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2005-05-19 第162回国会 参議院 内閣委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十七年五月十九日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  五月十九日     辞任         補欠選任      松井 孝治君     小川 敏夫君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         高嶋 良充君     理 事                 市川 一朗君                 小野 清子君                 岡崎トミ子君                 森 ゆうこ君     委 員                 秋元  司君                 鴻池 祥肇君                 佐藤 泰三君                 竹山  裕君                 中曽根弘文君                 西銘順志郎君                 小川 敏夫君                 神本美恵子君                 工藤堅太郎君                 松井 孝治君                 円 より子君                 風間  昶君                 白浜 一良君                 近藤 正道君                 黒岩 宇洋君    衆議院議員        発議者      小坂 憲次君        発議者      宮腰 光寛君        発議者      後藤田正純君        発議者      西川 京子君        発議者      白保 台一君    副大臣        農林水産大臣  常田 享詳君    事務局側        常任委員会専門        員        鴫谷  潤君    政府参考人        文部科学大臣官        房審議官     山中 伸一君        文部科学省スポ        ーツ・青少年局        スポーツ・青少        年総括官     西阪  昇君        厚生労働大臣官        房審議官     岡島 敦子君        厚生労働大臣官        房審議官     北井久美子君        厚生労働省医薬        食品局食品安全        部長       外口  崇君        農林水産大臣官        房審議官     高橋 直人君        農林水産大臣官        房審議官     染  英昭君        農林水産省総合        食料局次長    山田 修路君        農林水産省農村        振興局計画部長  宮本 敏久君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○食育基本法案衆議院提出)     ─────────────
  2. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  食育基本法案審査のため、来る二十四日午前十時に参考人出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 御異議ないと認めます。  なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  食育基本法案審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として文部科学大臣官房審議官山中伸一君外八名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 食育基本法案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 小野清子

    小野清子君 おはようございます。自由民主党の小野清子でございます。  今日の質問に当たりまして、朝ラジオを聞いておりましたら、一九四六年の五月十九日、食糧メーデーが今日行われたと。皇居の広場で飯米獲得人民大会食糧メーデー、二十五万人の方々が集まって行われたというのを朝ラジオで聞きまして、隔世の感ありと、そんな思いでここに立たせていただいております。  まず最初に、この内閣府に食育推進会議を置くということになっておりまして、その会長内閣総理大臣小泉総理ということになっておりますけれども内閣総理大臣骨太方針とこの食育教育との関連はどういうかかわり合いになるのでしょうか。
  9. 小坂憲次

    衆議院議員小坂憲次君) 小野清子先生お答えを申し上げたいと思います。  ただいま御指摘ありました食糧メーデーですか、今や飽食の時代と言われる時代に、正におっしゃるとおり隔世の感であります。今は、生活習慣病、食べ過ぎて糖尿病になったり、銀座のこじきがという話はもう大分前の話になるわけでございまして、正にそういったことから、私どもこの食育というものをしっかりと身に付けていかなきゃいけない、こういう認識に立ったわけでございますが。  小泉内閣におきましては、経済財政運営構造改革に関する基本方針、すなわち骨太方針二〇〇二、平成十四年六月におきまして、「関係府省は、健康に対する食の重要性に鑑み、いわゆる「食育」を充実する。」と、このようにありますし、また二〇〇三におきましても、「人間力を養う柱となるとともに、食の安全・安心確保基礎となる「食育」を関係行政機関等連携の下、全国的に展開する。」としております。さらに、骨太方針二〇〇四、平成十六年六月におきましても、「「食育」を推進するため、関係行政機関等連携し、指導の充実、国民的な運動展開等に取り組む。」としておるわけでございます。  これを受けまして、政府・与党の関係にあります我が党におきましても、食育基本法案提出、これを踏まえまして、この準備段階といたしまして食育調査会というものがございまして、先生御存じのとおりでございまして、平成十四年の十一月、自民党の政務調査会食育調査会が設置されまして、食育に関する有識者のヒアリングや議論が続けられてまいりました。  これを受けて、百五十九回国会、平成十六年三月でございましたが、食育基本法案を私どもが作りまして、そして参議院にまず提出をされたわけでございます。そして、その後、参議院での審議がなかなか進みにくい環境がございましたので、衆議院に再提出をさせていただいて今日に至ったという経緯でございまして、政府推進するこの食育に関する考え方と、私ども議員立法として提出いたしました今回の食育基本法はそのような関係でつながっているわけでございます。
  10. 小野清子

    小野清子君 ありがとうございます。  私も食育に関しましてはいろいろと勉強会にも参加をさせていただいたところでございまして、相当文科省あるいは農水省、折には厚生労働省も合わせて取組が行われてきていると思いますけれども農林水産省はいつごろからどのような取組をされているのか、お伺いしたいと思います。
  11. 高橋直人

    政府参考人高橋直人君) お答えを申し上げます。  私ども農林水産省といたしましては、平成十二年に文部省厚生省、当時の文部省厚生省と共同いたしまして、国民の健康の増進、生活の質の向上及び食料安定供給確保を図る観点から食生活指針を策定いたしまして、パンフレットの作成あるいはイベントの開催など、その普及啓発に向けた取組を進めてきたところでございます。  また、平成十五年の七月には、農林水産省におきまして、産業振興部門と分離して、食品分野における消費者行政リスク管理業務を行う消費安全局を新設いたしました際に、食育推進する担当部署を置きまして、国民一人一人が食について関心を持ち、自ら考える習慣を身に付けることを促す食育に取り組むことといたしたところでございます。  施策基本方針基本的な柱といたしましては、バランスよく食べる食習慣の確立、農産物、農業などについての正しい知識普及地産地消を通じた地域の優れた食文化継承食品安全性に関する基礎的な情報提供、こういったことを図ることといたしまして、関係府省と連携して食育推進に努めているところでございます。
  12. 小野清子

    小野清子君 ありがとうございます。  食の大切さというのは、言わば個人の問題でありながら、しかし、大きく考えますと、人そのもの日本を担っていくという、そういう観点から起こしていきますと、現在の子供たちの情勢というのは、社会変化にもよるわけでございますけれども、健康からほど遠い子供たちも残念ながら多数おります。その最たるものが朝食抜き、二〇%程度がそうだという数字が出ておりますけれども、それから夜遅くまでテレビを見たりパソコンをいじったりゲームをしたりという、いわゆる不規則な食事等による子供たちで、あなたの現在の症状を言いなさいと言いますと、疲れる、だるい、肩が凝る、便秘、腰痛、何か中年の症状を訴えられているような、同じことを小学生が言うんですね。  こういう状況というのは一体どういうことなのか。単に食育だけにとどまらないところではないかと思いますけれども、しかし、文科省の方におきましては学校給食というものがあり、口の悪い人は、三食のうちの学校給食子供たちはもっていると、そういう言い方もするわけでございますが、文科省といたしましてはどのような取組を行っているのか、お伺いをしたいと思います。
  13. 西阪昇

    政府参考人西阪昇君) 先生指摘のように、近年、食生活を取り巻く社会環境変化などに伴いまして、偏食、朝食欠食など子供食生活の乱れが見られ、子供たちが食に関する正しい知識と望ましい食習慣を身に付けることが重要となっております。また、食を通じた地域等理解食文化継承等必要性も高まっているところでございます。このような観点から、学校において食育推進することは重要な課題となっているというふうに認識しております。  このため、文部科学省では、教職員に対する研修会やシンポジウムの実施、児童生徒用食生活学習教材作成、配付などを通じて学校における食育取組推進しているところでございます。さらに、本年四月から栄養教諭制度が開始されました。この制度を活用した学校での指導体制の整備にも取り組んでいるところでございます。  また、家庭における取組が重要でございます。文部科学省といたしましても、食に関する内容を含む家庭教育手帳作成し、全国保護者に配付するなど、家庭における食育を促進しているところでございます。
  14. 小野清子

    小野清子君 ありがとうございます。  こう言ってはなんですけれども、結構細やかにいろいろな御配慮をしていただいている。私も子供成長期学校から、わら半紙という言葉は古いんですけれども、一枚の紙をもらって、それに何曜日何を食べるという献立が全部書いてありました。それで、保護者会へ行きますと、なぜあれを出すかというと、夜の御飯とお昼の御飯がバッティングしないようにと。カレーライスが好きだからというんで昼もカレーライス、夜もカレーライスにならないようにというふうな配慮やら、私ども給食時代はもうワカメ汁一点だけだったんですね。それから見ると、デザートが付いたり、まあちょっとしたレストランに行ったようねなどということを子供と話したことがあるんですけれども、そのように大分行き届いている中で、なぜ今食育なのかということをお伺いしたいと思います。
  15. 小坂憲次

    衆議院議員小坂憲次君) 小野先生指摘のように、先生教育者としても、また母親としてもしっかりとした理念を持って食に対する取組をなされておられますので、先生のようなお方ばかりであればこのような食育基本法も必要なかったかもしれない。しかしながら、しかしながら食の多様化食品流通グローバル化、近年、食をめぐる環境変化の中で、国民食生活においては栄養の偏り、不規則な食事等による生活習慣病の増加など、看過できない状況が出てまいっております。  ただいま答弁ありましたように、農林水産省文部科学省等、また厚生労働省において、それぞれの目標に応じて積極的に取り組んでいただいているわけですけれども、しかしながらこのコンダクター役が存在しないと、今の、紙によって昼の食事を御家庭に通知をしてバッティングしないように、同じように各省庁においてバッティングした無駄な施策が行われることのないように、一つの目標を持って組織的に、かつ統一的な運動推進することが必要だ、このような観点で私どもこの食育に取り組む、その必要性認識しているところでございまして今回の提出に至っております。  よろしくお願いいたします。
  16. 小野清子

    小野清子君 食育基本法推進法ではなく、いわゆる基本法とされたのはどういう理由でしょうか。
  17. 小坂憲次

    衆議院議員小坂憲次君) いわゆる基本法というのは、国政の重要な分野につきまして進める施策基本的な方針あるいは理念、そしてその施策推進体制について定めるようなものを基本法で取り扱っていると認識をいたしております。  他方、推進法というのは、特定の具体的な施策を強力に進めるべく具体的な方策について規定をするというものが推進法である、このように考えておりまして、食育というのは、その範囲においても、食の栄養面生活面安全面文化面環境面生産消費面というような食生活の多面的な部分にかかわっておりますし、また行われる場面も、家庭学校保育所社会というように多様であります。このような多面かつ多様な食育に関する施策については、まず進めるべき方策の方向、方針を明らかにする必要があると、このように考えまして、その上で効果的な推進体制を定める必要がある、したがって具体的な個別施策推進方策を定める推進法ではなくして、基本法をまず定めることとしたわけでございます。
  18. 小野清子

    小野清子君 食育定義というのは何でしょうか。
  19. 小坂憲次

    衆議院議員小坂憲次君) 引き続き説明をさせていただきます。  本法案では、定義をする食育とは何ぞやという規定は設けておりません。前文の第二段階部分で、第二段落でその内容について規定をいたしておりまして、すなわち食育は、生きる上での基本であって、知育、徳育及び体育の基礎となるべきものであるとともに、様々な経験を通じて食に関する知識と食を選択する力を習得していただきまして、健全な食生活を実践することができる人間を育てることであるとしております。  食育はもとより全国民に必要なものでございますけれども、特に子供たちに対する食育は心身の成長及び人格の形成に大きな影響を及ぼします。生涯にわたって健全な心と身体を培い、豊かな人間性をはぐくんでいく基礎となるべきもの、このように考えておるわけでございます。
  20. 小野清子

    小野清子君 ゴールデンウイークに海外にちょっと足を伸ばしました折に、やはり食育という言葉が入ってございましたけれども、例えば諸外国における食育状況というのは、具体的に二、三、どのようなものになっているか、挙げていただけたらと思います。
  21. 後藤田正純

    衆議院議員後藤田正純君) 今日は、委員長を始め委員の皆様、委員会をお開きいただきまして本当にありがとうございます。  お答え申し上げます。  今の先生の御質問に対しましてでございますが、まずアメリカでございますけれどもアメリカは、御承知のとおり、肥満が大変な人数になっておりまして、その肥満対策に要する国家予算、大変なことになっております。そういった背景の中で、九〇年代にアメリカがん学会中心になりまして、やはり今の日本と同様な食育に対しての重要性にかんがみ、全国運動展開をしておるところでございます。具体的な例では、ファイブ・ア・デーというのはもう皆さん承知のとおりでございまして、野菜、果物を一日五品目以上食べようという運動だとか、ファイトバグと、ばい菌をやっつけろというようなキャンペーンをやっております。  また、イタリアは、これも御承知のとおり、スローフード発祥の地でございまして、これはアルチゴーラが前身でございまして、もう三十年ぐらいの歴史がございます。先般も、ジャコモ・モヨーリさんというスローフード協会の方が、名誉会長スローフードジャパンの名誉会長、そしてスローフード協会会長のカルロ・ペトリーニさん、この方が総理大臣を表敬されました。三月に日本にいらっしゃっておりまして、よくイタリアの食について、衆議院でも質問ありました、イタリアというのはアモーレカンターレマンジャーレと、歌いましょう、愛しましょう、食べましょうと。イタリアは自由に食べているんで、国や行政が食について物を言うのはおかしいじゃないかという質問衆議院でも受けましたけれども、それは全く違いまして、イタリアは正にスローフードが出てきたというのは、正に食への不信感、食に対しての危機感からスローフード運動というのはイタリアで発祥したんですね。マンジャーレアモーレカンターレ、楽しむなんという、そういうことは表面的なことでありまして、イタリアはもっとレベルが進んでいます。  御承知のとおり、去年秋に食の大学というのがイタリアでできたんですね。これは非常に世界的にも画期的な例でございまして、日本もこの点は今後、基本法及びその成立後には各個別法、また制度予算化においてそういったこともどんどん推し進めていきたいというふうに思っておりますので、先生始め委員各位皆さんの御協力をいただきたいと思っております。
  22. 小野清子

    小野清子君 ローマのオリンピック行ったときに、胸幅の厚みが余りにも違うんでイタリー方々の体格は非常に印象に残っておりますけれども、その割に血管性の病気というのは意外と少ない。オリーブ油がいいのかななどという話をしたのを今思い起こしておりました。  日本の目指します食育というのは、例えばアメリカ型なのか、イタリー型なのか、あるいは日本型なのか、その辺りはいかがでございましょうか。
  23. 後藤田正純

    衆議院議員後藤田正純君) 今先生指摘ありましたとおり、どこの国に似ているかということは一概には申し上げられませんが、やはりいろいろな国のいいところを吸収しながら日本独自のものをつくっていかなくてはいけないと思っております。  その中で、先ほど小坂議員からもお話ありましたが、そもそも、やはり基本法というものにしたということが大変大きなポイントだと思っております。それによって全国運動しようということでございまして、委員国家公安委員長として御活躍されたと思いますが、日本で、例えば全国運動が成功した例というのは、よく言われますのは全国交通安全運動、これが日本におきまして全国普及啓発活動では大変な成功を収めています。唯一と言ってもいいかもしれません。  これを調べますと、昭和四十年代に、これも基本法なんですね、交通安全基本法という基本法というものができて、それから個別法並びにいろんな制度、又は予算化がされているということを考えますと、今回、日本基本法というものにして、なおかつ総理大臣中心とした推進会議をつくって全国普及啓蒙啓発活動をしていくと、そして先ほどの小坂議員の答弁にもありますとおり、各省庁がいろんな範囲でいろんな制度をこれからつくっていこうと、農業だけではなくて教育分野、そして私、個人的に一番感じておりますのは、生活習慣病を予防することによって、今財政規律が問われている、日本財政が大変な状況でございます、その中で、社会保障制度改革の中においての医療費削減、これにも大変な効果を私は発揮するものだと思っておりますので、その点、各国と比べますと全範囲にわたったものであるということが特徴かと思います。
  24. 小野清子

    小野清子君 ありがとうございます。  食料自給率が低下しまして、カロリーベースで六〇%が輸入に依存していると言われるわけですけれども自給率向上のためにこの食育の果たす役割というのはお考えになっていらっしゃるんでしょうか。
  25. 小坂憲次

    衆議院議員小坂憲次君) 日本食料自給率カロリーベースあるいは穀物ベース数字は四〇あるいは二九、いろいろありますけれども、この原因が何であるか、そしてそれがこのような結果になったという因果関係が明確であればその対策も簡単でございますが、なかなか、食料自給率の低下は多くの要素が関係していると思われます。  しかしながら、この食育基本法の果たす役割として私どもが期待いたしますものは、食料供給サイドだけではなくて消費サイド、その消費面に、両方に着目いたしまして健全な食生活を実践することができるような施策を講じよう。すなわち、学校給食を含めた地産地消を推進をいたしまして、また我が国の伝統ある優れた食文化地域の特性を生かした食生活環境と調和の取れた食料生産、そして消費農業等生産者消費者との交流を通じての信頼関係構築等推進いたしまして、我が国の食の海外依存問題点、そういったものに対する国民理解を深めること、それを推進をいたしたいと思いますし、また、こうした施策などの結果として国産農水産物の需要が拡大をいたしまして、そして、それに応じて農業などが活性化をし、生産も拡大していくということになれば我が国食料自給率向上にも寄与することがあると、このように思っているところです。
  26. 小野清子

    小野清子君 ありがとうございました。  それで、食品に関して一番国民の気になっているところというのか心配しているところというのは、安全という面を国民は非常に注意をして見ております。  この基本法の六ページの八条ですね。六ページの八条のところに、食品の安全の確保における食育役割というものが書いてございますけれども、久々に起きました鳥インフルエンザの発症とか、あるいはO157の問題、あるいはBSE、あるいは卵のサルモネラ菌の問題等、いろいろ多岐にわたって多発をしている状況の中で、国民は食に対する大変大きな心配をしていると。こういうふうな中で、食の安全、安心の問題というものは食育役割が果たす大変重要な課題ではないかと思いますけれども提案者認識をお伺いしたいと思います。
  27. 後藤田正純

    衆議院議員後藤田正純君) 先生指摘のように、第八条におきまして、「食育は、食品安全性確保され安心して消費できることが健全な食生活基礎であることにかんがみ、食品安全性をはじめとする食に関する幅広い情報提供及びこれについての意見交換が、食に関する知識理解を深め、国民の適切な食生活の実践に資することを旨として、国際的な連携を図りつつ積極的に行われなければならない。」と規定されております。先生の御指摘のとおり、食育基本法が制定されることによりまして、食品安全性がより確保されるものと考えております。  一方で、食の安全の情報につきましても、このたびの法律によりまして情報提供ということを各般、各分野、各産業においてそれをやはり積極的にやっていただくということもお願いするものでありますし、同時に、生産者につきましても、そこら辺の点について今まで以上に責任を持ってお願いをしていくと。  そして、国際的ないろいろな連携ですね、そういうことも保ちながら、今、国際的にはコーデックス委員会という、例の食品規格規定する委員会もございます。そういったところとも、例えば、日本安全性について厳しくて世界が厳しくなかったり、一方で日本が甘くて世界の方が厳しかったり、そういうものもいろいろ散見されますので、ここら辺についてきちんと整合性を整えていくということが必要だと思っております。
  28. 小野清子

    小野清子君 今先生の方からお話ございましたけれども、例えば、国際的な共通認識を持ち、あるいは、国際的連携を図りつつ積極的に行われなければならないというのがここに書かれてございますけれども、添加物の問題などに関してはアメリカ日本とヨーロッパがばらばらなんですね。その件に関して、私は素人として、同じ人間で、そして、厚生労働省が認めていないから、薬品というんでしょうかね、添加物が入っていることは認められないというと輸入が駄目になる等々、この辺りの平均的な、いわゆる国際的な連携を図るというふうな中において、こういうことも議論のまないたの上にのっかるのかどうか、その辺、厚生労働省の方でも結構ですけれどもお答えをいただければと思います。
  29. 外口崇

    政府参考人外口崇君) 食品添加物については、議員御指摘のように、食品衛生法第十条に基づき、人の健康を損なうおそれのない場合として厚生労働大臣が定めたもの以外の使用を禁止しております。  この食品添加物は、諸外国で広く使われていることをもって指定を行う仕組みにはなっておりませんが、国際的な専門家会議、これはコーデックスという御指摘もございましたけれども、コーデックスの中の専門家会議等におきまして安全性が確認され、かつ米国及びEUにおいて使用が認められ汎用されているものについては、これは国が主体となって資料収集し、食品安全委員会に評価を依頼しているところでございます。
  30. 小野清子

    小野清子君 そうしますと、今のお話からしますと、その落差というのは今後少なくなっていく傾向にあると思ってよろしいんでしょうか。
  31. 外口崇

    政府参考人外口崇君) ただいまの取組につきましては、これは平成十四年から行っておりますので、もちろん、安全性を確認するということが一番大事でございますけれども安全性が確認されたものであるならば使えるようになっていくということになると思います。
  32. 小野清子

    小野清子君 その辺あたりは、信頼性という言葉がここにもございますけれども、信頼性の確保という中において、それぞれの諸外国が認めたものが日本でなぜ認められないのかと、その辺あたりはいかがかなと思っておりましたけれども、そういうことも随時、そしてまた日本の中における添加物に関しても、それが本当に大丈夫なのかどうかという検証も、これもされていくんでしょうか。
  33. 外口崇

    政府参考人外口崇君) 日本の中の添加物、これ幾つかの分類がされておりますけれども、例えば、安全性の確認された指定添加物というもののほかに、かつて天然添加物と言われて、今、既存添加物というものなんですけれども、そういったものは昔から使われていて特に問題がなかったからということで、平成七年にいわゆる天然添加物を既存添加物として指定したときに、まだ一つ一つについては安全性確実に確認されたものでなかったわけでございます。これは中をきっちり精査して、今順次安全の確認をしているところでございます。
  34. 小野清子

    小野清子君 何か話がだんだんと基本法から具体的なところに入っていきまして大変恐縮ですけれども、安全、安心というところを考えていきますとどうしてもこういうことに入らざるを得ませんので、お許しいただけるところでお話を、お答えをいただければと思います。  それから、海外から日本に輸入されてくる場合には、大方、大量になると船便ということになってくるのではないかと思うんですね。船便になってきた場合には、ミシシッピ川のところで、これから日本に行くんだよというのでコーンが山積みされていて、大変なんだというお話を聞いたときに、ああいうものの場合に、例えば火災が起きる可能性もありだとか、いろんなことを向こうでおっしゃっていました。そういうものに対して実態は、消毒剤を入れるとかあるいは防腐剤を入れるとか、そういうことは具体的にどうなっているのでしょうか。
  35. 外口崇

    政府参考人外口崇君) 食品には、ただいま御指摘のような、防腐剤としてソルビン酸とか安息香酸等が使用されることがあります。  それから、御指摘の船で輸入する場合、例えばかんきつ類の場合ですと、運んでいる間にカビが生えたりとかそういったこともありますので、カビを防止する目的で防ばい剤等が使用されることがございます。
  36. 小野清子

    小野清子君 やはり、それぞれの工夫をいただいている中で私たちが食するわけですけれども、そうするとやっぱり皮はむかなくちゃならないと、こういうことにもつながってくるのかなと思います。  それから、最近はジャガイモの芽を出すのを抑制するとか、あるいはコショウなどアフリカ辺りでよく取れるものに関しましては、消毒ということの中において放射線照射という問題がやはり、いろいろ書物をもって拝見しているところですけれども、こういうものに対する健康における安全性というものはどういうふうに理解したらいいのでしょうか。
  37. 外口崇

    政府参考人外口崇君) 放射線照射の食品についての影響でございますけれども、その前に、先ほどの防腐剤、防ばい剤のお話でございますけれども、これもきちっと指定をして安全性はまず確認しておりますので、そこは御安心いただけると思います。  それで、御指摘食品への放射線照射についてでございますけれども食品衛生法においてはバレイショの発芽防止を目的とするもの以外は今禁止されております。このバレイショの発芽防止については、食品照射研究開発基本計画を踏まえて、当時の食品衛生調査会において安全性が確認されるとともに、その効果が認められたものであります。  今後、放射線照射についてどうかということでございますけれども関係業者等から必要な資料を添付した上で対象食品を広げたいとの要請があった場合には、厚生労働省としては、食品安全委員会に評価を依頼するとともに、放射線照射の有効性について検討することとしております。
  38. 小野清子

    小野清子君 ありがとうございます。  あと二点ほど伺いたいんですけれども、残留農薬の問題ですけれども、近隣諸国から輸入された品の中に大変多量のものが存在したということで、またこれも大きな新聞ざたになったわけですけれども、農水省の方ではどのような対策を講じられているのか。それと同時に、遺伝子組換え食品というものが出回っております。こういう問題も安全性確保されているのかどうかということをやはり心配するものでございますので、二点についてお伺いしたいと思います。
  39. 外口崇

    政府参考人外口崇君) 農作物中に残留する農薬については、食品衛生法の規定に基づき、これまで二百四十六の農薬について残留基準を設定したところであります。この基準に合致しない農作物の流通は禁止されております。  これに加えまして、平成十五年五月の食品衛生法改正によって、残留農薬の基準が設定されていない農薬が流通することを原則禁止するいわゆるポジティブリスト制を平成十八年五月までに導入するとされたところであります。厚生労働省としては、ポジティブリスト制の導入に必要な基準の整備等を進め、円滑にこの制度が実施できるようにすること等により、残留農薬のより一層の安全確保に努めてまいりたいと考えております。  次に、遺伝子組換え食品安全性確保についてでございますけれども、遺伝子組換え食品については、食品衛生法に基づく安全性審査を経ることが義務化されており、この審査を経た旨の公表がなされていない食品については流通が禁止されております。  安全性審査につきましては、食品安全委員会において食品安全委員会が定める安全性評価基準に基づいて行われているところであり、個々の遺伝子組換え食品について、新たに付加されることとなるたんぱく質等の毒性、アレルギー誘発性の有無等につき、最新の科学的知見に基づく評価がなされているところでございます。
  40. 高橋直人

