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2005-03-31 第162回国会 参議院 農林水産委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十七年三月三十一日(木曜日)    午前十時一分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         中川 義雄君     理 事                 岩永 浩美君                 田中 直紀君                 羽田雄一郎君                 和田ひろ子君     委 員                 加治屋義人君                 岸  信夫君                 小泉 昭男君                 小斉平敏文君                 常田 享詳君                 野村 哲郎君                 松山 政司君                 小川 勝也君                 小川 敏夫君                 主濱  了君             ツルネン マルテイ君                 松下 新平君                 谷合 正明君                 福本 潤一君                 紙  智子君    国務大臣        農林水産大臣   島村 宜伸君    副大臣        農林水産大臣  常田 享詳君    大臣政務官        農林水産大臣政        務官       加治屋義人君    事務局側        常任委員会専門        員        高野 浩臣君    政府参考人        内閣食品安全        委員会事務局長  齊藤  登君        厚生労働大臣官        房審議官     岡島 敦子君        厚生労働省医薬        食品局食品安全        部長       外口  崇君        農林水産大臣官        房長       小林 芳雄君        農林水産大臣官        房統計部長    小西 孝蔵君        農林水産省総合        食料局長     村上 秀徳君        農林水産省消費        ・安全局長    中川  坦君        農林水産省生産        局長       白須 敏朗君        農林水産省経営        局長       須賀田菊仁君        農林水産省農村        振興局長     川村秀三郎君        農林水産技術会        議事務局長    西川 孝一君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○農林水産に関する調査  (食料農業農村基本計画に関する件) ○森林組合法の一部を改正する法律案内閣提出  )     ─────────────
  2. 中川義雄

  3. 中川義雄

    委員長中川義雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 中川義雄

    委員長中川義雄君) 農林水産に関する調査のうち、食料農業農村基本計画に関する件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 田中直紀

    田中直紀君 おはようございます。自由民主党の田中直紀でございます。  今日は、新しい食料農業農村基本計画に関する件の質疑をさせていただきますが、その前に、島村大臣には去る三月の二十一日にわざわざ新潟市までお出掛けをいただきまして、ありがとうございました。新潟市も周辺の十二市町村合併をいたしました。農業産出額では市町村全国一位の地域になりまして、新潟市は面積としては三倍になったところでございまして、七十八万人と。そういう面では、わざわざお出掛けをいただきまして、農業の大事さをお話しをいただいて、大変力強く思っておる次第でございます。食料自給率は六一%になりましたので、ほかの市も自給率、頑張ってもらいたいと思う次第でございます。  そういうこともありまして、新潟県の水害中越地震復旧対策について若干先に質問させていただきます。  先般の補正予算で一兆三千億円の予算確保していただいたわけでありますが、新潟県の水害あるいは地震対策で三百億円の予算が含まれておると、こういうことを聞いておるところであります。農林水産関係相当努力をしていただいたわけでありますが、その内容を、もう簡単で結構でありますが、大臣政務官お願いいたしたいと思います。
  6. 加治屋義人

    大臣政務官加治屋義人君) 昨年は大変災害が多くて、特に新潟におきましては、地震水害、大変大きな被害をされまして、改めてお見舞いを申し上げたいと思います。  御質問につきましては、平成十六年度の補正新潟中越地震関係対策として、公共事業関係では三百五十九億円、そして非公共事業関係では三十一億円の総額三百八十九億円を措置させていただいております。  その主な内容でございますが、公共事業、これは、農地農業用施設復旧のために二百八十億円、被災した農村地域における農村生活環境施設復旧に四十三億円、地すべりによる土砂流出などの被害予防対策として十九億円、また非公共事業関係では、農協などが所有する倉庫や加工施設等共同利用施設復旧に十一億円、ニシキゴイ養殖施設復旧のために二十億円などとなっておりまして、以上の予算により迅速に効率的に執行させていただきたいと思っております。
  7. 田中直紀

    田中直紀君 大変御努力をいただきましてありがとうございました。お見舞いをいただきまして大変恐縮をいたしております。  私も、十月の二十三日にはたまたま震源地でありました小千谷におりましたものですから、大変そういう面では自衛隊要請等いろいろ奔走したところでございます。  これから農家皆さん方は、今年の作付けができるかどうかと、こういうことで大変心配をいたしておるのが実情でございます。中越地震で、農地は三十二市町村で三百九十八か所が、水田、畑地の亀裂、それから崩壊、液状化、そして土砂による埋没等の千五百ヘクタールの農地被害に遭っております。復旧して作付けできるかどうかという、今、二メーター、三メーター積雪の時期でありますが、事前に大変熱心に調査を農水の方でしていただきまして、そういう面では写真等もそろえていただきました。そういう面で、地域として今年作付けがどの程度この千五百ヘクタールの中で復旧できるかと、こういうことを心配をいたしておりますので、できましたらその辺お聞かせいただきたいと思います。副大臣お願いします。
  8. 常田享詳

    ○副大臣常田享詳君) 加治屋大臣政務官からもお話がございましたが、まず私からも、被災者方々に対しまして改めてお見舞いを申し上げたいと思います。  今、田中先生の御質問でありますけれども、新潟中越地震による農地被害状況でありますが、田中先生、三百九十八とおっしゃったんですが、三千九百八十五か所でございまして、千五百三ヘクタールに及んでおります。被害額は約百五十六億円と甚大な災害になっております。  新潟県及び被災市町村では、雪解け後直ちに、農地状況農家意向を踏まえて今期の作付可能箇所を取りまとめ、復旧工事に着手できるよう準備を進めているところであります。  今年は十九年ぶりの豪雪であることから、作付けにどの程度復旧が間に合うかは現時点では明らかではありませんけれども、県、市町村などでは復旧工事について、件数ベースで三月末までに約四六%、五月末までに約七六%の発注を予定しております。  農林水産省といたしましては、農家意向を踏まえ、災害復旧早期に実現されるよう、今後とも県、市町村連携を図り、できる限りの支援をしてまいりたいと思っております。このことにつきましては、大臣から常時早くやるようにという御指示が出ておりますので、全力を挙げて取り組まさせていただきます。
  9. 田中直紀

    田中直紀君 どうもありがとうございました。  三千九百八十五か所ということでございますけれども、御努力をいただいておることを感謝を申し上げたいと思います。  副大臣からもお話がありましたように、今年は十九年ぶり大雪に見舞われまして、地震被害に遭った地域が、また皮肉にも大変大雪だと、こういう状況でございます。雪解けは、例年よりも積雪が多いものですから、除雪に努力をいたしておりますが、遅いんではないかと。今、大変数字的には工事発注進めていただいておるようでありますが、作付けが不可能になった農地も大変多くなるのではないかと思っています。  今年休耕する農家の場合、所得補償がどういうふうな制度になっておるかということが一つでございます。それからまた、農地農業用施設林業施設復旧受益者負担が生ずるかどうかと、こういうのが農家方々心配でありますし、また関係市町村においては、復旧工事の中で一か所当たり四十万円未満農地復旧事業がそういう面では国の対象にならないということを心配をいたしておりまして、その辺も、当然非常に、復旧しなければいけない箇所がそういう面では細かく言えば一万以上あると、こういう市もありますので、その辺の取扱いはどういうふうに対処していただけるかということについて担当局長から伺いたいと思います。
  10. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) まず、農家の方の所得確保関係の御質問につきまして御答弁申し上げたいというふうに思います。  本年、記録的な積雪ということで、中越山沿い地域では雪解けが平年より五日から十五日程度遅いというふうに聞いておりまして、大変心配をしております。できるだけ農地復旧常田大臣の御答弁にもございましたように、五月末までに約七六%の発注を予定しているということで、できるだけ多くの農地作付けが可能になるよう対応を図っているというふうに聞いております。  私ども、昨年の被災に際しまして、災害復旧事業を含めまして農業農村整備事業実施の中で被災された農家の方の就労機会確保、いわゆる救農土木的な対応ができないかということについて関係機関に対して要請をしているところでございます。それが一つでございます。  また、今年の大雪に関しましては、復興基金復興支援基金活用を含めまして、復旧に向けた農家支援について、県、関係市町村十分連携を取りながら適切な対応をしていきたいというふうに考えているところでございます。
  11. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 後段にお尋ねのありました関係につきましてお答えを申し上げます。  災害復旧地元負担関係でございます。  まず、農業関係で申し上げますと、農地農業用施設でございますが、平成十六年に発生しましたこの災害国庫補助率中越地震を含むこの補助率でございますが、新潟県で平均をいたしますと、農地につきましては約九七%の国庫負担農業用施設につきましては九九%の国庫負担となっております。残りの三%なり一%が県を含めました地元負担になります。  この受益者負担ということになりますと、これは市町村判断にゆだねられておりまして、新潟県では、今、経営局長も申し上げましたが、農家負担軽減復興基金事業活用も可能ということになっておりますので、地元市町村土地改良区などからの要望を上げていただくように今お願いをしているところでございます。それから、林業関係につきましては、林道は原則として市町村管理ということで、森林所有者負担はないというふうに承知しております。  それから、四十万未満農地復旧でございますが、これは市町村単独事業として実施をされるということになります。新潟県の中越地震は、激甚災に指定されておりますから、農地等災害復旧事業債起債が認められまして、起債充当率が七四%になっております。また、その元利償還については全額基準財政需要額に算入されるということになっております。  同じく、受益負担については、これも市町村判断ということでございますが、復興基金活用等も含めて働き掛けをしてまいりたいと思っております。
  12. 田中直紀

    田中直紀君 三千億の復興基金総務省ということで、管轄で認められたわけでありますが、その活用につきましては、今なかなか要望もいろいろ各方面からあるようでありますので、農林水産関係といたしまして是非総務省と、まあ県も当然加わるわけでありますが、是非話を詰めていただいて、受益者負担ができるだけ少なくなるような対応を実現していただければと思いますので、御努力お願いを申し上げたいと思います。  最後に、新潟関係最後にいたしますが、新潟県では専門家方々の御意見を中越大震災復興ビジョンとしてまとめたところでございます。また、話題になっております二千二百名避難をいたしております山古志村におきましても復興プラン提出をいたしておるところであります。  今回の地震は、中山間地復興基本農業だというふうに認識をいたしておりますし、こういう地震の後五年、十年、中山間地域がいかに復興できたかということの一つの大きなモデルにもなるんだと思いますし、そういう面では、農林水産省皆さん方是非村民の帰村、再生を目指して頑張っておるところでありますので、御努力をいただきたいと思いますし、是非大臣の御協力もいただきたいと思いますので、御所見をお伺いをいたしたいと思います。
  13. 島村宜伸

    国務大臣島村宜伸君) 冒頭委員お触れになられました新潟市の十三市町村の大合併、正に時代を先取りする大変意欲的な発想の下に見事な言わば日本一の農業都市が形成されましたことに心から祝意をまず表したいと思います。  また、今御指摘新潟県では、復興に向けての基本的な方針として震災復興ビジョンを三月一日に公表し、現在このビジョンを基に具体的な実現の手法を定めた震災復興計画を策定中と伺っております。  また、山古志村におきましても、村民方々座談会などを繰り返しながら、早期の帰村、再生を目指す山古志復興プランを三月十五日に作成されたというところを聞いておりますが、私実は、あの地震が起きたのは十月二十三日でございましたけれども、一番最初に幹部を集めて、これにどういう対応でどれだけ我々が迅速に言わば目標にすることができるか聞きました。例えば激甚災の指定についても、どう考えても二か月以上は掛かると、こういうお話でありましたが、なぜ掛かるのかという原因を考えましたら、まず国民の血税を使うわけでありますから、やっぱり調査だけは厳密にする必要があると。しかし、調査にはにわかには入れない。また、その一方では、御承知のように、言わば地方農政局で十分精査して、それを本省でまたいろんな検討をした上で財務省と話合いをすると。  どう急いでもという話だったんですが、いろいろ考えまして、たまたま委員お触れになりましたし、皆さんの御協力もあって防衛庁のヘリを使って空中言わば撮影をし、そして空中からの撮影をもって言わば精査をし、さらに我々の役所といたしましては、岩永常田両副大臣にそれぞれ本部長、副本部長になっていただいて、すぐ現地に行き、言わば県と対応して努力をしたわけでありますが、皆様が本当にあの大地震にも屈せず非常に意欲的に前向きに取り組んでいる姿には誠に心打たれたところでありますが、その結果の所産ともいうべきことでありますが、御承知の、新潟県の言わば大変な、まあ何といいましょう、歴史的所産ともいうべきニシキゴイ、これがほとんど親ゴイは助けることができたし、またあの地域の名物であります闘牛の牛も助かったし、それから日本人がひとしく認めるあのコシヒカリも一番激甚な被害を受けた地域でもほとんど確保できたと、こんなお話を伺って、皆さんが、さすが新潟の県の人は強いなと思ったんですが、極めて前向きに取り組んでおられたことに大変な感動を覚えたわけであります。  しかし、そういうそれぞれの結果の中で、もう本年に向けて皆さん雪解けを待ってたくましく立ち上がるという、こういう姿勢こそ今私たちが求める農業の在り方でありますので、我々はどのようにでも言わば総力を挙げてこれに対応していこうという考えでおるところでありまして、先般新潟へ伺ったときにも、知事さん、市長さんなどとも、いろんな連携を取って、これからもお互いの距離をもっと縮めようじゃないかと、こんなことを語り合ったところでございますので、申し添えたいと思います。
  14. 田中直紀

    田中直紀君 大臣総力を挙げての復旧に対する力強いお話、大変ありがとうございました。是非、省を挙げてお力添えいただきたいと思います。五月になりましたら雪解けになりますので、副大臣大臣政務官是非新潟の方にお出掛けをいただいて、復旧元年でありますので、よろしく御視察お願いをいたしたいと思います。  新しい食料農業農村基本計画で、新たな経営安定対策担い手といたしまして位置付けられました集落営農について伺います。  この集落営農につきましては、農業経営展望モデル提示をされているところでございます。非常に具体的に提示をされておるということで評価も高いわけでありますが、現在、実際に全国でどの程度具体的に集落営農地域に定着をしているのかということが一つでございます。  そしてまた、経営体を二万から四万の目標ということでありますが、実際に二年後にスタートするんでしょうか、そういう目標があるわけでありますので、達成できるのかどうかということについて担当局長から伺いたいと思います。
  15. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 集落営農でございます。いわゆる広義集落営農集落を単位といたしまして生産行程の全部又は一部を共同で行うという、そういう意味の集落営農、現在全国に約一万ございますが、この一万のうちで集落内の営農を一括管理運営するいわゆる実質経営体実質を持った組織というのはそのうちの約一二%、千二百でございます。私ども、こういう広義集落営農が経理の一元化等を通じて経営主体としての実態を有することになるように、いわゆる担い手としての集落営農経営に発展させていくということが重要だというふうに考えております。  このために、十七年度の予算におきまして、集落営農育成するのに必要なリーダーの育成、あるいは集落営農組織化を図るための計画作成等予算措置として講じまして、あわせまして農林水産省内にプロジェクトチームを発足させまして、関係団体とともに集落営農組織化法人化に取り組むこととしているわけでございます。  私ども、平成二十七年を目標年次といたします農業構造展望の中で、集落営農経営二万から四万というふうに展望いたしまして、先ほど申し上げました広義集落営農一万のほかにも、転作の受託集団が約八千、受託以外の協同組織が約二万ございます。これらを核といたしまして、関係農家団体努力と合わせれば、平成二十七年において二万から四万の集落営農育成は可能というふうに考えているところでございます。
  16. 田中直紀

    田中直紀君 受託組織集落営農も相当出てきておることでございますし、新潟県も、越路町というところでは、まず一番そういう面では法人化された進んでおるところでありますが、八法人ございます。それぞれ努力をし、頑張ってきておるところでありますが、いろいろな形態があるわけでありますので、そういう中で一番地域として所得あるいは賃金が収入として得られる方法を考えていかなきゃいけないと、こういうふうに思っておるところでございます。  この集落営農モデル経営内容が他産業並み所得賃金を当然見込んでいかなきゃならぬと、こういう目標を立てているところでありますが、各地域農業関係は、一方で規模を大きくすると当然そのまた投資も必要だと、負債も増えていくと、こういう悩みを抱えるわけであります。  現在、農家負債の現状は、相当農家負担になっているんではないか。ほかの産業産業再生法というようなことで、ダイエーも今話題になっておりますけれども、三回目の国の支援というようなことでいるけれども、実際には国民の、この農家皆さん方は、何とか自分たち負債を解消してもらうことによって後継者にしっかり渡せるんではないのか。若い方々も、いや、親に、負債までは引き継ぐのはなかなかそれは骨が折れるよと、やはりおやじの代で何とか負債を解消してくれれば、自分意欲はあるんだから農家を引き継いでもいいよという若い人たちいるんですが、これは私は一番大きな問題だと思いますし、この食料及び農業農村計画の中で、やはり農家のこの実態というものをもっともっと反映さしていただきたいなと思うわけでありますが、今そういう面では農家の、今どの程度負債を抱えておるか、これは規模にもよると思いますが、その実態をどう解消していくかということについて、副大臣を御指名しておりますから、副大臣、勉強していただいたんでしょうから、よろしくお願いいたします。
  17. 常田享詳

    ○副大臣常田享詳君) 御答弁申し上げます前に、被災地現地視察でありますが、実は昨年は台風被害、引き続き地震ということで、大臣を先頭に岩永大臣大口大臣政務官地震の方、それから私と加治屋政務官台風の方ということで、それぞれが手分けをして現地に入らしていただきましたんで、今お言葉いただきましたので、できるだけ早く加治屋政務官一緒新潟に行かしていただきたいと思っております。  さて、今のお尋ねでありますけれども、他産業並み所得を上げ得る効率的かつ安定的な農業経営の具体的な姿をモデル的に示すものとして農業経営展望を作成いたしております。しかし、現実には、大規模農業経営においても、負債を抱え、将来的に展望の持てない方々がおられます。これらの経営については、金融機関普及指導センターなどにより経営診断をしていただき、それを基に農業経営改善計画を策定していただきまして、その上で民間金融機関農林漁業金融公庫から負債整理のための資金の融通を受けられる道を開いているということであります。  実は先月、加治屋大臣政務官一緒集落営農推進モデル地区と言われている富山へ行ってまいりました。その富山で、寺坪地区及び高宮地区、これらは全国的にも非常に集落営農先進事例と言われているわけですが、そこでも今委員指摘のような心配の声が出ておりました。そういうことで、これらのことについても重く受け止めて対応していきたいというふうに思っております。  以上でございます。
  18. 田中直紀

    田中直紀君 農業負債整理関係資金対応ということで、効率的かつ安定的な経営体育成に資するために制度資金用意をされております。農業経営維持安定資金あるいは経営体育成強化資金、そしてまた制度資金以外の整理が必要な場合として農業経営負担軽減支援資金、こういうのが用意をされておりまして、この基本法の中にも、担い手が優れた経営者として能力を身に付け、意欲を持って自らの農業経営の発展を目指すことができるようにしていく観点から、新技術普及経営診断実施等を通じて技術及び経営管理能力の向上や経営法人化へ向けた取組を促進をすると、担い手の主体的な経営改善努力を側面から促す観点から、融資の更なる活用を推進すると、こういうことをうたっているわけでありますので、制度は大変充実をしてきておるし、方針も立ってきているとは思いますが、実態は、農家の借入金の現状は、農業経営統計調査からいうと、十五年の十二月末に五百四十万円ですね、主業農家の一戸当たりが。  償還に支障を来しているかどうかという農家の現状を見ますと、農林公庫資金の借入れ農家でありますが、六〇%以上は正常に償還している農家だと、こういうふうに見ておるようでありますが、償還に一部支障を来している農家、今の、果樹をやっていれば果樹をやっていてくださいと、値段が上下する、収入が減ったりなんかすることもあろうかと思いますが、果樹を手放さないで何とかそういう面では償還してくださいと、こういう苦肉の策でバックアップしているところもあるわけですね。いや、息子に譲りたいと、こういった場合に、いや、全部解消してもらわないと引き受けないよ、あるいは果樹園を、土地を譲ろうということになると、せっかく投資した果樹園でありますから、そういう面では、稲作に戻すというと、それは土地の利用が違うんで銀行の方はなかなかその土地の売却は難しいんではないかと、こういうような、いろんなところで、後継者担い手に手渡したいといってもなかなか資金的に不自由があると。お貸ししますよといっても、まずは返しなさいと、こういうことが前提でありますから。  そういう面で、償還に一部支障を来している農家という、二六%あるんですが、この方々はそういう意味では何とか続けておいてもらってお金を返してくださいよということの分野でありますから、新たな融資をもらって、そして新しい経営体でいこうじゃないかというところはなかなか進まない。それから、実際に償還が行われない農家も九%ということになっておりますが、これは農林公庫の方からの印象でしょうから、もっとそういう面ではあるんではないかと、こういうふうに思います。したがいまして、私は非常に目標はいいと思いますが、農家実態というものをよく把握をしていただきたい。  それから、水稲の中でもお米を中心に今、非常にそういう面では、米を作ると、米作りでということで評価をしていただいておる農家でありますが、それにしても北陸が七百十五万円の借入金が主業農家であるわけですね、全国で五百四十万円でありますが。  そういう面で、そういう側面を、しっかりと農家の実情を踏まえて、いい目標を立てていただきましたので、今度は実態調査をしていただいて、それで、いろんな農家があるわけでありますから、そういう者が本当に意欲を持って取り組んでいこうかという状況を持てればいいんではないかと思っておるところでございます。  大臣には、担い手の明確化、そして支援の集中化、重点化の方針の下、平成十九年度から導入する品目横断的な経営安定対策に取り組んでいかれると、こういうことを表明されておるわけでありますが、大臣の御所見を伺いたいと思います。
  19. 島村宜伸

