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参考人(
高杉晋吾君) 初めまして、よろしくお願いいたします。
高杉でございます。
私の
見解は、
廃棄物処理法の
改正に関する
見解ということでありますけれ
ども、基本的に、今、定数的に様々にお述べになられた
酒井参考人と、定数的な問題は一致するかというふうに思います。しかし、
廃棄物処理法に関する基本的な物の考え方については、やや、ややと申しますか、根本的に違うというふうに考えております。
廃棄物処理法の
個々の
改正点について私は余り述べようという気持ちがありません。といいますのは、
廃棄物処理法には四大
特徴があるというふうに考えております。
廃棄物処理法というのは企業の
環境投資を軽視し、そしてコストダウンを図る競争といいますか、それに対して大変奉仕する形になっておるだろうというふうに思うわけです。それが第一の
特徴です。
それから第二番目に、そういう形の中で
排出者責任を免除するということ、これが第二の
特徴であろうというふうに思います。そして、
排出者責任を免除するということだけではなくてその
排出者責任を
処理業者に転嫁する、委託という名前において転嫁する。おまえ、金払ったんだから、おまえらの
責任だという話ですね、簡単に言ってしまえば。そういう形に転嫁するという形が第二の
特徴だというふうに思います。
それから、そういう形だけで終わるなら話はそれで結構でございますけれ
ども、結局は、
不法投棄の
原状回復ということを考えてみますと直ちに分かることでありますけれ
ども、その
責任はだれに転嫁される、最終的に、
国民に転嫁されるわけであります。結局、
不法投棄されたものは
国民の税金によって
処理しなさいということ、これが第二の
特徴でありますね。
それから第三番目に、基本的な一つの大きな問題でありますけれ
ども、大
産業圏、
大都市圏の
廃棄物の
過疎地への
押し付けという問題がございます。どうしてそうなったのかということをるる述べておりますと大変でありますけれ
ども、海の、
臨海工業地帯、
太平洋ベルト地帯、こういうところに
工業がどんどん立地していくということ、それによって干潟を埋めるとか、そういうことがさんざん行われてきた。その結果、海で公害問題が起こったのは一九七〇年代ですね。それで水俣問題、あらゆる問題が起こった。そして、それを今度は大気に出してはならない、水質を汚濁してはならないということで、汚濁してはならない以上は、そこに、工場に
廃棄物がたまってしまうわけでありますから、それを
業者に委託する、そして委託された
業者は山に持っていくというふうな形の、海の公害が山に移っていった、そういう
状況を生み出してきているというふうに思います。したがって、
過疎地に
押し付けるということが結果として起こってくるということになります。
それで、この
改正の長きにわたる動きというのは、非常に
改正の御努力をなさっておられる
方々には申し訳ない話でありますけれ
ども、
延々三十年、
廃棄物処理法が成立してから
延々三十年ですね、その間、
廃棄物不法投棄がなくなったというなら
改正の実が上がったという話になりますけれ
ども、なくならないだけではなくて増えていくということは、一体これどういうことなんだろうということですね。それで、
改正の
主眼は
処理業者への
取締り強化、そしてその
処理業者がそれに対する
対応をできなくて、夜逃げしたり倒産したり自殺したりというふうな
状況に追い込まれていくということになっていきますと、
責任はだれが負うかといいますと、結局は
国民が我が血税においてそれを支払うよという話になっていきます。そういう
仕組みをいい加減に変えないと、これもう
延々たる
改正、まあ言葉は悪いですから御勘弁願いたい、
改正ごっこになるということですね。
青森・
岩手不法投棄事件のちょっと
OHPを出していただきたい。(
資料映写)
青森・
岩手不法投棄事件、これは正に象徴的な
事件であります。決してこれが特別に
青森、
岩手において起こったという
事件ではなくて、どこにおいて起こってもこれと
大小、量的な
変化はあれ同じ
構造が起こっております。
次の
OHPをお願いします。
あそこには馬淵川という川がありますが、
水源ですね、
青森、
岩手の県境ですから、その
水源、その
水源で
住民がさんざん訴えた。こういうひどい
状況が起こっておりますよということで訴えて、これは当時七十歳を超えた
監視員が写した
写真であります。それで、その写した
写真を
保健所に持っていって、それから水も持っていった。真っ赤な水ですね。これを持っていった。そうすると、
青森県は何言ったかというと、飲んでも差し支えない水だと、全く差し支えないよということを
