運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2005-06-09 第162回国会 参議院 法務委員会、財政金融委員会、経済産業委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十七年六月九日(木曜日)    午前九時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。    法務委員会     委員長         渡辺 孝男君     理 事                 松村 龍二君                 吉田 博美君                 千葉 景子君                 木庭健太郎君     委 員                 青木 幹雄君                 荒井 正吾君                 山東 昭子君                 陣内 孝雄君                 関谷 勝嗣君                 鶴保 庸介君                 江田 五月君                 前川 清成君                 松岡  徹君                 簗瀬  進君                 浜四津敏子君                 井上 哲士君    財政金融委員会     委員長         浅尾慶一郎君     理 事                 愛知 治郎君                 中島 啓雄君                 山下 英利君                 平野 達男君                 若林 秀樹君     委 員                 金田 勝年君                 田村耕太郎君                 段本 幸男君                 野上浩太郎君                 舛添 要一君                 尾立 源幸君                 大久保 勉君                 大塚 耕平君                 富岡由紀夫君                 広田  一君                 広野ただし君                 峰崎 直樹君                 西田 実仁君                 山口那津男君                 大門実紀史君                 糸数 慶子君    経済産業委員会     委員長         佐藤 昭郎君     理 事                 泉  信也君                 加納 時男君                 小林  温君                 藤原 正司君                 渡辺 秀央君     委 員                 魚住 汎英君                 沓掛 哲男君                 倉田 寛之君                 松田 岩夫君                 松村 祥史君                 加藤 敏幸君                 直嶋 正行君                 平田 健二君                 藤末 健三君                 藤本 祐司君                 浜田 昌良君                 松 あきら君                 鈴木 陽悦君    国務大臣        法務大臣     南野知惠子君        財務大臣     谷垣 禎一君        経済産業大臣   中川 昭一君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣金融)        )        伊藤 達也君    副大臣        内閣府副大臣   七条  明君        法務大臣    滝   実君        財務大臣    上田  勇君    大臣政務官        法務大臣政務官  富田 茂之君    事務局側        常任委員会専門        員        田中 英明君        常任委員会専門        員        藤澤  進君        常任委員会専門        員        世木 義之君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       中城 吉郎君        金融庁総務企画        局長       増井喜一郎君        金融庁総務企画        局審議官     鈴木 勝康君        法務省民事局長  寺田 逸郎君        財務大臣官房審        議官       佐々木豊成君        経済産業大臣官        房審議官     寺坂 信昭君        経済産業大臣官        房審議官     舟木  隆君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○会社法案内閣提出衆議院送付) ○会社法施行に伴う関係法律整備等に関する  法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────    〔法務委員長渡辺孝男委員長席に着く〕
  2. 渡辺孝男

    委員長渡辺孝男君) これより法務委員会財政金融委員会経済産業委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして、私、法務委員長連合審査会会議を主宰いたします。  会社法案及び会社法施行に伴う関係法律整備等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。  両案の趣旨説明及び衆議院における修正部分説明は、お手元に配付いたしました資料により御了承願い、その聴取は省略いたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 おはようございます。自由民主党の田村耕太郎です。  本日は、新株予約権擬似外国会社に対する規定、この二点に絞って質問させていただきます。時間が限られておりますので、早速質問に入ります。  まず、新株予約権についてなんですが、敵対的買収防衛に対する施策、これの是非に対してはいろんな議論があると思いますが、私は一定の評価をしています。その中でもライツプラン、この新株予約権を用いた買収防衛策、これは大変有用であると思います。ただ一つアメリカ日本の今回の方式で全く違うのが、アメリカでは新株予約権付株式まで認められているわけです。しかし、日本では新株予約権までしか認められていません。そこの差が、日本では信託方式とか、SPCをかませた信託方式とか、より複雑な方式を取らざるを得ないという結果になっていると私は思うんです。  まあもちろん、まあ一部の法律事務所さんや信託銀行さんにとっては大きなビジネスチャンスになるんですが、やはりより有効にこの新株予約権を活用していただくためには、私は新株予約権付株式を認めた方がよかったという論者なんですが、まず、大臣にお伺いします。  なぜ新株予約権付株式を認められなかったのか、端的にお答えいただきたいと思います。
  4. 南野知惠子

    国務大臣南野知惠子君) 会社法案におきましては、新株予約権株式という名称の株式についての特定の特別な規定は設けられておりません。ただし、会社法上の各種制度を活用することによりまして、新株予約権付株式発行を実質的に実現することは可能となります。
  5. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 次に、そしたら、大臣には大変重要な答弁をいただきましたんで、次に、この問題をずっと考えていらっしゃるマニアックな方々お話をお伺いしたいと思うんですけど。では、実質的に、今大臣が言われました新株予約権付株式と同じ効果を持つやり方というのは一体何なんでしょうか。法務当局、よろしくお願いします。
  6. 寺田逸郎

    政府参考人寺田逸郎君) この問題は、今委員も御指摘になられましたとおり、会社買収に対する防衛策としても位置付けられているところでございますので、私どももこの問題を意識してこの会社法を作るに当たって検討してきたわけであります。  それで、ただいま大臣からも申し上げましたとおり、実質的にはこの新株予約権株式というのが一体となってある権利者の元に存在するのと同等の効果というものを実現するための方策がないということになりますと困りますので、そのために今どのようなことがあるかということでございますが、具体的に申し上げますと、今度の会社法案の百八条、これは種類株規定でございますが、その中の一項五号に取得請求権付株式というものを認める、発行することができるということになっております。また、一項の六号においては、取得条項付株式というものも発行することができることになっておりまして、その場合の取得対価、つまり株式取得するのについて、今度逆に会社の側から何を出すかということでございますが、それを普通株式新株予約権というものを反対に出す、これはそれぞれ二項の五号、二項六号で可能でございますけれども、そういう構成を取りますとこれが可能になるわけでございます。  ただし、それですと、既に株式だけを発行している場合にこれが実現できないのではないかという懸念もあるわけでございますけれども、これは株主総会特別決議によりまして全部取得条項付株式とすることが今度の会社法案でも認められるわけでございまして、その場合に、その取得対価をそのような取得請求権付株式あるいは取得条項付株式とするということによって可能になるわけで、この場合は二段階の手続が必要になるということになるわけでございますが、これも可能だということには変わりないわけでございます。  で、もう一つ方法といたしまして、株主への無償割当て方法、これは会社法案でも二百七十七条で認められているところでございますが、これによりまして、新株予約権条件付発行決議というのをあらかじめ行っておきまして、割当て基準日を後に決定する。例えば、割当て基準日買収開始時とするようにいたしますと、新株予約権がその時点発行されるということでありまして、株主新株予約権権利者がこの時点で一致するわけでございますので、これが買収防衛策として機能すると、こういうことになるわけでございます。
  7. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 朝からちょっと眠気を催すような議論ばっかりして済みません。ちょっと余りにも専門的過ぎるんで、端的にお答えをお願いしたいと思います。  実際、私、二番目に言われたその無償割当て、まあ基準日を後で決定するというやり方が性質的には新株予約権付株式に一番近いのではないかと思うわけです。ただ、一番重要なのは、次は国税さんにちょっとお聞きしたいんですが、導入のコストなんですね。  最近、自民党の中での企業統治委員会でも議論をやりまして、また経済産業省法務省の方で企業敵対的買収防衛に対するガイドラインというのを出されました。その中に、防衛策株主の意思を尊重して導入するようにというくだりがしっかり入っています。株主に事前開示してちゃんと説明をして、承認を得て、そして初めて導入策がしっかり認められるということです。  で、事前開示する場合にどこまで開示するかという議論があったんですけど、やっぱり税効果までしっかりやろうと、株主財産権に侵害を与えるような買収防衛施策というのは、本来株主にしっかり公開して株主によって認められるものではないか、そういう意見を私も言わせていただきましたし、そういう回答もいただきました。  株主に対して負担といいますと、やっぱり税が一番大きいと思うんです。交付して発動した場合まで含めてこの二番の方式でやった場合、無償割当て割当て日は後日決定する、新株予約権付株式に一番近いやり方です。この方式でやった場合、行使そして発動した場合も含めて、税効果というのはどのようになるのでしょうか、端的に税当局にお伺いしたいと思います。
  8. 佐々木豊成

    政府参考人佐々木豊成君) ちょっと長くなるかもしれませんが、会社法案に基づきます新株予約権の税務上の取扱いについてでございますけれども企業会計とか関係省庁における検討も踏まえながら今後検討していくという事柄でございまして、現段階でまず確たることを申し上げることは困難であるということをまず前提として申し上げた上で、あえて現段階の考え方を申し上げますと、この会社法二百七十七条に基づきます新株予約権無償割当てにつきましては、従来の株主割当てと同様に、株主平等の原則に則して新株予約権割当てが行われるというふうに承知しておりまして、したがいまして、その割当て時点における新株予約権経済的価値株主によって明らかに差異がある場合を除き株主間の経済的価値の移転は観念されないと考えられますので、御指摘のような場合に、そのような適切な条件が付されているという場合につきましては、新株予約権割当て時及び権利行使時のいずれにおきましても、また新株予約権を付与する会社及び付与される法人株主個人株主のいずれにおきましても、原則として課税関係は生じないものと考えております。
  9. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 何か私の認識間違いかもしれませんけど、昨日のレクから一歩後退されたような印象があるんですけど。  あれですね、結局、株主割当てになるか第三者割当てになるか、そこで税が変わってくると。その株主割当て第三者割当てを分ける決定要因というのは、その交付された新株予約権すべてに価値があるかどうか、差別的な取扱い敵対的買収者にしてないかどうか、その一点だと思うんですね。  それがなければ、税は生じないという認識だと私は思うんですが、そうしますと、これ、信託方式にも同じことが言えるんでしょうか。信託方式敵対的買収者を不当に差別的な扱いをしていない場合、株主株割当てと認められて税は発生しない、そういう認識でよろしいかどうか、イエスノーかだけお答えください。
  10. 佐々木豊成

    政府参考人佐々木豊成君) 大変専門的なお話でございまして、新株引受権のそういういろんな交付につきまして、あるいは活用につきまして様々な対応があると存じます。そういう新株予約権無償割当ての個別具体的なケースにおきます課税関係につきましては、いろんな新株予約権行使条件とか行使可能性譲渡制限の具体的な仕組み等について異なり得るというものでございますので、現段階で確たることをお答えを申し上げることは困難だと思います。
  11. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 分かりました。今後の検討課題とさせていただきます。  どちらかといいますと、私、この二番目の擬似外国会社に対する規定、この変更について今日はちょっと時間を割きたいと思いますので、これからそちらの方の質問に移らさせていただきたいと思います。  新たに法律を変える場合、政策でもそうなんですけれどもコスト・ベネフィット分析ですね、この法律を新しく変える場合、費用と便益を計算して法律を変えられると思うんです。今回、改正案の八百二十一条、現行法の四百八十一条のところを変えられたわけですね。私は、大分文言をいじられたんじゃないかという印象を持っているんですが、なぜこの規定をここまで変える必要があったのか。どういうダメージを想定されて、どういうメリットを想定されてここに至られたのか。改正趣旨大臣にお伺いしたいと思います。
  12. 南野知惠子

    国務大臣南野知惠子君) お尋ねでございます。お答え申し上げますが、専ら我が国におけます事業活動目的としながら、我が国商法の適用を回避するために故意に外国法に従って設立されたような会社の動きを認めること、一種の脱法行為を許容することになりますので、そのような脱法行為を防止するためにこれを規定したということでございまして、その内容でございますが、日本に本店を設けまして、又は日本において営業を行うことを主たる目的とする会社は、外国において設立された会社でありましても、日本法に従って設立された会社同一規定に従うものとされております。  同一規定に従うという意味は、これは判例によりますと、擬似外国会社については、日本法に準拠して再設立されない限り、その成立は認められないということでございます。  以上です。
  13. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 大臣はそうおっしゃいますが、私はその割には随分文言をいじられたんじゃないかと思うんです。  今度はちょっと法務当局にお伺いしたいと思うんですが、改正趣旨は何ですか。
  14. 寺田逸郎

    政府参考人寺田逸郎君) 今大臣が御説明申し上げましたのが現行法規定内容でございます。  ただ、現行法文言上はどうなっているかと申しますと、これは「同一規定ニ従フ」ということになっておりまして、この規定というのは何かというと、設立から全部の規定を指すのか、それとも設立を除く規定全体を指すのかということについて疑念があるわけでございますけれども、大審院の大正年間でこれのリーディングケースの判決がございまして、これはすべての規定をいうということになります。  そういたしますと、結果として何が生ずるかというと、この擬似外国会社については法人格というものが否定されるということになってしまうわけであります。つまり、日本法に従って設立されていないわけでございますので、そういう結果をもたらします。  これは甚だ法律関係が不安定ではないかということ、これそもそも文言がよく分かりにくいではないかと、争いも生じているではないかというようなところがございまして、今回、この会社法検討するに当たりまして文言の整理をする。その際に、先ほど申しましたように、法人格自体を否定するということになりますと、これは外国設立された法人という法人格が形式的にはあるわけでございますので、これは甚だ不安定なことになる。そうすると、実質的に何をしなきゃいけないかというと、要するに、債権者をやっぱり保護しなきゃいけないというのが一番大きいというところでございまして、そこで二項で、この会社について活動をされておられます個人、まあ具体的には代表取締役等になられると思いますけれども、そういう方々について連帯責任を負わせると、こういう規定になりまして、この規定内容そのもの従前規定を改めるわけでございますけれども従前規定よりはむしろ法人格を否定していないという意味規制としては弱いということにはなるわけでございます。  ただ、二項の効果を導くためには、この擬似外国会社がやっぱりしてはいけないことであるということをはっきりさせるために、一項では、継続して取引をしてはならないという効果というものを規定をしているわけでございます。
  15. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 基本的には趣旨は変わっていないという理解で考えていますが、大臣、大切な点ですので、ひとつ確認答弁をお願いしたいと思うんですね。  ちょっとこれ、確認ですので、正確に読ませていただきますね。会社法第八百二十一条の規定現行商法四百八十一条よりも擬似外国会社に対する規定を強化するものではないと。そして、擬似外国会社範囲についても変更がないということでよいのかどうか。この点について大臣の明確な答弁を求めたいと思います。
  16. 南野知惠子

    国務大臣南野知惠子君) 一言で申し上げれば、議員御指摘のとおりでございます。よろしいですか。──はい。  では、中身について触れてみますと、現行商法四百八十二条の主要な立法効果は次の二点であるというふうに思います。一つは、擬似外国会社につきましては法人格が認めていないという、認められないという点でございます。さらに、擬似外国会社において取引等を行った個人取引相手方に対し弁償責任を負う点でございます。  このうち、法人格の点につきましては、擬似外国会社であっても法人格が認められないものとすることは擬似外国会社取引を行う者の地位を不安定にしかねないため、会社法案では取引の安全の観点から、擬似外国会社についても法人格を認めることとしております。この点は現行法と比べまして、擬似外国会社及び取引相手方を保護する規定であろうかと思います。  さらに、個人弁済責任の点につきましては、現行商法四百八十二条の「同一規定ニ従フ」との規定法律効果を事実上維持しながら、かつ明確化するために、まず擬似外国会社日本において取引を継続して行うことができない旨を定め、継続して取引をした者は相手方に対し、当該擬似外国会社と連携して当該取引によって生じた債務を弁済する責任を負うこととしております。この点は現行法と基本的に変わらないということでございます。
  17. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 確認いたしますけれども、この改正法案は、八百二十一条は、現行法の四百八十一条よりも擬似外国会社に対して規制を強化するものではないと。そして、会社範囲についてもそれを変えるものではないということの答弁だったと思いますし、それを確認させていただきました。  その上で、ただ、まだ、でもこの改正の条文上不明確な点が私、一つあるんですね。それは、この八百二十一条、改正案の中で、「日本において事業を行うことを主たる目的とする外国会社」という文言があります。この「主たる目的とする」という意義は何なのか。ちょっとこれ、法務当局に聞いてみたいと思います。
  18. 寺田逸郎

    政府参考人寺田逸郎君) これは、先ほどこの規定趣旨を申し上げました。つまり、この規定日本における会社法規制脱法するということを防止するという趣旨で作られたものであるということでございますが、そういう趣旨からいたしますと、日本でも経済活動会社活動を行うと、しかし外国でもそれを行うということであると、必ずしもこれが脱法かどうかは分からないわけでございます。  したがいまして、私どもといたしましては、この規定というのは、日本における事業がその外国会社の存立に必要不可欠であるということを前提設立された会社ということに解さざるを得ないわけでございまして、平たく申しますと、専ら日本において事業を行うことを目的として設立した会社と同じ意味だというように解しております。
  19. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 そこで、そこをもう少し突き詰めて正確な議論をしていきたいと思うんですね。  私がちょっと例を考えてきましたんで、これが擬似外国会社に該当するかどうか、そこだけ大臣に答えていただきたいと思うんです。こういうケースですね。  まず第一のケース。これ、正確にちょっと読ましていただきたいと思うんですね。当初は外国での事業を中心としていたが、後に日本における事業規模が拡大して、現在はその事業の大半が日本に移行している外国会社、こういうケースって今多いと思うんですよ。このケース擬似外国会社に該当しますか、しませんか。大臣イエスノーかでお答えください。
  20. 南野知惠子

