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2005-07-20 第162回国会 参議院 国際問題に関する調査会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十七年七月二十日(水曜日)    午後一時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     会 長         松田 岩夫君     理 事                 山東 昭子君                 直嶋 正行君                 加藤 修一君     委 員                 岸  信夫君                 小林  温君                 末松 信介君                 中川 雅治君                 二之湯 智君                 水落 敏栄君                 大石 正光君                 大久保 勉君                 工藤堅太郎君                 田村 秀昭君                 藤末 健三君                 前田 武志君                 浮島とも子君                 澤  雄二君                 大門実紀史君    事務局側        第一特別調査室        長        三田 廣行君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○調査報告書に関する件 ○中間報告に関する件 ○国際問題に関する調査  (「多極化時代における新たな日本外交」のう  ち、日本アジア外交について対中外交中心  に)     ─────────────
  2. 松田岩夫

    会長松田岩夫君) ただいまから国際問題に関する調査会を開会いたします。  調査報告書提出についてお諮りいたします。  本調査会は、毎年、調査に関する中間報告書議長提出することになっております。  理事会において協議の結果、お手元に配付の国際問題に関する調査報告書中間報告)案がまとまりました。  つきましては、本案を本調査会中間報告書として議長提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 松田岩夫

    会長松田岩夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 松田岩夫

    会長松田岩夫君) この際、お諮りいたします。  ただいま提出を決定いたしました調査報告書につきましては、議院の会議におきましても中間報告をいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 松田岩夫

    会長松田岩夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  6. 松田岩夫

    会長松田岩夫君) 国際問題に関する調査を議題といたします。  本日は、「多極化時代における新たな日本外交」のうち、日本アジア外交について、対中外交中心に午後三時ごろまでを目途に委員間の意見交換を行います。  本日の議事の進め方でございますが、あらかじめ発言者を定めず、自由討議方式により意見交換を行います。  発言を希望される方は、挙手の上、私の指名を待って発言を行っていただきたいと存じます。  できるだけ多くの委員の方々が発言できますよう、委員の一回の発言時間は五分以内でお願いいたします。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  まず、大会派順に各会派一人一巡するよう指名いたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。  山東昭子君。
  7. 山東昭子

    山東昭子君 この調査会、本当にいろいろな方面から参考人お話を伺い、大変意義ある調査会になったと思っております。  その際に、特に中国との問題というものは、両国にとってお互いに大切な国だと思っているわけですけれども日本に対してのいわゆる反日姿勢というものが八〇年代でもう大体、余り批判は少なくなったというようなことを中国の教授がおっしゃっておられましたけれども、実際問題としては、やはり一九九五年のインターネットにおけるいろんな形の書き込みであるとか、あるいはいろいろな反日デモであるとか、実際の行動を見ておりますと、とてもとてもそうした情勢ではないというような感じを持っておりましたところ、やはり中国教科書の中で大変日本に対しての反日教育というものが非常に強いものがあるというようなことを知りまして、いまだにこういうことをやっていたんではとても両国友好というもの、本当の意味での雪解けというものはないんじゃないかなという気がいたしました。  ただ、教科書に対していろいろな形で注文を付けるということは、これはまあちょっと問題もあるやに思われますが、ただやはり、中国の現在の経済における環境ということを考えた場合、やはり日本ということを無視してはとてもこれからの中国経済発展というものは考えられないわけでして、そういう中でやはりお互いに、中国日本が重要であるということを認識をしてもらうために、どういうことをこれから両国というもの、特に私どもから上手に働き掛けるためには、やはり子供たちとの友好というんでしょうか、まあ二十代から三十代が特に反日というような考え方が強いというようなことも聞いておりますんですが、そうした若い人たちを含めての友好体制というものをどういうふうに持っていったらいいのか。いろんな形での、ビザが大変フリーになっております現在、これを維持しながら、やはりもっともっと若い人たち日本に来てもらって、お互いお互いの国を理解させるためのいろんな方法というものをもっと私ども日本国民は前向きの姿勢で考えていかなければならないんじゃないかなという気がしております。  なかなか中国人たちもお金は大好きな国のようですから、経済というような面では絶対に、まあそれはいろんな面では譲らない部分もあろうかと思いますけれども、やはりもっともっと、なかなか難しいだろうと思いますけれども、これからお互い人間同士として本当にいろんな意味で仲良くやっていくための考え方というもの、方法というものをこれからもこの調査会皆様方とともにまた考えていく必要があるんではないかと、そんなことを考えております。  以上でございます。
  8. 松田岩夫

    会長松田岩夫君) ありがとうございました。  直嶋正行君。
  9. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 会長、ありがとうございます。  民主党の直嶋でございます。  今、山東先生の方からも中国との関係について御提言的なことも含めてお話がございました。若干中国の、特に今年になってからの様々な事象も含めて、私なりに見方とか考え方を申し上げてみたいというふうに思います。  基本的に私は、今の日中関係の中で、先日、中国呉儀副首相が小泉総理との会談をキャンセルして帰国をされるということがありました。これに象徴されていると思うんですが、これをどう受け止めるかということなんですが、私は、恐らく中国政府は、小泉総理の特に靖国をめぐる様々な国会での答弁とかそういうものを受け止めて、多分もうこの小泉政権との間で関係を改善するのは難しいというふうに中国の方は考えているんではないかと。これはいい悪いは別にしまして、我々としてはそのように受け止めた方が事態に合っているんではないかというふうに思っています。  それで、この間、小泉総理外交政策といいますか、これは中国、対中、それから韓国、あるいは北朝鮮、ロシア、こういうところの関係見ますと、いずれも非常に難しい状況に立ち至っているんではないかと。やはり、この四年間の小泉外交を振り返ってみたときに、基本的に外交的には失敗をされたんではないかと、私どもはそういうふうに思っています。  今日は政府批判する場ではありませんからこのくらいでこの話は止めておきたいと思うんですが、要は何を言いたいかというと、やはり日中間信頼関係を構築をしてこれまでの関係に戻すということを考えた場合に、やはり時間が掛かるんだろうということを念頭に置いておかなきゃいけないんじゃないかというふうに思います。例えば、これは別に一方的に日本が悪いと、こういうふうに言っているんではなくて、両国の間でのいろんなそごが積み重なった結果、こういう事態に至ったんではないかというふうに思っています。  今年の春にいわゆる反日デモが吹き荒れまして、中国当局の抑制、統制で収まったということなんですが、たまたま国会図書館がこういう諸外国の論調ということで、欧米あるいはアジアにおける各メディアの報道を整理した資料をくれましたんで、これもちょっと読んでみました。基本的には、私は、特に反日デモについてはやはりとりわけ欧米メディア中国に対して厳しい見方をしているというふうに思います。そういう意味では割合きちっと見ているんではないかと。ただ、アジアの国々の見方とやはり欧米諸国等見方というのは若干違うと。これはやはりさきの戦争等の受け止め方の差ではないかと。ですから、私どもとしては、特に一年間このアジア外交をやってきたわけでありまして、こういうアジア諸国の受け止めもきちっと念頭に置いた中でこれから考えていかなきゃいけないと。  じゃどうしたらいいかということなんですが、私は、日中間はさっき申し上げたようになかなかこれは厳しい状況になっていますので、もちろん一方で経済関係緊密化をしているわけでありますけれども、特に歴史の問題とか様々なこと含めて考えたときに、実はこの中でアメリカブルッキングス研究所研究員のマイケル・オハンロンさんという方のレポートを要約したものが入っているんですが、ちょっと二、三行ですので読み上げてみたいと思います。  日中関係の一層の悪化を防ぐために、日米中三か国政府に対して次のことをオハンロン氏は提言していると。日本政府には日中間での共同教科書委員会を設置すること、中国政府には日本政府による数々の謝罪及び平和志向を維持してきた戦後日本外交の性格を国民に周知すること、それから米国政府には協調的で安定した日中関係を支持することを宣言する、こういう提言をされているんですが、この提言一つ一つがいいか悪いかということもありますが、私はこういう形、つまりアメリカも含めた形でやはり日米中のいろんな意見交換、例えば学者であるとかジャーナリスト、あるいは民間の方中心にしたものでいいと思うんですが、いろんな問題についてのそういうフォーラム的なものを是非提言したいなというふうに思っていまして、そういう、日中だけでやるとどうしてもぎくしゃくする部分があるんで、アメリカに入ってもらうというか、アメリカを入れる形で双方の対話というのをこれからいろいろ考えていったらいいんではないかと。そういう中でこのアジア太平洋地域における影響力の強い三つの国がそれぞれ協調関係を探ると、こういうのも一つの行き方ではないかなというふうに改めて感じましたので、ちょっと今日は申し上げて、また委員各位の御批判も仰ぎたいというふうに思います。  以上でございます。
  10. 松田岩夫

