○山本孝史君 私は、ただいま可決されました
介護保険法等の一部を改正する
法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会及び公明党の各派共同
提案による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読いたします。
介護保険法等の一部を改正する
法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な
措置を講ずるべきである。
一、附則第二条第一項に規定する
検討は、
平成十八年度末までに結果が得られるよう新たな場を設けて行うこと。また、その場においては
介護保険制度の被
保険者及び
保険給付を受けられる者の範囲の拡大も含めて
検討を行うこと。
二、
介護保険施設等における
食費及び
居住費を
保険給付の対象外とするに当たっては、
利用者の負担が過重なものとならないような負担上限額を設定し、低所得者への配慮と激変緩和に努めること。併せて、
社会福祉法人による
利用者負担減免制度の運用改善等のきめ細かな低所得者
対策を講ずること。この場合においては、
社会福祉法人に過剰な負担とならないように適正な
措置を
検討すること。
三、
介護保険施設等の給付の
見直しに関しては、施行に向け周知に万全を期すとともに、施行後においては、
利用者負担の
実態の把握に努めること。なお、
介護保険三
施設における
食費及び
居住費の徴収に関しては、これらの
施設における
居住環境の整備を図るとともに、
入所者の所得、
施設の
居住環境等の実情に応じて、適切に対処すること。また、
高齢者の非課税限度額の
見直しに関する影響については、税制改正の趣旨を踏まえた激変
緩和措置を講ずること。
四、
平成十六年度税制改正における年金課税の
強化(公的年金等控除の縮小)に伴う第一号被
保険者の
保険料負担の増加に対しては、激変緩和を図るため、課税層に対する
保険料賦課において、多
段階で弾力的な
段階設定が可能となるよう
措置すること。また、上記
措置には、
平成十六年度税制改正の激変緩和の意義があることについて、全国の
担当部長会議等において十分な
説明を行い、
市町村への周知徹底を図ること。
五、
介護保険制度を
費用負担の面で支える現役世代の意見を制度
運営に十分反映させるため、
厚生労働省に
保険者や第一号被
保険者とともに、第二号被
保険者や
医療保険者などで構成する
運営協議会を
設置すること。また、第二号被
保険者の
介護保険料の料率については、上限の設定など、その急激な増加を抑える方策について
検討を行うこと。
六、小
規模多
機能型居宅介護等の
地域密着型
サービスの基盤整備及び介護
施設の個室・ユニットケア化を推進すること。また、
介護予防サービス及び
地域密着型
サービスを
提供する
事業所については、既存
施設を活用するなど効率的な整備の推進に努めること。さらに、介護
施設、
グループホーム等の居住系
サービス及び介護
サービス付きの「住まい」の整備の在り方について、住宅政策との
連携を図りつつ
検討を行うこと。さらに、介護者の急病など緊急・突発的なニーズに
対応できるよう、ショートステイを利用しやすいものに見直すこと。
七、新予防給付の導入に伴い、認定区分が要介護一から要支援二に変更される者について、これらの者が現に受けている
サービスを引き続き受けられるよう、十分配慮すること。また、新予防給付に係る
介護報酬の設定に当たっては、自立支援の
観点から、時間単位だけではなく、例えば、月単位やプログラム単位の
包括的な設定を導入するなど、柔軟性のある
仕組みを
検討すること。
八、要介護認定の有効期間の設定については、
保険者である
市町村の意向に配慮しつつ、
利用者の要介護度の改善が見られた場合、要介護区分を速やかに変更するよう努めること。
九、要支援・要介護になるおそれのある
高齢者への適切な
介護予防サービス提供に向けて、
地域包括支援センターの
保健師等が要介護認定非該当者や未申請者の
実態把握を行うことができるよう努めるものとすること。また、新予防給付及び
地域支援事業の効果に関して信頼性の高い研究成果を蓄積し、
市町村に対して
情報提供に努めること。
十、新予防給付・
地域支援事業の
実施状況をみながら、
平成二十年度末までに予防効果の評価
検討と同時に、
保険料、
サービスの水準、要介護認定審査等における
地域格差の縮小を図り、全国平等の
サービスとなるように必要な財政
措置等を講じること。また、
地域支援事業における
介護予防サービスの対象者選定に係る「
介護予防のスクリーニング」においては、全国共通の客観的
基準に基づいた判定が行われるように努めること。
十一、