    政府参考人高橋直人君) 残留農薬基準、食品衛生法で、最後に人間の口に入るところでの食品に残る農薬がこういった量でなければいけないと、これは残留基準でございますが、私ども農林水産省は、それを受けまして、国内の農産物の生産行程でそういった残留農薬基準をきちんと守るような対策を取っているということでございます。  これは、元々農薬につきましては、その登録に当たりまして適用対象となる農作物ごとに、残留農薬基準を超えないようにその使用量とか使用時期といった使用方法を定めております。各農薬には、その使用方法がラベルに表示をされておりまして、農薬取締法に基づきましてその遵守を義務付けるということをやっております。農業者の方はその農薬の適正な使用をやっていただく、こういうことになります。  私どもといたしましては、その生産現場における農薬の適正使用の推進のために、都道府県あるいは厚生労働省連携いたしまして、毎年六月には例えば農薬危害防止運動全国的に実施するとか、あるいは研修会で農薬の適正使用の指導をする、あるいは産地における残留農薬分析機器の整備への支援、こういったものをやっております。大体そんな施策を行っているところでございます。
  41. 小野清子

    小野清子君 ありがとうございました。  こうやって質問させていただきますと、非常に多岐にわたって、なかなか分かりにくい問題が台所の前にぶら下がっている、あるいは情報が飛び交っているというのが現状でございまして、安全、安心という観点から学ばなければとてもとても台所に立つことができないという、正に台所に立つ食というものは、個人の問題でありとはいいながら、個人がいかに選択をするかという、その選択をする段階における基準が頭の中になければ、これは到底選ぶこともできないわけですね。  そういった意味におきましては、今回の基本法ができました折に、それぞれの省庁の持ち場持ち場の中で国民に分かりやすい伝達を是非やっていただきたいと思いますし、また新しく無農薬野菜とかそういうものも大分出てまいりました。無農薬でできるのになぜ農薬を使うんだろうというのもありますけれども、そういうふうにいろんなものが飛び交っているということを是非御理解をいただきまして、今後の参考にしていただければと思います。  安全、安心に関してはこの辺で収めたいと思いますけれども、第九条から第十三条の間に「責務」という言葉が大変多く並びます。国の責務、地方公共団体の責務、教育者の責務、農林漁業者等、国民の責務というものがたくさんございますけれども、この責務によって食育推進にどのような効果あるいは変化を期待していらっしゃるのか、提案者の方からお話を伺いたいと思います。
  42. 宮腰光寛

    衆議院議員(宮腰光寛君) お答え申し上げます。  今ほど委員の方からお話がありましたとおり、第九条から第十三条まで、国、地方公共団体あるいは教育関係者、農林漁業者等、それから食品関連事業者等、あるいは国民の責務という形で表現をさせていただいているわけでございますけれども、国及び地方公共団体につきましては、食育に関する施策を策定、実施する責務という形で規定をさせていただいております。教育関係者につきましては、御案内のとおり、その食育推進に関しまして果たすべき重要な役割にかんがみまして規定をさせていただいております。農林漁業者につきましては、農業体験等が食育推進におきまして重要な意義を有しているということについて責務を記述させていただいております。また、食品関連事業者につきましては、中食、外食の占める割合が相当増えてきたという状況にかんがみ、その責務を記述させていただいております。  もちろん、それらの各主体がそれぞれの役割を自覚して食育推進に取り組んでいくということが、国民食生活をめぐる様々な課題を解決する上で重要な意義を持つという認識の下に責務と記述させていただいているわけでございますが、さらにこれまでの言わば縦割りの体制で推進されている食育につきまして、国、地方あるいは地域を通じ、連携をして推進されることを期待をしているということでございます。
  43. 小野清子

    小野清子君 特に、家庭における食育推進のところには、その十一ページのこの項目の最後に、発育段階に応じた栄養指導その他の家庭における食育推進を支援するために必要な施策を講ずるものとするというと、母親が子供あるいは青年、あるいは御主人たる壮年、あるいは高齢者、それぞれの段階に対していろいろと配慮をしながらやっていかなければなりませんし、食事というものが、成長期のものとそれから働き盛りのものと、それからある程度落ち着いていった段階で、あるいは高齢者の場合にはという具合に正に多岐にわたってくる。そういう意味において、この家庭の果たす役割というのは一番大変じゃないのかなと、そんな思いでおります。  ですから、私はここの辺りが、例えば運動選手でも、瞬発力を使う運動選手と持久力を使う運動選手と、そのやる競技によって全く食事が違ってきますね。それから、シンクロナイズドスイミングというのと同じように美しい新体操、同じように美しく見えても、新体操は二千カロリーは取っていないと思います。シンクロナイズドスイミングになると六千キロ取るんですね。という具合に、その人間の活動においてカロリーの消費というのは物すごい落差があるということをわきまえてやらなきゃなりませんし、それから社会の労働においても、肉体労働をする方と指先だけのインターネット関係をする方では正に違ってこようかと思います。  本当に多岐にわたりましてこの食育という問題を考えたときに、そこまで基本法の皆様方はここに期待をしていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
  44. 西川京子

    衆議院議員(西川京子君) 小野先生、御質問ありがとうございます。  正に、大臣をしていらして、この食育担当をしていらっしゃった先生に私がまたお答えするというのも大変緊張することでございますけど、一生懸命頑張らせていただきます。  今、様々な段階でその家庭役割、大変重要だというお話がありました。私も食育基本家庭だと思っております。その中で、やはり今、先ほど先生がおっしゃいましたように、あらゆる情報が飛び交う中で、それをやはり情報を整理して提供するという、そのことは大変大事なことだと思っております。やはりその辺がなすがままに任せていては、それぞれの判断の基準となるもの、その辺がなかなか個人では整理しにくいこともあるかもしれません。そういう意味で、各省庁ばらばらであった施策等その他をきちんとした、整理したこととして提供する、そのことが今回のこの基本法の一番大事なことだと思っております。  そういう中で、各分野分野ごとに個人がそれを判断していただくということでございますが、もちろん今先生がおっしゃいましたスポーツをしていらっしゃる方々への個別の問題、そういうことも当然この中に含めて私たちは考えていきたいと思っております。
  45. 小野清子

    小野清子君 二十一条の方になりますと、地域においてという言葉が出てまいります。地方公共団体は、地域において、地域においてというと、企業間では一体どういう具合に食に関して活動しているのかというのをちょっと見てみましたら、三割近くの企業が食堂を持っていると。それから、大学の方は、国立大学は一〇〇%食堂を持っております。それから、私学の方が九七、八%ですから、まあ大学関係者はそれなりに、栄養士が必ず付いておりますので、学校食事をする分には大丈夫なような施策が取られているというのを確認をさしていただきました。  そうなってきますと、この近辺ですとよく路上にお弁当屋さんが出ておりますけれども、そういうお弁当を買う方もいらっしゃいますし、またいろいろだと思いますが、成長期子供たちがしっかりした食をしていくという中における学食というものが想像以上にきちんとしているということに安堵の念を持ったわけでございますけれども、そうなってきますと、やはり家庭での食事というもののありようが非常に大きな、何というんですか、責任を持たざるを得ないなということを感じさせていただいたところでございます。  ですから、そういう方々を助ける意味で、今度は二十二条に、食育推進に関する活動にかかわるボランティアが果たしている役割重要性とありますけれども、このボランティアという方々はどういう方々を指してボランティアと言っているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  46. 岡島敦子

    政府参考人(岡島敦子君) 地域方々のうち、現在、約二十二万人の方々食生活改善推進員ということで活動をされています。これらの方々は、生涯を通じた健康づくりの視点から、地域住民のニーズにこたえて適切な食習慣普及定着を目指してボランティア活動に取り組まれています。  具体的には、食事の大切さや親子のコミュニケーションを体験するための親子料理教室、あるいは減塩活動や骨粗鬆症防止のための講習会、介護を行っている家庭におきましてボランティアが食事を支援するために必要な知識を習得するための講習会などを開催しているところでございます。
  47. 小野清子

    小野清子君 講習会やあるいは料理教室等々というんですけど、それから漏れる人たちですね、大方、そういう方々への伝達方法というのは何かお考えになっていらっしゃるところがあるんでしょうか。
  48. 岡島敦子

    政府参考人(岡島敦子君) 積極的にそういう活動に参加されて自ら学ばれる方々、これらの方々に対しましてはボランティア活動などによりまして大きな効果が上がると考えております。  ただ、そうしたことになかなか御関心の示されない方という方々もいらっしゃると思います。そういう方々に対しましては、いろいろな国、県、市町村などの公共的な組織を通じましての各種の啓発、それからまた、そういう学ぶとかあるいは啓発を受けるということではなくて、むしろ日々の食生活の中で適切な食事が取れるような形で取り組むことが必要だと考えておりまして、例えば、むしろ外食とか企業によります取組などをこれから、これまでも進めておりますし、今後とも進めたいというふうに考えております。
  49. 小野清子

    小野清子君 それから、二十四条のところに参りますと食文化継承とございますけれども、ここでは、この食文化継承というのは具体的にどのような取組を想定していらっしゃるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  50. 西川京子

    衆議院議員(西川京子君) 小野先生と先日もヨーロッパの方に御一緒いたしましたが、その折にも痛感いたしました。本当に日本食文化というのがいかに多様で、そしてその内容も複雑、本当に私たち日本人というのは食文化に恵まれている民族だなということを痛感いたしました。あらゆる世界じゅうの食べ物が日本にあります。その中で私たちは日々どれだけその日本の伝統の食というものを考えているか、本当に大事なことだと思います。  そういう中で、実は昭和四十年代ころの家庭で普通に食べられていた食事が、実は日本型の食事と西洋型の食事のいいところをとらえた一番理想的な食事だという評価が近ごろ大変されているわけでございますけど、そういう中で、なかなか今女性の社会進出の中でじっくりと家庭料理を作る母親の数がだんだん減っていく中で、どうやってそれを守っていくか。  私は、やはり各今地方自治体が一番この問題に取り組んでいると思っております。その中で、社会教育関係でのそういう情報発信、そういういろいろ成人学級のような中で参加していただいて、その情報発信をする、いわゆる家庭料理を体験していただく、あるいは地方自治体主催のイベントなどで、例えば郷土の、山形辺りの芋煮会とか、それぞれいろんな方法で今自治体が取り組んでおりますけれど、私たち、やはり女性としても、もちろん固定的役割分担という問題があるかもしれませんが、それはやはり男性ももちろん当然でございますが、食の基本は、やはり私は、人間の最初の食料がお乳であるということを考えて、母親がやはり大きくかかわっていく必要があると思っております。  そういう中で、家庭での親から本人、そして娘へと、そういうことを折に触れてやはりいろいろなところで発信していけたらと思います。
  51. 小野清子

    小野清子君 ありがとうございます。  大体、最初の方からずっと来させていただきました。  二十五条のところに、海外における食品安全性あるいは栄養食習慣食生活に関する情報の収集等ありますけれども、ゴールデンウイークというと何十万の方々海外に出掛け、帰ってくるときに、症状の悪い方はお申し出くださいというのが成田へ着いたときの一つの検問所になっているようですけれども、外国の場合には水道から出るお水は飲んじゃいけないなどということを知らずに出掛ける人も多いわけで、そしてまたいわゆる食文化の違いの中で、日本では何でもないものが向こうでは大変なことであったり、私も今回のヨーロッパに出掛けたときに、デザートにホオズキがありまして、ああかわいいホオズキと思って、飾りでしょうと言ったら、いや、これは食べるんだと言われて食べました。とっても甘くておいしかったんですね、初めてです。日本のホオズキは種を出して音を出すという遊びで私はホオズキとかかわっていましたけれども、肉厚なんですね、食べられておいしいというのを初めて体験しました。  こういういい体験は別にいたしまして、海外へ出掛けていくに当たっても、いわゆる食育というものを知らずに海外に行くことは大変危険な状態であると。それが衛生面の高いところもあればそうでないところもあり、イタリーのオリンピックのときにも、水は絶対飲んじゃいけないという、あのきれいな青空の下で出る水を見て、これがどうして飲んじゃいけないのと飲んで本当におなか壊したのがいるんです。  そのように大変難しい時代が国際交流の中で普通になってきているというところに、改めて食というものを学んでいく上での多岐にわたる分野を思い知らされた感じがいたします。  これもある記事を見たときに、食育は戦いだという言葉を読んだことがございます。食育は戦いだということは、この子をどういう人間に将来するかによってその子の成育というものは食育によるという、要するに、きちんと食べさせて活動させて、活動させることによって発育プラスアルファ発達するわけですから、胸の厚み、幅というのは活動させなければ、体重、身長は伸びますけれども胸幅、厚み、体でいえばエンジン部分ですね、心臓、肺臓、循環器系統は育ちません。  そういう意味におきまして、日本子供たちの現状というのは、東京オリンピックのときに十六個の金メダルを取って、ギリシャのアテネも東京オリンピック以来、十六個のメダルを取って大騒ぎしたんですけれども、二十五個くらい取れる予定が十六個しか取れないということで、私たち選手はひんしゅくを買ったことを記憶しております。それは、最後の最後に来ると体力負けをしたということなんです。  それ以降なんですね、総務省を中心にしながら、総理府の古井さんを中心にしながら、体力づくりという言葉日本の中で言われました。  さて、じゃ日本人は体力が上がったかというと、残念ながら、東京オリンピック以降、一回も体力が上がっていないんです。それに比べまして、身長は、十四歳の男の子で、当時は百五十七センチが、今百六十五センチです、同じ年で。体重は、四十七キロが五十五キロです。体が大きくて重くなって、胸幅、厚みが狭くて、心臓、肺臓が小さければ、大きい車に小さなエンジン乗せているわけですから、これは疲れやすい、くたびれる。ああやって道路にでもぺったんこと座ってしまうというのがこういうことからも理解できると思います。  ですから、私は、食育も大事ですけれども、知育、徳育、体育、食育と、こうであれば、食べることと同時に、将来この子をどういう子供に、どういう人間にし、どういう日本のために必要かということを考えたときに、鉄は熱いうちに打てで、鍛えるときには成長期しかないということですね。成長期にそういう活動をしなければ、胸幅、厚みは絶対大きくならない。だから、私は、受験期でも、お母さん、お茶と下りてきたら、ちょっと走っていらっしゃいと。そうすると、わずか十分走ってくるだけで心肺機能は受験期でも私は発育は可能であると、そういう認識を持っている一人でございます。  そのように、今回、食育の問題がいろいろ取りざたされている中で、食の果たす役割と、知育、徳育、体育のバランスということを考え、そして、それぞれが知識を持って科学的知見に立った中で提唱されていかなければ、単なる食育一つだけでも決して十分ではないということを改めて申し上げたいと思いますし、まだ時間があるんで一言申し上げますけれども、ドイツ人の友達が、小さいときに胃袋を大きくしておかなきゃならないということを、育児、目の前で子供を使って言ったんです。  日本ですと、ばかのおおまぐらいといって大食漢はけなされます。胃袋を大きくしておかなくちゃならないと。それで離乳食をバナナとラスクをつぶして食べさせて、途中からべっとこう出しますと、またぐっとこう入れるんですね。うえっとなったら背中ぽんぽんとたたいてミルク飲ませる、もう見ていて何と残酷なと、そう思いましたときに、小さいときに胃袋を大きくしておかなくちゃならないというのにはもうびっくりいたしました。  そして花嫁の条件が、うちの娘には力があると、こう力こぶを出さすんですね。日本ですと、あんな怖いのもらえないというのが落ちじゃないかと思うんですけれども、考え方が全く違うということです。今回、フィンランドに行ったときにでも、大昔、ロシアとの大戦の中で男性も女性も国のためにともに戦ったから男女共同参画であるという、そこに男女の差がないというほど女性が頑張ったということのお話を聞きました。  いずれにしましても、これからは我々日本はどこへ行くのでも海を越えなきゃならない。そういうときに、時差ぼけをしているようでは会議は終わってしまいます。そういうことを考えたときに、気力、体力、精神力、あらゆるものが培われた子供をつくっていくことがこの食育の私は基本的大事な点ではないかと思うんです。そのように成長期、小学校、中学校、そして幼児期、そういう時期に、どのようにしてこの子供が将来日本のためにどのように活動していくかと夢見ながらやっていかなくちゃならない。  ある友人は、小さな子供を乳母車に乗せながら午前一時間、午後一時間は必ず散歩に連れて行くと。散歩に行くことで、風が吹いていて、雨が降っていて寒いんじゃないかと言ったら、雨が降っているから会社を休むかと言われました。私は、子育てをしたおかげでそういう方々との接触でいろんな質問をし、いろいろ恥をかきました。そのことが、日本は風が吹いたらもう行かない、天気がよろしいとよろしいから行かないと、何か理由を付けて、動的な子供の対応ではなくて、静的な親の対応に子供を任せているところがあると思います。  そういう意味で、子供というのは生活習慣をしっかり、その中に食育も入れて、外遊びをして疲れてきたからしっかり物が食べられて、それが熟睡を促すという、食べる、寝る、排泄する、これのバランスがしっかり取れなければいい子育てもできないということもちびさんを育てるときに私自身が教わったことです。  最後に、これからは、私は結構テレビを見る方なんですけれども、テレビ関係で非常に熱心に食を通したクイズ、あるいは楽しくやりながら問題意識ですね、非常にたくさん流れております。私は、この食育基本法国民運動としていきたいというのであれば、国がひとつ動くということではなくて、マスコミの皆さんも巻き込みながらやっていかなければ、あまねく人たちには絶対に届きようがないと思うんですね。  先ほどもそれぞれ役所の方々から、こういうことをしています、こういうことをしていますといって、ボランティアの方が二十二万いる。じゃ、その方々に会った人がいるかというと、私の周辺はほとんど会っていない。そういう方々にもどうやって目くばせ、目に付くことができるようになるかというのは、やっぱりマスコミの力というものをかりながら、協力し合いながら、日本全体がどこへ行っても体力的に気力的に劣らない、そしてだれにでも愛されるような国民というものに育て上げていかなくちゃならない。  そういう意味におきましては、疲れてめまい、便秘、腰痛などという子供が小学生に一杯いるなどということは、これはもう許し難いことでございますし、また、人は一人ずつ違いますから、体の大きい子も小さい子も給食は同じ量じゃなくて、お代わりはできるということになっているようですけれども、パンとかああいうものは個人で食べたいだけ食べさせるくらいの度量をやっぱり学校給食の方もお持ちをいただきたいと思いますし、あらゆる面においての、今回のこの食育基本法が通った段階におきましてはリーダーシップを発揮していただきまして、国民が総健康長寿社会に向かえるように、おかげさまで日本は平均寿命は一番ですけれども、健康寿命という問題が言われておりまして、平均寿命が八十・九歳、男女合わせてですね、それに対して健康寿命というのが七十四・五歳。この五歳数か月の違いというものが少なくなればなるほど医療費の削減にもプラスになっていくという大きな利点もございます。  そういう意味におきまして、各年代が年代における最もふさわしい食育というものがこの基本法を通じまして皆様に理解され、活用されることを心から願いながら、質問を終わらせていただきます。
  52. 円より子

    ○円より子君 おはようございます。民主党の円より子でございます。  今、小野先生からいろいろお話がありましたけれども、私も国会議員になる前にジャーナリストとして、もう一つ現代家族問題研究所の代表として、様々、全国方々に講演に行ったりいろんなお話をするような、まあ調査もする機会がありまして、そのころ、この飽食の時代に高齢者の男の方々栄養失調で大変だというのを保健婦さんたちから随分地域に行ってお話を聞いたことがありまして、びっくりしたことがあるんですね。高齢者で男の方は特に、子供のときから日本では、うちの父なんかすごく母よりずっと料理が上手で私が小さいころよく作ってくれましたから、もちろん男性全般ではないんですけれども、なかなか調理をするような機会も仕事をする中でなかったこともあるでしょうし、そうしますと、妻が亡くなった後、一人暮らしで、ついつい、今、中食と言われているような、コンビニでおにぎりとかそういうものだけを買って食べていらっしゃるものですから、どうしても栄養が偏ってしまうと。そういうところからくる、それこそ糖尿とか肥満とは違うんですけれども、結構病気も多いんですよというようなことを随分聞いていたこともありますし。  それから、母親としては、子供を育てる中で、ゼロ歳児から保育園に預けて仕事をしてまいりました。そうしますと、例えば、保育園から帰ると、何か人に、だれかにかみ付かれたような跡が、歯形があったりするものですから、どうしたのかと聞きますと、子供は保育園のお友達を悪く言いたくないから何日間かずっと言わないで黙っているんですね。で、その子を責めたり先生に言ったりしないからどうしたのか言ってごらんなさいみたいに言うと、何ちゃんがこのごろ私だけじゃなくていろんな人にかみ付くんだという話。で、お母さんたちとお話、もちろんもう兄弟のようにみんな仲いいですから、いろいろ聞いていると、御両親ともに大変お仕事がお忙しくて、夜遅いお仕事だからどうしても、うちなんかはずうっと小学校のほとんど三、四年生まで八時には寝る、こちらは一時、二時まで仕事していますから朝六時に起きられると結構親としてはきついんですけれども、どうしてもお父さん、お母さんに会いたいから子供が十一時まで保育園の二歳とか三歳で起きている。そうすると、睡眠不足と、まあ食生活もあるでしょうね、どうしてもいらいらしてしまう。  やっぱり子供には、早く寝て早く起きる、それから食事もちゃんとある程度きちんとしたものを食べさせるということがもう重要だということはほとんどの、母親だけじゃなくて親というのは分かっているわけですけれども、今の社会というのは大変不規則な勤務形態も多いですし、それから通勤事情も悪くなって職住近接という状況ではありませんし、本当に、保育園に送り出すときも、朝、お母さんたちは、お父さんがちゃんと手伝ってくれればいいけれども、もう慌てふためいて、早くしなさいと言って保育園に連れていかなきゃいけないような状況だったり、母親だけにいろいろ責任を負わせるのは大変酷だと私は思うんですが。でも、やっぱり子供を何とかきちんと育てていきたいという思いは親にはみんなあるわけで。  そういう様々な状況から、私も何十年来、食というのはとっても大事だと。このところ百升計算の陰山先生という方が随分話題になっていますが、彼も、子供基本は早く寝て早く起きて、そしてちゃんと食べていれば学力も上がるよとおっしゃっていて、ああ、私が二十年、三十年前からあちらこちら講演で言っていたのと同じだわなんて思ったりもしたんですけれども。  そんな点から、今度の食育基本法というのは食というものに焦点を当てられて大変私はいいことだと、もちろんそういう点では思っております。ただ、幾つかやっぱり疑問に思うこともございまして、その点を、その辺を確かめさせていただきながら質問をさせていただきたいと思っております。  まず、これはいろいろな、もちろん目的というのが、「子どもたちが豊かな人間性をはぐくみ、生きる力を身に付けていくためには、何よりも「食」が重要である。」というようなことが書かれ、子供たちに対する食育は、食育はあらゆる世代の国民に、先ほど申しましたように高齢者にとっても生活習慣病に悩む方々にとっても、また、とにかくやせたいということでダイエットに走る人たちにとっても、あらゆる世代の国民に必要なものでありますけれども、特に、「子どもたちに対する食育は、心身の成長及び人格の形成に大きな影響を及ぼし、生涯にわたって健全な心と体を培い豊かな人間性をはぐくんでいく基礎となる」というふうに書かれていますから、まあこの辺が究極の目的なのかなというふうにも思うんですが。また、味覚なんというのは、胎児のときから、またそれから乳幼児のときが一番大事だともよく言われますし、あんまり大きくなってからやっても身に付かないということもございますけれども。  そうしますと、こういうことを目的にして、何をこの基本法では課されているのか、一番重点は何なのかということをお聞きしたいんですね。  例えば、十三条では国民の責務と書かれています。九条では国の責任、十条では地方公共団体の責務というふうになっていますが、この基本法を作って、どこに重点を置いて食育の大切さを分からせるという、まあ理解してもらうというだけではなくて、全国民に、どうしていこうという、どこを何をすれば、これが、目的が達すことができると、どこに重点を置いていらっしゃるんでしょうか。
  53. 小坂憲次

    衆議院議員小坂憲次君) ただいま円先生のお考えをお聞きしながら、円先生自身が講演者として、また家族問題に取り組む中で体験をされたこと、また子育ての中で実感をしていらっしゃり、またそれを多くの方に伝えたいと思っていらっしゃったこと、実感を持って受け止めさしていただきました。  そういう話を聞く中で、確かに、先生が御賛同いただいているように、食の問題というもの、これは人間が育つ上での最も基本的な行為でございますから、私ども基本法を作って何を重点にこれを推進しようというようなことを一々言うことはないという御指摘もありました。しかしながら、今先生は御理解をいただいているようでございますが、食をめぐる多くの問題を解決するためには、食育に関する施策は総合的かつ計画的に行われなきゃならない。食育は、御指摘のように、多面かつ多様な場で行われるものでありますから、様々な目的がございまして、この法律の中にも、読んでいただいて、一体どこにその重点があるんだろうと思われるのも無理からぬところでございます。多様な考え方がありますので、国民一人一人それぞれ異なる受け止め方をされるかもしれません。  私はこの中で、提案者の一人として、それぞれの、条文でいえば、国や地方公共団体や学校や、それぞれの場において責任を持って推進していただくということで、その条文一つ一つにみんなの考えを合わせて書き込んでいるわけでございますが、私としては、自分が農業地域から出ていることもありまして、例えば第三条の食に対する感謝の心といいますか、この感謝、自然の恵みだということを体感していただく。そしてその感謝の心を心の中に芽生えさせるということが人間形成においても大変重要なことだなと思って、そういった面を伝えたいなと思ったり、あるいは第七条にありますように、消費者生産者、都市と農村の交流、対流というものを通じて、自分たちが毎日口にしているものがどのようにして作られ、そしてまたそれがどのような種類、安全性においても、あるいは味においても、あるいは栄養価においてもいろいろの違いがあるんだという認識を持っていただくことによって、農業者が心を込めて作っているものを受け止めていただける、そういう環境づくりにも役立つし、そういった意味で、話が長くなってしまいますが、それぞれの方がそれぞれの思いでこの法律を見ていただくと思います。  私は、どこが重点かと言われれば、今申し上げたような点に私自身は期待を持っておりますが、条文のすべてが重要なポイントであるというふうに思って読んでいただきたい。  また、先生の御指摘部分、それは先生にとって大変重要なもので、私どもにも共通なものでございます。どうぞよろしく御理解、御推進のほど、お願いいたします。
  54. 円より子

