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2005-03-15 第162回国会 参議院 経済産業委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十七年三月十五日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  三月九日     辞任         補欠選任         加藤 敏幸君     松下 新平君  三月十日     辞任         補欠選任         松下 新平君     加藤 敏幸君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         佐藤 昭郎君     理 事                 泉  信也君                 加納 時男君                 小林  温君                 藤原 正司君                 渡辺 秀央君     委 員                 魚住 汎英君                 沓掛 哲男君                 倉田 寛之君                 保坂 三蔵君                 松田 岩夫君                 松村 祥史君                 加藤 敏幸君                 木俣 佳丈君                 直嶋 正行君                 平田 健二君                 藤末 健三君                 浜田 昌良君                 松 あきら君                 田  英夫君                 鈴木 陽悦君    国務大臣        経済産業大臣   中川 昭一君    副大臣        経済産業大臣  保坂 三蔵君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        江渡 聡徳君        経済産業大臣政        務官       山本 明彦君    政府特別補佐人        公正取引委員会        委員長      竹島 一彦君    事務局側        常任委員会専門        員        世木 義之君    政府参考人        原子力安全委員        会事務局長    上原  哲君        公正取引委員会        事務総局経済取        引局長      伊東 章二君        公正取引委員会        事務総局審査局        長        楢崎 憲安君        外務省経済局長  石川  薫君        文部科学大臣官        房審議官     徳永  保君        経済産業大臣官        房地域経済産業        審議官      薦田 康久君        経済産業大臣官        房商務流通審議        官        迎  陽一君        経済産業省経済        産業政策局長   北畑 隆生君        経済産業省産業        技術環境局長   齋藤  浩君        経済産業省商務        情報政策局長   豊田 正和君        資源エネルギー        庁長官      小平 信因君        資源エネルギー        庁原子力安全・        保安院長     松永 和夫君        中小企業庁長官  望月 晴文君        環境大臣官房審        議官       桜井 康好君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○経済産業貿易及び公正取引等に関する調査  (経済産業行政基本施策に関する件)  (公正取引委員会業務に関する件)     ─────────────
  2. 佐藤昭郎

    委員長佐藤昭郎君) ただいまから経済産業委員会を開会いたします。  この際、中川経済産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。中川経済産業大臣
  3. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) おはようございます。  御説明申し上げます。  昨日、当省職員証券取引法で禁止されておりますインサイダー取引を行った嫌疑証券取引等監視委員会から東京地方検察庁に告発されました。  平成十六年一月、コダックジャパンデジタルプロダクトディベロップメント株式会社が、産業活力再生特別措置法の適用を前提として、東証二部上場のチノン株式会社株式公開買い付けを行うことにより子会社化することを決定いたしました。  当該職員は、当時、商務情報政策局情報通信機器課に在籍しており、本件に関する産業活力再生特別措置法に基づく事業再構築計画審査認定業務に従事しておりました。当該職員は、その過程において本件公開買い付けが行われる事実を知り、同事実の公表を前に自分妻名義チノン株式会社株式を買い付け、利益を得たとのことであります。  嫌疑が事実であれば、国家公務員として到底許されるものではなく、告発という事態に至ったことは大変遺憾であり、国民の皆様に深くおわびを申し上げます。今後、このような事態が二度と起こらないよう、現在の株取引を行う際の規制について早急に強化するよう私から指示を出したところでございます。  事実関係につきましては、今後、捜査当局により解明されることと思いますが、経済産業省といたしましては、職員に対する服務規律の一層の徹底を図り、一つ一つ行政を的確に実施することにより、国民信頼回復のため職員が一丸となって努力していかなければならないと考えております。  参議院経済産業委員会先生方にも大変御迷惑をお掛けをいたしまして、心からおわびを申し上げます。  今後とも、経済産業行政遂行のために御指導、御鞭撻を賜りますことをお願いを申し上げまして、おわびを含めた御説明とさせていただきます。     ─────────────
  4. 佐藤昭郎

  5. 佐藤昭郎

    委員長佐藤昭郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  6. 佐藤昭郎

    委員長佐藤昭郎君) 経済産業貿易及び公正取引等に関する調査を議題とし、経済産業行政基本施策に関する件及び公正取引委員会業務に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 加納時男

    加納時男君 自由民主党、加納時男でございます。  冒頭に、今、中川大臣から報告のあった件について申し上げたいと思います。  経済産業省職員職務に基づいて得た情報、これを手掛かりとして株取引を行って不当な利益を得た、このことは誠に遺憾なことでございまして、行政に対する国民信頼を著しく損なったことを私どもは重視したいと思っております。今日は、司直が入っているところでございますので細かいことはそこに任せるといたしまして、この場で是非確認をしていきたいことがあります。  今回の問題は二つの面で私は問題があるのではないかと。一つ規律の問題、もう一つは志の問題でございます。  規律の面でいいますと、例えば国家公務員株式取引に関する事務次官申合せというのがありますが、これでは、所管企業株取引の自粛とか職員指導ということをやっておりまして、これから見ますと不十分ではなかったかと思います。また、国家公務員倫理法がありますが、これに私は引っ掛かるかと思ったんですが、これは引っ掛からないんですね。これは、株取引報告を義務付けていますけれども、対象が審議官以上になっているので、今回の人は係長でございますので、これには該当しないのかなと思っています。METIの内規がございますけれども、九五年の省議決定職員所管の業界に関係する株だとか未公開株取引してはいけないというのがありますから、明らかにこれには違反していると思います。昨日告発されたのは証券取引法違反ということでありまして、これは正にインサイダー取引であるということですから、これはこれで明らかにクロであると思っております。  私の質問は、これらの規律が十分であるのかどうか。これは、法律の面になりますと我々の責任ではございますが、加えて内規、これは御省でやっていることでございますが、内規の面で十分であるのか、あるいはこれまでやってきた事務次官申合せに基づく職員指導というところに遺憾があったのかどうか、これは今日ここですべて解決するとは思いませんが、こういったことについての今後の方向についての覚悟を伺いたいと思いますし、もう一つ、私がもっともっと大切なのは、最近、これも今日の朝刊に大きく載っておりましたが、公務員離職が多いということ。  離職をして立派な国会議員になったという方もこの席におられるので、私は離職が全部悪いとは言いませんけれども、外国に国民の税金で留学して、戻ってきて、そして今度は外資系企業に入って、日本の国を売り飛ばすとは言いませんけれども、外資の導入の先鞭を着けているといった人たち公務員に見ます。  私の教え子にも、公務員になって外資に、留学をして戻ってきて外資系に転職したのがいるので、経済産業省ではないんですけれども、ほかの官庁でありますが、非常に私は遺憾に思っているんですが、こういったこと、つまり志の問題だと思うんです。公務員を志した以上は国益、そして地球益のために、現在だけではなく未来の人々のために身を粉にして働くというのに私は非常に敬意を表しているわけでありますが、そういった志が何か欠けているのではないか。  特に、経済産業省になってからはいいかもしれませんが、通商産業省時代に、特にその末期といいますか後期において、お金こそすべて、優先ということで、エネルギー政策についてもともかく安ければいいんだといったようなことが、風潮が余りにも蔓延して、エネルギー政策基本法で我々がつくった、議員立法でつくったセキュリティーとか環境ということを重視することを忘れて、そして、目先安ければ、安いものを買えばいいんだよという、お金お金というのがこういった不届きな職員を生み出したんではないだろうかと。もっと志を高く持ってもらいたいと思いますが、今日は、大臣覚悟を一言伺いたいと思います。
  8. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 結論から申し上げますと、加納委員の御指摘のとおりだと思っております。  まず、規律に関しましては、これはもう、あくまでも法律違反でございますけれども、それ以前の問題といたしまして、御指摘のように、国家公務員法上は、審議官以上の株取引報告をしろという決まりがございます。  今回はこれには該当しておりませんが、二点目としては、我が省の内規といたしまして、職務に関すること、例えば企業株取引についてはきちっと報告をしなければならないということになっておりますが、これはインサイダー取引である以前に、インサイダー取引の疑いとして告発されたということの事実以前にこれに反したわけでございまして、そういう意味でこの職員規律というものは著しく欠けていたと、経済産業省職員として著しく欠けていたというふうに申し上げなければなりません。  今、私は国家公務員法と申し上げましたが、国家公務員倫理法の間違いでございました。訂正をさせていただきます。  今、捜査当局捜査を今見守っている状況でございますけれども、取りあえずできることといたしまして、昨晩、全職員に対しまして、今のルール、つまり審議官以上の株取引、それから職務関係する企業株取引についてのルールというものをもう一度自ら点検するようにということを命じました。これは私が職員に命じたわけでございます。  それからもう一点、これはある意味では内規の改正ということになるかと思いますけれども、今までの国家公務員倫理法上の審議官以上の株取引報告をするようにというルールでは今回の事件はそれに該当しなかったわけでありますけれども、重大な、国民及び国会等に対する信頼あるいはまた御迷惑をお掛けしたということで、事は重大ということを判断をいたしまして、昨晩、私が、すべての経済産業省職員株取引、つまり審議官以上だけではなくて新入職員からすべての職員株取引についてこれは官房の方にきちっと報告をするようにということを昨日の夜、したがって営業日としては今日からということになるのかもしれませんけれども、そういうふうにするようにというルール決定をしたところでございます。  本人等処分等の問題はこれから出てくるかと思いますけれども、いずれにいたしましても、加納先生も御指摘のように、現在まだ捜査の進展が始まったばかりでございますし、これからまたどういう形になっていくかということも現在進行形でございますから、今の段階では、このことだけを昨日やりましたけれども、決してこれで十分だというふうに、終わったというふうな認識は私自身決して持っておりませんので、今後とも必要な措置信頼回復、それ以前の規律のきちっとした徹底のために、本当はやりたくないんですけれども、こういうことをやらざるを得ないという状況になったということは大変残念でございますけれども、国民信頼あるいはまた先生方信頼や御指導を引き続きいただくために今後とも必要な措置をとっていかなければならないというふうに考えております。  それから、志の問題につきましては、これはもちろん高い志、これはいろんなことを意味する言葉だろうと思いますけれども、自らに厳しくとかあるいはまた国家のためにというような観点からの志だとするならば、今回の事件はそれに反することというふうに言わざるを得ません。  また、加納先生が御指摘になった例として、優秀で志を持って入って、またいろんなところで経験を、役所として、国家公務員として経験をさしてもらって、大分自分としても勉強になってノウハウを蓄積できたから、さあこの辺で次のところにさっと行くかという例がたまにというか、時たまといいましょうか、まあその量の問題は別といたしまして見られるということにつきましては、これはまあ国家公務員は特に厳しく自らを律しなければいけませんけれども、例えば企業なんかでもよくあるわけでございまして、余りにも、海外留学から帰ってきてさっさと辞めるというのは私も個人的には、一般論としてちょっとこれはいかがなものかなと。国家やあるいはまた企業お金、あるいはまたその力によって、もちろん御本人の力もあると思いますけれども、しかし、みんなのお世話になって、そして行かしてもらって、そして得るものを得て、そしてはい、さようならということであるとするならば、私はやっぱりトータルとしては志が低いというふうに、私としては、これは個人的な見解で恐縮でございますけれども、そういうふうに判断をせざるを得ないというようなケースもあったというふうに私も認識をしております。
  9. 加納時男

    加納時男君 ありがとうございました。  私は、何も株の取引公務員はするなと言っているわけではなくて、公正にやってもらいたい、ルールには違反するな、そして倫理観を持ってやってもらいたいということでありまして、今お話しのように、すべての職員がすべての株取引について報告をする、名前貸しというのが今あるようでございますので、家族も含めてやるかどうかこれも重要なところだと思いますが、国会議員もそういう点ではフェアにやっているつもりでありますが、是非とも国民の疑惑を招くような行為を避けてもらいたいということに、一点に尽きますので、お願いしておきたいと思います。  それで、私、質問通告大分したんですけれども、残り時間が少なくなりましたので、ちょっと焦点を絞って質問さしていただきます。  一点はFTAEPAへの取組課題でございます。  ちょうど一週間前、先週のこの時間に中川大臣は、FTA自由貿易協定、それからEPA経済連携協定でありますが、これについて信頼関係を土台にして日本世界経済全体にとって有意義な成果を実現すべく、スピード感を持って通商政策に取り組んでいくと明言されたわけであり、私は強くこれを支持したいと思っております。  事実、大臣は就任後、メキシコEPA、積極的に動かれまして、いよいよ来月発効というところまで参りましたし、フィリピン、非常に大きな問題ありましたが、大筋合意と私は理解しております。マレーシアタイについてはもちろん物品、サービス、さらには人の移動、それから投資等について、調整項目残ってはおりますけれども、最後の詰めにいよいよ入ってきているなという感じでございます。  タイについては、早期交渉入りを我が国として求めていると。先方はいろんな御事情もあるので慎重にそれについて今検討をしておられるというふうに聞いているわけでございますが、今後の方向として私、大事なことは、どのような地域から取り組んでいくのかという優先順位、この一点に絞って、じゃ、今日聞かしていただきたいと思います。  よく、取り組みやすいところから取り組むとか、それから日本にとって利益の大きいところ、つまり工業製品の輸出しやすいところとか、あるいは日本にとって損失の少ないところ、もっと言い換えれば国内産業の打撃の少ないところ、あるいは相手損失の少ないところといったことがありますけれども、一つ考え方としては、得られる利益FTA等によって得られる利益からそれによって失う損失を引いた差の大きいところから選んでいくというのも一つ考え方かと思うんです。  内閣府の経済社会総合研究所の資料をちょっと拝見してみますと、こういった計算をしてみると、一番その差の大きいところ、つまり一番コストパフォーマンスが良さそうなところの一位が何と中国なんですね。二番がASEAN、三位EU、四位タイ五番韓国というふうになっているわけです。  私は、中国についてだけちょっとこう気になっているのは、中国の場合、最大の課題というのは実は投資環境の整備といいますか、ビジネス環境が非常に整備されていないという点がビジネスマンからはよく訴えられているわけであります。知的財産の保護が不十分で模倣品が多いとか、それから送金が非常に手間が掛かるとか、国内法律制度規制、それから税制が安定しない、変わってしまう。これ非常に投資の立場からするとやりにくいところであります。こういったこともあるので、単にこの調査報告書の順番で中国が一番メリットがあるとは私は必ずしも思わないんですが、今後のFTAEPA取組への大臣覚悟を聞かしていただければ有り難いと思っております。
  10. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 日本は、いわゆる経済貿易立国としてこれからも生きていかなければならないわけでございますので、世界じゅう国々と仲よくし、そして広い意味経済的な関係を広げていくことが、日本はもとよりでありますけれども相手の国にとってもプラスになるという基本的なスタンスは、これはもう加納先生と共有させていただくことができると思います。  そういう意味で、今、これも今年一年大事な作業でございます、いわゆるマルチの場のWTOと、それからいわゆる個別の経済連携であるFTAEPAというものが車の両輪だと、どちらも前進させていかなければならないというふうに考えております。  そういう中で、何を戦略にしていくかということでございますけれども、例えばアメリカなんかを見ますと、アメリカは、まあ経済もそうですけれども、かなり政治的なことを意識したFTA戦略を取っているやに私は判断をいたします。例えば、中東に、どんどんどんどん中東とのFTAを進めていくでありますとか、あるいはまた、これは例としていい例か悪い例かよく分かりませんけれども、豪州とはFTAをあっという間に結んだけれども、豪州とある意味では経済的に非常に一体であるニュージーランドはアメリカとやりたいと言ったんですけれども、アメリカはノーと言って交渉を進めないと。これは何を意味するのかはまあいろいろ、ここから先は推測でございますから申し上げませんけど、現実としてそういうことがあるわけでございます。  EUなんかは、EUも積極的にいろんな国とやっておりますけれども、例えばEUに加盟していないヨーロッパの国々とも、例えばスイスなんかとEUFTAを結んでおります。と同時に、EUは、それ以外の地域を見ますと、いわゆる旧植民地といいましょうか、EUとしては旧宗主国であるアフリカとかカリブとか、そういうところの国との経済関係を、おおむね発展途上国でありますけれども、そことのEPAをかなり積極的にやっているというようなところも見られます。  さらには、メキシコとかモロッコなんかは十字路戦略といって、FTAをできるだけ多くの国と結ぶことによって東西貿易あるいはまた南北貿易一つの交差点としての位置付けとしてこれから経済発展をしていこうと、いろんな戦略が見えて取れるわけでございます。  それでは、日本はどういうことになりますかというと、日本は、世界じゅうとさっき申し上げましたが、確かに世界のいろんな国の方々とお話ししていると、日本とやりたい、FTAを結びたい、EPAを結びたい、そしてまた日本先端技術を導入したい、中小企業の振興のためにいろいろとノウハウ投資をしてもらいたい、いろんな要望を、えっ、こんな国からも言われるのかなというぐらいに、私は非常にある意味ではそれだけ日本に対する期待が大きいんだなというふうに思っておりますけれども、一々、今言われたからじゃやりましょうというほど、実は我々の方のいろんな意味での能力には限界があるわけでございますので、おのずから優先順位を付けなければならないわけでございます。  そのときには、やっぱり先ほど申し上げたように、やりやすいところからという意味では第一番目のシンガポールが非常にやりやすかった、日本としての初めての相手国としてはとってもいい相手と結ぶことができたと。次はメキシコという、ある意味では大国でございますけれども、いろいろありましたけれども、いよいよ先生指摘のように四月からスタートをする。現在は、御承知のとおり、いろんな国ございますけれども、やっぱり日本の近い国、御近所である韓国、そしてまたフィリピンASEANの中で日本に一番近いフィリピン、そしてまたASEANの中のある意味では経済的に一番力があり、また日本とも関係の深いタイ、そしてまた、いろんな意味でこれまた日本関係の深い、そして独特の工業先進国を目指しておりますマレーシアと今交渉をしております。  まあ交渉ですから、お互いのトータルとしてプラスにはなるということはお互い認識ありますけど、個別になるとやっぱりセンシティブな部分がお互いあって、そこをどれだけ譲れるか、あるいはまた譲り合うかと。そしてまた、それによって一足す一が三にも五にもなるようなEPAをつくっていくことが文字どおり志の高い交渉結果をやろうということであるわけでございまして、そういう意味で、あえて優先順位ということになりますと、関係閣僚で一応合意したこととしては、今申し上げたような国々、東アジア、ASEAN国々、そしてまた四月からはASEAN全体ともやってまいりますし、そのほかインドネシア、チリとも、インドともこれからスタートの前の準備作業、まあお勉強みたいなこともスタートをしていきたいというふうに考えているところでございます。  事務的には大変これはもう大きな作業、一つ交渉をまとめるには大変な作業が事務的に掛かるわけでございまして、同時に六つも十もやるというのは大変なことでありますけれども、今御指摘いただきましたように、スピード感を持ってやるということで、極端に言えば、譲るところは譲り守るところは守ると同時に、高い志を持って大局観を忘れずにやっていけば、こういった国々と結ぶことによってお互いにハッピーになっていくと思います。  さらには、チリというものも私どもの頭の中には実はございます。チリというのは、南米のゲートウエーという位置付けとしてチリというものも、向こうも大変熱心でございますので、現実にはまだ入っておりませんけれども、私どもの頭の中にございます。  いずれにしても、一つ一つスピード感を持って、そしていい交渉一つ一つまとめていきながら、積極的にWTOとEPAと両方、特にEPAの方をいろんな国々一つ一つ、一杯ありますので、進めていくということで、日本としてのEPA戦略を持って相手国を始め世界経済の発展、生活レベルの発展のためにEPA戦略が貢献できるようにしていきたいというふうに考えております。
  11. 加納時男

    加納時男君 ありがとうございました。  それでは次に、美浜三号機の事故について原子力安全・保安院長に質問したいと思います。  今朝の新聞に載っていたんですが、美浜三号機の事故に関する原子力安全・保安院、NISAの事故調、事故調査委員会が昨日福井で開かれたというふうに報じられております。特記事項、これを簡単に紹介してください。
  12. 松永和夫

    政府参考人松永和夫君) お答え申し上げます。  私ども原子力安全・保安院といたしましては、昨年起きました美浜三号機の事故を重く受け止めまして、事故調査委員会を設置して事故の原因究明と再発防止策の検討を進めてまいりました。  昨日は、九回目のこの委員会が今御指摘のとおり福井県福井市で開催されましたところでございますが、その審議の要点を申し上げますと、前回、三月三日の議論を踏まえまして、関西電力から再発防止策に関する報告書についての追加報告が提出をされました。これに対しまして、保安院が評価の視点、観点というものを示しました上で、御議論いただいたわけでございます。  関西電力におきましては、安全優先、メーカー及び協力会社との役割分担の明確化、情報共有あるいは発電所に対します要員、資金等の経営資源を十分に投入をするといった内容の社会へのコミットメント、あるいはそれに基づきます行動計画の展開という案を示したわけでございます。  これに対しまして、複数の委員から、関西電力やあるいはメーカーや協力企業に対する調達管理を改善するといった点について、具体的な内容がなお不十分であるという指摘もございましたけれども、おおむね了承されたというふうに理解をしております。  今後は、昨日の議論を踏まえまして、事務局で、昨日もお諮りいたしましたけれども、原子力安全・保安院といたしましての最終報告書の案を修正をいたしまして、三月三十日に開催予定でございます十回目の事故調査委員会で取りまとめをしていただきたいというふうに考えております。私どもといたしましては、審議の状況あるいはその結果を福井県、美浜町といった地元の関係者の皆様に対しましても十分説明してまいりたいというふうに考えております。
  13. 加納時男

    加納時男君 ありがとうございました。  昨日の様子が大体分かりました。  この問題は、私どもは、昨年事故が発生したのが八月九日だったですね。翌日、直ちに大臣が現地に入られました。私もその直後にまた現地へ入ったわけでありますが。この委員会においては、閉会中に現地調査を行い、また参考人質疑も行い、いろいろ議論してまいりまして、我々の恐らく共通の認識だと思うのは、事故は極めて遺憾である、基本的原因が三菱重工の点検リスト漏れ、そしてこれに対する関電の不十分な外注管理などに表れております事業者の品質保証体制の欠陥だというのが、この議論を通じて当委員会でも指摘されたところだったと思います。  今のお話を伺いますと、昨日の関電の報告に対して、各委員指摘も踏まえ、関電が更に具体化したもの、昨日は五つのコミットメントと三十の行動計画が出たというふうに承っておりますが、これを更に昨日の指摘、それから原子力安全・保安院からの指摘を踏まえて練り直したものを再々提出をする、それを基に報告をまとめるというふうに私は理解しましたけれども、それで間違いなければ、この質問は終わりたいと思います。  最後になりますが、環境とエネルギーについて伺いたいと思います。残り時間が三分五十秒ぐらいになってしまいましたので、もうたくさん通告してありますが、一点だけ伺いたいと思います。  地球温暖化防止における原子力の役割についてだけ絞ってお伺いしたいと思います。京都議定書の発効を受けまして、削減目標を達成するということが急務になっておりますけれども、これの中で、私は、先週の大臣の、中川大臣の所信表明を伺っておりまして、これを達成するために省エネの推進、新エネルギーの導入、京メカ、京都メカニズムの活用と、この三点を強調された。それから、項を別にしてこの原子力に触れていらっしゃったわけ。ちょっとこれ、気になったところであります。やはり削減目標を達成するための原子力の役割をどのように考えておられるのか。  よく経済産業省から出てくる資料を見ていますと、温暖化防止対策、経済産業省以外の官庁もそうでありますが、省エネとか新エネ、ガスシフトあるいは化石燃料によるコジェネ、これの面的利用などはだあっと並んでいるわけでありますが、どうも原子力への取組のメッセージが弱く、先般の首相の施政方針演説でも、私は時間を計っていたんですが、約五秒間、原子力ということを触れられただけで、あと五分間ぐらいはほかのこと、まあ別に郵政とは言いませんけれども、ほかのことにあったので。  こういうことから見ましても、もっと政府としての原子力に対する、もちろん安全性を前提にしての話でありますが、安全性を前提にするのはあらゆるエネルギーが共通でありますが、特に安全性に留意しながら原子力の推進が、現実にこれがあって日本ではCO2を二〇%減らし、そして世界では一〇%CO2を削減しているわけであります。これの私は推進なしには温暖化防止は、達成は著しく困難だと思いますが、所感を伺って、私の質問の結びとしたいと思います。
  14. 保坂三蔵