    国務大臣島村宜伸君) 食料国民生活にとって最も基礎的な物資でありますが、食料の供給力は農業の特質から見て短期間に急速に伸ばすことはできないわけであります。  このような意味で、一億二千万人の国民食料をできる限り効率的かつ安定的に供給し得るよう、生産性の高い農業を持続的に展開できる担い手を広範に確保し、強靱な農業構造を構築することは国家の在り方に係る主要課題と考えております。  このため、これまで幅広い農業者を対象として品目別に講じられてきた対策について、対象となる担い手を明確化し、その経営の安定を図る品目横断的な言わば経営安定対策に転換することとしております。これを通じて、担い手への農地などの移転集積を進めるのを始め、各般の施策の展開によって担い手育成確保に全力を挙げて取り組んでまいる所存であります。
  20. 田中直紀

    田中直紀君 土地利用型の農業ということですね、土地の集積が促進されるようにしていくということでありますが、集落営農組織育成法人化ということで、農地の利用調整を行う仕組みである農用地利用改善事業等を活用して農地の面的な利用集積を図りつつ、営農組織を、法人化を推進すると、こういうことになっておりますですね。それから、地域の実情を十分勘案して必要な施策を講じていくと。  先ほど言いましたように、今相当進んでおります受託組織等もあるわけでありますが、そういう面で農地の利用集積の取組の促進についてどのように進めていくか、お伺いをいたしたいと思います。
  21. 常田享詳

    ○副大臣常田享詳君) 農地の有効利用促進ということであります。  このことにつきましては、急峻な、利用可能な土地の少ない我が国におきましては、食料供給の基盤である農地確保とその有効利用というのは極めて重要であるというふうに認識しております。そのため、このたびの新たな食料農業農村基本計画において、食料自給率目標に関連して、この平成二十七年の耕地利用率一〇五%という目標を立てるということについて、これ、自給率目標設定と併せて大変重要な位置付けをして、省内でも大激論をいたしました。そういう結果、延べ作付け面積を平成二十七年には四百七十一万ヘクタールに、農地面積は四百五十万ヘクタールを何としても確保すると、そして今申し上げた耕地利用率は一〇五%を、目標を達成するということで進めたいと思っております。  その具体的な対策としては、持続的な生産活動が可能な担い手育成確保担い手への農地の利用集積の促進、それから中山間地域など条件不利地域における農業生産活動の確保、そしてあわせて、増加傾向にある耕作放棄地の発生防止・解消に向けた取組強化と、そういったことに全力を挙げてまいりたいと思っております。
  22. 田中直紀

    田中直紀君 更なる御努力お願いいたしたいと思います。  自給率の向上に当たりましては飼料作物の自給率の向上が必要だろうということであろうかと思います。で、最後になりますが、一つは、飼料作物の生産増大には耕畜連携の、循環型のですね、そういう必要になろうかと思っておりますし、生産の農地確保も重要になってくるんではないかと思っています。  これは一つの提案で、最後にさせていただきますが、前から、河川敷ですね、非常に、河川の中の河川敷というのは国土交通省の管轄でありまして、本来そういう土地はお金を、どんどん予算を付けて地主さんから買い上げることが国土交通省の仕事なんでありますが、ちっとも買い上げないということがありますから放置されておると。地権者は、古い方々もいらっしゃるわけでありますが、そこへ行って野菜を作るあるいは場合によっては稲を作ると、こういうようなことであります。これは洪水になれば当然もう自分の自己責任になりますから収入にならないと、こういう覚悟で作っておられる状況にあるわけでありますが、一時期、全国どのぐらいの河川敷になるんだと、農業をやっているですね。で、調べていただいたこともあるんですが、相当の面積ですね。こういうところにいわゆる飼料作物というものを、国土交通省と話をして、そしてそこへ国産の飼料をしっかりしたものをトウモロコシも含めてやる。今、そういう面では機械は非常に進んでおると、収穫するロールベーラーというんでしょうか、こういうものでだあっと収穫できるということでありますから。  そういう面で、農地の一角に指定されておるんでしょうか、河川敷が。非常に、山間地域の耕作放棄地の活用もありますが、そういう活用是非検討をして、国産のいわゆる家畜用の飼料というものが増産できればこれは立ち所に自給率上がるんじゃないかと、こういうふうに思うわけでありますが、御意見がありましたらお伺いをいたしまして、終わらせていただきます。
  23. 白須敏朗

    政府参考人白須敏朗君) ただいま委員から飼料自給率の向上を図るという観点からのお話があったわけでございます。  お話のとおりで、やはり食料自給率全体として向上させるためには飼料自給率の向上、不可欠であるというふうに考えております。したがいまして、やはり国内生産が可能な、ただいま委員からもお話ございました粗飼料につきまして、現在七六%なんでございますが、これを大幅に引き上げまして、何とか完全自給目指した生産拡大を図ってまいりたいというふうなことで飼料自給率の向上に努めることにしているわけでございます。  その中で、委員からもお話ございましたように、一つにはやはり耕畜連携ということをしっかりと強化をしていく。いわゆる稲の発酵粗飼料、ホールクロップサイレージでございますが、ここのところを調整水田でございますとかあるいは自己管理水田、水張り水田なんかを活用しまして更に生産拡大を進めていく。それからもう一点は、稲わらを、やはり中国からまだまだ輸入がございますので、これを国産に置き換えていく。  それからもう一点は、今、委員からもお話ございましたが、そういういわゆる耕作放棄地といいましょうか、河川敷もそうかもしれませんが、そういうふうな使われておらない放棄地、林地ございます。そういうところを大いに活用いたしまして放牧を進めていく、あるいはまたそういうところで粗飼料を作付けをするということになりますれば、これはいわゆる国土の有効利用という観点もございますし、あるいはまた循環型の畜産という観点も、資源循環型の畜産という観点もございますので、そういう点につきましては大いに今回も私ども柱といたしまして進めてまいりたい、そういうことを活用いたしまして飼料作物の生産拡大を図ってまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  24. 田中直紀

    田中直紀君 以上です。
  25. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 自由民主党の野村哲郎でございます。  さきに閣議決定いたしました食料農業農村基本計画は、国内外の情勢の変化を踏まえまして、基本法に掲げる基本理念の実現に向けまして農政全般の改革を進めようとするもので、農政の方向を大転換するという意味におきましては私は我が国農政史上でも特筆すべき計画内容だと、こういうふうに認識を実はいたしております。これまで、審議会等を通じまして取りまとめてこられました島村大臣を始め皆様方の御苦労に心から敬意と感謝を申し上げる次第でございます。  しかし、計画内容には幾つかの積み残しの課題があるのではないか、あるいはこれから基本計画に基づきまして制度設計をしていく過程におきまして詰めていかなきゃならない事項、あるいはまた配慮していただきたい事項、こういうものが見受けられるようでございます。  そこで、我が国の農業、農村を間違いのない方向に政策誘導するためにも、短い時間でありますけれども、質問をさせていただきたいと思います。  私は、まず初めに、先ほども出ましたが、担い手の問題について御質問をさせていただきたいと存じます。  担い手が圧倒的に減少している中で、担い手づくりの必然性につきましては十分認識をしておりますし、そのことが今回の農政転換の基本になる、そういうふうに認識いたしております。基本計画には土地利用型農業担い手として、認定農業者に加えまして小規模農家や兼業農家も構成員として、集落を基礎とする営農組織育成法人化を推進するというふうに整理されております。先ほど田中委員からも指摘もございました。私は、一番懸念しておりましたのが、小規模農家や兼業切捨てになっていくのではないか、そのことに大変危惧をいたしておりましたが、こういう整理をしていただいたことに対しまして安堵したし、評価もいたしておるところであります。  そこで、担い手となる対象者、個別経営につきましてはさきの当委員会におきましても質問もさせていただきましたし、秋までにまだまだ議論をしていく必要がある、こういうふうに思っておりますが、本日は営農組織育成法人化、このことについての質問をさせていただきたいと思います。  田中委員質問の中で須賀田局長からお答えいただきました、全国集落営農の数は広義で一万、そして実質管理をしているのは千二百戸、こういうお話が出てまいりました。全国農業集落数八万の中で広義集落営農は一万しかない、一二・五%であります。また、実質管理は千二百戸ですから、まだまだそういう意味合いからいきますとほとんど網羅されていないというふうに実は認識をしなけりゃいけない。しかも、この集落営農につきましては、米の生産調整が始まって以来、行政そして団体を始めとしまして一体的にこの営農組織づくりに実は非常に皆さん努力をしてまいりました。  なぜ、この三十数年間にわたる集落営農組織づくりを進めたにもかかわらず、先ほどお答えになりましたように、一万ぐらいしかならなかったのか、わずか一割強にしかなっていないのか、そのことの評価を局長、どういうふうにお考えか、お伺いしたいと思います。
  26. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 私ども現場を訪れまして、集落営農経営組織化するに当たっての問題をいろいろ伺ってまいりました。  まず一番最初に問題になりますのは、集落営農に参加したらどういうメリットがあるのだと、こういうことについて説得できる材料をきちんとしないといけない。個々に、自分で機械を持って自分営農して上げる収益よりも集落営農に参加していただく配分の方が得になるんだと、こういうことをきちっとメリットとして感受して参加を促す、これがまず第一でございます。  それから二つ目に、あるいはその村の、集落の将来の農業このままでいいのかという、そういう話合いの場、これもまた少ないわけでございまして、これはやはり核になる、リーダーになる人が各々の家々を回って説得をして、このままではじり貧になると、何か工夫しないといけないという危機感をあおって組織化を進めていく。まずこの二つがなければ、なかなか集落営農育成ということはできません。  さらに、問題になっておりますのは、率直に言いまして、高齢の方々がやはり代々受け継いできた自分の田んぼを人に任せるというのはどうも抵抗があると、農業はおれ一代限りでいいんだという、そういう態度を示されるというのが間々あるわけでございまして、こういう高齢者グループの方々をどのように取り組んでいくか、そのところに主要な問題点があって、これを乗り越えれば集落営農育成というのが可能になるということでございます。  また、この集落営農以外の協同組織集落を必ずしも単位としない協同組織が二、三万ございますので、私ども、その目標としている二万から四万の集落営農経営育成という、努力をすれば可能なものというふうに考えております。
  27. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 今、須賀田局長は、集落営農組織づくりにいろいろ問題がある、特にそれはメリットがない、あるいはその話合いがなかなか難しい、リーダーの養成も必要だと、こういうお話でありました。  私は、先般、富山県の集落営農にも伺いをさせていただきました。また、我が県にも集落営農ございます。共通して言えるのは、その中でやはりいろいろお話を聞いてみますと、この組織づくりに共通しているのは指導者だというお話でありました。これは普及センターであったり、農協であったり、役場であったりという、私は指導者づくりが営農組織づくりの決め手だと、こういうふうに思います。  それは、確かにおっしゃるように、メリットの問題あるいは高齢者の問題いろいろあると思いますけれども、そのところをきちっとやっぱりお話合いに導いていくリーダー、指導者、それと集落のリーダー、これが相まって私は集落営農というのがつくられていく、こういうふうに思います。  したがいまして、市町村合併が進みました、そして農協も合併が進んできた。なかなか地域を動かす人材が少なくなっております。そういう意味におきまして、是非ともこの集落営農づくりをしていかなきゃならない。今おっしゃいましたように、二万から四万、そういう経営体をつくっていくためには、あるいは兼業農家、小規模農家を巻き込んでいくためにはこの集落営農というのはどうしても必要だと、その方向はもう十分認識いたしておりますので、是非ともこの指導者づくりに、私は、どういう施策を打っていくのか具体的にもしありましたら教えていただきたいと思います。
  28. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 先生おっしゃいますように、集落営農育成には指導者、リーダーが欠かせないわけでございます。このリーダーは、あるいは農協の職員のOBであったり、あるいは普及員のOBであったり、むしろその集落農業外に従事していた方が中心になるというケースが多いのもまた事実でございます。  私ども、そういうリーダーの育成という重要性にかんがみまして、十七年度予算におきまして、この集落段階における合意形成の推進役を担うリーダー育成のための予算、それから集落段階における合意形成を基に、担い手不在地域における集落営農組織化を図るための計画の作成、こういうものを盛り込んだ予算措置を講じまして、この集落営農組織法人化に努めるということにしているところでございます。
  29. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 もう是非とも、この集落営農づくり、ここ二年間の大きな勝負になっていくと思いますので、是非とも、結果的にできませんでしたじゃいけませんので、是非ともその施策、あるいはまた予算も集中をしていただきたいというふうに思います。  それからもう一つは、育成のところも肝心なんですが、今ある営農組織をこれを法人化していく、こういう計画づくりになっております。  そこで、営農組織、時間がありませんので調べたのを言いますと、営農組織から特定農業団体あるいは特定農業法人、こういった形で進化したのが、私が間違っていたらまた御訂正いただきたいと思いますが、わずか全国で三百四十六しかない。特定農業団体で百二十、法人で二百二十六、こういう状況だというふうに思います。  したがいまして、集落営農組織法人化に向けて仕組んでいくためにはいろんな課題があるというふうに思っております。これだけ進んでいない、それには何かの問題があるはずだと、そういう認識であります。  そこで、生産地や現場の意見を聞きました。幾つかの問題が実は指摘されております。  二つ三つ申し上げてみますと、一つは、生産現場ではやはりこの経理の一元化というのに対するどうしても抵抗といいますか、理解が得られにくい面がある。それは、特に米におきまして出荷名義の一本化の理解というのがなかなか難しい。これは、一等米比率の高い農家ほどプール計算は嫌だ、会計に一本化するのは嫌だ、こういうやはり認識があります。これは当然、農家皆さんの意識も変えていかなきゃなりませんが、やはりそういうところを乗り越えていかなきゃならない問題点が一つあります。  それから、税法の問題で二つ申し上げますと、一つは、今現在あります特定農業団体でもみなし法人課税が対象になっているところ、対象になっていないところ、これは国税局の管轄によって差があるんです。ですから、そういうのもやはりきちっと整理していただかなきゃならぬ。それからもう一つは、今年から消費税の免税点が一千万になりました。例えば個人で三百万の売上げがあった、ここまでは免税点の以下でありますから消費税は掛かってこなかった。これが、法人化する、あるいは特定農業団体になることによって、例えば三十人で構成して九千万、これは単なる試算でありますが、そうしますと、四百五十万の消費税が発生してくる。個人の場合は発生しなかったけれども、法人の場合は発生する。こういった意味で、先ほどもメリットの話が出ましたが、逆にデメリットになるんじゃないかと、そういうお話もあります。それから、営農組織から法人に切り替えますと、いわゆる相続税の猶予が打ち切られてしまう。  いろんなこういった法律、税法上の問題なり、あるいはまた人的な問題もあります。法人化していくための行政なり農協なり、そこの、あるいは普及センターの指導できる人がいないじゃないかと、そういうのも現場では聞いております。  したがって、このような税法上なり、あるいは人的体制の問題もありまして、経理の一元化なり法人化に対するとまどいがあることも事実であります。  こうした問題をどのように受け止めて、どう解決していくのか。一挙にはできない話でありますが、こういった課題整理もしていかないと、ここに書いてあります法人化なりというのはなかなか難しい隘路がある、そういうふうに思いますので、御見解をいただきたいと思います。
  30. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 農村現場の実情にお詳しい先生のお話でございまして、私どももこの集落営農が一歩進んで法人化になる場合の問題点、正に先生おっしゃいましたように、経理の一元化に対する抵抗の問題それから税務の問題、この問題にぶつかっているのが事実でございます。  まず経理の一元化の問題、実はこれを乗り越えられると集落営農組織というのは大分組織化が容易になるわけでございます。やはり、組織体としての損益なり収支なり配当なり、これをきちっとする。それがまた、今後、経営安定対策の対象になれば経営安定対策のお金の受皿にもなるわけでございます。そして、あなたが自分でやるよりもこういう配分が行くんだから得なんだよと、これを示すというのについて、これはもう農家の理解を得るしかないというふうに思っております。  それから、税務の問題ございます。私どもも方々におきまして聞きましたのは、このみなし法人課税の問題があって、なかなかそこに抵抗があるという問題がございました。これは実務上の解決を図るべく、今、国税庁とも御見解を伺いながら団体とともに指導に努めているわけでございますけれども。  ここで、先ほど先生申されたリーダーの方々がよくお話しされますのは、必ずしもその法人税課税が、損得で言うのは問題なんですけれども、その負担が大きいというわけではない。所得税は累進課税でございますので、ある時点まで行ったら法人税の方が所得的には得する分岐点がちゃんとあるわけでございまして、そういうことをよく説いていただければ法人化に向かって一歩二歩進んでいくということでございます。  先ほど先生、特定農業法人と特定農業団体で二百二十六に百二十という、こういう数字を申されました。これ以外にも、私どもどれだけあるか把握していませんけれども、農事組合法人になっている集落営農もございます。今のような問題をちゃんとリーダーによって考えていただきまして、問題をクリアできれば、法人化に向かって一歩、二歩近づくんではないかというふうに考えております。
  31. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 いずれにしましても、集落営農から法人化、これが非常に私は進む方向としては間違いないというふうに思いますけれども、いろいろまだ課題がありますので、それらにつきましての整理お願いをしておきたいと思います。  続きまして、経営安定対策について御質問させていただきます。  経営安定対策は、この計画書の中にも記載してありますように、一つは、生産条件の格差の是正対策が一つの柱、いわゆる品目横断的な施策としての日本型直接支払、それからもう一つが、販売収入の変動が経営に及ぼす影響が大きい場合の緩和対策、これが私は二本柱になっている、こういうふうに思っておるところであります。  そこで、いろいろ生産条件格差の是正についてお伺いをしたいと思うんですが、まだまだ完全に詰まったものではないというふうには認識はいたしておりますけれども、ただ、この計画書の中では、過去の作付面積に基づく支払と各年の生産量、品質に基づく支払を行う、こういうふうになっておるわけであります。今まで麦や麦作経営安定資金、あるいはまた大豆は大豆交付金、こういう形でやられておりましたけれども、今後はそういう交付金なり、あるいはその安定資金なりじゃなくて、面積なり生産量、質に基づいて直接払いをする、こういうことでよろしいんですね。
  32. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 先生言われましたこの諸外国との生産条件の格差を是正するための対策の部分、これ平たく言いますと、市場価格とコストの間を直接固定的に支払うという発想でございまして、これを講ずるに当たりまして、日本の実情というものと国際規律と、そのはざまで非常に苦労したわけでございます。  国際規律上からいきますと、生産と連動している支払の仕方は緑の政策にならないと。現実の生産と連動しないように、ヨーロッパ、アメリカで講じられておりますように、過去の作付面積と連動をしたような支払の仕方、これは国際規律上の緑の政策、デカップリングに該当可能性が高いということでございます。一方で、やはり日本の実情からいきますと、何にも営農していないのにお金を支払っていいのかというモラルハザードの問題がございまして、それやはり国民の納税者の方々負担していただく財政を交付するわけでございますので、何らかの営農努力が前提となってないといけないのではないかという議論があったわけでございます。  そういう議論から、このコストと市場価格の格差の支払を二つに分けまして、生産量に基づく支払の部分と、それから過去の作付面積に基づく支払、これは緑の政策、該当性の高いものでございますけれども、その二つで構成してみようと。具体的にはこれからまた議論をしていこうということでございます。
  33. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 何を私は言いたいかといいますと、今までの麦の場合は麦作の安定資金がありましたし、大豆は交付金制度がありました。つまり、WTOを意識した緑の政策に転換するだけで、本当の意味において担い手経営安定に結び付くのかどうか。ただ今までの大豆交付金、麦の安定資金、これを直接支払という形に変えただけではないのか、そういう実は思いがいたしておりますし、危惧いたしているところであります。したがいまして、今後、制度設計する過程において、少なくともこの麦、大豆というのは米並みの所得に近い収入でないと、今までの制度とは変わらない、単なる衣、名前を変えただけじゃないのかと、それはWTOを意識した緑の政策に変えただけだ、こういうようなことになりゃせんのかという危惧をいたしております。  したがいまして、本当の意味での担い手を絞っていくんであれば、その担い手経営安定につながる、そして担い手が安心して、そして誇りを持って農業にいそしめるようにやっぱりすべきだ、こういう思いがあるから私は今申し上げたんで、是非そういったことを考えながら制度設計をお願いいたしたいと思います。  次に、時間が余りありませんので、ちょっと予告はいたしておりましたが、受託組織の取扱いはちょっと飛ばしまして、ちょっとやっぱり今の、もう一つの柱が販売収入の変動の緩和対策であります。これにつきましては、せっかく局長もお見えになっておられるんで、米の担い手経営安定対策を組み直して、これに麦、大豆を含めて新たな対策としていくのかどうか、そういうことではないのでしょうかという御質問であります。
  34. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 大変微妙なところの御質問でございます。  実は、この品目横断経営安定対策と、それから今やっている米の改革の政策とどのように組み合わせて議論するかという議論は本格的にまだいたしておりません。この品目横断経営安定対策の中の販売収入の変動が経営に及ぼす影響の緩和策、これは米と小麦と大豆を合わせた経営収入といったものを、過去の市場価格に基づく収入を基準として、それから変動があった場合に一定部分を補てんしようと、こういうことで考えていこうということでございまして、当然、米政策改革、担い手経営安定対策の部分は当然統合されることになりますけれども、そのほかの部分とどのような調整が行われるのか、また米の生産調整を義務付けるとか義務付けないとかいろんな議論がまだ残ってございます。  いずれにしても、米、小麦、大豆を合わせた収入の変動というものを補てんをしていこうと、言わば経営を単位として経営の安定を図っていこうという考え方でございまして、そういう意味では担い手経営のセーフティーネットとして機能するものというふうに考えております。
  35. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 そうしますと、今の米の担い手経営安定対策が私はベースになっていく、こういうふうに思います。そうしますと、過去三年間の多分平均基準収入、そういうものが算式の中では出てくると思うんですが、現状を見ていきますと、作況は下がっても米の価格は下がる。特に、十六年は作況は九八でしたけれども、米の価格は前年に比べて四、五千円も下がってきた。これを、三年間ぐらいを平均されていきますと、どんどんどんどん右肩下がりになっていって、結局は規模拡大、規模拡大でいかないと農家経営というのはどうしても安定していかない、そういう仕組みになっていくんじゃないのかな、そういう気がいたしまして、やはりここは、日本型直接支払という言葉で余りにも独り歩きして夢を描いておるような錯覚を受けるんですけれども、そこはやっぱりまだ厳しい目で見ながら制度設計をしていただきたい、そういうふうに思います。  そうでないと、せっかく担い手を絞っていく、そして経営安定を図るんです、こういうふうに非常に耳触りはいいんですけれども、中身は余り変わらなかったじゃ、これは担い手は育っていかない、そういう思いがありますので、是非そのことも留意しながらやっていただきたいと思います。  そこで、このいわゆる販売収入、価格の面というのは、単なるそうした今までの生産量とかいうのもありますが、要は私はやっぱり需給バランスだというふうに思います。そうして考えていったときに、米につきましては、特にこの経営安定対策の前提として米をやっぱり考えておかなきゃいけない。経営安定対策、小麦、大豆もそうですが。米については、もう村上局長承知のように、四十四年以来三十五年にわたりまして実施しました。十五年は百二万ヘクタール、そして三百二十万戸の農家協力して達成をいたしているわけであります。こういう形で農家協力で需給とのバランスと価格の維持を図ってきた。  そこで、先ほどちょっと須賀田局長も触れられましたが、私は、やっぱり十九年以降も、この需給、米の需給バランスと価格の変動を抑制するためにはどうしても計画生産が必要だと、こういうふうに思っております。  これは経営安定対策と私はセットしていく話でありますので、是非ともその辺の考えをお伺いしたいと思います。
  36. 村上秀徳

