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2005-07-14 第162回国会 参議院 国土交通委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十七年七月十四日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  七月十三日     辞任         補欠選任      輿石  東君     藤末 健三君      魚住裕一郎君     加藤 修一君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         田名部匡省君     理 事                 田村 公平君                 脇  雅史君                 大江 康弘君                 佐藤 雄平君                 山本 香苗君     委 員                 岩井 國臣君                 岩城 光英君                 太田 豊秋君                 岡田  広君                北川イッセイ君                 小池 正勝君                 末松 信介君                 伊達 忠一君                 藤野 公孝君                 池口 修次君                 岩本  司君                 北澤 俊美君                 藤末 健三君                 前田 武志君                 山下八洲夫君                 加藤 修一君                 仁比 聡平君                 渕上 貞雄君    国務大臣        国土交通大臣   北側 一雄君    副大臣        国土交通大臣  蓮実  進君        国土交通大臣  岩井 國臣君    大臣政務官        国土交通大臣政        務官       伊達 忠一君    事務局側        常任委員会専門        員        伊原江太郎君    政府参考人        農林水産大臣官        房技術総括審議        官        坂野 雅敏君        国土交通大臣官        房長       峰久 幸義君        国土交通省国土        計画局長     尾見 博武君        国土交通省道路        局長       谷口 博昭君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○総合的な国土形成を図るための国土総合開発  法等の一部を改正する等の法律案内閣提出、  衆議院送付) ○参考人出席要求に関する件     ─────────────
  2. 田名部匡省

    委員長田名部匡省君) ただいまから国土交通委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、輿石東君及び魚住裕一郎君が委員を辞任され、その補欠として藤末健三君及び加藤修一君が選任されました。     ─────────────
  3. 田名部匡省

    委員長田名部匡省君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  総合的な国土形成を図るための国土総合開発法等の一部を改正する等の法律案の審査のため、本日の委員会農林水産大臣官房技術総括審議官坂野雅敏君、国土交通大臣官房長峰久幸義君、国土交通省国土計画局長尾見博武君及び国土交通省道路局長谷口博昭君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 田名部匡省

    委員長田名部匡省君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 田名部匡省

    委員長田名部匡省君) 総合的な国土形成を図るための国土総合開発法等の一部を改正する等の法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 藤野公孝

    藤野公孝君 おはようございます。自由民主党の藤野公孝でございます。  今日は、五時間コースということで、この国土総合開発法等の一部改正法の本委員会での審議、その冒頭でございます。この法律の持つ意義等についても、条文そのものというよりも、その意義あるいは位置付け等についてもいろいろお伺いいたしたく思っておりますので、どうぞ簡明なる御答弁をよろしくお願い申し上げます。  もう本会議におきましても、あるいはこの委員会におきましても、今回の提案理由説明というものにつきまして北側大臣からはもう御表明があったわけでございますが、改めまして、私の若干のコメントといいますか感想を申し上げますので、改めまして、この国土総合開発法の一部改正を、今回この大改正に踏み切ったその趣旨等について、まず大臣にお尋ねいたしたいんですが、今申しましたコメントと申しますのは、実はこの国土総合開発法は、法律としてはもう昭和二十五年、今から五十五年も前に作られ、戦後の復興期日本経済復興を目指して作られた法律でございます。  ただ、有名になったのは、この法律をベースにして作られております全国総合開発計画の方がよほど有名で、人口に膾炙する法律でございます。法律本体よりもこの計画の方が余りにも有名、功罪いろいろありまして、批判する人も多うございます。もうこんな計画は要らぬよと、日本を悪くしたのはこの計画だとか言う人すらおるような状況でございますし、先般の本会議におきます趣旨説明質問等についても、いろいろ過去のむつ小川原でありますとか苫東開発でありますとか、どうなっているんだというような御質問もございました。  私はどういう感想を持っているかと申しますと、昭和二十五年に法律が作られまして、しばらく、この全国総合開発計画というのが作られたのは昭和三十七年でございますので、十二年間はそういう法律、全体的な全国的な総合開発計画いうのは実はなかったわけで、個別にいろいろ手が打たれて、地域地域のそれぞれの開発計画という形で対応してきたと。  今の中国も、沿岸部ばっかりが発達して、西部地域との地域格差所得格差が大きくなって、大変今問題になって、地域格差是正ということが中国経済政策でも最大の問題になっているように、当時の日本も、太平洋ベルト地帯臨海工業地帯、四大工業地帯と言われるところを中心にした経済復興産業発展が余りにも急激にてこ入れされたものですから、残された地域との地域格差というものをもう放置できない。昭和三十五年の所得倍増計画等によって更にそれに拍車が掛かり、このままではどんどんその他の地方が取り残されていく。ちょうど今の中国と同じような状況だと思うんです。それで、地域格差是正国土の均衡ある発展ということをにしきの御旗といいましょうかスローガンに、政策目標といたしまして、最初の全国総合開発計画が作られたのが昭和三十七年、法律ができて十二年後ということであります。  その後、四十四年の新全総ができました。三十七年は拠点開発構想ということで、それぞれの四大工業地帯以外のところの地域を指定しまして、拠点開発ということをやりました。四十四年は、今度はもうどこでもいいんだ、どこでも開発可能性があるんだということで、大規模プロジェクト構想ということでやりました。その後、いろいろ弊害も出てまいりましたけれども、三全総、これが昭和五十二年、それから四全総昭和六十二年ということで、開発中心にした全総が四つできました。  しかし、バブルの崩壊等いろいろございまして、五全総のときを実はコメントしたいわけでございますが、今回の法律改正は実はこの五全総のときの反省、あるいは今後のこうあってほしいという地方地域からの要望も踏まえて今回の改正がなされたんではなかろうかと、こう思うものですから、特に五全総について触れたいわけでございますが、五全総平成十年の三月三十一日、正に平成年度末ぎりぎりにできたわけです。  当時の橋本内閣が、平成九年には、これは年か年度かということはあったんですが、平成九年中にはとにかく仕上げたいという、ぎりぎりの、年度ということでぎりぎりの三十一日に閣議決定をされたわけですが、もうほとんどこの五全総は無理かなというところまで来ておったわけであります。  なぜ無理なのか。今までのようなやり方で開発中心にした、あるいは個々プロジェクトを明記し、その十年間なり十五年間の総投資額を記すと。個々プロジェクトを明記し、全体の投資総額を明記することが正にこの全総計画の命であったわけであります。それを基に個々の五か年計画等が練られていったわけでありまして、その先兵といいましょうか、大枠をはめていくということで、この法律というのがいい意味でも悪い意味でも大変力を持ち、魅力のあるものだったわけでございます。  しかし、公共投資抑制ということで、こんなものは財政再建にも反するということで、もうこの全総はやめちまえということにほぼなり掛かったわけであります。この全総というのはもう時代にそぐわない、二十一世紀計画としてはそぐわないという中で、最後ぎりぎりまとめて閣議決定できたには、二つの、正に今の郵政じゃありませんけれども、修正があったわけであります。  その大きな一つ修正は、総投資額を示さないということです。それから、開発方式といって、拠点開発方式とか大規模プロジェクト方式とか定住圏構想とか、そういう開発プロジェクト開発方式を示さないで、参加と連携といったような形で、地域や各公共団体のこれからの運動方式みたいなものを示して、国がこういう形で開発します、あるいは推進しますという開発方式を放棄したわけです。総額を放棄し、具体的な開発方式を放棄したことで、看板になるところを全部放棄しました。それで残ったのは何かというと、指針制ガイドラインだと思うんです。ガイドライン制というか、要するにグランドデザインという名前で出ました。まあ何とかして、やはりしかし国土計画というものは必要だと。  それから、橋本総理は、阪神・淡路大震災のあの状況から見て、太平洋ベルト地帯一軸構造あるいは東京一極集中構造という非常に国土構造が脆弱であると、これをリダンダンシーといいましょうか、もっと複数のそういう国土構造国土軸構造にしたいというようなこともありまして、私はこれが政治的に平成十年の三月三十一日に成立したものだと思うんです。  そういう意味で、今回の改正案はそのときの状況を総括して、今回の五十五年ぶりの大改正が行われたと思うわけでございますが、ちょっと前触れが長くなりましたけれども、私のコメントがどういうふうに取られたかは、大臣の胸の中にどう取られたかは分かりませんが、ひとつ大臣の御感想も含めて、今回の五十五年ぶり改正趣旨について改めて当委員会での御説明をお願いいたします。
  7. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) 今大変詳細なこれまでの全総計画の経緯、歴史につきましてお話をちょうだいいたしました。委員はこうした計画策定にも関与されていらっしゃったというふうに聞いておりまして、大変興味深くお話を聞かせていただいたところでございます。  平成十年三月三十一日の「二十一世紀国土グランドデザイン」の考え方、ここで投資総額は示さず開発方式も示さないと、そういう転換をしたわけでございますが、そういう意味では、今回、国土総合開発法改正をお願いをし、そしてこれから御議論をちょうだいして新たな国土計画策定をさせていただくわけでございますが、そういう定量的なものは示さない、むしろ定性的な形をしっかり示していくということでは、私は平成十年三月の考え方と同様であるというふうに思っております。  ただ、やはり大きな今回法律改正をなぜしてまで新たな国土計画というものを作っていこうとしているのかと申しますと、それはやはり今我が国の置かれている社会経済情勢が大きな転換点にあるという認識があるというふうに思っております。一つ社会資本整備、もちろんこれからも社会資本整備しっかり努めていく必要があるわけでございますが、この法律の制定されたころ、また累次の国土計画策定された当時に比べますと、やはり量的にはストックというものが相当確保されてきたことは明らかだというふうに思います。  また、いよいよ我が国が恐らく有史上経験したことがない人口減少時代というのを迎えるわけでございます。そういう人口減少時代の中での国土整備の在り方はどうなのかということも全く新たな観点でございますし、さらに地方分権という観点からも、やはりこの法律制定当時、またそれ以降の計画策定当時に比べますと、地方分権についても実質的に推進をしていかねばならない、またそういう情勢になってきていると思います。たしか昨日でしたかね、全国知事会三位一体改革についての案を取りまとめられたようなお話も聞いておりますが、こういう動きもかつてこれはなかった話でございまして、内容はいろいろ御議論あるかと思うんですが、私は地方分権という観点から非常に大切な重要な動きであるというふうに思っているところでございます。  そういうふうな観点から、こうした社会経済情勢の変化の中で、法律内容につきましても、一つは、これまではやはり量的拡大を図るという開発を基調としたものでございましたが、これからは既存ストックをいかに有効に活用するかという観点をやっぱり重視していく必要があるということだと思いますし、また量的なこともさることながら、質的にいかに向上させていくのかと、そうした観点が非常に大事になってくるのではないかということ。さらには、地方分権という観点からは、この計画策定プロセスの中で、地方公共団体からの計画提案制度だとか、それから国民の多様な意見をできるだけ反映させていこうという仕組みを設けるだとか、さらにはブロック単位ごと広域地方計画を作っていただこうだとか、様々なこれまでになかった新しい取組をしてこれからの国土計画というものを策定すべきではないかということで、今回法案提出、そして御審議をいただいているところでございます。
  8. 藤野公孝

    藤野公孝君 大変丁寧な御説明、ありがとうございます。  今大臣の御説明にもありましたけれども、開発という言葉が今回この法律体系から、完全かどうか知らぬけど、ほぼ消えて、退場させたわけでございますよね。従前の言い方でございますと、何々の、まあ国土のでもいいです、何々の利用開発保全といった三位一体のような言葉ですが、これが利用整備保全というふうに変えられる。開発という言葉がもう消えていく、整備に置き換わる。それで、法律名前総合開発計画というのが形成計画。要するに、利用整備保全というものを一つこの三位一体を総括する言葉として形成という、今まで余り、形成外科というのは僕は知っていますけども、整形じゃなくて形成があるんだなぐらいのことは知っていましたけど、あの医学用語みたいな言葉を今回法律用語でお使いになっているという、整形形成は違うんでございますけど、そういう言葉にも相当苦労なさったんだろうと思うわけで、そういう意味ではこの開発という言葉を退場させたということは歴史的に大変大きな転換だろうと思うわけで、まあ意地悪く言えば整備開発が何が違うんだというへ理屈も成り立つかもしれませんけども、まあしかしそれを退場させたと。  先ほど大臣のお言葉をかりれば、何か社会資本量的拡大といったものをどんどん推し進めていくというニュアンスがやはり開発のようで、まあ整備だってそれはやっていくんだから、その面が否定するわけじゃないでしょうけど、その辺のところの今後の、後の議論でもいろいろ出てくると思うわけですけど。  実は次に、そういう開発を退場させたということの絡みでもあるんでございますけれども、今地方分権地方意見をどんどん取り入れていくというのは、例の稚内から石垣までのあのまちづくり交付金でも市町村の意見をというようなことで方向転換されておって、全体の今の大きな流れの中にこれも当然入っておるわけでございますが、前回のこのグランドデザインでも、大変悲痛なる反省というか、こんなつもりで計画作ったんじゃないのにこうなっちゃったみたいな反省があるわけですよね。  それは、「国土構造転換必要性」というようなところについて、たまたま、ちょっと皆さんにも御披露する意味で、時間がありますのであれしますが、現在の国土構造は、東京を頂点とする太平洋ベルト地帯人口や諸機能集中しているが、これは経済面中心とする欧米への最短コースでのキャッチアップという二十世紀歴史的発展段階を色濃く反映したものであると。経済量的拡大を優先したことの成果が今日の経済水準の高さであるけれども、もう一方の帰結、まあ影といいましょうか、光と影の影といいましょうか、もう一方の帰結東京という一極、太平洋ベルト地帯という一軸集中した国土構造であると。活気に乏しい地方での生活、ゆとりのない大都市での生活、劣化した自然、美しさの失われた景観、局所の災害から全国が重大な影響を受けるという脆弱性等の諸問題は、まさしく国土構造上の問題であるというようなことを、謝罪文というか自己批判文みたいなことも書いてあるわけでございます。  そこで、そういうことも受けまして、これまでの一全総、新全総、それから四全総までは特に開発中心でございました。五全総で今のようなことが書いてあるわけでございますけれども、これまでの開発優先全総帰結というのが、一軸構造というか、もっと言えば東京圏一極集中ということに集約、矛盾というものが集約されていると思うわけでございますけど、首都移転もこの辺から出ておるわけですが、この問題につきまして、現在、新たな法改正後のスキームにおいてもこの問題は放置できない、認識していかなきゃいけない問題だと思うわけですけども、どのようにそれを継承していくというか認識しておられるのか、また基本的にどういう対応をしようとしておられるのか、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  9. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) この東京一極集中問題につきましては、これからも大きなテーマだというふうに認識をしております。  これまでも、委員よく御承知のとおり、この一極集中をどう是正するのかというのは、もう累次の国土計画の中でもずっと議論をなされてきました。全く成果が上がっていないかというと、私はそうでもないと思っております。  従来、工場等立地制限法というような法律なんか作られまして、大都市圏地域、エリアを決めて、その中には新たに工場だとか大学だとか設置は原則としてしないと。これはかなり今から思うと強引な法律ではあるわけでございますが、そういう法律を作ってまで工場教育機関等地方分散をしていこうと。これ、一定成果はやっぱりあったと思います。現実に、各大都市ではなくって周辺の地方に大手のメーカーの工場がたくさん行ったわけでございます。  また、ほかの国々に比べますと、私はやはり所得格差是正という観点でも一定成果が上がっているのではないかというふうに思っているところではございますが、そうはいっても、やはりこの東京に、東京圏に様々な、経済機能中心といたしまして様々な機能集中をしているという実態というのは相変わらず大きな、やっぱり今後の国土政策の大きな課題だというふうに私も認識をしております。  一つは、やはり地方地方が、今非常にそういう取組がなされてきているというふうに私も認識をしておりますが、地方がいかに、特に若い方々にとって魅力あるそういう地域にしていくのか、また地域経済活性化をどう図っていくのかというようなことを、今様々な取組がなされておりますが、そこをしっかりとして私は支援をしていく、サポートしていくということが重要ではないかというふうに思いますとともに、もう一方、危機管理という観点では余りにも東京機能集中をしているということが、果たして危機管理という観点でこのままでいいのだろうかと。やはりバックアップシステムをきちんと持った、そういう都市をやはり今後は検討していかないといけないのではないかというふうなことも考えているところでございます。  ただ、これからの日本社会を考えたときに、やはり東京東京だと、首都でございますので。やっぱりこの首都の持つ、東京圏の持つ魅力を高めていくことも非常に重要なことだというふうに思っておりますが、その東京圏首都としての魅力機能というものを強化していくとともに、一方で危機管理という観点、また地方の様々な魅力を向上さしていくというふうな観点から地方まちづくり等支援をしっかりしていくということも非常に重要であると考えているところでございます。  まあいずれにしましても、今後とも、この新たな国土計画策定する過程の中でこの東京一極集中の問題をどうこれから考えていくのか、是非先生方の御議論もちょうだいをしたいというふうに思っております。
  10. 藤野公孝

    藤野公孝君 済みません、もう一問、大臣に御質問申し上げます。  大臣も別の法案質疑の中で、我が国アジア圏における特に物流面での国際競争力問題等について大変熱意のある答弁をされているのが大変印象的でございました。そういうアジアの中の日本という観点での国土計画国土づくりというものについてちょっと御質問したいんですけど。  これ、いただいた資料の中なんですけども、国土計画局が一昨年ですか、平成十五年の十一月にまとめられた国土総合点検主要論点という中にも、「東アジアをはじめとする海外との国際連携」というようなことで、今後、日本がより近隣のアジア諸国との関連を密接にしながら、それぞれの地域発展を遂げていく必要があるというようなことについて、更に発展というか、日本国際競争力というのをしっかりしないと日本のそれぞれの地域発展はないというような観点からこれは述べられていると思うんですけれども、我が国がとにかく二十一世紀、安定的に発展していくということのために国土づくりはあるわけでございます。産業発展だけじゃなくてもちろん生活の充実があるわけですけど、総合してやるのが国土政策でございます。そういう中で、アジアとの連携を意識した国土づくりというのは極めて重要な私は観点だと思うわけですけれども、この辺のところの、アジアの中での日本国土政策という観点から今後取り組むべき課題といいましょうか、そういうことにつきまして御質問を申し上げます。
  11. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) 東西冷戦下時代、といってもそんな昔の話じゃないわけでございますが、そのころ今のようなことというのは全く恐らく想像していなかったと思います。冷戦崩壊後の世界での非常に大きな特色一つは、私はやはり東アジア経済発展、また東アジアが非常に安定をしてきているということが非常に大きな特色ではないかと思っております。  経済面におきましても、東アジア地域、これは中国、韓国、それから台湾、ASEAN十か国等の全体の実質のGDPは一九八〇年に比べますともう五倍、約五倍に拡大をしております。世界平均では約二倍でございますので、それを大きく上回るスピードで経済成長をしております。現に、我が国東アジア諸国との貿易額も著しく増加をしておりまして、特に中国につきましては、香港を含めますと昨年は輸出、輸入を合わせた貿易量はアメリカを上回ると。最大貿易相手国となったわけでございます。  そういう意味で、東アジア我が国日本との連携をいかに強化していくかということが、非常に私はこれからの我が国経済が確実に経済発展をしていくために非常に重要な要素であるというふうに認識をしておるところでございます。これからもマーケットはますます拡大をしていくと思われますし、また相互の人的な交流もこれは更に増加がされていくと期待されておりますし、これからますます相互依存関係が深化をしていくというふうに思っております。そういう中で、今後の国土計画のありようといたしまして、やはりそこを重要な分野として国土形成に関する施策を定めていく必要があるというふうに考えているところでございます。  今も委員がおっしゃいました、今やもう東アジア我が国の企業にとっても準国内化している中で、いかに簡素な効率的な、そして安全な国際物流をしていけるのかということは非常に大事なことだというふうに思っております。国交省としても、今、国際物流拠点の機能強化という観点議論をしているところでございます。  そういう意味で、国土政策上の重要な課題一つとして、この東アジアとの連携というものをしっかり意識した国土計画策定していく必要があるというふうに考えております。
  12. 藤野公孝

    藤野公孝君 どうもありがとうございました。  今大臣もおっしゃいますように、今後日本が、それぞれの地域発展していくために、国内のもちろんマーケット、市場というものを更に充実、多様化したものにしていく努力も必要でございますけれども、人口も減少していく中で、やはりアジアというものに対して単に空洞化、産業の空洞化といったようなネガティブな対応、あるいは中国脅威論といったようなそういう見方ではなくて、今大臣がおっしゃいましたような、やっぱり地域一つのもうエリアとして組んでいくと、連携を組んでいく、パートナーシップを組んでいくといったようなもう運動、運動体といいましょうか、連携がどんどん地域ごとにできておるわけでございます。これをいかに伸ばしていくかというやはり具体策を、これは経済産業省に任せるというような感覚、やっぱり国土政策上の推進ということも私は必要だと思うわけでございます。  物、人、情報、金、流れが総合的に円滑にいくようなトータルな視点というものをやっぱり国土政策上、是非これから、今までそれがちょっと薄いと思うんです。是非その観点も、今後検討される計画の中では、ただ表題的に何とか交流圏の設定とかそういう程度の話じゃなくて、是非もう少しパンチのあるというか、中身の突っ込んだ計画に持っていっていただきたいというのを要望しておきたいと思うわけですが、局長にお尋ねいたします。  最初の冒頭のときに、橋本当時の大臣が、ほとんどこれ無理かなと思われていた計画、五全総をとにかく政治的判断ということで三月三十一日に閣議決定されたその大きな動機というか意義付けは、リダンダンシーといいましょうか、国土構造の脆弱性を克服しなきゃいかぬという観点が、私、これは私の勝手な判断かもしれませんけれども、思っているわけでございます。そのくらいこの地震とか災害に対する国土政策上の対応というものは全国民的なこれはもう今や最大の関心事と言ってもいいんではないかと思うわけでございます。  全国民がこの国土で、三十七万平方キロのこの国土で安心して暮らせて子育てができるという環境基盤づくりをしてあげないことにはあらゆる施策が空回りしてしまう、私はそのように思うわけでございますけれども、産業の優先、産業発展の優先というこれまでの計画から、新たにこういう安心、安全といったことが大きな今度の国土計画の柱になってくることはもう論をまたないと思うわけでございますけれども、そういう面で、その生活基盤といいましょうか、もちろん産業の基盤もあるわけですが、この基盤、社会資本整備、管理といったような点について、防災あるいは減災含めました、どのような今認識をお持ちか、お伺いいたします。
  13. 尾見博武

    政府参考人尾見博武君) 今先生御指摘のように、私どもの今回の国土計画策定します、そのための法律改正をお願いしようとした一番大きな動機は、やっぱり国民の皆さんの関心事というか、そういうものが大きく変わっているんではないか。もちろん、豊かさを求めるとか利便性を向上させたいというのは常にいつの時代でも変わらない欲求だとは思いますけれども、やっぱりそういうのもある程度の充足感が出てくる中で、やはり国民の皆さんは、今先生がおっしゃったように、安全だとか安心、これは災害の問題あるいは防犯とか、そういう問題もあります。それから、福祉とか医療とか、安んじて暮らしていけるというような環境ということもあると思います。そういう意味で、私どもは、安全、安心にさらに安定という三つの安ということで、これを追求するものとしての国土計画、こういうものを大きな柱にしていこうと、こういうふうに考えているわけでございます。  そういう点につきますと、今防災についてのお話がございました。最近の災害の状況を見てみますと、いろんな問題点が指摘できると思います。私も防災を担当しておりましたので切実感があるわけですが、やはりまず一つには地震ですね。  この間、この地域では地震はないのではないかと思われていたところ、まあ阪神大震災の前もそういうふうな御議論があったわけでありますが、そういうところで想像外の地震が来て、大きな被害が生ずるということがあります。それから、東南海地震とか南海地震、東海地震と、いわゆる海溝型の地震というようなものの切迫性、こういうものも間違いなく出てきている。それから、首都地域における地震と直下型の地震というようなものも懸念されて、その被害は莫大なものになると、こういうことでありますので、こういうことについての対応ということについては大きな柱として進めていく必要があるんじゃないかと思っております。  それから、風水害につきましても、やはり異常気象じゃないかと思われるような形での雨の降り方とか、そういうものが出てきておりますので、このことについては、やはり社会資本整備の中の一番大きな柱の一つとしてこれを考えていくということで、もちろん治水対策だとか防災対策、地震対策ということにとどまらず、例えば道路一つ取ってみましても、そういう観点からいざというときの避難のために活用するとか、新しい観点に立っていろいろ考えていく必要があるんではないかと思っております。  福祉だとか医療の面につきましても、国土計画はそれ自身を対象とするわけではありませんが、そういうものを効率的に進めるのに社会資本整備国土基盤整備の在り方というものは大きくかかわってまいりますので、そういう観点についても新しい取組をしていきたいと思っております。  以上でございます。
  14. 藤野公孝