    ○副大臣保坂三蔵君) 御答弁申し上げます。  地球温暖化対策に関しましては、需要と供給の面でそれぞれ対策を打っていかなくちゃならないことは、既に委員、先刻御承知のところだと存じます。  需要につきましては、率直に申し上げまして、今回国会でお世話になっております運輸・民生部門プラス産業界からの協力等々、法的な規制あるいはまた支援等で活発化してまいりますが、問題は、やはり非常に大きなウエートを占めておりますのは、供給面でのCO2対策等につきましてはもう積極的にやっていかなくちゃならないことが喫緊の課題になっているわけでございます。  新エネルギー対策、あるいはまた天然ガス対策、加えて、旧来軽んじられておりました石油や石炭につきましても、科学的な知見の下で調整的にまた活用していかなくちゃいけない。こういう対策を現在打っているところでございますが、最も効果的なのは、やはり何といいましても原子力の活用という点は再度着目しなくちゃいけない、このように思っております。  議員立法でおまとめいただきましたエネルギー基本法におきましても明瞭になっておりますとおり、またその後、核燃料サイクルが再度確認されましたとおり、日本の政策、国策といたしまして、向後原子力エネルギーには最大重要課題として取り組んでいく必要があると存じております。  ちなみに申し上げますと、例えばサマータイム等でどのぐらいの省エネができるかなどの試算をいたしましても、例えばコンマで数字が寄与するしか出ないわけでございますが、かつて東電で全部の原発が止まったとき、福島の原発が止まったとき等の影響を見てみますと、率直に申し上げまして、あれだけで四・九%ぐらいの消失を、我々は失ったと、いわゆる寄与を失ったというような逆のデータも出ておりまして、この原子力エネルギーを活用することと、それから活用しなかった場合のその差を考えますと、非常に大きな差が出てくると思っております。  そういうわけで、原子力エネルギーの活用に関しましては、専門家でありますまた加納先生の御意見等、先生方の御意見取り入れながら、国家的な戦略の中心に置いていく、これが本省の計画でございます。
  15. 加納時男

    加納時男君 ありがとうございました。  大臣、今の副大臣の御答弁がありましたけれども、大臣としてそのとおりであるということであれば、是非、一言で結構でございます、覚悟を伺いたいと思います。
  16. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 原子力エネルギーというのは、加納先生も御指摘のように、安全と御地元を始め国民の理解というものが大前提でございますが、その上に立ちまして、非常にメリットのある基幹エネルギーだというふうに考えております。一つは、発電所が稼動いたしますと、そのコストが非常に安いでありますとか、あるいはまたCO2を発生しないでありますとか、そういうメリットもあるわけでございます。  そういう意味で、エネルギー政策だけではなくて温暖化対策としてもこの原子力発電というものは極めて重要な位置付けになり、今後我々の計画よりもちょっと、新しく原発ができる数というものは今のところの状況では少ない状況でございますけれども、いずれにしても、今も保坂大臣からもお話ありましたように、二〇〇三年に東電の原発が十七基止まったことによって、止まっていなければCO2の排出量が四・九%減ったというデータもあるわけでございますから、その後また四つ新規に発電所が建設・稼動いたしますと、これがまたCO2削減に一・七%貢献すると。これ足すと六・六%ですから、もう一四%近い削減目標に対して七%近い部分が、普通に原子力発電所が動いていればこれはもうその分貢献できるわけでございますので、何度も申し上げますが、安全と国民の御理解ということが大前提でありますけれども、その温暖化対策という地球環境の面からも重要な役割を今後ますます持っていくというふうに考えておりますので、重要な政策として位置付けたいと思っております。
  17. 加納時男

    加納時男君 ありがとうございました。  時間がちょっと超過しておわびします。  それから、環境省においでいただきながら質問ができなくて大変申し訳ないので、是非とも次の機会には質問させていただきます。  ありがとうございました。
  18. 小林温

    ○小林温君 自民党の小林温でございます。  加納委員もお触れになられましたが、経産省職員によるインサイダー取引の件でございます。例えば、委員会の前日ですね、委員会の前日に職員の皆さん、夜遅くまで質問に対する答弁等を当たっていただいて、役所の皆さんって本当に国のためを思って働いていらっしゃるなという私は感想も持っているわけでございますが、一人の過ちが役所のみならず霞が関全体に対する不信につながるわけでございます。省内で、その株取引、すべて報告制にするという点でございますが、是非これはほかの省庁にも、今回の経産省の件を戒めにして広げていただければ、またこれ霞が関の不信への回答にもなるんじゃないかというふうにお願いを申し上げたいと思います。  そこで、今日は、昨年の十一月の委員会でも質問させていただきました人材投資促進税制についてお伺いをしたいと思います。経済環境が厳しいということはずっと言われているわけでございますが、この税制の創設ということは、特に中小企業にとって今後の人材投資を活発化させると、そして組織的に人材を育成していくという意味で私は重要だというふうに思っております。  中身については、簡単に触れさせていただければ、戦略的な人材育成に対する取組を支援するために、その人材育成に取り組む企業が教育訓練費を増加させた場合、その一定割合を控除する、特に中小企業には手厚くするというものでございます。是非この制度をしっかりと創設をしていただいて、それを利用できるような環境を整えていただきたいというふうに思います。  もう一つ、一昨年の五月に経済産業省でまとめた新産業創造戦略、これは日本産業競争力の強化に向けて七つの分野について対象として、それに横断的な重点施策として知的財産権の政策というものも位置付けているわけでございます。  この新産業創造戦略の中で、重点の政策の一つとして企業内の人材投資を促進するということも実は掲げられているわけでございますが、この人材投資促進税制が、これは私、前回、中川レポートと呼ぶべきだというふうにお話をさせていただきましたが、この新産業創造戦略の中でどのように位置付けられていくのかということについて省としてのお考えをお伺いしたいと思います。
  19. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 新産業創造戦略につきましては、当委員会でも本当にいろんな先生から、つくった後も有益な御指摘をいただいているところでございまして、これからの法律あるいはまた予算あるいは諸制度等々につきまして、実現をしていく上でまた引き続き先生方の御指導を賜って、目的は日本国家全体の繁栄と、そしてまた世界日本の技術や人が貢献できるということでございますので、これからもどうぞよろしくお願いをいたします。  そういう中で、小林委員からの御指摘の人材投資減税を始めとする人づくり、これは新産業創造戦略の中でどういう位置付けなんだということでございますが、重点七分野、とりわけ先端四分野、燃料電池、ロボット、それからコンテンツ、それから情報家電その他、これから日本世界を引っ張っていく、世界に冠たる、負けない産業群を育成していこうという目玉から、地域の伝統的な食生活も大事だと、地域の伝統的な技術も大事だと、物づくりを、大事なんだということで、先端だけではなくて、過去からの貴重な財産がある意味では突然先端技術にまた大化けしてしまうということもあるわけでございますので、そういう意味で、日本は、言うまでもなく、経済というもの、あるいはまた世界と仲よくしていくということで生きていく、ソフトパワーを持って世界の中での主要な位置を占めたいというふうに考えております。  したがいまして、一言で結論を申し上げますと、ロボット、情報家電云々かんぬん、それからいろんな産業大事だといいますけれども、突き詰めていけば人だということになる。その前に技術とかそういうものもございますけれども、突き詰めていけば優秀な人材、そしてまたその結合、あるいはまた経営者、そしてまた子供たちの、次の人たちへのバトンタッチといった意味で、すべての中でこのレポートの一番大事なものは何かといえば、もちろんロボットだ、情報家電だ、いろいろ先端的なフロントラインのものはありますけれども、唯一、一つといえば人だというふうに私は考えておりますので、今の人材投資減税、特に中小企業に重点を置いた形での人材育成をすることによる経費については税額控除をするというような、これは当初、税務当局とは門前払い的なことでございましたけれども、当委員会先生方にも大変御指導いただきまして認めていただくということになったわけでございます。  さらに、いろんな物づくりのための、人づくりのためのいろんな交流とか、これはもう各省間だけではなくて、研究機関とか大学とか、極端に言えば小学校とか、そういうところも含めてこの人材育成のために努力をしておりますが、政策論として言えば、一番の目玉は人材投資減税であるというふうに位置付けているところでございます。
  20. 小林温

    ○小林温君 日本産業力強化に向けて人が一番大事であるという大臣の力強い御答弁、ありがとうございます。  例えば、今、ライブドアとフジテレビの一件の中でも、どうも日本の市場というのは国際化されてないんじゃないかということが言われたりもします。  あるいは、今、会社法制の現代化ということも党内でも議論させていただいているわけでございますが、企業を取り巻く環境が大きく変化をしている、その中で、やはり欧米型のどちらかというと企業経営の核心というのは短期的な利益の追求だという側面ばかりが強調をされて、かつての年功序列、終身雇用を前提とした日本企業文化みたいなものはどうも忘れられているんじゃないかと。そうした中で、人材を育てることの有効性というものも意識が薄くなってきたんじゃないかというふうに私は思っているわけでございます。  そこで、今の、まあこれ創造戦略でももちろん触れられているんですが、日本産業競争力の核として期待される先端的な新産業群、そこの特に物づくりの部分を見ると、やっぱり日本の今後の強みというのは、部品と部品とをただ組み合わせるモジュラー型ではなくて、現場で繊細な技術を必要とするすり合わせ型、こういう製品の中に実は競争力が存在するんだというふうに分析もされているわけでございます。  その観点からも、この人材の育成という中長期的な視点を経営の中に織り込むということはやはり日本産業競争力にとって重要だということ、その点からも指摘ができるんじゃないかというふうに思うんですが、この税制は具体的にどういった企業に活用されることを想定しているか、経産省としてのお考えをお伺いしたいと思います。
  21. 北畑隆生

    政府参考人北畑隆生君) 日本の競争力を考えた場合に人づくりが重要であるというのは委員指摘のとおりでございます。  ところが、我が国の現状は、企業が行う教育訓練費というのが長年減少傾向にございまして、これを何としても拡大に転じさせ、企業戦略的な人材育成に取り組むと、強力に取り組むということが重要であると考えております。  こういった観点から、この税制では、特に業種とか企業規模を限定することなく、幅広く人材育成に積極的に取り組む企業を対象として税制措置を講じたいと考えております。具体的に申し上げますと、教育訓練費を前二事業年度の平均額より増加させた企業が対象となります。  それから、中小企業の場合にはいろいろ制約があるというのはこれも委員指摘のとおりでございますので、本税制の仕組みを作る上では、特に中小企業に使いやすい手厚い税制としたいと考えております。これも具体的には、中小企業の場合には税額、控除額の算定方式で大企業と比べまして大幅に優遇した計算方式を取るということで税務当局と合意をしておりまして、そのような面で中小企業に使いやすい制度にしてまいりたいと考えております。
  22. 小林温

    ○小林温君 ありがとうございました。  時間もないので、次の質問に移らせていただきたい。  ただ、この対象となる研修の中身というものについて資料を、今申されたその税額控除の対象ですね、と、やはり今までのどちらかというと縦割り的なその対象が掲げられているんじゃないかというふうな気がします。  先ほど来話題になっております、例えば新産業群というものは従来型の産業を融合化するものでございますし、そこでは一部分の知識を有するだけではなくて幅広い知識を有する、そういう人材が必要となってくるわけでございます。ですから、この税額控除の対象については、是非、幅広の御対応をお願いをしておきたいというふうに思います。  もう一つ、フィッシングについて少しお伺いしたいと思います。  フィッシングという言葉、最近マスコミ等にも登場するようになりましたが、これは魚の釣りのフィッシングと、洗練されたという意味のソフィスティケートの両方の造語だということでございますが、これが例えばアメリカ始め欧米では大きな社会問題になっている。日本でもこのフィッシングが実は今、少しずつではございますが、散見をされるようになりました。  このフィッシングの被害の現状についてどう把握をされているか、それからあわせて、これまでどのような対策を講じられてきたかということについてお伺いをしたいと思います。
  23. 豊田正和

    政府参考人豊田正和君) お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、我が国でもフィッシングメールが大分確認されるようになってきております。例えば、昨年の十一月でございますと、VISAカードを偽装いたしましたメールが、百五十件以上について消費者から問い合わせがございました。また、本年二月でございますけれども、カード会社を偽装したフィッシング行為によって得られたカード番号などを基に、カード会社の会員八人が合計約百五十万円ほどのキャッシングの被害に遭ったということが報告をされております。  先生指摘のように、アメリカでは数年早くから、数年前からこの被害が出てきておりまして、最近では年間千二百億円近い被害が出ているということでございます。これと比べますと、まだ日本の被害が小さいところはございますけれども、最近のこのフィッシングメールの状況を見ますと、大変その手口が高度化をしてきております。被害の拡大が懸念されているというのが実態でございます。  このため、経済産業省といたしましては、昨年の十二月にフィッシング攻撃の対象になるような事業者、関係団体などをメンバーといたしまして、そして総務省などの関係省庁のオブザーバーの参加も得まして、フィッシングメールの対策連絡会議というものを設置をいたしまして、早急な検討を行っていただき、本年二月四日に報告書をまとめたところでございます。  この報告書のポイントは、フィッシング対策として情報提供、情報を収集して提供をするための官民の連携した取組が必要であるということでございまして、フィッシング対策協議会を早急に設立をしようということになっております。現在、経済産業省はこの提言に従いまして、関係事業者、関係省庁の協力も得ながら、本協議会の設立準備中でございます。可能な限り早く設立をいたしまして、情報収集・提供を進めていきたいと考えております。
  24. 小林温

    ○小林温君 時間もないんで、最後に意見だけ述べさせていただきますが、おれおれ詐欺、振り込め詐欺も大きな問題になっておりますが、まだこのフィッシングについては、それほど日本ではまだはんらんをしていないという状況だと思います。ただし、これはメールアドレスとか、あるいはパスワードが一度流出すると更なる悪用がされるということで、電子商取引自体の発展にも大きな阻害要因になるんじゃないかというふうに思いますし、犯罪にかかわる方々にとっては、一回成功してしまうと、何だこんなに簡単にもうけられるのかということで、被害がどんどん大きくなっていくのが振り込み詐欺の現状だというふうにも思います。ですから、この部分については、IT社会の中で消費者保護がどうあるべきかということについても積極的な経済産業のお取組をお願いを申し上げまして、時間が参りましたので、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  25. 渡辺秀央

    ○渡辺秀央君 大臣、どうも御苦労さまです。  昨今、大変国内的にも国際的にも経済問題容易でない時代に、中川大臣におかれては極めて精励かつまた意欲的に、しかも先ほど来のお話のとおり、国家間、国際間の中で非常に頑張っておられる。心から敬意を表しながら、日ごろの御慰労も申し上げたい。特にまた、国際会議などで本当に今まで以上にこの日本の存在感というのは、あるいはまた日本自身の国内経済上の問題もあり、頻繁に、海外における国際会議出席は昔以上に余儀なくされている。そういう中、どうぞひとつ健康に留意されながら、国家のために是非頑張っていただきたい。  私は、大臣のお父さんにも大変昔は御指導いただいた一人として、これは私的な面もありますけれども、大臣のすばらしい活躍ぶりに日ごろから敬意を表し、また期待をいたしておる一人である、こういう立場から、今日は率直に、むしろ与党、野党ということでない私の発言もあるかも分かりませんが、今までの大臣のいろんな考え方、あるいはまた八日の日の所信表明等を踏まえながら、もうそこによるスピリットは十分に分かっているつもりで、なおかつ、しかし一応けじめとして申し上げなければならない点もあり、多少聞き苦しいところもあったら御容赦願いたいというふうに思います。  同時に、一つ前段でちょっと希望を申し上げておきますが、一時間の質問時間を今日はいただきました。実は、お話合いをしたいと思うことは、私が大臣室に行って話をしてもいい話もありますけれども、しかし公の場でやっぱり一応記録にしておくかなというようなことから考えて、項目別に見ますと十五項目ぐらい出てくる。これを大臣が二分間で答弁してもらっても三十分必要になる。そうすると、私の方の項目のところまでたどり着かない。どうぞひとつ簡潔な答弁と、それからどうぞ、周辺の状況説明はいいですから、結論のお感じを、政治家として特に率直に御意見を承っておきたいというふうに思います。  そういう意味で、当初から批判がありましたが、大臣からの遺憾の意の表明の後、更に同じことを繰り返すわけじゃありませんが、一言だけ。  私は非常に残念なんです。特に通産省の役人というのは、私は実は、古いことばっかり言って恐縮ですが、私は、衆議院の当選以来、この経済産業関係に類しておりましたので、非常に先輩各位と接触する機会が多かった。これは経済界でもしかり、あるいは政界でもそうでした。特に、昔は自民党という政党は商工委員会とかあるいは農林委員会とか建設委員会とか予算委員会なんというのは一年生議員は入れない。もう圧倒的過半数を持っていましたからね。しかし、そういう中を私は、当時国会対策委員長であった安倍晋太郎先生が、私は通産大臣、中曽根通産大臣の秘書官をやっていた、こういうこともあって、私を一年生から常任委員会に入れてくれたんですね。そこから実はこの当時の通産省との、あるいは通産省の元職の、OBの諸君たちからいろんな意味指導を受けました。これは政治家として私も足らざるところも多いもんですから、意見の交換やあるいはまた指導を受け、意見交換、議論をし合ったということの過去を考えてみると、いつも話し合ってきたことは、これはもう安倍先生中川一郎先生とも話し合ったんですが、通産省の役人というのは日本の役人の中でも最も図太い、いい意味でですよ、野武士的であると。もう年じゅうというか、顔を合わせると、通産省の役人というのはしっかりしておるなと。  要するに、大蔵省、当時、予算もあるいはまた財源も余りない我が国の中で、予算編成をやっていく大蔵省の諸君と渡り合いながら、日本経済の発展と国民生活の安定を図っていく最も大事な経済政策の大黒柱を担ってきた。そういう意味では、我々もその手先になって、予算確保して大蔵省へどなり込んで主計官ととにかくけんかするのが仕事のようなことを当時やらされたものですね。それ、若干まだ中川大臣なんかもその少し名残があっただろうというふうに思う。  そういう意味では、この今回の不祥事なんというのは、やっぱり国家公務員のいわゆる気の緩み、あるいはまた使命感ということと同時に、これは大変耳触りが悪いかも分からぬが、私が自民党を離れたから言うわけじゃないけれども、やっぱり長期政権におけるマンネリ、惰性、こういうものがやっぱり役所の中にも蔓延してきている。通産省においてすらという感じが私はしてならない。  先ほどの大臣の所信で、あるいはまた意見を申し述べられたことで、十分それで私は納得です。どうぞひとつ、これ以上の不祥事が起こらないように、通産省の内部から、あるいはまた、特に、私は行政監視委員会でも今年は是非申し上げようと思っているんですが、国家公務員の中で特に警察の不祥事が多いですね。こんなことはちょっとあるまじきことですね。  だから、全体が、そういう意味では、たまにはやっぱり政権が交代する、あるいはするかも分からぬという緊張感、これは野党である、私は今、野党ですが、野党である我々の努力も足りないし、あるいはまた政権を持っている政権与党の惰性、マンネリに陥らないような、そういう緊張感の中で行政というのは行われていくべきであろう。  特に、政治というのは、生意気なようですが、昔で言うならこれは城取り合いですね、要するに殺し合いですわ。そうすると、これは絶えず、斎藤道三、織田信長じゃありませんけれども、緊張感であるべきなんですね。  昔は、国会が始まるということはいよいよ戦場が始まるというふうに言われたものです、僕らはね。戦場に入り込む、国会の開会は、そういう意気込みで国会に臨みましたね。ところが昨今は、ああ、また国会かと、始まるんだなというような程度のこと。要するに、与党も野党も緊張感が少ない。したがって、そのことが国家公務員の末端に至るところまでその緩みが響いていったんでは国家はもたない。  こういう意味で、私は、今回のこの不祥事に対して大変残念に思いながら、どうぞこれからもこういうことのないように与野党を通じた政治としても考えなきゃいかぬ、あるいはまた所管である役所においても考えなきゃならぬ。これは全体の問題であるなという感じがいたしますので、一言私の感じを申し上げて、別にもう大臣の所見は結構であります。  さあそこで、経済政策についてですが、昨今の世論調査すべて見ても小泉さんの人気は悪くない。それは、景気対策について一番関心を持っているというのはその中で必ず第一位を占めている。郵政の問題でもなきゃ何でもないですね。それほど私は今の景気動向について、決して竹中さんや小泉さんが言っているように、景気の回復は続いている、構造問題を解決した結果である、こういうことをよく言われているわけですが、これは私は少し楽観視ではないかなと思いますよ。数字の上では、確かにそれは一時のデフレあるいはまた金融危機、こういうところは見りゃ少しは脱却したのかも分かりません。しかし、昨今の景気の踊り場なんという言葉で私は、まあ国民はだまされないのではないかなと。必ずしも私はこれまでの景気対策は成功していなかったように思えてならないんです。  すべてとは言いませんよ。しかし、これは何でそういうことを言うかというと、私はこうやって演説やっちゃうともう一人で一時間しゃべっちゃうんで申し訳ないけど、少し口述筆記をさせてきたので申し上げますが、小泉内閣は構造改革なくして景気なしなんということを言ってまいりました、平成十三年以来ですね、構造改革による犠牲が大き過ぎるということを言いたいんです。  要するに、権力というものを持って、そしてその一つの政策を実現をしていくということは容易なんですね、民主主義国家においてはこれは権力を持ったということは多数を持っているわけですから。だから、これはそんな難しいことじゃないんですよ。私もそばで政権の運営する内閣を幾つも見てまいりました。だから、やれないことではない。しかし、そのときに考えなければならないことは、正にこのあめとむちなんですね。これをやった場合に国民にどういう影響を与えるか、あるいはこの政策を経済産業大臣として進めた場合にこの産業界がどういう影響を受けるか、それによっていわゆる川下がどういう状態になるかということを見極めて、政策の選択というのは政権与党の中で議論をされてきたんですね。  そういう意味においては、私は、この四年間で小泉さんが権力を背景にして構造改革をやる、景気をやっていくなんというようなことを言っておられても、倒産件数は約七万件に及んできている、四年間ですからね。しかも、我が国社会のこれは四・三%にも及んでいるわけですね、企業の。  自殺者は、十六年の統計はまだですけれども何と九万、約十万人ですよ、九万八千人。これは十六年度の統計はまだ出ていないんだ。これを出しますと十万人突破ですよ。大臣ね、要するに、長崎の原爆は七万人ですよ、広島の原爆、例えようが悪いかいいか分かりません。しかし、政治の重要さを私は言いたいんです。私の生まれ在所においても、正月を迎えるのに一日で三件も自殺者が出ている、中小企業、小規模事業者でね、二、三年前。そういうことを経験してきた私からすると、これは政治としてはいかがなことかなという感じが当時からずっとしておりました。恐らく中川大臣もその気持ちは同じだろうと思うんです。しかも、離職者、これは企業のリストラなどで自殺した数が三年間で、四年じゃないですよ、三年間で約五万人近くにもなって、この自殺者の五〇%近くになっている。  私は、この数字は決して今の政治が成功しているとは言えないと思うんです。言える立場の人もいると思う。しかし、私は、一政治家としては、これはどうひいき目に見ても、あるいは余り厳し過ぎる面で見るという目でなくて普通で見ても、どうも余りこれは昨今の政治では考えられないことだったな、まあバブルも考えられないことだったかも分かりませんけどね。  そして、失業者は過去十年間で平成十三年などは三百四十万人、その水準は今も定着してしまっているわけですね、失業率一〇%近く。昔、一〇%以上なんていったら世の中ひっくり返った。五%をオーバーしたら大変なことでした。しかし、昔と今は違うにしても、少なくとも若い人たちが満足していく就業状況にはないことだけは事実である。  金利政策においても、これは銀行は立ち直りましたなと。銀行は立ち直ったけれども、しかしそれはゼロ金利政策による、あるいは公的資金による。もう原因がはっきりしているわけですね。それで銀行が立ち直らなきゃどうかしているんだ。私は十年、いや、十年はオーバーだ、七年前です。七年前に、あの金融危機のときに、全部一回国有化したらどうだと、三年なら三年、五年なら五年の時限立法で、むしろその方が犠牲を最小限度にすることになるんじゃないかということを一部の人たちと話し合ったことがあります。だけれども、今はそんな昔のことを言っても始まりません。  そこで、そういった事態の中で、いわゆる当時の十年前の金利を国民がそのまま十年間いただいてきたとして、単純計算ですよ、これが実はちまた言われている百五十四兆円なんですよ。国民から百五十四兆円を政府は取り上げたんです。搾取したんです。単純計算ですよ、ただし。  しかし、そういうことを考えてみますと、このいわゆる先ほど言ったような状況からして、必ずしもこの経済政策は成功だった、それだけ胸張って威張れる、私は本当は竹中大臣にも来てもらおうと思ったら、今日は竹中大臣と総理大臣委員会には出席できないということだったそうですから、そういう意味で、彼は一回どこかで、開き直って、どこにどう、何がありますかなんと言ったことあるけれども、もうこの数字を見たらそんなことは、学者としては言える、一つのことができ上がってきているということは言える。政策マンとしては言える。しかし、政治家としては、これは私はそういうことは誠にもって、じくじたる気持ちの中で自分の謙虚な政策の結末を評価していくべきが政治家ではないかということを申し上げておきたいというふうに思います。  そういう意味において、今日の経済政策、余りにも犠牲が多過ぎる。手術をしたら、痛みと体力が維持できるということを考えて手術するのが本当だろう。私どもは今までも、自民党にあったときも私はそういうことを絶えず言って、バランスのある政策を提唱してまいりました。倒産状況、自殺者の数の増加、角を矯めて牛を殺してしまうような結果ではないかということを申し上げたい。また、非情な小泉・竹中政策の犠牲は余りにも大き過ぎるのではないかと。  内閣の一員として、国務大臣として、これは経済産業担当としてはいろんなことをおっしゃりたいだろうから、それは抜きにして、国務大臣として私の今言ったことに対して一言いかがですか、感じを。
  26. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 日ごろ尊敬している渡辺先生からのお話で、御質問というかまず御意見を拝聴いたしまして、なるほどやっぱり政治というのはきめ細かく、しかし大局観を見るというその二つ、一見矛盾するようなことを見事に渡辺先生は喝破されて、今いろいろと御参考になるお話を伺わさせていただきました。  政治家として、国務大臣としてということでございますが、私は一つだけ今から思ってもやっぱり政治と行政が違うなと思ったのは、あのバブルがいよいよピークから下降になり、そしてバブルが崩壊するときに、私は今でも覚えておりますけれども、特に私は北海道でございますから、よく言われるのは、経済が良くなるときには一番最後、悪くなるときは一番最初というふうに我々思っている地域で、どうも地元に帰ると様子がおかしいぞというときに、政府あるいはまた日銀の人たちにちょっとこれは状況が変わってきたんじゃないんですかということを言っても、いや、これは、まあ今もちょっと使われている言葉ですけれども、誤解を招くかもしれませんけれども、ちょっと一服しているんですと、ちょっと在庫調整さえすればまた緩やかな経済成長が続きますという話をずっと説明を受けておりましたが、どうもそうではないと。中小企業、地方の中小企業の方からだんだん仕事がなくなり、大変だ大変だという声が、これは私のところだけではない、ひょっとしたら渡辺先生の御地元の新潟もそうだったと思います。  つまり、いち早く地方の方からおかしくなってきて、そして最後は結局バブルの崩壊、そしていわゆる失われた十年、戦後初めて経験するデフレと、そしてお隣の中国韓国を始めとする国際環境の激変という状況になったという状況というところからいかに脱却をしていくかということに、ある意味では平時におけるデフレからの脱却の教科書というものはないわけでございますから、まさか戦前の大恐慌とか松方デフレとか、あんなものをそのまま持ってくるということはできませんので、ある意味では先進国の現代におけるデフレ対策というものはない。そこをある意味ではみんなで知恵を出し合い、甲論乙駁、激しい議論をしながらやってきて、やっとここまで来たのかなという感じがここ数年しているところでございます。  私は、はっきり申し上げて、回復基調の踊り場という言葉は非常に耳触りがいい言葉でありますけれども、それは上に上る階段の踊り場だというふうには考えておりません。踊り場というのは、ひょっとしたら下に行く踊り場になるかもしれないと率直に私は思っているところでございますし、デフレ基調も依然として変わっておりませんので、正に今こそ真の経済回復のために、特に経済産業委員会先生方と、御指導いただきながら、ミクロを見る、そしてきめ細かく経済政策を、中小企業対策をやっていく経済産業省に対しまして、渡辺先生を始め当委員会の皆様に、今一番大事な時期でございますので、御指導いただくということをまず申し上げさせていただきたいと思います。
  27. 渡辺秀央