    政府参考人村上秀徳君) 現在、先生おっしゃるとおり、生産調整を実施してきているわけでございまして、今、新しいその米改革政策の中で従来の面積配分から数量配分という形になってきているわけでございます。  政府は、その中で需給の適切な見通しを策定して、これは客観的な需要予測、それから客観的な販売実績を基にして需要予測をし、生産目標数量を定めるという形でやっているわけでございます。  そういう中で、やはり円滑に実施していくためには、各産地で自主的に需要に応じて、市場のシグナルをよく見て、売れる米作りをしていただく必要があろうかというふうに思います。今年の米が若干低い状況にあるということを我々も注視いたしておりますけれども、そういう中で、やはり売り方、そういうものもそれぞれやはり努力をしてやっていただく必要があろうかというふうに思っております。  当然、十九年に生産者が主体になった米生産調整に移行するわけですけれども、その円滑な移行のために我々も十分団体などとも意見調整をしながら、しっかり取り組んでいきたいというふうに思っているところでございます。
  37. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 時間がありませんので、もう要望にとどめておきたいと思いますが。  私は、この今回の日本型直接支払というのは国民の税金で賄う、こういうことになります。したがって、この対象者は、今、村上局長ちょっとお答えになりましたが、私はやっぱり計画生産に協力する農家でないと駄目だと、こういう思いでありますから、そのことも一つ念頭に置きながらの設計作りをしていただきたいというふうに思います。  最後に、小林房長には先般も来ていただいて時間がなくてできなかったんですが、最後島村大臣にお伺いしたいと思うんですが。  今回閣議決定いたしました基本計画では、担い手皆さん、これは今認定農業者あるいは集落営農を形作っている皆さん方は大変期待と不安、これが交差しているというふうに私は思います。  なぜかといいますと、やはり日本型直接払いにしてもあるいは品目別対策にしましても、思い切った財政処置が将来にわたって担保できるのか、確保できるのか、やっぱりそこが、今の農林予算を見ていっても右肩下がりになってくる、その中で、本当にこういう新しい計画を作って新しい制度に向かっている中で、その財源問題というのが非常にやっぱり気になっておるわけであります。やはりこの財政が先細りする中でどうなっていくのかという不安があります。  そこで、この新たな基本計画実施していく上で、また経営安定対策を図る上で、きっちりとしたその財源確保ができるのかどうか、島村大臣の決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。
  38. 島村宜伸

    国務大臣島村宜伸君) お答えいたします。  直接支払を含む経営安定対策の具体的な内容につきましては、十九年産からの導入を目指して更に検討を進めていくこととしておりますが、このために必要な財源の確保につきましては、厳しい財政事情を踏まえまして、多くの納税者の理解と納得の得られるよう、限られた予算を最大限有効に活用する観点からしっかりと対応してまいる所存であります。  またいろいろこれからも御協議申し上げたいと思っております。
  39. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 ありがとうございました。  ただ、官房長には大変申し訳ありません。もう二回、これでキャンセルしましたので。
  40. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 民主党のツルネンマルテイでございます。  私の方からも今日は食料農業農村基本計画について質問させていただきます。特に、その中では、今日ももう既に話題になっている食料自給率向上の問題について、いろんな質問でそれを指摘したいと思います。    〔委員長退席、理事岩永浩美君着席〕  私のこの基本計画の、特にこの食料自給率向上に関する私の評価を、先に結論から言えば、厳しいかもしれませんけれども、自給率の向上をあきらめている計画であると私は見ています。少なくともこの程度の改革では日本の農業を救うことができないと見ています。もっと画期的で思い切った改革が必要です。  確かに、よく読んでみると、新たな施策の中には立派に聞こえるものもあります。例えば、その項目のタイトルだけを幾つかポイントを言いますと、食生活の改善運動、市町村による自給率向上の実践計画担い手経営安定策の創設、集落合意による農地の利用集積対策、耕作放棄地の発生防止・解消対策、リース方式による農業参入、環境保全型農業への転換促進、輸出拡大の支援対策などなど、これ、項目を見れば立派に聞こえます。  しかし、仮にこういう施策が実施できた場合でも、日本農業衰退のスピードを幾らか抑えることができるかもしれません。しかし、自給率を上げるためには確実の不十分ですと私は見ています。そこから、なぜ不十分かということについて、いろんな質問でそれを指摘したいと思います。  一番目の質問島村農林水産大臣にさせていただきます。  この前の基本計画における平成二十二年度を目標年とした品目別食料自給率目標と、新基本計画における平成二十七年度を目標年としたものとを比較すると、その違いはほとんど見えてこないんですね。私たちの手元にあるこの資料の中で、基本計画の資料の中では、例えば十ページと三十二ページを比較してみると、この中では、二十二年度の幾つかの例だけを、時間ありませんから、出してみると、米に対しては、二十二年度は九六%、二十七年度も同じ九六%。まあ大豆の方はわずかに上がっています。肉類の方が本当に一%上がっています。などなど、あとはほとんど変わってないということで、私から見れば、これは目標を五年先送りしただけではないかと思ってますが、大臣の見解を求めます。
  41. 島村宜伸

    国務大臣島村宜伸君) お答えいたします。  前の基本計画食料自給率目標四五%を達成するその基本となったものは、まずいろいろな角度のものがございますが、米の消費におきまして平成九年度の六十六・七キログラムを参考とし、平成二十二年度にこれが六十六キログラムぐらいのものが言わば想定されるということにいたしまして、この基本に立って言わば需要に即した生産の拡大などに取り組んできたところです。  しかしながら、私たちが想定した言わば米の消費量というのは私たちの意のままにいきませんで、実質的には言わば平成九年度に比べまして六十一・九キログラム、すなわち、想定より四・八キログラムの減であったわけであります。また、その一方で、飼料や原料の多くを輸入に依存する畜産物や油脂の消費が増加いたしまして、さらに農業生産量も総じて減少するなど、いろいろ当初のもくろみどおりにいかなかったというようなことが現実の問題としてあります。  そこで、これらの前提に立って今回は新たな基本計画を組み、その基本計画の中において、言わば平成二十二年に四五%としたものを平成二十七年度にこの四五%の言わば食料自給率の達成という目標に置き換えたところであります。  また、新たな自給率目標に当たっては、生産及び消費の両面において重点的に取り組む事項を明確にした上で、実現可能な生産と消費の水準を踏まえ、言わば改めてこの計画を実行するために施策の工程管理を適切に実施するべく、それらの面を盛り込んで自給率向上の取組が迅速かつ着実に実施されるよう、関係者と一体となって取り組んでいくこととされております。  なお、ツルネン委員御存じのとおり、この言わば計画の策定に当たりましては、言わば農業の実際に取り組んでおられる農業関係者六名、あるいは一方で食品産業四名、学者四名、そして自治体あるいは消費者各三名、二名といういろんなメンバー構成の中で、特にジャーナリズム関係方々六名を加えて、極めて多彩でかついろいろな角度から昨年一月以来御討議をいただいた結果に得られたものでございますので、御理解をいただきたいと思います。
  42. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 つまり、今、大臣の答弁の中でもはっきり、二十二年度には達成できなかった四五%を今度は二十七年度には何とか達成するように、これも今さっき私が最初に言いましたように、今のような計画では恐らく二十七年度でもまだ五年先送りになるんじゃないかと私は心配しています。  それを、ちょっと違った角度から、努力が足りないという指摘をしたいと思いますけれども、次には常田大臣の方に質問させていただきます。  やはり、この平成二十七年度における生産努力目標も、私たちは、この中では二十七、二十八ページではそれを数値で表していますけれども、それでさえ本当に、その努力目標もほとんど変わっていない。上がったとすれば飼料作物の方がかなり上がっています。これは一つ、もしこれは実現できたら幾らか効果があると思いますけれども、このような生産努力目標で本当に自給率を二十七年度では四五%に上げることは可能かどうか、常田大臣の見解を求めます。
  43. 常田享詳

    ○副大臣常田享詳君) 自給率目標値まで高めていくには、この後のまた議論になろうと思いますが、生産力の向上と併せて消費力の向上ということがあろうと思います。  今のお尋ねは生産努力の問題だと思います。生産努力目標については、品質や生産性の向上、また実需者の多様なニーズに対応できる産地体制の整備など、品目ごとの課題が解決された場合に、平成二十七年度において実現可能な国内生産の水準を示したものであります。したがいまして、この目標の実現のためには、農業者を始めとする関係者がその課題解決に向け一体となって取り組み、成果を上げることが必要であり、そのような意味におきましては意欲的な目標ということも言えるんではないかなというふうに思っております。
  44. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 しかし、これを実施することは本当に可能かどうかは、これはもちろん大きな疑問がそこで残っています。  もっと不思議に思っているのは、今も関連していますけれども、やはり二十四ページのところでは望ましい食料消費の姿を、これも平成二十二年度、今、平成十五年度と比較した場合は、大臣の方からもさっきは米の消費に対しての問題が指摘されましたけれども、今の段階では何とか一人当たり年間六十二キロ、二十七年度、十二年先も同じ、望ましい食料消費の姿でやはり六十二キロ。これは、まあそれ以上は無理だろうと私さっきから言っているのは、あきらめているということじゃないかなと思います。米を食べてもらうのはそう簡単ではないと分かっています。  あるいは、後で私は日本型食生活について触れますけれども、この中では、望ましい食料消費の姿では、上がっているのは牛肉の方がかなり、六・二キロから七・七キロに上がっているんです。しかし、後で問題に考えているのは、本当に日本食の方では、日本型の食の方では、牛肉をもっともっと食べましょうということはちょっと矛盾にも感じます。これちょっと後で触れますけれども。  この望ましい食料消費も、どうしてやっぱりこれ以上できないという、そういうあきらめで野菜の方がちょっと上がっています。大豆もちょっとぐらい上がっていますけれども、あとは変わっていない。これもそれ以上は無理というふうに考えていますか、副大臣
  45. 常田享詳

    ○副大臣常田享詳君) 食料自給率目標は、先ほど申し上げましたように、生産力の強化と併せて、委員指摘のとおり、消費面の対策が大変重要だというふうに思っております。四五%が達成できなかった大きな原因の一因もそこにあるんではないかなというふうに思っております。  そういう意味で、消費面におきましては、国民の健康維持の観点も含め、委員積極的に取り組んでいらっしゃる望ましい食生活の実現ということ、そして、そのことがあって初めてこのことが位置付けられるというふうに思っております。そのための栄養バランスの改善など、食生活の見直しを前提とした消費量の目標である望ましい食料消費の姿を設定したところであります。  少し具体的に申し上げますと、今後の少子高齢化の進展や食品の廃棄、食べ残しの減少を加味し、総供給熱量の減少を見込んでおります。また、脂質の摂取の抑制を始めとして、様々な面から栄養バランスの改善を見込んでおります。また、各品目について見れば、例えば米は、バランスの取れた食生活による健康の維持増進という観点から、総供給熱量の減少を見込む中で消費量を維持し、でき得ればこれを拡大していきたいというふうに思っております。また、BSEの影響により現在消費量が落ち込んでおります牛肉については、今後、今、委員指摘のとおり、消費量の増加を見込んでおりますけれども、そのような数字になっておりますけれども、肉類全体としては、減少を見込んでいるため、脂質の摂取の抑制ということにも寄与すると思います。  最後に、今までどちらかというと農林水産省と厚生労働省、厚生労働省が進めている健康日本21と、それから農林水産省が進めている栄養改善、食生活の改善とが必ずしも一致していなかったというところに問題があったというふうに思っております。今後は、厚生労働省、農林水産省がその辺りしっかり一致させて、消費者の方々の御協力をいただいてまいりたいというふうに考えております。
  46. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 もちろん、最後指摘の点には私も賛同します。  もちろん、私、自分が考えている日本型食事、食生活あるいは健全な食生活、あるいは政府が望ましいと考えているのをどうやって私たち国民にそれを認めてもらうかということはこれからの私たちの大きな課題であります。  そのためには、一つの評価できていることは、この中ではフードガイドを計画しているということであります。その中で、いろんなことは書いてあるんですが、これも三十七ページには書いてありますけれども、その中の一つのポイントというのは、「食生活に関する正しい知識の普及を推進する。」と書いてあるんですが、私はもっと積極的にやはり国民にはいろんなことを通じて、食生活を健全に改善するための指導もこの中に含まれるか、あるいは入れられる予定ですか。そのことについても答弁をお願いします。この内容についても、もちろん。
  47. 中川坦

    政府参考人中川坦君) フードガイドについての御質問でございますけれども、これまでも望ましい食生活の実現に向けまして、平成十二年の三月には食生活指針というものを策定をいたしまして、その普及に努めてきております。ただ、正直申しまして、これまでのいろんな取組を振り返ってみますと、適正な食事の摂取量を分かりやすく示していて、そして消費者の方々の具体的な毎日毎日の食生活のその行動に、実践に結び付けていく必要があるなというふうに私ども考えたわけでございます。    〔理事岩永浩美君退席、委員長着席〕  こういった観点から、国民方々が自らの食生活について考える習慣を身に付けて、そして健全な食生活の実現が図れますように、厚生労働省と連携をいたしましてこのフードガイドというものを今策定しているところでございます。フードガイド自身は、先生御存じかと思いますけれども、毎日毎日の食事としてどんな食品をどれぐらい食べればいいのかということを分かりやすく図示した、そういうものでございます。  こういったフードガイドをこれから食品選択の場面、例えば小売店ですとかあるいはレストランですとか、それからまた学校の教育の場面ですとか、そういったところで活用をしていただくように、これまた文部科学省などとも連携を取っていきまして、幅広く普及をしていきたいというふうに思っております。  こういったフードガイドが普及されますことによりまして、日本型食生活が実現をされまして、その結果として、食料自給率の向上と、それから国民方々の健康増進あるいは生活習慣病の予防といったものに寄与されるというふうに考えております。こういった面で努力をしていきたいということでございます。
  48. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 その中で、やはりどっちが正しい食生活かということと同時に、その指導を、やっぱりこういうふうに変える方がいいんじゃないかということもやっぱり積極的に入れることが必要かと思います。  関連ですけれども、さっきから私は話題にしました、いわゆるこの中で指摘されている日本型食生活というのが入っていますけれども、具体的にはこれはどういう食生活を意味しているか。この中では書いていませんから、これについて、ちょっとその具体的な内容について、どういう食生活を考えているか、お願いします。
  49. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 現在の日本人の食生活を見ますと、一つは、一言で申し上げれば栄養のバランスの崩れというのがございます。脂質の摂取が過多になっている。それから、炭水化物といいましょうか、そういったところが少し少なくなっているという、そういう問題点があると思っております。  それを、これまでの日本人の食生活の推移を見てみますと、昭和五十年代の半ばごろには、いわゆるPFCバランスと我々は呼んでおりますけれども、脂質とたんぱく質と炭水化物のバランスが非常に取れていたと。これはもうちょっと具体的に申しますと、米を中心にして、米が主食、それを中心にしまして、水産物ですとか畜産物あるいはまた野菜など、多様な副食がバランスよく取られていたと、こういったものを日本型食生活ということで呼んでおりまして、このバランスのいい食事の内容、これを実現したいというふうに思っております。
  50. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 もちろん、私たちはもう既に分かっているのは、今は偏っているという食生活は若者もそうだし、あるいは私たちは西洋的な食生活に入ってきますから、どうしてもやっぱりその動物性の脂とか肉食は、肉は食べ過ぎるという面もありますから、だからそういう意味では、やはりさっきも言ったように、肉の消費を増やすということはどうかなと思っています。  あるいはこの中で、さっきも、望ましい米に対する消費というのは、このフードガイドの中でももっと米を食べましょうと、しかし十二年たってからもやはりまだ六十一キロというふうになっているのはちょっと矛盾を感じているということです。  これもちょっと時間がありませんからそのくらいにしておいて、ここでは再び大臣に対して、これも踏まえて、日本では今議員立法でも与党の方から提案されているんですけれども、この食育に対すること、この中ではそれは触れていますけれども、その中で、私は読んでいる限り、一つ足りないというか、面があります。  つまり、もちろん食育というのは教育は必要ですけれども、それを農業と切り離したらこれはやっぱり間違い。だから、もっと、私は提案したいのは、食農教育に改めたらどうですかということ。例えば、具体的には、これは小学校の場合はもっと農業の体験学習を増やしたりとか、そうすると子供たちはやはり食も必ず農業から出てくるということ、そういうことをもっとそれに入れたらどうかなと私は提案していますけれども、大臣のコメントをお願いします。
  51. 島村宜伸