    国務大臣南野知惠子君) これはいずれも該当いたしません。
  21. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 次に、外国における事業規模と比べて日本における事業規模の方が大きい場合、この場合はどうですか。
  22. 南野知惠子

    国務大臣南野知惠子君) これも該当いたしません。
  23. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 三番目に、現在は日本でのみ事業活動を行っているが、将来は他国における事業活動も予定している場合、これはいかがですか。
  24. 南野知惠子

    国務大臣南野知惠子君) これも該当いたしません。
  25. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 もう少し細かく見ていきたいと思うんですね。  もし、これちょっとアメリカ法人を考えた場合なんですけど、日本に支店を有するアメリカ会社法でつくられた法人が、日本以外の会社で、日本以外の国で相当の会社の事務管理的な業務を行っている場合、これは該当するかしないか、いかがですか。
  26. 寺田逸郎

    政府参考人寺田逸郎君) この具体的なケースになりますと、すべて私どもの方からこれは完全に該当する、あるいは完全に該当しないということを申し上げにくい事例も出てくるわけでございますけども、ただ、委員が今おっしゃられましたケースにおいては、一般的にはこれを脱法目的ということで設立されたのではないというように解されることになろうかというふうに私どもとしては理解をいたしております。
  27. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 私、一番影響が大きいのは金融機関だと思うんです。保険、証券、銀行ですか。その中でも、今金融技術が高度化しています。いわゆる証券化業務とかストラクチャードファイナンス、仕組み金融ですね。で、資金の調達、様々な資金の調達方式、こういうものを含めましてSPC、特別目的会社というのが設立されるわけですね。このSPCが当たるかどうか、ここはやっぱり議論の分かれ目だと思うんです。  このSPCに関してはこの擬似外国会社に当たるかどうか、この見解を求めたいと思います。
  28. 寺田逸郎

    政府参考人寺田逸郎君) これも、ただ一般的にSPCというだけでどちらかというとなかなか難しいわけでございますが、ただ、日本における流動化スキームの一環として日本において事業を行うということを目的として外国会社設立され、それがその当初の契約に基づいて債権、資産等の譲受け、金銭等の授受をされていると、こういうケースを念頭に置きます。で、当然のことながら、既存の会社というのはすべて商業登記の上で外国会社の登記をされているわけでございます。その際にこういうことも問題になるわけでございますが、私どもは一般的にはこのような場合には擬似外国会社に当たらないケースが多いんではないかというように考えております。  また、新法の下で考えますと、継続的な取引を行うという要件が付いておるわけでございますけども、この場合には継続的な取引ということに当たらないということももちろん考えられるわけでございます。
  29. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 今の答弁なんですけど、よく分からない点が結構あるわけですね。取引の継続とは何なのかと、資金調達をしたはいいけど、その資金を活用して事業を行う場合はどうなのか、外国会社が、じゃ日本で投資する、投資する事業だけをする場合はどうなのか。そういうことを勘案しますと、本当にこれ厳しく読むのと甘く読むので大分印象が違うと思いますし、個人的な意見だけ言わしていただければ、ここまでする必要あったのかなという気もしないでもないわけですね。  実際、現在、日本活動している会社さん、金融機関を中心なんですけど、製薬とか食品会社でも一部混乱が生じている、そして徐々に波紋が大きくなってきているのは残念ながら事実だと思うわけですね。これにこれからどう対処されるかということをお聞きしたいんですね。こうやって委員答弁の中で一つ一つ確認していっても、今いろんな会社形態がありますし、不安を払拭するということには完全には至らないと思うんです。  やっぱり、これからはインベスト・ジャパンと、総理は言っておられます。日本に対する対外直接投資を増やさなきゃいけない。そして、日本の証券市場を残念ながら今支えているのは、これ財務大臣もよく御存じだと思いますけど、残念ながら外国会社、で、外国人投資家なわけですね。日本のイメージ、投資というのはイメージですから、そういうことを損なわないようにするためにも私は何らかの措置が必要だと思うんです。この不安を拡大させないため、できれば払拭するためにどんな方策を今後考えられる準備があるのか、法務当局に問いたいと思います。
  30. 寺田逸郎

    政府参考人寺田逸郎君) おっしゃるとおり、非常に外国会社の形態を取って日本で重要なお仕事をされておられる会社がいるということは私ども認識をしているところでございます。  しかしながら、そもそも現行法擬似外国会社という規定があり、その規制というのは、先ほども申しましたように、内容的に申しますと法人格も否認すべきというような非常に強い効果を持った規定であります。逆に申しますと、その規定の対象になるのは相当濫用だということで、日本としてはこういうことは許し難いというケースを念頭に置いているわけでございます。したがいまして、現に活動されている会社がこのような擬似外国会社に当たるということは、一般論として申しますと、私どもはなかなか考えにくいところであろうというように思っていたところでございます。  しかしながら、おっしゃるように非常にこの文言をクリアにしたと。これは、もちろん私どもからいたしますと、その趣旨というのは現行法より更に規制としては弱い効果しか持たないわけでございますけども、そのことによって無用の混乱を生ぜしめるというのは私どもの意図するところでは全くないところでございます。  したがいまして、私どもといたしましては、このような解釈というのを、現在この場でも再三強調して申し上げているとおりでございますけども、これも行政上、登記実務上できることはいたしますし、また、会社法改正趣旨というものを説明する機会にもちろんこういう方々も対象にして十分な御説明を申し上げたいと、関係官署ともまた十分に御相談申し上げたいというふうに考えております。
  31. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 まあ、よっぽどの脱法行為を行っていない限りは該当しないという認識でいいと思うんですが、やっぱり文言だけ読むと、特に文言を英語にした場合、キャン・ノットという表現が入るんですけど、やっぱりかなり気持ち悪いわけですね。弁護士だって、あの条文だけ読んでオピニオンレターを書くのは非常に怖がるんじゃないかと私は思うわけです。ですから、今日の私の質問だけでその答弁いただくというのはなかなか難しいかもしれませんが、できる限りその不安を払拭するような、まあこれ民民の民事訴訟ですからどういう人が訴えるか、訴えないんじゃないかという意見もありますけど、訴えた場合、最後、独立性を持った裁判所が判断するわけですから、その気持ち悪さ、不安を払拭する意味でも、是非今後何らかの処置を御尽力いただきたいと思います。  そういうお願いを込めまして、私の質問時間終わりましたんで、ここで締めさしていただきます。  ありがとうございました。
  32. 小林温

    ○小林温君 経済産業委員会の小林温でございます。  急に委員会が入りましたので、こういうときは田村耕太郎さんや私のような馬力のある人間が質問しろということだと思います。さわやかにやらせていただきたいと思いますが。  今日は会社法議論でございますが、我々経済産業委員会では、今会期中に有限責任事業組合法についても議論をさせていただいて、成立をさせていただきました。基本的にこうした新しい会社法の整備というものは、私は、できればこれから起業されようとしている皆さんに、その設立あるいは会社を大きくしていく過程で使いやすい、そういう制度にしていくべきだというふうに思っております。今日は大臣も四名おいででございますので、経産委員会の中での議論も含めて、また改めてさせていただきたいというふうに思います。  四名の大臣の中で、伊藤達也大臣はかつてピザ屋さんを経営をされておりました。御自身で会社設立をされた経験があるわけでございますが、私も五つぐらいの会社を実は自身で立ち上げた経験がございます。どれだけ会社をつくることが大変かということが、例えば関係省庁の皆さんあるいは大臣方が御認識をいただいているかということで少し紹介をさせていただきたいんですが、例えば最低資本金が撤廃されて一円起業が可能になったわけですが、今、今後起業を行おうと思った場合には、埼玉県のあそこの副都心にある出先に行かなければいけないそうでございます。それから、定款を作って公証役場に行きます。公証役場で定款が承認をされますと、銀行に行って保管証明を出してもらいます。それから、法務局に行って会社設立をされるわけでございますが、その後、県と区役所と税務署にこの税制上の取扱いについての申請に行って、それから社会保険事務所にも行かなければならない。  大体、手数料、行政書士さんなんかに頼んだ場合の手数料を引いて、実際に掛かる金額が三十万円以上やっぱり掛かるわけでございますね。手間も、これ、例えば一人で起業しようとして自分のビジネスモデルをいろいろ考えたり、あるいはその取引先を開拓しようと思っている起業家の立場からしたら、これだけの作業を、しかも物理的に電車に乗ったりいろんなところに行ってしなければならないというのは大変なことだということでございます。  電子政府の取組の中ででも、会社設立におけるワンストップサービスということについて関係省庁議論をしていただいているというふうにも思いますが、私の立場からすると、まだ遅々として現実的に利用者にとって使いやすいような制度にはなり得ていないというのが率直な感想でございます。是非、あわせて、こうした取組について、今日は四大臣おいででございますので、更なる力を入れていただきたいというふうにお願いを申し上げます。  そこで、この会社法制の現代化でございますが、現実的には小規模な会社では商法規制が形骸化している。これを、ギャップを埋めていこうというのが一つのねらいだろうというふうに思います。例えば、株式原則発行というものも実際には中小企業の現状を追認しているわけでございまして、これも実は株券というのを印刷しようと思うと専門の印刷屋さんに頼んでかなりの金額が実は掛かるわけでございまして、零細中小企業というのは、実は株券印刷することすら実はままならないのが今までの現状でございました。それから、その払込み保管証明書を残高証明書で代えてもいいということも、これも起業の実態に実際は合っているんだろうというふうに思うわけでございます。  そこで、まず一つ目の質問でございますが、今回の会社法では、社員が有限責任を負う会社形態として、株式会社と合同会社という二つの選択肢を提示しております。起業しようとする立場から見た場合に、どの点に着目してこの二つの会社形態を選択することになるのか、法務省さんに御見解を伺いたいと思います。
  33. 寺田逸郎

    政府参考人寺田逸郎君) 今回の会社法改正におきましては、従前の有限会社株式会社に統合いたしまして、有限責任会社というのをそういう意味での一本化を図ったわけであります。  ただ、他方、現実の会社の形態が様々議論される中で、外国にもございます、その会社法人としての、外側から見ますとこれは一つ会社形態を成しているけれども、しかし内部の規律からいうと組合とほとんど変わりがないというものもある、またその必要もあるということでございますので、そこで合同会社、略してLLCと言われたりすることもございますが、そういうものを今回新たに提示しているわけでございます。  そこで、委員のどういう使い分けがされるかという御質問でございますけれども、中身の点からいいますと、この業務執行につきまして、株式会社の方は当然執行機関というのを予定しているわけでございます。これは一般の株主と執行機関との分離というのがこの株式会社の典型的なありようでございまして、したがいまして、株主等取締りとは別の取締役という機関が設けられるというわけでございます。これに対しまして、先ほど申しましたように、合同会社においては、社員自らがこの執行を行うというものを予定しているところでございます。  もう一つは、これはまあ閉鎖的な会社に特徴的に見られるわけでございますけれども、持分の譲渡において、株式会社原則自由でございますけれども、合同会社は他の社員の同意が必要という、非常に個人的な色彩が強い会社になるわけでございます。同様に、定款の変更についても株式会社は多数決でございますが、合同会社は全員一致ということになります。出資の払戻しにつきましても、定款で自由に定められるという合同会社の特徴がございます。  これらの違いによりまして、株式会社というのは基本的に非常に多くの方々から出資を求めてそれで事業を行う形態、これに対しまして合同会社というのは特定で、ある程度人数に限りがある、そういう方々が仲間内で会社をおつくりになる、資金をお出しになる、こういうケースを念頭に置いてつくられているところでございます。この中でそれぞれ適切な御選択をされるということを私どもは望んでいるわけでございます。
  34. 小林温

    ○小林温君 幾つかの観点から、二つの会社形態の選択についてお答えをいただきました。  今のお答えをお聞きすると、合同会社の方が比較的アーリーステージにおいては活用しやすい会社の形態だということだろうと思います。起業家の立場から見た場合には、その合同会社という設立形態が存在することによって、選ぶ組織の選択肢も拡大するということだろうと思います。  そこで、まあ最初は合同会社設立したという場合を想定して、では仮に、これが例えば今のお話でいいますと、広く資金を募ることが必要だというようなことになった場合に、例えばどういう段階でこの株式会社に組織変更をするような状況を想定されておるんでしょうか。まず法務省さんから。
  35. 寺田逸郎

    政府参考人寺田逸郎君) これは、まあ先ほど申し上げましたことを敷衍して申し上げるということになるわけでございますけれども、結局のところ、合同会社の限界というのは、非常に多くの方々から資本を得たいということについて限界がある。つまり、ただ自分はお金だけを出すということについて、合同会社という形態は余りフィットしていないということになるわけでございます。  したがって、いったん合同会社をおつくりになった後に、出資者の投下資本というのを容易に回収したい、つまりだれでも資本を出せるような、そういうタイプの会社にしたい。それで、出資者を広く募って、経営というのは経営の専門家にゆだねたいと、こういうような段階になりますと、この合同会社から株式会社への組織変更というのが具体的に考えられることになるのではなかろうかというように考えております。
  36. 小林温

    ○小林温君 まあ、スタートアップ時とその会社の成長のステージに合わせて適した組織も変わるということだろうと思いますが、今の同じ質問について、経済産業省さんではどういうふうにお考えでしょうか。
  37. 寺坂信昭

    政府参考人(寺坂信昭君) 御指摘のとおり、有限会社でこの内部自治の徹底いたします合同会社、こういったものが創設されることによりまして事業を始めようとする方のその組織の選択肢が増えることになるわけでございまして、ただいまもございましたように、自らの資金とその能力を持ち寄る共同事業は合同会社が適しておって、外部から大量の資金調達をして事業展開を図る、そういうようなことになります場合には株式会社が適していると考えております。  実際、アメリカにおきましても、このLLC、合同会社で起業家が共同事業を立ち上げまして、それから事業が軌道に乗って、それで株式公開で大量資金を、資金、大量の資金調達を図る、そういうめどが立ちますと、そのLLCからコーポレーション、まあ株式会社でございますけれども、そういったものへの組織変更を図る事例があるというふうに承知をしてございます。
  38. 小林温

    ○小林温君 今、アメリカの例も引いていただきましたが、仮に合同会社からLLCに会社の形態が変わるという、こういうときにも、その手続の部分については極めてできるだけ簡略にしていただきたいというふうに思います。  先ほど申し上げましたLLPの制度について、経済産業委員会議論をさせていただきました。その中でも、私、議論をさせていただいたんですが、同じ会期中に似たような法案が別の委員会で議論をされているということ、特に起業家の観点から見た場合には極めてこれはどういう選択をしたらいいか分かりにくいんじゃないかということを指摘を申し上げたわけでございますが、一つには税制の問題が存在をしているということでございました。  アメリカのLLCにおいては、いわゆるチェック・ザ・ボックスの制度を導入をして、構成員課税と法人課税の選択制によって一つの制度で対応をしているわけですが、今回、LLCとLLPと極めて似通った制度、構成員が違うというところで法人と組合だというところはあるわけでございますが、がこうして提案をされた。経緯についてはお伺いをいたしませんけれども、このチェック・ザ・ボックス規制導入については、改めて財務省はどういう御見解かということをお伺いしたいと思います。
  39. 佐々木豊成

    政府参考人佐々木豊成君) 委員よく既に御存じのことかと存じますけれども、改めまして申し上げますと、米国もLLCにつきまして構成員課税との選択が可能になっているということは誠に事実でございますが、アメリカではそもそもLLCに限りませんで、法人一般に広くその法人課税か構成員課税かの選択が認められているということでございます。  その背景といたしましては、アメリカにおきましては連邦レベルの統一的な会社法制というのは存在しませんで、各州が独自に多様な事業体を創設できるような会社法を作っているということでございます。その中で、課税当局がその課税、多様な事業体を法人課税にするのか事業体課税にするのかというその切り分けの基準というものを歴史的に何回か作ってまいりましたけれども、とてもその基準がまた変えられる、抜けられるということで形骸化してきたという、そういう事情がございます。こうした事情を抜きにして比較を行うというのはなかなか難しいのではないかと存じます。  また、アメリカにおきますその法人課税と構成員課税の選択、この選択制、チェック・ザ・ボックスという制度につきましては、国際的に見ますと租税回避を招きやすいんではないかという指摘もなされておりまして、これを我が国の税制で採用するということにつきましては、課税の公平あるいは円滑な執行の確保の観点から問題がかなりあるということに十分留意する必要があるのではないかと考えております。こうした状況の下で、合同会社制度の課税関係につきましては、我が国税制の基本的な考え方にのっとりつつ、他の会社形態とのバランスなどを十分に踏まえて、その法的な位置付けに沿って適切、適正な課税関係を構築していくことが適当ではないかと考えております。
  40. 小林温