    会長松田岩夫君) 加藤修一君。
  11. 加藤修一

    加藤修一君 公明党の加藤修一でございます。  私は、例の対日デモというのは様々な問題意識に私にとってはなっておりまして、対日デモの問題のように、やはり日中間で、二か国間でしか協議できない大きな問題が当然ありますし、その発生のいわゆる淵源というものを分析することは極めて重要であると思っています。  ある新聞には、その背後には権力上の争いがあるというふうに断言していることもありましたが、私は、陳述したある参考人が、中国には三つ中国が存在すると。それは、十九世紀的中国、二十世紀的、そして二十一世紀的中国であるというふうに、そういう話がありまして、そういった意味では非常に格差のある多面な姿を示しているというふうにとらえなければいけないということであったと思いますし、そういった意味では、内陸で起こっている三農問題など、やはり経済格差拡大が依然として十九世紀的中国の段階にとどまっているという意味では成長のメリットがそこまで届いていないと、そういった意味では非常にうっくつしたような現実が潜在しているなということだと思います。  これはだれしもが指摘する話だと私は思っておりますけれども、私は第一に、この中国の思惑とか背景については慎重な分析が必要であると思っていますし、ある一定の政治的な力が働いたことは、この対日デモについては事実であるというふうにとらえるのが自然ではないかなと思っております。  もちろん、中国責任責任として当然あるわけでありますから、だからといって反日デモの原因を単純に中国側に求めることは必ずしもできないんではないかと。しかし一方で、日本は言うべきところはきちっと言うことが、国益上も、また長期的にはやはり日中友好を深めていくことからも、中途半端ではなくしてかつ無責任行動を取らないという日本立場からも、さらにまた国際法上からも、重要と判断したならば毅然として言い切っていくことが、それが日本が果たすべき責任の一端ではないかなと、そんなふうに思います。  ただ、反日デモを考えますと、日本としては歴史教育の見直しが当然必要ではないかと思っておりますし、そのために歴史認識について深く研究する必要がありますし、そのための真摯な姿勢日本は将来の日本日本自身のためにもつくり上げるべきだと思います。歴史への真摯な日本の取組が議論の端緒をポジティブに開くことも当然あり得るわけでありますし、こういった長期的な視点からの対中国外交の基本、これは対中国外交の基本的な一つになり得るんではないかなと、そんなふうに考えております。  それから、第二点でありますけれども日本国際社会での立場姿勢に関する情報をしっかりと、私はプロパガンダではなくて繰り返し繰り返し国際社会に向かって発信することが長期的には新しい動きをつくり出すことになるんではないかなと思っております。  もちろん、事実に基づかない相互の誤解から生じる情報収得というのは言うまでもなく新しい展開を生まないわけでありますし、一方、それは不信感を重ねかねないと。時には偏狭なナショナリズムを増幅させることになるわけでありますから、私は中国政府、いや、中国政府に限らず、やはり私は、特に焦点を定めて考えなければいけないのは、中国が言っておりますように、小さな政府、大きな社会というふうに標榜しているわけでありますから、やはり今後海岸部におけます市民社会のウエートは極めて大きくなってくることを考えていきますと、中国国民に対して発信する体系的な仕組みをやはり構築することが大事ではないかと。日本自身の顔が見えないのではなくて、いかなる顔をしているのか、どのような顔になろうとしているかということをやはり中国国民に向かって発信すると。少なくともアジアの平和、安定をつくり上げていく上では日中間の安定した友好ということは極めて欠くべからざるものでありますので、日本の日常の情報も含めた形でいかに十分発信し、向こうが納得できるような形に持っていくかということが極めて重要なこと、これが第二点であります。  それから第三には、日中の二か国間はもとよりでありますけれども、世界のあらゆる国を含めて重要でかつ共通の大きな脅威というのの中に我々はいるという現実だと思います。  日本中国との間でいわゆるウイン・ウインという形であるためには日本が一体何をできるかということ、提供できるかということ、何をお互いに持ち寄ることができるかと。そして、日中の両者がともに勝者勝者になる枠組みをやはり明確にし、整備することではないかなと思います。それがやはり、そのところを十分認識して長期的な外交戦略を打ち立てることではないかと思っておりますが、例えばそれは地球温暖化問題などの複雑な地球規模のいわゆる非伝統的な脅威、それが主体になっていくと思わなければいけないなと考えております。要は、中国との間でポスト京都を含めた地球規模外交、しかもそれは環境外交戦略性を、今ももちろんあるわけでありますけれども、より一層明確にしていかなければいけないなと、これが三点目になります。  最後の四点目は、先ほども若干申し上げましたけれども、やはり小さな政府、大きな社会ということを中国は言ってきているわけでありますので、NPOとかあるいはNGO、そういった市民レベルの様々なアクター、これがやはり私は日中間パートナーシップの形成に少なからず貢献し得る時代に入ってくるんではないかなと、そう考えております。  そういった意味では、様々なこの辺についての枠組みは当然あるわけでありますけども、そのうちの一つは、ユネスコが先導しております国連持続可能な開発のための教育の十年、いわゆる人類の持続可能性にかかわる内容を含んでいるこういった枠組みをいかに効果的に活用するか、すなわちそれが、ちょっと飛んだ話になるかもしれませんが、地球市民意識を目覚めさせると。そういう方向性というのは非常に、私は、環境の問題も含めて重要でありますので、そういった面でのパートナーシップ、そして日中間NGOなど市民レベルの活動にとっては、今言いました教育の十年というのは極めて大事な材料になり得るんでなかろうかなと、こんなふうに考えております。  以上でございます。
  12. 松田岩夫

  13. 大門実紀史

    大門実紀史君 アジア外交、対中外交議論してきましたけども、私自身は本当はもっと経済問題を議論したかったというふうに思っております。  そういうことを中心発言をしてきましたけど、ただ、今も出ていますけれども、どうしても歴史認識の問題は対中問題を考える上で避けられない問題だったというのも調査会での議論の示したところだというふうに思いますので、私はその問題余り触れてこなかったんで、一言といいますか、簡単にまとめて触れたいと思いますけれども、先日、テレビ自民党加藤紘一幹事長が出ておられまして、なるほどなと思うことをおっしゃっておりました。  一つは、この歴史認識問題というのは、もうほかの国に言われるとか何かの以前に、日本人自身がもっときちっと総括してこなかったんではないかという点を一つ言われていました。靖国神社問題では非常にリアルなことを言われていましたが、遊就館問題、私も非常に疑問を持っておりますけれども、この二つをテレビ発言をされておりまして、全く同感でございます。  一つ目の、日本人自身がちゃんと総括してこなかったんではないかという点は本当にそのとおりではないかと思いますし、この問題も、ほかの国からいろいろ言われると事の本質が違う方向に行ってしまうと、売り言葉に買い言葉とか、こうエキサイトしていくと。  例えば東京裁判も、連合軍勝者の論理で押し付けたという見方だけでいくと、だからけしからぬとなると、だからといって日本が正しい戦争をやったとはならないわけですけれども、そこへ行ってしまう。あるいはこの間の靖国神社中国韓国アジアからの批判も、ほかの国に言われることじゃないというところから始まると、何で行って悪いんだ、どんどん行け、こうなってしまう。そういうぶれがやっぱり生じる。やっぱり日本人自身が、ほかから言われるなんてことでなくって、どう考えるかということがやっぱり問われているんではないかというふうに思います。  その点で、もちろんここにいる皆さんもそれぞれ意見は違うと思いますが、中国が言うからとかけしからぬとか、そういう話よりも、自分たち、私たち自身できちっとした歴史認識議論をすべきだというふうに思います。  靖国神社問題は少し発言したことがありますが、単に戦没者を哀悼する気持ちはみんな持っているわけですけれども、今、遊就館問題というのがアメリカでも取り上げられるようになっていて、非常に問題になっております。遊就館の、五室あるわけですけども最初の一室はまず日米戦争日米開戦経過です。簡単に言えば、ルーズベルトに追い詰められて仕方なしにやったんだというふうな説明になっています。これはアメリカ自身も何だというふうに思うような、そういうふうなことになっている特殊なところであります。  ですから、靖国神社というのは特別の目的を持った政治団体というふうにもう明らかになってきておりますけれども、そういう問題であるというのも、加藤紘一さんも心配されるようなことが、中国だけではなくって、アメリカとの関係も何が生じるか分からない、憂慮すべき事態が出るんではないかとおっしゃっておりましたけれども、そういうこともあり得る問題だというふうに思います。だから、余り感情的にならないで、一つ一つ冷静にとらえて議論していくことが必要ではないかと思います。  もう一つ歴史認識以前の問題ですけれども、去年、中国に行きました。ある代表団で行きました。天津市長夕食晩さん会を開いてくれて、日本側から、中国デモとかいろんなことがあった時期ですから、教科書問題、靖国含めておたくは干渉しているんじゃないかというふうなことを、そういう話題の夕食の集まりじゃなかったんですけれども、突然切り出されて、天津市長は、最初友好的ににこにこしていろいろ答えておられたんですけれども余りしつこく詰められるものですから、もうはしを置いて顔色変えて話されたのは、自分の家族や両親がどうやって日本兵に殺されたかという話をされました。もうそんなリアルな話を聞いて、みんな黙り込んで静かになったという経過があります。  自民党の団長がさすがにそこをまとめて、乾杯をし直してまた和やかな雰囲気になったんですけれども、私、あのとき思ったのは、歴史認識以前に、何といいますか、そこまでしゃべらせないと分からないのかと、そこまで言わせないと分からないのかと。つまり、人の痛みとかそういうものに対する想像力の問題ですね、こういうものをまず持たないと、この問題の根底以前の問題として持つ必要があるというのを横にいて聞いていて感じたところでございます。  ですから、いろんなことありますけれども、もっともっと冷静に、もっともっと整理してとらえていくことがこの歴史認識中国との関係では重要になっているというふうに思っているところでございます。  以上です。
  14. 松田岩夫

    会長松田岩夫君) 以上で各会派一人一巡いたしましたので、これから自由に御発言を行っていただきます。  それでは、御発言を希望される方は挙手をお願いいたします。  それでは、中川雅治君。
  15. 中川雅治

