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2005-06-16 第162回国会 参議院 政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十七年六月十六日(木曜日)    午前九時開会     ─────────────    委員異動  六月十五日     辞任         補欠選任      千葉 景子君     水岡 俊一君  六月十六日     辞任         補欠選任      吉田 博美君    北川イッセイ君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         吉村剛太郎君     理 事                 市川 一朗君                 鶴保 庸介君                 森元 恒雄君                 朝日 俊弘君                 佐藤 泰介君                 福本 潤一君     委 員                 浅野 勝人君                 荒井 正吾君                 荒井 広幸君                 岡田  広君                 荻原 健司君                 河合 常則君                北川イッセイ君                 山東 昭子君                 世耕 弘成君                 中村 博彦君                 藤野 公孝君                 真鍋 賢二君                 山下 英利君                 吉田 博美君                 伊藤 基隆君                 家西  悟君                 島田智哉子君                 下田 敦子君                 羽田雄一郎君                 平田 健二君                 松下 新平君                 水岡 俊一君                 山根 隆治君                 澤  雄二君                 西田 実仁君                 弘友 和夫君                 大門実紀史君                 又市 征治君    国務大臣        総務大臣     麻生 太郎君    事務局側        常任委員会専門        員        高山 達郎君        常任委員会専門        員        田中 英明君    政府参考人        総務省自治行政        局選挙部長    久保 信保君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○公職選挙法の一部を改正する法律案内閣提出  、衆議院送付)     ─────────────
  2. 吉村剛太郎

    委員長吉村剛太郎君) ただいまから政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、千葉景子君が委員辞任され、その補欠として水岡俊一君が選任されました。     ─────────────
  3. 吉村剛太郎

    委員長吉村剛太郎君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  公職選挙法の一部を改正する法律案の審査のため、必要に応じ政府参考人出席を求めることとし、その手続につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 吉村剛太郎

    委員長吉村剛太郎君) 異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  5. 吉村剛太郎

    委員長吉村剛太郎君) 公職選挙法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。麻生総務大臣
  6. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 公職選挙法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明させていただきます。  この法律案は、長野木曽山口村の区域岐阜中津川市に編入されたことに伴い、衆議院選挙選出議員選挙区及び衆議院比例代表選出議員選挙区の改正を行うものであります。  次に、法律案内容について、その概要を御説明申し上げます。  第一に、衆議院議員選挙区に関する事項であります。  長野木曽山口村を廃止し、その区域岐阜中津川市の区域に編入する総務大臣の処分に係る区域につきましては、公職選挙法第十三条第三項の本文及び第五項の規定は適用しないこととすることにより、旧山口村の区域が属する選挙区を、衆議院選挙選出議員選挙区については長野県第四区から岐阜県第五区へ、衆議院比例代表選出議員選挙区につきましては北陸信越選挙区から東海選挙区へ、それぞれ改正するものであります。  第二に、施行日に関する事項であります。  この法律による改正後の公職選挙法規定は、施行日以後その期日を公示され又は告示される衆議院議員選挙について適用することといたしております。  以上が、この法律案提案理由及び内容概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。
  7. 吉村剛太郎