介護予防プランにおいて口腔
機能向上のための口腔
ケアプランを策定する際には、歯科医師、歯科衛生士等の専門家の意見を聴くこととすること。
十二、
地域包括支援センターの
運営については、公正・中立を
確保する
観点から、
市町村の
責任を明確化した上で、
地域に根ざした活動を行っている
在宅介護支援センターの活用も含め、
地域の実情に応じた弾力的な
設置形態を認めること。また、
専門職の配置については、その資格について
経過措置を設けるなど、
地域の実情を踏まえた人材の
確保ができるように十分配慮するとともに、主任
ケアマネジャー(仮称)については、介護現場での経験を重視し、適切なケアマネジメントを行える人材を登用すること。
十三、
介護保険事業及び
介護予防事業の
実施に関しては、生涯を通じた
健康づくり支援という
観点から、生活習慣病予防等その他の
健康づくり関連
事業との
連携性、整合性を有するよう努めること。
十四、
ケアマネジャーについては、資質の向上を図るとともに、中立性・独立性を重視する
観点から、
基準及び
介護報酬について所要の
見直しを行うこと。
十五、ケアマネジメントについては、
包括的なケアマネジメントの
実施、多職種協働の
強化、
サービス担当者会議の積極的な開催や自立した生活の実現を目指した
ケアプランの作成など、
介護保険制度の特色であるケアマネジメントの真価が発揮できるように十分な指導や支援に努めること。
十六、介護需要が増大する中で、介護労働の魅力を高め、優秀な人材を介護の職場に
確保していくため、介護労働者の雇用
管理や労働
条件の改善、研修体系や資格の在り方の
見直しに取り組むこと。また、労働
条件の改善及び
サービスの質の
確保・向上の
観点から、介護
施設の
施設基準を見直すとともに、直行直帰型のホームヘルパー及び
グループホームの夜勤についてその労働
実態を把握し、所要の改善を図ること。
十七、介護
サービス事業者の指定及び取消の要件に、労働関係及び社会
保険関係法規の遵守状況を含めることを
検討するとともに、介護
サービス情報の公表に当たり、短時間勤務も含めた従業員の健康診断及び感染症予防に関する研修の
実施の有無を対象項目に含めること。
十八、難病など
医療ニーズと介護ニーズを併せ持つ在宅の中重度者への
対応や、在宅における
ターミナルケアへの
対応などの
観点から、訪問看護ステーションや
地域に密着した
医療機関を活用して
医療と介護の
連携を図ることにより、在宅療養をより一層支援していくために必要な
措置を講じること。
十九、介護現場における
医療行為の在り方について、介護職員、介護を受ける当事者、家族及び医師、
看護師等の
医療関係者等の意見が反映されるような
検討の場を設けること。
二十、在宅療養者における
介護保険及び
医療保険の
自己負担の上限額の在り方については、次期
医療制度改革の際に結論を得ること。また、この
法律の施行後三年を目途として行われる新予防給付及び
地域支援事業等に係る
検討を行うに際しては、新予防給付の対象者やそのプログラムの内容についても必要な
検討を行うこと。
二十一、認知症予防の研究の推進や
対策の確立、認知症に関する国民に対する正しい知識の普及、関連領域としての
高齢者のうつ
対策の推進など、総合的な認知症
対策を講ずること。また、認知症
高齢者が、悪質な
事業者等に利用されることなく、安心して介護
サービスを受け、
地域で暮らせるように、さらに、
高齢者の虐待防止の
観点からも、
市町村の必須
事業となった
権利擁護事業の充実や、
成年後見制度の活用促進が図られるように
措置すること。
二十二、介護
サービス事業所における
施設長・
管理者について、就任前の研修と修了試験、就任後の定期的な研修を義務づけ、
事業者指定・更新の際の要件とするよう
検討すること。また、
サービス提供責任者の
業務内容を明確化し、必要な職業能力開発の
仕組みを整備すること。
二十三、
市町村の
保険者機能の
強化及び介護給付費の適正化を一層推進するため、居宅
サービスの
実施状況を、
保険者において国民健康
保険団体連合会と
連携し、より正確に把握・
管理するシステムの確立を早急に図るとともに、介護
費用通知の
実施拡大、不正請求の防止を徹底すること。
二十四、
介護保険事業に従事する人材を適切に
確保する
観点から、社会
福祉施設職員等退職手当共済制度への加入継続の努力を促すとともに、今回の改正により公的助成が廃止される
施設等の制度改正後の新規採用職員について、中小企業退職金共済制度に加入する選択も可能となるよう必要な
措置を講ずること。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ
委員各位の御賛同を
お願い申し上げます。