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2005-06-09 第162回国会 参議院 農林水産委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十七年六月九日(木曜日)    午後三時十四分開会     ─────────────    委員の異動  六月八日     辞任         補欠選任         小川 敏夫君     松井 孝治君      松下 新平君     工藤堅太郎君  六月九日     辞任         補欠選任         工藤堅太郎君     松下 新平君      松井 孝治君     小川 敏夫君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         中川 義雄君     理 事                 岩永 浩美君                 田中 直紀君                 羽田雄一郎君                 和田ひろ子君     委 員                 加治屋義人君                 岸  信夫君                 小泉 昭男君                 小斉平敏文君                 常田 享詳君                 野村 哲郎君                 松山 政司君                 小川 勝也君                 小川 敏夫君                 主濱  了君             ツルネン マルテイ君                 松下 新平君                 谷合 正明君                 福本 潤一君                 紙  智子君    国務大臣        農林水産大臣   島村 宜伸君    副大臣        農林水産大臣  常田 享詳君    大臣政務官        農林水産大臣政        務官       加治屋義人君    事務局側        常任委員会専門        員        高野 浩臣君    政府参考人        農林水産省消費        ・安全局長    中川  坦君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○農林物資規格化及び品質表示適正化に関す  る法律の一部を改正する法律案内閣提出、衆  議院送付)     ─────────────
  2. 中川義雄

    委員長中川義雄君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  農林物資規格化及び品質表示適正化に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会農林水産省消費安全局長中川坦君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中川義雄

    委員長中川義雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 中川義雄

    委員長中川義雄君) 農林物資規格化及び品質表示適正化に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。島村農林水産大臣
  5. 島村宜伸

    国務大臣島村宜伸君) 農林物資規格化及び品質表示適正化に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  近年、食品流通多様化高度化国際化等の進展と消費者の食に対する関心の高まりに対応して、消費者視点を重視し、消費者が自己の判断で合理的な商品選択を行うことが可能となるよう、農林物資規格に関する制度充実を図ることが求められております。  また、公益法人に係る改革を推進するため、これまで主に公益法人が国の代行機関として行ってきた認定等業務について、公正中立第三者機関に実施させることが求められております。  このような状況の変化を踏まえて、農林物資規格に関する制度を見直すこととし、この法律案を提出した次第であります。  次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、流通方法についての基準内容とする日本農林規格導入であります。  流通方法特色があり、これにより価値が高まると認められる農林物資について、流通方法についての基準内容とする日本農林規格を制定できることとしております。  第二に、格付を行う製造業者等の範囲の拡大であります。  農林物資製造業者に加えて、農林物資品質管理体制を的確に把握し、適正な格付を行う能力を有する輸入業者又は販売業者についても、登録認定機関認定を受け、格付を行うことができることとしております。  第三に、登録認定機関制度の改善であります。  製造業者等格付を行うことを認める登録認定機関について、国の代行機関としての位置付けに代えて、公正中立な民間の第三者機関として位置付けることとしております。また、都道府県、独立行政法人農林水産消費技術センター及び登録格付機関による格付廃止し、登録認定機関認定を受けた製造業者等による格付に一本化することとしております。  以上がこの法律案提案理由及び主要な内容であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  6. 中川義雄

    委員長中川義雄君) 以上で本案の趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  7. 岸信夫

    岸信夫君 自民党の岸信夫でございます。本日は農林物資規格化及び品質表示適正化に関する法律、いわゆるJAS法について御質問をいたします。  本題に入ります前に、二、三お尋ねいたします。  近年、食品に対する異物混入やあるいは残留農薬の問題、BSE、また食品偽装表示の問題など、我々国民一人一人の食に対する信頼を裏切るような事態が相次いでおります。  戦後、食糧難時代、我々、私などは知らないんですけれども、先人の御努力によってこの食糧難を乗り越え、そして経済成長食料自給率、これが非常に難しい問題ですが、その中であらゆる食を手にしてきたわけです。お金さえ払えば日本料理だろうとイタリア料理だろうと何でも手に入る、いながらにして世界の食が楽しめる、こういうような状況になってきたわけですね。ところが、一方で食料自給率の低下という大きな犠牲を我々は払ってきたわけです。いわゆる飽食時代とこう言われるわけですけれども、これは我々の日本人の食生活が本当に豊かになったのだろうかとまた反省してみなければいけないんだと思います。  昔は、八百屋さんあるいは魚屋さんにしても、素材がそのまま並べられておりました。消費者はその中から良いものを選んで買う。いわゆる良いものを選ぶ目というものを持っていたんだと思います。魚屋のおじさんにしてもあるいは八百屋のおばさんにしても、その日どういったものがお勧めかと、こういうものもよく分かっていたんだと思います。買手と売手の間に信頼関係がここにはあったんだと思います。  ところが、この飽食時代を迎えまして流通形態が変わりました。スーパーや量販店などが主流となる中で、食品加工品あるいは加工品というよりももう完成品に近いものが売られるようになってきました。独り暮らしの方やあるいは時間のない方などにとっては非常に便利になったわけですけれども、それとともに消費者は良い目を、良いものを選ぶという目を失ってきた。また、売手もその商品に対する責任、自信というものがなくなってきたんじゃないかと思います。そして、先ほど述べましたような食の安全、安心を脅かすような事態が続きました。消費者にとっては安全だと信じていたものに裏切られた、こういう気持ちもあると思います。  一向に回復しない食料自給率と、一方で様々な食があふれている食卓、安全な食に対する消費者の思い、いろいろあるわけですけれども、こういう事態政府はどのように受け止めておられる、国民の健康を守っていこうと、こう考えておられるのか、大臣のお気持ちを伺いたいと思います。よろしくお願いします。
  8. 島村宜伸

    国務大臣島村宜伸君) 食品不正表示事件が相次いだことやBSEの発生などを契機として、食の安全に対する国民信頼は大きく揺らいでおり、その信頼を回復することが急務と考えております。  このため、農林水産省といたしましては、生産段階から消費段階にわたるリスク管理の徹底、消費者などの関係者意見交換行い施策に反映させるリスクコミュニケーションの推進、食品表示適正化情報提供充実などを通じて、食の安全と消費者信頼の確保を図るため総合的に施策を推進しているところであります。  今後とも、食品安全基本法の理念に基づき、国民各層への情報提供意見交換に努めながら、国民健康保護を第一として、消費者信頼される食料供給体制の確立に取り組んでまいります。
  9. 岸信夫

    岸信夫君 食品消費者信頼が揺らいでいる中で、また全農農協、いろいろ問題が発生しております。  秋田における米の不正取引、これなどは農業に頑張っておられる地方の農家をも裏切るような行為で、これは看過できないわけであります。JA自身も二度とこのようなことを起こさない、こういう気持ちの上で、コンプライアンス重視とともにどこに問題があるのか、この問題の根を根絶やしにするような改革を求めていかなければいけないと、こう思います。  監督官庁である農林水産省責任も大変大きいんじゃないかと、このように思うわけです。単に厳しく管理監督していくと、こういうことではなくて、やはり農業従事者あるいは組合員方々、そして地域社会、この形成、そして安定のために今まで地域農協というものが非常に大きな役割を果たしてきたんだと思いますけれども、そういった本来の姿というものをもう一度取り戻していかなければいけないんだと思います。  こういった価値を有する、存在価値のあるそういう形での健全な育成というものが今求められているんだと思いますけれども、この全農在り方について御意見をいただきたいと思います。
  10. 島村宜伸

