運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2005-06-28 第162回国会 参議院 厚生労働委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十七年六月二十八日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  六月二十七日     辞任         補欠選任      蓮   舫君     芝  博一君      小池  晃君     紙  智子君  六月二十八日     辞任         補欠選任      草川 昭三君     西田 実仁君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         岸  宏一君     理 事                 国井 正幸君                 武見 敬三君                 辻  泰弘君                 山本 孝史君                 遠山 清彦君     委 員                 坂本由紀子君                 清水嘉与子君                 田浦  直君                 中島 眞人君                 中原  爽君                 中村 博彦君                 西島 英利君                 藤井 基之君                 水落 敏栄君                 足立 信也君                 朝日 俊弘君                 家西  悟君                 小林 正夫君                 芝  博一君                 柳澤 光美君                 柳田  稔君                 草川 昭三君                 西田 実仁君                 紙  智子君                 福島みずほ君    国務大臣        厚生労働大臣   尾辻 秀久君    副大臣        厚生労働大臣  衛藤 晟一君        厚生労働大臣  西  博義君    大臣政務官        厚生労働大臣政        務官       藤井 基之君    事務局側        常任委員会専門        員        川邊  新君    政府参考人        人事院事務総局        人材局長     藤野 達夫君        公正取引委員会        事務総局総括審        議官       和泉澤 衞君        警察庁長官官房        長        安藤 隆春君        金融庁総務企画        局総括審議官   三國谷勝範君        総務省人事・恩        給局長      戸谷 好秀君        総務省自治行政        局公務員部長   須田 和博君        消防庁次長    東尾  正君        法務大臣官房長  小津 博司君        文部科学大臣官        房審議官     樋口 修資君        厚生労働大臣官        房審議官     大槻 勝啓君        厚生労働省医政        局長       岩尾總一郎君        厚生労働省労働        基準局長     青木  豊君        厚生労働省労働        基準局安全衛生        部長       小田 清一君        厚生労働省職業        安定局長     青木  功君        厚生労働省職業        安定局高齢・障        害者雇用対策部        長        金子 順一君        厚生労働省職業        能力開発局長   上村 隆史君        厚生労働省社会        ・援護局障害保        健福祉部長    塩田 幸雄君        中小企業庁経営        支援部長     野口 泰彦君        国土交通大臣官        房審議官     中島 正弘君        気象庁総務部長  齊藤 孝雄君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○障害者雇用促進等に関する法律の一部を改  正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 岸宏一

    委員長岸宏一君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、蓮舫さん及び小池晃君が委員辞任され、その補欠として芝博一君及び紙智子さんが選任されました。     ─────────────
  3. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  障害者雇用促進等に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省職業安定局長青木功君外十九名の政府参考人出席を求め、その説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 次に、障害者雇用促進等に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 自由民主党、坂本由紀子でございます。  障害者雇用促進を進めるということは、今衆議院の方で審議中の障害者自立支援法のサポートをするという意味でも大変大切なことであります。自立支援法について、専ら、障害者所得が少ないのに応益負担が可能であるかどうかというようなことが議論されておりますけれども、私は、雇用促進をしっかりと進め、そして障害者所得、きちっとしたものにすることによって障害者が誇りある自立した生活ができると思うのであります。  そこで、障害者就職状況について初めに取り上げてみたいと思いますが、このところ就職件数ハローワークが取り扱っている障害者就職件数はかなり伸びてきております。これはこれで、関係者努力をしているということで評価をするところではありますが、ただ、就職できないでハローワーク有効求職者ということで登録をされている障害者の数は、この三年間でも常に十五万人を超えるというたくさんの方に上っているわけであります。特に雇用が厳しいのは精神障害者でありますが、これについては、今般、実雇用率にカウントするということで改善が大いに期待されるところであります。  雇用率制度は、重度障害者については雇用率適用ダブルカウントするというようなことで障害程度を配慮するということにはなっておりますけれども、実際にその配慮の基準というものが福祉の部門での障害等級をそのまま使っているわけでありまして、そういう意味で、職業生活を送るについての重度かどうかということが十分加味しておらないのではないか、これは長い間のこの法律の懸案でありますが、今回もこの問題については特段見直しが行われないままで来ておるところであります。  私は、やはりこういう問題をしっかり取り組まないと、例えば重度視覚障害者のような方についてはなかなか雇用が進まないと思うのであります。したがいまして、この問題については、例えば重度視覚障害者についてはダブルカウントではなくてトリプルカウントにするとか、あるいはそもそも、もう一度障害等級について、職業生活困難度はどうかというその本質に立ち返って精査をするということも大事ではないかと思うのであります。  この点について、雇用率制度適用について、障害の重さの程度区分職業生活上の困難さに対応したものになるように制度見直しを是非行っていただきたいと思うのですが、大臣の御所見を伺いたいと存じます。
  7. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 障害者雇用促進法におきましては、身体障害者福祉法における障害等級等を踏まえまして障害程度を定めております。そして、重度障害者には、今お話もございましたけれども、ダブルカウントをすることなどにより、雇用率制度適用してきたところでございます。  しかし、今お話しいただきましたように、障害者雇用促進法に規定する重度障害者と、職業生活において特に大きな困難を抱えているものが必ずしも一致しているわけではない、こういう御意見があることは承知をいたしているところでございます。したがいまして、職業生活上の困難性をどのように評価し、どのように雇用率を算定していくことが適当であるかにつきましては、今後、有識者や関係の方々の御意見を伺いながら、そしてただいま先生からも御指摘いただいておりますし、それぞれに検討してまいりたいと存じております。
  8. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 是非御検討をお願いしたいと存じます。  施設設備バリアフリー化が進んで、車いすの方はかなり移動の困難性等も軽減されてきている、あるいはITの技術革新によって障害者恩恵を受けるというものも増えてきているわけですが、こういうことの恩恵に全くあずかれない、職業生活上は困難度をそのまま引きずっているという方はいらして、そういう方の雇用の問題というのは、ここのところをしっかりと手当てしなければ解決しないのであります。ですから、是非早急に専門家の御意見等も聞いた上で改善をお願いしたいと重ねて申し上げます。  次に、企業の実雇用率状況について取り上げたいと思います。  法律上は民間企業に対しては一・八%の雇用義務が課されておるわけでございますが、この実際の雇用状況を見ると、比較的大手の企業雇用状況改善してきている。この法律ができた当初は、中小企業では障害者雇用は進んでいるけれど大企業が遅れていると、だからここを何とかしなきゃいけないということで、中小企業、三百人以下の企業については納付金適用をしないという取扱いが附則で行われたわけでございます。ところが、現在では二百九十九人以下の規模企業の実雇用率は年々低下をして、特に百人から二百九十九人の規模は何と一・二五%という極めて低い水準になってきているわけです。  そうしますと、当初納付金適用をしないとした附則の規定、これは昭和五十一年に創設されたものですからもう既に三十年近くたっていると。しかも、当初の状況と逆に中小企業が悪くなってきているということを考えると、そもそも、制度本来の趣旨に立ち返って、この納付金制度というのは、社会連帯の理念に基づいて、事業主間の障害者雇用に伴う経済的負担調整をするんだという原則をしっかりと適用すべき時期に来ているのではないか。加えて、最近は企業分社化というような現状もございまして、なおのことこの問題についてはしっかり見直すべき時期が来ているのではないかと思うのであります。  加えて、中小企業の場合には、調整金ではなくて、それより低い報奨金という制度を設けて、多数の障害者雇用している事業主経済的負担を軽減するということになっているわけですが、やはり同じように障害者雇用していれば掛かる負担は同じでありますので、中小企業についてだけ調整金より低い額を適用するというのはやはりおかしいのではないかと思うのでありまして、この点についての見直しを是非この際始めていただきたいと思いますが、御見解を伺いたいと存じます。
  9. 衛藤晟一

    ○副大臣衛藤晟一君) 委員指摘のとおり、附則におきまして、障害者雇用促進法附則におきまして、当分の間、従業員三百人以下の企業から納付金を徴収しないということになってきたところでございます。  昭和五十一年の制度創設の当時、やはり中小企業に対しては負担が極めて大きい、経営への影響が大きいとか、あるいは、御指摘のとおり、当時としては中小企業の方が雇用率達成されていたとかいうことがございましたけれども、現在におきましては、中小企業における障害者の実雇用率低下傾向にあることを踏まえながら、今御指摘のとおり、関係者意見を十分承りながら検討を始めなければいけないという具合考えているところでございます。これ検討を始めてまいりたいと思っております。
  10. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 ありがとうございます。是非よろしくお願いいたします。  実雇用率の点ではもう一つ課題がありまして、昨年の四月から除外率が一〇ポイント引き下げられました。つまり障害者雇用の機会が増えたわけですが、これが必ずしもそれに見合った雇用拡大につながっていないのであります。むしろ、除外率が引き下げられた産業については実雇用率がかなり低下しているという状況が見られます。  そもそも、除外率適用されていた企業障害者雇用ノウハウが十分蓄積されていないという状況があるわけでありますので、この点については、しっかりと障害者雇用ノウハウを提供するというようなきめ細かな支援が必要ではないか。そうすることによって、除外率が引き下げられた効果障害者恩恵として享受できるということになるかと思います。  その際、雇用納付金納付金によって現在かなりの額が既に蓄積をされておるようで、四百億を超える額がたしかあるかと思いますが、こういうものをしっかり有効に使うということも大事なことだろうと思いますので、例えば、納付金を活用して、この除外率が引き下げられている業種について、特別にきめ細かな指導をするための指導員を雇うというような工夫をして、こういう事業主支援をしたらどうかと思うのでありますが、この点についていかがでしょうか。
  11. 金子順一

    政府参考人金子順一君) お答え申し上げます。  今議員から御指摘がございましたように、昨年の四月一日から除外率制度見直しがございまして、一〇ポイントの引下げを行ったところでございます。言うなれば、実雇用率を算定する際の分母につきまして、これまで除外率ということで差し引くことができていたものが、そこが一〇ポイント加わったということに結果としてなるわけでございます。  こうした状況もございまして、平成十六年六月一日現在の雇用率を計算いたしましたところ、実雇用率につきましては、雇用されている障害者の方の数が伸びているにもかかわらず、前年の一・四八から一・四六に低下するという状況が生じたわけでございます。言うなれば、除外率見直しに基づく分についての雇用が十分埋められなかったと、こういうことであろうかと考えております。  今後につきましては、今議員からも御指摘がございましたけれども、この除外率引下げによって対象になりました業種でありますとか企業でありますとか、こういったところがこの除外率引下げについてどういう対応をしたかという辺りをよく分析する必要があると思っております。その上で、きめ細かな指導でありますとか障害者雇用ノウハウの付与といったようなことに取り組んでいくことが必要であろうと思っております。そうした方向で努力をしていきたいと思っております。  また、あわせまして、こういった指導支援のために納付金財源を活用することが考えられるんではないかということでございますが、その点も含めまして、どうしたら実効ある指導支援ができるかということにつきまして、これから検討をしていきたいと思っております。  そういうことで、実効を上げた形での取組を進めてまいりたいと、そんなように考えております。
  12. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 ありがとうございます。是非そういう制度の変更の効果が真に実のあるものになるようにお取り組みをいただきたいと存じます。  それから次に、雇用率達成指導についてであります。  雇用率が各企業達成されるようにということで、実雇用率の低い企業に対しては法に基づいていろいろな指導が行われております。  前回のこの法律の改正のときにも、障害者雇入れ計画作成命令発出件数が余りに少ないのではないか、もっと指導基準を強化すべきではないかという議論がたしかあったかと思います。それに基づいて指導基準が強化されました。  それ自体は良かったんですが、ここへ来て、また見てみますと、やはりこの実雇用率横ばい傾向が見られるわけでありまして、そういう意味では、この達成に伴う指導が的確に行われているかということを常に見直していかなきゃいけないと思うのであります。  今の状況では、雇入れ計画作成命令というのは、企業名公表の前提になる、まあ言ってみれば、きめ細かい厳しい指導の第一のステップなんですが、この雇入れ計画作成命令発出基準が、障害者雇用率が一・二%未満だったでしょうか、あと、五人以上ということになりますと、こういうことを知っていると、大体その一・二%よりちょっと上のところに雇用率を持っていけば多分こういう厳しい指導から逃れられるとか、あるいは、五人という数ですと、中小企業はほとんどここから漏れてしまうということになるわけでありまして、この点についてはもう一度見直しが必要ではないか。  ですから、少なくとも、全国平均に達していないようなところについてはきちっとした指導が行われますよということであるとか、あるいは、中小企業については全然こういう指導対象外になるということではなくて、中小企業であってもほとんど雇用についての改善努力をしないところについては、やはり雇用率の厳しい指導対象にさせていただきますよということができるように、この指導基準についてはやはり雇入れ計画作成命令発出基準を中心にしっかりと見直しをしていただきたいと思うのですが、この点についてのお考えを伺います。
  13. 金子順一

    政府参考人金子順一君) 障害者雇用率制度は、障害者雇用促進していくための最も大事な制度でございます。各企業におきまして雇用率が遵守されるということが極めて重要なことでございます。そういう意味で、厳正な雇用率達成指導をやっていくことがとりわけ重要であるという点につきましては、議員指摘のとおりだろうと思います。  雇入れ計画作成命令を始めとする雇用率達成指導につきましては、できるだけ重点的に、しかも効果的な指導を行っていくということが必要でございます。そうした考え方の下で、現在では、法定雇用率達成企業全般に対しまして、まず障害者雇用率セミナーなど集団指導を行うと。その上で、今議員からもお話がございましたけれども、特に雇用率が低く不足数も多い一定の基準に該当する企業に対しましては、計画的に障害者雇用を進めることが重要でございますので、雇入れ計画作成を命令し、その計画の適正な実施を強く指導しているところでございます。  今後とも適切な方法でこれを実施していくということが必要なわけでございますが、私どもとしては、先ほど来お話がございましたけれども、実雇用率がなかなか改善をしないという現実もございます。それから、中小企業における雇用率が非常に下がっているというような大きな傾向もございます。こうしたことも踏まえながら、より実効ある指導ができますように、必要に応じましては、指導基準見直しも含めまして検討していきたいと思っております。
  14. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 雇用率が悪いという点でよく取り上げられるのに教育委員会があります。教員については、教員資格を持っている障害者が少ないということで、なかなか実雇用率が上がらないという状況はございますが、都道府県別教育委員会の実雇用率がどうかという数字を五年分についていただいたんですが、かなり都道府県によってばらつきがあります。二%を超える実雇用率達成しているところもあれば、この五年間一度も一・二%を超えたことがないという県が十七県もあるのであります。また、県の中にはこの五年間で実雇用率がほぼ半分になってしまったというような低下著しいところもありまして、やはりこういうところについてはしっかりとした指導をしなくてはいけないのではないか。  そういう意味では、厚生労働省は、教員免許を必ずしも持っている障害者の方が十分いないというようなこともあって、この辺についての各都道府県教育委員会への指導に少し遠慮をしてきたところがあるんではないかと思うんですが、現に達成できているところがあることからすれば、やはりここはきちっと達成していただけるようにきちっとした指導をすべきではないかと思うのですが、厚生労働省のお考えを伺いたいと存じます。
  15. 衛藤晟一

    ○副大臣衛藤晟一君) 委員指摘のとおり、教育委員会法定雇用率達成、二・〇%という具合にしているところでございますが、大きく乖離をいたしている状況でございます。何とか、都道府県教育委員会に対しまして障害者採用計画作成をしてもらい、そして積極的かつ計画的な採用を行うように指導するとともに、この改善に向けて要請をしているところでもございます。  教育委員会においてはこれまでも、教員採用試験において、点字による試験、あるいは試験時間の延長等を認めたり、あるいは障害者に対する特別選考を行うなどの工夫を行っているという具合に聞いておりますけれども、そのような取組に加えて、教員以外の職員の雇入れなどの工夫について文部科学省及び教育委員会に要請するなど、教育委員会における障害者採用拡大に向けて指導の徹底を図ってまいりたいという具合に思っております。
  16. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 ありがとうございます。  そういう意味では、個別の都道府県に着目した指導をしっかりとやっていただきたいと思います。  今日は文部科学省においでいただいております。  この問題は、基本的には、障害者が大学まで当たり前のように行けて、教員免許を持つ障害者がもっと増えるようにならなくちゃいけないということがありまして、そもそもの教育のところからもう一度見直していただかなくてはいけないということがありますが、その点については後ほど取り上げることにして、文部科学省としても各都道府県教育委員会等にこの問題についてきちっとした働き掛けをしていただきたい。  現在どういう状況をやっているのかということを伺いましたら、毎年、教員採用等改善について取組事例を送付してお願いをしているということでありました。これ拝見いたしますと、もろもろの課題がありますので、八つある中の一つ身体障害者雇用についても触れている。だから、そういう意味で、余り、もらった方が毎年のことだともう意識しないのではないか。  かてて加えて、この取組事例、拝見いたしましたけれども、特別枠でこういう特別選考をやっているところがありますというのを出していただいているんですが、制度があって、しかも志願者はいるけれども採っていないというような県が結構多いんであります。だから、制度だけ設けて、実際には志願者がいるにもかかわらず何年もの間一人も採用しないというようなものを事例としてお示ししていただくのでは、果たして都道府県教育委員会等がこの問題に真剣に取り組むことになるのであろうかということについて私は疑問に思うのであります。  ですから、もっと文部科学省において、個別の都道府県等に対して、いかに後れているか、現に雇用率達成ができているところもあるんだということをしっかりとお示しして、すべての都道府県がこの問題についてできるだけ早期に義務をクリアすることができるようにお取り組みをいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  17. 樋口修資

    政府参考人樋口修資君) お答え申し上げます。  都道府県教育委員会におきます障害者雇用率は、御案内のとおり、平成十六年の六月一日現在、全国平均で一・三三%となっております。依然として法定雇用率二・〇%を下回っている状況にございます。今委員指摘のとおり、法定雇用率を二・〇三%と上回っているところもございますれば、〇・七一%と大幅に下回っている県もございまして、雇用率に大きな差があるものと承知しております。このように下回っている状況は大変残念な事態でございまして、これはひとえに、都道府県教育委員会雇用する職員の大部分が教員である一方、教員免許状を有する障害者の数が極めて少ない状況が大きな一因となっているものと考えられるわけであります。  今御指摘のとおり、文部科学省におきましては、障害者雇用促進する観点に立ちまして、教員採用試験におきまして障害があることのみをもって不合理な取扱いがなされることのないよう、毎年すべての都道府県教育委員会に対しまして通知による指導を行っております。その際に、こういった教員採用等改善に係る取組事例もお示ししながら改善を促しているところであるわけでございます。  十六年度の教員採用試験におきましては、すべての都道府県教育委員会におきまして身体に障害のある者に対する配意を行っているところではありますが、その一方で、法定雇用率を大きく下回ったまま依然として改善が見られない県もあるところであるのは事実でございます。このため、これらの県につきましては、個々の事情を把握しながら、改めて通知の趣旨を周知するとともに、各種会議の場や、また個別の指導を通じて改善を今後促してまいりたいというふうに考えております。
  18. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 しっかりお願いいたします。また、成果については機会を改めてお伺いしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。  私は、学校の先生が障害者であるということは、これは生徒の教育にとてもいい効果があると思っています。静岡県で全盲の教師が中学の社会科の先生をしていますが、彼の生徒に与える影響というのは本当に、ただ単に社会科の科目を教えるというだけではなくて、人格形成にとても大きなインパクトを与えているわけでありまして、そういうことを考えてしっかりとこの問題についてはお取り組みをいただくことを重ねてお願いする次第であります。  次に、障害者についてきめ細かな指導をやって、少なくとも、公共職業安定所に求職登録をしている、今十五万人を超えていますが、こういう方たちが一刻も早く就職できるように、それ以外の障害者についてもできるだけ希望に沿った仕事ができるようにというお取り組みをしていただきたいと思うのであります。  この問題については、やはり有効求職者をなくしていこうという意識が取組の中に欠けているのではないかというのを一つ感じるのでありますので、この有効求職者を解消していくということをハローワーク挙げて計画的にお取り組みいただきたいというのが一点。そのためには、障害者に対してやはり職業訓練等の能力を高める取組をしていただく必要があるのではないか。現在、一体何人の障害者に対して職業訓練が行われているかというと、増えてはきているんですがまだ一万人にも満たないという状況でありますので、心意気としては、すべての障害者に能力開発の支援をするんだ、トライアル雇用等のお取り組みもありますが、そういうことをしっかりと必要な人たちに提供するんだということをやっていただきたいと思います。  それと重ねまして、最近は、知的障害者それから精神障害者、あるいは発達障害者というような、就労に当たってきめ細かな専門的なしっかりとした支援が必要な方が増えてきておるわけでありまして、そういうことを考えますと、ハローワークにおける相談体制というのがかなり手薄ではないか。そういう職員は基本的には障害者についての専門的な知識を有しておりませんので、その点では専門家の手助けをいただくということがこれは不可欠だろうと思います。  ところが、実際にそういう専門家が相談員等として配置されているかというと、ここはかなりお寒い状況でありますし、特に、相談員に対する謝金を見ますと、たしか日額六千二百円だったでしょうか、非常に低い額でありますので、こういう額で数少ない専門家ハローワークに来ていただいてその支援の一員としてやっていただけるかといったら、これはとてもかなわないのでありまして、そういう意味では、この相談員の制度を抜本的に見直して、専門家に来ていただけるような謝金の単価に引き上げて、また数も増やして、その点でのきめ細かな体制づくりをしていただきたいと考えますが、この以上の点についてのお答えをお願いいたします。
  19. 金子順一

    政府参考人金子順一君) 何点かについてお尋ねがございましたので、私の方から、一点目の十五万人の有効求職者がいる件につきましての対応と、それからハローワークにおける相談体制の充実について答弁させていただきます。職業訓練に関します部分は、後ほど職業能力開発局長の方から答弁をいたしたいと思います。  まず、議員から御指摘がございましたけれども、現在、ハローワークに求職登録をしております障害者の方というのは十五万人おられるということで、我々毎年努力もしているわけでございますが、この十五万人という数字というのが、大体このぐらいの水準でずっと推移しているという状況がございます。そういう意味で、御指摘の点は誠にごもっともなことなわけでございます。  ただ、私どももこのところ、特に数値目標も設定をいたしましてハローワークにおける障害者雇用促進に努めているところでございます。十五年度、十六年度と二年連続、就職件数は一応過去最高を更新しているわけでございます。  ただ、そういう状況の中でもなお、求職者数、こういった水準で高止まりしているという状況でございますので、ハローワークはもとよりでございますが、私ども本省、あるいは労働局も通じまして、組織を挙げて一層の努力が必要だと痛感しているところでございます。そういう考え方に立って取り組んでまいりたいと思っております。  それから、相談体制の充実の件でございますが、ハローワークの職員の中で十分な専門性を確保するというのは率直に言って難しい面もございます。そういう意味で、相談員等として専門性の高い方を御活躍いただくということが非常に大事な点であろうかと思っております。これまでもいろいろな観点で人材の確保に努めてきたところでございますが、御指摘のございましたような相談員の謝金単価が非常に低いというようなこともありまして、なかなか思うに任せない部分も率直に言ってございました。  財政的ないろいろな意味での制約もあるわけでございますが、大変重要な課題でございますので、謝金単価の引上げなども含めまして相談体制の充実に取り組んでまいりたいと、このように思っております。
  20. 上村隆史

    政府参考人(上村隆史君) 障害者の方々の職業訓練の受講割合は、先ほど委員指摘ありましたように、有効求職者十五万人に対しまして約六千人、受講の割合が四%という状況でございます。  障害者の方々の雇用就業に職業訓練が重要であるということは委員指摘のとおりでございまして、障害者の職業能力開発校あるいは一般校のバリアフリーの推進による入校の促進等によって職業訓練等実施しておりますが、特に障害者の方々につきましては、その態様に応じ、また求人のニーズに応じた内容で訓練が実施できる委託訓練の活用が有効であるということで、十六年度、五千人規模拡大を図り、さらに十七年度、今年度でございますが、六千人に増加させていただいておりまして、その効果につきましても、障害者の方々、福祉関係者あるいは企業等に評価され、確実に浸透してきているというふうに思っておりますが、先ほど申し上げましたような受講の状況でございます。引き続き、こういった制度の着実な実施を図りながら職業訓練機会の充実に努めていきたいというふうに思っております。
  21. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 今お話のあった委託訓練についてですが、これは民間の事業主にもお願いして非常に実際の仕事に合った訓練ができているということで好評だと聞いています。役所がやるにしては珍しく非常に弾力的な取扱いもしてくれているということで比較的評判がいいんですけれども、ちょっと気になりますのは、この委託訓練について、最近はちゃんと成果が上がっているかどうかということを検証されますので、就職率のたしか目標数値が作られているかと思います、五〇%という数字が一律に作られていたかと思いますが、私は、障害者が職業能力の点において重度であれば、これはやはり就職率が低くなるというのはどうしても出てくる。先に就職率の目標ありきだと、どうしても重い障害者を訓練の対象から外して就職しやすい障害者を選ぶということになりはしないかということが非常に心配なわけです。ですから、職業訓練校で、うちは就職率が一〇〇%ですって自慢していらっしゃるところがあるんですが、これは裏を返せば、一〇〇%就職できる人しか入校させていないという可能性もあるわけでありまして、これは、障害者の能力開発をして雇用に結び付けるということからすれば本末転倒なわけであります。  ですから、そういう政策目標としての就職率を設定する際には、重度の人たちあるいは軽い人たちそれぞれについて政策目標を定めて、その組合せによってはこの政策目標が動いてもいいというような取組をしないと、せっかく委託訓練の制度を設けても、基本的にはその趣旨が達成できないということになるのではないかという懸念を持っております。  この点についてお取り組みをいただきたいのですが、いかがでしょうか。
  22. 上村隆史

    政府参考人(上村隆史君) 委員指摘の成果目標でございますが、平成十七年度厚生労働省予算の成果目標ということで、障害者の訓練校につきましては、実績が五九・二%でございましたので、それを参考に、それを上回るという数字で六〇%以上目標。それから、委員お話のありました委託訓練につきましては、まだ実績が出ておらないところから、半分以上ということで五〇%以上の就職率を目指したというところでございます。  委員から御指摘がありましたように、いわゆる成果主義あるいは数値目標一律化ということに伴う、御指摘のありましたような悪い点が危惧されるところではございますが、そういった点が生じないよう、障害程度や態様に応じた就職実績等を十分に分析してまいりまして適切な政策評価ができますように、その在り方については検討に努めてまいりたいというふうに思います。
  23. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 よろしくお願いいたします。  次に、精神障害者雇用についてですが、今般、精神障害者雇用した場合には実雇用率に算定するということで、これは長年精神障害者の方々の悲願でありましたので、そういう意味では、大変今般の改正は思い切った改正で結構なことだと思いますし、感謝を申し上げますが、ただ、気になりますのは、精神障害者が実雇用率にカウントされるということで職場の中で掘り起こしが行われはしないかということは大変気になるところでございます。こういうことがないように、しっかりこの点についてはきめ細かく目配りをしていただきたいというのが一点。  それから、精神障害者雇用については、私は、雇用率適用だけではこれはなかなか解決できない問題、単純に実雇用率にカウントしますというだけでは病気の特性から解決できないということもあると思っておりまして、そういう意味では、精神障害者雇用機会の拡大のためには、グループ就労というような弾力的な就労形態、多様な就労形態というものを導入するということが不可欠であろうと思っておりまして、この点についてのお取組をお願いしたいと思うのであります。  それと併せまして、精神障害者については短時間勤務が認められるんですが、身体障害者と知的障害者の場合には重度障害者についてしか短時間勤務が認められておらないわけであります。これは、重度だけではなくて、身体障害者、知的障害者の場合も精神障害者と同じように短時間の形態を雇用率制度上認めていただきたいと思うのでありますが、これら点についてのお考えを伺いたいと存じます。
  24. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 先生御指摘のとおり、各企業におきまして精神障害者雇用率適用を行うに当たりましては、本人の意に反した適用等が行われないようにする必要があると考えております。したがいまして、今後、有識者の御意見をお聞きしながら、プライバシーに配慮した対象者の把握、確認の在り方について企業にとって参考となるガイドラインを作成をいたしまして、これを周知することを考えております。  それから、精神障害者雇用機会を増大させるためには、精神障害者の特性を踏まえまして、お話ございました短時間労働や仲間同士が支え合って就労するグループ就労についての支援策を講じることが重要でございまして、一点といたしましては、精神障害者である短時間労働者、これは週の労働時間が二十時間以上三十時間未満の方々を指しておるわけでございますが、こうした労働者を雇用率制度上〇・五人分としてカウントする評価をするということとともに、常用雇用への移行段階として、数人の精神障害者指導員による援助を受けながら働くグループ就労を行う場合に、これを助成する制度を設けること、こうしたことなどによりまして、疲れやすくて長時間働くことが難しい、職場に慣れるまでに時間が掛かるなど、精神障害者の特性に合わせたきめ細かな支援施策の展開を図ることといたしておるところでございます。  精神障害者以外の短時間労働者については、申し訳ありません、副大臣より答えてもらいます。
  25. 衛藤晟一

    ○副大臣衛藤晟一君) 委員指摘のとおり、重度の身体、知的は週三十時間で二人分、それから、短時間につきましては、二十時間から三十時間につきましては一人分として算定することといたしております。  そういう中で、精神障害の方々につきましてはなかなか長時間労働は難しいと。まず、就労支援に当たりましても、いかにして短時間労働から入っていってこれを固定させていくのかということにいろいろな形で今皆さん苦労していただいているところでございますけれども、そういう意味で、この短時間労働につきましては、三十時間以上働いている精神障害者を一人分、そして短時間労働者については〇・五人分という具合に算定することといたしております。  しかし、これを身体そして知的とも短時間労働を認めるべきではないのかという御意見でございますけれども、今この短時間労働につきましては、雇用の在り方としてどのように位置付けるのか、評価するのかということ、それから、法定雇用率に算入した場合、分母が増えますので、分母が増えることによって実雇用率に影響が生じるのではないのかという具体的な問題が起こっております。それらの問題を整理をして、これは積極的に検討をして、早急に検討してまいりたいという具合考えている次第でございます。
  26. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 是非よろしくお願いいたします。  次に、今般の法改正で私はもう一つ画期的なことは、雇用ではない働く人たちに対してこの法律支援策を講じたというところであります。  障害者の場合に、一般雇用就職できればもちろんそれが一番いいと思いますが、必ずしも一般雇用に就業、就労できないという方も結構おられるわけでありまして、この方たちにどういう手だてを講じるかということが、私はこれまで法の谷間にあって十分な措置が講じられてこなかったと思うのであります。  今般、雇用以外の就労に手を差し伸べてくれたのはいいんですが、それが本当に実のあるものになるということも大事だと思っておりまして、特に小規模作業所などは、障害者がそこで働いていますが、仕事がないというのが一番大変な悩みでありまして、そういうところに企業がどんどん仕事を発注してくれれば、障害者に対しても仕事が増えて有り難いという声を聞きます。  そこで、今般の特例調整金、これがどのような金額になるかというようなことは、企業が、障害者、自宅で就労している、あるいはその団体に対して仕事を発注する際に、どの程度それが評価されるかということは発注意欲に大きな影響を与えますので、この点での特例調整金等の単価が実態に即したものになるように是非お願いをしたいと存じます。  審議会に出されたイメージを見ると、どうも障害者雇用の実態とは懸け離れた数字が使われているように思いまして、この数字がそのまま取り扱われたのではとてもとても実態が改善できないのではないかということを心配いたします。政省令で定めることになっておりますが、是非この点での御配慮をお願いしたいと存じますが、いかがでしょうか。
  27. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 在宅就業特例調整金及び特例報奨金は、企業障害者に対して一定額以上の発注を行った場合に発注額に応じて支給するということにいたしておるところでございます。そして、この特例調整金等の額の設定に当たりましては、法定雇用率を上回って障害者雇用する場合に支給される障害者雇用調整金の額、これが今、月額一人二万七千円でございますが、これとの均衡を踏まえましてこれを設定する必要があると考えておるところでございます。  また、支給の際の基準となる評価額につきましては、労働政策審議会における検討の際に、障害者一人分の稼得に相当する金額を勘案しまして、四百万円以上の発注が行われた場合に特例調整金を支給するとの案をお示ししたところでございますが、今、先生からもお話ございましたように、この案では制度効果的に活用されない可能性があるのではないかという御意見があることも承知をいたしておるところでございます。  そこで、特例調整金等の具体的な額でありますとか支給の際の基準となる評価額の設定に当たりましては、企業にとって発注しやすいものとするとともに、在宅就業障害者の就業機会の確保でありますとか雇用への移行がより効果的に促進されますように、今後、労使、障害者団体等の御意見を踏まえ、政省令において適切な額に設定してまいりたいと考えております。
  28. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 よろしくお願いいたします。  そして、これだけではなくて、一般雇用に行けない障害者の方たちの就労の場をどう確保するかということは、障害者自立支援法と相まって今後最も大きな課題になるのではないかと思うのであります。  これまで、障害者雇用促進法は専ら雇用をやってきたと。で、一方で福祉の世界があって、福祉工場であるとかあるいは授産施設、そして作業所というところでは非常に障害者が得られる賃金が極めて低額であったということで、ここのところの中間的な就労形態というのは私はもっと着実に増やしていっていただかなくてはいけないことだろうと思います。  障害者自立支援法衆議院審議を経て参議院に回ってきた段階でまたこの点は大きな議論になるとは思うんでありますが、今般、雇用から少し踏み出したところについてもこの法律は施策を講じるということになりましたので、この促進法の世界の中でも、そういう一般雇用への就労が困難な障害者に対して多様な就労の場が確保されることになるように積極的なお取り組みをいただくということを今後とも御検討いただきたい、是非この点をお願いしたいと存じますが、いかがでしょうか。
  29. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 障害者の職業的自立を図りますためには、まず雇用支援策の充実を図ることが必要でございまして、またその一方で、一般雇用への移行が困難な障害者に対して福祉施策との連携も図りつつ多様な就労形態に対する支援策を講じることが必要であると考えておるところでございます。  このために、今般の障害者雇用促進法の改正におきましては、福祉施策と相まって、福祉的就労から一般雇用に至る様々な働き方に対する支援の充実を図ることとしておりまして、具体的には、障害者雇用納付金制度において、ただいまも申し上げました特例調整金等の支給を行うことにより、新たに障害者の在宅就業を支援することといたしておるところでございます。  また、障害者自立支援法案におきましても、働く意欲と能力のある障害者企業等で働くことができるように、一般雇用への移行を目的とした就労移行支援事業、通常の事業所に雇用されることが困難な者に対して就労の機会を提供するとともに、知識及び能力の向上のために必要な訓練等を行う就労継続支援事業を創設することといたしておるところでございます。  今申し上げましたような取組を通じまして、障害者の多様な就労形態への支援を引き続き行ってまいりたいと考えております。
  30. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 障害者の自立の問題で、私は本質的に一番大事なのは教育の問題であろうと思うのであります。障害者がしっかりと社会に出るに当たって必要な能力を身に付けることができること、そして、障害がある人ない人がともに同じ人間として差別されないで社会の中でしっかりと生きていけるように、そういう意味で、子供のころから障害者に対する偏見をなくすという意味で、教育の現場でノーマライゼーションの理念の実現した教育が行われるということが大事、そして障害者が必要な教育がしっかりと受けられて高い能力を身に付けられるようになるということが大事だと思いまして、そういう点では、私は今の障害者に対する教育を抜本的に見直していただく必要があるのではないか。  どうも別々の場で教育がなされ過ぎておりますし、障害者に対する盲・聾・養護学校の教育内容を見ると、必ずしも十分な学力が身に付くようなものにはなっていないのではないか。あるいは学習障害等新たな障害者に対して必要な手だてがきちっと講じられているかという点については、この点はまだ不十分ではないかと思うのでありまして、是非文部科学省においては、これら問題のすべての解決は教育にあると、教育が責任を持ってしっかりと解決をしていくという決意を持ってお取り組みをいただきたいと思いますが、是非その点での御見解を承りたいと存じます。
  31. 樋口修資