    ○渡辺秀央君 ありがとうございました。  私どもは内閣を見ながらあるいはまた与党の動きを見ながら、自分の過去の経験と現状見ながらということで少し、何といいますか、いろんな評価の度合いあるいはまた私の独善的な面もあるかも分かりませんが、そんなに大きな認識の違いは私はそう余りないんじゃないかと思うんです。そこは、本当にこれはもう今の政治として解決していかないと大変なことになる。  ということは、開発途上国と言われた国々は、中国などという問題ではなくて、もうどんどんどんどんすぐ後ろに来ているという現状で、しかも、いつも話をしております我が国は資源のない、全くここで加工立国として、技術立国なんという言葉を僕らは当時使ったけれども、これは体裁のいい言葉であって、実際は加工して付加価値を高めて輸出するだけのことですからね、言うなら。そういう意味では、加工立国としてやっていくのに本当に真剣な、二十一世紀というものをとらえてやっていかないと、我々だけが裕福なあるいはまた満足いった、ある程度満足いった生活を終わって、子孫は大変なことになってしまうというような思いがいたしてならないので申し上げたわけであります。  さらに、もう大体この問題はこれに、よしとしなければなりませんが、私はやっぱりもう一言言わせてもらうと、アメリカ型の資本主義と日本型の資本主義、あるいはまた自由主義というものは私は基本的にやっぱり違うというふうに思うんです。  これは、経済産業省のかつての先輩たちが、アメリカからある程度、とことんとことん最後の最後まで頑張って自由化なりあるいは市場開放なりということを、これはもう本当に目に見えていますね、今でも、頑張ってきたこと。しかし、なぜ頑張ったかというと、閉鎖社会、国、島国根性というんじゃなくて、日本の国の経済をある程度のところまで、国民生活を平均的アメリカ並みのところまで持っていかなきゃいかぬということにおけるもう大変な努力をこれはやってきたわけですね、外交的にも、国内経済政策においても。私は悪口言って、官僚社会主義国家であるなんといって言ったことがありますけれども、ある意味ではそれだから成功したと、バランスのある国内経済社会が形成できたというふうに思うんです。  よく雪の降る、今豪雪の、今物すごい被害を受けている、震災から豪雪で、本当にこれ以上あと何があると、あと大火事しかないなというぐらいに新潟はやられていますけれども、しかし、これは人的な努力である程度解決できることですよね。解決できない問題が出てくる。それは雪の降るところも降らないところも税金も同じというのはおかしいぞと、私、これもよく言っているんですけれども、これも仕方がない。平均化した税制、いわゆる社会主義税制をやってきたわけですから、戦後からずっと。もうどんなところでも同じなわけですから。東京都の所得税もあるいは沖縄の所得税も同じですから。  だから、そういう意味ではもうそろそろやっぱりそういういろんなことを、アメリカ式の構造改革を志向するんではなくて、日本式の構造改革というのを、実際にまじめに若い人たちが、これから政治を中心に担っていく人たちが考えていかないといかぬこと。特に役所の諸君たちは、今おいでの皆さんはみんなもう大幹部でいらっしゃるわけですけれども、役所に有能な若い人たちがいますよ。その人たちがやっぱり考えてもらうことだというふうに思うんです。  私はかつての与党のときには、いわゆる競争社会ということではなくて共存社会を目指して政治をやったつもりです、やってきたつもりです。だから、それが今言うある程度の社会主義性格的ないわゆるものを生んだ、また生まざるを得なかったということだろうと思うんですね。だから、いわゆるその競争社会ということを目指すというだけなら、自己責任でやっていくんだよと総理はよくそうおっしゃっておるようですが、それは政治がない話であるなと思いますよ、やっぱり。  やっぱり共存社会、共生社会。共生と共存は若干違う。私はその強者も弱者も大資本も零細規模も共存していく社会、これは正に今大臣がおっしゃった北海道ではもうあの拓殖銀行の倒産以来十分経験されて苦労されておられる。私どもも同じでした。だから、それにはどういう政治家としての心得を持ってやっていくかということが非常に今大事な場面に入っているので、くどいようでしたが、私はこれからも是非ひとつ、あの敗戦の中で日本が雄々しく立ち上がり、国民と一緒になって国家を再建しようとしてきたあの意欲と息吹がやっぱり共存社会、みんなで助け合おうという、それが根本であるということをもう一度私どもはお互いに反省しながら考えて各種の政策を行っていくべきであろうということを申し上げておきたいと思います。  もう一つ国民の貯蓄率が、この景気動向でありますが、非常に減ってきている。私はそういう意味においては、今の経済問題というのは、先ほどこれは大臣がおっしゃったからもう触れませんけれども、踊り場ということの言葉で決して、執行者であり、あるいはまたこの経済産業日本経済政策の大黒柱である中川大臣が、大変恐縮ですが、評論家的なこの景気対策が今踊り場のところにあるなんという言葉は生身の真剣勝負をやっている政治家の発言ではないなというふうに思いますよ。そういう意味では、今の、先ほどの御答弁で私、次にちょっと用意したもう質問をやめますけれども、是非その御認識でこれからは厳しい経済政策、経済運営、景気対策に臨んでいただきたい、こういう期待を申し上げておきたいと思います。  そこで、続いて、その景気対策に続いてのことですが、先ほどの北海道のこともおっしゃいましたけれども、この地域間に格差がどんどん出てきていますね。これを何とか、もう時間がなくなってくるんでちょっと端的に言いますけれども、今はもう、例えば東京の所得と新潟の所得なんかを比べた数字も全部用意しました。しかし、もう時間がないですからやめます。要するに言いたいことは、相変わらず一極集中の政策が是正されていませんよと。これが何で与党の間で、何で政府の間でもっと真剣に議論され、少子化の問題と同時にこの一極集中の元凶をどうとらえてどう是正していくかという政策が行われなければならないときではないかなということを申し上げたい。  そういう意味において、この地域経済ということ、今現在の、この政策は是非大臣、もう今回は予算も終わりますし、また今日における手厚いいろんなことを災害地はもちろん、地方においてもやっていただいておる。中小企業対策やっていただいていることも分かっていますが、しかし、まちづくり三法が制定されてから中心市街地に対するいろんな思いでこの政策立案がなされたことも分かっております。が、もう少し思い切った大胆な地方、地域の町づくり、あるいはまた地域経済の活性化、もうちまちましたことではなくて、どんといく、この県には、この町はこういう伝統と文化と歴史があると。これはこういう形で守りたいと言ってきたことに、一部あるんですけれども、そういう今までの政策のような補助金だなんという、もっと思い切ったことで地域経済あるいは町づくりというものを考えられたらいかがでしょうかと。  特に、今のままでいくと一極集中で、この今、我が参議院は、大臣ね、定数是正なんですよ、定数是正。このままでいきますと地方が、地方の県ごとに与えられた一議席、一選挙区二議席、一選挙区一人という、二議席がこれなくなる県も出てくるんですね、厳密にやると。これは一極集中の結果なんですね。東京とか横浜とか大阪とかは増えるんです。そういう現実を見ても、私は今の政治が成功しているとは言えない。だから、大変恐縮ですけれども、金丸先生という人はすごい人だったと思いますよ。私が一番最初、首都圏移転という話を、あの人が当時、各派閥の中で若い人だけ集めた。私は当選三回、そういうときに呼ばれて、あとほかのところから二、三人でした。それで首都圏移転をやると。その窓口に村田敬次郎大先輩が座っていまして、それで研究会始めたんです、あの首都圏移転というのは。  そういう、もう今、あのころ、二十五年前ですよ。そういう意味ではやっぱり今の政治はちょっと怠りが多過ぎるということを思いながら、この大店舗法が撤廃されてから町づくりということについて、これこそハゲタカ分野に入りつつあるということの現状を見て、もう少し思い切った大胆な措置を、財務省がとやかく言おうと、一回、経済産業省のいわゆる特定財源を使ってもやるぐらいの気持ちで取り組む、今から作業に取り組んでも三年か四年ぐらいたつでしょう。だから、どうぞ一回ちょっと検討してみるお気持ちになられませんか。いかがですか。
  28. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 我々は一人で生きているわけじゃございません。家族、そして近所の方々、そして一つの集落といいましょうか、社会的単位、あるいはまた市町村、都道府県、そして国、世界と、こういうそれぞれの単位ごとに我々は生きているというか、みんなで生かされているという状況の中で、やっぱり町というもの、これはある意味で市町村という町ではなくて、多分渡辺先生は平仮名で言うまちというイメージのことを念頭に置かれているのではないかと思いますけれども、この町というものが衰退をしていく、なくなっていく。つまり何かこう、何といいましょうか、コアといいましょうか、へそみたいなものがぱっとなくなって、何かどこがいわゆるへそなんだろうかというような状態というのは私は決していいことではないというふうに思っております。これは何もひとえにそこで頑張っている商店街や暮らしている皆さん方のためだけではなくて、全体の、地域全体にとってやっぱり町というもの、あるいは中心市街地というものがなくなるということは、決して単に経済的な問題だけではなくて、社会的にもまた教育面でもいろんな意味で問題があるというふうに思っております。  そういう意味で、今のまちづくり三法、とりわけ大店法なんというのは、改正したときには、これからは規制緩和の時代なんだと、ただ社会的な規制、騒音とか環境とかそういうものだけは残すけれども、あとは基本的に自由なんだという方向でやってまいりましたけれども、その弊害というものもいろいろ出てきているということは私、全国回って新潟にお邪魔をしても、あるいはどこへ行ってもそういう話を聞きます。  つまり、それは例えば犯罪の問題になるとか、あるいは町の大事なお祭りが衰退をしていくとか、あるいは親子連れでの商店街を買物をしながらいろいろと子供と対話をしながら子供にいろんなことを教えていく、学んでいくというようなことも含めて、こういう言葉は初めて使うのかもしれませんが、町を歩くことによる多面的機能みたいな、農業の言葉から今思い付いちゃったんですけれども、そういう多面的な機能が町の中に一杯あるんだろうというふうに思いますので、そういう意味で、結論的に言うと何回もお答えしておりますけれども、このまちづくり三法については見直し、特に今、渡辺先生からもう抜本的なというお言葉がございましたけれども、とにかく大胆な意識を持って見直しを含めて今検討しているところでございますので、引き続き御指導をお願いいたします。
  29. 渡辺秀央

    ○渡辺秀央君 ありがとうございます。是非検討してください。  地方の人たちが地方で生きていく、地方で生活している、その意欲と誇りと自信が出てくるような政策が大事だろうというふうに思いますね。是非お願いをしたい。  私は、もう一つ。もう一つ先へいくと島をやっているんです、島嶼議員連盟というのをね。島こそ日本が残っているという感じで議員連盟引き継いで責任者としてやってきておりますけれども、そういう日本的なものというのはやっぱり憲法で、日本的なもの、日本の文化、伝統なんていう言葉だけの問題じゃなくて、実際にもうそれは一番大事ですよ。しかし、その実質面において、地方に生活している人たちがそういう生活意欲、自信と誇りが出るような、そういう政策を是非きめ細かいという、そういう、もうあれもこれもあれもこれもというんじゃなくて、とにかく象徴的に自信と誇りを持てるようなのをどんと一回経済産業省の骨太政策を、あるいはまた野武士的なそういう経済産業省の英知を結集したものを一発出してみていただきたいなという感じがしてならないので、この機会に、中川大臣、大いに期待している反面から是非お願いを申し上げておきたいと思うわけであります。  さて私は、もう一つ中国とのことについて、ちょっと時間がもうあと二十五分ぐらいしかなくなってしまいました。もっとたくさん用意したんですけれども、自分でしゃべり過ぎちゃって申し訳ありませんが、とにかく結論から言うと、アメリカ一辺倒の貿易が、昨今に至って中国アメリカ貿易よりも大きくなったんです。これはもう新聞でも発表されている。一々数字も全部私も用意してきたんですが、ただ、アメリカとの貿易について悲観を申し上げるわけじゃないけれども、私は、やっぱりまだこれから先も中国との対外、対中貿易というのはまだ拡大していく、あるいはまた相互依存の関係というのは深まるだろうというふうに思っております。  現実に、輸出入二十二兆円という初めて我が国の戦後、戦後という言葉も古いけれども、我が国の対外貿易で最大を占める立場になる。三十年前を思い起こすと昔日の感。私は三十年、日中国回復したその年の、翌月の一月に、今の島村君や与謝野君一緒に実は廖承志先生に招かれて、当時中曽根先生の秘書官同士として行ってまいりました。  そういう中から考えてみると、本当に、今年一月の七日に、これは私的に行ったんですが、何人か若い国会議員の皆さんと一緒に中国の対外外交政策最高責任者、全く私、非公式だったんですけれども、特に古い友人だということで約二時間近い話合いをさせていただいて、まあ私は靖国からあるいは台湾問題も私なりの見解をしっかりと述べ、かつまた理解を求めてまいりました。  昨今の、昨日の全人代のあの様子を見ましても、もう、これもう新聞に載っていますから一々ここで新聞をなぞらうようなことを話をしても仕方がないんですが、ただやっぱり私がそのときに感じた、一月に行ったときに感じたこととやっぱりニュアンスは間違っていなかったという感じなんです、今朝の新聞を見て。それは、中国側の方は日本を極めて最重要視して、日本と仲よくやっていきたい、これはもう絶対にあるんですね、いろんな問題があってもですよ。そのことがあるならば、話し合う余地だけはあるなと。これはやっぱり政治の仕方、外政の進め方、内政のやり方、外政の進め方だと思うんですね。  そういう意味で、後で時間があったらまた東シナ海のこともちょっとお聞きしたいんですけれども、御見解を。僕はサポートしているんですよ、大臣の話合いを。もう話し合わなきゃ駄目ですから、話し合うようにしてもらいたいと思うんですが。  特に、その昨日の温家宝総理の記者会見の三項目、三提言、あの三つ目が今までなかったわけじゃないですか。それをしっかり相手が出てきたときはつかんでほしいなと。生意気なようだけれども、中曽根総理と私も数年間一緒に日本の外交という中の一人として勉強させていただきました。やっぱり、政治はやっぱりチャンス、それからスピードだと思いますよ。そういう意味で、のんびり構えて相手が来るまで待っているというんじゃなくて、愛知博覧会、万国博に是非温家宝総理に来てほしいと、そういうメッセージをもっと、これは大臣主催なんですから、私はやっぱり、一つのこれに対する回答として、この昨日の全人代における、その後の記者会見の日本側の一つの意思表示として、更なる、総理が総理を呼ぶのも当たり前ですよ。だけれども、それは当たり前の話だ、だけれども、その総理の発言に問題があったわけですから、それを補佐する内閣の一員として、外務大臣もしかり、あるいはまた経済産業大臣もしかり、一緒に、何としても、もう首脳会談なんかしなくていいじゃないですか。とにかく来てもらうことじゃないですか。あれ見てもらうことじゃないですか。この後中国でやるんじゃないですか。  そういう意味で、このチャンス、このせっかくの、全人代終了後の今日の中国側の空気を十二分に察知して、これは経済というのはあくまでも政治と信頼が背景で経済が成り立つんですから、そういう意味でも御活躍の場が与えられているように思いますけれども、いかがでしょうか。
  30. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 日本世界じゅうと仲よくし、またお互いにいいところを交換し合って発展をしていくということが日本自身の生きる道であり、また相手に対してもプラスになると思っております。  そういう中で、中国というのは、もう先生指摘のとおり、お隣の非常に大きな、そしてまた発展をしている国でありますから、とりわけ中国という国は大事であり、大事であるからいろんなお互いに問題が生じた場合にそれをまたよく、今先生指導いただきましたように話し合って解決をしていくということだろうと思います。何もない、もうべたなぎだというのもある意味では不思議な感じでございまして、隣だからこそ、関係が深いからこそいろんなことが出てきて、それを解決、一つ一つ解決していくと。  別に、その中で、万国博覧会、愛知万博が間もなく、もうあと十日ほどで開会でございますけれども、百二十五の国等が参加をいたしますが、何もそれを政治に利用するつもりは毛頭ございませんけれども、御趣旨としては私も全く同感でございまして、例えて言うならば、ピンポン外交みたいなのが昔ございましたけれども、広い意味の、ぎすぎすした形式張った意味ではない、ふわっとした形で、百二十五の代表がそれぞれ来られたときに、それぞれの展示館をお互いに訪問し合ったりしながら道すがらいろんなお話をしたり、あるいは食事をしたりしながら友好を深める、あるいはまた、のどに刺さったとげがあるとするならば、優しくお互いに抜くような努力をしていくということも実は大事なことではないかと正直思っております。  そういう意味で、中国に関して言うと、たしか五月の十九日が中国のナショナルデーだったと思っておりますけれども、そのときには、今渡辺先生からも、私も昨日の温家宝さんの三つの指摘というのは大変ある意味では重要だというふうに受け止めておりますけれども、五月十九日にどなたが来られるか、温家宝首相閣下になるのか、呉儀、担当でございます呉儀副首相閣下になるのか分かりませんけれども、ハイレベルの方に来ていただいて、そして中国館、日本館その他をともに見ていただいて、その中で日中のトップ同士の率直な信頼関係、きずなが深まっていけばいいなというふうに思っております。
  31. 渡辺秀央

