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2005-07-12 第162回国会 参議院 外交防衛委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十七年七月十二日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  七月六日     辞任         補欠選任      松下 新平君     喜納 昌吉君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         林  芳正君     理 事                 浅野 勝人君                 三浦 一水君                 山本 一太君                 齋藤  勁君                 榛葉賀津也君     委 員                 岡田 直樹君                 柏村 武昭君                 桜井  新君                 谷川 秀善君                 山谷えり子君                 犬塚 直史君                 喜納 昌吉君                 佐藤 道夫君                 田村 秀昭君                 白  眞勲君                 荒木 清寛君                 澤  雄二君                 緒方 靖夫君                 大田 昌秀君    国務大臣        国務大臣        (防衛庁長官)  大野 功統君    副大臣        防衛庁長官   今津  寛君        外務大臣    谷川 秀善君    大臣政務官        防衛庁長官政務        官        柏村 武昭君    事務局側        常任委員会専門        員        泊  秀行君    政府参考人        内閣法制局第二        部長       横畠 裕介君        防衛庁防衛局長  飯原 一樹君        防衛庁運用局長  大古 和雄君        防衛庁人事教育        局長       西川 徹矢君        外務大臣官房審        議官       中根  猛君        外務省国際法局        長        林  景一君    参考人        三菱重工業株式        会社航空宇宙事        業本部事業本        部長       西山 淳一君        東洋英和女学院        大学国際社会学        部助教授     石川  卓君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○防衛庁設置法等の一部を改正する法律案内閣  提出、衆議院送付) ○政府参考人出席要求に関する件     ─────────────
  2. 林芳正

    委員長林芳正君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る六日、松下新平君が委員を辞任され、その補欠として喜納昌吉君が選任されました。     ─────────────
  3. 林芳正

    委員長林芳正君) 防衛庁設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、参考人として、三菱重工業株式会社航空宇宙事業本部事業本部長西山淳一君及び東洋英和女学院大学国際社会学部助教授石川卓君に御出席いただいております。  この際、参考人の方々に対し、本委員会を代表して一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ本委員会に御出席いただき、誠にありがとうございます。  皆様から忌憚のない御意見をいただき、今後の調査の参考にしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。  議事の進め方について申し上げます。  まず、参考人からお一人二十分程度で順次御意見をお述べいただき、その後、正午までをめどに質疑を行いますので、御協力をお願いいたします。  また、御発言の際は、その都度委員長の許可を得ることになっておりますので、御承知おきください。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、まず西山参考人に御意見をお述べいただきます。西山参考人
  4. 西山淳一

    参考人西山淳一君) 三菱重工西山でございます。  現在は三菱重工の本社で営業を主体に活動しておりますけれども、大学機械工学を専攻しまして、三菱重工に入社して以来ずっとミサイル設計作業に携わってまいりました。  また、ミサイル防衛に関しましては、一九八八年の十二月から開始されました西太平洋戦域ミサイル防衛構想研究通称WESTPACスタディーのときから担当しております。  本日は、弾道ミサイル防衛に関する技術的な課題について御説明させていただく機会を与えていただきましたことを誠に光栄に存じます。どうぞよろしくお願いいたします。  お手元資料を配付してありますが、まず、弾道ミサイルとは何かということからお話ししたいと思います。  世界初弾道ミサイルは、一九四〇年代にドイツによって開発されたV2号です。このミサイルは、フォンブラウン博士らによって開発されまして、全部で五千基生産されたと言われています。実戦で使用されまして、イギリスを恐怖に陥れました。フォンブラウン博士の夢は宇宙飛行でありましたが、兵器開発最先端技術であり、これを行うことにより宇宙飛行技術を確立しようと考えたと言われております。  一九九一年の中東湾岸戦争におきまして、イラクからスカッドミサイル発射されたのは記憶に新しいところであります。イラクから発射されたスカッドは、ソ連開発しましたスカッドBベース射程を延伸するよう改良されたものでした。スカッドBの直径はV2型の約半分で、射程は約三百キロメートル、そのペイロードは約一トンということで、これはV2型とほとんど同等であります。お手元資料の図一にV2型とスカッドの比較を載せてありますので、まあ大きさの感じが分かると思います。  現在、日本への脅威と考えられているスカッドの発展型であるノドン、テポドンなどはスカッド技術、すなわちV2型の技術ベースに更に改良を加えたものと考えられています。  次に、弾道ミサイル定義とは何かということを整理してみたいと思っています。  一般的には射程三百キロメートル以上で弾道飛しょうするミサイルと言われています。最小射程の明確な定義はありませんけれども、射程百キロ程度のものも弾道ミサイルの分類に入れている例もあります。  野球のボールを遠くまで飛ばすには投げるスピードを速くすればよいというのは子供でも分かる理屈でありますけれども、弾道ミサイル速度というのはロケットモーターロケットエンジンですが、この燃焼終了時の速度、これをバーンアウト速度と呼んでいますけれども、この速度で規定されています。これが速ければ速いほど遠くまで飛ぶということになります。射程三百キロメートルであれば約一・五キロメートル・パー・セック、一秒間に一・五キロメートルです。それから、射程千三百キロメートルになりますと、約三キロメートル・パー・セックということで、音速の約十倍、マッハ十相当というふうに言われています。  もっと遠くまで届く大陸間弾道ミサイルICBMと呼びますけれども、ICBMになりますと、このバーンアウト速度というのは六キロメートルから七キロメートル・パー・セックと、パーセカンドになります。この速度が更に速くなりまして七・九キロメートル・パーセカンドになりますと人工衛星になるということで、スピードをどんどん上げていくと最終的には人工衛星になるという形になります。この図二に速度射程関係ということを示してあります。  また、ちょっと話が戻りますが、一九五七年にソ連世界で初めてスプートニク人工衛星を打ち上げました。いわゆるスプートニクショックと言われています。アメリカは、ソ連大陸間弾道ミサイルができたということで大変なショックを受けたわけです。このときから世界は本格的な宇宙開発競争の時代に入りまして、また、これは同時にICBM実用化に向け本格的に開発が開始された年だというふうにも認識しております。  図の三に弾道ミサイル衛星の高度の関係を示しました。  地球の半径は約六千四百キロメートルで、日ごろ日常的にお世話になっているというか、こういう衛星気象衛星放送衛星等があります。これは高度三万六千キロメートルの赤道上空地球を回っております。地球自転速度と同じ速度で回っているものですから、いつも同じところに見えるということで静止衛星と呼ばれています。実際には一日掛けて地球を一回りしているということでございます。  それから、カーナビに利用されていますGPS衛星というのは高度二万キロメートルで飛行しておりまして、スペースシャトルなどは、そのときのミッションによって違うのですけれども、二百キロメートルから六百キロメートルの間を飛んでいます。  この弾道ミサイル軌道なんですが、低高度の人工衛星軌道を横切って宇宙空間から落下してくると、こういうような飛しょう経路を通ることになっています。  今度は、兵器としての弾道ミサイルというのは、ペイロードとしまして弾頭を搭載しています。その弾頭種類には、通常弾頭、これは火薬の入っている弾頭です、それから生物兵器弾頭化学弾頭核弾頭など、こういうような種類がございます。特に生物化学核弾頭は、ある高度より高い高度でその弾頭が起爆する前に破壊することがその弾頭を無力化するための条件ということになります。そのためには直撃ということで、直撃によって破壊をするということで大きなエネルギーが必要です。  図四には直撃の様相を示しておりますが、この図の左側から弾頭を示してありまして、これをキルビークルと言われる迎撃体直撃し、破壊する例を示しています。右下の図は、小さな断片を放出するような弾頭では弾道ミサイル弾頭破壊することは困難ということで、例を示してあります。それから、同じくこの図には命中直前赤外線画像参考としてお示ししてあります。  次に、弾道ミサイル防衛技術的な課題として問われるということで、まず当たるのか当たらないのかという話があると思います。  一般にはブレット・ツー・ブレット、弾丸弾丸で撃つという表現で、非常に難しいとの印象を与えています。しかし、ここで思い起こしていただきたいのは、鉄砲あるいは大砲の弾丸というのは無誘導で、ただ真っすぐ飛ぶだけというものであるということです。ピッチャーがボールを投げます。これに対して、バッターはボールを見ながらバットが当たるようにコントロールするわけですが、それと同じことがこの迎撃ミサイルにも行われています。ミサイルに目がありまして、これはシーカーと呼んでいますけれども、この目が弾道ミサイルの像をとらえまして、これに向かって自分自身を制御して直撃に至るということになります。そのシーカーの目で見たのが先ほどお示ししました図四の赤外線画像ということになります。  アメリカにおきまして迎撃実験が何度か行われておりまして、これは一度命中に成功すれば技術的には直撃可能性を実証したことということになります。つまり、一度成功すればもう一度同じことができるということで、もう既に弾道ミサイルを迎撃することが不可能ということは言えなくなったという状況にあると思います。  これからの課題としましては、運用に堪えるシステムを構築する、つまりシステムとしての信頼性向上するということが課題となるということになります。表一にはペトリオットPAC3、SM3などの発射試験等の実績をお示ししてあります。  それから次に、全部を落とせないなら高いお金を払っての配備は無用であるという議論もありますが、軍事におきまして攻撃防御も一〇〇%ということはないというふうに考えております。  これは、攻撃を受けたときにいかに被害を局限できるかとの観点で考える必要があるというふうに思います。そのために掛かるコストはどのぐらい許容できるかということだと思います。配備数ミサイル防衛に費やす妥当な費用規模については私が議論すべき内容だと思いませんのでこれ以上お話ししませんけれども、どんなシステムでも一〇〇%ということはないと、その中で現実的な解が求められているというふうに思います。  歴史的視点でもう一度整理してみますと、一九四〇年代に開発された弾道ミサイルV2、その現代版スカッド、それを落とせるようになったのが一九九〇年代に入ってからです。つまり、弾道ミサイルを撃ち落とすことができるまで五十年掛かりました。防御というのは難しいということを証明していると思います。その難しい防御能力を持つということ、またそれを実証してみせるということは技術力優位性を示すということだと思っています。  次に、日本宇宙ロケット技術レベルはどの程度であるかということを見たいと思いますが、宇宙ロケット技術と言いましたけれども、基本的には弾道ミサイル技術と同等のものだということです。日本は一九五五年にペンシルロケット発射を行いました。今年でちょうど五十年になります。その後、一九七〇年にラムダロケット、これは固体のロケットですが、これで人工衛星を打ち上げに成功しました。世界で四番目の打ち上げということです。  これは、人工衛星を打ち上げたということは、地球上のどこにでも飛ばせる能力を実証したということになります。日本人のその当時の認識と関係なく、世界から日本弾道ミサイル技術ができたと見られたというふうに思います。  それから、液体ロケットエンジンですけれども、一九七五年にアメリカから技術導入したNⅠロケットというのを開発しまして人工衛星を打ち上げました。これが今のHⅡAロケットにつながっています。  今、弾道ミサイルロケット技術を同じと言いましたけれども、人工衛星の打ち上げ能力ができたからといって、すぐに弾道ミサイルというものを造れるということではありません。技術的には同種のものですが、兵器としての要求事項はまた違うものであります。  先ほど来、迎撃する技術の方が打ち上げるより難しいということを申し述べましたが、それはより高い技術力を要求されているということだと思います。その弾道ミサイルを撃ち落とす技術能力を示すことが防衛技術の高さを示すということになると思っています。この迎撃実験による実証は技術優位性を目に見える形で示すということだと思いますし、それは民間企業技術製造基盤に裏打ちされた技術の蓄積によってのみ可能というふうに思っております。  ミサイル防衛によって得られる技術は何かということを考えていきますと、目標を遠くで見付けるセンサーの技術とか目標を撃墜する技術、小さな目標に当てる誘導制御技術弾頭を無力化する技術などと、こういうのがあると思いますが、このような小さな目標高速物体をぶつけてやるという精密誘導技術。これは、この七月四日にアメリカのNASAがすい星に物体を衝突させました。ディープインパクトということでニュースになっていましたけれども、これは更に高度な精密誘導技術成果だというふうに思っております。  あとミサイル防衛技術としましては、効率よく運用する指揮統制技術、短時間で意思を決定するための技術、大規模システムをまとめるためのシステム・オブ・システム技術というものがあります。  これが民間に役に立つのかという疑問もあるわけですが、一つの例としましては、最近はタクシーに乗ってもカーナビを付けている車が多くなりましたけれども、軍事衛星であるGPSの利用が生活の一部になっていると。アメリカがこれを無償で世界じゅうで使うことを許しておりまして、いつの間にか軍事技術生活の中に浸透しているということになっております。  この弾道ミサイルを迎撃する技術開発するのにアメリカでも五十年掛かっているわけですけれども、これを日本独自でやるのは難しいと思いますので、やはりアメリカとの共同研究を更に拡大していくべきだというふうに思っております。  日本構想としましては、二〇〇三年の十二月にBMDシステム導入政府が決定しましたので、それで導入するのがペトリオットシステムPAC3、それから海上配備としましてはイージス艦等に搭載するSMミサイルということで、こういう地上配備海上配備システム導入するということで、この図を図五にお示ししてあります。  この装備に関しましては、日本が単独で開発していくのはなかなか困難だと思いますので、アメリカからの導入が現実的な解であるというふうに思っております。ライセンス生産をやることで日本技術導入し、防衛生産基盤を維持することが効率的な運用になるというふうに思います。  あと、一九九九年から日米BMD共同研究で四つの構成品研究試作が開始されまして、これは今お手元の図六のところにお示ししてありますが、こういう日米共同研究日本技術者が参加することで最先端技術開発に参加することができると。これは、我が国防衛技術基盤強化に貢献することができるというふうに考えております。  まとめますと、弾道ミサイル防衛には最先端技術が適用されており、それは民間技術への波及効果も期待できるということと、それからこの難しい技術開発に取り組むことで日本技術立国たる技術優位性を実証することになると思っています。この技術優位性を示すことにより抑止が期待できまして、日本安全保障のための大きな柱の一つになると信ずる次第であります。  御清聴ありがとうございました。
  5. 林芳正

