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政府参考人(
竹歳誠君) まず、なぜこのように高度処理が遅れているかということでございます。
下水道につきましてはいろいろな課題があるわけでございますが、とにかく
汚水処理を早く進めなくてはいけないということに私
たち力を注いでまいりました。三十年前には一九%の普及率でございましたが、おかげさまで現在までに三人に二人の方が
下水道の恩恵に浴するという時代になりました。今、
一つの大きな
政策の転換点と理解しておりますが、普及促進という量的拡大の問題から質的拡大ということでこの高度処理を進めていかなくてはいけないと
考えております。
なぜ今まで高度処理が遅れたかと。これは大
都市と中小
都市で若干事情が異なります。大
都市について
考えますと、高度処理をするためには今ある処理場に、横にもう
一つまた池を造っていかなくちゃいけないということで、例えば
横浜市で高度処理を実施
しようとすると、あるところでは一・七倍の用地が必要だと。大
都市になりますと、そういう土地がそもそもあるのかということと土地が高いということで、やろうと思ってもできないという
状況が
一つございました。
一方、中小
都市ではこの高度処理の費用というのが総体的に割高になります。例えば、五千人規模を処理する場合と十万人規模を処理する場合の単価、建設単価及び維持
管理を含め、建設単価でいっても一・六倍掛かるというようなことで、それぞれいろんな課題があるということでございました。
今回の
法改正で、高度処理の共同負担方式というか肩代わり方式を導入させていただきましたのは、こういう課題をお互いに分担すると、大
都市でその処理場のところには用地がない、高い、だけれども、ほかのところには用地があるよというときには
一緒にやるというようなことができないだろうかということで今回の改正をお願いしたわけでございます。
また、この質的な問題でございますけれども、窒素、燐の
水質環境基準が設定された閉鎖性海域の数というのが
平成十年度以降約三倍に増加しております。やはり高度処理を進めるためには、その前提として環境の基準というのが決められなくちゃいけない。その環境の基準を守るために高度処理を進めていくわけでございますけれども、
東京湾でも年間百日赤潮が出るというような問題とか、有明海の問題とか、
各地でそういう窒素、燐についてより的確に取り組まなくてはいけないというようなことで、この基準自体の数が増えているということで、我々も高度処理に進めなくちゃいけない。
今後の見通しでございますけれども、これはなかなか一足飛びというわけにはいきませんので、社会資本
整備重点化計画の中で確実に推進させるということになっております。