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2005-04-07 第162回国会 参議院 総務委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十七年四月七日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  四月六日     辞任         補欠選任      芝  博一君     高橋 千秋君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         木村  仁君     理 事                 世耕 弘成君                 森元 恒雄君                 山崎  力君                 伊藤 基隆君                 山根 隆治君     委 員                 荒井 広幸君                 景山俊太郎君                 椎名 一保君                 二之湯 智君                 長谷川憲正君                 山内 俊夫君                 吉村剛太郎君                 今泉  昭君                 櫻井  充君                 高橋 千秋君                 津田弥太郎君                 内藤 正光君                 藤本 祐司君                 水岡 俊一君                 弘友 和夫君                 山本  保君                 吉川 春子君                 又市 征治君    衆議院議員        発議者      菅原 一秀君        発議者      石井 啓一君        発議者      中村 哲治君    国務大臣        総務大臣     麻生 太郎君    事務局側        常任委員会専門        員        高山 達郎君    政府参考人        内閣国民生活        局長       田口 義明君        警察庁刑事局長  岡田  薫君        金融庁総務企画        局審議官     鈴木 勝康君        総務省自治行政        局長       武智 健二君        総務省総合通信        基盤局長     有冨寛一郎君        法務省民事局長  寺田 逸郎君        経済産業大臣官        房審議官     桜井  俊君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○携帯音声通信事業者による契約者等本人確認  等及び携帯音声通信役務の不正な利用防止に  関する法律案衆議院提出)     ─────────────
  2. 木村仁

    委員長木村仁君) ただいまから総務委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨六日、芝博一君が委員を辞任され、その補欠として高橋千秋君が選任されました。     ─────────────
  3. 木村仁

    委員長木村仁君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  携帯音声通信事業者による契約者等本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用防止に関する法律案の審査のため、本日の委員会内閣国民生活局長田口義明君、警察庁刑事局長岡田薫君、金融庁総務企画局審議官鈴木勝康君、総務省自治行政局長武智健二君、総務省総合通信基盤局長有冨寛一郎君、法務省民事局長寺田逸郎君及び経済産業大臣官房審議官桜井俊君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 木村仁

    委員長木村仁君) 異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 木村仁

    委員長木村仁君) 携帯音声通信事業者による契約者等本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用防止に関する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 内藤正光

    内藤正光君 おはようございます。  民主党・新緑風会の内藤正光ですが、法案につきまして四十分間時間をいただいております。いろいろな観点から、今日いろいろな方々、お越しいただいているわけでございますが、様々な観点からこの提出法案について質疑をさしていただきたいと思います。  まず最初は、警察庁お尋ねをしたいと思います。  振り込め詐欺現状についてお伺いしたいわけなんですが、私が理解するところ、この詐欺背景には、やはり何といっても暴対法等資金源が枯渇しつつあるいわゆる犯罪組織が背後にいるというふうに思っているわけでございますが、改めてお尋ねします。実行組織手法等も含め、振り込め詐欺の全容についてまず説明をいただけますでしょうか。
  7. 岡田薫

    政府参考人岡田薫君) 御説明を申し上げます。  これまでの振り込め詐欺検挙状況を見てまいりますと、年齢的には少年や二十歳代の若年層犯行が大変目立っております。犯人グループは、暴力団でありますとか、あるいは元やみ金業者、元暴走族非行少年グループ等、様々な形で構成されているものがございます。例えば、暴力団員リーダー格となって非行少年グループ等に振り込め詐欺を、実行行為をさせているというようなものもございましたし、あるいは、この手口に使われる預貯金口座あるいは携帯電話について、暴力団員多重債務者であるとか知人等に不正かつ大量に契約をさせて開設をさせていると、そういったケース幾つか見られているところであります。  また、犯行犯人被害者が直接顔を合わせることなく、いささか専門的には非面接と言っておりますけれども、そういった形で行われておりますし、利用される預貯金口座は転売された他人名義あるいは架空名義のものが大多数であります。また、電話使用者の把握されていないプリペイド式携帯電話等であることなど、匿名性が高いというのがこの手口詐欺の特徴であろうかと思います。
  8. 内藤正光

    内藤正光君 はい、分かりました。  振り込め詐欺による昨年の被害件数は二万五千六百六十七件、そして被害総額は何と二百八十四億円だというふうに聞いております。  そんな中、先ほどもありましたが、匿名性ということで、その中で三種の神器と言われているもので名簿だとか口座、そしてプリペイド携帯電話必需品といいますか、この犯罪に使われている道具として特徴的に見受けられるわけなんですが、そこでちょっとこのプリペイド携帯電話、正にこの扱いについて本法案が扱っているわけなんですが、海外ではむしろプリペイド携帯電話というのは一般的で、国によっては半数以上がプリペイド携帯だというふうに私は承知をしております。  しかし、海外でこの手の犯罪が起こっているというのは一向に聞かないんですね。日本だけがどうもこのプリペイド携帯が悪用されて、そしてこの振り込め詐欺に使われているというふうに思うんですが、そこで質問なんですが、なぜ日本だけ振り込め詐欺がこうも横行してしまったのか、日本が抱える何か特殊事情でもあるのか、説明をいただきたいと思います。
  9. 岡田薫

    政府参考人岡田薫君) なかなか難しいところもあるんだろうと思いますけれども、私ども必ずしも海外実態について詳細な調査をしておりませんので確定的なところは申し上げられないんですけれども、海外でも詐欺といった犯罪はかなりあるんだろうと思います。それがどういう手口で行われるかということにつきましては、その国の文化ですとかあるいは様々な仕組みが複合的に影響しているんだろうということは言えるんですけれども、なぜ日本だけ被害が横行しているか、この形の手口というのはなかなか判断の難しいところではないのかというふうに思います。
  10. 内藤正光

    内藤正光君 ただ、私が聞いたところによりますと、例えば外国でこの手の犯罪を起こそうとしたとき、例えば息子さんが今何か交通事故を起こしてしまったと、で、示談金が必要だ、至急用意してくれとたとえ親に電話を一報入れたところで、それは子供のことであって私は関係ないという、つまり親と子の関係もあるやに聞いておりますし、また、あと銀行口座の送金、これ日本IT化が進んでいるせいもあるんですが、振り込んだらすぐ引き落とせるような状態になる、そういうようなことも種々絡んでいたり、あるいはまた、この手の犯罪に対して免疫というのがあるかないか、そういうのも国民性としてあるやに聞いておりますが、いかがでしょうか。
  11. 岡田薫

    政府参考人岡田薫君) 恐らく、今おっしゃっていただいたようなことは、いずれも私といたしましては当たっているといいますか、そういう側面があるのだろうというふうに推測はできるのだと思います。
  12. 内藤正光

    内藤正光君 以上、いろいろな背景ですとか状況をお伺いしたわけなんですが、そこで提出者に改めてお伺いしたいのは、そもそもプリペイド式携帯電話、その不正利用防止については各事業者もこれまでも自主的な取組を行ってきたと思います。そんな中、あえて今回それらを法制化するわけなんですが、その法制化することの意義について改めてお尋ねしたいと思います。
  13. 中村哲治

    衆議院議員中村哲治君) 振り込め詐欺被害、振り込め詐欺犯罪者は、自らの匿名性を確保するために、購入者から転々譲渡されたプリペイド携帯電話レンタル業者から身元を明らかにしないで入手したポストペイド携帯電話利用している事例が多いと聞いております。つまり、だれが使っているか分からない携帯電話が使われている例が多いということでございます。  携帯電話事業者は、携帯電話が振り込め詐欺利用されることを防止するために、今、内藤委員がおっしゃったように、自主的取組として契約時における本人確認を実施されてきたと承知しております。しかし、契約時にとどまらず、携帯電話譲渡、転売されたとき等の場合の契約者の把握については、取組は進められておりますけれども、いまだ不十分であると聞いております。匿名携帯電話犯罪者が容易に入手することができる現状について適切な対策を取ることが必要であると考えております。  そこで、匿名携帯電話を排除して、振り込め詐欺等犯罪携帯電話利用されることを防止するため、携帯電話事業者に対して契約締結時、譲渡時の本人確認を義務付け、事業者自主的取組の後押しをするとともに、携帯電話の不正な譲渡レンタル業及びこれらの勧誘、誘引行為を処罰する本法律案を提出さしていただいたところでございます。
  14. 内藤正光

    内藤正光君 分かりました。  では、続きまして、この本法案実効性について幾つ質問を行っていきたいというふうに思っております。  まず、総務省並び警察庁、双方からお伺いしたいんですが、この法案国民への周知徹底についてお尋ねしたいんです。  と申しますのも、御案内のように、携帯電話をしながら運転をする、これもう今、見付かったらこれ罰則のはずなんですが、ただ、私もタクシーに乗ったりなんかしてふと横に目をそらすと、まだ平然と電話をしながら運転をしているという方々、少なからず見受けます。なかなか国民へ、まあ知っててやっているんだったらこれはもうしようもないんですが、本当にどこまで周知徹底が図られているのかなというのも一方では思っております。  そこで、通信事業者等への周知徹底は意外とたやすいんだろうとは思いますが、国民への周知徹底、安易にあなたの携帯電話、頼まれたからといってあなた名義で申し込んでそれを渡したらこれも罪になるんですよとかいう、その国民への周知徹底をどのようにこれからなされていこうとしているのか、お尋ねしたいと思います。
  15. 有冨寛一郎

    政府参考人有冨寛一郎君) 今先生お尋ねのとおり、この法案には、本人特定事項虚偽申告、あるいは他人名義携帯電話譲渡とか、あるいは譲受けに対する罰則等、これは一般の利用者の方、国民の方に直接かかわる重要な規定が設けられておりますので、当然この立法処置を含めて、携帯電話利用する国民方々に対して具体的な法案内容等についての周知は極めて重要だというふうに受け止めております。  したがって、実はもう総務省ではこういった認識を持っておりますので、既に警察庁等関係行政機関とともにパンフレット作成配付、あるいは雑誌等による政府広報等を通じた具体的な周知策について検討を進めてきております。  また、各携帯電話事業者においても、この契約者に対する本法案周知は重要だというふうに認識しておりますので、請求書同封物あるいはパンフレット等を通じた具体的な周知策について検討を進めているというふうに聞いております。  総務省といたしましては、周知不足によって国民に無用の混乱を来さないように、関係行政機関と、あるいは携帯電話事業者と協力をして、国民にとって分かりやすい、理解しやすいような観点での周知に努めていきたいというふうに思っております。
  16. 岡田薫

    政府参考人岡田薫君) 警察庁におきましても、携帯電話は大変広く社会に普及しているという現状にかんがみますと、国民の皆さんにこの法律について十分周知を徹底するということは大変重要だと思っております。  そうした意味からも、総務省とも連携を図りながら、ホームページを活用したり、あるいは各種広報媒体を使って広報を進めるとともに、都道府県警察に対しても働き掛けて法律内容周知徹底に努めてまいりたいと思っております。
  17. 内藤正光