    委員長林芳正君) ありがとうございました。  次に、石川参考人にお願いをいたします。石川参考人
  6. 石川卓

    参考人石川卓君) 東洋英和女学院大学石川卓と申します。よろしくお願いします。  本日は、ミサイル防衛につきまして、特にアメリカにとってのミサイル防衛の意義、その背景となります国際安全保障環境といったことを中心にお話ししまして、それを踏まえました上で、我が国ミサイル防衛に関しまして若干留意すべき点といったことを述べさせていただきたいと存じます。  簡単ではございますけれども、おおむねお手元のレジュメに沿って進めてまいりたいと存じます。  ミサイル、特に弾道ミサイル拡散というのは冷戦終結の前後から加速度的に進んできておりまして、今日、その拡散と申しますのは、大量破壊兵器WMD拡散並び国際社会全体にとっての主要な脅威一つと広く考えられております。  今日では、その資料記載の表一にもございますように、三十か国以上が弾道ミサイルを既に保有し、更に今開発を重ねていると言われるわけです。特に第三世界における旧ソ連製スカッドミサイルというものをベースとした戦域ミサイル拡散というものが顕著でございますけれども、特に途上国にとりましてはミサイルというのは高価で貴重な兵器であると。そのため、効用最大化をねらいまして弾頭WMD大量破壊兵器が使われる可能性が高いとも言われております。このこともミサイル拡散というものが深刻な脅威であるとみなされる一因になっていると考えられるわけです。  他方、安全保障に不安を抱えている国あるいは大国と良好な関係にない中小国にとりましては、近隣の敵国に対する軍事的優位というものだけではなく、域外の大国の干渉に対する政治的自立性というものを確保するためにもミサイルの魅力というのは大きくて、これがミサイル拡散が進む要因の一つになっていると言えます。また、例えば核兵器に比べまして必要となる技術や材料の入手というものがより容易であるということもその拡散を助長することになっていると言えるわけです。  これに対しまして、表二に簡単にまとめましたように、ミサイル拡散枠組みづくりというものも進められてきております。西側先進諸国輸出規制枠組みにすぎないMTCRというものに加えまして、最近ではミサイルを否定する国際的な規範の形成というものも進みまして、二〇〇二年にはいわゆるハーグ行動規範というものも採択されております。翌〇三年にはアメリカの主導で拡散防止構想PSIというものも立ち上がっておるわけです。  しかしながら、周知のように、ミサイル拡散枠組みというものにはいずれも限界がございます。MTCRハーグ行動規範というのは法的拘束力がない云々ということもございますけれども、枠組みの外ですね、つまり非加盟国間における拡散に対してはほぼ無力であります。実際、拡散というのは主にその枠外で生じてきたわけでございます。  そのためもありましてアメリカが主導してつくられたのがPSIでございますけれども、PSIも、その独自開発とか垂直拡散ですね、つまり保有国保有量を増加するとか質的向上を図る、主に射程を延ばすということですけれども、そういったことに対しては余り効果を持ち得ないという。ただ、一方ではPSIというのは不拡散枠組み外での拡散について一定の成果を上げてきてもおりますけれども、当然のことではございますけれども、すべての技術移転ということを阻止することはできないということがあるわけでございます。  そのため、アメリカはこうした不拡散枠組み強化というものと並行しまして拡散対抗というものを打ち出し、その一環としてミサイル防衛というものを進めてきたわけでございます。拡散対抗というのはクリントン政権が九三年に打ち出したものでありますけれども、これは、大量破壊兵器及びミサイル拡散というものが既に起こっているということを前提としまして、これに対処する能力強化していくことによって既存の不拡散政策というものを補完しようというものであります。  ただし、そのアメリカミサイル防衛というものは単にミサイルWMD拡散への対抗措置として進められてきただけというわけではございません。それは、むしろ冷戦後の脅威の変質に伴う抑止態勢というものの変更一環として推進され、また同時に正当化されてきたと言えるものであります。  つまり、その主要な脅威というものが、冷戦期にはアメリカ相互確証破壊関係MAD関係ですね、にありましたソ連であったわけですけれども、そのソ連から、冷戦後には、より小規模ではございますけれども、WMD及びミサイルというものを保有若しくは志向する、さらに既存秩序変更を図ろうとするいわゆるログステーツ、ならず者国家へと変化したということがありまして、これを受けて、大規模報復の威嚇を基軸とする抑止、いわゆる懲罰的抑止というものから、敵の目的達成を逐一阻止する態勢強化というものを基軸とする拒否的抑止へと修正していく必要が生じまして、ミサイル防衛というのはミサイルを様々な形で活用した敵の目的達成というものを拒否する要素として極めて重視されるようになったと言えるわけであります。  ここでは、そのならず者国家というものがより合理性の低い主体であり、大規模報復の脅しというものが利きにくいということが一つ前提となっております。そのため、ならず者国家というものが現実に起こし得る秩序攪乱行為というものを逐一つぶしていく、拒否していくための能力が必要になる、それによってそういう行為抑止するということが想定されているわけです。  そして、そうしたその拒否能力拒否力強化には、ミサイル防衛以外でいいますと、当然、巨大な核戦力ではなく、より使い勝手のいい通常戦力の拡充というものが必要になってくるわけです。精密爆撃能力というのが代表的ですけれども、同時に、そうした能力を使用する戦域に迅速に派遣する能力戦力投射能力というものの向上が特に必要になるわけです。  とりわけ、そのミサイル防衛精密爆撃能力戦力投射能力の三点が重視されますのは、冷戦後の一極構造下におきましては、そのアメリカ武力行使の形態というものがほぼ排他的にいわゆる介入型の武力行使になるということが想定されているためであります。これには、例えば湾岸戦争のような地域紛争への介入、あるいはボスニア及びコソボ若しくはソマリアのような内戦、あるいはその中で展開される大量虐殺などのような非人道的行為への介入と、それから九八年、〇一年のイラク空爆のような拡散阻止のための攻撃といった形の武力行使、言わば国際秩序の維持、回復というものを図るための警察行動的な武力行使というのが冷戦後のアメリカ武力行使の典型的な形態となっているということがあるわけです。  いずれの場合にも、精密爆撃能力戦力投射能力というものが重要になるということは容易に理解いただけると思うのですけれども、そこでミサイル防衛が重要になりますのは、相手がミサイル保有国である場合に、ミサイル防衛システムがないと介入そのものをちゅうちょせざるを得なくなる可能性が高まるということがあるわけです。  例えば、日本我が国に関して考えていただければ簡単なんですけれども、日本ミサイル攻撃というものを受ける可能性が高い状況ではアメリカが北朝鮮の核開発施設を爆撃するということはより難しくなるといった、そういった論理がそこにはあるわけであります。  そして、もしそうなれば、秩序維持、回復の最終手段としての武力行使の威嚇というものの信憑性というものも低下してしまうと。その威嚇によって、侵略国の撤退あるいは非人道的行為の停止あるいはWMD開発の停止といった目標を達成できる可能性も当然低下してしまうということになるわけですね。そこでミサイル防衛というものが重視されるということになるわけです。  ちなみに、こうした拒否力抑止効果というものを最大化するためには、時にそれを使用するということが必要にならざるを得ない場合もございます。抑止というのは、威嚇を実行できる能力だけではなく、威嚇を実施する意思というものも必要とするものだからであります。  よくアメリカによる軍事介入というものを批判して、振り上げたこぶしは振り下ろさなければならないというようなことが言われますけれども、結果は確かに同じなのかもしれませんけれども、事はそう単純ではないわけでございまして、威嚇を発した側としては、要求が十分に通っていない、受け入れられていないにもかかわらず威嚇を実行しないということが度重なっていけば、将来的にその威嚇の信憑性が低下するという可能性も考慮せざるを得ないということが言えるわけです。  非常に簡単ですけれども、おおむね以上のような、抑止態勢変容というものの重要な一要素として、アメリカミサイル防衛冷戦後特に力を入れて追求してきたということが言えるわけです。  しかしながら、こうした抑止態勢の変容というものには一つのジレンマというものが伴います。  確かに、ならず者国家、非人道的行為あるいはWMD拡散というものに対処するためには、そのことだけを取れば拒否的抑止への移行というのは合理的な対応であると言えるわけです。しかし、それは、特にロシア、次いで中国といった既存の核保有国との戦略的な関係というものを若干動揺させる、場合によっては悪化させる可能性というものも持っているということがどうしても指摘せざるを得ないわけですね。  実際、冷戦終結後、米ロはしばしばミサイル防衛をめぐって衝突してきました。また、その米ロ関係の悪化を懸念して、西ヨーロッパ諸国がアメリカミサイル防衛を牽制あるいは警戒するといった場面も見られてきたわけです。  言い換えますと、今日の主要脅威により効果的に対処しようとすることが、ロシアあるいは中国といったアメリカと、難しいんですけれども、微妙な関係にある国とアメリカとの関係というものを悪化させて、ひいてはアメリカとその同盟国との関係も緊張させ得るということにつながり得ると、そういった構図が冷戦後の国際システムには見られるということだろうと思います。  クリントン政権が、例えば戦域ミサイル防衛、TMDというものに比べて本土ミサイル防衛、NMDというものに消極的だったのも、部分的にはそうした背景があったわけです。ブッシュ政権ですらも政権発足後しばらくはロシアに対する配慮というものを示していたわけです。結局、ABM条約脱退という形でブッシュ政権が既存の一線というものを超えるきっかけになったのは、やはり九・一一事件というものであっただろうと考えられます。  ブッシュ政権は、対テロ戦争での米ロ協調というものができたわけですけれども、これを利用し、また、実は余り現実性のないテロ組織とミサイルの結び付きというものを強調するといった形でABM条約の脱退というものを非常に低コストで実現し、その公約どおり、本土防衛も含む大規模ミサイル防衛網の構築へと弾みを付けたと言っていいかと思います。  ただし、これまでのお話からも分かると思いますけれども、こうしたミサイル防衛も含めた拒否的抑止態勢への移行というのは、決してブッシュ政権によって始まったものではなく、冷戦終結前後から着実に進められてきたものでありまして、ブッシュ政権はこの変化を加速化させたにすぎないと言っていいものと思います。  また、ブッシュ・ドクトリン、いわゆる先制攻撃ドクトリンというものもこの変化の延長線上に位置付けるべきものであると考えております。  それは、よく言われますように、抑止の利かないテロ脅威の台頭というものを受けまして抑止を放棄したということでは決してなく、むしろ強化されてきた拒否的抑止態勢の発動というものを公言することによってこの抑止態勢抑止効果というものを高めようとするものであると言えます。  しかしながら、そうしたブッシュ政権の政策も、拒否的抑止への移行に伴う、先ほどから申し上げているジレンマというものと無縁であるわけではないわけですね。  確かに、ABM条約脱退というものは、ロシア、中国の反発というものが控え目であったこともありまして、アメリカとヨーロッパ、米欧関係にもさしたる緊張を生じることはなかったわけです。しかし、その延長線上にあると先ほど申しました先制攻撃ドクトリンというものがイラク問題をめぐって実践されそうになってくると、米ロ関係というのは非常に悪化しましたし、御存じのように、米欧関係にも深刻な亀裂が生じたわけです。  むろん、そうした関係悪化とか亀裂というのは永続するものではございませんけれども、拒否的抑止への移行に伴うジレンマそのものが消滅するということではございません。したがいまして、ミサイル防衛というものが能力的に高度化していくにつれてこのジレンマが表出してくる可能性というのは理論的には高くなるということが言えるわけです。  以上を踏まえまして、最後に、我が国にとってのミサイル防衛というものについて若干留意すべきことということを述べておきたいと存じます。  まず、我が国にとって拒否的抑止への移行に伴うジレンマというのはかなり深刻な問題になり得るということです。言い換えれば、そういう難しい環境に今我が国は置かれているということであります。  これはもう自明のことでありますけれども、拒否的抑止というものが必要とされる、北朝鮮のかなり顕在的な脅威に直面していると同時に、こちらは評価が大きく分かれるかと思いますけれども、中国という潜在的脅威というものも抱えているためであります。今般導入されるミサイル防衛システムではさほどそのジレンマが顕在化することはないかもしれませんけれども、日本若しくは日米戦域ミサイル防衛能力、そしてアメリカの本土ミサイル防衛能力というものが高まっていけばこのジレンマを顕在化させることになっていくということも完全には否定できないということだろうと思います。  確かに、ミサイル防衛の推進というものは我が国に幾つかのメリットというものをもたらし得ると思います。  まず、アメリカミサイル防衛協力への参加とかあるいはシステム導入というものを日本を含め同盟国、友好国にずっと求め続けてきたということを踏まえれば、これを進めていくことは日米同盟を政治的な意味で強化するということにつながると言えるわけですし、今後の配備運用における協力次第では、日米間のいわゆる相互運用性の強化、インターオペラビリティーの強化にもつながり得るわけです。そうなれば、北朝鮮あるいは中国に対する抑止効果向上というものも望めることになるのかもしれません。たとえ今般配備されるミサイル防衛システム能力が全体、総体的に見て十分ではないとしましても、日米同盟の緊密化というものが持つ政治的、象徴的意味合いというのも決して無視できるものではないだろうと考えられます。  また、かなり楽観的に考えれば、うまくいけば、東アジアにおける軍備管理、軍縮の契機というものを提供できるのかもしれない。さらに言えば、日米技術協力の拡大ということにもつながっていき得るわけです。  しかしながら、いずれのメリットにも一定のリスクというものは伴うということも同時に指摘せざるを得ないというふうに思います。  例えば、相互運用性の強化というものは、情報面、軍事面における、言葉は余り私も気に入りませんけれども、対米従属性というものにつながるかもしれませんし、北朝鮮若しくは中国が対抗措置というものをとれば抑止効果も相殺されてしまうかもしれないということは完全には否定できない。  また、これは反対派が長く主張してきたことでございますけれども、軍備管理、軍縮ではなくて連鎖的な軍拡競争というものを促してしまう。これは、程度はともかくとして完全には否定できないかもしれないということですね。さらには、日米間の技術協力の拡大というのは、やはり日本の経済的利益ですね、特に知的財産面での損失というものにつながるおそれもなくはないということですね。さらに、その軍縮外交の理念といったことにももしかしたら傷が付くかもしれないということだと思います。  こういったことに関してはいろいろな意見があると思いますけれども、私個人としましては、学問的により正しいのは、いずれに転ぶかはだれにも断言できないと言わざるを得ないということだと思います。とは申しましても、まずミサイル防衛というものは万能薬ではないということは肝に銘じておくことが必要であろうというふうに考えております。  例えば、日米同盟の抑止効果向上させるためには、単にミサイル防衛導入すればいいということではなくて、それを含めて様々な努力が多方面で必要になるわけですし、そのミサイル防衛導入やその運用をめぐる協力というのはその一つの契機になるにすぎませんと。軍縮、軍備管理効果みたいなものを発揮させたいと思うのであれば、相当に難しい交渉というものを東アジアにおいて展開していく必要があるといった形で、様々な課題がそこに待ち受けているということであります。  しかしながら、その配備というものを既に決めているわけですから、そうである以上は、その効用最大化を目指すべきであるということも当然考えなければいけないわけであります。シビリアンコントロールの確保など非常に難しい問題がありますけれども、例えば事故的発射というものが起こった際に、現場が撃墜をちゅうちょし、その結果国民に不要な被害が出るといったようなことは法制度上やはり最大限回避できるようにしておくことが必要であるというふうに考えられます。  ついでに申し上げますと、今回の法改正では、主として今般導入されるシステム運用を想定していると考えるべきではないかと思われます。つまり、今後システム能力というものが向上していった場合、具体的に言えば、ブースト段階迎撃というものが出てきた段階で更なる法改正の検討というものが必要になる。逆に言えば、今回はそういったことはある意味で考えておくことは必要ですけれども、切り離して今回の法改正というものを検討する必要があるのではないかというふうに考えております。  最後に、安全保障環境の変質というものが起こっている以上、ミサイル防衛システム開発というものはもはや避け難い課題であるということは指摘せざるを得ない。確かに、オフェンス、ディフェンスの競争というのはオフェンス有利であるということは完全には否定できないわけですけれども、だからといってその開発を初めからあきらめるというようなことはあってはならない。それが許されるような環境に今日我々は置かれていないということを認めることが非常に必要なことになっているというふうに考えております。  時間ですので、以上で終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  7. 林芳正

    委員長林芳正君) ありがとうございました。  以上で参考人の方々からの意見の聴取は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  本日は、理事会の合意により、あらかじめ質疑者を定めず、自由に質疑を行うことといたします。多くの委員発言の機会を得られますよう、委員の一回の質疑時間は二分以内とし、答弁を含めてもおおむね五分以内となるようにお願いをいたします。  なお、質疑及び答弁とも御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、質疑のある方は挙手をお願いいたします。
  8. 浅野勝人

    ○浅野勝人君 西山参考人に伺います。  当たる当たらないですけれども、技術専門家の目から見て、PAC3とSM3の組合せによるBMDシステムは、ないよりましですか。二発に一発ぐらい当たりますか。十中八九は撃ち落とせると予測されますか。  それから、参考人の御意見は、アメリカとの共同開発を積極的に進めていくべきものというふうに受け止めましたが、日米間の共同研究はノーズコーン、赤外線シーカー、キネティック弾頭、第二段モーターに、四つの構成品に限定されているのはなぜだとお考えですか。全部一緒にすることについて日本を警戒しているからだと推測されますか。  それから、石川参考人にお尋ねしたいのは、参考人の指摘は、BMDシステムがもたらす一方的確証生存能力は結果として軍拡の要因を増大させるということと理解を、受け取りましたが、日本BMDシステム導入攻撃用の弾道ミサイルを持つわけではありませんので、軍拡の要因にはならないのではないかと考えますが、いかがですか。  それからもう一点は、過日、参議院の本会議で私は、仮に北朝鮮からノドンが飛んできた場合、個別的自衛権を行使して迎撃できるけれども、グアムやハワイに向けてテポドンが発射され、日本の領空を通過する場合は、集団的自衛権は認められていないので一切手出しができない。同盟国のアメリカに向けて飛んでいくミサイルを見上げているだけで済むのかという、それでいいのだろうかと。弾道ミサイル対応を理論的に再構築していく必要を指摘しましたが、小泉総理からは木で鼻くくったような答弁でしたが、これは荒唐無稽な議論でしょうか。  以上です。一分三十秒。
  9. 西山淳一

    参考人西山淳一君) お答えいたします。  まず、当たる当たらないの組合せの話ですけれども、SM3は上層、非常に高い高度のところのものを撃ち落とすことができます。それから、PAC3の方は低層ということで、大気圏内と。この二層構造で迎撃する確率を高くすると、信頼性向上するということで選定されているというふうに認識しています。  二発に一発か、十中八九かという御質問ですけれども、これはかなり高い確率で迎撃することができるという表現ではお答えできますが、定量的なお答えは差し控えさせていただきたいと思います。  それから、日米共同でやっている四つの構成品、これにつきましては、我々の認識としましては、米国は独自に日本技術力を調査して、その中からこういう四つの構成品日本技術を使うことでより良いものになるということで選定してきたのだろうというふうに認識しています。  それから、全体をやることを警戒しているのではないかということに関しましては、米国のこのSM、当時はまだSM3という名前は明確ではなかったと思いますけれども、開発計画がある程度進んでおりましたので、その中に参加するという形で提案してきて、それに日本も参加するということになったというふうに認識しております。  以上です。
  10. 石川卓

    参考人石川卓君) まず、軍拡要因になるのかどうかということですけれども、私が申し上げたことについて確認しておきますけれども、私はこれをやれば軍拡要因になるということを断言することはできないというのが立場でございまして、逆に起こらないということも断言できないという立場でございますけれども、そのときに、攻撃用ではないから軍拡要因にはならないというのはやはり、別に相手の味方をするつもりはまるでないんですけれども、客観的に見たときには、相手の立場からいえばアメリカとの同盟というのがまずあってそのことを、日本ミサイル防衛あるいは日米ミサイル防衛というものを眺めるわけでございますから、そのときにアメリカの持っている攻撃力というものを当然あちらは計算に入れて物事を考えるわけでございます。打撃力という面でいえばもう明らかに日米有利にあることは間違いないわけでございまして、そこに更に防御力を持ち込み、最悪の場合、人質に取れるはずの日本が人質に取れないということになった場合には一方的な脅威にさらされるという感覚を恐らくあちらは持つんだろうというふうに思いますので、その場合にはどうしても対抗措置というのが出てくる可能性というものがあると。ですから、一方で我々日米同盟の重要性というものを訴えていくわけですし、このミサイル防衛を語るときだけ日本単体で物事を言うというのが果たして妥当なことなのかということが、前々から私は考えていることであります。  それから、グアム、ハワイ等へのテポドン発射に関連しての集団自衛権ということですが、半分、かなり技術の絡む問題ですので私は完全にお答えできるか分かりませんけれども、要するに、グアム、ハワイに発射されるミサイルというものがどの程度ミサイルになるかだと思いますけれども、確かに、日本の上あるいは日本が撃ち落とせる範囲の上を通るということは恐らく考えられるわけですけれども、いわゆるブーストフェーズ段階迎撃というもの、ブーストフェーズ迎撃というものが出てこない限りは、恐らく今般導入するシステムで撃墜できる以上の高度を飛んでいくというものではないかというふうに考えられます。  ですので、最後の方で申し上げたことですけれども、今般導入するシステムについて言いますと、それを無理やりブーストフェーズ段階迎撃に使うという想定でもない限りは集団自衛権の問題というのは恐らく出てこないのではないか。だけれども一方では、将来的にはおっしゃったような事態が生じてくる。その場合には、集団自衛権というもの自体についていろいろな見直しと、はっきり言って、ある意味で思想的な、革命的な考え方というものを導入されていくと。つまり、ミサイル防衛というのはある種の普通の自衛権の行使とは違うのだというような考え方も何人かの先生方が表明されたりしておりますけれども、そういったことも含めて考えていくことは必要なんだろうと思いますけれども、最後に言いましたように、今回の法改正に関してはそのことは切り離して考えていい問題なのではないかというふうに考えております。
  11. 浅野勝人

    ○浅野勝人君 ありがとうございました。
  12. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 民主党の榛葉でございます。  西山参考人に一点お伺いしたいと思います。  北朝鮮のノドンでございますが、このCEP、命中精度ですね、これが実際、ノドンの命中精度というのは専門家から見てどれぐらいあるとお考えでしょうか。  そして、石川参考人に一点お伺いしたいのは、自衛隊行動と国会との関係でございます。  御承知のとおり、自衛隊が行動を起こす場合、防衛出動に始まりまして、事前、事後の違いはあるにせよ、常に国会の承認を必要としているというケースが多々ございます。他方、その反対に、海上警備行動であるとか領空侵犯措置、これは国会との関与は全く、報告も承諾も、無論承認も要らないということでございます。  この今回の弾道ミサイルの爆破措置、迎撃措置でございますが、政府はこれを国会への報告で対応しようということでございますが、私たちはこれを少なくとも承諾、報告よりも一段上の承諾にするべきであると。軍事行動ではないにせよ、武力行使でないにせよ、これは国民の目から見ても明らかな武器使用になるわけでございまして、この観点からも、この後の報告ではなくて少なくとも承諾にするべきではないかという提案をさせていただいているんですが、このミサイル防衛と国会とのかかわりについて、この報告のままで本当にいいのだろうかというお考えについて先生の御意見をお伺いしたいと思います。
  13. 西山淳一

    参考人西山淳一君) ノドンの命中精度というのは、弾道弾を撃って地上に落ちるところの範囲ということだというふうに思いますが、これは具体的なデータはございません。ただ、定性的には、ノドンに、ノドンなり弾道ミサイルに積んである慣性センサーそれからロケットモーター、そういうものの誤差の累積で、ねらったところからどのぐらいずれるかということになると思いますけれども、私どもとしましては具体的な数値は把握しておりません。
  14. 石川卓

    参考人石川卓君) 報告か承認かというお話で、その点で若干、国会内で議論がなされているということについては承知しておるわけですけれども、申し訳ありません、法制度上のことで、そこが報告と承諾で果たして実質的に何が違うのかということについていま一つ私自身が、何といいますか、理解できないというところもございまして、先ほども言ったように、原則としては、余りにもこれ現場を縛り過ぎるようなことになる場合というのはやはりどうしても避けなければいけないたぐいの法律であるという気がいたします。  その場合、報告というものが現場に持つ重みと、承諾というものが現場に持つ重みというのが果たしてどれだけ違うのかということが少々私にはちょっと想像の付かない世界ですので、厳密にはどちらというふうには私自身その定見を持ち合わせていないというのがお答えでございますけれども、ということでお答えにさせていただきます。
  15. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 まず、西山参考人にお尋ねいたします。  一つは、BMD構想を進めるに当たりまして、この命中精度を高めるにはやはり日本としても偵察衛星を持ちまして、やっぱり懸念国の発射の兆候をつかむ必要があるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。  もう一つは、共同研究につきまして、四つの構成品ということで、それが日本技術的な優位性のある分野だというふうにお話がございましたが、中でもこの四つの分野の中で特に日本として優れている分野がどこなのかお聞きしたいと思います。  次に、石川参考人にお尋ねいたします。  参考人がおっしゃいましたとおり、このBMDを進めるとともに、日本として軍縮外交を同時に進めていくという必要があると思います。不拡散の、ミサイル拡散枠組み強化をするためにいろんなことをしなければいけないと思いますが、特に我が国が外交的に行うべき事柄が何か先生のお考えであれば教えていただきたいと思います。  以上です。
  16. 西山淳一

    参考人西山淳一君) まず、BMDの命中精度という御質問ですが、まずBM、弾道弾、弾道ミサイルミサイルで迎撃する、この命中精度というのはこのミサイル相互間のことで決まりまして、偵察衛星というのが一日に一度とか二度とか同じ地点を観測すると、こういう衛星システムです。ですから、発射される兆候等を探知することはできるとは思いますが、そのとき、発射する瞬間を見ることは偵察衛星のミッションではありません。発射する瞬間を見付けるのは早期警戒衛星というのが別にありまして、これは今アメリカはそういうシステムを持っている、そういう衛星を持っているんですけれども、これで発射の瞬間を探知いたします。  そういう衛星はありますが、それは命中精度そのものには直接は関係しなくて、命中精度というのは、弾道ミサイルが飛んできて実際に迎撃のミサイルを撃ちます。ここでシーカーという、先ほども言いましたけれども、目を開いて、この目が見付けて、このときにどの程度、どの確率で当たるかということで規定されていまして、ちょっと御質問の趣旨と違うかと思うんですが、偵察衛星はそのままリンクしないというのがお答えでございます。  それから、四つの構成品のうちどれが優れているのかというのは、非常に、我々としましてはどれも日本技術として優れているというふうに思いますので、甲乙付け難いということですが、その中で、研究の進展度合いによって、早いものが採用されていくことを期待しております。
  17. 石川卓

