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2005-04-19 第162回国会 参議院 経済産業委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十七年四月十九日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         佐藤 昭郎君     理 事                 泉  信也君                 加納 時男君                 小林  温君                 藤原 正司君                 渡辺 秀央君     委 員                 魚住 汎英君                 沓掛 哲男君                 倉田 寛之君                 保坂 三蔵君                 松田 岩夫君                 松村 祥史君                 加藤 敏幸君                 木俣 佳丈君                 直嶋 正行君                 平田 健二君                 藤末 健三君                 浜田 昌良君                 松 あきら君                 鈴木 陽悦君    国務大臣        国務大臣        (内閣官房長官) 細田 博之君    政府特別補佐人        公正取引委員会        委員長      竹島 一彦君    事務局側        常任委員会専門        員        世木 義之君    政府参考人        人事院事務総局        人材局長     藤野 達夫君        内閣国民生活        局長       田口 義明君        公正取引委員会        事務総局経済取        引局長      伊東 章二君        公正取引委員会        事務総局審査局        長        楢崎 憲安君        法務省刑事局長  大林  宏君        国土交通大臣官        房審議官     中島 正弘君    説明員        会計検査院事務        総局第三局長   高山 丈二君     ─────────────   本日の会議に付した案件政府参考人出席要求に関する件 ○私的独占禁止及び公正取引確保に関する法  律の一部を改正する法律案(第百六十一回国会  内閣提出、第百六十二回国会衆議院送付)     ─────────────
  2. 佐藤昭郎

    委員長佐藤昭郎君) ただいまから経済産業委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会人事院事務総局人材局長藤野達夫君、内閣国民生活局長田口義明君、公正取引委員会事務総局経済取引局長伊東章二君、公正取引委員会事務総局審査局長楢崎憲安君、法務省刑事局長大林宏君及び国土交通大臣官房審議官中島正弘君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 佐藤昭郎

    委員長佐藤昭郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 佐藤昭郎

    委員長佐藤昭郎君) 私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 おはようございます。  先週の十四日に引き続きまして、独占禁止法改正法案について質問させていただきます。  先日、実は新潟市の官製談合事件中心官製談合質問をしている途中で時間切れになったわけであります。したがいまして、今日はその続きからまずやらせていただきたいというふうに思います。  この新潟市の昨年七月に起きた事件でありますが、非常に世間の関心を呼びました。特に、マスコミ報道なんか見ますと、二つの点で注目を浴びたというふうに申し上げていいと思うんです。  一つは、公正取引委員会改善勧告書に、関与していた発注者側担当職員実名を明記した、これは初めてのケースだというふうに思います。  二つ目に、これはマスコミ報道によりますと、公正取引委員会独占禁止法官製談合防止法に基づいて行政処分した案件を、新潟地検公正取引委員会からの刑事告発なしで偽計入札妨害罪担当職員を含め立件をした、このことが官製談合の新たな摘発手法であるという報道がなされています。  一方、刑事訴訟法第二百三十九条でありますが、これはまあ簡単に言いますと、公務員が、「犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。」と、刑事訴訟法によって公務員犯罪告発義務規定されているわけであります。  これらの関連について、まず幾つか御質問をさせていただきたいというふうに思います。  まず最初に、公正取引委員会お尋ねをしますが、先ほど申し上げたとおり、この事件公正取引委員会入札談合に関与していた担当職員刑事告発しなかったその理由について御報告をいただきたいと思います。
  6. 楢崎憲安

    政府参考人楢崎憲安君) この新潟のいわゆる入札談合事件につきましては、刑事告発も視野に置いて審査を行ってきたわけでございますけれども、その結果として、全国的なゼネコン業者あるいは地元の建設業者を含め百十社で談合が行われていたということで、行政処分勧告を行ったわけでございますし、また一方、そういった入札談合行為に対して新潟市の職員が関与していたということで、新潟市長に対して改善措置要求を行ったわけでございますけれども独占禁止法違反行為として刑事告発を行うためには、違反行為を、かかわった個人行為特定等立証が必要であるわけでございますけれども刑事事件として告発するに足りる証拠を得ることができなかったということで告発を行わなかったものでございます。
  7. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 つまり、今お話あったように、告発に必要な、まあ告発のための十分な証拠が収集できなかったと、こういうことでありますね。  もう一つお伺いします。  公正取引委員会があえてその担当職員実名、これは勧告書に記載されているわけでありますが、これを記載した理由はどういうことでしょうか。
  8. 楢崎憲安

    政府参考人楢崎憲安君) 私ども審査過程におきましてこの入札談合事件にかかわった新潟市の職員が特定できたわけでございますけれども、特定できた範囲内において実名通知をした方が新潟市の調査に当たってより有効であると、そしてまたしっかりとした改善措置がとられるということを期待をして実名通知をした次第でございます。
  9. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 新潟市の調査が円滑にいくと、こういうお話でございましたが、いわゆる独禁法とか官製談合防止法の、まあ今度独禁法改正されますと犯則調査権が入るわけですが、現在の独禁法のそういう限界といいますか、を補って、先ほど申し上げた刑事訴訟法告発義務、これとの関係でそれをクリアする、そういう一つの方策をお考えになったのかというふうに私は思ったんですが、そうではないんですか。
  10. 竹島一彦

    政府特別補佐人竹島一彦君) 直接的には官製談合法に基づく私ども新潟市長に対する改善措置要求ということでございましたが、おっしゃるように刑訴法の精神にも結果的に合っているということかと思います。
  11. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 つまり、刑訴法趣旨を体してということもあると、こういう理解でよろしいですね。  それで、公正取引委員会としては、平成二年以降、この独禁法違反事件について積極的に刑事処罰を求めて告発を行うと、こういう方針を明らかにされているわけでありまして、法務当局との間でも告発問題協議会というのを設置をされて協議もされたかというふうに推測をいたします。  今回の、今お触れになった点も含めて、これはこういう一連の取組、特に告発問題協議会におけるこういう協議の場があるということの具体的な成果であると、こういうふうに受け止めてよろしいでしょうか。
  12. 楢崎憲安

    政府参考人楢崎憲安君) 先ほど申しましたように、独占禁止法違反として刑事告発を行うことが困難な事案であるということかと考えたところでございますので、告発問題協議会告発を円滑に進めるために行われる場でございますので、告発が困難というふうに判断した案件については告発問題協議会を開催してございませんし、本件につきましても、この問題について直接的な協議会は開催しておりません。  しかし、今後、犯則調査権等が導入されればより活発な刑事告発というものが期待できるわけでございますので、刑事告発を円滑に進める上で検察当局協議会を開催していくことも多くなっていくんではないかというふうに考えてございます。
  13. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 法務省の方、ちょっと御見解をお伺いしたいと思います。
  14. 大林宏

    政府参考人大林宏君) 個別の事件についての捜査端緒につきましては、捜査機関活動内容にかかわる事柄ですので、法務当局としてはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。  しかしながら、一般論として申し上げれば、捜査端緒には様々なものがあり、今回の新潟事件について行われたいわゆる官製談合防止法に基づく公正取引委員会改善措置要求端緒一つとなり得るものと、こういうふうに承知しております。
  15. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 それで、ちょっと法務省及び公正取引委員会に教えていただきたいんですが、今回は担当職員業者側予定価格といいますか、それに近いと言われています設計価格を漏らしていたと、こういうこと、この行為に対して刑法偽計入札妨害罪ということで検察が動かれたわけなんですが、この刑法では立件が可能なんだけれども独占禁止法のこの不当な取引制限の罪の、今回の場合だと共犯ですね、共犯としては、さっきお話があったように難しかったということなんですが、この違いといいますかね、なぜこういうことが起こり得るのかということについて、ちょっとよく分かりませんので、なぜこうなるのかという両方の法律関連性を双方からちょっと御説明をいただきたいと、こういうふうに思います。よろしくお願いします。
  16. 楢崎憲安

    政府参考人楢崎憲安君) 刑法上のことについては法務省さんの方からお答えになるんじゃないかなと思いますけれども独占禁止法違反行為というものにつきましては、入札談合することによって一定取引分野における競争を実質的に制限をするという要件競争実質的制限という要件が必要であるわけでございます。  したがいまして、個々入札において談合を行ったとかという問題じゃなくって、もう少し、新潟発注の、あの一定の工事という包括的な、もう少し広い、包括的なルールに基づく談合といったものを独占禁止法違反としてとらえているわけでございますけれども、そういったルールに基づく談合といったものについて個人がどういうふうに関与していたかどうかといったことの立証が十分できなかったし、またそれが非常に困難であったということでございます。
  17. 大林宏

    政府参考人大林宏君) 独占禁止法違反事件告発がなされなかった理由については法務省としてお答えいたしかねますけれどもお尋ね新潟事件については、検察当局が法と証拠に基づいて適正に対処した結果、談合罪ではなく、公務員予定価格を推知させる情報業者に漏らした点を、個々の公の入札の公正を保護法益とする入札妨害の罪に問うたものと、このように承知しております。
  18. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ありがとうございました。  これで刑法独禁法の性格の違いといいますか、が明らかになっていると思うんですが、要するに独占禁止法の場合は、いわゆる競争制限を行ったその行為にしかも個人が関与していたということを立証しなければいけないと、こういうことになりますね。だから、その点が非常に難しかったと、こういうことなんですね。  それで、ちょっと公正取引委員会委員長お尋ねをしたいんですが、こういった発注側の関与を報告をするといいますか、こういうことを今回の措置減免制度に取り入れるということも当然考えられたと思うんですけれども、民主党の場合はそういうことを含めた案を作らしていただいたんですが、まあ数字がいいか悪いかは別にして、そういう考え方を取り入れていくということについてどのように思っておられるでしょうか。
  19. 竹島一彦

    政府特別補佐人竹島一彦君) 官製談合、ある意味じゃ日本特有の現象かもしれませんが、それが悪質であってきちんと取り締まらなきゃならぬというのは、私どもも全くそう思っておりまして、せっかくお作りいただいた官製談合防止法を我々として精一杯活用していかなきゃいかぬというのが基本的な考え方でございます。  それで、今回の改正について、官製談合だけ取り出して特別重い罪にするとかということがどうかということにもなるわけですが、私どもは、それはその必要はないだろうと。官製談合について情報をもたらせば罪一等軽くなるというのも、それはおかしいと。  しかしながら、具体的には課徴金減免制度、それから犯則調査権限の導入によりまして、その違法行為がどういうふうに、どういう具体的な姿でだれが関与してどうなったのかという全容を解明するということが現在よりははるかにできるようになるだろうと。特に、課徴金減免制度に基づいて誠実に調査協力をしていただくわけですから、もしその事件官製談合であった場合には、当然、いついつどういうポストの人間からこういう情報なり指示があったんだということは、自分たちの、民間業者だけの談合に加えてその情報は当然入ってくるだろうと。今は、ややもすればそちらの方には遠慮してそういう情報はもたらさないというのが現実の審査過程では見られますけれども、そういったことはなくなるということでございます。  そうすると、我々としてそういう情報に接しますと、当然、より的確に、官製談合防止法なり、その他の告発すべきものは告発するというようなことがよりやりやすくなるだろうと、こういうふうに考えておりまして、直接的に官製談合に着目した規定ぶりはしておりませんけれども、今申し上げた制度によって実態解明はより精度が上がるというか確率は高まるというふうに考えております。
  20. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 まあ、ここら辺は受け止めの違いがあると思いますが、後ほどまたちょっと議論さしていただきたいと思います。  ただ、私は、今のいわゆる官製談合でありますが、これは独禁法趣旨であります、極めて重大かつ大きな影響を国民経済に与える、あるいは独占禁止法法律目的であります法目的に照らしても非常に重要な問題だというふうに思っていまして、今よりは確かに法改正情報も入ってくるかもしれませんが、やはり当局の姿勢の問題というのがあるような気もいたしますが、後ほどまた議論さしていただきます。  それで、官製談合についてもう少しお尋ねをしたいんですが、その前にちょっと、先日来議論されている点なんですが、今回のこの課徴金減免制度について、立入検査の前に最初に自らの違反行為報告を行った事業者等については、役職者についても刑事告発を行わないと、こういうことを表明されているわけでありますけれども、この考え方をもう一度ちょっと簡単に御説明をいただきたいと思います。
  21. 竹島一彦

    政府特別補佐人竹島一彦君) 公取情報を得ていない段階で、したがって立入調査もしていない段階で、一番目に談合なりカルテルなりの違反行為の事実を自首してきたという事業者については一〇〇%の減免という、そういうメリットを与えましょうということでございますが、その際に、刑事罰、重大・悪質なケースの場合は刑事告発ということも当然あり得るわけでございまして、そうすると、課徴金は免ぜられたけれども刑事告発を受けるのかと、それではやはり公取に自首するわけにいかないと、こういうことになりますので、これはほかの国でも同じでございますが、一番目の者については特別その刑事告発をしないという方針でいかないと、せっかく導入する課徴金減免制度がワークしないだろうというふうに考えて、そういうことでお願いをしていると。  たまたま専属告発権という権限もいただいておりますので、法務当局の御理解もいただいて、その訴追に当たっての検察当局裁量権の発動よろしきを得て、私ども告発をしないという方針検察当局として十分尊重していただけるということでございますので、そういう形で課徴金減免制度の実効が上がるようにしたいと、こういうことでございます。
  22. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 法務省の方にお伺いしたいんですけれども、今、公正取引委員会委員長から御説明あった趣旨なんですが、刑法上のさっきのいわゆる偽計入札妨害罪等は、これは公正取引委員会告発を要しない刑でありますが、これが、今いみじくも公正取引委員長がおっしゃったように、ということを考えますと、刑法によって、いわゆる報告をしても刑法によって罰せられる可能性があると、この申入れ者はそういうふうに受け止めるかもしれませんが、そういうことになると、課徴金が免除されるというメリットを含めても公取情報提供しない方がいいと、こういうことになるんですけれども、この点については法務省としても公正取引委員長と同じ考え対応しようということでよろしゅうございますか。
  23. 大林宏

    政府参考人大林宏君) まず、今御質問刑法上のほかの罪が成立する場合という場合、これについては訴訟条件にはなっておりません。個別の具体的な事件について起訴するか否かは検察官判断することですので、一律に起訴されないと申し上げることはできないと思います。  ただ、今問題となっています立入検査前の一番目の報告という、自首等に共通する有利な情状を訴追裁量権行使に当たって十分に考慮することで措置減免制度は有効に機能するものと考えております。  加えて、独占禁止法違反事件について申し上げれば、これは親告罪でございますので、告発がなければ刑事訴追することはできないと。  ただ、一部の事業者被疑者とする告発が当然考えられる一連事件でございますので、そういうことは考えられるわけでございますけれども、あえて告発されなかった被疑者につきましては、法律訴追すること自体は可能でありますけれども、これと措置減免制度との関係について申し上げれば、検察官において、その訴追裁量権行使に当たり、専属告発権限を有する公正取引委員会があえて刑事告発を行わなかったという事実を十分考慮することとなるというふうに考えられますので、措置減免制度は有効に機能するものと、このように考えております。
  24. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ちょっと私、この後、公正取引委員会以外の方から同じ案件について告発があった場合どういう対応になるのかということをお聞きしようと思ったんですが、今お答えになった趣旨からいうと、告発するかどうかの判断の中に、今御説明のあった公正取引委員会対応あるいは措置減免制度も含めて判断するので、まあ絶対ないとは言えないけれども多分しないでしょうと、こういうことでよろしいんでしょうかね。
  25. 大林宏

    政府参考人大林宏君) 御指摘のとおりでございます。
  26. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 それじゃ、ちょっと同じ角度、ことなんですが、二番目、三番目の報告者について、これを法務省お尋ねをしたいんでありますが、この場合の対応は当然変わってくると。したがって、内容によっては、もちろん公正取引委員会から告発はあり得るし、他の告発者から告発があれば、まあ最終的な判断は当然検察判断ということになるんでしょうが、いわゆる通常の刑法の扱いと同じことになると、こういう理解でよろしいでしょうか。
  27. 大林宏

    政府参考人大林宏君) 公正取引委員会は、立入検査前の一番目の報告事業者のみ告発の対象から除外する方針であると聞いておりまして、御指摘の二番目ないし三番目の報告事業者につき、独占禁止法違反事件として告発が可能である場合には告発がなされるものと承知しておりますので、検察当局においては法と証拠に基づいて適正に対処するものと承知しております。
  28. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 そういうことになりますと、実は先週、我が会派の藤末議員と委員長と大分、長時間やり取りがあったんで余り蒸し返しませんが、二番目、三番目の措置減免制度というのは余り効用がないといいますか、そういうふうに受け止められるんですけれども、この点はやはり、だけれども三番目までなんだと、こういうことなんでしょうか。
  29. 竹島一彦

    政府特別補佐人竹島一彦君) 刑事告発を受けるか受けないかのリスクは、一番目と二番目、三番目では全然違うということはそのとおりだと思いますが、二番目、三番目だからといって、例えば立入調査前に二番目、三番目に言ってきたというような場合、さて刑事告発は二番目、三番目に必ずするのかということにつきましては、少なくとも公正取引委員会としてはケースバイケース判断をさせていただきたいと。  具体的に検察当局がそれに対してどうされるかという問題はございますけれども、それはやはり告発問題協議会というのもございますから、そこはやっぱり私どもとして専属告発権行使に当たって、二番目、三番目はもう一律に必ず告発すると、告発する場合は告発するというようなことで決めて掛かるというつもりはございません。それは、ケースバイケース判断させていただきたいというのが私どもの立場でございます。
  30. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ちょっと、さっき聞き忘れたんですが、告発問題協議会というのは、先ほどの答弁を伺っていますと、これは公正取引委員会告発をしようという意思を持ったときに法務当局と御相談されると、協議される、こういう理解でよろしいんでしょうか。
  31. 竹島一彦

    政府特別補佐人竹島一彦君) おっしゃるとおりでございます。  私ども調査をし、やはりこれは重大・悪質であると、刑事告発相当であるという判断をした場合に、検察当局と御相談の上、事件として取り上げる場合に問題協議会を開くということになります。
  32. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 それともう一点、ちょっと確認のためにお伺いしたいんですが、今お話し、先ほどの答弁の中にもありましたが、いわゆる公正取引委員会のこの専属告発権限でありますけれども、これそもそも、これはほかの人は独禁法に基づいて告発ができないという制度でありますから、これはそもそもどういう考え方公正取引委員会にこの権限を与えているということになるんでしょうか。この点について。
  33. 伊東章二

    政府参考人伊東章二君) お答えいたします。  専属告発制度趣旨理由ということでございますけれども独占禁止法は、基本的に違反行為に対しまして行政措置でその排除等を命ずるといういわゆる行政措置中心法運用考えておりまして、そのための専門行政機関として公正取引委員会が置かれておると、こういうことが基本でございます。  その中で刑事罰規定もあるわけでございますが、どういう案件刑事罰相当かどうかということにつきましては、その運用専門機関でございます公正取引委員会がまず判断すべきであると、こういう立法趣旨ということでございます。
  34. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今の御答弁でもうちょっと確認させていただきたいんですが、専門家である公正取引委員会告発するかどうか判断するということなんですが、その判断考え方というのはどういうことになるんでしょうか。告発するかしないかというときの判断基準といいますか、それについて教えていただきたいということと、行政措置中心のということで今お話ございましたね。ということになると、これはいわゆる事業者事業者を主に念頭に置いた対応だと、こういうことも、こういう理解をしているんですけれども、それでよろしいでしょうか、ちょっと二点、お聞かせいただきたいと思います。
  35. 伊東章二