    ○小林温君 アメリカとは事情が違うというお答えでございます。この会社法の見直し自体が、例えば有限会社株式会社一つにしていくということも含めて、先ほど来申し上げているように、起業をする側から見た場合に選択肢のバリエーションは広げるけれども、ある意味では起業の際に分かりやすいその会社形態を提案をしていくということだろうというふうに私は理解するわけでございますが、どうもこのLLPとLLCについては、私自身が起業家の立場に立った場合には極めて分かりにくいというのもまた現実だろうと思います。  そこで、私はこれは経済産業委員会でも中川大臣にもお願いを申し上げましたが、将来的にこの二つの制度を統一して、その課税方式については構成員課税と法人課税の選択を認めていくべきだというふうに思っておりますが、この点について谷垣大臣の御見解をいただければと思います。
  41. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 私も今日、委員会に出てまいりまして、にわか勉強で余り的確なことを申し上げられるのかどうか分かりませんが、やはり大陸法と英米法の物の考え方の違いというのが背景にあって、なかなか難しい問題だなというふうに思います。  そこで、税法をどうしていくかという観点に立ちますと、やはり事業体の収益と費用というものがどこに帰属していくか、その帰属していく実質を備えたものに課税をしていくというのがやはり税の関係では基本的な考え方だろうと思うんですね。  それで、有限責任事業組合については平成十七年度税制改正で構成員課税の仕組みを取ったわけですが、合同会社制度については確かに分かりにくいとおっしゃるんですが、やはり有限責任事業組合制度とは私法上別個の特徴のあるものとしてつくられたんだろうと思います。  したがって、今後利用者はそれぞれの制度の特徴を見ながら選択をされていくと。私どもとしては、やはりどういう利用形態になっていくのかというのをよく見極めなければならないと思いますが、その上で制度的に対応が必要であれば対応していかなければならないことだというふうに考えております。
  42. 小林温

    ○小林温君 決してその税がハードルになることがないように重ねてお願いをしたいと思います。  そこで、今回は株式会社と有限会社がある意味でいうと統合されます。それから、LLCそしてLLPの創設ということが同時期に起こるわけですが、例えばベンチャー企業の経営者にとって自らのビジネスモデルに則してどういう会社形態を選択をしていくのがいいかということについて、しっかりとこれは認識をしていただくように周知徹底していくことが私は必要だろうというふうに思います。その点について、関係省庁力を合わせていただいて分かりやすい説明をお願いしたいと思いますが、この点について法務省の御見解をいただきたいと思います。
  43. 南野知惠子

    国務大臣南野知惠子君) 先生御指摘のとおり、会社法案内容についてやはり周知徹底を図ることは非常に重要であろうかというふうに思っております。法務省では、従前より法律内容の広報活動につきましてはホームページの掲載、又はポスター、パンフレット等の印刷物の配布、又は立案担当者による各種雑誌への解説記事の執筆、これも大いに利用されているところでございます。主要都市での説明会の開催等を行うことを通じまして、その周知徹底を図ってまいりました。  会社法案につきましても、このような様々な施策を講じまして、その内容の周知徹底に遺漏のないようにやってまいりたいと思っております。
  44. 小林温

    ○小林温君 中川大臣にも同様の質問をと思ったんですが、時間もございません。また経済産業委員会でお願いをするとして、やはりこういう新しい法律を整備をさせていただいて、それを利用される方々がその法律改正の意図というものをしっかりと認識できるように、今までの周知のルートとは違った形で新しい考え方で、起業をされる皆さんにもアプローチをできるような取組を是非関係当局にお願いを申し上げまして、本日の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  45. 藤末健三

    ○藤末健三君 民主党・新緑風会の藤末でございます。経済産業委員をさしていただいておりますが、今日、この合同委員会に参加さしていただきます。  私は、今回の会社法につきましては、本当にこれだけ大きな法律改正された方々の御努力に本当に敬服を申し上げます。  ただ一方で、やはり抜けがあるんではないかということもございますので、その点、田村議員と同じでございますが、八百二十一条についての御質問。そして、大きなところから、一つは、今、この十年間ぐらい会社関係の法制度はもう本当に変わっています。ただ、どこに向かって変わっているかというのが全然見えない状況でございますので、本当にこの国にとってどのような会社制度、法人制度が必要かということについて議論さしていただきたいと思います。  そしてまた、三点目に、今回、会社法議論の中で、先ほども小林議員からもお話がございましたが、税法上、税務的な措置がどうなるか分からないという答弁、LLCにしてもそうですし、三角合併にしてもそうですが、税制上どうなるか分かんないという答弁がございますが、本当にこのような重要な法律を審議するときに、その裏付けとなる税制が全然分かんないという状況で本当に審議していいのかどうかということを是非質問申し上げたいと思います。  まず、資料をお配りしたので、是非皆様ごらんください。一枚めくっていただきまして、上の資料でございます。  先ほど田村議員から問題提起がございました、会社法八百二十一条でございます。細かい質問はもう既に終わりましたので、法務大臣にお聞きしたいんですが、八百二十一条を修正する御予定あるかどうかをお聞きしたいと思います。お願いします。時間がないんで。
  46. 南野知惠子

    国務大臣南野知惠子君) お答え申し上げます。  会社法第八百二十一条の趣旨は、外国会社を利用して日本会社法制を脱法する行為を禁止するというものでございますから、まず規定を置くべき合理性はあるものと考えておりますが、規定内容を考えてみますと、会社法における擬似外国会社の要件は、現行の商法における擬似外国会社の要件をそのまま平仮名にした、平仮名化したものでありまして、現行の商法におきましては擬似外国会社に当たらないものは会社法案においても擬似外国会社に当たらないという意味をもって適当であると考えております。  また、擬似外国会社に該当することとなった場合の法的効果としましては、現行商法の下では、判例によれば擬似外国会社はその法人格が否定されることになるのに対し、会社法案においては、擬似外国会社法人格は認めた上で具体的行為が擬似外国会社連帯責任を負うことになるという点で、取引相手方の保護として優れているという考え方がございます。  したがいまして、会社法の第八百二十一条については修正する必要はないと考えております。
  47. 藤末健三

    ○藤末健三君 一つお願いありますけれども、時間がないんで端的にやってください、回答は。  で、先ほどの答弁の中で、商法四百八十二条上擬似外国会社は禁止されているということをおっしゃいましたが、そのベースとなる判例が何年の判例か教えてください。急いでください。
  48. 寺田逸郎

    政府参考人寺田逸郎君) 大審院の大正七年の判決でございます。
  49. 藤末健三

    ○藤末健三君 大正七年の判例、ここにあります。片仮名ですよ、全部。今回の会社法改正会社法の近代化にあるんじゃないんですか、目標は。それを大正七年の判例に基づき解釈するということはどうですか。おかしくありませんか。お答えください。
  50. 寺田逸郎

    政府参考人寺田逸郎君) 会社法を新しくする際に様々なやり方があろうかと思います。もちろん、全く考え方を変えまして現代の考え方に沿って規定を直す場合には過去の判例を参考にすべきではないというのはそのとおりであろうかと思いますが、ただ、この擬似外国会社については実質的に内容を変える意図はありませんで、むしろ規定効果が不明確だという点を明確化するというところにポイントがあるわけでございますので、この点について、要件のポイントについての過去の判例を参考にするということは、これは一向におかしくはありませんし、また効果についても疑念が、この判決を前提に考えなきゃいけないということについては全くおかしいことはないんだろうというふうには思っております。
  51. 藤末健三

    ○藤末健三君 私は、大正七年の判例に基づき説明されることがおかしいと申し上げました。全然違うことお答えしている。  それと、是非この八百二十一条、皆さん読んでいただきたいと思うんですよ。日本に本店を置き、又は日本において事業を行うことを主たる目的とする外国会社は、日本において取引を継続してすることができない。前項の規定に違反した取引した者は、相手方に対し、外国会社と連帯して、当該取引によって生じた債務を弁済する責務を負うとあります。  先ほど田村議員からも御質問ありましたけれども、これを、簡単に読めばですよ、中国にある会社日本に来てビジネスをやりましたと、当然、日本の方がビジネスは大きいです、向こうが百万円、こっちが一億円だった場合に該当すると読めると思うんですよ。もう質問しません、これは。子供が読んでもそう思います、これは。それを法務省さんは独自の解釈をもって対応しようとしているんですが、司法が、裁判になった場合、皆さんがおっしゃるとおりになるということを確信しておっしゃることはできますか。おっしゃることができるならば、イエスノーでできると答えてください、この場で。お願いします。
  52. 寺田逸郎

    政府参考人寺田逸郎君) これは司法の問題と行政の問題がございますので、もちろん私どもが申し上げていることが一〇〇%司法で実現するかどうかということを担保すべき制度的な基盤はございません。しかしながら、これまでにいろいろ解釈されてきた司法の、司法の分野で解釈されてきたところを前提に今回、こういう改正をしたということを御説明申し上げているわけでございますから、司法の側でもそういう立法の際の経緯を十分にごしんしゃくされた上で御判断なされるものというふうに考えているところでございます。
  53. 藤末健三

    ○藤末健三君 大正に出た判例に基づき裁判所がやってくれるだろうということをおっしゃっているわけですよね、それは。それは全くおかしい話じゃないですか。はっきり言って、今おっしゃった答えは、責任持てませんということをおっしゃっているわけでしょう、司法は独立しているわけですから。この法案は必ず修正しなきゃ必ず問題が起きますよ。それは間違いない。その責任は、あなたは取らないかもしれないけれども、多くの方々が困ることになるんですよ、絶対。それは間違いないです。  金融庁、是非お聞きしたいんですが、具体的な、これは大久保議員からも五月の十六日でしたか、御質問ありましたけれども、この擬似外国企業に該当しそうな金融機関がどのぐらいあるかということを是非教えていただけませんでしょうか。
  54. 鈴木勝康

    政府参考人鈴木勝康君) 金融庁におきましては、基本的には外国銀行、外国証券会社外国保険会社商法も含め日本法律に従うものであり、擬似外国会社規定に違反しないという認識の下にそれぞれの業法に基づきまして免許や登録を行っており、この認識は変わっていないものと考えております。  ただし、今先生御指摘のように、先日の法務委員会で御答弁申し上げたとおり、外国証券会社四十社のうち三十社余りが自社が擬似外国会社とみなされる法的リスクについて懸念を有しているということについて承知しておる次第でございます。
  55. 藤末健三

    ○藤末健三君 その四十社のうち三十社が懸念を生じているという状況です。  聞いてください。その三十社というのはすごく大きな金融企業ですよね、当然ながら。今、日本株式市場で外国系の企業が持っている株式保有率は三〇%ぐらいになっていると。日々の株価の流動を見ると五〇%なんか行っているんですよね。それだけ大きな力を持ち、かつ政府として外国の資本を日本に持ってこようと、二倍にしましょうという話があるじゃないですか。そういう流れからすると逆行していると思うんですけど、いかがですか。もし、この外国系の金融機関が擬似外国企業とみなされた場合の影響について、金融庁の方、教えていただけませんか。
  56. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) お答え申し上げます。  先ほど、鈴木議官の方からも御答弁をさせていただきましたように、現在、私どもといたしましては、今の外国証券会社につきましてはそれぞれ業法に基づいて免許、登録を行っておりまして、商法を含めて日本法律に従うと、従っているというふうに考えております。  したがいまして、そういう意味での、何といいますか、認識が変わっていないといいますか、適法にやっているというふうに思っておりますが、証券会社によってはそういったリスクを感じているところもございますので、今般、先ほど法務省からもこの解釈についての、この規定についての解釈の見解が述べられておりますので、こういったことも含めまして、金融庁といたしましても、法務省それからその当該外国証券会社といろいろ相談をしてまいりたいというふうに思っております。
  57. 藤末健三

    ○藤末健三君 いや、今の答弁は、もし擬似外国企業になる、該当するとなれば日本では営業できないということですよね。確認です。いかがですか。イエスノーかでお願いします。
  58. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) 商法規定に違反したということになればそういうことでございますが、私ども、先ほど申し上げましたように、適法に免許あるいは登録をされているというふうに考えております。(発言する者あり)
  59. 藤末健三

    ○藤末健三君 答弁になっていませんね、もう本当に。  法務省の方にお聞きします。そうしますと、擬似外国企業とみなされた場合、その企業は、ここに書いてある法律のとおり、取引を継続することはできないわけですよね。いかがですか。イエスノーかでお答えください。
  60. 寺田逸郎

    政府参考人寺田逸郎君) 擬似外国会社ということになりますと、この新しい会社法案の下でもちろん取引を継続して行うことはできないわけでございます。
  61. 藤末健三

    ○藤末健三君 擬似外国会社として当たるかどうかの判断は司法が行うわけですよね。法務省にお聞きします。イエスノーかでお答えください。
  62. 寺田逸郎

    政府参考人寺田逸郎君) 最終的には裁判所の場で御判断になられる、具体的な事件になればそういうことになると思います。  しかしながら、まあ行政、ただいま金融庁の方からも御答弁ございましたけれども、現在免許を持っておられるという方々について免許を与えるについては、一次的には行政の方でも適法な会社形態であるということを審査されているぞというふうに私ども理解をいたしております。
  63. 藤末健三

    ○藤末健三君 そういうことは裁判になれば全く分かんないわけでしょう。この法律、この法案が通ればこの法案に基づいて裁判されるわけじゃないですか。だれが見ても今懸念している三十社は負けると思いますよ、僕は、法律に基づき裁判所は判断すれば。法務省に聞きません、判断する権限ありませんから。  いわゆる、皆さんにお聞きしたいですよ、国会の皆様に。こんな法律を通していいのかという話ですよ。どうですか。いや、本当に僕は良識的な問題として本当にお聞きしたい。(発言する者あり)済みません。ありがとうございます。いや本当に、谷垣大臣なんかは本当に弁護士されていたから、多分、御質問したいんだけれどもしません、本当に。常識的な判断をお聞きしたいんですよ。  この条文を読んで、今の日本活動されている外国金融機関が、三十社がもう活動できないんじゃないかとみんな言っているわけですよ。それを大丈夫です、大丈夫ですとおっしゃってもだれも信用しませんよ、本当に。(発言する者あり)いや、質問させていただきたいですが、どうぞ、もう不規則ですけど、大臣、どうですか、財務大臣個人としてはもう本当に、常識でお願いします、本当に。
  64. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 余り、個人としてお答えしますと、後、議事録で矛盾があると言われても困りますので、個人としてのお答えは差し控えたいと思います。
  65. 藤末健三

    ○藤末健三君 また、こういう、ちょっと話がそれますけれども、このような影響は、先ほど、今は金融企業だけで申し上げましたけど、ほかの産業分野でもあるわけですよ。当初申し上げましたように、日本の方が、活動しているうちに日本の方が主たる売上げを上げるようになった場合に、この八百二十一条に引っ掛かるということがあり得るわけでございますよ。その点についてどうかということで、いや、これはもう経済産業省で所管されているところで擬似外国企業に当たるようなものがあるかどうかをちょっと教えていただけませんでしょうか。
  66. 舟木隆

    政府参考人(舟木隆君) お答え申し上げます。  経済産業省におきまして、当省所管の産業の中で擬似外国会社に該当するものが何社存在するかということは承知をしておりません。経済産業省の所管業界に擬似外国会社があるかないかも含めて承知をしていないという状況でございます。
  67. 藤末健三

    ○藤末健三君 承知はされてないかもしれませんけれども、私は知る範囲ではあります、それは。  ということで、非常にこの影響が大きいこの八百二十一条につきましては、是非法案の修正を主張して、取りあえずはここは終わらさせていただきたいと思います。  続きまして、我が国における法人組織の在り方についてお話をさせていただきたいと思います。  このお配りしたペーパーの二ページ目の下にございます。これはこの十年の会社法関係の動きということです。細かいところは御説明できませんが、大きな動きとしましては、やはり規制緩和という流れに乗りまして、原則は決めるが細かいところは定款や契約で決めていいよという状況になっています。規制緩和の流れでございます。  ところが、この近年の日本企業の動きを見ますと、何が起きているかと申しますと、やはりどんどんどんどん株主の主張が強くなっているという状況です。例えば、日本の労働分配率、できた付加価値のうちどれだけが労働者に回るかというものを見ますと、二〇〇一年に六八・五%だったものが二〇〇四年には六三・六%、五%落ちているということで、働く社員にお金が回らなくなりつつあるという状況。また、経済産業省のレポートを見ますと、九八年に売上高に占める運転資金は八〇%だったものが二〇〇三年には六五%、一五%も運転資金安くなっている。これはもう人件費の圧縮になります。  そのような状況で、どんどん株主対策、株主をメーンにして、働く社員の方に圧力を加えるような状況になっているということを私は感じていますが、このような、今回LLCをつくられた、いろんな改正がありましたけれども法人組織の在り方についてこのような将来像があるというイメージを持ってやっているかどうかについてお聞きしたいんですが、法務省にお聞きしたいんですが、いかがでございますか。将来像を持ってやっているかどうか。お願いします。
  68. 寺田逸郎