    国務大臣島村宜伸君) 不祥事が度重なっている全農につきましては、これまでの組織風土や体質を抜本的に改めることが重要であると考えております。  従来は、全農自主性にゆだねる、言わば良識ある運営というものに我々は全面的な期待を寄せていたところでありますが、今後はこれらについて、再発はもう許されませんので、私たちは全農に対して最後の言わばチャンスということをきちっと指示をし、当省の指導に従って全農が策定した再発防止策が徹底されているかしっかり検証していくほか、全農事業運営在り方について抜本的見直し行い改革を進めるよう指導していくこととしております。  以上であります。
  11. 岸信夫

    岸信夫君 それでは、JAS法改正案について御質問いたします。  JAS規格がこれまでに一般消費者購買行動に際しまして商品選択に果たしてきた役割についてお聞きしたいと思います。  JAS制度は、さかのぼること昭和二十五年、まがいものや粗悪品などを排除して業界全体の品質向上のために農林物資規格法として制定されました。以来、食品産業の発展、そして国民生活向上消費行動多様化などに伴いまして改正が重ねられてきたわけです。当初の農林業食品産業の助長といった立場から、今では消費者保護消費者に対する情報の開示という新しい観点でまた存在価値を、存在意義を持つようになったんだと思います。  生産から流通消費へと流れが多様化する中で、生産過程透明性を高め、消費者安心を確保し、そして消費者選択肢を与えることは、生産者にとっても付加価値を守るという点からしても大変重要なんだと思います。これを制度面から支えていくことは、やはり行政責任としてしっかりやっていただかなければならないと思います。  これまで、一般JASに加えまして、特定JAS有機JAS、そして生産情報公表JAS等新たなマークが制定されています。一方、品質表示基準制度についても、平成十一年の改正ではすべての飲食料品について義務付けが行われました。消費者への情報公開とともに、生産者側への適正表示への責任というものが課せられたわけです。  一方、鉱工業品にはJIS規格というのがあります。鉱工業品品質規格統一普及を図る上で、今やJIS取得取引に欠かせないものだと思います。消費者認知度というものもこれは広くなっているんだと思いますが、これに比べますと、消費者の日常の買物の中で利用されるべきJAS認知度というものはまだまだ低いんじゃないかと、このようにも思うわけです。特に、特定JAS生産情報公表JASなど新しいマークについては、まだほとんど知られていないんではないかというふうにも思うわけです。  消費者にどの程度このJASマークが認知されてまた利用されているのか、この実態についてお聞かせいただきたいと思います。
  12. 中川坦

    政府参考人中川坦君) まず、JAS規格制度のねらい、意義というものは、今、先生御質問の中で触れられたわけでございますけれども、こういったJASのねらいが的確に果たしていけるためには、一方で消費者方々にもきちっとしたJAS役割について御認識をいただくということが大変大事だというふうに思っております。  私どもも、このJAS制度普及啓発のためにいろいろと努力をいたしておりまして、手っ取り早い方法としましては、パンフレットなどを作りまして、それを講習会あるいは様々な意見交換の場でお配りをしてきちっと説明をしていくというようなこと、あるいは業界方々対象にした講習会の場でそういった資料を使いながら説明をしていくというふうなことを繰り返しております。  一つの例で申し上げますけれども、昨年度、平成十六年度にはパンフレット類合わせますと百二十六万部作っておりますし、また、各種の講習会、延べで計算をいたしますと九十八回開催をいたしておりまして、様々なJAS規格制度についての普及啓発を積極的に行ってきているところでございます。  今、具体的にそれじゃどれぐらい認知されているかということでございますが、特にこの特定JAS、それから有機JAS、あるいは生産情報公表JASといった、こういった特別の品質着目をした制度といいますのはごく最近導入されたものでございます。生産情報公表JASは牛肉と豚肉、この二つであります。そういう意味でいきますと、現実、確かに、日々の店頭でこういった特定JASマークが付いているもの、消費者の方の目に触れるのもまだ少ないのが実態かというふうに思います。  ただ、こういった特別の品質着目をしたJAS規格と言いましたが、言わば消費者方々が特に最近関心を持っておられるところでございますので、そういったニーズにこたえる意味で、より一層普及啓発に努めたいというふうに思っております。  具体的な数字につきましてはちょっと持ち合わせておりませんので、御容赦いただきたいというふうに思います。
  13. 岸信夫

    岸信夫君 ありがとうございました。  ただ、私の家内なども恐らくほとんどこのマーク存在を知らないままに買物をしているんじゃないかというふうにも思うわけでありまして、このJASマークの持つ意味がそういうことで最近は消費者観点というものから大変重視されてくると、こういうことでもあり、また啓蒙活動周知活動というのもこれは今後も徹底していっていただきたいと、こういうふうに思うわけです。  当初の目的からまた世の中変わってきたわけで、全体的に食品品質向上してきた、こうした中で、元々、業界主導のこのようなJAS規格というものが国家規格としてこれからも維持していく必要性というものがあるのかどうか、いろいろ疑問も出てきているわけでございますけれども、この点についてはいかがでしょう。
  14. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 一般JASを念頭に置いての御質問かというふうに思いますけれども、やはり規格であります以上は、そういった規格の設定につきまして、その統一性でありますとか、あるいはその規格を担保するための様々な格付制度の適正な運営というものをやはりきちっと確保しておきませんと、信頼が確保できないのはもとよりでございます。そういった規格性格からいたしますと、やはり国が関与をしていくと、国が責任を持って制度の適切な運用に努めるということが大事だというふうに思うわけであります。  その中で、いわゆる一般JASについて、そのニーズとの関係でどうかという趣旨かというふうに思いますけれども、一般JASを中心にいたしまして、それぞれ個別のJASにつきましては、平成十二年からでございますけれども、五年に一回、必ずこれはその必要性について見直すというふうな仕組みになっております。この五年に一回の見直しによりまして、必要性が乏しいというものにつきましてはそれを廃止をするということをきちっとやっていくと。そのことによりまして、現存するJAS規格についての必要性というものをまた改めて消費者の方、また事業者方々にも御認識をいただきたいというふうに思っております。
  15. 岸信夫

    岸信夫君 そのJAS規格見直しでありますけれども、昨年の十月にまとめられましたJAS制度あり方検討会、この最終報告によりますと、現行JAS規格には特色規格標準規格等級別規格、そして業務用取引規格の要素が混在しており、規格性格が明確でない品目が多いために、消費者生産者流通業者間でもJASマークにより担保される内容についての共通認識が形成されておらず、政策目標が分かりにくい、このような問題点が指摘されておるところです。そして、特色規格標準規格整理分類して、これに整理できないものについては廃止を検討すべきということが提言されております。  これまでJAS規格見直しをどのように行ってきたのか。さらに、この提言にあるような見直し生産者消費者そして実需者にとってどのようなメリットが生ずるとお考えでしょうか。
  16. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 先ほど少し触れましたけれども、平成十二年の法律改正によりまして、すべての規格を五年ごとに見直すということ、そういう作業を私どもやってまいりました。  具体的な数字で申し上げますと、平成十二年には百一の品目で三百五十二の規格がございましたけれども、これを見直しまして、現在では百一品目のところが六十九品目、それから三百五十二の規格が二百二十一規格というふうに、何といいましょうか、めり張りを付けてというか、必要性というものをよく考えて、必要でないものについては廃止をしてきたということでございます。  一方でこういう努力をいたしておりますけれども、それにいたしましても、そのJAS規格というものがその訴えるところは何なのかと。特色があるというところを強調した規格なのか、それとも平均的な、標準的な品質について定めたものなのかというそのJAS規格というものの性格がいま一つはっきりしないというのがあり方検討会での委員方々の御意見でございまして、この際、特色を前面に出した特色規格あるいは標準とする品質を示す標準規格というふうに、今あるJAS規格についてその性格をきちっと分けてやっていくべきではないかと、整理分類をするということによって、その結果、消費者の方なり実需者方々に、その用途に応じましたより的確な商品選択が可能になるように、そういうふうにすべきではないかという御提言をいただいたわけでございます。  こういった特色規格なり標準規格の具体的な整理分類作業といいますのは、JAS調査会におきましてその関係者方々意見をよく承って、そして作業をしていきたいというふうに思っております。個別品目ごとの具体的なニーズを踏まえて検討していきたいというふうに考えております。
  17. 岸信夫