    政府参考人伊東章二君) 告発につきましては、そういうことで、ある意味公正取引委員会裁量ということになるわけでございますが、公正取引委員会平成二年に、独占禁止法違反に対する刑事告発に関する方針というものを公表しております。この中で、二つ一つは、一定取引分野における競争を実質的に制限する価格カルテル、供給量制限カルテル、市場分割協定、入札談合、共同ボイコットその他の違反行為であって国民生活に広範な影響を及ぼすと考えられる悪質かつ重大な事案、これが一つでございます。もう一つは、違反を反復して行っている事業者、業界、排除措置に従わない事業者等に係る違反行為のうち、公正取引委員会の行う行政処分によっては独占禁止法目的が達成できないと考えられる事案と、これらについて告発を行う方針というのを公表しておりまして、現在、この方針に沿って運用しているところでございます。  それから、独禁法の対象事業者といいますか、それはあくまで事業者ということでございまして、行政処分でありますと事業者に対して行政処分を行うと、これが基本ということでございます。
  36. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 先週もちょっと議論になっていましたが、特に日本経団連等から、官製談合への対応として、現行の官製談合防止法では、違反行為を唆したこと自体に関して発注者側が処分される仕組みになっていないということで、商法四百九十七条の例も挙げながら、より発注側職員を直接刑事処分の対象とできる規定を創設すべきであると、こういうことを主張されていますけれども、この点についての公正取引委員長の御見解をお伺いしたいと思います。
  37. 竹島一彦

    政府特別補佐人竹島一彦君) 確かに、総会屋対策で導入された利益要求罪にかんがみまして、唆し罪を入れるのが有効ではないかという具体的な提言が経団連さんから出てきておりまして、それも今、与野党で御検討なすっておられる官製談合法改正一つの論点であるというふうに承知をしております。  ただ、私どももその検討作業に御協力申し上げていますが、詳しく申し上げますと、現行の、先ほど来御質問にありました刑法偽計入札妨害罪等対応できる部分があるではないかと、どうして重複してそういうことをやるのかと。例えば、予定価格を教えましたとか、あなたが今度は落札本命ですよというようなことを役人がそれを示唆する又は指示するという場合は、これはもう正に刑法、現行の刑法で十分に取り締まれるわけで、現に新潟の場合もそういうことが行われているわけなんでございます。さて、それに乗せて官製談合防止法にもそういう唆し罪というのを設ける一体意味なり意義なりはどうなのかと、法律上、法制上どうなのかという議論もございまして、この辺は正に専門的な御議論をきちんと詰めなければいけない話だと思っております。
  38. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ありがとうございました。  今、委員長からお話あったように、いろいろ難しい面があるということでありますが、同様に苦労しておる者の一人としていろいろお考えも確認したいという思いもございまして、質問させていただいているわけですが。  次に法務省にお伺いしたいんですが、今引用しましたこの経団連の唆したこと自体を処分の対象として制度化をするというふうに考える場合に、どういう要素といいますか、要因等を検討する必要があるのか、ちょっと専門家の立場から御見解を承りたいと思うんですが。
  39. 大林宏

    政府参考人大林宏君) 談合罪は、公の入札等の公正な価格を害し又は不正の利益を得る目的談合することにより成立し、このような談合を教唆、幇助した場合には談合罪の教唆犯又は幇助犯が成立し得るものと解されております。  また、いわゆる偽計入札妨害罪は、偽計により公の入札等の公正を害すべき行為をすることにより成立し得るものと解されておりまして、ここに言う偽計とは、いわゆる予定価格の漏示等が含まれるとされております。  御指摘の唆し罪を設ける必要性の有無、また、必要性が認められるとして、いかなる行為を処罰の対象とするかにつきましては様々な御議論があるかと思いますけれども談合罪の教唆犯や幇助犯又は偽計入札妨害罪として処罰可能な行為については、これらの罰則と処罰対象が重なる部分もあるものというふうに思われまして、そのような検討も必要かというふうに考えております。
  40. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 それで、今の御答弁も受けてもうちょっと議論させていただきたいんですが、まず、実は十四日ですか、私、ちょっと官製談合の実態といいますか、こういうことについて公正取引委員会質問させていただいたわけですが、答弁は、実感としては民間業者主体のものが多いというお答えがありまして、実態として解明できたのが二件だと。はっきり申し上げると、よく分からないお答えがあったんですが、例えば、これは日弁連の調査なんかを見ますと、この調査、二年間にわたって、九九年に取りまとめたものですからやや古いんですが、過去二年間、その前の二年間の状況についてヒアリング調査したところ、全国で二百数十件の談合についての、これは、要は入札談合ホットラインというのを設置して、そのヒアリングを行ったと、訴えを聞いたということなんですが、二百数十件寄せられたと。その二百数十件のうち、九割は入札談合に関するものだったと。  そのうち、そのうちというのは、二百数十件の五割以上が、実は談合に加わらなければ指名を外されるとか、業者の指名が不公正であるとか、予定価格を教えてくれるとか、自治体の担当者は談合を見て見ぬふりをしているとか、役所が談合を仕切っているとか、もう明らかに官製談合だというふうに思われるものが五割以上あるんですね。  ですから、恐らく公正取引委員会もこういうもの、件数を正確に把握はされてないかもしれませんが、こういう実態はある程度御存じだというふうに思うんであります。したがって、そういう意味で言うと、先日はたった二件しか挙げていませんと、こういうちょっとつっけんどんなお答えだったんですが、さっき申し上げたように、これは非常にある意味でいうと組織的、構造的な我が国の問題だというふうに思うんですけれども、この点も含めて官製談合の今の実情というものについて公正取引委員会の御見解を伺いたいと思うんですが。
  41. 竹島一彦

    政府特別補佐人竹島一彦君) 今、直嶋委員るるおっしゃったようなお話は、今回の法律改正過程でも、経済界から、この強化をするというなら、その実態は、何割かは分からないけれども、物品の調達も含め、ソフトウエアの開発も含め、何も建設工事だけではないと。官製談合的な話というのはたくさんあるんだから、そちらをきちんとやってほしいというお話が何度もあったということにも見られますように、私どもも、おっしゃるような実態があるんではないかという懸念というか不信感といいますか、そういうものを持って、したがって事業者中心になっておる場合であってもひょっとして背景に官製談合的な作用が働いているかもしれないということで、特に官製談合防止法ができてからは、それまでは公取権限がなかったわけなんですけれども、できてからはきちんとそこにも注目してやってきていると。  残念ながら、十五年の一月から施行されて二件しかできていないということでありますけれども、実情は、おっしゃるように、そんなものにとどまるものではないのかもしれない。したがいまして、これ繰り返しになりますが、違反行為の実態の解明のために我々はもっと正確な情報を得られるような仕組みなり権限なりが必要だということで今回の改正もお願いしているということでございますので、これからもそういう情報に接しましたら、きちんと官製談合の摘発に我々として努力していきたいと思っております。
  42. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ということは、今回の措置減免制度を始めとするこの改正は、今お話あったとおり、官製談合に対する取組も当然一つの視野に入れてなされたと、こういうふうに理解してよろしいでしょうか。
  43. 竹島一彦

    政府特別補佐人竹島一彦君) 二つありまして、大きくは違反行為の言わば形がどうなっているのかということを解明するということが大事でございますので、そういう中で官製談合があればそれも暴き出されるという意味で、課徴金減免制度なり犯則調査権限というお話を申し上げていると。一方、より具体的に官製談合に着目したものとして議員立法で成立している官製談合防止法がある。それをもっと使い、何といいますか、足りないところがあれば改正をするという議論が別途あるわけでございまして、広い意味では官製談合を視野に入れた改正法案を今回お出ししておりますけれども官製談合防止法については私ども具体的なことを、お手伝いはさしていただいていますが、議員立法でございますので、その改正法案ということは差し出がましい話でもございますので、さしていただいてないということでございます。
  44. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ちょっと次の議論に入りたいと思うんですが、それで、先ほどこれ法務省の方からお答えがあったんですが、つまり官製談合についてでありますが、いわゆる唆し罪的な要因についても、現在の刑法のこれは第九十六条の三ですかね、によってかなり処罰可能であるよと、こういう趣旨の御答弁があったと思うんです。  確かに、おっしゃるように、この刑法九十六条の三の入札等妨害罪及び談合罪とこの入札談合等関与行為との関係について見ますと、若干違いがあるような部分もあると思うんですが、おおむね、大ざっぱに言えば、かなりの部分は、いわゆる入札談合等関与行為として書かれている内容は、さっきおっしゃったように、刑法の九十六条の三にかなり合致するというふうに、私もそう思ったんですが、これはこういう理解でよろしいでしょうか。
  45. 大林宏

    政府参考人大林宏君) 御指摘のとおりでございます。
  46. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 それで、ちょっと一点、やや細部に入っちゃうんですが、そういう点で違いをあえて申し上げますと、入札談合等関与行為というのを定義しておりますこの法律の二条の五項に、これはちょっと実は通告していないんでお答えしづらいかもしれませんが、法文ありますかね、お手元に。──ああ、そこありますね、はい。  二条の五項の二号になりますが、ちょっと読みます。「契約の相手方となるべき者をあらかじめ指名することその他特定の者を契約の相手方となるべき者として希望する旨の意向をあらかじめ教示し、又は示唆すること。」と、こういうことがこの二条五項の二号に入っているわけですが、この点が若干、さっきおっしゃった刑法入札妨害罪等と少し違うのかなという気もするんですが、そこまでは詰めておられませんか。どうでしょう。
  47. 大林宏

    政府参考人大林宏君) ちょっと突然の──失礼しました。突然の御質問ですので、ちょっと今の点については、ちょっと検討させていただきたいと存じます。
  48. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 公取の方、何か御見解ありますか。
  49. 竹島一彦

    政府特別補佐人竹島一彦君) 今お読みになられた官製談合防止法の第二条第五項、そこに三つの関与行為の類型があって、直嶋委員、今それの二番目をおっしゃったわけですが、私どもの勉強の結果では、それは、二番目と三番目、要するに三番目は公開してはならない情報、例えば予定価格が公表されていないのにそれを教えるということですが、この二つは競売入札妨害罪に該当し得るということだと思います。  該当しないのは一番目でございまして、例えば、あっ、ごめんなさい、一番目でなくて、私ちょっと勘違いしました。一番目はこれはもちろん関係します、二番目も関係しますが──失礼しました。ちょっと混乱いたしまして、御迷惑掛けました。  もう一回申し上げますが、談合の明示的な指示という行為類型が禁止行為としてあるわけですが、その具体的内容として、例えば年間の受注予定額、例えば自治体でもどこでもいいんですけれども、そこの年間の受注予定額というのを示して、それでその目標を達成するように、全体がありますから、その中で十社あれば十社が、大体あなたのところはどのぐらいですよという割り付けをするわけですね。そういった行為は今の刑法では捕捉しきれないという、もうこれはまた、何といいますか、微に入り細に入った議論をした場合の話なんでございますが、その点は入っておりませんが、逆に予定額を教えたり本命を指示したり、そういうのはもう現行の刑法で十分取り締まれるということでございます。
  50. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 済みません、ちょっと予定外の質問をさせていただきまして、ありがとうございました。大分はっきりしてきたんですが。  それで、もう一つ、この官製談合に直接的にかかわる部分にもなるんでしょうが、さっきちょっとお伺いをいたしました措置減免制度であります。  つまり、今回の改正法案でいいますと第七条の二の第七項、八項、九項、十一項、この辺のことでありますが、この第七条の二等に基づいて公正取引委員会が資料提出を受けた場合、例えば、さっきちょっと議論しましたが、この資料の中に刑法九十六条三の競売等妨害罪に関する証拠がある場合には、犯則捜査のため必要があれば、刑事当局に対してこの証拠は引き渡すことができると、こういうふうに理解してよろしいでしょうか。
  51. 楢崎憲安

    政府参考人楢崎憲安君) 犯則調査を行いまして刑事告発ができるという場合には、告発に必要な証拠の一部として、減免措置の適用を受ける一番目の事業者から提出された資料も含め、告発に必要な資料を検察当局に引き渡すということになると思われます。  それから、告発ができなかったという場合でございますけれども、様々な形で検察当局におかれまして端緒が得られて刑法の問題として処理するということになりますと、通常、検察当局の方から令状を得て公正取引委員会の留置している資料の差押え、捜索をされるという形で検察当局の方に資料が渡るといったことも十分想定されるところでございます。
  52. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 じゃ、もう一つちょっとお聞きしたいんですが、これはできればちょっと公正取引委員会法務省と両方にお答えいただきたいんですが、この独禁法改正案のいわゆる犯則事件調査等の規定に基づいて、さっきの話は措置減免制度の話なんですが、犯則事件調査に基づいて公正取引委員会が差し押さえた資料については、やはりこの刑法九十六条の三の競売等妨害罪に関する証拠がある場合、これを刑事当局に引き渡すことが可能でしょうか。  実は、今回の法律案の百十六条に、告発をした場合には云々かんぬんとあって「引き継がなければならない。」と、こういう規定があるんですが、告発をしない場合には、この規定をそのまま読むと引き継げないというふうにも読めるんですけれども、そうすると、公正取引委員会において、この調査中の証拠について刑事当局が別の、別の案件という形で、つまり刑法捜査で使用するということは事実上非常に困難になるんじゃないかと思うんですが、この点についてはどういうふうに解釈すればよろしいんでしょうか。
  53. 大林宏

    政府参考人大林宏君) 御指摘の場合でございますが、検察当局においては、いわゆる官製談合防止法の枠組みなどに基づいて捜査端緒を得ることは十分に可能であるというふうに考えております。  ただいま御質問の、告発がない場合でございますが、検察当局において刑事事件として取り上げるもの、取り上げるべきものがあるというふうに判断した場合には、令状を得て押収するというような形で証拠を収集することが可能だと、こういうふうに考えております。
  54. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ありがとうございました。  それで、もう一点、ちょっとこれは法務省にお伺いしたいんでありますが、独禁法八十九条の違反の罪についてなんですが、事業者、要するに独禁法の三条で「事業者は、」ということで罰則規定を設けています、法律を立てていますが、八十九条というのは罰則規定なんですが、この事業者に該当しない者であっても、事業者犯罪行為に関与した場合には、いわゆる身分なき共犯というんですか、あるいは共同正犯、教唆犯等々で責任を問うことが可能であるというふうに思います。これは、下水道事業団の実際の事件で、担当者が幇助罪に問われた判決が出ているわけであります。そうすると、入札談合等関与行為を行った職員についても独禁法八十九条の共犯の責任を問うことは可能だというふうに思うんですが、この点についてはいかがでしょうか。
  55. 大林宏

    政府参考人大林宏君) 今御指摘独占禁止法八十九条の罪は、事業者又は事業者団体による不当な取引制限等の罪を処罰する身分犯でございますが、発注者を始めとする事業者以外の者が事業者等共犯であると認められる場合には刑法六十五条によって処罰することが可能であると、今御指摘の教唆犯、幇助犯はもちろん成立するということでございます。
  56. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ちょっと、これはできれば官房長官に御見解を伺いたいと思うんですが、ちょっと今、あれやこれやと法律論を、法律論といいますか、法律の解釈について議論をしてきたんですが、先ほどお答えの中にもありましたけれども公正取引委員会専属告発制度についてなんですが、この趣旨は、さっき答弁にもありましたが、違反事件について行政処分にとどめるか告発を行うかの判断公正取引委員会が行うことが妥当であると。つまり、専門家だからと、専門として行うんだと、こういうことなんですが、独占禁止法第三条の違反について、排除命令や課徴金の命令といった行政処分を受けることがあり得ない人、つまり事業者以外の個人ということですが、事業者以外の者については、私は、公正取引委員会専属告発制度の対象から外す、こういうことが可能であるし、そのことを検討してみるべきではないかというふうに思います。  そして、入札談合関与行為を行った職員については、その入札談合等が公正取引委員会告発方針であります、国民生活に、さっきお答えがあったとおり、国民生活に広範な影響を及ぼすと考えられる悪質かつ重大な事案、あるいは行政処分によっては独禁法目的が達成できないと考えられる事案、つまり独禁当局刑事告発をするときの一つのメルクマールといいますか、指標になっていますが、これに限らず、発注側の関与した個人についてはやはり必要な刑事処分を行うべきではないかと、このように思います。  したがって、入札談合等関与行為を行った職員については、事業者に対する刑事処分とは切り離して、刑事当局において独自に、つまり経済の専門家としての公正取引委員会判断とは別の形で、刑事処分、刑事当局において判断をする、あるいはその判断について公正取引委員会と協力するあるいは協議をすると。そういうことによって、先ほどお話あった、刑法九十六条の三だけではなくて、独禁法八十九条の違反として公訴を提起することをできるようにすべきであると。そのことによって、官製談合についてより大きな抑止力を持つことができるんではないかというふうに私なりにちょっと考えたんですが、できれば官房長官の御所見もお伺いしたいと思います。
  57. 細田博之

    国務大臣(細田博之君) この御質問はちょっと、事前通告があったわけではございませんし、伺っていると、非常に専門的な見地からいろいろな角度から直嶋議員がこの論理を詰めていかれた上で、今のようなことで考えたらどうかという御提案でございます。非常に貴重な御意見であると私は思っておりますが、直接の御答弁公取委員長からいたすようにいたします。
  58. 竹島一彦

    政府特別補佐人竹島一彦君) 大変難しいといいますか、正にこれから官製談合防止法をどう変えるべきなのか、それ以外の関係法律をどう変えるべきかどうかという議論に正に直結するような問題の御提起だと思います。  私の感じは、やはり公正取引委員会というのは、あくまでも一定取引分野一定のマーケットにおいて公正で自由な競争を妨害して独禁法違反行為を行っている者を取り締まるということでございまして、官製談合というのは、ある種、特殊な役人のかかわり方でございまして、それ自体、確かに反社会性もありますから、官製談合防止法もあり、刑法の適用によって起訴もされているということでございまして、公正取引委員会がそこに今以上に、事業者で具体的な取引分野があって、そこで正に談合やカルテルが基本ルールに基づいて行われているということが証明されてもいないのに、ある個別の案件について役人が関与したそのことが公正取引委員会の網に掛かった、そうしたら告発だというようなところまで公取が羽を広げるというか目を光らすというのは、正直、実態からいってもいかがなものかなという感じがいたします。  ただ、その実効を上げるために、じゃどこをどう押さえれば官製談合というのはなくなるのかという、それにふさわしい方法論をどうやって見付けるかという話に結局は行き着くんではないのかというふうに思っておりますが、お答えになっているかどうかちょっと自信ございませんが。
  59. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 法務省の方、何か御所見あれば。
  60. 大林宏

    政府参考人大林宏君) 今御指摘お話は立法の問題でございますので、私たちが今ここで申し上げるのはなかなか難しい問題だと思います。  私どもとしては、現にある法と証拠に基づいて適正にやっぱり捜査をし処分していかなきゃならないというふうに考えております。
  61. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 どうもありがとうございました。また、ここから先のことはいろいろ議論もさせていただきたいと。これは改めてといいますか、ということでこの件については終わりたいというふうに思います。  それで、次に官房長官にお伺いをさせていただきたいんでありますが、よくもう言われていることなんですが、入札談合事件というのは、さっきちょっと申し上げましたが、これは独占禁止法による対応だけではなくて、やはりその背景にある構造的な問題に対する根本的な対策が必要だというふうに私も思っております。そういう面でいいますと、今議論させていただいた官製談合防止法の見直しも必要ではありますが、同時に、もっとより幅広く考えますと、入札契約制度自体を全体を根本的に見直すということがやはり不可欠だというふうに思うんであります。  政府として、今申し上げた点も含めて、入札談合の防止に向けてこれからどういうふうに取り組んでいくのか、この点について基本的な方向を官房長官からお伺いしたいと思います。
  62. 細田博之