    藤野公孝君 もう本当に今、国民アンケート調査を取りましても、政治に何を、政府に何を求めるかというのはもう安心、安全というのが圧倒的にどの地域においても多いわけでございますので、今後はやはり経済発展産業開発から、やはりこの生活のあるいは地域の安心、安全、それから安定ですか、それを本当に、お題目じゃなくて、これをどうやったら実現、推進していくかというところまで掘り下げた議論を是非地方と一緒になってやっていただきたい。これは要望させていただきます。  それから、次の点でございますけれども、実は前の五全総も、副題といたしまして「地域の自立の促進と美しい国土の創造」って、美しいというような言葉が書いてあります。こういう政府のものに美しいなんて女の言葉みたいなものをって何か非難がありましたが、何か少女趣味みたいな言葉はけしからぬというようなこともあったんですけれども、でも、今はもうこの美しいというのを本当に大事な言葉だということでなっておると思います。そんなことを言う人はもう今はいないと思います。  先ほどのこの資料を見ましても、平成十五年まとめられた総合的な点検レビューの中にも、美しい国土づくりということを再度またここで議論されておられますし、それから今度の法律改正見ましても、正にこれが一つの大きな目玉なんじゃないでしょうか。この第二条のところの一項七号ですね、八号もそうですか、文化のこと、それから八号が景観の形成のこと。この辺が今回の、まあセールスポイントという言葉は良くないが、一つの大きな改正の柱になると思うわけですが、今後、やはり我が国が住み良い、本当に文化的にも誇りを持って住める国に持っていくと、経済だけじゃなくて質の高い文化を持った国、もう一回構築していくということは重要な課題と思うわけでございます。  そういうことから、文化、歴史、伝統を生かした個性ある美しい地域づくり、国づくりといったようなことにつきまして、今の法律改正もこういうふうにしてはっきりと明記しておるわけでございますね。そういう観点から、しかもこれ景観形成法がここの委員会で去年通って、施行が今年の六月一日ということで、この六月一日には日本の景観を良くする国民大会というのが開かれて、その委員長は奥田さんですが、総理も出られて、美しく風格ある国づくりをやろうという国民運動体までできておるわけでございます。  これ、こういうふうな広範な盛り上がりの中で、あるいは公共工事においても美しさということが重要だというようなことを国土交通省も言われておる中で、この国土計画における景観あるいは伝統、文化といったそういう面につきましての取組について、基本的な態度を御説明ください。
  15. 尾見博武

    政府参考人尾見博武君) 正に先生のおっしゃるとおりだというふうに考えております。  今回の国土計画のこれの大きな柱として、やはり文化、歴史、伝統というものをベースにした美しい国土づくり、景観、そういうようなものは非常に大切である、国民の皆さんの御関心もそういうところに大分向いているのではないか、こういうふうに考えています。元々、我が国地域社会の自然とのかかわり、地域とのかかわりという中でいろいろ生まれてきたものでありますので、私ども、それを大切にしていかないといけない、こういう基本認識を持っております。  今御指摘がございましたように、景観三法も、これ国土交通省と農水省と、そういう省の壁といいますか、そういうのも超えて、都市景観、農村景観を共通に美しいものをつくっていこうということで法律整備がされたところでありますし、具体的にそれを進めるために、例えば景観形成事業推進費というようなものの予算制度、そういうものも設けましたし、まちづくり交付金も創設をして、具体的に後押しをしていこうということも考えてまいっております。それから、税制面でもこれに対する支援措置というものを考えているわけであります。  そういうことで、今大きく一歩を踏み出しました。こういう流れを大きな流れに、より大きな流れにしていくということが私どものこれからの課題だと思っております。  実際、地方におきましても、具体的な地域を出すとあれですが、例えば伊勢とか小樽とか川越、近江八幡、北九州の門司だとか、そういうものを観光という面にも生かしながら、大いにまちづくりのために役立っているということもございますので、地域をどういうふうに元気にしていくかというような観点も含めて、この問題は大変大きなテーマだと思っております。  これから具体策については、鋭意国会での御審議等も踏まえて、更に今より以上に何ができるかということを真剣に考えていきたいと思っております。
  16. 藤野公孝

    藤野公孝君 今の御答弁、今の段階ではそういうことだと思いますけれども、景観、美しさといったようなことにつきましての国土計画上の位置付けがやっぱりはっきりしませんと、それぞれの地域でその取組にもう任せておくということになると、昔の景観条例のあの時代にまた舞い戻ってしまいます。やはり国が積極的にリードしていくというか、環境を整備していくという強い意思を示していただきたいと思うわけです。  この五全総というか、グランドデザインばかり引いて申し訳ないですけれども、ここの中にも、五全総のときの、どういう日本は二十一世紀の国になりたいんだと、一言で言えと言われたときによく出された言葉が、ガーデンアイランドという言葉なんです。庭園の島、これは川勝先生のあれじゃないかと思うんですけれども、これ一時期はやりまして、あちらこちらでガーデンアイランドとか庭園の島、こういうようなことを言いましたが、これがやはり掛け声だけにならないように、学者さんの単にセールスポイントだけにならないように、政府として是非積極的にこのガーデンアイランドの実現に取り組んでいただく。要するに江戸の時代は良かったとか、そんな話なんですよ。単なる江戸回帰でも困るわけでございますけれども。新しい形のガーデンアイランドというものに取り組んでいただきたいと思うわけでございます。  次も、少し具体的にというか、手法的なことについてお伺いいたします。  今回のいろんな御説明におきましても、広域地方計画というものが一つの新しい国土計画作成の手法として導入されておるわけでございます。地域でそれぞれ広域計画会議というのをつくってそこでやりなさいということでございます。それから、最終的には国土交通大臣の調整といいますか、監督といいますか、それに懸かっておる。それがけしからぬじゃないかという話もこの前ございましたけれども。  私自身思いますに、今までの全総でもすべて地域計画地域整備の基本方向というのが全部付いております。ここが地方にとっては一番読みたいというか、闘いの場というか、ここに何が盛り込まれるかというのをみんな勝負してきたわけであります。ここにこの文字が載らないとおれは次の知事選で勝てないとか市長選で勝てないとか、そのくらい血道を上げて頑張った部分でございます。  そういう状況を見ますと、今後もやはりこの国土計画にみんなが、地域の人が関心を寄せるとすれば、やはりそれぞれの地域における、に何が書かれるか、そこに何が盛り込まれる、あるいは何が盛り込まれないかといったことが大きな関心事になるんだと思うんです。そういう中で、相当のこれ調整権限というものが要るんじゃないか。やっぱりそう簡単には降りられないよというような人たちの集まりの中で、行司がだれもいない。話合いでやりなさいというとエンドレスになってしまうんじゃないか。地域整備局でありますとか、いろいろ地方のそういうところで庶務をやるみたいなことが書いてあるわけです。庶務という程度のものじゃ、とてもじゃないけれどもまとまらないんじゃないか。かといって、余り調整とやると、何だ、形を変えた単なる統制ではないかということになります。  その辺につきまして、私はしかし、さはさりながら、統制と言われようと形を変えた中央集権計画だと言われようと、やっぱり地方支分部局というか、整備局というか、そういうところのやっぱりきちっとした公正な調整は必要じゃなかろうかと思うわけでございますが、今の現時点でどういうお考えでございましょう。
  17. 尾見博武

    政府参考人尾見博武君) お答えを申し上げます。  今先生おっしゃいました、従来の全総計画の第三部ですね、地域整備の方向というところに、従来は具体的なプロジェクトが書かれるということになっておりました。今回はそれを基本的にはやめて、それを広域計画というふうにゆだねるという考え方であります。  全国計画では、指針ということで、例えば先ほどの国土基盤整備の基本的な考え方をどう考えたらいいのかというようなものについて記述する、こういうことにいたしました。そうすると、各論の広域地方計画でいろんなプロジェクトについて、多くは、ほとんど計画は今までのところ、基本的にはもうできていると言ってもいいのじゃないかと思いますが、その中で一体何を優先させてやったらいいのかと。今プロジェクトの数は多いわけですけれども、なかなか具体的に姿が見えないという現状だと思います。そのために、じゃ、これを踏まえて民間の方が適切な投資をするといったときに、先の展望がないから動けないというような事態も起きているんではないかと思います。そういう意味で、具体的なプロジェクトの優先度みたいなものを決めていくというのがこの広域地方計画協議会のコンセプトであります。  ただ、今おっしゃいましたように、各知事さんの方々もバックにいろいろ御議論を抱えながら調整されるということですから、そう簡単に物事が決まると私どもも考えておりません。考えておりませんが、しかし今のままでいいのかと言われれば、やっぱりそうではないと。やはり何か困難な道でも一つ具体的に決めていくということをせざるを得ないんじゃないかというのが私どもの考え方です。その際に、今言いましたように、調整をするという立場の存在がどうしても必要だろうと。基本的に広域地方計画は、国の計画を大部分が対象だというふうに思っておりますので、そういうものを担うべく、国の支分部局が実際には裏方として調整をさせていただくということになるんじゃないかと思っております。  これまでも、国土交通省も省庁再編におきまして、従来、建設局時代には河川と道路の整備ということが中心でしたが、都市とか住宅だとか多方面の分野の仕事も下りておりまして、そういうのに伴いまして、例えば公共団体、知事さん方とかあるいは経済界の方々と一緒になった地域戦略会議だとか、そういうようなものでビジョンに近いようなものも議論しながら話を進めてくるという蓄積もございますので、そういうものを活用しながら、整備局等々の国の支分部局と連携をしてそういう役目を担っていくということで一歩でも前進ができるんではないかと、こういうふうに思っているところでございます。
  18. 藤野公孝

    藤野公孝君 是非その辺の、余り、地方意見をただ形式的に聴くというような形骸化したようなことになれば、それはもう本末転倒の議論でございますけれども、やはりまとめていくという努力を、これから大いに苦労が待っているなという気がするわけで、是非その辺はいい知恵を出していただきたいと、こう思うわけでございます。  それで、今、道州制とかいろいろ地域地域割りというものについて、これ今後、省令でしたっけ、何か政令か、政令で定めるということになっておるわけでございますが、今までですと、北海道、東北、関東、こういうような感じで、中部というふうな感じでこれまでの五全総までの地域割りになっておるわけですけれども、このブロック割りの具体的なイメージ、道州制との絡みをあえて付ける必要はもちろんないかもしれませんけれども、どういうイメージを持っておられるのか、お伺いしたいと思います。
  19. 尾見博武

    政府参考人尾見博武君) 今先生おっしゃいましたように、これからブロック割りにつきましては、大体一年ぐらいをめどに国土審議会の中で御検討をお願いしようかというふうに今考えておるところでございます。その際、都道府県、政令市とかあるいは地方経済団体でありますとか、そういう関係者の皆さんの意見をできるだけ幅広く伺いながら決めていくということになるのではないかと思います。  実際に、このブロックの議論というのを決めていくのはなかなか正直言って大変だというふうに思っておりますが、この際、国土審議会の議論としては、今までスタートラインとして、例えば現在のブロック計画がございます。大都市圏計画だとか、それから地方開発促進計画とか、そういうのをただスタートラインにするということで、直ちにそちらに移行するというふうなことが適切なのかどうかということについてはいろいろ疑問も多いと思いますので、できるだけ原点に即して多方面にわたる議論をしていただく必要があるんじゃないかと思っております。  元々、圏域の経済的、社会的な一体性、例えば経済活動とか人口は今どういうふうになっているかとか、あるいは川を通じての流域といいますか、そういうもので昔から地域が決まってきたと、こういうこともあります。明治以来の鉄道とか道路だとかそういうことができたおかげで、今までバリアのところがなくなって、新しい地域というものの一体化が生まれるというふうなこともあると思います。それから、水とかエネルギーとかそういうものを一体どこに依存しているのかというふうなこともあると思います。それから、そのエリアの中に都市部と農村部というのがやはり両方存在しないと圏域として必ずしも健全と言えないんじゃないかと、こういう観点もあると思います。それから、先のことになりますが、例えばヨーロッパでありますとか欧米の一つの国になぞらえて、人口とか経済規模、そういうものを見ていくということも一つの視点としては必要かもしれないと思っております。  そういうようなことを幅広く原点に立って御議論いただくというところから出発をしていきたいと思っております。
  20. 藤野公孝

    藤野公孝君 もう時間も大分なくなってまいりました。  最後に、もう一度大臣にお伺いいたしたいんでございますけれども、先ほど申しましたように総投資額、公共事業の総投資額を明記することは放棄して五全総が成立したと。それで、今後新しいスキームでの国土計画を作る際にも総投資額を明記することはなかなかもう難しいだろうと。ほかのいろんな、PFIとかほかの手法もあるし、何も公共投資だけですべての社会資本整備の量が決まるわけではないというのはよく分かるわけではございますけれども、しかし地方が、地域格差所得格差も依然としてというか、ますますかもしれない。今、地方が大変疲弊している中で、もう公共事業罪悪論はもういい加減にしたらどうかという声もあるわけでございます。  必要なインフラをきっちりやっぱり整備していかないと、さっきのアジアの中での地域発展もないですし、国際競争力を付けるということもなかなか難しい。もちろん、無駄があってはいけない、効率的にやらなきゃいけない、選択的にやらなきゃいけないという制約の中で、私はやはり、公共事業という言葉がどうもそのこと自体にもう色が付いちゃっているんでございますけれども、真の意味での国土の均衡ある発展を図るために、やはり勇気を持ってこの国土計画は公共事業の真の必要性というものをやっぱり訴えていくべきだろうし、それに必要な投資というものをやっぱり確保していくのも一つの仕事、余りもう弱気になって、今まで一千兆ですか、どのくらいですか、積み上げたらもう一千兆以上の投資でこんな国にしちゃったみたいなことばっかり言われて、何か済みませんというようなそんな感じで今後の国土計画を作られたんではこれに魂は入らないような気がするし、地方も、もうがっかりだなと、もうお付き合いの程度だなということになると思うんでございます。  その辺のところを、大臣、もう一回、もう一回というか、最後に、必要なやはり均衡ある発展を図るための社会インフラというものをきっちりやっぱり国土計画の中で位置付けていくことにつきましての御決意をよろしくお願いいたします。
  21. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) 先ほどお話ございましたように、今国民の皆様は、やはり安全、安心を確保すると、それをしっかり政治がやってもらいたいということは大変強い要請があると私も認識をしております。そういう意味で、国土の様々な社会資本について安全を確保していく、安心を確保していくための社会資本整備というのはやはりこれからも必要でございまして、ここはしっかりと優先順位を高めてやっていかねばならないと思っております。  また、これから人口減少社会に入っていく中で、大事な視点は、やっぱり人口減少社会になると経済が縮小していくのではないかと、日本経済が今までのような経済じゃなくなってどんどん衰退していくのではないかというふうな漠然とした不安感が一部にあります。私はそうではないと、また、そうではないようにしていかにゃいけないと思うんですが、そのためには、これまで以上に生産性を高める、付加価値を付けていくことによってやはり確実な経済発展をしていく必要があると思うわけでございます。  そのためには何が必要なのかと。先ほど来御議論していただいております国際競争力の強化のためには、これからはやはり空港だとか港湾だとか、また空港、港湾にアクセスする道路の整備だとか、そうした物流、人流が更に活性化していく、拡大していくようなやっぱり基盤整備というのは、これはしっかりと国が中心としてやっぱりやっていかないといけないと、そこにまた優先順位を高めてやっていく必要があると思っているわけでございます。  今後とも、必要な公共事業、社会資本整備はしっかりとやっていかねばならないというふうに考えております。
  22. 藤野公孝

    藤野公孝君 質問を終わります。  ありがとうございました。
  23. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 おはようございます。民主党・新緑風会の佐藤雄平でございます。  法案審議の冒頭でございますけれども、法案審議とは別に、今大臣を一番悩ましている日本道路公団の橋梁談合について冒頭お伺いいたしたいと思います。  ちょうど先週の七日の日に近藤総裁に来ていただいてこの委員会で橋梁談合についてのいろんな質疑をさしていただきました。委員会全体の中ずっと見ていますと、何か近藤総裁の答弁に極めて誠実さが欠けるような幾つかありまして、委員会の中でもそれぞれいろんなやじが飛んだことは大臣も記憶に新しいことであろうと、そんな思いをしております。  そうした中で、おととい、誠に残念ながら道路公団のOBの方が逮捕に至ったと。そして、近藤総裁が昨日、大臣のところに報告と陳謝に来たということになっているわけでございますが、本当は今日、総裁に来てもらって総裁との質疑をと思ったんですけれども、どうも先週のあの質疑を見ている限り、もうとてもあの総裁にそのような誠意のある答弁が求められないという意味合いから、私は、総裁の任命権者の大臣、そしてまた道路公団の最高の監督官庁の責任者として先般の近藤総裁のあの答弁についてどのようにお感じになったか、そしてまた、おとといの逮捕についてこれをどのように受け止めていくのか、そして大臣が総裁にどのような薫陶というか注意を申し上げたのか、まず冒頭、この件についてお伺いしたいと思います。
  24. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) 一昨日でしょうか、道路公団の元理事が逮捕をされたわけでございます。今回の道路公団の橋梁談合について受注調整に関与をしておったということで逮捕されたことでございまして、これは受注者側の元OBが、また報道等によりますと、これは組織的にOBの人たちがこの受注調整に関与していたのではないかとも言われておるわけでございまして、これは単なる談合等の不正行為という問題とともに、これは受注者側の問題としてこれはやはりしっかりと、今後の再発防止に向けてしっかり取り組んでいただかないといけないというふうに思っております。  これ自体、極めて遺憾なことでございまして、昨日、近藤総裁も来られまして、私の方からは、一つは、もちろん道路公団としても今回の案件について内部調査は当然されると思いますけれども、今はこれ捜査当局が入っております。捜査当局に全面的にこれは捜査に協力をしていただいて今回の事実関係について徹底して解明してもらいたいということは一つ申し上げました。  もう一つは、今、道路公団の中で、先般、近藤総裁が来たときも言っておりましたが、今回の事件を受けて検討委員会が外部の方々もお入りになられてなされているわけでございますから、そこでしっかり再発防止に向けての対策を取り組んでもらいたい。特に、今回の事件はOBの関与という疑いで逮捕されているわけでございまして、まさしく言われております天下りの問題も含めた人事制度の在り方、また内部規律の問題、そうした問題についてもしっかりその検討委員会で御議論をいただいて早急に取りまとめをしてもらいたいということも改めて昨日強く申し上げたところでございます。
  25. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 大臣、天下りについても言及なさいましたですよね。だから、私はやっぱりその天下り、先ほどもいろいろ話がありましたけれども、これについてはもう国土交通省のみならず霞が関全体としてこの検討は是非、ある意味では大臣中心になってこの事件を機会に、その研究会、そしてまたこれは天下りというだけじゃなくて、公務員の一つの身分というものがどういうものであるか、しかも、一番やっぱり私は、キャリアの皆さんが一緒に二十四人なら二十四人入省をしたと、四人が局長になった後、二十人はどこかに天下ってしまうという、ある意味であしき慣習というか、こういうふうなものを直すにはどうしたらいいのかと、この辺の検討はもう十分なさっていただかなきゃいけないかなと、そんな思いをしておりますし、また、ただ、今日また談合問題繰り返すんですけれども、今日の新聞の中で、業者の方が道路公団に行ったらば道路公団の人がOBに相談しろと言われたというんだからこれもう本当にゆゆしき問題で、今日の新聞見てまた私自身びっくりしましたけれども。  今日のその新聞を大臣も道路局長も読んでいるかと思いますけれども、この件についての何か所見があれば、お伺いしたいと思います。
  26. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) 報道のようなことが仮にあったとしたならば、これはとんでもない話だと私は思います。  私はこの際、道路公団も民営化が迫っているわけでございまして、これまでのそうした発注、受注の在り方、入札の在り方、また人事制度の在り方、しっかり見直しをしていただきたいというふうに思っているところでございます。私からもそこは厳しく監督をさせていただきたいと思っているところでございます。
  27. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 是非、大臣にその期待をさしていただきます。  道路局長、次の質問に移りますんで、質問ございませんので退席して結構でございます。  次に、法案に、もう時間が迫っておりますんで移らせていただきます。  先ほどもそれぞれ出ておりましたけれども、危機管理の問題がいろいろただされております。五月の十九日のこれは地元の新聞でありますけれども、危機管理機能の移転への調査ということで、それぞれ衆参の両院議員の協議会の中でもいろんな議論がされております。  私は、なぜ今その国会移転と首都機能移転について質問をさしていただくかというと、去年の地震、そしてまた十個の台風が上陸した、様々な気候変動によって日本はいつ災害があってもおかしくないような状況になっていることは、これ自明であります。そういうふうな中で、私は、危機管理、本当にこれ大事なことであろうと。その危機管理の中枢を担うというのは、ある意味では国会であり、そしてまた行政機能であるわけです。そこが万が一、私は、この一極集中もあるわけでありますけれども、何かの危機に、災害に、起こっていたときに、ほかの地域にまた災害が起きたというと、正に司令塔がなくなる状況になってくるわけであります。そういうふうな意味合いから、私は、今の日本の政府の中での危機管理というのは本当にこれできているのかなと、そんな思いもされてなりません。  そういうふうな中で、あえて申し上げますと、危機管理体制の危機管理が欠如しているんじゃないかなと、そんなことを思うわけでありますが、その危機管理というふうな意味合いから、私は、もう一度今までの、別な角度、いわゆる国会移転とか首都機能移転、ややもすればこれ、どこに移転するかな、なぜ移転するかというよりは、どこに移転するという場所の選定でいろいろ引き合いがあって、私はこれ、風化しつつあるというふうなことも感じられるわけでありますけれども、もう一回原点に返って、なぜ移転しなきゃいけないのかと。  これは危機管理である、そういうふうな中での、改めて大臣の国会移転と首都機能移転に関しての御意見を聞きたいし、さらにまた、今度いわゆる国土形成法、国土形成法というのは国土をどういうふうにして保全していくかと同時に、やっぱり危機管理をも踏まえた、ソフト面でも踏まえた国のなりようというものはどういうふうなものであるかというふうなこと、当然問われてしかるべきであるわけですから、そういうふうな意味で、大臣局長答弁をお願いしたいと思います。
  28. 尾見博武

    政府参考人尾見博武君) お答えを申し上げます。  首都機能移転につきましては、現在国会に設置されております国会等の移転に関する政党間両院協議会において検討が進められているところでございます。協議会では、昨年十二月二十二日に座長取りまとめがまとめられ、この中で、今後、防災、とりわけ危機管理機能、いわゆるバックアップ機能の優先移転などについて考え方を深めるための調査検討を行っていくこととされたと、そういうふうに認識をしております。  今後、協議会におきまして座長取りまとめに基づいて議論が進められるものと認識をしておりまして、国土交通省といたしましては、国会における検討が円滑に進められるように積極的に協力してまいります。  国土政策上も課題ではないかと、こういうお話がございました。新たな国土形成計画において具体的にどう取り扱っていくかという問題でございますけれども、国会で検討されているということでございますので、その検討の方向等を十分見極めた上で判断すべきものではないかというふうに考えております。  なお、東京圏において人口や諸機能集中しておりまして、一たび、今お話がございましたように、災害が起きた場合は、日本経済全体ばかりではなくて、場合によっては世界経済にも影響が及ぶというような認識を持っております。このような観点から、東京圏等への過度の諸機能集中人口流入を是正していくことは重要であると考えておりまして、国全体としてのバランスの取れた発展を促し、結果としてリスク分散を図ると、バックアップ機能整備していくということは必要なことだというふうに考えております。
  29. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) 佐藤先生おっしゃったように、私も危機管理という観点から、この東京に代わるそういうバックアップ機能を持った都市、それはそんな大きな都市でなくても私はいいと思うんですけれども、そういうものをしっかりつくっていくということは今後の国土政策の中で非常に重要な課題だと、論点だというふうに思っております。また、委員のおっしゃったように、どこに行くかが焦点になっていて、なぜ首都機能を移転する必要があるのかというところが、そこの議論が少し欠けているんじゃないのかと、またそこが余り表に出ていないのではないかというのは、私も同感でございます。  そういう意味で、ここは国会での御議論を待たねばなりませんが、私は、是非そういう委員のおっしゃったような方向で御議論いただければ有り難いというふうに思っておるところでございます。
  30. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 正に今大臣答弁のとおりなんです。  国会の議論になると、場所をどこにするか、蓮実副大臣おられる、栃木県代表でおられますけれども、その議論になって本論が実はなくなっちゃうんで、本当に今私は、なぜなんだというふうなことを、先ほどの局長答弁は国会の議論を待ってという話でありますけれども、少なくとも行政の責任の中で、やっぱり国会に対して提言するような、ひとつ危機管理に伴う、国会、首都機能、これを考えるような提言でもしていただければ更にまた進むかなと思いますので、心から要請を申し上げておきます。  次に、国土形成法に移らしていただきます。  国土法の理念、これちょっと見さしていただきますと、全国計画地方広域計画があります。この前提として、今まで四全総プラス一全総あって、総合すると五全総あったと。それが成長経済の中で、ある意味では、大量生産、大量消費、大量廃棄、そういうふうな時代、それにまた人口減少時代に見合ったものということでございます。  これはもう十分私も理解できるわけでありますけれども、そういうふうな中で、私は、ハード面は非常に理解できるんです。しかし、ハード面は国交省としても中心だと思うんですけれども、その前にやっぱりソフト面、特に私は人づくり。ですから、先ほども藤野さんからありましたけれども、どういうふうな三十年後、五十年後の日本をつくっていくための国土政策なんだと、そのためにはどういうふうな人をつくるかと。よく国づくりは人づくりと言われる、人づくりが国づくりと言われる、そういうふうな私は、どこかにこれは理念があるというのは当然であろうと思っております。  そういうふうな中で、この法案について、私は、人づくりはどういうふうな人づくり、しかも国のありようというのは、三十年後どういうふうなことを考えた中でのこの法案なのか。さらにまた、これ、二十一世紀ビジョンというのは、経済財政諮問会議、これがある意味では与党の力よりもはるかに力がある会議らしいですけれども、ここは骨太の話の中でいろんなビジョンを三十年後出しています。これとはどういうふうな整合を持った中での今度の法案なのか。さらにまた、先ほど県民所得のいろんな話がありました。東京と沖縄は二倍以上県民所得の差がある。そういうふうな意味からすると、その理念の中にやっぱり、全国計画の中で、あえて均衡性とは申しませんけれども、全国のバランス、これは極めて大事な話になると思うんですけれども、この全国のバランスというものをどのようにその理念の中で入れているのか。  この三点について質問さしていただきたいと思います。
  31. 尾見博武