    岸信夫君 特に消費者具体的ニーズに応じてということで、非常に大切な視点だというふうに思いますので、是非その観点を忘れずにしっかりとやっていっていただきたいと思います。  そして、今回の改正案の中で大きな眼目となっております流通JAS規格の創設であります。JAS規格基準として流通方法についての基準を追加し、新たに流通JAS規格を制定する、できるように措置すると、こういうことでありますが、特に食品商品としての価値考えた場合に、生産者手元から離れて様々な流通経路をたどって消費者手元に届く、消費者手元に届いたところでの価値というものが判断されるわけであります。  流通技術高度化、そして多様化に伴って、商品に対する付加価値創造の手段としてもこの流通というのが大きな役割を果たすようになってきています。商品差別化のために日夜、流通業者はこの流通どうやっていこうかと、このことに頭を痛めているわけです。その意味で、流通JAS規格という考え方は、消費者差別化された流通商品価値を持たせていることをアピールすることができればこれはいいんだろうと、こういうふうに考えるわけです。  しかし一方で、その具体論に入っていった場合、様々な流通形態があるわけです。この中でどれだけその共通規格を制定するということができるのでしょうか。  一つの例として、魚の低温流通というお話を伺っております。そういったことも、ほかの商品とは違うと、こういうことでJASマークを付けると、これはこれでいいと思うんですけれども、業者というのは更にその先を見ると。すなわち、同じような低温流通をしていても、ほかとはこういうふうに違いますと、こういうところを逆に言うとアピールしたいんだと思います。そういったことで、JASマークが付いているということだけではこれはまた意味を持たなくなってくるんじゃないかと、こういうおそれもあるわけですね。現行法では五年ごと見直しがまた定められていますけれども、流通技術についてはこれは日進月歩であります。流通形態もどんどん変わる中で、かえってこのマーク取得そしてマークの維持というものが生産者あるいは流通業者にとって負担になっていくんじゃないかと、こういうような懸念もあるわけです。  この辺りのことについて、実際にこれを具体化、具現化していく際にどういうふうにお考えになっているか、お聞かせいただきたいと思います。
  18. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 規格として定めます以上は、ある程度の技術、新たな技術について、普及の、一定広がりがあるものというものでありませんと規格化する意味もありません。また、あんまり広がり過ぎてもう既に世の中に普遍しているというふうなものであったら、改めて特色のある規格として設定する意味もないと。そういうある意味で両極端の場合にはこういった規格を設定することが必ずしも適切ではないというふうに思っております。  したがいまして、ある程度の広がりがある、そしてまた、他と、従来型の技術とは違う高度な品質管理技術流通過程において導入をされている、あるいは普及の端緒になっていると、そういうふうなものが今回の流通JASというものの一つ対象になるというふうに私ども考えております。  その際に、そういった規格化をされた、JAS規格になったものを更に超えて独自性を出す、そういったものを企業一つ取組として、創意工夫として行うことは、もちろんそれ自身は否定されるものではありません。その場合に、この規格で、JAS規格であります以上は、今申し上げたような一定広がりがあるということが必要でありますけれども、あくまでもJAS規格というのは任意制度でございます。  そうすると、任意制度として、そのマークを貼付するときにそれが保証する一定の水準を確保していくための制度でありますので、そこを超えて、あるいは他と差別化をして、企業が独自の取組をされるものを否定するものではありませんので、そこは企業の御自身の、それぞれの企業判断で、投資をされるかどうかというところを判断されればよろしいのではないかというふうに思います。
  19. 岸信夫

    岸信夫君 今お話ありましたように、このJASマークは確かに任意制度であります。しかしながら、任意制度ではありますけれども、これがマーク意味を持たせるということも、またこれは一方で必要なことだと思いますので、業者が更にその上をいく、これは企業努力でありますけれども、そのことがために、このマークがあっても意味を持たないと、業者にとって意味を持たないようなものになっては、これは何をやっているか分からない、こういうことにもなるんだと思います。  そして、この流通JASですけれども、ほかのマークの場合は、いわゆる生産ポイントを押さえればよかった部分というのがあると思うんですけれども、今度は流通全部の行程をしっかり押さえておかなきゃいかぬと、こういうことで非常に難しい管理が必要になってくると思います。製造者あるいは流通業者にとっての流通行程管理者というものが、この設置、必要なんだと思いますけれども、彼が、要は生産から流通消費まで一貫してすべて管理、しっかり分かっていると、把握していると、こういうことが必要なんだと思います。  ただ、現実には非常に複雑な流通システムの中での話です。そして、そういう管理者がきちんとやっている、仕事をしているのかどうか、管理をしているのかどうかということが、これをチェックするということも非常に難しくなるんじゃないかと思いますけれども、こういったことはどのように監督していくおつもりでしょうか。
  20. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 今回、新たなJAS規格として導入を、今法制化をしようとしておりますこの流通JAS規格でございますけれども、登録認定機関により認定を受けました流通行程管理者が、こういった農林水産物資が生産されてから消費者手元に届くまでの一定特色のある流通条件をきちっと担保できるように、そういった責任を負うわけでありまして、具体的には、例えば氷温という一定の温度管理をして流通される、そういった規格が設定されたといたしますと、その条件がきちっと守られるように、もちろん温度管理の記録は当然でありますけれども、どれだけ出荷をされて、その中間過程において、その量がきちっと販売、購買の面で適正な、きちっとした数量が確認をされて、そして、最終の小売段階まで届いたのかどうかという、この一連の流通行程のすべての記録をきちっと確認をしていくと、そういうふうなことが必要になるわけでありまして、当然、その流通行程管理者として認定を受けた事業者は、それが日々の商活動の中で守っているということを証明をしていく義務があるわけでありまして、当然、登録認定機関認定をした登録認定機関としましては、そういった流通行程管理者がそのとおりやっているかどうかということをチェックをしていく責務も負うわけであります。  もしこの登録認定機関がそういった適正なチェックをしてないとなりますと、農林水産大臣業務改善命令を出すとか、あるいは義務を履行していくチェック、きちっとしたチェックをしていないというふうなことのその程度が大きければ、最悪の場合には登録の取消しというふうな手段もあるわけでありまして、こういった仕組みを通じまして、この新たなJAS規格がきちっとその規格どおり確保されていくと、そういうことを担保していきたいというふうに思っております。
  21. 岸信夫

