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2005-06-27 第162回国会 参議院 農林水産委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十七年六月二十七日(月曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  六月二十四日     辞任         補欠選任      小川 勝也君     木俣 佳丈君  ツルネン マルテイ君     犬塚 直史君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         中川 義雄君     理 事                 岩永 浩美君                 田中 直紀君                 羽田雄一郎君                 和田ひろ子君     委 員                 加治屋義人君                 岸  信夫君                 小泉 昭男君                 小斉平敏文君                 常田 享詳君                 野村 哲郎君                 犬塚 直史君                 小川 敏夫君                 木俣 佳丈君                 主濱  了君                 松下 新平君                 谷合 正明君                 福本 潤一君                 紙  智子君    国務大臣        農林水産大臣   島村 宜伸君    副大臣        農林水産大臣  常田 享詳君    大臣政務官        農林水産大臣政        務官       加治屋義人君    事務局側        常任委員会専門        員        高野 浩臣君    政府参考人        内閣食品安全        委員会プリオン        専門調査会座長  吉川 泰弘君        内閣食品安全        委員会プリオン        専門調査会座長        代理       金子 清俊君        厚生労働省医薬        食品局食品安全        部長       外口  崇君        農林水産省消費        ・安全局長    中川  坦君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○農林水産に関する調査  (牛海綿状脳症問題に関する件)  (牛海綿状脳症BSE対策に関する決議の  件)     ─────────────
  2. 中川義雄

    委員長中川義雄君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る二十四日、小川勝也君及びツルネンマルテイ君が委員を辞任され、その補欠として木俣佳丈君及び犬塚直史君が選任されました。     ─────────────
  3. 中川義雄

    委員長中川義雄君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  農林水産に関する調査のため、本日の委員会内閣食品安全委員会プリオン専門調査会座長吉川泰弘君、内閣食品安全委員会プリオン専門調査会座長代理金子清俊君、厚生労働省医薬食品局食品安全部長外口崇君及び農林水産省消費安全局長中川坦君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 中川義雄

    委員長中川義雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 中川義雄

    委員長中川義雄君) 農林水産に関する調査のうち、牛海綿状脳症問題に関する件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 小斉平敏文

    ○小斉平敏文君 自由民主党の小斉平でございます。前回の当委員会内閣府が政府参考人出席を拒まれたということにつきまして大変遺憾に思っておりますことをまず冒頭に申し上げておきたいと思います。  本日は、食品安全委員会プリオン専門調査会座長座長代理、お見えでございますのでいろいろと御意見を、率直な御意見をお聞かせを賜りたいと、このように思う次第であります。  BSEの問題に入る前に、昨日茨城鳥インフルエンザ発生いたしました。通告いたしておりませんけれども、その状況発生から今までの対応、今後の対応、これについてお聞かせを賜りたいと思います。
  7. 中川坦

    政府参考人中川坦君) それでは、今回の鳥インフルエンザの事例につきまして簡単に御報告を申し上げます。  昨日、二十六日でございますけれども、茨城県下の養鶏農場で、昨年京都などで発生したものと異なるタイプの、つまり弱毒性の高病原性鳥インフルエンザウイルスウイルスの形はHの5Nの2亜型でありますけれども、そういうものが分離されたということで確認をされました。  こういった情報を受けまして、私ども農林水産省といたしましては、茨城県と連携をしながら、昨年策定をしております防疫指針、いわゆる防疫マニュアルでございますけれども、そういった防疫指針に沿いまして、既に発生農場におきましてすべての鶏の殺処分や消毒を行うこと、また周辺の農場、これは半径五キロでございますけれども、そういったところの農場に対しまして鶏などの移動制限を行うと、そういった措置を既に関係府省などにも協力をいただきながら実施をしているところでございます。  これからの対応につきまして、今お尋ねがございましたが、こういったことに加えまして、本日十一時でございますが、農林水産省島村農林水産大臣本部長といたします高病原性鳥インフルエンザ対策本部を開きました。その中で、今後行うべきこととして大臣本部長から指示をいただいております。  五点ございますが、一つは、家畜伝染病防疫指針に従いまして、今申し上げました鶏の殺処分やあるいは移動制限といった的確な蔓延防止措置を取っていくということ。  それから、二つ目としまして、今回の鳥インフルエンザは、昨年の例と違いまして、特徴的な症状を示さない、死亡数も多くございません。そういうものでございますので、モニタリングなりこれからの報告連絡の在り方について改めて検討を行うことと。  三点目としまして、今後の防疫対応について専門家方々意見も聴きながら、今回の弱毒タイプをも含めた総合的な対応の充実を図るということ。  それから、四点目として、これから感染経路究明って大事でございますから、こういったものにも努力をしたいと思っております。  それから、五点目でございますが、関係府省連絡十分取りながら、卵ですとか鶏肉の安全性に関しまして消費者方々流通業者方々にきちっとした情報提供を行いまして、正確な情報提供に努めて、いわゆるいろんな消費面での混乱流通面での混乱が起こらないように十分努力していきたいというふうに思っております。
  8. 小斉平敏文

    ○小斉平敏文君 本日はBSE集中審議ということでありますのでこれ以上お聞きしませんけれども、ただいま局長の方から五つの対応、今後の対応ということが明確に示されました。しっかりした対応をひとつお願いを申し上げておきたいと、このように思います。  それでは、BSE関係に移らさせていただきます。  去る五月の二十四日に、政府アメリカ産及びカナダ産牛肉輸入再開条件について食品安全委員会諮問をされて、この夏には輸入が再開されるんではないかというような報道がなされておるところであります。アメリカから輸入再開を求められた後の今日までの政府の動き、これを見ておりますと、このまま輸入再開をしてしまったら、BSE発生以来、農水省を中心に政府もあるいはJAもあるいは現場の畜産農家も一体となって懸命に築き上げてきたこの国民の食の安全、安心に対する信頼、これが失われて食品安全委員会そのものも設立の意義が失われてしまうと、このように私は大変大きな危惧を持っておるところであります。  厚生労働省調査によりますと、国民の九割がBSE検査緩和に反対をしておる、また畜産研究者によるシンポジウム、これではBSE感染源の解明に全力を挙げ、そのためにも全頭検査は必要だという意見が相次いだと、このように聞き及んでおるところであります。  さらに、この二十四日、アメリカが当初シロとしていたBSE感染の疑いのある牛、これがイギリスの研究所で再調査した結果陽性であるということが判明をいたしまして、アメリカのずさんな検査体制が浮き彫りになったところであります。これに基づいて台湾は、早速二十五日から輸入禁止米国牛肉輸入禁止、これに踏み切っております。ここも輸入再開したばっかりでありますけれども、しておるところであります。  国民のこの輸入再開への疑念は非常に大きくなったと言わざるを得ない状況であります。これまでにBSEについて数多くの消費者畜産農家あるいは関係団体方々からその考え方をいろいろ聞いてまいりました。それらの考え方を基に、言うならば国民立場国民の目線で質問をさせていただきたいと、このように思います。  五月の六日、食品安全委員会から、国内BSE対策見直しについての政府諮問に対する食品健康影響評価がなされました。この大変難しいリスク評価について真摯に取り組んでこられましたプリオン専門調査会専門委員各位に対しまして深く敬意をまずもって表したいと思います。それで、この評価の前提となる事柄についてお尋ねをしたいと、このように思います。  そもそもBSEというものはいまだに不明なところが大変多い。我が国発生をいたしましたBSEにつきましても、その感染源、ルートについて恐らく飼料交差汚染によるものではないかと、このように推測をされておりますけれども、発生後四年近くたったにもかかわらず究明には至っていないというのが現実であります。そのほかにも科学的に分かっていないことが非常に多いわけでありますけれども、今回の評価ではまず必要なデータ、この不足が非常に大きな課題であったのではないかと、このように思いますけれども、吉川座長の御見解を賜りたいと思います。
  9. 吉川泰弘

    政府参考人吉川泰弘君) お答えしたいと思います。  昨年十月に、厚生労働省及び農水省から、我が国における牛海綿状脳症対策見直しに係る健康影響評価について要請を受けたわけです。実際には、要請を受ける前の九月に、専門調査会としては中間取りまとめという格好で、日本がどのくらいBSE汚染されたと考えられるか、またその当時、二〇〇一年十月の一頭目が発見される以前、そういう意味では、九六年に、肉骨粉飼料に使うことに対して規制の通達が九六年四月に出されたわけですけれども、今おっしゃった疫学調査班原因一つ考え交差汚染に関しては、飼料交差汚染に関しては完全に止められるという格好では法的対応がなかったということも事実でございます。  振り返りますと、イギリスBSEの出ている時期に三十数頭の牛を日本輸入したこと、それから、その後続いてヨーロッパ汚染が始まったわけですけれども、まだその当時ヨーロッパから汚染可能性のある肉骨粉輸入したこと、あるいはオランダを始めとして、代用乳に使われた動物性油脂といったようなものを輸入した実績があったわけで、そういった、我々はリスクと呼んでいるわけですけれども、侵入のリスクを受けて日本がある程度汚染されただろうと。  片っ方で、ほっておけばそれは国産牛汚染して、またそれがレンダリングを受けて汚染が広がっていくわけですけれども、先ほど言ったように、飼料規制を九六年四月に取ったということで、二〇〇一年十月、止めるまでにどのくらいの感染牛を、ひょっとしたら、まあ当然検査はしていなかったわけですけれども、危険部位除去も当時なかったわけですけれども、それがどのくらいのリスクを持ったかということを中間取りまとめで試算をしたわけです。その結果として、推定される可能性とすれば、五頭から三十五頭くらいが食に回った可能性があると。  現時点で百万頭に近い感染牛を食したと考えられるイギリスバリアントCJDの患者さんが百五十五人、フランスが十一人、その他の国、日本を含めて一人という状況ですけれども、それに関して数百人から最大、悲観シナリオで五千人という推定もあるわけで、それを勘案して、大体一億二千万人の日本で〇・一から〇・九人という報告を出したわけで、今回の二十か月齢見直しというのは、ある意味では、その中間見直しを総論とすれば、それに対して各論的な問いであったというふうに私は思っております。今回二十か月以下という対象になるのは、そういう考えでいきますと二〇〇三年六月以降の生まれということで、二〇〇一年十月に一頭目が見付かってから、従来の規制に加えて、農林水産省厚生労働省ともに取り得る限りの施策を取ってきたというふうに考えております。  そういう点で考えれば、二〇〇一年から後に生まれた牛については汚染リスクはかなり急速に下がってきたというふうに考えるわけで、今回対象になる二十か月齢以下という牛のグループがどのくらいの汚染を持っているだろうかということをまずはっきりさせなければいけない。その上で、実際に屠畜場で万一汚染牛が来たとして、検査をしているわけですから非常にたまった陽性牛はそこで排除されるわけですけれども、検出限界以下あるいは検出限界に近い牛のものについては特定危険部位除去するということで安全を確保するわけで、その汚染の背景と当該する年齢の若齢牛リスクと、それを屠畜場で処理した後に人に及ぼす健康被害というものを総合的に評価するという捜査を八回の委員会にわたってやってきました。  確かにおっしゃるように、じゃ全部のデータが出切ったかといえば、これはやはり社会事象として行われることでありますから、数学の計算のように全部答えが分かって問題を解いたわけではありませんけれども、その間、農林水産省厚生労働省から、現状あるいは過去の取った施策あるいはその遵守状況等についてかなりの質疑応答を行った上で分析をしたので、そういう意味では、データが全部そろったかと言われる問いには非常に答えにくい、しかし少なくとも分析に必要となるデータは得られたというふうに考えて、二十か月以下を検査対象外としてもそこで変わるリスクがどのくらいかということは定量的にも定性的にも無視できるないしは非常に少ないという分析結果を報告した次第です。  以上です。
  10. 小斉平敏文