    ○円より子君 基本法ですから、まあ期待して、いろいろこうやってくださいよという感じは分かるんですが、例えば農水省には消費安全局というのが新たにできましたけれども、ここにはほとんど、国際的にはFAOとか、専門官、かなり食品安全の研究者が多いんですけれども、残念ながら農水省には、食品安全行政で専門家が担うのが当然なのにほとんど人材がいないということですとか、それから例えば輸入品の検疫所などでも人が不足しておりまして、もう制度疲労を起こしておりますとか、私は、基本法も大事なんですけれども、今までの行政の中で、国も、それから地方ですと例えば地方自治体は保健所などがそうですが、添加物の製造施設を調べるのは年六回が目標なんですけれども、ほとんどの自治体は一回程度しか行われていませんし、衛生面だけだったりするわけですね。  こういった基本法を作られた中には、国の責務、地方団体の責務書かれていますが、今までの国の在り方、それから行政の在り方、地方の、それをもういいと追認なさっているのか。もっと個別にきちんと私はそういうことこそやらなければいけないことではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  55. 宮腰光寛

    衆議院議員(宮腰光寛君) 国民が食に関する基本知識を持ちながら、自らが適切に食を選択して健全な食生活を実践するということが大切でありまして、現在も食品行政におきまして、食品安全委員会の設置、表示制度の改善等、消費者の選択に必要な環境整備に努めているというふうに思っております。  国そのものの責務ということで、例えばこの食育の重要な部分であります安全の確保ということについて、今まで何をやってきたのかというお話でございました。一昨年になるかと思いますが、食糧庁を廃止をいたしました。そのうちの半分程度の職員を食の安全の業務に回したわけであります。もちろん、食糧事務所を廃止をいたしまして農政事務所という形にいたしましたけれども、本省におきましてでも、農林水産省におきましてでも出先機関におきましてでも、この食糧庁、戦後の食糧政策あるいは食糧事務を一手に行ってきた伝統ある役所、出先でありますが、これを廃止をしてまで食品安全の部分に人を割いたと。  それは、具体的にどこまで増えているのかということについては、私は詳しい数字は分かりませんけれども、専門的な知識、経験を有する検疫官などということにつきましては、それは急にそんなに確保ができないと。あるいは検疫官、数だけ増やしても、現場で第一線で働く若い四十歳程度までが目利きが利くと、目が利くと。ぱっと、輸入食品のレタスなどをぱっと開けたときに虫がいるかいないか一瞬でこの判別をするというためには、年配になるとちょっとやっぱりそこまではできないということでありますが、現場で働く検疫官をどれだけ確保できたか。もちろん増やしてはおるんですけれども、これは専門的な知識を有することが必要であるというケースもありますから、これは徐々に増やしていくしかないんだろうと思いますが、そのほかで、一般的に食品の安全の業務、チェックですとかいろんなところで、全国地域においてそれに従事する職員の数は間違いなくこれは増えてきているというふうに思っております。  以上です。
  56. 円より子

    ○円より子君 食に関して信頼できる情報に基づく適切な判断を行う能力を身に付けることというのが国民一人一人に課されているんですけれども、これ国民の責務のところですね、これ、どういうことを国民の責務というふうに考えていらっしゃるんでしょうか。
  57. 宮腰光寛

    衆議院議員(宮腰光寛君) 今の、これ十三条ではなくて別の条文のところですね。
  58. 円より子

    ○円より子君 例えば五条ですね、子供食育における保護者教育関係者等の役割、ここで子供のが書いてあります、保護者が書いてございますよね。それから、十三条は国民の責務。どういうことを国民の責務と具体的に考えていらっしゃるのかということです、保護者の責務と。
  59. 宮腰光寛

    衆議院議員(宮腰光寛君) 五条につきましては、保護者及び教育関係者等の役割、これは先ほどの小野先生の御質問等にもありましたけれども、まず一番大切なのは家庭であると、そしてまた、言わば成長段階にあるときにしっかりと自ら食を選ぶ能力を身に付けさせるために教育関係者が努力をするというのが大切であるというお話もありました。  十三条につきましては、規則的で健全な食生活による人間活力の向上生活習慣病の減少、適切な判断力を有する賢い消費者、伝統的食文化継承等食育推進国民の自発的運動として展開されるべきであるということで十三条を規定をさせていただいたわけであります。その場合におきまして、本法案では、国民の自発性を尊重いたしまして「努めるものとする。」と規定をいたしておりますので、努力義務というふうにさせていただいております。  当然のこととして、食が個人の選択によるべきものであるということは申し上げるまでもないと思っておりますけれども、先ほど来言われております、近年の食をめぐる環境変化の中でいろんな看過できない問題が多く出てきているわけでありまして、国民が心身の健康を増進する健全な食生活を実践していくためには、食の在り方を自ら学ぶということが大切だというふうに思っております。  そういう意味におきまして、十三条において国民の責務ということで、努力義務という形ではありますけれども規定をさせていただいております。とにかく、食育関係する施策というのは、個人の食に関する選択を尊重しつつ努めるべきであると、努力義務として推進されるものであるというふうに考えております。
  60. 円より子

    ○円より子君 例えば、大人でしたらそれほど食品添加物とか、先ほど小野先生質問なさっていましたが、食品安全性というものより、どちらかというと、今はもうテレビもグルメ番組ばっかりですし、どこでもおいしさとか豊かさとか、そちらばっかり追求しているような状況の中で、まあ大人はどうでもいいかなという気もしないではないんですが、子供にとってはやっぱり安全というのは大変重要でございまして、やはり妊娠などするとどれを食べていいかとても悩むんですね。  つわりのときなんて、かんきつ類すごく食べたくなるんですけれども、そのかんきつ類にはアメリカのジフェニルという防カビ剤として使用されている農薬が残留しております。今ちょっと、厚生省ですよね、これは、お聞きしたいんですが、まだこのジフェニルというのは使用されたままのものが輸入をされているんでしょうか。農水省でしょうか、どちらか。
  61. 外口崇

    政府参考人外口崇君) 輸入されるかんきつ類につきましては、確かに防カビ剤ですか、防ばい剤とも言いますけれども、それが使われております。ただ、この防ばい剤、これは食品添加物として指定しておりますけれども、これにつきましては、人の健康を損なうおそれがないものとして厚生労働大臣が定める場合を除いては、原則としてそれは禁止されているわけでございます。  御指摘のかんきつ類に用いられる防ばい剤等についても、その指定に当たっては、当時、食品衛生調査会において適切なリスク評価をして決めたものでございます。これらの品目については、国際的な専門家会議においても一日摂取許容量が設定されており、その安全性には一定の評価がなされているものと考えております。  それから、かんきつ類のときによく言われるんですけれども、皮が危ないんじゃないかと、こういうことも言われます。ただ、その皮も含めて安全性を評価しておりますので、その辺も含めて、今出回っているものについてはこれはきちっとチェックされているということで御理解いただきたいと思います。
  62. 円より子

    ○円より子君 それは大人ではなくて胎児とか乳児にも影響がないということが、ちゃんと基準を出されていますか。
  63. 外口崇

    政府参考人外口崇君) 食品添加物全体にわたることかもしれませんけれども、確かに指定のときに、大人と子供では違うじゃないか、例えば摂取量をキログラム当たりどのぐらいかというときに、乳幼児の場合はキログラム当たりの摂取量でいえばどうしても多くなるわけですよね、計算すれば。それから、乳幼児の場合だったらば大人と違った反応が出るじゃないかと、そういったことも指摘があるわけでございます。  食品添加物の指定に当たっては、これは動物を用いた毒性試験が中心になるわけでございますけれども、人が一生涯にわたり摂食したとしても健康の確保に支障のない一日摂取許容量を設定しているわけでございます。  特に、乳幼児の影響については、親、子、孫の複数世代にわたって当該添加物の摂取の影響を見る繁殖試験とか、それから催奇形性試験を実施して、これらの試験においても何らの毒性影響を及ぼさない量が許容量の基礎になっているわけでございます。  さらに、その許容量の設定に当たっては、安全係数、これは通常は百分の一を掛けるんですけれども、これを掛けております。それは、実験動物と人では状況が違うだろうと、それから人でも、御指摘のように、個人差とか、それから大人と子供の違いだとか、そういった差があるだろうということで安全係数を掛けております。  このようなことから、この許容量について、乳幼児を含め、すべての人に安全な基準とすることができるという国際的にもコンセンサスの得られた考え方に基づいて設定しているわけでございます。  それからさらに、添加物の安全性の担保の一環として、実際に、じゃ、どのぐらいの添加物を摂取しているのかについても、これをマーケットバスケット調査というものを行って確認して実施しているわけでございますけれども、これも添加物の一日摂取量調査においては、幼児等についても、これは分けて計算をして許容量の範囲内であるということを確認するということを行っておりますので、御指摘の乳幼児のと、確かにこれはいろいろ御指摘を受けておりますので、またいろんな科学技術の進歩に合わせて我々の方も安全性確保、それからその御理解を深めるための努力を進めていきたいと考えております。
  64. 円より子

    ○円より子君 食品添加物の指定を受けて、後に発がん性が明らかになって使用禁止になったものもございますし、それから、天然だからといっていいと言われながら、何の安全基準も審査をせずに、最初指定したまま、今必死になってこれはどうだろうといって調べているものもございまして、そういう状況がありますと、また昔でしたら本当にそんなに添加物使われておりませんでしたから私たちも安心だったんですけれども、今もうどの加工品も、冷凍品も、それからごく普通に使う、今言ったようなかんきつ類などにしても、むけば真っ白になってしまう。ああいうものは、やっぱり大丈夫だと言われたって、昔は真っ白にならなかった、手がですね、そういうミカンをむいていたらやっぱり気持ち悪いですね。  そうしますと、妊娠中にそういうものはやっぱり食べたくない。どういう影響があるか分からないというふうに心配になるのは当然でして、親というのはみんな子供の発育のために、健康のために、こういう基本法で何とかしなさいよと、責務ですよと言われなくたって、私は考えていると思うんです。  ところが、じゃ、どれを食べたらいいのか、この食べ物は安心なのかというときに、その情報が至って少ない。このことが大変私は問題だろうと思いまして、こういう基本法を作られた先生方はこの辺りをどうすべきだと思っていらっしゃるのか、提案者からお答えをいただきたいと思います。
  65. 後藤田正純

    衆議院議員後藤田正純君) 円先生の御指摘、正にそのとおりでございまして、情報提供が、いわゆる出す側も聞く側も、これは一番重要なポイントの一つだと思っております。  特に、先生、添加物についての御見識が大変高いわけでございますが、私も数年前、個別に関心を持ちました案件で、一時、塩のフェロシアン化合物の青島産の塩が輸入されていまして、それを厚生労働省政府が禁止をいたしました。それはやはり日本の厳しい当時は基準によって禁止をされたわけでございますが、実はそれは海外では了解されているものなんですね、添加物が含まれた塩というのは。  ということになりますと、日本が輸入しているチーズだとか魚だとかいろんなものは、微量にでもその海外の添加物入りの塩は使われているということでございまして、ということになりますと、輸入しているものがすべて駄目だということになりかねない事態が実は数年前ありました。私も直接官邸に行っていろいろ話をしたことがあります。細かい話は厚生省からこの後、聞いていただいても結構なんではございますけれども。  そのときに、やはりコーデックスという、いわゆる今の情報の中でいうと国際的な情報交換の中で、国際的にもサイエンティフィックに客観性を持って安全だと認められるということで、数か月でそれは認めると。厚生労働大臣も、当時坂口大臣大変お悩みになったわけでございますけれども、そういう点におきましては、きちんとした客観性に基づいて世界情報世界の基準と整合性に基づいてそれを認めたという経緯がございます。  科学的なことにつきましては、今厚生労働省さんからもお話ありましたが、食品衛生法、これは昭和二十二年にできておりますですね、それとあと、食品安全基本法につきましては平成十五年につきまして、添加物については各規定がございます。  しかしながら、今先生がおっしゃられたように、こういう規定がありながらもいろんな間違いがあったり、先ほど人員の問題おっしゃっていて、正に私もそのとおりだと思っておりまして、これも数年前、遺伝子組換えのコーデックスの分科会が日本で初めて議長国として開かれたときがございました。今現にコーデックス委員会世界のコーデックスの副会長をやっているのが日本人なんですね。吉倉先生といいまして、国立感染研究所の所長も当時やられていた方で、その方が数年、五年前ぐらいですかね、日本で初めて議長国の遺伝子組換えの分科会、これは科学者が集まっている会でございます。  そのときに、数年間その研究をしていても、その会長以外に、議長、その吉倉先生以外に最初の経緯を知っている役所の人間がいないという全くばかげた話がございまして、きちんとそこら辺の担当者を、もう数年で替わるとかそういうことではなくて、きちんとした情報管理の下にきちんとした科学的な修練を積んでいただいた方に継続的にやっていただくということが必要だと、そのように思っております。  それゆえに、今回、基本法という形で大きな枠で抱えまして、これから役所も、人員についても予算要望についても、この基本法を根拠に財政当局にいろんな要望をしていっていただきたいというふうに思いますし、国内外の情報交換につきまして、これからも積極的にやっていただくということが大変重要だということがこの食育基本法の最大のポイントの一つだと認識しております。
  66. 円より子

    ○円より子君 私は、やっぱり国際的な基準というのもありますけれども、例えば、WTOの食品添加物の規格や基準というのは多くの国が合意できるようにかなり基準が甘くなっておりますし、それから、先ほどのジフェニルにしても、米国の圧力によって食品添加物に加えられた形になっておりますし、今おっしゃったフェロシアン化ナトリウムの場合は、それを使った輸入食品は今も輸入禁止や回収の行政措置はないわけですし、もちろん、もう一つ一つやっていけば切りがないことはありますが。  それからまた、安全基準も、単体でしか使用の、どうなのかというのは見ていないんですね。一日大体どのくらいの数の食品添加物私たち取っているか、皆様御存じでしょうか。八十から百ぐらい取っているわけです。  そうしますと、単体で幾ら今、先ほども、私が質問通告でかなりいろいろなことを言っていたので全部答弁なさっていましたけれども、確かに、それは一生懸命食品安全委員会やいろんなところではやっていらっしゃるでしょうけれども、こんなに食品添加物や残留農薬や、そういう様々なものを使うということ自体を減らしていくような、そういうものが、皆様がおっしゃるようなフードマイレージを小さくしていく、地産地消にもつながる。そうすれば、余りそういうものを使わないで済むわけですよね。そういう点について、どうお考えでしょうか。
  67. 後藤田正純

    衆議院議員後藤田正純君) 先生、正におっしゃったとおりで、先生も講演活動でいろいろ二十年、三十年やられてきたけれども、また同じような内容がどなたかからメディアでお話があったというような話あったとおり、やはりこの今の添加物の問題だとか残留農薬の問題は、やっていたようで、やはり双方の生産者側又は輸入・流通業者含めて、また国、地方公共団体も含めて、消費者も、もう一回改めてこういった問題に取り組んでいかなくてはいけないということでございまして、この基本法を是非とも御了解、御認識をいただいて、その後に是非また先生個別法並びにいろんな制度改正又は予算措置、これについて是非お力を党派を超えてお願いをしたいというふうに思っております。よろしくお願いいたします。
  68. 円より子

    ○円より子君 食品関連事業者等の責務というのもありますよね、第十二条で。これは、食育推進に自ら努めるとともにというようなことよりも、本当にそういう食品関連事業者こそ食の安全というものをきちんとしなきゃいけない。そういうことをもう少し義務とかでうたえなかったんですか。
  69. 後藤田正純

    衆議院議員後藤田正純君) 具体的な中身については、先ほど来お答えしておりますとおり基本法ということでございますので、これからその具体的な内容についてまた先生にいろいろ御指導いただきながらやっていきたいと思っておりますが、我々としては、特に事業者に対して情報提供するということ並びに国や地方公共団体が行う一般市民向けの情報提供活動への協力、そしてまた参画などについては積極的に事業者に対してそういうことをしていくよう求めていきたいと思っております。
  70. 円より子

    ○円より子君 食品添加物に、何というんですか、認可を、指定を受けるときに大変なコストが掛かると聞いております。一つの事業所で何か一つ添加物をこれを指定してほしいという、もちろんちゃんと研究もして安全もあれなんでしょうけれども、一億円ぐらい掛かるなんというのですと、零細企業、中小企業にとっては大変なことですから、そういうこともあって、例えば、二〇〇二年ですから三年前ですけれども、ダスキンが経営しているミスタードーナツの事件がございましたね。あのときは、肉まんに酸化防止剤、TBHQが含まれていたことが分かり、その口止め料をダスキン側が取引業者に三千三百万円支払ったという事件でございました。それから、一月後に、同じ年の、食品香料専門メーカーの協和香料化学というのが、ここもまたアセトアルデヒドとかヒマシ油など使って刑事告発されたんですが、どちらも指定されてない無認可のものだったわけですね。  こういうものが使われているということは、香料なんというのは本当に家庭の中にかなり入っておりますし、それから肉まんとかそういった様々な、中食と言われる、私たちやっぱり忙しい生活にだんだんなっていますから、スローライフ、スローフードがいいと分かっていてもなかなかそういうことできないわけですから、やっぱりデパ地下でちょっと買って帰る、それに手作りのものと加えて何とかというような方も多いと思うんですけれども、そういうものにそうした無認可のものが入っているなんというと大変恐ろしいわけですね。  そうしますと、外食それから中食、こういうものに対しては、生産地がどこであるとか生産者がとか、どういうものが使われているとか、ほとんど何か書かれていないのが現状ではないかと。私は、食品関連事業に対する責務であればそういうものをきちんとやるべきではないかと思うのですが、提案者の御意見を伺いたいと思います。
  71. 後藤田正純

    衆議院議員後藤田正純君) 先生おっしゃるとおりでございまして、今の先生の挙げられた例につきましてはこれは論外でございまして、無認可であればこれはきちんと先ほど申し上げた法律に基づいて罰せられるということが当然のことでございます。  そして、中食、外食というのは、これは男女共同参画又は家庭のいろんな御事情があったりして、そういうものを利用する方が増えているというのは、これに対しては人権であり生活権でございますのでなかなか否定はしていくことはできませんが、そういう方々に対してやはりきちんとした商品を提供するように、これからこの法律に基づいて、また個別法で不足があればそれを補っていきたいというふうに思っておりますので、その点もまた御協力をいただきたいと思っております。
  72. 円より子

    ○円より子君 中食、外食に関連して、子供たちの健康という点で給食についてもちょっとお聞きしたいんですけれども、まず給食の自校式とそれからセンター方式というのがあるんですが、私もまだ子供がいなかったころから、センター方式なんというのは、子供の一日三食のうちの一食って大変重要ですから、これがセンター方式になることに随分反対した者の一人なんですけれども、センター方式の給食というのは、冷凍品や加工品が使われているんでしょうか。
  73. 西阪昇

    政府参考人西阪昇君) いわゆるセンター方式、共同調理方式、あるいは自校方式、単独調理方式、学校給食の調理方式としてはございますが、それぞれどういう食品、食材を使うかというのは、それぞれの学校あるいは調理の方で検討して判断していることでございますので、調理方式と関係しているものではございません。
  74. 円より子

    ○円より子君 どういうものが使われているかというのは、じゃ把握していらっしゃらないということですね。
  75. 西阪昇

    政府参考人西阪昇君) お答えいたします。  学校給食におきまして先生指摘のように使用する食品安全性配慮するということは、児童生徒の健康のために大変重要であると考えております。  このため、文部科学省におきましては、平成九年に策定をいたしました学校給食衛生管理の基準の中で、食品の選定に当たりましては、過度に加工したものは避け、鮮度の良い衛生的なものを選択するよう常に配慮し、特に、有害なもの又はその疑いのあるものは避けるよう留意することと。さらに、有害な食品添加物はもとより、不必要な食品添加物が添加された食品内容表示、製造業者等が明らかでない食品等については使用しないようにすることということを定め、都道府県教育委員会等に指導してきたところでございまして、私どもといたしましては、それぞれの学校の設置者でこの指導に沿って適切に食材、食品の判断がなされているというふうに思っております。
  76. 円より子

    ○円より子君 さっきから特に有害なものは使わない、当たり前のことだと思うんですが、冷凍品を使っていらっしゃるかと、ハンバーグとかコロッケとか、お答えがなかったように思うんですが。
  77. 西阪昇

    政府参考人西阪昇君) 網羅的にと申しますか、全国学校給食のすべての食材関係の調べたことはございます。統計的に調査したことはございませんが、幾つかのところに聞いてみましたところ、調理加工食品といっても範囲が広うございますが、ハンバーグなどの冷凍食品やシューマイなどのレトルト食品の使用状況につきまして幾つかの教育委員会に照会をいたしましたところ、二回、約二回の給食で一品くらい平均したら使っているというのを聞いたところでございます。
  78. 円より子

    ○円より子君 質疑通告のとき等にお聞きしましたら、当然、給食センターでは二千食とか三千食とか作っていますから手作りなんかできませんというお答えでございました。  母親としましては、家で私なんかハンバーグや、私、別に料理好きではなかったですけれども、でも、子供のためには、例えばハンバーグだって、肉のハンバーグじゃなくて、イワシをつぶしてイワシのハンバーグを子供とゴボウを入れて作るとか、そういうのは子供大好きなんですよ、一緒に作ることは。そういうのを作って、冷凍食品のコロッケだとかハンバーグなんて家で使ったことがないわけで、まあ大人になったら別ですけれども子供の小さいころ、発育期にそんなものは絶対使わないのが、学校の給食でこういうものがもうぼんぼん使われている。そもそも、それはセンター方式だったらしようがないんです。私は、自校方式に切り替えていくべきだと、スローフードとかが大事だったら、と思っております。  そういうことの一番の根本をなしにして、子供の健康、食育が大事だというのは、私たち、国の責務どころか政治家の責務として物すごく責任をないがしろにしているとしか思えないんですね。いかがですか。
  79. 西川京子

    衆議院議員(西川京子君) 円先生のお考え、大変共感するところがあります。  今、様々な国の財政状況あるいはそういう問題の中で、どうしても合理的なセンター方式の方が多くなっているという現実はあると思います。私自身、個人としては、自校方式の方がこの食育理念にはかなっているんではないかと私自身は思っております。  そういう中で、少しでもそういう方向にということで、例えば給食の中に地産地消の、地域の食材をなるべく使うようにという、そういう指導の方向性なども出しております。毎年少しずつですが、そのパーセンテージも上がっております。  そういう中で、これから、先生のおっしゃったこと、よく参考にさせていただきまして、少しでもそういう、この私たちの食育を作った本当の理念にかなうように、実はやはり家庭で親が作った料理が子供にとっては心にも、すべての栄養になるんではないかという気持ちは、私個人は大変持っておりますので、そういうものに、学校給食という中に合理的なことばかりではなくて、やはりそういう理念をきちんと入れていく学校給食という問題を考えていきたいと、そういうふうに私個人は思っております。
  80. 円より子

    ○円より子君 文部科学省にお聞きしますけれども、今、自校方式減っているんですよ、小中全体で、ほんの少しずつですけれどもね。給食センター方式の方が増えております、この間、昨日資料もらいましたけれども。  そういう子供たちの命、安全、それから健康、体力、いろいろ考えましたら、私は自校方式に戻すべきだと思います。それから、二百億が三十億に予算も激減した。これは地方にもちろん出したことがありますけれども、その辺がきちんと守られているのかということも含めて。  また、自校方式の良さは、そういう命や安全だけじゃなくて、その場で学校栄養士さんや給食を作ってくださる方々との対話もありますし、一緒にその作るところを見ることもできるわけです。一々親子調理教室を外でしなくたって、学校でそういうことだって家庭科以外にできるわけですね。なぜそういうことを、ただ効率のためにえさみたいな給食を渡さなきゃいけないのか。  うちの子供の場合は、区立でしたけれども、本当に恵まれた学校で、私、お昼食べに行きたいわと言ったぐらい、いろんな御飯があって、とてもいい手作りを作られて、添加物といいますか、加工品一切使っておりませんでしたしね。それを見ながら、私たちも、こういうちゃんと給食食べているんだったら、家でもきちんとしたのを一緒に作ろうという形になっていくわけですよ。  文部科学省、ちゃんとこのことやってくださいませんか。
  81. 西阪昇

    政府参考人西阪昇君) 先生指摘いただきました共同調理方式は、現在五五%ということでございまして、昭和六十年の通知のときには五二%ということでございましたので、若干共同調理方式が増えているという状況でございます。  学校給食の実施、どのような調理方式を取るかということにつきましては、単独調理方式、共同調理方式、それぞれメリット、デメリットが、それぞれの地域の、学校の置かれている状況にもよりましてあろうかと思っております。  私どもといたしましては、この実施方法につきましては地域内の学校の立地状況、児童生徒の状況、各自治体の行財政の現状等様々なことに配慮しつつ、各学校地域の実情に応じて各学校の設置者が適切に判断されているというふうに思っております。  なお、先生指摘のように、学校給食は大変子供食育ということに重要な意義を有しているというふうに思っておりまして、私ども学校給食学校教育活動の一環として児童生徒にとって安全でまたおいしく、楽しい学校給食が実施されるという、その推進に今後とも努力していきたいというふうに考えております。
  82. 円より子