    岸信夫君 その今の管理者をチェックする、流通行程管理者をチェックするこの登録認定機関、ここにも相当な専門性が当然要求されてくることだと思います。そして、このたびその登録認定機関在り方がまた変わってくるわけです。今後、民間の登録認定機関による認定業務が行われる際の公平性をいかに確保していくか、そして今後は事後チェックというシステムになると思うんですけれども、これが本当に有効に機能するのかどうか、指導監督をどのように実際実施していくのかということがまた課題になってくるんだと思います。  特に今回は、外国の登録認定機関に対して、その国においてJAS法と同等の制度があるかどうか、いわゆる同等性要件をこのたびの改正で求めなくなっているわけです。このことには私自身大変不安が残るわけであります。どのようにこうした外国の登録機関をチェック、監督していくのか。定期的にこれは巡回して検査していくということになるんだと思うんですけれども、行政権の及ばない外国に存在する企業に対して、しっかりとチェック機能というのが果たしていけるのかどうかということが大きな問題になるんじゃないかと思いますが、この指導監督、どのように行っていくつもりでしょうか。
  22. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 今回、従来型の行政代行機関から民間の第三者機関というふうにその位置付けを、登録認定機関の位置付けを変えるわけでありますけれども、今回の改正されました後の仕組みにおきます登録認定機関をどのような形で登録をしていくかということでありますが、まずは登録申請が行われると、その際に登録基準、これはISOの65というものが法律でも明定をされるわけでありますけれども、その登録基準に基づいて厳正な登録審査を行うということになります。  それから、これも法律で定められることになりますが、業務改善命令、先ほどもちょっと申し上げましたが、登録認定機関が適正な業務執行をしていない場合には業務改善命令という仕組みが今回導入をされます。これによりまして国が業務を監視、監督をしていくことになりまして、それぞれの登録認定機関業務の公正性を確保していきたいというふうに考えております。  その際、今、先生が例を挙げられました外国におきます登録認定機関でありますけれども、従来は、その相手国といいますか、その外国自体がJASと同じような制度を持っているということを前提に、登録の際の審査、まずは基本的に書面、書類の審査が中心でございました。今回は、この外国の登録認定機関につきましても、国内の登録認定機関と同じように、最初の登録の際には農林水産省の職員あるいは独立行政法人の消費技術センターの職員が直接その外国の登録認定機関のところに出向きまして審査をするということを考えておりますし、また登録後の指導監督につきましても、少なくとも一年に一回は現地に出向きまして、その登録基準にきちっと適合しているかどうかといったこと、業務がきちっとそういった規定に基づいて正しく実施をされているかどうかといった監視をしてまいりたいというふうに思っております。  そういうことからいたしますと、同等性というものは廃止をいたしますけれども、かえって個別の認定業務につきましては従来よりもきめ細かくきちっとやっていくということになりますので、制度運用が甘くなるというものではありません。
  23. 岸信夫

    岸信夫君 その同等性の問題なんですけれども、このJAS制度がその国においてあるかどうかということは、一つは、その国の食品産業に対する衛生管理というのがきっちり取られているかどうかということの一つの目安にもなるんじゃないかと思います。そういう制度がない国というのはちゃんと、食品生産に対してきちっとした管理ができてないんじゃないかと、こういう国も多々あるんじゃないかと思います。  ですから、認定機関の質がどうこうというよりも、その国の食品生産自体が本当に信頼の置けるものかどうかということが非常に大きな問題じゃないかと、こういうふうにも思うわけです。単にその外国の登録機関が心配だと、こう言っているわけじゃないんです。ちゃんとした国もあるわけで、そういった国はこういう認定機関もきちんとしていると思いますし、その食品産業自体もきちんとしたものが作れる、こういうことだと思います。そうした国でJAS法JAS制度がない国というのはそういった国ではないんじゃないかということが一つ大きな心配になりますんで、逆に言いますと、この点を外すんであれば、しっかりその辺りも調べた上で認定をするかどうかと、こういう判断をしてもらわないと困るんだと思います。  登録認定機関が今度全く、今までは大臣からの命令でやっていたわけですけれども、今度は独自の責任でもってやるようになるわけですね。この機関が例えば廃業をしたと、やめてしまったという場合に、そこの認定によるJASマークというものはどういう扱いになるんでしょうか。
  24. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 登録認定機関が廃業した場合に、その当該登録認定機関から認定を受けていた認定事業者、この認定の効力も失われることになりますので、言わば親ガメがこけたら子ガメがこけると、ちょっと表現は申し訳ありませんが、要するに、その認定機関が廃業した場合には、そこから認定を受けた事業者もそれ以降JASマークは付けられなくなるということになります。
  25. 岸信夫

    岸信夫君 そうしますと、結局、そういった認定機関を信用してマークを頼んで、認定を頼んで認定を受けた。ところが、そこがやめてしまったらまた新たに取り直さなきゃいけない、業者にとってはまた手間とコストが発生してしまうと、こういうことにもなるんだと思います。  また、その認定機関ですけれども、これまで大臣の代行としての業務だったものが自己責任での認定作業になると。ISOガイド65の基準を満たすということに加えて、またこのリスク分担などのここのハードルが高くなるんだと思いますね。登録認定機関の中にはその地域に根差して有機農産物の認定などを行っているなど、比較的小規模の機関もあると思います。こういったところは法改正後に登録を受けることができなくなるんじゃないかと、こういう心配も出てきているんだと思います。また、認定料についてもまた高くなってしまうんじゃないかと、こういう懸念もあるんだと思いますけれども、この辺りはいかがでしょう。
  26. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 今、先生御指摘の点は、実は今回の法改正を各関係登録認定機関等の方々に御説明をした際に一番心配された点でございます。    〔委員長退席、理事岩永浩美君着席〕  具体的に申し上げますと、この登録認定機関に求められる一般的な要件、確かにISOガイド65というものを今回導入するわけでありますけれども、これはこれまでも、明示的には示されておりませんが、実態としてはそれに沿った形で登録を行ってきたわけであります。  今回新たに導入されますのは、こういった登録認定機関認定をした事業者を取り消すという、その認定自体を取り消すということが登録認定機関にもできるようになったということであります。この新たな、何といいますか、一つの権限みたいなものを導入するに当たりまして、そのための業務内容をきちっと整備をするというふうなところは多少新たな業務としてといいましょうか、新たな作業として必要にはなりますけれども、これまでも適正にその認定作業を行ってこられた登録認定機関にとりましては、現状と比べましてさほど過重になる作業や、日常の業務が過重になるというものではないというふうに考えております。  また、新たに必要になると申し上げました取消しのための事務でありますけれども、これも、私ども国の方でまずは一定のモデルを示すなど、この新しい制度に円滑に移行ができますように必要な手当ては講じたいというふうに思っておりまして、関係者方々にも理解を得ながら、円滑に新たな仕組みに移行できますように努力をしていきたいというふうに思います。
  27. 岸信夫