    委員長吉村剛太郎君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 おはようございます。民主党・新緑風会の朝日でございます。  今御提案のありました公職選挙法の一部改正案について、現実的な対応としてその必要性はあるということを十分承知しながら、しかし、この機会幾つか確認をしておきたいと、こういう点もございますので、若干の時間をいただいて質問をさせていただきます。  まず、今回の法改正のきっかけになったというか、前提となっています市町村合併進捗状況がどんな具合なのか、あるいはこれからはどんなふうに進んでいくのかという点について、あるいはそれを推進するための法律的な枠組みはどうなっているのか、こんな点について、まず冒頭総務大臣の方から、大づかみな状況把握、そして今後の方針について改めてお尋ねをしておきたいと思います。
  9. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 私のところからで恐縮ですが、大臣に就任いたしましたのが一昨年の九月の二十二日から、そのときに三千百八十一ありました市町村は、今年度末、来年の三月三十一日をもちまして一千八百二十二になりますので、約、一千三百五十九減るということになります。  これに伴いまして、いろいろ、千三百、約四〇%強が進んだことになるんですが、それ以後、新しい法律によって、新法によりまして、合併新法と呼んでおりますが、それによりまして、県知事が、正直申し上げて、ちょっと二市八町で合併するところが半分ずつになって一町だけこぼれたとか、そういう例はちょっと全国幾つかございますので、そういったところがある程度、どっちかにまた入ろうとかいうか、動きは全国幾つかありますけれども、しかし、それによってどれだけ増えるかといえば、千とかそういう大台で進むことはございません。多くても数十というところだろうと思っておりますので、いずれにしても、都道府県がいろいろ、これから知事がいろいろ勧告をされたり、いろいろ進められたりするところはあろうかとは存じますけれども、それによって百も増えるなんというような状況ではないと思っております。
  10. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 今のお話のように、これまでに相当、千を超える数が減って千八百幾つという自治体の数になっている。ただ、その後も更に、そう多い数ではないかもしれないけれども、更に進めるというところも出てくるであろうと、こういうお話であります。  そういう全体の状況前提として、改めて今回の改正趣旨といいますか、理由についてお尋ねをしたいと思うんですが、私の理解では、現行法では、行政区画変更があっても衆議院議員選挙区は従前区域によるというふうに基本的には定められているというふうに理解をしています。とすれば、今回は例外だよという特例的な改正になると思うんですが、なぜ特例的に今回こういう改正が必要となったのか。冒頭に簡単な趣旨説明がございましたけれども、もう少し詳しく今回改正必要性理由を御説明ください。
  11. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 細目選挙部長の方から説明させますけれども朝日先生基本的には、県を越えて合併したというのはこれだけでございまして、あとのは全部県内でございますので、これは県を越えましたものですから、特に変えねばならぬ。しかも、地域は北陸東海と、選挙区の区割りも、山口村が岐阜県なのか長野県なのかによって比例選挙区も違いますので、それでどうしてもやらざるを得なかったというのが背景にありまして、県内のものにつきましては、今言われました御趣旨のとおりで事は進んでまいるものと思っております。  細目につきましては選挙部長の方から答弁させます。
  12. 久保信保

    政府参考人久保信保君) 今の大臣答弁に補足をさせていただきます。  ただいま御審議をいただいております法律改正、これを行わなかったらどうなるかということがございまして、まず、旧山口村の区域、これは大臣答弁がございましたが、区域が属する選挙区は、依然として衆議院選挙選挙につきましては長野県第四区、衆議院比例代表選挙につきましては長野県が属する北陸信越選挙区となったままで現在もございます一方で、参議院の選挙選挙につきましては、既に合併の日、二月十三日でございますけれども、この日から岐阜選挙区と既になっておりまして、選挙によって県が異なるという状況が既に生じております。このことが選挙民候補者方々などにとって極めて分かりにくいものになるのではないか、そう思っております。  それからまた、従前のままの選挙区として旧山口村が県境にわたる選挙区というふうになって存置をされておりますと、長野県と岐阜県、両県の選挙管理委員会権限調整あるいは選挙運動規制等につきまして、現行公職選挙法、これは都道府県単位で仕組まれておりますので、何らかの調整を設ける必要があるということになってまいります。また、そのことが選挙民方々あるいは候補者方々にとって極めてまた分かりづらいということになってくるのではないかと懸念しております。そして、選挙の実務上も一元的で円滑な選挙管理、執行に混乱とか負担を来すのではないか、そういった心配をして今回の改正案を御審議をお願いしている次第でございます。
  13. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 確かに、現実的なことを考えますとそれなり理由はあるんだと思うんですが、ただ、ちょっと気になるのは、これ今回、附則において特例ですよという改正の仕方をしているんですね。ところが、もしかすると、ある程度の可能性として、今後も県境を越えた合併があり得ると思うんです。ちらほらそんな話もなきにしもあらずですから。そうすると、これ、そのたびにこの附則改正するということになるのかな。もう少し、県を越えた合併の場合はこうするというような、ルール化するという方法もあったんではないかと思うんですね。あえて今回、その附則で特例的にこの本則を適用除外するよという仕組みにしたのは何でなのか、その理由をちょっと説明してください。
  14. 久保信保