    ○渡辺秀央君 是非そういうチャンスを逃さずに進めていただきたいと思うんですね。やっぱり日本がこれだけ中国に法人が進出しているということになりますと、これは単に、いや靖国がどうだとかそういうことでもって相手がむくれている、こっちのことは国民として当たり前だということだけ言っていくことで過ごせない、もう大きなきずなというかね、そういうものができてきているわけですね。  とりわけ、この中国への海外進出が、中国へのいわゆる企業進出が増えている中にもかかわらず、昨今いろんな事情でしょう、平成十四年度の現地法人の撤退数は七百社、前年度に比べて二百七十社も増えているんです。そのうち中小企業、九十四社に上っているんですね。中小企業の海外進出企業が撤退の憂き目にあった場合に、いわゆる進出しているときは行け行けどんどん。そして、これがある程度のところになったときに今度は撤退することが、これだけ大臣、多くなると、国内経済が直ってきた、踊り場だなんていってあの竹中、竹中さんか、言って威張っているけれどもね、こんなの一発でまた駄目になりますよ。海外要因による、国内政策でなくて外政によってそういうマイナス勘定が出てきますよ。それに対するそのいわゆる防御策というか、国内のこの企業に対する、撤退企業に対するガードというのは役所の諸君たちは考えているのかどうか、中小企業も含めて。これは非常に私は今の段階で、今あるからと、これ中国にこれ見よがしにやるんじゃない、そういう意味じゃないですよ。しかし、これは考えておいてやらなければすべてが今まで後追い後追いの政策ですから。  だから、私はこのガードを一回検討をしていく必要がある。今でも保険もあることは分かっているし、私はイランのあの保険の大騒ぎやった張本人ですから。だからもう分かっています、分かっています、保険も分かっているけれども、なおこういう問題についてきめ細かな海外企業の撤退に対するガードが検討されているかいないか、ちょっとこれは役所の諸君から、ちょっと大臣済みませんが、検討を聞かせてください。手短によ。
  32. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 海外進出後の撤退の問題というのは、時々それぞれの地域で問題になってくるわけでございまして、これだけ中国から、中国に進出しておりますとその激変、状況の激変によって……
  33. 渡辺秀央

    ○渡辺秀央君 中国だけじゃない。
  34. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) はい、さらにそういうことは拡大しつつあるんではないかということも懸念されるわけでございますけれども、国内に残った、国内の拠点について、あるいは国内の本社に対します様々なセーフティーネットというのは、私どもある意味では万全に用意しているつもりでございますけれども、海外企業自身の、海外に出た工場自身の撤退に伴う問題につきまして、直接的に私どもがある種のセーフティーネットを引いているということはございませんので、その点について必要があれば勉強していかなきゃいけないというふうに思っております。
  35. 渡辺秀央

    ○渡辺秀央君 是非どうぞお願いします。また、いずれかの機会にこの問題についての私の考えを申し上げておきたい。  同時に、外資による国内の直接投資についても今ああいうライブドア、あんな問題じゃないですよ。それはもう、そういうことはこんな場で話しすることじゃないが。全体的にちょっと目を覆うような状態に来ているんではないかという感じがしますよ。これも是非検討の余地に、その段階に入ってきているんではないかということを申し上げて指摘だけしておきたい。  時間がなくなってきて肝心なことをちょっと、あと政府系金融機関の中小金融についても申し述べたいと思ったんですが、意見も一致し、かつお願いを申し上げておきたいと思ったんですが、これまた中小企業、あの法律もあることですから、そのときに譲らしていただいて、エネルギー問題の、いわゆる先ほど来、この話も一部ございましたが、原子力発電によるこの美浜原発のこれからの問題であります。これは私は非常に大きな問題を実際は含んでいるというふうに思います。細かいことは今日は省きます。  もう一つは、この責任の問題は、今調査、この事故調査会が松浦委員長のところにこれが出てくるわけですから、これを見た上でのことにさしていただき、今日時間がないですからよしますけれども。  私は、この原子力発電ということが、これも実は、総体的に見て、私どもがこの問題に携わらしていただいて、勉強さしていただいた当時は、極めて事業者も立地市町村もエネ庁も緊張してたんですよ。政治も物すごい緊張してたんですよ。それは、本当にこんな場で言うのもおこがましく古い話で、渡辺さん先輩ぶって言うわなんて思われても困るんですけど、本当に、これはエネ庁の諸君たちも年じゅう真顔で議論し合い、あるいはまたいろんなことを考え合ったもんです。あるいは、電気事業者連合会も同じですね。  そういう中で、まあここ数年来、しかも肝心の一番中心的なところで問題が起こるんじゃなくて、その別のところで問題が起こっている、その周辺のところで事故が起こっている。全部そうじゃないですか。  例えば、この放射線が全部ひっかぶって死んじゃう、死んじゃったなんていう事故があるわけでもない、あったわけでもない。その周辺の問題、いや、そこの機械の調査が足りなかった、あるいはまた、その機械に対する補修が目が届かなかった。もうそんな程度のところから大きくしているわけですね。これは大変恐縮ですけど緊張の緩みであり慢性的な惰性だと思いますよ。だから、是非そういう意味で、この事業者の方々において、あるいはそこに働いている人たちが一番気の毒ですよ。  私は、大臣、かつてこの原子力発電について、まあそんなに大した雑誌じゃなかったんだけど、もう言われて言われて、私はもうそういうこと嫌いな性格で、新聞、テレビ、雑誌が、なるべく出ないように出ないようにということがあって、当時ですよ、もう二十年ぐらい前ですが、平岩外四当時東電の社長と対談したことがある。そのときに、僕は平岩さんに言ったのは、原子力発電所で働いている人たちの対談を是非有名人とさせて、それしてもらって、そしてそこでいかに安全かということを、そこで働いている人は安全で、毎日家を出るときに、職場に行くのに奥さんと水杯やって出るわけじゃないんだから、でしょう。だからそういう実態を地域人たちに知らせなきゃいけませんよと。それが原子力発電のPR、あんな立派な金掛けたものを発行するよりも、中身のことじゃないでしょうかと。平岩さん自身が労働組合の諸君と話し合って、一緒に対談して、それで東電の、発言、原子力、柏崎原発は安全だとやってくれたら、みんな柏崎、新潟県安全ですよ。まあ例えばそういうことをやった記憶があります。  ですから、是非、これは一々そういう細かいことを言うわけじゃないですけど、当時の我々の緊張感ということの一つとして申し上げているわけですが、同時に是非そのことは、これからのこの美浜の問題は、事故調査の結果を私は関電さんのものもよくつぶさに今検証して読み直しをさしていただいているが、昨日のこともさることです、まあ本当は時間があったらやりたいんですが、もう時間がなくなってきたからやめますけれども、安全・保安院の調査結果を注目したいというふうに思います。  同時に、ここでなぜこのことを付言しなきゃならなかったかというと、次のことの方が僕は大事な質問なんです。  それは、いわゆる、これからも法律としては出てきますが、この特定放射性廃棄物の最終処分、この問題が、大臣も頭痛いでしょうけど、これもう待ったなしのところに来ていますわね。これは長い間政治の場にあり、原子力エネルギー政策を進めてきて、理論でなくて理屈でなくて、実際体を張って政治で一票一票積み重ねの中で勝負をしてきた中の、大勢の中の一人として、私はこれは非常に責任を感じていますわ、このことは。  この原子力発電環境整備機構が十四年にできて、そしてしかもこれが作業に入っている。作業に入っているんですけれども、最終処分施設の、これが選定が全然遅れている。しかも、遅れているというよりやっていないんじゃないか。今日、僕は本当はこの機構の責任者に来てもらおうと思ったんですが、時間がなかったんで、何しろ質問を整理するのに時間がなさ過ぎて、申し訳なかったんですが、いずれの機会にか申し上げたい。少し、役所の天下り、あるいはまた事業者の方からの天下りというか横滑り、そういうことの地位に甘んじている、そういう嫌いがしてなりません。  例えば、もう大臣から何年までやれと、今年一年間でやってみろと、やってみなかったらもう責任取れよというぐらいやってもいいこれは代物ですよ。代物と言ったら悪いけど、政策ですよ、ここまで来ると。だって、動かなくなっちゃうもの、原子力発電所、でしょう。三分の一のエネルギーが動かなくなったら、中国に進出した我が国は、さっき時間がないから言わなかったですが、企業がとてもこれは大変だからといって日本に帰ってくるということ以上に、日本国内企業活動できなくなっちゃうんです。そういう緊張感がない。  そういう意味では、原子力発電に賛成か反対かなんか言っているような幼稚な議論ではなくて、この問題を、エネルギーを必要としている我が人間生活の中で、しかもエネルギー資源のない我が国で、これしかないというならば、この問題について、憲法問題も教育問題も、あるいは今の年金問題も与野党で一緒に話し合うというのなら、私は、この放射性廃棄物の処理の問題こそ、私も当時やった、そういうことを提唱して、原子力発電を提唱して、当時の公明党さん、当時の民社党さん、当時の社会党さん、で、自民党から私は、政策のそれらのそこそこに責任を持った人たちとずっと実は私は落選するまでその会を続けていたんですよ、別に与野党共通の場として。どこにも何にも私は金の献金ももらったこともないです。これはもう調べてもらえば分かる。だけれども、みんなで真剣に語ろうやと、その中の一人はもう完全なエネルギー政策、これ、原子力エネルギー政策、強烈な推進者、旧社会党の人で、名前は申しません、そうなってきてくれています。  僕は、今この段階で、この廃棄物について、是非大臣、場合によったら与野党の本当に腹を割って話し合う、日本の二十一世紀のエネルギーをどうするか、それにはこの処分をどうするかということを話し合う時代に入ったと。我が民主党だって、まだ若干きちんとしていない面もあるからいい機会なんだ、はっきり言って。いや、本当だ。  だから、私は、そういう意味で、先般も、党内で余り会合には出ないんですけれども、この間出掛けていって、この自民党に、公明党に呼び掛けて、そして話し合ったらどうかというふうに申し上げたことがありますけれども、ちょっと、これは私の思い付きだと思われては困るんで、実際にやってきた人間としてもうその段階だなという感じですけれども、いかがでしょう。
  36. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 原子力エネルギーを使いますと、言うまでもなく最終処分ということが必要になってくるわけで、そのために先生指摘の発電環境整備機構というものがつくられて、その準備をスタートしなければならないわけでございますが、いろいろ作業としてはやっているわけでございまして、シンポジウムを開いたり、いろんな広報活動をやったり、そしてまた、是非候補地としては立候補してくださいというようなことをやっておりますが、現実にはまあ実質的な前進が見られていないという状況であることは、もう先生指摘のとおりでございます。  そして、他方、これからも基幹エネルギーとしてますます必要になってくるということであれば当然やっていかなければならないことでございますので、まあ原子力行政の基本は安全と地元の御理解と御支援ということでございますので、とにかくそういう形で御理解ある地域が出てくるようにこれからも一層努力をしていきたいと思いますし、また引き続き、毎回同じ答弁が、最後同じで恐縮でございますが、先生の御指導もよろしくお願いを申し上げます。
  37. 渡辺秀央

    ○渡辺秀央君 時間が参りました。  竹島委員長、せっかく来ていただいているので。  今までの経済産業省とのやり取りの中で、本当はこの公取さんのことも触れながらと思ったんですが、時間がないんで随分とめちゃくちゃに省略してしまいましたが、せっかくですので一言だけちょっと意見をお聞かせいただいておきたいと思います。  経済産業大臣、大変ありがとうございました。いろいろ御指導いただきました。是非、最後の件について、これは自民党の諸君もこの場にいることですから、是非検討をされたらいいと思います。また、そういう段階だと思います。  この不当廉売について、公取委員長、いまだかつて発動したことがない、これは私が政治家になってから、それ以前も恐らくないはずです。ただ、注意、勧告とかやったりしていることは分かります。この注意というのがいかにもごまかしだと僕は思うんだ。  私は、自民党時代から公取派なんて言われた国会議員ですけれども、これは、自由経済競争の中に公取というのは、アメリカの政策、占領政策として一つは人事院と公取というのは入ってきたと僕は思って、悪い制度だとは思っていない。だけれども、これは極めて中途半端だな。あなたも大分、もう二年なられるかも分からぬが、二年以上になるかな、ごめんなさい。それはどういうことかというと、表のことについて指摘はし、あるいはまた摘発はする、告発はする、しかし根本が全然入っていない。  それでどうなるかというと、結果が中小零細企業、一番困るんだ、これは本当に。一々細かいこと言いませんけれども、この注意ということに対して、公取委員長、もう少し、注意したからこれは何とかなるだろう、あるいは注意をしたから公取としての責任が終わっている、注意をしたから改善されるだろうというんじゃなくて、注意をする以上は、そこの注意をしたことのもう少し底辺を、根本をしっかり見据えてやらないと、もう公取が摘発したことによって、その摘発された業界の末端、あるいはまたその地域の末端は、もうえらいこの不況の中で、さっきから言っている小泉……
  38. 佐藤昭郎

    委員長佐藤昭郎君) 渡辺先生、時間が来ておりますので、簡潔にお願いします。
  39. 渡辺秀央

    ○渡辺秀央君 次の時間に食い込むことで、大体常識だと思うんで。  そういう意味においては、僕は、公取委員長、少しこの注意ということに対しては、あなたのせっかく今まで経験された中で、もう少しきめ細かくかつまた厳しく考えられたらいかがでしょうか。その見解を承って終わりたいと思うんです。
  40. 竹島一彦

    政府特別補佐人(竹島一彦君) 不当廉売、それから優越的地位の濫用、これらのいわゆる不公正な取引方法に対する公取の対応でございますが、確かにその中で不当廉売に関しては法的な措置、すなわち勧告をしたことはございません。従来は圧倒的に注意で終わらしているということが多いわけでございますが、最近はその上の警告ということをやっております。  それはどうしてそうなっているかと申しますと、やはり大変大きな影響があるような不当廉売というのが実際は余りないということでもあるわけでございます。地方においてディスカウンターが出てきてやりましたと、周りの昔からのお酒屋さんが困りましたというケースはたくさんございます。こういったものについては大体は注意で済ましておって、それよりちょっと規模が大きくて、周辺への影響が大きいなというのは警告をしておりますが、勧告となりますともうちょっと大きなものでないとやはりいかがかなという気持ちもございまして、さりとて注意だからって全然効果がないかというとそうじゃなくて、統計を取っておりますとやはりそれなりに是正しておりますし、何回も懲りずにやるというのは私どもは余り見ていないわけでございますので、それなりに注意といえども効果が上がっているというふうに思っております。
  41. 渡辺秀央

    ○渡辺秀央君 終わります。  いずれ、法案の審議のときに同僚からもこの問題について質疑をしてもらいたいと思っています。  ありがとうございました。
  42. 佐藤昭郎

    委員長佐藤昭郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    正午休憩      ─────・─────    午後一時開会
  43. 佐藤昭郎

    委員長佐藤昭郎君) ただいまから経済産業委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、経済産業貿易及び公正取引等に関する調査を議題とし、経済産業行政基本施策に関する件及び公正取引委員会業務に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  44. 藤末健三

    ○藤末健三君 民主党・新緑風会の藤末でございます。  私も冒頭にインサイダー取引の話についてちょっとお話を申し上げたいと思います。  先日、新聞を見ていますと、私の、私も通産省におりましたので、後輩に当たる者がインサイダー取引で捕まるということが起きたわけでございますが、午前中に大臣から徹底した検査を行うということと、また再発防止をするというお言葉をいただきました。  ただ、私が本当にお願いしたいのは、やはり若い職員のモラールを向上していただきたいということでございます。いろいろな、どんどんどんどん規制を作り、縛ることは僕はマイナスだと思っていまして、やはり若い職員が国のために、そしてプライドを持ち、そして世間の皆様から評価できる仕事をさしていただくことが私は再発防止の一番の大きな道だと思っておりますので、是非とも、渡辺先生もおっしゃられましたように、野武士たる経済産業省、そしてノートリアスMITI、ノートリアス、悪い意味じゃないですよね、悪名高きMITIと言われたわけでございますので、もう一度、もう産業再生ならぬ経済産業省のブランドを再生していただきたいと思います。いや、本当にそう思っています。  今思いますと、二十年前、私が通商産業省に入るときに、ちょうど兄が大学院を出ましたんで、一緒に就職したんです。私の兄は商社に行きましたんで、給料が倍ぐらい違うんですよ。そのとき私の父が、兄貴と私と父と飲んでまして、父が言ってくれましたのが、私、健三と申しますけど、健三、おまえはね、給料は安いかもしれないけれど国のために働けるんだと、頑張れと言ってくれたんです、実は。それを今でも覚えています。  私は今朝の新聞を見ていますと、国家公務員の若手のキャリアが辞めないように給料を上げるという話が出ておりました。私は、もう金じゃないと思うんですよ。やはり、それぞれの若い国家公務員がプライドを持ち、そして評価を受けるような仕事をしていただくようなことを是非やっていただきたいというのが、初めに大臣にお願いさしていただきたいと思います。経済産業省のブランドの再構築というものを是非とも、ジャパン・ブランドも必要ですけれど、ブランド・オブ・MITI、METIですね、経済産業省のブランドをもう一度構築していただきたいということを冒頭でお願いさしていただきまして、質問に入らさせていただきます。ありがとうございます。  私、本当に、大臣には本当に感謝申し上げております。それはなぜかと申しますと、私が大学などにおりまして思っていましたのは、産業政策、エネルギー政策、この政策に戦略がなかったなというのをずっと思っていました。ところが、中川大臣がお越しになられまして、まず新産業創造戦略を作っていただきましたし、またエネルギー産業におきましては二〇三〇年長期需給見通しを作っていただくということで、すごく長期レンジの戦略を作っていただいたということを感謝しております。  私は、やはり今の日本の政策に不足しているのは戦略だと思います。ただ、戦略と申しますと、「戦争論」を書かれましたクラウゼヴィッツが言った話でございますけれど、何が必要かといいますと、戦術と戦略の違いということをクラウゼヴィッツは言っていますが、やはり戦術は局所戦の戦いのことの計画であると、戦略は大きな枠組みの戦いを決めるのが戦略であるということをおっしゃっていますけど、一番大事なことは、その戦争の目的が何であるかという行き先を示すことが非常に重要だと思っております。  そういう意味で、大臣がこのたび作られた二つの戦略というものにつきましては、本当に新しい産業政策、今まで経済産業省も、余り古いこと言っちゃいけないと思うんですけれど、傾斜生産方式、あと重化学工業の重視、技術立国とか、あと知的集約ということで、毎年毎年、八〇年代、九〇年代にビジョン、これからの産業はこうなりますということを示したわけでございますが、二〇〇〇年には出てないんですよね。それを今回、中川大臣が作っていただいたということについては本当に感謝を申し上げたいと思います。  ただ、本当に細かいことを言っちゃいけないとは思いますし、またアメリカと比較しちゃいけないんですが、実はアメリカにおきましてもパルミサーノ・レポートという、競争力評議会、アメリカの競争力評議会が作りましたレポートが昨年の末に出ております。これ、ネットで入手できます、これ。それをちょっと読みまして、実は私、ちょっとできが悪いんですけど、パルミサーノ・レポートと中川レポートの比較表をちょっと作ってみました、実は。パルミサーノ、これ、IBMのCEO、トップをなされていた方が議長をなされまして、これからのアメリカの国際競争力をどうするかということを決めたものでございます。大きくは三つございまして、一つはイノベーション、産業創出を行うための人材育成、そして二つ目に未来への投資ということ、そして三つ目に二十一世紀のインフラ、イノベーションをつくるインフラをどうするかということを書いてございますが、一つございますのは、午前中に小林議員からもお話がございましたけど、人づくりというところを見てみますと少し、まあアメリカと比較してどうのこうのということは言っちゃいけないとは思うんですが、人づくりという意味では少し薄いんじゃないかなというのはございます。  例えば、中身を申し上げますと、新産業創造戦略におきましては、非常にモデル事業、MOTのモデル事業、いろんなモデル事業をつくられていますけれど、例えば奨学金の話とか新しい教育プログラムをつくるといったような、非常に通産省、新しい、先導的なモデルをつくってやりますよというところは私はいいと思うんですけれども、もっとインフラ的なところを強化していただく必要があるんじゃないかと思っておりますが、その点につきまして大臣の御意見を伺いたいと思います。
  45. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 冒頭、まず藤末委員から、大学を出て、本当に崇高な理想を持って当時の通産省に入られて、思う存分仕事をされたと思います。そういうお立場から今回の事件は本当に、後輩のやったことに対しては悔しいというか残念というか、しっかりしろよというお気持ちがお強いであろうというふうに拝察いたしまして、本当に一人一人が誇りを持って自分の与えられている、国家のために仕事をするんだという、経済産業省に与えられた重要な使命を遂行するような体制をしっかりつくれということは、OBの貴重な御意見としてしっかりと、私そして全職員、胸に刻み込んで頑張っていきたいと思います。  さて、このパルミザーノ・レポート、私もたまたまずっと手放さないで持っておりまして、全体まだ読む時間がないんですが、概略だけずっと読ませていただいて、人材始め三つの大きなポイント。実は新産業創造戦略というのは、八〇年代のヤング・レポート、ヒューレット・パッカードのヤングさんの、あれが頭にあったもんですから、物づくり日本、それしかないと、逆に言うと、そういう日本の中で競争力が失われている。中国韓国、あるいはまたいろんな国が一生懸命頑張って、うかうかしていると本当に人材の能力が発揮できなくなる、あるいはまた人材の質が落ちてしまうということは、これは国家にとって大変、また国民生活にとっても良くない、大変なことになるということで、ヤング・レポートが頭にあって作ったのがこの新産業創造戦略レポートでございます。  私は、このパルミザーノ・レポートというのは、時系列的に言うと、ひょっとしたら、先生方に御指導いただき、また政府全体としてもオーソライズされておりますこの新産業創造戦略、英文も作りまして世界じゅうに配りましたので、ひょっとしたら、これはたしか、あのときつくった産業競争力委員会が民間に行ってたしか産業競争力評議会とかいう組織になって、その中で今のIBMの会長さんが中心になって作ったレポートというふうにたしかどっかに書いてありましたけれども、ひょっとしたら新産業創造戦略レポートを読み込んで作ったのかなと。勝手に、これは証拠ございませんけれども、時系列的に言うとひょっとしたらそうかなと思っております。  実は今年の初め、フランス行ったときにも、フランスの、先日ちょっと新聞でも取りざたされて辞めたあのゲマールという経済大臣がおられましたけれども、彼と話していても、新産業創造戦略よく読んでいるぞとか、各国でも結構読んでいただいておりますので、うれしいと同時に、ただレポートを書いておしまいというんじゃ、これはもう全然意味がないわけでありますので。ただ、その比較表を後ほどいただければ大変勉強になると思いますので、いただいて勉強さしていただきたいと思いますが。  これは、作っていただく過程の皆さん方が終わった後、評価をしていただいたんですけれども、これ、ある著名な方が、このレポートの特徴は、中身というよりも、こうしろじゃなくて、提案型であって、これを読んで関係者の皆さんがひとつ自分の頭で更によりレベルの高い、純度の高いものにして、そして実行してもらうための一つのきっかけであると。これが、レポートという終点ではなくて、ここからスタートラインだという意味意味が大きいんじゃないかということを論評していただいた、レポートを作る上で参加をしていただいた方のお言葉が大変ある意味でうれしかったんですけれども。  確かにこのレポート、アメリカのレポートを読みますと、投資とか、人材に対する投資とか奨学金とか大学、企業を挙げてどんどん人材のためにお金をつぎ込めと。たしか八〇年代のヤング・レポートでも重点十分野強化のために人材強化ということがございました。共通点は一緒だと思いますが、確かにこの二つのレポートだけを並べてみますと、アメリカのパルミザーノの方がより現実的で力強いものがあるわけでありますけれども。  我々も、今御審議いただいております予算、あるいは先ほどから御議論いただいております人材投資減税、あるいはものづくり大賞、あるいは法制度、知的財産権等々を含めまして総合的にやっておりますが、最後のかぎは、午前中も申し上げましたが人材ということに行き着きますので、決して我々も、アメリカは豊富な資源、広大な国土、力強いハードパワーも持っている国と違う日本ならではの行き方の支えとなる人材育成のために、決してこのレポートを作っておしまいということではございません。常にチェックをしながら、目的は有為の人材をつくって頑張ってもらうということでございますので、また、今いただいた御指摘もしっかり受け止めながら政策遂行に邁進をしていきたいと思っております。
  46. 藤末健三