    国務大臣(細田博之君) 今、直嶋議員が御指摘のように、入札制度の見直しというのは、常に必要であり、また重要な課題であると思っております。  昨年六月に閣議決定をいたした骨太方針二〇〇四にも、公共調達について、価格だけではなく技術や品質を含めた評価の下で、健全な競争を促進するため入札・契約の一層の改革・適正化を進めるとともに、発注者側談合への関与があった場合の制裁の厳格化を検討するということで、官製談合問題の対応と並びまして入札契約の適正化に取り組んでいくことにしたところでございます。  また、昨年十二月に閣議決定いたしました「今後の行政改革の方針」におきましても、政府の取り組むべき行政効率化の一つの柱として公共調達の効率化を掲げ、一般競争入札、公募型指名競争入札等の推進、総合評価落札方式の推進など具体的な施策を盛り込んだところであります。  議員御指摘のように、時代とともに変化する面もございますし、またこの十年間は公共事業、冬の時代ということで、供給力が需要を大幅に上回るという、数年で国と地方の公共事業の予算が半減するという大変な事態になって逆に競争は非常に激化したと同時に、そこを企業がいろいろ生き抜いていこうという意欲の表れでまた様々な事件が起こる。他方、官庁側からも、限られた予算がある、できるだけ安く上げたい、しかしいいものでなければならない、そういった調和が非常に難しい時代に入っておるわけでございます。  経済が次第に安定してきまして、一般の民間投資等も増えてくればまた環境は少しずつ変わってくると思いますが、絶えず、実態に応じた入札制度、契約の適正化の制度は見直していくべきであるということが基本方針でございます。
  63. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ありがとうございました。  今の官房長官からもその方針お話しいただいたわけでありますが、今のお話の中にも出ていましたけれども、最近の入札の問題で、一つは、いわゆる価格一本で入札をすると、こういう仕組みが大半を占めていますので、そういうことが背景なんでしょうが、いわゆるダンピング受注という問題が出ています。いろいろと指摘をされております。このダンピング受注、まあ確かに値段が安ければいいということかもしれませんが、一方で、例えば建設工事を例に挙げますと、工事の手抜きであるとか下請事業者へのしわ寄せとか、いろいろ問題も指摘されております。  この公共調達におけるダンピング受注の問題について、公正取引委員会としてどういう対応を図ってこられたでしょうか、お伺いしたいと思います。
  64. 竹島一彦

    政府特別補佐人竹島一彦君) ダンピングは、以前はビールでありますとかガソリンとかということが特に不当廉売として問題にされたわけですが、その後、御指摘のとおり、公共工事においてもダンピングで大変な影響が出ておるというお話がございました。  私ども、これは国土交通省、それから地方自治体に今、低価格入札調査制度というのがございまして、一定の金額を下回るものについてはそれでちゃんとできるかどうかということをチェックするという制度を運用しておられるわけですが、そういった制度で引っ掛かってきた案件の中にダンピング、不当廉売事案がないかどうかということを、そういう問題意識でデータの提供をお願いしまして、七百ぐらいの案件についてそれをいただいたわけです。それに基づきまして、警告でございますけれども、建設工事についてやっておりますし、それから設計コンサルタントについてもそういうことをやっておるということでございまして、これからも大変、そういうしっかりやれということを私ども伺っておりますので、事案に即して、何といっても大事なのはその自治体の判断でございまして、言われるほど私どものところには情報はカルテルや談合のような形では入ってきていません。  そういう実情にありますが、先ほど御紹介したような、我々が積極的に情報をいただくというようなことも含めまして、公共工事等における不当廉売についてはこれからもきちんとやっていきたいと、こういうふうに思っております。
  65. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 それで、ちょっと実務的な話で恐縮なんですけれども、一、二お伺いしたいんですが、さっきちょっと例に挙げました新潟市の官製談合事件でいわゆる予定価格が問題になったわけでありますが、この公正取引委員会のお調べになった地方公共団体における入札・契約の実態調査というのを見ますと、予定価格を公表している自治体が結構多いんですね。これは法律的な問題がどうかというのは別にして、いいことなのか悪いことなのか、どうなんでしょうということなんですが、公正取引委員会と、併せて国土交通省の御所見もお伺いをしたいというふうに思います。
  66. 伊東章二

    政府参考人伊東章二君) お答えいたします。  今、先生御指摘調査でございますが、私ども、地方公共団体における入札・契約の実態というものを把握する必要があるということで、アンケート調査をいたしました。全都道府県、それから市町村につきましては大規模、中規模、小規模と、こういう区分けをして制度の実態等を調査したわけでございますが、御指摘予定価格の公表につきましては、都道府県あるいは大規模市町村で四分の三の自治体が公表しておると、一番小さい五万人以下の市町村でも四割が予定価格を公表しておるということでございます。  その理由も併せて調査しているわけでございますけれども、回答で一番多かったのは、予定価格の事前公表は入札談合防止の観点からは望ましいとは言えないが職員が不正行為に巻き込まれないようにするためにはやむを得ない、やむを得ず必要であると、こういう回答が一番多かったという状況でございます。  確かに、予定価格を事前に公表しない場合、職員入札談合等に巻き込まれることとなるおそれは少なくなるわけでございますけれども、一方で、予定価格を事前に公表する場合には、建設業者の見積り努力を損なわせる、あるいは談合が行われる可能性があるとの問題点もあるというふうに考えておりまして、私どもとしましては、地方公共団体において予定価格の事前の公表を行う場合には、落札価格の推移等によりまして入札談合等が行われていないかどうかを注視する必要があるんじゃないか、あるいは入札時において工事費内訳書の提出を求める、あるいは公募型指名競争入札を推進する等の取組も必要ではないかというふうに考えておるところでございます。
  67. 中島正弘

    政府参考人中島正弘君) 予定価格の公表の件でございますが、事後的にこれを明らかにするということは、入札契約制度過程の透明性、公平性を高めるという意味で、常にいいことというほどのことはないかもしれませんが、十分理解できるし、やっていいことだと思います。  ただ、それ事前にやるというのは、やはり今御答弁ございましたように、見積り意欲の問題でありますとか、談合を助長しやすいとか、いろいろ問題が多いというふうに考えております。
  68. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 もう一つお聞きしたいんですが、今度のこの新潟市の調査報告書をちょっと読みますと、もう一つここで言われているのがこの指名業者、その対象になる指名業者を事前に公表していたと。これは実質的にという形で事前公表されていたということが書いているんですが、この指名業者の公表については、事前事後を含めて、ちょっと御所見を伺いたいと思うんですが。
  69. 伊東章二

    政府参考人伊東章二君) 指名業者の公表の状況につきましても先ほどのアンケート調査で把握しているところでございまして、確かに四割から五割が公表していると。そのうち四割程度は入札の前に公表しておるという状況でございまして、これもまたその理由としましては、入札談合防止の観点からは事前公表は望ましくはないが、入札契約手続の透明性確保の観点から事後公表は行うべきだと、こういう回答が一番多かったわけでございます。  指名業者を事前に公表するということにつきましては、先ほどと同様、やはり談合が行われる可能性があると、そういう問題もございますので、事前公表を行うに当たりましては、先ほどと同様でございますけれども入札談合が生じないか等々を注視する必要があるのではないかというふうに考えておるところでございます。
  70. 中島正弘

    政府参考人中島正弘君) 指名業者の公表の問題でありますが、入札契約適正化法という法律がありまして、及びその施行令におきましては、指名競争入札を行った場合における指名した者の商号又は名称及びその者を指名した理由を公表しなさいと、原則は事後に公表しなさいということですが、事前でも構わないということを言っております。事後的には、やはりその発注者がどういう理由でだれを指名したかというのはきちっと公表されるべきであると思います。  これ事前にやることについてはまたちょっと難しい問題がございまして、一つ欠点としてすぐに思い付くのは談合を助長しやすいということがあると思いますが、片や、やっぱり指名されなかった者、指名されるべきと思っているけれども指名されなかった者に、そういう方々に対して手続の公平性を保つと。苦情という問題もございますけれども、後で言われてもということもございますので、事前に、指名業者については事前に公表するということも理由のあることかなというふうに思っております。
  71. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ありがとうございました。  結構、この辺の予定価格、さっきの予定価格の話なんかお聞きしますと、職員が関与するのを恐れてむしろ公表していると。ちょっと、非常に慎重になり過ぎている反面、談合を助長しちゃうと、こういうことにもなりかねないと思うんですよ。ですから、こういうところの運用というのはどういうふうに考えていったらよろしいんでしょうかね。何か、あちら、モグラたたきみたいな形で、一つたたけば逆の方からぽこっと出てくると、こういう感がするんですが、この点、どうでしょうか。  公正取引委員長、こういう問題について何か御所見、お伺いしたいんですが、どうですか。
  72. 竹島一彦

    政府特別補佐人竹島一彦君) 大事なことは、私どもの立場から申し上げさせていただければ、公正で自由な正に競争が行われるということでございまして、形は公正さかもしれないけれども、実は談合をやろうとしているグループにとっては極めて都合のいいと、そういうことではその制度趣旨と実態が乖離してしまいますので、入札・公共調達に係る制度については絶えずそれを考えなきゃいかぬ。  したがって、取るべきリスクは私は取っていただかなければ、予定価格を公表すれば、これは国はしておられないわけです、先ほどの御答弁にありました。地方自治体はやっておられる。その理由が、先ほど申し上げたように、その職員談合やなんかに巻き込まれないようにと。それは職員は、私は触っていませんよと、全部オープンにしていますからと言えば、それで自分の、何といいます、のところに疑いが掛かるおそれはなくなるというリスクの回避はできるかもしれませんが、それでは肝心の公正な競争ができないと。  談合を助長しているということはもう、私どもは率直に、そういう行為談合を少なくとも黙認することになっているということは否定できないと思いますので、やはり取るべきリスクは発注者側も取っていただかなきゃいけないし、その資格審査等については正に透明性をきちんとやるということも大事ですし、それが実態に合っているか合っていないかの規則的なチェックですね、一級建築士がいるはずのものがいなかったなんということで、にもかかわらずそれが見直されないなんていう状態が続くというようなことのないように、せっかくつくった制度はそのとおり実行されるということが大事なので、少なくとも違反行為をやろうとする動きに対して、その環境を良くするという、有利にするという、そういったことはもう厳にないようにしていかなければいけないというふうに私は思っております。
  73. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 実は、今日は総務省、お呼びしていなかったんですが、今、委員長からお話あったように、国の場合は予定価格の公表はできないんですよね、たしか、会計法上ですか。ところが、地方自治法上はそれは構わないと、こういうふうに理解しているんですが、国土交通省、それで間違いございませんか。
  74. 中島正弘

    政府参考人中島正弘君) はい、そういう御理解で結構でございます。
  75. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 それで、ちょっとこの辺、官房長官にちょっとお願いしたいんですが、国の制度と地方の、この会計法と地方自治法の違いもあってこういうことが行われているわけですが、私も、さっき公正取引委員長がおっしゃったように、これはやっぱり本末転倒だと思いますので、ちょっと御所見をお伺いして、できればまたいろいろと御検討いただきたいというふうに思うんでありますが、いかがでございましょうか。ちょっとこれも通告していませんで、申し訳ありません。
  76. 細田博之

    国務大臣(細田博之君) そのようなお考えもよく理解できますので、今後の検討課題ではなかろうかと思っております。
  77. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 それで、次に公正取引委員長にお伺いしたいんですが、先月でしたか、国会で公共工事品質確保法、俗に品確法と、こう言われていますが、これが成立をしました。この法律は、さっきちょっと議論させていただきましたようなダンピング受注の問題であるとか、あるいは昨日の議論だとこの不良業者が非常に蔓延しているというようなこともありましたが、こういった状況を考えると、それに対する対応という面でいい面も持っておるというふうに思うんですが、逆に使い方間違えるとまた、さっきの話ではありませんが、別の方に行ってしまうということも懸念をされます。  この品確法とこの独禁法の運用との関係も含めて、この意味合いとこれからの考え方公正取引委員長にお伺いしたいと思います。
  78. 竹島一彦

    政府特別補佐人竹島一彦君) 品確法と独禁法関係は、答えから申し上げますと、直接の関係は私はないと思っております。  今でも、一般競争入札をやっていてもその裏では談合が行われているという実態でございますので、その制度が、発注者側発注の仕方がどう変わろうが談合がなくなるというものでは、悲しいかな、ないということだと思いますので、絶えずその談合をやっているかやっていないかについては公正取引委員会として目を光らせなきゃいけないと、こう思っておりますが、品確法のやろうとしておられることは、これはそういう意味で若干公取の範囲を超えるわけですけれども、確かに、厳しい公共事業それから建設市場の状況の中で、安かろう悪かろうみたいなことが横行すると、これは誠にゆゆしきことであると。したがって、価格一辺倒で落札者を決めるというのは適当ではないと、少なくとも適当でないケースがある。大型であったり複雑であったりしたものについてはやはり品質も加味し、総合評価的なことをちゃんとやるべきであるというのは、正により良いものをより安く調達するというところから出てくる私はいい知恵でもあるし、そうであるのがもう筋であると。  ただ、それについて私どもからお願い申し上げたいのは、それがまた不透明なことになって、結局は官製談合的なことになるかならないか、形だけ整っているけれども、実態は実はそういう衣を着替えただけですということでは、これはもちろんいけないわけでございまして、そういう意味で、最初の御答弁に戻りますが、いずれにしても、制度が変わったら独禁法が必要なくなるとか談合がなくなるということではないという意味で、直接的な関係はないのかなと。  しかし、こういうことで、何といいますか、正に公正で意味のある、価値のある事業が、公共事業が行われるということは大変大事なことだと思いますので、私どもも間接的かもしれませんけれども御協力を申し上げていきたいと思っております。
  79. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 続きまして、国土交通省にお伺いをしたいんですが。  今ちょっと議論しました、いわゆる、私もよく聞くんですが、最近のこの入札見ると不良・不適業者が非常に多いと、下手をするとアウトローな世界の人まで入ってくると、こういうようなことも指摘されています。そういう人が、そういう人といいますか、そういう不良・不適業者がかかわっている、入札にかかわってくるような、きているような公共事業というのは、ざっと言ってどれぐらいあるんでしょうか。これは、お調べになったことあるのかないのかも含めてお伺いしたいというふうに思います。
  80. 中島正弘

    政府参考人中島正弘君) 不良・不適格な業者がかかわることは制度上はあってはいかぬことでございますので、それがどのぐらいあるかというのを統計的に調べたことはございません。  ただ、摘発という形で、例えば資格を偽って入札に参加したとか、あるいは置くべき技術者を置かなかったとか、さらに、受注しただけで、通称丸投げと言っておりますが、一括して他の業者へ下ろしたというふうな事案は近年摘発される形としては増えております。ただ、これは、私は、実態が増えているというよりも、実態は、それは今も昔もということはあるんでしょうけれども発注者の自覚なり意識が高まって、少し取り締まる体制が徐々に整ってきているというふうに現状を評価しております。
  81. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ありがとうございました。  あわせまして、国土交通省にお伺いしたいんですが、今、質の高い公共サービスを提供するという意味で、特に公共調達においては、価格だけではなくて、技術や性能とか、その他の要素を総合的に勘案して落札者を決定するという、いわゆる総合評価落札方式というのが、その導入を積極的に検討すべきだと、こういうふうに言われておりますが、これについての国土交通省のちょっと受け止めをお伺いをしたいと思うんですが。
  82. 中島正弘

    政府参考人中島正弘君) かねてから、具体的に言いますと、平成五年とか十年に、中央建設業審議会で入札制度全般につきまして建議をいただきました。その中でも、全体的には一般競争導入とか、いろんなことを建議をいただいたわけでありますが、その中でもやっぱり総合評価に触れておりまして、従来の入札、つまり、価格だけで入札する場合には最低の価格を示したものが自動的に落札になると。こういう場合には、例えば工期でありますとか、安全性とか、維持管理費とか、場合によってはデザインとか、そういった価格以外の要素が優れたものを調達するチャンスがあるにもかかわらず、それが落札の決定に反映されないというような問題があるんじゃないかと。  あと、やはり価格のみが重視される入札におきましては、先ほど委員御指摘になりましたような不良・不適格業者が参入しやすい、ないしは入札談合を誘発しやすいという面もあるんではないかと。こういう点から、技術提案を前提としたような総合評価方式と、価格と価格以外の要素を総合的に勘案して落札者を決めるという方法を検討すべきだという提案がされまして、以来、国土交通省直轄事業では平成十一年度からこの試行を始めまして、さらに、十三年度の入札契約適正化法に基づきまして適正化支援がされましたが、その中でも総合評価方式の導入に積極的に努めるという旨を定めております。  直轄、大体二割ぐらいはこの方式で今やりつつある。更に割合を増やしていこうというふうに思っておりますが、先ほど議論のありました品確法も、ダンピングという背景を受けて、やっぱり公共調達は、価格とそれ以外の要素を総合的に優れたもの、もちろん価格が安いのもいいことでありますけれども、それ以外の品質という要素も勘案して決めるということを原則にしようという法律でありますので、このような法律の成立も受けまして、総合評価方式がますます普及しますように今後も努めてまいりたいと、このように評価をしています。
  83. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 総合評価方式の場合に、今お話あったように、価格だけではなくて様々な要素を入れていこうということなんですが、どの要素をどういうウエートで入れるかというのはなかなか、そこがポイントだと思うんですが、こういうもの、その部分についての考え方とか基本的な物差しみたいなものは今、国交省でお持ちなんでしょうか。
  84. 中島正弘

    政府参考人中島正弘君) これでなければいけないというものがあるわけではないんですが、一応目安といいますか、いろんな工夫を現場でしてほしいというのが一番の方針かもしれませんが、例えば維持管理費でありますとか性能でございますね、耐久性とか、騒音、舗装でありますと、騒音が出る程度がどのぐらい低減されているかと。あるいは環境ですね、工事中の、河川の工事をしますと水が汚れますが、その水質を汚す割合が少ない方がいいとか、あるいは交通の煩雑な道路で工事をしますと、どうしても交通を遮断する期間が問題になりまして、せめてその交通遮断期間が短い工法がないかとか、そういう様々な工夫をしておりまして、割合はこれまたいろいろございますが、一割ぐらいから始めまして、二割、三割というふうなところを模索していると。多いのは一割ぐらいを非価格要素で入れるというような例が多いということが一番今やっている中心、主流のところだと思います。
  85. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ありがとうございました。  次に、会計検査院にお伺いしたいんですが、会計検査院の検査報告の中に入っているんですが、総合評価落札方式の導入について調査をされておりますけれども、これについて、状況把握した上での検査院としてお考えの今後の課題についてお伺いしたいと思うんですが。
  86. 高山丈二