    政府参考人尾見博武君) それでは三点、順次御説明さしていただきたいと思います。  まず最初の国づくり、人づくりというお話でございますが、私ども、人口減少ということを考えましたときに、一番大事なことは、人口が減るわけですから、その代わり人材の質を高めていくと、こういうことで補っていくということがまず一丁目一番地の話として大事になってくるんではないかというふうに思っております。そういう意味で、人づくりは先生今御指摘のとおりだと思います。  それを、じゃ国土を、三十年後どういうふうに念頭に置いてどういう国土にするのかと、そういう文脈の中でどうかというお話だと思います。そうしますと、一つは、今回の理念の中に、その特性に応じて自立的に発展する地域社会地域社会を支える人づくりということがございます。それから、国際競争力の強化及び科学技術の振興による活力のある経済社会、これは国際競争力の担い手としての人材ということは当然大きなウエートでありますし、科学技術立国ということを標榜している中でそういう面の人材ということが大きくあるんだと思います。それから、地球環境とか安全だとか、そういう分野についても立派な人材を育てていくということでいい国づくりができるのではないか、そんなふうに思っているところでございます。  さらに、二十一世紀ビジョンとのかかわりでございますが、二十一世紀ビジョンについては、ちょっと時間の関係もありますので詳細を飛ばさしていただきますけれども、共通点が一つございます。これは、人口減少の下でも、成長戦略といいますか、そういう経済成長をきちっとやっていって経済の活力、国際競争力を維持していくんだという問題意識でございます。その点は私どもも全く同じでございます。それからもう一つ人口減少が予想される中で地域社会の維持が困難となる地域と。要するに、地方地域、その問題についての考え方、こういうものについては若干私どもは問題意識を異にするなと。やはり日本社会地域が生き生きとして健全であることというのが絶対的な条件だと思っておりますので、そういう点は二十一世紀のビジョンのお考えと違うところもあるというふうに思っているところでございます。  それから、国土の均衡ある発展という理念でございますが、今回の法律の中では国土の均衡ある発展という文言が理念として書かれてはおりません。ただ、全体の、これは極めて法律上のテクニックのような話になりますけれども、国土利用計画法と国土形成計画法との関係は、国土利用計画法が上位法というふうに整理されているところであります。国土利用計画法におきましては地域の均衡ある発展という理念がきちっとうたわれておりますので、これから作成いたします国土計画についてもその理念をきちっと踏まえた上で対応していくということになろうと思います。国土の均衡ある発展という考え方一つのところは、やっぱり地域社会が自分の足で自立するということをいろんな形でサポートするということだと思いますので、そういう意味でこれからの国土計画の理念としても非常に重要なものだと思っております。  以上でございます。
  32. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 今の局長答弁である程度理解はできますけれども、ただ、地域社会が独りで歩いていく、これはもう地域社会は独りで歩けないんです。地域共同体という一つの構想を持たないと。  これは、私は昨年ドイツへ行かしていただきました。ドイツの国というのは、まあ連邦国家というふうなこともあるんでしょうが、すばらしい国だなと思ったのは、企業も行政も一極集中、実はしてないんです、五十万から百万の都市が三十ぐらいあって。だから、ベンツもBMWもそれぞれ本社が別々なんです。まあこれ、残念ながら東京の場合というのは、これもう、一部上場の会社はもう六〇%近い、人口日本の二十何%だ、行政がある。ですから、私は、この国土計画を進めるにつけては人口の分布というのは非常に考慮しなきゃいけない。  私、経済の分母というのは人だと思っておりますから、三位一体の構想で今地方が一番困って、税源移譲するといっても、将来、税源移譲されても困っちゃうのは、人口の少ないところは税源は所得税でいくわけです。これ、また同じ問題になるんです。ですから、やっぱりこの根本としては、人口のある程度分布、ですから、私はもう全総の中で、三全総四全総の中で四軸体制というのがあったんですね。あのときに、一つの軸に対してどれぐらいの人口が適当であるかというふうなこともたしか加味したはずなんです。こういうふうな構想を前提としない限り、全国計画にその前提を置いた中で広域地方地域計画を立てていかないと、これはなかなか私は成功しないんじゃないかなと思う。極めて危惧するところあるんです。  そういうふうな意味合いの中で、その人口問題について、これは局長か、人口についての今のバランスは極めてアンバランスな一極集中になっているけど、この辺が前提にならないんだろうかと、この件についての御見解をお伺いしたいと思います。
  33. 尾見博武

    政府参考人尾見博武君) 先生お話しのように、これまでの国土計画は、基本的に人口をどうするか、産業をどうするか、あるいはそれに関連する職業をどうするかということを中心命題としてやってきたと思います。  四全総までは人口フレームというのを決めておりました。国が言わば人口予測に基づいてそういう人口をブロック別にどういうふうに配分していくかと、まあちょっと表現が適切じゃないかもしれませんが、そういう枠組みがございました。グランドデザインの段階におきましては、事務的な作業としてはそういうものがあったのではないかと思いますが、少なくとも公式な計画として、人口その他のフレームについては一切それが記述されないということになったわけであります。  これからの人口減少時代に、その人口という問題を国の計画として配分をしていくか、分布の在り方をどう決めていくかという、決めることが適切であるのかどうか、これは国家の運営ということにもかかわる問題でございますけれども、ある程度人口は、例えば経済原則というか一つの市場の流れとか、そういうところで例えば職を求め、それから学ぶところを求めるというような形で、個人の選択の問題として移動というものが行われるという部分もございます。  そういうことを加味しますと、今後の人口減少社会においてそういうふうな形の人口計画というようなものを国土計画が保有することが適当かどうか、こういうことについてはこれから議論をしていきたいと思いますが、少なくとも人口減少というものがこれから大きく進行していく中で、それぞれの地域がどういうふうになっていくかという予測は当然いたします。それで、その予測の結果、例えば地方の中核都市の一時間から離れたようなところは大変厳しい状況になっていくだろうと思います。そういう地域を一体どういうふうにして支えていくかというふうな問題についての対応でありますとか、そういうことにつきましては、国土計画の中で個々に対策というか対応策を考えていくということに相なるのではないかと、こういうふうに思っておるところでございます。
  34. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 私は人口の配分なんという言葉は使っておりません。要するに、人口の適正な分布を前提としたというか、そういうふうな中でのやっぱり国土政策というのが大事であろうということを強調しておきたいと思います。  人口の問題、一極集中の問題になりましたんで、前もって予告しておいた質問からちょっと変わって、二つほど飛ばさしていただきます。  これは大臣にです。平成十三年、小泉内閣が発足をしました。で、これもまた経済財政諮問会議の中で特色ある地方都市の再生ということになって四年過ぎました。その中で、国土政策全体としては、六本木ヒルズ、汐留から始まって、大型都市の再開発事業がどんどんどんどんできた。それによっていろんな問題も起きていることは事実でありますけれども、それが結果的にこの四年間で三十万に近い人口が実は東京社会的要因で余計になっている。これは逆説的に申すと、一方で大変なまた過疎を招いて、集落、部落がなくなる。あと十年間で約二千の集落、部落がなくなると予測されております。  ですから、一極集中が結果的にもう過疎を生むことによって、お互いに何か、このまま行っちゃうと不幸な状況になってしまう。村がなくなっていいんじゃないか、部落がなくなっていいんじゃないかという大変強硬な話も時々聞きますけれども、村がなくなって部落がなくなる、町がなくなるということは、東京に空気も水も電気も送っているわけですから、空気も水も電気も東京では欠如するということになるわけだと思います。  そういうふうな中で、小泉内閣の発足してからのやっぱり国土政策、結果的には一極集中を更に助長した都市政策になってしまった。この件についての大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  35. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) 都市の再生については、この東京圏の都市の再生だけではなくて、全国の都市の再生について様々プロジェクトを実施し、また緊急整備地域を指定したり、また稚内から石垣までということで全国の都市の再生を取り組んでいるところでございます。  御承知のとおり、まちづくり交付金というのは、これはもう稚内から石垣までのそうした地方都市の再生に向けて使っていこうということを主眼としてつくらしていただいているところでございますし、また今、各地方地方ではそうした自分たちの地域魅力を高めていこうということで様々取組がなされているわけでございまして、そういうのをしっかりと支援をさせていただきたいと思っているところでございます。  人口お話についてございましたが、確かに東京圏におきましては十万人、直近でも十万人、十万人人口がこれは増えているわけでございますが、ただ、これずっと流れを見ますと、九〇年代の前半からは、今日に至るまで東京圏への転入数というのはほぼ横ばいなんです、九〇年代に入ってから。東京圏への転入数というのはほぼ横ばいなんです。  どこがその増える要因になっているかというと、入ってきた人の転出の数がこの九〇年代に入ってから急激に十万以上減っておりまして、転出の数が減っているんです。転入の数は九〇年代に入ってからも余り変わらない。ところが、出る人が昔はもうちょっと多かったんだけれども、今はその転出の数が非常に減ってきて、九〇年代前半に比べると約十万近く減っていると。それが十万人増えている要因になっているというところでございます。
  36. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 東京一極集中というのは、また出生率なんか見てみるとこれまたもう歴然として、日本、二十一世紀最大の問題というのは出生率なんですけれども、今一・二九、それが東京の場合は〇・八、〇・九、福島県は一・五ですけれども。一極集中がどんどんどんどん進むと出生率も何か下がるんじゃないかなと、極めて危惧するところであります。  そういうふうな意味合いの中からも、私は国土政策の中で、やっぱり一極集中というのは様々な弊害を生むということから、是正というふうなことはもう基本に考えてもらっていただかなきゃいけないことかなと、そんな思いをしております。  次に議論変わらしていただきます。  国土形成法と、それから武力攻撃事態法というのがあったんです。それと同時に国民保護法ってありました。その武力攻撃事態法のときもいろんな議論があって、攻めてきたときに、その町村長さんはどこにどういうふうな案内しながら避難するかとか、避難の場所はどこだとか、そういうふうなことが極めて懸念されるわけです。先日もロンドンでの大変なテロがあった。もう大量殺りくというか、そういうふうなときに、もう本当に大変な数の人を誘導しなきゃいけない。  そういうふうなことは、もう当然のことながらその国土政策の中、これからの国土政策の中には入れなきゃいけないと思っているんです。要するに、三年前のその事態特、それからまた国民保護法のときも、道路の問題とか河川の問題とか、特にまた空港をどうするかという問題に質問集中いたしました。  この三、道路、空港、港湾、この問題、これについてはどのような対応をするつもりなのか、これについての御答弁をお願いしたいと思います。
  37. 尾見博武

    政府参考人尾見博武君) 武力攻撃事態に関してのお話でございますが、大変難しい問題だなと正直思っております。  防災とか危機管理という観点からは、もちろん国土、先ほど来申し上げていますような国民の安全、安心という観点から、それをきちっと念頭に置いた対策を計画の中で位置付けて実行していくと、そういうことは当然だと思います。  武力攻撃事態ということになりますと、もちろん共通点もいろいろあると思います。どういう形で避難するかと、あるいは支援というか助けに行くかとかいうようなことで局面としては類似点もございますが、やはり武力攻撃事態というものに特有のいろいろ問題もあるのではないかと思います。  それらを含めて、国土計画の問題と今の安全、安心という一つの切り口でどこまでそれをやっていけるかということについては、個々の施設の管理の問題だとか、そういうのは国民保護法の関係の中で個別にいろいろ議論されるべきことだと思いますけれども、全体の国土計画の中で同様の観点で、危機管理という範疇で同様の観点で整理するということは直ちにできるかどうか、これは慎重に検討しなければならない問題だと思っているところでございます。
  38. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 局長、こういうことですよ。我が党の部門会議の中で、局長の耳にも入っていると思いますけれども、これはもう極めて国土政策の中で大事な法案だと、だから、場合によってはこれは内閣がお出しになるのが当然じゃないだろうかと、そして、しかもまたこれは大事な法案だけに国会の承認もさしたらどうだということで修正を出さしていただきました。  私は、そういうふうな意味から、この法案は単なる国交省のそのハードな面での国土政策、これだけじゃないんだという私は認識しているんです。いろいろあとその法案の中身の中で、これは当然農林省との関係、林野庁、場合によっては文部省、極めて多岐にわたる省庁間の中で合議をしなきゃいけないことがたくさん出てきているわけですから。  私が今申し上げたことは、その事態特、武力攻撃というのは特殊の場合だと言うけれども、しかし、一つのマニュアルというのはあのとき連想しながら我々も横須賀に行っていろいろ意見交換なんかもしてきたわけですけれども、要するにいろんな想定されるときに、いわゆる避難するその道路にしてもその空港にしても、どういうふうなことだと、これはもう常に頭に入れておかなきゃいけない。これは、単に国交省の法案だという認識でこれ出されると非常に私、困るところがある。  ですから、そういうふうなことを勘案しながらもう一回答弁をお願いしたいと思います。
  39. 尾見博武

    政府参考人尾見博武君) 今私が武力攻撃事態について申し上げましたことは、これは国土交通省の守備範囲外だからということでは決してございません。  内閣として問題を考えてみた場合も、私は、例えば道路の使い方一つ、具体的なことをなかなか申し上げにくいところもありますが、例えば国防に関して、自衛隊なら自衛隊の行動というものも一応いろいろ想定されます。そのときに、道路の使用がどうかというふうなことが出てくると思いますが、そういうような問題、武力攻撃事態のときも出てくるわけでありますが、そういう際に、いかなる例えば道路整備をそれに備えてしていくべきかとかですが、そういう観点になりますと、先ほど危機管理とかそういう形で申し上げたときには、例えば避難民の方を安全な地帯にいち早く、そういう点は共通のところがあると思います。それから、緊急物資を搬入するとか、あるいは自衛隊とか消防の救急救助部隊がその地域に入っていくということについて考えたときにこういうインフラをどう活用するか。その点では共通だと思いますが、若干違う要素もあるのではないかというような感じがいたしておりまして、そこのことについての整理ということについてはやはり慎重に考える必要があるのではないかと、こういうことを申し上げたまででございます。
  40. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 危機管理というふうな見地から、安心、安全、これを一つのモットーとしてこの計画を進めていきたい。  最後になりますけれども、どうしても私、気になることは、全国計画広域地方計画法案を読ましていただきますと、全国計画を基にして地方広域というふうなことになっている。ですから、もう当然その全国計画の中での一つの方針というのは出ると思うんですけれども、ただそこで、これも先ほど同僚からありましたけれども、地方考え方、そしてまた全国の全体としての考え方が相当やっぱりぶつかることも考えられるわけです。このときに、地方の主張というものをどれぐらい担保できるのか。そのときに、方針として、方策としてはどのようなことを、ぶつかった際の調整というか、これはどのように考えているか。この点についての御高察があれば、お聞きしたいと思います。
  41. 尾見博武

    政府参考人尾見博武君) 今回の広域計画制度の基本的な考え方は、まず、今おっしゃいましたように、国としては全国計画の中では基本的な指針を定めると。例えば社会資本整備につきましては、先ほど大臣が御答弁させていただきましたような観点から、これからの時代にはそういう社会資本整備が必要ではないかということで、現在の計画を例えばどこから手を着けたらいいか、どこを早期に完成させたらいいか、そういう議論地域の総意として決めていただくということができないかということであります。国の例えば施策に関して言えば、地方の側から例えば陳情というような形でお話が来るのと、自ら、自らの責任というか、それも十分かかわる話として物が決まってくるのと、私は大きな違いがあると思います。  そういうことで、まず協議会の運営の中でありますけれども、例えば一つの県で、あるいは複数の県が御相談されて、こういうふうにしたらいいじゃないかというような提案をいろんな形でされるということはもとより当然でありますし、そういうものが例えば知事さん方の中でお話がまとまって出てくれば、それは原案という形で示されて、それを軸に調整がされるということになると思いますので、そういう意味では地方のお考えは十分に反映できると思っております。
  42. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 終わります。
  43. 藤末健三

    ○藤末健三君 民主党・新緑風会の藤末健三でございます。  このたびは、我が国国土開発の基本的な法律地域開発関係の法律の体系のトップにある国総法の改正について御質問させていただきますが、このたびこのような大きな法律改正していただいた方々の本当に御努力には敬意を表しますけれども、私が一つ申し上げたいことは将来の、先ほど佐藤委員からもお話がございましたが、将来の我が国国土開発国土はどうあるべきかという将来像が見えないまま法律だけが変わっているんじゃないかということでございます。  ですから、将来の日本のあるべき国土の姿、そのためにはこの国総法を改正してどういうふうに持っていきますよという姿が全く見えていないということが一番大きな問題点と考えておりまして、まず一番初めに、私は大臣に、この法律が目的とする五十年後また三十年後のこの日本国土の姿というものをどう考えているかということをお聞きしたいと思います。お願いします。
  44. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) 先ほど来の論議の中で、なぜ国総法を改正する必要があるのかと、その辺のお話はさせていただいたわけでございますが、まさしく今委員のおっしゃった五十年後の日本の姿ですか、これはまさしくこれから、この法律が通りまして国土計画を、新たな国土計画策定をさせていただくわけでございますが、その中でまさしくしっかりと議論をしていただかないといけないところだと思っておりますが、やはり一番大きな問題はこの人口減少をどうとらえていくかという問題がやはり非常に大事な問題だと私は認識をしております。  二〇五〇年になりますと人口が約一億人、中位推計でございます。約一億人、今一億二千七百万人でございますから、これが一億人になると。また、高齢化率がまたこのころ非常にピークになっておりまして三五・七%、これも中位推計でございますが。この人口減少、また非常に急速な高齢化という社会になっているわけですね。そういうのにどう対処していくかということをやはり考えていかないといけない。  そういう意味では、やっぱり五十年先のことを考えますと、一つはやはり、私は、これ今しっかりやらにゃいけないことは、やはり安心して子供さんたちを産み育てられる日本社会をどうつくっていくのかというのは、これは本当に大事な、また優先すべき課題であるというふうに思っております。また、将来的には、これもこれから議論をしていただかないといけないと思うんですが、外国人労働者の問題をどう考えていくのかということも、これも恐らく非常に大きなテーマで両論あるんだと思いますが、こうしたことについても考えていかないといけない。そうしたこともよく議論をした上で、この五十年先の日本国土の姿ということを検討していただく必要があるというふうに思っております。  ただ、方向性といたしましては、従来、五十年前、五十年もっと前にこの法律ができたわけでございますが、戦後、昭和二十五年にできた当時と今とは全く社会経済情勢が違っております。開発を基調とした考え方から、これからは従来の社会資本をいかに活用していくのか、既存ストックをいかに活用していくのかというふうなところに視点が移っていくだろうと思いますし、また物よりも心というものをより重視した、物の豊かさよりも心の豊かさ、ゆとりとか、そういうものがもっと重視されるような社会になっていくことは間違いないと思います。そういうふうな方向性に立ってやはり計画というものを策定していく必要があると思っております。
  45. 藤末健三

    ○藤末健三君 大臣、どうもありがとうございます。  お配りした資料の二ページ目にこの人口の話、私も今後の少子化というものが大きな課題だと思うんですが、人口の推移を書いています。これを見ていただきますと分かりますように、鎌倉時代、一番左にありますように鎌倉時代、大体七百万人だったもの、それが江戸幕府の設立期には千二百万。そして、明治に入るころには三千万になったと。今まで、この明治以降、一億二千七百万人ぐらいになっているということで、何を申したいかというと、この日本歴史を見ると、ずっと人口、増え続けているんですよ、千何百年。初めて人口が減るということ。そしてまた、戦後を見ていただきたいんですが、戦後に急激に人口が増えています。急激に人口が増える。戦争があり、荒廃した日本をまた、藤野先生から本当に教えていただきましたように、戦後の荒廃から立ち直り、そしてまた高度な経済成長を目指すという中でつくられた国土開発の枠組み。  ですから、人口減少に対応しましょうというんじゃなくて、もうもっと大きくかじを切らなきゃいけないんじゃないかと、歴史的な転換期だと思うんですよ。その点について、局長、いかがですか。お願いします。
  46. 尾見博武

    政府参考人尾見博武君) 人口減少の問題につきましての認識は、基本的に全く先生と同じであります。この図を見ていただきますと、ドラスチックに、まあこれは二次関数の姿になっていますけれども、同じ勢いで落ちていくと、これは大変なことであります。  どう対処するかという抽象的な言い方をしていますが、私は二つあると思うんです。  今までは、人口増加する、それと経済の成長がうまくかみ合って、言わば正の循環でどんどんできてきたと思います。日本国土歴史を考えますと、この人口を養えない時代というのも当然あるわけでありまして、歴史的にはそういう意味日本からある種の人口を海外に輸出するというふうなこともあったわけでありますし、江戸時代も三百万人近くなるまで、これは水田開発、新田開発が進んでこうなったわけでありますが、それがある時期になると停滞をしてそういうふうになっております。  そういうようなことですので、私どもは、今までこういう正の循環の中で築き上げられてきました制度の基本的な考え方、それに基づく事業、そういうものをそれぞれの立場で、やはりこの先、今の制度を維持すべきかどうか、どういう点を改善したらいいのか、そういうことを考えていただくための大きな方向転換一つだというふうに一つは思っております。  もう一つは、ここまでやはり先輩の方々が御努力をして築き上げてきたわけでありますので、この暮らしを今後、こういう不安要素がある中でも何とか維持して、国民の方々に安心して安全で豊かに暮らしていただくということにするためにはどういう新しい仕組みなり支援が必要なのかと、そういうことについてこれから広範な議論をお願いをして対応策を決めていくということにすべきではないかと、こういうふうに考えているわけでございます。
  47. 藤末健三

    ○藤末健三君 そういうことをちょっと、御回答を確認したいんですけれども、今の御回答は、将来のあるべき姿というのはこれから議論しますよということをおっしゃっているわけですか。確認ですけれども、いかがですか。
  48. 尾見博武

    政府参考人尾見博武君) あるべき姿については、先ほど来大臣の方からも御答弁させていただきましたように、どういうことを政策目標として、国土政策の目標として設定していくべきか。例えば、先ほどの利便性だとかそういうことに代えて、安全だとか安心だとかそういう点を中心命題に据えていくべきじゃないかとかということで、計画を作っていきます場合の大きな枠組み、柱立て、そういうことについては一定程度させていただいているというふうに考えているところでございます。
  49. 藤末健三

    ○藤末健三君 じゃ明確に、ちょっと細かいことを申し上げますけれども、先ほど大臣から御回答ありましたように、今後の姿というものについては、安心して子供たちを育てるようにと、あと外国との関係をどうするか、あと社会資本を有効に利用しようということをおっしゃっていただきまして、僕はすごく正しいと思います、大臣がおっしゃっていること。ただ、一点あるのは、新しい法律案の中の「国土形成計画の基本理念」という、三条にございますけれども、この理念と先ほど大臣がおっしゃったことはほとんど一致してないんじゃないかと思うんですよね、はっきり申し上げて。その点、いかがですか。
  50. 尾見博武