    政府参考人久保信保君) まず、現在予定されております県境にわたる合併、これは、現状では今回の山口村と中津川市の事例だけだと思っておりますけれども、御指摘のように、もし今後、仮に県境にわたる合併があった場合には、関係県の数でございますとか、その人口異動規模でございますとか、あるいはその異動区域の大小、広狭などによって様々なケース考えられると存じます。  ケースによりましては今回のような形で改正案を御審議をいただくという場合もありますでしょうし、また一方で、都道府県間の定数配分とか全国選挙区間人口格差、あるいは各都道府県内の選挙区間人口バランスにも大きな影響を与えるような、そういった形で県をまたがってこの合併が行われるということも考えられまして、場合によっては区割り審設置法にございます、この四条第二項というのがございますけれども、「各選挙区の人口の著しい不均衡その他特別の事情」といった場合に該当して区割り審勧告を待たなければならない、そういったケースもあり得ると考えております。  したがいまして、私ども、この県境にわたる合併が今後行われたとした場合には、具体の合併の態様、これに即してその都度区割り審の御意見もお聞きをしながら判断をしていく、検討していく、こうせざるを得ないと考えております。
  15. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 なるほど、つまりいろんな場合があり得るということで、あえて今回は特例的に附則で対応したと、こういう御説明でございますから、それはそれなり理解をいたします。  じゃ次に、今回の改正に至る経緯について若干御説明をいただきたいと思うんですが、衆議院議員選挙区の区割り変更については、今もお話がありましたけど、区割り審議会といいますか、選挙画定審議会、この審議必要条件だったんではないかと私は理解をしてたんですが、今回この辺はどういう経緯で御提案になったのか。何か、総務省の方からというか、閣法としてこのような法案をすっと提出することがそれでいいのかしらと、やや疑問も残るんですが、区割り審における審議状況はどうだったんでしょうか。
  16. 久保信保