    説明員(高山丈二君) お答えいたします。  先生御質問の公共事業、公共工事の入札契約制度につきましては、透明性、客観性及び競争性を確保するということと、工事の品質を確保するとともにコスト縮減を図るということのため、総合評価落札方式などの民間の技術力を活用した方式の導入が求められていることから、国土交通省及び農林水産省が所管いたします直轄、公団等、都道府県等の公共工事におけるその導入状況について検査したものでございます。  検査の結果でございますけれども、総合評価落札方式の導入は、公団等あるいは都道府県等におきましてはいまだ低いものとなっておりました。また、両省におきましては、その導入は図られてきておりますが、例えば評価項目の選定につきまして、工事期間中のみに効果が限定されている項目が過半数を占めていたり、あるいは予定価格への総合評価管理費の計上方法等につきましては、この管理費を計上する工事が、その算定方法が整備された一部の工事に限られているなどが見受けられたものでございます。  したがいまして、これらの検査の結果を踏まえまして、本院の所見として、まず両省においては、評価項目の選定に当たって、より長期間にわたって効果が持続するような評価内容の拡充に努めること、そして総合評価管理費を計上する工事の実施事例の増加、多様化を図ることなど、また、公団等及び都道府県等におきましては、国土交通省の事例等の内容を徹底するなど、導入に向けた意識改革に努めるなどして、総合評価落札方式の導入の推進に努めることが望まれるというふうにいたしたわけでございます。  以上でございます。
  87. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ありがとうございました。  もう時間が余りなくなってしまいましたので、あとまだたくさん用意していたんですが、ほとんど時間がありませんので、最後に官房長官にお伺いをしたいと思うんですが、先ほどの国土交通省のお答えの中にも少しあったんですが、この総合評価方式を発展させて、言葉がいいのかどうか分かりませんが、政策入札ということが言われています。これは、今、価格だけではなくて、技術とか能力とか、いろいろ付け加えて評価するんだと、こういうお話があったんですが、それを更に発展させて、環境の話がちょっとありましたが、例えば障害者雇用だとか、障害者の雇用をどれだけやっているかとか、あるいは公正な労働環境のために、働いている人の労働条件はちゃんとしているかどうかとか、男女共同参画という意味で女性の採用はどうだとか、こういうものも入れて入札考えていこうじゃないかと、そうすればいろいろ談合ももっと少なくなるんではないかと、こういう考え方があるんですが、まあ私はちょっとにわかにはこれがいいか悪いか言い難いんですが、そういうものをちょっと御質問させていただいて恐縮ですけれども、こういう総合評価を発展させていくといろんなやり方が出てくるんじゃないかという意味で申し上げたんですが、これらについてどのように受け止めておられるでしょうか。
  88. 細田博之

    国務大臣(細田博之君) 公共調達におきまして、高度な技術力や環境に対する配慮の必要性等を背景にいたしまして、今後、価格以外の要素も加味した総合評価方式によりまして契約者を選定することが適切な案件が増えていくものと考えております。  発注に際しましてどのような要素を考慮するかは、各発注機関において、地方の独自性も加味しつつ適切に判断されていくものと考えておりますが、議員立法により去る三月三十日に成立した品質確保法の趣旨も踏まえ、経済性に配慮しつつ価格以外の多様な要素も考慮して、価格と品質が総合的に優れた内容の契約がなされることが望ましいと考えております。  先ほど男女共同参画という話もございまして、私はその担当大臣でございますので、まあそういったことは社会的に見ると大変必要だと。また、普通に入札をしておると大手ばかりが落とすということになりますが、まあ大手は確かにいろんな意味で、品質面その他の配慮面では資本力を背景にあるわけだけれども、ローカルな方々はローカルな雇用をしておったり、あるいは先ほど言われた例示の中にある障害者雇用があったり、地元ですからいろんな配慮が行われているという企業もあるわけで、何とかそこを調和したいという非常に地方の強い思いがあることも事実でございます。  まあ議員立法の背景にもそういったこともあるし、他方ダンピングというような、資本力の大きいものがより有利になるようなことも排除しなきゃならない。いろんな要素があって、これは多元連立方程式を解くような感じでございますが、是非、総合的な観点から、おっしゃるような、より理想的な方式に改善していくような努力を絶えず続けるべきであると、こう考えております。
  89. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ありがとうございました。終わります。
  90. 藤末健三

    ○藤末健三君 民主党の藤末健三でございます。  今回の独禁法改正につきまして、前回、私は、一つは今後の二年間での見直しをどうするかという話と、そして今回の改正の細かいところをお聞きしたんですが、本日は、今回の改正案におきまして公正取引委員会のこの業務が非常に増えるんではないかと、また同時に権限も大きくなるということが考えられますので、一つは、この改正案の中におきましてどのような適正な手続、運用の手続を確保するかという話と、それともう一つ公正取引委員会の体制、私は今の体制のままでこの新しい法案が運用できるとは正直言って思っておりません。適正に運用できるかどうかは疑問でございます。その運用体制について御質問を申し上げたいと思います。  まず、体制につきましては、今回、犯則調査権というものが導入されること、そしてリニエンシー、課徴金減免措置の導入、そして審査調査手続の改正ということで大幅な改正がございます。その状況におきまして、今の体制のままこの公正取引委員会独禁法の運用をどうするかということにつきまして、是非官房長官にお聞きしたいのは、今後、公正取引委員会権限が増し説明責任が大きくなる中、いつまでにどのくらいの人員の増強を考えておられるかというのを是非教えていただきたいと思います。  私は、特に審判官を増員すべきじゃないかと思っておりますが、いかがでございましょうか。
  91. 細田博之

    国務大臣(細田博之君) 審判官につきましては、従来、法律でその数を定めていたところでございますが、弾力的にその数を変えることができるよう、今回の法改正により、これを政令で定めることとしたところであります。これを踏まえまして、審判の増加が予想されることにかんがみまして、審判官を政令で五人から七人へと増員することとしております。また、審判を専門に担当する上席審査専門官を平成十七年四月から新設しておるわけでございます。そしてまた、更に今回の法改正を踏まえまして、平成十八年一月から犯則調査の適切な執行のため審査専門官五十人を増員することとしております。  政府といたしましては、競争政策の重要性を踏まえまして、引き続き公正取引委員会の体制強化に努めてまいりたいと考えております。
  92. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非、体制を強化していただければと思っています。  これはちょっと、長官にではなくて公取のどなたかにお聞きしたいんですが、私が調べましたのは、今、金融庁がどういう状況かと申しますと、全体職員数が百名おられまして、何と、うち一割近い九十名が民間の人材の採用をしているんですよ。これは平成十四年度末のデータでございます。  一方、公正取引委員会を調べますと、平成十四年度末に大体七百人ぐらいおられて、民間人材の採用が七名となっておりまして、何と民間人材の採用数、職員数は大体十対七でございますが、民間人の採用の実績を見ますと十倍以上違うという状況でございまして、この民間人材の採用、特に公正取引委員会はこれからどんどん業務が増す中、法律、経済そして技術などの人材を入れなきゃいけないと思うんですけれども、その点につきまして何かお考えがあれば教えてください。
  93. 伊東章二

    政府参考人伊東章二君) 人材の確保というのは非常に重要な点でございまして、私ども、今御指摘の民間からの受入れということにも努めておるところでございます。この四月一日現在で見ますと、合計で三十二名の受入れをしておるところでございまして、弁護士、公認会計士、エコノミスト、経済法研究者、知財の専門家等々の受入れで、繰り返しですが、三十二名の受入れをしておるところでございまして、引き続き、こういう観点からの人材の確保にも努めていきたいと考えておるところでございます。
  94. 藤末健三

    ○藤末健三君 先ほど私は、金融庁の職員数を百名と間違って言ったみたいですが、千名でございまして、それは訂正させていただきます。  是非とも民間の人材採用については進めていただきたいと思っております。今、二〇〇六年に中途採用の手続というのを定めるという方向で動いているようでございますので、是非とも民間人材を採用していただき、より公正取引委員会の活動を適正に運用できるようにしていただきたいと思います。  次に、体制について御質問申し上げますと、先日、昨日、参考人の話をお聞きしたわけでございますが、その中で根岸参考人、根岸参考人はたしか独占禁止法研究会の副座長をされていたと思うんですが、根岸参考人からもお話があったのは、やはり審判の公正さを担保するために公正取引委員会の内部にある審判部門を分離すべきじゃないかということをおっしゃっていまして、私自身、欧米の例を調べてみますと、やはり調査公取みたいな組織が行い、そして審判、裁判的なものは裁判所が行うような形になってございますが、やはり私は今の警察が捕まえて警察が裁くような体制を改めるべきであると思いますが、その点につきまして官房長官の御見解を教えていただければと思います。
  95. 細田博之

    国務大臣(細田博之君) 独禁法違反の行為は、市場構造等を踏まえまして違法性を判断する必要があるという特性がありまして、市場構造や経済構造に専門的な知見を有する公正取引委員会独禁法専門行政機関として事件を処理し、そして統一的な判断を行うことが適切であると考えております。  迅速かつ効率的に行政処分を確定させるためには、公正取引委員会審査機能と審判機能の両者を保有することが必要であると考えられ、東京高裁判決でも両者を統括的に保有することについて支持されているところであります。  公正取引委員会の審判は準司法手続による慎重な手続を用いておりますほか、事件審査担当した職員は当該事件を審判官として担当しないこととするなどによって公正さを確保しているものでございます。  また、今回の法改正におきましても、審判手続の公正さを確保するための規定を設けており、更に審判官に法曹資格者の活用を図るなど、審判体制の強化にも努めているものと承知しております。  なお、審判の在り方につきましては、今後内閣府に設置される予定の検討の場において議論されるものと考えておりますので、御指摘の点も含めまして、いろいろなことが検討されると承知しております。
  96. 藤末健三

    ○藤末健三君 私は、私見を申し上げますと、やはり審判は裁判所に出すべきじゃないかと思っております。これはもう他国を見てもそうなっておりますし、また審判の公正さと申しますか公平さ、透明さを増すためにも、法曹資格者が私は審判をした方がいいと思うんですよ、正直申し上げまして、ということを是非申し上げたいと思います。  これから私は、公正取引委員会独禁法が今回改正され、もし改正され、このように業務が増えますと、公正取引委員会はやはり調査部門に集中して行わなければ、これ、後でファイアウオールとかいろいろの話を申し上げますけれど、集中して行う体制をつくらなければ独禁法のより充実した運用はできないと思いますので、是非とも将来的に、この二年後の議論とございますけれど、裁判所に分離する、審判部門を分離するような形で進めていっていただきたいと思います。  そのとき、私は、一つお願いしたいのは、やはり法曹資格者をきちんと充実しながら、実際に、もう決まった後に動き出すんじゃなく、今からやっぱり法曹資格者を充実させ、ある程度方向が見えた時点でそれを裁判所の特別部門に移すとか、知財権でもう既に行われていますけれど、そのようなやり方を是非やっていただくようにしていただければと思っております。私自身、今回の法改正につきましては、いろいろな問題点はあるとは思うんですが、公正取引委員会がきちんとその経済の活動を公正に、公平に、そしてかつ透明にしていくという仕事は非常に重くなってくると思いますので、より一層充実した体制を望まさしていただきたいと思います。  続きまして私がちょっとお話しをしたいのは、その審判部門と調査部門が一緒にあるということと、もう一つ大事なことは、今回、犯則調査権という大きな権限公正取引委員会が運用するわけでございますけれど、まず一つに、審判、調査を行ったところ、警察のところと裁判するところが同じところにあるという問題が一つと、それともう一つありますのは、行政調査をしているところ、そしてもう一つ刑事罰調査をしているところがまた同じところにあるんですよ。  ですから、ファイアウオール、そういう分離をきちんとするとしたら、まず審判部門と調査部門を分離しなきゃいけませんし、もう一つ大事なことは行政調査課徴金なんかの決定を行う行政調査と、もう一つ刑事罰などの調査を行うこの刑事部門の調査部門のまた分離もきれいにやんなきゃいけないという、壁が幾つか、二つ最低でもあるような状況になっているんですが、その分離、ファイアウオールをどのように考えておられるかということを、委員長、是非お話しください。
  97. 竹島一彦

    政府特別補佐人竹島一彦君) 御指摘のとおりでございまして、公取の組織令を改正いたしまして、特別調査部、要するに犯則調査を扱う部として特別調査部というものをこの改正法の施行に合わせて立ち上げさしていただきたいということでございまして、現行の一般調査をやっている審査部門とは別に部を設けさしていただく。  まあ、国税の場合でも調査部と査察部があって、その下でちゃんとファイアウオールがあって、必要な情報の交換はちゃんとした手続に基づいて行われているということに見られますように、こちらといたしましても、その両部門は、他の制度に遜色のないようなきちんとしたファイアウオールを設けたいと思っております。
  98. 藤末健三

    ○藤末健三君 じゃ、二つちょっと突っ込んで話をしますと、一つは、物理的な隔離はされるんですか。例えば外資系の金融機関ですと、審査部門と融資部門、完全に壁で分けているんですよ。そして、IDカードを持っていなければ入れないと。もう完全に場所さえも分離するということが一つ。  それと、もう一つ、人事上の問題がございまして、例えば先ほど官房長官からもお話ありましたけど、同じ事件調査して、そして審判をすることはしないというふうにおっしゃっていますけれど、それだけじゃ僕は不十分だと思うんですよね、正直申し上げて。完全に調査部門は、行政調査の方は行政調査のところにいて、物理的にもですよ、そしてまた異動してぐるぐる人が回るようなことはないようにしていただきたいと思うんですが、その点いかがでございましょうか。
  99. 竹島一彦

    政府特別補佐人竹島一彦君) 物理的に壁を設けて出入りができないようにするというようなことは考えておりません。ただ、実際問題として庁舎のスペースの問題がありますから、特別調査部は特別調査部として、何階になるか分かりませんけれども、まあ入るでしょう。行き来はできないということはございません。  それから、人事異動は、これは正に犯則調査部門に入った者はずっと犯則調査部門というわけにはまいりませんので、むしろ一般調査部門で得た経験を生かして犯則調査部門で働くというようなこと、いずれにしても必要に応じてそこは人事交流はあり得べしと。  ただ、大事なことは、犯則調査に携わっている人間は、一般調査とはその事件に関して情報のやり取り、相談があってはならないと、それは、もう正にそこは守らなきゃなりませんし、そのことはきちんと規則でもって定めてそれを励行する、破る者についてはきちんとした処分をすると、こういうことでやらしていただきたいと思います。
  100. 藤末健三

    ○藤末健三君 このファイアウオールのところはすごく僕は大事だと思うんですよ。これをきちんとできなかったら、恐らく公正取引委員会の今回の機能強化は僕は運用できないと思います。いや、私はそう思うんですよ。それほど重要だと思うんですよ。もし行政調査と犯則調査情報交換しながらやっていますよという話になったりしたら、もうほとんど調査権限自体が僕は疑われると思うんですよね。  また、当然のことながら、今回審判手続も変わるじゃないですか。こういう審判手続を迅速化することについては、僕はそれほど問題はないとは思うんですけれど、事前の審査、通告がない、勧告がないような状況になる中、調査部門とやはり審判部門をもっと明確に分けなければ、この手続、新しい手続の運用に対する僕は信頼は得られないと思うんですよ、正直申し上げまして。  私がやっぱり委員長にお聞きしたいのは、いつまでにどのようにその規則を作って公開するかどうか、それを教えていただけませんか。
  101. 竹島一彦

    政府特別補佐人竹島一彦君) 改正法案が成立いたしますと、当然、しかるべき時期に施行ということになるわけですが、私どもとしては、是非、遅くとも一月、来年の一月一日には施行さしていただきたいということを思っていますが、それに間に合わせるように組織改正はその時点で行いますし、それに向けて所要の規則、ガイドライン等々は当然それよりも前広に、パブリックコメントもいただいた上で確定して公表さしていただきたいと思っております。
  102. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非、パブリックコメントを取っていただきたいと思います。そのときは、お願いしたいのは、何かネットの上に載っけただけでパブリックコメントをしましたよということはやめていただきたいんですよ。これちょっと、文句じゃないんですけど、前、御社がなされている、公正取引委員会がなされたパブリックコメントの結果を見ると、十件ぐらいしか来ていなかったんですよね。で、やっぱりなぜかと見ると、ネットに載せて、インターネットに載せてパブリックコメントを取りましたよということでございますんで、これほど重要な改正があって、手続も改正されて、わけでございますから、やはりいろんな方に周知徹底するとともに、それと同時にパブリックコメントを積極的に取っていくことを絶対やっていただきたいと思いますけど、約束していただけませんでしょうか、委員長、ここで。
  103. 竹島一彦

    政府特別補佐人竹島一彦君) パブリックコメントを今回は二回もこの改正に当たっていたしたわけでございますが、大変丁寧にやっているつもりでございまして、ネットに載せただけでやったことにしているということは、私の知る限り、ありません。  これからのことにつきましても、当然ネットも使いますけれども、一般の新聞、その他必要な団体には必要な機会をつくって説明を直接するということも含めて、きちんとしたパブリックコメント手続を取りたいと思っております。
  104. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非お願いしたいと思います。  それで、また先ほど長官からもお話がございましたけれど、やはりこの調査、審判、特に私は審判の信頼性というのは大事になってくると思うんですが、法曹資格者及び経済学などの専門知識を持っている方を増やすべきだと思うんですけれど、その具体的な対策についてよりちょっと詳細に教えていただけないでしょうか。委員長、お願いします。
  105. 竹島一彦

    政府特別補佐人竹島一彦君) 審判は今でも大変数が、審判事件が増えている、時間も掛かっているということでございまして、審判官の増員というのは、質の高い増員というのは我々にとって急務だと思っていまして、もう具体的には十七年度の予算においてこれはお認めいただいていますが、二名増やしますと。しかも、先ほど官房長官の御答弁にありましたように政令で今度は変えます、人数が決められるようにいたしまして、十七年度はとにかく二名増やしますと。その中身は法曹資格者ですということを申し上げておりますし、もう既に一名おられますので、七名の中の三名が十七年度には法曹資格者によって占められると。これからもそのニーズに応じて、審判官、特に法曹資格者、を持っている審判官の増強を考えていかなきゃいけないというふうに思っております。
  106. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非お願いしたいと思います。  また、人数を増やすとともに、既存の職員の方々、今おられる職員の方々の能力もやはり涵養すべきじゃないかと、向上するべきだと思うんですが、例えば、今ロースクールとか、あと知財権なんかの大学院とかできていますので、そういうところで研修を行うようなことも是非やっていただければと思いますが、いかがでございますか、その点につきまして。
  107. 竹島一彦

    政府特別補佐人竹島一彦君) 研修もいろいろ充実をしていかなきゃいけないと思います。  ただ、ロースクールとかそういうところに行けるかどうかはあれですが、今でも留学制度がございまして、欧米の大学に留学も、ほかの役所と同じでございますが、職員の中ではそういう機会もありますので、国内留学のこともあるのかもしれませんが、いずれにしても、いろいろな制度を使って、意味のある研修、その内容の充実に努めていきたいと思っております。
  108. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非お願いしたいと思います。  特に、午後に御質問しようと思っているんですけど、技術的な問題についてもっと突っ込んでいただきたいなということを思っておりまして、今やはり、公正取引委員会の中でいろいろな調査を行っている結果を見ますと、非常に経済的な面に寄り過ぎているんではないかなというのが私個人の意見でございまして、やはりこれから、特にIT分野などにおきまして、技術が分からなければ、そういう企業の技術を独占して市場を独占するというような動きが見えにくくなる中でございますので、特に技術の面などについても専門の知識を持った人を入れていただきたいと思います。  次に、私、前回の質問で、やはり国際的な独禁法の運用が重要ではないかということを申し上げておりまして、これはもう人事院の方にお聞きしたいんですけれども独禁法担当部局、公正取引委員会に限らず、やはり国際的な活動を行う国家公務員の海外の政府機関などとの交流を推進していただきたいと思うんですが、いかがでございましょうか。
  109. 藤野達夫

    政府参考人藤野達夫君) 国家公務員を国際機関や外国政府等に派遣するための仕組みにつきましては、国際機関等に派遣される一般職の国家公務員の処遇等に関する法律というのが昭和四十六年一月から施行されておるところでございます。  この派遣法で、派遣職員の身分関係を始め、派遣期間中の給与、災害補償、退職手当の取扱いあるいは復職時における処遇などを定めることによりまして、職員を安んじて国際機関等の業務に従事させ、我が国の国際協力の円滑な推進を図ろうとするものでございます。各府省におきましては、この派遣法を活用することによりまして国際機関や外国政府等からの派遣要請に適切に対応されているものと考えております。  ちなみに、平成十五年度末の一般職国家公務員の派遣数でございますが、五百二十六名ということになっております。なお、各府省だけを取りますと四百九十四名でございます。  以上でございます。
  110. 藤末健三