    ○藤末健三君 本当に大臣の力強いお言葉、本当にありがとうございます。是非ともこれからリバイスをしていただきまして、で、かつ、やったことをきちんとまたフィードバックするようなことをやっていただければ、どんどんどんどんこの戦略が深化すると思いますので、是非よろしくお願いいたしたいと思います。  また、続きまして、人づくりの点につきまして、私はやはり経済産業省の役割として国際的な競争力の強化ということが重要になると思います。先ほど大臣からもお話がございましたが、やはり時代の移り変わりがどんどん激しい中、社会人がもう一度学べるということが産業競争力の強化に非常に重要だと思うんですが、その点につきまして産業政策局長にお話をお聞きしたいと思います。
  47. 北畑隆生

    政府参考人北畑隆生君) お答え申し上げます。  大学の機能は研究と教育、この二つの大きな機能だと思います。研究開発の分野では様々な産学連携を進めておりますが、これと併せまして、人材育成、教育という観点でも、御指摘の社会人の再教育という点を含めまして、教育の産学連携を進めていくということは大変重要なことであると思います。それは、御指摘のとおり、我が国の経済の競争力の強化という観点から大変重要なことだと考えております。  このような観点から、二つの施策を御説明申し上げたいと思います。  一つは、物づくりの技術の伝承でございます。二〇〇七年に団塊の世代が定年に到達をするということでございまして、物づくりの現場でベテランから若手技術者に物づくりの技術を伝承させていくということが大変重要な課題となりつつあります。こうした技術伝承を円滑に進めるためには、社内における個々の教育訓練に加えて、大学等の教育の場を活用して、大学を活用しながら地域産業界との連携の下、産学連携でこういった事業を進めていくということが重要であると考えております。このような観点から、十七年度の予算の中で、製造現場の中核人材の育成事業ということで二十三億七千万の新規予算を計上いたしておりまして、全国の工業系の大学の御協力を得ながらこの施策を進めてまいりたいと考えております。  もう一つは、委員の方から言及のございましたMOTでございます。社会人を含めまして、研究成果を事業化につなげることのできるような技術と経営の双方に通じた技術経営者、MOT人材の育成をするということが重要だと思います。このような観点から、平成十四年度より延べ百十三の機関においてプログラムを開発を実施し、この間、この結果、年間二千三百名のMOT人材育成コースの設置が各大学において進んでおるところでありまして、引き続き着実に推進してまいりたいと思います。  このような事業を中心といたしまして、社会人の再教育を含めた産業人材の育成に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
  48. 藤末健三

    ○藤末健三君 これは文部省の方に、文部科学省の方にお聞きしたいんですが、産業競争力という観点からいいますと、知的な外国人の方が日本で働いて活躍していただくということが非常に重要じゃないかと思います。  例えばアメリカにおきましては、これは一九九九年のデータですけれども、全アメリカの理工系の大学の博士課程の五一%、半分以上がアメリカ人じゃない。そして、ドクターを取った時点で、卒業してアメリカに残る人は大体七〇%というデータがございます。また、シンガポールを見てみますと、今、マサチューセッツ工科大学、ペンシルベニア大学といった大学、海外の大学を八つ誘致して、計画途中は四つあると。そういう形で海外の有力な大学を自分の国に誘致し、そして留学生を集め、実績的には七割の留学生がそのままシンガポールで働くというようなことがあっている。また、お隣の国韓国でも、スタディー・コーリア・プログラムという、留学生を韓国に呼び、そしてまた韓国で働いてもらうというプログラムが動いているわけでございますが、日本、我が国が今どのような対応を考えているかということを、そしてどうしようとしているかということを是非教えていただきたいと思います。
  49. 徳永保

    政府参考人徳永保君) お答え申し上げます。  今、先生指摘のように、今、文部科学省、これまで様々留学生施策を取ってまいりまして、現在留学生が約十二万人いるわけでございますが、こういう留学生施策、従来、基本的には、国際交流でございますとか、諸外国の人材養成へ我が国が貢献をすると、こういう観点からの取組でございました。  今後の留学生施策におきましては、先生指摘のように、優秀な留学生を受け入れまして大学の教育研究を活性化をする、そして卒業後に産業界でも活躍していただくことによって我が国の産業競争力を高めていくと、こういう観点も大変大切だと思っております。  このため、一方では、留学生のうち卒業後我が国で就職する者、在留資格の変更でいいましても四千人弱となっておりますし、アンケート調査によりましてもおよそ半数の者が国内企業に就職したいという希望もあります。東京大学では既にこういう留学生のためにキャリアサポートセンターを開設をするという動きもございます。  一方では、海外から優秀な留学生を呼んでくるためには、何といっても我が国の大学の魅力を高めることでございまして、そういう意味では、私ども、大学院の教育の実質化、あるいは様々な競争的資金というものをたくさん今増やしておりますが、そういうことによる研究環境の整備ということを通じまして、あるいはまた二十一世紀COEプログラムで拠点的に様々教育研究拠点形成をしておりますが、こういったことによって私どもの大学を魅力あるものにして、優秀な学生を呼び、また先ほど言った東京大学での留学生キャリアサポートと、こういった形で私どもの国での就職といったことについても支援をしていく、こういう意味で、留学生施策についてこういった面での充実を図っていきたいと思っております。
  50. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非、お答えいただきましたように、文部科学省として頑張ってやっていただきたいと思います。  ただ、ちょっと注釈を入れますと、先ほど四千人の方が大学を卒業して、留学生のうち四千人の方が大学を卒業して我が国で就職するということをおっしゃっていただいたんですけれども、そのパーセンテージを計算しますと一割なんですよ、たった。アメリカは、アメリカに来て博士号を取った人間が七割そのままアメリカに残って働いています。シンガポールも七割。  我が国は留学生の受入れとしてはすごく先進国でございますが、来ていただいた方々がまた母国に帰る、九割は帰っているわけですから、その率をやっぱり上げる努力を、それは経済産業省もそうですけれども、文部科学省もやっぱりやっていただきたいと思います。それが我が国のためではないでしょうか。是非お願いします。  次に、また新産業創造戦略を褒めてしまうようなことを言っちゃいけないんですけれど、本当に私は、やはり新産業創造戦略とこのパルミサーノ・レポートを比較した場合に何が違うかということを申し上げますと、先ほども大臣からお話ありましたが、やはり提案というものと、実際に政策として作られ、そして骨太方針二〇〇四に載せられたという差は本当に大きいと思います。  ただ、一点思っていますのは、せっかく骨太方針二〇〇四に載せていただいたんですが、各省との連携が少し薄いんじゃないかと。具体的に話をお聞きしてみますと、ロボット技術については各省庁の連絡会議を設置されて経済産業省が主導されて動いておられるということでございますが、ほかの分野におきましても、他省庁を巻き込んで是非進めていっていただきたいと思いますが、大臣のお考えをお聞かせください。
  51. 保坂三蔵

    ○副大臣保坂三蔵君) この部分は私の方から答弁させていただきます。  全く御説のとおりでございまして、せっかく立てた戦略が現実的に推進されていかなくちゃならない、これが基本的な方向でございますが、おかげさまで昨年六月の骨太の方針二〇〇四に具体的に推進方取り入れていただきまして、政府一体となって今これに取り組んでいただいております。  お話しのとおり、各省庁との連携を取りまして、例えば今お話がありました重点七項目の中で、ロボットの問題につきましても、ニーズやシーズを具体的に情報交換いたしまして実用化に向けて頑張っている。それからまた、現実的には、市場形成につきましても具体的な話合いを各省庁やっております。  それからまた、燃料電池なんかは、これはもう非常に重要な問題でございますので、これも実用化に向けまして関係省庁の連絡会議が既に設置されまして、この燃料電池の規制を行っておりました法律、六法律二十八項目に至りますが、これも完全に点検が終わりまして、今年度中にその見通しが立ちます。そういうことによって一層燃料電池の実用化に向けて推進できる。これは文字どおり政府一体となった行動でございまして、これからも頑張ってまいりたいと思っております。  また最後に、人材の面におきましても、文科省やあるいは厚生労働省と話し合いまして、ジョブカフェの対策であるとか、あるいはまたキャリア教育の推進だとか、これはもう省庁横断的に話合いを行っておりますので、おかげさまでこのNリポートの効果が着々と推進されてきた、このように考えております。
  52. 藤末健三

    ○藤末健三君 また引き続きちょっと新産業創造戦略についてお話ししたいんですが、また、あのレポートを読まさしていただいて感じましたのが、非常に、製造業と申しますか、物づくりに非常にフォーカスされているなという印象が非常に強うございます。  例えば、製造業につきましては、産業の集積、あと技術開発の促進とか、あと、すり合わせによる産業の活性化ということが出ていますけれど、一方で、健康・福祉といったサービス産業、あとはビジネス支援、いろんなビジネスを支援しようという、サービス産業の支援というものについて大きな考え方の枠組みがないんじゃないかなという感じがしておりますが、それにつきまして、今後そのサービス、雇用面で非常に大きなウエートを占めますサービスの分野につきまして、どのようなことをやっていくかということにつきまして、商務局長にお話をお聞きしたいと思います。
  53. 豊田正和

    政府参考人豊田正和君) お答え申し上げます。  議員御指摘のとおり、サービス産業は今後の我が国経済を活性化し、かつ雇用機会を増大させる重要な産業だというふうに認識をしておりまして、新産業創造戦略においても、例えば、健康・福祉・機器・サービス、そしてビジネス支援サービスなどを戦略七分野の中に位置付けているところでございます。  健康・福祉・機器・サービスの分野につきましては、国民の健康への意識の高まりですとか、高齢者の生活の質の追求といったニーズにこたえるために、健康増進、予防という観点から、個人の健康づくりを支えるものとして質の高い健康サービス産業を創出しようという認識でおります。  平成十六年度からでございますけれども、健康サービス産業創出支援事業というものを開始をいたしました。個々人の健康状態に応じました言わばテーラーメードの健康プログラムを作成し、実行していただき、そして評価をすると、そういう全体的なシステマティックな活動を、医療機関、保険者、スポーツ施設、ドラッグストアといった関連の機関がコンソーシアムを形成するような形で一体として推進するような事業を支援をしていこうという、そういう趣旨でございます。  ちなみに、昨年度の場合、百五十二件の応募がございまして、その中から十六件を厳選をしたということでございます。さらに、医療機関の経営の健全化を推進するという趣旨で、医療サービスの標準カリキュラムの策定といった、そういう教育的な視点も取り込んでいるところでございます。先ほど省庁の連携とおっしゃられましたけれども、これらの推進に当たっては厚生労働省とは緊密な連携を取っているところでございます。  また、ビジネス支援サービスにつきましては、人材の派遣ですとか育成ですとか、あるいは最近増えてきておりますアウトソーシングですね、コンサルティング、そういったユーザー産業、製造業も含めましたユーザー産業の競争力の向上につながるような機能を提供する重要な産業だというふうに考えております。本分野は新しい分野でもございますので、まず、ビジネス支援サービスのベストプラクティスを勉強いたしまして、それを皆様に提供をし、そして、その活性化に向けた政策的な課題を検討するという勉強会を現在開催をしております。あわせて、経営専門人材の育成施策も展開をしていきたいというふうに考えております。
  54. 藤末健三

    ○藤末健三君 どうもありがとうございます。新産業創造戦略是非ともこれからもリバイスしていただきまして、確固たる成果を上げていただきたいと思います。やはり言いっ放しではまずいと思いますので、必ずプラン・ドゥー・アンド・シー・アクションという形でやっていただければと思っております。  次に、通商政策に、主にFTAでございますけれど、移らさしていただきたいと思います。  エネルギー政策、そして産業政策につきましては、本当に戦略を作っていただいていると私は思っているんですが、実は、FTAについては非常に戦略が僕は不足しているんではないかと実は思っております。  例えば、東アジア共同体という戦略構想を作っていただいているわけでございますけれど、今のその交渉ASEAN、そしてタイフィリピンマレーシアというところは、私は本当に非常にうなずけるところでございますが、その後にチリ、今うわさ出ていますスイスという話もございまして、そのような、近くから攻めていく、そしてスピーディーにやっていくというのは非常に重要だと思うんですが、最終的なゴールはどこにあるか。  冒頭で申し上げましたけれど、やはり戦略というのはゴールありきで、その道をどう効率良く進めるかということでございますので、最終的なゴールを想定した上での戦略という意味では、もう少し考えていただいた方がいいんではないかと思うんですけれど、大臣の所見を伺えればと思います。
  55. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) FTAEPA戦略というよりも、我が国の通商あるいは対外経済関係戦略という観点から申し上げさしていただきますと、日本は言うまでもなく輸出する基本的な資源がない、ほとんど海外に頼っていると。しかし、先ほどの藤末委員の御指摘のような、人による技術あるいはまた製品等々によって世界じゅうにいいものを輸出をして、そしてそれによって我々の必要な資源とか食料等々を買うと。こういう、単純に言えばそういう形で日本の国が成り立ち、そして、そういう国は世界じゅうに一杯あるわけですから、その中で常に先頭を走っていなければいけない。これは名誉としての先頭というよりも、先頭を走っていなければいけないという、私は、ある意味では使命感、使命感でもないかな、いけないという、ねばならないという、ドイツ語で言うとザインではなくてゾルレンが必要だろうというふうに思っているわけでございます。  そういう中ですから、WTOも大事、それから二国間のEPAも大事、車の両輪であり、そしてまた国内のいろいろな経済的な、あるいはまた制度的な改革、発展も大事というようないろんな切り口があるわけでありまして、そういう戦略、まず戦略の土台となる基本認識があって、じゃEPA戦略についてはどうかというと、率直に申し上げますと、簡単に申し上げますと、今DDAやっておりますけれども、ウルグアイ・ラウンドのときに、一時期、ヨーロッパを始め各国が、ウルグアイ・ラウンドのときに交渉がデッドラインで止まったときに一斉にばあっとこうFTAに走っていった。多分、藤末委員はそのとき通産省におられたと思うから、その状況は御存じだと思います。日本は若干、そのときにWTOしか頭になくて、その二国間の経済連携の方が大変立ち後れてしまったという現実が過去にあったわけであります。  ウルグアイ・ラウンドが九四年に終わって、次のラウンド、DDA、ドーハ・ディベロプメント・アジェンダというものが二〇〇一年にスタートするわけでありますが、そのときに、どうも世界じゅうはその時点で百四十幾つ、百五十ぐらいの何か二国間の経済連携みたいなのがあるぞということが初めて実感として感じて、せっかくウルグアイ・ラウンドでWTOができて、さあ自由だと思ったら、何か二国間でもっとレベルの高いものがどんどんどんどんできちゃっていると。これは大変だというんで、そのときに私は党の方におりましたけれども、当時のFTAをやらなきゃいけないと。最初に始めたのがシンガポールであり、これは比較的簡単だったわけです、相手は工業しかない貿易立国でありますから。そことやって、そこも最初ですからいろんな議論が、我々も未体験な部分でしたので、いろいろ議論をして試行錯誤がありました。スタートした。メキシコをやった。  それで、去年、いよいよ戦略をそれでは考えようじゃないかということになって、政府の、外務、農水を始め、もちろん総理の下で政府全体としてやったのが、一つはやっぱり近隣の、ある意味では引っ越しのできない運命共同体ともいうべき東アジアあるいは東南アジアといった国々経済連携をより強化をしていって、表現が適切かどうか分かりませんけれども、みんなで肩寄せ合ってというかスクラム組んで、この地域みんなで頑張っていこうよというのが一つの大きな柱であります。  と同時に、チリとかメキシコ、まあ終わっておりますけれども、今スイスなんというお話がありましたが、そんな話も時々、最近出始めております、政府としてはまだ決定しておりませんけれども。何か、と同時にぴょんと、世界のヨーロッパとか中南米の方にくさびを打つ。これは、メキシコなりチリなりスイスにこれまた意味があるんです。時間があれば幾らでも私、一時間でも二時間でもお話ししますけれども、メキシコをやった意味、あるいはまたチリをこれからスタートをしようという意味、あるいはインドと共同研究を始めようとする意味、また御指摘のあったスイスとすればスイスなりに意味があります。午前中ちょっと申し上げましたが、EUへのある意味ではゲートウエーになる可能性がある。  メキシコは三十三か国とFTAを結んで、南北東西の真ん中、太平洋と大西洋をまたぐ、結ぶ中心、彼らに言わせれば十字路戦略というようなことを自ら言っておりますけれども、そういう国とFTAを、EPAを結ぶということは、そこから先にリンクしていく、まあインターネットみたいな話でございまして、そういうような形でやっていくというような戦略を去年辺りから総理の下で我々けんけんがくがく議論をした上でやっているわけでありまして、結論的に申し上げますと、我々のホームグラウンドの中での連携を強化していきましょう、そしてまた、それと同時に、ぴょんと遠いところに一つ、碁で言うと石を打っておくという形で、貿易立国、経済通商立国としての日本の今後は、こういうEPA戦略によってこれからますます我々の力が発揮できるようにしていかなければいけないというのが私どもの考え方でございます。
  56. 藤末健三

    ○藤末健三君 本当に失礼なことを言うことをまず許していただきたいということから申し上げたいんですけれども、大臣がおっしゃっているスイスの重要性は分かります。インド……
  57. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) いや、スイス言っていませんよ。あなたじゃない。
  58. 藤末健三

    ○藤末健三君 いやいや、ごめんなさい。インドも分かりますよ。EUとの関係。  ただ、大事なことは何かというと、それはやっぱり戦術だと思うんですよ。幾ら戦術重ねても戦略にならないという形だと私は思います、正直申し上げて。ですから、具体的な、やっぱり最終的なゴールである、東アジアであれば中国をどうするかという議論、それを考えた上でFTA交渉、WTOの交渉などを進めていく必要があると思います。  午前中にも話がございましたけれども、分析をしますと、中国とのEPAFTAが一番経済効果が大きい、やはり産業的に補完関係にございますので大きいという結果も出ていますし、また私はいろいろFTAの勉強などをしていますと、産業界からのニーズも非常に大きいものがございます。その中国への対応、中国がWTOに入ったばかりだから、その様子を見ながらやりますよということも分かるんですけれども、中国をどう扱うかということについて是非教えていただきたいと思います。  特に、今議論されています日韓のFTAにおいては、最終的に韓国もやはり中国をにらんでやっておりますし、我々も多分中国をにらんでやると。日韓のFTAの中で中国をどう考えるかということは非常に重要になってしまうと思いますが、その点につきまして、是非保坂大臣、いろいろと教えていただきたいと思います。大臣でもどちらでも結構です。はい、お願いします。
  59. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 先ほどの私の話を藤末委員は何か、東アジアが戦略でそのほかの地域は戦術だという仕分のされ方をしましたが、私はそうではなくて、日本の通商戦略、もっと言えば国家としてこれから国民が少しでも、より豊かになって平和に生きて暮らしていけるためには、高齢化社会になろうが少子社会になろうが人口が減少していこうが、やっぱりコアとしての人が価値を生み出して、そして国の内外にいい技術、いい製品、いい商品を売って、そしてそれによって消費者も喜ぶ、また作った人たちもハッピーになるというための一つのこれは、これは私にとっての戦略だと理解をしております。そのための戦術が通商戦術であり、通商戦術も一つそこに絞れば通商の戦略というものがおのずから生まれてくるわけでありまして、そういう意味でいうと、私は世界じゅうの国と、これはもう最後はWTOとFTAがごちゃごちゃになっちゃいますけれども、レベルの高い通商関係を広げていければいいなと、これがゴールだと思っております。  むしろ、我々のお隣さん、中国韓国ASEANといった国々は、これはもうゴールではなくて、ある意味では当然のスタートラインであるというふうにすら私は認識をしているわけであります。それが前段のお話であります。  後段の御質問につきましては、中国は当然、近い国であり、また大きな国であり、そして皆さん優秀な国民が今一生懸命少しでも生活が良くなろうということで頑張っている国でありますから、エネルギッシュでそして発展をしている国でありますし、何よりも隣同士で引っ越しすることができません。はっきり言って共産主義の国家ではありますけれども、経済的に今どんどんどんどん発展をしている国でありますから、とにかく制度等々がまだまだ日本あるいはWTOルールとは違う部分もあります。ですから、そこを何も日本の言うとおりにしろとは言いませんけれども、WTOルール、加盟国としてのWTOルール是非とも一日も早く遵守をしていただきたい。  例えば、投資ルールであるとかあるいはまた知的財産ルールであるとかそういったもの、さらには、もっとその前段として法制度、法治体制といったもの、契約の概念といったものをきちっとやっていただく、そうすれば私は、さっき申し上げたように、中国という国はもっともっとさらに、貿易だけではなくて投資も人的交流も、行く行くは技術交流も含めて、いろんな面で関係を深めていくことが、何も日本だけではなくて中国にとっても、そして日中がお互い協力をしていけば世界に対しても大きく貢献ができるというふうに思っております。  したがいまして、東アジア三か国について申し上げますならば、日韓は今FTA交渉をやっている最中でございますし、よく日中韓の貿易大臣会合というのを年に一回、二回やるんでありますけれども、三か国で早くよりレベルの高い経済連携ができるようにしましょうねということで突っ込んだ議論をやっておりますので、そういうことを大きな一つの目標として我々今取り組んでいるということを是非とも御理解いただきたいと思います。
  60. 藤末健三