    政府参考人久保信保君) 御指摘にもございましたが、区割り審勧告でございますけれども区割り審設置法がございます。その第四条第一項で、十年ごとの大規模国勢調査の結果に基づいてこの勧告というのが行われる、これはもう原則とされております。  また、同条、第四条の第二項は、「各選挙区の人口の著しい不均衡その他特別の事情があると認めるときは、」、区割り審は「勧告を行うことができる。」と定めておりますが、この第二項の場合の見直しというのは、選挙制度安定性の要請を考慮してもなお即座に抜本的是正を必要とするような場合、すなわち第一項の、十年に一度の大規模国勢調査の結果を待てないといった特段の事由が生じたような場合に限られるというふうに解されております。  現行法の下では、旧山口村の区域というのは、この勧告がなされなければ、あるいはその特段の手当てが講じられなければ、先ほど申しましたような状態になって続いていくということでございまして、種々の不都合ということも生じますし、また関係団体、当時の中津川市と旧山口村の村長からも、選挙区、まあ衆議院選挙区でございますけれども、早期に変更してほしいという御要望もございました。そこで、私ども区割り審を今年の二月の四日に開いていただきまして審議をお願いをいたしました。  で、その区割り審、当日の区割り審審議状況でございますけれども、まず第一点は、今回の改定は特定の選挙区における個別の特殊事情に基づく見直しであって、また山口村の人口規模は二千人余りであるということから、先ほど言いました設置法四条二項の特別の事情に基づく勧告対象にはならないと審議がなされております。  もう一点は、しかしながら、他の選挙区に特段影響を与える要因もない、そして現行選挙制度基本とする都道府県単位選挙区の設定に変更を、このたびの私ども考え方でございますけれども変更するだけの必要最小限度改定であるといったことから、審議会では、勧告対象となるものではないけれども政府において今回の改定案を国会に提出をするということは妥当な判断であるということで、私ども方針について、二月四日、区割り審の御了承をいただいたという経緯がございます。
  17. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 そうすると、勧告に基づいてということではないけれども区割り審の方に検討をいただいて、そこにおける今の御報告があったような御判断をいただいた上で法案提出に至ったと、こういうことであります。  以上、幾つかこの法案提出に至った経緯ども含めて御説明をいただいてそれなり理解はできたわけですが、是非この機会にちょっと幾つか聞いておきたいことがございますので、あと三点ほどお尋ねをしたいと思います。  大臣、今お話がありましたように、十年に一回の国勢調査の結果に基づいて選挙区の区割り改定について区割り審勧告を行うと。しかし、各選挙区の人口の著しい不均衡その他特別な事情があるときは十年ごと国勢調査を待つことなく勧告することができると。これはいろんな考え方があろうと思うんですが、市町村合併が先ほど御説明いただいたように相当な勢いで進んできていますから、市町村という行政区画在り方は相当大きく変わってますよね。私も、地元が兵庫県の、兵庫の五区、豊岡なんですけれども、大きな豊岡市に変わったんですね。やっぱり行政区の在り方が大きく変わってきているんだから、これはまあ、何が何でもぴったり一致させなきゃいけないというわけではないかもしれないけれども、かなり住民の皆さんからすると当惑しているところもあって、こういう事態は何かこう特別な事情だというふうに受け止めて、十年を待たずに区割り勧告をするという考え方もあるのではないか。  例えば、お聞きすると、十年に一回の国勢調査を待たずに今年の十月には簡易調査が行われるということですので、例えばその結果に基づいてこの機会に、相当大きな市町村合併があったんだから勧告を出すという考え方もあるのではないかと思うんですが、この点は、大臣どんなお考えでしょうか。
  18. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) ごもっともな御指摘なんだと存じますが、ちなみに、過去の例で申し上げますと、これができましたのが、平成六年にこの制度ができておりまして、その後の平成七年にいわゆる簡易調査というのが行われておりますけれども、このときは一切区割りに関する話は出ておりません。その五年後の平成十二年に大規模なものが行われておりますけれども、このときは、例の五増五減というのが行われたのがこの年でありまして、今回は平成十七年になりますんで簡易な方ということはもう御指摘のとおりなんで、従来の例からいくとちょっと考えられぬと、私ども基本的にそう思っております。  それに関しましては、衆議院議員選挙、小選挙選出選挙については、選挙区の安定性を重視するという観点から、一、市町村合併があった場合にはその選挙区はなお従前区域によるとされておりますのが一点。