    ○藤末健三君 それはあれですか、五百二十六名というのは、留学とかも含めての数でございますか。
  111. 藤野達夫

    政府参考人藤野達夫君) 留学のように本人の能力習得を目的としたものはこの数字に入っておりませんで、国際機関あるいは外国政府、中央政府等で勤務しているものでございます。
  112. 藤末健三

    ○藤末健三君 もし分かれば教えていただきたいんですが、公正取引委員会は今、何人ぐらい海外のそういう機関に出されておられますか。
  113. 藤野達夫

    政府参考人藤野達夫君) 人事院の方に報告いただいております数字では、十五年度末で国際機関への派遣は一名と承知しております。
  114. 藤末健三

    ○藤末健三君 ですから、五百二十六名中の一名というのが、今現状なんですよね。  ここでちょっと私申し上げたいのは、独占禁止法の運用が、今何が重要かというと、一つは国際カルテルなんですよ。国際的なカルテルを結んでどんどん価格をつり上げたりしているという状況に、正直申し上げて今の公正取引委員会は僕は対応できていないと思います。正直申し上げまして。それは後で御質問しますけれども。  そういう中、やはり海外の国際機関との連携が非常に重要になってくると思うんですけれど、これは委員長にお聞きしたいんですが、もっと派遣枠を増やして海外の公正取引委員会、FTCなんかと交流を増やすべきだと思うんですが、いかがでございますか。
  115. 竹島一彦

    政府特別補佐人竹島一彦君) トレーニーのような形でFTCに行ったりあちらの方を呼んだりということは、今までも、継続的ではありませんが、やったことがあると聞いておりますので、それはいいんですが、仕事の上では、もうそういう時代では正直ございませんで、電話会議でもってワシントンとやる、ブラッセルとやるというもう時代になっていますので、国内にいるから国内のことしかやっていないなんということは毛頭ございません。もうインテルの話でもマイクロソフトの話も取り上げているわけでございまして、その担当はちゃんと英語使える人間が担当しておりますし、もう研修とか、若い者についてはそういうことでございますけれども、それではもう対応できない時代になっているということでございます。
  116. 藤末健三

    ○藤末健三君 マイクロソフトとインテルの話をちょっとおっしゃったんですけれども、この独占禁止法の、今、公正取引委員会がなされていることは、国内問題としてなされていますよね、国際カルテルじゃなくて。  少なくとも、私から言わせると、公正取引委員会の活動を二つ意味で国際的にやっていただきたいと思っています。一つは、先ほど申し上げましたように、国際カルテルの問題。今回のリニエンシー、課徴金減免措置、大きいうたい文句は、国際カルテルに対応するというのがたしかうたい文句のはずなんですよ、これ。それをちゃんとやっていただきたいということが一つ。それともう一つは、やはり前回でも申し上げましたけれども、ほかの国々、特に欧米以外のアジアの国々などに独占禁止法の精神、法制度を普及させて、やはり日本の産業が同じ土俵で戦えるようにしていただきたいと思っていまして、私自身は、五百二十六名中一名しか出さないという状況ははっきり言って僕は後れていると思います、何とおっしゃっても。  是非、派遣をやっていただき、そして、電話でやっていますといっても、やはり行っている人間がきちんと活動して人脈を広げて帰ってきたのと、時々会議で会って電話で話しますというのは全然違うと思いますよ。いかがでございますか、委員長
  117. 竹島一彦

    政府特別補佐人竹島一彦君) いや、別に抵抗申し上げているわけじゃないんですが、大使館にとか代表部に職員は出しておりますが、そういう者がアタッシェとして行動していますが、あとはもう東京にいて、必要に応じてワシントンなりブラッセル、EUの事務のその担当をやっている者同士がもう話し合わなきゃならぬ時代になっていまして、公取職員がみんな英語ができるわけじゃございませんが、そういうことに対応をもう迫られて、現に対応しておると。  だから、日常の仕事というのはそういうことでございまして、国際機関に派遣した人間が何かが変わってできるものじゃないわけでございますので、必要な国際機関には派遣しますけれども、私の立場からいうと、そういうところよりは東京にいてもっと仕事をしてくれというのが正直なところでございます。
  118. 藤末健三

    ○藤末健三君 ちょっと話が長くなりそうなので、もうちょっと時間になりましたので、ここで私、午前中の御質問は切らさせていただきます。午後にまた再開させていただきます。  ありがとうございます。
  119. 佐藤昭郎

    委員長佐藤昭郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十八分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  120. 佐藤昭郎

    委員長佐藤昭郎君) ただいまから経済産業委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  121. 藤末健三

    ○藤末健三君 午前中に引き続きまして、質問申し上げます。民主党の藤末でございます。  午前中に公正取引委員会職員の方々の国際的な展開ということを御質問申し上げましたが、詳細なデータを申し上げますと、今、省庁別の国際機関、また他国の政府に派遣されている方の人数が五百二十六人、そのうち一名が公正取引委員会の方だということは人事院の局長さんから伺ったんですが、実際の細かい省庁別のデータを見ますと、例えば警察庁が十四名海外の国際機関若しくは海外の政府に行かれているという状況でございまして、やはり準司法機関として国際的にこれから国際カルテルなどに対応する公正取引委員会も、頑張って職員の方を海外に派遣いただき、そして連携を深めていただければと思います。  ちなみに、警察庁が十四名の方々を海外の機関に送っておられるのは、やはり犯罪が国際化しているからそれに対応すべく海外の機関に派遣されているという状況でございますので、私は、やはり公正取引委員会も同様に、海外の機関に公正取引委員会の方を派遣いただき、そして海外の独占禁止法担当する部局との連携を深めていただければと思うんですが、いかがでございますか、委員長
  122. 竹島一彦

    政府特別補佐人竹島一彦君) 公正取引委員会の場合の国際的な機関というのは、例えばOECDには競争委員会というのがありますのでその事務局というのはあるんですが、そういうところでやるんであれば、公取のためにも、またその職員個人のためにもいい経験になると思うんですけれども、私の経験から申し上げますと、ほかの役所に比べると、そういうふさわしい国際機関というのは公正取引委員会の場合は余りないと。そうすると、それぞれの国の政府の競争当局ということになるわけですが、それについてもまた機会を見て、特に若い職員のトレーニングみたいな感じで派遣するということは考えていきたいなと思っていますが、いずれにしましても、東南アジアに対する専門家の派遣なんということもございますので、いずれにしても、国際経験豊かな人材を養成しなきゃならぬというのは、御趣旨、そういう御趣旨だと思いますけれども、大事なことだと思っていますので、心掛けていきたいと思います。
  123. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非対応をお願いしたいと思います。  今回の独占禁止法改正一つのターゲットとして国際カルテルということがございますので、やはり法律改正に合わせまして体制・組織の拡充をお願いしたいと思います。  続きまして、体制に関しまして最後の質問でございますが、今回、改正法改正が行われましていろいろな手続等も充実するわけでございますが、私が一つお願いしたいのは、自治体や、あと中小企業の団体などが訴訟を起こせるような仕組みを将来的に検討していただいてはどうかと考えております。  欧米の例をまねればいいということではないですけれども、海外におきましては、例えばアメリカでは、州政府が独占禁止法の訴えを起こすことができたり、また私人が訴訟を起こせるというような仕組みがございますので、是非とも、例えば地方自治体であり、また中小企業の団体などが集団で訴訟を起こせるような仕組みを検討していっていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  124. 竹島一彦

    政府特別補佐人竹島一彦君) 現行の独占禁止法の中にも、たしか平成十二年の改正だと思いますが、民事上の、要するに私訴制度の一部が導入されておりまして、被害を受けた事業者なり個人が直接、公取じゃなくて、裁判所にそのことを訴え出るということができると、それに対して公正取引委員会は必要な資料等について協力するというようなことになっているわけでございます。  団体訴権の問題は、これは内閣府において消費者団体の団体訴権ということが今具体的なテーマとして検討されておりまして、遠くない将来にそのための法律国会に提出されるということになっていると承知しておりますが、それと併せまして独禁法においても、特に中小事業者個々ではなかなか私訴が使えないと、事業者団体がそれに代わって例えば不公正な取引方法なんということの差止め請求ができるような道を開いてはどうかという議論もございます。  これについても、舞台はどこになるか分かりませんけれども、向こう二年ぐらいでその是非についてきちんと検討しなきゃいけないということでございますので、流れとしてはそちらの、そういう私訴関係制度の拡充というのが時代の要請なんだろうというふうに思っております。
  125. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非とも、中小企業団体の訴訟ができるような仕組みを御検討いただければと思います。やはり中小企業一社一社だとなかなか訴えることができないような状況でございますので、やはり中小企業の団体などが、不正が行われた場合に、きちんと訴えられる仕組み、その充実はやはり中小企業の方々を守るためにも必要だと思います。  次に、続きまして、本改正案の適正な運用についてお話をさせていただきたい、御質問させていただきたいと思います。  今回の法改正とは直接は関係ないんですが、私の経験的なものから御質問申し上げたいことが一つございます。それは何かと申しますと、やはり中小企業の方々が銀行からお金を借りるときに個人の担保、そして連帯保証人を求められる。例えば、銀行に自分が預金を一千万預けていると、しかしながら、またその一千万を担保に借りようとしても、いや、あなたの連帯保証人が必要ですと言われることが非常に多い。  私は、ちょっと金融機関の人間でないんでその理由は分からないんですが、そのような必要以上の担保などを求める、連帯保証などを求めることは、私はこの地位の濫用ではないかと思うんですが、その点につきましての見解を是非お聞かせいただけないでしょうか。
  126. 伊東章二

    政府参考人伊東章二君) 銀行の融資に当たっての優越的地位の濫用の御質問ということでございますけれども、融資に当たりまして担保等の取引条件につきましては、銀行と融資先企業との間におきまして、当事者間の自由かつ自主的な判断に基づく協議を通じて決定されるべきことが基本であるということになるわけでございますけれども、銀行が融資先企業に対しまして優越的地位にある場合に、その地位を利用しまして、例えば融資先企業に対し、債権保全に必要な限度を超えて過剰な追加担保を差し入れさせるなどによりまして、正常な商慣習に照らして不当な不利益を与える場合には、優越的地位の濫用として独禁法上問題になってこようかと思うわけでございます。  公正取引委員会といたしましては、そういう金融機関と企業との取引慣行につきまして、独禁法上の問題を平成十三年に明らかにしておるところでございますが、今後とも独禁法上問題となる行為に関する情報に接しました場合には厳正に対処していきたいというふうに考えておるところでございます。
  127. 藤末健三

    ○藤末健三君 今、我が国におきまして新しい企業がどんどん生まれるという環境を整備することは非常に重要だと思います。私がいろいろ学んでいる範囲では、やはりこの日本においては担保を求められること、そして連帯保証人を求められるということが大きく起業家意識の足を引っ張っている状況でございますので。ただ、私が聞いていますと、それぞれの方々は独占禁止法というのが頭に浮かばないんですよ。  ですから、是非とも実態を調べていただき、そしてきちんとした運用を徹底していただければ、恐らく金融機関が自分たちの優越的な地位を使って事業者に対する担保を本当に強要するとか連帯保証人を強要することはなくなると思いますので、是非ともこの運用を日本の産業活性化という意味でもやっていただきたいと思います。  続きまして、不可欠施設について御質問を申し上げたいと思います。  私は、前回の質問でも申し上げましたけれども独占禁止法はより一層大きな魚を取れるようにすべきではないかと。今、やはり実態の、警告などを受けている件数を見ますと、ほとんど、八割ぐらいが中小企業という状況でございます。そもそもの独禁法考え方と申しますのは、公正でかつ透明な競争を促進し、そして創意工夫が進み、事業が生まれるような環境をつくるということでございますので、私は、独占的な状況にある、大企業が独占しているようなものをもっときちんと正していくということが求められていると考えます。  そのような中で、電力、ガス、通信、放送、そして航空といった不可欠施設についてもっと規制を適用すべきではないかと考えます。特に、いろんな施設を独占することにより参入阻止行為、新たな参入者を阻止するような行為についての規制をやっていただきたいと思っておりますが、まず一つは、航空や、あと通信などに対する、公共事業に対する規制をどのように考えているかというのを教えていただけないでしょうか、お願いいたします。
  128. 竹島一彦

    政府特別補佐人竹島一彦君) そういう分野において、ややもすれば、いわゆる私的独占行為というものが行われて新規参入者が不当に排除されるということ、またその弱小な競争事業者が市場から排除されるというようなことが起こるわけでございますが、これらについては、正に今までもやってきておりますけれども、これからも厳正に事件として扱っていきたいというふうに思っております。
  129. 藤末健三

    ○藤末健三君 本当に頑張っていただきたいなと思いますのは、私の方で、実際に公益事業などにおきまして公正取引委員会の方々が法律を適用された、違反行為を見付けたものを見ますと、平成十一年からこの十七年までの六年間で十件ちょっとなんですよ。ですから、もっときちんとこの案件を、件数を増やしていただきたいということが一つと、それともう一つは、やはり一つ案件を摘発すれば類似の案件がなくなるではないですか。そういう形できちんと徹底していただきたいと私は思います。  その点につきまして、例えば航空機ですと、ある新規参入の企業がありますと、その企業が、新しい航空会社が参入した時間帯だけ値引きということをしているんですよ、実は。それでその新しい、新規参入に圧力を加えると。それをまあ公正取引委員会の方が違反だということで警告していただいたんですが、そういうことをもっと早く、そして事実を普及していただきたいし、そしてもう一つございますのは、東京めたりっく通信という会社が通信分野にDSLという高速通信網で進出しました。ところが、実際に違反の警告をなされたのに、時間がたしか一年ちょい掛かって、その新規参入した会社はつぶれちゃったんですよ、実は。そういうこともあります。  ですから、この独占禁止法をやはりきちんとその公共事業とかの部門で運用することをもっと徹底していただきたい。そしてまた、事例をどんどんつくっていって、その事例を普及することによってより一層新規参入の企業が入れるようになると思うんですが、どういうふうにお考えかということを、委員長のお考えをお聞かせいただけますでしょうか。
  130. 竹島一彦

    政府特別補佐人竹島一彦君) 問題意識は全く同じでございまして、したがいまして、電気通信の関係でありましたら公正取引委員会と総務省が共同のガイドラインを示していまして、こういう行為をすれば独禁法違反になりますよと、ですから気を付けてくださいと、それに引っ掛かるケースはどんどん言ってきてくださいということでやらせていただいておりまして、今までも具体的な事例、NTT東日本を始め、法的な措置も講じているわけでございます。  そういう世界というのは、もう事業者自身がかなり、私に言わせれば、ほかの分野と違いまして、独禁法を問題意識を持った新規事業者がもう現れている。したがって、公取が取り上げてくれるなら持っていこうということは、他の伝統的な産業分野に比べると私は進んでいるように思いますので、これからもそのガイドラインに基づく指導もございますが、具体的な事案についてはちゃんと摘発していきたいと。  それから電力、ガスについては、これは同じように公正取引委員会と経済産業省の間で共同ガイドラインを作っておりまして、同様にやっております。  したがいまして、どんどんやれというお話でございますが、そういう事例がありましたら、もうきちんとやりますと。あるのに見て見ぬふりしているということではございませんので、そこはどうぞ御理解いただきたいと思います。
  131. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非、このような不可欠施設に限らず、やはり大きな企業が独占しているような状況を正すというのがやっぱり公正取引委員会の大きな役割だと思いますので、是非やっていただきたいと思います。  また、先ほど委員長から御指摘ありましたように、事業法で規制されている不可欠施設もございますが、一方で、インターネットの世界、ネットの世界は一つのところにどんどんどんどん集中するというネットワークの経済性が働きます。  実際に私が聞いている話でございますと、例えばある有名なインターネットのサイト、サイトと申しますのは、いろんな情報が集まる場所がございます。そこがもうほとんど独占していると。そのサイトに自分も入らなければほとんど商売ができないような状況になっておりまして、実際に私がお聞きした事例で言いますと、そのサイトに初めは入っていたのに、ほかの有力な企業が、同種の企業が入ってきて、自分たちは排除されたと、そしてつぶれてしまったという例もあります。  そのようなインターネットのサイト、インターネットなどの世界におけるそういう不可欠施設的な考え方での規制というのをどういうふうにお考えかということを教えていただけませんでしょうか。
  132. 伊東章二

    政府参考人伊東章二君) ネットワークを通じましたコンテンツの円滑な流通等を確保することに関しまして競争制限的な行為がありますれば、これを排除して国民がITのメリットを十分に享受できるようにすることが重要であるというふうに考えております。  御指摘のサイトが不可欠施設と言えるかどうかというのはいろいろ議論もあろうかと思いますけれども、いずれにしましても、有力なサイトが、自らが有力であることを利用いたしまして、取引先に対し他のサイトとの取引を制限したり、あるいは競争事業者であります他のサイトが容易に取引先を見いだせないため事業活動が困難となったり、又は新規参入が阻害されたりするようなことがある場合には、公正取引委員会としても適切に対処してまいりたいというふうに考えております。
  133. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非対応をしっかりやっていただきたいと思います。  また、これはくどいですけれども、是非ともその独占禁止法考え方を世の中に普及していただければと思います、特に新規参入とか中小企業に対して。なぜかと申しますと、彼らは不当な取扱いを受けても、それを独禁法が守ってくれていることを知らないんですよ、多くの場合。それ周知徹底することによって独占禁止法の精神がやはりこの経済に行き渡ると考えますので、是非とも大企業だけじゃなく中小企業、そしてこれから事業を行おうという新しい新興企業に是非とも独禁法考え、そして使い方を普及していただければと思います。  また、追加的な質問でございますが、不可欠施設とまた似たようなもので、私は、技術の独占、ある企業が一つの技術を独占してしまうということの弊害があるんではないかと思います。  具体的な例を申し上げますと、今、日本のワープロソフトは、ある海外のワープロソフトにほとんど独占されている状況です。実は十年前ぐらいですと、日本のワープロソフトがほとんどシェアを取っていたものが、もう一気に逆転してしまったという状況がございます。  それがなぜ起きたかと申しますと、一つは抱き合わせ販売ということで、基本ソフトウエアにそのワープロソフトが初めから付いていたと。これについては、公正取引委員会の方で指摘があり直ったわけでございますが、もう一つ重要なことは、そのワープロで書かれた文書のフォーマットといいますデータの書き方が、ほかの会社が使えないんですよ。どんどん独占されていくという状況になります。  ですから、一社のワープロで書かれたソフトウエアが普及すると、それに集中していくと、ほかの会社はもう使えなくなっていくという状況でございますが、そういう、例えばワープロソフトのインターフェースの情報の開示、技術の独占についてどのようにお考えかということを教えていただけませんでしょうか。
  134. 伊東章二

    政府参考人伊東章二君) 御指摘のように、いわゆる技術標準といいますか、デファクトスタンダード的なものがございまして、技術の世界で独占が生じる場合があるということでございます。こういう場合の独禁法上の問題ということになるわけでございますけれども、今いろいろと個別の御指摘ございましたが、一般論ということでお答えさせていただければと思っておりますけれども一般論としましては、ソフトウエア会社がどのような形で技術情報の開示を行うかどうかということは、基本的には当該事業者の選択の自由にゆだねられるものでありまして、情報を開示しないこと自体が直ちに独禁法上問題となるものではないというふうに考えておるところでございます。  しかしながら、例えば市場において支配的な地位にある基本ソフトのメーカーが、自社の供給するアプリケーションソフトと競合する製品を供給しているアプリケーションソフトのメーカーに対しまして、技術情報を提供しない又は提供する時期を遅らせるなどによりまして差別的に取り扱い、当該競合メーカーの取引の機会が奪われ、アプリケーションソフト等の市場における公正な競争が阻害されるおそれがある場合には、不公正な取引方法に該当し、違法となるおそれがあるというふうに考えておるところでございまして、今後、問題となります具体的な事案に接した場合には公正取引委員会として厳正に対処してまいる所存でございます。
  135. 藤末健三