    参考人石川卓君) 軍縮外交の側面でどのようなことをやっていくべきかという御質問と御理解いたしますけれども、まず一つは、かなりやってきているということを一つ評価すべきことだろうというふうに思いますけれども、外務省を始め、相当に様々なことをやっているということだと思います。  それから、アメリカが、特にブッシュ政権が、いわゆる多国間の不拡散枠組みというものに余り信頼を置いていないというようなこともありますけれども、唯一率先して気に入ってやっているのがPSIでありまして、と言ってもいいと思うんですけれども、そのPSIに関しましても日本は様々な、例えば東南アジア諸国に向けて、要するに移転阻止のための一定の教育のようなことを試みたりとか、いろいろかなり、地味ではございますけれども努力をしていると。そういった面で、アメリカが特に力を入れているこの枠組みというもののその有効性、有用性を高めていくというのが、こういった状況において、アメリカのいわゆるユニラテラリズムをある程度抑えるという意味においても非常に重要なことになるというふうに考えます。  それから、一般論になりますけれども、やはりどうしても不拡散というのは供給側のアプローチになりがちなわけですけれども、やはりディマンドサイドのアプローチということから考えましても、地域においてミサイル保有しなければいけないような事情ということについてやはり対処していくということですね。ですから、軍縮そのものではない。逆に言うと紛争予防であったりということになっていくと思いますけれども、そういった活動を特定の地域、中東を含めやっていくことによって、内発的なミサイルに対する、あるいは大量破壊兵器に対する需要というものを低下させていくという間接アプローチになるかと思いますけれども、そういったことがますます重要になっていると。そうしたところで日本が果たすべき役割というのは、少々抽象的ではありますけれども、非常に大きくなっていると言えるのではないかという気がいたします。
  18. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 日本共産党の緒方靖夫です。  両参考人にお伺いしたいんですけど、アメリカとの関係なんですけれども、これは研究開発も、それから指揮統制も訓練も、それから情報の共有も、やはりアメリカとの関係抜きにして語れない話だと思うんですけれども、その点で、そのアメリカの比重ですね、この関係での、それについてお伺いしたい。  それから、西山参考人に、非常に具体的にお伺いしますけれども、PAC3の迎撃範囲は限られているわけですけれども、それでも撃ち落とした場合、地上の住民に対する被害、これが実際どういうことが想定されるのか、それが一点。それから、民間飛行機が飛来している下でPAC3による迎撃を行った場合に、それがこの民間航空機に被害をもたらす可能性について、非常に具体的な話ですけどもお伺いいたします。  それから、最後に石川参考人にお伺いしたいんですけれども、結局、盾と矛の関係で、盾を強めれば矛を鋭くするという、もうそういう関係になってくると思うんですよね。そうすると結局、この問題というのは、やはり国際政治、外交という広い視野で考えたときに、それをどう処理するのかと。つまり、ロシア、中国との関係を悪化させる、あるいはヨーロッパ諸国との懸念強めていく、そういう問題と、それと、あとこれが一〇〇%完成し切れないという、そういうジレンマを持っている以上、結局、費用対効果ということを考えたとき、莫大な費用が掛かるだろうと。そうすると結局、政治と外交に依存していくということがかなりの現実的な問題になっていくと思うんですけども、その関係についてお伺いしたいと思います。  以上です。
  19. 西山淳一

    参考人西山淳一君) 米国との関係ということですが、我々といたしましては、共同研究、共同開発というところで一緒にやっていけば最先端の技術日本も参加できるということで、重要であろうというふうに思っております。ただ、運用面等につきましては、これは企業として何か意見を言うことではないというふうに思っておりますので、御了承願いたいと思います。  それから、PAC3で迎撃したときに地上への影響ということでございますけれども、これは幾つか想定が考えられまして、迎撃しない場合にはその弾道弾が地上に落ちてきて非常に大きな被害をもたらすと。で、迎撃したときには破片が落ちてくるということで、破片による影響は出てきます。ただ、ですから、破片による小規模な被害が起こる可能性はあります。それは落ちるところによります。ただ、あくまでも弾道弾の弾頭そのものが落ちてくるのに対して、非常に被害は極小化されるというふうに認識しております。  それから、民間航空機との影響ということでございますが、まず運用上、こういうミサイルを撃つときに民間航空機が飛んでいるのか飛んでいないのかというのは、これは運用の話でございまして、まず運用面でどういうふうに考えるかということで、技術的な話ではまず一つはないということだと思います。  それから、ミサイルシステム、これは一般論でありますが、敵味方識別装置とか、あるいはねらったものに対して当てていくというような、そういう形でなっていますので、技術的には選別して誘導してやるという、そういうような方式を取っております。  以上です。
  20. 石川卓

    参考人石川卓君) アメリカの比重がどのくらいかということなんですけど、ちょっと、もしかしたらお答えになっていないかもしれませんけれども、よくそのミサイル防衛に関してアメリカの戦略に日本がますます組み込まれる云々という話が出てくるわけですけれども、確かにアメリカの戦略と日本とがある意味で一体化して、日本安全保障のためにある抑止効果を高めようということだと思いますので、それをどのように呼ぶかということはいろいろあるかと思うんですけれども、私は常日ごろから言っているのは、組み込まれることの何がいけないんだということでございます。組み込まれてはいけない部分というのも確かにあるとは思いますけれども、同盟国として、よりその抑止効果を高めるために、それが日本安全保障につながるということであるとすれば、よりアメリカの戦略と一体化した形で動けるようになっていくということ自体がそれほどマイナスかどうかということですね。言葉は確かに悪い言葉かもしれません、従属とかいろいろなイメージの悪い言葉が使われますけれども、目的は日本安全保障を高めるということでございますので、そのための手段としてそれが有効であるという場合には、それが永続的になったりとか、ある不要な、ある意味で拘束になるといったことは慎重に避けていかなければならないとは思いますけれども、決して言葉がイメージさせるほどのマイナスだけではないというふうに私自身は考えております。  これは日本に限らずあらゆる国に関してそうで、今日のお話でも申しましたように、割とアメリカの警察行動的な武力行使、あるいはその武力行使能力と意思というものに国際社会が広く依存している、いろいろ文句を言いながらも実は依存をしているという部分は、これは否定できないわけで、我々は今そういう非常に危険な安全保障環境に置かれているという以上、そういう、まあ、ある意味では怖い存在ではありますけれども、アメリカとより一体化した形で動けるようになっていくという選択は決して、何といいますか、賢明ではないということではないという気がいたします。  それから、盾矛の関係、政治、外交への依存というものがその費用対効果面でどうかということでございますけれども、それはもう確かに、私の話の中でもありましたように、とにかくこれをやればすべて解決するというわけではなくて、非常に様々なことをやっていかなければいけないと、やらなくてもいろいろやっていかなきゃいけないわけですけれども。  それこそ、先ほどの軍縮外交のお話もありましたけれども、特に、本当にこのミサイル防衛というものを配備して東アジアの戦略環境というものを良くしていくんだという、あるいは良くしていけるんだという議論がありますけれども、そうだとすれば、話の中でも若干簡単に触れましたけれども、北朝鮮あるいは中国というものを相手に非常に難しい交渉というものをしていかなければいけないということで、やはりその政治、外交の部分というものがなければ、これをやったところですべて丸く収まるという問題ではないということは確かだと思います。  しかしながら、そこで、ここは考えがいろいろ分かれるところだと思いますけれども、やはりその際に、丸腰でという言い方がいいのかどうか分かりませんけれども、いくのかということですね。お話ししましょうといってお話ししてくれる相手かどうかということですね、まともに取り合ってくれるかどうかという。特に二国間あるいは三国間、あるいはほかの国を含めてでということにもなるかもしれませんけれども、相手の持っている兵器を減らす、あるいはなくすという交渉を行うときに、こっちは持っていないんだからなくしてくれよということをただ言ったところで通じる相手かどうかということはどうしても考えざるを得ない、そういう厳しい現実であると。だとすれば、政治、外交に依存する度合いが高いというのは間違いないと思いますけれども、そのためには一定の投資というものを行わざるを得ないということもあるかというふうに思います。  その意味で、その投資としてこのミサイル防衛というのが高過ぎるのかどうかというのは非常に難しい判断だと思いますけれども、しかしながら、当たる当たらないという問題ありますけれども、これ単体でもそれなりに効用というものは望めるわけでございますし、先ほども言ったように、将来的にその活用の仕方によって様々な効用を生み出していくことはできるということはありますので、一方で、それに伴って生じ得るリスクを政治、外交によって極小化しながらその効用を最大化していくという方向で考えるのが一番、最終的には費用対効果という面で一番得、得というか効果を取れるのではないかというように考えております。
  21. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 ありがとうございました。
  22. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 社民党の大田でございます。  まず、西山参考人にお願いいたします。  弾道ミサイル防衛についての日米共同技術研究費は日本側だけでも一九九九年から二〇〇五年度予算まで累積にしまして二百六十二億円掛かっているわけですが、共同開発に移行した場合、開発費と完成品の配備までの費用は、おおよそで結構ですけれども、大体どれぐらいになると見積もっておられますか。そして、そのうち日本側の負担はどれくらいになるというふうになるのか教えていただきたいと思います。  それから、石川参考人一つお願いいたしますが、今年の二月の下旬、カナダのマーティン首相は、米国から打診されていたミサイル防衛構想に対して参加を断念する方針を明らかにしました。それは、国際的な軍拡競争への参加につながると懸念する国内世論を受けてのことであると報じられています。先ほどのお話で、軍拡競争へなるのかどうかというのはまあ必ずしもはっきり言えないという趣旨のお話だったと思いますが、我が国防衛庁は、弾道ミサイル防衛、専ら専守防衛であると説明しているんですけれども、国際的に見て弾道ミサイル防衛が純粋に防衛的であると言えるのかどうか、お考えをお聞かせください。
  23. 西山淳一

    参考人西山淳一君) 日米共同研究、共同開発と、あるいは配備ということでございますけれども、これにつきましては、まず、共同開発で何を開発するのか、どこまで開発するのか。何をというのは、ミサイルそのものがあります。それから、レーダーがあります。それと、指揮統制装置とかですね。要は、BMDのシステムとしてどこまでを日米で一緒にやるんですかということがまず決める必要があります。それから、配備の方はもっと日本全体の話ですから、どのぐらいの数をミサイルでやれば何発という、そういう条件が決まらないとなかなか見積りができないというものでございます。  それから、もう一度共同開発の方に戻りますけれども、例えば、ミサイルを一緒にやりましょうと。今、日米では四構成品でやっているわけですけれども、四構成品だけでしょうか、もっと増やしましょうか、あるいは、そのときに日米の役割というか責任範囲をどちらがどれだけ持つかと、こういうことが決まらないと見積りができないということでございまして、今まで使ったお金にプラス開発費が掛かるということになるとは思いますけれども、まずは、見積りをする方、コスト見積りをする方からいいますと、条件をまず明確にする必要があります。それを日本政府あるいは日米間で決めていただければ、今度ちょっと企業の立場になってしまうんですが、企業としてはそれをベースに見積りを差し上げるということで、一概に簡単にこのぐらいですというのはちょっと言い難いということでございます。
  24. 石川卓

    参考人石川卓君) 純粋に防衛的か否かということでカナダの例をお出しいただきましたけれども、一つ先に言っておきたいのは、そのカナダの場合はやはり置かれている戦略環境というものが随分違うということは一つあるのだろうというふうに思います。むしろ、米ソ間の核戦略の正に真っただ中に挟まれてきたという経験もございます。で、カナダの危惧しているのは、米ロ関係の悪化にそれがつながらないかということ、その被害、被害といいますか、緊張関係をある意味で強いられるということを避けてのことという、ある種特殊な状況というのがあるのかなという気がいたします。  それから、ミサイル防衛が純粋に防衛的か否かということですけれども、これは先ほども若干申し上げたわけですけれども、それは単体だけを取れば、それはこれどう考えたって攻撃には使えないと言ってもいいわけですから純粋に防衛兵器であるということは言えるのだろうというふうに思いますけれども、日米同盟というものがある中で日本がこれを配備していくといったときには、その相手から見れば、それはアメリカ日本の矛ですね、攻撃力というものと組み合わせて当然とらえるということになるということは、これはどんなに頑張っても否定できないと思いますので、そういう意味では、先ほども申し上げましたけれども、純粋に防衛兵器であるからどうこうという議論だけで、何というんですかね、乗り切ろうというのは、やっぱりそもそも、先ほど言った政治、外交努力がいろいろな意味で必要といったところを放棄していることにもなりかねないということですね。それはそれで認めた上で、だけれども、こういう効用があるんだということをきちっと説明し、相手方にも納得してもらいながら進めていかないと、それこそ論者のおっしゃるように妙に刺激してしまうことになるかもしれないということだろうと思います。
  25. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 ありがとうございました。
  26. 白眞勲

    ○白眞勲君 民主党・新緑風会の白眞勲でございます。  まず、西山参考人にお聞きしたいと思うんですけれども、先ほど早期警戒衛星からの情報につきましてお話がありましたけれども、衛星がなくてもこのBMDシステムというのは作動するのかどうかというのと、作動しても実際に撃ち落とすまでに相当な、いわゆる衛星ですと本当に発射段階から見れるわけですから、まあ私も素人目に見ると、その分、時間的な余裕がなくなってくるという部分において、実際問題どの程度この早期警戒衛星の重要性というものが図られるのか、一点ちょっとお聞きしたいと思うんです。  それともう一つは、いわゆるシステムのバグの問題ですね、いわゆるそれからの誤射の可能性について、なかなかメーカーさんからは言いにくい部分があるかとは思いますけれども、正直におっしゃっていただけたらすごくうれしいなと思っております。  それともう一つ、複数のミサイル発射の場合に、例えば一気に発射する場合、それから時間を置いて発射する場合のその対応ですね、金掛ければもちろんできますよと言うこともできると思うんですけれども、実際に今のシステムではどの程度それに対する有効性があるのかというのがお聞きしたいところです。  それから、石川参考人にお聞きしたいのは、先ほどブースト段階等においてのこれからの技術開発においては今の法体系のより見直しも必要であるようなお話をされていましたけれども、それは大体いつごろに見直しをしたらいいんだろうかとか、あるいは実際に見直しというものをすぐにでもできるような体制にした方がいいのかどうかについて御意見をお聞きしたいと思います。  以上です。
  27. 西山淳一

    参考人西山淳一君) まず、早期警戒衛星の件ですが、まず早期警戒衛星がなくてもBMDは機能するかということに関しましては、早期警戒衛星なしでも機能いたします。  これは、早期探知のレーダー、あるいは自分自身の持っているレーダーで探知して、それでミサイル発射して誘導していくということで、システムとしては単独で成立しているものです。ただ、早期警戒衛星があれば、早めに情報を得られるので、それを撃つタイミングがもう少し早くなるということです。  つまり、弾道弾を発射するとき、早期警戒衛星は上から見ていますので、発射する、ロケットモーターに、弾道弾のロケットモーターに点火した途端に赤外線が見えますので発射したことが分かります。こちら側、日本から見ていますと地上は、地球は丸いですから、水平線の下なので最初は見えないと。水平線を越えてきてから見えるようになるわけですから、ここの部分の時間だけ早めに探知できると。ただ、ロケットモーターが燃えているときにはまだどちらに行くか分かりませんので、燃えて、燃え尽きたときから初めて、どちらに来る、日本に来るのか違うところへ行くのかというのが分かるということで、この辺の時間関係は分のオーダーのところで多少改善されるというふうに思います。  ですから、あった方がいいことは確かなんですが、ないからといってシステムが成立しないということではありません。  それから、システムのソフトウエアのバグについては、これは非常にお答えしにくいというか、難しい御質問でございまして、やはりソフトウエアにはいろんな形でバグが付き物だと、それが致命的であるかどうかということだと思いますが、これについては、発射試験なりあるいは地上のシミュレーションで何度もいろんなケースをやりまして、極力つぶしていくというのが一般的な手法です。この今導入するシステムについてどうかということはお答えできないんですが、一般にはシミュレーション、それから発射試験等で何度も何度もいろんなケースをやって、運用上不具合のないところまでバグをつぶしていくというのが開発手法でございます。  それから、同時に何発も撃てるかという話につきまして、まず発射ですが、発射の仕方につきましては、単射といいまして、一発撃つと。ターゲットが飛んできたら一発撃つというのが単射といいます。それから、サルボといいまして、二発同時に撃つ。同時といってもほんのちょっとずれているんですが、こういうように撃つのがサルボと、二発同時。それから、リップルといって、ちょっと撃って、その間ある時間を空けて撃つというような、何種類かの発射の方法があります。これは、一般的な発射のやり方です。こういうような機能。  それから、SM3、イージス艦に搭載するSM3なりペトリオットのPAC3なり、空中に同時に飛んでいられるミサイルの数というのは決まっています。これは数値的にはちょっとお答えできないんですけれども、空中に飛んでいる数は一発ではなく複数同時に飛んでいることができるというのがこの種のシステムの特徴になっております。
  28. 白眞勲

    ○白眞勲君 相手のミサイルが複数発射の場合の対処の仕方。
  29. 西山淳一

    参考人西山淳一君) 相手の、何発か飛んでくるとこちらは、こちらに一発なり二発なり、それからこちらにまた何発なりということで、地上側の、迎撃する側のミサイルの空中に飛んでいる制限はありますけれども、同時に対処は可能です。
  30. 石川卓

    参考人石川卓君) ブースト段階迎撃に関してということですけれども、今のお話と若干関連するわけですけれども、やはりミッドコース段階、ミッドコースあるいはターミナル段階での迎撃というものはどうしてもその限界が出てこざるを得ないだろうというふうに私自身は思っております。  ブースト段階迎撃という方が、もし技術ができるのであれば、より確率の高いあるいは迎撃が恐らく可能になるんだろうということをひとつ考えているわけです。特に日本の場合、PAC3でノドンという千三百程度射程を持つミサイルを、撃ち漏らしを撃つということでございますけれども、非常に防衛範囲の限られたシステムでございます。そもそもはスカッドという三百から六百キロ射程ミサイルというものを対象につくられてきたものでございまして、これは相当広く広範に配備しないと到底、幾ら撃ち漏らしとはいっても、速度の速いノドンにどこまで対応できるかということはどうしても私自身かなり気に掛かっていることであります。  そうだとすると、やはりブースト段階迎撃に、ある意味で技術開発面においても力を入れていくというのがひとつ日本としては重要なことなのではないかというように考えるわけでございますけれども、その際、その法体制の見直しというものが当然必要になると申しましたのは、現行の改正案というのが領土及び公海上というところに限られておりますので、だとするとブースト段階迎撃というのは場合によってはできないということになりますので、そこから必然的にブースト段階迎撃のシステムというものが出てくれば、その部分については見直さなければいけなくなるだろうということを申し上げたわけです。  それに絡めて、どうしてもそうなってくると、私、本当にこの議論が法律家としては致し方ないことだというふうに理解はするんですけれども、どっちに飛んでいく云々という、それを撃ち落としていいのか云々という議論は、政治学者の目から見ると非常に、もう少しほかにやることがあるだろうという感じもいたすわけですけれども、どうしてもそれは集団的自衛権の話に絡んでこざるを得ないんだろうというふうに思いますけれども、それを今から議論をしておくことはもちろん必要であるとは思いますけれども、法体制の見直しについてどのぐらいの時期を見越して、今からなのか何年後からなのかというのは、やはりちょっと難しいところだと思うんですけれども、私、特に今すぐにどうこうという必要はないのであろうと、今の法改正とはやはり切り離して考えて構わないのではないかというふうに考えております。  ブースト段階の技術というのは果たしていつできるのかというのは技術的な問題でございまして、私は確答できないわけでございますけれども、昔は二〇一〇年か一二年ごろと言われていたわけですけれども、ミサイル防衛はすべて後ろ倒しになってきていますので、どのぐらいになるかどうかも分からない。一方で、ブースト段階用の技術でなくても、先ほども少しちらっと申し上げましたけれども、本来はミッドコース用のシステムをブースト段階に無理に使うと、無理なのかどうかも私はちょっと完全には分からないんですけれども、日本配備するような、あるいは共同研究しているようなシステムですね、一段階ベースアップしたものをそういった形で使うということも考えられるのかもしれないということですので、どういったシステムの使い方をするのか、ブースト段階迎撃を可能なシステム、それ用でなくてもというのがいつ出てくるかということ、それがかなり現実的な段階になったところでやればいいのではないかというふうに実は考えております。  と申しますのは、理由はただ一つでございまして、集団的自衛権の問題は、どちらにしても恐らくこの四、五年の間に何かしら憲法の問題との絡みにおいても進んでいくでしょうということがありますので、その中でこの問題については当然のことながら考慮されながら議論されていくということではないかというように思っておりますので、今この段階でその方向性を規定するようなことというのは、どちらの立場からしても若干危険があるのかなという気がいたしております。  以上です。
  31. 澤雄二