    政府参考人尾見博武君) 理念のところは、四つほど理念を挙げていると思います。まず、国土形成計画、第三条でございますが、我が国及び世界における人口産業その他の社会経済構造の変化にまず的確に対応すべきであるということを基本的に据えております。それで、その特性に応じて自立的に発展する地域社会国際競争力の強化及び科学技術の振興等による活力のある経済社会、これは東アジアとの関係で申し上げたところでございます。  それから、安全が確保された国民生活並びに地球環境の保全にも寄与する豊かな環境の基盤となる国土を実現するよう、我が国の自然的、経済的、社会的及び文化的諸条件を維持向上させる国土形成に関する施策を、国内外の連携の確保に配意しつつ、適切に定めるということでございまして、今大臣が申し上げましたようなことはこの理念に私どもは規定されていると、こう考えているところでございます。
  51. 藤末健三

    ○藤末健三君 いや、そういうふうな御回答をいただきますと、もう何でも読めると思うんですよね、正直申し上げて。  僕はもう、この理念自体にも細かいことを言うといろんな疑問はございますが、やはりきちんとした姿を見せていただきたいと思うんですよ、正直申し上げまして。こういう四つの理念がありますと、じゃ、これで読めます、これで読めますじゃなくて、そもそも日本国土がどうあるべきかということをきちんと示した上で、その上で法律の体制がこうですということをきちんと示していただきたい。多分、難しい法律を一生懸命やっていただいたのは分かりますが、正直申し上げて。それでもやはり、正直、これは失礼なことを言うとやっぱり小手先で変更、改正したんじゃないかなというところも感じるところありまして、やはり将来的な姿、それに合わせて法律をこう変えていきます、次にはこの法律をどう変えていきますという形をやっぱり示していただかなければ、僕は、全体像が見えずに、この法律だけの議論はできないと思っていますが、いかがですか。
  52. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) 委員に是非御理解いただきたいのは、先ほど五十年先の話とおっしゃったから先ほどあのようなお話をさせていただいたわけですね。こういうことが重要だと私は認識をしておると。  この法律が通らせていただきましたならば、まさしく国土形成計画、また地方におきましても広域地方計画というものを、これ策定をしていくわけです。特に、この国土形成計画策定に当たっても、地方からの提案制度だとか、国民の皆様の様々な多様な意見を反映させるような仕組みもつくっているわけでございます。  この法律は、そういう意味では一定の基本的な、この三条に示されているような、なぜこの法律を抜本的な改正をするのかというところの趣旨とその方向性について規定をしておりますが、一方で、手続的にこういうことをしっかりやっていきましょうと、地方の声をしっかり聞きましょうだとか、そういうふうな手続の面においても非常に大きく変えている法律であるということを是非御理解いただきたい。  これからまさしく、そうした今委員の問題意識を持たれているようなことについては、方向性はこの三条に確かに書いてありますが、これは当面のことも含めて書いてあるわけでございまして、それはまさしくこれから国民的な御論議、国会での御論議をいただきながら策定をしていく必要があると思っているわけでございます。
  53. 藤末健三

    ○藤末健三君 お配りした資料の一ページ目に、ちょっと見ていただきたいんですが、これは先ほど藤野先生からも御説明ありました、この国土開発歴史的なものでございます。その中で、一番下を見ていただきますと、それぞれどのような国土をつくるためにどれぐらいの投資規模が必要かということをずっと、ある程度決めて動いてきたわけでございます。  そして、四ページ目をごらんになっていただきたいんですが、国土の基盤をつくるためのいろんな投資というものを計算されておりまして、これは国土交通省で作られているものですけれども、それぞれいろんな分野、交通分野、保全分野、産業、文教と、いろんな分野がございますが、このような投資がどのように今後なっていくかということについては全く議論はされてないかどうかというのをちょっとお聞かせいただけますでしょうか。ですから、将来的なことを私はお聞きしたい。その中で投資というものが将来どうなるかということも議論されているかどうかということをお聞きしたいんですが、局長、いかがですか。
  54. 尾見博武

    政府参考人尾見博武君) これからの社会資本整備の在り方ということを考えていきます場合に、これからどれだけの投資余力があるかということは当然のこととして議論をしております。  先ほど先生からも御紹介いただきました国土審議会の「国土の総合的点検」ということの中で、これから、例えば二〇二〇年ぐらいの段階で新規投資がどれだけできるか、維持管理投資がどれだけ必要になるか、更新投資がどれだけ必要になるか、これはいろんな前提をもちろん置いております。公共投資がこれからどうなるかということについてはいろんな議論があるところでありますので、いろんな前提を置いてでありますが、そういうことを念頭に置きながらもちろん議論をしているところでございます。  それと、あと一点、実は新しい計画のイメージというか、そういうものがないのではないかということでありますけれども、実は私ども、大変僣越ではございますけれども、この法案と同時に新しい全国計画についての試案というような形で、ほんのサンプルというふうに申し上げますが、大体こんな感じのことを考えておりますというのを法案説明の際に併せて御説明をさせていただいてきたという経緯があることだけ御承知おき願いたいと思っております。
  55. 藤末健三

    ○藤末健三君 サンプルは御説明いただきまして、いろいろ工夫はされているなということは思うんですけれども、サンプルを見た上で、やはり日本国土の将来像というのは私には分からなかった、正直申し上げて。サンプル、本当に努力してお作りいただいたんだなとは思うんですが。  ですから、今回の法律、やはり国土がどうあるべきかと、そのために法律をどう整備するかという形が僕は本来正しいと思うんですよ。この法律を私が見ていると、取りあえず手続、枠組みだけをつくって、そして後で皆さんで、みんなで議論するんですよというふうに言っているような感じがするんです。やはりこの国会の場においてきちんと将来の日本のあるべき姿を議論した上で、我々が議論した上でそして法律整備するというのが私は手続としては正しいと思うんですよね。ですから、その点はちょっと強く申し上げたいと思います。  また、次の質問としまして、佐藤委員からも話がございましたけれども、地域の格差をどう考えるかという話がございます。  今回の国土形成法におきましては、地域の均衡ある発展ではなく、国土利用計画法において地域の均等な発展ということを支えているということをおっしゃっていただいたわけでございますけれども、資料をちょっと持ってきまして、三ページ目にございますが、この五十年振り返ってみますと、実は地域所得格差というのはどんどんどんどん縮まってきた歴史でございます。ジニ係数というのがございまして、これは低くなれば低くなるほど地域間の格差が少ないということ。そして、下の表は一九六一年に二・三二と書いてございますが、一人当たりの県民所得が上位の五県と下位の五県の格差、一九六一年、一人当たりの所得が、県によっては二倍ぐらい平均的には差があったものが二〇〇〇年には一・五倍になったと。  こういう格差が縮小した中で、非常に今まで国総法が果たした役割は大きいと思うんですが、今後の地域の所得の格差をどう考えるかということを伺いたいと思います。地域が自立して、地域に任していきますよということは結構だと思うんですけれども、私は、下手すると所得の格差がまた拡大してしまうんじゃないかな、地域間によって、ということを懸念するんですが、この点につきまして、局長、いかがでございますか。
  56. 尾見博武

    政府参考人尾見博武君) 所得の地域間格差の問題でございますけれども、今先生も御指摘になりましたように、一人当たりの県民所得のジニ係数、これを見ますと、九〇年代以後、格差が縮小しているというのは疑いのないところだと思っております。  一人当たりの県民所得の上位五県平均と下位五県平均の格差、これも調べてみましたが、これも低い水準で安定しているというふうに思っております。それから、OECDの各国と一人当たりGDPの地域間格差を比較するという表がございますけれども、それも二十六か国並んでおりますけれども、日本はその中で二十五位と、日本より格差の少ないのはスウェーデンだけというような状況であります。日本の何倍もあるところもあるというふうに思います。  そういうことで、格差の是正ということについては、これからどうなるかという今御指摘もございましたけれども、そのことについては断言は申し上げられませんけれども、ある水準に到達しているというような評価なり認識は持ってもいいんではないか、このように考えているところでございます。
  57. 藤末健三

    ○藤末健三君 やはり今までこれだけ、先ほど御指摘ありましたように、OECD、先進国の中でも本当に地域格差が少ない国というのは僕は誇れることだと思いますし、またそれは国土交通省の諸先輩方の本当に努力だと思うんですよ。ですから、引き続き、また日本がきちんと地域の格差がないように発展するように進めていただきたいと思います。  次に、ちょっと御質問させていただきたいのは、今後、地域の自立という話がございまして、地域がどんどんどんどん自分たちである程度自立して地域開発発展を考えていくという枠組みができてくるわけでございますけれども、五ページ目の資料をちょっと見ていただいてよろしいでしょうか。五ページ目の資料は、国土利用計画法に基づく土地利用計画制度の体系ということでございます。  国土利用計画というものが一番左端にございますが、全国計画、都道府県計画、そして最後に市町村計画ということで、最後は市町村計画があるという形になっております。ところが、この市町村計画がどれだけ策定されるかというのを見ますと、次、六ページ目をごらんになっていただければと思います。この六ページにありますのが各都道府県における市町村の国土利用計画を作っているところと。一番下に平均がございますが、六〇%しかないんですよね、六〇%しか。  まず、一つお聞きしたいのは、なぜ六割にも満たないのかと。市町村で国土利用計画を作るところが六割しか満たないかという、この理由をお聞かせいただけませんでしょうか。
  58. 尾見博武

    政府参考人尾見博武君) まず、法制的な位置付けを申し上げたいと思いますが、市町村計画については法律策定が義務付けられておりません。作る、作らないは市町村の任意と、そういう範疇になっているということをまず申し上げたいと思います。  で、未策定の主たる理由といいますことについて、私どもアンケート調査を過去にやったことがございます。そういうものをベースに考えてみますと、例えば、これは平成十一年の五月の時点ですからいささか古うございますが、他の土地利用計画、関連計画で十分であるというようなものが三九・三%、土地利用の変動が少ない、三七・六%、こういうものが大きく目立っております。  ほかの計画と申しますのは、例えば地方自治法に基づく基本構想というのがございます。それから、都市計画法に基づきまして市町村の都市計画に関する基本的方針、いわゆる都市マス、都市計画マスタープランと呼んでおりますが、そういうものなど、ほかの計画国土利用に関する基本構想等があって国土利用計画市町村計画で定める内容について盛り込んで既に策定している、ほかの計画でこの内容もカバーしていると、そういうことが挙げられるのではないかというふうに思っているところでございます。
  59. 藤末健三

    ○藤末健三君 私も、そのアンケート調査も知っていますし、また実際に自治体の方にもお話をお聞きしました。何を自治体の方がおっしゃるかと申しますと、いろんな計画がいろんな法律があって作られると、どの法律がどこに対応しているか分からないとおっしゃるんですよ、法律が多過ぎて。それをきちんと整理するのがこの法律の目的じゃないかと思うんですけれども、いかがですか。  このまま行くと六割しか策定しませんと、ほかの法律の関係がいろいろあってよく分からないということになるんではないかということを非常に危惧していますが、いかがでございますか。局長、お願いします。
  60. 尾見博武

    政府参考人尾見博武君) この点については、今のアンケートのほかにも都道府県、市町村の皆さん方とるるいろんな機会に御相談というか意見交換をさせていただいているところであります。私も公共団体に出向いたしましたときに、土地対策課というか、そういうところで仕事をしたことがございます。  そういう経験も踏まえて申し上げますと、実際問題として、市町村計画策定をして対応しなきゃならないようなニーズが一体、あるところとないところというのがあるのも現実だというふうに思います。  国土利用計画法のそもそもの成り立ちは、あの土地投機の時代昭和四十九年の土地投機の時代ということでございますので、それについて土地の取引規制だとかそういうことをやろうということの前提としての国土利用計画という意味合いがあったと思いますので、市町村の側からのニーズからすれば、そういうところまでの必要性はないというお考えがやっぱり強いのではないかと、こういうふうに思っております。分権の時代にも合致しているのではないかと、こう思っておるところでございます。
  61. 藤末健三

    ○藤末健三君 五ページ目に書いてございます続きを見ますと、右側に都市計画区域、これは都市計画法、あと、農業地域については農振法、森林地域については森林法、自然公園については自然公園法という形で、ほかには独立する法律は一杯あるんです、土地を規制する法律が、土地利用を。地方自治体の方もどれを使っていいか分からないという状況で、私はその市町村計画ができない理由は二つあると思います。  一つは、やはり当初の目的が、おっしゃったとおりだとは思うんですけれども、やはり包括的なものを作るということを示してないからだと思うんですよ、都市計画、農地の計画、市街地地域どうするのかと。今、市街地地域、アーケードへ行くとシャッター下りているじゃないですか、ほとんど。そういうきちんとした、全体的なことを自治体が見れるような枠組みがない中、もうばらばらの法律を見なさいといっても見れないんですよ、本当に今。  今、自治体が土地規制法に関してきちんとした条例作っているところを見ると、二割しか作っていません、条例。八割が使いこなしていないんです、法律を。そういう状況をきちんと整理することがこの新しい法律の国総法の改正に必要じゃないかと思うんですが、それに対応しておられますか。これ最後の質問です、今日の。お願いします。
  62. 尾見博武

    政府参考人尾見博武君) 国土総合開発法改正につきましては、これまでも、地方分権に関する議論などを踏まえまして、全国計画については、先ほど来申し上げましたように、国の施策として実施すべきものについて限定をするというふうなことで基本的には考えております。  広域地方計画も、そういうことをベースにしながら広域的な課題も入れますけれども、そういう意味で、個々の市町村の計画については、この国土計画の体系の中では、分権の考え方に基づいて自主的、自立的な対応でまちづくりを考えていただくべきものだと、そういう整理をさせていただいております。ただ、広域計画について市町村からの提案をしていただくような制度は併せて設けているところでございます。
  63. 藤末健三

    ○藤末健三君 私が申し上げたいのは、国土交通省、今まで全国国土利用計画はたしか総理大臣が担当していましたよね。今度、国交大臣に変わってしまうということはありますが、国土交通省はやはりきちんと土地の総合的な利用についてイニシアチブを取って、いろんな法律あって、もういろんな省庁が担当してもうぐちゃぐちゃになっていると。制度はあるけれども使えないような状況なんですよ、今。それを是非正していただきたいと思います。  これをもって質問を終わらさせていただきます。ありがとうございました。
  64. 田名部匡省

    委員長田名部匡省君) 午後一時から再開することとし、休憩いたします。    午後零時十一分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  65. 田名部匡省

    委員長田名部匡省君) ただいまから国土交通委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、総合的な国土形成を図るための国土総合開発法等の一部を改正する等の法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  66. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 民主党の北澤でございます。  本法案について、七十分時間をちょうだいいたしましたので、質問させていただきます。  この法案を提案されてからずっと見ていまして、我が国状況が大きく変わってきたというそういう潮目をとらえて改正に入ったという、そのことについて私は賛意を表するものです。  もう一つは、日本の国、この国土というのは大変にすばらしい国土であります。四季折々の変化もあるし、この狭いところに一億二千万の人間が世界に冠たる経済国をつくり上げてきた。それでなおかつ、かなり環境破壊がされたとはいいながら、私も週末に長野へ帰りますと、我が長野の先輩であります、長野県の豊田村、豊田村は今度中野市へ合併になりましたけど、中野市というのは中山晋平の生誕の地であります。その隣が豊田村で、ここでウサギ追いしかの山等を作詞したあの高野辰之さんの生誕地である。それで、あの高野さんの歌の中に、菜の花畑に入り日かすみ、見渡す山の端、山の端は山の頂ですね、かすみ深し。今でも行ってふるさとで山を見ますとこういう情景がそのまま残っていますよ。そういう意味において、今ここでかじを切って我が国をもう一度よみがえらせていく、この保全をしていくということは極めて重要なことだというふうに思います。  そこで、この法案の、私は改正というのは気に入らないが、後ほど申し上げますけど、改正に期待されるものというのは、この計画を作るときの地方分権の強化です、今の時代からすればね、まず一つは。それから二つ目は、先ほど来盛んに議論されております、人口減少にかんがみて開発から環境保全へという視点ですね。それから三つ目が、先ほども藤野さんの方から話がありましたが、東アジア諸国との国際連携。これは、今中国や韓国とぎすぎすしている領土の保全の問題があるわけです。これを放置してきたから今日ああいう形になってきている。ここに視点を置くということも私は大変重要なことだというふうに思っておるわけでございまして、そういう意味では、国土総合開発法の一部を改正する法律案の方向性について私は十分に理解できるし、賛意も表するところなんですが、ただ、この法律が、昭和二十五年、それ以来半世紀ですよ、半世紀にわたって我が国のあらゆる計画の根拠となってきたわけでありまして、したがって、この国土総合開発法が大きな時代の変化に伴って、改正することはもう当然ですけれども、しかし、ここで思い切って、改正ではなくて新法でいくべきであったというふうに私は思うんです。そのぐらいの心構えがないと国民に十分に理解をしていただけないんではないかというふうに思っております。  そのことについて、まず二つほど御質問申し上げたいと思います。  まず一つ目は、新しい時代にふさわしい新法を制定するという選択をしなかったことの理由、それを大臣大臣がそういう選択をされたということだろうと思いますが、お考えをお聞かせいただきたい。
  67. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) 今、社会経済情勢が、北澤先生の方でおっしゃっていただきましたように、大きな変化の中にありまして、国土計画の在り方を抜本的に見直していこうということにつきましては、今先生の方から賛意をちょうだいしたというふうに理解をしております。そういう意味で、確かに新法を制定するという方法もあったかもしれません。また、衆議院の方でも、特に御党の先生方からは、これは改正よりも新法の方が良かったのではないかという御意見も確かにちょうだいをしてまいりました。  中身自体は、ほぼすべての条文を抜本的に見直しております。そういう意味では、実質的には新法制定に等しい内容となっているとも言えるわけでございますが、一方、これまでの全総、この国総法に基づく全総計画と全く切れてしまっているかというと、そうでもなくて、総合的な国土形成を推進するための計画に関する法律という意味では、そういう基本的な性格においては基本的な変更はないという理解から、本法案につきまして改正という形で提案をさせていただいたところでございます。
  68. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 法律的に言うとそういうことなのかもしれませんが、しかし、この法律は国の将来を国民に提示していくわけですね。だから、大きな変換点のところでまずそういう決断をするのが私は政治の在り方だというふうに思っております。しかしこれは、今ここまで来てしまえばせんないことでありますが、私は、やがて、我が民主党が政権を取るのはそう遠くないだろうと思うんで、この議事録へきちっとこういう考え方を残しておきたいという思いから申し上げた次第であります。  もう一つ、同じレベルで申し上げますと、これは全省にわたって国土交通大臣が協議の上、計画策定するわけであります。それからさらに、内閣府の設置法において経済財政諮問会議の調査審議を経ることと、こういうふうになっておりますね。要するに、我が国の重大な計画であると同時に、将来の国の形、いわゆる国土とか国民生活とかそういったようなものを国民に提示して、国の責任の明確化を図ると、こういうふうに規定をしております。  要するに、この考え方はどういうことかというと、政治の意思表明なんですよ、政治の意思表明。したがって、これを、制度上そうなっているからといって、大変失礼な言い方でありますが、一国土交通大臣がこれを策定するという私はレベルの問題じゃないと。もっと大きな重みのある、時の内閣総理大臣が決めるべきものだと、こういうふうに思っておりますが、このことについては、多分、省庁再編の法改正によって政府部内を取りまとめるべき権限を国土交通大臣が持たれたというようなことを答弁されると思いますが、これは衆議院の方でも答弁しているようでありますが、しかし私は、それをはるかに超えたところでやるべきと。  本来、この五全総を、後ほどちょっと申し上げますが、五全総の走行期間中に切り替えるということは、小泉内閣が橋本内閣に替わって新しい時代を切り開いていくよと、こういう政治の意思表明をするんであって、小泉さんが、これ先頭に立ってやらなきゃいけない。しかし、小泉さんが国総法について語ったことは一度も聞いていない、国民にも何にも言っていない。郵政民営化、郵政民営化。こんなばかな話はないんですよ。国総法が今、改正を国会へ提出されているときに、小泉さんから何の発信もないということは極めて異常だと私は思う。その分を北側大臣が苦労しているんでしょう、額にしわ寄せながら一生懸命になって。まあ大変だと思いますが、私は同じ政治家として、まず大臣、私の今の政治の意思表明だということと、総理大臣が先頭に立ってやるべきだということについての御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  69. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) これは国土計画にかかわるものでございますので、国土交通省はもちろんでございますが、全府省がかかわっている極めて横断的な事柄でございます。委員の方から、国土交通大臣が調整するのではなくて総理がやればいいじゃないかと、それだけ重要性がある事柄ではないかという御趣旨でおっしゃったというふうに理解をしております。  一面、国土交通省というのは、委員もよく御承知のとおり、陸海空のすべての社会資本整備について担当をさせていただいております。そういう意味では私は、一面、そういう我が国国土のありよう、また課題についてよく分かっている官庁だというふうに私は思っております。そういう意味で、そういう官庁がほかの省庁とよく調整をいたして、国土の今後の在り方についてリーダーシップを発揮していくということは、これは実の面からいうと私は十分意味があるのではないかというふうに思っているところでございます。  いずれにしましても、内閣府はもちろんでございますが、関係省庁とよく連携し、またよく調整をさせていただいて、今後の時代にふさわしい国土と国民生活の将来像を、ビジョンを示してまいりたいというふうに考えております。
  70. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 官房長ね、今のと同じことなんですが、省庁再編のときに調整官庁の国土庁がなくなって、それを国土交通省の中へ抱え込んだわけですね。あの当時、あなたは何していたかちょっとよく分からないんだが、これはえらいことだと思いましたか。それとも、いや、また畑が一つ広がったと、こう思ったのかどうか分かりませんが、これ全省庁と協議して、確かに官僚とすれば、総理の下で仕事をやるような大きな仕事をやる、自分たちがやるというのには多分武者震いもしたんだろうとは思いますが、大変なことですよ、これね。尾見さん、だんだんやせてくるかも分からぬ。省内で、こんなことを引き受けていいのかとかいう、そういう声があったのかどうか。  それから、これは今大臣が言われたように、陸海空でもって日本国土に一番かかわりの深い我々がやらせてもらうことは大変名誉だ、一丁やりましょうやと、こういう、国土交通省、あなたの場合は建設省だった、あの当時はね、そういう気持ちだったのか、どうですか。
  71. 峰久幸義

    政府参考人峰久幸義君) 私は当時人事課長だったと思うんですけれども、それで、当時の基本方針は、一つの省ができる限り総合性、包括性を持った行政機能を担うこととするということで、そういうことで基本方針としましてこの国土計画についても扱われたわけでございます。  そういう意味では、我が省が全部を領域カバーしているわけじゃなくて、各省庁横断的な問題ではありますが、そういう意味での総合的、包括性を持ったものを担当できるということについては、国土交通省としては非常にいいことかなというふうに個人的には思っておりました。  それで、条文的なあれで恐縮ですが、おっしゃられましたように、国土計画策定者というのは、省庁再編前は、実質的には総理府の外局であった国土庁の長官がやっておりまして、法律上は総理府の長たる内閣総理大臣がやるということになっておりました。それで、内閣総理大臣が関係行政機関の長の意見を聴いて計画策定するということでございました。それが、おっしゃいましたように、省庁再編に伴って国土交通大臣が実務上も策定権者としても策定するというふうに整理されたわけです。この考え方は、従来は国土計画策定事務を所掌するそれぞれの大臣策定者と、こうされていたわけでございます。  しかし、御指摘のように、国土計画というのは、全府省に横断的な見地から策定されるべきものでございますので、今回の法律改正では、この点を明確にするために、国土形成計画は内閣全体として国が、国土交通大臣と書かないで、国が閣議決定により策定することを明らかにしております。それで、国土交通大臣はどういう書き方になっているかといいますと、関係行政機関と調整し、全国計画の案を作成し、閣議決定を求める、そういう事務を担当するという、こういうふうな制度的な枠組みになりました。  そういうことで、国土形成計画というのは、国として全府省横断的な見地から策定するという意味では、今までは内閣総理大臣といっても、総理府の長というか、国土庁長官の上にある内閣総理大臣という、そういうふうな所掌事務のトップたる長だったと思うんですけれども、そういう意味では、より強化されて、国が閣議決定をして定めるというふうに、国土交通大臣が定めるというのではなくて、そういうふうになっておりますので、そこのところは強化されているというふうに思っております。  それで、我が省との所掌事務との関係では、先ほども申し上げましたが、案の作成と関係行政機関の調整などに係る事務を、それを設置法上の所掌という形でなっておりまして、この点については先ほど大臣も御答弁されましたけれども、やっぱり最も国土計画に関係の深い国土交通省が担当して、それで他のどの府省が行うよりも、これからの努力としましてはより的確かつ円滑にそういうことが、事務ができるように努力していきたいと思っていますので、そういう点についての御理解と御支援をいただきたいと思います。
  72. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 今となればそういう答弁しかないんだろうと思いますが、これは私は間違っているというふうに思っていることだけ申し上げておきます。  重ねて申し上げますが、これ、民主党が政権を取れば、この法律そのものを多分残さないだろうというふうに思います。国土形成法というものよりは違ったものを、私はそんな偉くないから分かりませんが、方向性からすればそういうことだろうというふうに思います。  そこで、実務担当の局長にお伺いしますが、まず冒頭に、ただいま申し上げたようなことで、大変な作業だというふうに思います。それから、今官房長が言われて、事務方を引き受けるんですよと、こう言うんですけれども、事務方を引き受けるといったって、一体だれがこういう方向を出すんだというんですか。全国計画大臣が作るんですよ。今、永田町は明日にでも解散があるんじゃないかというような風も吹いている。北側大臣が留任するのかもっと違うところへ行かれるのか、それは分かりませんよ。そうすると、結局、今までのこの経緯の中からやるとすれば、私の経験からすると、これはもう国土交通省のお役人さんたちが作る以外にないんですよ、総理大臣がサボっちゃっているんだから。指示出してこないんでしょう。  尾見さん、どうですか、局長。今のようなことからして、大変な作業だというふうに思いますが、内閣総理大臣から、北側国土交通大臣を通じて、今度の全国計画についてかくあるべしということが伝わってきていますか。
  73. 尾見博武