    ○円より子君 本当に何か、答弁がどこに焦点があるのか分からないような感じで、やるのかやらないのかはっきりしませんが、まあ官僚の方はそういうこと言えませんから、やっぱりこれは政治主導でしっかりやらなきゃいけないと私は思います。  そもそも、社会保障の関係でも、高齢者とかそういう方たちには七〇%の予算が付いていますが、子供にはたった四%です。これを今見直そうという機運もありますけれども、少子化で大変だといいながら、子供にちっとも予算が付いていない。子供を全然大事にしていない国なんです、この国は。厚生省の予算だけではありません。今の文部科学省のを聞いていたって、給食は大事だなんて言ったって口先だけで、何にもやっていないわけですよ。  是非、これは与野党超えて超党派で給食を自校方式に戻し、子供たち食育をきちんとやっていかなきゃいけないと思っておりますので、この辺はしっかりやらせていただきたいと思っております。  それで、子供たちは今、将来何になりたいかというのは、残念ながら政治家とかないんですよね。女の子のなりたいもののトップ、御存じですか。御存じでしょうか。どなたか御存じだったら、御存じなければ、食育基本法をお作りになる方々ですから御存じかとばっかり思っておりました。八年連続、食べ物屋さんになりたい、これがトップでございます。  ということは、いかに給食が貧しくても、周りじゅうに今本当に食料といいますか食べ物、豊かになってきているということですし、テレビでも何でも、さっきも言いましたが、まあグルメ番組、温泉番組ばっかりで、余り賢くならないんじゃないかなという気がしないではないですけれども、でも、それも人々が疲れ過ぎているから、ぼうっとして、余り考えないで済むテレビ番組がはやるのかな。また、テレビをつくるところも予算が減っておりまして、あれはとても予算少なくてつくれる番組なもんですから、レストランとか温泉旅館とか、みんなただで使わせてもらってつくれるものですから、そういういろんなコストの問題や裏事情はたくさんあるとしても、でも、それが一つ子供たちに、食べ物に大変興味を持っているということは、まあ私はいいことだと思っているんですね。その興味が食の安全とか健康とか、そういうことに向けていけるチャンスではないかと思っておりまして、今、そういう意味で子供たちのあれが大事なんですが、そこでひとつ、ワーク・ライフ・バランスみたいな観点からお話をちょっと、質問をさせていただきたいんです。  まず、先ほど言いましたようにいろんなところで、各国の父親、母親、家族そろって食事をしているかというのを随分前から、延々三十年来調べておりますと、日本はやっぱり一番少ないんですね。それは、一つは子育て期のお父さんの一週間の労働時間が六十時間を超えるなんという人がたくさんいるわけです。それから、通勤時間に時間が掛かる。夜九時以降帰る人がとても多い。とてもじゃないけど、子供と一緒に御飯食べるような時間がないんですね。  孤食が問題だといいますけれども、私は、家庭の責任だけではなくて、これは企業、それから働き方、もう社会全体の責任だと思うんですが、少子化の中でこうした家族の団らん、食事を一緒にする。それだけじゃないんです。お手伝いをして一緒に料理をする、食器を洗う、後片付けをするというのも日本は一番少ないんです。だれがしているか。母親がトップ、もう母親だけなんです。欧米諸国は父親もやっている。子供も、東南アジアなんかは子供もやっている。ところが、今は子供にお手伝いをさせていないんです。  私、やっぱり一緒に作って、一緒に食べて、後片付けも一緒にすることが、それは女だから、男だから何かしなきゃいけないとか、そういうことではなくて、やっぱりそうやってやることがその子の体調、夫の体調、妻の体調、それから何か今日は不機嫌だと、朝は機嫌良かったのに、何かあったのかしらという。家族、わざわざ、はい会話しましょうなんてできないけれども、そういうことを、共同の作業をすることによって家族の体調まで分かってくるという、大事だからと言ったりして話しますと、あるところで、これ全国なんですけれども。円さん、うちの夫が二十代は一緒にやってくれましたと、三十代にもなってくると会社が忙しくてもう全然そんなことできません、企業に何とか言ってください、ワーク・ライフ・バランスができるような国の行政つくってください。それから、もっと面白かったのは、円さん、うちの家は台所が狭くてみんなで一緒に後片付けできるようなスペースがありません。住宅事情まで食育には関連するんです。  こうした、厚生省の方にお聞きしたいんですが、少しは子供たちと一緒に、家族が一緒に食事が食べられるような、そうした少子化の面での何か対策、やっていらっしゃるんでしょうか。
  83. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 先生指摘のとおり、家庭での食育推進、運営する上からも、仕事と家庭生活とが両立できる社会を実現することが大変重大な課題であるというふうに認識をいたしております。  こうした観点から、昨年末に策定をいたしました子ども・子育て応援プランにおきましては、仕事と家庭の両立支援と働き方の見直しということを大変重点課題として掲げているところでございます。  具体的な内容でございますけれども、まず第一には、育児・介護休業法の着実な施行を図りまして、育児休業の取得や子育て期間中の短時間勤務、あるいは残業をさせない制度などの普及を一層促進をしていきたいというふうに考えております。  それからまた、次世代育成支援対策法という法律がございまして、この法律に基づいて企業は行動計画を作っていただくことになっておりますが、こうした法に基づいて企業の行動計画の策定と実施を強力に促していきたいというふうに考えております。また、いわゆるファミリーフレンドリー企業の一層の普及促進に努めてまいります。  さらに、労働時間の短縮という観点につきましては、時短促進法につきまして、個々の労働者の生活などに配慮した労働時間の設定を促進するものへと見直す関係の法律案を今国会に提出をさせていただいているところでございます。  こうした取組によりまして、引き続き仕事と家庭との両立を図りやすい環境の整備に努めてまいりたいと考えております。
  84. 円より子

    ○円より子君 もう一つ、食習慣の悪化ということもあるんですが、生活習慣病等を予防することも必要だと、もちろん医療の面からもそうなんですが、医療費の面からも。こういう食育基本法がつくられたからといって、生活習慣病はやっぱり治るとも思えないんですね。  生活習慣病の原因って、肥満、野菜不足、塩分の取り過ぎですが、大人の方は今減っております、生活習慣病、少しずつ。ところが、子供肥満がすごく増加傾向にありまして、これもまた、ハンバーガーやコーラやら缶ジュースやら、そういう食生活のこともありますけれども運動不足が原因、ゲームとかテレビ、それから遊び場がないことがまずすごく大きいと思うんですよね。  保育園のころから都心で小さなアパートに住んでいますと、家でも飛び跳ねちゃ駄目、走っちゃ駄目、外に行けば車が走り回っていて、公園では芝生の中に入っちゃ駄目と言われて、子供の遊ぶ場所がなくて、ですから、保育園や小学校で本当、例えば芝生の運動場ができていたりとか、いろいろそういうことでもあったり、もっとそれ、先ほどの給食だけじゃなくて、文部科学省には頑張っていただいて、そういう遊び場を増やせるようなそういう状況も大事ですし、先ほど、緑豊かな日本のそうしたものをと言っていますけれども、いろんな緑豊かな自然を壊してきて子供が遊べないような状況にしてきた責任というのは私たち大人、政治家にあると思っておりまして、こういったことも含めて、先ほどのワーク・ライフ・バランスをいかに言っても、なかなか一緒に食事をし、一緒に食事を作るというのがほど遠い状況で、これ是非、母親だけの責任にしてほしくないところがございましてね、もちろんそういうことをよく分かっていらっしゃると思いますけれども、でもお父さんたちだって、ようやく定年になって今料理少しやり始めたなんという人もいますけれども、忙し過ぎるんですよね、そういうことも全部含めて。でも意識の問題もあると思いますけれども。  もう一つそれから、あと時間がないので、提案者の方にそういうものを含めて答弁していただきたいと思いますので。  家庭科も大事だと思います。それから、家庭科だけではなくて、子供がナイフを持ってこないようにとか、鉛筆削りなんて、今、小刀で削るなんてことしませんし、うちはよく子供たち家に遊びに来て、料理みんなさせていたものですから、親がいないところでも料理やると、親御さんたち心配して大丈夫と言うんですが、マッチを擦るなんて今知りませんよね。それからガスの付け方も知らない、包丁も持ったことがない。うちは一歳から包丁を持たせましたから、強制じゃないんですよ。買い物もしたい、包丁も持ちたい、親がやるとおり本も読みたい、原稿用紙の升目に字も知らないうちから鉛筆で書きたいと、何でも子供って好奇心ありますから、やらせてきましたから、今でも黒豆も煮ますし、何でもやりますけれども、でも、ほとんどの子は包丁を持たない。  包丁というのが本当は命、料理、食事というのは命を大事にすることで、その命を、あらゆる生物、肉も魚も野菜も、その命をいただく。そして、包丁で料理をしておいしいものを人々に食べていただいて喜んでもらう、そういうものなのに、そういうことを教わってなくて、包丁やナイフで人を殺すことから始まってしまうなんというのは、本当に残念な今子供たち時代になっていると思うんですが、それは家庭保護者だけの責任では私はないと思うんですね。  国民の責務、保護者の責務と書いてありますが、逆に私は、政治や行政や様々なところで子供たち状況を、食育の面からだけじゃなく取り戻していく責任が私たちにはあって、そうした家族や仲間と食を楽しむ、作ることを楽しむ、そういう権利が私は国民には逆にあるくらいのものではないかと。権利とうたってしまうのはどうかという御意見もあるにしても、国民の権利ぐらいに書き換えたいぐらいの思いがありまして、その辺のことをすべて含めて、私たちの責任について、国の責任、行政の責任について是非お答えいただきたいと思います。
  85. 西川京子

    衆議院議員(西川京子君) 今の御質問、大変深い、あらゆる面に起因している問題だと。もうそのとおりでございます。  私は、基本的には家庭だと思っております。今、社会の経済発展とともに、日本人の社会生活、その生活の仕方が変わってきた。そしてある面では、物の豊かさ、そちらだけが追い求められてきた何十年間だったような気がいたします。そういう中で、今初めて日本人自身が、本当に人間として一生どう生きたら一番幸せなのか、そういうことを今考え始めているときではないのかなと思っております。  そういう中で、今の確かに労働時間の問題、こういう問題が、特に働き盛り、子育て世代の父親の労働時間が長いという問題はこれは事実でございまして、こういう問題に関しては、行政、政治家の責任としても、行政の面からも少しでもいい方向に努力していかなければいけない、そういうこともこの食育基本法の中には思いは入っていると思っております。  その中で、やはり私は、子育てあるいは親の介護、そして働き方、基本はやはりみんな個人の問題だと、基本はそうなんだという認識がやはり片一方では私は大事なことだと思っているんですね。  保育環境の整備あるいは労働環境の整備、介護の問題、すべてが今社会化の方向に行っています。それはそういう状況の中で、厳しい、いろんな状況ができない方々のために国が責任を持って、行政が責任を持って整備しなければいけない。そのことは本当に大事なことなんですが、すべてそこを整備すると、今度はそれを、ある意味では自分の努力の中でできる範囲までどんどんそっちに社会化に行ってしまうという方向もまた否めないと思います。  そこのところのバランス、きちんとした、国民として人間として当たり前の常識の範囲の中の努力はすべきである、自助努力はすべきである。そして、片方にきちんとした公助がある。そして、その間にお互いに助け合う地域社会という共助の概念がある。そこのところをきちんと把握した上で、私たちも国会議員として責任を果たすべきだと思っています。
  86. 円より子

    ○円より子君 最後に一言。個人の責任というのは当たり前のことなんですね、家庭の責任という、みんなそういうことは思っております。それをわざわざ責任だよと書く必要性がないんじゃないかということを先ほどからずっと申し上げているわけです。  食品安全にしても、通勤にしても、住宅事情にしても、ありとあらゆることが国の責任で、家族の機能というのは保護の機能もあれば教育の機能もあれば妻子の機能もあれば、すべてあるんです、保護、いろいろ。ところが、今は病院で産むようになり、人も病院で死ぬようになり、昔は家で子供が生まれ、家で死んでいったんですね。で、命の大切さも分かったんです。ありとあらゆる家族の機能が、日本だけではありません、外部化されていく、こういう時代の中で、家庭だけが大事、個人だけに責任があると言ってしまってはそれは酷過ぎて、みんな先ほどからずうっと一時間思っておりますので、是非この食育基本法は、そこだけに焦点が当たらないように、先ほどから権利ですと、一緒に食事を楽しむのは。そこのところを基本にして、私たちができるだけそれを応援できるような体制づくりをしていきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。
  87. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時一分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  88. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  委員の異動について御報告をいたします。  本日、松井孝治君が委員を辞任され、その補欠として小川敏夫君が選任されました。     ─────────────
  89. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 休憩前に引き続き、食育基本法案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  90. 神本美恵子

    神本美恵子君 民主党・新緑風会の神本美恵子でございます。午前中に引き続きということで御質問させていただきたいと思います。  先ほど、午前中、円委員、同僚の円委員も強調していらっしゃいましたけれども、食に関する問題について、これは国民の責務ではなくて権利ではないかという、これは衆議院の方でも参考人質疑等でやり取りがなされたやに議事録を読ませていただいておりますけれども、私は、この食育基本法案を読ませていただきまして、特に、自分自身が議員になる前は小学校の教員をしていたという経験を持っておりますので、そういった観点から、この食の教育あるいは食に関する指導といったことも経験をしてまいりましたので、そういった観点でも読ませていただきました。今日は、その辺が中心になるかと思いますけれども、御質問をしたいと思います。  それで、まず、この法案法案名にもなっておりますけれども、この食育という言葉ですね、定義についてちょっと午前中もお触れになりましたけれども、この食育というのと従来から学校教育活動の中で行われてきました食の教育あるいは食教育、あるいは学校給食を通して行われた食に関する指導というような言い方もされておりますけれども、従来から行ってきたその食教育あるいは食に関する指導と、それからここで言う食育との共通点なり違いというものがあると思いますけれども提案者の方にまず御質問をしたいと思います。
  91. 西川京子

    衆議院議員(西川京子君) 御質問ありがとうございます。  従来から、もちろん学校給食を通し、あるいはいろんな生活の、学校教育の現場で食に対する教育というのはいろんな面で行われてきたわけでございます。例えば、食品についての正しい知識、あるいは地域食文化に対するいろいろな啓発の問題、あるいは私たちがいかに自然の恵みの中でそれをいただいて生かされているか、そういう問題、広範にわたって、当然、食教育というのは現実に学校現場でも行われてきたと思います。  そういう中で、当然、今回提案しております食育という概念の中に当然それも一緒に入ると。さらにその中に、食育は更にもうちょっと幅を広げたというふうに解していただけたらいいと思います。
  92. 神本美恵子

    神本美恵子君 その幅を広げたというのは何がどう広がったのか、ちょっとよく分からないんですけれども、例えば学校で言う食教育なり食に関する指導というのは、教育なり指導の対象が当然子供ですよね、小中学校、高校まで、家庭科まで含めると高校生まで入りますけれども。それではなくて国民全体とか、そういう対象の範囲が広がるというのは分かるんですけれども、あと幅を広げるというのはほかにどういう、あるんでしょうか。
  93. 西川京子

    衆議院議員(西川京子君) 当然、今先生がおっしゃったように、子供たち対象だけではなくて、当然、例えば生産者消費者との間の距離を縮める、お互いにそれを、状況を分かり合う中で食に対するもっと深い知識を得ると、そういう意味も含めて幅を広げるという意味で申し上げたつもりでございます。
  94. 神本美恵子

    神本美恵子君 私も学校現場で子供たちに、これ前文にも書かれておりますけれども、知育、徳育、体育と言われる教育の基盤となるそういったものに、食に関して、給食はもちろんその発足のときから子供たちの体をつくるという意味で、家で食べられない子供たちもいる中で給食が始まり今日に至っているわけですけれども、そういう意味では、お昼、家に帰してお昼御飯食べてまた学校にいらっしゃいということではなくて、学校でちゃんとお昼御飯確保しますよということで始まったぐらいにしか私も教員になったころは思ってなかったんですね。  ところが、学習指導要領とか教員研修の中で、これは教育活動の一環なんだと。ただ食事を供するというだけではなくて学校教育の一環、教育活動なんだということを聞きまして、そのクラス四十人近くの子供たちと一緒に自分も食事をしながら、どういうふうに教育をするんだろうと。例えば、これは嫌いとか食べたことがないとかいう子供がいたり、それから宗教上の理由でこの食材は食べられないという子供もいる。そういった中で、何をどのように食べるかというような非常に文化的な、ある意味では、それぞれの家庭だけではなくて、宗教的、民族的なことも含めた文化的な行為になりますから、それを一律に同じものを与えて、これをこのように食べなさいとかいうことがしつけの範囲教育範囲を超えて文化にまで、個人の内面にまで立ち入るようなことになるのではないかというような戸惑いも覚えながら、しかし最低限、安全に関してはとか成長に関してはというようなことでこれまで活動をやってきたんですけれども、そういう観点から、それで、文部科学省としても、教育活動としてはどういう内容をどういう発達段階に応じて教えるかということでそれなりのカリキュラムがこれまで作られてきているんですけれども。  この法案の中に、前文にもちょっとありますけれども、七条のところに、伝統的な食文化環境と調和した生産等云々というところで、我が国の伝統のある優れた食文化というようなことがあるんですけれども、この優れた食文化というようなことを、まあ何となく想像はできるんですよね。ですけれども、これは例えば学校教育活動の中でこれが優れた食文化であるというようなことをこれから教えていくことになるのかというようなことを考えますと、ちょっと、ちょっとというか非常に引っ掛かりを感じるんですが、その辺はどういうふうにとらえたらいいんでしょうか。
  95. 西川京子

    衆議院議員(西川京子君) 今先生がおっしゃいました引っ掛かるという意味がちょっと私も、全面的によく分かっているかどうかは分かりませんが、今言うなれば、食物が生産したところから消費者に入るまでの距離、フードマイレージとよく言いますけれども、これが離れれば離れるほど食の本来の大切な栄養から何から、それと、先ほど円先生がおっしゃった食品添加物の問題もこれに含まれてくると思うんですね。  そういう意味では、私はやはり、本来は地産地消、地域にあるものを最低限調理して食べるのが本当は一番日本人という、この風土の合った中でできたものを素直に食べるのが本当は一番いいんだろうと私は思っています。そういう中で、その地域に根差して、ずっと昔からあった食べ物の言うなれば文化、食文化というんですか、伝統食、そういうものをその地域で生まれた子供たちに自然な形で教えていくと、これはやはり大変大事なことだろうと思っております。言うなれば、それぞれ地域の中でそういうものがありながら、現実にはファストフード、あるいはスーパーで物を買って簡便に調理してしまうという現実があるわけですから、そういう中で、せめて学校給食の中にはそういうものがあるんだということ、子供たちにも食べさせて育てるという、味覚を覚えさせる、そういうことからも大変大事なことだろうと私は思っております。
  96. 神本美恵子

    神本美恵子君 これは日本だけではなくて、そういう食材がどのように作られて、そしてどういう調理をしてどういう味付けをして食べるというような文化は、食文化というのは各国にありますし、もちろん保存食が多い北の方の国とかいうところはまたそれぞれの特色があるでしょうけれども、そういう意味では、日本食文化が特に優れているというようなことではなくて、それは個性的であると。それぞれの国の個性であって、いたずらに日本食はこういうところが優れているんだというようなことが強調され過ぎますと、先ほども言いましたように、もう今や、特に学級の中には外国人の子供さんもいらっしゃいますし、様々な文化を背景に持った子供たちがいるわけですし、その中で自国文化といいますか、を優れているというふうな評価を持って指導していくということについては、ほかの文化を尊重しない、そういう懸念も学校現場で教えるに当たっては感じるわけですね。  ですから、日本食文化のこういうところ、こういうところは諸外国と違うというような教え方というのは当然あると思いますし、私自身も、例えば学校給食では昔はスプーンで食べていたんですけれども、それが食べやすいようにということで先割れスプーンになって、それからやっぱり日本のおはしという文化を小さいときから学校でも教えようということでおはしを使うように、米飯給食が始まっておはしを使うようになったんですけれども、そのときに、これは日本でおうちでもおはしで食べているよねということを言いながら、しかしおはしを使わない国もあるんだと。あるいは、はしもスプーンもフォークも使わないで手で食べるところもあると。そうすると、最初は子供はやっぱりそういう文化に触れたことがありませんので、わあ、汚いと言ったりするんですね。でも、それは汚いんではなくて、手をちゃんと洗って、その国はそうやって、それが食事をするときのマナーなんだというようなことで異文化に触れながらやっていくわけですので、そういう意味では余り、それがあらゆるところでこの法案で強調されているわけではありませんけれども、自国文化を強調し過ぎるということは、特に食というような文化にかかわるところは気を付けなければいけないというふうに私としては思っているわけです。  次に、文部科学省の方にお伺いしたいんですけれども学校における食教育、それから食に関する指導ですね、その現状はどのようになっているのでしょうか、お伺いをします。
  97. 西阪昇

    政府参考人西阪昇君) 学校における食育につきましては、学校給食の実施を始め、家庭科や保健体育科あるいは特別活動など、学校教育全体で取り組んでいるところでございます。具体的には、文部科学省では教職員等に対する研修会やシンポジウムの実施、児童生徒用食生活学習教材作成、配付などを通じて学校における食育取組推進しているところでございます。  また、御承知のとおり、本年四月からは栄養教諭制度が開始をされましたので、この制度を活用した学校での食育指導体制の整備ということも取り組んでいるところでございます。  このような取組を進め、学校における食育の一層の推進に努めてまいりたいと考えております。
  98. 小坂憲次

    衆議院議員小坂憲次君) 神本先生の今お話の中にありました七条に言う優れた食文化ということにつきましては、先生はもう現場において私どもが今強調したいと思っている食教育のかなりの部分をもう既に実践をされたというお話をいただきまして、大変心強く思ったわけでございます。  私どもが優れた食文化と言っておるのは、特定の外国と比較をして優れているということを言っているわけではなくて、我が国食文化の良さを見過ごされがちなところがある、これにやはりしっかりした認識を持とうという意味なんでございまして、栄養のバランス的にも、あるいは農林水産業に適したそれぞれの地域の特色のある風土、風土に根差した日本食というものがあります。そういったものを踏まえた上で、現代の社会にも根付いているそのいい面をより強調して啓発していく、そしてその知識普及を行うことによってこの日本の伝統文化を維持する。食文化と伝統文化というのは非常につながっている部分がありますので、そういった意味も踏まえた上での優れた食文化と申し上げているわけでございまして、それを先生のような形で、食教育の中でやられたそういうものを全国教育現場においてもより一層推進をしていきたい、そしてそれを社会全体で推進をしたい、そんな意味を込めて申し上げているところを御理解いただきたいと思います。
  99. 神本美恵子

    神本美恵子君 全国の小中学校中心として、高校では家庭科と社会科なども含めてそういった教育活動は行われているわけですけれども、先ほど文部科学省の方も御説明を簡単、ちょっと簡単過ぎたなと思いますが、ある意味では、これまでそれぞれの家庭地域、特に家庭に任せられてきたことが、学校の中では系統的にあるいは総合的に教科活動や特別活動、それから学校給食というその場面をとらえて行われてきたわけですけれども、そういうものを行って、現在も行われているわけですが、この第五条で、子供食育における保護者教育関係者等の役割ということがあえて書かれておりまして、積極的に子供食育推進に関する活動に取り組むというふうに書かれてございますけれども、これまでやってきたその食教育学校教育における教育が何か変わるものなのか、その辺はいかがでしょうか。
  100. 西川京子

    衆議院議員(西川京子君) もちろん、これまでも様々な学校現場で食教育が行われてきたのは事実でございます。そしてさらに、そういう今までやってきたものをもう一回きちんと見直した中で、これでオーケーなのかどうか、その辺のところの検証ももちろんこれからきちんとしていかなければいけないことですが、決して今までのやってきたことに不足があるとかどうとかということでこの基本法をつくった意図ではございません。  そういう中で、さらに親子でいろんな問題で参加する料理教室とか、その他いろんな問題がありますが、特に今都市と農漁村の対流、交流という大きな流れができておりますが、そういう中でも具体的にもう少し食べること、食の問題が、単に食べることだけでなく、それがどういう経過でできてくるのか、自然の中でどういうふうにそういうものが育ち、自分たちの食、口に入るのか、そういうことまでも含めた体験活動とか、そういうことももう少し幅を広げて学校教育の現場、そして親の保護者に対するメッセージ、そういうものを深めていきたいと、そういうふうに思っております。
  101. 神本美恵子

    神本美恵子君 これまでやってきた学校における食教育というものが不足していたとかいう意味ではないというふうなことをちょっとおっしゃいましたけれども、私はこの法案を見ていて、前文のところに今の子供たちの食の乱れ、子供に限らず、大人も含めた食の乱れや肥満生活習慣病、午前中は子供たちが中年のような成人病のような症状を来しているというようなこともおっしゃいましたけれども、そういうものを聞くと、そこに携わってきた者としては、非常にやっぱり何か指導が悪い、教育が悪いというふうに言われているように感じるわけですね。一生懸命やっている現場の人ほどそれは強く感じて、今も感じていらっしゃると思うんですけれども。  そういう意味では、そもそも学校教育での食教育というのはどういうものを目指してきたのか。私は一生懸命やってきたからそれ批判されたくないという意味ではなくて、やってきたことに問題があったのではないか。何か不十分な点、足りない点、今見直さなければいけない点があるのではないかということは十分検証しなければいけないと思います。  そういう意味で、文部科学省に改めてお伺いしますけれども家庭科が中心的なこの食に関する指導では教科としてあると思うんですね。家庭科やほかの関連する教科もございますけれども家庭科における目標、それから学校給食法における食に関する指導目標というのを改めてちょっとお伺いしたいんですけれども、教えていただけませんか。
  102. 山中伸一

    政府参考人山中伸一君) 先生から、家庭科におけるまず目標ということでお尋ねがございました。  小学校では、衣食住、そういうものを実践的体験活動を通しまして、家庭生活を支えていく、そういう大切さを知るんだと。また、食の方でございますけれども、調理、そういった日常的に必要な技術、基本的技能、小学校ですと御飯を炊く。これは教科書によりましては炊飯器ではなくて鍋から、初めちょろちょろ中ぱっぱで、ああいう形で炊くというところまでやっているところもございますけれども、おみそ汁を作るといったことと、それから包丁を使うといった、そういうふうなこともやりまして、まずは日常的な食事に関心を持つ、調和の良い食事の取り方が分かると、こういうことを中心に小学校ではやってきております。  中学校では、こういうものも基本にいたしまして、より栄養食事関係でございますとか、あるいは食品の選択、日常食の調理の基礎。  高校になりますと、魚を煮付けとか焼く、それからハンバーグもちょっと入ってございますけれども、あるいは地域の食材を生かした料理といったもの、こればっかり食べるとどうか、もう飽きるかもしれませんけれども基本的に日常食が作れるというところを家庭科のところでは目指しておるところでございます。そのときには当然、栄養との関係でございますとか、そういうふうなことについても教えるといった内容になっております。
  103. 神本美恵子