    中川雅治君 対中外交につきましては、靖国問題あるいは歴史認識の問題をめぐりまして大変厳しい状況が続いているわけでございますが、私はちょっと、今日は自由討議ということで、この問題と離れて、通貨外交といいますか、人民元変動幅拡大、切上げの問題について発言をさせていただきたいと思います。  中国は、現在、固定相場制を取っているということでございますけれども、これはもう既に限界に来ているというふうに思います。それは、貿易不均衡ということで他国が非常に困るということで、いろいろ人民元の切上げ問題について中国側を責めてくる、そういう国もございますけれども、やはり中国自身国際経済にインボルブされているわけでございますから、やっぱりもう、この固定相場制というものは早晩維持できなくなるだろうということを中国自身がよく分かっているんではないかと思うわけです。  貿易面でも非常に輸出超過が続いておりますし、将来、いずれ人民元が切り上がるというか変動幅拡大するということを見通して、今不動産投機が非常に積極的に行われているというようなことで、経常収支資本収支ともに黒字になっているわけであります。  やはりこれは、一つには政策的な保護という見地からの要請でこうした固定相場制が取られているということだと思います。例えば、内陸部の貧しい農民を守るために米国から安い農産物が入ってくるのを防ぐと、あるいは競争力の弱い国有企業が安い価格で輸出できるようにしていくというような政策的な要請からこうした固定相場制が取られてきておりまして、ある意味ではもう経済合理性からいえば、中国自身がもうこれはもたないと思っていることだと思いますが、まだ現時点においてはそうした政策的な要請というものが、それをまだ捨て切れないといいますか、転換し切れていない、そういう状況だと思います。  そのために、中国はドルを買って介入をしているわけでございますが、そうなると人民元をどんどん市中に出していく、市中に供給していくということで、ベースマネーが増えて、これが金融政策の手足を縛っている。中国はもう非常に高い成長が続いていますので、むしろ景気過熱を抑制して安定成長に持っていかなければならないわけですけれども、こうした人民元固定相場制を維持するために介入を続けるというようなことになりますと、これは早晩もうこうしたことが行き詰まってくる。  日本としては、これがやっぱりある時期にどおんともう介入を放棄するような形でハードランディングされますと、中国経済日本のバブルの崩壊みたいなことにもなりかねません。それはやっぱり非常に大きな影響を受けるわけでありまして、やっぱり日本としては、早めにこうした中国姿勢にブレーキを掛けていくということを要請していかなければならないと思います。  日本の場合も、やはりここは両面ありまして、中国に工場を造ってそこから米国に輸出をしている企業もございますし、一方、中国の安い、例えば繊維製品などが入ってきますと困る日本の国内のメーカーもあるというようなことで、そこは両面あるわけですけれども、やはり日本は、中国経済が安定的な成長をしていくということが日本経済にとっても大事なことであります。日本経済の場合には、アメリカ中国という二つのエンジンで日本経済も活性化しているといいますか、維持されているという面もあるわけですから、そこは中国に対しまして、人民元変動幅拡大、切上げという言葉は使わないで変動幅拡大と言った方がいいと思いますが、それをもっときちんと主張していかなければならないと思っております。  その場合に、やはりこれはもう果断に早い時期に処置をしていただく、やっぱりある程度の達成感が出るように処置をしていただかないと、いつまでも投機が続くということになるわけでありますから、やっぱりそこは日本としては、中国の通貨主権というものを尊重しつつ、これはきちっと言うべきことは言っていくと、こういう姿勢で臨んでいかなければならないと思います。  幸い、中国は、靖国問題とか歴史認識の問題とこの面においては切り離して、パイプを切りたくない、チャンネルは開いているというような姿勢で、言わば財務対話という形で、日本の財務省、それから中国の財務部との間のパイプはきちっとつながっているようでありますので、やっぱりここのところは、これからも日本国としてこのパイプはきちっとつなげて折衝をしていく必要があると。この問題は、靖国問題とか歴史認識の問題と絡めて論ずるのではなくて、これはこれということで、中国もそういう姿勢を取っているだけに、非常に重要な外交一つのルートだというふうに思いますので、発言をさせていただきました。  以上でございます。
  16. 松田岩夫

    会長松田岩夫君) それでは、大石正光君。
  17. 大石正光

    ○大石正光君 今ちょっと中国問題のお話出たんですけれども、私は、日本外交っていかにお粗末かということを私は是非言いたいんです。  要するに、外交というものは国内問題と国際問題、要するに表裏一体に必ずあるはずなんです。ですから、イエスかノーかという問題で、国内問題がイエスになれば外交も強く出れるし、例えば農業問題にしてもそうだし、いろんな経済問題にしても、国内を治め切れなきゃ結局外国との話合いができない、ということが進んでこない。そういう面では、いかに日本の政治が国民に対して、この日本の国の外交の中で損得をはっきり表示して、そしてこれはプラスだからやるべきである、これはマイナスだからこういう外交をしますよということをきちっと国民に説得をして、そういう育てていくことが戦後ずっとしてこなかったことが、このような日中関係においてもお粗末な形が出てきたと私は感じている人間の一人であります。  特に中国問題は、中国国民は、やはり三千万人以上の人が日本人の兵によって殺されたという事実があるわけでありますから、それを一生懸命、外交をオープンにするときに中国政府は一生懸命国内の人たちを説得をして、私は、日本の旅行者が行ったときにほとんどそれを言わなかったという一つの大きな努力があります。  そういう問題をきちっと、現実に我々は余り分からないままにやってきたという、中国人はそれは三千万人と言えば、日本人はそんなに殺さないという一つの言い方を言うかもしれない。しかし、戦争という一つの大きな悲劇では、やっぱりドイツが個人補償したけれども日本は個人補償せずに国家補償だけで終わってしまった。そしてさらに、日中国交回復のために、大平さんや伊東正義さんや多くの苦労した方が周恩来や皆様と一緒になって国交回復をして、その第一世代の人たちはきちっとやったけれども、それが第二世代、第三世代の政治や行政にきちっと引き継いでこられなかった。それが、このような今日、我々政治家が中国に行って、日本人も行ったときに、その中国人が我々の兄弟が殺されたんだよと、言いたくないことを言わざるを得ないところまで、結局言わせてしまうという、我々の常識というか認識が足りないということが私は一つの大きな原因だと、私は個人的に思ってまいりました。  ですから、国際問題に関するこの調査会、確かに非常にいい勉強になりますけれども、やはりもっと政治の中で、やっぱり外交というものはイエスかノーかということをはっきりして、日本にプラスになるならば積極的にするし、マイナスならば、やはりそれは外交はこう手を緩めるべきであるという形のことを国民にきちっと提示をして、国民意見を言いながら、国民意見の中の政治というもの、外交を根付かせるという努力をやっぱりしていかなければ、いつまでたっても日本はまま子扱いの政治という国として、いつまでも国際社会の中で笑われていると私は感じてまいりました。だから、是非、そういう面をもっとこの国際問題の調査会の中で、やはりそういうことをきちっと国民に提示するような姿勢を積極的にやっていただきたいなというのが私の意見でございます。
  18. 松田岩夫

    会長松田岩夫君) 藤末健三君。
  19. 藤末健三

    ○藤末健三君 民主党・新緑風会の藤末でございます。  私も先ほどの大石先生の話と非常に似ているんですが、やはり外交における政治の在り方というのは何ぞやということをよく思うことがございます。  特に今、歴史の問題、いろいろございますけれども、私は今一番気にしていますのは、フリー・トレード・アグリーメントで今政府が東アジアの共同体ということをおっしゃっている、言っています。  ところが、実態はどうかというと、突然、FTAをチリと結ぼう、スイスと結ぼうという、全く関係ないところと結びましょうと。一方で、オーストラリアという非常にアジアに近く位置する国に対しては断ったわけですよね。それはなぜ断るかというと、国会に全然連絡もなく、政府の独断で断っているわけです。例えば、オーストラリアの問題ですと、農業問題があるからこれは結べないであろうという予測の下に断っている。タイでなぜもめるかというと、鉄鋼の問題、農業の問題、折り合いが付かないからもめるということで、各省庁がもうばらばらにやっているのが僕はFTAの状況だと思います。  ですから、私は、今この国際問題調査会で申し上げたいのは、フリー・トレード・アグリーメントみたいな省庁横断的なもの、そしてまた国会などの、国会議員はまさしく国をリードして、動かすべきものにフォーカスして、きちんと国益のために議論を闘わすことが僕はできればいいと思っています。  例えば、中国の問題、歴史の問題、いろいろございますが、何が問題かと申しますと、今中国日本にとっての最大の貿易の相手国になっている。中国から見ても日本が一番大きいんです、今。ところが、政治のチャネルがない、いろんな経済のもめ事が起きたときに解決する糸口がないということは、日本の企業も困っていますし、私は先週中国へ行ってきて中国の方と話ししても、中国も困っていると言っている状況。ですから、やはり経済まで考えた、我々が中国また東アジアの本当の利益というのは何かということを考えた上で議論をできるような場が私は欲しいと思っています。  特に、このフリー・トレード・アグリーメント、自由貿易協定、条約の案ができたときに国会に持ってくるような状況じゃ僕はまずい。なぜ中国としないのか。今、FTAを結んで最も利益がある国というのはもう計算上は中国なんですよ、一番あります。GDPにすると一・二%の上昇効果があると言われている。その中国と我々は議論さえしていない状況。一方、韓国中国はもう五月から始めているんですよね、FTAの議論を。  やはりその状況を私はこの国際問題調査会で是非変えていけたらと思っております。我々が、国会の、やはり国民の代表である我々が貿易外交までもやはりきちんと見ていける仕組みを私はつくるべきではないかなということが一番大きな私の思いでございまして、今、東アジア共同体という構想がありながらも迷走するこのFTAの進め方、そして、今中国との議論が全く進んでいない中、我々国会議員として外交をどう考えるかということをやはりこのような場で勉強するとともに、またきちんとした方向性を我々が打ち出すことが必要ではないかということを私は思っております。  以上でございます。ありがとうございます。
  20. 松田岩夫

