○千葉景子君 多分、
大臣はもっと率直なお考えをお持ちなんじゃないだろうかと推測をするところでございますが、何やら書いていただいたものをお読みになったという感じがいたします。
是非、少なくともこういうことについて、国の主張が認められなかったから残念だではなくて、これをきちっと受け止めて、控訴をして争うとかいうことではなくして、むしろ、積極的に国籍法の在り方などをむしろ再
検討してみようと、こういう方向へ是非
大臣のリーダーシップを発揮していただきますようにまず要望をさせていただきまして、この点についてはまた今後の
法務省の、国の対応いかんによっては改めてまたその中身を
指摘をさせていただきたいというふうに思っております。
それでは、本題の方に移らせていただきたいと思います。
午前のそれぞれの
質疑の中で、
人身取引問題についての大きな総論的なところなども議論がされたところでございます。ただ、せっかくの
機会ですので、改めてちょっと私なりの考えも
指摘をしながら、
大臣のお考えも聞かせていただきたいというふうに思っているところでございます。
そもそもこの
人身取引、午前もいろいろな
指摘がございました、国際社会からも厳しい批判があるということなんですけれども、それから、一体
実態というのがどんなふうになっているのかというのがやっぱりいま
一つはっきりしないというのもそれぞれ御
指摘があったところだというふうに思っています。
確かに、今回の刑法の
改正という形で刑罰を、どういう者に刑罰を科すか、処罰をするかということは一定枠ができたということは言えるんだと思いますけれども、
人身取引というのは一体何なんだろうと。やっぱりそこがきちっとしていませんと、一体何が
被害なんだろう、あるいは、そのためにどういうものを規制したりあるいは処罰をしたりしなきゃいけないんだろうかということがなかなかはっきりしてまいりません。この
人身取引というのは一体何なんだろうかということを私も考えてみました。
それで、たまたま私も勉強させていただく
機会がございまして、ケビン・ベイルズ氏、これは国連の
人身売買問題のコンサルタントをやっておられる方の
お話を伺う
機会がございまして、大変分かりやすくというか、
人身取引の本質みたいなところを的確に
指摘をいただいたのではないかと私は受け止めたところなんです。
確かに、
人身取引は現代の奴隷制度だというふうに言われております。それから、
人身取引というと何となく
日本の社会の中で子供が無理やり売り飛ばされたというような歴史みたいなものからイメージがわくわけですけれども、この
人身取引というのが一体何だということで、新旧、言わば古く言われる奴隷制、それから現代の奴隷制と言われるこの
人身取引、その言わば違いと、そして現代の
人身取引の本質、こういうところをちょっと私なりに勉強したところを披瀝をさせていただいて、
大臣のお考えもお聞かせいただきたいというふうに思っております。
この古い、古くの旧奴隷制と言うんでしょうか、というのは基本的には合法的な所有権の主張だと、その相手というか対象に対しての合法的な所有権の主張だと。しかし、現代の
人身取引、新しい奴隷制だと言われるものは、合法的な所有権の回避、それを所有物として支配しようというんじゃなくて、そういうことは回避をしている。旧奴隷制は高い原価、それを所有するための高い原価、でも新しいこの
人身取引は激安の原価だと。古い旧奴隷制では利益は非常に低い、低利益、それに対して今の新奴隷制といいましょうか、新しい奴隷制度というのは超高利益を生み出している。古く言われる奴隷制は潜在的な数の不足、しかし今言われているような
人身取引は潜在的な数の余剰、どこにでも余るようなその対象があると。旧奴隷制というのは長期にわたる
関係であって、そしてそのために奴隷の生命の維持、何とか大事なものですから維持をしなければいけない。ところが、現在の奴隷制というのは短期の
関係であって、それがゆえにその対象となる言わば新しい奴隷は使い捨て、こういう対比がされておりました。
こういう、言わば新しい奴隷制と言われているものの姿というのは、正に身分を丸ごと人間を支配するというよりは、やっぱり労働の搾取という、そこに基本的な本質があるのではないだろうかということが
指摘をされております。
その背景としては、生活手段の選択とかあるいは教育
機会、そういうものに恵まれない、人権の無視とか性差別というものが社会の中に存在をしている、こういうところに
人身売買されやすい人々を片方では生み出し、また人間、経済格差などの中でより良い生活を求める、そういうところに、言わば
ブローカー等、それを利用していくそういう集団なり組織ができていくんだということでございます。
そういう意味では、これは別に私の結論というわけではありませんけれども、この
人身取引がやっぱり欺瞞的で不正で、そして強制的なといいましょうか、合法ではないやっぱり労働移動というものの中で
人身売買というのが言わば形作られていく。これに対して、やっぱり透明で、そして合法的で、そして合意に基づいてきちっと労働移動がなされるような社会あるいは
システムがあれば、安全な移住、そしてそこに言わば
人身売買、搾取が潜り込むようなことは避けることができるのではないか、こういう
指摘でございました。
これですべてを語ることはできないのかもしれませんけれども、この
人身売買のある意味での本質を表しているのではないかなと、私は大変
自分の頭の整理といいますか、それに大変参考にさせていただいたところでございます。
いずれにしても、この
人身取引ということについて、これも
質問ありましたけれども、国際社会からも大変厳しい
指摘がされている、そして
実態もなかなかまだまだ分かっていないというような実情でございまして、
大臣としては、この
人身取引ということについてのその言わば本質というか、
実態といいますか、それと、こういう諸
外国から、
国際機関から、これも既に松岡議員の方からも
指摘がありましたアメリカの
国務省、アメリカの
国務省から
指摘をされるというのも非常に何か理不尽なところもありまして、アメリカそのものもかなりの人権侵害をイラクを含めて行っているのではないかなというふうに思いますけれども、そういうところからまでも
指摘をされている、それからILOあるいは国連の女子差別撤廃
委員会等々厳しい
指摘がされている。
こういう背景もございまして、こういうことについて、今回は刑法の一部を
改正する
法律という形でまとめはされておりますけれども、こういう何か根深い大きな
人身取引という問題について、
大臣としてはどんなふうに
認識をされ、そしてこの批判に対してどう受け止めていかなければならないかと、この辺はどうお考えでしょうか、まずお聞きしたいと思います。