○足立信也君
民主党の足立信也でございます。
私は、
民主党・新緑風会を代表して、国の
補助金等の整理及び
合理化等に伴う
国民健康保険法等の一部を改正する
法律案につきまして、意見を述べながら
質問をいたします。
冒頭、去る三月二十日、福岡県、佐賀県、そして大分県において、福岡県
西方沖地震により被災された方々に心よりお見舞いを申し上げます。
いわゆる
三位一体の
改革について振り返ります。
二〇〇二年五月二十一日の
経済財政諮問
会議、租税収入と
歳出における国と
地方の逆転現象を是正する手段として、国税と
地方税を一対一にするという
提案は、税金の配分を見直すという
観点から正しいと私は思います。しかし、そのことが財務省、総務省及び他の
省庁の三方一両損であるという発想は、正に
中央集権の
構造疲労を象徴する
発言であり、三方一両損という暗い言葉を
三位一体という形而上的な言葉で置き換え、えたいの知れぬ、至上命題であるかのごとき錯覚を与えました。
基本
方針二〇〇三では、官から民へ、国から
地方へ、国と
地方の
役割分担とうたいながら、専ら国の
財政事情のため、
地方経費を圧縮する
方針が打ち出されました。さらに、
自立、インディペンデンスを目指す社会だという言葉から、自律、自らを律するオートノミーだと言葉をすり替えていきました。
基本
方針二〇〇四では、
地方が自らの支出を自らの
権限、責任、
財源で賄うと明言し、しかしながら
地方の裁量は認めず、そこにあるのは負担の転嫁だけ。相変わらず依存と分配の
政治手法を繰り返しています。これが国と
地方の
構造改革と言えるでしょうか。
私の地元の大分には、JリーグJ1の大分トリニータがあります。一九九四年設立のトリニティー大分が前身です。トリニティー、日本語に訳せば
三位一体です。県民、地元企業と行政が魂でつながっています。その
三位一体という言葉を、ただ
経済主義で負担を分配することに使い、主権も裁量も与えない。本来、
政治の
三位一体とは国と自治体と
国民ではないでしょうか。
麻生総務
大臣にお聞きします。いわゆる
三位一体の
改革案で、
地方自治体は一体どのような裁量を新たに得たと言えるでしょうか。また、総務
大臣が自治体の長であった場合、この
改革案を歓迎するでしょうか。御意見を伺います。
国と
地方の協議について伺います。
平成十六年度の
地方財政が、一兆三百億円の
補助金削減に対し、
税源移譲はわずか四千五百七億円、さらに、
地方交付税が二兆八千六百三十二億円削減され、
総額三兆四千四百二十五億円の減少でした。確かに、
地方には裏切られたという思いが強く、だからこそ、
地方は
総理からの丸投げにも真正面から向き合いました。当然のことながら、再びだまされないために前提条件を付けました。確実な
税源移譲、負担転嫁の排除、新たな類似
補助金の創設禁止等、
地方の意見を確実に反映することです。提出案には、生活保護、児童扶養手当など格差なく国による統一的な
措置が望まれるもの、そして老人医療、
国民健康保険、介護保険など制度全般の見直しの中で検討すべきものは
税源移譲の対象にしないことが明記されています。
八月二十四日の
地方案の提出、最初は判を押していない
改革案を出し、
総理の約束を得た後、判をついたものと差し替えました。不退転の決意がうかがえます。
政府案の提示後、十一月二十四日、
最後の協議の場でも、約束を破られたという思いがにじみ出ております。
総務
大臣に再び
質問いたします。
総理が度々
発言した真摯に受け止めるという言葉の意味を説明してください。
厚生労働省の対案として、
地方案は老人医療、
国民健康保険、介護保険などの負担金に対して具体案を示さないのは基本的に問題であるという認識は一体どこからくるのでしょうか。
地方六団体
提案の四十七項目九千四百四十億円に対し、十三項目八百五十億円の
税源移譲、本日の
法案分では四項目五百九十億円です。そして、唐突に都道府県財政調整
交付金などの導入による六千八百五十億円。尾辻
大臣は、医療保険
制度改革で国と
地方が議論をしていた、そこへちょうど
税源移譲の話が出てきた、だから一年前倒しで行う、そのように
答弁されました。
今後の予定では、
税制改正の前に医療保険制度改正がある、制度があって
税源移譲がある、これは正しい過程だと私は思います。しかし、システムを変更する前に負担を先に決めるのは論外です。
財政調整
交付金は、収入額が不足する
市町村に対し、その不足額を埋めることを目的としています。都道府県が住民のために立案する健康増進
計画、医療
計画に財政調整
交付金をどのように反映させられるのか、尾辻厚生労働
大臣の認識を伺います。
財政調整
交付金で国の裁量と都道府県の裁量が全く相反した場合、
市町村に利益はあるでしょうか。国と都道府県の財政調整
交付金における
役割の違い、どのような
役割分担を想定しておられるのか、具体的にお聞かせください。
国の財政調整
交付金の一%、定率国庫負担分の六%、そして保険基盤安定制度分の二分の一、これらは所得譲与税によって人口比で都道府県へ配分され、凸凹の部分は交付税でならされます。一〇%から一六%に増えた財政調整
交付金が収入の不確実な部分であるということは、
