めることが何よりもリスク回避の方法になるという、こういう精神論で解決できる問題ではないと私は思っているので、これは真摯に今日は御提言申し上げているんです。  そこで、確かに法案は、十九年四月が駄目だった場合には半年、半年リスケできるというふうに書いてありますね。その法案を読むと、民営化法の附則第三条、第四条にも出ておりまして、もし四月に間に合わないときは、この法律施行の日を平成十九年十月一日と決定するとともに、閣議の決定を求めなければならないと、こう書いてあります。ここまでは理解できます。しかし、今現在既に四月は無理なわけですから、予定どおりにいってせいぜい十九年の十月なわけですね。  もう一回修正してくださいよ、ここ。もし十九年十月が駄目だった場合は更にリスケできるという条文を一項付けてくれないと、これは心配でスタートできませんよね。もう一回修正していただけますか、総理
  212. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) ちょっと、先ほどからの御質問に対して、全体に対して是非一言御答弁をさせていただきたいんですが。  我々は正にこれは本当に現実の問題であると、理想論や一般論を語るのではなくて、公社が一体どうできるかという問題であるという強い認識の下に例のシステムの検討会議をやってもらいました。したがって、だからこそ懸念される材料をすべて公社から出していただきました。これは、公社、当事者でしか分かりませんから、これはこれだけ心配だ、これだけ心配だ、これだけ心配だと。それに対して、公社のCIOにもちゃんとオブザーバーとして入っていただいて、そして日本を代表する専門家の方、東京大学の宮田先生始めそういう専門家の方に集まっていただいて、それで一つ一つお互いが納得のいくような形で、それを暫定対応が可能であるという結論に至ったわけでございます。  だからこそ、公社の、公社も、あの報告が出た後、公社もこれに従って、暫定的対応に目指してしっかりとやっていくということで、それで今しっかりと御対応いただいている。先ほどの七月四日での総裁の御答弁も、その範囲の中での御答弁だというふうに思っております。  先ほど、この七月までじゃないとできないというのも、これも一つの公社懸念として出されたもの、あの資料は公社がお出しになった資料であると承知をしておりますが、それについても、我々はそれを踏まえながら、今公社と更に引き続き準備室でいろんな話合いをしながら、できるだけ早く我々としても決めることは決めたい。しかし、全部確定しなければ何も動けないということではないから、それは暫定的な範囲で勉強的なことはやっていただいている、そういうことで私たちは現実的に極めて進めているわけでございます。  委員直接お尋ねの、半年更に延ばすのか云々でございますが、我々は、二〇〇七年、二〇〇七年四月の対応が可能だと思っておりますが、それについては更に半年間、場合によっては延ばせるようにした。これは、要するに何に時間が掛かるかといいますと、これは要するにテストですね、テストランに時間が掛かるわけで、テストランの一回のサイクルが三か月程度というふうに聞いておりますので、その二〇〇六年の九月にもし万が一の場合は申し出ていただくわけですから、それが二〇〇七年四月から半年延ばすと、それから更に一年あるわけでございますから、私どもはそれで十分に対応が可能であると。もちろん、公社と引き続きしっかりと連絡を取って、万が一にも支障が生じないように全力を尽くします。
  213. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 今から二つのことを申し上げますけれども、まず一個目は、竹中大臣は今二〇〇七年の四月には間に合うというふうにおっしゃいましたけれども、百歩譲って間に合ったとします。二〇〇七年の三月に三連休ありますか、ないですよ。システム移行できないですよ。三連休ないとシステム移行できないんですよ。どうやって四月一日からやるんですか。十月ならいいですよ、九月に三連休が二回ありますから。さすが、修正案のように懸念ある点は払拭していくということで、修正案というか政府案が半年延期した部分ですね、それは分かります。  竹中さん、もし四月に間に合うとしても、できないですよ、移行が。どうするんですか。どういう法律ですか、これは。これは、この、これで言うとですよ、私が今申し上げているのは、現実的な可能性としても、現場の人たちが警鐘を鳴らしていることに対して、専門家ではないからというのは正直なお答えだとは思いますけれども、その現場の声に真摯に耳を傾けているとは私には思えない。  そして、二番目として、仮に今の法律に書いてあるとおりに二〇〇七年の四月に間に合うとしても、二〇〇七年の三月には三連休がないですからシステム移行ができない。法律としても不備がある。  もう一回修正しましょうよ、総理。いや本当に、これはね、総理が信ずるところに従って民営化する、しないというのとは別の次元の問題なんですよ。ここはよく考えてください。  例えば、この冊子の中にも驚くべきことが書いてあるんですよ。例えば百六十ページ、暫定対応が可能だというところに、システム品質の低下が顧客にかかわる甚大な事故等に直結すると書いてあるんですよ。JR西日本の事故とかいろいろつい頭をよぎってしまいますが、スペースシャトルだって、あれだけ専門家が集まって計画を練ってやっても、二時間前にトラブルが見付かれば、世界から何と言われようとリスケをする勇気があるわけですよね。  総理、これは民営化論の是非を今日は私は議論しているわけではなくて、物理的にどうも無理な内容になっていますので、取りあえず、もう半年、十八年の四月からでもいいよと、十八年じゃないですね、二十年ですか、二〇〇七年、だから、二〇〇八年の四月からでもいいよというふうに再修正をしませんか。総理にお伺いします。是非してください。
  214. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは、できる、できない、見解の相違だと思います。
  215. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 いやいや、違う、違う。
  216. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、専門家ができると言うんですから、生田総裁もそれに間に合わせると努力していると言っているんですから、できるように努力する、現実的な可能性は十分だと思っております。
  217. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 いや、委員長、ちょっと待ってください。
  218. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 三連休がないからできる、できないという御指摘がございましたですけれども、これは、その点も含めまして、正に今総理おっしゃいましたように、これ専門家に検討していただいた結果を私たちは申し上げているわけでございます。  私の認識として申し上げても、これは会社の分割そして合併というのはそのたびにあるわけで、三連休がある月の翌月でないと会社の分割等々ができないということで私はないと承知をしております。  したがって、そこは専門家によく検討していただきまして、これは専門家として暫定対応が可能であるという御結論をいただいておりますので、しっかりとそれを実現していきたいと思います。
  219. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 いや、今の答弁は残念ながら納得できません。  二〇〇七年の三月に三連休もなくて移行もできないということを御存じなかったわけですよね、今まで。(発言する者あり)いや、竹中さんね、ここは、いいですよ、じゃ四月に民営化に移行するのでもいいけれども、システム移行は、じゃこの附則に書いてあるとおり十月にするというふうに今決めないと、本当にじゃシステム対応が可能になったときに、生田総裁、土日だけで移行できるんですか、土日だけで移行できるんですか。分からない人が集まって議論してもしようがないじゃないですか。
  220. 生田正治