    ○藤末健三君 この技術独占、特に情報技術の独占につきましては、アメリカにおきまして、基本ソフトウエアを独占しているメーカーのアンチトラスト法上どういう扱いにするかという議論があったときにいろいろ議論されていると思います。  私が本当にお願いしたいのは、ある事例が起きたときに議論するということではなく、やはり世界でもう議論が進んでいるわけでございますので、今後二年の議論の中にこれは是非入れていただかないといけないと思います。恐らく、二年の議論で議論をしておかなければ間に合わないですよ、これは。そう思いますが、いかがでございますか、見解をお聞かせください。
  136. 竹島一彦

    政府特別補佐人竹島一彦君) 日本では優越的地位の濫用と言うわけですが、ヨーロッパでは市場支配的地位の濫用というふうなことになっているわけですが、いずれにしても、この種の問題というのは、大変技術進歩の盛んな、したがって戦略的にそれぞれの国で重要な産業分野でそういうことが起きていますので、御指摘のように、こういったものについてきちんと対処しなきゃいかぬ。  しかしながら、そこには知財、知的財産権との関係もあり、せっかく研究開発投資をしてつくり上げて、売れ出したらすぐ競争当局が入ってきて、みんなに公平に情報を提供しなさいと言ったんでは何のための知財かということにもなりまして、知財とその競争阻害性というのは正に相反する問題がある。  したがって、ただ単に、何といいますか、価値のある知財を活用して、知的財産権を活用して大きな企業になったというもの、そのこと自体でそれがいかぬというわけにはいけない。角を矯めて牛を殺すわけにはいかないんですが、往々にしてそういう、それができ上がった段階で優越的地位の濫用を図るということがございますので、これについてはきちっと目を光らしていかなきゃいけない。  こういうことが積み重なっていきますと、当然その業界における取引秩序ということにもなっていくだろうと思っていまして、私どもも、今回マイクロソフトやインテルの関係のことをやっていますが、それらについては当然EUもアメリカも大変関心を持っておりますし、EUはEUでマイクロソフトに対しても引き続きやっておるわけでございまして、そういった次元の意見交換もやっているわけでございます。  したがって、日本においてもこれからそういう事例を増やすと。ないものをあると言うわけにいきませんが、そういう事例があった場合は積極的に取り上げて、きちんとした、それこそデファクトスタンダードをつくっていきたいというふうに思っております。
  137. 藤末健三

    ○藤末健三君 独占禁止法目的に、公正かつ自由な競争を促進し、事業者の創意を発揮させ、事業を盛んにしというのがあるんですよね。これは本当にすばらしいことを書いてあると思います。  私が思いますのは、今の日本の産業を見ると、パソコンのソフトウエアってほとんどないんですよ、実は。ほとんどアメリカの独占状況になっているという状況でございまして、別に国粋主義的なことを申し上げるつもりはないんですが、やはり私は、アメリカでもう既に基本ソフトウエアの会社がどうするか、分割するか、それともインターフェースの情報を公開するか、それとも一部だけソフトウエアをオープンにして無料公開にしなさいという議論も起きていたわけじゃないですか。そのような議論をやはり日本の観点から独自に議論することが必要だと思いますが、いかがでございますか。
  138. 竹島一彦

    政府特別補佐人竹島一彦君) これは経済産業省さんの方で、そういう技術革新なりマーケットの状況を踏まえて、端的に言うと、情報家電というものをどうやって日本として引き続き国際競争力を持ってやっていくかと。パソコンからアプローチするかテレビからアプローチするかというような議論がなされているわけですが、そういった問題意識で経済産業省の方でいろいろお考えだと思います。  私どもとしては、産業政策をやっているわけじゃございませんので、優越的地位の濫用があればそれは取り締まりますけれども、先ほど申し上げたような考えで、正に公正で自由な競争になっているかなっていないかという問題意識から、観点から取り扱っていきたいというふうに思っております。
  139. 藤末健三

    ○藤末健三君 いや、是非議論していただきたいんですが、私は産業政策としてやってくださいということは一切申し上げていません。確認していただきたいのは、やはり技術的な独占というものが生じているわけでございますので、それについての考え方をきちんとまとめていただく必要があるということです、私が申し上げているのは。  今、この報告書も拝見させていただき、公正取引委員会の議論を見ていますと、技術独占的なものの分析は僕はなされていないと思うんですよ、正直申し上げて。本当にこれは思います。例えば、基本ソフトウエアの会社、独占のてこという話があるじゃないですか。一つの製品を独占させる、それに付随する製品をまた独占していくと、またそれに付随する製品を独占していくということで、一つ独占の軸をつくるとまた独占する、また独占するというのがどんどん広がるというのが技術の囲い込みでございますので、そこは是非議論していただきたいと思いますが、いかがですか、委員長
  140. 竹島一彦

    政府特別補佐人竹島一彦君) その独占のてこのお話も含めて、私どもも同じような問題意識持っていますので、繰り返しになりますけれども、具体的な事件にすべきものはきちんとしていくということでございます。
  141. 藤末健三

    ○藤末健三君 長官に御質問してよろしいですか。  私が申し上げていますのは、IT分野での公正な自由な競争を促進するために、今技術の囲い込みによる独占が起きているんじゃないかと御指摘申し上げていまして、そのようなものをこの二年後の見直しの中で議論すべきではないかということを申し上げているんですが、長官はどうお考えですか。
  142. 細田博之

    国務大臣(細田博之君) 技術的な側面をまた議論をするということになりますと、ある程度の専門性も必要ではあると思います。おっしゃいましたように、過去、基本ソフトについては、日本のトロンとウィンドウズの非常に国家的なレベルでの論争のあった問題があり、新しくはリナックスの新しいソフトを開発しようということでいろいろな意味での展開がありますが、これについても過激な、苛烈な競争が起こり掛けておると認識しておりますし、また、それぞれ一つ一つのソフトとの連携という意味で、囲い込み、おっしゃったような囲い込みの問題がむしろ競争制限的に働きつつあるという面があると私も感じております。  ただ、そのことを法律的にあるいは国際的な連携の下に規制をするとか分割をするとか、そういうような手段が取れるかどうか、これは高度に専門的な判断でございますので、私も内閣官房長官としては、幅広く、一体、知的財産権の問題としてもどうか、独禁政策としてもどうか、あるいは将来の技術の問題としてもどうかという観点で関係省庁にも話をしながら検討をいたしたいと思っております。
  143. 藤末健三

    ○藤末健三君 長官、ありがとうございます。是非とも検討をお願いしたいと思います。この分野でやはりきちんとした事業者が生まれてきて新しい産業を生まなければ私は日本の将来ないと思いますので、是非この検討をやっていただきたいと思います。  続きまして、手続についてお話をさせていただきたいと思います。  今回、犯則調査権が導入されまして、犯則調査権と行政調査権の適正な行使ということが必要だと私は考えますが、それにつきましてガイドラインを作るということをおっしゃっておりますが、いつまでにどのような体制で議論をして作られるかということをお聞かせいただければと思います。  特に、私がお話をさせていただきたいのは二つございます。一つは、調査に当たりまして、被疑事実及び適用法条を告知する文書の交付をするかどうかということ、文書による被疑事実を交付するかどうかということと、もう一つ大事なことは、今回、調査権限が強化されますので、留置された書類などについての閲覧を許すかどうか、この二点非常に重要だと思いますが、ガイドラインを、この二点につきましてガイドラインをどういう体制でいつまでに公表するかということについてお聞かせいただけますでしょうか。お願いします。
  144. 竹島一彦

    政府特別補佐人竹島一彦君) ガイドラインではなくてもっと上の、規則でありますとか、物によっては政令ということになろうかと思いますけれども、まず具体的に御指摘のあった、調査に当たって被疑事実や適用条文を告知する文書の交付ということにつきましては、現在口頭でそれをやっておりますが、これからは公正取引委員会規則で定めるということにさしていただきます。  それから、留置した書類についての閲覧のことについてでございますが、これにつきましては、同じく公正取引委員会の規則で、日時、場所等の指定を受けて閲覧することができる、その条件みたいなものをきちんと規則で書きたいと。  これらは一体いつどうするかということですが、来年の一月一日にこの全体の施行をさしていただきたいと私どもは思っておるんですが、そうだとすると、それに間に合うように周知徹底をしなきゃなりませんので、遅くとも秋にはそういったことが固まっていませんと関係者に周知徹底することができませんので、秋といっても若干幅がありますが、できるだけ早く私どもはパブリックコメントの手続を取りまして、その後それを検討し、それで最終的な規則なり政令なりというものに仕上げていって、十分に前広に関係者に、新しいシステムが具体的にどう動くのか、どう使えるのかということについて分かるようにさしていただきたいと思っております。
  145. 藤末健三

    ○藤末健三君 踏み込んだ答弁をありがとうございます。被疑事実の文書による交付、そして留置した書類の閲覧を規則によって認めるという回答をいただきました。  続きまして、審判手続の今回変更があるわけでございますが、その審判手続につきまして問題点を御指摘させていただきたいと思います。  先日、参考人、特に郷原参考人からも指摘がありましたけれど、今回の改正に伴いまして、事前通知とか勧告といった事前手続がなく、審査が終了した直後に排除命令や課徴金の納付命令が行われるという状況になっております。このような事前審査がないということは、アメリカなどと比較して不公平ではないかというふうに考えられますが、その点いかがでございましょうか。
  146. 伊東章二

    政府参考人伊東章二君) 今回の改正法案では、勧告制度を廃止いたしまして排除措置命令ということにさしていただくわけでございますけれども、この排除措置命令を出すに当たりましては、事前の手続といたしまして、証拠の提出あるいは意見の申出等を、十分な時間的余裕を持って事前に措置の内容の案を見せて意見を聞く手続を設けるということでございまして、事前の手続なくということには当たらないのではないかというふうに考えているところでございます。  なお、諸外国との関係でございますけれども、諸外国の法制を見ますと、当然国によって様々ではございますが、EUや英仏などの欧州諸外国では、今回の改正法案における手続と同様に、意見申出の機会の付与等、一定の事前手続を経た上で正式な行政処分を命じておると。なお、当然これらの命令は、被命令者の不服申立てにより司法手続に移行したとしてもその効力を失うこととはされていないというふうに承知しておるところでございます。
  147. 藤末健三

    ○藤末健三君 御指摘のところは分かりましたが、是非徹底していただきたいと思います。  ただ、意見申述などの徹底というのは非常に重要だと考えております。それはなぜかと申しますと、排除措置の中に、例えば七条ですと営業の一部譲渡と、企業の営業を一部譲渡しなきゃいけないというような排除命令が出せるようになっておりますが、このような措置は非常に企業にとっては大きな影響があるものでございますので、やはりこの手続を迅速化するという必要性も本当に私も分かります。しかしながら、今回の手続をきちんとやっていくためには、やはりもう少し、もう少しと言っては変な言い方でございますけれど、きちんとした、先ほどございましたように、政令や規則でルールを定め、それの徹底をお願いしたいと思っております。  また、このような課徴金制度の変更ということが今回ございます。また、手続制度も変更されるわけでございますが、私は、是非とも公正取引委員会の皆様にお願いしたいのは、改正内容を徹底的にやはり知らしていただきたいと思います。今回の改正が行われて、リニエンシーとか、課徴金減免措置なんかができると。恐らく知っている人と知らない人では恐ろしいぐらい、恐ろしい格差が生まれるはずなんですよ、利益の。ですから、普通でしたら、例えば中央政府がなさるときに、普及というと近畿管区とか九州管区で説明をするということをされていますけれど、私は是非とも都道府県単位できめ細かくこの改正を普及啓蒙していただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  148. 伊東章二

    政府参考人伊東章二君) 改正法の内容の周知徹底、普及を隅々までという御指摘でございますが、全くそのとおりだというふうに考えております。今回の法律、法案の中には全く新しい制度もございます。そういうものも含めまして周知徹底を図りたいというふうに考えておりますし、その周知徹底に当たりましても、これを我々、法案の検討過程でも各地に出向いて議論をしてまいりましたが、それぞれの地域にも出向きまして、あるいは資料等も工夫いたしまして、いろんな手段を考えまして周知徹底に努めていきたいというふうに考えておるところでございます。
  149. 藤末健三

    ○藤末健三君 いろんなところっておっしゃっていただいても、なかなか理解しにくいところがございまして、私が先ほど申し上げましたように、やはり中小企業の方々とか、またこれから事業を行おうとする方々、そういう方々にきちんと伝えていただきたいんですけれども、具体的にちょっと、もうちょっとおっしゃっていただけませんか。
  150. 伊東章二

    政府参考人伊東章二君) 中小企業の団体、例えば当然、商工会議所等も我々はその広報の対象といいますか、出向いていろいろ説明する用意があるというふうに考えておるところでございますし、さらに、申出があれば当然出向いて御説明さしていただきたいというふうに考えております。
  151. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非とも、申出がなくとも、そちらから押売でもいいから説明していただきたいと思います。特に私がお願いしたいのは、中小企業もそうですし、またベンチャーと言われています新しい事業を行おうとしている人間に対して、きちんと独禁法考え方、そして何ができるか何ができないかということを周知徹底することをお願いします。そうしなければ、ある一部の情報を持った人だけが独禁法を運用することになりますよ、きっと。それをお願いします、是非とも徹底を。  また次に、課徴金減免措置について御質問申し上げたいと思います。  今回、課徴金減免措置、これは一つに、国際的な整合性を取り、国際カルテルを規制の対象によりやろうということで動いておられるわけでございますが、先ほど国際的な活動については御質問申し上げましたけれど、リニエンシーの導入だけで国際カルテルの調査は私はできないと考えますが、ほかに何か考えているものがあったら教えていただけませんでしょうか、お願いします。局長、お願いします。
  152. 伊東章二

    政府参考人伊東章二君) もちろん、国際カルテルの摘発のためにリーニエンシーの制度も有効な制度一つとして今回導入を考えているわけで、当然、ございますが、まあそれだけで国際カルテルの事件がすべて処理できるというふうには考えておらないところでございますが、諸外国との協力関係等々も含めて摘発のための努力を、またさらに、そのための技術の向上等も図っていく必要があるというふうに考えておるところでございます。
  153. 藤末健三

    ○藤末健三君 国際カルテルにつきましては、例えばアメリカとの間で独禁法の協力協定を結ばれたり、EUとの間で結ばれていますよね。そのような協定をやはりきちんと運用していただきたいと思っています。  実際に国際カルテルの摘発件数は今までに何件ぐらいあるんですか、お願いします。
  154. 伊東章二

    政府参考人伊東章二君) 最近におきましては、我が国で国際カルテルに対して法的措置を取った実績はございません。
  155. 藤末健三

    ○藤末健三君 またこれはちょっと午前中の話に戻るんですけれども、例えば欧州委員会はシームレスパイプ、鉄のパイプでございますけれども、その独禁法規制を実施したわけでございます。ところが、本来であれば、日本の公正取引委員会も併せて、これは国際カルテルでございますんで、動けたはずなのに実質的には動けてないという状況。  ですから、これは本当に長官と委員長に申し上げたいのは、冒頭に、午前中に申し上げましたが、やっぱり国際的にきちんとやるということを徹底していただきたいと。その一つの手段がやはり人の派遣でもあろうし、また人材の養成だと思いますが、いかがでございますか、委員長
  156. 竹島一彦

    政府特別補佐人竹島一彦君) 人材の問題は先ほども答弁申し上げたとおりなんですが、私は、もう端的に言って、やっぱりリーニエンシーにもかかわると思うんですね。アメリカやヨーロッパで摘発しているのも、これはもう圧倒的と、もう全部と言っても間違いでないぐらいに、リーニエンシープログラムによって申請があるから国際カルテルが解明されているわけなんでございまして、その点は日本においても同じだと思います。  協力ということも大事ですが、これは情報の公開については限度がありますので、こういうことについてタッチするぞというところまでは情報の交換できますが、どういう証言が得られたんだ、どういう証拠があるんだというようなところまで、国際間で幾ら協力協定があるからといって情報交換できるものじゃございませんので、結局は自分のところで自分の、武器と言っちゃなんですけれども、持っていないと仕事ができないということでございます。  そういう意味では、リーニエンシーがもう唯一無二と言っていいぐらい国際カルテルにはそれが有効であるということだと思っていますので、そういう事件が起きまして、日本のマーケットにもかかわるような国際カルテルであった場合には、当然その申請者は日本当局にも申請してくるというふうに私は思っております。
  157. 藤末健三

    ○藤末健三君 長官にちょっとお聞きしたいと思います。  私は、長官がおられないときに発言した内容を繰り返しますけれども、今各省庁が海外の国際機関に派遣している人数、五百二十六人おります。そのうち、公正取引委員会が海外の政府機関、国際機関に派遣しているのは一名なんですよ、一名。一番低い。一方で、御社と同様に国際的な取締りを行っている警察庁、警察庁は今国際犯罪対応するために十四名を派遣しているという状況でございまして、今回リニエンシーを導入して国際カルテルに対応しようという中、果たして一名だけ海外と交流しているという状況でいいかどうか、是非長官の見解をお聞かせください。
  158. 細田博之

    国務大臣(細田博之君) できるだけ私は、公正取引委員会に限らないわけでございますが、日本の官庁ができるだけ国際化をして世界的な視野で行政に取り組むことが必要であると、そのために一名というのは確かに少ないなと、こう思っております。
  159. 藤末健三

    ○藤末健三君 長官、ありがとうございます。是非とも国際展開をやっていただきたいと思います。  いや、これは本当に独占禁止法を国内だけで閉じてやったらまずいんですよ。国際カルテルがどんどんできている中、他国は取り締まり、日本だけ取り締まらないということは、日本は途上国と言っているようなものだと思います。  そしてまた、先進国との連携も大事ですけれども、本当にくどく申し上げますけれども、きちんとやはりアジアとやってくださいよ。独禁法の協定もアジアと結んでいただきたい。そうしなければ、日本の頑張っている企業が同じ土俵で戦えませんから、是非長官に、独禁法の国際的な、公取の活動の国際化をお願いしたいと思いますが、いかがでございますか。やるとだけおっしゃってください。
  160. 竹島一彦

    政府特別補佐人竹島一彦君) 東アジア諸国との関係でございますが、これもう経済連携協定だとか、それからFTA、自由貿易地域協定等においてそれぞれの国と、もうでき上がった、シンガポールのように終わったものもあるわけですが、継続中のものもあります。  その中には、これは共通して競争に関する協力事項が入っておりまして、それは我々も積極的にやっていきたいと。必要があれば、今すぐどの国とバイの協定を結ぶというところまでは、アメリカやEU、オーストラリアのようなわけにはまだいっておりませんが、これも機が熟すれば相互の協定も結んで、アジア諸国との競争当局間の協力というものについては今後とも力を入れていきたいと思っております。
  161. 藤末健三

    ○藤末健三君 本年、日本と韓国、日本とASEAN、日本とタイ、日本とフィリピン、日本とマレーシアのFTAの議論が始まるんですよ。年内締結の予定です。  それぞれのFTAには競争政策の協調という項目が入っていますので、やっていただけますか、委員長。イエスかノーかでお答えください。
  162. 竹島一彦