    政府参考人寺田逸郎君) それぞれの国にはそれぞれの考え方がもちろんあるわけでございますけれども、世界共通の方向といたしまして、やはり会社がそれぞれの自分のやりたいことにふさわしい形態を選ぶ、その選択肢の幅というのを広げていこうという方向にあるというふうに私どもの方では理解をいたしております。  したがいまして、今回の会社法案におきましても、有限会社法株式会社に取り込んで規制をしているわけでございますけれども、その株式会社の枠の中で監査役を設ける、あるいは委員会設置会社方式を設ける、大会社においても中小会社においても様々な組織形態を選べるようになっていく、それが私ども一つのまずねらいであります。  第二に、この具体的な会社の法的な組織のほかに、事実上様々な意思決定の方法についてのやり方があろうかと思います。現在の会社法の下においても、例えば取締役のほかに執行役員というのを委員会設置会社でない会社においても実施しているところがあるというわけで、それなりの自由度というのを持っていろいろ工夫してやっておられるわけでございますし、また労働組合その他の働いておられる方の意思のくみ上げ方というのもそれぞれにいろいろ工夫をされてやっておられるわけでございます。  我が国においては、このような労働関係においては契約の分野ということで理解をいたしておりますけれども、それぞれの会社において十分工夫できるだけの余地というのは会社法の中でも残されているというように考えております。
  69. 藤末健三

    ○藤末健三君 結局、時間を取りましたけど、考えてないということをおっしゃりたいわけですね、今のは。何を言っているか全然分かんないですよ、はっきり申し上げて。  私が申し上げたいのは、株主、あと社員の方々取引先、あと社会とか、いろんな企業を取り巻くステークホルダーってあるじゃないですか、関係組織が。その中で株主に偏重しているんじゃないかということをお聞きしていて、かつ、将来、日本法人組織がどうあるべきかということを考えているんですかとお聞きしているんですよ。全然お答えいただいていないじゃないですか、さっきから全然。時間だけ減っていますよ。  私、ちょっと資料をお配りしたんですが、これドイツのシーメンスという、一ページ目の下にございますが、監査役会のメンバーというのをお配りしております。  今、先ほど局長から国際化を目指しとかグローバル化という話をおっしゃっていましたけれども局長がおっしゃっているグローバル化というのは、結局、アングロサクソンタイプじゃないですか、全部。自由にします、契約でやりましょう、フリーハンドを与えます。じゃ、株主以外の方々の権利などはどうやって保障するんですかというのをやはり考えていただかなきゃいけないと私は思います。  ドイツの事例を見ますと、そもそも日本商法はドイツの、明治にドイツの商法をベースにして作られたと聞いておりますが、ドイツの事例を見ますと、ドイツは株主と従業員が半々で監査役会、この監査役会というのは役員人事も決める組織でございますが、になるというような法律もございまして、是非とも、今どんどん株主の権限だけが強くなっているような法制度の在り方が正しいかどうかは法務省は多分考えていないんで、是非とも経済産業省に一度考えていただきたいと思うんですよ。  やはり、企業の競争力を強めるため、八〇年代、日本が強い日本型モデルということで終身雇用やいろいろやったじゃないですか、従業員のロイヤルティーが高いことが力になっていると。そしてまた、今回、経済産業省が発表されました企業価値研究会のレポートを読んでいましても、やはり従業員の力を引き出すようなガバナンスが必要だということを書いておられます。  私は一つお願いがありますのは、この日本企業の競争力を付けるためにどのような法人組織の在り方があるかと、制度の在り方があるかということを是非とも経済産業省に研究していただきたいと思うんですが、いかがですか、大臣。お願いします。
  70. 中川昭一

    国務大臣(中川昭一君) 企業がどこを目指すかということは、これはずっとその時代時代でいろんな議論があって、まあ十五年ぐらい前でしょうか、もっと配当性向を増やした方がいいんじゃないかなという議論を国会でやったこともございます。藤末委員は、配当性向よりも企業の体力、とりわけ人間力を付けろという御指摘、これ我々の経済政策、産業政策の中でも大いに柱でございまして、御意見は重く受け止めさせていただきたいと思います。  他方、企業の組織としてドイツのこのやり方というものも、先ほど、民事局長ですか、法律上はあり得るということでございましたので、これから企業がどういう方向を目指すかというのは基本的には、自由と言うとまた怒られるかもしれませんけれども企業の選択肢の判断の中でどういうふうに目指していくかという、ガバナンスの中の一つの手段としてそういうこともあり得ると、理論上だけではなくて実態上もあり得るということについて省内でもいろんな研究を現在しているところでございます。
  71. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非とも日本独自のやはり在り方、日本の文化とかに、やっぱり国民性があると思いますので、そういうものに根差した日本企業の仕組みを是非つくっていただきたいと思います。本当に大臣、よろしくお願いいたします。  また、法人制度につきましては、二ページ目のちょっと上の方のちょっと表を見ていただきたいんですが、これは日本法人制度を所管している役所、それぞれの法人制度に対して法律がございますが、その法律を所管している役所を書いたものでございます。これを見ますと、非常に多くの法人若しくは組合の仕組みがありまして、非常にばらばらに管理されているんではないかというのが私の印象でございます。  例えば非営利組織、今、日本では大体GDPの二%は非営利組織が担っているということでございますが、今、アメリカでは一五%が非営利組織、GDPの一五%を非営利組織が担っているという状況でございます。ですから、是非とも日本全体として法人制度がどうあるべきかという議論をやるべきではないかと。本当に会社制度を充実するだけでいいかどうかといいますと、やはり非営利組織をどうするかという議論も引き続いてございますし、また今回、LLPとLLCの議論がもう全く別に行われているということもございますが、やはり法人制度をきちんと全体図を見れるようにしていただきたいと思います。  例えば、カリフォルニア州でございますと会社法人法の中に組合も入れて全体的に設計されているという事例もございますので、もう法務省若しくはほかの省庁でも結構でございますが、何らかの形で、特に法務省に御質問したいんですけれども、全体的な設計を考えていただきたいということにつきまして回答をいただきたいと思います。お願いします。法務省にお聞きします。
  72. 南野知惠子

    国務大臣南野知惠子君) お答えを申し上げます。  関連する種々の法制を統一した観点から検討することが大切であるというふうに思いますし、先生がおっしゃっていた日本らしいというものは今我々が検討している課題であろうかというふうにも思っております。ただし、組織関連法と一口に申しましても、組織を形成する目的に合わせて取扱いを異にする必要性などから、それぞれの事項を所管する省庁において検討をする必要があるということもこれまた事実であろうかと思っております。  法務省としましては、民事法制に関する企画立案を行う立場から、視野を十分に広く持ちまして、各種法人を所管する省庁の相談に応じていくとともに、自らも必要な検討をしていきたいと思っております。(発言する者あり)
  73. 藤末健三

    ○藤末健三君 そうですね。いや、例えば先ほど、御声援いただきましたけれども内閣官房は今、社団法人、財団法人なんかの議論をされていますよね。そこに法務省が絡んでいないということがあるわけですけれども、その点などでいかがですか。局長、お願いします。
  74. 寺田逸郎

    政府参考人寺田逸郎君) これは公益法人改革ということで、現在、内閣官房でやっております。  これには二つの問題がございまして、つまり法人法制としての今現在あります公益法人、それから社団法人、財団法人、それから中間法人というものがございます。そのほかに、これに対してどう税制の優遇措置をどの部分についてどう与えるかという税制上の問題がございます。  これらがまたがる上に、そこの、現在の公益法人制度というのはそれぞれ各省が運営をするという形で行っております関係で内閣官房で取りまとめて公益法人改革を行っていると、こう理解しているところでございますが、最初に申し上げました法人法制がどうあるべきかという部分については、法務省としても主たる役割を担わなければならないということで、内閣官房にも具体的に法務省の方から出向をいたして検討の中心になっておりますし、今後も法務省自体といたしましても、内閣官房とこの部分については十分に御協議をさせていただき、御支援を申し上げたいというふうに考えているところでございます。
  75. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非とも関係省庁と連携していただきまして、本当に日本企業を強くするような法制度をつくっていただきたいと思います。  続きまして、会社法と税制の関係について御質問させていただきたいと思います。  私も、LLC、合同会社に関しまして、チェック・ザ・ボックス、法人課税と構成員課税の選択というのをやるべきじゃないかと思っておりますが、それは説明はもうお聞きしましたので申し上げません。  ただ、一つ重要なお願いがございまして、私がLLCを使いたいという企業から話を聞いていますと、実際にLLCを使って出資比率に応じない利益分配をした場合、例えば出資を一〇%しかしないけれども利益を六〇%もらいましたといった場合に、税務署から、これは利益分配じゃなく贈与じゃないかと言われるんじゃないかとすごく心配だと、怖くてなかなかLLCに着手できないということを聞いておりますが、そういうような問題がきちんとないようになっているかどうかということにつきまして、是非、財務省の方、お答えいただければと思います。
  76. 上田勇

    ○副大臣(上田勇君) お答えいたします。  今いわゆる利益、まあ出資額に応じない利益配分について寄附として扱うかどうかのルールについてのお尋ねということだというふうに思いますが、ただ、これ、柔軟な損益配分というんですか、出資比率と異なる配分を行う制度というのは、これが法律上、それが制度化されていることだからといって、それがいわゆる寄附金の問題等が生じないということではなくて、実際には、これはやはり個々の事例に、実態に沿って判断せざるを得ない部分があるんだというふうに思っております。  と申し上げますのは、これは確かに、いわゆる出資だけではなくて様々な、例えば技能であるとか技術であるとか、そういったことを評価した上で出資比率に関係なく利益配分ができるというようなことになっておりますが、それがいわゆる適正なものであるのかどうか、あるいはそれを悪用したいわゆる税金逃れなのかどうかというのは、個々のケースを判断しないと、それは判断ができないものだというふうに考えております。
  77. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非、利用者が分かりやすいようにマニュアルを法務省若しくは財務省さん作ってください。このままですと法律を作っても魂が入らず使われないと思いますので、是非とも利用者が安心できるように、どのような場合にどのような課税があるかということをきちんと示していただきたいと思います。  最後の質問を申し上げます。  冒頭に申し上げましたが、今回の会社法改正につきまして、例えばLLC、合同会社への課税は分かりません、三角合併への課税はどうなるか分かりませんということでお答えいただいているわけでございますが、本来、税制と会社法制度というのは表裏一体ではないかと考えます。  私、お配りしましたペーパーの三枚目をごらんください。これはデラウェア州、アメリカのデラウェア州、最も会社法制度が進んでいると言われているデラウェア州の会社形態を抜き出したものでございますが、その中にSコーポレーションというのがあります。下の表を見ていただきますと、このSコーポレーション、急激に数が増えていると。雇用の増大に著しく役に立っている。ところが、このSコーポレーションはどう定義されているかと申しますと、税制上のチャプターSという、税制上で規定されている企業になります。  そこで、大臣に、財務大臣にお聞きしたいんですが、このような会社法などの議論を行う際に、税制は後で考えますということで本当に審議していいかどうかということにつきまして、政治家としてお答えいただきたいんですが、いかがでございましょうか。
  78. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 委員がおっしゃいますように、すべての経済活動は税と関係がございますから、一つ一つの制度を議論するときに税とは無関係ではなかなか議論ができないというのはおっしゃるとおりだろうと思います。  ただ、他方、じゃ我が国の税制をどういうふうにして運用してきたか、あるいは改正してきたか、これは委員もよく御承知のとおり、予算とある意味では一体になりまして、各省から、あるいはいろんな団体からの税制要望を踏まえて、暮れの段階である程度整理をして、そうして通常国会に出してくるというやり方でずっとやってまいりました。  もちろん、会社法は非常に経済活動の重要な法案でございますから、税とは無関係で審議できないという御意見はよく分かりますが、事は会社法だけではなく、あらゆる経済活動、皆共通の面があろうかと思います。そうしますと、日本のこういう国会審議の在り方、税制のつくり方全般に関連してくる問題でございますので、私は、今まで日本がこうやってつくってきた方式自体、完全に時代後れのものとなったとは考えておりません。  ただ、やはりいろんな変化の中で何を考えていかなきゃならないか、こういうことはよく私も考えていきたいと思いますが、現在はそういうやり方でやっておると、またそれには一定の合理性があるということを申し上げたいと思います。
  79. 藤末健三

    ○藤末健三君 これはもう各委員に申し上げたいんですけれども、附帯決議で是非ともこのLLC制度に税制、小林議員がおっしゃったチェック・ザ・ボックスを入れるということを附帯決議に書いていただければと思います。これは国会としてできることでございますので、それを提案させていただきます。  もう時間がちょうど来ましたので、最後に申し上げますと、やはり八百二十一条は大臣の、南野大臣の政治的判断できちんと決めていただきたいと思います。これはお願いします、是非とも。そしてまた、会社法制度、いろいろな法人制度につきましては、この日本のやっぱり強さ、弱さ、そしてどのようなことが必要かということを考えた上で、場当たり的じゃない、一体的に議論をしていただきたいというのが二点目のお願いであります。  そして三点目に、先ほど谷垣大臣からお答えいただきましたが、やはりこの会社制度、法人制度と税制というのは表裏一体のものであるということをかんがみ、やはり年末に別途議論しますよという形じゃなく、何らかの形でリンク、連携して議論をできるような形にしていただきたい。そして、私は、この委員会において附帯決議として、合同会社に対する課税のチェック・ザ・ボックス、法人課税と構成員課税の選択制というものを是非書いていただきたいと思います。  以上をもちまして質問を終わらさせていただきます。  どうもありがとうございました。
  80. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 民主党・新緑風会の大塚でございます。今日は連合審査に時間をいただきましたことを感謝申し上げたいと思います。  衆議院法務委員会等の議事録も、それから参議院の法務委員会のこの審議が始まってからの議事録も拝読をさしていただきましたが、時間は衆議院の方、ちょっと短かったような気はしますけれども、しかしなかなか読みごたえのある議事録で、何といいますか、私もまだ国会経験約四年ですけれども、四年の経験の中でも内容のある審議がされているなというような印象は持ちました。ただ、積み残しの論点が一杯ありますので、是非積み残しの論点については参議院でしかるべく対応をさしていただきたいと思います。  とりわけ、参議院にこの法案が参ってからクローズアップされました、今日も議論されております擬似外国会社の話などは現に多くの方が疑問を持っているわけですので、ここは、孔子の言葉にもありますが、過ちを改めないことが過ちだという言葉もございますので、是非弾力的に御対応いただきたいと思います。  といいますのも、日本の官僚制度とか法律というのは、長く無謬性ということが一つの大きな価値だったわけであります。もうこれは、もう先輩の先生方には何か偉そうに申し上げるつもりはございませんが、その無謬性をもって日本の法制は大変信頼ができると。今日の中国とは全く逆に、中国は、発展しているけれども法制がくるくる変わるんでビジネスをやる上でも心配だという部分があるわけですが、日本は逆に、その無謬性がある時期、大変日本の発展を支えたわけでありますが、しかし今日、日本がこんなに混迷の度合いを増して変化に対応できなくなっているのは、その無謬性にこだわるがゆえでありますので、擬似外国会社の問題などは、これは、何かこれを修正したり削除することで不都合があるならいざ知らず、特に不都合がないならば、官僚の皆さんのメンツを守るために政治が海外からの信頼を失うという、国益を損なうような対応をするべきではないということを申し上げたいと思います。  いずれにいたしましても、擬似外国会社につきましてはもう多くの方が取り上げておられますので、私は、今日は財政金融委員会から参加をさしていただいておりますので、財政金融委員会の立場で幾つか確認をさしていただきたいと思います。  まず最初に、実は去年、私も財金で取り上げさしていただいた会計参与の問題があります。これももう衆議院でもたっぷり議論されておりますし、当院法務委員会の、参議院の法務委員会のせんだっての参考人の議事録も拝見すると、参考人の方もいろいろおっしゃっておられますが、改めまして、非常に私も重要な問題だと思っておりますので、まず冒頭に、会計参与のメリットとデメリットについて簡潔にお伺いをしたいと思います。
  81. 南野知惠子