    参考人(生田正治君) 私もシステムの技術の細部まではもちろん分からないんですが、昔もCIOをやっていましたから、政策的なこと、大づかみのところは分かります。  移植は、三月の三連休じゃなくてお正月にやる予定でおります、正月の休みに。それで、三か月間の、何といいますか、トライアルも経まして、それで四月一日から実施に入ると、こういう計画でおりますので、その御懸念は、うまくいくという前提ですけれども、ないと思います。  それで、先生御指摘の、私は局との接点を最大限重視せよと、こういうオーダーを出しておりまして、これはさっき申しました新築方式でいくとかなり心配なんだけれども、増改築方式でいっておりますから、専門家もまあまず間違い、心配ないと、こう申しておりますので、いけるのかなと。  その他御心配の点も、実は、私が実は一番心配して指揮を執っているつもりでおります。私はやはり結果に対して責任を負うべきだと、こう思っております。昨日も幹部全部招集しまして、システム問題で予定どおり準備が進んでいるかどうか、予習がですね、点検したばかりであります。
  221. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 いや、恐らく今日公社のシステム部門の皆さんも国会見ていますから、心意気はよしとしても、これは何度も申し上げますけれども、心意気で何とかなる話じゃないですから、これは。相当慎重な御対応をしていただかないといけないと思います。  一瞬余談になりますけれども、私はもう四十代半ばですけれども、私たちより若い世代のサラリーマンというのは、ミッションだけ与えられて、結構困難なミッションを与えられて、与えた人たちがその後責任取らずに去っていってしまうことに辟易としている人たちが一杯いるんですよ。  だから、もしこれが、これが本当に小泉総理が自分の信ずるところに従って、国家百年の大計を決めるような大改革で、竹中さんもこれを改革の本丸だとおっしゃるんだったら、道路公団の近藤総裁参議院から総裁に送り込んだように、生田さんの後に竹中さん御自分で行って、カットオーバーまで面倒を見るというんだったら、私は竹中さん尊敬しますよ。そういうお気持ちはないんですか。
  222. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 自分の人事のことを自分で語るべきではないと思いますが、少なくとも私は経営者として特別の経験やそういった能力があるとは思っておりません。
  223. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 いや、それも本当に、今、後ろで少し先輩方のやじが飛びましたけれども、無責任とまでは言いませんけれども、もし、もし本当に真摯にそうお考えなら、例えばシステムの問題についても、専門家に意見聞きましたといっても、あの専門家の中には確かにお一人だけ企業のCIO入っていましたけれども、あと大学の先生とか、一人じゃない、二人ですか、加藤寛さんとか、必ずしも現場でプロジェクトマネジャーをやってきたような人たちではないんですよね。  だから、いや、もうこれはここで結論を出そうとは思いませんけれども、総理も分かったとは言ってくれないですからね。これ修正したら、修正可決して、もう一回衆議院持っていかなくちゃいけなくなっちゃうので。まあ衆議院でも最初から内々合意してくれていれば、システムのところを半年再延長ということで、本会議だけでぽんと通してくれるかもしれませんけれども、どうなるか分かりませんからね。だから、まああれですが、これは、もう議事録にこれ残っていますからね、全部。つい、私は当選して間もないころ、柳澤金融大臣の下で、財政金融委員会審議をさせていただいて、みずほグループがシステムトラブルを起こしたことを思い出してしまいますね。  総理、今回の法案は、主義主張、目的、法律としての制度のほかに、こういう物理的な問題があるんだということを改めて認識したかどうかということを取りあえず確認させてください。
  224. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 現実可能性があるかどうか、よく認識したからこそ法案提出し、成立に努力しているわけであります。
  225. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 議事録を私も大事に、家宝としてわきに抱えて、まあこの法案、最終的にどうなるか分かりませんけれども、もし通った場合には成り行きをきちっと見届けさせていただきたいなというふうに思います。  さて、冒頭申し上げましたように、あっ、一つ確認させてください。竹中さん、それでこれ、システムの検討会議、何回やったんですか。
  226. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 本会議が七回、それと専門委員会、ワーキングのユニットが八回、合計十五回であったと聞いております。
  227. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 私も、元々はもちろん専門家ではありません。ただ、システム部門にいて随分働いた経験もありますので、大臣は、三月二十二日の私との質疑答弁の中で、物すごい回数の議論を通して最終的に今回の結論を出したというふうにおっしゃったんですね。これだけの規模、ステップ数であったり、あるいは抱えている金額であったり、これだけ多くの問題が列挙されているシステムの検討会議として十五回を物すごい回数と言うのは、私はちょっと違うかなということを一言印象を申し述べさせていただいた上で、独禁法の問題、冒頭申し上げましたように、独禁法の問題に移らせていただきますが。  これは先ほど峰崎委員も質問をしておられましたけれども、金融事業に関する政府案の内容は、これは独禁法第九条に抵触するのではないかということで、公取もお答えになりましたけれども、改めてお伺いしますが、これは九条のガイドラインの第二類型に明らかに抵触するんじゃないでしょうか、この郵政法案に入っている金融事業というのは。
  228. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) この民営化によって設立されます新会社は、これは移行期間中であれ終了後であれ、ひとしく独禁法の適用を受けるものでございます。公正かつ自由な競争の観点から、公正取引委員会において適切な対応が図られていくということにその意味で相なります。  移行期間中の郵便貯金銀行、郵便保険会社でございますが、当初、一般の事業者向けの貸付け等々を営まない、民業圧迫とならないよう段階的に業務範囲を拡大していくというふうにしております。そうしたことから、当面、いわゆる都市銀行と同等の影響力を有することとなるとは考えにくい、公正取引委員会においても、独占禁止法第九条の観点から問題となるとは考えにくいという点を確認しているところでございます。
  229. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 この新しい事業、この新しい会社をもし、例えば融資業務を始めるときには主務大臣の認可が要りますよね、これ。ただ、公取に対する協議を条件としていないんではないかと思いますが、そこはいかがですか。
  230. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 条件にはしておりません。しかし、公取において適切な対応が図られていくというふうに考えております。
  231. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 ただ、これはまたこれから長い間議論させていただきますので、是非お考えいただきたいのは、これは公取に対する協議をしませんと、主務大臣というのは競争政策上の障害ということまで踏まえて認可をするかどうか分かりませんので、そうなりますと圧力販売の問題とかいろいろ出てきますので、これは総理に御検討をお願いしたいんですけれども、新規の業務を主務大臣が認可するときには公取と協議をするということをお約束いただけませんでしょうか。  いやいや、総理
  232. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 今回の制度設計におきましては、そうした新規の新しい業務につきましては、民営化委員会で御議論をいただいてその意見を聞くということにしております。そうしたプロセスを通じまして適切な措置を図っていくことができるというふうに思っております。
  233. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 総理は今回の法案のどの部分がお詳しいんですか。
  234. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、大方針を出してできるだけ専門家に任せるようにしていますが、大事なのは、五原則あったな、五原則、ちょっと、ちょっと、五原則。  郵政改革における五原則と三つの指針、これにのっとって国民のためになる民営化法案考えてくれと、あと技術的な細かいこと、専門的なことは能力のある人に任せるというのが私の本旨でありますので、読み上げますと、まず一つ、五原則、「「官から民へ」の実践による経済活性化を実現する」、いわゆる活性化原則。「経済活性化に資する形で、郵政事業を実物経済及び資金循環の両面における民間市場システムに吸収統合する」。二つ目が、「構造改革全体との整合性のとれた改革を行う」、いわゆる整合性原則。
  235. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 委員長、これ読み上げるのやめさせてください。聞いてませんよ。
  236. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 「金融システム改革、規制改革、財政改革」「との整合性をとる」。
  237. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 時計止めてください。
  238. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 三つ目……(発言する者あり)だって、丁寧に答弁してくださいと言っているんでしょう。それ、丁寧に誠実に答弁しているのに、どうなんですか、それ。
  239. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 議事録止めてください。議事録止めてください。    〔速記中止〕
  240. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 速記を起こしてください。  質問をお続けください。質問をお続けください。
  241. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 総理は、この法案の中のどこに一番お詳しいんでしょうか。
  242. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 簡潔にお答えください。
  243. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 郵政改革の必要性、時代の流れ、大局観、これには詳しいと思っております。
  244. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 いや、それをお伺いしたかったです。  改革の本丸ということで、今日午前中、世耕さんも御質問をなさったですね。この出口の問題ですね。(資料提示)これは去年の予算委員会で私が使わせていただいた図で、御記憶にないかもしれませんが、去年の年金も今回の郵貯も、民間部門から公的部門に資金をシフトさせるためのトンネル機能を果たしているという意味では同じですということを私はここで申し上げました。そして、その構図を変えなければならないということが改革の本丸で、これが改革の目的だということでいいですよね、総理。いいですね。  竹中さんにお伺いしますが、それが目的なら、法案の第一条にどうしてそのことが書いてないんですか。
  245. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 郵政民営化の定義として基本方針を引用させていただいておりますが、基本方針の中にそのような趣旨のことは書かれていたと承知をしております。
  246. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 趣旨じゃないんですよ。いいですか。法律として完成度が問題あり、これは例の行革基本法三十三条の問題もそうですけれども、そして現実的な可能性としてもクリアしなければならないことがあるというふうに申し上げました。そして、目的についても、これが出口改革、日本のマネーフローの構造を変えることが目的ならば、そのことを法律の目的条項に書くべきでしょう。どうして書いてないんですか。
  247. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 基本的には、先ほど目的のところで御答弁をさせていただいたとおりでございます。  ちなみに、第二条で基本理念がございますが、基本理念には、「内外の社会経済情勢の変化に即応し、公社に代わる新たな体制の確立等により、経営の自主性、創造性及び効率性を高めるとともに公正かつ自由な競争を促進し、多様で良質なサービスの提供を通じた国民の利便の向上及び資金のより自由な運用を通じた経済活性化を図る」云々ということで、その趣旨は述べられております。
  248. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 まあ竹中大臣と私の、文章を読んだその行間の読み方の違いだと思いますので、引き続き議論をさせていただきたいと思いますが、残りあとわずかになりました。  総理にお伺いをしたいんですが、信なければ立たずと、最近余り聞かなくなりましたけれども、総理のお好きな論語の言葉だと思いますけれども、これは信ずるところに従ってこの郵政改革を今やっておられる総理として引き続き座右の銘にしておられると思いますが、これについてもう一度意味をお伺いしたいと思います。
  249. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは論語の言葉ですが、信なくば立たず、政治の世界でも極めて重要なものであり、私の座右の銘であります。  小泉内閣の進める構造改革、国会におきましては反対論がかなり出ておりますが、国民の多数は民営化を支持してくれる、賛成が多いということは私の進める改革に信頼を置いていただけるのではないか、いただいているのではないかと思っております。
  250. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 いや、さすが座右の銘にしているだけあって正しく理解をしておられました。この信なければ立たずというのを自分の信ずるところと言う方が時々いらっしゃいますが、そうではなくて、これは国民からの信頼でありますので。  私も若輩者で恐縮ですが、論語を時々読んでおります。私が幾つか座右の銘にしている一つを総理に是非お贈り申し上げて質問を終わらせていただきますが、孔子の四絶というのがあります。  四つを絶つと。自分の意見に必死に固執をして我を通すということのないようにということで、四を絶つ。意なく、必なく、固なく、我なし。これを孔子の四絶といいますが、解説書、これ私の解説じゃないです、解説書を読まさせていただきます。無理を通す、思い込みのある人は他人の都合はもとより、他人の感情さえも無視して自分の考えを押し付けてくる。  私は、こういうことのないように、今後の国会審議もしっかりやらさせていただきますが、総理におかれましても、信頼を十分かち得るために物理的な制約やもろもろ法案の欠陥に十分に思いをはせて審議に臨んでいただきたいと思います。  私の質問を終わらせていただきます。
  251. 山口那津男

    山口那津男君 公明党の山口那津男でございます。  総理もお疲れのことと思いますけれども、限られた時間、しかもテレビで国民の皆様にお伝えできると、こういう貴重な機会でありますので、是非、誠実に御答弁をいただきたいと思います。  国が提供しているサービス、様々な事業の中でこれほど、郵政事業ほど生活に浸透している、そういうサービスはないと思うんですね。日常的に何らかの形でみんなかかわっているわけであります。にもかかわらず、その今回の郵政民営化に対して国民理解がとんとん拍子に進んでいないという嫌いはございます。しかし、この点に対しても、この国会を通じて繰り返し繰り返し丁寧に誠意を持ってこれを説明することによって、私は理解が深まっていくだろうと思います。  今日は、私も専門家ではありませんので、基本的なことをお伺いしたいと思います。我々に御答弁いただくというのはもちろんでありますけれども、是非このテレビを通じて国民の皆さんに届くような、そういう御答弁をお願いしたいと思います。  そこで、まず初めに伺いますが、郵政民営化、これはなぜ必要なのか。その点について総理は自分は専門家であると、こういうお話もありましたので、裏を返せば現在の日本郵政公社の形態ではなぜ駄目なのかということでもあります。この点について、これまでの答弁を伺っておりますと三つぐらいの視点があったと思うんですね。  一つは、この制約優遇という今の制度の枠組みの下で、この事業の将来性については、じり貧であるといいますか、事業が悪化していくと、こういうおそれがあるというのが一点であります。それから二点目は、この郵政事業を取り巻く環境というのは激しく変化をしているので、ビジネスチャンスをつかむという意味でもやはりこの改革はしっかり急いでやらなければならない、そのタイミングが大事であると、こういう視点があったと思います。しかし、それをやろうとしても、実際にはこれだけ大きなこの郵政事業にかかわる組織と人がいるわけでありますから、これが民間競争条件を同じにするまでにはやっぱりそれなりの時間も必要である、そういう時間のことを考えたらやっぱりこれも今やる必要があるんだと。そういう三つぐらいの視点があったと思うんですね。  そこで、総理に一つ一つお答えいただきたいと思いますが、まずその第一点目の点について郵政公社総裁にお伺いしたいと思います。  これまで郵政公社経営努力をされてきて、それなりの成果が上がってきていると思います。これから郵政民営化成りまして、準備期間、移行期間等を展望した場合に、この経営改善の見通しというものをどのように御判断されていらっしゃるか、午前中もやり取りがあったところでありますが、総裁にお答えをいただきたいと思います。
  252. 生田正治