    内藤正光君 ただ、その点なんですが、両省、警察庁もまた総務省も様々な媒体を使って周知徹底を図られていくと。恐らく、サラリーマンが読むような難しい雑誌にそういった広告等を掲載されていくというのもあり得るのかなと思うんですが、ただ実態としては、ちょっとこれ誤解を抱かれたら大変私の本意ではないんですが、ただ最初プリペイドを入手する最初の取っ掛かりとして、渋谷の町中を歩いている、まあそれこそ普通の、まあ未成年の女子高生とかそういった辺りを軽く、ちょっとアルバイト気分で、ちょっと携帯電話を、ちょっと名前を貸してくれないかと、そういうような取っ掛かりでもって最初は始まるというふうに私は理解をしております。彼ら彼女たちがそういう小難しいものに接するかどうか。そういったこともしっかりと踏まえた上で周知徹底を図っていかなきゃいけないんだろうなと思いますが、ちょっと改めて、どちらからでも結構なんですが、お答えいただけますか。
  18. 有冨寛一郎

    政府参考人有冨寛一郎君) 具体的には各事業者がこれについての認識を十分持って対応していただくことが基本だろうと思いますので、今先生の御指摘のことも踏まえて、電気通信事業者等連携を持って対応していきたいというふうに思います。
  19. 内藤正光

    内藤正光君 しっかりと、やっぱり漏れがあったらこの法案実効性がもう半減してしまうわけですから、しっかりと取り組んでいっていただきたいというふうに思います。  さて続きまして、何点か提出者お尋ねしたいと思うんですが、この譲渡時も本人確認をしなきゃいけないということなんですが、ただ七条一項で例外があると、親族又は生計を同じくしている者に対して譲渡する場合はその限りではない。  私は、その趣旨は分かるんです。例えば、親が子供に対して使い過ぎないようにということでプリペイド式電話を与える、これは常識ですよね。そこまで法律が波がかぶるということは私は好ましいことではない。  という意味で、その趣旨は分かるんですが、ただ、私が一つ懸念するのは、親族というのは、これ民法上の親族概念で六親等以内の血族と。六親等というのは、よほどいい家柄でもなければ、なかなかそこまで付き合いがないぐらい遠い存在ですよね。また、生計を同じくしている者というのも、これはかなり拡大解釈余地があり得るところなのかなというふうに思います。  私は、そこが法の抜け穴にならなければいいなとは思っているんですが、提出者はその辺はどのようにお考えでしょうか、お答えいただけますでしょうか。
  20. 中村哲治

    衆議院議員中村哲治君) 今委員質問のとおり、親族とは、民法七百二十五条に規定する民法上の親族概念を想定しております。繰り返しになりますけれども、第一に六親等内の血族、第二に配偶者、第三に三親等内の姻族を指します。また、生計を同じくしている者とは、同一の生計単位を構成していることをいい、例えば事実婚の関係にある者も含まれることになります。  このように、親族又は生計を同じくしている者は、おのずと限定をされます。そこで、譲渡時の携帯電話事業者承諾を必要とする者からこれらの親族又は生計を同じくしている者を除外することによって、悪用する者が多数現れる可能性はかなり低いものになるんではないかと認識をしております。  先ほど内藤委員おっしゃいましたように、このような親族又は生計を同じくしている者との間では、六親等内の血族までどうかと言われたら、まあそれは考える余地があるかもしれませんが、日常的に携帯電話譲渡が行われているということはあり得るのではないかと、そういうことを考えておりまして、この行為に対して規制を設けることの弊害の方が大きいと思いまして、この七条第一項の対象から除外しているところであります。  また、この七条一項の規制の違反による罰則規定については第二十条の規定があるわけですけれども、この第二十条の規定は業として有償でということに限っておりまして、この併せて規定している内容から考えてみても、今すぐにこの七条一項のところの除外規定親族ということ、また同一生計ということの規定が広過ぎるのではないかということは考えておりません。
  21. 内藤正光

    内藤正光君 分かりました。  続きまして、ちょっといろいろな具体的なケース、ちょっといろいろお答えいただければなと思いますが、あくまで今回の法案罰則対象となるのは、事業者承諾を得ずに、その次なんですが、業として有償譲渡した、その場合に対して罰則が掛かるわけですよね。そこで、こんなケースを想定してみたんです。  例えばやみ金業者。で、やみ金業者が、その弱い立場にある、多重債務者とかいろいろありますよね、そういった利用者顧客ですよね、顧客に対して、例えば強制的に電話有償ではなく無償で借り受けるなんという場合も当然考えられ得るんではないかなと思うんですが、このようなケースに対して本法案は一体どのようにしてその実効性を出していくというふうに理解すればよろしいでしょうか。
  22. 中村哲治

    衆議院議員中村哲治君) 今、内藤委員が御質問されたケースというのは、無料で、かつ借り上げる、借用するというケースですので、確かにこの法律案では対象とはなっておりません。本法律案においては、一般的な携帯電話利用実態にかんがみ、携帯電話無料で借用することについては処罰規定などの規制を設けてはいないからでございます。  携帯電話を借りるということになると、普通、親族でもなければ無料で、じゃ、ただで使っていいよというのはそんな恒常的にあるわけではない、そういうことが想定の前提になっております。  したがって、御質問のように、この法律規定からは、たとえやみ金融業者であっても顧客から携帯電話無料で借用する場合というものは違法とするものではありません。しかし、この法律案では違法でなかったとしても、やみ金融業者顧客から携帯電話を脅し取る、そういった場合には恐喝罪が適用されることになりますので、より刑法犯としてきつく処罰されることになるということを申し上げたいと思います。  また、顧客から収集した携帯電話第三者に譲り渡した場合には、第三者に譲り渡した場合には、本法律案の第二十一条に規定する「自己が契約者となっていない役務提供契約に係る通話可能端末設備他人譲渡した者」となり、罰金刑を設けているところであります。  また、この業者がいわゆる登録業者であった場合には、借り手に対して優位にある貸手の立場に乗じて行われたものと、そういうふうに考えられた場合には、貸金業規制等に関する法律による著しく不当な手段による業務に該当し、行政処分対象となるということで、必ずしもこの法律案によって、やみ金融業者の登場ということによって直接規制対象になっていないんじゃないかとおっしゃることはそのとおりなんですが、そのほかの法律等で対応はできているというふうに考えております。
  23. 内藤正光

    内藤正光君 ちょっと具体的な事例が続いて大変恐縮なんですが、今、最近、世の中便利になって、世界も便利になっていまして、携帯電話国際ローミングというサービスがあります。日本電話海外で使えるということがあります。逆に言えば、海外電話日本で使えると。正直言いまして、国際ローミングできるとはいいながらも、外国で借りたものを日本でずっと使い続けると高く付くわけなんです。ただですね、ただ国内で借り出される、あるいは売られる電話が全部この法の網にかぶって、それでなおかつ、この振り込め詐欺というのが意外とまだまだお金が取れるものだということになれば、場合によっては、将来的には海外で借り受けたプリペイド式携帯電話、もうカードなんて簡単に国内で買えますから、インターネットをのぞけば、もう売っていますからね、それ自体は何ら違法性はない。  となりますと、海外で借りたプリペイド式携帯電話ということを想定した場合、今回の法案はどういうふうに機能するんでしょうか。
  24. 中村哲治

    衆議院議員中村哲治君) 本法律案は、振り込め詐欺実態を踏まえて、専ら国内携帯電話事業者をその対象として想定しております。  御指摘事例については、海外で借りたプリペイド携帯電話に係る携帯電話事業者国内事業者であるかどうか等に応じて本法律案規定の適用が検討されることになろうと思われます。つまり、全く海外携帯電話事業者から借りて、全く国内携帯電話事業者がかかわっていないというケースであれば、それはこの法律対象外になるということは委員指摘のとおりでございます。  今、対象外ではあるんですけれども、まだ件数も低い、また今委員おっしゃったように、通話料金も高いものですから今のところそんなに多くは使われていないということもありまして、必要があれば、附則八条にて施行後一年をめどに本法律案について検討する旨の規定によって所要の検討をさせていただくことになろうかと思われます。つまり、見直し規定施行後一年というふうにしておりますので、その時点で再度見直しをしていくというふうに考えております。
  25. 内藤正光

    内藤正光君 私は、こういったケースが増大することは望んでおりませんが、一年後の見直し規定もあるわけですから、もし海外プリペイドを使った犯罪が横行するようでしたら、またその点もしっかりと見直していっていただきたいというふうに思います。  次に、ちょっと警察にお伺いしたいんですが、第八条の条文で、警察署長はなんですが、通信事業者契約者確認を求めることができるというふうになっております。で、その先十一条がつながるわけなんですが、その契約者確認を求めることができるその根拠としては、第八条第一項の二号ですか、に書いてあるんですが、携帯電話通信役務詐欺罪又は恐喝罪に当たる行為、そういうふうに判明したら事業者に対して契約者確認を求めることができるわけですよね。ただ、文章はまだ続くわけですね。その他携帯音声通信役務が多く利用され、かつ、その行為による被害又は公益の危険を防止する必要性が高いものとして政令で定める罪というふうになっております。  詐欺罪恐喝罪、そのほか政令で定める罪、そういった場合には事業者に対して契約者確認を求めることができるというふうになっておりますが、ただ携帯電話、今やほとんどの人が持っておるわけでして、犯罪を、二人以上の人が犯罪を犯すときは通信用に多く利用するわけなんです。ということを考えると、ほとんどの犯罪がこれに当たってしまうというふうに思うんですが、そこで、基本的な考え方も含めて、どのような犯罪をこの政令で明記していくお考えなのか、お尋ねします。
  26. 岡田薫

    政府参考人岡田薫君) 現在、その内容について検討中でございますので、詳細なお答えはなかなか難しいところがありますけれども、基本的な考え方としては、やはりここに書いてありますように、その電話が多く、犯行に多く利用されて当該行為による被害等を防止する必要性が高いものということで、かなり限定的なものがこの法の趣旨ではないのかなと思っています。そういう意味では、薬物犯罪でありますとか、あるいは被害者との連絡に携帯電話を多く利用されるということが比較的はっきりしている犯罪検討していきたいというふうに思っております。
  27. 内藤正光

    内藤正光君 先ほど薬物とありましたが、そのほかはまだ具体的には検討されていないですか、想定されてはいないですか。
  28. 岡田薫

    政府参考人岡田薫君) ないわけでもないんですけれども、細かくなってしまいますけれども、例えばやみ金絡みの関係の事件なんかも結構ございますので、そういう意味では、出資預り金関係法律違反というふうなことも念頭に置きながら検討をしております。
  29. 内藤正光

    内藤正光君 分かりました。  これ、よくよく考えてみると結構大きな捜査手段になるわけですよね。ですから、やみくもに私は広げることがないよう、総務省との間で慎重に考えて、この政令を定めていっていただくことをお願いをします。  さて、その次なんですが、これも警察なんですが、八条の契約者確認事業者に求めると、そしてそれに、求めに応じて事業者は直接そこに電話をして契約者かどうかを確認をするということなんですね。で、場合によっては通信サービスを拒否することもできるわけですね。ただ、この背後に、冒頭申し上げましたように、犯罪組織が絡んでいるということを考えると、私は、この事業者任せというのもちょっと酷かなというところもあります。  そこで、役務提供の拒否に際しては、私は警察の十分なサポートがあってしかるべきだと思いますが、お答えいただけますか。
  30. 岡田薫

    政府参考人岡田薫君) 契約者確認の求めや役務提供の拒否をめぐりまして、契約者等携帯電話事業者等の職員等に対して暴行、脅迫といった明らかな犯罪を行えば、当然それは検挙等を迅速にしていくということは大事だと思いますけれども、そのほかにも、そうしたことを含めた観点から、事業者との連携を強化して私どもでできることはしてまいりたいと、このように思っております。
  31. 内藤正光