二点目は、選挙区の区割り見直しについては、いわゆる区割り審議会が十年ごとの大規模国勢調査の結果に基づいて変更することがあり得るということが原則。三、区割り改定案作成案に当たっては、選挙区間人口均衡考えることが基本であるというようなことが書いてありまして、こうした現行制度基本的な考え方というものを考えますと、市町村合併というものが直ちに選挙区の区割り変更につながっていくというものではないと考えております。  なお、各選挙区の人口の著しい不均衡その他の特別の事情があったということにした場合は審議会勧告を行うことができるとはされておりますが、今回行われますものは、多分十二月の下旬ごろに公表されるいわゆる速報値というのが出されることになっておりますが、よほどの著しいものが生じていない限りはなかなか審議、今言われたようなことについては審議が、当然人口異動が激しいのが起きた起きないかについては行われることだとは思いますけれども、極めて例外的に、その結果ないと、区割り変更は絶対ないとは申し上げられませんけれども、常識的にはないと、私ども基本的にそう思っておりますが、いずれにいたしましても、私どもとしてはその審議を見て決めさせていただきたいと思っております。  ただ、御心配になる豊岡村に、村じゃない、豊岡市に……
  19. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 市です。
  20. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 豊岡市、豊岡市に限らずそういったようなものが出てきますと、今一つの区とか市とかいうのは割れておりますが、市で割れておりますというのは、政令都市は大体区で割れておりますので、区は一つの扱いになっておりますので、例えば北九州市は五市合併しておりますけれども選挙区として二つに分かれておりますけれども、あれは分かれたとは言わないことになっております。  現行分かれておりますのは、東京にたしか五つ大田足立練馬江戸川世田谷かな。たしかその五つが多分、大田足立世田谷練馬、そして江戸川のこの三つが分かれておりまして、このほかに、市で合併した結果割れておりますのはあと六つあると思いますけれども、そういったのが特に例外的な例で挙げられているというのが現状でございますので、今申し上げたように、今回で行われるというのは私どもとしてはちょっと、五年後はともかく今回はどうかなという感じがいたしておるのが正直なところで、いずれにしても、これは審議会のお答えを待たねばならぬところだと存じます。
  21. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 豊岡市ですので、お間違いなく。  それで、いや、大臣のお考えそれなり理解をしますが、ただ、意見としては、やっぱり今の御返事ですと、人口格差というか偏りが相当出てきた場合には考えざるを得ないことがあり得ると、だから市町村合併がストレートに行政区画選挙区とのその乖離がすぐに埋めなきゃいけないというものではないという御説明だったと思うんですが。  一方の考え方として、やっぱりそうはいっても行政区画在り方選挙区とが余りにどんどんどんどん離れていっちゃうようでは、これはなかなか理解しにくいんではないかと。だから、もう少しできるだけ選挙区の区割り行政区画との整合性というか、ぴったり合わせるということはできないにしろ、もう少し一致させてその乖離をできるだけ食い止めるべきではないかという考え方も一方であると思うんですが、この点についてはどうお考えですか。
  22. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 朝日先生御存じのように、衆議院議員選挙画定審議会設置法第三条という例の倍以上にしないというやつが書いてある件なんですが、これにおきましては、選挙区間最大格差二以上にならないようにせにゃならぬということがこの中で書いてあるんですが、ただし、行政区画、地勢、交通などの事情を総合的に考慮して合理的に行わねばならぬということが書いてありまして、いわゆる行政区画というものはなるべく尊重せいということが書いてありますので、豊岡市の場合、こうなった場合、そこに限りませんけれども、あちらこちらでそのままでいくところもあるでしょうし、どうしても人口ということになりますと、簡単には三分の四から三分の二までの間にはめないと二倍以上になりますので、そういったことをある程度分割するものというものもあり得るということは、これは当然じゃないかという話になっておるんですけれども。  いずれにしても、これは人口均衡を図るということは、これは憲法上に、いろいろ最高裁の判例も出たりいたしておりますので、そういった意味でこれはいろいろ御意見の分かれるところだと正直思っております。