    参考人(生田正治君) お答えします。  公社、スタートしまして二年少しですね。その間、民間的手法で経営をせよという御下命でございましたから、非常に分かりやすいように、経営ビジョン、経営戦略、それから達成すべき行動計画というのを出して努力していまして、所期の目的は一応今のところは計画上達してきております。  この今後の準備期間の二年、七年四月に民営化されるとすればそれまでの二年ですけれども、その間につきましても、今の法的な枠組みと社会的な規範の中で努力し得る余地がまだかなり見えると、生産性向上も含めまして見えますので、更なる努力をしていこうと思っております。  次の移行期に入ったとすれば、そこは、それが公社のままであるのか、あるいは民営化されているのか、それは一応横に置きまして、今のままもし続くとすると、非常に法的な枠組み、それから何かちょっとでも新しいことをしますと民業圧迫という合唱が起こるという環境の中では非常にやりにくいということで、準備室と共同で計算しました経営骨格試算が示すとおり、その後の十年間というものは売上げも利益もかなり低減していくと、こういう格好になってまいります。  したがいまして、私としましては、その後の組織論はやや横に置きまして、やはり郵政事業というものが国民の重要な生活インフラとして絶対に必要であるという認識に立ち、さらに、公共的な役割も果たさなきゃならないということと同時に、であれば事業体として健全性を維持しなきゃならないという、三つの問題を解いていくためには、もし公社のまま行くんであれば、相当思い切って公社法の改正をしていただきまして、経営の自由度を増すことによりまして民間に準じたような利益を上がるようにしていかないと事業がもたなくなると、あるいはそれがもし民業圧迫ということで難しいんであれば、いい内容での民営化にしていただくというふうな、二つの選択になるのかなと。その辺は政治的にお考えいただくことであると、かように思っております。
  253. 山口那津男

    山口那津男君 今の総裁お話にもありましたように、この制約の下ではやはり事業には限界があると、こういう基本的な御認識であろうと思います。  この点について、総理のお考え、必要性と結び付けた総理のお考えを御自身の言葉で説明していただきたいと思います。
  254. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 現在の公社のままでも民業圧迫だという議論が盛んに出ているんです、今までも。  それで、今、生田総裁答弁されたように、このまま公社のままで、三事業という制約のままで続けていけば、思うような収益を上げるのは困難であると、もっとほかの事業もやりたい、新規事業もやりたいというなれば、今でも民業圧迫という議論が出ているのに、更に民業圧迫民間仕事を奪ってしまうと。役所が、公務員民間人仕事を奪っていいのかという批判が出てくる。  どっちがいいのか。今のように、公社のまま手足を縛って収益を上げろという方がいいのか、あるいは、どうせこれから、時代の流れを見て、国際情勢を見て、民間と同じようにいろいろな新規事業を活用して、今の郵政事業国民の利便に資するような形はもちろん、さらに発展可能性のある新規事業にも進出しようというなれば、民営化の方がいいじゃないか。  公務員でなくても十分できると、公務員だからこそ制約を受けている、公務員だから民間よりいい身分保障がある。現状維持がいいという気持ちは分かりますけれども、それで果たしてこのままやっていけるんだろうかという不安があるならば、経済活性化させるためにも、そして国民の利便性向上のためにも、そしてなおかつ多くの今、郵便局ネットワーク、資産であります。資産を生かすためにも民営化した方がいいのではないかと。  そしてなおかつ、税を負担しないでいいという、法人税、固定資産税、今免除されておりますけれども、民営化されれば民間と同一条件、当然いろいろなサービス展開しながら、研究開発費用、設備投資の費用も自分で負担しながら、なおかつ税金を納める立場になる。これは財政にも貢献する。そして三十七万人の公務員民間人になる。公務員削減しようというのはみんな賛成している、ほとんど。  そういう中で、私は、民営化の方がはるかに国民のためになるのではないか、財政のためにもなるのではないか、そして効率的な、できるだけ特殊法人に流れるような資金の流れを成長の分野に振り向けていこうということを考えるんだったらば、民間の方がいいじゃないかと。  さらに、これから、予算全般を見て、財政状況を見て、福祉分野、社会保障の分野はどうしても伸びていきます。これを削減するというのは容易じゃありません、政治的に。理論的には、学者の立場から見れば、この社会保障分野、費用がどんどん伸びていくと、高齢者が増えていくと、年金も医療も介護も増えていく、これを抑えないと大変国民の負担が多くなるから削減しろという声が学者の間では多いわけですけれども、政治的に、社会保障は大事だと、多くの一般歳出は減らそうとしても社会保障の分野はどうしても増えていきます。  ということを考えるんだったらば、ほかの分野はできるだけ国の関与を減らして、財政負担を減らして、税収の効果が上がるような措置を講ずるということを考えるならば、できるだけ早く民間でできることは民間にということで、郵政民営化は必要だと思っております。
  255. 山口那津男

    山口那津男君 次の視点で、この制約を取り外して自由な活動をやるべきだと、この制約を外すといろんなチャンスが出てまいりますけれども、これをのんびりやっていてもいいのか、それともやっぱりなるべく早い機会に実現した方がいいのか、この点について総裁に伺いますが、これも午前中お話が出ておりましたけれども、例えば、この改革をやりますと、国際物流事業に参入が可能となってまいります。しかし、これについては潜在的な可能性というのは高いと、こう思われますけれども、しかしもう先行する事業者というのはいるわけですね、出遅れであると、さらに、いろいろ投資も必要であると。そういう条件の中で、この国際物流事業への参入の見通し、これを総裁としてどのように見ていらっしゃるか、お答えいただきたいと思います。
  256. 生田正治

    参考人(生田正治君) お答えします。  まず、郵便事業の中に通常郵便のような一応リザーブドエリアを持ったやつと競争市場と二つに分かれますけれども、その前者の方の通常郵便は、大体年率五、六%、Eメールとの競争で先進国共通のパターンで必ず減るわけです。毎年売上げが減る事業で将来性のある事業はまずないと思った方がいい。それを競争分野で補って一つの事業としてトータルの郵便が成り立つわけなんですが、これを見事にやっているのが、海外で伸ばしていっているドイチェ・ポストであったり、それからオランダの郵便当局であったりと、こういう格好になっております。すなわち、伸びつつある市場分野競争分野でどれだけ頑張れるかというのが、郵便トータルをきちっと健全に維持し、料金もできるだけ低廉に置いておくキーだと思います。  ところが、これを一つ間違うと、そんなことが起こらないように最善を期しますけれども、料金の値上げとか、あるいは国民負担になるという可能性が将来にゼロではないということも考えておく必要があろうかと私は思います。  ところが、実際上はどうかというと、郵便、ゆうパックの分野は実に五・七%まで落ちたところで、市場占有率ですが、私は引き継ぎまして、今努力いたしましてやっと七%台まで持ってきていると、こういう分野でございまして、これは継続して努力します。  大きく残っているのが国際分野なんですが、実は国際分野はほとんど手付かずでいたわけです。ところが、世界じゅうはもう十数年前から非常にアクティブな連中が活動しておりまして、既に市場はDHLを買収したドイチェ・ポストとフェデックス、UPS、それからTPGというオランダの会社、四つの寡占状態に入っておりまして、その連中が、お気付きかどうか、東京じゅうをもう車がどんどん走っているわけであります。黄色い車をごらんになればドイツ・ポストと思っていただけばいいわけでありますが、他方、こっちはほとんど手も足も出ていないと。こういうことでありまして、日本からの急行、国際急行便でも、パーセルですけれども、実はもう郵政公社は一位じゃないんですよ。ドイチェ・ポストが一位で、フェデックスが二位で、我々はもう三位で、ほっておくとどんどん下がる。したがって、我々は、緊急の問題として、国際競争力を付けて日本列島を守り、それから海外に出ていくということが必要になると思います。まあ三周遅れぐらいだと思います。  そこで、ハウツーなんですけれども、自分で今から出ていきますと物すごいお金が掛かりますし、ノウハウもない。したがって、実力のある連中、といってもまあ相手は一人でしょうから、組むのが一番早いと思います。相手にも、ジャパン・ポストの潜在力を見て非常に尊敬してくれるところもありますから、そういうところと組むことによりまして、非常にスムーズに、円滑に、かつダイナミックに出ていく道はあるわけでございまして、そういうことを今盛んに組み立てているところでございまして、今回の法案の一部として、公社法の改正で一年早く、来年の四月からそういう国際事業と投資ができるような法案になっておりますので、私どもは、それがそうなるような、御審議の結果そうなればもう直ちに、実際上、手が付いて、来年の四月から実業に入れるように目下準備を整えつつあるというところでございまして、是非、国際事業をこれから、出遅れは出遅れですけれども、出ていきまして、これをうまく育てて、郵便事業全般の黒字構造化に早く着手したいなと、こう考えているところであります。
  257. 山口那津男