    内藤正光君 しっかりとその辺サポートを、必要に応じてサポートしていっていただきたいというふうに思います。  そして、この実効性という観点では最後になりますが、内閣府にお尋ねしたいと思います。  法律実効性を高めるには、当然のことながら、関係する省庁の連携が必要になろうかと思います。警察はもとより、金融庁、総務省、そして国民生活センター等々、様々なところの迅速な情報交換も含めた連携が必要で、被害の拡大を未然に防がなきゃいけない、一刻も早く防がなきゃいけないというふうに思います。  そこで、内閣府にお尋ねしたいのは、情報共有を始めとする各関連省庁の具体的な連携強化策、具体的にお尋ねしたいんですが、どのようなものをお考えでしょうか。
  32. 田口義明

    政府参考人田口義明君) 架空請求などにかかわる消費者トラブルに対しまして対策を講じていくに当たりましては、関係省庁間の緊密な連携を図ることが大変重要であると私どもも認識しております。このため、政府におきましては、架空請求等に関する関係省庁の担当課長会議を随時開催して、架空請求等に関する消費者トラブルの動向でありますとか対策の進捗状況について情報共有を図っているところでございます。  今回御提案をいただいている法案に基づく措置につきましても、この担当課長会議を活用するなど、関係省庁間で広く、かつ迅速に情報共有等が図られるように取り組んでいきたいと考えております。
  33. 内藤正光

    内藤正光君 特に、その束ね役を務められる内閣府にお願いしたいのは、いろいろなホームページ等々見てみますと、それぞれ警察庁警察庁国民生活センターはセンターでしっかりやっていらっしゃると思うんですが、ただ、見たところ、何か統一感が取れていないといえばそれまでなんですが、例えば、困ったときにはどこに連絡をすればいいのか。これ、平時はこういうのを見て、ああそうかそうかって分かるんですが、もしこういう電話が掛かってきた、じゃ、どこに相談をすればいいのか、一一〇番でいいのか、国民生活センターといったって、番号なんていうのはそんなに、正直言って現状では周知されておりません、ほとんど。そういうのが私は大事じゃないかなと思います。  本当に、もし電話掛かってきた、これどう対応したらいいのか、そういうふうにすぐに頼れる電話番号、せめて電話番号の一元化でも私はするべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
  34. 田口義明

    政府参考人田口義明君) 架空請求等の問題に関して消費者の方々への広報啓発、これにつきましては、私ども関係省庁と連携をしまして幅広く進めているところでございます。ポスターでありますとかリーフレット、大量部数作りまして、いろいろなところに配付をしております。  例えば、「身に覚えのない請求には応じない」というポスターでありますとかリーフレットにつきましては、「ご相談は最寄りの消費生活センターへ」ということを明記しておりますし、またリーフレットにつきましては、その中で相談窓口という部分を設けておりまして、私ども内閣府の相談窓口のほか関係省庁の窓口、さらに国民生活センターのアドレスでありますとか、そういったものを掲載しております。そこからさらに消費者の方々が最も身近な消費生活センターへのアクセスがすぐにできるような工夫も図っておりますが、今後ともそういった形で消費者がすぐにどこにアクセスをしたらいいか、そこが分かりやすい形で示せるように工夫をしていきたいと思っております。
  35. 内藤正光

    内藤正光君 是非とも各省庁、自分たちはこれをやっているという、ただそれを示すだけではなくて、あくまで困っている国民立場に立って、困ったときにどうすればいいのか、それをそういう立場に立って取り組んでいただきたいというふうに思います。それこそ、本当にこのホームページ見ても、一体じゃどこに電話掛けたらいいのとか、どこに問い合わせをしたらいいのかというのは出てこないんですよ、ですね。そういった立場国民に置いて、視点を国民に置いて取り組んでいっていただきたいというふうに思います。  時間も余り残っておりません。最後の柱になろうかと思いますが、住民基本台帳、まあ名簿ということで住民基本台帳について、これ総務大臣も含めてちょっといろいろお尋ねしたいと思うんですが。  住民台帳というのは原則公開というふうになっております。はっきり言えば、市役所に行けばその市役所管内に住んでいる住民の四情報、四情報だけじゃないですよね、家族構成もすべて分かってしまう、これが現実です。  私は、その問題、実は二年前の個人情報保護法の審議、特別委員会の審議において取り上げました。片山当時の総務大臣に対してもがんとぶつけました。そうしたら、片山総務大臣も私と同じ思いを共有していただいたもんだと思っております、しっかりこう答えております。大きな時代変化、状況変化の中で、この四情報の公開というものも見直した方がいい、是非関係者の意見も聞きながら研究を行っていきたいというふうに二年前、ちゃんと答えているんです。取り組んでいくって、やっていくって言っているんです。ところが、その後ほとんどやっていなくて、やっとと言っちゃなんですが、残念なことについ先日、名古屋でこの住民基本台帳の閲覧という制度を使って悲しい事件が起きましたよね。それで、やっと初めて私は総務省が動き出したかなという印象を受けているんですが。  私は、まず総務省にお伺いしたいのは、二年前のこの大臣の答弁を受けて、一体どういう議論を行ってきたんでしょう。
  36. 武智健二

    政府参考人武智健二君) 内藤先生からは、ただいま御指摘がありましたように、平成十五年五月十三日の個人情報保護に関する特別委員会において御指摘をいただいたところであります。  この閲覧制度に関しましては、この委員会でも御指摘があったわけでありますが、ドメスティック・バイオレンスの問題も数多く指摘をされておりました。  そこで、総務省といたしましては、当時の判断といたしまして、喫緊の課題としてはまずドメスティック・バイオレント等に対応する必要があるということで、平成十五年、同じ年の十一月から、地方公共団体の関係者や有識者を交えまして、ドメスティック・バイオレンスとストーカー被害保護者のための住民基本台帳の閲覧、さらには写しの交付に係るガイドライン研究会というものを開催をいたしまして、約半年掛け、昨年の五月になりますが、ドメスティック・バイオレンスやストーカー行為被害者を実質的に閲覧の対象から外すような省令改正をし、昨年の七月に施行されているところであります。  次いで、今年の四月から個人情報保護法が全面施行されるということでありますので、これに備えまして、先ほど御指摘のありました五月十三日の審議の際に内藤先生から指摘のありました閲覧の請求者についての本人確認、そして大量閲覧の請求者に対する情報公開につきましても、今年二月、それから三月、二回にわたりまして、個人情報の保護に関する法律の全面施行に伴う住民基本台帳事務の取扱いに係る留意事項についてという通知を関係地方公共団体に発出いたしまして、内容は詳細にわたりますので省略させていただきますが、その徹底を図ったところであります。  このように、先生からの御指摘も踏まえましてこれまでも閲覧制度の課題について逐次対応をしてきたところでありますが、今般、もろもろの社会経済情勢の変化等を踏まえて、法改正を含めて検討するということにしたものでございます。
  37. 内藤正光

    内藤正光君 最後に、総務大臣お尋ねしたいと思うんですが、私は四情報、四情報だけだからというのが今までの意識だったと思うんです。そしてまた、居住関係の公証という位置付けも、意味付けもあったと思うんです。しかし、プライバシー意識が高まる中、だれが自分の情報を見ているか分からない、あるいは家族構成を見ているか分からない、私、そういったものを野放しにしておくっていうのは、私は今の時代そぐわないんだろうと思います。もう原則公開というものを早急に改めるべきだと思います。で、何か理由があったら公開をしてあげると、公的な理由があったらと私は逆転すべきだと思うんですが、大臣にお尋ねしたいのは、改革の方向性、改め方の方向性について大臣のお考えをお尋ねしたいと思います。
  38. 麻生太郎

    ○国務大臣(麻生太郎君) 今御指摘のありましたように、また御本人、内藤先生からもお話がありましたように、一昨年の五月、片山大臣に対しての御質問があっておりまして、以後の経緯につきましては武智が今答弁を申し上げたとおりです。  そこで、今、それ以後、内藤先生以外からも、少なくとも情報技術の進歩もありますし、社会情勢の変化もありますし、その他個人情報保護という、通称プライバシーという話も随分一般的に理解されるようなことになりつつもありますんで、そういった見直しを求める意見というのは多く寄せられてきたところであります。私、大臣に就任いたしました以降も同じような意見が寄せられておりましたので、特に御指摘のありましたように、これを利用した刑事事件というのが発生を過日いたしております。  そこで、総務省としては、こういった情勢を踏まえまして、閲覧制度の在り方についての検討会というのをこの四月に正式に立ち上げるということにいたして、法改正の検討を含めて、いわゆる検討、法改正を含めて検討することにいたしておりますが、その報告書はこの秋までには出したいと思っているんですが。  幾つ観点あろうかと思いますが、今御指摘のありましたように、そもそも閲覧制度そのものを存続させるべきかという点が一点、二つ目は、存続させるとした場合でも閲覧をできる相手、主、閲覧できる本人の主体と目的についてはどのように考えるべきかというのが二点目です。そして、今お話がありましたように、個人情報保護という観点から見ますと、閲覧の方法、今これは各世帯ごとになっておりますから、これをあいうえお順に変えるとか、まあやり方いろいろあろうと思いますが、閲覧の方法というのはどのような方法が考えられるか等々が今、主たる考え方、検討すべきところだと思っておりますので、いずれにいたしましても、極めて便利なものだとは思いますけれども、同時に光と影の部分が出てまいりますので、そういった面を含めていろいろ議論をしてもらいたいと思っております。
  39. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 民主党・新緑風会の水岡俊一でございます。内藤議員に引き続き、質問をさせていただきます。  まず、質問に先立ち、これまで少なからず国民の皆さんが困っている携帯電話による悪質な振り込め詐欺防止する法案を非常に短期間でお作りをいただいた提案者の皆さんに敬意を表する次第でございます。  早速質問に入らせていただきます。質問通告が十分ではなかったことをおわびをしながら、せっかく大臣が御出席をいただいておりますので、御質問をさせていただきたいと思います。  携帯電話等を使って振り込め詐欺が近年非常に増えている状況におきまして、音声通信事業所管の総務省としてはこれまで様々な対策をいただいたと思いますが、どのような対策が行われたのか、そして、そういった対策をする中においてこういった法律案総務省の方から御発案をいただくべきではなかったのかなと私は思うところでありますが、その点について大臣の見解をお願いをいたします。
  40. 麻生太郎

    ○国務大臣(麻生太郎君) 今回の法律案携帯電話本人確認法というんでしょうか、長い名前になっておりましたけれども、基本的には、この法案は、御存じのように、平成十六年の、昨年の六月から、業者というか、携帯電話を扱っております電話業者とともに匿名性を排除するという本人確認強化策というのを検討して、転売、譲渡されたものを含むすべてのプリペイド式携帯電話について契約者情報の届出義務を課し、契約者を確認、登録するというのを前提にして、少なくとも業者において自主的にやれと、まずこの種の話は。そうしないとこれは禁止になると、だから自主的にやれと、これだけ被害が出てきたんだからということで方針を固めてきてずっとそれでやってきたところですが。  先ほど内藤先生からもお話があっておりましたように、いろんな形で、ところでこれを利用してというか、悪用して刑事事件に発展するようなことになっていくとこれはいかがなものかということになって、私ども、検討を開始せいというさなかにこの法案が、いろいろ、中村先生始めいろいろな方々の御努力によってこういった議員立法という形で法案が提出されておりますので、総務省といたしましては大変いいことだと思っておりますので、そういった意味では、この法案が成立しました後所管をすることになります私ども総務省としては、この運用が適切に運用されますように最大限の努力をしていきたいと思っております。
  41. 木村仁