青森県はおっしゃった。何でそんなことを言うかという話でありますけれ
ども。
その次お願いします。
それで、これは
埼玉県の
新明という
廃棄物処理場の
火災であります。なぜこういうことが起こるのかということであります。これは前は
焼却処分をやっていたところの
業者であります。
焼却処分をやっていたけれ
ども、
皆さん御承知のように、
焼却場はあかんよということで
住民がさんざん反対してそれをつぶしていった。それで結局ほとんどなくなった。なくなったときに
業者たちはどうしたかというと、
根本構造は変わらないんですね。
首都圏から猛烈な勢いで
埼玉県を経由して各
地方に流れていく、その
根本構造は変わらない。その
経由地としての
所沢、
所沢以外にも
経由地はありますけれ
ども、
所沢が非常に多かった。それで、
所沢ではそれを焼却していた。それが
小型密集地になった。それでダイオキシン問題が起こった。そういう
構造ですね。
ダイオキシン問題はどうなったかというと、
住民につぶされた。つぶされた結果として、それでも生きていかなきゃいかぬから、
根本構造は変わりませんから、どんどんどんどん
首都圏からは流れてくる。その流れてくる
廃棄物をどうしているかというと、
破砕ということになります。
破砕ということになりますと、山のように積み上げるということになります。
地方ではお断り、流してくるなということになっております。そうすると、自然発火いたします。こういう
火災があらゆるところで発生している。
大小いろいろありますけれ
ども、
新明においてはその象徴としてこういう
事件が起こっておるということです。
それで、こういう
構造というのはどうして起きたのかというと、これは何と
青森、
岩手の
事件も十数年以上掛かっているわけですね、終わるまで、まだ終わっておりませんけれ
ども、十数年掛かっておる。その間、
縣南衛生という
処理業者、これは
埼玉県における最大の優秀な
業者であるよという形でどんどん
行政が推薦する。
焼却施設も推薦したわけですね。そして
補助金を付けてどんどん
焼却施設を造らせた。そして、この
縣南衛生についても推薦する。推薦した結果、一万何百社、この何百社がすべて
縣南衛生を通じて
青森、
岩手に
不法投棄をしていたということになります。それで、それができなくなった。できなくなったというところで起こっているのが、こういう
状況がばんばん起こっているということになります。
それで、そういうことですから、それじゃ、これは
埼玉県における、
所沢における、あるいは
青森、
岩手における特殊な
状況かと。
皆さん現実に
不法投棄が行われている
状況をごらんになれば、どこにも、これだけ、ここだけ特殊に起こった
事件だというふうな条件というのは発見できないでしょう。どれもこれも皆同じです。つまり、それをなくさなきゃならぬというのが
改正の
主眼でなければならないけれ
ども、じゃ、その
改正の
主眼というのが何になっているかというと、
廃棄物処理を
押し付けられた、委託された
業者が
管理を厳しくされ、監視され、命令され、そして倒産して夜逃げしていくという
状況が全国的に広がっている、これが
不法投棄の
現実であるというふうに思います。
それで、そういう
構造、数字的にも申し上げたいですが、そういう
構造が極めて普遍的な
構造であるということをまず一つ申し上げておきたい。
それから、済みません、
OHP二をお願いします。
そういうことばかり申しておりますと、
日本における
廃棄物処理法も
日本における
廃棄物処理政策も絶望なのかという話になっていきます。ほとんど
廃棄物処理法に関しては絶望した方がよろしいというふうに私は思います。
それから、土壌汚染対策法を事のついでに申し上げますが、土壌汚染対策法も、何といったってあなた、大阪府警が何で動いたかといえば、宅建業法違反ですよ。土壌汚染対策法ができたばっかり、それで取り締まることができなくて宅建業法で取り締まるというふうな話ですから、一種猫またぎの法律であります。猫も食わない。えさとして投げても食わない。そして猫もまたいであっち行っちゃったという法律でありますから、これはとてもじゃないが宅建業法でしか取り締まることができないということで、事のついでに土壌汚染対策法についても申し上げましたけれ
ども、そういう絶望的な
状況なので、全く絶望的なのかということです。
絶望的でなくなる方法というのは何かといえば、きちっと新しい
状況に
対応する基本的な力として
住民が参加すること、これ以外にありません。
住民が参加すること。というのは、今までは
住民を排除して企業の御都合に合わせて、そしてすべて
処理業者に委託してという流れをずっとつくってきたからそういうことになってきましたけれ