    ○小斉平敏文君 ただいま座長の御答弁聞いておりましても、最後部分で言われますように、完全にデータがすべてそろったということは言い切れないというような、そういう状況にもかかわらず、なぜ政府はこの月齢見直し、これを急いで諮問する必要があったのかと私は思います。  政府、特に厚生労働省は、専門委員問いに対して、科学的合理性確保するためと、このように答弁をされたと聞いております。しかも、国内措置見直しとそして米国産牛肉の輸入問題、これは別個の問題であると、このように厚生労働省は言っておる、はっきり。プリオン専門調査会専門委員が、月齢見直しをなぜ今諮問されなければならないのか、そのことにやっぱり委員方々が不自然さを感じられたのは私は当然だと、このように思います。BSEについて科学的知見が少ない、データが不足しておるというのが大体国民の一般の認識であります。  そのような中で、科学的合理性確保するためと、このように評価しても、推測の上に推測を重ねるんではないかと、このように思います。にもかかわらず、月齢見直し諮問せざるを得ないほどの科学的合理性、これは何なのか、どのような意味で用いられたのか全く私には理解はできません。  ですから、この科学的合理性という言葉の厳密な定義をまずお聞かせを願いたいと思います。
  11. 外口崇

    政府参考人外口崇君) 食品安全規制は、従来から科学的合理性確保することを基本として行ってきているところであり、先般制定された食品安全基本法におきましても、施策策定に当たっては、緊急を要する場合等でなければ、人の健康に及ぼす影響についての評価を行われなければならないとされております。  現在のBSE国内対策は、平成十三年十月当時における国際基準、EUの基準専門家の御意見などのほか、牛の月齢が必ずしも確認できなかったこと、国内BSE感染牛が初めて発見され国民の間に強い不安があったこと等の状況も踏まえて緊急的に策定したものであり、従来からその評価課題となっておりました。そうした中で、昨年九月に食品安全委員会において最新科学的知見を踏まえた国内対策評価検証結果がまとめられたことを受けて、同年十月にBSE国内対策見直しについて改めて食品安全委員会諮問し、本年五月にまとめられた答申を踏まえた手続を進めているところであります。  委員お尋ね科学的合理性確保とは、食品安全に関する施策について最新の科学的な知見を踏まえた食品健康影響評価に基づいたものとすることと認識しておるところでございます。
  12. 小斉平敏文

    ○小斉平敏文君 余りよく分からぬけれども、余りこれだけやっておったら時間がありませんので次に移りますけれども。  諮問根拠とされた中間取りまとめについて、BSE検査月齢線引き、これは科学的根拠に欠けるということで当初結論では勧告されておりません。しかし、座長一任後に結論部分が修正をされて、その修正された文言に基づいて検査月齢見直し諮問をされておる、これは事実であります。そのために、金子座長代理は、科学者行政立脚点の相違により異なる受け止め方をされたと、このように総括をされておりますし、また、山内専門委員もそのことについて、先日の衆議院の農水の委員会で、非常に残念であると、このように発言をされております。  これらの専門委員言葉にどのような感想を持たれたのか、座長にお聞かせを願いたいと思います。
  13. 吉川泰弘

    政府参考人吉川泰弘君) おっしゃられたように、中間取りまとめ、先ほど紹介しましたけれども、日本汚染状況とそのリスクについての全般的な分析をする中で、幾つか委員会の中でも議論がありました。  それは、一つは全頭検査をめぐる価値の問題というか、考え方の問題で、全頭検査サーベイランススクリーニングかという専門的な考え方についてで、汚染度施策有効性評価するという、抽出、特定の危険な牛を選んで検査するサーベイランスと、食肉の安全性確保するために検査をするスクリーニングという、二つBSE検査の使い方があるというような議論がありました。その中で、サーベイランススクリーニングの持っている意味の違いということを片っ方で議論し、もう片っ方で、安全性確保という意味から、スクリーニング限界ということで、現在用いているエライザ法という一次検査方法があるわけですけれども、これが万能でないという議論が片っ方で起きました。それは、やっぱり脳幹部、特にかんぬき部というところにプリオンが蓄積するわけですけれども、それといえども、ごく微量あるいは検出感度以下の量しかたまっていないものについてはスクリーニングをしたとしても検出できないのだという議論、だからこそSRMの除去検査と両方を使って安全性確保するのであるということについての大体コンセンサスというか、合意が取られたと思います。  その中で、じゃ、その検出限界以下の牛というものはどういうものなのだと。スクリーニングをしたとしても漏れてしまうものがあるとすれば、陰性の牛は当然陰性ですけれども、じゃ陽性の牛はすべて検出できるのであろうかという議論がもう片っ方であったわけです。それを議論していく中で、国際的には、先ほどおっしゃられたように、安全性という観点から考えれば十分に蓄積の認められる三十か月以上でいいという国際的な考えですけれども、日本は御存じのように全頭検査というスクリーニングでスタートしたわけですけれども、その間、三百万頭近くを調べてきた結果として、二十一か月と二十三か月という若齢牛で二次検査陽性という答えを得て、それは科学的にも非常に国際的に高い評価を受けていると。それは、全頭検査というスクリーニングで臨んだ日本一つの成果ではありますけれども、もう片っ方で、じゃ半年齢の、あるいは生まれたすぐの牛が陽性になるかというと、そういうことはあり得ないわけで、そうすると、どこらくらいから検出が難しいのだろうかという議論になって、中間取りまとめのときに、二十一か月、二十三か月という若齢牛で出たことを高く評価すべきであると。しかし一方で、二十か月齢以下の牛も既に数十万頭調べられたわけですけれども、それも出なかったという事実もまた一方にあるということを書きました。分析の方ではその事実を書いて、最後取りまとめ言葉では、数字として線引きをしませんでしたけれども、そういう事実があるということはまとめの項目に書きました。  したがって、行政としてはその文言を読んでどこかで線引きをすると。科学者の場合は、そこにはある種の連続性があるわけで、科学的に線を引くというのは難しいということで結論から消したわけですけれども、行政対応としてどこかで線を引くとするならば、陽性例の認められた二十一、二十三か月以下、したがって二十か月以下という線が行政対応として引かれてくるということは、まあ予想されたかどうかということは各委員によって違うかもしれませんけれども、そういう中間取りまとめを受けて線引き諮問になったという、そこに科学者行政立場の違いがあるということを今回の諮問に対する最初の審議のところで議論を行ったわけで、それが今、小斉平委員の言われた文言につながってきたのだというふうに解釈しております。
  14. 小斉平敏文

    ○小斉平敏文君 金子座長代理は、私自身、全頭検査緩和輸入解禁は別の議論であるという政府の方針を説明をして回ったと、結果として虚偽の説明をしたことに責任を重く感じておって、今後の審議に参加する資格はないと厳しく自らを責められておるというような報道もなされました。  政府科学者の皆さんの良心を無視をして、政府の都合のいい部分だけを取り上げておると思わざるを得ない。政府科学者判断を尊重して科学的知見に基づいて対応すると、このようにずっと言われてきましたけれども、少なくとも私の認識とは全く違っておりますし、また我々与党に対する説明、これとも違うと、このように思うんですけれども、大臣の御見解を賜りたいと思います。
  15. 島村宜伸

    国務大臣島村宜伸君) このBSE対策につきましては、再三申し上げてまいりましたように、国民の言わば健康保護を第一に、食の安全、安心確保を大前提として、あくまで科学的知見に基づいた的確な対応基本として取り組んでいるところでありまして、全頭検査を含む国内措置見直しにつきましても、食品安全委員会からの答申に基づいて所要の手続を進めておるところであります。  米国産牛肉などの輸入再開問題につきましても、現在、食品安全委員会において御審議いただいているところでありまして、科学的知見に基づいて的確な評価に必要な資料の提供などに努めているところであります。
  16. 小斉平敏文

    ○小斉平敏文君 今回の評価では、全頭検査見直しについて、リスクがわずかではあるけれども増加をすると、このように評価がなされております。マスコミでは、食品安全委員会は全頭検査緩和容認、これを正式に決めて答申したと、このように報道をいたされておりますけれども、本当にそうなのかなと。  私は、この評価をもって全頭検査をやめて検査対象月齢を二十一か月以上にする省令改正、これをしていいとは私は思いません。今回の評価の終わりの部分で、月齢見直しは一連の対策実効性が確認された後に行うことが合理的な判断であると、このようにされております。アメリカでの飼料規制の不備や、ずさんな検査体制が今回の二例目のBSE感染牛発生原因である可能性考えるときに、これは当然であろうと、このように思います。  食品安全委員会はあの答申において、全頭検査緩和容認、これは問題なしであると認めたと、このように考えていいのかどうかですね。判断するには時期が早かったのではないかと、このように思われなかったのかどうか、金子座長代理にお聞かせを賜りたいと思います。
  17. 金子清俊

    政府参考人金子清俊君) 御指名がございましたのでお答えいたします。  今、小斉平委員がおっしゃったとおりの経緯でございますし、私たちは実際の政策を決定する機関ではございません。つまり、その諮問された内容に関して科学的に評価を行うと。で、その評価に基づいて政策を決定されるのが管理省庁であり先生方であるというふうに認識しております。  ですから、事実を正確に申し上げれば、諮問された内容に関しまして、その月齢で区切ること、それからほかのSRMの除去あるいは飼料規制、そういったものの実効性について評価を行いまして、月齢制限を設けたとしてもリスクの増加は非常に低いレベルの増加にとどまると、今、先生が言われたとおりの答申をしたまででございます。  ですから、それが全頭検査緩和容認云々とは、これは評価とそれから実際の管理という問題とは別物というふうに私たちは認識しておりますし、最後のところで、先生が言われたただし書のところで注意すべき点ということを付記させていただいた次第であります。
  18. 小斉平敏文

    ○小斉平敏文君 それでは、政府側は、厚生労働省食品安全委員会は全頭検査緩和容認を認めたと、それで問題なしというお考えかどうか、お聞かせを賜りたいと思います。
  19. 外口崇

    政府参考人外口崇君) 食品安全委員会答申結論部分におきまして、先ほど御説明もございましたけれども、全頭検査した場合と二十一か月齢以上検査した場合、いずれにおいても「無視できる」から「非常に低い」と推定された、定量的評価による試算でも同様の推定が得られた、これらの結果から、検査月齢線引きがもたらす人に対するリスクは非常に低いレベルの増加にとどまるものと判断されるというのが食品安全委員会答申結論でございます。  そこで、私どもの考え方といたしましては、現行の飼料規制が二〇〇一年十月から実施されて以来、相当期間が経過している状況等から考えると、二〇〇三年七月以降に生まれた牛の中に二十か月齢以下の段階で検出限界を超えるBSE感染牛がいることは、ゼロと断定することはできないが、極めて考えにくいレベルのものと受け止めておるところでございます。
  20. 小斉平敏文