    委員長木村仁君) 大臣、退席してよろしいですか。
  42. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 はい。
  43. 木村仁

    委員長木村仁君) 大臣、御退席ください。
  44. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 ありがとうございました。  法律が成立した後についての運用、また様々な対策について、総務省としての取組をお願いをしたいと思うところであります。  それでは、提案者にお聞きをしたいと思います。  本法律案が成立をすることによりどれぐらい犯罪抑止効果が期待をされるとお考えになったのかについて、お考えを聞きたいと思います。また、同じ質問でありますが、日夜、犯罪防止犯人の捜査等に御尽力をいただいている警察庁としてはどのような見解をお持ちか、重ねてお伺いをします。
  45. 中村哲治

    衆議院議員中村哲治君) この法律案が成立することにより、契約締結時に加えて、譲渡時の本人確認が義務付けられることになります。そのことにより契約者の把握が徹底されます。だれが使っているか分からない匿名携帯電話が流通しにくくなると考えております。  また、この法律案では、携帯電話事業者に無断で業として有償携帯電話譲渡し譲り受ける行為又は身元を確認しないで業として有償で貸与をし貸与を受ける行為を処罰の対象としております。さらに、こちらの方が実態的には重要になってくるのですが、今申し上げましたこれらの譲渡行為や貸与行為を勧誘、誘引する行為を処罰の対象としております。  スポーツ新聞などで、手続不要とか身分証明書不要とかいう形で譲渡やレンタルをするという、そういった広告が出ておるケースが多いと聞いております。そのようなケースはすべて今回の法律ができれば処罰の対象となります。だから、まず広告自体が少なくなるだろうということになります。また、このような勧誘、誘引行為を捜査の突破口として振り込め詐欺事件等の検挙に結び付けることが期待できると考えております。  さらに、今回の法律案では、制度上、警察犯罪利用されていると認めるに足りる相当の理由がある携帯電話については、事業者に対して契約者の確認を求めることができるようになっております。これを受けて、携帯電話事業者が第九条の契約者確認を行い、これに応じない場合には第十一条の役務提供の拒否を行うという手続を定めることになっております。そういった手続を通じて相当の一般予防効果が認められるものと考えております。
  46. 岡田薫

    政府参考人岡田薫君) 今提案の先生からるる御説明がございましたけれども、重複を避けたいと思いますけれども、これは、私どもとしては、やはり先ほど来議論にありましたように、悪いことをしていく者にとって都合のいい非常に大きなツール、道具といいますか、と見ていたわけでありますので、それに対するかなりの規制がなされるようになった。そのことによって、犯罪者匿名性の高い携帯電話を入手することがかなり困難になる。そうすることによって、いろいろなほかの施策等も相まって、数字的なことはなかなか申し上げにくいんでございますけれども、振り込め詐欺のような犯罪であれば相当程度のものは抑止できると思っております。
  47. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 警察庁に重ねてお伺いをしたいと思いますが、まあ繰り返しになりますけれども、こういった振り込め詐欺が近年横行している。この手の犯罪防止あるいは捜査を進めていく上でやはり難しい点というのは一体どこにあったのか、改めてお伺いをしたいと思います。
  48. 岡田薫

    政府参考人岡田薫君) 御案内のように、まずこの種の事案といいますのは、電話預貯金口座があれば簡単に敢行できるということでありますし、大変模倣性の強い犯罪でございまして、その背景にございますのは、例えば被害者に面接することなく広域的に行われる、面接しないということはやはり犯罪者にとってはかなり、悪いことをする人間にとっては抵抗感を薄める要因になっているんだろうと思います。それから、かなり広い範囲で全国どこへでも電話ですから通じることがあると、そういったこと。それから、現金を振り込ませるために犯人が指定する口座というのは大体転売されたり他人名義架空名義のものであるということ。それから、電話がその使用者を把握できにくいプリペイド式のもの、そういったものが非常に多かった。  そういったことがありまして、先ほど申し上げたことと重なって恐縮でございますけれども、犯行は大変匿名性が高い、広域的で、共犯者同士も全く違った土地からもいろんなことができるといったことがありまして、なかなか犯人検挙が難しいところがあったと思います。そういった要因があって、遺憾ながらこの種の犯罪被害が拡大してきたのではないかと思っております。
  49. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 そのような各点においては、今回の法律案が成立をすればかなりの効果が期待されると私も思うところであります。  そういった中で、法律をどのように運用していくかということについて総務省にお伺いをしたいと思うところであります。  法律案では、第十二条そして十五条に示されているところにより、携帯音声事業者のために役務提供契約を媒介、取次ぎ、代理をする者に対して、総務大臣が報告、立入調査、是正命令をすることができる権限を与えられているわけでございます。法を円滑に運用していくために、媒介業者などに対して法により委任された省令に関する周知徹底をすることも重要なポイントになると考えますが、先ほど内藤議員から国民に対しての周知徹底のお話があったところでありますが、私は、そういう媒介業者などに対しての周知徹底のことについて総務省としてはどのようにお考えになっているのか、お伺いをしたいと思います。
  50. 有冨寛一郎

    政府参考人有冨寛一郎君) 今のプリペイド携帯電話の営業といいますものは、いわゆる媒介業者を介して行うというのが通例といいますか、非常に比率が高いというようなことでございます。したがって、この媒介業者に対しまして、今回の法案にある、例えば今先生指摘のありましたような、契約締結時の本人確認義務等に対する規定とか、あるいは総務大臣による是正命令等と、こういったものについてきちんと守ってもらうということは大変重要であるというふうに認識しておりまして、そのために、媒介業者等に対しましてこの法案趣旨、あるいは、まだ決めておりませんけれども、省令の細則、こういったことについての周知というものが極めて重要だというふうに思っております。  したがって、その媒介業者等に対しましてどうするかということでございますが、基本的には、先ほど申しましたように、媒介業者等は携帯電話事業者との間に直接あるいは間接に業務委託契約を結んでおります。したがって、基本的には携帯電話事業者を通じて、この法案あるいは省令等につきまして十分な周知を図っていくということが基本だろうというふうに思います。  私どもとしましては、既に携帯電話事業者に対しましては、本法案内容については説明をしております。これからこの総務省令、これを内容を固めるわけでございますが、これが固まり次第、これは、具体的に媒介事業者等に対して効果的な周知方法はいかなるものであるかということにつきましては携帯電話事業者とともにいろいろと検討して、本法案施行前に必要かつ十分な周知が行われるように努めてまいりたい、このように思っております。
  51. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 全国各地、津々浦々といいましょうか、そういう媒介業者がたくさんございまして、そこにいかに徹底をするかがこの法律がうまく機能するかどうかに懸かっていると私は思っています。そういった意味で、総務省の方の省令については詳しく決めていただいて、実効あるものにしていただきたいと、このように思うところであります。  それでは、警察庁お尋ねをしたいと思います。  携帯電話を使った犯罪は様々なケースがあるようでありますが、私が聞くところによると、レンタル業者などから手に入れた携帯電話を悪用し、麻薬あるいは覚せい剤などの売買を目的として顧客データの入った携帯を高値で売買するといったことがあるようでございます。一部には、一台の携帯電話が四百万円であるとか五百万円であるとかの信じられないような高値で取引されるやに聞いております。当然ながら、警察庁はこのような事実を把握されているとは思いますが、このような悪質な犯罪に結び付く可能性の高い携帯電話利用について、この法律によってかなり影響を与えることができるのではないかと私は期待するところでありますが、警察庁としてはどのようにとらえておられるでしょうか、お願いをします。
  52. 岡田薫

    政府参考人岡田薫君) お尋ねの件は、恐らくいわゆる客付きの携帯電話と言われるようなものだろうと思います。これにつきましては、事件検挙によりまして携帯電話端末を押収しても同じ番号が別の端末で使われているようなことから、薬物の取引者にとってはかなり便利なものとして私どもも問題視してきたものでございます。  これにつきまして、今度の法律案によりましては、不正な譲渡、貸与等の処罰ですとか、あるいは事業者によります契約者確認規定されておりますので、そうしたことによって効果的な取締りとかあるいは被害拡大防止が可能になっていくのだろうというふうに思っております。
  53. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 こういった実効的な手段が決められるわけですから、あとは捜査ですね、早急な捜査といいますか、時間を置かないで厳しい捜査をしていただく中で犯罪を少しでも少なくしていただきたいとお願いをしたいところであります。  さて、それでは話を変えまして、レンタル業についてちょっとお話を聞きたいというふうに思っております。  振り込め詐欺等犯罪にはレンタルをされている電話携帯電話がかなり使われていると聞いております。レンタル業に対しては所管が経済産業省だと私は認識をしているところでありますが、経済産業省としては、このレンタル業に対して、このような犯罪が行われているかもしれないということにかかわってどのような規制をされてきているのか、どのような対処をされているのか、あればお聞きをしたいと思います。
  54. 桜井俊

    政府参考人桜井俊君) 経済産業省でございます。  現在、携帯電話のレンタル事業に対する規制はございません。
  55. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 今回の法律趣旨を生かしていくためにも、実際、レンタル業者に対する規制がある程度私は必要ではないかなと考えているところであります。  そこで、もう一度提案者にお聞きをしたいというふうに思います。  この法律案において第十条に匿名貸与営業の禁止として規定されている部分を読みますと、レンタル業者には氏名及び居所又は電話番号その他の連絡先の確認をさせることとしておって、全くこれは当然必要なことだと思っているところであります。  そこで、私、疑問に思いますのは、第四条において、携帯音声通信事業者本人確認記録を役務提供契約が終了してから三年間保存しなければならないと規定されていることに比べて、レンタル業者には本人確認記録の保存義務が規定をされていないという点であります。それは訳があるのだというふうに理解をするところですが、この際お聞かせをいただきたいと思います。
  56. 中村哲治

    衆議院議員中村哲治君) この法律案は、身元が明らかでない借主に携帯電話のレンタルを行うことによって、だれが使っているか分からないような匿名携帯電話を生み出すような行為規制することとしております。そこで、レンタル業者に対し、借主の連絡先等を把握させ、匿名携帯電話が流通し、振り込め詐欺等犯罪利用されることを防止することとしました。  そもそもだれが扱っているか分からない匿名携帯電話を排除するには、借主がどこのだれかであるかも確認せず、初めから携帯電話の返却を受けるつもりもないような、実質的には譲渡とみなされ得るレンタル行為規制することで足ります。また、レンタル行為は反復されるため、確認した事項を記録し、保存させることは過大な負担となると考えられるので、義務は課さないことにしました。  つまり、携帯電話のレンタルの場合は、普通は返してもらうことを前提としてやっているわけですよね。だから、保証金を取るケースもあるでしょうし、本人確認に関してはきちっと普通は行われるというケースがほとんどだと思います。だから、貸している間はその記録がきちんと残っているということは当然であるということは、レンタル業の当然の形態だと思います。そういった行為がなされてないということになると、これは無断譲渡に当たるのか、それとも自己の、無断譲渡に当たるなどのほかのところの規制で引っ掛かってくると考えておりまして、今の段階で、レンタル業者にレンタル契約が終わって三年間の保存義務とか、そういうことをやることまでは犯罪対策を考えても必要ないのではないかと、そういうふうに考えております。
  57. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 分かりました。ありがとうございます。  そうお聞きをする私としては、誠に素人的な考えで恐縮なんですけれども、悪質な犯罪が後を絶たないという現状の中においていろいろと心配になることがあるんですね。  例えば、これはちょっと総務省にお聞きをしたいと思っているんですが、例えばレンタル業者の場合、かなりの額をチャージしたプリペイド携帯電話を貸す折に前金である程度お金を取っていますよね。そういったことで、仮に返却されなくても実害がないことから目をつぶってしまうんではないかという、そういった心配があります。これは意図をした、要するに、返ってこないということを意図しているということではないんだけれども、結果的に返ってこなかったというようなことで業者が責任逃れをするんではないかというような心配も実はしてしまいます。  また一方、携帯電話を借りて短期間に意図として悪用しそれを返却するというケースがあると思うんですね。でも、レンタル業者は返却をした後、本人確認記録は保存をしていないということから、後で捜査が入って、この携帯電話をだれが使っていたのかというような、だれに貸したのかというようなことを調べようと思っても、もうこれは情報がないというようなことになってしまう可能性もあるわけですね。  そういったような、まあ規則でありますか、法律の谷間みたいなものがもし存在するとすれば、そういったことを一般の国民の皆さんはまた心配をされるというふうに思うんですね。ですから、この法律が成立をした後、運用として、あるいは新たな対策としてどんなことが、どんなことを注視をして考えていかなきゃいけないのか、これ、総務省として何か見解があればお聞きをしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  58. 有冨寛一郎