    政府参考人樋口修資君) お答え申し上げます。  障害のある生徒の職業的自立を促進するためには、盲・聾・養護学校におきまして一人一人の生徒の障害の状態に応じました職業教育やあるいは進路指導を充実する必要があると考えております。  このため、例えば養護学校の高等部の教育内容におきましても、進路の多様化に対応した専門科目の流通・サービスを新設いたしましたり、あるいは盲・聾・養護学校高等部におきまして就業体験の充実を図るなどの取組を行っているところでございます。さらには、学校での職業教育や進路指導を充実するためには、ハローワークあるいは地域障害者職業センターといった関係機関、あるいは地域の企業、経済団体等で構成されます就業支援組織等との連携が重要であると考えておりまして、こういった関係機関との連携のためのネットワークを構築する取組を今全都道府県に委嘱いたしまして特別支援教育体制推進事業の一環として推進をしているところでございます。  委員指摘のとおり、学校教育におきまして障害のある児童生徒と障害のない児童生徒がともに学ぶ機会を適切に設けてそれぞれ適切な教育を実施していくことは、社会全体での相互理解を促進し、ひいては障害者雇用機会を拡大することにつながるものと認識をしております。  文部科学省におきましても、昨年改正されました障害者基本法第十四条におきまして、障害のある児童生徒と障害のない児童生徒との交流、共同学習を積極的に進めるという趣旨、この趣旨につきまして各都道府県教育委員会を通じて各学校に周知をさせていただきますとともに、交流教育ハンドブックを作成いたしまして、これを配布し広く交流教育あるいは共同学習の推進を図っているところであります。また、こういった指導に当たります先生方に対しましても、交流及び共同学習推進指導者講習会を実施するなどの施策を講じているところでございます。  文部科学省といたしましては、関係機関と連携した就業支援や交流及び共同学習の推進を含め、今後とも、障害のある児童生徒の自立と社会参加に向け、児童一人一人の教育的ニーズに応じた適切な教育がなされるよう努力をしてまいりたいと考えておるところでございます。
  32. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 私は、一部の方を除けば、基本的には障害者障害者でない人と同じように同じ学校で学び育つことが大変大事なことだと思います。日本は、どうもそこのところが、特別に養護学校をつくり特別に盲・聾の学校でやるというところが強過ぎるのではないか。ここの垣根をできるだけ早期に取り除いていただいて、ともに学ぶことができるような、ただ単に一時的に交流する時間があるというだけではない本質的な解決を是非図っていただきたく、要請をする次第であります。  次に、今般の法改正の中で、障害者の技能に関する競技大会に係る業務が納付金の関連業務として追加をされております。雇用率制度があるのでとにかく雇わなくてはいけないというだけではなくて、やはり障害者がこういうことができるという、障害者の能力を評価されて企業採用されるということが大変障害者の自立ある職業生活のためにも大事なことだろうと思います。そういう意味で、この技能について、障害者の持つ技能のすばらしさを国民に分かっていただくいい機会であろうと思いますので、こういう競技大会というものを大いに活用していったらいいと思います。  その点に関連してお願いしたいのは、ちょうど平成十九年に、日本でこれは二回目の、障害者の国際技能競技大会でありますところの国際アビリンピック大会が開催をされます。世界から技能を持つ障害者の方がいらして、まあ言ってみれば技を競い合うということでございますので、是非こういうものを若い障害者にも見ていただきたい、それから国民にもしっかりこういう問題に目を向けていただいて、障害者のすばらしさというものを理解をしていただくことになるように、この大会の成功にしっかりお取り組みをいただきたいと考えますが、決意のほどを伺います。
  33. 上村隆史

    政府参考人(上村隆史君) 今委員からお話のありました第七回の国際アビリンピックは、昭和五十六年、国際障害者年に第一回大会として我が国で開催されて以来二十六年ぶりでございますが、二〇〇七年、第三十九回の技能五輪国際大会と合わせまして、史上初めてでございますが、二〇〇七年ユニバーサル技能五輪国際大会ということで開催されることになっております。  この大会は、障害の有無にかかわらず、相互に人格と個性を尊重し支え合う共生社会の実現を職業技能の分野から象徴する大会として位置付けられ取り組まれるということになっております。競技職種や展示あるいはデモンストレーション、そういったことにつきまして現在準備等を行っているところでございますが、御指摘のように広報等に努めまして広く国民にアピールし、障害者雇用就業の一層の拡大に資する大会となりますよう努めていきたいというふうに思っております。
  34. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 よろしくお願いします。  視覚障害者について、職場介助者助成金が十年間という期限があるので、視覚障害の方が十年たって目が見えるようになるわけではないので、この十年という期間を区切るのは問題ではないかということで、この問題は衆議院でも取り上げられて前向きの御答弁をいただいているということで、これは私は大変有り難いことだと思うんですが、こういう永続的な財政的な負担というのは、本当はこれは調整金でしっかりと配慮していただくものではないかと思うのであります。つまり、一時的に掛かる経費を助成するものが助成金であって、例えば施設設備を直すとか、職場に慣れるまでに必要な介助者を賃金助成をするというものであります。そうではなくて、その障害がある限りはずっとサポートが必要だというものは、これは調整金で本来配慮すべきものでありまして、そういう意味では私は、この職場介助者の助成金は、取りあえずは助成金の中で措置をしていただきたいと思いますが、本質的には助成金、調整金の在り方にかかわる問題でありますので、今後この問題についても御検討いただくことをお願いして、私の質問を終わりにいたします。
  35. 家西悟

    ○家西悟君 民主党・新緑風会の家西悟でございます。  私は、尾辻大臣に対しまして、障害者雇用促進等に関する法律の一部を改正する法律案に賛成し、今回の法改正によって障害を持たれた人々の雇用が一層進むことを願って質問いたします。  政府は、今月七日、閣議で、平成十六年度障害者施策の概要、いわゆる障害者白書を決定しました。その中で、国民のおよそ五%が何らかの障害を有していると報告しました。  同報告書によると、身体障害、知的障害、精神障害の三区分で障害者数の概数を見ると、身体障害者三百五十一万六千人、知的障害者四十五万九千人、精神障害者二百五十八万四千人となり、これを人口千人当たりの人数で見ると、身体障害者は二十八人、知的障害者は四人、精神障害者は二十一人になり、先ほど述べましたおよそ五%の国民の何らかの障害を有するということになります。  尾辻大臣、この数字は人口が今後高齢化するにつれ増大すると思われます。歴史的に見て、これまで社会では障害を持つ人が孤立化、隔離化されてきたことから学ぶこと、多少の改善が見られても、このような形態の差別は依然として広範囲にわたる社会的問題であると考えます。  そこで、本法律の改正案についてお尋ねします。  まず、昨年度の国、地方公共団体での雇用の現状についてお伺いします。  国、地方公共団体は障害者雇用促進しているのでしょうか。公務員における障害者雇用の現状について御説明ください。
  36. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 国及び地方公共団体につきましては、自ら率先垂範して障害者雇用を実行すべき立場にありますことから、民間企業より高い法定雇用率を設定しておるところでございます。具体的に言いますと、国と地方公共団体が二・一%、都道府県教育委員会が二・〇%、そして民間企業が一・八%でございますので、申し上げましたように、高い法定雇用率をまず設定しておるということを申し上げました。  大きく申し上げますと、これらの国及び地方公共団体の機関については、ほとんどの機関が法定雇用率達成しておりますし、また全体としても法定雇用率を上回っている状況にはございます。  ただ、そうではございますけれども、都道府県教育委員会など一部の公的機関におきましては障害者雇用が進んでいない現状がございますので、こうしたことについては遺憾でございますし、また、こうした機関につきましては、障害者採用計画作成をさせまして、積極的かつ計画的な採用を行うように指導をしておるところでございます。  大きくまずお答えを申し上げました。
  37. 家西悟

    ○家西悟君 各委員にお配りしたのは、平成十六年度の国の機関の雇用状況、並びに都道府県知事部局の雇用状況厚生労働省がまとめたものです。これを見ると、国の法定雇用率二・一%が守られていない、本法に違反している国、地方公共団体がございます。お手元の資料で分かるように、金融庁、警察庁、公正取引委員会、消防庁、法務省、気象庁の六省庁です。また、地方公共団体では、岩手県、秋田県、新潟県、岐阜県、和歌山県、鳥取県、岡山県、山口県の八県です。  悪質なのは金融庁です。金融庁は平成十六年、平成十七年度と違反し、厚生労働省から二度にわたる勧告をされています。  尾辻大臣、このような国の機関の現状についてどのようにお考えになられますか。
  38. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 先ほど申し上げましたように、大変遺憾だというふうに考えておりまして、私どもも採用計画を、障害者の方々の採用計画作成させておりまして、また、積極的な、そして計画的に採用を行うように指導いたしておるところでございます。ただ、その指導の成果が見られないこと、一部の機関において見られないことに対しては、申し上げておりますように大変遺憾だと存じております。
  39. 家西悟

    ○家西悟君 本日、多くの省庁に来ていただいているわけですけれども、六省庁。  まずもって金融庁、おいででしょうか。──警察庁、おいででしょうか。──おられますね。公正取引委員会、おいでですね。消防庁、おいでですね。それから法務省、おいでですか。──気象庁、おいでですね。  なぜ呼ばれたかということはもう重々承知のとおりで、このとおり、非常に二・一を割っている、この現況をお考えいただきたいと思います。  そして、金融庁は、ここにございます坂口厚生大臣のときからの勧告、厚生労働省から勧告を出されたもの、公正取引委員会のもの、それから金融庁。年度から言います。金融庁は、十六年六月三十日、坂口厚生大臣として、身体障害者又は知的障害者雇用に関する計画の適正実施についてということで勧告を受けておいでです。そして金融庁は、十七年と十六年と両方において同じものを坂口大臣尾辻大臣名でもお出しになられている。  このことについて、金融庁、何か御説明をいただけるようなことがあるんなら御説明いただきたいと思いますけれども、いかがですか。
  40. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) お答え申し上げます。  御指摘のとおり、私ども、障害者雇用に係ります勧告を受けておるところでございます。こういったことを受けまして、私ども、昨年の勧告以降、新規に二名の方を採用させていただきました。ただし、このうち一名の方は自己都合により退職されたわけでございますが、このような形で雇用に努めているところでございます。  今後とも、法の趣旨に従いまして障害者雇用促進に努めてまいりたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
  41. 家西悟

    ○家西悟君 二年連続でどうしてこういうふうになるのかというのは私は理解ができないんです。それは制度上の問題等々があるのか、それとも金融庁自身がそういう人は自分たちの職場には適さないというふうにお考えになられて雇用をしてこなかったのか。いかがなんでしょうか。
  42. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 当庁、発足いたしましたのが平成十年の新しい組織でございまして、その中でその比率が低かったということは御指摘のとおりでございます。  そういった中で、私ども、勧告等を受けまして、ハローワーク等への公募、こういったことに努めまして採用に努めているところでございます。昨年二名、うち一名退職でございますけれども、引き続き、こういった取組を更に工夫、強化しながら雇用促進に努めてまいりたいと考えております。
  43. 家西悟

    ○家西悟君 二名で一名を退職されたということですけれども、これ、二名で法定数は足りたということですか。
  44. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 非常に、現在で四名ということでございまして、その数値としてまだまだ足りないというところは御指摘のとおりでございます。  ただ、私ども、こういった勧告の趣旨等を踏まえまして、また御指摘を踏まえまして、今後、こういった障害者雇用促進にこれからも取り組んでまいりたいと思いますので、何とぞ御理解を賜りたいと思う次第でございます。
  45. 家西悟

    ○家西悟君 これ、計画等を出されているはずですよね、金融庁も。厚生労働省から、毎年、何人足らないから何人を増員するためにというものの書類を毎年出されているはずですけれども、にもかかわらず、二年連続で法定雇用率達成できていなかったということですよね。  まだまだ足らないと今おっしゃいましたけれども、どのようなふうに改善していこうと取組の姿勢を教えていただかないと、言葉だけで改善します改善しますというのは幾らでも言えるわけです。実際にどういうことをやって自分たちは改善していくんだという姿勢を示していただかないと絵にかいたもちじゃないですか。いかがですか。
  46. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 私ども金融庁でございますけれども、他省庁からの出向者等、こういったものが非常に多い組織ではございますが、そういった中で、やはり公募とか、あるいはそういった形でこの障害者雇用促進に努めていくということが肝要かと考えております。この方向につきましては昨年も一生懸命取り組んだわけでございますけれども、更に工夫をいたしましてこの推進に努めてまいりたいと考えております。
  47. 家西悟

    ○家西悟君 公募というのが本当にできるのかどうかというのは、ちょっと難しいのかなというのもあるんだろうというふうに思いますけれども、是非ともそういった取組を枠を越えていただきたいという思いがあります。  そして、多くの省庁、六省庁おいでですので、もしお答えいただけるんなら、警察庁、何か同じような思いでありましたら、御答弁いただきますように。
  48. 安藤隆春

    政府参考人(安藤隆春君) お答えいたします。  警察庁では障害者雇用促進に努めてまいりまして、平成十五年におきましては法定の障害者雇用率達成しておりましたが、平成十六年六月一日時点におきましては障害者雇用率法定雇用率を下回ったところでございます。  その理由としましては平成十六年より障害者雇用率の算定方法につきまして見直しが行われたことが挙げられますが、いずれにしましても障害者雇用の重要性を改めて認識しているところでございまして、警察庁としては、引き続き障害者雇用促進法の趣旨を部内に徹底し、障害者雇用を推進してまいる所存でございます。
  49. 家西悟

    ○家西悟君 推進してまいりますということも警察庁言っていただいているわけですけれども、これ、実際、警察庁だけの問題でもありません。是非とも、警察庁でもできることがたくさんあるはずです。そういったところを御判断いただきたいということをお願いします。  公正取引委員会おいでですので、是非とも一言いただければ。
  50. 和泉澤衞

    政府参考人和泉澤衞君) 公正取引委員会でございます。  昨年六月の数字は、お示しのとおり下回ってございます。その後、障害者採用を行っておりまして、昨年暮れ、昨年度の第四・四半期のところでは数値は上回るということではございます。ただ、母数、分母の職員数の増加等がございまして、率直に申し上げまして、今年の六月現在、数値を若干下回っている実情にございます。  公正取引委員会といたしましては、引き続き障害者雇用に努め、法定雇用率達成するよう努力してまいる所存であります。
  51. 家西悟

    ○家西悟君 それでは、消防庁、ゼロ%です。どのようにお考えでしょうか。
  52. 東尾正

    政府参考人(東尾正君) 消防庁について御説明させていただきます。  ただいま御指摘のとおり、まだ雇用者がいないという状況で、大変それについては問題と考えております。  消防庁でございますが、実員が非常に小さいということで、ほとんどが出向者ということもございまして、常時採用できる人数が年に一、二名程度であって、なかなかその中で目標数を達成していくことが構造的に難しいと。さらに、大規模災害のときに派遣する要員というのがほとんど地方から来ております消防吏員でございまして、そのような特殊事情がございます。  しかしながら、今御指摘のとおりでございますので、消防庁の対応といたしましては、今後、法律を踏まえまして雇用者の達成に向けまして最大限の努力をしてまいりたいと、このように思います。
  53. 家西悟

    ○家西悟君 そのとおりだろうと思います。消防庁の問題、災害派遣やいろんな問題でなかなか障害者の方々にということは難しいでしょうし、雇用の枠も一人、二人というような中でやらなきゃいけないということになると、雇用するのは非常に厳しいのかもしれないけれども、これはあくまでも法律に明記されている雇用率です。それは守っていただかないと困るんです。何のために法律があって、除外規定では、身体拘束をするような警察官であったりとか、そういうような部分は外されています。しかしながら、職員という形ではこれ雇用できるはずですから、是非ともお願いしたいと思います。  次に、人権をつかさどる省庁であるはずの法務省、多く足らないはずです。是非ともお答えください。
  54. 小津博司

    政府参考人(小津博司君) お答えいたします。  法務省における障害者雇用率平成十六年六月一日の時点で一・九六%となっておりまして、御指摘のとおり、障害者雇用促進等に関する法律及び同法施行令に定められました法定雇用率でございます二・一%を達成していないわけでございます。  当省におきましては、前年であります平成十五年におきましては法定雇用率達成していたわけでございますけれども、平成十六年におきましては、先ほども少し御答弁で出ましたが、障害者雇用率を算出する上での除外職員の範囲が変更になりましたこと、またさらに、それを乗り越える新規採用が十分でなかったということなどによりまして法定雇用率達成できなかったものでございまして、反省すべき状況であると認識いたしております。  当省におきましては、障害者採用に関する計画策定をいたしました上で、法の趣旨を所管各庁の長や採用担当者に周知いたしまして障害者の積極的な採用に努めるなどいろいろな施策を講じているところでございまして、これによりまして、本年の障害者雇用率につきましては、現在集計中でございますが、相当の改善がなされるものと見込んでいるところでございます。
  55. 家西悟

    ○家西悟君 たしか、三万人おられて、不足数というのは法務省は五、六十人おられたんじゃないんですか。それが改善できるんですか、本年で。違いました。
  56. 小津博司

    政府参考人(小津博司君) 母数が多うございますので、確かに不足数の絶対数は何十人という単位でございますけれども、全省挙げて取り組んでおりまして、これを是非達成したいというふうに考えているところでございます。  以上でございます。
  57. 家西悟

    ○家西悟君 それでは、気象庁、お伺いします。
  58. 齊藤孝雄

    政府参考人(齊藤孝雄君) 気象庁といたしましては、昨年度、法定雇用率達成となりましたので、新たに障害者の方の採用に努めておりまして、今年の七月中には法定雇用率達成することができる見込みとなっております。
  59. 家西悟

    ○家西悟君 私は、この法律を出す以上は、国が率先して雇用を進めていただきたいと強く望みます。  前回法改正が行われた平成十四年四月二十三日の参議院厚生労働委員会でも、「国、地方公共団体等の公的機関において、率先して障害者雇用を進めるよう努めるとともに、個々の機関の実雇用率など、障害者雇用の現況を自ら公表すること。」と附帯決議がなされています。国及び都道府県の公表は今回が初めてです。是非、障害者のための雇用を進めてほしいと私は考えます。大臣、いかがでしょうか。
  60. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 今後とも、法定雇用率が未達成となっております機関に対しましては指導を徹底いたしますとともに、その他の機関についても現在の水準が確保されるよう指導に努めてまいりたいと存じます。全力を尽くしてまいります。
  61. 家西悟

    ○家西悟君 これはなぜ言わしていただくかということは、先週、金曜日ですか、民間の企業は公表されました。悪質なということで二社。しかし、国は今日まで公表に至らなかった。しかも、附帯決議もなされていたのにかかわらず、私の質問要求によってようやくこの数字が出てきたと。一体何をお考えだったのか。やはり、身内には甘く、外に対しては厳しくという姿勢としかとらえられません。  そして、障害者雇用促進というふうにうたわれながら、今日の現況を考えたときに、余りにもお粗末極まりない。まずは国が率先してやるべきだということを再三にわたって各委員からも御指摘があったと思います。にもかかわらずこの現況は、本当に反省はしていただかないと、今後の障害者施策、雇用促進等々には私はいい影響は及ぼさない。  昭和三十九年ですか、三十五年か、私が生まれた年です。四十五年前に障害者雇用促進法という法律ができてきました。四十五年間たって振り返ってみて、いまだにこういうことを言っていなきゃならない。これは非常に重大な問題じゃないでしょうか。四十五年もあれば、半世紀ですよ、世の中は大きく激変をしていくはずです。激変したはずです。当時は、戦争でけがをされた方々をということの中心で障害者施策が行われたはずです。しかし、それがどんどんどんどん社会のニーズによって変えられていった部分はあるのかもしれない。だけど、そういった発想がどうして抜け落ちていくのか。そういう人たちに対してどうして手を広げていかないのかということが、ずっと私自身思ってきました。私自身も障害を持っています。そういうことをいま一度お考えいただきたいし、今日おいでの六省庁、肝に銘じていただきたいと思います。なぜ呼ばれたのか。なぜ厚生労働委員会、自分らが所管される委員会ではなくて、厚生労働委員会にこのように呼ばれたのかということをいま一度反省をしていただき、そして、来年度からは胸を張っていただきたいというふうに思います。  それで、何か大臣の方からありましたら、御感想などをもう一遍伺わせていただけたらと思います。
  62. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 今、各省庁に……
  63. 岸宏一

  64. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 失礼しました。  今、各省庁に対して肝に銘じるようにというお話がございましたが、まずは肝に銘じなきゃならないのは私どもであるというふうに存じます。本当に、御指摘の点につきましては、これまでの私どもの努力が足らなかったということを深く反省をいたしまして、今後の改善に、申し上げましたように全力を尽くしてまいります。
  65. 家西悟

    ○家西悟君 それでは、国家公務員法の問題についてちょっと触れたいと思います。  国家公務員法は、平等取扱いの原則、そして成績主義の原則を定めています。障害の有無によって職員の募集、雇用の取扱いが異なることはありません。このような不安を解消する観点から、一定の配慮をすることが重要であると、お手元の、配りました資料に書いてあります。これは、小泉総理が本部長を務める障害者施策推進本部の「誰もが生き生きと働ける職場を目指して 公務部門における障害者雇用ハンドブック 平成十七年三月」で述べられているものです。  大臣、公務員採用には、障害者に配慮した施策はありますか。例えば、能力主義によらず、競争試験によらない選考採用などは考えられませんか。是非、大臣、公務員による障害者の方々の採用促進していただきたい。  そして、一九九三年、国連総会で障害者の機会均等化に関する基準規則が採択されました。当規則の雇用の条文には、各国は、雇用主として、公の部分における障害のある人々の雇用に有利な環境をつくらなければならないとあります。現状のままでいきますとなかなか国が率先して雇用をするような状況にありません。都道府県も同じ状況です。大臣が各省庁に対しもっと強いリーダーシップを取っていただきたいと思います。  そして、このハンドブックの施策推進本部の資料を見ていきますと、中身じゃありませんけども、本部長総理というふうに書かれて、これの構成員という形で、議長を始め構成員という方の中には、警察庁の方もおいで、金融庁の方もおいで、そして法務省の方もおいで。これ、法定雇用率を守っていない方たちが審議をされている。これで何をするんでしょうか。私は本当に理解できない。これは小泉総理が音頭を取られてやっておいでなんだろうけども、そして各省庁からそれなりの人員を出されているにもかかわらず、守られていない省庁、そしてその省庁の人がこれ構成員として入っている。この現況をどのようにお考えでしょうか。  先ほど述べましたことも触れまして、大臣、何か御答弁ございますでしょうか。
  66. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) この障害者施策推進本部は、お話しのように総理を本部長にいたしまして政府全体で取り組もうということでございますので、各省庁それぞれまたメンバーを出していただいておるものでございます。したがいまして、今お述べいただきましたような各省庁からもそれぞれメンバーを出していただいておる、そうしたものであることはそのとおりでございます。  こうした推進本部をつくっておりながら、その中でお互いに障害者雇用の一層の促進を図るということを確認しておりながら、その中でいまだに雇用率達成されていない省庁がありますことは、先ほど来申し上げておりますように、大変残念でございますし、また私どもの立場からすると反省しなきゃならないところでございます。  この推進本部、またいずれ開かれると思いますので、その際には、今お話しのような御指摘があったこと、これは強く述べまして、改善に当たってもらうようにしたいと存じます。
  67. 家西悟

    ○家西悟君 私は本当に絵にかいたもちにしていただきたくない。こういうものを、十年周期ぐらいでこれ法改正を行っておいでですよね、今までの歴史を見ますと。法改正をして、じゃ、改善されていったのかというとそうではなくて、雇用率の数値が変わったとか、そういう話である。そして、質問の聞き取りをしていても、この障害者の云々という特別枠はないとか、人事院の方からも御説明いただきました。特別に扱うことはない、能力主義であると。試験にしっかりと合格していただいたら、障害をもって差別することはありませんということは言われているわけですけれども、それでどうして各省庁が底上げできるんでしょうか。  その辺も含めて何らかの対策を講じていかないと、これは絵にかいたもち、仏彫って魂入れずです。幾ら十年周期でやられても、実態がそれに伴わない。どうして民間がそれに従うんでしょうか。民間企業の底上げにつながっていくんでしょうか。私は非常に残念極まりない。そして、そのように思えてならないということを、いま一度反省していただきたいし、是非とも強力に強力に推進をお願いを申し上げたいと思います。  それでは、いつまでもこの話ばっかりやっていると時間がもう半分過ぎちゃいましたので、次の質問へと移っていきたいと思いますけれども、在宅就業支援ですね、障害者支援についてということで質問をしたいと思いますけれども。  在宅などで就業する場合に、障害者に仕事を発注する事業主については、障害者雇用給付金制度について特別調整金、特例報奨金支援を行うとなっていますが、例えば特例調整金の四百万円の発注を行うということになっています、と算定基準になっています。根拠が不明確で私には分かりません。  大体、障害者雇用の平均賃金、月額の平均賃金をどのように見られているのか。障害白書では、障害者雇用の月額平均として、身体障害者二十五万円、知的障害者十二万円、精神障害者十五万一千円と示されていますが、障害者の方々の実感として、そんなにはもらっていないよという声を多く私は聞いています。この実態がどこにあるのか、どういう積算根拠でこのような数字が出てきたのか、御説明ください。
  68. 金子順一

    政府参考人金子順一君) ただいま議員から御指摘がございました特例調整金の算定の基礎となる額の件でございます。  これは、今回新しく制度として導入いたしますこの特例調整金企業が在宅の障害者や在宅就業支援団体に発注をいたしましたときに、いわゆる納付金関連の調整金に上乗せをしたり、納付金の減額に使えるというようなことで制度が仕組まれているわけでございますが、企業のどのぐらいの単位を一つのロットとして考えていくかということでございまして、四百万円という数字が今議員から御指摘がございましたが、これはこの改正案を作ります前の段階での関係審議会で一つの試算として出させていただいた数字でございます。  四百万円の数字的な根拠でございますが、これは、障害者雇用の場合になぞらえて物を考えますときに、在宅の方について、どのぐらいの額でちょうど障害者の方を一人雇用したのと同じに、イーブンに見るべきかと、こういう観点で額をはじいたわけでございます。  具体的には、障害者の平均賃金月額、二十二万円という数字を出しております。これは、今議員から御指摘のございました数字を平均をしたものでございますが、これを十二か月分いたしまして、そういたしますと大体二百五十万円でございます。二百五十万円が障害者の方の雇用されている場合の平均的な稼得と想定をいたしまして、それに加えまして、仕事を発注する場合には材料費等の諸経費がございますので、その割合を〇・四、四割程度あるということで、数字的にややこしいんでございますが、二百五十万円を四割を除いた〇・六で割り戻しましたところ大体四百万円ぐらいの数字だということで、この関係審議会の方には提出をさせていただいたものでございます。  なお、障害者の方の賃金額が実感とはほど遠いんじゃないかという御指摘でございます。これは、実は私どもが平成十五年に実施をいたしました障害者雇用実態調査というものに基づいて一応推計をしたものでございます。これは企業に実際に雇用されている方のものでございますので、結果的にやや高い方にバイアスが掛かっている可能性というのももちろんあるかと思いますが、一応こうした調査結果に基づいて算出をしたものであるということを御報告させていただきたいと思います。
  69. 家西悟

    ○家西悟君 企業に勤めておいでということになると少ないはずですよね、障害者全体から見ると。だからこそ、今回、在宅就業支援考えていかれるんだろうと。そして、四百万円の発注を受けたら大体賃金という形では二百五十万ぐらいが払えるんじゃないかという試算をされたんだろうというふうに思うわけですけれども、在宅でそれほどできるんでしょうかねというのが非常に疑問が私はあります。  そして、二十二万円とかいう数字、平均するととか言われていますけれども、これ年金を足してじゃないですよね。障害基礎年金や障害厚生年金を足してではなくて、純粋な賃金という形での計算ですよね。間違いないですか。
  70. 金子順一

    政府参考人金子順一君) 平均賃金月額ということでございます。
  71. 家西悟

    ○家西悟君 非常に高額だと思います。私の実体験からしても、二十二万円という額を私自身ももらったことはありません、障害者として雇用されているときに。そして、私の仲間たちもそれほどの額をもらっている人はほんの一部です。多くは非常に低い水準でおられる。どうしてこれが基準となっていったのかというのは、本当に理解に苦しむ。現場をお知りなんだろうかということを言いたい部分です。  本当に多くの人たちを視点に置いているんではなくて、突出した部分をならしてしまったらこうなったという話ではないのか。本来は、低い水準の人たちに焦点を合わせてこういう試算を出さないと、実態に即したものというふうにはなり得ないんではないかというふうに私自身は考えますが、そういう視点はなかったんでしょうか。
  72. 金子順一