    神本美恵子君 学校給食法の方の目標をちょっとおっしゃりませんでしたけれども、そういう食に関して、食品の問題あるいは調理の問題、それからほかにも、例えばどういう器具を使って調理をするかとかいうようなことから、あるいは家庭科、高校にもなりますと、食品安全の問題から遺伝子組換えとか、そういった問題も教科の指導の中には入っているわけですね。  そういう非常に重要な、それこそこの法案の中でも、知育、徳育、体育のその基盤となるというふうに書かれているにもかかわらず、現状、今おっしゃったような家庭科の教育を充実しなければいけないのに、家庭科の授業時数は、学校五日制になって減っているということもありますけれども、減っているんです。もう小中高とも全部家庭科は減っているし、なぜ減っているかというのについてはいろんな理由が言われています。受験科目にないとか、そういうことも言われていますし、もし本当にこの食育というものを充実しようとするならば、学校教育の中でも、より充実するためには家庭教育を重視するとか、学校給食の在り方を抜本的に見直すというようなことも必要ではないかと思います。  そういう観点から、時間がちょっとだんだんなくなりましたが、先ほどもちょっと話題になっていました自校方式、センター方式ですね。私はもう結論から言いますと、経験からももう絶対自校方式です、これは。皆さん、どうですか。提案者皆さん方も、御自分の御経験あるいは子供さんの御経験から、もう絶対、私は二十一年間の教職経験の中で、二十年と、だから四か月だけセンター方式を経験したんですけれども、もう全然違います。  教育的効果、もちろんおいしさが違うというのがあります。もううどんは伸び切っていますし、スパゲティーなんかはもう、多分大量に作るんで固まっているんですね。ケチャップがまみれていないというか、だんごになったところが、つぐ子供によってはだんごだけが入っている。スパゲティーですよ。というような状況と、それから、キャベツの千切りなんというのがビニール袋に一クラス分入っているわけです。そして、それにビニール手袋が付いています。子供はそれを着けてビニール袋からキャベツの千切りをこんな一皿の、区切りが付いたランチ皿の中にそれを入れるわけですね。そうすると教室は本当に悲惨な状況で、教卓の横に配膳台を置いて、それでも配膳するのに足りないので、オルガンの上でそのビニール袋のキャベツでこうやるわけです。五時間目の音楽の時間、オルガン開くとキャベツの千切りがそこに落ちているというような、本当に何か、先ほどどなたかがえさとおっしゃいましたが、正に実感として、センター給食になった途端に、ああ、私たちはえさを食べさせられているというような感覚がありました。  味とかそういう問題だけではなくて、調理の場面が子供に見えるか見えないかというのの違い、それから、そこで使われている洗剤や、働く人たちの子供に対する思いとか、もう本当にいろんな面で自校方式に勝るものはないと、これがセンター方式に取って代わられるようになったのは、もう言うまでもなくこれは財政的な事情ですよね。今また見直されて、子供たちにお金を掛けてやろうという設置者、市町村も出てきておりますので、急激にセンター化になっていった時期から今ちょっととどまっているのではないかと思いますけれども、私は、この法案を機に、自校方式ということを是非とも打ち出していただきたいと思いますけれども、その点については、提案者の方、いかがですか。
  104. 西川京子

    衆議院議員(西川京子君) 今、神本先生の本当に現場の御経験から即したお話を聞かせていただきますと、全く同感する部分が大変多うございます。  私自身も、小さいときの経験から、自分の友だちのお母さんたちが給食センターで働いている姿を見たことが心の中に今でもまだその景色が残っておりますけれども、先日イギリスの方に、イギリス、フランス、フィンランドに教育の問題で視察に行ってまいりまして、イギリスのイスリントンの公設の学校の昼食スタイルというのを見てまいりました。あちらの方では本当に完全な食堂があって、そこにただ生徒が移動して、もうブッフェスタイルで食べるという、そういう中での方式、そして教室で食べさせる日本のやり方、そしてそれもさらにセンターと自校方式、いろんなやり方があるわけですね。今それぞれの、まだどれが絶対に正しいというのは当然ないわけでして、よりいい方法、これ模索していかなきゃいけないわけです。  その中では、私も、自校方式の方が本当はこの食育の精神に沿っているのではないかなと私自身は思っております。そういう意味で、今後様々な大変厳しい財政的な問題もありますが、検討の課題としてやはり議論をしていく余地は大いにあると思いますので、前向きに考えていきたいなと思います。
  105. 神本美恵子

    神本美恵子君 それからもう一つ、学校給食を充実するという意味では栄養職員、学校栄養職員の存在というのは、これは私は、栄養職員の方が自分の学校に籍を置かれている状態というのは一校しか経験したことがありませんので、いない状態で自分たちが手探りで献立の説明をしたり、それから食に関する指導を学級活動の中でいろんな絵をかいたりしながら学年で相談してやるという、養護教諭の手をかりながらという経験と、もう一つ、栄養職員の方がいらっしゃると、もちろん巡回で何校か掛け持ちですので、いつも助けをかりるというわけにいかなかったんですけれども、いらっしゃるのといないのとで全然違うという、これも経験をいたしました。  そういう意味で、栄養職員、栄養教諭制度が創設されましたけれども栄養教諭という存在についてはこれから養成も行われていくでしょうし、これからのことだと思いますが、せめて学校栄養職員を、全校配置が理想ですが、養護教諭でさえ全校配置、今まだまだできていない状況の中で、しかし栄養職員なり栄養教諭を学校、すべての学校に、巡回でも何校か掛け持ちでもいいですから、配置できる、すべての学校を網羅できるような形に是非持っていっていただきたいんですけれども、その件については、文部科学省は余り、多分お金の問題があっていい答えはできないでしょうから、提案者の方、いかがでしょうか。
  106. 西川京子

    衆議院議員(西川京子君) 確かに、今大変厳しい財政状況の中で、この問題は前途多難だなという思いはいたします。しかし、この法案にもきちんと書き込んであります。  あらゆる面での、子供たちにきちんと話して説明して聞かせるということも大事な食育の一つでございまして、栄養士の配置は、今先生がおっしゃったような形で、少なくとも何校か掛け持ちでも、ある程度その守備範囲に一応みんなの学校が収まるという方向にやはり持っていくのがいいんだろうと思います。
  107. 小坂憲次

    衆議院議員小坂憲次君) 今、西川議員からもお答え申し上げましたけれども、私どもがこの食育基本法に期待するものの一つに、今、現在の食をめぐるいろいろな問題に対処するこの基本法が、国会がこの法律を制定することによって内閣が編成する予算に影響を与えると。そして、今先生が御指摘にありましたように、自校方式の推進だとか、あるいは栄養教員の配置、そしてまた学校全体の食育にかかわる施策の充実。  それで、これは学校だけじゃなくて、社会、あらゆる場でございますけれども、そこにおいての予算が各省において配慮をされるような形になるように私どもも働き掛けたいと思いますし、この法律の制定が、これを理由にして各省の担当者がまた財務省と話をする際にも、こういう法律ができて私どもとしてはこういうものを推進しなきゃいけないということになっておりますので是非とも予算を付けていただきたいという、そういう折衝の場にも登場するようなことになればこの法律の一つの意義が出ると思っておりまして、そういった意味を私どもとしても推進したいと思っております。
  108. 神本美恵子

    神本美恵子君 是非とも、そのことが私はこの法案に明定されていればこの法案に賛成してもいいなと思ったんですけれども法案の条文を読む限りにおいては、やっぱり冒頭申し上げましたように、今の食教育がなっていないと、だから子供の食が乱れ、その子供が大人になった大人の食に対する認識もぐちゃぐちゃだというような、日本の食の危機にあるというような法案になっておりましたので、私は幾つか今問いたださせていただきましたけれども。  是非とも、自校方式の推進ということと、これについては、もう時間がありませんが、特に食材、地産地消で、今、食材についても本当に見えるところから新鮮なものを子供たちに、生産の現場との交流も含めてやるということと、それから調理の現場で安全や、それから、これは何と言うんですか、食器を洗うとか、O157もありましたけれども、調理現場の衛生という面からも、それから食べた後の後片付けとか作ってくれた人への感謝とか、そういう、もう総合的に自校方式というのは自然のうちにもうできるわけですよね。  ですから、是非、その推進と、それからそのコーディネーター役を担う栄養職員、栄養教諭の配置ということについては是非とも強調してやっていただきたいということをお願いしまして、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  109. 小川敏夫

    小川敏夫君 民主党・新緑風会の小川敏夫です。  この基本法案で国民に対して責務というものを設けておるわけですが、私が考えるには、国民に責務を求めるよりも、まず先に国が国民に対して、国民が希望する、あるいは国民に必要な食料、これを供給する責務があるんではないかと。その食料を供給するのも、価格が安く、そして品質が良くて安全な食料を安定して供給する責務があるんではないかというふうに思いますが、例えば米一つ取っても国際価格より数段高い米を消費者は今食べておるわけですが、あるいは安全面からいえばBSEのような問題もあると。  様々な問題、私は、国民に責務を求める前に国が果たすべきそうした責任をまだ果たせていないんではないかと、食に対して、国民に対する責任を国あるいは農水省が果たしていないんではないかというような疑問を持っておるんですが、このような観点からについて、提案者、御意見はいかがでしょうか。
  110. 後藤田正純

    衆議院議員後藤田正純君) 御質問ありがとうございます。お答えいたします。  今先生おっしゃられたような背景に基づいて、正に基本法、このたび我々、必要と思って提案をさせていただいているところでございます。  先ほど来の議論になっておりますけれども、我々が与党の中で調査会を開いて、もう二年間掛けていろんな識者からのヒアリングも兼ねてずっとやってきたわけでございますが、その中で、やはり学校現場、例えば学校現場において言うならば、もっと情報提供体制が必要だということでいわゆる栄養指導員の方を栄養教諭に格上げをしようと、これもやはり基本法を議論していく中での制度改革ということでございましたので、まだ基本法が成立しておりませんが、その議論の段階でそういう環境になってきたということは大きな進歩だと思っておりますし、また同時に、介護保険法の中で今、低栄養の問題がございます。栄養管理というものもやはり、この食の問題だけではなくて、いわゆる医療においても大変重要な問題になっておりまして、今、介護の方でそういうことが行われておりますが、医療の方でもNSTという、たしか、参議院でも民主党の先生がたしか厚生労働大臣質問されていたと思います。ニュートリション・サポート・チームというやつでございますが、これも医療現場において、いわゆる合併症だとか院内感染だとか、そういうものについてはきちんといわゆる病院内での栄養管理をしていこうではないかという背景の下にそういった動きが今正に起こっているところでございます。  いずれにしましても、今まで先生おっしゃったように、やっているようでやっていなかったことをきちんとこれから国の責務としても、国民の責務としても双方やっていくということがこの基本法の趣旨でございますので、是非とも御理解をいただきたいと思います。
  111. 小川敏夫

    小川敏夫君 この基本法案の要綱を見ますと、食に関する知識と食を選択する力を習得しと、これが要綱の基本部分の一つだとなっておるわけですが、国民に食に関する知識と食を選択する力を習得しということを求めるんであれば、国民が選択できるような、そうした情報をまず国が国民に対して与えるべきではないかというふうに思うわけです。  食品に関する情報については、遺伝子組換え作物とかあるいは農薬の使用とか様々な情報があるわけですが、成分表示、原産地表示とか様々なものがあるわけですが、果たしてこれが、今の現行のこの法制度の中で食品に関する情報提供、国が国民に対して十分行っているという御認識なんでしょうか、あるいは、まだまだ不十分なのではないかと。  例えば、産地表示は大変に不十分な、特に家畜とか魚類とか移動するものなどでは大変に不十分な状態になっていると、あるいは組換え表示、農薬については加工食品ではまだまだそれが適用されていないとか、様々な意見があるところで、情報提供がまだ十分になされていないんではないかというふうに私は考えておるんですが、この点は提案者の方の認識はいかがなんでしょうか。
  112. 後藤田正純

    衆議院議員後藤田正純君) 今までもそういった議論は各個別法の中でも議論されてきまして、やはり科学的に、先ほど来も、厚生省を始めとして、いわゆる安全を管理する省庁として各個別法の中で、あってはならないことをきちんと政府として守るべき安全の問題についてはやってきたわけでございますけれども、一連のBSE先生おっしゃるようないろいろな事件が起きました。  これはヨーロッパでも同じように、フット・アンド・マウス・ディシーズ、つまり口蹄疫等の問題が起こって国民政府行政は信じられないと、だから客観的な第三者の機関が必要だということで、ヨーロッパでもそういったものがいろいろできております。それが、国際機関であるコーデックスもそうでございますし、流通でいうならば、ドイツに発祥しましたGAPという組織が、正に流通のいわゆるチェーンストア協会なるものが集合しまして、そこが安全性を担保するというようなことももう進められております。  日本の場合は、正にそういう流れの中で、政府も政治家も行政も駄目だという中で食品安全委員会というものができたというのは先生承知のとおりでございまして、正にここがこれからいろいろな問題につきまして、政府を超えてといいますか、まさしく科学的な、サイエンティフィックな、客観的な根拠に基づいてこれからの安全性の問題について評価をし、それを情報提供国民の皆様方にしていくということは正に今も行われているところでございますが、それを更に後押ししていく意味でもこの基本法にのっとって充実させていきたいと思っております。  完璧ということはなかなかございませんので、それを完璧になるように努力していく上で基本法というものは国民の皆様にとって必要だと思っておりますので、その点を御理解をいただきたいと思います。
  113. 小川敏夫

    小川敏夫君 要するに、食品に関する情報提供は大変に必要であると、その必要である重要性にかんがみてこの基本法案の中でもそうした問題を具体的に盛り込んでいくと、こういうことですか。
  114. 後藤田正純

    衆議院議員後藤田正純君) 基本法は、そもそも基本法の問題についてはいろいろ衆議院でも議論ありましたし、先ほど来も個別法と促進法、推進法等の議論ございますけれども、やはり憲法があって基本法があって、これから個別法になっていって、それから制度、予算と、こういう一連の流れになっていくのは先生も御承知のとおりでございますので、まずはこの基本法認識をしていただきながら、それから個々の制度設計をこれから正にしていこうという趣旨でございますので、是非ともまたその節には御協力をいただきたいと思っております。
  115. 小川敏夫

    小川敏夫君 何か何にも中身がない答弁だったけれども。  要するに、今説明された、今の答弁のその前で説明された中に、情報提供の問題大事だから今後この基本法を、これはあくまで基本法ですから、これを具体化していく中で食品に関する情報提供、これも更に進めていくんだという趣旨の説明がありましたので私は重ねて確認したので、ですから、食品に関する情報提供と、これを具体的に進めていくこともこの基本法の具体化の一つとしてあるんですかって聞いたわけです。
  116. 宮腰光寛

    衆議院議員(宮腰光寛君) 第二十五条、これは第三章「基本施策」の中に含まれているわけでありますけれども食品安全性栄養その他食生活に関する調査、研究、情報提供及び国際交流の推進ということで、国及び地方公共団体は云々と、国民食生活に関し、食品安全性栄養食習慣食料生産云々という等について調査及び研究を行うとともに、必要な各種の情報の収集、整理及び提供、データベースの整備その他食に関する正確な情報を迅速に提供するために必要な施策を講ずるものとすると。第二項におきましても、海外における食品安全性云々ということで情報の収集、国際的交流等々について盛り込んでおります。  これは、食育推進基本計画の中に当然のこととして、重要課題の柱として盛り込まれるというふうに考えております。
  117. 小川敏夫

    小川敏夫君 是非、その食に関する情報提供を進めていただきたい。それがこの基本法方針の一つであるということであればそういうことでお伺いしますが。ただ、実際に国民に責務を求める前にこうした情報提供がなされることが、私は国の責務が先にあるんじゃ、あるべきではないかというふうに思っていますので、そういう観点から質問したわけでございます。  今度は情報の問題ではなくて、今度はこの食料そのものについて、やはり国民が選択するということであれば国民が選択できるような状況がなくてはいけないと。すなわち、食料の品ぞろえあるいは食料安全性あるいはその品質や嗜好に合うかどうか、こうした面について国民が選択できる、そうした対象となる食が確保されていなきゃならない。つまり、国はきちんと国民に対してそうした食を提供しなくてはいけない責務が私は先にあると思うんですね。  これもやはりこの基本法の中で、国がそうした食料を、国民必要性、要望に応じた食料提供する義務があるんだということは、これ基本法の中で実現すべき策の一つではあるんですか。
  118. 後藤田正純

    衆議院議員後藤田正純君) この問題につきましても答えはイエスでございます。  やはり、今、先ほどもおっしゃったように、情報提供がまず必要であって、それに対して、その情報提供に基づいたものを、食べ物を提供するということは、やはりおのずと国はやらなくてはいけない責務でございまして、この点につきましても、今までももちろんそういう流れで食の安全というものも考えてまいりましたけれども、それに加えまして、先ほど来お話があります消費者に対しての情報提供をすることによってまた更に生産者サイドがその情報、ニーズに応じて物をつくっていくという体制整備を国としてもこれからやってまいりたいと思っております。
  119. 小川敏夫

    小川敏夫君 例えば、今農業部門で農業基本計画というものが打ち立てられて進められておるわけですが、こうした基本計画とこの、そうすると、この食育基本法は相互に密接に関連していかなくてはならないんですけれども、この食育基本法の方がそうした農業基本方針よりも上に立っちゃうんですかね、今のお話ですと。
  120. 宮腰光寛

    衆議院議員(宮腰光寛君) 上下の関係というわけでは全くないと思っております。  食料農業・農村基本計画は、食料農業・農村基本法に基づいてこの計画を作るということになっておりますし、この食育というのは、農業のみならず食品関係の事業者もありますし、当然のこととして消費者関係する部分も多いと、あるいは学校教育にかかわる部分も多いということでありまして、それは重なる部分は当然ありますけれども、上下の関係にあるというわけではないというふうに思っております。
  121. 小川敏夫

    小川敏夫君 私は、国民に責務を求める前にまず国がやはり国民に対して十分な食料を供給できる、その責務を果たすことがまず先であるというふうに思うわけですが、残念ながら今の日本農業の実態あるいは食料政策の実態はそういう状況にはないんじゃないかって、なっていないんじゃないかというふうに思っておるわけですが。  例えば、農水大臣が、ある農水大臣自給率向上に関して、もっと米をたくさん食べればいいんだというふうな発言をなされる方もいるわけですけれども、しかし米は、日本の米はおいしいかもしれないけれども国際価格に比べれば非常に高いわけで、ある意味では様々なこの米政策の中で日本は、日本人、国民は高い米を食べざるを得ない状況になっておるわけです。そういう中でどんどん米を食べればいいんだというようなことが国の方の立場から出てくるようでは、まだまだ国民の視点に立った農業政策あるいは食料政策はできていないんではないかというふうに思うわけです。  そうした国の責務というものをまず先に実施しないまま国民に食に関する責務を課すというのは、私は順序が違うんではないかというふうに認識しておるわけでございます。  農業問題で、今自給率の問題も出ましたけれども、この基本法の要綱の中に、食育推進食料自給率向上に寄与するんだと、こういうふうにもうたっておるわけですが、具体的にどういうこの食育の在り方によってこの自給率向上しようということなんでしょうか。例えば、私が例に出したどんどん米を食べれば自給率が上がるというような考えではないと思うんですが、そこは提案者のお考えをお聞かせください。
  122. 小坂憲次

    衆議院議員小坂憲次君) 小川先生今御指摘の、例えばお米の一つにしましても、新しい食料農業・農村基本政策の中で、これからは攻めの農業ということで日本の優れた農産物は海外にもどんどん輸出をしていこうと。すなわち、米が東南アジアでも生産されますけれども、最近では、中国に日本のコシヒカリ、ササニシキ等を持っていきますと、こんなおいしいお米があったのかということで、この食味が従来の中国人の食べていたお米よりも優れているという認識が中国の裕福な層の方々認識をされ、高い値段で売れるということが分かってまいりましたので、そういったことも推進しながらやっていこうということがありますように、日本の食材は優れたものがたくさんあります。  そういう中で、今自給率の話に特化いたしますと、この法案が特定の病気を駆逐するワクチンのような直接的な関係ではありませんけれども、しかし学校給食等を含めた地産地消の推進をするとか、あるいは我が国の伝統ある優れた食文化地域の特性を生かした食生活環境と調和の取れた食料生産とその消費、さらに食料生産者消費者との交流による信頼関係の醸成等を通じまして、我が国の食の海外依存問題等を併せて指摘することによって国民理解が深まっていく。それによって、地域の農産物あるいは国産農水産物に対する消費が高まっていく。また同時に、国産の農水産物の消費が増進すれば生産者もまた活性化されて、農村漁村が活性化をされることによって更に生産体制が整っていく。消費者の嗜好に合わせた低農薬、そして安全な食品というものが推進をされてくるということによって、結果として食料自給率が上がっていくと。  また、現在の食料の三割が無駄に捨てられているという話がよく出ますけれども、この三割が、まあいろいろな数え方あります、カロリーベースでいうような話になりますと、食料油の使った後の、食料油捨てたことも、これは食料の無駄につながっているというような計算になってしまうわけですが、実際にホテルやいろいろな残飯を調べると、多くの食べられるものが捨てられている。これを、自然の恵みという食育の精神に従って食物を大切にするという気持ちを持って扱っていただくと、結果として食料自給率がまたこの面でも高まるとか、いろんな面でこの食育の効果によって自給率が高まることを私どもは期待をいたしているところでございます。
  123. 小川敏夫

    小川敏夫君 今の答弁の中の前半部分ですけれども食料生産に関するお話伺いましたけれども、今正に農水分野でその基本政策を打ち出して、食料の供給の問題、農業生産の問題、真剣に取り組んでおるわけですけれども、同じことをこの食育基本法でやるということなんでしょうか。その基本政策が、既に農産物、農業生産に関して様々な意見を集めて基本政策を打ち出して農業対策取り組んでおるときに、同じものをこの基本政策に、食育基本法の中でやるということではないというふうに、今首を横に振りましたけれども、そうすると、じゃ今答弁された後半部分の、要するに消費者が、あるいは流通と消費の部門で無駄が出ていると、この無駄が出ている部分を無駄が出ないようにしようということがこの食育基本法中心だということですか。  どうも生産のことを言われると、農業分野基本方針を出して取り組んでおるときに、同じであれば意味がないし、違うことをやればまた矛盾するし、そこのところの関係がどうなっているのか、もうひとつ知りたいんですが。
  124. 小坂憲次

    衆議院議員小坂憲次君) 先生おおむねお分かりをいただいた上での御指摘だと思っておりますが、食料農業・農村基本政策というのは、これは具体的な施策でございます。こちらの方は食料の、食育基本法でございまして、ある意味の各省庁が取り組むべき政策の方向性とか理念、そういったものを提示しているわけでございますので、そこにはおのずと違いがあるわけでございます。  今、先ほどの答弁の前半で申しましたことは、優れた日本のそういう食材が生産をされている、そういう農業というものに対する消費者理解が深まることによって、輸入農産物よりも国内農産物の消費が高まる、結果として自給率が高まるということ。あるいは食品の無駄ということを排除していくことによってその分母が、分母と分子の関係が変われば自給率という数字変化するということを例示して申し上げたわけでございまして、それだけのことのために食育基本法を提案しているわけでもございませんし、現場の農業食育というものの関係はそう単純なものでもございませんが、重ねて申し上げますが、この食育基本法の制定によって消費者とそして生産者が、両方が理解を深めることによる国産農産物の消費増大ということが、私どもが期待もいたしているということを申し上げたことでございます。
  125. 小川敏夫

    小川敏夫君 私は、国民に対して食を選択する力、食に関する知識というものを国民に責務を求める前に、国がやるべきことがあるんではないかという観点からお伺いしてと思ったわけですが、例えば牛肉の問題に関していえばBSEの問題があります。  このBSEに関して農水省の方にお尋ねしますけれども、これまで十八例があった中で、例えば日本で初めてBSEが、BSE牛が、感染牛が発見されたと、そこでその原因である飼料について規制したと。ですから、理屈からいけば、飼料を規制した、今から三年前の十月ですか、以降に生まれた牛からはBSEが出ないはずなんですけれども、十八例のうち二例は、その飼料を規制した後に生まれた牛がBSEに感染しているというようなふうになっておるわけですが、この点について、BSEの問題について農水省はどういうふうに考えておるんでしょうか。
  126. 高橋直人

    政府参考人高橋直人君) これまで、平成十三年の九月以降直近まで、今お話ございましたように、十八例のBSE感染牛、屠畜場あるいは死亡牛なんかから確認されているわけでございますが、この中で飼料規制、この間、かつてから二段階ほどございまして、平成八年段階で、これは行政通知による飼料規制、肉骨粉を牛に与えないこと、これは行政の通達でやったと。平成十三年におきましては、これは法律上の罰則付きの禁止ということで飼料規制を行ったわけでございますが、今お話しの点は、この十三年秋の法律上の規制による飼料規制の後、二例ほど発生しているというものでございます。  ただ、これは発生時期が十三年の、その牛の生まれが平成十三年の十月、それからもう一つの例が平成十四年の一月でございますが、規制を掛けた後、ある日突然すべてのところから肉骨粉、まあ原因となったであろうその肉骨粉がすべて一遍でなくなるということは非常に考えにくいわけでございまして、どこかの流通過程かあるいは農家段階、どこかでやっぱり残っていったんだろうということでございまして、その法律上の規制でいったら、わずかな期間の間のこの二例というのは、まあやむを得ない発生であったのかなというふうに考えております。  ただ、それ以降の、十四年一月以降に、既に三年と四か月たっているわけでございますが、それ以降の出生からの、それ以降の出生の牛からのBSEの確認は現在のところ出ていないということでございます。
  127. 小川敏夫

    小川敏夫君 飼料の規制が出た後もどこかで残っている飼料が使われたというのであれば、それはその指導の仕方、規制の仕方が甘かったからということになると思うわけですが。  最後に、BSEのこの二十か月齢以下の牛については全頭検査をしないと、そしてまたそうした方向でアメリカ産牛肉の輸入が解禁されるかのような動きになっておるわけですが、この日本BSE対策というのは、全頭検査だけではなくて、この飼料規制、それから危険部位の除去あるいは解体方法などを総合してBSE対策を取っておるわけで、決してその全頭検査だけがBSE対策ではないと。ところが、アメリカ産牛肉に関して、日本が取っておるような危険部位の除去方法、解体方法というものはまた日本と違って、日本ほどBSE対策に敏感な方法を講じていないと思うんですが、しかしそうした問題を全く国民に知らせない、情報提供しないまま、あるいは問題にしないまま、ただ単に全頭検査の二十か月齢以下だけを除外すればいいというようなことにして輸入を進めていこうというような状況になっておるわけです。  私は、こうした姿勢からいえば、やはり国民の前に国が責務があるべき食品に関する正しい情報提供、あるいは安全な国民の選択に応じられるような食料の供給というものの体制を、やはり国はその責務を果たしていないんではないか。  私は、国民にこの食に関する責務を求める前に、国が果たすべきまず責任をまずきちんと果たしてからしなさいというふうに思っておるわけですが、そうした観点から、このBSEの私が指摘したこの問題について、最後にお答えください。
  128. 高橋直人