    山口那津男君 今のお話を伺っていますと、やはり今がいいチャンスなんですね。これを三年も五年も先にのんびりやっていたんではやっぱり追い付けない、チャンスを失うということになろうかと思います。  こういうことがこの郵政を取り巻くいろんな事業の中にほかにもあるのかもしれません。こういうタイミングを生かすという点でもやっぱり改革の必要性というのを語るべきだろうと思うんですが、総理のお言葉で御答弁いただきたいと思います。
  258. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、もう二十年前、十年前にやっていればもっと良かったと思っています。  私を批判する人においては、なぜもっと早くやらなかったのかと、総理就任直後にやるべきだったという人と、なぜこんなに早くやるのかという、両方批判があるんですよ。しかし、公社という一つのステップを踏むということも、この民営化に反対という多くの国会議員の声を無視するわけにもいかないということから、まず公社化に御努力をいただいて、多くの方の賛成をいただいて公社になったと。そして、公社民営化の一里塚と言っていたとおり、できるだけ早い機会に民営化した方がいいという判断したものですから、これも時間を掛けてやろうと。急にやるのではないと。今から二年後の二〇〇七年四月、そして移行期を十年間持つんですから。そして、今、生田総裁が言われたような、新しい事業にも展開でき得るような体制を早くから準備をした方がいいということでありますので、決して私は早過ぎることはないと。遅過ぎるという批判は甘んじて受けますが、早過ぎるという批判は当たらないのではないかと思っております。
  259. 山口那津男

    山口那津男君 民営化の決断は今がチャンスと、その上で一定の時間は掛ける必要はあると、こういうことだろうと思います。  さて、現在の日本郵政公社経営には税金を直接投入しているわけではないと。自己完結的な事業をやっているということでもあります。そして、公社制度の下で剰余金が出れば、その一部を国庫に納入すると、こういう仕組みもできていると。だから、これをあえて変える必要はないんではないかと、こういう意見もあるわけでありますけれども、それにもかかわらず変えた方がいいというのはどういう理由でありましょうか。
  260. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 山口委員御指摘のとおり、日本郵政公社経営そのものには直接税金を投入しているわけではございません。  他方で、郵政公社に対しましては、これは法人税でありますとか法人住民税、事業税、印紙税、登録免許税等々を非課税としておりますし、固定資産税を二分の一負担するという軽減措置もとられておりまして、これは一方で、金融、銀行に関しては、民間金融機関と同じような預金保険料等々も負担しないで政府が保証してくれているという形になっております。  様々な制約のある公社形態のままでは、今取り巻く環境厳しい中で、的確に対応するということは困難であるというお話、今までも出ておりますが、将来にわたって郵政事業の健全な経営を確保するためには、やはり民間企業と同一の条件の下で市場の中で健全な競争をしていただいて、自由な経営を可能にしていくことが必要であると。それは正に民営化の意義であると思います。そうすることによって、より良いサービス、そして経済全体の活性化にもつながっているというふうに考えるわけでございます。  その意味では、やはり将来にわたって郵政事業経営の健全性を確保するためにも、民営化を行って郵政事業を発展させる。このような方向の中で、事業体としてもそうだし、また経済全体としてもそうだし、そして利用者にとってもプラスがもたらされるような、そのような民営化制度設計をしているつもりでございます。
  261. 山口那津男

    山口那津男君 民営化という言葉だけが躍っておりますと、明日にでもすぐ民営化が成るように思っている人も中にはいらっしゃるわけですね。しかし、一定の時間、準備というのは必要であるというお話でありました。  こういう、この時間をどういうふうに掛けて民営化が達成されるのかと、こういうスケジュールを簡潔に御説明いただきたいと思いますし、また、その予定したスケジュールが少し前倒しになったり、あるいは少し遅れたりということも制度としてあり得るのかどうか、これも併せて御答弁いただきたいと思います。
  262. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) スケジュールでございますが、まず民営化の実施時期、この法案では平成十九年四月一日としております。この日に、郵便事業を行います郵便事業会社、郵便窓口業務等々を行います郵便局株式会社、そして銀行業務を行う郵便貯金銀行、保険業務を行う郵便保険会社、これら四事業会社の持ち株会社であるところの日本郵政株式会社がこの郵政公社の資産等を承継してそれぞれ業務を開始するということを想定しております。  また、郵便貯金と簡易生命保険の既契約を承継しますところの独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理機構もこの日に設立されるということでございます。  その後どうなっていくかということでありますが、平成二十九年三月三十一日までの十年間を移行期間というふうに考えております。この移行期間中に、日本郵政株式会社、この持ち株会社でございますが、これが保有する郵便貯金銀行と郵便保険会社の株式はいったん完全に処分されて、民有民営が実現するという段取りになります。  なお、郵便貯金銀行と郵便保険会社は移行期間中は預入限度額とか保険金額等の限度額についての制限等の特例規定が適用されますけれども、他の金融機関等や生命保険会社との間の適正な競争関係でありますとか利用者への役務への適切な提供を阻害するおそれがないと認められる旨の決議がなされた場合には、これは株式が完全処分されなくても、これら制限等の特例規定の適用が解除されるという仕組みになっております。  また、準備期間中であります。準備期間といいますのは、民営化するまでの、これから、今後の準備、平成十九年四月一日以前の期間でございますけれども、この準備期間中にシステム対応の問題等によって郵政民営化の円滑な実施に重大な支障があるような場合には、危機対応措置を設けておりまして、具体的に、民営化の実施時期が平成十九年の十月まで六か月延期することができるという措置を設けております。  この場合、全体のスケジュール、民営化全体のスケジュールが六か月後ろ倒しになるということになります。
  263. 山口那津男

    山口那津男君 最終的な民有民営が実現するのは平成二十九年という先の話であるわけですね。そして、決定、決議によって若干早まることもあり得るし、またシステムの問題で六か月以内後ろへずれるということもあり得ると、こういうお話でありました。  この郵政事業は、郵便貯金、簡保、この三事業一体化というのがこれまでの在り方でありまして、それぞれの事業、いいときも悪いときも、凸凹が出てもそれをならすということが一つの妙味でもあると、こう思っている人もいるわけですね。調整が内部的にできるということであります。しかし、それをこのたび民営化によって、なぜ四つの分社、四つの会社に分けなければならないのか。この点についての明快な総理のお考えをお示しいただきたいと思います。
  264. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは、四分社化について、まあ自民党内においてもかなり異論が出たところでありますが、なぜ三事業一体経営ではいけないのかという、かなり強く問題になった点であります。  しかし、郵貯にしても簡保にしても、あるいは郵便事業にしても、さらに窓口郵便局株式会社という窓口にしたんです、窓口サービス会社でありますけれども、それぞれ損益がはっきりした方がいいだろうと。ほかの方の利益をほかの方に回す、あるいはほかの方の損をほかの方の利益で回すというよりも、それぞれ事業は違うと。はっきり分けて、効率性を追求し、そして各事業の危険性を分散するという方がいいという点から四分社化の方が、今後、様々なサービスなりネットワークを生かすことができるのではないかと。そして、なおかつ各、現在ある民間事業との競争等、あるいは民業圧迫という批判を回避するためにもその方が自然であろうということから四分社化にしたわけでございます。
  265. 山口那津男

    山口那津男君 またこの点については後日、もっと詳しく議論させていただきたいと思いますが。  一方で、このネットワークを通じてユニバーサルサービスを提供すると、こう語られるわけでありますけれども、ユニバーサルサービスというのは、必ずしも国民の皆さん、よく分からない点もあろうかと思います。これに金融のユニバーサルサービスとかあるいは郵便のユニバーサルサービスとかという、頭に付きますと、なおさらよく分からないという点もあろうかと思います。  ですから、このユニバーサルサービスというのはどういうことなのか。そして、それを義務としてサービスを提供するとすれば、その根拠というのはどこに求められるのか。これを国民の皆さんに分かりやすく御説明いただきたいと思います。
  266. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) ユニバーサルサービスは片仮名でございますけれども、全国一律のサービスという趣旨でございます。  具体的には、郵便がやはり最も分かりやすいと思いますが、郵便の場合は全国一律にどこでもポストに投函できるし、どこにも届けることができる。私も地方の出身でございますが、その地方都市にも、ないしは地方の山間部にも離島にもしっかりと一律にサービスが確保される。これは、郵便は引き続き、今もそのようなユニバーサルサービスの義務を課しておりますが、これは民営化されました後も均一の条件で均一のサービスを提供するということを法律上義務付けるつもりでございます。  これは万国の条約がございますので、日本もその条約に加盟していると。おしなべて各国でそのような全国一律のサービスの義務というのを国は守らなければいけませんし、これは民営化された後もしっかりと引き継がれるということでございます。  それに対して、金融でございますけれども、金融に関して郵便と同じような形で一律の義務を国が課しているというのは、これは諸外国でも例が見られないことであろうかと思います。私どもは、今回、そういった諸外国の例も踏まえまして、やはり国が金融についてサービスの提供義務を課すということは、これはやはりすべきではないであろうと。しかしながら、実態的に今多くの郵便局金融サービスが提供されて、それで国民が便益を受けているということにかんがみまして、法律上の義務は課さないけれども、実態的にそのようなサービスが今の一般的な法律の枠組みの中で続くような、そういう仕組みを考えたということでございます。  具体的には、これは郵便はユニバーサルサービス義務がございますから、それを助ける意味で全国に郵便局を配置する。あまねく全国で利用されることを旨として郵便局が配置されているということをまず義務付けまして、しっかりと設置の基準も作ります。そして、その郵便局と新しくできる郵便貯金銀行ないしは保険会社等々の間で、移行期間を十分にカバーするような長期の安定的な契約をまず結んでいただく、委託契約ですね。銀行代理店、保険の募集委託等の契約を結んでいただく。そうすることによって、これはそういうことを銀行業、保険業の免許を出すときの条件にしまして、一般の金融行政の枠組みの中で、今申し上げたような形でしっかりと当面そういったサービスが続いていく。また、移行期間が終わった後につきましては、必要に応じて地域貢献基金や社会貢献基金のお金を使って、もしもそのサービスがなくなって困るという地域が生じた場合には、しっかりとした法律の手続も踏まえてそういったお金が使える。結果的にその金融サービスが続くということを、そういったものが実効性を持って担保できるような、そのような仕組みをつくるところでございます。
  267. 山口那津男