    政府参考人金子順一君) これは、先ほど御答弁申し上げましたけれども、審議会での検討のプロセスの中で、この在宅就業の発注奨励制度をどのように制度設計をしていくかと、こういう議論のプロセスの中で、実際にお金としてはどのぐらいの単位のものが考えられるか、ひとつ参考のために試算してみようということで出させていただいたものでございます。  もとより、これに基づきまして、今後、制度を具体的に設計していくということをあらかじめ想定したものではございません。ただ、一定の一つ考え方の中で、四百万円ぐらいの発注ロットにするとどういうことが生ずるかと。これにつきましては、審議会の中でも、このロットの大きさは余りにも高過ぎて利用の促進につながらないんじゃないかという御意見もございました。あるいは、積算根拠につきまして、もう少し精査をした方がいいんではないかという御指摘もいただいているところでございまして、ある意味制度設計に当たっての検討一つのプロセスの中で出てきた数字であるということを御理解をいただきたいと思います。  いずれにいたしましても、今後、制度設計をしていくに当たりましては、こちらは単価を幾らにするかということと、このロットを幾らに取るかということで、この制度の利用のしやすさというものが相当大きく変わってくるわけでございます。利用の促進につながりますよう、そういう観点からもこれから検討を進めていかなければならない点であると、このように考えております。
  73. 家西悟

    ○家西悟君 それでは、在宅就業支援団体についても、より身近な障害者団体が認定されるよう御配慮をお願いしたいと思います。そして、団体の登録要件などの概要を教えていただければ有り難いと思います。
  74. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 今回の法案では、障害者の在宅就業に当たりまして、在宅で就業なさる障害者に対し、その業務を適切に行うために必要な助言等の援助を行う役割を果たすものとして在宅就業支援団体を法律上位置付けることといたしました。その在宅就業支援団体につきましては、事業実績や業務の実施体制等の要件に合致するもののみを登録するとともに、在宅就業支援団体が遵守しなければならない業務運営基準厚生労働省令で定めることとしておりまして、こうしたことを通じまして、在宅就業支援団体の適正な業務の実施を確保することにより、今般の在宅就業支援策の創設によって障害者が、今御懸念いただいておりますことの裏返しで申し上げますと、やっぱり安い労働力というようなことで扱われることは避けなければなりませんので、そうしたこともないようにしてまいりたいと存じております。
  75. 家西悟

    ○家西悟君 それでは、支援制度ですが、これは形を変えた体裁のいい内職の推進策にならないようお願いしたいと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
  76. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 単なる体裁を整えるというつもりは全くございませんので、実体の伴うものにいたしたいと存じております。
  77. 家西悟

    ○家西悟君 是非とも実体のあるものにしていただきたい。体裁が良ければいいとかそういう話ではないと思います。やはり雇用促進、そして生活を安定させるというものにしていただきたいという思いがあります。  それでは、私自身の問題もちょっと触れながら、一つは、私は血友病のために高校への進学を断念しました。そして、当時、大阪の身体障害者職業訓練校、現在は国立大阪障害者職業能力開発校として大きくなっておりますが、そこで職業訓練を私は受けました。時計の修理のコースです。正直、このコースでいいのか、本当に就職できるのかと当時不安がありました。  その当時の血友病の仲間との思い出をつづった通信誌というか、があります。それを読みますと、役に立つ職業訓練というより、正直、精神修養と語っています。読み返すとそういうことを私自身が言っています。こういうものです。一九八〇年ぐらいですから二十五年以上前のものを残しています。そこにそういうことを書いているわけです。そして、なぜそういうことを思ったのかというと、時代は自動巻きの時計からクオーツへ移行していく、クオーツ時計ですね、電池の。ですから、分解修理をする、掃除をするという人たちはどんどんなくなっていく。時計というものは、腕時計というものは基本的に使い捨てになっていく時代だというふうに言われて、非常に先行き不安を感じたものです。  そして、現在の職業能力開発校や職業訓練校の科目、障害に応じて多様な訓練がなされるようですが、現状をお聞かせいただきたいのと、私は、いま一点、尾辻大臣にお尋ねしたいと思います。  私は当時、十六、七歳です。まさかこのように政治家になるとは夢にも思わなかったし、このような訓練校を卒業してこういう道へ歩んでいくということも夢にも思わなかった。大臣、十六、七歳のころいかがお考えでしたか。自分が政治家になり、大臣になるなどとお考えになったことがありましたでしょうか。もしそのようなことがあるんならば、それは何かのきっかけがあったんだろうとは思いますけれども、そういうようなお考えがあって今日の道を目指されたのか。そうじゃなくて、自分なりの生き方、ライフワークを貫いていくうちにそのような道が開いた、そして今現在があるんだとお考えになっておいででしょうか。  私自身はどちらかというと後者であって、そして気が付いたら衆議院議員、そして参議院議員というふうになってきたわけですけれども、能力というものは一体どこで開花するかは分かりません、正直言って。障害のある人、ない人関係なく、能力は遺憾なく発揮できるような能力開発を是非とも進めていただきたいという思いがありますけれども、大臣、いかがでしょうか。
  78. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) まず、私の十六歳や十七歳のとき振り返ってどうだというお話でございました。  お尋ねでございますから率直にお答え申し上げたいと思いますが、私も結構波乱万丈の人生渡ってきたと思っております。父が戦死しておりましたので母親一人でございました。十六、七のころ、そして戦後の当時でありますから、やはり母親一人の家庭というのは随分苦しい家庭でございましたから、母親のそうした背中は見て育ったつもりであります。そしてまた、実はその母も私が二十歳のときに亡くなりましたんで、二十歳のときには両親おりませんでした。妹一人おりましたけれども、そうした人生渡ってまいりましたから、大変多くの皆さんに助けていただいて生きてこれたというふうに思っております。それから今日の政治の世界までの間いろんな過程がありますけれども、私の基本の思いの中にそうしたものがありますことだけは、お尋ねでございましたから率直にお答え申し上げたところでございます。  そして、振り返って先生がさっき言われたのは、恐らく、時計が使い捨ての時代になるのに時計の修理の訓練をお受けになった、それは正に訓練というよりも、もう役に立つ訓練でないというのを前提にいたしますと、精神修養を、時計をこう繰り返し繰り返しやっているというふうにしか思えなかったというお話だろうと理解をさせていただいたわけでございますが、そうした中で、そうしたことの積み重ねの中で今日築いてこられたことに対しましても、また改めて敬意も表させていただきたいと思います。  そこで、少し具体的にもお答え申し上げたいと思いますので、障害者の職業訓練についてでございますけれども、福祉から就労へという流れの中で、障害者雇用促進するということは、これはまたいろいろあるでしょうけれども、やはり職業訓練そのものは極めて有効な支援策だというふうに考えております。これは先ほどの坂本先生の御質問の中でもお触れいただいたとおりでございまして、このことはやっていかなきゃいかぬというふうに思っております。また、そうした中で、障害者の職業能力開発校を核といたしまして、これは先生もお話しになりましたが、やはりそうした開発校というのは核としなきゃいかぬと私どもも思っておりまして、さらにそれに加えて、一般の職業能力開発校というのもありますから、そうしたものを活用しながら、障害の皆さんの状態というのはいろんな状態あるわけでございますので、きめ細かな支援を推進して障害者雇用促進に資する効果的な職業訓練の実施に努めてまいりたいと考えておるところでございます。  一番最初の御質問の中で、この開発校の詳しいことも答えよというふうにもちょっとおっしゃったんですが、もしそこが御質問であれば、そこの部分は部長に答えさせたいと思いますので、改めてお聞きをいただきたいと存じます。  以上、私からはお答えを申し上げました。
  79. 家西悟

    ○家西悟君 ありがとうございます。
  80. 岸宏一

    委員長岸宏一君) ちょっと待ってください。局長何かありますか。局長に答えさせていいですか。
  81. 家西悟

    ○家西悟君 はい、どうぞ。
  82. 上村隆史

    政府参考人(上村隆史君) 訓練の現状についてお聞きになられましたので、それを申し上げようと思いましたんですが、お時間いただいてよろしいでしょうか。  障害者の職業能力開発につきましては、公共職業能力開発施設、先生がお通いになられたということでございますが、そこのバリアフリー化を推進し入校を促進いたしますとともに、重度障害者や知的障害者等につきましては、障害者職業能力開発校でその障害の態様に配慮した職業訓練を実施しているところでございます。また、十六年度からでございますけれども、障害者校の設置されていない県において、一般の県立職業能力開発校に知的障害者等を対象とする訓練コースを設置いたしまして、職業訓練を推進するということも行っております。また、企業、社会福祉法人等の地域の多様な委託訓練先を開拓いたしまして、求人ニーズ、それから個々の障害者の態様に応じた訓練ができるよう訓練を推進しているところでございまして、これらの関係で、障害者の職業能力開発に関する予算額としましては平成十七年度六十九億円というところでございます。  今後とも、県とも十分連携を図りながら、障害者の職業訓練機会を十分に確保するよう努めますとともに、先生から御指摘ありましたように、どうしても科目の設定が後追いということになりますので、ジレンマではございますが、そこのところを十分踏まえ、見極めながら、障害者の方々の重度化、多様化にも対応し、またそういったニーズも踏まえた訓練科目の見直しなども行うよう努力いたしまして、障害者雇用就業の促進に資するような訓練を推進していくように努力したいと思います。
  83. 家西悟

    ○家西悟君 是非ともそのようにお願いしたいと思います。なぜならば、私はその時計科の最後の卒業生です。私が卒業した後には廃止されました。そういう時代だったということも併せて御理解いただきたいなと。  そういう職業訓練校においての現状というものは、様々いろんな障害を持つ人たちもありますけれども、それ以上に私が最も経験で嫌だったなということが一つあります。それは職員からのいじめです。これはすごいです。できない人を能力開発をしているはずなのに、おまえは無能だ、できないということで、様々なことを言われ、やられます、当時ですけれども。今現状どのように変わったのかは分かりません、私はその現場にいるわけじゃありませんので。しかし、そういうものが間々あったように思うし、今もあるように思えてなりません。  そして、今回、職業訓練校の分野では、是非、大臣、三位一体構造改革の中で切捨てになることのなく、骨太の政策を取っていただきたいと思います。そして、優しく、本当にその人の能力に合ったものを開発をしていただくようにお願いをしておきたいと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
  84. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 先ほどもお答え申し上げましたように、障害者の皆さんの職業訓練というのは大変重要なことでございますし、今私どもが申し上げております福祉から就労へというこの大きな流れの中で、考え方の中で、皆さんの雇用促進するということに対しまして、お話しのように大きく骨太に考え努力をしてまいりたいというふうに存じます。
  85. 家西悟

    ○家西悟君 是非ともそのようにしていただきたいし、これが切捨て的な発想、福祉雇用の場とかそういうふうに言われるわけですけれども、雇用と、そして社会の一員として認めていこうという話はよく分かります、理念的には。しかし、現実はそうではないんじゃないでしょうかということを私は常々思えてなりません。  そして、ここに御参集の皆さんのように良識ある人たちばっかりではありません。私が経験したように、嫌な思いをさせる人たちというものも現実おられます。そして、できないからこそそういう能力開発校や訓練校に通うわけです。できたらそんなところ通いません。当たり前の話です。それを、おまえはできない、無能だ無能だと言われる人たちというものを私は多く現場でも見たし、自分も言われたことがあります。やはりその辺の教育というものをしっかりとやっていただかないといけないんではないでしょうか。  ああいう世界、というか、隔離されたような世界です。一般の人たちの目にはなかなか届かないような、訓練校といえどもあるわけです。そういう世界の中で実態はどうなのかということは、本当に小まめに調査をするなり小まめに聞き取りをするなりをしていただかないと表には上がってこないんじゃないでしょうか、声は。当事者の声、そういったものをしっかりとお酌み取りをいただきながらお考えいただきたいと思います。  そしてまた、障害者の方々の起業支援、起こす起業ですね、ということについても積極的な支援をお願いしたいと思います。  そして、例えば都道府県の社会福祉協議会で行われている生活支援資金貸付制度の弾力的な運用などをお考えいただくなり、工夫はいただけないものかということをお願い申し上げたいと思います。何か最高で四百五十万か、五、六十万、そして九年間で返済をしていい、年利九%というふうなことがうたわれているわけですけれども、これはあくまでも生活福祉資金であって、個人に対して貸すんであって、共同作業所などをつくろうというときには対象外であるというような規制があります。そうではなくて、もう少し弾力的に運用するということもお考えいただけないのかどうかなということ。  そして、ほんの少し後ろから押していただく、ほんの少しの支えがあれば社会に参加できる人たちというものは私は多くおられると思います。余りにも社会にはバリアが多過ぎる。そのバリアを少し外していただきたい。スタートラインに着けてほしい。マイナスになっている部分を突出させろと言っているわけじゃありません。そのラインに着くためのゼロの位置へ着けてほしいという思いでこういうような支援拡大、拡充、柔軟的な対応ができないものかということをお尋ね申し上げますけれども、いかがでしょうか。
  86. 西博義

    ○副大臣(西博義君) 先生お尋ねの生活福祉資金の貸付制度のことでございますが、概略は先生御説明いただいたとおりでございます。四百六十万円という形で、障害者の皆さんが生業を営んでいくのに必要な経費の一部を貸付けをしているということで、それぞれ地域の障害者の皆さんが共同で事業を行う場合においては、それぞれの障害者世帯がそれぞれに制度を活用することによって仕事に就いていただくということが今のところ原則でございまして、今先生がおっしゃいましたように、例えば皆でまとまって団体で、何人かがグループで仕事を始めるときにどういうことができるかということがお尋ねだと思います。  今のところは、先ほど申し上げましたように、個人が持ち寄ってという形は、これは可能なんでございますが、一つの団体として代表で借りるということについては、今のところはこの制度そのものは限界があるというふうに言わざるを得ません。その上でどういうことができるのかということは、先生、先ほどからずっと、障害者の皆さんのそういうお仕事に就く、起業のことについて種々お話がございました。私どももできるだけ、そういう形でどういうことができるのかということは省内で検討させていただくことになろうかと考えているところでございます。
  87. 家西悟

    ○家西悟君 ほとんど時間が来ましたけれども、私自身の思いを語らしていただきましたけれども、本当、今のお話、西副大臣の方からもありましたけれども、こういうものをもう少し柔軟的に私は対応していただきたい。個人としてはいい、それを持ち寄るのも可能であると。これは知らないんですよ。皆さん、団体でということじゃなくて、個人で持ち寄っても駄目というふうに思われていますよ、正直言って。その広報の仕方も悪い。  そして、このお金を借りる場合には、民生委員の方々が、まず、何に使うのかとか、どういう障害なんですかとか事細かく聞かれます。まあお金を貸す以上は仕方がないんだろうけれども、もう少し考えていただかないと、民生委員というものは地域の、近所の方々がおやりいただいているわけですから情報が筒抜けになっちゃう、いろんな情報がですね。聞かれたくない、言いたくない、知られたくないことが近隣の方々に漏れるんじゃないかという不安もあって、これ、それほど多く利用されていない制度ではないのか。もう少し考え方を変えていただきたいなということを切に願っています。  そして、最後に申し上げます。  途中にも言いました。今回の法改正によって本当に雇用促進できるのか、私は甚だ不信を抱かざるを得ない部分もある。しかしながら、これは是非ともやっていただきたいということ。そして、仏彫って魂入れずでは困るんです。しっかりと魂入れていただきたい。そして、今日来ていただいた六省庁を始めとした政府としてしっかりと障害者雇用につなげていただきたい。現場というものはどういうことが起こっているのかということをいま一度考えていただいて、そして、なぜこういう法律を作らなきゃいけなかったのかということも、併せて各省庁の担当者の方々にはしっかりと今後の施策に反映していただきますよう、また雇用につなげていただきますようお願いを申し上げて、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  88. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午後零時一分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  89. 岸宏一

    委員長岸宏一君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、障害者雇用促進等に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  90. 小林正夫

    ○小林正夫君 民主党・新緑風会の小林正夫です。よろしくお願いしたいと思います。  精神障害者雇用について、まずお聞きをいたします。  今回の改正の大きな柱の一つは、精神障害者雇用率に算定すると、こういう点だと思います。法定雇用率は現行一・八のままでいくと、こういう内容になっているわけですけれども、雇用率促進については、身体や知的障害者の過去の例から見ても、雇用義務化ということが最も効果がある対策だと私は思っております。そういう意味で、今回の法改正の目的は障害者雇用機会の拡大ということなのに、どうして精神障害者雇用義務化としなかったのか、ここについてお聞きをします。  それと、私は、今回の改正では、精神障害者の新たな雇用、新規雇用ですね、この新規雇用にはつながらないんじゃないか、このように心配をしておりますけれども、この点についてはどうお考えなのか、お聞きをしたいと思います。
  91. 金子順一

    政府参考人金子順一君) 精神障害者雇用義務化についてのお尋ねでございますが、議員から御指摘がございましたけれども、今回の改正におきましては、法定雇用率に算入することなく実雇用率の方でカウントをすると、こういう仕組みとさせていただいているところでございます。  これは将来的には雇用義務制度対象としていくことが当然考えられるわけでございますし、また、していかなければならないわけでございますが、現状を見まするに、障害者雇用に対します企業の理解でありますとか雇用管理ノウハウの現状というものを見たときに、十分に普及しているとは言い難い状況にあると、こういうことでございまして、今回の改正では、各企業雇用率、実雇用率に算入するということで、精神障害者雇用する企業努力を評価すると、こういう形を取らせていただいたところでございます。  後段お尋ねがございましたけれども、新しい雇用につながらないんじゃないかという御指摘でございますが、今回の法改正、これを機にいたしまして企業の理解と雇用管理ノウハウの普及を更に進めてまいるとともに、各種の支援策を講じることによりまして、精神障害者雇用環境の改善に努め、新たなる雇用にもつながるよう努力をしていきたいと思っております。
  92. 小林正夫

    ○小林正夫君 将来的にはやはり義務化をしていくという考え方もあると思いますけれども、私は、今までの知的障害あるいは身体障害の例を見てみると、十年ぐらい掛かって義務化にするという、こういう大変長い期間が掛かって義務化ということになっている。今回もそうならないように、早く私は義務化をしなきゃいけないんじゃないかと思うんですけれども、いつごろ義務化をしたいという考え方を持っているのかということと、義務化にするに当たっていろんな審議会など多分開いていくと思いますけれども、そういう審議会の進め方などどのように考えているのか、お聞きをしたいと思います。
  93. 衛藤晟一

    ○副大臣衛藤晟一君) 附則に施行三年経過後の見直し規定を設けているところでございまして、この見直しの際の検討事項といたしまして、平成二十一年度末までにその検討の結果が得られるようにしてまいりたいという具合に思っています。  そういう中で、研究会や審議会等をちゃんと立ち上げながら、ここで検討を続けていきたいと。そして、そういう中で、精神障害者雇用環境の改善というものを図っていくことが極めて重要だという具合考えている次第でございます。  その雇用環境の改善状況を見ながら、平成二十一年度末までに検討の結論が得られるように頑張ってまいりたいという具合に思っている次第でございます。
  94. 小林正夫

    ○小林正夫君 副大臣の答弁で、平成二十一年までには結論を出したいと、こういうことが分かりましたけれども、この法案成立した後、いつごろからこの研究会なり審議会を立ち上げる計画なのか、この辺についてお聞きをします。
  95. 金子順一

    政府参考人金子順一君) できるだけ早期に立ち上げるということで取り組みたいと思っておりますが、少なくとも、五年に一度法定雇用率を見直すというようなことがこの障害者雇用促進法の中では法律で規定をされております。  ほかの検討事項との関連もございますので、こうしたことで効率的に検討が進むように、開催時期等につきましては工夫をしていきたいと思っております。
  96. 小林正夫

    ○小林正夫君 これは推測ということでお尋ねするしかないんですけれども、今回、精神障害の方を雇用率の中に入れていく。そうしますと、精神障害者雇用率算定で実雇用率はどのぐらいになると推定されているのか、この辺、あればお聞きをしたい。  それと、現在在職している人の中で精神障害者でカウントされていない人をカウントした場合に、どのぐらいの雇用率になると考えているのか、この辺についてお聞きをします。
  97. 金子順一

    政府参考人金子順一君) 今、障害者雇用促進法に基づきまして雇用義務が課されておりますのは、常用労働者を五十六人以上雇用している企業でございます。  そうしたベースで、精神障害者保健福祉手帳の所持者がどのぐらいいるかということを、極めて粗い推計ではございますが推計した結果がございまして、約一万五千人程度ではないかというふうに推計をされているところでございます。  これが実雇用率にどのように跳ね返るかということでございますが、これも仮定でございますが、これらの方々がすべて職場の中で自ら手帳所持者であることを申告して、言わばオープンの形になったということで計算をした場合には、約〇・一%、少しけたを細かく言いますと〇・〇九%ぐらいの実雇用率への影響があるのではないかと、このように推計をしているところでございます。
  98. 小林正夫

    ○小林正夫君 大臣にお聞きをしたいと思います。  企業は、生き残りを懸けた、こういう企業がどこも多くて、大変厳しい経営を強いられている、こういうことの今状況にあると、このように私思います。  障害者雇用創出のための取組だとかあるいは雇用拡大というのは、企業も社会的責任の一つじゃないかと私は思います。そういう点からいけば、理想からいえば、雇用義務化をしなくても、こういう縛りを掛けなくても、どこの企業でもこういうハンディを持った人たちを雇用していく、こういう世の中になれば一番理想じゃないか、このように思いますけれども、現実はなかなか厳しいことがあって、やはり義務化をしていかなきゃいけない。こういうことは私も承知をしているんですけれども、そういう理想の社会が来ればいいなと、こんなふうに思っています。  そこで、やはり早い時期にこの義務化をしていくということは、やはり今の段階では私は必要だと思うんですね。そういう点について、精神障害者雇用促進を図ることを含めて、大臣の御所見があればお伺いをしたいと思います。
  99. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 今お話しいただきましたように、義務化せずとも障害者の皆さんの雇用が進んでいく、そんな社会になることが一番望ましいことでございまして、私どももそうした社会を目指していかなければならないと考えております。  ただ、差し当たってやはり障害者の皆さんの雇用ということを促進するためには、今先生お述べいただいておりますように義務化する必要がある、そのことはできるだけ早く私どもも考えなきゃいかぬというふうに思っておるところでございます。  そしてまた、そうした、特に今対象になっております精神障害者の皆さんを雇用義務化の対象としていくためには、まず、今般の改正によりまして精神障害者雇用事例を地道に積み重ねていく、このことがまず必要だと思っておりまして、精神障害者雇用環境の改善を図っていくということから始めなきゃいけない、そのことが重要であるというふうに考えておるところでございます。  そして、そうした地道な努力を積み重ねていった上で、先ほど副大臣からも御答弁申し上げましたように、平成二十一年度末までに結論を得たいというふうに考えておるところでございます。
  100. 小林正夫

    ○小林正夫君 できるだけ早くこういう方たちの雇用がされていくような社会づくり、このことが大変大事だと思いますので、その取組を積極的に進めていただきたい、このようにお願いをしておきます。  次に、メンタルヘルス対策についてお聞きをします。  二〇〇四年度から、休職中の精神障害者及び雇用事業者へ専門的な相談支援を行う、援助を行う、こういう目的で精神障害者職場復帰支援事業が実施をされておりますけれども、この実施状況と実績がどのようになっているのか、お聞きをします。
  101. 金子順一

    政府参考人金子順一君) 精神障害者職場復帰支援事業、通称、我々リワーク事業などと言っておりますけれども、これは本年度から全国六か所の地域障害者職業センターにおきまして開始をしたところでございます。  事業の目的につきましては、ただいま議員から御指摘ございましたように、休職中の精神障害者の方の円滑な職場復帰を支援すると、こういうことを目的としたものでございます。  具体的には、一つといたしまして、休職をしている精神障害者の方、こういった方を対象に、いきなり、症状が軽快したといっても職場に出てきてすぐに勤務体制に入るというわけにもいかないわけでございますので、正に、生活リズムを再構築していただくとか、基礎体力の向上を図るとか、あるいはそのプロセスの中で、リハビリ出勤ということで時間を工夫した出勤をしていただくとか、こういった支援を行いながら職場復帰に向けてのウオーミングアップをしていただくということでございます。  それから、この事業におきましては、企業事業主の方の方にも御支援申し上げるということでございまして、当然でございますが、企業の方におきまして職場の受入れ体制というものがきちんとしていなけりゃいけない、あるいは家族でございますとか主治医を始めといたしました医療機関との連携といったようなことも大事になってくるわけでございます。こうしたことについての事業主に対する支援も併せて実施をしているところでございます。  平成十六年度から始めたわけでございまして、まだ率直に言いまして目ぼしい数字的なものも出ていないわけでございますが、全国で三十二人に対しまして支援を開始いたしまして、現在では六人が職場復帰を果たしているということで承知をしております。  この事業につきましては、さらに本年十月から、こういった在職者の方々の職場復帰支援にとどまらず、新たに精神障害者の方をお雇い入れになるとか、あるいは雇用を継続される方の支援ということも合わせて、言わば総合的な支援への事業ということへの組替えを考えているところでございまして、こうしたことで精神障害者に対する雇用支援の強化を図っていきたいと考えております。
  102. 小林正夫

    ○小林正夫君 次に、企業がメンタルヘルス対策をしなくなったら困るなと、こういう気持ちで質問をしたいというふうに思います。  今回の法改正で、精神障害のある労働者も雇用率の算定対象になると、こういうことに予定がされるわけですけれども、したがって、企業で行われているメンタルヘルス対策を行わないで、容易に手帳を取得させ精神障害者としてのカウントをすればよいと、こんなような企業が出てきたら困るなと、こういうふうに一つ心配をしています。  それと、メンタルヘルス対策に力を入れている企業というのは、精神科あるいは専門医の配置など、職場復帰に向けて支援など職場適応支援を常時行っていると。それだけ費用も掛けながら一生懸命企業がやっているということだと思います。そういうことの援助にもよって、精神障害のそういうことが治って回復して手帳を返せるようになったと、このことは大変喜ばしいことですから、私たちはそういうことをしっかり求めていかなきゃいけないというふうに思うんです。  しかし、今の雇用率の算定でいきますと、企業がいろんないい環境をつくってそういう方が回復をして手帳を返したということになりますと、雇用率の算定の分子の数字が小さくなってしまうと、そんなような思いから、このメンタルヘルス対策をしない、あるいはメンタルヘルス対策をすることにちゅうちょするような企業が出てきたら、私はいけないことじゃないかというふうに思うんです。  そういう意味で、メンタルヘルス対策を行わない企業が出てこないように監督官や指導員による指導を徹底していくことが私は必要だと思いますけれども、ここの取組について厚生労働省のお考えをお聞きします。
  103. 小田清一

    政府参考人(小田清一君) 職場のメンタルヘルスについての御質問でございますが、厚生労働省といたしましては、平成十二年八月には、事業場における労働者の心の健康づくりのための指針、また昨年の十月には、心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き、これを公表いたしました。こういった形で、心の健康問題の発症予防から発症後の職場復帰支援に至るまで、職場におけるメンタルヘルス対策の推進に努めてきているところでございます。  また、こういった職場におけるメンタルヘルス対策を進める上で事業者への支援が欠かせないものでありますことから、事業所のメンタルヘルス体制整備に関する専門家への助言、指導、あるいは産業医や精神科医等に対する研修の実施、産業保健推進センターにおける事業所の産業保健スタッフからの専門的相談に対する対応といったものを実施してきているところでございます。  委員指摘のような、企業におけるメンタルヘルス対策の後退あるいは事業者がちゅうちょするといったことがないように、労働者の健康確保という労働安全衛生法の趣旨を踏まえまして、事業者に対し様々な機会を通じてそのようなことのないように指導を行うよう、職場におけるメンタルヘルス対策の確実な実施に努めてまいりたいと考えております。
  104. 小林正夫

    ○小林正夫君 是非、企業のメンタルヘルス対策が後退するなんていうことが本当にないように指導してもらいたいし、そのように徹底をしてもらいたいということをこの機会にお願いをしておきます。また、今後の推移など見て、どうもそういうふうにいっていないような場合があれば、あらゆる場で指摘をしていきたいと思います。  あわせて、報奨金の支給に当たってなんですけれども、メンタルヘルス対策の実施を支給の要件にすべきだと、こういう考え方もありますけれども、この考え方について厚生労働省はどのように判断をしているか、お聞きをします。
  105. 金子順一

    政府参考人金子順一君) 奨励金の支給につきまして、奨励金、報奨金等の支給につきましてメンタルヘルスを支給要件にすべきだというお尋ねでございますけれども、一部の助成金の中に、こういった形でのメンタルヘルス対策の実施をすることに着目いたしました支給制度もございます。具体的には重度中途障害者職場適応助成金というものでございまして、これは、企業に入職してから途中でこういった障害の状態になられたといったようなときに、雇用を継続する場合に支給される助成金でございますが、この中では、中途障害である精神障害者の方を対象にして、その障害者の方の適性や能力に適合する作業の開発や改善、作業工程の変更に関する措置でありますとか、あるいは職場生活全般への適応のための措置、勤務時間の配慮、通勤を容易にするための配慮などの措置を実施した事業主にこれを支給するというようなことをしているわけでございます。  ただ、いわゆる雇用納付金制度に基づきます調整金等につきましては、これは、事業主の共同連帯で障害者の方を雇用することを義務付けた制度の趣旨の中で、その経済的負担調整を図るという趣旨でございますので、この中にこれをストレートに入れるというのはなかなか難しいのではないかと思いますが、企業の中で、先ほどから議員指摘のように、今回の精神障害者雇用対策によって企業のメンタルヘルス対策といったようなものが後退するということはあってはならないことでございますので、私どもも、安全衛生部の方で実施をしておりますこういったメンタルヘルス対策との整合性ということに十分意を配しながら、これらの制度の運用等に取り組んでまいりたいと思っております。
  106. 小林正夫

    ○小林正夫君 次の質問項目に移ります。掘り起こしについて質問をいたします。  午前中、坂本先生の方から掘り起こしの心配があると、こういうお話もありました。正にそういう心配があるんじゃないかというふうに思います。  働く者の立場は、私もサラリーマンとして働いてきましたけれども、サラリーマンの宿命というか、大した病気じゃなければ隠したいとか、自分が健康でいつも元気なんだという姿を常に見せたいと、こういう気持ちはだれしも持っているんじゃないかなと思うんですね。特に、精神的に悩んでいる、病気かなどうかなと思う人たちの中にも、やはり会社に対して病気を隠したいとか会社に知られたくないと、こういう気持ちを多くの人が持っているんじゃないかと思うんです。したがって、精神障害者の方の把握だとか確認方法というのは大変難しくて、また重要なこと、このように私は思います。そこで、今回こういう法律ができて、要は、職場の掘り起こしをしてそういうことを行う企業も出てくるんじゃないかと、こういう心配なんです。  そこで、私の方は、具体的にどのような対策、措置をしていくのか、このことについて具体的な考え方、取組についてお聞きをしたいと思います。
  107. 金子順一

    政府参考人金子順一君) 今回の精神障害者雇用率適用に当たりまして、従来から検討の中で大きな隘路の一つとして、こういった把握の問題、掘り起こしの問題というのがございました。今回、関係審議会、さらには、それに先立つ研究会におきまして関係者の方々に大変熱心に御議論いただきまして、今回、この結論に到達したわけでございます。  そうした研究会、審議会の中でも御指摘をいただいているわけでございますが、各企業においてこの障害者雇用率適用するに当たって、とにかく本人の意に反したような確認、把握というのは行われてはならない、また、手帳所持者であることが明らかになることによって本人が不利益を被る、こういったことも誠に不適切であるというようなことでございまして、こうしたことが起こらないようにするため、プライバシーに配慮した対象者の把握、確認の在り方について、企業にとって参考となりますガイドラインを示すこととしたところでございます。  ガイドラインの具体的な内容につきましては、企業におきまして把握をする際の手順、ルール、こういったようなものを決めますとともに、こういうことはしてはならないといういわゆる禁忌事項、こういったものも制定をいたしまして各企業の方に浸透させていきたいと思っておりますけれども、今後、関係者の御意見も承りながら、適切なものを、ガイドラインを作ってまいりたいと思っております。
  108. 小林正夫

    ○小林正夫君 この法律が施行されますと、職場でやはりこのことが話題にはなると思うんですね。  ですから、それまでの間にしっかりガイドラインなどを作って、職場あるいは企業の方たちにも徹底をしなきゃいけない、このように是非やっていただきたいと思うんですが、もう少し具体的に、どのぐらいの回数でいつごろそのガイドラインを完成させていくのか、この辺と、今、取り組む内容についても一部触れましたけれども、この辺についてもう少し現段階で詳しい計画があればお聞きをしたいということと、私、ちょっと勉強不足で分からないんですけれども、外国に何か参考になる例があるのか、日本としてはどこかの国を参考にしてみたいと、そういう考え方があるのかどうか、この辺についてお聞きをします。
  109. 金子順一