    国務大臣島村宜伸君) お答え申し上げます。  国民一人一人が自らの食について考える食習慣を身に付け、生涯を通じて健全な食生活を実現することができるよう、食育を力強い国民運動として展開していくことが重要であります。  ただいま御提言のあった食育を食農育としたらいかがと。考え方は全く私賛成です。ただ、問題は、日本語は私の方が少し達者かと思いますが、食育と言った方が簡便であり、頭に入って素直に受け入れやすいんですが、食農育とするとちょっとぼけてしまうように思います。  既に食育という言葉は、国際的にもそうですが、国内的にもかなり普及いたしておりますので、当然にこれは食育の中には(農)が含まれているんだと、私は常々そう考えておりますし、今御提言について私は真っ向からそれを同意しないというわけではありませんで、既に文部科学省などとも話合いをしまして、農業とかあるいは食品産業に対する体験学習を進めて、やっぱり農業はいかに多い苦労の中に農産物が生まれているかという、そういう実態を知ることや、自然に親しみ、また自然の恩恵というものを知らしめる教育が必要だという意味合いから、言わば食農育は現実的には、御意見のとおりに、形の中には生きていると、こうお考えいただいたらいいんではないかと思います。  いずれにいたしましても、私たち子供のときには、お米一粒一粒がどれだけのお百姓さんの御苦労の中にできているものかというのを大変厳しくしつけられまして、一粒でも御飯粒残していくと親にたたかれたものでございます。そのぐらい厳しい教育を受けたし、それは正しいことだと思っておりますので、これからも我々は、今御提言のあったことについて実質的に盛り込むような努力をすることだけはお約束したいと思います。
  52. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 もちろん、このテーマというか言葉の問題ではなくて内容の問題でありますけれども、告白しますけれども、私の考えた言葉ではなくて、長い間は農業に科学の面でもいろんな意味で、名前言えばすぐ皆さんは分かりますが、この人の提案ではこの食農育という言葉も出ていますから、だから私はその言葉、タイトルだけにももう農業が入っていればいいんじゃないかなと思っています。しかし、もちろん中身は一番重要です。  そこから、次の質問に移らせていただきます。さっきからも幾らか触れられましたけれども、この食品ロスの問題は、御存じのとおり、たくさんあります。前基本計画でもそれを指摘されましたけれども、その後も恐らく増えているだけですね。このロスというのはもちろんいろんな段階で出ています。家庭の中では食べ残しとか、スーパーマーケットは風味期限が切れたらそれを捨てるとか、こういうのを今は農林水産省の方では食品ロス調査が行われていると思いますから、その概要を本当に簡潔にお願いしたいと思います。
  53. 小西孝藏

    政府参考人小西孝藏君) 食品ロス統計調査によりますと、家庭で調理、食事したものにつきましては、平成十五年における一人一日当たりの食品ロス量は五十六・五グラム、食品ロス率は四・八%で、うち食べ残しは一・六%となっております。  食堂・レストランにおける食品につきましては、平成十六年における一食当たりの食べ残し量は十九・四グラム、食べ残し量の割合は三・三%となっております。  また、食品小売業における食品廃棄物等の発生量につきましては、平成十五年度で二百六十二万トン、うち売れ残りや返品によるものが二三%となっております。
  54. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 とにかくこのロスは非常に大きいことで、もしこれを私たちは減らすことができれば、これも食料自給率を上げることには貢献するはずですね。あるやはり一人の人の本で読みますと、必ずそのそれぞれの分野でこれをなくすこと、なくすこと完全には不可能でしょうけれども、何と食料自給率を五三%にまで上げることができるという計算もあります。そこまでならなくても上げることは確かですね。  しかし、ここで私たちは、問題はどうしてこれを減らすことできるか、もしこれに大臣の方から何かコメントが、アイデアがあればお願いします。
  55. 島村宜伸

    国務大臣島村宜伸君) 実は、これまでも食生活指針の普及啓発を進める中で、食べ残し、廃棄の減少に向けて、食品の適切な購買行動や上手な保存方法の普及、さらには身近で取れる食べ物を大切にする意識の高揚などを図ってきたところであります。  しかしながら、十分な効果が得られていないという反省を踏まえまして、これまでの取組に加え、食育の一環として、食べ残し、廃棄の削減をテーマにしたシンポジウムの開催やフードガイドに食べ残しの削減のためのメッセージを盛り込むこととしておるわけであります。  ちなみに、現在時点の、これは平成十二年の三月の言わば時点では、現在、国民の食のカロリー、摂取カロリーは千九百キロカロリー・パー・デーでございますが、供給している言わばカロリーは二千六百カロリー、実に七百カロリー余の無駄があるということが数字の上に表れております。
  56. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 ありがとうございます。  先ほどのこのフードガイドに関しても、やっぱりその中でも、これも私たち自給率を下げるということにあるんだから、そこら辺もやっぱりはっきり教える必要があるんじゃないかなと思います。  そこから話題がちょっと別な問題に入らせていただきます。  さっきも触れられましたけれども、全国での耕作放棄面積は、まず今は簡単に大体どのくらいあるかということを、データをお願いします。
  57. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 若干古いデータでございますが、平成十二年現在で耕作放棄地三十四万ヘクタール、東京都の一・五倍の面積ございます。
  58. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 これを私たちは本当にこれからは畑に戻すことができたら、これも大きな問題です。  この基本計画の中では、この発生防止あるいは解消のための措置の強化についての計画市町村お願いしているというか、ちょっと言い方は変ですけれども、任すということになっているんです。もちろんこれは、市町村ができること市町村に任すということはもちろんこれからの流れでありますけれども、まったく任したら、そしてあんまり積極的に動いてない市町村も出てくると思うんですけれども、やはりここでも国の、場合によってやっぱり国の指導力というか関与も必要じゃないかなと思います。  これに関しては、国は市町村のこういう計画にどの程度どういう形で関与をする予定になっていますか、聞かせてください。
  59. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 今国会に私ども農業経営基盤強化促進法の一部改正法案をお出しをしてございます。  その中で、耕作放棄地の解消策、まず都道府県が耕作放棄地の解消についての基本方針を決めまして、その下で市町村基本構想を決めます。その市町村基本構想の中には、これだけ耕作放棄地があって、その耕作放棄地は山に戻すものはこのぐらい、農業上の利用を図るものはこのぐらい、そのための対策はこうだというのを市町村基本構想の中に決めて耕作放棄地を解消していくと、こういう仕組みを制度的に提示をしております。  十七年度予算、国はこういう仕組みが円滑に進みますように、耕作放棄地の調査あるいはその情報の集積、公開、それから農業委員会が、市町村の行政委員会でございますけれども、農業委員会が濃密に指導する、そういう経費を予算措置をしているわけでございます。  私ども、基本的にはこの耕作放棄地の解消は国の責務だと思っております。ただ、その具体的な解消の仕組みは、国が全国統一的な基本ルール、これが制度で、先ほど申し上げました制度でございます、これを作り、また誘導措置、これが予算措置でございますけれども、誘導措置を講じて、具体的な運用は市町村に任せていくと、こういう仕組みの下で対応していくのが一番ふさわしいのではないかというふうに思っております。  仮に、市町村が都道府県が基本方針を作ったのに何もしないというようなことであれば、所要の指導をしていくというふうな、国として所要の指導をしていくというふうに対応したいというふうに思っております。
  60. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 国の義務であるという、そういう考え方に、そしてなるべくいろんな具体的なことは市町村でやるということは私も賛同です。是非ここで国の指導力も必要になると思います。  時間がどんどんなくなって、減っていますから、九番とちょっと飛ばして十一を、十はまだ戻りますけれども、私の通告の中では併せて質問させていただきます。  この問題と関連しますけれども、農地の有効利用のための新規参入の促進について、これは例えばいろんな人が新しく加わりたい、農業をやりたい、それを国の方で経済的な支援策はどういうものになっているか、これは前にもありました。その中に、例えば私たち民主党の方でも、考え方としては株式会社あるいはNPO法人とかも参入することは歓迎されますし、サラリーマンでもあるいは定年退職者も参加したいときは、しかし今の規制ではかなり厳しい面もありますから、その規制緩和も含めて、あるいはその中で例えば面積の条件の緩和とかありますね、あるいは経済的な支援も含めて、これもなるべく二分くらいでちょっと簡潔にお願いしたいと思います。
  61. 中川義雄

    委員長中川義雄君) 須賀田経営局長、端的にお願いします。
  62. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) はい。  新規参入をなさりたい方の支援策でございます。まるっきり新規に参入したい方は、しかるべきところで研修をし、また新規参入のための農地の取得あるいは機械の取得についての融資措置がございます。  それから、NPO法人とか株式会社等の参入のための規制緩和でございます。私ども、特区制度というのを設けて、農業生産法人以外の法人も耕作放棄地解消のために参入できる仕組みを作りましたけれども、これを全国的に展開するための法律を今お出しをしておりまして、市町村が参入区域を決めまして、そこへ株式会社とかNPO法人が参入できるという仕組みにしております。  また、サラリーマンとか定年退職者が農業に参加できるようにするために、今、都府県で五十アールという取得下限面積を作っておりますけれども、これ耕作放棄地が多いようなところは特区制度で十アールまでに下げれますし、そうでないところも都道府県知事が一定の基準の下で十アールまで下げることが可能ということにして、こういう要望への対応というのを図るということとしております。
  63. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 ありがとうございます。それについてのコメントを、今時間ありませんからやめます。  一つたち民主党の方でも積極的に提案している自給率をかなり上げることのできるというのは、いわゆる田の二毛作というやり方です。稲と麦の二毛作でも言います。ある程度日本でも行われていますけれども、十分ではない。つまり、御存じのように、冬には麦を、そして夏には米をというふうに交互に作付けをするという農業のシステムですが、私たちの中ではこれを積極的に進めばこれでももう何%か自給率を上げることできる。このことについて簡潔に答弁をお願いします。
  64. 白須敏朗

    政府参考人白須敏朗君) ただいまの委員の二毛作の関係お尋ねでございます。  お話のとおり、やはりそういった米と麦といった二毛作の体系、大変に重要なことだというふうに考えているわけでございます。  ただ、現状では、例えば麦にしてみましても品質の問題ございます。要すれば、実需者側の受入れの問題あるわけでございまして、実需者にしてみますと、これ以上の国産麦の受入れに限界感があるというのが一点あるわけでございます。それからもう一点、特に営農面からの問題でございますが、二毛作地帯におきまして水稲を植える場合に、やはり最近ではコシヒカリを中心といたします良質米、味のいい銘柄米に大変生産が増加しているわけでございまして、こういった銘柄米は大体が麦の収穫期の前にいわゆる田植を行う必要がある、いわゆる早植えの品種というふうに言われておるわけでございまして、したがいまして、そういう早植えの品種の作付け割合が高くなりますと麦の収穫期と重なるわけでございますので、なかなかそこのところはそういった意味で大変難しい面があるわけでございます。  したがって、なかなかそういった、委員、私どもも、二毛作、大変重要なことだと考えておりますが、大幅な作付け拡大図るということは難しいというふうに考えているわけでございます。
  65. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 最後の二分間、どうしてもやはりここでは大臣には、一つの、これはちょっと今の問題から切り離して、以前、皆さんがよく分かっているように、私は有機農業について一生懸命もう二回も質問させていただいています。そうして、諫早干拓農地にも、そういうところに生かすということも考えております。  日本農業新聞には、三月二十八日には非常に明るいニュースの一つが飛んできました。これは見たでしょうか。高知県では、NPO法人と県が一緒に、私が考えている諫早農地と同じような、規模が小さいんですけれども、やはり有機農業を教えるための塾というか、三ヘクタールを使っていて、そこでいろんな試験を行うということ、こういうのは法人と県の、県の予算もこれに入れていますから、もう質問時間がありませんから、これに対するコメントをお願いします。
  66. 島村宜伸

    国務大臣島村宜伸君) 率直に申し上げて、先ほどの食農育にしても今の有機農業にしても、私、ツルネン委員と考え方は非常に近いといつも感じます。それは私も認めるし、私自身も、就任早々、有機農業が余り伸びていないのはどうしてかという質問を実はしたところであります。そのときの聞いた話では、日本は、ちょっとヨーロッパと違って、高温多湿であるので雑草とか病害虫が非常に出やすくて、そういう逆に弊害もあるのでなかなかうまく広がらないということでございます。  さはさりながら、農水省は、農林水産省は当然のこととして有機農業を進めたいという考えを持っているわけですから、農業者の技術指導とか、あるいは就農準備校における有機農業コースの設置など、新しい試みもしているところでございまして、それらについては考え方でございますし、今般、今御指摘のあった高知県のもございますが、言わば地域農業を振興する重要な柱として有機農業を位置付けたこと、また有機農業に取り組む生産者を育成するために研修施設の整備などを予定していると伺っておりますが、これらについては当省の考えとこれは合致するものでもございますので、可能な限りこれらを進めていきたいと、こう思います。
  67. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 終わります。ありがとうございました。
  68. 中川義雄

    委員長中川義雄君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十四分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  69. 中川義雄

    委員長中川義雄君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、農林水産に関する調査のうち、食料農業農村基本計画に関する件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  70. 主濱了

    ○主濱了君 民主党・新緑風会の主濱了でございます。  年を越してから国内外で地震や津波の災害が続いております。亡くなられた方々の皆様に御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆様にお見舞いを申し上げ、一日も早い復興を願うものであります。  早速ですが、食料農業農村基本計画の見直しについてお伺いをいたします。  新しい計画につきましては、既に去る二十五日、閣議決定されたところでありますが、これは日本の農政の大転換ではないかと、私はこのように見ております。この点から問題点を指摘させていただきたいと思っております。凍結する部分は凍結をし、詳細計画に盛り込む部分は盛り込んでいただきたいと思っております。  まず、日本農業の現状と評価についてでありますが、様々な政策を講じたにもかかわらず、その集大成である食料自給率、これは一九六〇年以降急激に低下をして現在に至っているところであります。  食料自給率につきましては、見直しで、今回の見直しで実質的に目標達成の時期を五年間先延ばしをしたと、このように私認識しておりますが、この見直し前の計画どおり達成できなかった理由について改めてお示しをいただきたいと思います。
  71. 常田享詳

    ○副大臣常田享詳君) 前回の自給率目標を達成するためには、米の消費量の維持や、また米以外の品目の需要に即した生産拡大など、そういったことを前提条件としてまいりました。しかし、実際には、米の消費量が減少、平成十五年度には六十一・九キログラムというような状況で、それが継続する一方、飼料や原料の多くを輸入に依存する畜産物や油脂の消費が増加、また農業生産量は総じて生産量が減少しているなど、その当時見込んでいた姿とは現在異なっており、残念ながら食料自給率の上昇には至っておりません。  このため、新たな基本計画では、消費面では先ほど来お話が出ておりますフードガイドを策定し、分かりやすく実践的な食育、食農育を進めてまいると。また、生産面では、経営感覚に優れた担い手育成確保し、需要に即した生産を進めるなど、重点的に取り組むべき事項を明確化したところであります。  また、もう一点、私は、従来、自給率が上がらなかった大きな問題はそのチェックがされていなかったということではないかと思うんです。したがって、このたび我々が強く主張したところは、施策の工程管理を適切に入れて、毎年毎年チェックすることで何が原因で上がらないのかということを明らかにしていくということであります。  以上でございます。
  72. 主濱了

    ○主濱了君 ありがとうございました。  三月七日の実は予算委員会大臣から、日本の食料自給率が大きく低下したのは食の洋風化であると、このような御答弁をいただいていたところであります。米を食べずに肉とか脂質の方に走るということで、麦や大豆やそれから砂糖を除き生産は減少しており、このことで自給率が大きく落ちていると、このような答弁をいただいたところであります。  このような経過を踏まえまして、政府に反省すべき点、こういうものはないのかと、こういったようなお話でしたが、今チェックが足りなかったと、こういったようなお話がありました。今後ともきちっとしたチェックをしていっていただきたいものだというふうに思います。  それからもう一つ、三月七日の予算委員会での島村大臣の御発言でありますが、御答弁でありますが、国民が米を食べないので食料自給率が大きくおっこちたと、こういう答弁をしております。  それで、どうして御飯を食べなくなったのか、米の消費の減少の原因と、そして原因が分かったらば当然対策が出てきます。その対策についてお伺いをいたします。
  73. 常田享詳

    ○副大臣常田享詳君) 米の消費が減少した要因といたしましては、経済成長に伴う生活水準の向上、また食生活の洋風化、簡便化志向の強まりなど、消費者の嗜好の変化などを背景に、畜産物や、先ほど申し上げました油脂類の消費が増加するなど、食生活が大きく変化したことが主な要因であるというふうに考えております。  このため、今後の米消費拡大対策においては、フードガイドを活用した食育、食農育の推進と連動して若年層を対象とした朝食欠食率の改善、朝食を食べるようにということ、また、中高年を対象とした御飯食による生活習慣病予防効果の啓発など、食生活の改善を進める中でテーマを明確化した米や御飯食の見直しを促進してまいりたいと思っております。  あわせて、足らなかった点申し上げると、広報活動がやはり私は十分ではなかったと。かなりの額を使っておりますけれども、その広報活動は今の時代に的確にマッチしていたのかという点で、私どもが改善を求めましたのは農林水産省のホームページであります。  実にホームページ、農林水産省のホームページに年間八百万人の方々がアクセスしておられます。これだけの方がアクセスしているということは、いかに今、食の安全、安心に対して強い関心を国民方々が持っていただき、なお農林水産省のホームページにそれを求めておられると。ところが、そのホームページは一人の人間がほとんど担当して、ただ情報を流しているというだけでありましたので、急遽取り組んでいただきまして、明日からホームページ変わります。是非見ていただきたいと思います。もう分かりやすく、非常に、自給率の問題をトップにとらえて、今何が大切かということをやっておりますし、「ズバリ伝わる! 政策情報の手引」という、こういう手引も作りまして、中には漫画等も入れて、職員が、農水省の職員が政策情報をどうやって国民皆さんに分かりやすく伝えるかということを十のポイントに絞って、これも全職員に今月、今配付をしております。  そういうことで、明日ホームページ変わりますので、是非先生方も見ていただきたいと思います。  以上でございます。
  74. 主濱了

    ○主濱了君 ありがとうございます。  確かに、今のお話にありました朝食を欠いているということ、これは大変大きな問題だと私も思っております。統計を調べますと、これ二十代の男性、それから三十代の男性に多いようであります。これは一概にその個人だけの責任を問うわけにはいかないと。やっぱり社会全体が、その忙しさもあるでしょう、そういうふうな社会全体が朝食を取るような環境をつくっていかなければ解決しないと、このように思っております。この辺をよろしくお願いを申し上げます。  それから、先ほどお話のありました肉類や油脂類の消費が進んだというのは、正にこれはおいしいからなんですよね。おいしいから食べちゃうんですよ。そして体が要求しているから食べるんですよ。このため御飯あるいは米の消費が落ち込んでいると、このように考えるわけであります。  としますと、大臣が前に御答弁された、御飯は非常に健康にも美容にもいいから国民にPRを更に進めると、こういうふうな御答弁をいただいているんですが、これだけではもう直ちに御飯あるいは米の消費を増加するというのはなかなか難しいというふうに思うわけであります。御飯、それから米の消費の拡大を図るのは、もうこれはもちろんのことでありますけれども、やっぱり考えなくちゃいけないのは自給率の低い麦類とか大豆であるとか、それから菜種、この油脂類の関係ですね、菜種であるとか、そちらの方の増産も図らなければいけないのかなと、このように思っております。  このような観点から、これまでの麦、大豆、菜種などの増産施策、それから、できればその数値目標と結果、さらには今後新しい計画の中でどのようにそれを発展させていくのか、この点について御答弁をお願いいたします。
  75. 加治屋義人

    大臣政務官加治屋義人君) 過去におきまして、麦、大豆につきましては、食料自給率向上のための重要作物として位置付けてまいりました。麦作経営安定資金の創設、あるいは大豆交付金制度の不足払いから定額助成への制度の改革を行ってきております。また、品質管理の徹底あるいは普及、出荷単位の大型化の産地対策等を推進してきております。また、油糧用菜種につきましては契約栽培を推進し、流通の安定化のための助成を行ってきております。  しかしながら、今後の振興対策についてでございますが、麦と大豆につきましては、全国の産地ごとに産地改革の計画の策定を促して、これを毎年検証してまいりたいと、これは先ほど常田大臣お話しのとおりでございまして、しっかりした検証をしてまいりたいと思っております。  また、麦、大豆及び菜種につきましては、品種、技術普及、産地における品質管理施設や集出荷施設の整備など産地改革の取組を積極的に支援をしてまいりたいと、そのように考えております。
  76. 主濱了