    ○小斉平敏文君 政府国内対策見直し、これを諮問した目的は、結局のところ、アメリカ産の牛肉輸入を再開するために国内措置を引き下げる必要があったと、そのために食品安全委員会の中間報告を受けた形を取って諮問したと、そういうことではないのかなと私は単純に思います。  そもそも、この諮問がなされた昨年の十月、ほぼ同時期に、同時に、政府アメリカとの輸入再開、これに向けた合意をいたしております。更に言えば、政府は、BSE発生国からの輸入はしないと、このようにBSE我が国発生したときにはちゃんと明言されておるんです。この委員会でもされました。再三再四にわたってされました。しかし、アメリカBSE発生をしたと、これを輸入するためには我が国と同様の対策が必要であるということで、アメリカに全頭検査特定危険部位除去を求めてきた。しかし、アメリカがこの全頭検査に応じないということになると政府国内措置基準を引き下げようとしてきた。そして、今回のこの月齢見直し。正に、アメリカからの輸入再開ありきの議論アメリカが言うがままの日本と、このように国民はだれでも考えてしまうんですよ。だから、幾らリスクコミュニケーションをしても、消費者や生産者、これからの信頼は得られないんですよ。  時の情勢に応じて我が国の政策、これを変更することは当然あり得ます。しかし、国民に明確な説明をすることなく、なし崩し的に政策を変更するということは、我が国の方針に一貫性がない、外圧に弱いということを内外に示すことになると私は思います。だから、あえてお聞かせを賜りたいんですが、諮問の目的はアメリカ牛肉輸入再開にあったのではないかと、これが国民が思っている疑問であります。大臣の御見解を賜りたいと思います。
  21. 島村宜伸

    国務大臣島村宜伸君) BSE検査を含む国内措置見直しにつきましては、食品安全委員会取りまとめ中間取りまとめを踏まえて諮問を行い、この諮問に対して同委員会において科学的知見に基づいた審議の上、答申をいただいたところであります。  他方、米国産牛肉の輸入再開につきましては、輸入される米国産牛肉が国内産のものと安全性において差がないことを確認することが重要であることから、食品安全委員会で科学的に審議していただくため改めてこのことを諮問したものであります。  そもそも、この全頭検査、これは御承知のように世界には例を見ない言わば思い切った手段を講じたわけでありますが、これは平成十三年の九月に我が国で初めてBSE牛が発生して以来、これによって膨らんだ国民牛肉不信、これを一掃するために我々はこの全頭検査という思い切った手段を講じたところでありまして、その後、今日まで四百五十万頭を超える牛の検査を実際実施してきたところであります。  それらの結果を踏まえてこういう判断をしているところでありまして、もし初めに言わば輸入再開ありきというレールを踏んでいるのであれば、例えば昨年の十一月二日、大統領選挙、これについても、当初はそういうことを十分配慮してほしいというお話が確かにありました。しかし、我々は、国民の安全、安心というものに対する配慮を慮外に置いてそれらの対応はできませんと、それから、今後そういうようなたぐいの申入れは遠慮してほしいと、私ははっきりアメリカの使節に申したところであります。  自来、私はその姿勢を貫いているわけでありまして、その後は不思議なくらいアメリカは実に紳士的にこの対応には終始していることですし、先般、ジョハンズ長官との話合いの際にも私は同じことを申し上げました。あのべーカー大使が、言わば帰国に際して、大変心残りだということを、気持ちをお持ちになりながら、私の前で一言もその言葉を発しなかった。それらの中に、むしろ彼らのその姿勢に心を打たれるくらい彼らも私たちの考えをきちんと受け止めてくれていると、そう思っているところでありまして、圧力を掛けられて屈するぐらいならこの職に私はありませんので、御理解をいただきたいと思います。
  22. 小斉平敏文

    ○小斉平敏文君 大臣の大変心強いアメリカに対する姿勢を聞きまして、私も畜産を抱えておる出身といたしまして大変心強く思ったところであります。  しかしながら、この全頭検査をやめるということは、やっぱり今、枝肉やら子牛が堅調に推移しておるということを考えると、それは国民が全頭検査、これを支持しておるからなんですよ。全頭検査やるから日本の国産の牛肉は絶対安全だと、このように思っておるから今苦しい農業の中でも辛うじて国内牛肉畜産というものが頑張っておられるところでありますから、そのことも一つ念頭に置きながら御努力を賜りたいと思います。  政府は、米国産及びカナダ産牛肉輸入再開条件に向けて食品安全委員会に両国の牛肉国産牛肉と同等の安全性を有するかどうかということを諮問されたわけですけれども、必要なデータ科学的根拠は先ほどから申し上げますように十分ではなかったと私は思います。  アメリカでのBSE発生一例目のときにアメリカが何と言ったかというと、この牛はカナダ産であって、我がアメリカは清浄国であると、このように言ったんですよ。ところが、今度のやつは明らかにアメリカ産なんですよ、明らかに。また、今回のアメリカでの二例目のBSE発生、これはアメリカ検査ではシロだったんですね。ちょっと疑いがあるということでイギリス検査に回したら、これがクロだったんですよ。正にアメリカ検査体制検査の方法、これのずさんさを如実に示しておると指摘をせざるを得ません。  このような状況を見て、国民の多くは、国民のほとんどが飼料規制の不備や検査方法情報公開の不透明さ等々、アメリカBSE対策が不十分であると、このように思っておるんですよ。ですから、今回のアメリカのこの発生、二例目の発生、このことによって米国産牛肉の輸入というものがどのように影響するのか、どのようにこれをとらえられておるのか、まずこれは農林大臣の御見解を賜っておきたいと思いますし、そもそも、必要なデータがなければ食品安全委員会が適正な評価をしようとしても評価のしようがない。まあ、諮問したこと自体、私はいかがかと、先ほどから言っておるように思っております。これは極論ではありますけれども、政府が取るべき政治的責任というものを食品安全委員会に押し付けたんではないかと、このようにも思われてなりません。  そういう中で諮問をして、無理に結論を出させて輸入を再開しても、米国産牛に対するいわゆる我が国消費者の信頼、これが得られないとすれば売れないという事態になることが非常に可能性が大きい。これではアメリカにとっても大変不幸なことでありますし、米国産牛肉が信用されなくて売れない事態に陥ったと、それは、そのことはさておいても、牛肉全体、いわゆる国産牛肉、これに対しても消費者が、ああ、これはもういかがなものかなと信頼をしなくなった事態を十二分に考えられるんです。そうなったときには、国内牛肉、これまでも売れなくなる事態に陥ると私は大変危惧するんです。そうなったら、我が国畜産業は壊滅的な打撃を受ける、再び立ち上がることはできないと私は思います。  まあ、国民の信頼を失えば取り返しの付かない事態を招くと、これでも輸入再開に踏み切るのかと。この輸入再開に、再開がもたらすであろう様々な問題について、政府の御見解をお聞かせを願いまして、質問を終わりたいと思います。
  23. 島村宜伸

    国務大臣島村宜伸君) まず初めに、アメリカで二頭のBSEが言わば発見されたと、これは厳然たる事実でありますが、一頭目は八十か月齢余でありますし、今回の二頭目は、一九九七年八月以前の牛ということでありますから、八十七か月以上という計算になります。我が国は、御承知のように、二十か月までということで、今回いろいろな両者の検討をしているところでありますから、まずそのことを御理解いただきたいと思います。  二つ目には、私たちは私たちなりにいろいろ検討をし、世界の実情その他も調べ、それで慎重にこのことに当たってきているわけでありますが、先ほど申したように、既に四百五十万頭の検査をして、その結果を踏まえて我々なりの判断を今しようとしている。それから、世界の言わばこういう食の提供をする当局からすれば、当然のことに衛生的な配慮というのは十二分にしているのは常識的に考えられるところでありますが、どこの国にも我が国のような厳しい齢をしいたところはないということを御理解いただきたいと思います。  これも前に答弁申し上げたところですが、EUにおいては三十か月まではよしということになっているわけでありまして、御承知のように、フランスなどは、昨年の七月に従前の二十四か月から三十か月になったということでございますから、我が国よりははるかに緩い。  たまたま、私は、このゴールデンウイークはパリで完全に詰め込み状態の会議を強いられましたが、たまたま食事に行ったそのレストラン、二回、もう日本人が牛肉をむさぼるように食べている。やっぱり、皆さんの感覚というものをよく我々も冷静に見てみると、やはり私たちがこれだけ慎重に検査していることの意味合いも大事ですし、また同時に国民の理解も、そこまで我々が努力しているという結果を知っていただけば、決していい加減な、政治的な取引のために事が運ばれているんではないんだという御理解が得られると、私はそう確信するものであります。
  24. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 民主党の和田ひろ子でございます。  私は、今日は、お忙しい、本当においでをいただけなかった吉川座長金子座長、お二人に御質問をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。  まず、私は、プリオン調査会での評価について結論の確認をさせていただきたいんです。あくまでも結論の確認でございますので、簡単にお答えをいただければ幸いかと存じます。時間が短いもので、よろしくお願いいたします。  まず、特定危険部位除去について御見解をお伺いします。  外食産業の方とかは、特定危険部位除去さえすれば牛肉は安全だという主張をされています。また、アメリカもそういう意見だというふうに思います。この特定危険部位除去だけで安全対策は十分だということについて、座長はどのようにお考えですか。
  25. 吉川泰弘

    政府参考人吉川泰弘君) 先ほどお答えしましたけれども、スクリーニングとしての検査とSRMの除去と両方で安全性確保しているというふうに考えております。  したがって、特に高齢牛で蓄積がかなり体じゅうに回っているものに関しては検査で排除することが第一義的な問題であって、SRMの、特定部位を除去すればそれで安全であるということではないというふうに考えております。  以上です。
  26. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 私は、特定危険部位除去だけで安全でしょうかというふうにお尋ねをしました。そして、座長は、特定、年がいっていれば、危険部位除去だけでは安全ではないというふうにお答えをいただいたというふうに思います。  先日、中川消費・安全局長は、飼料規制について、食肉の安全性を直接確保をするものではないと答弁をされました。そうであれば、全頭検査をやめた後で、二十か月齢以下の牛は特定危険部位除去だけになりますけれども、それでいいでしょうか。座長にお願いします。
  27. 吉川泰弘