    ○澤雄二君 西山参考人にお尋ねをします。  今、石川参考人が言われたことともちょっと関連をしますけれども、弾道ミサイルのバーンアウト速度で、射程千三百キロのものについては三キロメートル・パーセカンドというようなお話をしてくださいましたけれども、この攻撃用の弾道ミサイルとそれからこれを迎撃するミサイルのそのスピードというのはほぼ完璧に正対する、比例するものなのか。例えば、千三百キロの射程ミサイルを撃ち落とすためには迎撃ミサイルスピードもそれぐらい必要なのかということが一つと。  それから、来年度から始まろうとしている日米の共同開発の中で、ロケットの推進力を上げるというのがございますね。これ、迎撃の範囲を、防御範囲を広げるために上げるんだと。一説に言われているのは、そのスピードが上がってくると、このバーンアウトスピードでいうと要するに三千五百キロというようなミサイルで、場合によったら五千キロ、一万キロ近いような長距離も撃ち落とす能力がそこで開発ができるんだというような話もあります。今、どれぐらいのことを考えておられるのかということですね。  それから、それだけの能力を持ったときに、今、武器輸出三原則の例外規定になっていますけれども、これと抵触するところはないのかということであります。  それから、石川参考人にお尋ねをしたいのは、軍拡の話でございますが、先ほど言われたように、日本アメリカ能力が格段に高いということを考えるとそんなに軍拡は起きないんじゃないかという話で、ああそうかなというふうに思います。北朝鮮がマーブとかクルージングを本当に開発するかなというようなこともあります。ただ、中国についてはちょっと分かりませんけれども。  ただ、そういう本格的な軍拡が起きなくても、例えばさっきから話題になっていますけれども、早期警戒情報を得るために静止衛星日本も欲しいなとか、それからデータリンクを充実させるためにCECというんですか、これを整備したいなというようなこととか、それからPAC3の数をもっと増やしたいなという、本格的な軍拡じゃなくてもかなり予算的に膨大に膨れ上がりそうな感じもしないんですが、その辺のお考えについて聞かせていただけますか。
  32. 西山淳一

    参考人西山淳一君) まず、弾道弾のバーンアウト速度とそれから迎撃側ミサイルスピードの、速度の話なんだと思いますが、これにつきましては、弾道弾側は距離によってほとんど一義的に決まりますので一般的に分かっているわけですが、この迎撃側のスピードPAC3なりSM3なりの数値については、公表値としては今出ておりません。ただ、弾道弾よりは遅いですということは申し上げていいかと思います。  これはアナロジーとしてちょっとこんなふうに思っているんですが、弾道ミサイルを撃ちます、あるいは野球のボールをこうやったときに、バッターは野球のボール、剛速球の百四十キロとかというボールを打つのにバッターのスピードが百四十キロ要りますかと。要らないんですね。例えばバントを考えると、バントのバットはただ出すだけで、こう振らなくていいわけです。  ということは、落ちてくるところにいる人はスピードが遅くても当てられる可能性があるということなんです。ですから、こっちが速ければこっちも同じスピードでないと当てられませんよということではなくて、スピードは速いのに対しても、こちらは遅くてもあるいは止まっていても、上下さえ合わせてやれば当たるわけですね。だけれども、実際には空飛ばせますので、飛んでいないと当てられないんですが、そういうふうにこの弾道弾のスピードと迎撃側のスピードが比例するとか、そういう数値的な関係は直接はありません。ただ止まってれば、止まっていても当てるわけにはいきませんので、ある程度スピードが必要です。  それから、次の改良で迎撃側のミサイルスピードを上げてやると、これは守る範囲が広がります。というのは、こう飛んできて、落ちるところが自分のところではなく例えばずっと手前の方だと、前方だというときに、これが届くまでの間に落ちるかというスピードの勝負になりますから、速ければ速いほど遠くまで当てられると。つまり、広い範囲を守れるということで、守る方もスピードが速い方がいいということで、その弾道弾のスピードと守る方の迎撃ミサイルスピードは、結果的には守る範囲という形では関係しますけれども、スピードが速い方が、速くなければ駄目だとか、そういう比例関係にはないです。  それから、能力向上すると三原則に抵触するのではないかという御質問ですが、これは性能、能力の話と武器輸出三原則の話は別だと思いますので、そのでき上がったものを輸出できるのかできないのかというのは能力の話とは別ではないかなと私どもは思っておりますが、個人的には思っていますけれども、これは企業として判断する話ではないというふうに思います。  以上です。
  33. 石川卓

    参考人石川卓君) 最後の点に関して若干申し上げますと、むしろ、どちらかというと戦域ミサイル拡散というのが著しいわけですから、それほど高性能のものでないミサイル防衛の需要というのが実は今現在でいえば高いわけですね。ですから、そういう意味では、今回日本導入するものは完全にアメリカのものですけれども、仮に、今度日本が共同開発にかかわるようなものというものの需要が地中海地域とか中東地域等で出てきた場合ということは確かに考えられるのかという気がいたします。ですから、西山参考人もおっしゃったように、能力そのものが伸びていくからそう武器輸出三原則の問題に引っ掛かるということではなくて、それはもういつでも引っ掛かる可能性というのは出てくるということで、昨年の大綱のときの発表というものがあったんだろうというふうに理解しております。  本格的な軍拡は起きにくいのだが、様々な費用が掛かるのではないかというのはおっしゃるとおりだろうというふうに思います。ですから、不完全だ不完全だということを言えば、当然量を増やせとおっしゃる方が出てくるであろうと。  PAC3、三高射隊に配備ということですけれども、当然これでは先ほども言ったように完全には守り切れないということだろうと思いますので、もし本当にやろうと思えば量を増やしていかざるを得ないのかなという気もしますし、その他、情報面、システム面においての相当な投資というものが必要になるということは、これは否定できないだろうというふうに思いますけれども。迎撃体そのものを除けばそれ以外の目的にもいろいろな形でかなったものですし、バッジシステム云々なんというものはこの問題が出てくる前から早く改善しなきゃいけないと言われていたぐらいのものですし、そういう意味では、何というのですかね、安全保障政策、防衛政策そのものが、日本だけではなく、ある意味でグローバルな形で情報化、ハイテク化が進んでいるという中では、ミサイル防衛だけの問題ではなく必要な投資であるという側面も十分にあるので、そこだけ引き出してミサイル防衛のためにこれだけ掛かってしまうではないかというのは、よく見てみるとそうじゃないということがいろいろ言えるのではないかという気がします。
  34. 岡田直樹

    ○岡田直樹君 自由民主党の岡田直樹と申します。  先ほど浅野委員や白委員もお尋ねになりましたけれども、日本の上空又はその周辺を通過して第三国に向かうミサイルを迎撃することには集団的自衛権の問題を生ずると、そういうふうに言われるわけでありますけれども、私は、そもそもこれは集団的自衛権の問題なのかなということを疑問に思うわけであります。特に、大量破壊兵器を積んで飛んでくるミサイルというものは、それはだれが撃ったか問いません。北朝鮮のような国家が撃ったとすればなおさらだと思いますけれども、これは人類にとって、あるいは国際社会にとって共通の危険物とでもいうべきものであって、これを除去するということはむしろ警察権というか、警察活動の範疇に属するものではないかなというふうに思うわけであります。  むしろ日本の上空とかあるいは周辺を通過するものを、その能力がありながら、現段階では困難かもしれませんけれども、将来その能力を持ちながら見過ごすということがあって、それで大変な甚大な人的な犠牲が生ずると、そういうときにはむしろ撃たないことが人道上の批判を招くという、こういうおそれすらあるんじゃないかと、私はそういう問題だととらえておりますが、石川参考人のお考えをまず承りたいと思います。  それともう一つ西山参考人に、政府はこうした第三国に向かうものについて、撃つことはできないけれども、そのミサイルの情報を例えば米軍に伝えることは可能であるといったような答弁をしておると思いますが、技術的に短時間に有効なそうした情報というものを同盟国に伝えるということは可能かどうか、その点についてお伺いしたいと思います。
  35. 石川卓

    参考人石川卓君) 集団的自衛権の問題ですけれども、私個人は全く今のおっしゃったとおりに考えておりまして、もし通過するものを撃てる能力があるのに撃墜しなかったということになれば、非人道的行為にもなるでしょうし、同時に、それが仮にアメリカにというか、アメリカの所管領域に落ちるようなことがあった場合には、これはもう日米同盟そのものの危機と言ってもいいような状況になるだろうというように考えておりますので、もしそういう能力というものがシステムに備わってくるのであれば、これは集団自衛権にかかわるから方向を見定めて撃つとか、あるいは日本に落ちてくるものではないから見過ごすといったようなことのないやっぱり法制度というのをきちっとつくっていただかざるを得ないと。  そのためには、確かにおっしゃるように、これを、集団的自衛権の問題に当たらないという解釈をすることも可能なのでしょうし、ある種の例外とするということも可能なのかもしれません。その辺は御専門家の御議論にお任せしたいと思いますけれども、とにかく、能力があるのに撃ち落とさず他国に被害を出すということは、相手が、他国がどこであっても、やはりもう国際社会の一員としてあってはならないことであるということは、これはもう認めざるを得ないと思います。
  36. 西山淳一

    参考人西山淳一君) 日本が早期に探知した弾道ミサイルの情報を米軍なりに提供できるかということですが、データのネットワーク回線をしかるべくつないでおけば、即時に提供することは可能だと思います。現在は通信技術が発達しておりますので、いろいろな回線でそういうことが提供可能だと技術的には思っております。  ただ、もちろんこれは運用上の問題がありますので、それは技術論とは別のところで決定されるべきことだというふうに思っております。
  37. 岡田直樹

    ○岡田直樹君 ありがとうございます。
  38. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 民主党の犬塚でございます。  西山参考人にまずお伺いします。  先ほど来、野球の例で大変分かりやすく御説明いただいておると思うんですが、バッターには目があると。同じようにボールにも目があると考えてもいいと思うんですね。そうしますと、このミサイル防衛というのは、結局、目と目の争い、端的に言うと情報の争いではないかと私は思っておるんですが。  そこで、質問なんですけど、例えば日米の共同開発をするときに、これから、その目という意味からいくと、赤外線シーカーだとかミサイルに搭載しているチップだとか、あるいはもっと大事なのは、今議論をしているのが自衛隊の統合運用あるいは日米の統合運用、こういう、このすべてが一体となって防衛の目となるという理解だと思うんですけれどもね。そうした際に、一体日本は、例えばイージス艦の開発、自分ではできないわけですね。あるいは、物すごい勢いで技術が進歩していったときに、自分ではメンテナンスできない部分もあるわけですね。取り替えることもできない部分があるわけですね。  私は、そのブラックボックスがいかに多いかというところが日本防衛にとっては致命的な穴になると思うんですが、今現状で、例えばイージス艦だったらどこにブラックボックスがあるのか、教えていただければと思います。  石川参考人にお尋ねします。  先ほど来、ちょっと御趣旨がよく分からないんですが、日米日本アメリカに組み込まれていくのに、どこが悪いんだというような発言をされたんですけれども、そういう言い方もあると思うんですが、私はやっぱり、そのデカップリングの問題というのは、これは必ず出てくると思うんですね。例えば、先ほど来、相互確証破壊から拒否的抑止になっていったというお話がある。その中で、例えば中国ですね、中国は元々最小限抑止世界にいるわけで、どれだけミサイルが落ちてきても、どっかに隠し持った最後の一発でニューヨークを火の海にするぞと、これが最小限抑止であったわけですよね。  そういう、例えば中国を考えてみると、台湾海峡に有事があったときに、台湾を取るのか、それとも沖縄、東京を取るのかと言われたときどうするのか。あるいは、アメリカにとってみれば、台湾を取るのか、ニューヨークを取るのかと言われれば、これはもう絶対に自国の防衛することは間違いないですね。そういうことを考えると、日本がこの東アジアにおいて人質になってしまう、米ソの冷戦のときの言わばヨーロッパみたいな立場にこれはならざるを得ないと思うんです。  そこで質問なんですけど、共同開発の私は方向性が問題だと思うんです。今のまんま一体どこにブラックボックスがあるのか分からぬ、日本がどうしてもアメリカの下に入って開発を進めていくということだと、いつまでたってもアメリカとはけんかはできません。いや、けんかしろと言っているんじゃないんですけど、その力のない限りは外交にも、友好にできないと。  やっぱりこれから日本が考えるべきは、物理的な抑止から情報抑止だと思うんですね。情報抑止ということは、攻撃能力さえ持った情報抑止というのをこれから考える時代だと思うんですけど、その辺についての御意見をお願いします。
  39. 西山淳一

    参考人西山淳一君) 先ほど野球のボールの例で幾つか御説明したんですが、弾道弾はどちらかというとストレートボールでございまして、それに対してバットを当ててやると。将来的にはだんだん変化球が出てきて、それに対して当ててやるのは、更にこちらの目を良くする、あるいは体の動きを良くすると、それはミサイルの運動性能ということなんですが、そういうことで当てる確率を高めていく、信頼度を上げていくと、こういうことだと思います。  それから、御質問の目ということは、私の御説明した目はミサイルの目だったんですが、防衛の目ということで、統合運用等に関しましては、これはちょっと視点が私の技術論とは離れていると思いますので、御回答、ちょっとできないんですが。  イージス艦でブラックボックスがあるのではないかと、その範囲はどうかということですが、これについても具体的にはちょっとお答えしかねます。  ただ、私が個人的に思っておりますのは、例えば、共同研究とか共同開発をやっていくとブラックボックスの部分がなくなっていくでしょうと。よって、日米間の、日米間というか、先端技術に参加したり、日本に対するリリースの範囲が増えてくるのではないかということで、ただ、一方的な導入ではなく、共同開発共同研究、これを進めていくのが良い方向だというふうに信じているところです。
  40. 石川卓

    参考人石川卓君) 済みません。あいまいな言葉を使っておりますけれども、日本が組み込まれるというのは、それはもちろん組み込まれ方次第でございまして、先ほども言ったように、アメリカの戦略はこうこうこういう形でこういう点を重視して進んできていると。それに今、日本日米同盟の枠内で、アメリカとのこれまで余りなかった軍事的な協力の度合いというものを高めながら、その協力体制を強化していくことということは決して悪いことではないと。それを組み込みとか従属と言う人たちがいるという感じで申し上げたわけです。  デカップリングの不安については全くごもっともな御指摘でございまして、西ヨーロッパと違い、日本通常戦力優位というものがございましたので、東アジアにおいてはですね、それによってデカップリングの不安というものは無縁で来られたわけです。それが冷戦後になってくるとちょっと大きく変わり始めたと。これは脅威が変わったためでございますけれども、そうであるとすると、ますます日米同盟の同盟としての抑止効果を高めるという、で、ある程度アメリカに、言葉は悪いですけれども、デカップルされないように日本側もいろいろな努力をしていかざるを得ないということですね。ですから、それが日本安全保障にかなうのであれば、それを組み込みと言うのであれば、それはそれで悪いことではないというようなことを申し上げたわけです。  ただ、一方では、そのデカップルが起こるという場合も恐らくあって、そのことを想定されているんだと思いますけれども、ですから、その組み込まれていくという、余りこの言葉を使わない方がいいんですけれども、中でですね、やはりそれは日本が単体で動けないというようなことにしてはいけないということではあるとはいうふうに思います。  それから、共同開発の方向性で非常に興味深いお話がありました。物理的な抑止から情報力による抑止というのは、これは全体的な趨勢としては恐らくそうなっていくんでしょうし、してきている部分もあるとは思いますけれども、ただ、一方で、それでも駄目な場合というのは、いまだにアナログな物理的な抑止というのが意味を持つ場合というのがあって、グローバルな観点からすると、おっしゃっているとおりの方向にトレンドとしては流れているし、その方向で考えていかなければいけないと思いますけれども、東アジアというのは若干そのトレンドに乗り遅れている部分もあるということを常に想定していかないといけないという気がいたしております。
  41. 山谷えり子

    山谷えり子君 自由民主党、山谷えり子でございます。  西山参考人にお伺いしたいと思います。  ヨーロッパなどではMDの限界があるとか、あるいはまた、カナダやオーストラリアは、レーザー兵器等、新たな防衛システム開発を目指すべきというようなことを議論しておりますし、また、中国がペンタゴンの分析では軍事衛星破壊する能力を二〇〇九年ごろには持ってしまうのではないかということで、アメリカは、それに向けて、それをさせまいというような開発も始まっているというような状況の中で、この先五年くらい、防衛システム技術課題や競争がどのような形で展開されていくとお考えになられるか、お教えください。  それから、予算配分についてなんですが、八千億円から一兆円というような形でMDシステムに予算が使われるだろうと言われておりますけれども、これ、SM3とPAC3のそれぞれの予算配分はどのようであったら望ましいのかということが、もしおっしゃれるならばお教えいただきたいと思います。  それから、今どんな弾頭が積まれているかというのは分からないんですが、そのうち分かるようになるのか、生物兵器が飛んでくるのか化学兵器が飛んでくるのかというようなことが何年先ぐらいになったら分かるようになるのかならないのかということをお教えいただきたいと思います。  また、石川参考人は九〇年代前半にもアメリカにいらしたということで、アメリカのマスコミや政治の、何ていうか、こうした軍事関係の議論のコツというものをきっと肌で感じてこられたと思うんですが、最近、保守系のアメリカのマスコミが、日米安保も普通の関係になるというような、かなり踏み込んだ議論を展開しているわけでございますが、それを受けての日本側がどうしてもマスコミあるいは政治の場でなかなか踏み込んだ議論にならないという日米の、何か文化体質というか、お互いが同じようなポイントで議論を深めていくことができるようになるために何かコツのようなもの、知恵のようなもの、切り口のようなものがあればお教えいただきたいと思います。
  42. 西山淳一

    参考人西山淳一君) お答えします。  まず、技術トレンドの今後五年ぐらいはどうかということだと思いますけれども、非常に難しい御質問でございまして、なかなか将来を予測するのは難しいのですが、当面は、今BMDというか、ミサイル防衛世界であればミサイルによって迎撃するシステムの方向、すなわち物体をぶつけて相手を破壊するという方向がまず当面は進むと思います。今やっているようなSM3等のミサイルです。  将来的にはやはりビーム兵器ということでレーザー等が出てくると思いますけれども、これはもっと遠い将来という形になると思いますし、この辺のところはなかなか予測し難いところだというふうに思っております。  それから、予算配分につきましては、これは配備計画とどのように日本を守ったらいいのかということと絡みまして、企業の方からちょっとお答えすべき内容ではないというふうに思っております。  それから、弾道弾の弾頭がどんなのが分かるかということですが、これにつきましては、インテリジェンス情報の話だと思いますので、技術的な問題というより、こういうような情報収集能力がどう得られるのかということで、ちょっとこれも私の方からお答えする、そういうことについて情報を持ち合わせておりませんし、お答えすべき内容ではないと思っております。  以上です。
  43. 石川卓

    参考人石川卓君) かなり難しい御質問かと思いますけれども、私はそんなに何かをしなければいけないというほど、少なくとも専門家の議論というのがかみ合っていないというふうには思っていないところがございますので、コツと言われても非常に難しいかなと思いますけれども、ただ、やはりその問題を考えていくと、行き着くところは憲法九条ということにならざるを得ないのかなという気がいたしますので、それ以上は、いろいろな立場の方もいらっしゃるでしょうから、ここではちょっと申し上げない方がよろしいかと思いますけれども、結局はそこのメンタリティーの違いというのがやっぱり背景には大きくあることだろうというふうに考えております。
  44. 林芳正

    委員長林芳正君) 予定の時刻が参りましたので、参考人に対する質疑はこの程度にとどめます。  この際、一言御礼を申し上げます。  参考人の方々には、長時間にわたり大変有益な御意見をお述べいただきまして誠にありがとうございました。委員会を代表し、厚く御礼を申し上げます。(拍手)  午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十九分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  45. 林芳正

    委員長林芳正君) ただいまから外交防衛委員会を再開いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  防衛庁設置法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会内閣法制局第二部長横畠裕介君、防衛庁防衛局長飯原一樹君、防衛庁運用局長大古和雄君、防衛庁人事教育局長西川徹矢君、外務大臣官房審議官中根猛君及び外務省国際法局長林景一君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 林芳正

    委員長林芳正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  47. 林芳正

    委員長林芳正君) 休憩前に引き続き、防衛庁設置法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  48. 岡田直樹