ども、そうでない方法をつくり出せばよろしいと。それが
廃棄物処理法の
改正によってできるかどうかということをよく考えていただきたいというふうに思うわけです。あれ、百遍
改正してもできない。三十年掛かってできなかったもの、つまり
皆さん方のお宅にある
資料、三十年下に積んである
資料をまた持ち出して使おうったって使えません。それはもう捨てた方がよろしい。
廃棄物処理法も廃棄した方がよろしいというふうに私は率直に思っております。
だから、絶望的なのかというと、絶望的でないというふうに、先ほど
酒井先生もおっしゃいましたけれ
ども、実際絶望的でないことが行われております。
これは北九州エコタウンのPCB
処理施設であります。私は、このPCB
処理施設に関してある一定の評価を持っています。かなりの評価を持っています。なぜ評価をするのかといえば、危険物輸送に関する国連勧告というものがありますけれ
ども、この危険物輸送に関する国連勧告というのは非常に優れた勧告であります。つまり、今まで土壌汚染、
不法投棄、そういう輸送をやっているということに対して、全くそうでない方向で新しい、まあ国連勧告そのものは一九五六年からあるわけですけれ
ども、
日本では陸上に関してはこれを、批准という言葉は適切ではありませんけれ
ども、これを採用してない。航空機においては採用している。海においては採用している。
しかし、航空機では容器も何もすべて国連勧告に従ってやっているにもかかわらず、陸上にそれを持っていこうとする、積み替えようとする、途端に、コンテナの中に何が積んであるのか分からぬ、表示も分からなければ容器もいい加減であるというふうなこと。それで、その中で、中の積まれた荷物を運転手が何が積まれているのか分からぬというふうな形の中で、どどんとその中の荷物がコンテナの中でひっくり返って、その重さが掛かってひっくり返って横転したというふうな場合に、もうどうしようもない。運転手さんの
責任にされるだけ。そうですね。今回の
火災における事情を見ても大変運転手さんの
責任にされそうな感じがありますけれ
ども、そういう危険な
状況を運転手さんに任せてよろしいのかと。そうではないというのが国連勧告です。
その国連勧告を、PCB
処理に関するガイドライン、環境省はそれを採用して、そしてそういう
方向性を持っていったということでありますから、それは一つ大きな評価すべきところになるというふうに思います。したがって、PCB
処理に関するガイドラインはかなり大きな前進をした。前進をした。
それで、もう一つは、それを
GPS、先ほど
酒井先生もおっしゃいましたけれ
ども、
GPSによって完璧に空から監視することができる。最終的な、輸送の途中の経過に関しても、上から、最終的に
処理場に、
処理施設に搬入されるプロセスにおいても完璧に監視することができ、そして
住民がその
情報を徹底して見ることができる。つまり、
住民参加の一端をその中において実現するということであります。
OHP三をちょっとお願いします。
そして、これはPCBのカットモデルであります。まあ、三はいいです。PCBオイルに使ったカットモデル。
それから、
OHP四をお願いします。
あっ、これも横になっていますね、ちょっと、下のはいいですから上に、縦にしていただけますか。──はい、上をお願いします。
これは、施設の在り方であります。
まず、輸送するのに五重の厳重な容器によって輸送をされて、そして施設に搬入される。施設に搬入されると、二重、三重、四重、五重のすさまじい形の安全体制を取るということ、これがその施設のPCBのフェールセーフ方式であります。そしてそのフェールセーフ方式のこの部屋も、すべて危険な
状況に応じて一、二、三とランク付けされていて、その三のランクが最も厳重、そういうふうな完璧なる、今までの
日本にはない多重のフェールセーフ方式を持っております。
ということで、私はもっともっとしゃべりたいわけでありますけれ
ども、これで終わりにしたいと思います。
それで、
OHPの六をお願いします。
これは先ほど
酒井先生がおっしゃった
GPS、宇宙衛星で監視をして、そして二十五個の
GPSという衛星が飛んでおりますけれ
ども、それを地上で受ける機器であります。この機器ですね。それで、この機器によって
処理場から、
処理するセンターからそのすべての
情報が双方向で行ったり来たりできるということですから、一切
不法投棄をすることができません。
不法投棄をすることができないという完璧な
システムをつくったのは、
日本においては初めてであります。したがって、
廃棄物処理法の
改正の方向というのは、
不法投棄が絶対できないという
方向性においてそれを進めるべきだというふうに思います。少々の手直しをしても、
廃棄物処理法の
改正はできないということです。