    ○主濱了君 よろしくお願いを申し上げます。  なお、私、米の消費の関係、ちょっと誤解を受けているんじゃないかなと思いますので念のため申し上げるんですが、これは前の予算委員会でもちょっとお話をしましたけれども、米の消費動向調査、これを基にした都道府県別の米の消費水準、米の消費水準ですね、これにつきましては、当岩手県は熊本県と並んで全国一であります。全国平均の一二%を上回って米を消費をしていると、こういうことでありますので、念のために申し添えさせていただきたいと思います。  引き続きまして、食料自給率についてなんですが、これは外国との比較でお伺いをいたします。  一九六一年、いつも大臣がおっしゃっていますあの一九六〇年の次の年ですね、ちょっと資料がなかったものですから、一九六一年と二〇〇二年の日本、イギリス、イタリア、この比較でお願いをしたいなと思っております。  イギリス、イタリアは上昇傾向にあります。それに対して日本は、いつもお話を聞いておりますが、七九から四〇まで急激に落ち込んで、そこから上回る気配は見せておりません。これはどうしたんだろうかという問題。  それからもう一つ。一九七三年、これは昭和四十八年になりますけれども、当時のソ連が大量の穀物の買い付けをやったということで、アメリカは、自国の穀物が不足して高騰するのを避けるために、禁輸といいますか、輸出の制限をしたわけであります。アメリカの輸出制限はたった二か月でしたけれども、世界に及ぼす影響は非常に大きかった。穀物価格が四・五倍まで引き上がったと、こういったような事件があります。日本でも、大豆が輸入できなくなるということでパニックになったり、豆腐騒動も起きたと、こういったようなことで、これ四十八年の二月二日の朝日新聞なんか見るとそんなこと書いてありましたですね。こういったような状況であります。  このときのイギリスの穀物自給率は六八、六〇%の上の方ですね、それからイタリアは六五、日本は四〇、昭和四十八年は日本は穀物自給率四〇だったんです。今どうなのかといいますと、二〇〇二年では、イギリスは一〇九になっております。上がっております。それから、イタリアは八〇、やっぱりかなり上の方に行っている。日本はなぜか二八であります。何がこれ、この差を生んだのか。少なくてもイギリスとは同じ島国であります。ここの差を、なぜできたのかということ、この点につきまして農林水産大臣の御見解を伺いたいと思います。  また、日本は同様に、政策として何が足りなかったのか、何をやるべきであったのか、各国に学ぶ点はないのか、こういったようなことも含めて御所見を伺いたいと思います。
  77. 加治屋義人

    大臣政務官加治屋義人君) 今御質問の件でございますが、イギリスに例を取らさせていただきたいと思っておりますけれども、おっしゃるとおり、一九六一年から二〇〇二年までの自給率、四六%から七四%に向上をいたしております。  この要因でございますけれども、まず消費面では、いろいろ言われております食生活の変化とかいろいろありますけれども、当然そのこともございます。イギリスの国内で生産可能な小麦、畜産物を中心とした食生活に大きな変化がなかったのかなと、そのことも一つ挙げさせていただいております。また、生産面では、EU域内で相対的に経営規模が大変大きくて競争率が高い、一九七三年の当時のEC加盟に伴って共通農業政策の下で比較的手厚い保護政策を取ってきたと、そういうふうに考えております。  また、さらには農業経営規模拡大などによって一農家当たりの農用地面積が拡大したことがございます。もう一つは、小麦の単収も著しく増加しておりまして、穀物生産が大幅に拡大してきたと、そういうふうに考えております。
  78. 主濱了

    ○主濱了君 ありがとうございました。  非常に学ぶべき点があるというふうに私思います。それだけではなくて、やはり日本型の増産政策、続けていっていただきたいと、このように思う次第であります。  次、新しい基本計画食料自給率、この食料自給率の中でも生産額ベースの意義についてお伺いをいたしたいと思います。  島村大臣がいつも例に挙げております、この生産額ベースで一九六〇年と比較したらばどうなるでしょうか、あるいはイギリスやイタリアと比較したらばどうなるんでしょうか。それにどのような意味があるか、これも含めて御答弁をいただきたいと思います。
  79. 加治屋義人

    大臣政務官加治屋義人君) カロリーベースの食料自給率では、カロリーの比較的低い野菜や果実の国内生産活動が適切に反映されていない、こういうふうに問題がございまして、これは食料農業・農村政策審議会において生産額ベースの食料自給率についても目標として設定すべきとの多くの議論がございまして、先日、そうした議論を踏まえた答申をいただいたところでございます。  これを受けまして、新たな基本計画において、引き続きカロリーベースの食料自給率目標として設定をして、これと併せて生産額ベースの食料自給率目標を設定をさせていただいたところでございます。
  80. 主濱了

    ○主濱了君 じゃ、もうちょっと質問をさせていただきたいんですが、一つ食料の輸入先が変わりました、あるいはレートが変わりましたと。そのことによって、同じ食料なんだけれども輸入総額が変わりました。で、日本の同じ食物については何らその生産状況は変わっていない。要するに、相手方の要するにレートとか、それから輸入国が変わったことによって、多分値段が下がる方向に行くでしょう。そういうふうな状況になった場合、この方式での食料自給率というのはどうなりますか。そして、そのことがどんな意味があるのか、ここのところをお伺いしたいと思います。
  81. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 生産額ベースでの自給率の問題でございます。これは物差しを生産額に置くということで、国内生産は農家の庭先価格で計算をいたします。それから、輸入農産物はCIF価格、入るときの価格でございます。これ変動がございます。それで計算をいたします。  先ほど国際比較をお尋ねでございましたけれども、実は外国はそういう計算をしておりません。これまで外国と生産額ベースの自給率を比較したものはございません。これから比較をしていきたいというふうに思っています。  それで、その生産額ベースでやった場合も、いろいろ、為替レートによる変動でございますとか価格の変動、あるいは食料品としての重要性は必ずしも反映していないのではないか。しかし、農家にとっては収入ベースの反映にはなっているということで、それぞれメリット、デメリット、一長一短あるわけでございまして、その辺を踏まえて、いろいろな、基本的にはカロリーベースの比較がいいんだろうと思うんですけれども、いろいろなデータで比較をするということに今回したわけでございます。
  82. 主濱了

    ○主濱了君 ちょっとよく分かりませんね。要するに、一つの弁当があって、その中の、いろいろ調べていきますと、七〇%が日本産であると。七百円分が日本産である、あとの三百円分が外国産であると、こういうふうなことを示すというものなんでしょうかね。これ、何の意味があるんですか。そこがよく分からない。もう結構です。ちょっと私は非常に、問題点の指摘だけにとどめさせていただきますが、何の意味があるかよく分からないということでございます。  じゃ、問題を先に進めさせていただきます。  日本は国連の常任理事国を目指しております。私も、日本が国連の場において、核の廃絶であるとか軍縮であるとか地球環境であるとか、それから人口、エネルギー問題、様々な問題が今世界には山積しております。こういったようなことに取り組むということは非常に名誉だというふうに、こう思っております。しかも、その常任理事国であるということは非常に名誉だというふうに、こう思っておるものであります。  しかしながら、国際正義を貫くためには、やっぱりエネルギーと食料、これは、何といいますか、常任理事国として加盟国から理不尽な要求を受けない程度の、食料でいいますと、私、ここは農林水産委員会ですから食料の自給、これが必要だというふうに、こう思っておりますけれども、この点について農林水産大臣の所感をお伺いしたいと思います。
  83. 島村宜伸

    国務大臣島村宜伸君) 正に御指摘のとおりでありまして、本来ならば自給率はせめて六五%以上ぐらいのものがほしいと、私も内心そう考えています。  さはさりながら、言わば現下の状況に照らしますと、言わば一つには食の洋風化もございますが、やはり言わば生産面で、日本の風土といいましょうか、いろいろ気象条件その他を考えますと、ただ麦であるとか大豆であるとか、品目だけで言わば量を確保しても、これが実際の需要にマッチしないという面がございます。  例えて申し上げますと、日本の今話題になっております大豆などをいたしますと、単収は非常に低いわけですね。したがって、非常にコストが高い。したがって、言わば煮豆とかお総菜とか、そっちの方には向きますけれども、その他のことで、仮に油にしてしまうとか何かにということになると、むしろ舶来品の方がはるかに安いと。そういうことで、勝負にならないという現実もあるわけです。  したがって、日本の大豆は言わばそういうものや豆腐等の原料には使われるけれども、それ以外、何か余り、油、その他の目的に使う場合には必ずしもマッチしないというようなことがありますから、これは釈迦に説法で、あなたは専門家でいらっしゃるけれども、少なくも我々も自給率を上げるということになれば、正に生産者と消費者、そしてその他の関係団体すべてがみんなで協力し合って初めて実現できることとあわせて、やはり気候条件にも大きく左右されることから、これからそれらに向かって十分な対応をしていかなきゃ、言うべくして絵にかいたもちに終わるということになってしまうということを我々は非常に恐れておると、こういうことでございます。
  84. 主濱了

    ○主濱了君 ありがとうございました。  それでは、本題に入っていきたいなと思っております。担い手についてであります。端的にお伺いいたします。  担い手に講じられる施策について、担い手だけに講じられる施策、それから担い手以外の農家にも講じられる施策、これをきちっと明確に分けてお示しをいただきたいと思います。
  85. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) まず、担い手に対して講じられる政策、いわゆる産業政策、農業経営の改善のための規模拡大、あるいはそのための機械施設の導入、こういう経営改善に資するような政策については担い手に集中的、重点的に実施していくということとしております。  他方、その政策の目的からいたしまして担い手に絞り込むと効果が発現しないような政策といいますと、例えば中山間地域直接支払、これは平場との条件の不利を是正するための政策でございますので、これは担い手以外も対象としているわけでございます。それから、病害虫の防除といった対策あるいは災害補償、これは、災害はもう全地域に、地域一円に及ぶわけでございますので、そういう政策は担い手以外も対象にするわけでございます。それから需給調整、生産全体を相手にしないといけないような政策、これは担い手以外の農家も対象にするわけでございます。それから、不可避的に受益が生ずるような一定の地域を対象にいたします生産基盤あるいは生活環境の整備に関する政策、これは例えば水路を造る、圃場整備をするといったら小さな農家農地も対象になるわけでございますので、そういう政策は不可避的に担い手以外の農家も対象にする、こういうような考え方で政策の仕分けがされるということでございます。
  86. 主濱了

    ○主濱了君 ちょっと付け加えて、具体的にお伺いをいたします。  担い手以外の農家、政府系金融機関の利用は可でありましょうか。さらには、農業改良普及の、農業改良普及事業ですね、は可でありましょうか。あるいはJAの組合員となれますでしょうか。あるいはJAの利用は可でありましょうか。この点、ちょっとお伺いいたしたいと思います。
  87. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) まず、終わりの方からいきます。JAの組合員資格は、たしか三十アール以上の農地の所有者であれば組合員資格はあるということでございますので、組合員になりましたら、それはそのJAの施設は平等に利用できるということでございます。  それから政策金融、例えば農林漁業金融公庫、これはその資金の種類によります。例えばスーパーL資金、これは担い手認定農家を対象にした総合資金でございますので、それは認定農家が対象でございますが、例えばライスセンターとかカントリーエレベーターとか、そういう共同利用施設を設置するための資金、これはその施設には皆さんの、その地域農家全部が利用するわけでございますので、その地域農家方々全員が受益者になり得るということでございます。  それから普及でございます。これは技術普及でございますので、農家が求めれば、それに対して普及員が行って指導をするということになろうかと思います。例えば災害を受けたと、そのための復旧どうしたらいいのか、これは別に担い手担い手でないを問わず普及員が行って技術指導をする。今年、冷害が起こりそうだと、どういうふうな対策を講じたらいいのかと、こういう技術指導も担い手に限定せず、その欲するところの農家に対して技術指導をすると、こういうふうなことになろうかというふうに思っております。
  88. 主濱了

    ○主濱了君 ありがとうございました。  それじゃ、先に進みたいと思います。  農業構造展望、これ配付になった資料ございますが、この農業構造展望平成二十七年のものですが、この農業構造展望におきましては、平成十六年の総農家が二百九十三万戸、平成二十七年の総農家が二百十万戸から二百五十万戸、そのうち効率かつ安定的な農業経営が見込まれる農家が三十六万戸から四十二万戸と、こういうふうなことになっております。この効率的かつ安定的な農業経営が見込まれる農家、この農家というのは、多分おおむね新しい基本計画の下で農業政策の対象になるものと私は思っています。間違いがあれば御指摘ください。  このいわゆる担い手のほかに、実はこの展望の中にその他の販売農家という分類があるんですよ。この分類された農家が百三十万戸から百四十万戸存在をいたします。これらの農家は販売農家ですから、国民のために現に食料を生産をしているわけであります。国民食料を供給しているわけであります。この方々は要するに担い手には入ってこないというふうに思いますが、ここを救うべきではないかと私は思います。大臣、いかがでしょうか、この点。
  89. 島村宜伸

    国務大臣島村宜伸君) まず、農業構造展望でお示ししましたように、平成二十七年においては大体二百十万から二百五十万戸ぐらいの構造になるだろうと、こう想定しているところでございますが、いずれにいたしましても、一般の方々担い手になれないのでなくて、もしなる場合にはやはりある程度連鎖化、協業化の方向に行っていただいて、例えば農業の耕作機械の効率的な使用とか、あるいは一般の会計とか購入とか、いろんなことごとについてもやっぱり連鎖化したことによるメリットというものを得て、やはり体質を強化していただかないことにはこれからの言わば厳しい、言わば農業経営の中にはいろんな障害を生じてくるんだろうと思っております。  したがって、そういう人たちを全部排除するのでなくて、参加なさることは自由というふうに我々は承知をしているわけです。ただ、個々ばらばらに、自分の勝手にやらしてほしいという方々は、やはりそれはその方たち自身まですべてを含めて、また、全部にばらまきやっていますと、これは本当の意味の効率化が期待できませんので、今回そういうことになったと承知をいたしております。  ですから、主濱委員のおっしゃるように、担い手になれない人たち云々というんじゃなくて、担い手にならないのは御自分の考えでならないということでございまして、その点は御理解いただきたいと思うんですが、ただし、これはまだこの秋までに最終的な検討をするわけでございますが、そうはいっても、一緒集落営農をやりたいけれども地域的にそれはとても不可能だという現実はやっぱりあるだろうと思うんですね。やっぱり、だから、中山間地域四二%あるわけですから、やっぱりそういうような地域の中には集落営農に参加したいけれども自分のところはぽんと孤立しているからできないんだというような場合があるだろうと思うんですが、そういう方たちへの救済というのはこれから十分考えられて秋の結論に向かっていくんだと、そう理解をしているところです。
  90. 主濱了

    ○主濱了君 じゃ、この議論はもうちょっと後にもう一回お願いをしたいなと思います。  それじゃ、新しい基本計画におけます兼業農家の位置付け、これはどのようになっているか、お示しをいただきたいと思います。
  91. 加治屋義人

    大臣政務官加治屋義人君) 基本計画の位置付けでございますけれども、地域における兼業農家の果たす役割やその支援の在り方については、基本計画の中で、品目横断的政策の対象について、小規模農家や兼業農家なども一定の要件を満たす営農組織に参画することによって対象経営を構成する一員となることができると、このようにしております。  二つ目には、地域資源の保全管理施策についてでありますが、地域農業者だけでなくて、地域の住民や都市住民も含めた多様な主体の参画を得てこれらの資源の適切な保全管理を行うとともに、農村環境の保全などにも役立つ地域共同の効果の高い取組を促進をすると、このように明記をさせていただいているところでございます。
  92. 主濱了

    ○主濱了君 実はこの担い手なんですが、国の援助を得ることができる担い手というのは、これ限られていると思います。少なくとも、今示されているのが大体四十万戸前後の農家だと、経営体であると、こういうふうにはっきり明示されているわけであります。この担い手から外された農家、この農家を中心に、農業をやめる人やそれから耕作放棄の発生が増大するのではないかと私は危惧をしております。この点についてどのような対策を講ずるつもりなのか、この点についてお伺いをしたいんですが。  実はこの件については先ほどお話がありました。今、情報を集めているところである、そして市町村お願いをしてその耕作放棄地等については解消をしていきたいと、こういったような話なんですが、そもそものきっかけは国がつくっているわけですよね。そもそもの政策を講ずるのは国なわけです。それを市町村にしりぬぐいをさせると、こういう構図ではなかろうかと、先ほどの話を聞いてそう思いました。これについていかがお考えでしょうか。
  93. 常田享詳

    ○副大臣常田享詳君) まず冒頭に、しりぬぐいとか、そういう考えは全くありません。これらの不耕作地の問題、また休耕田の問題等はもう国も地方も一体となって解決していかなきゃならない問題ですから、まず、そういうしりぬぐいというような考え方は全くないということを御理解をいただきたいと思います。  その上で、現状のままでは経営安定対策の対象とならない小規模農家や兼業農家などについては、地域の話合いと合意に基づき、例えば経営主体として実体を有する集落営農経営に構成員として参加していただく、又は農地担い手に貸し出すことによって賃料収入を確保していただく、また高付加価値農業を行うなどして営農活動を継続していただくなどの役割を担っていただきたいというふうに考えております。  これらの役割を担っていただくことによって、結果として農地の有効利用を通じ耕作放棄地の発生が防止され、地域農業の維持確保が図られるというふうに考えております。
  94. 主濱了

    ○主濱了君 それじゃ、話を進めたいと思いますが、新しい基本計画におけるその担い手四十万戸体制ですね、四十万経営体体制と言ったらよろしいんでしょうか、の先行きについていかが想定されているかということでございます。  私、農業というのはすそ野が広ければ広いほどいいというふうに思っているところであります。もちろん無制限ではなくて、国民のために食料を生産する、国民食料を供給する、そういったような枠ははめなくちゃいけないんですが、いずれにせよ、農業というのは弾力性がありますから、そのすそ野の方から将来の後継者が生まれてくるかもしれない。四十万に絞っちゃうと、四十万の中から後継者を見いだして、四十万戸体制を十年も二十年も続けていくというのは非常に難しいと、このように思うわけであります。  はっきり言いまして、この新しい基本計画のその担い手のところについては富士山の八合目から下を切り捨てるようなものだと、こう言わざるを得ないと私は思っております。先ほど申し上げましたように、その農業担い手体制が今後先細りしていくのではないか、日本の農業が急速に衰退するんではないかと、いろいろ想像を巡らし、危惧をしているところであります。この点につきまして、ひとつ大臣の御見解を賜りたいと思います。
  95. 島村宜伸

    国務大臣島村宜伸君) なるほど、私たちも将来極めて長期的な展望を持ちたいなと、そう思うところでございますが、御高承のとおり、言わば少子化の問題もあり、また現在農業を担っていただいている方々の高齢化もあり、また社会環境の変化、また国際環境の変化等々いろいろございますので、現状、言わばこの食料農業農村基本計画の策定に当たっては、その時点で約十年を見通して、それで言わば五年ごとにこの基本計画の見直しをするというふうにしておるところでございます。  したがいまして、言わば平成二十七年を目標年次とする農業構造展望についても、情勢の変化や施策の評価などを踏まえつつ、点検や検討を加え、不断の見直しが必要であると、そう考えているところでございまして、たまたま三十七年までも持続できるかというような御指摘もあったようですが、これを、私たちはそういうものをそれなりの想定はいたしますものの、三十七年のことを今私どもに問われても、なかなか的確にはつかみ切れない難しい要素がたくさんあると、こういうふうに考えます。
  96. 主濱了

    ○主濱了君 改めて品目横断的な施策について伺いたいと思います。端的に品目横断的施策とは何でしょうか。具体的にお教えいただきたいと思います。  それからもう一つ、品目横断的施策で、しゃべってしまいますんですが、直接的な支払の対象になる、いわゆる対象になる担い手ですね。これをだれがどのような手続でいつ選ぶのか、そしてそれを当該人にいつお知らせをするのか、この点についても、手続面についてもお知らせをいただきたいと思います。
  97. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 端的に品目横断経営安定対策とは何かでございます。  二つございます。一つは水田作でございます。対象作物は米と小麦と大豆、こういう経営をしている農家について、この三つを束ねまして、諸外国との生産条件の格差是正のための支払と、それから収入、所得変動を緩和するための支払と、二つの政策を講ずる。もう一つは畑作、大規模畑作でございまして、小麦、大豆、てん菜、でん粉原料用のバレイショ、これを、四つあるいは三つ、輪作をしている畑作経営で同様な政策を講ずる。これが現在検討しております品目横断的経営安定対策でございます。  そして、それをどのようにして選ぶのか、対象となる経営をどのようにして選ぶのかということで、正にそれが問題になっているわけでございまして、抽象的には、効率的かつ安定的な農業経営、これは他産業並み所得を上げる経営という意味でございますけれども、そういう経営を目指す経営を対象経営としたいと。  具体的に申し上げますと、認定農業者である、あるいは経営体としての実体を有する集落営農である。その中から、先ほど言ったような効率的かつ安定的な農業経営を目指すにふさわしい要件というものをこれから議論をして設定をしていきたいということでございます。それに該当する農家をこの経営安定対策の対象としたい。具体的には経営安定対策というものを示して、それに応ずる方を対象農家として選んでいくということになろうかと思います。
  98. 主濱了