    岸信夫君 しっかりお願いいたします。  続きまして、加工食品の原料原産地表示の義務化についてでありますけれども、これは平成十三年の十月に始まっています。その後対象品目が拡大されまして、昨年には生鮮食品に近い加工食品二十食品群について実施が決まったと、そして十八年十月から義務化されることになっています。  義務化の対象範囲については、消費者やあるいは製造業者など十分な合意形成を図っていかなければいけないわけですけれども、どの範囲の加工食品に原料原産地表示を義務付けていくか、その方向性、そして工程等を明らかにするとともに、義務表示に伴うコスト増、結果として競争力の低下を来さないような適切な支援をしていくということが大切なんだと思いますが、この点について農水省の見解をいただきます。
  28. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 今御指摘ございましたように、加工食品につきましては、消費者の目から見ますと、できるだけその原料の原産地を表示してもらいたいというニーズが一方ではありますけれども、他方で事業者方々も、加工食品となりますといろんな多様な原材料を使って製造されますので、かつまた、その原材料を安定的に手当てをしていくとなりますと、その産地も変動する、動くというふうなこともございますので、なかなか一律に原料原産地をすべての加工食品に義務付けるというのは難しい面がございます。  昨年の九月にその対象範囲を大きく拡大をしたわけでありますが、その際の基本的な考え方は、その加工食品の原材料がどこで取れたものか、どこで生産されたものかということが最終製品の品質にも大きく影響すると、この加工食品の原料はどこで取れたものを使っていると、そのことが消費者の方から見ても品質に直接影響すると、そういうふうに考えられるものがまず対象になると、そういう言わば横ぐしの基準を設定をいたしまして、かつまた、主要な原材料である必要がありますので、重量で二分の一以上を占めるものと、この二つの基準でもって対象範囲、対象の加工食品を定めたところでございます。  今後さらにこの先どうするかという点につきましては、今回新たに導入いたしました加工食品対象範囲の流通実態ですとか、さらにまた消費者の方がどういうことを望んでおられるかといったようなこと、それから、現実に来年から義務化をいたしますけれども、それに向けての関係業界方々取組実態などを踏まえまして必要な検討をいたしたいというふうに思っております。
  29. 岸信夫

    岸信夫君 ありがとうございます。  このJAS法に違反するような食品の不正表示というものが続出しておったわけでございます。表示に対する消費者信頼が失墜してまいりました。これを取り戻すために、JAS法改正によって違反者の公表の迅速化あるいは罰則の大幅強化と、こういうことが行われたわけですけれども、その後もいろいろな違反が続いております。  消費者は、食品に対する、食品の表示というものを頼りに商品選択するわけです。表示違反というものは消費者に対する裏切り行為であると、こういうふうにも言えるわけです。JAS法の精神を述べるまでもなく、事実と反することを行っている、事実を表示するという当たり前のことを行えない業者が多いということは大変懸念される事態であると思います。国を挙げて自給率向上を目指して、そして食の安全、安心の確保に取り組んでいる中で、これは、こういったことは決して許されることではないというふうにも思います。  最後に、こういった食の安心、安全、信頼回復に向けての御決意をいただきたいと思います。
  30. 島村宜伸

    国務大臣島村宜伸君) 御指摘のとおり、食品表示消費者商品選択する際の重要な情報でありますし、そういう意味で、いまだに表示が偽装されている例があることは非常に残念なことと認識しております。  農林水産省といたしましては、JAS法に基づく食品品質表示適正化を強力に推進することとし、全国に約二千名の職員を配置し、小売店舗などに対し常時、監視、指導を行っておるところであります。また、原産地の表示などに不正が確認された場合には、JAS法に基づく指示、公表などの措置を適切に講じているところでもあります。  今後とも、これらの取組を通じ、食品表示適正化を徹底してまいる所存でありますので、御理解を賜りたいと思います。
  31. 谷合正明

    ○谷合正明君 公明党の谷合正明です。  まず初めに、JAS法に関する質問の前に、牛肉のトレーサビリティー法に関する質問をさせていただきたいと思います。  先月、滋賀県におきまして、近江牛の生産履歴偽装事件が明るみになりました。本来、近江牛(静岡県産)と表記すべきところを、純粋に近江牛とだけ表記しているために滋賀県で長く飼育していたように見せ掛けたという、つまり生産履歴を改ざんしたものであります。北海道で起きました耳標偽装事件に続きまして牛肉トレーサビリティー法に違反する事件が起きました。  この滋賀県の事件を受けまして、滋賀県内のすべての肉牛農家を対象にした調査が行われました。百二十八戸の肉牛農家のうち六割以上で何らかの形で牛の飼育履歴の登録漏れが見付かったとのことです。調査した一万八千八百七十二頭のうち、出生、死亡、移動状況の未報告が九百八件、耳標の未装着が、片方しか耳標をしていないという牛を含めると千五百九十五頭にも上ったそうであります。これは本当に、一割近い数でありますので多い数だと思っております。  牛の登録、変更などのデータを扱う福島県の家畜改良センターでは、一日約三万頭のデータが送られてくると。しかしながら、ファクスなどによる登録ミスは一割にも及ぶときがあると。事務作業が追い付かないという声も上がっております。こうしたミスは故意でないにしても、システムの不備あるいはそのシステムの盲点といった状況に目を付けて生産履歴を改ざんするような、あるいは耳標を取り替えるというようなケースが今回そして北海道でも起きたんだと私は理解をしております。  問題は、そのトレーサビリティー法の信頼性をこれ以上損なわないために早急にこのシステムや耳標構造の見直しが必要であると思っております。牛肉の輸入再開の議論が行われている最中なだけに、私は、国内の体制をしっかりとしたものにすべきだということをまず訴えたいと思います。  まずは、その実態を把握するために、北海道、滋賀県以外でも、ほかの県でも全肉牛農家を対象にした、全頭検査とはいかないまでも、サンプリング調査など一斉点検をするなど、肉牛管理の徹底を図ることが必要だと考えておりますが、前回もその耳標事件のことで大臣質問させていただきましたので、今回も大臣のまずその見解を伺いたいと思います。
  32. 島村宜伸

    国務大臣島村宜伸君) 北海道と滋賀県における牛肉トレーサビリティー法の違反事例を受けまして、牛の管理者への指導を徹底するよう、全国の地方農政局と地方農政事務所に対してこの指示を徹底したところであります。  地方農政局と地方農政事務所においては、従来より牛の管理者に対する巡回点検を計画的に実施しておりますが、今回の違反事例の発生を踏まえまして耳標の装着や届出状況の確認を行うなど、指導の徹底を図っているところであります。  今後とも、トレーサビリティー制度の言わば的確な実施に努め、本制度、ひいては国産牛肉の信頼性の確保に努めてまいりたいと考えておるところであります。  なお、滋賀県の肉用牛の管理者に対しましては、滋賀県側から、近江牛の名誉回復をしたいと、そういうために是非協力してほしいという要請がありまして、一斉の巡回指導・点検をという形で滋賀県と合同で緊急的な指導を実施したところでありますが、その結果、悪質な違反事例は見受けられず、まあ終わったということでございますが、引き続き言わばこれら農政事務所が、滋賀県の農政事務所が監視、指導を行っているというふうに報告を受けております。  なお、私は、前の農林水産大臣の際に各県の知事といろいろお話をする機会がありましたが、どの知事も自分のところの牛肉が日本一おいしいと、こう言うんですね。それは何も変に肩をそびやかして言うんではなくて、本当にそうだと信じているようであります。何ならいつでもと、こう言うんですけれども、それはごちそうになるわけにいきませんが、いろいろ聞いてみると本当に、肉のプロでも差別が付かないというくらい本当に日本の肉はどこの肉もおいしいようであります。前沢牛にしても仙台牛にしても米沢牛にしても、松阪はもとよりでありますが、神戸にしても但馬にしても、それのついでに元々の本家はうちの方だと、こういうお話まで聞けるわけですが。  そのぐらいプライドを持っていいものを作って競争しようというのは非常にいいことでありますし、私は、そういう意味では日本人の良さがそこにあるんだろうと思いますから、こういう本当にわずかな事件のために全体がおかしな誤解の中に閉じ込められるというのは非常に良くないと。  ただ、今、委員から伺った数字はちょっと大きい数字でありますから、こういうことはもう決して聞き捨てなりませんので、この次にまた御質問を受ける際には、明らかに内容が変わってきていると、こういう事例を示して、更に徹底を図りたいと、こう思うところであります。
  33. 谷合正明