    国務大臣南野知惠子君) お答え申し上げます。  会計参与につきましては、これは公認会計士又は税理士の資格を持つ方が取締役と共同して計算書類を作成する株式会社の機関でございます。特に、中小の株式会社の計算書類の適正さを確保しようとする制度でもございます。  したがいまして、会計参与を置くことによるメリットは何かとお尋ねでございますが、監査役を置かない簡素な機関設計の株式会社でありましても、専門家の関与した信憑性の高い、又は信頼性の高い計算書類を作成、開示することによりまして、取引金融機関等に対する透明性が増してくると。例えば、従来よりも有利な条件で融資を受けることができるというような点がメリットとしても考えられております。  また、お尋ねのデメリットでございますが、新たに導入する制度でございますので特段のデメリットを今想定しているものではございませんけれども、強いて申し上げるのであれば、取締役が単独で計算書類を作成する場合と比較いたしまして、時間とコストが掛かるようになる点が考えられる。コストの点もこの前も論議で出されておりましたけれども、しかしながら、現在でも事実上、顧問税理士等に計算書類等の作成をゆだねている経営者も多いというふうに言われておりますので、その点も大きなデメリットではないというふうに考えられます。
  82. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 昨年も財金でこの問題を取り上げさしていただいたのはBIS規制との絡みなんですね。BIS規制は、御承知のとおり来年から新しい規制内容に移行しますけれども、そうなりますと、各銀行が企業に対する融資の資産査定を行うに当たって各金融機関の内部格付制度というものを使って査定をすると、こういうことになるわけなんですけれども、その中で、実は金融庁は去年の段階金融検査マニュアルの見直し等の資料において、こういう表現を使っていたと思います。貸出し査定において、適切な財務諸表の作成、開示を行っている中小企業、零細事業者向け貸出しについては優遇する方向だと、実はこれが会計参与とリンクをしているんではないかということで財金で問題提起をさしていただいたわけであります。私も会計参与は制度としては肯定する立場ですので、問題は、これが仏を作って魂入れずにならないようにしっかり脇を固めさしていただきたいわけでありますが。  そこで伊藤大臣にお伺いをしたいんですが、これ、金融検査マニュアルで、この会社法制、仮に国会通過した後、どのような工夫をされて、適切な財務諸表の作成、開示を行っている事業者の皆さん向けの融資を優遇するということになるんでしょうか。
  83. 伊藤達也

    国務大臣(伊藤達也君) お答えをさせていただきたいと思います。  金融検査マニュアルとの関係でのお尋ねがございましたが、金融検査マニュアルの趣旨と、今回の会計制度が導入をされて、そのことによる企業金融の円滑化を図っていく、その有用性との関係というのは、私は方向性としては同一のものがあるんではないかというふうに思っております。  したがって、金融検査マニュアルを、これが導入されることによって改正をすると、そういう必要性は私どもは感じておりません。この制度が導入されることによって、中小企業財務諸表の質が向上していく、そうしたことに寄与していくと。そして、中小企業に対する担保保証に過度に依存しない融資の推進につながっていくということが期待をされているわけでありますので、そうしたことを踏まえた上で金融検査マニュアルも作成をされておりますので、金融機関においては貸出し先の財務状況あるいは資金の使途というものを的確に把握をしていただく。それのみならず、その企業の将来性でありますとか、あるいは技術力でありますとか、販売力でありますとか、そういう定性的な問題についても十分把握をして、総合的な観点から適切な融資が行えることを期待をいたしているところでございます。
  84. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 そうすると、確認ですが、昨年来、その適切な財務諸表を作成している中小企業向け融資は検査上優遇するとおっしゃっていたのは、何か検査マニュアル上明確な基準を設けるということではなくて、そういう財務諸表をもってきちっとした財務活動をやっている企業に対しては、例えば安直な担保提供を求めないとか、あるいは個人保証を求めないとか、そういうことを金融機関に対して要求をしていく、ないしは指導をしていくという、こういう理解でよろしいですか。
  85. 伊藤達也

    国務大臣(伊藤達也君) 今、正に委員が御指摘をされましたように、私どもとすれば、金融機関が適切に信用リスクというものを管理をして、そして融資先の定量的なものだけではなくて定性的なものについても総合的に勘案をして、その上で適切な融資が行われるということが重要であるというふうに考えております。  特に、中小企業の場合には担保保証に過度に依存しない融資を促進をしていくということは極めて重要でありますので、そうした融資を促進する観点からも金融検査マニュアルというものを策定をさしていただいて、そして今日まで二度改正をさせていただいているわけでありますし、過日の改正につきましてはそうした点を踏まえた改正を行わさしていただいているところでございますので、こうした趣旨に基づいて私どもとして検査で検証をしていきたいというふうに思っております。
  86. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 すべてについて事務方から御説明受けておられるわけではないと思いますので、御答弁、参考人でも結構ですよ。増井局長ですと、たまに口を滑らしてくれますので、いろいろ先々展開のある答弁をいただけるかもしれませんので。  と申しますのも、実は衆議院の議事録、そしてこの参議院での二回の議事録拝見して非常に気になるのは、会計参与を導入すると中小企業財務がいかにも好転する、ないしは経営状況がよりきちっと把握されていい方向に行くという議論ばかりなんですけれども、実は中小企業の皆さん、零細企業の皆さんは実態がよく分からない、財務あるいは資産、負債のですね。そういう方々が往々にしていらっしゃって、会計参与の方がきちっと仕事をすると、実はチェックをしてみたら財務内容は思っていたより悪かったということも起こり得るわけですよね。そこはそういう認識でよろしいですか。法務大臣、そういう認識でよろしいかどうかだけちょっとお伺いしたいんですが。いや、そういうケースも起こり得るということです、起こると言っているわけじゃないです、はい。それがつまり冒頭お伺いしたデメリットにもなり得るという意味でお伺いしているわけなんですが。
  87. 南野知惠子

    国務大臣南野知惠子君) 私個人としては、それがデメリットになるということではございませんが、更によく実態が調査できるという方向になるものであろうと思います。  そういう意味では、中小企業方々、やってみたらこれだったのじゃ、もう少し考えなきゃいけないねというふうに思っていただき、もっともっといい経営をしていただくことが一つのメリットになると思います。
  88. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 いや、大変すばらしい御答弁だと思います。  その経営状況、悪い経営状況であっても真実がきちっと明らかになって、情報開示をされて、経営者御自身が自分の健康状態を知るというのは大変いいことですので、これはデメリットではなくて私もメリットだと思います。  そこでお伺いしたいのは、そうすると、会計参与を導入した結果、よくよく財務をチェックしてみたら、今まで受けられていた融資が場合によっては受けられなくなることもあり得るということですよね。ここは伊藤大臣にお伺いします。
  89. 伊藤達也

    国務大臣(伊藤達也君) この制度を導入するということは、財務諸表の正確性あるいは信頼性というものを向上させていくということでございますので、そうした形の中で、私どもとしては中小企業金融を始めとして企業金融というものの円滑化が図られていくということを期待をいたしているところでございます。
  90. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 ここまでお伺いいただいて、何となく感じていただいている委員の先生方もいらっしゃるかもしれませんが、会計参与を導入するということで、これが査定において配慮をするということを去年から金融庁の皆さんおっしゃってきたわけですから、よもや会計参与が任意で設定をされているという外形基準をもってして、即その企業に対する融資は今までよりもランクを上げるとかそういう対応をするということではないですよねということをちょっと確認をさしていただきたいんですが。
  91. 伊藤達也

    国務大臣(伊藤達也君) 会計参与の税理士を活用するかどうか、それのみによって融資の実行が決められるものではないというふうに認識をいたしております。
  92. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 くどいようですが、これ本当に大勢の人が気にしていますので、もう一つ確認ですが。  ということは、同じような財務状況であるA社とB社が、片方には会計参与がいらっしゃって、片方にはいないことをもってして、この両社に対する融資の査定のランクが変わるということはないですね。いや、ほぼ同じような、同じような状況。
  93. 伊藤達也

    国務大臣(伊藤達也君) これは中身の問題でありますから、重ねてになりますけれども、その会計参与の、税理士の方を活用している、あるいはいない、そのことのみをもって融資の実行が決められるものではないというふうに考えております。
  94. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 伊藤大臣と谷垣大臣におかれては、去年の質疑、もうずうっと国会答弁しておられるのでこちらはよく覚えていますけれども、両大臣はそのときの質疑は覚えていらっしゃらないと思いますが、私がここでこだわってこれをお伺いしているのは、会計参与という制度には賛成です。そして、士業の皆さんが日本企業経営の近代化とか経済の発展に寄与されるということも大変すばらしいことで賛成でございます。  しかし、新しい制度には往々にして細部に悪魔が宿るという、竹中さんが好きな言葉ですが、こういうことがありまして、結局、そのときも申し上げたんですが、税理士の皆さんには試験組の方と国税のOBの方がいらっしゃるんですね。国税のOBの方でも非常にきちっとした仕事をされる方がいますので、私も一杯お付き合いありますけれども、十把一からげに物を言うつもりはありません。しかし、かつて札幌国税局長経験者が多くの企業との顧問契約を結んで、ほとんど仕事もしていないのに大変な収入を得て事件になったことがありましたので、会計参与という制度が金融庁の金融検査と結び付いてそういうふうに悪用されないようにしていただきたいということを改めてお願いをしておきます。  そして、それをきちっとやっていただかないと、せっかく何でも欧米のまねをする日本にしては珍しく世界に例のない会計参与制度というものを設けたのに、この会計参与制度自体のクレディビリティーを失うことになりますので、まあくどくど申し上げませんが、今申し上げた点についてきちっと対応していただきたいということについて一言御答弁いただいて次の質問に移らしていただきますので、お願いします。
  95. 伊藤達也

    国務大臣(伊藤達也君) この制度が悪用されるということでありますと、この制度の本来の趣旨というものを逸脱することになるわけでありますので、そうしたことがないように金融行政上として適切に対応していきたいというふうに思います。
  96. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 ありがとうございます。  それでは、昨日お伝えしてある質問をちょっと時間の関係もありますのでスキップをしながらさせていただきますが、法務大臣にお伺いをいたしたいんですが、衆議院でも問題になりましたが、今回のこの会社法制の現代化、政省令委任事項が非常に多いんですけれども、これはなぜでしょうか。
  97. 南野知惠子

    国務大臣南野知惠子君) 先生お尋ねの政省令の事項が多いということでございます。  確かに、会社法案におきましては、政令への委任事項が二十一、それから省令への委任事項が約三百ございます。しかし、政省令に委任されている事項はいずれも概して技術的、細目的事項でありまして、法律レベルで規定することが必ずしも適当とは言えない事項ということでございます。また、政省令への委任をしている各規定におきましては、その委任の趣旨範囲、政令で規定すべき事項の例示などが個別に行われております。さらに、政省令に委任されている事項のうち、組織再編時の会計処理などにつきましてはこれは国際的な基準の流れを、株主総会や取締役会の内部統制に関する事項につきましては実務の状況を、それぞれ踏まえて迅速かつ細やかな対応をすることが必要なものでございます。  このように、政省令に委任されている事項は委任することが必要かつ適切な範囲のものであり、私にとりましても問題はないものと考えております。
  98. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 大臣、この委任というのは、実施委任ですか、それとも、まさしく中身をそこで決めるという内容についての委任ですか。──いや、いいですよ。
  99. 寺田逸郎

    政府参考人寺田逸郎君) 今大臣から御説明申し上げましたとおり、委任事項にも様々なものもちろんございますけれども、基本的には、大本は法律で決まっておりまして、その詳しい中身について省令で定めるというタイプのものが多いわけでございます。  例えば、政令のレベルで申し上げますと、書面に代えて電磁的方法による情報提供を行う場合においてどういう手続で行うかということでございますが、これについては、今おっしゃった中で政令で改めて中身を決めるという側面が比較的多いものでございますけれども、先ほどの大臣申し上げました内部統制に関する事項などを見ましても、これは現在でも既に委員会等設置会社において求められているものでございますけれども、基本的には、当然内部統制ならこういうものが必要だろうというものを羅列するというタイプの省令事項ということになるわけでございます。
  100. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 これは、財金関係の法律でも政省令委任が多過ぎることは去年から何度か申し上げているんですが、今回、まあ大部な法律とはいっても、やっぱり余りにも多いと。そこで、委任が実施委任なのか内容委任なのかというのはこれ非常に大きな問題で、後者が余りに増えると法律というのは形骸化しますので、そういう意味では、局長にお願いをしたいんですが、これ政省令、これからつくられるわけですよね、まあ既に大分できていると思いますけれども。そのつくったもののうち何割ぐらいが実施委任で何割ぐらいが内容委任かという、結果はちゃんと我々に報告してほしいんですよ。それはお約束していただけますか。
  101. 寺田逸郎

    政府参考人寺田逸郎君) 委員がきっちりお分けになりましたとおり、実施委任、内容委任とそれぞれあるわけでございまして、まあその中間的な性格のものももちろんあるわけでございます。  で、どういうことを基本的に決めることを予定しているかということについては御報告をできる範囲で申し上げるということにいたしたいと考えておりますが、あとは委員長の御指示に従うところでございます。
  102. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 まあ、また後で大臣にもお願いをしますが、今の部分、重要な部分ですから、これを余り任せっきりにすると、結局、間違った法案を出してきて、条文が間違っていて、だれが読んでも間違っていても、条文で直すのをやめて内容委任のところで解釈で変えてしまえとか、こういう発想になっていくわけですね。政省令委任というのはあくまで原則実施委任であるべきであって、極力法律でこの場で中身を決めていくということをやりませんと、もう政治家は形式だけ整えるために本会議のベルが鳴ると何かたあっと出てきて賛成反対だけやって、中身は役所の皆さんが全部決めるということになりかねませんので、是非お願いをしたいと思います。  今基本的なことをお伺いしました。もう一つ基本的なことを是非確認をさしていただきたいんですが、それをお伺いする上で、大臣に御質問をさしていただきたいのは、予算委員会でもMアンドAのことについて私も質問をさせていただきましたけれども、その後、ポイズンピルとかいろいろ、いろんなスキルの話とか、一杯新聞やメディアをにぎわわしております。国会でも議論されておりますが、そのそもそもMアンドAに対する究極的な対策というのは何だというふうに大臣はお考えになっておられますか。
  103. 南野知惠子

    国務大臣南野知惠子君) 買収防衛策、これは株主共同の利益のために導入されたものでございまして、経営者の自己保身のために用いるものではありませんと、それが大きな大義名分でございます。経営者が究極的な防衛策を取ることによりまして株主買収者に対して株式を売却する自由が完全に閉ざされたとするならば、株主の利益を著しく損なうというおそれがありますから、このような防衛策は認められないということでございます。  したがいまして、究極的な防衛策というのが公開会社の経営者がどんな場合でも絶対に敵対的買収から逃れることができる方策という意味であるとするならば、そのような防衛策はありません。もっとも、公開会社株式の公開をやめて譲渡制限会社になれば、株式の譲渡について会社の承認が必要となりますので、その意味では、譲渡制限会社になることが究極的な防衛策と言うことはできるのではないかなというふうに思っております。
  104. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 まあ、ここは何かきちっとした解答がもちろんある世界ではないと思いますが、予算委員会のときにもいろいろ勝手にしゃべってしまいましたけれども、あの中で、幾つかの事例で、スティール・パートナーズ・ジャパン・ストラテジック・ファンドという、SPというところがユシロ化学とソトーというところをMアンドA掛けたとき、TOB掛けたときに失敗したという事例を御説明しました。これはその後も新聞等でいろいろ書かれていますが、早い話が、配当を物すごく上げたら株主が、じゃ買収には応じませんということになったんです。  これは私の私見ですが、究極的なMアンドA対策というのは、企業がどういうコンセプトで経営をやり、そしてそのコンセプトに賛同をしてくれる株主をきっちり集め、そして株主には相応の配当をするということをやっていれば、そう簡単に買収が成立することではないということなんです。  そこで、今大臣いいことをおっしゃったんですけれども、これをやれば大丈夫という策はないというのは全くそのとおりで、会社法制で許されている範囲で可能なポイズンピルを経営者が工夫すれば、また法の網の目をかいくぐってやってくるわけですね、その買収側は。これはもう技の競い合いですから。  そういう意味で、実は、財政金融委員会では伊藤大臣から画期的な御答弁をいただいたんですね。金融庁の様々な法制は、つまり禁止規定か許可規定か。つまり、法律に書いてあることはやっていい、書いてないことは一々役所にお伺いを立てろということなのか、法律でやってはいけないということが明記されていればそれはやっていけないけれども、それ以外は言わばやっていいという禁止規定なのか、どちらなんですかということをお伺いしたところ、原則としては禁止規定だというふうに御答弁いただいて、これはもう本当に画期的なことだと思うんです。  会社法制でも同じことをお伺いしたいんですが、法務省の所管している法律は今の定義で言う禁止規定ですか、許可規定ですか。ここは、大臣、御答弁ください。ここは官僚の出る幕じゃないです。大臣、御答弁ください。
  105. 南野知惠子