    政府参考人有冨寛一郎君) 今先生指摘のような事例でございますが、これはチャージをしたプリペイド式の携帯電話を前金払いで渡す行為、これがどういう行為であるかについては多分いろいろな態様があるんだろうというふうに思います。  ですから、個々の行為に基づいて対応せざるを得ないとは思いますけれども、この仕組みからいいますと、そういった前金払いで渡す行為というものが実質的に携帯電話譲渡というように判断される場合、これがまあ多分多いんではないかと思いますけれども、この場合でありますと、この本法案では、携帯電話事業者に無断で業として有償携帯電話譲渡する行為、この範囲になればこれは処罰の対象というふうになります。また、仮に貸与という形ではないかというふうに判断された場合においては、これは氏名及び連絡先を確認しないで業として有償で貸与する行為となりますので、これは処罰の対象となるというふうに考えます。  したがって、譲渡になるかあるいは貸与になるかというような仕組みの中で、多分、多分と言っては大変失礼でございますけれども、個々の事例を踏まえて対応しなきゃならぬと思いますが、カバーできるんではないかというふうに受け止めておりまして、まずはこの法案の適切な運用に注意を起こしていきたいと、このように考えております。
  59. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 分かりました。  心配事があるということで重ねてちょっとお尋ねをしたいと思いますが、警察庁にお願いをします。  これまで様々な勧誘の手口として、インターネットであったりあるいはチラシであったり、そういったところに連絡先を、番号を提示する中で、携帯電話がほとんどでありました。しかし、携帯電話はこれは怪しいということで敬遠されるということから、一部固定の電話の番号が記載をされてくるといったようなケースが登場してきたんではないかと私は思っています。で、実際にはその固定電話は転送電話になっていて、その電話から、固定電話から携帯電話の方に転送されているといったことから、その固定電話の設置場所に行ってもだれもいない、あるいは別の場所で犯行を重ねる人間が複数いるといったようなケースも考えられるわけですが、そういったことについて、捜査をする上で現状としては障害になっていないんでしょうか、その辺りをお聞かせください。
  60. 岡田薫

    政府参考人岡田薫君) 御指摘のように、はがきなどを使った架空請求などでは、請求の信用度を増すためにといいますか、先ほどお話があったとおりでございますけれども、連絡先が固定電話の番号となっているものが多く見受けられるようであります。そして、こうした電話につきましては、プリペイド式その他の匿名携帯電話に転送されているというのがほとんどというふうに聞いております。  こうしたものにつきましては、ただ、固定電話であります場合には、事業者に確認をいたしますとその転送先の電話番号も把握することができますので、そういう意味では、全くの架空で何も分からない携帯プリペイド等よりは分かりやすい要素もあるのではないかと思います。
  61. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 まあそれを聞いて少し安心をいたしました。  ただ、心配は次々に起こってくるわけでありまして、インターネットの世界でも非常にウイルスの温床になっているのは海外の様々なところにあるコンピューターであります。つまりは、電話の転送のような形で次々に国を渡って通信が行われるといったようなことが実際には考えられます。ですから、こういった犯罪がそういった海外の通信施設あるいは通信機材を使って行われるといったことも今後起きるんではないかというふうに思いますので、その辺りの対策を是非ともお願いをしたいと、こう思うところであります。  そういったことからいえば、携帯電話は非常に日々進化をしているところであります。まあ、その変化は非常に目覚ましくて、私などは機械物というのはいささか自信のあった方でありますが、今の携帯電話の機能というのは非常に多くて、私たちにはもう手に負えないような状態、持っている機能のすべてを知り得るところには至らないというような実態があるわけですね。  そういった中で、次世代携帯と言われる新しい携帯が次々に登場している今実態があるわけであります。そういった意味からすると、今この法律によってかなりの部分が規制をされ、そして犯罪防止が期待をされるという中で、新たな次世代携帯による犯罪行為が起きないのかなという、そういう心配事があるわけでありますが、それについて総務省としてはどういうふうにお考えになっているのか。加えて、警察庁としてもその辺りはどういうふうにお考えになっているのか。見解があればお聞かせを願いたいと思います。
  62. 有冨寛一郎

    政府参考人有冨寛一郎君) 今先生指摘のとおり、携帯電話につきましては非常に技術革新が激しいということでございまして、いろんな高度な利用ができるという便利さもありますけれども、逆にそれが裏目に出まして犯罪にも利用される、悪用されるということも十分想定をされるわけでございます。  したがって、予想もできない新たな犯行に使われるということだって十分あるというふうに認識をしておりますので、私どもとしましては、事業者と定期的に意見交換をすると、今、連絡会という形で公式的なものを持っておりますので、そこで実態がどうなっておるか、新しい動きはどうなっておるかということについて情報を共有しながら実際の実態把握をするというふうに努めたいと思っております。  その中で、今回、施行後一年以内に見直しということもございますので、もしもそういった実態把握をし、何がしかの対応が要るというようなことになりますと、法律の改正になるか、あるいは実態的に業界の中で整理をするか、もろもろあると思いますけれども、いずれにしましても、技術革新等に対応した新たなマイナスの側面についての適切な対応については検討していきたいというふうに思っております。
  63. 岡田薫

    政府参考人岡田薫君) 委員がおっしゃっていらっしゃいますことは、私どもも当然、十分に意識、認識をして、そういうことに対する警戒心も持ちながら、現実がどのように動いているのか、どうしているのかというのを関係機関とも連携した上で見てもおきますし、いわゆる犯罪という形態であれば、被害者からの訴えなどに対しても迅速な反応をしていかなきゃならないんだろうと思います。  そういうことを前提といたしまして、そうした新しい形態、新しい手口犯罪等が出てまいりましたら、関係省庁、事業者等の連携、更に効果的な対策を講じていくというふうに考えてまいりたいと思います。
  64. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 ありがとうございます。  繰り返しになりますけれども、携帯電話が非常に普及をしたこの時代に合わせまして、犯罪手口もそれに伴って巧妙になってきているということは、もう皆さん疑う余地のないところだというふうに思っております。  この法案が成立をすることによってかなりの犯罪防止することができると、私たちも非常に大きな期待を持っているところであります。しかし、過去の犯罪がそうであるように、法律ができれば、その法律のすき間をねらって新しい手口が登場してくるといったことは、重ねて申し上げるまでもないところであります。十分な対抗手段を持ち得ない一人一人の国民にとってみれば、非常に不安な状態がまだ続くというふうに思いますので、関係官庁の御努力もいただきたいし、全国にこういったことも知らしめていただく中で犯罪を少なくする努力を国民としてやっていくべきだというふうに思います。そういったことを最後にお願いをしまして、私の質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  65. 弘友和夫

    弘友和夫君 公明党の弘友和夫でございます。  今、民主党さんは八十分質疑されましたので、かなり詳しく内容を詰められたし、また重複する部分も出てきておりますけれども、改めて質問をしたいというふうに考えております。  先ほども出ておりましたけれども、この振り込め詐欺手口というか、これがいろいろな形で巧妙化している。交通事故に見せ掛けて、被害者だとか警察官、保険会社の職員まで登場させて、まず劇場型の詐欺まで行われているという。そういう中にあって、私は、先ほど警察の方から、犯人被害者が非面接であり、またこの電話架空名義だとか匿名性があるだとかいうお話がございました。今、どういう振り込め詐欺実態というか、犯罪実態になっているのか。  それともう一つは、二万五千六百五十七件、二百八十四億円の被害があったということでありますけれども、これの、これは検挙した額がこれなのか、どういうことなのかということをお答えいただきたいと思います。
  66. 岡田薫

    政府参考人岡田薫君) まず、実態についてのお尋ねでございますけれども、最近の振り込め詐欺の一つの特徴みたいに見られるのは、かつてはやっぱり詐欺という、だましているという要素が強かったんですが、脅しの要素が結構入ってまいりまして、やくざの親分の車にぶつけちゃったんだと、後どうなっちゃうのか分からないぞとか、身元をさらってしまうぞとか、そういった脅しとだましの融合型というのが結構出てきているような気がいたします。  それから、委員指摘のように、登場人物が大変複雑化をしてきて、かつては警察官、弁護士と言われたんですけれども、今新聞記者だとかマスメディアの人も結構出てくるようになってまいっておりますし、それから、彼らは、やっぱり相手のといいますか、これは被害に遭う人も遭わない人も含めてですけれども、いろいろなところへ電話していろいろな仕事をしていく過程で、進化していくといいますか、どういうところの相手が、どういう人、引っ掛かりやすいかというのをやっぱり体験的に身に付けていっている部分があるような気がいたします。非常に大ざっぱには、そんなちょっと最近の変化があるということと、それからもう一つ、件数で、昨年の件数が認知件数で二万五千六百六十七ということでございまして、これは認知でございますので、検挙ということではなくて警察が認知したという件数でございます。
  67. 弘友和夫

    弘友和夫君 検挙はどれぐらいなんですか。
  68. 岡田薫

    政府参考人岡田薫君) 失礼しました。  検挙が、昨年の件数でいいますと千三百五件、人員としては五百四十八人ということでございます。
  69. 弘友和夫

    弘友和夫君 確かに、非常にこれを検挙するのは難しい犯罪であるかもしれませんけれども、私は、今回このいろいろな振り込め詐欺という現状は大変だと、何とかこれは早く手を打たないといけない。三種の神器、銀行口座、それからこの携帯電話、それから名簿と。口座に対しては、そういうやっぱり議員立法等でやりました、今回のこれも議員立法でありますけれども。  私は、本来だったら、例えば犯罪が、これだけこの振り込め詐欺実態があるのに、今のでも二万五千六百五十七件認知をして、実際に検挙したのが、千、千幾らだったかな、千三百足らずと、一割にもならないわけですね。素人考えで、銀行の口座も使われ、電話もあるのに、そして、これは成功した例であって、無差別に電話しているわけでしょう。これが何で、私は、取っ掛かりというか、手掛かりは一杯あるんじゃないかと思うんですよ。これが何で逮捕、検挙できないのかなという、これは素人考えかもしれませんけれども、手掛かりは一杯あるという中でその五%ぐらいしか検挙していない。例えば、先ほども言った暴力団が非行少年等を使ってやっている。そこからだっていろいろ追っ掛けることはできるんじゃないかと思うんですよね。  それともう一つは、これを逮捕するには、検挙するには、こういう法律がないとやっぱり難しいと。この携帯電話の今回のこの法律案だってそうだし、銀行口座だってそうだし、本来であったら警察の方から、こういう法律を是非作ってもらいたいと、もうこれは大変なんだと、こういう声が上がってもいいと思うんですけれども、いかがですか。
  70. 岡田薫