    山口那津男君 ユニバーサルサービス郵便については国際的な約束という裏付けがあるから、まあこれはなくなることはないだろうと思われるわけでありますけれども、しかし金融面については必ずしも国際約束になっていないと。  そうした中で、東京を例に挙げますと、例えば檜原村とか奥多摩町と、こういう過疎地があるわけですね。伊豆諸島、小笠原諸島のような離島もあります。例えば小笠原の母島、ここはもう船しか手段がありませんで、そこへ東京から行くには二十八時間以上掛かります。母島へ実際に行ってみますと、郵便局が一つ。ここで金融もゆうパックも郵便も全部この一つに依存しているわけですね。ですから、ここでもし金融サービスがなくなったとしたら、これは島の人は生活そのものが成り立たないわけです。ですから、その意味で、この過疎地にこのサービスをあまねく及ぼすということは絶対必要だろうと思います。  で、我々は一方で、この東京で、都心部を見ますと、ここはまたいろいろと集中しているわけですね。ですから、千差万別であります。そこで、この都市部におけるこの郵便局の設置基準ということについてもちゃんと注目してもらいたい、関心を払ってもらいたいということで言い続けてまいりました。  先日の参議院の本会議におきまして、山本香苗議員の質問に対して、竹中大臣から、都市部についても国民の利便性に支障の生じることのないよう配慮するとしております与党との合意を踏まえまして、総務省令において、都市部を含む過疎地以外の地域についての設置基準として、現行の設置基準を十分参考にし、第一に、地域住民の需要に適切に対応することができるよう設置されていること、第二に、いずれの市町村についても一以上の郵便局が設置されていること、第三に、交通、地理上の他の条件を勘案して地域住民が容易に利用することができる位置に設置されていることという基準を定めることを考えているところでございますと、これらの措置によりまして、都市部においても必要な郵便局ネットワークはしっかりと維持されるものと考えておりますと、こういう御答弁がありました。  ですから、この総務省令ではっきり都市部も含めてこのような設置基準を定めるということは間違いないですね。まず、竹中大臣に確認をしたいと思います。
  268. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 私ども、全国に張り巡らされた郵便局ネットワークは、国民にとっての非常に重要な資産であるというふうに思っております。法案におきましても、与党と政府の真摯な協議を踏まえまして、国民の安心、利便を守りながらこの資産を十分活用し得ると、そういう配慮をしたところでございます。  郵便局の実際の配置につきましては、過疎地は当然のこととして、都市部につきましても、委員御指摘のように、人口の空洞化、高齢化が進んでいる地域も確かにございます。そういう点も踏まえて、こうした地域における国民の利便性に万が一にも支障が生じないように十分に配慮をして、郵便局ネットワークを国民の資産としてしっかり維持していきたいと考えております。それを実現するために、今、直接御紹介、委員がくださいました設置基準、そういったものをしっかりと作っていくということを、先般、本会議で御答弁をさせていただいたところでございます。  また、加えて、この法案におきましては、毎事業年度、郵便局会社からの事業報告書の提出総務大臣は受けるわけでございますが、総務大臣がその事業報告書の提出書によって、総務大臣がしっかりと状況を把握して必要に応じ適切な措置を講ずるということも定めております。  また、与党との合意を踏まえまして、郵政民営化委員会による三年ごとの総合的な見直しの対象にこの郵便局の設置状況を必ず含めると、その結果、必要があれば委員会政府に意見を述べて、総務大臣において適切な措置を講ずることが可能な仕組みにしております。結果的に郵便局ネットワークがしっかり維持されるようにきめ細やかな法制上の担保を行っているところでございます。
  269. 山口那津男

    山口那津男君 ところで、総理は七月一日の衆議院郵政特別委員会におきまして、石井啓一議員の質問に対し、都市部において私は郵便局は全部今のままだとは思っておりませんと、なくなる可能性もありますし増える可能性もあるんですと。これだけ聞きますと、都市部に住んでいる人は、自分の最寄りの局がなくなるかもしらぬ、不安を抱くわけですね。  同じ都市部といいましても、例えば先ほど申し上げた東京の都心、中央区の日本橋地区でありますと、わずか三・一平方キロメートルの中に二十一の郵便局があるんですね。これは大体四百メートル四方に一つと、こういう位置付けなんです。ですから、こういう場所は正に利便性、代替性あるいは競争力、いろんなものが集中しているところだろうと思います。  ところが、多摩ニュータウンになりますと、こちらは若いころ移り住んだ方々が今高齢化しつつあります。昔はいざ知らず、今となっては、やはり鉄道の駅も遠く感じられるようになりますし、また起伏に富んだ地形、これを移動するのは非常につらく思われるわけですね。そうした中で最寄りの郵便局がもしなくなったとすれば、もうこれはサービスを受けられないのも同然と、こう受け止められてしまうわけであります。  ですから、一律に都市部といいましても、これはいろいろと千差万別である。この都市部においてもやはりそのサービスの利便性を損なわない、そういう配慮というのが必要だと、こう思うわけであります。  総理のお言葉でこの点についての御判断をお伺いしたいと思います。
  270. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、先日の石井議員答弁に対して、増えるところもあれば減るところもあるだろうと申し上げました。  実際、これから人口移動は、定着ずっとしているかというと、だれも予測できません。いつの場合でも、人口は増える場合もあれば減る場合もあると。そして、郵便局サービスも、増やさなきゃならないところもあるし、減らしても今の郵便局の機能なりサービスが維持できるほかの手段もあるかもしれない。そういう点を考えれば、増えるところもあれば減るところもあるだろうということで答弁したわけでありますけれども、都市部であるから必ず減るというふうには、場所によっては東京都でも過疎のところもあるわけでありますから、そういう点については十分配慮しなきゃいけないと思っております。
  271. 山口那津男

    山口那津男君 総理、その東京過疎のところ、さっき例を申し上げましたけれども、都市部と言われる部分でも、さっき言いましたように、人口の空洞化、いろんな移動だけではなくて、高齢化あるいは相対的な暮らしにくさという面が出てくるわけですね。ですからそこは、都市部か過疎地かということではなくて、むしろ先ほど御答弁のあった設置基準をしっかりと利便性に支障を来さないように当てはめるということが大事なんですね。  でありますから、もう少し言葉を尽くして、もう一度御答弁をいただきたいと思います。
  272. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 利便性には十分配慮して設置基準というのもよく考えなきゃいけないと思っております。
  273. 山口那津男

    山口那津男君 ところで、郵便認証司制度というのが今回設けられることになっております。特別送達でありますとかあるいは内容証明、これらの事務を行うための職種といいますか、資格といいますか、これが設けられるわけであります。  これが、この民営化された郵便会社の内部的な職務なのか、それとも公的な資格なのかよく分からないところもあります。また、これがどういう責任を伴い、どういう権限を持ち、また待遇がどうなるのかというところもいま一つはっきりしないところがあります。  さらに、こういう認証司を任命するに当たりましては、指導監督的な地位にあることはもちろんでありますけれども、もう一つ、必要な知識、能力を身に付けるということも重要な要素となっております。この必要な知識、能力を身に付けること、これをどのように確保するのか、これを分かりやすく御説明いただきたいと思います。
  274. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 郵便認証司というのは新しい仕組みでございますので、なかなか、しっかりと御説明をしなければいけないというふうに思います。  現在、公社が提供をしております郵便サービスのうち、これは債権譲渡手続等において利用される内容証明、内容証明の郵便、そして民事訴訟法上の送達手続において利用される特別送達、これらのサービスに対しては社会的なニーズが当然のことながら大変高いということも踏まえまして、民営化された後も引き続き郵便事業株式会社にその提供を義務付けるということをまずしているわけでございます。  これらのサービスについて、民営化された後も、公務員である公社職員による取扱いと同様のやはり信頼性を維持しなければいけない、そういう観点から、与党との協議を踏まえまして、客観的にその取扱いの公正性、中立性を確保する仕組みとしまして、総務大臣が任命する、そして、その監督の下で内容証明及び特別送達に係る認証事務を行うことを職務とする新たな公的な資格としまして郵便認証司の制度を設けるとしたものでございます。  この郵便認証司が行う認証の具体的な内容でございますけれども、まず第一に、内容証明に関して申しますと、その取扱いにおきまして、内容文書を証明するために必要な手続が適正に行われていることを確認する、そしてその内容文書の差し出し年月日を記載するということでございまして、この記載した年月日が民法施行法上の確定日付となるわけでございます。  第二に、この特別送達でございますけれども、その取扱いにおきましては、民事訴訟法の定めるところに従いまして、郵便物がまず適正に送達されている、裁判所等の提出するその送達に関する報告書が適正に記載されているということを確認して、その旨を報告書に記載して、署名又は記名押印をすることになると、これが内容でございます。  この郵便認証司、これは郵便事業会社及び郵便局会社の使用人の中で管理又は監督の地位にある者でございまして、内容証明及び特別送達に係ります認証事務に関して必要な知識及び能力を有する者の中から、それぞれの会社の推薦に基づいて総務大臣が任命するということになります。  そこで、その知識、能力をどうするのかというお尋ねもございましたけれども、この場合に、認証事務に関して必要な知識及び能力は、実際にその内容証明等の業務に従事していた者であれば、その実務を通じて身に付けることができるとまず考えられると思います。そのほか、郵便事業会社又は郵便局会社におきましては、必要に応じて、郵便認証司としての任命を要する使用人を対象として講習を行うということも場合によっては必要でございましょうし、必要な知識、能力を身に付けさせた上で総務大臣に推薦をもらうということになるわけでございます。  そのような形で、しっかりと制度そのものが機能して、内容証明、特別送達のシステムが社会的に重要な機能を果たし続けられるようにいたすつもりでございます。
  275. 山口那津男