    国務大臣南野知惠子君) 何でも両面性を持っているんじゃないでしょうか。そういう意味では、禁止することもあれば、それは禁止しないこともあると思いますので、それは内容によりけりだと思います。
  106. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 いや、ここで拍手していただくと困るんですけれども。  それはある面そのとおりなんです。ただ、ただ、禁止規定と、私は原則禁止規定で行くべきだと思いますし、そうしないと日本の経済の活性化とか世界の変化に付いていくことはできなくなると思いますので、是非これからどの役所でも原則禁止規定ということでやっていただきたいんですが、そのときに、じゃ、法律に書いてあれば、で禁止していなければ何をやってもいいかというと、おっしゃるとおり、そうではないんですね。そこで実はコンプライアンスという話が出てくるんです。  コンプライアンスというと、すぐ法令遵守というふうに解釈しますけれども、法令なんてあの言葉の中にはどこにも入っていないんですね。企業倫理もこのコンプライアンスの概念の中に入っているわけであります。したがって、法律で禁止されていないからといって、これはやっていいかやって悪いかということは、まさしく買収側の良識に懸かっているわけでありまして、そういう意味では、そういう企業間の独自の自発的な交渉にゆだねればいい部分でありますので、原則は禁止規定、しかし何をやってもいいわけではないということは企業独自で御判断されることだという、こういう御答弁でよろしいですね。ちょっと確認を取りたいんです。それでいいとおっしゃってください。
  107. 南野知惠子

    国務大臣南野知惠子君) そのとおりだと思います。
  108. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 ありがとうございます。  実は本当に大事な答弁だと思いますよ。これは議事録に残りますし、相当多くの企業の方がこの部分読むと思いますので。  さて、大分時間も迫っておりますので、これは局長で結構ですので簡潔に御答弁いただきたいんですが、そもそも日本会社法制は、答えを先に申し上げてしまいますと、私は専門家ではないですが、商法と証取法と税法のこのトライアングルの中でなかなか難しい問題があるというふうに言われてきているわけですが、そういう巷間言われていることを踏まえて、日本会社法制の構造問題についてちょっと簡潔に、中学生でも分かるような感じで説明していただきたいんですけれども
  109. 寺田逸郎

    政府参考人寺田逸郎君) 構造問題とおっしゃるけれども、問題というのがどういう趣旨かということを必ずしもちょっと理解できかねますので、あるいは不正確なお答えになるかもしれませんけれども日本会社であれどこの会社であれ、会社法制というのは基本的に組織規定でございます。元々、取引の原理原則を決めます契約法で組合形態のような組織を認めることができるわけでありますけれども、これに法人格を与えるということで、これは先ほどの委員の御質問にも関係するわけでございますけれども、基本的には強行規定の比較的多い組織規定というのがいろいろできることになるわけでありまして、日本会社法制はそれに当たるわけであります。  会社の特徴といたしましては、有限責任性がございますから、これは当然のことながら様々な規制というのも置かなきゃならないわけでございますが、他方、株式会社というのは会社の究極的な発展形態でございまして、資金の調達先を自由譲渡を基にした株式単位というものにしているわけでありまして、そこが非常に大きな特徴でありますが、この株式というのは、組織の出資形態であると同時に、有価証券という形で多くの市場というものを前提にして成り立っているわけであります。そこで株式会社法制と証券法制との接点が出てくるわけでございまして、ただ、日本の場合には、株式会社法制と証券法制を一応分けて、つまり会社法制の中には上場会社というような概念は一切出てこないわけでございますが、その点については証券取引との関連で証券取引法の方で様々な規制をされ、さらに、上場を具体的に担保されております証券取引所の内部ルール等もあって全体的な会社法制というものが成り立っているわけであります。  それにさらに税の問題が加わるということでございますけれども、私どもといたしましては、この証券法制との関連ということについて一応の伝統的な考え方を取っておりますけれども、これについて、大会社というものは事実上は上場企業でありますので、その上場企業に対する規制をこの証券市場のルール、市場の機能というものの面から考えていくか、あるいは組合から発展いたしました組織の面から考えていくかという非常に大きな考え方の問題は残されているというふうに考えております。
  110. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 ちょっと私には難しかったですが。  いや、今日は、冒頭申し上げましたように、財政金融委員会の立場で参加させていただいておりますので、そういう観点で伊藤大臣と谷垣大臣にお伺いしたいんですが、なぜ日本が不良債権問題を十数年にわたって抱えたかということの背景には、商法と証取法の関係、商法と税法の関係が影響していたわけだと私は思うんですね。その部分をお伺いしたいんです。  伊藤大臣と谷垣大臣、両方にお伺いしたいんですが、それぞれ商法と証取法、商法と税法において、どういう構造問題が日本の不良債権をここまで一時期増加させてしまったかというのはどのようにお考えになりますか。
  111. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) ちょっと、不良債権処理と税法、商法、証取法の関係というのにちょっと頭が整理できないで答弁に立ったわけですけれども、この三つの制度はそれぞれ独立性もあり関連性もあるわけですね。  関連性というのは、税法の場合には、やはりその期の利益をどういうふうにとらえていくかというのが一番根本にあるわけですが、要するに、それをやる場合に、余り、例えば減価償却というような内部の問題が恣意的に行われては困りますので、どうしても株主総会で報告、承認されたものを基礎にしていくという確定決算主義がそれに付いてくると。そういう意味で、決算の在り方ということで証取法や商法と税法は密接な関連を持ってくるということだろうと思いますが、他方、それぞれの目的はやはり違うと思うんですね。  商法債権者保護であったりあるいは株主保護ということが一番の目的だろうと思いますし、証取法は、何というんでしょうか、投資者を保護していくというのが証取法の目的だろうと思います。税法の方は、やっぱり税制の中立と、やはりきちっと税も集められなければ困りますから、言うなれば、何というんでしょうか、確定決算主義のようなものをあんまり強く、基本にしながらもあんまり強く取っていきますと、税が集まらないというような、あるいは不公平が出てくるというようなことがございますので、それぞれの独立性があると思います。  ただ、それが不良債権問題とどうかかわってきたのかというと、ちょっとどうお答えしようかと迷いながら答弁したんですが、なかなかちょっと私、今ここで自信のあるお答えはできません。
  112. 伊藤達也

    国務大臣(伊藤達也君) 大変難しい御質問をいただいたというふうに思っております。  不良債権問題と今御指摘あった三法との関係で、構造的な問題がどこにあるかと。私からなかなか明確な答弁をすることができないところがあることはお許しをいただきたいというふうに思いますが、私どもとして、金融を再生し不良債権問題を解決をしていくために金融再生プログラムの中で特に重点を置いたのは、資産査定というものを厳格化していく、そして資本を充実をしていく、そしてガバナンスの向上と、この三つの視点というものを大切にしながら不良債権問題の解決に取り組んできたわけであります。  そうした観点からいたしますと、先ほど財務大臣からお話がございましたように、リスク管理というものをしっかりやって、そして適切な財務諸表というものを構成をしていくということは極めて重要なことでありますし、また証取法との関係の中で、あるいは商法との関係の中で、そのガバナンスというものを向上さしていくための様々な制度というものが設けられているわけでありますから、こうした趣旨というものをしっかり踏まえた上で対応していくということは重要なことだろうというふうに思っております。  商法は、もう言うまでもなく株主に対する保護というものを一つ目的にしているというふうに言われておりますし、また証取法は投資家保護ということを一つ目的にしているというふうに言われているわけでありまして、で、それぞれの法律において、趣旨目的に照らして必要な規定が定められておりますから、その関係を一概に論じることは難しいというふうに思いますが、いずれにしましても、商法とそして証券取引法というものは密接な関係にありますので、この両者が有機的に機能を発揮することが極めて重要であるというふうに思っております。  私どもとしては、今後とも、商法を所管する法務省と十分連携を取りながら、投資家保護あるいは株主の権利保護、こうした観点から適切な私法制度の構築に努めていきたいというふうに考えているところでございます。
  113. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 私も、別に税理士さんや公認会計士さんであるわけではないですので、金融界の、元金融界の人間としてちょっと認識を申し上げて、この点、会社法制の現代化の中で本当はちゃんと処理していただきたかった、ないしはこれからも検討していただきたいということを申し上げておきますが、証取法と商法の関係においては、御承知のとおり商法債権者、証取法は株主を、投資家を重視しているものですから、どうしても期間損益に重視を置いた法律が証取法なんです。だから、その期間に実現する費用、収益を計上するということで、損益計算書を中心の言わば法制で企業、銀行を縛っちゃったものですから、不良債権というものが期間損益の中で明確に認識されなかった時期が長く続いたんですね。  片や、税法と商法の関係においては、御承知のとおり税制優遇、例えば損金になる場合はこれ会計帳簿に記載しろということで、例えば無税償却になるような場合は全部帳簿に記載していくと、一つは、商法上の財務諸表と税法上の別段の定めとか経理要件というものを加味して出てきたものが実態から懸け離れちゃって、経営者も、無税償却の部分だけが算入された財務諸表を見てまず実態が分からないという問題と、有税になる部分については会計帳簿に記載しないで長い間たなざらしにしたわけです。  その結果、不良債権があれだけ大きくなるまで表に出なかったという、実はこの日本会社法制が、商法と証取法と税法と、まさしく今、谷垣大臣がおっしゃったように、それぞれの目的を持ってばらばらの動きをしている部分があるものですから、金融界の、元金融界の立場から言わしていただくと、不良債権問題をここまで大きくしてしまったと。  そういう意味では、今回の会社法制の現代化において、例えば日本の税法と商法の関係、アメリカのように納税申告するときに税制対応してもらう部分を別途申告調整するような制度に改めるとか、何かその三法間の調整をして出てくるのかと思ったら、残念ながら全くそういう調整は行われていないという点においては不十分な部分があると思いますので、その点は今後の課題としてかなり大きな問題だと思いますので、そう短兵急には片付かないと思いますが、是非御対応をいただきたいと思います。  それからもう一つ、今日は時間がなくなりましたのでもう御答弁はお伺いしませんが、経産省や金融庁にお願いしていた機関投資家の持ち株比率ですね。実は、この人たちが株主の代理人としてどういう株式総会において行動を取るかというのは、日本にとって非常に、日本企業にとって大きな問題になってきているんです。で、この機関投資家というのは往々にして、代理を受けて、委任を受けて株主の権利を行使するべき立場にありながら、実際はその発行企業の大株主であったりするわけですね、その機関投資家自身が。信託銀行を考えていただければ分かりやすいです。だから、その機関投資家を通じて小口で投資している株主と、大口で、さっき私が究極的なMアンドA対策というところで申し上げたような安定株主とが全く同じような株主として扱われる、そしてその間に介在する機関投資家をだれも制御できないというところが非常に大きなこれは積み残しの課題ですので、これはまた財政金融委員会で是非議論をさせていただきたいと思います。  最後になりましたんで南野大臣にちょっとお伺いをしたいんですが、五月十三日の衆議院法務委員会で、まあ今回、会社法制現代化されるわけですから、これに関連する法案や動き、例えば郵政の民営化法案についても、法文上は会社法案前提として作成されているものと思いますという、こういう御答弁をされておられるんですが、いや、それでいいんですよ、そのとおりだと思うんですが。  そこで、今日は内閣府においでいただいていますので、ちょっと郵政に絡めて一つ確認をさしていただきたいんですが、まず、郵政公社の今の監査人と、郵政公社が民営化された後の監査人はどういうふうになる予定か、事実関係だけ教えてください。
  114. 中城吉郎

    政府参考人(中城吉郎君) お答え申し上げます。  現在の日本郵政公社の会計監査人でございますけれども、これは日本郵政公社法第三十一条に基づきまして、事実関係としましては、平成十五年にはあずさ監査法人、第二期は中央青山監査法人が会計監査人になっているというふうに承知しております。  それから、民営化後の会社の会計監査人ということでございますが、日本郵政株式会社、郵便事業株式会社、郵便局株式会社、郵便貯金銀行、郵便保険会社、これらいずれも商法規定に基づいて設立される株式会社であるということでございますので、これらの会社については、会社法規定によりいずれも会計監査人を置く必要があるというふうに認識しております。
  115. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 今、衆議院で審議中の郵政法案ですが、この会社法案にのっとって設立されるとすると、この新しい会社法の二十八条第一項第二号、「株式会社の成立後に譲り受けることを約した財産及びその価額並びにその譲渡人の氏名又は名称」が定款に記載されなければならないと書いてあるんですね。そうすると、譲り受けることを約した財産及びその価額というのが正確に分からないと、まず定款が作れないんですね。  したがって、今の公社の監査法人なのか、新しい監査人がそれをやるのかどうか分かりませんが、まず、二つお伺いして最後にしますが、今現在この価額等が明確に分かっているのかということが一つ。  それから、会社法の三百九十六条の第一項第四号に、子会社は、正当な理由があるときは、財務諸表等の報告又は調査を拒むことができると書いてあるんですね。つまり、郵政でいうと、持ち株会社の下に子会社ができるわけですから、この子会社のバランスシートの詳細を調査しようと例えば親会社が言ったときにそれを拒むことができるという、これはどういう場合に拒むことができるのかということについては、これは局長で結構ですので、一番目の質問は中城さん、二番目の質問局長にお伺いして私の質問を終わらせていただきます。
  116. 渡辺孝男

    委員長渡辺孝男君) 答弁は簡潔にお願いいたします。
  117. 中城吉郎

    政府参考人(中城吉郎君) 現在の会社の資産、公社の資産につきましては、公社になるときにそういう会計検査、会計監査人の調査が詳細に行われたと聞いております。  それから、民営化に際しましては、承継計画を作る際にそうした各会社の資産というものについてそういった調査が行われるというふうに承知しております。
  118. 寺田逸郎

    政府参考人寺田逸郎君) 会計監査人としては自分の会社の会計状態を、経理状態を知らなきゃいけないわけでございまして、その際に子会社財務状況を知らなければならないという必要が生ずる場合がございますが、他方、子会社はこれまた、一般的に申せば独立した会社でございますので、当然自分の会社の秘密等いろいろあるわけでございます。したがいまして、そういうことを勘案して、正当な事由があるときは拒めることができると、こういう趣旨規定でございます。
  119. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 これで終わります。ありがとうございました。
  120. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 公明党の浜田昌良でございます。  本日は、会社法及びその関連整備法の連合審査でございますが、私からは先日の本会議代表質問指摘させていただきました五つの視点のうちの三つについて、深掘りをさせていただきながら質問をさせていただきたいと思っております。  まず第一には、この会社法制が中小企業にとって役立つ法制なのかどうなのかという点でございます。この点につきましては、今し方大塚議員の方から会計参与というものが悪用されるかされないのかという視点も御指摘がございました。私自身は、この会計参与をいかにうまく使っていくのかと、その点を発揮させていきたいと、その点がこの会社法制が中小企業にとってプラスになっていく大きな点ではないかと思っております。  現在、この外部監査を受ける義務がある企業は、資本金五億円以上か負債額二百億円以上の大企業でありまして、従来から中小企業財務会計のどんぶり勘定といいますかその不正確さが金融機関の貸出し姿勢を消極化させ、その資金繰りの困難さを助長してきたと言われておりますけれども、よって、この会計参与の活用によりまして金融機関からの融資が受けやすくなる、また新規の取引先の信用を獲得しやすくなると、その効果をいかに発揮させるかという点がとても重要だと思っております。その意味では、この会計参与をうまく活用していく一つのガイドラインというものが重要かなと。  そういうことで、この関連でまず経済産業大臣にお聞きしたいと思いますが、現在、日本商工会議所、また公認会計士協会、税理士協会等四団体が、中小企業会計の透明性向上に向けて中小企業の会計に関する指針の策定作業に入っていると、こうお聞きいたしましたが、その準備状況、そしてその期待される効果はどんなようなものでありますでしょうか。お聞きします。
  121. 中川昭一

    国務大臣(中川昭一君) 今、浜田委員指摘のように、今回の会社法の現代化、とりわけ経済産業省の中で中小企業にどういう影響があるのかと、いい影響になるようにということで御質問いただいておりますが、我々も全く同じ考えでございます。  そういう中で、中小企業の会計に関する指針というものについての御質問ですが、そもそも中小企業庁として中小企業の会計という一つの考え方を平成十四年にお示しをしたわけでございますけれども、その後、法人税法を念頭に置いて日本税理士会連合会が中小会社会計基準というもの、あるいはまた公認会計士協会が企業会計基準との差について説明した研究報告というものを出しておりますけれども、これらを統一したものにしていくということで税理士連合会、公認会計士協会、それから商工会議所、それから企業会計基準委員会、この民間四団体が今御指摘の指針の策定に着手しております。  この指針は、統一して、そしてまた中小企業の経営の向上に資するという観点から統一の作業が進められておりまして、一般からの意見募集をした後、今年の夏をめどに取りまとめられる予定というふうに考えております。
  122. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ただいま御答弁ございましたように、この中小企業会計のガイドラインは平成十四年以来の大作業でございまして、なかなか公認会計士協会、また税理士協会の方での考え方が一致しなかったわけでございますけれども、この会社法制の現代化と相まって、今年の夏に統一化されていくというタイミングになっておりますので、是非この二つを車の両輪として使っていくことが重要かなと思っております。  それで、再度、経済産業大臣にお聞きしたいと思うんですけれども、この中小企業が透明性の高いガイドライン、会計指針を普及を行っていく上で会計参与をうまく使っていく、そういう考え方が重要と考えますが、この点について再度御答弁お願いします。
  123. 中川昭一