    ○主濱了君 分かったような分からないような。ただ、数だけはきちっとさせておきたいんですが、その選ぶ数は四十万経営体、これが目途になると、こういうことでよろしいですか。
  99. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) それは要件を決めますので、それに応じてどういう経営体が応じてくるかということでございます。  先ほどから四十万経営体、四十万経営体と申されております。これは私どもが示しました農業構造展望で、平成二十七年時点で他産業並み所得を上げ得る農業経営が、個別経営で三十三万から三十七万、法人経営で一万、集落営農経営で二万から四万と、こういうことをお示しをしたわけで、それは平成二十七年時点の展望でございます。恐らくそれよりも大きな数が応募してくるのではないかというふうに思っております。
  100. 主濱了

    ○主濱了君 そこのところは事実が証明してくれると私は思っております。  それでは次に、本審議会の委員さんの中で現に農業を行っている委員さん、先ほど大臣は六人と、こうおっしゃいましたが、私こう見ますと、委員ではお二人、そして専門委員含めて三人ぐらいかなというふうに、こう思ったんですが、この直接農業をされている委員さんのこの計画に対する御意見、これを伺いたいと思います。  ただ、実は私、この議事録を見ればよかったんですが、実は要求したんですよね。三月九日の委員会の議事録くださいと、こういうことで要求しましたらば、四月の上旬にならなければ出ないと、こういったような回答が来たようであります。これは各委員の発言を十分検討したのかという逆に疑問が生じます。見るべきところを見たのか、聞くべきところを聞いたのか、こういったような疑問が出ております。そういうふうなことをきちっと検討しないままに決めてしまったんじゃないかなというふうにも思いますが、それも含めて、どのような意見があったのか、お示しをいただきたいと思います。
  101. 常田享詳

    ○副大臣常田享詳君) まず、品目横断的経営安定対策の導入について、新たな基本計画に明記されるわけでありますけれども、基本計画の策定に当たりましては、農業者を始め各界を代表する方々から構成する食料農業・農村政策審議会において長期にわたり十分御議論をいただいております。  さらに、審議会における議論の過程で三回にわたる有識者ヒアリングを実施しておりまして、国民一般からの意見や政策提案の随時受付、国民の意見を聞くパブリックコメントの実施などを通じ、各界から幅広い意見を聴取してきたところであります。  また、その委員方々からどういう意見があったかということでございますけれども、今申し上げましたような過程の中で、特に企画部会におきまして、自ら農業を営んでおられる委員からは、例えば食料自給率目標設定に関しては、金額ベースの自給率の方が野菜などカロリーの低い農産物の生産活動が適切に評価されるというような御意見、また自給率の向上のためには食の実態国民に理解してもらうことも重要である、今後学校給食や食育に力を入れる必要があるというような御意見、また担い手経営政策については、担い手に政策を重点化していく必要性については理解できるが、一方で集落の維持のために別途の地域振興対策が重要であると、また担い手育成に関しては、個別経営にしろ集落営農にしろ、地域実態に即したバランスの良い取組が大切であるというようなことで、いろいろなところで自ら農業を営んでおられる方々の意見を聴取してきたというふうに思っております。ちょっと議員の質問からはみ出したところもあるかもしれませんけれども。
  102. 主濱了

    ○主濱了君 分かりました。いずれ、ちょっとどういったような、端的な絞り込みについて御意見が出たのかというのはちょっと分かりかねましたが、その周辺の意見しか出なかったというのは分かりました。  この基本計画、あらあらの計画なわけですけれども、今後詳細の計画を作成すると、こういうふうに聞いておりますが、その時期、項目と概要についてお伺いをいたします。
  103. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 品目横断的政策の今後どういう検討スケジュールになるかということでございます。  現時点で何をしているかといいますと、私どもと農業団体集落営農組織化法人化を含みます担い手育成確保の運動を全国的に展開している状況でございまして、その具体的な状況あるいは米政策改革の実施状況、こういう実態を踏まえまして、今年の夏過ぎから議論を再開をいたしまして制度の設計、詳細を具体化していきたいということでございます。  先ほども委員が言われました対象経営の具体的な要件、あるいはこの具体的な制度の仕組み、こういうものを詰めていきたいと。そうして、その上で十九年産からこの品目横断的経営安定対策の導入が可能になるように制度なり予算なりを講じていくと、こういうスケジュールを考えているところでございます。
  104. 主濱了

    ○主濱了君 はい、ありがとうございました。  それでは、次は肉類の供給計画、この中に入っておりますが、肉類の供給計画に移っていきたいと思うんですが、ちょっと時間の都合上、ここは省略をさせていただきまして、肉類の供給に関連してBSEについてお伺いをいたしたいと思います。  BSE牛の国内十六頭目が見付かったわけですが、十六例もあるわけですので、この感染ルート、これは特定できましたでしょうか。
  105. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 感染経路の究明の状況でございますけれども、平成十五年の九月の時点で、それまで七例出ておりましたが、この七例の調査内容を踏まえまして、BSEの疫学検討チームで検討いただいた結果が報告書として出てございます。この調査の結果によりますと、感染源として考えられるものは二つございます。  一つは、一九八〇年代にイギリスから輸入された生きた牛、生体牛の中にBSEに感染した牛が紛れ込んでいて、それが国内で淘汰され肉骨粉に回って、それが一つの感染源になったのではないかということ。それからもう一つの可能性は、一九九〇年以前にイタリアから輸入されました肉骨粉の中に異常プリオンが入っていたのではないかと。可能性としてこの二つでございます。  それから、感染経路でございますけれども、肉骨粉を直接、その給与実態を調べますと、肉骨粉をえさとして含まれている、そういうものを使ったということは事実として確認はできませんでした。そこで考えられますのは、配合飼料工場などにおきます製造あるいは輸送の過程で牛用の配合飼料の中にこの異常プリオンが、異常プリオンに汚染された物質が何らかの格好で、きっかけで、そこはよく分かりませんけれども汚染をされた、いわゆる交差汚染が起こったのではないかというのが感染経路としてのこの専門調査会の見方でございます。  その後、十五年に二例、それから十六年に五例、それから今年に入りましてから二例というふうに、その発生確認されておりますけれども、その都度、そういった発生した牛がどういうえさを給与されたのかというのは詳しく調べておりますし、調査結果がまとまったものにつきまして専門家方々にそれぞれ資料をお出しして検討いただいております。残念ながら、まだこれだという感染経路の確認はされておりません。十五年九月の報告書の中で考えられたシナリオをはみ出すものはまだ出ておりません。そういったのが今の現状でございます。  発生まで平均で五年程度BSEというのは掛かりますので、五年前までさかのぼってどういったえさが給与されていたかという、そのところを確認するのは大変難しいわけでございますが、我々としてはできるだけ情報収集、実際にどういったえさが給与されたかというところの情報をきちっと集めて、それから専門家方々の検討にゆだねたいというふうに思っております。  大変大事な点でありますので、これからも引き続き努力をいたしたいと思います。
  106. 主濱了

    ○主濱了君 この件については、初動態勢、極めて国の対応まずかったと、これがここまで広がった原因の一つではないかと、こう言われております。しっかりとお願いをいたしたいと思います。  次に、食品安全委員会のプリオン専門調査会は、BSEの国内対策の一つであるBSE全頭検査を見直しをして、二十か月齢以下の牛を検査対象から外すと、このような報道がありました。この詳細についてお伺いをいたしたいと思います。
  107. 齊藤登

    政府参考人齊藤登君) 先生お尋ねの件でございますが、食品安全委員会におきましては、我が国でBSEが確認されましてから三年間の間に蓄積されたデータ、それからその間の科学的知見というものを収集、整理いたしまして、そういうデータを基に日本におけるBSE対策についての議論を行いまして、昨年の九月に中間取りまとめという形でお示ししたわけでございます。  この中間取りまとめを踏まえまして、昨年十月に厚生労働省それから農林水産省から、屠畜場におけるBSE検査対象をすべての牛から二十一か月齢以上の牛への変更すること、またそれから、飼料対策その他につきましての諮問をいただいたわけでございます。プリオン専門調査会におきましては、昨年十月諮問を受けてから三月の二十八日まで、計八回にわたりまして中立公正な立場から科学的な議論を精力的に行ってまいりました。この結果、報告案が取りまとめられるということになったわけでございます。  この報告案につきましては、この報告案の結論のところでは、屠畜場におけるBSE検査対象月齢を見直す場合につきましては、その見直しにかかわらず食肉の汚染度というものは無視できるから非常に低いというレベルであるというふうに推定されると、その結果、検査月齢の線引きを行った場合に、この場合の人に対するリスクというのは非常に低いレベルの増加にとどまるものと判断されるというふうに結論されたところでございます。  この専門調査会の報告案につきましては、本日、食品安全委員会に報告をした上で、広く国民からの意見、情報の募集、いわゆるパブリックコメントをこれから行うということで、そのパブリックコメントの終了後、食品安全委員会で審議することになるという予定となっております。
  108. 主濱了

    ○主濱了君 はい、ありがとうございました。  次は、ちょっと大臣に御要望を申し上げておきたいと思います。  今プリオン調査会の方では、二十か月齢の検査、これは緩和という方向のようでございます。それで、このBSEというのは未知の病気であります。それで、今様々な検査精度も高くなっております。早く、高くなって、検査精度、高検出のカードとか、そういったようなものができているわけであります。安くやれます。そういったようなものが様々ありますので、今の技術だけではなくて将来も見通した決定をしていただきたい。とにかく、未知の病気でありますから、最大限の対策を講じていかなければいけないのではないかなと、このように思っております。  そういう中で、是非ともBSEの全頭検査、これは後退をさせないでいただきたい。これを後退させるということは拙速であり軽率であると私は思います。あくまで安全委員会で究明、決めるのはその答申なわけですよね、答申。その答申を受けてどう行政が対応するか、これは農林水産省あるいは厚生労働省が決めるわけであります。その最低限の安全を上回った、安心も加えた施策を是非とも講じていただきたいと、このように思います。  次は、国内問題から今度は国外問題に移りまして、アメリカ産牛肉の輸入再開の問題についてお伺いをいたします。  事の発端は昨年の九月及び十月だというふうに、こう私は思っております。詳細な検討もないままにアメリカ産牛肉の貿易再開をアメリカ側と確認をしたと、ここにそもそもの原因があると思っております。現在、貿易摩擦までにも発展しようかと、こういったような大変な問題であります。そして、重大な私は失政ではないかと、このように思っております。  国内的には、内閣総理大臣や各省庁の担当者も含めて、その責任を追及する必要があると思います。さらには、アメリカに対しては、国民の食の安全を守るため、断固たる態度、姿勢を貫くことが必要であると考えております。島村大臣の御所見、いかがでしょうか。
  109. 島村宜伸

    国務大臣島村宜伸君) 米国産牛肉の輸入の再開問題につきましては、これまで一貫して申し上げてきましたとおり、あくまで科学的知見に基づき、国民の食の安全、安心の確保を大前提として対応してまいります。  また、同時に、これもいろんな機会をとらえて御答弁申し上げてきたんですが、私のところにもいわゆる外交、アメリカ側の言わば使節のような方が見えて、我々もいろいろ対応したことがございます。その際にも私は頑強に、やはり郷に入っては郷に従えと、日本にはすばらしい格言があるが、この国に来たらこの国の措置に従うと、これが礼儀ではないかと。それから、同時に、アメリカ産牛肉というものの信用を回復するためにはそれが一番の道であるということを申し上げまして、向こうは、もうすぐかなりやり合うつもりでいたんですけど、意外と素直に最後には握手して帰っていった。自来、私のところには何ら、電話一本来ないと。こういうことでございますんで、まあ、言うべきことは言って向こうも理解したのかなと、こんなふうに思っているところでございます。  その意味では主濱委員と同じ考えに立っていますから、御信頼いただきたいと思います。
  110. 主濱了

    ○主濱了君 それじゃ次、端的にお答えをいただきたいなというふうに、こう思います。EUはアメリカ産牛肉をほとんど輸入しておりません。私も統計を見ました。その理由は何でしょうか。
  111. 常田享詳

    ○副大臣常田享詳君) EUの米国産牛肉の輸入は、一九八七年ごろまではおおむね十三万トン前後ぐらいで推移しておりましたが、八八年には一万トンとなり、その後は数百トンから数千トンで推移しております。  このような八八年を境として大幅に減少した理由については、EUが、八九年以降、肥育ホルモンを使用した食肉の輸入を禁止したことによる影響ではないかと考えられます。特に、合成型ホルモン剤を使いますと発がん性それから生殖機能への影響等が指摘されております。そういったことにかんがみて輸入を禁止したというふうに理解しております。  なお、EUはBSEの発生を理由に輸入を禁止する処置は講じていないというふうに聞いております。
  112. 主濱了

    ○主濱了君 BSE原因ではなくてホルモン剤原因ということでございます。日本も同じなのではないでしょうか。これも十分検討をしていただきたいというふうに思います。  次、二つ目です。米国初のBSE感染牛から加工された可能性のある肉や肉骨粉が、今年一月、実はこれ報道なものですから昨年の一月です。ちょうど一年何か月か前ですね。平成十六年一月、アジア向けに出荷されていたことが米会計検査院報告で分かったと、荷物は途中で回収され、米国で埋立て処分をされたと、こういったような報道があったわけですが、アジアのどこかを含めて詳細を伺いたいと思います。  大臣には後でまとめて、一括して御見解を伺いたいと思います。事実だけお願いします。
  113. 加治屋義人

    大臣政務官加治屋義人君) 御質問のとおりでございまして、昨年十月の米国会計監査院の報告書において、昨年の十二月に発生したBSE感染牛の肉骨粉が間違って船積みをされて、アジア向けに出港したと、その報告があったことは承知をいたしております。  この肉骨粉は、当該製品を積んだ船が米国に引き返し回収された、最終的には埋却されたと聞いておりまして、なお我が国では平成十三年十月から肉骨粉の輸入を全面的に停止をしておりますので、仮に輸出されていたとしても我が国には直接影響は及ばなかったと、そういうふうに理解をいたしております。
  114. 主濱了

    ○主濱了君 次の事件といいますか、問題なんですが、昨年、これは平成十六年、昨年十二月に全米食品検査官合同評議会、これ労働組合なわけなんですが、米国内の食品加工場でBSE防止規則が遵守されておらず、肉や脊髄などのSRMが食肉中に混入しているおそれがあると警告書を米農務省に提出していたことが分かったと、こういったような報道があります。これ、ずさんさを示す一端だというふうに考えられますが、事実確認を把握しているのであればお知らせをいただきたいと思います。  この件についても、大臣、後で一括して御見解を伺いたいと思います。
  115. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 事実関係でございますから、私の方からお答えをさせていただきます。  今、先生御指摘のように、全米食肉検査官合同評議会からそういった警告を内容とします書簡が送られたということは私どももちろん承知をいたしておりますし、そういった情報を得まして、直ちに在京の米国大使館を通じましてアメリカ農務省にその事実関係について照会をいたしました。  これは十二月の二十日にロイターがこういったことを報道いたしましたけれども、十二月の二十二日に私どもそういった照会をいたしております。アメリカ側からは、十二月の二十八日に、農務省からとしまして、こういった食肉処理施設での遵守状況について、書簡が言っているような問題は確認をされていないけれども、更に調査をするということで、そういった内容の書簡を受け取っております。さらに、ごく最近でありますけれども、アメリカ、在京のアメリカ大使館の方からの情報といたしまして、米国農務省の食品検査局、FSISの内部の調査等を行った結果、そういった事実は確認できなかったということを内容といたします情報を得ているところでございます。
  116. 主濱了

    ○主濱了君 アメリカ産牛肉の輸入につきましては、食品安全委員会で国内問題の審議後改めて審議されるということであるようですので、少なくても国内措置と同等の措置を求めることが私は不可欠であるというふうに、こう思っております。  今まで例を挙げて申し上げましたとおり、アメリカにかかわるずさんな件が結構散見されるところであります。先ほど申し上げましたとおり、国内措置としては安心部分を付け加えて、要するに安全というベースの上に安心部分を付け加えて、本来であれば、本来といいますか、必ずやそのBSE全頭検査を実施していただきたいと、こういうこと、さらには、アメリカに対しては国内措置と同等の、同様の措置を求めていただきたい、このように思います。とにかく、日本国民の食の安全、健康を第一に考えた措置をとっていただきたいということでございます。  最後に、島村農林水産大臣に、先ほど申し上げましたその米国会計検査院報告に関する報道、それから全米食品検査官合同評議会の警告書に関する報道、これと日本国民の食の安全、健康を第一に考えた措置、要するに安全というものに安心という一つのものを付け加えた施策を講ずること、この点についての御決意を伺いたいと思います。
  117. 島村宜伸

    国務大臣島村宜伸君) 御指摘のような疑念を持たれるようなことにつきましては、その都度、米国政府にその原因究明や再発防止措置の説明を求め、必要に応じて我が国の専門家現地に派遣し、協議、要請を行わせているところであります。その意味では、今後とも、食の安全、安心の確保を大前提として、適切に対処をしてまいりたいと考えます。  何より食は国民生活に一日たりとも欠かせないものであることから、御指摘のあることはもう十分我々も心して、安全、安心の確保に対して意を払い、国民の健康を第一に取り組んでまいりたいと、そう考えます。
  118. 主濱了

    ○主濱了君 じゃ、終わります。
  119. 福本潤一

    ○福本潤一君 公明党の福本潤一でございます。    〔委員長退席、理事田中直紀君着席〕  今回の基本計画、総合評価という意味では、先ほど委員質問の中での論述でも、画期的と言う人から、この程度では日本の農業は救えない、幅広く様々な評価が新聞紙上でも同様にございます。  この幅広い計画に対する評価でございますけれども、ただ自給率一つ取り出しても、この自給率、ここ四、五年、ずっと四〇%、ずっと続いております。これから底を打ったような状態で五%上げるという計画になっておるわけでございまして、日本経済でよく言われる、ちょうど底を打って踊り場だと、それを向上に向けて頑張っていくということにこれから農水省、全力で取り組んでいただけるんだと思いますが。  計画というのは、成績がだんだんだんだん下がっているときに上げるときには、大変取組の姿勢だけはエネルギーを注いで作るんですけれども、絵にかいたもちにならないように頑張っていただければと思いまして、若干、先ほどの大きな話じゃなくて、この自給率向上さすための目標に向けての取組、小さな話も含めて聞かせていただければと思いますが。  この基本計画の中に取り組むべき事項ということで食品産業農業連携というのを挙げておられるようでございます。こういう消費者に近い食品産業農業との連携という形で進む、これ大変大きな重要なことだと思いますので、現実に消費者、実需者のニーズに見合った農業生産、これに向けて具体的にどういうふうに取り組むのか、この観点をお伺いしたいと思います。
  120. 島村宜伸

    国務大臣島村宜伸君) まず、御指摘農業と食品産業、これは食料供給の言わば車の両輪とも言えるべきものでありまして、その連携強化は食料自給率の向上にも資するものであると我々は考えております。  このような連携を図るためには、農業生産面では、まず担い手が生産の相当部分を占める農業構造の実現を通じて生産コストの低減や品質の向上を図るとともに、消費者や食品産業のニーズに対応した農産物を安定的に供給できる体制を確立することが前提となります。  その上で、農業と食品産業連携を図るため、農業者、農協と食品企業との間で安定的な原料供給を確保するための契約取引、また高品質、高付加価値商品を提供するための契約栽培、第三に、地域の食材、人材、技術を結び付けた新食品ブランドの開発などを推進してまいることが必要だと、そう考えております。
  121. 福本潤一

    ○福本潤一君 今言われた消費者のニーズに合った国内産の生産物、小麦とか大豆、こういうのは需要がかなりあるにもかかわらず生産側の方では追い付いてないという現実も具体的にございますし、また産業として見ても、これ第一次産業にとどまらず、加工、流通を通して二次、三次、またITも組み合わせて四次産業のような形で農業は発展してない。いいところだけはほかの分野のところに、二次、三次の方へ移って、余り利潤の上がらないようなところだけが残っている、それでまた苦労も多いという現実がございますので、そういう進展、発展も含めて考えていただければと思います。  そのときに、この計画の中に産地ブランドを確立するために食料産業クラスター、こういう新しい取組をするんだということを掲げられておりまして、平成十七年度予算に五億円計上されております。私のイメージで言うと、工業界のシリコンバレーのように産学合わさったような、そういったところで一つ食料産業を導入していこうと思っておられるのかなと。  こういうようなメリット、売れる、産官学の連携が図れるようなポテンシャリティーを持っている場所が現実に日本に存在するのかというのも含めて、今後はどういう支援策をとっていかれるか、これをお伺いしたいと思います。
  122. 村上秀徳