    政府参考人高橋直人君) BSEの問題につきましては、私ども、これまでにも国内対策見直しの始める前から、以前からかなりリスクコミュニケーションという格好で各地でも意見交換会開いております。あるいは、国内措置の見直しの際にも全国でやっておりますし、それから食品安全委員会が国内措置のそういう見直しに関する審議を行っているその途上で、全国五十か所でリスクコミュニケーションを行っております。その際には、国内のみならず、やはり国際的な問題もいろいろ御質問いただいておりますし、私どもとしてもお答えしているところでございます。  今お話にございました米国産牛肉の問題につきましては、現在、実は私ども全国の九か所でリスクコミュニケーションをやっております。その際には、もちろん米国におきますBSE対策全般、これは生産段階でのどういった飼育の方法から、方法を取っているか、あるいはどういったえさ、飼料を与えているか、それから屠畜場における処理はどういうふうになっているのか、それから屠畜に係る規制はどうなっているか、こういった全般の生産段階から屠畜段階にわたる情報提供については十分私ども留意しまして、国民方々に、リスコミに来られた方々に十分情報提供している、そういったつもりでやっているところでございます。  国の責務、その安全管理は、当然、お話のように国の最大の責務でございますので、私どもその辺十分踏まえまして、国民の健康を第一に、食の安全、安心確保するということで、科学的知見に基づいて対処してまいりたいと、かように考えております。
  129. 風間昶

    ○風間昶君 公明党の風間でございます。  この食育基本法については衆議院で様々な議論があったようでございまして、各党とも食の現状については憂慮しているというのが一致した見解ではないかなというふうに思います。ところが、個人の食に関しての権利という部分に、法律まで作ってそれをまた、規定というわけじゃないですが、規制というわけじゃないですが、そのことについて賛成と反対の意見の相違があるように思います。  私は、より良く生きていくための知恵と知識を伝承していくという観点からすると、これも教育の一つの大事な観点でございますから、教育基礎的な中にこの食育というものを掲げるべきだというふうに思っておりまして、そういう観点からちょっと質問をさせていただきたいというふうに思います。  今もお話がありましたが、食料自給率向上につながるという、つなげていくという観点は大事であると思いますし、むしろ食料自給率向上の前に低下をどうしていくのかというふうに考えるべきではないかというふうに思っておりまして、それには食料自給率の低下をどう認識しているのかということが一つのスタートではないかというふうに思いますので、提案者の方に、法律とは直接関係ありませんけれども、現下の食料自給率の低下についてどのような認識をお持ちなのか、伺いたいと思います。
  130. 小坂憲次

    衆議院議員小坂憲次君) 御指摘のように、我が国食料自給率の低下というのは非常に深刻な状況になってきているという認識は私ども共有しているわけでありまして、これ端的に申し上げれば、国内生産が国内の需要に十分に対応し切れなかったことが結果として自給率の低下になったということだと思うのでございます。  それは、さかのぼって言えば、敗戦後の食料事情、米飯食が中心であった日本の食がパン食というものになって、そしてその小麦の生産というもの、あるいはパンに合った食材という、おかずというようなものの変化、これが脂分の多いようなものになってきて、そういった輸入食品が必要になってきたという需要に対して国内生産がそれに対応し切れないという状況から食料自給率が低下してきたということが要因の一つとして挙げられるんではないかと思っております。  このために、先般、新たな食料農業・農村基本計画が策定をされましたけれども、この中では、消費面では、フードガイドなどを策定しまして分かりやすく実践的な食育を進める一方で、生産面においては、経営感覚に優れた担い手を育成、そして確保して需要に即した生産を進めると、そういったことを重点的に取り組むべきであるということが明確に規定をされております。このようなことがすなわち今申し上げた自給率の低下の要因をとらえる上で、私どもはそういった関係にあるんではないかと認識をしておるところでございます。
  131. 風間昶

    ○風間昶君 そうしますと、この食育基本法が施行された場合に食料自給率に関してどういう教育がなされた方がいいのかということが必要じゃないかというふうに思います。そして、それがまた自給率の低下を歯止めになるかどうかということにつながっていくと思いますけれども、この点については五条でも、あっ、五条じゃないや、自給率という言葉そのものについては法律の中には、条項の中にはないですけれども、ただ、七条では、自給率向上に資するよう、推進されなければならないというふうにうたっていますから、このことを考えるならば、食料自給率に関してどのような教育に持っていった方がいいのか、そしてまた自給率低下の歯止めにどうしていったらいいのかということを提案者に伺いたいと思いますけれども
  132. 小坂憲次

    衆議院議員小坂憲次君) 当食育基本法が施行された場合に、本法案に基づきまして、食や農業に関する正しい知識の習得や健全な食生活を実施、実践することができるように、食料消費や農産物の供給の現状について、あるいは食料自給率を、食生活関係等の食料自給率に関する情報提供を行うとともに、学校給食等を含めた地産地消の推進、あるいは我が国の伝統ある優れた食文化地域の特性を生かした食生活環境と調和の取れた食料生産とその消費食料生産者消費者との交流を通じた信頼関係構築等を取り組んでいく、こういう施策によりましてこの自給率の歯止めになっていくものと思っております。  また、こうした取組などの結果、先ほども申し上げましたけれども、国産の農水産物の需要が拡大をして農村漁村が活性化をしてくる、こういうことの相乗効果によって食料自給率が上がってくると、そういうことを期待をしているということでございます。
  133. 風間昶

    ○風間昶君 具体的にはやっぱり学校給食の現場でのあれが一番大事だと思うんですけれども、正にきちんと朝御飯を食べないでおいでになっている、通学している子供たちが物すごい増えていることはもう事実で、そういう意味では、広島のある学校では、早寝、早起き、朝御飯、朝御飯が三項目めに追加になって、その朝御飯をしっかり食べてくる運動を行っているところもあるようですけれども。  先日も、私の孫の二年生に、学校の担任の先生に、朝御飯先生食べてきたのかどうかを聞くために、何食べてきたか聞いてみろというふうに言いましたら、先生食べてきてなかった事実がありました。その日たまたま食べてこなかったのかもしれないけれども。  そういう意味で、給食が食育において非常に重要であることは論をまちませんけれども、朝御飯をしっかり食べてくるということについてどういうように教育現場で推進していくかということが大事だと思うんですけれども子供たちがですよ、食べてくるのに。そういう意味で、国としての取組をちょっと聞きたいと思いますけれども
  134. 西阪昇

    政府参考人西阪昇君) 御指摘のように、朝食をしっかり食べるということは、一日のスタートを気持ちよくきっちりとしていくとともに、勉学や運動に自分の力を思い切り発揮することにつながるということでございまして、望ましい食習慣生活のリズムを形成する上での第一歩として大変重要であると考えております。  しかしながら、御指摘のように、少し前の調査でございますが、平成十二年のスポーツ振興センターの調査では、朝食をほとんど食べない、又は週二回から三回以上は食べないとする子供たちが、小学校では男子、女子とも一六%、中学校では男子一九%、女子二〇%というような状態でございまして、きちんと朝食を取るということを学校教育におきましても指導していくということは重要な課題になっているのではないかというふうに考えております。  そのような状況の中ではございますが、先生指摘がありましたように、学校によりましては、保護者の協力を得て朝食をしっかり食べて登校させるというようなことを取組をいたしまして、体力や学力が向上してきているというような成果を上げている学校も出てきているところでございます。  文部科学省といたしましては、本年四月から制度が開始されました栄養教諭が今後各地域で、学校で配置されることが促進されるということを通じまして、各学校家庭地域連携を図って、子供たちの朝食を取ることの重要性ということの指導を行われると、取組が行われるというようなことも進めていきたいというふうに思っておりますし、また、今後、関係省とも連携協力をしてこのような取組をしていかないといけないのではないかというふうに思っております。
  135. 風間昶

    ○風間昶君 やはり学校の前に家庭における食育というのが極めて大事で、今正に家庭の中での食事が四つのコ食というふうに言われていまして、独りで食べる孤独の孤食、それから個人で食べる、家族ばらばらで食べる、それから好きなものだけ食べるという固定的な固の固食に、量が少ない、小食という意味での小食と、四つのコということが言われていますが。  孫の教諭が今二十数歳の先生で、この間お話したときに、その先生も先割れスプーンで育った人でございまして、満足にはしが持つのが難しいと。特につるつるしている中華のはしを持つのが難しいというふうにその先生もおっしゃっていました。だから、極端な例かもしれないけれども、教員からはしの持ち方を教えなきゃならないんじゃないかというぐらいに感じたわけでありますけれども。このことを含めると、本当に、学校だけの責任ではないわけでありますけれども、何とかしなきゃならないんじゃないかというふうに私は思います。  そういう意味で、教員の、教師の先生方に食事のありようをやっぱりちょっと一回認識してもらうようなことが大事じゃないかなというふうに思いますが、このことについては提案者はどう思いますかね。
  136. 白保台一

    衆議院議員(白保台一君) 風間先生お答えしますが、教員のはしの持ち方を教えるかどうかはともかくといたしまして、この法案においては、子供たちに対する食育推進するために、学校の教職員について、食育重要性についての理解や積極的な食育推進、こういうことに関する活動への取組を期待をしている、五条とか十一条で期待をしているところであります。  また、このために今後、学校の教職員についても、様々な形で食育推進に関する啓発の機会や、はしの持ち方等も含めて、食育推進のための必要な知識等の習得の機会が設けられることが期待をされているところであります。
  137. 風間昶

    ○風間昶君 先ほども議論になっていましたけれども、給食の在り方がやはりセンター化や民間委託になって、本当にそういう意味で教育上の効果が疑問になっているわけでありますから、そういう意味で、お米一つ取ってみても、栽培に半年掛かって、御飯炊くのに約一時間、自分の宿舎の電気がまでも、二合炊いても大体蒸らす時間を含めると四十分ぐらいでやれるわけでありますけれども、食べるの十分以内で食べていますけれども。  そんな中で、米をどうやって作られているのかとか、米とぐというのはどういうことなのかなと。今、無洗米もあるわけでありますけれども。やっぱり学校現場でその現場に行ってみるというのも一つの方法でしょうし、やっぱり教えていく、あるいは学んでもらうということが極めて大事だというふうに思いますから、そういう意味で給食のありようが一回問い直ししなければならないかなと私は個人的には思っています。  そういう意味で、この学校給食のありようを、在り方をどのように規定しているのか、まずちょっと教えてください。
  138. 西川京子

    衆議院議員(西川京子君) 先ほど神本先生からも様々な御意見をちょうだいいたしました。そして、今お米の問題が出ましたけれども、今先生がおっしゃったように、お米のとぎ方と、とぐという言葉自体がもう余り知らない子供たちも増えているかもしれません。そして、今確かに精米技術が発達して無洗米のようなものが出てきている中で、きれいにマニキュアをして、付けづめをしてきれいにしている女性、若い女性たちを見ると、絶対にお米をといだことはないだろうなと私も思いますけれども。  そういう中で、やはり学校教育の場で、この学校給食の中で、そういう本来の在り方とか、いろんなしつけの面も含めた、日本の本来の食事はこうだったというようなこと、あるいは世界各国の食事の形態も含めてですが、そういうことを学校給食の中に取り入れながら、栄養も考えた学校給食の在り方というのは考えなければ本当にいけないと私も思っております。  そういう中で、確かに今、センター方式を取るのか学校の自校方式を取るのかというのは一応今現場の設置者に任されているのが現実でございますけれども、そういう意味では、この食育基本法の中の精神を読み取りますれば、やはりもうちょっと一考して、よりその精神を生かす方向に学校給食も変えていかなければいけないんではないかという、そういう積極的な思いも含まれていると私は思っております。
  139. 風間昶

    ○風間昶君 また、例えば学校農園というものも積極的に私は推進すべきだというふうに思います。普通の有機肥料と水だけで真っすぐ伸びるキュウリを栽培するということがどれほど難しいかということが分かれば、これはまた消費者の食べ物に対する意識も変化、変わってくるわけで、流通形態、構造も変わってくるというふうになりますと、当然生産構造も変わってくるというふうになってきますから。自分たちで作ったものは自分たちで食べるということを、やっぱり子供たちは、今まで私たちのような世代までは作っていたのを自分のうちで食べていたけれども、今だんだんそうでなくなってきているわけでありますから、実体験を踏まえた、食料教育という大げさな言い方じゃないですけれども農業教育についてはどのような見解をお持ちなのか、伺いたいと思います。
  140. 白保台一

    衆議院議員(白保台一君) 風間委員おっしゃるとおりでありまして、私自身も正にそういった体験をしてきました。  そこで、食についての理解を深めると、そしてまた食を大切に思う心を育てるためには食の生産活動を体験することが大切であると、こういうふうに思います。そのために食育基本法案六条において、広く国民があらゆる機会とあらゆる場所を利用して、食料生産から消費等に至るまでの食に関する様々な体験活動を行うことと規定をしているところであります。また、そのような観点から、農林漁業者等が農林漁業に関する多様な体験の機会を提供するなど、教育関係者等と連携して食育推進することを期待して、同第十一条二項に特に規定を設けているところであります。
  141. 風間昶

    ○風間昶君 食べ物のカロリーベースで三〇%が残飯として捨てられているのが現状のようでございまして、食料自給率が四〇%という国で、我が国でこの数字というのは、三〇%が捨てられているということになると驚異的な私は数だというふうに思うんです。  そういう意味で、残飯をまずはなるべく出さないようにするには、恐らくこれは学校での残飯より、むしろホテルとか食品業界での残飯の方が圧倒的に多いと思うんですけれども、それはそうとしても、食育基本法の中でも、やはり学校における残飯の処理の仕方を含めると、栄養教諭の方々にもお手伝いしていただかなきゃならないわけでありますから、栄養教諭という新しい免状を持った方々がどんな仕事をこれからしていくのかということについては、今までの仕事の在り方と変わった点が当然あるかと思いますけど、この部分については現在カリキュラム上、どういうふうになっているのか教えていただきたいと思いますけど。
  142. 西阪昇

    政府参考人西阪昇君) この四月から栄養教諭制度、開始されたわけでございますが、栄養教諭は、これまで学校栄養職員として基本的に行っておりました学校給食の管理と併せまして、食に関する指導を一体的に行うということをその職務としているわけでございます。  食に関する指導の具体的な内容といたしましては、食に関するカウンセラーという立場で、肥満傾向の児童生徒や食物アレルギーを持つ児童生徒、保護者などに対する個別の相談、指導でございますとか、あるいは給食の時間や関係の各教科、特別活動などにおける食育に関する指導、さらには食に関する指導学校全体として取り組む際の指導計画の作成など、学校全体での取組に企画立案段階から中心的に携わっていただきまして、教職員間の連携調整を図る、あるいは家庭地域への啓発活動を推進するなど、学校内外の関係者との連携調整ということがございます。  御指摘のようなことも含めて、栄養教諭が配置進むことによりまして、各学校における食育指導体制ということが整備をされ、家庭地域との連携を図りつつ食育が積極的に推進されるよう推進していきたいというふうに思っております。
  143. 風間昶

    ○風間昶君 今のお話聞いていると、肥満傾向のある子供さんたちに対するカウンセラー的な指導ということが加わったようでありますけど、むしろ、ですから食べることについて、残飯を出さないようにするために、例えば家庭科の学習の中でどのような形に栄養教諭の方がかかわっていくかという、そっちの方が私聞きたかったんですけれども、そこはどうですか。担当違うんですか。
  144. 山中伸一

    政府参考人山中伸一君) まず、先生家庭科の中でどんな形で環境配慮した食生活と申しますか、その辺について扱っているかということをまず御説明したいと思うのでございますが、家庭科の中では環境配慮して無駄にしないでごみをなるべく出さないと、こういうことをしっかりと教えていこうということを考えております。  具体的には、小中学校でございますと、環境配慮した生活の工夫ということで、献立をまず作りますときに、無駄なくその材料を作ろうと、あるいは全部使い切ろうといった工夫をしようという調理の工夫でございますとか、あるいは調理くずを処理するときにどういう形で分別しましょうとか、そういうふうなことをやっております。また、高校になりますと、環境負荷の少ない、生活意識あるいは様式というものを見直しまして、環境配慮した生活を工夫できるようにするということを指導要領の方で掲げております。  具体的に、例えばある教科書では、日本食料自給率、これは世界の先進国の中で特に低いのに毎日膨大な量の生ごみが出されていると、このごみの処理にはまた膨大な費用と労力が掛かっていると。では、このような無駄な食生活を見直していくという必要がある。じゃ、そのためにすぐできることは何かということで検討してみようということをやっておりまして、まず日本状況、全体の状況、それから野菜のしゅんを知ると、あるいはごみの各家庭、自分の家庭での廃棄量はどれぐらいかと、それでエコクッキング、そういう配慮した料理というものを自分の家庭で考えてみようというふうな形で指導しているというふうなところがございます。  栄養教諭の方、この四月から新しい制度としてこれが各学校の方にも順次配置されていくというふうに期待しておりますけれども、こういういろんな学校給食も含めまして、食事の中で多くの人が給食を作るまでにかかわっている、そういう方への感謝を込めて、あるいは楽しく喜びながら食事ができるといったそういうことを家庭科の授業あるいは給食の授業、そういうものを含めた形でトータルとして食育教育の充実ができるように、そういう形で栄養教諭の方に活躍していただきたいというふうに期待しているところでございます。
  145. 風間昶

    ○風間昶君 ありがとうございます。  食育という観点から少し離れますけど、今もうとにかく日本じゅうどこ行っても食事が金太郎あめでありまして、山の中の温泉行こうがどこへ行こうが、刺身からカニから、一年じゅうスイカかメロンかマンゴーか何かがデザートで出てくるという状態で、本当に食の有り難みというのが薄れてきているのが自分自身でもどこ行っても実感です。  そういう意味で、そうした現状について私は憂えている一人ですけれども提案者方々はそこをどのような認識されているんでしょうか。そしてまた、それがこの食育基本法を施行していく上で解消していける、今の食の有り難み、有り難さを感じていけるようにしていくにはどうしたらいいのかということをお聞かせ願えれば有り難いですが。
  146. 白保台一

    衆議院議員(白保台一君) おっしゃること、同感でございます。今どうしてここでこういうものが出るのかなという、不思議に思うことが一杯あるわけでありまして、いつでもどこでもその地にないものがいながらにして手に入るという、こういう状態の中ではそういうことが起きるのかなと、こういうふうに思うわけですが、一方では、それぞれの地域の特産、そういったものをホテルの経営者が自ら農園を作ってそれを食事として出している、そういうことをやっているところもまた出てきているわけですね。ですから、画一的なところから、今度はそれぞれの地域の特産を出して地産地消を進めていく、そういうこともまた一方では出てきていると、こういうふうに思います。  したがって、先ほど答弁で申し上げましたが、食育基本法第六条、広く国民が、あらゆる機会とあらゆる場所を利用して、食料生産から消費等に至るまでの食に関する様々な体験活動を行う、こういうことを六条にうたっておるわけでございますが、そういうことを踏まえて啓発活動、そしてまた国民運動を進めていく、この基本法を進めていく、このことが大事であると、こういうふうに認識しております。
  147. 風間昶

    ○風間昶君 本当に、先々週、五月八日、ゴーヤの日ということで、北海道でゴーヤ取れないのに、もうスーパーや食料品店にもうゴーヤがだあっと並びまして、どこ行っても。まあ健康食ですからいいんですけれども、憂えています。  それはそれとして、今お話しのあったこの地産地消と伝統食の伝承ということが七条で言われているわけでありますけれども、もうちょっと私は、これさっきも議論になりましたけど、この食育基本法の中でどうしていった方がいいのかということをもうちょっと踏み込んだ形で、政省令じゃないんですけれども、もうちょっと具体的に発信していけるものがないかなというふうに思いますが、提案者に伺いたいと思いますが、どうでしょうか。
  148. 白保台一

    衆議院議員(白保台一君) ゴーヤの宣伝していただきまして、ありがとうございます。  西銘議員のルーツともいうべき与那国島というのがありますが、あそこへ行って泊まったときに、なぜかシャケが一杯出ていまして、大変感激したわけでありますが。  そのことはともかくといたしまして、地産地消に関して、食育基本法案の第二十三条、ここにおいて、国及び地方公共団体は、農林水産物の生産された地域内の学校給食等における利用その他のその地域内における消費の促進等必要な施策を講ずることとして位置付けております。これ、まず一つ。  また、伝統食に関しては、法案第二十四条において、国及び地方公共団体は、伝統的な行事や作法と結び付いた食文化地域の特色ある食文化我が国の伝統ある優れた食文化継承推進するため必要な施策を講ずることと、これも位置付けております。そして、地産地消や伝統的な食文化継承推進することは、各々の地域農業等や風土に合った食生活普及していく上で大切なことであり、ひいては食料自給率向上にも資するものでありまして、本法案の制定を機にしてより活発に取り組まれていくことと、このように考えております。
  149. 風間昶

    ○風間昶君 ありがとうございます。確かにそうですね。  続きまして、肥満生活習慣病については大きなやっぱり問題にこれからもなっていくだろうし、そういう意味では、独り暮らしの方々が非常に多くなってきて、バランスの取れた食事をするというのは極めて難しい状態になってきている今日の状況かなというふうに思います。  そういう意味で、農水省が独りの方々、単身者をターゲットとしてコンビニで、健康や栄養を通じて健全な生活をしていける何というか情報提供を行う目的で、去年の十一月でしたか、都内の四か所のコンビニでそのモデル事業を行ったわけですけど、あの声が、反応がどうだったのか。それで、もし反応が良ければもっと僕は全国のコンビニに広げていってもいいんではないかと、反応が良ければですよ、思うんですけれども、今後の展開をどのように考えているのか、農水省に伺いたいと思いますけれども
  150. 高橋直人

    政府参考人高橋直人君) 近年、特に若い方々食習慣の乱れが指摘されているという、そういったことを踏まえまして、私どもで、昨年度の補助事業といたしまして単身世帯等食育推進事業、これを実施したところでございます。  この事業は、大学生、それからサラリーマンなど、単身者の利用頻度が高いコンビニエンスストアにおきまして、弁当や総菜などの商品の値札を、エネルギーのもとになります食品、これは黄色で表します、それから体のもととなる食品、これは赤で表しまして、それから体の調子を整える食品、これ緑色で表しまして、その三色に色分けをすることによって、それは食品の棚の値札のところにそれが付いているわけですけれども、バランスの良い食品の購入を提案をして、来店した方がそれを見て購入行動を変えるかどうか、そういった調査をしたわけでございます。  来店した若い単身者に対しまして行った現地調査では、色分けを参考にして食品を購入したと、そういった方の割合が男性を中心に増加をいたしておりまして、色分けの提示によって栄養バランスの良い食事に対する理解を深めることができたんではないかと、こういうふうに考えております。  こうした経過を踏まえまして、更に色、三色を単に円グラフに並べるだけではなくて、それぞれ栄養成分を含んだ食品を実際に絵の中に盛り込んでみて、もう少しこう具体的な、どういうものを食べたらよいかというのが具体的にもっとはっきり分かるような形で選択ができるように、そういったものを絵に表しまして、これはフードガイドと今はちょっと仮称で呼んでおりますけれども、そういうものを現在検討しております。そういったものをいずれちょっと完成させまして、十七年度も引き続きそういったモデル事業をもう少し続けていきたいと、かように考えております。
  151. 風間昶

    ○風間昶君 是非これは、何か若い人たちにとってみればぱっとこう目を引くというとおかしいですけれども、食べてみようかなという感じが、やっぱり自分の子供に聞いてみたら、思いました、そっちへ目行くって言っていましたんで、展開していただきたいというふうに思います。  また、スナック菓子やカップめんなどの高カロリー食品もまた肥満生活習慣病の原因になる大きなあれになっていますけれども。もう五年も前になりますが、食生活指針というのを当時の文部省厚生省農林水産省が共同して策定して、食生活指針というのを普及啓発活動に取り組んできているところだというふうになっているんですが、この食生活指針の中で、スナック菓子、カップめんの位置付けが特にあるんでしょうか。ちょっとお聞きしたいと思います。
  152. 岡島敦子

    政府参考人(岡島敦子君) 食生活指針の中では、スナック菓子やカップめんといったような個別の食品というものを特に明記してございません。食塩や脂肪は控えめにということの中でそういうことは書いてございまして、その中で、脂肪については取り過ぎをやめるとともに、量だけでなくて種類も考える必要があるということで、動物、植物、魚類由来の脂肪をバランス良く取るということを示しているところでございます。  先生の御指摘のように、生活習慣病の原因には栄養面運動、喫煙等いろんなものが関連しているところでございますが、特に脂肪の取り過ぎによる肥満とか野菜の摂取不足、食塩の過剰摂取などが生活習慣病の要因としては報告されているところでございます。  現在、厚生労働省では、健康日本21に基づきまして目標を定めまして取組を進め、その中で食生活指針推進をしているところでございますが、さらに、何をどれだけ食べればよいのかということを分かりやすく示すフードガイドを農林水産省と共同で作成しているところでございますので、そういった取組も含めまして今後進めてまいりたいというふうに考えております。
  153. 風間昶

    ○風間昶君 文句付けるわけじゃないけれど、脂肪の取り過ぎはいけないって、じゃそのスナック菓子に脂肪がどのぐらいあるのかということが分からないと駄目じゃないかと私は思いますけどね、具体的にですね。  少なくとも、高脂肪あるいは高カロリー食品が、一定程度枠があって、枠というか基準があって、それ以上はいわゆるカロリー的には高カロリー食品となっているんだったら、その作っているところにはまた影響出るかもしれないけれども、こういったものの取り過ぎは注意しようとか、そういうふうに具体的にしないと、脂肪は取っちゃいけない、脂肪は、だけど最低限必要な脂肪は取らなきゃならないわけですから、そこのところをやっぱりもうちょっと具体的にフードガイドで示していく必要があると思うんですけど、済みません、もう一回ちょっと、釈然としないので、私。
  154. 岡島敦子

    政府参考人(岡島敦子君) 現在、農林水産省厚生労働省共同でフードガイドの検討を進めておりますので、そういった御議論をいろいろいただきながら、どういうのが一番情報提供として、あるいは望ましい食生活を実現する上で適当なのかということを検討してまいりたいというふうに考えております。
  155. 風間昶

    ○風間昶君 分かりました。  先ほども議論になりましたけど、BSE、食の安全について、まあストップしたまんまになっているわけですけど、米国産の牛肉の輸入がですね。ただ、私の耳に届いているのは、消費者側からの輸入再開を求める声はないんですね、輸入再開してくれというのは。むしろ業者の方、取り扱っている、まあ牛タン屋さんも含めてですね、その業者の、生産者というか、業者の方々からの輸入再開の声は物すごいあるわけでありますけれども、そういう意味では、科学的知見とは別に消費者心理というものが漠然とこう日本の全頭検査を私は支持しているのかなとも思っているわけでありますけれども、まず全頭検査の必要性についてはどのように考えているのか、役所から伺いたいと思いますけど。
  156. 外口崇