    ○岡田直樹君 自由民主党の岡田直樹でございます。  午前中、この委員会ミサイル防衛に関する参考人質疑を行いまして、それに引き続き、ミサイル防衛に私は賛成の立場から若干の御質問をさせていただきたいと思います。  先日、サミットの最中に、ロンドンで一般市民を多数殺傷する無差別テロが発生をいたしました。ああした残忍なテロに対する戦いというのは非常に困難でありますけれども、国際社会はますます結束を強固にして共同対処をしなければならないと思います。  そして、防衛白書においても、弾道ミサイルについて、従来の抑止が通用しにくいテロリスト等の非国家主体がこれらの兵器を取得する可能性もあると、こういう指摘をしておりますけれども、白書にあるとおり、テロリストあるいは従来しばしばテロを繰り返してきたような国家が日本ミサイル攻撃する、この場合にはもちろんミサイル防衛が機能をするわけでありますけれども、日本の上空あるいは周辺を通過してそのミサイルが米国などの日本の同盟国に向かう、あるいは第三国、一般に向かう場合、これを日本ミサイル防衛で迎撃することが可能かどうか、この点について大臣のお考えを伺いたいと思います。
  49. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) まず、平成十五年十二月十九日の官房長官談話を思い起こしていただきたいと思います。「今回我が国導入するBMDシステムは、あくまでも我が国防衛することを目的とするものであって、」云々として、「第三国の防衛のために用いられることはない」、このように言い切っているわけでございます。  当然のことでございますけれども、国連憲章五十一条では各国とも自然権として集団的自衛権、個別的自衛権を持っているわけであります。しかしながら、我が国の憲法上の制約として我が国防衛のために必要な最小限度の範囲にとどめるのが我が国の自衛権の問題である。そういうことで、集団的自衛権の行使はその範囲を超えるものであって憲法上許されない、このような解釈になっているわけであります。  その上で申し上げたいのでありますけれども、我が国が憲法上、集団的自衛権を行使することができないことは国際的に十分理解されておると思っております。また、十分周知されているものと思っております。アメリカとの間でもこのような集団的自衛権は日本は行使しない、し得ない、こういうような前提の下で米国との間でもミサイル防衛運用を協議しているわけでございますけれども、このミサイル防衛につきましては、情報面、運用面、いろんな面でアメリカとの協力関係、これが大事になってくる、このように私は理解しております。
  50. 岡田直樹

    ○岡田直樹君 先ほど私はテロリストがミサイルを放った場合についてお尋ねをいたしましたが、これについてはいかがでございましょうか。
  51. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) テロリスト、一番世の中で最大の脅威というのは、テロリストが大量破壊兵器を持つことである、これがもう世界で一番脅威なことであります。それを、テロリストがミサイルを使う、こうなってくると、誠にもう世界、テロというのは、先生今御指摘のとおり、もう人類共通の敵ですよ。これ、しかも国家主体を持たない、領域を持たない、いつどこで発生してくるか分からない、こういう存在であります。  したがいまして、一番大事なことは、各国は協調して、断固テロには屈しない、テロは地球上から撲滅するんだ、こういう固い意思の下で国際協調をやっていくことだと、私はそのように信じております。  テロリストがミサイルを撃つ、撃たない、これはまず情報の問題があろうかと思います。仮にそういう情報があれば、国際的に社会が協力してそれに立ち向かっていかなきゃいけない、私はこのように信じております。
  52. 岡田直樹

    ○岡田直樹君 先ほど大臣が引用されました官房長官談話、またそれに基づいて我が党の浅野議員の参議院本会議における質問に対する総理の答弁、また衆議院でも度々この問題が取り上げられたと思いますが、我が国の上空を通過するミサイルが例えばアメリカのハワイやグアムに落下して、そして大惨事を引き起こしかねない、そんな場合でも日本として果たして迎撃能力を持ちながらそれに手出しすることができないのか、それは集団的自衛権の問題であろうか、こういう疑問を抱くわけであります。  今回、特に緊急の場合には防衛出動が下令されないうちは警察権の発動という形で説明をしておられるわけであります。今大臣がおっしゃったとおり、大量破壊兵器を積んで飛んでくるミサイルというものは、これは人類共通の危険物あるいは人類共通の敵と言っても構わない、特にテロリストやあるいはテロリスト類似の国家が放つミサイルについてはそういうことが言えると思うんです。これを除去することは警察権あるいは警察活動、そういう範疇に属するものではないかと思います。これが集団的自衛権の問題とどう絡んでくるのか、その理論構成というのを大臣から少し御教示をいただきたいと思います。
  53. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) 御教示するなどという立場ではございませんけれども、まずこのミサイル防衛というのはやはり武力を、武器を使うわけであります。それで、今回の法律というのは防衛出動が下令されてない場合に適用される法律であります。防衛出動が下令されておれば、当然これは武力の行使に当たるわけであります。ミサイル防衛防衛出動が下令されてない場合であっても、時と場合によってはミサイル攻撃防衛出動につながっていく、この可能性は極めて大である、こういう前提の下に、しかしながら極めて短時間の間に武力行使につながりかねないこのミサイル攻撃、しかも武器を使用するミサイル攻撃をどういう法律構成にしていくのか、これが肝心のポイントだと思います。  一番に、短時間で飛来するミサイルに対して防衛出動なり自衛権の行使ということは、安全保障会議を開いたり閣議で決定したりするいとまはありません。そこで、今回の法律でお願いしているようなシビリアンコントロールを十分尊重しながら、そしてミサイル攻撃に対処していく、このような問題であります。  したがいまして、まずこの警察権ということで、強いて言えば警察権であるというふうに私ども説明させていただいております。警察権というのは公海上あるいは公海の上空ですね、ここで行使しても問題ないわけでありますけれども、これがすなわち武力行使につながりかねない、そういう意味で、この今回のいわゆる集団的自衛権との関連でそこはきちっとしておこうじゃないか、こういう論理構成にしているわけでございます。  我が国に向けて飛来する弾道ミサイルについては、弾道ミサイル発射が実際に我が国に対する武力攻撃であった場合、であるかもしれない、しかしどんな場合でも、この問題、我が国に向けて飛来する場合は問題ないわけでありますけれども、第三国に向けてミサイルが飛んでいく場合には、今申し上げたようないわゆる集団的自衛権の問題につながりかねないという問題がある。その背景には、言わば、きちっとこの短時間の間にこの武力攻撃あるいは自衛権の発動なり防衛出動なりを下令する時間がない、こういう問題が背景にあろうかと思います。  当該弾道ミサイル発射が、実際に第三国に対する、日本じゃなくて第三国に対する武力攻撃であった場合に、我が国が当該第三国のためにこのミサイルを、当該ミサイル破壊するということは、以上の観点から見て、自衛のための必要最小限度、憲法上の、憲法九条にいわゆる自衛のための必要最小限度を超える武力行使との評価を受けることがないとは言えない。誠にあいまいな説明になるかもしれませんが、ないとは言えない、こういう問題があるわけでございます。  そこで、まあ日本としては、防衛の基本的な政策として専守防衛である、憲法九条の解釈として集団的自衛権は持っているけれども行使しない、こういうように明らかな防衛思想をきちっと世界じゅうにメッセージとして流しているわけですから、私は、そのメッセージをきちっと守って、そして、足らざるところはですね、足らざるところはやはり情報をお互いに共有する。日本が得た情報、日本日本防衛のために得た情報ですよ、その情報はお互いに共有し合う。その情報によってアメリカは、例えばアメリカとした場合ですね、例えばアメリカとした場合、アメリカアメリカなりにその情報を参考にしながら対処をしていく、こういうようなことを考えるべきではないかと、私はこのように思います。
  54. 岡田直樹

    ○岡田直樹君 日本が将来仮に十分なミサイル防衛能力を持ったとして、そして日本の上空周辺を通過する弾道ミサイルが第三国、特に我々の同盟国に向かって飛んでいく、そしてそれを本当に指をくわえて見ていなければならないというのは誠に理不尽な感じがいたしますし、これは本当に集団的自衛権云々の問題なのかなと。先ほど申しましたように、これは国際社会が共同で対処すべき人類の敵とみなし得る場合もあると思うんです。そうした場合に、例えば北朝鮮を想定いたしますと、日本の壁があり、そしてアメリカミサイル防衛の壁がある。この二重の壁があることによって抑止力というものは一層高まると思うんです。  そこで、日本が第三国に向かうミサイルは迎撃しないと、こう初めから明言してしまうことによってこの抑止力を減少するおそれはないかと思うんですけれども、この辺りはいかがでございましょうか。
  55. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) 岡田先生御指摘のような側面もあるかもしれません。しかしながら、我が国防衛の基本的な方針としてきちっとその思想をメッセージとして世界じゅうに送っていく、私はこれは重要なことだと思います。  そして、実際にそれじゃ防衛の問題はどうなんだ、お互いに助け合う問題はどうなんだ。現状で、今の憲法九条の解釈の下で申し上げれば、やはりアメリカアメリカとしてミサイル防衛というシステムを持っているわけでありますから、そのアメリカミサイル防衛システム、これで対応してもらいたい。  その背景にあるのは、お互いにミサイルを研究し合うとかいうような、情報を共有するとか情報をあるいは分析するとか、そういうような協力関係というのはでき上がるし、その上に立って日本アメリカミサイル防衛ができるものと私は信じております。
  56. 岡田直樹

    ○岡田直樹君 先ほど大臣は、日本から迎撃することはできないけれども、しかしその情報を同盟国と共有することは可能であると、こういった趣旨のお答えをなさいましたけれども、ただ、それはいわゆる一般的な情報交換ではなくて、そのミサイル情報をアメリカならアメリカに伝えることによってアメリカが直ちに迎撃ミサイル発射する、武力の行使に直結する情報であると思いますが、こうした情報の供与というのは集団的自衛権に触れることはございませんか。
  57. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) 大変的確な御指摘でございますが、御理解いただきたいのは、日本が出す情報がどういう情報なのか、これが第一点。第二点が、その情報の出し方がどうあるのか、これは第二点。そういう問題があると思います。  第一の、情報の出し方、どういう情報の種類か、こういう問題でありますけれども、これは例えば日本防衛するための情報であります。アメリカ防衛するための情報ということで発信いたしますと、これは私はやはりこの集団的自衛権とかそういう問題に疑問が差し挟まれてくる可能性はあると思います。日本を守っている情報、そして日本を守るために得た情報をアメリカと交換し合う、アメリカに提供する、これは何ら武力行使と一体となるものではない、このように思います。  それから、情報をどういうふうに、どのように情報を出していくか。例えば、情報を出しながら、これをアメリカ側に対して、何度何分のところにお撃ちくださいとか、撃ってくださいとか、そういう情報の出し方をすれば完全に私は武力行使と一体化するおそれが出てくると、こう思っています。  したがいまして、一般的な情報交換の一環としての情報提供である限り、我が国が提供した情報が結果として米国、米軍等の武力の行使に、まあある程度役に立つということがあっても、米軍等による武力の行使との関係で問題を生ずることはない、憲法上の問題は生じない、私はそのように思っております。
  58. 岡田直樹

    ○岡田直樹君 私は、同盟国にとってできるだけ有益な情報というものをすべて提供することがしかるべきと、そしてそれは決して集団的自衛権の問題に触れるようなことはないと、こういうふうに思っております。そして、先ほどから大臣非常に真摯にお答えをいただいたと思いますけれども、そのお答えを聞けば聞くほど何か、集団的自衛権は持っているけれども行使することができないと、こうした言葉が何かへ理屈のような、そういうふうな印象を受けるわけでございます。やはり、事は、我々の同盟国との信義の問題もありましょうし、またテロリズムに対する国際社会の共同対処と、こういう面もあると思います。  このミサイル防衛ということを考えるときに、そうした第三国を守るものではないと言い切ってよいのかどうか。技術的な面からも、あるいは法律的な側面からももう一度御検討をいただきたいと、今後御検討いただきたいと思うものであります。  最後に、統合運用について一つだけお尋ねをいたします。  統合幕僚長を選ぶに当たって、衆議院の委員会の附帯決議に、「統合幕僚長の任命に当たっては、陸海空各自衛隊の順送りによる持ち回りや、各自衛隊のバランスを考慮することなく、最適任の人材を任命すること。」と、こういうふうにありますけれども、大臣はこの附帯決議をどのように受け止められて、どういう任用の仕方がふさわしいとお考えであるか、お聞かせをいただきたいと思います。
  59. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) まず統合幕僚長の問題に入る前に、言わばお互いに仲間同士で助け合えないのか、ごく自然な御質問かと思います。この点はみんなで考えていって、そして良き安全保障体制を築き上げていくべきだと私は思っております。  それから、順送り、統幕長の人選が陸海空順送りは駄目だよという附帯決議があるんだけどどうだ、私は当然のことだと思っています。言わば、統幕長にふさわしい人材を統幕長に任用する、任命する。統幕長というのは、言わば陸海空全体の、我が自衛隊の全体の統一的な運用構想を立案して長官を補佐する立場でありますから、やはり私は、統幕長として長官を一元的に補佐するために考えなきゃいけないことがある。一つは、例えば統率力や判断力は優れてなきゃいけないな。大局的な視野と将来的な展望に立った補佐を行う能力がなきゃいけないな。さらに、国際活動という平和を──今、委員長から短くやれという御示唆でございますので、国際的な問題ということで、広く、幅広い視野を持って統率力のある人材を選んでまいりたい、このように思っております。
  60. 岡田直樹

    ○岡田直樹君 時間がなくて失礼しました。  ありがとうございました。
  61. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 民主党・新緑風会の榛葉賀津也でございます。  本日は、BMDシステムにつきまして、主に防衛庁長官にお伺いをしたいと思うんですが、私、過去の長官の答弁をすべて精査を久しぶりにさせていただきました。これまでの答弁に関連して、今日は五十分間長官に質問したいと思いますが、このBMDシステムの議論に入る前に、昭和四十四年の衆議院決議で行われましたMDと宇宙の平和利用に関する問題について、宇宙の平和利用ですね、この問題についてお伺いしたいんですが、昭和六十年に、加藤防衛庁長官のときですが、政府の認識として、この平和利用ということは非軍事を意味するというような認識をされて以来、どうもこの問題が今日まであやふやになっていると。  三月二十九日に私、長官に宇宙の平和利用と、これBMD、一体何なんだということを言いましたら、長官が答弁で、このミサイル防衛は非軍事であるというふうに明言をされて、このことを思い出すたびに私、夜寝られなくなってしまうので今日はちょっと整理をしたいと思うんですが、前回長官がおっしゃったように、このミサイル防衛は本当に非軍事なんですか。
  62. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) 我々が議論しておりますのは、防衛出動下令前のミサイル防衛であります。ミサイル防衛は、もちろん防衛出動が下令されれば正に軍事であることは間違いありません。  議論しておりますのは、──失礼しました。議論しておりますのは、防衛出動下令前の法律上の問題を議論しているわけであります。防衛出動下令前におきましては、これは公共秩序の維持あるいは警察権、強いて言えば警察権の発動であって、軍事という側面ではないと、このようにお答えしているわけでございます。  ですから、切り口は言わば防衛出動下令前なのか後なのか、これによってミサイル防衛というものの性格が変わってくる。これは武力を、相手にとっては武力を行使してくるのかもしれません。こちらも武器を使用するわけであります。ですから、このミサイル防衛防衛出動下令前のミサイル防衛防衛出動につながっていく、そして自衛権の発動につながっていく、こういう問題はもちろん避けられません。  しかし、この法律を対象とするミサイル防衛は私は軍事ではない、正に公共秩序の維持であり、もうやむを得ない最小限度の措置であると、このように申し上げました。
  63. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 正に長官の言葉をかりれば、武器を武器でもって制止すると。これが時間的経緯によって軍事になったり非軍事になるというのは、これは一般的に解釈して到底解釈できないと思いますよ。この決議の趣旨もそういうことは言ってないはずでございます。この点について、長官、どのように御認識ですか。
  64. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) お尋ねは、宇宙の平和利用の問題かと思います。  国会決議の有権解釈というのは、当然のことでございますけれども、国会でなされるべきものだとは思います。専ら我が国領域における生命、財産に対する被害の防止、これを目的に我が国がBMDに取り組んでいくことは、私は御指摘の国会決議の趣旨及び平和国家としての基本理念に反するものではない。これ撃ち落とさない、防衛出動前ですよ、出動下令前、撃ち落とさなきゃ我が国の国民の生命、財産に甚大な被害を与える、そして相手側、相手の領域に被害を与えるものではありません。国民の人権についても制限を多く与えるものではない。そのような意味で、私は、このシステムが例えば領海侵犯あるいは領空侵犯等と、自衛隊法で言うと八十二条、八十四条ですが、こういう並びで考えて、警察権の発動、これはまだ軍事の段階ではありませんよ、しかし軍事に発展するおそれはありますよと、こう言っている。
  65. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 今長官防衛出動下令前だから非軍事であるとおっしゃいましたが、では、自衛隊全部、防衛出動下令前は非軍事なんでしょうか。
  66. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) 切り口が軍事とか非軍事という切り口で議論すると……
  67. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 決議の話です。
  68. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) 何か泥沼に入っていきそうな感じはいたしますけれども、防衛出動発令、発令というのは大変大きな意味を私は日本にとって持つと思います。だからこそ、安全保障会議をやり、閣議決定をやって国会の承認も得るわけですね。そういう意味で、防衛発動、防衛出動というのは大変大きな意味を持つ。私はそういう意味で、防衛発動、防衛出動と、防衛出動下令前と後と、後では私は物の見方は変わってくる、このように思っています。
  69. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 長官、正におっしゃったように、この話は泥沼にはまる話が一杯ありまして、私がなぜあえてこんな禅問答みたいなことを言うかというと、仮に三十数年前であれ、国会の我々の先輩たちが決議をした。三権分立の立場から、そして立法府の立場からやはり国会決議というものをしっかりとこの国もとらえていかなければいけないということを私、もう一度忘れてはならないということを思っておりまして、あえてこの宇宙の平和利用という昔の決議を持ち出しているわけでございますが、是非この点もお含みおきをいただきたいというふうにお願いをしたいと思います。  それでは本題に入りたいと思いますが、BMDシステムの性能について長官にお伺いしたいと思います。  まず、SM3の信頼性についてですが、ちょっとペーパーを配付していただけますか。    〔資料配付〕
  70. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 防衛庁さんが作成したペーパーをそのままコピーしたものですが、今年の二月二十五日の衆議院予算委員会第一分科会で、宇野委員の質問に対して、大野長官、こう答えているんですね。ハワイ沖で七回の実験をアメリカでやっているんですね、これまで六回やっていますから、合計七回の試験をやっております。そのとおり読んでおります。そのうち六回成功したということでありますというふうにおっしゃっております。七回やって六回成功しているということをおっしゃりたいんだと思います。同じような答弁を今年四月一日の衆議院本会議の本多議員の答弁に対してもされております。  これだけ読むと、七発中六発成功した、つまりは命中率は八五・七%だというふうに長官はおっしゃっているわけでございますが、それに相違ないんでしょうか。
  71. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) 七回の試験のうち六回成功ということは、イージスBMDシステムでそのような実績を持っております。
  72. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 別の議事録には七回実験をして六回迎撃に成功しているというような言葉も言っているわけでございますが、是非このペーパーを見ていただきたいと思います。  今日午前中、参考人質疑を行いました。西山参考人が野球を例にして大変分かりやすくこのBMDシステムSM3を説明されたわけですが、第一回の二〇〇一年一月のこれ実験ですが、これイージス艦レーダーの探知性能及びキネティック弾頭の分離までの実験なんですね。つまりは一回目から別に当たったかどうかをテストしているんじゃないんです。正に野球でいえば、まずバッターボックスに入って素振りをやってみなさいと。バッターボックスに入れましたね、素振りができましたね、はい、この実験は成功ですと言っているのと等しいわけでございます。  二回目の翌二〇〇二年一月の実験は、イージス艦のレーダーで目標を追尾及びキネティック弾頭誘導制御することが目的なんですね。これも迎撃することが目的ではありません。野球でいったら、ピッチャーがボールを投げて、それに合わせてバットを振ってみようというのが練習でございます。これも成功した。ただ、たまたまこのときは、振ることが、ボールに合わせて振ることが目的であったけれども、実際にも当たったという幸いが重なっているわけでございますが、翌六月の試験も、標的を直撃により破壊することが目的ということなんですけれども、これは実際にボールを打ってみようという実験なんですね。ところが、本当の試合ではなくて、トスバッティングのように、バッティングピッチャーが打ちやすいボールを投げて、それを打つ実験をここでやっていると。そして、第四回目も同様でございます。  私の後輩で中日でバッティングピッチャーをやっているのがいるんですが、バッティングピッチャーは打ちやすい球を投げて、スランプのバッターを打たせて自信を回復させるという重要な役目があるとおっしゃっていたんですが、正にそういう実験をやっているんですね。  五回の二〇〇三年六月は、改良したDASC、これ軌道修正や姿勢制御装置ですか、性能確認が目的だと。これ、ちょっと実践的にピッチャーがカーブを投げたりいろんなことをして、それに目が付いていくかという実験をやっているんですね。このように第六回目から実際に迎撃をしてみようと言っているんですが、これ高度が約百三十七キロなんですね。実際のノドンの高度はたしか三百キロでございますから、これも本当の試合形式のバッティングかといったら、そうじゃないんですね。これも非常にまだ低い打ちやすい球をピッチャーが投げているということでございます。  そして、今年の二月、量産した形で本当に迎撃できるかという、いよいよ本格的な実験が始まっているわけでございまして、長官のずっと衆議院での説明は、七回実験をやって六回成功したと。あたかも非常に、七回もやって六回も成功しているんですから信憑性高いですよということを一生懸命何回も何回も長官はおっしゃっているんですが、正確には非常に段階を現実に合わせてレベルアップしている。ですから、毎回成功してもらわなきゃ困るんですね。  ですから、私はだからこれが駄目だと言っているんじゃないんです。こういった説明をするときは是非丁寧に現実に即した説明をしていただきたいと、正しく理解させる努力を長官にはしていただきたいと思うんですが、この点については長官、どのように御認識でしょうか。
  73. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) これ、初めてこういうような試験をやるわけでございます。正に榛葉議員おっしゃるように、詳しく御説明申し上げる、それが我々政府、説明責任を果たすことになる、このように思っております。  確かに、七回試験して六回成功したと、これは結果として事実でございますけれども、一つ一つの内容に即して言えば、正に委員御指摘のような問題があるわけでございますから、今日はそういう意味で大変いい御質問をちょうだいして、そういうこの試験の、テストの内容がきちっと明らかになっていく。これはやはり私は国会審議のいいところだなと感謝申し上げます。
  74. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 感謝されて光栄でございますが。  次に、PAC3の、長官、話にしたいんですが、二月二十五日の衆議院予算委員会の第一分科会の宇野委員の質問に対しまして、長官こう答えていらっしゃいます。ペトリオットPAC3の場合は、さきのイラク戦争でこのシステムを使っておりまして、実戦で使用しているから信頼性がある。また、前日の二月二十四日の衆議院安保委員会では村越委員に対しましてこう言っています。PAC3につきましても、さきのイラク戦争で成功している、こういうことから判断して、信頼に足るものである、我々はこのように考えていますというふうに言っているんですが、イラクで実証したから大丈夫とおっしゃるんですが、これ、イラクミサイルはたしか射程距離が百五十キロ以下だと思うんですが、長官、そうじゃないですか。
  75. 飯原一樹