    政府参考人吉川泰弘君) 私が最初にお答えしたのは、例えば、一次検査で振り切るような量が脊髄にたまっているような牛に関しては、当然神経はつながっていますから、神経節あるいは末梢神経を含めてBSEの蓄積が起こってしまうものですから、従来の特定危険部位だけを取ったとしても危険性は残りますというお答えをしました。  しかし、体じゅうでのプリオンの蓄積量というものは、当然その年がいけばいくほど蓄積をしてくるわけであって、若齢牛の、二十か月齢あるいはそれ以下の牛で、実質上、今まで四百五十万頭調べて、二十か月齢、一頭も検査検出限界以上には上がってこなかったわけですけれども、そういう牛について、特定危険部位を取った上でまだ人にリスクを持つようなプリオンが体じゅうのどこかに蓄積しているかというふうに問われるならば、その可能性は非常に低いというふうに考えております。  したがって、どの年齢のどういう状態の牛が検査に引っ掛かって、それで排除されるかということが大事になってくるわけであって、五歳の牛と十五か月の牛が同じ量のプリオンをためるということは多分科学的には非常に考えにくいと思う。それだからこそ、ヨーロッパは三十か月以上の牛についてという最初の線引きをしたわけで、日本は全頭検査でスタートしましたけれども、これだけの規制を行った後であれば、二十か月で線を引いてもそんなにリスクは変わらないのではないかということを分析結果として報告したわけです。  以上です。
  28. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 金子座長代理はどう思われますか。
  29. 金子清俊

    政府参考人金子清俊君) 基本的には、今、吉川先生が、吉川座長がおっしゃったことと相違ございません。  ただ、蓄積量の問題という、定量的といいますけれども、量の問題が、これはそのリスクの大きさを決めますから、例えば二十か月齢以下という線を引いた場合に、そこでそのゼロが一になるというか、それ以下になったらば完全になくなるというわけではなくて、やはり量的な、量の多寡についての評価を行ったと、それが人の健康にどのぐらい影響を与えるかという評価を行ったということでございます。
  30. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 後でこのことをまたお尋ねをしますけれども、次に、全頭検査見直しについて伺います。  今回の評価では、屠畜場におけるBSE検査対象月齢を全月齢と二十一か月以上に変更した場合の汚染度をいずれも無視できる、非常に低いと推定しています。検査月齢線引きがもたらす人に対するリスクは非常に低いレベルの増加にとどまると判断をされています。この評価は、BSE検査対象月齢を二十一か月以上にしても、特定危険部位除去飼料規制対策を取ることで牛肉安全性確保されると認めているということなんでしょうか。  先日、島村大臣は、BSE検査見直しても問題がないという結論をいただいたと先日の委員会で述べられました。プリオン調査会としても同様の意見だということなんでしょうか。その明らかな科学的根拠はあるのでしょうか。  また、五月六日に出された答申の中で、留意すべき意見として、先ほども質問にありましたけれども、輸入配合飼料やSRMの除去の監視などの対策実効性が確認された後に月齢見直しを行うのが合理的な判断と述べられています。このことは、全頭検査見直しは時期尚早だということを理解していいんでしょうか。座長、お願いします。
  31. 吉川泰弘

    政府参考人吉川泰弘君) あのときの評価ですけれども、過去の全頭検査の成績及びヨーロッパの、アクティブサーベイランスと称しておりますけれども、三十か月以上あるいは二十四か月以上の全頭検査の結果等を踏まえて、どこら辺が検査の感度の限界になるだろうかという議論になったわけですけれども、その評価の結果として、二十か月以下で検出できなければ、二十か月以下を、従来引っ掛かってこなかったわけですけれども、これからも検査していったとしても、それはもしそこに感染牛が低い確率であったとしても検出できないんだから、検査をしてもしなくてもそこで免れる危険率というのはSRMの除去に懸かってくるということになります。    〔委員長退席、理事岩永浩美君着席〕  それでは、これからずっと検査をしていったとき、二十か月以下で本当に検査に引っ掛かってくるものがどのくらいだろうかというもう片っ方の考え方を取ってみて、それで、現在の汚染度から、そのうち二十か月という全体の一二%から一五%を占める若齢牛になるわけですけれども、そこに感染牛が来る確率というものを一応考えたわけです。  もしそれが〇・幾つという格好で来たとして、それが持っている感染価、人に対してバリアントCJDを起こし得る危険性のあるものというものがどのくらいあるかということを、特定危険部位を取った後で陽性牛が万一紛れ込んできて、特定危険部位を取った上で更に最後に残る危険というものがどのくらいかということを考えた上で、そこのところを切り払っても、そこを検査してSRMを取ってもそのリスクはほとんど変わらないか非常に少ないという結論に達したわけです。
  32. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 じゃ、座長代理も同じ御意見ですか。
  33. 金子清俊

    政府参考人金子清俊君) 基本的には、同じ場で公式に議論を尽くした結論ですので、同じと認識していただいて結構でございます。  私は本日は座長代理という立場で参っておりますので、それ以上申し上げることはございません。
  34. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 そういう御意見、私たちは国民の皆さんの命にかかわることをお尋ねをしていますので、お立場でお答えいただくことも必要だけれども、御自分の考えを是非お知らせをいただきたい。  国民は皆さんのプリオン調査会の中の審議の内容は知らないんです。出てきた結果しか知りません。どうぞ教えていただきたいと思います。
  35. 金子清俊

    政府参考人金子清俊君) ちょっと誤解を招くような発言を申し上げまして、申し訳ございません。  私が思っておりましたことは、先生が御存じないとおっしゃいましたけれども、何回かのプリオン専門調査会議論で一応尽くしております。ですから、その議事録を見ていただければそこにすべて記載されておりますし、基本的には消費者の皆様、国民の皆様に公開されておりますので、そういう立場を踏まえて、しかしさらに、本日のこの席上ではすべてを申し尽くせないという意味で申し上げたというふうに御理解いただければと思います。  先ほどの吉川座長の答弁に特に付け加えることはございません。更に具体的な御質問がございましたら、それについては具体的にお答えしたいと思います。
  36. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 また異論を言うつもりはありませんけれども、国民の皆さんに分かりやすい言葉で御説明をいただければ有り難いと思います。  我が国で発見された二十一か月齢、二十三か月齢BSE感染牛は異常プリオンたんぱくの量が非常に微量であったというふうに言われています。若い感染牛は単に異常プリオンたんぱくの蓄積量が少なくて、現在の検査では見付からない、それだけなんじゃないんですか。だから、今後十九か月や十八か月で見付かる可能性はないとは言えないんじゃないですか。若齢牛の感染について明確な科学的知見というのはあるんですか。例えばアメリカ発生された八年であろうと、みんな一か月から大きくなって八年になっているわけですから、絶対にないというふうには私は言えないというふうに思うんですが、いかがですか。座長お尋ねします。
  37. 吉川泰弘

    政府参考人吉川泰弘君) 絶対にないというふうには言えないと、そのとおりだと思います。  ただ、我々は分析するときに、先ほど金子委員が言いましたけれども、ゼロか一かという議論をしているわけではなくて、もし例えば六か月で五歳と同じようなケースが出るとすれば、それはどういうシナリオが考えられて、どのくらいの確率で起こるものだろうかと。そういうことを日本の今までの全頭検査の結果あるいはヨーロッパイギリスが特に対策を取る前に自然例で二十万頭の報告がありますし、その後ヨーロッパを含めてアクティブサーベイランス対象としては数千万に及ぶ検査の結果があって、そういうものを含めて議論をしているわけであって、ゼロであるかというふうに問われれば、ゼロでないという答えしか答えようがないんですけれども。  でも、もう片っ方で、それは、じゃ天文学的数字で起こることなのか、それとも一年に一回起こることなのか、そういうこともやっぱり評価の中では議論をしていかなければならないので、そういうものをある意味では定量的評価と言うわけですけれども、そういう数字的な背景も含めた上で、総合的なリスクとして無視できる、ないしは非常に低いという結論に至ったわけです。
  38. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 科学的知見ではないというふうに最初おっしゃいました。あくまでも推測なんですよね。だから、例えば事例があってもそれが科学的知見にはならないというふうなお答えをいただいたんだというふうに思ってもいいですか。
  39. 吉川泰弘

    政府参考人吉川泰弘君) 科学にはゼロと一で論じられる性質のものもありますけれども、リスクもそうですけれども、ゼロと一の中間で起こる現象がたくさんあります。特にBSEのような科学と社会科学も含めて分析しなければならない部分では確かにあいまいなものというのはある程度含まれてこざるを得ないというふうに感じております。しかし、だからといって、それぞれの起こる現象あるいはそれぞれの起こる事象の確率というものを無視してゼロか一かで論じることは決して科学的であると私は思いません。
  40. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 特定危険部位以外での異常プリオンたんぱくが確認されることが報告されていて、さっき座長も末梢神経でもというふうにおっしゃいました。副腎や末梢神経のことだというふうに思います。末梢神経で異常プリオンたんぱくが検出されるということは、本当は食肉が大変危険だということではないんですか。特定危険部位除去だけで危険を回避することができません。しかし、全頭検査が実施されていれば、末梢神経で異常プリオンたんぱくが検出されるような牛であればどのような月齢の牛でも感染を確認することができるのではないんですか。座長、お答えをお願いします。
  41. 吉川泰弘

    政府参考人吉川泰弘君) 先ほど誤解を招いたかもしれませんけれども、末梢神経で陽性になった、十三例目だったと記憶しておりますけれども、そのとき脳幹部かんぬき部と呼んでいる検査に当たっているところを一とすれば、末梢神経に蓄積された量というのは大体その五百分の一から千分の一という量でございます。  先ほど申しましたように、年齢がいって末期に近くて脳幹部に相当量がたまっているものについてはそのように末梢神経でも、ウエスタンブロットですけれども、検出できるというケースがありますけれども、こうした例は当然ある程度年齢もいっておりますし、検査で当然陽性になるからスクリーニング検査で全部外されるわけで、私が申しているのは、二十か月齢以下で検出限界、要するに、検査してもほとんど検出できないか、それ以下の牛の末梢神経にもしたまっているとすれば、それは恐らく人にとってほとんど、まあ比例計算でいけるかどうかの問題はありますけれども、リスクがあるとは私は思えません。
  42. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 二十か月齢以下の牛の末梢神経で異常プリオンが確認されることはないと言い切れないというふうに私は思っているんですけれども、現在のところ確認されていないだけということなんだと私は思います。私は、リスク評価や管理に当たっては最悪のシナリオを書くべきで、万が一のことがあるから異常プリオン発生し、感染牛が発見されるわけで、そういう最悪のシナリオこそ一番大切だというふうに思います。  この評価で万が一の可能性は否定できないというふうに言われておりますが、そこまで担保し切れないという結論ということでいいですか、金子座長代理
  43. 金子清俊