    国務大臣(中川昭一君) 先ほども会計参与について議論がございまして、法務大臣から、メリット、あるいはまた若干負担になるコスト、時間等という御説明がありました。  中小企業サイドから見ますと、これはもちろん任意ではございますけれども、内部にこういう会計の専門家の方が入っていただくことによって、今、浜田委員からも御指摘があったように、一つのある意味では専門家による情報というものが調査あるいはまた審査されるわけでございますから、これによって、例えば信用、その企業に対する信用、あるいはまた、その企業に対してのいろいろな融資等のいろいろな態様に対してのメリットがあるということで、これを活用することによってその企業にとっていろいろなメリットが期待されるというふうに考えております。
  124. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ただいま御答弁いただきましたように、この会計参与制度、先ほど大塚委員の方からは悪用されないかという点もございましたけれども、いかにうまく使っていくかということをこれからいろんな環境整備をしていくことが重要と思っております。  従来、中小企業は包括根保証であったりとか個人保証の融資が大勢を占めておりまして、私はこの新しい会計指針と会計参与制度の導入で中小企業金融の透明性が増大いたしまして、個人保証に依存しない融資拡大に資するものであると、そう確信しているわけであります。しかし、実態は、先般の中小企業白書にもありましたように、中小企業が融資を申し込む場合には八割方が個人保証を求められるというのが実態であります。  先週、悲惨な数字が発表になったわけでありますけれども、それは昨年の自殺者の数字でございまして、三万二千三百二十五人と、九八年以来の七年連続の三万人台でございますけれども、その急増の背景には大体四十五歳から六十五歳の男性が多いと。この方々のその自殺原因の半数がいわゆる経済問題というわけであります。その内訳では、負債、借金が最も多いというわけでございます。  中小企業研究所の調査結果によりますと、倒産した経営者の七割が負債整理のために自宅を売却いたしておりまして、四割が個人破産に追い込まれていると。前も経済産業委員会でも言ったんですけれども、昔は商売というのは七転び八起きと言って、経験をしながら大きくなっていったんですが、最近はイチコロと言うらしいですね。いったん個人破産をすると、なかなか銀行は貸してくれないと。こういう悪循環を変えていくためにも、今般のこの中小企業会計の新しいガイドラインと新しい会計参与制度をうまく使っていくと、悪用ではなくて、それを是非経済産業大臣、また法務大臣にお願いしたいと思っております。  そのことをお願いいたさせていただきまして、次の視点でございますが、この第二の視点、会社を起こしやすい法制となったかどうかという点について質問を移らせていただきたいと思っております。  代表質問では、最低資本金規制の撤廃と資本の充実、債権者保護の両立の在り方について質問させていただきました。法務大臣からの御答弁は、財産状況の適切な開示により債権者を保護しつつ、資本の充実の原則に基づくこれまでの規律を維持すると、そういうことでございました。  そこで、再度法務大臣にお聞きしたいと思うんですけれども債権者保護のための財産状況の適切な開示とは具体的にどのような情報の開示を考えておられるのか。また、資本の充実に基づくこれまでの規律とは具体的にどんなルールを法定して今回おられるのか、御答弁いただきたいと思います。
  125. 南野知惠子

    国務大臣南野知惠子君) 御答弁申し上げます。  まず会社法案では、債権者保護のための財産状況の適切な開示の制度といたしまして、債権者が、株式会社の過去五年間の事業年度に係る、一つとしては貸借対照表や損益計算書等の計算書類、もう一つ事業報告等の閲覧や謄抄本の交付を請求することができる制度というものを設けております。  次に、資本充実の原則についてのお尋ねもございましたが、この原則は出資に際しまして計上される資本金の額が出資された財産の価格以下でなければならないという原則であると、これも理解いたしております。資本充実の原則に基づく規制、規律としましては、金銭払込原則一つ、もう一つは現物出資における検査役の調査制度、さらに三番目は、現物出資された財産の価格が不足する場合のてん補責任などがございます。これらにつきましては、会社法案においても現行商法と同様に維持することといたしております。
  126. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ただいま御答弁いただいたとおりなんですけれども、ところで、この最低資本金制度は一九九〇年には今回とは逆に引き上げられているという実態があったわけでございます。  そこで、法務省事務局にお聞きしたいと思うんですが、一九九〇年に最低資本金を引き上げた趣旨というのはどうであったのでしょうか。
  127. 寺田逸郎

    政府参考人寺田逸郎君) 平成二年に確かに現在の商法の下において株式会社は一千万、有限会社は三百万という最低資本金制度を導入したわけでございます。これは、それまで長く大小会社区分立法も目指してきたわけでございますけれども、どうしても日本会社というのはその会社にふさわしいだけの規模の資産というのを持っていない。それを誘導しつつ、大会社は大会社にふさわしいなりの体裁を整えていただき、あるいは中小会社は中小会社なりではあるけれども、それ相応規模の資産を持っていただくためには、その外枠であるところの、観念的な数字ではありますけれども、資本金というのを一定程度の額に設定して、それ以下の資本金ということでは会社設立というのは認めないと、こういう政策判断に立ったわけでございます。  そのことを当時も申し上げたわけでございますけれども、その後経済産業省の方でそれについての特例等を設けられて今日に至っているところでございます。
  128. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 今御答弁いただきましたように、平成二年のときにはそれ相応の資本、資産がないという企業、いわゆる泡沫企業というのが、実態が増えてきたということを受けて、有限会社及び株式会社の資本金を引き上げるという事態があったわけでございますけれども、そういうことを考え合わせますと、今回最低資本金をいわゆるなくしていくということと併せて、この泡沫企業乱立対策、防止対策というものは十分に取られているのでしょうか。再度お聞きしたいと思います。
  129. 寺田逸郎

    政府参考人寺田逸郎君) 今申し上げましたとおり、最低資本金を設定したわけでございますけれども、しかしながらこの最低資本金の金額というのはあくまで観念的な数字でございまして、もちろん設立当初には出資金の払込みがなければできませんが、その後その企業に一千万、三百万という最低資本金があるかのごとく表示はされますけれども、しかし実際にその資産を確保するという義務はないわけでございますので、なかなか規律としてうまく機能しないんではないかという声が上がってきたわけでございます。  それに基づく一つの解決策が、先ほども申し上げました経済産業省における中小企業向けの、五年間に限ってでございますが、一円でも設立できるという制度でございます。この制度もある程度実績が上がってきているわけでございますけれども、それほど大きな弊害はないというように私ども経済産業省の方からも伺っているわけでございます。もちろん、全部が全部成功例ではないけれども、しかし最近の業を起こす起業の実態から考えますと、必ずしもその資本の額だけが大きいというのはその正しい規制方法ではないんではないかというような声もまた関係者の間にも強まってきたわけでございます。  そこで、今回、こういうことをいたすわけでございますが、しかしながら、今委員も御指摘のように、これを、これ、つまり最低資本金の規制を撤廃することによって世の中に全く会社の実体がないものが増えてはならないわけでございまして、そういう点の目配りはしていかなきゃならない。私どももその点については十分委員の問題意識を共有するところでございますけれども、具体的には、しかしながら、現在の会社法にもあり、またこれも会社法案にもありますが、取締役は第三者に対して個人として違法行為について責任を負う制度がございますし、また判例においても法人格が全く形骸化しているような企業については法人格否認の理論で債権者が保護されるという面もございますので、必ずしも泡沫会社が乱立するというような事態に至るということはない、それは避けられるんではないかなというように考えているところでございます。
  130. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 是非目配せを引き続きお願いしたいと思っております。  今の御答弁でも引用されておりましたが、経済産業省では、平成十五年二月以降、中小企業挑戦支援法という特例によりまして設立されました企業が二万社を超えると、こういう実態になっております。一方で、この二万社のうち増資に成功いたしまして株式会社の一千万、また有限会社の三百万を達成した企業がいまだ千七百十三社、全体の七・二%にとどまるというふうに聞いております。  今回、会社法自体が改正されまして、最低資本金規制がなくなるわけでありまして、よって従来のこの五年のうちに最低資本金を満たさなければならないと、この義務がなくなってしまうんだと思うんですが、しかし、その一応の目標を持って増資を目指してやってきたという企業に対していつまでもだらだらと存続していくのもいかがなものかと思うわけでございます。  そこで、経済産業省にお聞きしたいと思うんですが、この平成十五年二月以降、中小企業挑戦支援法の特例で設立されました最低資本金に満たない株式会社はどのような形で移行することとなるのかと。会社法改正による最低資本金規制の撤廃があっても、当初の目的の達成ができない会社は解散を指導するということがあってもよいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  131. 中川昭一

    国務大臣(中川昭一君) 今、浜田委員から九〇年に最低資本金の最低額がアップしたという経緯がございましたが、この九〇年というのは正にバブルが崩壊し、景気低迷、そしてデフレの時代に入ってきて、今から考えると冷え込んでいるときに規模の大きさを求める改正をしたと。日本の経済政策、産業政策からいいますと、先ほどお話ありましたように、いったん駄目になった経営者が二起き、三起き、八起きできにくいという制度が元々制度になっておりまして、そしてやっぱり日本経済が活力を取り戻す一つの大きなメリットというのは、廃業者数よりも起業者数が増える、業を起こす会社の数の方が増えているということが日本経済が発展している一つの大きなメルクマール、また起業意欲の、経営者の意欲の一つの大きなインセンティブだろうと思います。  そういうことで、平成十五年から最低資本金制度の特例ということで、直近の数字では二万五千社、資本金一円という企業が千五百社ということで、トータルとしてはこれが起業、まだまだ起業数が廃業数を下回っておりますけれども、貢献をしているというふうに思っております。つまり、企業というのは中身の問題であって資本金の規模ではないという、当時とある意味では逆の考え方によって日本経済の再生という選択を取っているわけでございます。  他方、これは五年の間にその最低資本金に達しないと、御指摘のように廃業と、解散ということが制度として組み込まれていて、いつまでも一円あるいはまた百万円、二百万円でいいですよということではないという一つのリミットを付けておりましたけれども、今回の会社法改正、現代化におきまして、株式会社、有限会社の区分の撤廃とか最低資本金制度の撤廃とかいうことに移行いたしましたので、当初の特例がこの法律改正によって本法の中に組み込まれていったというふうに理解をしております。つまり、資本金の多少によって企業の信用なり、あるいはまた債権者保護が毀損されることがない、影響されることがないというふうにこの改正理解をしておりますので、そういう観点で、達しなくても、改正によって五年で解散という特例措置の特例も消えていって、解散しなくていいというふうになっていくというふうに理解をしております。
  132. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 まさしく、これからは起業が、起業というか開業が重要であると、その趣旨は賛同するところでございますので、是非つくられた企業のソフトランディングがうまくいくように、それが泡沫企業という形で残っていくんではなくてうまく、企業は別に形じゃなくて中身だと思っておりますから、その資本金の中でうまく運営されていくように御指導をお願いしたいと思っております。  次に、三つ目の視点でございますが、先ほども既に小林委員、また藤末議員からも指摘がございました、有限責任社員のみで構成される合同会社、いわゆるLLCについての質問に移りたいと思います。  まず最初に、法務大臣にお聞きしたいと思いますが、従来の合名・合資会社に加えましてこの合同会社という類型を設けることとなった背景、その活用分野についてまずお聞きしたいと思います。
  133. 南野知惠子

    国務大臣南野知惠子君) お答え申し上げます。  合同会社は、株式会社のように出資の比率で配当率を決める、配当などを決めるのではありませんと。高い技術を持っている社員に厚く配当をすることができるようにするなど、柔軟な経営が可能な有限会社法人制度の創設が必要であるという近年のベンチャー企業等からの要請にこたえるために新設された会社類型でありますということをまず申し上げておきたいと思います。  したがいまして、合同会社は、創業段階のベンチャー企業、少数の出資者により異なる種類の財産を出資して創設されるジョイントベンチャー、また資産を証券化、又は流動化するための特定目的会社、これまたSPCと言っておりますが、等として利用されることが予想されております。
  134. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ただいま御答弁いただきましたように、ベンチャー企業、ジョイントベンチャーとか、そういう分野で使われていくという話でございますが、これにつきましては、私、経済産業委員会でございますけれども、先般、いわゆるLLP、有限責任組合でも審議したわけでございますけれども、割と類似した分野が期待されているのかなと考えるわけでございます。  ところが、一方では、先ほども議論がございましたように、LLPの方では構成員課税というのが適用されると。今回のLLCについてはまだ、税法上の扱いがまだ未定であるという状況でありますけれども、そこで、あえて経済産業大臣にお聞きしたいと思うんですが、こういうLLPとLLCが共存するという中で、新しい産業を起こしていく、新産業を育成をしていく、特にベンチャー分野ですね、という中で、特にLLCの分野の税制については構成員課税、また法人課税、どのような税体系が望ましいとお考えなのか、お聞きしたいと思います。
  135. 中川昭一

    国務大臣(中川昭一君) このLLPの方は、今、浜田委員指摘のように、経済産業省所管の独立した法律として御審議いただいたわけでございまして、他方、似たようなLLCの方はこの会社法現代化の中で御審議をいただいているわけでございます。  しかし、先ほどの最低資本金制度の廃止とか有限会社制度の廃止とかということと並んで、事業を起こす人から見るといろんな選択肢があるということでございまして、もちろん一長一短といいましょうか、もちろん違いはあるんですけれども、選択肢が幅広くなっているということでございます。  LLCとLLPについては、もちろん所有と経営の一致であるとか内部自治原則であるとか共通点もございますけれども、また相違点もある。法人格の有無、したがって課税の形態についてまだ議論が終わっていないとか、あるいは期限の問題とか違いもございますけれども、経済産業政策的に、だけに関して申し上げますと、税の形態によって、LLCが仮に法人税として課税されるということになりますと二重課税という問題も出てまいりますので、私の立場だけから申し上げますと、税についてはできればイコールフッティングにしていただきたいと思いますが、これはまた税当局のお立場もございますので、政府の統一した見解ではございません。
  136. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ありがとうございます。  今、是非、個人的にはイコールフッティングで、LLCにつきましても構成員課税が望ましいという話があったわけでございますが、一方、私の代表質問の際の財務大臣の御答弁では、現段階ではまだ決まってはいないと、他の会社形態とのバランス、均衡を踏まえて法的な位置付けに沿った適正な課税関係を今後検討していくんだという御答弁をいただいたわけでございまして、先ほど小林議員、また藤末議員に対する御答弁もこれからの議論であるという御答弁でありますが、やはり個人的には、私自身も産業政策を担当した経験からすれば、同じベンチャーを起こす人から見てみれば同じ、LLPもCも見比べてみて同じ税体系が適用されているのが望ましいんじゃないかと。同じ法人形態といったって、合同、合名、合同会社と合資会社とを比べるわけじゃなくて、むしろベンチャー企業としてのLLP、LLCを比べると、こちらの方が目が行くんではないかと思うんですけれども。  そういう点で再度、財務大臣にお聞きしたいと思いますが、今回のこの会社法、合同会社の課税方式については、合名・合資会社とのバランスではなくて、ベンチャー企業が選択すると思われるLLPとのバランスから構成員課税を選択すべきであると考えますが、御所見をお願いしたいと思います。
  137. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) まだ結論が出ているわけではありませんので、現段階での考え方ということになると思いますが、このLLC、LLPに限らず、ある事業体にどういう課税をして、事業体に関連してどういう課税をしていくかというときの基本的な考え方は、その事業体に関する利益、それから費用、それが実質的に帰属するのはどこだということが税の立場からすると一番基本の考え方になるのではないかと思います。  そういう観点からいいますと、いわゆるLLPですね、これは平成十七年度、本年度の税制改正の中で構成員課税ということにしたわけですが、これはいわゆる民法法人の特例という法的位置付けの中で、組合事業から生ずる収益は発生当初から持ち分として組合員に帰属するということでありますし、それから組合員自らが組合事業にかかわる債務、これ固有の責任を直接負うということでありますので、先ほど申し上げた観点から申しましてもこれは構成員課税ということだろうと。  そこで、LLC、合同会社制度ではどうかというと、やっぱりその位置付けは、法的位置付けというのはかなり変わったものが、違うものがあるというふうに私どもは考えておりまして、要するに、合同会社のいわゆる収益は合同会社に帰属して、配当がなされるまでは社員に帰属しないというような形があります。それから、債務に関する責任は合同会社が負って社員は負わないと、こういう形になっておりますので、法的類型としてはいわゆるLLPとはかなり異なったものであると、こういうことになろうかと思います。  ただ、まだ現在、これから更に詰めていかなきゃならないわけでございまして、委員の御指摘は、税理論はともかくとおっしゃったかどうかは別として、ベンチャーを育成するというような、要するに政策目的から考えた場合にまたいろいろ税、税法上も判断の余地があるのではないかということではなかったかと思います。  そういった点も含めまして、これからいろいろ議論を煮詰めていきたいと思っております。
  138. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 もう時間となりましたので、是非、この税につきましては年末に向けて更に議論を深めたいと思います。どうもありがとうございました。
  139. 大門実紀史