私ども、今どれくらい出てくるかなというところが正直今私ども関心最大に持っているところですので、いずれにいたしましても、これ審議会でこの十月から調査が終わった後いろいろ審議をされることになるんだとは思いますけれども、このやっぱり憲法上の制約というものもこれ十分に考慮しておかぬと、かなり三だ四だということになりますといかがなものかということになります。  ただ、御存じのように三百の、人口をまず三百で割って大体一人頭決めて、そして、それから小選挙区でありますと三百の小選挙区を、決まっているわけですから、その中で一県に一人は最低は渡す、残り二百五十三を三百で割るというのが大体基本の形になっておりますので、そういったものを形にした上でどうやっていくかと。これはちょっと審議会の御審議を待たないと何とも言えぬところだと思いますが、憲法上の問題と選挙区の安定性という二つの均衡をうまくバランスさせねばならぬところだと思っております。
  23. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 バランスをさせましょうということで、それはそうしか言いようがないのかなと思いますけれども、ただ、これはちょっと意見というか状況として聞いておいていただきたいんですけれども。  実は、参議院の一票格差是正問題が議論がされていまして、そのときに一つの議論として、都道府県県境のことを余り意識しないでいいんではないかという議論もあるんです。つまり、その方が一票の格差是正がしやすいのではないかという議論があるんですね。それ賛否両論あって、すぐにまとまるとは思いませんけれども、一つの議論としてそういう議論もあるので、選挙区の線引きの話と行政区画の線引き、特に市町村だけではなくて都道府県という線が非常に確固たる境として、境目としてあるのかどうか。必ずしも最高裁の判例を読んでみると都道府県の境界線という線は絶対的というか確定的なものではなくて、むしろ憲法に定める一票の格差を解消するということの方を優先すべしという御判断もあるんですね。ここはちょっと議論し始めるとかなり生々しい話になりますから今日は避けますけれども、そんな議論も含めてちょっと検討していく必要があるということを申し上げておきたいと思います。  それでは、最後に、国政選挙の話だけではなくて、実は市町村合併というのは相当地方選挙選挙区の在り方にも大きな影響を及ぼしてくる、むしろそちらの方が影響が大きいかもしれないと。公職選挙法には都道府県の県会議員の選挙区について選挙区を郡市の区域とするということで定めているんですね。確かにそういう定め方が一定の合理性がある時期もあったと思うんですけれども、最近どんどん市が増えてきて、何かほんの少し町として残ったところが郡、郡というふうに名のっているというか、形が残っているというところ結構あるんですよね。そうすると、郡と市という並べ方というかはやや現実には合ってないんではないかと、だんだん合わなくなってきているんじゃないかという気がしてなりません。  そもそも何で公職選挙法にこの都道府県の県会議員の区割りの話がこの中に定められているのかという議論もあるんですけれども、取りあえず今そういう定めになっているということについて、この点については都道府県の県会議員選挙への影響大きいですし、今すぐどうこうしろと言うつもりはありませんが、認識として、大臣現状と合わなくなってきているなという御認識はお持ちでしょうか。
  24. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 合わなくなってきていると思います。  私どものところで二市八町合併する予定だったものが一市四町、一市三町と一町ということに結果としてなりました。あのやろうがいる間だけはどうしてもやりたくないというんで、一市四町対一市三町対一町となったわけで、残りこの八町は元々一郡だったんですけれども、結果として一郡一町ということに私のところでもなります。その町長は、もうとんでもないという話になって、リコールになってまた別の町長に替わった、とにかくこの半年間ぐらいくしゃくしゃになったんですけれども。  そういう伝でいきますと、これは、一郡一町というのは、ほかの、私どもの福岡県、大牟田の近くでも見られますし、そういった意味では、今一郡一町というのは決して私のところだけではありませんので、そういった意味では形として考えにゃならぬという、再考するということに、時期に来ているだろうと、この市町村合併を終えて特にそのような感じがいたしておりますので、これは検討せにゃいかぬと思っております。
  25. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 幾つか具体的な事例も踏まえてお話しいただきまして、ありがとうございました。  時間が若干ありますけれども、これで私の質問は終わりたいと思います。  ありがとうございました。     ─────────────
  26. 吉村剛太郎