    政府特別補佐人竹島一彦君) 私、外国のことについて後ろ向きでは決してございません。それは積極的に、相手が要らないじゃないかと言っても、やっぱり入れましょうということを今現在やっております。それがネックでその交渉が滞っているということは全くございません。
  163. 藤末健三

    ○藤末健三君 私がお願いしたいのは、それぞれ、ASEANの国々、あと韓国などと競争政策の共通化を図っていただきたいということです。  今、日本の企業は本当に韓国の企業とも争っています。一方、韓国の市場の占有率を是非調べていただきたいんですけれど、ある一社が市場の八割、九割を握っているような状況になっているんですよ。そういう状況に対して、絶対やっていただきたい。今回、日韓でFTAが結ばれますので、お願いします。  続きまして、このリニエンシーに関しまして一つ質問したいのは、今回コンプライアンス、遵法活動、企業の遵法活動についての対策が取られていませんけれど、それについてどうお考えか、教えてください。委員長にお願いします。
  164. 竹島一彦

    政府特別補佐人竹島一彦君) リーニエンシープログラムを導入いたしますと、企業としてそれを活用するためには社内のコンプライアンス体制がしっかりしなければ活用できませんので、それなりの企業はそういう問題意識でコンプライアンス体制を強化するなり整備するなりということをなさるだろうと期待しております。そういう意味で、コンプライアンスにとっても課徴金減免制度の導入というのはそれを後押しするという意味があるだろうと思います。  一方、じゃ、コンプライアンス体制を取っておれば罪一等を軽くしてやってはどうかという考え方があるわけでございますが、これについてはやはり問題があると。コンプライアンス体制をしっかりしていれば、そういう談合やカルテルに加担するということはないはずであるにもかかわらず、違反行為はやっておいて、実はちゃんとやっていたんですけれどもごめんなさい、そうじゃない場合に比べて罪一等軽くしてくださいと言うのは、むしろ私に言わせれば逆ではないのかと思いますので、そのことについて考慮するということは適当でないと。  外国においても、一部、コンプライアンス条項が入っていれば、条項といいますか、コンプライアンスをちゃんとやっていれば、それは罰金や制裁金を減免してもらえる口実になるというふうに取られている向きもありますが、それは私どもの調べたところ、そういうことはありません。仮にあっても、それを実際に当局が認めているということはないということであります、見られますように、それは本来、逆の話ではないかということでございますんで。  二点申し上げましたけれども、リーニエンシープログラムとコンプライアンスに関してはそのように考えております。
  165. 藤末健三

    ○藤末健三君 分かりました。  竹島委員長がおっしゃっていることも本当におっしゃるとおりだと思いますが、ただ、もしおっしゃっていることが実現するためには、ただリニエンシー制度ができましたよということを事業者に伝えるだけじゃなく、こういうコンプライアンスシステムを作ればリニエンシーシステムにもつながりますよということを明確に伝えていただかなきゃいけないと思うんですよ。  制度だけを連絡、伝えるんではなく、このような形が望ましいというものまで作って是非とも、伝えていただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  166. 竹島一彦

    政府特別補佐人竹島一彦君) 経団連、日本経団連が企業行動憲章等を始めコンプライアンスについていろんなことを議論して、また現にそれを各会員企業にも推奨しておられるわけでございます。  したがって、やっぱりこの話は日本経団連との間でお話をして、向こうにも今御指摘のような問題意識を御紹介して、両々相まってうまくいくように、私どもの方で世の中一般に通ずるコンプライアンスプログラムを作ってお勧めするというのは、ちょっと立場上、何といいますか、我々の権能を超えていると思いますんで、そのことについて向こうがきちんとできるような、そういう共同作業が適当ではないかと思いますので、そのように努力したいと思います。
  167. 藤末健三

    ○藤末健三君 恐らく竹島委員長の頭の中には大企業がやっぱりあると思うんですよ。大企業の方は言わなくてもコンプライアンスは作ると思うんですよね。  私が問題にしたいのは、やはり中小企業の方々がコンプライアンスという概念をどう導入するかと。リニエンシープログラムできました、ああそうですかというふうで終わってしまう可能性が高いと思うんですよ。  中小企業に対してはどうお考えですか。
  168. 竹島一彦

    政府特別補佐人竹島一彦君) 中小企業の場合は、もう社長自ら隅から隅までのことを承知しているというのが私は普通のことであって、営業のことは社長は知りませんという中小企業の社長さんというのは私はまず例外ではないかと思いますので、これは要するに代表者として公取に自首してくればよろしいわけでございますから、談合を仮にしているとすれば社長自ら関係しているということがもう圧倒的に多いと思いますので、私は、その難しい大企業並みのコンプライアンスプログラムを中小企業に普及しなければ中小企業がリーニエンシーを使えないということはないと、現実問題、そう思っております。
  169. 藤末健三

    ○藤末健三君 分かりました。きちんとやはりリニエンシーの徹底をしていただきたいと思います。  また、リニエンシープログラムをつくるに当たりまして、公益通報制度、ですから通報する個人を守るという制度が非常に重要になってくると思うんですが、この公益通報制度も併せて周知徹底すべきだと思いますが、内閣府の方、いかがですか。
  170. 田口義明

    政府参考人田口義明君) お答え申し上げます。  お尋ねの公益通報者保護法は、昨年の六月に成立いたしまして、来年の四月から施行される予定になってございます。  この法律が円滑に施行されるためには、御指摘のとおり、制度の周知徹底を図ることが大変重要でございます。このため内閣府といたしましては、今後、民間事業者あるいは行政機関向けのガイドラインでありますとか、分かりやすいパンフレット等を作成いたしますとともに、事業者や従業員に向けた説明会を全国各地で幅広く開催するなど、法の施行準備に努めてまいりたいと考えております。
  171. 藤末健三

    ○藤末健三君 公益通報者保護法のネットでのパンフレットを拝見していますと、二条の別表の中に独占禁止法が入っていないんですよね、あれ政令で指定しますから。したがいまして、今パンフレットの中で独占禁止法というのは明示的に見えないんですよ。その点はいかがですか。
  172. 田口義明

    政府参考人田口義明君) 本法の対象法令でございますが、この法律の施行に備えまして、先般、この通報の対象となります法律といたしまして、御指摘のございました別表に例示されました七本の法律に加えまして、独占禁止法を含みます四百六本の法律を政令で定めたところでございます。
  173. 藤末健三

    ○藤末健三君 私のお願いは、独占禁止法もきちんと例示的に説明をしていただきたいということですが、いかがでございますか。
  174. 田口義明

    政府参考人田口義明君) この法律の周知徹底に当たりましては、この対象法令がどういうものが含まれるか、当然ながら独占禁止法も含めてその対象法令についても十分説明をしつつ、この制度の仕組み、それから、それを受けて通報を受けた場合の対応方針対応策等につきまして分かりやすく説明等を進めていきたいと考えております。
  175. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非きちんと説明をいただければと思います。  リニエンシーの導入、先ほど竹島委員長もおっしゃいましたけれども、企業の考えも必要だと思うんですけれども、やはり通報する個人考え方も重要でございますので、この公益通報者保護法をより一層運用するために是非ともきちんとした普及をお願いしたいと思います。  私の質問、次に移らさせていただきまして、現在、いろいろ、産業の国際化、経済の国際化と申しますが、特に今、会社法の改正に伴いまして、国内若しくは国境を越えた大きなMアンドAが起きる可能性が高いというふうに考えます。  公正取引委員会の方で昨年五月にMアンドAに関する運用指針というものを出されておられますけれど、これにつきましてちょっと思ったことを申し上げますと、もう少しきめ細かい、失礼な言い方をすると、きめ細かい運用が必要ではないかということでございますが、このMアンドAの運用指針を例えば会社法の改正などに併せて見直すということは考えておられるかどうかをお聞かせいただけませんでしょうか。お願いします。
  176. 伊東章二

    政府参考人伊東章二君) 御指摘の企業結合の審査考え方を昨年五月に、従来ありましたものを改定して制定したものでございます。そういう意味では一年前ということでございまして、それを改定するに当たりましては、これも幅広くパブリックコメント等も含めて意見を求めまして、透明性あるいは予測可能性という観点から従来に比べれば非常に評価されておるものでございまして、しばらくこの改定ガイドラインを運用してまいりまして、併せてその個別の審査結果も詳しく公表するという形で運用してまいりまして、いずれまた必要があれば改定をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  177. 藤末健三

    ○藤末健三君 例えば、JALとJASが合併しましたですよね。これは新聞でも指摘されているんですけれど、JASとJALが合併してやはり独占形態が生まれた、それによって気が緩み、事故とか故障とか多発したんじゃないかという指摘もあるわけでございますが、JALとJASの合併などについてはどうお考えですか。
  178. 伊東章二

    政府参考人伊東章二君) JALとJASの合併、平成十年の十月ですか、統合があったわけでございますけれども、それにつきまして事前に私どもに相談がございました。  その相談の一応の結論としまして、まずは、従来、基本的には三社でございます、全日空と合わせまして大手三社ということでございますが、それが二社体制になるということで、それをどう評価するかということになるわけでございますけれども、大手航空会社が三社から二社に減少することにより、これまでも同調的であった大手航空会社の運賃設定構造が更に容易になるのではないかと。さらに、一方で、非常に重要な新規参入につきましては、御案内のとおり、羽田の発着枠の関係でなかなか難しいというのを総合的に勘案しまして、独禁法上問題があるんじゃないかという判断をしたわけでございますが、それに対しまして、新規参入促進のための措置としまして、発着枠を返上するとか、あるいは新規航空会社に対する空港施設面での援助といいますか、支援といいますか、それから整備についての協力等々のいわゆる改善措置という、問題解消措置というものが提出されまして、そういうのも総合的に判断して、競争を実質的に制限するおそれがないというふうに最終的に判断をしたものでございます。
  179. 藤末健三

    ○藤末健三君 JALとJASの合併もそうですけれども、これから恐らく大きなMアンドAがどんどん起きてくると思います。その際、やはり配慮していただきたいのは、産業若しくは業種により、産業のやっぱり性質が違うんですよね。そこを是非配慮をしてMアンドAの審査をきちんとやっていただきたいと思います。  私は、最後に質問を締めくくらさせていただきますと、今回の独占禁止法改正、やはり正直申し上げて、付け焼き刃でなされたところが大きいと思います。また、妥協したところも大きいと思います。ただ、二年後の見直しということをおっしゃっておられますので、先ほど申し上げましたように、長官始めとする方々には、国際化への対応をどうするかという話や、規制緩和への対応をどうするか、また司法改革の話もございます。大きな今変化の中でございますので、その中で、二年間でこの独占禁止法の在り方をきちんと見直していただきたいと思っておりますので、それをお願いをしまして、質問を終わらさせていただきます。  どうもありがとうございました。
  180. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 先週に続きまして質問させていただきます鈴木陽悦です。どうぞよろしくお願いいたします。  私は、初めに、私の訴え、私訴について、私訴制度について伺ってまいります。先ほど藤末議員の質問の中で、竹島委員長の方から一部この私訴についてお話が出ましたけれども、改めて伺ってまいります。  不公正な取引方法によって被害を受けた事業者や消費者がその違反行為の差止めを裁判所に直接請求できるこの私訴制度なんですが、平成十二年五月の独禁法改正で成立いたしまして、翌平成十三年四月から施行されました。この差止め請求権の創設は、自立した市民社会を形成する第一歩として位置付けられます意義深い法改正と私は考えております。  その意義とは、第一に、独禁法ルールの実効性が高まったこと。独禁法の施行体制に裁判所と被害者を代理する弁護士が加わりました。第二には、独禁法ルールの透明化が高まったことです。  そこで、初めに官房長官に伺わせていただきます。  今年三月に閣議決定されました規制改革・民間開放推進三か年計画に、独禁法における民事責任制度及び差止め制度の見直しを課題として掲げておりますけれども、政府の競争政策におけます私訴制度の基本的考え方について伺いたいと思います。
  181. 細田博之

    国務大臣(細田博之君) 独禁法違反行為につきましては、民法上の損害賠償請求訴訟、従来の、これはたくさんあるわけでございますが、これに加えまして、独占禁止法に基づく無過失損害賠償請求訴訟が認められてきたほか、平成十二年の法改正によりまして、鈴木議員御指摘のように、同法違反行為による被害者が直接裁判所に差止め請求を行うことを認める差止め請求訴訟制度平成十三年四月から導入、施行されておるわけでございます。  独禁法における民事責任制度及び差止め制度の見直しにつきましては、本年三月に閣議決定を行った規制改革・民間開放推進三か年計画におきまして、独禁法の差止め請求制度については、制度の実施状況を注視しつつ、事例の蓄積を待って必要性が認められる場合には、私人による差止め請求対象行為の範囲の見直し等、民事的救済制度を更に充実した制度とするための検討に着手するとしたところでございます。  政府としては、こうした閣議決定を踏まえて今後とも取組を進めてまいりたいと思いますが、事例の集積をできるだけ待っていかなければならない面もございますので、今後そういう積極的な態度で取り組んでまいりたいと思っております。
  182. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 ありがとうございました。  次に、このたびの独禁法改正過程で、この私訴制度なんですが、この私訴制度についてどのように取り組まれたのか、公正取引委員会の方から、委員長、よろしいですか。
  183. 竹島一彦

    政府特別補佐人竹島一彦君) この改正作業において私訴制度についてはどのように取り組んだかということでございますが、今回の改正というのはいわゆる措置体系の見直しというものが正にメーンテーマでございまして、お答え申し上げますと、私訴制度についての検討は今回はやっておりません。その問題は、今官房長官がお触れになりましたように、今年の三月の閣議決定でそのことについて、今官房長官おっしゃいましたけれども、検討するということになっていますので、これからの課題でございますが、私の印象は、日本においてこの種のものというのはなかなか、昔に比べると少し権利意識が高まってきて、こういうことを積極的に利用しようとする方が増えているとは思いますが、それでもこの私訴制度というものについては、やはりその費用、手間等がネックになると思いますけれども、なかなか進まないという実態にあろうかなと。  だから、まずもって、せっかく導入されている平成十二年の改正についてもそんなに数があるわけじゃございませんし、損害賠償の事件もそんなに数があるわけじゃございませんので、こういったことをまずきちっと見極めて、正にニーズに合った見直しをするという姿勢でこれから取り組んでいかなきゃいけないというふうに思います。
  184. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 ありがとうございました。時代のニーズ、的確におこたえいただきたいと思っております。ありがとうございます。  それから、先ほどのお話にもございました差止め請求制度について、平成十二年の独禁法改正でこの制度を導入されておりますが、この差止め請求制度の概要と、それから差止め請求訴訟の状況について教えていただければ幸いです。
  185. 伊東章二

    政府参考人伊東章二君) お答えいたします。  まず制度の概要ということでございますけれども一つは、どういう独禁法違反行為が差止めの対象になるかということでございますが、これにつきましては不公正な取引方法というふうにされております。  次に、だれが訴えることができるかと、差止めを請求できるかということでございますが、これはその不公正な取引方法によって被害を受けた者が訴えを提起するということになってございます。  次に、どこの裁判所にということになるわけでございますけれども、原則は通常の裁判管轄ということで、被告人の所在地あるいは被害の発生地の各地方裁判所に訴えるということになりますが、特例としまして高裁所在地の地裁、例えば九州の案件でありますと福岡というような形、さらには東京地裁にも特例の管轄を認めておる、こういうことになってございます。  なお、制度の濫用防止という観点から、裁判所による担保の提供命令という制度もございます。  以上が制度の概要ということでございます。  次に、運用状況といいますか、訴訟の状況ということでございますが、先ほど御指摘ございましたように、平成十三年の四月から施行されておるということになるわけでございますが、その後、これは裁判所に訴訟が提起されますと公正取引委員会通知が来るという制度になってございます。そういう通知ベースで見てまいりますと、現在までに三十件の訴訟が提起されております。このうち既に終了した事案は十件ということでございまして、そういう意味では今二十件が、残り二十件が係属しておるということでございますが、既に終了しました十件の内訳を見ますと、請求棄却が四件、和解が一件、訴えの取下げが五件という状況でございます。
  186. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 ありがとうございました。  我が国の差止め請求制度なんですが、現在、不公正な取引方法に対象を限定されていると思うわけでありますが、対象範囲はより拡大してもいいんではないかと考えますが、この辺についてのお考え、またクラスアクションという団体訴訟を認めることについても検討されるべきと考えますけれども、この辺の御見解を伺います。
  187. 竹島一彦

    政府特別補佐人竹島一彦君) 先ほどの規制改革・民間開放推進三か年計画は本年の三月に閣議決定されたものでございますが、その中で、実施状況、その差止め請求制度の実施状況を注視しつつ、事例の蓄積を待って必要性が認められる場合には、その御指摘の点も含め検討を行うと、こういうことになっておりまして、不公正な取引方法だけじゃなくて、カルテルや談合という独禁法三条関係違反行為についても差止め対象にすべきじゃないかということは検討の対象になるわけでございますが、さて私自身の感じとしては、これは先走って申し上げることじゃないかもしれませんが、やはり談合やカルテルを一私人が裁判所に向かって差止め請求をするということは大変難しいことだろうし、それが悪意がなくても濫用されるという危険性もあるのかなと。不公正な取引方法であればだれが被害を受けたかというのははっきりするわけでございますが、カルテルや談合の場合は一から十まで全部分かっているわけじゃないわけでございますので、そういう場合に差止め請求ということはなかなか難しい問題があるんじゃないかと私は思っておりますが、いずれにしても、これからまだ時間がございますので、御指摘の問題意識も含めて各方面から、各角度から検討はさせていただきたいというふうに思っております。  クラスアクションについても、これは公正取引委員会で検討すべき範囲かどうかというのは、私ちょっと自信がございませんが、もっと大きな話になりますので、これはもう日本の訴訟制度にかかわるような話ですから、むしろ法務省さんの方の問題かもしれませんけれども、いずれにしても、これらは関連して出てくるテーマでございますので、検討させていただくということだと思います。
  188. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 竹島委員長からお答えいただきましたように、いろんな角度から是非検討を加えていただきたいと思います。  次に、損害賠償請求訴訟につきまして何点か伺ってまいります。ちょっと何点かをまとめて申し上げますので、よろしくお願いいたします。  近年、入札談合によりまして契約額がつり上げられたとして、発注者の中央官庁や地方自治体が事業者に対しまして損害賠償や不当利得の返還を求める事例が増加してきていると聞いております。まず、こうした訴訟の近年の状況について伺いたいと思います。  また、平成十四年に従来の住民代位訴訟に関する地方自治法の改正が行われましたが、入札談合事件について損害賠償を請求する事例が増えている理由、背景についてはどのように考えていらっしゃるか、伺います。  さらに、談合は秘密裏に行われます。このことから、損害額の算定も難しいと言われております。公正取引委員会として、こうした損害賠償請求をめぐる問題に対しまして、損害賠償請求訴訟をより容易にできるような手助けは行えないのでしょうか。  以上、ちょっと何点かについて御質問しましたけれども、お願いいたします。
  189. 伊東章二

    政府参考人伊東章二君) 御指摘のように、入札談合を行った事業者に対しまして発注者が損害賠償請求を行う動きが見られるところでございまして、昨年の十一月時点で入札談合による独禁法違反を理由として発注者が違反行為関係事業者に対して損害賠償を求めて提訴した事件、これは私どもが把握している限りでございますけれども、十五件ということでございます。このうち六件が独禁法二十五条に基づく無過失損害賠償責任に基づくもの、九件が民法による損害賠償、その他、このほか、民法七百四条による不当利得返還請求も二件あるようでございます。  こういう損害賠償請求に対しまして公正取引委員会の支援ということでございますけれども、損害を被った地方自治体等が損害賠償請求をするということは独禁法違反行為に対する抑止力の観点からも評価できるというふうに考えておりまして、公正取引委員会では平成三年に独禁法違反行為に係る損害賠償請求訴訟に関する裁判所等への資料の提供について基準を定めておりまして、その後、この基準によりまして、当委員会が有する資料についてお求めがあった場合には提供する等の協力支援を行ってきておるところでございます。
  190. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 ありがとうございました。  その損害賠償を請求する事例、増えている理由、背景についてはちょっとお答えが余り詳しく分からなかったんですが、その辺いかがでしょうか。
  191. 伊東章二