    ○藤末健三君 大臣、どうもありがとうございます。  私、ちょっと付け足して申し上げますと、戦略と戦術の違いというのがございます。  戦術とは何かと申しますと、局所的に、ある戦闘において最適な解、勝つことが戦術でございまして、戦略は全体として勝つこと。これもう釈迦に説法でございますけれども。私が申し上げたいのは、やはり全体的なゴール、どういう地域経済をつくるかということを考えた上で個々のFTAを検討していっていただきたいということなんですよ。  例えば、フィリピンとかタイの間で人の移動の話が出てきますよね。恐らく、フィリピンタイの間だけで最適なFTAを結んでしまうと、恐らくそれがひな形となってほかの国、中国とかとやるときにあしき前例になる可能性も僕はあると思います。  また、日本韓国中国という連携を考えた場合に、やはり中国を入れたときに日韓の連携がどうあるべきかということを考えた上で日本韓国の連携をしなければ、部分最適が全体最適かというと、やっぱり違うと思うんですよ。合成の誤謬とかいう話はございますけれども、やはり全体を想定した上で部分的にどうすべきかということを考えていっていただきたいという、もう多分考えていただいていると思うんですけれども、釈迦に説法ではございますが、是非やっていただきたいと思います。  その戦略につきまして申し上げますと、私がこの一月、二月、韓国中国FTAのお話をしに行ってまいりました。  そこで強く感じましたのが、例えば韓国ですと、インファユニバーシティーという大学にFTAのリサーチインスティチュート、研究所をつくっているんですよ。そこの所長は弱冠四十一歳、アメリカから呼び戻したらしいんですよ。そういうところでFTA戦略を作り、見せてはもらえませんでしたけれども、各国ごとのFTAの対応をどうするかという、このぐらいの厚さのレポートを作っているんです。果たして我が国にあるかというと、僕はないと思います、これは。  また、中国についても同様でございまして、清華大学という大学にFTAを研究する組織がございます。そこで私も実際にその教授とお話しさせていただいたんですが、彼らもやはり、どの国とどのような順番でFTAを結ぶか、それは経済効果だけじゃなく、例えばエネルギーの安全確保をどうするか、食料の確保をどうするかという観点からやっているというふうにお聞きしたんですが、そのように、やはり日本においてもFTA戦略というものを大学とかやっぱり研究者といった学術的なところで分析した上でやっていくことが必要じゃないかと思うんですが、この点に、対応につきましては、是非、どのようになさるつもりかというようなことを教えてください。
  61. 保坂三蔵

    ○副大臣保坂三蔵君) 全く御説のとおりでございまして、今、中川大臣がるるお話し申し上げましたとおり、経済産業省戦略は即、国の戦略ではございますが、幸いにいたしまして、経済連携の促進関係省庁連絡会、これが官邸の方に設けられまして、昨年の二十一日に会合もやっております。基本的な方向というのは政府一体となってやっているわけでございますが、内外の知見を集めて現実的に戦略を組んでいくということは極めて重要だと思います。  私なども感じておりますのは、経産省は、もう十五年前にAPECを設置いたしまして、東アジア、東南アジアのみならずアメリカなども巻き込んで、こういう経済連携の根っこになるような活動をずっとしてまいりました。また、発展途上国指導もしてきたわけでございますが、こういうものが点と線となって今、面になりつつあるような非常に重要な時期を迎えていると思っております。  また、特に産学の連携を深める、あるいはまた産学官の間での情報交換なども緻密にやっております。  そして、我が省には、ジェトロと一緒になりましたけれどもアジ研なども、アジア研究所などもありますし、また、本省の別館の十一階には経済研究所という、経済産業研究所という独法がありまして、非常に霞が関のシンクタンクとして頑張っておりまして、こういうところの知見もすべて集めて誤りなく戦略を理論的かつ実証的にまとめていると、このように思っております。  また、内外の情報も、先ほどのお話があった各リポートなども研究しているところでございまして、その辺りはNリポートは十二分にそんたくしているリポートになったと考えております。
  62. 藤末健三

    ○藤末健三君 戦略の話が出ましたし、あと経済産業研究所のお話が出たんで、経済産業研究所の話に移らさせていただきたいと思います。  経済産業研究所は元々、通産省の一組織として、研究所としてございまして、今は独立行政法人化しています。私が経済産業研究所のいろんな研究を拝見させていただき、また、今は民主党の方でFTA戦略を作っておりますけれども、研究員の方にお話をお聞きしていて思いますのは、個々の研究は非常にいいものがあるんではないかと思いますけれども、その統合化されてない、一つの、例えば先ほど副大臣の方からいろんな戦略を作るための研究がなされているということを教えていただきましたけれども、やはり個々の学者が自分の興味だけで研究をしていてもなかなかまとまりがないと思うんですよ。  やはり経済産業研究所という、経済産業という名前が付いていますので、きちんと経済産業省のミッションに照らして方向付けがある、そしてまた統合化された戦略の研究をしていただきたいと思うんですが、その点いかがでございましょうか。
  63. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 通産省、経済産業省にいらした藤末委員から、内側にいた人間が今、国会のお立場として、FTA戦略ですか、民主党さんとして今作業をする中で、経済産業研究所の所員たちといろいろ話をしたり打合せをしたりしている中でそういうふうにお感じになったとするならば、それは、経済産業研究所としての本来あるべき姿としてはばらばらだという御指摘があるとするならば、それはそうであってはならないというふうに私も思います。
  64. 藤末健三

    ○藤末健三君 どうも本当に、是非大臣、お願いします。  やはり今大臣が作られている戦略、これは本当に僕は若い職員に勇気を与えていると思うんですよ。実際に新産業創造戦略作った人間の話を聞くと、やはりいろんな方に、現場に足を運んで話を聞いて情報を集め、そして作っている。それは恐らく、できた報告書だけじゃなくて、足を運んだ職員が学ぶものはすごく大きいはずなんですよ。そういうやっぱりきちんとした取組をやっていただきたいし、また、現場の話だけじゃなく、やはり先ほど申し上げましたように、経済産業研究所のような学術的な枠組みを是非使っていただきたいと思っています。  戦略につきまして、また追加的な質問でございますけれども、今大学が独立行政法人化されまして、大学を活用するということは非常に重要になってくるんではないかと思っております。  これも文部科学省の方にお聞きしたいんですが、政策的な観点から大学が政府の政策を支えるということにつきまして是非やっていただきたいと思うんですが、その点どう考えるかということをちょっと教えていただけませんでしょうか。
  65. 徳永保

    政府参考人徳永保君) お答え申し上げます。  これまでも、国立大学の中には経済政策あるいは金融政策、国際開発政策など、それから、そういう地域政策の基盤となるエリアスタディー、そういったことに関連をする様々な研究所でございますとか大学院等が設けられております。  特に、最近では平成九年に、その政策を主たる研究対象とする国立大学として政策研究大学院大学というものを設置をいたしまして、いろんな各省庁の方から様々な人材も派遣をしていただくということもあって、そういった現実の政策課題の解決を志向した教育研究を推進をしております。  また、近年では、公共政策に関する専門職業人を養成をする、そういう公共政策専門職大学院、国立大学で昨年二大学、また十七年度には二大学、設置を予定をしております。  ただ、教育研究組織というもの、大学の使命は、あくまでもこれはミッションオリエンテッドではなくて学術研究でございます。それぞれの大学がどのような教育研究をするかということは基本的に大学の自律的判断でございますので、私どもといたしますれば、そういう国全体の様々な政策研究あるいは人材養成という中で、そのインフラ的な部分、人材を養成し、その学術的な基礎を培っていくもの、それが国立大学の使命だと思っております。  是非、国立大学の方から是非そういう研究所等を設置をしたいというような御要望があれば、こういったことについては各大学の意向を踏まえて積極的に対応していきたいと思っております。
  66. 藤末健三

    ○藤末健三君 本当に、是非、大学が政府に活用されるように基盤整備をしていただきたいと思います。  私が強く感じますのは、例えばイギリスのオックスフォード大学、二年前か三年前にアメリカ研究所というのをつくったんですよ。それは何かと申しますと、アメリカのマサチューセッツ工科大学と一緒に外交を研究しようという組織です。そこで研究した成果がそのまま政策になっているという状況でございまして、彼らはもう学者のレベルから一緒に政策をつくっちゃうんですよね、政府レベルじゃなくて。そのようにやっぱり、特に外交の問題、特にFTAもそうだと思うんですけれども、学者レベルで連携をして、それが政策に反映されるようなことまでをやらなければ我が国の利益、政策は練れないと思いますので、是非とも大学が国の政府、政策に役立つようにもっとインフラを整備していただきたいと思っております。  次に、職員の話にちょっと移らさせていただきますと、先ほど戦略をつくることによって職員の能力が向上したということを申し上げたんですが、ただ、オン・ザ・ジョブ・トレーニング、現場だけで学ぶということだけでは私は不足しているんではないかと思っております。  私自身、実は通産省で働きながらドクターを取りまして、正直言ってすごい苦労しました。ただ、思いましたのは、ドクター取って良かったなと思いますのは、例えば国際交渉の場に行きますと、ヨーロッパのほとんどの交渉相手がPhD、博士号を持っているんですよ。アメリカも非常に多うございました。片や私は学卒の人間という状況で、国際交渉などにおきまして、自分の学歴がないという、変な言い方でございますが、専門性のなさというものを痛感していたんですが。  私が本当に通商産業省の上の方々にお願いしたいのは、やはりこれから国家公務員は、国際的な会議の場で日本のわがままを通すことが僕は役割だと思います。今までどちらかというと内向きに、国内産業をどうすればいいかとかいう話をしていました。財務省も同じだと思います。じゃなくて、やはり日本のために最も有利なルールを国際交渉の場でつくるためにどうあるべきかと。そのためには、私はやはり専門的な知識をつくっていくことが重要じゃないかと思います。  そのような専門知識を、専門的な人間をつくる上で、経済産業研究所やあと大学などに人を送り込み人材育成していただきたいと思うんですが、その点につきましてお答えいただけますでしょうか、お願いします。
  67. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 先ほどの経済産業研究所、本当に優秀な多士済々の人物たちの宝庫でありますから、それを使わない手はないと思いますし、また、大学、大学院の専門の方々の知恵を使わない手はない。交渉というのは最終的にはオール・ジャパンでやるもので、相手もオールで来るわけでありますから。  また、例えば通商交渉の場合には、今までですと、外務省、農水省、そしてまた経済産業省、この後、人とかいろいろ出てまいりますとまたもっと増えるんだろうと思いますが、極端に言えば、政治家同士だと、ある意味では政治同士のレベルの交渉のまあ仕方というか、別にルール決まっておりません、もうノーガードの打ち合いみたいなことになるわけでありますけれども、最終段階では。ただ、いわゆる専門的なレベルのきちっとした論理的な詰めみたいなものも当然、最後は約束として、契約書として書くわけでありますから、そういうときにそういう専門的な技術と国益とを両方とも活用する、認識しながら交渉していくという意味では、少なくとも私は、あのメキシコとのFTA交渉の中で経済産業省を、あるいはまた他省庁、外務省、農水省を見ておりますと決して遜色はなかったと、事務方の方の遜色はなかったというふうに思っておりますけれども。  ただ、藤末委員が御指摘のように、まあ相手がPhDだからとか、こっちは大学卒だからとか、そういうことがどの程度マイナスになるのかは私にはとても計り知れない世界でございまして、要は勝ちゃいいんだろうと、こう思うわけでありますけれども、行政と学問と両方を究められた藤末委員の御指摘でございますから、大いに参考にさせていただきたいというふうに思います。
  68. 藤末健三

    ○藤末健三君 どうも大臣、ありがとうございます。  本当に最後に、冒頭で申し上げましたけれども、お願いを最後に申し上げたいと思います。  やはり、今回のインサイダー取引の話もそうでございますが、私が今現役の後輩の方々とお話ししていて感じますのは、何が足りないかと申しますと、やはり少しモラールが落ちているんじゃないかなというのは正直に感じております。大先輩も多分そうだと思います。  なぜモラールが落ちるかというと、やはり働きがいがあるかどうか。やはり戦略といった骨太の仕事を与えていただきたいし、またもう一つは、世間の皆様から、通産省の官僚頑張ってもらっているねというやっぱり評価だと思うんですよ。そういうものをやっぱりきちんとつくっていただくことがモラールの向上にもつながりますし、あとまた一つ、通商産業省のブランドイメージのアップにもつながりますし、最終的には日本の競争力の強化につながると思いますので、是非とも若い方々が、職員の方々が頑張って働けるような環境づくりをお願いしたいと思います。  余り規制規制という感じで縛るとますます元気がなくなると思いますので、最後に、大臣に若手を叱咤激励していただくようにお願いしまして、質問を終わらさせていただきます。  どうも、よろしくお願いいたします。
  69. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 冒頭申し上げましたように、藤末委員は本当に通産省で社会の中に入られて、またお伺いしていると、いいお父さんに励まされて、そして行政と学問で第一線で海外をまたに掛けて頑張ってこられた。そういう意味から見ると、昨日の事件というものは誠に切歯扼腕たる思いがあるんだろうと思います。ですから、やる気を持って、生きがいを持って、使命感を持って仕事をするように環境づくりを私あるいはまた経産省の幹部がしっかりやれということは、全く御指摘のとおりだろうと思います。  ただ、そもそも、冒頭申し上げたように、これ、縛りたくて今回縛ったルールではなくて、元々本件は、担当課が所管する企業の株は買ってはいけないというもう既に経産省には内規があるわけでございまして、これはインサイダーである以前にまず内規違反をしたわけであります。したがいまして、もう告発される以前に経産省の中のルールを守んなかったと。  やっぱり、大いに能力を発揮して頑張ってもらいたいという気持ちありますけれども、他方、まず、決められているルールはまず守ろうよというところが大前提にあって、その上で、スポーツに例えれば、何かボクシングの名選手だそうでございますけれども、ボクシングでも殴って、殴っちゃいけないな、パンチを打っていいところとそうじゃないところとはおのずからあるように、やっぱり互いの基本的なルールというものがあって、ルールの中で目一杯その能力を発揮していくと、いける、またいってもらいたいという気持ちは全く委員と同じでございますので、そういう観点から、若い有能な、そしてまた優秀な我々の職員、私としては、誇りに思っております職員たちがこの事件をある意味では奇貨としてこれからまた頑張っていけるように、私自身も気を引き締めてやっていきたいと思いますので、またひとつOBとして御指導よろしくお願いをいたします。
  70. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 公明党の浜田昌良でございます。  今、株式インサイダー取引の件につきましては、中川大臣の方から答弁もございまして、私もOBの一人として残念に思っている一人でございます。ルールを守ってこれから職員の士気を高めて更に頑張っていただきたいと思っております。  本日は、大臣の幅広い所信表明を受けまして、原子力防災対策、東シナ海ガス田開発、人材投資減税、そして商店街振興策の四点につきまして、大臣及び関係府省の方に質問さしていただきたいと思っております。  昨年は本当に災害の年でございまして、我々国会議員の役目はその災害の影響をいかに減らすか、減災というのが一つの大きな役目だと思っております。特に、先般、首都圏直下型地震の被害想定も発表になりました。東海・東南海地震というのはいつあってもおかしくないという状況でございます。  それで、最初に原子力発電の防災対策についてでございますが、残念なことに、原子力発電所の耐震設計基準について、その見直しが若干手間取っているという状況であると聞きました。つまり、現在の発電用原子炉に関する耐震設計審査基準というのは昭和五十三年に制定されておりますが、五十六年に改定されて以来、二十数年たっております。この間、耐震工学とか地震学が進展しているわけですが、それで、平成十三年六月から見直しに着手いたしましたが、まだ、三年たっておりますけれども、改定されておりません。  そこで、内閣府にお聞きしたいと思いますけれども、この原子力安全委員会での耐震設計審査基準の改定状況、特に、三年たっているんですが、なぜこんなに長期を要しているのか、そしてまた、この改定がいつになると完了するのかについてお聞きしたいと思います。
  71. 上原哲

    政府参考人上原哲君) お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、平成十三年の七月から、原子力安全委員会におきまして耐震設計基準の見直しを行っている次第でございます。これまで十五回会議を開催いたしてございまして、現在、同分科会におきましては、想定される地震動につきまして、それを上回るような地震動の確率論的な評価をどう進めるかとか、設計に当たりまして基準となる地震動をどういうふうに設定するかという問題について鋭意審議を行っているところでございます。  それで、これらの検討に当たりましては、御案内のとおり、地震でございますので、地面の下から建物まで全体を見なくちゃなりませんので、地震学のみならず、原子炉安全工学とか地質学、土木工学、広範な先生方の御協力を得ながら現在審議を進めているところでございますが、その審議の過程におきまして、公開でかつ綿密に審議を重ねている次第でございまして、現在まで若干時間が掛かっているという次第でございます。  いずれにいたしましても、いつ審議が終わるかにつきましては、委員会審議に予断を与えることとなりますので、それは差し控えさしていただきますが、いずれにいたしましても、耐震信頼性の向上という問題は御指摘のとおり非常に重要な問題でございますので、私ども事務局といたしましても、鋭意努力をいたしましてできるだけ早い時期に成案が得られるよう努力してまいりたいと思ってございます。  簡単でございますが、以上でございます。
  72. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 予断を与えるということですが、原子力発電所を抱える電力会社にとっては、一刻も早い耐震設計審査基準の改定を待っているという状況だと思います。特に、東海地震が想定される中部電力の浜岡原子力発電所は、我が国の発電所の中でも最も厳しい地震動を設定したところだと思っておりますが。  そこで、この浜岡原子力発電所で先般行われました余裕度向上工事の概要についてお伺いしたいと思います。また、浜岡に次ぐ地震動を想定しております敦賀とか大飯等では、このような余裕度向上工事は必要がないんでしょうか。
  73. 松永和夫

    政府参考人松永和夫君) お答え申し上げます。  今、御指摘されました中部電力が表明をいたしました浜岡原子力発電所の耐震裕度向上工事でございますけれども、これは中部電力が耐震安全性の一層の向上を目指して自主的に行うものであるというふうに承知をしております。  具体的には、一号機から五号機までございますけれども、すべての号機を対象といたしました排気筒の改造工事、あるいは、現在停止をしておりますけれども、一、二号機を対象とした屋内配管サポートの追加設置等を行う予定であるというふうに承知をしております。  私ども原子力安全・保安院では、浜岡原子力発電所の耐震設計につきましては、原子力安全委員会が定めました現行の耐震設計審査指針に基づき行われていることなどを確認しておりまして、今回の耐震裕度向上工事にかかわらず、同発電所の耐震安全性は確保されているものというふうに認識をしております。  したがいまして、今御指摘をされました敦賀でございますとか大飯といった浜岡以外の原子力発電所につきまして、耐震設計指針に基づき耐震設計が行われていることを確認しておりますので、保安院といたしまして、これらの原子力発電所に耐震裕度向上対策を求める、そういう考えは持っておりません。  なお、現在、内閣府から御説明ございましたけれども、耐震設計指針の見直しが今進められております。保安院といたしましては、指針が見直された段階で、必要に応じ、既に建設をされております原子力発電所の耐震安全性の確認を行うというような形で適切に対応してまいりたいと、かように考えております。
  74. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 現状で安全であるという御答弁いただきまして安心いたしましたが、国民の地震に対する不安は高まっておりますので、内閣府におかれましては速やかに耐震審査基準の改定を行うことを要請いたしまして、次の質問に移りたいと思います。  東シナ海のガス田開発につきましては、今二つの点で日中間で認識の違いがありまして、問題が複雑になっていると考えております。  一つは、国連海洋法条約上の排他的経済水域、いわゆるEEZの境界線についての認識であります。  我が国は、当該水域は両国二百海里線までが重複する水域であり、境界画定はその中間線に基づくことが適切と、そういう認識でありますが、一方、中国は大陸と島の対比、海岸線の長さを踏まえた衡平原則を持ち出して、中間線よりも沖縄トラフまでの間が係争水域だと主張しております。  第二には、春暁や断橋ガス田の構造についてであります。  中国は、断層によりガス田が分断されており、中国側がガス田開発を行っても、中間線よりも日本側の資源開発には影響を与えないと、こう言っておりますが、一方、我が国は、これらのガス田構造が分断されているとは確定できず、我が国資源に影響を与えるおそれありと、懸念ありと言っているわけでございます。  国境や資源の領有は世界史の中でも往々にして主権国家間の論争になってきたわけでありますが、昨年十一月のチリでのAPEC会議の際、日中首脳会談が持たれました。その際、小泉総理は、胡錦濤国家主席に対して、東シナ海における中国の資源開発について、適切な対応が重要であり、東シナ海を対立の海としないようにすることが大切である旨発言されました。この東シナ海を対立の海としないためには、国際ルールと科学的データに基づき、我が国意見を毅然として主張しつつも、認識の共有点の拡大を図るということが何よりも重要と考えております。挑発的な行動は行う必要もなければ乗る必要もないと私は考えています。  そこで、まず外務省に質問いたします。  排他的経済水域の境界線についての考え方には、今言った中間線論や衡平原則等ありますけれども、これらのうち、国連海洋法条約上、優勢な考え方はどれでしょうか。また、同条約上、二国間で意見が異なった場合の解決メカニズム及び解決に要する期間にはどう考えるかについて御答弁いただきたいと思います。
  75. 石川薫

