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辻泰弘君 私は、
民主党・
新緑風会を代表し、
平成十七年度
政府予算三案に対し、一括して
反対の
討論を行います。
予算案の
国会審議が始まった二月の中旬に実施された読売新聞の
世論調査、
内閣に優先的に取り組んでほしい
課題では、
景気対策六四%、
年金など
社会保障制度改革五九%を筆頭に十二の
政策課題が挙げられた後、ようやく十三番目にたどり着いたのが
郵政民営化でありました。その他の
調査もほぼ同じような結果でありました。
このような
国民が求める
政策の
優先順位にこたえることなく、
小泉総理は
郵政民営化の実現は
奇跡、その
奇跡に挑戦するのが
小泉内閣でありますと、
変人ラッパを吹き鳴らし、
郵政民営化、
郵政民営化と呪文のごとく唱えてこられました。しかし、
奇跡を起こす
決意で挑戦し、取り組むべきはむしろ
少子化対策や
財政再建などではないのでしょうか。
国民の切なる
要望を顧みない、
国民生活に思いを致さない、
日本のあるべき姿を見詰めない、悲しいほどに無責任、罪深きまでに無自覚。
小泉総理ここにありであります。
平成十七年度
予算案は、そのような
小泉総理の
国民不在の
政治の象徴とも言うべきものであり、我々は到底容認できません。
以下、
政府案に
反対する主な
理由を申し上げます。
まず、第一の
理由は、昨年決めた
社会保険料などの
負担増に上乗せして、
定率減税廃止に向けた
縮減を図っていることであります。
デフレ状況が続き、GDPの六割を占める
個人消費の
動向がかぎを握る現在、
定率減税縮減は
景気回復に水を差す愚策であります。また、
定率減税実施の際、
税制の抜本的見直しを行うまで続けると約束していたことにも反する、正に
改革なき
負担増であります。
反対する第二の
理由は、
年金制度の抜本
改革に全く着手せず、昨年強行
採決でごり押しした百年不安のプランを何ら改善しないままに
予算化し、固定化しようとしていることであります。
我が党の粘り強い主張で、
総理もようやく
改革の
必要性に気付かれたようですが、
予算案には
改革への意思が全く表れておりません。のみならず、
制度間格差の解消を目指す我が党の全面的
一元化の主張に対し、
政府は被用者
年金だけの
一元化、単なる
財政単位の
一元化だけでお茶を濁そうとしています。
また、
政府税調が公正公平な課税の実現に資すると結論付けている
納税者番号制度であるにもかかわらず、本来その実現に先頭を切るべき財務
大臣の消極的姿勢は全く理解に苦しむことであります。
さらに、我が党が提案している社会保険庁と国税庁の統合につき、与党が
関係省庁と呼応して既得権擁護を図り、葬り去ろうとしていることは言語道断であります。
反対する第三の
理由は、国の長期債務残高が六百兆円になんなんとする
状況にもかかわらず、
政府の
財政再建に向けての熱意と具体的な取組方針が何ら示されていないことであります。
財務
大臣が、二〇一二年度
プライマリーバランス黒字化は現実には難しいとの判断を示すばかりで、国の
財政健全化への目標の設定に着手しようともしないことは無責任のそしりを免れません。
さらに、
総理が、在任中は
消費税を引き上げないと強調してきたことは、歳入面からする
財政再建への取組の
議論に足かせをはめたと言わざるを得ません。
総理の姿勢からは、自分が泥をかぶるのを避けたいとの思惑だけが透けて見えるのであります。
これら以外にも、
三位一体と言いながら抜本的な
税源移譲や一括交付金化が極めて不十分であること、BSE対策において
国民の食の
安全確保がないがしろにされていること、特殊法人などへの
歳出抑制が図られていないこと、イラクからの自衛隊の撤退を行おうとしていないことなどは、多くの
国民の期待に反するものであります。
また、
予算委員会の審議における旧橋本派の
政治資金疑惑解明への与党の極めて消極的な態度、農水
大臣の極めて非常識な非常識発言にも強く猛省を促さなければなりません。
昨年六月三日、
総理は、今後
国民に
年金額の引下げを求めていくことになるマクロ
経済スライドについての質問に答えられず、異例な形の強行
採決につながりました。残念ながら、あれから九か月を経た今月三日の
予算委員会においても、
総理は、下がらないようにする
制度だと全く逆に、まるで恩恵的なことでもしたかのように答えられました。あの
措置により、高齢者の
年金の額を二〇二三年度まで二十年近くにもわたって実質的に低下させる、それを
国民に求めたのは
総理、あなたなんですよ。
結局、
総理には
国民生活のことなんか他人のことでしかないのです。そんな
総理は
日本には要らない。
総理失格であります。
石破茂前防衛庁長官は、著書の中で、
小泉総理は紙が三枚以上になると一枚も読んでくれないと
総理の日常について語りました。二枚以内にこだわるのは、
総理が二枚目だからなのか、はたまた
総理が二枚舌だからなのか分かりませんが、重要な国政にその程度の姿勢でしか臨んでいないとは、涙が出るほどに悲しいことであります。
総理、今度我が党から
年金改革の御説明にお伺いしますので、是非御招致ください。御心配には及びません。必ず二枚以内のペーパーにして、
民主党が官邸に御説明にお伺いいたします。何でしたら、そのまま官邸にとどまり、政権を引き継がせていただく用意もございます。どうか
総理におかれましては、後顧の憂いなく、安心して御退陣ください。
民主党は、自民党に代わって
日本の
政治を担い、
年金などの
改革を推進し、もって
国民生活安定を実現する、その備えと
決意は十分に整っている、このことを強く申し上げ、私の
反対討論を終わります。(
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