    会長松田岩夫君) ありがとうございました。  先ほど挙手いただいた方は一巡いたしましたが、ほかに御発言はありますか。  二之湯智君。
  21. 二之湯智

    二之湯智君 自民党二之湯智です。  この調査会も、私たち新人議員といたしましてはもうかなりの回数を重ねているわけでございますけれども、昨年の十一月から始まった参考人のいろんな御意見を聴取したときには、日中問題、特に東アジア共同体構想というのが非常に盛んに言われておったわけでございます。これも一つのEUの非常に目覚ましい進捗によってある意味では刺激されたような話でございました。  そのときは多くの参考人の方がこれは推進すべきだと、こういうことで、私たちは、なかなか東南アジアというのは、東アジアというのはそれぞれの価値観が違っておる、あるいはその政治体制も違っておる、非常に難しいんではないかと、こういうような話をしておったわけでございますけれども、多くの参考人の方はこういうことを推進していくべきであろうと、こういうことでございました。しかし、そこに、今年の四月に中国で大きなデモが起こったわけでございまして、あるいはその後、中国の東シナ海でのガス田の日本との非常に争いと、こういうことでございます。  こういうことを考えますと、果たして、私はこの東アジア共同体構想は今のままで推進していいのかどうかということについて若干疑問に思えて仕方ないわけでございます。というのは、中国の意思は一体どこにあるのかということ。つまり、日本中国、あるいは韓国が共同して東アジアの平和とそして経済の発展ということを共同にやっていこうという、そういうような価値観が共有できるのかということを私は大変心配するわけでございます。  特に、我が国にとっては、せんだって、国連の常任理事国に加盟しようと、こういうときに、当初、韓国もかなり厳しい反対の意見であるぞということは予想されておったのでございますけれども中国日本の常任理事国入りには絶対反対だと、強い意思が表明されたわけでございまして、アジアでのリーダーの地位をめぐって中国日本は非常に激しいつばぜり合いをしているわけでございまして、それこそ、そのときこそ、私たち日本は毅然たる私は態度をこれから取っていかなければならないんではないかと思うわけです。  特に歴史認識問題で中国から盛んに、八月ごろになりますと、いろいろと靖国問題を中心に言われるわけでございます。そういうことになりますと、どうも日本社会は、中国の言い分が正しいということ、いや、日本の言い分が正しいということで、まるで国論がいつもいつも二分するということは、日本外交上非常にまずいんではないかと、このように思ったりするわけでございまして、いずれにいたしましても、この問題については別に小泉内閣の責任ではないんでございますけれども、この辺りで、戦後六十年、しっかりとした第二次世界大戦の問題についての日本考え方をきちっと私はするべきではないかと、このような考え方を持っているわけでございます。  それと、中国の目覚ましい経済の躍進とともに、中国の軍備が非常に著しく増長してきているということ。過去十七年ぐらいに約二けた台の軍備費の増強だと、このように言われておるわけでございまして、こういう中国と私は日本が今後非常に厳しい対立が予想されるんではないかと大変憂えているわけでございます。そういうことにつきまして、私たちは厳しくやっぱり中国側にも軍備の状況情報開示を求めていかなければならないんではないかと思います。  逆に言いますと、かつて自衛隊に対しては非常にアレルギーがあったわけでございますけれども、最近は国会での自衛隊論議も、中国脅威ということになって、いろんな法律も案外簡単に通ってしまう。逆の面では非常に恐ろしい面も出てきているわけなんですね。  昔なんかは、こういう自衛隊の法律一つ改正すれば、もうこの周辺はデモ隊であふれたのに、今は衆参ともにもう簡単に自衛隊の法律の改正が通ってしまうというような、そういう面では、ある面では中国一つの効果であるけれども、逆に言ったら、日本のまた軍備が国会余り厳しいチェックのないままに大きくなってしまって、私は、日本の国の自衛隊のシビリアンコントロールというものが十二分にできていくのかどうかという、また逆に言えば心配もあるわけでございまして、こういうことを考えますと、日本中国との問題は非常に私たちにもいろんな複雑な問題を投げ掛けてきているんではないかと、このように思うわけでございますから、これからも中国を対立的な軸として見るんではないけれども、しかし日本の自主性、あるいは日本人としての自立性を確保しながら中国との対話をやっていかなきゃならぬということを最近つくづく考えているわけでございます。  上海でのデモは、私も自分たちの若いときのことを考えますと、よく昭和四十年代初め私も随分とデモに参加いたしました。あのときどんな目的でデモに参加したのかなというようなことを思いますと、当時の若いときの欲求不満、あるいは反政府とか、そういうことについて、今から思うと若気の至りだったなというようなことを思いますと、中国の二十代、三十代の人も、そんなに深刻に反日だ、日本歴史問題でけしからぬというような形で私は参加しているんではないんではないかと、このように思うわけでございます。  一例を申しますと、私の友人の弟が上海である公認会計士の日本の有名な事務所に勤めておる。その日、当日電話が掛かってきて、兄貴、心配するなと。隣は今、日本反日デモに参加したリーダーたちが日本料理店で、高級日本料理店で飯を食っているわと。そんなことでございまして、私たちは、私も昔のことを考えると、ああ、そんなこともあったなと、こういうことを思ったりするわけでございます。  ただ、いずれにいたしましても、中国は隣の国でございますし、非常に経済力も軍備力も強大でございますから、これから日本がどのようにして平和的友好関係を築いていくかということは私たち政治家も真剣に考えなきゃならぬ、このように思うわけでございます。
  22. 松田岩夫

  23. 工藤堅太郎

    工藤堅太郎君 のどがちょっとおかしいものですからお聞き苦しいと思いますが、今、これまでこの国際問題調査会で日中問題等々いろいろ勉強させていただいてまいりましたんですが、今の皆さんのお話もお伺いをしながら、私は基本的には、中国は隣国であり、歴史的に我が国とは深いつながりがあって、これからも友好的な平和な関係でいかなければならない、そのようには当然思います。  ただ、中国反日教育といったようなことに対して、これまで日本政府あるいは各政党、何か、言葉は悪いんですが、ちゃらちゃらおべっかでも使うようなことにはよくいくんですが、そういうものを、こういうことはいかぬ、やめた方がいいといったような注意をしたような、政党でもその幹部等々あったのかと。こういうのがずっと尾を引いて物をろくに言えないような今の状況をつくってきたんじゃないかというような気がして、これはもうやはり一人一人反省すべき問題じゃないかなというような思いがいたしております。  一方、この日本人の気質といいますか、まあ昔のことは忘れようといったような、何といいますか、戦争時代のことなんかもう過去のことだと、これからだというようなことで忘れようとするような、風化といいますか、そういうような、これは日本人は特有といえば特有なのかもしれませんが、どっちかといえばそういうように思えるんですが、それが先ほど来のお話にもあったとおり、何か戦争を美化するといったような、大した悪いことをしてこないんだといったようなことにも、一方ではそういう考えの人たちを勇気付けるといいますか元気付けて、そして一方でそういうような考え方がだんだん増えていると。  また、国会でも自衛隊、さっきのお話のように、もうあっという間にこの重要な問題なんかも法律で通ってしまうといったようなことなんかも、これは大分変わってきているなというそういう思いがするんですが、基本的にはこの友好関係、大事にしていかなければならないんですけれども、ただ中国は一党独裁の国で、やっぱりこの一党独裁というのは、世界じゅうで発言するのに、世界に向けて発言するにでかい声を出して言うべきじゃないというようなことを、やっぱり世界じゅうで、民主主義国家はそういうふうな考え方でもってそういう国には一方で臨むべきだろうと。そうでなければ、好き勝手ばかりやって、得なことしかもう、何といいますか、要求してこないといったようなことにもなりますから、ですから日本はその辺は毅然として対応していくべきだろうというような考え方でおります。
  24. 松田岩夫