    ○谷合正明君 国産牛肉の信頼性確保のために本当に努めていただきたいと思っております。我が岡山県も、牛肉は本当においしいんだという自負を持っている方々にたくさん接します。それはおいておきますが、JAS法とも関連しないこともありませんので、初めにこの質問をさせていただきました。  続きまして、今回の改正案でありますJAS法について質問に移らさせていただきます。  先ほど大臣趣旨説明で述べられたとおり、消費者視点を重視し、消費者が自己の判断で合理的な商品選択を行うことが可能となるように制度充実を図ると言われたところであります。その方向性について私も賛成をしております。  一九五〇年に始まりましたJAS規格制度、当時多発した粗悪品やまがいものの出回りなどを防いできた、そういう制度として一定役割を果たしてきたことを私も理解をしております。しかし、一方で現在のように全般的に品質向上した時代において、率直な思いとして、JAS法がないと本当にだれか困るのかという思い、疑問というのもないわけではありません。消費者生産者製造業者JAS規格に何を期待しているんだろうかと。  JAS法の今日的意義はどこにあるのか、大臣の見解を伺いたいと思います。
  34. 島村宜伸

    国務大臣島村宜伸君) JAS規格制度は、国が定めた品質基準を満たす飲食料品などにJASマークを付して販売することを認める仕組みでありまして、これにより農林物資品質向上消費者の合理的な選択などに寄与してきたところであります。  また、社会情勢の変化に対応した取組として、例えば近年では、食の安全、安心生産情報の開示に対する消費者関心に対応して、有機JAS規格、あるいは生産情報公表JAS規格を制定したところであります。  このような取組は、消費者関心にこたえるものであると同時に、意欲ある生産者あるいは製造業者品質向上努力を促すものとなっております。  JAS制度の果たしている重要な役割にかんがみまして、今後とも制度の適切な運用に努めてまいる所存でありますが、たまたま先ほど岸議員の御質問の際にも、自分の家内がJAS存在を果たして知ってそのマークを確認したものを買っているだろうか。実は、私もそのとき自分の家内を思いやって、同じことじゃないのかなと、こう思ったところですが。  ただ、私が最近いただくこういう専門の業者方々の名刺にJASマークをわざわざ入れたものがあって、自分のところはこのマークを取っている店だと。これが非常に多いのに気が付いているわけですが、やっぱり業者の方からすればそれが大変な言わば看板になることも事実のようでありますから、こういう制度があることをもっと徹底せしめて、このマークを使える店はより確かなものだという、ある意味で社会的な権威というものが言わば確立されるように努力することも我々の一つの大事な仕事かなと、こんなふうに思っているところであります。
  35. 谷合正明

    ○谷合正明君 私も、買物をするときにこれまでそのJASマークを見ていたかというとそうでもなく、この質問をする前に、私も岸委員と同じように妻に聞いたわけでありますけれども、やはり気にしていないと、その妻の友人も気にしていないという回答でございました。ただ、今言われたとおり、差別化規格に重点を移していくような方向性の中で、やはり消費者だけじゃなくて意欲ある生産者にもメリットをもたらすというもの、そういう御回答をいただきましたので、是非ともその方向性を明確化していっていただきたいと思っております。  次に、流通JAS規格について質問をさせていただきます。  今回の法改正の眼目の一つとされておりますこの流通JAS規格であります。この流通JAS規格を定めることによりまして、消費者実需者にどのようなメリットがあるのか、また現段階におきまして、流通JAS規格の需要はどの程度あると見込んでいるのか、政府にお伺いをいたします。
  36. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 今回導入を検討しておりますこの流通JAS規格でありますけれども、これはやっぱり消費者方々がその商品そのもの、あるいはその商品がどのように作られたかということだけではなくて、それが作られてから手元に届くまで、その流通過程に対しても非常に、どういうふうにハンドリングされたかというふうなことが大変関心が高まってきているということが一つございます。  その一方で、食品流通の分野におきましても、高度な品質管理技術が積極的に活用されるようになってきているという現状もあるわけでございます。こういった取組につきましては、なお一層その推進をしていくということ、それからまた消費者に対しましても特色のある方法流通をした商品についての情報を積極的に提供していくと、こういうためにこの新たな流通JAS規格というものを考えているわけでございまして、具体的なそのメリットということで申し上げれば、消費者にとりましては、特色のある流通方法で提供された商品安心して買っていただけるということでございますし、また事業者の方にとりましては、高度な品質管理技術流通した商品であることを消費者方々に積極的にアピールできていくと、そういうメリットがあるのではないかというふうに考えているわけであります。  それじゃ、この流通JASについて具体的にどういうものが見込まれるのかということでありますが、これはやはり事業者方々あるいは消費者方々が本当に、どこにどういうニーズがあるかということはこれからもう少しきちっと把握をしていく必要があると思います。私どもは、取りあえずはどうかということで考えますと、温度管理をきちっとした氷温流通というのが一つ考えられますし、また活魚の流通、そういったものもあるかと思いますが、これは我々が今推測をしているだけでありまして、本当に事業者方々消費者方々がどこにそのニーズを持っておられるかということはJASの調査会の中で具体的に検討していきたいというふうに考えております。
  37. 谷合正明

    ○谷合正明君 是非とも、消費者がその付加価値を認めて余分にお金を払ってもいいというような制度をしっかりと検討していただきたいと思います。  その流通JAS規格ですけれども、その見直しについて確認をさせていただきます。  JAS規格は少なくとも五年ごとに見直すことが法定されております。流通分野におきましては、その技術進歩、先ほど低温流通の話もありましたが、もう五年もたてばかなり技術が進むということが言われております。そうしますと、その五年間待っていると新技術導入というものが逆に妨げられてしまうんじゃないかとかいう意見、また一方に、逆に頻繁に改定してしまうと、JAS規格流通JAS規格を頻繁に改定してしまうと認定を受けた事業者に負担を掛けてしまうんではないか、あるいはJAS規格信頼を低くしてしまうんじゃないかというような指摘もありますが、そういった技術進歩の観点から、この流通JAS規格の制定内容見直しというものはどのように行っていくべきなのか、政府の見解を伺います。
  38. 中川坦

    政府参考人中川坦君) どういう具体的な規格をこの流通JASの中で設定していくかということもこれからJAS調査会の中で御検討いただくものでございます。  そういうことからいたしますと、どういう見直しの方針かということにつきまして余り具体的にお答えすることはこの段階では大変難しいわけでありますけれども、やはりこの流通JAS一つの新たな規格でありますので、先ほどもちょっと申し上げましたが、一つの新しい技術としてこれから普及していくというふうなもの、かつ消費者事業者の方がきちっと求めている、そういうものを特色のあるものとしてアピールしていく、それだけの価値があるものというふうにお考えいただく、そういうものが新たなJAS規格になるわけでありますので、それが引き続き、常に、それが今、その時点その時点でそういった特色を維持しているかどうか、あるいはそういうことで流通する商品がそれなりの価値を高めているかどうかについては、ずっとふだん、常日ごろからチェックをしていくということが必要だというふうに思っております。  それから、五年に一度の見直しというのは一つのルールでございますけれども、これは少なくとも五年に一度は見直しをするということでありまして、特別の事情によって必要があれば、その五年を待たずとも、これまでも見直しをしてきているところでありますので、そこは余り機械的に考えずに、きちっとしたニーズあるいは世の中の流れに対応できるような形でこの制度は運用したいというふうに思っております。
  39. 谷合正明