    政府参考人(飯原一樹君) 基本的に、戦術的なミサイルという表現があったと思いますが、短距離ミサイルということだというふうに考えております。
  76. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 短距離ミサイルです。  実際我々が想定する、仮に北朝鮮のノドンといいますと、これは千キロから千三百キロということですから、明らかにこのイラクの例が成功しているから、日本PAC3が正にイラクを例にして成功するという理論は私は極めて弱いんじゃないかなと思うんですね。実際イラクでは米軍が味方の航空機を撃ってしまったと、このPAC3で、そういう実例もあるわけでございます。ですから、先ほど言いましたように、イラクで実証したから大丈夫だという説明は、長官、余りにも乱暴なんじゃないでしょうか。
  77. 飯原一樹

    政府参考人(飯原一樹君) 技術的なところなんで補足をさせていただきますが、イラクで実戦配備されたということは、開発段階を経まして正に装備段階に来たということは客観的に言えるかと思います。  おっしゃるとおり、誤射をしてしまったという例もありまして、アメリカの方から全部を公表されているわけでございませんが、報告書がございます。その中でいろんな反省点を述べておりますが、現在、ソフトウエア、それからAWACSとかイージスとの連接及びIFF、敵味方識別等について所要の改良がされていると思います。  こうしたことで、我が国が実戦に配備する段階におきましては、それ以上に能力的に向上したものが配備されるというふうに考えております。
  78. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 今、正におっしゃったように、問題が、詳細が全く発表されていないんですよね。これ、先ほどのSM3も、結果は分かるんですが、詳細は一切非公表と。ですから、本当の信憑性をどうだという問題を我々議会側が検証するのは極めて難しい。こういうふうに高度な技術になればなるほど、もう信頼するしかなくなってしまう、このチェック機能が働かなくなるということを大変危惧しておりまして、当然、機密性の高い、また防衛上重要な情報だということは重々分かりますが、これ何らかの形でこの精度上の信憑性、信頼性というものを議会側がどうチェックするんだという問題も是非政府側も考えていただきたいと。それでないと、安心だから安心ですと言われても、これなかなか我々は検証できないわけでございまして、是非その点も御配慮いただきたいというふうに思うわけでございます。  運用について引き続きお伺いしたいと思うんですが、ミサイル破壊措置は、先ほど長官おっしゃったように、公海上か我が国の領域で行われるものと、他国の領域では行わないということでよろしいんですね、長官
  79. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) 間違いございません。
  80. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 それでは、仮に北朝鮮が佐世保であるとか沖縄をねらった場合、これは韓国上空、ミッドコースに入れば韓国上空を通過すると思われるんですが、こういう場合は、実際ミッドコースを迎撃するPAC3、SM3が使えなくなると思うんですが、この辺は長官、どうなんでしょうか。
  81. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) まず、ミッドコース、大気圏外でございます、そこで撃ち落とすケースをお考えいただいていると思いますけれども、これ、大気圏外というのは領域に属さない、こういう問題がありますし、大気圏外で撃ち落とした場合にはすべて破片はなくなってしまうというような状態になると思います。したがいまして、被害もなくなってくるわけであります。  領域といった場合、どうしてもブースター段階で撃つことになると思いますので、その場合にはまだどこへ、そのミサイルがどこへ飛んでくるのか、どこへ飛んでいくのか判断ができない状態ということになりますので、ミッドコースで迎撃するということを考えれば問題は生じない、このように思っております。
  82. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 次に、発射情報の伝達についてお伺いしたいんですが、我が国は平成八年四月からアメリカから早期警戒情報というものを受け取っているというふうに認識しているんですが、このシステムは、我が国の方向に発射された弾道ミサイル、これに関するデータを短時間でアメリカが分析して自衛隊に伝達するというものなんですが、必ずしもリアルタイムに届いているものばかりではなくて、発射から十分弱掛かったというような報道もかつてございました。  この早期警戒情報の伝達というのは、まずDSP衛星によって発射を探知して追跡する、それからそれを在韓米軍の施設等で分析したりして、その結果を上級司令官であるハワイの太平洋軍司令部に知らせると、それを在日米軍司令部が受け取って、そしてそれを今度、在日米軍であるとか自衛隊、このように、こういった順番で情報が来るわけでございますが、当然自動化されていると思うんですね、アナログではなくて。  実際、この伝達にどれぐらい時間が掛かるんでしょうか。
  83. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) 今委員、十分程度じゃないかと、こういうことをおっしゃいまして……
  84. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 いや、そういう報道があったということです。
  85. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) そういうことにつきまして、私は正確にはお答えすることを控えさせていただきますけれども、数分というふうに言わせていただきたいと思います。  それから、今の手順等につきましては、詳細にわたりますので防衛局長からお答えさせていただきたいと思います。
  86. 飯原一樹

    政府参考人(飯原一樹君) 時間的には、基本的には今大臣からお答え申し上げたとおりでございますけれども、静止衛星アメリカが把握したすべての情報が我が国の方にもたらされるわけではございませんので、その間に選択の問題もあろうかと思います。そうした手順がありますので、すべてが現段階でデジタル的といいますか、リアルタイムで来るというシステムにはなっておりません。
  87. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 なっていない。  実際に、北朝鮮から日本までミサイルが来る時間が十分と言われているんですね。ですから、この時間をいかに短くするかというのは大変重要になってくると思うんですが、これ、なっていないというと、最大どれぐらい掛かる可能性があるんですか。
  88. 飯原一樹

    政府参考人(飯原一樹君) それは、今後のシステムの組み方の問題と。現状、当然ですが、どんなに速く来ても、それに対する迎撃態勢を取るようなシステムがございませんので、どこに落ちるかと、落ちたかという確認が主たる目的になろうかと思いますが、仮に、仮にというか、将来的にこのBMDシステムが稼働した段階におきましては、正に今、キューイングといいますか、正にこの辺から飛んできそうだという情報をあらかじめ得るために極めて重要な情報になる可能性がありますので、その際には、いかに我が国の防空システムに組み込むか、それから防空システムからイージス艦なりなんなりに指令を出すかと、こうした正に全体のシステムの組み方、今後、検討していくべき大きな課題であるというふうに認識しております。
  89. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 よく分かりました。  衆議院ばかり例に出してはいけないので、参議院の三月九日、予算委員会で浅野理事が発言されていることを引用したいと思いますが、日本の上空を通過するICBMの情報の提供と憲法の関係について浅野委員が質問をしています。若干今、岡田委員も触れられましたが。  この予算委員会で、アメリカに向けて飛ぶミサイルの情報を米軍に供与した場合、これとの集団的自衛権との関係を浅野先生が聞いているんですが、大野長官は、そういう情報と限定しないで一般的に申し上げますと、一般的な情報交換は憲法上問題がないというふうに答弁しているんですが、浅野先生はICBMの情報って限定されているんですね。  長官は一般的な情報とすり替えてしまっているんですが、これ、日本から提供されたICBMの情報がアメリカが迎撃等を判断する際に重要な情報である、これはもう一般的な情報ではなくて、ICBMに関する情報ですから、この場合は憲法が禁ずる集団的自衛権に抵触することになるんですね。
  90. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) 私、先ほど申し上げました。これは日本として、日本として日本防衛のために情報をキャッチする、情報を収集する、この情報をお互いに利用する、アメリカに伝達する、この点については私は何ら問題ない、こういうことを申し上げたところでございます。  ICBMの情報ということになりますと、具体的にどういうケースに当たってくるのか、一般的な情報交換の一環としてそういう情報提供である限り問題はないということを申し上げているわけでございまして、そのことは先ほど申し上げたとおりであります。ICBMの情報も日本防衛という情報収集の中でとらえられたということになれば、それは憲法上問題は生じない、このように思います。
  91. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 私、余り頭が良くないんでもう一回繰り返しますが、日本が、北朝鮮がICBMアメリカに対して撃ったと、その情報を日本がキャッチした、それをアメリカに伝達することは、今の言をかりますと集団的自衛権の問題に抵触しないという御答弁ですね。簡潔にお願いします。
  92. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) まず、どこかの国がアメリカに向かって撃っているのかどうか、日本の情報収集体制では分かりません。  ただ、日本の情報収集体制の中で、日本の守りのための情報収集という枠組みの中でとらえられた情報、私はこのように申し上げている次第でございます。
  93. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 またこの問題は議論するときがあろうかと思いますが、次の質問に移りたいと思います。  北朝鮮のCEP、サーキュラー・エラー・プロバブル、命中精度ということですが、この点についてお伺いしたいんですが、一九九一年でしたか、湾岸戦争がありました。私、その前後して三年間、その地に住んでおりまして、スカッドミサイルがどんどん飛んでくるんですね。  ところが、テルアビブねらっているんですが、テルアビブには落ちずに、地中海に落ちたりウエストバンクに落ちたりガザに落っこったり、皮肉にも湾岸地域から飛んでくるスカッドミサイルで同胞のパレスチナ人が大変亡くなったり損害を受けたということがありまして、このミサイル命中精度というのもいい加減なものだなと思った記憶があるんですが、これノドンの命中精度はどれくらいあるんでしょうか。
  94. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) 北朝鮮の弾道ミサイル、ノドンの命中精度でございます。  確かなる、確たることを申し上げられないわけでございますけれども、かなり配備が進んでいると思われますノドンにつきましては、まず特定の施設をピンポイントで攻撃できるような高い精度のものではない、このように考えられております。  そういう意味で、一般的に情報としてございますのは、ノドンのCEPは半径二千五百メートルではないか、こういう情報はあることは先生御指摘、十分御存じのとおりだと思います。
  95. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 半径二・五キロということですよね。そうすると、大体新宿から四谷ぐらいというふうに以前長官分かりやすく答弁をされておりましたが、この半径に百発中五十発入るくらいだということをよく言われるんですが、先ほど参考人に聞いたら、具体的なデータはないと言うんですね。相当外れる可能性もあるということを言う方もいらっしゃいます。  何を言いたいかというと、このPAC3が半径数十キロですから、首都圏を守っていても相当ずれて飛んでくる可能性があるということが容易に想像できるわけでございまして、そういう点からも、本当にこの精度が、首都圏をねらうといっても本当に首都圏に来るかどうかも分からないという現実を考えますと、非常にこの費用対効果の面でどうなるんだろうという疑問を持ちました。  逆に、技術的にお伺いしたいんですが、これ将来技術が発達して相当ピンポイントでミサイルが目的を迎撃できると、攻撃できるというような技術が発展する可能性というのはあるんでしょうか。
  96. 飯原一樹

    政府参考人(飯原一樹君) それは、弾道ミサイルは、基本的には巡航ミサイルと比較して精密度においては欠ける点があるのは事実ですが、国によっては、先進的な技術を持っている国におきましては、かなり正確に、例えば何回、何発か撃てば、例えば滑走路ぐらいの幅のものであれば必ず、必ずというか、相当程度の確率で破壊できるぐらいの精度を持っているような弾道ミサイルを持っている国があるんではないかというふうに私どもは評価しております。
  97. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 分かりました。  次の質問に移りたいと思います。  国会との関与の仕方でございますが、大野長官、五月十二日の衆議院安保委員会で国会のこの法律に対する関与についてこういうことを言っていますね。  どういう場合にどういう国会のかかわり方をするのか、これはある程度整合性を持って議論をすべきだと。また、こういう場合には承認だ、こういう場合は報告だ、こういう場合は報告は要らないよ、こういうあらあらとした基準、物差しは持っておくべきだというふうに長官答弁をされておりますが、私もそのとおりだと思います。長官のおっしゃるとおり、基準、すなわち現在ある自衛隊の行動に関する法制度と整合性を軸にして、今回のMD措置に対してどのような国会関与が一番望ましいのかということを議論することは大変重要だと思っております。  次に、もう一枚表を配っていただきたいんですが、もう行っているかな、こちらに自衛隊の行動と国会との関与の関係があるんですが、MDの措置には非常に幅があると思うんですね。必ず撃ち落とさなければ国民に被害を与えるよという行為もあれば、そのBMDシステムのソフトに問題が生じたりして、間違えて日本領域に向けられて、間違って、日本領域に向けられていないけれどもそれに対してミサイルで撃ってしまったというようなことが、当然コンピューターの世界ですから想像できるわけでございまして、いろんな幅が、ケースが可能性としてあると思うんです。  それを念頭に置いて話したいんですが、この黄色のところが今回の弾道ミサイル等の破壊措置なんですが、その左側はすべて国会承認の対象になっています。当然、事前、事後の違いはありますが、すべて国会承認の対象でございます。他方、右側は、今回の国会審議において頻繁に引き合いに出されました、長官も度々御答弁に立っておられます海上警備行動であるとか領空侵犯の措置、これは国会報告すら要らないということでございますが、長官はこのMDに対しまして本当に国会報告で十分なのかという御認識かということをまずお伺いしたいと思います。
  98. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) まず、ミサイル防衛というのは、国民の生命、財産を守るためにこれは必要かつ当然な措置でございます。撃ち落とさなければ逆に問題にされる、されていいケースだと思います。そういう意味で必要かつ当然の措置。それから、我が国に飛来する弾道ミサイルなどを、我が国の被害、今申し上げましたような国民の生命、財産に対する被害を防ぐために破壊するという行為にとどまるものであります。そういうことで、相手国の領域や相手国の国民に対して損害を与えることはない、さらに国民の私権に対する制限もない、こういうことで、例えばここに書いてございます、先生がお配りいただいております防衛出動あるいは命令による治安出動等に比べまして、かなりそういう意味では違っている面があります。  そういうことから、私は、やはり国会の承諾を必要、要するような問題ではない、このように考えますし、また、しかしながら、ここが大事なことでありますけれども、やはりミサイル攻撃というのは、今榛葉委員も御指摘いただきましたけれども、誤射による場合もあるかもしれない、しかしそれが防衛出動につながっていく可能性も否定できないわけであります。そういうことからして、やはり国会へ報告する、そして、しかもいろんな意味で国民の保護と関連する問題でありますから、そういうミサイル攻撃があった場合はいち早く国民の皆様に御通知する。このミサイル防衛の根本は、何といっても国民の皆様に安心と安全を確実にしていく、これが一番の大きな問題だと私は思っております。そういう意味で、お知らせする、御報告する、これは大変大事なことだと思っております。
  99. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 今、長官正におっしゃったとおり、これは防衛出動に近い、ぎりぎりのところに寄った行為なんですね。だからこそ、我々は、報告ではなくてこれをきっちりと評価する、評価できるところに託するべきではないかというふうに言っているわけでございまして、私の理解では、国会の関与が強い順に言いますと、承認、承諾、報告、そして何もなしというこの四つの段階があるわけでございますが、承認と承諾に関して言いますと、承認の場合は不承認だと停止しなきゃいけないんですね、その行為を。そして、効力要件として使われるということになると思います。しかし、承諾に関しましては、事後に国会として政府が措置が正しかったか一定の評価すること、そして承諾することによって政府の責任を解除することに私なるというふうに理解しています。逆に承諾しないことによって政府行為を否定するということになるわけでございますが、ここで、法制局にお伺いしたいと思います。  法制局の立場から、報告、承諾、承認、この三つの政治的意味合いと、意味合いの違いと、それぞれにふさわしい実際の政治行為、これを例示を示していただきたいと思うんですが。
  100. 横畠裕介

    政府参考人横畠裕介君) お尋ねの政治的意義そのものについてはなかなかお答えしづらいところでございますけれども、現行法制上、この安全保障分野に限りませんけれども、行政行為に対する国会の承認、承諾の例としては、憲法で申し上げれば、条約の締結についての承認でありますとか予備費の支出についての承諾、さらに法律レベルで申し上げますれば、防衛出動命令に対する承認等、多数ございます。また、国会への報告の例としては、憲法で申し上げますれば、一般国務及び外交関係についての報告や国の財政状況についての報告等がございますし、法律レベルでは各般の分野についての国会報告というものが規定されています。  お尋ねの、国会の承認、承諾と国会への報告の違いでありますけれども、明示された使い分けの基準というものがあるわけではございません。しかしながら、これまでの各般の制度を眺めてみますと、承認、承諾とされているものにつきましてはおよそ三つぐらいの類型があるのではないかと思います。  その一つは、御指摘もございましたけれども、その承認によって一定の法的効果が発生するとするもの。二つ目としては、その不承認の場合に政府として活動の終了でありますとか撤収でありますとか、一定の措置をとるべきことが定められているもの。さらに三つ目の類型として、非常に少ないものでございますけれども、予備費支出の承諾のように、その国会議決自体には法的な効果はないと解されておりますけれども、元々の予算が国会の議決事項とされていることとの関係などで、政府の政治的責任を明確にする意味で国会の事後承諾を要するとされていると考えられるものもございます。  他方、国会への報告につきましては、国会の行為に法的効果を付与するまでの必要はないけれども、国会による政治的コントロールを確保すべき事項について各般の分野で規定されているものと理解しております。
  101. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 法制局にもう一度確認しますが、特に防衛政策におきまして承諾事項を設けることが不適切だというような理由や法的根拠があるんでしょうか。
  102. 横畠裕介