    政府参考人金子順一君) ガイドラインの策定に当たりましては、これから労使団体の方あるいは障害者団体の方、それから、これは実は個人情報保護の問題と非常に密接に関連をしておりますので、こういった分野の専門家の方、さらには精神保健の分野の専門の方、こういった方から成る有識者の検討の場を設けて進めてまいりたいと思っております。  検討のスケジュールにつきましては、なるべく、全体は来年の四月の施行でございますけれども、事前に企業に周知していく必要がございます。それから、今回の改正法の一部につきましては十月からの施行分というのもあるわけでございますので、そういったことで、秋には何か一定のものがお示しできるようなスケジュールで、できるだけ急いで取り組んでまいりたいと思っております。  検討に当たりましては、先ほど申し上げたようなことで、企業の方が実際に精神障害者の方について雇用率の報告をするときに、例えば、一斉に呼び掛けるといったときに具体的にどんなやり方でやるのかというようなことでありますとか、そういった具体的な、企業にとって分かりやすいルールといいますか、そういったものをお示ししていけたらいいなと思っております。それに併せまして、不利益取扱いの禁止等の禁忌事項を決めるということでございます。  なお、諸外国の例を参考にしてはどうかとの御指摘ではございますが、国によりまして障害者の対策というのは大きく分けて二つございまして、一つは、こういった障害者雇用率制度、割当て制度を持っている国と、それから、雇用におけることも含めまして、不利益、差別的取扱いの禁止といいますか、こういったようなことで取り組んでいる、大きく流れとしては二つあるやに承知をしております。  雇用率制度を設けている国も当然あるわけでございますが、ただ、現在承知しているところでは、これに類するようなことについてすぐに参考になるものがあるかということについていえば、承知をしておらない状況でございますが、今後、ガイドラインの検討の中で、諸外国の状況がどうなのかということも当然サーベイしてみる必要があるだろうと思っておりますので、その中で研究してみたいと思っております。
  110. 小林正夫

    ○小林正夫君 次の質問に移ります。  障害者雇用率達成企業に対する公表についてお聞きをします。  未達成企業の公表基準というものは、改めて何項目かこのようにあるという、このことについては承知をしております。今までの過去を振り返ってみますと、平成四年に四社、平成十五年に一社、平成十六年度に一社、そして今年二社、こういう企業が公表になったんですけれども、公表基準がここにあって、公表に至る経過は通常どのような流れになっているのか。公表しなきゃいけないという最後に残る企業が今言ったように幾つかあったわけですけれども、この辺の流れについて一般的にどのようなことになっているのかということをお聞きをしたいということが一つです。  それと、大事なことは、このように公表したその後の効果がどうだったのかということだと思うんですね。公表しっ放しでいいというものではなくて、むしろ公表したことによって雇用改善されたとか、いい方向に進んだ、こういうものがなければ公表の意味合いが私はないと思います。そういう意味で、公表以降の変化、雇用拡大がされてきたのかどうか、効果についてお聞きをします。
  111. 金子順一

    政府参考人金子順一君) 未達成企業企業名の公表の件でございますが、これは実は、法律に基づきまして、手続といいますか、決まっております。障害者雇用促進法の第四十七条の規定に基づきまして実施をしているわけでございますが、具体的には、雇用率が著しく低いなどの企業に対して、三年間で雇用率達成する計画作成をまず命じます。その上でその実施を指導すると、これが第一ステップでございます。  第二段階でございますが、雇入れ計画の実施状況が悪い場合は、適正実施勧告というものを出します。  それから第三段階でございますが、雇入れ計画の最終的な実施状況が悪い場合には、強く雇入れ指導するという意味で、特別指導というのを実施をいたします。そして、この特別指導によりまして、まあ相当雇用率が悪い企業対象となってくるわけですが、少なくとも全国平均の実雇用率を上回るところまではやっていただくということ、あるいは社内研修の充実、施設設備等の改善等を実施した結果一定の雇用率達成して更なる改善が期待できるというような状況にまで持っていくということを特別指導の目的として取り組んでいるわけでございます。  このほかにも、直近、すぐに特例子会社のようなものを作るというような具体的な計画がある場合などというのも該当するわけでございますが、そういった目標を立てて特別指導を実施すると。  その上で、特別指導を行ったにもかかわらず正当な理由なく雇用改善努力を怠り、今申し上げたようないずれにも該当しない場合、最終的に行政指導効果が期待できないと判断した企業につきましては公表の措置を講ずると、こういう一連の指導をした上で公表するというステップを取っているわけでございます。  今般、六月二十四日に二社の社名を公表したわけでございますが、その前のものも含めまして、合計で八社の企業名を公表しているということでございます。  なお、公表してそれで終わりかということなんですが、もちろんそういうことではなくて、やはり法定雇用率達成していただくというところまで我々は指導していかなければいけないと思っております。かつて指導いたしました、大分前に公表した企業でございますが、これはその後努力をされて法定雇用率達成したところもございます。ただ、残念ながら、その後また雇用率が下がってきているというようなこともございまして、今後とも、そういったことで、発表後の雇用率達成指導ということにつきましてもきちっと取り組むことによりまして、単に公表で終わりということではなく、法定雇用率達成に向けまして指導も更に進めていきたいというように思っております。
  112. 小林正夫

    ○小林正夫君 官公庁及びに公的機関の公表について、午前中の審議の中で同僚の家西先生、あるいは坂本先生の方からもそういう御指摘がありましたのでこれ以上は言いませんけれども、やはり私も、民間の企業においては今言ったルールがあって、未達のところについては公表するという、こういう制度になっているわけですけれども、やはり官公庁並びに公的機関も、先ほど家西先生がおっしゃっていたんだけれども、やっぱりああいうものをきちんと公表して、現状どうなっているかということをみんなに知らしめる必要、私はあるんじゃないかと思うんです。是非そういうことが必要だということだけ御指摘をしておきたいと思います。  次に、障害者への雇用支援対策についてお聞きをします。  まず、今日は中小企業庁にお越しをいただきました。日本の経済の大変落ち込んでいる状態だとか、あるいは今の世の中というのは弱い者を踏み付けて勝者が勝ち上がっていくという、こういう時代になってしまっているかな、このように感じがします。ですから、どこの企業も、大手、中小企業も含めてもう大変厳しい経営に追い込まれて、もう生き残りというがけっ縁のところに来ている、こんな状態に今、日本はなっているんじゃないかと思います。そういう意味で、そういう中で新規雇用をしろとか、あるいはハンディを持っている方を雇用しろと、このようにいろいろ話をしても、企業そのものが生き残りでがけっ縁にもう来ちゃっているわけなんで、いや、なかなかそういう受入れは難しいんですよということが私は実態としてあるんじゃないかと思うんです。  そこで、中小企業庁として特に中小企業が元気になる対策だとか雇用対策についてどのような取組を今しているのか、このことについてお聞きをします。
  113. 野口泰彦

    政府参考人(野口泰彦君) お答え申し上げます。  我が国を取り巻く雇用状況は、全体としては改善しつつございます。このような中、中小企業につきましては、従業員の充足率は従業員規模が小さくなる企業ほど低下する傾向にある、こうした傾向にあるなど、こうしたような中小企業を中心に雇用確保が困難であるといった状況も見られるわけでございます。  中小企業庁といたしましては、中小企業労働力確保法に基づきまして、厚生労働省とともに、中小企業者が行う労働力確保及び良好な雇用機会創出のための取組に対しまして各種支援策を講じておりますが、今後とも厚生労働省と連絡を密にいたしまして中小企業雇用促進支援努力してまいる所存でございます。
  114. 藤井基之

    大臣政務官藤井基之君) 今、中小企業庁からお答え申し上げましたが、今先生から御指摘ありましたように中小企業経営状況は厳しくなっておりまして、午前中の坂本委員もそのような御指摘がございました。実雇用率低下傾向は事実でございます。  ただ、そうはいいましても、雇用されている従業員のいわゆる障害者の数を申し上げますと、これは全体の、義務が課せられております五十六名以上の企業雇用されている障害者の全体の約三分の一はこの中小企業雇用によっているわけでございまして、私どもとしては、障害者雇用、やはり中小企業というのは依然として大きな比重を占めていると考えております。  今、中小企業庁からも御指摘ありましたが、厚生労働省としましても、中小企業におきます障害者雇用促進、これは大切だと思っておりまして、このために、例えば、障害者雇用水準が一定の水準以上である中小企業事業主に対する報奨金の支給でありますとか、障害者雇用促進あるいは雇用継続のための助成金の支給であるとか、あるいは、先生御案内のとおり、いわゆるトライアル雇用事業でありますとかジョブコーチ事業等々、様々な雇用支援策を行ってきたところでございます。  今後とも、この雇用促進に向けまして厚生省としては精一杯の努力をさせていただきたいと考えております。
  115. 小林正夫

    ○小林正夫君 私は、もう国民の本当に、アンケートを取ると多くの方が、景気回復、雇用支援、特に景気回復をしてもらうことによって日本経済が活性化して雇用もまた生まれていくと、もう何しろこのことを一番国に求めている、まあそういう中で郵政が優先だというのは、もう私は本当に合点がいかない今の内閣の進め方だと、このように思います。  参議院の厚生労働委員会の調査室で出していただきました資料の二百十二ページに、坂本先生もおっしゃっていましたけれども、特に中小企業規模別の、企業が、障害を持っている方の雇用がどのように変化しているかという表があって、もう大変な、五十六名から九十九名の規模企業と百名から二百九十九名の規模企業ががっと落ち込んでしまっていると、こういう状態にあります。  それで、先ほど、午前中の質問の中では納付金制度についてどうでしょうかというお尋ねが先生からありましたけれども、私はもう少し具体的に、この落ち込み、これらを回復することに対して、まあいろいろ今お話も聞きましたけど、もう少し具体的にこういう対策をやっていきたいと、そういう強い何か意志あるいは考え方をお聞きをしたいと思いますけど、いかがでしょうか。
  116. 金子順一

    政府参考人金子順一君) 中小企業におきます障害者雇用促進ということでございますが、これは障害者雇用対策全般について言えることでございますが、一方で雇用率制度というものがあって、これに基づいて非常に厳しく厳正に指導していくということが一つございます。これはこれで一つの大きな柱でございます。正に企業名の公表に至る指導というのはこういう観点から行われているわけでございます。  ただ、その一方で、やはり障害者雇用することによりますいろいろな、企業にとりますと負担感といいますか、そういったものもあるわけでございます。特に中小企業の場合には、ある意味、大企業の場合ですと例えば特例子会社のようなことで非常に配慮されたような仕組みのシステムをつくるというようなこともあるわけですが、その辺は、やはり規模小なるがゆえに、そういう意味でいいますと、やはり支援策というのは中小企業に対しては特に手厚くやっていく必要があるんだろうと思います。  あとは、これは中小企業の問題だけではないわけでありますけれども、ハローワークにおきます障害者の方の就職あっせんといったようなことを考えていきますときに、やはり多くは、それぞれのハローワークが抱えております管内の求人の多くは中小企業でございますから、こういったようなことで、ハローワークの仕事の工夫の中でも中小企業の方々にいろんな御支援策を提示申し上げながら進めていく、こういった取組も必要かなというふうに考えているところでございます。  いずれにいたしましても、トライアル雇用でございますとかジョブコーチという支援のツールがございますので、あるいは特定雇用開発助成金という雇入れ助成制度もございます。こういった助成金の制度なども活用しながら、やはり中小企業の場合には支援策といった辺りに重きを置きながらやることによって雇用改善させていくことが適当ではないかなというふうに考えているところでございます。
  117. 小林正夫

    ○小林正夫君 今の回答の中でジョブコーチについても触れられましたけれども、大臣にお聞きをしたいんですけれども、ハンディを持った方が働く機会が与えられて頑張ってそこで働く、私たち一番望むことは、無事故で安全に働ける環境をつくっていくということが一番大事じゃないかというふうに思います。  そこで、職場適応援助者、ジョブコーチの配置についてなんですけれども、やはり、そばにいていろいろ助言あるいは指導する人は、いろいろ経験を持った人が適切にアドバイスをしていく、このことが一番大事だと思います。そういう意味で、人事担当の経験をした会社のOBだとか、まあ労働組合の役員もいろんな相談を受けたりいろんな場面に対応してきて、すばらしい能力を持った人たちも一杯いると私は思います。  したがって、そういう労働組合の役員などの活用も含めて配置をしていくことが必要だと思いますけど、この辺について大臣はどのようにお考えか、お聞きをします。
  118. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) お話のとおりに、障害者の円滑な職場適応を図りますために、障害者の働く職場に職場適応援助者、ジョブコーチと、こういうふうに呼んでおりますけれども、このジョブコーチを派遣いたしまして、障害者に対して作業内容でありますとか職場のルールなどを指導いたしましたり、あるいはまた事業主に対しても障害特性に配慮した雇用管理に関する助言等を行う、そうした支援を行う事業を全国の地域障害者職業センターにおいて今実施をいたしておるところでございます。  そして、今般の法改正におきましては、新たにこのジョブコーチ助成金を創設をいたしまして、企業の中でジョブコーチを配置をいたしまして雇用する障害者に対して職場適応援助を行う場合にも助成を行うこととしておりまして、企業において障害者支援ノウハウや経験を有する人材をジョブコーチとして育成し、その活用を図ることといたしておるところでございます。  そこで、この障害者の就労支援に当たりましては、先生正に御指摘のとおりでございまして、その職場で長く障害者の就労支援に携わり、安全管理でありますとか業務内容を熟知している企業の方々又はそのOBの方々に活躍していただくことは、これは極めて効果的でございますから、これらの方々にその手腕を発揮していただけるよう、今後とも、ジョブコーチ事業の展開を始め、研修事業などの充実に努めてまいりたいと考えております。
  119. 小林正夫

    ○小林正夫君 時間の関係もありますので端的にお聞きをします。在宅就業支援団体についてお聞きをします。  衆議院の修正の中では、こういう団体に悪い人たちが入ってこないようにいろんなことを考えて修正もされました。やはり、ハンディを持った方が働く、自分が自ら出掛けていって仕事を探してくるということができればいいんですけれども、なかなかそういう状態にない人の方が多いんじゃないかと思います。そこで、この在宅就業支援団体を、一つのところを活用しながら働く場を確保していく、あるいは働いていくということがなってくると思いまして、大変この団体が私はキーポイントになってくるんじゃないかと思います。  そこで、先ほど家西さんの質問の中で、大臣の方から、適正な指導をしていくと、こういうお話もあったわけなんですけれども、もう少しこの在宅就業支援団体の育成についてお考えがあればお聞きをしたいと思います。
  120. 金子順一

    政府参考人金子順一君) 在宅就業支援団体の育成についてでございますが、この点につきましては、国といたしまして、平成十四年度から重度障害者在宅就業推進事業ということで、在宅就業障害者の方に対しまして技術指導や相談等の支援を行いますとともに、事業主に対する広報啓発を行うということで事業を実施してきておるところでございます。  また、あわせまして、基礎的な労働習慣や作業遂行力が十分でない在宅の重度障害者に対して、企業から発注した作業を用いた訓練や、労働習慣の確立に向けた生活指導等を行う事業者に対する補助を行います重度在宅者就労促進特別事業、俗に我々バーチャル工房支援事業と言っておりますが、これを本年度から実施をしているところでございます。  こうした事業を通じまして育成を図っていきたいと思いますし、また、地方公共団体の中には、ITを活用いたしました障害者の在宅就業につきまして、補助でありますとか委託を行っている例もございます。こういったことで、広がりを持った育成支援になりますように努めてまいりたいと思っておりますし、また、今回の在宅就業の発注奨励の仕組みといったものを契機として、こういった在宅就業支援団体の取組も広がりを持つことになるんだろうと思っております。そうしたことで、今回の改正を含めまして、在宅就業支援の仕組みにつきまして、いろんな機会をとらえて十分広報もしてまいりたいと思っております。
  121. 小林正夫

    ○小林正夫君 在宅就業障害者が、例えば仕事が来ないとか、仕事の対価が払われていない、あるいは仕事の対価が十分でない、教育訓練の機会がないなど不服があったときに、その申立て、これは労働局に申立てをすればいいと考えていいんですか。
  122. 金子順一

    政府参考人金子順一君) 在宅就業支援団体の登録や監督の具体的な事務を都道府県労働局を通じて行うことを予定しておりますので、この労働局におきまして各種相談に応じられるよう体制を整えたいと考えております。
  123. 小林正夫

    ○小林正夫君 その場合に、自ら労働局の方に出向ける人はいいんですが、出向けない人もかなり多いんじゃないかと思いますけれども、その場合はどのような対応になるんでしょうか。
  124. 金子順一

    政府参考人金子順一君) 議員指摘のとおりでございまして、やはり直接労働局、これは都道府県の県庁所在地にあるわけでございますが、行くということになりますと、移動も困難な方も多いと思います。そういうことで、電話やあるいは電子メール等の活用といったようなことも含めまして、在宅就業障害者の方々が相談しやすいように十分配慮してまいりたいと思っております。
  125. 小林正夫

    ○小林正夫君 次に、派遣事業者の障害者雇用促進についてお聞きをします。派遣労働者としての障害者雇用促進についてどう考えているのか、このことを一つお聞きをします。  また、現状では、派遣事業者は雇用した人として雇用率に反映をされる、こういうことになっていますけど、派遣元ですね、派遣をお願いをしたところに派遣の業者から派遣を実際にした場合に、実際に働いているのは派遣先で働いているんですが、その派遣先ではこの雇用率のカウントに入ってこないと、こういう今現状があるんですけれども、この辺は何か整理する必要があるんじゃないかと思いますけど、いかがでしょうか。
  126. 金子順一

    政府参考人金子順一君) 御指摘の点、大変大事な論点だと思っております。障害者雇用のことにかかわらず、現在労働市場全般を見渡してみましたときに、需給両面にわたって大きな構造変化が起きておりますし、働き方の多様化ということも時代のキーワードになってきているわけでございます。  ただ、その一方で、現在私たち、障害者雇用促進法に基づきまして実施しております障害者雇用率制度というのは、基本的には常用労働者の方を前提にしたスキームになっておるわけでございまして、一部重度の方については短時間の方もその対象にするというようなことにはしておりますけれども、三十時間以上、常用労働者で、当該企業に雇われてという典型的な常用労働の仕組みというものを前提にしたスキームになっているということでございます。今後、就業形態の多様化というものが労働市場全体を通じて広がっていくときに、障害者雇用率制度のスキームにつきましても、こういった働き方の多様化といったものをどこまで反映させていくかというのが一つの大きな論点だろうと思っております。  今御指摘ございましたように、派遣労働者につきましては、派遣元で一括してカウントするということになっておりますので、派遣先において半分のカウントができないかとかいろんな御指摘もいただいておりますが、職場定着をするのがやはり健常者に比べて難しいというのが障害者の特性であると言われておりますけれども、だとすると、派遣先で就業場所がよく変わる可能性のあるこういった派遣労働形態というのが本当に障害者雇用促進する上でいいのかどうかと。雇用の場を拡大するという意味では是でございますけれども、今言った職場適応という面でいいますと問題もあるんじゃないかということで各般議論もございます。十分関係方面の意見も伺いながら議論も深めて、なるべく早く結論を出していきたいと思っております。
  127. 小林正夫

    ○小林正夫君 是非何か整理をした方がいいんじゃないかなと、このように私思います。今の答弁のように早急に検討していただいて、いい結果を導き出してほしいと、このようにお願いします。  時間の関係で最後になります。幾つかあと用意をしたんですが、あと一点だけ質問をさせていただきたいと思います。  大臣にお聞きをしたいと思います。  障害者雇用促進の取り組む姿勢についてなんですけれども、要は、そういう方を雇用し、あるいは職場で頑張ってもらう、社会に出て頑張ってもらう、こういうことを取り組むに当たって大臣は一番何を考慮しなきゃいけないと考えているのか、この姿勢について大臣のお考えをお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
  128. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 今日、共生社会の理念が浸透をしつつある中でございます。そうした中でございますから、障害者の皆さんの社会参加が進展いたしておりますし、また就業に対する意欲も高まっておるところでございます。そうした中で、障害者が社会の支え手の一人として誇りを持って自立できるような環境を整備することが極めて重要なことだと考えておりまして、今回の法律もそういう意味でお願いもいたしておるところでございます。  障害者雇用促進に当たりましては、企業に対する障害者雇入れ指導とともに、障害者雇用に向けた企業や本人の取組支援する施策が重要と考えておりまして、今日、先生からいろいろ御指摘もいただきました。そうしたことが重要だと考えておりまして、今回申し上げております雇用率達成企業の解消を含め、こうした雇用率達成指導雇用支援取組に従来以上に力を入れて取り組み障害者の職業的自立の実現を目指してまいりたいと考えております。
  129. 小林正夫

    ○小林正夫君 ありがとうございました。終わります。
  130. 柳澤光美

    ○柳澤光美君 民主党・新緑風会の柳澤光美でございます。よろしくお願いします。  私の質問は、いつも質問より思いが長いというふうに同僚議員に冷やかされておりますが、実は、私事になりますけれども、私、一九九二年に組合の委員長になりまして、グループ労連の責任者になって、労使でいわゆるノーマライゼーションで障害者雇用に正面から取り組んだ経験がございます。後ほど質問の中でその経過もちょっと触れたいと思いますが、大きくは、一九九四年にグループ四社で特例子会社を立ち上げまして、当該の市の方にも一%出資をしていただいて、地域との連携を図ると。私も、組合の立場でしたが、監査役に名前を連ねて経営陣に入るということで、特例子会社を運営をしてきました。この七月の一日に十周年のパーティーがあって、本当に行きたいんですが、都議選のおかげで行けないのが非常に残念でございます。そういうふうに言っちゃまずいですね。  次に、私が思っていたのは、特例子会社というのはあくまでもシンボルであって、そこが情報発信基地になって、やっぱりすべての事業所のすべての職場に障害者の方にどう働いてもらうかということを最大の目標にしました。接客業ですから、非常に障害者の方の職場は難しいという思い込みがありました。ところが、実際行わさせていただいて、実はすべての事業所のすべての職場に障害者に働いていただけると。ですから、実は一九八七年には〇・四六の雇用率でした。ですから、ほとんど障害者雇用はしてないと。それが、一九九二年、その前から運動を始めていたんですが、一・二四になって、十年後の二〇〇二年には二・二四まで雇用率を引き上げることができました。  それから、ほかにも、これだけでは啓蒙活動になりませんから、もちろん職場に障害者の皆さんがいてくださるのが一番の啓蒙なんです。ただ、全員がやはり手話ぐらいはあいさつでできるようにしようという運動を起こしました。また、施設の皆さんに、地域の、店に買物に来ていただこうと。そのお手伝いは組合のボランティアのメンバーが全部対応しようというような活動も行いました。  もう一つは、地域の福祉協議会を窓口にして、地域の施設でいろんな作られている商品を売ってもらう、売れる場所を確保してあげようじゃないかということで、大型店舗を中心に、実は一坪から二坪のスペースを無償で提供しようと。これは五階とか六階に持っていってしまうと意味がないので、一階のできるだけいい場所を提供しようと。今現在、七店舗でその展開をしています。  そんなことがありまして、私としてはちょっと思いを込めて、非常にある意味ではうれしく思っています。今まで身体障害と知的障害だけだったのに精神障害が入って、三障害がスタートラインに並んでこれから障害雇用が進められていくと。私は四月の六日の本会議でも言わしていただいたんですが、私が職場をずっと回って思ってきたのは、本当に思いやりとか助け合い、血縁だとか地縁だとか、もう一つ職場の縁という温かさがみんな壊れてきている。ですから私は、ジャパニーズスタンダードを取り戻しませんかというのが大きな訴えだったわけですが。  この障害者雇用を通じて一番大切なことは、できるだけ多くの企業で、あらゆる職場に当たり前に障害者の皆さんに入っていただく。ですから、福祉的就労から本当に一般企業への雇用に移行していく。このことが、実は今日本にとっては一番大きな問題というのは雇用問題だというふうに思っています。ですから、若者のニートの問題、あるいは子育て支援の問題、それから高齢者雇用の問題、その辺が、この障害者をきちんとスタートにして一緒になって雇用問題全体にかかわっていくということに大きな役割を果たす。  そういう意味では、冒頭に大臣に改めて、私はそう思いますけれども、大臣のお考えをお聞かせいただければと思います。
  131. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 大変すばらしいお話聞かせていただいたと存じます。  私も特例子会社も見にいきました。そのとき思いましたことは、本当にその特例子会社見ながらすばらしいと思いましたし、これが、今日先生もそんな思いで今のお話していただいたんだと思うんですが、ただ特例子会社の中の話じゃなくて、もっと、どこにでもある、もうごく普通の会社の中にある姿としてああいう姿があれば、これはもう本当にいいなと思いながら見せていただいたところでございます。したがいまして、今の先生のお話、全くそのとおりだと思いながらお聞きをいたしたところでございます。  それから、今日幾つかおっしゃった、今一番大事なことは雇用の問題であるということ、そして、それが今一番象徴的に障害者の皆さんのところの問題として出てきているけれども、それは障害者の皆さんだけの問題ではなくて、高齢化社会の中で雇用をどう考えるかといったようなことまで含む話だというお話も全くそのとおりだというふうにお聞きをいたしました。  今先生が言っていただいたように、今日お願いしておる法律に関して改めて申し上げますと、障害のある人もない人も同じようにみんなで生きていける社会をつくりたい、そういう思いでございます。
  132. 柳澤光美

    ○柳澤光美君 ありがとうございます。  ですから、今回一番の目的は、どんな勤務形態であれ、どんな規模であれ、一人でも多くの、頭数という言い方は非常におかしいんですが、雇用率ではなくて、どれだけ多くの人が職場に参加していくかということだというふうに思っています。  そうしますと、もうほとんどの方が聞かれているので、もう確認答弁風になるので、今日は久々に衛藤大臣の顔が見れて大変幸せですが、最近、介護保険のときにはなかなかお会いできなかったので、衛藤大臣から、分かっていると、やってやるというふうに答えてもらうために、確認的にひとつ。  一つは、やはり雇用率です。  皆さん言われているように、一九八七年の雇用率が実は〇・四六%だったんですよ。それを何とかしなきゃというきっかけになったのが、一九八八年に一・六から一・八に雇用率が上がったというのも大きなきっかけだったわけです。今回、障害者を入れます。とすれば、本来、ここで二ぐらい上げるというぐらいの強いインパクトを与えるという私は手段もあったんだろうなと。ただ、現実が一・四六ですから、三年ぐらい準備してという気持ちも分かりますが、これはもうきちんと大至急やるべきですし、もう一つお伺いします。ああ、三つぐらいお伺いしちゃおうかな、ついでに。だから簡単に答えてくださいね、質問一杯あるので。  除外率なんですが、これは本当に今回なくすという大方針が出ました。昨年一〇%除外率を引き下げるというのは、恐らくいろんな声がある中では私は大きな成果だというふうに思っています。ただ、これを二年ごとに一〇パー引き下げるとか、十年以内にやるとかというぐらいの、むしろ期限を切ってあげた方が対応する企業も対応しやすいと。  なぜかといいますと、本当に私自身思ったのは、小売業のサービス業でさえ、本当に障害者が働く職場というのはすべてで大丈夫なんですね。衣住食、ほとんど大丈夫です。商品補充、商品整理も含めてですね。何もバックヤードだけの仕事でなくて済むと。あるいは全盲の方も何人か電話交換手で働いてもらえるんです。アナウンスをしたり電話を受ける。ですから、業種によって確かに多少の違いはあると思うんですが、基本的には除外率はなくすと、むしろ期限を切るというぐらいのことが必要だろうということが二点目。  それから三点目なんですが、カウントの仕方なんですが、今回精神障害の方が〇・五を短時間で数えるようになりましたが、この辺ももう一回、二十時間以上でいいのか、場合によったら十五時間でもいいかもしれませんね。五時間ずつ三日、週、ということも踏まえると、もうちょっとその時間のことも考える。あるいは、知的や精神の皆さんも実は高齢化が進んできていまして、障害者の皆さんのニーズに短時間勤務というのがあるんです。あるいは組合せで働いてもらうということがあるんですね、週三日ずつお二人の方に同じ仕事をつないでもらうと。できるだけ多くの人に働いてもらうという場合にはそういうワークシェアリングの方式があります。そうすると、そのカウントをしてまたあげないと、企業にとってはやっぱりメリットがないというか、頑張る目的が消えてしまうということもあります。だから、例えば〇・二五の組合せでもあり得るというぐらい、そのことももう一度障害全部に分けて少し検討してみるというお願い、三点、是非簡単に御答弁、分かったと言っていただければもうそれで十分でございますんで、よろしくお願いします。
  133. 衛藤晟一

    ○副大臣衛藤晟一君) 委員指摘のとおりでございまして、今まで先生がずっと委員長として、そしてまたいろいろ努力をされてきたことについて改めて感激するというか、感謝申し上げる次第でございます。  そういう意味で、精神障害者障害者のうちにちゃんと入り、そして雇用について、私は、厚生労働省一つになったことでありますし、本当に福祉全般、いわゆるこの文化というか目標というか、それを切り替えるときが来ているという感じがいたします。  今まで、御承知のとおり、福祉サイドにおきましては、むしろいろんな施設におきましても福祉雇用ということが前面に出ていまして、いろんな授産所といいましてもなかなか、福祉雇用を重点にして、とにかく何か仕事していればいいんじゃないかという形で来ましたけれども、どんな人もやっぱりいろんな形での仕事ができる、その障害の種別や程度に合って一般就労が可能であるという形がやっぱり実現できるように本当に頑張ってもらわなきゃいけないというふうに思っております。  そういう意味で、委員指摘のとおり、これは段階的な縮小に向けて、除外率の廃止に向けて今スタートしたところでございますけれども、もっとこれを徹底して頑張ってまいりたいというふうに思っております。  そういう意味で、障害者雇用についての在り方というか、文化そのものを変えていくときが来たんじゃないのかという具合に思っておりますので、頑張ってまいります。
  134. 柳澤光美

    ○柳澤光美君 ありがとうございます。  次に、実は大臣からもありましたけれども、あるいは同僚の小林議員からもあったんですが、私も本当に今つらい思いをしているのは、中小企業雇用率が落っこってきていることなんです。で、私は特例子会社、ここはグループのいわゆる伝票ですとか帳票類、あるいは名札のポップ等をそこに集中的にやろうということで印刷事業を中心に立ち上げると。ただ、それだけですと事業規模がどうしても広げられませんから、シイタケの温室栽培、三棟を建ててシイタケ栽培事業をぶつけまして、それを店舗で全部取りたてのを売ろうと。それで、そこまで事業を広げても、資本金四億なんですが、障害者雇用は十七名。実はそのために健常者の職員が十三名必要です。それだけではなくて、地域のシルバー人材センターから十三名の高齢者の方に援助をもらうという体制をつくらざるを得ません。  ということは、何を言いたいかといいますと、特例子会社という特別の場所、働く人はもちろん環境はいいんですが、思ったほど雇用は広がらないんです。ですから、当たり前にその職場に障害者の人に働いていただく。もう一つは、千人以上の大きいところが特例子会社とかそういうふうにやるんではなくて、数の多い中小零細に一人、二人という障害者の方がどこまで働いてもらえるか。  身近な例でいいますと、例えば僕らは、流通でいいますと、百貨店という大きな店舗で何百億も売ると、今度はスーパーができてそこで十億売ると、でもコンビニエンスで一億売るところが一万軒ある方がずっと強くなるのと全く一緒のことなんですね。ですから、できるだけあらゆる企業のあらゆる業種のあらゆる職場に障害者に働いていただく、このことが進まないと、恐らく今一・四六ぐらいで動いている、檄を飛ばすだけでは絶対雇用率は上がってこないというふうに私は思っています。  そんな中で、これもさっき答弁あったんですが、もう一度これは本当に検討していただきたいんですが、中小の経営者の皆さんにも十分理解いただいた上で、やっぱり五十六人以上のところに納付率を入れていくということはとても大事な施策だというふうに私は思っています。この辺、お考えがあれば、もう一度、確認答弁風になりますが御答弁いただければと。
  135. 金子順一

    政府参考人金子順一君) 障害者納付金制度におきましては、現在、納付金の納付を三百人以下の企業につきましては徴収をしないということで、まあ猶予をしているという、こういう形になっておるわけでございます。  これは、昭和五十一年ということですので、もう三十年近く前に制度が創設されたときの状況の中で、中小企業経済的負担が大企業に比べて非常に大きくて、これらの企業経営への影響が大きいということでありますとか、実は二点目が大事なわけでありますけれども、当時は、委員指摘のように中小企業は非常に雇用率が高くございまして、一方大企業の方が雇用率が悪かったということ、こういった当時の障害者雇用の実態といったようなものを勘案いたしまして、当分の間は三百人以上の比較的大きな企業のみから納付金を徴収すると、こういう政策的な判断がなされたわけでございます。  ただ、今申し上げました中小企業より大企業の方が雇用が良かったという状況というのは、今ちょっと変わってきているわけでございます。そういったようなことで、従業員三百人以下の企業からも納付金を徴収すべきではないかという御意見というのもいただいているわけでございます。  近年、中小企業におきます障害者の実雇用率低下傾向にあることも踏まえまして、今後、障害者雇用納付金制度の在り方につきまして関係者の御意見を十分に承りながら検討していきたいと思っております。
  136. 柳澤光美