    山口那津男君 この必要な知識、能力を身に付けるというところ、これは責任も伴う話でありますから、やはり実質的にそういうものを確保する方法というものをしっかりと整えていただきたいと思います。  それから、日本郵政会社におけます地域・社会貢献基金というのを設けられるわけでありますが、これの性格といいますか、企業会計上どういう位置付けになるのか、これを伺いたいと思います。  それと、あわせて、今回二兆円まで一定のルールで積み上げることが可能という修正がなされたわけでありますけれども、もちろんそれ以上積み立てることも制度上は可能なんだろうと思いますが、その点を確認、まずしたいと思います。
  276. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) まず、お尋ねの基金の、社会・地域貢献基金の具体的な性格でございますけれども、これは日本郵政株式会社法第十三条におきまして、日本郵政株式会社の利益の一部から積み立てられること、そして基金にいったん積み立てれば原則取崩しが許されないこと、そして基金に係る経理についてはその他の経理と区分して整理すること、さらに確実かつ有利な方法により運用すること、そうした点を規定をしております。  基金の会計上の位置付けということになりますと、これは具体的には今後、総務省令で定めることになるわけでございますけれども、商法上の準備金に類似した性格を有するものでございまして、貸借対照表上の資本の部に社会・地域貢献基金を置くことになるというふうに考えております。  また、基金について、二兆円を超えて積立てが必要になるかどうかということ、これまあ我々は一兆円で基本的には足りるだろうというふうに想定をしているわけでございますけれども、しかしそのような額を超えて積立てを行うことが制度上否定されるというものではありません。日本郵政公社における経営判断の下で、これは二兆円を超える場合でも積み立てることが制度上は可能でございます。  お尋ねの点は今の二点であったかと思います。
  277. 山口那津男

    山口那津男君 閣議決定をした基本方針の中に雇用への配慮ということがうたってあります。この郵政公社の職員の方々公務員として職業を選択されたわけでありまして、そういう人生設計をしてこられたわけですね。ところが、この民営化によって、今回、当面の雇用というのは保障されると、こういう法律的な規定があるわけでありますけれども、しかし民営化後の先行きについてはやっぱり不安を持っている方も大勢いらっしゃるだろうと思います。  これまでの三事業一体経営の下では、郵便貯金保険、それぞれの事業間を異動するということも当然ありましたでしょうし、また公務員の地位でありますから一律の身分、待遇というものも保障されていたはずであります。しかし、これが民営化になりますと、四分社に分けるわけでありますから相互の異動というのは原則ないでありましょうし、また待遇も、その会社の業績あるいは経営の方針、これによって差が付き得るんだろうと思います。  そうなりますと、やはりどこに所属するかというのは非常に重大な関心事になるわけでありまして、単に勤め先を設けてあげたということではなくて、やっぱり配属に当たって働く皆さんの意思というものを十分尊重しなければなりませんし、また、仮にあるところに配属されたとしても、やはり適性がこの移行期を通じて本当にあるかどうか、これを見極めるということ、それで、場合によっては適性に応じて転属があり得ると、こういうことも配慮のうちの私は一つだろうと思うんですね。  この点についても是非御検討いただきたいと思うんですが、御答弁をお願いします。
  278. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 雇用を確保するということは言うに及びませんけれども、加えて、やはり職員の皆さんが本当にやりがいを持って、安心感を持って仕事をしていただける、そうした観点から配属等々大変重要な問題でございます。  まず、新設させる各会社への具体的な職員の帰属でございますけれども、内閣総理大臣及び総務大臣が作成しますところの基本計画というのが、これが作られるわけですが、この基本計画に従いまして、準備企画会社であるところの日本郵政株式会社がビジネスモデルに基づく各社の具体的な業務内容、どのような仕事をするかということを勘案しながら承継計画において定めるという、そういう手続になっております。  日本郵政株式会社がこの承継計画を作成するに当たりましては、まず職員に対して事前に希望する配属先の聴取を行うかどうか等具体的な取り進め方を決めなければいけないわけですが、これはどのように取り進めるかということは、これは日本郵政株式会社にゆだねられているわけでございますが、ただし、同社が承継職員の労働条件を定めるに当たりましては公社での勤務条件に配慮するという規定を設けております。これは郵政民営化法案の第百七十一条に勤務条件に配慮するということを定めております。このことから、職員の帰属先につきましては、公社における就業場所でありますとか、その従事の業務などの勤務条件に配慮して定められるということになると考えております。  また、民営化後の職員の会社間の異動についてもお尋ねがありましたが、民営化法では、これは特に何らかの規制を設けているわけではございません。新会社の経営陣の判断の下で、就業規則等により規定されていくものというふうに考えております。  民営化後の新会社の職員の給与等の待遇についても、これは当然重要でございますが、一般のこれは民間会社と同様、労働基準法等の適用の下で、新会社の経営陣がそれぞれのビジネスモデルや会社の経営状況を勘案しながら、労使自治の原則に則しながら、これは適切に決定されていくものというふうに考えております。  いずれにしましても、このサービスの担い手である職員が安心して、そして意欲的に働くことができるようにすることが肝要でありまして、職員の雇用に十分配慮して、職員にとっても望ましい民営化にしなければいけないと思っております。
  279. 山口那津男

    山口那津男君 雇用に関連して申し上げますと、例えばメルパルクですとかあるいはかんぽの宿という、こういう宿泊保養施設があります。ここで働いている方々もいらっしゃるわけですね。委託でやっている場合もあるし、公務員としてやっている場合もあると思います。ですから、公務員であれば雇用は保障される、しかし委託先で働いている方々、これらの人たちには配慮がないということでは、これはやっぱり精神に反する面もあるだろうと思いますので、是非こちらの点についても雇用への配慮というものを行っていただきたいと思います。  その上で、最後に質問いたしますが、民営化によりまして、初年度、西暦二〇〇七年度で四分社の全体の税負担、これは見えない国民負担ということで先ほどお話もありましたが、これがどれぐらい見込まれるのか、その総額について御説明いただきたいと思います。できれば税収、国税、地方税、あるいは法人税等、税の中身によってそれぞれ見込額がどうなるのか、今分かる範囲でお答えいただきたいと思います。
  280. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 昨年十一月に我々、骨格経営試算を行っておりますけれども、それに基づく想定を申し述べさせていただきます。  民営化の四会社が新規業務を行わない場合の、これは新規、民営化当初は公社と同じ状況から、業務内容から出発するということでございますけれども、その場合、初年度、二〇〇七年度の税負担としては総額で約四千九百億円というふうに見込まれております。そのうち、法人税等が約三千百億円、消費税、印紙税及び固定資産税等が約千七百億円、そのように税に関しては骨格経営試算において見込んでいるところでございます。
  281. 山口那津男

    山口那津男君 公社の下で国庫納付金の制度はありましても、実績は今のところないわけでありまして、今のような税負担が民営化によって生じて実現化しますと、これは継続的にある程度の税収が見込まれると。これは極めて民営化に伴う大きな変化だろうと思います。この是非をこれから検討するというのが期待されているわけでありまして、今日はこの程度にとどめさせていただきますが、引き続き誠意ある丁寧な御答弁をお願い申し上げまして、質問を終わります。
  282. 小池晃

    小池晃君 日本共産党の小池晃です。  最初に、総務大臣にお伺いをしたいと思いますが、今、全国どこに住んでいても今は郵便貯金サービスを受けることができます。それは法律上の規定があるからにほかなりません。郵便貯金法の第一条では、「郵便貯金を簡易で確実な貯蓄の手段としてあまねく公平に利用させることによつて、国民経済生活の安定を図り、その福祉を増進することを目的とする。」と、こう定めております。この第一条、総務大臣、これは郵便貯金の基本を定めた規定で、大事な役割を果たしてきたと思いますが、いかがですか。
  283. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 思います。(発言する者あり)
  284. 小池晃

    小池晃君 総理、まあ大事なこと言っていただければそれで結構なんですよ。  総理、私は今度の法案をよく読んでみたんです。今、麻生大臣が大事だとおっしゃったこの第一条の規定がこれどこにもないんです。第一条、廃止されているわけです。つまり、新しくつくる郵便貯金銀行にはこの大事な規定、全国あまねく公平に貯蓄の手段を提供する義務は法律上なくなると、こういうことになりますね。
  285. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 義務付けてはおりませんが、そのサービスはできるような措置を講じております。
  286. 小池晃

    小池晃君 なるはずだというのは、それは説明になっていないんですよ。これ、義務がなくなったというところが非常に大事なところだというふうにこれは指摘をしたいんですね。で、第一条なくなるんですから、いろんな言い訳しても、結局このサービスを提供するよりどころである義務なくなるわけです。  総理は、民間にできることは民間にと、こういうふうに繰り返すわけですが、確かにこの大事な規定がなくなれば、結局、民間銀行と同じになっていく。その民間銀行が今一体どうなっているか。(資料提示)  これ、銀行、それから郵便局の店舗数をこの六年間で比較をしたものであります。これ、この六年間で見ると、郵便局は今御説明あったように法律上の義務があるがために店舗の数は基本的に維持してきた、むしろちょっと増えている。ところが、民間営利企業である銀行はこの店舗数をどんどんどんどん減らしている。  総理、これなぜ銀行の方はこのように店舗の数が減っているとお考えですか。
  287. 陣内孝雄

  288. 小池晃

    小池晃君 総理、時間短いんですから、総理全部答えてください。通告してませんから。
  289. 伊藤達也

    国務大臣伊藤達也君) 私からお答えさせていただきたいと思います。  民間金融機関の場合、合併等がございますから、そうした中で店舗を統廃合するというようなことがあったんではないかというふうに思っております。しかし、そうした場合におきましても、利用者の利便の向上が収益に、収益の拡大に結び付くと、こうした観点から、各金融機関が経営判断により店舗の設置あるいは廃止というものが行われたというふうに考えております。  郵便貯金銀行の場合につきましては、全国津々浦々をカバーする二万数千から成る稠密な郵便局ネットワークを活用して、そして地域密着型の業務を長年行ってきた公社の業務を引き継ぐということになりますので、引き続きこうした点に競争上の優位を見いだしてビジネスモデルを構築しようとすることは当然考えることと承知をいたしております。さらに、これまで郵便局が地域において果たしてきた役割について重いものがあると認識をいたしておりますので、引き続き郵便局窓口において金融サービスが提供されるよう様々な配慮がなされているものとも承知をいたしております。
  290. 小池晃