    政府参考人金子清俊君) 先ほどもお答えしましたけれども、いわゆる、あえていわゆると申し上げますが、私たちは科学的評価を行ってまいりました。それは絶対的なものではなくて、ゼロか一かで割り切れるものでもなくて、あいまいな部分もあるという、やはり科学の評価にもまず限界があるということを前提に評価を行っていることをまず御理解いただきたい。  その中でも、私たちが極力評価を試みて、先ほどから何度も申し上げているようなわずかな増加が、リスクにとどまるという、最大限、ぎりぎりの、言えるだけのことを定性的に、量的には難しいから定性的、せめて定性的にと、そういう言葉でお答えを申し上げたわけです。  ですから、それを、例えばその実行性、どのぐらいきちんと実行されているのか、SRMがきちんと取れているのか、飼料規制がどのぐらいきちんと守られるのか、そういった遵守状況等を踏まえて今後の政策を決めていただくのは、それはやはり管理省庁なり先生方がお決めいただくことであって、私たちはできる限りの、まあ限界がありながらもできる限りの科学的評価を試みて、何度もお答えしているお答え答申さしていただいたということであります。
  44. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 先ほど吉川座長は五百分の一とか千分の一という定量的なお答えをされましたが、私は、全頭検査見直し、すなわち二十一か月齢の牛を対象検査対象にしてもリスクは変わらないという結論は理解できないんです。そもそも人の変異型クロイツフェルト・ヤコブ病というのは、どれだけの異常プリオンたんぱくを摂取すれば発病するとか、そういうことが全然解明されていないんですよね。それが五百分の一なのか千分の一なのか分からないわけですから、若齢牛BSEに感染していても、微量だと考えリスクを明らかにされない中で、微量だと考えリスクを無視するようなことがあっては、余りにも乱暴な結論だと私は言わざるを得ません。  今回の評価でも、検査方法の改良によって、より若い牛でもBSE感染を発見できる可能性について否定しませんし、全頭検査をやめれば我が国BSE汚染度を的確に把握することもできなくなるんではないかというふうに思います。そこは座長、どのようにお考えですか。
  45. 吉川泰弘

    政府参考人吉川泰弘君) 二つ答えしておきます。  全頭検査感染牛を全部検出できていることではないということは理解しておいていただきたいと思います。検出限界以下の感染牛は現在も検出できておりません。全頭検査を続けても続けなくても、検出限界以下の感染牛検出することはできません。これが一点目です。  それから、もう一つの問題になりますけれども、二十か月以下に分からないという部分があることは事実で、それは科学の限界と、今、金子座長がおっしゃいましたけれども、我々もそういう意味では限界を持っているわけで、答申にも書きましたけれども、新しいより感度のいい検出方法が見付かれば速やかにそちらに切り替えるべきであるということは述べているわけで、僕が今説明しているのは、あくまで現在の検出感度検出方法であって、全頭検査ですべての感染牛検出しているのだという誤解だけは解いておかなければいけないということです。
  46. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 今の吉川座長のお答えは、私たちが聞こうとしていることを全部お答えいただいたと思います。全頭検査で、私たちは全頭検査こそ認めていますけれども、これは今行える最大の検査であって、これでさえも見付からないというふうにおっしゃっているということは、いかにBSEというものが解明をされていないし、いかにどういうふうに見付けるあれもない、もっともっと、もっともっと検査を明確にやらなければ駄目だというふうにお答えをいただいたというふうに受け止めます。  私は全頭検査見直しのことだけお聞きしたわけではないんですけれども、国民の皆さんは、例えば食べ物に限らず、安全、安心ということ、かなり敏感になっていらっしゃいます、今。だから、消費者の皆さんが納得できる評価でなければ何の意味もない。牛肉がかえって駄目になってしまう、国内産の牛肉でも駄目になってしまうんじゃないかというふうに先ほどは質問をされましたけれども、今回の評価は、調査会自らも定量的な評価ができずに定性的な評価によらざるを得なかったというふうにおっしゃっています。そこに本当に科学的な根拠というのがあるんでしょうか。  私たちは、例えば科学的な根拠というのは、ゼロ、一の問題ではなくて、〇・〇が幾つ並んだ一であっても、私はそれが科学的根拠だというふうに思えるんですが、安全対策見直しや定量的な評価に基づいてやるべきだと思いますし、それが科学的知見に基づくということだというふうに思いますが、座長はどういうふうにお考えですか。
  47. 吉川泰弘

    政府参考人吉川泰弘君) おっしゃるとおりで、僕自身も、すべて定量評価でいければそれがベストだというふうに、リスク評価としてはベストだというふうに考えております。ただ、例えばそこで取られた施策もやはり、例えばBSEの背景汚染には絡んできます。取られた施策有効性というのはどのぐらい遵守されたか、現場でどのぐらい行われているかということも、またある意味では定量評価には数値化するということが必要になってくるわけですけれども、どうしてもそういうものを明確な数字ですべて表現するというのは評価の中で難しいところが多々あります。  したがって、今回の場合、定量評価で進めるけれども、定量評価上無理のあるところは定性評価を組み合わせた格好で数字の独り歩きをするのを避けようというのが専門調査会の最初の議論の中で言われたことであったので、あえて定性評価と定量評価を両方やってみるような格好報告書を作ったわけで、リスク評価の難しさというのは、普通の純粋科学と違って、そういう社会現象そのものもある程度、評価の中に入れて総合評価をしなければならないという難しさがあって、各国、そういうわけで、定性評価、定量評価をかなり並列して、あるいは入れて使っているというのが現状でございます。
  48. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 先ほどのお答えの中に、全頭検査していれば安全だけではないというふうにおっしゃいました。専門調査会は全頭検査をやめていいというふうには言っていらっしゃらないんですよね。こんなことで、またこの現時点で省令の改正ができるんだろうか、このような状況規制緩和して、例えば薬害エイズのような、後で国民に申し開きのできないようなことが起こってしまうんではないだろうか、そんなお気持ちはあるんじゃないかなというふうに思いますので。これは独り言で申し上げます。  アメリカとカナダの牛肉リスク評価諮問についてお伺いします。  この諮問は輸出プログラムが確実に実施されることを前提としています。このような希望的な仮定に基づくもので輸入牛肉安全性についての的確な評価が果たしてできるんでしょうか。今二頭目が発生しました。アメリカは、アメリカこそ被害者だなんという言葉で言っていました、先ほども御質問にありましたが。金子座長代理は、一言の下に、予想されていることであったというふうに新聞に書かれました。もうアメリカが二頭目、三頭目出ることはみんな予想しておられるんじゃないんですか。そういうことで輸入牛肉安全性についての的確な評価ができるというお考えがあるかどうか、座長にお伺いします。
  49. 吉川泰弘

    政府参考人吉川泰弘君) これから審議していくことなので、個人的には今の段階で答えることは難しいですけれども、少なくとも、専門調査会委員の中でアメリカが清浄国で一頭もBSE汚染していないというふうに考えていた委員は私はいないと思います。それは、ヨーロッパのパネルもそうでしたし、EFSAのGBRもそうで、当然、あの時期アメリカもカナダも日本の十倍近い牛をイギリスから輸入しておりましたし、肉骨粉を買っております。したがって、それなりに基本的な汚染があったということは事実なわけで、そういう意味で、一頭出たからといってアメリカのそのリスク評価が根底的に変わるということはないというふうに私は考えております。そういうふうに言うなら、アメリカ汚染に関しては織り込み済みであるというふうに考えます。  それから、先ほどの、一番最初の輸出条件について一〇〇%守られるという前提で議論すべきかどうかという議論を前回の専門調査会でやって、そうすべきというのと、現実に行われていることとこれから取るということのギャップがどのくらいあって、それがどのくらいの可能性でできるだろうかということは、やはり議論した方がいいという意見も出ておりますので、その辺はこれからの調査会の審議の中で一つずつ明らかにしていきたいというふうに思っております。
  50. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 そういう今おっしゃったような十分なデータに基づく検証があって初めて的確なリスク評価ができるんだというふうに私は思います。しかも、輸出プログラムの実効性については、プログラムが実施されてから数年、例えばBSEの潜伏期間の年数、そういう要素を見なければ本当は確認できないんだというふうに私は思いますが、金子座長代理はどういうふうにお考えですか。
  51. 金子清俊

    政府参考人金子清俊君) 実際に評価を行うことと、それから、評価がどのぐらい、評価に基づいたデータがどのぐらい遵守されているか、担保されているか、それをどこまで評価に反映させるかというのは実に非常に難しい問題でございまして、私たちはいつもそこで苦労いたします。  今回、先ほど座長がおっしゃったように、まして米国の遵守状況をどのように評価するかというのは大変難しい問題ですので、そこは諮問された側が責任を持っていただくか、それとも現在あるデータ判断すべきかと、そこのところをこれから更に審議を尽くしていくというお答えのとおりだと思いますし、翻って、今後の遵守状況実効性についての検証も、それはやはり、それも含めて私たちは参加するべきではないかという意見もあるというふうにお答えさせていただきます。    〔理事岩永浩美君退席、委員長着席〕
  52. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 大体、一昨年末に米国BSEが確認されて、その後の政府対応は少し私はおかしかったんじゃないかなというふうに思います。BSE発生が確認される前に輸入された、国内で流通していた米国産牛肉について、政府は、食品安全委員会の皆さんに諮問することもなく、SRMを含まないものは安全性に問題はないとして回収などの対策は取りませんでした。  また、このことは今も厚生労働省のホームページにQアンドAの形で掲載をされています。例えば、既に輸入された、国内に流通している米国産牛肉は安全ですか。特定危険部位を含まない牛肉及び牛肉を用いた加工品は安全性に問題はありません。回収対象になるのは何ですか。例えば、特定部位が含まない牛肉及び牛肉等を用いた加工品について、食品安全性に問題がなく、回収の対象とはしません。  日本対策とは随分違うんですけれども、座長はどのように受け止めていらっしゃいますか。
  53. 吉川泰弘

    政府参考人吉川泰弘君) おっしゃるとおりではないだろうかと、それに関してはそう思います。  大体、我々日本もそうですけれども、一例目が出ると突然白い国が黒くなったかのように考えてパニックになりますけれども、実際には、リスクという点から見ると、その後多分どこの政府も、ヨーロッパもそうですけれども、徹底したリスク管理措置をとりますから、実際には止める前の方がリスクが高くて施策を取った後の方がよりリスクは少なくなるんですけれども、見掛け上はまるで反対で、黒いときが白で白くなったときが黒というふうに印象を受けてしまう。それは我々よく陥りがちなことであって、そういうふうに、言うならば対策を取る前の方が対策を取る後よりはリスクは高かったというふうに考えて、それはそれで正しいと思います。いいですか。
  54. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 厚生省のこのQアンドAの今流している文書は正しいというふうにお考えですか。
  55. 吉川泰弘

    政府参考人吉川泰弘君) そういうふうに考えるならば、そのときの方がリスクが高かっただろうというふうに私は考えます。だから、適切なリスク管理を取った方が賢明だっただろうというふうに私は個人的に思います。
  56. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 金子座長代理にもお答えお願いします。
  57. 金子清俊

    政府参考人金子清俊君) そうですね、端的に申し上げれば、吉川座長が申し上げた以上のことはございません。
  58. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 今、正に米国産牛肉の安全性について諮問がなされています。そういう一方でこのようなことを言っている政府とか厚生労働省に対して私は、少なくとも私は不信を抱かざるを得ません。そのような前提で、輸入再開に向けて、例えば輸入再開に向けて手続を進めていくことは、諮問の妥当性をも含めて、いかにも恣意的だと私は思います。いかがでしょうか。そういうふうにはお考えじゃないですか。座長、お願いします。
  59. 吉川泰弘