    政府参考人伊東章二君) 損害賠償請求そのものにつきましては、先ほどの差止め請求訴訟と異なりまして、当方に通知が義務付けられておるわけでもございませんので、その全体を必ずしも把握できるわけではございませんが、やはり入札談合といいますと、最後はやっぱり住民に対する損害というようなこともございます。  そういう意味では、そういうのを確実に回復する必要があるという意識の強まりというのもあるのかなという感じがしております。
  192. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 では、続いて伺います。  入札談合によります契約額のつり上げ、それから公共調達での談合は、国民、住民の利益を損ねる行為で、税金の無駄遣いであると思います。公正取引委員会は、課徴金を課して厳しく取り締まることはもちろんですけれども、一方で、談合被害を受けました地方自治体やその住民の損害が回復されるわけではありません。その意味では、直接被害を受けた地方自治体がその損害を回復する損害賠償請求訴訟をもっと積極的に活用できるような方策を政府としても考えるべきではないかと思うんですが、官房長官の御見解を伺います。
  193. 細田博之

    国務大臣(細田博之君) 入札談合によりまして被害を受けた、損害を受けた地方自治体等による賠償請求は、納税者たる住民が受けた損害を住民に代わって回復させるという意味があるとともに、独禁法の観点からも違反行為に対する抑止力強化に資するものでありますので、望ましいものと考えております。  このため、公正取引委員会におきまして入札談合事件等について措置をとった場合にはその概要について公表をいたしておるほか、損害賠償請求訴訟を行う地方自治体等から求めがあった場合には公正取引委員会が有する資料の提供を行うなど、損害賠償請求訴訟の積極的な活用に資するように適切に対処しているものと承知しております。  今後とも、積極的にこのような協力を行っていくことによりまして、入札談合によって被害を受けた地方自治体が損害賠償請求訴訟を活用できるようにしていくことが必要であると考えております。
  194. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 ありがとうございました。  私訴制度、そして損害賠償請求訴訟について伺ってまいりました。  ここでちょっと別の質問に移らしていただきますが、ここに「時流超流」という雑誌の記事に、公正取引委員会から排除勧告を受けましたドン・キホーテのケースがございますので、このドン・キホーテの件についてちょっと伺います。  この記事を要約いたしますと、これは納入業者に従業員の派遣や売場の棚替え作業、協賛金などを強要していたとして排除勧告を受けたドン・キホーテが、裁判に当たる審判手続で争うことになったというものです。  ここで問題となりますのは、独占禁止法で禁じられています優越的地位の濫用なんですが、去年三月からの類似ケース六件はいずれも企業側が勧告を受け入れておりまして、勧告不服で審判に持ち込まれますのは一九七九年の三越のケース以来というまれなものです。三越の場合も審判手続の途中で勧告内容を受け入れる形で決着していますので、今回のドン・キホーテの場合はまた新たなケースと言えるんじゃないかと思います。  ドン・キホーテ側では、違法行為の基準が明確ではない、また納入業者が陳列に積極的にかかわる、ラックジョバーと言うんだそうですが、積極的にかかわるラックジョバーという新しい流通形態なのに、独禁法の運用は昔のままだなどという批判をしています。取引先千三百社のアンケートでも八百社が、千三百のうちの八百社が勧告に従うべきではないとの回答を寄せたそうでございます。  このケース自体の成り行きも大変注目されますけれども、今後、前例のない新しい形態のビジネスによるこうしたトラブル、ケースが出てくることが予想されると思うんですが、ドン・キホーテの場合を含めました今後のその前例がないケースなどに対して改正案ではどのように対応していかれるのか、又は二年後を見据えた形でも結構なんですが、伺います。
  195. 竹島一彦

    政府特別補佐人竹島一彦君) お答え逆になりますが、その優越的地位の濫用とか不当廉売に対して課徴金の対象にすべきかどうかという話は、これは二年間かけて検討する際の大事な検討テーマになるということでございます。  一方、今ドン・キホーテという具体的なことについてお触れになりましたが、私どもはこのドン・キホーテがやられていることが新しいビジネスモデルだとは思っておりません。それは、先方さんはそういう認識なのかもしれませんが、要するに納入業者が自分の商品を自分に有利になるから、ただ働きで棚卸しなり棚替えをするというんであれば、それはよろしいと思いますけれども、そうじゃない、全く関係ない商品棚替え、それも関係ない場所で、自分が納入していない場合も含めて従業員を無償ないしは有償といっても非常に安い賃金で労力を調達するという行為でありますとか、それから協賛金というものは、これは決して何か新しいビジネスモデルで、従来私どもが摘発してきているこの数件の大規模小売業者が納入業者に対して優越的地位の濫用を働いているというケースと比べて全く新しいタイプであるというふうには私どもは思っていないわけでございますので、その辺は正に審判になってから争われることでございましょうから余り深入りはできませんが、新しい新しいというそういうとらえ方というのは、私どもから言わせれば、それは違うということを申し上げさせていただきます。
  196. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 その取引先の千三百社中八百社が従うべきではないという回答、先ほど私申し上げましたが、この声については委員長はいかがですか。
  197. 竹島一彦

    政府特別補佐人竹島一彦君) これはよく下請法の場合にもあるんでございますが、要するに相手方が納得なり判こをついていればそれでいいんだろうというのでいいのであれば、これ物事簡単であるわけでございますが、本当に自発的にそうなのかどうなのかということはまた別なんでございまして、そういうことは私どもはきちんと調べて、納入業者がそうであったのかどうなのかということをさしていただくのが筋であると。  御自分がなさったアンケート調査というものは、私どもからすると、それは説得力のあるものではないというふうに思っております。
  198. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 私は、新しい形態のビジネスと申し上げました。委員長は違うと、いろんなケースがある。  ただ、私申し上げたいのは、これあくまでも私と委員長の認識の違いであると思いますけれども、ニュービジネスという言葉がちょっとうまくないかもしれませんが、商売形態、いろんな営業形態というのは今後変わってくると思いますので、そうした形態に対するお話をちょっと伺いたいなと思ったんであります。  先ほど、これからいろんな角度からというお話もいただきました。その面について是非、これはあくまでもドン・キホーテのケースで申し上げましたけれども、ちょっと、とらえ方の、新しいビジネスのとらえ方、違うんですが、そうした新規のものに対してのお考えを聞かせてください。
  199. 竹島一彦

    政府特別補佐人竹島一彦君) 新しいビジネスの場合であっても、要するに無償でというようなことだと、要するに拘束条件だとか差別だとか、そういったことが伴うようなビジネスモデルというのはやはり独禁法上問題になるだろうと思います。これはボランティアでやっておられるわけじゃないんで、お互い商売をやっておられるんであれば当然、それが自分のためになるかならないかというのを当事者同士考えているはずでございまして、全くコストに見合わないようなサービスを提供させられるということであれば、これは、それが新しいとか古いとかいうもう次元の話ではなくて、その実態、取引の実態に着眼して独禁法違反かどうかという判断をしなきゃいけないと思っております。
  200. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 厳格に取り組んでいくという姿勢はよく分かりました。はい、ありがとうございました。  話を変えます。  前回、私は、独占禁止法違反刑事罰の意義、役割について質問をいたしました。また、今回の改正で新しく導入される犯則調査権限については各委員から質問がございまして、積極的な刑事告発が行われるんだろうと受け止めております。しかし、忘れてならないのは人権の保障でありまして、刑事事件の被告人の権利保護という点だと思います。  現行の独禁法では、独占禁止法違反として刑事告発された場合、第一審が東京高等裁判所、第二審が最高裁判所と、二審制といった極めて異例な制度となっております。被告人の権利保護という面からすればどうなのかなという気もいたしますが、この刑事事件が東京高裁から始まるという点を改正法案では改めることにしておりますが、まずその趣旨について伺いたいんですが、いかがでしょうか。
  201. 伊東章二

    政府参考人伊東章二君) お答えいたします。  御指摘のとおり、現行法におきましては、不当な取引制限の罪等に係る第一審の裁判所は東京高等裁判所ということでございます。こうなっておる趣旨は、従来の判例等によりますと、これらの独禁法違反の罪が我が国経済の基本に関する極めて重要なものであって、これに対する判例が区々に分かれて、その法的決着が遅延することは好ましくないからと、こういうふうにされておるところでございます。  立法当時におきましては、このような特別の手続を定める意義、必要性があったものというふうに考えられるわけでございますけれども、現在におきましてはその意義、必要性が減少しておるというふうに考えられますし、また、刑事事件で審級が省略されております罪は内乱罪という非常に限定されたものでございます。被告人から審級の利益を奪うことの妥当性については種々御指摘もあったところでございます。  今回、独禁法犯則調査権限規定を導入し、公正取引委員会が悪質・重大な事案について従来にも増して積極的に刑事告発を行っていくこととしていることも踏まえまして、被告人の審級の利益を尊重し、刑事事件に係る東京高裁専属管轄及び審級省略制度を廃止して、通常の刑事事件と同様に第一審の裁判権を地裁とすることが適当と判断したものでございます。
  202. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 では、ちょっとこれ、重ねて伺いますが、改正法案では、一般的な地裁からの審理のほかに、高裁所在地の地裁、また東京地裁にもその事件の管轄、認められておりますですね。その辺の趣旨というのはいかがでしょうか。
  203. 伊東章二

    政府参考人伊東章二君) 御指摘の点につきましては、例えば全国規模の事件等、事案によっては特定の地裁で集中的に審理することが、判断の統一性それから迅速処理の観点から適当な場合もあると考えられますことから、各高裁所在地の地裁及び東京地裁にも管轄を付与することが適当であると判断したものでございます。
  204. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 では、最後の質問をさせていただきます。  価格の同調的引上げに関する報告徴収の規定について伺いたいと思います。  価格の同調的引上げに関する報告徴収規定第十八条の二については、今回の法案で廃止されることになっております。企業が同調的に価格を引き上げた場合、その理由について公正取引委員会報告を徴収して国会報告するという仕組みなんですが、これは企業側の安易な同調行動を抑制して、カルテル防止策として意義があったと考えますが、なぜ今回廃止をしようとしているのか、その趣旨、背景。また、制度が廃止されたことによりまして価格の同調的引上げが放置されるようになるのであれば問題ではないかと思うんですが、公正取引委員会ではどのような対応を取るのか、お聞かせください。
  205. 竹島一彦

    政府特別補佐人竹島一彦君) 御指摘規定は、昭和五十二年の法改正で入ったものなんですが、そのときは四十八年のオイルショック、狂乱物価、そういう時代でございまして、大企業、特に寡占のマーケットにおける大企業がいわゆる管理価格というようなことで値上げをしたというようなことがございまして、これをやはり牽制しなきゃいけないという趣旨で入った規定なんでございますが、その後、二十数年たってこの状況を見てみますと、コストはお互い掛かる、公正取引委員会にとっても大事なマンパワーをそれに割かなきゃいけない、企業も当然それに対応して、その対応のためのコストが相当掛かる、しかるに、それに見合った効果があるんだろうかということを見ますと、ややもすれば、これでお墨付きを与えているということさえ言えるんではないのかと。  それで、どういう理由でやりましたかと言ったら、それぞれの経営判断で値上げしましたと言ってくるわけでございまして、そういったものを毎回毎回、こう報告を取って、本当に牽制になっているのかということについて、私はむしろ否定的でございまして、ややもすれば、それでもってもう公正取引委員会報告済みだというようなことになりかねない。  したがって、時代も変わりましたし、これだけ厳しい競争ということでデフレ云々も言われるような時代を迎えて、二十数年前の状況とは様変わりしている、この制度のコストとベネフィットを考えた場合にペイしないという判断から、この際、これを廃止させていただきたいということでございます。  しからば、そういったことについてはもうこれからは何もしないのかということでございますが、それはそうじゃございませんで、疑わしきは罰せずですけれども、本当に違反行為をやっているものはきちっと厳正な処理をしなきゃいかぬわけでございまして、そのために今回、犯則調査権限なり課徴金減免制度というものをお認めいただこうとお願い申し上げているわけでございますので、その裏に、同調的行動の裏に正にカルテル行為があるということであれば、それをきちっと摘発するということが何よりも大事であるというふうに思っていますので、浮いてくるマンパワーもそちらの方に使っていきたいというふうに考えております。
  206. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 ありがとうございました。  長時間掛けて審議を重ねてまいりました独禁法改正案ですが、昨日の三人の参考人の皆さんの意見陳述でも示されましたように、見解の違いや検討課題は多々あると思いますが、早期に取り組まなければならないと思います。法案に附則としてうたわれております二年以内の抜本的見直し、これを確実なものにするためにも、今後あらゆる角度からの議論を望むものでございます。強さの中にも優しさが存在するという柔軟さ、是非希望いたしまして、そしてまた、関係機関の皆さんの今後の御尽力をお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  207. 佐藤昭郎

    委員長佐藤昭郎君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  208. 藤末健三

    ○藤末健三君 私は、民主党・新緑風会を代表しまして、ただいま議題となりました私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案について反対の立場から討論を行います。  私たちは、規制改革の道筋を確立することとあわせて、独占禁止法を抜本改正し、より公正な経済活動環境を整備することを提言してきました。  しかるに、政府・与党は、自民党の二〇〇四年中に国会独占禁止法改正案を提出するとの公約を形式的に守るためだけに、司法改革の状況、規制改革の進展、経済の国際化などにほとんど対応ができていない改正案を作りました。  また、この改正案は、公正取引委員会の内部に設置した閉鎖的研究会の報告に基づくものであり、経済団体などから反対を受け、それこそ場当たり的な妥協に妥協を重ね、法制度全体の整合性や論理の一貫性を欠く内容修正を繰り返してきました。これを四半世紀ぶりの抜本改正と自称しておりますが、とても抜本改正とは言えない状況です。  そして、理念も哲学もなく、制度のゆがみを更に拡大した独占禁止法改正案を提出するに至りました。  こうした政府案には、以下に挙げる点で大きな矛盾と欠陥が含まれています。  第一は、課徴金制度についてであります。すなわち、二重処罰的な位置付けを解決せず、理論性も低い課徴金制度が温存され、また、罰金と課徴金が併科された場合の根拠ない調整措置が規定されている点であります。  第二に、違反事実を報告した事業者に対する課徴金軽減措置において、事業者のコンプライアンスへの対応がなされていない点です。  第三に、勧告制度を廃止し、事前通知をなくす政府案はデュープロセスを軽視するもので、民主的な法律手続としては大きな問題があります。  そして第四に、政府案には、官製談合防止法の改革の道筋が欠落しています。発注官庁職員入札談合関与行為の申告者に対する減免措置も盛り込まれておりません。  以上四点について、政府案には断じて賛成することはできず、反対いたします。  我が民主党・新緑風会は、唆し罪の創設などを視野に入れ、官製談合法の強化に取り組むことに加え、不当廉売、優越的地位の濫用等不公正な取引方法に対する課徴金の適用など、引き続き積極的に独占禁止法の抜本改正に取り組み、公正かつ自由な経済社会を実現するために競争政策を樹立することを決意申し上げまして、私の反対討論を終わります。
  209. 佐藤昭郎

    委員長佐藤昭郎君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  210. 佐藤昭郎

    委員長佐藤昭郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、藤原正司君から発言を求められておりますので、これを許します。藤原正司君。
  211. 藤原正司

    ○藤原正司君 私は、ただいま可決されました私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会及び公明党の各派並びに各派に属しない議員鈴木陽悦君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   公正かつ自由な経済社会の実現には競争政策の積極的展開を図ることが必要であることにかんがみ、政府は、本法の施行に当たり、次の諸点に留意すべきである。  一 課徴金制度の見直し、審判手続の見直し等本改正の円滑な実施を図るため、事業者及び国民に新制度趣旨及び内容が十分理解されるよう周知徹底に努めること。    また、独占禁止法の適切な運用を図る見地から、公益通報者保護制度の活用が重要であることから、その実施に当たっては周知徹底を図ること。  二 課徴金減免制度の実施に当たっては、制度の悪用防止に万全を期すとともに、違反行為の申告の順序の決定方法等について、明確かつ公正な基準及び手続等を策定し、早期に公表すること。  三 犯則調査権限の導入に当たっては、適正手続の保障の観点から、行政調査部門と犯則調査部門との徹底した分離を図るとともに、その対象行為を明確化し、悪質・重大な違反行為に対する刑事告発の積極化に向けて、その権限の適正な行使を図ること。  四 勧告制度の廃止に当たっては、事前の手続を明確化し事業者に十分な反論の機会を与えるとともに、審判手続においては、審判官の中立性や公正性を十分に確保すること。    また、法律上明確な規定のない警告に関しては、その運用に慎重を期すこと。  五 排除措置命令を出せる期間の一年から三年への延長については、事件解明に時間を要する国際カルテル等を除く事案については、従前どおり一年以内に措置命令を発するか否かを判断し、その結果を当事者に通知するよう努めること。  六 本法施行後二年以内に行われる見直し検討に当たっては、委員の選任やパブリックコメントの実施等により広く国民各層の意見が反映されるよう配慮するとともに、議事録の公開を行う等その透明性を確保すること。また、課徴金制度の在り方、発注者の違約金制度の在り方、審判部門の分離・独立の在り方等について、明確な対応を示すこと。  七 中小企業等に不当に不利益を与える不当廉売、優越的地位の濫用等の不公正な取引方法に対しては、厳正かつ迅速な対処を行うとともに、課徴金の対象とすることも含め、その禁止規定の実効性を確保する方策について早急に検討を行うこと。また、不公正な取引方法の差止請求について、文書提出命令、団体訴権など一層効果的な措置を講ずることができる方策について早急に検討を行うこと。  八 企業活動の国際化の進展を踏まえ、海外の競争当局との協力関係の強化等により、国際カルテル等への対応を積極的に進めること。    また、国内における企業結合規制について、国際的な競争状況を勘案しつつ検討すること。  九 入札談合等関与行為の排除及び防止に関する法律については、公正取引委員会は、発注官庁等との連携を強化し、積極的な対応を進めること。また、発注官庁等においては、職員の不正行為に対して厳格な制裁を科する等具体的な対策を講ずること。  十 国及び地方公共団体等の行う公共工事の入札・契約については、公共工事の品質確保の促進に関する法律趣旨を踏まえ、発注者による競争参加者の技術的能力の審査、技術提案の要求等が入札参加資格要件の規制強化となり、入札参加意欲のある業者の排除につながることがないよう公共調達の透明性、競争の公正性の確保に一層努めること。  十一 公正取引委員会事務総局の組織・体制については、法曹資格者及び経済学等の専門知識を有する者の増員を進めるとともに、海外の競争当局との交流を図ること等によりその人的基盤の一層の強化を図ること。    右決議する。  以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  212. 佐藤昭郎

    委員長佐藤昭郎君) ただいま藤原君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  213. 佐藤昭郎

    委員長佐藤昭郎君) 全会一致と認めます。よって、藤原君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、細田内閣官房長官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。細田内閣官房長官
  214. 細田博之

    国務大臣(細田博之君) ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。
  215. 佐藤昭郎

    委員長佐藤昭郎君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  216. 佐藤昭郎

    委員長佐藤昭郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時三十九分散会