    会長松田岩夫君) 水落敏栄君。
  25. 水落敏栄

    ○水落敏栄君 ありがとうございます。  いろんなお話が出ましたけれども戦争そのものの見方とか考え方、これはもういろいろあるわけでありまして、日中戦争に至った当時の背景とか当時の国際情勢とかいろいろあるわけでありますが、それはさておきまして、私が思いますのは、一つは、中国は靖国問題、歴史認識問題を外交一つの手段としていることでありまして、これはいつも私は残念だと思ってるんです。正にこの靖国問題とか歴史問題は我が国の内政の問題でありまして、外交手段に使われるということは私は誠に遺憾であると思っております。それに対して我が国は、日中友好の美名の下に、ごもっともですと言って我が国の立場を主張してこなかった。これが今日の日中間を悪化させている一つの原因だと私は思っています。  そして、四月からのデモは、正に中国当局がこれはデモをやらせて、そのデモ国際社会から批判を受けると当局が火を消しているという、正にマッチポンプであるわけであります。これはもう御承知のように、中国は極端な経済発展から、沿岸部門は正に経済発展著しいものがありますけれども内陸部ではまだまだ貧困にあえいでいる方々が多くて、そのギャップが非常にあるわけでありまして、各地で政府に対するデモが起こっております。そうしたデモを外に向けるために当局が仕掛けた抗日デモだと、私はそういうふうに思っています。こうしたデモは一九八〇年代後半からの中国の愛国教育、裏返せば抗日教育が起因しているわけでありますけれども、この抗日教育をやめなければ、いつまでたってもまた抗日デモが起きるということは目に見えているわけであります。  この愛国教育の拠点といいますか、それが盧溝橋にあります抗日記念館であり、南京にありますいわゆる大虐殺記念館であるわけでありますけれども、そうした抗日教育をやめない限りこうした問題はまたいつでも起こってくるんではないかな、こういうふうに思っておりまして、町村外務大臣はこの歴史問題についてお互いに研究しようじゃないかということで中国側にも投げ掛けておりますから、そういう点では大いに私はやっていただきたい、そうした中で我が国の立場というものもきっちりと毅然として言わなければいけないな、こんなふうに私は思っております。  靖国神社問題については、私は毅然としてこれを推進していかなければ日本立場というのはますます弱くなってしまうと思っています。もしやめたら、中国の言うとおりやめたら、中国は、次は歴史問題ではなくて、今度は歴史問題を始めとする教科書の問題言い出してくるでしょう。教科書の問題今度はやめたら、最終的には台湾問題を出してきます。これはもう目に見えていることだと思っています。したがいまして、これはもうきっちりと、我が国は靖国神社参拝をきちっとやっていかなければ正に我が国の主権が侵されるんではないかなと、私はそう思っています。  逆にまた、靖国神社問題がこうして騒がれれば騒がれるほど、中国当局は安心しているわけであります。申し上げるように、それはもう内政が鎮まるからであります。中国国内が沈静化するからでありまして、靖国問題は、逆に我が国がこういうふうにきちっとして、中国から批判を受けるようなことがあれば逆に中国が喜ぶんじゃないかなと思っていますけれども、これは皮肉でありますけれども、そんなふうに思っています。  つまり、中国は、日本をたたかないと東アジア共同体にいたしましてもこのアジアでリーダーシップが取れない。まず日本という国をたたきのめしてと言っては言葉は悪いんですが、まず中国日本にとって経済的にもあるいはそうした国際社会において優位に立つことによって、中国が東アジアの覇権ができるということを考えているんじゃないかなと私は思っていまして、そうした意味からも中国との外交は、我が国の立場というものをきちんと、友好親善という美名の下に隠れるんじゃなくて、我が国の立場というのをきちっと説明をして、毅然たる態度で外交交渉に臨まないと将来取り返しの付かないことになってしまうんじゃないかなと、こんなふうに私は思っておりますことを一言申し上げて、終わります。
  26. 松田岩夫

  27. 浮島とも子

    浮島とも子君 公明党の浮島とも子です。  先ほど山東委員の方からお話がございました子供たちとの友好、交流、あるいは日本に来てもらっての理解というお話がございましたけれども、私もこのソフトパワーがとても重要なのではと考えております。  と申しますのは、私の今主宰している劇団でも、夏に日中友好中国人の歌手の方を招いて、日本人の子供たちとともに中国語の歌また日本語の歌を一緒にステージで歌わせていただいているんですけれども、昨年の夏も子供たち中国人の先生に付いて中国語で歌を教わり、オーケストラとともに歌わせていただきました。そして、夏が終わって、その日本人の子供なんですけれども、学校に戻ったときに、たまたま中国人の留学生がクラスに来てたそうなんです。授業は英語で行われているために授業は受けられたんですけれども、休み時間、ぽつりとその女の子がだれとも遊べずに座っていたと。うちの劇団員が、一人の人を大切にしなければいけないってずっと思いながら、自分には中国語は話せないけれども中国語のお歌を学んだからお歌を歌ってあげることができると思って、休み時間にその子の前に立って、今からお歌を歌いますと日本語で言って、中国語の歌を歌ったそうなんです。そうしたら、その女の子がみるみる、立ち上がって大きな目から涙を流して、その子も一緒に歌い出したそうなんですけれども、休み時間だったものでほかのクラスからみんなが集まって、何とも言えない感動でみんなが涙をしたという話を小学校の女の子から聞いたんですけれども、その女の子も、いつも先生が歌一曲でも人と人の心は交流ができる、つながるんだよと言っていたのが身をもって分かったということを言ってくれたんですけれども。  本当にこのソフトパワーというのは、私はもう市民レベル、民間レベルでの理解、交流が必要だなというのがすごく感じまして、この人材育成とか国際交流、又は国際支援、また文化、芸術、アニメや映画もそうですけれども、このソフトパワーの利点というのは、人との交流で人に脅威を与えるものではない、人と楽しい交流ができるものだという観点から、ハーバードのジョセフ・ナイ教授も言っておりましたけれども、ソフトパワーは自国が望むものを他国も望むものにする力で、無理やり従わせるものではなく、味方にする力であるとおっしゃっておりましたけれども、本当に日本として、政府、そして企業、NPO、個人、あらゆるレベルでこのソフトパワーを使って世界貢献が可能ではないかと考えております。また、このソフトパワーが行使されていれば、たとえもし国家間で政治的な衝撃があったとしてもクッションになるんではないかと考えております。  以上です。
  28. 松田岩夫

    会長松田岩夫君) ほかに御発言はございますか。  じゃ、藤末健三君、再び。
  29. 藤末健三

    ○藤末健三君 歴史問題について申し上げたいと思います。  私は、やはりこの歴史問題につきましてはいろんな深いものがあるなとは思うんですけれども、実際に中国に行ったときの経験で申し上げますと、先ほど大門委員がおっしゃったように、高齢者の戦争体験した方は非常に根深いものをお持ちじゃないかなというのを私、体験しておりました。やはり一緒に話をして食事をしていると、ここには日本軍が爆撃したんだとかいろんなことをお話しされるんですよ。ですから、やはりこういう、酒などを飲まれると根っこにあるものが出てくるんじゃないかなということを思いました。  ただ、一方で、若い方々と話していますと何が起きるかと申しますと、実際に中国歴史教科書日本語に訳されたものを読んでみたんですが、靖国に関するほとんど記述なんかない状況です。若い方々に靖国問題って何ぞやって聞いたら、A級戦犯のお墓に首相が参っていると勘違いしているんですよ。例えば、向こうは神社という概念がないらしいです、実は。ですから、神社に参るという概念が分からないし、また靖国に日本の国を守ろうとした英霊が、魂が集まっているということも理解していない状況で、果たして彼ら若い方々が正しい情報の下に反日的な動きをしているかというと、ちょっと違うんじゃないかなというのが一つあります。  そしてまた、多くの方々が日本中国に対して貢献したODAのことを全然知らないという状況でございまして、やはりきちんとした情報の発信をやっているのかなというのが僕は最大の疑問でございました。  靖国に対しても靖国の位置付けは何ぞやということを伝えているかどうか、またこれだけ日本中国に対して貢献したODAのことを中国国民の皆さんは知らないという状況でございまして、やはり今までの情報発信の怠慢というのが私は感じております。それがなぜそうなったかというのは分かりませんけれども、少なくともきちんとした事実を中国国民の方々に伝えるという努力が今まで不足していたんではないかということがございまして、まずその努力を私は歴史問題についてはすべきじゃないかというふうに考えています。  また、これは蛇足でございますが、日本韓国歴史問題の研究会というものの中間報告みたいなものが先月、六月ですか、たしか出ております。取り寄せますと、厚さがもう五十センチぐらいになるんですね、厚さが。何かと申しますと、古代、中世、近世という三つ部分について韓国日本歴史認識、一致していない認識の違いを示しておりまして、そのようなものができつつありますので、きちんとそういう日本韓国ではもう歴史問題の共同研究が進んでおりますので、もう一致しなくてもいいからお互い歴史観を述べ合い、そして韓国はこう言っている、日本はこう言っている、また中国も入れて中国はこう言っているということで、お互い歴史が違うということだけでも分かるようにすべきではないかということを思っております。  以上でございます。
  30. 大石正光