    政府参考人吉川泰弘君) 前回の諮問のときにもリスク管理機関に私は聞いたわけですけれども、少なくともアメリカの牛の全部の評価と、今回、二十か月齢以下の全月齢のSRMを取ったという、輸出規制条件を上乗せして評価をしてくれというその考えの中には、その輸出規制条件を足さなければ日本と同等というふうに考えられなかったのですかということをひっくり返して言えば、その条件がなければ米国汚染状況日本の今よりも高いと考えていいのですかというのに対して、そのとおりだという答えでしたので、そういう理解だというふうに私は思っておりますし、今回の諮問というのは、そういう中で輸出条件というもう一つ規制を掛けた上で回避できるリスクがどのぐらいで、最後に残るリスクがどのぐらいかということを評価してくれというふうに頼まれたというふうに私は受け取っております。
  60. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 金子先生御本人の御意見をお願いします。
  61. 金子清俊

    政府参考人金子清俊君) 今の御指摘の点は、実は当初、一番最初の諮問が参ったときに私が問題にした点でございます。  それについて、科学的な限界があるということを踏まえていただいて、どこまでの評価をするのか。それから、誤解を恐れずに申し上げれば、当時はやはり迅速に審議をした方がいいという意見がありました。その意見といいますか、そういうようなお話もございました。もちろん、その報道等の話で、直接私がそういうものを聞いたわけでは、してくれという依頼を受けたわけではございませんが、その中で私は評価というのをどういうふうにとらえるかと、科学評価の土俵をどこに置いたらいいのかと。あくまでも、先生が言われるように、人の健康を最大限重視した立場でやるというのが私たちの基本ですけれども、しかし、実際問題それができない。つまり、その米国汚染状況がよく分からない。そこで、その管理省庁側の方から積み増し部分といいますか、安全を担保するような追加条件、付加措置、付加条件、そういったものを付けて、これはこれで評価してくれと、そういう縛りといいますか、少し変わったといいますか、そういうものが来たわけですね。で、それをそのまま、そのベースとなる汚染状況等の本当のBSEリスクが分からないまま評価を進めていいかどうかという点を問題にしました。それについては、先ほど吉川座長からのお答えもございましたように、私たちは非常にそこを強く問題と思って認識し、ある程度の議論を尽くして、しかしできるだけのことはやろうということで、管理省庁側にもいろいろな追加データをお願いして、提出をお願いして、今後審議を進めていきたいと思っております。  ただ、その過程で例えば今回のような二頭目のBSE発生するという状況があれば、それについても具体的な資料を見せていただいて、できる限りいわゆる科学的評価、正しい正当な評価ができるように努力をしたいというのが私たちの基本的姿勢です。
  62. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 お二人の先生のお答えで、やっぱりまだ必要なデータを十分に取りそろえてほしいというふうな御意見だというふうに思いますので、政府側にはそのような正しい、もっともっと蓄積された必要なデータを十分に取りそろえていただくように私の方からもお願いをしていきたいというふうに思います。  私は、前の御質問があったので、ダブる質問はしないので十分な時間が取れました。専門委員の先生におかれましては、政府側の都合や、これは金子先生の御意見の中を十分に読ませていただいて言っているんですが、政府側の都合や事情にかかわらず、国民の健康を第一に食の安全を確保するという立場に徹していかれることを強く希望をいたしまして、私の質問を終わります。よろしくお願いします。
  63. 福本潤一

    ○福本潤一君 公明党の福本潤一でございます。  先ほどからリスク評価に関しても本質的な質問、様々続いておりますので、私も重なることないように、また当初投げた質問省かしていただくこともありますので、そういうふうな形で質問をさしていただくことを一言お断りしておきます。  三番目に投げておった質問を最初さしていただきますけど、大臣日本我が国米国とのBSE対策に対する認識の差、これが牛肉輸入問題の根底にあるのではないかというふうに考えられます。  まず、BSEに対する日本側における統一認識の一致点、相違点、明らかにする必要があると思いまして、大臣にお伺いしますけれど、昨年、日米BSE協議で、米国産牛肉の輸入再開に関する認識の相違、これについても協議されたのかどうか、この点を最初にお伺いしたいと思います。
  64. 島村宜伸

    国務大臣島村宜伸君) BSE問題につきましては、日米の専門家会合において科学的、専門的な見地から議論が行われました。BSE対策に関する日米の考え方の相違点が明らかになったところであります。  この会合の結果などを踏まえまして、昨年十月の日米局長級会合において、日本向けに輸出される牛肉などについては、国産牛肉と同等の安全性確保する観点から、すべての月齢の牛の特定危険部位除去されること、二十か月齢以下と証明される牛の肉であることなどについて認識が一致したところであります。  この共通認識に従い、現在、米国産牛肉の輸入再開について食品安全委員会審議していただいておるところであります。
  65. 福本潤一

    ○福本潤一君 輸入再開に関する認識、これ、先ほどから日本ではもう人に対する危険性、これを重視した上でのBSE対策ということを座長また座長代理からも含めてお話からよく伺いましたので、その点に関する焦点を絞ったまた対応をしていただければと思います。  もう一つ、国際機関でございますOIE、この国際基準見直しというものが、最近基準に変更があったというふうに聞いております。具体的なその中身と、これ、我が国に与える影響、また国際基準の変更が即輸入再開となり得るものかどうか、これについて局長からお伺いしたいと思います。
  66. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 去る五月の二十二日から二十七日までOIEの総会が開かれまして、そこにおきましてBSEの規約の改正が議論されました。  当初、事務局から提案がありましたその内容、その提案によりますと、貿易に当たってBSEに関するいかなる条件も要求すべきでない物品、いわゆる無条件物品に骨なし牛肉が追加されるというふうなこと、あるいはカテゴリーの簡素化、その他幾つか大事な改正案が提示をされておったわけでありますけれども、私ども、我が国といたしましては、無条件物品に骨なし牛肉を追加することについてはこのままでは妥当でないということで、BSE感染牛あるいは感染の疑いである牛由来でないということが一つの条件、またもう一つ特定危険部位による汚染防止がなされていることというのが二つ目の条件でありますけれども、こういった二つの点を付け加えるようにということを強く主張いたしまして、この点については、我が国の主張が受け入れられる形で採択をされたところでございます。そういうことからいたしますと、基本的には骨なし牛肉だからといって何か制限が緩まったということではないということでございます。  それから、このこととアメリカ、カナダからの輸入再開との関連でございますけれども、先ほどから御答弁申し上げておりますように、アメリカあるいはカナダから入ってくる牛肉の条件は、先般食品安全委員会諮問をした、いわゆる国内対策に付加された、一定の条件を付加したそういう枠組みの下で入ってくる肉については今リスク評価をお願いしているところでございまして、今回のOIEでのBSE規約の改正が直接その諮問事項に影響を与えるということはないというふうに思っております。
  67. 福本潤一

    ○福本潤一君 もう一つ局長にお伺いしたいんですけれど、先日、BSE国内対策見直しに関する評価ということで、科学者行政機関の間で評価の受け止め方が違うことが問題とされておりました。プリオン専門調査会の山内委員はこの点につき、衆議院農林水産委員会の場で、残念であるという発言をされておられます。また、金子座長代理もこの点を批判されているようにお伺いしております。これ、率直に言って、拙速に物事を進め過ぎたのではないかということ、このことが米国産牛肉の輸入再開問題について国民の理解が得られてない大きな理由の一つではないかと。今回、米国直産の方からも、イギリスで調べた結果、BSE陽性というふうに出たことも踏まえてお伺いしたいと思います。
  68. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 二点お尋ねがございましたので、まず最初の点について申し上げたいと思いますけれども、BSE国内対策見直しにつきましては、食品安全委員会の方で、BSE対策が導入されてからおおむね三年近くたったということを契機にいたしまして御審議をいただいた。その結果が中間取りまとめという形で昨年の九月の九日に公表されたわけでございます。  リスク管理官庁であります厚生労働省農林水産省としましては、この中間取りまとめを踏まえて、今度は、これ今まで取ってきた国内対策についての見直しを改めて諮問をしたわけでありますけれども、その間、必要な資料やあるいは説明等につきましてはその審議の過程で私ども最大限努力をしたつもりでございますし、また、ちょうどこの期間に当たりますけれども、全国で五十か所にわたって食品安全委員会リスクコミュニケーションをされました。その際には厚生労働省農林水産省も、その五十か所に全部に私ども出席をいたしまして、できるだけ国民方々に正確な情報が伝わり、また国民方々の声が聞けるようなそういう手順を尽くしてきたつもりでございます。  今回の国内措置見直しにつきます答申に併せまして、リスク管理サイドとしても、きちっとしたこれからも情報提供あるいはリスクコミュニケーションを行うようにという意見が付されております。その点につきましては、私ども、これからも最大限取り組んでいきたいと、消費者方々の理解が得られるように努力していきたいというふうに思っております。  それから、もう一点、マスコミその他も含めて情報提供等に必ずしも十分取り組んでいなかったのではないかという御趣旨の御質問かと思いますけれども、今申し上げましたように、BSE一つ取りましても、これまでの、昨年八月以降今日まで延べでいきますと八十回程度全国各地でリスクコミュニケーションを行ってきております。この回数で十分かどうかという点はあるかと思いますが、私ども、可能な限りこれまでも意見交換会あるいは情報提供というものは努めてまいりましたし、この姿勢はこれからも努力をしていきたい、この姿勢は貫いていきたいというふうに思っております。
  69. 福本潤一

    ○福本潤一君 引き続き、今日来られました吉川座長の方にもお伺いしたいと思います。  日本BSE検査、ウエスタンブロット法も取り入れてやっておられるようですし、米国、これIHC、免疫組織化学的検査で取りあえず対応しておるということでございます。これ、二つ検査方法検出感度の違いというのはどの程度あると実感として感じておられるかということと、もう一個、二十か月以下で今検出する能力はないわけですね。そういう技術的な限界、ゼロに近い形で起こるもの、例えば化学物質でもダイオキシンやなんかは検出ほとんどできないのがだんだん技術的向上によって検査ができるということが起こる現実ありますけれども、こういうウエスタンブロット法以上に検出能力がある技術、そういう検査方法可能性というのはどのように現実として考えておられるか、これをお伺いしたいと思います。
  70. 吉川泰弘

    政府参考人吉川泰弘君) 御存じのように、日本の場合は一次検査の後、基本的にはウエスタンブロット、あるいはもう一つのイミュノヒストケミストリー、あるいは組織病変といったようないろいろな方法で確認検査を行っているわけですけれども、基本的にBSEの進行状況考えると、一番最後まで来れば、恐らく最後の三か月から半年くらいは神経症状まで出てくると。その時期であれば、病理組織で脳に海綿状脳症と言われる穴が空いて見えるわけですけれども、そこまで行く前は、一応プリオンたんぱくの蓄積がたとえ空胞化してなくても免疫組織で掛かるという時期があります。その時期であれば、当然ウエスタンブロットでは引っ掛かるわけですけれども、それより前の時期になると、場合によると病変もないし、免疫組織では染まらないけれどもウエスタンブロットで流せばバンドが見えるという時期があるかというふうに思います。そういう意味で、ウエスタンブロットを導入した方がより初期から感染牛検出できるという可能性は高いと思います。  御質問の感度の問題ですけれども、直接、免疫組織の方法とウエスタンブロットを直接比較するということは難しいんですけれども、例えば日本の二十頭の中にも、イミュノヒストケミストリーというか、免疫組織陰性だけれどもウエスタンブロット陽性という牛がおります。また、先ほど末梢神経の話が出ましたけれども、大体五百分の一から千分の一という濃度しかなかった。それはウエスタンブロットで半定量的に見たケースですけれども、その場合には免疫組織では中枢神経は陽性ですけれども末梢神経は陰性ということになっておりますし、五例目のときに佐多委員が行った各部位の免疫組織とウエスタンブロットの比較でも腸管の神経叢、大体百分の一くらいの濃度でアウエルバッハの神経叢に陽性が出たというような報告があります。そういうことを併せて考えると、何対何と明確には言えませんけれども、百倍かそれ以上くらい感度が違うという可能性考えられるかというふうに思います。  それから、二十か月以下についても、先ほどお答えしましたけれども、科学の進歩は日進月歩で、新しい検出方法でウエスタンブロット以上に迅速でかつ特異性の高いという、感度の高い方法が開発されるということは十分あり得ることだろうというふうに思っております。
  71. 福本潤一