    政府参考人石川薫君) お答え申し上げます。  国連海洋法条約上、海洋の境界の画定は衡平な解決を達成するために二国間の合意に行う旨規定されております。国際判例、各国の実行及び学説を踏まえますと、衡平な解決を達成するための方法としては、中間線を基に海洋の境界を画定するとの考え方が優勢となっていると、かように考えております。我が国としても、委員指摘のとおり、海洋の境界画定は中間線によるべきとの立場でございます。  この海洋の境界画定は、国連海洋法条約上、二国間の合意が基本とされております。その上で、関係国は合理的な期間内に合意に達することができない場合には、同条約に定める一定の紛争解決手続に付する旨定められております。  他方、ここで言います合理的な期間及び紛争解決手続に要する時間につきましては、条約上、明文の規定はございません。どの程度の期間が必要となるかは一概には判断できず、個々の事例によって異なるものと考えております。境界画定におきましては、このような時間的要素も念頭に置いていく必要があるかと、かように考えております。
  76. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 引き続き、二国間の合意に向けて粘り強い交渉をお願いしたいと考えております。  次に、先般、東シナ海ガス田に関する三次元物理探査データの中間報告がございました。これによりますと、ガス田構造は分断されているとは言えず、我が国資源が影響を受ける懸念を裏打ちする科学データが得られたと思っておりますけれども、これに関し大臣にお聞きしたいと思います。  東シナ海ガス田に関する三次元物理探査データを早期に取りまとめ、中国側データと相互に交換すると、こういうことを提案されることはいかがでしょうか。そして、ガス田構造に関する日中間の共通の認識を拡大するということを促進してはいかがかと思いますが、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  77. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) いわゆる東シナ海の排他的経済水域の下にある石油、天然ガス、これは日本側、中国側ということをまず別にして、この問題に関してということで、タイトル名はそういう形でお答えさせていただきますが、今、浜田委員が御指摘のように、共通の認識を持つということはとても大事なことだろうというふうに思っております。  したがいまして、一昨年の十月に、一番最初に中国側が日本の排他的経済水域であるという海域の海底で石油、天然ガスの採掘の作業を始めたという情報が入ったときに、日本側としては中国側に対して、その地域日本の排他的経済水域であるから、なぜそれをやるんだと。中国の排他的経済水域であるとするならば、その根拠、データをお示ししていただきたい。また、日本日本の排他的経済水域であると主張をしている根拠というのは、御指摘のように、陸地から二百海里ということで行くわけでありますから、しかし、中国側から見て二百海里というものを引くと当然そこが重なってしまうわけでありますから、ですから、中間線というものを引きましょうと。  中間線の定義というものは、そもそもこれは、中国自分のものは大陸棚の自然延長論によって沖縄トラフの手前までだと言っておりますけれども、日本の主張は上海の手前までが二百海里なんだというのが基本的なスタンスであります。  しかし、日本相手に配慮をして、重なり合いますから中間にしましょうと言って日本相手に配慮をしておりますけれども、中国側は配慮をしないまま、いや、日本の言っていることはおかしいんだと、中国のもの、EEZは沖縄トラフまでだと言っているところにまず、イコールフッティングじゃないということがまず一つございます。  中間線という議論については、我々は最近、特に意を強くしておりますのは、昔は国際司法裁判所の判決でも大陸棚自然延長論というものが主流であった時代がございましたけれども、ここ二十年ぐらいの間の幾つかの判決、例えばマルタとリビア、あるいはデンマークとノルウェーとか、あるいはイエメンと何とかとか、エトアニアと何とかとか、イランとどこどことかというやつは、原則として中間線をベースにしてEEZを確定をするという判決が今では当たり前と、ここ二十年の判決はすべてそういう判決でございますから、そういうことで、我々は配慮をした上で中間線の内側に入らないようにしてくれということを前提に一昨年の十月以来やっているところでございます。  そこで、浜田委員の御指摘のように、昨年の七月以来、何の音さたもないことを前提にいたしまして、日本としては、日本として当然やるべきことをやろうじゃないかということで、ノルウェーのランフォーム・ヴィクトリーという三次元物理調査船を用船いたしまして、昨年の七月来、いまだに調査をしているところでございます。  これは、台風もございました。あるいはまた、いろいろなほかのこともございました。しかし、いまだにやっておるわけでありますが、先月の二月十八日に中間報告という形で中間線の付近の地質調査を公表させていただきましたが、特に春暁という一番問題になっている地域と、それから、もう少し北の断橋という向こう側が採掘を始めると言われております地域については、日本側の中間線から少し入ったところの地質構造を調査しても、春暁に向かって上がっていっている、断橋に向かって上がっていっている、つながっているのではないかという可能性が非常に高いということが第一点でございます。  それから、御指摘の、断層があるから関係がないんじゃないのかというのは、確かに、去年の十月二十五日の日中の局長レベルの会談のときも先方が言ったところでございますけれども、確かに断層があるところも今回の調査で明らかになっていることは事実でございます。しかし、断層があるからといって構造がそこで断絶しているかというと、それは実際に調べてみないと分からないわけでありまして、断層のずれが構造全体の分離と必ずしも一致しないということも、これは科学的に十分根拠のあることでございますので、浜田委員指摘のように、我々の得られたデータを向こう側に出す用意はいつでもあります。  ただ、一年半前から我々は、そちら側がお持ちになっているデータを是非出していただきたいということを言い続けておりますが、いまだに、はっきり言って、うんともすんともきちっとした対応がないというのが現状でございます。
  78. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 お互いのデータに基づく科学的な認識を共有すると、これが大事だと思いますので、粘り強くお願いしたいと思います。  また、先般、中川大臣は衆議院の経済産業委員会で今後の見通しについて幾つかの選択肢を答弁されております。それは、中間線の日本側において実際に試掘を行うという選択肢などであります。一方、試掘の結果、ガス田構造が連続していることも高い可能性で想定されます。  そこで、経済産業大臣にその先の選択肢についてお伺いしたいと思います。  ガス田構造が中間線を越えて連続しているということが判明した場合、日本の主張である中間線を前提とした日中両国によるガス田共同開発というのも我が国が主張すべき選択肢であると考えますが、この点についていかがでしょうか。
  79. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 最終的に、さっき申し上げたように、中間線のところまでまだ調査の結果が出ておりませんから、断定的なことは申し上げられませんが、二月十八日に発表したデータにおいては、春暁なり断橋なりに向かって構造がつながっていっている蓋然性が極めて高いということは既に申し上げたところでございますし、そもそも、一九八〇年代の中国の、日本でいう国土地理院みたいなところが発表したデータによっても、そこに中間線を乗っけると、中間線をまたいで春暁なりいろんな地域が石油なりガスが存在しているという中国側の資料というものも我々は参考にさせていただいているところでございます。  したがいまして、中間線をまたいだといいましょうか、中間線より日本側の地域に石油なりガスなりが存在する可能性があるというときには、まず一義的に日本判断をすべき問題であると思います。しかも、この地域は、御承知のとおり、もう三十年も四十年も前から民間の企業日本の鉱業法に基づいて採掘権の申請をずっと出していて、日本はいろんな観点からそれに対しての許可を出しも出さずもせず現在に至っているわけでございまして、今後、日本日本の独自の判断としてどういうふうにしていくかという大前提の中で、現在は考えておりませんけれども、例えば許可を与えるのかとか、あるいはまたその後試掘をするのかとか、あるいはまた中国側とイコールフッティングに立つという前提で共同開発をするということも含めて、いろんな可能性があることは否定はしておりませんけれども、現時点においてはまだ調査の段階でございますので、何ら、申し訳ございませんが、我々として次の段階に何をすべきかということを決めているわけではございません。
  80. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 確かに現在は調査の時点でございますが、引き続き、我が国が主張すべきことはあくまで主張し、その上で日中両国の未来の発展を見据えた実りある合意に向けて、粘り強い交渉をお願いしたいと思います。  それでは、次に人材投資減税について質問移りたいと思います。  本件につきましては既に同僚議員からも御質問あったわけでございますけれども、まず最初に保坂大臣にお伺いしたいと思いますが、平成十七年度の税制改正で盛り込まれましたこの人材投資減税の産業政策上の意義、特に中小企業に対してどのような配慮がなされているかについてお聞きしたいと思います。
  81. 保坂三蔵

    ○副大臣保坂三蔵君) お答え申し上げます。  先ほど来から話題になっておりますとおり、人材の育成に関しましては、帰するところ、物づくり大国を目指す日本にとりましては究極的な課題でございます。  今回、おかげさまにおきまして、産業人材の育成につきまして新年度予算案に盛り込んでいただきました。この法人税の税額控除という手法を取りまして、なかなか減税はお認めいただきにくい環境下でございましたが、やはりバブル経済のときに六千億ぐらいになった社内の教育投資が、現在ではもう一千億から減っているわけでございますね。いかに景気が後退したといいながらも、人材育成につきまして寒心に堪えない実態もございましたので、支援策あるいはまたその他のインセンティブをもちまして人材育成にやる気のある企業を育てようと。なかんずく、中小企業に関しましては現実的にいろいろ規制がございます、条件の厳しいところがございますので、具体的な施策を提案しているところでございます。例えば、教材を購入した場合だとかあるいは具体的に研修に行った場合のその受講料だとか、具体的なものまで提案いたしまして、これらを支援することによって中小企業の中におきましても産業人の育成が大事であるということについて火を付けていきたい、このように思っております。
  82. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ただいま副大臣から中小企業に対しても十分な配慮がなされていると御答弁いただいたわけでございますけれども、さらに、一部の中小企業からは人をなかなか長期に外部の研修機関に出しにくいという、そういう話も聞いております。  そこでお聞きしたいんですが、この物づくりの技術を継承していくために、オン・ザ・ジョブ・トレーニングなど、職場の中での教育訓練にこの税制を活用していくと、そういう形とか、また、最近の企業の現場ではいわゆる正規職員だけじゃなくて、パートとか派遣職員の方々なんですが、かなりの責任ある職場の地位におられて正規職員を使っておられると、そういう場合もあるようでございます。こういう非正規職員に対する教育訓練費もこの税制の対象にしたいという話もあります。  こういうようなオン・ザ・ジョブ・トレーニング、また非正規職員に対する教育訓練について、本税制の適用はどうなるのかについてお答えいただきたいと思います。
  83. 北畑隆生

    政府参考人北畑隆生君) お答え申し上げます。  最初の教育訓練の範囲についてのお尋ねでございますけれども、本税制の対象となる教育訓練の範囲でございますが、社外の教育研修機関などを活用して行う教育訓練と、それから企業内部で行われる教育訓練の双方を支援対象とするというふうに考えておりまして、御指摘のようなオン・ザ・ジョブ・トレーニングも含めまして社内で行われる教育訓練に必要な経費、例えば講師、指導員の招聘費用でありますとか教材購入費用などの企業が支出した経費につきまして本税制の対象とするということで考えております。  また、対象となる従業員の範囲はどうかというお尋ねでございますけれども、最近の企業の実態は多様な形での雇用というのが進んでおると思います。こういう実態を踏まえまして、本税制では、正社員のみならずパート社員や派遣社員等の非正規職員も含めまして、企業がこれらの人について教育訓練を行った場合にはその支出した経費につきまして本税制の対象とするというふうに考えております。
  84. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ありがとうございます。  そういう意味で、この人材投資減税が我が国産業競争力強化につながるよう、きめ細かな運用をお願いしたいと思っております。  続きまして、商店街対策について質問移りたいと思いますが、景気回復が踊り場であると言うと、先ほどそういう言葉は政治家としては使ってはいけないという話もございましたが、まだまだ地域経済回復は一歩、いま一歩という状況だと思っております。各地の商店街からは悲鳴が聞こえてくるのが現状だと思っております。しかし、商店街には構造的な問題がございまして、それを解決せずに景気回復を待っても商店街の発展はないと考えているところでございます。  私の地元の横浜では、商店街、大学、NPOが連携して地域商店街活性化検討委員会というものを組織いたしまして、提言を今般取りまとめました。あくまでも重点は地域との密着度でございます。横浜の商店街は店舗数が五十以下という中小商店街が七割を占めておりますので、防犯とか福祉、子育て、リサイクルといった住民との交流拠点を目指した商店街活性化へ向け横浜市も予算の三倍増と、取り組んでいるところでございます。  ある町づくりの専門家が言っておりましたですけれども、商店街を花に例えますと、その根っこというのは住宅であると、茎とか葉っぱというのはいわゆる学校とか企業とか病院であると。花だけの切り花というのは、これは枯れるだけなんだと。花を大きくしようと思うと根っこを張らせ、そして茎と葉っぱを大きくすると。何が言いたいかといいますと、商店街の活性化のためには、商店街の魅力を高めるとともに関連のいろんな住宅政策であったりとかいわゆる福祉政策であったり、そういう施策とうまく連携をしていくということが今求められているんだと思います。  そこで、経済産業省にお聞きしたいと思いますが、来年度の予算案に計上されております戦略的中心市街地活性化支援事業の実施に当たりましては、地元自治体や関係省庁と連携することによって真に町ぐるみの商店街対策としていくことが重要と考えますが、いかがでしょうか。
  85. 迎陽一

    政府参考人(迎陽一君) お答え申し上げます。  中心市街地の活性化については、商業だけの振興ではその活性化を図ることが大変難しいと。町づくり全体の中でいかに先生今おっしゃいました根、茎の部分、要するにどれだけの人が居住をするかあるいはどれだけの施設が周辺に立地をするかと、こういったトータルの町づくりプランと一体となって進めていかないとなかなか効果が上がらないというふうなことであろうかと思っております。  十七年度予算におきましては、民間事業者の能力の活用を図りながら、多くの中心市街地活性化の模範となるような、地域における先駆的な取組を国が支援していくということで戦略的中心市街地商業等活性化支援事業というものを創設することにいたしたわけでございますけれども、本支援事業の実施に当たりましては、地元自治体あるいはその関係省庁の施策と連携をすることによって効果的な支援策を講じてまいりたいというふうに考えております。
  86. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ありがとうございます。  一方、大規模小売店舗立地法を含め、まちづくり三法の在り方自体が現在見直しをされていると聞いております。このまちづくり三法の在り方につきましてはいろんな団体から要望も出ております。商工会議所であったり、商店街連合会の方からは市町村を超えて広域調整をしてほしいという要望であったりとか、また一部の自治体、京都市とか金沢市では、もう条例で一定規模以上の大規模店舗については商業調整をすると、こういうものも出ておりますが。とはいうものの、やはり条例では限界もあるという話がその自治体からも出ているわけでございます。  そこで、本件について同僚議員からも質問があったところでございますけれども、もう一度、再度、経済産業大臣にお聞きしたいと思いますが、こういった自治体のまちづくり条例や商店街関連団体からの広域商業調整の要望を踏まえた今後のまちづくり三法の在り方、審議が進んでいると思いますけれども、この在り方について御答弁をお願いしたいと思います。
  87. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 住宅街が根で、学校とか病院とか幼稚園が葉っぱで、そして花が商店街と、非常にいい例えだと思いますし、まあ町の顔という意味できれいな花が咲いていなければ、どんなに根っこがしっかりしていても元気が出ませんし、そしてまた、外から来た人から見てもその地域のイメージというものにも大きく影響するわけでありますから、何とか全国の商店街、最も身近に人が集まってくる、お子さんからお年寄り、おじいちゃん、おばあちゃんまで、時には親子三代手をつないで来る、また来てもらいたい、行きたいという町づくりにするために、本当に全国いろんなところへ行くと、関係者の皆さん御努力をされ、御苦労をされているわけでありまして、ごく一部を除いては大変皆さん御苦労されているわけであります。  そういう中で、地域によっては条例でそういうようなことを地域でやっていくように自治体がバックアップしているところもあるようでございますけれども、私は基本的に、さっき花にお例えになりましたけれども、花もいろんな花、今の時期ですとスイートピーとかスミレとかチューリップとかですね、あるいは夏になるとまたアサガオとかいろいろ、季節によってまたいろんなもう無限の花があるのと同じように商店街も無限の顔があるわけでございますから、そういう意味で、我々、商店街活性化、頑張りたいと思いますと言っても、やっぱり主役は一つ一つの花、つまり商店街だと思っておりますので、地元の方々が主役であって、そして一番事情が分かっていて、またある意味では一番情熱も、また御苦労のことも実感されているわけでありますから、そういう一つ一つの花、商店街を生き生きとするために我々がお手伝いをする。例えば、土をきれいにするとか、あるいはまた肥料をあげるとか、あるいは水をまくとか、そういう、場合によっては枯れ葉を少し取るとか、そんなようなことをお手伝いをさせていただきたい。  そういう意味でまちづくり三法というものが果たす役割は大きいはずでございますが、なかなかこれが、お役に立てるどころか、なかなか問題点もあるということを地域の方々から伺っておるところでございますので、このまちづくり三法、とりわけ私どものところでは、中心市街地活性化法を含めた三法について見直しを含めた、先ほどのような目的に資するような形での見直しも含めた今検討の作業をしているところでございまして、この場でもしょっちゅう御議論になるところでございますので、その議論も大いに参考にさせていただきながら、いい我々の仕事ができるような法の見直しをさせていただきたいというふうに思っております。
  88. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ありがとうございます。  是非地域地域の特色も生かしながらも、その特色が本当に生かし切れる見直しのスキームを作っていただきたいと思っております。  次に、大規模店舗と商店街対策の難しさの具体例として、大手スーパー、ダイエーの事業再生についてお聞きしたいと思います。  産業再生機構によるダイエーのスポンサー企業も丸紅グループに決まったと発表もありました。こういう中で、現在、事業再生へ移るという状況になっておりますけれども、ダイエーの場合は、ほかの大手スーパーと違いまして割と駅前にありまして、商店街との共存共栄ができていたという状況でもございます。そういう意味では、その撤退によってまた商店街が痛手を被ると、こういう状況もございます。  そこで、産業再生機構を所掌する内閣府の江渡政務官にお聞きしたいと思いますけれども、ダイエーの事業再生計画の実施に当たりましては、民間による自主的、自律的再生は原則とすると、それは当然でございます。しかし、その上で、地元商店街、雇用及び取引企業への影響に十分配慮するということが、公的出資者であると、産業再生機構は、いわゆる何とかファンドではないという観点から重要ではないかと思いますが、この点についていかがでしょうか。
  89. 江渡聡徳

    大臣政務官(江渡聡徳君) お答えさせていただきたいと思います。  今委員の方からダイエーの件についての御質問でしたけれども、個別具体的なことということになりますとお答えできないわけでございますから、あくまでも一般論という形でお答えさせていただきたいと思うわけでございます。  機構が関与いたしましたこの事業再生計画の実施に当たりましては、経済的合理性の追求というものをあくまでも基本とさせていただくわけで、その中でどうしても撤退というものが避けられないという場合にありましても、雇用等への影響に配慮しつつ、できる限り他の事業者に有効に活用してもらうということを念頭に置きまして事業の売却等を行うことにしているわけでございます。つまり言ってみれば、既存のこの店舗というものをできるだけシャッターを下ろさせないようにするために再生機構も一生懸命努力してまいるというところでございます。  まあいずれにいたしましても、ダイエーの事業再生につきましては、今後ともスポンサーの関与の下におきまして、関係者が力を合わせて取り組むこととなるわけでございますけれども、雇用の安定等に配慮しつつ適切に対応してもらいたいと、そのように考えているところでございます。
  90. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ありがとうございます。  また、経済産業省におかれましては、既存の空き店舗対策事業にとどまらず、宇都宮市などでは特区制度をうまく使っていただきまして、閉鎖した大規模小売店舗の後に大型店が進出すると、短期間で進出すると、こういうことも実施していただきました。  そこで、最後に経済産業大臣にお聞きしたいと思いますけれども、ダイエーを始めとする大規模小売店舗の事業再生に当たりましては、地元商店街や地元経済への悪影響を防ぐべく、できる限りの支援をお願いしたいと考えますが、いかがでしょうか。この質問を最後にお聞きして、私の質問を終えたいと思います。
  91. 保坂三蔵

    ○副大臣保坂三蔵君) 旧来からのアーケード対策やあるいはまた駐車場対策というようなハードの面、それから専門人材の派遣などのソフトの面を併せて強力にやってまいりますが、一方、来るときは困ったというような大型店でも、なくなった場合の今度は困ったというのは、焼き畑農業じゃありませんけれども、そっくり近所を倒していって自分も倒れていったなんていうんでは話にもならないわけです。このことを私たちは真剣に考えておりまして、特に今回の場合は、お話しのとおり、宇都宮、岐阜、和歌山などで新しい動きが出ておりまして、特区を活用して、旧来、新たなまた、店舗が撤退した後に、大型店を進出する際には相当の期間で審査の期間が必要でございます。これを一定の期間に短縮して、早く、早期に地元の自治体と協議をしながら呼び込むという手法を取っておりまして、宇都宮におきましては、おかげさまで認定されまして、これが一歩前進しているところでございます。こういう方法を巧みに取ってこの事後対策を懸命にやってまいりたいと思っております。
  92. 田英夫

    ○田英夫君 今日、冒頭に大臣が発言されました、若い事務官インサイダー取引の問題でありますが、内規でも禁じられているということであり、厳正な対応をお願いをしておきたいと思います。  二月十六日に京都議定書が発効いたしました。この種のものは発効したから一安心というものではもちろんありませんし、事の性質上、経済産業省としてはこの問題は誠に難しい問題といいましょうか、悩ましい問題といいましょうか、だと思います。  しかし、考えてみますと、これは我々の住む地球の未来を見通しての問題であって、今ここで我々が正しい対応を怠ると子孫に対して誠に重大なことになってくると。今、目の前のことに対応するということは比較的易しいとしても、未来を見据えてというのは誠に難しいことだと思います。  私は、この問題は、そういう意味では核兵器を廃絶するという問題とつながるような、そういう問題ではないかとさえ思っているんでありますが、これは実を言うと、この地球の温暖化ということは、我々は最近非常に大きな問題と自覚できるようになりましたが、五十年ぐらい前ですか、地球物理学者の間ではもう既にその危険を予知しておりました。  ちょうど五十年前、一九五六年から五七年にかけて、昭和三十一年から二年にかけて、国際地球観測年という、これは国連が声を掛けて、希望する国が十一か国、南極大陸に調査隊を派遣して、観測隊を派遣して一斉に地球全体のことを南極という象徴的なところで調べようということがあって、実は日本は参加したわけでありますが、その第一次南極観測隊に私は報道隊員という形で参加をいたしました。昭和基地ができたとか、タロ、ジロの話とかいうことを私が書いた原稿で実は皆さんに知っていただいたのでありますが、そんな中で、五十人の隊員のうちの約半数が地球物理学者であります。若い人たちで、それぞれ地震とか地質とかオーロラとかいう専門家たちでありますが、この人たちの間では既に地球温暖化ということが予知されていた。  しかし、それがわずか五十年の間に、今まで地球のこの大きな変動で、氷河期とか、それが生物がすめるようになってくるとかいう変動は一万年単位ということであったのが、人類がまあ自動車を走らせるとか、あるいは化石燃料を燃やすとかいうことを特に二十世紀になって激しくやったことが直接の原因だろうというのでありますが、急速に地球が温暖化してきた、変化してきているということを言っておりました。  それが今日では本当に予想以上に進んでいるようです。昨日もテレビでやっておりましたけれども、今、南極では氷河の大崩壊が始まっていると、そのためにペンギンのコロニーが絶滅していると、こういう状態が起こってきているということを現実、目の前にすると、この京都議定書という話はいい加減な対応をしているわけにいかないと。いわんや、アメリカのように、そんなものには加わらないという態度を取っていいのかと、そういうことではないかと思います。  日本の場合は、京都という名前が付いていることも象徴的でありますが、やはりこの問題の世界の先頭に立って対応していかなければいけないと、事実、政府もそう言ってこられたわけですが。ちょうど今月に入ってすぐですが、三月八日に中央環境審議会が、来年、二〇〇六年から五年間の間に十四兆円もの追加費用を考えなければならない事態になっているという発表をしております。  一方で、その直後、三月十二日には、京都議定書の目標達成計画というものを政府で発表をしておられる。この目標達成計画というのは簡単に言うと一体どういうことなのか、担当の方からの御説明をいただければと思います。
  93. 齋藤浩