    ○大石正光君 会長、これはどういう方式でやられるんですか。お互いに向こうから言われたことに対して質問をしてもいいわけですか。
  31. 松田岩夫

    会長松田岩夫君) いえいえ。どうぞ。
  32. 大石正光

    ○大石正光君 ただ、一方的に言うだけですか。
  33. 松田岩夫

    会長松田岩夫君) はい、どちらでも結構です。
  34. 大石正光

    ○大石正光君 じゃ、一言だけ言わせていただいていいでしょうか。
  35. 松田岩夫

    会長松田岩夫君) それじゃ、そうしましょうか。  大石正光君、じゃ。その後、じゃそちらへ。
  36. 大石正光

    ○大石正光君 済みません。今、靖国問題は国内問題であったということに対してだけちょっと御質問させていただきます。  中国が言ったように、A級戦犯がいれば国際問題であるという形と、それから総理大臣が公式参拝をするということが国際社会の中で国が正式にやったということにつながるということを主張しているだけでありまして、日本の兵士があそこに祭られることに対しては何も問題ない。ですから、靖国神社の公式参拝をやめれば、中国も主張はだんだんだんだん小さくなってくるはずであります。しかし、それは政権政党である自民党が長年ずっと何十年もやってきたけれども、中曽根さんの時代にはきちっとそれを中国が文句言ったときにやめました。そして、多くの歴代の総理大臣は余りそういうことをしてこなかった。ところが、小泉さんがずっと今までやってきたわけですね。  ですから、この問題の一番の原因は、政権政党がきちっと靖国問題、外交を、日中間の問題をきちっと政党として結論を出して、それを公式にやらないからこそ今日までこういう問題に広がってきたと私は思っているんです。私も自民党にいましたから、よく大平さんとか伊東正義さんともよく中国に行ったし、もういろんな方と随分行きました。ですから、私はそれを絶えず当時の大臣なんかにはよく主張してきた人間であります。しかし、それがここ最近は余計それがあいまいになってきましたことが一点。  もう一つは、向こうの政治家も戦争を知らない、ただ教育を受けた人たち中心になってまいりました。日本も同じように、過去、戦争を経験した世代がいなくなって、本当に戦争関係ない若い世代が、言葉だけで覚えてきた人たちが多くなった。だから、会話の交流が非常になくなって、意思の疎通がつながっていかなくなったことが大きな原因の一つだと思うんですね。  だから、王毅駐日大使のように、彼は戦争の経験知らないで、理論的には学校で勉強してやってきたかもしれないけれども、しかし、その戦争を経験した革命の志士たちとは違うわけです。だから、そういう人たち日本の逆に政治家や若い人が大いに議論しながら、もっと過去の歴史のことをきちっとお互い認識し合っていくという行動をより積極的にしないと、より摩擦が大きくなってくるんだろうと私は思うんですね。  ですから、その点を是非ひとつ御意見として、もしあれば、御意見があればお答えいただきたいなと思います。
  37. 松田岩夫

    会長松田岩夫君) 同僚議員から御発言がありましたが、どうですか。今の点について特に御発言のある方、じゃ、優先させていただきます。
  38. 水落敏栄

    ○水落敏栄君 ここでこの問題を議論するつもりはありませんが……
  39. 松田岩夫

    会長松田岩夫君) 水落さん、一言、じゃ。
  40. 水落敏栄

    ○水落敏栄君 失礼しました。  大石先生の言われたことについてのお答えはちょっと今控えさせてもらいたいと思います。  やはり藤末先生おっしゃったように、お互いに話し合うということがやっぱり一番大事じゃないでしょうかね。お互いの国の立場を分かっていただくということですね。あえて御質問には答えを控えさせていただきます。
  41. 松田岩夫

    会長松田岩夫君) どうぞ御自由に。  それじゃ、末松さん。
  42. 末松信介

    ○末松信介君 いや、私、ちょっと先生にお聞きしたかったのは、靖国のこの参拝問題につきましては、自民党の中でも総理を支持する考え方、支持しない考え方、二通りあって、いろいろそれぞれ会合を開いておるんですけれども、そのA級戦犯十四人が合祀されているという問題、ここを非常に重要視される先生方も多いわけなんですよね。  知らない間に、福井藩主の松平春嶽公のお孫さんが、東京裁判は軍事裁判である、したがって、そこで裁かれた、そして処刑された方はこれは戦争によって戦死したのと同じであるという意味で祭られたということで、知らない間に一九七八年に祭られたということなんですけれども。  今の大石先生のお話というのは、元々の歴史は招魂社からずっと始まってきて、いろんな変遷を経てきているんですけれども、総理が靖国に参拝されるということについては、A級戦犯が合祀をされておられるから、あの神社について、神と祭られて、戦争に行って戦死をされたという方々を祭っておられるんですけれども、この点、A級戦犯との関係でいったらどういうように先生お取りになっておられるのか。ちょっと私戦後生まれ、全くの戦後生まれですからね。
  43. 松田岩夫

    会長松田岩夫君) しばらくこの点、じゃ、お答えいただきましょうか、それぞれ議員から。  大石正光君。
  44. 大石正光

    ○大石正光君 随分、二十年前ぐらいから中国に行って、実は当時私、一年生から三年生の時期まで自民党中国研究会という会をつくって会長をして、各自民党の議員さん方を毎年中国に派遣して、要するに結局、全人代の常務委員会が私どもを招待してくれていたんですね。ですから毎年必ず行きまして、当時の石破茂君も行ったし鳩山由紀夫さんも行ったし、多くの人が随分、我々同期でしたから行きました。  そのときに必ず議論したことは、なぜ我々が日本に対して文句を言うかということは、要するに、A級戦犯が靖国神社に祭られているというところに要するに時の総理大臣が参拝に行くという。一般兵士に参拝に行くことに対しては何の異論もないと、しかしA級戦犯と言われた、戦争犯罪者と言われた人が祭られているところに公式に行くことに対して我々はだれに文句言ったらいいか。しかし、文句言うのはやっぱり外交上で日本政府に言う以外にないんだと。そこが中国政府の必ず行き着くところなんですね。だから、その部分をきちっと何とか解決してくれたら、別に参拝することに対しては何も問題ないということなんですよ、結論から言えば。  だから、結局は、靖国神社に祭られているA級戦犯、それは戦争犯罪としてなって、日本国民から見れば、戦争犯罪だから、もちろんその人が死ねば天国に行ったりなんかしてある程度罪が許されるという一つの何かが感情的にある部分あるけれども、外国は例えば一人が、例えば一人を殺して、五人殺したら、五人の一人が五十年分で二百五十年の刑だよというのが、実際に裁判で判決が出ている例が一杯あるわけですよ。死後の世界まであなたは責任をしょわなきゃ駄目ですよと。日本は要するに、腹を切ればそれで要するに許されたという一つの何となく歴史的な心情があります。  その歴史的な背景の考え方が違う。そこが結局一つの大きなベースとして靖国神社の問題の大きな違いが生まれてきた。それを時の総理大臣はある程度分かっていて、ほとんど公式参拝をしていないんですよね。中曽根さんが一回やって、それからやめて以来、歴代の総理大臣は公式参拝をほとんどしてこなかった。私的に、個人的に行くことには余り中国政府は文句を言わなかったと、私はそう思って、私はこの問題は、その部分を何とか解決するためには、やっぱり政権政党である自民党と内閣がやっぱりきちっとその意見を、謝るんじゃなくて、我々はこうですよということをちゃんと出していかない限り、いつまでも何十年も尾を引いていく問題ではないかと。これは必ず日本にとってマイナスであり、プラスにはなりません。  だから、いい加減もう、大人同士なんだからここで、どこかでけじめを付けてほしいというのが私のその基本的な理解なんですけれども。御理解いただけますか。
  45. 松田岩夫

    会長松田岩夫君) 更に御発言、今の点でありますか。  それでは、水落敏栄君でちょっと締めくくって、澤君が手を挙げておられたんでそちらへ移らさしていただきます。  じゃ、水落先生。
  46. 水落敏栄

    ○水落敏栄君 私も中国は十数回参りまして、共産党の支部団体であります中国青年連合の幹部の方々と随分意見交換をしてまいりました。彼らがお話をされることは、もう大石先生おっしゃるように一部の指導者が悪いんだと、あなた方のその肉親である、私も親父が戦死していますけれども、御遺族の皆さんは気の毒であって、一部の戦争指導者が悪かったんだと、それはA級戦犯だと、こういう言い方をされます、中国はですよ。  しかし、今話が出たA級戦犯と言われる方々は、戦後、二十八年から昭和三十年までにいろんな、全国で署名活動をしたり、当時八千七百万人しかいなかった国民の中で三千万人もの署名を集めているという事実があるんですね。それから、二十八年に援護法ができたときに、これは全会一致で、国会で全会一致でこれは認めているわけなんですね。そうしたことからいうと、国内法上はいわゆる犯罪人じゃないんです、国内法上はですね。  したがいまして、これをその合祀するかどうかについてはいろんな論議があって、靖国神社内部であって、昭和五十三年の秋に合祀されたんですけれども、五十四年の四月十九日に朝日新聞がすっぱ抜いてこれが一般の知るところとなったわけなんですね。  しかしながら、それから昭和六十年の、五十四年から六十年の中曽根総理の参拝までは、歴代総理としては大平正芳総理、鈴木善幸総理、六年間、中曽根総理も含めて六年間期間がありましたけれども中国は一回なりともその文句を言ったことはないんです、これは。それが、六十年の中曽根さんの参拝以降に、そうしたA級戦犯を合祀している靖国神社に参拝するのはけしからぬと、こうした問題が出てきている。そういう事実だけを私、今申し上げておきたいな、このように思います。
  47. 松田岩夫