    政府参考人尾見博武君) この総合的な国土形成に関する法改正でございますけれども、当然のことながら、閣議決定をして今国会に出させていただいております。そういう過程の中で、当然官邸にもしかるべき説明をさせていただいているというところでございます。
  74. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 では、少し個別に入ってお聞きをしてまいりますが、直近の二十一世紀国土グランドデザイン、これは閣議決定平成十年の三月、ちょうど七年ですね、七年を経過。しかし、この計画は、我が国の三十年から五十年の長期展望の下に、平成二十二年から二十七年を目標とする国土計画であったわけですね。今回、これをほごにして新たに計画策定するということは一体どういうことなのか。  それから、このときに、これを決定するときに人口減少社会、高齢化社会、高度情報化社会、こういうことは主要なファクターとして既に入っているんですよね。今度のところにもこれは同じものが入っている。ただ一つ違うのは分権ですよ。ただただ分権のために今これを変えるのか、どういうことですか。
  75. 尾見博武

    政府参考人尾見博武君) 御説明をさせていただきます。  今、グランドデザインについての御指摘がございました。私ども、今回、平成十九年から始まります人口の急速な減少を背景に、国民の方々の中に将来に対する不安、不透明感が非常に拡大しているということで、今この時期に将来の国の形としてしっかりとした見通しを出すということが正に必要になっているんではないか、こういうふうに認識したわけであります。  それでは、グランドデザインでは同じような方向性が既に出されているんではないかと、こういう御指摘だと思います。確かに人口減少時代ということについて予測はしております。予測はしておりますが、平成十年当時は、それは先の話として、もちろん計画期間の中には入っているんですが、足下の人口増加をしております。ですから、そういうことを見込んでおりますので、人口減少というものを正面からきっちり一番大きな事柄として見据えてその対応を中心に取られたと、こういう計画にはなっておりません。  それから、東アジアの問題、今先生も御指摘になりましたように、今回の新しい国土計画を作る大きな動機の一つになっております。これも、世界に開かれた国土ということで、東アジアのことを念頭になかったと言えばうそになると思いますが、今般起きているような急速な東アジア発展中国発展、そういうものについては必ずしも今のような形での認識は持っていなかったということははっきり言えるのではないかというふうに思っております。  それと、分権ということでございますが、やはりこれは国土づくりについて、この分権の流れというものを踏まえないでこの計画計画期間中ずっと続けておくということが一体どれほどの意味があるのかというほど私は大きなテーマだと思っておりますので、そういう分権への対応というか、そういう点が全くされていないというこの三点において、やはり新しい国土計画を作成をする、しかも法律の基本的な思想を変えて策定する必要があるんじゃないかと、こういうふうに考えたわけでございます。
  76. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 それはそのとおりだろうというふうに思いますよ。  そうすると、もうこれを決定するころは人口減少というのは十分に読めたんですよ。読めたけれども、しかもその主要ファクターの中に入れておったにもかかわらずその手当てが十分にこの計画の中に生かされていなかったということでしょう。そうすると、その当時からもう既に財政赤字が顕著になってきていますね。今回もうこれは財政赤字が大変なこと、もう八百兆になんなんとする財政赤字、これを今度の新しい計画の中でしっかり組み込んでいるのかどうかと。そういう意味では、このグランドデザインが政策評価法とのかかわりの中でどんなふうに今までなってきましたか。
  77. 尾見博武

    政府参考人尾見博武君) このグランドデザイン、新しい国土計画につきましては、今度の法律の中で政策評価をきっちりいたしますということを明確にしております。  それで、関連する広域計画でありますとか、そういうものについては特段の規定を置いておりませんけれども、一体のものとして全国計画を政策評価をして、必要な見直しをするというときには、当然連動するものとして見直しをしていくと、そういう考え方で制度設計をしているところでございます。
  78. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 いやいや、私が聞いているのはグランドデザインの方の評価についてどういうふうになっているかということ。この新しい方のはこれからのことですから。
  79. 尾見博武

    政府参考人尾見博武君) 済みません、ちょっと……。  政策評価という意味では、国土審議会で昨年の五月に「国土の総合的点検」というのをまとめさせていただきました。それがグランドデザインに対する政策評価という位置付けになっているというふうに承知しております。
  80. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 そこで、今、先にお答えになった今度の国土形成計画ですよね、これ全国計画は個別事業を列示しないと、こういうことになっていますね。列示をしないでおいて政策評価法の対象にすると、こういうことですね。それで、広域地方計画の方は個別事業を列示して政策評価法の対象にしないと。何となく勘ぐりたくなるんですよね。個別事業を列示してあるものの方は政策評価はしないで、各地域から上がってきたもののサマリーのような格好で全国計画は政策評価の対象にすると。何か言葉が悪いが、逃げているというのか隠しているというのか、後の評価に自信が持てないというのか、そういう勘ぐりをしたくなるんだが、そんなことはありませんか。
  81. 尾見博武

    政府参考人尾見博武君) 私どもは政策評価にもいろんな範疇があると思っておりますけれども、今回の新しい全国計画で国としての基本的な施策の方向性とか、そういうものを示すことになっておりますが、それは政策評価の正に対象として、一つの範疇として十分あらゆる角度からの検証というものに堪え得るものだと思っております。  個別の事業の方の評価ということでありますが、広域計画も事業そのものを評価するということではございません。あくまでも計画でありまして、そこの中で、個別のプロジェクト名については今のところ、そこを書いていくということができないかというふうに思っておりますが、それも決して事業評価ではございません。  先ほど来申し上げましたことに連動しますけれども、全国計画について評価をして見直しをするということになれば、広域地方計画はそれを踏まえて作成するという関係になっておりますので、必然的にその見直しをしながら広域計画の方は手付かずであると、そういう関係にはならないと。両者は一体のものであるという観点に立って、そこの規定の仕方を、法制技術上、全国計画についてそれを嫌ったということでありまして、それ以上のものでも以下のものでもございません。
  82. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 そうは言っても、広域地方計画には相当な期待が寄せられると思うんですよ。そういうものの一つ一つが評価の対象になってないということになると、やがて無責任のそしりを免れないケースが出てくるというふうに思います。まあまあ、それはいい。ちょっと時間の関係もありますから、考え方だけお聞きをしました。  さて、そこで、過去五次にわたる全総計画というのは、その計画とその計画を特徴付ける政策や構想がセットになって、初期の段階では大変な国民の関心を引き付けたんですよ。私も今この手元に、皆さんのところにちょっとお配りしましたが、余り懐かしいから表にしてみたんですがね。所得倍増計画。この法律ができたのは昭和二十五年ですよ。私が、自分のことを言ってみたってしようがないんだが、中学の三年生。そんな人はここに余りいないのかな。それから、全総計画ができた一九六二年、昭和三十七年、このときは私がサラリーマンになった年なんですよ。何と初任給は一万五千円、一万五千円ですよ。大学の四年のときに、私の友人のお兄さんがアメリカに長く滞在していて帰ってきて、何かすごいおいしい中華料理をごちそうになったのを覚えているんですよ。そのときに、君たち、アメリカの大学生は卒業すると十万円以上の給料をもらっているんだよと。十万円なんというものは見たこともない。おやじから送ってもらったのが、一万幾らしか送ってもらっていませんでしたからね。そうですかって、それはもう別世界ですと言ったら、そんなことはないと、あと十年もすりゃ追い越すよとその人が言うんですよ。当時、私らが大体卒業すると一万円から一万五千円を少し超えたぐらいのもので、就職したら一万五千円もらったので、あっ、これはもしかするとお兄さんの話は本当かなと思うような、そういう時代ですよ。このときに所得倍増を池田総理が打ち出した。国民の気持ちをぎゅっと引き付けたんですよ。国民もみんなしてやる気になったね。  それから後、佐藤内閣、そして田中内閣と来るわけですよ。このころは、いいこと悪いこともいろいろあったかもしれないが、国民の気持ちを一つに引き付けてあの復興を成し遂げてきた。  私は、この中で、特に一番最初のこの一全総、これ下河辺さんが中心になっておやりになったんでしょう。下河辺さんが、これは大成功だったと、所得倍増と言ったけれども、三倍までいったじゃないかと、こう言って評価していますね。何か本も書いておられるようですが。それから、さっき藤末君が資料を出したジニ係数。これも見事に経済面からだけいえば達成、地域格差というものは達成していますよ。そういうきらきらするような計画を立てて国民を引っ張ってきたという歴史がこの全総の中には前半のところにあるわけですよ。  ところが、中曽根さんが総理になって行政改革を断行した辺りから大変なことになってきた。しかし、あのときに断行しなかったら、なおまた大変なことになるわけですけれども。全総というものに対する国民の考え方がそこから大きく変わってきているんですよ。全総というものは前向きなものだったはずが、やや後ろ向きになってきているんですね。だから、私は、今度変えるんならば全く新しいものに切り替えるべきだと言ったのはそこにあるわけですよ。  そういう意味で、今までのこの五次にわたる全総の私が申し上げたことが間違っているのか、正しいのか。前半はきらきらして国民を引っ張ってきた、そういう使命を果たしてきたけれども、後の三、四、五に至ってはそれほどの成果を上げてこない。特に中曽根さんのときのリゾート法なんというものは惨たんたるものでしょう、リゾート法は。  だから、そういう五つの全総を総括した答弁をちょっとしてくれませんか。
  83. 尾見博武

    政府参考人尾見博武君) 過去の五つの全総計画でございますけれども、私どもは、今先生、最初の全総計画、所得倍増計画との関連で御指摘がございました。四全総についても御指摘がございましたが、総括して言えば、全総計画は戦後の復興の時期から我が国の国民の皆さんをやっぱり豊かにするというようなことで基本的に大きな役割を果たしてきたと思いますし、それは所得の面だけではなくて、例えば身の回りの生活環境、例えば公園とか下水だとか、そういう生活環境を良くするということでも大きく貢献をしてきたと思います。それから、職場という意味工場地方分散だとか学校の地方分散、そういうことについても大きな役割を果たしてきたと思います。  それぞれの計画はそれぞれの時代を踏まえてそれなりの課題意識を持ってやってきたわけでありまして、私は、甲乙を付けるというか、今先生がおっしゃったように、ある時期までは非常にきらきら輝いていたけれども、その以後はというような評価がどこまでできるのかということについては、ちょっと難しいところがあるのかなというふうに思っております。  簡単にちょっと申し上げますと、四全総についても東京一極集中という問題がございました。世界のグローバルの経済発展する中で、やはり東京世界中心経済中心として、例えば金融機能、そういうものを強化していく必要があるということと同時に、やはりその結果としての一極集中というものに対して多極分散型国土形成ということで、そのための実施法を作って対応をしてきたということでの努力もしておりますし、例えば三全総は、先ほど言いましたように定住構想というようなことで、身の回りの居住環境の総合的整備というようなことで、産業基盤、経済基盤としての社会資本から身近な生活基盤としての社会資本という方向性を出したというようなことで、それぞれの時代計画がそれなりの効用というか役割を果たしてきたというふうに私の方は思っております。
  84. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 それはちょっと評価の仕方が僕は違うと思っているんだ。先ほども申し上げたように、下河辺さんは、経済面からすれば地域間格差は間違いなくなくしたと。私たちが実生活の中で感じてきているのは、全体的に見れば生活環境の面では飛躍的に、例えば下水道の普及なんかで地方も大きく格差は縮まってきたし、また交通、流通、情報、こういう面でも一応の整備されて、国民全般が中流意識を持ったんですよ。そういう意味においては全総の果たした役割というのは非常に高かった。しかし、一番肝心なところが欠けちゃったんですよ。それは、先ほどもお話しになったように、東京一極集中がどうしても直されなかった。  この三全総で福田さんが人間居住の総合的環境の整備と。これは確かに今申し上げたように成功を収めている。それからまた、大平さんが早くお亡くなりになったのは誠に我が国にとっても残念だったと私は思っているんですが、この田園都市国家構想というのが本当に稼働すれば、もう少し違った国の形になってきたのではないかと私はそう思っておる。私も大分御指導をいただいた竹下先生がふるさと創生をおやりになった。あの気持ちは私もよくお聞きしていましたからいいと思ったが、ただ、あの一億円配ったのはどうもちょっと私の理解を超えるところがあったんですけれども、しかし、竹下先生も大平さんが打ち立てたものを高く評価されておりましたから、私は、そういう意味では生活、個人の生活面では中流意識を持つような整備はしたと。しかし、なぜ、なぜ東京一極集中地方でいえば中心的な都市への集中があって、過疎をどんどんどんどん拡大していっちゃったのか。そこのところが分からない。  一つだけ私の原体験で理解しようとすれば、思春期から自我が目覚めて自分というものを見詰めたときに、地方にいると、今、先ほどウサギ追いしかの山の話をしましたが、ああいう世界が、自分を文化や文明から遠ざける壁のようにあの山が見える時期があるんですよ。だれだってそうです。今私の郷里でいえば、千曲川や犀川の流れは清くて一日見ていても飽きないような思いがしますけれども、あれが、十五、十六歳のころはあれがよどんで見えるんですよ。ここから抜け出さなかったら自分の人生は切り開けないというふうに思う青年、少年の気持ちというのは、今でもまだ続いているんではないかと思いますよ。それを満足させるような施策を、こういうことで、それは、私の子供のころ、ふろは井戸へ行ってくんで、てんびん棒で担いでいって入れましたよ。それが今は蛇口ひねらなくたってボタンを押せばお湯まで出てくるわけでしょう。それは確かに便利だけれども、それは子供たちにとっては生まれたときからそれなんだから、その心の中にある、ここから一歩踏み出そうという気持ちというのは変わらないんですよ。  あこがれね。ここでも言ったことがあるかどうか、あこがれというのは、あれの古語は「あくがれ」というんですよ。「あく」というのはここなんですよ。「がれ」は離れるという古語。自分のあこがれを果たすためには、今いるところから離れなかったら実現しないんです、自分の手に取れない。政治も同じことなんです。自由民主党がいつまでも政権にいるから日本の国が衰退をしてくる、政権交代がなかったらこの国はよみがえらない。まあ、それはまあ余計。(発言する者あり)  それどうですか、尾見局長。なぜ、いや政治の話はいいよ、なぜ少年たちがふるさとから離れるのか、それに対する手だてを今度の基本的な理念を織り込んだ全国計画に反映できるのか。
  85. 尾見博武

    政府参考人尾見博武君) 大変考えさせられるお話を承りました。私も田舎の出ではありますので、若いころに、都市というのはどういう魅力かというと、やはりカオスというか混沌というか匿名性とか、要するに宇宙がこう膨脹していくような感じというのを持った思いがあります。で、あそこに行けば自分が持っている可能性とかそういうものが想像もしないような形でこう大きくなっていくんではないかと、そういうふうなことを感じたものであります。恐らく多くの方々が都市へ移ってくるときに、まあ若いころですね、そういう思いを持たれたんだろうと思います。  ただ、先生、最近私、和歌山へ行きまして、和歌山で緑の雇用というのをやっております。で、そこのところで、実は東京に生まれて、お父さんも東京、おじいさんも東京、そういう方がこのコンクリートジャングルの東京、都会に生まれて、それで田舎の山や田とかああいうところが、私どもが若いころ都市に対して持ったと同じような形できらきら輝いて見えると、こんなにすばらしいところはないといって、極めて安いお金しかもらえないんだけれども、そこへ行って仕事をしようと、山の仕事をしようというふうなことでやっておられる方が、何とこの三年間のうちに、家族も含めますと五百人弱、都市の方から、東京、大阪、名古屋から移って仕事をしていると。そういう方々にもお目に掛かりました。そういうふうに考えてきますと、やはりないものを求めるというふうなこともあるんではなかろうかというような感じもいたします。  これから地方というのは決して卑下すべきことではなくて、その中で自分のライフスタイルをきちっと確立していこうと、非常な魅力のあるところだと評価すると、そういう方々は必ず私は出てくると、それが大きな流れになるかどうかは、それは分かりません。しかし、例えば百人いれば何人かはそういう方が出てくるというようなことは十分に期待できるんではないかと思います。  そんなようなことで、それぞれの思いを実現できるようなことについては是非取り組んでいきたいと思っております。
  86. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 まあ一億二千万を相手に五百人の話をされても何か余りぴんときませんが、気持ちはよく分かります。  あのね、私らこの仕事上、年がら年じゅう冠婚葬祭へ行きますよね。そうすると、その家は、結婚式、あるいはおばあちゃんが亡くなったとかおじいちゃんが亡くなったとかというと親戚じゅう集まるんですよ。大体、長野県だと東京におじさんがいる、おばさんがいる、ちょっと長野も南の方へ行くと名古屋にいる、大阪にいると。そのときに、あっ、この家にはおばさんが東京にいておじさんが名古屋にいるのかと、こういうふうなことを感ずるんですよ。ところがね、最近はちょっと違って、東京じゃなくて千葉だ埼玉だという話になってきていますがね。まあまあ、原点は一緒でしょう。  そういうふうに、もうみんなこう、どうしても移っていくんですよ。それは結局、まあ長野県なんかは比較的子供に勉強させて遠くへ出せと、それで志を果たしていつの日にか帰らんと、こういう話でしょう。まあしかし、なかなか最近は帰ってこない。そこで定住しちゃう。たまに帰ってくるという人はちょっと物好きな人だなといって言われるぐらいですけどね。ここのところの歯止めを掛けないことには、人口減少社会になっていったときに、それはもう集落がみんななくなってきますよ。大いに知恵を出してほしいというふうに思います。  私の役割は、法案について少し修正をしたらどうかなというようなことも含めて議論をさしていただく役割にもなっておりますんで、そちらの方へ行きます。大臣にはちょっと申し訳ありませんが聞いていていただいて。  最初に、国会承認について、これは、六条の全国計画の中身は、その四項で国土交通大臣が案を作成し、閣議の決定を求めるとされている。要するに、このような国家の将来に大きな影響を与える計画策定閣議決定のみで、内容も政府の裁量にゆだねられておりまして、国会の関与が法案上何にも書かれてないんですよ。で、五項でいきなり国民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるとある。そうすると、国民の代表である国会に承認を求めてもしかるべきだと、私はこういうふうに思うんですが、これはどうですか。
  87. 尾見博武

    政府参考人尾見博武君) ちょっと少々長くなるかもしれませんけれども、今ちょっと御指摘いただき……(「なるべく短く」と呼ぶ者あり)長くは困りますね、はい分かりました。  今御指摘いただきましたように、パブリックインボルブも含めて国民の皆さんの御意見をきちっと聞くと、これは一番ベースのこととしてきちっと位置付けております。  国会で御議論いただくということも極めて重要なことだと思っておりますし、この国土審議会で調査審議をしていただいて決定することになっておりますが、この国土審議会の構成メンバー、三十名いらっしゃいますけれども、そのうち十名の方は国会議員の方に就任していただいております。そういう意味で、間接的ということになるかもしれませんけれども、国会の議員の先生方のお声をここに反映するということができる道があるというふうに思っております。  十分御議論いただくということは大事なことだというふうに思っておりますし、大臣の方からもそういう御指示をいただいております。ただ、最終的に決めさせていただく計画はいわゆる行政計画という範疇に属するものでございますので、最終的には、私どもというか内閣が国会に対して責任を負うという形で決めさせていただくというのが議院内閣制の下での整理になるんではないかというふうに考えているところでございます。
  88. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 これは委員長、ちょっとお願いを申し上げますがね、これはやがて与野党それぞれの会派の皆さん方が合意をすれば、是非私は前向きに検討すべきことだというふうに思いますので、私の質問の仕方が余り上手じゃありませんが、少し聞いていていただいて、是非理事間で協議をしていただけるように委員長にまたお取り計らいをお願いをいたしたいと思います。
  89. 田名部匡省

    委員長田名部匡省君) 後刻理事会で協議させていただきます。
  90. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 そこで、これは私も法案説明を受けるときに度々お話をしました。国会承認ということはなかなか今の段階で無理だと、こういう話でしょう。私は、せめて報告ぐらいはして審議の対象にしたらどうかと、そのぐらいのことはいいんじゃないですか。
  91. 尾見博武

    政府参考人尾見博武君) 国会の報告という点でございますけれども、例えば食料・農業・農村基本法の審議過程におきまして、食料・農業・農村基本計画の国会報告ということを法律上規定する旨の修正が行われたという事例もございますし、法制上、条文化ができないということまでは言えないのではないかというふうに思っておるところでございます。
  92. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 それから、申し上げておきますが、国土審議会とかいろいろ審議会がありますよ、それは国会議員が行っているところもある。私も幾つか出たことある。あれは行って、説明を聞いて、はい終わりましたですよ。あんなところは審議する場所じゃない。あれはもう儀式、これはもうだれもみんな分かっている。それは駄目なんです。こういう委員会審議するような方途を取らなきゃ駄目。それは、やっぱり国の将来を国民に国が責任を持って明示していくんだから、そういうふうに是非やるべきだと。  次に、地方計画の関係を申し上げますが、これは九条の二項で国土形成に関する方針、目標を達成するために広域の見地から必要な施策というふうになっていますが、地方にとっては極めてこれ重要な計画になるわけでありまして、そこで、九条三項で広域地方協議会の議を経るだけとなっておりますけれども、国土交通大臣による協議結果の取扱いについて触れていないんですよ、ここではね。そこで、計画決定権者である国土交通大臣が協議結果を十分に尊重しなければ何の意味もないわけですよ。  そこで、法律上、協議結果の尊重を明記したらどうかというふうに思うんですが、どうですか。
  93. 尾見博武

    政府参考人尾見博武君) 今御指摘がございましたように、今回の法律案におきましては、広域地方計画協議会は国の地方支分部局と関係都府県等により組織されるものでございます。広域地方計画広域地方計画協議会の協議を経て策定される、こういうことに相なっております。このような趣旨に基づく法律案でございますので、国土交通大臣広域地方計画協議会の協議結果を尊重するというのは、条文上明記するまでもなく当然のことであるというふうに私どもとしては考えてお出ししております。
  94. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 十分に理解しておられるようですから、これは立法府の責任においてそういうことをきちんと法文化するということは是非また委員各位にも御努力をお願いをいたしたいというふうに思います。  次に、構成員の対等性についてお伺いをしますが、まず十条三項に記されておるように、国、地方、その他計画の実施に密接な関係を有する者となっておるが、地方の役人は国のお役人さんたちに対してどうしても遠慮がちなんですよ。協議自体が適正に進められるかどうかが疑わしい。  そこで、実質的にもうそれぞれの構成員が対等の立場であるというようなことをここの法律上明記して保障をしておく必要がありはしないか。だってそうでしょう。いつも陳情に行っている人という、席を同じくして余り勝手なこと言えない、言わないんですよ。  それでもう一つ心配なことは、ここに中部開発整備協議会というのがありますね。ここには都道府県政令市の議会議長が入っておるんですよ。それから、関係市町村の議会議長も入っておる。ところが、この広域地方計画協議会では、なぜか議長が抜けているんですね。彼らにオリジナリティーがないと読んだのかどうか知りませんよ。そんなことはないと思うが、議会議長というのは自分たちは選挙で国民から選ばれておりますから、それからまた国会議員やなんかとのかかわりもあるもんですから、言いたいことは言えるんですよ。この人たちが言いたいことを言ってあげることによって市町村長たちも物が言いやすくなる。そこのところを今度の計画で封じ込んじゃってあるんだね。これは私はおかしいと思うんだ。議会議長さんたちが、ほっぺた回しの充て職で確かにそれはなっていくんだ。なっていくんだけれども、肝心なところではこの人たちは物を言うと思うんですね。どうしてこれ、削られちゃったんですか。
  95. 尾見博武