    政府参考人岡田薫君) 今回もこういう立法案が出していただいたわけでございますけれども、私ども、口座に関する本人確認法もそうでございますし、今回の法律も、心からこういう法律を作っていただきたいという気持ちでおりました。
  71. 弘友和夫

    弘友和夫君 おりましたじゃなくて、それを何で今までそういう形でやってこなかったのかということを、議員立法でね、議員立法は大変発議者の皆さん苦労されたと思うんですけれども、本来だったら、総務省とも相談してやるべきじゃないかなと思うんですけれども、どうですか。
  72. 岡田薫

    政府参考人岡田薫君) どうも私どもの行動は、必ずしもいつも目に見えない、見えるものばかりではございませんけれども、そういう努力もいろいろしてきたつもりでございますし、それから、先ほど大変私ども厳しい御指摘をいただきました。これだけの事件が起きていて五%程度しか検挙できないのは問題ではないかという御指摘ではないかと思います、私ども真摯に受け止めたいと思いますけれども。  そういうこともあって、私ども件数の取り方というのはちょっと難しいところがあるんですけれども、ストレートにこの犯罪だけではなくて、その前段階の口座開設のために通帳を使う気のない人間を名義人にして銀行から受け取るという行為も、かつては事件としてはとらえていなかったんですが、そうしたものも詐欺という形でとらえるようになりまして、実は昨年も、一年間の検挙人員で見ますと振り込め詐欺そのものよりそちらの方の人数の方が多くなっております。それから、その検挙人員も今徐々に増えてまいりまして、検挙件数というのはいろいろ裏付けが終わってから統計が掲上されるものですから、タイムラグが少し生ずるんです。そういう意味では捕まえている人員の方は相当増えてきて、頑張っております。
  73. 弘友和夫

    弘友和夫君 まあ頑張っていただきたいというふうに思いますけれども。  それと、この法律が成立後に、先ほど来出ておりますけれども、警察にしても、総務省にしても、事業者にしても、法務省にしても、国民生活センターにしても、やっぱり連携を取り合いながらやっていかないといけぬのじゃないかなと。先ほど総務省は、事業者連携を取りながらと、こういうお話がありましたけれども、それぞれ、警察ともいろいろ連携犯罪実態とか、そういうことを連携を取っていくべきだというふうに思っておりますけれども、いかがでございますか。
  74. 有冨寛一郎

    政府参考人有冨寛一郎君) 総務省として、まずは具体的なサービスを提供している事業者というものを基本に考えておりますが、当然、政府全体の横の連携というものも必要だと考えておりまして、今回こういう法案ができて、既に具体的な事案があるというふうになりますと、先ほど、実際の事業者からも、警察等に対する、との連携も強めてもらう必要も多々あると思いますので、いろんな形で連携を取って対応していきたいというふうに思います。
  75. 弘友和夫

    弘友和夫君 それでは、発議者にお伺いしたいんですけれども、この第三条第一項に、「運転免許証の提示を受ける方法その他の総務省令で定める方法」というのは、どのようなことを考えられているのか。  また、対面による確認方法ですね。対面の確認方法しか認めないのかどうか。例えば、運転免許証コピー送りますよと、そういう方法が認められるのかどうか。この方法は、コピーでもいいですよということになると、運転免許証、顔を差し替えたり何したって別にコピーというのは分からないと思うんですけれども、改ざんというのが非常に楽になってくると思うんですけれども、そういうことで、対面によらない場合は確認が非常に難しいんじゃないかというふうに考えておりますけれども、発議者はどう考えられておるのか。
  76. 石井啓一

    衆議院議員(石井啓一君) 本人確認の具体的な方法につきましては総務省令にゆだねられているわけでございますけれども、具体的にどのような方法を想定をしているかということでありますが、まず対面による確認につきましては、法律に書いてございます運転免許証の提示を受ける方法のほかに、健康保険証やパスポート等の第三者が入手できない公的証明書の提示を受ける方法というのが考えられます。  さらに、住民票の写しですとか印鑑登録証明書等の第三者が入手できる公的証明書の提示を受ける、これも対面確認になるわけですが、その場合はそれにとどまらず、その上でそこに記載されている住所あてに携帯電話事業者から携帯電話を書留郵便等により転送不要扱いで送付すると。ですから、その住所が正確でなかったら本人には届かないという形で確認をするということに考えております。  また、対面によるのみならず、例えば、離れた、地理的な遠いところにいるのでなかなか出向けないということもありますから、一律に対面によらなければならないというふうには考えておりませんで、御指摘がありましたような運転免許証の写し、あるいは公的証明書の送付を受けるという場合も想定をしておりますけれども、その場合もそこに記載されている住居にあてて携帯電話を書留郵便等によりまして転送不要の郵便物として送付すると。このことによって本人確認が保証できる方法、これを想定をしておりまして、こういった方法について総務省令で定めていただく必要があるというふうに考えております。  これらの方法は、昨年秋に改正をいたしました金融機関の本人確認法、この本人確認施行規則に準じて適切に定めていただくということで考えております。
  77. 弘友和夫

    弘友和夫君 本人の場合はかなりこれによって抑止力というか、出てくると思うんですけれども、先ほどちょっと出ておりましたレンタルですね、レンタルの場合のこの確認というのが、これには、自然人の場合は氏名及び居所又は電話番号、それから法人の場合は名称及び本店又は主たる事務所の所在地と。このレンタルの場合はこういう確認というふうになっていないわけですよね。それからまた、三か月間の保管義務というか、そういうことはないわけですよ。これは、レンタルで本人確認もなしに貸すということは非常に抜け道になってくるんじゃないかなというふうに考えますけれども、いかがでしょうか。
  78. 石井啓一

    衆議院議員(石井啓一君) このレンタルの、第十条でございますけれども、これは、身元を明らかにしない借主にレンタルを行うということによりまして匿名携帯電話を生み出す、そういう行為を禁止しようとするものでございます。  通常のレンタルの場合は当然返していただくということが前提になっておりますので、レンタルの事業者の方で当然のことながら運転免許証や身分証明書で十分本人確認をしていただいているということが前提として考えられます。  この第十条の場合はそうではなくて、初めからその携帯電話の返却を前提としていない、実質的には譲渡とみなされるようなレンタル行為を禁止する、このことによって匿名携帯電話を排除しようということを意図しておりまして、確認の方法については通常のレンタルでやられている方法で十分であろうというところからこの方法を通じての義務付けは行わなかったところでございます。通常のレンタル業では、先ほど申し上げましたように、本来、十分本人確認を行っているというふうに考えております。  また、記録保存の義務付けにつきましても、これレンタルでありますから、同じ電話番号で繰り返しお貸しするということが考えられますので、その都度、記録保存をさせるということは、これレンタル事業者に多大の、大きな負担を掛けるということになるというふうに考えておりますし、事実上の譲渡を禁止をするという目的から考えましたら、記録の保存についても義務付けまでは必要はないんじゃないかというふうに考えたところでございます。  ただ、この法律は附則に施行後一年の見直し規定も設けておりますので、施行した後にこのレンタル事業者についても更に規制の必要があるということであれば、その時点で改めて検討すればよろしいのではないかというふうに考えます。
  79. 弘友和夫

    弘友和夫君 警察の方にお伺いしますけれども、実際、じゃ、それで確かにレンタル、返してもらうんだということで、それ前提ですから、そんなに深い確認みたいなことはないけれども、じゃ、犯罪を犯す人は、じゃ、自分の携帯、自分名義携帯電話なんか私は使わないと思うんですよ。やっぱりそういうレンタル等で、保証金はなしにしても、借りて、それ一回自分の手にしてしまえば、特にプリペイドなんか、カードさえ買えばもうずっと使えるわけでしょう。そうなると、この法が施行されても、実際そこから、一回その機械を手にしてしまえば、相当期間プリペイドカードをどんどん補充しながらやれるようになるんじゃないかなというふうに私は素人考えで思うんですけれども、そういう、警察として、その本人確認というか、の方法だとか保管義務がないということに対してはどういうふうに考えられているか。また、そういうプリペイドのことで、実際取締り等ができるのかどうかというのをお伺いしたいと思います。
  80. 岡田薫

    政府参考人岡田薫君) 犯罪のツールとして携帯電話とか口座、架空の口座といったものが非常に簡単な形で手に入るというところが私どもの意識としては最大の問題と考えているわけですね。それを完全に、いろんな利益衡量は恐らくあるんだと思いますので、そういう意味ですべてに、これによってすべての犯罪携帯電話だとか電話が使われなくなるということまでは期待できないんだろうと思います。それはそれでやむを得ないし、しかしかなり大きな抑止力になりますし、それから、そうしたことをいろいろやっていく過程で、また新しい使われ方、新しい問題点が出てくれば、それに対する規制の在り方等について、私どもとしてもそういった情報を踏まえたお願いをしてまいりたいと思っております。  現時点では、こういう法律で大変犯罪の抑止に役に立つものはできていくのだろうと、このようには思っております。
  81. 弘友和夫

    弘友和夫君 今の新しい手口の中の一つでコールバックサービスという、例えば電話が掛かってきたら、自分の家の、自宅の電話番号表示されると。そこで、女性の悲鳴とともに、奥さんが殺されたくなかったらすぐ口座に振り込めと。自分の家から掛かったからこれは大変だと、こういうふうになるわけですね。実際はそれは、海外からのコールバックサービスというので、海外を経由して、そういうサービスがある、どんな番号でも表示できるという。警察だとか自宅の電話番号とか、そういうのだとしたら本当に信用してしまうわけですよね。  こういうものに対して、やはりどう取り締まっていくのか、またそういう技術的に可能なのかどうかということについて最後にお尋ねいたしまして、質問を終わりたいと思います。
  82. 有冨寛一郎

    政府参考人有冨寛一郎君) 今先生の御指摘のありました発信電話番号の虚偽表示ということの問題でございますけれども、総務省におきましては、今年の二月から、こういった問題にどう対処するかということで、主要事業者とそれから業界団体から成る連絡会を開催をいたしまして、情報の共有化を図ると、それから事業者において実施可能な偽装防止策についてどういうものがあるかについて検討を行ってきております。  今先生指摘のように、この検討会の中で電気通信事業者の中からは、海外からの電話においてコールバックなる仕組みを用いて、発信者、発信番号が偽装されている疑いがあるというような事例があると、こういうようなことの指摘がございました。こういった指摘もありますので、先ほどの連絡会等を通じまして、技術的な対策について何かできないかということで検討を行ってきております。  既に報道発表されているところもありますけれども、この三月から、NTTドコモとかあるいはau、ボーダフォンにおきましては、一定の条件で発信電話番号が偽装されている疑いがあるというような通話を識別をいたしまして、その識別された電話番号につきましては表示はしないというような観点での防止策を実施をしてきております。これ以外の事業者も、その対策を実施してきているところ、あるいは検討しているところがございますけれども、具体的な内容につきましては、これ対外秘になっておりますので、防犯対策上の問題でございますので差し控えさせてもらいますけれども、いずれにしましても、こういった新しい手口につきましては、実態がどうなっているのか、何が起こっているのか、一つの事業者だけじゃなくて全事業者がそういった問題意識を持って対応できるようにという形で連携が必要であろうというようなことでございます。  したがって、総務省といたしましては、事業者連携しながら、必要があれば関係省庁とも連携しながら適切な対応に取り組んでいきたいと、このように考えております。
  83. 吉川春子