    ○柳澤光美君 答弁をできるだけ簡単にお願いしたいんですが。  私が思いますのは、五十六人で一名抱えれば法定雇用率達成できるわけですね。ということは、もう一人雇えば納付金を納めるどころか報奨金がもらえるわけです。という意味でいけば、本当に二人、三人という、百人でも二人でいいわけですから、むしろ大企業よりもはるかに納付金を納めなくてもいい対策というのは取りやすいわけです。この辺は十分理解してもらえる話だというふうに思うんです。  むしろ、中小企業の皆さんの方がずっと身近で家庭的なところで障害者の皆さんをみんなで見てあげられますから、特別、特例子会社みたいな別枠のものをつくってやるということよりははるかに進めやすいですし、私はむしろ納付金が上がってこなくてお金が足りなくなるというぐらいになった方がいいと思いますし、四百億以上もためる必然性もないというふうに思います。その辺も踏まえて是非検討いただきたいと。  で、一つちょっとお伺いしたいんですが、いろんなデータをいただくんですが、どうしても雇用率、あるいは重度の方はダブルカウントをしていますから、実数ではなくてどうしてもカウント数になります。そうしますと、今把握されているかどうか聞きたいんですが、今現在、障害の方が実人数で何人働いているのか、あるいは一人以上勤務している企業が何社あるのか、そのデータが、お持ちだったら教えてください。
  137. 金子順一

    政府参考人金子順一君) 実は、答弁が長くなるとまずいんで結論だけ申し上げますと、障害者ダブルカウントを除いた実人員につきましては、平成十六年六月一日現在で十八万九千四百という数字がございます。ただ、これは障害者雇用状況報告ということで、雇用義務のある五十六人以上企業を集計したものでございますので、委員指摘のその下の部分ということになりますと、実は五年に一度、障害者雇用実態調査というのをやっております。ただし、これは悉皆調査ではないものですから、全体の雇用者数ということになるとあくまでも推計の域を出ないということに相なるわけでございまして、そういう意味で申し上げますと、十分なデータがあるのかということでございますが、今申し上げたようなことで政策的に必要なものはやはりきちんと取っていかなければいけないわけでございますので、私どもの安定所での業務統計でありますとか企業雇用状況報告あるいは障害者雇用実態調査の調査設計、こういったことの中で十分配慮をしてまいりたいと思っております。
  138. 柳澤光美

    ○柳澤光美君 ない場合にはないというふうに答えていただければ十分でございますので。  というふうに、実はないんですよ。ですから、あくまでも五十六人以上のところで調査をする。  もう一つは、こういう調査をするにしても、非常に、実態調査にしても、アンケート、サンプル調査に結果としてなってしまうわけですね。これは介護保険のときにも大臣にお願いをしたんですが、どうしても厚生分野と労働分野で別の調査が入っていく。その数字がなかなか横のすり合わせが利いてこない。この辺のところが本当に私は、総論で机上論でやるのは非常に幾らでもきれいに書けるんですが、いよいよこれ実態論になってソフトの部分で積み上げていくようになると、その実態をきちんと把握して一つ一つつぶさないと、そうすると今障害者の方が、企業数では何社やってくれているんだと、それが半分しかないと、だったらこの企業数を増やそうと。今十人採用してくださっている企業に二十人にしてもらうのも大事なんですが、全くまだやっていないところをどれだけ増やしていくんだ、それをどういう規模でやるんだということをしないと、この後の実効性というのはなかなか上がってきませんし。  それからもう一つは、本当は障害者の方の一人一人が勤続がどのくらいになっているかという調査も必要なんですね。定着してもらう。そうしないと、介護、私は保険のときにも言いましたように、介護労働者が二か月、三か月で辞めてしまって、さいの河原の石積みになってしまうと累積しないわけですよ。障害者雇用もその傾向が私はあると思っています。そうすると、そこに積み上げていかないと常に崩れている。ですから、一・四六ぐらいからどうしても上がっていかない。ですから、具体的な戦略が出てこない。  この辺、もう一度大臣、介護のときと同じなんですが、もう一度、労働分野、厚生分野ではなくて、くし刺しをした実態調査をきちんとやるということは是非確約の答弁をいただきたいというふうに思いますが。
  139. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 少なくとも真剣に検討をいたします。
  140. 柳澤光美

    ○柳澤光美君 ありがとうございます。是非お願いしたいと。それが今回の雇用促進法、私は、三障害がそろって元年だというスタートですし、この障害者雇用がうまくいく中で、子育て支援あるいは高齢者雇用、それからニートの問題というところに、人に対する優しさが定着する中で変わっていく大きなきっ掛かりだと思います。  もう一つは、実は私の体験の中で、ノーマライゼーションに取り組んだきっかけは、実は私ではなくて、創業期からいらしたある副社長の思いだったわけです。私はその方のロマンに感動して、だったら労使でやりましょうということでノーマライゼーションの取組に入りました。彼が言うように、柳澤君な、健常者なんていないんだよと、人間は全部障害者なんだよと、どこかに障害必ずあるはずなんだと。また、いつ障害になるか分からない、だからそのことを当たり前にしようということなんだという思いで進めてきました。  ですから、実はこの活動をやるときにポイントが二つあります。一つは、経営のトップの理解と、本気に経営のトップがなってくれるかどうかなんです。これは組合がどうのこうのではなくて、やっぱり企業というのはトップがどう思うかというのが非常に大きなウエートになります。  それからもう一つは、そのことに併せてどれだけその熱い思いを持ったリーダーがいるかだということです。そのリーダーがいないと、そのリーダーがいなくなるとだんだんまたしぼんでいってしまう。だから、どうつなげていくか。ですから、その中で私も強く感じていますのは、その熱意を継続するということも大変なことになります。  ここで大臣にお願いなんですが、経団連はもちろんなんですが、商工会議所ですとか中央会だと恐らく中小の団体がたくさんあると思うんですが、その経営のトップの皆さんあるいはその団体に大臣自ら足を運んで、特に中小の経営者の皆さんに強く強く訴え掛けてほしいなというふうに思うんです。そこから入っていかないとなかなか動かないという思いがありますが、いかがでしょうか。
  141. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) ただいまのトップの熱意が必要だということについては、このところ私も大変感じることが多いんです。この前の事故などを契機に、安全というようなことも大変話題になりまして、今私、各企業に安全、求めております。  あるいはまた、話はちょっと違うんですが、先日、女性をできるだけ管理職に登用していただくという、こういう取組していただいている会社の皆さんに来ていただいてお話伺いました。もうこのときには正に今先生のお話のとおりでありまして、頑張っておられる会社のトップがもう熱っぽく、もう本当に熱意込めて、女性をこんなにして管理職に登用してきましたという話をお聞きいたしました。で、その成果が現れている。  そうしたことをいろいろお聞きいたしますと、本当にこう経営のトップの姿勢というのが即現れてくる、そのことを強く感じておりますので、この障害者雇用に関してもトップの熱意次第だと強く感じますから、機会があれば私もそうしたことを訴えてまいりたいと、こういうふうに思っております。
  142. 柳澤光美

    ○柳澤光美君 ありがとうございます。本当に時間のない、なくて大変なスケジュールだというふうに思いますが、是非よろしくお願いしたいというふうに思います。  もう一つ、今回、事業所でジョブコーチを置いていいと、助成金も出そうという新しい考えが出ました。このことは大変うれしく思っています。実は、障害者の方に勤めていただいて辞める原因の一番大きいのは、やはり人間関係の部分が大変大きいんです。その上司の方とうまくいっている、その人間関係が職場とうまくいっている、このことがすごく大事で、具体的な例を言いますと、流通関係というのは非常に転勤が多いんです。ですから、うまくいっていた上司がほかのところへ転勤してしまったことによって、新しく来た上司が決して悪くはないんですが、そのことだけでもその障害者の方にとっては、特に知的の皆さんや何かではもうそのことがもうつらくて辞めちゃうというような現象が起きます。  ですから、ジョブコーチというのが事業所の中にいて、本当にその方が小まめに面倒を見れる。とすればこのことは大変うれしいんで、これに関してはいろいろ聞きたいことがあるんですが、簡単に、今私は、これがどのくらい事業所の中に置けるのか、何か人数的な規制があるのか、あるいは助成がどんな形で行われるのか、もうちょっと具体的にお話しいただければというふうに思いますが。
  143. 金子順一

    政府参考人金子順一君) ジョブコーチにつきましては、従来から行われてきました障害者雇用促進センターの方に配置をしております配置型のジョブコーチに加えまして、議員指摘のように企業にも配置をできるようにするということで、助成金制度を創設することとしたところでございます。  ジョブコーチと申しますのは、これは企業障害者の方が定着をするというのが非常に難しいわけでございまして、入職当初の六か月とか、限られた期間でございますが、集中的に言わば手取り足取りということで、会社の方あるいは同僚の方、家族の方、御本人、こういった関係者すべての方に働き掛けをして職場定着を図っていくというものでございます。  支給金額等、あるいは支給対象者を、ジョブコーチ支援対象者にどういう者を含めるかということにつきましては、現在検討をしておるところでございますが、障害の種類ということで申し上げれば、身体障害、知的障害、精神障害のほかに、ジョブコーチ支援効果的と言われております発達障害者につきましても対象にしていこうというように考えているところでございます。  また、支給金額につきましては、現行のジョブコーチ支援事業との関連等々との整合性を踏まえながら、適切な金額に今後設定してまいりたいと思っております。
  144. 柳澤光美

    ○柳澤光美君 恐らく、お伺いしても、この後適切なというふうになってしまうんで、これ以上質問しても仕方がないというふうに思いますので、介護のときにもこの後の審議会とか政省令でという答弁が非常に多いものですから。  ただ、ジョブコーチに関しては余り固定概念にとらわれないで、一つは地域障害者職業センターからジョブコーチの方がフォローする、あるいは福祉施設の中でジョブコーチが会って行く、事業所でもそれを受け入れる。例えばこれが、組合のOBとか企業のOBのベテランの人をジョブコーチになっていただく、でも六か月たったらもうその仕事はなくなってしまうという感覚でいいのか。何人か障害者がいたらそれをきちんとフォローしていく、あるいは入ってくるというふうに、個人ではなくて複数の人をもうちょっと面倒を見るような使い方ができるのかできないのかということも併せて検討していただきたいなと。できるかできないかだけ御答弁いただければと思います。
  145. 金子順一

    政府参考人金子順一君) その点も含めて検討していきたいと思っております。
  146. 柳澤光美

    ○柳澤光美君 前向きに検討していただけるというふうな答弁だというふうにとらえさせていただきたいと思います。  もう一つ、幾つかお願いがありますが、是非お願いしたいのは、今もやっているというふうに思うんですが、これから障害者を迎える当の企業のいわゆる上司というか管理職の皆さんが勉強する、その人たちを教育する機会と場所というのはできるだけ設定していただきたいなと。それができるだけ無料で受けれる、もちろん企業から行きますから本人の休みではなくて行ってもらいたいと思いますが、そのことは、質量ともに充実をしていくというのが障害者を受け入れて定着をしてもらうには大変大切な方法だというふうに思いますので、今もされていると思いますが、その辺を踏まえてお考えがあればお伺いしたいと思います。
  147. 金子順一

    政府参考人金子順一君) 議員指摘のとおりでございまして、障害者就職して安定した職業生活を送るためには、就職しました職場におきまして、とりわけ直接障害者の方に接する立場にある上司の方や同僚の方の御理解を得ていくということが非常に大切なことだというふうに考えております。  これまで我々も、例えば地域障害者職業センターにおきまして各企業の研修ニーズに応じて講話等の機会を設けるなど対応もさせていただいておりますし、また、各企業障害者職業生活相談員、五人以上障害者を雇っている企業に配置が義務付けられているわけでございますが、こういった生活相談員の研修など、また、さらには、障害種類ごとに雇用管理マニュアルのようなものを作っております。こういったものを企業に配布するということで、いろいろな形でこういった職場の方の上司の、職場の方々に障害者雇用について意が伝わるように取り組んできているところでございますが、重要なことでございますので、更に研修機会の拡大等について取り組んでいきたいと思っております。
  148. 柳澤光美

    ○柳澤光美君 是非よろしくお願いしたいというふうに思います。障害者雇用促進して人数を増やしていこうということになれば、それだけの量と質をそろえていただければというふうに思います。  それからもう一つ、是非、これはされているというふうに思うんですが、誤解を恐れないでちょっと言いますが、やはり障害者の方が福祉雇用から企業に勤める、そのことはやっぱり、民間企業に勤めるというのは大変厳しいことなんだというお話もきちんとしていただくということは是非お願いをしたいと。  私、特例子会社で働いているメンバーに、非常に厳しいんで自分たちが営業をするということを考えないかという問題提起をしました。印刷関係は、地域の今度は印刷を取ろうとすると地域の印刷会社の皆さんと問題が起きますから、あくまでグループでやっていました。ただ、年賀はがきの、年賀状の印刷ぐらいは取れるじゃないか。実は、車いす五名のメンバーが寒い時期に、いわゆる年賀はがきの注文取りということで動いてくれました。そのことが彼らにしてみれば、受け身でやっていた仕事を、自分たちが商売をしてみる、いかにそれが大変なのかということが分かりますし、もう一つは、バリアフリーがいかに遅れていて、段差とか階段が多くて、特に企業のところに行くと、それが市の方に陳情に行くというような動きにもつながったりしました。  そんなことも踏まえて、民間企業で働くということをもう一度本当に、私が言う、かれた井戸からは水はくめないと、少なくとも自分の賃金ぐらいは自分で稼ごうじゃないかと。それがキャリアプランに行ったり、それから賃金体系もむしろもっと目に見える形で組んであげるということにもつながるだろうというふうに思っています。  これは答弁もらうことでもないかもしれませんが、今やられているというふうに思いますが、特に福祉的就労からいよいよ一般雇用に行こうというときには、もう一段それを進めていただきたいということで、確認の答弁をいただければと思います。
  149. 金子順一

    政府参考人金子順一君) 今回の制度改正の大きな柱の一つでございますが、正に福祉的な就労から一般雇用へということでございます。  その中で、各地域におきましてチームを組んで福祉施設で福祉的就労をされている方々を一般雇用につなげていくという取組もさせていただきたいと思っておりまして、新しい事業も考えているわけでございますが、そうした中で、福祉施設に対しまして一般雇用につきましてのいろいろな意味での啓発指導もやることにしておりますし、また障害者の方、施設におられる障害者の方々に対しても職業講話というような形でこれまでも取り組んできておりますけれども、大事な点でございますので、十分意を配してまいりたいと思っております。
  150. 柳澤光美

    ○柳澤光美君 ありがとうございます。  特に、施設もそうなんですが、今回中核になってくるジョブコーチの皆さんにもその辺の理解を十分していただくような研修内容も組み入れていただきたいというふうに思います。  それから、先ほど、ふれあいショップの話をちょっとさせてもらったんですが、このことは結構大きな効果があります。ですから、ショッピングセンターだとか一企業ではなくて、あるいは商店街でも空き店舗、今やられているところもたくさんあると思うんですが、作っていた、自分たちが作るものを売ると、それがお金になると。売れるという商品はどういうものなんだと。これは、実は技術の進歩にもつながりますし、自分たちのやりがいにもつながる部分があるんですね。そのことが私は、できればそれを還元してあげれば、また作った方に還元してあげる方法もあるだろうと。そんなには売れませんが、大体一日一万から二万ぐらいは動きます。そうすると、店の方と連携して、どんな商品を作ったら売れるだろうという新しい試みもできると思うんですね。自分の作ったものが売れる。僕は具体的にどうこうは言いませんが、そんなことを今後、特例子会社も一企業ではなくて工業団地ですとかそういうところで考えるという方法も、複数事業所をどうとらえていくかと、これが地域とのいわゆるネットワークの一つまた大きな柱になっていくだろうなと。この辺も是非今後の進める中で検討をしていただきたいというふうに思いますが、大臣、いかがでしょう。
  151. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) ふれあいショップというふうに言われまして、私も多分そうしたものの一つだというものを先日も見せていただきました。  したがいまして、そこで感じたものは今先生お話しのとおりでございますから、それこそ繰り返して申し上げるまでもありません。もう正に地域とのネットワークがそういうもので築かれるわけでございまして、そうしたものが大変いろんな意味でいい波及効果までもたらしてすばらしいものだというふうに思っておりますので、是非私どもも進めていきたいというふうに考えております。
  152. 柳澤光美

    ○柳澤光美君 是非よろしくお願いしたいと。  ですから、民間企業のそういう団体等にも、今店舗は大きくなっていますから、一坪二坪のスペースでしたら取って取れないスペースでは決してないんですね。ですから、バザーとか何かでやるんではなくて、常設で置いてやってみるというのは大変一つの方策としてできるだろうというふうに思っています。  そんな中で、公表制度の問題ですが、先ほど小林議員が質問をされましたが、私は逆に、今の罰則型の一社、二社を出すよりは、もっといいところを徹底的にやるという表彰制度を入れていただきたいなという思いがすごくあります。  今、仕事と育児、介護などの両立支援でファミリーフレンドリー企業の表彰というのがされていますが、私は、雇用率が高いとか低いではなくて、本当に低かった雇用率改善率がうんと高いとか、あるいは雇用者数がうんと増えたとか、これには必ずいい事例集が伴うはずです。それを中央でやるのではなくて各都道府県別ぐらいでやって、その事例集がみんなに発表される。特に中小の企業というのは地元に密着型のところが多いですから、中央よりは地域の、ですから、これが地方版というかマスコミ、是非、記者会見を都道府県単位でやってもらって、地方紙と地方版にそれがきちんと載ると。もっとマスコミを私は利用すべきじゃないかなと。そのことが特に地域に密着型の中小の経営者の皆さんの誇りにもなりますし、そのことが横に広がっていく。ですから、北風以上に太陽をやった方がいいと。今の公表制度は、あれだけ厳しくやると、一社、二社やっても本当に効果がないなというふうに私は思っていますが、この辺はいかがでしょう。
  153. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) お話しのように、雇用に取り組む企業の良い例というのは、これはまた他の企業にとって非常に有益な情報にもなるわけでございまして、そうしたものを紹介するということは必要なことだと認識をいたしておるところでございます。  私どももやってないわけじゃございませんで、やってはおるわけでございますが、まだ先生方からそういう御指摘いただくということは、十分でない、それからまた、マスコミの皆さんにもうまくそうしたことをお願いできてないところがあろうかと思いますので、更に努力をさせていただきまして、そうしたいい例も御紹介して、障害者雇用促進のまた一助にしてまいりたいというふうに存じます。
  154. 柳澤光美

    ○柳澤光美君 ありがとうございます。  実は、どんな今事例集が出されているか、これは全部じゃなくて、これよりもたくさんされています。ただ、これがばらばらに動いてしまうと、せっかく、もっと言えば、私はちょっと立派過ぎるなと、率直に、紙質も良過ぎますし。これがむしろ地域の良さ、その集大成が中央でモデル的になる。ですから、これが高齢・障害者雇用支援機構で出ていたり、日本障害者雇用促進協会、いろんな組織がいろんな形で出してしまう。それをもう少し整理をする。もちろん、経費の削減も無駄遣いをしないようにもっと効果的にやる。あるいは、この前出た障害者の就労支援に関する有識者懇話会の堀田力さんがやられた、私、このパンフレットなんて本当もっといろんなところに配って、中小の経営者の皆さんに、とっても簡単にまとまっているんですが、それぞれの立場の思いというのが非常によく入っているパンフレットだなと。  だから、作ることが目的ではなくて、作ったものをどう効果的に使うか、これが私は行政の非常に弱いところなんだなと。民間だったらこういうふうにするのにという思いがたくさんありまして、これはもう質問はしません、実はもう時間なくなってしまって。  最後に、私、一つだけお願いしたいのは、一番心配しているのが地域間のばらつきの問題です。  介護もそうですし、障害の問題もそうなんですが、障害者の皆さんが、本当に障害者雇用をきちんとやってくださっているところに自分が引っ越していければいいんですが、自分の住んでいる地域でしか対応をしてもらえないわけですよね。これが地域によってばらつきが出てくるというのがある意味では非常に大きな問題になるというふうに思うんです。  特に、商品とか何かだったら、便益性ならまだいいんですが、障害者の問題だとかいわゆる医療だとか介護だとかと人にかかわる問題というのは、できるだけ日本どこに住んでいてもそう大きな違いがないという形を取っていかないと、私は、このまま進むとかなりばらつきが出てくるんだろうなという思いがすごくしています。あるところに住んでいるから非常に一般企業にも勤めやすい。非常に大事です。ところが、ある地域へ行ったら全然勤めるところがない。そのフォローも仕組みも弱い。  いろんな組織がたくさんあるんですね。本当は聞きたいことがたくさんありました。例えば、職業安定所、ハローワークが今回中心になります。  一つだけ聞きます。トライアル雇用というのは今回非常に大事な政策なんですね。なぜかって、入口に引っ張っていくには、やってない企業のところへ行って試してもらう、働く方も試す。そうすると、このトライアル雇用なんですが、一生懸命やっていただいたのは分かるんですが、十六年度で開始者が三千四百八十三人、そして常用雇用には、それでも二千二百六十六人、八〇パーを超える方が移っています。でも、ハローワークの数からいけば三千四百八十三人で余りにも少ない。これは、基本法で言えば、十九年までにはハローワークだけでも三万人就職あっせんをしたいと。  この辺が、青木局長来られていますから、今どういう状況になっているのか、ちょっとお話を聞きたいというふうに思います。
  155. 青木功

    政府参考人青木功君) ハローワークの体制について、せっかく部長がおりますので、体制について御報告をさせていただきたいと思います。  委員からの重大な御指摘もあって、ハローワークのサービス、開庁時間その他も含めて充実させていただきました。その中で、今お話がございましたように、地理的なバランスだとか、あるいは管内の状況によって確かにサービスに濃い薄いが出てきてしまう、これは現実にございます。しかし、その中で私ども、今回の開庁時間を延ばすことについてもそうですが、近隣のハローワークと全部ネットワークを組んで、職員が応援に来たり、あるいは労働局から応援に行ったりということをしております。  こういった地理的なばらつきを克服する意味でも、ハローワークのこういった専門性を擁する職員その他が上手に有機的に協力し合って、ネットワークとしてできるだけ格差の少ないサービス提供というものをやっていく必要があるだろうと、こういうふうに考えておりますし、またやってまいりたいと思います。
  156. 柳澤光美

    ○柳澤光美君 私、ここのところ本当に、介護のときもそうだったんですが、今回、障害者も、ハローワークの位置付けというか重要性というのはますます高まっているというふうに思うんですね。特に、人口減少社会に入って労働人口足りなくなります、少なくなってきますし、ニート問題、先ほど言いましたように、子育て支援、高齢者雇用、そして障害者雇用、それがハローワークによってばらつきが出るというのは大変困ることになります。  ですから、ハローワーク別にきちんと実態をやる。私は、そろそろ、非常に内部では出しにくいかもしれませんが、情報公開をもう少しきちんとすべきではないかなと。例えば、三千四百八十三人のトライアル雇用をやったのは、都道府県別ではどこに分布していてハローワーク別ではどうなっているんだというのがもっと見える形ですべきではないかなと私は思っています。  時間がない。もう一つ、最後に大臣に、そのことと、今回見ていて、いろんな、こういう討論をすると、センターが一杯できるんですね。例えば今回のやつを見ていても、安定所があるほかに、高齢・障害者雇用支援機構の中に地域障害者センター、障害者雇用情報センターというのがあって、それで障害者雇用支援センターというのが県単位である。あるいは障害者生活支援センターがある。この辺が非常に、どういう位置付けでなっているのか。  例えば、端的に言わせていただくと、障害者雇用支援センターというのが都道府県知事の指定であるんですが、十四か所あるんですね。しかも、ここに納付金支援金も行っているんです。十四か所にあって全国にない。これ、全国に造るんだったらまだ分かるんですが、何で十四か所なのかという問題もあります。あるいは、今回十か所でハローワークで新しい支援事業立ち上げますよね。何で、少なくとも四十七都道府県、四十七か所でやらないんだろうという、そのばらつきをどう是正していくんだ、今ある組織を統廃合しながらでも、全体のばらつきをどうするんだということをもう一度厚生労働省として一度きちんとチェックをしてみていただきたいと。それの答弁をいただいて、質問を終わりたいと思います。
  157. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 先ほどの良い例の事例集みたいなものでもお示しをいただきました。作ればいいというものではないという、作ることが目的ではない、正におっしゃるとおりでありまして、大変有り難い御指摘いただいたと思っております。  そうしたことと同じように今度のことも今御指摘のことについてもしっかり私どもがもう一回整理をして、地域の格差が生じたりとか、あるいはそうしたサービスを受けられる人がいたりいなかったり、場所によって変わるとか、そうしたようなことがないようにもう一度しっかりと整理をさせていただきたいと存じます。
  158. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 民主党・新緑風会の朝日です。  一時間の範囲で十七問質問をしたいと用意をしましたけど、重複を避けて、どうしてもこの点は確認をしておきたいということで質問をさせていただきます。準備をした質問の後ろの方から飛び飛びに質問をしますので、そのつもりで十分聞きながら答えてください。  まず、先ほどの柳澤委員とのやり取りでもありました発達障害者の就労支援について、たしか、発達障害者支援法が成立したときの附帯決議には、その就労を支援するために障害者雇用促進法について必要な見直し検討をするというようなことも書かれていましたし、さらに国会審議の中では、雇用率への適用について検討をしていかなければならないと、こういうお答えもあったわけですね。  障害者雇用促進法に言うところの障害者とは、その範囲とは何ぞやという議論をし始めるとややこしいかもしれませんが、一応、今回の法案、法律提出に当たって、発達障害者の就労支援策についてはどういうふうに対応するつもりなのか、そのお考えを確認させてください。
  159. 金子順一

    政府参考人金子順一君) まず、この障害者雇用促進法上の障害者の範囲の問題と関連するわけでございますが、障害者雇用促進法一つの大きな体系というのは、要するに雇用率制度あるいは納付金制度ということについての雇用の割当て制度でございます。そのもう一つの柱がいわゆる職業リハビリテーションを実施するということでございまして、障害者雇用率制度につきましては、今正に精神障害者を実雇用率対象とするということで、身体障害、知的障害、これからは精神障害も実雇用率に算入されるということに相なるわけでございます。  そういう意味で、発達障害者の方につきましては雇用率制度対象とはなっていないわけでございますが、従来から地域職業センターやハローワークにおきます相談支援対象としてはこれは当然取り組んできているところでございます。ただ、率直に申し上げまして取り扱っている件数といったものもまだ僅少でございまして、今後に向けましては、更に相談支援機関における支援技法の開発でありますとか普及にも取り組んでいかなければならないと、こういった状況でございます。  今回の改正法案においてどのような対応をするかということでございますが、そういうことで、障害者雇用率制度というところにまではまだまだ時間を要する点もあろうかと思いますけれども、今回の法改正で実施することとしておりますジョブコーチの助成金、これにつきましては、発達障害者の方も職場定着というようなことでいえば支援効果が高いだろうということでございまして、このジョブコーチ助成金の対象として発達障害者の方を加えていくということを考えているところでございます。また、本年度の予算事業といたしまして、発達障害者雇用する企業向けの雇用管理マニュアルの作成といったことにも今着手をしたところでございます。  発達障害者への雇用率適用につきましては、将来に向けて当然課題でございますけれども、現状におきましては、各種の就労支援策を進めながら、企業における雇用事例を地道に重ねていき、支援ノウハウの蓄積を図っていくことがまず必要と考えているところでございます。いずれにいたしましても、発達障害支援センター等関係機関との連携を図りながら就労支援を取り組んでまいりたいというように考えております。
  160. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 ジョブコーチ支援事業を中心に具体的な対応を考えていきたいという御返事であります。それはそれで了とするわけですが、ただ、課題一つ残りますね。つまり、自立支援法障害者自立支援法における障害者の定義というか、範囲というか、それに基づく福祉支援との連携を考えると、その範囲についてはどこかで整合的に考えないといけないという課題が残るということは指摘をしておきます。いずれ近々議論をする機会があると思いますので、宿題として残しておきます。  二つ目、今回の改正の中で在宅就業に関する規定が設けられたと。このことは何人かの同僚委員からも御指摘がありました。実は私も当初若干誤解をしていたんですが、在宅就業ということは在宅勤務とは違うと。申し上げたいことは、今回の在宅就業を支援するための措置をいろいろ組み立てていこうと、障害者雇用促進という観点から、ということでこれは理解をするんですが、あくまでもこれは企業雇用されたという形態ではないわけですね。そうすると、企業雇用されて在宅勤務をするという考え方もあっていいんじゃないかというふうに思うんですが、今後の課題としてその辺についての検討をされるつもりがあるのかないのか、お考えを聞かせてください。
  161. 金子順一

    政府参考人金子順一君) 今議員から御指摘がございましたように、やや似たような用語でややこしいわけでございますが、今回お願いしております在宅就業支援と申しますのは、企業雇用された形ではなくて、自宅において自ら業を営むということを想定をしているわけでございます。  その一方で、企業に雇われて在宅で働く、雇用関係がある中で在宅で働く、我々、在宅勤務という言い方をしておるわけでございますが、この在宅勤務につきましても、実はこの法案を出すに当たりまして関係審議会で御議論いただいたときも議論としては出てきておりまして、勤務場所等の選択可能性を広げて障害者雇用機会を拡大する上で大きな意義を有していると、そういう位置付けもなされているわけでございます。そういう意味で、普及を図っていくことが重要ではないかと我々も考えているところでございます。  現行制度におきましては、この在宅勤務は、正に事業所勤務と同様に、障害者企業の間の雇用関係が締結されているというものでございますので、これは雇用率の算定に当たっても当該企業に当然含まれてくるというわけでございます。ただ、その一方で、雇用者が在宅で勤務をするということで、離れて、企業の外で働いているということに伴って、また、障害者の方ということでございまして、企業雇用管理として適切にこれを行っていくということが非常に重要だろうと思っております。  こういったことで、我々といたしましては、在宅勤務の障害者の方の雇用管理や業務管理、あるいは社内、社外の連絡調整を行うコーディネーターを配置することに関しまして、企業がコーディネーターを配置するということに対しまして、納付金制度に基づきます助成制度を新たに設けられないかというところで検討しているところでございます。
  162. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 いろいろ全体の在宅勤務がどう動くかということもあるでしょうから、この部分だけ突出してということにはならないかもしれませんが、今後、私は在宅勤務という形態はかなり普及してくるんじゃないかと思いますので、その中で、障害者雇用する形で在宅勤務する形態、その具体的な在り方について是非検討を進めていただきたいと思います。  三つ目、職業能力開発に関連して、従来の訓練の中身はどうしても主として身体障害者あるいは知的障害者を中心に組み立てられてきている、これは実態として認めます。しかし、これから精神障害の人たちも、雇用促進という観点から職業能力開発、これも必要になってくると思うんですね。特に精神障害者に対する、より効果的なというか、具体的な職業訓練の内容とか、カリキュラムはどうあるべきかとか、あるいは指導方法はどうするのか、こういうことはまだまだこれからの宿題というか課題だろうと思います。しかし、動きながらというか、歩きながらノウハウを蓄積していかなければいけないと思うんですが、この点について厚生労働省としてはどのようにお考えでしょうか。
  163. 上村隆史