    政府参考人尾見博武君) 広域地方計画につきましては、基本的にやはりこれも行政計画でございまして、国の支分部局、それから都道府県知事、これも知事部局ではありませんが行政体でございます、の長としての知事さん、そういう方々を基本的に構成員としているものでございます。そういう形で、行政計画であるという関係上、メンバーについても行政機関ということを主体にまず考えております。  それから、その他経済界等については、全く別の観点だというふうに理解しております。
  96. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 通告してありませんが、大臣にちょっとお聞きしたいと思いますんで、お願いしますね。  この間、中核市の市長会があって、国土交通省の局長もどなたか呼ばれたわけです。時間に行ったら前のその会議が長引いていて、いすに座って待っていた。ちっとも終わらないから、これなかなかいい男で悪気は全くない男で、そんなこと言っていて分かっちゃうと困るんだけども、その人を責めるとかそういうことじゃ全くないんです。事例を挙げて分かりやすく説明するんですが、彼が時計見て、いつまで何やってんだと。乱暴な言葉なんだけども、彼に悪気はないし、日ごろもそんな言葉遣いの彼ですから我々はそれは理解できるんだが、そうしたらその司会をしていた市長がびっくりしちゃって、もうおろおろしちゃってどうにもならない。会議会議でなくなるぐらいにおろおろしたそうでありますよ。  それほど皆さん方は、局長だから、私が局長になったんだ、そんな偉くないですよと言うけども、関係市町村長さんたちからすればそれぐらいのプレッシャーを感ずるんですよね。一つの事例を申し上げましたが。  そういうことからして、この対等性とか議長を入れるというようなことは、私はこの会議が実質実りのあるものになるかならないかの瀬戸際だというふうに思っておりますので、ひとつ大臣、御感想をお聞かせください。
  97. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) この広域地方計画協議会の中で国の関与は当然のこととして、国が地方の方々と対等に協議をしていくということはこれは極めて重要なことだというふうに思っております。  今の北澤先生のおっしゃったのがどなたのことを言っているのかなと思いながら考えておったんですが、私の見ている限りは、各地方整備局長なり運輸局長なり、非常に各県の知事さんとか市長さんとよく連携を取ってやっている方が多いなというふうな印象を私は持っておるところでございます。  ただいま委員のおっしゃったように、あくまで対等な立場で協議をしていく、また地方の方々の意見というものをしっかり尊重していく、耳を傾けていくということは極めて大事なことであると思いますので、それはこういう制度になりましても、しっかりとそういう趣旨というものを徹底をしていかないといけないというふうに思っております。
  98. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 それから、次に提案権でありますけども、提案権も極めて重要なことなんですよ。提案権がしっかり確保されていないと、遠慮がちなところへ来て提案権の裏付けもないということになるとなかなかしゃべりにくくなって、一時間しいんとして終わりましたという話じゃこれはつまらぬ話でして、この辺についてはどんなふうにお考えですか。
  99. 尾見博武

    政府参考人尾見博武君) 先ほどからお話をさしていただいておりますように、広域地方計画協議会は国の地方支分部局や関係都府県が対等な立場で組織するものである、これが基本的な制度設計のコンセプトでございます。すべての協議会の構成員が広域地方計画内容となるべき事項の案を提出できるのは当然のことだと思っております。  広域地方計画計画提案の主体には協議会の構成員である都府県及び指定都市が除かれている形になっておりますけれども、これは協議会の構成員は実質上広域地方計画の共同策定主体と言える立場にあると言えるのじゃないかということで、これと重ねて計画提案権を認めるという形を取ってないだけでございます。
  100. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 せっかく苦労して法文を作ったのに一つ一つ注文付けてちゃ余り気分が良くないと思いますけれども、しかし、最終的には皆さんがいい計画を立てるための私は一助になるという思いから、恩着せがましく言うわけじゃありませんが、提案しているんですよ。ですから、真摯に受け止めていただきたいというふうに思いますし、この内容についても、特に各党の理事の皆さん方には是非御配慮をお願いをいたしたいというふうに思っております。  それからもう一つは、広域区域の決定ですね。これはまた各都道府県にとっては大変重要なことです。一県丸々入る、そこへ入るということが始めから決まっているところならまだいいですよ。長野県なんかはもうタコの足でも足らないぐらいにあっちへ引っ張られ、こっちへ引っ張られするんです。昔から河川は北陸、中部、関東。電力会社もみんなそれぞれ入ってくるという、これはなぜかというと、日本中心で、分水嶺が分けている、日本海側と太平洋側へ分かれているから、それぞれ区域が違うのはもうやむを得ない。それは、例えば河川なんというのはどうしても川上から決めてこないんですよ。それは、はんらんしたりするのは下だから、下から決めていきますから、どうしても、最後に長野県へたどり着いてみたら隣の町とうちの町は管轄が違っていたというようなことになるわけですよ。  そういうことから、このことについてはきちんと関係都道府県や指定都市の意見をしっかり聴いて納得ずくで区域を決めるということを法律上明記するということについてはどうですか。
  101. 尾見博武

    政府参考人尾見博武君) 今の先生のお話は、ちょっと法律的に言うと、意見を聴けという規定なのか、例えば意見を聴くために必要な措置を講じろとおっしゃっているのか、法文の書き方等についてはいろいろあろうかと思います。  私どもは、区域の設定については幅広く関係者の意見を聴取しながら調整、立案するということが基本だというふうに考えております。特に、広域地方計画協議会のメンバーに自動的になるという都府県及び指定市につきましては、その意見をできる限り反映させることは必要だと考えておりまして、運用上そのために必要な措置を講じてまいるというふうなことで考えているところでございます。  先ほど来、先生のお尋ねの中で、私どもは運用でできるとか当然のことであるというふうなことで申し上げていますので、その限りにおきましては、ちょっとくどいかもしれませんけれども、私どもの案を作った段階では、それはそういう規定をしなくてもできることであると、そういう認識であるということを、繰り返しになりますけれども、取りあえずは申し上げておきます。
  102. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 それは駄目なんですよ。尾見さんがいつまでも国土交通省にいてくれりゃいいですよ。で、課長も万年課長でいてくれりゃええが、そういうわけにいかない。  だから、きちんと法律の中へ書き込んでおくと。それだけの気持ちがあるならば、法文に書くのは、むしろ法文に書くのを忘れたというぐらいな答弁をしてもいいぐらいなことだと思うが、もう一回、どうですか。
  103. 尾見博武

    政府参考人尾見博武君) ここはすぐれて法制技術的なこともあると思います。  私どもも、法案閣議決定をして国会にお出しする以上、この法案についてはあらゆる角度から、従来の法律上の議論だとかそういうものを踏まえた上でもちろん条文化しております。当然のことは書かないというのも法制上のルールとしては当然ございます。ここは書かないと疑義が起きるのではないか、そういうようなことについて疑問が出ることも当然ございます。そういうことについて確認のために書くということがあり得ないことではないとは思っております。まあ、そういうことでございます。
  104. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 まあ、消極的にそういうふうに言われたんで。  皆さんが法律を作るときに、法制局も含めてですよ、国民のことを忘れてるんですよ。それで、前の法律はどうだった、ほかの法律はどうだったって、そんなことっきり考えて、おでこを突き合わせて議論しているんでしょう。これは、法律はだれのためにあるか。法律は国民のためにあるんですよ。憲法もそうでしょう。憲法は、時の権力を牽制するために国民の側に立って憲法はできている。その下にある法律は当然同じ思想を持たなきゃいけない。だから、国民のために理解しやすい法律というものを作る。そんなあんた、過去の事例にこだわって一字一句どうのこうのという話じゃないんですよ。そういう姿勢で是非お願いをいたしたいというふうに思います。  最後になりますが、見直しですね、これは極めて重要なことですよ、見直しは。  さっき五全総までのことをずっと申し上げました。それは、時代の変化の中で計画成果を上げるときもあるし、それからまた時代にそぐわなくなってくるときもあるし、時代の変わり目のところで結果的に間違った計画になることもある。そういうことを踏まえて言えば、結局、この見直し条項というものをきちんと入れておくべきだと。しかも、これから分権でしょう、それから急激な人口減少でしょう、高齢化でしょう、それから国際競争が激しくなってくるわけでしょう、それから科学技術もこれ振興しなきゃいかぬと、こう言っているんですよね。  そういう意味からいって、国民生活の安全確保や地球環境の保全というようなことをベースにして考えたら、どうしても見直しの条項は作っておくべきだというふうに思いますが、どうですか。
  105. 尾見博武

    政府参考人尾見博武君) この法案につきまして国会で御可決をいただいたという場合でありましても、今後国土行政を取り巻く社会経済情勢の大きな変化があった場合には、制度の見直しの必要があるか否かについて検討を行うことは当然のことだとこれも考えておりまして、このような規定をまつまでもなく実施するというものだと思います。  そのために政策評価というようなこともやっておりますが、ただ、今申し上げましたようなことですが、条文化との関係で申し上げますと、これもぎりぎり、こういう条文が不可能なのかというふうなお問い合わせだといたしますれば、法制上不可能だと言い切れないというようなことであるというふうに理解をしております。
  106. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 条文については以上のことを、言葉を選びながら御答弁をいただきましたが、是非今申し上げた数件について、立法府側と協議ができるような心構えをしていただきたいというふうに思います。  それで、またちょっと元へ戻りますが、国土形成計画があるが、これに関連する諸計画というのは我が国には山ほどありますよね。  これは国土交通省で作っていただきましたが、国土形成計画国土利用計画を頭に置いて社会資本整備重点計画だとか、この中には高速道や新幹線もみんなありますが、これの調整というのはまたこれは大変なことだと思うんですよ。  特に、地方計画へいけば、そこまで新幹線のつち音が聞こえているのに、いや、もうこれは終わりだよというような話になったらこれは大変なことになると。そういうものを調整していくということは極めて国土交通省には重い荷物もありますが、しかも一番頼りになる総理大臣からは何の音さたもない中で、援軍のないところで闘っていかなきゃならぬ。  幸い、北側大臣は極めて政策にお詳しい方でありますし、御出身が公明党という政党でありますから、国民生活については極めて温かい気持ちをお持ちですから、いろいろ配慮はするんだろうと思いますが、そうかといって基本理念を曲げるようなこともできないというふうに思いますが、この調整はどんなふうにするつもりでいますか。
  107. 尾見博武

    政府参考人尾見博武君) 国土形成計画に関係する諸計画につきましては、今先生がおっしゃいましたように、いろいろな計画がございます。  それで、国土形成計画との関係、調整ということも含めた関係でございますが、二つぐらいの範疇に分かれます。  一つは、その計画において、お互いというか、上位計画国土形成計画になりますから、例えば道路とか鉄道とか空港、港湾、いわゆる社会資本重点整備計画があります。こういうものは調和をしなければならないということになっております。したがって、その国土形成計画策定された後に作られます重点化計画については、その基本的な考え方においてそこと矛盾するとか、そういうことはあってはならないことと、その思想をきちっと受け継いで計画を作っていくと、そういう関係に相なります。  それ以外に、調和規定のないものもございますが、それは国土交通省設置法の関係行政機関の事務調整という権限の中で、幾つかのものについては国土交通大臣が今現在においても調整を実施するということにしておるところでございます。
  108. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 時間が来ましたので、この辺でやめなきゃなりませんけれども、もう少し人口減少について議論をしたいと思ったんですけれども、また機会を見てやりたいというふうに思います。  いずれにしても、我が国が持続可能な社会というものをしっかり継続していかなきゃならぬわけですよ。これはもう、学者の話を聞くと、もう二十年ぐらい前からこういう考え方があったようでございますけれども、今年も、何かこれ新聞見ますと、東京コロキアム二〇〇五という会議を開いてやっていますが、ここの会議の総括を聞きますと、なかなか大変のようであります。  それから、温暖化防止、これについても、環境省の世論調査だと、法律による規制で何とかしろというのは四五%、税金や財政支援で何とかしろというのは三八%、自発的というのは一三%なんですよ。何と八〇%が国が責任持って何とかやってくれるんじゃないのと、こういう話ですね。だから道は遠いですよ、険しいです。  明治維新を成し遂げた西郷隆盛さんの言葉を最後に申し上げますが、人心歓欣して流通を喜ぶ時代になっては、為政者たるもの質素倹約令を出せませんよと、西郷さんはそう言っているんですよ。これは見事に人心をよく読み切っている。それだけに、為政者は相当な覚悟でやらないと新しい時代を切り開いていくことはできない。グランドデザインが無残な形になったのと同じことを今度新しい国土形成計画でその轍を踏まないように、大いに御奮闘をすることをお祈りして、最後にエールを送って終わります。
  109. 尾見博武

    政府参考人尾見博武君) 先ほどの法案修正に関しての御質問がありましたが、私、最終的に、個別的にお話をした後で総括的に一言申し上げたいと思っておりましたので、お聞き取りをいただきたいと思いますが。  私どもに向けて修正云々のお話があったようにも聞こえましたけれども、私どもは、先ほど言いましたように、法律上明記することが絶対不可能ではないという事柄が、御指摘のものはあったというふうに思いますが、この御判断については院の方でどうされるかという問題であるというふうに認識しておりますので、そこは当然のことだと思いますけれども、あえて申し上げておきたいと思います。  それから、最後のエールについては重く受け止めて頑張っていきたいと思います。ありがとうございました。
  110. 加藤修一

    加藤修一君 公明党の加藤修一でございます。  総合的な国土形成を図るための国土総合開発法等の一部を改正する等の法律案について質疑を行いたいと思います。  まず最初に、大臣にお願いしたいわけでありますけれども、今回の法律案の第一条でございますが、利用開発し、及び保全と、そういったものが変わって、利用整備及び保全ということで、開発という言葉がなくなりまして整備という形になっているわけなんですけれども、私は、この関係といわゆる成熟社会ということ、いろいろな資料を読んでまいりますと、成熟社会ということと、この辺の開発という言葉を取り除いたということと整備というのを新たに付け加えたと、こういったことと極めてつながっているんではないかなと。そういった意味では、質問というよりは確認ということでさせていただきたいと思います。    〔委員長退席、理事佐藤雄平君着席〕  成熟社会という言葉については、既にこれは一九六〇年代から徐々に概念が公になるといいますか、世の中に伝わってきたように私はとらえておりまして、その時々の時代背景によってかなり違っている部分もあるのではないかなと思います。  しかし、社会に相当の重みで定着し始めておりますし、たしか私たちの学生時代のいわゆる一九七〇年代初期でありますけれども、「成長の限界」という本と、もう一つはこれとちょっとニュアンスが違うわけでありますけれども、「成熟社会」という、これデニス・ガボールという人でありますけれども、そういう本が日本でも出版されたことを思い出しましたが。  その中では、ガボール自身は、成熟社会とは、人口及び物質的消費の成長はあきらめても生活の質を成長させることはあきらめない世界である、こんなふうに言っておりまして、さらに成熟社会は、工業化に裏打ちされた大量消費社会の後に来る脱工業化とも言える高度情報社会の下で登場するものであると考えることができると、そんなふうに実は言っておりまして、もう少しまとめて考えてまいりますと、成熟社会とは、経済社会における物質的生産と消費が国民の大部分の基礎的欲望水準を満足させ、これに伴って社会の活力あるいは成長が鈍化するに至った社会ととらえる、そういうふうに考えることができるわけでありますけれども、こういうふうにとらえてしまいますと若干ネガティブな感じになってしまいますが、しかし一方で、こういう考え方も付け加えてあるように私はとらえております。  成長のピークを過ぎたものが成熟社会であるとしても、それを量的概念の側面からだけではなく、それに対峙する形で質的な概念を考えれば、社会はピークを過ぎて下降するのではなく、ストックを蓄え、より高次のステージに向かうという、言わばポジティブな形で受け入れることが可能である。  こういう意味合いで、私は、この第一条におけます開発という言葉が落ちて整備という形に置き換わっていると、そんなふうにとらえさせていただいているわけでありますけれども、そういう意味で確認をさせていただきたいと思っていますけれども、大臣、よろしくお願いいたします。
  111. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) 今、加藤委員のおっしゃった趣旨に同様であるというふうに私も思っているところでございます。  従来の国土計画というのは、一つ人口増加をするというのが大前提でございました。あともう一つは、右肩上がりの経済成長をしていくというのを背景といたしまして、むしろ量的な拡大を目指す開発を基調とした国土計画であったというふうに思うわけでございます。  それがいよいよ人口減少時代に到来する。経済も右肩上がりの経済成長から安定成長経済をいかに確保していくかというふうな時代に入っておりますし、また社会資本整備自体も一定限度は進んできたというふうに思うわけでございます。  そういう意味で、従来の開発を基調としたものから、むしろ既存ストックをいかに有効に活用するかだとか、質的にいかに向上させるかだとか、そうした観点にシフトしていくことになるというふうに考えております。  今委員のおっしゃったとおり、成熟社会型の国土計画への転換を図るということが今回の改正の大きな趣旨であるというふうに理解をしております。
  112. 加藤修一

    加藤修一君 それでは、第三条のところでありますけれども、「国土形成計画の基本理念」というふうになっておりまして、これは、「国土形成計画は、我が国及び世界における人口産業その他の社会経済構造の変化に的確に対応し、」というふうに書いておりまして、確かに、こういう人口の関係あるいは産業の関係、あるいはさらに、そういったものも含めまして社会経済構造が大きく変わってくると。それに対して的確に考えて国土形成計画を立てていかなければいけない、それは当然の話でありますけれども。  さらに私は、先ほど地球温暖化の問題が出ましたけれども、さらにそれに関連しまして、地球環境の保全にも寄与するという形になっておるわけなんですけれども、私は、これは与件といいますか、いわゆる前提条件として考える、与えられた条件として考える。従来は、確かに気候ということについては与件ということでほとんど変化がないと。変化がない。そういうことで、それを変化があるという形で取り入れたわけじゃ当然ないわけであります。  しかし、今や、皆さん御承知のように、様々な形で地球温暖化の現象というのは出始めてきていると。昨年、日本では台風が十個も来たということもございますし、それによって多くの方々が亡くなられている。あるいは、最近もサイクロンの関係とかあるいはハリケーンの関係含めても、これは極めて、地球の水代謝の関係あるいは大気循環、水循環含めて大きな変動が起こってきているということだと思うんですね。  ですから、こういう気候にかかわる条件ということ、これ自体もやはり私は与件という設定の仕方でなくして、やはり私はこの第三条にありますように、変化に的確に対応するということを考えていくならば、この辺についても積極的に私は国土形成計画の中に取り入れていくことではないかなと思います。  それで、過去、建設省の時代でありますけれども、海水面が上昇することによって、周辺を防波堤で囲んでしまうといういわゆる港湾とか海岸の施設整備をしていかなければいけない、そういう試算がなされた経緯がございますけれども、その場合は、一メートルの海面上昇で対策費が十一・五兆円という形で計算がされているわけなんですね。これは、ある意味では気候変動に対する適応策ということだと思いますけれども、こういう様々な条件をどうこの国土形成計画の中に与件ではなくして取り入れていくかということは、極めて私は重要なことではないかなと思います。  その計画のフレーム、またそれに対して想定されるシナリオを当然作り上げていかなければならないわけでありますので、そういうシナリオの中に、例えば今回のケースの場合は、二〇三〇年後までエネルギーについても考えていかなければいけない、そういう資料の配付もございました。あるいは、二一〇〇年後のいわゆる人口、総人口の推移、そういった面についての資料の配付もありました。しかし、二一〇〇年とか二〇五〇年とか、そういった面におけます気候変動の関係については何ら示されていないというふうに私はとらえておりまして、そういった意味では、この面についての表現されている意識としては非常に薄いんではないかなと、そんなふうに考えております。  そういった意味では、国土形成の未来戦略におけますいわゆる持続可能性、そういった面についてはやはりもっともっと積極的に取り入れていく、そういう基本的な認識が私は必要ではないかと、極めて重要であるとそう思っておりますので、この辺につきまして大臣の御見解をよろしくお願いしたいと思います。
  113. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) 非常に大事な御指摘だというふうに思います。  これからの国土形成計画の戦略を考えていくに当たりましても、やはり循環型、自然共生型の持続可能な社会システムに変革を図っていくということは極めて大事な点であるというふうに思います。先ほど委員が御指摘いただいた第三条のところもそういう趣旨で基本理念として明示をさせていただいているところでございます。  気候というものを与件としてではなくて変動としてとらえていくことが重要だという御指摘、全くそのとおりでございます。今後の気候変動枠組条約等の国際的な議論の動向もよく注視をしながら、我が国の環境の体系的な保全、再生について十分検討し、その考え方計画の中にきちんと反映をさせていきたいというふうに思っております。
  114. 加藤修一

    加藤修一君 この第三条は、私は読む限りにおきましては、私が受けた印象としては、やはり与件としてとらえているところが極めて薄いなと。もちろん、すべてがすべてに依存するということを考えていくならば、それは言うまでもなく入っているというふうに理解しなければいけないというふうにはなりますけれども、表現としては非常に薄いなということになっておりますので、私は法律が実際に動く段階になる前の政省令等々含めて、先ほど申し上げた点についても、今大臣が積極的な答弁がございましたけれども、そういった面について十分対応を考えて作り上げていっていただきたいなと、このように思ってございます。  それから、今いわゆる社会の持続可能性の関係について申し上げたわけでございますけれども、これは国土形成計画を作っていく過程で、やはり国民に理解されることが大変重要でございます。また、国民の方におきましても、やはりこの持続可能性についての理解ということを深めていかなければいけない。そういったことを考えていきますと、私は、二〇〇二年のときにヨハネスブルク・サミットにおきまして小泉総理が世界に向かって発信したと。NGOが提案されて、それが日本の政府が取り上げまして、そしてそれを世界に向かって発信したという中身がございます。  その一つは、持続可能な開発のための教育の十年、これは非常に重要なことだと私も思っておりまして、これは各国政府や国際機関の賛同を得まして、その二〇〇二年のときに実施計画の文書の中に、いわゆる二〇〇五年から始まる持続可能な開発のための教育の十年、それの採択の検討を国連総会に勧告すると、そういう趣旨の記述が盛り込まれておりまして、実際に第五十七回の国連の総会におきましてその決議がされたわけでございます。  アジェンダの21とかあるいは国連ミレニアム開発目標、そういったもの、あるいはさらに、今申し上げましたヨハネスブルク・サミットの実施計画、そういったものを踏まえて持続可能な開発を進めていくと。この場合の開発というのは今回の法律の中から抜け出た開発とはまた違った形の意味合いで使われていると思っておりますけれども、ある意味で、あらゆる国・地域において官民がこぞって取組を行う必要があるであろうと。これを促進していくためには、やはり私は、基礎教育とか高等教育とか教員教育あるいは環境教育、そういったものを充実させていくことも大事でありますし、あるいは市民のパートナーシップも含めて啓発をしていく運動形態というのをつくっていくことも極めて重要だと考えておりまして、もちろんこの関係につきましては、日本政府の五つの省が連絡検討会といいますか、そういった組織をつくってやっているというふうに聞いているわけでございます。  また、河川計画の関係につきましても、地域の住民を参画させていわゆる環境教育という点も踏まえながら計画を作成していこうという、そういったことも従前行われているわけでございますので、こういう広がりのある持続可能性というのを更に拡大していく上でもこういった教育の観点というのが必要だと私は認識しておりまして、こういった面について国土交通省としてどうこれから取り組んでいくかということは極めて私は重要だと思っております。  秋口には、ユネスコがこの実施機関でありますので、具体的な、今まで多少は出てきておりますけれども、最終版というのが出てくる予定になっておりますので、それを国内でどう具体的に展開をさせていくかということが実に大事な局面にあると私は思ってございますので、この点に関しまして国土交通省としての今後の取組、見解等についてお聞きをしたいと思います。
  115. 尾見博武

    政府参考人尾見博武君) お答えを申し上げます。  今先生が御指摘になりました二〇〇五年からの十年を持続可能な開発のための教育の十年とするということが二〇〇三年十二月の国連総会で採択されたわけであります。これは、日本の提案で、それで満場一致で採択されたというふうに伺っております。そういうことでもございますので、大変重要な取組だというふうに考えております。  当然のことながら、環境問題の解決のためには、今お話がございましたように国民の一人一人の活動を環境負荷の少ないものに変えていくということが必要であるということで、持続可能な社会構築に向けた環境教育、環境学習その他の普及啓発が重要だというふうに思っております。  ここでは、国土交通省でもこれまでも取組をしておりますので、それを御紹介をして、更にそれを発展させていくということでお答えをさせていただきたいと思いますが、平成十六年の六月に国土交通省環境行動計画を取りまとめさせていただきました。  三つの内容がございまして、水辺空間等の多様な自然環境の保全、再生、創造、これらを通じまして人と自然の触れ合いの場を整備するということによりまして環境学習、環境教育の場や機会の拡大を図るというのが一つの柱でございます。  それから、環境学習、環境教育の機会を提供するためには、やはりそれぞれの場の特性に応じたリーダー、こういう者が必要でございます。そのリーダーとなる人材が必要であるので、NPOとの協働により、指導者を育成するプログラムの整備や人材を認定する事業の登録制度を創設するというのが二番目でございます。  さらに、各地域におきまして、環境学習、環境教育の実践や多様な主体が交流を行うための拠点を整備することを推進するなどの取組をしているところでございます。  今後の国土づくりにおきましても、持続可能な社会の構築のためには教育が重要な役割を担うとの認識の下に、長期的な観点から人と自然の触れ合いの場の在り方などについて十分検討した上で新しい計画に反映していきたいと、こういうふうに考えておるところでございます。
  116. 加藤修一