    政府参考人村上秀徳君) 委員指摘のとおり、消費者ニーズに合った、あるいは需要に応じた生産、こういう体制、そういう取組が非常に重要でございまして、その場合、農業の構造改革を進めて品質を改善したり、あるいは生産性を上げていくという、そういう基本的な条件整備というのが重要なわけでございますけれども、ただ、農業だけで対応できない部分、他産業、いろんな大学、そういうもののノウハウも取り入れた形で取り組んでいく、産地ブランドなどをつくっていくということが非常に重要であろうというふうに思っております。  そういう異業種あるいは産学官との農業連携という手法としてクラスターというものを活用するということで、有効な手段として位置付けておるところでございます。農林水産省としても、一定の予算などを確保いたしまして積極的に推進していきたいというふうに思っております。    〔理事田中直紀君退席、委員長着席〕 その中で、地域の資源、人材、技術を有機的に結び付ける食料産業クラスター協議会を設立するなどしまして、連携のための場づくりなどを推進したいというふうに思っております。  そういうポテンシャルのあるところがどういうところがあるのかというお尋ねなんでございますけれども、これは、これから事業を進める上で各地域でどういう取組がなされるかということに掛かっておりますので、今の段階で明確には申し上げづらいところがございますけれども、例えば、我々が得ている情報の中では、岩手県で、例えば雑穀が最近ブームになっておりますけれども、二戸市周辺の地元の小売食品製造業、あるいは岩手大学などが連携をして機能性食品を開発していこうとか、雑穀パンあるいは五穀ラーメンを製造していくというような、そういう取組もなされております。あるいは北海道において、酪農とそれからてん菜製造業の副産物を活用して保健機能食品素材を作るとか、あるいは化粧品などの医薬品素材を作っていくというようなことを、帯広畜産大とかそういうところ、あるいは国の機関なども参画した形でそういう試みがなされているというようなことがあります。  そういう芽がいろいろあるんではないかというふうに思っておりまして、こういうのがどういうふうに育っていくかということは、我々の立場で何とも申し上げられないところでございますけれども、このような、この種の取組を支援していけるようなことを考えていきたいというふうに思っているところでございます。
  123. 福本潤一

    ○福本潤一君 そういう先駆的な場所として担えるような場所、リードするようなところをつくっていただく必要もあるんじゃないか。これは、バイオマスタウンや何かですと全国一律に各県一個とかいうような形でやる方向性、考えられるというような、お伺いしましたけれども、食料の安定供給、農水省の本筋、中心でございますので、各地で先駆的な取組、支援していただければと思います。  この計画の中にもう一個、食育の推進、これを掲げられておられるようでございます。フードガイドを作成する、今までの食生活指針とは違うんだという話もお伺いしました。食事のメニューとして今度は出すんだということでございますし、今度この計画の中で、共稼ぎ家庭が現実に増えておりますし、家庭の中で食事メニュー、これで食べると自給率が上がるというわけじゃないですけれども、食育の推進にもなるという話を、言うだけじゃなくて、ふだん我々の生活をしますと、もう職場へ行きますと、生協じゃないですね、生協的な食堂で食べたり、大学や何かで生協食堂で食べたり、あとは小中学校の学生、学校給食で食べる、また外食で食べる。こういう中で、外食産業協力を依頼するというようなことも必要になるんじゃないかと思いますが、具体的にどういうふうに進めていかれるか、お伺いしたいと思います。
  124. 常田享詳

    ○副大臣常田享詳君) 国民方々一人一人が自らの食について考える習慣を身に付け、健全な食生活を実現していけるよう、これまで普及啓発してきた食生活指針を具体的な行動に結び付けるような形にしたいということで、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、従来、農林水産省食料自給率を向上させたいということで取り組んでいた食生活の改善、それから厚生労働省が国民の健康づくりということで健康日本21等で取り組んでいた、それが必ずしも一致していなかったというところがあります。  そういうことで、このたびのフードガイド作りについては厚生労働省と農林水産省協力して一緒になって、昨年十二月にフードガイド検討会を立ち上げて、今、世界のフードガイド等を取り寄せながら、どういう形のものが最も国民皆さんに分かりやすいかというような形で、五月ごろの最終案の取りまとめに向かって今作業をさしていただいております。  なお、その策定後は、外食におけるメニュー、スーパーマーケットやコンビニ等の売場、また食品の包装、例えば米袋等に印刷するとか、そういった形で国民の皆様方に幅広く浸透させていきたいと思っております。先ほどちょっと御紹介いたしました農林水産省のインターネットホームページ等も大いに活用できるんではないかなというふうに考えております。  以上でございます。
  125. 福本潤一

    ○福本潤一君 さらに、経営安定策についてもお伺いしたいんですけれども、先ほど、品目横断的な直接支払、定義、お話ございました。これ一期目過ぎまして二期目に入っていくということだろうと思いますが、平成十七年度の予算でも、一時ゼロになって復活折衝で二百数十億付いたという具体的なケース、生まれております。ですので、これ一期目の計画と二期目の計画、違うんじゃないかと思いまして、交付金の一期目の、どういう使い方をしたのか、さらには、この違いですね、二期目のねらい、趣旨、これをお伺いしたいと思います、農村振興局長
  126. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 中山間地域の直接支払交付金のお話だと思いますが、これについてお答えを申し上げます。  中山間地域等直接支払制度につきましては、十二年度から開始をされまして、この五年間実施をされました。そして、六十六万五千ヘクタールの農用地におきまして三万四千の集落協定等が締結をされたわけでございます。  この交付金を活用して水路でありますとか農道の共同管理が充実をいたしましたし、また、農業機械あるいは施設共同利用の増加、鳥獣害対策への取組、こういったことを通じまして、安定的な農業生産活動の継続に向けた動きが見られたわけでございます。また、女性あるいは若者も含めた話合いの活発化、あるいは、都市農業交流等によりまして集落活動が活発に行われているというところでございます。  これがこれまででございますが、二期目のといいますか、次期対策として十七年度から行われるわけでございますが、これにつきましては、今申し上げましたような取組が行われますけれども……
  127. 福本潤一

    ○福本潤一君 大臣
  128. 島村宜伸

    国務大臣島村宜伸君) 中山間地域等直接支払制度実施によりまして、耕作放棄地の発生防止を始め、多様な取組が行われておりますが、着実にその成果を上げております。  しかしながら、活発な取組を行っている集落がある一方、制度開始前の取組に比べて変化の見られない集落があるなど、集落間の取組にはばらつきが見られます。この数字でいいますと、活発な取組を行っている集落が約六割、その他が大体三ないし四割と、こう承知をいたしております。  こうした状況を踏まえまして、次期対策におきましては、各集落の将来に向けた取組の充実により安定的な農業生産活動の継続を促す仕組みに改善していきたいと、こう考えます。  また、具体的には、取組内容に応じて交付単価に差を設けるとともに、耕作放棄地の復旧や法人の設立などの積極的な取組に対して加算措置を講じたいと、こう考えております。
  129. 福本潤一

    ○福本潤一君 これ、地元でも要望が大きかったこの予算、また今度の新しい五か年も作ってということでございますが、この直接支払制度、今回、担い手が絞られていくと、そうすると対象になっていない農業者も出てくると。  そういうときに、固定支払の部分と変動の部分でこれ支払われるわけでございますが、現在でも農業共済、災害共済がございますけれども、この保険掛けて受け取る方、これによる価格変動部分の補てんと、こういう新しい品目横断的な直接支払の部分の関係をどうするかというのが問題になりはしないかというふうにも思いますので、この点に関して政府はどういうふうに考えておるか、お伺いしたいと思います。
  130. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 今回の品目横断的な経営安定対策の仕組みは二つから成っておりまして、コストと市場価格の格差を支払う、それから市場で販売収入が変動した場合に一定部分を補てんすると、二つから成っているわけでございます。一方で、農業災害補償制度、気象災害に伴う影響を緩和するための補てんと、こういうことになりまして、両者が重複することのないように調整を今後していくということになります。  例えば、この品目横断的な経営安定対策の販売収入の変動に対する補てんの場合は、これは生産されたもの、生産されたもののうち販売された量掛ける価格で収入が決まるわけで、農業災害補償制度の方は、災害を受けて生産できなかった、それに対する得べかりし利益の一定部分の補てんでございますので、そこで対象は違うわけでございますので、そこで同じような収入をどのように調整していくか、今後の制度設計の中で調整をしていきたいというふうに考えております。
  131. 福本潤一

    ○福本潤一君 適正な調整、お願いしたいと思います。  さらに、我が国で、水田、荒廃地もかなり大きいというふうに言われておりましたけれども、この水田の中で、裏作も含めて、小麦、大豆、品種改良、今現在、技術開発の現状はどうなのかということも聞いておきたいと思います。
  132. 西川孝一

    政府参考人西川孝一君) 麦、大豆の技術開発の現状というお尋ねでございますけれども、麦、大豆、今、水田で多く作られているわけでございますけれども、特に水田で作る場合、我が国は降水量が多くて温暖であるといったこともございまして病虫害あるいは湿害といったことが起こりやすい、そういう条件下にあるということで、技術開発に当たりましては、これらの被害を回避しながら、高品質で生産性の高い麦、大豆生産を行うための品種育成であるとか栽培技術の開発、こういったことに重点を置いて取り組んでいるところでございます。  これまでに、麦につきましては、収穫期の降雨による品質低下を回避するための早生品種の育成でありますとか、麦では赤カビ病というのが非常に大きな病害、一つはございますけれども、そういった赤カビ病とかさび病に強い品種を育成するとか、あるいは、ある病気に強いパン用の品種を育成するとか、そういった新しい品種も育成しておりますし、コスト低減のための新しい不耕起栽培技術であるとか、肥料のやり方につきましても、たんぱく含量を一定程度上げるけれども小麦粉の色は落ちないといったような、そういう肥培管理の技術であるとか、様々な技術開発を行ってきております。  また、大豆につきましては、これは我が国の大豆は非常に食用としては評価が高いものでございますけれども、これについて一層の品質向上を図るために、新しい品種を育成する、あるいは大豆の場合、植付けの、苗立ちのところが非常に大事なものですから、その辺のところの苗立ちを良くする、出芽を良くするような栽培技術を開発するといったことで一定の成果を上げているところでございますけれども、まだまだ課題は多うございまして、今後とも生産性が高くて品質がいい麦、大豆生産を行うための地域の条件に応じた開発をこれからも積極的に行っていきたいと思っておりますし、特に、研究者が生産現場に出向くなど、そういった取組も強化していきたいというふうに考えているところでございます。
  133. 福本潤一

    ○福本潤一君 こういう米の対策、転作関連の大豆、小麦にこれから転作交付金出てくると思いますけれども、この場合、WTOの農業交渉で市場歪曲的だというふうにされるおそれがないかどうか、この点に対する対策をお伺いします。
  134. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 品目横断的経営安定対策の中に支払方法の一つに生産量と品質に応じた支払というのが検討課題になっているわけでございます。  一方で、このWTOの国内支持の要件を見ておりますと、まず削減対象外の緑の政策、これは生産と関連しないデカップリング支払、あるいは明確な環境保全政策に基づく支払、まあ環境支払、こういうものがある。それから、上限は設定されますけれども、青の政策としては生産制限計画に基づく支払というのがございます。  率直に考えますと、生産量や品質に応じた支払は生産に関連をしておりますので、削減対象である黄色の政策というふうに換言できるのではないかと思いますけれども、今後更にいろいろな要件を課していくうちに、環境支払だとか、あるいは生産制限支払だとか、そういうものへの該当性が考えられるかどうか、更に詰めていきまして、できる限り国際規律適合性を持たせるようにしたいというふうに思っております。
  135. 福本潤一

    ○福本潤一君 続いて、担い手対策、農地対策での計画の中身についてお伺いしますけれども、今国会で農業経営基盤強化促進法、また特定農地貸付法の改正案、こういう中で農地制度の改革行われております。  今までいろいろな議論があった中で、自作農支援の在り方とか農振法の見直しというものが今回手付かずになっておるんではないかというふうに感じられますけれども、なぜなのか、見解をお伺いしたい。
  136. 常田享詳

    ○副大臣常田享詳君) 農地制度では、農地をきちんと農業の用に使う者に農地の権利の取得を認めること、また優良農地確保することを基本原則といたしているわけであります。  農地法の目的では耕作者自らが所有することを最も適当であると認めておりますけれども、農地の権利取得や規模拡大の在り方としては借地も含めて制度化されてきているところであります。  今国会に提出しております農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する法律案におきましては、担い手に対する農地の利用集積の加速化、リース方式による株式会社などの参入、体系的耕作放棄地対策の整備など、農地制度をめぐる現在の課題に必要な処置を盛り込んでいるところであります。  さらに、農振法については、農業振興地域整備計画の変更などに当たり、地域住民の意見を聴く仕組みを創設するなど、手続の透明性の向上を図ることといたしております。
  137. 福本潤一

    ○福本潤一君 それと、認定農業者の問題ですけれども、これ認定、市町村が行うという形になっているようでございますが、この対象範囲、市町村ごとばらばらになってしまうおそれはないのかという気遣いをちょっとしております。  不公正というような問題から考えて、この認定農業者、このままで認定進むという形でいくのでいいのかどうか、お伺いしたいと思います。
  138. 加治屋義人

    大臣政務官加治屋義人君) 認定農業者を育成していくということは最重要課題だというふうに思っておりまして、この認定農業制度が適切に運用されることが不可欠だと、そのように思っております。  この制度は、国が一律の基準によって担い手を特定するものではなくて、市町村地域の実情に即して農業経営者の意欲能力を尊重していくという、認定する仕組みでございます。  しかしながら、ただいま御指摘のように、例えば同じ農協の同じ組合員であっても、住む市町村が異なった場合、ある者は認定されてもある者は認定されないなど、市町村の認定の仕方に大変ばらつきがあるとか、あるいは認定後の経営改善状況の把握が十分に行われていないとか、そういう問題点も明らかになってきているところでございます。  このために、平成十五年六月に、認定手続の透明性の確保と認定のばらつきの解消をする、二つ目には、経営改善計画の達成に向けた指導、助言などによって定期的に取組状況を把握することなどを内容として運用改善のための通知を出したところでございます。  今後とも、これらの運用改善の状況を把握しながら助言を行うなど、本制度の的確な運用にしっかり努めてまいりたいと思っております。
  139. 福本潤一

    ○福本潤一君 もう一つ担い手集落営農、これも今後担い手になりますが、この条件を若干厳し過ぎるんじゃないかという声もございますが、一定の地域で認定農業者と集落営農、この両者がともに担い手、またそれを目指すという形になったときに、お互い相互の土地利用の在り方ですね、農地集積目指す、目指す対象として、単独で目指すか集落営農の中に入って目指すかというようなときに矛盾を引き起こすおそれがありそうだなというふうに思いますので、これに対する対策、これをお伺いします。
  140. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 確かに先生おっしゃいますように、同じ集落内に個別の認定農家がいて、そこで集落営農がまた別途育成されるといったときに、私どもの方に、特に認定農家サイドの方から、せっかく借りていた土地が集落営農の方へ解約していってしまうというような苦情が寄せられておりますし、場合によっては集落内で農地の取り合いというようなことが行われるということで、大変頭を痛めているところでございまして、決して全体としての農業の発展にとっては好ましくないというふうに考えております。  そこで、私どもはこういう事態を回避したいということで、一つは、認定農家がせっかくいらっしゃるのであれば、集落営農というのは集落を単位とした共同利用組織でございますので、その認定農家方々が中に中核的な主たる従事者として入っていただくと。その方を中心にして集落営農を構成していただくか、どうしてもそれが駄目であれば、その認定農家サイドと集落営農経営サイドの間で農地の調整をする。この土地は認定農家の方に、この土地は集落営農の方に、従来認定農家の方に出していた土地は集落営農の方へ持ってくるけれども、違う土地を認定農家の方へ出すと。こういう調整をして両方が成り立つようにしていただく。このためにも、やはりその地域における指導者、まとめ役の存在というのは非常に大事になってくるというふうに考えております。
  141. 福本潤一

    ○福本潤一君 調整もお願いしたいと思いますが、これ農事法人等進んでいるところ、例えば広島県、余り農業が盛んでないところが結構進んでいるようでございますので、対応お願いしたいと思います。  さらに、今回農業環境政策ということがこの計画にも書いてあります。具体的に農業者が環境保全に向けて最低限取り組むべき規範というのを策定して、さらには施策もするということでございますので、今時点で考えておられる内容をお伺いしたいと思います。
  142. 白須敏朗

    政府参考人白須敏朗君) 今、委員からもお話ございましたように、まずは農業者が最低限取り組むべき規範を策定するということでございます。これは、実は十六年度中に策定しまして、それで十七年度からは私どもが農林水産省としまして実施をいたします各種の支援事業に関連付けるということで普及定着を図ってまいりたいということでございまして、本日、三月三十一日付けをもって各県の関係者に通知をしたわけでございます。  内容でございますが、具体的には、この農業生産活動に伴いまして、やはり環境負荷を起こす可能性のございますいわゆる施肥でございますとか、あるいは病害虫の防除、それから資材、プラスチックの資材とかあるいはエネルギーの利用、家畜排せつ物の発生といった環境に対する負荷を掛けるおそれのある農業生産活動あるわけでございます。こういうことに関しまして、関係法令しっかりと遵守していただくというようなことで、その環境影響を最低限にとどめていくというための基本的な取組でございまして、そういった取組を実行していただくとともに、実行状況につきまして農業者自らが点検を行うというものでございます。  それと併せまして、更に先進的な取組ということで、それにつきましては、今後さらに、十七年度から実は調査実施をいたすことにしておるわけでございますが、そういった先進的な環境保全が特に必要な地域におきまして生産活動に伴う環境への負荷の大幅な低減を図る、そういう先進的な取組につきましての十九年度からの導入ということ考えているわけでございますが、これに向けまして、十七年度からどういうふうなやり方をすればよろしいのか、あるいはどういう地域が対象とすべきなのか等々につきまして、そういう調査を私ども実施をしてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  143. 福本潤一

    ○福本潤一君 そういう中で、日本、なかなか有機農業といっても進みにくい高温多湿なところがあると。堆肥等々充実していますけれども、私は余り今まで知らなかったIPMという技術があるということで、環境技術としてお伺いしておきたいと思います。手短にお願いします。
  144. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 安定的な農業生産を行う上で病害虫あるいは雑草の防除というのは大変大事な点でありますけれども、他方で環境負荷にも配慮してこういったことをやっていかなきゃいけないと、そういう意味で、今、先生がお話しになりました総合的病害虫管理、いわゆるIPMというのが大変大事になってくるわけでございます。  具体的に言いますと、単に農薬を使うというだけではなくて、様々なそれ以外の防除手法、例えば輪作をきちっとやるとか、あるいはまた天敵やフェロモンを使う、それから粘着板といった物理的なものを使うと。こういったものを適切に組み合わせ、かつまた発生予察情報をきちっと活用して、そういうことによりましてできるだけ環境への負荷を低減する、そういった形で病害虫なり雑草の防除を行っていくという手法でございまして、是非これを広めていきたいというふうに思っております。
  145. 福本潤一

    ○福本潤一君 こういう環境を考えた農業、こういうものに対していろいろな形での支援策あると思います。  この新しい計画では環境支払ということで、個々の農家で直接支払をするということではなくて、地域で、限られた地域の取組に対する地域単位という形の支払だというふうにこれ読めるわけですけれども、具体的にはどういう形での直接支払になるのか。また、エコファーマーのような形で認定した人にも直接支払やなんかやれる方法等考えていただければと思いますので、決意を込めて大臣にこれお伺いしたいと思います。
  146. 島村宜伸

    国務大臣島村宜伸君) 基本計画におきましては、環境保全が特に必要な地域において、農業生産活動に伴う環境への負荷の大幅な低減を図る先進的な取組に対する支援平成十九年度から導入することといたしております。  この先進的な取組への支援については、対象となる取組の環境保全効果などに関する調査平成十七年度から実施し、その結果を踏まえて支援対策や支援手法などを検討してまいりたいと考えております。  なお、EU諸国は粗放的な農業であることなど一定の要件に適合する取組を行うすべての農業者を支援しております。これに対し、我が国においては、生産性に配慮しつつ、環境との調和を目指すとともに、降水量が多い、水田農業が中心であるといったEUとは異なる自然条件を踏まえた検討を行うことが重要だと、そう考えております。
  147. 福本潤一

    ○福本潤一君 じゃ、終わります。
  148. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  新たな基本計画に関する質問をいたします。  新計画では、四五%の自給率目標を五年先送りして二〇一五年までの目標として定めました。しかし、同じ四五%といいましても、二〇一五年度の生産努力目標は現行計画に比べて軒並み引下げになっています。米にしても、サツマイモにしても、ジャガイモにしても、野菜にしても、軒並み引下げ、それから小麦は現在より増やさないと。なぜ生産目標はこういうふうに多くの品目で下方修正になっているんでしょうか。
  149. 島村宜伸