    政府参考人(上村隆史君) ただいまお話のありました精神障害者の職業能力開発についてでございますけれども、現在、各都道府県に拠点となる職業能力開発校を定めて取り組んでおりますほか、高齢・障害者雇用支援機構が運営しております中央障害者職業能力開発校におきまして、精神障害者等を対象とした訓練コースを設けまして、個々の障害の特性に配慮した訓練を実施しているところでございます。また、十六年度からスタートしております委託訓練におきましても、その中でも、精神障害者につきましても、その支援ノウハウを有する企業あるいは社会福祉法人等を活用した訓練を推進しているところでございます。  先生御指摘がありましたようにまだまだでございますけれども、今後、引き続きこういった障害特性に配慮した訓練を推進いたしますとともに、先ほど申し上げました高齢・障害者雇用支援機構における精神障害者に対する先導的な職業訓練、そういったものの成果を整理、分析いたしまして、今後につながるような効果的な能力開発方法、先生からお話のありました訓練内容ですとかカリキュラム、指導内容等につきまして整理をし、それに基づいて普及を図るなど、効果的、効率的な能力開発を進めていくよう努力したいというふうに思っております。
  164. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 是非お願いをしたいと思います。  精神障害者に関しては、結構病院の中で作業療法とかそういうOT、PTの方たち中心にやってきたそれなりの蓄積はあるんですけれども、どうもそのやり方というかノウハウが、病院の中でどうやりくりするかという範囲にとどまっていた嫌いがあって、実際の企業のところでどうやっていくのか、特にいろんな方たちと一緒に人間関係をどうつくっていくのかというのは、これはかなり、ある意味では歴史は古いんだけれども、作業療法の歴史は古いんだけれども、職業訓練という意味でいくと、あるいは能力開発という面でいくとまだまだ歴史は浅いと思うので、そういう現場における皆さんのノウハウもいただきながら是非検討を深めていただきたいなと思います。  さて、その次に四つ目ですが、先ほど来の職場におけるメンタルヘルス対策の問題と在職の精神障害者に対する職場復帰支援の問題とがどうも頭の中がごちゃごちゃしているんで、ちょっとこれは大臣にお尋ねします。  先ほど御説明のあった、平成十六年から、リワーク事業というのか、在職の精神障害者に対する職場復帰支援プログラムというのをやってきていると、これを今年からは精神障害者に対する総合的雇用支援事業として組み立てていくんだと、こういう御説明、お話がありました。これは主として障害者雇用促進という立場から、ですから、役所の方も障害者雇用対策部が所管しているという形での御説明がありました。  ただ、ふっと私、分からなくなるのは、在職精神障害者に対すると、こうあるわけですね。ところで、一方、パンフレットをいただきましたけれども、心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援というのがある。これはどこかしらと見てみたら、労働安全衛生活動の一環として、先ほどの御説明でいけば労働基準局の安全衛生部が御説明になるという中身。対象がどう違うのだろうか、一緒なんだろうか。  例えば、メンタルヘルスの中で職場復帰支援ということを考えることと、在職精神障害者に対する職場復帰支援プログラムという形で支援していくことと、対象、目的、やり方、所管、違っているようで言っている中身は同じように聞こえるんですが、大臣、この問題、どう考えます。あえて大臣にお尋ねするのは、局が違うからです。二つの局に分かれているから、だからそれぞれに聞くとそれぞれの説明になっちゃうんです。だから大臣に聞いている。
  165. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 今お話しになりましたように、在職の精神障害者の職場復帰支援一つございます。これは、雇用促進支援が中心であるその障害者雇用対策と違うということはお話しのとおりでありまして、そこのところの整理をどうするかということの今御質問だというふうにお聞きをいたしましたけれども、まずは部長の方から答弁をさせますのでお聞きをいただきたいと存じます。
  166. 金子順一

    政府参考人金子順一君) 議員の御指摘は、正に、いわゆるメンタルヘルス対策の枠組みと、今回の特に復職支援の枠組みというものが制度的にどういう連携関係にあるのかと、こういう御指摘であろうかと思います。    〔委員長退席、理事武見敬三君着席〕  いろいろなことを説明する前に一つ企業という方の視点でこの事業がどういう意味があるかということで見てみますと、恐らく多くの企業におきましては、やはりメンタルヘルス対策、従業員に対する人事管理、あるいは労務管理といいますか、福利厚生といいますか、こういうものの一環として取り組まれるわけでございます。その際に一番ポイントになるのは、恐らくそういうことが起きないようにするという予防対策であろうと思いますし、また、そういったことになった場合に早期に把握をしてこれに適切に対処していくという、正に人事政策上の基本的な大きな流れの中でこういうことが行われるんだろうと思います。そういう意味で申し上げますと、企業の視点からいえば、今回の復職支援と言われているものは、そういう大きなメンタルヘルス、企業にとってのメンタルヘルス対策の一部を成すケースが大方の企業においては多いのではないかと考えております。  ただ、具体的なことで申し上げますと、やはりメンタルヘルス対策というのは基本的には企業の中の問題として整理をされるわけでございます。もちろん、産業医の方がかかわるとか、あるいは外部の方もかかわるケースはあるとは思いますが、基本的には企業の内部の問題だろうと思います。ただ、実際に復職を支援していくということになりますと、これは、先ほど申し上げましたような職業リハビリテーションの知識といいますか、そういった観点からの支援がどうしても必要になってくるわけでございまして、その部分につきましては雇用対策の観点から支援をしていこうということでございます。  あえて少し乱暴な言い方を申し上げますれば、在職者の復職支援ということについていえば、大きな意味企業のメンタルヘルス対策といいますか、その一部を成しているものというふうに理解をしているところでございます。
  167. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 ちょっと今日は、この問題、突っ込んでやるつもりはないんですけれども、なぜこんなことをお尋ねしたかというと、先ほどの質問と関連するんですよ。つまり、在職、つまり既に勤務している人のメンタルヘルス、精神上の問題で困難を抱えた人について、私は原則、在職の人は職場におけるメンタルヘルス対策としてきちっとやるべきだと思っているんです。そのことが前提条件であって、逆に、例えば、たまたま今失業をして仕事がない、精神障害を持っていて余計就労が難しいという人の支援のための仕組みとは、本来ベクトルが違うと思うんですよ。    〔理事武見敬三君退席、委員長着席〕  なのに、どこかで似たような施策が違った部局から出てきているということについて、下手をするとこちらにすっと利用されて、ああ、たまたま我が社にいた人の中に数えてみたらこれだけいるじゃないかと、対象者が。だから雇用率が上がるじゃないかということになりかねない。その辺の区分けをきちっとしておかないといけないんじゃないかと、そういう問題意識なんです。  まず、問題意識が大臣として御理解いただけたかどうかということと、今日はすぐに答えを求めませんが、少しきちっと整理していただけませんか。
  168. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) まず、今のお話伺いながら私が理解したことを申し上げます。  在職の人であれ、職場復帰をしようとする人たちにしろ、いずれにしてもメンタルヘルスということが必要であるということはそのとおりだと思います。したがって、そのメンタルヘルスをどこかの部分だけでいうとおかしくなるわけでありますから、それは全体として考えるべき。ただ、そこのところで、職場復帰をする人たちに対するケア、ケアというんでしょうか、必要なことをやるということと、それから在職の人たちにまたちゃんとするということのこの仕分をきっちりやるべきだというふうに先生の今のお話だと、こう私は理解をいたしまして、そこのところは整理をしなきゃいかぬと、当然整理すべきだというふうに思ってお聞きをいたしております。  それであれば整理をいたしますが、もし私の理解が十分でなければまたもう少し御指摘をください。
  169. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 実は、衆議院の方に労働安全衛生法の改正案が提案されているんですね。ですから、それが来たときにまたこの問題にどうしても当たるんです。  気になりますのは、この厚生労働省が出したパンフレットの十二ページに「本手引きの適用に当たっての留意点」というのがある。これはメンタルヘルス対策の方のパンフレット。「本手引きは、心の健康問題による休業者で、医学的に業務に復帰するのに問題がない程度に回復した労働者を対象としたものである。」と、こう書いてある。だから、そこでもう切っているんですよ。ああ、この人は問題ない、だからメンタルヘルス対策だという書き方になっちゃっているんです。これはちょっと問題なんですよ。  今日、ちょっと担当の局長来ていないから、これ以上やりません。次の法案のときにきっちりやります。  私は、原則、在職の人たちの職場復帰支援も含めた活動は、職場における安全衛生委員会を基盤にメンタルヘルス対策としてきちっとやる、その中で足りない資源があれば外から借りてくるというやり方だろうと思うんですよ。そのことと、在学中に発病したり、どこかで勤めていて発病して失業しちゃった、精神障害を抱えてなかなか就業が難しい、その人たちの雇用をどう促進させるかという話とは法律も違うんですよ、一方は労働安全衛生法、片っ方は障害者雇用促進法。そこのところはきちっと区分けして、変な悪用のされ方がしないように整理をしておかないと、後で後悔しますから。ここは一つ宿題として今日は置いておきますので、お願いします。  さて、次の問題に移ります。  ジョブコーチ、大変私も期待をしていまして、このジョブコーチの方がどううまくというか、かかわっていただけるか、どううまく支援がつながっていくか、大事だと思うんですね。そこで、三点ほどお伺いします。  一つは、ジョブコーチ御自身のスキルアップをどうしていくかということが一つの重要な課題。と同時に、人が人に一定のサービスを提供する場合は、逆にジョブコーチ自身が悩んじゃう場合があり得るんですね、板挟みになったりして。そうするとスーパーバイザーが必要なんです。だから、ジョブコーチを配置しました、それでよろしいでは済まないんですよ、多くの場合。ジョブコーチ自身が抱え込んだ問題をスーパーバイズできる仕組みというか体制というか、人を置いておかないといけない。  この問題をどう考えるかというのが一つの今後の大きな課題だと思うんですが、大臣はどう考えますか。
  170. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 現行のジョブコーチ事業でございますけれども、これは各都道府県の地域障害者職業センターに配置されたジョブコーチと、それから福祉施設の職員によるジョブコーチによる支援が行われておるところでございます。これらのジョブコーチは、初め約二週間の実践的な研修を履修いたしますほか、地域障害者職業センターのカウンセラーが作成した支援計画に基づいてその指導を受けながら、実際に現場で支援を行う中でスキルアップを図っているところでございます。  こうしたジョブコーチによる支援につきましては、障害者の就労支援ノウハウや経験の豊富に有する企業福祉施設の人材を育成、活用することが効果的であることから、今回の法改正により新たにジョブコーチ助成金を創設をいたしまして、就労支援の実績を有する福祉施設等がそのノウハウを生かして行うジョブコーチ支援について助成金を支給すること、また、新たに事業主が自らジョブコーチを配置し支援を行うことについて助成金を支給することとしたところでございます。  ここまではいたしましたけれども、今先生御指摘の、今私どもはできるだけジョブコーチをスキルアップするというふうに申し上げておりますけれども、恐らくそれでは足らない。足らないというか、その人たちが悩んでもう一つ上の、スーパーバイザーとおっしゃった、そういう人たちが必ず必要となるけれども、そこのところをどうするつもりだという具体的なお尋ねだと思いますけれども、これらにつきましては、地域障害者職業センターのカウンセラーによる指導なども通じてジョブコーチの資質の維持向上に努めてまいりたいと思いますし、そうした人たちとの連携によりながら解決をしていきたいと思っておりますけれども、いずれにいたしましても、今言っていただきましたスーパーバイザーとかそういったようなことについての検討はさせていただきたいと存じます。
  171. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 別に、専任のスーパーバイザーを付けろとかいう、必ずしもそういうことではなくて、ジョブコーチ自身が何か壁にぶち当たっちゃったり困っちゃったり悩んじゃったりする場合がある。そういうときに、ちょっと横にいて、あそこに行ったら相談なりアドバイスなりいただけると。場合によってはジョブコーチ自身の悩みも少し軽くなると。大方の話は少し話したら大体軽くなるものなんで、そういう仕組みを作るということも具体的な話だと思いますから、是非検討していただきたいと。  さて、ジョブコーチに関する二つ目の課題は、これはなかなか運用上難しいのかもしれませんけれども、特に精神障害の方を念頭に置いていただくと分かりやすいのか、それとも、だれしも人の好き嫌いはあるから、要するにジョブコーチとその支援を受ける人との相性というか、できれば慣れている人とかあるいはよく分かっている人とかあるいは何か気性の合いそうな人がジョブコーチに付いていただけると大変有り難いわけですね、いきなり人間関係が、ジョブコーチとの人間関係すら成立しないということになっちゃったんではまずいわけで。  それで、申し上げたいのは、少し例えば従来から地域でいろいろかかわってきておられた方がおいでだとすれば、そういう方をジョブコーチとして活用するようなことができないかとか、そういう、どなたがジョブコーチになるかということと、どういうトレーニングを、訓練を受けるかということと同時に、その方とコーチのサービスを受ける人との人間関係がうまくいくような配慮ができるだけしてほしいなと、そこがスタートだなと思うんですけれども、この辺についてはどう考えますか。
  172. 金子順一

    政府参考人金子順一君) できるだけ利用される障害者の方が不安を感じないような方を選任していってはどうかということだろうと思います。  実際に、ジョブコーチの支援に当たっては、支援対象障害者の方が日ごろから利用して支援を受けております通所施設でございますとか、あるいは生活支援センターの職員などが障害者に身近な支援者としてジョブコーチとなって支援を行うことも考えられるところでございまして、現にそうした支援も行われております。  ただ、この際もう一点考えなければいけないのは、やっぱりジョブコーチの、ジョブコーチの基本的な任務ということになりますと、やはりその職場にどうやって定着をさせるかということでございまして、そういうことで、職場において生じる様々なこういった職場適応上の諸課題を図るための調整を行う役割とか、企業の立場に立った雇用管理上の助言といったようなことも必要になるわけでございまして、こうした観点もやはり併せて考慮をしていく必要があるだろうと思っております。  現状では、個々の支援事例ごとに地域障害者職業センターのカウンセラーが障害者本人に対して行う職業評価等を踏まえて、どういった方に付いていただくかという判断もしているわけでございます。今後、こういったジョブコーチ助成金といったようなことですそ野も広がってまいるわけでございます。今申し上げたように、幾つかの視点があると思いますので、そのうちの一つとして、相性といいますか、そういった間柄の関係といったようなことも考慮要因の一つだろうと思って考えておりますが、総合的な観点から一つ一つ事例ごとに専門家の目を通じて判断をしていただくことが最も適当ではないかなと、こんなふうに考えております。
  173. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 一律にはいかないと思いますから、是非そんな観点、特にスタートのところでは、そんな配慮をいただけたらもう少しうまくいくのになという事例があるんだろうと思いますから、是非そこは、いつまでもそういう関係を大事にしておいたらいいというふうにずるずるいかせるつもりはありませんけれども、どこかでまたきちんと切り離してやらなきゃいけないときもあるんだと思うんですが、是非、最初のところでの御配慮は是非いただきたいなと思います。  さて、ジョブコーチに関して三つ目の質問は、利用期間をどう考えておられるか。改めて御説明をいただきたいんですが、何かもう七か月以内ですよというふうにえらく期限をあっさり切っておられるんですが、もちろんそこまでに一定のめどが付けば大いに結構なわけですけれども、中には、そうはいってもまだうまく適応し切れていないというか、不安定だというか、そういう方もあると思うんですね。多少そういう場合には利用期間を延長してお願いするということもできるんだろうか。そこら辺は、できれば私などは個々の状況に応じたより弾力的な支援の在り方があっていいだろうと思うんですけれども、すべて一律に一年とか二年とかやれと言うつもりは全くありません。  多分、一つのメルクマールは、三か月が一つのメルクマールになると思いますから、三か月でうまくいかないかというところが一つのメルクマールだろうと。しかし、その次はやっぱり半年ぐらいが二つ目の山かなという感じがするんですね。そこをうまく越えられなかった人は、七か月で、はい、それまでよというのはちょっとつらいのではないかと思うんですが、この辺はどうですか。
  174. 金子順一

    政府参考人金子順一君) 議員指摘のように、このジョブコーチの支援期間ということにつきましては、障害者の方の職場定着といいますか、適応を集中的に図るという趣旨でございまして、標準的な支援期間は我々二か月から四か月程度ではないかというように考えております。  ただ、こうした中で、ジョブコーチの支援は、障害者の方本人、それから事業主の方に対する集中的な支援ということを通じて、障害者の方が働く職場において、言わばバトンタッチをしていけるような、そういう形で職場の中にキーパーソンの育成を図っていくということも必要であろうというように考えております。こうしたようなケースにつきましては、支援期間につきましては、一応最長七か月ということで、弾力的な運用を図っているところでございます。  さらに、その後ということになるわけでございますが、そういたしますと、職場定着というよりは、また違う意味での障害者の方に対する相談・支援体制といったようなことの性格にもなるのかというふうに考えておりまして、本事業の性格からいたしますと、やはり最長七か月ということにつきましては、本事業の性格からして適当なものではないかというように考えているところでございます。  なお、蛇足ではございますが、ジョブコーチの支援の結果職場定着に至らなかった障害者の方につきましては、その要因を十分分析いたしまして、それぞれの課題に応じた支援を引き続き行っていくと、こういうことで取り組んでいきたいと考えております。
  175. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 だから、多分、ジョブコーチ、その人の支援をずるずるとということでは必ずしもないのかもしれません。私が申し上げたかったのは、七か月でぽっきり、これで駄目なら駄目よというような切り方はしないで、粘り強く職場復帰、職場適応に関するサポート体制を考えてほしいと、そういうための幾つかの手段を講じてほしいという、講ずるという前提で今後の対応を考えてほしいということでありますので、是非受け止めていただきたいなと思います。  それでは、当初予定した質問にようやく戻ります。一番から入ります。  今回の改正の一番大きな柱の一つは、障害者福祉施策と障害者雇用促進施策との有機的な連携と、ここにあるということをおっしゃっておりますし、私もそうだと思います。そういう意味では、障害者自立支援法審議と併せて行うことが最もいいのでしょうが、事情は事情ですので、そのことを念頭に置きつつ、今回の法律案の提案の中でおっしゃっている有機的な連携、障害者福祉施策と雇用促進施策との有機的な連携、言葉はよく分かるんですけれども、さて、基本的にはどういう施策の展開を、あるいはどういう施策の組合せを念頭に置いて有機的な連携というふうにおっしゃっているのか、まず、具体的な話は後で伺いますから、基本的なところ、大臣のお考えを聞かせてください。
  176. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 障害者の地域における自立を推進するためには、雇用施策と福祉施策との連携を一層強化することが必要である、このことを申し上げておるつもりでございます。  したがいまして、今般の法改正におきましても、国及び地方公共団体の責務として、福祉施策との有機的な連携を図りつつ、雇用施策の推進を図らなければならない旨の規定を整備いたしているところでございます。  具体的なことはよろしいということでございますから、そのことを整備するために幾つかの見直しなどをここでお願いをしておるわけでございますが、もう一回申し上げますと、障害のある人に対して雇用施策と福祉施策の両面から一貫した支援を行うことをいたしたいという意味だというふうに御理解いただきたいと存じます。
  177. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 もう少し御説明いただけるかと思ったんですが、ちょっと後でもう一遍具体的な話も含めて聞きますから。  念のため、私はこう受け止めているんですよ。従来、ややもすれば障害者福祉障害者福祉の世界の中で、ある種安定的に動いていた。障害者雇用促進の話は雇用促進の話として、役所的に言えば厚生労働省の労働省サイドで、ある種一定のエリアの中で動いていた。だから、この両者が必ずしも、もっとある意味では挑戦したり、逆に雇用に失敗した人が福祉的に受け止められながら再度挑戦するというそういう仕組みがあっていいんじゃないかと、やや両者が両者で変にすみ分けていたところがありはしないかと、そこを突破しようとするんだというふうに説明いただければ良かったと思うんですけれども、そういう趣旨だというふうに私は理解しております。  そのことを前提に、ちょっと二番目に。  現在、衆議院審議中の障害者自立支援法、この全体を説明していただく時間は到底ないと思うんですけれども、この自立支援法の中で、従来、福祉施設として例えば授産所とか福祉工場とか、いろんな従来の体系の中で就労支援というのが行われていたと。しかし、そこのところを全く新しい体系に切り替えていこうという提案がされているわけで、一体この新しい体系、自立支援法に基づく従来の福祉施設等における就労支援の体系の新たな枠組みというか、福祉サイドの就労支援の在り方はどんなふうに組み立てられていくのか、その法案の中で提案されている中身について、できるだけ要約をして御説明ください。
  178. 塩田幸雄

    政府参考人(塩田幸雄君) 障害を持つ方々が地域で自立して暮らすという意味で、働く場を得るということは大変大事なことだと考えております。重度障害者にとって福祉的就労が大事な役割を果たしておりますが、能力とか適性がある方は福祉的就労から一般就労を目指すという、そういう道筋をきちんとすることが必要だと考えております。  そういう観点で、現行の福祉サイドの就労支援というのは授産施設とか小規模作業所を中心に行われてきたわけでありますけれども、幾つか問題点があったと思います。  一つは、一人一人の障害者の能力や適性に応じた個別の支援が必ずしも十分に行われていないということでございます。それから、御指摘があったような一般就労、職場との関係でのサポートの連携が福祉雇用サイドで十分でないということでございます。これは、省内的にも旧厚生省、旧労働省との連携が十分でなかったという反省がございます。それから、御指摘がありましたように、三番目に、いったん離職した障害者の方々が再度チャレンジするような仕組みがなかったということでありまして、福祉施設から出て一般就労にしたいという方もおられる、その期待にこたえていない、また、一般就労から福祉施設に行った方がまた一般就労に帰るという、そういったチャンネルがきちんとできなかったという問題があったと思っております。  そういった観点から、衆議院の方で御審議しております障害者自立支援法案において、一人一人の障害者の方の能力や適性に応じた支援を行うという観点から、授産施設などの施設の体系を抜本的に見直しをしまして、できるだけ一般就労への道筋を付けるということで、機能別に事業を再編成しているところでございます。  具体的には、一般就労や企業への再挑戦などに必要な能力等をはぐくむ就労移行支援の事業、それから就労の機会を提供する就労継続支援といった事業ごとに再編成をして、既存の授産施設等が新しい体系に移るような方策を提案しているところでございます。
  179. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 概念として、要するに場所で規定するんじゃなくて、機能で体系を組み立て直そうというのは分からぬでもないんですが、どうもイメージがよくわかないんですけれども。説明を聞きますと、その新たな体系には約五年ほど掛けて徐々に移行することになるであろうと、こういう説明も聞いているんですが、現時点でおおよそどんな感じになるのか、ちょっとイメージ的に新しい体系がどうなるのか語っていただけませんか。それとも、まだ今十分に語り切れないとすれば、この五年間の間に何をどうやって進めていくのか。そもそも、何で五年間掛かるのかなという気もしないでもないんですね。  ですから、現時点である種のイメージというか、基本的な構想があるんならばそれはそれで教えていただきたいし、どこか、例えばもう少し二年、三年先になってくると少し見えてくるというのであればそれでも構いませんが、ちょっと今の段階でどんなふうな施設体系になってきて、どんなふうなサービスがどこで受けられるようになるのかという話を、包括的な話じゃなくて、イメージ的に語っていただけると有り難いんですけれども。
  180. 塩田幸雄

    政府参考人(塩田幸雄君) 自立支援法案での機能ごとに事業を再編成するということで、御指摘のように、今現在必ずしもイメージがはっきりしてないというのは御指摘のとおりだろうと思います。新しいサービスごとにどういう利用者に対してどういうサービスを提供し、またそのサービスの評価をどうするかというようなことを一つ一つ明確にしていくことが必要だろうと思います。  現在、関係者意見を聞きながら検討を進めているということでございまして、この秋までにはもう少し具体的なイメージというか、たたき台を御提示できるのではないかと思っているところでございます。  それから、なぜ五年掛かるかということでありますが、かなり大きな改革になっておりますし、置かれている状況が施設などにおいてかなり違っております。かなり先駆的に取り組んでおられるところは直ちに新しい機能に移行することができると思いますが、厳しい環境下にある施設においてはそれなりの時間が掛かるということでございます。  それぞれの地域のニーズに応じてどういう移行策をしていくか、あるいは家族とか御当人、当事者にもかなり戸惑いもあるケースもあると聞いております。丁寧に説明をして新たな事業に転換をしていくことが必要であると思っておりますし、それから新しい事業をする上で何よりもスタッフのレベルアップ、ジョブコーチの活用とか、あるいは一般企業との関係でいろいろ勉強していただこうと思いますので、全体として移行が完了するにはやはり五年程度は必要ということで考えているところでございます。
  181. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 大臣ね、実は、利用する側あるいは家族の側からの不安と、それから施設でサービスを提供する側の不安と、両方の声が今わあっと来ているんですよ。まあ言えば五年先どうなるんだろうという、もしかしたらこの場にはいられなくなっちゃうんじゃないかとか、あるいはもしかしたらこの事業はもう存続できなくなっちゃうんじゃないかとかいうことも含めて随分不安感が今寄せられていまして、そのことが今回の改正に向けての一つの大きなブレーキになっていることも事実だと思うんですね。  そこで、今の御説明だと秋ごろには少し見えてくるのかなという御説明なんですが、私はできるだけ早く、あるいは少なくとも、少なくとも、遅くとも二年ぐらい後にはこういうふうになりますよという一定のビジョンというか絵をかいて、例えば今Aという施設にいる人が将来的にはAダッシュとBダッシュの方に替わることになるかもしれないけれども、決して居場所がなくなる話ではありませんよとか、いろんな説明の仕方があってしかるべきだと思うんですね。  だから、五年間掛かって丁寧に新しい施設体系に移行しますということは、それだけでは不安はちょっと収まらないので、中間的にある程度国会にも御報告をいただいて、皆さんにも、利用される方にも、それから施設のサービスに従事される方にももう少し見えるような手だてをどっかで節目をつくって報告をいただくべきだと思うんですが、いかがですか。
  182. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 今御指摘のことは、おっしゃるとおりだと思っております。  小規模作業所みたいなもので申し上げると一番、どうなるのという話が改めて分かると思うんですが、何千もある小規模作業所が今度は機能別にというふうに言っていますけれども、こんな事業をするところ、こんな事業をするところ、こんな事業をするところ、それぞれにこの小規模作業所はこういう事業をするものとして移っていくんでしょうねと、こういうふうな話になるわけでありますが、そこのところがどうも分かりづらいと、もうおっしゃっておられるとおりだと思います。正直言いまして、私もこの前も一体どうなるのかねと言ってしつこく聞いていたりしたことも事実でございまして、私がそういうことをやっているわけでありますから、皆さんも同じようなことをお感じになっておられるんだろうと思います。  そこで、今お話しのとおりでありますから、もう少し整理してお示ししないと全く皆さん不安に感じられる、そのとおりでありまして、どこかで早い機会に、もう少し分かりやすく整理して御説明申し上げたいと存じます。
  183. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 是非、できるだけ、まだ全然あいまいな段階でもまたかえって不安が強まっちゃうし、ある程度見えてきたところで、できるだけ早く、できればポンチ絵も作っていただいて御説明をいただきたいというふうに思います。  それじゃ、そのこととも関連してくるので、今日の段階ではなかなか細かいところまで行かないのかもしれませんが、先ほど、障害者福祉施策と雇用促進施策との連携強化ということで考えられているという基本的な考え方は御説明をいただきましたから、じゃ、それが具体的にどういうところでどういうふうに生かされているのか、一、二、例を挙げて御説明をいただきたいと思うんですが。  まず最初に御説明いただきたいのは、本年度の予算の中で新たな事業として計上されている、もうこれは動いているんですかね、まあその辺も含めて地域障害者就労支援事業について御説明ください。
  184. 金子順一

    政府参考人金子順一君) 雇用施策と福祉施策の連携の強化の柱の一つといたしまして、議員指摘のように、本年度から地域障害者就労支援事業というものを実施しております。これは、ハローワーク福祉施設や事業主とも連携しながら、福祉施設等を利用している障害者のうちで就職を希望する方を福祉から雇用まで一貫した支援を行うというスキームでございまして、具体的には、関係者によるチームを設置するというチームアプローチを取りたいと思っております。  それから、そのチームにおきまして障害者の方お一人一人に合った個別の支援計画作成する、これは言わばケアマネジメント的な手法を導入するということでございます。そして、その計画に基づきまして、就職に向けた準備から職場定着まで一貫した支援を行っていくというものでございまして、本年度から予算を措置させていただきまして、全国十か所のハローワークで、モデル的な当面実施ということになるかと思いますけれども、実施をしているところでございます。  実施しておりますハローワークは、都市型の大規模ハローワークでございます渋谷、それから大阪の堺といったようなところのほかに、様々な規模の労働市場を持ったようなところ、あるいは特徴のあるところを指定をさせていただいているところでございまして、静岡県の磐田、島根県の浜田、こういったところでも実施をさせていただいているところでございます。
  185. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 今、モデル的に十か所というお話でしたが、今はモデル実施という限界があると思いますけれども、この法律が仮に成立をしますれば、たった十か所程度のモデル実施ということではなくて、もう少し全国展開をしていくお考えがあるんだろうと思うんですが、ちょっとその点、念のためお尋ねしたいと思います。  そのことと併せて御説明いただきたいのは、従来から地域にあります障害者就業・生活支援センター事業、今先ほど御説明いただいた事業との関連も含めて、この障害者就業・生活支援センター事業は今後どうなっていくのだろうか。障害者自立支援法の制定によって、この障害者就業・生活支援センターの位置付けや運営の在り方が変わるのだろうかどうだろうかという心配も出てきていますので、是非その点も含めて御説明ください。
  186. 金子順一

    政府参考人金子順一君) 先ほど御答弁申し上げました地域障害者就労支援事業ということでございますが、これは今後に向けましては、できるだけ多くの地域で実施できるよう努力をしていきたいと思っております。  それから、もう一点お尋ねの障害者就業・生活支援センター事業についてでございます。こちらは、字にもございますように就業と生活ということで、こういった就業、生活を地域の中で、身近な地域の中で一体的に支援していこうというねらいの下で平成十四年度に制度が創設されたものでございます。省内で申し上げますと、私ども高齢・障害者雇用対策部と、それから福祉の方を担当しております障害保健福祉部、一体になりましてこの事業を運営しておるところでございます。  この地域障害者就労支援事業との就業・生活支援センター事業とのかかわりといったようなお尋ねでございましたけれども、先ほど地域障害者就労支援事業につきましては内容を御説明させていただきましたが、この中の就労支援チームの一員として、私どもとしては、就業・生活支援センターが参画をしていただいて十分にその機能を発揮していただくことを期待申し上げているところでございます。  また、もう一点のお尋ねでございます、今回の障害者自立支援法案によりまして授産施設、作業所等の施設体系が見直されることになるわけでございますが、この点についてのお尋ねでございますけれども、障害者の一般就労への移行の取組が進む中で、就職の準備段階から就職後の職場定着まで就業、生活両面にわたる支援を行うこの障害者就業・支援センターの果たす役割は、正に今回の施設体系の見直しとの関連でいえば一層重要な役割を果たすことになるというふうに考えております。まあ、その辺の具体的なリンケージにつきましては更に関係部局等も含めてよく調整をして検討していかなければならないわけですが、そういった十全に活用するという観点に立って位置付けをして、障害者の自立促進に努めてまいりたいというふうに考えております。
  187. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 今御説明のあった障害者就業・生活支援センター、お聞きすると、今年の四月現在で全国で九十か所ということであります。しかも、もう少し中身をお聞きしますと、なかなかこれまで、このセンターの中で精神障害者の就労支援雇用促進に向けた取組を積極的にやっていただいているところは必ずしもそう多くはないと。もちろん門戸を閉ざしているわけじゃないんでしょうが、十分に受け止めていただいている状況にはないのではないか。数はこれでいいんだろうか、その中身、受入れ体制はこれでいいんだろうかという心配が出てきています。このセンター事業について今後どのように拡充強化をしていくお考えか、お聞かせください。
  188. 金子順一

    政府参考人金子順一君) 現在、全国に九十センターが運営されているわけでございます。私どもとしては、障害者就職に当たっての支援や仕事を続けていくための支援という面で、日常生活面も含めましてこのセンターは十分な成果を上げているというふうに認識をしているところでございまして、今後におきましても、全国各地の障害者の身近な地域におけるサービス提供機関として支援センターの整備に図ってまいりたいというように考えております。  それから、精神障害者の方の取扱いについての懸念があるのではないかという御指摘でございますけれども、今、実はこの就業・生活支援センター、委託をしておりますのはほとんどが社会福祉法人でございますけれども、約一割のセンターが精神障害者生活支援や授産を実施しております社会法人が運営をしております。そういうことで、こういったセンターでは精神障害者の方の扱い件数が業務全体の中で比較的高くなっております。  ただ、今後、精神障害者の方が更に増加していくということになりますと、各県センターに対しまして、精神障害者に対する支援を特に強化するよう指導をお願いをしていく必要もあるのかというふうに考えております。そういった観点で適切に運営してまいりたいと思っております。
  189. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 時間が来ましたので終わりますが、是非、その福祉サイドの仕組みというか体系が変わる、雇用促進の側にあった体制もそれによって多少変化を受けながら組み立て直されていく、その両者の関係がどうなってくるのか、まだもう一つ見えないんですね。しかも、何か先ほどのお話にもありましたけれども、結構、センターとかいう名前があっちにもこっちにも出てきて、何か余計理解しにくい。もう少しネーミングも含めて考えたらどうだろうかという気がするんですが、是非もう少しお二人協力して、分かりやすい解説図を作っていただきたいことをお願いをして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  190. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 公明党の遠山清彦でございます。  今日は朝から多くの同僚委員からこの障害者雇用促進法にかかわる質疑がございまして、私のこれからの三十分の質疑の中でも重複するところもあるかと思いますが、御容赦をいただいて、御答弁いただければというふうに思います。  まず最初にお伺いをいたしますけれども、厚生労働省にもいろんな形で情報が入っているんだろうと思いますが、障害者の方が雇用先で体罰や虐待などを受けているという話が一部でございます。私のところにも、匿名ではございますけれども、そういう、息子さんが障害者で、職場でそういった体罰や虐待を受けたという方からメールが届きました。  その中身、簡単に申し上げますと、有害な薬品を素手で触らせられて手のかぶれが一向に収まらなかったという話でありますとか、あるいは、本人は本人なりに一生懸命努力して働いてはいるんですけれども、毎日のように殴られて、挙げ句の果てに、おまえなんかしようがなくて雇っているんだというようなことを言われてしまったということでございます。  幾ら障害者の方で雇われる方を増やしても、こういった問題がありますと、何というか、非常に大きな社会問題として残っていくわけでございますし、また一部では、支援金目当てに障害者雇用している企業もあるのではないかという指摘もあるわけでございます。  それで、最初の質問になりますけれども、厚生労働省として、こういう、かなり悪質な例だとは思いますけれども、障害者の方が職場環境の中でこういった体罰であるとかあるいは虐待などを受けていることがあるということについてどのような見解を持ち、また対応をされているのか、お伺いをしたいと思います。
  191. 衛藤晟一