    加藤修一君 是非、指導者の養成というところが一番大きなネックになっているように聞いておりますので、農水省とか環境省あるいは、国土交通省は言うまでもなく、文部科学省等々を含めてしっかりと対応を国内的にやっていきたいと、このように思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。  それから、この二十一世紀国土グランドデザインの関係で、このテーマといいますか、多軸型国土構造を目指す長期構想実現の基礎づくりということで多軸型国土構造を考えているというふうになっておりますけれども、もちろん、これからこの法律が通過した場合におきましては更に今後の長期展望を考えて日本グランドデザインを改めて作り上げていくということになるとは思います。その際に、私は、先ほど災害の話、若干申し上げましたけれども、この辺についても十分意識的に取り組んでいくことが極めて重要だと思っております。  首都圏直下型の地震もこれも極めて厳しい状況というふうに伺っておりますし、東海地震の関係、東南海あるいは南海地震、東南海はいつ起こってもおかしくないというふうに言われておりますけれども、もし相当数遅れるならば三つが連続して起こりかねないという、そういうふうに言う専門家もいるわけでありまして、そういった意味では横並びにずっと地震の巣というのがつながっていると、ある意味では地震の軸というのがつくられているようなことになっているわけでありまして、そういったことを考えてまいりますと、耐震をしっかりとしていかなければいけない、そういう軸ということも見えてくるわけでありますし、あるいは減災、そういうことも当然のことながら考えていかなければいけない。  そういう国土形成をしていくことが極めて私は重要だと思っておりまして、そういう新しい、ネーミングの話に若干なってしまいますけれども、そういう軸というのをしっかりと位置付けて対応を考えていくことも一つの在り方としては極めて重要ではないかなと思っておりますけれども、この辺についての御見解をよろしくお願いいたします。
  117. 尾見博武

    政府参考人尾見博武君) 今先生、地震のことをお話しされましたけれども、やはり太平洋プレートが沈み込んでいくということで太平洋岸沿いにそういうプレート境界型地震の発生の度合い、確率が非常に高いということでありますので、そういうところを連檐させていくと、一つの対策軸というようなことも発想できるのではないかという感じはいたします。  グランドデザインのときに多軸型国土構造というような柱を立ててやられてきたわけでありますけれども、軸という考え方は、そのときの御説明によれば百年オーダーの話として考えるというようなことでございました。  これからの人口減少社会の中で国土構造というものを考えたときに、その軸の形成ということがどういう意味を持つのかということについては、ネーミングも含めて、内容についてもこれから考えていかなくちゃいけないと思いますが、今先生が御指摘になったような防災とか災害とかというようなことについてある種の施策を統一して集中的に行っていく、一つ地域、連檐した地域というものを意味付けるというようなものとして一つのお考えではないかというふうな感じがしておりますが、いずれにしても、これから先の国土計画の中で今御指摘の点も含めていろいろ考えていきたいと思っております。
  118. 加藤修一

    加藤修一君 地球環境の変動によって持続可能性が極めて脅かされていると、そういった意味では非伝統的な脅威というのがだんだん拡大しつつあるというふうにとらえなければいけないわけでありますけれども、こういった点で私は、先日、G8、イギリスで開催されました。そのときにアフリカの問題といわゆる地球温暖化の問題というのが二大テーマとして取り上げられたと。  その取り上げられた中で、気候変動、クリーンエネルギー、それから持続可能な開発という形で一つのものが発表されているわけなんですけれども、とりわけその中で私が関心を持っていますのは、やはり持続可能性をいかに拡大していくか、すなわちCO2、温室効果ガスがなるべく出ないような、環境に対して負荷が余り生じないようなそういう新しいエネルギーをいかに効果的に社会の中に導入していくか、それがある意味国土形成にも大きく影響を与えるということだと思います。  すなわち、再生可能エネルギーあるいは自然エネルギーというふうに言われているものは、例えば木質バイオマス、これは森林から出ることも一つはございますけれども、森林の資源が非常に豊かである地域においては木質バイオマスの可能性がある。あるいは、風力発電を考えていった場合には、それはそれぞれの地域によって風資源が強く、しかも年間平均的にあるかどうかという、そういった地域偏在的な、そういう地域に特有のものも当然ある。あるいは、太陽光の発電についても、やはり日照時間が長いとか、そういう地域的な特性に依存している部分も決してなくはない。そういった意味では、地域分散型のエネルギーをいかに活用するかということを考えていくならば、やはり私は、それは地域によって違うという点を考えてやはり国土形成というのを考えていかなければいけないというふうに理解せざるを得ないと思います。  それで、G8の話に若干戻りますけれども、その中では、再生可能エネルギー利用増加を含め、エネルギー供給構成の多様化が必要であると。今後も主要なエネルギー源となる化石燃料の使用に伴う大気汚染と温室効果ガス排出に対処する必要がある。あるいは、それに関連する開発、商業化、それにさらに能力開発の関係、キャパシティービルディングでありますけれども、そういった面。さらに、研究開発支援するという、そういった面についても公的な国際金融機関をうまく使っていくという、そういった中で急速にこういったエネルギーを促進させていくことが必要である、それがすなわち地球におけます持続可能性を拡大する。さらに、こういった面をさらに国内でやっていくことについても、非常に国際社会に対する責任を果たすことにもつながりますし、あるいは貢献ということにもつながるということを考えなければいけないなと、そんなふうに思います。  また、途上国であります中国の排出の問題も十分考えなければいけませんが、中華人民共和国の再生可能エネルギー法というのが公布をされて、明年一月から実施に入るということでありますけれども、国内に目を向けて、地域に偏在するそういう再生可能エネルギー、そういったものも積極的に私は国土形成の中でしっかりと位置付ける必要があるんではないかなと思います。  現段階で、新エネルギー、再生可能エネルギーというふうに言っていいと思いますけれども、太陽光発電については、二〇〇二年の実績を考えていきますと約七十万キロワット、二〇一〇年、これから五年後のことでありますけれども、四百八十二万キロワットという目標になっておりますけれども、現在百万あるとしても約五倍近くに伸ばさなければいけない。あるいは風力発電、これは国土交通省にもかなり積極的に、港湾あるいは洋上発電についても実証実験を含めて考えていこうというふうに検討されているというふうに聞いておりますけれども、そういう風力発電についても、現段階では仮に五十万キロワットあるというふうに考えますと、三百万キロワットをここ五年間で達成しなければいけない。  そのほか、様々な形で発電分野、熱利用分野というのがありまして、こういう再生可能エネルギー、地域分散型のエネルギーをいかに国土のそれぞれの特性に合わせて活用していくかという、そういうことが非常に私は大事だと思います。それがやはり、私は国土形成計画の中にしっかりと位置付けしていくことが大事だと思っておりますので、この辺についても御見解をお示ししていただきたいと思います。    〔理事佐藤雄平君退席、理事大江康弘君着席〕
  119. 尾見博武

    政府参考人尾見博武君) 大変大事な御指摘をいただいたと思っております。  新しい国土計画におきましても、やはりエネルギーの問題というのは、これは基本的なフレームの中できちっと位置付けていかないといけないと思っております。省エネルギーも大分進んでおりますので、これからエネルギーの需要の伸びというか、それが飛躍的に大きくなるということはないようには承知しておりますが、しかし安定的な社会形成を図るということからいけば、エネルギーの問題は避けては通れないと、こういうふうに思っております。  地域分散型の再生可能エネルギー、あるいは新エネルギー、そういうお話がございました。  太陽光発電とか風力発電とかバイオマスとか、そういうものについても、今のエネルギー調査会の需給部会の需給展望でも、二〇一〇年度、今お話がありましたように、四%程度まで高めるという話になっております。それを具体的に今どうこなしていくかということについては、資源の偏在という問題も当然ございますので、地域の中でそれをどう考えていくかということが大事になると思いますし、そういうことが仮に雇用とかそういう問題に結び付くということがあれば、なお結構なことではないかと思います。  そういう手当てをするに当たっては、やはり分散型ですと安定的な供給という観点からの問題も出てまいりますので、かなり大きな枠組みの中で考えていかなくてはいけないんではないか、こんなふうに思っております。  新エネルギーにつきましては、特別措置法ができて、そのいろんな助成措置が講じられているということでありますので、関係省庁ともよく相談をして、これからのエネルギー対策に遺漏のないように、今御指摘の点も十分含めた国土計画になるように努めていきたいと思っております。  以上です。
  120. 加藤修一

    加藤修一君 次は、今年上半期でありましたけれども、これまた気候変動と関係する話でありますけれども、低炭素社会という新しい言葉が出てまいりまして、いわゆる二〇五〇年問題というとらえ方をして、それに向けてどう計画を作り上げていくかということが極めて重要な段階に来ているんではないかなと思います。  国連の気候変動枠組条約、これの第二条は、いかに気候を安定化させるかということが大きな目的として示されておりまして、この気候変動の問題というのは極めて長期的な課題であるというふうに考えなければいけない。しかし、今やもう相当の勢いで進んでいるわけですので、従来の過去のデータに基づいてそれを延長をして、将来こうなりますよという考え方、それは取れないと、なかなか。もう既に、産業革命以前と比べても、地球の全体の平均気温は〇・六度上がっていると。日本では平均的に一度上がっているというふうに言われているわけでありまして、世界のこの面におけます会議内容の結論というのは、やはり二度Cを超えないようにいかに抑制させるかということが極めて重要になってきている。  それを今二〇五〇年問題ということで考えようという話に実はなっておりまして、例えばドイツは二〇五〇年までにエネルギー起源のCO2を四五から六〇%削減しなければいけないと。これは一九九〇年と比較しての話であります。日本は一九九〇年と比較して京都議定書の中では六%削減、これを二〇一二年までに何とかしようということで大変な実は思いをしているわけですけれども、しかし、今二〇五〇年の問題を考えても、確かに四十五年の先の話かもしれませんが、ドイツでは四五から六〇%の削減を行わなければいけない、あるいはイギリスにおいては六〇%の削減をしなければいけない、それからフランスにおきましては全世界で年間三十億トンカーボンの排出量までの削減をしなければいけない、スウェーデンにおきましてもそういう長期的な見通しを考えなければいけないと。  それはどういうふうにして出てきたかといいますと、二度Cを超えないような形でやらなければいけない、二度Cを超えるとこれはもう破局的な状態になってしまうと。生態系も人間もその中でなかなか厳しい状態になってしまうということですから、そこを避けるためにはそういう、いわゆる先に二度C超えないような状況をどうつくっていくかという、そういうことを考えなければいけないということだと思うんですね。いわゆるバックキャスティングアプローチ、そういう予測手法を取らなければいけない。二〇五〇年あるいは二一〇〇年の段階で二度Cを超えないというようなことを先に制約条件として決めて、それを今度、今の時代の方にさかのぼってくるといいますか手元に引き寄せる形で、ここ五年間あるいは十年間、こういう施策の展開をしなければいけないと、そういう手法というのが今真剣に議論されていると。  そして、せんだっても京都議定書目標達成計画というのが閣議決定されたわけでありますけれども、その計画内容というのは、決してそういったものに従って作っているわけでは当然ないわけであります。いわゆる二〇一三年以降のポスト京都議定書の中身に対応した形でどう作っていくかということは、極めてこれは国土形成計画ともしっかりとつながっている話だと私は思っておりまして、こういった面についての見解を是非お願いしたいと思います。  その場合に、やはり私は、環境省とかあるいは地球温暖化対策推進本部で考えていく内容と、いわゆるそういった二〇五〇年からさかのぼって考えていくという、そういうやり方、その面についても、私は、国土交通省がしっかりとした精査を行いつつ、政策研究を行いつつやっていかなければいけないという、そういうところまで来ているんではないかなと、こういうふうに認識しておりますので、是非こういった面についての積極的な展開をお願いしたいと。これについての御見解をよろしくお願いいたします。
  121. 尾見博武

    政府参考人尾見博武君) 低炭素社会ということで、二〇五〇年問題というのは今の先生のお話で初めて拝聴させていただいたわけでありますけれども、このCO2対策として、イギリスの産業革命の前の水準の倍ぐらいを目標にというようなことで今まで進めてきたけれども、それでは全く足りないんだと。二度C下げるためには、二〇五〇年の時点の目標を設定して、そこから逆算的に今何すべきかということを考えるという、バックキャスティングアプローチというようなその方法論についても今初めて伺ったわけでありますけれども、私ども、国土計画を考えるときに基本的に頭に置いておりますことは、今の延長線上で物を考えても恐らく新しい展開が生まれてこないんではないかという思いを強く持っております。  やはり、先にある種のイメージを持って、そこから、それを実現するためにはどういう施策が必要かと、どういう計画が必要かというような柱立てをして、それと現在につなげていくというのは、ある意味計画策定するときの方法論としては非常に、何というか、ドラスチックだと思いますし、有効な指標なのかなという感じを今さしていただいたところでございまして、こういう低炭素社会に向けた政策研究というようなものをしっかり取り組んでいかないといけないんではないかというふうに思っております。  相当な削減量ということでもございますし、京都議定書を実行に移すことでも相当難題だということで、それはそれに向けての取組というのも実は考えているわけでありますけれども、そういう意味では、この持続可能性というものを意識した地球温暖化対策というものの重さというものを今の御質問で指摘をいただきましたので、この問題について真剣に取り組んでいきたいと思っております。
  122. 加藤修一

    加藤修一君 国土交通省はいわゆる都市対策の関係も所掌している省でありますので、グリーンな建築をどう具体的に展開するか、あるいは自立する都市構造の関係とか分散化サービス対応の関係とか、あるいは最近言われていますのは、コンパクトシティーをどういうふうに形成していくかということもおっしゃっているわけでありますので、そういう都市対策の関係、あるいは交通対策で次世代の交通体系をどういう形でつくっていくか、あるいは効率的な交通システムあるいは物流の関係につきましても、そういったことについて、いわゆる気候変動の変化に対応した形で社会形成国土形成をどういうふうにつくっていくかというのは極めて私は重要な視点があるように思いますので、私は、積極的にその辺の部分について国土交通省は政策対話も含めて政策研究を進めていただきたいと、このように思ってございます。  それから、今回の法案の関係で、いわゆる政策評価法に基づいて政策評価を行うというふうに書いてございます。言うまでもなく、これはプラン・ドゥー・チェック・アクションという話になってくるわけでありますけれども、チェックのところをどういうふうにやるのかと。  かつて、建設省の時代でありますけれども、平成二年の建設白書の中では、豊か指数というのを実はつくられているわけなんですね。その中では、経済的に相当の進展があったとしても国民の皆さんは豊かさをなかなか感じ得ていないと。  そういった面で、じゃ、今後どういうふうに様々な施策の展開をやっていくか。もちろん、これは国土形成法にかかわってくる話だと私は思います。いわゆるチェックをする場合にどういう枠組みでチェックをするかということは極めて重要であると思っておりまして、そういったことを考えていきますと、社会的な指標といいますかインディケーター、それをどういうふうに複数導入して、その指標に基づいて評価をしていくかと。数量的な評価に当然なってくるわけでありますけれども、かつてのGDPとかGNPで評価するということは、これはもう言うまでもなく、皆さん御存じのように、それだけではなかなか豊かさの測る指標とは言い切れない。プラスアルファとして、何の、いかなる指標を導入して枠組みを構成していくか、その評価の枠組みに従ってどう評価するかということが極めて重要だと、そういうふうになってくるわけであります。  そこで、これはOECDの話でありますけれども、諸国家のウエルビーイング、いわゆる生活の質ですね、それをいかに向上させるか、高質な生活の質を考えるかと。その場合に、様々な指標体系を考えているわけでございます。あるいはミレニアム・エコシステム・アセスメントという事務局がございます。その事務局がやっているのは、生態系等の人類のウエルビーイング、そういう生活の質というのをどういうふうに測るかということについても検討しているわけでございますし、あるいはさらに、カナダの下院におきましては、カナダ・ウエルビーイング指標法、そういう法律を可決して、いわゆる従来のGDP、GNPで捕捉できないような分野についても十分捕捉して、実際に物事が進んだ、いわゆる施策が進んだ、まあ今の場合は国土形成計画法に基づいて様々な施策が展開された、じゃ、その成果は何であるか、何が効果的に皆さんに受け入れられているかと、そういったことをやはりしっかりと捕捉して次の機会に生かす、すなわちアクションをどういう形で具体的に展開すればいいかということがそこからも出てくる可能性が十分あり得ると私は考えているわけでございます。  そういうことをやはりやっている国も随分あるように思っておりますし、そういういわゆる社会の、いわゆる公共政策の効果がどういうふうに出ているかということについてしっかりと指標体系をつくって国土交通省も検討をしていくべきではないかなと、そんなふうに考えているわけでございますけれども、この辺についての国土交通省の今後の取組、あるいは先ほども政策研究という話を申し上げましたけれども、あるいはほかの委員の方が国土審議会というのがあると、審議会というのは審議は必ずしもしていないというような発言もございましたけれども、しかし、そういった中で、専門分科会等々含めて、こういう専門的な面についても議論を深めて、指標体系に基づいて今回の国土形成計画法というのが通った後でどういうふうに次の施策体系の成果を計測するかと、そういう枠組み、道具をしっかりとつくっておくべきではないかなと、そんなふうに考えておりますけれども、この辺についての御見解をしっかりと示していただきたいと思います。
  123. 尾見博武

    政府参考人尾見博武君) 新しい国土計画におきましては、いわゆるアウトプットの指標で計画を示すということは考えておりません。アウトカム指標として国民生活の姿をできるだけ分かりやすく提示できるようにしようという発想というか思いを持っているわけであります。  今先生が御指摘になりましたように、建設省の時代に豊かさ指数というようなことで、豊かさを実感できるためにというようなことで、いろんなファクターを取って数値的に評価できるような仕組みも勉強したようであります。経済企画庁の方でもそういう関係の試みはあったようにも伺っております。それから、ウエルビーイングアクトですか、カナダのお話についても先生からも教えていただいて調べさせていただいたということもあります。  正直言ってなかなか難しいテーマだと思いますが、一つには分かりやすい、それから二つ目には物差しとしてきっちり評価できると、この二つの中身を備えないといけないというわけでありますので、そう簡単にいい、だれでも納得できるようなものができるかどうかは分かりませんが、これは一度御説明させていただいたことでもありますけれども、国土審議会の中で必要に応じて検討の場を設けて、そういう問題についても、重要な要素でありますので検討していきたいというふうに考えているところでございます。
  124. 加藤修一

    加藤修一君 是非そういった点についても積極的に取り組んでいただきたいと思います。  以上で私の質問は終わります。
  125. 仁比聡平

    仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。  大臣も今日述べられましたとおり、我が国国土政策が大きな節目に立っているということは、今日も何人もの先輩議員から指摘をされました。その中で、国土総合開発計画法の今回の改正というのが、マスコミでは、開発中心の全総計画に代わり地方主導での利用保全計画を作ることをねらったものなどというふうに報じられています。それが本当にそうなのかと。今後の国土政策あるいは地域政策の在り方にとって、実際のところどういう意味を持つのかということを政府はやっぱり明らかにしなければならないと思うんですね。まず、戦後、これまでの五回にわたる全総について、その総括を国民的な検討に付することが私は必要だと思います。  我が党は、国がトップダウンで総額先にありきで巨大な投資を進めてきた、その結果、船が入港せずに巨大な釣堀になっている港や自然を破壊する必要のないダム建設など、無駄な公共事業が進められてきたということをこれまで厳しく批判をしてきました。政府はもちろん立場が違うんだと思うんですけれども、ですが、その議論の大前提として、過去のこの五回の全総計画、この中での投資をされてきた私たちの税金、ここをはっきりさせていただきたいと思います。  そこで、局長に、過去の全総計画における投資の規模と投資実績についてまず紹介をしていただきたいと思います。
  126. 尾見博武

    政府参考人尾見博武君) それでは、お答えを申し上げます。  各全総における投資規模及び実績は以下のとおりでございます。  まず最初に、最初の全総計画、これは行政投資総額として十六・一三兆円でございます。この期間は一九六一年から一九七〇年の十年間でございまして、これに対する実績は二十七・三兆円となっております。  それから二番目に、新全総でありますが、これは累積政府固定投資という形になっておりますが、約百三十兆円から百七十兆円という投資規模で、幅のある示し方をしております。これは一九六六年から一九八五年ということでございますが、ここにつきましては百三十五・三兆円という数字でございます。  それから、三全総でございますけれども、累積政府投資として約三百七十兆円、これは一九七六年から一九九〇年の十五年間でございます。これに対しての実績は二百四十七兆円でございます。  それから、四全総、これは国土基盤投資総額ということでございますが、おおむね累積一千兆円程度ということでございます。一九八六年から二〇〇〇年度ということで十五年ということでございます。これに対しては千三十兆円、こういう数字になっております。    〔理事大江康弘君退席、委員長着席〕  なお、全総投資額、最初の全総投資額については、国民所得倍増計画に定められたものによっているところでございます。  以上です。
  127. 仁比聡平

    仁比聡平君 五全総、いわゆるグランドデザインについてはどうですか。
  128. 尾見博武

    政府参考人尾見博武君) グランドデザインにつきましては、先ほど来お話も出ておりますけれども、投資規模というものを定めておりません。したがって、これに対する実績云々というふうなことの整理をいたしておりません。
  129. 仁比聡平

    仁比聡平君 五全総といいますかグランドデザインに基づいて、フレームは定めていないのかもしれないけれども、その方向に基づいて実際に公共投資をしてきたことは間違いないと思うんですね。していないわけはないわけです。  ある研究者が、衆議院で参考人質疑で紹介をされたところでは、一千兆円を下ることはないだろうというお話がありました。なのに、その数字を示せない、あるいは示すおつもりがなさそうなんですが、私、その姿勢というのが理解ができないんですね。国土政策を大きく転換をするとおっしゃっていて、政府自らが開発中心からの転換というふうに言われながら、どうして過去の全総計画の中でどれだけの投資がされてきたのかということを説明をしないのかということなんですよ。  仮に五全総が一千兆円の規模だとすると、先ほどおっしゃった実績の金額を単純に、本来は単純に足せる金額ではないと思いますが、仮に単純に足したら二千四百三十九兆六千億円という規模なんですね。だけれども、これだけの巨大投資をしてきて、それが例えば産業立地政策や水資源・電源開発やエネルギーの開発、あるいは道路や港湾や空港の整備あるいは農林水産物の生産、災害対策など国土保全地域経済の政策あるいは都市交通の問題など、などなどですけれども、そこにどういう効果、影響をもたらしてきたのかという総括が国民的には全く分からない。そのまんま抜本的な改正ということが行われようと私はしていると思うんです。どのような影響をもたらして、あるいはその中でどんなふうなストックがつくられてきたのか、そこの事実を明らかにして、問題点、課題を究明をしてこそ真剣に国づくりを考えていくということができるんじゃないでしょうか。  そのグランドデザイン以降の公共投資の数字について、今日とは言いませんけれども、改めて調べていただいて示していただくということはできませんか。もう一度。
  130. 尾見博武

    政府参考人尾見博武君) 四全総までは、その全国計画の中の地域地域別の整備方向というのが、三部でございますけれども、その中のプロジェクトについてあらあらの、どのくらいお金を掛かるかというようなことの見積りを、見積りというか見通しを出して、それの総トータルとしての投資規模というようなものが決まって、決めてきたということでありますけれども、グランドデザインにつきましては、そのときの財政状況の中でそういうことを示すことは不適当であるというようなことでありますので、その時点でこの投資に対して、投資規模があって初めて投資実績だという頭の整理でそういう作業をしていないわけであります。で、今までのところも、投資規模、投資実績は分かったとして、分かったとしての評価というか、そういうものでもなくてもいろんな形での評価ができると思います。  グランドデザインにつきましても、さっき政策評価ということで、国土審議会におきまして総合的点検ということでいろんな角度からトータルに、私ども一つ一つプロジェクトがどうこうというよりも、このグランドデザインで示してきたものについて、その掲げた目標なり柱なりそういうものがどういうような形で表われているかというようなことについての評価はしておりますので、総合的点検について必要があれば、またお示しをしたいと思っております。
  131. 仁比聡平