    政府参考人横畠裕介君) その承諾、御指摘は多分事後承諾という点であろうかと思いますけれども、これまでのこの分野での事後承諾を定めている例を見ますと、やはり活動の終了でありますとか撤収でありますとか、そのような法的効果を伴うもの、そういう必要のあるもの、そういう具体の国会によるコントロールをやはり確保、担保する必要があるようなものについて規定しているのではないかというふうに理解しております。
  103. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 五月十二日の衆議院での本多委員の答弁に対しましても、長官は、このMD措置を国会報告にした理由、二つ言っているんですね。一つが、さっき正に長官おっしゃったように、この実力、武器を使わざるを得ない、使わなきゃ撃ち落とせないんですと。これが一個の理由ですね。もう一つの理由が、防衛出動下令前にミサイルが飛んでくれば、可能性としては防衛出動につながっていくことにはなりはしないだろうか、そういう意味で報告は必要だと思っている、今正に長官がお答えになったとおりでございます。これが第二の理由。  正に長官がおっしゃるとおりに、私は、このミサイル防衛は正に武器使うんですよ。国民的な感覚では、このMDというのは、武力行使ではないにせよ、やはり明確な武器使用であります。これに関しまして、報告ではなくて、やはり武力行使では、これはもう表を見て分かるとおり、これ承認になっています。ですから、これより一段低い承諾にするというのがそれは当然の政策的判断だと思うんですが、長官、この点はいかがなんでしょうか。
  104. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) まず承諾という場合に、それが適当か適当でないかというような判断もあると、今法制局の方から説明があったように思いますが、そういうことでよろしいんですか、法制局。──適当か不適当かという判断で承諾という問題が出てくるとなれば、ここを先ほど私も強調して申し上げたつもりでありますけれども、問題は、これミサイル我が国の領域に飛んでくる、飛来してくる、これは榛葉委員、是非とも御理解いただきたいと思うんでありますが、これを撃ち落とす以外には国民の生命、財産を守る手だてはないんです。必要最小限の行為なんです。逆に、撃ち落とさなければ、これは責任追及されてやむを得ない、私はそういうたぐいの問題である。さらに、法的効果云々という説明も法制局から説明がありましたけれども、そういう問題ではない。  さらに、付け加えて申し上げましたのは、本来であれば、例えば海上警備行動、領空侵犯等の措置と同じような類型として考え、法制的には自衛隊法上の位置付けは考えているけれども、今、榛葉委員御指摘のとおり、言わばこの問題は防衛出動に発展していく可能性がある、つながっていく可能性があるかもしれない、こういう意味からきちっと報告をしよう。もう一つ報告する理由は、やはり国民の皆様にこういうことが起こったんですよと、こういうことをしっかり明らかにしていくことがやはり私は自後の問題を早急に解決していくためにも大事なことだと思っております。
  105. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 正に来て、撃ち落とさないと日本がやられてしまう、そのようなときに、当然これは承諾の措置があって、そういった手続の場合、承諾しないなんということはないと思いますよ。当然誤射もあるわけでございますね。そのような際に本当に報告だけでいいんだろうかということでございます。  これ誤射の場合は、それじゃどうやって政治責任を取るのか。これ本当に日本に飛んできたらこれで対応する、国会が当然承諾をすると思います。しかし、誤射の場合と、これ国会が承諾しないことによって政府の取った行為を否定することになる、こういうことは、私はこういう機能をきっちり持たせるということは政府にとってもメリットがあることだと思うんですね。長官、そう考えませんか。
  106. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) 何度も申し上げておりますけれども、私は、これ撃ち落とす以外に国民の生命、財産を守る手だてございません。したがいまして、しかしながら報告をする、そして、もし国会で報告の結果いろんな御議論があれば、この国会の委員会の中であるいは本会議の中でそういう議論をやっていただく、こういうことが大事だと思っています。
  107. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 衆議院の附帯決議、十項でこう書いてあるんですね。命令が発令された場合又は弾道ミサイル等が我が国に飛来する事態が生じた場合には、混乱の回避に配意をしつつ、その旨を遅滞なく国民に公表するとともに国会に報告するというふうに言っているんですが、これよく読むと、「混乱の回避に配意しつつ、」という言葉がちょっと私気になったんですが、これ公表しなくてもいい場合があるということもあり得るんでしょうか。若干逃げに読めるんですね。  私が聞きたいのはこの十項で、しかもこの十項にある、衆議院の決議の十項には、一項には掛かるんですが、三項には掛かっていないんですよね。これ考えますと、命令が発生した場合と弾道ミサイル等が飛来する場合に国民への公表や国会への報告がされない場合というのも、長官、これあり得るんでしょうか。
  108. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) 第一項の場合には必ず閣議決定等がございますから、これは国民に公表されますし、飛来した場合にはいち早く国民の皆様に御報告、周知徹底しなければ私は国民の皆様の安心と安全の確保につながっていかない、このように思っています。私は、十項に、この附帯決議の十項に書いてありますことは、必ず公表する、国民の皆様にお知らせする、こういう精神でやっていきたいと思っております。
  109. 飯原一樹

    政府参考人(飯原一樹君) 混乱云々とございますが、基本的には、何のために公表するかということは国民保護のため、国民の生命、財産を保護するために公表するということでありますから、しかるべく緊急対処事態の認定等をするような形で公表もしなきゃいけないし、ただ具体的に、法的に八十二条の二で報告となっておりますのは、あくまで武器を使用した場合ということでございます。
  110. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 では、これ公表されない、若しくは国民に報告されない場合ということはあり得ないと解釈してよろしいんでしょうか。
  111. 飯原一樹

    政府参考人(飯原一樹君) 八十二条の第二項、第一項の規定に基づく内閣総理大臣の、及び閣議決定は、これは当然公表されるということになります。
  112. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 仮にミサイルが飛んできた、こちらが迎撃しようとした、失敗したり誤射だったりした場合、そういうのもすべて公表されるという理解でいいんですか。
  113. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) この問題はもう何度も申し上げております。国民の皆様に本当に混乱を生じさせてはいけない、被害を最小限にとどめなきゃいけない、どこへ避難してもらわなきゃいけない、こういう非常に国民の安心、安全、保護の問題につながってくるわけであります。だから、私はどんなことがあってもいち早く国民の皆様にお知らせする、これが政府の責任だと思っております。
  114. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 迎撃は私、すべて成功してほしいと思っています、この技術が発達して装備が配置された場合。しかし当然、考えたくもないですが失敗する可能性もある。万々が一、長官の言葉をかりれば、万々が一失敗した場合、この理由によって現場の自衛官が何らかの形で処分されるというような可能性もあるんですか。
  115. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) 自衛官の処分という意味では、一つ一つ処分の、する場合の規定がございます。命令に従わない場合とかいろいろあると思います。  しかし、こう一般的に漠然とした御質問に対してちょっとお答えしにくいなということでございますが、私はそれは別にしまして、問題の流れからいって、やはりこの国民保護の観点からいろんな図上訓練、実動訓練等をやって万全を期していくべき、このように思っています。そういうことによって自衛官のミス、もし万々が一ミスということであれば、そういうミスもなくすように、万々が一のミスもなくすように実動訓練、図上訓練をやっていかなきゃいけない、このように思っています。
  116. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 この問題は、先ほど来議論しているように、極めて長官の言葉をかりれば泥沼に入りそうなこの憲法や法律の議論と、極めて技術的な、私たちが理解し得ないような技術の問題、そして現場の政治状況等、いろんな意味で非常に複雑な問題だと思っています。是非この国会の関与の在り方等につきましても、この法案が可決されるか否決されるか分かりませんが、この後もやはりきちっと随時この議論はしていただきたいし、また国会の関与の在り方等についても、適宜変えるときがあったら、また変える必要があると思われたら、そのように是非対応をしていただきたいと思うんですが、長官、いかがでしょうか。
  117. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) ミサイル防衛というのは我が国として初めての試みでございますし、これは私は国民の皆様に安心と安全を確保する、こういう意味で大変大事な問題、そして今までの日本防衛というこの分野の中で考えてみますと、そこのミサイル防衛だけはちょっと欠けていましたな、欠けていた、ここを埋めていくわけです。万全を期する、こういう意味で私は、今ベストの選択として進んでいっているわけであります。  そういう意味で申し上げますと、世論調査、朝日新聞の世論調査を見ましても、三分の二の国民の皆様がミサイル防衛にイエスとおっしゃってくださっている。このことを考えましても、やはりこういう安心と安全、今のこのミサイルからテロ、非常に多様化した脅威の中で、日本防衛、欠落しているところはやっぱり埋めていかなきゃいけないな、こういう思いで、万全を期してやってまいりたい、このように頑張ってまいります。
  118. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 残り二分になりました。  尊敬する今津副長官にお伺いしますが、その手に付けていらっしゃる黄色いバンド、それはどのようなメッセージでしょうか。
  119. 今津寛

    ○副長官(今津寛君) これはアメリカのNPOが発信しておりまして、がん患者、お金のないがん患者がいるものですから、そういう方々の御支援をするための、そういうバンドです。
  120. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 ありがとうございます。イエローバンドということで、がん患者のために今世界でキャンペーンをやっています。  私が付けているのは、これホワイトバンドといいまして、世界の貧しさ、「ほっとけない 世界のまずしさ」キャンペーンというのをやっていまして、世界じゅうのセレブの方々、そして日本のスポーツ界や芸能人等も一緒になりまして、今三秒に一人、世界の子供たちが貧困で今この時点も命を落としています。そして、約一億三千万、日本の人口と全く同じですが、この子供たちが勉強したくても学校に行けない状況、そしてその四分の三が女の子だという現状。世界じゅうには、この日本にもたくさんほっとけないことはあるんですが、世界じゅうに貧困という問題でほっとけない問題が一杯ありまして、お金を出すとかそういうことではなくて、とにかくこういう問題があることを忘れないでいようというキャンペーンを今世界じゅうでやっています。  アメリカという国は大したところがたくさんありまして、自由の女神もこのホワイトバンドをやったことがありました。イギリスのビッグベンも、白い布を時計の周りに巻きましてこのキャンペーンにビッグベンが参加したというようなこともありまして、今津長官の運動にも敬意を表しながら、是非この世界のほっとけない問題も御関心を持っていただきたいということを最後に申し伝えまして、質問を終わりたいと思います。
  121. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 まず第一に、ミサイル脅威に対する評価についてお尋ねいたします。  新防衛大綱でも弾道ミサイル拡散を新たな脅威として挙げているわけであります。そこで、大臣に、我が国について、いかなるミサイル脅威がどの程度あり、もしその脅威が実現をした場合の被害をどう想定しているのか、御報告願います。  特に北朝鮮に関しましては、懸念国であります北朝鮮に関しましては、今のところ、ミサイル発射モラトリアムを続けておりますけれども、このミサイル技術の海外売り込みは認めているところでして、その売り込み先での実験データがまた北朝鮮に還流しているという疑いもあるということであります。そこで、特にこの北朝鮮に関しまして、ノドンミサイル配備状況や新たな弾道ミサイル開発状況についてどう分析しているのか、このことも御報告願います。
  122. 飯原一樹

    政府参考人(飯原一樹君) ミサイル防衛の基本的な事実関係、また防衛庁の評価でございますので、私の方からお答えをさせていただきます。  まず、ミサイル防衛システム、先ほど大臣からもお答え申し上げましたとおり、特定の脅威を念頭に置いたものではございませんが、我が国周辺における弾道ミサイルの状況については、北朝鮮は我が国のほぼ全域を射程に収めるノドンミサイル保有配備していると、また中国はDF3ないしはDF21など日本に届くようなミサイル保有していると、またロシアもそうしたミサイル保有しているというのが客観的な状況でございます。  また、想定される被害ということでございますが、これは基本的には弾頭種類核弾頭のケース、それから化学、細菌あるいは通常弾頭と、これで大幅に異なりますし、また着弾した地点若しくは気象状況によっても大きく変わりますが、もちろん最悪のケース、かなり大型の核弾頭が人口密集地に落ちた場合には相当の被害が生じるということも、それは理論的には考えられるところでございます。    〔委員長退席、理事浅野勝人君着席〕  また、北朝鮮のミサイル開発の状況等の御指摘がございましたが、私どもとしてはかなり開発が進んでいるという認識をいたしております。  これにつきましても、例えば北朝鮮は、いろんな情報から、諸外国にミサイルを輸出していると、またその輸出先での実験結果等がフィードバックしているんではないかというようなことも言われておりまして、それらを材料にもいたしまして、かなりの開発が進んでいる状況にあると。ただ、現在、モラトリアムということで、ノドン級のミサイル、以上のミサイルについての実験は現在のところ行っていないという状況であるというふうに認識をいたしております。  また、具体的な配備状況につきましては、これは北朝鮮が具体的に何発保有しているかということを言明しておりませんし、また極めて閉鎖的な国の実情でございますので、私どもとして確たることを申し上げられる状況にないわけでございますが、いろいろ、諸外国の発言等では、ノドンでは百ないしは百七十から二百とかいったような証言をした例もあるというふうに承知いたしております。  以上でございます。
  123. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 次に、費用対効果の観点についてお尋ねいたします。  BMDシステムに係るコストは、どのような装備をどの程度の量、どこに配備し、そのことによっていかなる目標をどの程度防護するかということによって算定するわけです。そういう意味では、不確定要素が非常に多いわけで、常識的には現段階でそのコストを算出するのは難しいと思います。  しかし、長官も累次の答弁で全体のコストを約一兆円というようなことを言われておりまして、ある意味で、まあめどではありましょうけれども、上限を設定しているわけですね。そういう算出をした根拠について御説明願います。
  124. 飯原一樹

    政府参考人(飯原一樹君) では、大臣が申し上げました数字の内訳でございますが、イージス艦システム四隻の改修に約二千億円、それからPAC3につきまして三千億円、それから警戒管制レーダーにつきまして、FPS―XX及びFPSの3改の能力向上等に千五百億円、そのほか維持整備関連経費あるいは日米共同技術研究開発経費を含めれば、下限を取れば八千億円、上限を取れば一兆円というのが私どもの現在の見積りでございます。
  125. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 特に新防衛大綱の別表では、PAC3の高射群を三個高射群とするということになっております。これは言うまでもなくオールジャパンをカバーできないわけでありまして、これで本当に国土の防衛ができるのかという疑問は持つわけですね。これは、もうコストの関係でそうせざるを得なかったのか、あるいは防衛システム上それで足りるという判断なのか、どちらでしょうか。
  126. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) まず第一に御理解をちょうだいいたしたいと思いますのは、このミサイル防衛システムというのは二重になっているということでございます。イージスでミッドコースで迎撃して、さらにPAC3高射群でターミナルコースで迎撃すると、こういうことでございます。したがいまして、ミッドコースで撃ち落とした、万々が一撃ち落としたものを最終コース、ターミナルコースで迎撃するということでございます。  そういうことを前提にして申し上げたいと思うんでありますけれども、イージスBMDは半径数百キロメートル、これはもう先生御存じのとおりでありますが、このPAC3の方は半径数十キロメートル。確かに、この三個高射群では少ないんじゃないか、こういう御指摘もあろうかと思います。しかし、これは移動できる態勢にはなっている、しかし移動に時間掛かるじゃないか、いろんな議論があるかと思います。  この点を考えますと、やはり我々としては、まず考えなきゃいけないのは、このPAC3によりまして、政治的あるいは経済的な機能、ファンクションが集中している地域、これはやはり考えておかなきゃいけないな、さらに、いろいろな情報によってそれを移動させることも考えておかなきゃいけないな、こういうことであります。  いずれにしましても、機動的に移動、展開可能なシステムであり、状況に応じてPAC3の方は適切な位置に配置していく、こういう考えでやってまいりたい、このように思っています。
  127. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 今のこのPAC3の配備について、政治的、経済的機能の集中というようなことを考慮するというお話ですが、軍事的といいますか、そういう機能のあるところという観点は考えないんですか。
  128. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) これはもちろん軍事的という意味合いもあろうかと思います。しかしながら、それは総合的に判断するわけでありますけれども、国民の生活、国民の生命、財産を保護する、これが一番の目的でございます。そういう意味で私はあえて政治的、経済的機能の集積する地域と申し上げておるわけでありますが、当然いろんな配慮があって総合的には判断していかなきゃいけない、こういう問題があると思います。
  129. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 次に、中国など周辺国の対応を含む外交的配慮についてお尋ねいたします。    〔理事浅野勝人君退席、委員長着席〕  我が国のBMD導入につきまして政府は周辺諸国に対しましてどのような説明をしておりますか、また、これに対する反応はどうですか、御説明願います。
  130. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) 我々は日本防衛政策、特に昨年末改変いたしました新しい防衛大綱に基づいて、二つの事柄が特に言えるのではないか。  一つは、脅威の多様化によって、言わば抑止力も大事だけれども、抑止力というよりもむしろ対応力が必要なんだと。それはミサイル防衛から、あるいはミサイル防衛からテロやゲリラ、島嶼防衛まで含んで対処していかなきゃいけない。テロについては、特に抑止力があってもテロ攻撃があるわけですから、この問題は考えなきゃいけない、これが一つであります。いわゆる多機能、弾力的、実効性のある防衛力。  それからもう一つは、言わば国際的な安全保障環境を改善していこうと、こういう問題であります。このことにつきましては、私どもも海外で国防大臣等に会う場合には必ず十分に説明しておるわけでございます。その際問題になるのが、一つは今、荒木先生おっしゃったようなミサイル防衛、一体どうなるんだ、それからもう一つは、国際的に日本が外国での活動を重視している、これは一体どういう意味なんだと、こういう二つがやはり外国からの一つの質問として出てくるわけでございます。  特に、中国といたしますと、先生御存じのとおり、日本は憲法改正を推進し、これは二〇〇四年中国の国防というものでございますけれども、その中で日本については、日本は憲法改正を推進し、国防、安全保障政策を変化させ、ミサイル防衛システム開発を進めるとともに、海外での自衛隊の活動を活発化させている、こういう記述ももう既に出ているわけであります。しかしながら、今申し上げましたとおり、我々は日本防衛政策について基本的に透明にしていく、透明性ということで説明をしているところでございます。  BMDシステムにつきましては次のような説明をいたしております。相手方が我が国に対し弾道ミサイル発射しない限り実際に活用されることはないんですよ、それから、それ自体がいわゆる攻撃能力を持たない純粋な防御的なシステムですよと、こういう説明をしているところでございます。  このようなBMDシステムというのは、純粋に防御的であるという特性を持っております、そして、我が国の専守防衛という理念に合致するものであります、というようなことで理解を求めてきておりますし、それから、お尋ねではございませんが、国際活動の方につきましても、これは平和を構築していくというか、いわゆる安全保障環境を良くしていくためにやっているんです、こういう説明をしておるわけであります。  そういうことで、中国の防衛白書にある我が国の対外軍事活動というのは、どうぞ理解してもらいたいのは、テロ対策特措法とかイラク復興支援特措法とか、こういうことに基づく活動であります。国際的なテロとの人類の、人類がもう共同してやっていかなきゃいけない国際的なテロとの戦いに取り組んでいるんです、こういう説明をいたしてきておるところでございます。
  131. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 次に、弾道ミサイル拡散とこのBMDの関係につきましてお尋ねします。  我が国のBMD導入は、周辺国との関係におきまして、軍拡を誘発をするのか、それとも不拡散、軍縮管理に寄与するのか、どちらであると分析をしておりますか。
  132. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) 我々が今導入しようとしておりますBMDシステムというものは、今も御説明いたしましたけれども、相手国が、相手側が日本をねらって弾道ミサイル発射しない限り、実際には活用されるものではありません。我が国の考えておりますBMDシステムというものは、攻撃能力を持たない純粋に防御的なシステムであります。そういうことで、このような純粋に防御的という特性は我が国の専守防衛という思想に合致するものでありまして、私はこういう考え方は周辺諸国の軍拡を誘発するものでは絶対ない、このように思っておるところでございます。  BMDの導入を進めることは、弾道ミサイルの国際的な拡散や使用に対して逆に抑止していく効果がある、私はこのように信じております。
  133. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 これは午前中の参考人質疑でも累次議論されまして、懸念国としましては米国の攻撃能力も我々と一体として見るということですから、私はそうした懸念国のミサイル増強を促す可能性もなしとは言えないと思うんですね。しかし、そうは言いましても、やはり唯一積極的な防衛手段がBMDでありますから、これはもう選択をせざるを得ないのではないかというふうに私は思っているんです。  最後に、日米同盟の信頼性についてお尋ねいたしますが、今回のこのBMDシステム導入によりまして、日米同盟関係信頼性が高まり、米国の抑止力がよりよく機能するという効果は期待していいのか、大臣に見解を求めます。
  134. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) 日米同盟、世界の中の日米同盟の信頼性との関係でございます。  私は、やはり今、荒木委員若干お触れになりましたけれども、懲罰的抑止力という観点から見ますと、やはりミサイルとそれから日米安全保障条約、これが組み合わさって懲罰的抑止力の効果があるんじゃないか、それから、もちろん拒否的抑止力という観点から見れば日本BMDシステムというのはその効果があるのではないか、このように思っています。  そこで、大事なことは、日米関係との関係が、日米関係という意味でミサイル防衛はどういうふうにとらえていくべきなんだろうか。ミサイル防衛をやった場合、やはり一番大事なことは情報の共有であり、情報の交換であり、お互いに情報を分析していくということであります。そこで、更にこの日米関係強化されていく。  それから、運用面でも私はそのように思います。仮に、分かりやすい例で言いますと、アメリカのイージス艦が日本海近くに、日本の近辺にいる、こういう場合も想定できるわけであります。そういうときに、アメリカのイージス艦が日本防衛に参加、日本の自衛隊とともに運用面で協力し合っていく、このようなことが考えられると思います。  それから、さらにもう一つ申し上げますと、今ミサイル防衛につきましては日米で共同技術研究をやっております。さらに、それが開発段階を迎え、場合によっては生産段階、共同生産段階を迎えることになりますけれども、やはりそういう面で、ミサイル防衛につきましては日米が一体となってミサイルという脅威に対して対応していく、こういう場面が考えられると思います。  いずれにいたしましても、今申し上げましたように、今後、米国とミサイル防衛に関しましては、情報面、運用面での協力につきまして、この今御審議いただいております法案を踏まえて密接に連携する、そして調整していく、こういうことが出てまいると思っております。
  135. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 ミサイル防衛で国民の生命、財産を守るということが度々言われますし、そのことが今回の法案の一つの大事な点だという話でございます。  そこで、今日はその問題について防衛庁長官にお伺いしたいと思います。  ミサイル破壊措置の二段階目のPAC3の問題なんですけれども、全国に六個ある高射群のうち三個に配備して、そして、教育用だとしているものも三個あると。三個の高射群で日本の全体をカバーできるのかという点について、まずお尋ねいたします。
  136. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) 度々申し上げておりますけれども、まず第一に、日本の今から考えておりますBMDシステムというのは二重の構えになっている、このことを前提PAC3の問題についてお答えしたいと思います。  まず、PAC3三個群、三個高射群じゃないか、これで大丈夫かと、こういう御質問かと思います。  より攻撃を受ける危険性が高いと考えられております、先ほども申し上げました、政治、経済の機能が集中している地域などについて、PAC3により守ることといたしております。これも、PAC3というのは、委員御存じのとおり、機動的に移動することができる、機動的に展開可能なものである、こういうことでありますから、状況に応じて適切な位置に配置していくということでございます。
  137. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 今の長官の御答弁で、結局、日本全土すべてはカバーできないということになると思うんですね。そうすると、実際何割カバーできるのかと、それはどういうふうにごらんになっていますでしょうか。
  138. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) まず、もう一度前提条件、くどいようで申し訳ありません、二重の防衛であります。一層目、ミッドコースで迎撃できる可能性極めて高い。そして二番目は、PAC3は移動可能、展開可能であります。そして、その上に加えて、その上に加えて様々な情報という問題が出てまいります。情報を収集することによって、どの辺りということが分かる可能性は否定できません。したがって、情報収集に最善の努力を尽くしてまいりたい。  そういうことで、私が今申し上げたいのは、万全を尽くしてまいりたい、この一言であります。
  139. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 問題は、情報をよく収集したいとおっしゃられるその情報というのは、結局、これまでの答弁等々を見ても、早期警戒情報等々、結局、アメリカとの緊密な情報を共有するということを通じて行われるということになりますよね。
  140. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) アメリカとの情報交換、情報の共有、非常に大切なことであります。  このことは、早期警戒情報その他、いろんな情報があると思います。しかし、その他のいわゆるヒューミント情報も含めて、私は、これからの日本防衛というのは情報というのが大変大きな役割を果たしていくものとして情報収集には万全を期したい、このように思っております。
  141. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 私は、長官がよくミサイル防衛に取り組んでいく主体日本であるとよくおっしゃられます。しかし、結局、PAC3の段階でカバーし切れない。しかし、その前のイージス艦の段階でかなり撃ち落とす可能性があるとおっしゃられる。しかし、その際、やはり結局アメリカの情報、これがやはり非常に大事だとおっしゃられるわけですよね。  ですから、私は、その点では、ちょうど前回の委員会長官は自己完結的にとおっしゃられたけれども、そういうことでは到底ないと。私は、この問題の非常に大きな問題は、やはりアメリカの情報、そしてまたアメリカシステムに依存しているという、その点に大きな問題があるということを指摘せざるを得ないと、そういうふうに思います。  そこでお伺いしたいんですが、結局対象から、PAC3の対象から外れた地域、それをどうするのかという問題ですけれども、結局、今のお答えで言うと、第一段階のイージス艦で落とす、そういうことになるんでしょうか。
  142. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) その御質問に入る前に申し上げたいのは、情報といった場合、私は、二つ分けて考えていただきたいと思っております。  一つの問題は、一体どういう国から、どういう国がどういう構えをしてどういうミサイル発射の兆候が出てきているのか、こういう問題、どこをねらおうとしているのか、これはやはり事前の情報であります。それは、先ほど申し上げましたヒューミント情報を始めいろんな情報を考えていかなきゃいけない。  それからもう一つの情報というのは、やはり発射後の情報でございます。発射後の情報としては、今、緒方先生、早期警戒情報を始めいろんな情報があると。レーダーもございます。それから、日本が持っているレーダーもあります。アメリカのイージス艦が持っているレーダー情報もありましょう。そういう意味じゃ、それをお互いに共有していかなきゃいけない、こういうことはあろうかと思います。  お尋ねの、イージス艦だけが頼りじゃないかと、こういうような御質問かと思いますけれども、このことは度々お答え申し上げておりますけれども、このミッドコースから最終のターミナルコースに入ってくる場合には、やはりこのPAC3、今のところはPAC3ということしかないわけでありまして、PAC3、三つの高射群ということでありますから、これじゃ足りないだろう。全域守るとすれば、これは半径数十キロメートルをカバーするわけですから、この三つじゃ到底足りないことはだれから見ても明らかであります。  そこで、申し上げているのは、様々な情報、まず第一には政治とか経済が集積している場所、第二にはいろんな情報を勘案して展開可能な、移動可能なPAC3でやっていこうと、こういうことを申し上げているわけでありまして、そういうシステムの中で情報収集を始めとして最善を尽くしていく、これが我々の立場でございます。
  143. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 PAC3では足りないと。そしてまた、イージス艦でということになったときに、私、イージス艦でも、じゃこれで日本を全体をカバーできるのかという問題がやはり出てくると思うんですね。  私、防衛庁から提出いただいた資料手元にあるんですけれども、四隻のイージス艦がどう運用されているかということについて、平成十二年度から十六年度までのものがあります。これを見ますと、インド洋に派遣、アメリカに訓練派遣、年次定期検査。四隻のイージス艦、大変忙しいわけですよ。それで、二隻そろうとき、まあ月ですね、非常にまれですよ、二隻でさえですね。ですから、二、三隻あればという、そういうことを言われるんだけれども、これ自身、長官の御説明からしても大変矛盾していると。その第一段階のイージス艦で対応することも、これでは不可能ではないですか。
  144. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) 日本のこのBMDシステムというのは、八十二条二の一項と三項に分けておるわけであります。  兆候があれば、これはもう絶対守っていこうということでございます。そのときは何が何でもイージス艦きちっとそろえて、そして対応していく。だからこそ一項があるわけですね。  二項、いや失礼しました、第三項のケースでありますけれども、第三項のケースというのは、兆候はなくても、仮に事態が急変してミサイルが飛んでくるような場合、こういう場合に、せっかくこのイージス艦でミサイル対応が可能であるのに、そういう構えをしておかないと、これは日本の安全にとってこれはもったいないことじゃないか、こういうことで、そういう場合でも対応できるようにという趣旨で、言わば補完的な、一項を原則として、三項は補完的な考え方でつくっているわけであります。  だから、イージス艦足りないぞ、日本の守りはこれは不安じゃないかと、こういう御指摘は、私は、一項と三項と分けることによりまして、脅威がある場合は絶対守ります、こういう姿勢を取っているわけでありますし、脅威がないとしても、ゆとりがあって、そして、せっかくイージス艦があるのに対応できないことは、これはおかしいと。だから、そういう場合でも補完的に対応していこうと、こういうことでございますので、先生が御指摘のように、イージス艦も、それは国際任務とか他の業務があることは事実でございます。それを効率的に、日本ミサイル防衛にとって効率的に配備していこう、これが今回の法案の考え方であります。
  145. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 二、三隻あれば守れると言っている、そのそばで、しかし、二、三隻が保障できない時期はこれだけあると。しかし、そういう兆候が現れたら態勢取ると。これは、私は、増やして、イージス艦を増やすと言っているわけじゃないです。しかし、政府の説明には矛盾だらけだということを述べたいと思うんですよ。その点では、やっぱり態勢が取れないですよ、すぐには。インド洋からイージス艦をすぐ戻すわけにいかない。このことははっきりしているわけです。  それから、長官の御答弁というのは、結局、かなりの確度でミサイルを迎撃できるということを大前提にした御答弁だと思うんですね。  実際、先ほど榛葉議員から、SM3についての実験の結果についての御報告がありました。  それじゃ、PAC3について、十二回のうち十回迎撃に成功していると言われている。この中身はいかがですか。私はその話を伺って、なるほど、同じものだと思いました。つまり、必ずPAC3で撃ち落とせるというこの結果が示されているのかどうか、端的にお答えください。
  146. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) ペトリオットPAC3で試験の結果でございます。  十二回の試験のうち十回成功ということを今まで申し上げてまいっております。
  147. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 その内容が、つまり撃ち落として成功したというのではなくて、段階を追っているんですよ、その場合でも、ちょうど先ほどSM3についてお話がありましたように。  私、一つ具体的にお伺いしたいんですが、例えばその中にデコイを使った実験というのはあるんですか。
  148. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) デコイを使った実験はやっておりません。
  149. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 今かなりこうしたことがここでも現実の問題として議論されている。そして、デコイを例えば一発、二発使われたらもう対応できないと、そういうことがもう言われている。  そしてまた、今日の午前中の参考人質疑の中でも、まあその一〇〇%の確率ということはあり得ない、これは当然のことですけれどもね。しかし、それに近づくということもやはり大変だということを私は話を聞きながら痛感いたしました。  私、そこでつくづく痛感いたしますのは、アメリカのこれを担当している軍事専門家も含めて、この問題については、結局、詳しい詳細については公表されていない。どんな状況で実験をして、どういう結果が出たのかということについて詳しくは公表されていないという、そのことがアメリカでも指摘されております。  私はここでお願いしたいと思いますのは、やはり可能な限りこの問題、オープンにしていく、このことがどうしても避けて通れないと思います。なぜならば、かなりの確度で撃ち落とすということを前提にしてすべて答弁組み立てられているわけで、実際これがどうかということ、これが実際どうなっているかということが非常に大事なわけですよ。ですから、今日の午前中の参考人の質疑も、技術的にどうかという点でも非常に大事だったと思います。  そこで、委員長にお願いしたいと思うんですけれども、やはり可能な限り、出されたものにも詳細非公表ということは一杯付されている。まあ、公表できないことがあることは当然認めます。しかし、この委員会でまともな審議ができるような形の資料をやはり出していただく、このことはどうしても今後審議を進める上で必要だというふうに痛感しておりますので、是非この件について御協議をお願いしたいと思います。
  150. 林芳正