    ○吉川春子君 日本共産党の吉川春子です。  携帯電話不正利用防止法案は、衆議院において五会派共同で提案されておりまして、我が党も共同提案に加わっております。  私の携帯にも変なメールが日常的に送られてきまして、発信元を確認したいという衝動に駆られるわけですけれども、同時に犯罪防止のためということで法律規制、処罰する場合には他の法益を侵害しかねないという問題もあると思います。この点について伺いたいと思います。  まず、警察庁にお伺いしますけれども、先ほど認知件数と検挙件数の報告がありましたけれども、私は、加えて被害総額、そしてプリペイド式携帯電話による被害というのはそのうち何%ぐらいなのかということを伺います。
  84. 岡田薫

    政府参考人岡田薫君) 昨年一年の振り込め詐欺被害被害総額は二百八十三億円余りでございます。  それから、プリペイド式携帯電話の使われている比率ということがございましたが、これはなかなか厳密には取れないんですけれども、一部の、抽出で取った関係で見ますと、去年の一月から六月に警察で認知した六千二百八十四件において使用された携帯電話のうち、判明しているものが八百二十七台あったようであります。そのうちプリペイド式が七百六十六台であったということで、パーセントで申し上げますと九二・六%であったようであります。
  85. 吉川春子

    ○吉川春子君 総務省にお伺いしますけれども、携帯電話の普及台数、そしてそのうちプリペイド式はどの程度なのか、数字をお願いします。
  86. 有冨寛一郎

    政府参考人有冨寛一郎君) 平成十七年二月末現在の数字でございますが、我が国における携帯電話の普及台数、これは約八千六百万回線となっております。  このうち、プリペイド式の携帯電話の普及台数、回線数というふうに言い直しますが、約二百八十万回線でございまして、全携帯電話に占めるプリペイド式携帯電話割合は約三%というふうになっております。
  87. 吉川春子

    ○吉川春子君 そこで提案者にお伺いいたしますけれども、その普及率、今三%と、プリペイド式ですね、そういうお答えがあったわけですけれども、総務省が、プリペイド携帯電話に係る本人確認の徹底の方針に基づいて、本人確認通信事業者が自主的に本人確認を進めなさいという行政指導、それに応じない場合は通信役務の停止措置をとっていますけれども、そういう総務省の行政指導にもかかわらず、今回、立法措置をとられた理由というのは何でしょうか。
  88. 菅原一秀

    衆議院議員(菅原一秀君) 携帯電話が振り込め詐欺等犯罪利用されることを防止をしなければならないわけでありまして、そのためには、その携帯電話契約者を正確に把握して匿名電話を排除する必要があるわけでございまして、今委員指摘のように、プリペイド携帯が全体の三%である、九七%がいわゆるポストペイド、料金後払い。こうした中で、レンタル携帯と称して、実質的には匿名の者に携帯電話譲渡して利用させる業者が非常に多いという状況にかんがみまして、今回こうした法律案を提案をしたということでございます。
  89. 吉川春子

    ○吉川春子君 レンタル業者、先ほど来問題になっていますけれども、このレンタル業者の保有台数といいますか、普及台数といいますか、その数はつかめるんでしょうか、警察でも提案者でも結構ですけれども。
  90. 菅原一秀

    衆議院議員(菅原一秀君) 全体のレンタル業者の総量といいますか、これについては今把握いたしておりませんが。
  91. 吉川春子

    ○吉川春子君 警察の方ではお分かりですか。
  92. 岡田薫

    政府参考人岡田薫君) 数は厳密には分からないと思います。
  93. 吉川春子

    ○吉川春子君 携帯電話があって、そのうちの三%がプリペイド式だと、そしてレンタルでどの程度普及しているのか分からないと、しかし全体の携帯電話全体に今度その規制の網が掛かると、こういう法律だと思うんですね。それで、プリペイド式にだけ限らなかったのはレンタル業者がいるからだと、しかしその業者の台数は分からないということなんですけれども。  警察庁にお伺いしますけれども、その八条一項は、警察署長は、携帯電話の不正な利用防止のために刑法二百四十六条、二百四十九条、政令に定める罪に当たる行為に係る携帯電話について、携帯電話サービスを行っている契約者確認業者に対して行うことができるとされていますが、この警察署長の確認行為というのは、捜査の一環あるいは捜査の端緒ということになるのでしょうか。
  94. 岡田薫

    政府参考人岡田薫君) 八条の一項の規定に基づきます契約者の確認の求めといいますのは、契約者を特定できない匿名携帯電話を排除することで振り込め詐欺等犯罪被害防止を未然に防止する目的で行うものでございます。そういう意味では、委員の御質問の理解の仕方はちょっと違うんじゃないかと思います。
  95. 吉川春子

    ○吉川春子君 捜査の一環として行うのではないということですか。
  96. 岡田薫

    政府参考人岡田薫君) おっしゃるとおりでございます。
  97. 吉川春子

    ○吉川春子君 提案者にお伺いいたしますけれども、今のように警察署長犯罪利用の疑いがあると認めた場合に、業者に対してその契約者の確認の実施を求めることができると。そして、警察の求めを受けた業者契約者の確認を行うことができるわけですけれども、ここで終わらずに、あの件実はどうだったんですかと警察の署長がもう一度聞いてくる可能性あると思うんですよ、業者に。そのときは、いや、それは、その後は本人が確認できましたとか、あるいは、そのままぷっつんですよとか、そういう返事は警察に行うことができるんでしょうか、業者の方がですね。
  98. 石井啓一

    衆議院議員(石井啓一君) これは、先ほど答弁ございましたとおり、匿名携帯電話を排除して振り込め詐欺犯罪被害を未然に防止するという目的でこの条文作っております。  したがって、本人確認をいたしますけれども、警察の方が契約者確認の情報を求めることは、この法律ではできません。したがって、犯罪捜査で警察がやる場合は、従来の犯罪捜査の手続によって行うと、この法律犯罪捜査を行うことはできないということでございます。
  99. 吉川春子

    ○吉川春子君 そうすると、警察庁にお伺いしますけれども、一応問い合わせたけれども、その後の結果が知りたいと、どうなっているか、場合ありますよね、捜査の場合。そのときはどうなさるんですか。
  100. 岡田薫

    政府参考人岡田薫君) 提案者から御説明ありましたように、この法律ができましたことによって従来の刑事訴訟法なり憲法の理解に影響を与えるものではございませんので、捜査という観点から、必要であれば、通常、刑事訴訟法の手続にのっとってしかるべき情報を得る得方はある。それは、そういう使い方をされるということになると思います。
  101. 吉川春子

    ○吉川春子君 そうした場合は裁判官の発します令状を携えてその情報をもらうということになるかと思うんですけれども、その警察署長とそれからその業者事業者と割とこう親密に、この件数も多いので、親密にいろいろ情報をやり取りする中で、場合によっては、そういうことをしちゃいけないんですけれども、どうなんだろうというような電話警察の方から掛かってきて、まあここだけの話なんですがなんていうふうにはならないとは思いますがね。  そういうことを、警察の方でやっぱり適法な捜査をする担保、まあ担保というのもおかしいんですけれども、どこにあるんだろうか。つまり、この法律施行されますと、確かに犯罪予防という点では大きな進歩があるんだけれども、その点、刑訴法の令状主義とか、捜査の従来のやり方がもうちょっと安易になると困るなと。そこをきちっとするためには、警察の方として何かお考えになっていることがあるのでしょうか。
  102. 岡田薫

    政府参考人岡田薫君) 捜査上必要な情報を得る得方というのは、令状による場合もございますし、ちょっと条文手元にございませんけれども、捜査関係事項照会という手続で情報を得ることもございますので、すべてが強制処分、裁判官の令状によるとは考えておりませんけれども。  この法律ができたことによってそういうことに影響を与えるものではないというのは、当然、恐らく、まだ私は細かいところまで見ていませんけれども、この法律についての通達なりなんなりを出すときに、この規定はこういう趣旨ですよということは当然書かれることになるだろうと考えております。
  103. 吉川春子

    ○吉川春子君 新たな法律ができたときには、その法律施行するためにいろんな内部的な手だてが行われると思いますが、主体が各警察署の署長ということに今度この件についてはなりますので、そういうところに、やはり今までの捜査のやり方、令状主義とかきちっとした適法な捜査をするようにという、その徹底を警察としても行っていただく必要があるんじゃないかと、膨大な数になりますのでね。で、警察署もたくさんあるわけです。  そういう点について、法施行上の要求なんですけれども、その点はきちっとやっていただけますか。
  104. 岡田薫

    政府参考人岡田薫君) 私どもは刑事局でございまして、捜査を担当しておりますけれども、法律にのっとって適法な捜査をするというのは、これは当然のことでございますので、常日ごろから、この法律ができるできないにかかわりなく指導しているつもりですし、もちろん、こういう法律が新しくできましたので、この法律の解釈というのはこうあるべきであるということについては、しかるべく周知徹底をするといいますか、そのつもりではおります。
  105. 吉川春子

    ○吉川春子君 それと、もう一つ提案者にお伺いしたいんですけれども、詐欺と恐喝でしたっけね、ここに出てくる、あと、政令に委任するという文言が出てまいりますけれども、この政令に委任する、しかも犯罪ですからね。これは私の感覚としてはちょっと国会軽視ではないかなという疑問がなきにしもあらずなんですが、政令にどういうことを、どういう犯罪を委任しようと考えていらっしゃるのか、なぜ法律事項としないで政令事項にしたのか、その点をお伺いしたいと思います。
  106. 石井啓一

    衆議院議員(石井啓一君) 恐縮です。突然のお尋ねでございましたので、十分お答えできるかどうか分かりませんけれども。  今、政令で定める罪というのは、犯行携帯電話が多く利用されていて、かつ当該行為による被害防止する必要が高いものを定める予定にしておりまして、今検討中でございますので必ずしもつまびらかにお答えすることはできませんけれども、例えば薬物犯罪、これは被害者との連絡に携帯電話が多く利用されているということでございますので、こういったものが想定をしているところでございます。
  107. 吉川春子

    ○吉川春子君 こういう法律ができまして、振り込め詐欺が本当に激減することを期待しておりますが、その運用については、是非、警察におかれまして、先ほど申し上げましたようなことをよろしくお願いしたいと思います。そのことを申し上げて質問を終わります。
  108. 又市征治

    ○又市征治君 社民党の又市です。  我が党もこの法案の共同提案者でありますから、当然賛成でございますが、その上で、二、三確認の質問をいたしておきたいと思います。  まず、提案者の皆さん方の御努力に心から敬意を表しておきたいと思います。  そこで、まず携帯電話各社がプリペイド式についてこれまでどういう経営方針で来て、どのくらい収益の手段にしているのか。販売実績は携帯電話四社の間で大きな差があるわけですね。すなわち、プリペイド式の実数では、ボーダフォンが百六十万件で全国のプリペイド携帯の五九%を占めている。第二位がツーカーですけれども、ツーカーは自社の契約総数のうち二割に当たる七十万件をプリペイドが占めてきているわけで、依存度はツーカーが一番高いですね。  そこで、総務省にお伺いをするんですが、四社の間のこのような大きな差はそれぞれの営業政策の違いでしょうけれども、各社これまでプリペイド方式についてどのような販売戦略の違いで現在こういう数の差に至ったというふうに見ておいでになるのか。簡単に言えば過去の営業方針だろうと思いますが、その点の特色を述べてください。
  109. 有冨寛一郎