    ○福本潤一君 ありがとうございました。  現検査方法では二十か月以下、ほとんど検出されないということで聞かせていただいたわけでございますが、今、米国BSE検査サーベイランスということで行っておるようでございます。米国の農務省監査局、昨年の八月にこのサーベイランスの実態と問題点について指摘しておられたようでございます。生産者、またサンプル提出がこれ任意ではないかと。ある意味ではBSE検査に引っ掛からないのをサンプルとして提出することも不可能ではないような状況もあり得るということですので、サンプルテストの原則が維持する必要がある、それに対する対応、また高リスク牛として検査されるべき牛の検査漏れもあるということに対する心配、こういうことがございます。  ですので、仮に感染の疑いのある牛が隠ぺいされてしまえば分からないということは起こらないのかということと、専門調査会吉川座長にお伺いしますけれども、この米国サーベイランスの妥当性についてどのように評価されているかと、この点をお伺いしたいと思います。
  72. 吉川泰弘

    政府参考人吉川泰弘君) お答えします。  僕の個人的な考えですけれども、米国はある意味、それまでのサーベイランスは年二万頭前後で、日本もそうでしたけれども、ある意味では陰性を、あるいは清浄国ということを主張するためにサーベイランスを拡大してみせるというある種のデモンストレーション的な部分があったのではないかというふうにも思われます。  ただ、僕思うに、USDAの内部のOIGがサーベイランスプログラムに対して今言われたようなサンプリングというか、検体材料が本当にランダムサンプリングになっているのかどうなのか、検査頭数は本当にハイリスク牛、これで十分カバーできるのか、検査方法はそれでいいのかというような指摘を内部として、USDA内部の監査委員会としてしたということは僕は高く評価できる。そういう姿勢は非常に公明であって、なかなか日本で本当に政府の機関がそういうサーベイランスをしたというプランニングをしたときに、内部で本当にそのサーベイランスは科学的に妥当かという意見を公式に表明するというのは案外難しいこと、国の違いによるのかもしれません。そういう意味では、私はこのOIGの指摘というのは非常に時宜を得ていたし、その結果として三頭のうちの一頭が陽性になるという結論を得た。  ただ、最初に問題にされたサーベイランスのサンプリングが適切であったかどうかという疑問に関しては、本当に偏っているとすれば、まだ全体を把握するためのサーベイランスとしてはある種科学的な評価は下げざるを得ないと。逆に言えば、ちゃんとしたサンプリングプログラムでいけばもう少し引っ掛かったかもしれないという可能性も否定できないというふうには思いますけれども、私はこういう姿勢を取れたアメリカはそれなりにいい面もあるというふうに思ってはおります、個人的には。
  73. 福本潤一

    ○福本潤一君 貴重な御意見、ありがとうございました。同時に、金子座長代理にお伺いしたいと思います。  ほとんど検出できない二十か月以下の牛、こういうことが輸入になっていった場合のことも含めてお伺いしたいと思いますけれども、米国産牛肉のリスク評価、これ米国から提出された資料に頼るだけじゃなくて、米国BSE対策の実態、検査方法も踏まえて我が国独自でこれを調査して、総点検していく必要もあるんではないかというふうに思ったりします。二重検査等々で、一重で検査していたのではまたクリアできなかった部分をクリアする方法、それで二重検査、三重検査というようなこともあるかと思いますんで、専門委員としてどういうふうにお考えか、この点についてお伺いします。
  74. 金子清俊

    政府参考人金子清俊君) 今、福本委員のおっしゃるとおりだと思います。  科学評価の原則は、正にそういった実効性、遵守状況の検証を含めて評価を行う、これはもう理想的でございますが、先ほど来申し上げておりますように、この私たちの評価の経緯を見ましても、例えば我が国の検証であれば、それは非常にある意味可能でございまして、評価の途中でも何度も管理省庁側にそういう資料を要求させていただいたり、あるいは実際に私たちも屠畜場を見に行ったり見学したりすることができたわけです。  ただ、今回、この米国といいますか、対外的な外国産牛肉等の問題に関しましてそれができるかどうかというのは、私たちはできるだけやりたいとは思いますが、やはりその管理省庁側にお願いする。どこまで私たち独自でできるかというのは、理想として、そのおっしゃることは十分認識しておりますけれども、現実としてどこまでできるかは今私たちが議論しているというふうに考えていただければと思います。
  75. 福本潤一

    ○福本潤一君 今、二重検査可能性、またその有効性についても聞かしていただきました。  それで、局長の方にお伺いしておきたいんですけれども、仮に輸入が再開されるとして、二重検査の問題、さらには、米国産牛肉が市場に出回るということになりますと、米国産を国産牛肉や豪州産牛肉と詐称する事例の発生も懸念されるということがございますので、詐称事例等に対処するためにどのような措置考えておられるか、これについてお伺いします。
  76. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 食品の表示が適正に行われるということは、何よりも消費者の方がその食品を選ばれるときに言わば唯一のよりどころになる情報でありますから、きちっとされることが大事だというのはもう論をまたないところでございます。  農林水産省では、農水産物の原産地表示を始め、JAS法に基づいて食品の品質表示の基準というのが定められております。これがきちっと守られているかどうかということは、全国の地方農政事務所を中心に二千人強の職員を配置しておりますので、小売店舗などを常時監視をし、また指導もしているところでございます。  特に、その中で消費者方々の関心の高い品目につきましては、単にその店頭での表示を見るだけではなくて、更にその仕入れ伝票などを確認して遡及をしていく、あるいは表示の基準、表示のその根拠を確認をするというふうなことも行っております。徹底したそういった調査を行っております。例えば、昨年、十六年度に牛肉というのを一つの例に挙げまして、対象にいたしまして、約一万六千五百店舗を調査をしたことがございます。原産地などが正しく表示をされているかという確認調査をいたしました。  このように、大事な消費者方々の関心をよく踏まえて、きちっとした表示の適正かどうかという確認はこれからも続けていきますし、当然、違反があれば、まずは指示、公表、さらには命令といったこのJAS法に基づく措置を適切に講じていきたいというふうに思っております。
  77. 福本潤一

    ○福本潤一君 終わります。
  78. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  最初に、参考人として来られた先生お二人にお聞きしたいんですけれども、ちょっと、質問時間が十五分なものですから、答弁できるだけ簡潔にお願いしたいと思います。  最初に金子座長代理にお聞きしたいんですけれども、アメリカBSE検査体制についてです。アメリカで新たにBSEに感染した牛が見付かって、しかも、いったんは陰性と判定されたんだけれども再検査された経過を見ますと、改めてこの米国検査方法検査体制への疑問が生じてくるんですね。米国はこれまで、ウエスタンブロット法による検査必要ないという立場で実施してこなかったわけですけれども、かなり見逃しがあったんじゃないかというふうに思うわけです。  検査頭数や検査対象の問題含めて、この米国の現在のサーベイランスの結果で、BSEへの汚染度評価が正確にできるかどうかというのは非常に疑問があるんですけれども、この点についてどうお考えになるか。
  79. 金子清俊

    政府参考人金子清俊君) まず第一点目の検査について、米国における検査感度あるいはその検査の妥当性についてお答えします。  米国日本と同じように一次検査、二次検査という二つの二段構えの体制を取っているというふうに聞いておりまして、一次検査は、日本が行っているのと同じ会社のスクリーニングといいますか、スクリーニングと言いますけれども、科学的にはですね、ちょっと混同するんですけれども、第一次的な網を掛ける検査をしていると。これは日本とほぼ同等。ただし、米国ではオートマチックに、自動的にやっていると。そこで三十八万頭余をやって三頭の陽性が出たと、疑いの牛が出たということで二次検査に回ったわけです。  二次検査は、日本は、御指摘のように、ウエスタンブロッティングと免疫組織化学、このどちらかが陽性であれば陽性と判定していたわけですが、その三頭いずれもIHC、免疫組織化学では陰性であったと。この点はもう疑いのない、まあ検査としては不十分であるというふうに考えます。  しかし、先ほど吉川座長も言われましたように、内部で自発的に問題点が指摘され再検査を行うと、ウエスタンブロッティングという手法を用いて再度確認をして陽性が出たということは、これは、米国検査体制のみならず、汚染状況の把握にもつながる、正確な把握にもつながる非常な進歩であるというふうに私は思います。やはり、過ちを正すに遅きに失していないというか、非常にその姿勢は私は評価したいと思いますが。  最初の御質問の点に関しましては、やはり確認検査は従前の方法では不十分であったと思いますし、二番目の御質問であります米国汚染状況の正確な把握も、第一点目の不十分なままでは確実にはできていないと思います。ただ、汚染状況の把握に関しては、サーベイランスの頭数等ほかの要素もかなり絡むと思いますので、検査の感度だけではないというふうに思います。
  80. 紙智子

    ○紙智子君 それじゃ吉川座長にお聞きしますけれども、これは国内対策見直し答申をめぐっての問題ですけれども、食品安全委員会プリオン専門調査会がまとめた答申で、我が国における牛海綿状脳症に係る食品健康影響調査で、その「おわりに」というところで「二つの批判的意見に留意すべきである。」という指摘がありますね。  これは非常に重要だと思うんですけれども、なぜこういう内容が盛り込まれたのか。専門調査委員会としての、リスク機関、農水省、厚労省に対する言ってみれば注文的な中身もあるのかなというふうに思ったわけですけれども、この点についてできるだけ簡潔にお願いします。
  81. 吉川泰弘

    政府参考人吉川泰弘君) お答えします。  評価を終えるに当たって、附則というか附帯事項として、対策を取ってから諮問すべきではなかったのではないだろうかということと、人に対する危害という点から見れば無視できるあるいは非常に少ないというレベルのものではあるけれども、それをやめてしまうともう今後二十か月以下のデータは取れなくなるという、その科学的な重みもまたリスクマネジャーとしては考えてくれという、その二つの附帯事項を「おわりに」の中に付け加えたわけですけれども。  これが付け加わった理由というのは、それまで食品安全委員会プリオン専門調査会諮問を受けて、自分たちが実際何をするところかというところの議論を何度も繰り返してきた。同時に、諮問に対しては責務があるわけで、評価をしてくれと言われれば評価を返さなければいけないんですけれども、それはアプリオリにそうしなければならないものかというふうな議論が実は尽くせなかった。特に、この諮問が来るに当たって、その背景、経緯、その他について説明がないまま評価をするということになってしまったので、逆に言えば、評価を終えた後、こういう点に留意してくれという、その諮問に対する注文を書くというような逆転した格好になったわけです。だから、今回、米国のが来たときに、そうではなくて、順序をひっくり返さないで諮問の背景、経緯、その他についてから議論しましょうという話になったわけです。
  82. 紙智子