    委員長林芳正君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議することといたします。
  151. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 じゃ、以上のことをお願いして、質問を終わります。時間になりました。
  152. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 最初に、外務省にお伺いいたします。  宇宙空間には各国の警察権が及ぶのかどうか、御説明ください。
  153. 林景一

    政府参考人(林景一君) 警察権とおっしゃることの意味によるのでございますけれども、これが、今回問題になっておりますような説明として、国内法上あえて警察権の行使と整理しておりますような、まあ言わば自衛権の行使ではないけれども国際法上認められる範囲内で一定の強制性を持って国内法を執行する行為というような意味でもしこれをとらえるとした場合に、そういうものをどういう範囲で実行することができるのか、執行することができるのかということでございますけれども、これは、宇宙空間におきましても、国際法上、国家が一定の強制措置を含みます必要な措置をとることができるということは、そういう場合がございます。
  154. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 防衛庁長官にお伺いいたします。  一九六七年十月に我が国が批准した月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約、いわゆる宇宙条約の第二条は、「月その他の天体を含む宇宙空間は、主権の主張、使用若しくは占拠又はその他のいかなる手段によつても国家による取得の対象とはならない。」と定めています。つまり、宇宙空間においては国家主権の主張を禁じています。  長官は、去る七月五日の本委員会で、大気圏外の宇宙空間でも自国の警察権の行使としての弾道ミサイル迎撃は可能との見解を示されました。  そこで伺いますが、大気圏外への迎撃ミサイルの使用と宇宙条約第二条との関係はどのような整合性を持つのか、御説明ください。
  155. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) 弾道ミサイルというものを考えた場合に、我が国の国民の生命、財産を絶対守らなきゃいけない。これは、我が国に飛来することが明確になった段階ではこれはもう撃ち落とす以外に我が国の国民の生命、財産を守る手だてございません。必要かつ当然の措置である。これはもう本当にこのことを考えておらなきゃいけないわけであります。  もう一つ申し上げるのは、宇宙空間の利用というのは平和的利用、このことは頭に重くあってこういうような条約ができているんだろうと思いますけれども、この今回の行為というのは自衛権の行使ではありません。自衛隊法上の任務としては公共秩序の維持ということに該当する。あえて整理すれば警察権の行使ということは度々申し上げているとおりであります。したがいまして、法体系におきましても、自衛隊法の八十二条、八十四条の類型ということで考えておるわけであります。  ミサイルというのは大気圏外を高速度で高高度で飛来してまいるわけであります。で、それを破壊するわけでありますが、あくまでも我が国の領域における国民の生命、財産を守る、これが目的であります。武力行使ではありません、他国に対する武力行使ではありません。我が国に飛来する弾道ミサイル破壊するだけであります。そして、弾道ミサイル破壊しなければ多大な生命、財産の被害が起こる。これを考えますと、防止するために他に手段がない、そういう意味で、私は今御指摘の宇宙条約との関連では問題がない、このように考えております。
  156. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 今の御答弁をお聞きしておりますと、国家主権を主張できるというふうに聞こえるわけなんですが、違いますか。
  157. 林景一

    政府参考人(林景一君) 若干、条約の方の関係でございますので、ちょっと私の方から技術的に御説明させていただきますけれども、宇宙条約の第二条の今御指摘の規定でございますけれども、これはちょっと読ませていただきますが、「月その他の天体を含む宇宙空間は、主権の主張、使用若しくは占拠又はその他のいかなる手段によつても国家による取得の対象とはならない。」、つまり国家がその宇宙空間を使用したり占用したり占拠したりすることによりまして、それが言わば権原といいますか、権原の根拠とする、そういう主張はできないのだということでございまして、今回の場合は、そういう我が国が何かその、そういう、そういう意味における国家の主張をしていると、あるいはしようとしているということではございません。あくまで、先ほど長官の方からお話がございましたように、我が国の国民の生命、財産を守るために必要不可欠な場合の措置として、そこに、宇宙空間において対応措置が行われることがあるということでございますので、この二条の趣旨とは何ら矛盾するものではないというふうに考えております。
  158. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 それでは、確認させてください。大気圏外でも警察権の行使はできるという意味ですか。
  159. 林景一

    政府参考人(林景一君) 先ほど申しましたとおり、その警察権という整理は、これは国内法上の整理として御説明しているところでございます。国際法上これをあえて評価するとすれば、恐らく一定の強制性を伴った行為ということを国内法に従って執行できるかどうかということだろうと思いますが、そういう意味におきましてのお話ということでございますれば、宇宙空間においてこの今回のような措置をとるということは当然に認められるというふうに考えております。
  160. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 それでは、改めて伺いますが、今長官がおっしゃった大気圏外の宇宙空間でも自国の警察権の行使としての弾道ミサイル迎撃は可能という御見解は、軍事的利用を禁止した第四条の規定とどういう整合性を持つのでしょうか。
  161. 林景一

    政府参考人(林景一君) 済みません、第四条とおっしゃる趣旨は、宇宙条約の第四条でございましょうか。
  162. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 はい。
  163. 林景一

    政府参考人(林景一君) 宇宙条約の第四条は大量破壊兵器の打ち上げ禁止ということでございまして、これは大量破壊兵器地球を回ります周回軌道に乗せる、つまり攻撃を行うために大量破壊兵器宇宙空間に乗せるというようなことを禁止した規定でございまして、今回の場合は、もちろん当然のことながらこの弾道ミサイル防衛システム我が国が行います行為というのは、何らそれ自体は大量破壊兵器の打ち上げ、あるいはその周回軌道に乗せるといった行為、四条で禁止された行為とは何ら関係のない行為だろうというふうに考えております。
  164. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 防衛庁長官は、去る六月二十九日の参議院本会議の答弁で、弾道ミサイル防衛システムは特定の国や特定のミサイルを念頭に置いて整備しているものではないと述べておられます。  しかし、特定の国のミサイルを想定せずして、今回提案の自衛隊法第八十二条の二の第一項で言うミサイルの飛来のおそれをどのように察知できるのですか。つまり、第一項で言うおそれがある場合の措置は、我が国ミサイルを撃ち込んでくる国及びミサイル発射地点などを予想して、常日ごろから情報収集していて初めて可能だと思うんですが、その点についての御見解をお聞かせください。
  165. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) まず第一に、基本的な問題を申し上げたいと思います。それは、ミサイル攻撃というのが世界的に可能性が高まっている、こういう問題であります。一番この世の中で怖いのは、やはりミサイル攻撃によって、例えばNBC爆弾が飛んでくる、こういうことが一番世の中で怖い。そして、そのNBCミサイルがテロリストの手に入ることであります。  したがいまして、それをどうやっていくかという日本防衛を考えた場合に、そのミサイル防衛をどうするかというところだけは日本防衛について今欠落をいたしておるところであります。我が国のこのような防空機能の言わば欠落部分と言うとちょっと語弊があるかもしれませんけれども、その欠落部分を埋めるものとして、私は、BMDシステム導入することが日本の国民の皆様に安心と安全を確保していく上で大変大事なことだと、このように思っております。  この上で、どういうことでおそれを判断するのかという御質問でございますけれども、八十二条、今回の法制の八十二条の二項、一項でございますが、失礼しました、八十二条の二の第一項でございますけれども、「我が国に飛来するおそれ」というものは、国際情勢あるいは発射の示唆、軍事的行動、部隊の動き、ブースターが、ブースターが立ったとか立ち上がったとかそういう状況、こういうものを総合的に分析、評価していかなきゃいけないわけでありまして、この分析、評価というのは政府全体で行っていくべきものであると思います。  我が国に飛来するおそれを判断するに当たりましては、今先生も御指摘になりましたけれども、特定の国や特定のミサイルということを念頭に置くことではなくて、やはり今申し上げたような観点からいろんな情報を総合して、そして特定の国、あっ、この国だなということは最終的に判断していかなきゃいけませんけれども、総合的な判断が必要かと思います。
  166. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 外務省にお伺いいたします。  質問通告をしていなくて恐縮ですが、本日の午前、沖縄の米軍キャンプ・ハンセンのレンジ4において、地元住民や沖縄県民そして自治体等が強く反対している声を無視して、都市型戦闘訓練施設で実射訓練が開始されたと報じられておりますが、これは事実でございますか。
  167. 谷川秀善

    ○副大臣谷川秀善君) キャンプ・ハンセンのレンジ4の陸軍複合射撃訓練場におきまして射撃訓練が開始されたとの報道があることにつきましては承知をいたしておりますが、既に米軍からは六月の二十七日以降、本訓練の練習場の使用を開始する旨の連絡を受けているところでございます。  政府といたしましては、レンジ4の陸軍の訓練につきましては、米側として地元の懸念に配慮し、部隊の訓練維持のため必要最小限にとどめ、また安全にはくれぐれも万全を期するよう、改めて働き掛けを行ってまいりたいと考えております。  これに対し、米側は、日本政府の要請も踏まえまして、訓練は部隊の訓練維持、練度維持のための必要最小限にとどめる、安全にはくれぐれも万全を期すると回答してきておりまして、万全の安全対策を持って訓練が実施されるものと考えております。
  168. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 私は去る六月三十日の本委員会で、米軍がなぜ都市型戦闘訓練施設を沖縄に持ってきたかという点を指摘いたしました。つまり、当初はグアムに建設する予定だったんですが、安全性に問題があるということで、それができなくなって沖縄に持ってきたわけでございます。  レンジ4の都市型戦闘訓練施設は、沖縄自動車道からわずか二百メートル、住宅地からも三百メートルしか離れておらず、これまでいろんな事故が起こっておりますので、住民やドライバーにとって極めて危険な位置にあります。したがって、安全性を考慮すれば、訓練を直ちに中止して訓練施設を撤去すべきと考えております。  外務省としては、これまでも安全性に問題がないということを繰り返し繰り返しおっしゃっていながら、もう安全性を損なう問題が、事件、事故が何回も起こっておりますし、一体この都市型戦闘実弾射撃訓練場をどうするおつもりですか。
  169. 谷川秀善

    ○副大臣谷川秀善君) 御指摘のこともございますが、外務省といたしましては、従来より申し上げておりますとおり、本件訓練場におきましては、建物と建物の間を走り回り、四方八方に射撃するような訓練を実施するものではありません。射撃訓練用建物では、流弾、被弾対策として、標的の後方に高密度のゴム製の弾丸トラップ等を使用し、屋外での射撃訓練では北西方向、着弾地方向でございますが、北西方向に対してのみ射撃を行い、住居地域の方向には射撃は行われないと承知いたしておるところでございまして、そういう意味では安全性につきましては十分配慮されているものというふうに考えております。
  170. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 去る七月八日付けの朝日新聞は、日米政府は、在日米軍の変革・再編について、九月にも外務防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会、すなわち2プラス2を開いて、個別の基地名を盛り込んだ中間報告をまとめる方向で調整に入ったと報じておりますが、これは事実でございますか。
  171. 谷川秀善

    ○副大臣谷川秀善君) 在日米軍の兵力構成見直しにつきましては、在日米軍の抑止力維持と沖縄等地元の負担軽減の観点からいろいろの具体的なアイデアにつきまして検討をいたしておりますけれども、個別の施設・区域についていかなる決定も行われておらず、米側との協議の内容につきましては現在申し上げられる段階にはございません。  今後とも、日米の役割、任務、能力や在日米軍の兵力構成見直しを含めまして、安全保障上の諸問題について集中的に日米間で議論を行い、いつごろどのような形で中間報告をまとめられるかといったことも含めまして、秋ごろまでには何らかの成果に結び付けたいと考えておりますけれども、現時点ではその具体的な内容や時期が決まっているわけではありません。
  172. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 終わります。ありがとうございました。
  173. 林芳正

    委員長林芳正君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。    午後三時二分散会