    会長松田岩夫君) 直嶋理事から御発言を求められましたので。
  48. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今、大石先生と水落先生を中心にしての議論は、私は非常に良かったというふうに思います。基本的に理解は、私も実はいろいろ靖国の問題も調べてみまして、理解は違っていないというふうに思うんです。  これは中国側の言い分として、私もいろんな人間から直接聞いた経験から一言だけ申し上げますと、中国も、国内的にA級戦犯の方に責任があるんだということにしたことによって日本国民中国国民の交流は自由にできる、つまり、お互いにその恨みつらみは、そういう意味でいうと、日本人も同じように戦死者たくさん出して犠牲者なんだから交流できるんじゃないかと、こういう国内説明をしてきているという背景があると思います。ただ私は、率直に言って、これはこれで中国の国内事情ということで私は理解をしなきゃいかぬというふうに思っています。  ここで実は二つ言いたいんですけれども、中曽根総理が八月十五日に、あれは一九八五年ですね、戦後四十年です、二十年前に公式参拝されて、その後二か月ぐらいたってから中国国内からいろいろ批判の声が出てきた。私は、それまでは、さっきおっしゃったように、例えば大平総理も行かれていますけれども、三木さんも八月十五日に行かれたけれども中国は何も言っていなくて、むしろ当時は靖国問題は国内問題で、いわゆる政教分離上どうなんだと、こういう議論中心だったと思うんです。  ですから、この中曽根さんの公式参拝のときに、なぜ中国がいわゆる外交上の問題にしたのか、それから、その経緯の中でなぜ中曽根さんが翌年おやめになったのか。ここら辺はやはり、はっきりおっしゃる方が余りいらっしゃらないものですから我々も類推するしかないんですけれども、本当は大事なポイントだなというふうに思っています。  ですから、そういう経過の中で、今度あえて小泉総理が靖国へ行かれた。この本当の理由をちゃんと説明やっぱりされた方がいいと思うし、そういう中で、さっき大石さんおっしゃっているように、やはり他党のことを言うのはどうかと思いますが、自民党としてもやはり一つ考え方をできるだけお決めになった方がクリアになっていいんじゃないかというふうに思います。  それからもう一つは、この中国の抗日といいますか反日教育といいますか、この部分について言いますと、実は我々もいろいろ勉強もしてみたんですが、一九二〇年代ぐらいから既にこれ始まっているわけですね。私は、ちょっと大きなギャップがあるなと思うのは、日本はあの戦争で負けた後、平和憲法の下で一切、外国とはもちろん戦争もしていないし、六十年間平和で来たわけですね。ですから、日本人の感覚で言うと、戦前と戦後と、言ってみれば折り返しで違うんだという感覚を持っていると思うんです。私も、中国はちゃんとこの日本の六十年の戦後の歴史中国国民にきちっと伝えてもらいたいと、こういうふうに思っています。  ただ、これも中国の側で言うと、その抗日運動の中から中国共産党が出てきて今の共産党政権つくったわけですよ。ですから、言ってみれば原点みたいなところであって、これを、だから基本的なその当時の情勢も含めて中国共産党が中国国民に対して教育することをやめろと、やめなさいよと、もう日本変わったんですからと言うのは、今度は向こうは多分、要するにずうっともう営々として六十年か七十年、そういう教育をしてきているわけですよね。で、いざとなると中国共産党の原点ということで、さっきどなたかおっしゃったように、ある意味で言うと愛国心を呼び覚ますというか、そういう効果があるわけですから。  だから、ここのところは、私は、もうやっぱりそういう前提に立って、相手の立場も含めて考えると、もうそういうものなんだと、あそこは。中身がちょっとやり過ぎだとかどうかというのはそれはあるかもしれませんが、基本的にはそういう前提に立ってこの問題は考えていかなきゃいかぬと。  その中で、さっきおっしゃったように、日中関係はやはり重要な関係ですから、どういうふうに、じゃ仲良く、仲良くというか、信頼関係つくっていくかということを我々自身も模索しなきゃいけないんじゃないかなというふうに思っていまして、だから、さっき申し上げた靖国の経過部分は、是非また自民党さんの方でいろいろ議論されたことがありましたら、この場じゃなくて結構でございますので、また教えていただければというふうに思います。  ありがとうございました。
  49. 松田岩夫

    会長松田岩夫君) 山東理事からも御発言を求められておりますので、じゃ山東理事。
  50. 山東昭子

    山東昭子君 私は、その国の伝統、文化が違うように、これは宗教的な考え方の違いということが非常に明確なんではないかなと思っております。  これは、日本は、どんなむごい殺人を犯した犯罪人であっても、やはり処刑された後には仏として祭られるといいましょうか、葬るというような形があるわけで、ですから私は、もちろん神社ですから仏ではありませんけれども、やはりそういう考え方があるわけで、キリスト教でも罪を憎んで人を憎まずというような例えがあるわけでございますので、やはりそういうような日本的な考え方というものを宗教のない中国において説明をするというんでしょうか、それは全く違うんだよということをもう少し、やはりもっと私は、日本のトップの方たちが、きちんと理解を求めるために、それぞれの国の考え方というものはこうあるべきだと、こうなんだというようなことを熱意を持って伝えていく必要があるんではないかなと、そんな気がいたしております。  以上でございます。
  51. 松田岩夫

    会長松田岩夫君) じゃ、ここでちょっと一区切りさせていただいて、澤雄二君。
  52. 澤雄二

    ○澤雄二君 何か靖国の議論で腰を折るようで気が引けますけれども、少し靖国の話もじゃさせていただいて、対中国政策、どう考えるかということですけれども、もう当たり前のことでありますけれども、対中国政策というのは中国日本関係だけではもちろん駄目で、ふっと考えると、主な国四つか五つの関係を常に考えておかなければいけないんだろうと、それが中国問題の解決のかぎだと。それが中国ですね。それから、これからのことを考えたらインドですね。それから、朝鮮半島といいますか、北朝鮮と韓国ですね。それから、最も大事なのがアメリカ、そして日本との関係、この五か国の関係を常に考えていかなければいけないというふうに、それはもう皆さん全く同意だと思いますけれども。  その日本から見て四つの国とどういう付き合い方をするかということを考えると、もうこれは、日本の安全保障、経済その他から考えて、もうアメリカが最重点であることは間違いない、これも皆さん多分同意だと思います。物すごい太いパイプで、物すごく近い距離で日本アメリカは結び付いていくんだろうと。ただし、これがいつまで続くかということは多分だれにも分からない。十年ぐらいは間違いなく続くでしょうけれども。  僕は報道にいまして、ルーマニアのチャウシェスク政権、ずっと特番やってきて、やっている最中にどんどんどんどん崩壊して殺されるところまで見ましたし、ベルリンの壁もそうですよね。あっという間に崩壊をしていったと。そういう歴史現実を目の当たりで見ていると、日本アメリカって何か永久に続きそうな気もするけれども、多分それは歴史的にはあり得ないんだろうと。でも、十年は間違いない。  そうすると、アメリカとの関係を一番中心に考えなきゃいけないだろうと、そういうふうに思います。でも、やはり一〇〇%隷属はあり得ないよねと。それをやっていると、この間の国連の常任理事国みたいに痛いことに遭うだろうと。だから、どうすればアメリカに対してバーゲニングを日本は持つことができるだろうと考えたときに、アジアではその三国との関係だ。じゃ、その三国との関係をどういうふうに持っていくかというのは、多分それは余り固定的に考えない方がいいんだろうと思います。どこと太くする、どこと短い距離で結び付くというのは、そのそれぞれの国際環境の中で考えていけばいい。臨機応変で考えればいい。それが外交。だから、外交がすごく難しいんだろうというふうに思います。  だけれども、そのバランスを考えるときに、やっぱりパワーポリティックスというものの見極めが物すごく難しい。アメリカに対して、愛しているよって固く抱き合って、アメリカも、そうだね、僕も君を愛しているよって言いながら、ふっと横を見て中国に片目つぶっているかもしれない。いや、そんなことはないだろうって。でも、それは多分あるんです。  アメリカの東アジアにおける国益とは何かというのを伝統的に調べていくと、間違いなくその辺が見えてきて、その象徴は、例のキッシンジャーが中国に訪問して、日本の頭を越えて中国と手を結んだ、それがアメリカの国益でありますから、そういうアメリカの国益を考えると、どうしてもどこかで日本アメリカに対してバーゲニングを持っておかなければいけないということを考えざるを得ない。  それから、中国にとってみても、日本アメリカ、一体どっち重く見るのといったら分からないですよね。それは、日本は下手をするとどんどんどんどんそういうところで置いておかれる可能性がある。  これは、先週、ある友人と話をしましたけれども、彼はワシントンへ行って帰ってきた。今、ジョージ・ワシントン大学の教授ですかね、ジェラード・カーチスっていますよね。日本の政治家のノンフィクション書いた男ですけれども。もう完璧に日本のロビーといいますか、親ジャパンの学者であったのが、会って話をしてびっくりした、今や中国に傾いていると。もう日本は駄目だと言っていると、彼は。  だから、知らないでいくと、日本はそういう国際環境の中でどんどんどんどん置いておかれる可能性があると。だから、余り嫌悪の情とかそういうことを余り表に出さないで、本当の外交のパワーポリティックスでアジア外交というのを考えなければいけないんだろうなというふうに私は考えています。それをどういうふうに考えていけばいいかということを今後、ここで議論できればいいなというふうに思っています。  中国関係でいいますと、歴史教育の話がずっと議論になっているんですけれども、私は前もここで言いましたが、やっぱり歴史教育の共同研究というのはやらないよりやった方がいいだろうと。それから、ここでも意見がありましたが、同じ共通の認識を持つことは無理じゃないか、そうかもしれない。でも、同じ共通の歴史認識を持たなくてもいいだろうと。お互い違う認識があっても、お互い立場を理解し合えればそれでいいんじゃないか、それが目的ならば歴史の共同研究というのはした方がいいんじゃないだろうかと。  それから、フランスとドイツがやりましたように、青少年の交流、あれもどんどんやるべきだと。日中友好基金というのが間もなくできるそうでありますが、そういうものをどんどん使ってやればいい。  で、全青連という組織がありますよね。共青団の政治組織ですね。あそこが、これも先週聞いた話ですけれども、実は今年中に日本の大学院生千人を中国によこしてくれというオファーを出したそうであります。つまり、中国にしてみても、やはり日本といろんな関係を修復したいという芽があっちこっちにあるだろうというふうに考えています。  それから、経済関係については、これはほっておいても日本経済はどんどんどんどん中国へ進出しますが、一つは、中国のODAというのは僕はなくさない方がいいだろうと思っています。それは、目的をはっきりさせたODAというのは残すことできないんだろうか。例えば中国環境問題とかって、そういうことのODAに限定すれば、経済関係でも中国日本との関係というのはかなり深く結び付くだろうなというふうに思ったりします。  ただ、危険なことは、中川先生も言われましたけれども中国経済というのは、今バブル崩壊寸前でありますから、もしかしたら元の切上げまでが命という説までありますので、そういう危険性があるということと、一党独裁がいつまで続くかというリスクマネジメントは経済問題でもしておいた方がいいだろうなというふうに考えます。  靖国については、これは靖国神社が元々生まれた、さっきも議論がありましたけれども、淵源をたどると、やっぱり国家神道が淵源でありますから、それは政治的に利用されるという宿命を靖国神社そのものが持っているんじゃなかろうかと。だから、小泉さんも使ったんでしょう、政治的に、と僕は思います。これは、とすれば余り根は深くなくて、新しい施設ができるとか総理大臣が替わるとかすれば、もしかしたらあっという間に解決してしまう問題かもしれないというような気もします。  チンと鳴りましたので、ほかにも幾つもありましたけれども、終わりたいと思います。
  53. 松田岩夫