    仁比聡平君 私もその国土審議会の報告は拝見したんですけれども、これで本当に国民が納得できるんだろうか、これほど巨大な投資をしてきて、その結果をどう見るのかということについて国民が納得できるのかということについては極めて強い疑問を持っています。  それで、一体この全総計画の中で国民生活がどうなってきたのかということが本当に大事だと思うんです。私の持ち時間ですべてを総括することはできませんけれども、例えば産業立地の問題を見ましても、現実には、企業誘致に成功したところでは、これは公害問題あるいは都市問題を始めとして社会的な費用が大幅に増大をしています。その中で苦しめられてきた国民はたくさんいます。企業誘致に失敗をした多くのところもありますが、ここでは先行投資に伴う財政危機にあえいでいます。  ですが、その中で、例えば、私、地元は北九州市あるいは北部九州を見ましても、そういう中で今改めて工業用地のための埋立てが続いているというような実態があるんですね。片やでは、膨大な空き地にセイタカアワダチソウが生えて、これを刈り取るのに地元の自治体がたくさんの費用負担をしている。これが今の現実だと私は思うんですよ。  あるいは、八〇年代でしょうか、通商摩擦の中で、日米構造協議を通じて公共投資は四百三十兆円規模あるいは六百三十兆円規模と、こういう内需拡大計画が立てられました。海外への直接投資という動きも誘導されて、一方で農産物や中小企業製品の輸入促進、自由化という政策が我が国地域経済に大きな打撃を与えました。その中で、産業空洞化の現象が生み出されるとともに、地方の基幹産業、地場産業、大きく落ち込んでいるというのが現実です。一方では、都市を中心開発と都市政策の下で地価高騰とバブルも起こり、東京への一極集中も起こってきている。  大臣にお伺いをしたいんですけれども、戦後、今日までの全総中心とした巨大な公共投資という政策の中で、国民の生活向上という観点で一体どうなってきたとお考えなのか。私は、投資額に見合うような、そんな生活向上につながったとは到底思えません。それをどうしてだと大臣はお考えか、お聞きしたいと思います。
  132. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) 確かに、これまでの公共事業の中で必ずしも必要性が高いと言えないような事業に投資をしてきたこともあったと思いますし、また経済情勢が大きく変化する中で所期の目的が達せられなくなった、そのような事業もあることも事実だと思います。  しかしながら、仁比委員、どうでしょうかね、私どもが子供のころと比べたら大分違っているな、違ってきたなと思うこと多いんじゃないでしょうか。例えば河川のはんらん、私の子供のころなんかしょっちゅうはんらんしていましたね。床上浸水、床下浸水、しょっちゅうでしたよ。今なかなか都市部において、内水等の問題はもちろんありますけれども、昔に比べたら本当に河川の整備がやはり着実に進んできて、安全な私は町になってきたというふうに思いますよ。まあ今は河川の話を取り上げましたが、道路の問題でもそうです。  私は、そういう意味ではこの社会資本整備というのは私どもの生活の向上に大きく役立っているというふうに思っております。
  133. 仁比聡平

    仁比聡平君 今大臣が紹介をされた河川の災害対策の問題について、とりわけ河川改修によるはんらんを防いでいく、そういうことについては、これは別の場で大臣とも議論をしましたけれども、私どももどんどん進めていただきたいというふうに申し上げているわけですね。だけれども、一方で、せんだっての例えば港の問題で申し上げましたように、数千億円の規模の投資がしてこられながら、だけれども船が入らないという港が現実にあるという事態を、これいろいろ立場はおありだと思いますが、総括をしてでなければ次に進めないんじゃないでしょうか。  その中で、九州、私の地元九州で幾つかちょっと指標を御紹介したいと思いますけれども、県民一人当たりの所得が一体どんなものかといいますと、全国平均と比べましても、昭和五十年度で八二%、平成年度で七六・一%、平成十二年度でも八二・九%なんですね。これ県別にちょっと見ますと、福岡が八八・四%で、大分が一番高くて九一%なんです。だけれども、これ年間で県民一人当たりの所得というのは二百七十九万円にすぎないんですね。一番深刻なのは沖縄ですが、ここは六八・五%という、こういう全国平均に比べてもやはり低い所得ということに現実に今なっている。失業率は、全国平均も確かに厳しいんですが、これを一ポイント上回る数字がずっと続いていまして、〇四年でいいますと、全国平均が四・七%なのに対して九州全体の平均というのは五・五%です。  こういう結果、あるいは人口の問題について数字はもう示しませんけれども、高齢化は著しく進んできていますが、これが今、現在進行形で、福岡市都市圏への一極化と言ってもいいような現象が進んでいます。特に、九州新幹線の開通やあるいは高速道路網の整備の中で、これそのものが私、悪いと言いませんよ、ですけれども、その現象として福岡都市圏への集中が起こり、そしてそこでの都市問題というのは、水資源の問題やあるいは交通の問題などで深刻化していると思うんですね。そういったことをしっかり総括をするということが大事だと思うんです。  私も、国民生活との結び付きで、何か原因が一つにくくられるとは思いませんけれども、その重要な原因の柱として、住民の生活領域としての地域づくり、あるいは国民生活支援するのではなくて大企業の活動領域としての地域あるいは国土政策集中をして公共投資を続けてきたというその政策の矛盾、これあるんじゃないかとかねてから痛感をしています。  一つの例としてということですが、農水省においでいただきました。数字だけ御紹介いただきたいと思いますが、農水省予算のうち公共事業関係費が農産物の価格支持の予算などが含まれている食料安定供給関係費のこれは倍という状況がずっと続いています。その二つについて、今年度予算の額と構成比を教えていただけますか。
  134. 坂野雅敏

    政府参考人坂野雅敏君) 平成十七年度の農林水産関係予算における公共事業費については一兆三千百二十四億円となっております。農林水産関係予算総額に占める割合は四四・二%となっております。  また、食料安定供給関係費につきましては六千七百五十五億円となっておりまして、総額に占める割合は二二・八%となっております。
  135. 仁比聡平

    仁比聡平君 ありがとうございました。もし御用あれば退席いただいて結構です。  そういった中で、九州では、これまでも私、国会で取り上げさせていただいてきましたけれども、例えば諫早湾干拓事業やあるいは川辺川ダムの事業、こういった農民や漁民がやめるべきだと言っているもの、これがどんどん造り続けようという方向が進められているという構図があるわけです。一つ一つの事業について今日は立ち入る時間ありませんけれども、私は、今度の法改正で大事なことは、今度の法改正でこういった事態の何がどう変わるのかということだと思うんですよ。開発からストック重視というお話もありますけれども、この法律改正を契機にして見直しがされるんでしょうか。  その点にかかわって、今日午前中、局長質疑の中で、広域地方計画についてですが、各論は既にできていると、あとは何を優先するのか、具体的プロジェクトの優先度を決めていく旨のことが協議会の役割であるような答弁をされたように思うんです。そうなると、何も変わらないんじゃないですか。従来の全総のトップダウンに対して協議会のお墨付きを与えるという装いを変えることにはなるけれども、だけれども具体的には何にも変わらないというふうに思うんですが、いかがですか。
  136. 尾見博武

    政府参考人尾見博武君) 今私が申し上げましたのは、これまで、これからも人口が伸びるとか経済が成長するとか、そういうことを前提として、あるいは財政状況についても、ある一定段階の財政状況を念頭に置いていろんな計画ができてきているということは事実だと思います。そういうものがなかなか具体的な姿という形で見えてこないというのは、地域の中では一番大きな話になっております。  私のところにも、各エリア、例えばブロックならブロックごとに、例えば知事さん方が地域の一致したお声として、いろいろなプロジェクトの早期完成というか早期着手とか、そういう形でお見えになります。そういう際に、今の状況の中でこんなふうに、要するに細切れ的にやっていたのでは具体的になかなか姿は見えてこないと。  そういうことで、そういうプロジェクトは完成して初めて効果を発揮するわけでありますし、そういうことが、例えば民間の投資を誘導して効果的に発揮させるということができるという状況にもなるわけですから、そういうことを明確にしていくというのが、一義的に考えると、今考えられる状況の中では大きな要素だということで御説明をしたわけです。そういうものをやるやらない、例えばこれはもっと後にするとか、そういうような形で計画が決まりますから、追加することもあります、外すこともあると、それは協議会の中で御議論して決めていただくことだと思っております。
  137. 仁比聡平

    仁比聡平君 法案で、開発という言葉整備と変えるという御指摘も今朝ありましたけれども、結局、今日ずっとお伺いをしていて、選択と集中という名の下にやっぱり開発はやるんだなということだと思うんですよね。  そこで、中心問題だと思うのは、国が必要だと判断をした事業が、その選択と集中ということによって重点的な投資が行われるのじゃないかということなんですよ。地方主導だというふうにおっしゃるけれども、その表れといいますかね、具体化が広域地方計画協議会だと思います。  先ほど先輩議員から詳しく御指摘もありましたので、私二つだけお伺いしたいと思うんですけれども、一つは、全国計画にしてもというか、それぞれの全国計画にしても広域地方計画にしても、なぜ国会の審議や承認といった、こういう関与、これをやらないのかと。あるいは、広域地方計画は私は地方議会の関与というものがあってしかるべきだと思いますけれども、なぜやらないのか、そのどうしてしないのかという点についてだけ端的にお答えください。
  138. 尾見博武

    政府参考人尾見博武君) 先ほど来も御説明をさせていただいておりますけれども、計画について例えば国会で十分御議論いただくということは必要なことだと思っております。それから、いろんな形で国民の御意見を伺うということにもしております。  ただ、決めさせていただく計画は、あくまで行政、特に国が中心になるものが当面多いと思いますが、そういうものについてどう進めるかということが中心になってきます。そのときに地方公共団体が、特に知事さんのサイドで、単に要望ということではなくて、最終的に責任を持った形で御判断をいただいて、どこから整備していくのかということを決めていただくということでありまして、あくまでも行政同士の行政計画ということでこの計画は決めさせていただく、そういう内容のものだということでございます。
  139. 仁比聡平

    仁比聡平君 結局、これまでのように政府あるいは地方行政が進めてきた巨大開発あるいは公共事業、この体制、そう変わらないじゃないですか。国の形を変えるということを、「新しい国のかたちへ向けて」ということを表題に、テーマにしておられますけれども、国の形を変えるということであれば、その政策決定の在り方だとか、あるいはその中での国民の世論や要求の反映のさせ方だとか、踏み込んで私は検討して当たり前だと思うんですね。  もう一点ですが、法案の十条で、協議会の原始的なメンバーといいますか、これは国の関係以外でいうと各都道府県と政令市ということになっています。だとすると、それ以外の地方市ですね、地方都市ですね、あるいは市町村、ここの参加というのは一体どうなるんでしょうか。例えば、九州を一つ広域地方計画を作るとすれば、各県の七県の知事と、それから福岡市、北九州市の市長だけが原始メンバーで、ほかの都市はどうするかというのは、これ二条で言う、必要があると認めるときには協議により加えることができるということにとどまることになるんですね。そうしたら、それを一体だれが決めるのかということですよ。これ、構成上のイニシアチブをその今一極集中の進んでいる県や自治体が担うということに、あるいは握るということに現実にはなります。一方で、全市町村をそこに参加させるというわけにも現実的にはいかないんだろうと思うんですよね。そうすると、その基準を一体どこに置くのかというのは大問題になってくると思うんですよ。  その中で、地方の声あるいは地域の声、これを正面から受け止めて議論をするために一体どんな担保があると考えておられるのか、お尋ねしたいと思います。
  140. 尾見博武

    政府参考人尾見博武君) 広域計画の対象は、国が全国的な見地から行う施策、プロジェクトと言ってもいいかもしれません、それと、広域的な観点から県をまたがるようなもの、そういうものが中心であります。したがって、今お話がございましたように、知事さん、政令市の市長さんと国の支分部局をコアメンバーにしているわけであります。その他の市町村長さんをどういう形で参画していただくかについては、そういう皆さんのお話の中で、例えば九州のあるエリアの代表としてどこかの市町村長さんに入っていただくとか、そういうことは、協議会自治というか、協議会の運営の中で皆さんの御意思で決めていただくということでありますので、そこについて仕組みの中で具体的な制限とかそういうことは設けておりません。
  141. 仁比聡平

    仁比聡平君 その協議会が新たな装いを凝らしたトップダウンの場ということに私はなるのではないかということを極めて懸念をしています。  全総型のトップダウンの国土計画あるいは国土政策ではなくて、生活圏域に根差した住民の自治と、そして議会の正面からの関与に根差した地域的な仕組みづくり、これこそが大事だということを申し上げて、質問を終わります。
  142. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 社民党の渕上でございます。  これまでの五次にわたる全総計画では、国土の均衡ある発展を実現することが基本的な課題であったと思いますが、その課題は現在どの程度解決されたと認識をしておられるでしょうか。また、国土の均衡ある発展のための施策が、結果として公害や自然破壊をもたらし、地域の個性の喪失にもつながっているとの批判があることについてどのようにお考えでしょうか。
  143. 尾見博武

    政府参考人尾見博武君) お答えを申し上げます。  国土の均衡ある発展ということでございますが、これは、人口産業大都市集中の流れに対して、地域の特性を生かしつつ国土利用の過度の偏在を是正することを意味するというふうにされてきたところでございます。  国土の均衡ある発展という基本理念に基づきまして展開されてまいりました施策は、工業や教育機関の地方分散など、相応の成果を上げてきたところでございますが、一方では金太郎あめとかフルセット主義の開発を招いたとの指摘もある状況でございます。それから、現在におきましても、大都市圏への人口及び機能集中が依然として継続している状況にかんがみますと、当初の目的は必ずしも達成されたとは言えない面があるというふうに認識しているところであります。  こういう観点で、国土利用の過度の偏在に起因する過疎過密の問題の是正は依然として国土政策上の重要な課題であるというふうに考えまして、国土の均衡ある発展の本来の趣旨を今後とも維持していく必要があるというふうに考えております。本来の趣旨と申しますのは、やはり国から地方へという理念の下の個性ある地域発展、知恵と工夫の競争による地域活性化、こういう考え方を本来内包しているものでありますので、そういうところに政策の重点を置いて進めていきたいと思っております。  活力ある経済社会等々との基盤となるバランスの取れた国土の実現に向けて取り組んでいくと、こういう考え方でございます。
  144. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 現行法において、国土総合開発計画とは、全国総合開発計画、都道府県総合開発計画地方総合開発計画及び特定地域総合開発計画から構成されていますが、このうち都道府県総合開発計画地方総合開発計画はいずれも策定実績がありません。これまで一度も策定されなかった理由について、どのようにお考えでしょうか。
  145. 尾見博武

    政府参考人尾見博武君) 都道府県総合開発計画の実績がない理由といたしましては、都府県が国土総合開発法の枠内にとどまらず、都府県政の基本方向を打ち出す計画を任意に策定するようになったためではないかというふうに推測をしております。  地方総合開発計画の実績がない理由といたしましては、二以上の都府県の区域にまたがる総合開発で必要なものは、別途、計画策定、実施の両面において国の関与が大きく実効性の高い特定地域総合開発計画策定して実施されたという経緯がございます。これは全国で二十一の箇所で河川の総合開発などという形で計画が決められたということがございます。  それから、昭和三十二年に東北開発促進法が成立した以降、九州、四国、中国、北陸の各地方開発促進法が順次成立いたしまして、国において地方開発促進計画策定されることになった。そういうことから地方総合開発計画として計画策定されなかったと、こういうふうに理解をしておるところでございます。
  146. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 少子高齢化社会の到来により、今後、人口規模の小さな地方部においては過疎化と高齢化が一層進行することが見込まれます。それによって、教育、医療、交通等の社会サービスが満足に受けられない地域が増大することが予想されますが、新しい国土形成計画ではどのような生活基盤にかかわる課題に対して、どのような役割を果たすことができるのでしょうか、お伺いをいたします。
  147. 尾見博武

    政府参考人尾見博武君) 教育、医療、公共交通など社会サービスの提供につきましては、安全、安心、安定といった観点から非常に重要なことだというふうに考えております。それらのサービスの円滑な提供を進めるための国土基盤整備の基本的な方向を明らかにしていくということにしたいと思っております。  特に地方圏におきましては、大幅な人口減少が予想されますので、生活レベルの社会サービスの提供が困難となる地域拡大をするということが見込まれます。で、その対応が極めて重要だと思っております。このような地域では、近隣市町村等で機能分担、相互補完を行うというようなこと、あるいは情報通信技術を活用して新しいサービスを提供するとか、特色のある地域づくりが可能となるように国土形成計画では基本的な指針を示すと同時に、広域計画の中で国と地方で共同した形で特色を踏まえた地域の創意による地域づくりを実現するということにしていきたいと思っております。
  148. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 本法律案では、国土形成計画のうち全国計画については、政策評価に基づく政策評価の対象としていますけれども、広域地方計画国土利用計画などはその対象となっておりません。このように政策評価の取扱いについて差異を設けるということはどういうことなのでしょうか、お伺いいたします。
  149. 尾見博武

    政府参考人尾見博武君) 国土形成計画は、国土の総合的な利用整備保全に関する国家としての基本的な方針を定めるものであるということで、政策の総合性を有する国の計画の中でも最も枢要なものの一つであるということで、計画内容社会経済情勢との乖離が生じないように定期的な見直しを行うことが重要だと考えております。  広域地方計画につきましては、全国計画の下位計画でございまして、全国計画について政策レビューとして総合的かつ詳細な点検が行われれば、その関連制度の一つである広域地方計画について当然検討が行われることになりますので、広域地方計画について政策評価を法律上義務付けるまでの必要はないと判断をしているところでございます。  一方、国土利用計画国土利用の長期的方針を示すというものでありまして、法律上その時々の個別の具体的な施策を記述する計画とはされていないということがございますので、政策評価の義務付けは規定していないものでございます。
  150. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 本法律案では、先ほども議論ございましたけれども、国土利用開発及び保全という用語を、利用整備及び保全と改め、利用整備及び保全国土形成と呼んでいますが、新しい国土形成計画において開発の持つ意義が変わるのでしょうか。変わるとすれば、どのような意義を有するのでありましょうか。
  151. 尾見博武

    政府参考人尾見博武君) 従来の国土計画は、人口増加と右肩上がりの経済成長を背景として、量的な拡大を目指す開発中心国土計画であったというふうに考えております。  今回の法改正に当たりましては、人口減少時代の到来や安定成長経済への移行等といった時代の大きな変化を背景といたしまして、既存ストックの有効活用や国土の質的向上を図る、国民生活の安全、安心、安定を目指す成熟社会型の国土計画への転換を図るとしたものでございます。  今回の法改正に当たりまして、開発の用語を整備と改めておりますが、このような変化を踏まえて、既存ストックの有効活用や国土の質的向上を図り、成熟社会型の国土計画への転換を図るものとしたものでございます。  開発整備、どこが違うかということでありますが、開発の方は、一定の資源、機能が現在のところ余りないという地域において、それらを開き起こすとか、そういうような概念が強いものと考えております。整備は、そのような資源、機能が既にある程度集積している地域において、それらを改善、保全するという概念ということではないかと思っています。したがって、ストックの活用ということを大きな柱にしておりますので、そういうことから整備という用語の方が適当ではないかと考えております。  以上でございます。
  152. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 本法律案では、国土形成計画に盛られる基本的方針と施策について、全国と広域の二層の計画体系の中でどのような実効性を持たせようとしているのか、また都道府県、市町村の計画については法案化しないとなっておりますが、その理由は何でございましょうか。
  153. 尾見博武

    政府参考人尾見博武君) 今回の法案では、全国計画におきましては総合的な国土形成に関しての基本的な指針を示すにとどめ、それに基づき、各地域における具体の施策、事業は広域地方計画で定めるということにしております。  この広域地方計画制度では、協議会でその地域国土形成のために何を優先的に取り組むべきか、地域自らフルセット主義を排除した効率的、重点的な国土形成の在り方などについて検討がなされると考えております。  それから、協議会の構成員は、協議が調った事項についてその結果を尊重しなければならないことから、記載した事業については各実施主体において十分に尊重され、積極的な対応がなされるというふうに考えております。  特に、国の地方支分部局が協議会の構成員となることから、事業実施の上でも協議の結果をしんしゃくして、国と地方公共団体が緊密な連携を保ちながら進められるのではないかというふうに考えておりまして、こういう仕組みの中で全国計画と相まって計画の実効性が図られていくというふうに考えているところでございます。  都道府県総合開発計画につきましては、これまでは策定の実績がございませんで、また地方分権観点から都府県が独自に作成する計画は、都府県の自主的な判断に任せることが適当であるということから制度を廃止したものでございます。新たな国土形成計画の実効性に支障が生ずるとは考えておりません。
  154. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 国土形成計画の基本理念に関する規定に「国土形成計画は」とありまして、国の本来果たすべき役割を踏まえ、国の責務が全うされることになるよう定めるとありますけれども、国土形成に関する国の役割と責務とはどのようなことを考えておられるのか、御質問いたします。
  155. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) 一つは、やはり国民の安全、安心にかかわる基盤整備にかかわること、例えば危機管理、また防災等に関してやはり国土全体としての基盤整備の在り方については、やはり国が基本的に責任を持っていかないといけないと思います。  また、国際競争力を強化していくためのやはり基盤整備につきましても、これまた国がしっかりと全国を的にして整合性を持った形で整備していく必要があると思いますし、地球環境問題、また海洋の利用保全等の問題については、これもまた地方ではなくて国がやはり一義的に責任を持ってやっていかないといけないというふうに考えておるところでございまして、こうした課題につきまして国が主体的に取り組む必要があると、そのために国土形成計画法におきましては、この国の、今申し上げました国の責務を全うする見地から、全国計画閣議決定するというふうに決めさせていただきました。
  156. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 全国計画に定める事項として、国土形成に関する基本的な方針、それから国土形成に関する目標があります。この目標を達成するために全国的な見地から必要と認められる基本的施策に関する事項を定めることになっております。具体的にはどのような内容を指しているのでございましょうか。
  157. 尾見博武

    政府参考人尾見博武君) 今大臣の方から国の役割ということで御説明がございましたが、その観点で、例えば全国計画につきましては、東アジア等との連携を視野に入れた空港、港湾等の利活用などシームレスな交通・物流体系の実現、それから都市や地域の再編整備あるいは国土保全、管理の強化など人口減少に伴う課題への対処、さらに、防災対策の推進など安全、安心、安定な国民生活の実現などに対応していくことを想定させていただいておるところでございます。
  158. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 全国計画に定める事項として、国土形成に関する基本的な方針、それから国土形成に関する目標があります。この目標を達成するために全国的な見地から必要と認められる具体的かつ明確なものといいましょうか、全国計画が政策評価の対象になることを踏まえますと、具体的かつ明確なものである必要があると思いますが、どのような定めをするのでございましょうか。
  159. 尾見博武

    政府参考人尾見博武君) 全国計画に定めます目標でございますが、先ほどもちょっと御説明をさせていただきましたが、国民生活の姿というようなものを目標として定めていくということが必要だと思っております。  これらについてはどういう形で表現することが適当なのか。一つには、きちんと評価ができないといけないということだと思います。数量化というようなことができれば、それにこしたことはないわけでありますので、そういうことも含めて目標の在り方というようなものも考えていく必要があるのではないかと思います。従来の開発型の量を中心とした計画目標というのはやはり適切ではないのではないかと思いますが、環境等の質や多様性も考慮した新しい国土計画にふさわしい計画目標の在り方について十分検討していく必要があると、こういうふうに考えております。
  160. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 先ほども同僚議員が質問をしていたと思いますけれども、国土交通大臣全国計画の案を作成する際には、国民の意見を反映させるために必要な措置を講ずることとしていますが、どのような方法により国民の意見を聴取するのでしょうか。また、どのような段階で意見を求めるのか、具体的にお願い申し上げます。
  161. 尾見博武

    政府参考人尾見博武君) 今回の法案では、全国計画広域地方計画のいずれにつきましても、計画策定段階において国民の御意見を反映するための措置、いわゆるパブリックインボルブメントを講じることにしております。  その具体的な運用でございますが、計画策定段階の要所要所において、関係省庁や地方公共団体とも連携協力しつつ、随時、インターネットや印刷物などの各種媒体やタウンミーティングなど、多くの国民に計画作りに参画していただけるよう努めてまいる所存でございます。
  162. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 全国計画に係る提案の主体については都道府県又は指定都市としていますが、今後の人口減少などを考慮したときに、都道府県や指定都市だけでなく、指定都市以外の市町村も提案主体に含める必要があると考えますが、いかがでございましょうか。
  163. 尾見博武

    政府参考人尾見博武君) 全国計画は、国土形成に関する目標を達成するために全国的な見地から必要と認められる基本的な施策を定めるものであり、相当程度の広域性と施策の広範性を有する都道府県及び指定都市と密接に関係するものであると、こういうふうに考えております。また、都府県及び指定都市は国土形成計画一つである広域地方計画の協議会の構成員であり、実質上、共同作成者と言ってもいいのではないかと思います。  したがいまして、以上を踏まえまして、全国に関する提案権については都道府県及び指定都市のみを対象としておりますけれども、法律上の提案権は市町村には認めておりませんけれども、運用上、市町村の意向についても計画に反映できるよう配慮してまいりたいと、こういうふうに考えております。
  164. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 終わります。
  165. 田名部匡省

    委員長田名部匡省君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。     ─────────────
  166. 田名部匡省

    委員長田名部匡省君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  総合的な国土形成を図るための国土総合開発法等の一部を改正する等の法律案の審査のため、参考人出席を求め、その意見を聴取することに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  167. 田名部匡省

    委員長田名部匡省君) 御異議ないと認めます。  なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  168. 田名部匡省

    委員長田名部匡省君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十六分散会