    小池晃君 私、郵便局のことを聞いたんじゃなくて、銀行がなぜ減っているのかと聞いたんですが。  先ほど経営判断だというふうにおっしゃった。確かにまあ経営判断なんだろうと思うんですが、経営判断というような生易しいものじゃない実態があると思うんです。で、なぜこれだけ銀行が店舗数を減らしてきたのか。合併の部分ももちろんありますが、そうでないんですよ。そうでない部分がたくさんあるんです。  で、ホームページで公表されている銀行の経営戦略を見てみたんです。(資料提示)例えばこれ、三大グループの一つ、みずほフィナンシャルグループの経営戦略から抜き出した表なんですね。これ、みずほグループは預かり資産に応じて顧客を分類しているわけです。預かり資産一千万円以上を重点顧客と呼ぶわけですね、重点顧客と。で、重点顧客の中でそのうち一億円以上を富裕層、こう言っている。さらに、五億円以上を超富裕層と、こういうふうに名付けております。で、この重点顧客については、もう担当者を決め、きめの細かいコンサルティング体制、プライベートバンキング、もう非常にきめの細かいサービスでここは収益を上げるんだと。で、これは大体全部で八十万人だというんですね。  ところが、それに対して預け入れ一千万円以下の顧客、これ二千五百万人。ちょっと、この表でいうともっと比率は大きいんです、本当は。この二千五百万人の顧客をみずほはマス顧客というふうに呼ぶ。マス、マス顧客です。で、このマス顧客に対しては方針はローコスト化なんです。つまり、具体的には店舗の統廃合、窓口で銀行員が直接相談に乗るんじゃなくて、ATMやインターネットに切り替える。で、徹底したコスト削減とサービスの切下げで収益を上げようと、こういう戦略なんです。  これ、みんな同じなんですね。三菱東京グループも三井住友グループも調べましたけども、全く同様にマス層、マス顧客という言葉を使っております。  実際に銀行員の方から私、お話を聞きました。ATMにどんなに行列ができても、これはほったらかしにするんだと。なぜかというと、がらがらのATMは設置基準に照らしてなくさなきゃいけなくなるから。だから、行列はいつまでたってもなくならないという構造になっている。とにかくカウンターに来させないんだと、小口の客は。カウンターに来たら人手が掛かる、コストが掛かるからATMで収益を上げる。もう一階のフロアは全部ATMだというような銀行は、今都内にはたくさん増えてきている、地方にも増えてきている。私、こういうその銀行のこうした経営戦略の結果、店舗数が激減している、こういう実態があると。  郵政民営化であの大事な規定がなくなれば、郵便貯金も結局こういう、店舗数激減する、サービス低下する、サービスの低下というのは避けられないんじゃないかというふうに考えますが、総理、いかがですか。
  291. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今、その小池さんが示されたものを仮に事実だとすれば……(発言する者あり)いやいや、これは逆に今言った大手の銀行以外の金融機関はチャンスだと思うんですね。そういう大手が手を抜いているところに、私たちはどうやってお客を取ろうかと。ピンチはチャンス、ほかのやってないところをやるという中小金融機関の得意な分野を探して、創意工夫を発揮して、大手が逃している層をいかにつかむかというので、是非とも、これだけ大手が手を抜いているところは自分たちのチャンスだというふうに見いだす民間金融機関、民間経営者が私は出てくることを期待しております。
  292. 小池晃

    小池晃君 あのね、私の言ったこと理解されていない。  要するに、民間銀行は戦略二つに分けているんですよ。富裕層を徹底的にサービス強化して、そこはもうけると。それから、下の層も、これは徹底的なローコスト化という戦略でもうける。どっちももうけると、収益を上げるということで徹底してやっているわけです。  正に郵便局郵便貯金というのは全部一千万円以下の言わばマス顧客なわけですよ。こういう世界にたたき込めば、結局こういう民間銀行の戦略と太刀打ちしていくためには、郵便貯金サービスだってぐっと今の水準下がっていくということになるじゃないかと、そういうふうに危惧を持たないのかと私はお聞きをしているんです。
  293. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 民間のいいところは、あるところでは一部の特定の層を対象にするところが出てきた場合に、その部分が手を抜いているところに自分たちはどういう分野を開拓していくか、ここが民間知恵創意工夫なんですよ。そういう特定の富裕層に特化する金融機関があれば、必ず、そのほか、いわゆる今マス顧客と言っている手を抜いている部分に集中するというチャンスが出てくると思います。民間なら必ずやっていける、私はそう思っています。現に住宅金融公庫は、政府じゃなきゃできないと言われたところを民間でもやり出して、政府のやっているよりも有利な商品を出してきて、住宅金融公庫を廃止することができたじゃありませんか。  私は、そういう民間創意工夫を大いに発揮する分野が、今共産党の小池議員から教えていただいたような気がいたします。
  294. 小池晃

    小池晃君 あのね、議論をすり替えている、総理は。  私は、郵便貯金と銀行の性格の違いは最初に確認したはずです。あまねく公平にという法律の規定に基づいて、銀行がマスというふうに呼ぶような小口の貯金だけを対象にして店舗数維持して全国あまねくサービスを提供してきた、それが正に郵便貯金だった。庶民のサービスを守る防波堤としての役割を果たしてきたわけですよ。その法律の規定がなくなるのが正に郵政民営化だと。つまり、その防波堤、この庶民のね、本当に大事な金融サービスを守ってきた最後のとりでをなくすのが郵政民営化なんだと。  確かに、こういうことになれば、富裕層に対してはサービス向上の競争が始まるかもしれないけれども、圧倒的多数の庶民、マス顧客に対しては、郵便貯金を巻き込んでサービス低下の大競争が始まるということになるじゃないかと。そして、郵便貯金というのは、正にすべて一千万円以下のマス顧客なわけです。競争相手が消えた銀行の方も、これは今までは、郵便貯金があるから、郵便貯金があるから頑張らなきゃいけなかった。庶民受けのサービス、一定水準守らなきゃいけなかった。これ防波堤があるから、銀行の方も郵便貯金と対抗するためにというところがあったわけですよ。それがなくなる。競争相手が消えた銀行だってサービス更に堂々と大手を振って切り捨てるようになるじゃないかと。で、結局、郵貯も銀行も一緒になって歩調を合わせてサービスがどんどんどんどん下がっていくことになるんじゃないかと。  で、こういう庶民の金融サービスに対する水準が切り捨てられていくということがどうして利便性の向上だと説明できるのかということを私はお聞きしているんです。
  295. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) そこは共産党と違うんですよ、考え方が。  切り捨てられるという分野、これは、どうしても公共的に必要なサービスという場合には、民間がやらない場合は税金を負担してでもやらない分野があるということは否定いたしません。同時に、民間の激しい競争によって、私は一部の金融機関が富裕層を重点的にやる分野があるとすれば、そうでない分野、いわゆるマス顧客を対象にする金融機関も必ず出てくると思っています。そういうところにおいて収益を上げる、そういう可能性、チャンスを広げるのが民営化でありますから、私は民間人のそのような知恵というもの、工夫というものを大いに生かせるような環境をつくるのは政治として極めて大事だと思っております。
  296. 小池晃

    小池晃君 いや、今回の郵政民営化というのはそういうことではなかったというふうに説明してきたじゃないですか。結局、この庶民の大切な小口貯金をあまねく全国で提供するという義務は法律上なくなるんですよ。そこが歯止めなんだ。歯止めなくなるんですよ、法律上の。そうなれば、サービスの大幅な低下がこれは必然だと。だからこそ国民から、あるいは与党の中からも不安の声が上がってきているわけです。  で、郵政民営化競争相手として郵便貯金の力が弱まることを一番歓迎しているのは銀行です。  ところで、この法案を作った内閣府の郵政民営化準備室には民間企業から十三名出向者が来ているようですが、どんな企業から出向してきているのでしょうか、竹中大臣
  297. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 具体的には、郵政事業に関連します金融分野や流通分野の方、さらに民営化先例、先行事例でありますJR、公益事業である電力会社の方にお越しをいただいております。  具体的には、日本銀行、全国銀行協会、日本損害保険協会、そして金融系のシンクタンク、日本路線トラック連盟、JR、そして電力会社、計十三名お越しをいただいております。
  298. 小池晃

    小池晃君 業種別、業種別に数を。
  299. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 数を申し上げます。  日本銀行一名、全国銀行協会二名、日本損害保険協会一名、金融系シンクタンク四名、そして日本路線トラック連盟二名、JR関係二名、電力一名でございます。
  300. 小池晃

    小池晃君 企業名言えないんですか。
  301. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 日本銀行等と申し上げた、企業名申し上げたつもりでございますが、金融系シンクタンクについて更に申し上げますと、野村資本市場研究所、大和総研、ニッセイ基礎研、農中の総合研究所、JRは東日本と西日本、電力は関西電力でございます。
  302. 小池晃

    小池晃君 時間参りましたが、これ結局、民営化でビジネスチャンスが広がるような企業の出向者を集めて準備室つくり、で、昨年四月からアメリカと何度相談しているのかというふうに聞いたらば、十七回、郵政民営化準備室はアメリカと意見交換をしている。で、国民にはまともに説明しない、いまだに不安の声が広がっている。その一方で民営化準備室には企業の代表を集め、そしてアメリカとは十七回の相談を重ねて作り上げたこういう法案だと。  結局、この三百四十兆円の巨大な資本を日米金融資本に明け渡すということがこの法案の最大のねらいだというふうに私は思います。  廃案を求めて、質問を終わります。
  303. 近藤正道