    政府参考人有冨寛一郎君) 今の携帯電話事業者は、NTTドコモ、KDDI、ボーダフォン、ツーカーと四社あるわけでございますけれども、このプリペイド式携帯電話をどういう営業方針で対応しているかについては、必ずしもつまびらかに承知しているわけではございません。  ただ、その結果で判断をいたします限り、今先生言われましたけれども、NTTドコモの携帯電話に占めるプリペイド携帯電話の数、シェアは非常に低うございます。逆に、ツーカーあるいはボーダフォンの比率が高いということでございますが、ボーダフォンのような会社の場合は、これは世界的な業務運営を見ていますと、ヨーロッパではプリペイドの比率が高いということで、相当この点については力を入れて販売しているのではないかというふうに思います。  ただ、これまでの営業方針とこれからの営業方針を比較してみましても、ドコモの場合は、これからこのプリペイド携帯電話につきましては契約数の減少がある、余り力を入れて営業していない。したがって、こういった問題があるということも踏まえて、この三月三十一日には新規受付を終了すると、今後のサービスの終了も含めて検討すると、こういうような対応を取っておりますし、逆にボーダフォンのようなものは、先ほど申しましたように、非常にウエートを高く営業してきているということで、今後も引き続き積極的に営業したいというような取組をしているというふうに承知をしております。
  110. 又市征治

    ○又市征治君 今御紹介あったように、もうちょっと文面見てみますと、例えば昨年十一月のボーダフォン社のお知らせを見ますと、プリペイド式を一層売り込む文面になっています。いわく、気軽に便利に利用できるプリペイド式の需要は大きく増加しており、世界全体の携帯電話の五〇%以上がプリペイドです、当社、つまりボーダフォンは、日本のお客様に対して海外と同じような多様性と選択肢を提供します云々と、こうなっているわけですね。  そして、現にこの会社が日本プリペイドの六割を売っていることはさっき私、指摘したとおりでありますけれども、そうしますと、こういう営業政策を取られたのでは、せっかく今回のような立法化をしても焼け石に水にならないかという、こういう懸念がないのかどうか。もちろんのこと、相当数の抑制効果があることは先ほど来から答弁がございますけれども、その点を総務省はどのように考えていますか。
  111. 有冨寛一郎

    政府参考人有冨寛一郎君) 先ほど先生指摘のような、プリペイド式の携帯電話について積極的に営業したいという、引き続き積極的に営業したいという事業者でございますけれども、今回、こういった犯罪に使われているという、犯罪利用利用されているということについて、この対応を誤ればプリペイド式の携帯電話サービスの存続にもかかわるというような観点で、非常に強い危機意識を持っております。  ですから、私どもとしましては、この事業者に対して、法案に対する取組ということについて確認をしてみたわけでありますけれども、今のような非常に強い危機感を持っているということで、この法案の策定をされた経緯、それから立法の趣旨、こういったことを踏まえてしっかり取り組んでいきたいというふうに意向を公式に表明しておりますので、我々としては、その事業者取組を注視をしたいというふうに考えております。
  112. 又市征治

    ○又市征治君 プリペイドの台数は増えるでしょうけれども、業者の責任で本人確認をさせていくと、これがうまくいかなければそれの存立そのものが危うくなると、こういう思いでいるというふうに言われていますが、しかし匿名性を求める人は、そのすべてが犯罪のためではないけれども、これまでも譲渡、転売がきっかけになって、あるいはそれを偽装して本人確認逃れをやってきている人がいるわけでありまして、そこへ匿名性をセールスポイントに利潤追求でプリペイドを増やしてきた企業が本当にやっぱり本人確認に費用を掛けて徹底してくれるか、こういうやっぱり不安があるわけですね。  したがって、そういう脱法行為がないように、今はそうした大変会社としては危機感を持っているというふうに答弁ですけれども、更にそのことを徹底を図っていく、いろんな工夫をしていくということが大事だと思います。特に、やっぱりこうしたある程度公益のといいますか、こういう会社は自社の商品に対する社会的責任というものをもっともっとやっぱり自覚をしてもらう、そういったことが大事なんだろうと思います。  その点でもう一度確認の意味で、各社が登録の義務化に本当に取り組むのか、特にプリペイドの依存度の高いこの二社の動向について、今現在知り得るところ、もう一度改めてお聞きをしたいと思います。
  113. 有冨寛一郎

    政府参考人有冨寛一郎君) もう今までのこの問題意識というような中で、本人確認というようなことをしっかりやろう、それから具体的に何をやるかということについても事業者間で整理をして十一月に対策を取りまとめたというような過程がございます。  その内容につきましては、御案内かと思いますけれども、過去に販売したもの及び譲渡、転売等をされたものを含むすべてのプリペイド式携帯電話について契約者情報の届出義務を課して、携帯電話事業者がすべての契約者を確認・登録制度に約款を変える、あるいは変更後、契約者情報の届出がないこと等によって契約者の確認ができない場合には利用停止を行うというようなことでございますが、既に一部の事業者についてはこの確認作業が始まっておりますし、この四月末までには全事業者がこれを行うというようなことでございます。また、既に昨年十二月からでございますが、前倒し的に自治体からの要請に基づきまして、契約者本人確認及び確認できなかった者に対する利用停止というものも実施をしておりまして、合計で二十七回線利用停止になっているということでございます。  私どもも今先生の御懸念、十分意識をしておりますので、施行後一年以内の見直し規定もございます。したがって、本当にこの法案趣旨あるいは具体的な手続がきちんとされているか、これは定期的に開催しております連絡会等を通じて実態の把握に努めたい、そしてもし改善の余地があるとすればそれはきちんと指導もしていきたい、このように考えております。
  114. 又市征治

    ○又市征治君 是非しっかりと取り組んでいただきたいと思います。  次に、少し法案からそれるんですが、同じ詐欺の問題で、電子的な詐欺という点で最近問題になっている犯罪にキャッシュカードを偽造する、あるいは暗証番号を盗んでお金を引き出すという手口があります。  ちょっと金融庁においでいただいていますが、初め銀行側はこの種の事案に対して、うちの責任ではないといって弁償に応じなかった。最近少しずつ改めているようですけれども、被害状況、最近まとめた対策、そして銀行の態度について、金融庁、どのように承知をされているか、お伺いしたいと思います。
  115. 鈴木勝康

    政府参考人鈴木勝康君) 最初に、偽造キャッシュカードによる被害件数、金額につきまして申し上げさせていただきたいと思いますけれども、全国銀行協会、全国信金協会等が傘下の金融機関に対して実施していますこの被害に関するアンケート、これを三年程度を推移申し上げますと、例えば平成十四年度四件で一千四百万円、十五年度が九十五件で二億八千三百万円、平成十六年は四月から十二月のところまでの数字が把握されていますが、三百二十六件で八億五千八百万円と急増しているところでございます。こうした中で、金融庁といたしましても、この偽造キャッシュカード犯罪被害の急増にかんがみまして、様々な対策あるいは要請を行っております。  こうした中で、犯罪防止策につきまして、今御指摘ございましたけれども、各金融機関においてどういうことが対策として講じられているかということでございますけれども、これについてはATMの利用限度額の引下げですとか、ICカード化ですとか、それから生体認証の導入等の動きが出てきておりますし、先般、全国銀行協会が偽造キャッシュカード対策に関する申合せを行った、一月でございますが、行いまして、この問題について全国銀行協会及び金融機関において更なる取組の強化が図られるということでございます。  そして、その補償の在り方につきまして、三月二十二日に行われました全銀協の会長の記者会見において、全国銀行協会としてカード規定試案の改定を含めまして見直しを行うと、その旨の表明がなされたものと承知しております。御存じだと思います。  具体的に申し上げると、偽造キャッシュカードの被害については預金者に責任がない限り原則金融機関が補償すること、それから預金者に責任がある事例についてはあらかじめ明示すること、ルールの透明性、公平性を確保すること、それから三番目として、預金者に責任があるということの立証責任は金融機関が負うことが見直しのポイントとなる旨の表明がなされたと承知しております。  金融庁としましては、こういったこの表明に沿って預金者の責めに帰すべき事由がない場合において被害の補償がなされる方向で検討がなされていることは望ましいと考えておりますし、全銀協及び各金融機関において一層の前向きな対応が速やかになされることを期待しておるわけでございます。  もう一点でございますけれども、我が監督局内におきまして、こういった偽造キャッシュカードの被害への補償の在り方ですとか被害発生後の対応の在り方、こういったことをめぐりまして専門家から成るスタディグループを開催させていただきまして、鋭意既に七回の議論、行われております。  その中で、早急に補償の在り方を中心に中間取りまとめがなされました。三月三十一日に公表されたわけでございますけれども、これによりまして、具体的には、補償の在り方の基本的なルールとして、偽造キャッシュカードが使用されたことによる損害は原則として金融機関が負担すること、それから、ただし、預金者の責めに帰すべき重大な理由が、事由がある場合には預金者が負担すると、そして、預金者の帰責事由については金融機関が立証責任を負うと、が望ましいということでしているものと承知しておるわけでございます。
  116. 又市征治

    ○又市征治君 おとといも、院内でこうした被害者の会の訴えがありました。参加された被害者の体験談をお聞きをしますと、銀行が責任を負うまいとする姿勢の強いことが随分と強調されているわけで改めて驚くわけですけれども、極端に言えば、本当はあんたが引き出したんだろうと、こういう格好で被害者がまるで狂言詐欺をしていると言わんばかりのそうした姿勢があちこちで多い、そのために被害者の方がますます怒るという、こういう状況、トラブルが起きているというのが実態であります。私も聞いて、そのお怒りになるのはもうもっともだと、こう思います。  そういう意味で、今お話があったように、この三月、それぞれこの改善に向けての努力はされていることには承知をそれなりにしておりますけれども、やはり金融庁も、銀行の利益擁護だけでなくて、本当に預金者、消費者の保護を更に徹底をするように、内部のそういう努力も今お話がありましたけれども、更に引き続きその点の努力を重ねて今申し上げておきたいと思いますが、何か付け加えてその点についてお答えすることございますか。
  117. 鈴木勝康

    政府参考人鈴木勝康君) 我々の金融行政は、やはりこの間の、昨年発表しました金融改革プログラムでも、利用者利便に立った金融行政というのがこれから非常に大事だと思っております。  今の点について申し上げますと、金融庁としましては、こういった中間報告、取りまとめですね、中間取りまとめを踏まえまして、預金被害者への補償の在り方について実効性のある更なる対策を検討しまして逐次実施に移していくとともに、犯罪防止策などにつきましても、こういった同スタディグループの検討結果に基づいた更なる偽造キャッシュカード対策を講じて、しっかり対応してまいりたいと考えております。
  118. 又市征治

    ○又市征治君 終わります。
  119. 木村仁

    委員長木村仁君) 他に発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  携帯音声通信事業者による契約者等本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用防止に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  120. 木村仁

    委員長木村仁君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  121. 木村仁

    委員長木村仁君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時四分散会