    政府参考人外口崇君) 食品の安全規制につきましては、科学的合理性を基本として判断すべきものと考えております。  十三年秋以降の全頭検査を含むBSEの国内対策につきましては、昨年九月に、科学的見地からこの国内対策を検証した報告書を食品安全委員会からいただいたところであります。その内容に沿った見直し案について食品安全委員会に諮問し、去る五月六日にその評価結果を答申としていただいたところであります。厚生労働省としては、この評価結果に基づいてBSE検査の対象月齢を二十一か月齢以上へと見直すこととしておりますが、このような科学的に判断された安全が委員指摘国民安心につながるようにしていきたいと考えておるところでございます。  食品安全委員会委員長からも、かねがね安全に信頼が加わらなければ安心とは言えないという御指摘をいただいております。今後とも、リスクコミュニケーション等を通じまして、消費者を始めとした国民の皆様の御理解を得るよう努力してまいりたいと考えております。
  157. 風間昶

    ○風間昶君 全頭検査の必要性についてはどのように考えているのかと聞いているんですが、まあ少しずらされて答弁されましたが。  本来、輸入農産物の安全性を確実に担保するという方法は私はないのだというふうに思っています。そのことをやっぱり認識しないと駄目じゃないかというふうに思います。どんな土壌、土で、どんな肥料で、そしてどのような栽培方法で、すべてトレーサビリティー、すべて追跡することが、まだ方法は確立されていないからであります。また、輸入するときのポストハーベストの問題もありますから、そういう意味で国産農産物の競争力を、先ほど農産物の輸出の話がありましたけれども、高めるためにも、競争力高めるためにも、国内の農産物、国産の農産物の安全性をアピール、もっと私は強くすべきだというふうに思います。  そういう意味で、国産農産物の安全性の周知については今どのような発信をされているのか伺いたいと思いますけれども
  158. 高橋直人

    政府参考人高橋直人君) 国産農産物の安全性のアピール、その前提は当然、国産農産物の安全がそもそも確保されなければいけないということがまず第一に前提であるわけであります。  その点で、私ども農林水産省といたしましては、厚生労働省による食品衛生行政連携しながら、生産段階から消費段階にわたるリスク管理措置を徹底することによって、これは具体的には農薬など生産に使用される資材が適正に使用されるようにするための指導監視でありますとか、あるいは有害物質であるカドミウムとか水銀などにつきましては汚染状況の実態調査、あるいはその結果に基づく適切なリスク管理、こういった措置を実施しているところであります。  こういった点につきまして、これらの国産農産物の生産段階から消費段階にわたる安全性の担保の取組確保取組や実態につきまして、消費者などの理解を深める観点などから、意見交換会の開催、あるいは私ども農林水産省のホームページ、メールマガジンを通した情報提供等の各種のリスクコミュニケーションを行っているところでございます。  こうした取組やあるいは生産者、事業者の方々によるこういった安全面での改善努力と、こういったことによりまして食の安全と消費者の信頼が確保される、そうすれば結果として国産農産物の安全性の周知にもなるということではないんだろうかというふうに考えております。
  159. 風間昶

    ○風間昶君 今、リスクコミュニケーションの話が出ましたんであれですけれども、二年前のちょうど五月に食品安全基本法というのを作られたわけであります。あれもやっぱりBSEがきっかけで、リスク管理を行う機関から分けてリスク評価が行われるように食品安全委員会が新設されたわけでありますけれども基本的には消費者というよりも、むしろ生産者あるいは流通業者の各工程における適切な措置を行うというのがこの食品安全基本法の根本的な問題ではなかったと思いますが、ただ、その中にもやはり消費者役割というのが入っています。  そういう意味で、食品安全基本法の十三条に情報意見の交流促進ということが規定されているわけであります。また、この食育基本法にも、情報提供食品に関する情報提供を行うというふうになっていますけれども、これ重複、文言上では重複しているんですけれども、精神まできちっと重複しているのかどうか、それからその両者の関係性についてはどういうふうに考えていられるのか、内閣法制局、おいでになっていればお聞きしたいんですが。
  160. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 内閣法制局は。
  161. 宮腰光寛

    衆議院議員(宮腰光寛君) 法制局から聞かれますか。
  162. 風間昶

    ○風間昶君 いやいや、どうぞ。
  163. 宮腰光寛

    衆議院議員(宮腰光寛君) リスクコミュニケーションにつきましては、先生指摘のとおり、食品安全委員会をつくることによって、リスク評価については役所から、これまでの役所から分離をして第一義的に食品安全委員会が評価をするということになりまして、その評価に基づいてリスク管理をこれまでの役所が行うということになっております。リスクコミュニケーションにつきましては、これは食品安全委員会並びにこれまでの役所も行うということになっているわけでございますが、これは食に関して安全の問題については、これは重複している部分がこの食育基本法においてもあるというふうに思っております。  他方、食育につきましては、健全な食生活を実践することができる人間を育てるということでありますので、ここで言う食生活というのは、食の安全を始めといたしまして、食の栄養食文化等を含む幅広い概念であることから、本法案の第八条におきまして、食品安全性を始めとする食に関する幅広い情報提供及びこれについての意見交換等について規定をしているわけでございます。  食品の安全のみならず、幅広い食に関する情報提供及び意見交換等が国民の食に関する知識理解を深めまして国民の適切な食生活の実践のために重要であることから、本法案に八条という形で規定をさせていただいたものでございます。
  164. 風間昶

    ○風間昶君 ですから、食品安全基本法の十三条と全く文言が同じじゃないんですけれども、その辺の関係はどうかなというふうにちょっとお聞きしたかったんです、はい。──法制局が来ていないようですから、ちょっと後、個人的にちょっと私詰めてみます。済みません。  それじゃ、農村と都会の交流推進については先ほど来議論がありますが、食育の延長を支えるものとして、私はやっぱり作っている農業への理解が大事じゃないかというふうに思います。  地方の学校であれば、終わってから、まあ本当に田んぼのあぜ道通って帰ったり、畑見ながら家畜のふんにまみれながらとかということがあるわけですけれども、都会はそうもいかないわけで、そうすると、都会と農村の交流事業の推進というのをきっちりやっぱり行うべきだというふうに私は思います。そういう意味では、総合学習の時間とか修学旅行を利用した、まあ田植の時期ではないのであれですけれども、農作業の体験学習といったようなことも私は必要ではないかというふうに思いますが、文科省としてはどういうふうにこれは取り組んでいくつもりか、あるいはいるのか、教えてください。
  165. 山中伸一

    政府参考人山中伸一君) 先生学校教育の中で農作業といったいろんな体験活動、特に農作業等の重要性についての御指摘でございました。  現在、総合的な学習の時間というのがございますけれども、これは抽出の調査でございますけれども、小学校でございますと七二・九%ぐらいは農業体験学習を実施していると、あるいは中学校はちょっと落ちますけれども、二七・八%ぐらいが農業体験学習を実施しているというふうな調査もございます。また、いろんなところでやっぱり子供たちが自然あるいは地域の人々と触れ合う、あるいは食を支える農家の方のところに実際に行って、そこで体験するという重要性というのは、学校教育先生方も非常に強く感じているところでございまして、例えば武蔵野市でございますと、これはセカンドスクールということで、市内の小中学校全部の学校が、四泊五日ですとか、あるいは六泊七日という形で、これは農山漁村の方と提携いたしまして、そちらの方の農家の方、そこに宿泊させてもらって、農作業とかいろんなことを体験させてもらって学習するというふうなことをやっているところもございます。  あるいは農業もございます、農業といいますか、米とか、そういうものもございますけれども、中央酪農会議、ここが中心になりまして、教育で活用するのに適した牧場というものを酪農教育ファームとして認証していただいておりまして、ここ、今百八十三牧場を認証しているようでございますけれども、その中で、例えば北海道の帯広市の牧場、ここに小学校六年生が修学旅行で二泊三日で行くといった、そういうふうな事例も紹介いたしまして、これは文部科学省農林水産省、あるいは全国農業協同中央会、JAとも連携いたしまして、そういう農業体験で子供たちに生きる力をといったパンフレットも作って、ここに聞いてみればそういういろんな事例がありますとか、ここに相談すればそういうことに、子供農業体験をやろうというときに相談に応じますといった窓口も、そこで連絡先も記しまして、積極的に活用してもらいたいということをやっているところでございます。  文部科学省では、平成十四年から豊かな体験活動推進事業というふうなこともやっておりまして、農山漁村との共生、対流と、こういうものを積極的に推進していきたいというふうに考えているところでございます。
  166. 風間昶

    ○風間昶君 学校以外では、やっぱり生産者方々消費者の距離を縮めるということは極めて大事だというふうに思います。  グリーンツーリズムもその一環だと思いますけれども、もっと全国的に展開していけるように、どうも現場に行って聞いてみますと、教育委員会から来る要望と受ける側の方の団体、地域農業団体も含めて、ここの、何というんですか、ミスマッチが結構あるようで、これが除かれるともっと私は広がっていくような気がするんですが、こういう部分について具体的に農水省としてもうちょっと、何というんですかね、柔らかな指導を持っていかないと、余りぎちぎちぎちぎち基準を作って指導していくから使い勝手が悪いというふうな声も聞かれます。この部分も含めて、農村振興局の方にちょっと伺いたいと思うんですけれども
  167. 宮本敏久

    政府参考人(宮本敏久君) お答え申し上げます。  今先生指摘のとおり、グリーンツーリズムは、農山漁村あるいは農林漁業を都市住民の方々理解していただく、あるいは親近感を持っていただく、あるいはこれらの活動を通じまして地域活性化にもつながり得るということで、極めて重要な施策であるというふうに考えているところでございます。  このため、この三月に閣議決定されました新たな食料農業・農村基本計画の中でも、こういったグリーンツーリズムの推進を農村振興の重要な施策として位置付けるところでございます。  また、先ほど文科省さんの方からも話ございましたけれども、小中学校等の農林業体験活動につきましても、総合学習の時間あるいは夏休み、あるいは修学旅行、こういった場を通じまして進めるべく、連携しながら実施しているところでございます。  また、今先生指摘の、いわゆるなかなか使い勝手が悪いという話ございましたけれども基本的には文科省さんの方からいわゆる教育委員会系統へ、農林水産省の方から受入側、あるいはJAも含めました受入側に指導しているところでございますが、これらソフト経費につきましては、本年度からいわゆる農林水産省補助金の交付金化というものを行いまして、その中で、それぞれの地域が自分たちの身に合ったように予算の執行ができるというような仕組みを導入しているところでございます。  こういった仕組みも、仕組みといいますか、補助金制度も活用していただきまして、都市側と農村側の十分な連携あるいは受入体制の整備といったものが可能になるよう、私ども推進をしていきたいというふうに考えております。
  168. 風間昶

    ○風間昶君 終わります。
  169. 近藤正道

    ○近藤正道君 社民党・護憲連合の近藤正道です。  私も食べることは大好きでありますし、また作ることも大好きでありまして、台所にはしょっちゅう立ちます。しかし、午前中にお話しになられました、質問された円議員とか、あるいは午後の神本議員のように実感あふれる話はできません。  食育の問題につきましては、この基本法が付託をされた以降、いろいろ勉強させていただきまして、私自身も食生活の乱れ、これは本当に深刻なものであるというふうに受け止めておりまして、何とかしなければならないというふうに思っておりますが、この基本法のようなやり方がいいのかどうかということについては、率直に言っていろいろ疑問等も覚えている一人でございます。  私は新潟でありまして、長い間新潟市にある食生活改善普及会という産直運動をやっているグループと付き合いがございました。この人たちは、産直運動をやりながら、安全な農産物を作る農家を育てる、そういうことをしながら、同時に食生活改善、正に食育運動をやりながら、様々な食の安全の運動をやってきた人たちであります。そしてこの人たちは、今の農産物の輸入化の問題だとかあるいは農薬規制の問題だとか、あるいは学校給食の問題だとか添加物の問題、発がん性物質の問題等について本当に熱心に、もう何十年も運動に取り組んできた人たちでございます。  そういう人たちの活動をやっぱり私もそばで見ておりますので、確かに食生活の乱れ、これは何とかしなきゃならぬというふうには思うんですが、その前に国としてはまずやるべきことがあるのではないかと、そういうふうに私自身も思えてならない一人でございます。そういう立場でお聞かせをいただきたいというふうに思っています。  ただ、私は余り詳しくありませんので、今回はわずか三十分の時間でありますので、学校給食辺りに的を絞ってお聞きしたいと思っておりまして、先の皆さんにかなり聞かれてしまいましたので、多少重複めいたところもあるかもしれませんけれども、一つ確認の意味もありますので、我慢をいただきたいというふうに思っています。  学校給食、これがこの法案ができることによって一層その役割が大きくなる、正に食育の中核的な場所として位置付けられてくると、こういうふうに思っておりますが、先ほど来、学校給食の在り方について、自校方式と共同調理方式、センター方式の議論がありました。  私もこの議論にはそれなりに関心をずっと持ってきておった一人でありますし、いろいろ保護者皆さんの話を聞きますと、あるいは教師の皆さんの話を聞きますと、これは今の食育基本法の趣旨、理念からいけば、私は明らかにこれは勝負があったと、自校方式の方がよりこの食育基本法理念に私は近いというふうに思っております。  午前中来の議論を聞いておりましても、西川委員は、個人的にはそう思いますと、こういうお話もされておりましたし、後藤田委員も、大体そうだろうという、そういうふうなニュアンスで御答弁されておられました。これは私、事前に文科省にお聞きいたしますと、文科省は、自校方式とセンター方式と違いはないんですと。もうこの食育基本法ができても、その辺のところには違いはないというふうなニュアンスの御答弁をされるんです。  そこで私は確認の意味で、今ほど西川委員と後藤田委員は、自校方式がよりこの食育基本法理念に近いというふうなニュアンスでお答えになられましたけれども、ほかの皆さんはどうか。これはこの法案の正に立法者意思にかかわる話でありますので、私は是非お聞きをしたいと。お一人お一人お聞きするわけにもいきませんけれども小坂委員でも、発議者を代表して、改めて、私は自校方式の方がこの食育基本法理念に共同方式よりは近いと、こういうふうに思っておりますが、いかがでしょうか。
  170. 小坂憲次

    衆議院議員小坂憲次君) まず、食育基本法の中でも述べておりますし、教育の現場において実質的な体験をしていただくということによって、食の加工、生産の現場から運ばれてきて、そこに物が来て、そしてそれを加工していくと、こういったものを実際に体験していただくことが食育に大きな効果があると思っております。そういう意味で、学校給食の現場においても、調理室でそういったものが運び込まれて、それで積まれている、また、そういったものが加工されてお昼の時間に出てくる、そういうことを実際目の当たりにするということは、食育の上でも効果があることだと思います。特に、地産地消という意味においては、学校の行き帰りの道の、道端に植わっているものがこの給食の現場に出てくるということであれば、またより一層そういう効果が出てくると思っておりますから、そういう意味では、センター方式よりも自校方式の方がよりそういった食育理念に近い部分があるということは私ども言えると思っております。  ただ、同じように、センター方式においても地産地消ということは推進をするようにお願いをしておりますし、そういう意味で、そういうものがメニューの中に書いてあって、そして、これはこの当地域において取れた完熟のトマトであるとか、そういうものを使ったとか、いろいろなことが出てくれば、またそれはそれなりに効果のあるものだと思います。  ただ、感覚的に含めて、また個人的な印象としてという意味でいえば、やはりそういった、より近いところでそういうことが行われているという面において、自校方式の方がそういう印象が強いんではないかということは私も思っております。
  171. 近藤正道

    ○近藤正道君 発議者全体の御意思として、小坂委員が自校方式の方がより食育基本法理念、趣旨に近いというふうに御答弁されたというふうに受け止めさしていただきたいというふうに思っています。  私は、今ほど言いましたように新潟でありますが、新潟に五泉市というところがございます。これは繊維の町であると同時に、周りは全部農地でありまして、新潟県でも有数な農産物の生産地でございます。ここで、保育園から小学校、中学まであるんですが、この五泉市では、このたび共同方式、学校給食の共同、センター方式を自校方式に切り替えると。共同、センターがかなり老朽化したこともありますんで、この際全部切り替えると。ただ、いろいろ財政難等ありますんで、中学校については共同方式でやむを得ないけれども、小学校については自校方式に切り替えると。そういうことで、いろいろ県下でも評判になっておりまして、自治体の財政難や効率化の観点から、センター方式が主流とされる中で逆行ともされるその成否に保護者や他の自治体からの注目が集まっていると。  私は大変いいことだと思っておりますし、そういう中でこの食育基本法が成立するということであれば、これは一つの追い風になるんだろうというふうに思っておりますが、この五泉市の市長さんが私に言うには、共同方式から、センター方式から自校方式に替わるに当たって、やっぱり国のそのインセンティブが非常にやっぱり弱い。国は新たに給食施設を造るときには二分の一助成するけれども、従来の給食施設の更新には三分の一の助成しかしない。したがって、共同方式をやめて新たに学校の中に自校方式の給食場を造る、そういう場合でも三分の一しか出さない。やっぱりせめて、自校方式に切り替えるんだから、給食の新たな導入、新設というふうに同視をして国の補助率をやっぱり上げるべきだと、そういうことを是非国会の場で訴えてもらえないだろうかと。  こういうふうに以前言われておりまして、たまたまこの食育基本法ができましたんでお尋ねするんですが、この食育基本法というのは、そういうふうな自校方式に切り替えるときに、一種のインセンティブ、財政的支援、こういうことを可能にするのか。先ほど後藤田委員は、是非この食育基本法をてこに予算措置でお互いに頑張りましょうと、こういうことをおっしゃいましたが、この法案が成立いたしますと、国の補助率の引上げ、自校方式についても国の補助率の引上げ、こういうことが極めて現実味を帯びて出てくる、そういうことが可能な、可能なそういう法律だと、そういう法的な根拠を与える法律になるのかという質問でございますが、いかがでしょうか。
  172. 後藤田正純

    衆議院議員後藤田正純君) 結論から言いますと、その可能性は十分にあるものだと思っておりますし、これから、御承知のとおり三位一体の中で、教育の議論をどうするかということを政治の世界若しくは中教審等で議論があると思いますが、そんな中で、文部科学省もきちっとしたその食育というものを学校においていかにあるべきかということを真剣に考えていかなければ、総務省の思うとおりに進んでしまうようなこともありますから、これは文部科学省としても性根を入れてそういった問題に取り組まなきゃいけないと思いますし、私は、個人的に言うと、食育というものが学校でこれからどんどん普及するに従って、いわゆる、これは可能性としてでございますけれども、いわゆる昼の給食の時間もこれを教育の一プログラムだと考えますと、じゃ、その負担の在り方もこれから考え直さなくてはいけないんではないかなと、そういう議論も当然出てくるんですね。自己負担、家庭の負担というよりも、いわゆる昼の給食がいわゆる国がすべてきちっとやるのかどうかという問題。それと同時に、アメリカなんかでは、私立の小学校は大体七割近くはたしか朝給食があるという、そういう話も、我々は二年間掛けて議論した中での講師のアメリカ先生の御意見もありましたので、ですから、いろんな展開がこれから可能性としてはあるというのが私は基本法のいい意味での在り方だと思っております。
  173. 近藤正道

    ○近藤正道君 経済特区、目の前に鴻池先生おられますけれども、経済特区の一部で、あるいは東京都内の一部でも出ているようでありますけれども、公立の保育所、これは調理場の設置が義務付けられている、こういうことになっているそうでありますが、この特区で、それを一時的にやめて外部から給食を運び込んでも構わないと、そういう特区が出ていたり、あるいは都内の一部でそういうことが起こっている、こういう話を聞くんです。  そういたしますと、とにかく経費が圧倒的に、小さい保育所でも年間一千万近いその経費の削減が可能だということで、今雪崩を打ってそちらの方向になだれていく、流れていく、そういう傾向があって、それに対して、非常に保護者等から言わば悲鳴にも似た、これでいいんだろうかという声が聞こえてきていると、そういう話を私何か所からかで聞いておるんですが、この食育基本法はこういう流れに対してどういう歯止め措置を講ずるのか、歯止めにそもそもなるのかどうか。発議者皆さんはどういうふうにお考えでしょうか。
  174. 西川京子

    衆議院議員(西川京子君) 今回の小泉内閣の中で様々な特区というものが導入された中での、その中の一つであると思います。そういう中で、私はやはりこの特区というものがやはり似つかわしい分野と、当然それはちょっと合わないんじゃないかという分野とあると思うんですね。そういう中で、やはりこれは、私自身は慎重に考えていく問題だろうと思っております。  しかし、現実に今一つの例として特区を幾つかそういうふうに認めてやってみる、そこで十分に検討するということが大事だと思っております。もちろん、保護者方々意見、園を経営している経営者の意見行政側の意見、様々な人が本当にやってみた上での検討ということは大変大事なことだろうと思います。その中であえてまた結果を出していけばいいことではないかと思いますが、一律に効率一辺倒で、子供を育てるという分野にどんどん導入していいとは思っておりません。
  175. 近藤正道

    ○近藤正道君 次に、学校給食の言わばつかさ、かなめの役割を果たす栄養教諭のことについてお尋ねをいたします。これも午前中来御議論のあるところでありますが、確認の意味でお尋ねをしたいというふうに思っています。  学校教育法で栄養教諭の制度が導入をされましたけれども、言わば学校へ必ず置くと、そういう言わば制度ではなくて、なかなか法律で制度はできたけれども導入が進んでいないと、こういう現実がございます。  このたびこの食育基本法が成立するということになりますと、学校の中における栄養教諭の位置付け、これが一層明確に私はなるんではないかというふうに思いますが、そういう理解でよろしいかということが一点と。もう一つは、栄養教諭の配置の問題でありますが、この法律が、法案が成立するならば、直ちにすべての学校に配置というふうにまでは私申し上げませんが、確実にこの栄養教諭の配置が進むと、配置の拡大が行われると、こういうふうに理解をしていいのか、この二つをお尋ねいたします。
  176. 西阪昇

    政府参考人西阪昇君) お答えいたします。  栄養教諭につきましては、本年四月からの制度実施ということでございまして、学校栄養職員が栄養教諭になるためには一定の科目の修得が必要ということでございまして、今年度、全都道府県におきましてその養成の科目の講習が実施されているところでございまして、一部の県で既に配置がされているところはございますが、今年度中に多くのところで配置が進んでいくというふうに思っております。  本食育基本法案の第二十条におきましても、食育指導にふさわしい教職員の設置等につきまして規定されておりますが、栄養教諭は正に食育指導にふさわしい教職員ということでございまして、本法案が成立いたしましたら、栄養教諭が学校における食育推進中心ということで、活躍が大きく期待されるというふうに考えております。
  177. 山中伸一

    政府参考人山中伸一君) 配置の点でございますけれども、今お答え申し上げましたように、学校栄養教諭自体が今年の四月からの制度でございまして、これで、これから養成されていくという過程でございますが、それと併せて、現職の今学校栄養職員として働いておられる方々、この方に講習をいたしまして、それで免許状を取っていただこうと、それで学校栄養教諭という形になっていただこうということを考えております。これにつきましても、今年から全都道府県でこの講習を行うということを、実施するということを考えておりまして、そこで栄養教諭の方になっていただいて、そういう方が学校の現場の方で活躍していただきたいというふうに思っております。  定数の点でございますけれども、これは、現在の定数につきましては、平成十三年度から十七年度まで、これが五年間を第七次定数改善計画という形でやっておりまして、その当時はといいますか、始めたときは学校栄養職員の定数を改善しようという形で取り組んでいるところでございます。この五年間で学校栄養職員の方、九百六十二人の定数を改善しようということを考えてまいりました。学校給食を単独で実施している学校でございますと、五百五十人以上の学校、大体小学校ですと一学年三学級以上あるところには一人の方が、それ以下でございますと四校を一人で持つ、四分の一というそういう形で、それを一つの基準、算定基準といたしまして、各県の方でそれを、そういう定数を活用しながら、いろんな形で各学校学校栄養職員として食育のために働いていただいているという、そういう状況でございます。  この後、では十八年度以降どうするんだということでございますけれども、これにつきましては、現在、中央教育審議会の方で、この十七年度で一応終了いたしますので、新しい学校での定数改善計画、こういうものをどうするのかというところの検討を始めるということで開始したところでございます。
  178. 近藤正道

    ○近藤正道君 その際、食育基本法がもし成立しているということになりますと、この法案を是非根拠に定数増を迫っていただきたい、要望申し上げておきたいと思っています。  それとの絡みでお尋ねをいたしますが、この食育基本法学校給食法との関係はどういうことになると理解すればいいんでしょうか。食育基本法が上位法で学校給食法が下位という、こういう関係で、少なくとも学校給食との関係では食育基本法が上位法だというふうに理解してよろしいんでしょうか。
  179. 西川京子

    衆議院議員(西川京子君) 先ほどからお話ししておりますように、食育基本法基本法というのはあくまでも理念法でございます。そして、学校教育法というのは個別法でございまして、当然そこに上下関係というようなとらえ方はしておりません。  当然、この新しい、学校教育法の、あっ、ごめんなさい、学校給食法、給食に関する個別の様々な実際の実施に関すること、あるいは設置者、そういう地方公共団体の任務とか、そういうことが実際には書いてありますが、食育基本法は、当然そういうことも踏まえながらも、さらに体験活動とか更に幅広く規定しているものでございます。
  180. 近藤正道

    ○近藤正道君 学校給食地産地消のことについてお尋ねをしたいというふうに思っています。  まず、文科省学校給食地産地消の関係、その基本姿勢をお尋ねをしたいということが一点と。もう一つは、提案者皆さんにお尋ねをいたしますが、この法案が成立いたしますと、学校給食における地産地消、このことに関しましてどうなっていくんだろうかと、基本計画で具体的な数値目標、こういうものを盛り込むと、そういう形に具体的になっていくのか、お尋ねをしたいと思います。
  181. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) どちらからですか。西阪スポーツ・青少年総括官
  182. 西阪昇