    ○副大臣衛藤晟一君) 障害者が人としてみんな同じように尊厳を持って働かなければいけないというふうに思っておりますけれども、そういう環境をつくるということを思っております。そういう意味で、そのような今委員指摘のような差別の実態があるということについては大変悲しむべき状況でございます。  公共職業安定所では、ジョブコーチやあるいは障害者就業・生活支援センター等と連帯いたしまして、就職後に事業所を訪問するなどして障害者及び事業主に対しまして職場適応措置を行うとともに、差別やいじめの相談・苦情の窓口の提供を行うことのほか、福祉機関あるいは人権擁護機関等の関係機関による障害者雇用連絡会議の定期的な開催を通じまして、これらの関係機関との連携を密にしまして、差別等の訴えがあった場合には関係機関が迅速に連携をいたしまして障害者及び事業主に対する助言や指導を行い、障害者が安心して働ける環境の整備に努めているところでございます。引き続き、もっと、このいじめや差別の問題について検討してまいりたいというふうに思っておるところでございます。  また、委員の中でも、このような障害者の差別、いじめの問題について特にもっと考えなければいけないんではないのかという意見もありますので、私どももそれに対してもっと対応を強めてまいりたいというふうに思っているところでございます。
  192. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 くれぐれも厳格な対応をよろしくお願い申し上げます。  続きまして、他の委員の先生方からもありましたが、精神障害者雇用の問題について幾つか伺いたいというふうに思います。  まず、その前提としてお伺いをしたいんですけれども、ここ十年間で精神障害者の方の数が急増したという指摘がございますけれども、その精神障害者の数の推移についてお伺いをしたいんですが、二つのベースでお答えをいただきたいと思っております。  一つは、患者推計ベースでお答えをいただきたいということと、あと、これは平成七年からの導入になると聞いておりますが、精神障害者保健福祉手帳所持者ベースでのこの数の推移をちょっと教えていただきたいと思います。
  193. 塩田幸雄

    政府参考人(塩田幸雄君) 厚生労働省におきましては三年ごとに患者調査を行っております。これにより推計した精神障害者の患者数でありますけれども、平成八年が約二百十八万人、平成十一年が約二百四万人、平成十四年が約二百五十八万人となっております。この中で、平成十一年の患者調査と平成十四年の患者調査を比較しますと、総患者数は約五十四万人増加しております。特に、うつを含む気分障害の増加が約二十七万人と、約一・七倍になっております。  また、精神障害者保健福祉手帳制度の手帳所持者数ですけれども、平成七年手帳制度が創設されましたが、平成七年が約三万人、平成十一年が約十六万人、平成十五年が約三十一万人となっておりまして、ここ数年、対前年度比で二割前後の割合で増えております。  このように、患者調査による推計患者数の推移、精神障害者保健福祉手帳所持者の推移によりまして、精神障害を持つ方々の数は増加していると考えております。
  194. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 今、部長からお答えをいただきましたとおり、平成十一年から十四年の三か年で約五十万強、精神障害者の方が患者として増えている。また、手帳所持者の数も、平成七年三万人で、今三十万人を恐らく超えているわけですから十倍の増加ということで、私、今三十代ですけれども、二十代、三十代の若い方々の間でも、うつ病を含めた精神病で悩まれる方が増えているなという実感を私も持っておりますし、私も大学で教鞭執っておりましたときに、学生の中でもそういったことで悩んでいる方が多かったように記憶をしております。  ところで、こういう精神障害者の方の数が増えてきた背景について厚生労働省としてはどのような分析をされているのか、お伺いをしたいと思います。実数として正に精神障害者の方が増えていったのか、それとも、最近は日本社会の中で精神障害者に対する偏見が減じた結果、認知される度合いが高まってこういう数字となっているのか、判断の難しい問題ではございますけれども、どのように分析されているのか、お示しをいただければと思います。
  195. 西博義

    ○副大臣(西博義君) 精神障害者が結果的には増えておりますが、その背景はいかんと、こういうお話でございます。  私も、もう十数年前になりますが、それまで教鞭を執っておりまして、やはり勉強の最中で、勉強以前の問題でやはり生活が乱れたり精神的に非常に落ち込んだりという人がたくさん経験をしておりますが、途中で不幸にして辞められたりした人もいるんですが、その途端にまた元気になるというか、それは取りも直さず大変なストレスがあったんだなということを感じたりしておりました。  今回、特にうつを含む気分障害が増えている、こういうふうに統計では出ておりますが、まさしく現代社会の中で様々なストレスが我々の中に増えてきている、これがこのうつを中心とした気分障害増加の一つの原因といいますか、影響が表れているんではないかというふうに考えております。  また一方、この推計は精神科を受診した人の数からさかのぼって推計をしていくわけですが、最近、実は精神科の病院というものは診療所の数も随分増えておりまして、例えば平成八年では三千二百か所が、平成十四年になりますと四千四百か所ということで急増しております。それに従ってお医者さんの数も増えているわけですが、心の問題について社会的な関心が一方では高まっていると、また、精神科を標榜する診療所が増えて、受診の機会も増えているというようなことも若干影響しているんではないかというふうに考えておりますし、また、その精神科に受診をするに当たってのハードルといいますか、垣根も日本の社会の中で比較的低くなってきているんではないかという気もしております。  原因はいずれかということは定かではございませんが、いずれにいたしましても、精神疾患というのは我々だれもがある意味ではかかり得る可能性のある病気であるという認識の下で、これから精神障害者に対していろんな社会福祉サービスなど適切な社会的な支援をして、そして社会全体で今後支えていく必要があろうというふうに考えているところでございます。
  196. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 大変丁寧な御答弁ありがとうございます。  精神障害の方、増えているという一方、今副大臣おっしゃったとおり、だれでもかかり得る病であるということで、すぐそれが差別とか偏見に結び付かないような努力というのを我々もしていかなければいけないというふうに思っております。  そこで今度、先ほど来当委員会で話題になっております、それだけ精神障害者が増えてきたという背景もありまして、今回、雇用率の算定対象に精神障害の方を加えるということになるわけですが、ちょっとそもそも論で恐縮なんですけれども、なぜ今までこの精神障害者の方を算定対象にしてこなかったのかという点について御答弁お願いしたいと思います。
  197. 金子順一

    政府参考人金子順一君) 障害者雇用促進法に基づきます雇用率制度適用対象と申しますのは、制度発足当初は身体障害者のみを対象にしていたということでございまして、その後の改正におきまして知的障害者が加えられたということでございます。  その後、精神障害者雇用につきましては関係方面から大変強い要請も受けるようになってまいりました。その背景には、精神障害者の方々の就労に対する希望が非常に増えてきていると、現在公共職業安定所に登録されている精神障害者の方の割合というのもかなり大きくなってきておりまして、一割ぐらいが精神障害者の方というような状況にもなってきている。  こういった精神障害者をめぐる状況の中で今般対象としたわけでございますが、これまでの反省ということで申し上げれば、精神障害者の方の雇用の就労の実態といいますか、そういったものが必ずしも十分できていなかった部分もございますし、先ほど来議論になっておりますプライバシーの問題をどうするかというような課題もございました。さらに、その前提として、やはり企業に十分御理解をしていただかなければいけない、これが前提になるわけでございますが、この点も十分でなかったということでございます。  幸い、平成十四年以来、前回の障害者雇用促進法の改正以来、この点について積極的な検討を求められたということもございまして、研究会におきまして大変多くの先生方に御参加をいただき、また審議会におきましても熱心な御議論をいただいて、今般こういった形で御提案をさせていただくことになったということでございます。
  198. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 ありがとうございます。  それで、この精神障害者の方が雇用率に算入をされるということになっても、先ほど掘り起こしの問題が出ていたんですけれども、やはりまだ企業の現場では、偏見を恐れてカミングアウトできないというか、してこれない精神障害の方も多いのではないかというふうに予想されますが、この点について厚労省としてどういう見解をお持ちか、お答えをお願いします。
  199. 衛藤晟一

    ○副大臣衛藤晟一君) 議員指摘のとおり、現状では、職場だけではなくて社会全体の中での障害者に対する理解が、とりわけまだ精神障害者に対する理解が進んでいない面がございます。精神障害者についても、職場で明らかにすることを望まない方がいらっしゃることを私どもも承知をいたしております。  そういう中で、こころのバリアフリー宣言という形で、心の健康問題の正しい理解のための普及啓発指針の活用によりまして、精神障害者に対する国民各層の理解の浸透を図っていく、あるいは普及啓発冊子の作成やセミナーの開催等によりまして、本人はもとより、家族、就労支援関係者企業等の関係者に対して精神障害者の職業的な自立についての意識啓発を行うこと等をやってまいりたいと思っております。  いずれにいたしましても、今までは、過去におきましては精神障害は医療の問題として言われておりましたけれども、それを私どもは三障害として改めて位置付け、そして社会復帰という問題を柱として大きく据えたわけでございまして、その中でのいわゆる就労について今充実を図ってまいろうとしているわけで、この法律を出したところでございます。
  200. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 今副大臣がお答えになったことがうまくいった場合のその延長線上の話ですけれども、先ほど来、精神障害の方、人数は増えていると。今回雇用率に算入されますので、企業側は精神障害の方を従来よりも積極的に雇用をするということになっていくと思うんですが、その際の、逆に今までは身体、知的障害者の方の雇用数だけが雇用率として出ていたわけでありますが、そちらの比重が相対的に落とせる、落ちていくということで、こちらの、元々の身体、知的障害者の方々の雇用にマイナスの影響があるんではないかという懸念がございますけれども、その点についてはいかがでしょうか。
  201. 金子順一

    政府参考人金子順一君) 精神障害者を実雇用率算定の対象とすることによりまして、これまで対象になっておりました身体障害あるいは知的障害の方の雇用促進が後退するおそれがあるんじゃないかという、こういう御指摘でございます。  まず一つ数字的なことで申し上げますと、現在の法定雇用率一・八%ですが、大変残念なことに現在一・四六%という実雇用率になっております。今回の法改正によりまして、今、恐らく在職で働いていると考えられる精神障害者手帳所持者の方がカウントされたと仮定した場合にも、大体〇・〇九%の上昇にしかすぎないということで、そういう意味では、すき間がまだ相当あるという現実でございます。そういった点もございます。  ただ、そういった中で、逆に身体障害者や知的障害者の方の雇用をするインセンティブが落ちていくんじゃないかというおそれも当然あるわけでございまして、そういった身体あるいは知的の方の雇用促進につきましても、これに併せてやはり同時並行的にきちんと取り組んでいかなければならない、こういう必要があるというふうに考えております。
  202. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 是非その辺の調整をしっかりやって、行政の側でできることはやっていただきたいというふうに思います。  それで、次に、この精神障害者雇用にかかわる質問としては最後の質問になりますが、大臣に是非お伺いをしたいんですけれども、私、先日、この法案の審議に先立ちまして、東京障害者職業センターを、現地を視察をさせていただきました。そこで行われている重要な支援業務等についての説明を直接受けまして、センターの中も視察をさせていただいたわけでございます。このセンターは独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構が運営をしているわけでありますけれども、私が当日説明を受けました業務の中で特に強い関心を持ちましたのが、リワーク事業というものでございます。  これは、大臣、最近、昨年度から始めたと東京のこの職業センターでは聞いていますけれども、要は、精神障害者の方で現在休職中の、会社を休まれている方々がスムーズに職場に復帰するための支援をしている事業でありまして、大変重要な事業だなというふうに私は思ったわけでございます。それは、私の今日の委員会での質疑でも明らかになったように、精神障害の方、増えていると。一方で増えているその精神障害の方々が就労意欲を持っておられて、薬を服用することで精神の安定性を確保しつつ仕事をちゃんとしたいという方も多いわけですし、また、今回の法改正の以前から企業の側でもそういう本人の意向とか努力に理解を示して、ちゃんと職場復帰できるんであれば受け入れたいと、また、主治医になっている先生方もそれをサポートすると、こういう関係者三つが、三つの関係者が合意した場合に限っておるようでありますけれども、この職業センターでリワーク事業をやったと。そうすると、昨年度は利用者は三名であったそうでありますが、今年は今日までに既に十一名の利用があるということでございまして、今後利用者も急増していくんではないかというふうに私思っております。  それで、もう大臣、これは質問というより要望に近くなるんですけれども、この独立行政法人も当然今の状況ですから厳しい財政の制約の下でいろんな事業をやっているわけでありますが、私は、今回の改正を一つの契機として、予算執行に、まあ既に今までもめり張りは付けておられると思いますが、このリワーク事業については重点的に拡充を図っていくべきではないかというふうに思いますけれども、御見解いただきたいと思います。
  203. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 今お話しいただきました精神障害者職場復帰支援事業、通称リワーク事業と言っております、そちらの方で今お話しいただいたわけでございますけれども、この事業は、これまたもうお話しいただきましたように、休職中の精神障害者の円滑な職場復帰を支援することを目的とした事業でございまして、平成十六年度から全国六か所の地域障害者職業センターにおいて開始したところでございます。このたび、先生にはそのうちの一つの東京の方をごらんいただいたわけでございます。  具体的には、休職しております精神障害者に対し、生活リズムの構築、基礎体力の向上を図るとともに、リハビリ出勤の支援を行いまして、職場復帰に向けたウオーミングアップを実施いたしますとともに、事業主に対して、職場の受入れ体制の整備、障害者状況に配慮した指導方法、家族や医療機関等との連携体制の整備に関する支援を行っておるところでございます。  そこで、これを更に拡充したらどうかという今のお話でございますけれども、本年十月からは、精神障害者に対する雇用支援を一層強化いたしますために、本事業を発展させまして全国の地域障害者職業センターにおいて専任のカウンセラーを配置をいたしまして、復職支援に加えまして雇入れ雇用継続についての総合的な支援を実施することとしておりまして、こうした事業を通じて休職中の精神障害者に対する職場復帰支援についても全国的な展開を図ってまいりたいと考えております。御指摘のとおりに拡充してまいりたいと存じております。
  204. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 大変うれしい御答弁、ありがとうございました。是非、全国で拡充をしていただきたいというふうに思います。  続きまして、障害者雇用率達成度の問題と特例子会社の件について御質問しようと思っておるんですが、先ほど家西悟委員のいろんな御質疑でも大分答えが出てしまったところもありますので、若干時間の関係もあって割愛させていただいて、大臣にまたちょっと続けてで恐縮ですがお伺いをしたいんですが。  本年六月二十四日に、厚生労働省は、この障害者雇用促進法第四十七条に基づきまして、平成十六年度において政府の勧告に従わず障害者雇用率改善を、一定の改善達成できなかった企業名二つを公表いたしました。公表された企業は、もう公表されておりますので率直に申し上げますが、静岡県の富士ハウス株式会社と大阪府の朝日ユニバーサル貿易株式会社の二社でございます。  お聞きをしたいのは、この二つの企業改善が見られなかった理由について厚生労働省としてはどういうふうに見解を持たれておるのか、具体的にお示しをいただきたいと。また、そうした分析を基に今後こういった、悪質なとは私申し上げませんけれども、しかしながら、政府の方で改善を再度にわたって勧告をしているにかかわらず達成ができなかったような会社については、どのような取組をされていくのか、併せてお答えいただきたいと思います。
  205. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 障害者雇用促進法におきましては、雇用義務の履行を促すための措置といたしまして、雇用が進んでいない企業に対し、まずは雇入れ計画作成計画の適正実施勧告などを行った上で、さらに、これに従わない場合に最終的な措置として企業名の公表を行うこととしております。このたび、そうしたことで企業名の公表、二社、行ったわけでございます。  その一社につきましては、ハローワーク、労働局、本省の各段階にわたる一連の指導にもかかわらず、企業トップの障害者雇用に対する理解が得られなかったこと、全く理解してもらえなくて雇用が進まなかった、それでもう公表したというのが一社でございます。  それから、もう一社でございますが、これは、相当数の障害者雇入れが行われたものの、雇い入れた障害者の定着が不十分であったこと。この会社はどうも、雇っちゃ辞める人が多く出て、ぐるぐるぐるぐる、そういう表現がいいのかどうか分かりませんが、こう雇っちゃ辞める、雇っちゃ辞めるということで、障害者も、雇ってはもらったんですが、またすぐ辞めて、どうしても雇用率が上がらなかったということで、やむを得ずこれも公表したと、こういうことでございます。  今後についてでございますが、このところ企業の法令遵守、コンプライアンスが非常に重視される御時世でございますので、そういった社会的な責任が重視される中で、こうした公表するという措置は効果も大きくなってきていると私どもは判断いたしますので、今後ともそうした公表もさせていただきますし、さらに、ハローワーク、労働局において訪問指導などを行いまして、企業のトップの障害者雇用に対する理解を促すとともに、これはもう先ほどの御質問にもありましたが、私も本当にそう思います、トップの姿勢というのが大変企業全体を占めておりますので、どうしても理解してもらわなきゃいけない、そして雇用管理を改善して障害者の職場定着が促進されるように強力に指導を進めてまいりたいと存じております。
  206. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 大臣、よろしくお願いいたします。  時間なくなってきたんですが、特例子会社について二問ぐらいさせていただきたいと思います。政府参考人で結構でございますが。  特例子会社の設置を厚労省として推進をしておりまして、現在、現在というか、平成十六年度末で百六十二社が認定されているというふうに理解をしておりますが、ところで、企業側から、当然障害者雇用率改善のために特例子会社をつくるということはいいことであるけれども、採算が合わずにどうしても赤字になることが多いのではないかという声が一部あるようでございます。  こちらの労働局とかハローワークで出しております「特例子会社を創ろう」というパンフレットを私も読まさせていただいたんですが、この中では、この採算については、最初の数年は赤字だったけれども、その後少し黒字になっているようだという、既に特例子会社をつくった会社のことをそういう表現でしか触れておらないんですね。  今回、質問するに当たって厚労省にお伺いをしたら、この百六十二の特例子会社の経営状況がどうであるかということは掌握していないということでございまして、それはそれで結構なんですけれども、私も決して障害者雇用するための特例子会社でもうけようという企業があるとは思いませんけれども、しかしながら、親会社との連結決算等もございますでしょうし、大幅な赤字になればこれはやはり民間会社でございますので大変に問題になるわけでございますが、この辺の採算等についてはどういうふうに現場ではアドバイスをされているのか、その辺ちょっと、答えづらいかもしれませんけれども、お答えいただきたいと思います。
  207. 金子順一

    政府参考人金子順一君) 特例子会社の経営状況についてのお尋ねでございますけれども、率直に申し上げまして、私どもも特例子会社全体について十分内容を掌握しているわけではございません。ただ、よく経営者の方ともお話をするんですが、そういう際にやっぱり総じておっしゃることは、やはり障害者雇用に伴う特別な負担も大きいので各社とも厳しい経営環境の中にあるというお話をされるわけでございます。そういう意味で、大変御苦労して経営をされている状況にあるのではないかというふうに考えているところでございます。  ただ、会社でございますから、赤字続きでいいわけではないというのも、これはまた経営者としては当然の姿勢だろうと思いますが、そういったお話も聞いているところでございます。  とにもかくにも、障害者雇用ということで特例子会社設置しているわけですので、これはもう絶対つぶすわけにはいかないんだという強い決意もお聞きする機会もあるわけでございます。そういったお話聞いておりますと、私どもとしては、特例子会社のこのような御努力を無にすることがないように、障害者雇用に関する各種の支援策の一層の活用等を図っていくことが重要ではないかと、こんな感想を持っているところでございます。
  208. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 時間が参りましたが、一言だけ。  大臣、この特例子会社、非常に、つくられている企業障害者雇用に深い理解を持った上でこういうことをやられていると思うんですけれども、近年また増えてきているようでありますが、今後もっと推進する上で、きめ細かい助言、指導というのを関係機関で督励をしていただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  209. 紙智子

    紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  初めに、森岡厚生労働務官の六月二十二日の発言について伺います。  東京裁判が本当に正しかったのか、国民に訴え、世界にも発信すべきだというふうに述べました。東京裁判の正当性を否定する発言を行ったわけです。これに対しては、細田官房長官も、東京裁判について不当なものとしての異議を述べる立場にないというふうに言い、小泉首相も記者団に、一議員と政務官の立場をよくわきまえてもらいたいと述べています。  森岡政務官は以前もこういう発言を繰り返していまして、政務官としては極めて不適切な発言だと思いますけれども、尾辻厚生労働大臣の認識をお聞きしたいと思います。
  210. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) まず、森岡政務官の発言は、あくまでも一代議士としての発言である、このように認識をいたしております。  一方で、厚生労働大臣政務官の職責につきましては、六月二日の衆議院の予算委員会等の質疑の中で、森岡政務官自身が首尾一貫して、あくまでも、小泉政権の中で、私は総理の指示に従ってこれからも行動してまいりますと明確に答弁しておるところでございますから、その答弁どおりに政務官として頑張ってもらいたいと考えております。
  211. 紙智子

    紙智子君 厚生労働務官というところにありながら、こういう形での発言を繰り返してその都度問題になるということ自体が私は非常に問題だというふうに思っています。繰り返しこういうことをやるということでいえば、やはりふさわしくないということで、はっきり罷免をすべきだということを最初に申し上げておきたいというふうに思います。  続いて、法案の質問に入ります。  障害者雇用促進法の改正案についてですけれども、精神障害者雇用率の算定対象とする今回の改正については、精神障害者雇用対策としての一歩前進ということで賛成です。しかし、実際に障害者雇用拡大する上では様々な課題があると思います。  先ほど来議論になっていますけれども、民間企業法定雇用率一・八%と。未達成企業数、割合は年々増加をしていると。二〇〇四年には五八・三%の企業が未達成で、特に一千人以上の大企業で七〇・八%が未達成と。こうした中で、今回、既に企業で働いている精神障害者が実雇用率に含まれるということになるために、身体障害者、知的障害者雇用が後退するおそれがあるんじゃないかと。ですから、法定雇用率を引き上げるべきではないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
  212. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 午前中からの先生方の御質疑の中でも指摘されておることでございますが、精神障害者につきましては、将来的には雇用義務制度対象とすることが考えられますけれども、現状では、これまたお答えを申し上げておりますように、精神障害者雇用に対する企業の理解とノウハウが十分に普及しているとは言い難い状況にありますことから、今般の改正におきましては、精神障害者を各企業雇用率に算定し、精神障害者雇用する企業努力を評価することとしたところでございます。  では、そのことが身体障害者、知的障害者雇用が後退することにつながるかどうかという御指摘でございますけれども、そのことに申し上げますと、今、法定雇用率を上げるべきだというお話もございましたが、法定雇用率一・八%と、今のままということで申し上げますと、その一・八%と、実雇用率の平均が今一・四六%でございますから、まだ残念ながらこの一・八%と一・四六%の間にかなりの開きがあるということがございます。  それからまた、これは先ほど部長よりお答え申し上げた数字でございますけれども、実雇用率の上昇について申し上げますと、精神障害者保健福祉手帳を所持する常用労働者が雇用率の算定対象となった場合に〇・〇九%程度と推定されますので、この分だけが伸びるというふうに考えますと、先ほどの一・八%との間にまだ残念ながら開きがあるということを更に申し上げておるところでございます。  したがいまして、今回の改正による影響が身体障害者や知的障害者雇用の阻害につながる、直接つながるとは考えておりませんけれども、そんなことが万一あってはいけないわけでございますので、私どもは更に身体障害者や知的障害者雇用促進に一層努めてまいりたいと考えておるところでございます。
  213. 紙智子

    紙智子君 ドイツやフランスなどは六%ということで、そういうところと比べても我が国の法定雇用率は低いということでは、やっぱり一層の見直し検討が求められているというふうに思います。  続いて、一九七六年のこの法改正で現在の法定雇用率制度がスタートしたわけです。当時は身体障害者のみが対象となっていて、重度障害者ダブルカウントされますけれども、このダブルカウントを除いた実際の雇用障害者数は十一万三千四百二十人と、常用労働者数に占める割合が〇・九六%。最新の身体障害者雇用状況は、ダブルカウントを除くと、実人数と常用労働者に占める割合は十六万三百五十四人、〇・九一%というふうになっていて、制度発足以来三十年近くたっているわけですけれども、むしろ後退していると。ダブルカウント制度によって重度障害者雇用が進んだというのは前進だと思いますけれども、一方で比較的軽度の障害者雇用が進んでいない実態は改善すべきでないかと、実人数でも前進することを目指すべきではないかというふうに思いますが、いかがでしょう。
  214. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 今御指摘いただいた数字でございますが、一言で言うとそのとおりでございます。  改めて申し上げますと、一・八%の法定雇用率適用される民間企業雇用される障害者の実人数は、ダブルカウントされた分を除いて計算いたしますと、平成四年以来大体もう十八万人台で横ばいで推移をしておる、そのとおりでございます。  御指摘のように、雇用障害者の実人員を増加させるためには、事業主に対する達成指導と求職障害者就職支援をともに推進していくことが重要であると認識いたしておりまして、不足数の多い企業を中心に指導するなど、対象を重点化した雇用率達成指導を行う、また、トライアル雇用やジョブコーチ支援あるいは各種助成金等の就職支援策を活用するなどの施策を通じまして、実人員の増加を図ってまいりたいと考えております。
  215. 紙智子

    紙智子君 ちょっと一つ、もう一つあるんですけれども、これもちょっと先ほど重なって質問をされていたので、もう一つ飛びまして、小規模作業所などの仕事への拡大の問題です。  それで、厚労省は地方自治体に対して繰り返し官公需の発注の促進を通知してきたと思います。国の機関の官公需発注の状況がどうなっているかというと、これはせいぜい、ちょっとお聞きしたところによりますと、厚労省本省でも封筒を年間七百万円程度かなというふうに思うんです。それで、やはり地方自治体でも様々な努力をしているわけで、国も率先して発注すべきだと思うんです。先ほどもいろいろ、どなたか質問の中でも言われていましたけれども、やはり各省庁ごとに目標と、そして毎年の実績も明らかにするなど、取組を強化する必要があるんじゃないかと思いますけれども、いかがでしょう。
  216. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 障害者の皆さんの就労の機会を拡大して地域での自立した生活支援するために、小規模作業所でありますとか福祉施設が仕事を拡大できるようにすることが極めて重要だと認識をいたしております。  このため、昨年十一月には、地方自治法施行令の改正によりまして、地方公共団体が小規模作業所や福祉施設と随意契約により製品の調達を行えることといたしまして、小規模作業所等に対する官公需の拡大を図ったところでございます。  私ども厚生労働省といたしましては、都道府県等に対してこうした仕組みを積極的に活用するように周知を図りますとともに、私ども政府としての官公需の優先発注の取組についても関係省庁と検討しておるところでございます。  また、小規模作業所の製品の販路の拡大などが図られますよう、今年度から小規模作業所に対する経営セミナーを開催するなど、支援のための事業を実施することといたしております。  今後とも、障害のある方々の働く場や機会の拡大努力をしてまいりたいと存じます。
  217. 紙智子

    紙智子君 それでは、次に行きますけれども、あん摩マッサージ指圧師試験の受験の無効となった問題についてです。  これは、一方でこういう形で障害者雇用促進する法律を議論しているわけですけれども、それと矛盾するようなことが現場では実際起こっているということでもあります。  それで、あん摩マッサージ指圧師、はり、きゅうのいわゆる三療というのは、視覚障害者の職域の拡大取組がされているとはいっても、実際に視覚障害者の方が最も多くの人が従事している職業になっています。老人ホームへの就職や、あるいはヘルスキーパーですね、として雇用する企業も、徐々にではありますけれども増えています。  大臣、これらの資格は歴史的にも、それから実態から見ても、いまだに視覚障害者の職業的な自立、働く場の確保を保障するために抜きには考えられない不可欠な資格で、ほかの国家資格とは違う特殊性があると思いますけれども、この点についての御認識を伺います。
  218. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 今言われましたあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師が行う業務についてでございますけれども、少し振り返ってみたいと存じます。  これらは、近代以前の古い時代から我が国において行われてきた伝統のあるものであるとまず認識をいたしております。そして、それが明治に入りまして、それぞれの施術に対する取締規則が制定されましたが、このうち、按摩術営業取締規則では、視覚障害者だけが受験できる、内容が簡易な試験を設ける等の措置がとられております。  その後、変遷を経て制定されました現在のあん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律、よく、あはき法と、こういうふうに略して言っておりますけれども、この法律におきましては、昭和三十九年の改正によりまして、視覚障害者保護のために、あん摩マッサージ指圧師について、晴眼者と視覚障害者の比率とを考慮いたしまして、晴眼者を対象とする学校養成施設の認定、定員増の承認を行わないことができる旨の規定が追加をされたところでございます。  また、昭和六十三年の改正によりまして……
  219. 紙智子

    紙智子君 短めにお願いします。
  220. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) まあ、いろいろそうしたような過去の歴史があるということを申し上げて、先生のおっしゃったということは、そういう経緯がありますということを申し上げようとしたところでございます。  したがいまして、こうしたものというのは、視覚障害者の職域の確保という側面があるということを私どもも考えております。
  221. 紙智子

    紙智子君 それで、この視覚障害者にとって、その後の人生設計を懸けたあん摩マッサージ指圧師の国家試験で、今年の三月、国の機関の過失によって受験が無効になるという事態が起こったんです。国立函館視力障害センターの入所者が今年の二月二十六日に行われたあん摩マッサージ指圧師国家試験を受験したんですけれども、受験手続を行った同センターのミスで、三月二十二日までに提出しなければならない修業証明書が三名分、試験実施機関である財団法人東洋療法研修試験財団に提出されずに、受験したにもかかわらず無効となったんですね。  そのうちの一人で可香康信さんという方、六十三歳なんですけれども、三年間実は死に物狂いで勉強してきたんです。自己採点で合格点は十分に上回っていたにもかかわらず、手にすることができたはずの資格が目前で奪われてしまったと。  受験にかかわる書類作成、送付などの手続はすべてセンター側が行っているわけです。で、財団が作った受験案内はプリントされた文書だけで、視覚障害者が多数受験するにもかかわらず、このテープや点字はないと。センターでの受験者に対する説明会では、修業証明を提出期限までに出さなければ受験無効となるという説明もないと。本人は試験結果が出て初めて事実を知って愕然としたわけです。  今回の事態というのは、受験者本人に過失や責任が全くないというふうに思うんですけれども、まずこのことをちょっと確認をしたいと思います。短くお願いします。
  222. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) 医療関係職種の国家試験の受験資格でございますけれども、試験日の関係で卒業とか修業見込み証明書で受験した場合でも、その後、卒業あるいは修業証明書の見込みがあれば、合格点に達した者については合格者とするというルールになっております。したがいまして、卒業見込み証明書によって受験した人が、その卒業証明書がないというものについては、官報の公告ですとか受験案内で受験が無効となるという旨を受験者に伝達しております。  したがいまして、今回の場合には、私ども、この当該センターにおいて、受験者の便宜上、その入所者が提出すべき書類を一括して財団に提出するという方法が取られたということですけれども、この場合、その当該センターと入所者との間でどのようなやり取りが行われたかということは私どもとしては承知しておりませんが、定められた必要な書類の提出がないということであれば受験は無効とせざるを得ないと考えております。
  223. 紙智子