    大門実紀史君 大門でございます。ふだんは財政金融委員会に所属しておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。  時間の関係で、私の方は、対価の柔軟化に伴う三角合併に絞ってお聞きしたいと思います。  三角合併といいますのは、外国の親企業日本に子会社をつくって、その子会社日本企業買収あるいは合併すると、これは三角でございますけれども対価の柔軟化というのは、その際に、外国の親企業が持っている自分の株式を使って買収、合併ができるということでございます。ただ、今度は、これに対する企業防衛ということで実施は一年後にというふうになっておりますけれども、この三角合併そのものはもう御存じのとおり外資系の企業が強い要望をしたという経過があるのはそのとおりだと思います。  問題は、現在、欧米、特にアメリカ企業の株の時価総額と日本企業の株の時価総額に大きな開きがあると、この状況下でのこの規制緩和というところであります。例えば、松下電器の時価総額というのは、米国のゼネラル・エレクトリック社の十分の一、東京三菱フィナンシャル・グループに至ってはシティグループの四分の一の時価総額ということで、要するに日本企業の株がアメリカ企業の株に比べて著しく低いわけです。  したがって、米国の企業が、例えばアメリカですけれどもアメリカ企業日本企業買収するために自分のところの株を使ってそれで株式交換できるようにするということになると、非常に割安に買収ができるということになるわけです。買収される方の日本企業株主にとっては、今千円の株を持っているとすると、代わりに五千円の株を上げるよと言われるわけですから、非常にそれに飛び付いてしまうという点からも、外国企業日本企業買収がこれによって相当進むんではないかと言われているところでございます。私、別に鎖国政策を取るべきだというふうには思っておりませんけれども、市場経済の原則は、やはり公平性というのはやっぱり担保されるべきだと。  日本企業は、今不況で業績が伸びないということもあって株の時価総額下がっておりますし、これだけ時価総額に開きがあるときにわざわざ今回のような改正をいたしますと、競争条件としては不利な条件の、不利な環境のまま日本企業、特に中堅の、私は心配するのは技術の持っている中堅のところだと思うんですけれども、まずそういうところがMアンドAのあらしにさらされるんではないかというふうに危惧しているところですが、その点、まず、法務大臣認識を伺いたいと思います。
  140. 南野知惠子

    国務大臣南野知惠子君) 先生のお尋ね、大きく分けて二つあったかなというふうに思っております。  一つは、時価総額が欧米の会社と比較して低い原因は何かということであったと思います。それはよろしゅうございますか。
  141. 大門実紀史

    大門実紀史君 聞いてないよ。
  142. 南野知惠子

    国務大臣南野知惠子君) お話の中にそれが入ってきたというふうに思っておりますが、防衛というポイントに当てて考えるということでございましたら、日本会社株式の時価総額が欧米の会社のそれと比較して低いとおっしゃっておられますが、そのために日本会社が外資による敵対的買収の対象となりやすい状況にある、そのような指摘がかねてよりされていることは承知いたしております。  企業としましては、時価総額を高めるために取るべき言わば王道というものがあるとするならば、それは経営努力による企業価値を高めていくということに尽きるわけでございますけれども買収対象社、対象会社を単に高く売り抜けるということのみを目的として買収を行うような有害な敵対的買収に対しましては適切な買収防衛策を用意しておく必要があると指摘されていることも理解できるわけでございます。  会社法案におきましては、このような観点から、買収防衛策にも活用することができるよう、特定の種類株式について譲渡制限をすることができるようにするなどの措置を講じているということでございます。
  143. 大門実紀史

    大門実紀史君 聞いていないことまで答えていただいてありがとうございます。  法務委員会の参考人質疑でもあったんですけれども、今回の防衛策種類株式等とあるわけですが、これは実効性に疑いがあると言われている参考人もいらっしゃるわけですし、先ほどありましたとおり完全な防衛策というのはないというのは市場経済の原則でございます。  三角合併というのは友好的買収と思われがちなんですけれども、必ずしも現場ではそうではありません。まず公開株、買い付けやって一定の比率占めてから、最後に、最後に三角合併という友好的な手法を取るというのが一般に行われておりますから、この分類的に三角合併は安全だというふうに見るのは経済現場を知らない話ではないかというふうに思います。  ですから、こういう不利な環境のまま今改正を急ぐ必要が本当にあるのかと。少なくとも、この一年間で日本の景気が良くなるとは思われません。少なくとも、ちょっと景気が良くなって競争条件が、株価が上がってからやるべきことではないかというふうに思うところでございます。  一言加えて言いますと、郵政民営化の法案が今審議されておりますけれども、郵貯銀行等が、完全民営化された後、この会社法案が通れば、外国企業がその自社の高い株式を使って買収する、あるいは三角合併をするということも、理論上といいますか法制度の上では今回の改正で可能になるという点も指摘しておきたいと思います。  私は、先ほど言われましたけれども、この時価総額の違いは、確かに日本企業は持ち合いをやっているとかあるいは配当が少ないとかいろいろあります。企業価値の問題ありますけれども、それだけではないと。それだけが日米の時価総額の差ではないということを申し上げたいと思います。  谷垣大臣にお聞きいたしますけれども、これは財政金融委員会、予算委員会で私、二回ぐらい取り上げたことございますが、日本が今為替介入で大量にドルを買って、結局米国債を買っております。この日本の、大量のアメリカの国債を買うと、買っていると、このことは巡り巡って、経済の理屈の話ですけれどもアメリカの株価を支えるという役割を果たしている。意図したかどうかは別ですよ。結果的にそういう作用を及ぼしていると思いますが、財務大臣認識、いかがですか。
  144. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 大門委員、今、日本が今大量の為替介入してとおっしゃいましたが、今現在しているわけではございません。(発言する者あり)かつてしたことはもう報告をしております。  そこで、アメリカの今株価の問題をおっしゃったわけですけれども、私は日本の株価についてもどう見ているかというのは発言は慎重にしておりますので、アメリカの株価について正式に申し上げる立場はございませんけれどもアメリカの株価の背景にはやはり、何というんでしょうか、米国経済が拡大しているということがありまして、その要因の一つとしては長期金利の安定ということが私はあると思っております。  それで、その長期金利が安定しているということが何なのかというのは、これはなかなか難しく一概には申し上げられませんが、先日、今週の火曜日、グリーンスパンFRB議長が北京で講演をされておられるわけですが、その中では外国通貨当局による米国債購入は長期金利を低下させるということを発言しておられます。ただ、その後でまた付け加えられて、しかし長期債市場の深さを考えるとFRBスタッフは外国通貨当局による購入の影響は限定的と予測していると、こういうふうに述べておられまして、グリーンスパンさんがこういうふうに見ておられるのかなというのは私も関心を持って拝見したところであります。
  145. 大門実紀史

    大門実紀史君 グリーンスパンは三月の段階でもアメリカの長期金利の安定について同じような講演をしておりまして、そのときはむしろ外国が米国債買ってくれていると、日本が国債買ってくれているということを項目の一つに挙げております。グリーンスパンさんは非常に政治的な人ですから、理屈の問題よりもそのときの判断でいろいろ言われていると思います。  要するに、日本が米国債買いますと、その分米国債が価格が安定します。そうすると、米国の長期金利が安定すると。したがって、それが米国の経済にいい方向に波及いたしますから、アメリカの株価は上昇、支える方向に働くと、あるいはアメリカの長期金利が低く抑えられますと、マネーはアメリカの国債を買うよりもアメリカ株式市場に投資しようということで、いずれにせよ株価を押し上げる効果があると、支えていると。それに大きな役割を果たしているのは日本の米国債購入だというのは、私間違いないと思います。  時間ないんで申し上げません、細かく言いませんが、この間FRBと財務省の資料によりますと、短期性資本がどれぐらい海外に流れているかというと、毎月一兆円レベルで流れております。これがほとんど米国の金融市場に入っておりますから、仕組みとしては日本のお金がアメリカの株価を支えていると、中の大きな要因になっていると、それだけではないのはそのとおりですけれども、申し上げたいというふうに思いますし、それだけじゃないんですね、日銀が金融緩和をじゃぶじゃぶにやっておりますけれども、あの資金もキャリートレードでアメリカの方に株式流れておりますし、日本の民間銀行だってこの間米国債を買い増やしておりますから、いろんな面で日本のマネーがアメリカの株価を支えている、押し上げていると。これは私だけではなくて、いろんな方が指摘をしているところでございます。  つまり申し上げたいのは、さっきの株価の時価総額が違うと。ところが、このアメリカの高い株価というのは、実は日本のお金が、日本のマネーがそれを非常に支えているという点が、グリーンスパンも言って認めているように大きいわけですね。その株価の高い株を使って日本企業買収に入っていくということは、巡り巡ってですけれども日本のマネーを使ってアメリカ企業日本企業買収すると、こういう構図に、これは世界のマネーの流れで今そういう資金循環になっているわけですね。こういう構図の中での今回の会社法改正だということを私申し上げたいわけですけれども法務大臣はこういうマクロの構図があることを御存じで今回提案されているんでしょうか。
  146. 南野知惠子

    国務大臣南野知惠子君) 法務省に答えさせた方がよろしゅうございますでしょうか。  株はどうぞ、上がったり下がったりするものでございますので、それが一定になっていくということは、今このような形では考えられない、上下はしているところだと思います。
  147. 大門実紀史

    大門実紀史君 大臣に聞いた私が間違っていたかも分かりませんけれども。いずれにせよ、こういうマクロの、マクロの構図の中での今回の会社法改正で、それが非常に、非常に大きく影響するということを申し上げたいというふうに思います。  最後に、一点。先ほど藤末議員から、八百二十一条、このままでいいのかというお話ありましたけれども、私はこのままでいいというふうに申し上げたいと思います。財政金融委員会、予算委員会で取り上げましたけれども、このペーパーカンパニー、海外の、これがいかに課税逃れをしているかと、これを何とか把握しなければいけないわけですね。この前のライブドアのリーマンもそうですけれども日本でもうけて、日本で税金を払わないと、ケイマン通じてペーパーカンパニーになっていると、こういう仕組みがあるわけですから、この八百二十一条をきちっと通してもらって、株式会社化すればいいわけですから、ちゃんと法人化すればいいわけですから、そして税金をちゃんと払えばいいわけですからね。そういう点でこの八百二十一条を支持したいと思いますが、最後に、その課税の点で財務大臣の決意をお聞かせいただければと思います。
  148. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) いや、もうこれは適切にきちっと課税をして、いただくものはいただくということでございます。
  149. 大門実紀史

    大門実紀史君 終わります。
  150. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 無所属の糸数慶子です。ふだんは財政金融委員会に所属をいたしております。  先ほどからハイレベルな議論が展開されておりますが、私は今日はごく基本的なことで御質疑をさせていただきたいと思います。  まず、ガバナンスの強化についてなんですが、コーポレートガバナンスのチェックを強めるため、今金融庁はルール作りを始めており、七月にも金融庁の企業会計審議会で素案がまとめられ、最短で三年後には上場企業に新ルールが適用される見通しがあると聞いております。西武鉄道の名義株問題に関する虚偽記載あるいはカネボウの粉飾決算など、一連のこの会計不祥事は世間に大きなその衝撃をもたらした、手を打たないと日本企業への信認は保てないと、これは企業会計審議会の委員であります八田進二青山学院大学教授が危機感を示しています。  この一連の企業の不祥事を機に、経営者によるガバナンスの強化の必要性が指摘されているわけですが、この会社法案ではガバナンスの強化に向けどのような措置が講じられているのか、南野法務大臣にお伺いいたします。
  151. 南野知惠子

    国務大臣南野知惠子君) お答えいたします。  会社法案におきましては、企業の透明性の確保及びガバナンスの強化は企業経営の健全性の確保に不可欠の要素であるという、このような視点から、すべての株式会社において会計監査人制度の採用を可能とすること、またすべての株式会社における決算公告の義務化、主としまして、中小企業の計算書類の適正さの確保に資する会計参与制度の創設、大会社に対する内部統制システムの構築の義務化などの改正を行っております。
  152. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 現在、証券取引法やそれから証券取引規制によりまして、このガバナンスに関する情報開示が上場会社に義務付けられています。しかし、その後もその不祥事や虚偽の情報開示が相次いでおりまして、ガバナンスや情報開示に対する投資家の信頼は非常に低くなっていると言わざるを得ません。  そこで、ガバナンスの実効性を高める方法として、外部監査法人が内部体制の状況や実効性をチェックし、その結果を株主に開示することが考えられますが、こういう措置は米国の企業改革法でも導入されておりまして、日本でも証券取引法上の情報開示に関しても同様な議論が行われています。  そこで、まず一点目、このガバナンスの状況及び実効性に関して会社法上の外部監査を行われるのですか、そして外部監査が行われないのであるならば、導入に向けた措置をとるべきではないか、法務大臣にお伺いいたします。
  153. 南野知惠子

    国務大臣南野知惠子君) お答えいたします。  会社法案におきましては、客観的視点を持つ外部者による取締役会及び監査役会の監督又は監査機能を強化し、もって株式会社のガバナンスの適正を確保するというような趣旨から、委員会制度や、又は特別取締役による決議の制度、そういうものを採用する株式会社について社外取締役の設置を義務付けております。さらに、監督役につきましても、監査役会を採用する会社におきましては、これは三人以上の監査役を置き、そのうちの半数以上が社外監査役であることを要求しておりますので、先生のおっしゃっておられる一端はこの中に入っているのではないかなと思って、御意見、お心は、思っております。  なお、会社法案におきましては、外部機関あるいは会計監査人によるガバナンスに対する監査等を制度として設けてはおりませんけれども、このような制度の導入は、社外取締役に関する規定が平成十四年五月一日に、監査役設置会社における監査役と社外監査役の員数の規定が本年五月一日にそれぞれ施行されたばかりでございますから、これらの制度によるガバナンスの実効性等の状況を見ていきながら、今後検討すべき課題であると考えております。
  154. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 ありがとうございます。  次に、株主によるガバナンスの在り方についてお伺いいたします。  コーポレートガバナンスの強化に関しては株主による経営者の監視も重要となります。株主総会株主が経営者の能力や施策を判断する重要な機会でありますが、総会の開催日が集中し出席が困難とか、あるいはその総会における議論が十分でないなどの批判もありまして、望ましい形で運営が行われてないという指摘もございます。株主総会が、通じたガバナンスの強化について、会社法案ではどのような措置が講じられているのか、法務省にお伺いいたします。
  155. 寺田逸郎

    政府参考人寺田逸郎君) まず、今回の会社法案におきましては、有限会社法制を廃止した関係で中小企業も、多くも株式会社法制の中に今後は入ってくるわけでございます。で、これらの基本的な中小企業におきましてはやはり株主総会というものの重要性というのは相当に高いという認識を持っておりますので、このようなもの、つまり取締役会設置会社でない会社においては株主総会の権限というのを拡大して、基本的にはあらゆることについて株主総会が判断をすることを望めば可能という、そういう仕組みにいたしております。  それから今度は、大会社と一般の株式会社でございますけれども会社の業務執行者である取締役に対する株主の監督機能というのは非常に重要になりますので、取締役の解任決議の要件というのを原則としては特別決議から普通決議に緩和するということで株主の権限を強めているわけでございます。  また、株主総会の在り方につきましては、招集地を本店所在地に制限するというような現在の規定を撤廃して、これは基本的に定款で定められるということにいたしておりますし、またこの会社法の前に、様々なITを利用した株主総会の在り方というのにも一定の改善策を加えてきているところでございます。
  156. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 時間もありませんので、幾つか通告しておりましたけれども、最後に要望をして、終わりたいと思います。  執行役員のこれ責任の明確化についてでありますけれど、執行役員の責任の明確化についてですが、これは株式会社において執行役員の肩書を持つ人が増えていますけれど、日本経済新聞社の調査によりましたら、主要企業三百社の中で執行役員体制について五割を超える企業導入をしておりまして、その検討中を含めると六割近くになっていると言われています。それに対して取締役の平均人数が今年度の株主総会の終了時点で十五人強になると言われておりまして、これ三年前より約二五%減少する結果になっています。執行役員のこの法律上の地位は会社法上の役員、それでない場合が大変多いのですが、実際にはその役員と同等の重い任務を負う場合が多く見られます。  ですからこの場合、執行役員は会社法で役員に課せられるその責務を負うことなく会社の業務を執行するおそれがあるほか、あるいはまた株主代表訴訟などを免れるために意図的に執行役員を増やして役員を減らした場合、株主債権者に対する役員の損害賠償能力が確保されないおそれがあるとも言われております。こうした弊害を避けるためにも、実質的にその役員と同じ職務を担う執行役員に対しては会社法上も役員並みの責務を、その責任を負わせるべきではないか、その点を是非とも検討されるようにお願いをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  157. 渡辺孝男

    委員長渡辺孝男君) 本日はこれにて散会いたします。    午後零時六分散会