    委員長吉村剛太郎君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、吉田博美君が委員辞任され、その補欠として北川イッセイ君が選任されました。     ─────────────
  27. 大門実紀史

    大門実紀史君 日本共産党の大門です。よろしくお願いいたします。  今回の改正は、当然の措置ということで賛成でございます。  用意した質問がほとんど朝日先生とダブっておりますので、どうしようかなというのはあるんですけれども、じっくり答弁していただいて結構でございますが。  ちょっと全体のことでお聞きしますと、先ほどありました市町村平成の大合併で、同じ市町村に住んでいながら、先ほどもありましたが、選挙区が重なるケース衆議院の小選挙区がまたがるケース、これが来年の三月末までにどれぐらいの数になるか、把握しておられたら教えてください。
  28. 久保信保

    政府参考人久保信保君) 平成十四年に行われました、現行区割り改定が行われていますけれども、その後に、市町村合併によりまして来年の三月三十一日までに二以上の衆議院選挙区にわたる市町、いわゆる分割市町でございますけれども、これは現在御審議をいただいております中津川市、これを除きまして六十生じるものと見込まれております。したがいまして、現在、現在の区割りでも既に十五の市と区が二つ以上の小選挙区にまたがっておりますので、合わせて現時点では七十五となる見込みでございます。
  29. 大門実紀史

    大門実紀史君 七十五という大変な数になってしまうわけですけれども、こういう複数の小選挙区にまたがる、あるいはそれを抱える自治体で、あるいは住民の皆さんにどういう不都合が起きているかということを把握されておりましたら教えてくれますか。
  30. 久保信保

    政府参考人久保信保君) 不都合といいますか、区割り審設置法第三条第一項というのが、先ほど大臣からも答弁ございましたが、区割りの基準というのがまず設けられておりまして、憲法上の要請から選挙区間人口均衡を図るということが基本とされておって、「行政区画、地勢、交通等の事情を総合的に考慮して合理的に行わなければならない。」と定められております。したがいまして、人口基準等の観点から、どうしても分割せざるを得ないといったような市や区、町が生ずるということも、場合によっては、これはもうやむを得ないと考えております。  複数の選挙区にわたる分割市町では、選挙区がどこに属するのかといった啓発でありますとか、選挙公報、これを適正に、選挙ごとで違ってきますので、適正に配布をしなきゃいけない。あるいはまた開票区、これが、別の開票区にしなければいけませんので、開票区を増設するといったようなことで、市町村選管、選挙管理委員会の事務負担等がある程度増大するということは、これはもう事実であると考えております。  私どもといたしましては、有権者に混乱が生じることがないように、都道府県あるいはその市区町村の選挙管理委員会と連携を取りながら、選挙区がどこにある、有権者の方々にどの選挙区に属されておられるのかといった点を中心に周知徹底を図りますとともに、各市町村選挙管理委員会において管理、執行に万全を期するように必要な助言を行ってまいりたいと考えております。
  31. 大門実紀史

    大門実紀史君 ありがとうございます。  政府の、先ほどありました選挙画定審議会区割り審は、自治体の一体性重視するとか同一市町村内に複数の選挙区を余り置かない方がいいというようなことを原則とされてきて、いろいろ事務的な負担もあるんですが、その自治体の一体性といいますかね、これはやっぱり大事なことだと思うんですけれども、先ほどもありましたけれども、この審議会人口の著しい不均衡だけではなくて、その他特別の事情があるときに勧告を出すということもまたできるわけですが、こういう複数小選挙区を抱える自治体というのは、この、ここに言われている特別の事情に該当するのかどうかということが、この見直しのポイントになると思うんですけれども大臣はその辺いかがお考えですかね。
  32. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 正直言って、意見の分かれるところだと思います。しかも、この選挙区は、これは事情によっていろいろあるから分かれてもしようがない、昔で言えば江戸時代から残っておりまして、私の方で言えば筑前と豊前と何で一緒にならにゃいかぬとか、南部が何で津軽と一緒にならにゃいかぬとか、それは各地域で昔からのいきさつがいろいろありますので、そこのところは分かれてもだれも文句言わぬのだと思いますけれども、元々一緒のところが逆に分かれさせられると何だということになりますので、地域によってすごく事情が違うところだと思いますので、これは審議会でもいろいろ御意見の分かれるところで、前回の五増五減のときも随分御意見が分かれて、最後まで話がなって随分遅れた形になりましたので、大分県なんか過去三回連続選挙区が変わったと思いますけれども、そういった例もありますので、小選挙区に変わった例もあります、こともありまして、いろいろ変わられた例もありますので、なかなかこのところは意見の分かれるところだとは存じますけれども、それ、ちょっと実際十二月に速報値が出たところで、現実問題、どれぐらい大きく格差が付くのかとかいうところもちょっと調べた上でないと、ちょっと今この段階で、こういう例という具体的な例を申し上げることは今の段階ではちょっとできません。
  33. 大門実紀史