    紙智子君 ちゃんと質問したことに答えていただけませんか。  実際に本人は手続にかかわってないで、もう出したものと思っていたわけですから、本人に過失があるかどうかということを聞いたんですよ。答えてくださいよ。短く。
  224. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) 本人に過失があるかどうかということは、私ども試験を所管しているところとしては分かりません。ただ、書類が出なかったということでございます。
  225. 紙智子

    紙智子君 全く無責任な答弁だと思うんですね。本当にひどい答弁だと思いますよ。  この間、この可香さん本人も、函館から上京して、そして厚生労働省や財団に直接救済を要請したんですよ。ミスを犯した国立センターからも何度も救済を求めているんですよ。私も何回も厚生労働省に要請しました。しかし、厚労省は断固拒否すると。  その理由は何かというと、今おっしゃいましたように、官報の公告で、期限までに修業証明書が出してないと、そういう場合は受験無効としていて、それを覆すことができないと。今回のケースだけ特例を設ければ、それで無効になった人の公平性が問題が生じると。こういう実務的なことでやられてないということが理由なわけですよ。  しかし、公平性ということで言えば、これまでに視覚障害者の施設や学校の入所者が本人に責任のない理由で受験が無効になったケースはないと思うんですよ。仮に、実際に合格した人を不合格にしたら、それこそ公平性を欠くんじゃないですか。  可香さんは、このあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師に関する法律で定められた受験資格、つまり必要な単位の修得は期限までに修得しているんですよ。先ほど確認したように、本人は結局、全然その覚えがないと。実際にこれ出しているものだと思っていたわけです。  法律では、受験が無効になるのは、不正行為を行ったときとそれにかかわったときだけなんですね。可香さんを救済できない法的な根拠というのはどこにもないんじゃないかと思いますけれども、いかがですか。
  226. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) 何度も申し上げておりますように、試験日の関係で卒業見込みの証明書で受けた方が、その後、卒業証明書を出していただきたいということで、官報の公告、受験案内でも言っておりまして、それがない者は受験が無効であるというふうに申し上げておりますので、手続上はそのように、すべての国家試験がそのようなルールで行われているという以上、そのルールに従うほかはないというふうに考えております。
  227. 紙智子

    紙智子君 確かに、ミスで書類は期限に出てないわけです。しかし、実態的にはこの可香さんは受験資格を有しているわけです。  法律に基づいて策定された試験の事務規程では、修業証明書は実施計画に定めた日までに提出させることというふうにあるだけで、受験者本人を無効にできる規定はないんですね。救済できない法的根拠はないことは明らかですし、救済しなければ公平性も欠くんじゃないですか。  私は、大臣、このことというのは御存じでしたか、どうでしょう、この事実に関して。
  228. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 率直に申し上げまして、このことが発生しましたときに、私も報告を受けました。そして、これまた極めて正直に申し上げますが、随分私も悩んだものでございます。どうするのが、この事態が発生して、もう発生した後でございましたから、どう対処するのが、まあ正しいという表現があるかどうかは分かりませんが、一番適切であるのかどうかということで悩んだんですが。  そこまで答えを求めておられるかどうか分かりませんが、もう立たしていただいたついでに申し上げますと、どうしても試験をする側、する側の理屈で言いますと、これまた反対側の理屈はありますけれども、試験をする側の理屈としては、官報にそこまで言っているものを曲げるわけにはいかない、国家試験その他いろいろ試験しておりますから、そこのところで一つこうした例外みたいなものをつくると、そうしたケースをつくると、これは、その後、どうしてもこれはどうだという話になってしまうので、試験を実施する側の理屈で言って、これはどうしても認められないという説明に、最後、やむを得ないなという判断をいたしたところでございます。
  229. 紙智子

    紙智子君 私は、大臣にはある種の期待を持っていたわけです。是非このことを直接大臣にお聞きしたいということで、今日わざわざ質問をさせていただいたわけです。  それで、私はどうしても納得いかないんですね。こういう厚生労働省の仕事の在り方でいいのかということを非常に思うわけです。  可香さんは、二十歳代のときにお菓子職人だったんですね。三十代で病気が分かって、網膜色素変性症という病気で、視力低下と視野狭窄ということで、本当に針の穴開けたところからのぞくようなだんだん見えなくなってしまう病気で、現在障害二級です。目の前に、御本人に聞きますと、ガスが掛かったような形でほとんど見えないと。そういう中でも、この資格を取って残りの人生をつくるために必死で努力をしてきたわけです。  医者からも、資格取得を取るのか、それとも視力を取るのかと、御自分で判断してくださいと忠告をされて、残りの人生を考えて、無理すれば目がだんだん見えなくなってしまうということを分かりながらも、資格取得で何とか自立したいと、そういう道を選んだわけです。少しでも見える間にということで、この三年間、一刻を争って勉強してきたんです。教科書の字を、拡大鏡じゃなきゃ見えないですから、一字一字をなぞりながら勉強してきたわけですね。本当に一字一字、一行一行、文字を見なければならない、それだって難しい本ですよ。  今回、あん摩の、マッサージ指圧の試験が無効になれば、あと残り二年を切ったセンターの入所期間の中で、あん摩師試験とはりきゅう、はり師ですね、それからきゅう師、この三つの試験を受験しなければならないんです。再受験の合格率は、あん摩マッサージ指圧師試験の場合は三割台なんです。だから、一年後受験し直せばいいという問題じゃないんですね。その後の生活設計全体が崩れるという問題なんです。それが、国立施設の落ち度で、本人の、本人の責任じゃないですよ、落ち度で国家試験が無効になると、こういう問題で無効になるということは、私はあってはならないんじゃないかと思うんです。  可香さんは、現在、受験無効処分の取消しの審査要求を厚生大臣に出しています。受け取っていますよね。是非、やっぱり受験無効という措置を取り消していただいて、この可香さんの働きたいという当然の願いをかなえてほしいと思うんです。  確かに、試験をする側から見れば先ほどの理屈かもしれませんけれども、やっぱり一人一人の人生といいますか、そのために本当に頑張ってやってきた、そういうものを無駄にしてしまうという、実務的なことなわけでね。そこのところをすくい取るようなことを、やっぱり本当に温かい対処をしていくべきじゃないかと。実務的にこれは駄目だからということで切ってしまうというのが厚生労働省の在り方としていいのかということを強く思ったものですから、あえて質問させていただいたんです。お答えをお願いします。
  230. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) まず、試験を管理する側の立場から申し上げた理屈は、申し上げたとおりであります。これはこれで崩せないということも、また御理解いただきたいと存じます。  ただ、一方から、これは函館視力障害センターだと思いますけれども、この事務手続上のミス、これは決して許されるものではないというふうに思います。このミスはまた絶対許されるものではないと、このことも明確に申し上げたいと存じます。  この二つの中で、今お話しになりましたように、可香さんという方から受験を無効としたそのことに対して審査請求が提出されておるわけでございますけれども、この審査請求は手続にのっとり、また適切に処理されなきゃならないというふうに考えております。
  231. 紙智子

    紙智子君 時間になりましたけれども、この問題はまたこの後もちゃんとした対策を取っていただくまでやりたいと思います。  以上で終わります。
  232. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  改正する法律案の前に、二点の、二つの項目についてちょっと御質問をいたします。  まず、公契約法についての取組です。  本年六月七日、全国市長会において公契約を求める決議ということで、公契約を求める決議の要請が行われましたが、その内容について承知をしていらっしゃいますでしょうか。
  233. 青木豊

    政府参考人青木豊君) 今御指摘ありました全国市長会の決議でありますけれども、公共工事における建設労働者の適正な労働条件を確保するために関係法令の整備を図ることということなどを内容とします要望が決定されたことは承知しております。
  234. 福島みずほ

    福島みずほ君 あらゆる職場における働く人たちの権利が適正に守られるようにと思っておりますが、現在の日本における建設業は、施工、建設工事を依頼する人から依頼を受けた元請業者が専門工事ごとに一次業者へ、一次業者が二次業者へと下請にどんどん送り込まれているので、いわゆるピンはねが起きて労働者の賃金が当初の見積金額よりも削減された賃金で働くことになると。  つまり、公共工事では、毎年、建設現場労働者の賃金台帳を調査し、国土交通省と農水省により公共工事設計労務単価として発表しています。しかし、賃金台帳に例えば二万円となったとしていても、現場で働く労働者は一万五千円とかかなり減額された賃金しか受け取れません。このピンはね、賃金が安くなってしまうということに関して、適正賃金を確保するために何がなされるべきかとお考えでしょうか。
  235. 中島正弘

    政府参考人中島正弘君) 建設産業が健全な発達を遂げまして、注文する方が安心して仕事を任せられるというためには、やはり元下の適正な関係というのが重要だと思っております。  御指摘のように、下請がきちんと決めた代金を受け取れるようにするということは基本でございまして、そのためには、元下それぞれの注文者、請負者との間でまずもって見積り努力、見積りに基づくちゃんとした協議が行われて、その結果、書面による適正な契約がなされるということが基本であろうかと思います。そのために、私どもとしても、いろんな通達、調査通じまして契約の適正化のための努力をしていると。  さらに、不幸にして、そういう契約をしたけれども違ったと、事実が違ったという場合には、これはある意味では請負契約による紛争というふうに申しますか、そういうことになろうと思いますが、司法的な解決を求めるというのも一つの方法でございましょうけれども、私どもでも、ADRといいますか、裁判外紛争解決機関として建設工事紛争審査会というのがございまして、そちらの活用を図っていただくというようなことも必要かと思っております。ただ、下請が元請を訴えるというのは非常に実際には大変難しいことでございますので、やはりそういうことに至る前に書面による適正な契約をあらゆる機会を通じて求めていくということが基本であろうかと、このように思っております。
  236. 福島みずほ

    福島みずほ君 ただ、公共事業は税金を原資として行われています。現場では、実はその見積金額どおりには払われない、いわゆるピンはねが起きている。ですから、ビルで壁が落ちる、あるいはトンネルで落下をする、震災で高速道路が壊れる、こういうことも、現場の人たちに聞くと、きちっとやっぱり給料を思ったとおり払われてないために、実は手抜き工事やいろんなものが行われているというふうに聞いております。  ですから、国土交通省は国土交通省の立場で、厚生労働省厚生労働省の立場で、公契約法などきちっと、ピンはねされないで公共事業がきちっと適正に行われる、このためのシステムをつくる必要があると考えますが、両方、いかがでしょうか。
  237. 岸宏一

    委員長岸宏一君) どなたがお答えしますか。
  238. 青木豊

    政府参考人青木豊君) 元請、下請、そういった業者間の関係につきましては国土交通省が所管ということで、私どもは、それが労働者を雇っているということになった場合においていろんな政策を講じているところであります。例えば、雇用管理でありますとか、あるいは労働福祉というような面では指導等もしておりますし、仮に法定労働条件に反するようなものについては、これは論外でありますので、そういったものについては、当然私どもとしても必要な是正を求めるというようなことで対応しているところであります。
  239. 中島正弘

    政府参考人中島正弘君) 公共事業に限らず、建設工事の現場で働く労働者が適正な施工をするということが、最終的な社会資本ないしは住宅とか民間の建築工事でもそうでありますが、安全、質の高い施工が図られる基本であると思うんです。その意味で、やはり安心して働ける条件というのをつくっていく、現行制度の下でもいろいろ知恵を出しまして、そういったシステムを公共事業に限らず請負契約の中に仕込んでいくということが大変重要だと思います。  一例を御紹介させて、御理解を賜りたいと思います。例えば、経営事項審査というのがございまして、これは公共事業を受注される方に対する企業評価でありますが、その企業評価の中に社会性を見るという事項を入れておりまして、例えば法定の雇用保険、健康保険等に加入しているかいないか、あるいは退職金の仕組みを持っているか、法定外労災に入っているかというようなことで加点、減点をしまして、そういったきちんとした労働福祉状況をやっている企業は高く評価されるというようなことをやっております。あるいは、下請代金の支払方法につきまして、見積協議のやり方でありますとか契約の仕方につきましていろんなモデルをつくりまして流しております。  それに基づきまして、毎年五千社ぐらい元請さんに調査をいたしまして、そのとおりやっていますかと。その元請から仕事を取っている下請に同じことを聞きまして、どうしていますかと。不幸にして時々違う答えが参りまして、違う場合は、直接現場へ立ち入って調査する、必要な勧告するというようなことを毎年毎年、地道な努力かもしれませんが、積み重ねているつもりでございます。こういった努力を積み重ねることによって、少しでも建設労働者の雇用労働条件の改善が図ってまいれればと思っております。
  240. 福島みずほ

    福島みずほ君 公契約法、条例では、公契約現場に出入りする労働者に標準賃金を周知させなければならない、このようなことをすべきではないですか。
  241. 中島正弘

    政府参考人中島正弘君) 標準的な、基準法に定められるような法定労働条件というのは、それはそれで明示されていると存じますが、やはり公共工事の現場であれ民間の現場であれ、基本的な労働条件は個々の労使関係で実質的に決まるというのが私どもの考え方であります。ただ、先生も先ほど御指摘もありましたように、積算上使う労務単価というのが公表されておりますので、これが一つの目安になるということはもちろんあると思いますが、やはり個々の労働条件は当事者の合意によって決まる、あとはその合意がいかに適正な手続でなされるかというところに意を用いてまいりたい、これが基本ではないかと、このように考えます。
  242. 福島みずほ

    福島みずほ君 是非、私自身は公契約法を是非つくっていただきたい、あるいは議員立法でつくりたいというふうに思っています。  というのは、今日の障害者雇用もそうですが、アメリカでは、障害者雇用や、いわゆる人種差別をしない企業、女性差別をしない企業などに関して、公共事業を受注する企業は公共事業の規模別に応じて申請書を出し、きちっと活用していない企業はそもそも公共事業の発注ができないなど工夫をしています。税金を使って公共事業をやる場合には、働く労働者、しかもその働き方が、労働条件がきちっと保障される、しかも女性やいわゆる黒人、マイノリティーの人々、それから女性をちゃんと活用してなければ駄目だと、こういうことをやらない限り、企業も変わらないし、労働条件も変わらないというふうに思います。  大臣、唐突ですが、このような考え方についてどう思われますか。
  243. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 正に唐突にお尋ねでございますので、今先生の言っておられる公契約法というものの具体的な姿というのが私に十分につかめておりませんので、どういうふうにお答えするのがいいのかなと思いながら立ったところでございますが。  いずれにいたしましても、この民間部門における賃金等の労働条件については、これは公契約の下における労働であるとかないとかということにかかわらず、労働基準法等の定める法定労働条件に反するもの以外というのは、やはり個々の労使当事者間で自主的に取り決められるべきものであると考えております。私に今見解を求められますと、やはりそういうものであろうというふうにお答えをいたすところでございます。
  244. 福島みずほ

    福島みずほ君 いつもこの厚生労働委員会で実はとても不満に思うのは、労使でやりゃいいというものであれば、厚生省も労働省も要らないということになってしまうと。これはヘルパーさんの労働条件のときに言いましたけれども、是非いろんな、なかなか力を発揮できない部分の人たちがきちっと雇用できるようなシステムを考えるのが厚生労働省じゃないかというふうに思いますので、その点についてはよろしくお願いします。  ところで、六月二十七日、東京新聞に、「戦没者遺骨収集へ専門班 厚生労働省が創設方針」という記事が出ておりました。これは非常に、是非頑張っていただきたいというふうに思っており、今日そのことについて二、三お聞きをいたします。  遺骨の問題に関して戦後どのように取り組まれてきたのでしょうか。
  245. 大槻勝啓

    政府参考人(大槻勝啓君) 戦没者の遺骨収集についてのお尋ねでございますけれども、この遺骨収集事業につきましては、昭和二十七年、国会決議を受けまして、以来、遺骨収集に努めてきておるところでございます。また、旧ソ連地域につきましては、平成三年に日ソ両国間におきまして締結された協定によりまして遺骨収集の枠組みが定められまして、これに基づいて平成四年度から本格的に実施をしておるということでございます。  また、しかしながら、海外戦没者二百四十万人と言われておるわけでございますけれども、これまで我が国に持ち帰られました御遺骨は百二十四万柱ということで、なお百十六万柱の御遺骨が未送還の状況にあるところでございます。この遺骨収集につきましては、国の責務といたしまして、可能な限り早期にできるだけ多くの御遺骨にお帰りをいただくと、そういうことが必要であるというふうに考えておるところでございますけれども、今日に至りますも、なお多くの御遺骨が諸地域に残されているという状況でございます。
  246. 福島みずほ

    福島みずほ君 遺骨収集は戦後すぐから実施されていたというふうに聞いておりますが、一九五二年、サンフランシスコ条約受諾以前、遺骨収集は行われていたのでしょうか。それから、その際に、朝鮮半島出身者、当時は、戦争中は日本軍人軍属であった人たちの遺骨はどうなっていたのでしょうか。
  247. 大槻勝啓

    政府参考人(大槻勝啓君) お尋ねの点でございますけれども、先ほど申し上げましたように、国の遺骨収集、事業として行う遺骨収集につきましては、昭和二十七年の国会決議を受けて、また閣議了解等もされておりますが、これを受けて行われたというふうに承知をいたしておるところでございます。  また、元日本軍の軍人軍属の中には、御指摘のように、海外、朝鮮半島出身の方とかあるいは台湾出身の方々もおられたわけでございます。そういった方々の御遺骨につきましては、戦前、また戦後におきまして、日本人の戦没者の御遺骨と同様に遺族、関係者の方に伝達をしてきたところであるというふうに承知をしております。  例えば、韓国、朝鮮半島出身の方々の御遺骨につきましては、戦後におきましても、昭和二十二年以降、返還をしてきておりまして、現在おおむね約八千八百ぐらいの御遺骨を返還をしてきたところでございます。ただ、まだ御遺族等が判明をしない等々の事情によりまして千百三十余の御遺骨を私どもの方でお預かりをしているというような状況にあるわけでございます。
  248. 福島みずほ

    福島みずほ君 八千八百というと極めて少なくて、私が聞いているところでは、遺骨収集を日本がやったときに、名簿や名前やいろんなもので、いわゆる元日本兵、日本国籍が戦後ないという人に関しては置いてきたという話も聞いていたりしているのですが、先ほど八千八百柱とおっしゃいましたが、その数は実は軍人軍属の人たちの数から見れば極めて少ないわけですが、遺骨収集はどのように台湾の人たち、朝鮮半島の人たちはなされたか、正確に教えてください。
  249. 大槻勝啓

    政府参考人(大槻勝啓君) 先ほど申し上げましたように、戦中戦後におきましては、日本人の御遺骨と同様に、そういった海外の方々、朝鮮半島あるいは台湾出身の方々の御遺骨も遺族に伝達をしてきたということがございます。戦後におきましては、また先ほど申し上げましたように、厚生省、厚生省援護局の前身の組織、例えば第一復員省、第二復員省等々におきまして返還手続を戦後も進めておったわけでございますが、一定の時点で旧厚生省がお預かりをいたしまして、それについて、遺族が判明し次第返還をするという方針の下にこれまで進めてきたというものでございます。  それから一点追加で申し上げますが、昭和二十七年の国会決議及び閣議了解等に基づきまして行われてまいりました戦没者の遺骨収集でございますけれども、これにつきましては、基本的に日本国の、日本国民、我が同胞の御遺骨を収集するということで進められてきたところでございます。
  250. 福島みずほ

    福島みずほ君 答弁が矛盾していてよく分からないのは、日本人と元日本兵の人たちを同じに扱ったという答弁をさっきなさいました。一体幾ら、幾つ朝鮮半島に返したんですか。
  251. 大槻勝啓

    政府参考人(大槻勝啓君) 先ほど申し上げましたのは、戦中戦後の初めのころですね、つきましては、日本人の御遺骨と同様に遺族、最寄りの遺族に返還をしてきたということを申し上げたところでございます。
  252. 福島みずほ

    福島みずほ君 正確におっしゃってください。  一九五二年、サンフランシスコ条約受諾後はどのように具体的にされているんでしょうか。
  253. 大槻勝啓

    政府参考人(大槻勝啓君) 昭和二十七年に先ほど申し上げましたように国会決議も行われ、また閣議了解等も行われまして、これに基づきまして日本人の遺骨について収集を国としてやってまいったところでございます。
  254. 福島みずほ

    福島みずほ君 遺骨収集に行けば、日本人の人も台湾の人も朝鮮半島の人も一緒の部隊だったりするわけですね。そうしたら、日本人の遺骨収集だとすると、その時点で名簿から、例えば全部一括して日本に持ってきて、日本のどこかに朝鮮半島、台湾の人たちのがあるのか、それとも現地に置いてきたのか、具体的にどうして戦後六十年間してきたんですか。
  255. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 戦後の遺骨収集について申し上げますと、ずっとかかわり合ってまいったものでございますので私からお答え申し上げた方がよろしいかと思います。  申し上げましたように、遺骨収集、もう何回もそれこそ数え切れないほどの遺骨収集に行っております。  その遺骨収集が、戦後の遺骨収集がどういう状況で行われたかといいますと、まず最初に行ったころは、これはもう本当に惨たんたるものでございました。散乱していたんです、遺骨。もうその散乱している御遺骨をまず、本当に表現悪いですが、かき集めるようにして収骨したのが最初の遺骨収集のころであります。そのころ、もうとても、同じ部隊で戦われた皆さんでありますから、この方が日本人であるとか台湾の方であるか、もう区別のしようもございません。  そして、だんだんだんだん時がたつにつれまして戦友会の皆さんなんかが行かれて、この辺に亡くなった方の御遺骨あるよ、埋めたんだよとかというようなことを頼りにして収骨するような時代にもなりましたけれども、ずっとそういう遺骨収集してまいりましたけれども、これだけ私が遺骨収集に携わってまいりましても、氏名判明したケースというのはもうまずございません。もうごくわずかに、認識票が出てきたり、あるいは埋めてあるところに飯ごうが一緒に埋めてあって飯ごうに名前が書いてあったとか、もしかしたら、もう本当にまれなケースでありまして、とてもとても氏名が判明するというケースはもうまずございません。  したがって、そうした遺骨収集の実態を申し上げますと、とても台湾の方だとか朝鮮の方だとかというふうに、それを区別するようなもう方法もありませんし、ましてやそれが判明して置いてくるなんというようなことはもう考えられもしないことでございまして、どうぞそうした実態を御理解いただきたいと存じます。
  256. 福島みずほ

    福島みずほ君 いろいろ教えていただいてありがとうございます。  そうしますと、その持ち帰ってきた遺骨はどういう状態になっているんでしょうか。
  257. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 申し上げましたように、もうごくまれに氏名が判明した御遺骨は御遺族にお返しをいたしておりますけれども、その他の氏名が分からない分は千鳥ケ淵に収めてあるわけでございます。
  258. 福島みずほ

    福島みずほ君 それでは、今回、「戦没者遺骨収集へ専門班」、厚生労働省が創設方針。厚生労働省に問い合わせたら、これは日本人だけであると。要するに、台湾、朝鮮半島の人のは入っていませんというふうに私は聞いているのですが、そうではなくて、日本国籍、今現在日本国籍かどうかと関係なく遺骨収集されるというふうに理解してよろしいんですね。
  259. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) まず、新聞報道が正確なものであるかどうかということもございまして、私は必ずしも正確に報道されておるというふうには思いません。ただ、いろんなことを私どもが考えておる中で、報道されているようなことも当然考えなきゃいかぬなと思っておることの一つではあるということを申し上げたいと存じます。  そうした中で、もう戦後六十年でありますから、特に南方の方の御遺骨は、今遺骨収集に行きますと、ああ御遺骨だなと思ってこう手で触るとぽろっともう崩れる状態でございます。したがって、もう土に返っておる御遺骨と申し上げた方がいいと思います。そうした中でいつまで遺骨収集するんだということがありますから、私は、もう集中的に御遺骨の、早く遺骨収集してある意味での線を引くべきだという思いが個人的にはいたしております。そのことは率直に申し上げたいと思います。  そうしたことに向けて一体どうすればいいのかなと思いますと、もう本当に申し上げたように、集中的にありとあらゆる力をつぎ込んで遺骨収集をしてというふうに思うものでありますから、そうした中で何か考えなきゃいかぬなというのが新聞報道に一部なったんだろうというふうに思います。  ただ、そうしたときで、理屈を言うと、理屈を言うと、今お答え申し上げておりますように、昭和二十七年六月の衆議院の決議でありますとか閣議了解に基づいて、日本人戦没者の方々について国の責任と主体において実施するということでありますから、日本人の御遺骨をということになろうかと思いますけれども、現場の実態は、先ほど申し上げましたように、とてもとても、日本人であるとかないとかなんというもう区別なんかとってもできやしませんから、一緒にある意味お帰りいただくように遺骨収集をするというのが現場で作業する者の本音でございます。
  260. 福島みずほ

    福島みずほ君 戦争に行くときは、軍人軍属、朝鮮半島の人も台湾の人たちも日本兵として行ったわけです。ところが、遺骨のときの決議だと日本人というのが入る。しかし、今、現場の話を聞くと、そういうふうに区別はもうできない状況であるということがおっしゃいました。DNA鑑定がというふうな記事もあり、一体どうするのかというふうに思っておりました。  ですから、私は今日お願いとして申し上げたいのは、日本人とかいうふうになっているけれども、実際は、戦争で亡くなった人たち、軍人軍属の人たちすべてをやはりきちっとある種、御遺骨というか、遺骨をきちっと持って帰るということが込められているということをきちっと言っていただいた方が、厚生労働省に問い合わせると日本人というふうに言われますから、じゃ、朝鮮半島出身者、台湾の人たちはどうなるというふうに常に、常にというか、疑問に思いましたので質問をいたしました。  時間となってしまって、要望だけを言って、委員長が時間をと思われるでしょうから、要望だけ言って、私の質問を終わります。  ハンディキャップのある人たちの雇用状況についての実雇用率は、今日、役所については家西さんがきちっと質問されましたが、実雇用率の民間の人たちの状況は決して良くありません。企業名の公表を二つやっておりますが、それではとても追い付かない状況です。是非、民間の人たちにおいて、実雇用率一・四六%というのを変えるよう、システムをつくってくれるようお願いいたします。  また、非正規雇用、契約社員だったりパートだったり派遣であったり、雇用があっても労働条件が一体どうなのかというところについても、是非労働条件の確保をお願いいたします。  また、精神障害者の人たちをきちっと雇用率に算定することには大賛成ですが、その際に、無理やり手帳の取得を強制するなど起こらないようにということを要望した上で、私の質問を終わります。
  261. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。     ─────────────
  262. 岸宏一

    委員長岸宏一君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、草川昭三君が委員辞任され、その補欠として西田仁君が選任されました。     ─────────────
  263. 岸宏一

    委員長岸宏一君) これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  障害者雇用促進等に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  264. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、山本君から発言を求められておりますので、これを許します。山本孝史君。
  265. 山本孝史

    ○山本孝史君 私は、ただいま可決されました障害者雇用促進等に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、日本共産党及び社会民主党・護憲連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。二十項目ございます。     障害者雇用促進等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。  一、附則第二条に規定する検討は、平成二十一年度末までに結果が得られるよう関係審議会において行うこと。また、その際、雇用義務対象精神障害者を加えることも含めて検討を行うこと。  二、視覚障害者就職の困難な障害者雇用促進するため、障害の重さの程度区分職業生活上の困難さを配慮したものとなるよう障害者雇用率制度見直しを行うとともに、障害者雇用納付金制度においては、納付金の額、徴収範囲、報奨金の在り方等についても見直しを行うこと。  三、知的障害者精神障害者、発達障害者等の個々の障害特性に応じてきめ細かな支援を行うことが必要な求職者が増大していることにかんがみ、適切な職業訓練の機会を十分確保するとともに、専門的な知識経験を有する者を公共職業安定所に相談員として配置する等相談支援体制の充実強化等により有効求職者の解消を図ること。  四、障害者雇用機会の一層の拡大を図る観点から、精神障害者に対しては、グループ就労等の多様な就労形態の促進等、必要な支援措置を講ずること。また、一般雇用への就労が困難な障害者に対しては、多様な就労の場が確保されるよう、積極的な取組を行うこと。  五、精神障害者を実雇用率に算定するに当たって、雇用率達成指導を引き続き厳正に行うとともに、精神障害者保健福祉手帳の取得強要及び申し出の強要など本人の意に反した雇用率制度適用等が行われないよう、プライバシーに配慮した対象者の把握・確認の在り方について、必要な措置を講ずること。あわせて、従来、各企業において取り組まれているメンタルヘルス対策について、引き続き充実が図られるよう指導を行うこと。また、精神障害者については、メンタルヘルス対策とともに、円滑な復職や職場定着を図るための必要な措置が採られるよう指導を行うこと。  六、精神障害者雇用環境の整備を図るため、障害者本人及び企業に対する支援策の充実を図るとともに、公共職業安定所、地域障害者職業センター等の支援機関における相談・支援体制の整備に努めること。また、精神障害者の職業能力開発を効果的に実施するため、職業能力開発校における職業訓練内容、カリキュラム、指導方法等を早急に確立し、普及させること。  七、在宅就業障害者特例調整金については、障害者雇用調整金との均衡を踏まえ、適切な額を設定すること。また、特例調整金を支給する際の基準となる評価額の設定については、企業が在宅就業障害者に対して仕事を発注しやすくなるような水準に設定すること。  八、在宅就業支援団体の育成に努めるとともに、在宅就業支援団体の適正な業務の運営を確保するため、その登録に当たって登録要件への適合等を厳正に審査するとともに、登録後においても、業務運営基準の遵守等を徹底するための厳正な監督指導を実施すること。  九、通勤等の困難な障害者雇用促進するため、企業における障害者の在宅勤務制度の普及・促進を図るための必要な措置を講ずること。  十、障害者の職場定着を着実に進めるため、職場適応援助者(ジョブコーチ)に関する助成金の新設に当たって、企業において障害者と共に就労した経験を有する人材を活用する等により、質を確保しつつ必要な数の職場適応援助者の確保に努めること。  十一、週二十時間以上三十時間未満の短時間労働について、重度以外の身体障害者・知的障害者に対しても実雇用率適用し、法定雇用率の算定上にも身体障害者・知的障害者の短時間労働を反映させることについて影響を十分検討し、その結果に基づいて、必要な措置を講ずること。また、納付金等の算定に当たっても同様の取扱いとすること。  十二、派遣労働者としての障害者雇用について、障害者雇用促進を図る観点から、その実情を含め検討を加え、その結果に基づいて、必要な措置を講ずること。  十三、障害者の働く場の一層の創出を図るため、企業内で職務を整理して仕事を分かち合うこと、工業団地や商店街のような地域において、障害者を多数雇用する企業に仕事を出し合うこと等を通じて、企業企業内外における障害者の働く場の創出に取り組むことを推進すること。  十四、企業名及びその雇用率の公表を前提とした指導を強化するため、雇入れ計画作成命令発出基準等の指導基準を見直す等により雇用率制度の厳正な運用を図るとともに、そのための体制整備に努めること。  十五、国、地方公共団体、独立行政法人等の公的機関において、率先して障害者雇用を進めるよう努めるとともに、個々の機関の雇用率等、障害者雇用の現況を自ら公表するよう指導すること。特に都道府県等教育委員会の実雇用率は、依然として法定雇用率を大きく下回る水準にとどまっており、作成した採用計画の着実な実施等、障害者採用拡大に向けてなお一層の取組を進めるよう必要な措置を講ずること。  十六、発達障害者の就労を支援するため、雇用率への適用検討するとともに、発達障害者支援センター等との連携を取りつつ適切な職場適応援助等を行うこと。  十七、公共職業安定所等労働関係機関と各教育機関が障害のある生徒の社会的・職業的自立に向けた教育、進路指導、就業した卒業者の職場適応・定着支援とそれに対応した職業リハビリテーションの実施に当たって、各段階において連携協力を図り、総合的な指導支援を行うよう努めること。  十八、障害者雇用機会の拡大のためには、障害者に対する教育内容の充実と教育現場でのノーマライゼーションの実現が重要であることから、障害者教育見直しを積極的に進めること。  十九、就職の困難な重度障害者の職業訓練機会が狭められることのないよう、委託訓練の政策効果の評価に当たっては、障害程度に応じた就職率を把握・評価する等、きめ細かな対応を行うこと。  二十、平成十九年に日本で開催される国際アビリンピック大会の準備及び運営に当たっては、これを契機として障害者雇用・就業機会の一層の拡大が図られるよう万全を期すこと。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  266. 岸宏一

    委員長岸宏一君) ただいま山本君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  267. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 全会一致と認めます。よって、山本君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、尾辻厚生労働大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。尾辻厚生労働大臣
  268. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) ただいま御決議のありました本法案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、努力してまいる所存でございます。
  269. 岸宏一

    委員長岸宏一君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  270. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時十三分散会