    ○谷合正明君 分かりました。  続きまして、Ⅰ種格付制度廃止につきまして質問をさせていただきます。  今回、登録格付機関等によるⅠ種格付制度廃止されようとしております。結果としまして、JAS規格格付JASマークの貼付は認定を受けた製造事業者が行う登録認定機関制度のみにより実施されます。そこで、これまでⅠ種格付制度を利用してきた畳表、生糸、林産物等について、この制度廃止が畳表、生糸、林産物等に関するJAS規格格付の減少につながる懸念はないのかという心配もあります。  畳表の場合、現在登録認定機関存在しておりません。岡山県、広島、福岡、熊本県、県で格付を行っておりますが、今回の法改正によりましてどういう対応をしていこうと考えているのでしょうか、お伺いいたします。
  40. 常田享詳

    ○副大臣常田享詳君) Ⅰ種格付制度廃止に当たりましては、急激な制度の変更による混乱を避けるため、三年間の経過措置期間を設け、この間は現行のⅠ種格付制度による格付を可能とするとしております。  また、この経過措置期間内に、畳表などⅠ種格付を利用している製造業者関係団体との十分な連携の下に、登録認定機関の立ち上げなど認定制度への円滑な移行が行われるよう、十分な調整を行ってまいりたいと考えております。  なお、新制度への移行に際しましては、地方公共団体、独立行政法人農林水産消費技術センターなどの関係機関と連携しつつ、パンフレットの配布や各種講習会における説明なども積極的に行いたいと考えております。  私どもの地元の中国地方では、今御指摘のとおり、広島県、岡山県が特にこの畳表の加工が非常に盛んなところであります。そういった方々にも昨年の九月、本年の一月、十分意見をお聴きいたしまして、このたびのことで困るようなことがないということを確認した上でこのたび決めたということでございます。
  41. 谷合正明

    ○谷合正明君 分かりました。  続きまして、今回新たに登録認定機関を設けるに当たりまして、登録基準にISOガイド65を引用することが図られております。そこで、このISOガイド65の基準について質問をさせていただきます。    〔理事岩永浩美君退席、委員長着席〕  このISOガイド65では、例えば認証システムの運営に必要な財政的安定性及び経営資源を持つ、遂行する職務の種類、範囲及び量に応じて認証機能に必要な教育訓練を受け、かつ技術的知識・経験を持つ十分な数の要員を担当する上級の経営管理者の下に雇用することが必要であるとされておりますが、具体的な数値等が示されておりません。改正内容では、行政の裁量の余地がない形での登録が可能となるよう定めるとあるわけでありますけれども、そこで実際どうなのかということで、今回の登録基準現行制度と比べて具体的に何が変わろうとしていて、登録認定機関の審査に当たり農林水産大臣はISOガイド65の基準に合致しているかどうかをどのようにして判断することになるのか、その点について政府に確認いたします。
  42. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 先生、今お尋ねのように、今回からISOガイド65というものを登録基準とするということが法律で明定をされるわけでございます。  具体的なその登録審査をこれからどのようにしていくかということでございますけれども、ISOガイドについて十分な知見のあります独立行政法人農林水産消費技術センターの知見というものを活用しながら、財務状況あるいは役職員の構成などについては書類審査を行いますし、また、認定業務の実施方針の周知状況、あるいは審査部門と判定部門がお互いに独立しているかといったようなことについては現地に出向いて審査をするということになります。こういったことを通じて、ISOガイド65の基準に合致しているかどうかということは判断をしていきたいというふうに思います。  そこで、こういった業務を行うに当たりましては、当然のことながら、それぞれの担当職員が一定考え方の下に統一的な運用が図られるようにしていく必要があるわけでありますけれども、今回、この法律に明定をした意味と申しますのは、従来は農林水産省の告示でこういったものが示されておったわけです。したがいまして、一定必要性が生じた場合には農林水産省判断でその告示を改正することができます。それに対しまして、今回、ISOガイド65というものを法律で明定したとなりますと、この法律をまた御審議いただいて改正しない限り、ISO65というものを基準にして登録審査をしていくということは、これはもう変えられないものであります。そういった点が、基本的なところが法律で示されているかどうかというのが行政の裁量のない形で登録審査をしていくということの意味でございます。
  43. 谷合正明

    ○谷合正明君 では、続きまして、農産物に関します複数の表示制度について、これを消費者にどのように認知、普及啓蒙していくかということについて質問をさせていただきます。  野菜などの農産物に関する表示には、有機JAS規格に基づく表示、そして特別栽培農産物の表示ガイドラインに基づく表示制度、あるいは各自治体が独自の基準に基づく認証制度による表示というものもあります。また、JAS法に基づく生鮮食品品質表示基準に基づく表示というものもあります。さらに、今後、生産情報公表農産物に関するJAS規格導入が検討されております。適正農業機関に基づく認証制度への取組も始められております。このように述べてきただけでもかなり複雑だという率直な思いもあるわけであります。  このように、農産物に関する表示が様々な目的で制定されていることから、その表示が何を意味しているのか、これが消費者に伝わりにくくなっている原因ではないかというふうに言われております。先ほども、実際に、じゃ買物するときに消費者がどれだけそれを、マークを気にしているのかとかいう話を大臣からも聞きましたけれども、実際、今後消費者への認知だとか、普及啓蒙についてしっかりやっていかないといけないというわけであります。  どのような内容あるいは方法情報消費者に伝達すべきなのか、この表示制度の政策目的を十分達成させるためにどのようなことを考えているのかということを伺いたいと思います。よろしくお願いします。
  44. 中川坦

    政府参考人中川坦君) こういったJASマーク品質表示基準によります表示というのは、確かに消費者方々がそのねらいを御理解いただいていないと所期の目的が達せられないというのはもう御指摘のとおりでありますし、私どもこれまで、なかなか知恵がない中で、パンフレット、先ほども具体的に年間百万部以上作ってということ、あるいは講習会などでの場を活用してというようなことも申し上げましたが、いろいろと工夫をしながらその普及啓発に努めてきたところでございます。  それで、こういった努力のほかに、やはり消費者方々が本当にどういうふうに考えておられるかということをやはり確認をする、そういうことも併せて大変大事なことでありますので、厚生労働省と農林水産省で二年ほど前から食品の表示に関する共同会議というものを開催いたしておりまして、この表示についての様々なルールを変える場合あるいは新たな検討を行う場合にはここの共同会議で審議をいただいて、そして、特に消費者の方、それから関係業者の方、業界方々の御意見をよく聴いた上で新たな取組をするというふうなことも行っているわけでございます。  何よりも分かりやすい表示をしていくというのが一番大事なことでもありますので、そういったねらいをきちっと達成するためにはどうすればいいかというふうなことは、こういった共同会議などの場の検討を通じて、更なる工夫をしていきたいと思っております。  具体的にどうやれば即効性があるかという点について、なかなか私どもも即答のできるいい答えを持ち合わせておりません。もう常にそのことを意識して日々努力をこれからも続けたいということを申し上げるばかりでございます。
  45. 谷合正明