    大門実紀史君 平成十四年の七月ですかね、衆議院政治倫理特別委員会附帯決議でも、市町村合併進展して、いろんな地域の実情にそぐわない状況になるときは国政選挙の結果を待つことなく改定勧告するよう考慮することというのが出ておりますので、いろいろよく実情を把握していただいて、見直すべきものは見直していただきたいというふうに思います。  最後にもう一つだけですけれども、先ほどもありました、参議院でも今区割りの問題といいますか、特に選挙区、都道府県の問題が議論が始まっているわけですけれども、難しい問題でありますけれども、是非私、大臣のお考えせっかくですから聞いてみたいと思うわけですけれども、これは衆議院での定数にもかかわります、いわゆる各都道府県の一人均等配分、これを見直すべきだという考えも先ほども朝日先生からありましたけれども、ありますが、私、さっきから申し上げている自治体の一体性とか歴史とか、あるいは都道府県のこの気持ちとかいうものも非常に重要なものだと思っておりますけれども、こういう意見について、大臣いかがお考えでしょうか。
  34. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今御指摘のありましたように、平成六年の、いわゆる衆議院議員選挙制度改革の際に、いわゆる人口をまず割って、それによって一人頭四十何万票とかいうのが割り出されて、それを三百で割りまして、三百で割って一人頭四十何万票というのを割り出して、それから、それを一人、まず四十七都道府県に割り振って、残り二百五十三を、まあ簡単に言えば三百で割るというやり方になりましたものですから、その結果として一番少なかったのは鳥取県だったでしょうか、鳥取県が一になるとか二になるとかいう騒ぎになったんだと記憶しますけれども、そういったのに比べて、横浜市だけで三百五十六万人の人口ということになりますので、その十幾つ選挙区になるんですが、そういったものを考えてみると、神奈川県は四人区になったのかな、何かそんなあれが、記憶がありますけれども。  いずれにしても、この一人、最低一県に一人置くというのを決めないとゼロになっちゃう県が将来出てくるというのは、ちょっとここは道州制やら何やらの話にもかみまして、今一番人口が少ない、八十万を切っておる県というのは多分二つあるんだと思いますけれども、それを超えております政令市というのは、横浜の三百五十六万を筆頭に、今度生まれます静岡、それから多分あそこのもう一つ、静岡のこっち側の遠州の方の浜松というところも多分八十七万、新潟も多分それを超えますので、政令都市の方が県より大きいというところが十五、六出てくるんだと思いますので、そういったことから考えますと、ちょっと鳥取と島根と合併しろとかあの当時も随分いろんな御意見が出た記憶があるんですけれども、これまたなかなか、毛利藩だ、山口、何だかだ、津和野藩だ、何だかんだとえらい騒ぎになった記憶がありますので、なかなか難しいんだと思いますけれども、いずれにしても、これは先生、一番の問題は、これは丸々選挙にかかわります話ですから、これは各党でよほど審議をしていただかぬと、この県を消してやるかというところまではなかなか難しいかなというのが率直な実感です。
  35. 大門実紀史

    大門実紀史君 ありがとうございました。  少し早いですけれども、終わります。
  36. 吉村剛太郎

    委員長吉村剛太郎君) 他に御発言もないようですから、本件に対する質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  公職選挙法の一部を改正する法律案に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  37. 吉村剛太郎

    委員長吉村剛太郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 吉村剛太郎

    委員長吉村剛太郎君) 異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午前九時四十二分散会