    会長松田岩夫君) ほかに御発言はありますか。  じゃ、小林温君。
  54. 小林温

    ○小林温君 今の澤先生のお話を聞いていて私も思いましたが、一九七二年にキッシンジャー・ショックというのがあって、日本は頭越しにアメリカの突然の中国政策の変更を見たわけでございます。ですから、私も、もしかすると、アメリカ中国というのはいろんな意味で手を組む要素があって、ただ、それはお互いにスーパーパワーとして存在する中で牽制をし合っている、そのはざまにいる日本が今後どういう対中国政策をつくっていくかというのは極めて重要だというふうに感じている一人でございます。  報告書の中にも、日本外交戦略をつくるシンクタンク的なものが必要だということが載っております。また、先日、アメリカ研究をする研究所すらないと、こういうある参考人からお話がありましたが、私は、アメリカの研究をする研究所よりも、実は中国を専門に国家戦略を組み立てるような研究所というものを我が国は今こそつくるべきだというふうに思います。というのは、特に中国は地域的にも広大でございますし人口も多い、それから人種、民族的にも多様でございますので、果たして中国の国家目標というものがどこにあるのかということを我々は、まあ我々に限らず、世界各国はつかめていないような現状だろうというふうに思うわけでございます。  経済面においては、二〇四一年には中国アメリカを抜いて世界一のGNPを誇る国になると、これはBRICsレポートでございますが、アメリカが二位、インドが三位、日本が四位。これを果たして受け入れるかどうかは別にしても、経済発展というものはある程度予測ができるわけでございます。中国は、少なくともサミットの参加国には、この少なくとも二十年、三十年のうちにはなるわけでございます。  安全保障の面でいうと、中国アジアでは、この東アジアでは唯一核を保有している国でございます。国際政治においては、国連の安全保障理事会の常任理事国として拒否権を既に有している国でございます。ですから、今中国が対日本に対してこの常任理事国入りに強く反対するのは、少なくとも東アジアあるいはアジア全体を見渡した中で、国際社会のいろんな方向性を決めることができるのは中国だけだということをこれからも保持し続けたいという、こういう明確な目標があるんだろうというふうに私は思っております。  少し話がずれますけれども、ODAのお話がございました。中国に対してのODAの評価が極めて中国国内で低いということは事実だろうと思います。一方、卒業論もございまして、中国に対するODAの供与は、まあ数年のうちにやめるということに。  私は、ここで少し申し上げたいのは、そのODA卒業論というのも一つの理にかなった行動であるのかもしれませんが、我が国の国家による戦略的な投資としての中国に対するODAというものを私は再考してもいいのではないかというふうに思います。  一例を申し上げますと、例えば携帯電話でありますとかコンピューターのOSでありますとか、中国は、将来的な市場としての巨大さもありますが、人口が多いということで、例えば携帯電話も、国内を三つに区切って、それぞれの地域で三つの違った方式を例えば採用させているわけですね。仮に日本のドコモの方式が採用されることになっても、将来的に中国のマーケットの中の三分の一の部分のあるシェアしか占めることができないわけでございます。例えばOSにおいても、中国とマイクロソフトは国家的なレベルでもかなりの提携を進めておりますし、リナックスについても、二種類のリナックスについて中国としての国家的な戦略を持ったスキームを組んで、これも携帯と同じように、どの方式をどの程度これから市場を開放していくかは中国政府が決めていくという、こういう戦略的なスタンスを取っているわけでございます。  この部分に限らず、標準化であるとか国際規格であるとか、そういう分野において、我が国がこれから付加価値の高い産業構造をつくっていって競争力を上げていくためには、多分、中国のマーケットをいかにとらえるか、あるいはこれから中国の技術力が高まっていく中で、日中でヨーロッパやアメリカとの競争の中で優位性をこれから確保していくかと。これは、今の時点であれば、中国に対していろんな、ソフト面での供与、技術面での供与あるいは資金面での供与ができる分野だと思います。是非、ODAについてはこうした新しい戦略的な投資の一環としての考え方というのを採用していただきたいと思います。  最後に、議員外交ということでございます。  六か国協議に北朝鮮が復帰をするということが決まりましたが、中国からもあるいはアメリカからも、日本は何の働きも今回はしなかったというふうに、まあ皮肉めいたことを言われております。  これは、日本にバーゲニングパワーがないということが一つだと思いますが、もう一つ私が考えていますのは、米韓は分かりやすいんですが、大統領制の国と我が国のように議院内閣制の国で、例えば局長級会議とか次官級会議をやる際の、その参加者が同じ権限や同じ決断の権能を与えられているかというと、違うと思います。  つまり、大統領制の国においては、多分にそのポリティカルアポインティーで任命をされた政治的な判断のできる人間が次官であったり局長であったりという参加の形態をしているわけで、どこまで行っても、やはり日本の外務省を始め役所のトップの方が行って、その場の、ある意味でいうと交渉上手な他国の参加者との間の激論の中で我が国の主体性を発揮するというのは極めて難しいと。その一端が、今の六か国協議始めとした、そうした国際協議の中で日本が存在感を示せ得ない要因になっているというふうに思います。  副大臣、政務官の制度もできて、本来であれば、大臣が行って、副大臣、政務官が代わりの仕事を国内で、委員会での答弁等も含めて引き受けるということでございましたが、お話をお聞きすると、なかなかそういう形になっていない。であれば、例えば大臣が行けない場合は副大臣なり政務官にどんどんこうした協議の場に出ていっていただいて、正に政治家としての判断を相手の出方も見ながらその場で行うということをやるということが必要なんではないかというふうに思います。  議員外交については報告書の中でも触れていただいておりますが、是非この調査会としても、現実的な議員外交の推進のために、政府と議員との役割分担がどうあるべきかという、特に外交面においてということについては、これからまた議論をしていただければ有り難いというふうに思います。
  55. 松田岩夫

    会長松田岩夫君) 藤末健三君。
  56. 藤末健三

    ○藤末健三君 先ほどの小林委員の御発言についてちょっと追加的に申し上げますと、大学とかに外交を研究するシンクタンクをつくらなきゃいけないということをおっしゃっていただきましたけれども、実は、昨年か今年、ソウル大学、韓国のソウル大学は日本研究センターというのをつくったらしいんですよ。国内世論の反対はすごかったんですが、やっぱり大学の決断として日本研究センターをつくったという状況で、彼らはやはり日本、一番大きなパートナーとしての日本をどう見るかということをもう研究を始めていると。  ですから、我々も、やはり大学などにきちんとした中国とか韓国又はアメリカという研究所を私はつくるべきじゃないかと思います。実際に調べてみますと、東大ですと、東洋研みたいな感じで東洋というとらえ方、そして早稲田を見ると、アジア太平洋研究所というのがありますが、政策的な問題は研究していません。あと、慶応が東アジア研究所というのをつくっていますが、まあ正直申し上げて外交という研究はなされていないような形でございますので、やはり我々が国益ということを考えたときに、交渉するのは恐らく我々政治家だと思うんですけれども、やはり中身の戦略的な考え方をきちんと研究する基盤を是非つくることをこの場から提案できればと私も思っております。  以上でございます。
  57. 松田岩夫

    会長松田岩夫君) ほかにございましょうか。  大変有意義な意見交換ができたと存じます。  今日出ましたいろいろな御意見の中に、本会議への報告あるいはこの報告書の中に追加すべきかなというふうに思料されるところもありますが、ちょっと時間的に間に合いませんので、次回以降の報告の中でまた取り上げていくということにいたすと同時に、いろいろ具体的な提案もございました。理事会で更に、今日の議論も踏まえて、この調査会の運営の在り方についてもまた意見を深めていってはどうかなということを会長として思料いたしました。  そのことを申し上げて、予定した時間がほぼ参りましたので、これにて散会いたします。    午後二時四十一分散会