    政府参考人西阪昇君) 文部科学省におきます取組につきましてまずお答えさせていただきます。  学校給食の食材といたしまして地域の産物を活用するということは、食事内容多様化させることができるとともに、児童生徒に地域産業や文化に関心を持たせる上でも効果が期待できるものでございます。また、地域において農業等に従事されている方々に対する感謝の気持ち、地域との触れ合いを実感するなど教育的な効果があると考えております。さらに、顔の見える生産者により供給される食材は安全性が高いと言われているところでございます。このように、学校給食地域の産物を取り入れるいわゆる地産地消につきましては、極めて有意義であるというふうに認識をいたしております。  このため、文部科学省におきましては、学校給食指導の手引や関係通知におきまして郷土食や地場産物の導入について工夫をするよう指導しているところでございます。また、児童生徒用食生活の学習教材の中におきましても地域の産物や郷土料理等取り上げております。また、今後、教師用に地場産物の活用事例集を作成し、各学校などに配付をする予定でございます。
  183. 西川京子

    衆議院議員(西川京子君) 今文科省の方から詳しいお話がありましたが、現実に第十六条において食育推進基本計画が食育推進会議において作成されるということが決まっております。そういう中で、率先して学校給食に地場産業地産地消の観点から、その達成率ですね、そういうものも、具体的な目標ども決めると、その辺まで踏み込んだことも考えられると思います。
  184. 近藤正道

    ○近藤正道君 繰り返し新潟のことを言いますが、新潟は全国有数の米、米作県でありまして、学校給食の中で、言わば米飯給食という議論がよく自治体の議会等で議論になります。  お伺いいたしますと、文科省では米飯給食は週三回程度という形で一つの基準を設けているようでありますが、私はこの食育基本法ができるならば、むしろ週三回で、もうぱちっと上から決めるんではなくて、それはむしろ最低の基準にして、もっと一杯日本食という形で、食べるところがあるならば、それはそれで自由にさせてもいいんではないか。そういうことについて、学校給食法では食材は保護者の負担ということでありますので、場合によっては財政的な支援も講じながら、画一的に指導しないで、正に適地適産、地産地消、地域の正に創意工夫でやらせてもいいんではないかと、こういうふうに思いますが、提案者皆さん、いかがでしょうか。
  185. 西川京子

    衆議院議員(西川京子君) 確かに、米飯給食の推進について、これ昭和六十年ですね、週三回程度を目標として推進するものとするということが決まっておりますが、今後、やはりこの法案が成立すれば、是非、先生がおっしゃるように、それは最低線であって大いにどんどん推進していいんじゃないかという方向に図って、その辺の方向に行くということを私も期待したいと思います。  そして、特に大都市ではまだ実施回数が大変少なくて、週一回未満実施校の解消、週一回実施校については週二回実施への実施回数の増加と、ある程度こういうふうに重点的に、よりこれから米飯給食を進める方向で検討しております。
  186. 近藤正道

    ○近藤正道君 最後の質問でありますけれども内閣総理大臣をトップにして食育推進基本会議でしょうか、これが設置されて、基本計画はこれからこの法案が通りますと作られると、こういうことでございますが、これは食育推進計画を作るとすれば、これはやっぱり情報をきちっと公開をして、そして広範な国民が参加する中でこういうものが推進されなければ意味がないし、実効性も上がらないと、こういうふうに思っております。  計画策定に国民参加はどう保障されるのか、発議者にお尋ねをいたします。
  187. 後藤田正純

    衆議院議員後藤田正純君) 近藤先生がおっしゃるように、国民運動の前の基本計画には、パブリックコメント等を通じまして国民、広く耳を傾けるということはこの法案の中にも盛り込まれておりますので、そのこともしっかりやって国民参加をちゃんと保障して作りたいと思っておりますので、是非また賛成のほどをよろしくお願いいたします。
  188. 近藤正道

    ○近藤正道君 終わります。
  189. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 無所属の黒岩宇洋でございます。  私も、今の日本国におけますこの食生活の乱れ、本当に不規則な食事というものについて憂慮をしている一人でございます。ただ、今回のこの食育基本法の私も勉強を始めたときに、ある人から聞かれたんです。ところで黒岩さん、朝御飯食べているかと。私、食べてないんですね。私、独り身ということもございまして、正に毎日、孤食、加えて、私は料理できるんですが、議員になってからはもうほぼ完全外食という、私こそ食育を受けなければいけない身であると身を恥じながら質問をさせていただきます。  まず、私、その食育に対しての重要性認識しているつもりでおるんですが、やはりその食育というものの定義付け等、若干の疑問もございますし、それ以上に、やはり食事というのは我々個人の生活でございます、そして習慣でございます。こういったものにはやはり嗜好とか価値観というものがあるわけですけれども、この習慣生活にまで、やはり国というものがどこまで関与するべきなのか、そして何を食べるかというのはこれもう根源的なプライバシーの問題でもございます。こういったものに対してどこまで国が踏み込めるのかという、この疑問を基に基本的なことを何点かお聞きいたします。  前文を読みますと、何回か健全な食生活という、こういう言葉が出てきます。提案者にお聞きしますけれども、この健全な食生活とは一体どういったものを指すのか、お答えください。
  190. 小坂憲次

    衆議院議員小坂憲次君) 黒岩先生お答えを申し上げたいと思いますが、先生指摘のように、食生活というのは本来、個人が自分の自由に選択ができ、また嗜好に合わせて摂取するものだと思います。しかし、昨今、食による、食に起因すると思われるような生活習慣病だとか、そういったようなものが出てまいりまして、これを放置することはなかなかできません。というのも、医療費が二十四兆円も掛かるわけでございますが、その三分の一は生活習慣病から出ているとか、そういうことがございます。  そういう意味で、健全な食生活というのは、まず生活のリズムとして規則正しく食事を取ること。よく、欠食ということをよく言いまして、朝、食べない。この食習慣は学生時代に培われて、まあ先生がそうだとは言いませんが、社会人になってからもだんだんそういうふうになる。二十代に、あるいは三十代に欠食の習慣を持つ人が増えてくる。こういうようなことも困ることでございまして、朝、食事をしっかりしてこないことは、一日の生活の中でエネルギーの不足、あるいは、ある、これは香川栄養大学でしたですか、実験をしていただきましたら、学生さんを二つに分けて、グループに分けて実験してみたところが、やはり朝食を取ることによって勉強の学力が上がるという、そのアンケート調査といいますか、実質的な実験結果が出ているということも出ておりますので、そういった面で、食事をしっかり規則正しく取ること。それから、栄養の面でのバランスを取って食事をすること。それから、安全面に配意すること。それから、無駄な食べ残しや廃棄をしないこと。食卓を囲んで家族が一緒に食事することなどの望ましい姿の食生活のことを健全な食生活というふうに表現をしておりまして、ちなみに、食料農業・農村基本法の第十六条第二項や水産基本法の第二条第一項でも用いられている用語でございます。
  191. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 多面的な意味合いがあるということは私も承知しました。  ただ、今、小坂先生がおっしゃった中で、栄養のバランスとか、そして安全な食事ということになりますと、やはりこれは健全な食事で食べるべきだと、これは不健全なものだからやはり食べることを控えるという、こういった判断というものが当然加わってくるものだと思います。  今日の議論にもありましたけれども、先ほどの食料農業・農村基本法に基づいて食生活指針、この後またこれ議論しますけれども、これを更に進めて、先ほど厚労省の答弁ではフードガイドというものを作ると。こうなると、更に個別的に、何が健全であるか、そして不健全であるかというものが私は規定されていく、そういうものだと思っております。私は、この健全、不健全という価値観を、果たして国が法律を背景に、まあ押し付けるといいますか、やはり国民規定することが果たして妥当であるのかどうか、この点について、提案者、いかがお考えでしょうか。
  192. 小坂憲次

    衆議院議員小坂憲次君) 決して私どもは、不健全ということを、まあ表現的に言えば、片っ方が健全であれば残った方は不健全ではないかという表現になるのかもしれませんが、不健全だということを言っているわけではありませんで、個人が選択する中で、個人が自由に選択することを尊重しつつも、やはり望ましい食事の姿というものを提案をさしていただいて、それによって健全な食生活が実現し、それによって心身ともに健康な、将来にわたって国の活力となり得るような国民を育てる上で、自らがそういう食生活を実施していける、何といいますか、人間の力、人間力というようなものを養っていく、そういう一つの方向を提案しているものでございまして、決して強制するものではありません。あくまでも個人の嗜好や自由というものは尊重しつつも、自らが学んで、そして自分がその中で取捨選択していく中で、私どもが提案する健全な食生活の姿というものがなるほどなと納得していただけるような、そういった体験をいろいろ重ねていただいて、その中で自ら身に付けていただくものだと、そのように理解をいたしております。
  193. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 更にちょっと深く議論を進めたいんですけれども、十三条に国民の責務という条文がございます。これについては先ほどの議論の中で努力規定という表現が提案者の方から聞かれましたけれども、しかしやはり国民の責務ときっちりうたっているわけでございます。  そこで、私は、やっぱりこの健全な食生活に努めるという責務、これをやはりなぜ国民は負わなければいけないんだろうと。更に申しますと、先ほどの栄養のバランスとか安全というこの面だけでいえば、やっぱり健康ということに着目しているんだと思うんですね、この健全な食生活。裏を返すと、不健康でもそれは自己責任じゃないかという、こういう議論もまたあるわけです。そして、やはり自分が自分の健康を害することに対して何らかの制約を課す、これは法律用語でいいますと自己加害の防止という、これパターナリスティックな制約といいますね、パターナリスティックな制約。で、自己加害に対して国家が公権力として介入するのは原則許されないわけですね、これは法律論として。例えば未成年者の飲酒とか喫煙、これはもう典型的なパターナリスティックな制約ですけれども、これはやはり未成年の人格的自立の助長や促進というものに関しては、限定的だけれどもこのパターナリスティックな制約は認められるであろうという、これが一つの法律の議論なんです。  そこで考えますと、小坂先生先ほどおっしゃられた、生活習慣病で非常にまた医療費の大半を占めると。ですが、確かに我が国、今財政が乏しい中で医療費によって非常に圧迫されていることは事実ですが、少なくとも、WHOの試算によりますと、GDPに占める医療費というのは先進諸国でたしか最低ですよね。もう後藤田先生もお詳しいと思いますけれども、一番低いわけですよ、最低水準。それでいて最高の長寿を誇る我が国と、こう考えますと、今言った不健康も自分の自由だろうというのもちょっと乱暴かもしれませんけれども、私は自己加害の防止の制約にしてはかなり過大なものではないかと、かなり自由の制約が強いんじゃないかと、そういう認識があるんですけれども、いかがでしょうか。
  194. 小坂憲次

    衆議院議員小坂憲次君) 黒岩先生のおっしゃっていることはごもっともだと思います。ですが、程度の問題だと思いますね。決して私どもも二十四兆円が少ない金額だとは思っておりませんで、この二十四兆円を減らすことができればそれにこしたことはありませんし、長野県、私出身でございますが、長野県の医療費というのは日本一少ない、それは望ましいことだと言われております。その望ましいことを広げることはいいことではないかというふうに思うわけですね。  そういう意味で、この食育運動を進めることによって、それぞれのすべての国民が心身の健康を確保して生涯にわたって生き生きと暮らすことができるようになるということは望ましいことだと思いますから、そういったことを、責務を負うという言葉は何か重いことに聞こえますけれども、言いたいことは、そういう生活をすることによってみんなが幸せになれるような、そういう社会を目指すという理念をこの法律で提示をする、そういう部分でこの言葉を使っているというふうに御理解をいただきたいと思っております。
  195. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 分かりました。  外食とかファストフードやコンビニエンスストアの食品、そしてインスタント食品と、確かに健康にすべていいかどうかというのはいろいろな議論があると思いますが、先ほど小坂先生のおっしゃったような、程度の問題で、あれは駄目、これは駄目、そのような過度なことにはならないという、そういう御答弁をお聞きしたので、これはひとつ納得させていただきました。  では、先に進みまして、冒頭触れましたけれども、やっぱりこの食育定義、これは衆院でのいろいろなやり取りを見ても大変多岐にわたり、複雑困難、そして提案者の方からも、例えば条文で定義というものをきっちり明確にしたかったという、こういうある意味苦しい思いもお聞きしております。  そこで、定義とは何かというのは、今日も前文の第二段落を引いてお答えになったので、それ以上は聞かないんですが、ただ私たちも今後食育というものを広めていきたい、これも提案者衆議院での議論でお答えになっていることなんです。私もそれは思うんですけれども、例えば私たちも、じゃ食育基本法できましたと、でも食育って何なのと聞かれたときに、一々前文の第二段落を全部読んでいるわけにいかないわけですよ。やっぱり本当に、主婦の皆さんも半分の方は内容分かんないんじゃないかという、これもたしか小坂先生の御答弁で衆議院で見たんですけれども、より一般の方にどうやって伝えればいいんですかね。これちょっと本当に、素直な気持ちで教えてください。
  196. 小坂憲次

    衆議院議員小坂憲次君) やはり一言で説明できる場合と、それから幾つかの言葉を重ねていろいろな例を引かなければ説明できない場合があると思います。この食育に関していえば、新しい概念といいますか、古くからあることでありますけれども、最近出てきたいろいろな環境変化とか食生活の多様性とか、そういったものが影響しておりますので、そういったものを例示して説明していかないと分からないという気がいたします。  したがって、私も地元で説明するときには今申し上げてきたような、繰り返しませんけれども、食の栄養面とか生活面安全面文化面環境面生産消費という多面にわたるものとか、そういった表現を使いまして、それからまた、若い子供たちがスナック菓子を食べながら、お母さんが一生懸命作った食事を出すと、今おなか一杯だから後で食べる、ところが後で見てみるといつの間にか自分でラーメン作って食べていたり、そういうことによっていわゆる切れやすい子供とか、カルシウム不足によっていらいらするような、そういった影響を受けている子供生活ぶりというのを見ると、こういうものが必要だと思いませんかと問い掛けると、大体皆さんやっぱりそういう問題を認識していらっしゃるものですから、割とすんなりと受けていただけるように思っておりまして、二条から八条までのいろいろな基本理念を一つずつ例示して説明していただく以外に、なかなか今簡単に説明する方法はないように思っております。
  197. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 私、あえてこだわって今の質問をしたのは、やはり問題意識としては、一点は、まだ国民的な食育というものに対するコンセンサスができ上がっていないのではないかという点。そして、更に申し上げますと、先ほどいみじくも小坂議員おっしゃった二条から八条の基本理念。確かに基本理念が条文上このぐらいの数を有している基本法というのはございます。ただ、やっぱり一つずつ見ると、若干ばらばらな感が私には否めないんですよ。  例えば、食の安全教育とかいうことに特化すれば、これは食品安全基本法で対処できるわけですね。例えば、不規則な生活を何とかするということで、法律事項でいいますと、ともすると雇用とか労働の分野個別法で対応できるかもしれない。例えば、七条にございます農山漁村の活性化といえば、私も大賛成ですよ。食料自給率向上、大賛成です。ただ、ここに特化すれば、やはりまた農業関連の個別法ということになるわけですね。  そうすると、基本法にしたいがためにとは申しませんが、非常に幅広く取ってしまった、取ってしまったがゆえに、私は先ほど、簡潔にお答えいただきたいという私の希望はあるんですが、なかなか簡潔に答えられないという、そういう意味で、私は国民的コンセンサスがまだなり得ていないということと、やはり法文立てが若干複雑困難になっているということ。その意味で、この基本法というものに私はいささか以上の無理を感じるのと、ともすればまだ時期尚早なのかなという、こういう思いがあるんですが、この点については提案者はどうお考えですか。
  198. 小坂憲次

    衆議院議員小坂憲次君) 既に各省において、先ほど皆さんから御指摘をいただいておりますように、文科省あるいは農水省、厚生省、それぞれにおいて施策がもう実施をされてきておるわけでございます。しかしながら、今御指摘がありましたように、多様な食育の面がございますので、それぞれの施策が必ずしも同一の方向に組織的、統一的に実施されているとは言い難い面がございますので、それを幅広くとらえながらも一つの方向性を示していくということで、今回この基本法という対応の中で、この二条から八条にありますようなそれぞれの基本理念を導き出してきているわけでございます。ですので、私どもは、この法律がなければ、ますますそれぞれがそれぞれの認識に従って食育の概念をとらえて、よりもっと多様化してしまうんではないかという危機感を持っております。  今回、この法律の制定によりまして、各省の、一つの私どもコンダクター役のような法律を提示することによって、組織的、統一的な政策が実施されることを期待しているところでございまして、そういった意味でこの法律の必要性を御認識いただければ有り難いと思っております。
  199. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 分かりました。  これから、私もう一つ質問しますが、これも確かにもう繰り返しになるんですけれども提案者が憂慮しているような今の我が国の食に関する様々な問題、それは栄養の偏りであったり不規則な食事であったり、肥満生活習慣病の増加と過度の痩身志向、幾つか列挙されているようなんですけれども、やはり一つ一つの、今の孤食の問題とか、様々な現状認識というのは私も共有しているんですが、やはりそういった問題を、発生した原因というものをきっちり分析しなければいけないと。  これも何せ多岐にわたりますから、特にやっぱりこの不規則な食事、要するに孤食であるとか、朝食は抜きであるとか、家族団らんがないとかですね、ここに私も焦点を当てたいんですけれども、今地価も安くなったとはいえ、一つ家やマンションを建てるとなると首都圏では相当値段が掛かると。その結果、とても片方の親が働くだけでは無理だということで共稼ぎの率もどんどんどんどん増えています。そして、通勤時間にしても平均して一時間十七分と、もうこういった現状があるわけです。そして、まだまだ受験、進学競争ということで子供の通塾率もどんどんどんどんアップしているという。こういったもののある中で、すぐさま今の食育基本法にあります基本理念をうたって、そして基本施策を講じただけで本当に今の食生活というものにどこまで効果が与えられるかという、この点をお聞きしたいんです。  加えて言うと、様々な食に対する知識を持ってくださいと、そういったこともこの食育基本法はうたっていると思うんですけれども、二十年、三十年前に比べればはるかに国民というのは食に対する知識というのは深めていますよね。それはそうですよ、その昔、カロリーだとかそんなことも考えない時代もあったわけです。もっと言えば、ある時期、まあ特定の銘柄は申し上げませんが、いわゆる化学調味料ですか、それを食べると頭が良くなるといって受験生が試験の日にそれを飲んでいたとか、そういったことに比べればはるかに知識向上していると。ともすれば、そうであるけれども、それに追い付かないほど食の安全とか不健康なものがあふれてきているんだというとすればやはりイタチごっこで、これ以上どこまで国民は食に対する教育を勉強しなければいけないのかという、そういう思いもなくはないわけです。  ですから、国民が自らできる範囲以上に、やっぱり国が施策としてどこまでできるかという、そういう視点で、やはりこの教育食育基本法がどこまで各政策に効果を与えられるのか、この点について簡潔にお答えください。
  200. 西川京子

    衆議院議員(西川京子君) 今先生がおっしゃったように、様々な分野でこの食に関する弊害が出ているということは基本認識としてあると思います。  そして、それはどうしてそういうことになったかというと、当然、ライフスタイルの変化、女性もどんどん働くようになった中で、家でゆっくり食事をする時間がなかなか取れないようになった、そういう環境変化はあると思うんですね。片一方ではまた、豊かな経済が発展した中で、当然これは、どちらが、卵と鶏の関係に近いと思いますが、外食産業が発達し、大手スーパーが発達し、そういう中で手軽に食事が得られると。少し、やはり高度成長以前の時代においては、やはり何といっても家で食事をしないとそう手軽には外では食べられないという状況あったと思うんですね。そういう中で、手軽に片方、ちょっと手を伸ばせばそういうものが手軽に入るという社会状況、そして国民自身も大変忙しくなり、働く、眠る、食べる、この基本的な生活習慣の間に様々な価値観のいわゆる時間が入ってきているわけですから、それを個人がどれを上位に置くかということで、もう当然、食、食べるということの位置関係が変わってくるわけです。  そういう中で、今、政府として、あるいは行政、私たち政治家としてどういうメッセージを出さなきゃいけないのかということが問われていると思うんですね。そういうことを考えますと、やはり明らかに、私は一言で言うと、政治が初めて食べることに気付いたんだと、この食育基本法というのは初めて食べるということに本気で政治が向き合ったんだと、私はそう解釈しております。  そういう中で、今本当に情報は山のようにあふれ、その断片的な知識国民の方が膨大な知識を持っている。しかし、それが実は本当に、人間が生きる力の糧として、基本としての食べ物をどこまで本当に大切に考えているかというと、やはり様々な弊害を見るとどうもその辺が乱れているようだ。そういう意味で、やはりきちんと交通整理をして、環境整備をし、メッセージを出す、そういう思いでこの法案提出いたしました。
  201. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 済みません、本当に私、限られた時間なもので、もう先、一気に飛ばしまして、最後の第二十五条関連。  今日は、実はこれに関連して強引に農水副大臣の常田副大臣に来ていただいているんで、最後にお聞きしますけれども、その前に、この二十五条ございます。これは食に関する正確な情報を迅速に提供するんだという、こういうことがうたわれているんですが、この食に関する正確な情報、これ実は非常に難しいものだと思うんです。  例えば、今日の議論の中でも肥満をなくすというような議論ございましたね。ただ、これ、去年ですか、三年前ですか、厚労省が十年にわたる四万人の調査で死亡率を確かめたところ、いわゆるBMIと言われる体重を身長で二つ割って標準体重の数値を出すんですけれども、平均が二二という数字が出ています。やせた人、標準の人、太りぎみの人、太った人、この死亡率を調べたところ、実は一番死亡率が高かったのはやせた人、その次が標準の人、その次に太った人で、ほとんど変わりなく、太りぎみの人ということで、ある人いわく、小太りが一番健康だと、こういう表現もされておるんです。だから、そうなるとなかなか、やっぱり人相手のことですから、食と健康とのつながりというのはなかなか難しい。  例えば、大腸がんと食の欧米化に関していうと、実は因果関係がなかったということも昨今、新聞でも出ていましたね。だから、そういう意味でいろんな学説があるわけです。逆に言うと、このことがもとで健康食品とか美容食品での消費者トラブルというのは常に絶えないわけですね。非常に情報というのはこれ難しい。  そういった意味で、この正しい情報というものをどうやって科学的に権威付けて国民に知らせるのか、これ端的に教えてください。
  202. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) だれに質問
  203. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 これ提案者への、端的にお願いします。
  204. 小坂憲次

    衆議院議員小坂憲次君) おっしゃるように、食に関する正確な情報提供されることは食育推進の中でも大変重要な部分になるわけでございます。  食品安全委員会において食品安全性に関する専門家が最新の科学的知見に基づいて客観的かつ中立公正に食品健康影響評価を実施しておりまして、その結果等についてホームページや意見交換会を通じて情報提供を行っていると承知しておりまして、このようなことで、まあ権威付けになるかどうかは分かりませんが、こういった公的機関がそういうことを一般に情報として提示をしているということでなされるものだと、このように了解しております。
  205. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 確かに難しいものなんですね。  そこで、かなり強引に農水副大臣にお聞きしますが、実は、私の地元新潟県の上越市で今、遺伝子組換え稲の栽培実験が今正に行われようとしております。そこで、遺伝子組換え作物についての安全性というものがどこまで科学的に権威付けされて、それが私は、この食育になりますと権威付けだけでなくて、多くの国民が納得するということが私、大変重要だと思っているんですよ。  そこで、これカルタヘナ法という、言わば生物多様性、簡単に言いますと、遺伝子組換えの作物の種子がどこかに飛んだりして生物多様性を崩しちゃいけないという、この法律が昨年できました。このカルタヘナ法に基づいて今、我が新潟県で遺伝子組換え稲の実験なんですね。これ、地元説明会でもう大騒ぎですよ。何でコシヒカリのこの新潟でこんな危険なことをやるんだ、風評被害が起こったらどうするんだという。  私、こういったことにも、私、食育というものを通じて理解、相互理解をする前にそういった施策をやっぱり私、進めるのがもう明らかに性急だと思っているんですよ。過去、神奈川等でもこういった栽培計画が出され、実験計画出されながらとんざしたということも聞いています。  その点で、副大臣、これいかがですか、大臣の地元でもこれ遺伝子組換えの稲の実験をやるという。私、地域方々にとってはかなり批判的なことだと思うんですね。ですから、私は、これについて言えば、早急に、まだ農林大臣の承認は下りていませんので、下りていませんので、何とかこの承認を止めていただきたい。これについて、副大臣、いかがでしょうか。
  206. 常田享詳

    ○副大臣(常田享詳君) 今委員からお話がございました遺伝子組換え作物の開発でございますけれども、確かに御地元でいもち病などに強い組換え稲の品種開発に当たっております。しかし、これは、その導入遺伝子がすべて、すべて今まで食の経験があるもの、植物由来のものですね、すべて食物として取ったことのある植物由来のものという点で極めて画期的なものだというふうに言われております。  そういうことでありますけれども、今お話がございましたように、実験室での段階を終えましたけれども、カルタヘナ法による野生動植物への影響評価等を受けた上で隔離圃場段階に移すということになると思います。しかし、センターにおいては、周辺作物との交雑防止や情報公開、十分配慮しながら進めることといたしております。  私も薬剤師でありますけれども、こういった食品安全性というものはとことんやっぱり突き詰めてやった上で許可すべきものだと思っておりますので、そういった今申し上げたようなことを慎重に進めながら更に情報公開もし、平成十六年からは、御案内のとおり、有識者の意見を聞くだけじゃなくてパブリックコメント等も実施しているわけでございますので、しっかりそういった手順を踏んで進めていきたいと思っております。
  207. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 もう質問は終わりにしまして、副大臣、カルタヘナ法によりますと、大臣承認の条件というのはたった一つです。それは、学識者からの判断を仰ぐという。これはなかなか地域住民には知られていないわけですよ。パブリックコメントといいますけれども、パブコメもほとんど知られていなかった。四月二十九日の説明会をこれ農水省の取決めで行うということで、一週間前ぐらいにそれが知らされた瞬間に地元はパニックなんですよ。本当にこれ大変なことなんです。だから、そういう意味で、これ本当に慎重、まだ承認は下りていませんから、何とか副大臣、これを持ち帰って省内で議論していただきたいと思います。  さて、もう最後になりましたので、まだ審議この先も続きますので、是非、提案者の皆様と食育に対して深い議論を更に進めていきたいと、そのことをお願いして、質問を終わります。  どうもありがとうございました。
  208. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。  次回は来る二十四日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十三分散会