市町村の収入が不安定となり、不足した場合、
市町村は更なる一般
財源を投入、又は保険料を上げることになるのではないですか、
大臣の見識を伺います。
私の尊敬する宇沢弘文東大名誉教授は、医療は市民の人間的尊厳を守り、魂の
自立を保ち、自由を最大限に確保するために基幹的な
役割を果たす、安定的な社会を具現化するための社会の安定装置である、官が全部をコントロールするのではなく、市場原理で支配されるものでもないとおっしゃっております。医療と教育は社会的共通資本であり、社会にとって共通の財産である、そしてまた、
経済が医療に合わせるべきであって、医療が
経済に合わせるべきではないとも
経済学者の彼はおっしゃいます。
本当の保険者の機能とは、被保険者が健康な生活を送ることができ、万が一病気になったときは安心して医療機関に掛かることができる、そしてお金もそんなに掛からない、そのような状態をつくり出すことです。
健康寿命が最も長く、老人医療費の最も低い長野県の
取組は、生活習慣、居住
環境を改める、保健師や医師がどんどん
地域へ踏み込み健康教育
活動を展開する、これは長野全県下の
取組です。これこそが自治体の裁量というものではないでしょうか。県が財政調整を行うから裁量権があるのではありません。国保のトップである
市町村長と住民、医師、保健師が一体となって健康というものを生きがいのための手段ととらえる、正に
三位一体です。
国と
地方の財政調整
交付金が不確実であるため、
市町村の医療政策は受診抑制に働きます。早期胃がんと進行胃がんを比較した場合、早期胃がんの方が症状を訴える率が高いことを御存じですか。ささいなことでも気軽に受診することによって早期がんの発見率は高まり、早期の状態で発見できるほど治癒率は高くなり、入院期間も短縮され、医療費も抑制できるのです。
受診しやすいということが安心感を生むという
観点からは、小児や超高齢者の医療を立替払ではなく現物給付にしたい、これも医療における裁量です。しかしながら、財政調整
交付金では償還払しかあり得ないのです。
医療における
地方自治体の裁量というものをどのようにとらえるか、改めて尾辻
大臣に伺います。
尾辻
大臣は、社会保障について、
補助金の廃止を多くし
地方自治体の裁量に任せれば、一定水準のサービスを
地域格差なく保障するという国の責任が果たせないと
答弁しておられますが、その
補助金政策こそが
地域間格差を生んだのではないですか。そしてまた、新たに創設される
地域介護・
福祉空間整備等交付金、次世代育成支援対策
交付金がともに使途が限定された
交付金であり、依然として
事業計画の採択に
中央省庁の
権限が完全に維持されています。これでは、より煩雑な
手続や混乱を生むだけではありませんか。
国が大きな
方針を決め、
地方が実態に合った運用をする。
税源移譲を行えば、
地方六団体が言うように膨大な事務処理は不要となるのではないですか。総務
大臣に見解を伺います。
あわせて、厚生労働
大臣に、今回の二つの
補助金の
交付金化によって、国と
地方の事務作業量はどの
程度減ると考えているのか、伺います。
平成十五年度の
国民健康保険の経常収支は約四千億円の赤字です。国は将来更に負担増になると思われるものから
地方に押し付け始めています。まず取り組むべきは、保険料負担額の上限を支払っている世帯の割合が五・四%と、政管健保一・七%、組合健保一・三%に比較して約四倍という実態を改めるべきだと思います。
大臣の判断を伺います。
基礎年金国庫負担二分の一の
財源についてですが、三分の一から引き上げるのに二兆八千億円必要です。その
財源のために、現下の
経済情勢で、定率減税の縮小、廃止は行うべきではないと考えます。保険料も引き上げ、国庫負担二分の一を
実現するために所得税も引き上げられるのでは、
国民は負担に耐えられません。年金抜本的再
改革の入口に立ったという認識に立てば、現在ある
財源から他の
予算の無駄を省くことにより、国庫負担二分の一を
実現すべきであると思います。
年金抜本的再
改革の議論中にかかわらず、定率減税の縮小によって
財源とする。このことを先行議決することの道義的責任をどう考えますか。
大臣の見識を伺います。
理念を間違えたいわゆる
三位一体の
改革、そして、方法、手段を間違えた
国民健康保険への都道府県の負担の導入は、例えて言うなら、最近胃の調子がどうも良くない、食事の指導を受けたいと訪れた患者さんに、今、日本では大腸がんが急激に増えている、食事指導よりも大腸がんの予防のために大腸を全部摘出しましょうと言っているようなものです。──笑い事ではありません。大腸がんについては食生活も改めますし、ちゃんと定期検査も受けますから摘出の必要はないのではないですか、そう
質問する患者さんに、それでも全部摘出すれば大腸がんの危険性はなくなるんです、百年安心の治療法ですと強制します。
我々は、これを
政治過誤と呼びます。医療過誤を起こした医師は資格を失うか業務を停止します。
政治過誤を起こした責任の取り方を
国民は知っております。その最もシンプルな方法が
政権交代であるということを申し上げて、私の
質問を終わります。(
拍手)
〔
国務大臣尾辻秀久君
登壇、
拍手〕