    政府参考人齋藤浩君) 京都議定書の目標達成に、御指摘のとおり、全力で取り組んでいかなくてはならないという状況でございます。  その際、御指摘ございましたように、これは息の長い話でございますので、経済の活力も維持していかなくては日本として貢献できないという面もあるわけでございます。また、御指摘ございましたように、日本は省エネが非常に進んでいる国であるだけに、更にそれを絞り込むということになりますと、どうしても多大なコストが掛かるということがございます。  したがいまして、私どもといたしまして、今政府全体といたしましてこの問題に取り組んでいかなくてはならないということで、京都議定書目標達成計画というのを策定をいたしているところでございます。  具体的な中身を御説明するために、当省としてのその中身というのをちょっと御説明をさせていただきますと、二〇〇二年の現状を見ますと、部門別で産業では一・七%減少、九〇年比一・七%減少でございますが、運輸部門で二〇%あるいは民生部門では三三%、国全体といたしましては、最近の原子力発電所の稼働の低下等の問題もございまして、全体として二〇〇二年七・六%の増加と、こういう状況でございます。  その中で、京都議定書の目標、九〇年比六%の減少というものを達成するというのは大変なことでございます。  私どもといたしましては、これまでも排出抑制に今データでお示ししましたように取り組んでいただいておりました産業界に一層努力をしていただかなくてはならない、また排出の増加が激しい運輸・民生部門の対策というものもしっかり取り組んでいかなくてはならないということでございますので、当省として関係する省庁と共同いたしまして、産業、運輸、民生にわたる省エネルギー対策というものを強化をするというのをこの京都議定書目標達成計画の中に盛り込んでいきたいと思っております。  そのほか、息の長い話ということになりますと、また目先にも効きますということでいえば、原子力発電所の立地の促進・活用の強化、また代替フロン対策ということで、これは温暖化、オゾン層対策にも関連するわけでございますが、そういうものを強化していく、あるいは研究開発を強化するという、また国際的な支援ということで、京都メカニズムの活用というようなことを総合的に講ずることによりまして実効の上がる温暖化対策を作りたいということで、ただいま取り組んでいるところでございます。
  94. 田英夫

    ○田英夫君 今お話にありました中に出てきた京都メカニズムというのは大変いい知恵といいますか、特に発展途上国はこの対象になっておりませんから、その分を買うという知恵を出したんでしょうが、これは実際に実現をする見通しができるんでしょうか。
  95. 齋藤浩

    政府参考人齋藤浩君) 京都メカニズムでございますが、今御指摘ございましたように、京都議定書におきまして削減義務は先進国しか負わないということでございますけれども、途上国にも積極的に対策に取り組んでいただくというのは、地球規模で温暖化対策を考える場合に大変重要だということでございます。そのために、この仕組みといたしましては、うまく回るようにということで、先進国側から優れた技術、それから必要な資金というものを提供いたします。その結果、途上国における温室効果ガス、省エネ等によりまして温室効果ガスの削減が実現いたしました場合には、その削減量を言わば先進国の貢献分として我が国、例えば我が国の目標達成に使っていいという、そういう制度でございます。  したがいまして、私どもとしましては、日本世界最高水準のエネルギー環境技術を誇っているわけでございますので、これをその周辺あるいは地球全体としての温暖化問題に貢献をしていきたい、また六%の目標達成を確実にしていきたいと、その両面から取り組んでおります。  具体的には、既に環境省、外務省始め関係府省と協力いたしまして着々と準備をいたしております。例えば、京都メカニズムを活用するために承認行為等が必要でございますので、そのためのいわゆるその国内体制整備。それから、何よりも現在、プロジェクトの発掘、どういうプロジェクトが実際に機能するかというプロジェクト発掘、それからそれを確実に日本の、まあ物にするといいますか、日本に持ってくるために必要な支援を今のうちからしていくというような準備を進めているところでございます。  なお、御指摘がございました京都議定書目標達成計画の中でも、温室効果ガスの国内における排出抑制、森林対策と並びまして、京都メカニズムによって世界に貢献しながら削減目標を達成するというのを柱として位置付けして着実に推進していきたいというふうに考えているところでございます。
  96. 田英夫

    ○田英夫君 これは大臣、本当に日本が先頭に立たなけりゃいけないし、また産業界は非常にそのためにかなりの打撃を受けるおそれがあることは事実でありますから、ひとつ最後に大臣の御決意を伺っておきたいと思いますが。
  97. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今局長から答弁いたしましたように、日本の場合、特に産業界は省エネあるいはまたCO2削減の世界のトップを行っているわけでございますので、基準比、直近の数字でマイナス一・七だっけ──一・七という、減っているわけではありますけれども、ただ、CO2排出の四五%がたしか産業部門でございますから、ほかの部分とトータルするとプラス一四%ということでございまして、したがいまして産業界、このまま産業界の部分の目標達成八・六に向かうこと自体も大変でありますが、とにかく産業界も引き続き更に頑張っていかなければならないということで、産業界の皆さんに頑張ってもらうように今努力をしていただいております。  日本のエネルギー効率というのは、中国の十倍以上あるいはまたアメリカの三倍以上という、逆に言うと、中国が一のエネルギーを出すために十倍以上の燃料を投入しなければならないとかアメリカは三倍とかいう、日本は大変な先端国家であるわけでありますから、更に努力せいといっても大変難しいことであると思いますけれども、しかし頑張っていただきたい、頑張っていただけるものと思っております。しかし、余り頑張り過ぎて倒れちゃうということになりますと、これはまた別の面で日本経済に大きな影響を及ぼすことになりますので、何といいましても目標達成のためにこれは経済環境が両立していくということが必要であると。  そういう意味で、新たな技術の開発というものも別の面でのメリットにもなってまいりますので、産業界が、産業界、経済として発展をしていくことと環境の面で更に削減の役割を果たしていくことと両面達成できるように我々としても全力を挙げてバックアップしていきたいというふうに考えております。
  98. 田英夫

    ○田英夫君 今大臣言われました環境税という構想も環境省の方から出ているようでありますが、今日はこれはあえて触れません。なかなか難しい問題をはらんでいると思います。  引き続いて、中国のガス田の問題をと思っておりましたが、先ほど同僚委員から質問があり、大臣も詳しいお話をされましたので、今日は私は共同開発を目指すべきではないかということだけ申し上げて、もう一つ最近近隣の国で心配なのは韓国であります。  中国のことについては今、経熱政冷などという言葉が使われておりますけれども、どうも韓国の方もそういう傾向が出てきたような気がいたしますね。一般の市民、女性の皆さんなどはヨン様とか韓流とかいうことで大変友好的でありますが、政治の方は必ずしもそう安心していられないことが出てきています。盧武鉉大統領は三月一日のいわゆる三・一記念日の演説などで日本の過去のことを改めて取り上げていると。これはやはり被害者の立場としては忘れることができないということを我々はいつも心してなくちゃいけないと思うんですが、同時にこの政冷と言われるようなことのないようなことをいつも考えるべきで、一つは、これもさっき同僚委員からお話がありましたが、FTAの問題、中国も含めて、中国韓国というのは私はやはり、大臣もさっき近隣諸国と仲よくしていかなくちゃいかぬという御発言ありましたけれども、特にこの二つは難しい問題を抱えているだけに、同時に、非常にアメリカなんかとの関係とは違った意味経済も民間もいつも友好的でなければならない国だと思っているんです。  中国などについては、つい三十年前は紅衛兵が活動していたところなんですね。ついこの間まで日本大使やっていた武大偉さんは、自分で、私は紅衛兵だったんですということをはばかりなく言っている人ですけれども、それが今本当に急速に経済発展を遂げて、見た目も変貌しているし中も変貌している、こういうところとこっちも本当に親しくうまく付き合わなければいけないと。  韓国の場合も、既に変貌しておりますけれども、やはり過去の問題ということについては厳しいですね。今ちょうどその折に、また竹島の問題なども出ていますから、是非大臣に友好第一ということをお考えいただきたいということを申し上げて、時間が来ましたので終わります。  ありがとうございました。
  99. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 皆様、長丁場でお疲れとは思いますけれども、本日最後の質問でございますので、何とぞよろしくお願いいたします。(発言する者あり)ありがとうございます。とり年で最初の質問に立ちましたが、やはり委員会ではトリでございます。頑張ります。  午前中、渡辺先生指摘をしておられましたけれども、景気回復地域間格差について伺いたいと思います。  今朝の新聞にもございましたけれども、去年の十月から十二月期のGDP第二速報値が出されまして、三四半期ぶりのプラス成長に上方修正された結果が示されていましたが、まだまだ先行きにつきましては不透明感や慎重な見方をしている方も多いようです。今月に行われました、大臣も御出席になりました拡大経済産業局長会議でも、景気は引き続き回復傾向にあるが一部に弱い動きが見られ、踊り場にあると報告されています。  こうした動きの中で、今月の三日になりますが、私たち委員会のメンバー、愛・地球博の視察を行いました。そして、愛知、三重、岐阜の中部経済産業局管轄の実情の報告を受けました。  簡単に言いますと、この地域、とにかく元気がいい。うらやましいほど元気がいいという印象でございました。有効求人倍率一つを取りましても、一月のデータなんですが、全国平均が〇・九一、この地域は一・四八。さらに、去年の十二月に数字を求めますと一・五三という、とにかく高い高い数字でございまして、企業によっては人手不足という、そうしたうれしい悲鳴という状況も聞き、驚きました。  なぜ驚くかと申しますと、北海道、東北、九州それから四国など、求人倍率が〇・四から〇・六という全国平均すらも下回る厳しい状況だからでございます。確かに、中部地域には古くからの物づくりの伝統、トヨタ自動車、シャープの液晶工場、デンソーや三菱重工など、産業集積がしっかりとできている、更に進んでいる現状だと思います。これに加えまして、先月はセントレア空港が開港し、今月は愛・地球博が始まる。とにかく好条件がまとまってやってきたという感もあります。空港の天、それから地球博の地、物づくりの人の努力、これは天地人が花開いたと言う経済界の方もいらっしゃいます。こういう表現する方もいらっしゃいます。  私の出身地を含みます秋田の、秋田を含む東北などから見ますと、実に、何回も申し上げますが、うらやましいこの中部地域なんですが、今私が例に出した地域を含めまして、地域間の格差、これをどのように現在認識しておられまして、地域間格差へどのように取り組んでいかれるのか、この辺からまず伺っていきたいと思います。お願いします。
  100. 薦田康久

    政府参考人薦田康久君) お答えいたします。  今先生指摘ございましたように、我が国経済というのは、一部に弱い動きも見られるものの大局的に見れば緩やかな回復局面が続いているということでございまして、ようやくこの有効求人倍率も全国平均レベル〇・九一まで来ているということでございます。  しかしながら、この各地域状況を見てみますと、やはりこの産業構造の違い等をやっぱり背景といたしまして、先ほどお話ございましたように、東海では堅調である一方、これで北海道、東北、九州あるいは四国というところは、特に昨年、昨年の一月からこの一月までの一年間の有効求人倍率の上昇幅を見てみましても、東海等に比べますと相対的に小さくなっておりまして、やっぱり依然としてばらつきが見られるという状況ではないかと思っております。  このため、当省といたしましては、この地域の中堅・中小企業世界に通用する新事業を展開いたしまして正に市場と雇用を創出していくことを支援いたします産業クラスター計画というのを推進しているところでございます。  この産業クラスター計画におきましては、現在、全国で十九のプロジェクトが走っておりまして、この中に約五千八百社の世界を目指す中堅・中小企業が入っておりますし、また約二百二十の大学を含みます産学官の広域的な人材ネットワークを形成しているというところでございます。  こういうものの形成に向けて現在様々な支援をしているところでございまして、今後とも、経産省といたしましては、この産業クラスター計画の推進によりまして地域経済ひいては日本経済全体の活性化に取り組んでいきたいと、かように考えているところでございます。
  101. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 ありがとうございました。  中部経済産業局からの視察の折の報告の中にも、クラスター計画についてのいろいろと説明もいただきました。東海ものづくり創生プロジェクト、これはたしか八百五十企業が参加して七百人ほどの皆さんがこれに加わっているという話も伺いました。それから、バイオ、東海バイオものづくりプロジェクト、こちらのクラスターも進んでいるというお話を伺いました。このクラスター計画、昨年も質問をさせていただきましたが、着々といろんな形で実を結んでいる部分があるんだなと大いに期待をしております。  次に、新産業創造戦略のNリポートについて伺います。  去年五月に発表しました、まとまりましたこの戦略について私が去年の秋に質問をさせていただきましたときに、大臣のお答えの中に、問題提起としてとらえていただければというふうにお答えをいただきました。  発表からもうすぐ一年になろうとしておりますし、新年度の予算にも反映されている部分がある。地域再生を含めていろんな形で実効性を上げるための戦略だと思いますけれども、この戦略、二年目に入りましてプラン・ドゥー・シー、今正にこのドゥーの部分に入っていると認識しておりますけれども、現在の進捗状況を含めて今後のより具体的な取組について伺いたいと思います。よろしくお願いします。
  102. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 正に鈴木委員の御指摘のとおりでございまして、我々は省を挙げて全国を回って作ったこのレポート、アドバルーンを上げただけでおしまいということでは全く無責任でございますので、プラン・ドゥー、まあ私はチェックという言葉を使いますが、チェックをして、そしてまたアクションという中でのドゥーの段階に入ってきております。  一番象徴的なのは、今日の委員会の御議論の中でも多分一番多く出たであろう人づくりという観点からの人材投資減税でありますし、また八月に予定をしておりますものづくり名人大賞というもの、現在各地域で予選をやっておりますけれども、八月に決勝戦をやって各部門の大賞を総理大臣が表彰をして、メダルとバッジを差し上げて更に頑張っていただく。また、ほかの方々がその方を目標にしてやっていく。あるいはまた、人の、さっきも産学官の交流とかいろいろございましたし、また小学校、中学校の段階からいろんな物づくりやあるいはまたビジネス等の体験をしていくというようなことも充実をしていきたいと思います。さらには、例のジョブカフェでありますとか、そういうものも更に充実をして、人づくりという一番大事なポイントについても予算、税制面、制度面でやっていきたいというふうに思っております。  さらには、この燃料電池あるいはまた情報家電、ロボット、コンテンツ云々といろいろ各分野で、御審議いただいております予算等々で充実をしていきたいと思っております。  予算としては、一般会計の中で八百七十三億円をこの重点、戦略七分野に重点化をして予算を使わしていただきたいというふうにも思っております。さらには、今国会で、また当委員会で御審議をお願いを申し上げます知的財産権保護の観点からの不正競争防止法なんというのは、その知的戦略、つまり産業戦略のコアの部分をある意味で補強する役割として必要になってまいりますので、この辺の法制度の整備あるいはまた、また海賊品、模造品対策の強化等々を含めて必要だろうと思います。  人と同時に、産業といっても根っこにあるのはあくまでも日本を支えている中小企業でございますから、中小企業の体力の強化といいましょうか、基盤の強化ということについてもこれは資金面、融資面、融資、資金といっても無担保無保証制度の充実でありますとか、あるいはまた有限責任組合制度なんというものも当委員会でまた御議論をいただき、是非ともまた御理解をいただきたいということで、本当に鈴木委員の御指摘のとおり、ドゥーをして、そしてまたしばらくたったらチェックをしていただいて、さらにアクションをまたして、ぐるぐるぐるぐる回りながら、終わりのない、ゴールのない、しかし避けては通れない大事なこの戦略遂行をしていきたいというふうに考えております。
  103. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 大臣の力強いお言葉、ありがとうございました。  さて、冒頭でも東北をちょっと例に挙げさせていただきましたが、取組の中でも特に景気の回復が後れている東北、それもちょっと若干北東北への取組についても御紹介いただければよろしいかと思うんですが、こちらの後れに対する対策等、是非お願いいたします。
  104. 薦田康久

    政府参考人薦田康久君) お答えいたします。  今、北東北というお話が出ましたけれども、東北の中でも、やはり先ほどの有効求人倍率なんかを見ておりますと、東北三県、北部の三県とやっぱり南の三県ではこの辺りに大分格差なんかも出てきております。ただ、実際に産業集積なんかを見ておりますと、青森であるとかあるいは岩手にも随分、有望な産業集積が随分たくさん出てきているということでございまして、当省といたしましては、やっぱりこういうものを有効に利用しながら、これを先ほど申し上げました産業クラスター計画の中に組み込んでいきたいというふうに考えているところでございます。  具体的に申し上げますと、現在、東北地方でやっておりますこの産業クラスター計画というのは、一つ情報・生命・未来型ものづくり産業プロジェクトと申しまして、これは企業二百三十社、それから大学等は二十七入ったものでございます。それからもう一つが、循環型社会対応産業振興プロジェクトというのがございまして、これは約二百八十社、二十四大学等が参加をしているものでございまして、こういうもの中で、各種の研究会、交流会の設置や、コーディネーターによります産学官の交流・連携促進などを行いまして、顔の見える信頼のネットワーク形成をすることによりましてこの新事業創出環境の整備を進めているというところでございます。  当省では、この産業クラスター計画におけます更なるこの人的ネットワークの拡充を目指しまして、来年度予算におきまして、産業クラスター計画の各プロジェクトにクラスターマネジャーを配置する、あるいはその他地域におけます拠点的ネットワークとの連携を強化するといったようなことで、こういうネットワーク強化のための予算を、十六年度約七億に比べまして十七年度二十億というものを要求をしているところで、お願いをしているところでございます。  東北地方におきましても、このような新たな支援策を活用することによりまして、新事業、新産業の創出と雇用拡大を図り、地域経済の活性化と地域再生に取り組んでまいる所存でございまして、こういうものが東北地方におけるイノベーション創出環境を充実させまして、企業立地の促進にもつながっていくのではないかと考えているところでございます。
  105. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 ありがとうございました。  青森につきましては、経済産業省としては産業クラスターなどが進んでいる、また内閣府の方で進めている特区制度ではマイクログリッドなどもかなり注目されている。いろんな形で新しい動きは出てきているなという感じはいたしました。  それでは、最後に中川大臣に伺いたいと思います。  経済産業省におきましても、また内閣府におきましても、地域活性化、地域再生に向けました様々な対応を講じております。  Nリポートの巻末の「おわりに」というところの一文をちょっと御紹介しますと、「政府一体となって政策の遂行に当たることが肝要である。」というふうに書かれてございます。正にこれ一丸となって取り組まなければ、景気回復、そしてまた雇用対策おぼつかないと思います。最後に大臣の景気回復に向けた決意を伺って、終わりたいと思います。
  106. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今の日本経済状況は、先ほどから出ておりますように、踊り場という言葉は正直言って分かりにくいというか、政治家というのは、渡辺先生始め大先輩の前で大変僣越でございますけれども、言葉というのはある意味では大事にしなければいけないという職業だと思っておりますが、そういう中で、踊り場という言葉は何かよく分からないなと。私は率直に言って、余り言うと内閣不一致と言われるかもしれませんけれども、正直言って自分としては余り使いたくない言葉でございます。  景気が去年ずっと春以降良くなってきて、そして秋になって、ちょっとおかしいなといって年を越した状況がいまだに続いていて、今日辺りもどこかの新聞で、日本の政策のトップの一人、トップというか事務方のかなり上の方だと思いますが、あるいはエコノミストだったか忘れましたが、踊り場が意外と長く続いておりますって、踊り場というのは長く続きゃいいというもんじゃなくて、早くまた階段を上に上がらなければいけないわけでありますから、踊り場にいれば何かほっとして、いつまでも休んでいていいんだということでは決してないんだろうと。  それほど、今の鈴木先生の御指摘のように、東北あるいは私の北海道あるいは九州といった地域、あるいは四国でも高知県とかああいう地域等々厳しいところ、あるいはまた有効求人倍率で言えば沖縄といった地域等々、まだまだ本当に地域によって、あるいはまた業種によって、特に製造業、非製造業ではっきり分かれております。  それから、これは外的な要因として、言うまでもなく原材料高と。物を輸入して、そして輸出をするという、先ほどから何回もやり取りをさせていただきました、日本としては、原材料が高いということの中で、しかし消費者物価は依然として落ち着いているというか低いということは一体何を意味するのかといえば、これはやっぱり川上インフレ川下デフレという言葉で言い尽くされるんだろうと思います。  そしてまた、何といっても日本経済の六割を占める個人消費が、雇用とも関係するんでしょう、また非正規雇用とも関係するんでしょう、いろんな面で、また将来に対する不安とか、いろんなことで消費が依然として弱含みだと。暖冬とかいろいろな理由はあるのかもしれません、災害とかあるのかもしれませんが、いずれにしても、個人消費が弱い状態が続いているということも景気が良くないことの私は最たるものだと思います。  言うまでもなく、景気というからには、みんなが少しずつ良くなってきたねという実感がして、そのトータルとして景気が良くなっているということでありますが、個人一人一人が本当に景気良くなっているんだろうかということが多数、一般的だとするならば、いわゆるデータに基づいた専門家の判断以前に、国民の意識として、感覚として、私はまだ景気は良くなっていないというふうに思っておりますので、特に中小企業対策、あるいはまた地域で困っているような地域、あるいはまた業種、業態、それぞれきめ細かくやっていきたいと思いますので、今日はこれで最後だという鈴木委員の御指摘でございますので、委員各位のそれぞれの御地元が、それぞれが景気が良くなったなということが当委員会で聞かれることがある時点で私は景気回復宣言をしたいと思いますので、今後とも、委員の皆さんの御指導をいただきながら一生懸命経済産業行政をやらせていただきますので、どうぞよろしくお願いをいたします。  ありがとうございました。
  107. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 ありがとうございました。  景気回復宣言をいただきました。皆さんでしっかり確認をしたいと思います。
  108. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) やりたいと言っている。
  109. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 やりたいと。  正に急務だと思いますが、これに加えて一つだけ注文を付けさせていただきますが、若い人たちの就業状況の改善もこれ進めていかないといけないと思います。  フリーターとかニートと呼ばれる皆さんが多く生まれている現状、昔、チャップリンの「モダン・タイムス」という映画ありましたけれども、機械の部分的、表現悪いんですけれども、使い捨て労働力が日常的になるおそれがあると思います。そこにはやっぱり働く意欲といいますか、そうした人づくりの部分で本当に大切な要素だと思いますので、地域が活性化して、働く皆さんがしっかりとビジョンを持てる社会づくり、一刻も早く景気の回復を目指して対策を講じていただくようお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  110. 佐藤昭郎

    委員長佐藤昭郎君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時十九分散会