    ○紙智子君 それじゃ、もう一度金子さんにお聞きしたいんですけれども、米国・カナダ産牛肉リスク評価に関しての厚労省、農水省諮問の仕方、内容についてなんです。  それで、先ほどもちょっと和田議員とのやり取りがありましたので、それを、その上に立ってもう一度確認したいんですけれども、日本向けのプログラムは、言わば現在やっていないもので検証データというのは何もないわけですよね。架空のものなわけです。やっぱり、完全に実施されるのかどうかというのは、担保が明確じゃない中ではちょっとやっぱり不安も日本国民の中にはあると。  そういうことに対しては、先ほども金子座長代理は強く問題だと思って、それで本当に必要なデータも含めて更に提出も要望するということを言われたわけですけども、農林水産省厚生労働省、両省は、この上乗せ措置に対して、一〇〇%実施されたことにして評価するということにあくまでも固執をするという場合や、必要な検証データがそろわない場合というのは、答申が不可能ということもあり得るということでしょうか。
  83. 金子清俊

    政府参考人金子清俊君) おっしゃるとおりの問題点は、もう私は何度も申し上げるまでもなく、我々委員全員が共有した問題点であります。  実際にどういうデータをいただけるのか、どういう審議結果になるのか、現時点では私が予断を持って申し上げるわけにはまいりませんので、そういう可能性がゼロかと言われればゼロではないということしかお答えできませんが、そうなるかと言われたらそうなるというわけでもないですし、今審議の途中ですので、これに関しては断定的なことはお答えできません。  ただ、私たちとしては、極力何らかの結論を出すべきであろうと、極力結論を出す方向で議論を進めるという点は、これは委員全員の共通認識だと思います。
  84. 紙智子

    ○紙智子君 それじゃ、政府への質問にします。  まず、厚労省に質問します。  それで、今、参考人にもお聞きしたんですけれども、食品安全委員会答申は、終わりに二つ批判的意見に留意すべきだと言って、この輸入混合飼料影響が不明で、その対策の実施はこれからの課題で、SRMの除去の監視体制、ピッシングの廃止もこれからの実施という中で、月齢見直しについては一連の対策実効性を確認された後に行うのが合理的な判断だというふうに指摘をしているわけです。なのに、このBSE月齢見直しを進めるということは、この指摘を無視することになりませんか。
  85. 外口崇

    政府参考人外口崇君) 食品安全委員会答申部分には、御指摘のように、結論とは別に「おわりに」という部分がありまして、二点留意すべき意見として記述されております。  一つは、ただいま御指摘がありましたように、科学的知見が極めて限られていることから、月齢見直しは一連の対策実効性が確認されてから行うのが合理的な判断であるという御指摘……
  86. 紙智子

    ○紙智子君 短くしてください。それ、言わなくても分かりますから。
  87. 外口崇

    政府参考人外口崇君) はい。  もう一つは、自主的全頭検査がなければ、若齢牛での検査成績の評価はできなくなるという御指摘であります。  厚生労働省としては、食品安全委員会答申の「おわりに」の部分や、同委員会審議の過程における議論にも留意して、SRM管理の徹底を進め、ピッシングの中止については、食肉の安全性確保と従事者の安全確保の両立に配慮しつつ、指導の徹底について取り組むこととしております。  また、最長三年間の予定で行う自主的全頭検査への補助については、これはリスク評価とは別のものであり、混乱回避を目的としたものでありますが、結果として、食品安全委員会答申の「おわりに」に記述された留意すべき意見への対応一つにもなるのではないかと考えております。
  88. 紙智子

    ○紙智子君 食品安全委員会答申の中では、二十か月齢以下なら検査しなくてもいいという結論は一言も言ってないと思うんですね。やっぱり、リスクは増える可能性があるけども増え方が少ないと言っているだけだと思うんです。初めに検査緩和ありきで、それに否定的な部分は無視するというのは良くないと。食品安全委員会の多くの委員から、やっぱり都合のいいところだけつまみ食いじゃ困るという批判も出ているわけですね。  それで、答申では、月齢見直しは一連の対策実効性が確認された後にと指摘をされているわけですから、やっぱり不十分だと指摘されていることへの対策はきちんと実施するのが先決じゃないかと思うんですけども、いかがですか。
  89. 外口崇

    政府参考人外口崇君) 食品健康影響評価につきましては、その時点において到達されている水準の科学的知見に基づいて客観的かつ中立公正に行われることが基本であり、当該食品健康影響評価の結果である答申結論部分を踏まえ、BSE検査月齢見直しについて対応しているところでございます。
  90. 紙智子

    ○紙智子君 今の答弁では納得できませんけど、ちょっと時間もありますから次行きます。  農水省にお聞きします。  アメリカで二頭目の感染が確認をされて、同時に、これまでの検査のずさんさも明白になったと。アメリカ検査ではかなり見逃しがあるというふうに思うわけですけれども、少数の感染だからといってどこまでBSE感染が広がっているのか分からない。しかし、十月の二十三日の日米の合意で、日米両国は十分に強固な食品安全システムを有しており、少数の追加的なBSEの事例が確認されても、科学的な根拠がなされなければ輸入停止や牛肉貿易パターンの攪乱という結果に至ることはないと確認しているわけですけど、私はこの確認自体誤りだというふうに思うんですね。見直すべきだというふうに思っています。  あわせて、米国産、カナダ産の牛肉に関する食品安全委員会諮問について、厚労、農水両省は日本向けプログラム、つまり二十か月齢以下でSRM除去が一〇〇%実施されたものとしてこのリスク評価をしてほしいというふうに言っているわけです。現実には、日本向けのプログラムというのはこれから実施するもので、検証のデータはもちろん何もないわけですし、日本向けのラインをつくるかどうかということもアメリカ任せなわけです。検証データはないし、アメリカ任せで、SRMの除去月齢判定も実際には担保がないわけですよ。それでちゃんといくのかということではないのに、一〇〇%実施できることを前提にして審議しろと。これはやっぱり、日本向けのプログラムの実効性については食品安全委員会審議するなということになってしまうんじゃないかと。それであれば、架空の条件で牛肉リスク評価せよと言っているのと同じじゃないんでしょうか。いかがですか。
  91. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 二点ございました。  まず、その最初の点でありますけれども、昨年十月の日米局長級協議での文言でありますけれども、元々、第一例目のBSEアメリカで発見をされた直後に日本から調査団を出しました。また、アメリカは国際調査団も招聘をしました。そのいずれの調査団においても、アメリカというよりもむしろ北米大陸、カナダ、アメリカはそれぞれ一定のBSEリスクがあるということが示されております。  十月の局長級協議もこういったことを前提にして議論をしたわけでありまして、今日も変わっておりませんけれども、アメリカで二十か月、例えば二十か月以下というふうに今我々が想定していること以外の新たな知見が出れば別でありますけれども、アメリカには一定のBSEリスクがあるという前提で議論をいたしましたので、ここに書いてありますように、少数の追加的な発生が確認されても科学的根拠がなければ直ちに輸入停止にはつながらないということで、そこはもう既に前提として、つまり一定のリスクがあるという前提で追加的な条件も輸入条件として加えたところでございます。  それから、二点目のお尋ねでありますけれども、今回の輸出証明プログラムというのは一種のアメリカにおきます認証システムでありますから、これに適合しているかどうかということについては、各業者というんでしょうか、その対象者について書面審査あるいは現地に立ち入っての検査など一定の手続を経て、それに適合した人が今回輸出の資格あるいは日本向けの牛肉を取り扱う資格ができるということになっておりますし、当然、違反者に対しては一定のペナルティーといいますか、そういうものがございます。  こういった、アメリカの今準備をしております輸出証明プログラム自体の中にも遵守の条件が織り込まれておりますし、また、我々日本サイドとしましても、当然、この牛肉輸入が再開された以降におきまして、査察といいますか、一定の、アメリカに行ってきちっとその条件が守られているかどうかといったような点については十分チェックをしていきたいというふうに思っております。
  92. 中川義雄

    委員長中川義雄君) 時間が来ていますので、簡潔にやってください、質問も答弁も。
  93. 紙智子

    ○紙智子君 はい。  今お話があったんですけれども、私はやっぱり、十月二十三日の時点のときに既にこういうことを言ってしまったということ自体はやっぱり誤りだし取り消すべきだというふうに思っています。そして、やはり今お話がありましたけど、二十一日のプリオン専門委員会でも、一〇〇%の遵守はあり得ないという意見や詳細な状況が分からなければ評価できないという批判も出されたわけです。  当然だと思うんですけども、米国ではやっぱり飼料規制が不徹底でしかも個別識別システムも未整理だと。そういう中で、やっぱり迅速に対応できないわけですよ。検査もずさんな中で、そういう中でやっぱりまず問題点をきちんと見極めるのが先決だと。やっぱり架空の条件を前提に評価を求めるような諮問というのはすべきじゃないと、撤回をすべきだということを最後に申し上げて、質問を終わります。
  94. 中川義雄

    委員長中川義雄君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめます。  羽田君から発言を求められておりますので、これを許します。羽田雄一郎君。
  95. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 私は、自由民主党、民主党・新緑風会及び公明党の各派共同提案による牛海綿状脳症BSE対策に関する決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     牛海綿状脳症BSE対策に関する決議(案)   政府は、食品安全委員会評価を受け、国内BSE対策の変更を検討している。また、米国産及びカナダ産の牛肉国内牛肉とのBSEに関するリスクの同等性について、食品安全委員会諮問した。   しかしながら、そのいずれについても消費者や生産者から多くの懸念が表明されている。   よって政府は、国内BSE対策の変更及びBSE発生国からの牛肉輸入に関し、次の事項について、万全な措置を講ずべきである。  一 国内BSE対策の変更に当たっては、食品安全委員会評価を基に、付記された留意すべき意見に十分配慮した上で、適切に措置すること。    また、BSEに関して、新たな科学的知見が得られた場合には、迅速かつ適切に対処すること。  二 BSE発生国から牛肉輸入する場合には、食品安全委員会国内牛肉と同等のリスク評価した場合に限るとともに、国民の理解が得られるよう十分配慮すること。  三 牛肉輸入に関するリスク評価を求めるに当たっては、食品安全委員会が科学的かつ客観的な評価を的確に行えるよう、関係資料と当該国のBSE対策の実情等の情報提供すること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  96. 中川義雄

    委員長中川義雄君) ただいまの羽田君提出の決議案の採決を行います。  本決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  97. 中川義雄

    委員長中川義雄君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、島村農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。島村農林水産大臣
  98. 島村宜伸

    国務大臣島村宜伸君) ただいまの御決議につきましては、その趣旨を踏まえまして、関係府省とも連携し、適切に対処してまいる所存でございます。
  99. 中川義雄

    委員長中川義雄君) 本日はこれにて散会いたします。    午後三時三分散会