    国務大臣島村宜伸君) 生産努力目標につきましては、品質や生産性の向上、実需者の多様なニーズに対応できる産地体制の整備など、品目ごとの課題が解決された場合に、平成二十七年度において実現可能な国内生産の水準として示したものであります。  また、品目によっては前回の計画よりも数値が小さくなっておりますが、この目標の実現のためには、農業者を始めとする関係者が課題解決に向け一体となって取り組み、成果を上げることが必要であり、そのような意味において意欲的な目標であると考えております。  なお、個別品目につきましてはそれぞれの事情がございますので、白須局長から説明をいたさせます。
  150. 白須敏朗

    政府参考人白須敏朗君) ただいま大臣の方から基本的なお考えにつきましてはお話をされたわけでございます。今、委員からもお話ございましたが、これは正に各品目のそれぞれの積み上げでございます。したがいまして、それぞれの品目ごとのまずは望ましい食料消費の姿から求められます需要量を基礎といたしまして、二十七年度において実現可能な国内生産の水準を示したものということでございますので、正に二十七年におきまして国内農畜産物の需要がどの程度確保されるのかという視点から、それぞれの品目につきまして、それぞれの品目の事情はもう委員も御案内のとおりでそれぞれ違いますので、そういったそれぞれの品目ごとの事情、それぞれの品質の問題、生産性の向上といったそれぞれの状況をにらみまして積み上げたわけでございますので、それぞれ前回の、今、委員お話ございましたが、前回の計画とは目標値の増減が生じておるということでございます。
  151. 中川義雄

    委員長中川義雄君) 時間の制約がありますので、答弁はなるべく的確にお願いしたいと思います。
  152. 紙智子

    ○紙智子君 今いろいろとお答えになったんですけれども、やはりなかなか理解できないと思うんですよね。それぞれのというふうにおっしゃるんですけれども、多くの品目で下方修正になっていると。そもそもが自給率低いわけですから、もっと上げるべきじゃないかというふうに思うんですよ。  小麦でいいますと、自給率は一四%しかないわけです。果実も四四%、牛乳・乳製品は六九%、肉類も五四%、野菜も八二%まで下がっているわけですね。生乳にしても野菜にしても、じゃ国内で生産する力がないのかといえば、そういうわけじゃないと。前回、私、委員会でも触れましたけれども、砂糖の自給率は三五%しかないわけですけれども、この原料のビートは生産者にペナルティーを掛けてまで生産抑制をしているわけですよ。  基本計画見ますと、国内の農業生産の持てる力を最大限発揮というふうになっているわけですけれども、これ現実は全くそうじゃないと思うんですね。国内生産目標を抑えてこういうふうに下方修正するというのは、結局は輸入依存を一層進めることになるんじゃないでしょうか。いかがでしょう。
  153. 白須敏朗

    政府参考人白須敏朗君) ただいま委員からもお話ございましたが、私ども考えておりますのは、やはり比較をされるとすれば、平成十五年度のやはり実績の数字との比較をごらんをいただきたいというふうに思うわけでございます。  ただいま委員からもお話ございましたが、例えば麦、大豆につきましては、生産努力目標、近年の最大生産量に見合った需要が定着するようにその生産努力目標としては掲げているわけでございますし、他方、その内容としては品質向上等に努力をしていくという必要がある。また、野菜なり果実につきましては、お話ございましたが、むしろ私どもとしては輸入に奪われております国産のシェアを奪回していこうというふうなことで国産は伸ばすというふうな考え方に立っているわけでございます。また、肉類などにつきましても、栄養バランスの是正のために消費を抑制する一方で、国内生産は維持又は増大させると、こういったような設定方法で水準を定めているわけでございまして、決して委員お話しのような下方修正といったようなことは全くございません。
  154. 紙智子

    ○紙智子君 下方修正になっているからそういうふうに申し上げたんですけれども。  それで、その需要に合わせてというようなことを言われるんですけれども、私はやっぱり一体じゃ国はどういうところで責任を取るのかということが問われると思うんです。やっぱり自給率全体を上げるためには、全部上げなきゃいけませんけれども、小麦と飼料について言いますと、これ増やしていかないと全体として自給率は上がらないわけですよね。そういうことで考えるならば、やっぱりもっと思い切ってやっていく必要があるし、基本法の中でも国内生産の増大を基本としてというふうに言っているわけで、これに照らしても逆行していると。本当に国の責任が問われる問題だというふうに思います。  それから続きまして、新計画で最大の問題は、これ担い手への支援の周知を打ち出したことだと思います。その中心が品目横断的政策、つまりは日本型直接支払ということになるわけです。それで、直接支払の対象となるこの担い手は認定農業者等集落営農組織のうち、一元的経理とか法人化計画を持つものと、将来効率的で安定的な農業経営に発展すると見込まれるものとしていますけれども、同時に、この具体化のところでは地域の実情を十分勘案して行うというふうになっているわけです。この地域の実情を十分勘案するということは、これ農水省が面積や所得などの基準を示して一律に線引きすることはしないということなんでしょうか。
  155. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 効率的かつ安定的な農業経営というのは他産業並み所得を上げ得る経営ということでございまして、そこを目指していくんだということでございます。  じゃ、地域の実情を踏まえて検討するとは何かということでございます。同じ所得でも作目の組合せによって違うわけでございます。それから作付け体系、二年三作か一年一作かによっても違うわけでございます。そういうような実情をどのような規模要件に結び付けていくか、あるいは条件不利地域における取扱いをどう考えていくか等々を、地域の実情を踏まえまして、夏から検討していきたいというふうに考えている次第でございます。
  156. 紙智子

    ○紙智子君 やっぱりこの一定の線引きはするわけですか、そういうわけですか。
  157. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 財政資金を使うわけでございますんで、国としての要件はお示しをしたいというふうに考えております。
  158. 紙智子

    ○紙智子君 小さな農家集落営農に参加すれば対象になるというふうにおっしゃるんですけれども、集落営農が対象となるためのハードルというのは、これは非常に高いですよね。一元的に経理を行い法人化する計画を有するなど、経営主体としての実体を有しと、それから将来効率的かつ安定的な農業経営に発展すると見込まれるものと、こういう要件、これはやっぱりクリアしないと駄目なんですよね。それから、農業経営展望って、これ出されていますけれども、これを見ますと、集落営農組織の効率的かつ安定的経営体の姿として数字を示しています。水田作でいうと三十四ヘクタールから四十六ヘクタールと。それから、主たる事業者の年間所得は六百万から九百万円と、このような経営体に発展すると見込まれることが要件となるわけですよね。逆に言えば、そうじゃなければ担い手としては認められないということですよね。簡潔にお答えください。
  159. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 今、先生言われたのは我々が目標とする経営でございます。そういう経営を、目指す経営をどのように現時点でとらえるかというのが正に今の要件でございます。やっぱり経営体として発展していただきたいわけでございますので、当然のことながら一元経理、それから代表者その他の規約がある、主たる従事者に所得目標がある、法人化計画を持っている、ここは最低限の要件として我々考えていきたいというふうに考えております。さらに、地域集落の、集落営農と言うぐらいですから、集落の相当部分の農地経営をするというようなことも要件として考えていきたいというふうに考えております。
  160. 紙智子

    ○紙智子君 まあすごく高いところですけれども、そこをやっぱりやらなきゃならないということですよね。  そうしますと、現在同様の条件、つまり五年以内に法人化計画で一元経理、そして主たる従事者が他産業並み所得を目指すというのが付けられている、その特定農業団体というのは百二十しかないですよね。二〇〇〇年のセンサスでは集落営農の耕地面積が三十ヘクタール未満組織が四分の三を占めています。西日本でいいますと、農地面積が狭いということで、たとえ集落内の農地を一人の担い手に集積したとしても、それだけでは他産業並みの生涯賃金というのは、得て農業従事者として自立することができないというのが圧倒的だというふうに言われているわけです。集落営農実態から見て本当に一部の集落営農しか対象にならないんじゃないですか、どうですか。
  161. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) そういうことが正に、その地域の実情を踏まえた検討をするの中身でございまして、法人化計画というのは五年以内に果たして達成可能かどうかとか、主たる従事者の所得目標というのはどの程度に置くべきかとか、条件不利地域ならどういう要件が可能なのかとか、それを夏までの状況を見て、夏以降具体的に議論をしていきたい、決して私ども極端に絞り込むとかそういうのが本意ではなくて、日本農業全体が発展するにはどうあったらいいかと、そういうところからこの要件を決めていきたいというふうに考えております。
  162. 紙智子

    ○紙智子君 絞り込むのが本意じゃないんだと、こういうふうにおっしゃるわけですけれども、しかし、須賀田局長は、日本農業新聞の報道で、だれにどのように地域農業を担ってもらうかを皆さんに考えてほしいと、努力する人を見捨てるつもりはないというふうにおっしゃっておられるけれども、この選別政策との見方を否定したんだというふうに言っているんだけれども、しかし、それであるならば、やっぱり一元的な経理とか法人化の条件ですね、これやっぱり付けるべきじゃないですよ。どうですか。
  163. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 集落営農でございますので、その参加している人に収益を配分しないといけないんです。そうすると、どうしても経営体としてどんな収支なのか、どんな損益なのか、そして分配額は幾らなのかと、これを決めぬといけない。どうしても一元的経理というのは必要になってくるわけなんです。  それから、将来経営体として発展可能性があるものでないという条件であれば、やっぱりいつの時点か法人化するという構想はこれ必要、最小限必要なんじゃないでしょうか。そうお思いになられませんか。
  164. 紙智子

    ○紙智子君 現にこれまでだって集落営農でそれぞれ頑張ってやってこられたわけですよ。それを無理に、やっぱり絞り込まないといいながら結論としては絞り込むことになるんじゃないですか。局長の見解からも私はこれ外れていくことになると思うんですよ。これはもう選別政策にほかならないと思いますよ。  それから、多数、大多数の農家がこの経営安定対策から排除された場合に、地域の生産基盤整備にも影響を与えることになると。で、土地改良事業というのは大多数の農家の賛成で法的に執行されるわけですよね。例えば百戸農家あった場合に、三分の二の賛成でみんなこう判こを付いて土地改良の事業を進めるわけです。ところが、そうやってやってきたけれども、例えば対象になるのが十人しかいないといった場合に、外れた人は土地改良の事業に参加しにくくなっていくわけですよね。そうなると、現在既にもう償還始めているんだというようなところでも、その対策から排除された人は払えない状態になっていくわけですよ。そうしたら、土地改良区の会計が合わなくなってくると、だれがそれ埋めるんだということがたくさん出てくるというふうに思うんですね。  やっぱり、選別の政策がこういう形で地域の生産基盤整備に悪影響を与えたり、あるいはこの長年培ってきた地域の和といいますか、やっぱりお互いに支え合いながら、そういう農村ならではの和というものがあったわけですけれども、そういうことに亀裂を生むことになるんじゃないかと。そうならないというふうに言えますか。
  165. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 先生のお話でございますけれども、そう悲観的、消極的にお考えにならずに、私どもが現地に行って集落営農モデルケースを視察をしておりますのに、この土地改良を契機にしてできているケースが非常に多いわけでございます。小規模農家、兼業農家を含めまして基盤整備をすると。せっかく基盤整備をしたんだから、その成果を生かそうじゃないかと。集落で集まってその成果を生かそうじゃないかと。正にその土地改良を契機にしてこういう集落営農ができ上がると。私は、そう悲観的に考えずに、逆にそれを契機にしてこの集落営農育成してほしいというふうに考えてもらいたいんです。
  166. 紙智子

    ○紙智子君 悲観的でも何でもないんですよ。  農業開発研修センターの市町村、JA、生協のトップ層に対するアンケートがやられています。このアンケートですと、担い手の選別方針に大半が反対しているんですね。消費者の組織である地域の生協のトップの五〇%が大多数の高齢専業や兼業農家をこの施策対象から外したら安定的な供給ができなくなるというふうに言っているわけですよ。それから、七九・四%が担い手をつくるためにも農業意欲を持っている者はだれでも施策の対象とすべきだと回答しているわけです。消費者の理解は得られるんですよ、だから。だから、絞り込みはすべきでないと思うんですね。  それから、品目横断的な経営安定対策について、これで対象になる大規模経営の安定になるかという問題です。  外国産との価格差を補って経営の収入や所得の下落を補てんする方向が示されているわけですけれども、問題は、価格が下落しても一定額のところまできちんと補てんされるかどうかということです。米の担い手安定対策のように、価格が下がれば補てんの水準も下がっていくと。それで制度が機能しないことになっていると。北海道では米価一万円割っても発動されなかったんですから。しかし、今度の、今後の検討で見ても、あくまで収入の変動による影響の緩和対策という程度です。  大規模経営のこの全国組織の会長さん、この農協新聞の中にも出ていますけれども、この中でも会長さんが表明していますよ。最低粗収益保障制度のような、どんな事態になっても再生産を保障できる制度を目指すべきではありませんかと。  少なくとも、こうした大規模担い手の意見を検討の対象に入れるつもりがあるのかどうか、そのことも伺います。
  167. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) まず、後者の、その収入が変動した場合の補てんの基準になる収入の取り方について、価格がずっと下がる局面においては基準収入も下がるから補てんの意味合いがないじゃないかというお話でございます。  これ、米政策改革を議論するときに非常に議論になりました。固定的に基準収入を考えますと、モラルハザードが起きると。おまえ、もらうんだから安くてもいいじゃないかと、こういうふうなことが起きて、生産サイドが、市場が何を求めているかを感受して努力するということをしないと、こういう議論がございまして、市場のシグナルというものを生産サイドがちゃんと受け止めて、高く評価されるような生産の仕方をしないと駄目なんじゃないか、そのためにはやはり過去の市場で形成された価格の一定部分を基準収入にするのが一番望ましいんじゃないかということで過去の市場価格を基準収入として用いようと、こういうふうになったわけでございまして、この議論そのものは、やっぱりこれからの生産を考えます場合に、実需者あるいは消費者のニーズに即した生産といった場合に、やっぱり市場シグナルを無視した固定的な基準を取るというのは、ちょっとそれは難しいんじゃないか。  ただ、先生言われたように、異常年も収入に取っていく、これはおかしいのであって、そういう異常年は外していくというようなことで、できる限り市場のシグナルが生産面に反映できるような仕組みにする、これは避けて通れないんじゃないかというふうに思っております。
  168. 紙智子

    ○紙智子君 こういう方たちや本当に幅広い人たちの意見をちゃんとこの後も反映させるというふうに思っておられるのかどうかとお聞きしたんですけれども、どうですか。
  169. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 政策の大きな転換でございますので、できるだけ広い、国民各界各層の御意見は承りたいというふうに考えております。
  170. 紙智子

    ○紙智子君 モラルハザードとかなんとかということを言われましたけれども、やっぱりそういうことでは政府がやろうとしている担い手育成の対策もこれ成功しないということを指摘しておきたいと思います。  農地のリース方式による一般の株式会社参入の問題です。  これ全国的に展開することを今回盛り込んでいます。現在は特区で一定地域にしか認められておりませんが、全国展開するには地域に弊害をもたらしていないかどうかということを検証することが決められています。まだ特区は一年から二年だと、本格的な株式会社の経営がほとんどこれからという状況だと思います。弊害の検証には、農業の場合、その特性上長い期間が掛かるわけです。政府の評価委員でさえ、農業は自然災害の影響も受けるので五年程度の期間で見る必要があると、それから、参入はだれでもよいと言うのはまだ早いと、こういう異論が続出したということですよね。株式会社は利益を追求するというのが第一であるがゆえに、地域の水利や農道や、こういう共同管理に支障が出てこないかという心配もあるわけです。そして、利益を上げなければ撤退をすると。その後にたとえ返還されたとしても、農地はどうなるのかという問題もあるわけです。農地荒廃等、営利本位の農地利用に通じる危険があるわけです。  ですから、わずかな検証期間で、そういうことでおそれがないんだというふうに判断できるのかということなんですけれども、いかがですか。
  171. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) この構造改革、リース特区制度、昨年秋に五十地区の特区の市町村農業委員会、農協などに対して調査を行いました。私どもが一番懸念をしておりました現場での混乱、弊害というものがあったという意見はございませんでした。むしろ、耕作放棄地が解消をされた、雇用の促進につながったということがございました。そういうことで、今回は私どもの法律の中に位置付けて、市町村がその基本構想の中で参入区域を決めて、同じようにリース方式で参入をさせるという仕組みにしたわけでございます。  私ども、先生言われるように、一般的に認めるというわけではございませんで、やはり耕作放棄地がある、あるいは耕作放棄になりそうな区域というのを市町村長に定めていただいて、そこへ同じような仕組みで、リース方式で参入を認めるという必要最小限の措置と、そういう株式会社参入の懸念から見れば必要最小限の措置としてこういう仕組みを取ることにしたということを御理解願いたいと思います。
  172. 紙智子

    ○紙智子君 この間、例えば、九九年に契約栽培という形で参入した例えば日本たばこだとか、それから北海道の千歳にオムロンというのが出ましたけれども、ここは三年やって撤退したんですよね。やっぱり特区で、ほとんど始まったばかりで、須賀田局長自身も、これ企画部会ですかね、の中で、実際経営的には成り立っていないと、ほとんどのケースがねというふうに述べておられるわけで、そういう意味では、まだわずかしかたっていない中でこういう全国展開という判断を下すというのは、やっぱりこれは時期尚早じゃないかというふうに思うわけです。やっぱり不十分な検証で全国展開するというふうになってしまったら、もしその結果弊害が生じた場合に責任取れるのかということになると思うんですね。  大臣最後にちょっとそのことについて述べていただきたいと思います。
  173. 島村宜伸

    国務大臣島村宜伸君) 農地リースを行ういわゆるリース特区は、耕作放棄地などの多い地域において、株式会社、NPO法人などがきちんと言わば農業を行う旨の協定を市町村と締結し、農地を借りることにより農業に参入できるものであります。このいわゆるリース特区については、昨年十月一日現在で、全国で六十八法人が営農を行っております。  このリース特区制度について、五十地区の特区の関係市町村農業委員会、農協などに対し昨年秋に調査を行ったところ、耕作放棄地の解消などがなされたとして参入法人を評価する意見が多数ありました。一方、弊害があったとする意見はなかったと聞いております。  このような結果を踏まえ、最終的には内閣府の構造改革特区推進本部において全国展開が決定されたところであり、十分検証はなされた上での判断であると受け止めております。
  174. 紙智子

    ○紙智子君 と聞いておりますというお話であって、やっぱり非常に期間としては短い中で、直接やっぱり確かめられて十分やっぱり検討された上で決めていただきたいと。  いずれにしても、もっと期間を取ってしっかりと検討すべきだということを最後に述べて、質問を終わらせていただきます。
  175. 中川義雄

    委員長中川義雄君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめます。     ─────────────
  176. 中川義雄

    委員長中川義雄君) 次に、森林組合法の一部を改正する法律案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。島村農林水産大臣
  177. 島村宜伸

    国務大臣島村宜伸君) 森林組合法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  森林所有者協同組織である森林組合は、我が国の森林整備の中核的な担い手として、森林所有者の経済的、社会的地位の向上を図るとともに、森林の保続培養及び森林生産力の増進に寄与してきたところであります。  一方、近年の森林・林業を取り巻く情勢は、木材需要の減退、材価の低迷等を反映して、林業生産活動が停滞し、管理が適切になされていない森林が増加するなど、極めて厳しい状況にあります。  このような中、森林に対する国民の多様な要請に的確にこたえ、その有する多面的機能を持続的に発揮させていくためには、森林の適正な整備及び保全を図ることが不可欠であります。特に、本年二月に発効した気候変動枠組条約の京都議定書に定められた温室効果ガス削減の国際約束を我が国が着実に履行するためには、地球温暖化防止森林吸収源対策の柱を成す健全な森林の整備、国民参加の森林づくり等を推進していくことが喫緊の課題となっております。  このような状況を踏まえ、我が国の森林整備の中核的な担い手である森林組合が将来にわたりその機能を十全に発揮し得るよう、森林組合の機能の充実と組織基盤の強化を図るため、この法律案提出することとした次第であります。  次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、森林組合の機能を強化するため、森林の有する教育機能の増進に関する事業を森林組合等の事業として追加するとともに、森林施業と併せ行う木材販売事業等に係る員外利用制限を見直すこととしております。  第二に、森林組合の組織基盤の強化を図るため、森林組合の事業を継続的に利用する木材製造業者等に准組合員資格を付与するほか、総代会における合併等の議決手続の改善を図ることとしております。  第三に、組合員に開かれた透明性の高い、適切な森林組合の事業運営を確保するため、事業別損益を明らかにした書面等の作成及び総会への提出を理事に義務付ける等の措置を講ずることとしております。  以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  178. 中川義雄

    委員長中川義雄君) 以上で本案の趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時十五分散会