○藤末健三君
民主党の藤末健三です。
私は、
民主党・新緑風会を代表しまして、ただいま議題となりました
私的独占の
禁止及び
公正取引の
確保に関する
法律の一部を
改正する
法律案につきまして、官房
長官に御質問申し上げます。
質問に入らさせていただく前に、私の新人議員としての参議院の在り方についての
思いを述べさしていただきます。
現在、参議院については、衆議院のカーボンコピーであるといった話や、あと、参議院不要論、つまり一院制といった話がございます。これを受けて、先日、二院制と参議院の在り方に関する小委員会調査報告書が発表されました。この中で、参議院と衆議院の
役割分担について、制度的、法的な
役割分担が提案されておりますが、私は、参議院は、六年間という長期的な任期、そして解散がないという安定性、また有識者や職能代表から成るという多様性、その三つの特徴を有していると考えております。したがいまして、法的に特色を出すという
必要性は少ないんではないかと考えます。
つまり、任期が四年で、そして解散があり、小選挙区で選挙民の民意を吸い上げることが
目的である衆議院と違い、参議院は、一つに長期的に、そして二つ目に根本的に、そして三つ目に多面的な政策を議論することができると考えております。これらのことを
実施することによりまして、参議院がカーボンコピーであるとか一院制でいいといったような議論はなくなると考えます。
私は、参議院議員として、独禁
法案について長期的な、根本的な、そして多面的な観点から御質問申し上げます。
まずは、長期的な観点から御質問します。
独禁法は五十八年前に制定されました。その
目的は、公正かつ自由な競争を促進し、
事業者の創意を発揮させ、
事業活動を盛んにし、
雇用及び
国民所得の水準を高め、もって一般消費者の利益を
確保するとともに、
国民経済の民主的で健全な発展を促進することにあります。つまり、
経済と産業の活動の在り方を定めている、これが独禁法が
経済憲法と言われるゆえんであります。
今回の
改正は、前回、昭和五十二年、四半世紀ぶりのものとなります。このため、私は、今後十年、そして二十年という長期的な視野から質問を行いたいと
思います。
まず、今回、四半世紀ぶりの大
改正ということでございますが、何と二年後見直しをするということがもう決まっています。当初から二年後の見直しを前提になぜ拙速に法
改正を行うのか。これは、今回の
改正が、長期的な視野を欠き、
小泉総理の公約、二〇〇四年内に独禁法
改正案を提出するということを形式的に実現するために行われていることになります。この点は、自由
民主党の皆様もお困りの郵政公社の民営化と同じように、公約の実現をするためだけに
法案が出ているというふうに考えられます。
前回の大
改正では、審議に二年の
期間を掛けています。今回は、
国会での十分な審議もなく、また
社会の要望も無視し、とにかく表面的に
小泉総理の公約を実現するために議論が進められている
状況です。一昨年には有識者から成る研究会報告が出たにもかかわらず、その提言にはほとんど
対応せず、理念も哲学もない場当たり的な
内容の独禁法
改正案を提出するに至っています。このような政策は是非やめていただきたい。なぜ二年後の見直しを前提に拙速な法
改正を行うかをまずお聞きしたいと
思います。
また、長期的な視野から必要なものが、電力、ガス、通信、放送といった
生活に不可欠なインフラ、これらの不可欠
施設というものに対する規制です。この点については研究会の報告書においても独禁法の大きな柱の一つとして挙げられています。
この不可欠
施設の中でも私が特に注視したいのは、電力法、放送法といった
事業法で規制されていないコンピューターの基本ソフトウエアやインターネットのサイトの寡占です。これらの分野はネットワークの
経済性が働きますので、ユーザーが増えれば増えるほど独占性が高まっていくとなっています。
欧米においては、情報化の進展に伴い、コンピューターの基本ソフトウエアやインターネットのサイトの独禁法での規制が行われています。例えば、欧州連合では、マイクロソフトに対し、六百五十億円の独禁法違反による制裁金を科しています。ところが、我が国においては、このような情報分野における独禁法の位置付けの議論がないような
状況です。これら情報分野における独占的な動きや不公正な取引に長期的にどのように
対応するか、是非お答えいただきたいと
思います。
私は、将来的には、電力、ガス、通信、放送、航空といった
事業法でカバーされている分野についても独禁法を積極的に適用すべきだと考えます。その際には、特定の
企業を規制するのではなく、独禁法に関する包括的なガイドラインを策定していただきたいと
思います。
このような
事業法でカバーされている分野への独禁法の適用について、十年という長期的な観点からどのようにするかということをお聞かせいただきたいと
思います。
また、独禁法の大きな柱である
私的独占の規制としては、今、排除命令が年に一回出せるかどうか、ほとんど機能していない
状況です。これでは独禁法が本当に動いているかどうかということは
確保できていないと
思います。
私的独占についても課徴金の対象とすることで、今後、特に情報通信などの分野で新たな
企業がスムーズに市場に入れるようにしていただきたいと
思いますが、この点についてお考えをお聞かせください。
また、今回の
改正の対象となりませんでした不当廉売、不当に安く売ること、あと優越的地位の濫用、優位に立つ者が
価格を落とさせること、このようなことに対する規制をどうするつもりでしょうか。私は長期的には刑事罰の対象にすべきだと考えますが、現在、不当廉売については