    近藤正道君 社民党・護憲連合の近藤正道です。  時間がありませんので、端的に総理にお尋ねをしたいというふうに思います。  郵政公社は中央省庁等改革基本法の第三十三条第一項、これに基づいて設立をされております。この法律は、中期の経営計画とそして業績評価、この実施を求めており、そして同じ項目の中で、何度も議論されております六項のいわゆる民営化は行わないと、こういう規定を設けているわけでございます。だから、現に民営化を行わないと、こういうふうにはっきり定めたこの法律があるにもかかわらず、その一方で郵政民営化を行うと、こういう法律国会提出するということは、私は、内閣に誠実な法律の執行義務を求めた憲法の七十三条の規定に反すると、こういうふうに思っております。  このことについてはいろいろ議論がありました。仮に、百歩譲って、公社ができるまでという立場に立つとしても、私は、少なくともこの改革基本法の中に業績評価を行えということが具体的にはっきり書いてあるわけですから、この業績評価が行われないうちにこの郵政民営化法案国会に出すということは私は許されない、百歩譲っても私は許されないんではないかというふうに思っております。それが正しい改革基本法の解釈ではないかと、こういうふうに思っております。  総理はこの改革基本法、民営化はしない、そして業績評価を行うと、このことを定めた改革基本法に署名をした、厚生大臣として署名をした、そういう責任ある立場の方でございます。是非この改革基本法を誠実に履行していただきたい、そういうふうに思っておりますんで、この郵政民営化法案を出すなら、少なくともこの改革基本法を改正して、民営化はしない、そして業績評価をちゃんと行えというこの部分をきちっと削除をした後この郵政民営化法案国会提出すべきだ、やり方が間違っている、出し直すべきだと、こういうふうに思います。いかがでしょうか。
  304. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) ただいま近藤議員が指摘されたような議論もよく勘案いたしまして、これは法的にどうなのかということを検討した結果、その必要はないと、内閣が拘束されることはないという法制局等の判断に基づいてその必要はないと判断したわけでございます。
  305. 近藤正道

    近藤正道君 自ら業績評価を行えという、そういう法律に署名捺印をして国会に出しておきながら、一方でその業績評価もなされないうちにこの改革基本法の実質的な中身を解体するようなそういう法律を出すということは、私は道義的な問題以前に法律的に許されない、このことを指摘させていただきたいというふうに思っております。  国民は、今ほど、午前中からずっと議論がありましたけれども、この民営化法案に大変な不安を持っております。その最大の問題が郵便局で郵貯、簡保、金融サービス、これが確保これからはされないんではないかというふうに思っております。そして総理は、この不安、これを解消するために修正案を出したと、こういうふうにこの参議院会議ではおっしゃっております。  当初は、全く変わっていないんですよと、こういうふうに言った。しかし、衆議院でああいう厳しい結果を受けたら、今度は参議院で一転して、何かこの修正案にこれを解消する、そういうものがあるかのごとき言い方をされているようでありますが、今日の午前中来の議論を聞きますと、どうもそれもみんな口先だけの話で、実際は何も変わらないと、当初言っていたとおりに全く変わらない、こういうふうなことがはっきりしたというふうに思っております。  確認の意味でお尋ねをいたしますけれども、郵便局の業務範囲を、銀行、生保の代理業を例示したこの修正案、どのような意味がこの中にあるのか。これによって、まあ先ほど総理は、利便性っていうのは改革の五本柱の一つだと、こういうふうにおっしゃいましたけれども、実質的には、国民、利用者は郵便局において今までのようなこういう金融サービスを受けられなくなってきたことはもうはっきりしていると思うんです。  いかがでしょうか、この修正案にどんな意味が、法的にどんな意味があるんでしょうか。
  306. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) この修正は、今まで答弁した中でできるということを申し上げてきたんですが、より金融サービスができないと思っている人たちがいると。そういう不安とか懸念というものを払拭するためには、答弁だけよりも法律として、例示として示した方がいいということでありますので、やっぱり多くの国民不安感とか懸念というものを払拭した方がいいなあと。答弁だけでは、分かる人は分かるんだけども、分からない人は分からないと。じゃ、より分かりやすくした方が、明確にした方がいいということで、ああ、それもそうですねということで例示をして修正したわけでございます。
  307. 近藤正道

    近藤正道君 国民の不安、懸念、このポイントは何かといえば、金融サービス、これを従来のしなければならない業務からできる規定に変えた、ここに国民の不安、懸念の正に源泉があるわけです。ここを変えなくて一体何が変わるんだ、全く変わっていないではないか、単なる口先だけの気休めではないか、私はそういうふうに思えてならないし、今日の午前中来の議論を聞いてそうとしか思えない。いかがでしょうか。
  308. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) ここが郵政民営化法案賛否両論の難しいところでもあると思うんです。一方では、民営化するのに義務付けるのはおかしいと、自由を縛ると。片っ方では、いや、不安があるから義務付けろと。両方から批判あるんですよ。  その両方の批判に対してどういう対応がいいかということをよく勘案いたしまして、郵便事業、これはやっぱり、万国郵便法という簡単に言えば義務的なものがありますから、これは義務的な対応が必要だけども、やっぱり民営化となって郵貯とか簡保、これは義務付けるということは民営化会社になじまないと。  しかしながら、今の郵便局が行われているサービス、これについて多くの国民が欲しているから、それができるだけ可能なような措置が必要だということで、代理店契約等しやすいような、また存続できるような対応をしたと。そして、今後、仮にある地域におきまして、義務付けないから、どうしても金融サービス民営化した後撤退しようという金融機関が出てきた場合には地域貢献基金というものがあると、また、地域のいろんな声を聞いてそういうものができるようにしようという、極めて多くの方々の声に配慮した案なんです。  だから、これについては、それは民営化の趣旨を逸脱しているんじゃないかという批判と、それでは今までの金融サービスができないからもっと義務付けなきゃいかぬという批判が、相反する立場の批判が私のところに来ているんですよ。  しかしながら、今の郵便局ネットワークの資産というものは国民の財産だから、このネットワークを十分活用して、今の郵便局サービス民営化されても十分できる対応を取るという極めていい案を政府として出したわけでありますから、その点は、政府もよく苦労して配慮したなと評価をいただければ大変有り難いと思っております。
  309. 近藤正道

    近藤正道君 私は今ほど言いましたように、郵便局のしなければならない規定からできる規定に変えた、ここが一番の核心、問題の核心でありまして、ここに手を触れない修正なんというのは、これは単なる口先だけのごまかしでしかない、私はそう思っています。  その上で、いや、拠点の確保だとか、あるいは安定的な代理店契約だとか基金だとか、あるいは持ち合い、株の持ち合いだとか、そんなものを幾ら重ねたってこれは本質的な解決にならない、そのことを強く指摘を申し上げておきたいというふうに思っています。  もう一つ言いたかったんですが、時間がありませんので、私は今日、一番最後にどうしてもこれだけはやっぱり言わなければならない、このことを申し上げたいというふうに思っています。  結局、国民民営化に伴う痛みは極めて具体的で切実だ。しかし、民営化の目的、メリット、極めて抽象的だ。何の具体的な説得力のある話もない。だから地域の人たち民営化に賛成し難い。これは当然だと思うんです。それが全部全国の都道府県議会のこの郵政民営化反対、あるいは慎重の決議に表れている。賛成は一つもない。そして、全国の市町村議会、九割と言われています、これみんな反対、慎重。賛成ない。ここに表れていると思うんです。  ところが、総理は、こういう地方議会の声は国民の声と遊離している、こういうふうにおっしゃって、今日の午前中の山崎議員の質問に対して実に聞くに堪えない発言をされた。何かあたかも一部の人の声だけ聞いてその利益を代表してやっている、国民の声を聞いていない。実にけしからぬ。私は地方議会に対する侮辱だというふうに思っています。  私の地元、新潟県議会はこの間、今年の春、反対決議をやりましたけれども、また実は今日、反対決議をやっていると、こういうふうに聞いておりますが、皆さんは、総理は、こういう全国の文字どおり圧倒的多数の声を、本当に皆さんは国民の声から遊離している、そして一部の人の声しか聞いてない、一部の人の声しか代弁してない、そういうふうにおっしゃるんですか。国民の意識から遊離しているのは総理、あなた自身じゃないですか。  私は、この正に全国の地方議会、私もついこの間まで地方議会の議員でしたけれども、これを侮辱するような本当に不穏当な発言は私は撤回すべきだと、そしてちゃんとおわびすべきだと思います。いかがでしょうか。
  310. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、全国の都道府県議会で郵政民営化反対決議を出されていると、その全国の意見を無視するのかという質問がありましたから、必ずしもその全国都道府県の反対の意見が国民全体の多数意見だとは思わないということを言っているんです。そして、先ほど、よく聞いてみたら全国都道府県全部が反対決議をしているんじゃないと。反対決議をしている議会もありますが、慎重にしてくれという決議もあると。だからこそ慎重に配慮して、郵便局はなくなりませんよと、郵便局サービスはちゃんと維持されるんですよと、公務員だけでできる、できない仕事じゃないと、民間でもできる仕事ですよということで、民営化案を出しているわけでございます。  別に私は都道府県議会、地方の声を無視しているわけじゃなくて、三位一体の改革におきましても地方の意見を尊重しようということで、地方の声にもよく耳を傾けているわけであります。  また、政治家としていろんな方の意見を聞くということも必要でありますが、同時に一部だけの意見じゃなくて、候補者、議員を支援している団体にはいろんな団体があるわけです。何か問題が起こると、その反対の声というのは非常に強まるんです、反対してくれ、反対してくれと。しかし、黙っている賛成の声もあるんです。そういう点もよく国民全体の声を考えなきゃいかぬ。現に、私は、郵政民営化賛成か反対かという意見を国民に聞けば、賛成という意見の方が多いと今でも思っております。決して地方議会を軽視しているわけではございません。
  311. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 時間が参りました。
  312. 近藤正道

    近藤正道君 全く根拠のない、なおかつ地方議会を軽視どころか侮辱をした、私は、極めて不穏当な発言でございますので、今日の昼の理事会でも議論になりましたけれども、やっぱり善処、訂正をいただきたいと要望を申し上げて、質問を終わります。
  313. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) この際、小泉内閣総理大臣から発言を求められておりますので、これを許します。小泉内閣総理大臣
  314. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 午前中の山崎議員の質問に対し誤解を与えかねない答弁をいたしましたので、補足させていただきます。  私の本意は、これからの参議院での法案審議において、引き続き、法案を含め郵政民営化について国民各層の意見を代表される議員の皆さんにしっかりと丁寧に説明し、全国の地方議会の御意見の背景にある国民不安感懸念を払拭するように努め、国民の御理解を賜るよう誠実に対応してまいりたいということであります。
  315. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 六案に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時七分散会