    ○谷合正明君 よく言われると思うんですけれども、今回の流通JASができることによって、そのマークも新たにできると。特定JAS有機JAS生産情報公表JAS、そして流通JASの四つのマークを一度に理解できるのかなと。字が書いてないんですね、その表示には、特定JASだとか有機JASとか。商品名には有機とか書いてありますけれども。ですので、マークだけでその意味するところが分かるのかなというところが非常に難しいなということを私は思っておりますので、その辺りも含めてできるだけ簡単な、何ですか、簡単に分かりやすい方法というものを検討していただきたいと思っております。  次に、今回の法改正ではない部分なんですが、個別品質表示に基づく名称規制の在り方について質問をいたします。  個別品質表示基準に基づく名称規制の在り方につきましては、今回のJAS制度あり方検討会の中で、重大な誤認が生ずる等の懸念がある場合を除き、原則その品質表示基準に基づく名称規制を廃止を検討すべきではないかというふうなことが提言されております。  よく言われるような、ハチみつ入りマヨネーズの事例であるとか、あるいはキムチを塩漬けと書かなきゃいけないとかだとか、タルタルソースを半固体状ドレッシングと表示しなきゃいけないとか、そういった極端な事例も見受けられたわけでありますけれども、政府はこの名称規制の廃止提言に対してどのように対応するのか、またその重大な誤認が生ずる懸念がある場合としてどのような事態が想定されるのか、その点について伺います。
  46. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 具体的なこの名称規制の在り方につきましては、JAS調査会の場におきまして、個別の品目ごとにその名称規制の廃止によりまして重大な誤認が生ずる懸念があるかどうかというふうなことを消費者方々あるいは専門家の方々意見を十分踏まえながら検討していく、個別個別の品目ごとに検討していく必要があるかというふうに考えておりますけれども、現時点で申し上げますと、重大な誤認が生ずる懸念がある場合として具体的にじゃどういう場合を想定しているかということをお尋ねでございますが、一つは、当該製品の類似品が数多く出回っておって消費者方々がその区別を行うことがなかなか難しいというふうな場合、それが一つの場合かというふうに思います。それからもう一つは、その名称を用いることによって優良誤認が懸念されるような場合、そういうことがかえってそれは非常にいいものだという、そういうふうに誤解されるおそれがある場合と。抽象的でございますけれども、こういった二つのケースというのが考えられるのではないかというふうに思っておりますが、いずれにいたしましても、これ、個別具体的に議論をしていきませんと本当にこの規制が必要かどうかという点は即断はできませんので、今申し上げましたJAS調査会の中で具体的な検討を行っていただきたいというふうに考えております。
  47. 谷合正明

    ○谷合正明君 もう一つ、保存義務のない表示の根拠書類の在り方について、これについてもちょっと伺いたいと思います。  これも今回の法改正では引き続き検討するという項目になったと思います。特にだれだれさんの野菜であるとか、何々製法などの義務ではない表示、その場合、根拠書類がないのに販売しているケースがあると。そこで、表示義務違反の疑義が生じても、その疑義を裏付ける書類が存在しないために行政が対応できないといった問題があると。一方で、この根拠書類の保持の必要性について、これをやるというのはその中小零細事業者における負担増、コスト増にもつながるんじゃないかと、そういう難しい問題も残っております。  このことについて、根拠書類の在り方についてどのように現在考えているか、ちょっと簡潔にお願いいたします。
  48. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 実はこの問題、JAS制度あり方検討会の中で、専門家の方々に自由に、ある意味で自由に御議論いただいて、課題として提出され取りまとめられた中にこういうことが指摘をされているわけでございます。  もちろん、表示のその真正性、正しさを確認する観点から、こういった根拠書類を保存することを義務付けるということ、一つ考え方だというふうに思いますし、またその必要性も私どもよく分かるわけでありますが、他方で、本当に現場でそれがきちっと中小の方も含めて対応できるのかといいますと、実際はトロ箱のところの、例えば魚ですと、トロ箱の横にマジックでさっとどこどこ産と書いて実際は流通しているわけであります。それを長い期間保存をしておくかということは、現実問題、今例で申し上げましたが、一律に義務を課すとなると、これまた対応、現場で非常な負担になったり、混乱が起こるということも懸念されるわけでございます。  必要性は十分理解もできるけれども、いざ具体的にやろうとすると大変難しい問題があるということもまた容易に想像できる、そういう問題でありますので、具体的にこれをどのタイムフレームの中で検討していくかという点につきましては、私ども現時点では具体的な方向性を今お示しできる段階ではございません。課題として受け止めて、鋭意これから法制的な観点も含めながら検討をしていきたいと、そういうふうに思っているところであります。
  49. 谷合正明

    ○谷合正明君 分かりました。  では最後に、大臣に、多発する表示偽装について、その取締り強化について決意を伺いたいと思います。  いろいろな事例がございます。例えば、昨年の夏には、京都の業者が青果物の原産地の不正表示を行いました。トンガ産のカボチャ、ニュージーランド産のカボチャをそれぞれメキシコ産と、ハワイ産パイナップルをフィリピン産というように国名を変えていたと。また、北朝鮮のアサリが国産と表示されていたり、原産国の表示がないまま地域名の表示で販売されているなど、不適正なケースが多くあることが指摘されております。  昨年七月から今年一月にかけて行った農林水産省の調査におきますと、全国の約三千店の小売店の調査で百五十二の業者が実際と異なる不適正な表示をして農産物を販売していたということも分かりました。  食品表示適正化を図ることが消費者の利益を守るものであるということを、これが今の時代だと、二十一世紀はこういう時代なんだということを業者に徹底すべきであると私は考えております。岸委員の方からもいろいろな事案を言われておりました。全農の事件もありましたが、それも含めまして、今回JAS法改正するわけであります。多発する表示偽装について、消費者の求める安全、安心という立場から、その撲滅を目指した取組を強化すべきであると思います。  最後に、大臣の決意を伺いたいと思います。
  50. 島村宜伸

    国務大臣島村宜伸君) 食品表示消費者商品選択する際の重要な情報でありまして、いまだに表示が偽装されている例があることは非常に残念なことと認識しております。  そこで、私も大臣就任以来、こういう話に時々出くわすものですから、ほんのわずかな人たちの不心得なやり方によって言わば全体の食の安全に対する信頼が揺らぐ、そして皆さんは全く何も間違いがないのに、そんな不安が付きまとった食事をされるのではこれは大変迷惑なことであります。  問題は、こういうことを絶滅しなきゃいけないことは当然なんですけれども、少なくもやり得を見逃すようなことをやっているとこれは一気にまたはびこりますので、ここはもう我々の努力のしどころで、徹底的にこういうものを排除していくということが肝要なんだろうと思っています。  そういう意味で、今、指示とか公表というのがございますが、これは私は言葉で聞くとちょっと手ぬるい感じがしていたんですが、業者にすると、例えばJASの言わばマークを使用禁止されるということも痛いですが、ましてや指示とか公表されると大変なダメージを受けて、場合によっては店がつぶれるケースが結構あるそうです。そのぐらいこの専門の世界では権威あるものらしいので、これらのやり方を徹底して、要するにもうこういうことをやったら本当に損するんだと、決定的なダメージを受けるんだということを、言わばその世界の人たちにも社会にも知らしめていくと、これが取りあえず私たちの取るべきやり方だと思います。  私は就任以来、自分の在任中にせめてこういう不祥事件をなくしたいと、こういうことで強く言い抜いているわけでありますんで、幸い官僚の諸君もみんな一生懸命その趣旨を酌んでくれていますから、御指摘を受けた面についても、これからも最善を尽くしてその趣旨の徹底を図っていきたい、そう考えております。  以上であります。
  51. 中川義雄

    委員長中川義雄君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十五分散会