公正取引委員会が警告をするだけになっています。これは不当廉売を防ぐどころか不当廉売を助長している面がある。例えば、ある店が不当廉売の警告を受けますと、消費者の間でそこの店は安いといううわさが立ち、逆にお客さんが集まってしまうというような
状況も起きております。このような
状況に是非とも
対応していただきたい。やはり、弱い小売店、そういう頑張っている会社を守っていただきたいと
思いますが、いかがでしょうか。
なお、独禁法の規制の対象に売れない商品と売れる商品を一緒に売るという抱き合わせ販売というのがございますが、本
国会において一つの
法案で十本の
法律を
改正するという
法律の抱き合わせ販売が行われていると私は
思います。良識の府、再考の府と言われている我々参議院がこのような不公正な行いを許していいと思われますか。
皆さん、どうですか。
次に、根本的な観点から御質問します。
独禁法の
目的にありますように、本法の根本は公正さでございます。ただ、
政府案においては検察機能と裁判所機能が同一の
組織、
公正取引委員会にあり、公正さが
確保できるか疑問でございます。
そして、審判を行う部門と調査を行う部門、それが一緒にあること、これはつまり何かと申しますと、警察が調査をし、そして警察が裁判をしている
状況とほぼ一緒でございます。これこそ公権力の横暴につながるんじゃないでしょうか。そしてまた、裁判を行う審判部門には法曹資格者が一名しかいないという
状況です。私は、このような調査部門と審判部門が同じ
組織にあること自体が根本的におかしいと考えますが、
公正取引委員会から審判部門の分離、独立、そして早急に法曹資格者を増員してもらう、これは根本的に必要だと
思いますが、いかがでしょうか、お答えいただきたいと
思います。
また、
公正取引委員会委員長は、衆議院における
国会答弁におきまして、本来、不当な利益を没収する課徴金、その課徴金に行政制裁的な位置付けを持たせようとおっしゃっています。行政制裁的な課徴金と刑事罰である罰金を科すということは、これは二重処罰ということになりまして、憲法第三十九条、同一の犯罪について重ねて刑事上の
責任を問われないに違反しているんではないでしょうか。この根本的な、憲法に違反されていると言われているような二重処罰の構造に対してどのように
対応するか、お聞かせいただきたい。
最後に、多面的な視野から御質問申し上げます。
独禁法の
目的に、公正かつ自由な競争を促進し、
事業者の創意を発揮させ、
事業を盛んにすることが挙げられています。この観点から、独禁法の運用をよりグローバル、国際的にする必要を感じます。
それは、市場の独占を見るとき、国内市場の独占だけを見るんではなく、世界の市場でのシェアを見ていただきたいと。現在、我が国の産業は過酷な国際競争にさらされています。このような中、国内シェアだけを見て、どんどん競争させて物の値段が落ちても、消費者は喜ぶかもしれませんが、産業界はどんどんどんどん弱っていき、国際競争力をなくしています。
古くアメリカは、国内シェアという観点からAT&Tという通信会社を分割しました。そして、IBM、コンピューターの会社、巨大な会社が通信市場に進出することを独禁法で止めました。これが競争力を落とす大きな誘因になったと言われております。そして、レーガン大統領のときから独禁法の運用を国際的な視野に変え、
皆さん御存じのマイクロソフト、シスコシステムズ、インテルといった国際市場を席巻するような
企業が生まれております。
我が国も国際的な視野を持ち、国際競争力といった観点から独禁法を運用すべきだと考えますが、いかがでしょうか。是非御意見を伺いたいと
思います。
そして
最後に、最も重要な点、公共調達の公正さの
確保でございます。
国、地方の
政府が一年間に発注する公共調達の規模は約六十五兆円、これはGDP、国内総生産の一割を超しております。道路、橋、公共
事業に限らず、コンピューターシステムから文具用品に至るまで、公共調達をめぐる不公正な取引、談合の疑惑が相次いで摘発されています。特に、発注元の
職員が入札談合に関与するいわゆる官製談合については、やる気がある、能力がある
企業を排除し、また納税者に対する
政府の不信を買っているわけでございます。今こそ官製談合の撤廃をしなければいけないときだと考えます。
今回の
改正においては官製談合への
対応が行われておりません。官製談合を規制するために官製談合防止法がありますが、官製談合防止法だけでの運用では限界があります。やはり独禁法と官製談合防止法との連携を促進する必要が高いと考えますが、いかがでしょうか。お答えいただきたいと
思います。
独禁法と官製談合防止法との連携が必要だというのであれば、是非とも官製談合防止法の見直しを独禁法の二年間の見直しの中で一緒にやっていただきたいと
思いますが、いかがでございましょうか。
自由で公正な競争は新しい知恵と市場を生みます。そして、活力ある産業を生む。しかしながら、全国各地に蔓延する官製談合、我が国は先進国に類を見ない談合体質を温存しています。是非とも、独禁法などを強化することにより官製談合への
対応を徹底させ、利害を通じて一部の権益者に利益の提供を図る利害制民主主義をやめ、議会を通じた民意の実現を図る議会制民主主義を再生していただきたいと
思います。
独禁法の強化を通じた利害制民主主義の根絶、そして議会制民主主義の再生をお願いしまして、質問を終わらさしていただきます。
ありがとうございました。(
拍手)
〔
国務大臣細田博之君
登壇、
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